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1956-02-29 第24回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十八日  廣川弘禪君委員長に、志賀健次郎君、篠田弘  作君、薄田美朝君、松浦周太郎君、松田鐵藏君、  北山愛郎君及び渡辺惣蔵君が理事に当選した。     ————————————— 昭和三十一年二月二十九日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 廣川 弘禪君    理事 篠田 弘作君 理事 薄田 美朝君    理事 松浦周太郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 北山 愛郎君 理事 渡辺 惣蔵君       植木庚子郎君    瀬戸山三男君       南條 徳男君    橋本 龍伍君       林  唯義君    本名  武君       小平  忠君    竹谷源太郎君       芳賀  貢君    三宅 正一君       岡田 春夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      白波瀬米吉君         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益太郎君     ————————————— 二月二十八日  委員横川重次君辞任につき、その補欠として本  名武君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道開発公庫法案内閣提出第六三号)     —————————————
  2. 廣川弘禪

    廣川委員長 これより会議を開きます。  昨日は委員長のふなれのために、正力国務大臣よりのあいさつのないままに議事に入りましたことを、この際委員長より一言おわびをいたしておきます。  今回、北海道その他重要地域開発に関する法律案審査及び諸施策の樹立のために、本国土総合開発特別委員会設置されましたので、正力国務大臣より一言あいさつしたいとの申し出があります。この際これを許したいと思います。正力国務大臣
  3. 正力松太郎

    正力国務大臣 私、実は議場にふなれ、すべてが新参でありまして、何にもよく知りませんで、きのうも提案理由説明する前に一言あいさつしなければならないのを、つい提案理由説明に入りまして、まことに相済みません。きょうはあらためて一言あいさつを申し上げます。  今度国土総合開発特別委員会ができまして、まことにけっこうであります。ことに、ここに北海道問題については十分御審議を願う機会を得たことを、私ども非常に喜んでおります。どうかこういうりっぱな機関ができた以上、北海道の問題を特に御詮議を願いたいと思います。今度幸いに公庫法案も出たことでありますし、一つこれをきっかけといたしまして、北海道についてなおたくさんの重要な問題の御審議を願いたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。あらためておわびかたがた、お願いいたします。(拍手)
  4. 廣川弘禪

    廣川委員長 渡邊君より発言を求められております。これを許します。渡邊君。
  5. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 国会の中に国土総合開発特別委員会設置されましたが、最初に当りまして特にこの際、この特別委員会運営につきまして、意見を申し述べておきたいと思います。  ただいま正力国務大臣からごあいさつがありましたが、率直に申しますと、大臣といたしまして、この特別委員会を持たれるに当って、約一月以上にわたって国会の中であらゆる論議を尽して、ようやくスタートいたしましたところでもって、昨日の最も重大な第一回の委員会で、一言のごあいさつもなしに、単に事務的に法案趣旨だけを説明なさったということは、非常に遺憾に存じます。きょうは賢明なる大委員長のお扱いによりまして、おくればせながらごあいさつがあったわけであります。多分正力国務大臣は原子力に夢中になられて、北海道開発庁長官であることを忘れておられたんだろうと思うのでありますが、一つこの際、この国土開発特別委員会は、北海道施策について、国土開発立場から重点的に施策をするということ、及び府県の問題を含めて国家的立場から審議を進めるという、非常に大きな任務を持ってスタートいたしたのでありますから、ただ単に北海道開発長官たるのみならず、国務大臣といたしまして、この委員会審議に対しましては一つ慎重な態度をとっていただきたいということを希望いたします。  ことに従来北海道開発長官は、しばしば政局の変転のもとに変更いたされまして、一昨年のごとき、北海道は非常な風水害に見舞われて、住民の非常な混乱の中に、この期間中に大臣の変ること五たび、一人の大臣在任期間がわずかに二カ月ばかりという高記録をとどめておる状態でございまして、いずれも主管大臣たる者北海道特異性御存じないし、単に大臣のポストにすわったというだけの現象で、道民はそのことに対して非常な不安と強い批判をいたしております。こういう時期に正力国務大臣が就任されたということは、国民が多くの期待を持っておるときでございますから、一つ格段の御配慮をわずらわしておく次第であります。  特にこの機会に、昨日申し上げる予定であったのでありますが、理事会を開かざるままに委員会に入ってしまいましたために、その機会を失ったのでありますけれども御存じのように、当初この委員会は、自民党諸君の提唱によりまして、北海道開発特別委員会として提案をされてきたのであります。国会にこのことが問題になって参りましたのは、一月十三日の議運理事会が初めてであります。自来二月の二十三日の議運におきましてこれを決定し、本会議において承認を受けるまで四十数日の間、この問題に対しましてはそれぞれ両党の間におきまして、この委員会の持ち方について審議をいたしたのであります。私ども国土開発建前から、北海道には超重点的な施策を施行せらるべきであるという点につきましては、もちろん同感でありますし、非常に喜ばしいことでありますけれども、少くとも北海道総合開発というものは、国土全体にわたったその関連において施策が行われなければならないし、ことに今日のような国家財政事情のもとにおきましては、国家財政状態をも勘案し、また国の持つ経済計画との関連の上においてこのことが審議されなければならない。こういうふうに、今後提出をせられ、審議をせられる諸法案にいたしましても、すべてそのことの関連を抜きにしては考えられない問題であります。しかも国会の中に北海道開発特別委員会という、特定地域にわたります特別委員会が、いかなる理由にいたしましても、出現をいたすということになりますと、続いて東北開発特別委員会、あるいは四国開発特別委員会等のような、諸種の地域的な特別委員会の発生を否定する根拠がなくなって参ります。もしまた、これを許すならば、日本国政は道州制のような地方的分断の行政になって、国政の総合的な運営審議が妨げられるというのが、私どもの本来の建前であります。  こういう建前から、私どもは去る二月十八日に、社会党から自民党に対しまして特に申入書提出いたしまして、北海道総合開発特別委員会設置に対して、わが党は特に国土総合開発特別委員会設置を提唱しているので、この点について自民党としても同調せられたいことを申し入れたのであります。こういう諸般の四十日間の経緯を通しまして、この特別委員会が二月二十三日に成立をいたしたわけでありますが、特に二十三日のこの設置の動議に当りまして、北海道その他の重要地域にわたる総合開発に関する法律案審査及び諸施策審議する、こういう建前になっておるのでありまして、ここにこの委員会の性格が明確になっておるわけであります。特に私どもがこの委員会成立に当って自民党に申し入れをいたしました項目の中で、この委員会において審議をいたすべきものといたしまして、まず第一に国土総合開発に関する諸案件、その次は北海道開発に関する諸案件、三、東北及び地方的開発に関する諸案件、四、全国的または数府県にまたがる国土開発に関する諸案件、五、国土開発高速度自動車道建設に関する諸案件、六、過大都市の抑制、人口及び産業の分散、奥地開発等に関する諸案件、こういう当面いたしておりまする国土開発関連する事項について、この委員会にて総合的に審議ありたい、こういう内容を持った国土開発特別委員会を持つようにという提案をいたしまして、二月二十三日、自民党諸君の賢明なる判断によりまして、北海道開発特別委員会から国土総合開発特別委員会にこれの変更を見たということは、こういうようなわが党の提案を了承された前提の上に立っておるものと、私どもは了承いたしておるわけであります。  従いまして、今後この委員会審議をするに当りましては、こういうような建前において全体の問題に視野を広めていただきたいと思います。ことに国土開発関連いたしまする立法といたしまして、すでにこの裏づけといたしましては、国土総合開発法があり、国土調査法があり、北海道開発法があり、離島振興法がある。こういうすでに関連をいたしておるところの、国家的な建前から規定された法律があるにもかかわらず、これらの問題が経済計画とマッチせず、国家財政計画と組み合せがつかずに、単なる空文にひとしいような状態になっておりますので、この際この国土総合開発特別委員会設置をせられた機会に、一つ根本的に国土開発のあり方をもあわせて審議をしてしかるべきだと考えるわけであります。  特にこの委員会が開会されるに当りまして、私どもはこういう委員会成立経過から見まして、この委員会におきましては、まず第一に法案審議するに先だちまして、特に高碕経済企画庁長官から、国土開発に関する総合的な構想を明確にしていただかなければならぬと思います。このことなくして、日本における経済計画国土計画との基本点が明確になることなしに、自余の個々の法律案審議することは、非常に危険であると考えるのであります。たとえば、御提案になっております北海道開発公庫法案等のごときにおきましても、その財政融投資対象となるべき産業育成等も、当然国の計画との関連において、地方開発地域開発との関連においてなし遂げられなければならないのであって、そういう前提基礎条件をまず明確にせられて、その上に立ってこれに適応すべき方策としての法案審議に入るのが妥当であると考えまして、特にこの委員会におきましては、具体的な審議に入ります前に、高碕経済企画庁長官のこうした基本的な国土開発に対するところの建前を明確にいたしていただきたい、こういうことをこの際希望する次第であります。  なお委員会運営に当りまして、ただいまの理事会におきましても特に希望を申し述べておいたわけでございますが、間々間違いますと、この委員会経過から見まして、北海道特別委員会なのだという錯覚を起す危険がありますので、きわめて少数の北海道関係した者だけがその推進力だろうとするというようなことで、全体の関連を見失う危険がしばしば出て参ります。こういう点におきまして、特に委員会の民主的な運営をこの機会に明確にしておきたいと思います。幸いに廣川委員長が登場されて、練達堪能でありますから、その点は如才なく運営されると思いますけれども、この委員会は、他の十六の常任委員会や四つの特別委員会におくれてスタートいたしまして、しかも会期の半ばにスタートいたしました関係上、国会議員のすべては、それぞれの委員会の中枢となって、二百幾つの法律案と取り組んでおる状態であります。すでにそれぞれの法案を抱いて、責任のある審議を継続しておる折柄でありまして、特に午前中この会議を持たれますことは、既往の先任委員会との関連において、この調整に非常に困難をきわめると考えますので、できますならば、この委員会は他の委員会に支障ないように、これを午後に開会し得るように、この機会委員長として格段の御配慮を希望する次第であります。
  6. 松浦周太郎

    松浦(周)委員 議事進行——ただいま議事進行に関しまして、渡邊君からいろいろのお話があったのでありますが、もとより民主主義国会の中において、そのルールを踏み違えている点はないのでありますから、民主主義云々お話は、私はあまり好ましくないものだと思うのです。もし間違っておったならば、そういう議論が必要でありましょうが、われわれはあくまでも民主主義にのっとってやっておるのであります。  もう一点の問題は、渡邊君にして形式的な議論のみにとらわれて、本質を忘れておられることを残念に思います。この問題は国土総合開発委員会にするということは、これはもう差しつかえない、ところが北海道開発という委員会にするならば、いろいろブロック的に起ってくる問題、しかもロックローリングのような問題が起きるという御心配があるのでありますが、この問題に対しては、先進国の例を見ましても、イタリア南部開発とはっきり銘打ってやっております。それほどイタリア南部開発は、その国にとっては重要な問題である。南部開発があったから、北部開発をやるか、あるいは中部イタリア開発をやるか、それはもちろんないのであります。またアメリカにおけるTVAの問題にいたしましても、最初からテネシー渓谷開発をやるということを銘打ってやっております。ソ連におきましても同様であります。でありますから、私はもう少し視野を広くした——北海道ということが視野が狭いのではなくて、北海道特別開発をするということが、日本産業経済日本人口の問題に対して、より以上この国に必要であるということがわれわれの考えた点であります。この点は、視野が狭いということではなくて、視野を広くするために用いた考え方であることを、北海道渡邊君としてあまり狭い考えを持たれないように——もちろんこの問題をやるためには、御指摘のような、総合的な国策の面から立てられたものでなければならぬことは当然でありますが、私ども考えておる理想は、人口平均から見て、平均が二百六十人ぐらいの状況のものが、北海道は五十三人なのです。しかも今後日本人口の増加する上において、貿易はもちろん必要でありますけれども、やはり未開発のそういう国土開発することによって、初めて日本経済が打ち立てられるのであるから、そういう面はそれは東北にもありましょう、あるいは九州にもありしょう、けれども、どこと比べても日本の現状においては一番必要なものである。北海道におらるる者として、そういう狭い考えではなくて、日本開発のために、少くとも国費の一割ぐらいのものを持っていくぐらいの考え方の上に立って啓蒙してもらわなければならないと思いますから、私ども民主主義下における国会運営についてはあくまでも民主主義的にやる、それが間違っておったら御指摘願いたいが、より以上民主的にやると言っても、これ以上のやり方がない。でありますから、私は、議事運営に対しましては時間をとうとばなければなりませんので、昨日提案説明をせられました問題に対して、即時審議に入っていただくことを提唱いたします。
  7. 廣川弘禪

    廣川委員長 渡邊さんからごもっともな御意見でございます。理事会におきましても御発言があり、また理事諸君も了承いたしておりまして、あなたの言うような順序で進めたいということを理事会で決定いたしております。特に明日は高碕君よりそれぞれの意見を聴取する予定にいたしております。そして御懸念の非民主的でなく、民主的にやれという点は、十分尊重いたしまして、民主的にやりたいと思います。     —————————————
  8. 廣川弘禪

    廣川委員長 それではこの際、きのう提案理由説明がございました北海道開発公庫法案について政府委員より説明を聞きたいと思いますが、よろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 廣川弘禪

    廣川委員長 それではこれより説明を聞きます。田上政府委員
  10. 田上辰雄

    田上政府委員 昨日正力大臣から北海道開発公庫法案につきまして提案理由及びその趣旨説明を申し上げたのでございますが、私からさらに北海道開発公庫法の各条につきまして御説明を申し上げたいと思います。  お手元に北海道開発公庫法案をただいま配付いたしますので、ちょっとお待ち願います。  それではさっそく第一章総則の第一条から順次お目通しを願いたいと思いますが、第一条には目的が書いてありまして、「北海道開発公庫は、北海道における産業振興開発を促進し、国民経済の発展に寄与するため、長期資金を供給すること等により、民間投資及び一般金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」、これが本公庫の大目的なのでございます。昨日正力大臣からも申し上げました通りに、このねらいは、民間資金の呼び水的な役割を果すということでありまして、北海道産業振興を大きく促進をするために、従来北海道産業開発上久しく問題になっておりました長期資金をこの公庫によって供給をして、そして民間投資を促進し、一般金融機関がそれぞれ金融をいたしておりますが、その足らないところをさらに補って、北海道開発を大いに促進していこうというわけでございます。第二条は法人格規定でありまして、第三条には、「主たる事務所札幌市に置く。」といたしております。その二項にありますように、必要な地に従たる事務所を置くことができる規定になっておりますが、さしあたりは東京支店を置くことを予想をいたしておる次第であります。御承知通り公庫は将来政府のいろいうな監督を受け、十分緊密なる連絡をとっていかなければならないのでありますし、なお事業の上でも東京支店を置くことが必要だと考えておりまするので、本店札幌市に置きまして、支店をさしあたり東京に置くということに考えております。第四条は資本金のことでございますが、これは産業投資特別会計から十億を本年は出資をいたすことになっております。なお運用資金といたしましては、この公庫自身の十億の資本金のほかに、政府資金としまして、資金運用部から三十億を借り入れ、そしてそのほかに政府保証に基く債券発行による民間資金といたしまして四十億ございますので、合計しまして運用資金としては八十億を運用していくことになるのでございます。第五条は、公庫としての登記の手続等、これを政令で定める予定にいたしております。第六条は名称の使用制限でありまして、例文でございます。第七条は民法の準用でありまして、法人不法行為の問題だとか、あるいは住所地本店住所地になるのだというふうな、これも例文的なものでございます。  第二章は役員及び職員項目でございますが、第八条にありますように、役員といたしましては理事長一人、理事三人、監事二人ということに相なっております。そして第十条にあります通りに、理事長監事主務大臣任命をいたすことになっており、理事長は第九条にありますように、公庫を代表して業務を総理するのであります。理事理事長主務大臣承認を得まして任命することになっておるのであります。それから役員の任期を第十一条に書いてございまして、四年となっておりまするが、再任されることができるのであります。それから十二条は、役員欠格条項をきめておりまして、たとえば一号に「国務大臣国会議員政府職員(人事院が指定する非常勤の者を除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員」、それから「二政党の役員」、これは欠格条項になっておりますが、他の公庫も同様な規定になっておるのでございまして、北海道開発公庫につきましても、他の公庫と同様、こういう欠格条項規定いたしておるのでございます。その次の役員兼職禁止も同様に、ほかの公庫と同じように扱われておるのでありまして、役員営利目的とする団体役員となり、またはみずから営利事業に従事してはならないことになっております。十四条は代表権制限の問題でありまして、これは例文で、同様の公庫にみなある条文でありますが、理事長または理事の利益が公庫と相反する事項については、これらの者は代表権を有しないということであり、その場合には監事公庫を代表することになっております。代理人の選任の問題が十五条にございますが、これも例文でございます。第十六条は職員任命のことでありまして、公庫職員理事長任命するのでございます。第十七条は、役員及び職員の公務員たる性質でございまして、これは役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令によって公務に従事する職員とみなすということになっております。これは他の公庫も同様でございます。十八条は、退職手当の支給の基準でございます。  第三章業務に入りますが、第十九条は、業務の範囲を規定しておるのでございます。これは「公庫は、第一条の目的を達成するため、北海道において次に掲げる事業を営む者で当該事業に係る設備(船舶及び車両を含む。)の取得、改良又は補修に伴い長期資金を必要とするものに対して、当該資金出資若しくは融通又は当該資金に係る債務保証業務を行う。」ということになっております。第一条の北海道開発振興を促進する目的を達するために、事業設備に対しまして、さらに設備を取得するとか、あるいは従来あったむのを改良、補修するという場合に、長期資金を必要とするもの——短期のものは一般金融で救済されておるわけでありますが、特に長期資金を必要とするものに対して、あるいは出資、融資、債務保証を行うということにいたしておるのでありまして、これが大前提でございます。しからば、その対象事業はどういう事業をねらっておるかと申しますと、五項目ございまして、一が、「石炭又は可燃性天然ガス利用度の高い工業」、二が「農林畜水産物加工度の高い工業」、三が、「鉱業及び製錬業」、四が、「産業振興開発に係る交通運輸業」、五が、「前各号に掲げるもののほか、産業振興開発のため特に必要な事業主務大臣の指定するもの」ということでございます。この主務大臣というのが今までにもだいぶ出て参りますが、この主務大臣と申しますのは、あとの方に出ております。十六ページにございますが、補則の第三十六条でございます。ここにに主務大臣規定してありまして、「この法律における主務大臣は、内閣総理大臣及び大蔵大臣とする。」ということでございます。北海道開発の使命を持っておりますこの公庫は、当然北海道開発国策の線に沿うて運用されなければなりませんので、開発庁長官がこれを監督する必要があるのでありますが、御承知通り開発庁総理府の外局でございますので、法律内閣総理大臣主務大臣となるわけであります。大蔵大臣は、金融関係でございますので、当然主務大臣として監督をすることになるのでございます。そういうわけで、ここに出て参ります「主務大臣」と申しますのは、総理大臣大蔵大臣のことでございます。  もとに戻っていっただきまして、第二十条に「業務方法書」というのがございます。これは業務開始の際に、業務方法書公庫の場合におきましては全部作るのでありまして、主務大臣の認可を受けてこれを作ることになっております。変更する場合においても同様でございます。なお業務方法書に記載すべき事項政令で定めることにいたしております。それから二十一条は出資及び債務保証の限度でございますが、ほかの公庫と違いまして、この北海道開発公庫特色とも申しますのは、この公庫がみずから出資いたすこと、あるいは債務保証をいたすことが特色であるとも申せるのであります。しかしながら出資にいたしましても、債務保証にいたしましても、この公庫が扱いますのは、一般の他の金融といたしましては企業採算上そう大した有利なことでなくとも、北海道開発にとってはきわめて重要な事業である、しかも長期資金を要するというふうな特殊のものに対する出資及び債務保証でありますので、他面におきまして、公庫の存立を確保するためには、法律上この出資及び債務保証について適当な制限を加える必要があるのでございます。それを二十一条に規定しておるのでありまして、これは出資の額と債務保証の額の合計が資本金の額をこえるようなことがあってはならない、こういうことなのでございます。これは資本金が十億でありますので、その範囲内において考えなければならない。従って出資が五億といたしますと、債務保証はその残りの五億の限度に制限するのだという規定でございます。それから二十二条は業務の委託でございまして、公庫主務大臣の認可を受けて、他の金融機関に対して業務の一部を委託することができるという規定でございます。それから二十三条は、これは公庫事業計画及び資金計画を四半期ごとに作るのでありまして、それにつきましても主務大臣の認可を受けなければならないことになっております。変更の場合も同様であります。  第四章は会計でありまして、これは他の公庫と同じような例文になっております。しかしながら二十四条はきわめて重要な規定でございまして、公庫の予算及び決算に関しては、ほかの公庫と同じように、公庫の予算及び決算に関する法律の定めるところによるのでありまして、国の予算、決算と同じように、主務大臣の検査を受け、内閣の議を経まして、国会の決議を要することになっておることは、この法律できめられておるところであります。そういう手続にいたすわけでございます。二十五条は例文でございまして、納付金等のことにつきましては、なお政令で具体的なことをきめていきたいと思っております。二十六条は借入金の問題でありまして、「公庫は、主務大臣の認可を受けて、政府から資金の借入をすることができる。」となっておりますが、今回は先ほど申しました通り資金運用部から三十億を借り入れることになっておるのでございます。公庫政府から資金の借入をすることのほか、他の資金の借り入れをしてはならないというのが三項にございます。二十七条は債券の発行のことでございまして、これは資本金の額の二十倍、すなわち資本金は十億でございますので、二百億に相当する金額を限度として北海道開発債券を発行することができるということになっております。今回は、先ほど申しました通りに四十億を予算上提案してございまして、四倍の債券発行をいたすという案になっております。その他二項以下は例文でございまして、債券についての取扱いが大体書いてございまして、債券に関して必要な事項はなお政令できめるということが第七号に書いてございます。二十八条は債務保証のことでございます。「政府は、法人に対する政府財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、債券の元本の償還及び利息の支払について保証することができる。」ということでございます。この財政援助の制限に関する法律というのは、政府あるいは地方公共団体公庫と保証契約をすることができないという法律なのでありますが、その三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内、四十億の債券の発行を予定しておりますが、その範囲内において、政府が債券の元本の償還及び利息の支払いの保証をすることができる、というふうな規定を二十八条できめておる次第でございます。二十九条は例文でございまして、業務上の余裕金の運用につきまして、国債の保有、資金運用部への預託ということに限定をいたしました。三十条は例文でございまして、現金の取扱いにつきましては政令で定めることになります。三十一条は会計帳簿のことであり、三十二条は会計検査院の検査であります。これも公庫につきましていずれも例文として掲げてございます。  第五章は監督でございまして、第三十三条の「公庫は、主務大臣監督する。」というのは、総理大臣及び大蔵大臣監督するのであります。「ただし、公庫を当事者又は参加入とする訴訟については、法務大臣監督する。」というのは、他の公庫も同様でございます。「主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」という規定がございます。なお監督役員の解任のととが三十四条にございまして、「第十二条各号の一」というのは、公庫役員欠格条項でございます。欠格条項に該当するような場合には解任しなければならない。なお二項には、公庫役員が次のような各号に該当するときには解任することができるということになっておりまして、「一 この法律又はこの法律に基く命令に違反したとき。」「二 刑事事件により有罪の言渡を受けたとき。」「三 破産の宣告を受けたとき。」「四 心身の故障により職務を執ることができないとき。」というふうなことになっております。三十五条は報告及び検査のことでありまして、これも例文でございます。  第六章の補則につきましては、先ほど申しました通りに、主務大臣規定されております。  第七章は罰則でありまして、三十七条以下三十九条まで、公庫の本質にかんがみまして、これら他の公庫にありますような罰則をこの場合にも規定してございます。  附則といたしまして、「この法律は、公布の日から施行する。」となっております。なお二項以下設立の手続が規定されております。これは理事長監事任命するのでありまするが、これは事前に指名をしておく。そうすると、公庫の設立のときにおいて、この法律規定によって、それぞれ当然に理事長または監事任命されたものとなるんだというふうなことが3に書いてございます。なお主務大臣は設立委員を命じて、設立に関する準備の事務をさせるということにしておりまして、その設立の登記をいたした際に、当然に理事長に設立委員は事務を引き継ぐことになっておるのでございます。それから9に北海道開発法の改正がございますが、これはこの公庫関係の事務担当のために、これらの北海道開発法の改正を当然にいたさなければならないのでありまして、同様に10は、大蔵省設置法の改正を同じような意味でいたすことになるのであります。11以下は税の免除の関係で、関係の法令を訂正いたすわけであります。これは公庫法の関係上、当然に起る関係法令の改正でありまして、最後までそういう関係でそれぞれの改正を必要といたすのであります。  はなはだ簡単でございますが、大体の法文の各条につきましての御説明をこれをもって終ります。
  11. 芳賀貢

    ○芳賀委員 議事進行について……。当委員会の出常が非常に悪いじゃないですか。今与党の委員は一人しかいない。廣川さんだけが当委員会に熱意を持っても、与党の諸君は、こういう特別委員会を作っても、今後の委員会運営等に対して何ら熱意がないということがこれで証明された。ですから、明日からは厳重に委員長において与党委員諸君の出席を督励して、こういうようなぶざまな委員会でないようにしてもらいたいということを、あえて御忠告申し上げます。
  12. 廣川弘禪

    廣川委員長 承知しました。  それでは一応補足説明を終りましたので、本日はこれにて散会いたしまして、明日は午後一時からお申し出の各関係主務大臣を呼んで、説明を聞くことにいたします。  これにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会