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田上政府委員 昨日
正力大臣から
北海道開発公庫法案につきまして
提案の
理由及びその
趣旨の
説明を申し上げたのでございますが、私からさらに
北海道開発公庫法の各条につきまして御
説明を申し上げたいと思います。
お手元に
北海道開発公庫法案をただいま配付いたしますので、ちょっとお待ち願います。
それではさっそく第一章総則の第一条から順次お目通しを願いたいと思いますが、第一条には
目的が書いてありまして、「
北海道開発公庫は、
北海道における
産業の
振興開発を促進し、
国民経済の発展に寄与するため、
長期の
資金を供給すること等により、
民間の
投資及び
一般の
金融機関が行う
金融を補完し、又は奨励することを
目的とする。」、これが本
公庫の大
目的なのでございます。昨日
正力大臣からも申し上げました
通りに、このねらいは、
民間資金の呼び水的な役割を果すということでありまして、
北海道の
産業振興を大きく促進をするために、従来
北海道の
産業開発上久しく問題になっておりました
長期の
資金をこの
公庫によって供給をして、そして
民間の
投資を促進し、
一般の
金融機関がそれぞれ
金融をいたしておりますが、その足らないところをさらに補って、
北海道の
開発を大いに促進していこうというわけでございます。第二条は
法人格の
規定でありまして、第三条には、「主たる
事務所を
札幌市に置く。」といたしております。その二項にありますように、必要な地に従たる
事務所を置くことができる
規定になっておりますが、さしあたりは
東京に
支店を置くことを予想をいたしておる次第であります。御
承知の
通り、
公庫は将来
政府のいろいうな
監督を受け、十分緊密なる連絡をとっていかなければならないのでありますし、なお
事業の上でも
東京に
支店を置くことが必要だと
考えておりまするので、
本店は
札幌市に置きまして、
支店をさしあたり
東京に置くということに
考えております。第四条は
資本金のことでございますが、これは
産業投資特別会計から十億を本年は
出資をいたすことになっております。なお
運用資金といたしましては、この
公庫自身の十億の
資本金のほかに、
政府の
資金としまして、
資金運用部から三十億を借り入れ、そしてそのほかに
政府保証に基く
債券発行による
民間資金といたしまして四十億ございますので、合計しまして
運用資金としては八十億を運用していくことになるのでございます。第五条は、
公庫としての登記の
手続等、これを
政令で定める
予定にいたしております。第六条は名称の
使用制限でありまして、
例文でございます。第七条は民法の準用でありまして、
法人の
不法行為の問題だとか、あるいは
住所地は
本店の
住所地になるのだというふうな、これも
例文的なものでございます。
第二章は
役員及び
職員の
項目でございますが、第八条にありますように、
役員といたしましては
理事長一人、
理事三人、
監事二人ということに相なっております。そして第十条にあります
通りに、
理事長と
監事は
主務大臣が
任命をいたすことになっており、
理事長は第九条にありますように、
公庫を代表して
業務を総理するのであります。
理事は
理事長が
主務大臣の
承認を得まして
任命することになっておるのであります。それから
役員の任期を第十一条に書いてございまして、四年となっておりまするが、再任されることができるのであります。それから十二条は、
役員の
欠格条項をきめておりまして、たとえば一号に「
国務大臣、
国会議員、
政府職員(人事院が指定する非常勤の者を除く。)、
地方公共団体の議会の
議員又は
地方公共団体の長若しくは常勤の
職員」、それから「二政党の
役員」、これは
欠格条項になっておりますが、他の
公庫も同様な
規定になっておるのでございまして、
北海道開発公庫につきましても、他の
公庫と同様、こういう
欠格条項を
規定いたしておるのでございます。その次の
役員の
兼職禁止も同様に、ほかの
公庫と同じように扱われておるのでありまして、
役員は
営利を
目的とする
団体の
役員となり、またはみずから
営利事業に従事してはならないことになっております。十四条は
代表権の
制限の問題でありまして、これは
例文で、同様の
公庫にみなある条文でありますが、
理事長または
理事の利益が
公庫と相反する
事項については、これらの者は
代表権を有しないということであり、その場合には
監事が
公庫を代表することになっております。代理人の選任の問題が十五条にございますが、これも
例文でございます。第十六条は
職員の
任命のことでありまして、
公庫の
職員は
理事長が
任命するのでございます。第十七条は、
役員及び
職員の公務員たる性質でございまして、これは
役員及び
職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令によって公務に従事する
職員とみなすということになっております。これは他の
公庫も同様でございます。十八条は、
退職手当の支給の基準でございます。
第三章
業務に入りますが、第十九条は、
業務の範囲を
規定しておるのでございます。これは「
公庫は、第一条の
目的を達成するため、
北海道において次に掲げる
事業を営む者で
当該事業に係る
設備(船舶及び車両を含む。)の取得、
改良又は補修に伴い
長期の
資金を必要とするものに対して、
当該資金の
出資若しくは融通又は
当該資金に係る
債務保証の
業務を行う。」ということになっております。第一条の
北海道開発振興を促進する
目的を達するために、
事業の
設備に対しまして、さらに
設備を取得するとか、あるいは従来あった
むのを改良、補修するという場合に、
長期の
資金を必要とするもの
——短期のものは
一般金融で救済されておるわけでありますが、特に
長期の
資金を必要とするものに対して、あるいは
出資、融資、
債務保証を行うということにいたしておるのでありまして、これが大
前提でございます。しからば、その
対象の
事業はどういう
事業をねらっておるかと申しますと、五
項目ございまして、一が、「石炭又は
可燃性天然ガスの
利用度の高い
工業」、二が「
農林畜水産物の
加工度の高い
工業」、三が、「鉱業及び製錬業」、四が、「
産業の
振興開発に係る
交通運輸業」、五が、「前各号に掲げるもののほか、
産業の
振興開発のため特に必要な
事業で
主務大臣の指定するもの」ということでございます。この
主務大臣というのが今までにもだいぶ出て参りますが、この
主務大臣と申しますのは、あとの方に出ております。十六ページにございますが、補則の第三十六条でございます。ここにに
主務大臣が
規定してありまして、「この
法律における
主務大臣は、
内閣総理大臣及び
大蔵大臣とする。」ということでございます。
北海道開発の使命を持っておりますこの
公庫は、当然
北海道開発の
国策の線に沿うて運用されなければなりませんので、
開発庁長官がこれを
監督する必要があるのでありますが、御
承知の
通り開発庁は
総理府の外局でございますので、
法律上
内閣総理大臣が
主務大臣となるわけであります。
大蔵大臣は、
金融の
関係でございますので、当然
主務大臣として
監督をすることになるのでございます。そういうわけで、ここに出て参ります「
主務大臣」と申しますのは、
総理大臣と
大蔵大臣のことでございます。
もとに戻っていっただきまして、第二十条に「
業務方法書」というのがございます。これは
業務開始の際に、
業務方法書を
公庫の場合におきましては全部作るのでありまして、
主務大臣の認可を受けてこれを作ることになっております。変更する場合においても同様でございます。なお
業務方法書に記載すべき
事項は
政令で定めることにいたしております。それから二十一条は
出資及び
債務保証の限度でございますが、ほかの
公庫と違いまして、この
北海道開発公庫の
特色とも申しますのは、この
公庫がみずから
出資いたすこと、あるいは
債務保証をいたすことが
特色であるとも申せるのであります。しかしながら
出資にいたしましても、
債務保証にいたしましても、この
公庫が扱いますのは、
一般の他の
金融といたしましては
企業採算上そう大した有利なことでなくとも、
北海道開発にとってはきわめて重要な
事業である、しかも
長期の
資金を要するというふうな特殊のものに対する
出資及び
債務保証でありますので、他面におきまして、
公庫の存立を確保するためには、
法律上この
出資及び
債務保証について適当な
制限を加える必要があるのでございます。それを二十一条に
規定しておるのでありまして、これは
出資の額と
債務保証の額の合計が
資本金の額をこえるようなことがあってはならない、こういうことなのでございます。これは
資本金が十億でありますので、その範囲内において
考えなければならない。従って
出資が五億といたしますと、
債務保証はその残りの五億の限度に
制限するのだという
規定でございます。それから二十二条は
業務の委託でございまして、
公庫は
主務大臣の認可を受けて、他の
金融機関に対して
業務の一部を委託することができるという
規定でございます。それから二十三条は、これは
公庫が
事業計画及び
資金計画を四半期ごとに作るのでありまして、それにつきましても
主務大臣の認可を受けなければならないことになっております。変更の場合も同様であります。
第四章は会計でありまして、これは他の
公庫と同じような
例文になっております。しかしながら二十四条はきわめて重要な
規定でございまして、
公庫の予算及び決算に関しては、ほかの
公庫と同じように、
公庫の予算及び決算に関する
法律の定めるところによるのでありまして、国の予算、決算と同じように、
主務大臣の検査を受け、内閣の議を経まして、
国会の決議を要することになっておることは、この
法律できめられておるところであります。そういう手続にいたすわけでございます。二十五条は
例文でございまして、納付金等のことにつきましては、なお
政令で具体的なことをきめていきたいと思っております。二十六条は借入金の問題でありまして、「
公庫は、
主務大臣の認可を受けて、
政府から
資金の借入をすることができる。」となっておりますが、今回は先ほど申しました
通りに
資金運用部から三十億を借り入れることになっておるのでございます。
公庫は
政府から
資金の借入をすることのほか、他の
資金の借り入れをしてはならないというのが三項にございます。二十七条は債券の発行のことでございまして、これは
資本金の額の二十倍、すなわち
資本金は十億でございますので、二百億に相当する金額を限度として
北海道開発債券を発行することができるということになっております。今回は、先ほど申しました
通りに四十億を予算上
提案してございまして、四倍の
債券発行をいたすという案になっております。その他二項以下は
例文でございまして、債券についての取扱いが大体書いてございまして、債券に関して必要な
事項はなお
政令できめるということが第七号に書いてございます。二十八条は
債務保証のことでございます。「
政府は、
法人に対する
政府の
財政援助の
制限に関する
法律第三条の
規定にかかわらず、
国会の議決を経た金額の範囲内において、債券の元本の償還及び利息の支払について保証することができる。」ということでございます。この
財政援助の
制限に関する
法律というのは、
政府あるいは
地方公共団体は
公庫と保証契約をすることができないという
法律なのでありますが、その三条の
規定にかかわらず、
国会の議決を経た金額の範囲内、四十億の債券の発行を
予定しておりますが、その範囲内において、
政府が債券の元本の償還及び利息の支払いの保証をすることができる、というふうな
規定を二十八条できめておる次第でございます。二十九条は
例文でございまして、
業務上の余裕金の運用につきまして、国債の保有、
資金運用部への預託ということに限定をいたしました。三十条は
例文でございまして、現金の取扱いにつきましては
政令で定めることになります。三十一条は会計帳簿のことであり、三十二条は会計検査院の検査であります。これも
公庫につきましていずれも
例文として掲げてございます。
第五章は
監督でございまして、第三十三条の「
公庫は、
主務大臣が
監督する。」というのは、
総理大臣及び
大蔵大臣が
監督するのであります。「ただし、
公庫を当事者又は参加入とする訴訟については、法務
大臣が
監督する。」というのは、他の
公庫も同様でございます。「
主務大臣は、この
法律を施行するため必要があると認めるときは、
公庫に対して
業務に関し
監督上必要な命令をすることができる。」という
規定がございます。なお
監督上
役員の解任のととが三十四条にございまして、「第十二条各号の一」というのは、
公庫の
役員の
欠格条項でございます。
欠格条項に該当するような場合には解任しなければならない。なお二項には、
公庫の
役員が次のような各号に該当するときには解任することができるということになっておりまして、「一 この
法律又はこの
法律に基く命令に違反したとき。」「二 刑事事件により有罪の言渡を受けたとき。」「三 破産の宣告を受けたとき。」「四 心身の故障により職務を執ることができないとき。」というふうなことになっております。三十五条は報告及び検査のことでありまして、これも
例文でございます。
第六章の補則につきましては、先ほど申しました
通りに、
主務大臣が
規定されております。
第七章は罰則でありまして、三十七条以下三十九条まで、
公庫の本質にかんがみまして、これら他の
公庫にありますような罰則をこの場合にも
規定してございます。
附則といたしまして、「この
法律は、公布の日から施行する。」となっております。なお二項以下設立の手続が
規定されております。これは
理事長、
監事を
任命するのでありまするが、これは事前に指名をしておく。そうすると、
公庫の設立のときにおいて、この
法律の
規定によって、それぞれ当然に
理事長または
監事に
任命されたものとなるんだというふうなことが3に書いてございます。なお
主務大臣は設立
委員を命じて、設立に関する準備の事務をさせるということにしておりまして、その設立の登記をいたした際に、当然に
理事長に設立
委員は事務を引き継ぐことになっておるのでございます。それから9に
北海道開発法の改正がございますが、これはこの
公庫の
関係の事務担当のために、これらの
北海道開発法の改正を当然にいたさなければならないのでありまして、同様に10は、大蔵省
設置法の改正を同じような意味でいたすことになるのであります。11以下は税の免除の
関係で、
関係の法令を訂正いたすわけであります。これは
公庫法の
関係上、当然に起る
関係法令の改正でありまして、最後までそういう
関係でそれぞれの改正を必要といたすのであります。
はなはだ簡単でございますが、大体の法文の各条につきましての御
説明をこれをもって終ります。