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佐竹(晴)
委員 矢部先生にしても
蝋山さんにしても、特にさように反抗したということを私は一言も申しておらぬ。
世間もまたそうは見ておらぬ。ただ
委員会のメンバーとして誠実に進言をしたのである。その誠実に進言をしたのをとらまえて、
学者諸君というものはといったような
言葉のもとに、思想の変化を云為いたしますがごときは、もってのほかであると言うのであります。
大臣がいかに
弁解をいたしましても、私
どもは承服することができません。
先ほどあなたはイギリスの例をお引きになりました。それならば、私もこの点に触れてみましょう。イギリスのごときは、その
選挙区の改訂はきわめて公正にして明朗、何ら
弁解を要しない方法によっておりますることは言うまでもありません。イギリスの
選挙区改訂は、下院議長を中心とする
選挙改訂
委員会が当
つておりまするが、議長は、機長に就任と同時に党籍を離れ、しこうして終身その地位は保障され、
選挙にも党派を超越いたしまして当選させられる慣習になっており、議長が立っておる間ば、その他の
議員が立つことを許されず、乱闘騒ぎが起りましても、議長が立って、名誉ある紳士諸君、秩序ある言動を望みますと宣言いたしまするならば、
たちまち騒ぎはおさまるというほど神聖的なものとされております。この議長のもとに、学識経験を備えた
選挙改訂
委員会で原案がきめられました上は、もちろん
国会にかけられますが、
与党も野党も
自分たちの利害による修正は一切いたしません。これをそのまま通過せしむるのが不文律であります。
日本のように
ゲリマンダーなんかはやりません。他面、買収やその他
選挙違反を犯した者には重刑が課せられ、長期にわたって
選挙権、被
選挙権が停止され、また連座の規定が厳重であり、また
選挙費用の会計報告も、その真実であることを宣誓しなければ議席に着けないことになっており、その会計報告は、裁判所が厳重にこれを調査し、もし費用超過があるときは、向う十カ年間、被
選挙権を停止するという工合に、
選挙は厳粛に行われております。しこうして、モリソンさんがこちらへ来ておられるのでありますが、この間の
お話によりましても、この改訂
委員会できめるのは、きわめて数学的である、
条理的である。あまりにも理論的である。よって
政党としては非常に工合の悪いことが出てくる。出てくるけれ
ども、あなたの言ういわゆる
不備があ
つても決してこれを訂正しない。あなたの御指摘に
なつた
労働党内閣の時分に一度少々ばかりいわゆる
不備を合理的に改訂しようとすると、
世論の反撃を受けて、これではいけないというので、自乗一切これを変えないことが不文律になっておるということであります。かように、
選挙区画の問題でも、
選挙運動でも、実に公明であればこそ、小
選挙区制も円滑に運営ができておるのであります。ゆえに、
選挙区制に
党利党略の行われないこと、
選挙運動に関する厳粛を期する諸規定は、小
選挙区
制案と不可分の
関係にあることは、これはもちろん私が申し上げるまでもない。小
選挙区
制案立案の大前提でなければならぬと
考えます。しかるに、今回のわが国の小
選挙区
制案になるものはいかがでございましょう。せつかく
第三者に頼んで、
選挙制度調査会を組織してこれに諮問し、その
答申を得ながら
政府与党はこれを尊重せず、その
選挙区割りをいじり回し、
与党内部はてんやわんやでその調整にうき身をやつし、成案を得た後も、しばしば個人的利害によって修正が繰り返されておる。さらに
法案提出後に至っても、なおかつこれを修正しようとしており、別個の安くが出てきているのではないか。これでも
与党議員の
利害関係のない公正な
態度だとあなたははっきり言い切ることができましようか。また選考の厳粛を期するために、諸規定を切り離し、次のなるべく早い機会に
提案するなどと逃げを張られておりますがごときに、もってのほかであると思います。かような改正のもとにおいて、この小
選挙百区
制案を実施いたしまするならば、
日本の議会
政治は根底から
くつがえされるに至りましょう。(
拍手)
政府は、これでもなお憂いなしとおっしゃるでありましようか。なおこれを強行なさろうと言うでありましようか。