○滝井
委員 形式論的には私も
改正する必要はないと思います。ところが、今あなた方の御
説明を聞いてみますと、
趣旨、
目的が違えばいいのだ、こういうことになれば、明らかに
趣旨、
目的が違う。どうして私はそう言うか。今われわれが出しておる
法案は、厚生保険特別会計法という
政府提案のものが通ったので、社会党の案を撤回しなければならぬという事態になった。その
理由はなぜかというと、
一事不
再議にかかるということを
委員部から言ってきた。これは法制局の
見解でそうらしい。そこで、そうだとすれば、今ここで問題になっておる
趣旨、
目的が違う、そういうことから今御質問しておる。さらに、昨年は、同じ厚生保険特別会計の中においてこういうことがあった。本年の三十億という補助金というものを、一般会計からの受入金として、厚生保険特別会計法の三条を変えた。ところが、昨年の赤字補てんのために、十億円ずつを毎年入れることに変えたときには、一般会計の受入金とはしないで、附則でやってしまった。そういうように、
政府は、あるときには受入金といったり、あるときにはそういうことを附則でやってみたりという
法律のやり方をやるのです。だから、これは、明らかにあなた方自身にも
一事不
再議の一貫性がないという感じがして仕方がない。
そこで、二十二
国会における補助金等の
整理等に関する特別
委員会の
会議録を見ますと、あなたはこういうことを言っている。読んでみますと「
一事不等議の
原則は、実は
国会の
議事運営の上の
原則でございまして、私
どもがかれこれ申し上げる筋ではあるいはないかもわかりません。しかし、お尋ねでございますから、一応私
どもとしてはどう
考えておるかということを
お答えしたいと存じます。そもそも、
一事不
再議の
原則がございますのは、これはやはりある
議案について
委員会なり本
会議の意思が決定した、これを同じことについてすぐまたひっくり返すというようなことは
国会の
運営が混乱するというようなことから、この
一事不
再議の
原則が立てられておるものと存ずるわけであります。そこで、問題といたしましては、結局同じ
議案かどうかという
内容の審査になってくると思います。これは、御承知の
通り、
国会の期間が長ければ、その間に同じような
内容について対象の事態が変ってくれば、当然同じような
内容の
議案が出ることもあり得るかと思います。」これがいわゆる客観情勢の変化ですね。「そういう場合には、かりに形式的には全く同じ
内容でも、これは
一事不
再議とは言えないと思います。」こういうようにあなたは大体
規定をしている。
ところが、きのう突如として
太田長官が、
趣旨、
目的が違えば
——、ということは失言であったかどうか知らぬが、おっしゃった。そこで、あなた方のうしろにおられる
説明員の方が、同時にそれも
原則に加えてしまった。そうしてここに二つの
原則ができた。それならば、補助金のときの例を引いて言うと、二十二
国会で四月、五月の暫定予算が出た。それに見合う補助金の
整理の
法案を二カ月後に出してきた。その後
政府は十カ月分を出してきた。ところが、当時、自由党が、これは全く
国会の
運営上の問題として、十カ月は認めぬと言い出した。そこでこれをどういう工合にするかということが問題になった。そうして、やむを得ず、自由党の力に屈服して、当時の民主党が、一カ月分、いわゆる六月の暫定予算にならざるを得ない
関係になって、一カ月分出してきた。これは
目的、
内容とか
事情の変化とかいうものではない。そういうようなものまで
事情の変化といえば議論の余地はないのですが、全くこれは力の無理押しでやられた。そうして一カ月分出してきた。
政府は同時にそのときは十カ月の
法律を出しておった。二つ出てきた。そうして一戸不
再議の
原則がそこに問題になって出てきた。そうしてさらに、
政府は、やむを得ず、泣きの涙で、十カ月のやつを、今度また一カ月だけの分を通して、あとの九カ月の分をあとに出した。それでこれは三木になった。これは、あなたの言うような
事情の変化とかなんとかというのではなく、全く力でやられた。だから、あなたが言われるように、
内閣不信任案等においても、同じように、そういうことは
国会がおきめになるので、私たちの関知するところではございませんと言うならば、力によって変り得るという
原則がそのほかにあるということを、一つおつけ加えになる勇気があるはずです。今の
内閣不信任案だって同じでしょう。それが
不信任案の形で出たか、
法律の形で出たかという違いだけのもので、
不信任案の場合は、
内容、
趣旨全部違う。それを、
内容がくるっと違っておるにもかかわらず、しかも
理由が違っておるにもかかわらず、あなたはそれについては御
答弁にならない。これはおかしいと思う。だからその点はどういうことなんですか。