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1956-02-14 第24回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十四日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 加藤鐐五郎君    理事 青木  正君 理事 大村 清一君    理事 小金 義照君 理事 杉浦 武雄君    理事 淵上房太郎君 理事 島上善五郎君       足立 篤郎君    井出一太郎君       大坪 保雄君    古井 喜實君       鈴木 義男君    竹谷源太郎君       森 三樹二君    山下 榮二君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 薫治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         参議院議員   伊能 芳雄君         参議院議員   小林 武治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   皆川 迪夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   櫻澤東兵衛君         参議院法制局参         事         (第一部第二課         長)      杉山惠一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案参議院提  出、第二十三回国会参法第一号)     —————————————
  2. 加藤鐐五郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。島上善五郎君。
  3. 島上善五郎

    島上委員 政党及び政治団体選挙運動期間中における政治活動規制について、若干疑義がありますので、御質問申し上げます。  今回の改正によりますと、政党及び政治団体選挙運動期間中における政治活動規制が、従来に比べて一そう強化されると申しますか、改正されるわけですが、その政治活動範囲について伺っておきたいと思います。それは、今度の改正に際しては、特に改正として取り上げてはおりませんが、少し疑義があるので、お伺いするわけです。  現行法第二百一条の五に「衆議院議員の総選挙においては、政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説開催並びに宣伝告知のための自動車使用ポスター掲示及びビラ(これに類する文書図画を含む。以下同じ。)の頒布については、その選挙運動期間中及び選挙の当日に限り、これをすることができない。但し、全国を通じて二十五人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体が、左の各号に掲げる政治活動につき、当該各号の規定によりする場合は、この限りでない。」として、「政談演説会開催については、一選挙区につき当該選挙区における所属候補者の数に相当する回数」、「街頭政談演説開催については、第三号の規定により使用する自動車の停止した車上」こういうふうに掲げてありますが、そうしますると、確認団体でない政党及び政治団体は、言葉をかえて申しますと、「政談演説会及び街頭政談演説開催並びに宣伝告知のための自動車使用ポスター掲示及びビラ頒布」以外の政治活動はできるという解釈が成り立つわけですが、それでよろしいかどうか。
  4. 兼子秀夫

    兼子政府委員 お答えいたします。確認を受けない政治団体は二百一条の五に列挙いたしました運動以外の運動はできる、このような解釈になります。
  5. 島上善五郎

    島上委員 それではお伺いいたしますが、これ以外の政治活動というと、具体的にはどういうものをさすのか。私は私なりの解釈を持っていますけれども、その解釈を伺いたい。
  6. 兼子秀夫

    兼子政府委員 これ以外に、従来使われておりますのは、ラジオとかテレビとかは政党でおやりになっておりますが、それ以外の団体でおやりになるものは、その例はちょっと思いつきません。どういうことをやっておるかという問題ですが、ほかの方法はちょっと考えられないですね。ただ、政党がやりますものは、従来、ラジオとかテレビとかは、これに制限されておりませんから、できるという解釈になっておりますが、確認団体以外の団体に何か有効な手段があるかないかというような問題でございますが、ちょっと思い出せません次第であります。
  7. 島上善五郎

    島上委員 ラジオテレビは、政党ができるとなれば、政治団体もできるわけですが、政談演説会街頭政談演説宣伝のための自動車使用ポスター掲示及びビラ頒布確認団体以外の団体禁止しておきながら、ラジオテレビのような、より多くの経費を要するそういう運動を認めるということは、どうも片手落ちのように思われますが、その点改正の要がないかどうか、弊害がないかどうか、ということを一つ伺いたい。
  8. 兼子秀夫

    兼子政府委員 主として確認団体政党政治活動としてのラジオテレビ活動でございますが、これをこの規制に入れるかどうかという議論はあろうと思います。ただ、現在の段階においておやりになっておりますことは、これはおそらく両党ともおやりになっておるんじゃないかと思いますし、これは大体政策を訴えるということでございますので、趣旨としてはいいんじゃないか。これまで封じてしまうと、政策の徹底ということがあまりに窮屈になるんじゃないか、かように考えております。私どもといたしましては、ラジオテレビというものをはずしておる現行法の態度でいいんじゃないか、かように考えております。
  9. 島上善五郎

    島上委員 私の聞いておりますのは、確認団体でない政党及び政治団体が行う政治活動範囲を聞いているわけです。今も伺ったように、確認団体でない政党及び政治団体は、政談演説会開催街頭政談演説自動車使用ポスタービラ頒布はできないわけです。しかし、言葉をかえていえば、それ以外の活動ならできるわけです。その確認を受けてない団体政党及び政治団体ラジオテレビ使用して大いに政策宣伝普及をする、こういうことは弊害がないかどうか。今の御答弁ですと、何ら差しつかえないようなお言葉でしたが、どうも私はそれでは納得がいかぬのです。確認団体政治活動の中にそういうものを含めるならば話はおのずから別ですけれども確認を受けてない団体がやれる政治活動としてそういうものを認めているということについての疑義をただしているわけです。
  10. 兼子秀夫

    兼子政府委員 確認を受けてない団のそのようなラジオテレビ活動があるかという問題でございますが、現実の問題としてそういうものがございませんので、今のところ私ども現行法で差しつかえないのじゃないか、かように考えております。
  11. 島上善五郎

    島上委員 しかし、やろうとすればできるわけです。現行法解釈からして、やろうとすればできることは事実です。そこに私は問題があると思うのです。これは、しかし、改正の問題としてよく検討することにいたしまして、解釈だけは明確になったようであります。  それから、私は、今あげた政談演説会街頭政談演説宣伝告知のための自動車使用ポスター掲示及びビラ頒布という以外に、政治活動はあると思うのです。たとえば、公明選挙運動をやる、あるいは棄権防止運動をやる、買収供応防止運動をやる、こういうことも広範な政治活動に類するのじゃないか。これらは、現行法解釈によりますれば、確認を受けていない団体政党及び政治団体は自由にできるはずなんです。そう解釈してよろしいかどうか。
  12. 兼子秀夫

    兼子政府委員 公明選挙運動あるいは棄権防止運動というようなものができるかという御質問でございましたが、そのような運動を平素運動期間前にやることは一向差しつかえないが、運動期間になってからおやりになると、そこに正当の政治活動でない面が出てくるおそれがあるのでございます。その運動個々態様によって、この違反の問題が起ってくるのじゃないかというふうに考えております。おっしゃる通りに、すべてできるといえるかどうかということは、個々ケースによって判断しなければならぬと思います。
  13. 島上善五郎

    島上委員 しかし、この二百一条の五にはっきりと出ているのです。さっきも言ったように、衆議院の総選挙においては、政党及びその他の政治団体は、その政治活動のうちこれこれはできない、こうなっている。できないものは政談演説会開催街頭政談演説宣伝告知のための自動車使用ポスター掲示及びビラ頒布、こうはっきりしているのです。政党及び政治団体確認を受けておる団体はこれこれのことはできる。しかし、できないことはちゃんとあげてある。従って、これを別の言葉で申しますと、これ以外の政治活動はできるということなんです。今私があげたような公明選挙運動棄権防止運動あるいは買収供応防止運動などはできないということは、どこにも法律では規定していない。どこで禁止しておるか。禁止しておる事項があったら明示していただきたい。
  14. 兼子秀夫

    兼子政府委員 政治活動でなければ、おっしゃる通りできるわけであります。ただ、政治活動になれば、この禁止条項に入ってくるのであります。
  15. 島上善五郎

    島上委員 そういう活動政治活動であるかないかということは、いろいろ解釈上の問題のあるところだと思いますが、私は広範な意味における政治活動だと思う。政治活動だと思うが、それはどこにも禁止してない。これこれの活動はできない、こうあげているのですから、あげているということは、これ以外の活動はできるということなんです。当然そうなりませんか。
  16. 兼子秀夫

    兼子政府委員 公明選挙運動を、演説会でやるかビラでやるかという、いろいろな方法があろうと思いますが、そういう方法によってここでひっかかってくるということになるわけであります。
  17. 島上善五郎

    島上委員 それはわかります。その公明選挙運動棄権防止運動あるいは買収防止運動は、政談演説を通じてやったり、街頭政談演説をやったり、ポスタービラを張ったりしてはできない。その他の方法でしたらできる。たとえば飛行機で吹き流しをつけてやって歩く、これはできるはずです。どこにも禁止してない。禁止してありますか。
  18. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 ただいまの点でございますが、自治庁選挙部長からお答えがあった通りでございますが、要するに、今日のいろいろな行為公職選挙法制限しておりますのは、御案内通り選挙運動に関する事項選挙運動条項禁止または制限しておる。それから、政治活動につきましては、十四章の三の規定によって制限されておる。それで問題はいろいろなケースで行われますが、個々ケースで、いろいろな行為選挙運動と認められる事項につきましては、選挙運動制限を受ける。たとえば、棄権防止に関連して候補者名前が出ておる、こういう場合は、選挙運動文書として制限を受ける、それから、全く選挙運動目的を持っていない政治活動の場合につきましては、ただいま答弁がありました通り政治活動の面の制限を受ける、こういうことになろうかと思います。それで二百一条の五の各号に掲げてある以外の事項行為は、それを行う場合におきましては、選挙運動と認められる場合が相当多いのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。ただし、観念上は、選挙運動ならざる二百一条の五の各号の行為があり得ます。ただいま島上さんがおっしゃった通り、そういう観念上あり得る行為が相当多くなって、公共の福祉を害する、こういう状況が認められる場合におきましては、立法論として島上委員の御指摘のことが考えられようかと思いますけれども政治活動制限規制以外に、選挙運動自体を相当公職選挙法制限しておりますので、その方の条文等の働きもありまして、二百一条の五の各号の行為以外の行為が全く無放任という状態でないものですから、島上委員の御指摘のごときことが相当広範囲に行われるかどうかという点については、若干疑問があるのではなかろうか、こういうふうに理解しておるのであります。
  19. 島上善五郎

    島上委員 どう考えましても、公明選挙運動棄権防止運動あるいは買収防止運動というのは選挙運動ではないと思います。その棄権防止に名をかりて特定候補者運動をすれば、これは選挙運動ですけれども、しかし、単なる棄権防止や、あるいは買収防止でもそうですが、公明選挙運動は、個人の、特定候補者選挙運動でないことは明白です。しかし、たとえば、保守派なら保守派革新派なら革新派の非常に強い地域に向って、その地域棄権が非常に多ければ不利である、その地域投票率が非常に高くなればある候補者が有利だ、こういう場合に、その特定地域に向って棄権防止を集中的にやるということは、結果においてはある候補者を利益することになる。しかし、それはある候補者のための選挙運動だということは言えない。そういう棄権防止運動は、私は、今のこの法の解釈によれば、確認団体でない政党及び政治団体が行う範疇に属するもの、こう解釈するのですが、念のためにもう一ぺんお伺いしたい。
  20. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 御案内のごとく、棄権防止運動そのものずばりは選挙運動でございませんけれども個々態様その他によりまして、特定候補者の当選を得しめる目的が立証せられる限りにおきましては、選挙運動と解せられる。その分につきましては、ただいま御指摘のありましたごとく、選挙運動でありますが、それ以外は選挙運動ではございません。そうすると、選挙運動ならざる棄権防止運動が二百一条の五の各号の制限を受けるか、こういう問題になろうかと思います。二百一条の五のいわゆる「政治活動」というものの概念でありますが、二百一条の五の「政治活動」というものは、健全な社会常識によって判断するよりほかございませんが、純粋な棄権防止運動というのは、例外はございますが、一般的には政治活動と言えないのじゃないか、こういうふうに理解しております。ただし、態様その他によって、特定政策普及である、こういうふうに認められる場合もございますけれども、純正一般的には、棄権防止あるいは公明選挙ということだけでは、純正一般的な政治活動と言えないのじゃないか、こういうふうに理解するのであります。
  21. 島上善五郎

    島上委員 政治活動と言えるか言えないかは議論のあるところですが、それではもう一つ伺います。買収供応防止運動、ある候補者がある一定の地域において買収供応を盛んにやっておる疑いがある、ここで一つ買収供応防止運動をやろう、そうすれば、その買収供応をやって多数の投票を獲得しようとしておる候補者がもしあれば、その地域買収供応防止運動を盛んにやられれば、結果においてその人に不利益をもたらすということになると思う。しかし、それ自体は、ある特定候補者不利益にするために、ある候補者に利益をもたらすためにやっている運動でないということを言われれば、私はそれまでだと思うんです。これは選挙運動じゃないと思います。政治活動であるかないかの議論は別として、選挙運動ではない。それから、この法律による規制外に属することですから、そういう活動は、確認団体はもちろん、確認団体でない政党及び政治団体も自由にできるものと、この法文の上から当然そういう解釈がなり立ちますが、どうでしょうか。
  22. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 繰り返し申しますが、個々行為は、政治活動につきましては二百一条の五等の制限を受ける。そのほかに選挙運動制限を受けております。個々行為態様によりましては選挙運動制限を受ける場合もありますので、政治活動制限といたしましてはお説の通り理解しておりますけれども、二百一条の五の各号以外の行為の相当多くの部分が、選挙運動制限にかかる事項があり得る。その選挙運動にあらざるものにつきましてはお説の通り理解しております。
  23. 島上善五郎

    島上委員 せんだっての京都参議院選挙では、ある政党名前が入った某氏のビラ飛行機から非常に大量にまかれたそうです。これは政党確認団体政治活動制限に該当すると思います。というのは、二百一条の五の五号です。「ビラ頒布については、政談演説会会場においてする頒布」、こういうことであります。ところが、政談演説会会場においてする頒布ではなくて、棄権防止の名によって空から大量のビラをまいたわけであります。こういうようなことが一体現行法において認められるのですか。認められないとすれば、どこに該当するのか。
  24. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 この前の当委員会で、森委員でしたか、京都参議院補欠選挙にきまして、特定政党名を記入した棄権防止ビラをまいた行為についての質問があったようであります。私、出席の御要求がなかったものですから、欠席しておりましたが、後ほど聞きましたので、今お答えいたしたいと思います。  京都のある補欠選挙は一月十五日が投票日でございまして、投票日の前日、すなわち十四日の午後四時ごろでございますが、京都市上空から棄権防止に関するビラがまかれた。そのビラの中に、特定政党名前が記入してありましたので、京都警察におきましては、日前日のことでございましたけれども、これは公職選挙法違反疑いがあると思量いたしまして、落ちてくるビラでございますから、風の関係でそうたくさん落ちなかったそうでございますが、市内で落ちました分につきましては収集いたしまして、本件事件公職選挙法違反するという疑いを持ちまして、頒布した人間その他を京都警察において至急捜査することに努めました。これは飛行機からビラをまいた行為でございますので、飛行機確認、その飛行機の人に依頼した人間等、だんだん捜査いたしまして、その頒布者がわかりましたので、その状況等を捜査の上、検察庁に事件を送致しておるのであります。御質問法律適用関係でございますが、先ほど私が申しましたごとく、公職選挙法違反被疑事件は、政治活動制限を受ける事項と、選挙運動制限を受ける事項とがあるわけでございますが、大体、今のようなときには、選挙運動疑いの方が相当濃いのではなかろうか、こういうふうに解しておるのでございますが、これは疑いでございますので、だんだん最後にはいろいろな手続の結果判定されることでございますけれども、結局は具体的行為の場合になるのでございます。疑いの要点は、むしろ選挙運動の方の百四十二条をお開き願いたいと思いますが、その百四十二条の制限がある。それには、こういう文書以外は頒布してはいけない、こうなっておるわけであります。その百四十二条の脱法文書といたしまして、百四十六条に、何くも、選挙運動期間中は、これこれの、百四十二条の禁止を免れる行為として、すなわち脱法行為として、御指摘の場合の、政治団体名称を表示する文書図画頒布または掲示する。この場合は、飛行機ですから、頒布、すなわち百四十六条一項の脱法文書としての要因が一応考えられる、こう理解しておるのでございます。
  25. 島上善五郎

    島上委員 それでは、棄権防止運動選挙運動解釈する根拠は一体どこにありますか。
  26. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 ちょっと繰り返して申し上げますが、棄権防止運動そのものずばりは、選挙運動ではございません。今申した点は、棄権防止でなくても、たとえば著書——全く棄権防止と無関係著書でも、選挙運動期間中に特定候補者名前を表示した文書がかりにありました場合におきまして、それを盛んに頒布している場合は、百四十六条の一項の脱法文書となり得る。その意味において、百四十六条一項の脱法文書棄権防止ではない。極端な例で恐縮でございますが、当該政党の事務所が開かれた、こういうことを記入し、しかもその政党名を記入して、その政党所属議員が、当該選挙運動のまっ最中に頒布する、こういう場合には、棄権防止文書であろうと、そういう別の文書であろうと、百四十六条一項の免れる行為かどうかという疑いがある。それで、今申した点は棄権防止の文章だからというのではございませんので、当該選挙における候補者の所属する政党名が記入されておったという点が脱法文書疑いがある、こういうように申しておるのございまして、棄権防止運動を云々しておるのでないのでございます。
  27. 島上善五郎

    島上委員 著書、演芸その他広告に名をかりて候補者名前あるいは候補者に類似の名前ですね、同姓の名前を大きく宣伝すれば、選挙運動疑いを持たれることは明白です。しかし、候補者名前を何ら文書の中に書かないで、純然たる棄権防止運動ということになりますれば、私は選挙運動だといって解釈する根拠が非常に薄いのではないかと思うのです。これは、棄権防止運動の場合もそうだし、また買収供与防止運動の場合も同じようにいえると思うのです。純然たる棄権防止運動純然たる買収供応防止運動公明選挙運動というものは、これは、ある候補者を有利に導き、不利に導くという結果が生まれましょうとも、それ自体特定候補者選挙運動だという解釈は成り立たぬと思うのです。中川さんのさっきからの答弁は、どうも、回りくどく言って、ほかの問題を引っぱり出してごまかそうとしておりますが、私はもっとはっきり解釈を言ってもらいたい。
  28. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 これは何回もはっきり申し上げているのですが、棄権防止運動そのものずばりは選挙運動でございません。政治活動でも原則としてないと理解しております。ところが、棄権防止運動のうちで、当該選挙に立候補されている方の名称が記入されてあったり、政党名が記入されてある場合におきましては、選挙運動になり得る文書であることがある。こういうことを申し上げておるのであります。
  29. 島上善五郎

    島上委員 そしますと、具体的には、京都の例の場合には、立候補しておる候補者の属する政党名が入っておるから、それが選挙運動疑いを持たれる、こういうことですか。
  30. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 その通りでございます。
  31. 島上善五郎

    島上委員 それでは、百九十九条の寄付制限のところをちょっと伺いますが、百九十九条の二に「公職候補者又は公職候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)は、当該選挙に関し、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、寄附をしてはならない。但し、政党その他の政治団体又はその支部に対し寄附をする場合は、この限りでない。」こうなっております。この場合には、もちろん、いわゆる確認団体であるといなとにかかわらず適用されるものと私は解釈しておりますが、これは、確認団体であるとなしとにかかわらず、同様に適用されるものであるかどうか、まずそれを伺いたい。
  32. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 お説の通り、百九十九条の二につきましては、所属する政党でございまして、その確認団体条文はひっかかっていないように思いますから、お説のように理解しております。
  33. 島上善五郎

    島上委員 所属する政党ということはどこにもありません。必ずしも自分が所属しなくてもいい。自己の所嘱する政党または政治団体ということはどこにもない。所属しなくてもよろしい。そういうふうに私は解釈しますが、どうでしょうか。
  34. 中川薫治

    中川(薫)政府委員 今ちょっと読み違えましたが、もちろん「政党その他の政治団体又はその支部に対し寄附をする場合は、この限りでない。」従って、その政党寄付する場合はこの限りではない、こういうふうに理解していいと思います。
  35. 島上善五郎

    島上委員 いや、自己の所属する、しないということは関係ないでしょう。そうですね。そこで、実は、私これを伺うのは、今度の改正によって確認団体候補者推薦演説ができる。今まではできなかった。政談演説会及び街頭政談演説はできるが、直接候補者推薦はできなかった。今度はできることになった。そうしますと、自分推薦を受けようとする政治団体、もしくは自分が属する確認団体に対して、多額寄付をすることができるわけです。そのことは、多額寄付をして、その確認団体が活溌な選挙期間中の政治活動をして、そうして自分推薦をしてもらえる、こういうことになりますから、そういうことが、今までは候補者推薦は直接できませんでしたから、私はそう弊害はなかったと思いますけれども候補者推薦ができるということになったら、多額寄付をして活溌な政治活動をするということは、そこに何らかの弊害が生じてくるおそれはないか、この点をお伺いします。それから提案者はこの点をどういうふうにお考えになっておりますか。
  36. 伊能芳雄

    ○伊能参議院議員 便宜私からお答え申し上げます。ただいまの御質問の御趣旨はまことにその通りでありまして、当人でなくても推薦できるということになりますから、従って、多額寄付をしたということが裏にあって、そういう場合もあり得る、その代償として公認するというような場合もあり得るということになると思います。ただし、これは確認団体でなければならぬことは当然のことであります。
  37. 島上善五郎

    島上委員 しかし、第百九十九条の二の、政党その他の政治団体またはその支部に対して寄付する場合は、この限りでないということは、ここには、確認団体でなければならぬとか、自分の属する政党でなければならぬということはどこにもないのです。そういう解釈は成り立たぬ。しかし、確認団体でない団体、すなわち選挙期間中何の運動もできない団体多額寄付をしても、これはむだですから、そういうむだなことをする人はなかろうと私は思う。私の質問しようとしているのは、確認団体です。確認団体多額寄付をする。今度の改正によって、その確認団体選挙運動期間候補者推薦の演説ができる。候補者選挙運動のための演説ができる。それと関連して弊害が発生しないかということなんです。一方においてそういう改正が行われる。一方においては多額寄付をすることを認めている。しかも、今度の改正で、確認団体自己に所属する候補者以外の候補者を応援することができる。ですから、確認団体が、二つあるいは三つと、幾つかあるとする、その幾つかの確認団体にみな多額寄付をする、その確認団体からみな推薦支持の運動をしてもらえる、こういうことになりますれば、この寄付制限の項が弊害を生む結果になりはしないかということを私は心配する。それを聞いているのです。
  38. 伊能芳雄

    ○伊能参議院議員 今度の改正によりますと、確認団体にはたれでも寄付はできることになります。そこで、今までの考え方では、当該政党その他の政治団体は、自己に所属しない候補者のための選挙運動はできないとあったのを、今回は、自分に所属しない者に対してでも、公職候補者推薦、支持その他の選挙運動ができるというふうに広くしたことが、この趣旨でございます。従って、自分確認団体に所属しない者に対してでもできるということにしたわけでありますから、そういう意味では非常に広くなった、こう考えておるわけであります。
  39. 島上善五郎

    島上委員 その広くなったのは僕も承知しておりますが、今までは、確認団体に所属する候補者といえども、それに対して直接候補者推薦演説候補者のための選挙運動の演説はできなかったのです。その確認団体は、自分の党の政策宣伝浸透のための演説はできたけれども自分確認団体に属する候補者といえども、それに対して直接その候補者選挙区において選挙運動のための演説はできなかった。運動もできなかったのです。それが、今度は、そういう推薦その他選挙運動のための演説をすることができるばかりでなく、自分団体に属しない候補者運動も同様にできる、そういうふうに広く改正になった。私はこの改正自体はもちろん賛成です。こうあるべきだと思うのです。しかし、一方において、現行法の第百九十九条の二がそのまま残されておる。つまり政党及び政治団体支部に対する、寄付は無制限にできるのです。そうすると、自分は甲の確認団体の応援を大いにやってもらう、自分は乙の団体に属しないけれども、こっちの団体からもやってもらう、さらにはこっちの団体からもやってもらおうという意図のもとに、多額寄付をする。そうして、寄付を受けた確認団体は、その人の支持、推薦その他選挙運動のための演説をする。多額寄付を受ければ、私は、勢いその人のために多くの選挙運動をする、こういうことになろうかと思うのです。そういうことが弊害を生まないかどうか、弊害を生む心配がないかどうかということを、この改正に対して考慮されなかったかどうかということを聞いておるのです。
  40. 伊能芳雄

    ○伊能参議院議員 今回の改正案のこの部分については、今までは一人の候補者についてその所属確認団体が幾つもあり得たのであります。それを二つ以内に限った。その点では非常に選挙運動範囲を小さくしたのであります。そういうことのために、一方では、今のような自分の所属しないものでも、二つの団体まではその人のためにできるのですから、本来所属している団体があれば、その自分団体と、そのほかの団体が一つやってもらえるわけです。二つの団体に所属しておれば、もちろんその二つの団体、それ以外に幾つもできるというわけにはいかないように制限した関係上、この面においては少し広げていった、こういうわけでありまして、二つの団体に限ったということは、御批判はあろうかと思いますけれども、この面においては広げた、こういうふうに考えておるわけであります。
  41. 島上善五郎

    島上委員 どうも私の聞いておることに対して少し焦点がはずれておるような気がしますが、今度の改正では幾つもの団体に属することはできない。二団体で、三団体以上はできない。ですから、たとえば、私の場合、参議院ではありませんけれども、社会党に属し、それから総評の政治連盟に属することができる。しかし他の政治連盟からの推薦も受けられるのです。ちゃんとここにそうなっている。ですから、確認団体は、自分団体に属する候補者のみならず、要綱の第十九にあります「自己所属候補者のみならず、他の政党その他の政治団体所属候補者推薦、支持その他選挙運動のための演説をもすることができる」、こうある。私はこれ自体にはもちろん賛成です。一方において制限しておるのですから、一方においてこのくらい緩和するということはいい。賛成できる。ですから、私は、はっきり申しますと、二つの団体から推薦、支持その他の選挙運動を受けることができるばかりではなく、その他の所属しない確認団体からもこういう応援を受けることができる。これはもう明白なのです。そういうふうに広げたのと関連して、百九十九条の二では、政党その他の政治団体には無制限寄付をすることができる。そうすると、たくさんの金を持って無制限にいろんな確認団体寄付をした者は、その団体から勢い多くの推薦、支持の選挙運動をしてもらえる、こういう結果にならうと思うのです。それが選挙弊害を及ぼさないか。たくさんの金を合法的に寄付することができて、そのたくさんの金を寄付した者が多くの確認団体から推薦、支持の選挙運動をしてもらえるということに、今度の改正によってなるわけですから、それが選挙弊害を及ぼすおそれがないか、これを聞いておるのです。
  42. 小林武治

    ○小林参議院議員 ただいまのお尋ねは、伊能君からお答えした通りでありまして、今度の改正によりまして確認団体の数が非常に制限を受けるだろう、こういうように思います。今までは、一人の候補者を、十も二十もの団体自分の所属する候補者として勘定できた。それが今度は二つになったから、確認団体自体が非常に少くなった。だから、それに対する一つの調整手段として、他の団体候補者推薦ができる、こういうふうに、妥協といいますか、その不便をこれで補ったわけであります。現在はあなたのおっしゃる通りでありまして、現在は二十も三十もの団体自分所属候補者として勘定できる、こういうことになりますから、それらの団体すべてに寄付ができる、こういうことがあるわけでありまして、おっしゃるような弊害は今でもすでにあるわけであります。どうせ、推薦を受けるには、大体同一系統と申しますか、同一傾向の団体から推薦を受けるわけでありますから、そういうふうな弊害はあまりない。今は確認団体がとにかく幾つでもできる。その幾つに対してでも寄付ができるということであるから、私は、今の制度と今度のこの改正とは、そういう意味において大差はないというふうに考えております。そういう意味で、他の団体にも推薦はし得る、しかし、その反面において、確認団体の数はおそらく非常に減るだろう、こういうふうな考え方をいたしております。
  43. 島上善五郎

    島上委員 確認団体の数はこの規制によって減ることは明白です。しかし、提案者ももちろん御承知になっておると思いますが、現行法によれば、この確認団体は、所属候補者といえども、その候補者推薦、支持のための直接の演説はできないのです。私の選挙区に行っても、これこれこの人をお願いしますという推薦演説はできないのです。ですから、ずいぶん遠回しな間接的な応援しかできない。今度は、改正によって、直接その候補者推薦、支持演説ができるのですから、非常な違いです。私はこういうふうに改正するのは当然だと思うのです。これ自体には賛成です。しかし、そういうふうに直接候補者の支持、推薦運動ができるようになって、自己の所属しない候補者までできるようになったのです。そうして、この反面に、こういう多額の——多額でも少額でもいいですが、寄付ができるのです。ですから、金を持って寄付した人が、そういう団体から直接自分の支持、推薦運動をしてもらえるというふうに今度はなるわけなのです。私は今度の改正自体はこれでいいと思いますが、これに関連して百九十九条を若干規制する必要がないかどうか、規制しないで野放しにしておけば、弊害は生じないかどうかという点を伺っておるわけなのです。
  44. 小林武治

    ○小林参議院議員 私どもは、そう大した弊害は起きまい、こういうふうな考え方を持っております。今後の推移によりましては、これは再検討しなければならぬ、かように考えております。
  45. 島上善五郎

    島上委員 よくまだわからぬ点もございますが、他の諸君も御質問があるでしょうから、このくらいにして、自余の質問は保留して、本日は私はこの程度にしておきます。
  46. 加藤鐐五郎

    ○加藤委員長 青木正君。
  47. 青木正

    ○青木委員 私は、この改正案の条文につきまして、若干の疑義を生ずるおそれのあるところもありますので、提案者並びにまた必要によりまして政府側から、解釈の問題等について御答弁いただきたいと思うのです。  まず第一点といたしまして、この改正案の九ページの「第百四十三条第一項第二号及び第三号を次のように改める。」の二、十ページの一番初めであります。これは、新しく、選挙運動のために使用される自動車または船舶にポスターや立札、ちょうちん等をつけることができる、こういう改正になったのでありますが、条文によりますと、二行目に「自動車又は船舶に取り付けて使用するポスター、立札」、こういうふうな表現になっておるのであります。ところが、実際問題になりますと、「取り付けて使用するポスター」というよりは、自動車それ自体にペンキ等で初めから書き込む、こういうこともあり得ると思うのであります。まことに事務的な問題でありますが、こういうことでいろいろ疑義を生じてもどうかと思いますので、「取り付けて使用するポスター」という意味は、取りつけたものだけを言うのか、あるいはまた自動車自体にペンキで書いたような場合も認めることになるかどうか、この点についてはっきりしていただきたいと存じます。
  48. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 「取り付け」という言葉でありますが、普通の言葉の使い方として、ポスター、立札、ちょうちんと申しますと、自動車それ自体とは違うものなんで、それを自動車に固定して使うという形で書いておるわけでありますが、普通のポスターの紙というものが、そのまま自動車の車体直接だというふうな場合には、やはり「取り付けて」という関係で読めるのじゃないだろうかというふうに、取りつけるというのは、結局ポスター自動車との関係を遊離的じゃなくて固定的につけるという意味ですから、ペンキで文字を自動車の車体に書くということは、取りつける最も固定的な方法なんでございます。
  49. 青木正

    ○青木委員 そうしますと、最も密接に取りつけたものも差しつかえない、こういうような解釈になるわけでありますか。
  50. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 そういう意味です。
  51. 青木正

    ○青木委員 こういうことも問題にはならぬかと思いますけれども、書いてあったからどうなるという将来疑義が起りましても困ると思いますので、その点はっきりしておきたいと思ったわけです。  それから、さらにこの条項で進みまして次の行に「公職候補者の氏名及びその者の属する政党その他の政治団体名称を記載したもの」はいい、こうなっておるわけであります。ところで、政治団体に所属しておる候補者の場合は所属政党名前を書くのでいいのでありますが、かりに、無所属の候補者がありまして、無所属ということを表明した場合、このことが果して違反になるかどうか。私らの考えとすれば、無所属の方はむしろ無所属としてはっきり出された方がいいのじゃないか。ところが、この規定がありますと、所属する政治団体名称は書いていい、しかしそれ以外のことは書いてはならぬということになっておりますので、政治団体に所属していない場合、無所属の方は無所属と書いてはいかなくなるのではないか、こういう疑義を生ずるわけであります。この点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  52. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 文字そのものの表現からいえば、ちょっと無理なような感じがいたしますけれども、その趣旨からいたしまして、その者が無所属であるという場合には、それを書いてもかまわないというふうに考えられております。これは、この前の参議院委員会できめる場合も、そういうことだということで御了解が願えておるわけであります。
  53. 青木正

    ○青木委員 そうしますと、提案者の方におきましても、その点を十分御考慮の上、そういう場合も差しつかえない、こういう解釈のもとに御決定になったと了承してよろしゅうございますか。
  54. 小林武治

    ○小林参議院議員 さようでございます。
  55. 青木正

    ○青木委員 それから、さらに、百四十一条のこの条文の前から読んだ感じを申しますと、自動車もしくは船舶にポスター、立札、ちょうちん類あるいは看板の類で、その選挙の種類と公職候補者の氏名、その属する政党その他の政治団体、この選挙の種類と候補者の氏名と所属政党名前と、これだけの要件を備えておれば、他のことを書いてもいいのかどうか。たとえば標語のようなことを書いてもいいのかどうか、あるいはまたそういうことを書くのがいけないのかどうか。こういう点について若干の疑義があるのじゃないかと考えますので、その点をはっきりしておきたいと思います。
  56. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 これは、この三つが最大限度で、これ以上は書いてはいけない、そういう趣旨であります。
  57. 青木正

    ○青木委員 そうしますと、これだけの要件を備えておれば、他のことを書いてもいいということではなくして、これ以外のことは書いてはいかぬ、こういうことに了解いたします。  それから、次の三でありますが、これもまことに事務的な問題でありますが、この三の「公職候補者使用するたすき、胸章及び腕章の類」ということで、表現を幅を広くとってあるようであります。そういうこともめったにないかと存じますが、この「類」というのがどういうことを意味するか、いろいろ問題になったのであります。たとえば、候補者名前を入れたはんてんを着る、あるいは帽子をかぶる、あるいはまた手ぬぐいに候補者名前を入れたものをはち巻きのようにしておく、こういうようなことも差しつかえないのかどうか。「類」という考え方の問題でありますが、この点について伺いたいと思います。
  58. 兼子秀夫

    兼子政府委員 この「腕章の類」の類の読み方の問題でございますが、たすき、胸章及び腕章の類でございますから、それに準ずるような形態と申しますか、はち巻き等は許されると思いますけれども、はっぴにまたいろいろ書いたものを着で歩くというようなことは入らないと思います。
  59. 青木正

    ○青木委員 だいぶ狭く解釈すると申しますか、これを、この条項があるからといって、いたずらにあまり広く解釈せぬ、こういうようなことのように了解いたしておきます。  それから、十三ページの第百六十四条の八、第一項の改正の問題であります。そのおしまいの第二項の「一定の腕章」の下に「又は第百四十一条の二第二項の規定による腕章」を加える。この規定によりまして、乗車制限四名、つまり腕章を持っておる四名、この四名も街頭演説における選挙運動の場合に差しつかえない、こういう規定になったのであります。そういたしますと、百四十一条の二の規定によりまして、乗車制限は四名に限る、こういう規定が一方にあり、そうしてまた百六十四条の八でありますが、これには「街頭演説においては、選挙運動に従事する者は、公職候補者一人について、十五人を超えてはならない。」こういう規定が一方にあるわけであります。そういたしますと、この改正によりまして、乗車の制限の四名もやって差しつかえない、そのほかに本来の街頭演説のための十五名の人もやっていい。そうすると、結果において十九名運動員ができる、こういうことになるのではないか。そうなってくると、百六十四条の八の規定に合わなくなってくるのではないか、こういう疑義があるわけでありますが、この点について解釈をはっきりさしていただきたいと思います。
  60. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 自動車に乗れる者と街頭演説のできる者との腕章の関係でありますが、現在では、街頭演説のできる者が十五人で、街頭演説の腕章が十五あります。そのほかに自動車に乗れる者の腕章が四つあるわけであります。この改正の趣旨は、街頭演説の腕章と、自動車に乗れる腕章とを共用にしてもらいたいということでありましたので、街頭演説ができる者の数そのものについてはちっとも手を触れておりませんで、街頭演説ができる者は十五人ある。従って、街頭演説のできる腕章は十五あるわけであります。その十五のうちで、自動車に乗れる者が四つある。すなわち、街頭演説のできる者兼自動車に乗れる者という腕章が四つあるわけです。そして、街頭演説だけしかできない、街頭演説専用の腕章が十一あるという格好になるわけで、街頭演説ができるのは現在と同じように十五人、腕章が十五ある、こういふうになるわけであります。
  61. 青木正

    ○青木委員 そうしますと、これは選挙管理委員会でどういう処置をするか。街頭演説用の専用のものを十一枚、それから乗車でき同時に街頭演説もできるのを四枚、こういうことになりますと、乗車できる人がいなくて、十五名の街頭演説の要員を使うということは、実際はできなくなる。こういうこともあり得るわけであります。つまり、自動車に乗る乗務員が他におる場合は、街頭演説専用の腕章は十一しかないので、結局十一人しか街頭演説の手伝いができない、こういう結果になるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  62. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 そういうことになるわけであります。街頭演説の腕章と乗車用の腕章を共用させるということになれば、どうしてもそうならざるを得ないので、街頭演説と自動車とが別々に離れて動くのだという建前をとろうとすれば、どうしてもこれは別の腕章という現在の制度を維持するよりほかに方法はないのじゃないか、こういうことであります。
  63. 青木正

    ○青木委員 そういたしますと、いかなる場合でも十五人をこえることはできない、この百四十六条の八の規定はあくまでも守る、こういう解釈でありますか。
  64. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 その通りであります。
  65. 島上善五郎

    島上委員 ちょっと関連して質問しますが、現行法には選挙運動員というものはないはずなんです。かつては選挙運動員二十名とか一定の数があって、届け出て選挙運動員の章をもらって運動した。しかし、現行法では、選挙運動員という制度は、街頭演説の十五人の場合を除いてはないのです。ポスター張りに行こうと、連絡にだれが行こうと、それは腕章なしでだれでも自由にできる。ですから、この街頭演説の場合に、選挙運動に従事する者十五名、こうなっていますが、その十五名以外の運動員がたまたまその付近でポスターを張っておったという場合、あるいは看板を立てたりしまったりしておるという場合があり得ると思うのです。それは一体この十五人とどういうふうに関連して解釈されますか。
  66. 杉山惠一郎

    ○杉山参議院法制局参事 十五人の制限は街頭演説に従事する者十五人だけで、ただいまの街頭演説以外のことに従事している者の制限については、現行法と同じでございますから、別に何もないのです。
  67. 島上善五郎

    島上委員 別に制限はないわけですから、そこで、私が聞いているのは、たまたま新橋の駅前で街頭演説をやっておった。自動車に乗る方が四人と腕章をつけた十一人と合計十五人が、その場におって街頭演説の運動をしておった。これはわかるのです。ちょうどそこを普通の候補者運動員が何かの運動のために通りかかった。自分候補者の演説をやっておれば、立ちどまって聞くとか声援をするとか、場合によっては立てた看板の位置が悪いからもう少しこっちへ直してやるとか、そういう手伝いをするのです。それも選挙運動の一種なんです。そういうことが全くできないものかどうか。腕章をつけた者でなければ何にもできないのかという解釈が明確を欠いておるのです。地方によっては、その十五人以外の者が何かしてもいかぬ、こういうことを言っているところがあるそうですけれども、しかし、運動自体は別に制限していないのですから、その運動員が、たまたま、街頭演説をやっている場所に、他の運動のために出かけた場合に出くわした。そうして、そのトラックが街頭演説をしまって発車する、看板を積むのを手伝ったとかいったようなことが起り得ると思うのです。一体そういうこともできないという解釈をしているのかどうかということです。
  68. 兼子秀夫

    兼子政府委員 その問題は今度の改正とは関係ない。現在の百六十四条の八の規定解釈の問題でございますが、それは、街頭演説にならない限り、そういう人がそばにおられても一向差しつかえないわけであります。
  69. 島上善五郎

    島上委員 おることはもちろん差しつかえないのです。差しつかえないのですけれども、それが、同じ候補者運動員として、何かポスター張りに歩くとか、あるいは連絡に歩くとか、その他運動しに歩いていった場合、たまたまその街頭演説の場所にぶつかった。そうなれば、勢い、自分候補者ですから、その街頭演説をする際の看板の位置がどうも少し悪いから、もう少しこっちのよいところに移してやろうとか、自動車が出ていくとき看板を積むのを手伝うとか、要するに選挙運動を多少手伝うということはよいのか悪いのか。突っ立っているのは問題ありません。
  70. 兼子秀夫

    兼子政府委員 街頭演説行為でなければ差しつかえないのです。
  71. 島上善五郎

    島上委員 わかりました。
  72. 青木正

    ○青木委員 それから、要綱第一ページの参議院全国区選出議員の立候補の締め切りと選挙公報掲載の申請期限の関係であります。全国区参議員候補者につきましては、区域が広いので、特に選挙公報に記載するということが選挙運動上きわめて必要であろうと思うのです。ところが、この立候補の締め切りが選挙期日の十五日前、こういうことになっております。一方選挙公報の掲載文の申請期限が十八日前、こういうことになっておりますと、その間三日の開きがある。最後の三日前に立候補した方は、実際問題として選挙公報の掲載を申請することができない、こういう結果になるわけでありますので、そこで全国区の議員にとりましては非常に不便じゃないかと思います。おそらく、これは、印刷の事務的な都合から、公報を早く締め切らなければならぬのだろうと思うのですが、やはり立候補の締め切りと公報掲載文の申請の締め切りを同じに合せることが必要じゃないか、こう思うのであります炉、この点について御見解を伺いたいと思います。
  73. 伊能芳雄

    ○伊能参議院議員 この問題は改正案を審議するときに問題になったことでありましたが、技術的にどうしてもそれよりはおそくはできないというので、やむを得ず十八日に締め切ったわけであります。同時に、立候補の人には、できるだけ機会を与える方がいいというので、十五日まで認めた。そこに三日間間隔がありまして、その三日間の間に届け出た人は、公報に載せてもらえないという非常に不利があるのであります。こういう問題は他にもあることでありまして、やむを得ざることである、こう考えております。
  74. 青木正

    ○青木委員 これは選挙部長に承わりますが、現在の印刷能力から考えれば何とかできるんじゃないかという気もするのでありますけれども、これは検討した結果どうしてもできないものですか、その点を伺いたい。
  75. 兼子秀夫

    兼子政府委員 全国区の選挙の場合の選挙公報は、重要な選挙運動方法でございますので、その可能な限度において、できるだけ制度その他を活用しなければならぬと考えます。現在の選挙公報の発行能力から申しまして、東京で原稿をまとめて地方にそれを送って、地方で印刷するわけでございます。北海道等になりますと、相当地域も広範でありますし、どうしても十八日前というこれだけの期間は必要と思うのであります。それで、なぜ立候補の締め切りと公報の申請期限とが合わないかという問題でありますが、ただいま伊能さんから御説明がありましたように、むしろ立候補の締め切りの方をできるだけ考慮を払うということから、ギャップを生じてきたものであります。
  76. 青木正

    ○青木委員 公報に間違いがあっては問題ですから、その点は十分注意しなければいかぬことでありますが、たとえば原稿を電送するとか、そういうような方法を講じてもなおかつできないものであるか。締め切りまぎわに出る方は少いとは思うのでありますが、そういったいろいろな点も考慮して、やはり無理だ、こういうふうなお考えですか。
  77. 兼子秀夫

    兼子政府委員 締め切りになりませんと原稿の組みができませんから、従いまして早く送るということはできないわけです。それから、技術の進歩の問題でございますが、全国的に見ますと、どうしても利用しかねるわけであります。
  78. 青木正

    ○青木委員 もう一点最後に伺っておきます。それは、八ページの第八十七条の二の問題であります。自分選挙を有利にするためには勝手なときにやめて選挙をやる、これを押えようという御趣旨はまことにごもっともであります。ただ、しかし、ここで考えなければなりませんことは、自分選挙を有利にするためにやめたのではなくて、他の理由、たとえば、部下に何か問題でもありまして、そういう理由で引責する、ところがその人自体は非常にりっぱな方であって、周囲の人がこの人はぜひ出ていただきたい、こういうこともあり得ると思うのであります。そういう場合については何か、救済できないものかどうか、そういう場合も立候補できないものであるかどうか、この点を伺っておきたい。
  79. 伊能芳雄

    ○伊能参議院議員 この趣旨はただいま青木さんのおっしゃる通りでありますが、退職の申し出を自分でやった限りにおいては、それがどうという理由であっても一応この中に入ると考えられますので、特に救済方法というものは考えられないのであります。
  80. 加藤鐐五郎

    ○加藤委員長 ほかに御質疑がありませんか。——別に御要求がないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて一応終了することにいたします。  なお、修正案の提出のごどきことがありました場合は、別途これについて御要求に応じて質疑を行うことといたします。  次会は明後十六日午前十時半より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十七分散会