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1956-07-25 第24回国会 衆議院 建設委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年七月二十五日(水曜日)    午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 大島 秀一君 理事 荻野 豊平君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    伊東 隆治君       高木 松吉君    仲川房次郎君       二階堂 進君    廣瀬 正雄君       八田 貞義君    山本 正一君       今村  等君    島上善五郎君       西村 力弥君    山下 榮二君       山田 長司君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  委員外出席者         建設政務次官  堀川 恭平君         建設事務官         (事務次官)  石破 二朗君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    高野  務君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君     ————————————— 六月三日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として中  島巖君が議長指名委員選任された。 七月十二日  委員松澤雄藏辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員選任された。 同月十六日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  松澤雄藏君が議長指名委員選任された。 同月二十五日  委員松澤雄藏君、山口好一君及び中島巖辞任  につき、その補欠として八田貞義君、山本正一  君及び西村力弥君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員八田貞義君、山本正一君及び西村力弥君辞  任につき、その補欠として松澤雄藏君、山口好  一君及び中島巖君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 六月二日  国土開発縦貫自動車道建設法案(第二十二回国  会衆法第二六号、参議院継続審査)  国土計画に関する件  都市計画に関する作  道路に関する件  河川に関する件  住宅に関する件 の閉会審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  東北北陸地方の七月中旬における豪雨災害に  関する件  関門ずい道に関する件     —————————————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  目下閉会中でもありまして帰郷の方もございますし、委員会を開きますことは御迷惑とは存じましたが、先般東北北陸等水害がございまして、被害も相当甚大でございますので、理事諸君と御相談の上で、緊急委員会を開くことに相なった次第でございます。ではこれより東北北陸地方におきまする七月中旬の水害につきまして調査を進めたいと存じます。まずその被害状況につきまして、馬場建設大臣より説明を聴取いたします。馬場建設大臣
  3. 馬場元治

    馬場国務大臣 七月半ばに起りました災害につきまして、御報告を申し上げます。  七月十一日から十二日にかけまして梅雨前線は南下し、一時は梅雨明けを思わせたのでありますが、十三日からオホーツク海方面高気圧が急に勢力を増して参りまして、寒冷な北東気流東北地方に送り、さらに南方高気圧勢力を増して参りまして、高温湿潤な南西気流との衝突か本邦の中部で起り、この前線上を十四、十六と相次いで小さな低気圧が東進をいたしました。この前線活動をさらに強めました結果、各地において二百ミリないし三百ミリもの豪雨をもたらしたのであります。  このために宮城山形福島新潟長野富山石川の七県におきまして災害をこうむったのでありますが、特に福島県の会津方面新潟県の蒲原、岩船、頚城方面石川県の能登半島の北部、山形県の米沢方面では激甚な被害を生ずるに至ったのであります。  公共土木施設以外の一般の被害は、警察庁の調査によりますと次の通りであります。死者四十五人、負傷者三十人、行方不明十五人、建物の全壊、半壊、流失を合せまして三百五戸、水田の流失埋没千六百七十六町歩冠水二万六千五百八十一町歩、畑の流失埋没六百一町歩冠水八千二日五十六町歩罹災者の概数四万三千九百九十四人、罹災世帯数九千三百十三戸ということに相なっております。  次に土木被害は、これは今後査定によりまして、なお変更することがあるかもしれませんが、現在地方建設局並びに都道府県からの報告によりますと、およそ次の通りであります。直轄六十二カ所五億五百万円、都道府県二千六百九十一カ所三十一億三千八百万円、計二千七百五十三カ所、金額にいたしまして三十六億四千三百万円、直轄災害阿賀野川、阿賀川、阿武隈川、最上川、信濃川の五河川でありまして、最高は阿賀野川の十六カ所二億二千八百万円となっております。都道府県災害について被害の大きな県より並べてみますと、大体次の通りであります。新潟県十億八千九百万円、福島県七億三千九百万円、山形県六億六百万円、石川県四億七千八百万円、宮城県一億三千八百万円、富山県六千六百万円、長野県三千二百万円、こういう順序になっております。  なおこれに対する措置といたしましては、十八日から二十三日までの間宮内査定官福島山形の両県へ、寺岡査定官を十七日から二十日までの間新潟県へ、芦沢課長補佐を十七日から二十一日まで、石川県へ、それぞれ現地調査復旧方針指導のために派遣をいたしました。  なおつなぎ融資につきましては、予備費の支出までに必要な部面につきまして大蔵省と下交渉を開始をいたし、県から要望書の提出次第、審査の上大蔵省にあっせんの準備を整えておる次第であります。  なお県が査定準備を終えました後に、直ちに当方査定を行いまして、予備金を要求する準備を整えておる次第であります。  なお住宅災害状況でありますが、これは被害各県を通算いたしまして、全壊いたしましたのは八十五戸、それから流失いたしましたものが百十三戸、合計いたしまして二百戸近く、百九十八戸ということになっておりますが、これは御承知通りに、公営住宅法第八条及び住宅金融公庫法の第二十一条の二の規定による住宅災害に関する特例の適用は、御承知通りなのでありますけれども地元要望がありますれば、これに応じまして、それぞれ特別の措置を講じて参りたい、対策に遺憾なきを期して参りたい、かように考えておる次第であります。  なお詳細につきましてお尋ねがありますれば、それぞれ係の者から御説明いたさせます。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいまの説明につきまして質疑の通告がありますから、これをお許しいたします。山田長司君。
  5. 山田長司

    山田委員 過日委員長について、はからずも水害視察になってしまったわけでありますけれども東北北陸を見て参りまして、私の感じたことを二、三大臣に御質問申し上げたいと思います。  山形県の河川でありましたが、上長井周辺直轄河川につきまして、地元の陳情を伺いますと、数本の河川がいずれも工事半ばにしてあって、それがために一度に押し出した水のために、はからずもえらい被害を受けたといわれておるのでありますが、一体工事半ばの個所が、いつごろから竣工されずにほうってあったものか。そのほうってあったことによって水害が非常に大きかったといわれておりますけれども、この点について詳細な御説明を願いたいと思います。
  6. 山本三郎

    山本説明員 山形県の米沢の付近の川でございますが、最上川の上流が松川という川になっておりますが、その本流につきましては、国の直轄工事でやっております。それから支流がたくさんございますが、これらについては重要のものから県の工事といたしまして、仕事をやっておるわけでございます。そのうちで早く始めたのは、すでに完成しているものもございますが、いずれも現在工事を進めておるのでございますけれども、完成に至らないために被害を受けたというふうな実情でございまして、これらの工事に着手している川はできるだけ早く竣工するように、着手した川から予算をよけいつぐように努力はいたしておりますけれども、まだでき上っておらないために、その工事をやっていない所からはんらんした、こういうふうな状況になっておる。従いまして、われわれといたしましては、着手した川はできるだけ早く竣工させるように努力はいたしておるわけでございますが、何せ予算の関係で、竣工に至らないというふうな実情で、その部分が原因をなしておる、こういうのが実情でございます。
  7. 山田長司

    山田委員 ただいまの御説明を伺いまして、私は大臣に伺いたいと思うのですが、一体そういう状態で、遅々として進まない状態河川のうちにありますと、一体いつまたこれで天候が急変して、水害が起るかわからない状態にあると思います。ただいまの大臣の御説明では、こういう問題について、一つも今お話の中から伺うことが、できないわけでございますけれども、一体このままの状態でおけば、再びこの地方一帯が大きな水害に見舞われることはわかっているのですけれども、やはり予算が取れなければ、予算範囲内でこれを処理するんだという状態で、大臣はお進めになるつもりですかどうですか。一応明確に伺っておきたいと思います。
  8. 馬場元治

    馬場国務大臣 お話のように、災害が起りまして、その災害による被害個所をそのままに放置するということに相なりますれば、また災害の起りましたる場合に、大きな被害をこうむるじゃないか、これはもう当然な御心配でありまして、私どももその点は特別の留意をいたしておるわけであります。今度の災害につきましても、直ちに係官を出張させまして実地に調査をいたさせますると同時に、それらの対策についての指導も行わせておるのであります。それぞれ地元から報告並びにそれに対する応急対策計画も持ち寄ってくることになっておりまするので、それらを十分勘案をいたしまして、応急措置応急措置として十分考慮して参りたい、かように考えておる次第であります。
  9. 山田長司

    山田委員 しつこく伺いますがその応急処置についてやはりよほど思い切った処置をとらなければ、これらの地方が再び水害に見舞われることは明らかです。そういう点でやはり、ただおざなりの応急処置でなく、何か特別の方法をお考えになられるかどうか、もう一ぺん伺います。
  10. 馬場元治

    馬場国務大臣 お話通りに、おざなりの方法でいい加減なことをやっておこうという気持は毛頭ありませんで、もし再びさような所から罹災が大きくなるということは、ゆゆしき問題でありまするので、それらの点については、御趣旨の点もよくわかりまするので、われわれといたしましては万全を期して参りたい、かように考えておるわけであります。従いまして、予備費その他の要求につきましても、それらの点を十分考えまして進めて参りたい、かように考えております。
  11. 山田長司

    山田委員 大臣先ほどの御説明の中に、地元からの要望があればそれによって考えるというふうな語がありましたが、さしあたって住宅の問題、全壊した家、それから半壊した家、これらは二百戸近くあるという話ですが、これらの問題につきましてやはり地元住民は、これに対する処置をどうしたらいいかということでかなり迷っていると思う。これについてやはり政府としては、何らかの処置で、むしろ知らせてやる手をとるべきじゃないかと思うんですが、そういうことをあなたはお考えになられないかどうか。
  12. 馬場元治

    馬場国務大臣 これは御承知通り、法の規定によりまして五百戸以上でなければ対象にならないという規定に相なっておりますることは、御承知通りであります。従いまして、いわゆる法規上の手続といたしましては、百九十八戸では対象にならないわけであります。しかしながら御説の通りに、それらの罹災者、困っておられる方が多いであろうと考えます。そこでそれらについては、それぞれ地方実情を十分調査いたしました上で、嘱望もあろうかと考えますので、さような場合を考慮いたしまして、法規上の取扱いといたしましては、特別の措置をでありますけれども、中央において対象と同様の方法を講じたい、かように考えておるのでありましてその趣旨地方にもそれぞれ伝えてありまするので、よく了解をいたしておる、かように考えておるのであります。従いまして、地方からの要望がありますれば、法規規定はしばらく別といたしまして、事実において同様の取扱いをいたしたい、かように考えておるのでありまして、趣旨は全く同様の考えである、かように思っております。
  13. 山田長司

    山田委員 大臣は今の御説明で、同様な法的処置を五百戸以下の場合でもとると言われますが、実際地元人たちは、それをよく知らぬと思うのです。そういう点をこの際やはり思い切って知らせてやる方法を講じてやって、生活に事欠かぬような方法を講じてやる必要があると思うのです。ただ地元要望を手をこまねいて待つということだけでは評されない状態にあるのじゃないかと思うのです。そういう点で今の御答弁には私は満足しないのです。やはり地方出先機関なりあるいは地元の知事なりを呼んで、何かそのことについての措置をおとりになるお考えはないですか。
  14. 馬場元治

    馬場国務大臣 係の者を出しました際にもその旨はそれぞれ伝えてあります。従いまして地方当方意思承知をいたしておるはずでありまするから、実情に応じて要望がある、かように考えるのでありまして、その点に、いて遺憾はない、かように考えております。
  15. 山田長司

    山田委員 河川改修について、ただ建設省出先機関だけが思う計画堤防をこしらえておるのじゃなくて、地元住民意思どもくみ入れてこれが工事に当れなかったものかどうか。地元民から、河川改修に当って地元民意思を少し聞いてくれればこんな被害がなかったのじゃないかということを私聞いてきたのですが、この点についてはどうなんです。
  16. 馬場元治

    馬場国務大臣 地元民意思を無税して云々ということは、私ちょっと了解に苦しむのでありますが、何か地元民意思に反した工事でもやったというような実例があるのでしょうか。ただもしおっしゃる意味が、早く改修をしてくれという要望があったのに そいつがおくれた、そのためにこうなったんだという意味でありまするならば、先ほど局長から御説明申し上げました通り予算の制約もありまして、できるだけ御要望に沿いたいとは考えながらも、その要望に全面的に応ずることができなかったという点はあらうかと考えます。これは御承知通り事情でありまするので、予算の許す範囲におきまして緩急軽重を十分考慮して施行をいたしておる次第でありまするので、その点御了承賜わりたいと存じます。
  17. 山田長司

    山田委員 実はきょう資料を持たずに来てしまって大へん質問の要領を得ていないのですけれども、川の流れに堤防をこしらえる場合に、こういう方法でやったらよかったんだということを川に面している個所地元人たちから説明を聞いてきたのです。今案は川の名前を落しているので、あとで資料を持ってきてその川の御説明を申し上げたいと思うのですが、その川の地元人たちの長い間の経験を出先機関が聞いて堤防を作らなかったので、こういう結果が生まれたのだという説明をした人がいるのですから、そういう場合のことを今聞いているわけなのです。長い間、地元で大水が出た場合における事情を見ておられる人たち意見というものを、出先の出張所の人たちあるいは建設省計画を立てるときに聞くものかどうかということを聞いているのです。
  18. 山本三郎

    山本説明員 今のお話でございますが、河川計画直轄でやる場合には、国またはその出先機関計画をいたします。それからまた県の工事の場合には県の者が計画を立案するわけでございますが、調査を進めましていろいろと長い間かかって計画を作るわけでございます。もちろん技術的判断に立ちまして、その地域経済性等を考慮いたしまして立てるわけでございますが、その際、地元意見というようなものはなかなか尊重すべき意見が多いのでございまして、たとえば水がどこまで来たとか、それからこの前の川は向うを流れていたのに最近はこっちへ来たとか、あるいはこういうことをやったけれども失敗だったとかいうようなことで、非常に日本においては昔からりっぱな治水工事も行われておりますので、そういう点も十分調べまして、しかもわれわれは新しく明治以来改修工事をやってきておりますが、そういう新しい知識も加えまして、昔の人の言っていることも十分参考にいたしまして計画を立てているというふうに指導をいたしましてやっておりますし、私どももそういうつもりで実行しております。
  19. 二階堂進

    二階堂委員 関連して。ただいま東北水害の問題について、住宅対策についての質問があったのでありますが、災害復旧対策の中で一番問題になるのは、やはり住宅復旧対策ではなかろうかと私は考えるのであります。私どもは南九州でございますので、毎年台風被害を受けております。従いまして台風あるいは雨の被害による住宅復旧対策については非常な心配を毎年いたしております。またそのつど建設省に対しましてもあるいは大蔵省に対しましても、これか復旧対策についてはいろいろ問題を持ちかけて善処方お願いしているのでございますが、中でも先ほど申し上げましたごとく、災害によって家を失ったものに対する対策が一番欠けているのではなかろうかと考えております。家を失ったものが非常に困ることは私が申し上げるまでもございませんが、しかしこの住宅災害復旧対策については、先ほど大臣も申されました通りに、いろいろ法律裏づけがあります。公営住宅の中で考えられております災害住宅、あるいはまた災害救助法適用を受けた地域に対しましては、厚生省所管になっております仮設住宅、あるいは銀行から金を融資を受けて家を建てるというような方法、あるいは金融公庫から金を借りて家を建てるという方法等がございます。しかしながらこのいずれの法律適用考えましても、第一に問題になるのは時間の問題であります。家を失ったものは一日も早く住む家を建てなければならないということを考えているにかかわらず、この法律適用を一ぺん受けようとすれば非常に時間的にも長くかかるし、また手続も非常にめんどうなのであります。従って私は昨年以来、災害対策の中で特にこの住宅復旧対策について、別途の考え方を持つ必要があるのではなかろうかということをたびたび申し上げております。第二十四国会の末期におきましても、私は特にこの災害住宅復旧対策について建設省厚生省大蔵省に二回ほど政務調査会にも来ていただきまして、この住宅復旧対策について特別な考えを立ててもらいたい、そしてもっと早く何とかこの家を失ったものを救済する方法を具体的に考えることが必要ではなかろうかということを注文をいたし、住宅局長にも私はお願いを申し上げておいたのであります。先ほど大臣はいろいろ法的な裏づけがあるとおっしゃいましたが、そういうような法律に縛られておってはなかなかこの対策がうまく参りません。そこで私は大臣にお伺いいたしたいのでありますが、すでに私ども地域におきましても台風のシーズンを控えておりまして、おそらくことしもまた災害によって住宅を失う人があることは明らかでありますので、この災害住宅対策について今後私が申し上げましたようなことをお考えになりまして、もっと積極的に法の改正を考えておられるのか、あるいはまたもっと積極的な住宅復旧対策をお考えになってしかるべきものと私は考えますが、これに対しましてどういうようなお考えを持っておられるのか。  第二点は、私は住宅局長にお伺いをいたしますが、先般、私が先ほど申し上げましたごとく、住宅対策について何か勉強しておいてもらいたいというようなことをば、大蔵省厚生省、あなたの方に来ていただきまして、お願いをしておいたのでございます。何かその後御協議をなさったことがあるかどうか。積極的な具体的な案をお考えになっておることがあるのかどうか。特にこの住宅対策につきましては、私は毎年非常な心配をいたしておりますし、特にまた今回の災害につきましても、住宅を失った人がかなりあるような報告を聞きますので、この点について大臣の将来の災害に備えてのお考えと、住宅局長に対して、先ほどお願いを申し上げました点についてどのようなお考えを進めておられるかということについて御意見を承わっておきたい。
  20. 馬場元治

    馬場国務大臣 災害の際における住宅対策につきましては、われわれ常に特別な心配をいたしておるのであります。いわゆる法規に縛られたのでは迅速にしてしかも適切なる施策が行えないのではないかという御懸念は、まことにごもっとも千万なのであります。そこで先ほども申しました通り、現在の法規におきましては適用にならない、法の適用範囲外でありますが、事実において法の適用を受けるのと同一の方法をもってこの災害家屋に対する対策を立てたい、かように考えて、現在先ほどお答えを申しました通り方法をとっておるのであります。  なお災害時における住宅対策につきましては、これは先ほど御指摘のようにいろいろな方法があるのでありますけれども、なおそれをもって十分と言えないことは申し上げるまでもないのでありまして、特にこの住宅の問題は、災害の際に格別に考慮を払わなければならぬ問題であり、しかもこれか解決は急がなければならぬ、時を失しては意味をなさないというような問題でもありますので、従来行なっておりましたような方法で果たしてよろしいかどうか、これは一つ恒久的に対策考えて、それに要する予算などを要求していかなければならぬのじゃないか、かような考えをもちまして実は慎重に検討いたしておるのであります。現在大蔵省方面ともそれについて話を続けておる状態でございます。いずれ十分研究をいたし、万全の方法をとって参りたいと考えておる次第であります。
  21. 鎌田隆男

    鎌田説明員 この災害時におきます住宅対策につきましては、先ほど質問にもありましたように、確かに現在いろいろの法律部分的に盛られておりまして、全体のいろいろな災害様相にすべてぴったりするとは申されないのであります。そこでいろいろな災害様相、その他全般にわたりましてそういう場合の対策につきまして検討する必要があるということはお話通りであります。そこで大蔵省その他ともいろいろな検討を進めております。大体の方向としましては、その場合に補助でいく方法と、それから融資でいく方法と、この二つがあろうかと思うのでございます。補助でいく場合には、これは特別の場合、たとえば公営住宅法によって賃貸住宅を建設して、罹災者賃貸をするというような場合は別といたしまして、自分の家を失ったというような場合には大部分融資というような方法でいきたい、しかも現在でもその融資方法はございます。しかし迅速にすべてが参るというわけにも参りませんので、その融資が迅速にいきますような方向に——ここで申し上げていいかどうかわかりません、まだ成案を得ておりませんが、一つ考え方としましては、たとえばそこの地元地方公共団体に、あるワクを設けて、迅速にそこから貸すというような方法、そういう方法につきましてただいまいろいろ検討をいたしておる次第であります。大体におきまして自分の家を失った人々に対しましては、何とか迅速な方法融資をするというような方向にいきたいということで今検討を進めております。
  22. 二階堂進

    二階堂委員 大体私の考えておるような方向にお考えをまとめていただいておるようでありますので、さらに一そういい知恵をしぼって、応急に間に合うような根本対策を一日も早く樹立していただきたいということをお願い申し上げたいわけでございますが、ただ私は参考的に大臣もおられますから、さらに意見を申し述べてみたいと思うのでございます。  御承知通り災害救助法を受けた地域に対しましては、仮設住宅という厚生省所管のものが割当になるわけでございます。ところがこの仮設住宅それ自身についてもいろいろ問題がございます。このことが一点。  それからワクを町村がもらいましても、家を失った者に全部その割当がいかないのであります。これは県のいろいろな負担の問題もありましょうし、あるいは町村自体でいろいろ問題もあって、全部それをもらいたがらないところもあるというような、地元における事情もございますが、ワクが全部行き渡らないようなうらみが相当ございます。そこで仮設住宅をもらって家を建てる者が相当あるわけでございますが、それは家をほとんど失った者で、しかも生活困窮者——生活扶助を受けておるという者が優先的に対象になるわけでございます。ところが台風等で家が大破する、ほとんど全壊にひとしいような大破をしたものにつきましては、修理費というような名目で大体一戸二万円ぐらいの金額が、現金でもって補助があるわけでございます。ところが家を失った者には全然修理費というものがいかない。これはもちろん家を修理するために使われる費用でありますので、その修理の対象の家を失った者には、これは名目上から申し上げましても、その金がいかないのは当然でございます。しかしながら災害仮設住宅のワクももらえないが、家も全部なくなってしまった。あるいはほとんど全壊にひとしいような家をそのまま持っておるというような人があるが、その人たちには修理費の二万という金もいかない。そこでこの中間にはさまった人は、一方では仮設住宅ももらえない、一方では二、三万の金をもらえば何とか家を建ててかせげるという人が二万円という金ももらえない。二万円という金をもらう人は、大体家が大破したとか、中破したとかいう人、これはまた生活に困っておられる人とか、あるいは家を早く修理しなければならぬという人が対象になるわけでありますが、そのいずれももらえないような、中間に残る、しかも家を失った者が相当出てくるのであります。これは昨年二十二号台風のときにも、私らの村のところには非常に風が強かったためにそういう被害を受けた人がたくさんある。そういう人々に対しましてはどうにもしようがないわけであります。そこで私は先般厚生省の方にも来ていただきまして、非常にこの問題は矛盾している、そこで災害住宅対策を一本にしてお考えになるならば、こういうような矛盾したところも同時に何か訂正していただくようないい考えをまとめていただきたい。これは地元において家を失った者が痛切に考える問題。ございます。仮設住宅をもらっても全部行き渡らない、あるいは口の方からやる二万円程度の補修費も家を失った者にはいかない。家を大破した者には金が二万円かそこらきて修理もある程度できるが、どちらももらえないような人が相当あるという現実がそこにあったわけであります。この人たちに対しては一体どうすればいいかというと、現在、この災害救助法を受けた地域仮設住宅適用ももらえない、金を借りようとしても、なかなか先ほども申し上げましたような五つ、六つのいろいろな方法がございます。金を借りるについて長くかかる。しかも担保能力がないとかいろいろなことで金を借りる方法がない。特に銀行方面から融資を受けて家を作るというような法律もできております。これなんか全然役に立っておりません。地元の銀行は金を貸してくれません。これは保険の裏づけがあって、万一取り立てができなければ国がめんどうを見るというような仕組みに法律裏づけはなっておりますけれども地元の銀行は、金を貸す場合にはいろいろなことを言って貸してくれません。このことで私は何べんも鹿児島の銀行に知事と一緒に参りまして、いろいろ話をして交渉した。大蔵省にもそのことを言って頼んでいってくれたけれども、なかなか金を貸してくれない。新潟とか大きな都市が一ぺんに焼けた場合には、容易にまとめて金を貸してくれる場合がありますが、農村地帯になると貧農である、貧乏である、そういう人たちが、金を借りようとしても貸してくれない。こういう法律はあってもちっとも役に立たない法律であると思う。これはこの委員会において審議したわれわれ自体にも責任があると思っております。そういうような法律がありましても、第一時間がかかる。半年も一年もかかる。その間にどこに住むか。人のうちに住むとか、お寺に住むとか、非常に困っておる。そういうふうに具体的に法律がありましても、災害住宅復旧対策を推し進める段になりますと非常に困るのであります。ですから私は何か大蔵省厚生省建設省、こういうところが一つ一本になって、そうして災害に対する住宅復旧対策をもっとコンクリートのものにして強力に推し進めていくような対策を立てていただきたい。私の方ももちろん、政務調査会におきましても特にこの問題を取り上げて研究をしていきたいと思うのであります。どうかそういう問題場もございますので、厚生大臣ともよく一つこの問題につきましては大臣も御相談をされまして、こういうような矛盾を全部解消していただきたい、これが私のお願いであります。  なおこまかい具体的な問題につきましては、私はいずれ予算折衝のときにもいろいろ申し上げて万全の措置をとっていただくようにお願いいたしたいと考えております。  以上私は現実に災害を受けて苦しんでおりまする体験を通じて、矛盾したことがありますので参考にしていただきたいと思っていろいろ意見を申し上げたような次第であります。
  23. 馬場元治

    馬場国務大臣 身をもって体験せられた諸問題をお示しいただいて、まことに謹聴すべき御意見であると考えます。いろいろなケースの中に、いわゆる救助規定の中から事実において漏れておる、それから法規はあってもその法規が満足な適用を受けていない、立法の趣旨の真の目的を果していないというような事情があろうかと考えます。そういうことがあってはなりません。お話しの中にもありました、災害の際における厚生省所管仮設住宅なんかの問題とも一緒にこれは一つ十分検討をいたしてみたい、かように考えておるのであります。災害の場合の住宅、これはまことに深刻な問題でありますので、災害の際の食糧あるいは衣料、これと相並んで切実な問題であると考えますので、関係各省とも十分に協力をいたし、協議をいたしまして万全をはかりたいと考えておりますので、どうか一つ各位の御協力をお願いいたしたいと思います。
  24. 山田長司

    山田委員 もう一つ伺いますが、先ほどからお話しを伺っておりますと今度の水害について大臣の御答弁ではさっぱり対策が立てられていないような印象を受けるのですが、今までどういう会合をお持ちになってこの対策を協議されたか、それから大蔵省との折衝はいつ結論を出すのか、もう少し具体的にお答え願いたいと思います。
  25. 山本三郎

    山本説明員 土木災害につきましては、現地の調査のために係員を派遣いたしまして大体の実情をつかみます。それから各府県から災害額の報告がありますので、それは直ちに大蔵省にも実情を伝えております。それから災害の発生した都度大蔵省実情を通知いたしますしある程度まとまった都度大蔵省に連絡いたしまして土木災害実情は連絡しております。従いまして今後県から実際のものにつきまして資料が出て参りますと、直ちに大蔵省に連絡いたしましてつなぎ融資なり予備金なりが手配できるように向うも準備はしておるわけであります。
  26. 山田長司

    山田委員 そうしますとこの七県からの報告というものはまだ明確に最後的な結論が出た報告は来てないのですか。
  27. 山本三郎

    山本説明員 先ほど大臣が御説明申し上げました被害額は七月二十三日現在の被害額でございまして、何せ山の中に起りました災害等は、交通機関、道路の破壊等によりまして実情が至急にわからぬ分もございまして、たとえば新潟県のごときは、ここにあげてあります十億八千九百万円というのが、今日先ほど報告によりますと約一億五千万円ばかりふえて参ったというふうな実情でございまして、まだ交通関係等でわからぬ分がございまして、多少は府県の報告は増加するというふうに見ております。
  28. 山田長司

    山田委員 その結果大蔵省の折衝が開始されるわけだと思いますけれども、一体いつごろその折衝が開始されてその結論を出すか、たとえば先ほど問題になりました住宅の問題なども融資方法の見通しを立てようとしておるのですか、もう少し具体的に困っておる人たちに方針を与えてやる必要があると思うのですが、この点はどうですか。
  29. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの予定を申し上げますと、つなぎ融資の問題につきましては、大体県から資料が出て参りますのが八月上旬の見込みでございます。そして建設省が一応県の資料検討いたしまして大蔵省へ持って参るわけでありますが、従来の実績によりますと八月中旬にはつなぎ融資が決定できる、こういう見込みでございます。  それから実際の予備金の支出の問題でございますが、大体の予定は県の査定を受ける準備が完了いたしますのが八月の十日ごろになります。それがまとまりますと直ちにこちらから査定官を派遣いたしまして八月下旬には緊急査定がまとまる、その結果九月に入りますれば予備金の支出を決定していただく、こういう順序に相なるわけであります。
  30. 山田長司

    山田委員 だいぶ予備金支出までの期日があるようですけれども、一体家をなくした人の立場も考えられて何か特別の方法というものはないものですか。
  31. 山本三郎

    山本説明員 予備金の出る前のつなぎといたしまして融資をいたすわけでございまして、それは一番急いでやります。まあ予備金を出す前の立てかえ支出というものが通常つなぎ融資となっております。それはもう直ちに着手するわけでございます。
  32. 山田長司

    山田委員 直ちに着手するというのは、家をなくした人たちに対して、地方自治団体から連絡をどういろ方法でされるか。直ちにといっても、すでに十七日あたりに水害を受けた人たちは、もう一週間以上の日数が費されているわけです。これらの人たちは相当困っておると思うのです。直ちにというのはどれくらいの日時ですか。
  33. 山本三郎

    山本説明員 これは県におきまして実情調査いたしまして、写真なりあるいは実情の設計なりを作りまして、今進めているわけでございまして、それが早くくれば直ちにで送るわけでありますが、従来の実績によりますと、それらの準備を整えるのに、県におきましては大体八月上旬くらいに、八月上旬といいましても八月初めくらいになりますとまとまって参る、こういうのであります。
  34. 八田貞義

    八田委員 建設省関係の部門につきまして一、二点質問さしていただきます。今までの御質問にありました中で、今度の災害で触れられておらない面につきまして御質問してみたいのであります。  まず発電用貯水池の問題でありますが、福島県の猪苗代湖の増水によりまして、湖岸民と下流地区における住民との間に大きな問題を起しております。どのような問題を起しているかと申しますと、猪苗代湖の水量が非常に急激に増量して参りましたために、これを放水しなければならぬわけでありますが放水いたしますると下流民が水侵しになる。そして田が全部水侵しになって、今次災害の上にさらにまた水害を受ける。地区住民の言葉でいいますると人工洪水である、こういうふうにまで言っておるわけであります。そこで下流民の要望によって水門を閉鎖して、流さないようにしますると湖岸民が困ってくる、湖岸民の田が水浸しになるということになって非常な問題を起しておるのでありますが、河川局長はこの問題につきまして通知を受けられておるかどうか。またあるいは今度の堤防決壊の問題について、いろいろと調査資料をお集めになっておると思いますが、この発電用貯水池の水位調整の問題についていかがお考えになっておるか、その点をお知らせ願いたい。
  35. 山本三郎

    山本説明員 猪苗代の湖岸並びに猪苗代から流出いたします日橋川の沿岸におきましては、今回の洪水によりまして相当の被害を生じたのでございます。それは猪苗代の湖水の水面が非常に上昇いたしますし、また流出いたします日橋川の洪水も異常なものである。こういう結果がそういう被害を生じているわけでございまして、日橋川の流出口には水門がございまして、流出水を制限するような形になっております。御承知のように猪苗代湖は発電にも使いますけれども、灌漑用水におきましても重要な地位を占めておりまして、この水門の操作につきましては古い時代から操作規定がありまして、それによってその水門を操作しているのでございますが、今回の雨並びは猪苗代湖に流入いたします河川の出水は明治四十年代にございましたが、それ以来の大きな出水でございまして、水門を操作いたしますものは、安積疎水土地改良区というのが実際に水門を操作いたすのでございますが、そのつど河川管理者でございます県の指示を仰いで、その水門を操作しているのが実情でございます。そして今回の洪水は、先ほど申し上げましたように異常な流入が猪苗代湖に起ったために、猪苗代湖中の沿岸並びに日橋川の流域の被害を最小限度にとどめるために、水門を最善を尽して操作したわでございますが、何せ猪苗代湖に入ってくる水量が多いために、猪苗代湖の沿岸も推量の上昇によって被害をうけるし、また日橋川の沿岸におきましても、流出水が多いために被害を受けた。しかしその水門操作につきましては、この出水に当りまして最善の水門の操作をしたというのが、ただいままでのい並びに水門の操作を扱った者の報告でございます。
  36. 八田貞義

    八田委員 ただいまの答弁によりますと、最善策を講じて問題が解消したように伺ったのです。ところが実際現地におきましてはこの問題をはさんで、湖岸民としての猪苗代の住民、それから下流域民としての塩川、笈川の住民との間に、血の雨を降らすような緊迫した状態に置かれている。というのは、下流民におきましては八時間の日照ということを要求しているわけです。ところが八時間の日照を要求いたしますと水門の操作関係にもよりますが、猪苗代地区の住民に対して非常な水害を及ぼしてくるわけです。そこで互いに条件を出し合って話し合いをしているのですが、ほとんど解決が見られていない。暫定処置というようなことでやっているのでありますが、この問題の裏を探ってみますと、水門の操作については明治四十年ごろに協定ができている。それは安積疎水ともう一つ何とか言っておられましたが、それだけの間の協定であって、下流民との間には何らの協定がない、こういうふうに承知いたしておるのですが、この点局長はどういうふうなことを知らされているか、お知らせ願いたい。
  37. 山本三郎

    山本説明員 先ほど申し上げました答弁におきまして、問題が完全に解決しているということに私は申し上げたわけでございませんで、水門の操作等につきましては県としては最善の処置をとった、こういうことでございますから、その点つきましてはさよう御了承いただきたいと思います。  それからただいま受けておりまする報告によりますと、七月十六日以降の放流については、県より指示を与えまして水門の操作をやらしたわけでありますが、県は四千個——一秒間に四千立方尺の水を流すのを四千個といっておりますが、四千個以上の放流に際しては、事前に下流町村長に協議を行なっておる、こういう報告でございます。
  38. 八田貞義

    八田委員 ただいまの安積疎水の協定の問題ですが、これについて内容を御存じでしょうか。
  39. 山本三郎

    山本説明員 安積疎水と下流民との関係につきましては、ただいま協定があるやなしやということについては、資料を持ち合せておりませんが、その点については後刻調査いたしましてお知らせすることにいたします。
  40. 八田貞義

    八田委員 私の伺っているのは、局長は多分現場をよく御存じないと思いますが、安積疎水というのは、郡山方面、安行方面に水を流すのです。日橋川というのは、塩川、笈川の方にずっといくのです。この場合協定をやっておって、何か水害が起ったという場合には補償を与えるというふうなことがいわれておるように聞いておるのです。そこで猪苗代地区の住民水害を受けたような場合、たとえば湖水の水が増量して田が水浸しになったという場合には、補償を受けておった。ところが塩川、笈川の下流民は何ら補償を受けておらなかった。今までも問題が一、二回あったそうでありますが、このような大きな雨降りということはなかったので、そう表面に問題が出てこなかったのです。ところが今度の水害によりまして、補償されている湖岸民と何ら補償されていない下流民との間に、補償をはさんで相当不満が起っておるわけであります。そこで私は今お話のありましたように、最善の処置として四千個流す、あるいは三千個というような言葉を聞きましたが、四千個以上を流す場合には下流民の意見をよく徴してやる、こういうようなお話があったのですが、ただ日橋川だけに放水しておるだけです。安積疎水の方面に出る水量につきましては何らの操作が行われていない、こういうふうに聞いておるのですが、その点局長はいかがお考えですか。
  41. 山本三郎

    山本説明員 私も安積疎水につきましては、放水を行なっているかどうかという点については、ただいま詳しく承知しておりませんけれども、湖面の水位を左右するような放水は日橋川の水門の操作によってのみ行われるということでございます。
  42. 八田貞義

    八田委員 そこで問題になってくるわけでありますが、局長もこの点について十分調査をされたと思うのでありますが、ただ大臣お願いしておきたいのは、この水位調整が単に日橋川の放流だけによってやられておるというところに、非常に問題があると思うのです。一方安積方面におきましては、平時と何ら変らない水量によって操作されておる。ところが増大した水量は全部日橋川の方にだけ放水しておる。しかも湖岸民であるところの猪苗代の住民は、それによって東北電力会社からの補償を受けておる。ところが下流民の方は何らの補償を受けない。ここに問題があるわけであります。  そこで私は大臣お願いをしておきたいのであります。発電用貯水池の水位調整につきまして、何らかの規制措置というものをこの際講ずる必要がある。そのためには、大臣から担当局について、十分この問題を調査するように命令されることをお願いいたす次第であります。  さらにもう一つお願いいたしたいのは、水位の調整ができまして、流れていく水量がきまってくるわけでありますが、現在の状態を見ますと、三千個流してもすぐ水浸しがふえてくる、こういう状態があるわけであります。そこでどうしても堤防を築いて——水位を調整するところの水量がわかってくるわけでありますから、それに耐えるところの堤防を早急に作る必要があるわけであります。現在は何らそういった措置が施されておらぬわけであります。その点につきまして大臣に重ねてお願いをいたしておく次第でございます。
  43. 馬場元治

    馬場国務大臣 猪苗代の問題につきましては、湖岸民と下流民との間に利害相反する状況にあって、しかもそれぞれ被害を受けておるという報告を受けて、実は心配いたしておるところであります。さっそく係の者をそれぞれ現地に派遣をいたし、調査をいたしました上で、十分検討をいたしまして善処いたしたいと思います。
  44. 八田貞義

    八田委員 もう一つ局長に重ねてお願いをしておきますが、この安積疎水との間の調整全文、どういうような内容になっておるか、それを早急に資料として御提出願いたいと思うのであります。
  45. 徳安實藏

  46. 西村力弥

    西村(力)委員 今回の山形福島その他の県の降雨による被害は、西日本の災害のあったのに比べると、幾らか規模において小さいかもしれませんが、その関係住民にとってはやはり被害の影響というものは百パーセントでございますので、決して軽視をせられないでしょうが、そういう立場でなされることのないようにお願いを申し上げたいと思うのでございます。  こういう災害が起きた場合に、建設省としては応急対策あるいは恒久対策をとられるわけですが、災害の痛手を受けた住民はこれじゃたまらぬというわけで、——今までいろいろな問題、土地問題、あるいはその他資金の問題、さまざまで、なかなか計画通りに協力態勢ができないという事情があるわけです。ところがこの痛手の結果、これではたまらぬ、もう徹底的に河川改修なりその他のことをやってもらわなければいかぬ、それには十分に協力しなければならぬ、こういう気持になっておりますので、これを最もよく牛かして建設省の仕事をやっていただきたい。非常にチャンスとしていい時期にある。これは変な言い方ですが、むしろそういう場合に活用していくことが、行政としては生きたやり方ではないが、こう思うわけなんです。そういう点からいいまして、今回の復旧に当りましては、その原形復旧以上の措置、あるいは従来抜本的にやろうとしてやれなかった点を計画通りに美本的に進める、あるいはまたよく言われる被害個所だけの手当でなく、関連して十分に措置をしていく、こういうような工合でいかなければならぬ、そうやっていただきたいと思うのですが、そういう点に対する建設省の基本的な考え方はどんな工合でございましょうか。大臣でなくてもけっこうですが、お考え一つ承りたいと思います。
  47. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの話はまことにごもっともな次第でありまして、従来の災害におきましても、災害復旧をいたす場合におきましては、再度災害を受けるような原形でありますならば、それを受けないような限度までは災害復旧でとれる。しかしそれでもなお部分的でほかの部分が弱いというような場合には、災害復旧の助成工事というのを行なっておりますが、それで災害復旧と普通の改修費を入れまして、一定区間を改修的にやってしまうというふうな方法を講じて参りました。今回の災害におきましても、何せ改修していないような川が多いものですから、こわれたところだけを復旧したのでは、せっかく復旧いたしましてもほかのところがやられてしまうというような状況が多いと思いますので、従来行いましたような方法をさらに強化いたしまして、災害復旧の助成工事なり関連工事などを入れる。あるいは改修工事をやっている川につきましてはそれと一緒にやるという方法考え、万全の方法を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  48. 西村力弥

    西村(力)委員 ぜひそのようにお願いしたいと思うのです。そういう場合にあなたの方の省の関係官にはないと思うのですが、従来建設省側から見れば本気になって住民の安全度を守ろうとして計画をやろうとした、ところが住民が土地問題その他で反対した、もののわからぬやつだ、しかしそれを強硬に取り上げることもできないでそのままにしておった、そして今泣きついてきたというようなこともあり得るかと思うのです。そういう場合に感情的なものを一切抜きにして、さっぱりした形でやっていただく、このような御指導をぜひ賜わりたいと思うのです。それからこれは年度計画で橋梁工事をやっておる、ところが橋脚はコンクリートで永久的に立てたのだが、それとこっちの道路をつなぐ仕事がまだ十分にはかどらないために、そこを土手をもってつないでおったというようなこともあるのですが、そういうのは水害によって一ぺんにやられる。また土手を築いたってやられるかもしれぬという場合がある。そうするとわれわれの大事な金というものが、事業の延引のためにむだになるという場合がある。そういう現状に実際あったという現実の問題からしまして、そういう場合に計画を繰り上げるというようなことは、予算もきまったことでありますしむずかしいかと思うのですが、十分に判断せられて、そういう必要があるという場合にはこういう計画の繰り上げ方なんかも考えてはいかがでございますか。
  49. 山本三郎

    山本説明員 災害によりまして流れたというような橋につきましては、それをもとに返す費用は災害復旧で持ちますけれども、今のお話のように、付近の堤防の関係とかあるいは橋が非常に狭くて洪水に弱いというようなものがありまして、復旧いたしましてもすぐまたやられるというようなものが相当あるのでございます。それらのものにつきましては、お話のようにそれを一ぺん作りましたら出水の場合にこわれないというようなものにしたいという努力をいたしております。その方法としては、橋梁につきましてはできるだけ道路改修費あるいは橋梁の改修費をそれに一緒にしまして、合併で流れぬような橋にするという方法をとっておりますが、重要なものについては現在におきましてもできるだけ計画を繰り上げましてやるようなことにしております。なおできるだけそういうものができるように考えたい、こういうふうに努力するつもりでございます。
  50. 西村力弥

    西村(力)委員 私が今言ったのは、三カ年なら三カ年の継続事業として初年度の工事に着工しておる。そういうところでかりに一部の仕事をやっておって、こっちの方に別な橋をかけられないから土手を築いて橋がわりにしておったというようなことがあるのですが、そういうのがぶち破られた。そうするとまた土手を盛らなければならぬことになるわけですが、土手を盛ることも必要でしょうけれども、それよりももっと金が安く済むようなかけ橋にでもしまして、土手を盛るようなことはやらぬで、三カ年計画を二カ年に繰り上げるようなことは、そういう個々のケースに当った場合可能であるかどうか。また流される危険性のあるようなものにむだな金を使わぬで、完成年度を繰り上げる、こういうような方法は今年は全然やらぬのかどうかということです。
  51. 山本三郎

    山本説明員 そういう方法は、従来も災害を受けたものにつきましてそれを復旧する必要が生じたような場合には、たとえばその個所は今までの状況でありますと三年かかってやるというような計画でありましても、繰り上げて早くやるというような方法はとっております。今後におきましてもそういう方法をとりたい、こういうように考えます。
  52. 西村力弥

    西村(力)委員 それから今回の水害で非常に危険を感じたのは鉱山ダムの問題ですが、雨が鉱山に入り込んで決壊寸前まで行く、それが決壊すればその鉱山もその下流の町もどろ海になるような危険性が出た。鉱山ダムに対する安全度というかそういうものに対しては建設省も相当の発言力を持たなければならぬのではないか、こう思うわけです。これは全国的に相当検討する必要がある。今回の水害で私はこの問題について気がついたのですが、そういう点は従来どういう工合になっておるか、それを今後どうしようとするか、これは建設省河川行政の関連の問題として相当発言力を高めなければいかぬと思うのですが、この点はいかがですか。
  53. 山本三郎

    山本説明員 そういうダムにつきましては、ただいまといたしましては河川法の適用区域につきましては建設省が県を通しまして直接に指導しております。それから準用河川につきましては県がその設計なりを審査しておりまして、十分な安全度を持つように指導するように、本省からもしばしば県に対しまして通達をしております。それによりまして河川法の準用並びに本法河川につきましては十分の措置がとれるようになって参っております。
  54. 西村力弥

    西村(力)委員 次に今回の災害によって県その他の自治団体が相当の実際支出が必要となってくるのです。今政府の方針として地方団体の財政再建整備を進めておるわけですが、その財政再建団体がこの水害によってその再建計画なり何なりに非常な支障を来たすということになってくるわけです。それは額にしてはあまりないかもしれませんが、貧乏世帯では少額といえども相当の影響力を持つ。私の県を申し上げては申しわけないが、財政再建団体となっておって、今回の県会においてはわずか一人当り三千円程度の旅費を削ってまでも予算の組みかえをやらなければならぬという状況でありまして、三千円の旅費なんてとんでもない話ですが、それさえも削らなければならぬという事情です。たとい少額といえども相当の影響を持つと思うのです。そういう財政再建団体の関係の復旧事業をやる場合においては、あの規定通りの標準税収入の半分までは三分の二でしたか、二倍までは四分の三でしたか、ああいろ率を再建の進行過程においては少し緩和するというような方法考えられないかどうか。これは政府の方策として、再建整備特別措置法を作って、それにのっとって再建を進めておるのでございますから、その再建が計画通りにいき得るためには、こういう災害は別個のものとして、財政的な圧迫を再建の途上にある団体に与えないような方法をこの際とるべきじゃないかと私は思うのです。その法律改正がちょっとで逆ないとするならば、地方団体が出す金は、特別に起債としてこれを認める、しかもその起債は、再建計画の中のものと別個のものとして考えるというような工合に、何らかの措置をとる必要があるであろうと思うのであります。せっかく再建の計画を立ててやっているときに、たまたま不慮のこういう事態によって、この計画がめちゃくちゃになって、その負担をまた計画の中にぶち込んでいくと、ますますその県民に対するサービス関係が低下する、あるいは増税の強化となる。こういうようなことになるのでありまして、ここは一つ政府の方針として、相当考えるべきことではないかと思うわけなんです。その点については大臣がどんな御構想を立てれるか、一つお答え願いたいと思います。
  55. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの質問で私がお答えできる分もあると思いますので……。災害が起った場合の地方団体の財政の問題でございますが、例の地方財政再建によりまする今年度事業の制約の問題は、災害につきましてはその中へ入ってはおらないようになっております。従いまして起債の面におきましても別個に考えるような状況になっております。  それから負担率の特例でございますが、ただいまは先ほどお話がありましたように災害が大きかった場合には、負担率を上げていこうというふうな方針になっております。また連年災害におきましては、国庫負担の率が多くできるような特例がございます。そういうふうな法律の建前にはなっております。
  56. 西村力弥

    西村(力)委員 私の啓蒙をいただいておるようなことになりまするが、しかしその通りにほんとうに行くかどうか、この点は私は相当疑問に思っておるのです。今河川局長が言われましたが、地方団体に全然影響を与えないで完全にできるかどうか、それはどういう方法をとられるのか、それが確実に行くのだというようなことであれば、私たちは何をか言わんやでありますけれども、はっきりその通りでよろしいのかどうか。あなた方はそう言われるけれども、私は相当影響を与えてくるだろうという工合に考えておるのです。ですからああいう質問をしたのですが、その点はどうでございましょうか、次官に一つ……。
  57. 石破二朗

    ○石破説明員 お答え申し上げます。お尋ねの点は自治庁所管の問題でありまして、私も責任ある答弁はできませんけれども、私ども承知いたしておりますところでは、御承知通り地方財政の再建整備のために特別の法律に、よりまして、いわゆる赤字の出ている団体につきましては起債等を抑制する措置がとられておるわけであります。しかしながら災害復旧に要する起債につきましてはこの制限をしない、こういうふうになっておると承知いたしております。ただお話通り起債が制限を受けないといたしましてもやはり赤字団体に災害が起きますれば、その負債の絶対額がふえることは事実であります。従いまして災害が起きますれば、さしあたりその復旧のための起債は抑制しないけれども、当該赤字団体の再建にそれだけひまがかかるようになるということは事実だろうと思います。従いまして後年度において、そのためにその公共団体の公共事業その他がやりにくくなるであろうということは、これは想像でございますが、想像いたしておるわけであります。さしあたっての災害復旧には支障はない、かように考えております。
  58. 西村力弥

    西村(力)委員 その通りだと思うのですが、その点は自治庁所管でありますのでその方に譲りたいと思います。  次に住宅資金の問題は先ほどからいろいろお話がありましたが、よく少しの七十ミリ、八十ミリくらいの水でも水をかぶる地域というものがあるわけなのです。私の県のことを言うと工合悪いのですが、私の県では床上浸水が相当たくさんある。ひどいところは床上五尺というのが千戸近くも出ておるのですが、そういう土地の住宅で床上げというか、家を上げるというような費用は増改築資金としての融資対象として可能かどうか、こういう点が一つ。それからそういう家であるからやはり何としても屋根裏であっても二階座敷を作らなければいかぬという工合にその地域では考えるわけなのです。そういうものも増改築資金の貸付対象として考えられるか、その点はどうであるかということなのです。これは住宅局長の方に……。
  59. 鎌田隆男

    鎌田説明員 住宅金融公庫法によりまする住宅資金貸付の対象についてのお尋ねなのでありますが、実は今日あの資金は増築のみに限定をいたしておるのでございます。増築につれて生じまする部分的な改築はむろん含めてございますが、増築を対象としてできております。従いまして二階を増築するあるいは横の方にも増築する、そういう場合には当然この対象になるものと考えられるものでございます。増築の資金につきまして貸付の対象といたしておりますので、それに伴って生じまする改築部分もそれに含めて融資対象になる、こういうふうになっております。
  60. 西村力弥

    西村(力)委員 増築する場合には間数がふえるのだから四十三万戸にも入るかと思うのですが、そうでなくコンクリートで土台を上げて家を高くするというような場合、そうすると相当被害が少くなる、よほど安心して住めるというところもあるわけなのです。そういうところは対象にならぬだろうか、一つ考えとしてそういうところも少しでも金を費し付けてそういう工合にやっておくのが政府のやり方としては必要ではないかと思うわけなのです。それはどうでしょうか。
  61. 鎌田隆男

    鎌田説明員 土台を上げる、床を上げるというような工事は改築あるいは一部修繕という工事に入ろうかと思うのです。これにつきましては現行法では今のところ融資対象とはなっておらないのでございますが、先ほども全般的な災害対策としてのいろいろな法的な検討をいたしたいと申し上げました。いろいろそういう方面につきましても全般的に将来の問題としまして検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  62. 西村力弥

    西村(力)委員 全般的な災害対策として考えられる将来の問題としてということですが、さしあたってそういうやはりいろいろな個々の具体的な問題に対して救済的な措置というものを立てていかなければならぬと思いますので、遠き将来そういうことをやられるのではなく、今回そういうところまで進められて災害の一般的な関係全般に対する検討というものを早急に立てられるということが必要だし、また土台を上げるなんということの要求があるとすれば・これを何らかの方法で解決していくという努力がこの際行われなければならぬ、こう思うのです。その点は努力お願いできないかどうか。
  63. 石破二朗

    ○石破説明員 お尋ねの点は、河川住宅と両方に実はまたがっておるかと存じますので、便宜私から申し上げたいと思います。具体的のそういう床上げを要するような家がどこに建っておるかということが一応問題ではあろうと思いますけれども、いずれそういう床下浸水して床上げをしなければならぬというような事態が起っておる場所につきましては、その原因としてはいずれ土木施設についての災害があったのであろう、かように考えられるわけであります。従いましてせっかく家の建っておるものを床上げまでしてもらわなければいかぬというようなことのないように、公共土木施行の方の災害の復旧を急いでやりたい、抽象的にはかように考えております。なお現行法上それを救済する措置はないかというお尋ねでありますが、これにつきましては住宅局長からお答え申し上げました通り、現行法におきましてはこれを救済する措置は、建設省としては、目下のところありませんけれども、今後の問題として立法措置その他を考えて参りたい、かように考えております。
  64. 西村力弥

    西村(力)委員 確かに次官の御答弁賢明でありまするが、賢明であるだけに護岸工事や何かが十分に行われないことをみずから認められておられるということになると思うのですよ。確かに抜本的に護岸工事なり河川改修なりやってもらえれば床上げまでする必要はない、そこまでは要らないのですが、そっちの方が先に十分に備わらないから、やむを得ずやはり床上げでもして被害を軽減しようということになってくるわけです。それでそうやろうとすれば解決策がない、どっちもこっちも八方ふさがりだということになる。それで何とか方法はないかということになる。その点は一つ建設省所管の関係でないとすれば、別途方策でも、あるいはとにかく国民の苦痛というものを除くのが政治の要諦だとするならば、やはり何らか解釈のしようによっては増築とかいうようなことによって、床上げもできるというような工合に、相当そこのところには行政的な考慮というものを一つ願わなければならぬじゃないか、こう思うわけです。その点については十分に御考慮を賜わりたい、こう思うわけです。  それから河川のよくはんらんする、また今回のはんらんによっていたんだ河川のほとりにある地域、それが移転を強く希望する、あるいはまた不幸にして河川敷地内に住宅があった、今度ばっさりやられちゃってふるえ上った、こういうこともあるわけなんですが、そのようなことで移転をする場合に、建設省としては当然移転費というものに対する措置をなし得るものと私は思う。この点は一つそのようにはからっていただきたいと思うのですが、いかがでございますか、お尋ねいたします。
  65. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの状況におきましては、改修工事なり、ダム工事なり、そういうものによって必要を生じた家屋の移転費は出すことにしておりますけれども災害を受けたためにこわれた家が移るというようなことに対しましては、移転費は出せないという立場に立っております。
  66. 西村力弥

    西村(力)委員 その立場に立っているでしょうが、河川改修あるいは護岸工事で、その住宅河川敷地内に入っちゃったということになる場合、今度の水害でやられた、建設省としても護岸工事をする前には相当その住民と折衝したのだろうと思う、しかし何かの都合で移転に至らないままに今日に至った、ところがたまたま水害にあった、これはたまらぬからとにかく移転をする、こういうことになって、建設省ではそれ見ろ、ざま見ろということになるかもしれないが、とにかく被害を受けて移転の気持になった場合、そういう場合には私は方法があると思うのですが、これはどうでしょうか、できるでございましょうか。
  67. 山本三郎

    山本説明員 改修工事なりのために必要を生じた家屋の移転はで送るわけでございます。
  68. 徳安實藏

  69. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は今度の災害について当局に対して質問はいたさないが、ただいままで各委員諸君から有益な御意見なり御質疑があったわけであります。この委員会を開くたびにここで同じような問題を質疑応答すること自体が私はこっけいだと思うのです。これはいつも申し上げていることなんですが、すでにもうみんなが熟練工になっているはずです。毎年一回以上数回同じように日本国中至るとこでやっております。そういうことですから、先ほど河川局長からつなぎ融資は八月の中旬ぐらいまでに具体的になろう、それから査定の関係もあるから九月に入ったならば予備費の支出ができる、大体今日までの様子を見ておりますと、そういう見当になります。これはやってみなければわかりませんが、今までの経験に比べると少し早目の期日を出している。こういうふうに行けばけっこうと思うのです。お互いがこうやって質疑応答をしたり、議論をしているのはきわめてゆうちょうでありますが、御存じの通りに現場の者は現に住む場所もない、食うにも困るという人がたくさんあるのですから、どうか一つもうすでに熟練工以上になっておるはずでありますから、これは建設省だけの責任ではありません。政府全体が一つ最大の努力をしていただいて、さっき言われた期日以前に具体的にその国民を助ける方法を訓じていただきたい、これだけを申し上げておきます。  それともう一つ、ここで大臣に御所見と申しますか、御決意のほどを承わっておきたいのは、今度の災害を見ましても、私は現場を見ておりませんが大体見当がついております。その最大の根本の原因にやはり治水事業が貧困だということなんです。これがこの災害の一番大きな原因になっていると私は思います。ことしは幸いにして今日まで比較的に台風あるいは豪雨による災害が少くて——あまり来ない東北地方に参っておりますから、先ほどお話がありましたようにめったに来ないけれども、来ればやはり百パーセントの苦しみをするのだという西村さんの御意見がありましたが、その通りなのであります。今度の災害の跡も一日も早く片づけておかなければ、もうすでに台風シーズンが直前に迫っておりますから——今後来なければけっこうでありますけれども、少くとも二、三回はむ覚悟をしなければならないわが国の現状であります。ですから一日も早く今度の災害に対する対策を立てて実行に移していただくのと、もう少し将来のことを真剣に考えてもらいたい。  昭和三十一年度の予算を編成すると遂に、一体こういう現状が毎年続いているのに治水費を減らすなどという今日の政治はなっておらないということを私は口をすっぱくして申し上げておりますが、今日もそれを申し上げなくちゃならぬ。昭和三十一年度の予算で治水費を減額して、そのときには御存じの通りどもも相当争ったわけです。  建設大臣に申し上げるというよりも政府に対して私は言うのでありますが、こういうことを繰り返しておって、そして委員会を開いて質疑応答を重ねておるというのは実際をいうとこっけい千万なんです。こんなことは委員会を開かなくたって、議員が東京に来る前に当然そういう方式を立てられて、そして住民の安心をはかるというのが政治をあずかる者の責任であります。そういう最中に三十一年度においてはこの根本の治水というものを軽視した、軽視したというとあるいは語弊があるかもしれませんが、結果において軽視した。昨年の大蔵省予算編成方針を最初に説明したときに、昭和三十年度には割合に災害が少かったので三十一年度の予算は減らします、こういうことで非常な物議をかもしたことは皆さん御存じの通りなんです。これはどなたが何とおっしゃっても、こういうあわれな状態を出してそして多額な損害をして、その上にまた今も御議論がありましたように多額の金を出さなくちゃならぬ、こういうことを毎年繰り返しておるのですから、こういうことを言うこと自体はもうノイローゼにかかっておる。  今、ちょうど予算の編成にかかりつつあるときなんです。大綱を説明説明するとかなんとか大蔵省は言っておりますが、去年と同じような考えをしておるということは聞かなくても私はわかっておる。こういうことをたたき破らなくちゃ日本の現状は助からないと思う。金がないから金がないからではなくて金を何とかして作らなくちゃならないでしょう。もしどうしても金に一定の限度があるということになれば、どこかの仕事をしばらく切ってこの問題を解決しなければ、日本の経済財政というものはいつまでたったって——今度の公共施設だけの災害でも数十億に上っておりますが、このほかに人が死んだり、農作物の被害を受けたりあるいはその他たくさんの損害を加えると日本の経済は尨大なものになる。これはまだ序の口で、ことしはあとでまた何千億という損害が起るかもしれませんが、これだけを見ても、もし金が足らなければしばらくほかのものはたたき切ってこの方に重点を置くという政治を当分続けなければいけないと私は思う。今日までずっと長い間このことを私は申し上げておる。ことしは公債政策をぜひやって下さい。二百億や三百億の公債を出しても、こういう方面に使って住民を安心させて、そして損害を防ぐということであるならば、決して大蔵大臣考えているようにインフレは起りません。これは私が言うばかりではなくて、経済財政の専門家にお聞き下さればわかるのです。こういう損害をしておるからいけないのですから、こういう損害を防いで、しかもどろぼうに追い銭をやるような政治を早く脱却しなければ私どもは日本の再建はできないという感じを持っております。建設省は常に計画を立てて早くその仕事をしたいという熱意に燃えておられるのでありますから、建設大臣に強く言うわけじゃありませんが、建設大臣一つどうかそのお気持を生かされて、ちょうど今予算編成の時期であります、予算大綱の説明をしようという時期でありますから、ことしこそ昨年度のようなへまはやらないように私、決意をしておりますが昨日もけんかの種をまいてくれるなということを大蔵省に言っている。もし妙なことをすればあくまでも国家のために争うつもりでありますが、政治の方向を少し変えるように、来年度の予算については治水費を減らすどころの騒ぎでなく、相当大幅にこれを広げる、金が足らなければ公債の二百億や三百億を出すというくらいの、国民の期待に沿う——国民の期待ばかりじゃありません、日本の建設の基礎を一日も早く、三、三年じゃこの問題は解決できませんから、そういう気持でいっていただきたいということを私は申し上げるのでありますが、この際簡単でけっこうであります、大臣の決意のほどを伺っておきたい。
  70. 馬場元治

    馬場国務大臣 治山治水につきましては常に苦慮いたしておるところでありまして、特にわが国のような災害のはなはだしい国におきましてはその必要性を痛感いたすのであります。昨年は御承知通りに治山治水の予算が前年度よりは減額になりました。まことに遺憾千万に存じておるのであります。御指摘のように今予算編成の時期に差しかかって参りました。これらの方面予算の編成につきましては十分御趣旨を体しましてできるだけの努力を払いたいと思います。従来とても努力いたして参ったつもりでありますが、何しろ意にまかせない点が非常に多いのでありまして、それがために災害時における被害もまた多いということは何としても否定し得ざるところであります。これらを十分に勘案いたしましてできるだけの努力をいたしたい、一日も早く治山治水に万全を期しまして災害を最小限度に防止いたしたい、かような考え努力をいたして参りたいと思います。どうかこの上ながら各位の御協力をとくとお願い申し上げておきたいと思います。
  71. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 どうか一つできるだけというようなことよりも、必ずでかすというような御決意を私はお願いしておきます。  それからもう一つ、私どもが現場を回って、現在やっております河川改修ばかりでありません、その他のいわゆる国民の安住の地を作るということでやっていただいているような仕事について、早くやってくれということを督励というとおかしいのでありますが、現場に行ったと遂に必ずそう言っております。ところが今日各地の現場ではどういう考えを持っておるかといえば、また今年度も一割くらいの天引きがあるんじゃないでしょうか、そういうことで一割くらいの天引きを考えながら仕事をしつつあるという現状であります。こういうことでは昨年も申し上げましたが、国民の辛い税金を取って、一日も早くこういう惨状を防がなくちゃならぬということで、なけなしの金を予算に組んで、そして各専門家、各行政官の方々に仕事をお願いしているのですから、これまた昨年と同じように一割天引きされるのでありましょうからというようなことで仕事を手控えているというような現状であります。これは農林省関係にもあるかもしれません。全国を見たわけではありませんから、全国そうであるということは言明いたしませんが、まあ想像するに全国ほとんど同じような考えでやっておるのじゃないかと思うのです。ちょうど今三十一年度の予算の実行に当って初めてでありますから、この際一日も早く——何も三月三十一日まで金をかかえておらなくちゃならぬというものではありません。できることならばもう今年中にでも早く仕事を終って、橋にしろ一日も早くかかった方がいいのです。堤防などは一日も早くできた方が国民が安心をいたします。私は最近回ってみましたが、各出先の現場の人たちは、まだそのことを頭に置いて仕事をしておる。こういうことじゃならないと思いますから、これは大臣の御答弁は要りませんが、一日も早く仕事を完了するようにという督励をされんことをお願いいたしておきます。  それからもう一つ、これは今度の災害に直接関係する問題じゃありませんが、河川局長にお伺いしたい。こういうことを何十年と続けておる例の大淀川上流の轟のダムに関連する問題です。これはさきの国会における委員会におきまして、六月中にはこれに対する計画の案を作るという御言明でありました。もうできておると思いますが、その案がここにありましたら示していただきたい。書類がありますればいただきたい。もし書類がなければその構想を示してもらいたい。先ほど猪苗代湖のダムに関する話も出ましたが、昭和二十九年十月二十八日に建設次官の稲浦さんが、これを撤去しなければ問題は解決しないとこの委員会で言明されて以来今日まで約二年になっております。それがまだ今日計画が立たないということでは、治水の責任者として国民に申しわけが立たないのではないかと私は思います。しかし河川局としては一生懸命やっていただいておりますので、私は非難するわけじゃありませんが、この際案が示されるならばここで示していただきたい。
  72. 山本三郎

    山本説明員 大淀川の上流、すなわち轟ダムの上流の治水対策の問題でございますが、それにつきましては前国会当時におきまして御答弁申し上げたのでございますが、われわれといたしましては、県並びに地方建設局と十分打ち合せをいたしまして、成案ができております。その構想といたしましては、ダムを撤去するというふうなお話もございましたが、撤去するかわりの方法がないかというようなことにつきまして慎重に技術的に検討いたしたのでございます。ダムを作る前と同じような状況に川ができないかということが問題の中心でございまして、ダムの幅を広げますし、さらにダムの下の固定しております部分を切り下げまして、洪水の疎通能力をふやすとともに、上流にたまるおそれのある土砂を、そのダムの高さを下げることと、それに取りつけまするとびらを操作する規定を改めまして、できるだけ下流に排除する。そしてダムを作る前の河状に維持するためにそれだけの仕事をいたしまして処置する。その上に立ちまして上流の浸水を受ける地域に対して改修を行いまして被害を防除しよう、こういうような内容になっております。ただいまこの具体的な資料は持ち合せておりませんけれども、それの内容につきましてはいつでも御説明を申し上げたい、こういうように思っております。
  73. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は技術の専門家でありませんから、どうしたらどうなるということをここで説明されても、それがほんとうであるかうそであるかわかりません。ただ、先ほどお話に出ましたが、このダムを撤去するということは、この委員会で建設次官が大臣立ち合いの上で言明をされたのであります。それを言質にとってどうということではありませんが、宮崎県の県会においてもダムは取るべしという決議をしていることは御存じの通りであります。地元においては、近く何らかの成案が出ることを期待いたしておりますが、御承知のような台風地帯でありますので戦々きょうきょうとしておるのです。かりにこの案が出ましても、今年度から直ちに台風が来たとき水害がないということはできませんけれども、一日も早く地元の納得のいく案がほしいということで首を長くして待っております。そこで、今ダムを取るというよりも取らないで、そのダムのできる以前の状態、あるいは取ったと同じような状態にして土砂の排斥もする、従って河水の流れもよくする、それによって水害を防ぐという基本的な構想でありますが、あの現場において静かに状況を見ておりますと、ダムを取ったと同じような設計にして、しかもなおかつそこにダムの存在を許してあの地形において水害がなくなるという専門的、技術的自信のあるものができるでしょうか。私どもはしろうとでありますので常識的な考え方で物を言うておるのでありますが、あの狭窄部のダムはそのままにしておいて、聞くところによると、ゲートその他を改造してダムのできなかった当時の断面と同じようにするというような考え方のようであります。それは技術上で送ると思うのでありますが、そうやっておいて、しかもダムそのものは置いておいて、あれほどの豪雨の多い集水量のある地方で一体あの水害がなくなるという御自信がありますか。そのまま堰堤を置いて何年かするとまた元に戻るので、この際抜本的にやらなくちゃならぬということで今日までいろいろ御検討を願っておるのでありますが、ダムを存置しておいて、将来何年かかるかしれませんが、あの土質とあの集水地域状況とを考えて、伺年か先、われわれが死んだ後において再び同じことを繰り返すようなことを残しておいて昭和の治水専門家としてそれでよいかどうか。そういうことになりませんかということをここで一つ聞いておきたいと思います。
  74. 山本三郎

    山本説明員 今お話の点につきまして、私どもといたしましてもいろいろ議論をしたのでございますが、あのダムを作る地点につきましてただいま考えております計画は、現在のダムは、元の河川につきまして、要するにゲートの巻き上げを、橋脚などを作りまして断面を狭くしております。そのために上流に溢水を越しまして水位を高めるというような計画になっておりますが、今度の計画におきましては、ダム地点におきましては元の川の断面よりも若干広くなりまして、そういう障害物によって起きる上に及ぼす水位の増高を前と同じにしよう、こういうことでございます。  それから今、ダムがあったのではダムの上流に土砂が依然として堆積するではないかというお話でございますが、これはなるほど今までのダムにおきましては、発電の観点からいいまして、洪水が参りましてもゲートがあかないというような場合もあったのでございますが、ゲートの操作の方法によりましては、上流の堆積した土砂を非常にうまくはけるような実績も得られております。そういうふうな方法を加味いたしますれば、河川のダムの上流に土砂がたといたまりましても、ゲートの豊作によりましてはダムの上流の土砂をうまくはくことができるというふうに考えております。ただそれだけではダムの上流の治水は完全でございませんので、そういうことをやった上に、上流の地帯につきましては川岸を掘りまして、しかも堤防を作るなり、あるいは土地を上げるなりいたしまして浸水を防ごう、こういうふうな計画にしておりまして、私どもといたしましては、十分それで目的は果せるというふうに考えております。
  75. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 先ほど申し上げたように、私はそういう技術の方はわからないので技術の議論はできませんが、今言われたように、ゲートの操作によっては土砂の堆積は免れるだろう、これが問題なんです。これは大正十二、三年ごろあれを新設するときに、私どもはそのときの状況をもちろん知りませんが、非常に問題になって、地元の農民は決起してこれに反対した。ところが今のようにここに排砂門を作ればこうなる、ゲートの操作によってそういう心配はないんだと言われたもんだから、百姓は何にも知りませんので、そういうものであろうと思ってやってみたら、三十年たたないうちに今のような長い間の苦しい問題が起ってきておる。でありますから、地元の農民に対してゲートの操作をうまくすればなどと言ったって、それはとても耳に入りますまい。しかし今承わると御自信のほどがあるようでありますから、一日も早くその案というものを作ってもらって、そして早く地元に対して説明をしてもらいたいのですが、これは机上の計画が幾らできましてもだめなんです。言わなくてもわかっています。一日も早く実行に移さなくちゃならぬ。その点についての見通し、今後どうされるかということをこの際承わっておきたいと思います。
  76. 山本三郎

    山本説明員 御趣旨通りこの計画につきましては県ともよく相談いたしまして、地元にもお話をいたしまして十分納得を受けたいと思っております。  それから工事の問題につきましても、電力会社にもよく相談いたしまして、事業が早くできるように処置したいというふうに考えております。
  77. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はこの問題を、いつも申し上げておりますように、電力との関係ではむろん申しておりません。これは治水という面だけでわれわれは考えておるわけであります。もちろん電力を忘れておるわけではありませんけれども、電力の公共性を主張して各地でいわゆる住民を圧迫しておるのが今日までの日本の政治でありますから、そういうことを改めなくちゃならないという立場で、今日まで私は電力についてはものを言うておらないのであります。しかし今電力会社というお話が出ましたから一言申し上げておきますが、電力会社に対しては、先ほど説明なされたような構想を言われて打ち合せておられますか。建設省の治水の専門家が、これをすれば地元の農民が助かるという計画を立てられて、もしそれを電力会社が経費その他の面で応じないということになれば、こういう電力会社はつぶしてよろしゅうございますから、直ちに撤去するという御決意があるかどうか、それを承わっておきたい。
  78. 山本三郎

    山本説明員 この計画の立案の過程におきましては、電力会社におきましても、電力会社のダムでございますので、それらについての資料などの提供も受けておりますし、計画についても参画しているような形になっております。それで私どもといたしましては、これだけのことを行わないとあの地区の治水は万全とないという所信でございますので、電力会社についてもそういう処置をとらせるというかたい決心でございます。
  79. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 先ほどいつごろまでということをお尋ねしましたが、明確でありませんでした。これは長い間の懸案であるし、御承知のように南九州は台風のシーズンでありますから、ここで私がゆうちょうにものを言うておりますけれども、現場はきわめて緊張しております。ですから、いつごろまでに現地について説明をされてそうして協議をしていただけるか、こういう点ももう少し明らかにしていただきたい。
  80. 山本三郎

    山本説明員 実は、県との打さ合せを今月中に済ませたいということで県の方へ連絡しておりましたが、県会の都合などがありまして今月中にできませんので、来月早々県と打ち合せまして、引き続いて電力会社に話をしたい、こういうつもりでおります。
  81. 八田貞義

    八田委員 ただいままで河川応急復旧対策についていろいろ伺ったのでありますが、治山治水の見地からいたしまして、つまり今後このような災害を防止するという観点からいたしまして二点ほどお伺いいたしたいのであります。  今度の災害では死傷者、住宅流失が非常に多いのでありますが、この原因の中には灌漑用ため池の決壊によるものが少くないのであります。防災ため池事業の促進につきましては今までいろいろと議題となってきていると思うのでありますが、現実は一つも進展いたしておらないのでありますが、いかなる事情からこういう防災ため池事業というものが進展していないのかということをお伺いいたしたいのであります。それと同時に、こういう防災ため池事業を促進するためには一体どのような方策をお考えなのかということ、この点につきましてお伺いいたしたいと思います。
  82. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの防災ため池という問題でございますが、農林省におきましても灌漑用のため池を作っておりますので、そのため池がこわれたというような例もございまして、そのこわれないように処置するということにつきましては、先ほどお話がありましたように、本法河川並びに準用河川につきましては、河川管理者が十分な監督をいたすということになっております。それからまたそれ以外のものにつきましては、県におきまして作る際にこわれないようにしてくれというふうに私の方からお願いしておるわけであります。  それからもう一つ、上流地帯にダムを作れば洪水が減少するであろうという、要するに治水のためのダムのお話があったように思われますが、そういう点につきましては、現在上流に治水用のダムを方々で作っておるわけでございますが、そういうものにつきましても、今後は極力進めていきたいというふうに考えておりまして、現在におきましても灌漑とか発電に使わない治水だけのダムも全国で数カ所実施中でございます。そのほかに多目的ダムといいまして、治水と発電とを兼用しているダムも二十数カ所建造中でございます。
  83. 八田貞義

    八田委員 今までの対策を伺ったわけでございますけれども、今お話のように流失家屋が多いとかあるいは死傷者が多いということは、防災のため池事業というものが今までの方法では不徹底だということをはっきりと現わしてきているわけです。ですから、この不徹底な状態に置かれておることに対して、一体今後どういうようにお考えになっておるかということをお尋ねしておるのです。今までのことについては、私は十分にわかっております。ただ今度の災害にかんがみまして非常に被害の大きかったのは、老朽ため池の補強とか維持管理ということについて、今までの処置では非常に不徹底である、これを強化してやるためにはどのような方法をやっていかなければならぬか、対策を立てなければならぬかということをお尋ねしておるのです。
  84. 山本三郎

    山本説明員 お話通り、今度の災害におきましては上流の急流部におきまして出水があったために死傷者が多かった、また家屋なども流勢が強いためにはんらん水によりまして流れたのも多いというような実情であります。それに対する方策といたしましては、強い雨が降って水が流れるときに土砂が一緒に非常にたくさん流れて参りますと、今申し上げましたように死者も多くなるということになりますので、それにつきましては土砂どめの堰堤などを作りまして砂防工事を行い強化いたしまして、そういうことがないようにする。それからもう一つは、出水の非常に早い河川につきましては上流で一時それをためれば、流勢も弱まりますし流れの量も小さくなるということで防げるわけでございます。そういう状況でありますので、下流の河川改修考えると同時に、上流の方におきまして水を一時貯溜するというような小規模のものも今後において考えていきたい、こういうように思っております。
  85. 八田貞義

    八田委員 ただいまいろいろなことを伺ったのでありますが、そういった対策を一そう促進していくために、あるいは老朽ため池の補強及び維持管理のために法的な措置を講ずる必要がある、こう私は考えるのであります。そこで国として灌漑用ため池保全に関する法律、こういったものをお考えになっているかどうか。今までのような対策では不徹底であるわけですから、これを一段と促進いたさなければならぬ、そのためには今度の水害の大きな原因をなしていると考えられるところの灌漑ため池の保全に関する法律、そういった法的措置考える必要があると思うのでありますが、これについてもう一度御答弁を伺いたいと思います。
  86. 石破二朗

    ○石破説明員 お尋ねの、いわゆる旧来からありましたところの灌漑用ため池、これは御承知通り実は農林省の方の所管でございまして、私の方と直接関係はございません。戦後だと思いますが、お話通り旧来からあります土堰堤によりますため池がこわれて被害が非常に多いというところから考えたことでありましょうが、御承知河川のごく上流に、灌漑を兼ねて防災ダムというのを農林省所管の下に施工して参ってきたのであります。私の方といたしましては、実は農林省所管で、河川の上流部に簡易な防災ダムを作られることは、にわかに賛成とも言いかねるということを申して参ったのであります。といいますのは、御承知通り数年前、京都その他にあった実例でありますが、河川法の適用のないごく上流に、お話の防災ダムを農林省所管で作りまして、これが運悪く洪水に際して決壊しまして、下流に非常な損害を及ぼした実例があります。お尋ねの点、現在のため池では非常に危険だ、といって従来のいわゆる簡易な防災ダムを河川法の適用のない上流部に簡易に作ってもらうということは、やはり河川管理者たる県知事、その系統を引きます建設大臣としても非常に不安だというのが現在の状況でございます。やはり今後のやり方といたしましては、いろいろ方法があると思います。私どもといたしましては、河川法を上流部まで適用する、そして砂防も兼ね、同時に灌漑用の貯水も兼ね、さらにできれば洪水調節というようなところを兼ねたものを河川管理者たる県知事、建設省という系統でやりたい、やった方が下流に与える影響等からいたしまして適当じゃなかろうかと考えておりますが、何分これは両省にまたがっておる問題でありまして、お話の御趣旨はよくわかりましたので、農林省ともよく相談して、お話のような問題を解決するように努力いたしたいと思いますので、今後とも御指導お願いしたいと思います。
  87. 八田貞義

    八田委員 農林省と建設省にまたがった問題でございますので、ただいまの御答弁にありましたように、早急に農林省と御協議の上、成案を得られるようにお願いいたします。  それからもう一つお伺いしておきたいのは、治水施設あるいは治山施設につきまして、従来灌漑施設の改良に重点が置かれておった感が非常に多いのであります。ところが今次の災害にかんがみまして、大小河川改修その他排水施設、砂防施設の新規着工につきまして、特別な考慮を払う必要があると考えます。それで排水事業とか砂防事業の新規着工につきまして、予算措置を論じなければならぬと思うのでありますが、こういった排水事業とか砂防事業につきまして、特別に予算措置を講じようというお考えがあるかどうか、これは大臣から一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  88. 馬場元治

    馬場国務大臣 ただいまお話の点は、次官から御答弁申し上げましたように、農林省との関係もありまして、今にわかにここで即答申し上げかねるのであります。よく両省の間で協議をいたしまして、協議整い次第にこれが実現をはかりたい、かように考えております。
  89. 八田貞義

    八田委員 大臣、今の農林省にまたがる問題につきまして、今後研究して早く成案を得たいというお考えはよくわかりますが、今後特に応急的にやらなければならぬ、これをこのままほっておけば、治山治水事業として建設省の所管分としてどうしてもやらなければならぬ、しかし予算もあることであるから、これを新規事業として予算処置を講ずる必要がある、こういうような個所が相当あると思うのです。そういう個所に対して、排水事業とかあるいは砂防事業というものに対して新規に予算処置を講じられるお考えがあるのか、この点を重ねて、重複するようですがお伺いいたしておきます。
  90. 山本三郎

    山本説明員 今回の水害によりまして非常に災害を受けた河川につきまして、それらの大部分は、治水の緊急五カ年計画というのが立てられておりますがその中に入っておると考えられます。砂防事業にいたしましても河川改修事業につきましても入っておりますので、それらを災害復旧と同時にあわせて改修工事をやったような個所につきましては、先ほど申し上げましたように災害復旧助成工事を行うなり、あるいは新規に改修工事を計上するなりいたしまして、早期に完成するように努力したい、こういうように考えております。     —————————————
  91. 徳安實藏

    徳安委員長 次にお諮りいたします。山下榮二君より関門隧道の問題について素急質問の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決します。山下榮二君。
  93. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 まことにおそくなって皆さんに御迷惑だと思うのですけれども、簡単に一言だけ伺いたいと思うのであります。今回の災害のことについてはそれぞれ同僚議員各位から質問がございまして、当局の所信のほどもよくわかりましたので、つなぎ資金その他の面で、再び災害を繰り返すことのないように当局の一段の努力お願い申し上げたいと思うのであります。  私は今委員長からお諮りをいただきました関門隧道の工事に属しまして、すでに工事は昭和三十二年度に完成の予定になって進行いたしておるのでありますが、これに従事されておられる方々がそれぞれ人員整理が行われるということで、きわめて戦々きょうきょうたる姿であるということを伺っておるのであります。この機会にこれらに関して馬場建設大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。この関門隧道の工事には下関側の方で三百二十五人、門司側の方で百二十人の人たちがこの仕事に従事されておると伺っておるのであります。ところが下関側の方ではすでに六月に十八人の人員整理が行われた、それぞれ人員整理の計画が立てられて、八月には下関側で四十五人、さらに十二月には百十二人、来年の三月に七十人、六月に八十人と、こう予定されておると聞くのであります。門司側の方では、来年の三月に三十人、五月に六十人、これらの方々を整理する予定になっておると伺っておるのであります。ところが私の承知しておる範囲では、この関門トンネルの付帯工事ともいうべき仕事がまだたくさんあるやに承知いたしておるのであります。たとえば山口県の側においては長府に隧道を作ってこの関門隧道につなぐ、あるいは福岡県側の方におきましては新三号路線に、それぞれ工事費が昭和三十一年度の予算の上に計上されておるのであります。山口県側の方が二億九千万円、福岡県側の方が二億八千万円、予算に計上されておると思うのであります。また今関門隧道に従事しておられる方々の雇用のときにすでに建設省の立では人員整理等はやらずにそれぞれ配置転換等の方法措置をする、こういう話もあったやに伺っておるのであります。あわせて今申し上げますようにこれと関連する付帯工事等もそういう工合にあるのでありますから、この際整理等の犠牲者を出すことのないように、一つ建設当局では配慮されることが最もふさわしいやり方ではなかろうか、こう考えるのでありますが、これらに対しまして馬場建設大臣のお考えのほどを何っておきたいと思うのであります。
  94. 馬場元治

    馬場国務大臣 関門トンネルはようやく完成の域に近づいて参りまして、まことに喜ばしいことに考えるのでありますが、その半面においてこれに従事いたしておりまする労務者諸君の問題が起っておるのであります。これにつきましては極力ほんとうに誠意を持ってその就職その他について努力をいたして参ったのでありますが、今後も失業その他の苦しみを受けることのないようにできるだけの努力を続けて参りたい、かように考えておるのであります。ただいま配置転換についての御意見もありましたが、適当な国の工事というものがただいまのところ見つかりません。そこでこれを配置転換を直ちにやるということはなかなか困難な事情にあることを御了承願いたいのであります。さればといってこれを放任をするというような考えは毛頭ありませんので、各方面にそれぞれあっせんをいたしましてなるべくいい条件でこれらの方々が就職できるように努力をいたすつもりであります。御協力をお願いいたしたいのであります。なお御指摘のありました長府とそれから北九州のいわゆる新三号路線、これらの方面に現在の労務者諸君を就労せしめてはどうか、こういう御意見でありまして、一応ごもっともの意見であると思いますが、この新三号路線と申しあるいは長府国道と申し、いずれも今後道路公団をして施行せしめることに相なっておるのであります。しかもまだその計画が十分に熟しておるというわけではございませんで、これを公団をして施行せしめるのでありますが、その公団の仕事を建設省の方で委託を受ける、いわゆる地建で委託を受けてやるということももちろんきまっておりません。それは今後に考うべき問題であるのであります。何分御承知通りに、現在の関門トンネルの工事は直営でやっておりますのは、ちょうど海底に当る部分だけでありまして、ほかは全部請負でやらしておるというような形であります。この特殊の技能を要し、特に海底であるというような関係から十分技術的にも特別に慎重を喫するといったようなところを実は直営でやっております。たとえば長府の国道、あるいは北九州の新三号国道、こういったような海底なんかと違った普通の道路、そういう面に関しまして直営でやるということはいろいろな方面から困難な事情もございますことは御承知通りであります。そこでできるだけそれらの工事、長府の国道の工事などの請負を決定するような場合に特別の考慮を払いまして、これらの就労してくれた諸君の就職をあっせんいたしたい、こういうことでもって失業などのないようにできるだけ努力をいたしたい、ほんとうに従来ともに誠意を持って当って参ったのであります。これは今直ちに起った問題ではないのでありまして、予測をせられておった問題でもありまするし、努力をいたして参ったのでありますが今後ともその方針でできるだけの努力を続けて参りたい、かように考えておる次第であります。
  95. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ただいま大臣から伺いまして当局の方でも何らかの対策をお考えになっておるようにも拝聴いたしたのであります。特に申し上げておきたいと思うのは、ここに従事されておった方々というのは、六年以上の長きにわたる人たちでありまして、今大臣も申されましたように、相当隧道、道路に関する熟練工の方々ばかりであると思うのであります。従ってわが国の道路政策というものの上から考えまして、こういう技術工というものをそれぞれ要所に使用するということがいかに必要かということも痛感されるわけでありますから、一つこのままほっぽり出すというようなことのないように、特に一段の工夫をされて、どこかのそれぞれの要所の仕事につかしめられるように格段の御配慮を願いたい、こう希望を申し上げて私の質問を終ります。
  96. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ちょっと関連して。ただいま山下委員から関門隧道完成に伴う労務者の身分についての希望と御意見が述べられたのでありますが、私この問題はやはり当局において十分お考え願いたいと思うのであります。というのは、一生懸命に仕事に従事して、そうしてその能率を上げていけばいくほど自分の生命がだんだん細まってくるといったようなそういう状態に置くということは、やはり今後仕事をする上においても、ほんとうに熱意を持って能率的に一生懸命努力するという気持が薄らぐのではないかと思うのです。こういう長い間従事いたしまして、そうして経験を積んで、ますます技術的その他においても成長していく者は、何とか次の段階において自分らの生活を安定して心配なく過ごすことのできるように配慮をして上げるということが失業問題とか、そういうことを抜きにしても非常に重大なことであると思います。どうかこれらの人々に対する身分保障に対しましては、一名もそういう不遇な立場に置かれる人のないように特別の御配慮をお願いしたい。これは関門隧道だけの問題ではありませんけれども、なかなか困難な問題でもありますので、特に御配慮をお願いいたしまして、私のお願いを終りたいと思います。
  97. 馬場元治

    馬場国務大臣 これは御両所から御意見通りに、私ども決してほうりっぱなしにしておくとか、そういう気持は毛頭ございません。関門トンネルを作るというあの大きな仕事に寄与していただいた諸君であり、ことに私どもの省務にお働きを願った諸君でありますから、できるだけのことはいたしたい、かようなつもりでせっかく努力をしておるのでありまして、その意味において、現地はもちろんでありますが、われわれといたしましてもできるだけ努力を続けて参ります。どうか御協力を願いたいと思います。
  98. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこれをもって散会いたします。     午後四時六分散会