運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-04-27 第24回国会 衆議院 建設委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十七日(金曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 荻野 豊平君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 前田榮之助君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    伊東 隆治君       志賀健次郎君    高木 松吉君       仲川房次郎君    二階堂 進君       廣瀬 正雄君    山口 好一君       中島  巖君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  亀岡 康夫君         法務事務官         (訟務局長)  濱本 一夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君  委員外出席者         参議院議員   小澤久太郎君         建設事務官         (河川局水政課         長)      國宗 正義君         専  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国土開発縦貫自動車道建設法案(第二十二回目  会衆法第二六号、参議院継続審査)  ダム建設による災害補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  国土開発縦貫自動車建設法案を議題として、審査を進めます。本案は御承知通り、第二十二回国会におきまして全会一致をもつて可決し、参議院に送付した原案参議院におきましては継続審査として審査し、今国会におきまして修正議決して、本院に送付されてきたものであります。従いまして、この際本案に対する提案理由説明はこれを省略し、第二十二国会衆議院送付案と今国会参議院送付案相違点について、その修正の趣旨について説明を聴取いたします。参議院議員小澤久太郎君。
  3. 小澤久太郎

    小澤参議院議員 国土開発縦貫自動車道建設法案に対する修正案修正理由及びその要旨を御説明申し上げます。  まず修正理由の第一点は、本法案の対象となっております国土開発縦貫自動車道意義についてでありますが、このような全日を通ずる根幹的な交通路はその国家的重要性にかんがみ、国においてみずから積極的にその建設を行うことを建前とする道路であります。従いましてその意義につきましても広く自動車のみの一般交通の用に供することを目的として設けられた道といたした方が適切であると考え、所要の修正をいたそうとするものでございます。  次に国土開発縦貫自動車道予定路線についてでありますが、前述のごとく国土開発縦貫自動車道建設は国の最も重要なる施策であり、その予定路線の決定に当りましてはあらかじめ地域開発必要度地域の地形、地貌交通状態等を十分に調査審議し、事業の円滑なる進捗を期することが肝要であります。従いまして政府及び国土開発縦貫自動車道建設審議会調査審議に当りましては、別表予定路線基準として立案し、最終的には国会がこれを決定するという建前にすることが必要であると考えまして、修正をいたしたものでございます。  なお、以上の修正点につきまして逐条的に簡略に御説明いたしますと、まず第二条関係でありますが、原案では他の法律定義を引用していましたのを改めまして、「自動車道」という用語をこの法律自体定義することといたしまして、「自動車のみの一般交通の用に供することを目的として設けられた道」をいうことといたしました。なお、ここにいう「自動車」とは、道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車をいうのであります。  次に第三条関係でありますが、原案におきましては国土開発縦貫自動車道予定路線別表に掲げるところによるものといたしておりましたのを改めまして、国土開発縦貫自動車道予定路線は別に法相定めることといたしました。さらに本条に新たに第二項及び第三項を設けまして、第二項におきましては、政府はすみやかに前述国土開発縦貫自動車道予定路線に関する法律案を、別表定め路線基準として作成し、これを国会に提出しなければならないものといたしました。第三項では、内閣総理大臣は、第二項の規定により国会に提出すべき法律案の内容となるべき国土開発縦貫自動車道予定路線を、国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て決定しなければならないことといたしました。  第四条関係では、原案第四条を改めまして、政府は、国土開発縦貫自動車道予定路線の一部については国以外の者に高速幹線自動車道建設を行わせることができることといたしました。この国以外の者に建設を行わせる関係につきましては、別に法律定めるところによるといたしました。  第六条関係修正は、第二条の修正に伴うもので、原案の第二条に規定していたのと同様の定義付けをそれぞれ「道路」及び「自動車道」の下に加えた技術的修正でございます。  第八条及び第九条の修正は、第四条の修正に伴う字句整理でございます。  第十条関係修正は、第三条市一項の修正に伴うものでありまして、政府は、第三条第一項に規定する国土開発縦貫自動車道予定路線に関する法律の成立後において、すみやかに建設線の立案のため必要な調査を行わなければならないことといたしました。  第十二条関係修正は、第三条第三項の新設に伴いまして、国土開発縦貫自動車道予定路線調査審議に関することを所掌事務として加えたものでございます。  附則第二項の修正は、この法律案提出後の総理府設置法改正等に伴う整理でございます。  以上修正理由並びに逐条の御説明を申し上げました。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対する質疑次会といたします。     ―――――――――――――
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 これよりダム建設に関する災害保障の問題について調査を進めます。本日は法務省訟務局長濱本一夫君、法制局第一部長亀岡康夫君が出席されております。なお建設省の山本河川局長出席いたしております。  本件について質疑の通告がありますから順次これをお許しいたします。中島巖君。
  6. 中島巖

    中島委員 私が本日法制局長官訟務局長河川局長等の御出席を要求いたしましたのは、ダム設置に伴う災害に対する責任所在の問題を明らかにいたしたいとかように考えた次第であります。発電所ダム築造により、河川の状況が著しく変り、これがため上流地方に異常の災害が発生し、ことに耕作関係等において、河床が上昇したため、わずかの降雨にても堤防が決壊して、広範な耕地が流失する、耕地の流失しない地方でも、地下水の浸透により二毛作地帯単作地帯となり、この単作地帯地下水冷寒により収量が減少する、すなわち発電所ダムを築造した上流特定地域、言いかえれば河床上昇地域のみに限られて、この災害を受けるのであります。無過失であり、数百年来何ら土地の改造を行なっていない多数の農民が、ただいま申し上げた理由により災害をこうむる、すなわち財産権を侵されているのであるから、この無過失農民財産権の侵害、すなわち損失補償は当然なされねばならないと思うのであります。私は二十四国会におきまして、これは全国的の問題でありますけれども、具体的の問題といたしまして長野県の門島ダムによる天竜沿岸災害につきまして、当委員会牧野法務大臣出席を求めて、法相並びに当時の米田河川局長よりこれが法的解釈につき答弁を求めたのでありますが、法務大臣河川局長との間に答弁の食い違いもあり、特に河川局長河川災害国家賠償法との関連について根本的な了解のできない点もあったのであります。以上のような次第にて本日あらためて三局長に御出席をいただき、また問題点もあらかじめ質問要項として皆様のお手元に差し上げてありますので、本日は発電所ダム設置に伴う災害について、法的にその責任所在はどこにあるかをはっきりといたしたい、かように考える次第であります。  そこで私法制局へお伺いいたすのでありますが、河川管理者は国であるかあるいは地方公共団体であるかという点なのであります。これは河川そのものの、何と申しますか、国の認定によって異なると思いますけれども、災害を受けた場合、災害損失補償請求する場合、知事であるかあるいは国であるかという点、特に河川法第六条、地方自治法の第三条第三項の二号、国家賠償法二条との関連について御説明をお願いしたい、かように考えるのであります。
  7. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 お答えします。ただいまの御質問河川管理者が国であるかまたは地方公共団体であるか、こういう御質問だと存じますが、この点につきましては河川法の第六条によりますと、「河川ハ地方行政庁ニ於テ其管内ニ係ル部分管理スヘシ」としてございまして、この規定はただいまお話が出ましたいわゆる適用河川及び準用河川について適用があると考えられるのであります。従いまして河川管理、そのうちでいわゆる適用河川及び準用河川につきましては、原則として地方行政庁、すなわち都道府県知事管理するものであると考えられます。この場合の都道府県知事と申しますのは、国の機関として国の事務管理の執行に当るべき地位にあることは、河川法の四十九条、五十一条また地方自治法の百四十八条第二項の規定によります別表第三の規定等から見まして明らかであるのであります。またただいまお話がありました地方自治法の第二条第三項第二号の規定でございますが、この規定によりますと、「地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこれに基く政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」、こうありまして、これを受けまして第三項において「前項の事務を例示すると、概ね次の通りである。」、こうありまして、その第二号に河川につきまして、河川を「設置し若しくは管理し、又はこれらを使用する権利を規制すること。」、こうあるのであります。この規定は、ただいま申し上げましたように地方公共団体事務規定してあるのでありますが、ただそのただし書きにおきまして、「法律又はこれに基く政令に特別の定があるときは、この限りでない。」、こうございますので、先ほど申しました河川のうちで、適用河川及び準用河川につきましては河川法による特別の定めがありますので、この地方自治法の第二条第三項による事務定め規定適用はないと考えるのであります。従いまして地方自治法第二条第三項第二号に該当する河川として、地方公共団体による設置または管理使用関係の規制に付すべきものは適用河川及び準用河川以外の河川をさすものであると考えられるのであります。なお国家賠償法第二条第一項との関係でございますが、これはこの規定によって別段管理者定め創設的意味を持たしたものではないのでございまして、先ほど申しました適用河川準用河川、それ以外の河川についてそれぞれ定められました管理者規定を受けて、それぞれの管理者責任を負うべき旨を定め規定であると考えるのであります。   〔委員長退席内海委員長代理着席
  8. 中島巖

    中島委員 だいぶ詳しい御説明があったのですが、こちらは法律になれぬ関係か、はっきりしないのですが、これは地方自治法の第二条第三項の二に規定されてあります。しかしこの三項におきましては、「法律又はこれに基く政令に特別の定があるときは」ということになっており、従いまして、ただいまの説明によりましては、河川法第六条ですかによって定めがあるから河川法でいくべきである、こういうふうに了解してよろしいのでありますか。
  9. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 お答えいたします。ただいまの点でございますが、適用河川及び準用河川についてはお話通りであると思います。
  10. 中島巖

    中島委員 そこで私の考えを申し上げますれば、この国家賠償法の第三条ですか、この観点から考えまして、結局河川管理者であっても、あるいは河川改修費用負担しておる公共団体もしくは国であっても、すなわち費用負担する者であっても、いずれでも相手にして訴訟が行われる、こういうように考えるのでありますが、この点の御所見いかがでありますか。
  11. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの点でございますが、国家賠償法第三条によりまして管理費用負担する者も賠償責め任ずる旨が規定されておりますので、お話の点はその通りだと思います。
  12. 中島巖

    中島委員 そこで具体的な問題に入りまして、結局これは全国的な問題でありますけれども、一つの例といたしまして、天竜川上流地域水害に対して国家賠償訴訟を起さんとした場合においては、これは国を相手取っても、それからただいまの御説明によりますと、知事相手取っても、どちらを相手取っても訴訟ができるというように解釈してよろしいのであるかどうかということをお伺いしたいと思うの  であります。  その前にこれをはっきりするために河川局長にお尋ねいたしますが、天竜川川路竜江付近は現在直轄改修河川になっておるわけでありますが、これらの費用負担であるとか、あるいは法的責任所在は国にあるのか、あるいは知事にあるのかというような点について河川局長より御説明を願い、そのあとで先ほど申し上げました国家賠償訴訟をなす場合におきましてはだれを相手にするかという点について、法制局より御答弁をお願いしたいと思います。
  13. 山本三郎

    山本政府委員 お答えいたします。天竜川川路付近につきましては、お話通り直轄改修工事区域に入っております。その区間の管理の問題でありますが、直轄改修区域に入った分につきましては、国は工事責任を持っております。その他の工事以外の管工責任は国の機関である県知事が持っておる、こういうことでございます。
  14. 中島巖

    中島委員 さらに重ねて河川局長にお伺いいたしますが、あの地域河川管理事務と申しますか、あれは国の移管事務であるのか、知事国有事務であるのか、この点をお伺いしたい。
  15. 山本三郎

    山本政府委員 国の機関としての都近府県知事に委任しておる事務でございます。
  16. 中島巖

    中島委員 先ほどの点につきまして法制局より御答弁願いたいと思います。
  17. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 費用負担者都道府県であるという場合におきましては、先ほど申し上げましたように国家賠償法の第三条の規定適用がありますので、管理者である国を相手としても、費用負担者である都道府県相手といたしましても、損害賠償請求ができると考える次第でございます。
  18. 中島巖

    中島委員 大体御答弁によってはっきりしたと思うのでありますが、だめ押しみたいになりますけれども、そこで、ただいま具体的の問題として取り上げた天竜川川路竜江地域河川災害に対して、国家賠償訴訟を起すという場合においては、知事相手といたしても、国を相手といたしましても、どちらを相手といたしましても訴訟ができる、かように解釈してよろしいのであるか。ちょうど河川局長が隣りにおりますので、一応打ち合せしてはっきりした御答弁法制局にお願いしたいと思います。
  19. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの御質問でございますが、府県費用負担しているという場合におきましては、府県相手として損害賠償請求ができるというふうに考えられると思います。それで今お話がございましたこの場合におきまして、訴訟相手方になりますのは序県知事ではなくて当該府県、こういうふうになると思います。
  20. 中島巖

    中島委員 今御答弁になったのは先ほどの御答弁で尽きておるのです。それで私は具体的の問題として、河川局長も隣におりますし、天竜川竜江川路地域災害に対するところの国家賠償をするのは、だれを相手にしたらいいのか。私の見解としては国でもよし、府県でもよし、こういうように解釈するが、この具体的の問題に対してはっきりしたお答えを願いたい、こういうのが私の質問要旨であります。
  21. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの具体的な問題についての相手方の点でございますが、この場合における損害がいかなる損害であるかということが具体的に明らかにならなければ、相手方であるものが国であるか府県であるかということが直ちに答弁できないんじゃないかと考える次第であります。
  22. 中島巖

    中島委員 どうも御答弁を開いておって了解に苦しむのでありますが、そこで、この国家賠償法の第三条から見まして、先ほど河川局長からの答弁に、国の委任事務であるという答弁もあり、そして直轄河川でもあり、それから災害復旧なんかでは国費が約七〇%が入っておる、そして国直轄国費でもって改修しておるという、こういう河川である。しかし、移管事務ではあるけれども、知事河川管理者になっておる。従って国家賠償法弟三条より見まして、これは国を相手にいたしましても、また河川管理者であるところの知事相手にとってもよろしいというように私は解釈しておるのでありますけれども、しかしその辺がどうもはっきりいたしませんので、これはあとから一つ御研究の上書面でもって御回答をお願いしたいと思いますが、よろしいですか。法制局、いかがございますか。
  23. 内海安吉

    内海委員長代理 亀岡さん、どうですか。こういう問題はそうむずかしい問題でもないと思うのですが、ここで御答弁していただくとわれわれにも参考になりますがね。ちょうど河川局長もきておられるし……。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ちょっと関連して。ただいまの問題は法律解釈で、法律解釈される人たちはいろいろな場合を想定されておりますから 直ちに回答ができない場合もあり得ると思う。そこで私は問題をずっと狭めて、今中島委員からお尋ねになっておるのは、天竜川泰阜ダムを中心としての問題で、この法律解釈を問うておられるのです。そこで、先ほど具体的の事実が明らかにならなければ、具体的の事実によって責任者が分れるような見解をちょっと披瀝されました。そこで一応仮定になるかもしれませんが、中島委員が問題にされておるのは、泰阜ダム上流に非常な土砂が堆積して、従って河川が氾濫する、こういうことを前提にして、その河川の氾濫による損害あるいは災害に対してだれが一体責任を負うのか、まただれが一体その損害に対する賠償相手方になるのか、こういうことであります。でありますから、それを頭に輝いて御回答を願いたいのであります。それは御承知通り河川法管理者はもちろん都道府県知事――地方行政庁といいますか、それでよろしいと思うのです、よろしいと思うのですが、泰阜ダムその他のああいう川の流れをとめたり変更さしたりするダムの工作については、これは主管の建設大臣認可を得なければできないことになっている。これは河川法の四十九条にも河川に対する一般規定があります。それと同時に十七条あるいは二十条に御承知通りに各種の規定がありますが、それに対しては河川行政監督令、これによってすべてその設置変更等について建設大臣認可を得なければ、地方行政庁というか、都道府県知事はそういう仕事ができないことになっておる。ですからそれを想定されて、今のような建設大臣認可を受けて、地方行政庁都道府県知事がそういう設置変更について許可を与え、それによって損害が生じた場合はどうだということを御回答願いたい。そうすると問題がはっきりすると思います。
  25. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまのお話にありました具体的の場合の責任者がどうであるかという点でございますが、国家賠償法によりますと、第二条において、まず第一に河川管理について暇があった場合に賠償責め任ずるということになっております。この場合におきまして、管理者である都道府県知事は国の機関として管理をしておりますので、第一次的には国が損害賠償相手方になると思います。  次に、費用負担の点でありますが、この場合に都道府県が全部または一部の費用負担しておるということになりますと、第三条によりまして費用負担者である都道府県損害賠償を要求しても差しつかえはないということになりますので、今のような経費を都道府県が全部または一部を負担しているという場合を考えますと、国が第一次的に一応損害賠償責任を負うが、損害賠償請求する側に立った場合においては、費用負担している都道府県相手としても、損害賠償請求ができるということになると思います。
  26. 中島巖

    中島委員 ただいま法制局の方からはっきりと国でもよし、また河川管理者である都道府県知事でもよしというように御回答願ったわけでありますが、もしお調びの上間違いがあったら文書で御回答を願います。さように了承しておきます。  そこで次にお尋ねいたしますのは、国家賠償法第二条に、いわゆる河川管理瑕疵とありますけれども、河川管理瑕疵とは具体的にどういうことを言うのであるか、法制局でも河川局長でもよろしいから、具体的な例をあげて御説明願いたいと思います。
  27. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 国家賠償法の第三条にあります河川設置または管理瑕疵があった場合の瑕疵とはどういうことを意味するかという御質問でございますが、法文の一般的な解釈といたしましては、常造物が通常備えるべき安全性を欠いておるような状態にある場合、その設置または管理瑕疵があるというふうに考えられるわけであります。ただ具体的な場合につきまして、それではただいま申しましたような基準にいかなる場合が該当し、従って瑕疵になるかどうかということは、具体的なケースにつきまして、具体的に判断しなければならないと思います。ただいま御質問になりました具体的に説明という点でございますが、私の方としては具体的な場合がただいま想定されませんので、以上のお答えにとどめさせていただきたいと思います。
  28. 山本三郎

    山本政府委員 ただいま具体的な例と申されましたので、私の方からその例を申し上げた方がいいと思いますから、お答えいたします。たとえば河川堤防護岸等に著しく損傷があったにもかかわらず、その修繕なり工事を行なっていたために、その損傷部から堤防の決壊が起きて水害が発生した、こういような場合が考えられます。
  29. 中島巖

    中島委員 よくわかりました。次に法制局にお尋ねいたしますが、発電所ダム設置したため上流河床が上昇した場合、ダム設置許可の際は当然上流河床が上昇することは予想し得たにもかかわらず、国があやまって許可を与えたことが明らかである、こうした場合は、許可の違法として国家賠償法の第三条のいわゆる河川管理瑕疵があったといえるか、もしくはこの前に法務大臣から、ダム設置許可公権力行使であるということをはっきり御答弁願ったのであるが、公権力行使過失があったといえるか、つまり第一条の公権力行使過失があったか、あるいは国家賠償法の第三条の河川管理瑕疵があったか、こういうことをいえるかどうか、この点法制川に御説明を願いたい。
  30. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、河川法第十八条の規定によりまして、地方行政庁ダムその他設置のために許可をするという場合におきまして、国家賠償法との関係はどういうことになるかという点でございますが、この河川法規定によります地方行政庁許可処分公権力行使の性質を持つものでありまして、国家賠償法の一条の問題にはなると考えるのであります。しかしながらこの許可に当りまして、結果的に上流河床が上昇するというようなことになりましても、その許可自身についてはそれ自身違法になるということは言えないと考えるわけであります。
  31. 中島巖

    中島委員 そこで法務大臣からもダム設置許可するのは公権力行使だ、ただいま法制局の方からもそういう御答弁がありました。そこでダム設置水利使用許可の件もおそらく公権力行使であると思うのでありますが、さらに水利使用については大体許可期限を付してあるのであります。わかりやすいから具体的な例を申し上げますれば、門島ダム昭和三十年の三月二十七日までとすということになっておったのであります。それをさらに昭和三十年二月九日付で昭和六十年三月二十七日まで延長したわけでありますけれども、この水利使用権の継総許可と申しますか、期限伸長許可公権力行使であると解釈してもよろしいか。
  32. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 お話の点はその通りに考えます。
  33. 中島巖

    中島委員 そこでこれは法制局河川局長の両方にお尋ねいたします。おのおの次分の職務管掌の立場でお話になればいいのですが、この門島ダム河川局長は御承知でありますけれども、長年にわたって、ダム設置によって上流地方に非常な水害があった。地元民は非常に無知と申しますか、こうした国家賠償法であるとか民法七百十七条がどうだということはわかりませんので、決死隊を募って門島ダムを爆破してしまうというような計画をたびたび起した、こういうような状態で、その後の被害におきましても、河床上昇地域のここわずかの河床上昇後の状況におきまして、県の地方事務所の耕地課で調べた場合においては、農耕地、農作物の関係だけで十三億五千万円の災害を発表しておるし、地元の建設事務所はその河床上昇地域河床上昇後において八十六カ所の護岸工事をして九億四百万円余を使っておる、こういうようなことで、県も建設省もその被害のおそるべき実情を十分に知っておるわけである。にもかかわらず昭和三十年二月九日に地元には何らの話もなく、そして県の公報にも出さず、昭和六十年三月二十七日までの水利使用延長の許可を与えておる。これはまさしく公権力行使に対して重大な過失があった、かように認定せざるを得ぬのでありますが、御所見はいかがであるか。
  34. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの問題はお説の通り二月の末日で期限が切れまして、期限をさらに伸長したのでございますが、発電用水利の問題は国家的に非常に重要な問題でございますので、私どもといたしましては公共的な立場からこれを撤去するとかいうことも慎重に考えまして、延長することが適当であるということで期限を伸長したような次第でございます。それが違法であるかどうかという問題でございますが、私どもといたしましてはそれが直ちに違法であるというふうには考えておらない次第でございます。
  35. 中島巖

    中島委員 私と河川局長との見解は大分違うのですが、結局私はきょうはここで行政責任とか、政治責任というもの追求しようとは思わない、これは他日あらためて当委員会で取り上げたいと考えております。しかしただいま申し上げることは国家賠償法の第一条によるところの公権力行使に重大なる過失があったのである、こう断ぜざるを得ないのであります。そこで河川法の第二十条におきましても「左ノ場合二於テ地方行政庁許可ヲ取消シ若ハ其ノ効力ヲ停止シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ又ハ既ニ施設シタル工作物ヲ改築若ハ除却セシメ又ハ原形ノ回復ヲ命シ又ハ許可セラレタル事項ニ因リテ生スル危害ヲ予防スル為ニ必要ナル設備ヲナサシムルコトヲ得」として、そうしてあと六号ありますが、第一号に「工事施行ノ方法若ハ施行後ニ於ケル管理ノ方法公安ヲ害スルノ虞アルトキ一二号として「河川ノ状況ノ変更其ノ他許可ノ後ニ起リタル事実ニ因リ必要ヲ生スルトキ」、六号においては「公益ノ為必要アルトキ」。この二十条、一、二、六のいずれの号にもこれが該当しておる。しかもこれだけの災害を発生して国費を乱費し、しかも地元において農作物と農耕地の被害だけで十三億数千万円に上っておる。これもさらに地元の意向もたださず、何ら県の公報にも公示せずしておいて、そうして昭和六十年までこの水利使用の継続伸長を許可した、これは明らかに国家賠償法第一条によるところの公権力行使に対する過失であると考えるのでありますが、訟務局長並びに法制局のこれに対する御見解を承わりたい。
  36. 濱本一夫

    濱本政府委員 私はおっしゃる泰阜ダムに関する具体的な実情を存じませんので、果して今の継続使用の期間の伸長の許可国家賠償法一条にいう違法に当るかどうかということを実は断言しかねるのであります。あるいはこまかく調査すれば当るような場合も考えられないことはないのじゃないかとは思いますけれども、遺憾ながら具体的な実情を知りませんので何とも申し上げかねるのであります。あまりに問題が具体化してきますので、事実をよく調べた上でないと申し上げかねます。
  37. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの点につきましては、ただいま法務省から御答弁がありましたように、具体的な事件について明らかでありませんので、適法であるか違法であるかという判断をするわけには参らないのでございます。
  38. 中島巖

    中島委員 次に濱本訟務局長にお伺いいたしますが、訴願の問題であります。訴願法第八条に「行政処分ヲ受ケタル後六十日ヲ経過シタルトキハ其処分ニ対シ訴願スルコトヲ得ス」としてあります。その三項に「行政庁二於テ宥恕スヘキ事由アリト認ムルトキ八期限経過後ニ於テモ仍之ヲ受理スルコトヲ得」こういうふうにはっきりとうたってあるのであります。そこでただいまの問題になるのでありますけれども、地元といたしましてはこの水利使用の伸長許可に対しまして、非常に不服なのであります。しかしながらこれは地元の意見も聞かず、何ら通知もせず。そうして県の公報にも発表もせずして、昭和三十年二月九日にこの水利使用の延長をした。それでごく最近に至ってこれを知って、地元では騒いでおるのでありますけれども、すなわち行政処分対にする祈願は、六十日という期限を付せられておるのでありますけれども、全然これは知らなかったのでありますから、この第三項の「行政庁ニ於テ宥恕スヘキ事由」、これに該当すると考えるのでありますが、訟務局長の御意見はいかがでございますか。
  39. 濱本一夫

    濱本政府委員 訴願期間の進行は訴願をせんとするものが行政処分のあったことを知った日からでありますから、この訴願法の本来の期間は、知った日から……。従って三項はもう一般的に働くわけでありますから、いずれにいたしましても進行は知った日からであります。
  40. 中島巖

    中島委員 それで河川局長にお伺いしますが、この水利使用許可の期限の伸長というようなことについては、やはり今まで地元の意見を聴しなくてそしてこれを県でも公示をしない、こういう建前を国全体としてとっておるのであるかどうか。
  41. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通り地元諮問はやっておりません。その理由といたしましては原状を変えないものであるということで、そういう建前をとっております。
  42. 中島巖

    中島委員 河床上昇に伴って堤防その他災害発生の予防を講じなかったために災害が発生したときには、国家賠償法第二条のいわゆる幹川管理瑕疵があったというように考えるのでありますが、具体的の問題といたしまして門島ダム設置いたしまして、ここには三十一メートルの堰堤があるのですが、わずか七、八年後にはすれすれに河床は三十一メートル上昇しておる。それから十キロの上流地域で三メートル、四メートル、五メートルの上昇を来しておるのであります。従いまして国が公権力行使してダム築造を許可したのであるから、これによって起ったところの河床の上昇に対して、国がまた河床の上昇に伴って護岸設備をすべきであると思うのです。その護岸設備をせぬがためにこういうような災害が発生したのである。従ってこれは国が公権力行使して河床の上昇のできる原因を作っている。それに対して何ら堤防も作らずにほうっておいたために災害が起きたのであります。これは河川管理瑕疵があった、こういうように私は考えるのでありますけれども、法制局のお考えはどうであるか。
  43. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、ダム設置によって河床が上昇したにもかかわらず、堤防を築かなかったために被害をこうむったという場合に、国が堤防を築くべき義務があるかどうかという点でございますが、法律的に申しますと、一般的には河川堤防設置するということは、法律上の義務ではないと考えられるのであります。ただ国が行政上ないし政治上被害を防止し、国民の福祉を増進するということをやるべきだと考えられる場合もありますので、こういう政治上ないし行政上の意味における義務、こういうものは考えられるのでありますが、法律上当然堤防を増強しなければならないという義務は直ちに出てこないというふうに考えるわけであります。
  44. 中島巖

    中島委員 ただいまの御答弁ですが、私もたとえば大洪水があって大災害が起きたとしても、それに対して事前に防災工事をやるべき政治的の責任はあるけれども、法律的のやはり責任はないと思います。それでただいまの法制局見解としては、行政上、政治上には責任はあるかもしれぬが、法律的には責任はない。端的に解釈すればそういう御答弁であります。   〔内海委員長代理退席、委員長着席〕 しかしこの場合は違うのです。この場合は国が公権力行使して、そしてダムの築造を許可したのだから、いわゆるこの災害の原因なるものはダムの築造によって起った。しかもダムの所有者は個人であり私物である。けれども河川管理者であるところの国がこれを許可して作ったのだから、当然これによって起るところの河床上昇に対する防備は国でなさなければならない、私はこういうように考える。従って法律的にどういう規制があるかということになれば、結局公権力行使にあやまちがあった。従ってこれは国家賠償法第一条の二を適用すべきものだ、こういうように考えるのですがいかがですか。
  45. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 河川法に塞ぎます水利権の許可という許可処分につきまして、行政上違法であったかどうかという問題とその結果河川の上昇を来して堤防を築かなければならないかどうかという点と、これは二つ引き離して考えるべき問題かと存じます。従いまして前者については、その許可処分が適法であったか違法であったかという点を自家賠償法第一条によって判断すべきであり、また後者の点につきましては、堤防設置することが法律上の義務であったかどうかという点について判断すべきものであると思います。
  46. 中島巖

    中島委員 どうも私どもの考えでは相関連しておるというように考えるのです。あるいは法律的に解釈してそうであるかもしれませんが、とにかく何ら耕地の改造を数十年、数百年来行わず、そうして無過失農民に対しまして非常な大損害をかけておる。これはいずれかに損失補償をせねばならぬものがある。こういうことははっきりいたしておると思うのであります。そこで具体的な問題に入るわけでありますが、河川局長にお伺いいたしたいのは、長野県知事昭和二十二年に、これはかって米田河川局長答弁を求める際説明してありますのでこまかいことは省略いたしますけれども、根本対策としての知事の厳選命令が出ておる。それを翌年の二十三年に、当時の建設技監である岩沢氏が川路村長を呼びまして、そうして知事の厳達命令にかわるものとして予防対策として千三百万円とってそうして三百万円で天竜峡付近の岩盤を除去し、一千万円でもって川路地積ヘコンクリートの長さ十数メートルにわたる水制を五、六本入れた。そこでこの工事をしたために対岸の帝江村においては、昭和三十五年の六月に大災害を受けて、七十町歩以上の耕地を流失してしまった。千数百万かけて復旧工事をしておるのが現在まだ半ばにも達しておらない、こういう状況なのであります。そこで私はこの前米田河川局長にこの点をつっ込んだのであるが、知らない、あとで返事をするの一点張りであった。私は米田局長も立ち会っておることは会議録においてはっきり知っておるけれども、私は政府責任を究明するという、そういう考えではありませんので、この究明をせずにおったわけであります。また会議録を見ると、当時米田技官は治水課長で、そしてその下に現在の山本河川局長も技官として列席されておるのであります。そこでお伺いしたいことは、ああいう一方的な、片方が無堤防であるにかかわらず、長さ十数メートルもあるところのコンクリートの牛と申しますか、水制を数本入れた。これがために竜江村の七十余町歩が流失したということはもう完全にだれが見ても明らかである。そこで技監案における打ち合せ会談の内応を見ますと、長野県の穂積河川課長が、知事の厳達命令にかわる措置をしても河床の根本的な対策ではない。あと補償問題が起きるということをはっきりいっておる。それから自発の土本保障係長は川路村はこの工事によって河心を対岸竜江村に移さんとするのが念願であるということをはっきり言っておる。にもかかわらず当時の川路村長の言う通り工事をした。その結果土本補償係長がこの会議の席上で発言された通り竜江村の耕地七十余町歩を流してしまった。こういう実情にあるのだが、これは国家賠償法第二条によるところの河川管理に重大な瑕疵があったものと私考えるのでありますが、河川局長の御意見はいかがであるか。
  47. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。お説の通り、当時の記憶をたどってみますと、長野県知事から当時日発に対しまして昭和二十年の水害にかんがみまして厳達命令が発せられたのでございます。それによりまして、長野県知事を代表者とする地元の関係者及び日発の関係者の間に立ちまして当時の建設省がそのあっせんをしたわけでございまして、それの具体的の現われといたしまして、昭和二十三年の八月十四日に、長野県知事の林虎雄さんと日本発送電株式会社の総裁でありました大西英一さんとが協定書を作られまして、その当時の対策につきまして協定ができたわけでございます。その工事工事費にいたしまして千三百万円でございましてその内容は今中島先生のおっしゃられた通りでございます。私どもといたしましては、非常に川路側に流向が寄りまして川路の地積が非常に欠けて参るということで、その水はねをやりまして川を中心に寄せたい、こういうことで指導して参ったわけでございますが、私どもの考えとしましては、竜江の方をそのために欠くというようなことは考えたのではございません。ただしその後の河状の変化が非常に激しかったために竜江側の欠け込みが起ったということでございまして、水制のためにのみ起ったというふうには私といたしましては直ちに考えられないのでございます。
  48. 中島巖

    中島委員 ここで私はあなたたちの行政責任や政治責任を追求するという考えではありませんのでこれ以上追及いたしませんけれども、この知事と大西発送電総裁との協定書はここにありますけれども、これは当時の岩沢技監が主宰してこしらえた内容を二人ではんこを押しただけのもので、結局実際の責任建設省にあることは会議録の経過から見てもはっきりいたしておるわけです。しかしこの問題には今日は触れぬことにいたします。  そこでいま一つ法制局へお伺いいたしたいのは、この河床の上昇のために、この上流地方が県の耕地課で調べたところにおいて二百八十六町歩というものは湿田化してしまって、二毛作とれたところは一毛作になり、その一毛作も非常に冷害を受けて収穫が減少しておるという、こういう状況なのでありますが、これに対して河川管理者は防止する責任があるのか、あるいはダムの占有者である、つまり土地の、工作物の占有者であるところの電力会社にこの責任があるのか、私はどちらにもあるように思うのでありますが、法律的にどういう御見解であるか、この点をお伺いしたい。
  49. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、この点につきましては先ほど触れました、堤防設置しなかった場合に災害が発生したというのと同様だと考えます。従いまして国といたしましてはそういう災害を、この場合について申しますと耕地が湿地化しないように努めるという政治上ないし行政上の義務があるという場合が考えられると思いますが、法律的に河川管理者として当然そういうものを防止しなければならないという義務があるということは言えないと考えます。  次にダム設置者である電力会社の責任の点でありますが、この場合につきましてはそのダムという工作物に瑕疵がある、そのために損害が発生したというときには、民法の七百十七条の適用の問題になるかと存じます。
  50. 中島巖

    中島委員 ただいまの御答弁は、河床が上昇をしたために湿田が非常に多くなって、農地に災害がある、しかし河川管理者においては政治的な責任があるが法律的には責任はない、こういう御答弁ですな。
  51. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 さようでございます。
  52. 中島巖

    中島委員 そこで、また話が堂々めぐりの形になるのですが、結局河川管理としてはそういうことであるけれども、ダム設置許可したためにこれが起きたのであるから、国家賠償法によるところの、公権力行使過失のあった場合においては、国がその賠償責任を負わねばならぬ、かように解してもいいか。  それから民法七百十七条によるところの、工作物の所有者であるところの、占有者であるところの発電会社は当然これの責任を負わねばならぬ、こう考えるのでありますが、今の二つ点についてお答えを願いたいと思います。
  53. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 まず第一の点でございますが、水利権の許可をするという行政処分、これが違法であったかどうかという点と、それからその許可によりましてダム設置し、河床の上昇を見たために耕地が湿地化したという、その湿地化を防止する法律上の義務という点は、別に考えるべきだと考える次第でありまして、この点は先ほど申しました水害の場合と同様であります。  それから民法七百十七条の責任の点でございますが、この点は国は関係がないのでありまして、ダムの所有者ないし占有者がその瑕疵によって責任を食うべきかどうかという点を判断してきめるべき問題かと存じます。
  54. 中島巖

    中島委員 そこで濱本訟務局長にお伺いいたしますが、大体ただいまの質疑応答によっておわかりだと思うのでありますが、こういう場合におきまして、水利権の使用の延長許可を知らずにおる。従ってこれに対してこの地元の上流沿岸の、このダムによって被害を受けておる者は、水害予防の措置とか、さらに進んでこのダムの撤去の要求ということを訴願できるものであるかどうか、この点をお伺いしたい。
  55. 濱本一夫

    濱本政府委員 延長の許可が適法であるか違法であるかということは、前申し上げました場合と同じなので、具体的事実をつぶさに承知いたしませんので判断いたしかねるのでありますが、沿岸の農民からその撤去を求めるということは法律的にはできないじゃないか。先ほどお読みになりました河川法の二十条による、ああいった政治的な義務が管理者にあるかもしれませんけれども、直ちに沿岸の農民からその撤去を求めるということはできないのじゃないかと思います。
  56. 中島巖

    中島委員 そこで濱本訟務局長にお伺いいたします。先ほど申し上げましたように、昭和三十年二月九日に水利使用許可の伸長を許可した、昭和六十年まで許可したのですが、これが地元へは何の通知もなし、県の公報にも公示してない。従って地元民はただいま知ったわけです。そういう場合においてこの水利権の伸長許可に対する異議の申し立てを訴願できるかどうか、こういう問題であります。
  57. 濱本一夫

    濱本政府委員 河川法の五十九条に訴願の規定があるのですが、おっしゃるような損害が訴願を起すことができるような関係になりますと判断されますれば、行政処分のあったことを知った日から所定機関内に訴願の提起ができると思います。
  58. 中島巖

    中島委員 そこで、これは河川局長法制局にお伺いいたしますが、国がダム設置許可して、そのために河床の上昇を来たした、従来の提防は大体高さ三メートル程度のものでありますが、そこで三メートルも四メートルも河床が上昇すれば旧来の堤防は全然用をなさぬことになります。そのときに国はこの提防を新しくこしらえる義務というものはないのかどうか。
  59. 山本三郎

    山本政府委員 この点につきましては先ほど申し上げましたように河床の上昇に応じまして提防を上げるということは行政上の責任でございまして、常に私どもといたしましてもそういう努力はいたしておるわけでございますが、先ほどからお話がありましたように法律上の義務とは考えておらないわけであります。中島委員 そこで法制局へお伺いいたしますが、ただいま河川局長との質疑応答をお聞きになったと思いますけれども、堤防は三メートルであった。河床が四メートルに上ってしまった、そこで今私が堤防をこさえる義務があるかという質問に対して、河川局長答弁は、行政上の義務はあるけれども法律上こさえなければならぬ義務はない、これは私もその通りであると思う。そこで行政上の義務があるにもかかわらず、これを怠っておることは河川管理瑕疵である、こういうふうに解釈して私はよろしいと思う。法制局の御見解はどうでありますか。
  60. 亀岡康夫

    亀岡政府委員 ただいまの御質問でありますが、河川管理瑕疵があるかどうかということにつきましては、当然河川法上世理者がそういう義務を持つべきだということは言えないと思います。この点は先ほど申しましたように、管理者として行政上の責任ないし努力すべき義務は負うかもわかりませんが、法律的に設置しなければならないという義務は負わないと考えておる次第でございます。
  61. 中島巖

    中島委員 どうも結局これは国家賠償法制定の精神にもさかのぼらなければこの見解は下されないだろうと思うのですが、今の法制局の御答弁はやはり法律的の義務はないという御答弁であったと思いますけれども、この国家賠償法というものは国民に対して国家権力によって過失があったりまたは国家機関による災害があった場合においてはこれの損失補償をせなければならぬ、こういう建前で生まれておるわけです。従いまして私の見解としては確かに河川局長の言われる通り、このダム設置のために堤防が三メートルのところで河床が四メートル上昇した。この場合においてはいわゆるダムの占有者にもちろん責任があると思うけれども、国としても責任がある。それから堤防設置する、せぬということは行政上の義務はあるけれども法律上の責任はない。その通りであると思う。しかしこれによって災害が起きた場合においては、やはり何ら罪のない、無過失農民に対して損害を与えたのであるからこれを救済する、損失補償、をするところの規定がこの国家賠償法規定である、こういうふうに私は広義に解釈いたしておるわけであります。まあそういう御見解とすればそれで仕方がないと思います。私の質問は以上をもって閉じることにいたします。
  62. 徳安實藏

    徳安委員長 瀬戸山君。
  63. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいままでの中島委員政府との質疑応答を聞いておりますと、非常に失礼な言葉だけれども、何か木で鼻をくくったような感じを私受けるわけであります。すべて法律上一点張りで法律上の質疑であったから法律上の答えをしたのだというお話ならわからないわけではありませんけれども、たとえば今具体的に問題になっております。ダムによる被害というもので、その地方の住民がほんとうに塗炭の苦しみをいたしておる現実の問題を前提にして、ここに政府の所見を聞いておる、ですからたとえば先ほど来聞いておるように、ダム許可するのは地方行政庁あるいは建設大臣の所管ということになっておりますから、それを許可することは違法ではありません。法律上違法ではありませんから、それによって許可して災害が起る場合においても堤防を作る法律上の義務はありません、これはその通りなんです。しかしそんなことで国を治めるのにいいかどうかということを私どもは今ここに問題にしようと思っております。  そこでなるほど法律堤防を作る義務はどこを見ても書いてありませんが、そうしてまたダムその他のものを――いわゆる河川に工作物をするときにはそれによって相当の損害がありはしないかということを前提にして河川に対するダムその他の工作物を認可しておるのです。そのためにこそ河川法許可の制度を作っておる。また許可した後においてもいろいろな公益その他の損害が起る場合を想定して、御承知のように二十条では、そういうときには対策を講じなければならないということを書いてあるのであります。であります。からダムその他の工作物を許可するときに将来それによって、後の事情によって災害その他が全然起らないということを前提にして許可するということは絶対にできないのですから、そういう場合にはそういう場合に応ずるようにちゃんと法律上の義務を負わせてある。堤防を作る義務はなるほどないかもしれませんけれども、災害その他の損害を防ぐ義務は、許可を与えるときに、すでに法律上負うておる、と私は解釈しておる、そこで承わりたいのは、これは実施庁でなければよくわからないと思いますから、建設省にお伺いいたしますが、大体河川法の二十条というものを適用して、真にその地方の住民が苦しんでおるのを、一体この法律によって助けられた実例が、河川法は明治時代からあるのですが、いわゆる国民が助けられた実例がどのくらいあるかということを、言いかえるとこの法律適用してこの法律の精神を生かされたことがどのくらいあるかということを御説明を願いたい。
  64. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの御質問お答えいたします。この法律の条文によりまして取消した例は、ただいま記憶にありませんけれども、工作物を改築させたあるいは防御措置を講じさしたという例は相当の数あります。
  65. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それは河川法適用によってやられた場合もあるかもしれませんけれども、実際これを適用して命令を下してやられたという場合は比較的少いのではないかと思います。これは調べなければわかりませんが、ただ地方の住民が苦しまぎれに騒ぐから、従って宿力会社その他がやむを得ず改造したという実例は相当あったと思うのですが、政府が国民を適当に守るべくいわゆる営利を目的として事業するものから  なるほどこれも公益の場合がありますから、一応国民の犠牲において許可する場合がある。従ってその反面においては、その犠牲なからしめるために、政府や政治家が努力しなければならない。そのための法律ですから……。しかしその努力によって、この法律の活用によっていわゆる命令を下してやられたというこうことはきわめて少いのじゃないかと私は思うのです。私は今それを問題にしたいのであります。この法律はあってもなくてもいいように今日考えられておる。二十条の規定は非常に大事な規定で、国民を守るべき中心であります。河川を利用するためにいろいろな仕事をしなければならない。そういうことをすると、必ず反面においては国民に非常な損害を加えるのです。その前提として、二十条はそういうときにはこうしなさいと書いてある。ところが国民を守るべきこの二十条の規定をほんとうに真剣に活用されて工作物の改築等をやったという実例がきわめて少い。実際そういうことをやっておりますが、この規定の発動によってやられたということはきわめて少いのじゃないか。これは調べればすぐわかりますが、そういうことではいけないのじゃないかと思うのです。非常にくどいようでありますけれども、先ほど来、いやそれは堤防を作る義務はありません。それは何も書いてないから法律上義務はないでしょうけれども、そんなことでは国民はとても納得しないだろうと思う。これはあなた方を責めるわけでも何でもないのです。これは非常に重大な、むずかしい問題ですから、国民も行政の府にあられる政府側も一つ真剣に話し合いをされて、そしてお互いに困らないようにしようじゃないか。これは余談になりますけれども、二、三日前に土地収用法を改正して通過せしめたあの土地収用法と同じ精神のものだと私は思う。一面においては、いわゆる国家公益といいますか、そのためにこういう仕事をしなければならない。反面においては、そのために害を受けるものを守らなくちゃならない。その中心をどこにおくかという問題、これは土地収用法と形は違いますけれども、大体似ておる。そういう意味で、先ほど来中島委員が取り扱っておられる問題は研究してもらいませんと、ただ法律には書いてありませんからとかなんとかということではいけないのじゃないでしょうか。今電力会社あたりは、一ぺん施設をすると、なるほど三十年くらいの年限をつけておりますが、私は初めて聞いたが、こういう問題があるところを何の処分もしないで、あるいは改築の命令もしないで、中島委員のこの間からの御説明がありましたように、堆積土砂を排除すべしという県知事の命令が一応内示された。それを建設省がいろいろ相談されて、その内示を取り消し、先ほどの一千万幾らの工事をさせられたということでありますが、そういう問題のあるダム使用期限を黙って三十年も延ばされるというのは、私から言わせれば愛情のない政治です。もう少し電力会社に強く何かの方法を講じさしてその条件を入れたらあと三十年くらい延ばしてやる、こういうふうにやってもらいたい。そうでなければ、どっかりコンクリートのダムを作ってしまって、失礼でありますけれども百姓が幾ら騒いでも、お前たちは何を騒ぐかくらいの現状です。私はそういうことは見のがすことができないという今日の立場をとっておる。これは政府の権力によって許可されたのですから、そういう場合は政府の権力によって国民を守らなくちゃだめなんです。電力会社に幾らさか立ちしたって、百姓一揆を起したって、今爆破するというお話がありましたが、そういう話を始終やっておりますが、こういうことは実行すべきではないし、実行できない。そういう暗い悲惨な状態になっておっても、電力会社は相手にしない。もちろん電力は国家産業その他のために必要であります。必要なために犠牲になる場合には、それは国家全体のために犠牲になるものですから、非常に優遇して、そのほかの道を講じて保護しなければならないと私は思っておる。ところがその犠牲になったものだけを見殺しにするというのが、全部とは申し上げませんが、今の政治の趨勢になっておる。こんなことでは国民は納得しません。これは重ねて申し上げますが、あなた方を責めるわけではありません。そういう気持でやっていただきたいということであります。  そこでこれは前から問題になっておりますから、この際聞いておきたいのでありますけれども、具体的な例を示さなければ、こういう問題は、ただ法律上どうである、こうであると言って、幾らここで法律の議論をしても国民には何らの利害関係はないのですから、具体的な問題をまた取り出すのであります。先ほどは天竜川の話でありましたが、私は宮崎県の御承知の大淀川の問題をさらにここで取り出して、もういよいよ結論を出すべき時代であるから、一つ御所見を承わっておきたい。これも長い間の問題でありまして、歴史は申し上げませんが、大正十三年地元の非常な反対を押し切ってダムを築造された。これは国家権力によって築造されたのです。そうして今日に至って年々歳々塗炭の苦しみをしておる。収健皆無のところで、その地で食うことができないという百姓がたくさんおります。河川局長も御存じかもしれませんが、四百年以上も住んでおったという一部落は非常な苦しみをして、農林中央金庫から金を貸してもらって――これも全国で初めての例であるそうであります。仕方がないから、農林中央金庫から金を貸してもらって、三十五戸というものが全部四百年以上の伝来の歴史の地を引き払って安全地帯にようやく先日引っ越しが済んだ、こういうふうに非常に苦しんでおるのですから、これはこまかく検討すると、今申し上げました部落は、直接ダムだけの影響だと私は言うのじゃない。すべてそういう問題がこれにからんでおるということを申し上げる。そうして昭和二十九年十月二十八日の当建設委員会で、今の河川局長もあるいは聞いておられたかもしれませんが、長い間の問題でありますから、あのときの委員会において当時の建設次官、今やめられておる稻浦さん、当時の建設大臣小澤さん立ち会いの上で、あのダムはあそこに置くべきものでないから、あの水害を根本的に解決するためには、いわゆる轟ダムは撤去しなければならないと言明された。その後宮崎県議会においても、このダムは撤去しなければならないと決議された。もっともこのダムは、ただ撤去するということは、そう簡単にいきませんので、御承知通りに、十四人の学者、専門家で轟ダム調査委員会を作って、一年有余にわたって実地その他で研究をされて、局長も御存じだと思いますが、本年の一月にようやくその調査の報告がなされたのです。大臣も何べんもごらんになった、委員会にも何べんも見てもらった、もちろん各関係官庁の偉い人たちにも見てもらった。何べん見てもらっても水害がとまったことがないということで、ほんとうに泰阜ダムじゃないけれども、爆発もしかねないという現状にあるのですから、私どもは力を合せて研究して、こういう事態を解決してやる責任があるのであります。これはもちろん政府が最も重大な責任を負うておる。そこで、こまかいことはもう時間がありませんから申し上げませんが、かねてから山本局長にもこの報告書を差し上げてある。この報告書自体は専門家の報告書でありますし、私はこういう方面の専門家でないから、この批評はいたしませんけれども、これに対してどういう考えを持たれておるか。またこの問題は建設省が撤去するという声明をされ、先ほど申し上げたように、県議会においても撤去の決議をいたしておりまして、今日電力会社と非常な争いをしておりますが、地元があくまでも撤去を主張し、こういう事態でこの報告書をごらんになって、これをどう解決するというお考えか、具体的にお話を伺っておきたい。
  66. 山本三郎

    山本政府委員 まず轟のダムの問題でございますが、今瀬戸山先生のお話にありましたように、轟ダムの問題につきましては、専門委員会を作りまして、その結論が先般出されたのでございます。その結論の内容を見ますと、概略的にはいろいろ出ておりますが、それを実際に落しまして、どういうふうな状況になるかということが問題になるのでございまして、これについて県並びに私どもの地方建設局並びに本省の間で、具体的の計画を目下作成中でございまして、近く結論を出したい、こういうふうに考えております。なお轟ダムの問題にも関係があり、ほかの問題にも関係ありますが、先ほどもお話がありましたように、ダム上流水害問題については、ダムそれ自体の問題とそれ以外の自然に発生する問題との間の原因の究明ということが、相当むずかしい問題でございまして、その間の究明を、先ほどもお話のように、できる限り具体的に行なって、その施策の方途なりあるいは方法なりを考えていかなければならぬ、こういうふうに考えているようなわけであります。また、お前らは法律上のことばかり申して非常に味がないじゃないかということでございましたが、私どもとしては、水害のひどい所につきましては、砂防なり河川工事なりを極力早くやりまして、沿岸の水害を除去するために努力をいたしておるわけでありまして、決して一方的にそういうふうな押しつけをやっておる、こういうことでないわけでございますから、その点も御了承いただきたいと思います。
  67. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 近く結論を出したいというお話でありましたが、早く結論を出してもらわなければ、正直なところ重大な問題になりかねないのであります。大体何日と言うことはむずかしいでしょうが、どのくらいの間に結論が出されるか。先ほど私も申しましたように、大臣も五、六人来られた、ここ一、二年の問題でなく、もう十年以上の問題で、よく御存じのことですから、また調査研究すると言ったって、これは政府その他の係の方を全然国民が信用しないということになるおそれがありますので、いつごろまでには、これに対する対策といいますか、結論が出るという見込みですか。
  68. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまのお話通り、私どもとしては、長年の問題でありますし、最近非常に水害も多くて、地元に対しても非常に御迷惑をかけておるということでございますので、結論を急いでおるわけでありますが、何せ特殊な事情もございまして、一つの案だけではいかぬ。やはり特別に堤防を作るにしても、相当の耕地がつぶれて、守る耕地との勘案もいたさなければなりませんので、そういう点についていろいろの案を作っておるわけでありまして、ただいまの見込みとしては、あと二カ月くらいの間にはやりたい、こういうふうに考えております。
  69. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 あと二カ月くらいということでありますから、いつまでということは、私は期限はつけませんけれども、よく御存じのことでありますから、できるだけ早目に一つ結論を出すと同時に、その結論を実施に移してもらわなければ話になりません。そこで、これは非常に妙な言い方になるかもしれませんけれども、先ほど中島委員の、六十年まで延ばした、けしからぬじゃないかというようなお尋ねの際に、発電用の水利は国家的に非常に重要なことであるから、従って延ばしたことは違法ではない、こういうふうな御説明お答えがあった、その言葉自体は、それこそ何も違法でもないし、間違っておらないと思います。発電用の水利はなるほど大切であります。大切であればあるほど、それによって犠牲を受ける方については、これは発電会社と地元と協議を大いになさいとか、そういうそっけないことでなしに、もし国家がそれが必要である、三十年なら三十年延ばすことが必要である、あるいはダムができるのが必要であるというようなときには、直接電力会社に命じて、あるいは二十条を発動して、そうして住民の救済に当るように、法律にいてあってもなくてもいいんですから――電力会社はそれによって、全国的には何十億何百億という利益を受付けております。それについて保障を建設省から懲通しなさい、政府からお話しなさいという法律一つもありませんけれども、そのくらいのことを今後なさるように御努力を私はお願いしておきたいと思います。
  70. 山本三郎

    山本政府委員 先ほどお話がありましたように、二十条を発動いたしまして具体的に取り消しなど行なった例は非常に少いのでございますが、従来におきましても、この二十条を背景にいたしましていろいろと問題の解決に努力しておるわけでありますが、今後におきましても、われわれといたしまして、事の性質上、そのために被害を起したというようことのないように、また生じた場合には、それが具体的にうまく収まるように、被害が除去できるように、あるいはその被害の代償ができるように一そうの努力をしたいと考えております。
  71. 中島巖

    中島委員 だいぶきょうはかた苦しい法律論みたいなお話をしたわけですが、そこでただいまの瀬戸山委員の補足希望というようなことになるわけですが、実際河川局長の地位というものは、現在国が全国的に行われておるところの総合開発関係も、あなたの権限の中にあるわけです。しかもこの総合開発の骨幹をなす法律というものは河川法である。そこでぜひこの際要望しておきたいことは、ただいま瀬戸山委員からもお話がありましたように、公益の名に隠れて、無過失なるところの農民に重大なる損害をかけておるというようなことは、この二十条を活用して是正しなくてはならないと思う。そこで私は長野県の出身でありまして、現在どうなってるか知りませんが、三、四年前は、全国の水力発電量六百万キロワット・アワーのうち、約百万キロワット・アワーというものが長野県であった。従って長野県で山と水を取られてしまえば、あと何もない。それがわずかの水利料で、ほとんど無料で電力会社に取られる。そうして大きな農地改良事業などの総合開発計画が立てられても、わずかの既設発電所の水利権のために、常に頭打ちになっておるという状態でおる。そこで今度は、質問でなくお願いしておきたいこと、は、こういうような問題が起きたときには、建設省ことに河川局は、進んでそれらの調停に当ってもらいたい。そうしてただいまのような問題については、もちろん積極的に法律になくても、国の河川行政の最高責任者として当ってもらいたい。  それから先ほども申し上げましたけれども、知事がこの門島ダムに対して根本的の解決案としての案を出したときに、結局電力会社は、当時の商工省の電力局へ泣きついて、電力局からあなたの方の岩沢技監に話をして、そしてこういうようなあいまいな変なものにしてしまって、かえって対岸の竜江を流してしまうような水制を入れたという結果になった。従って、無力な地方民は、電力会社のいろいろな高等政策のために、常に塗炭の苦しみをしておるというのが実情で、ただいま申し上げたことも私は断言してはばからぬ。こういう確信を持って申し上げておるわけでございます。これに対して味方をするのは河川局である。最高責任者であるあなたよりほかにないのだから、十分強くなって、それらの巨大資本に対して国民の利益を守るという強い信念で当ってもらわなければ困る。われわれもそれに対しては全力をあげて応援するつもりでおりますから、それを一つお心がけ願いたいと思います。  それから、先ほどの法制局答弁法律解釈に対してはどうしても私は納得がいかない。それで、私もこれを大学教授らに十分見せて研究させるつもりでおりますけれども、法制局といたしましても、速記録ができたら十分御研究をお願いしたい、かようにつけ加えておくわけであります。
  72. 徳安實藏

    徳安委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会