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1956-04-18 第24回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十八日(水曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    参員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 荻野 豊平君 理事 瀬戸山三男君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    木崎 茂男君       仲川房次郎君    二階堂 進君       松澤 雄藏君    山口 好一君       今村  等君    石田 宥全君       楯 兼次郎君    中島  巖君       西村 力弥君    前田榮之助君       山田 長司君    渡辺 惣蔵君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         建設政務次官  堀川 恭平君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君  委員外出席者         専  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 四月十一日  委員松永東辞任につき、その補欠として南條  徳男君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員島上善五郎君、山本幸一君及び安平鹿一君  辞任につき、その補欠として石田宥全君前田  榮之助君及び西村力弥君が議長指名委員に  選任された。     ――――――――――――― 四月十七日  建設業法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六五号) 同日  積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関  する特別措置法制定促進に関する請願松村謙  三君外五名紹介)(第一九五三号)  同(下平正一紹介)(第一九九七号)  同(原茂紹介)(第二〇二八号)  一級国道二十号線の改修工事施行に関する請願  (松平忠久紹介)(第一九八二号)  同(下平正一紹介)(第一九九六号)  同(原茂紹介)(第二〇二七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十三日  鳥取県に積雪寒冷特別地域における道路交通の  確保に関する特別措置法適用陳情書  (第五五六号)  日本道路公団法案の一部修正に関する陳情書  (第五六〇号)  二級国道佐賀諌早線改修工事促進に関する陳  情書(第  五六二号)  首都圏整備法制定に関する陳情書  (第五八八号)  特殊土ょう地帯災害防除及び振興臨時措置法  の有効期限延長に関する陳情書  (第六〇七号)  積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関  する特別措置法制定促進に関する陳情書  (第六一六号)  二級国道高知徳島線整備強化に関する陳情書  (第六一  七号)  二級国道高知徳島線開通促進に関する陳情書  (第六一  八号)  二級国道高徳中央線中後免、土佐山田間の幅員  拡張等に関する陳情書  (第六一九号)  二級国道熊谷甲府線舗装工事施行に関する陳  情書(第六三八  号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  土地収用法の一部を改正する法律案について、  法務委員会連合審査会開会に関する件  建設業法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六五号)     ―――――――――――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会の件についてお潜りいたします。土地収用法の一部を改正する法律案について、法務委員会より去る十三日、当委員会に対し連合審査会開会の申し入れがありました。この際、法務委員会連合審査会開会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決します。  なお、連合審査会は、法務委員長と協議の結果、本日午後一時半より開会の予定でございますから、お含み願いたいと存じます。     —————————————
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、昨日付託になりました建設業法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。馬場建設大臣
  5. 馬場元治

    馬場国務大臣 法案説明に入るに先だちまして、御報告申し上げたいことがあります。  昨十七日、福島常葉町に大火がございました。罹災者各位に対してまことに御同情にたえませんが、焼失戸数は、ただいま受けました報告によりますと、二百五十四戸であります。これが対策につきましては、直ちに現地調査をいたす必要がありますので、稗田住宅建設課長並びに計画局係官をさっそく現地に派遣いたしまして、現地状況をつぶさに調査をいたしました上で、最も効果的な方法をとりたい、かように考えておる次第であります。  常葉町は都市計画が未決定土地でありますので、今後計画決定いたしました上で、区画整理を行いますほか、住宅その他の問題についても善処をいたさなければならぬ、かように考えておる次第であります。  なお、同じく昨日夕方、八戸市におきましてこれまた火災が起りました。焼失家屋の数は百二十二戸でありまして、これは公営住宅法第八条に該当いたしておらないのでありますが、現地要望がありました場合は、一般公営住宅によって措置をするつもりでおるのでございます。いずれにいたしましても、昨夜起りました災害でありますので、直ちに現地実情調査の士で適当な方法をとりたい、かように考えております。関係各省とも緊密な連絡の上に善処いたしたい、一応とりあえずの御報告を申し上げておきたいと思います。  ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案提案理由並びにその要旨について御説明申し上げます。  建設業法は、建設工事の適正な施行確保するとともに、建設業の健全な発達に資することを目的といたしておりますが、特に建設工事請負契約に関する紛争につきましては、同法に規定する建設業審議会解決あっせんをすることとなっており、これによる紛争処理もある程度の成果をおさめて参ったのであります。しかしながら、建設業審議会あっせん方法のみをもってしては紛争処理におのずから限度があり、従いまして紛争の未解決または遷延等事態を生じ、このため当事者相当損害をこうむり、あるいは工事が遅延して公共福祉支障を及ぼすような事例が少くないのであります。  かかる事態に対処する措置といたしまして、建設工事紛争を適正かつ迅速に処理するため、新たに紛争処理機関設置し、建設工事請負契約に関する紛争につき、あっせん調停または仲裁を行わせることといたしました次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、次に本法案要旨につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、現行建設業審議会によるあっせんは、審議会性格等から見まして、頻発する紛争を迅速にかつ効果的に処理するには適当でないと考えられますので、この際、新たに専門紛争処理機関として、建設省及び都道府県建設工事紛争審六会を設け、建設工事請負契約に関する紛争に関しあっせん調停及び仲裁を行わせることにいたしたのであります。  第二に、紛争処理手続といたしましては、あっせん調停仲裁の三種類制度を設けることといたしました。あっせん調停につきましては、当事者申請によりこれを行うほか、重要な公共工作物等紛争の結果公益に重大な支障を来たすような場合は、審査会職権によって行うことができることといたしました。  次に仲裁につきましては、民事訴訟法適用により当事者間において確定判決同一効力を有することとなっておりますので、その手続に慎重を期した次第でありまして、まず仲裁開始仲裁委員選定等は、当事者合意にかかわらしめ、仲裁委員のうちには弁護士資格を有する者を加えることとし、また都道府県審査会の行なった仲裁判断に対し不服のある者は、異議申し立てを行なって中央審査会による仲裁をさらに受ける道を開くことといたしました。  第三に、紛争処理手続に要する費用につきましては、原則として当事者各自の負担とし、当事者申し立てにかかる費用を要する行為については、当事者当該費用を予納させることとし、また申請手数料を徴収することといたしまして、国、地方公共団体財政負担軽減をはかったのであります。  第四に、都道府県審査会設置に伴い、従来都道府県建設業審議会の行なっておりました事務の重要な部分審査会に移管されますので、この際、都道府県建設業審議会任意機関とし、あわせて地方行政簡素化に資することといたしました。  その他、以上の諸点に関連して関係条文整備を行なったのであります。  以上、建設業法の一部を改正する法律案提案理由並びにその要旨を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  6. 徳安實藏

    徳安委員長 次に補足説明を聴取いたします。柴田官房長
  7. 柴田達夫

    柴田政府委員 建設業法の一部を改正する法律案につきまして、その要点を逐条的に御説明申し上げます。  本改正案骨子は、建設工事請負契約に関する紛争解決をはかるため新たに建設工事紛争審本会設置して、紛争につきあっせん調停及び仲裁を行わせることとするにあります。これに伴い従来の建設業審議会によるあっせん制度は発展的に解消することとなりますので、現行法第二十四条を削り、第二十五条(請負契約とみなす場合)を第二十四条とし、第三章の次に、第三章の二として、「建設工事請負契約に関する紛争処理」と題する一章を設けたのであります。改正案第二十五条は、建設工事紛争審査会設置に関する規定でありまして、あっせん調停及び仲裁手続を行わせるため、建設省及び都道府県にそれぞれ付属機関として審査会を設けることといたしたのであります。  第二十五条の二は、審査会組織に関する規定であります。すなわち委員定数は十五人以内とし、その資格は、利益代表的な観念を排除して、人格が高潔で視野の広い達識の士のうちから任命することといたし、会長選定方法等とあわせて本審査会組織を定めたものであります。  第二十五条の三ないし第二十五条の六は、委員任期欠格条項及び解任並びに審査会会議等に関する規定であります。  第二十五条の七は、特別委員に関する規定であります。紛争処理は本来委員をもって行うべきものでありますが、一時に多数の事件発生を見た場合、あるいは特殊な事件につき専門的判断解決かぎとなるような場合等も予想されますので、そういう場合に処理を全からしむるため、万全の策として紛争処理に参与させるため特別委員を置き得ることとしたのであります。特別委員はもっぱら紛争処理を担当する職責を有するものでありますから、会長選挙等審査会組織体としての活動には参与しないこととなっております。  なお、委員特別委員については政令名簿を設けることとし、これを一般閲覧に供して本制度活用をはかりたいと考えております。  第二十五条の八は、都道府県審査会委員及び特別委員地方公務員法上の地位に関する規定でありまして、これらの者に同法による秘密を守る義務を課したものであります。なお、中央審査会委員及び特別委員は、国家公務員法第二条により一般職国家公務員であり、当然に秘密を守る義務を課せられております。  第二十五条の九は、審査会管轄に関する規定であります。本条におきましては、原則として、当事者たる建設業者登録をうけた行政庁に付属する審査会紛争処理に当ることといたしました。すなわち建設工事請負契約に関する紛争契約性質当事者の一方または双方が常に建設業者であり
  8. 馬場元治

    馬場国務大臣 法案説明に入るに先だちまして、御報告申し上げたいことがあります。  昨十七日、福島常葉町に大火がございました。罹災者各位に対してまことに御同情にたえませんが、焼失戸数は、ただいま受けました報告によりますと、二百五十四戸であります。これが対策につきましては、直ちに現地調査をいたす必要がありますので、稗田住宅建設課長並びに計画局係官をさっそく現地に派遣いたしまして、現地状況をつぶさに調査をいたしました上で、最も効果的な方法をとりたい、かように考えておる次第であります。  常葉町は都市計画が未決定土地でありますので、今後計画決定いたしました上で、区画整理を行いますほか、住宅その他の問題についても善処をいたさなければならぬ、かように考えておる次第であります。  なお、同じく昨日夕方、八戸市におきましてこれまた火災が起りました。焼失家屋の数は百二十二戸でありまして、これは公営住宅法第八条に該当いたしておらないのでありますが、現地要望がありました場合は、一般公営住宅によって措置をするつもりでおるのでございます。いずれにいたしましても、昨夜起りました災害でありますので、直ちに現地実情調査の士で適当な方法をとりたい、かように考えております。関係各省とも緊密な連絡の上に善処いたしたい、一応とりあえずの御報告を申し上げておきたいと思います。  ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案提案理由並びにその要旨について御説明申し上げます。  建設業法は、建設工事の適正な施行確保するとともに、建設業の健全な発達に資することを目的といたしておりますが、特に建設工事請負契約に関する紛争につきましては、同法に規定する建設業審議会解決あっせんをすることとなっており、これによる紛争処理もある程度の成果をおさめて参ったのであります。しかしながら、建設業審議会あっせん方法のみをもってしては紛争処理におのずから限度があり、従いまして紛争の未解決または遷延等事態を生じ、このため当事者相当損害をこうむり、あるいは工事が遅延して公共福祉支障を及ぼすような事例が少くないのであります。  かかる事態に対処する措置といたしまして、建設工事紛争を適正かつ迅速に処理するため、新たに紛争処理機関設置し、建設工事請負契約に関する紛争につき、あっせん調停または仲裁を行わせることといたしました次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、次に本法案要旨につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、現行建設業審議会によるあっせんは、審議会性格等から見まして、頻発する紛争を迅速にかつ効果的に処理するには適当でないと考えられますので、この際、新たに専門紛争処理機関として、建設省及び都道府県建設工事紛争審六会を設け、建設工事請負契約に関する紛争に関しあっせん調停及び仲裁を行わせることにいたしたのであります。  第二に、紛争処理手続といたしましては、あっせん調停仲裁の三種類制度を設けることといたしました。あっせん調停につきましては、当事者申請によりこれを行うほか、重要な公共工作物等紛争の結果公益に重大な支障を来たすような場合は、審査会職権によって行うことができることといたしました。  次に仲裁につきましては、民事訴訟法適用により当事者間において確定判決同一効力を有することとなっておりますので、その手続に慎重を期した次第でありまして、まず仲裁開始仲裁委員選定等は、当事者合意にかかわらしめ、仲裁委員のうちには弁護士資格を有する者を加えることとし、また都道府県審査会の行なった仲裁判断に対し不服のある者は、異議申し立てを行なって中央審査会による仲裁をさらに受ける道を開くことといたしました。  第三に、紛争処理手続に要する費用につきましては、原則として当事者各自の負担とし、当事者申し立てにかかる費用を要する行為については、当事者当該費用を予納させることとし、また申請手数料を徴収することといたしまして、国、地方公共団体財政負担軽減をはかったのであります。  第四に、都道府県審査会設置に伴い、従来都道府県建設業審議会の行なっておりました事務の重要な部分審査会に移管されますので、この際、都道府県建設業審議会任意機関とし、あわせて地方行政簡素化に資することといたしました。  その他、以上の諸点に関連して関係条文整備を行なったのであります。  以上、建設業法の一部を改正する法律案提案理由並びにその要旨を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  9. 徳安實藏

    徳安委員長 次に補足説明を聴取いたします。柴田官房長
  10. 柴田達夫

    柴田政府委員 建設業法の一部を改正する法律案につきまして、その要点を逐条的に御説明申し上げます。  本改正案骨子は、建設工事請負契約に関する紛争解決をはかるため新たに建設工事紛争審本会設置して、紛争につきあっせん調停及び仲裁を行わせることとするにあります。これに伴い従来の建設業審議会によるあっせん制度は発展的に解消することとなりますので、現行法第二十四条を削り、第二十五条(請負契約とみなす場合)を第二十四条とし、第三章の次に、第三章の二として、「建設工事請負契約に関する紛争処理」と題する一章を設けたのであります。改正案第二十五条は、建設工事紛争審査会設置に関する規定でありまして、あっせん調停及び仲裁手続を行わせるため、建設省及び都道府県にそれぞれ付属機関として審査会を設けることといたしたのであります。  第二十五条の二は、審査会組織に関する規定であります。すなわち委員定数は十五人以内とし、その資格は、利益代表的な観念を排除して、人格が高潔で視野の広い達識の士のうちから任命することといたし、会長選定方法等とあわせて本審査会組織を定めたものであります。  第二十五条の三ないし第二十五条の六は、委員任期欠格条項及び解任並びに審査会会議等に関する規定であります。  第二十五条の七は、特別委員に関する規定であります。紛争処理は本来委員をもって行うべきものでありますが、一時に多数の事件発生を見た場合、あるいは特殊な事件につき専門的判断解決かぎとなるような場合等も予想されますので、そういう場合に処理を全からしむるため、万全の策として紛争処理に参与させるため特別委員を置き得ることとしたのであります。特別委員はもっぱら紛争処理を担当する職責を有するものでありますから、会長選挙等審査会組織体としての活動には参与しないこととなっております。  なお、委員特別委員については政令名簿を設けることとし、これを一般閲覧に供して本制度活用をはかりたいと考えております。  第二十五条の八は、都道府県審査会委員及び特別委員地方公務員法上の地位に関する規定でありまして、これらの者に同法による秘密を守る義務を課したものであります。なお、中央審査会委員及び特別委員は、国家公務員法第二条により一般職国家公務員であり、当然に秘密を守る義務を課せられております。  第二十五条の九は、審査会管轄に関する規定であります。本条におきましては、原則として、当事者たる建設業者登録をうけた行政庁に付属する審査会紛争処理に当ることといたしました。すなわち建設工事請負契約に関する紛争契約性質当事者の一方または双方が常に建設業者であり建設大臣または都道府県知事登録を受けており、登録をした大臣または知事当該業者の業態を最も適確に把握している実情にかんがみ、登録行政庁に付属する審査会において紛争処理に当ることが最も実状に即した解決を得る捷径であり、当事者にとっても便利であると思料したのであります。  第二十五条の十は、申請手続、書類の経由等規定であります。  第二十五条の十一は、あっせんまたは調停開始であります。第一号は、現行法により建設業審議会あっせん開始する場合と同一規定であります。第二号は、公共性のある施設等政令の定めるものに関して紛争が生じた場合の規定でありまして、紛争により工期遅延その他公益を阻害するおそれが生じた場合、審査会が積極的にあっせん等に乗り出すことといたしまして、公共工事施工確保をはかったのであります。本条にいう公共性のある施設または工作物は、具体的には政令で定めることといたしておりますが、予定いたしておりますのは、鉄道、軌道、道路、橋梁、堤防、河川に関する工作物等であります。  第二十五条の十二は、あっせんについて規定しております。あっせんは対立する両当事者間に円満に話し合う機会を与え解決に導くという最も簡易な手続でありまして、会長事件ごと委員または特別委員のうもから指名するあっせん委員解決を一任し、手続あっせん委員判断によって適宜定め得ることとしたのであります。  第二十五条の十三は、調停に関する規定であります。本法による調停は、民事調停法による調停のように裁判上の和解同一効果を有するものではなく、単に裁判外和解仲介をする程度の効力を有するにとどまり、その効果の点はあっせんと異ならないのであります。ただ、建設業審議会によるあっせんが従来相当成果をおさめてきた経緯にかんがみ、裁判外和解仲介をする手続軽重二つに区別し、簡易な「あっせん手続のほかに、やや慎重な「調停手続を設けることが運用上効果的であると考えたのであります。すなわち審査会当事者出頭義務を課し、さらに調停案を作成して当事者に受諾を勧告することができるものとし、調停案決定方法をも明確化したのであります。  第二十五条の十四は民事調停法第十三条と同趣旨規定でありまして、請求が法律的にも道義的にも理非明白で互譲の余地がなくまたは互譲による妥協を不可とする場合はあっせんまたは調停をしないことといたしました。  第二十五条の十五ないし第二十五条の十九は仲裁に関する規定であります。由来民事上の争いに関する解決に関してはもとより訴訟によるのが通例でありますが、なお和解調停などの簡易な解決の道も開かれているのであります。しかしながら訴訟はもちろん和解調停なども裁判所の手続によるのでありまして、建設工事における紛争のように迅速な解決を必要とし、特に技術上の専門知識を必要とする複雑多岐にわたる施工上の事実認定が解決かぎとなるような分野におきましては、訴訟調停などによる解決方法は必ずしも実状に即せず、むしろ当事者合意による解決を斯界の権威に求むる手続、すなわち民事訴訟法第八編に規定するところの仲裁手続のごとき制度によらしめることが実状に適するものと思料するのであります。しかしながら、現行民事訴訟法第八編による仲裁手続は、本来商人間商取引上の紛争解決を主眼としているのでありますが、建設工事請負契約に関する紛争のような特殊の領域におきましては、仲裁人選定その他の仲裁手続そのものに関しまして、当事者間に紛争が起る可能性もあるのでありまして、民事訴訟法規定のみをもってしては必ずしも十分ではありません。よって、建設事業国土建設基盤的事業たる性格にもかんがみ、新たに行政機関による迅速、公正かつ弾力性に富んだ仲裁手続を法定し、建設工事の適正な施工に寄与せんとする趣旨のもとに仲裁制度を設けた次第であります。  第二十五条の十五は、仲裁開始に関する規定であります。すなわち第一項は、当事者双方から審査会仲裁申請がなされた場合の規定であり、第二項は工事請負契約等においてあらかじめ仲裁に付する旨の合意があった場合は、一方の当事者からの申請により仲裁開始し得る旨の規定でありまして、いずれにせよ仲裁開始当事者合意にかかる点においては同様であります。  第二項は中央審査会都道府県審査会の行なった仲裁判断に対する異議申し立てについて第二審的機能を行うことができる旨の権限規定であります。  第二十五条の十六は、仲裁手続に関する規定であります。審査会による仲裁は、審査会会長委員または特別委員のうちから指名する三人の仲裁委員によって行うことといたしましてその指名原則として、当事者合意によって選定した者について行うこととなっております。  第二十五条の十六第三項は、仲裁委員資格に関する特例でありまして、仲裁当事者間において、確定判決同一効力を有する点、従来仲裁人が往往にして法律知識に欠けるため適正なる仲裁判断を下し得なかった点等にかんがみ、仲裁委員のうち少くとも一人は弁護士となる資格を有する者、すなわち法律専門家でなければならないものといたしのであります。  同条第四項は、民事訴訟法適用についての特則を規定しております。すなわち、本法に仲裁には、原則として民事訴訟法適用があることを明らかにしたのであります。ただ、仲裁委員選定手続、証拠調べの手続仲裁判断に対する異議の申立、費用、手数料の徴収等に関する規定は同法に対する特例でありまして、これは本法の仲裁行政機関による仲裁であることにかんがみ、設けられたものであります。  第二十五条の十七は、証拠調の規定でありまして、おおむね訴訟における裁判所の手続にならったものでありますが、審査会裁判所と異なり、当事者または第三者に文書等の提出を強制し、その拒絶に対して制裁を課すことはできません。これらの強制的行為を必要とする場合は、当事者民事訴訟法第七百九十六条の規定適用により管轄裁判所に協力を申し立てることとなるのであります。  第二十五条の十八(立入検査)も裁判所における証拠調(民事訴訟法第二百六十五条)に相当する規定でありまして、この場合においても、前条について述べましたのと同様管轄裁判所の協力を求めることができることは勿論であります。  第二十五条の十九は、異議の申立に関する規定であります。民事訴訟法仲裁においては、仲裁人のなす仲裁判断は直ちに確定判決同一効力を生ずるのでありますが、本法による仲裁は、行政機関による仲裁であり、仲裁委員選定が必ずしも当事者合意にかかっておりませんので、特に慎重を期し、異議申し立てを認めた次第であります。  同条第一項は、異議申立期間に目する規定でありまして、仲裁判断効力を何時までも不確定の状態におくことは適当でありませんので、当事者は二週間の所謂不変期間内に限って、異議申し立てることができることと致したのであります。  第三項及び第四項は、右の不変期間と仲裁判断効力発生時期との関係に関する規定でありまして、異議申立を許す場合において、仲裁判断の送達と同時に仲裁判断効力を生ずるものとするときは、当該仲裁判断による強制執行の着手又は完了後当該仲裁判断中央審査会によって取り消される可能性がでて参りまして、不当に法律関係を錯綜させるばかりでなく、当事者や利害関係人に不測の損害を被らせる虞がありますので、都道府県審査会の行った仲裁判断に関しては、異議申立なく二週間を経過したときにはじめてその効力を生ずるものと致したのであります。  同条第五項は、異議申し立があった場合の手続に関する規定であります。  第二十五条の二十は、手続の非公開に関する規定であります。  次に、第二十五条の二十一は、紛争処理手続に要する費用に関する規定でありまして、裁判上の和解の例にならい、当事者当該費用負担につき別段の定めをしない限り、各自これを負担することといたしました。  第二十五条の二十二は、申請手数料に関する規定でありまして、手数料は紛争処理申請者の負担といたしました。  第二十五条の二十三は、紛争処理状況報告に関する規定であります。  第二十五条の二十四は、政令委任の規定でありまして、おもな事項といたしましては、委員の報酬、委員及び特別委員名簿の作成及び閲覧あっせん又は調停の取り下げ及び打ち切り、異議申し立て手続費用の範囲等を予定しております。  以上で第三章の二を終りまして、以下は、建設工事紛争審査会設置に伴う建設業審議会に関する規定整備であります。すなわち、今回の改正により、従来建設業審議会の重要な事務でありました紛争解決あっせん建設工事紛争審査会に移管されることとなりましたので、この際地方行政機構簡素化趣旨にのっとり都道府県建設業審議会任意機関とすることとして、これに伴う条文整備を行うとともに、中央建設業審議会組織につきまして、建設業界の実情を一層反映させるため、委員定数を五名増加することといたしたものであります。  以上、建設工事請負契約に関する紛争処理を強化いたしますために所要の改正をはかったのでありますが、この改正により、建設工事紛争審査会設置、同審査会委員の人選等のため準備期間を要し、種々経過措置を必要といたしますので、この法律は、公布の日から起算して九十日を越えない範囲内で政令で定める日から施行することとし、あわせて建設省設置法の改正に関する規定を附則中に設けた次第でございます。何とぞよろしく御審議を賜わりますよう、お願いを申し上げます。
  11. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対する質疑は次会に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会