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1956-04-18 第24回国会 衆議院 建設委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十一年四月十八日(水曜日) 午後一時四十一分
開議
出席委員
参員長
徳安
實藏
君
理事
内海 安吉君
理事
大島 秀一君
理事
荻野 豊平君
理事
瀬戸山三男
君
理事
三鍋 義三君 逢澤 寛君 木崎 茂男君
仲川房次郎
君 二階堂 進君 松澤 雄藏君 山口 好一君 今村 等君
石田
宥全君
楯 兼次郎君 中島 巖君
西村
力弥
君
前田榮
之助君 山田
長司
君 渡辺
惣蔵
君
出席国務大臣
建 設 大 臣
馬場
元治君
出席政府委員
建設政務次官
堀川 恭平君
建設事務官
(
大臣官房長
)
柴田
達夫君
建設事務官
(
計画局長
) 町田 稔君
委員外
の
出席者
専 門 員 西畑 正倫君 ――
―――――――――――
四月十一日
委員松永東
君
辞任
につき、その
補欠
として南條 徳男君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十二日
委員石田宥全君辞任
につき、その
補欠
として島
上善五郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十八日
委員島上善五郎
君、
山本幸一
君及び安
平鹿一
君
辞任
につき、その
補欠
として
石田宥全君
、
前田
榮之助君及び
西村力弥
君が
議長
の
指名
で
委員
に 選任された。 ――
―――――――――――
四月十七日
建設業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第 一六五号) 同日
積雪寒冷特別地域
における
道路交通
の
確保
に関 する
特別措置法制定促進
に関する
請願
(
松村謙
三君外五名
紹介
)(第一九五三号) 同(
下平正一
君
紹介
)(第一九九七号) 同(
原茂
君
紹介
)(第二〇二八号)
一級国道
二十号線の
改修工事施行
に関する
請願
(
松平忠久
君
紹介
)(第一九八二号) 同(
下平正一
君
紹介
)(第一九九六号) 同(
原茂
君
紹介
)(第二〇二七号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
同月十三日 鳥取県に
積雪寒冷特別地域
における
道路交通
の
確保
に関する
特別措置法適用
の
陳情書
(第五五六号)
日本道路公団法案
の一部修正に関する
陳情書
(第五六〇号) 二級
国道佐賀諌早線
の
改修工事促進
に関する陳
情書
(第 五六二号)
首都圏整備法制定
に関する
陳情書
(第五八八号)
特殊土
じ
ょう地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の
有効期限延長
に関する
陳情書
(第六〇七号)
積雪寒冷特別地域
における
道路交通
の
確保
に関 する
特別措置法制定促進
に関する
陳情書
(第六一六号) 二級
国道高知徳島線
の
整備強化
に関する
陳情書
(第六一 七号) 二級
国道高知徳島線
の
開通促進
に関する
陳情書
(第六一 八号) 二級
国道高徳中央線
中後免、土佐山田間の幅員
拡張等
に関する
陳情書
(第六一九号) 二級
国道熊谷甲府線
の
舗装工事施行
に関する陳
情書
(第六三八 号) を本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
土地収用法
の一部を改正する
法律案
について、
法務委員会
と
連合審査会開会
に関する件
建設業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第 一六五号) ――
―――――――――――
徳安實藏
1
○
徳安委員長
これより
会議
を開きます。
連合審査会開会
の件についてお潜りいたします。
土地収用法
の一部を改正する
法律案
について、
法務委員会
より去る十三日、当
委員会
に対し
連合審査会開会
の申し入れがありました。この際、
法務委員会
と
連合審査会
を
開会
することに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
徳安實藏
2
○
徳安委員長
御
異議
なしと認め、さように決します。 なお、
連合審査会
は、
法務委員長
と協議の結果、本日午後一時半より
開会
の予定でございますから、お含み願いたいと存じます。 —————————————
徳安實藏
3
○
徳安委員長
次に、昨日付託になりました
建設業法
の一部を改正する
法律案
を
議題
とし、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
馬場建設大臣
。
馬場元治
4
○
馬場国務大臣
法案
の
説明
に入るに先だちまして、御
報告
申し上げたいことがあります。 昨十七日、
福島
県
常葉
町に
大火
がございました。
罹災者
の
各位
に対してまことに御
同情
にたえませんが、
焼失戸数
は、ただいま受けました
報告
によりますと、二百五十四戸であります。これが
対策
につきましては、直ちに
現地
を
調査
をいたす必要がありますので、
稗田住宅建設課長
並びに
計画局
の
係官
をさっそく
現地
に派遣いたしまして、
現地
の
状況
をつぶさに
調査
をいたしました上で、最も
効果
的な
方法
をとりたい、かように考えておる次第であります。
常葉
町は
都市計画
が未
決定
の
土地
でありますので、今後
計画
を
決定
いたしました上で、
区画整理
を行いますほか、
住宅
その他の問題についても
善処
をいたさなければならぬ、かように考えておる次第であります。 なお、同じく昨日夕方、
八戸
市におきましてこれまた
火災
が起りました。
焼失家屋
の数は百二十二戸でありまして、これは
公営住宅法
第八条に該当いたしておらないのでありますが、
現地
の
要望
がありました場合は、
一般公営住宅
によって
措置
をするつもりでおるのでございます。いずれにいたしましても、昨夜起りました
災害
でありますので、直ちに
現地
の
実情
を
調査
の士で適当な
方法
をとりたい、かように考えております。
関係各省
とも緊密な
連絡
の上に
善処
いたしたい、一応とりあえずの御
報告
を申し上げておきたいと思います。 ただいま
議題
となりました
建設業法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
並びにその
要旨
について御
説明
申し上げます。
建設業法
は、
建設工事
の適正な
施行
を
確保
するとともに、
建設業
の健全な
発達
に資することを
目的
といたしておりますが、特に
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
につきましては、同法に
規定
する
建設業審議会
が
解決
の
あっせん
をすることとなっており、これによる
紛争処理
もある程度の
成果
をおさめて参ったのであります。しかしながら、
建設業審議会
の
あっせん
の
方法
のみをもってしては
紛争処理
におのずから
限度
があり、従いまして
紛争
の未
解決
または
遷延等
の
事態
を生じ、このため
当事者
が
相当
の
損害
をこうむり、あるいは
工事
が遅延して
公共
の
福祉
に
支障
を及ぼすような
事例
が少くないのであります。 かかる
事態
に対処する
措置
といたしまして、
建設工事
の
紛争
を適正かつ迅速に
処理
するため、新たに
紛争処理機関
を
設置
し、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
につき、
あっせん
、
調停
または
仲裁
を行わせることといたしました次第であります。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
でありますが、次に本
法案
の
要旨
につきまして御
説明
申し上げます。 まず第一に、
現行
の
建設業審議会
による
あっせん
は、
審議会
の
性格等
から見まして、頻発する
紛争
を迅速にかつ
効果
的に
処理
するには適当でないと考えられますので、この際、新たに
専門
の
紛争処理機関
として、
建設省
及び
都道府県
に
建設工事紛争審
六会を設け、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
に関し
あっせん
、
調停
及び
仲裁
を行わせることにいたしたのであります。 第二に、
紛争処理
の
手続
といたしましては、
あっせん
、
調停
、
仲裁
の三
種類
の
制度
を設けることといたしました。
あっせん
、
調停
につきましては、
当事者
の
申請
によりこれを行うほか、重要な
公共工作物等
で
紛争
の結果
公益
に重大な
支障
を来たすような場合は、
審査会
の
職権
によって行うことができることといたしました。 次に
仲裁
につきましては、
民事訴訟法
の
適用
により
当事者
間において
確定判決
と
同一
の
効力
を有することとなっておりますので、その
手続
に慎重を期した次第でありまして、まず
仲裁
の
開始
、
仲裁委員
の
選定等
は、
当事者
の
合意
にかかわらしめ、
仲裁委員
のうちには
弁護士
の
資格
を有する者を加えることとし、また
都道府県審査会
の行なった
仲裁判断
に対し不服のある者は、
異議申し立て
を行なって
中央審査会
による
仲裁
をさらに受ける道を開くことといたしました。 第三に、
紛争処理
の
手続
に要する
費用
につきましては、
原則
として
当事者
各自の
負担
とし、
当事者
の
申し立て
にかかる
費用
を要する
行為
については、
当事者
に
当該費用
を予納させることとし、また
申請手数料
を徴収することといたしまして、国、
地方公共団体
の
財政負担
の
軽減
をはかったのであります。 第四に、
都道府県審査会
の
設置
に伴い、従来
都道府県建設業審議会
の行なっておりました
事務
の重要な
部分
が
審査会
に移管されますので、この際、
都道府県建設業審議会
は
任意機関
とし、あわせて
地方行政
の
簡素化
に資することといたしました。 その他、以上の
諸点
に関連して
関係
各
条文
の
整備
を行なったのであります。 以上、
建設業法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
並びにその
要旨
を御
説明
申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
徳安實藏
5
○
徳安委員長
次に
補足説明
を聴取いたします。
柴田官房長
。
柴田達夫
6
○
柴田政府委員
建設業法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
要点
を逐条的に御
説明
申し上げます。 本
改正案
の
骨子
は、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
の
解決
をはかるため新たに
建設工事紛争審本会
を
設置
して、
紛争
につき
あっせん
、
調停
及び
仲裁
を行わせることとするにあります。これに伴い従来の
建設業審議会
による
あっせん制度
は発展的に解消することとなりますので、
現行法
第二十四条を削り、第二十五条(
請負契約
とみなす場合)を第二十四条とし、第三章の次に、第三章の二として、「
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
の
処理
」と題する一章を設けたのであります。
改正案
第二十五条は、
建設工事紛争審査会
の
設置
に関する
規定
でありまして、
あっせん
、
調停
及び
仲裁
の
手続
を行わせるため、
建設省
及び
都道府県
にそれぞれ
付属機関
として
審査会
を設けることといたしたのであります。 第二十五条の二は、
審査会
の
組織
に関する
規定
であります。すなわち
委員
の
定数
は十五人以内とし、その
資格
は、利益代表的な
観念
を排除して、
人格
が高潔で
視野
の広い
達識
の士のうちから任命することといたし、
会長
の
選定方法等
とあわせて本
審査会
の
組織
を定めたものであります。 第二十五条の三ないし第二十五条の六は、
委員
の
任期
、
欠格条項
及び
解任
並びに
審査会
の
会議等
に関する
規定
であります。 第二十五条の七は、
特別委員
に関する
規定
であります。
紛争処理
は本来
委員
をもって行うべきものでありますが、一時に多数の
事件
の
発生
を見た場合、あるいは特殊な
事件
につき
専門的判断
が
解決
の
かぎ
となるような場合等も予想されますので、そういう場合に
処理
を全からし
むるため
、万全の策として
紛争処理
に参与させるため
特別委員
を置き得ることとしたのであります。
特別委員
はもっぱら
紛争
の
処理
を担当する
職責
を有するものでありますから、
会長
の
選挙等審査会
の
組織体
としての
活動
には参与しないこととなっております。 なお、
委員
、
特別委員
については
政令
で
名簿
を設けることとし、これを
一般
の
閲覧
に供して本
制度
の
活用
をはかりたいと考えております。 第二十五条の八は、
都道府県審査会
の
委員
及び
特別委員
の
地方公務員法
上の
地位
に関する
規定
でありまして、これらの者に同法による
秘密
を守る
義務
を課したものであります。なお、
中央審査会
の
委員
及び
特別委員
は、
国家公務員法
第二条により
一般職
の
国家公務員
であり、当然に
秘密
を守る
義務
を課せられております。 第二十五条の九は、
審査会
の
管轄
に関する
規定
であります。
本条
におきましては、
原則
として、
当事者
たる
建設業者
が
登録
をうけた
行政庁
に付属する
審査会
が
紛争処理
に当ることといたしました。すなわち
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
は
契約
の
性質
上
当事者
の一方または
双方
が常に
建設業者
であり
馬場元治
7
○
馬場国務大臣
法案
の
説明
に入るに先だちまして、御
報告
申し上げたいことがあります。 昨十七日、
福島
県
常葉
町に
大火
がございました。
罹災者
の
各位
に対してまことに御
同情
にたえませんが、
焼失戸数
は、ただいま受けました
報告
によりますと、二百五十四戸であります。これが
対策
につきましては、直ちに
現地
を
調査
をいたす必要がありますので、
稗田住宅建設課長
並びに
計画局
の
係官
をさっそく
現地
に派遣いたしまして、
現地
の
状況
をつぶさに
調査
をいたしました上で、最も
効果
的な
方法
をとりたい、かように考えておる次第であります。
常葉
町は
都市計画
が未
決定
の
土地
でありますので、今後
計画
を
決定
いたしました上で、
区画整理
を行いますほか、
住宅
その他の問題についても
善処
をいたさなければならぬ、かように考えておる次第であります。 なお、同じく昨日夕方、
八戸
市におきましてこれまた
火災
が起りました。
焼失家屋
の数は百二十二戸でありまして、これは
公営住宅法
第八条に該当いたしておらないのでありますが、
現地
の
要望
がありました場合は、
一般公営住宅
によって
措置
をするつもりでおるのでございます。いずれにいたしましても、昨夜起りました
災害
でありますので、直ちに
現地
の
実情
を
調査
の士で適当な
方法
をとりたい、かように考えております。
関係各省
とも緊密な
連絡
の上に
善処
いたしたい、一応とりあえずの御
報告
を申し上げておきたいと思います。 ただいま
議題
となりました
建設業法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
並びにその
要旨
について御
説明
申し上げます。
建設業法
は、
建設工事
の適正な
施行
を
確保
するとともに、
建設業
の健全な
発達
に資することを
目的
といたしておりますが、特に
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
につきましては、同法に
規定
する
建設業審議会
が
解決
の
あっせん
をすることとなっており、これによる
紛争処理
もある程度の
成果
をおさめて参ったのであります。しかしながら、
建設業審議会
の
あっせん
の
方法
のみをもってしては
紛争処理
におのずから
限度
があり、従いまして
紛争
の未
解決
または
遷延等
の
事態
を生じ、このため
当事者
が
相当
の
損害
をこうむり、あるいは
工事
が遅延して
公共
の
福祉
に
支障
を及ぼすような
事例
が少くないのであります。 かかる
事態
に対処する
措置
といたしまして、
建設工事
の
紛争
を適正かつ迅速に
処理
するため、新たに
紛争処理機関
を
設置
し、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
につき、
あっせん
、
調停
または
仲裁
を行わせることといたしました次第であります。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
でありますが、次に本
法案
の
要旨
につきまして御
説明
申し上げます。 まず第一に、
現行
の
建設業審議会
による
あっせん
は、
審議会
の
性格等
から見まして、頻発する
紛争
を迅速にかつ
効果
的に
処理
するには適当でないと考えられますので、この際、新たに
専門
の
紛争処理機関
として、
建設省
及び
都道府県
に
建設工事紛争審
六会を設け、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
に関し
あっせん
、
調停
及び
仲裁
を行わせることにいたしたのであります。 第二に、
紛争処理
の
手続
といたしましては、
あっせん
、
調停
、
仲裁
の三
種類
の
制度
を設けることといたしました。
あっせん
、
調停
につきましては、
当事者
の
申請
によりこれを行うほか、重要な
公共工作物等
で
紛争
の結果
公益
に重大な
支障
を来たすような場合は、
審査会
の
職権
によって行うことができることといたしました。 次に
仲裁
につきましては、
民事訴訟法
の
適用
により
当事者
間において
確定判決
と
同一
の
効力
を有することとなっておりますので、その
手続
に慎重を期した次第でありまして、まず
仲裁
の
開始
、
仲裁委員
の
選定等
は、
当事者
の
合意
にかかわらしめ、
仲裁委員
のうちには
弁護士
の
資格
を有する者を加えることとし、また
都道府県審査会
の行なった
仲裁判断
に対し不服のある者は、
異議申し立て
を行なって
中央審査会
による
仲裁
をさらに受ける道を開くことといたしました。 第三に、
紛争処理
の
手続
に要する
費用
につきましては、
原則
として
当事者
各自の
負担
とし、
当事者
の
申し立て
にかかる
費用
を要する
行為
については、
当事者
に
当該費用
を予納させることとし、また
申請手数料
を徴収することといたしまして、国、
地方公共団体
の
財政負担
の
軽減
をはかったのであります。 第四に、
都道府県審査会
の
設置
に伴い、従来
都道府県建設業審議会
の行なっておりました
事務
の重要な
部分
が
審査会
に移管されますので、この際、
都道府県建設業審議会
は
任意機関
とし、あわせて
地方行政
の
簡素化
に資することといたしました。 その他、以上の
諸点
に関連して
関係
各
条文
の
整備
を行なったのであります。 以上、
建設業法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
並びにその
要旨
を御
説明
申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
徳安實藏
8
○
徳安委員長
次に
補足説明
を聴取いたします。
柴田官房長
。
柴田達夫
9
○
柴田政府委員
建設業法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
要点
を逐条的に御
説明
申し上げます。 本
改正案
の
骨子
は、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
の
解決
をはかるため新たに
建設工事紛争審本会
を
設置
して、
紛争
につき
あっせん
、
調停
及び
仲裁
を行わせることとするにあります。これに伴い従来の
建設業審議会
による
あっせん制度
は発展的に解消することとなりますので、
現行法
第二十四条を削り、第二十五条(
請負契約
とみなす場合)を第二十四条とし、第三章の次に、第三章の二として、「
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
の
処理
」と題する一章を設けたのであります。
改正案
第二十五条は、
建設工事紛争審査会
の
設置
に関する
規定
でありまして、
あっせん
、
調停
及び
仲裁
の
手続
を行わせるため、
建設省
及び
都道府県
にそれぞれ
付属機関
として
審査会
を設けることといたしたのであります。 第二十五条の二は、
審査会
の
組織
に関する
規定
であります。すなわち
委員
の
定数
は十五人以内とし、その
資格
は、利益代表的な
観念
を排除して、
人格
が高潔で
視野
の広い
達識
の士のうちから任命することといたし、
会長
の
選定方法等
とあわせて本
審査会
の
組織
を定めたものであります。 第二十五条の三ないし第二十五条の六は、
委員
の
任期
、
欠格条項
及び
解任
並びに
審査会
の
会議等
に関する
規定
であります。 第二十五条の七は、
特別委員
に関する
規定
であります。
紛争処理
は本来
委員
をもって行うべきものでありますが、一時に多数の
事件
の
発生
を見た場合、あるいは特殊な
事件
につき
専門的判断
が
解決
の
かぎ
となるような場合等も予想されますので、そういう場合に
処理
を全からし
むるため
、万全の策として
紛争処理
に参与させるため
特別委員
を置き得ることとしたのであります。
特別委員
はもっぱら
紛争
の
処理
を担当する
職責
を有するものでありますから、
会長
の
選挙等審査会
の
組織体
としての
活動
には参与しないこととなっております。 なお、
委員
、
特別委員
については
政令
で
名簿
を設けることとし、これを
一般
の
閲覧
に供して本
制度
の
活用
をはかりたいと考えております。 第二十五条の八は、
都道府県審査会
の
委員
及び
特別委員
の
地方公務員法
上の
地位
に関する
規定
でありまして、これらの者に同法による
秘密
を守る
義務
を課したものであります。なお、
中央審査会
の
委員
及び
特別委員
は、
国家公務員法
第二条により
一般職
の
国家公務員
であり、当然に
秘密
を守る
義務
を課せられております。 第二十五条の九は、
審査会
の
管轄
に関する
規定
であります。
本条
におきましては、
原則
として、
当事者
たる
建設業者
が
登録
をうけた
行政庁
に付属する
審査会
が
紛争処理
に当ることといたしました。すなわち
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
は
契約
の
性質
上
当事者
の一方または
双方
が常に
建設業者
であり
建設大臣
または
都道府県知事
の
登録
を受けており、
登録
をした
大臣
または
知事
が
当該業者
の業態を最も
適確
に把握している
実情
にかんがみ、
登録行政庁
に付属する
審査会
において
紛争処理
に当ることが最も
実状
に即した
解決
を得る捷径であり、
当事者
にとっても便利であると思料したのであります。 第二十五条の十は、
申請手続
、書類の
経由等
の
規定
であります。 第二十五条の十一は、
あっせん
または
調停
の
開始
であります。第一号は、
現行法
により
建設業審議会
が
あっせん
を
開始
する場合と
同一
の
規定
であります。第二号は、
公共性
のある
施設等
で
政令
の定めるものに関して
紛争
が生じた場合の
規定
でありまして、
紛争
により
工期遅延
その他
公益
を阻害するおそれが生じた場合、
審査会
が積極的に
あっせん等
に乗り出すことといたしまして、
公共工事
の
施工
の
確保
をはかったのであります。
本条
にいう
公共性
のある
施設
または
工作物
は、具体的には
政令
で定めることといたしておりますが、予定いたしておりますのは、鉄道、軌道、
道路
、橋梁、堤防、河川に関する
工作物等
であります。 第二十五条の十二は、
あっせん
について
規定
しております。
あっせん
は対立する両
当事者
間に円満に話し合う機会を与え
解決
に導くという最も簡易な
手続
でありまして、
会長
が
事件ごと
に
委員
または
特別委員
のうもから
指名
する
あっせん委員
に
解決
を一任し、
手続
も
あっせん委員
の
判断
によって適宜定め得ることとしたのであります。 第二十五条の十三は、
調停
に関する
規定
であります。本法による
調停
は、
民事調停法
による
調停
のように
裁判
上の
和解
と
同一
の
効果
を有するものではなく、単に
裁判外
の
和解
の
仲介
をする程度の
効力
を有するにとどまり、その
効果
の点は
あっせん
と異ならないのであります。ただ、
建設業審議会
による
あっせん
が従来
相当
の
成果
をおさめてきた経緯にかんがみ、
裁判外
の
和解
の
仲介
をする
手続
を
軽重二つ
に区別し、簡易な「
あっせん
」
手続
のほかに、やや慎重な「
調停
」
手続
を設けることが運用上
効果
的であると考えたのであります。すなわち
審査会
は
当事者
に
出頭義務
を課し、さらに
調停案
を作成して
当事者
に受諾を勧告することができるものとし、
調停案決定
の
方法
をも明確化したのであります。 第二十五条の十四は
民事調停法
第十三条と同
趣旨
の
規定
でありまして、請求が法律的にも道義的にも理非明白で
互譲
の余地がなくまたは
互譲
による妥協を不可とする場合は
あっせん
または
調停
をしないことといたしました。 第二十五条の十五ないし第二十五条の十九は
仲裁
に関する
規定
であります。
由来民事
上の争いに関する
解決
に関してはもとより
訴訟
によるのが通例でありますが、なお
和解
や
調停
などの簡易な
解決
の道も開かれているのであります。しかしながら
訴訟
はもちろん
和解
や
調停
なども
裁判
所の
手続
によるのでありまして、
建設工事
における
紛争
のように迅速な
解決
を必要とし、特に技術上の
専門知識
を必要とする
複雑多岐
にわたる
施工
上の事実認定が
解決
の
かぎ
となるような分野におきましては、
訴訟
や
調停
などによる
解決
の
方法
は必ずしも
実状
に即せず、むしろ
当事者
の
合意
による
解決
を斯界の権威に求むる
手続
、すなわち
民事訴訟法
第八編に
規定
するところの
仲裁手続
のごとき
制度
によらしめることが
実状
に適するものと思料するのであります。しかしながら、
現行民事訴訟法
第八編による
仲裁手続
は、本来
商人間
の
商取引
上の
紛争
の
解決
を主眼としているのでありますが、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
のような特殊の領域におきましては、
仲裁人
の
選定
その他の
仲裁手続そのもの
に関しまして、
当事者
間に
紛争
が起る
可能性
もあるのでありまして、
民事訴訟法
の
規定
のみをもってしては必ずしも十分ではありません。よって、
建設事業
の
国土建設
の
基盤的事業
たる
性格
にもかんがみ、新たに
行政機関
による迅速、公正かつ
弾力性
に富んだ
仲裁手続
を法定し、
建設工事
の適正な
施工
に寄与せんとする
趣旨
のもとに
仲裁制度
を設けた次第であります。 第二十五条の十五は、
仲裁
の
開始
に関する
規定
であります。すなわち第一項は、
当事者
の
双方
から
審査会
に
仲裁
の
申請
がなされた場合の
規定
であり、第二項は
工事請負契約等
においてあらかじめ
仲裁
に付する旨の
合意
があった場合は、一方の
当事者
からの
申請
により
仲裁
を
開始
し得る旨の
規定
でありまして、いずれにせよ
仲裁
の
開始
が
当事者
の
合意
にかかる点においては同様であります。 第二項は
中央審査会
が
都道府県審査会
の行なった
仲裁判断
に対する
異議申し立て
について第二
審的機能
を行うことができる旨の
権限規定
であります。 第二十五条の十六は、
仲裁
の
手続
に関する
規定
であります。
審査会
による
仲裁
は、
審査会
の
会長
が
委員
または
特別委員
のうちから
指名
する三人の
仲裁委員
によって行うことといたしましてその
指名
は
原則
として、
当事者
が
合意
によって
選定
した者について行うこととなっております。 第二十五条の十六第三項は、
仲裁委員
の
資格
に関する特例でありまして、
仲裁
が
当事者
間において、
確定判決
と
同一
の
効力
を有する点、従来
仲裁人
が往往にして法律知識に欠けるため適正なる
仲裁判断
を下し得なかった点等にかんがみ、
仲裁委員
のうち少くとも一人は
弁護士
となる
資格
を有する者、すなわち法律
専門
家でなければならないものといたしのであります。 同条第四項は、
民事訴訟法
の
適用
についての特則を
規定
しております。すなわち、本法に
仲裁
には、
原則
として
民事訴訟法
の
適用
があることを明らかにしたのであります。ただ、
仲裁委員
の
選定
手続
、証拠調べの
手続
、
仲裁判断
に対する
異議
の申立、
費用
、手数料の徴収等に関する
規定
は同法に対する特例でありまして、これは本法の
仲裁
が
行政機関
による
仲裁
であることにかんがみ、設けられたものであります。 第二十五条の十七は、証拠調の
規定
でありまして、おおむね
訴訟
における
裁判
所の
手続
にならったものでありますが、
審査会
は
裁判
所と異なり、
当事者
または第三者に文書等の提出を強制し、その拒絶に対して制裁を課すことはできません。これらの強制的
行為
を必要とする場合は、
当事者
が
民事訴訟法
第七百九十六条の
規定
の
適用
により
管轄
裁判
所に協力を
申し立て
ることとなるのであります。 第二十五条の十八(立入検査)も
裁判
所における証拠調(
民事訴訟法
第二百六十五条)に
相当
する
規定
でありまして、この場合においても、前条について述べましたのと同様
管轄
裁判
所の協力を求めることができることは勿論であります。 第二十五条の十九は、
異議
の申立に関する
規定
であります。
民事訴訟法
の
仲裁
においては、
仲裁人
のなす
仲裁判断
は直ちに
確定判決
と
同一
の
効力
を生ずるのでありますが、本法による
仲裁
は、
行政機関
による
仲裁
であり、
仲裁委員
の
選定
が必ずしも
当事者
の
合意
にかかっておりませんので、特に慎重を期し、
異議申し立て
を認めた次第であります。 同条第一項は、
異議
申立期間に目する
規定
でありまして、
仲裁判断
の
効力
を何時までも不確定の状態におくことは適当でありませんので、
当事者
は二週間の所謂不変期間内に限って、
異議
を
申し立て
ることができることと致したのであります。 第三項及び第四項は、右の不変期間と
仲裁判断
の
効力
発生
時期との
関係
に関する
規定
でありまして、
異議
申立を許す場合において、
仲裁判断
の送達と同時に
仲裁判断
の
効力
を生ずるものとするときは、当該
仲裁判断
による強制執行の着手又は完了後当該
仲裁判断
が
中央審査会
によって取り消される
可能性
がでて参りまして、不当に法律
関係
を錯綜させるばかりでなく、
当事者
や利害
関係
人に不測の
損害
を被らせる虞がありますので、
都道府県審査会
の行った
仲裁判断
に関しては、
異議
申立なく二週間を経過したときにはじめてその
効力
を生ずるものと致したのであります。 同条第五項は、
異議
申し立があった場合の
手続
に関する
規定
であります。 第二十五条の二十は、
手続
の非公開に関する
規定
であります。 次に、第二十五条の二十一は、
紛争処理
手続
に要する
費用
に関する
規定
でありまして、
裁判
上の
和解
の例にならい、
当事者
が
当該費用
の
負担
につき別段の定めをしない限り、各自これを
負担
することといたしました。 第二十五条の二十二は、
申請手数料
に関する
規定
でありまして、手数料は
紛争処理
の
申請
者の
負担
といたしました。 第二十五条の二十三は、
紛争処理
状況
の
報告
に関する
規定
であります。 第二十五条の二十四は、
政令
委任の
規定
でありまして、おもな事項といたしましては、
委員
の報酬、
委員
及び
特別委員
の
名簿
の作成及び
閲覧
、
あっせん
又は
調停
の取り下げ及び打ち切り、
異議申し立て
の
手続
、
費用
の範囲等を予定しております。 以上で第三章の二を終りまして、以下は、
建設工事紛争審査会
の
設置
に伴う
建設業審議会
に関する
規定
の
整備
であります。すなわち、今回の改正により、従来
建設業審議会
の重要な
事務
でありました
紛争
の
解決
の
あっせん
が
建設工事紛争審査会
に移管されることとなりましたので、この際
地方行政
機構
簡素化
の
趣旨
にのっとり
都道府県建設業審議会
は
任意機関
とすることとして、これに伴う
条文
の
整備
を行うとともに、中央
建設業審議会
の
組織
につきまして、
建設業
界の
実情
を一層反映させるため、
委員
定数
を五名増加することといたしたものであります。 以上、
建設工事
の
請負契約
に関する
紛争
の
処理
を強化いたしますために所要の改正をはかったのでありますが、この改正により、
建設工事紛争審査会
の
設置
、同
審査会
の
委員
の人選等のため準備期間を要し、種々経過
措置
を必要といたしますので、この法律は、公布の日から起算して九十日を越えない範囲内で
政令
で定める日から
施行
することとし、あわせて
建設省
設置
法の改正に関する
規定
を附則中に設けた次第でございます。何とぞよろしく御
審議
を賜わりますよう、お願いを申し上げます。
徳安實藏
10
○
徳安委員長
本案に対する質疑は次会に譲り、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十六分散会