運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-24 第24回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十四日(金曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 荻野 豊平君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    大高  康君       志賀健次郎君    中村 寅太君       二階堂 進君    廣瀬 正雄君       松澤 雄藏君    山口 好一君       楯 兼次郎君    中島  巖君  出席政府委員         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         参  考  人         (道路審議会委         員)      金子源一郎君         参  考  人         (日本トラック         協会会長)   小野  哲君         参  考  人         (国土開発中央         道調査審議会委         員)      平山復二郎君         参  考  人         (鮎川道路調査         会幹事)    橋本元三郎君         専  門  員 西畑 正倫君     ————————————— 二月二十三日  宮崎市、東等間の道路改修工事施行に関する請  願(相川勝六紹介)(第八六七号)  地方主要道高田六日町線貫通促進に関する請  願(塚田十一郎紹介)(第八六八号)  建設業法施行令の一部改正に関する請願田中  彰治君紹介)(第八八五号)  同(猪俣浩三紹介)(第九一四号)  太田切川砂防工事施行に関する請願田中彰  治君紹介)(第八八六号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案について、地  方行政委員会連合審査会開会申入れに関する  件  道路整備特別措置法案内閣提出第二三号)  日本道路公団法案内閣提出第二四号)     —————————————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  本日は日本道路公団法案及び道路整備特別措置法案の両案につきまして参考人より御意見を聴取いたします。  議事に入るに先だちまして参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。参考人方々には御多忙中のところ当委員会のためにわざわざ御出席いただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして私より厚くお礼を申し上げます。  御承知のことと存じますが、本委員会におきましては、ただいま道路整備特別措置法案日本道路公団法案につきまして連日慎重審議を重ねております。このたびこの方面に特に御造詣の深い皆様においでを願いまして、両案に対する忌憚なき御意見を拝聴し、委員会審査参考に資したいと存ずる次第でございます。どうか御遠慮なく両案に対する御意見の御開陳をお願いいたしたいと存じます。なお念のため申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、参考人方々が御発言なさろうとすると遂には必ず委員長の許可を受けることになっております。また委員参考人に質疑することができますが、参考人委員に質疑できない規定になっておりますので、あらかじめこの点は御了承をいただきたいと存じます。  それではこれより御意見を承わりたいと存じますが、大体時間はお一人二十分程度にお願いいたします。最初全部の方々から御意見を伺いまして、その後に委員の諸君から各参考人方々に御質疑があると思いますから、しばらくおとどまり願いましてお答えをいただきたいと存じます。それでは金子源一郎先生にお願いいたしたいと存じます。
  3. 金子源一郎

    金子参考人 御指名にあづかりました金子でございます。ただいま委員長からお話のありました両法案を一応拝見いたしまして気つきました二、三の点につきまして私見を申し上げたいと存じます。  道路整備が大へんおくれておりまして、近ごろ目ざましく発展して参りました自動車交通に対応できなくなって参りました。このことはどなたも気のついておることであるにもかかわらずかような事態に立ち至りましたおもな原因は、全く国なり地方なりの財政に十分な余裕がなくて、道路整備に十分な資金を充当することができない結果であることは明らかでございまして、そのために先年ガソリン税相当額道路財源に充てること並びに有料道路規定が制定されまして、それによって道路整備が目に見えて進んで参りましたことはまことに喜ばしい次第でございます。今回さらに道路公団を作りまして、有料道路を総合的、効率的に運営して、もって道路整備を一段と促進させようといたされますことは、まことに機宜を得たものと存じまして賛意を表する次第でございます。ただその運営に当りまして若干あるいは問題になりはしないかと気つきました点を申し述べますると、第一に公団は毎年度事業計画を立てまして建設大臣の認可を受けることになっておりまするが、公団が新築、改築せんとして取り上げまする路線道路政策建設大臣の希望する路線と一致するかどうかということに若干の疑問があるのであります。何ゆえかならば、公団で優先的に取り上げる路線は、おそらく採算上に最も重きを置いて選択すると思います。料金収入成績のよさそうな線は概して重要な路線でありましょうから、大体道路政策上優先すべき路線と一致するとは思いますが、必ずしも完全に一致するとは申せないと思います。現に竣工して今料金を徴収しておる十四の路線について見ましても、予定収入を上げておるのはわずかに二線にすぎません。その二線も国直轄の線ではありません。全体の成績もただいままで予定の六九%でございまして、追い追い成績は上昇しておるようでございますから、将来の見通しは悪くはないと存じますが、公団として汁よほど戒心いたしませんと資金面で行き詰まるおそれがあるのでありまして、料金収入について深い関心を持つことは無理からぬところであると存じます。しかし建設大臣公団の設立せられましたときの使命にかんがみて、活路整備のためにはなるべく積極的に路線を採択させようとするでありましょう。この間の矛盾に対しまして、円滑に事を処理するためには、できるならば採択すべき路線優先順位をあらかじめきめる基準が設けられるならば非常に工合がいいと存じます。  次に公団使命達成上、ただいま出す通り、なるべく多くの線を取り上げてもらわなければならない。それがためには資金面でできるだけ潤沢にしておくことが必要であると存じます。返金さえ潤沢であれば、盛んに道路整備を行い得るわけでありますから、この点は公団使命達成の上にまこに重要な点になるわけであります。道路債券借入金等できるだけ多額の資金を集めなければなりません。しかし結局これを償還する財源としては、料金収入補助金によらなければならないわけであります。この収入を増す点につきまして、次のようなことが考えられると存じます。  第一に、道路使用料金期限でございます。料金収入は総合的にプール計算の建前で参りまして成績の上らない路線成績のよい路線でカバーするように運営することは全体として望ましいこととは思うのでございますが、各線ごと建設資金を償却することを一応の目標とすることもまた度外視すべきではないと存じます。できれば料金徴収期限にも何らかの基準を設けて、あまり乱に流れることのないようにすることが肝要だと存じます。  次に、やはり収入をふやす関係の問題でありますが、通行料金以外の収入についてであります。通行料金のごとく、直接の受益者、すなわち交通車両から料金を徴収するだけでなく、間接の受益者からもその受益範囲内で公団資金面に協力させたいと思います。たとえば沿道の土地の値上りに対するごとき、あるいは新たに作った路線上に運輸事業を行うものに対する場合のごときでありますが、これを法制化することは、なかなか困難であるかとも存じます。その場合には、それにかわる意味におきまして、公団みずから沿線の土地経営を行い得るように道を開いたらどうか。またみずから築造した道路上の運輸事業すなわちバスのごときを行い得る道を開いたらどうであろうか。あるいはガソリン販売事業等もできるようにしたらどうであろうかというふうに、公団法の第三章にありまする「附帯する業務」というのを広く解釈していきたい。もしそれが無理であるならば、その種の事業を行い得るように、新たに一項を加えることが望ましいと存じます。かくのごとく、公団収入増加をできるだけはかって、起債能力を強めまして、資金を潤沢にして、道路整備を盛んに行い得るようにすることは、緊要のことと存じます。公団に対する国からの援助は、貸付金とか道路債券の引き受け、債務の保証及び補助金というふうにいろいろございますが、国の補助金のうち、公団法の附則第十二条にガソリン税収入額の一部を公団に補助する道が開かれてあるようでありますが、これは公団にとって都合のよいことかもしれませんが、広く全体から見た道路整備の点からは、別にプラスになるわけではないのであります。元来公団は、通行料金等収入をもってその資金計画を立てるの炉本筋であると存じます。一方、ガソリン税をほとんど唯一の資金とするところの一般道路整備というものが著しくおくれておる現状から見ますと、このガソリン税を分けて補助することは、実際には行わない方がいいのじゃないか、少くとも控え目にした方がいいのではないかと存じます。  次に公団の行い得る道路の種類を特別措置法の第三条甲に列挙されておりますが、この中に自動車専用道路のことが、すなわち高速自動車道路のことがないようでございます。有料道路制度が設けられました今日では、自動車専用道路は当然有料となるのであろうと存じます。しからば公団は当然これを担当する機関になると思います。それが脱落しておるように見えますので、この点を指摘したいのであります。これは、あるいは基本法たる道路法中に自動車専用道路のことが明らかでないので、今後その点を明らかに規定した後に、この第三条も修正を加えるのかとも思いますが、ぜひともそういうふうに取り運んで、公団自動車専用道路実施をなし得るようにすべきものであると存じます。  以上気づきました数点につきまして私見を申し述べましたが、それはすべて運用上の点にすぎません。大体この法案にありますように道路公団が設立せられまして、その運営よろしきを得るならば、道路整備を一段と促進いたしまして、道路交通に寄与するところ多大なるものがあると信じます。以上私見を申し上げました。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 小野哲先生にお願いいたします。
  5. 小野哲

    小野参考人 私、日本トラック協会会長小野哲でございます。  議題となっております日本道路公団法案並びに道路整備特別措置法案の内容を一応検討いたしまして、以下述べるような諸点につきまして意見を述べさせていただきまして、審議の御参考に供したいと存じます。  まず第一は、公団任務限界でございます。公団法案目的は、有料道路管理を総合的かつ効率的に行うこと等によって道路整備促進上、円滑な交通に寄与することにあると規定されておりますが、ここにいわゆる有料道路と申しますのは、道路整備特別措置法、これは現行法も今回の法案もその第一条の目的に掲げるところによりまして同様でございますので、この道路公団法規定する有料道路とは、道路整備特別措置法規定されておるものをさしておるのであるということを私は考えるのであります。従いまして公団目的特別措置法に根拠を持っていろいろの仕事をやっていく、こういうことは明確であると思います。従って、この公団任務というものの限界をはっきりとさせる必要炉あるとするならば、道路整備特別措置法に基いてやるのだということをこの法律案に書くことが必要ではなかろうか、かように思うのであります。これによりまして、有料道路が本来無料公開である道路法による道路特例である、これを対象とする公団任務道路特別措置法の定める範囲にその限界を一応与えていくということがはっきりするものと考えまするし、またかくあるべきではないかと思うのであります。提案理由説明にもあります通りに、既設十三路線維持管理予定されておりますが、同時にまた新しい路線建設も考えられておるようでありまして、従って公団発足いたしますと、まず仕事といたしましては既設路線維持管理と、予定されておる新線建設、これにまず主力を注ぐ必要があるのではないかと思うのであります。公団性格が、これまた建設当局の御説明にあります通りに、一面特殊法人である営造物法人、他面広義の行政機関である、かように説明されておりますところから考えますと、特に今回の公団法案が提案された一つのねらいが、民間資金の導入という新しい方式を採用しようという点にあることと考え合せまして道路公団というものは一種の公共企業体的な性格が多分にある、かように私は思いますので、従ってその経営の適否というものは、非常に影響するところが大きいと思うのであります。新たに提案されました特別措置法によりますと、有料道路範囲町村路にまで拡張され、さらに公団は国または地方公共団体の委託により維持管理の権限を付与されることになっておるのであります。聞くところによりますというと、公団は外資を受け入れ、高速道路建設を行い得ることをも考えられておったようでありますが、今回はこの部分法律案の中には出ておりません。かような点まで公団が担当するということになりますと、公団任務限界を逸脱することになるのではないか、公団が新しく発足するという場合に、あまりに各方面仕事をやるということが、果たして公共企業体的な性格を持っておるという点にかんがみて、いかがなものであろうかと私は考えるのであります。どこまでも無料公開基本とする道路法の精神に立脚いたしまして、真に道路特別措置本旨を忠実に公団が順守いたしまして、公共企業体としての性格を発揮するようにまずもって努めることが必要ではないか、かように考えるのであります。金子先生自動車道路の方もやってもいいんではないか、これを一つの御意見かとは存じまするが、まず発足は、道路公団性格なり、その任務というものを考え、かつまた企業的な性格をも織り込まれておるという点を考えますと、これらの点について十分な検討を加える必要があるのではないかと思うのであります。  次は道路行政多元化という問題であります。この両法律案を見まするに、国の要請から出たものとは申しましても、道路行政多元化していく、複雑化していくという傾向になりつつあるということにつきましては、御注意を喚起いたしたいと思うのであります。すなわち道路整備五カ年計画実施がある。また都道府県等無料公開道路もある。次に公団有料道路管理という問題も起っている。また都道府県市町村等道路管理者有料道路ということも考えられている。このように過渡的特別措置としては一応やむを得ないものとして理解し得るのでありまするが、有料道路に要求されている比重があまりに大きくなるということになりますと、その比重いかんによりまして、国の道路制度本筋を離れて相当検討を加えなければならないような事態が起ると同時に、設定料金いかんによりてまして、これを利用する者の負担の問題を生じ、ひいては公団経営に多大の影響を及ぼすおそれがあると思うのであります。従って特別措置法の期待する効果を上げていくということにまずねらいを定めていって、公団任務を十分に果すようにやっていく。同時にいろいろの性質の道路維持管理方式ができ上っているといたしますならば、この間の調整につきましては十分に意を用いていかなければならないかと思うのであります。  次に、公団事業運輸交通と密接な関係を持たれているということを申し上げたいのであります。道路政策交通政策一環でございまして、公団目的道路整備促進し、円滑な交通に寄与することにあるのでありますので、こうした有料道路路線選定は、この目的に適合するように慎重に研究をいたさなければならないと思います。路線選定に当りましては、果して円滑な交通に寄与し得るかどうか、とともに採算企業としての成業の見込みがあるかどうか、並びに徴収すべき料金が通常受ける利益の限度をこえない額において決定し得るかどうか。すなわち国または地方公共団体において道路を新設することは、全く公共目的に沿うためでありまして、予算範囲内において当然行われるべきことは言うまでもないことでありまするが、公団は必ずしもこれと全然同じであるというのではなくして、企業性公共性との調和点においてその経営のバランスがとられるものと考えるのであります。従いまして路線選定料金の額の決定密接不可分のものと申し上げてよいかと思います。これらの要素を度外視して決定する場合におきましては、公団経営は赤字、欠損を続けざるを得ないと同時に、収通行または利用する者、特にトラックバス等公共運輸機関にとりましては、料金額をいかに定めるかは運賃等に至大の関係を持つわけでありまして、ひいては荷主、公衆の負担増加を来たすばかりでなく、事業者負担部分につきましては、経営相当影響があることと思うのであります。これらの事情を勘案いたしまして、路線選定料金額決定に関しましては、運輸行政担当当局十分連絡をとられ、建設大臣があらかじめ運輸大臣意見を聞いて、建設運輸両者の協力によって制度の円滑な運営をはかるように、この旨、もし何らか適当な方法があるならば法案に明示すべきではないかとさえ考えるのであります。過日建設大臣は参議院における質問にお答えになりまして道路公団運営につきましては、運輸省その他いわゆる各種交通機関関連もあるので、十分連絡をとって運営したいと言っておられるのでありますがこの趣旨が法律の中に明らかにされるということになりますと、一そう公団運営事業の遂行につきましては望ましい結果になるのではないかと私は思うのであります。なおかような見地から申しまして、役員の任命等につきましても建設大臣のみによって行われるというのではなくして、もう少しこれを広くいたしまして、内閣総理大臣任命によって行われるということも考え得るのではないかというように思うのであります。  次に公団資金等について触れてみたいと思うのでございます。公団法案付則第十二条によりますと、昭和三十一年度以降三年度間は毎年度揮発油税の一部を補助金に充てる旨が規定されておるのであります。道路財源に関する臨時措置法特例でございます。公団法案提案理由によりますと、公団昭和三十一年度に施行すべき事業に必要な資金は八十億円となっておりまして、一般会計からの補助金二十億円、資金運用部よりの借入金十億円、道路債券発行による借入金五十億円をもって充当する予定となっておりますが、このうち一般会計からの補助金二十億円が前述の揮発油税収入によってまかなわれるものと思うのであります。これを大蔵省の予算説明について見ますと、いわゆる日本道路公団交付金二十億円でございまして、これに該当するものと思うのでありますが、その説明の中にこの交付金公団発足に当り、その財政的基礎を確立するとともに、資金の充実をはかるために揮発油税財源の一部を交付するものであって、このため道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正することを予定している、こういうふうに申しておるのであります。しかるに右の臨時措置法制定目的は、道路整備五ヵ年計画実施に要する財源揮発油税収入に求めたことは明らかでありまして、五ヵ年計画に属する道路無料公開であるということも疑いの余地がない。すなわち揮発油税無料公開道路に対する目的税のような性格を持つものであり、これを有料道路に支出することはその性格上矛盾するばかりでなく、すでに有料道路につきましては料金を徴収しておるのでありますから、揮発油税負担する自動車使用者は明らかに二重の負担をしいられることになるのでありまして、まことに不合理な措置と申さなければなりません。道路整備費財源等に関する臨時措置法本旨にももとるのではないか、かように私は考えますので、この際臨時措置法の一部を改正してまでこれを行おうとすることは承服いたしかねるのであります。もし必要があるならば、交付金として別途一般財源等から措置せらるべきものと考えますので、この点につきましては十分に御再考をわずらわしたいと存じます。  なお付言いたしたいことは、補助制度運用は特に慎重を要するものでありまして、従来からもこの補助制度につきましてはいろいろと論議があることは御承知通りでございます。既設有料道路の状況を見ますると、これは資料もちょうだいしておりますが、予定収入に達するものはきわめてまれでありまして、公団運営資金の調達、特に公団民間資金を導入するという新しい方式をとろうといたしておること、考えあわせますと、公団が成り立っていくように、また公団企業的な性格をも考慮に入れて十分に研究していかなければならない、かように考えますで、この点については十分な御検討をいただきたいと思うのであります。  以上のような諸点につきまして一応私の意見を申し上げた次第でございますが、これを要するに、道路政策交通政策一環であるという前提に立って道路に関する諸施策を考えていただきたいということであります。特にわが国道路を初め交通の問題はきわめて重要な問題が山積いたしておりまして、総合交通政策基本方針を策定するということは、きわめて喫緊の要務であると存じます。特に陸上交通におきましては、鉄道との調整検討すべき時期にきておるのではないか、先般の国鉄経営調査会の答申を見ますと、この点についてもその調査の態度を示しておりまして、すみやかに総合交通政策基本方針を確立して、その中において鉄道はどうあるべきか、道路政策をいかに持っていくかということを国の広い、高い視野から検討すべき時期にきておるのではないか、ぜひやってもらいたいという旨もはっきりと書いてあったのであります。わが国道路政策後進性、いわば立ち遅れということは、これは東大の今野教授が最近著わされました「道路交通政策」の中にもはっきりと指摘されておりまして、私全く同感で、何とかしてこの点についての道路政策を考えていくべきである、この点につきましては人後に落ちないのでございまして、ただこの政策を推進していきます場合において高い観点からも検討を要する必要があるのではないか。たとえて申しますと、国鉄幹線近代化、すなわち輸送力増強のための施設の整備電化等促進することと関連いたしまして、道路整備近代化を考究していくというふうな考え方が私は必要ではないかと思うのでありまして、具体的な計画相互関連を持たして金融その他所要の条件を勘案いたしますと同時に、工事施行の問題につきましても十分に検討研究をいたしていきまして相互が歩調をできるだけ合わせるような格好に調整をはかって、国の財政力考慮に入れ、あとう限りロスを未然に防止するとともに、たとえば今国の公団ができ上りました場合においては、民間資本を導入してやっていくという公共企業的な立場をも念慮に置きながら運営をやっていくということが重大な事柄ではないか、かように思う次第でございます。かような見地から、ややともいたしますと、群雄割拠ということは当らないかもしれませんが、さような現象が起りやすい現況にかんがみまして、早急に総合交通政策審議機関を有効に運営することが必要でありますし、幸いに内閣交通審議会も設けられておりますので、これらの審議会において十分に意見を交換いたし、また政府もその意見を徴して今後の道路政策の推進に当られるように希望をいたす次第でございます。この法律案につきましては今後の国会の御審議に際しまして十分その成果を実現するように御論議が行われるものと期待をいたしておる次第でございますが、政府におかれては、先般この公団交通上にある程度の変革を来たすような大きな事業をやるというようなことになれば交通審議会基本方針に従いたい、ただ今考えておるのは、従来の有料道路を対象としておるので、東京——神戸の高速道路を考えておるけれども、このままの法律では実施できないから所要の改正をして、高速道路も将来実施をしたい、この場合は交通審議会の定めた基本方針に基いて実施しなければならないと思うというふうな相当含みのある御答弁があったように伺っておるわけでございますが、道路鉄道との問題は、建設の点におきましても運営に関しましても、またでき上りました道路を利用する自動車事業経営当事者につきましても、いろいろの問題があると思うのでございまして、これらの点を総合的に関連をもって十分に御審議をいただくことが、大へん私といたしましては望ましいと存ずる次第でございます。  以上簡単でごいますが、私の気つきました点を申し上げまして御審議の御参考に供した次第でございます。
  6. 徳安實藏

    徳安委員長 次に平山復二郎先生にお願いいたします。
  7. 平山復二郎

    ○平山参考人 私御指名いただきました平山でございます。今度現行の道路整備特別措置法を廃止しまして、新たな道路整備特別措置法を作られまして、これによって日本道路公団法案によります日本道路公団を設立されまして、従来以上一そうの努力をもちまして、有料道路整備事業の拡充を総合的、合理的におやりになる計画が出されておりますことに対しましては、交通界の今日のいろいろな実情、ことに道路交通の実情から申しましていろいろの問題もございましょうが、こういう有料道路が実行されることはきわめて有効であると存じまして賛意を表するものでござまいす。申し上げるまでもなく、今日の道路はきわめて技術的に複雑になりまして、建設にも多くの費用を要しますし、また維持運営にも金がいるわけなんでございますから、有料道路にするのは当然ではないかと思うのでございます。特に有料道路といたしまして道路の発達上有効だと思いますことは、道路建設運営いたします側と、またこの道路を利用して便宜を受けます側とが、お互いの間に経済的な依存関係、利害関係がはっきりでき上りまして、お互いの責任関係、義務関係というようなものも明確になりますので、これが道路交通進歩の上に非常に意義があるのではないかと思うのでございます。道路を作ります側と使います側が離れておりますことは、道路運営上決して望ましいものではないと思うのでございます。端的な例で申しますと、今日往々見ますように舗装がこわれて通る車が困っておりますのに、管理者側がいろいろの理由からこれを作らずに放置しておくというようなことは、有料道路の今申しましたような建前からおそらくそのいうことはなくなるのではないかと思うのでございまして、こういう点からも有料道路というものを今日発展させますことは、日本の道路交通に非常に意義が深いと思うのでございます。  技術者の立場から一言申し上げたいのでございますが、今いろいろお話もございましたように、建設する有料道路というものはいずれも多額な建設費を伴いますし、また複雑な工事を必要とするのでありまして、その資金は国家の資金も投ぜられなければならないのでありますから、この建設はきわめて慎重にやらなければならないと思うのでございます。それにつきましては工事に着手するまでの調査計画、設計というものに十分時間をかけるようにしなければならないと思うのでございます。従来日本の土木工事、これは言い過ぎかもしれませんが、特に官庁工事の公共工事というものは、いろいろな関係から着手するまでの計画調査とか設計とかいうことに時間をかけませんために、大きな欠陥があるのでございます。これは私から申し上げるまでもないと思いますが、この損失は決して少くないと思うのでございます。でございますから、今回の公団で作られますような道路につきましては、十分調査計画・設計に時間をかけられるようにしていただきたいと思うのでございます。私の経験から申しましても、大きな工事というものは、時間をかけて調査いたしますほど安くていいものができ上ることになるのでありまして、このための費用を一つ十分公団ではお考えになっていただきたいと思うのであります。一文惜しみの百知らずにならないことを切に希望いたすものであります。とかく調査費というものが日本では削られてしまいまして、そのために受ける損害は決して少くないと思うのでございます。こういう調査計画、設計に慎重を期しますと時間がいるばかりでなく、技術者を多く要することになるのでございますが、このために公団に非常なよけいな人員がいると考えますことは間違いであると思うのでございます。これに対しましては欧米などで例がございますよりに、コンサルティング・エンジニアの制度、日本ではようやくこの制度が問題になって参りまして、技術士法案を作るという空気も出て参っておるのでございまして、ぜひ一つこういう専門の技術制度を御利用下さるように希望いたすのでございます。これにつきましてはいろいろ申し上げたいのでございますが、この法案と直接関係がございませんのでこれ以上申し上げませんが、ただ今後公団ができまして運営をして参ります上に、ぜひ技術の点を十分にお考え下さいまして、従来のような大きな工事が十分な調査なしに着手されることを警戒していただきたいと思うのでございます。  私の意見はきわめて簡単でございましてこれだけでございますが、ぜひこの法案が制定されまして、日本の交通の一翼であります、道路交通が飛躍的な発展ができますことを切に熱望いたしまして、この法案に賛意を表するものでございます。
  8. 徳安實藏

    徳安委員長 次に橋本さん。
  9. 橋本元三郎

    ○橋本参考人 御指名をいただきました橋本でございます。私は鮎川道路調査会におきまして、道路経済という出のを少し勉強さしていただきましたので、そういう立場からこの法案に対する意見を御参考までに申し述べたいと思います。  お手元に要点を書きましたガリ版を差し上げてございますが、それにつきまして、考えますところを申し上げます。今日わが国道路整備の声は朝野をあげて盛んでございますが、実態がほとんど動かない状態であります。これは一に予算不足というように断わっておるようでございますが、この際、その予算不足を傍系的に援助するという意味で民間資本を動員して、有料道路を作るという考えのもとに、用意されておりますこの二つの法案に対しましては、日本の道路網が整備される方に寄与するという意味において、私は賛成をするものでございます。ただし一たび成立した法案となれば、その立法者の意図がどこにあったか、それを作るときの雰囲気が何であったかというようなことは、時が移り人が変りますれば自然に離れて参りまして、あとはそれを引き継ぐ人がその法文の文字によって運用をするということになると思いますので、私はこの法案の文面に現われた範囲に対して、考えを申し上げたいと思います。  その第一は、一般道路整備計画と今回の有料道路計画との関係について、考えるところを申し上げます。現在の措置法に対して、ただいま用意されておる措置法を新法といっておられるようでありますから、その新法第三条によって一体いかなる場所を有料道路にするのかということを見てみますと、有利な近道を有料道路にすると書いてあるように思われるのであります。その際旧法には、工事費を償還すべきものを有料道路にするというふうに書いてあったのでありますが、新法にはそれが落してあります。その理由は文面だけでは私はわかりません。しかしまた有料道路公団だけが作るのではなくて、管理者である府県でも作ることができるということがあとの条文にありますが、そのときは工事費は償還を要するものに限ると指定してあります。その考え方のわかれ目というものは文面からは察知できないのでありますけれども、とにかく近道でそれを交通に利用することが非常に有益であるというようなところを有料道路にすると書いてあるようでございます。ところが一般の道路整備計画、国家の道路網の基本は、そういうところこそ力を入れて早くやるということになっておりますから、どっちがそれを取り合うのかということについては、文面だけでは判定ができません。そういうところもございますけれども、結局この新しい考え方は、大原則となる道路整備網の補助的位置にあると考えますので、原則は国家基本道路計画というものがあって、その中の一部をとりあえず民間資本を導入して整備するものと考えておる次第であります。  それで、道路公団が過去四カ年においてすでに完成されたものが十三本、目下工事中のものが十六本というふうに、短い道路を盛んに有料化されておる。こういう仕事をだんだんと今後十年二十年にわたって進めていかれるつもりであろうが、もしそういうことで進めていかれるならば、有料道路は、一旦有料制をもって出発いたしますならば、おそらく十五年、二十年というような長期にわたって有料制がしかれなければ、建設費を回収することは困難であろうと思われますので、年々二十本ずつふえて参りましても、十年、十五年先には数百区間の有料区間が日本の道路網上に散在する。かような姿が予想されるのであります。そうしますと、これはちょうど古ぼけた網のところどころを新しい糸で修理していくというような道路網ができ上りまして、網全体の経済効果はあまり期待できないというおそれがあるのじゃないか。それで、一般通路網が、ある区間をまとめて整備するときに、その一部分として両方ともに国費をもって無料公開道路も新しくなるか、もしくは補修されるが、それの一環となるところが有料制で新しくなっていくというならば、その部分は網全体として新しくなるから強くなるだろう。しかし、ただ思いつきで拾い縫いをするようにちょいちょいとあちらこちらを有料道路制によって整備されたのでは、大へん使いにくい。たとえば百キロを走りますのに、その間に三キロ、五キロ、十キロというように二、三点ちょいちょい新しくなっても、そこを走るトラックは一番悪い条件に応ずるように荷役梱包をしなければならないわけでありますから、新らしさが何もありがたみを与えないで、ちょっと三キロ、五キロ、十キロぐらいは気持のよい所を通れますけれども、あとはがたがたであるというようなことでは、せっかくこの道路法道路網を整備されるということが言葉だけに終って、実がつかないということになるのじゃないかと心配いたします。それで一般道路網の推進とあわせて一本になるような進め方をされなければならない。今回の有料道路計画というものは、もちろん、原案者である建設省もそのような考えで進めておられることとは思いますけれども、文面から見ますと、その辺が明らかでないのでありまして、そういうところを何とか補足していただきたい。たとえば第三条第三号といたしまして、有料道路として整備すべき路線の区間は、道路基本整備計画中に策定された区間またはそれに準ずべき区間といったようなふうにでも示されたならば、今のような心配が文面の上からだけでも解除されてくるのではないかと思うのであります。これによりましてせっかく出発するであろうところの有料道路制が、全体の道路網の経済効果に一ぱいに寄与するように進めていただきたいと思うのであります。  第二といたしまして、公団の業務種目とその規模につき申し上げます。公団設立の目的公団法第一条と新法第一条に明らかにされておりますように、有料道路建設保守ということがはっきり掲げてございます。ところで公団法第十九条にはさらに有料自動車駐車場の建設管理、それから副業的な考え方によりまして、第五号に公共団体の委託により一般道路の工事等を行うと書いてあるのでございます。これは公団運営仕事の変動ということを見越しまして、安定というか、この副業の中に含まれると思うのでありますけれども、公団の機能がその両法の第一条に示されておりますように有料道路建設、保守のほかに、このように有料自動車駐車場の建設管理あるいは請負業者と同一のごとき立場において一般道路工事を行うというようなことを取り上げますならば、そこに公団資金と機能というものが横に流れる、主目的以外に分散流失いたしまして、本業がおろそかになるのではないかというようなことが懸念されるのであります。それからまた、どのような仕事公団でやり、どのような仕事は民間でやるというようなことの分け方などにつきましても、必要でない複雑な関係を生ずるというようなこともあるのじゃないかと考えます。それで公団はこういう副業的なことは一応やめることにしまして、今の第三号及び第五号を削除されまして、この有料道路建設保守ということにまっすぐに貫徹を期されたらどうかと考えるわけであります。  次に規模について申し上げます。これは第一に申し上げたことと重複いたしますけれども、この公団仕事の幅、どこまで仕事するかという仕事の大きさについて推定する根拠がございませんので、先ほど申し上げたように幾つもつなぎ目のある使いにくい道路網が十年、二十年後にでき上る。数百区間の門ができる。本来大道無門として、天下の公道としてだれでも通れるはずのところに門が数百もできて、そこで切符を買って乗ったり降りたりしなければならないというような道路が日本の道路になるのではないか。そのような道路は大へん使いにくいまずい道路だ。おそらく経済計算から考えましても非常に割の無いものだと思われますので、このような誤解を避けるために、この道路はそういうものではないのだ、たとえば有料制というものは損得いかんにかかわらず、十五年とかそういうところで切り上げるのだ、最大幾つしか日本には有料道路区間というものは存在しないから使いにくいはずはないといったようなことが明瞭に出ますように、何かそういうことにつきまして公団はどのような路線をどのような幅までやるのだ、そしてそれは作ると同時に自然に開放されていって、ネット・ワークとしてはそう使いにくいものにはならないし、経済効果上も十分期待できるというような仕事の幅をつけ加えてもらいたいと思います。  次に第三といたしまして、有料道路の開放条件について申し上げます。これは同じく今のあとを受けるのでございますけれども、法文中には「料金の徴収期間」なる字がところどころにありますから、それが過ぎますれば当然自動的に無料開放となるということはもう疑いのないところでございます。しかし新法第三条によりますと、収支の予算の変更は単に届出をすることになっている。そうしますと予定より収入が少かったから料金徴収期間を延ばしたいということの根拠になるのじゃないか、それから第五条には維持修理費大なる場合は料金徴収期間を延長すると書いてあります。そうしますと維持修理費が高い道路はずっと引き続き有料期間に繰り越されていく。それから構造物ですから十五年、二十年たてば大いにいたんでくるでしょう、そこで大修理を要する、あるいは交通量の増大によりまして拡幅しなければならぬ、あるいはそれを使ってみての欠点によって相当大きな修理を要するというようなことになりますと、これもなかなか無料開放に至る時間が長引くようである。それから第二十八条には、公団の取得した道路を構成する敷地その他の物件は公団に帰属すると書いてありますけれども、その開放のことが書いてない。そうするといつまでも国民は公団財産の上を走ることになるから、そうすれば人の財産の上をただで走るということにはならないので、これもまた有料期間を延長するような解釈を呼ぶ。このようなことを考えますと、いつ有料道路が無料開放になるかということは文面からでは察知できない。それに対しまして、何かこういうものを総合されて有料道路は次の条件で無料公開するという条項でも差しはさんでもらいまして、しかもそれには理由のいかんにかかわらず最大限といったような仕切りをつけてもらう方が、道路を使う方の側にいたしましても、管理をする方の側にいたしましても、いろいろの経済上の計画にも響くところがあるだろうと思うのでございます。また全体の道路経済を考えるものの立場といたしましても、そのようなはっきりとした一つの条件をおろしておいていただくことが、非常にものを考えるについて頼りになる資料になる。そういうことが漠然としておって有料道路がだんだんふえていくのでは、日本の道路経済網の計画算定ということはできなくなってしまうのであります。  その次は有料道路の経理計画において申します。これは先ほど参考人の皆様からもお話がありましたガソリン税の問題が一つあるのであまりすが、三十一年度予算を拝見しますと道路債券五十億円、資金運用部から十億円、ガソリン税二十億円が予定されておるようでございます。この道路債券資金運用部のお金は民間資金運用でございますから大へん立法の趣旨に沿うものと思うのでありますけれども、これが年々歳々累増いたして参りまして、百億ずつ参りますと十年で千億というような道路債券が出る、まあそのころまでにはほとんど償還もされておらないでありましょうから、千億というようなけたのもの、あるいはもっと事業拡張するといたしますとそれの二倍、三倍というような民間資金の導入ということも予想されることになるでしょうし、そういうようなことは安直にただ要るから集めるというだけの考えでいくものだろうかということが一つ懸念されるのであります。それからガソリン税は、先ほどもお話がありましたようにガソリン税そのものは無料道路建設するための原資として設定されたものでありますが、それを使って作った道路の上を再び料金を払って通るというような複雑な印象を納税者に与える。今後ガソリン税を拡張する、もっと大道路工事をやるためにもう少しガソリン税その他から民間資金をつのるというような場合にはこういうものの扱いは非常にガンになると思われますので、これは大いに予算措置上の再考が望ましいと思うのであります。  次に有料道路の経理計画についての第二点でございますけれども、この法文を拝見いたしますと、公団の経費に対する政府補助、元利償還に対する政府の保証、道路債権の政府の引き受け、長期、短期にわたる貸付というふうに、実にたくさんの財源のひもがついておつのでありまして、公団は金については少しも苦労のない、ありがたい世帯になるように見えるものであります。従来お役所で製造されるこういう団体は金の苦労はないようにできておるのが多いようでありまして、そういうことが原因ではないでしょうけれども、非常に楽々と経営される、従ってほかの真剣な経営体に比べますと経営成績のあがらない例がちょいちょいあったようでありますので、この公団もそのようなことにならないように、十分に経済的な効果をあげられるようにお考えを願いたいのであります。ことに過去四ヵ年におきましては、大体三〇%近くの赤字を立てておるような十三本の道路を作って運営している。それは公団がやったのではありませんので、そうならないようにあらためて公団が設定されるということがこの法文から見受けられるのでありますけれども、しかし従来地方におきましてもあるいは国でおやりになったのでも、有料道路は非常に散漫にいいかげんにやったから赤字が出たということではなかろうと思うのであります。担当者はそれぞれ最善を尽しておやりになったにもかかわらず、すでに三割の赤字が出ておるということは、今後の公団仕事に対しまして大いに何らかを示すものであろうと思われるのでございます。しかも先ほど申し上げましたように赤字が出れば政府がしりをぬぐう、足りなければ貸してやるというようなひもがついておるので赤字を恐れないというようなことになったのでは、せっかくの公団が経済的に国民の道路交通関係の期待に沿わないというようなことが懸念されるのであります。但し公団は金もうけ機関ではありませんので、道路整備促進する機関でありますから、お金をもうけるということのために全力を振うということはむろん必要ではないでしょう。しかし予算を組んでお仕事をさせるその予算面を全うするように、赤字というようなものをああまり出さずに、きれいなお仕事をされるように切望するわけであります。特に公団地方道路財源が不足しているのに対して総花的にその原資をばらまく機関として見られるというようなことになったならば、大へんこの公団に期待しておる道路利用者側から見ても不満なものになるのじゃなかろうかという心配をするものでございます。そういうことがこの公団の経理について心配されますので、大へんこういうことを申し上げるのは失礼でございますけれども、御参考に供したいと考えております。  次に第五点といたしまして、本案成立に伴う道路基本整備計画の去勢の危険について申し上げます。今回の道路公団法というものは、先ほど申し上げましたようになかなか本格的な道路整備が進まないからそれを助けてやろう、補助的な考え方から一部分先行しようというので立案されているものと思うのでありますけれども、何かこの道路公団ができますと、急いでやらなければならないところ、大事なところは片端からこの公団が解決する、そうするとほかの方はもうあまり急がぬでもいいのじゃないかというふうな錯覚を生ずるのじゃないか、従って道路関係者がここ数カ年特に道路整備を叫ばれておった、その熱意が去勢されるような危険を感ずるものであります。そういうことになっては、今回の道路公団が一生懸命働きまして年々百億程度の道路整備を進めるといたしましても、現在拝聞千億以上の通路整備を一気呵成にやらなければ、日本の経済が年々三千億、四千億円というふうに計算されるくらいの道路上の損失を生じておるものを追いかけ切れない、焼石に水であります。それで道路整備を大いにやらなければならぬという気合いを、この道路公団という小さな動きによっていなされるというような危険を感ずるのであります。そういうことのないように御配慮をいただきまして、この道路公団の進め方を御研究を願いたいと思うのであります。  第六に、公団設立の、必要性と運用についてということで申し上げます。以上のような見方を総合いたしまして、道路公団は、国家道路網の整備につきましての基本的な動きが、声だけ非常に大きく実体が動かないというときだけに、仕方がないから民間資本を若干導入いたしまして、その先駆として出発するという意味において価値がある。しかし将来の日本の道路網が有料道路において大いに整備されるということであれば、これはひさしがおもやにかわってしまうということになるのではないか、こう考えられます。従ってこの本格的な整備がだんだんと進行いたしますならば、公団仕事はなくなる、こう考えるべきではないかと思うのであります。国家予算をもってやりたいところをやれないから、仕方がないから民間資本を若干活用して公団が働く。国家の資金をもちまして本格的な道路整備をいたしますならばその必要がなくなる、こういうふうな考えをいたしておりますので、公団の役割は、国の道路基本計画の一部分として、当てがわれたワクにおいて十分に効力を発揮されるようにお考えを願いたいと思うのであります。それにつきまして公団が今回出発されて基本計画の一部を進められるならば、すでにきまったところをおやりになるのでありますから、一応の調査が済んでおる、あるいは建設計画がお金を待っておるところを実施するということになるものと思われますけれども、公団法が成立して予算が裏づけされたから、それではというのであわててあちらこちらを工事されるということにならないようにお願いしたいと思うのでございます。  参考でございますけれども、先般ペンシルバニア・タウン・バイクを建設した首脳の方が鮎川さんとお会いになりまして、有料道路の進め方についてこういうお話がありましたそうでございますからここで御報告いたしますけれども、少しまとまった道路を作りますときには、三年くらい調査計画をしたものを二年くらいで工事をするというような程度の考え方で扱うものだそうであります。そういうふうに向うではやっておると言っております。そういう二、三年も調査してあと二、三年で工事をするということを次から次に重ねていくわけでありましょうけれども、それが政権とかそういうものの影響によりまして常にぐるぐると方針が変るようではとてもやっていけない。ですから独立した、ある範囲委任された事項においては安定した機構と理念とを持った道路建設主体というものがあって、ゆっくり落ちついて二年も三年も勉強して、その結論に基いて工事をしていくというものでなければいい道路はできない、経済的な道路はできないと言っておられます。今回生まれる公団もまたたくさんの道路研究計画されまして、それを実施に移されるでありましょうから、もちろんただいま私が申し上げたようなことはもう皆さんも聞きましたことではありましょうけれども、落ちついて仕事をされるように安定した態勢をとられまして、十分に御活動なされることを希望するものであります。大へんわかり切ったようなことをくどくどと申し上げまして恐縮でございましたが、私から申し上げることはこの程度であります。
  10. 徳安實藏

    徳安委員長 参考人に対する質疑の通告がありますから、これを許します。内海安吉君。
  11. 内海安吉

    ○内海委員 おそく参りまして、実は金子さんの御意見を承わりたいと思っておったのですが、遂に承わることができずまことに遺憾でございます。小野参考人の御意見を承わりまして、私は交通政策の面からいいまして御懸念をされておる数々の御説明はまことに貴重な参考として承わったのでありますが、ことに小野さんは現在のお職掌柄やはり交通政策特に運輸交通というところに重点を置いて御説明をなさっておるようであります。その御意見の中には、有料道路問題についてもあるいはまた国が直接やるところの問題についてもまことに同感すべき点が多々あります。ことにまた道路計画多元化するのではないかといったような御心配も私はやはり同感であります。今回の道路公団に関する政策というものは、少くも公共目的に原則として沿うものでなければならぬという御論旨については私も全く同感なのであります。しかし小野さんの説かれるところのいわゆる交通政策なるものは、単に交通政策であるが、われわれはやはり道路計画一環としてどうしてもなさなければならぬというような考えからこの道路公団法なるものを審議しておるのでございます。あなたの仰せによると、公共目的に沿うことが大目的でなくてはならぬということでありますが、交通対策の一環というのは、必ずしも運送だけではない。文化の交流であるとか——特に道路のおもなる使命というものは、交通もその中に入るのであるけれども、今日われわれの委員会等において述べられておるところの、ほんとうの基本の問題は、総合開発ということにあるのであります。産業の開発及び文化の交流というよう見地から多角的にこれを研究して推し進めることが道路政策でなければならぬと思うのであります。ところが遺憾ながら小野さんの御説明の中には、文化交流といったような問題も、また国土全体にわたる総合開発の問題にしても一点もお触れにならなかったのでございますが、この点に対してどういう御意見を持っておられるか。実は非常にりっぱな御意見なので、こういう機会に承わることは非常に参考になると思いますので御説明を願いたいと存じます。
  12. 小野哲

    小野参考人 私からお答えを申し上げたいと思います。ただいま御指摘になりました点私全く同感でございます。ただ私が交通政策一環と申し上げましたのは、道路建設というものを一つの施設としてのみ考えないで、でき上った施設をいかに国全体の産業の開発であるとか、あるいは文化の交流とかに高度に使い得るかというふうな点について考えたいというところに、実は私としましては考え方を置いておるわけであります。さてその文化の交流であるとか、あるいは国土の開発によりましてわが国の産業を復興する、さらに進展させていくというための基本的な問題といたしましては、文化の交流にいたしましては、おそらく人、物の問題もございましょう。あるいは国土開発につきましては、いまだ開発されない資源を早く開発していかなくてはならない、これまた人及び物の問題があるわけでありまして、文化の交流といい、また国土の開発と申しましても、要はいかにして所要の物資を、あるいは必要な人を、早く適当な時期に適当な場所へ送り得るか、運び得るかということが問題でなければならない。従って交通政策というものは、さらにこれを圧縮いたしますと交通というものは、文化的な要素ももちろん含んでおるし、同時にまた国土開発を目的とする使命も持っておる、そういう意味で総合的な性格から考えた交通政策というものを私は常日ごろ考えておりまして、その点については、御指摘になりました御意見と私は全く同感でございます。さような意味合いにおいて、この道路公団法案の趣旨はさような見地から私も考えておるし、また御審議に相なっておるのではないかと思っておりますために、それを広く交通政策というふうな表現の方法で実は申し上げたような次第で、御指摘になりました御意見は、私は全く同感でございます。
  13. 徳安實藏

    徳安委員長 瀬戸山君。
  14. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 四人の参考人の方から非常に有益な御意見を承わりまして、私ども裨益するところが非常に大きかったのですが、そこで一、二の点について、専門家であられる参考人の御意見をもう少し聞いておきたいと思う点がありますので、お尋ねするわけであります。  先ほど金子さんの方から、有料道路建設について選択の順位というようなことの御意見がありました。これはほかの方々もお話がありましたが、ただむちゃくちゃにあちこちやるということでは、これは道路政策上いけないことはわかっておるのであります。そこでこの際もう少し具体的に、順位の基準というようなお言葉がありましたから、せっかくの機会でありますので、どういうところに考えを及ぼさなければならないか、そういう点をもう少し突っ込んで御意見を聞かしていただきたいと存じます。
  15. 金子源一郎

    金子参考人 実はその用意があるわけではございません。なかなかきめにくいこととは存じまするが、しかしながら、きめにくいことであるからといって打ち捨てておくわけにも参りません。どうもこの点で監督の立場にあります建設大臣と、事業経営の責任を持っておる公団との間に一致しない場合が生ずるのじゃないかということを懸念したわけであります。もちろん大体のものは、道路政策上優先するものと、採算上優位にあるものとは大体一致すると思いまするが、しかしながら現在行われているものを見ましたときに、相当優位にあるはずであったものが、いまだ成績の上らないものもあるような実情から見まして、必ず相当な問題が起きると存じます。遺憾ながら私がこういう順序に基準をきめるがいいということを、今日ただいまこの席では申し上げかねるのであります。
  16. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 具体的に個所の問題であるとか、そういうことはもちろんこの際問題にすべきものでもないし、できないと思いますが、交通上必要であるが採算がとれないとか、いろいろ条件があると思うのでありますが、そういう点で何か大体の心がまえというか、そういう御意見はございませんか。
  17. 金子源一郎

    金子参考人 ただいま申し上げるような準備はいたしておりません。しかしぜひとも必要であるということだけを痛感しております。
  18. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もう一点、これも非常に困難な問題として私どもも考えているのでありますが、しかも重要な問題である。これは橋本さんもお触れになったように思いますけれども、問題は、公団を作りますのは、今各所に大体地方公共団体でやらせている有料道路実施をいたしまして、いわゆる採算と申しますか、予定通り料金が取れるところと、取れないところとたくさんあります。もう一つは、資金を拡張する、こういう二つの考え方で公団が作られた、こう思うのであります。そこで料金プール計算ということが経営上問題になってくる。ところが先ほども御指摘がありましたように、現在十何カ所やっておりますところで、予定よりも一〇〇%以上越しているところが一、二カ所ある。そうかと思うと、一〇%に満たないというようなところもあるわけです。そういうものをプール計算をしていって、そうして全部済むまで有料制を維持するということになったら、たくさん利用して——この前の委員会で当局に対して私申し上げたのでありますが、その利用するのは、全国のものがそれを利用するのでなくて、大体有料道路の付近と申しますか、利用範囲というものは大体限定されている。そういうところが大いに利用して、とうに建設資金は償還してしまった。ところが、ほかの成績不良のところのために、いつまでもそれをプール計算するということになると、これはとんでもないことになるわけであります。そうかといって、償却してしまったものは全部切り捨てていったのでは公団は成り立たない、こういうジレンマがあると思う。しかしそれを最後までプール計算するということは、理論的にも実際上もできないと思うのでありますから、先ほど料金の問題と料金徴収期限の問題にお触れになりましたが、その点についてもう少し具体的に、一つずつ切り落していくのがいいのか、あるいは切り落すことが先ほど申し上げましたような事情で必ずしも適当でないという御意見であれば、あるいは何年間とか、切るのが必要であるか、こういう点についてもう少し御遠慮なくこの際御意見を聞かしてもらいたい。私どもはこの点については今どういうふうな処置をした方がいいかということを、正直なところ非常に苦慮しているところでありますから、金子さんも触れられましたし、橋本さんも触れられたし、ほかの方々も同じ気持でおられると思いますが、どなたでもけっこうですから、ぜひこの点については腹蔵ない御意見を聞かしてもらいたい。
  19. 橋本元三郎

    ○橋本参考人 それにつきまして私の考えを申し上げます。  有料道路は設定された区間を通る車のために作られたものでありまして、そこを通る車がその経費を負担するという建前でありますから、当然その路線ごとにペイしたならば開放すべきものであると考えます。それではいつまでたってもペイしないものは何年たっても有料道路かということでありますが、それは計画のずさんでありまして、その責任は公団並びに監督体であるところの政府の責任であるということになると思います。使う方の側から申しますと、何も自分たちは何台仲間を誘って通りましょうというわけではないのでありますし、有料として規定された料金を払って通っているわけでありますから、いつまでもいつまでも、三十年たっても五十年たっても有料制であるということは1初めから五十年間の予定として設定されたならば別でありますけれども、一応十五年とか、二十年とか、三十年とか、それより短かい期間をもって有料制を考えているとするならば、それが予定以上に非常に長く延びるということは、計画がずさんであるか、その後のやむを得ざる変動というものであろうと思うのであります。そういうものならば適当な時期に打ち切りまして、別途にその補てんを考えるということがいいんじゃないか。そうしませんと、いつまでも未完成の有料道路がやたらにふえまして、経済としても非常にまずい姿になるというふうに考えます。
  20. 小野哲

    小野参考人 私も関連いたしまして、ちょっと瀬戸山さんの御質問に私の所見を申し述べさせていただきたいと思います。  実は有料道路路線選定が大へん大切であるということに私は先ほど触れたのございますが、それと同一時に、その路線運営料金の設定とは不可分の問題だということを考える必要があるのではないかと思います。特に公団性格が、民間の資金を導入してやっていくというところに多分に企業的な性格がある。しかし企業的な性格だけではやっていけない。そこで公共的な目的が多分に加わっておるということを申し上げたのでありますが、特にこれを利用する者から考えますと、有料道路料金をいかに査定されるかということが大へん大きな問題なのであります。料金基準は、建設省の方の告示の形式になるだろうと思いますが——基準そのものはあるいは政令でお定めになるかとも思いますが、それに基いて告示が出されておる。それで、単の種類によって幾ら出すんだというふうになっておるようでありますが、具体的な事例といたしまして、たとえば三重の国道につきましては、当初設定されました料金炉高かったせいかもしれませんが、利用者が少いために料金の変更を余儀なくせられたというような事例も見受けられるようであります。こういうような点につきまして、一体料金の設定をどういうふうに持っていくかということが、公団経営の上にももちろん大きな影響がありますと同時に、利用者にとりましても多大の関心を持たざるを得ないところであります。従いまして、果して路線ごとにペイし得るかどうか、できるならばなるべく早く無料公開道路にしていただきたいのでありますが、これらに投資されました工事費その他の所要の経費を、償還するという建前になっておるわけでありますので、この辺の償還期間と料金の額をどの程度にきめるかということとが重要な関係を持つ。その場合に、何に根拠を置いて料金を定めることがよいかということが問題になるのではないかと思います。そういう意味において自動車運送事業を見ております。運輸省と有料道路を所管されておる建設省とが利用者の立場になってお考えになると同時に、将来は公団によって経営されるものとするならば、公団の、いわゆる公共企業体的な性格を加味したもので、大体いつごろになればペイできて無料公開道路にするのだという見通しをあらかじめつけた上での料金というものをお定め願って、納税者であると同時に利用者である事業者の負担につきましても、十分な配慮をしていただくことが必要ではないか、こういうような希望が各地にもあるものでございますから、関連して私の所見を申し述べておく次第であります。
  21. 平山復二郎

    ○平山参考人 今のお話は、私もやはり、建設費をペイしました後にはなるべく早く無料にすべきだと思いますが、しかしこの有料道路の問題は見込みの問題でございまして、その点非常に慎重に調査をいたしませんと間違いが起る可能性が多いのではないかと思います。公団ができまして運営しました結果、大部分路線がもしも。ペイしないようになりますれば、そういう場合に果してどうなるか。わずかのものがペイできなくて大部分のものがペイできるような情勢に発展していくならば、また問題は別になると思うのでございますが、ここに表にございますものを見ましても、大体三十年に三つ使用を開始しております。おそらくこの路線も将来の発展を予想されてのものでございましたろうと思いますが、将来の発展いかんということが有料道路には非常に重要な問題になると思うのでございまして、それだけに、よほど調査を慎重にやらないとむずかしいのではないかということが考えられるのでございます。成績の悪いのも、三十年に始めてまだ一年たっておらないのでございますから……。
  22. 金子源一郎

    金子参考人 御質問の点は、私も考えさせられた問題でございます。他の参考人の方から申されましたような、建設資金を償却することをもって無料公開とするということは、各線ごとに考えればもちろんそれが当然かとも思います。しかしながら、公団設立の建前から申しますると、それならば成績の上ったものはみな無料公開ということになってしまいまして、成績の上らないものだけしょい込むことになりますから、たちまち行き詰まってしまうだろうと存じます。この公団をほんとうに活躍せしめようとするならば、総合的にプール計算でいくこともいたし方ないと思います。ただ、そうだからといって、ドル箱になった線はいつまでもドル箱になっているということでは適当でないと存じまするので、償却後適当な期間でも指定することによりましてその限度を定めるなども一つの考え方であろうと存じます。いずれにしても、無制限に長期にわたることは乱に流れる、おそれがあると思います。
  23. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういう問題はなかなか困難な問題だと思います。先ほど橋本さんからも金子さんからもお話が出ておりましたが、例のガソリン税というものをこの道路公団資金に本年度二十億、これはこの法律にも響いてありますように、補助金ということでやっておりますが、この予算編成のときに実は非常に問題になりました。御承知道路整備費財源等に関する臨時措置法の精神に反するということで問題になったのであります。ところが、先ほどどなたかもおっしゃったように、ガソリン税を、業者と言うと失礼でありますが、事業者からとって、そうしてその事業者がさらにそれによって作った道路にまた料金を払う、こういう不合理な点も指摘されましたが、これを私どもの党といたしましてあえて承認しておりますのは、これも非常に矛盾と申すとおかしいのでありますが、関連があるのでありまして、ただ道路を作ってペイしさえすればいいのだというような考えでいきますと、先ほど小野さんからもお話がありましたように、利用する人の料金の問題に非常に触れて参ります。そして今プール計算の問題も出ておりますように、なかなか見込み違いで——これは今の見込みで申し上げるのではありません。今お話がありましたように、これはまだ始まったばかりでありますから、将来十年、二十年たってみなければ、ほんとうの成績というものはわからないのでありますが、一応そういうことを予想いたしまして、料金はできるだけ安い方がよいにきまっております。ほんとうは無料が一番いいのでありますが、これは必要にしてしかも資金が足らないからこういう制度をとろうということにいたしておりますのでやむを得ない処置であります。そこでそういう料金をできるだけ安くする、あるいは。ペイしないでもできてくる、そういう場合のことも一応考えまして、ガソリン税を、もう一つ法律の趣旨に多少沿わないけれども、公団資金と申しますか、償還を要しない補助金として一応認めておるわけであります。先ほど橋本さんは、この点はちょっと理解に苦しむというお話でありましたが、現行法では、御承知のように何条でありましたか、特定道路制度は償還を要する道路だけだ、こういうふうな条項が入っておりますが、今度の条項にはそれが入っておりません。というのは、必ず償還財源だけでやるということになると、結局料金の問題に非常に触れてきますので、少しばかり償還を要しない財源を入れるという通を開くためにああいうふうにいたしておるのが立法の趣旨のようであります。そこで私がこうやってくどくお尋ねするのは、この点に非常に悩んでおるからであります。皆さんのお答えでも、これはなかなか悩みがあると思いますが、これを法律によって——現在の法律でも、何もこれはいつまでもとれという趣旨で立法されて偏るようでもありません。まあ建設大臣が監督をして、料金徴収期間を許可いたしますが、場合によっては延ばさせる。それについては善良な国民に親切な気持で善処するという建前でやっておるわけでありますが、それを行政的にまかせておいていいかどうかの問題であります。たとえば少くとも最大一年とか二年とかいう期限法律で切った方がいいかどうかということについて皆さんの率直な御意見を聞いておるわけです。この点はどうでしょうか。
  24. 橋本元三郎

    ○橋本参考人 一つ、二つさかのぼりますけれども、有料道路を設定するための区間は、おそらく交通量が多くて、迂回していることが非常に不便であるから、ショート・カットを作れば、そこを利用する人たちが多いに違いないということでおやりになるのですから、最初から。ペイしない、二割、三割でやるということは調査がまだ足りなかったのではないかということは、だれからもすぐ指摘されるだろうと思います。お客さんがたくさんいるのに、開店早々お客さんが来ないというような考へ方はちょっと解せない。有料道路をわざわざ民間資金運用して作るのに、それが五年、十年先になってお客がつくだろうということを待つほど、日本の経済に余裕はないと思う。行き詰まっているので、政府の金が足りないから、ぜひ民間の金を借りてでも何とかやりたいというところが、開店早々閑散であるというようなことは、ちょっと考えがたいことだろうと思います。それで、ただ制度ができたので今年からでもすぐやらなければならないというので、仕事に追われて目見当で出発したりするとそういうことがあるかもしれません。けれども、実際そこを毎日通過しておる諸車に対して適当な調査をする、こういう近道ができたらどれくらい利用するだろうかということを調査するのは機械的の手続なのであります。それを少くとも一年なり半年なりあるいは三月なりやるならば、開店早々二割か三割くらいの予定収入しかないというようなことはおそらく考えられないと思います。ただし料金が法外に高いためにお家がつかないというようなことはございますけれども、あらかじめその料金というものは一応示されるだろうと思います。ただ料金は、今までは砂利道路で迂回しておったわけで甲から乙に至るまでに走行費が三百円かかったのが、今度は近道でコンクリート道路だから百円で済むというようなことは計画上は明らか。ありますから、料金もあらかじめ提示されるものだと思います。だからその調査に当りまして、調査期間中は一口に三百台も通るような調査結果を得た炉、ふたをあけてみたら百台しか通らないというようなことは考えられない。そういうようなことから考えまして、成績が上らないで長く道路を引きずつていくというようなことは尋常な仕事の進め方では考えられないことだと思うのであります。しかし何かそのとき考えられなかった特別な事情がありまして通行量が減ったとか、あるいは迂回道の方を通過することが有利であるような産業条件、経済条件が発生したために客が散るというようなことはあると思います。それで先ほど申し上げましたように、国家の全体計画道路計画には、どこの道路が最も輻湊しておるか、どこを先に打開しなければならぬかということは、明らかに台帳に掲げてあるわけでありますから、そういうようなところから順に着手すれば二割か三割の予定収入しかないというようなことにはおそらくならないのじゃないか、こういうふうな考え方であります。それで区間設定に対しましては、基本計画の上から有料道路にすることが有利であるというところを拾っていただいて、それと同時に基本計画が進み、そうして、ボロ網を一部新しい糸で二、三寸縫ったというようなことにならないように、客足もつくようにということを申し上げたいわけであります。  それからプール制の問題でありますが、プール制は有料道路においては原則的に成立しないという考えを私は持っております。単独に路線ごとに進めるべきものであろうと思います。そういうような初めからペイしないような道路は手をつけないはずであるというのが私の強い考えでありますので、そういうことを申し上げるわけであります。
  25. 金子源一郎

    金子参考人 ただいま期限でもつけたらというお話がございましたが、私も何らかの期限をつけたらよいのじゃないかと思う。一年、二年ということはどうかと思いますが、このプール計算を認めた以上は相当期限を付してもよいのじゃないか、しかしいつまでも切りのないことはいけないのじゃないか、こういうふうに思っております。もう少し長くてもよいのじゃないかという意見でございます。  なお、ただいまの橋本さんのお話の中で私の実際に見て気づいた点がありますので、ちょっと申し上げたいと思うのですが、この選定個所が、今までのものは成績が上っておらない、選定をある意味においては誤まっているかもしれませんが、必ずしも誤まっているとも思えないのであります。これはちょっとむずかしいところなんですが、私が見ましたこれらの線のうち数カ所はアプローチができておれば繁盛するのです。せっかく橋はかかりたが、そのアプローチが十分でないのです。そういうと、今度は橋ができていないのに、アプローチが今までによくなっているという例がないのです。これはイタチごっこでございまして、橋も通れないのにそのアプローチがよくなるということもないのです。そういうところから、一般公共事業の費用をつぎ込んで今日までその準備をしておくことがなかなか困難だ。橋が開設されると、アプローチがまたよくなってくる。こういうようなわけで、橋が開設された、アプローチが急速度でよくなりつつある、従ってその成績は、その完成を待つと急激に上るであろう、こういうことが予想されるので、その運営はなかなかむずかしいとは思いますが、将来成績は必ずしもこの程度で終るものではなく、適当な時期に急速に上る。できればそういうふうにすべての準備が、付近のアプローチその他の準備が完了した後に、公団有料道路としてまとまった金の要るところはやるようにあとで回っていくようになれば、公団としては都合がいいと思います。しかしなかなかそうばかりもいかないのが実情じゃないかと思うのです。ですから公団の立場もよほど寛大に考えて、設けられた以上はその通常ができるようにやらなければいけないと思っております。  ちょっと私用がありまして、これで失礼いたします。
  26. 小野哲

    小野参考人 瀬戸山さんの御意見の中に、ガソリン税の問題にお触れになったのですが、瀬戸山さんもこれが適当ではないというお考えのもとの御意見ではないかと思うのです。ガソリン税が年々歳々自然増収が多くなっておるということは認められるわけでありますが、先ほど私が公述の中で指摘いたしましたように、補助金をこのガソリン税収入財源に依存するという行き方は再検討を願いたい、こういうふうに申し上げたのであります。  それから公団管理する有料道路につきましての収支その他の問題でありますが、国有鉄道のごとく全国的な鉄道網を持っておりますようなところでは、不採算線でも地方の産業開発のためにやむを得ずやらなければならない。そのために特定の財源に依存するということは考え得るし、また現にやっておるのでありますが、これも国の要請によって国鉄自身の経営からいうならば赤字になるのだというところは、やはり一般会計から建設財源を支出すべきじゃないか、こう思う。特に公団はまだこれから発足しようとするもので、既設路線も十三路線程度であるし、現に工事施行中のもの十六路線のように承わっておりますが、そういうふうな公団の規模あるいは内容等から考えますと、国鉄のように全国的な規模なりあるいは鉄道網を持っておるようなものの経営と同じようには考えられない。従ってプールでやっていくということの時期は、まだそこまで来ておらないのじゃないか。従って路線選定等については慎重な考え方のもとに研究を要するということを、私は公述の中にも実は触れておるような次第でございます。
  27. 三鍋義三

    ○三鍋委員 各参考人におかれましては非常な貴重な御意見を開陳下さいまして、私たちは非常に参考にすることが多かったことをまず厚くお礼を申し上げます。  私はきのうもこの委員会におきましてこの二法案についての私の所見を、また疑問点をただしたのでございますけれども、私、今問題となっておる有料道路というものは有料道路の観念から全然違っておるという見解を持っておるのでございます。で、あるがゆえに、多くの問題がここに内蔵されておるわけでございます。私の心配いたしましたいろいろの問題点は特に橋本参考人から指摘されておる点でございまして、私たちもひとしく懸念を持っておる問題でございます。  そこで私特に橋本参考人にお尋ねしたいのは、あなたはこの二法案を心から賛成しておられるのか。現在の日本の情勢下においてはやむを得ない法案である、このようにお考えになるのか。あるいはおれだったらこういうやり方で日本のおくれたところの道路整備をやってみたいといった何か御構想がおありでございましょうか。この点につきまして御答弁をお願いいたしたい。
  28. 橋本元三郎

    ○橋本参考人 お答えをいたします。本案の成立に対しましては、私は先ほど申し上げましたように、原則的には賛成でございます。それは国家予算が今日急を要する道路整備を行うほど支出されませんので、若干でもそれを進める意味において民間の資金を動員する。そして最も産業経済上の基本設備となる道路網を一日も早くよくするという方に進めようとするこの法案の意向には賛成でありますけれども、先ほど申し上げましたように、そこへ差し上げましたようなパンフレットの諸点につきましては、心配をしたり、疑念を持ったりあるいは希望を持ったりしております。そういうところをお含みの上で御審議を願い、また運用されんことを望むのであります。特に今日交通網が大へん大きい問題でありまして、陸海空をひっくるめての日本の交通政策の骨格をはっきり作らなければならないというような時期に来ておるようでありますから、公団というものは有料道路についてはそういう大綱を乱すようなちょこまかなやり方はしないで、そういう大きな筋に乗った一部分として振り当てた役割で活動するようにということを一希望するのであります。
  29. 三鍋義三

    ○三鍋委員 もう一点お尋ねしておきたいのでありますが、あなたが道路行政をまかせられたら、こういった面でもう少しすみやかに国民の要望にこたえたいといった何かそういう抱負が道路整備計画についておありかどうか。もしおありだったらここで参考にお聞かせを願いたい。
  30. 橋本元三郎

    ○橋本参考人 私はそういう大それたことは考えておりませんが、この間中鮎川道路調査会におきまして、そういう日本の道路整備ということの勉強をさせられたものでありまして、それを通じての感想を申し上げますと、鮎川構想は、現在日本の大小百万キロの道路のうち三十万キロの道路は自動車が通行可能である。しかしその中の三万キロというものは中でも大事な道路であるが、中のわずかに数十キロが舗装を施してあるのみで、これはあとの方は日本の産業経済にとって非常に不経済な道路であるということが、いろいろの資料によりまして、またそれに関係する人たちの意見を総合しまして出ておるわけであります。そういうものをこそ、つまり自分たちが毎日々女優っておる道路の万を先に整備することが先決である。自分の住んでおる家が雨が漏ったり、壁が破れたり、風が通ったりしておるのをよそにして、別に離れの部屋を新しく作ろうという考えは早いのじゃないか。まず自分たちが日常使っている道路整備して、ここで経済生活を安定する、増強するということを考えよう、こういうような考え方にのっとる計画に私が手伝いをさせられまして、そういうことはほんとうだと思っております。そういう、考えから申しまして、今日いろいろの新しい構想による道路計画ができて曲るのでありますけれども、それも一々みな相当の理由がありまして提案されておるようでありますから、そういう道路の考え方をこの際全部整頓をして、日本の十年、二十年、三十年先になってもあまり疑惑を生じない、はっきりした道路計画というものをお作りになる、おそらくそれは役所で、たとえば交通審議会のようなものを拡大強化して、一年も二年もかかって、大枚の金を投じて、知識を動員しておやりになればできるだろうと思いますけれども、そういうもので日本の道路計画でもお作りになって、現在まで提案されておるいろいろの道路を一応それぞれの役割につけて、早過ぎるものは押える、そういうようなことを権威ある筋で明確に不動の準備というものをしなければ、ただ甲論乙駁ではいつまでたっても国会の方も悩まされるでしょうし、われわれ道路計画にいろいろ参画するものも、言ってみてものれんに腕押しで何にもならないということで、ただ言葉の花をにぎやかにして、知識を安売りして歩くというようなことだけしかなりませんので、そういうことに対しまして三鍋先生方も国家計画をさっさと作らなければならぬという方に大いに腕を振ってお進め願いたいと思います。
  31. 徳安實藏

    徳安委員長 前田榮之助君。
  32. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 時間が経過いたしたようでございますので、ごく簡単にお尋ね申し上げます。参考人方々は今日は大ん御苦労様でございますが、お話をいろいろ承わりまして、御意見のほどは私の同感のことのみといってい、いくらいに、非常に参考になる意見だったのであります。ただその中で一、二お尋ね申し上げておきたいのは、有料道路の問題で、最近自動車が非常に数を増しまして、その自動車のためにいやでもおうでも現状では過ごせないから、道路整備をやらなければならぬ。こういうものと、それから今日の輸送の関係が自動車に非常に比重が加わって参りまして、そういう関係から工事に非常に金がかかる道路が必要になる。従ってそれに伴うて民間資金の投入その他の関係でこういう公団が必要になったという点とがあるのでありますが、前の点ではたとえば東京とか大阪、こういうところは現状の平面交差では交通を処理できないようになることは火を見るよりも明らかで、現在でも数カ所はそういう実情なんです。これらを立体交差にして処理しなければならない、アメリカ等で現在やっておるようにやらなければならぬ、これをやるのにはどうしても有料制をしくのが一番よいということになろうと思うのでございます。そういうことは公共性の問題になりますといろいろな問題が加わりますが、これはある意味では公団のようなものでなしに民間の株式会社でもやってやれぬことはないのではないかということも想像ができるのであります。そういう点、つまり公団以外の方法でやれるものをどうお考えになっておるか、これは小野先生でもよし橋本先生でもよし、御意見があったらお聞かせを願いたいのであります。  それからもう一つは、受益者負担の説が金子先生から出たのでございますが、金子先生はお帰りになりましたから橋本先生でもよろしゅうございますが、受益者負担ということも一応の考えではございますが、道路に関する限りは、ことに有料道路という制度の上に立つと、受益者負担という受益者負担にもいろいろありますが、沿道の地価が上ったために、というようなことは考えない方がいいじゃないか。橋本先生は計画を正しくしなければならないと言われるのであります。計画はもちろん正しくして、何年間にはペイができるようなことによって工事にかかるということは必要であると思いますが、そういう点で受益者に依存する考え方はやめたがいいと思うのですが、この点いかにお考えになるでしょうか。  それから最後にもう一つお尋ねを申し上げるのは、これは小野先生にお尋ね申し上げますが、運輸大臣建設大臣が合議をしてやれということであります。この法律にはそうなっておらないのでありますが、この法律にそうなっておらないところは、どこにこの法律の立案をした基本条件があるかということになろうと思います。これはすなわち鉄道交通を行う。つまりレールを敷いた上に立っている。それから従来日本の道路は人間が歩くということ、車であるならば大八車を引くくらいの考えで道を作っておったという考えから、だんだん今の道路に発展して、大八車からトラック、乗用車というように発展したから、そこで今の道路は昔の、人間が歩く道と変ったわけであります。そこで最近起った問題は縦貫高速度自動車道路、これは全然人間の歩くことはその中に入っておらない。ことに普通の大八車やその他の車、自転車等も通ることはできない。ただ自動車専用であります。自動車専用はちょうど鉄道で言うならレールを敷いた上に機関車や客車が通るのと同じ性格になっておると思うのであります。それでこの自動車専用道路については建設省所管にするかあるいは運輸省所管にするかという問題さえこれは問題になると思う。そこに今度の道路公団法に基く有料道路というものが、道路整備五カ年計画との関連を持つ運輸大臣との合議というふうにこの法律の中に入っておらない意味がひそんでおると思う。そこに小野先生は一つの不満を持っておられるのじゃないかと思うのですが、その点もう少し先生の忌憚のない御意見を聞かしていただいたらどうか、以上の三点であります。
  33. 小野哲

    小野参考人 ただいま御質問の第一点は、道路運営公団のような組織でやるばかりではなしに、株式組織下やってはどうか、この点についてどう思うか、こういうような御質疑だと思いますが、これは私はいろいろの考え方ができるかと思います。たとえば盾路を自動車の専用に供するという意味で、いわゆる自動車専用道路という性格でやりました例はイタリア等にもあるようであります。また都市内で交通が非常に輻湊している場合に、特定の区間に高速高架の道路建設するということで、現に東京にもその例があるように聞いております。今回の公団の思想は、公共事業をやっていきますめに従来からとられております方式一つの例ではないかと思います。これは公私混合経済方式と申しますか、公の資本も入っておるしまた民間の資本も入っておる方法によってこの種公共事業をやっていく、これは電気、ガス事業等にはすでにあるわけなのであります。しかし必ずしも公団によらないで、あるいは地方公共団体の公営ということがわが国では実は従来とられておりましたので、公団方式はいわばわが国の従来とって参りました道路経営方式に関する特例措置である、こういうふうに私は、考えたいのであります。株式組織でやるということになりますと——公共事業を株式組織でやってはならないという理屈はないわけでありますので、理論的には私は肯定ができるかと思います。ただ有料道路に関しましては株式組織でやりますと企業性の方の性格が強く表に現われて参りますために、この公団の今考えられておりますような方向とはやや違った形で現われてくるのではないか。たとえば料金等の点につきまして、償還期間その他の関係公団の方といたしましてはある程度一定の有料道路計画のもとにこれを遂行していくために、欠損の場合において、国から何らかの意味において公団経営が成り立つような援助をするという方式がとられておるようでありますが、もしこれを単なる株式組織にいたしますと、特に国が何らかの補助制度——これは従来地方鉄道等においても行われておったのでありますが、一定の収益が会社の事業経営を維持するに足りない、いわゆる赤字を出したというふうな場合に特定な算定率によって補助した例はございます。あるいは建設補助というような考え方もあるわけでありますが、そういうふうな、国が特別の助成方法を考究する場合において、これに有料道路として利用する国民の負担その他を考え合せて有料道路として運営が可能であるという限度において株式組織でやっていけるというならば、これも一つの考え方ではないかと思われますが、私の考え方といたしましては、公共事業特に道路道路法に基いた道路一つ特例措置でありますので、やはり特殊な法人の性格を与えていくということが今日のところでは必要ではないか。ただ終戦後やたらに公団方式がとられた例もありますので、公団方式によってその公団運営をやろうということは、先ほど参考人からも御指摘がございましたが、よほど慎重な考慮を払っていきませんと所期の目的を達成しにくい場合が起るおそれがあると思うのでありまして、最近は林道の公団方式であるとかあるいは原子力関係公団方式であるとか、また公団が少しはやってきたのではないかというふうに思いますが、私は私の過去における体験から申しまして、この点については十分協力をして、もし作るならば公団が十分にその機能を発揮し得るように持っていく必要があるのではないか、かように考えておるのであります。  それから次の路線選定等につきまして運輸大臣と協議をするあるいは意見を聞くという方法をとることについてお前はどう思うか、こういう御質問でございますが、私は先ほど内海さんでございましたかの御質問にもお答え申し上げましたように、公団というものは文化の交流はもちろん産業開発等と密接な関係があるという意味においての交通政策という見地から道路政策を考えていかなければならない。国が一定の道路計画を立てましてやっていくということは、これはとりもなおさず広い意味での交通政策一環でなければならない。そして交通機関につきましては運輸大臣がその監督指導の立場にあるわけでありまするが、同時に道路計画の遂行につきましても密接な関係に置かれておるものと私は考えるのであります。そういう意味において運輸建設両得がきわめて密接な協力、お互いに力を合わせるという関係において道路計画の遂行をやっていただきたい、かように考えております。またこの有料道路路線選定料金の問題とやはり深い関係を持っておりまして、近代的な道路は主として自動車等の車両を対象として作られなければなりません関係有料道路特別措置法の趣旨から申しましても、自動車を使っておる者は、近道であるとかトンネルであるとか橋梁であるとかいうものを利用する場合が非常に多いのであります。事業経営の上から考えましていかなる料金が設定されるか、またその路線選定のし工合によりましては相当高い料金をとらなければペイしないというものもございましょうし、いろいろ経営面からも問題があろうかと思います。従って交通運輸を所管しておる行政庁と道路を所管しておる行政庁とは、さような意味合いからもよく相談をなさった上でおきめになるということがよいのではないか、われわれ自動車事業経営しておる者の立場からもぜひさようにお願いしたいということを申し上げておるような次第でございます。  最後にお触れになりました自動車の専用に供するための道路につきましての問題でございますが、これは実は古い時代から問題があったわけでありまして、昭和の初めごろに当時の内務省におきましては、自動車専用道路道路である、かような考え方であり、当時の鉄道省におきましては、自動車のみの専用に供する通路というものは、いわば鉄道と同じようにやはりこれは一つ交通施設として考えなければならぬというので、なかなか白熱した議論があったわけであります。今日では道路運送法によりまして、一般自動車道及び自動車事業というものが認められておりまして、これによって自動車の専用に供するために、一般にこれを開放する、一般に供用するというふうなものは、自動車道事業という観念でいこうということになっておるわけでありまして、そこにおのずから現行制度の上においては、はっきりとしたけじめがついておるわけでありますので、従って縦貫自動車道、先ほど御指摘のありましたのは、あるいは国土開発縦貫自動車道ではないかと思いますが、あの縦貫自動車道の基本法規も道路運送法による一般自動車道、その上でその自動車道を事業として経営する場合は、自動車道事業ということに相なっておるように私は聞いておるわけでございます。これらの問題につきましても、いろいろ官庁の所管の問題がありますので、私からここであまり微に入り細をうがって申し上げることを差し控えたいと思っております。この辺で私のお答えを終りたいと思います。
  34. 松澤雄藏

    ○松澤委員 あとから参りましたので、あるいは御説明の中にあったかと思いますが、時間も非常に経過しておりますので一言だけお教えを願いたいと思いますが橋本参考人小野さんにお尋ねしたいと思います。と申しますのは、今のお話の中にもありましたように、終戦後は非常に公団とかいうものがふえて参りました。これに対しましてわれわれも将来に関しまして一応心配をいたしておるような点も多々あるわけでございます。その一つといたしまして、特に道路公団等におきましては、先ほどから盛んに各委員の各位と参考人の各位との間のお話し合いがございましたが、どうしてもある程度の採算が合わなければいけない、あるいは経済効果というものが生まれてこなければいけないのだ、こういうふうなお話でございます。また反面においては、総合的な交通政策一環であるというふうなお話もありましたが、現実的な面からいきまして、どうしてもある程度の採算が合わなければならぬ、こういうふうに話し合いはなっておったようであります。そうなって参りますと、現在わが日本の国民全体がある程度まで心配しておるのは、どうしてもすべてが都市中心主義になるのではないか、一方的な発達のみいたしまして、国の経済というもののバランスが、一体国民所得に関しましても、平均のバランスがかりに向上しましても、個々の国民のバランスというものはどうなるのかというふうな点をも加味いたしまして、この都市中心主義のあらゆる点に対しまして心配をいたしておるような次第でございます。そういう方面から考えていった場合に、先ほどのプール計算やいろいろなことがありまするが、特に橋本さんは、多分この点だろうと私は想像いたしましたが、基本的なる道路計画というものの線に沿うてそれを実行するようにしなくてはならぬ、こういうふうにお話をなさっておったようであります。非常にごもっともであると存じましたが、もう少しくその点を具体的に、あるいはもう一度御説明願えればと、かように思うわけであります。この点がもしも五年、十年というふうになって参りますと、どうしてもこれはいやおうなしに今の目的からいきましても、さような結果を生んできます。これは住宅公団というような面におきましても、これに即したような傾向が多分に出て参ります。こういう点から一体この矛盾というものを将来どうすれば解決できるか。基本計画というものがございまするが、採算の点からいき出ますると、その基本計画の遂行というものに、この道路公団の面を当てはめて持ってくるというふうなことがどうしてもできない場合も相当生まれてくるのではなかろうか、かようにも考えますので、この点だけ一言、時間も非常に進んでおりますのでお聞きいたしたい、かように存じます。
  35. 橋本元三郎

    ○橋本参考人 お答えいたします。基本計画に沿うて、その振られた役割について公団が活用されるように希望しますということを申し上げまして、その基本計画と申しますのは、現在ならば進行中の五ヵ年計画でございますが、それが一年たちますと切れまして、その後に何年計画というように、もっと国民の要望に基く大規模な計画が一応構想されるものだと思うのであります。その中でも有料道路に適する区間というところが一応選定されるであろうと思います。その基本計画というものは、なかなか国家予算炉伴わないために、構想の何分の一ということしか実行されないだろうと思われますので、そういう場合において、それを補足する意味において公団の働くべき区間がたくさん出てくる。しかもそれはペイするに違いない。またペイしないようなところだったら、有料道路を発動する理由がない。有料道路料金によって工事費を償還するということを建前としているものでありますから、そういう償還のできないところにどうして有料道路選定するかまあ理屈の上でございます、理屈の上では、それは二、三年はどうとか何とかいうこともありましょうけれども、ペイするところをやるのが有料道路の建前でありますから、基本計画としては一斉に三十キロあしたのうちにもやりたい。しかしできないから、できるだけの方法で、基本計画はあえぎながら国民の要請を追っかけているわけであります。そうすればこの公団の働くべき有料道路も、そのやりたい、やりたいと思っている中で、ペイするところをおやりになる。もしペイするところがないということになれば、公団任務を尽し、もう閉鎖すべきである。しかしこの料金だけが実際は道路の利益ではなくして、実に多面的な国民経済に与える影響が大きいものでありますから、ただ料金でペイしないから公団が失敗したということはいえないだろうと思うのであります。そういうもの全部、この公団の作った道路炉いかに国民経済に寄与したか、その中の何%を料金として取り上げたかということが慎重に計算されま表して、面上料金の上では欠損であるけれども、産業経済上に与えたものははるかにそれを上回るということがわかれば、取り上げない、半分しか取らないうちに公開してもちっとも惜しくないということも考えられます。そういうことで、ああいう公開が、ペイに追われたり、そのために沿線の敷地を住宅地として高く売ってやって頭をはねようとしたり、そういうことに頭を使わないで道路整備専心に公団が働かれていくように望みたいのであります。
  36. 小野哲

    小野参考人 私の名前も出ておりましたので、簡単に申し上げますが、大体ただいまお述べになりましたのと似たような考えを持っております。私の説明の中にもございましたように、公団任務限界というものをやはり考えつつ、公団の機能の発揮をしていただくことがよいのではないか、やはり公団企業採算ということも考えなければなりませんか、同時に国としての計画の中で公団がどの点を引き受けてやることが妥当であるか、そこに路線選定の問題がありますのと、料金を設定いたしますのも、利用者の負担力というものの限度がどこだ、そういうふうな利益を受ける限度というその範囲内における料金決定等も考えなければなりませんので、そういう点についての運営につきましては十分な配慮を必要とするのではないかかように考えております。
  37. 徳安實藏

    徳安委員長 参考人に申し上げます。大へん長時間貴重な御意見を述べていただきましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。   この際お諮りいたします。ただいま、地方行政喜委員会審査中の地方税法の  一部を改正する法律案は当委員会にも関連がありますので、連合審査の申し入れをいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします     午後零時五十一分散会