運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1956-08-23 第24回国会 衆議院 決算委員会 第43号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年八月二十三日(木曜日) 午後一時二十一分
開議
出席委員
委員長
上林與市郎
君
理事
生田 宏一君
理事
田中
彰治君
理事
山本
猛夫君
理事
本名
武君
理事
吉田
賢一
君 臼井 莊一君 櫻内 義雄君
松岡
松平
君
神近
市子
君
田中幾三郎
君
細田
綱吉
君
森本
靖君
山田
長司
君
吉川
兼光
君
委員外
の
出席者
検 事 (
刑事局長
)
井本
臺吉君
農林事務官
(
事務次官
)
清井
正君
農林事務官
(
農林経済局
長) 渡部
伍良
君
農林事務官
(
農林経済局農
政課長
) 保坂 信男君
農林事務官
(
農林経済局農
業保険課長
)
丹羽雅次郎
君
農林事務官
(
農地局長
)
安田善一郎
君
会計検査院長
東谷傳次郎
君
会計検査院事
務総局次長
小峰
保榮
君
会計検査院事務
官 (第四
局長
) 中川 薫君 専 門 員 黒田 久太君
—————————————
六月十三日
委員足鹿覚
君、
佐竹新市
君、
中村高
一君、
細田
綱吉
君、
矢尾喜三郎
君、
八百板正
君及び
山田長
司君
辞任
につき、その
補欠
として
吉川兼光
君、
坂本泰良
君、
吉田賢一
君、
原彪
君、楯兼
次郎
君、
片島
港君及び
神近市子
君が
議長
の
指名
で委 員に選任された。 七月九日
委員赤澤正道
君、
松岡松平
君及び
山本正一
君辞 任につき、その
補欠
として
池田正之輔君
、
渡邊
良夫
君及び
菊池義郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選 任された。 同日
委員池田正之輔君
、
渡邊良夫
君及び
菊池義郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
赤澤正道
君、
松岡
松平
君及び
山本正一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選 任された。 同月十一日
委員吉田賢一
君
辞任
につき、その
補欠
として片
山哲
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十二日
委員楯
兼
次郎
君
辞任
につき、その
補欠
として吉
田賢一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十三日
委員吉川兼光
君
辞任
につき、その
補欠
として細
田綱吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員細田綱吉
君
辞任
につき、その
補欠
として吉
川兼光
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十三日
委員山本正一
君
辞任
につき、その
補欠
として池
田正之輔君
が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員池田正之輔君辞任
につき、その
補欠
として
山本正一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 八月二十三日
委員片島
港君、
片山哲
君、
原彪
君及び
坂本泰良
君
辞任
につき、その
補欠
として
田中幾三郎
君、
山田長司
君、
細田綱吉
君及び
森本靖
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
理事池田清志
君、
山田長司
君及び
佐竹新市
君六 月十三日
委員辞任
につき、その
補欠
として
關谷
勝利
君、坂本奉良君及び
吉田賢一
君が
理事
に当 選した。 同日
理事山本正一
君七月九日
委員辞任
につき、その
補欠
として
本名武
君が
理事
に当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の互選
参考人出頭要求
に関する件
歳入歳出
の
実況
(
農業災害補償関係
の
経理
)に 関する件
—————————————
上林與市郎
1
○
上林委員長
これより
会議
を開きます。 本日の
日程
に入ります前に
理事
の
補欠選任
につきましてお諮りいたします。すなわち
理事池田清志
君、
佐竹新市
君及び
山田長司
君が去る六月十三日に、また同じく
山本正一
君が七月九日にそれぞれ
委員
を
辞任
せられましたので、
理事
が四名欠員となっております。つきましては、これが
補欠選任
を行わねばなりませんが、前例によりまして選挙の
手続
を省略して、
委員長
において
指名
するに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上林與市郎
2
○
上林委員長
御
異議
なしと認めます。 それでは
理事
に
關谷勝利
君、
本名武
君、
吉田賢一
君及び
坂本泰良
君を
指名
いたします。
—————————————
上林與市郎
3
○
上林委員長
次にお諮りいたします。
歳入歳出
の
実況
(
佐久間ダム電源開発
)に関する件につきまして、去る七月現地に
委員
を派遣して
調査
を行なって参ったのでありますが、去る十三日及び本日の
理事会
で御
協議
を願いました結果、さらに
電源開発株式会社総裁——
これはまだ
決定
していないようですが、
決定
いたしましたら新
総裁
を、同じく前副
総裁藤井崇治
君及び
総務部長岡部邦生
君の三名を
参考人
として当
委員会
に招致し、実情を聴取いたしたいと存じます。また
日時
につきましては、
委員長
及び
理事
に御一任願いたいと存じますが、これに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上林與市郎
4
○
上林委員長
御
異議
なしと認め、さよう決しました。
—————————————
上林與市郎
5
○
上林委員長
それでは
日程
に入ります。
歳入歳出
の
実況
(
農業災害補償関係
の
経理
)に関する件につきまして
調査
を進めます。
多久
島
事件
としてしばしば報道されておりました
通り
、
農業災害補償関係
の
経理
につきまして相当以前より問題があったやに聞き及んでおりますが、
国民
の血税の
使途
につきまして厳重な監視を続けて参りました当
委員会
としましては、
事件
の実態を把握して国費の乱費を厳に戒め、もって
国民
の負託にこたえんとするものであります。 それではまず
政府当局
より
事件
の
経過
、またこれに対してとった
処置等
につきまして
説明
を聴取いたします。
農林省清井事務次官
の御発言を願います。
清井正
6
○
清井説明員
私
農林事務次官
の
清井
でございます。今回の御
調査
にかかります多
久島貞信
の
不正事件
に関して御
説明
申し上げる前に言申し上げたいと思います。今回の
事件
に関連いたしまして、
一般
の
社会全般
に対しまして非常な悪影響を与え、なお私
ども国家公務員
につきまして
一般
から非常な不信の念を抱かすような
事態
に至りましたことにつきまして、また重ねて本
委員会
におきまして
委員長
初め各
委員
の
調査
をわずらわすような
事態
を引き起しましたことにつきましては、まことに申しわけない次第でございまして、私
農林省
の
事務当局首脳
といたしまして、皆様に対しまして厚く
おわび
を申し上げる次第でございます。これ一重に私
ども事務当局首脳
の不徳、
事務監督
の十分ならざることに由来する点でございまして、まことに申しわけない次第でございまして、重ねて
おわび
をいたす次第であります。 それではただいまから御
説明
申し上げますが、
本件
につきましては
目下多久
島が拘留中でありまして、さらに
関係書類
が最近まで
警視庁
に
提出
中でありましたために、事実について不明の点があるのでございますが、今日までに判明いたしました事実の
概要
について申し上げたいと思います。 まず
農林経済局
の
農業保険課
におきまして
農業共済団体
に
交付
すべき
事務費国庫負担金
及び
補助金
の
交付
に関する
事務
を直接担当いたしておりました
農林事務官
多
久島貞信
、これは
団体班
の
団体事務費
の係員でありますが、この多
久島貞信
がその地位を乱用いたしまして、
茨城
県
農業共済組合連合会
の一部
役職員
及び外部の
関係者
と共謀いたしまして、
上司
を欺罔し、
茨城
県
共済連
に
交付
すべき額以上の
事務費負担金
の
支出
を行なわしめ、これを騙取したものでございます。
農業共済団体
の
事務費国庫負担金
は、
農業共済団体
の運営に必要な
役職員
の
給料手当
及び旅費、
事務諸費
、
会議費等事務執行
に必要な
経費
を、
農業災害補償法
第十四条の規定に基き毎
会計年度予算
の範囲内で国が負担しておるのでございます。従いまして、この
事務費負担金
は
災害
に応じて支払われるところの再
保険
あるいは
保険金
、
共済金
とは
関係
がないのでございます。この
事務費負担金
の
交付
の
手続
は、
農業共済団体事務費国庫負担金交付規則
というものがございまして、この
規則
の定める
手続
に従いまして、
財政法
、
会計法
、
予算決算
及び
会計令等
の
一般
の
会計法規
の定めるところによって行われておるのであります。改正前の
農業共済団体事務費国庫負担金交付規則
によりますと、毎
会計年度組合分
については、
都道府県知事
と
農業共済組合連合会長
が
協議
の上、そのいずれかが
申請者
となりまして、また
連合会分
につきましては、
連合会長
が
申請者
となり
農林大臣あて交付申請
をなし、
農林大臣
はこれを受理し、その
内容
を審査して
交付指令
を発し、これに基き必要な
支出
を行なっていたのであります。この場合において、
農林省
は
都道府県知事
に対し、毎
会計年度
当初
当該年度
において
農業共済組合
及び同
連合会
の
交付
を受けるべき額の
内示
を行なっていたのであります。
多久
島は、
茨城
県
共済連
の一部の
役職員
、すなわち
加倉井会長
、
大津経理課長
、
薗部経理課員
及び部外の
関係者
、
玉江紙製品工業株式会社社長江黒義男
と共謀をいたしまして、同
共済連
の名をもって同
共済連
に
交付
すべき
額目
上の
申請書
を
提出
させ、これに基き
交付指令
原議を
作成
し、
前記申請書
は正当なものであって国はその
申請通り事務費負担金
を
交付
しなければならないもののように装いをいたしまして、直接の
上司
を欺罔し、それにより
関係上司
に誤信させ、所要の
決裁
をなさしめて、これにより
当該申請額
が
国庫
から
茨城
県
共済連あて
に
送金
され、同
共済連——経理課長
でありますが、
受領
をして騙取したものと思われるのであります。
不正支出
となりました額は、
昭和
二十九年度において千二百六万一千円、
昭和
三十年度において四千七百八十四万二千円、
合計
五千九百九十万三千円となっておるのでございますが、
多久
島が本年四月
兵庫
県
共済連
に
送金
をいたしました千二百八十万六千円につきましては、
多久
島から還付せしめることに
決定
をいたしましたから、これらを差し引きました四千七百九万七千円が目下のところ実
損額
と認められるのでございます。右の騙取は、当初は
多久
島が
茨城
県
共済連関係者
から依頼され、同
共済連
の
簿外赤字
を填補するために行なったもののようでございますが
昭和
二十九年度及び三十年度を通じて騙取額の
総額
についてみますと、その大部分は
多久
島の
事業資金等
に充て、一部が
茨城
県
共済組合連合会加倉井会長
、
大津経理課長
により、
茨城
県
共済連
の
簿外赤字
の
補てん資金等
に充当された結果になっている模様でございます。上記の不正事実は
昭和
三十一年五月十四日
兵庫
県
共済連
の申し入れより、
兵庫
県
共済連
に
交付
すべき三十年度第四四半期の
組合事務費
が未
交付
となっているにかかわらず、
予算残額
は
当該夫交付額
を下回っていることが判明いたしたため、
関係帳簿
について
調査
を開始し、五月二十四日に至り
茨城
県
共済連
に対する
不正超過交付
の
疑い
が濃くなったため、五月二十五日当時欠勤中の
多久
島の
出頭
を求め、
同人
から
事情
を聴取いたしたのでありますが、十分に
事態
が判明しないまま翌日から
多久
島は入院した、五月二十八日
茨城
県
共済連大津経理課長
につき、五月二十九日同
加倉井会長
及び
大津経理課長
につき
事情
を聴取すると同時に、当日病院において
多久鳥
から一部の自供があったのであります。五月三十一日夜以来
東京地方検察庁
に連絡をとるとともに、六月一日から六月三日まで
茨城
県
共済連
を監査いたしたのであります。その結果不正事実のあることがほぼ確認されまして、六月五日をもって
多久
島を懲戒免職するとともに、同日
東京地方検察庁
に
告発
した次第であります。
多久
島、
大津
の両名は六月二十八日
詐欺容疑
で
起訴
され、七月五日
詐欺容疑
で追
起訴
、さらに七月十日
多久
島は
公文書偽造
の訴因の追加でございますが、
詐欺容疑
で迫
起訴
されたのであります。
薗部
は七月五日、さらに十四日、
江黒
は七月十日、
加倉井
は七月十四日、それぞれ
詐欺容疑
で
起訴
されたのであります。
政府
は今次
事件
の発生にかんがみ次のような措置を講じたのであります。まず
職員
の気分を一新し、
執行
の態勢を整備するために、六月七日付で
農林経済局内
の
一般
的な
人事異動
を約四十名にわたって実施いたしたのであります。六月八日
茨城
県
共済連
に対し、同
共済連
は三十年度において
不正交付
を受けたと認められる四千七百八十四万二千円の
返還命令
を発したのであります。六月十二日に
農業共済団体事務費国庫負担金交付規則
を改正いたしたのであります。
多久
島、
加倉井等
に対し、
国庫
から損害の賠償を請求するため、
法務省訟務局
にはかり
関係者
の財産の
状況
を
調査
中でございます。七月三日
関係局長
の
行政処分
を行うとともに、
局長
以上に対し
農林大臣
から
訓辞
を行なったのであります。七月三日
官庁事務
の
粛正刷新
についての
閣議決定
がありまして、これに基き同日
執務刷新
について
農林大臣通達
を発するとともに、
農林省執務刷新要領
を定め、
人事管理
、
補助金等
の
取り扱い
、
会計経理
、文書の
取り扱い等
について必要な改善を加え、ただいま厳正な実施を期しておるのであります。七月五日
農林大臣
は
執務刷新
につきまして
課長
以上を一堂に集め
訓辞
を行なってきたのであります。八月十六日
警視庁
から
書類
が返還されましたので、同日から二十九、三十年度の
都道府県別
の
事務費国庫負担金交付状況
について
調査
を開始いたしまして、
目下数字
の点につきまして
調査
中でございます。なお
課長
以下の
関係者
の
処分
については近くこれを行う方針でただいま審議いたしておる最中でございます。 以上簡単でございますが、
事件
の
概要
を御報告申し上げた次第でございます。
上林與市郎
7
○
上林委員長
次に
法務省井本刑事局長
の
説明
を求めます。
井本臺吉
8
○
井本説明員
多久
島
事件
の概況について御
説明
申し上げます。まず第一に
捜査
の
端緒
でございます。この
事件
は
昭和
三十一年六月五日
農林省農林経済局長安田善一郎
及び
同局農業保険課長橘武夫
の両名が、
東京地方検察庁検事正あて同局
同
課団体事務費係
、
農林事務官
多
久島貞信
を
横領容疑
で
告発
したのが
端緒
でございます。 第二、
告発受理
後の
経過
について申し上げます。
告発
当時の
状況
、
多久
島
事務官
が
昭和
三十年度におきまして、
茨城
県
農業共済組合連合会
に
総額
六千七百万円の
事務費国庫負担金
を不正に
送金
しておる事実、次に
農業共済組合連合会
の
経理局長大津茂
が右の
不正送金
を受け取って、
多久
島にこれを仮戻しておる事実。次に
多久
島が
昭和
三十一年五月三十一日以降所在が明らかでなかったという事実、これが当時の
状況
でございます。その当時の
状況
及び
事犯
からの判断といたしまして、おおむね次のごとく判断したのでございます。 第一に
多久
島、
大津
両名の
共犯
は間違いない。第二に
農林省内部
あるいは
農共連内部
にそれぞれ他に
共犯者
が存するかもしれないという
疑い
がある。第三に
昭和
二十九年度以前にも
不正事犯
が発生していると想定すべきである。第四に
多久
島が
決済官
の認証を
偽造
しようとして、
決済書類
の
偽造
をした結果が
犯行
になったのではないかという
疑い
がある、かような点でございます。 私
ども
といたしましては、まず
多久
島、
大津
両名の
逮捕
が先決でございますので、
令状請求
の疎
明資料
の収集にとりかかりましたときに、
警視庁捜査
第二課の方から、同課において
捜査
をしたいという
申入れ
がありましたので、四囲の
状況
からこの
申入れ
を受け入れたのであります。
昭和
三十一年六月六日午前十時
多久
島は
警視庁捜査
二課に
出頭
したのであります。これは前夜のニュースで
告発
の件が報道されたためであるようであります。
多久
島の取調べから順次
関係者
の
検挙
をしたのでありますが、その
検挙
及び
処分日時
はおおむね次の
通り
であります。多
久島貞信
、
昭和
三十一年六月六日
逮捕
、同年六月九日
勾留
、同年六月二十八日
起訴
、さらに二度に追
起訴
をしております。それから
茨城
県
農業共済組合連合会経理課長大津茂
、これは
昭和
三十一年六月七日
逮捕
、同年六月十日
勾留
、同年六月二十八日
起訴
、さらに二度にわたりまして追
起訴
をしております。
大津
は
昭和
三十一年七月十六日
保釈
になっております。次は
昭和
三十年五月三十一日まで
農業共済組合連合会
の
経理課員
でありました
丸紅運送店店員薗部尚一
、これは
昭和
三十一年六月十三日
逮捕
、同年六月十六日
勾留
、同年七月五日
起訴
、さらに七月十四日追
起訴
をして七月十六日に
保釈
になっております。次は
玉江紙製品工業株式会社社長
兼
丸紅運送店主江黒義男
、これは
昭和
三十一年六月十八日
逮捕
、同年六月二十一日
勾留
、同年七月十日
起訴
になっております。なお本人も七月二十日
保釈
になっております。それから
茨城
県
農業共済組合連合会会長加倉井正利
、これは三十一年六月二十三日
逮捕
、同年六月二十五日
勾留
、七月十四日
起訴
になっておりまして、七月二十一日
保釈
になっております。 次にわれわれが取り調べました
犯行
の全貌について申し上げます。被害の
日時
、
金額
でありますが、イといたしまして、
昭和
二十九年度
市町村組合分内示額
に対しまして二百三十七万三千五百円を
水増し申請
の上、騙取した事実であります。これはお手元までお配り申し上げました
犯罪
事実の第二の二に当っております。 ロ、
昭和
二十九年度
連合会分
の
内示額
に対しまして……。(「今の
刑事局長
が読んでおられるのはこっちにない」と呼ぶ者あり)少し違うのですが、「多
久島貞信関係事件公訴
事実について」という
書類
がお配りしてございますけれ
ども
……。(「
内容
が全然違う」と呼ぶ者あり)いろいろごたごた書いてありますので、整理して申し上げているわけですが、
起訴
事実につきましては、先ほど申し上げましたこの
別紙
の「多
久島貞信関係事件公訴
事実について」のうちの
公訴
事実の要旨のうちの八ページの第二の二に詳しく書いてございますが、これが最初の
昭和
二十九年度
市町村組合分内示額
に対する二百三十七万三千五百円の
水増し申請
の騙取。口、
昭和
二十九年度
連合会分
の
内示額
に対しまして三百九十五万七百九十九円の
水増し申請
の騙取、これが
別紙
第二の一に該当します。 それからハ、
昭和
二十九年度
家畜共済事業事務費後期分市町村組合分内示額
に対しまして、二百九十七万六千八百四十七円の
水増し申請
の上の騙取。これが
別紙
の十ページ、第二の四に該当いたします。 ニ、(「イロハのニというのはどこにあるのか」と呼ぶ者あり)これは
犯罪
事実は大体ここに詳しく書いてございますが、私がそれをまとめて言っておるのでございます。
別紙
のページをその都度申し上げますからそれをお読みいただきたいと思います。
昭和
二十九年度
家畜共済事業費後期分市町村組合分内示額
に対する二百九十七万六千八百四十七円の
水増し申請
の騙取。これは
別紙
の十ページの第二の四であります。 その次は
前回内示額
に対する八十万八千七百四十八円の二重
申請
の上の騙取。これは
別紙
の第二の六、十二ページの終りの行にございます。 その次は、
昭和
二十九年度
家畜共済事業事務費後期分連合会分内示額
に対する百三万九千百四十七円の
水増し申請
の騙取。これは
別紙
九ページの
まん中
ごろに詳しく書いてございます。第二の三に当ります。 その次は同じ
内示額
に対する九十一万二千三百十三円の二重
申請
の上の騙取。これは十一ページの第二の五という項目でございます。 その次は
昭和
三十年四、五月
暫定予算分
の
市町村組合連合会
に対する各
内示額
に対し、千六百九十一万九千九百八十円を二重にかつ
水増し
して
申請
の上、騙取した事実。これは
起訴状
の第一の事実でございます。五ページの
まん中
から書いてございます。 その次は
昭和
三十年六月
暫定予算分市町村組合分内示額
に対しまして、六百十四万六千百三十六円の二重
申請
の上の騙取。これは十二ページの第三の一に当ります。 なお同じ
内示額
に対しまして、同じ六百十四万六千百三十六円を三重に
申請
の上、騙取しております。これは第三の二に当ります。 さらに
昭和
三十年度本
予算連合会分内示額
に対しまして、五百十七万四千百九十一円を
不正申請
の上、騙取しております。これは第三の三に当ります。十四ページの
まん中
ごろに該当します。 その次は
昭和
三十年度本
予算市町村組合分内示額
に対しまして、四千百七十一万三千百十四円を二重
申請
の上
受領
いたしまして、
右金額
のうち八百八十九万九千六百九十四円を
連合会分
としての
正規受領額
に充当し、結局その
差額
の三千二百八十一万三千四百二十円を騙取しております。これが第三の四の十五ページの事実でございます。 次にわれわれの方で取り調べましたこの
被告人
らの
犯行
の方法でございますが、各
内示額
に対しまして、
農業共済組合連合会
の
大津
もしくは
薗部
が
多久
島の指示に基きまして、
農業共済組合連合会
から
農林大臣あて
の
水増し
、あるいは二重の
交付申請書
を
作成
いたしまして、これを
多久
島に直接手交いたします。そのあとで、
多久
島は右の
交付申請書
に基きまして
交付指令案
原議を
作成
し、これを
決裁
に回すのであります。
決裁官
は、その
不正申請書
なることに気づかず
決裁
をいたしまして、かくて
申請通り
の
金額
が
農業共済組合連合会
に対して
金券
で
交付
されるのであります。もっとも、
事務費国庫負担金
の
予算残高
が不足のために、
不正申請通り
の
金額
を
交付
できないときには、
多久
島が
超過申請
を
理由
といたしまして、
申請額
を削減した上、
交付指令案
原議を
作成
するので、
交付額
は
申請額
より減じた場合もあるのであります。なお、
農業共済組合連合会
に送られました
金券
は、
本件犯行
のため特設いたしました
大津茂名義
の
銀行預金口座
に振り込んでこれを現金化いたしまして、
水増し送金
を受けたときは、
正規受け入れ額
を
右口座
から
農業共済組合連合会
の本
会計
に移管し、
不正額
はすべてこの
口座
に保管いたしまして、
多久
島の
要求
のあるつど
同人
に手交し、また一部は
農業共済組合連合会
の
簿外赤字
の充填に使用していたのであります。 それから
犯行
の
動機
でございますが、
多久
島個人の
事業経営資金
を獲得するのが主たる
動機
でございます。
不正申請書
の
提出
及び
不正送金
の
受領
につきまして協力を求められました
農業共済組合連合会
の
薗部
及び
大津
の両名は、役人に対する
迎合主義
からと、
多久
島の不正に便乗いたしまして
農業共済組合連合会
の
簿外赤字
の
補てん資金
を捻出し、かつ将来の
簿外経費
の捻出の意図からこれに応じたのであります。ここで申し上げます
簿外赤字
というのは、
前任者
の
経理課長
の
山田茂
が
加倉井会長
及び出入りの
印刷業者江黒
の依頼に応じまして、
日本信託水戸支店
から
連合会名
で
簿外借り入れ
をなしまして、同
会長
及び
江黒
にそれぞれ貸し付けたところが、その返済を受け得ずして発生したのでございます。 それから騙取
金額
の
使途
でございますが、騙取
金額
は、私
ども
の調べによりますと
合計
七千九百二十六万千二百二十五円になっております。右のうち、
多久
島の取得したと認められます額は、六千七百五十六万千二百二十五円でありまして、その
差額
の千百七十万円は
加倉井
、
江黒
、
大津
、
薗部
などにおきまして使用しております。 なお、
多久
島が七千九百二十六万余円の金をいかように使用したかにつきまして、われわれの調べましたところでは、大体次のようになっております。
事業投資
に約三千四百万円ほど使っております。それから
投資
後の
事業注入
、商品の仕入れなどでございますが、これに約八百二十六万円を使っております。それから青山と板橋の居宅に五百二十七万円、大口の
融資
に五百九十八万、小口の
融資
に約百五十三万、
自分
の
女性関係
その他の
特別生活費
に約四百五十六万、
車代金
などに六百十五万、
飲食遊興
などに九百十九万、
家具調度品
などに百五十八万、定期、
火災保険
、
生命保険
などに二百七万、それからおどかされて取られたのが約五十万、実家への援助が七十五万、同僚九名への贈与が十二万四千二百円、大体このような
金額
で使っております。 なお、
多久
島が
本件
の
犯行
をなし得た
理由
でありますが、これは
多久
島の供述によりますと、大体かようなことを言っております。
自分
は下級の一
事務官
であるが、年間二十四億円に及ぶ
事務費国庫負担金
の配分、
交付
の
事務
を
ひとり
で担当しておった、
交付内示案
の
作成
、
決定
した
内示文
の施行、
内示
に基いて
提出
された
交付申請書
の
内容査定
、さらに
交付指令案
原議の
作成
まですべて
ひとり
で取り扱っておった、
決裁
者は係長、班長、
課長
、
局長
と十数名おったが、私が
交付
を急ぐから早く
決裁
をもらいたいといって原議を持ち回ると、
内容
を検討することもなく、また府県別
交付
一覧表を準備して
交付
原議
決裁
のつど
交付
済みのチェックをすることもなく、また
内示
原議と
交付指令案
原議とを比較照合することもなく、めくら判を押してくれたのである、また
会計
検査院の検査も
災害
補償費
支出
の面については厳重になされたが、
事務
費
支出
については行われたことがなく、いわば後者は全く死角に入っておった、だから
自分
が不正を働こうと思えば、
送金
先の
農業共済組合連合会
に協力者を得て、かつ
事務費国庫負担金
の年間予算額の一部を浮かして、浮かした額の範囲内において、協力を得た
農業共済組合連合会
に
送金
するようにすれば発覚のおそれもなく、自由にかつ容易にできるのである、年間予算額の一部を浮かす操作は
自分
ひとり
でできる、すなわち
交付内示案
原議に基いて
決裁
を受け終り、原議
通り
各府県知事あての施行文を
作成
するが、この
作成
は
自分
ひとり
でやるから、その際
決定
した
内示額
から各府県当り百万円前後を削減した額を
交付
内示額
として施行文に記入すれば全国で四千数百万円を浮かすことができる、右の施行文は農政課及び官房文書課が
局長
印を押捺して発送し、同課において
内示
原議と施行文の
内容
を照合する建前になっておるが、この照合はいまだかつて行われた例がないので、異なる施行文を
作成
しても発見されるおそれはなかった、かようなことを申しております。 私
ども
が調べました
犯罪
経緯でございますが、
多久
島は
昭和
三十年度予算額を浮かしまして、
農業共済組合連合会
に二重
送金
して不正の利得を続けておりましたが、事業資金に追われまして、浮かした予算額以上に
農業共済組合連合会
へ
不正送金
をいたしましたために、
昭和
三十年度末におきまして埼玉、
兵庫
両県へ
交付
すべき第四四半期分が予算額不足のために
送金
不可能になったのであります。そこで埼玉から直接の担当官であります
多久
島
事務官
に
送金
要請がなされましたが、実現を見ないで、
昭和
三十一年四月下旬に
農業保険課
長へ照会並びに
送金
請求がなされたのであります。同
課長
がさっそく
多久
島を呼んで夫
送金
の原因を聞きただしましたところが、
多久
島は、
昭和
三十年度本予算からは
茨城
県
農業共済組合連合会
に対しまして八百八十九万九千六百九十四円を
送金
すればよいところを、
事務
上の誤まりから、市町村組合分の第二、第三四半期分として二千八百二十八万三千五百五十二円を
送金
していたことがわかった旨
説明
しましたので、一応単純に
事務
上の過誤から超過
送金
が行われたものと考えて、
茨城
農業共済組合連合会
に対しましてその超過分の還付命令を出しまして、同年同月二十七日これが還付を受け、予算残金をこれに加えて埼玉県への
送金
が終ったのであります。ところが引き続き五月十五日に至りまして、
兵庫
県から未
送金
の旨の連絡が
農業保険課
長にあったのであります。
多久
島は、原因はわからないが、明らかに
自分
のミスで
兵庫
県へ
送金
不能となったのであるから、
自分
の資産を
処分
しても
兵庫
の方へ
送金
をするというて、数日間所在をくらました後に、
兵庫
への送
金額
をいなかの山林を
処分
してこしらえ、直接
兵庫
へ
送金
したといって出勤してきたのであります。確かに当時
兵庫
への
送金
は終っていたのでありますが、これよりさき
兵庫
への夫
送金
の件判明に伴いまして
農業保険課
長が不審を抱きまして、
農業保険課
と官房
経理
厚生課と共同で、
昭和
三十年度における
茨城
県
農業共済組合連合会
への総送
金額
及び
内示額
の
調査
を開始しまして、ようやく五月二十五日に至りまして、
茨城
県に対して
内示額
をこえて六千数百万円の超過
送金
がなされていたことが判明したのであります。なおこの
多久
島はその間におきまして
吉川
事務官
から借り出しました
支出
簿を改ざんなどしておりましたので、この
調査
が意外に手間取ったようであります。超過
送金
分の
交付指令
原議がなく、またはこの事実につきまして
多久
島から
事情
を聴取しようとしても、
同人
は五月二十五日から入院して面会謝絶の状態にあり、右の超過
送金
を果して
茨城
農業共済組合連合会
が現実に
受領
しているかいなかはっきりしませんでしたので、五月二十七日及び二十九日、
農業共済組合連合会
の
加倉井会長
、
大津経理課長
の
出頭
を求めて
調査
したところが、額は不明であるが多額の超過
送金
があり、担当の
多久
島に連絡したところが、誤まって送り過ぎたからといって超過分を
受領
に来たので、全額
多久
島に渡していると答弁するのみでありまして、真相がつかめなかったが、
多久
島が何らかの方法で横領もしくは詐欺をやったのではないかという疑惑が深くなりまして、五月三十一日夜、
課長
から
局長
に一切の報告をして、
局長
が即時東京地検の山内次席検事の自宅に電話をいたしまして
捜査
機関の協力を求めるとともに、六月一日から三日にかけまして
茨城
農業共済組合連合会
の監査を実施するとともに、
農業共済組合連合会
の取引銀行の
調査
をしたのであります。その結果超過
送金
に該当する
金額
がいずれも
大津茂名義
の
銀行預金口座
に入金となっておりまして、逐次その預金が三十数回にわたって払い戻されている事実が判明いたしまして、
多久
島、
大津
両名の共謀による
犯行
の存在が認定せられるに至りましたので、六月五日
農林省
の方から先ほど申し上げましたように正式の
告発
手続
が出たのであります。この間の
事情
を総合いたしますと、先ほど申し上げた
関係者
以外には現在のところは
共犯
その他の容疑者はございません。 なおこの埼玉、
兵庫
両県に対する右の未
送金
のほか、実は奈良県に対する未送
金額
が約二百五十万円あったのでございます。これも未
送金
の点につきましてはわかっていたのでございますが、
多久
島におきましてはこの奈良県の分につきましても未
送金
の点について非常に苦慮しておったようであります。 なお
多久
島が経営しております事業は赤続きのために漸次経営が困難に陥りましで、結局
加倉井
、
大津
を通じまして銀行から一時借り入れをして融通を受ける以外に方法がなくなって、本年の四月上旬から
加倉井
、
大津
両名に交渉を続けまして、四月下旬に
農業共済組合連合会
の取引銀行二カ所から
合計
三千二百万円を
農業共済組合連合会
の名義で借り入れさせまして、埼玉への
送金
に充てるため右の超過
金額
の還付及び
兵庫
への直接
送金
をなし得たのでありますが、時すでにおそく
本件
の発覚を見るに至ったのであります。 なおこの銀行からの借り入れを実現させるために、
多久
島は本年四月十日ごろに
局長
名の公文書を一通
偽造
いたしております。これは
昭和
三十一年度農経第六七八号の
局長
発
茨城
農業共済組合連合会長
あてのものでございまして、
昭和
三十年度予算から
交付
すべきであった特別
事務費国庫負担金
三千六百五十万円は予算の都合で
昭和
三十一年度において
交付
することになったから、至急金融機関から借り入れなどして業務遂行に支障なきようにせられたいとの文書であります。これを
大津
に手交しております。
多久
島の考えでは銀行にこの文書を提示して借り入れを容易ならしめようとしたのであります。もちろんその
内容
は虚偽でありますし、かつ
偽造
であると承知しておった
大津
は、銀行からの借り入れに際しましてはこの文書は使用しなかったようであります。この点もお手元に配りました
起訴状
の写の第四に記載してございます。
多久
島
事件
の取調べの
概要
の経緯は以上の
通り
でございます。
上林與市郎
9
○
上林委員長
以上で、
農林省
並びに法務省の
説明
は終りました。 それでは申し合せの順によりまして、順次質疑を行います。質疑に入る前に
出席者
を参考までに申し上げます。
農林省清井事務次官
、安田前
農林経済局
長、渡部経済
局長
、保坂農
政課長
、丹羽
農業保険課
長、法務省は
井本
刑事局長
、なお質問がなくても出席の
要求
がございましたので、
会計
検査院から出席しております。東谷検査院長、小峰次長、中川第四
局長
でございます。 それでは質疑に入ります。
吉田賢一
君。
吉田賢一
10
○
吉田
(賢)
委員
清井
次官に先に伺ってみます。少し
事務
的なことを伺いたいのですが、
多久
島が
団体事務費
の
事務
を取り扱うに至ったのはいつでありますか。
清井正
11
○
清井説明員
多久
島が
団体事務費
の係になりましたのは、たしか二十五年の九月であったかと記憶いたしております。
吉田賢一
12
○
吉田
(賢)
委員
今
事件
の
概要
、経緯を御
説明
になりましたけれ
ども
、
農林省
としては二十五年にさかのぼってそれ以後のこの種の不正事実の有無については御
調査
になっておりますか。
清井正
13
○
清井説明員
先ほ
ども
申し上げたような
事情
でございまして、この
事件
の
告発
せんとするに至りました当初並びに最近
警視庁
から
書類
が返りましてからただいまやっと各県に対しまする措置等につきましてその
金額
等を当っておる最中でございます。まだその以前について
調査
を進めるに至っていないのであります。ただ私
ども
ただいままでいろいろ
事件
につきまして各方面に御心配をかけ、また各県の
共済連
等からもいろいろのお話し合いがございますけれ
ども
、ただいままで判明いたしましたるところでは、二十九年と三十年以外にはかかる問題がないように考えておるのでございます。ただし
調査
はいたしておりません。
吉田賢一
14
○
吉田
(賢)
委員
二十九年度よりも二十八年度が全国的に農業
災害
の多かった年であります。従って
多久
島の
動機
がどういうことになるか、最終的にはまだはっきりしておりませんけれ
ども
、二十八年度についても何らかの
疑い
を持って
調査
すべきであったと思うのですが、これは内部で何か
調査
機関でも設けて御
調査
になっておるのでしょうか。それとも記録
書類
がなかったので、検察庁ないしは
警視庁
から
書類
が返ってきた以後そういった
調査
が本格的に進められておる、こういうことになるのですか。その辺はどうなのですか。
清井正
15
○
清井説明員
ただいま申し上げました
通り
、
事件
に
疑い
を持ちましてから相当
調査
をいたしたのであります。しかし何しろ事の実体が少しも判明いたしませんでしたので、その
調査
も不十分だったかと思いますが、ただいまは
書類
が返って参りましたので
調査
をいたしておる最中でございます。そこでただいま申し上げました
通り
二十九年、三十年につきまして全面的に数字を当っておる最中でございまして、いまだその前年にまでさかのぼって
調査
する段階に立ち至っていないのであります。
農林経済局内
にこれに関する
調査
班を設けまして、各局がこれに協力いたしまして、これはほとんど徹夜で
調査
をいたしておる最中でございます。いずれまた二十九年、三十年が済み次第さかのぼって
調査
もする必要があろうかと思います。ただしただいまのところは各県等からの申し出等につきましても、二十八年以前につきましてはかかる問題がないように私は考えておる次第であります。
吉田賢一
16
○
吉田
(賢)
委員
私はこれをなぜ尋ねるかと言えば、あなたの方では
多久
島
事件
をめぐりまして
行政処分
等によって
局長
その他の異動を相当広範囲に敢行しておられるのであります。もっとも
課長
以下等についての
処分
はまだ将来のことだという御
説明
がありましたけれ
ども
、そういうふうに聞くと、すでに
事件
は大体これで終りであるというふうに外部には印象を受けるのであります。やはり責任は責任として、事実は事実として、あくまでも事実
関係
を明らかにして、責任の限界を明らかにするというのが、事の順序だろうと思うのであります。すでに広範囲の異動も
決定
したということであれば、それは事実はまだ明らかでないけれ
ども
、世評その他行政上の責任等々から
行政処分
をなさったということになるのであろうか、そうすると見方によれば若干本末転倒のきらいはないでもない。もっとも世評にこたえる意味においてその程度の
処分
も必要かも存じませんけれ
ども
、いずれにしても事実
関係
についてもっと広く深く掘り下げていくということは、だれかが相当責任を持ってしなければ、数十名の人の異動で相済みになって、あと残っておるのは小さい人の問題だけであるということになっては、やはり抜本的にこの種の問題に対する解決、従って世評あるいは世間の期待に対する答えにはなりかねると思うのであります。あなたの方はどういうふうにお考えになっているか知らぬけれ
ども
、渦中の人と
国民
とまたは国会と、問題に対する観点並びに観察の仕方なり感じなりまた希望なりは、よほど違うと思うのであります。その辺相当冷静に御判断にならぬと事の本末を誤まって結局真に
国民
の期待する目的に沿うような結果を得られないのじゃないかと思いまするので、その点を重ねて伺わなければならぬと思います。ことにあなたとしては食糧庁長官から新
事務次官
におなりになったのだから、いわば
関係
外の人というお立場のように思うので、この点はものの言い方も至極気が楽であろう、けれ
ども
農林省
といたしましてはきわめて重大な問題でありますから、人間の
処分
の問題と事案の
内容
の追及の問題というものとはやはり別個の角度から観察していかなければならぬと思いますので、そこは一つはっきりと御意見を伺っておきたい。
清井正
17
○
清井説明員
御注意をいただきましてありがとうございます。私
ども
むろん二十九、三十年度の
調査
のみで終るということは考えておらないのであります。御注意もありましたし、私
ども
といたしましては二十九、三十年度の仕事の終り次第さらにさかのぼって
調査
をいたさなければならないものと考えております。ただ私
ども
ただいまの感じとして、しいて申し上げますれば、かかる重大な
事件
が惹起いたしましたけれ
ども
、その以前の問題につきましては何ら風評等も聞きませんので、あるいは二十八年以前にはないのじゃないかという感じを持っているということを申し上げたのであります。しかし
調査
はちゃんといたさなければだめでございますので、ただいま二十九年度、三十年度につきまして
調査
をいたしまして、その済み次第前年にさかのぼりまして
調査
を進めて参らなければならない、こういうふうに実は考えておるわけであります。
吉田賢一
18
○
吉田
(賢)
委員
あなたの方の
提出
された資料によりますと、これの第五ページの九、(三)に「六月十二日」すなわち本年でありますね、「六月十二日
農業共済団体事務費国庫負担金交付規則
を改正した。」こういうことになっております。これは
農業災害補償法
の第十四条に基く省令だと思いますが、これを改正されたのはどういう趣旨でありますか。
清井正
19
○
清井説明員
あるいは資料として御配付申し上げてあったかもしれませんが、
農業共済団体事務費国庫負担金交付規則
は申すまでもなく問題となりました共済団体の
事務
費の
国庫
負担金を
交付
する場合の
交付
手続
が書いてある規定でございます。その規定によりますと、改正前すなわち六月十二日に改正をいたします前は、いわゆる負担金を
連合会
と組合と両方に
交付
するわけでございますが、
連合会
につきましては
連合会
に
交付
するということになっておるのであります。それから組合の分につきましてはこれは当該組合の上の
連合会
または県どちらかに
交付
する。そのどちらかに
交付
するということは県と
連合会
とが相談をしてこちらに
申請
をしろということになっておるのであります。従って両方
協議
の結果県が
申請
して参りますれば県へ
交付
する、
連合会
が
申請
して参りますれば
連合会
に
交付
するという建前に
規則
がなっておったのであります。なぜこういうふうになっているかということにつきましてはいろいろ問題があるのでございましたが、つまり県へ
交付
するということになりますると、一旦県の財政に入りましてから
連合会
に金がいくということになりまして、県によりましては非常に赤字の県があるということになりますので、県に
交付
された金が
連合会
にいくのになかなかひまがかかるというようなことが
連合会
方面からいろいろ意見があるということでございますし、あるいはまた
連合会
に直接
交付
するということにいたしますれば、県として団体監督上に問題があるということでぜひ県としてもらいたい、こういう意見がございまして、かたがたどちらともつかないいろいろな
事情
にございましたので、その
規則
においては県または
連合会
において相談をして
協議
整った方から
申請
をするようにということになっておったのであります。ところが両方
協議
の上というふうになっておりまして、
連合会
の分については
連合会
に、組合の分については県または
連合会
のどちらかにやれるということになっておりました
事態
が今度の
不正事件
を起しました一つの原因になっておるように考えられたのであります。以上のことがありましたので、今回これを全部県を通して
交付
する、いわゆる
連合会
か県かを
協議
して
申請
するということでなしに、単位組合の分も
連合会
の分も全部県庁に
交付
するというふうに一本に改めたのであります。これが
規則
改正の趣旨であります。それからもう一つは、特殊な場合におきましては、特殊な団体を経由して
交付
することができるという規定もあったのでありますが、その点も今回一括してそういう措置はやめるということにいたしたのが改正の趣旨でございます。
吉田賢一
20
○
吉田
(賢)
委員
いずれ問題はもう少し深く掘り下げて、かつ広く伺わなければならぬと思いますが、きょうは概略素材収集の趣旨で御質問申し上げたいのであります。 今の点もう一つ確かめておきますが、この
農業共済団体事務費国庫負担金交付規則
、これは
農林省
令の三号、
昭和
二十三年一月二十六日の分でありまして、これの第二条について今御趣旨のような改正を行なったらしいのであります。そこで最後に御
説明
になっておりました、これは第二項であります。
農林大臣
は適当な団体を経由して
交付
金を
交付
する、こういうことになっております。これもどうかと思いますが、その適当な団体というのはどういう団体が従来の実績でありましたのか、従って今度それが廃止されてしまったようでありますが、その従来の実績の団体の名を一つお述べ願いたい。
清井正
21
○
清井説明員
適当な団体と申しますので実際上実施いたしましたのは、全国農業共済協会、これは
農業共済組合連合会
の全国団体の社団法人、それを経由させて使ったことが前にあるのであります。
吉田賢一
22
○
吉田
(賢)
委員
それは率にしてどのくらいの割合になりますか。つまり県の
連合会
でもなし、共済組合
連合会
の全国団体という意味ですか。できればいつからいつまで行なっておったかお述べ願って、それについては文書で一つ資料を出しておいてもらいたい。
清井正
23
○
清井説明員
農業共済組合
と申しますのは、
農業共済組合連合会
、県団体の
連合会
、それが会員となっている社団法人であります。それを使って
交付
いたしましたのは、かつて……。
吉田賢一
24
○
吉田
(賢)
委員
ちょっと待って下さい。聞かんとする要点は、概算二十四億円のうちどのくらいの割合か、これだけ聞いておきたい。
清井正
25
○
清井説明員
これはここを通して
交付
いたしましたのは、いわゆる
団体事務費
の
国庫
負担金の中の損害評価費でありまして、二十四年度から七年度まで
交付
しております。二十四年度に三百十四万円、二十五年度に百二十八万六千円、二十六年度に五百十七万六千円、二十七年度に四百五十四万六千円
交付
して、それから以後は
交付
いたしておりません。
吉田賢一
26
○
吉田
(賢)
委員
簡単に要点だけお聞きいたします。今の
刑事局長
の御
説明
とあなたの方の朗読された御
説明
では若干数字の食い違いがあります。ただいまの段階におきまして、およそ
国庫
金の損失になっておるだろうというふうにあなたの方で御認定になっておる確認もしくは未確認の数はどういうふうになりますか。
清井正
27
○
清井説明員
先ほど御
説明
申し上げたことを繰り返すわけでありますが、二十九年度は千二百六万一千円、三十年度は四千七百八十四万二千円、
多久
島が
兵庫
県に
送金
した千二百八十万円を正式に還付せしめて国が
交付
することになるわけであります。また三十年度の四千七百八十四万円と申しましたものは、先ほど
刑事局長
の方から御
説明
を申し上げました埼玉県に対する
交付
金等がその中から削ってあるのであります。と申しますのは、正式に埼玉県に還付命令を出して正式に還付せしめて
交付
したのでありますから差し引いてあるのであります。先ほど
刑事局長
はその経緯を御
説明
いたしましたが、数字的には同じ結果になるのではないかと考えております。
吉田賢一
28
○
吉田
(賢)
委員
きょうは大臣が来ませんので、あなたの答弁を求めるのは適当かどうか疑問なんですが、きょう聞いておかなければ順序としていかぬが、つまり
国民
の受けている印象では、二十幾才の青年
事務官
が
団体事務費
を二十四億円もほとんど自由になし得るような立場にあったということに非常な疑惑を持っております。そこで今の
刑事局長
から
多久
島の供述が述べられたように、めくら判を押しておったというふうな、このようなことさえ今暴露しております。新聞に何か忠告付の手記というものがあるというようなことさえ報道されておるのであります。これは次官
会議
に出すとか出さぬとか言っておりましたが事実は存じません。そこで聞きたい点は、
団体事務費
の地方に流す資料をとる場合に、いくら
交付
すべき
金額
の各種の原案を起草するところであっても、その机がよしんば
多久
島のところで重要な役割があるかないかは別として、ともかくあなたの方の内部の運用の機構の一覧を見ましても、前後に相当重要な機関が動いておるのでありますから、
多久
島のところだけではなかなかそう
水増し
をさす、それと連絡をする、適当にごまかして何年もほおかむりしていくというようなことは至難なように思います。図解を見てもわかりますし、また機構の実情を見てもわかりますが、
団体班
から
会計
班の方にいきますし、主計から総務あるいは
保険
課、農
政課長
というようにずっといくようでありますが、それがわからなかったということについて一体どこに欠陥があるかということは結論的に聞かなければならぬ点であると思いますけれ
ども
、どこに一番大きな欠陥があったというふうにあなたはおつかみになっておったか、その点をはっきり聞いておきたい。
清井正
29
○
清井説明員
まことに申しわけない次第であります。その点につきまして非常に監督不行き届きの点がございましたので、かかる
事件
が出来いたしたのでございますが、
団体班
というものがありまして、その中に
団体事務費
係、係長の下に係員がございまして、係員であったわけであります。本来申しますならば、当然団体一係員にのみまかしておくべきではなくて、係長、班長、
課長
がおるのでありますから、一々詳しく点検して、算出の基礎から
金額
等を十分検出し、同時にまた決判いたしたものと施行いたしたものとそれぞれ照合する役柄の者もおりますから、そういう者が十分その
書類
の取扱いの期間中においてこれを照合検閲すればかかる
事件
は起きなかったのであります。そこに検閲照合ができていなかったというところに
本件
が起った第一の原因があります。その点はまことに御指摘の
通り
であります。私
ども
といたしましては、この問題につきまして深く反省をいたしまして、
書類
等も差し上げてございましたが、最近においては帳簿
書類
の検閲等十分遺憾ない措置をいたしておるのでありますが、ひとえにこの
事件
の起った原因は、係員である
多久
島個人をあまりにも信用し過ぎまして、まかせ切ってしまいまして、少しも
書類
の照合、検閲をせずに、先ほど来
刑事局長
のお話もありました
通り
、いわゆる
書類
を検閲せずに判こを押してしまった。従ってそれが正しいものとして他課に行った、こういうところに一番の原因があるわけであります。私
ども
といたしましてもその点はまことに申しわけないと存ずる次第でありますが、事実ははっきり申し上げますとそういうところに原因があるのであります。
吉田賢一
30
○
吉田
(賢)
委員
そこで
農業災害補償法
が一切を運用しておる基本になっておるわけであります。これによれば監督の規定が第六節、七十八条以降、相当厳重に規定されてあるわけです。そこでこの問題につきましても、どこに監督の所在、もしくは責任の所在、もしくは運営上の
事務
の分配の限界等があるかということは、これは十分にこまかく検討していかないといけませんが、今の質疑の続きといたしまして、当然聞いておかなければならぬことは、たとえば
加倉井
は
茨城
県の
連合会
の
会長
でありますが、
連合会
に対する監督は主務大臣、そうなりますね、
農林大臣
になっております。そうすると、ただに
多久
島のみならず、
連合会
の幹部も関与しておる、こういうことになりますので、単に
多久
島の
事務
関係
の監督系統だけではなしに、
農林省
、行政庁としての行政
事務
の監督の範囲はどこに限界を置くべきかということを、この問題を通してもう一ぺん検討しなければならぬはずなんです。しからば
加倉井
の問題を追及していけば、
農林大臣
の責任になりはしないかとも私は思うので、あなたの方で遠慮なしに答弁してもらいたいのだが、やはり大臣に責任がいくのかいかないのかということを検討したのかどうか、検討もしないで、部下だけを首切ってしまうということは許されない。責任がそこまでいかないというならば、これは大へんありがたい、けっこうなことで、おめでたいことです。どこまで責任がいくのかということを検討したのかどうか、これは次官はっきり答弁してほしい。
清井正
31
○
清井説明員
連合会
の直接の監督者は
農林大臣
でございます。従来から監査班を設けまして、監査をいたしておるわけでございますが、人員、
経費
等の
関係
がございましたし、十分それが行き届かなかったような実情でございます。
本件
につきましての大臣の監督ということでございますが、行政庁最高責任者としての大臣の権限等々につきましては、むろんこれは申し上げるまでもないことでありますが、要するに事柄の実体につきましては、先ほど申し上げたようなきわめて
事務
疎漏と申しますか、チェックをしなかった、あるいは非常に帳簿について不備があった等、全く
事務
的な問題についてのみ疎漏が多かったという点がございますので、私はこの点について深く責任を痛感いたしておるような次第でございます。
吉田賢一
32
○
吉田
(賢)
委員
私の聞くのはそうじゃないのです。
事務
的の問題、責任の追及それもあろうけれ
ども
、これはやはり日本全体が
農林省
の予算
執行
について大きな疑惑を持ったという案件でありますから、これはやはりはっきりしていただきまして、
国民
の疑惑も解いていただく、それとともにどの限界において責任を負うべき人を出すか、これははっきりしておいていただきたい。なるべく小範囲に終るならば大へんけっこうなことであると私は言うのです。必ずしもここで
農林大臣
の責任ありと言うておるのじゃないのですから、あなたの方では責任の限界をどこまで追及していくのかということについて、たとえば法八十二条には、明らかに
農林大臣
の規定があるのでありますから、こういうような点につきまして、
農林大臣
は地方の知事などとともに、いろいろと責任
関係
は一応検討の対象にせなければなるまい、こう思うのであります。その点についてあなたの方は審議したのかどうか、こういうふうに聞くのであります。だから次官も答弁しにくいと思いますけれ
ども
、これは一つ大胆率直に申し述べていただきたいと思うのです。
清井正
33
○
清井説明員
要するに
本件
並びに
連合会
に関しましても、
農林大臣
の責任といたしましては、法律上
連合会
に対する監督者というものは、
農林大臣
、あるいは部下の指導監督者は、行政の最高責任者であられる
農林大臣
でございますから、そういう意味においてはむろんそれだけのことはあろうかと思います。ただ
本件
につきましては、ただいま申し上げたような非常に
事務
的な疎漏から出来したことでございますから、私
ども
大臣の補助者といたしまして、まことに世間に対しましても、大臣に対しましても、非常に責任を感じておるような次第でございます。
吉田賢一
34
○
吉田
(賢)
委員
一応あとはお譲りいたしまして、なお保留しておきたいと思います。
上林與市郎
35
○
上林委員長
田中
彰治君。
田中彰治
36
○
田中
(彰)
委員
この
事件
は非常に社会を騒がした
事件
であります。目下社会から非常に疑惑をこうむっておる状態であります。そこで
事務次官
の先ほどの
説明
を聞きますと、監督の不行き届きであったそう申しておられるのですが、私たちは本日
農林大臣
が都合がよかったら出ていただいてこの
事件
に対する
農林大臣
の所信を一つ伺って、それからあなたの所信——先ほど申されたような点について満足であってもなくても伺う。それからこの
事件
の重大性について私は
農林大臣
がきょうおいでになりませんから、次に伺うことにして、次官に申し上げるのですが、あなたの方で先ほど
吉田
委員
が言われたようにこの
事件
がもう検事局の問題となって
起訴
されてしまったから、
保釈
で出てきたのでもあるし、これで一応大したことなく済んだのである、こういうように思っておられるように感じるのですが、私はこの
事件
はそうでなくて、あなたの考えておられるよりも——これは新聞などにも出たのですが、新聞は別として、責任ある
刑事局長
の数字を聞いたり
説明
などを聞きますと非常にあなた方と考えが違う。 第一にこの
事件
を重大視しなければならないのは、あなたの方の
農林大臣
が行政庁の長官である、こういうものを取り調べて
処分
をしなければならない責任のある人が
農林大臣
であるということについては、この
事件
についてのあなた方の考え方をもう少しお直しになり、変えられないと、私はこれが非常に大きな紛糾した問題になってくるのではないか、この点を重大に考えている。 いま一つはこの九千万近くの金が
農林省
の金でなくて、
国民
の税金である、こういう点から考えてもこれは重大であります。もう一つ疑惑に思うのは、はたして二十六才、二十七才くらいの青年が、一人でこれだけの
事件
を行い得るか、なるほど外部には農業連合の
共犯
もありまするが、
農林省
の内部には
共犯
がない。これが一人でしかも一カ月か十五日でこの
事件
が行われておしまいになったというなら別として、二年間にわたってこれだけの大きな金を出して、これだけの
書類
を作ってやるのに、
農林省
内に
課長
とかあるいは同僚とかの
共犯
がなくて一体この
事件
がやれるのかどうか。それはもちろん
多久
島君が白状しないでしょう、上の方は追及されなかったでしょうが、そういう点においても社会は納得しませんよ。 そこでこれについて、私があなたにお聞きしたいのですが、
多久
島という人は一体給料は幾らいただいておったのですか。総収入、税金を引いてうちへ持って行く金は幾らになっているのですか、まずこれを伺います。
清井正
37
○
清井説明員
約九千円でございます。
田中彰治
38
○
田中
(彰)
委員
二十七才か六才の青年が、九千円の実収入しか持っておらない、それが住宅費に充てている金が五百万以上ある。ほかに家具な
ども
相当買っている。女
関係
もある、会社の事業もしておる、自家用車にも乗り回している、こういうようなことを、あなた方がいかに監督が不行き届きであるとか、不徳であるとかいわれても、こういう点を少くとも気づかれないということはないと私は思う。また表面には出ないけれ
ども
、同僚などと一ぱい帰りに飲もうじゃないかとか、金のない者には金を貸すなど、これだけの金を取り扱えばそのくらいのことばするはずだ、そういう点に気づかれないはずがない。二十七才か六才の年のいかない青年の、収入が九千円しかない者が、家だけに五百万円以上、その他家具や料理屋、その他自家用車、事業、こういうようなものをやっておって二年間も気づかれないということは、一体どういうわけですか、そんな工合に
農林省
というものは放任主義なものですか、この点について私はあなたの忌憚のない、どういうわけで、どういう点で気づかないでおったのかということを一つ伺いたいと思う。
清井正
39
○
清井説明員
まことにその点につきまして何とも申しわけないのでございますが、御指摘のように相当薄給な青年が、今から見ますと非常に身分不相応なことであったわけでありますが、あとから調べましたところによりますと、本人は郷里に財産を持っておる、その財産を
処分
した金であると
関係
の者に言っておったようでございまして、
関係者
もそれを信用しておったようなことでございます。私
ども
並びに
関係者
といたしまして、二年間にわたってかような
事態
になりましたことに気がつかなかったということに対しましては、何とも言いわけの申しようがない次第でございます。そういうようなことをただやたらに信用したというところが一つの問題点であるのでありますが、要するに問題はそういうことよりも、われわれ監督の立場におる者が、そういった
事態
に長い年月にわたって気がつかぬでおったということは何とも申しわけない次第でございまして、お言葉に対しましてはただもう陳謝申し上げる以外にないのでございます。
田中彰治
40
○
田中
(彰)
委員
それじゃ
局長
にお伺いしますが、国に財産があるといっても、かりにこれを
処分
して金を持ってくるということになれば、三千万、五千万のものを
処分
しなければならぬ。そういう財産のある人であれば、入ったときから違うと思うのです。
局長
さん、この方は一体どこの学校を出ているのですか、まずそれからお伺いいたします。
安田善一郎
41
○安田
説明
員 多
久島貞信
は佐賀の工業学校を出て、佐賀の県庁に勤めまして、それから
農林省
に来たのであります。
田中彰治
42
○
田中
(彰)
委員
工業学校というのは新制の工業ですか、昔の普通の工業学校ですか。
安田善一郎
43
○安田
説明
員 県立の佐賀工業学校電気学科というのでございます。
田中彰治
44
○
田中
(彰)
委員
それは普通の工業学校になるのですか。
安田善一郎
45
○安田
説明
員 中等学校です。
田中彰治
46
○
田中
(彰)
委員
佐賀県で財産を
処分
して何千万持ってくるという方なら、親が少くとも大学程度の学校に上げていなければならぬ。それから、あなたの方にはちゃんと履歴書というものが出ている。当人の財産とか当人の家庭の
事情
とか保証人というようなものに対してちゃんとなにがあるはずなんです。監督している者が何千人、何万人もあれば
多久
島という人間は覚えてないかもわかりませんが、こういう
書類
を作って、一億近くの金をとにかく横領している、それから二十四億からの金が自由になるのだという責任を持っている者が、給料は幾らかといえば九千円だ。それで自宅も持っておるし、自家用に乗せてもらった人もある。ああいう行為をすれば、そういう評判があなた方の耳にも入るだろう。また五百万程度の家を持つことは、代議士でも相当なものだし、家具にも何百万をかけ、料亭を持ち、二号さんの二人もかこうことになれば、私は幾ら何でもそんなものじゃないと思うのです。それで、
農林省
の中から同僚の
共犯
が出ないとか、
課長
がそれを知らなかったとか、
局長
がそれを知らなかったということ、それで社会が納得するかしないかということです。
農林大臣
は行政庁の長官です。それを
処分
しなければならない。きょうの新聞を見ると、民間にさえもその
調査
団を設けようと言っている。民間なんかに設けなくてもいいですよ。遠慮しないでも決算
委員会
でみんなやってあげますよ。だれが刑務所に行くのか、どの内閣が倒れるのか、だれがどうなるのかという問題だけなんです。やってあげますよ。河野さんに言っておきなさい。民間から河合良成という実業家を出して調べなくても、国会で調べてあげますよ。そういう点を考えて御答弁をなさらぬと世間は納得しませんよ。
事務次官
の言われたように、何千万の財産を
処分
して、二十四か二十五の男が持ってくるということになると、これは大へんです。私のうちでも多少の財産はあるかもしれませんが、子供に何百万円の財産を
処分
して持たしてやるということは大へんなことです。親がおるでしょう。親がおらなくても何かあるはずです。また全部当人の名義であれば、当人に相当の税金がかかっておるはずだ。あなた方の給料で税金を引かれる場合でもわかるはずなんです。そういう点から見て、これはあなた方が、
多久
島がそういうことをしたのを知らなかったでは済まぬと思う。必ず
課長
なり上の
局長
なり同僚なり、相当組織的な共謀があった。ただ知っていて知らぬふりをしたかもしらぬが、みんな知っておって、一脈何か通じてなければこれだけのことはできない。またこれは気がつかぬでおったでは済みません。学校は今言う
通り
中等学校で、大して金がなくても上がられる学校です。しかも県庁に勤めた。何千万の財産があれば県庁なんかに勤めません。銀行やもっとよいところに勤められるはずである。そういう点を考えれば、これは知らぬでおったでは済まぬと思うのです。この点について正直に言ってもらいたい。それからあなたの
説明
を聞いてから
刑事局長
にも伺いたい。あなたの方でこの
事件
をお調べになって、なるほど外部の
共犯者
をお出しになったかもしれないけれ
ども
、これだけの
事件
を行うのに省内に
共犯
がない。めくら判といえ
ども
一回や二回なら済むが、二年間にわたってこれだけのことをして、何千万かの金を
自分
の財産を売って持ってきたということがあっても、それをそのままに放任しておいたということがわかっても、刑事局としてこの
事件
は
共犯
がない、これだけで済まされるということは常識で許されましょうか。
刑事局長
として冷静に考えていただけばこれはわかるはずであると思う。問題はこれなんです。
農林省
内に
共犯
がなくて
多久
島一人で二年間にわたってこれだけのことをしたのに同僚も知らぬでおって、この
事件
がわかってから騒いで、これだけの
処分
で済んでしまったということで許されるでしょうか。この点まず次官から御答弁を願って、次に
刑事局長
から御答弁を願いたい。
清井正
47
○
清井説明員
重ねて同じことを申し上げるようではなはだ恐縮でございますが、御疑惑の点ごもっともと私
ども
考えられるのでございますけれ
ども
、事実
関係者
一同まことに不敏でございますが、この事実に気がつかなくて現在に至っておる次第でございます。
井本臺吉
48
○
井本説明員
本人が安月給取りであるにかかわらず非常にはでな生活をしておった点、その他疑うべき
端緒
はいろいろあったのでありますが、全体といたしまして監督機構が非常に乱れておるというか、十分でなかった点は責めらるべきと考えますけれ
ども
現在われわれが調べまして判明したのは、先ほど申し上げた程度であります。
田中彰治
49
○
田中
(彰)
委員
いま少し科学的な調べ方、科学的な調べ方とは周囲、それから
多久
島なんかの経歴、やっておったこと、それからわれわれの調べたところではたくさんの同僚がおごってもらったり、料理屋で芸者遊びをしたり、自家用に乗せてもらったりしている。そういうことがどうして
局長
なり、
課長
なりに通じられなかったか。
農林省
がどうしても通じられないようなものであったとするならば、さっき
吉田
委員
が
人事異動
の中で言われたが、私はそれと反対に、
農林大臣
初めここにおられる次官、
局長
全部が責任をとって社会に謝せられることが当然であると思う。九千円の月給取りがこれだけの
事件
を起したのに何も知らぬで放任するような機構で、それだけの監督しかできないものであるならば、私はそれをしも責任を負わなければならぬだろうと思う。さもなければもう少しお調べになって、
多久
島のやったことを世間が納得するような
説明
をしてほしい。これではどんな人が聞いても納得しません。九千円の月給取りがこれだけのことを二年間続けてやったのに知らぬ、
事件
があがってみたら七千万円の使い込みがあった。それで外部から連絡があっただけで内部からは一人も
共犯者
が出ない、知らなかった、それだけである。しかし
事件
は知らなくとも、金使いが荒いじゃないか、おかしいじゃないか、あれは何だ、このくらいの調べは、われわれの子供に対しても放任主義で育てておっても、やはり子供が親のくれた以上に金を使ったら、あれはどうしたのだと言ってすぐに母親と相談して調べてみるとか、部屋に行って買った品物を調べてみるとか、そういうことは一家のうちでもあるはずだ。この点は代議士でもそうでしょう。わずか七万か八万の月給をとっておって、それが百万も二百万もぱっぱとふりまいたら、あれは最近ばかに金使いが荒いじゃないか、どうも汚職でもしているのじゃないか、どっかから金をもらったのじゃないかということになる。それもただの百万か二百万でそうなるのです。ところがこれは何千万円もの金を二年間にわたり使っておって知らなかった、これでは納得できない。私の方でもこれから材料をよく集めて正確に、本格的にこれを
調査
して、この問題だけは世間の納得いくまでやるということにきめたが、あなたの方も、今までのことはこれで済んだのだからという考えでなくて調べてもらいたい。もう使った金は出ないのだけれ
ども
、世間が納得すればけっこうだと思う。世間がなるほどあの九千円の月給取りが二年間こういうことをしたけれ
ども
、それはこういうことでわからなかった、だれが考えてもそれはほんとうだ、そんなら仕方がないということならば、私はこれでいいと思う。世間が納得いくまでなさらないといけない。
農林大臣
は行政庁の長官であり、党でも有力な人である、しかも使った七千万円の金は全部
国民
の血税である。そうしてやった当人はろくな学校にも上っておらない。しかも二年間にわたって、家だけでも五百万円以上の家に入っている。家財道具だけでも何百万円、料理屋を二つも持っている。それで自家用車を乗り回す、聞けばその自動車も六百万円だという。代議士だって六百万円の自動車を持っている者はだれもなかろう。そういうことをあなたの方でただ知らなかった、申訳なかったというのでは、常識上済まされない。この点を、あなたの方でもお帰りになったら答弁の方法を一つよくお考えになってほしい。さもなければこれは問題だ。 それからもう一つついでに私は
会計検査院長
に申し上げておくが、
会計
検査院においてこれをお調べになったときに、
多久
島自体、
被告人
が笑っている。こっちの方は調べたが、こっちは調べない。そういう点どうしてこういうようなお取り調べの手落ちがあったのか、その点をちょっとお伺いいたしたい。 それからもう一点、ちょっと話が横にズレますけれ
ども
、きょうの新聞に防衛庁の問題が出ておる。こういうような問題をあなたの方で
調査
されて、批難事項になるとすぐに、決算
委員会
で何も取り調べないうちに発表されるようなふうに受け取れる。これはあなたの方で発表されないと出ないわけだが、そういうことをあなたの方でされると、今後決算
委員会
が
調査
していくのに非常に困る。どろぼうをした人間に、あれはどろぼうをした、こういうことをやったのだということを発表されて、そのどろぼうがこれを黙って見ていますか。黙って見ていやしません。ちゃんと証拠隠滅をはかる。こういうことをやれば、あなたの方での抜き打も
調査
は要らないことになる。
警視庁
、検察庁、検事局の家宅
捜査
は要らないことになる。どうしてそういうことをあなたの方で発表されたのか、どこからそういう指令が出るのか。あるいは発表しないというならば、どうして発表されないものがわかったのか、発表したというならばその発表された人の責任を私の方で追及しなければならぬ、この点御答弁を願います。
東谷傳次郎
50
○東谷
会計
検査院
説明
員 逆に御
説明
いたします。けさ新聞に出ました防衛庁の調達のC46号の飛行機の部分品購入の問題でございますが、けさ私も一、二の新聞を調べてみまして、私も実は
内容
はちょっと承知いたしておりましたが、新聞に出まして驚きました。それでさっそく役所へ行ってみまして、役所で取っております新聞を見ますと、それにも全部出ている。全部でなくて一つか二つの新聞のスクープかと思っておったのでありますが、ほとんど全部出ておりました。それで驚きまして、大げさでありますけれ
ども
、総長、次長、各局
課長
、
関係
の者を集めまして、どうしてこれは出たのかということを問うたのであります。出ているのは、大体私
ども
の調べた範囲で相当詳しく出ているものですから、私もなお不審に思ったのでありますが、実は調べてみますと、防衛庁の調達実施本部というところがありますが、そこで新聞社の諸君を集めて発表されたもののように聞いております。私の方から出たのでは絶対ございません。それだけは逆でございますが申し上げておきます。決算
委員会
を抜きにして出すということはございませんから、その点だけは御了承願います。防衛庁がどういう
理由
でお出しになったかは私は存じません。 それから
多久
島
事件
と申しますか、
農林省
の今回の
事件
についてですが、私
ども
まことに遺憾に思っておるのであります。どうして検査院でわからなかったかということでありますが、
本件
支出
国庫
負担金の検査に関しましては、
会計
検査の計算証明として
会計
検査院に
書類
を出しておりますが、その
書類
によって検査をいたしておるのであります。その
書類
はどういう
書類
が出るかと申しますと、二十九年度から御
説明
申し上げまするが、
会計
検査院に対する証明としては、各補助を受ける団体から出る補助
申請書
、事業
概要
書というものがありまして、それに対して補助指令書が出る。その補助指令書と、第四に査定表、第五に
支出
負担行為書及び
経費
請求書というものがございます。それが全部
会計
検査院に出るのでありますが、これによって
補助金
の
交付
という
支出
があるわけであります。その金を払いましたものに対する領収書としましては、小切手振出済み通知書でありますとか、あるいは日本銀行の領収書をつけて、正式といいますか、整った八つのものが全部
会計
検査院に出ております。一応こういうふうな
関係
でございますので、二十九年度は、検査上は検査の主務の局課において疑問をはさまなかった次第であります。元来
本件
の
国庫
負担金につきましては、先ほど農林次官から御
説明
もありましたが、正式の補助指令が出まする前に、いかほど各団体に
交付
すべきであるかという額についての
内示額
が
農林経済局
長の名前で通達されておるのであります。これによりまして、
補助金
交付
を受けるものから、
補助金
申請書
でありますとかあるいは事業要領書というものが出されまして、これに基いてその
通り
の
金額
が補助指令として発せられておるのであります。これに続いて
支出
負担行為が行われ、さらに金が出ていくのでありまするが、当局者の
説明
によりますると、先ほど申しました
内示
の通達の際に、初めに作りました正式の正しい
金額
とは違いました
金額
を書き込んで
内示額
として通達されたものと認められるのでありまして、この不正の
内示額
に基きまして
作成
されましたところの、先ほど申しましたところの、
申請書
であるとか、事業要領書であるとか、あるいは補助指令書であるとか、査定表、
支出
負担行為書、
経費
請求書などの
書類
が
会計
検査院に出るのでありまして、
会計
検査院といたしましては、不正の事実を二十九年度は知ることができなかったような次第でございます。また三十年度におきましては、今年の三月に至りまして、検査上、
茨城
県に対します
交付額
は一億千五百万円という大きな金が
交付
されておることがわかりましたので、農林本省から
会計
検査院に
提出
すべき証拠
書類
は大分おくれておりますが、まだ出てないところの計算
書類
について至急御
提出
を願うということを督促いたしましたし、また
農林省
に対しましては、別に三十年度の年間を通じての
国庫
負担金の
総額
についての各
都道府県別
の
交付
状況
を照会いたしておったのでありますが、そのうちに今回の
事件
が表面化して六月五日に
告発
されたという次第でございまして、
会計
検査院といたしましては、三十年度はただいま申しましたようにすべて検査中に属するわけでございます。それで三十一年三月にどの程度の証拠
書類
の夫
提出
があったかと申しますと、四カ月分の
提出
未済があったのでありまして、これらを全部求めて総括的な検査をするという態勢になっておったのでございます。かような次第でありますので、
会計
検査院としては、先ほど申しましたように、実は補助
申請書
から証拠
書類
として証明
書類
をとっておったのでありますが、かような次第でありますと今後におきましては
内示額
につきましての
書類
も
会計
検査院に取りまして、今後の検査の徹底を期したいと存ずる次第でございます。
田中彰治
51
○
田中
(彰)
委員
もう一点、先ほど
刑事局長
が、
多久
島がこういう急所を
会計
検査院が調べなかったとおっしゃったのはどの点でしたか。
井本臺吉
52
○
井本説明員
先ほどは本人の供述の要領を読み上げただけですが、
会計
検査院の検査も
災害
補償費
支出
の面については厳重にされていたが、
事務
費の
支出
については行われたことがなく、後者は全く死角に入っていたということを本人が申しておりました。
田中彰治
53
○
田中
(彰)
委員
そこで、さっき
会計検査院長
のおっしゃったのは、共済費の
災害
保険
の払い出しの金のことをおっしゃったのではなく、
事務
費のことをおっしゃったのでしょう。
東谷傳次郎
54
○東谷
会計
検査院
説明
員 そうです。
田中彰治
55
○
田中
(彰)
委員
検察庁で
多久
島当人が、この
事務
費の
国庫
負担については一回も
会計
検査院から検査を受けたことがない、だから
自分
はこれだけの仕事ができたということを言っているのです。あなたの方でやられるのは
事務
費の負担金ではなくて、
災害
に応じて支払われた再
保険
保険金
、
共済金
、こういうものを調べられて、農業
災害
の
国庫
負担の
事務
費、これの程度をお調べにならないのじゃないのですか。
東谷傳次郎
56
○東谷
会計
検査院
説明
員 ただいまの御質問でございますが、農業共済における今お話の再
保険
として出す金が年々二百億に上るのでありますが、それの検査はただいま申されたように重点的に検査いたして、非常にたくさんの不当事項があって驚いておるのであります。それならば
本件
の
事務
費二十四億の検査はどうしておるかと申しますと、先ほど申しましたように、この分につきましては
会計
検査院に
提出
します
書類
によりまして徹底的に検査をするという体制においておるのであります。実地検査の方は、再
保険
の支払いの方に重点を置いてやっておるのでございます。従いまして、それは
多久
島自身については調べなかったかもわかりませんが、本省について全体的には調べておるはずであります。しかしながら
事務
費については、ただいま申しましたように大体の行き方としては書面検査の徹底ということで、書面検査が
会計
検査院の第一義でありますから、その書面検査の徹底ということにおいて検査をいたしまして、実地検査の
関係
におきましては再
保険
の支払いということに重点を置いたわけでございます。
田中彰治
57
○
田中
(彰)
委員
それではもう一点でやめます。検査院長にお伺いしますが、今あなたのおっしゃった再
保険
保険金
、
共済金
、こういうものはお調べになった、しかし個々の
農業共済団体
事務費国庫負担金
の分は、
農林省
から出された
書類
をただ一応検査されただけで、実地の実態についてどうなっているかという
内容
の検査をされないのだ、こうお聞きしていいのですね。そうしますと、私はやはり
会計
検査院が——これは
保険金
など割合に簡単だと思うのです。
事務
費の方が、いろいろ要らぬ
事務
費を使ったりするから複雑だと思う。しかも
多久
島君が責任を負っているだけでも二十四億もあるのですから、ちょうど全国で出す
保険金
の約一割です。二百億の一割にひとしい
国庫
負担
事務
費があるのですから、これに対してやはり私は、今まで
会計
検査院の方でお調べにならなかったのは仕方ないとしても、今後やはりこの点もお調べになればこういう
事件
も未然に防げた、こういう工合に私は考えている。今後こういう点も御留意されてよくお調べ願いたいと思います。
東谷傳次郎
58
○東谷
会計
検査院
説明
員 ただいまの点御注意いただいたのでありますが、再
保険
の
関係
におきまして、お説のように検査報告にもずいぶんたくさん掲げておりますが、御承知のように組合が一万もありまして、そのうちようやく
会計
検査院で実地に
調査
し得るのは六百ぐらいでありまして、行ってみるとほとんど計理が思わしくないというので、その辺に重点を置いて、実地の方はそれでやる、そして
事務
費の方の
関係
においてはしかるべき書面が全部出ておるのでありますから、それによって検査をやっておる。実地検査は補充でありますから、そういう賞味において実地検査が
事務
費においては省かれておるというのであります。
田中彰治
59
○
田中
(彰)
委員
そうするとまたお聞きしなければならないのですが、あなたの方で、たとえば
事務
費から出てきたとしても、それをもう少し再検討されれば、とにかく九千万からの使い込みがあるのですから、もう少し再検討してお調べになれば、私はこれに対してやはり何か不可思議な点があったと思う。やはり私は、これはあなたの方を非難するのではないけれ
ども
、
会計
検査院は今の再
保険
の金とか
保険金
とか、
災害
の金のことはお調べになったが、この点についてはただ向うからの
書類
を優然として
農林省
の幹部がめくら判を押した。この
書類
はあるからいいわというので、こまかい点にお気づきにならぬ。こまかい点にお気づきになれば、一県に対してこれはよけい出ているとかなんとか、そこに私は
会計
検査院は御商売ですから、しろうとが調べるのではないから、押えどころがあったと思う。この点は、私は今後
会計
検査院の方に御注意してもらわなければならぬ、こういうふうに考えます。
臼井莊一
60
○臼井
委員
関連して。資料の
内示
一覧表のうちで、
農林省
の
内示額
原案の
決定
より、県到達の
内示額
が各部府県全部ほとんどみな減額されておるのですが、ただ鹿児島だけが
内示額
より五十二万一千円超過して、
内示
を県にされた。これがどういうわけでこの県だけが超過して出されたのか、それをお伺いいたします。 なおついでに、もう一つは、
多久
島が原案を作りましてから処理されるまで、
局長
さんまで最終に決済が出てそうされるのかと思いますが、それまで何人くらいの手を通るか、何人くらいめくら判を押したか、その点を一つ……。
清井正
61
○
清井説明員
最初の点につきまして御
説明
申し上げますが、御指摘の
通り
、鹿児島だけが、いわゆる県到達
内示額
が原議
内示額
よりもふえておるわけでありますが、この点は、鹿児島県庁の報告によりますと、当鹿児島県の
連合会
事務
費について
昭和
二十九年度において未
交付
となったものがある、また一方奄美大島の共済事業が廃止になったということで、その準備ということであったというふうに思われるのでございますけれ
ども
、この点は私
ども
といたしましてさらに実地につきまして詳細
調査
をいたして、はっきりいたしましてから正確にお答え申し上げたいと思いますが、ただいまのところではそういうことではないかと思うのであります。 それからもう一つ、
決裁
の順序でございますが、これは御承知の
通り
団体班
の
団体事務費
係がやるわけでありますので、
団体事務費
当該者、係長、班長、それから
関係
の班長、それから
農業保険課
長、
局長
、それから官房の
経理
、厚生課にいきまして
課長
以下
関係
の係官が判こを押すわけでございまして、はっきり何人とは申し上げかねますが、十人以上おるわけであります。いずれまた詳しく申し上げる機会も別途あろうと思いますが、大体そのくらいであります。
上林與市郎
62
○
上林委員長
次に生田宏一君、御質疑願います。
生田宏一
63
○生田
委員
同僚議員の質問をいたしました漏れの点について私はお尋ねをしたいと思います。私も
田中
議員と同じようにこの
多久
島
事件
の裏にはいろいろな
事情
が伏在をしておるように思えてなりません。それで私
ども
としましては、
農林省
の
関係
の皆さんや
刑事局長
にもどうしても聞いておかねばならぬことが一、二あるのです。一、二の新聞に出ておりましたが、
多久
島
事件
を調べておる最中に、
関係
の
農林省
の役人を調べてみた、そのときに現職の
局長
の中で収賄等の事実があったけれ
ども
、三年の時効が完成をしておるので、免訴の
事件
だからこれを離したというような報道が載っておりました。はたしてそのようなことがありましたのですか、どうでありますか、
刑事局長
はもしその人の名前が言えないのならばあえて聞こうとも思いませんが、事実があったかなかったかということは、
農林省
の省内の問題としてこれをお聞きする上にどうしても明らかにしなければならぬことでございますから、事実があったかなかったかということだけは
刑事局長
にお聞きしたいと思うのです。 それからもう一つは、これは農林次官でよろしゅうございますが、
多久
島
事件
の出ましたときに、はたはだおもしろからぬことがどうも新聞に出て参りました。たとえば
農林省
が国会対策費というものが必要であって、そして
農林省
の外郭団体等に
交付
すべき
補助金
その他の中から吸い上げて、国会対策費の相等額を毎年こしらえるのが例年のならわしであった、そういうような事実があるので
農林省
の紊乱というものは相当なものがある、そこで
多久
島
事件
のようなものが派生的に出てきたのだろう、こういうような解説が出ておりましたが、これはまことに好ましからぬことでございまして、私はそういうことがないであろうということを希望いたしますし、そのように、ないとお答えを願いましたならば、これはもう国会のためにも非常に喜ばしいことである、こう思うわけでありますので、この二点についてそれぞれお答えを願いたいと思います。
上林與市郎
64
○
上林委員長
質問が法務、農林両省にわたっておりますので、まず法務省にお答えを願います。
井本臺吉
65
○
井本説明員
ただいまのお尋ねのような件は、実は私まだ報告を受けておりません。担当の宮本検事にも今聞きましたが、やはり報告を受けていないということでございますので、役所の方に電話で問い合せ中でございますから、判明いたしましたら、さらにお答え申し上げます。
上林與市郎
66
○
上林委員長
次に
清井
次官。
清井正
67
○
清井説明員
ただいま御質問のようなことは私も新聞記事を読みましたので、十分詳細にわたって調べましたが、かかるような事実は絶対にございません。
生田宏一
68
○生田
委員
私もそうありたいものだと思っておりましたので、これで安心したわけでありますが、もう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、先ほど次官からお読みになりましたものの中で、
局長
に対しては
行政処分
をした、こういうことでありますが、おそらくこれは安田
局長
のことでないかと思いますが、この
行政処分
の
内容
はどういうような
内容
でありますか。
清井正
69
○
清井説明員
この
事件
が二十九年と三十年にわたっております。実はこの
関係局長
といたしましては小倉、大坪、安田の主君が
関係
しておったのでございます。そこで三
局長
とも同一に
行政処分
、懲戒
処分
をいたしました。
処分
の程度は十分の一の減俸三カ月間ということで
処分
をいたしたのであります。それから、並びに私初め
関係
首脳部は全部大臣から訓告の
処分
を受けたということであります。
生田宏一
70
○生田
委員
俸給に対する十分の一の減俸三カ月ということは、三カ月だけでございましてその他何の何もないということだろうと思いますので、そうすると俸給額の十分の一ということは、かりに五万円の俸給者であれば五千円を三月、一万五千円、その罰俸を受けるということでございますか。
清井正
71
○
清井説明員
その
通り
でございます。
生田宏一
72
○生田
委員
私は罰俸俸給の十分の一ということは、何か聞いた感じとしては相当の額のように思えるのですが、実際上の実罰といいますか、五万円の俸給者に対して一万五千円、これは精神は相当きつい処罰であるかもしれませんけれ
ども
、実際の実刑というものはまことに軽いような、こういう気がするのであります。それがこの問題についての直接最高の責任の地位にある
農林経済局
長の処罰であるという、この事実をもし
国民
に知らしたならば、
国民
はそのようなことが処罰であるかといって私はあきれるのではないかと思うのであります。また中には、ここに安田君がおりますから遠慮もしなければならぬと思うのですが、しかしながら安田君は実際にはその後
農林経済局
長から栄転をされておる。そういうような人事はその当時の世論からいってみて新聞などでもよほど批判をこうむりましたが、はたして
農林省
というものはこの問題について、それであなた方が責任のある
処分
をなさったかどうか私は一まつの疑問がある。どうしてもこれは納得のできないことである。そういうことで天下に向ってあなた方が処罰をした、責任をとったということになるであろうか、私は疑問を感ずるのであります。あなた方はそう考えているのでしょうが、世間は信じないだろうと思うのですが、しかしお答えは要りませんが、私はそういうような気がしてなりません。 もう一つ、これは新しいような問題でありますが、先ほど
田中
委員
と
会計
検査院の院長との間においてお話が出ておりましたからお尋ねするのですが、特に
井本
刑事局長
にお聞きを願っておかなければなりませんことは、
補助金
の問題ではなくて、農業共済
保険
組合に対する
保険金
の問題でございます。これは二十八年度の決算報告の中にも二十九年度の決算報告の中にも、
調査
をしたほとんどの組合、共済組合の八〇%は不当の
経理
が行われているという事実を報告して参っておりますし、この決算
委員会
においてもそれを基礎として審議をいたしました結果、その事実を
農林省
においても肯定されているわけであります。
事務
補助金
についての
多久
島
事件
でございますがしかしながら
保険金
の問題というものは、
多久
島
事件
以上の
会計
の紊乱が
会計
検査院において指摘されているわけであります。その中にはおそらく刑事処罰をしなければならないと思うものがあるに違いない。その一々の例は申しがたいと思いますけれ
ども
、たとえば私はここに一例を申しますと、これは滋賀県のある共済組合ですが、
保険金
にもらったもののうちから二百六十三万二千円を被害割、それから五十六万三千円を減収石数割、五十六万三千円を面積に対する均等割、こういうような
保険金
の
交付
にしてはあるまじき不当な
支出
をしておりまして、しかもその残額百六十四万五千円に対しては帳簿外にこれを
経理
して、そのうち九十二万七千円は二十九年度産水稲共済掛金その他の掛金に充てる、二十七万九千円は飲食費に充てる、また三十年三月本院——検査院ですが、その検査のときには九万六千三十二円を預金に保有しておりまして、十一万三千二百七十円は
使途
不明になっておる、こういうものもございます。それからこれは京都のある
農業共済組合
ですが、その
保険金
を全部部落割でやって、
保険金
としてやってはありませんし、またその部落割でやりますと、部落は貯金の
口座
に振り込んでおりますし、また残額の七十九万九千円は帳簿外に
経理
し、そのうち五十六万七千円を二十九年産水稲共済掛金に充て、十八万七千円で軽二輪車を買う。また四万五千円は接待費、慰労費に充てる、こういうような
経理
をやっておるわけであります。また奈良県においても同様なことをやっておりますし、中には組合長なり、あるいは役員の個人の名義にして預金をして持っておる、そしてそれを払ってない、こういうのもございます。このことはもう二十八年にも二十九年にも事実を
会計
検査院からしばしば指摘されておる。おそらくその組合からいえば背任も出てくるであろうし、横領も出てくるであろうし、またいろいろな刑事問題も出てくるだろうと思うのでありますが、私はこれを刑事罰にしようというのではありません。こういう事実がはっきりしてきて、国会の決算
委員会
で二十八年と二十九年の二回にわたって報告を受けて、そして
政府
に対し決算
委員会
は決議をもって善処方を要望してございますし、また鳩山総理大臣もおいでを願って、この事実をお話しして善処方を要望しております。しかしながら幾ら言ってもこの問題を解決しようとはいたしません。おそらくこの問題に手をつけるならば、二十八年度においては約二百億、二十九年度におきましては百三十億の金が出ておりますが、これをもらった組合の八〇%は不当の
経理
をしておるに違いない。先ほど
会計検査院長
が申しました八県、百二十九の組合に対しては一億五千万円ほどの不当なる金が流れておるということは、二十八年度の報告書に出ておるわけでございます。
多久
島
事件
は二十九年度、三十年度の二カ年にわたって九千万円程度でございますが、おそらく二百億あるいは百五十億に及ぶ
保険金
の不当の
経理
というものは、実際に全国の一万幾らの共済組合を全部調べましたならば、何十億になるのじゃないか、こういうように私は考えておるわけです。そこで
事務
の
補助金
に対して
多久
島
事件
が起きたことは、これはまことに不祥事でございますけれ
ども
、
会計
検査院が幾ら声を大にしてこの事実を報告をしても、少しも改まらないこの
保険金
の問題というものは、この
多久
島
事件
を契機にして何とか方向をきめて解決すべきではないか、こう思うのでございますが、もしそれを
農林省
の方でできないというのならば、いたし方がありませんから、司法権の発動によってこの問題を解決していくより仕方がない、こういうように思うのですが、
刑事局長
にはこの
会計
検査院の報告書というものはお手元にないと思いますので、これは
会計
検査院にございますからお取り寄せを願って、この
内容
を一度検討していただきたい。そしてまた農林当局におきましても、この問題について手をつけるかどうか。それから二十八年、二十九年、三十年の全国の
農業共済組合
の
経理
について、
会計
検査院が調べておると同じことが各組合にあるのですから、これをもう一度
農林省
の方でこの実態を調べて、把握して、その各組合に、この
経理
の仕方は悪いのである、これは
犯罪
を構成しておるのであるということを知らしめて、そしてこの問題を解決していく、そういうようなお気持があるかどうか。ないのならば、これは司法権によってやるより仕方がございません。これはまず
農林省
の
清井
次官でもけっこうでございますし、また法務省の
井本
刑事局長
からもお考えのほどを私はこの機会に承わっておきたい、こう思うのです。
清井正
73
○
清井説明員
保険金
の問題についてしばしば
会計
検査院の方から御指摘を受けておりますし、また当
委員会
におきましてもしばしばこの問題につきまして御指摘を受け、おしかりを受けておりますことは、私重々存じておるのでございます。ただいま御指摘を受けました
通り
、この
共済金
の末端におきます取扱いについて実はいろいろ問題があるのでございます。事司法
関係
の問題になりますものもございましょうが、行政上の指導によってこれが改善をし得るものもあろうかと存ずるのであります。私
ども
かねがね、先ほ
ども
ちょっと申しましたけれ
ども
、各末端におきます
共済金
の支払い
状況
につきましては、
農林省
部内におきましてもその方面の監査班を設置いたしまして監査をいたしておるのでございますけれ
ども
、なかなか思うように十分にすみやかに行き渡ることはできません。気がつきました点につきましては、逐次その都度修正を命じ、あるいは改善を命じ、訓戒をいたしてきておるのでありまして、しかしそれにもかかわらずこういう問題が発生してきておりますことは、私
ども
もまことに遺憾に感じておるのであります。むろんこの問題は
共済金
自体の取扱いについての問題といたしまして、改善あるいは今後の措置を十分注意する等も必要でございますが、一方共済制度そのものの根本的な改変等の問題も十分考えなければならぬ問題だと考えるのでございます。共済制度の改善問題につきましては、かねて
委員会
におきましてもいろいろの御意見があり、あるいは制度に関する審議会におきまする中間報告等もいただいておるのであります。われわれといたしましても、十分この共済制度そのもの、ことに
共済金
の支払いに関する
手続
等につきまして十分改善を加えていかなければならぬと考えておるのであります。ことにまたこういうような不祥
事件
が起りましたこと等もございまして、——むろんこういうこととは
関係
ないのでありますが、しかしわれわれといたしましては、こういう際におきまして、世間から非常な疑惑の目をもって見られておる際でございますので、なお一そう努力をいたしまして、制度の根本的改善、ことに
共済金
支払いについてこのような
事件
が起らないようにその制度の改善をはかることに努めて参らなければならない、こういうように考えまして、目下
関係
部内におきましても慎重に検討を進めておるわけでございます。また御指摘を受けました諸般の例、いろいろの問題の善後措置につきましてはすみやかに取り計らうようにいたしたいと考えておる次第でございます。 それから先ほどちょっと答弁は要らないということでもってお話がございましたが、ちょっと私感じだけを申し上げさせていただきたいと思います。と申しますのは、先ほど生田
委員
から
関係局長
の
処分
について少し軽いのではないかというような感じを持つという御意見がありました。私、
関係局長
の
処分
について実は立案者というか、責任がございますので、一言申し上げさせていただきます。なるほど十分の一、三カ月ということについていろいろ御批判があろうかと思います。ただ国家公務員の懲戒
処分
としての減俸という
処分
はわれわれ国家公務員の常識といたしましては実に重い
処分
と考えておるのであります。しかもまた
金額
が最高が五分の一となっております。五分の一の範囲内でやるということになっております。そういうようなこともありますし、私
ども
十分の一、三カ月ということにつきましては慎重検討いたした結果、この程度の
処分
が適当であるというふうに実は判断いたしまして大臣に具申いたしたわけであります。懲戒としての減俸が単に
金額
的な問題から申し上げればさようなお考えも抱かれるかもしれませんが、減俸という
処分
を受けますと、公務員といたしましては、いろいろな栄誉を授けるとかあるいは名誉のことがありましても、全部過去にこういう事例があるということでその選から除かれるということになっております。この減俸
処分
を受けるということはわれわれとしては非常に重い
処分
というふうに考えておるわけであります。軽きに失したというふうに私
ども
は考えていないわけであります。御批判の点は私
ども
もわかりますけれ
ども
、私がその衝にありました者としての感じだけを申し上げさせていただきたいということを一言申し上げさせていただきます。
井本臺吉
74
○
井本説明員
先ほどお尋ねいただきました
農林省
関係
の局員の涜職の件はただいま調べの結果の報告がありましたが、さような
事件
の報告はないということでございます。それからただいまお尋ねの
農業共済組合
に関する
保険金
の不当
支出
の問題でございますが、刑事
処分
が適当であるかどうか、至急に
会計
検査院の報告書に基きましてわれわれの方でも検討いたしたいと存じます。
生田宏一
75
○生田
委員
刑事局長
に申し上げておきますが、共済組合の例のことにつきましては、もし刑事
処分
を行うならば全国でおそらく八〇%の組合は刑事
処分
をしなければならないのではないか、こう思います。そこでそういうようなものであるということを前提にして、そうしてこの問題が今日まで不問になってきておるわけです。私が今ここで申し上げたのは、こういうことがもう今後は終止符を打つということ、それが目的でございます。その考え方を基礎にして本省としてもこの問題を検討される、検討の
内容
につきましては厳格なる法の適用についての判断というものはゆるがすことはできませんけれ
ども
、しかしながら目的はこういうものを根絶するにある。今後こういうことがなくなるということであれば、それが一番よいことであるということを前提としてお考えおき願いたい、こう思うのであります。 それから
清井
次官ですが、むしろ私は、あなた方は今重いというお話ですが、この問題はおそらくは厳格な責任を論ずるならば私は
辞任
するだろうと思う。また当人からそう申し出るのが当然だろうと私は思う。あなた方は安易に考えておられる。現に大蔵省の今井君は責任を痛感して辞職をした。これと部下の監督の粗漏ということとは
事件
の性質はかなり違いますけれ
ども
、われわれ世間から見る考え方というものはそう大して違う程度に受け取っていないのです。ですから僕は当人から辞職を申し出る。しかしながらあなた方の方でこれを慰留したということならばわかりますけれ
ども
、あなた方の方でこれを判断してみて、これで重かったという考え方については、私は納得できない。そういうことでは信賞必罰の実もあがらぬし、部内の統制もききません。この考え方は私はあなたとは全然角度が違うのです。もしあなた方がそういうようなお考えでいくならば、今度の
事件
につきましても、あるいは部
課長
の
処分
もありましょうけれ
ども
、私はその考え方で判断して参ります。全然私はあなた方とは考え方が逆でございます。違います。そのことだけを申し上げておきますから、さよう御承知置きを願います。
清井正
76
○
清井説明員
重ねてのお言葉でございまして恐縮に存じます。決して生田
委員
のお考えに対してはとやかく申す意味はないのでございますが、
関係局長
から全部進退伺いが出ておったのでございます。私
ども
といたしましては決して重いということを申すわけではございませんけれ
ども
、ただ私
ども
か
処分
をいたしましたときの気持をほんとうに申し上げたにとどまっておるのでございまして、生田
委員
のお考え方に対しては、私
ども
の方からとやかく申し上げる気持はございません。私
ども
がこの衝に当りましたときの気持の一端を申し上げただけでございますから、どうかあしからず御了承を願いたいと思います。
上林與市郎
77
○
上林委員長
細田
君。
細田綱吉
78
○
細田
委員
刑事局長
に伺いますが、二十九年、三十年両年度にわたって
多久
島が約八千万円のつまみ食いをしたわけなんですが、われわれの過去の経験と申しましょうか、感じから言うと、九年度、三十年度の二期にわたってこれほど大胆なことはできるものではない。二十五年に就任して二十六年、七年くらい、あるいは五年、六年くらいかもしれませんが、少しやってみたら案外簡単で何もなかったということで、だんだんこれが大きくなっていく。あなたの御
説明
を伺ってもそれがはっきり出てこなかった。先ほど農林次官のお話を伺っておっても、これはまだ調べていないというのだが、検察当局としては二十八年度以前の分はお調べになったのですか、この点を伺います。
井本臺吉
79
○
井本説明員
二十八年度以前につきましても検討いたしましたが、現在のところでは
犯罪
事実は発覚できない
状況
でございます。
細田綱吉
80
○
細田
委員
それではあとは農林当局のお調べを待つこととして、あなたの方の調べか、
警視庁
の調べかしれませんが、当時新聞紙の伝うるところによると、何か
農林省
には国会対策費というものを予算外で持っておる。これが農林水産
委員会
その他の国会に、どういう対策か知りませんが、相当使われておる。このうちに相当ただいまの共済組合の
交付
金がピンはねされているのだということを報道しておりましたが、あなたの方の調べはどうなっておりますか。
井本臺吉
81
○
井本説明員
ただいまさような事実があったという報告は聞いておりません。なお、その点につきましてはいま少し検討いたしたいと存じます。
生田宏一
82
○生田
委員
関連して。
細田
委員
からも今同様な御意見が出たものですから、私は
刑事局長
に一つ私の疑問のあるところをお話しをして、今後の参考にしていただきたいと思うのですが、この吸い上げはおそらく
事務
費ではありますまい、もしありとするならば、
保険金
に対する吸い上げでございます。と申しまするのは、
保険金
制度というものが吸い上げができるような仕組みになっております。というのは
災害
がありましたときに町村の組合は
災害
の高をきめて、そうしてこれを
連合会
の方へ
申請
をいたします。
連合会
もまたそれを集計して本省の方へ言ってくるのですが、そのときに本省の方から
災害
のあった
保険金
を
連合会
へ
支出
いたしますのは義務
支出
でありまして、
連合会
が言ってきたものに対しては、
保険金
を
交付
してやらなければならなくなっております。しかしながら
連合会
は掛金をかける義務を怠っておる町村の組合に対しては
保険金
を
交付
する免責規定があるわけです、また組合自体も掛金をかけていない農民に対しては
保険金
を支払う義務については免責規定がある。そこで国の方に対しましては、必ず
連合会
はその金を取ってくるのですが、しかし組合なりあるいは個人の納入に対しては、必ずしもそれをやらなくていいというケースが出て参ります。というのは、組合員のほとんど大半は掛金を掛けておりませんから、掛金をかけていない者に対しては
保険金
の免責があるのですから、それでやってもよし、やらなくてもいいという状態であります。大ていの場合は、その掛金をかけていない組合員に対しては
保険金
をもって、その掛金に充当してやる、余った金があれば組合員にやってもよし、また組合で別の費用に使う場合もございます。また組合長の個人の預金として別の
使途
に使っておる場合が往々ある。また個人の組合員に対する
支出
にいたしましても、
災害
を申告いたしますときに二倍なり、三倍なりの
水増し
を申告しておりますから、その申告
通り
金をくれなくても農民自体はそう大して不服を言わない状態にあるわけです。でありますから、
連合会
の中で金がプールされるという危険が多分にあるのが今の共済
保険
の制度でございます。それでおそらく
農林省
が吸い上げたという事実が、かりにあるとするならば、それは
連合会
のプールした金ということに疑問がわくわけです。しかしながらそういうものを吸い上げていないということであれば大へんけっこうだろうと思いますけれ
ども
、
細田
さんからの疑問もここに出ているわけでございまして、もしあるならばそこに私は資金があるのではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。ここに
清井
次官、また渡部
農林経済局
長も見えておりますが、
農林省
の当事者は将来における共済
保険
制度の改革に当って、特に一番大きく注意しなければならぬのは、掛金をかけていない者に対しては
保険金
の免責規定がある。それはあるのは当然でありますが、それを一貫してそういうふうになっておればいいのですが、府県の
連合会
に対しては
農林省
は
災害
高を申告して参った場合に、その
金額
が
決定
したならば必ずそれを
支出
しなければならないという義務の規定がはっきりしている。そうして下部にいっては免責規定があるというところに私は大きな原因があると思います。特に今
細田
議員の質問を拝聴しましたので私の疑問のあるところを申し述べまして、そこを
農林省
が善処してもらわなければならぬと思いますので、関連質問といいますか、注意を喚起するという意味になるかもしれませんが、ちょっと申し上げたのであります。もしこれに御意見でもあれば承わっておきたいと思います。
細田綱吉
83
○
細田
委員
私も同じ質問だからまとめて答弁してもらいたい。今の
農林省
が国会対策に関する一つのワクというか、予算外にそういうものをもって相当動いておられるということは、これは議員であればだれでも知っています。こういう対策費が、今生田
委員
の言われるように出るとすれば、この共済の方面から出る。そうすると、何だか
農林省
自身がどろぼうの上前をはねているようであるが、ほんとうにあなたの方で調べたのかどうか、一つまじめに御答弁願いたい。
井本臺吉
84
○
井本説明員
先ほど申し上げましたように、私はその点について調べたか調べないか報告を受けておりません。とにかくさようなお話がありましたので、これはこのまま聞き捨てになりませんので、調べておらなければ調べますし、調べておればさらにその点についてもう少し確かめたいというように考えております。
細田綱吉
85
○
細田
委員
国家から出る
補助金
がかなりルーズに使われているというので、現法務大臣かその前の法務大臣か知りませんが、検察当局にこれに対する専任といいましょうか、その係りの検察官を全国的に配置したということが当時新聞紙に伝わっておる。そうすると、これはあなたの方の省の
決定
であると思うのだが、それにもかかわらず今生田君が言ったこの共済の金の事例をあげて申し上げても、ルーズに使われておる。この問題に対して、しかもこれが
会計
検査院から批難事項として出ているのにちっとも
農林省
は直っていない。あなたの方はこの
補助金
に対して今まで無関心だったのですか、どうですか。
井本臺吉
86
○
井本説明員
補助金
の法律が出ますと同時に、われわれといたしましてはその法律違反を手当しなければいかんということで、全国的に
補助金
の
関係
の係り検事を設置いたしまして、これは根本的に検討しようということでいろいろ計画して、現に係り検事は設けてございますが、その際にわれわれといたしましては、係り検事を少しくいただかぬことには、ほかの
事件
でも非常に忙しくて手が回りかねているので調べができないから、ぜひその点に関する検事の増員をお願いしたいということで、本年度の予算におきまして相当の検事の増員をお願いしましたのですが、いろいろ予算の都合でこれがお認めいただけなかったのでありまして、調べたいという意欲は十分に持っておりますが、実際の効果はこれに伴わなかったというのが実情でございます。
細田綱吉
87
○
細田
委員
従来の例から見ますと、検察当局というものは、警察から送ってきた
事件
は、ふんどし一つ取ったような小さい
事件
でも一生懸命やる。ところがこういうようなもっとでかい意義を持った問題に対してはきわめておしりの重いものなんです。
刑事局長
はそんなことはないとおっしゃっても、どうも警察から来た
事件
は、こんな
事件
をというような小さい
事件
でも拘束して
起訴
するが、そうでない
事件
に対してはなかなか重いというのは天下周知の事実である。しかも
会計
検査院から膨大な金の批難事項が出ておるのに、人が足らなかったからといってやっていない。各県の警察署に投書や何かがあって、警察署で共済組合の
事件
をあげてきてあなたの方で
起訴
しているのはありますよ。けれ
ども
全国的な大きな、たとえば県連とかなんとかいうところにメスを加えた事例はないでしょう。これはあなたの怠慢じゃないですか。どうなんです。
井本臺吉
88
○
井本説明員
とにかく兵隊がそろわなければ戦争ができないようなものでございまして、できるだけのことはしておりますが、実情がこれに伴わないというわけでございます。なお
補助金等
適正化施行後における関連
事件
は本年の一月一日から六月三十日までの間に全国的には五十八件、百八十三人ほど取調べをしております。この
処分
結果につきましてはまだはっきりした報告はないのでありますが、放擲しておるというわけではございませんからその点は御了承願います。
細田綱吉
89
○
細田
委員
あなたの御報告に遊興飲食費に
多久
島が九百余万円を使った、これは大体だれにどういうところで飲ましているのですか。その中には相当
上司
なんかにも飲ましておる場合があるのじゃないですか。その点はどうなんですか。
上司
や同僚に飲ましておる
金額
は幾らぐらいになるのですか。
井本臺吉
90
○
井本説明員
総計が先ほど申し上げましたように九百十九万円でありますが、これは本人が熱海、箱根、湯河原、水戸方面などに行って遊びました遊興代金その他がこの
金額
に当るのでございます。
多久
島の友達、同僚がごちそうになっておるのは少しございます。しかしわれわれが今まで調べました限度におきましては、何千万円も横領した人間の
共犯
と思える程度の趣旨の分け前をもらったというか、臓物をもらった程度の人間はまだ発見できないので、先ほど申し上げたように、
共犯者
は今のところ見当らなかったというように御報告申し上げるわけでございます。
細田綱吉
91
○
細田
委員
あなたの方で飲んだところを調べれば、だれが来たかということはわかるはずだ。たとえば
局長
や
課長
が、しかも一回や二回ではない、数回来ておったということであれば、これはあなたの方の職権をもって調べればわからぬはずはないじゃないか。
井本臺吉
92
○
井本説明員
今申し上げたように、招待を受けましたり、出張の際の旅費手当を一万円なり一万五千円もらったのがございます。しかしこの程度で直ちにこれが
多久
島の
共犯
であるということの容疑は、今のところかけられないのであります。
多久
島本人の供述では、
自分
が
農林省
内では一人でやっておったのだ、
共犯
はないのだということをしきりに言っております。
多久
島の供述と、ただいま客観的に申し上げた
多久
島がごまかした
金額
があまりにも大きいにもかかわらず、その分け前にあずかった
金額
が比較的少なかったというような
関係
で、これだけの大
事件
の
共犯
ということを認定するのには現状では不十分であるというのが、今までの
経過
でございます。
細田綱吉
93
○
細田
委員
あなたの先ほどの御
説明
に、恐喝を受けた
事件
が数十万円ある。これはどういうところから恐喝を受けておりますか。
井本臺吉
94
○
井本説明員
まだその点は詳細な報告を受けておりませんので、調べまして後刻御報告申し上げます。
細田綱吉
95
○
細田
委員
これはあなたの方としては関連恐喝
事件
として直ちに調べなくちゃならぬ。私のようなしろうとだって、これはどういうところから恐喝を受けているかということは、
農林省
内のこういう予算の使い方ですから、ジャの道はヘビで、そういう方面だと思う。それをあなたのような専門家がまだ報告を受けていない、これは気がつかないというはずはない。検察当局は河野
農林大臣
に遠慮しているのですか。だから今言ったように調べていない。あの
会計
検査院の膨大な批難事項の
金額
からいって、あるいはまたあなたがさっきおっしゃったように、
補助金
なり検事を設置したというところから見て、どうもまだ手をつけていない。それで恐喝関連
事件
はまだ報告を受けていない。どうも私は、鳩山内閣の実力者である河野
農林大臣
に法務当局も遠慮しているような気がする。一つ十分に、法務の権威に関してもお調べを願いたい。 それからもう一つ、われわれに非常に疑問に思われるのは、前の
農業保険課
長、ただいま広島県の農地部長か何かやっておる人、これは何も
関係
がなかったのですか。とにかくことほどさようにしょっちゅうめくら判を押しておったのですか。
井本臺吉
96
○
井本説明員
めくら判は私もずいぶんめくら判をある場合には押しますが、この場合はずいぶんひどいめくら判だと考えております。
細田綱吉
97
○
細田
委員
いや冗談じゃない。広島県の部長をやっている久宗高君という前
保険
課長
は——あなたもそうしょっちゅうピンからキリまでめくら判ではないと思う。
保険
課長
という専任者でしょう。
多久
島の
犯行
に対してこの人は任期中ピンからキリまでめくら判だということでしょう。この人は
起訴
されていないでしょう。これはどういうわけなんです。
井本臺吉
98
○
井本説明員
文字
通り
めくら判でありまして、本人が
犯罪
の意識がありませんから、
犯罪
の意識がない者は
起訴
するわけにはいかぬというので、めくら判を押したという道義的責任は十分追及されるべきだと思いますが、
犯罪
の容疑はただいまのところございません。
細田綱吉
99
○
細田
委員
次官に伺います。いろいろ他の
委員
諸君からも御質問がありましたが、こういう
事件
を起し、しかも
会計
検査院から批難されてからすでに何回もあり、数年もたっているのであるが、あなたは現在共済組合をどういうふうにしたらいいか——せっかく
調査
中でありますということは伺いましたが、現在あなたの個人的な心境でもいい。共済組合はこのままに置いてはどうにもならない。これはおわかりだと思う。一生懸命で、いつだってあなたの方は慎重
調査
ということは言われるのだが、現在あなたの個人的な心境でもいいのだが、共済組合制度をどういうふうに改革されたらいいと思っていらっしゃるか、その点を伺いたい。
清井正
100
○
清井説明員
この問題がかくもしばしば
会計
検査院からも御指摘を受け、御列席の各
委員
からもしばしば御指摘等を受けているのでございますが、そういうようなことに直面いたしまして、私
ども
事務
当局といたしましてもかねてからこの制度そのものの根本的改革並びに
交付
すべき
保険金
の
交付
の
事務
的
手続
等につきまして、いかにして改善いたしまして、こういうような非難を受けるような
事態
をなくなし、同時にまた農業
保険
本来の目的にかなうよう措置いたしたいというふうに考えておったのでございますけれ
ども
、なかなかもってその結論が出ないということは、やはりこの問題がいかにむずかしい問題であるかということを如実に物語っているのではないかと思うのであります。ただいませっかく検討いたしているのでございますが、私
ども
個人といたしましても、いま直ちにこの組合を通じての
保険
制度というものをどう改革いたしたならばいいかということについての御返事は実はいたしかねるのでございます。非常に問題がむずかしゅうございまして、非常に複雑で、しかもこれが農業政策根本にわたる問題でございますので、私
ども
ただいま個人的意見をというお尋ねでありますが、まことに恐縮でございますが、私
事務
当局の責任者といたしましても、こうしたならばいいというような方向を見つけるのにも実は苦心をいたしているような次第でありまして、
関係者
とともにすみやかに検討を遂げてこの結論を見出したいというように考えております。
細田綱吉
101
○
細田
委員
あなたは非常に苦慮されたむずかしい問題だとおっしゃるが、確かに簡単な問題ではないが、しかししぼってみると三点か四点になるのです。言いかえてみれば評価
委員
というものが各部落で出るでしょう。損害の評価が部落で出るから、
水増し
があるであろうと従来の地方
事務
所でまず切られる。また県へ行って切られる。だから農民自身が今年の損害額が何%に査定されているかさっぱりわからない。だからこれだけ来たぞといえば、はいさようでございます、これだけ来たぞ、さようでございます——これではしようがない。評価
委員
制度が農民にじかにわかるように——もちろんこれは規定では農民にあとで知らすというようになっているが、知らしているところはどこにもありません。従ってこの評価
委員
の制度にまずメスを入れなければいかぬ。各部落の評価
委員
に最初評価させていくから上の方でだんだん削られていく、それは農民にわかりっこない。だからあてがい扶持ということになる。いま一つは強制加入の点です。これは先ほ
ども
生田
委員
が言っておったが、強制加入でしょう。いやだと言うわけにはいかない。それだからついにこれが滞納になる。だから大体どこの
農業共済組合
でも
政府
からきた金で埋め合せてしまって、もうとらないのです。ここに大きな考えるべき点があると私は思う。というのは、強制加入で掛金が平等でしょう。こんなばかな制度というものはない。
火災保険
だってそうでしょう。何等、何級というか知らぬが、高いところと低いところとある。上田、上畑と、毎年
災害
を受ける悪いたんぼ、畑とが一様なんです。いいたんぼ、畑を持っている人は毎年々々高い掛金をかけて、もらう人は毎年々々もらう。これではどうしても制度それ自身が滞納を奨励するようだ。だから勢いかけなくなる。かけなくなるから、その係員があてがい扶持で途中ネコババというかピンはねをするから、つい強制差し押えしなくて
政府
からきた金で掛金を埋め合せるというようなずぼらが出てくる。だから強制加入であるならば、むしろ市町村に移してしまう、そうして
農業共済組合
の
職員
は町村吏員にしてしまったらいい。平等な掛金、これがおかしいのです。いいたんぼや畑はいつでも
災害
を受けない。悪いたんぼや畑を持っている人はいつだって掛金をもらうということはわかっているんだから、上田、上畑を持っているような人には、
保険
ですからただではいかぬでしょうけれ
ども
安くする、毎年もらうようなところはある程度まで上げるということを考えないと、いいところを持っている人はばかばかしいということになるから、どうしてもかけない。こういう点ですよ。 いま一つは、共済組合の
職員
は農業協同組合の
職員
の兼務が多い。だからほんとうの仕事はできない。だから、ほんとうに強制加入でやっておくならば、掛金に一つの差等をつけると同時に、むしろ市町村に移したらいい、税金と同じなんだから。これを単独で置いておくところにも、今言ったように弊害がある。だから農業協同組合と一緒にならなければ——農業協同組合は申し上げるまでもなく任意加入なんだから、強制加入とこれとがどうしても一緒にならぬというならば、これは市町村に移すべきだ。市町村に移せないならば、農業協同組合と一緒にしてしまったらいい。そうして強制加入と任意加入の両面を扱わしたらいいと思う。しぼっていけば、そんなにたくさんない。幾らもらえるかわからない、掛金はかけていない、だから農民だって、これだけしかこないぞと文句は言わない。文句は言わないから、幾らでもピンはねができる。だから生田
委員
の言ったように全国の八〇%は刑事
事件
になる——
刑事局長
はそういう点はまだ報告を受けていないとかなんとか言っておったけれ
ども
、あなたの方だっておそらくピンはねして国会対策の方に流用しているんじゃないかと、私のひがみかもしれませんが想像できる。ことに
多久
島
事件
は突如出たわけではない。
会計
検査院が批難していたことで、もう結論は出ていなければならぬ。それをあなたの方でむずかしい問題でまだ研究しているというのは、結局あなたの方では国会対策費に隠して、出るところがないから、じんぜんと日を延ばして、そっちから一つ流用しようという魂胆があると考えられてもしようがない。あなたのような
農林省
で長く飯を食っておる練達堪能な人が、こんなことはしぼっていけば大して多くの点はない。四つか五つなんです。もう一度あなたの御意見を聞かして下さい。
清井正
102
○
清井説明員
制度の問題についてただいまいろいろ御批判をいただきました。評価
委員
の問題から強制加入の問題それから
職員
の兼務の問題等、ただいままでの
保険
と申しますか、農業共済制度の運営上の根本問題について適切な御意見を言っていただいたわけであります。実は私はこういうような問題につきまして、いろいろ検討を加えておった事実があるのでありますが、ただいま実地の観点からの適切な御批判をいただきまして、私
ども
今後共済組合の制度を至急確立いたしますについての有力な参考意見として十分考えていきたいと思うのであります。またそれに関連いたしまして、たびたび国会対策費というような言葉をお聞きいたすのでありますが、先ほど
刑事局長
さんからもお話がございましたが、私
ども
といたしましても、実はこういうことが新聞に出ましたので、私
ども
の部内で早速調べさせたのであります。しかしそういうことは実際上もあり得ないことでありますし、絶対ないのであります。これは掛金の問題でございまして、御承知の
通り
共済掛金、主として末端にいってからの問題であります。私
ども
ただいま問題にいたしました
多久
島のは
団体事務費
の問題でありまして、全然性質の異なる問題でございますし、また事柄の本質からいいましても、そういうことがあり得ようはずはないのであります。私
ども
むろんこれはないと思って、しかし新聞にも出ているということで再三
調査
を命じましたが、一切こういうことはございません。その点はたびたび御引用になりましたが、私といたしましては確信を持ってそういうことはないと申し上げることができると思います。ただ、ただいま御批判をいただきました現
保険
制度の欠陥の問題につきましては、十分一つ参考といたしまして今後の施策の確立に資したい、こういうふうに考えます。
細田綱吉
103
○
細田
委員
あなたの方の
共済金
があるものは県を通じ、あるものは各県の
共済連
に出す、こういうところに大きな欠点がある、また悪いことをする穴もあるのです。これは一旦県に入って県の予算に出れば県
会議
員がまたこれに注意の眼を向けます。県
会議
員すら素
通り
してしまってどこも調べるところがないから、今言ったようなルーズな制度の上で幾らでも途中でつまみ食いができる。だからこれは一旦県に入れて県の予算に出させて公正に使わせるということが、言いかえれば数十人の県
会議
員の検査のもとに使うということが好ましいと思うのだが、この点改正されているのですか、どうなのですか。
清井正
104
○
清井説明員
先ほどの
団体事務費
の問題につきましては、
交付
規則
を県一本にこちらから
交付
するということに改正をいたしたのであります。その他全般の問題につきましては私
ども
ただいまの御注意の点を十分一つ参考にいたしまして制度改正に努力いたしたいと思います。
細田綱吉
105
○
細田
委員
茨城
県
共済連
に対して損害賠償か返還請求の方法をとっておられるかどうか。御承知のように
加倉井
共済連
会長
が
起訴
されております。これに対してあなたの方では
茨城
県
共済連
に対してどういうように御処置をなさるお考えか、その点お伺いします。
清井正
106
○
清井説明員
ただいまお話がありました
通り
四千七百万円でございましたか、私の方で不当に
茨城
県
共済連
が受けたという額につきまして
返還命令
を出しておるのでありますが、まだそのままになっております。なおその他国の損害をできるだけ少からしめるために
関係者
の財産等を法務省の
関係
と
調査
をいたしまして、国の債権保全あるいは将来の民訴提起の材料にいたしたいということでやっておるのであります。
細田綱吉
107
○
細田
委員
悪いことをした連中に対してあなたの方で個人財産に対する徹底的な追及をするのは、これはしかるべきだと思います。しかし今あなたが言った四千何百万円というでっかい返還請求を受けたら、これは
茨城
県の方ではどうなるのでしょう。農民からとるといっても、これはちょっとできないでしょうし、そうすると
茨城
県の
共済連
は事実上機能停止のような状態になる。こういう点はどういうふうに見通されておるか。
清井正
108
○
清井説明員
この
茨城
県において不当に取得された金が、これは現実において
多久
島並びに一部の部外者に固定されましたために、これをそのまま
茨城
県の
共済連
が国に返還いたすということにつきましていろいろ問題が起ろうかと思うのでございます。しかし私
ども
の立場としては、あくまでこれは請求をいたさなければならぬ立場であります。この間
共済連
といたしましてどう措置をいたすべきかということにつきまして
関係者
といろいろ相談をいたしておるようでございます。私
ども
この問題につきましては十分法務省とも相談をいたしまして適切な処置をとって参りたいと存じます。
細田綱吉
109
○
細田
委員
この問題ですが、元はあなたの方なんだ、ちょっと誘いの手にかかったわけです。先ほど
刑事局長
が言ったように、
共済連
を手に入れれば簡単にできるという
多久
島の奸智というかずる賢い知恵のもとに
茨城
県の
共済連
がひっかかっている。だからそれは不当な
交付
は受けたかもしれないが、だからといってあなたの方で理屈
通り
茨城
県に対して、これを返せと言ったら、
茨城
県の
共済連
は事実上機能停止、
茨城
県の農民は共済
保険
のワク外に置かれるというようなことに実際なるのです。この点はよくあなたの方も慎重にお考えの上、一つ
茨城
県の
共済連
が機能停止にならないように、また農民の負担にならないように御考慮を願いたい。
上林與市郎
110
○
上林委員長
それでは
委員長
の手元に通告がございました
委員
各位の質疑は終了いたします。
吉田賢一
111
○
吉田
(賢)
委員
ちょっと補充的に、その他資料の
関係
もありますから……。 安田さんに伺います。
事務
費の
国庫
負担金の
交付
の
申請
の
書類
が
連合会
から出される場合に、その
書類
は県庁を経由するのではないのでしょうか。それからもう一つ、前年度の精算書を
政府
に
提出
するときは県庁を経由するのではないでしょうか、その点どうなっておるのですか。
安田善一郎
112
○安田
説明
員
補助金
の
申請
要求
は
清井
次官も申し上げました
通り
、県連分と組合分と違いますけれ
ども
、改正前の
規則
による場合でありますが、県と
共済連
が
協議
をしてきめました一方によりまして、県連の場合は県を経由して
申請書
が出てくる建前になっております。それを受けて
交付指令
を出しまして、
金券
を
交付
するのは直接に県連にいくようになっておりまして、決算の報告は年度末が過ぎましてから直接官房の
経理
課に参ります。
上林與市郎
113
○
上林委員長
吉田
君、簡潔に願います。
吉田賢一
114
○
吉田
(賢)
委員
そうしますと県庁を経由した分につきましてはやはり県庁の捺印などがあるだろうと思いますが、その場合に
多久
島のなした、問題になりました一切の文書について県庁を経由すべき分があった場合には、県庁の判の有無は見ればすぐわかるわけでございますね。その辺はごらんになったのであろうかどうだろうか。つまり県庁を経由した場合の県庁の判の有無は一応
書類
検査なんかする場合には一覧すればすぐわかるのじゃないかと思うのです。この点なお
政府
における書面検査がとかく十分でないような感じを持っておるのでありますが、これは時間もありませんから後日のことにしますけれ
ども
、この場合県庁を経由して出てくる書面は決算であろうと
交付
申請
であろうとにかかわらず県庁の判があるわけなのだから、県庁の判がある場合には検査院においてもまたは本省においてもすぐわかるべきじゃないかと思うのが一つと、それから県庁を経由したものにあるべき県庁の判がない場合には一応知事その他の県庁当局を呼び出して
調査
するということも必要ではないだろうかと思うのでありますが、その辺はせられたろうか、もしくは具体的にはどういうふうになさったのだろうか、御
説明
ができれば一つしていただきたいのであります。
安田善一郎
115
○安田
説明
員
本件
は
清井
次官が代表して申し上げましたように、私の監督責任は特に大きくて非常に恐縮しておりまして、
事件
発覚以来最大の努力をしたつもりでありますし、また進退伺いも大臣のもとに直ちに
提出
いたしまして、
国民
各位及び国家に対して申しわけなく思っておるものでありますが、私が
農林経済局
に参りましたのは去年の十月五日発令で、後任の官房長がなれておりませんところに参議院の農林
委員会
もありましたので、半月以上かわりに手伝いをしておりました。それ以後農業
保険
の
国庫
事務費負担金
の
交付
事務
に関する
手続
は私のところに相当参りましたけれ
ども
、年間のうちのものとしましてはまず第一に
交付
内示
書というものが出ますが、これは県庁にもいく、団体にもいくのであります。これは年間県別に配付するのが済みまして、五月暫定予算、六月暫定予算は済み、七月以降は年間予算でありますが、全部済んだあとで、それを区切りまして四半期ごとを原則にしまして指令書ができ、
金券
ができる
書類
が通ってきたのでありますが、岐阜県その他十二県、岩手県外二十五県というような
書類
は記憶がありますけれ
ども
、個々のものにつきましては、記憶がないものもございます。その後
事件
発覚以来、と申しますのは、私自身につきましては五月二十五日国会において
課長
から報告を受けたのでありますが、直ちにその夜から
多久
島を呼び出して聞きました。あわせて
書類
及び帳簿を調べましたが、
書類
は紛失持ち出されております。帳簿も持ち出されておりました。
事態
遷延して申しわけなく思っておりまするけれ
ども
、それについてあとから、また見た
書類
につきまして見ますると、
吉田
委員
の御質問と御想察の
通り
、県庁の
申請書
には県庁の官印をちゃんと押したものがすべてついておるのです。申し忘れましたが、
茨城
県の農林経済部長八塚君に対しましては
事情
調査
上上京してもらいまして、その
関係
も調べたのであります。
吉田賢一
116
○
吉田
(賢)
委員
だんだん質問したいのでありますけれ
ども
、きょうはこの程度にしておきまして、なお今後の
調査
のために少しく資料を出していただきたいと思うのであります。
清井
次官に頼んでおきますが、あなたの方へ——やはり元の
事務官
だから、
多久
島が何らかの文書で、始末書かてんまつ書か何か書いたものがあれば出していただきたい。それから同じく自殺した何がしか——これは私は具体的に存じませんけれ
ども
、
吉川
六郎とかいう
事務官
が自殺いたしておりますが、これの関連のことも一応聞きたいと思いますので、これについても何らかの資料があれば出していただきたい。それから
告発
したとおっしゃっておりますが、
告発
状の写しを一つ出していただきたい。それからなお検察当局じゃなしに、法務当局におきまして法律
上司
能な範囲でいいですから、一つできるだけその後の
経過
——きょうの質疑応答なんかに現われましたことに関連して、御報告できる事項は一応
経過
を知らしていただきたいと思います。
上林與市郎
117
○
上林委員長
ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
上林與市郎
118
○
上林委員長
速記を始めて。 資料の
要求
の件については、
委員
部でも
調査
室でも農林当局でもメモをとっておると思いますから、私の方で打ち合せをいたしまして、しかるべく取り計らいたいと思います。 なお念のためにもう一度申し上げますが、
本件
に関する
調査
は、本日のところは一応この程度といたし、次会に引き続き行うことといたします。 なお
山本
君より発言を求められておりますのでこれを許します。
山本猛夫
119
○
山本
(猛)
委員
本日の時間も切迫いたしておりますので、手短かに要点だけを申し上げます。佐久間発電所の逆調整のためのダムを作る必要から、佐久間の下流に第一、第二の秋葉発電所を建設中でありますが、その地盤がひどく悪くて百七十五億円の工事費予算がおそらくその倍くらいにふくれ上るだろうと伝えられております。しかも不正工事の結果各所にしばしば土砂くずれが起っていて、幾たび道路を作ってもくずれてしまうということが伝えられておりますので、これらに関して究明をしなければなりません。よって予備
調査
をしてほしいのであります。これらにつきまして
委員長
を通じてお願いをいたしておきます。
上林與市郎
120
○
上林委員長
予備
調査
は私の方で取り計らいできるようになっておりますから、そのように取り計らいます。なお具体的な予備
調査
の取扱い方は
理事会
において御相談願いますから御了承願います。 それでは本日はこの程度で散会いたします。 午後四時二十八分散会