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1956-08-23 第24回国会 衆議院 決算委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年八月二十三日(木曜日)     午後一時二十一分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 本名  武君    理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    櫻内 義雄君       松岡 松平君    神近 市子君       田中幾三郎君    細田 綱吉君       森本  靖君    山田 長司君       吉川 兼光君  委員外出席者         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         農林事務官         (事務次官)  清井  正君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         会計検査院長  東谷傳次郎君         会計検査院事         務総局次長   小峰 保榮君         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 六月十三日  委員足鹿覚君、佐竹新市君、中村高一君、細田  綱吉君、矢尾喜三郎君、八百板正君及び山田長  司君辞任につき、その補欠として吉川兼光君、  坂本泰良君、吉田賢一君、原彪君、楯兼次郎  君、片島港君及び神近市子君が議長指名で委  員に選任された。 七月九日  委員赤澤正道君、松岡松平君及び山本正一君辞  任につき、その補欠として池田正之輔君渡邊  良夫君及び菊池義郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員池田正之輔君渡邊良夫君及び菊池義郎君  辞任につき、その補欠として赤澤正道君、松岡  松平君及び山本正一君が議長指名委員に選  任された。 同月十一日  委員吉田賢一辞任につき、その補欠として片  山哲君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として吉  田賢一君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員吉川兼光辞任につき、その補欠として細  田綱吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員細田綱吉辞任につき、その補欠として吉  川兼光君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員山本正一辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員に選任された。 同日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  山本正一君が議長指名委員に選任された。 八月二十三日  委員片島港君、片山哲君、原彪君及び坂本泰良  君辞任につき、その補欠として田中幾三郎君、  山田長司君、細田綱吉君及び森本靖君が議長の  指名委員に選任された。 同日  理事池田清志君、山田長司君及び佐竹新市君六  月十三日委員辞任につき、その補欠として關谷  勝利君、坂本奉良君及び吉田賢一君が理事に当  選した。 同日  理事山本正一君七月九日委員辞任につき、その  補欠として本名武君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況農業災害補償関係経理)に  関する件     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に理事補欠選任につきましてお諮りいたします。すなわち理事池田清志君、佐竹新市君及び山田長司君が去る六月十三日に、また同じく山本正一君が七月九日にそれぞれ委員辞任せられましたので、理事が四名欠員となっております。つきましては、これが補欠選任を行わねばなりませんが、前例によりまして選挙の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事關谷勝利君、本名武君、吉田賢一君及び坂本泰良君を指名いたします。     —————————————
  4. 上林與市郎

    上林委員長 次にお諮りいたします。歳入歳出実況佐久間ダム電源開発)に関する件につきまして、去る七月現地に委員を派遣して調査を行なって参ったのでありますが、去る十三日及び本日の理事会で御協議を願いました結果、さらに電源開発株式会社総裁——これはまだ決定していないようですが、決定いたしましたら新総裁を、同じく前副総裁藤井崇治君及び総務部長岡部邦生君の三名を参考人として当委員会に招致し、実情を聴取いたしたいと存じます。また日時につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  6. 上林與市郎

    上林委員長 それでは日程に入ります。歳入歳出実況農業災害補償関係経理)に関する件につきまして調査を進めます。  多久事件としてしばしば報道されておりました通り農業災害補償関係経理につきまして相当以前より問題があったやに聞き及んでおりますが、国民の血税の使途につきまして厳重な監視を続けて参りました当委員会としましては、事件の実態を把握して国費の乱費を厳に戒め、もって国民の負託にこたえんとするものであります。  それではまず政府当局より事件経過、またこれに対してとった処置等につきまして説明を聴取いたします。農林省清井事務次官の御発言を願います。
  7. 清井正

    清井説明員 私農林事務次官清井でございます。今回の御調査にかかります多久島貞信不正事件に関して御説明申し上げる前に言申し上げたいと思います。今回の事件に関連いたしまして、一般社会全般に対しまして非常な悪影響を与え、なお私ども国家公務員につきまして一般から非常な不信の念を抱かすような事態に至りましたことにつきまして、また重ねて本委員会におきまして委員長初め各委員調査をわずらわすような事態を引き起しましたことにつきましては、まことに申しわけない次第でございまして、私農林省事務当局首脳といたしまして、皆様に対しまして厚くおわびを申し上げる次第でございます。これ一重に私ども事務当局首脳の不徳、事務監督の十分ならざることに由来する点でございまして、まことに申しわけない次第でございまして、重ねておわびをいたす次第であります。  それではただいまから御説明申し上げますが、本件につきましては目下多久島が拘留中でありまして、さらに関係書類が最近まで警視庁提出中でありましたために、事実について不明の点があるのでございますが、今日までに判明いたしました事実の概要について申し上げたいと思います。  まず農林経済局農業保険課におきまして農業共済団体交付すべき事務費国庫負担金及び補助金交付に関する事務を直接担当いたしておりました農林事務官久島貞信、これは団体班団体事務費の係員でありますが、この多久島貞信がその地位を乱用いたしまして、茨城農業共済組合連合会の一部役職員及び外部の関係者と共謀いたしまして、上司を欺罔し、茨城共済連交付すべき額以上の事務費負担金支出を行なわしめ、これを騙取したものでございます。農業共済団体事務費国庫負担金は、農業共済団体の運営に必要な役職員給料手当及び旅費、事務諸費会議費等事務執行に必要な経費を、農業災害補償法第十四条の規定に基き毎会計年度予算の範囲内で国が負担しておるのでございます。従いまして、この事務費負担金災害に応じて支払われるところの再保険あるいは保険金共済金とは関係がないのでございます。この事務費負担金交付手続は、農業共済団体事務費国庫負担金交付規則というものがございまして、この規則の定める手続に従いまして、財政法会計法予算決算及び会計令等一般会計法規の定めるところによって行われておるのであります。改正前の農業共済団体事務費国庫負担金交付規則によりますと、毎会計年度組合分については、都道府県知事農業共済組合連合会長協議の上、そのいずれかが申請者となりまして、また連合会分につきましては、連合会長申請者となり農林大臣あて交付申請をなし、農林大臣はこれを受理し、その内容を審査して交付指令を発し、これに基き必要な支出を行なっていたのであります。この場合において、農林省都道府県知事に対し、毎会計年度当初当該年度において農業共済組合及び同連合会交付を受けるべき額の内示を行なっていたのであります。多久島は、茨城共済連の一部の役職員、すなわち加倉井会長大津経理課長薗部経理課員及び部外の関係者玉江紙製品工業株式会社社長江黒義男と共謀をいたしまして、同共済連の名をもって同共済連交付すべき額目上の申請書提出させ、これに基き交付指令原議を作成し、前記申請書は正当なものであって国はその申請通り事務費負担金交付しなければならないもののように装いをいたしまして、直接の上司を欺罔し、それにより関係上司に誤信させ、所要の決裁をなさしめて、これにより当該申請額国庫から茨城共済連あて送金され、同共済連——経理課長でありますが、受領をして騙取したものと思われるのであります。  不正支出となりました額は、昭和二十九年度において千二百六万一千円、昭和三十年度において四千七百八十四万二千円、合計五千九百九十万三千円となっておるのでございますが、多久島が本年四月兵庫共済連送金をいたしました千二百八十万六千円につきましては、多久島から還付せしめることに決定をいたしましたから、これらを差し引きました四千七百九万七千円が目下のところ実損額と認められるのでございます。右の騙取は、当初は多久島が茨城共済連関係者から依頼され、同共済連簿外赤字を填補するために行なったもののようでございますが 昭和二十九年度及び三十年度を通じて騙取額の総額についてみますと、その大部分は多久島の事業資金等に充て、一部が茨城共済組合連合会加倉井会長大津経理課長により、茨城共済連簿外赤字補てん資金等に充当された結果になっている模様でございます。上記の不正事実は昭和三十一年五月十四日兵庫共済連の申し入れより、兵庫共済連交付すべき三十年度第四四半期の組合事務費が未交付となっているにかかわらず、予算残額当該夫交付額を下回っていることが判明いたしたため、関係帳簿について調査を開始し、五月二十四日に至り茨城共済連に対する不正超過交付疑いが濃くなったため、五月二十五日当時欠勤中の多久島の出頭を求め、同人から事情を聴取いたしたのでありますが、十分に事態が判明しないまま翌日から多久島は入院した、五月二十八日茨城共済連大津経理課長につき、五月二十九日同加倉井会長及び大津経理課長につき事情を聴取すると同時に、当日病院において多久鳥から一部の自供があったのであります。五月三十一日夜以来東京地方検察庁に連絡をとるとともに、六月一日から六月三日まで茨城共済連を監査いたしたのであります。その結果不正事実のあることがほぼ確認されまして、六月五日をもって多久島を懲戒免職するとともに、同日東京地方検察庁告発した次第であります。多久島、大津の両名は六月二十八日詐欺容疑起訴され、七月五日詐欺容疑で追起訴、さらに七月十日多久島は公文書偽造の訴因の追加でございますが、詐欺容疑で迫起訴されたのであります。薗部は七月五日、さらに十四日、江黒は七月十日、加倉井は七月十四日、それぞれ詐欺容疑起訴されたのであります。  政府は今次事件の発生にかんがみ次のような措置を講じたのであります。まず職員の気分を一新し、執行の態勢を整備するために、六月七日付で農林経済局内一般的な人事異動を約四十名にわたって実施いたしたのであります。六月八日茨城共済連に対し、同共済連は三十年度において不正交付を受けたと認められる四千七百八十四万二千円の返還命令を発したのであります。六月十二日に農業共済団体事務費国庫負担金交付規則を改正いたしたのであります。多久島、加倉井等に対し、国庫から損害の賠償を請求するため、法務省訟務局にはかり関係者の財産の状況調査中でございます。七月三日関係局長行政処分を行うとともに、局長以上に対し農林大臣から訓辞を行なったのであります。七月三日官庁事務粛正刷新についての閣議決定がありまして、これに基き同日執務刷新について農林大臣通達を発するとともに、農林省執務刷新要領を定め、人事管理補助金等取り扱い会計経理、文書の取り扱い等について必要な改善を加え、ただいま厳正な実施を期しておるのであります。七月五日農林大臣執務刷新につきまして課長以上を一堂に集め訓辞を行なってきたのであります。八月十六日警視庁から書類が返還されましたので、同日から二十九、三十年度の都道府県別事務費国庫負担金交付状況について調査を開始いたしまして、目下数字の点につきまして調査中でございます。なお課長以下の関係者処分については近くこれを行う方針でただいま審議いたしておる最中でございます。  以上簡単でございますが、事件概要を御報告申し上げた次第でございます。
  8. 上林與市郎

    上林委員長 次に法務省井本刑事局長説明を求めます。
  9. 井本臺吉

    井本説明員 多久事件の概況について御説明申し上げます。まず第一に捜査端緒でございます。この事件昭和三十一年六月五日農林省農林経済局長安田善一郎及び同局農業保険課長橘武夫の両名が、東京地方検察庁検事正あて同局課団体事務費係農林事務官久島貞信横領容疑告発したのが端緒でございます。  第二、告発受理後の経過について申し上げます。告発当時の状況多久事務官昭和三十年度におきまして、茨城農業共済組合連合会総額六千七百万円の事務費国庫負担金を不正に送金しておる事実、次に農業共済組合連合会経理局長大津茂が右の不正送金を受け取って、多久島にこれを仮戻しておる事実。次に多久島が昭和三十一年五月三十一日以降所在が明らかでなかったという事実、これが当時の状況でございます。その当時の状況及び事犯からの判断といたしまして、おおむね次のごとく判断したのでございます。  第一に多久島、大津両名の共犯は間違いない。第二に農林省内部あるいは農共連内部にそれぞれ他に共犯者が存するかもしれないという疑いがある。第三に昭和二十九年度以前にも不正事犯が発生していると想定すべきである。第四に多久島が決済官の認証を偽造しようとして、決済書類偽造をした結果が犯行になったのではないかという疑いがある、かような点でございます。  私どもといたしましては、まず多久島、大津両名の逮捕が先決でございますので、令状請求の疎明資料の収集にとりかかりましたときに、警視庁捜査第二課の方から、同課において捜査をしたいという申入れがありましたので、四囲の状況からこの申入れを受け入れたのであります。昭和三十一年六月六日午前十時多久島は警視庁捜査二課に出頭したのであります。これは前夜のニュースで告発の件が報道されたためであるようであります。多久島の取調べから順次関係者検挙をしたのでありますが、その検挙及び処分日時はおおむね次の通りであります。多久島貞信昭和三十一年六月六日逮捕、同年六月九日勾留、同年六月二十八日起訴、さらに二度に追起訴をしております。それから茨城農業共済組合連合会経理課長大津茂、これは昭和三十一年六月七日逮捕、同年六月十日勾留、同年六月二十八日起訴、さらに二度にわたりまして追起訴をしております。大津昭和三十一年七月十六日保釈になっております。次は昭和三十年五月三十一日まで農業共済組合連合会経理課員でありました丸紅運送店店員薗部尚一、これは昭和三十一年六月十三日逮捕、同年六月十六日勾留、同年七月五日起訴、さらに七月十四日追起訴をして七月十六日に保釈になっております。次は玉江紙製品工業株式会社社長丸紅運送店主江黒義男、これは昭和三十一年六月十八日逮捕、同年六月二十一日勾留、同年七月十日起訴になっております。なお本人も七月二十日保釈になっております。それから茨城農業共済組合連合会会長加倉井正利、これは三十一年六月二十三日逮捕、同年六月二十五日勾留、七月十四日起訴になっておりまして、七月二十一日保釈になっております。  次にわれわれが取り調べました犯行の全貌について申し上げます。被害の日時金額でありますが、イといたしまして、昭和二十九年度市町村組合分内示額に対しまして二百三十七万三千五百円を水増し申請の上、騙取した事実であります。これはお手元までお配り申し上げました犯罪事実の第二の二に当っております。  ロ、昭和二十九年度連合会分内示額に対しまして……。(「今の刑事局長が読んでおられるのはこっちにない」と呼ぶ者あり)少し違うのですが、「多久島貞信関係事件公訴事実について」という書類がお配りしてございますけれども……。(「内容が全然違う」と呼ぶ者あり)いろいろごたごた書いてありますので、整理して申し上げているわけですが、起訴事実につきましては、先ほど申し上げましたこの別紙の「多久島貞信関係事件公訴事実について」のうちの公訴事実の要旨のうちの八ページの第二の二に詳しく書いてございますが、これが最初の昭和二十九年度市町村組合分内示額に対する二百三十七万三千五百円の水増し申請の騙取。口、昭和二十九年度連合会分内示額に対しまして三百九十五万七百九十九円の水増し申請の騙取、これが別紙第二の一に該当します。  それからハ、昭和二十九年度家畜共済事業事務費後期分市町村組合分内示額に対しまして、二百九十七万六千八百四十七円の水増し申請の上の騙取。これが別紙の十ページ、第二の四に該当いたします。  ニ、(「イロハのニというのはどこにあるのか」と呼ぶ者あり)これは犯罪事実は大体ここに詳しく書いてございますが、私がそれをまとめて言っておるのでございます。別紙のページをその都度申し上げますからそれをお読みいただきたいと思います。昭和二十九年度家畜共済事業費後期分市町村組合分内示額に対する二百九十七万六千八百四十七円の水増し申請の騙取。これは別紙の十ページの第二の四であります。  その次は前回内示額に対する八十万八千七百四十八円の二重申請の上の騙取。これは別紙の第二の六、十二ページの終りの行にございます。  その次は、昭和二十九年度家畜共済事業事務費後期分連合会分内示額に対する百三万九千百四十七円の水増し申請の騙取。これは別紙九ページのまん中ごろに詳しく書いてございます。第二の三に当ります。  その次は同じ内示額に対する九十一万二千三百十三円の二重申請の上の騙取。これは十一ページの第二の五という項目でございます。  その次は昭和三十年四、五月暫定予算分市町村組合連合会に対する各内示額に対し、千六百九十一万九千九百八十円を二重にかつ水増しして申請の上、騙取した事実。これは起訴状の第一の事実でございます。五ページのまん中から書いてございます。  その次は昭和三十年六月暫定予算分市町村組合分内示額に対しまして、六百十四万六千百三十六円の二重申請の上の騙取。これは十二ページの第三の一に当ります。  なお同じ内示額に対しまして、同じ六百十四万六千百三十六円を三重に申請の上、騙取しております。これは第三の二に当ります。  さらに昭和三十年度本予算連合会分内示額に対しまして、五百十七万四千百九十一円を不正申請の上、騙取しております。これは第三の三に当ります。十四ページのまん中ごろに該当します。  その次は昭和三十年度本予算市町村組合分内示額に対しまして、四千百七十一万三千百十四円を二重申請の上受領いたしまして、右金額のうち八百八十九万九千六百九十四円を連合会分としての正規受領額に充当し、結局その差額の三千二百八十一万三千四百二十円を騙取しております。これが第三の四の十五ページの事実でございます。  次にわれわれの方で取り調べましたこの被告人らの犯行の方法でございますが、各内示額に対しまして、農業共済組合連合会大津もしくは薗部多久島の指示に基きまして、農業共済組合連合会から農林大臣あて水増し、あるいは二重の交付申請書作成いたしまして、これを多久島に直接手交いたします。そのあとで、多久島は右の交付申請書に基きまして交付指令案原議を作成し、これを決裁に回すのであります。決裁官は、その不正申請書なることに気づかず決裁をいたしまして、かくて申請通り金額農業共済組合連合会に対して金券交付されるのであります。もっとも、事務費国庫負担金予算残高が不足のために、不正申請通り金額交付できないときには、多久島が超過申請理由といたしまして、申請額を削減した上、交付指令案原議を作成するので、交付額申請額より減じた場合もあるのであります。なお、農業共済組合連合会に送られました金券は、本件犯行のため特設いたしました大津茂名義銀行預金口座に振り込んでこれを現金化いたしまして、水増し送金を受けたときは、正規受け入れ額右口座から農業共済組合連合会の本会計に移管し、不正額はすべてこの口座に保管いたしまして、多久島の要求のあるつど同人に手交し、また一部は農業共済組合連合会簿外赤字の充填に使用していたのであります。  それから犯行動機でございますが、多久島個人の事業経営資金を獲得するのが主たる動機でございます。不正申請書提出及び不正送金受領につきまして協力を求められました農業共済組合連合会薗部及び大津の両名は、役人に対する迎合主義からと、多久島の不正に便乗いたしまして農業共済組合連合会簿外赤字補てん資金を捻出し、かつ将来の簿外経費の捻出の意図からこれに応じたのであります。ここで申し上げます簿外赤字というのは、前任者経理課長山田茂加倉井会長及び出入りの印刷業者江黒の依頼に応じまして、日本信託水戸支店から連合会名簿外借り入れをなしまして、同会長及び江黒にそれぞれ貸し付けたところが、その返済を受け得ずして発生したのでございます。  それから騙取金額使途でございますが、騙取金額は、私どもの調べによりますと合計七千九百二十六万千二百二十五円になっております。右のうち、多久島の取得したと認められます額は、六千七百五十六万千二百二十五円でありまして、その差額の千百七十万円は加倉井江黒大津薗部などにおきまして使用しております。  なお、多久島が七千九百二十六万余円の金をいかように使用したかにつきまして、われわれの調べましたところでは、大体次のようになっております。  事業投資に約三千四百万円ほど使っております。それから投資後の事業注入、商品の仕入れなどでございますが、これに約八百二十六万円を使っております。それから青山と板橋の居宅に五百二十七万円、大口の融資に五百九十八万、小口の融資に約百五十三万、自分女性関係その他の特別生活費に約四百五十六万、車代金などに六百十五万、飲食遊興などに九百十九万、家具調度品などに百五十八万、定期、火災保険生命保険などに二百七万、それからおどかされて取られたのが約五十万、実家への援助が七十五万、同僚九名への贈与が十二万四千二百円、大体このような金額で使っております。  なお、多久島が本件犯行をなし得た理由でありますが、これは多久島の供述によりますと、大体かようなことを言っております。  自分は下級の一事務官であるが、年間二十四億円に及ぶ事務費国庫負担金の配分、交付事務ひとりで担当しておった、交付内示案作成決定した内示文の施行、内示に基いて提出された交付申請書内容査定、さらに交付指令案原議の作成まですべてひとりで取り扱っておった、決裁者は係長、班長、課長局長と十数名おったが、私が交付を急ぐから早く決裁をもらいたいといって原議を持ち回ると、内容を検討することもなく、また府県別交付一覧表を準備して交付原議決裁のつど交付済みのチェックをすることもなく、また内示原議と交付指令案原議とを比較照合することもなく、めくら判を押してくれたのである、また会計検査院の検査も災害補償費支出の面については厳重になされたが、事務支出については行われたことがなく、いわば後者は全く死角に入っておった、だから自分が不正を働こうと思えば、送金先の農業共済組合連合会に協力者を得て、かつ事務費国庫負担金の年間予算額の一部を浮かして、浮かした額の範囲内において、協力を得た農業共済組合連合会送金するようにすれば発覚のおそれもなく、自由にかつ容易にできるのである、年間予算額の一部を浮かす操作は自分ひとりでできる、すなわち交付内示案原議に基いて決裁を受け終り、原議通り各府県知事あての施行文を作成するが、この作成自分ひとりでやるから、その際決定した内示額から各府県当り百万円前後を削減した額を交付内示額として施行文に記入すれば全国で四千数百万円を浮かすことができる、右の施行文は農政課及び官房文書課が局長印を押捺して発送し、同課において内示原議と施行文の内容を照合する建前になっておるが、この照合はいまだかつて行われた例がないので、異なる施行文を作成しても発見されるおそれはなかった、かようなことを申しております。  私どもが調べました犯罪経緯でございますが、多久島は昭和三十年度予算額を浮かしまして、農業共済組合連合会に二重送金して不正の利得を続けておりましたが、事業資金に追われまして、浮かした予算額以上に農業共済組合連合会不正送金をいたしましたために、昭和三十年度末におきまして埼玉、兵庫両県へ交付すべき第四四半期分が予算額不足のために送金不可能になったのであります。そこで埼玉から直接の担当官であります多久事務官送金要請がなされましたが、実現を見ないで、昭和三十一年四月下旬に農業保険課長へ照会並びに送金請求がなされたのであります。同課長がさっそく多久島を呼んで夫送金の原因を聞きただしましたところが、多久島は、昭和三十年度本予算からは茨城農業共済組合連合会に対しまして八百八十九万九千六百九十四円を送金すればよいところを、事務上の誤まりから、市町村組合分の第二、第三四半期分として二千八百二十八万三千五百五十二円を送金していたことがわかった旨説明しましたので、一応単純に事務上の過誤から超過送金が行われたものと考えて、茨城農業共済組合連合会に対しましてその超過分の還付命令を出しまして、同年同月二十七日これが還付を受け、予算残金をこれに加えて埼玉県への送金が終ったのであります。ところが引き続き五月十五日に至りまして、兵庫県から未送金の旨の連絡が農業保険課長にあったのであります。多久島は、原因はわからないが、明らかに自分のミスで兵庫県へ送金不能となったのであるから、自分の資産を処分しても兵庫の方へ送金をするというて、数日間所在をくらました後に、兵庫への送金額をいなかの山林を処分してこしらえ、直接兵庫送金したといって出勤してきたのであります。確かに当時兵庫への送金は終っていたのでありますが、これよりさき兵庫への夫送金の件判明に伴いまして農業保険課長が不審を抱きまして、農業保険課と官房経理厚生課と共同で、昭和三十年度における茨城農業共済組合連合会への総送金額及び内示額調査を開始しまして、ようやく五月二十五日に至りまして、茨城県に対して内示額をこえて六千数百万円の超過送金がなされていたことが判明したのであります。なおこの多久島はその間におきまして吉川事務官から借り出しました支出簿を改ざんなどしておりましたので、この調査が意外に手間取ったようであります。超過送金分の交付指令原議がなく、またはこの事実につきまして多久島から事情を聴取しようとしても、同人は五月二十五日から入院して面会謝絶の状態にあり、右の超過送金を果して茨城農業共済組合連合会が現実に受領しているかいなかはっきりしませんでしたので、五月二十七日及び二十九日、農業共済組合連合会加倉井会長大津経理課長出頭を求めて調査したところが、額は不明であるが多額の超過送金があり、担当の多久島に連絡したところが、誤まって送り過ぎたからといって超過分を受領に来たので、全額多久島に渡していると答弁するのみでありまして、真相がつかめなかったが、多久島が何らかの方法で横領もしくは詐欺をやったのではないかという疑惑が深くなりまして、五月三十一日夜、課長から局長に一切の報告をして、局長が即時東京地検の山内次席検事の自宅に電話をいたしまして捜査機関の協力を求めるとともに、六月一日から三日にかけまして茨城農業共済組合連合会の監査を実施するとともに、農業共済組合連合会の取引銀行の調査をしたのであります。その結果超過送金に該当する金額がいずれも大津茂名義銀行預金口座に入金となっておりまして、逐次その預金が三十数回にわたって払い戻されている事実が判明いたしまして、多久島、大津両名の共謀による犯行の存在が認定せられるに至りましたので、六月五日農林省の方から先ほど申し上げましたように正式の告発手続が出たのであります。この間の事情を総合いたしますと、先ほど申し上げた関係者以外には現在のところは共犯その他の容疑者はございません。  なおこの埼玉、兵庫両県に対する右の未送金のほか、実は奈良県に対する未送金額が約二百五十万円あったのでございます。これも未送金の点につきましてはわかっていたのでございますが、多久島におきましてはこの奈良県の分につきましても未送金の点について非常に苦慮しておったようであります。  なお多久島が経営しております事業は赤続きのために漸次経営が困難に陥りましで、結局加倉井大津を通じまして銀行から一時借り入れをして融通を受ける以外に方法がなくなって、本年の四月上旬から加倉井大津両名に交渉を続けまして、四月下旬に農業共済組合連合会の取引銀行二カ所から合計三千二百万円を農業共済組合連合会の名義で借り入れさせまして、埼玉への送金に充てるため右の超過金額の還付及び兵庫への直接送金をなし得たのでありますが、時すでにおそく本件の発覚を見るに至ったのであります。  なおこの銀行からの借り入れを実現させるために、多久島は本年四月十日ごろに局長名の公文書を一通偽造いたしております。これは昭和三十一年度農経第六七八号の局長茨城農業共済組合連合会長あてのものでございまして、昭和三十年度予算から交付すべきであった特別事務費国庫負担金三千六百五十万円は予算の都合で昭和三十一年度において交付することになったから、至急金融機関から借り入れなどして業務遂行に支障なきようにせられたいとの文書であります。これを大津に手交しております。多久島の考えでは銀行にこの文書を提示して借り入れを容易ならしめようとしたのであります。もちろんその内容は虚偽でありますし、かつ偽造であると承知しておった大津は、銀行からの借り入れに際しましてはこの文書は使用しなかったようであります。この点もお手元に配りました起訴状の写の第四に記載してございます。  多久事件の取調べの概要の経緯は以上の通りでございます。
  10. 上林與市郎

    上林委員長 以上で、農林省並びに法務省の説明は終りました。  それでは申し合せの順によりまして、順次質疑を行います。質疑に入る前に出席者を参考までに申し上げます。農林省清井事務次官、安田前農林経済局長、渡部経済局長、保坂農政課長、丹羽農業保険課長、法務省は井本刑事局長、なお質問がなくても出席の要求がございましたので、会計検査院から出席しております。東谷検査院長、小峰次長、中川第四局長でございます。  それでは質疑に入ります。吉田賢一君。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 清井次官に先に伺ってみます。少し事務的なことを伺いたいのですが、多久島が団体事務費事務を取り扱うに至ったのはいつでありますか。
  12. 清井正

    清井説明員 多久島が団体事務費の係になりましたのは、たしか二十五年の九月であったかと記憶いたしております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今事件概要、経緯を御説明になりましたけれども農林省としては二十五年にさかのぼってそれ以後のこの種の不正事実の有無については御調査になっておりますか。
  14. 清井正

    清井説明員 先ほども申し上げたような事情でございまして、この事件告発せんとするに至りました当初並びに最近警視庁から書類が返りましてからただいまやっと各県に対しまする措置等につきましてその金額等を当っておる最中でございます。まだその以前について調査を進めるに至っていないのであります。ただ私どもただいままでいろいろ事件につきまして各方面に御心配をかけ、また各県の共済連等からもいろいろのお話し合いがございますけれども、ただいままで判明いたしましたるところでは、二十九年と三十年以外にはかかる問題がないように考えておるのでございます。ただし調査はいたしておりません。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十九年度よりも二十八年度が全国的に農業災害の多かった年であります。従って多久島の動機がどういうことになるか、最終的にはまだはっきりしておりませんけれども、二十八年度についても何らかの疑いを持って調査すべきであったと思うのですが、これは内部で何か調査機関でも設けて御調査になっておるのでしょうか。それとも記録書類がなかったので、検察庁ないしは警視庁から書類が返ってきた以後そういった調査が本格的に進められておる、こういうことになるのですか。その辺はどうなのですか。
  16. 清井正

    清井説明員 ただいま申し上げました通り事件疑いを持ちましてから相当調査をいたしたのであります。しかし何しろ事の実体が少しも判明いたしませんでしたので、その調査も不十分だったかと思いますが、ただいまは書類が返って参りましたので調査をいたしておる最中でございます。そこでただいま申し上げました通り二十九年、三十年につきまして全面的に数字を当っておる最中でございまして、いまだその前年にまでさかのぼって調査する段階に立ち至っていないのであります。農林経済局内にこれに関する調査班を設けまして、各局がこれに協力いたしまして、これはほとんど徹夜で調査をいたしておる最中でございます。いずれまた二十九年、三十年が済み次第さかのぼって調査もする必要があろうかと思います。ただしただいまのところは各県等からの申し出等につきましても、二十八年以前につきましてはかかる問題がないように私は考えておる次第であります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこれをなぜ尋ねるかと言えば、あなたの方では多久事件をめぐりまして行政処分等によって局長その他の異動を相当広範囲に敢行しておられるのであります。もっとも課長以下等についての処分はまだ将来のことだという御説明がありましたけれども、そういうふうに聞くと、すでに事件は大体これで終りであるというふうに外部には印象を受けるのであります。やはり責任は責任として、事実は事実として、あくまでも事実関係を明らかにして、責任の限界を明らかにするというのが、事の順序だろうと思うのであります。すでに広範囲の異動も決定したということであれば、それは事実はまだ明らかでないけれども、世評その他行政上の責任等々から行政処分をなさったということになるのであろうか、そうすると見方によれば若干本末転倒のきらいはないでもない。もっとも世評にこたえる意味においてその程度の処分も必要かも存じませんけれども、いずれにしても事実関係についてもっと広く深く掘り下げていくということは、だれかが相当責任を持ってしなければ、数十名の人の異動で相済みになって、あと残っておるのは小さい人の問題だけであるということになっては、やはり抜本的にこの種の問題に対する解決、従って世評あるいは世間の期待に対する答えにはなりかねると思うのであります。あなたの方はどういうふうにお考えになっているか知らぬけれども、渦中の人と国民とまたは国会と、問題に対する観点並びに観察の仕方なり感じなりまた希望なりは、よほど違うと思うのであります。その辺相当冷静に御判断にならぬと事の本末を誤まって結局真に国民の期待する目的に沿うような結果を得られないのじゃないかと思いまするので、その点を重ねて伺わなければならぬと思います。ことにあなたとしては食糧庁長官から新事務次官におなりになったのだから、いわば関係外の人というお立場のように思うので、この点はものの言い方も至極気が楽であろう、けれども農林省といたしましてはきわめて重大な問題でありますから、人間の処分の問題と事案の内容の追及の問題というものとはやはり別個の角度から観察していかなければならぬと思いますので、そこは一つはっきりと御意見を伺っておきたい。
  18. 清井正

    清井説明員 御注意をいただきましてありがとうございます。私どもむろん二十九、三十年度の調査のみで終るということは考えておらないのであります。御注意もありましたし、私どもといたしましては二十九、三十年度の仕事の終り次第さらにさかのぼって調査をいたさなければならないものと考えております。ただ私どもただいまの感じとして、しいて申し上げますれば、かかる重大な事件が惹起いたしましたけれども、その以前の問題につきましては何ら風評等も聞きませんので、あるいは二十八年以前にはないのじゃないかという感じを持っているということを申し上げたのであります。しかし調査はちゃんといたさなければだめでございますので、ただいま二十九年度、三十年度につきまして調査をいたしまして、その済み次第前年にさかのぼりまして調査を進めて参らなければならない、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方の提出された資料によりますと、これの第五ページの九、(三)に「六月十二日」すなわち本年でありますね、「六月十二日農業共済団体事務費国庫負担金交付規則を改正した。」こういうことになっております。これは農業災害補償法の第十四条に基く省令だと思いますが、これを改正されたのはどういう趣旨でありますか。
  20. 清井正

    清井説明員 あるいは資料として御配付申し上げてあったかもしれませんが、農業共済団体事務費国庫負担金交付規則は申すまでもなく問題となりました共済団体の事務費の国庫負担金を交付する場合の交付手続が書いてある規定でございます。その規定によりますと、改正前すなわち六月十二日に改正をいたします前は、いわゆる負担金を連合会と組合と両方に交付するわけでございますが、連合会につきましては連合会交付するということになっておるのであります。それから組合の分につきましてはこれは当該組合の上の連合会または県どちらかに交付する。そのどちらかに交付するということは県と連合会とが相談をしてこちらに申請をしろということになっておるのであります。従って両方協議の結果県が申請して参りますれば県へ交付する、連合会申請して参りますれば連合会交付するという建前に規則がなっておったのであります。なぜこういうふうになっているかということにつきましてはいろいろ問題があるのでございましたが、つまり県へ交付するということになりますると、一旦県の財政に入りましてから連合会に金がいくということになりまして、県によりましては非常に赤字の県があるということになりますので、県に交付された金が連合会にいくのになかなかひまがかかるというようなことが連合会方面からいろいろ意見があるということでございますし、あるいはまた連合会に直接交付するということにいたしますれば、県として団体監督上に問題があるということでぜひ県としてもらいたい、こういう意見がございまして、かたがたどちらともつかないいろいろな事情にございましたので、その規則においては県または連合会において相談をして協議整った方から申請をするようにということになっておったのであります。ところが両方協議の上というふうになっておりまして、連合会の分については連合会に、組合の分については県または連合会のどちらかにやれるということになっておりました事態が今度の不正事件を起しました一つの原因になっておるように考えられたのであります。以上のことがありましたので、今回これを全部県を通して交付する、いわゆる連合会か県かを協議して申請するということでなしに、単位組合の分も連合会の分も全部県庁に交付するというふうに一本に改めたのであります。これが規則改正の趣旨であります。それからもう一つは、特殊な場合におきましては、特殊な団体を経由して交付することができるという規定もあったのでありますが、その点も今回一括してそういう措置はやめるということにいたしたのが改正の趣旨でございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いずれ問題はもう少し深く掘り下げて、かつ広く伺わなければならぬと思いますが、きょうは概略素材収集の趣旨で御質問申し上げたいのであります。  今の点もう一つ確かめておきますが、この農業共済団体事務費国庫負担金交付規則、これは農林省令の三号、昭和二十三年一月二十六日の分でありまして、これの第二条について今御趣旨のような改正を行なったらしいのであります。そこで最後に御説明になっておりました、これは第二項であります。農林大臣は適当な団体を経由して交付金を交付する、こういうことになっております。これもどうかと思いますが、その適当な団体というのはどういう団体が従来の実績でありましたのか、従って今度それが廃止されてしまったようでありますが、その従来の実績の団体の名を一つお述べ願いたい。
  22. 清井正

    清井説明員 適当な団体と申しますので実際上実施いたしましたのは、全国農業共済協会、これは農業共済組合連合会の全国団体の社団法人、それを経由させて使ったことが前にあるのであります。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは率にしてどのくらいの割合になりますか。つまり県の連合会でもなし、共済組合連合会の全国団体という意味ですか。できればいつからいつまで行なっておったかお述べ願って、それについては文書で一つ資料を出しておいてもらいたい。
  24. 清井正

    清井説明員 農業共済組合と申しますのは、農業共済組合連合会、県団体の連合会、それが会員となっている社団法人であります。それを使って交付いたしましたのは、かつて……。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと待って下さい。聞かんとする要点は、概算二十四億円のうちどのくらいの割合か、これだけ聞いておきたい。
  26. 清井正

    清井説明員 これはここを通して交付いたしましたのは、いわゆる団体事務費国庫負担金の中の損害評価費でありまして、二十四年度から七年度まで交付しております。二十四年度に三百十四万円、二十五年度に百二十八万六千円、二十六年度に五百十七万六千円、二十七年度に四百五十四万六千円交付して、それから以後は交付いたしておりません。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 簡単に要点だけお聞きいたします。今の刑事局長の御説明とあなたの方の朗読された御説明では若干数字の食い違いがあります。ただいまの段階におきまして、およそ国庫金の損失になっておるだろうというふうにあなたの方で御認定になっておる確認もしくは未確認の数はどういうふうになりますか。
  28. 清井正

    清井説明員 先ほど御説明申し上げたことを繰り返すわけでありますが、二十九年度は千二百六万一千円、三十年度は四千七百八十四万二千円、多久島が兵庫県に送金した千二百八十万円を正式に還付せしめて国が交付することになるわけであります。また三十年度の四千七百八十四万円と申しましたものは、先ほど刑事局長の方から御説明を申し上げました埼玉県に対する交付金等がその中から削ってあるのであります。と申しますのは、正式に埼玉県に還付命令を出して正式に還付せしめて交付したのでありますから差し引いてあるのであります。先ほど刑事局長はその経緯を御説明いたしましたが、数字的には同じ結果になるのではないかと考えております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きょうは大臣が来ませんので、あなたの答弁を求めるのは適当かどうか疑問なんですが、きょう聞いておかなければ順序としていかぬが、つまり国民の受けている印象では、二十幾才の青年事務官団体事務費を二十四億円もほとんど自由になし得るような立場にあったということに非常な疑惑を持っております。そこで今の刑事局長から多久島の供述が述べられたように、めくら判を押しておったというふうな、このようなことさえ今暴露しております。新聞に何か忠告付の手記というものがあるというようなことさえ報道されておるのであります。これは次官会議に出すとか出さぬとか言っておりましたが事実は存じません。そこで聞きたい点は、団体事務費の地方に流す資料をとる場合に、いくら交付すべき金額の各種の原案を起草するところであっても、その机がよしんば多久島のところで重要な役割があるかないかは別として、ともかくあなたの方の内部の運用の機構の一覧を見ましても、前後に相当重要な機関が動いておるのでありますから、多久島のところだけではなかなかそう水増しをさす、それと連絡をする、適当にごまかして何年もほおかむりしていくというようなことは至難なように思います。図解を見てもわかりますし、また機構の実情を見てもわかりますが、団体班から会計班の方にいきますし、主計から総務あるいは保険課、農政課長というようにずっといくようでありますが、それがわからなかったということについて一体どこに欠陥があるかということは結論的に聞かなければならぬ点であると思いますけれども、どこに一番大きな欠陥があったというふうにあなたはおつかみになっておったか、その点をはっきり聞いておきたい。
  30. 清井正

    清井説明員 まことに申しわけない次第であります。その点につきまして非常に監督不行き届きの点がございましたので、かかる事件が出来いたしたのでございますが、団体班というものがありまして、その中に団体事務費係、係長の下に係員がございまして、係員であったわけであります。本来申しますならば、当然団体一係員にのみまかしておくべきではなくて、係長、班長、課長がおるのでありますから、一々詳しく点検して、算出の基礎から金額等を十分検出し、同時にまた決判いたしたものと施行いたしたものとそれぞれ照合する役柄の者もおりますから、そういう者が十分その書類の取扱いの期間中においてこれを照合検閲すればかかる事件は起きなかったのであります。そこに検閲照合ができていなかったというところに本件が起った第一の原因があります。その点はまことに御指摘の通りであります。私どもといたしましては、この問題につきまして深く反省をいたしまして、書類等も差し上げてございましたが、最近においては帳簿書類の検閲等十分遺憾ない措置をいたしておるのでありますが、ひとえにこの事件の起った原因は、係員である多久島個人をあまりにも信用し過ぎまして、まかせ切ってしまいまして、少しも書類の照合、検閲をせずに、先ほど来刑事局長のお話もありました通り、いわゆる書類を検閲せずに判こを押してしまった。従ってそれが正しいものとして他課に行った、こういうところに一番の原因があるわけであります。私どもといたしましてもその点はまことに申しわけないと存ずる次第でありますが、事実ははっきり申し上げますとそういうところに原因があるのであります。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで農業災害補償法が一切を運用しておる基本になっておるわけであります。これによれば監督の規定が第六節、七十八条以降、相当厳重に規定されてあるわけです。そこでこの問題につきましても、どこに監督の所在、もしくは責任の所在、もしくは運営上の事務の分配の限界等があるかということは、これは十分にこまかく検討していかないといけませんが、今の質疑の続きといたしまして、当然聞いておかなければならぬことは、たとえば加倉井茨城県の連合会会長でありますが、連合会に対する監督は主務大臣、そうなりますね、農林大臣になっております。そうすると、ただに多久島のみならず、連合会の幹部も関与しておる、こういうことになりますので、単に多久島の事務関係の監督系統だけではなしに、農林省、行政庁としての行政事務の監督の範囲はどこに限界を置くべきかということを、この問題を通してもう一ぺん検討しなければならぬはずなんです。しからば加倉井の問題を追及していけば、農林大臣の責任になりはしないかとも私は思うので、あなたの方で遠慮なしに答弁してもらいたいのだが、やはり大臣に責任がいくのかいかないのかということを検討したのかどうか、検討もしないで、部下だけを首切ってしまうということは許されない。責任がそこまでいかないというならば、これは大へんありがたい、けっこうなことで、おめでたいことです。どこまで責任がいくのかということを検討したのかどうか、これは次官はっきり答弁してほしい。
  32. 清井正

    清井説明員 連合会の直接の監督者は農林大臣でございます。従来から監査班を設けまして、監査をいたしておるわけでございますが、人員、経費等の関係がございましたし、十分それが行き届かなかったような実情でございます。本件につきましての大臣の監督ということでございますが、行政庁最高責任者としての大臣の権限等々につきましては、むろんこれは申し上げるまでもないことでありますが、要するに事柄の実体につきましては、先ほど申し上げたようなきわめて事務疎漏と申しますか、チェックをしなかった、あるいは非常に帳簿について不備があった等、全く事務的な問題についてのみ疎漏が多かったという点がございますので、私はこの点について深く責任を痛感いたしておるような次第でございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのはそうじゃないのです。事務的の問題、責任の追及それもあろうけれども、これはやはり日本全体が農林省の予算執行について大きな疑惑を持ったという案件でありますから、これはやはりはっきりしていただきまして、国民の疑惑も解いていただく、それとともにどの限界において責任を負うべき人を出すか、これははっきりしておいていただきたい。なるべく小範囲に終るならば大へんけっこうなことであると私は言うのです。必ずしもここで農林大臣の責任ありと言うておるのじゃないのですから、あなたの方では責任の限界をどこまで追及していくのかということについて、たとえば法八十二条には、明らかに農林大臣の規定があるのでありますから、こういうような点につきまして、農林大臣は地方の知事などとともに、いろいろと責任関係は一応検討の対象にせなければなるまい、こう思うのであります。その点についてあなたの方は審議したのかどうか、こういうふうに聞くのであります。だから次官も答弁しにくいと思いますけれども、これは一つ大胆率直に申し述べていただきたいと思うのです。
  34. 清井正

    清井説明員 要するに本件並びに連合会に関しましても、農林大臣の責任といたしましては、法律上連合会に対する監督者というものは、農林大臣、あるいは部下の指導監督者は、行政の最高責任者であられる農林大臣でございますから、そういう意味においてはむろんそれだけのことはあろうかと思います。ただ本件につきましては、ただいま申し上げたような非常に事務的な疎漏から出来したことでございますから、私ども大臣の補助者といたしまして、まことに世間に対しましても、大臣に対しましても、非常に責任を感じておるような次第でございます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一応あとはお譲りいたしまして、なお保留しておきたいと思います。
  36. 上林與市郎

    上林委員長 田中彰治君。
  37. 田中彰治

    田中(彰)委員 この事件は非常に社会を騒がした事件であります。目下社会から非常に疑惑をこうむっておる状態であります。そこで事務次官の先ほどの説明を聞きますと、監督の不行き届きであったそう申しておられるのですが、私たちは本日農林大臣が都合がよかったら出ていただいてこの事件に対する農林大臣の所信を一つ伺って、それからあなたの所信——先ほど申されたような点について満足であってもなくても伺う。それからこの事件の重大性について私は農林大臣がきょうおいでになりませんから、次に伺うことにして、次官に申し上げるのですが、あなたの方で先ほど吉田委員が言われたようにこの事件がもう検事局の問題となって起訴されてしまったから、保釈で出てきたのでもあるし、これで一応大したことなく済んだのである、こういうように思っておられるように感じるのですが、私はこの事件はそうでなくて、あなたの考えておられるよりも——これは新聞などにも出たのですが、新聞は別として、責任ある刑事局長の数字を聞いたり説明などを聞きますと非常にあなた方と考えが違う。  第一にこの事件を重大視しなければならないのは、あなたの方の農林大臣が行政庁の長官である、こういうものを取り調べて処分をしなければならない責任のある人が農林大臣であるということについては、この事件についてのあなた方の考え方をもう少しお直しになり、変えられないと、私はこれが非常に大きな紛糾した問題になってくるのではないか、この点を重大に考えている。  いま一つはこの九千万近くの金が農林省の金でなくて、国民の税金である、こういう点から考えてもこれは重大であります。もう一つ疑惑に思うのは、はたして二十六才、二十七才くらいの青年が、一人でこれだけの事件を行い得るか、なるほど外部には農業連合の共犯もありまするが、農林省の内部には共犯がない。これが一人でしかも一カ月か十五日でこの事件が行われておしまいになったというなら別として、二年間にわたってこれだけの大きな金を出して、これだけの書類を作ってやるのに、農林省内に課長とかあるいは同僚とかの共犯がなくて一体この事件がやれるのかどうか。それはもちろん多久島君が白状しないでしょう、上の方は追及されなかったでしょうが、そういう点においても社会は納得しませんよ。  そこでこれについて、私があなたにお聞きしたいのですが、多久島という人は一体給料は幾らいただいておったのですか。総収入、税金を引いてうちへ持って行く金は幾らになっているのですか、まずこれを伺います。
  38. 清井正

    清井説明員 約九千円でございます。
  39. 田中彰治

    田中(彰)委員 二十七才か六才の青年が、九千円の実収入しか持っておらない、それが住宅費に充てている金が五百万以上ある。ほかに家具なども相当買っている。女関係もある、会社の事業もしておる、自家用車にも乗り回している、こういうようなことを、あなた方がいかに監督が不行き届きであるとか、不徳であるとかいわれても、こういう点を少くとも気づかれないということはないと私は思う。また表面には出ないけれども、同僚などと一ぱい帰りに飲もうじゃないかとか、金のない者には金を貸すなど、これだけの金を取り扱えばそのくらいのことばするはずだ、そういう点に気づかれないはずがない。二十七才か六才の年のいかない青年の、収入が九千円しかない者が、家だけに五百万円以上、その他家具や料理屋、その他自家用車、事業、こういうようなものをやっておって二年間も気づかれないということは、一体どういうわけですか、そんな工合に農林省というものは放任主義なものですか、この点について私はあなたの忌憚のない、どういうわけで、どういう点で気づかないでおったのかということを一つ伺いたいと思う。
  40. 清井正

    清井説明員 まことにその点につきまして何とも申しわけないのでございますが、御指摘のように相当薄給な青年が、今から見ますと非常に身分不相応なことであったわけでありますが、あとから調べましたところによりますと、本人は郷里に財産を持っておる、その財産を処分した金であると関係の者に言っておったようでございまして、関係者もそれを信用しておったようなことでございます。私ども並びに関係者といたしまして、二年間にわたってかような事態になりましたことに気がつかなかったということに対しましては、何とも言いわけの申しようがない次第でございます。そういうようなことをただやたらに信用したというところが一つの問題点であるのでありますが、要するに問題はそういうことよりも、われわれ監督の立場におる者が、そういった事態に長い年月にわたって気がつかぬでおったということは何とも申しわけない次第でございまして、お言葉に対しましてはただもう陳謝申し上げる以外にないのでございます。
  41. 田中彰治

    田中(彰)委員 それじゃ局長にお伺いしますが、国に財産があるといっても、かりにこれを処分して金を持ってくるということになれば、三千万、五千万のものを処分しなければならぬ。そういう財産のある人であれば、入ったときから違うと思うのです。局長さん、この方は一体どこの学校を出ているのですか、まずそれからお伺いいたします。
  42. 安田善一郎

    ○安田説明員 多久島貞信は佐賀の工業学校を出て、佐賀の県庁に勤めまして、それから農林省に来たのであります。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 工業学校というのは新制の工業ですか、昔の普通の工業学校ですか。
  44. 安田善一郎

    ○安田説明員 県立の佐賀工業学校電気学科というのでございます。
  45. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは普通の工業学校になるのですか。
  46. 安田善一郎

    ○安田説明員 中等学校です。
  47. 田中彰治

    田中(彰)委員 佐賀県で財産を処分して何千万持ってくるという方なら、親が少くとも大学程度の学校に上げていなければならぬ。それから、あなたの方にはちゃんと履歴書というものが出ている。当人の財産とか当人の家庭の事情とか保証人というようなものに対してちゃんとなにがあるはずなんです。監督している者が何千人、何万人もあれば多久島という人間は覚えてないかもわかりませんが、こういう書類を作って、一億近くの金をとにかく横領している、それから二十四億からの金が自由になるのだという責任を持っている者が、給料は幾らかといえば九千円だ。それで自宅も持っておるし、自家用に乗せてもらった人もある。ああいう行為をすれば、そういう評判があなた方の耳にも入るだろう。また五百万程度の家を持つことは、代議士でも相当なものだし、家具にも何百万をかけ、料亭を持ち、二号さんの二人もかこうことになれば、私は幾ら何でもそんなものじゃないと思うのです。それで、農林省の中から同僚の共犯が出ないとか、課長がそれを知らなかったとか、局長がそれを知らなかったということ、それで社会が納得するかしないかということです。農林大臣は行政庁の長官です。それを処分しなければならない。きょうの新聞を見ると、民間にさえもその調査団を設けようと言っている。民間なんかに設けなくてもいいですよ。遠慮しないでも決算委員会でみんなやってあげますよ。だれが刑務所に行くのか、どの内閣が倒れるのか、だれがどうなるのかという問題だけなんです。やってあげますよ。河野さんに言っておきなさい。民間から河合良成という実業家を出して調べなくても、国会で調べてあげますよ。そういう点を考えて御答弁をなさらぬと世間は納得しませんよ。事務次官の言われたように、何千万の財産を処分して、二十四か二十五の男が持ってくるということになると、これは大へんです。私のうちでも多少の財産はあるかもしれませんが、子供に何百万円の財産を処分して持たしてやるということは大へんなことです。親がおるでしょう。親がおらなくても何かあるはずです。また全部当人の名義であれば、当人に相当の税金がかかっておるはずだ。あなた方の給料で税金を引かれる場合でもわかるはずなんです。そういう点から見て、これはあなた方が、多久島がそういうことをしたのを知らなかったでは済まぬと思う。必ず課長なり上の局長なり同僚なり、相当組織的な共謀があった。ただ知っていて知らぬふりをしたかもしらぬが、みんな知っておって、一脈何か通じてなければこれだけのことはできない。またこれは気がつかぬでおったでは済みません。学校は今言う通り中等学校で、大して金がなくても上がられる学校です。しかも県庁に勤めた。何千万の財産があれば県庁なんかに勤めません。銀行やもっとよいところに勤められるはずである。そういう点を考えれば、これは知らぬでおったでは済まぬと思うのです。この点について正直に言ってもらいたい。それからあなたの説明を聞いてから刑事局長にも伺いたい。あなたの方でこの事件をお調べになって、なるほど外部の共犯者をお出しになったかもしれないけれども、これだけの事件を行うのに省内に共犯がない。めくら判といえども一回や二回なら済むが、二年間にわたってこれだけのことをして、何千万かの金を自分の財産を売って持ってきたということがあっても、それをそのままに放任しておいたということがわかっても、刑事局としてこの事件共犯がない、これだけで済まされるということは常識で許されましょうか。刑事局長として冷静に考えていただけばこれはわかるはずであると思う。問題はこれなんです。農林省内に共犯がなくて多久島一人で二年間にわたってこれだけのことをしたのに同僚も知らぬでおって、この事件がわかってから騒いで、これだけの処分で済んでしまったということで許されるでしょうか。この点まず次官から御答弁を願って、次に刑事局長から御答弁を願いたい。
  48. 清井正

    清井説明員 重ねて同じことを申し上げるようではなはだ恐縮でございますが、御疑惑の点ごもっともと私ども考えられるのでございますけれども、事実関係者一同まことに不敏でございますが、この事実に気がつかなくて現在に至っておる次第でございます。
  49. 井本臺吉

    井本説明員 本人が安月給取りであるにかかわらず非常にはでな生活をしておった点、その他疑うべき端緒はいろいろあったのでありますが、全体といたしまして監督機構が非常に乱れておるというか、十分でなかった点は責めらるべきと考えますけれども 現在われわれが調べまして判明したのは、先ほど申し上げた程度であります。
  50. 田中彰治

    田中(彰)委員 いま少し科学的な調べ方、科学的な調べ方とは周囲、それから多久島なんかの経歴、やっておったこと、それからわれわれの調べたところではたくさんの同僚がおごってもらったり、料理屋で芸者遊びをしたり、自家用に乗せてもらったりしている。そういうことがどうして局長なり、課長なりに通じられなかったか。農林省がどうしても通じられないようなものであったとするならば、さっき吉田委員人事異動の中で言われたが、私はそれと反対に、農林大臣初めここにおられる次官、局長全部が責任をとって社会に謝せられることが当然であると思う。九千円の月給取りがこれだけの事件を起したのに何も知らぬで放任するような機構で、それだけの監督しかできないものであるならば、私はそれをしも責任を負わなければならぬだろうと思う。さもなければもう少しお調べになって、多久島のやったことを世間が納得するような説明をしてほしい。これではどんな人が聞いても納得しません。九千円の月給取りがこれだけのことを二年間続けてやったのに知らぬ、事件があがってみたら七千万円の使い込みがあった。それで外部から連絡があっただけで内部からは一人も共犯者が出ない、知らなかった、それだけである。しかし事件は知らなくとも、金使いが荒いじゃないか、おかしいじゃないか、あれは何だ、このくらいの調べは、われわれの子供に対しても放任主義で育てておっても、やはり子供が親のくれた以上に金を使ったら、あれはどうしたのだと言ってすぐに母親と相談して調べてみるとか、部屋に行って買った品物を調べてみるとか、そういうことは一家のうちでもあるはずだ。この点は代議士でもそうでしょう。わずか七万か八万の月給をとっておって、それが百万も二百万もぱっぱとふりまいたら、あれは最近ばかに金使いが荒いじゃないか、どうも汚職でもしているのじゃないか、どっかから金をもらったのじゃないかということになる。それもただの百万か二百万でそうなるのです。ところがこれは何千万円もの金を二年間にわたり使っておって知らなかった、これでは納得できない。私の方でもこれから材料をよく集めて正確に、本格的にこれを調査して、この問題だけは世間の納得いくまでやるということにきめたが、あなたの方も、今までのことはこれで済んだのだからという考えでなくて調べてもらいたい。もう使った金は出ないのだけれども、世間が納得すればけっこうだと思う。世間がなるほどあの九千円の月給取りが二年間こういうことをしたけれども、それはこういうことでわからなかった、だれが考えてもそれはほんとうだ、そんなら仕方がないということならば、私はこれでいいと思う。世間が納得いくまでなさらないといけない。農林大臣は行政庁の長官であり、党でも有力な人である、しかも使った七千万円の金は全部国民の血税である。そうしてやった当人はろくな学校にも上っておらない。しかも二年間にわたって、家だけでも五百万円以上の家に入っている。家財道具だけでも何百万円、料理屋を二つも持っている。それで自家用車を乗り回す、聞けばその自動車も六百万円だという。代議士だって六百万円の自動車を持っている者はだれもなかろう。そういうことをあなたの方でただ知らなかった、申訳なかったというのでは、常識上済まされない。この点を、あなたの方でもお帰りになったら答弁の方法を一つよくお考えになってほしい。さもなければこれは問題だ。  それからもう一つついでに私は会計検査院長に申し上げておくが、会計検査院においてこれをお調べになったときに、多久島自体、被告人が笑っている。こっちの方は調べたが、こっちは調べない。そういう点どうしてこういうようなお取り調べの手落ちがあったのか、その点をちょっとお伺いいたしたい。  それからもう一点、ちょっと話が横にズレますけれども、きょうの新聞に防衛庁の問題が出ておる。こういうような問題をあなたの方で調査されて、批難事項になるとすぐに、決算委員会で何も取り調べないうちに発表されるようなふうに受け取れる。これはあなたの方で発表されないと出ないわけだが、そういうことをあなたの方でされると、今後決算委員会調査していくのに非常に困る。どろぼうをした人間に、あれはどろぼうをした、こういうことをやったのだということを発表されて、そのどろぼうがこれを黙って見ていますか。黙って見ていやしません。ちゃんと証拠隠滅をはかる。こういうことをやれば、あなたの方での抜き打も調査は要らないことになる。警視庁、検察庁、検事局の家宅捜査は要らないことになる。どうしてそういうことをあなたの方で発表されたのか、どこからそういう指令が出るのか。あるいは発表しないというならば、どうして発表されないものがわかったのか、発表したというならばその発表された人の責任を私の方で追及しなければならぬ、この点御答弁を願います。
  51. 東谷傳次郎

    ○東谷会計検査院説明員 逆に御説明いたします。けさ新聞に出ました防衛庁の調達のC46号の飛行機の部分品購入の問題でございますが、けさ私も一、二の新聞を調べてみまして、私も実は内容はちょっと承知いたしておりましたが、新聞に出まして驚きました。それでさっそく役所へ行ってみまして、役所で取っております新聞を見ますと、それにも全部出ている。全部でなくて一つか二つの新聞のスクープかと思っておったのでありますが、ほとんど全部出ておりました。それで驚きまして、大げさでありますけれども、総長、次長、各局課長関係の者を集めまして、どうしてこれは出たのかということを問うたのであります。出ているのは、大体私どもの調べた範囲で相当詳しく出ているものですから、私もなお不審に思ったのでありますが、実は調べてみますと、防衛庁の調達実施本部というところがありますが、そこで新聞社の諸君を集めて発表されたもののように聞いております。私の方から出たのでは絶対ございません。それだけは逆でございますが申し上げておきます。決算委員会を抜きにして出すということはございませんから、その点だけは御了承願います。防衛庁がどういう理由でお出しになったかは私は存じません。  それから多久事件と申しますか、農林省の今回の事件についてですが、私どもまことに遺憾に思っておるのであります。どうして検査院でわからなかったかということでありますが、本件支出国庫負担金の検査に関しましては、会計検査の計算証明として会計検査院に書類を出しておりますが、その書類によって検査をいたしておるのであります。その書類はどういう書類が出るかと申しますと、二十九年度から御説明申し上げまするが、会計検査院に対する証明としては、各補助を受ける団体から出る補助申請書、事業概要書というものがありまして、それに対して補助指令書が出る。その補助指令書と、第四に査定表、第五に支出負担行為書及び経費請求書というものがございます。それが全部会計検査院に出るのでありますが、これによって補助金交付という支出があるわけであります。その金を払いましたものに対する領収書としましては、小切手振出済み通知書でありますとか、あるいは日本銀行の領収書をつけて、正式といいますか、整った八つのものが全部会計検査院に出ております。一応こういうふうな関係でございますので、二十九年度は、検査上は検査の主務の局課において疑問をはさまなかった次第であります。元来本件国庫負担金につきましては、先ほど農林次官から御説明もありましたが、正式の補助指令が出まする前に、いかほど各団体に交付すべきであるかという額についての内示額農林経済局長の名前で通達されておるのであります。これによりまして、補助金交付を受けるものから、補助金申請書でありますとかあるいは事業要領書というものが出されまして、これに基いてその通り金額が補助指令として発せられておるのであります。これに続いて支出負担行為が行われ、さらに金が出ていくのでありまするが、当局者の説明によりますると、先ほど申しました内示の通達の際に、初めに作りました正式の正しい金額とは違いました金額を書き込んで内示額として通達されたものと認められるのでありまして、この不正の内示額に基きまして作成されましたところの、先ほど申しましたところの、申請書であるとか、事業要領書であるとか、あるいは補助指令書であるとか、査定表、支出負担行為書、経費請求書などの書類会計検査院に出るのでありまして、会計検査院といたしましては、不正の事実を二十九年度は知ることができなかったような次第でございます。また三十年度におきましては、今年の三月に至りまして、検査上、茨城県に対します交付額は一億千五百万円という大きな金が交付されておることがわかりましたので、農林本省から会計検査院に提出すべき証拠書類は大分おくれておりますが、まだ出てないところの計算書類について至急御提出を願うということを督促いたしましたし、また農林省に対しましては、別に三十年度の年間を通じての国庫負担金の総額についての各都道府県別交付状況を照会いたしておったのでありますが、そのうちに今回の事件が表面化して六月五日に告発されたという次第でございまして、会計検査院といたしましては、三十年度はただいま申しましたようにすべて検査中に属するわけでございます。それで三十一年三月にどの程度の証拠書類の夫提出があったかと申しますと、四カ月分の提出未済があったのでありまして、これらを全部求めて総括的な検査をするという態勢になっておったのでございます。かような次第でありますので、会計検査院としては、先ほど申しましたように、実は補助申請書から証拠書類として証明書類をとっておったのでありますが、かような次第でありますと今後におきましては内示額につきましての書類会計検査院に取りまして、今後の検査の徹底を期したいと存ずる次第でございます。
  52. 田中彰治

    田中(彰)委員 もう一点、先ほど刑事局長が、多久島がこういう急所を会計検査院が調べなかったとおっしゃったのはどの点でしたか。
  53. 井本臺吉

    井本説明員 先ほどは本人の供述の要領を読み上げただけですが、会計検査院の検査も災害補償費支出の面については厳重にされていたが、事務費の支出については行われたことがなく、後者は全く死角に入っていたということを本人が申しておりました。
  54. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、さっき会計検査院長のおっしゃったのは、共済費の災害保険の払い出しの金のことをおっしゃったのではなく、事務費のことをおっしゃったのでしょう。
  55. 東谷傳次郎

    ○東谷会計検査院説明員 そうです。
  56. 田中彰治

    田中(彰)委員 検察庁で多久島当人が、この事務費の国庫負担については一回も会計検査院から検査を受けたことがない、だから自分はこれだけの仕事ができたということを言っているのです。あなたの方でやられるのは事務費の負担金ではなくて、災害に応じて支払われた再保険保険金共済金、こういうものを調べられて、農業災害国庫負担の事務費、これの程度をお調べにならないのじゃないのですか。
  57. 東谷傳次郎

    ○東谷会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、農業共済における今お話の再保険として出す金が年々二百億に上るのでありますが、それの検査はただいま申されたように重点的に検査いたして、非常にたくさんの不当事項があって驚いておるのであります。それならば本件事務費二十四億の検査はどうしておるかと申しますと、先ほど申しましたように、この分につきましては会計検査院に提出します書類によりまして徹底的に検査をするという体制においておるのであります。実地検査の方は、再保険の支払いの方に重点を置いてやっておるのでございます。従いまして、それは多久島自身については調べなかったかもわかりませんが、本省について全体的には調べておるはずであります。しかしながら事務費については、ただいま申しましたように大体の行き方としては書面検査の徹底ということで、書面検査が会計検査院の第一義でありますから、その書面検査の徹底ということにおいて検査をいたしまして、実地検査の関係におきましては再保険の支払いということに重点を置いたわけでございます。
  58. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではもう一点でやめます。検査院長にお伺いしますが、今あなたのおっしゃった再保険保険金共済金、こういうものはお調べになった、しかし個々の農業共済団体事務費国庫負担金の分は、農林省から出された書類をただ一応検査されただけで、実地の実態についてどうなっているかという内容の検査をされないのだ、こうお聞きしていいのですね。そうしますと、私はやはり会計検査院が——これは保険金など割合に簡単だと思うのです。事務費の方が、いろいろ要らぬ事務費を使ったりするから複雑だと思う。しかも多久島君が責任を負っているだけでも二十四億もあるのですから、ちょうど全国で出す保険金の約一割です。二百億の一割にひとしい国庫負担事務費があるのですから、これに対してやはり私は、今まで会計検査院の方でお調べにならなかったのは仕方ないとしても、今後やはりこの点もお調べになればこういう事件も未然に防げた、こういう工合に私は考えている。今後こういう点も御留意されてよくお調べ願いたいと思います。
  59. 東谷傳次郎

    ○東谷会計検査院説明員 ただいまの点御注意いただいたのでありますが、再保険関係におきまして、お説のように検査報告にもずいぶんたくさん掲げておりますが、御承知のように組合が一万もありまして、そのうちようやく会計検査院で実地に調査し得るのは六百ぐらいでありまして、行ってみるとほとんど計理が思わしくないというので、その辺に重点を置いて、実地の方はそれでやる、そして事務費の方の関係においてはしかるべき書面が全部出ておるのでありますから、それによって検査をやっておる。実地検査は補充でありますから、そういう賞味において実地検査が事務費においては省かれておるというのであります。
  60. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうするとまたお聞きしなければならないのですが、あなたの方で、たとえば事務費から出てきたとしても、それをもう少し再検討されれば、とにかく九千万からの使い込みがあるのですから、もう少し再検討してお調べになれば、私はこれに対してやはり何か不可思議な点があったと思う。やはり私は、これはあなたの方を非難するのではないけれども会計検査院は今の再保険の金とか保険金とか、災害の金のことはお調べになったが、この点についてはただ向うからの書類を優然として農林省の幹部がめくら判を押した。この書類はあるからいいわというので、こまかい点にお気づきにならぬ。こまかい点にお気づきになれば、一県に対してこれはよけい出ているとかなんとか、そこに私は会計検査院は御商売ですから、しろうとが調べるのではないから、押えどころがあったと思う。この点は、私は今後会計検査院の方に御注意してもらわなければならぬ、こういうふうに考えます。
  61. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して。資料の内示一覧表のうちで、農林省内示額原案の決定より、県到達の内示額が各部府県全部ほとんどみな減額されておるのですが、ただ鹿児島だけが内示額より五十二万一千円超過して、内示を県にされた。これがどういうわけでこの県だけが超過して出されたのか、それをお伺いいたします。  なおついでに、もう一つは、多久島が原案を作りましてから処理されるまで、局長さんまで最終に決済が出てそうされるのかと思いますが、それまで何人くらいの手を通るか、何人くらいめくら判を押したか、その点を一つ……。
  62. 清井正

    清井説明員 最初の点につきまして御説明申し上げますが、御指摘の通り、鹿児島だけが、いわゆる県到達内示額が原議内示額よりもふえておるわけでありますが、この点は、鹿児島県庁の報告によりますと、当鹿児島県の連合会事務費について昭和二十九年度において未交付となったものがある、また一方奄美大島の共済事業が廃止になったということで、その準備ということであったというふうに思われるのでございますけれども、この点は私どもといたしましてさらに実地につきまして詳細調査をいたして、はっきりいたしましてから正確にお答え申し上げたいと思いますが、ただいまのところではそういうことではないかと思うのであります。  それからもう一つ、決裁の順序でございますが、これは御承知の通り団体班団体事務費係がやるわけでありますので、団体事務費当該者、係長、班長、それから関係の班長、それから農業保険課長、局長、それから官房の経理、厚生課にいきまして課長以下関係の係官が判こを押すわけでございまして、はっきり何人とは申し上げかねますが、十人以上おるわけであります。いずれまた詳しく申し上げる機会も別途あろうと思いますが、大体そのくらいであります。
  63. 上林與市郎

    上林委員長 次に生田宏一君、御質疑願います。
  64. 生田宏一

    ○生田委員 同僚議員の質問をいたしました漏れの点について私はお尋ねをしたいと思います。私も田中議員と同じようにこの多久事件の裏にはいろいろな事情が伏在をしておるように思えてなりません。それで私どもとしましては、農林省関係の皆さんや刑事局長にもどうしても聞いておかねばならぬことが一、二あるのです。一、二の新聞に出ておりましたが、多久事件を調べておる最中に、関係農林省の役人を調べてみた、そのときに現職の局長の中で収賄等の事実があったけれども、三年の時効が完成をしておるので、免訴の事件だからこれを離したというような報道が載っておりました。はたしてそのようなことがありましたのですか、どうでありますか、刑事局長はもしその人の名前が言えないのならばあえて聞こうとも思いませんが、事実があったかなかったかということは、農林省の省内の問題としてこれをお聞きする上にどうしても明らかにしなければならぬことでございますから、事実があったかなかったかということだけは刑事局長にお聞きしたいと思うのです。  それからもう一つは、これは農林次官でよろしゅうございますが、多久事件の出ましたときに、はたはだおもしろからぬことがどうも新聞に出て参りました。たとえば農林省が国会対策費というものが必要であって、そして農林省の外郭団体等に交付すべき補助金その他の中から吸い上げて、国会対策費の相等額を毎年こしらえるのが例年のならわしであった、そういうような事実があるので農林省の紊乱というものは相当なものがある、そこで多久事件のようなものが派生的に出てきたのだろう、こういうような解説が出ておりましたが、これはまことに好ましからぬことでございまして、私はそういうことがないであろうということを希望いたしますし、そのように、ないとお答えを願いましたならば、これはもう国会のためにも非常に喜ばしいことである、こう思うわけでありますので、この二点についてそれぞれお答えを願いたいと思います。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 質問が法務、農林両省にわたっておりますので、まず法務省にお答えを願います。
  66. 井本臺吉

    井本説明員 ただいまのお尋ねのような件は、実は私まだ報告を受けておりません。担当の宮本検事にも今聞きましたが、やはり報告を受けていないということでございますので、役所の方に電話で問い合せ中でございますから、判明いたしましたら、さらにお答え申し上げます。
  67. 上林與市郎

    上林委員長 次に清井次官。
  68. 清井正

    清井説明員 ただいま御質問のようなことは私も新聞記事を読みましたので、十分詳細にわたって調べましたが、かかるような事実は絶対にございません。
  69. 生田宏一

    ○生田委員 私もそうありたいものだと思っておりましたので、これで安心したわけでありますが、もう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、先ほど次官からお読みになりましたものの中で、局長に対しては行政処分をした、こういうことでありますが、おそらくこれは安田局長のことでないかと思いますが、この行政処分内容はどういうような内容でありますか。
  70. 清井正

    清井説明員 この事件が二十九年と三十年にわたっております。実はこの関係局長といたしましては小倉、大坪、安田の主君が関係しておったのでございます。そこで三局長とも同一に行政処分、懲戒処分をいたしました。処分の程度は十分の一の減俸三カ月間ということで処分をいたしたのであります。それから、並びに私初め関係首脳部は全部大臣から訓告の処分を受けたということであります。
  71. 生田宏一

    ○生田委員 俸給に対する十分の一の減俸三カ月ということは、三カ月だけでございましてその他何の何もないということだろうと思いますので、そうすると俸給額の十分の一ということは、かりに五万円の俸給者であれば五千円を三月、一万五千円、その罰俸を受けるということでございますか。
  72. 清井正

    清井説明員 その通りでございます。
  73. 生田宏一

    ○生田委員 私は罰俸俸給の十分の一ということは、何か聞いた感じとしては相当の額のように思えるのですが、実際上の実罰といいますか、五万円の俸給者に対して一万五千円、これは精神は相当きつい処罰であるかもしれませんけれども、実際の実刑というものはまことに軽いような、こういう気がするのであります。それがこの問題についての直接最高の責任の地位にある農林経済局長の処罰であるという、この事実をもし国民に知らしたならば、国民はそのようなことが処罰であるかといって私はあきれるのではないかと思うのであります。また中には、ここに安田君がおりますから遠慮もしなければならぬと思うのですが、しかしながら安田君は実際にはその後農林経済局長から栄転をされておる。そういうような人事はその当時の世論からいってみて新聞などでもよほど批判をこうむりましたが、はたして農林省というものはこの問題について、それであなた方が責任のある処分をなさったかどうか私は一まつの疑問がある。どうしてもこれは納得のできないことである。そういうことで天下に向ってあなた方が処罰をした、責任をとったということになるであろうか、私は疑問を感ずるのであります。あなた方はそう考えているのでしょうが、世間は信じないだろうと思うのですが、しかしお答えは要りませんが、私はそういうような気がしてなりません。  もう一つ、これは新しいような問題でありますが、先ほど田中委員会計検査院の院長との間においてお話が出ておりましたからお尋ねするのですが、特に井本刑事局長にお聞きを願っておかなければなりませんことは、補助金の問題ではなくて、農業共済保険組合に対する保険金の問題でございます。これは二十八年度の決算報告の中にも二十九年度の決算報告の中にも、調査をしたほとんどの組合、共済組合の八〇%は不当の経理が行われているという事実を報告して参っておりますし、この決算委員会においてもそれを基礎として審議をいたしました結果、その事実を農林省においても肯定されているわけであります。事務補助金についての多久事件でございますがしかしながら保険金の問題というものは、多久事件以上の会計の紊乱が会計検査院において指摘されているわけであります。その中にはおそらく刑事処罰をしなければならないと思うものがあるに違いない。その一々の例は申しがたいと思いますけれども、たとえば私はここに一例を申しますと、これは滋賀県のある共済組合ですが、保険金にもらったもののうちから二百六十三万二千円を被害割、それから五十六万三千円を減収石数割、五十六万三千円を面積に対する均等割、こういうような保険金交付にしてはあるまじき不当な支出をしておりまして、しかもその残額百六十四万五千円に対しては帳簿外にこれを経理して、そのうち九十二万七千円は二十九年度産水稲共済掛金その他の掛金に充てる、二十七万九千円は飲食費に充てる、また三十年三月本院——検査院ですが、その検査のときには九万六千三十二円を預金に保有しておりまして、十一万三千二百七十円は使途不明になっておる、こういうものもございます。それからこれは京都のある農業共済組合ですが、その保険金を全部部落割でやって、保険金としてやってはありませんし、またその部落割でやりますと、部落は貯金の口座に振り込んでおりますし、また残額の七十九万九千円は帳簿外に経理し、そのうち五十六万七千円を二十九年産水稲共済掛金に充て、十八万七千円で軽二輪車を買う。また四万五千円は接待費、慰労費に充てる、こういうような経理をやっておるわけであります。また奈良県においても同様なことをやっておりますし、中には組合長なり、あるいは役員の個人の名義にして預金をして持っておる、そしてそれを払ってない、こういうのもございます。このことはもう二十八年にも二十九年にも事実を会計検査院からしばしば指摘されておる。おそらくその組合からいえば背任も出てくるであろうし、横領も出てくるであろうし、またいろいろな刑事問題も出てくるだろうと思うのでありますが、私はこれを刑事罰にしようというのではありません。こういう事実がはっきりしてきて、国会の決算委員会で二十八年と二十九年の二回にわたって報告を受けて、そして政府に対し決算委員会は決議をもって善処方を要望してございますし、また鳩山総理大臣もおいでを願って、この事実をお話しして善処方を要望しております。しかしながら幾ら言ってもこの問題を解決しようとはいたしません。おそらくこの問題に手をつけるならば、二十八年度においては約二百億、二十九年度におきましては百三十億の金が出ておりますが、これをもらった組合の八〇%は不当の経理をしておるに違いない。先ほど会計検査院長が申しました八県、百二十九の組合に対しては一億五千万円ほどの不当なる金が流れておるということは、二十八年度の報告書に出ておるわけでございます。多久事件は二十九年度、三十年度の二カ年にわたって九千万円程度でございますが、おそらく二百億あるいは百五十億に及ぶ保険金の不当の経理というものは、実際に全国の一万幾らの共済組合を全部調べましたならば、何十億になるのじゃないか、こういうように私は考えておるわけです。そこで事務補助金に対して多久事件が起きたことは、これはまことに不祥事でございますけれども会計検査院が幾ら声を大にしてこの事実を報告をしても、少しも改まらないこの保険金の問題というものは、この多久事件を契機にして何とか方向をきめて解決すべきではないか、こう思うのでございますが、もしそれを農林省の方でできないというのならば、いたし方がありませんから、司法権の発動によってこの問題を解決していくより仕方がない、こういうように思うのですが、刑事局長にはこの会計検査院の報告書というものはお手元にないと思いますので、これは会計検査院にございますからお取り寄せを願って、この内容を一度検討していただきたい。そしてまた農林当局におきましても、この問題について手をつけるかどうか。それから二十八年、二十九年、三十年の全国の農業共済組合経理について、会計検査院が調べておると同じことが各組合にあるのですから、これをもう一度農林省の方でこの実態を調べて、把握して、その各組合に、この経理の仕方は悪いのである、これは犯罪を構成しておるのであるということを知らしめて、そしてこの問題を解決していく、そういうようなお気持があるかどうか。ないのならば、これは司法権によってやるより仕方がございません。これはまず農林省清井次官でもけっこうでございますし、また法務省の井本刑事局長からもお考えのほどを私はこの機会に承わっておきたい、こう思うのです。
  74. 清井正

    清井説明員 保険金の問題についてしばしば会計検査院の方から御指摘を受けておりますし、また当委員会におきましてもしばしばこの問題につきまして御指摘を受け、おしかりを受けておりますことは、私重々存じておるのでございます。ただいま御指摘を受けました通り、この共済金の末端におきます取扱いについて実はいろいろ問題があるのでございます。事司法関係の問題になりますものもございましょうが、行政上の指導によってこれが改善をし得るものもあろうかと存ずるのであります。私どもかねがね、先ほどもちょっと申しましたけれども、各末端におきます共済金の支払い状況につきましては、農林省部内におきましてもその方面の監査班を設置いたしまして監査をいたしておるのでございますけれども、なかなか思うように十分にすみやかに行き渡ることはできません。気がつきました点につきましては、逐次その都度修正を命じ、あるいは改善を命じ、訓戒をいたしてきておるのでありまして、しかしそれにもかかわらずこういう問題が発生してきておりますことは、私どももまことに遺憾に感じておるのであります。むろんこの問題は共済金自体の取扱いについての問題といたしまして、改善あるいは今後の措置を十分注意する等も必要でございますが、一方共済制度そのものの根本的な改変等の問題も十分考えなければならぬ問題だと考えるのでございます。共済制度の改善問題につきましては、かねて委員会におきましてもいろいろの御意見があり、あるいは制度に関する審議会におきまする中間報告等もいただいておるのであります。われわれといたしましても、十分この共済制度そのもの、ことに共済金の支払いに関する手続等につきまして十分改善を加えていかなければならぬと考えておるのであります。ことにまたこういうような不祥事件が起りましたこと等もございまして、——むろんこういうこととは関係ないのでありますが、しかしわれわれといたしましては、こういう際におきまして、世間から非常な疑惑の目をもって見られておる際でございますので、なお一そう努力をいたしまして、制度の根本的改善、ことに共済金支払いについてこのような事件が起らないようにその制度の改善をはかることに努めて参らなければならない、こういうように考えまして、目下関係部内におきましても慎重に検討を進めておるわけでございます。また御指摘を受けました諸般の例、いろいろの問題の善後措置につきましてはすみやかに取り計らうようにいたしたいと考えておる次第でございます。  それから先ほどちょっと答弁は要らないということでもってお話がございましたが、ちょっと私感じだけを申し上げさせていただきたいと思います。と申しますのは、先ほど生田委員から関係局長処分について少し軽いのではないかというような感じを持つという御意見がありました。私、関係局長処分について実は立案者というか、責任がございますので、一言申し上げさせていただきます。なるほど十分の一、三カ月ということについていろいろ御批判があろうかと思います。ただ国家公務員の懲戒処分としての減俸という処分はわれわれ国家公務員の常識といたしましては実に重い処分と考えておるのであります。しかもまた金額が最高が五分の一となっております。五分の一の範囲内でやるということになっております。そういうようなこともありますし、私ども十分の一、三カ月ということにつきましては慎重検討いたした結果、この程度の処分が適当であるというふうに実は判断いたしまして大臣に具申いたしたわけであります。懲戒としての減俸が単に金額的な問題から申し上げればさようなお考えも抱かれるかもしれませんが、減俸という処分を受けますと、公務員といたしましては、いろいろな栄誉を授けるとかあるいは名誉のことがありましても、全部過去にこういう事例があるということでその選から除かれるということになっております。この減俸処分を受けるということはわれわれとしては非常に重い処分というふうに考えておるわけであります。軽きに失したというふうに私どもは考えていないわけであります。御批判の点は私どももわかりますけれども、私がその衝にありました者としての感じだけを申し上げさせていただきたいということを一言申し上げさせていただきます。
  75. 井本臺吉

    井本説明員 先ほどお尋ねいただきました農林省関係の局員の涜職の件はただいま調べの結果の報告がありましたが、さような事件の報告はないということでございます。それからただいまお尋ねの農業共済組合に関する保険金の不当支出の問題でございますが、刑事処分が適当であるかどうか、至急に会計検査院の報告書に基きましてわれわれの方でも検討いたしたいと存じます。
  76. 生田宏一

    ○生田委員 刑事局長に申し上げておきますが、共済組合の例のことにつきましては、もし刑事処分を行うならば全国でおそらく八〇%の組合は刑事処分をしなければならないのではないか、こう思います。そこでそういうようなものであるということを前提にして、そうしてこの問題が今日まで不問になってきておるわけです。私が今ここで申し上げたのは、こういうことがもう今後は終止符を打つということ、それが目的でございます。その考え方を基礎にして本省としてもこの問題を検討される、検討の内容につきましては厳格なる法の適用についての判断というものはゆるがすことはできませんけれども、しかしながら目的はこういうものを根絶するにある。今後こういうことがなくなるということであれば、それが一番よいことであるということを前提としてお考えおき願いたい、こう思うのであります。  それから清井次官ですが、むしろ私は、あなた方は今重いというお話ですが、この問題はおそらくは厳格な責任を論ずるならば私は辞任するだろうと思う。また当人からそう申し出るのが当然だろうと私は思う。あなた方は安易に考えておられる。現に大蔵省の今井君は責任を痛感して辞職をした。これと部下の監督の粗漏ということとは事件の性質はかなり違いますけれども、われわれ世間から見る考え方というものはそう大して違う程度に受け取っていないのです。ですから僕は当人から辞職を申し出る。しかしながらあなた方の方でこれを慰留したということならばわかりますけれども、あなた方の方でこれを判断してみて、これで重かったという考え方については、私は納得できない。そういうことでは信賞必罰の実もあがらぬし、部内の統制もききません。この考え方は私はあなたとは全然角度が違うのです。もしあなた方がそういうようなお考えでいくならば、今度の事件につきましても、あるいは部課長処分もありましょうけれども、私はその考え方で判断して参ります。全然私はあなた方とは考え方が逆でございます。違います。そのことだけを申し上げておきますから、さよう御承知置きを願います。
  77. 清井正

    清井説明員 重ねてのお言葉でございまして恐縮に存じます。決して生田委員のお考えに対してはとやかく申す意味はないのでございますが、関係局長から全部進退伺いが出ておったのでございます。私どもといたしましては決して重いということを申すわけではございませんけれども、ただ私ども処分をいたしましたときの気持をほんとうに申し上げたにとどまっておるのでございまして、生田委員のお考え方に対しては、私どもの方からとやかく申し上げる気持はございません。私どもがこの衝に当りましたときの気持の一端を申し上げただけでございますから、どうかあしからず御了承を願いたいと思います。
  78. 上林與市郎

  79. 細田綱吉

    細田委員 刑事局長に伺いますが、二十九年、三十年両年度にわたって多久島が約八千万円のつまみ食いをしたわけなんですが、われわれの過去の経験と申しましょうか、感じから言うと、九年度、三十年度の二期にわたってこれほど大胆なことはできるものではない。二十五年に就任して二十六年、七年くらい、あるいは五年、六年くらいかもしれませんが、少しやってみたら案外簡単で何もなかったということで、だんだんこれが大きくなっていく。あなたの御説明を伺ってもそれがはっきり出てこなかった。先ほど農林次官のお話を伺っておっても、これはまだ調べていないというのだが、検察当局としては二十八年度以前の分はお調べになったのですか、この点を伺います。
  80. 井本臺吉

    井本説明員 二十八年度以前につきましても検討いたしましたが、現在のところでは犯罪事実は発覚できない状況でございます。
  81. 細田綱吉

    細田委員 それではあとは農林当局のお調べを待つこととして、あなたの方の調べか、警視庁の調べかしれませんが、当時新聞紙の伝うるところによると、何か農林省には国会対策費というものを予算外で持っておる。これが農林水産委員会その他の国会に、どういう対策か知りませんが、相当使われておる。このうちに相当ただいまの共済組合の交付金がピンはねされているのだということを報道しておりましたが、あなたの方の調べはどうなっておりますか。
  82. 井本臺吉

    井本説明員 ただいまさような事実があったという報告は聞いておりません。なお、その点につきましてはいま少し検討いたしたいと存じます。
  83. 生田宏一

    ○生田委員 関連して。細田委員からも今同様な御意見が出たものですから、私は刑事局長に一つ私の疑問のあるところをお話しをして、今後の参考にしていただきたいと思うのですが、この吸い上げはおそらく事務費ではありますまい、もしありとするならば、保険金に対する吸い上げでございます。と申しまするのは、保険金制度というものが吸い上げができるような仕組みになっております。というのは災害がありましたときに町村の組合は災害の高をきめて、そうしてこれを連合会の方へ申請をいたします。連合会もまたそれを集計して本省の方へ言ってくるのですが、そのときに本省の方から災害のあった保険金連合会支出いたしますのは義務支出でありまして、連合会が言ってきたものに対しては、保険金交付してやらなければならなくなっております。しかしながら連合会は掛金をかける義務を怠っておる町村の組合に対しては保険金交付する免責規定があるわけです、また組合自体も掛金をかけていない農民に対しては保険金を支払う義務については免責規定がある。そこで国の方に対しましては、必ず連合会はその金を取ってくるのですが、しかし組合なりあるいは個人の納入に対しては、必ずしもそれをやらなくていいというケースが出て参ります。というのは、組合員のほとんど大半は掛金を掛けておりませんから、掛金をかけていない者に対しては保険金の免責があるのですから、それでやってもよし、やらなくてもいいという状態であります。大ていの場合は、その掛金をかけていない組合員に対しては保険金をもって、その掛金に充当してやる、余った金があれば組合員にやってもよし、また組合で別の費用に使う場合もございます。また組合長の個人の預金として別の使途に使っておる場合が往々ある。また個人の組合員に対する支出にいたしましても、災害を申告いたしますときに二倍なり、三倍なりの水増しを申告しておりますから、その申告通り金をくれなくても農民自体はそう大して不服を言わない状態にあるわけです。でありますから、連合会の中で金がプールされるという危険が多分にあるのが今の共済保険の制度でございます。それでおそらく農林省が吸い上げたという事実が、かりにあるとするならば、それは連合会のプールした金ということに疑問がわくわけです。しかしながらそういうものを吸い上げていないということであれば大へんけっこうだろうと思いますけれども細田さんからの疑問もここに出ているわけでございまして、もしあるならばそこに私は資金があるのではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。ここに清井次官、また渡部農林経済局長も見えておりますが、農林省の当事者は将来における共済保険制度の改革に当って、特に一番大きく注意しなければならぬのは、掛金をかけていない者に対しては保険金の免責規定がある。それはあるのは当然でありますが、それを一貫してそういうふうになっておればいいのですが、府県の連合会に対しては農林省災害高を申告して参った場合に、その金額決定したならば必ずそれを支出しなければならないという義務の規定がはっきりしている。そうして下部にいっては免責規定があるというところに私は大きな原因があると思います。特に今細田議員の質問を拝聴しましたので私の疑問のあるところを申し述べまして、そこを農林省が善処してもらわなければならぬと思いますので、関連質問といいますか、注意を喚起するという意味になるかもしれませんが、ちょっと申し上げたのであります。もしこれに御意見でもあれば承わっておきたいと思います。
  84. 細田綱吉

    細田委員 私も同じ質問だからまとめて答弁してもらいたい。今の農林省が国会対策に関する一つのワクというか、予算外にそういうものをもって相当動いておられるということは、これは議員であればだれでも知っています。こういう対策費が、今生田委員の言われるように出るとすれば、この共済の方面から出る。そうすると、何だか農林省自身がどろぼうの上前をはねているようであるが、ほんとうにあなたの方で調べたのかどうか、一つまじめに御答弁願いたい。
  85. 井本臺吉

    井本説明員 先ほど申し上げましたように、私はその点について調べたか調べないか報告を受けておりません。とにかくさようなお話がありましたので、これはこのまま聞き捨てになりませんので、調べておらなければ調べますし、調べておればさらにその点についてもう少し確かめたいというように考えております。
  86. 細田綱吉

    細田委員 国家から出る補助金がかなりルーズに使われているというので、現法務大臣かその前の法務大臣か知りませんが、検察当局にこれに対する専任といいましょうか、その係りの検察官を全国的に配置したということが当時新聞紙に伝わっておる。そうすると、これはあなたの方の省の決定であると思うのだが、それにもかかわらず今生田君が言ったこの共済の金の事例をあげて申し上げても、ルーズに使われておる。この問題に対して、しかもこれが会計検査院から批難事項として出ているのにちっとも農林省は直っていない。あなたの方はこの補助金に対して今まで無関心だったのですか、どうですか。
  87. 井本臺吉

    井本説明員 補助金の法律が出ますと同時に、われわれといたしましてはその法律違反を手当しなければいかんということで、全国的に補助金関係の係り検事を設置いたしまして、これは根本的に検討しようということでいろいろ計画して、現に係り検事は設けてございますが、その際にわれわれといたしましては、係り検事を少しくいただかぬことには、ほかの事件でも非常に忙しくて手が回りかねているので調べができないから、ぜひその点に関する検事の増員をお願いしたいということで、本年度の予算におきまして相当の検事の増員をお願いしましたのですが、いろいろ予算の都合でこれがお認めいただけなかったのでありまして、調べたいという意欲は十分に持っておりますが、実際の効果はこれに伴わなかったというのが実情でございます。
  88. 細田綱吉

    細田委員 従来の例から見ますと、検察当局というものは、警察から送ってきた事件は、ふんどし一つ取ったような小さい事件でも一生懸命やる。ところがこういうようなもっとでかい意義を持った問題に対してはきわめておしりの重いものなんです。刑事局長はそんなことはないとおっしゃっても、どうも警察から来た事件は、こんな事件をというような小さい事件でも拘束して起訴するが、そうでない事件に対してはなかなか重いというのは天下周知の事実である。しかも会計検査院から膨大な金の批難事項が出ておるのに、人が足らなかったからといってやっていない。各県の警察署に投書や何かがあって、警察署で共済組合の事件をあげてきてあなたの方で起訴しているのはありますよ。けれども全国的な大きな、たとえば県連とかなんとかいうところにメスを加えた事例はないでしょう。これはあなたの怠慢じゃないですか。どうなんです。
  89. 井本臺吉

    井本説明員 とにかく兵隊がそろわなければ戦争ができないようなものでございまして、できるだけのことはしておりますが、実情がこれに伴わないというわけでございます。なお補助金等適正化施行後における関連事件は本年の一月一日から六月三十日までの間に全国的には五十八件、百八十三人ほど取調べをしております。この処分結果につきましてはまだはっきりした報告はないのでありますが、放擲しておるというわけではございませんからその点は御了承願います。
  90. 細田綱吉

    細田委員 あなたの御報告に遊興飲食費に多久島が九百余万円を使った、これは大体だれにどういうところで飲ましているのですか。その中には相当上司なんかにも飲ましておる場合があるのじゃないですか。その点はどうなんですか。上司や同僚に飲ましておる金額は幾らぐらいになるのですか。
  91. 井本臺吉

    井本説明員 総計が先ほど申し上げましたように九百十九万円でありますが、これは本人が熱海、箱根、湯河原、水戸方面などに行って遊びました遊興代金その他がこの金額に当るのでございます。多久島の友達、同僚がごちそうになっておるのは少しございます。しかしわれわれが今まで調べました限度におきましては、何千万円も横領した人間の共犯と思える程度の趣旨の分け前をもらったというか、臓物をもらった程度の人間はまだ発見できないので、先ほど申し上げたように、共犯者は今のところ見当らなかったというように御報告申し上げるわけでございます。
  92. 細田綱吉

    細田委員 あなたの方で飲んだところを調べれば、だれが来たかということはわかるはずだ。たとえば局長課長が、しかも一回や二回ではない、数回来ておったということであれば、これはあなたの方の職権をもって調べればわからぬはずはないじゃないか。
  93. 井本臺吉

    井本説明員 今申し上げたように、招待を受けましたり、出張の際の旅費手当を一万円なり一万五千円もらったのがございます。しかしこの程度で直ちにこれが多久島の共犯であるということの容疑は、今のところかけられないのであります。多久島本人の供述では、自分農林省内では一人でやっておったのだ、共犯はないのだということをしきりに言っております。多久島の供述と、ただいま客観的に申し上げた多久島がごまかした金額があまりにも大きいにもかかわらず、その分け前にあずかった金額が比較的少なかったというような関係で、これだけの大事件共犯ということを認定するのには現状では不十分であるというのが、今までの経過でございます。
  94. 細田綱吉

    細田委員 あなたの先ほどの御説明に、恐喝を受けた事件が数十万円ある。これはどういうところから恐喝を受けておりますか。
  95. 井本臺吉

    井本説明員 まだその点は詳細な報告を受けておりませんので、調べまして後刻御報告申し上げます。
  96. 細田綱吉

    細田委員 これはあなたの方としては関連恐喝事件として直ちに調べなくちゃならぬ。私のようなしろうとだって、これはどういうところから恐喝を受けているかということは、農林省内のこういう予算の使い方ですから、ジャの道はヘビで、そういう方面だと思う。それをあなたのような専門家がまだ報告を受けていない、これは気がつかないというはずはない。検察当局は河野農林大臣に遠慮しているのですか。だから今言ったように調べていない。あの会計検査院の膨大な批難事項の金額からいって、あるいはまたあなたがさっきおっしゃったように、補助金なり検事を設置したというところから見て、どうもまだ手をつけていない。それで恐喝関連事件はまだ報告を受けていない。どうも私は、鳩山内閣の実力者である河野農林大臣に法務当局も遠慮しているような気がする。一つ十分に、法務の権威に関してもお調べを願いたい。  それからもう一つ、われわれに非常に疑問に思われるのは、前の農業保険課長、ただいま広島県の農地部長か何かやっておる人、これは何も関係がなかったのですか。とにかくことほどさようにしょっちゅうめくら判を押しておったのですか。
  97. 井本臺吉

    井本説明員 めくら判は私もずいぶんめくら判をある場合には押しますが、この場合はずいぶんひどいめくら判だと考えております。
  98. 細田綱吉

    細田委員 いや冗談じゃない。広島県の部長をやっている久宗高君という前保険課長は——あなたもそうしょっちゅうピンからキリまでめくら判ではないと思う。保険課長という専任者でしょう。多久島の犯行に対してこの人は任期中ピンからキリまでめくら判だということでしょう。この人は起訴されていないでしょう。これはどういうわけなんです。
  99. 井本臺吉

    井本説明員 文字通りめくら判でありまして、本人が犯罪の意識がありませんから、犯罪の意識がない者は起訴するわけにはいかぬというので、めくら判を押したという道義的責任は十分追及されるべきだと思いますが、犯罪の容疑はただいまのところございません。
  100. 細田綱吉

    細田委員 次官に伺います。いろいろ他の委員諸君からも御質問がありましたが、こういう事件を起し、しかも会計検査院から批難されてからすでに何回もあり、数年もたっているのであるが、あなたは現在共済組合をどういうふうにしたらいいか——せっかく調査中でありますということは伺いましたが、現在あなたの個人的な心境でもいい。共済組合はこのままに置いてはどうにもならない。これはおわかりだと思う。一生懸命で、いつだってあなたの方は慎重調査ということは言われるのだが、現在あなたの個人的な心境でもいいのだが、共済組合制度をどういうふうに改革されたらいいと思っていらっしゃるか、その点を伺いたい。
  101. 清井正

    清井説明員 この問題がかくもしばしば会計検査院からも御指摘を受け、御列席の各委員からもしばしば御指摘等を受けているのでございますが、そういうようなことに直面いたしまして、私ども事務当局といたしましてもかねてからこの制度そのものの根本的改革並びに交付すべき保険金交付事務手続等につきまして、いかにして改善いたしまして、こういうような非難を受けるような事態をなくなし、同時にまた農業保険本来の目的にかなうよう措置いたしたいというふうに考えておったのでございますけれども、なかなかもってその結論が出ないということは、やはりこの問題がいかにむずかしい問題であるかということを如実に物語っているのではないかと思うのであります。ただいませっかく検討いたしているのでございますが、私ども個人といたしましても、いま直ちにこの組合を通じての保険制度というものをどう改革いたしたならばいいかということについての御返事は実はいたしかねるのでございます。非常に問題がむずかしゅうございまして、非常に複雑で、しかもこれが農業政策根本にわたる問題でございますので、私どもただいま個人的意見をというお尋ねでありますが、まことに恐縮でございますが、私事務当局の責任者といたしましても、こうしたならばいいというような方向を見つけるのにも実は苦心をいたしているような次第でありまして、関係者とともにすみやかに検討を遂げてこの結論を見出したいというように考えております。
  102. 細田綱吉

    細田委員 あなたは非常に苦慮されたむずかしい問題だとおっしゃるが、確かに簡単な問題ではないが、しかししぼってみると三点か四点になるのです。言いかえてみれば評価委員というものが各部落で出るでしょう。損害の評価が部落で出るから、水増しがあるであろうと従来の地方事務所でまず切られる。また県へ行って切られる。だから農民自身が今年の損害額が何%に査定されているかさっぱりわからない。だからこれだけ来たぞといえば、はいさようでございます、これだけ来たぞ、さようでございます——これではしようがない。評価委員制度が農民にじかにわかるように——もちろんこれは規定では農民にあとで知らすというようになっているが、知らしているところはどこにもありません。従ってこの評価委員の制度にまずメスを入れなければいかぬ。各部落の評価委員に最初評価させていくから上の方でだんだん削られていく、それは農民にわかりっこない。だからあてがい扶持ということになる。いま一つは強制加入の点です。これは先ほども生田委員が言っておったが、強制加入でしょう。いやだと言うわけにはいかない。それだからついにこれが滞納になる。だから大体どこの農業共済組合でも政府からきた金で埋め合せてしまって、もうとらないのです。ここに大きな考えるべき点があると私は思う。というのは、強制加入で掛金が平等でしょう。こんなばかな制度というものはない。火災保険だってそうでしょう。何等、何級というか知らぬが、高いところと低いところとある。上田、上畑と、毎年災害を受ける悪いたんぼ、畑とが一様なんです。いいたんぼ、畑を持っている人は毎年々々高い掛金をかけて、もらう人は毎年々々もらう。これではどうしても制度それ自身が滞納を奨励するようだ。だから勢いかけなくなる。かけなくなるから、その係員があてがい扶持で途中ネコババというかピンはねをするから、つい強制差し押えしなくて政府からきた金で掛金を埋め合せるというようなずぼらが出てくる。だから強制加入であるならば、むしろ市町村に移してしまう、そうして農業共済組合職員は町村吏員にしてしまったらいい。平等な掛金、これがおかしいのです。いいたんぼや畑はいつでも災害を受けない。悪いたんぼや畑を持っている人はいつだって掛金をもらうということはわかっているんだから、上田、上畑を持っているような人には、保険ですからただではいかぬでしょうけれども安くする、毎年もらうようなところはある程度まで上げるということを考えないと、いいところを持っている人はばかばかしいということになるから、どうしてもかけない。こういう点ですよ。  いま一つは、共済組合の職員は農業協同組合の職員の兼務が多い。だからほんとうの仕事はできない。だから、ほんとうに強制加入でやっておくならば、掛金に一つの差等をつけると同時に、むしろ市町村に移したらいい、税金と同じなんだから。これを単独で置いておくところにも、今言ったように弊害がある。だから農業協同組合と一緒にならなければ——農業協同組合は申し上げるまでもなく任意加入なんだから、強制加入とこれとがどうしても一緒にならぬというならば、これは市町村に移すべきだ。市町村に移せないならば、農業協同組合と一緒にしてしまったらいい。そうして強制加入と任意加入の両面を扱わしたらいいと思う。しぼっていけば、そんなにたくさんない。幾らもらえるかわからない、掛金はかけていない、だから農民だって、これだけしかこないぞと文句は言わない。文句は言わないから、幾らでもピンはねができる。だから生田委員の言ったように全国の八〇%は刑事事件になる——刑事局長はそういう点はまだ報告を受けていないとかなんとか言っておったけれども、あなたの方だっておそらくピンはねして国会対策の方に流用しているんじゃないかと、私のひがみかもしれませんが想像できる。ことに多久事件は突如出たわけではない。会計検査院が批難していたことで、もう結論は出ていなければならぬ。それをあなたの方でむずかしい問題でまだ研究しているというのは、結局あなたの方では国会対策費に隠して、出るところがないから、じんぜんと日を延ばして、そっちから一つ流用しようという魂胆があると考えられてもしようがない。あなたのような農林省で長く飯を食っておる練達堪能な人が、こんなことはしぼっていけば大して多くの点はない。四つか五つなんです。もう一度あなたの御意見を聞かして下さい。
  103. 清井正

    清井説明員 制度の問題についてただいまいろいろ御批判をいただきました。評価委員の問題から強制加入の問題それから職員の兼務の問題等、ただいままでの保険と申しますか、農業共済制度の運営上の根本問題について適切な御意見を言っていただいたわけであります。実は私はこういうような問題につきまして、いろいろ検討を加えておった事実があるのでありますが、ただいま実地の観点からの適切な御批判をいただきまして、私ども今後共済組合の制度を至急確立いたしますについての有力な参考意見として十分考えていきたいと思うのであります。またそれに関連いたしまして、たびたび国会対策費というような言葉をお聞きいたすのでありますが、先ほど刑事局長さんからもお話がございましたが、私どもといたしましても、実はこういうことが新聞に出ましたので、私どもの部内で早速調べさせたのであります。しかしそういうことは実際上もあり得ないことでありますし、絶対ないのであります。これは掛金の問題でございまして、御承知の通り共済掛金、主として末端にいってからの問題であります。私どもただいま問題にいたしました多久島のは団体事務費の問題でありまして、全然性質の異なる問題でございますし、また事柄の本質からいいましても、そういうことがあり得ようはずはないのであります。私どもむろんこれはないと思って、しかし新聞にも出ているということで再三調査を命じましたが、一切こういうことはございません。その点はたびたび御引用になりましたが、私といたしましては確信を持ってそういうことはないと申し上げることができると思います。ただ、ただいま御批判をいただきました現保険制度の欠陥の問題につきましては、十分一つ参考といたしまして今後の施策の確立に資したい、こういうふうに考えます。
  104. 細田綱吉

    細田委員 あなたの方の共済金があるものは県を通じ、あるものは各県の共済連に出す、こういうところに大きな欠点がある、また悪いことをする穴もあるのです。これは一旦県に入って県の予算に出れば県会議員がまたこれに注意の眼を向けます。県会議員すら素通りしてしまってどこも調べるところがないから、今言ったようなルーズな制度の上で幾らでも途中でつまみ食いができる。だからこれは一旦県に入れて県の予算に出させて公正に使わせるということが、言いかえれば数十人の県会議員の検査のもとに使うということが好ましいと思うのだが、この点改正されているのですか、どうなのですか。
  105. 清井正

    清井説明員 先ほどの団体事務費の問題につきましては、交付規則を県一本にこちらから交付するということに改正をいたしたのであります。その他全般の問題につきましては私どもただいまの御注意の点を十分一つ参考にいたしまして制度改正に努力いたしたいと思います。
  106. 細田綱吉

    細田委員 茨城共済連に対して損害賠償か返還請求の方法をとっておられるかどうか。御承知のように加倉井共済連会長起訴されております。これに対してあなたの方では茨城共済連に対してどういうように御処置をなさるお考えか、その点お伺いします。
  107. 清井正

    清井説明員 ただいまお話がありました通り四千七百万円でございましたか、私の方で不当に茨城共済連が受けたという額につきまして返還命令を出しておるのでありますが、まだそのままになっております。なおその他国の損害をできるだけ少からしめるために関係者の財産等を法務省の関係調査をいたしまして、国の債権保全あるいは将来の民訴提起の材料にいたしたいということでやっておるのであります。
  108. 細田綱吉

    細田委員 悪いことをした連中に対してあなたの方で個人財産に対する徹底的な追及をするのは、これはしかるべきだと思います。しかし今あなたが言った四千何百万円というでっかい返還請求を受けたら、これは茨城県の方ではどうなるのでしょう。農民からとるといっても、これはちょっとできないでしょうし、そうすると茨城県の共済連は事実上機能停止のような状態になる。こういう点はどういうふうに見通されておるか。
  109. 清井正

    清井説明員 この茨城県において不当に取得された金が、これは現実において多久島並びに一部の部外者に固定されましたために、これをそのまま茨城県の共済連が国に返還いたすということにつきましていろいろ問題が起ろうかと思うのでございます。しかし私どもの立場としては、あくまでこれは請求をいたさなければならぬ立場であります。この間共済連といたしましてどう措置をいたすべきかということにつきまして関係者といろいろ相談をいたしておるようでございます。私どもこの問題につきましては十分法務省とも相談をいたしまして適切な処置をとって参りたいと存じます。
  110. 細田綱吉

    細田委員 この問題ですが、元はあなたの方なんだ、ちょっと誘いの手にかかったわけです。先ほど刑事局長が言ったように、共済連を手に入れれば簡単にできるという多久島の奸智というかずる賢い知恵のもとに茨城県の共済連がひっかかっている。だからそれは不当な交付は受けたかもしれないが、だからといってあなたの方で理屈通り茨城県に対して、これを返せと言ったら、茨城県の共済連は事実上機能停止、茨城県の農民は共済保険のワク外に置かれるというようなことに実際なるのです。この点はよくあなたの方も慎重にお考えの上、一つ茨城県の共済連が機能停止にならないように、また農民の負担にならないように御考慮を願いたい。
  111. 上林與市郎

    上林委員長 それでは委員長の手元に通告がございました委員各位の質疑は終了いたします。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと補充的に、その他資料の関係もありますから……。  安田さんに伺います。事務費の国庫負担金の交付申請書類連合会から出される場合に、その書類は県庁を経由するのではないのでしょうか。それからもう一つ、前年度の精算書を政府提出するときは県庁を経由するのではないでしょうか、その点どうなっておるのですか。
  113. 安田善一郎

    ○安田説明員 補助金申請要求清井次官も申し上げました通り、県連分と組合分と違いますけれども、改正前の規則による場合でありますが、県と共済連協議をしてきめました一方によりまして、県連の場合は県を経由して申請書が出てくる建前になっております。それを受けて交付指令を出しまして、金券交付するのは直接に県連にいくようになっておりまして、決算の報告は年度末が過ぎましてから直接官房の経理課に参ります。
  114. 上林與市郎

    上林委員長 吉田君、簡潔に願います。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと県庁を経由した分につきましてはやはり県庁の捺印などがあるだろうと思いますが、その場合に多久島のなした、問題になりました一切の文書について県庁を経由すべき分があった場合には、県庁の判の有無は見ればすぐわかるわけでございますね。その辺はごらんになったのであろうかどうだろうか。つまり県庁を経由した場合の県庁の判の有無は一応書類検査なんかする場合には一覧すればすぐわかるのじゃないかと思うのです。この点なお政府における書面検査がとかく十分でないような感じを持っておるのでありますが、これは時間もありませんから後日のことにしますけれども、この場合県庁を経由して出てくる書面は決算であろうと交付申請であろうとにかかわらず県庁の判があるわけなのだから、県庁の判がある場合には検査院においてもまたは本省においてもすぐわかるべきじゃないかと思うのが一つと、それから県庁を経由したものにあるべき県庁の判がない場合には一応知事その他の県庁当局を呼び出して調査するということも必要ではないだろうかと思うのでありますが、その辺はせられたろうか、もしくは具体的にはどういうふうになさったのだろうか、御説明ができれば一つしていただきたいのであります。
  116. 安田善一郎

    ○安田説明員 本件清井次官が代表して申し上げましたように、私の監督責任は特に大きくて非常に恐縮しておりまして、事件発覚以来最大の努力をしたつもりでありますし、また進退伺いも大臣のもとに直ちに提出いたしまして、国民各位及び国家に対して申しわけなく思っておるものでありますが、私が農林経済局に参りましたのは去年の十月五日発令で、後任の官房長がなれておりませんところに参議院の農林委員会もありましたので、半月以上かわりに手伝いをしておりました。それ以後農業保険国庫事務費負担金交付事務に関する手続は私のところに相当参りましたけれども、年間のうちのものとしましてはまず第一に交付内示書というものが出ますが、これは県庁にもいく、団体にもいくのであります。これは年間県別に配付するのが済みまして、五月暫定予算、六月暫定予算は済み、七月以降は年間予算でありますが、全部済んだあとで、それを区切りまして四半期ごとを原則にしまして指令書ができ、金券ができる書類が通ってきたのでありますが、岐阜県その他十二県、岩手県外二十五県というような書類は記憶がありますけれども、個々のものにつきましては、記憶がないものもございます。その後事件発覚以来、と申しますのは、私自身につきましては五月二十五日国会において課長から報告を受けたのでありますが、直ちにその夜から多久島を呼び出して聞きました。あわせて書類及び帳簿を調べましたが、書類は紛失持ち出されております。帳簿も持ち出されておりました。事態遷延して申しわけなく思っておりまするけれども、それについてあとから、また見た書類につきまして見ますると、吉田委員の御質問と御想察の通り、県庁の申請書には県庁の官印をちゃんと押したものがすべてついておるのです。申し忘れましたが、茨城県の農林経済部長八塚君に対しましては事情調査上上京してもらいまして、その関係も調べたのであります。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だんだん質問したいのでありますけれども、きょうはこの程度にしておきまして、なお今後の調査のために少しく資料を出していただきたいと思うのであります。  清井次官に頼んでおきますが、あなたの方へ——やはり元の事務官だから、多久島が何らかの文書で、始末書かてんまつ書か何か書いたものがあれば出していただきたい。それから同じく自殺した何がしか——これは私は具体的に存じませんけれども吉川六郎とかいう事務官が自殺いたしておりますが、これの関連のことも一応聞きたいと思いますので、これについても何らかの資料があれば出していただきたい。それから告発したとおっしゃっておりますが、告発状の写しを一つ出していただきたい。それからなお検察当局じゃなしに、法務当局におきまして法律上司能な範囲でいいですから、一つできるだけその後の経過——きょうの質疑応答なんかに現われましたことに関連して、御報告できる事項は一応経過を知らしていただきたいと思います。
  118. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  119. 上林與市郎

    上林委員長 速記を始めて。  資料の要求の件については、委員部でも調査室でも農林当局でもメモをとっておると思いますから、私の方で打ち合せをいたしまして、しかるべく取り計らいたいと思います。  なお念のためにもう一度申し上げますが、本件に関する調査は、本日のところは一応この程度といたし、次会に引き続き行うことといたします。  なお山本君より発言を求められておりますのでこれを許します。
  120. 山本猛夫

    山本(猛)委員 本日の時間も切迫いたしておりますので、手短かに要点だけを申し上げます。佐久間発電所の逆調整のためのダムを作る必要から、佐久間の下流に第一、第二の秋葉発電所を建設中でありますが、その地盤がひどく悪くて百七十五億円の工事費予算がおそらくその倍くらいにふくれ上るだろうと伝えられております。しかも不正工事の結果各所にしばしば土砂くずれが起っていて、幾たび道路を作ってもくずれてしまうということが伝えられておりますので、これらに関して究明をしなければなりません。よって予備調査をしてほしいのであります。これらにつきまして委員長を通じてお願いをいたしておきます。
  121. 上林與市郎

    上林委員長 予備調査は私の方で取り計らいできるようになっておりますから、そのように取り計らいます。なお具体的な予備調査の取扱い方は理事会において御相談願いますから御了承願います。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時二十八分散会