○山本(猛)委員 過ぐる二十四国会の開会中におきまして、閉会中も
継続審議を行う旨の御了承を得ました
国有財産に関する小
委員会の経過につきまして、中間の御報告を申し上げます。
国有財産に関する小
委員会におきましては、
高速度道路等の問題その他数件に関しまして審議並びに調査を進めて参ったのでございますが、たまたまその審議並びに調査を進めておりまするさなかに、
決算委員長上林代議士に関連いたしまする事項が出て参りましたので、小
委員会といたしましては慎重にこれを取り扱わなければならない必要性に迫られて参りました。
よって過ぐる四日公報をもって、六日に当小
委員会を開催する旨を御報告申し上げまして、六日に小
委員会を開催いたしたのでございます。しかるところ
社会党委員の御出席がございませんでしたので、再三にわたりまして社会党さんの方に御出席方を御要求申し上げました。しかるところ定刻を過ぎましても御出席がございませんので、定足数に満ちました者のみによって開会をいたしたのでございます。よってわれわれは
事上林委員長の御身分に関することでもございまするので、慎重を期しましてさらに後刻小
委員会を開催することにいたしまして、一応休憩をいたしまして、小委員において懇談をいたしました結果、当問題はこのまま等閑に付すべきでないという結論に到達をいたしましたので、
決算委員長をお探しをいたしまして、当日すなわち十三日をもって
決算委員会をお開きいただきまして、懇談に基きましてきめられました
参考人を招致して、事態を明らかにして、当
委員長の御名誉を保持しようといたしたのでございます。それに関しまして投書等もございますが、きわめて簡単に内容のほどを御説明申し上げたいと存じます。
まず私の手元にごらんのような封書をもって
陳情書が到達いたしました。その
陳情書を御報告申し上げます。
国会議員の綱紀の粛正について
本国会を通じて
国会運営の状況は暴力による議事の妨害はもとより国民としてふんまんにたえない事柄が山積いたしましたが、これら表面に現われた事実についてはすでに各
言論機関は筆をそろえて、かつて見ないほどの痛評を下し、全国民またこれと同様な感を抱き、終りには
議会制度の根本にまでその疑いを抱くものさえもありますことは、わが憲政のためまことに遺憾しごくのことでありまして、これら表面に現われた事実にかんがみ、これが対策については
政府政党とも深く反省して、何らかの結果が現われてくることを期待いたしておりますが、かかる表面に現われないことで、
国会議員がその地位を乱用して幾多擯斥すべき事実があり、しかもこれによって真の
民主政治が妨げられ、さらには多くの国損が生じていることが多いのであります。ここに別紙の事実もその一例でありますが、幸い今国会において
決算委員会小
委員会が設けられました機会に、その真相を御調査下さいまして、その審議を明確にいたされますよう全国民にかわって陳情いたす次第であります。なおこれに対する幾多の
人的物的証拠もありますから、御要求次第提出いたします。
山形県北村山郡大石田町
高田 某
昭和三十一年六月 日
衆議院議長 益谷秀次殿
衆議院決算
委員会小委
員会委員長 山本猛夫殿
こういうのでございます。
以上の文案につきまして、その同封せられました事項につきまして御報告申し上げます。それはその一及びその二となっております。まずその一から御報告申し上げます。
某
決算委員長は
——上林決算委員長は
林野庁の
批難事項と関連せしめて
薪炭用材を
払下げせしめた疑いがあり、事実の如何では
刑事事件となりかねないので、これが真相を明白にする必要がある。第一事実
(一)秋田県
営林局管内、
楯岡営林署管内、横山村の
薪炭用材を、
特定人に
払下げ方についてしばしば某
決算委員長は、
秋田営林局に陳情していたが、
営林局においては、無理なことなので、これを許さなかったので、
委員長は、たまたま昭和二十八年度
会計検査院の
批難事項中に、
秋田営林局関係で、不当に杉材の
払下げのあったことを発見したので、この事件の内容は、当然
決算委員会において責任を問われるものであることを
秋田営林局に対して指摘した。
(二)
秋田営林局長水野金一郎は大いに驚きこの事件が
決算委員会において寛大に取扱われるよう、
委員長に対ししばしば上京して請託した。ある時は箱に入った贈物までをしたようである。その箱の中の物品が商品券であったか、札であったかは不明であるが、箱入りの物品を贈ったことは事実のようである。
(註)物品を贈与したことについては
水野局長から証言をとる必要がある。
(三)
水野局長がこの
批難事項の件を指摘せられてから以来、
関係部課長とともに上京して
委員長の第一会館の事務室において、
薪炭用材の
払下げについて善処する旨約束し、この件について
調査室の
調査員あてに左のような書簡を送って
委員長にとりなし方を依頼した。すなわち「
楯岡営林署管内に於ける薪炭材売払いの件につきましては、来る本月三日より、
当局係員を派遣いたしまして、地元の各位にも営林署に御来集願い、その後の事情もうかがわせ、再度
現地調査を致させ、充分に相談の上善処いたすことと致し度存じ手配しました」(三十年六月二日付)さらに同年六月十三日付をもって次のような書簡を送っている。すなわち
「横山村の薪材売払いの件につきましては、今月十九日
事業部長と
利用課長とを派遣して、取りあえず、今年の冬の薪を
申請者各位とも話し合いの上決定実行し、明年度以降の分については、
当該個所は経営編成案替の時期になって居りますので、今度は之が調査を他に優先して行う様、
関係各部課長に夫々指令して居りますので、此の
調査完了を俟って、
伐採方針を確立することに致したく存じて居ります。」
右によれば
委員長がこの
批難事項を指摘するまでは許可しなかったが、これを指摘せられてから俄然その態度をかえて至れり尽せりの手段をとったようである。
(註)これらの経過について
水野局長なり
関係部課長から聴取する必要がある。
(四)以上の経過によって、
委員長はその目的を達したようであるから、
批難事項を
決算委員会で強くとりあげて、この
上水野局長を
つるし上げる必要はなくなった。しかし
林野庁を
委員会でとり上げると、この事件は悪質なの、で、必ず問題になるので、むしろ
林野庁全体を
決算委員会の審議からはずして無審査で二十八年度全部の決算を終らんとし、彼の推薦して
専門員とした黒田と打合せて
委員会の議事を進行しようとした。
(この点
委員長は意識的に
林野庁全体を審議からはずしたかどうかは不明であるが、少くとも彼は
委員長として
農林省関係審議の折に
林野庁を後廻わしにして全部ぬいていたことを忘れるはずはないのである。もし忘れていて、
林野庁を無審査で二十八年度を終ったとしたならば無責任きわまることと云わねばならぬ。)
(五)以上の取扱いを知った
村田調査員は、
林野庁をぬかすことは、不当である旨を主張したので、
黒田専門員は止むなくこれを
委員会の日程案の中に入れて三月
某日林野庁長官の出席を求めて
林野庁全体の説明を聴いたとき、果せるかな
吉田委員から鋭い追及を受けたのである。
第二 本件に関する法律上の所見
決算委員長が
批難事項を指摘して
当該官庁に、不当に自己のためまたは第三者特に選挙民のために利権を要請するが如きことは政治上、徳義上、最もつつしまねばならぬことであり、たとえこれが正当に許可される性質のものであっても、
決算委員長がその職務上関係ある
批難事項を指摘してかかる権益を得せしめ、また得せしめようとしたことは、はなはだ穏当を欠くものと言わねばならぬ。しかしてこれを厳重に解釈するならば、刑法の規定に該当する左の場合が考えられる。
(一)
恐喝罪(刑法二四九条)「人ヲ
恐喝シテ財物ヲ
交付セシメタル者ハ十年以下ノ懲役に処ス。
前項ノ方法ヲ
以テ財産上不法ノ利益ヲ得、又
他人ヲシテ得セシメタル者亦同ジ」
なおこれに関連して左のような判決列がある。
「恐喝の手段は必ずしも明示の言動力を要するものに非ず。自己の性行、経歴及び職業上の不法なる
勢威等を利用して財物の交付を要求し人をして其の要求を容れざるに於ては不当なる不利益を醸さるるの危険あるべしとの危惧の念を抱かしむるが如きも亦
恐喝罪となる……」とある。右の場合
決算委員長たる地位により、
決算委員会において
当該官庁の
批難事項をとり上げてその
責任者たる
営林局長を
農林大臣及び
林野庁長官等上司の前でその責任を問われることは宮東としては致命的のことであって、
決算委員長がこの事実を示して利権を要求するが如きは当然本条に該当すべきものと考えられる。すなわち
決算委員長といふ職業上の地位において、不法なる
勢威等を利用して用材の
払下げを要求しこれをいれざるにおいては
委員会つるし上げをせられるかも知れぬといふ危惧の念を抱かしめたことは明らかであって、正しくこの判例によって見る
恐喝罪を構成するものと考えられる。
(二)脅迫罪(刑法二二三条)「生命、身体、自由、名誉若
クハ財産ニ対シ害ヲ加フ可
キコトヲ以テ脅迫シ又
ハ暴行ヲ用ヒ、
人ヲシテ義務ナキ事ヲ
行ハシメ、又ハ行
フ可キ権利ヲ
妨害シタル者ハ、三年以下ノ
懲役ニ処ス。」
営林局長を国会に召喚して大臣や
長官等彼の上司や、各
新聞記者、
ラジオ録音、テレビ、さらに多数の議員及び傍聴者の前で、
つるし上げを受け、その責任を問われることは官吏としてこの上の名誉をきそんせられることはなく、場合によっては彼の身分も危険になることは明らかであって、彼に
畏怖心を起さしめることは明らかである。ゆえに局長はこのようなことから逃れるために、本来ならば許可できないことも許可をする。すなわち義務なき二とを彼の意思に反してやらざるを得なくなり、ついにこれに
払下げ許可をしてしまったといふことになれば、明らかに本条に該当する。もとより未遂も罰せられる。
(三)涜職罪(刑法一九三条)「
公務員其職務ヲ
濫用シ人ヲ
シテ義務ナキコトヲ行ハシメ又ハ行
フ可キ権利ヲ
妨害シタルトキハ二年以下ノ懲役又
ハ禁錮ニ処ス。」
本件の場合
委員長は
批難事項を発見するや
秋田営林局長を二回以上上京せしめ、自室においてみずからこの事件の内容を尋問し、その責任を追及するがごときことは、従来
委員長のやったことではなく、況んや
薪炭用材払下げの件を要求するがごときことは明らかにその職務の乱用と云ふべく、かくのごとき事件で遠くから局長や
部長課長を上京せしむるがごときは、
委員会としての意思でなく、況んやこれによって
畏怖心を生ぜしめ、
払下げすべき義務なきこと、むしろ局長たる正当な職務の執行でないことを行わしめたときは本条に該当するものと考えられる。
その二について御報告を申し上げます。
上林衆院決算委員長職権乱用について
衆議院決算委員長上林與市郎代議士は、その職権を乱用して自己の
選挙区内における
どぶろくの
密造販売事件に介入し、
所管税務署及び
検察庁支部を牽制して
被疑者からは謝礼をもらっているという相当根拠ある疑いさえあることは、議員の体面を汚すのみならず、場合によっては犯罪を構成するとも思考せられるので、
決算委員会としてはこれを徹底的に調査して、同
委員会の威信を保持すべきである。右事件の概要は左の通りである。
(第一)
どぶろく密造販売被疑事件の概要
一、鶴岡市
大字福田町四五
佐藤長治郎、同
人妻末代は、かねてから
どぶろくの販売のうわさがあったので、
鶴岡税務署においては昭和三十年六月三十日、同人宅を臨検したところ、
どぶろく若干と帳簿を発見したのでこれを押収した。
どぶろくの現物は僅少であったが、その帳簿によると、昭和三十年三月三日から同六月二十七日までの間において五石八斗二升、この価格十一万六千四百円を六十二回にわたって販売していたことが判明したので、同
税務署においては
山形地方検察庁鶴岡支部に告発し、同時にこれを入手した先である山形県西田川郡西郷村
大字下川字街上二四四
斎藤正子を
どぶろく密造の疑いで告発した。
二、
山形地方検察庁鶴岡支部においては、直ちにこれを検挙し、それぞれ起訴、裁判の結果、
佐藤長次郎は懲役四年、その他罰金の判決があったが、その後同人は死亡し、現に
裁判係属中の者は密造の疑いのある
斎藤正子のみであって、来たる六月十一日第二回裁判開廷せられる予定である。
三、この事件が
税務署によって告発せられ検挙せらるるや、
日農組合員から
上林代議士のもとにこれが
釈放方等について陳情に上京し、あるいは電報等によってしばしばこれが処理方を依頼してきたので、
上林代議士は、まず
税務署の
一般事務についてこれを突くべき弱点がないかについて、
決算委員会調査室に下調査せしめたところ、
会計検査院が調査した資料を得たので、
福田調査員を
鶴岡税務署、
酒田税務署等に派遣して調査せしめ、あらかじめ
決算委員会で取り上げるぞという暗黙のうちに
威嚇行為に出た。
会計検査院の調査した資料は、
税務署にとっては決して大きい誤まりでなく、従って国会に対する
批難事項としての報告書の中にも掲載されていない。このようなささいな事件でかつて
決算委員会としては遠くまで長期にわたって
調査員を派遣した先例はないのであって、これはこの事件を有利に進めるための手段であり、現に他の
調査員はこれが出張方を拒絶したので
福田調査員を派遣し、長期にわたって自己の選挙区である各
税務署や
検察庁支部を回らしめたことは
職権乱用もはなはだしい。もとより本件の調査については各
決算委員はもとより、理事さえも知っていない。
四、
調査員を各
税務署に派遣するとともに
上林決算委員長はしばしば
鶴岡税務署に多数の
組合員等を引き連れて威圧するとともに、
検察庁には昭和三十年十月三日のごとき、十三名の
組合員を引き連れ、検事室において三浦副検事を
つるし上げた。当時の状況は十三名の抗議団として、
鶴岡警察署にこの写真が保管せられている。これは
決算委員長たるの威力と同時に、暴力の一歩前、多数の喧騒の威力を示して検事の行動を牽制せんとしたものであって、
脅迫行為であったとも考えられるのである。
五、さらに
上林代議士の属する日
農組合員等は、検事や警察官の名誉を侵害するようなポスターを至るところに張りつけ、市民のひんしゅくを買ったが、
検察庁においては、これらのあらゆる妨害にもかかわらず、厳然として法の命ずるところによりとるべき処置を進めたのである。
六、
どぶろく密造の疑いによって
斉藤正子は三十年九月三十日逮捕され、十月七日起訴、十一月二日第一回公判が開かれたのであるが、
どぶろくを販売した
佐藤長治郎は正子からこれを買い入れたことを自白したのであるが、五石八斗二升(
帳簿記載)も買い入れたと認めしめては、正子は当然密造の疑いを持たれるので、長治郎やその妻末代には「これは酒ではない、
サイダーであったとうそを自白せよ。」正子には「
どぶろくを売ったことはないとがんばれ。」と、
上林代議士、
守谷県議(
上林代議士の秘書)その他の
組合員は教唆した。このことはすでに
検察庁においても
捜査済みであるが、これは無知な
長治郎等に対してかかる指導をしたことは
証拠隠滅の
教唆罪とも見ている。
七、以上のような
上林代議士の行動に対し、彼の腹心である
日農渡辺支部長はこの事件本来の目的である
運動謝礼金の問題について、まず正子に対し、
どぶろくを正子は売ったのではないことにしてあるから、これらの運動のためまず
上林代議士に謝礼をせねばならぬと要求し、正子もこれを承諾したが、今は金がないが、秋になれば入るからと言ったところ、渡辺は、それでは立てかえておくと言った。そうしてその後一万五千円は確かに
上林代議士にやったと言った。さらに正子は一万円
上林代議士にやったと言っている。
(第二)
上林代議士に対する処置
以上のように
上林代議士は
決算委員長たるの地位を乱用して
一、自己の利益のために公務員たる
調査員を長期にわたって遠方に派遣し、
税務署、
検察庁等に対して
威嚇的調査を行わしめたことは職権の乱用もはなはだしい。
二、
刑事被疑者に対し「うその自白」を指導したことは
証拠隠滅の
教唆罪を構成する。
三、
決算委員長たる地位により
税務署長以下係員、検事以下係官を威嚇し、あるいは多数の
組合員を伴い、これらの官庁に押しかけ、多数の威力を示して、公務の執行を妨害したことは、
議員たるの体面を汚すことはなはだしい。
四、これらの運動によって
謝礼金を受けたことは
議員たるの体面を汚すことはなはだしい。
(第三)以上の事実に対し、
決算委員会としてはまず
一、(一)の点は
福田調査員を喚問して事実を調査し(二)(三)(四)については
鶴岡税務署長及び
山形地検鶴岡支部長を喚問して事実を調査するとともに、特に(四)については、正子を証人として喚問して、上林に対していかほどの
謝礼金を交付したかを証言せしめ、なお
どぶろくは売らないとがんばれと指導せられた点を証言せしめる。末代に対しては、帳簿に記載せられた五石八斗二升は、
どぶろくでなく
サイダーである旨述べよと指導せられた状況を証言せしむべきである。
二、以上
委員会の手続は
国会閉会後になるから、
国有財産小委員会において閉会中に調査すべきことを決議すべきである。
こういうような意見のものが同封せられまして、私の手元に投書が参っております。
なおもう一項目、簡単でございますから御報告を申し上げます。
衆院決算委員長上林代議士の
恐喝類似行為について
衆院決算委員長上林代議士は、自己の選挙区の一部の者(主として
選挙運動員のもののごとし)のために、
秋田営林局に
検査院批難事項があったことを種にして、
水野局長外、
係部課長に対し、これを
決算委員会において糾明するがごとき態度を示し、従来から同局に要望していた薪炭の
払い下げを強硬に要求し、ついにその目的を達したことは、恐喝の疑いすら持たれるとともに、さらに三十一年度においても申請し、この中にはすでに死亡している仮空の名を用い、あるいは真正の者の中にもこれに加入することを拒んでいる者の名を用いる等により、虚偽の文書によりこの手続をせしめていることは、
決算委員長としての体面を汚すものであって、同様なる他の事件とともにその真相を糾明すべきである。
本件の
具体的内容は左の通りである。
(一)、
特定人に対して
国有林の
薪炭用材払い下げについては、二十八年以来しばしば
営林局に要望していたが、
営林局の方針としては、従来からの慣例として、
部落共用林を設け、
部落居住者の自家用として
払い下げ、そのかわり義務として
国有林の防火、さらに火災の場合における
消火作業等を条件としていたので、このような
特定人に対し、しかもこの義務も負担しない人たちに
払い下げるべきでないと拒んできたが、たまたま
上林委員長は
営林局の
批難事項を表面に出して、これと関連せしめて交換的に強く要望したので、やむなく
営林局はこの例外を認めて、ついに左の
通り払い下げを行なった。すなわち山形県北村山郡大石田町大字横山高橋円太郎外十三名、この代表奥山吉郎(同住所)に対し、「なら」「ざら」等五百八十五本、百六十六石を一万三千五百円で三十年七月二日、引き渡しを完了した。
(二)、三十年度において以上のようにその目的を達したので、続いて三十一年度においても、前年同様の申請をしているが、右申請人の中の一人、高橋伊勢治は三十年九月九日死亡しているが、この申請書は十月十八日(実際受け取ったのは十一月八日)であって、これは仮空の人物である。また高橋茂はこの申請に加入していないことを、本人の直筆で署長あてに申し出ているが、申請者中に加えられているごとく、委任状に押している印鑑が同じものが数個あることからしても、仮空の人物がほかにもいるのではないかと想像せられる。もしありとすれば、これは虚偽の文書であり、詐欺にもなるおそれがある。
(三)、次にこの
払い下げの条件は、自家用として随意契約によって、安価に
払い下げられている。これは予決令第九十六条一項七号によったものであって、自家用であるからである。しかるに自家用でなくして、営業用に回したとすれば、随意契約では受けられないものを、官を偽わって
払い下げを受げたこととなる。聞くところ(営林署長)によると、営業用トラックで運んだとも言われている。なお
上林委員長の宅では薪炭を営業としている趣き(鶴岡市泉町)。
(四)、以上のように
払い下げの内容においても不当、不正があるが、この問題の本来の不正な点、特に
決算委員長としてあるまじき点は、最初の恐喝の点である。すなわち
特定人に対し
払い下げをすべからざるにもかかわらず、従って二十八年以来、いかに陳情があっても拒み続けてきたのであるが、
秋田営林局管内における
検査院批難事項を発見して以来、同局長に対していたけだかとなって、万一
払い下げないときは、これを
決算委員会にかけて、局長を
委員会に
つるし上げせんとする態度を示したので、局長として国会に喚問せられ、大臣や次官その他の上司の前でその責任を問われることは、官吏として致命的のことであるので、あらゆる手段を尽してこれが緩和を陳情するとともに、この
払い下げについても、さっそく許可手続をする旨答え、ついにこれを実行したのみならず、これから毎年同様に継続せんとしたことは、
上林代議士がこの目的を達したのであって、幾多の判決例の示す通り、明らかに
恐喝罪を構成するものであり、検察当局においても同様なる見解を持っている。
以上の文章が同封せられまして、本小
委員長のもとに送られ、さらにこの同文のものが益谷
衆議院議長あてに送られているものと考えられるのでございます。従ってわれわれは日ごろ信頼いたしておりますし、ことに人格高潔をもってうたわれていると信じておりました
上林委員長の身辺に対して、かような疑惑を生じたのでございますから、われわれは
上林委員長の名誉保持のために、厳密なる調査を行なって、事の真相を明らかにし、
委員長の名誉を傷つけないような方途を講ずべきであると考えまして、小
委員会におきましては、かようなことに関しますることの調査のために、証人並びに
参考人を喚問いたしたい、かように思いまして、証人並びに
参考人をお呼び下さいますように、御要求申し上げます。