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1956-03-05 第24回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月五日(月曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 櫻内 義雄君 理事 關谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    椎名悦三郎君       田中伊三次君    床次 徳二君       本名  武君    松岡 松平君       神近 市子君    坂本 泰良君  出席政府委員         食糧庁長官   清井  正君         林野庁長官   石谷 憲男君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      川上 爲治君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部輸入業務課         長)      所  秀雄君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      藤本 和平君         農 林 技 官         (林野庁業務部         監査課長)   植杉 哲夫君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保険課長) 中村 正路君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所応用地         質課長)    近藤 信興君         建設事務官         (河川局次長) 浅村  廉君         農林漁業金融公         庫総裁     山添 利作君         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         参  考  人         (北陸電力株式         会社社長)   山田 昌作君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月三日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として森  山欽司君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員森山欽司辞任につき、その補欠として臼  井莊一君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭に関する件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  政府関係機関収支日本開発銀行電源開発  融資)に関する件について、参考人より実情聴  取     ―――――――――――――
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  政府関係機関収支日本開発銀行電源開発融資)に関する件につきまして調査を進めます。  この際お諮りいたすことがあります。本件につきましては、去る二月十五日北陸電力株式会社社長山田昌作君を参考人として招致し、これより実情を聴取するのでありますが、さらに関西電力株式会社社長太田垣士郎君を参考人として招致し、あわせて実情を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお日時は委員長に御一任願います。  それではこれより本件につきまして、参考人北陸電力株式会社社長山田昌作君より実情を聴取することといたします。山田参考人に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中わざわざ御出席いただきましてまことにありがとうございます。  これより質問に入りますが、念のため申し上げておきます。関係当局として通産省公益事業局長建設省河川局次長、並びに工業技術院地質調査所応用地質課長が出席しております。  なお参考人に念のために申し上げますと、発言の際、委員質問中はすわったままでけっこうでございますが、答弁の際は立って御発言を願います。  それでは質疑に入ります。松岡松平君。
  4. 松岡松平

    松岡(松)委員 山田さんにお尋ねいたしたい事項は、問題の片掛部落がけくずれしているところの六ヵ所、それから陥没している地点、これは二ヵ所といいますか、一体といいますか、この箇所に対して護岸をされなかった理由を明らかにしていただきたい。
  5. 山田昌作

    山田参考人 山田でございます。陥没地点二ヵ所とがけくずれ六ヵ所というお話でございますが、これにつきましては、私正確にわかりませんが、これに対してなぜ護岸工事を施さないかという御質問であります。この問題が起りましてから、実はいろいろ会社といたしましても果してその必要があるかどうかにつきまして、技術的に検討さしたわけであります。その結果、あの場所に関する限り将来大崩壊を来たす憂いはないであろうというような、私ども技術部見解であります。しかしながら湛水する以上、多少のがけくずれと申しまするか、地質をいためることがあり得るかもしれませんので、その場合にはがけくずれに対する損害という意味におきまして、その土地を買い受けさせていただきたい。全面的に護岸工事を施しますることは膨大なる資金を要するのであります。むしろ資金有効需要の面から申しましても、また個人被害の点の補償意味から申しましても、護岸工事を施すよりも、その損害土地があり得るならば、これに対して十分の補償を申し上げるということで解決させていただきたいというのが会社の方針でありまして、しばしば地元へもお願い申し上げている次第であります。もっとも今陥没というお話がありましたが、これはむしろ護岸工事とは関係なく、あれは前に古い隧道のある上の盛り土であります。その原因につきましては、的確には今日まだわかっておりませんが、あるいは盛り土でありましたために陥落したか、隧道との関係にありましたかにつきましては、もっと技術的な究明をしなければならぬかと存じております。大体以上のような次第であります。
  6. 松岡松平

    松岡(松)委員 それで問題の地点岸盤及び地質調査に対して当初どのような技術上の調査をされたのであるか。ただ浸水してしまったあとで、崩壊したから一応技術的に調べたのじゃなかろうか。私ども調査したところによると、すでに浸水前においての十分なる地質調査あるいは湛水調査というものがなされていないと思うのですが、その点はいかがですか。
  7. 山田昌作

    山田参考人 御承知通りダムをもって河川を締め切りました場合、その湛水される面積というものは非常な広い地域にわたるのでございます。もしも厳格に申せば何十キロにわたりまして全河川地域について精密なる調査をすべきかもしれませんけれども、これは私ども常識判断でありまするが、私の報告を受けておりまするのは、被害は今後増大しないというのでありまして、大体におきましてその土地岩質なりというもの、並びに地勢、地質というものを肉眼で見まして、これならば常識上よかろうというふうな判断によって、日本の河川ダムは締め切られていると思うのであります。もっとも今問題になっている場所は、ダム・サイトから非常に近いのでございまして、これは私自身大正初期におきまして、あそこの工事をやって、あの辺の地質は大体承知しておったのであります。ことに今日報告を聞きますと、岩もりっぱな岩盤ではないかもしれませんが、ちらほら現われておるというふうな状態であります。これは純技術的にとこまで調査をしたかと私に御質問になりますと困りますが、私どもの信ずる技術部におきまして、いろいろ考え、あるいは調べた結果、まだ私の存じておらない調査もやったかもしれませんが、結論といたしまして心配はありません。万一多少のこと、水をたたえるのでございますから、ふちが欠けるようなことがあり得たといたしましても、それがために護岸工事のような膨大な仕事をすべきではないという結論を得ましたので、今日までやっておったわけでありまして、調査程度といたしましては、会社側といたしましてはそういう程度でありますことを御承知願います。
  8. 松岡松平

    松岡(松)委員 私は先週電源開発佐久間ダムの映画を見せていただきました。水の底になる岩はだを洗って、荒い面を作るとか、亀裂面に対してコンクリート・ミルを入れるとか、技術的な十分なる検討なり手当がなされ、実に周到な調査と周到な用意がなされている新しい佐久間ダム工事施工を見まして、一そうこの神通の問題になっている地点に対する注意が当初全然なされていないにひとしいものであると思って私どもは見ました。神通本件地点を二回にわたって見て参りましたが、岩盤の一部が出ておりますけれども、その岩盤は、われわれの常識をもってしても危険きわまる岩盤であって、決して堅牢なものではない。その上にそそり立って堆積している砂礫層は何万年になるか知りませんが、おそらくあそこに積った砂利と砂であります。湛水されておらぬときの状態では、水は高きから低きに流れていくものですから、今までは危険がなかったが、ああいう工合に湛水されてくると、水の圧力がかかり、上から流れる水は完全に流れるということも考えられない。そうなると自然弱い部分に向って崩壊を始めてくることは、私どもの素朴な地質に対する常識をもってしてもわかるのです。あなたの方の技術者が周到なる注意と科学的な調査をなされれば、おそらくあのままでは湛水せられなかったであろうと私ども思うのであります。今あなたのお話を聞いておると、あの程度では大した崩壊はしないであろうとおっしゃるが、逆にこのお言葉を返上しなければならぬ。すでに湛水して一年そこそこ、二年弱の期間ですらあの崩壊を生じておる。これから年古くなればなるほどあの崩壊は激しくなるものといわざるを得ない。あれが普通の山のかたい土であるならば、あなたのような見解も立つかもしれないが、とにかく砂利と砂であります。砂利と砂のところに水がたまってくればどういう結果を生むかぐらいのことは、おそらくあなたのところの技術部では御承知だったと思う。要するに護岸をすれば費用がかかるから簡便な方法でとりあえず水をためたということになりますと、非常に危険なものがあると思う。この点に対するあなたの方のほんとう調査がなされなくてこれは行われた。そうして今になってあれはどうも大したことはないと言っておられるのですが、あれを見て大したことはないというような考え方を今後お持ちになりますか。あなたの方は幾多の開発を今後計画しておられる。あれが崩壊した場合にいかなる結果を生むか、それは山田さん自身の長い電力経験においておわかりだと思う。あれだけの堆積したところの砂と砂利崩壊し始めた場合には、おそらく収拾すべからざるものが起ると思う。第一排水の設備すらできておらぬ。どこに水が流れていくのでしょう。豪雨でもきたときにはどうするのでございましょうか。これに対する御見解を承わりたい。
  9. 山田昌作

    山田参考人 お答えいたします。岩盤調査につきまして、非常に怠慢と申しますか、行き届いていなかったというような御質問でありますが、たとえば佐久間ダムにつきまして綿密周到なるあらゆる技術をもって岩盤そのものを洗わしまして、御説のごとくこれは洗い清めて、なおかつコンクリートでグラウトして固めてまで徹底的な基礎工事がなされております。神通は第一発電所につきましても、佐久間堰堤よりは小さくはありますが、その身分に応じてそれ以上にも丁寧な基礎工事をやらせて、岩盤のあらゆる調査、特に官庁の岩盤検査も受けまして、御承認を得てコンクリートを打ったものでございまして、この点におきましては、何ら佐久間ダムと遜色なきものと確信いたしております。ただ問題はその湛水区域が上流にさかのぼって数キロまたは数十キロに及ぶ場所もあるわけであります。神通川の場合におきましても、二キロにわたりまして湛水区域があるわけであります。それを本流、支流に分けましてすべてを調査するということは、事実上非常に困難なのであります。もっとも、特に危険だ、あるいは被害が起るであろうと思われる地点につきましては、すでにそれぞれ護岸工事を施しまして、将来大した被害はないと考えられるところにつきましては、その土地地主方と交渉いたしまして、お譲り受けをするというふうにいたしまして、全発電建設費を低下させるという方向でやったわけであります。でありますから、今佐久間堰堤と比較対照された上において北陸電力調査が疎漏であるという御非難に対しましては、われわれの方もそれと同等以上にやっておるということを御了承願いたいのです。それから洪水等に当って排水路がないというお説であります。結局は湛水区域内に降った水はすべてたまるわけであります。それが発電用に供せられ、もしもそれ以上の水でありますならば、これは放流するというしかけになっておることは、大体御了承であろうと存じますので、どうかそのように一つ北電が特に調査に疎漏であったということは、おしかりないようにお願いいたします。
  10. 松岡松平

    松岡(松)委員 それでは陥没地帯でありますが、先ほど陥没地帯は元の排水路盛り土というようなことを言っておられますが、一部にはさようなところはありますけれども、全体は盛り土じゃありません。第一これを見ますと、この点をあなたに伺いたいのですが、こういう湾曲した岸には、圧力は相当かかるはずであります。それでこの間も私は持っていった竹ざおを突っ込んでみますと、すぶずぶに入るのです。あれはおそらく技術的にボーリングして御検討になれば、おそらく五間、八間の地点に水が浸入していっているものとみなければならないのです。これはおそらく将来において陥没する――すでに木が傾いているところは何ヵ所もあるのです。こういう地点どもあなたの方では用意周到にとおっしゃるが、それで山田さん、用意周到と言えるでしょうか。私は決して用意周到とは思いません。実にずさんきわまる、疎漏なものであります。私も事業経験がありますが、おそらくあそこに湛水して水の圧力がかかったら、相当他人の地面が侵されていくことは明らかだと思う。それに対する手当もなさらないで湛水なさるということは、疎漏もはなはだしい。今になって、ただこれを金銭賠償すればいいとおっしゃるが、それで問題は済むわけはないと思う。その地面を買い取られたといって、どこの地点護岸をなさるか伺いたい。買っただけで護岸しないで済むわけのものではない。崩壊地点については第二次にお伺いすることとして、まず第一に陥没地帯を、あなたはその地面をお買い取りになったからといって護岸をしないでこのまま継続されることは非常に危険であると思う。これはいかがでしょう。
  11. 山田昌作

    山田参考人 現地ではありませんので、あるいは目的物に相違があるかもしれませんが、今お話陥没あるいは竹ざおをさせばプスッとさせるという場所でありますが、陥没地区と同じでありますか……。   〔山田参考人、資料を松岡(松)委   員に示す〕
  12. 松岡松平

    松岡(松)委員 がけはここですか。そうするとこの出っぱりからこの湾入しているところまでですよ。
  13. 山田昌作

    山田参考人 まずこの調査が疎漏というおしかりをこうむると恐縮なんですが、土で、砂地もありましょうが、そういう地積もありましょうから、多少の水を吸い取る、圧力というよりも吸い取るかもしれません。そういう地点もあるでありましょうが、ただこれを、今申し上げますように護岸をいたしますと、実はちょっとやそっとの金でできないのです。それによって――これがくずれるとは私どもは思っていないのですが、かりに少しくずれたといたしましても、それのためには護岸工事費というものとのつり合いがまことに不つり合いになるのです。でありますから、私ども地面をお譲り願いたい、多少くずれることが起りましたと仮定いたしましても、それで自然におさまる、こういう見解を持っておるわけなんでありまして、その点、地面を買い取っても護岸をしなければなるまいというお話につきましては、どうも納得しかねます。それからまた地面を買い取った上に形ばかりの護岸をするということでは、二重のむだにもなる、このような考えを持っているわけでございます。
  14. 上林與市郎

    上林委員長 私も関連して質問したいのですが……。山田さん、現地をごらんになっていないのですか。
  15. 山田昌作

    山田参考人 私は今回崩壊してからは、この問題が起ってからは見ません。写真等によっては見ております。ただ元来ここは先刻もお話申し上げましたように……。
  16. 上林與市郎

    上林委員長 あとの方はいいのですが、これはどうですか。私ども国会で正式に派遣されて調査して、調査報告書を出してあなたに参考人に来てもらっているのに、現地も見てないのでは話になりません。私も委員長発言したのは初めてなんですが、私ども見ているのです。今松岡委員がおっしゃるように竹で突いてみても……。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 関連して……。今お話を聞いておりますと、あれだけ問題になっておりながら、責任者である社長現地も見ていない。私はまことに不都合な話だと思います。あれだけ国会からまで現地視察に行っているのにもかかわらず、責任者がその現地も見ないというこの不誠意、こういうような気持でやっているからすべて調査等ほんとうのことができない、こういうことになるのであろうと思います。大体どの電力会社におきましても、自分がやっているのは公共事業である、こういうふうなことをかさに着て、一般住民といいますか、全般の者のこうむる迷惑というようなことを考えないというふうな気持になっている、その一つの現われではないかと思います。いろいろやっているところを、どの電力会社でも同じような気持ではないかと思いますのは、もしそういうふうな事態が起れば、そのときに金で解決がつくのだ。補償をしてやればいいのだ。なおその補償というようなことは、勝手に訴訟でもしてこい。訴訟でもしてその際になら払うてやろう。そうするとみんな個々別々に小さな、零細な農民その他等におきましては、訴訟する費用もない、その時間もないというふうなことで、へたばってくるのだ、ほっておけば済むのだというこの気持の現われが、現地を見ていないというふうな結果にもなっておるのだ、まことに不都合な話である。それほどあなた方に誠意がないからこういうふうな問題が起きてくるのだ。考えようによりますと、あなた方は一般の迷惑は何にも考えない、こういうふうな気持しか持っておられないというふうに考えられるのでありますが、お気持をはっきり言ってもらいたい。
  18. 山田昌作

    山田参考人 大へんごもっともなおしかりでありまして、実は本日ここにまかり出ますときも、多分おしかりを受けるだろうと私は思っておりました。と申しますことは、私自身現場が好きなのでありまして、数十年にわたって現場をかけ回ってきた人間であります。ところが不幸にいたしまして、この問題の起りましたのは昭和二十六年ごろからではありますが、湛水いたしましたあと、私実は約一ヵ年間にわたりまして大手術をして入院しておりました。それから退院いたしましたあと現地にようやく一回参りましたが、ちょうどこの問題がほんとうに問題として取り上げられてきたころにつきましては、現地に行くことについて非常に医者から手控えさせられました。それで実は本日も、お伺いいたしますのについて、現地を見ざる私が答弁を申し上げることはあるいはかえってどうかと思いまして、実はちゅうちょいたしたくらいであります。でありますから、ただいまのおしかりにつきましては、私はむしろ喜んでお受けいたします。ただし、参りませんけれども報告なり写真なりすべてのものによりまして、かなり綿密に、大体のことは間違いなく理解いたしておるつもりであります。しかし現地を見ていないという点につきましては、重々申しわけないとおわび申し上げます。
  19. 松岡松平

    松岡(松)委員 今あなたのお話を聞いておりますと、御病気のことも私はよく知っております。あなたが若い時分から現場をよく視察しておられたことも知っております。それゆえにあなたにお伺いするのであります。あなたはあの地形をよく知っておられるでしょうが、あの問題の崩壊しておる地点は、もう砂と砂利の堆積したものであります。そうして一方にはまたくぼみがあります。ちょうど馬の背のようなところに砂と砂利が盛り上っておるのです。この湛水面に接しておるところ――これは写真にもある通りです。これをごらんなさい。これがこれ以上崩壊しないという考え方を持たれるということは、結局今の陥没地点崩壊地点も共通的に金がかかるから十分な護岸もできないのだ、こういう考え方はどうでしょうか、これは一体国民全般が納得し得られる考え方でしょうか、私はその点を非常に怪しむのであります。あなたは企業者として企業採算ばかりを考えておられる。けれどもこの事業を行う反面において公共福祉に及ぼす影響というものは著大なものがある。こうお考えになれば、それとあなたの企業採算との比較が一体できましょうか。少くとも公共福祉を守り、安全性を確保していかなければこの企業というものはできないのであります。その前提を混同せられて、企業採算が合わないから、これはがけくずれがしても陥没してもやらなくてもよいのだというように考えられている。ところがこの片掛部落住民は全部がけはくずれる、土地陥没していく、村は水底に没していくというような、心細い気持になっているのです。あなたが健康で部落に行って住民にお会いになれば、言うまでもなく賢明なあなたはわかるのです。最近あなたは不健康なために多くのスタッフの人たちがあなたにほんとうのことを報告してないのでしょう。要するにあなたは昔見た記憶だけにただたよって一つ独断的見地に立っておられるのではないですか。私は別に北陸電力企業を危うくするような考えは持っておりません。これは富山県としても重大なる関係のある企業でありますから、できるだけ採算的な経営をせられることを望みますが、一面において片掛部落人たちは非常な心細さと不安を感じているので、この問題についてはただ買うだけでは済まないのではないか、買うと同時に適切なる護岸工事を施すなりして、住民の不安を取り除くことに――努力しておられるとあなたはおっしゃるけれども、一体全体過去二年間にわたってどんな努力をしておられるのですか。私はあなたとこの問題についてすでに昨年も何度もお目にかかる機会があったにかかわらずお目にかかれなかった、今年になってお目にかかったが、あなたはこの問題はこの委員会を通じて解決努力するとおっしゃったにかかわらず、すでにニヵ月以上経過しておっても、あなたは解決努力なすっていないじゃありませんか。これはどういうわけなんです。あなたに解決の意見がないならばないとはっきりおっしゃって下さい。われわれは委員としての責任を痛感するものでありまして、このまま解決しないでほったらかしておくというならば――ただ口では解決するとおっしゃる、なんぼあなたが口でおっしゃったって現実に具体的に解決をなさらぬ以上は解決にならないのです。この委員会は、われわれは国民の信頼を得て国民のためにやっているのです。ここは法律事務所じゃないのですよ。ここを何とお考えになっているか。しかもわれわれ委員現地に出張して県庁で委員長主催のもとに懇談会も開いて、すでに解決の基準というものが出ているにかかわらず、あなたはこれに対して積極的に何らの努力もしておられない。ただいたずらに方々へ頼んで歩かれるだけです。なんぼお頼みになっても、この問題は解決しません。これに対するあなたのほんとうの意思をここで発表して下さい。
  20. 山田昌作

    山田参考人 いろいろおしかりを受けましたが、私どもはどこまでも解決する考えであります。ただ解決方法につきましては地元では護岸をすることが解決であるとおっしゃる、お立場上そうかもしれません。われわれといたしましては、この場所として、護岸工事による解決策は全体から見まして非常に莫大な資金も要りまするし、それによって保護されるところの土地の範囲につきましても、きわめて狭小に考えておりまするから、ぜひ金銭補償という解決方法にさせていただきたい。このように申し上げておりますので、ここに解決方法について意見が二つ対立をしているわけであります。ちょうど決算委員会におかれましてこの問題が取り上げられまして、決算委員会の公正なる国民的立場における御研究、御審議の結論がどう出るか、私はただいま松岡先生からお話の当決算委員会を通じて解決すると申し上げたというお言葉でありますが、私もまことにありがたい仕合せでありますので、幸いに関係官庁並びに地方庁におきましても専門家の実地検証、ことに決算委員長以下現地を御視察願いまして、ここに公正妥当なる解決案が生まれることを深く期持いたしているのであります。今決算委員会において御審議願っておりまするが、この際に私が解決をするという実を示すということをもっと具体的に申せば、護岸をするということを直ちにお受けすること以外には、私の誠意をお示しする道がないということにも相なりまするので、今私がこういうふうに出て参りまして、お話し申し上げておるのも、実は解決の道へ誠意を尽すという意味におきまして、今後はできるだけの誠意を示したい。決して逃げるという意味ではありませんから、どうか松岡先生、誤解のないようにお願いいたします。
  21. 松岡松平

    松岡(松)委員 私は誤解しておりません。私は山田さんを信頼しておりましたが、ただいまのところ信頼に疑いを持っております。私とあなたと今年の初頭にお目にかかったときにも、あなたはこの解決について努力したいと言ったが、私は個人的なあっせんはできない、委員会等を通じておやりになったらどうかということをあなたに勧告したはずであります。自来、一ぺんも委員長にもお話になっておりません。理事の方にもお話になっておりません。これでどうしてあなたに誠意ありと考えられるのか。私はこれを水をとめて、水を吐き出して、そして根本的に湛水する以前に戻して護岸しろというような、そういう苛烈なことを考えておるものではありません。便法があるならば、方法があるならば、いかような方法ででもこの危機を防いでもらいたいということを希望するものであります。これは誤解のないようにお考えおき願いたい。しかしこの関係地域をお買い取りになったからといって、住民の不安は取り除かれない。これに対して会社はどういう方法によって安全を確保せられるのか、これはあなたに伺う以外にないのであります。先ほどから伺っておると、この委員会が何か解決策とおっしゃるけれども、この委員会解決策を提示して、あなたに解決を懇願するところじゃないのです。あなたの意思を伺って、この委員会はこの委員会独自の方針で進んでいくわけなんです。これはあなたが解決する意思があるとおっしゃるから、委員会の意向も十分確かめられて、委員会の協力も得られて解決せられた方がいいと私はあなたに勧告した。これは私個人として言ったのです。委員として言ったわけじゃない。しかしあなたはこれを一ぺんもその後実行しておられない。委員会は勝手に裁断を下せ、おれはそれに従うのだ、これではちょっと了解しかねるのです。この委員会は、裁判所じゃないのですから、判決を下す、その判決におれは服するのだ、こういう考え方でこの委員会へ臨まれるのでは、はなはだ私迷惑千万なことじゃないかと思うのです。この委員会は、あなたがこの工事をせられるについて適切なる方法を講じられたかどうか、ことにこの工事に対しては政府資金が注入されておる。政府資金が注入されておるということは重大なる関係がございます。そういう観点から、十全なる注意と周到なる準備とをもって工事が行われていない、その上に住民に不安を与え、他人の土地をまさに侵しつつあるということを私は指摘申し上げているのです。それに対してあなたは、いや安全であります、これは少しもおそれることはありません、どうぞ委員会にしかるべくおきめ願ったらいいでしょう、これではまるで、常識ある企業者としてはちょっと私納得できませんが、山田さん、あなたちょっと観点を考え違いしておられるのじゃないですか。われわれが切望するのは、みだりに膨大な費用をかけて、水をとめて、そして湛水しない以前に戻して護岸をなさいということを今私どもは申し上げておるわけじゃないのですよ。しかるにあなたは自分はただ静かに委員会結論を待とう、これでは誠意一つもありませんよ。第一陥没地帯に対しても、たった水が少し減るか、水が吸収した程度だ、そういう考え方が間違っておるのですよ。われわれがたくさん行ったときに、何十人の人間があそこへ行ってみて、危なくてその岸壁に立っておられないと言った方もおられる。あなたは最近の湛水後の状況を知らないのですよ。あなたは、水のつかない、神通川がとうとうと流れておったほとりが頭の記憶に残っておって、何があんなものが危険なものかという考え方なんです。それではだめです。あなたがほんとうにこれを解決する意図があるならば何でもないのです。自動車も行けるし船も行けるのですから、あなたの健康が、ここの委員会までお越しになるところの努力があれば、現場へ行ってごらんになる努力もできるのですよ。あなたが今までなすっていただかなかったことは、あなたはこんなものは委員会がしかるべくやれ、その結論におれは従うのだ、これではまさに北陸電力社長としてはこの問題に対して寸毫の誠意もない、こう了解してよろしゅうございますか、これは私はほんとうに承わりたい。
  22. 山田昌作

    山田参考人 あまり弁解がましくなりまして恐縮でございますが、私が現地を見ておらないで申しわけないということは先刻おわび申し上げた通りであります。今回は何とかして行きたいというので、会社であれしましたけれども、ことしはあいにくの大雪でもありまして、行く以上は船でやるのではなく、やはり現場を見たいので、いろいろ工夫をしてもらいましたが、今の私には無理だということでありまして……。
  23. 上林與市郎

    上林委員長 その弁解はいいのじゃないですか。一つ企業体の責任の立場に立っておられる人が、そんな一身上の弁明はいいじゃないですか。問いに対して具体的に答弁して下さい。
  24. 山田昌作

    山田参考人 誠意云々は、私はどこまでも誠意を持っておりますし、ただ今後はこのように皆さん方に御心配をかけまして――ただいまもお話がありましたように国家資金を使わしていただいておる私ども会社としては、国家資金をきわめて有効適切に使うべき義務がありますと同時に、また地方の多数の民衆の方々に御迷惑をかけてはいけない、こういうふうないろいろな制約を受けておるわけであります。今日この場合に護岸をする、今、水をとめて下からやらぬでもいい、上っつらでいいというような意味もございましたが、やはりそれにしても相当金額は要ると思うのであります。それはそれだけの金を、結局国家資金を使うことになるのでありまして、それが果して有効適切であるかどうかということについては、会社といたしましては先刻来申し上げる通りであります。幸いにこれは技術的にいろいろ鑑定もお願いいたしておりますので、それのいろいろの結論も出るでありましょう。その結果御納得いく解決に持ち込みたい、持ち込まざるを得ない、それが当然の義務である、行くべき道であると私ども考えておるのであります。今地元の御要望に対しまして、イエスと言った方が一番気持は楽なんでありますけれども、それでは済まぬという気持もいたします。なお一そうこの点につきましては、われわれは努力――というとまたおしかりを受けるかもしれませんが、いろいろ関係官庁、地元各方面とも御相談いたしまして、解決方法を一そう強力に進めたい、このように思っておるのでありまして、誠意なしと断定されると私どもは実は非常に困るのであります。どうぞ御了解を願いたいと思います。
  25. 松岡松平

    松岡(松)委員 今あなたはちょっと変なことを言われたのですが、見せかけだけの工事をする、そんなことを私は申したのじゃない。水をとめて、水を出して湛水しない以前に戻して工事をやらなければならぬという形式的な、厳重なことを言っておるのじゃない。他に代方法があるならば――かわる方法というものはあり得るでしょう。あなたは他人の土地だからできないけれども、自分の土地なら、それにかわる方法工事も可能なわけです。これは具体的に私が申し上げなくても、あなたの方でもおわかりでしょう。だから要するに安全性を確保するということが主眼である。今の状態安全性は確保されていないと私どもは思っているのです。あなたもおそらく安全性が確保されていると信じておられないと思う。信じておられるならば、これは解決の必要はありません。その点を私はさっきからお伺いしているのです。これは安全なんだ、もはや何らの方法を施す必要もないのだ、私ども解決する必要はないとお考えなのか、安全性は欠けておる、これについては最も合理的な方法によって、そして経済的な方法によって、自分は解決したいと考えておるのかどうかを伺っているのです。
  26. 山田昌作

    山田参考人 もうたびたび繰り返すことになりますけれども、結局私どもは安全なり、ただし部分的には、この土地に限らず、いろいろがけくずれも起り得るでありましょうかとも思いますけれども、地方でそういうような御要望もありますから、この解決策として、護岸方法によらないで、土地をお譲り受けしたいということを申し上げておるわけでありますが、それにつきましてはここに議論が分かれるのでありますから これを科学的に合理的な解決策、すなわち技術的に御観察をお願いして、結論を出すということも必要かと存ずるという意味で申し上げたわけであります。
  27. 松岡松平

    松岡(松)委員 北陸電力会社で、この問題の崩壊陥没に対する技術上の検討は、どなたに御委嘱になっておられますか。
  28. 山田昌作

    山田参考人 北陸電力自体としては、これは会社のものでありまして、会社自体でもって鑑定していただく技術家を委嘱いたしましても、これはやはりいろいろ見る目がありまして、効果なしと認めております。従って会社直接としてはお願いいたしておりません。たとえば私自身の友人で、あるとか、いろいろありますけれども、こういう者はオーソリティに値しないと思います。今承わりますと、富山県においてもその道の大家に御鑑定を願って調査を依頼されているらしいのであります。そういうものがすべてまとまることを私どもは期待しております。
  29. 松岡松平

    松岡(松)委員 これは山田さん、ちょっと奇怪なことを聞きますね。あなたの会社が頼もうと、富山県が頼もうと、決算委員会がこちらで参考人に呼び出して聞こうと、技術者の言に変りないじゃありませんか。まず一番重大な責任の当事者であるあなたの方が、この事前になさらなければならなかったことをしてないから、あなたのところの技術者では信頼できないのだから、今あらためて少くとも日本のその筋のエキスパートなり権威者を頼まれて、まず自分が調べられるのが、根本じゃないですか。冨山県が調べられるなんということは派生の派生ですよ。また建設省がこれを調査される、通産省がこれを委嘱して頼むということよりも、まずあなたのやるべきことである。それをあなたの方でむだだということは、どういうことか。私は了解ができぬ。何かポイントをはずしておられるのですか。
  30. 山田昌作

    山田参考人 このような言葉を使わざるを得ないのも、会社技術建設部におきましての鑑定、すなわち現状でよろしい、崩壊がありましても、多少のことは、これは工事中ですから、あり得るとしても、そのために護岸を施す必要なしと断定を下しているのであります。私はそれはどこまでも信用しておりますが、もしもこれと違う結論があれば、それに従わなければならぬ。幸い各方面でそういう御調査になっておるから、それと私ども技術陣営の結論とが一致するかどうかというところに問題点があるのであります。また私ども同じ方をお願いしても、あれは北電の回し者だという批判が起ると思うのであります。これはそういうことはあり得ないはずでありますが、往々にしてあるのであります。でありまするから、むしろそういうふうな技術家に御迷惑をかけないで、会社独自の見解でもってすでに結論は出しております。そうするとくずれてもいいのかという現地の議論になるのであります。その鑑定になるのであります。どうかお含みおきを願います。
  31. 上林與市郎

    上林委員長 会社技術陣で、今の対策といいますか、それが必要なしと断定された時期は、いつごろですか。
  32. 山田昌作

    山田参考人 それは、先刻も申し上げましたように、発電所建設は、ダムサイト自体につきましては最大の調査と研究と思考とを要することはもちろんでありますが、それが完成してバックウォーターが両岸にいかなる影響を与えるかという調査、こういうことは私どもは第一次調査と申しまするが、やはり手直しをするとか、いろいろしなければならぬ地点があるのであります。すなわち護岸もしなければならぬ、弱い橋は補強するというようなことを一通り調査する。そのときが第一次決定でございましょう。湛水後に――湛水後と申しますと、二十八年の十月でしたか、湛水しまして、その後この問題が起って、現地を見て、いろいろ技術者が参ったわけでありますから、それはいつごろになりますか、湛水後でなければ問題は起らぬわけでありますから、二十九年でございましょうね。二十九年の何月かに多少崩壊があるという申し出がありまして、それに基いて現地視察をし、研究したわけであります。だから結論としましては、初めには現地は大丈夫だという結論を一応出してスタートして、事実そういう問題が起って、第二次の調査をした、こういうことに御了承願いたいと思います。
  33. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、山田さんに伺いますが、あなたのところの技術上の最高責任者はどなたですか、それからそのスタッフのおもな人をおっしゃって下さい。
  34. 山田昌作

    山田参考人 技術部は、鵜飼孝道という技術者が最高土木技術をやっております。あといろいろ大勢の者がおりますが、たとえば大林技師といったような者もおります。
  35. 松岡松平

    松岡(松)委員 鵜飼孝道という人は、会社における地位はただ単なる技師ですか、技師長ですか。
  36. 山田昌作

    山田参考人 理事であります。
  37. 松岡松平

    松岡(松)委員 理事というと、社員ですか。
  38. 山田昌作

    山田参考人 社員です。
  39. 松岡松平

    松岡(松)委員 重役ではありませんね。
  40. 山田昌作

    山田参考人 重役ではありません。
  41. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、この技術者の言によって、あなたの重役会で最終決定を下されるのか、社長が最終決定を下されるのか。
  42. 山田昌作

    山田参考人 建設部の仕事は、副社長の山本善次が担当いたしまして、鵜飼孝道理事と一体となりまして、事業の運営をいたしております。しかしてその結果われわれ役員会に諮るのであります。
  43. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、先ほど述べられた工事着工のときに、すでに技術上の調査が行われ、その必要なしという決定を下された、次に湛水後――本件の問題が起ってから後も調査したと言うが、技術部並びに技術担当の重役山本善次さんを中心にする報告に基いて重役会が行われ、最終決定として、これは陥没しても、崩壊しても護岸しても護岸の必要なし、こういう結論が下されたわけでありますか。
  44. 山田昌作

    山田参考人 その通りであります。かりに多少の被害があっても、土地を譲り受けすることによって解決したいという結論を得たわけであります。
  45. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうすると、現在でもその見解は変っておらぬわけですね。
  46. 山田昌作

    山田参考人 現在でも変っておりません。
  47. 上林與市郎

    上林委員長 そうすると、その心配ないというのは、何メートルの地点まででしょうか、何年くらいまで心配ないか。
  48. 山田昌作

    山田参考人 何メートル、何年間ということは、なかなかむずかしいことでありまして、崩壊がいつ起ってどうということと同じに、非常に困難なことだと思います。また科学的に、合理的に結論を出すことも、何年間にどうかということは、非常にむずかしいと思います。そういうことはないだろうと思いますけれども、それは幾らであろうとも、一つ私の方で金銭的に補償をさせていただきたい。実は何メートルまでは大丈夫だ、何メートルまではいけないということが言えれば、非常に結論がはっきりするのでございますけれども、そのことがむずかしいものでございますから……。
  49. 松岡松平

    松岡(松)委員 山田さんに伺いますが、地元部落民は立合いボーリングをしてくれないかと言っておるのですが、その意思があるかどうか。陥没地帯については、ボーリングしていけばどの辺まで怪しいかということはすぐ明瞭になってくるのですから、あなたは議論される必要はない。立合いボーリングをやられる意思がありますか。
  50. 山田昌作

    山田参考人 実はボーリングをするということは技術的にどういう価値があるか知りませんが、とにかくそういう方法によって一そう明確になるならば、会社は喜んでお受けしたい、このように考えております。
  51. 臼井莊一

    臼井委員 今の委員長質問に対して、山田社長さんはやはり科学的といっても、何メートルまで、いつまで補償するかということになると、はっきりしたことが言えない。そこで私ども現地に行って見てきた感じでは、あそこに住まっている住民が非常に不安を持っているということなんです。というのは、あそこで聞くと、川に沿って多少離れてはおりますが、大きな一つのみぞがあります。あそこのみぞは何代か前には一夜のうちに流されて、あそこに大きな陥没を起した。あの高い台地の上に田を作ろうとして水を張ったとたんに、ああいう大きな陥没を起した。しかも一夜のうちに流れ去ったということをみな言っておるのですが、そういうことから、もしあれが現在の程度でとどまらぬで、大きな雨でもあるとか、あるいは次第に水圧によって下の方が侵食してきて、あるいは水が侵透してきて土地がうんでくる、こういうようなことになって非常に大きな崩壊でもきたら大へんだという不安がある。そこでやはりそういう点を実地にあなたの方で今おっしゃったように確信をもって大丈夫だというならば、それをもう少し早く明確に示して、部落民によく納得させることが私は必要だと思う。またその土地の人が非常に感情的になっておるようです。というのはあそこにダムができれば駅ができる。これはあなたの方で駅を作るとおっしゃったのではないでしょうが、工事上もしあそこに駅を作れば非常に便利だと考えて計画されたそうでありますが、そういうところからうわさが出たのでしょうが、それも期待はずれになった。こういうことで会社に対して非常によく思っていない。ことにあそこの流れによってまきを拾ってたきぎができたものが、ああいう一つの湖面になってしまう、こういうことで非常に不安に思っている。でありますから これは今のお話によると、決算委員会結論を出してもらって、それによってというようなお考えもあるようですが、この委員会としてそういう結論を出して、これに従えということはやる性質のものでもなかろうと思うのでありまして、やはり誠意を持って解決をすみやかにやるということが、私必要じゃなかろうか、こうも考えておるのでありまして、この点は先ほど關谷委員もおっしゃったように、どうも大会社になると公共性ということをかさにきて圧迫しがちだ。これは一つのひがみがあるかもしれませんが、そういう考え一般国民が持ち、また決算委員会に出たほかの例でも、他人の権益を侵してそうして湛水を無理やりやったということが、先般何か出てきているようでありますが、どうもそういう点ではたから見て誠意が認められないということで、この問題がよけいに紛糾を来たしているというふうに考えるのであります。  そこでお伺いいたしたいのですが、京大の村山教授が富山県の依頼によって本件につきまして土木地質学上の見地から調査したということを聞いたのであります。それについて県の方はおいでにならないかもしれませんが、どの程度に進んでおるか、その点を一点お伺いしたい。
  52. 山田昌作

    山田参考人 実は富山県におきまして京大の教授に依頼して護岸手当を実地にごらんになったというところまで伺っておりますが、実はその結論がどうなっているかということにつきましては、まだレポートが出ないらしく承わっております。今日の段階ではまだそういうことに了承しております。
  53. 臼井莊一

    臼井委員 本委員会もわざわざあちらへ行って見てきたし、現実の問題としてあそこにいる人はこの解決についてどうなるだろうという一つの不安を日夜持っているわけです。でありますから、会社側でもそういう研究について、県がやっているのだからおれの方は知らぬということでなくて やはり進んでいつごろその結論が出るかとか、そういうことも県とよく連絡をとって進んで解決の熱意を示さないと、先ほど申し上げたようにあそこの部落民から見ると、いつまでこれをほっておかれるのかという一つの不安を持っておるのでありますから、社長さんはやはりそういうところまで誠意を持ってやっているのだ、こういうことが皆に通ずれば感情的にもある程度はそこに融解ができて、そうして話し合いの余地もできるようになるのじゃないかと思う。これは私の希望になりますが、やはりそういう点で陥没地帯の問題にしても、表面から見るとわからぬけれども、ふちの方に寄ると下がえぐれているのではなかろうか、そういう流水はないでしょうけれども、相当流れもあるということは、しろうと考えでも相当の雨が降れば、あそこが一ぱいになれば放流する。そうするとそこに流れというものも出るのではないか。こういう点から現地もごらんになって、そうして熱意を持ってこれの解決会社が当ることが必要だと思うので、その点を申し添えるわけなんでありますが、私たちが見たあと会社側でこの解決についてどういうような熱意を示されたのでありますか。ただいま伺いますと、解決委員会結論によってというようなお考えでありますが、今日まで何もやっておらないのでありますか、その点をお伺いいたします。
  54. 山田昌作

    山田参考人 実はこの実地を私ども見たいと思いましたし、もう少し調査について一そう詳しいデータを集めるようにしたいのでありますが、あいにく雪のためにどうしてもそういう地質現地のこまかい調査というものはできません。それで今私ども会社といたしましては、雪解けを待ってさらに結論のいかんにかかわらず、いわゆる精密調査を進めるという態勢はとっております。しかしながら現地につきましてはいかんともいたし方ありませんので、向う一月かそこらいたしますれば現地に十分行けます。私自身ももちろん見るつもり、また見たいのであります。そういうふうな気持を持っております。しかしただ方針としましては、ただいま申し上げるようなことで、むしろ各方面のレポートなんかを参考に、私自身もよく精読して研究はしておりますけれども現地に関しましてはもうちょっと……。
  55. 關谷勝利

    關谷委員 関連してちょっとお尋ねをしておきたいのですが、あなたは信頼する技術者調査の結果を待ってやったんだ、そしてあなたの方の技術陣も信頼しておるんだ、こういうふうなことを前提としておられたようですが、着工前に調査を進めた、それも信頼しておるのだ、湛水後にも調査をしたというようなお話であります。技術的な鑑定をしたというのでありますが、そのあなたが信頼しておられる鑑定が間違うておればこそ、こういうふうな崩壊なり陥没というふうなことがあるわけであります。そういたしますと、あなたが絶対として信じておられるその技術陣は、私たち第三者が聞いておりますと、これは決して権威のあるものではない、こういうふうに考えるのでありますが、今でもあなたはそれは権威のあるもの、こう考えておられますか、ちょっと伺っておきたいのであります。
  56. 山田昌作

    山田参考人 今でも結論的に申しますと信頼しておるのであります。ただ申し上げますように、こういう何キロにわたります湛水区域のどこにどの程度がけくずれが起るか起らないか、大きなものにつきましては予知できまずから、あらかじめ防御工事をするわけであります。あとは臨床的にと申しますか、何か事が起れば、それはもちろんごくスモール・スケールのものでなければなりません。今会社の見るところでは、その段階であると心得ておるのであります。しかし不幸にして、あるいは今お話のような大崩壊を来たす原因をなすものであるということになれば、これは全然私ども技術者の鑑定違いになるわけであります。
  57. 關谷勝利

    關谷委員 あなたはいまだにそういうふうに鑑定が非常に信頼すべきものであるというふうに考えておられるようでありますが、それほどはっきりしておる技術者がおられるならば、先ほど委員長質問されたように、何メートル、何年保証ができるのかというようなことぐらいは、その鑑定の結果によってわかりそうなものであります。それもわからないというのは、まことにたよりない。これを信じておられると大へんな結果が起るのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、あなたはそういうふうにお考えになりませんか。
  58. 山田昌作

    山田参考人 それは一応ごもっともでありますけれども、純粋に科学技術というよりも、何キロにわたっての事象なものですから、この技術者がそこまでの結論が出ないからといって、技術者としては、これはりっぱな技術を持っていると私は考える。ただ私の言うのは、自分の会社技術者でありますから、幾ら権威がありましても、それは自画自賛だ、勝手なことを言っているということで世間がそれを信頼して下さらないということをおそれますので、やはり第三者的のあれをお願いいたしたい、このように思っておるわけであります。
  59. 關谷勝利

    關谷委員 あなたはたびたび先ほどから、膨大な地域調査ができないというふうなことを言われますが、膨大なところをことごとく詳細に――不必要なところも中にはあるかもわかりませんが、およそ道路に接近したところとか、あるいは部落に接近しておるというようなところは、これは徹底的に詳細に調査すべきものであります。その調査すらできておらないということになりますと、調査疎漏といわなければなりません。もしそれが疎漏でない、調べておるのだということになりますれば、技術が未熟だといわなければならないのでありますが、しかしあなたが言うように、どこもかも同じような調査をしろというのではございません。私たちは道路に接近しておるとか、あるいは部落に接近しておるというふうな、一般の大衆に非常に利害関係の多いところだけは精密な調査をすべきものである、こういうふうに考えておるのでありますが、そういうふうなところさえできていない。事実こういうふうなことが起っておるということになりますと、調査の疎漏であるか技術の未熟であるか、どちらかでなければならないというのが今の状態でありますが、どちらでありますか。
  60. 山田昌作

    山田参考人 今日の発電所開発準備態勢におきまして、ダム湛水後における湛水の影響力が及ぼすであろう両岸の土地に対する調査という意味におきましては、私はこの場合今お話のような、上に住宅がある、あるいは大事な国道があるという重要施設物があるところは、十分調査をいたしました。ただこの現場につきましては、この写真の示すがごとく、これは言い方にもよりますけれども、今少しと申しましても程度によりましょうが、片掛の村が崩壊するというふうには私たちは考えておりません。従って、さらにそういう御意見もありますれば、最近の機会に私も現地を見まして、果してそのためにどんな大被害が起るかというようなことについても再認識をしてみたいと存じております。
  61. 關谷勝利

    關谷委員 大体私たちが今お話を聞いておりまして、調査が疎漏であるか技術が未熟であるか、どっちかであると考えます。こういうふうな事態が起ってくるということについては、責任があなた方の方にあられるのだということで、あなたはおそらく責任を感じておられると思うのでありますが責任を感じておられるか、おられないか、これを一点お尋ねいたしたいのと、さらに、責任を感じておられるとするならば、あなたの解決策の進め方がいかにも消極的である、責任のある者からもう少し積極的にやるべきである、こういうふうに考えますが、この点が私たち非常に物足らぬ感じがいたしますが、これから先積極的に解決に乗り出してやられるお考えがあるのかないのか。なお技術的に見て、あなたのところの技術陣は私たち信頼いたしませんが、よく調査をして他に崩壊をとめるような方法がありとするならば、急速にそれを実施せられるという気持があられるのかどうか、この三点を伺っておきたいと思います。
  62. 山田昌作

    山田参考人 同じようなことになりまして恐縮でありますが、結局ただいま申し上げますようなことで、さらに実地も調べるつもりです。また関係の人の意見も聞くつもりであります。そしてできるだけ誠意――もちろん私ども誠意を持って当りますが、これは地元とも十分お話し合いをすべきだと思います。もっとも今日に至りますまでの間に先刻停車場の話が出ましたが、これは撤回になった、護岸工事さえも一ぺん撤回されたことがあったのですが、しかし、それでよかったというお話になっていたのがまた再燃したような経過もありましたし、また護岸が絶対に必要であるということに対する会社側の認識についても欠けるところがあったかもしれません。そういう交渉過程がありましたので、それらのものを含めまして、できるだけ早急に雪解けを待って具体的な案を立てて、そしてすべて御相談申し上げたい、このように思っておりますから、御了承願います。
  63. 上林與市郎

    上林委員長 私も実際にこれを見た者ですが、私どもと認識の非常に違う点があるように思うのです。今一般論としては道路とか公共施設とか、いろいろ出ましたけれども、あそこは養蚕地帯ですね。聞いてみますと、あそこは養蚕が生活の絶対の条件なんですね。だから単にあなたが一般論としておっしゃるみたいなあれじゃないと思うのですがね。そういう点をもっと厳密に調査する必要があると私は思うのです。畑地でしょう。それがあの辺では生活の一番の根本なんです。単に国道に接近しているとかいないとか、あるいはすぐ部落がどうということじゃなくて、生活の問題としては非常に重要な関係がある地帯なんです。私が何メートルぐらい自信がありますかと聞いたのは、それなんです。
  64. 山田昌作

    山田参考人 ただいまお話のあそこは畑地なんでございますが、実はこの片掛村と補償問題について御相談申し上げましたときに、村からの御希望で、あの東の一帯は開田地帯ということで、これの助成金を若干差し上げております。やはりたんぼにしたいというのが御希望なのであります。そういう事実がありますことを一つお含み置きを願いたい。
  65. 松岡松平

    松岡(松)委員 だんだんと山田さんのお話を伺っておると、どうも矛盾がある。あなたのおっしゃっていることは、一面において、技術においては粗漏がなかった、十分なる調査をしたのだ、そして崩壊後においても調査しても危険性はないのだ、こう言っておられる半面に、関係地面の買収はしていきたい、こう言っておられるのです。そうすると話し合いをして解決したいという意思はないわけでもない、ある、あるということは、前提において危険性があり、さらに他人の土地を侵す可能性がある、侵す可能性があるということは、あなたはもう心中深く痛感しておられる。ただそれを適切なる言葉をもってこの委員会で発表なさらぬ。これは私ははなはだ不可怪しごくだと思う。安全性があり、他人の土地は侵してないというならば、何もあなたはそんなむずかしいことをお答えになる必要はないじゃないか。先ほどからだんだんあらゆる角度から伺っておれば、解決しなければならぬということを痛感しておられる。痛感しておられるということは、結局技術の粗漏、手当の不十分、こういうことに私たちはあなたの話を伺っただけで帰着するのです。ところがあなたにそれを伺うと、いや私は責任がない、技術は十分だ、こうおっしゃる。これは一つの矛盾ですよ。あなたに誠意があればこれは解決のつく問題です。あなたは、今ほどだんだんと話をしておられると、やはり現地に行こうかという気持が沸いている。そうすれば、参考人としてもう一ぺん出ていただかなければ、あなたから完全なる御意思を伺うことはできない。委員長、これは後ほど私から要求いたしまするが、再度現地調査せられていま一応この委員会参考人としてお呼び出しあらんことを要求いたします。  そこで、あなたは土地を買われたからといって、危険性に対する保全というものをお考えにならなければならぬはずだ。他人の土地を侵しているという問題は、先ほど委員長が言われたように、何メートルまで一体安全かということが――これは他人の土地の侵犯の問題なんです。これに対して十分の御答弁がないのです。だから先ほど私は立ち会いボーリングをするかと尋ねた。立ち会いボーリングをいつなさいますか。担当の山本さんもあなたのうしろにおられるのですから、これを明確に一つお答え願います。
  66. 山田昌作

    山田参考人 ボーリングを立ち会いでするということは、けっこうなことだと思います。双方の都合がありましょうし、現地の都合もありましょうから、会社としましては御相談の上、今いつということはわかりませんが、なるべく早くできるときにやった方がいいと思います。
  67. 松岡松平

    松岡(松)委員 三月中におやりになりますか。
  68. 山田昌作

    山田参考人 三月中でよろしゅうございますか、現地がよろしければいいと思います。事情さえ許せばいいと思います。
  69. 松岡松平

    松岡(松)委員 二十日過ぎならできるというふうな観測をしているようですが……。
  70. 山田昌作

    山田参考人 できれば早い方がいいと思います。
  71. 松岡松平

    松岡(松)委員 これは先ほどからくどくどしく言っておりますが、会社が具体的に現地で立ち会いボーリングをせられて、陥没の状況が明らかになれば、自然限界が明らかになってくるわけです。だからその限界を明確にして、解決せらるべきものは解決せられる。あなたの方は解決に対しては積極性が欠けているのです。あなたが建設省へ行って御意見を伺われたからといって、通産省へ行って伺われたからといって、あなたがその企業者なんだから、あなたが解決する意思がなければ、これはいつまでたっても解決はつきません。だからあなたは、これからも大きな開発をしていかなければならぬ、大きな発電もしていかなければならぬのですが、そこに十分勘案をいたされる必要があると私は思うのです。  そこで最後にお伺いしたいのですが、この資金計画中に護岸費としてどのくらい予定せられているのか、これをお伺いしたい。
  72. 山田昌作

    山田参考人 護岸費という項目がどういうふうな項目になっておりましたか、ちょっと数字の持ち合せがございませんので、後ほど委員長まで差し上げます。
  73. 松岡松平

    松岡(松)委員 会社はいよいよ立会ボーリングをなさるという意思の発表がありました。そこで立会ボーリングをした上で、他人の土地を侵している、また将来に対する危険性ありとした場合に、護岸をせられる御意思がありますかどうか。
  74. 山田昌作

    山田参考人 ボーリングの結果、護岸をする必要があるという結論をはっきり技術的に証明するものでありますかどうかということが、一つの問題だろうと思います。それからまたその場合には、いかなる場合おいてもそれによって保護せらるべき客体の価値と投資額との関係もありましょうし、また護岸そのものにつきましても、先刻もちょっと話題に出ましたが、うわべというのではなしに簡易なもので済むか、それとも本格的な大工事になるかということにもよりましょうから、それらのものをすべて総合判断の上、結論を出すべきだと私は考えております。
  75. 松岡松平

    松岡(松)委員 そうするとちょっとあなたに伺っておきたいのですが、これを他人の土地としますね、水がこういうふうに侵入している、水はもちろん土壌の中へ侵入していくわけですから、その状態はこういう場合でも他人の土地を侵しているとお考えになりませんか。
  76. 山田昌作

    山田参考人 大へんむずかしい問題で、たとえば井戸を一本掘りますと、隣の地面の下から水を引いてくる、これも侵しているかどうかという議論と、逆にこっちが高くなって水がよそへ入っていく、これも侵しているかという問題と同じで、その場合々々によりましてこれもよほど考えなければならぬと思います。
  77. 松岡松平

    松岡(松)委員 山田さんのおっしゃるのは、井戸の水を引く場合ですが、井戸の水が流れていくという一時的な現象ではないのですよ。非常な圧力がかかってくるのです。どのくらいの圧力が対岸の土壌に対してかかっているかということは、私は技術者でないからわからないが、あなたの方はわかっている。あれだけの滞水量が土壌に対して加える圧力というものは大へんなものです。従ってこれが接している地面に必ず侵入するということが考えられる。向うは土壌ですよ。何にも護岸を施してないのですから、これはだんだん崩壊していけば、次々と陥没していけば、侵していきますよ。そこを論じているのです。だから将来に対する安全性一つも確保されてない。ことに私この間見たのですが、もとの排水路の辺はまさに危険地帯だと思うのです。こういうところなども、次会に委員長が出られるまでに十分立ち会いボーリングをせられて、社長みずから現地を踏査せられて、その上で一つ委員会にあらためて参考人としておいで願って、会社側の的確なる意思を表明していただきたいと思います。
  78. 上林與市郎

    上林委員長 それは理事会に相談しますから、さように御了承願いたいのであります。  他に御質疑はございませんか。――それでは本件に関する質疑は一応この程度にいたします。参考人の方々には長時間まことにありがとうございました。御退席願います。  それでは午後は二時より再開して、農林省の外局等につき審議を進めることといたします。暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十一分開議
  79. 上林與市郎

    上林委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  本日は、昭和二十八年度決算中、農林省所管のうち、食糧庁、林野庁及び水産庁並びに農林省の一部(国営競馬特別会計)、それと農林漁業金融公関係につきまして審査を進めます。  すなわち昭和二十八年度決算検査報告二二二ページより二三八ページに至る報告番号一八五八ないし一八六四、二四六ページより二五三ページに至る報告番号一八七二ないし一八八〇及び三七二ページより三七七ページに至る報告番号二二三二を一括議題といたしまして、これより質疑に入るのでありますが、審査の都合上、農林漁業金融公関係につきましては、昭和二十九年度決算検査報告三九一ページより三九四ページに至る二二四三ないし二二四五をも一括して議題とし、この分につきましては、まず会計検査院当局より説明を聴取いたします。上村第五局長
  80. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 農林漁業金融公庫につきましては、二十八年度分については説明が済んでおりますので、二十九年度について御説明申し上げます。  二十八年度と二十九年度との検査の結果を比較いたしてみますと、二十八年度には審査の不十分な分が三件ばかりございましたが、二十九年度の検査の結果につきましては、審査不十分という事項はございませんで、融資後の管理の不十分という案件ばかりでございます。案件の態様は二十八年度と大体同様でございまして、三つの態様がございまして、二二四三号から二二四五号まで記載してあります。  まず最初の二二四三号は、融資いたしまして、その事業に対しまして補助金の交付を受けた場合には繰り上げ償還をさせるということになっておりますが、ここに掲げてございます十八件の融資につきましては、補助金がありましたのにさような処置がとられておらなかったものでございまして、金額にして繰り上げ償還を要するものが千四百四十一万余円ございます。  二二四四号は農林漁業金融公庫の業務方法書に貸付の限度というものがございますが、実際事業を施行しました結果、工事費が当初の申請通りかからなかったという関係から繰り上げ償還を行うべきものが四十八件、五千五百七十三万余円ございます。これらは検査報告を提出いたしますときには是正の措置がとってなかったものでございます。  最後の二二四五号は、公庫で貸し付けられた目的以外に使われたものでございます。これらについては繰り上げ償還を要するわけでございますが、検査報告を提出いたします当時十九件、金額にいたしまして三千七百五十七万余円が償還未済になっておったわけでございますが、その後公庫におきましては逐次償還の処置を講じつつあるように承知いたしております。  簡単でございますが、以上補足説明を申し上げます。
  81. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの説明につきまして農林漁業金融公庫当局において補足説明があれば、この際これを許します。山添説明員。
  82. 山添利作

    ○山添説明員 簡単に補足説明をいたさせていただきたいと思います。会計検査院から御指摘になりましたのは、三種類にわたっているわけでありまして、第一は補助金を受領して繰り上げ償還をいたしていないものでございます。公庫の貸付におきましては、貸し付けました事業に対して補助金が交付せられますると、その補助金は繰り上げ償還をしてもらうことになっているのでございます。このことにつきましては、受託金融機関におきまして補助金交付当局でありまする都道府県等と連絡をいたしまして、その都度補助金が交付せられますと、繰り上げ償還を請求いたすのでございますが、都道府県との間における連絡が不十分なためにその事柄を知らない場合もあり、また多くの場合は、事実はそういうような補助金が交付になりましたことがわかっておりましても、事業をいたします人の側における金繰りの都合上、なかなか返してくれない、こういう場合があるわけであります。そのことについて御指摘を受けたのでございます。このことにつきましては、公庫におきましては、従来ともブロックにおける協議会その他あらゆる機会をとらえまして、注意を喚起いたしておりますし、最近はやや成績はよくなりつつあると考えておるのでございますが、今後とも十分気をつけまして、かようなことの起りませんように努力いたしたいと思っております。  なお御指摘になりました補助金の繰り上げ償還のできていないもののうち、現在までに五二%は処理が済んでおります。第二は、業務方法書に規定しておりまする貸付の限度、すなわち公庫におきましては所要資金の八割までを貸付の限度にいたしておりまするが、これを超過いたしておるものについてでございます。公庫の貸付は、融資計画によりまして審査をいたしております。ところが計画と実際の間におきまして、差異を生じますることは間間あるのでございまして、このような差異を生じました場合におきましては、その差額を繰り上げ償還してもらうわけでございます。公庫におきましては、当初の貸付のときに、事業の内容及び経理につきまして審査をいたしまするのみならず、貸付金の実際の払い出しに当りまして、実際に費用の要るだけを区切って払い出しをいたしております。すなわち払い出しをいたしますときには、公庫の都道府県の手形の証明もしくは請負者等に対して金を支払ったという支払い証明、受領証等を徴しまして、事実を確認しながら支払っていくというように心がけておるのでございますけれども、それにいたしましても、まま御指摘になりましたような限度超過の貸付が結果において起っておるということもあるわけでございまして、この点につきましても今後ともに一そう気をつけて参りたいと思っております。この点につきまして現在までに四二%の処理を完了いたしております。  第三番目は貸付の目的以外に資金が使われたという点でございまして、これはまことに遺憾でございます。先ほど申しますように、当初の審査及び実際の資金払い出しにつきましても事実を確認することに努めておるのでございますけれども、このような事件を生じましたことはまことに遺憾に存じております。今後とも厳重に気をつけて参りたいと考えております。この点につきましても現在まで四二%は処理済みになっております。  なお総論のところで、国の補助金をもらって施行いたしました工事につきまして、会計検査院から御指摘を受けまして手直し工事をする、それに対して公庫が融資した点が御指摘になっておりまするが、これはもとより公庫の貸付対象にすべき事柄ではございません。従来ともこういうものは貸付の対象にしないのでございますが、今回におきましても関係府県に厳重なる警告をいたしまして、今後ともこのようなことのないように気をつけたいと考えております。  なお最後に付言いたしておきたいと存じますことは、公庫自身におきましても昭和二十九年度から監査機構を設けまして、受託金融機関並びに貸付先の監査をいたしております。二十九年度におきましては貸付件数にいたしまして七百八十一件、三十六億七千六百万円について監査を実施いたしました。三十年度におきましては若干人員も増加いたしまして、監査をできるだけいたしますように努めております。その結果におきまして、やはり会計検査院から御指摘になりましたようなこともございまするので、これはそのつど是正するように努力をいたしておる次第であります。以上のようなことでありますので、御了承を得たいと思います。
  83. 上林與市郎

    上林委員長 それではこれより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 食糧庁の食管特別会計に関しましては、これは病変米の処理の案件につきまして、昨年十二月十六日当委員会の全会一致で相当重要な決議をいたしております。この経過については、できるだけ早く当委員会は農林、厚生両省から報告を受けるはずになっております。厚生省からはごく簡単な文書が提出されたのでございますが、農林省からは何も出ておりません。そこでこれは相当重要な問題でありますし、農林、厚生両省にまたがっておるのであるから、農林大林、厚生大臣両方出てもらわないと十分に質問がとげられないと思うので、今日は私はその点に触れず、この食管特別会計の実質的な質疑は、従って審査はすでに行われておりますから、二十九年度の審査の際に譲りたいと思います。  そこで国有林野特別会計に関しまして林野庁長官にお尋ねをいたします。これは二十八年度検査報告の二四六ページ以下に出ておるのでございます。第一にまず検査院の指摘されました事項を伺っておきたいと思うのであります。報告番号一八七六、二五〇ページであります。これによれば青森の営林局において、二十八年の三月に国有林野整備臨時措置法によって、岩手県の湯本村へ土地八十六町七反と立木のアカマツなど一万四千百三十四石を、土地については四十八万二千余円、木材については四百七十九万余円で売却いたしております。ところでこの買い受けた村が、土地四十町歩と立木の一万二千四百五十石余りを同村の協同組合に譲り渡し、そうして千二百三十三万円という金の寄付を受けております。これを推測すれば、村が譲り受けて、協同組合にただか金をとったかどうかわかりませんが、ともかく譲渡しておる、そうして千二百万円の寄付を受けておる、こういう事実になっておるのであります。これは二十八年三月で古いことでありますけれども、これは国有林野整備臨時措置法の運用の面から見ましても、相当重要な案件であると思っておるのであります。で、林野庁当局に伺いますが、これは何を目的にして湯本村に譲渡したのであるか、まずこれから聞きたいのであります。
  85. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 払い下げを受けました湯本村がその後花巻市に合併をいたしたのでございます。従いまして町村合併をいたします場合におきましては、当然のことでございますけれども、原則といたしまして、その基本財産はそのまま持って新しい市町村に合併をする、こういうことであるのでございますが、ただ合併をいたしまする場合のそれぞれの市町村間の財産に非常に経庭があります場合に、それをそのまま持って合併すること自体が合併の促進に相ならないということのために、非常に多くの物を持っております市町村におきましては、それを新市町村に渡さないで、元の村を単位といたします財産区を作りまして、その財産区によりましてその財産を管理する、こういったことが現に許されておるわけでございまするが、この場合に湯本村の農業協同組合に譲り渡しましたのも、この町村合併のあります際に、一応もとの村にそれを残すということの手段としたしまして売り渡したものである、かように私どもは存じておるわけでございます。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の第一に聞きたいことは、この国有林野整備臨時措置法は、これは昭和二十六年に林野事業の特殊の目的の要請でできた法律でございます。第一条には林野整備の目的が書かれてあるのでございます。これは国有林野を適正に経営することができると認められる地方公共団体に売り渡す、こう書いてある。おそらくそういう認定のもとに当該公共団体に売ったのであろうと思うのでありますが、私は町村合併によって財産上の移動をおそれるという事情は一応わかるのでありますけれども、国が売ったのは二十八年の三月、それから同村が協同組合へ譲り渡したのも同月なのであります。だからそれは同じ月なのであります。協同組合が経営し維持することを目的にするということを当初から予定でもされておったのかどうか、地方公共団体がこれを経営することを予定されておったのかどうか、そこらについてもはっきりしませんので、あまり月が近接しておるので伺うのであります。
  87. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 町村合併が行われるという見通しのもとに、そのような措置を急いでやったものだ、かように考えるわけでございますが、実は町村合併の行われまする場合に、私どもといたしましては、当然新市町村に対しまして、旧市町村の財産をそのまま持って参ることを大いに奨励いたしておるのでありまするが、ただいま御説明申し上げましたような特殊な事情のある場合におきましては、それがむしろ町村合併を促進するゆえんでない、こういったような意味で、主として財産区を設けることによりまして、もとの町村に財産がそのまま所有されるといったような形のことに相なっております。それで実はこの処分をいたしましたのは、昭和二十八年の三月二十六日に実施をいたしたのでございまするが、転売をいたしましたのは二十九年の二月と私どもは了解しておるわけでございます。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっとそれは食い 違いがありますが、そうしますと検査院の当局に伺いますが、この二五一ページの第一行に三月となっておって、二十九年の、つまり一年後という趣旨が現われておらぬので、私は同年の同月かと思ったのですが、これはどうなんですか。
  89. 中川薫

    ○中川会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、二十九年三月でございます。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この記載がはっきりしておりませんので誤まって読んだわけでございますね。そこでこの地方公共団体というのは、法律の趣旨は大体どういう範囲のものをさすのでありますか。これはやはり農業協同組合も含むということになるのでありますか。
  91. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 私どもは法律上は一応許されておるというふうに考えておりますけれども……。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一条の公共団体の趣旨を……。
  93. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 協同組合等は含んでおらない、こういうことでございます。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 協同組合は含んでおらないのであれば、協同組合が譲り渡しを受けるということは、国が国有林野を譲り渡す目的に反して処分をしたということになるのではありませんか。
  95. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 一応法律上「公共団体その他の者」ということで、必ずしも全面的に排除しておるということではないのでございまするから、一応農業協同組合に売り渡したこと自体につきましては違法ではない、かように考えたわけであります。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 「その他の者」に入るからというのですね。そこでそれならば、この土地の一部を残して、それから立木も相当少くて、国から売った値段は、土地が八十七町余歩で四十八万円、木は千四百余万石で代金が四百七十九万円、これは合計が五百二十七万円、こういうことになっておるのですが、千二百万円の寄付を受けておる。農協も、多数の組合員の財産を預かっておるのだから、価値のないものを千二百万円寄付するわけはなく、また譲り渡しを受けたものと寄付と交換的な対価関係にあるべきものと推測するのですが、これは一体どういうわけでありましょうか。国が五百万円で売ったものが、その一部を残されて、そして千二百万円の寄付を受けるようなものに、これは無償でありますか、譲り渡したのでありますが、第一点は農協に譲り渡したのは価格があったのかどうか、価格がないとするならば、完全な両者対価関係にあって千二百万円の寄付を受けたのかどうか、この辺はどういうふうになっておるのでありましょうか。
  97. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 当初の売払い価格は、土地、立木の代金を含めまして五百七十六万円、かようなことで売り払ったのでございますが、その後検査院の御指摘をいただきまして、精密なる再調査をいたしました結果、契約を更正いたしまして、二百十五万六千余円の追徴をいたしたのでございます。従いまして当方から村に売り渡しました願は、総計で七百九十一万六千円何がしに相なるわけでございます。しかも八十六町歩余のものの中で四十数町歩を農協に売り渡しまして、その価格が千二百万円ということでございまするからして、その間には非常に異常な価格差が出てくるわけでございます。私どもも売り渡しの経緯につきましては、あまり内容にわたっての詳細な点についてはつまびらかでないのでございまするけれども、これは当時対価で農業協同組合が村から買い入れた、こういうことに私どもは理解しておるわけでございます。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さらに協同組合以外の佐藤何がしに対して五百万円で別口を売っております。さすれば合計千七百三十数万円を村が所得しておるのであります。こういうことは国有林野整備臨時措置法の、国有林野を適正に経営せられることを目的にして、公共団体その他のものに売るという趣旨とかなり相反するのではないだろうか。なるほど経営が適切に行われるならば、どこへ高い値段で売ってもいいような感じもせぬではありませんけれども、しかしながら五百万円で国が売ったものを、個人に立木だけ五百万円で売渡しておる、農協へ別に千二百万円で売っておる、こういうことになっておりますので、売った当初の目的とかなり違った状態が現われたということは、これはまぎれもない事実であろうと思うのであります。こういうようなことでは、この整備法が適切に運用されて、そうして整備法のねらいとする国有林野の経営が適切にされる見通しのないのに売った、こういうことを言い得るのではないかと思うのです。検査院の指摘によって二百万円ばかり代金をふやしたということは、これは代金だけの問題であります。そもそも経営をさすことを目的にした国有林野を個人に五百万円で立木を売ってしまって、契約の解除もできないというような、そういう売り方が一体あるのでありましょうか。むしろそういったときは、代金のみならず、用途が違う、目的に反する、こういう趣旨で一応は青森の営林局に対して厳重にあなたの庁としては追及してしかるべきであったのではないだろうか、営林局はまた村に対して厳重な再交渉をすべき筋合いでなかったのであろうか、こう思うのであります。これはどうですか。
  99. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 御趣旨の通り、林野整備臨時措置法によりまして地元町村に国有林野を売り払う場合におきましては、必ずしもこれを町村の個々の財産として長く維持管理するということは法律の上に明記されてはおりませんけれども、私どもの方といたしましては、国有林でこれを持っておりまするよりも、むしろ町村に渡しまして、他の市町村有林野と一体のものとして管理経営されるということの方が、森林経営の上に望ましいということに基きまして、売り渡しの相手方をきめて参ったのであります。従いましてこのような措置が行われましたことにつきましては まことに遺憾しごくなことでございます。従いまして私どもといたしましては、売り払いまする場合におきましては、売り渡し後の経営契約というものを売り渡しの相手方から聴取いたしまして、その経営契約に対しあるいは土地を含めて他に転売をするといったような場合におきましては、契約を解除することができるという条項を売買契約書の中に入れまして、実施をいたして参ったのでございまするので、当然この売買契約の解除という事柄につきまして私どもといたしまして研究をいたしたのでございまするが、ただ譲渡いたしまする前に、営林局にも何らの連絡もなく、譲渡の相手方がまた森林経営の主体となるような適当なものでなかったということにつきましては、非常に遺憾ではございまするけれども、譲り渡しました林野の経営につきましては、今後これをもとにして、森林生産組合を作らして、合理的な経営指導をやって参るということの方が適切ではないか、かように考えまして、現在は稗貫郡湯本村一円を地域といたしまして、森林生産組合を作らせて、それによって合理的な経営を進めさせる、こういう方向で指導いたすことに決定いたしておるわけでございます。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 こういう場合に、個人に五百万円で立木を売り渡すという事実が発見されたら、さかのぼって、売却は何のためにせられたかということ、その後あなたの説明によれば、地方庁ともいろいろと協議なさったようでありますが、やはり事前に、何のために買うのであるかということ、個人に売ってもうけるためであるのか、それならば一千七百万円の金を取得しておるのでありますから、千二百万円近い金をもうけたのでありますが、そういうことが意図されておったのであるか、何かそこに大きな食い違いがあって、この事態が起っているに違いないのであります。要するところ、この法律の施行におきましても、ないしは向うの買手の希望するところ、経営計画等々について事前調査というものが十分にされておらなんだということが大きな欠陥でなかったかと思うのであります。これはあとで生産組合を作らして指導しておるということでありますから、この程度にとどめまするけれども、やはりあなたの方としては、こんなむちゃな湯本村に対しては相当厳重な態度で臨むことが、私は営林行政の今後のために必要でないかとも考えるのであります。  その次が一八七七号。これは青森営林局ですか、秋田営林局ですか、秋田営林局管内において、個人の材木屋に随意契約によって輸出向け繊維機械製作用の用材という使用条件のもとに、杉丸太等四千石余り、代金は千二百三十一万円余で売り渡しておりまするが、この材木屋なる者は、全然そういう目的に使わずに、しかも東北繊維機械工業会という架空団体を作って、その代表者名義によって二十回にわたって営林署を欺いて買うておる。そういう者の資産も信用も事業計画もそういうものを全然調査しないで看過したという形跡がどうも見られます。いかに人のよい姿かとさえ思うのでありまするが、一体これは相手が非常に悪かったのでありますか、これは詐欺者として詐欺罪で起訴されておるということでございますが、いずれにしても全くだまして莫大なもうけをするような商売人に売り渡しておるということはもってのほかと思います。ことに架空のこの種の団体を作っておったというようなことでありますれば、なおさらこれはわかるべき筋合いでなかったかとも思うのであります。秋田営林局当局が、これらの相手方の資産とか信用とか、あるいは営業の実情等々について少くとも客観的に妥当な事前調査をしておらなんだことは間違いない、こういうふうに思うのであります。これもかなり案件が古いのでありますけれども、あまりにも国の財産の処分のあり方といたしましてはずさんに過ぎるというふうに思うのでありますが、どういうわけでこうなったのでありますか。
  101. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 ただいま御指摘の通りでございまして、このような事柄を引き起しましたことにつきましては、全く申しわけない次第であります。その申請の書類に通産関係責任者の証明書がついておりますとか、あるいは傘下工場の業態調査の一覧表といったような、非常に内容の整備したらしく見える調書がついておりますとかいったようなことによりまして、うかつに信用して、しかもこんな数多くの問題を引き起したのでございます。かりにそのように書類が完全に整っておるといたしましても、特に用途を指定して随意契約によって売り払っておるということでございますから、必ず相手の業態、特にその資材を必要とする設備ということにつきましては、完全なる事前調査をいたしまして、そして売り払いますとともに、さらに売り払い以降の材の流れ等につきましても、責任を持ってこれを監視するといったようなことが当然行わるべきものであるにもかかわりませず、それを怠りました結果このようなことに相なりましたことについては、何とも申しわけないものと思っております。自今はかかることの絶対ないように、特に用途を指定して売り払いますような場合におきましては、申請書通りの実体がそこにあるかということについて事前に十分なる調査をいたしますと同時に、買受人の使途、納入先等からも随時その納入の事実を証明する調書等をとり、同時に、私どもといたしましても適時抜き取り検査等をいたしまして、その売り払いについて指定された用途にそれが供給されておるという事実の確認に努めるようにやっておるわけであります。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 通産当局の証明書が添付されてあったというのですが、これは通商産業局の証明書でもあったわけですか。
  103. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 これは地方の通商産業局長の証明書であります。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 地方の通商産業局と申しますと、これはどこに属するのでありましょうか。
  105. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 仙台であります。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、この案件の書類について、仙台の通商産業局長に対して、その証明書が偽造であるかあるいは何か理由があるのか、そういったことについてあなたの方は交渉なり協議なりをなさったのでありましょうか。
  107. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 それはいたしておりません。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、事後においてそれをいたしましたか。
  109. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 事後において照会はいたしておりませんが、これはすべて偽造だということがはっきりいたしたわけであります。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは前の一八七六と類似の大きなあやまちがあるではないかと思いますが、一体あなたの方は、国有林の不当処分の結果どれほど損害が生じたか、こういうような方面からでも検討されたでありましょうか、あるいはこれは当時の責任者に厳重に注意をしたということに相なっておりますが、莫大な詐欺被害にかかって、ただ注意をせられて済むということではまことにやすい話でありますが、前の湯本村の件とこの材木業者何某の件と二つ合せた場合、林野庁としては、どれほどの損害を国がこうむっておるか、こういう辺でも検討せられましたでしょうか。
  111. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 さきの湯本村の場合におきましては、ただいまも御説明申し上げましたように、私どもといたしましては、当時の価格に基きましてこれを売り払います場合の算定方式によりますと、一応七百二十数万円というのが妥当ではなかったか、かように考えております。それからあとの場合でございますが、随意契約によって売ったわけでございます。当時のいわゆる最終販売価格でこれを売っておりますので、私どもと直接それを売り払いました相手方との間に国損関係はなかったというふうに考えているわけであります。   〔委員長退席、關谷委員長代理着   席〕
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方で随意契約で処分する場合、それから指名入札もしくは一般競争入札で売り払う場合の何か区別の基準がおありであろうと思いますが、立木の売却については随意契約が多いのであるかどうか。立木で二千七百九十六万石ですか、伐採が四千八百四十万石等々になっております。整備法による林野の売り渡しの代金が五十一億円に上っております。そこで随意契約によるのと競争入札による場合の区別の標準、それから両者の大体の比率、また額はどのくらいになるか、その数字がありますか。
  113. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 あくまでも公入札で売りますことを原則として、逐次公入札、さらにはこれに一歩でも近づくものとして指名競争入札による売り払いを増加せしむべく努めているわけであります。一応昭和二十九年度の場合について申し上げますと、全体の売り払い量のうち、随意契約によって売り払いました立木の用材は七割二分ということになっております。これは前年の二十八年度が六割七分でありましたので、五分方の増加に相なっておるのでございますが、それは主として北海道におきます風害木の整理を大幅に実施いたしました関係上このようなことになっているのであります。一方それに反しまして丸太により売り払っているものにつきましては、二十九年度は、全体の売り払い量のうち、随意契約によって売り払っているものが五八%になっておりまして、二十八年度は六割五分でございますから、二十八年度に比べますとこの方は五分ばかり率が減少しておる、こういったような状況に相なっております。
  114. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 随契によっても指名競争によりましても、お互いにいずれにおいても弊害は伴うものでありますが、特にこの材木屋に詐欺せられて売ったような事件に現われましたことが、随意契約の最も悪い面であろうと思いますが、御用商人に適当に売ってしまう、御用商人と申しますか、いつもきまった商人に適当に売ってしまうということになりますと、毎年現われます売却立木のきわめておもしろくない案件があるごとくに、いろいろと暗い面が伴いますことは御承知通りであります。やはり理屈でありますけれども、随意契約はあくまでも例外、原則でないはずでありますから、そういったことにつきましては、二十九年は北海道風倒木などの関係で量がふえておるようでありますけれども、それにいたしましても随意契約の量はずいぶんと多いようであります。これは検査院に現われましたのはごく一部でございますけれども、こういった行き方から見ますと、相当割合に上るのではないかと思うのであります。いずれ二十九年度のこともありますから、一応この程度にしておきまして、ちょっとついででありますから伺っておきます。二十九年の例の台風十五号の北海道の風倒木処理の問題でありますが、これにつきましてはあなたの方の発表によりますと、いろいろと三年計画によって総計六千九百余万石の風倒木の処理の計画があったようでございますが、三十年につきましては千九百余万石が処分せられるという計画になっておる。二十九年は千四十万石ですか、そういう計画になっておるのですが、これは大体計画通りにいっておるのかどうか、またこの風倒木の処理につきまして、相当な予算をこのために食ったということがあるのではないかどうか、予定通りに売れて予定通りの金が入っているのかどうか、この辺をちょっと要点だけ数字をお述べ願いたい。
  115. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 北海道の風害木の整理の状況でありますが、ただいまお話のありましたように、国有林野におけるところの被害量は約七千万石でございます。このうちで非常に奥地に偏しまして被害が発生いたしておりますとか、あるいは非常に高いところに散生いたしまして被害地がありますとかいったような関係でもって、計画の上で最終的にこれを処理し得ないような状態にあるものが、約九百万有余ばかりに相なるものと思っております。従いまして昭和二十九年度以降を処理の対象にいたして、現在実施いたしております整理木の総量は、約六千万石ということに相なるわけでございます。これを二十九、三十、三十一年の三ヵ年度に整理をいたすということで実施いたして参っておるわけでございますが、関係いたします七十六の営林署の中で、七十一までは昭和三十一年度に大体被害整理が終るということに相なるわけでございますが、五つの営林署だけにつきましては、その地域にはあの風害によって発生いたしました被害の数量が、従来の年伐採量の約二十数ヵ年にも及ぶといったような大量な発生状況でございまして、輸送力等の点からいたしまして、どうしても一部三十二年度に越すといったような状況が明らかになって参ったわけでございます。従いまして一応三十年度が終了いたしますと、全被害木の中で、ただいま申し上げました処理の可能な六千万石のうちの約半数の処理がひとまず終了する、こういう状況でございまして、この目標についての限りにおきましては、大体仕事は順調に進行いたしておるわけでございます。ただいっときに大量のものを整理いたします関係上、北海道内におきましては、昭和三十需給年度におきまして約三百三十万石ぐらいの過剰材が発生する、これが市場を大きく圧迫いたしまして取引が非常に緩慢となり、価格が暴落する、こういったようなおそれが現にありました関係上、そのうちの約半分のものにつきまして、これを内地市場に輸送販売いたす計画のもとに実施いたしたのでございますが、年度の当初二、三ヵ月間の内地市場における模様が非常に悪かった関係で、所期の目標通りの輸送販売事業の完遂は非常に困難なように考えております。当初百六十五万石のうちの百四十万石だけを内地に輸送販売いたしたい こういうことで計画をいたしたのでありますが、実行面におきましては約百五万石といったような程度でこの事業を打ち切らなければならない、こういう見通しでございますが、本年度後半期に至りまして、この風倒木に対する内地市場のそれぞれの需要する向きもかなり出て参りましたので、明三十一年度におきましては大体同量程度の過剰材が出るのでございますが、本年度の仕事の基礎の上に明年度は計画通りの輸送販売もできるのではないだろうか。かようなふうに相なりますと、現在、将来の道内の供給力の減少に備えまして水中あるいは陸上の施設を利用して貯材をいたしておるものと合せまして、清算以後の処置も大かたの見当がつくのではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 昭和三十年度も余日少いのでありますが、本年の年度末において、結局風倒木の処理について何ほどの収入がある予定でありますか、またこの風倒木の処理について国は何ほどの予算を支出したのか、これを聞きたいのであります。
  117. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 風倒木整理関係事業として支出いたします予算は七十数億見当、大体七十五億前後と相なるものと考えております。一方収入の問題でございますが、相当程度に売り払いの進んでおる事実もあるのでありますけれども、特に内地に持って参りましたものの売り払いは、ほとんどが六ヵ月の延納ということになっておりますので、年度内収入はおそらく六十億ないし六十五億ぐらいなものにとどまるのではなかろうかと考えておるわけであります。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは三十年度のみでありますか。二十九年度、三十年度の合計ですか。
  119. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 これは二十九年度から三十年度に越して参りまして、そうして三十年度に清算をし三十年度に売り払うというものの合計であります。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうはこまかいことは伺いませんが、七千万石の木材が風倒木として計算をせられ、六千万石が売却せられる場合に、七十億以上が国の支出になり、本年度わずかに六十億円の収入しかない。もっとも残りがまだ相当ありますので、それで収支償い、また相当な利益になるのかも存じませんけれども、とかく最近北海道を中心にしまして、私ども委員会におきましては防衛庁を初めいろいろと問題が多いのでございます。これは適当な機会にもう少し詳細なことを伺ってみたいと思いますが、ただ一点だけ聞いておきたいことは、これは概して石どのくらいの値段で売却することになったのであろうか。これはもよりの駅渡し、山元渡し、港渡しであるのか、それはよく存じませんけれども、石どのくらいの割合で売り渡しという計算の基礎になっているのでありましょうか。
  121. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 内地に持って参りますものにつきましては、基準材と申しますのはエゾマツ、トドマツの尺下の材でございますが、これは内地の関係の三港、東京、名古屋、大阪の三港におきまして、CIF価格千八百五十円、こういう価格を昨年五月にこの事業を実施して以来ずっと堅持しているのでございます。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 こまかいことは別に聞きましょう。ちょっと聞きました六ヵ月支払いというのですが、これは約手でも売るというのでしょうか。あるいはどういう趣旨で六ヵ月の支払い延納ということになるのでありましょうか。
  123. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 これは北海道の風倒木の特別措置によりまして、北海道の風倒木を内地市場に入れますものについて担保を取って延納する、この期間が六ヵ月です。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それはその程度にしておきましょう。  それからもう一点ちょっと伺っておきますが、一八七三、二四九ページであります。これは函館の営林局の問題であります。小さい問題のようでありますけれども、函館において林道の新設をいたしまして、裏込みの砂利が平米当り〇・二立米、総量が七十二立米を施行したことになっているが、実際は全く施行していない。ここで問題になりますのは、函館の営林局がみずから施行した工事らしい。そして林道の延長、新設を函館森林土建会社に請負わしておる。こういう場合に、実際に施行しておるかいなやがわからぬのに、工事費の総額を請負人に支払うということは、官庁の工事としてはちょっと想像されないのでありますが、 これはどういうわけなのでありますか。
  125. 石谷憲男

    ○石谷政府委員 全くその通りでございまして、いわゆる検収の点について非常な不備があったということでございます。普通の状態において行われますならば、御指摘のようなことは絶対にありません。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 検収をしないで代金を支払うというようなことは、ちょっと常識でも考えられません。やはり函館の土建屋に一ぱい食わされたか、かけられたというような感じがせぬでもありません。これは出来高不足として指摘されておるのでありまするが、相当月日がたっておりまするので、私は一応この程度にしておきたいと思います。私の林野庁への質疑はこれで終っておきます。  続いて水産庁関係に参ります。漁船再保険の特別会計でありますが、これは一事項のみ指摘されております。二四六ページ、一八七二であります。これは漁船が出港して台風にあって、そして消息が絶えて後に保険の申し込みがあって、これに対して再保険の給付をしたようであります。これはその後におきまして二十九年の十二月に全額返還をさしておりまするので、結局被害はなかったようであります。そこで台風で消息を絶った後に保険の申し込にをするというようなことが受け付けられるというのは、どういう事情になっておったのでありましょうか。問題は大した問題ではございませんのですが、手続はこの辺について、この過誤といいまするか、過誤というよりも不当を発見することができないような手続関係になるのでありましょうかどうか、この辺について一つ水産庁から御説明を聞いておきたいと思います。
  127. 岡井正男

    ○岡井政府委員 役所の方では事前における各府県の――これは福島県の漁船保険組合関係でございまするが、該当組合の方が手続をいたしまして、中央の方へ持ち込んでくるわけでございます。再保険の責任が生ずるのは、手続を完成しても、その金額が事故発生の前日までに入っているものでなければいけないという建前になっております。この場合は、そのときの手続を私の方で見ました場合に、地元の、これはたしか七十七銀行の四倉支店と思いますが、そちらの方から前日に金銭の授受が行われているという証明書が出てきたものでありまするので、私の方もこれはそうであろう、確かに金銭授受が行われているということで、規定に照して一応出したのでございまするが、ただいま吉田先生から御指摘があったように、会計検査院の方が非常にそれも念には念を入れて調べた結果間違いで、実はそうでなかったということが発見せられましたので、私の方はまことに不都合であると思いまして、即刻全額返還命令を出したわけでございます。該当者におきましても、その点は非常に恐縮して、その船主はたまたま保険組合の役員にもなっておったのでありますが、直ちにそれはみずから身を引いてしまった。水産庁といたしましては、こういうことでは将来大へんだというので、全国の府県知事に対しても、こういう事例を例示いたしまして、こういうことが再び繰り返されることのないようにというので、厳重な警告を出すとともに、内部における事務につきましても、少し日があやしいというようなものについては、念には念を入れて注意いたしてやっております。従いましてその後におきましては、この種のことはございません。とにもかくにも遺憾しごくと思いますので、この機会にあらためてこの点は将来注意いたしますので、御了承いただきたいと思います。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は漁船再保険特別会計の組織の構造がよくわからぬのでありますが、これはつまり損害が発生してから後に、末端の単位組合で保険の引き受けをしたらしいのだが、そういう場合はやはり事故発生前に引き受けしたごとき契約書が作成されるわけですか。
  129. 岡井正男

    ○岡井政府委員 その通りであります。
  130. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、事故発生の以前にさかのぼって契約書ができると、国の再保険の場合は末端の保険契約の書類がそのまま国へ来ないまでも、末端の保険契約の数ぐらいは再保険者へ提出されるのじゃないでしょうか。それはどうなっておるのでありましょうか。
  131. 岡井正男

    ○岡井政府委員 その通り数字は参ります。
  132. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、何か事故発生してから後に契約ができた、事故発生したときを基準に再保険の給付ができるのでありますから、その末端の保険契約の数はこの人の分つまりみどり丸の分に関しては契約がなかったのだから政府が再保険者としてつかんでおります保険の数はみどり丸の分はないようにも思うのですが、どうもそこがはっきりしませんが、政府はみどり丸の保険契約の、みどり丸ということはわかりませんでも、福島県における漁船の保険の契約の数というものの中にみどり丸が入っておらぬと、それだけ一つ減るように思うのですが、そこは私の勘違いでしょうか。
  133. 岡井正男

    ○岡井政府委員 これは任意契約でございますので、手続の時間的ズレがありますと、事故発生を予知したように、あらかじめこちらは検討するわけにはいかないわけです。要するに事故発生がきょうありましたとしても中央で持っている書類はずっと前の書類はわかっております。しかし事故の発生が幸か不幸か二、三日前入ってきたということになりますと、保険の事故発生で、これは確かに金銭授受もしてある、払ってくれという要求が私の方へ来ますと、金融機関の証明書と照し合せまして払わざるを得ぬというふうに相なっております。
  134. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうふうで時間のズレがある、そうするとたとえて申せば昭和三十一年の三月五日に末端の契約ができた、そうしてその五日にできた場合は五日付で契約書が作成される、それは一つの契約が成立したのでありますから、それで何百か何千かの契約の数が政府の方でわかるが、そのときは昭和三十一年の三月五日の分は三月五日よりはるかに後に契約の数はつかむわけでありますか。
  135. 岡井正男

    ○岡井政府委員 その通りです。
  136. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますとやはりこういうような場合には組合が誠実に契約をしたことを信頼するよりほかはない、誠実でなくこのように事故発生後に契約を締結して、事故に対する保険給付を要求するというようなことは、組合を信頼するということ以外にはどうも発見の方法がなさそうでありますから、これはこの種の組合事業の発達といいますか、誠実な運営ということに期待する以外は道がないと思いますことと、なおしかし今次長のおっしゃったように、全国に厳重な警告もなさっておるようでありますから、できるだけそういった不誠実なことの跡を絶つように御希望を申し上げておきます。私は生産庁はきょうのところ格別これ以上はございません。  それから農林漁業金融公庫についてお伺いいたします。農林漁業金融公庫について、これは報告番号二二三二、三七五ページであります。その(3)でありますが、これによりますと株式会社大分銀行の扱いで、二十八年十月に合資会社石井材木店に対して林道開発資金として千五十万円を貸し付けております。ところが実際には林道の開発事業はいたしておらぬ、その結果ある程度焦げつきになったらしいのであります。そこでまず第一に聞いておきたい点は、農林漁業金融公庫におきましては、個人に貸し付けるということも法律の上では可能のようでございますし、また実績もあったようでございますが、これは全国的に見ました場合に、個人貸付というものはパーセンテージからしてどれくらいになるのでしょうか、数量また金額がどのくらいになっておるのでありましょうか、それの御説明を願います。
  137. 山添利作

    ○山添説明員 個人貸付をいたしますものは林道、造林、それから水産の関係におきましては漁船建造というものがおもでございまして、その他のことはほとんど個人に対する貸付はございません。ただいまお尋ねのことにつきましては数字を持っておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。
  138. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでこの問題でありますが、金額は千五十万円でありますから大したものではございません。ところがこれは銀行の扱いになっておりますが、銀行は資金の用途、目論見計画書、そういったものを相当とるのではないでしょうか。委託された銀行になるのでありますかどうかは存じませんが、推測でありますが、銀行が千万円の金を、日田市、これは新たにできた市らしいのでいなかでありましょう。こういったところでよしんば銀行自体の資金にあらずといえども、千万円の金を貸し付けようという場合には相当厳重な審査、調査をするのであります。これは実例であります。東京のまん中で銀行の本店から借り受けるというようなこととはちょっと違いますので、従って林道開発資金のような計画もくろみ等々についての調査は相当したと思うのです。その辺についてはなぜこういうふうな問題が起るに至ったのでありましょうか。あなたの方で御調査になったと思いまするが、銀行の調査の状況はいかがですか。
  139. 山添利作

    ○山添説明員 これはこの件を含めて一般事業計画につきましては、詳細なる計画をとっております。開発せんとする対象山林がどこにあって、木材の見積り、立木石数幾ら、林道はどういうふうにつけるか、こういうふうに詳細な事業計画もとります。また県庁の意見をいただいて決定をいたすのであります。この件におきましては結局林道敷地になるべき部分の土地につきまして、所有者の承諾を得ていなかった。従って林道をつけることができなかった。元来金融機関といたしましては、そこまで念を入れて、土地所有者の承諾書をとってておくべきであったのでありますが、そこまで注意が届かなかったというのでございます。その点に不備があったわけであります。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところが個人への貸付は林道が主となっておる。林道でありますから、全国的には尨大な数量になると思います。農林省関係におきまして、林道問題はしょっちゅう出て参るのでありまして、検査院の指摘しないまでも、ありもしない林道に補助金が出たというような例がずいぶんあるのであります。林道の開発の場合に、土地の所有者にあらざる者が事業者で、その土地の所有者が使用を許すか許さないかということが最大の要点であろうと思うのであります。造船等について金を貸すといったような場合に、一体船はだれの所有になるのかということをはっきりしなければ金は貸せないと思います。こういうような最大の要素が土地の使用の問題であります。所有しなくても使用ができればいいのでありましょうが、それを調べておらぬということもちょっとふに落ちぬのであります。ことに林道は多数の案件があるわけで、何もこれ一つじゃないのであります。ずいぶんたくさんのうちの一つのあやまちならばそれはいいと思います。何も神様でないのですから、ときにはあやまちもありましょう、見落としもありましょう、そういうことなら私はそれでかまわぬと思いますけれども、何しろ取扱者が銀行で、そして事業者がいなかの個人の材木屋で、金額は千万円を超えておる林道の開発資金というのでありますから、これらの各条件を勘案しますと、林道自体の土地の使用の権利があるかないかということが最大の要素であることは動かないのでありますが、これは果して非常なるあやまちであったのでありましょうか。何かその間に事情でもあったのでありましょうか。ことに五百三十五万円は受託金融機関に預金としてとまっておった。そうすると五百万円はほかに使っておったのかもしれません。それもおかしい。林道の土地が使えないなら千五十万円をそっくり置いておけばいい。五百万円もいろいろな経費が要ったとも想像されません。あるいは資材等の準備買付をやったというならなおさら、ちよっとわれわれにはふに落ちません。なぜならば土地が使えないのであるから。そうすると五百万円をほかへ使ってしまった、目的外に使用したのではないだろうか、こういうふうにも考えるのであります。こういう点について、どうも普通に考えて納得しがたい諸点があります。  それと、一体、千五十万円は返ったのかどうか、この点もはっきりしていただきたい。
  141. 山添利作

    ○山添説明員 他人の土地の上に林道をつける計画でございますから、従ってその権利ありやいなやということ、所有者の承諾を得ておるかどうかということは重要な問題でありまして、銀行としまして当然その点は念を入れて調べるべきであったと思うのであります。この件につきましては遺憾ながらそこのところが調査が足りなかった。むろん事業者としてはそういう承諾を得られると考えておったと存じますけれども、結果において承諾を得られなかった、従って林道をつけることができなかったということになりましたので、これは非常に遺憾に考えておるのであります。本件は非常に診しいスースでございまして、従来といえどもこの点につきましては気をつけておったのでありますが、これを契機に一層この点については注意をするように命じておるのであります。  金は五百万円保留になっております。五百万円はすぐ返し、あとの部分は月賦で月々二十五万円ずつ返すことにいたしまして、今年の五月で完済になります。今までのところ滞りなく支払っておりますし、五月になりますれば全部完済になる、このように考えております。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたの方と大分銀行との間には、どういう権利義務の関係が設定されておるのでありましょうか。御説明のついでに法律上の根拠を条文で示していただきたい。
  143. 山添利作

    ○山添説明員 農林漁業金融公庫法第十九条業務の委託でございまして、「公庫は、主務大臣の認可を受けて、農林中央金庫その他の金融機関に対し、その業務の一部を委託することができる。」こういう条項に基きまして委託の契約をいたしておるわけでございます。その契約の内容につきましては、ここに「その業務の一部」と書いておりますことは、決定を除くその他の審査及び事後の管理等が委託になっておるのでございまして、この契約を結びまして、その契約によって委託をいたしておる次第であります。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと大分銀行の業務委託としては、貸付の用途等について審査するのは、それは大分銀行の責任ですか、あるいはあなたの方の公庫の責任ですか。
  145. 山添利作

    ○山添説明員 これは大分銀行に責任がございますけれども、決定したその最終の責任機関としてはやはり公庫でございまして、公庫といえどもその審査等に関する責任をまぬがれるわけではございません。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 御説明のごとくに、業務委託を大分銀行にしておる。大分銀行が借主の事業計画、また公庫の趣旨に沿うているやいなや等々を審査する義務がありといたしますならば、この場合の千五十万円という元金は大分銀行が公庫に対して返還をしなければならぬではないであろうか。   〔闘谷委員長代理退席、委員長着   席〕 なぜならば貸すやいなやの最終決定は公庫の責任といえども、しかし審査を委託されたものは、審査については善良な管理者として審査業務をしておらねばならぬ。審査業務の管理実行としては、借受人の業務目的と業務条件、そういったものを審査することがすなわち審査の対象であります。その審査がよろしきを得なかった、適当でなかったということがこの案件でありますから、しからばこの委託契約の趣旨から見まして、大分銀行にむしろ責任があるのではないか。あなたの方が最終的に決定の権限があるといえども、それはそれなるがゆえに、大分銀行の責任が回避されるのではなしに、大分銀行と農林漁業金融公庫との権利義務の関係においては、大分銀行に責めがあるのではないかと思うわけです。この点につきまして、大分銀行と公庫との間に契約の趣旨によって折衝せられたのであるかどうなのでありますか。
  147. 山添利作

    ○山添説明員 これは契約によりまして、善良なる管理者の注意を怠りまして、その結果公庫に損害を及ぼしたというときには、損害賠償の責任があるわけであります。それ以外の場合におきましては、契約によりまして、損失額の二割を、これは過失の有無にかかわらず受託金融機関が負担をする、こういうことに相なっておるわけであります。この点につきましては、大分銀行に対して契約はしてございます。しかしながら善良なる管理者の注意を怠って現実に損害を来たしたやいなや、こういうことになりますと、これは契約上はもちろんそうでございますが、そのところの扱いといたしましては、いろいろ考えるべき点もございますと思いますので、そういう請求はいたしておりません。注意を与えかつ後の処置をなさしめておるにとどまっておるのであります。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは金額は千万円ということで、あなたの方の貸付総額から見ればおそらくほんのはしたな金にすぎません。ただ私はこういうことをくどくど聞くゆえんのものは、国の財政資金が中小企業等に流れております場合でも、地方の委任を受ける受託金融機関のひもつきのものでなければ貸さないという、いわゆる最近言われるところの選別融資とか申しまして、そういった弊害はずいぶんとちまたに耳にするのであります。でありますので、銀行は業務として、相当な報酬を取っておるはずであります。従ってこれについて決定権のいかんによってこの責任の限度も違うのでありましょうが、やはりこのような場合にはどちらに責任があるかという権利関係は明確にして、その上で、ただし、これはあなたの方の責任を問わないということなら話はわかるけれども、御説明によると、どうも大分銀行の手落ちであったと思うのであります。大分銀行たるものは千五十万円をきれいにあなたの方へお返しして、みずから石井材木店から回収の道を講じるというのが筋であろうと思うのであります。これが何億円に上ろうと、金額が小さいとにかかわらず、かくあるべき筋のものであろうと思うのであります。またあなたの方にしても、国家の財政資金をこうやって融資なさるお立場でありますから、その辺につきましては、筋はやはり通さなければいけないと思う。これはごく簡単な問題でありますから案件の詳細を今知る由もありませんので、法律的責任関係の究極をここに判断するのは少し軽率かもわかりませんけれども、しかし御説明だけによって見ても、やはり大分銀行にどうも責任があるように思われるのであります。この点について十分な折衝ができておらぬということは、あなたの方としては少し抜っておるのではないだろうかと思うのであります。金額が小さいといえどもいいかげんにすべき問題ではないと思うのであります。やはりきちんとした結末をつけて、筋を通しておかねばならぬ案件のように思われるのであります。
  149. 山添利作

    ○山添説明員 結局この問題は、林道を作りますのに、その敷地についてその所有者の承諾を得てあるということが、後に実行不可能になったというのでありますが、銀行といたしましてもちろんその点は十分確かめるべきであると思うのであります。しかし一応借受人の言うところを信頼して、貸したというのでございまして、銀行として突っ込み方が足りない、だめを押してないというので遺憾でありますけれども、そこのところがむろんよいとは申しませんけれども、はなはだしく注意を欠いたかどうかという点になりますと、相手を信用したということでございますので、直ちに銀行に対して公庫から損害賠償ということは要求いたさなかったのであります。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は損害を要求なさったかどうか聞いておるのじゃない、どこに責任があるかということです。法律的な折衝をきちんとなさることが筋だろうと思う。金額が千万円であるからといっていいかげんにすべきじゃない。たとえば十億円とか二十億円になれば驚いていろいろとなさる。そういうものじゃない。やはりどんなに小さな金額をお扱いになろうとも、銀行を通してする場合には、銀行との権利の関係はきちんとしておかなければならぬと思う。ことに重要なものであったものに対する調査が不十分であったことが事ここに至らしめておるにもかかわらず、あなたのところに金を返さぬ。月賦で取ってようやく終了に至らんとするというのはばかばかしい話であります。こんなにばかにせられて一体いいのでしょうか。千万円のうち五百万円をほかに使われて、それで安閑として農林漁業金融公庫は待っておらなければならぬのですか。何に使ったのですか。
  151. 山添利作

    ○山添説明員 これは直ちに繰り上げ償還を命じました、ところが金額直ちに返さないものでありますから、この五百万円は先ほど申しますように、月賦で償還せしめておるのであります。金を使いましたことにつきましてはただいま私その詳細を存じませんが、一般原則といたしまして金は事業の工程等を見定めて払うのでありますが、請負い等のことになりますと、あらかじめある程度の金を着手金等で払うことも必要でございますから、そういう意味におきまして銀行は支払っておると考えております。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうもはっきりしません。この大分銀行というのはその後やはりあなたの方の公庫の委託金融機関になっておるのですか、どうなんですか。
  153. 山添利作

    ○山添説明員 それは引き続いてなっております。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたにはっきりとしていただきたいのですが、これは珍しいケースかも存じませんけれども、銀行においては千五十万円の金を何に使ったか、そして五百三十五万円をなお受託金融機関に預金しておった、こういうような関係の内部事情についても調査を御要求になって、五百万円は実はほかのものに使っちゃったんだとか、あるいはこれに必要な準備資金に使ったのかどうか、こういうような辺も御調査になってしかるべきと思う。ことに、すでに二十八年において検査院指摘事項になっておるのでありますから、これについては相当詳細な報告書を徴することは、あなたの方が大分銀行に対してなし得なければならぬと私は思うのであります。当時はともかく、もうすでに検査院の指摘事項になったという以上は、どうしてもそういうふうな措置がとっておかれねばなるまいと思うのであります。大分銀行が責任を負わぬということであれば、もうあなたの方の公庫の資金扱いをごめんこうむるというくらいのところまでするかしないかは別として、内部において審議するというふうに私はいくべきが金融機関の普通じゃないかと思うのです。これは厳重な銀行の本店、支店間であるならばこれは問題だと思う。本店、支店間であるならば、支店長はたちまち左遷ですよ。それでなければ首ですよ。そういうことも考える。にもかかわらず、あなたの方は、検査院の報告事項になっておりながらなおこの五百万円の使い道がわからぬというのは怠慢じゃないでしょうか。
  155. 山添利作

    ○山添説明員 これはすべて事情の調査をいたしておるのでありまして、かつ同時に是正措置もとっているのであります。結局請負者に一部の金を着手金というようなことで払っております。資材を一部分買っている、こういうのであります。一般的に必ずしもさようにお考えになるごとくルーズにはいたしておりませんが、おっしゃる通りでございますから、私どももできるだけ事態の真相をきわめ、是正の措置を十分とるように努めているわけでございます。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農林漁業金融公庫につきましては、他に日本数字の(二)、(三)、(四)などがございますけれども、私はきょうはこの程度にしておきます。ほかのその他の政府関係機関の金融機関等につきましては、これはむしろ二十九年・度を中心にして質疑をしたいと思いますので、検査院の指摘事項もないようでありますからそういうふうにしたいと思います。
  157. 臼井莊一

    臼井委員 関連してちょっと。この三七五ページの初めの(一)の(1)農林中金扱いで、昭和二十八年六月に千葉県農村工業株式会社に二千三百万円ばかり貸しておりますが、これはやはり千葉県販売購買農業協同組合連合会を通じて、さらに農林中金を通じていたしたのでございましょうか。
  158. 山添利作

    ○山添説明員 農林中央金庫を委託金融機関といたしまして、会社そのものに貸したものでございます。
  159. 臼井莊一

    臼井委員 この会社の工場の所在地はおわかりでしょうか。
  160. 山添利作

    ○山添説明員 これは千葉市の郊外にございます。
  161. 臼井莊一

    臼井委員 千葉市の穴川といいますか、その付近でございますか。
  162. 山添利作

    ○山添説明員 ただいまちょっと手元にないのでわかりません。
  163. 臼井莊一

    臼井委員 わかりました。千葉市轟町でございますね。それでこの出資者の千葉県販購連がみずから運転資金の援助を中止していて、そうしてそのときの欠損金が七千五百六十五万九千余円あるのにこの二千三百万円貸し付けた。これを見ると、何か経営のやり方の悪いところがあり、しかも四ヵ月後には工場を締めなければならぬというのですね。そのしりぬぐいに農林漁業金融公庫が何か肩がわりしたような形にこれで見ると受け取れるのですが、こういうときの調査は、何か販購連でやると、またそういう関係の申請であると、頭から信用してかかるでしょうか。御審査は十分されたんでしょうか。
  164. 山添利作

    ○山添説明員 この貸付につきましては、その以前のたしか二十七年当時から農林省の特別会計で扱っておりました時代からの案件でございまして、特別会計の時代に貸すべきことを決定いたしましたが、当時金繰りの都合上、とりあえず五百万円を貸し、残りの二千三百万円ですか、四百万円ですか、これを公庫になりましてから貸し付けたというのでございます。この内容につきましては、特別会計時代には受託金融機関の意見書だけでありまして、その他の資料というものは徴していなかったようです。しかしもとよりこれは金融機関といたしましては信用状況等も十分調査をしておったと思います。しかし当時は役所の側には会社のバランス・シート等は来ていなかったのでありますが、金融機関としては当然その調査はいたしておったと思います。ところがこれは当時会計検査院の御指摘によりまして、後にたとえば公庫が貸付をいたします時分に、経営の内容が悪化しておったということははっきりしておるのでありますが、その時分には、政府また公庫並びに農中等においてそのことに気がつかなかった、こういうのでございまして、この点まことに遺憾に存じておるわけであります。
  165. 臼井莊一

    臼井委員 これに対しましては、工場の敷地等は何か担保はとってございますか。
  166. 山添利作

    ○山添説明員 工場そのものが担保であり、役員の保証をとっておるのでありますが、実は工場の敷地ですね、この敷地の一部はとっておりますけれども、主たるものは国の財産で、その払い下げを受けるという考えで、かつそれを担保に入れる、こういう計画であったのであります。その国の払い下げは話が済んでおりましたが、ああいう事態になりましたものですから、国の払い下げを受けますことはまだ懸案になっております。
  167. 臼井莊一

    臼井委員 その問題はその程度にしておきますが、担保の問題でついでにお伺いしたいのですが、三七六ページの(二)でございますね、これもやはり農林中金の扱いで、北海道の農協関係に倉庫を立てるんで金を貸した。約三億余でありますが、これが国または地方交共団体から補助金のあった場合には、期限前に償還するということが条件だけれども、これは実行されないでいたというケースですが、こういう場合にはどうなるんですか。国または地方公共団体から補助金のあるということの際に、何か公庫等に連絡をするとか、あるいは担保と同じように委任状をとってそれをとれるようにしておくとか、そういう方法はおとりになっているのですか。
  168. 山添利作

    ○山添説明員 これは都道府県と連絡をいたしまして、都道府県から委託金融機関に通知をしてもらうわけです。従ってできれば代理受領をとっておくのがいいのであります。従って多くの場合そういうことをいたしておると思うのでありますが、必ずしもそういうふうにいっていない場合もございます。また相手が市町村等でありますと、代理受領をもらう主体が市町村に貸すわけでございませんけれども、災害復旧等は、農協等に貸しまして、それの実際事業主体は市町村になり、市町村に補助金が行くことになります。この場合は、今の法律解釈上代理受領は取れないのであります。私どもの場合はそういうことをやるように心がけてはおりますけれども、全部そういうようには参りませんのでありまして、従って金が向うにいってしまいますと、なかなか返らないということがあるわけでございます。
  169. 臼井莊一

    臼井委員 どうも全部が全部取るわけにはいかぬというところに、何か手続上の周密さを欠いているように思うのですが、私はこの点でとどめます。
  170. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。  それでは本日予定しておりました食糧庁、林野庁、水産庁、農林本省の一部(国営競馬特別会計)及び農林漁業金融公関係に関する昭和二十八年度決算の質疑は、一応終了いたすことにいたします。  本日はこの程度にて散会いたします。    午後四時二十三分散会