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1956-02-29 第24回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十九日(水曜日)     午後一時二十六分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 櫻内 義雄君    理事 關谷 勝利君 理事 片島  港君    理事 吉田 賢一君       赤澤 正道君    臼井 莊一君       椎名悦三郎君    床次 徳二君       本名  武君    坂本 泰良君       楯 兼次郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (鉱山局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      川上 為治君  委員外出席者         通商産業事務官         (鉱山局鉱政課         長)      磯野 太郎君         通商産業技官         (公益事業局開         発業務課長)  市浦  繁君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社理事         (職員局長)  山本 英也君         日本電信電話公         社理事         (営業局長)  吉沢 武雄君         日本電信電話公         社施設局次長  佐々木卓夫君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         日本電信電話公         社資材局長   和気幸太郎君         日本電信電話公         社建築部長   中田 亮吉君         参  考  人         (石川鉱業所代         表者)     石川  石君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月二十八日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として大  島秀一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大島秀一辞任につき、その補欠として臼  井莊一君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  政府関係機関収支日本開発銀行電源開発  融資)に関する件について、参考人より実情聴  取     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  それではこれより政府関係機関収支日本開発銀行電源開発融資)に関する件を議題として調査を進めます。  この際お諮りいたします。すなわち一昨日委員会散会後の理事会決定の通り、本件に関し庄川水系椿原発電所に関する問題として、石川鉱業所代表者石川石君を参考人として選定し、その実情を聴取することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。この件につきましてまず通産当局より説明を聴取いたします。
  4. 生田宏一

    生田委員 通産省から報告書が出ておりますので、これを基礎として先にお尋ねしてみたらいかがかと思います。
  5. 上林與市郎

    上林委員長 それではそういたしましょう。生田君。
  6. 生田宏一

    生田委員 ちょっとお尋ねいたしますが、庄川関西電力発電所関係石川氏との間の係争問題について御報告書が出ておりますが、これはあなたの方で御承知報告書でございますか。
  7. 川上為治

    川上政府委員 これは私の方と鉱山局と相談をしまして作りまして、報告いたしましたものであります。
  8. 生田宏一

    生田委員 これはいろいろと内容について石川氏の申されるところと違うところがございます。たとえば水没関係などは面積が非常に違っておりますが、実地へおいでになってお調べになったものですか、あるいは机上の書類によってお調べになったのか、あるいは陸地測量部図面でお調べになったのか、あるいは会社側図面によってお調べになったのか、どちらでございますか。
  9. 川上為治

    川上政府委員 これはいろいろ問題もございましたので、現地名古屋通産局の方から実地調べまして、そして報告を求めたのであります。
  10. 生田宏一

    生田委員 そうすると、実地にお調べになったというのですから、もうこの報告書はあなたの方で御責任の持てるものだと思いますのでお尋ねをいたしますが、発電計画がありました場合に、鉱業権者との間に影響があるという場合に、通産省補償については水没等補償に関する要綱でおきめになるのだと思うのですが、まず補償をしなければならない、あるいはする必要がないということをきめまするのは、水没補償に関する要綱の第二条とか、第四条によっておきめになると思うが、この場合には、あなたの方の御報告によりますと、関西電力に対しては、昭和二年以後水利権、あるいは工事施行認可、あるいは水利権計画水利使用計画変更というようなものが行われてきておって、補償する必要がないというような御報告のように受け取れるのですが、それでは鉱業権との間に、どのような関係があって補償しなくていいのであろうか、一、二、三の三項目ございますから、その三つについてあなたの方の御見解を述べていただきたい。この報告書は、単なる報告であって、あなた方の方の御見解というものはこれに何ら入っておりませんから、まず御見解を伺っておきたいと思います。
  11. 川上為治

    川上政府委員 その地域鉱業権設定されておりますときは、それに対しましてあと電源関係施設ができるということになりますれば、当然その鉱業権に対しましては補償しなければならぬというふうに、私どもの方としましては考えております。ただその補償につきましては、現在法律によりまして特別な規定はないのでございまして、閣議要綱によりまして、水没についての補償要綱というものがありますが、その要綱によりまして補償するということになっております。
  12. 生田宏一

    生田委員 今のお答えではっきりしておりますので、これは問題が早くわかると思いますからお聞きしますが、それではあなたの今のお話とは逆に、鉱業権許可したときに、電力会社計画があっても、何ら施設をしていないというときに、その発電計画を推進して鉱業権を無価値ならしめた場合には、補償責めがありますかどうかをお尋ねいたしたい。
  13. 川上為治

    川上政府委員 先ほども申し上げましたように、鉱業権が、電源開発計画なり、あるいはその施設をする前にすでに設定されておりまして、あと電源開発の方が、公益の点からいいまして非常に大事だということになりまして、その設定されておる鉱業権に対しまして、ある程度制約を加えるという場合におきましては、これは先ほども申し上げましたように、当然補償をしなければならぬというふうに考えております。
  14. 生田宏一

    生田委員 今の答弁で実ははっきりしておりますが、もう一ぺんお尋ねしておきます。すでに鉱業権設定されておって、そしてその地方にはまだ発電施設というものはないという場合に、かりに計画があっても、その発電施設をまだ行なっていないという場合に、そしてその後その発電計画を推進した場合、この鉱業権に対しては、補償責めがあるかないか伺いたい。
  15. 川上為治

    川上政府委員 そういうことでありまして、鉱業権がすでに設定されていたところに、あと発電計画が立てられてそして発電所を設置するという場合におきまして、問題は、その鉱業権とそれから発電計画と申しますか、それと比べてみまして、発電計画の方が公益上非常に重要であるということになりますと、現在の鉱業法によりましても、その発電計画を進めるというふうになるわけですが、その際におきましては、すでに設定されている鉱業権を、ある程度制約をするということになりますので、一部掘れないというようなところが出てきますので、そういうものに対しましては、当然補償をするということになるわけでございます。
  16. 關谷勝利

    關谷委員 通産省報告書について、関連して二、三点だけお尋ねしておきたいと思います。これは昨年の七月末の委員会でこの調査をして、資料を提出するように、こういうふうなことであったのが、十二月の六日、約四ヵ月余りたって初めて報告がせられている、こういうふうなことになっているのであります。非常にこの報告書がおくれているのでありますけれども、これだけのことにそれほどの日数をどうして要したのか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。
  17. 川上為治

    川上政府委員 権利関係の問題につきましては、これは慎重に調査をし、また報告もしなければならないと思うのでありまして、本件につきましては、この地域において発電計画をどういうふうに持っていくかという問題と、それからまた、この地区において果してそれほどの経済価値のある鉱区であるかどうかという問題につきまして、いろいろ調査をしなければならない点もありましたので、特にその現地において、この問題につきましては相当詳細に調査するようにということを申しておりますた関係から、これは非常に申しわけないと思いますけれども、そういう関係からだいぶ報告がおくれたというふうに考えております。
  18. 關谷勝利

    關谷委員 慎重に調査をせられて、そのために日数がかかった、それほど慎重にされたということはまことにけっこうであります。また慎重に現地調査もせられたということでありますが、現地へ行かれた方はどういうふうな方が行かれたのか。その点、これだけのものができているのでありますから、必ず責任者がはっきりしていると思いますが、どなたがいつ行かれて、どのような調査をせられたのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  19. 川上為治

    川上政府委員 いつだれが行ったかという点につきましては、私も今ここではっきり覚えておりませんが、これは当時非常に問題でありましたので、名古屋通産局鉱山部長公益事業部長、それからその関係官、こういう者が現地に行きましていろいろ調べたというふうに聞いておりますが、正確には、いつだれが行って調べたかということは、これは調べればわかりますので、あとで一つお答えしたいと思います。
  20. 關谷勝利

    關谷委員 それはあとから御報告を願うことにいたしまして、その場合に、鉱業権者である石川氏、あるいは発電設備をいたします関西電力、そういうふうな人に立会をさせたのか、あるいは立会させなかったのか、その点を伺っておきたい。
  21. 川上為治

    川上政府委員 その点は私もはっきり覚えておりません。あるいは全然立ち会いなしに調査しておるかもしれないと思いますが、これはよく調べた上でお返事申し上げます。
  22. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、電力の方も立ち会っておらないかわからぬ、そうして鉱業権者の方も立ち会っておるかどうかわからぬ、こういうふうなことでありますが、これが正確なものであるという自信はおありであるかどうか、その点ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  23. 川上為治

    川上政府委員 だれが調査に行ったかということは調べた上で御報告しますが、この立ち会いの問題につきましても、立ち会わないで調査する場合と、場合によりましてはやはり両方とも立ち会いの上調査する場合とあるわけなんですが、私もこれは一ぺんだけの調査ではないと聞いておりますので、あるいは全然立ち会わないで調査したこともありましょうし、その辺はよくわかりません。それはあとでよく調べまして御報告いたします。
  24. 關谷勝利

    關谷委員 先ほど生田委員からお尋ねをしておりました際に、鉱業権があった場合に、あと発電設備をするというふうな場合には、鉱業権に対しては当然補償をなすべきである、こういうふうなことを言っておられるのであります。一方はどんどん仕事を進めていく、そうして一方がいろいろ交渉しても一向それに何も関係なしに、返事もろくに出さないでどんどん進めていくというふうな状態が出てきておるのでありますが、そういうふうな場合には公益事業局というものはただそれをそのまま黙って看過しておるものでありますか。あるいはまたこの鉱業権者あたりの利益というふうなことにつきましても、公益事業局というのがあっせんをして早急解決をするようにするというふうなことをやられるのですか、やられないのですか、その点伺っておきたい。
  25. 川上為治

    川上政府委員 私どもの方としましては、なるべく関西電力鉱業権者との間でいろいろ話し合いをしていただきたい。それには閣議決定になっております補償要綱というのがありますから、その補償要綱に基いてやっていただきたいということで、なるべくこういうような問題につきましては両者間でやっていただきたいと考えておりますけれども、もしなかなかその話がつかないという場合におきましては、われわれの方が中に入りましてこれを調整したいというふうに考えております。
  26. 關谷勝利

    關谷委員 あなたは今補償すべきものであるということははっきり言われておるのですよ。この報告書の中にこういうことがあります。「試第七五一二号鉱区については、既に発電用水利権を取得し、自己の所有地に適法に湛水したのであるから鉱業権侵害とはならない。試第七五一四号については工事計画変更により重複しないこととなった。」とあるのですが、あなた方も侵害にならぬというふうにお考えになっておるのでありますか。そのために黙認しておられるのか。あるいは侵害にはなるけれどもそのままほっておく、こういうことになるのか、その点伺っておきたいと思います。
  27. 川上為治

    川上政府委員 土地の所有権というのと鉱業権というのは違ったものでありまして、所有権を持っておるから鉱業権に対しまして全然補償する必要はないということにはならないと思うのであります。鉱業権がありますれば、その鉱業権侵害する場合におきましては、その侵害する部分に対しましてはやはり補償しなければならぬ。ただ問題は、その補償程度をどのようにするかという問題と、果してその補償しなければならぬ鉱物が賦存しておるかどうかという問題をよく調査しなければならないと考えております。
  28. 關谷勝利

    關谷委員 それはおかしな話であります。あなたの方は鉱業権許可しておるのですから、そこに何もないものに許可をせられるはずもないのであります。それは鉱業権がある限り、そこにどういうものがあるかということは大体あなた方の方でも調査してわかっておられると思うのであります。鉱業権というものは私どもしろうとでわかりませんが、あってもなくても許可するということになるのか、そこに大体あるという見当でもって許可になるのか、もし見当であるから許可したということになれば、そこに補償をしなければならぬということがはっきり出てくるはずだと思うのでありますが、その点ちょっと伺っておきたい。
  29. 川上為治

    川上政府委員 現在設定されておりますものは、これは鉱業権の中でも試掘権であります。試掘権というのは、私が申し上げるまでもなく、果してここにこういう鉱物があるかどうかというのをとにかく調べてみる。もしそういう鉱物があるということになりますれば、将来採掘権設定して採掘させていくということになるわけでございます。この試掘権設定された地域に果してどの程度鉱物があるかということにつきましては、これを十分試掘調べた上でなければわからないのでありまして私の方としましては、この試掘権補償については、果して鉱物があるかどうかということを十分調べた上でなければどの程度補償すべきかという点もいろいろ問題が起きるかと思うのであります。
  30. 關谷勝利

    關谷委員 この報告書を作られる際に慎重にこれを調査せられたというのでありますが、調査せられたならば、そのあたりであるかないかというふうなことも大体御調査になっておるのではないでしょうか、その点すでにそういうふうなものがあるということも私たち聞いてもおるのでありますが、全然そういうふうなことはわかっておらないのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  31. 川上為治

    川上政府委員 試掘権設定する場合におきましては、大体この辺にこういう鉱物があるらしいという点につきましては大体わかっておるわけでありますけれども、ではどの程度にどういう品位のものがあるかということにつきましては、全然そういうものは調査しないで試掘権設定というものは行われるわけでございまして、試掘権設定して試掘をやってみて、初めてどの程度鉱量なり品位のものがあるかということがわかるのでございます。試掘権設定の場合は、今申し上げましたように大体この辺にありそうだという点で試掘権設定をするわけでございます。
  32. 關谷勝利

    關谷委員 もう一点だけお尋ねしてまた参考人お話を伺って後にあらためて御質問したいと思いますが、その試掘権はやはり鉱業権と同じように、試掘をして出るということがわかって参りますと、その試掘した結果に基いて事業者がいろいろな電力設備等をやる場合にはやはり補償しなければならぬ、こういうことになりますか。
  33. 川上為治

    川上政府委員 試掘してみまして、相当経済価値のある鉱物があるということになりますれば、それは当然電力会社の方では補償するということになるわけであります。
  34. 關谷勝利

    關谷委員 あなたはこの報告書を出される上におきまして今までの経過等をごらんになりましてこれからどういうふうにしようと思われますか、このまま放任しておいていい、こういうふうにお考えになりますか、公益事業局として何かあっせんをしなければならぬというふうにお考えになりませんか、また関西電力あたりがただ自分の方の仕事さえできればそれでいい、鉱業権はどうでもいいというふうなお感じを持たれたかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  35. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては、鉱業権も非常に大事な問題であります。また一面電源開発ということも非常に大事なものでございます。ただその電源開発のみ考え鉱業権をおろそかにするということは毛頭考えておりません。試掘してみてほんとうに鉱物があり、経済価値のある品位のものがあるということになりますれば、関西電力をして相当の補償をするように指導したいと考えております。
  36. 生田宏一

    生田委員 それではちょっとお尋ねします。あなたの方はこの鉱業権者昭和二十八年の七月に鉱業権許可しておられますが、同年の十月一日には採掘着手のために施業案名古屋通産局に提出しておる。ところが名古屋通産局鳩ケ谷発電所の支水路と関係ありとして、その施業案を保留したために採掘ができないことになっておるのですが、通産省の方が採掘させないでおるということになると、通産局自体採掘の施業を阻害しておることになって、今あなたのおっしゃることは全然意味がないことになりますが、どうですか。
  37. 磯野太郎

    磯野説明員 ただいまお尋ねの点は、今お話がございました七五一二鉱区でございますれば、これは申し上げましたように試掘権でございまして、二十八年の十月一日試掘権による施業案が届出になっております。そして通産局の方はそれを受理しておりますが、その後事業着手届が二十九年の十二月四日に出ております。それから試掘権は御承知のように二年で切れますので、試掘権延長申請が三十年の五月二日に通産局で受理されております。その間お話のように通産局の方で施業案受理——これは試掘権でございますから、別段施業案については認可になっておりませんので、ただ通産局に対して届出すればいいということになっております。そういう状況であります。
  38. 生田宏一

    生田委員 それは何か口頭で圧力を加えたことはありませんか。
  39. 磯野太郎

    磯野説明員 もちろんそういうことはないと思っております。
  40. 生田宏一

    生田委員 それはまたあとで一方から聞いてみればわかるのですから聞いてみます。それから鳩ケ谷発電所で実際に工事着手したのは何年何月でございますか。
  41. 川上為治

    川上政府委員 私正確な日にちは覚えておりませんが、調べればすぐわかります。
  42. 生田宏一

    生田委員 わからぬと言うが、こんな重大なことがわからぬのですか。
  43. 川上為治

    川上政府委員 ことしの末に大体完成するのじゃないかと思います。
  44. 生田宏一

    生田委員 完成じゃなくて着手の日を聞いている。
  45. 川上為治

    川上政府委員 着手の日は今ちょっと私わかりません。
  46. 生田宏一

    生田委員 それが根本問題だから……。
  47. 上林與市郎

    上林委員長 今御調査願えますか。
  48. 川上為治

    川上政府委員 はい。
  49. 生田宏一

    生田委員 水没等閣議決定要綱では、第四条には賠償価格及び損失補償金の支払いは原則として前払いとするというようになっていると思うのですが、どうなっておりますか。
  50. 磯野太郎

    磯野説明員 補償要綱においてはそういうことに一応なっております。
  51. 生田宏一

    生田委員 そうしますとあなたの方では試掘権三件のうち一つであったと思いますが、試掘権許可して、そうしてその試掘についてはあなたの方では制約を加えておるというようなことはございませんか。
  52. 川上為治

    川上政府委員 私の方で試掘権についての実施について制肘を加えるとかいうことは、すでに設定されたものにつきましてはやっておりません。
  53. 生田宏一

    生田委員 それではお尋ねしますが、七五一二号、鉱区内の発電用予定計画地域内は採掘してはならぬとあなたの方で御命令をなさっておったのですが、しかし鉱業権許可の日からは、採掘ができないのに鉱区税を徴収しておられるという事実はございませんか。
  54. 川上為治

    川上政府委員 発電計画が公示されましていよいよやるということになりますと、その地区につきましてはやはり試掘採掘ということはやってはいけないということになるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、その鉱業権発電計画とどちらか公益上大事であるかということを比較検討した上で発電計画設定されましたときにおきまして、その発電計画を公示しました後におきましては、その部分だけは採掘なりそういうことをしてはならないということになるわけでございます。そういうことに基きましてあるいはそういう通知をいたしておるのじゃないかと思いますが、ただこの試掘七五一二号は一部かかるのでありましてほかの大部分のところにおきましては別に何ら支障はないわけでございます。
  55. 生田宏一

    生田委員 それは現在水没になっておる鉱区についてはいかがでございますか。
  56. 川上為治

    川上政府委員 現在水没になっております鉱区で、そこに鉱業権設定されておりますれば、そういう水没地区鉱物が存在しておるということになりますれば当然補償の対象になるわけでございます。
  57. 生田宏一

    生田委員 そうすると、水没地点から五十メートル以内は電力会社の同意を得なくては試掘ないしは採掘できないというようになっておると思うのですが、それはどうですか。
  58. 磯野太郎

    磯野説明員 それは鉱業法の六十四条に規定がありまして、ただいまおっしゃったように実際の制限がございます。
  59. 生田宏一

    生田委員 この報告によりますと、地積においては水没した面積が一町三反とあなたの方では報告になっておりますが、この鉱業権者の方からいえば三十幾町歩となっておるのです。この一町三反というのは間違いのない正確な数字でございますか、それからまた水没地点から奥地へ五十メートルの影響を考慮してみれば幾らになるのか、あるいは水没だけであってもこの一町三反よりは十町とか二十町とか三十町とか多いのであって、その上にまた五十メートル加えればまだその上に反別が増すということなのか、あなたの方では御責任を持っておっしゃるのですから、その辺をぜひお尋ねしたい。
  60. 川上為治

    川上政府委員 重複面積が一町三反というのは、試掘権鉱区の中で発電所の貯水池との重複するところが一町三反ということであろうと思うのですが、なお五十メートルの破断角の問題といいますか、そういう関係につきましては、これはたしかこの中には入っていないのではないかというふうに考えますけれども、これは私現地の方でもいろいろ検討さして慎重に調査した結果でありますので、間違いない数字ではないかと考えております。
  61. 生田宏一

    生田委員 もしこれがあなたの方で間違っておるということになると問題が起きてくるのですが、それでは委員長のお許しを得まして、石川鉱業所参考人が出ておりますので、自分が得た試掘権については、その試掘権制約を受けたか受けておらぬか、それからこの面積参考人考えとしては妥当なものであるかないか、それをちょっとお尋ねしてみたいと思います。
  62. 上林與市郎

    上林委員長 どうしましょうか、一応通産省並びに公益事業局への質疑はあと回しにしてもらって、参考人から実情を聴取してから……。
  63. 關谷勝利

    關谷委員 議事進行でちょっと申し上げたいのでありますが、この報告書参考人が見られてこの報告書についてどういうふうにお考えになるか、なおまたこの報告の内容に間違いがあるかないか、なおいろいろ関西電力との間に交渉その他についての経過もありましょうから、そういうふうなことをはっきりとわかるように、一度参考人からの御説明を伺って、そうしてまた質問をいたしたいと思います。
  64. 上林與市郎

    上林委員長 では關谷委員の発言の通り進行します。  次に参考人より実情を聴取いたします。参考人実情説明の前にちょっと御注意申し上げますが、説明をなさる場合は立って御発言して下さい。なお発言する場合は委員長許可を得て発言なさるように御注意申し上げます。それに、これは厳格な意味ではございませんが、発言の時間ですが、あとから委員各位の質問も予定されておりますので、敷衍の時間もあると思いますから、一応大体十五分以内で説明を終らしていただきたいと存じます。なお委員から質問の際はすわったままで、けっこうです。答弁なさる場合は立って御発言願いたいと思います。それでは石川参考人
  65. 石川石

    石川参考人 最初にちょっと概略だけ短かい時間に御説明さしていただきたいと思います。  私は石川鉱業所といたしまして、戦争中からこの問題になっております地区にモリブデン鉱山を有しておりまして、その当時の鉱区試掘権な発録第六〇九六号、第五一二二号という鉱区を持っておりました。当時非常に優秀な鉱脈を発見しまして、陸軍省整備局は、私の鉱山を慎重に調査しました結果、重要鉱山として指定して大量生産計画を実施しまして、ついに終戦になった歴史を持った山であります。その後朝鮮動乱が勃発しましたので、二十六年に再びこの優秀なモリブデン鉱山を開発したいと計画しましてその当時新鉱業法がしかれましたので、あらためて三鉱区設定したのであります。そして戦争中にやりました鉱山を中心に三鉱区の出願をいたしました。その内容は、第一鉱区、第二鉱区、第三鉱区といたしておりますが、第一鉱区は二十六年三月、第二鉱区は二十六年十一月、同じく第三鉱区は二十六年十一月に出願をいたしまして、許可は第一鉱区は二十八年の七月、第二鉱区は二十八年八月、第三鉱区の出願は今日までそのまま保留されております。その出願発録番号は第一鉱区は七五一四号、第二鉱区は七五一二号、第三鉱区は二十六年の一二三七号となっております。これらの鉱区地内に関西電力会社が——今後関電と申しますが、関電が発電計画計画いたしましたために、採掘はほとんど不可能になりまして、鉱業権者に多大の損害を与えたというのが、私の申し上げる目的であります。  それで第一鉱区の方におきましては、当鉱区地区内に関電の鳩ケ谷発電所の取水計画があると称して、一カ年余りにわたりまして私の試掘採掘ができなかったのであります。試掘の権限はわずか二カ年しかないものを、一年ほどそんなことで押えられております。第二鉱区は、その北端に椿原堰堤を完成いたしまして、昭和二十八年末から貯水を開始いたしましたために、庄川、馬狩川に面するこの一帯の地域水没しまして、採掘作業は不可能となり、ついに鉱区全体の鉱業価値を喪失した状態であります。次に第三鉱区は、第二鉱区と同じ日付で出願して受理されましたにもかかわらず、名古屋通産局におかれては、審査の結果二十八年九月修正命令を通達してきまして、これを修正すれば許可する鉱区許可するからというので、直ちにその手続を完了しました。それにもかかわらずやはり関電の施設計画があるのだと言いまして、許可を保留すること今日に及んでおります。その間関西電力施設工事の開始によりまして、昭和二十九年の、われわれの見ておりますのは八月からどんどん工事をやっておりまして、私らの出願鉱区は日に日に不許可に陥るような情勢にあるのであります。私どものいろいろ調べましたところによりますと、出願後の計画に対しまして許可を保留するという法的根拠は全くないのでありますので、これは非常に不当な行政措置ではないかと思われるのであります。  それでこの鉱区から産出するモリブデン鉱物は非常にりっぱなものが出ておりますので、その鉱山が単に鉱区であるか、実質的にいいモリブデン鉱が出ておるかという問題につきましては、三十年の五月十四日に名古屋通産局の出願課長並びにその技術官の方が来られて、現実に鉱区の大きな露頭、これは何メートル掘れば鉱脈があるのだといういいかげんなものでなく、幅が一メートル二十、高さ約十メートルの日本にはまれなモリブデンのぴかぴか光った鉱物が出ておるのでありまして、こんなものは採掘しなくてはわからないというような状態のものではありません。これは名古屋通産局の出願課長初め現実に目で見て帰って驚いておるような状態であります。御承知のように日本におきましてはモリブデン鉱物は非常に少いのでありまして、一年の全消費量が日本では四百二、三十トン要るのだということを通産局は言っておられますが、日本ではその半分の約百四、五十トンも出ないような状態で、他はみな輸入に仰いでおる状態であります。  それでこうした私の鉱区を持っている土地に、他のそうした電源開発のような施設をせんとします場合には、みずからその事業計画を明らかにしまして、他人の権利の行使を阻害しないように努めるか、もしくは他人の権利に損害を与えるならば、その適正な補償をして、しかる後に自分の事業を遂行するのがこうした公益企業者の選ぶべき道ではないかと思います。しかるにこうしたことがなくして、以上のごとく横暴なる態度をもって事に当りまして、しかも通産省当局がまたこれを是認し協力するかのような措置をもって臨まれておりますことは、われわれ国民としてとうてい承服できないことであります。国が多額の資金を投資しておる電力会社が、施設計画によりわれわれ民間の小さい企業家に圧迫を加え、その犠牲になるということは考えられないのであります。これが私の大体の申し上げたいことでございます。
  66. 關谷勝利

    關谷委員 これの内容が間違いがあるかないかということについて……。
  67. 石川石

    石川参考人 それにつきまして今通産省から御提出になっております関西電力株式会社と鉱業権者私との関係についての報告書を拝見させていただきました。まず第一に問題の私の鉱区がダムのためにどれほど水没し重複しておるかという面積が、通産省の方の報告では一町三反歩と書いてあります。こうしたことは何と言いましてもわれわれ鉱業権者として、鉱業権許可を受けました鉱区図を基礎として計算さるべきものであろうと思うのであります。通産省報告のこの図面を見ますと、これは子供でもわかることでございますが、私の鉱区庄川の川に関係して線を引かれました鉱区図が、鉱区の方から見て、川の手前でこの線がかかっておって少しばかりひっかかるようになっております。私の許可を得ました鉱区図は、この川の向う岸へ線が引いてあるのであります。その向う岸へ線が引いてあるのと川の手前へ線を引いたということは多大の相違が生ずるのであります。この点は私の方で実地調査をしまして、自分でなわを入れて検討しましたのによりますと、この数字は非常な相違がございます。ここのところだけの数字の問題でも、私の方で見ますと、この通産省報告書の地点は字の地籍は小牧尾という地籍、仏峠、幅通という地目になっております。この地目と小牧尾は国有林、官有林であります。その水没した面積が三町六反七畝一坪になります。それから仏峠、幅通という地籍が続いておりまして、これが八町一反十六坪からになっております。それからもっと椿原ダムの堰堤の方へ下りまして、ここにも保木という官有林があります。この官有林と隣りの百合平という地籍が水没したのは六町八反一畝十九坪あります。それから今度馬狩川という川がそこへ流れ込んでおりますので、その馬狩川が全部庄川の本流と同じように、あのダムが五十四メートルのダムでございますから、同じように水面が貯水池となったのであります。これは常識でお考えになりましても、支流も本流も同じ高さに水没するものでございますが、通産省報告書図面では、この馬狩川の水没というものは全然入っておりません。この私の鉱区の中を流れておる馬狩川の水没した面積が十町一反六畝十二坪からであります。これを合計いたしまして三十一町四畝十二坪からでありましてその周囲五十メートル掘れないということになりますと、二十一町六反七畝二十七坪というものが出てきますので、全部で五十二町幾らというものが掘れない面積であります。これは私の全鉱区から見ますと三〇%以上掘れないことになりました。しかし単に三分の一掘れないということでなく、通産省の人も御存じの通り、山の頂上や山の中腹から鉱山を下へ掘る人はありませんので、川の底だとか道路だとか、そうした山の下の底いところの露頭だとか鉱脈から取っていきますので、高いところから縦抗を掘るということはほとんどあり得ないのであります。私の鉱区の低いところの周囲、いわゆる庄川、馬狩川に面した低い山の周囲を全部掘れないということになりますと、結局この鉱区全体の鉱業価値が喪失したということになるのであります。この点が今申し上げました水没した地域と大へんな違いがある。馬狩川などというのは全然書いてありません。それからこの鉱区図ははなはだおこがましいですが、私の鉱区図と比較して非常に間違っております。私の鉱区図と形から変ってしまっている。これは努めて私の鉱区関西電力関係がないようにというので作られたかのごとく見られ、考えられるのであります。その次にこの通産省報告書を見ますと、この水没した土地は昭和十年十二月四日に買われたと書いてあります。これも私ははなはだ不思議に思います。どういう根拠でこういう数字を出されたか、私どもの常識では土地の取得というものは、役場の土地台帳に登記、取得事項という記述が出ておりますが、それを基準に考えるのが常識であり、法的根拠があるのではないかと思われます。それで私はこのことにつきまして白川村役場の土地台帳についてこの地籍を見ますと、先ほど申し上げましたああいう水没した地籍の関西電力の取得時期は、昭和二十八年十一月十二日、全部何百という地目をこの日に取得しておるのであります。昭和十年に取得なさってこれを役場に申告するのが昭和二十八年などというようなことは考えられますまい。これはおそらく何かの大きな間違いではありましょうが、聞くところによりますと非常に権威のある報告だと申されますから、私はあえてこれ以上申し上げません。そしてまたこの水没した土地の大部分の小牧尾官林、保木官林、この二つの官林は買うわけにいきませんので、営林署に対して貸付願というものを出して土地を借りるのであります。その貸付願を出しましたのが荘川の営林署において調べますと昭和二十八年十二月四日になっております。官庁の許可は少くとも二月や三月かかっておるわけでございますから、この土地の使用の権利を獲得なさったのもわれわれの鉱業権設定されたよりはなはだあとのものであります。これはおそらく論争の重要点になると思うのでございますが、こういうようなことは私どもの方から見ますとまことに考えられない報告だと思うのであります。  それから試掘登録第七五一二号、今ダムによって水没しました鉱区でございますが、この鉱区許可しますのに、許可を下しておきながら、関西電力の発電用水路、予定水路を含めて、その他電気工作物に支障を与えぬことということを条件としてつけられたのです。しかも今拝見しました通産省報告では、この文書に注意命令事項という注意命令という言葉が今度は出ておりますので、よほど有力にお考えになっているらしい、これにつきまして私どもが……。
  68. 關谷勝利

    關谷委員 意見はいいのです。間違いがあるかないか、それと経過報告だけでいいです。
  69. 石川石

    石川参考人 これは私どもの方でこの制限は行政措置としては不当だというのでありましてしかしこの命令に私どもが従っていきますと、この鉱区関西電力の将来できる設備のために掘ってはいけないと言って命令させられながら、その日から掘ることのできないのに鉱区税をわれわれは納めておる。もう一つは同じ関西電力の設備計画がありました七五一四号の方の第一鉱区には、同じ関西電力の支水路の計画がありましたのにもかかわらず、これには何ら条件が付いておりません。同様な内容を持ちました手続処理に対しまして、行政措置が全然相反した二つの方法がなされております。それははなはだわれわれとして、国民としてもどういうわけで同じことに違ったことがなされるのか、非常に困るのであります。それからまたわれわれは試掘権を得たのでありますから、さっそく掘ってみて、そこにいい鉱物が出るかどうかということをやらねばなりませんのですが、予定水路の計画を含んでその土地を採掘してはならぬということになりますと、われわれがいつどこにどんな計画関西電力がなさるかわかりませんから、採掘作業ができるわけはないのであります。それは実際鉱業権者の立場に立ってお考えになるとおわかりになるだろうと思うのであります。こうした三つの非常に矛盾したことが行政措置でやられるということは、われわれは非常に鉱業権者として苦痛であり、非常な損害を生ずることなのであります。  もう一つ出願鉱区が保留になっておるということでございますが、この出願も鉱業出願をいたしましてから、それからあと電力会社なりそうした電力工事計画ができましても、その出願を保留するということは法的にできないはずでございまして、それに対しているんな処置の方針を次官通達で出されておりますが、いずれも電源開発設備計画が発表になってからあとにそこへ鉱業権の出願があった場合には、その鉱業権許可を保留するという規定はありますが、二十六年、三年も前に出願した鉱区に、あとから関西電力が設備計画をなすからといって、その出願を保留したり、不許可にするという法的な根拠は、われわれ国民が調べてもないように考えられるのであります。そうしてその鉱区を今まで三年以上も保留しており、しかもその間に名古屋通産局は、この鉱区のこの部分だけは先願地があるから、これは修正しろといって修正命令をよこされました。直ちにその修正命令通り私は修正して出しましたが、なお三年間許可してくれない。修正命令というような、権威ある役所が書類をお出しになったというならば、許可しないのか、許可するのか、許可しないで修正命令を出したのか、そういう点がわれわれ国民がどうも納得いかないことでありますので、そのためにわれわれ鉱区の出願が長く五年間も引っ張られておるということは、多大の損害があることはもちろんでございますが、大へん迷惑を感じておる次第であります。
  70. 上林與市郎

    上林委員長 一応石川参考人説明はこれで終了いたしました。それでは申し合せの順序に従って質疑を許します。まず生田宏一君。
  71. 生田宏一

    生田委員 それより先に先ほど調べてもらいました庄川発電所の湛水工事開始の日取りがきたそうですから、それをちょっと伺いたい。
  72. 川上為治

    川上政府委員 榛原発電所工事着手年月日は二十八年の八月二十五日ということになっておりまして、完成の日が二十九年の一月八日になっております。鳩ケ谷発電所につきましては、工事着手年月日は二十九年十月一日、完成の予定は三十一年の四月末ということになっております。
  73. 生田宏一

    生田委員 それでありますと、第一鉱区は二十八年の七月、第二鉱区は二十八年の八月八日に鉱業権設定がしてありますので、工事開始はそれから二十日おくれた二十八年八月二十八日ということになりますから、当然これは会社が水没補償の責に任ずることになるのでございますか。
  74. 川上為治

    川上政府委員 鉱業権が前に設定しておりますれば、先ほども申しましたように当然補償しなければならぬことになるわけでありますが、問題はただその補償すべき地域がどの程度であるかということと、それから果してそこに価値のある鉱物があるかどうかという問題、そういう点をいろいろ検討した上で補償の額というのが決定されていくことと考えております。
  75. 生田宏一

    生田委員 そうすると試第七五一二号の鉱区については、あなた方の報告によれば、先ほど關谷委員からもお尋ねがありましたように、「自己の所有地に適法に湛水したのであるから鉱業権侵害とはならない。」こういうことを会社が返事をしたということをあなたの方でここに載せておられるのですが、これは会社の言い分が通らないと解釈をしてよろしゅうございますか。
  76. 川上為治

    川上政府委員 関西電力はこういう回答を行なっているようでありますけれども、私の方としましては、先ほどから再々申し上げておりますように、この試掘権について鉱物があり、そうしてまた当然補償をすべきものということに調査の上でなりますれば、これは補償すべきものだというふうに考えます。
  77. 生田宏一

    生田委員 大体事情はわかったと思います。それでここには当事者のうち一人しか来ておりませんし、通産省としてもこれをどうするかは実態調査ということに焦点がしぼられてくると思うのですが、それより先にいま一度関西電力の社長をこの席へお呼び願って、ただいま通産省なり石川鉱業権者から話がありましたことに基いて、関西電力のこの補償の問題に対する考え方を聞いて、それで問題が解決すれば、当委員会はそれでいいのでございますが、もし問題が解決しなければ、あるいは前に参りました中部電力調査のごときものを適当にして、問題の究明をしなければならぬと思いますので、あとう限り早く関西電力の社長を参考人として委員会へ呼んで下さることをお願いしたいと思います。
  78. 上林與市郎

    上林委員長 その点は理事会で申し合せが済んでおります。きょうの結果でおきめ願うことにして、きまりましたならば、日時等は委員長に一任する、こういう申し合せでありますから、そのように取り計らいます。  それでは石川参考人には長時間御苦労さまでございました。退席してけっこうでございます。     —————————————
  79. 上林與市郎

    上林委員長 次に日本電信電話公関係について審査を進めます。  それでは、昭和二十八年度決算検査報告三六〇ページより三七二ページに至る報告番号二二二五号ないし二二三一号につきまして、審査を進めます。なお審査の都合もありますので、昭和二十九年度決算検査報告三六六ページより三八九ページに至る報告番号二二二四号ないし二二四二号をあわせて議題とし、まずこの分につきまして会計検査院当局より説明を求めます。
  80. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 二十八年度分についてはすでに御説明いたしておりますので、二十九年度について御説明いたします。二十九年度の検査報告に掲記しました事項は十九件で、工事に関するもの十二件、物件に関するもの六件、犯罪が一件であります。  工事につきましては、不急工事と認められますもの、過大施設と認められるもの等が相当あるのでございますが、工事を必要とする時期、所要量について十分検討して資金の効率的使用をはかる必要があると考えるのでございます。また物件につきましては、高価購入の事例が主でありますが、価格の決定に当りましては、原価の把握を十分にいたしまして、経費の節減に努める要があると考えるのでございます。  次に各案件について、説明いたします。工事計画施行が当を得なかったものでございますが、最初は二二二四号でございまして、これは青山分局を二万端子局とするなどのために、一億三千七百余万円で、青山電話局増築工事を施行したものでございますが、現青山分局の端子数は一万であります。この工事着手する当時収容加入者数の電話の申し込みがありましてまだついておりません積滞になっておるものを加えましても、五千六百名程度でございましたから、現局舎の端子数に相当余裕があったと認められるものでありまして、本件工事を取り急ぎ施行する必要はなかったと、かように考えるのでございます。  次は二二二五号で、横浜中央電話局鶴見分局の電力工事でございます。既設の充放電用二十キロワット電動発電機二台を撤去しまして、新たに予備一台を加え、四十キロワット三台を設置したものでございますが、充放電用といたしましては、二台を交互に使用して、所要の電流を十分にまかなえるものでございまして、予備の分一台約百九十万円は不必要であったと考えます。  次は二二二六号でございまして、館林電報電話局新設工事を四千四百余万円で施行しているものでございます。これは同局が狭いことと、交換方式を磁石式から共電式に改め、加入者の増加をはかるため、鉄筋コンクリート三階建延べ五百三十三坪の局舎を新築したものでございますが、同局の十五年後の加入見込数は二千名でありますから、公社の局舎設置基準によりますと、三百八十七坪で十分でありまして、工事の認証も三百八十七坪となっておりますのを、通信局独自に大きい局舎を設計し、施行したものでございまして、認証坪数によって施行した場合に比べて約千二百万円の開きができておるものでございます。  次は二二二七号で、地下管路の布設が過大となったものでございます。この工事は簡単に申しますと、地下管路二十条を布設したものでありまして、そのうち十条は中継線の収容上必要なものと考えられるのでございますが、他の十条につきましては、既設の幹線管路から収容がえするため施設したものでありまして、これは既設管路の一部分について、将来道路拡張工事が行われた場合に市電軌道が布設され、管理が廃止になるかもしれぬという予想をもちまして、既設の全区間の収容がえをすることにしたものであります。道路管理者側におきましては、道路拡張の具体的計画があったわけではございませんで、あわてて重要幹線を廃棄するような計画を立てることはいかがかと思うわけでございまして、必要な十条分をやったといたしますれば、本件工事は約四千六百万円過大施設考えられるのでございます。  次は二二二八号でございまして、千代田分局の電力施設工事でありますが、これは二十八年三月の同局の電力日誌による忙しい時期の電流を基準といたしまして、施設をしたものでありますが、二十八年三月以降通話の疎通をはかり、特に設備改善をしたため、工事着手三カ月前の二十八年十一月の当局の記録によりましても、一番電流を食う忙しい時期の電流はだんだん少くなっておりまして、これを基礎といたしまして、電力設備を考慮いたしますと、電動発電機百六十キロワット一台を増設しておるのでありますが、この増設工事は必要でなかったわけでありまして、その金額は約千百七十万円になっておるわけでございます。  二二二九から二二三二号の四件は、温湿度調整装置を過大に設置したものでございます。温湿度調整装置は、自動交換器のうち、スイッチ類を塵埃と夏季の高温多湿から保護する目的で施設するものでありまして、その設計に当って、局舎の面積、端子数、電力機器の容量等を基準としてきめるものでありますが、この基礎数値を過大に見積ったため、岐阜電話局、名古屋中央電話局東分局、同南分局で合計約九百七十万円の過大施設をしたものであります。また大阪北、三宮、浜町の各分局では本来の目的を逸脱いたしまして自動交換機器の設置していないすべての部屋までも温湿度調整することにして施設をいたしましたため、これをやめたといたしますれば、約五千七百万円が節約できたことになるわけでございます。  二二三三でありますが、これは勝山極超短波無線中継所新築その他工事のうち、工事費三千三百七十余万円で施行しました道路工事は、請負人が工事設計通り施行しないで、結局出来高が二百余万円少くなっておりましたのに、そのまま検収していた事態でございまして、その二百余万円相当額は返納になっております。  二二三四号、工事契約に当り一番札を排除して二番札と契約したものであります。これは四国電気、通信局で富岡電報電話局新築その他工事を公正協議により契約するに当りまして、一番札清水建設を排除して、約百四十万円ほど高い二番札の大林組と契約した事態であります。これは公正協議を開始しようといたしました際、一番札の清水建設が、工事費算出明細書を即時提出することができなかったため、契約の厳正を期するため一番札を排除したもので、一応の理由も考えられるわけでございますが、排除された清水建設は、公社の建築工事請負審査に合格しておりまして、資力、信用に欠けるところはないものでありましてしかも二番札との差が約百四十万円もあるわけでございますから、多少の協議時間を延長するなどの配意をいたし、経費の節減をはかることが望ましかったのではないかと考えます。  二二三五号は、局舎の建設に当り、建設費の決定が当を得なかったものであります。これは特殊なケースでありまして三宮電話局を建設するに当りまして、公舎の予算不足等を補うため、二十八年五月公共建物株式会社と協定を結びまして、同会社の資金で電話局舎と同会社の一般事務室との総合ビルの工事を施行させましてこの建物のうち、公社の建設費は数年間に会社に支払うこととしたものでございます。しかして公社の支払い総額は、工事費四億二千五百余万円と、その管理費二千二百余万円及び二十八年十月から二十九年十月までの間に、同会社が公社の保証を得て金融機関から借り入れた四億二千万円の二十九年十二月十五日までの金利二千六百余万円の合計額四億七千五百万円と決定いたしまして、二十九年度中にそのうち九千五百余万円を支払ったものでございます。しかし金利負担について考えてみますと、前に申しました借入金四億二千万円は、何回にも借り入れておりますが、この借入金と会社が実際に工事資材等に支払った金額を公社分と会社分に分けて対照してみますと、借入金の一部が会社分の支払い資金にも回っている結果になっているわけでございまして従って借り入れ資金の金利全額を公社が負担することは不合理と考えられますので、これを実情に即して会社に負担させることにいたしますと、金利二千六百万円のうち約四百万円を節減することができると考えられるわけでございます。  次は物件でございまして価格の決定が当を得ないものであります。最初は二二三六号でございます。日本電気株式会社外二会社からA型度数計二十三万八千余個を三億二千百余万円で購入しておられますが、その一個当り単価は、一千三百六十六円または一千三百四十九円となっております。私の方で販売原価及び下請価格を調査しました結果は、大体一個当り千百八十一円程度考えられまして、総額で約四千万円が高価ではないかと考えられるわけでございます。  次は二二三七号でございます。これは久保田鉄工所外二会社から七十五ミリ及び百ミリの鋳鉄管十八万余本を五億六千余万円で購入しておられますが、その一本当りの単価は、ときによって違っておりますが、七十五ミリは二千八百円または二千七百円でありまして、百ミリは四千四百四十円、四千二百九十円または四千百三十円となっております。その価格の決定に当りましては、統制撤廃直後の統制価格等に主要材料であります銑鉄の価格の変動等を加味しまして定められたものでありますが、十分な原価計算等は行われていたものではございません。私の方で、東京都における水道管の購入事例その他の調査によりまして、七十五ミリの購入価格二千八百円は二千五百七十六円くらいで、また百ミリの購入価格四千二百九十円は三千九百八十三円くらいでよかったのではないかというふうに考えられましたので、かりにこういうことで計算いたしますと、総額で約四千万円の大差があるわけであります。  次は二二三八号であります。四号型電話機四十四万一千六百三十台を二十五億三千三百余万円で購入しておられますが、予定価格の積算に当りまして、荷作り梱包が実際は木箱を使用しないものがあるのに、全部木箱梱包として積算をしたり、運送費を過大に積算しておられるなどのため、約二千二百万円が不経済となっている事態であります。  二二三九号は各種端子箱を購入するに当りまして、前の二二三八号と同じように、実情に即しない荷作り梱包費を予定価格に積算いたしましたため、約七百十万円が高価になっている事態であります。  次は二二四〇号の小型電話番号簿の購入に当って不経済となったものであります。小型電話番号簿二万六千部を千三百余万円で製作させたものにつきまして、この印刷原版を写真植字によったものでありますが、印刷の基本となります保存原版、すなわちプルーフ原版が使用し得る状況にあったものでありますから、これを利用することといたしたならば約四百万円が節減し得たと考えられるわけであります。  〔委員長退席、片島委員長代理着席〕  次は二二四一号の不必要な電話機盤を購入されたものでありますが、二十九年九月から三十年三月までの間に、日本電気株式会社から搬送端局装置百二十九台を購入する際、仕様書改訂のため購入の必要のないと認められる三号A型電話機盤百二十九個を付属させて購入したため、約三百六十万円が不経済となったものであります。  次は不正行為でありますが、全体の金額は五百八十八万余円になっております。  以上であります。
  81. 片島港

    ○片島委員長代理 この際日本電信電話公社当局より、特に説明があればこれを許します。
  82. 梶井剛

    ○梶井説明員 日本電信電話公益といたしまして一言御説明申し上げたいと存じます。二十八年度につきましては、前国会で当委員会の席上におきまして一応申し上げましたので省略いたしまして昭和二十九年度分につきまして申し上げます。  〔片島委員長代理退席、委員長着席〕  政府説明書にも書いてあります通り、昭和二十九年度は異常なデフレ経済に際会しましたが、当公社におきましては、予定収入に対して減収の形勢が察知されましたので、種々の増収対策、経費節約の強化措置を講ずるなど、各部門が真剣な努力を傾注しました結果、前年度に比べてかなりの利益を上げることができた次第でございます。  しかしながら今後の見通しを大ざっぱに申し上げますと、財産除却費、減価償却費などが、施設の取りかえや増加に伴って増大して参りますし、また電信電話債券利子の支払いも増加してきますので、現在程度の利益率の維持についてはかなり懸念もありますので、今後も収支差額の改善には一そうの努力をする所存でございます。  建設工事は、電信電話拡充五カ年計画の第二年度として、各部門の総力をあげて工事計画の達成に努めました結果、検査院よりも進捗率は良好であるとのおほめの言葉をいただいておる次第でございます。しかしながら、何分工事量が膨大で、かつ多種多様にわたっておりまする関係上、検査報告に指摘されましたような事例も発生した次第でありまして、この点はなはだ遺憾に存じておる次第であります。  指摘されました事項は実質的な内容の問題と手続の問題に分けられると存じます。実質的な内容の問題といたしましては、さらに過大とか、必要性とか時期等の問題に分けることができると存じます。  過大の問題としましては、二二二六の館林電報電話局舎、二二二九から二二三一までの温湿度調整装置などの件であります。  必要性の問題としましては、二二二五の鶴見分局の電動発電機、二二二八の千代田分局の電動発電機、二二三二の全館温湿度調整などの件であります。また、おもに時期に関する問題としましては、二二二四の青山分局の局舎増築、二二二七の横浜市内の地下管路の件などであります。  手続の問題としましては、契約の締結、履行に関するものでありまして、二二三三の勝山中継所の道路工事、二二三四の富岡電報電話局の入札などの件であります。  このような御指摘を受けましたことはまことに申しわけないことと存ずるのでありまして、特に二二三〇及び二二三一の名古屋東分局及び南分局の温湿度調整装置の過大、二二三三の勝山中継所の道路検査の不適正などにつきましては、担当者の不注意によるものでありまして全く御指摘の通りであります。  しかしながら、工事関係で御指摘を受けました十二件のうちにも、公社としまして、当時相当慎重に検討して決定したものではありますが、遺憾ながら御指摘を受けるような結果となったものもございます。たとえば、二二三四の富岡電報電話局の入札などの件であります。  次に資材の調達管理及び運用についてでありますが、貯蔵品在庫量の減少、整理品、事業品の活用については前年度より努力を傾注いたしました結果、検査院よりもお認めにあずかりましたことは、検査報告書に記載されておりまする通りでございます。  しかしながら、通信資材の購入価格につきましては、御指摘をいろいろと受けている次第でありまして、まことに遺憾とするところでございます。この通信資材と申しますものは、電線、機械の両方にわたりまして何分多種多様でありまして、約三万点余の種類にわたっております。従って適正な価格の把握には努めて参ったのでございますが、今後は特に毎年度多額に購入する物品につきましては、原価構成要素を一そう十分に検討いたしまして、改善をはかる所存でございます。  実は公社といたしましても、資材問題につきましては量的な問題が一応合理化されましたので、今後価格に重点を置くべく、三十年八月より資材局に原価調査課を設けましてもっぱら調査改善に当らせておる次第でございます。指摘された事項はほとんど価格の問題でありまして、ただいま御説明申し上げましたことによりまして御了承をお願いいたす次第でございます。  なお必要性の問題としまして、二二四一の電話機盤の購入の件がございますが、これは部門間の連絡の不十分によるものでありましてまことに遺憾であります。  最後に不正行為についてでありますが、このような事故が職員の中より起きましたことはまことに申しわけございません。御指摘を受けました八件のうち、内部監査、自治監査等の内部牽制組織により発見いたしましたものは五件、外部よりの申告または注意によりまして発見いたしましたものは三件であります。このように、内部牽制組織の活動によりまして事故を発見し、以後の発展を食いとめたものもかなりありますので、今後は内部監査、監察等をますます強化いたしまして、このような事故の絶滅を期する次第でございます。また本件の当事者はもちろん、監督者も厳重に処分いたしますとともに、鋭意損害の回収に努めておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、概略を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど御願い申し上げます。
  83. 上林與市郎

    上林委員長 以上をもちまして会計検査院並びに電電公社当局の説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑の通告がございますのでこれを許します。吉田賢一君。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 電信電話公社が五カ年計画をお立てになって、二十八年以来いろいろな方面に御努力になっておるようであります。ついては検査院の御報告は、二十八、九年を通じまして、五カ年計画に伴って行われつつある工事事項に一つの重点があるように見受けられます。よって私は主としてこの際工事を中心に伺ってみたいと思うのであります。  第一に伺いたいことは、御説明によれば、昭和二十八年度を初年度といたしまして、電信電話拡充五カ年計画が推進せられておるようであります。ついては、これが所要資金の総額、それからその資金の部外資金の比率などについて、まず御説明願いたいと思いまする。
  85. 梶井剛

    ○梶井説明員 数字にわたりますので、恐縮ですが……。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総額でいいですから……。
  87. 梶井剛

    ○梶井説明員 つまり五カ年計画におきまして、今日まで建設資金としてどういうふうな総額が得られたかということをお答え申し上げればよろしいのでございますか。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 五カ年計画実施に要する資金の年次別内訳と総額、それからその調達の方法、こういうことになりますね。あなたおわかりにならなければ経理局長でもよろしいです。
  89. 梶井剛

    ○梶井説明員 あいにくと内訳の詳細に持っておりませんので、経理局長かり御説明いたさせます。
  90. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げますところの詳細な資料は全部そろえてはございません。きょうはそういう御質問に対して不用意で準備しておりませんから、概略だけ申し上げますと、五カ年計画の所要資金の総額は二千七百七十二億であります。昭和二十八年度を第一年度といたしまして、昭和三十二年度に一応第一次計画が終結する、こういうことになっております。そこで昭和二十八年度におきましては、その所要資金全体の二千七百七十二億の中で初年度におきまして四百六十一億、それから二十九年度が六百十億、三十年度が五百七十九億、明年度の三十一年度が五百六十九億、最後に五百五十三億、これは昭和二十八年の春に私どもが想定いたしました素案でありまして、その間予算の御承認などによりまして資金事情が相当変化いたしました関係上、実際上かなり減って参っております。資金の内訳は全部……。
  91. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 調達の方法、全部でなくても概略でよろしい。
  92. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私どもの資金調達の内容は、大ざっぱにいって、外部から依存します外部資金と、それから内部資金と、こういうふうに区別することができると思います。内部資金というのはどういうものをいうかといいますと、まず一番大きいものは減価償却費の引当金でございます。それからその次に大きいのは二十八年度に料金値上げを御承認いただきまして、私どもわずかながらの収支差額というものを出すことができまして、これを設備の改善、拡張に向けよう、わずかな金額でございますが、これが第二番目でございます。そこで外部資金と申しますと一番大きいものは、はっきりしておりますのは公募債券でございます。その次には法律によって、ただいま国会にも上程されておりますが、加入者から債券を引き受けていただきましていただくお金、それから設備負担金をちょうだいするお金、東京で申しますと六万円の債券と三万円の負担金を合せて九万円をいただいておる。これを資金に充てるわけでございますが、この金が主たるものでございまして、その他予算総則の弾力条項によりまして、加入者の債券あるいは負担金等で増がございます場合には、予算の増加を監督官庁から認可をしていただくという規定になっております。
  93. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今仰せのは概略でありますから、それはもう少し精密なものを資料として文書によってすぐ当委員会へお出しいただきたいと思います。
  94. 秋草篤二

    ○秋草説明員 はい。
  95. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから今の外部資金は、所要資金総額の何ほどの割合を占めますか。これも大体の割合でいいです。
  96. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。大ざっぱでございますが、計画におきましては自己資金の割合が約七〇%、それから外部資金の割合が約三〇%、こんなふうに構成されております。
  97. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと外部資金は所要資金の総額二千七百七十二万円の三〇%とすると八百億円前後になるわけですね。  次には検査院の報告書によりますと、建設工事費なる勘定が出ておりまするが、このうち局舎などの建物の建設費は二十八年、九年並びに三十年も一つ加えていただきたいが、何ほどになりますか。この二十八年度の報告書によりますと、三六一ページに「建設工事について」として二十八年度の建設勘定の予算額は六百四十四億三千九百余万円、そのうち前年度からの繰越額が百二億四千七百余万円、支出済みの総計が六百五億八千七百余万円で、三十八億五千余万円を翌年へ繰り越し、不用額百余万円、こういうことになっております。それから二十九年度につきましては、同じく建設勘定の予算額五百七十四億千百余万円、前年度からの繰り越しが三十八億五千余万円、支出決定済み額が五百十九億三千三百余万円、三十六億五千二百余万円を翌年度へ繰り越し、十八億二千五百余万円が不用、こういうことになっております。おそらく大部分はこれは建築建物でないかと思いますが、建物が重要な部分を占めておるものと思うのでありますが、要するに両年度並びに三十年度について建物建設費は金額にしてどのくらいになりますか。これはもしすぐに御説明できなければ、また資料として文書で出してもらってもよろしゅうございます。概略を願えれば、概略述べておいて下さい。
  98. 秋草篤二

    ○秋草説明員 二十八年度、九年度、これは決算がございまして土地、建物を含めまして年七十ないし八十億程度でございます。
  99. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二十八年と九年ですか。
  100. 秋草篤二

    ○秋草説明員 二十九年もそんなものでございます。これは詳細な数字あとでお届け申し上げます。
  101. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三十年もそんなものですか。
  102. 秋草篤二

    ○秋草説明員 三十年度は目下工事中でございますが、一月分の速報程度のものはわかりますが、まだ三月末突っ込みの決算がどうなりますかわかりませんが、やはり八、九十億になるのではないか、少しふえるのではないかと予想しております。
  103. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからついででありますが、二十九年度報告三六七ページの終りから第四行目の下に十八億二千万円が不用額となったということになっておりますので、この不用額の内容を一つ書面でお出し願っておきたいと思います。  そこでこの建築の経費がここ数年間、年間七十億円から九十億円ぐらい出されておるようでございます。これはまことに重要な経費でございまするとともに、検査院におきましても幾多の例をこれは指摘しておるのでありますから、少し問題を究明しておかなければならぬと思うのです。ここで伺いたいのは、二十八年度分につきまして報告番号が二二二七、三六七ページであります。これは九州鳥栖電報電話局の新庁舎が長期間遊休しておるという問題であります。工費は二千五百九十二万一千円をもって二十八年十月に着工し、二十九年の六月に局舎は完成いたしております。中身の電話各般の設備が整わず、局舎のみ先んじて新築せられて、遊ばしてあるという事実であります。これはただいま総裁の御説明では簡単で、われわれは内容についてまだ十分に納得しがたいのであります。この原因はどこにあるのでしょうか。つまり局舎の建築というものと、それから電話機械の設備というものと、少くとも両者、調達建設等とが並行していかなければ用をなさないはずであります。家は建ったけれども、人間はまだ北海道におるということでありましては、これは住宅の建築計画としては、実にずさんであると言わなければならぬ。この場合に、どこにその原因があったのかということを、端的におっしゃってもらいたいのであります。これらの問題は、相当重要な性質を持っておりますと思われる点を指摘して伺っておりまするので、こまかい事務的のことはいいのでありますから、できるだけ責任のある総裁が御答弁願いたいと思います。もしおわかりでない点があったら、事務当局でけっこうです。
  104. 梶井剛

    ○梶井説明員 鳥栖の電話局につきまして、かくのごとく一年間も遊休さしておりました根本の原因は、部内における連絡の不完全ということが原因でございます。この鳥栖の電話局は、磁石式の電話機でありまして、現在すでに行き詰まっておりますので、改式をしなければならない。改式をするのにつきましては、共電式交換機に改式すべきか、自動式交換機に改式すべきかということにつきまして、なかなか意見が一致を見ない。それにもかかわらず、建築が着工されてしまったという状態になりましたために、非常にまずいことになりまして、かくのごとく一年間も遊休状態に置いた、こういう結果になっております。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかし考えてみれば、共電式にするのか、あるいは自動式にするのかということは、建築の着工以前に決定すべき重要な問題だろうと思います。建築の金額と中身の設備の金額と比べて、むしろ中身の設備の金額の方が大きいと承わっております。このような重要なもの、特にあなたの方の電信電話五カ年計画なるものは、新技術の導入の必要を痛感して、合理的に計画した継続事業として、電信電話の拡充をはかろうとする、こういうことをおうたいになっておるのであります。こういう点から見れば、何の式によるかというようなことは、どこで協議になるのか知りませんけれども、意見の一致を見ずして今日に至ったということは、それは総裁の言葉としてはどうも受け取りがたいのであります。だれが一体意見の最終的な裁定をするのですか。あなたが最終的にいずれにか方式を決定する責任が、少くとも外部に対してはあるのではないかと思うが、それはいかがですか。
  106. 梶井剛

    ○梶井説明員 先ほどお答えいたしましたのは、ちょっと勘違いでありまして、誤まってお答えいたしました。これは磁石式でありまして、それを現方式、つまり磁石式のままで移転さして差しつかえないという本社の考えであったのであります。ところが現方式で移転する場合におきましては、その建築並びに工事は、通信局に委任されております。でありますから、通信局の工事としてこれを着工したわけでありますが、その際通信局は、どうせ磁石式でやりますと、加入者の収容の限度が約千名くらいに限定されますので、たとい現方式に移転いたしましても、間もなくまた他の方式に変えなくちゃならぬかもしれないということを臆測いたしまして、そうして将来共電式または自動式に改式できるようにという配慮のもとに、局舎の建築をやったわけであります。ところがそれが後にわかりまして、本社としては現方式に移転をするつもりであるからということのために、かくのごとくおくれて遊休状態になってしまったというわけであります。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは当初一ヵ年遊休しているとおっしゃったけれども、これは二十九年の六月に竣工して、現在なお遊休しているというのが真実じゃないですか。
  108. 梶井剛

    ○梶井説明員 お話の通りでありまして、実はこの問題はその後本社と通信局の間に再三協議いたしまして、究極において自動式によって開局をするということが是認されまして、そして現在もうすでに自動式に改式することになって着工しております。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 昭和二十九年から計算すると、現在はすでに一年と九カ月経過しているのであります。着工の際からみれば四年越しになっているのであります。そこで何局と何局との間の委任か協議か、それは詳しくはいずれにいたしましても、あなたの方が強力なる、統一的な態勢のもとに全国の電信電話の拡充計画を推進する上におきまして、部局の間の協議、意見が整わずというような理由によって数年間も重要な局舎が無用のまま放置されるということは、重要な物資の管理から見ましても、私は捨ておきがたいことでないかと思うのであります。そういうような自動式が適当であるのかいなやというようなことについては、夜に日を継いでそれぞれ意見の調整、方針の決定に努力するというふうにしなければならぬと私は思うのです。この調査報告書が出ましたのは一昨年の十二月のことなんであります。今ようやく自動式によって着工の緒についたというようなことは、しかも一年数カ月たってそういうことでは、これはまさに大きな怠慢ではないかと思うのですが、一体そういうことはどういうところに原因があるのであろうか。あなた方最高の電電公社の責任者、幹部諸公の手によって、こういうことを、すみやかに統一的な意見調整もできないというようなのが組織の実態であるのか。あるいはそういうような辺は組織の問題以外に、機構制度の問題以外に、何か原因があるのかどうか。どうもわれわれはふに落ちぬ。もしこれが民間の会社の事業であるとするならば、会社の事業で数千万円の資金を投じて重要な工場を建築して、どういう設備の機械を入れていいのか、あるいはドイツ式がいいとか、あるいは在来の日本式がいいとかいうようなことで、日を送っておるというようなことでありましたならば、まさにその会社は破産いたします。あなた方の電電公社は、莫大な部外金を使い、国家の一般会計等の援助も受け等々して今日まできているわけでありますから、破産することはないのでありますけれども、こういう事態がもし民間の工場、会社であるならば、まさにそれは重役の責任問題、こういうことすら実は考えられるのでございます。どこに一体そういう原因があったのであろうか。これが出てから一年と四カ月になりますが、その間もなおきまらず、最近自動式によって着工の緒についたというようなことは、どうも私どもはふに落ちぬのですが、その原因を一つ端的に御答弁願いたい。
  110. 梶井剛

    ○梶井説明員 これはただいま申し上げましたように内部の連絡が悪かったということが根本原因でありますが、公社になりましてから各通信局長に限界をきめまして委任事項を定めたわけであります。その委任の場合に、今申し上げました通りに、現方式のまま移転する場合においては通信局において施工してもいいということであったために、通信局は現方式という方針のもとにやられておったわけであります。しかしその当時の通信局長自身の見解といたしましては、現方式で移転するならば、その後にまた他の方式に改修しなければならぬという見解のもとに、委任事項の範囲に対しての誤解があって、そのまま着工してしまったというふうに思われるのであります。その後この局舎というものは、もちろんできましてから直ちに方式を決定してやるべきはずなのでありますけれども、自動交換方式によって開局する場合と、磁石式、つまり現方式によって開局する場合とでは経費の上に非常な相違があるのであります。そのために予算の都合上から考えますと、自動交換方式で開局するとするならばこれは少し早過ぎる。現方式で移転するならばそのときでちょうどよかったという時期の食い違いが生じましたのでそのために内部を自動交換方式にするのにつきまして予算の差し繰り等のためにその年度においては実行できないということになってしまったわけであります。それが三十年度におきましては、もはや自動交換方式にすることに決定いたしましてすでに着工いたしました。本年の五月には開局をする運びになっております。またその局舎完成後におきましては、もちろん機械その他はまだ装備しておりませんでしたけれども、その中で事務、営業でありますとか、あるいはその他局舎の内部に直接関係のないところは全部移転いたしまして現在の狭隘な局舎は幾分とも緩和されたというふうになっておるのでありまして全くのあき家として放置しておいたのではありませんで、そこには事務関係の者はみな移転して入っておる、こういうわけであります。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もちろんあき家にしておけば用心も悪い。これはあちらへ昨年施設しましたときに、駅から見た建物じゃなかったかと思うのでありますが、それは人間がおったか、番人がおったか、事務をとっておったか存じませんけれども、全くあき家でほうっておいたと同じことであろうと判断せざを得ません。それは単に御弁解にすぎません。要するにこの問題につきまして通信局長への委任事項というものについて、委任の範囲を越えて工事計画したという点に一つの大きな誤まりがあるのじゃないかと思われますが、同事にまた委任の範囲を越えておったけれども、委任を受けておった通信局長考え方が実際に適正であって、自動交換方式を採用するに至ったというようなことでありますので、要するにこういう点は工事が中身と入れものとが跛行的に計画をせられたという一つの案件と私は見ておるのであります。おそらくはこういうことは随所に出てくるだろうと思います。次に聞きたいと思う青山の分局の問題についてもそういうことが感じられるのであります。これは一つのケースといたしましてやはり個々に通ずる重要なものがあると思いますので、総裁の深い御考慮を促しておきます。五月に開局の運びに至るということでありますから、この程度にとどめておきます。  それから物件について少し聞きたいのですけれども、これは二十九年度も大体性格は共通したものがあるようでありますので、あえてこの際御質問を申さないことにしておきます。  工事の点でありますが、重要なことは、二十九年度に現われました青山分局の建築の問題、三七〇ページの二二二四番であります。これは一億三千七百四十九万五千六百円となお資材が六万一千余万円をもって増築が計画せられたのでございます。ここで伺いたいことは、実は私も今日この実物を見せていただいたのでございますが、まことに堂々たる建物でありますけれども、いかんせんがらんどうでございまして、全くその用途のためには使用されておらず、いたずらに一億数千万円の大切な建築資金が投ぜられたままあるというのが実情なのでございます。これにつきましてもあなたの方としては説明書にいろいろお書きになっておりますから、言い分があろうかと存じますけれども、第一にこれの最も大きな原因として指摘すべきものは何であるかということについて、端的に御答弁を願っておきたいと思います。
  112. 梶井剛

    ○梶井説明員 青山分局の増築問題につきましては、すでに青山分局は一時廃止の状態になっておりましたが、その後その局舎が改修せられましたために、あそこに自動交換局を開局したのであります。従来自動交換局は保守上温湿度調整装置を持ちませんと、日本のように湿気の高い国におきましては梅両期に故障が頻出するのであります。旧局舎は昔は手動交換機であったために温湿度調整装置が全然ないのであります。でございますから、今度それを自動交換に転換いたしました際に当然温湿度調整装置をつけなければならなかったのであります。しかし温湿度調整装置をつけるべき場所が局舎の内部には余裕がないのであります。従って将来のことをも考えて局舎を建てる、その地下室に温湿度調整装置を作りまして、そして今までの局舎の湿度を調整しようという考えのもとにこの工事は施工せられたのであります。建物そのものにつきましては、もちろん温湿度調整装置をいれるだけの容量のものができておればいいわけであります。しかし建物を建築します際に、機械その他を内部に装置してその上にさらに増築をするということは相当の困難を伴うのであります。ことに青山局舎の中に将来におきましては二万の端子局を収容するという計画のもとに進めておりますので、——局舎というものは大体欧米各国におきましても十五年先までは手をつけなくてもいいだけの容量に建てるのが普通になっております。そういう意味におきまして、この設計をした人は、当然温湿度調整装置を地下室に入れると同時に、その上に今後十五年間にわたって加入者を収容し得るだけの容量の建物を設計し建築したというわけなのであります。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしあなたの方の基本的な方針は五カ年計画になっております。十五カ年の間のいろいろな見通しとかあるいは需給関係、そういったものを織り込んで局舎に数億円を投じるということは、これは計画にないんじゃないかと思う。もしそういうような、十年も十五年も先のことまで考えて五カ年計画をお立てになったというのであるならば、私は資金計画においても、また五年間の年次計画においても、それぞれまた別個に批判をせられていかなければならぬと思う。建物だけ十五カ年間の計画を織り込むというようなことは、常識上考えられません。第一欧米がどの程度に進歩し、設備が充実し、あるいは経済が安定しておるか存じませんけれども、いずれにしても、日本の現在の経済計画にしてもあるいは政府の財政計画にしても、最長五カ年ないしは六カ年、十五年間の計画というようなものはありません。また物価の変動、貿易の変化等も考え合せましてそう簡単に遠い将来のことをおもんぱかっていろいろな計画を織り込むことは危険であります。また御承知の通り、そういう計画を立てるだけに数字的資料は日本ではできません。一切が経済企画庁において作ったいろいろな資料をもとにして国の計画は立てられております。民間の調査、民間の資料といっても、それとても同様であります。せいぜい二、三年というのが関の山。だから農林省においても、その他におきましても、五カ年計画は何べんもやり直しておる。五カ年計画でもそれですよ。十年以上というようなことは想像のほかですよ。世界中にそんな国があるのかと私は思う。それは部分的に、技術的に、ある固定した問題を扱うというときは別ですけれども、今聞けば三割も外部資金を使っていくのでありますし、赤字克服のためにいろいろ財政的な方針が新たに計画されたのであります。いわば非常事態に直面して五カ年計画は立てられたものと思うのです。そういうようなときに、十年、十五年というような遠い将来のことを織り込む建築計画というものは、これはもうずさんと申さなければならぬと思う。一体ほんとうにそんなことをお考えになっておるのでしょうか。実に私は総裁の言とも思えません。そういうことは普通考えられませんが、どうでございましょう。
  114. 梶井剛

    ○梶井説明員 仰せの通り、事業の拡充計画としましては五年計画をやる以外にないのであります。これは五カ年でも適切であるかどうかということは、その国の経済事情の変化によって判断せらるべきものでありますが、われわれは大体第一次五カ年計画、第二次五カ年計画、第三次五カ年計画と、五カ年ごとに刻んで計画を立てていくというもくろみを持っております。しかしただいま申し上げましたように、建築物というものは、火災等の関係上、自然コンクリートの建物を作らなければならぬ。そのコンクリートの建物を作ります際に、あとから増築するということは、機械の配置等からいいまして、非常に困難をしておる例が幾つもございます。今日市外の電話局等でも、あるいはその他荏原の電話局というようなものは、みなあとから増築しましたために、保守上非常な困難をし、また人員の配置も非常に不経済なことをやっておるのであります。そういう関係上、欧米各国とも、実施計画というものはなるほど五カ年くらいにいたしますけれども、一つ一つの見通しといたしましては、十五年先までの発達の調査をしておきまして、そうしてこの程度に十年、十五年はなるだろうと見込んで、その規模を大体決定しておるのでありまして、十五年先が正確だという意味では毛頭ありませんけれども、発達調査は十五年先までを見る、それによって一つ一つの規模については十分勘案する。しかし拡充計画としましては、大体どこも常識的には五年の計画をもってやることになっております。このことはかつて逓信省時代に、毎年予算編成をして政府予算として出しておりましたときでも、局舎の設計というものは、十五年間の将来の発達調査をいたしましてそれによって規模をきめておりました。しかし日本の国は欧米各国と違いまして、非常に発達の速度が早いのでございます。従ってわれわれがいつも十五年先には大体これで一ぱいになるだろうと思うやつが、大体十年とか、それよりも短時日の間に一ぱいになる傾向が見えます。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは、たとえば例をあげればスエーデンのごとく、国の財政も豊かで、国民個々の生活も安定しておるというような国なら別でありますけれども、一体わが国におきましては、電信電話事業なるものが独占されておる。これがいいのか悪いのかはともかくといたしまして、さきに御説明になりましたごとくに、東京において電話一本引こうと思えば、債券を買わされ、設備資金を負担させられ、九万円の金を出さねばならぬということになるのであります。そんならば、あのがらんどうの何億円の建物——そのうちの何割ががらんどうに該当するのかは、まだ承わっておりませんから、これは一応別にいたします。いずれにしても、温湿度の調整設備が地下にできておりまするのも私見て参りました。見て参りましたが、二階以上の建物というものは、やはり都民の電話債券の六万円があの中に遊んでおるということを一つ念頭に置いておいていただきたい。もし一億円の都民の金を出さしてそして数年間遊ばすようなものを作るということであるならば、今日国民の住宅建設の問題なんかで悩みはしません、そういうことが楽にできる国であるならば。四十万戸作るとか四十四万戸作るとかいうて今政争の一つの焦点になっておるではありませんか。六畳の部屋がとれないということで、ほんとうに死ぬような思いで暮しておる人があるのが今日の住宅の実情でございます。だから欧米各国において十年、十五年の将来を見通して計画を立てて数年間がらんどうで遊ばしておく建物を建てても、欧米においては不思議でない国もあるいはあるかもしれぬ。しかし最近のアメリカあたりにおきましても、たとえば戦後のフーバー委員会において 一枚の紙でも役所は節約すべきだという一つの考え方から、行政に対するいろいろな調査が行われたことを御承知と思います。だから世界を支配するような経済力を持っておるアメリカにおきましても、やはり節約はしておると私は思う。金もありもしないで貧乏で困っておるような日本の国が、十年も十五年も後のために考えて、数年間遊ばしておくような建物に何億円の金を投じるというようなことは、何としても国民には納得ができぬのであります。私はあなたのお考え方の半面はわかるのです。なるほど、さらに二階を作り三階を作るというような場合には、建築経済の上で若干不利だというようなこともあろうと思います。あろうと思うけれども、住むに家ない都民が、あの膨大な建物を、がらんどうで遊ばしておくようなものを見て、あれが自分たちの税金で建てられたのだ、あれがわしらの電話公債の金で建っておるのだというようなことを考えてごらんなさい。そんなことを考えたら大へんですよ。世人は知らぬからいいのです。知ったら大へんですよ。そこですよ、お考え願いたいのは。だから政治というものがあるのでありまするから、ただ単にあなたの方の狭いお考え方で経済的の損益だけじゃなしに、なるべくそういったものにむだがないようにするというのが、私は電電公社をお頂かりになっているあなたの御責任だ、こう思うのです。だからこれらのことにつきましてもう少し精細に伺うことにいたしまして、青山の分局の問題について何かもっと資料があるだろうと思いますから、これは文書で一ぺん出していただきまして、そうして私はもっと論議をしておかなければいかぬと思うのです。あなたのお考え方だと、あれを建てて遊ばしておくのは何も悪くないのだ、別に批難さるべき筋はないというお考え方がそこにひそんでいるのではないだろうか。時期の問題として最初に御指摘になっておりましたが、その内容は今の御説明で少しわかるのでありまするけれども、そういうような簡単な考え方にしましては事あまりに重大な一つの案件であろうと私は思います。ことに年に百億に近い建築金が予算として執行されておる現状にかんがみまするときに、私は建築物をお作りになる方針としまして、十分にこれは論議を戦わしておかなければいかぬと思うのであります。あなたのお考え方がほんとうに正しいのか、われわれの批判が正しいのかということは、十分にこれは論議を尽していくべき問題であろうと思います。これは一応問題を保留はしておきますが、御意見があれば、この際一応伺っておきます。
  116. 梶井剛

    ○梶井説明員 資料は、仰せの通り作成いたしまして提出いたしますが、今の御意見に対しまして、私は概念的なことをお答えいたしたのですが、実はわれわれは欧米と日本との事情の違っておることもよく承知しておるのであります。従って私どもは十五年先までやるということは、日本としては適当であるかどうかについて相当疑問がある。でありまするから、むしろその中間、つまり七年半、まん中ぐらいを目標にしてやっていってそうして情勢の変化に応じてさらに建て増しするなりあるいは建て増ししないと判断した方が適切ではないだろうかという考えを持って、幹部にはそのことを申しておるわけであります。この会計検査院からの御指摘がありましたことにかんがみまして、私どもはさらにこの問題についてはもっと十分に検討いたしまして、そうして今仰せの通り、一方において住宅がないというような日本の現状にかんがみてわれわれがたとい建築上経済でありましても、さようなことをあえて敢行すべきであるかどうかということをさらに反省してみようという考えであります。
  117. 上林與市郎

    上林委員長 片島港君。
  118. 片島港

    ○片島委員 二十九年度の問題について、一、二お尋ねしたいのでございますが、この電電公社の電信と電話におきまして電話は二十九年度において二百四十三億円の黒字、電信は百三億の赤字、こういうふうになって出ておるのであります。そうしてまた会計検査院の方でも電話はもうかるもの、電報はもうからないものというふうにちゃんと指摘をしておられるのでありますが、この電信事業というものは、外国の例などによってみましても、必ずこういうふうに赤字が出ることにきまっておるものでありますか、どうか。そうして電信事業の赤字というものは、一緒に抱き合してやっておる電話事業が、今までも、それから今後未来永劫にその赤字を穴埋めをしてやらなければならぬというような性質のものであるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  119. 梶井剛

    ○梶井説明員 電信事業につきましては経営形態の相違もありまするけれども、アメリカは黒字であります。その他の国はみな赤字でございます。電信の赤字の根本の原因は、大体各国も同じ事情であろうと思いまするが、施設を機械化することが非常に困難である。後って人件費が相当多額の部分を占めるということであります。ことに電話のように自動交換にいたしますると、多くの人を使わぬで二十四時間サービスが十分できますが、電報の方は、たといいなかの方で一日に二、三通というような電報の場合におきましても、やはり二十四時間サービスをいたしますために、当然受け付ける人、電報を打つ人、さらに電報を配達する人というものが三交代によって勤務しなければならない。そのために二十四時間サービスをすることによって人件費が非常に大きい部分を占めまして、そうして経営がどうしても赤字になるということを免れない状態にあるわけであります。従ってこれを節約してできるだけ機械化するという意味におきまして、電信の中継を自動交換によってやるという方式を今日本ではだんだん採用しつつあるのであります。  ただこれを採用する際にわれわれが考慮しなくてはならぬことは、労働問題、たとえば東京のような大きな電信局の中継を自動化いたしますと、約千人の人が不要になる。そういう場合におきまして、一方において電話の需要はだんだん伸びていきますから、人は決して減るわけではないのでありまして、できるだけ電信で不要になった人を電話の方へ、訓練をしかえまして、配置転換をするという方法によって人に不安を与えないように努めておるわけであります。かような処置を講じまするためには、全く今までなれてない仕事に、再訓練しましてそれが他の方へ配置転換されるということになりますために、相当の時間が必要でありまして、それをあわせ行なって初めて労働不安もなく、また事業もだんだん改善されていくという意味におきまして、今日そういう順序を踏んで自動中継化をしておるのであります。  また配達その他につきましては、もちろんわれわれとしましては多くは歩いて配達するのではないのでありまして、自転車、バイクモーターあるいはオートバイというような速度の早いものを使いまして人をできるだけ少く済むようにする、あるいは電報の配達の集中をやる。一つの都市において幾つも電報局がありますときに、その中央の局に集中しまして、そこでやりますると、電報通数に対する人の割合というものは割合少くなる。こういうようなことをしてだんだんに合理化をして、赤字を少くしていきたいという考えでおります。  ただアメリカはなぜ電信が赤字でないのかということを申しますと、アメリカではこれは、アメリカの電話電信会社がすべての設備をしておりまして電報業務そのものはアメリカ電話電信会社の設備を借りて、営業だけをやっておるのであります。でありまするから、比較的投資額が少くて済む、そうして経済的にいくということと、もう一つは、アメリカは国が非常に広いものでありますから、電報料金が、ゾーン・システムで地域を幾つにも分けておるので、全国一率の料金でない。日本も細長い国でありますから、もしこれがゾーンにでも改められれば、もう少し料金が合理化されるということになるわけであります。多年ゾーンでなしにやっておりますので、これをゾーンに分けるということにつきましては、十分の調査を経た後やりたいという考えを持っておるわけであります。アメリカはそういうわけで電信事業が赤字でないのであります。しかし大体の傾向としましては、通信機関がだんだん普及するに従って電報を使う量というものは減っていく傾向にあります。これは電話の方の市外通話が発達しますると、電報のかわりに電話を利用します。また電報のかわりにテレックス・サービスといいまして、印刷電信機でそれを交換して、各方面における印刷電信機をお互いに使い合って用を便ずるという方法も発達してきております。そういう意味におきまして、電報というものは今後におきましてもふえる傾向は非常に望み少いのでありまして大体において減る傾向にあるものでありますから、いわゆる事業の性質上今後ますます伸びていくものと、今後だんだん少くなっていくものという、一つの宿命的なものがありまして、電信事業の赤字を黒字にするということは、非常に困難な問題だと思います。
  120. 片島港

    ○片島委員 電話におきましては、二十九年度において五十一局の建設計画に対し五十局を実施した。加入者の数も二十八万名の計画に対して四十五万という非常に上回った状態で、一方電信関係では電報中継機械化が十四局の計画に対して、完成したものはわずかに五局である、こういう関係は、今御説明になりましたように、主として人員の配置転換ということにあるのでありますか。
  121. 梶井剛

    ○梶井説明員 確かに今申しましたような人員の配置転換ということに対して、われわれは非常に苦慮をいたしております。組合との間にも配置転換に対しては協約を結びまして、十分了解を得てやりませんと、住宅問題その他がありまして、ことに家族と別れ別れに住むというような状態にならぬとも限らないのであります。電信のオペレーターというような人はその土地の人が多く採用されておるという関係上、われわれは労働不安というものを非常に心配いたしまして、電信の赤字を克服するためには自動中継をやらなければならないと思いながら、そのスピードをむやみに早くすることができないという状態であります。
  122. 片島港

    ○片島委員 先ほど説明になりました、たとえばいなかの方において非常に電報の数が少くてもやはり人手がいる、これは電話についても同じであります。電話交換をやっておる以上はいなかでもどうしても夜通し交換をしなければならない。それに五カ年計画を立てられます場合には、電話でありましても手動式から自動式になる場合にはやはり人間が余ってきて交換手が要らぬようになりますから、当然配置転換ということに困るのでありまして、この点は電信を中継化する場合も電話を自動化する場合もそこに何らの隔たりはないと思うのであります。五カ年計画をやる場合にはやはり電話において非常に困難な情勢もあるし、電信においてはさらに困難な事情があるならば、最初の計画そのものに大体実行できるような計画が立てられなければならぬと思うのであります。そうでないと五カ年また五カ年というふうに長期の計画を立てていく場合に、電話の方は大体計画通りにいくようになっておる、それは十分いろいろな条件を勘案してそれが合理的であったから計画通りに行った、電信の方はいかない、実際上は配置転換などで困難だろうけれども、しかし見せかけに少しよけいに計画を出しておこうというのでは、これは実行できないのでありまして電話におけるそういう手動から自動にいく場合のことも考慮しながらやっておいて、さらに非常に順調に進んでおるのに、電信の方の関係ももちろんこの人員の配置転換を十分考えながら計画を立てておられるに違いない。けれどもそれができないというのは、電信と電話の計画において調整のとれぬ計画をされておるのではないかと私は思うのでありますが、ただ単におっしゃったような労務配置の転換が困難だからということを主たる理由としてこのような開き、すなわち電話につきましては順調あるいはそれ以上の進捗を示し、電信については計画の三分の一しか実行できないという御答弁でありますが、そのようなことは承服できるものでございましょうか。
  123. 梶井剛

    ○梶井説明員 電話の方はある一つの局が自動交換になりましてもその付近の町村にやはり電話交換をやるところが割合に多いのでございます。でありまするから通勤のできる範囲内において容易に配置転換ができるのでございます。電信は割合に集中しておりまして、いなかの方は普通の音響機一台くらいしかないようなところが多いのでございますが、自動中継にいたしますと自動中継をした局ばかりでなくその付近の電信局もみな人手が少くなってしまう。だから相当影響する範囲が広くなりまして通勤の範囲内において配置転換するなどということは電信の方はほとんどできないという悩みがあります。当初計画した当時と今日の進行状態とが電信の自動中継において著しく違っているという点につきましては、われわれも最初は電信の赤字をできるだけ少くするために自動中継を促進していこうという考えのもとに計画をしたのでありますけれども、いよいよこれを実行に移して参りますに従って、そこに労働問題の困難さがだんだんと強く現われてきたということが一つの理由であります。  もう一つの理由は、電信の自動中継というものは日本で工夫いたしまして日本で生産してやったのであります。第一報は水戸の電報局でやったのでありますが、その当時試行的にやりました機械はその後さらにまた改良を加えてだんだんと変化して参っております。そういうように始終技術的に進歩をする関係上、一面においてもう少し改良してから実行した方がむしろ経済的で能率がいいのではないかという懸念もありまして、機械の進歩に伴って少しおくれたということも原因の一つになっております。
  124. 片島港

    ○片島委員 私がお尋ねをしておりますのは、当初の計画に無理があれば実行ができないだろうということを指摘しておるのでございます。電話が自動化されて人員が余った場合に、近所に通勤できるような情勢にあって割合消化しやすいということは、これは予見できることであるし、あるいは電信関係についてはただいま御説明になったように人員配置の問題においていろいろ困難な情勢が生まれるということも、これは予測できるのであります。前もって予測できることをいろいろと勘案して五カ年計画というものは立てられておるのであって、どちらも同じような条件のもとに計画をされたのではなくして、一方はつらい条件をいれ、一方は幾らか甘い条件をいれて五カ年計画を立てておるのでありますが、電話の方は順調に進み、電信が三分の一しかいかぬということは、計画そのものに非常に無理があったのではないか。やってみて初めてこうだというのではなくしてこれは専門家でありますから大体予見できるわけであります。電信の中継機械化は計画そのものに無理があったのであります。電話関係においては大体無理がなかったのである、こういうことを私は感じるのですがいかがですか。
  125. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいま御指摘の通りにわれわれが電信の赤字をできるだけ早く少くすることに焦慮した余り、労働問題に対する考慮が十分払われておらなかったうらみがあります。それから電話の方は御承知の通り回線数がずんずんふえ市外線がふえていく情勢であります。電信の方は現状維持かあるいはそれよりむしろ減っていくというような現状にありますから、今のような配置転換の問題でやはり相違があったのであります。それをわれわれは電報も依然として電話と同じようにある程度はどしどし通数がふえるであろうと予想しておったのであります。ところが意外にも電話が便利になればなるほどまた専用電信線がふえればふえるほど電報通数は伸び悩みになって、むしろ減っていくという現状になってきた。かような点につきましては、われわれはそういう予想に食い違いがあった、自分に誤りがあったということは、今日においては自覚しておるわけであります。
  126. 片島港

    ○片島委員 これでやめますが、それでは二十九年度あたりにおいて、こういう事情で予想違い、それから多少の無理、こういうものがあったということにかんがみて、その後三十年度なり三十一年度以降におきましては、大体順調にできるような計画が立てられておりますか、立てられておりませんか。と申しますのは、この無理があればあるほど、どうしても実施する場合に労務問題などにおいて相当苦労されただろうと思うのですが、また労働組合の方からも相当強くいろいろな希望が出、あなた方もその調整に苦労されて、できないことは幾ら無理をしてやろうといってもできないのでありますから、そういう今までの経緯にかんがみて、今後三十年度なり三十一年度からは、こういう計画そのものにも、今までの経験にかんがみて手心を加えて実行ができるような程度にしてありますかどうですか。この点をお伺いして私の質問を終ります。
  127. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいまの仰せの通り、あと五カ年計画は三十一、三十二の二カ年です。これに対しましては、われわれは過去における経験にかんがみて修正しております。さらに三十三年度から以降の五カ年計画につきましては、今日の経験を十分に生かしまして、そしてどういうふうにするのが一番あらゆる角度から見て最善であるという案を立てたいというふうに考えております。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 備品について伺っておきます。電電公社におきましては、二十八年、九年及びできれば三十年度、一般に資材その他備品の購入額はどのくらいになっておりますか。
  129. 梶井剛

    ○梶井説明員 資材局長からお答えいたします。
  130. 和気幸太郎

    ○和気説明員 概数三百億でございます。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 年次別を言って下さい。
  132. 和気幸太郎

    ○和気説明員 ただいま手元に資料を持ち合せておりませんので……。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それではその資料は一つさっそく作って当委員会へお出し願いたいと思います。それで総数の資料がないとするとこのお答えができないかと思いますが、大体あなたの方では、製作された物件あるいは原材料の物件などによって違うでしょうけれども、随意契約と指名もしくは競争入札の区別の基準、こういったものは相当精細な基準ができておるのですかどうですか。
  134. 和気幸太郎

    ○和気説明員 現在資材の購入につきましては、本社で購入いたしますものは随意契約が過半数でございます。地方で購入いたしておりますものは競争入札が過半数でございます。この基準といたしましては、高度の技術を要するもの、それから中央で一括して買った方が有利なもの、そういうものを随意契約にいたしております。それから一般の市場におきますJIS規格によるものとか、そういう市場性のありますものは競争入札にしておるという現状であります。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは二十八年度の際の具体的な問題を中心にして伺うことにいたします。そこでなお伺っておきたいのは、年度末において相当長い間死蔵されておるような物件がなお相当額に上るのじゃないかと思うのであります。二十八年度の報告書の三六四ページによりますと、その説明書きによっても、売り戻しあるいは撤去などによって在庫になっておる常備物品は約十一億円に上る、こういうことが指摘せられておるのであります。つまり死蔵、退蔵物資と思われるような、そういうものが相当あるのではなかろうか。先般も当委員会で国鉄の死蔵物資についていろいろ追究したこともあったのですが、いつぞやこれを処理したところが十億円以上あったということの御報告があったのでございまするが、こういう点については特に年度末でありますか、ある時期にたなおろしもあることと思いまするが、そういう死蔵しておると目すべきようなものが相当に上るのではないかという推測に立つわけでありますけれども、この点いかがでございましょうか。
  136. 和気幸太郎

    ○和気説明員 お答えをいたします。貯蔵品の在庫量につきましては逐年減って参りまして、今日現在で申しますと約六十六億くらいに減っておるのでございます。  ただいまの死蔵品の問題でございますが、これはその中のごく一部には長期にわたって使用できないというものもあるのでございますが、大部分は事業品として使用ができるものでありまして、ことに常備品につきましては一・四半期ごとに区切って、一・四半期分をあらかじめ購入して倉庫に置いておくということをしております関係上、年度末で区切って申しますと、そう死蔵品としては多くないというふうなことになっておる次第でございます。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は今御説明はできませんでしょうか。どのくらいの推定数量に上っておるかということの死蔵物件の数量ですね。
  138. 和気幸太郎

    ○和気説明員 お答え申し上げます。その死蔵であるかいなかという判定につきましては、これは電気通信器材の特異性にかんがみまして一品々々厳密な技術検定をいたしまして、使えるものであるかどうか、あるいは廃棄すべきものであるかどうかというふうなことをいたしまして、厳格な判定をする関係上、これを急速につかむということは非常に困難なような実情でございますが、目下全国的にその調査を開始いたしまして、果してほんとうに死蔵しておるものがどのくらいであろうかということを目下全国的に調査しておるような実情でございます。
  139. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はございませんか。——ないようでありますから、これにて昭和二十八年度決算中、日本電信電話公関係の審査は一応終了することとし、昭和二十九年度決算中日本電信電話公関係につきましては保留することにいたします。  次会は来たる三月三日午前十時三十分より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会