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1956-07-13 第24回国会 衆議院 外務委員会内閣委員会法務委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年七月十三日(金曜日)     午後二時三十七分開議  出席委員   外務委員会    委員長 前尾繁三郎君    理事 石坂  繁君 理事 北澤 直吉君    理事 高岡 大輔君 理事 山本 利壽君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    伊東 隆治君       江崎 真澄君    並木 力雄君       淵上房太郎君    大西 正道君       田中織之進君    田中 稔男君       戸叶 里子君    福田 昌子君       森島 守人君    岡田 春夫君   内閣委員会    理事 江崎 真澄君 理事 高橋  等君    理事 保科善四郎君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    薄田 美朝君       田村  元君    床次 徳二君       眞崎 勝次君    山本 正一君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       下川儀太郎君    西村 力弥君   法務委員会    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 三田村武夫君    理事 猪俣 浩三君       犬養  健君    小島 徹三君       小林かなえ君    林   博君       宮澤 胤勇君    横井 太郎君       横川 重次君    浅沼稻次郎君       勝間田清一君    神近 市子君       吉田 賢一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 牧野 良三君         外 務 大 臣 重光  葵君  委員以外の出席者         法務局参事官         (第一部長)  龜岡 康夫君         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 道則君         検     事         (民事局参事         官)      平賀 健太君         外務省参事官  法眼 晋作君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官   下田 武三君         内閣委員会専門         員       安倍 三郎君         法務委員会専門         員       小木 貞一君         外務委員会専門         員       佐藤 敏人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩土地接収問題等に関する件     —————————————   〔前尾外務委員長委員長席に着く〕
  2. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 これより外務委員会内閣委員会法務委員会連合審査会を開会いたします。  沖繩土地接収問題等に関する件について質疑を継続いたします。質疑の通告が非常に多数でありますので、十五分間以内に厳格にとどめていただきたいと思います。そうしませんと、あと質問者質問できませんので……。それでは質疑を許します。茜ケ久保重光君。
  3. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 外務大臣沖繩の問題について御質問いたしますが、一つ簡明率直にお聞きしますから、外務大臣もどうか簡単なはっきりした御答弁を願いたいと思います。いつもどうも外務大臣の御答弁は何か長過ぎて要点がぼけていますから、一つそんなことのないようにお願いします。  第一点は、この沖繩のいわゆる追加接収の問題並びに沖繩島民八十万が血の出るような叫びによって四原則決定いたしましたあとの、アメリカ当局に対する折衝の経過並びにそれに対するアメリカ側回答、さらにきのう外務大臣アリソン・アメリカ大使とこの件についてお会いになっておるようであります。新聞発表を見ますと、何か非常に好転するかのような新聞発表でありましたが、アメリカ当局との折衝の過程並びにアメリカのそれに対する返答、さらにきのうのアリソン・アメリカ大使との冷淡の内容、その結果を一つお聞きしたいと思います。
  4. 重光葵

    重光国務大臣 それでは私もごく簡単にお答えいたします。昨日の会談については何も発表いたしておりません。また発表する筋でもございません。それから沖繩住民要望として四原則を掲げております。これは承知をいたしております。その四原則最大限度に実現をすべきである、またしたい、こういう方針をもって米国側と、あるいけ東京において、あるいはワシントンにおいて話し合いを続けております。話し合いは、たとえば私と大使との間だけでなくして、直接の当事者である軍側とも連絡をとって、話し合いを続けております。昨日は、その最近の話し合いでございました。そこで、その内容についてこれを一々公表することはできません。できませんけれども、大体においてこういうアメリカ側気持でございます。この問題については沖繩住民意向を十分に聞いて、でき得る範囲内において、自分らの権限の及ぶ限りにおいて、これを採用する気持をもって事に当りたい、そうしてあくまで沖繩住民の了解をもって事を進めたい、こういう考え方をもって事に当っておるという説明がるるございました。わが方の交渉としては、さような気持をでき得るだけ拡大して、そしてわが方の目的を少しでも達成したい、こういうことをもって進んでおる次第でございます。
  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 アメリカ沖繩島民意向を十分くんでやっていきたいということでありますが、アメリカがいわゆる沖繩の四原則の血の出る要求に対してこたえたのが私はプライス報告であると思うのであります。プライス報告を読んでみますと、一応きのう自民党の代表から、何かアメリカ側が非常に寛大な処置をするかのような発言がございましたが、私どもからいたしますと、あのプライス報告は全く日本をばかにし、沖繩島民に対して何らの考慮も払ってない。文字の上では一、二の点でいかにも同情的であり、いかにも理解したかのようなことを言っておりますが、あの報告書に流れる一つ考え方は、われわれ日本国民ないしは沖繩県民意思を全然無視していると思う。従いまして、今外務大臣の御答弁のように、最大限に拡張していきたいということでありますけれども、私ども今までアメリカのとった態度その他の様子から見ますと、おそらく現段階においては、アメリカ沖繩八十同胞のあの叫びに対してこたえ得るものは、何ら期待できないと思うのであります。こういった状態において、政府は果して今重光外相の御答弁のように、アメリカに対してほんとう沖繩八十県民の苦衷と窮状を政府責任におい打開し得る自信があるのかどうか。ただ単に折衝交渉では私はらちがあかぬと思う。これでは幾らあなたが、どんな御答弁をなさっても、長いアメリカ日本との関係において信頼できない。政府は今までのような外交方針、今までのようなアメリカとの折衝交渉状態では、おそらくこれはだめだと思う。政府はこの段階に到達した沖繩の問題をほんとうに腹を据えて解決するだけの自信と確信があるのかどうか、私は残念ながらどうも期待するところが非常に少いのでありますが、ここで私はやはり政府責任者たる重光外務大臣から、一応この段階に到達した措置として、アメリカのあのような態度に対して、政府はただ単に責任をもつ事に当るとか、あるいは交渉するとかいうことでなくて、どのような根拠をもって確信ある結論を出せるようなことに相なるかどうか、この点私は外務大臣のしっかりした決意をここではっきり聞いておきたいと思う。それでなければ、三人見えた沖繩立法院諸君もおそらく沖繩に帰って、国会に陳情したけれども国会の審議あるいは政府答弁では、われわれ八十万県民の何ら救いを求め得る道がないということであろうと思う。私はその成果のいかんは問いませんが、外務大臣として日本政府を代表して、どのような決意と、その決意に基いてアメリカ側に対して誠意ある回答をなさしめるべき交渉をなし得るかどうか、この点を一つはっきりお伺いしたいと思うのであります。
  6. 重光葵

    重光国務大臣 交渉状況は今御説明をいたした通りであります。その筋で参っております。沖繩住民の要請が全部実現するかということについては、私は今日確定的に申し上げるわけには参りません。しかしながら先ほど御説明を申し上げた米国側態度にもかんがみてこの上各方面からあらゆる努力をもって進めていけば、沖繩住民の納得し得る程度において問題が解決し得る、こういう自信をもって私は進めておるわけであります。またあくまでそれはやらなければならぬ。それを実現しなければ実に沖繩住民、戦争の犠牲者に対して私は相済まぬと考えて、そのつもりで今事を進めておるわけでございます。
  7. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私はこの沖繩の問題というものは、今晩象的なことでは解決し得るものではなかろうと思うのであります。と申しますのは、これはもう当然いわゆるサンフランシスコ講和条約のもたらした一つの大きな悲劇でありますから、私はやはり本質的にはこの際サンフランシスコ講和条約というものに対する日本決定的な批判とこれに対する措置がなければならぬと思う。そこでこの解決を困難にしておる根本原因は、今申しますように、サンフランシスコ講和条約にあると思うのでありますが、これは私は外交専門家でありませんから、専門家外務大臣からお考えになると、あるいはどうかと思う点もあるかも存じません。私はこの沖繩の問題を根本的に解決するためには、当然講和条約の第三条の内容変更でなければならぬと思う。あるいは第三条を破棄するかどうか、私はここまでいかぬければ、この問題は解決しないと思う。そこで私は、外務大臣として、また日本政府は、沖繩の問題を根本的に解決するためには、ただ単なる末梢的なアメリカとの折衝交渉では、これは解決し得ないし、もちろん外務大臣アメリカ良識なんというものに期待しておったら、アメリカ良識日本人をいわゆる豚か犬のような考えでやっておることが良識であります。こういうものに依存しておったら、もう沖繩島民は餓死するか自殺を待つか、そうして私はやがてこの沖繩の現状は、あなた方か無謀に憲法でも改正されるならば、日本内地に及ぶことは必然である、そこで私は端的にお聞きするが、外務大臣沖繩の問題を解決するために、サンフランシスコ講和条約の第三条の破棄ないしはこれの内容変更についてアメリカ折衝される意思があるかどうか。私はこの点が解決しなければ、沖繩の問題は幾らあなたが馬力をおかけになっても、アメリカとの間に解決点はないと思う。これは私は調べてみますと、講和条約内容変更とか一部破棄ということは歴史的にないようでありますが、しかし条約でありますから、決してできないことはないと思う。従って私はこの際、鳩山内閣ないし重光外務大臣は、一つ緊褌一番大きな決意をなさってアメリカのそういった野望をここで粉砕するために、沖繩同胞八十万を救い、ひいては日本の完全な独立民族の安全を確保するために、断固一つ決意して、講和条約の第三条の破棄ないしは完全な内容変更に対して努力をすべきであると思うが、外務大臣はいかようなお考えか、御所見を承わりたい。
  8. 重光葵

    重光国務大臣 簡潔にお答えいたします。講和条約のある条文を廃棄する意向を持っておりません。また、これに対して根本的な変更を一方的に加える意思は持っておりません。そういうことはする時期でない、こう考えております。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 あなたは講和条約の第三条をそのままにしておいてアメリカ沖繩処置を自由にまかせておいて ——サンフランシスコ条約において、かつての保守党諸君吉田自民党内閣は、沖繩島民八十万をアメリカに売ってしまったといっても私は過言ではないと思う。第三条を置いておいて、あなたがアメリカ幾らどんなことをなさっても解決できぬと思う。あなたはその時期でないとおっしゃるが、私は時期だと思う。これ以上沖繩をほったらかしておいたら、沖繩島民ほんとうに餓死するか自殺する以外にないと思う。しかも参議院選挙自民党鳩山内閣の完敗の状態は、憲法を改正してアメリカ支配下に屈従しようとする自民党鳩山内閣のだらしなさを国民が怒った結果だと思う。さらにその中には、この沖繩問題に対してあまりにも政府のやり方がだらしないというか、アメリカ一辺倒というか、まるでアメリカ出先機関のような態度が、日本国民をして、民族独立平和確保の上から、鳩山自民党内閣に対する大きなふんまんとなって現われたのだと思う。こういう点からも外務大臣は、その点を十分考慮されてやっていただきたいと思う。あなたはそういった状態をなおほったらかしてもアメリカに追従なさる気かどうか。鳩山内閣は、いい時期だからこういう点を検討して、この第三条の破棄ないしは重要な内容変更について努力していただきたいと思う。その点を重ねてお伺いしたい。
  10. 重光葵

    重光国務大臣 この問題については先ほどはっきりとお答えを申し上げましたが、さらに再び御質問でございますから申し上げます。  私は、日本利益を擁護するために、講和条約の順守をやろう——今これを根本的に一方的に廃棄するとか変えるとかいう時期でないと申し上げたのは、決してアメリカのために申し上げておるのでも何でもありません。日本のために申し上げておるのであります。かくして日本利益を擁護してそして日本の国際的な地位も上げていかなければならぬ、日本の発展も期さなければならぬと考えておるのであります。御意見のあるところはむろん伺います。決して、その御意見がどうのこうのというわけではございません。十分伺って参考に供することは少しも異存はございません。しかし今の答弁の趣旨は先ほど申し上げた通りでございます。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 最後にもう一点伺います。あなたはきょうの閣議でソ連との交渉にいらっしゃるそうですが、私は外務委員ではありませんからその内容は知りません。あなたが外交責任者としてソ連との交渉にいらっしゃった留守の間この問題は重要でありますが、いかになさいますか。日ソ交渉はさらに重大な問題でありますから、外交責任者である外務大臣がこれにいらっしゃることもけっこうでありましょう。それは別でありますが、そういう重大な段階にきている際に、国をあけてあなたが外にいらっしゃるその間、沖繩島民は非常に落胆すると思う。先ほど伺えば相当あなたなりには決意を持っていらっしゃるのであります。その決意がどのように反映するか別でありますが、珍しく重光外務大臣としてはその決意のほどをお示しになったが、その決意を示されたせっかく頼みにしている外務大臣が相当の期間留守をされることは、沖繩問題にとっては重要であります。あなたの留守中だれか折衝のできる手配ができておるかどうか。これはしてもらわなければならぬと思う。あなたの留守中ちゃんとした手配をして、沖繩島民並びに日本国民安心感を与えていただきたいと思いますが、その処置ができておるかどうか。
  12. 重光葵

    重光国務大臣 御説私もほんとうにごもっともだと思います。そうしなければならぬと思っております。実は今日その問題は決定をいたしたはかりでございます。十分にその手当をしておきたいと考えております。
  13. 前尾繁三郎

  14. 池田清志

    池田(清)委員 私はわれわれ日本人から見れば自明の事柄でありますが、国際的に見ていかに相なっているか、初歩的なお尋ねからいたしたいと思います。  鹿児島の磯の浜に琉球人町というのがあります。これはつまり琉球の船が錦江湾の入口に入ってきた場合に、この町を目標に進んできた目じるしであります。かくのごとくわれわれ鹿児島の者といたしましては、沖繩と従来交友の関係があり、交際が深かった関係にあります。従いまして一そうの近親感を有するものです。明治維新の後、廃藩置県があり、これにならいまして琉球列島沖繩県となり、内地の一環として統治をして参ったことは御承知通りであります。こういうことから申しまして私は琉球列島そのものわが国固有領土解釈しておりますが、これに対する国際的な反論等がありますかどうか、お伺いします。
  15. 下田武三

    下田説明員 琉球日本固有領土でないという国際的の反論があるかという御質問でございますが、これは対日講和条約のできます前に中国方面でそういう声があったことはありますが、しかしこれは結局平和条約で、ダレス国務長官沖繩に対しては日本主権が残っておるということを明確に、公式に表明いたしたところで、今日はその点は何ら心配はないというように考えております。
  16. 池田清志

    池田(清)委員 ポツダム宣言第八項によりますと、「日本国主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等決定スル小島ニ局限セラルベシ」とあります。この諸小島というものがその後国際的な取りきめがあったかどうか、ありまするならげその取りきめにおいて琉球列島はどういう地位にあるか、お示しをいただきたい。
  17. 下田武三

    下田説明員 ポツダム宣言第八項に申しますことにつきましては、沖繩については解決済みである。つまり日本領土主権下に残るというように連合国側決定があるものと了解しております。
  18. 池田清志

    池田(清)委員 平和条約第二条の規定におきましては、朝鮮、台湾、南樺太千島列島、これについてはすべての権利、権原、請求権を放棄しているというのでありますから、平和条約上これらの地域に対しわが国主権を持っていない、こういうことに相なっているわけであります。第三条におきましては、先ほど来御説明もありまするように書き方が違いまして琉球列島についてはわが国主権が残っている、こういうような解釈になっております。しかしながら琉球列島についてわが国主権が残っていないのだというような国際的な考え方解釈がありまするならばお示しをいただきます。
  19. 下田武三

    下田説明員 ただいまお話のような国際的解釈はございません。先ほど申しましたように、明確でございます。
  20. 池田清志

    池田(清)委員 以上によって明らかになりましたように、琉球列島というものはわが国固有領土である。ポツダム宣言においてもこれを別に領土でないという規定をしていない。さらにまた平和条約第三条によって日本主権が残るということに相なっておる。こういうことになりますと、申すまでもなく日本領土である、従ってそこに住まっておられる方々は日本人である、こういうことが言えるわけであります。しかしながら今日第三条の後段によって合衆国行政立法司法の全権を持っておりまするところから、アメリカ法律によりましてもしやその住民が二重国籍等を所有することになっておるかどうかということを私は懸念するのでありますが、この点明らかにお示しをいただきます。
  21. 平賀健太

    平賀説明員 沖繩住民日本国籍を依然として持っております。他方アメリカ合衆国国籍を取得するというようなことはあり得ないことでありますので、二重国籍ではないと考えております。
  22. 池田清志

    池田(清)委員 そうでありますると、沖繩住民というものについて日本属人主権を持っておる、外交保護権を持っておるということは、これは当然なことであるわけです。むしろ私は保護権と申しますよりも、これを救済保護しなければならない義務がある国は日本国だけであるというふうに極論をするものでありますが、これについて外務当局はどういうふうにお考えでありましょうか。
  23. 下田武三

    下田説明員 沖繩住民に対しまして、国籍が依然として日本にあります関係上、日本はその関係において沖繩住民に対する対人主権があるわけであります。しかしながら平和条約第三条に基づきまして、現実には立法司法行政三権アメリカが行使しておるわけであります。つまり自己の施政権下にある住民に対するという関係におきまして、またアメリカ対人主権と申しますか、一種の統治権を持っておる、そういう関係であります。
  24. 池田清志

    池田(清)委員 琉球列島日本領土である、信託統治もいまだ未施行である、アメリカ植民地でもなく、属国でもない、しこうしてまた占領地でもない、こういう地域に当るわけでありますが、これは国際法上どういう地域になるのですか。また過去におきまするところの事例等ありましたら、お聞かせをいただきます。
  25. 下田武三

    下田説明員 沖繩事態は先例のない事態でございますが、過去の例で一番近いのを探しますと、関東州の租借地のようなものであります。この租借地に居住する中国人の国籍は依然として中国にあるのでありますが、しかし租借の結果日本現実施政権を行使しておった、その例が一番近いというように考えられるのであります。
  26. 池田清志

    池田(清)委員 平和条約の発効によりまして、同三条の後段によって合衆国立法司法行政上の権力の全部及び一部の権力を行使する権利を有する、こういうことになったのであります。条約規定上は権利を有するわけであります。従いましてこの権利を実際に施行する場合においては、その全部を施行するのか、あるいはまたその一部を施行するのか。これは合衆国の方に主体性があるとは申しますけれども日本主権国でありますところのその領土について行うのでありますから、本来ならば日本政府相談をすべきであると私は思うのであります。これが施行について相談があったかどうか、相談があったとするならばその内容はどういう相談であったか、お示しをいただきます。
  27. 下田武三

    下田説明員 その点に関しましては、先ほど外務大臣からお話がございましたように、日本政府はしばしば交渉しているわけであります。向うからでなくて、日本側から沖繩施政をなるべく早く日本側に返してもらいたいという要望をずっとしているわけであります。
  28. 池田清志

    池田(清)委員 合衆国がそういうような立法司法行政上の主権施行するに当りまして、琉球地域施行するところの法規は、日本法規によるべきか、アメリカ法規によるべきか、これは初っぱなから問題になったはずです。これについて彼らが日本国憲法及び日本法律を排してアメリカ憲法及びアメリカ法律施行するというようなことについて、それぞれの処置をしたものですかどうですか。
  29. 石井道則

    石井説明員 沖繩におきましては、占領の初めに沖繩占領当局変更、新しく制定等をしない限り、日本のその当時施行されておりまする法律施行されるということになっております。その後講和条約によりまして立法司法行政三権を持っておりまするので、あるいは管理当局たる民政府布会、布告、あるいはまた管理当局が認めておりまする琉球政府立法によって議決せられました法令施行されておるのでございます。そういうように、新しく制定せられておりまするもの、あるいはまた変更されておりまするもの以外のものは、占領当時の古い日本法令が現在施行されているような状況でございます。
  30. 池田清志

    池田(清)委員 それらのいろいろなる法規を適用いたしまして土地賃貸借あるいはまた強制収用等をやっているだろうと思います、これは沖繩については合法的な処置であるかもしれません。しかしながらその結果、賃貸借にいたしましても、強制収用にいたしましても、日本の民法、収用法等に比較いたしますると、所有権者に非常に過酷な条件が付加されていることは御承知通りであるのであります。でありまするから、そこの住民日本人である、しかして日本属人主権を有する、外交保護権を有するというのでありまするならば、日本内地国民と同様なる状態にこれを救済しなければならない。こういうことが生まれて参るのであります。そこで強制収用の結果は、土地所有者所有権アメリカの国有に帰するおそれはないか、こういうことをおそれるのでありますが、これはいかがでございましょうか。
  31. 下田武三

    下田説明員 その点に関しましては、前提といたしまして、ただいまの南方連絡事務局長の御説明に付加して申し上げたいのでございますが、日本法令沖繩日本国法令として施行されているのではございません。つまり沖繩住民に急激な変化を与えるのを避けるために、日本国法令と同じものが、沖繩施政当局によって、つまりはさみで切りまして、日本国法令と同じものが沖繩法令として施行されているという関係でございます。ですから、日本国法令そのものとして沖繩施行されているという関係ではないわけです。  そこで土地収用等につきまして、御指摘のような、何しろ軍へのやっている政治でございますから、平時の場合のものとは多少違う点もございましょう。しかしそれらの点につきましては、先ほど来外務大臣からお話がございますように、沖繩住民の福祉に関する問題はこれは日本政府の関心事でございますので、その住民の福祉に沿うような解決要望するという建前から、日本政府交渉をずっとしておるわけでございます。
  32. 池田清志

    池田(清)委員 強制収用の結果が、日本の所有者の手を離れてアメリカの国有地になるということがないという保証は、どういう法理的な根拠によって解釈せられるのですか。
  33. 下田武三

    下田説明員 政府所有権をかりに収得いたしました場合の国有地と、それから領土という意味の観念とは全然別個の問題でございます。そこで将来沖繩日本に返還されました場合のことを考えますると、いずれこれは取りきめで処理せらるべきことでざいますが、大体二つの場合があると思います。一つ沖繩も基地も要らないから全部返すという場合と、沖繩施政は返すけれども、基地だけは使わしてもらいたいという場合とあると思います。第一の、全部きれいに返すという場合には、これはちょうど領土の割譲と同じようなことになると思います。従いまして日本は新たに日本自体の見地から、日本の自衛隊にはこんな広い必要がないと思いますならば、これをまた元の所有者に返還することもけっこうです。また払い下げることもけっこうでございます。その場合に、とにかく日本法に従いまして日本法令上の権利となってしまうわけでございます。それから第二の場合、沖繩は返すが基地の使用権だけは認めてくれという場合、これはちょうど内地と同じように行政協定に基く両方の合意に基く貸与の基地ということに相なります。その場合にも、日本政府としましては一たん日本政府の国有地として、しかる後米側に供与するという関係に相なるかと存じます。
  34. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 池田君、時間が来たので……。
  35. 池田清志

    池田(清)委員 もう一点。人権の擁護と民生の保護、これにつきましては、現地におきましては琉球政府というものが責任を持ってやるべきでありますし、またやっておると思います。しかながらその結果は、やっぱり日本内地に比較いたしまして劣っておる、こういうようなことであるわけです。たとえば参考人の述べるところによりますと、来年度の予算は二十三億B円だそうであります。そのうちアメリカが二億五千万B円を支出する。しかも二億五千万B円の中で一億六千万B円はガリオアだ。ただ残りの九千万B円をアメリカの国が出してくれる、こういうことだそうです。あと琉球住民の負担になってくるわけです。しかのみならず琉球列島における私法関係、郵政関係、これらの費用はみんな住民の負担だそうです。沖繩県の時代は私法についても郵政についてもみん万国費でありまして、沖繩住民に特にそういう負担を課したことはありません。日本内地の一環として行政されておった時代においては、日本が特に国費を沖繩につぎ込みまして使用しておったのであります。アメリカ行政下にあります今日みじめな状態にありますから、日米の間に交渉をいたしまして、アメリカが国費を増額するようにということでありまするとか、あるいはまた土地賃貸借強制収用等について、その条件が内地より過酷なるものがありまするから、少くとも内地と同様なる状況にまでこれを緩和するというような交渉もいたすべきとである。大臣は交渉はいたすと言うておられます。しかも根本的な解決は、茜ケ久保君も申しましたように、平和条約第三条というものがなくなってしまえば全部きれいさっぱりよろしいのでありますが、それが直ちにできないことでありますならば、現在アメリカ合衆国が持っております行政立法及び司法上の権利の全部及び一部の復帰を日米交渉によって日本に取り返すということが必要であると思うのでありますが、外務大臣はこれについていかなる御所見でございましょうか。
  36. 重光葵

    重光国務大臣 御所見のようなことは平和条約の第三条の根本的の改訂ということになりましよう。今その時期でないということを先ほど申し上げました。
  37. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 田中稔男君。
  38. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 当面日本外交は、沖繩問題アメリカとの関連がある、それからソ連との国交回復の問題がある、二つの大きな外交問題に当面しておるわけであります。外務大臣は聞くところによりますと、今度日ソ国交回復の交渉の首席全席としておいでになるそうであります。この二つの外交問題は大きな関連がありますので、日ソの国交回復交渉のことにつきましてお尋ねしてみたいと思います。  まず重光外務大臣が日ソ国交回復交渉の全権としておいでになるに当りまして国論を統一するということが必要であることは政府が常に言っておることであります。私どもも大体鳩山首相のお考えには賛成でありまして、わが党の委員長もたびたび首相を激励し、鞭韃して参ったのであります。しかし実は自由民主党の党内においても意見がまとまらないくらいで、国論はもちろんまだまとまっておりませんが、御出発に当って臨時国会でも開いて与野党の論議を十分尽して、国論を統一して日ソの交渉に臨まれるという、こういうお考えはないかお尋ねしたいと思います。
  39. 重光葵

    重光国務大臣 日ソの交渉がずいぶん長くからやっておることは御承知通りであります。それに対する政府方針はそのつど国会に対して説明を申し上げておる通り、きまっておるわけでございます。その筋に沿うて交渉を進めたい、こういうことでございますから、今特にこの際国会を開いてこの点の方針を討議するという予定をいたしておらないのでございます。
  40. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 田中君、沖繩問題で開いておるのですから……。
  41. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 関連です。時間は十分ある。政府方針はきまっておるとおっしゃいますが、全権の人事においても見られましたように、与党の内部は決して意見がまとまっていない。いわんやわが党は領土問題なんかにつきましては意見を持っておりますが、政府がこの問題につきまして国民の前において十分所信を明らかにし、わが党の意見を聞くという、そういうふうな機会がなかったのであります。なかったものでありますから臨時国会を私は当然開くべきだと思う。それをやらないということになりますと、政府が口にする国論の統一というものはただ口実にすぎないと思うのであります。重ねて伺いますが、全権はすでに二名任命されておりますが、ほんとうに挙国一致の態勢でこの交渉に臨もうとするならば、社会党の代表を全権団に加えるという御意見はないかどうか、副総理として、政府責任者として御所見を聞きたいと思います。
  42. 重光葵

    重光国務大臣 今日までのところ、この日ソ交渉の問題について党派の間に責任を分つという考え方をいたしておりません。これは政府及び与党において全責任を持ってやるつもりでございます。しかしそれとまた意見を十分に徴するということは別問題でございます。私どももあくまで全般的の意見を徴し、またできるだけそれを尊重していきたい、こう考えておる次第でご、ざいます。
  43. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 これからいよいよ沖繩と関連があるのですが、沖繩については日本に潜在主権がある、こういうことになっておるわけであります。その潜在主権を持っておる沖繩領土返還につきましては、政府は全く熱意がない。初めからあきらめておる。ところが平和条約第二条において、千島、南樺太に関する権利、権原及び請求権を放棄する、こういう明文がある。当時の日本の全権団は、それに調印して帰ってきておる。わが党の反対にもかかわらず、これは国会の承認を得ております。しかるにその千島、特にその南半分の択捉、国後について、あくまでこれが返還を要求するという態度は、私は矛盾していやしないかと思う。ダレス国務次官は、奄美大島を返還する際に、沖繩につきましては、極東の情勢が変化しない限りこれを返すわけにいかないと言っておる。だとすれば、将来ソ連が南千島にしても、千島全体にしましても、日本に返す場合がかりにあったとしても、今日のこの極東における国際情勢からしますならば、さらに具体的にいえば、日本が保守党の外交によって完全にアメリカに従属したような状態に置かれておる今日において、返そうと思っても返すわけはない。これは昨日も外務委員会におきまして、大橋忠一君がはっきり指摘したところなのです。ソ連が返したくても返せない今日の日本状態です。これを返したならば、アメリカがこの千島に基地を要求する。そうすると、アメリカのジェット爆撃機と原子砲が、それだけソ連領土に近づくという結果になる。だから、ダレス国務長官琉球は返せない、極東における国際情勢の変化がない限りは返せないというならば、同様なことを私はソ連の外相シェピーロフだって言うと思う。こういう際に、八十万の同胞が今日塗炭の苦しみにある沖繩の返還について冷淡な政府が、なぜ北方の領土南千島についてだけあくまで返還を要求するという強い態度をとるのか。私は第一これを不思議に思っておる。この間参議院議員の選挙で、私はたびたびこの問題について演説をしましたら、聴衆はみな私の意見に賛意を表するのです。矛盾しているのです。そうすると、あくまであなたはアメリカに対してはネコのようにおとなしいが、ソ連に対してはトラのように強く南千島の領土を要求する御意向かどうか、一つ開いておきたい。今そういうことを言うのは早過ぎる、つまり切り札を示すものだからというようなことをよくおっしゃるけれども、今日の段階は、どんなにあなたが有能な外交官であっても、樽俎折衝の間に向うの意向が変るというような情勢ではないのです。今日は国交の回復を先にして、領土権については日本の主張を撤回するか、それともあくまでこの南千島の要求を固守することによって国交回復を断念するか、二つに一つです。そういう段階において、私はこの問題についてはっきりした御見解があると思う。一つ示してもらいたい。
  44. 重光葵

    重光国務大臣 私ははっきりと申し上げます。私は日本固有領土は、いかなる場合においても日本がこれを持つことを主張することが、正当な日本の主張であると考えます。それは相手国にはよりません。南千島の問題がございましたが、南千島は日本固有領土であるので、その帰属については、今日まで何ら条約上の問題になっておらない、こう考えております。そしてこれはソ連占領しておるところであるから、これの返還を要求することは正当な要求である、こう考えております。ただ、この結果は交渉に譲るよりほかにしようがございません。力をもってどうするというわけではございません。それから他の方面、たとえば沖繩の問題がございました。これも私は日本固有領土だと考えております。従いまして、これは日本に返還をしてもらいたい、そういう要求を絶えずいたしておるわけでございます。米国側がこれに対して潜在主権は認める、こういうことになっておることも御承知通りであります。また、南千島を返したならば、アメリカの幕地になるということを言われましたが、私はそんなことはないと思います。また、そんなことをさせないつもりでございます。従いましてソ連側も日本の正当の主張を認めるというならば、安心してこの主張に応じてくれてもよかろうか、こう考えるのでありますが、いさいは交渉の上でなければわかりません。
  45. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 日本固有領土をあくまでも主張する、相手がどこの国であっても変りはないとこういう御意見、それはけっこうです、抽象的にはその通りです。それならばなぜ潜在主権日本に認められておる沖繩固有領土権利についてあなたはもっと強い態度をとられないか。外務委員会で私はたびたびこのことに触れるが、この領土の返還は対日平和条約の第三条の改訂になるのです。この対日平和条約第三条の改訂について、今一ペんや二へんの外交交渉で成功しないことはわかっておるが、ただその条約改訂の用意を今から持ち、準備をしなければならぬ。その用意と準備が一体あるかと聞いてみても、あなたはそれについては何ら誠意ある回答をなされない。今あなたは非常に強いことをおっしゃったが、あらためて聞きますが、沖繩領土の返還を求めるためには、対日平和条約の第三条の改訂を今日必要とするが、その改訂の用意とその準備のための交渉を具体的に今から始められる御意向があるかどうか聞きたい。
  46. 重光葵

    重光国務大臣 沖繩日本固有領土であるから、これを返すようにしてもらいたいという主張は常にいたしておるわけであります。その主張をすることが今日平和条約の第三条を改訂してくれ、これを申し込む方法によってやることが適当でないということは繰り返し申し上げた通りであります。
  47. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 この間外交界の長老の諸君が集まっていろいろ南千島問題、領土問題について話をしておりましたが、吉田茂氏が南千島の領土問題なんかについては——これはおそらくそれだけではなく、千島、南樺太全体についてだろうと思いますが、これは国際会議で最終的な処理をすべきである、そういう話し合いになっておるというような発言をしておりました。ところが重光外務大臣は、そのことに触れて、自分は外務大臣に就任した際、そういう事務引き継ぎはしていないのだということを発表されております。私どももどうも吉田氏のその言は一種の放言だと思うのでありますが、あなたがロンドンかモスクワにおいでになって交渉をされるソ連と相対の話では、南千島の返還が実現しないという場合に、それでは国際会議できめようという話を持ち出す自信があなたにあるかどうか、私はおそらくないだろうと思う。しかしこのことは、一般にこういうふうな説が非常に行われておる。経団連の会長の石坂泰三氏あたりも、財界の意向を代表した形でこういうことを言われておる。これが国民にある意味の期待を持たせておるわけでありますが、そういう国際会議で北方の領土問題の最終的な処理をやるというようなそういうことが一体可能なのかどうなのか、一つあなたの御意見示してもらいたい。
  48. 重光葵

    重光国務大臣 さようなことは不可能とは申しません。しかしながら今交渉方針については、私が申し上げることは一切差し控えておきます。
  49. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 日ソ国交回復問題は、しぼってみれば、結局領土問題だと思います。そこで領土問題については、今あなたのはっきりした態度はお伺いできなかったのですが、領土問題についてあなたの主張——あなたの主張といえば日本の主張でしょうが、その主張が満足な結果が得られない場合、もう国交回復の交渉は決裂して帰ってくるというようなお考えなのか。領土問題では十分な成果はあけられなくとも、とにかく日ソの国交の回復は何とか実現しなければならぬというお考えなのか。これが一番大事な最後の腹がまえですが、それを一つ聞いておきたいと思います。
  50. 重光葵

    重光国務大臣 日ソの交渉は国交の調整を目的とした交渉でございます。私はこの交渉は決裂に導いてはならぬと、こう考えております。
  51. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 稻村隆一君。
  52. 稻村隆一

    ○稻村委員 昨日は沖繩同胞諸君の陳述を聞いて、実に私は涙なきを得ないのです。私は外務大臣に対してこれは政治問題、人道問題として外務大臣の信念をお聞きしたいと思うのです。また外務大臣の信念を先ほどから中されましたが、ただ私ども非常に遺憾にたえないのは、たとえば猪俣議員の外交保護権があるのじゃないかということをきのうはしぶしぶ承認したような態度でした。そういうふうな——むろんこれは政治問題として交渉はする、法律がどうであろうとこれはむろん当然のことです。しかし法律問題をあいまいにして主張すべきことを主張しない、そうして何か政治問題が交渉において行き詰まったときに、法律問題でこうだから仕方ない、こういうふうな言いのがれをするような態度が私は見えると思うのです。そういうことに対しまして私は最も遺憾とするものですが、最初沖繩問題が起きますると、外務省はこれは私新聞でいなかで見たのですが、潜在主権とは領土処分権だけというのが正しい解釈である。今度の土地問題はアメリカの内政問題、施政権アメリカにある以上法的に抗議できなくなっている。法的には依然としてアメリカとの交渉ができないという見解を持っているというふうなことが新聞に出ておりましたが、今でもさような見解を外務省は持っておるのですか、その点をお聞きしたいのです。
  53. 下田武三

    下田説明員 外交保護権の問題が出ましたのでまず法律的に御説明させていただきたいのでございますが、実は国際法外交保護権という言葉はないのでございます。国際法上ございますのは、在外国民保護権というものでございます。これは英語で申しておりますライト・プロテクト・ナショナルズ・アブロードということでございます。つまり外国に滞在しておるアブロードの国民に対する保護権でございます。ところが沖繩におりますのは在外国民ではない。沖繩住民は外国にいるのでも何でもない。彼らは生まれついた故郷におるわけでございます。でございますから在外国民保護権の問題でございません。それじゃ何の問題であるかと申しますと、これはおよそ保護国でなくて独立国である以上は、外交交渉をなす権能を持っております。外交交渉をなす権能は国家自身の利益のみならず、その国民利益に関する事項について交渉をなし得る権能でございます。沖繩国民日本国籍を持つ日本国民であるといたしますならば、この自国民の福祉の問題につきまして外交交渉をなす権能を行使するということは当然でございます。そこで外交保護権と新聞に書いてございますのは、自国民について外交交渉をなす権能、そういう意味で、俗語として言っても私はちっとも差しつかえない。ただオーソドックスの国際法上ずっと認められております在外国民保護権、外国におる国民の保護の問題ではない、これは、沖繩沖繩住民の郷土である、郷土におる人の保護であるという意味で、その点が二つの観念が混同されてはいけないということだけは、私ははっきり申し上げたいと存ずるのであります。
  54. 稻村隆一

    ○稻村委員 それでこれは繰り返して言うようですが、私は法律問題は知らないので、なるべく法律問題は言いたくないのですが、つまりただ政治的に交渉する、こういうふうなことを繰り返し言うようですが、これはしかし今条約局長も言われたけれども、政治的に交渉するというなら、キプロス島の問題などと同じことになると思う。そうでないことは明瞭なので、これはだれでも知っておる、当然法律的にも日本行政司法立法三権を回復する権限があると思うのです。入江啓四郎教授によれば、日本は南方地域に対し、失地回復権を持ち、外交交渉によって、施政権の回復ができると言っております。それでやはり同じ入江教授は例をあげておるのです。国際司法裁判所は、西南アフリカの国際的な地位に関する意見、一九五〇年一月十九日というのでもって、国際連合憲章第七十五条、第七十七条、第七十九条、憲章の掲げる三態様の地域信託統治に付することは、義務的でないとしておる。つまり信託統治に付するについての任意性は、第七十七条の地域に限らないとしておる。少し長いようですが、申し上げますが、第一は、分離地域でも、台湾のような分離地域でも、国際連合外で処理されたものは、第百七条の適用があり、特別の合意がない限り、国際連合による介入のほかに置かれている。第二は、国際連合内において処理されても、必ずしも信託統治に付されることに限っていない。そこで南方地域については、国連憲章第百七条、第八十条に基き、従って直接にはサンフランシスコ講和条約第三条に基き、沖繩地位決定することになるのでありますが、三条をそのまま実現するとすれば、これは当然だれでも知っておることでありますが、第一段階アメリカ施政権下、第二段階では国連憲章の信託統治、第三段階では日本復帰こういうことになるのですが、奄美大島の例もある通り、問題は第一段から第二段を経ずに日本復帰できることは、これは奄美大島の例を見ても明瞭であります。そこで講和条約にも南方地域を付託統治に付することを提案し得るとしているが、提案することを義務とはしていないのです。  第二に、実質論としては、南方地域信託統治制度に付することは、憲章の定める信託統治制度の本旨に反し、全く別個の目的によったものであるから、それは見合せることこそ望ましく、かつそれが憲章の原則に帰することになると思うのであります。そこで米国の学者等においてもしばしばフォーリン・アフェアーズなどに書いておりますが、沖繩は法的に見ても返すのが至当である。そうして必要ならば基地を日本相談をして、そこに設定したらいいじゃないかという議論がしばしば外国の雑誌等にも出ているのです。そういうわけで、キプロス鳥の場合などと全然違うので、常に政治的解釈によって政治的解釈はこうだから、法理的解釈はどうでも、政治的な主張だけで自分はやるのだ、こういうふうなことを言うのは、これはもうすでにごまかしなんですよ。私は何も三百代言的な法律論がいいと言っているのではない。しかも外交の問題は、私はしろうとであるからわからぬけれども、常識論からいって腹の問題と政治技術の問題なんにから法律問題を言う必要はないのだび、常に日本の外務省はそういう問題なってくると法律問題を出して、これは仕方がない、サンフランシスコ条役の第三条の改訂をしないうちはできないと、こういうふうなことで、すぐ言いのがれをやるのです。私は当然これは政治的に見ても法律的に見てもああらゆる機会において沖繩行政、司仏、立法三権の回復を主張することが、外務大臣の仕事だと思う、任務だ思う。それはちっとも隠す必要はないと思う。そういうことによって国際の世論に訴え、アメリカの世論に訴えて、そうして一つの歴史の流れに乗ってこそできるのであって、あいまいな態度、それからいいかげんな言いのがれのようなことをやっておっては、絶対だめですよ。その点あなたは本気にやっているというのですが、僕はそう思えないのです。これはそういうことをいっても水かけ論になるでしょうが、どうもあなたの態度はそう思えない。あなたの信念を聞かしてもらいたい。
  55. 重光葵

    重光国務大臣 私は本気でやっておるつもりでございます。日本固有領土日本に返還してもらうということは、これはあくまでやらなければならぬ。時日はかかるかもしれません。しかしながら絶えずこれは努力すべき問題だ。こう考えて、今までさようにやって参っておるわけでございます。
  56. 稻村隆一

    ○稻村委員 もし政治的交渉をやってアメリカ解決の誠意を示さなかった場合は一体どうするつもりですか。ほとんど返す気はないのじゃないですか。
  57. 重光葵

    重光国務大臣 正義の主張は結局は通ると私は確信をしております。
  58. 稻村隆一

    ○稻村委員 絶えず要求をしておると言っておりますが、一体どういう機会に何度くらい要求をしておりますか、その点をお聞きしたいのです。
  59. 重光葵

    重光国務大臣 それは一々申し上げることはできません。しかしながら多くの場合においてたとえば私が渡米したときもそうであるし、ダレス長官が来た機会をつかまえておることも大きな機会でありました。
  60. 稻村隆一

    ○稻村委員 外務大臣はこの前も新聞でも言ったと思いますし、委員会でも言ったと思いますが、アメリカ沖繩を永久的に占領するとは言っていない、これは事実である、こういうことを言っておりますが、私はどうもアイゼンハワー大統領の声明その他を見てかなり長期にわたって占領するのじゃないかと思うのです。九十九年でも永久じゃないし、一年でも永久じゃないのですね。これは長期間の沖繩占領と申しますか、第三条による三権の行使はかなり長期にあり得ると思うのですが、その点に対して外務大臣はどういう見通しを持っておられますか。
  61. 重光葵

    重光国務大臣 今日の一般国際情勢から見て、またアメリカにおける当局の言明から見て占領と申しますか、アメリカ側の基地が相当長く沖繩に存在するであろうということは私も想像いたしております。しかしながらまたアメリカが正式に、その占領は永久占領ではないとはっきり方針示し、声明をしていることも事実でございます。
  62. 稻村隆一

    ○稻村委員 もう時間がありませんので、私はこれで質問を打ち切りますが、アイスランドのような国でも、万一米ソ戦争の場合に、基地として爆撃されるからといって、たった十五万の人口の国ですね、——これは日本と同じような条約が結ばれている。それに対して国会もそれから政府も、アメリカの軍事基地の撤去と条約破棄を申し入れているわけなのです。むろん私は国際条約を尊重しなければいかぬから小児病的なことを言えというのじゃないのだが、しかし、どうも今までの重光外務大臣並びに外務省の態度というものは、真剣味がないように思われる。私は、何もアメリカに強く言えとかなんとかいうのじゃないので、沖繩同胞の実情を見れば、いかに不当であるかということ、それからこれはアメリカという国は——私はアメリカはそう知らぬけれどもアメリカの歴史を見れば、アメリカ憲法が民主主義なんです。だからアメリカの民衆が守られている。非常に善悪の矛盾した二つの要素がある。政治情勢はいっても極端から極端にいくのですよ。それはリンカーンの出たあとの政治とか、あるいはウィルソン氏の出たあと、今度はルーズヴェルトのあとというように、そういうようなときにアメリカの民衆が守られているのは、アメリカ憲法が非常にいいからなのです。アメリカ人は民主主義じゃないのです。今度の沖繩でのやり方は、かっての日本軍部のやり方と同じなのです。そういうことに対して私はもう少し、外務大臣や外務省が誠意を持ってアメリカ交渉する必要があると思う。日本の国際的地位というものは、むろんこれは敗戦で、無条件降伏だけれども、そんなに私は弱いものじゃないと思う。それはインドなどと同一の立場に立てると思うのです。そういうときに政治家の気魄というものが、全然責任のがれで、そうして腹がないということ。少しわれわれが何か言うとすぐ親ソだ、反米だと言う。親ソも反米もないのです。日本民族の運命の問題、沖繩の八十万の同胞があのように苦しんでいるときに、いいかげんな、おざなりなことを言っておるのは良心のない政治家なんだ。その点、重光外務大臣がもっと強く—いたずらに強硬外交を唱えろというのじゃないのだが、強く正しい立場をアメリカに対して要求することが必要じゃないか。そうしてほんとう真剣に、沖繩主権を回復するように機会あるごとに交渉されんことを希望いたしまして私の質問を終る次第であります。
  63. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 神近市子君。
  64. 神近市子

    ○神近委員 かなり御質問が出たようでございますから、私はあまり重複しないように気をつけてお尋ね申し上げます。  外務大臣にお伺いいたしたいことは、プライス勧告が発表されましたときに、アメリカの予算委員会、軍事特別委員会の証言の中にこういうことがあったのです。沖繩が基地として好適である、そして半永久的にこれを使用できるということを言ったときに、民族運動が微弱であるということと、外国の干渉がないことが利点であるということが言われたのでございます。その外国の干渉という中には、アメリカからとれば日本は外国でございますから、これは日本をさしたものではないかという想像ができること。そして今まで伺っていれば、そのつどアメリカに対しては要請を続けてきたということを仰せになるようですけれども、これは何か矛盾をしているのか、それとも日本政府態度アメリカが予期するほど強硬なものでなく、ごくなれたようなお願い程度の交渉態度でなかったかというふうなことが想像されるのですけれども、この外国政府というものが日本を意味しているとお考えになりますか、他の諸国をさしているものとお考えになりますか、それをちょっと伺いたい。
  65. 重光葵

    重光国務大臣 抽象的にそれを解釈いたしますと、やはりアメリカから見れば日本も外国だということに相なります。今だいぶ長く言われましたから私もちょっと申しましょう。外国の干渉かないところに都合のいいところがあるというような意味ですね。それは結局先ほどから言われる条約の第三条、アメリカ条約権利として立法司法行政三権、すなわち統治権を持っておるのでありますから、その権利を持っておる。その理由によってむろん外国はその統治権を行うことについて干渉することはできません。それだから外国からあまり文句がこられないような条約上の地位におる、こういうことを意味しておるものと思います。それからまた日本交渉は決して干渉ではございません。干渉する意向はございませんしかしながら強く人道上の見地その他の理由によって、琉球住民の福祉が保護できるように努力を、し、交渉しておるわけでございます。
  66. 神近市子

    ○神近委員 それではあのとき声明されたのが日本をさしたということは大体わかりました。  もう一つ今の第三条の解釈でございますけれども、きのう御配付受けました「沖繩地位」というものの中に、新城利彦という方の意見では、第三条は二つに切れておりますね、日本がこれを容認するということと、それに従ってという言葉があったかと思います。その第三条の後段によって、統治している間は日米両国だけで改廃できるものと言えるというのがあの新城さんという方の意見でございます。そしてほかの国際法の学者方も、これは私ども今まで保守的な考え方と思う方々が、かなりこの意見を持っていらっしゃるように新聞、雑誌なんかでは拝見しているのですけれども、もしこの解釈が、アメリカを義務づけているのではない、それによって統治している、まあ暫定信託統治というような意味でございましょう。それならばアメリカを義務づけているものではない。だからこれはアメリカ日本だけで、国連が介入していないのですから、改廃できるものと思うという考え方に立って御賛成できるかどうかということが伺いたい。
  67. 下田武三

    下田説明員 その点につきましては、奄美大島の返還の場合の先例かございます。平和条約第三条はそのままにしておきましてアメリカ日本だけで返還をとりきめたという先例があるわけでございます。
  68. 神近市子

    ○神近委員 これも外務大臣に伺いたいと思うのです。さっきからこの交渉はやらないでもないというような御意見ですね。そしてただ時期でない、時期でないということを、ずいぶんさっきから何度も外務大臣はおっしゃっているようですけれど、私はどうやら時期が熟してきているのではないかというふうに考えております。それはさっき申し上げた通りに、かなり保守的だと思われる国際法の学者方がこの改廃——社会党は前から改廃を言っていたのですけれど、このことを問題になさるほとんど——私が見た範囲では早大の一又とおっしゃるのですか、あの方、神川彦松、新城利彦、横田喜三郎さんもそういうふうな御意見だったと思います。何とか沖繩の問題を解決しなくちゃならぬというどたんばに参りましたせいでもありましょうが、これは無理だ、これは改正しなくちゃならぬという御意見に傾いているようなのが一つ。第二には、国際的にアメリカ領土不拡大あるいは民族自治、この二大原則アメリカ自身がじゅうりんしているということについて相当非難がわいているように感ずるのです。とすれば、今プライス勧告が出てきたことによっての沖繩の方々のこれに対する反対、こういうものが三つそろったならば、今時期でないとおっしゃるのでなくって、今が時期ではないかというふうに私どもは感ずるのです。このことで非公式にではございましたけれども沖繩の代表の方々の決意は非常にかたいものでありまして、日本外務大臣が二人や三人交代してもいいじゃないか、この問題はあくまで世界の世論を巻き起すまで交渉をしていただかなくちゃならぬ、こういう感想をお述べになっていたのをちょっと聞いたことがあるのです。外務大臣、今のアメリカ日本関係、あるいは条約関係を拝見していると、なかなかこの交渉は骨が折れるということ、困難であるということはよくわかります。しかし外務大臣、先ほどから熱情をもってこれはやるということをお繰り返しになりましたけれど、御自分の地位が、たとえば失われるような尽力をやろうというお覚悟があるかどうか、ただやるということは、主観的にこれはどの程度かわれわれには測度できませんですけれど、自分の地位を賭してもやる、あるいは内閣の一つくらいぶっつぶしてもやるということになれば、これは測度ができると思うのです。外務大臣は先ほどから、これは必ずやると仰せになっているのですけれど、その御決心のほどが、そこまでお考えいただけるかどうか、そしてそれを実行していただけるかどうか、これを一つ伺わしていただきたい。
  69. 重光葵

    重光国務大臣 私は国家の重大な利益を擁護し、もしくはその正当な主張をやる場合において、たとえば外務大臣地位のこときは少しも顧慮すべきでない、こう考えております。
  70. 神近市子

    ○神近委員 まことにごりっぱでございます。そうでなくてはこの問題はなかなか解決はできないと思います。ただ今私が質問を急いだ結果として、あまり重ねて申し上げたので一つお落しになりましたけれども、時期の問題でございます。時期は内外ともに熟している時期ではないかと思いますけれども外務大臣はその点で御返答がいただけるでしょうか。
  71. 重光葵

    重光国務大臣 平和条約の一部の改訂を交渉する時期ではないという意見を私は持っております。これはたびたび申し上げた通りであります。しかしながら日本の正当な要求、固有領土の返還を実現するようにいろいろ各方面努力をするということは、当然のことと心得てやっておるのであります。
  72. 神近市子

    ○神近委員 それではどういう状態になったときに時期が熟すると外務大臣はお考えですか。たとえば日本が国連加入をいたしますとか、あるいはそのほかの国際情勢の変化、たとえばソビエト、とアメリカとが友好的になる、そういう時期ですか。その時期は、どういうものが熟したときが時期だとお考えになりますか。
  73. 重光葵

    重光国務大臣 その交渉日本利益現実に進め得ると判断したときがその時期だと思います。
  74. 神近市子

    ○神近委員 では今はその交渉日本利益を進め得ないとお考えになっているわけですか。
  75. 重光葵

    重光国務大臣 今はその時期でないと考えております。
  76. 神近市子

    ○神近委員 これはやはり神川さんの考え方でありますけれど、とにかく沖繩の存在というものが日本にとってすら脅威であるという意見ですね。最悪の場合は、その軍事基地は日本の攻撃のために用いられる可能性がある。特に沖繩の方々が日本民族として日本本国に何らかの被害を与える立場に立つということが非常に悲しいんだということも伺いましたけれど、そういうおそれは完全にないとお考えになっていますか。沖繩の現在におけるような存在が、日本の最悪の場合の脅威にならないか。そういうことについて、この考え方には外務大臣はそんなことはあり得ないとお考えになるか。永久にあり得ないとお考えになるか。現実に脅威になっているとお考えになっておるか。それを伺わしていただきたい。
  77. 重光葵

    重光国務大臣 私はそういう考えには賛成いたしておりません。
  78. 神近市子

    ○神近委員 それではもうこれは見解の相違というものでございまして、これ以上お尋ねしても無益だと思いますから私の質問を終ります。
  79. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 田中織之進君。
  80. 田中織之進

    ○田中(織)委員 だんだんと同僚諸君から質問が行われておりますので、きわめて簡潔に一、二の点について伺いたいと思います。  結論的に申しまして沖繩の問題はサンフランシスコ条約の第三条を改訂して現在アメリカが持っておる立法司法行政のいわゆる施政権日本に返還してもらうということが、根本的な解決であることはこれは論を待たないところであります。ところがその第三条の改訂をアメリカ側に持ち出す時期の問題について、外務大臣はただいまの神近委員並びに先ほどの池田委員あるいは茜ケ久保委員等の質問に対して、現在は考える時期ではない、かように申されておるのでありますが、それはわれわれ国会側といたしましては、実はそういう判断には立っていないのであります。なぜかと申しますと、大臣も御承知のように第二十四国会の最終日に衆議院は前会一致をもちまして、沖繩及び小笠原の施政権返還に関する決議を行なっておるのであります。これは院議でありまして、そのときたしか外務大臣がおられなくて政務次官が、その決議に対して全力をあげて善処する旨の政府の所信の表明があったことを私は記憶いたしておるのであります。そこで大臣にお伺いいたしたいのは、この第二十四国会の最終日に行われました衆議院の決定に基いて、具体的にアメリカ政府に対して外務大臣としてはどういう処置をとったか。これについて外務大臣の率直な御答弁を願いたいと思います。これは院議の決定でありまして、内閣は当然衆議院の院議決定に拘束されるべき性質のものであります。時期の問題については触れておりませんけれども国会がたびたび沖繩、小笠原問題等に対する決議が各党一致で非常に前進をいたしまして問題の根幹に触れて施政権の返還まではっきりと打ち出しておりますから、この点に対して大臣はこの院議に基いてどういう処置をとられたか、この点のお答えを願いたいと思います。
  81. 重光葵

    重光国務大臣 国会の院議は当然これを尊重しなければなりません。いわんや政府といたしましてもその方針に賛成をしておるわけでございます。その院議を直ちに米国側に知らしめて、これが国会の決議である、また政府の希望であるということも申しておきました。ただ施政権と申しますか、それは平和条約の改訂を、第何条の改訂をするんだということを申し込みますと、そういうことを言うことは私は時期じゃない、こう申しておるのであります。しかしむろん沖繩領土を回復していくということになれば施政権は当然返るのでありますから、私の交渉の大きな基礎としては、日本固有領土はあくまで返還してもらいたい、こういう主張を繰り返しておるわけでございます。しかしこれも時期を何月何日に返せというような交渉をしたらば、かえってそれは実益は伴いません。まず第一になるべく早く返すのだということについて、現実的に先方の意向を動かして、そうしてその時期をなるべく早くすることに全般的の努力をした方がいいと考えて、さように処理しておるわけでございます。
  82. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この点については、私はいろいろ意見があろうかと思うのであります。大体平和条約の第三条におきましても、沖繩が現在立法司法行政三権、いわゆる施政権を持っておることについては前提があります。それはいわゆる国際連合の信託統治領とするということの前提の上に立ってそれに至るまでの過程として平和条約アメリカ施政権を認めておるのであります。ところがその後アメリカは、講和条約が発効いたしましてすでに五年を経過いたしますけれども、いまだ国際連合に対して平和条約の第三条の前提になっておる信託統治についての提案が行われておりません。かりに提案が行われましても、これは連合国の一員であります、また国連の信託統治理事会の一員でありますソ連の拒否権が発動されますならば、信託統治は実現しないことも、これは判断できるのであります。またわれわれが先般奄美大島の返還を受けましたような実例がありますけれども信託統治領になった場合にはなかなか奄美大島のように返還が受けられない。その意味においていわゆる第三条による信託統治が行われる以前に、アメリカ側との折衝の過程でこの施政権が返還されるということになりますれば、実質的な効果は上るという点から見まして、われわれもその間の事情は十分了承はできるのであります。了承はできるのでありますけれども、すでに奄美大島の場合には、やはりはっきりとその第一条の一項において「アメリカ合衆国は、奄美群島に関し、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第三条に基くすべての権利及び利益を、千九百五十三年十二月二十五日から日本国のために放棄する。」という形で、いわゆる施政権日本に返還されておるのであります。私は二十四国会最終日における決議は、この施政権という点をうたっておりまする以上、やはりそういう内容に基いての交渉アメリカ政府との間に行うことは院議に最も忠実なる外務大臣としての職員ではいか、かように実は考えるのであります。たまたまこの決議がなされまして十日後にプライス報告が発表せられまして、今次のように沖繩島民八十万の総決起ということになり、国内におりまする八千万の同胞、また沖繩の八十万島民意向を抱いて、今や日本国民の世論になっておるのであります。その意味でぜひともこれはそういう具体的な内容に基いてアメリカ折衝を今まで行なっていないといたしましても、この時が行うべき時期ではないか、かように考えるのであります。さらに、本日の夕刊によりますと、重光外務大臣日ソ交渉の首席全権といたしまして、今月の終りまでの間に、あるいは交渉地が幸いに東京になればお出かけになることはありませんけれども、モスクワかあるいはロンドンにお出かけにならなければならぬ。こういうような情勢にありますときに、そこに沖繩から代表の方も見えられておりますけれども、少くとも日ソ交渉に首席全権として外務大臣がお出かけになる以前に、この沖繩問題に対する何らかの日本政府としての方針が、やはり強力にアメリカ政府側に表明せられることを、沖繩代表は待ちに待っていることだと思う。日本国民もまたその点をちょうど早天の慈雨のように待ち焦がれておると私は思うのでありますが、この際こうした国会の権威ある三つの委員会の連合審査会が行われた機会に、一つ六月三日の院議に基いて具体的な内容——沖繩問題のあらゆる問題の根源は施政権の回復ということに私は帰着いたすと思うのであります。そういう具体的な内容をもってアメリカ政府に対して日本政府としてこの際あらためて返還要求を申し出られる用意をすでに外務大臣の方では持っておられるものだと私は思うのでありますが、いかがでしょう。
  83. 重光葵

    重光国務大臣 今るる述べられました御意見の筋は、私は全く御同感であります。その筋でいっておるのであります。奄美大島の施政権の返還のこときも何も平和条約の改訂を要求してそれでできたというわけではございません。それに関係なくこれはできておるのであります。さような意味でもって今お話の筋でやることに少しも異存はございません。またそうやっておるつもりでございます。また沖繩住民の非常な要請があり、希望がある。これに対して十分その要請に報いるべく最善の努力をいたす、また私が万一不在の場合においても十分にこれに対して手当をしておくということについては、全くその通り考えております。
  84. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大臣も私の申し上げる趣旨には原則として賛意を表されておるのでありますが、先ほど茜ケ久保君の質問に対してわれわれ、また沖繩代表が特に期待を持った昨日のアリソン大使外務大臣との会見の結果、琉球問題については希望が持てる、好転が期待される、こういうような話し合いがアリソン大使との間で出たような、これはあるいは新聞の観測記事かもしれませんけれども、出ておるのに対して、私は非常な期待を持っておったと思うのであります。ところが先ほどの外務大臣答弁では、その問題についてはそこまで申し上げるまでの段階には至っていない、こういうような意味で、新聞のあるいは観測記事が先ばしっておったのではないかというような印象を与えるような御答弁であったので、私も実は失望いたしたのでありますが、ここでくどいようでありますけれども、昨日のアリソン大使との会見では、沖繩問題については触れておらないのでしょうか。もし沖繩問題について触れておったといたしましたならば、問題は、沖繩代表が参りまして、政府の方でもまた国会も、昨日もまたそれ以前から、この問題に取っ組んできておるというようなことが、アメリカ側に非常に影響を与えておると思うのであります。その意味で何らかアメリカ側の、平たい言葉で言えば折れてきた態度というようなものが、昨日アリソン大使との会談の、あるいは話の内容には出ていないにいたしましても、何らか沖繩問題に触れておるといたしましたならば、外務大臣の受けられた感じからしても、私は何らか期待が持てるようなものがあったのではないか、こういうふうに感ずるのであります。その点率直な大臣の感じなり、あるいはもし内容の具体的な点については触れられないといたしましても、その点について希望が持てるかどうか、その点を一つ率直にお答え願いたいと思います。
  85. 重光葵

    重光国務大臣 私の先ほど申し上げたのは、この会談について何ら私が日本側の方から新聞に発表したものでないということを申し上げておるのでございます。しかしながらその折衝の結果における印象でございます。印象においては、先ほど、これもその意味で申し上げたのでございますが、米国側沖繩住民意向を十分に聴取して、納得のいくように最大の努力をやろう、こういう気持であるということがはっきりいたしました。それでありますから、私はそこに希望は十分持てる、こういう印象は持っております。しかし私といたしましては、すべてこういうことについてあまり喜ばせ過ぎるということも常に警戒をいたしております。私は最も忠実に、いわば内輪に見積ってすべて話すべき問題だと思っております。非常な苦痛を感じておる人に現実以上の期待を持たせるということも、当局者としては相済まぬように感じます。けれども感じといたしましては、ああいう態度ならば希望は持てるのではないか。全部の要求は別として、希望は持てるのじゃないか、こういうふうに感じたことは事実でございます。
  86. 田中織之進

    ○田中(織)委員 最後にもう一点だけお伺いいたします。この点はあるいは技術的になりますので、条約局長あるいは南方連絡事務局長の方からお答えを願った方が適切かもしれませんが、いわゆる講和発効前の補償の問題に関連してであります。これは平和条約の十九条に基いて、占領中の請求権日本が放棄しておる、アメリカ側はそういう解釈をとっておるようでありますけれども、この点については、昨日条約局長は、そういうアメリカ側の見解にわれわれは同意しているわけではない、なお現在は講和発効後といえども、いわゆるアメリカ軍の占領と同時の状況が続いておるのであって、この点から見て、講和条約の第十九条がこの沖繩の、たとい講和発効前の補償の問題についても適用があるかどうかという点については疑問があるという答弁がなされておるのであります。しかし先ほど南方連絡事務局長の御答弁によりますと、占領中は占領当時の日本法規施行されてきている。こういうことになりますと、これは占領中、いわゆる講和条約発効前が占領中という意味だといたしますと、私は、占領中の問題については、内地と同じようにやはり日本政府が補償の責任をとらなければならぬと思う。占領日本国民土地その他の施設が占領軍に接収されたというような関係については、調達庁を通じて日本政府が補償いたす建前になっておるのであります。そういう関係も私は出てこようかと思うのであります。その点で、琉球につきましては、いわゆる講和発効前と講和発効後との間に、そういう法令その他の点で根本的な変革があったのかどうか、あるいはもしあったとすれば、それがどういうように現在出てきておるか、この点がやはり講和発効前の補償の問題に関連して補償の責任日本政府がとるべきか——われわれ国民の感情からいたしまするならば、当然アメリカ側がその責任をとらなければならぬというのが常識でございますけれども、これはやはり私は、法令の根拠によって、あるいは日本政府がとらなければならぬ場合も起ってくると思うのであります。問題は、昨日の沖繩から参られておる代表の陳述によりますと、いずれにしてももらえばいいんだ、こういう態度、これは私は無理からぬ態度だと思う。その点から見て、この点がどういうようになっておるかという点をお答え願いたい。  それから、最後は要望事項でありますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、外務大臣日ソ交渉の首席全権として月末には外国へお出かけになることが確定的になった段階におきまして、少くとも御出発前に、この沖繩問題について、日本政府としてはアメリカとの間で本腰を入れて取っ組んだという、一つの目に見える成果を上げていただくように、本日の連合審査会を契機といたしまして、外務大臣においてまた政府の各機関において、私は全力をあげていただきたいという点を強く要望いたしまして最後にこの点は事務当局からでもけっこうでございますから、お示しを願いたいと思います。
  87. 中川融

    ○中川説明員 ただいま御指摘のありました、講和発効前にアメリカ軍の行為によりまして沖繩住民の方が受けました損害につきまして、どういう補償を日本がすべきか、米国がすべきかという問題に関連してでありますが、講和発効前、つまり沖繩におきまして占領が直接行われておりました時期におきまして行われておりました法令というものは、先ほど南方連絡事務局長が御説明いたしましたように、終戦時における日本法令原則として別の定めのない限り施行されておったということでございますが、これは御承知のように終戦と同時に司令部の命令によりまして、沖繩日本行政権からは分離されておるのであります。従って終戦時における日本法令が適用されたと申しましても、日本法令として適用されたと見るべきではなくて、現地を管轄しておりました沖繩における米占領軍の法令の一部として採用されて施行されておったと見るべきであると思うのであります。また具体的に申しますれば、日本内地におきまする米軍の行為に基く補償を日本政府がするという法令は終戦後にできた法令でございますので、これはやはり沖繩現地には適用されていなかったのであります。従って御質問の点につきましては、補償に関する日本法令は、沖繩におきましては、占領時期におきましても適用はなかったというふうに考えております。
  88. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 吉田賢一君。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと二、三点伺ってみたいのであります。沖繩同胞に対しては、終戦と同時に日本法律は適用されない状態になったとおっしゃっておったようでありますが、しかし国際法の一般観念からいたしますと、占領しました領土における他国の国民法律的処遇というものは、従前受けておった、その国民の所属国の憲法並びに法律によって享有しておった権利その他の利益を奪わない、棄損しない、そういうことが原則でないかと思うのでございますが、その点につきましては、これは国際法原則からすればどういうことにお考えになっておりましょうか。
  90. 下田武三

    下田説明員 へーグの陸戦法規によりますと、占領軍の軍事上支障のない限り、なるべく占領地施行されておった民事その他の法令を尊重すべしという原則がございます。これは主として敵対行為中でございます。敵対行為中で法令制定のいとまないときに処理する場合の基準でございます。そこで沖繩にも敵対行為の凄惨な段階があったのでございますが、先ほどアジア局長が申しましたように、日本の終戦後、つまり敵対行為が終止符した後にスキャッピンが出まして、沖繩を含む幾多の島嶼が日本行政権からひとまず分離されてしまったわけであります。そこでその分離の際にやはり先ほど申しましたように新たな別の法令を作るいとまがないので、日本法令のあるものをはさみで切り取りまして、軍の権力のもとにそれを沖繩施行するということに相なった。でございますから、へーグの陸戦法規にあります敵対中の忽々の間の問題と、それ以後の大部分の期間というものは、終戦後日本からとりあえず行政権の分離をいたしまして、その後に起った事態の方が重要性からいきましても重いわけであります。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたかったことは、たとえば統治権を譲渡いたしましたような場合におきましても、居住民の受けておる既得権は尊重するということが国際法の観念じゃないか、それを守っていくということがこの場合における沖繩住民に対するアメリカアメリカの立場ではないか、こういう点であります。
  92. 下田武三

    下田説明員 その点は仰せの通りでございます。私有財産権の尊重を初めそういう権利は尊重するというのが根本精神でございます。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでございますれば、日本法令をはさみで切ったごとくにして適宜適用すべきものを適用したことがかりにあっても、沖繩住民のたとえば土地について持っておりまする所有権、あるいは所有権を失う場合における補償、あるいは人として生命、自由などを奪われない権利、こういったものは尊重されるということが原則になって、尊重されない事態が発生したときには、その原因を究明していくべきである。これはちょっと別個の問題になりますけれども、すべて尊重されるということが原則である、こういうふうに理解してよいのであろうと思いますが、いかがでありますか。
  94. 下田武三

    下田説明員 その点も仰せの通りでございます。これはまず当然施政権者たるアメリカ側が順守すべき大原則であると思うのであります。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでございますると、ただいま問題になっております土地の問題、ことに私ども一番切実に感じますことは農地の問題でございます。農地に関連して宅地等も含むのでございますが、この土地を軍用地に接収された経緯を、参考人の説明に徴しても、また国会から派遣された諸君の報告によってみましても、その他の文献を通じてみましても、どうも合意が欠けておる思うのであります。この点はだんだん御質問もあったかと思いますけれども、なお私はっきりしないので伺ってみたいのであります。所有者から政府が借り受け、政府からアメリカ軍がまた借りておる。しかしながらそこには合意がなかった、しいて一方的にこれを占有した、どうもそう見られるのであります。言いかえますと、所有者の機能を無視いたしまして占有、使用し、収奪した形跡がございます。そういうようなことは明らかに財産権の不法な侵害であろうと思うのであります。そこで、それにどう対処するか、また一々の個々の具体的例の真実関係は一応別として、一般的に申しますれば、どうも所有者もしくは使用権者の合意がなかったということは否定できないように思うのであります。合意がなかったということを政府は認定しておられるかどうか、また政府の入手した電報によってそのように判断をしておられるかどうか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  96. 石井道則

    石井説明員 お答えいたします。沖繩土地の接収につきましては、初め一九五二年十一月に琉球列島米国民政府布告第九十一号契約と題する布告が出ております。それによって一応土地所有者琉球政府間の借地契約をいたしまして、それを琉球政府から米国政府に使用せしめる建前の布令が出ております。その後その実施に当りまして、非常に賃貸料が安いということで、その契約の合意ができなかったのでございます。この点については参考人も説明せられたと思いますが、その後に土地収用令が一九五三年四月三日に、出ておりす。これによりますと、所有者との協議で意見一致を見ることができないことが確定したときは、民政副長官は米国の名において処理させるということになっておりましていわゆる土地収用令の建前は最終的に土地所有者の合意を必要としていないのでございます。  なおその直後、ほとんど同時に、一九五三年十二月五日に軍用地域における不動産の使用に対する補償という布告第二十六号が出ておりまして、これにおきましては、合衆国代行機関は、合衆国が地主に対して正当な補償をなすことに上って軍用地の使用及び占有の権利を取得すべく、該地主との書面による契約締結の交渉に努めたが成功しなかった。そこで該土地が収用された一九五〇年七月一日及びその翌日から、合衆国においてはその使用についての黙契とその借地料支払いの義務が生じ、当該期日現在で合衆国は賃貸権与えられたということで、いわゆる賃貸権の取得とみなすような格好で規定を作っております。  事実はそういう状況でございます。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 従前の沖繩住民日本法律によりまして、ただいまあなたがお述べになったように合意を要しないで黙契的な使用権、賃借権を政府もしくは軍が取得するという、そういう類似ものでも何か従来あったのですか、つまり従前に住民権利アメリカ軍によって制限をされ、義務が加重されたことになるのではないか、この点はいかがですか。
  98. 石井道則

    石井説明員 従前の規定は、先ほど条約局長からも補足されて御説明のありましたように、日本占領当時行われた法令を一応その後修正または新たに規定を設ける等によって改廃しない限りは、従前の規定アメリカ管理当局規定として実施されておるということでございまして、たとえば民法というものは旧民法がそのまま施行されておったのでございますが、最近日本の民法の改正にならいまして、ほとんど同様の内容を持った民法の改正ができたのでありまして、それが現在の琉球地において行われております民法に関する法令でございます。  なお土地収用に関しましては、いわゆる従来の土地収用法というものは、向うにおける規則ができるまでは施行されておると思いますけれども、ただ軍の使用、収用については、先ほど申し上げましたような布告、布令等ができておりますので、その範囲で、一般的な日本における収用法の規則は適用されなくなっておるような状況でございます。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なるべく簡明に御答弁願ったらけっこうです。委員長の方から時間をせいてきましたから。  そこで伺いますが、私の承わらんとするところは、すでに従前の国民として持っておった権利義務を、アメリカをしてそのまま尊重せしめることが原則で、あるということを原則的には御答弁になっておる。しからば従前持っておった土地所有者の一切の権利なるものは、アメリカ軍によって剥奪されるというような結果を招来した場合には、それは不法な権利侵害になるのではないかという点について、政府考え方を聞いておったのでありますでありますから、今だんだんと布令が出た、布告が出たということをお述べになっておりますけれども、布令が出た、布告が出たということは御答弁にならぬ。そういうことによって結局日本の従前持っておった権利が侵害されてしまうということであるならば、一体これはどうするのかという問題が次に生ずるのでありますから、そこをどういうふうにけじめをつけて御判断になっておるかということを聞いておったのであります。これが御答弁でさましたら一言簡単に言っておいて下さい。
  100. 下田武三

    下田政府委員 その点につきましては、先ほど民法のお話がありましたが、そういう私法は別といたしまして土地収用というような公権力の発動を待って初めてできることにつきましては、これは施政権者がかわりますときには、むしろ新しい布告なり何なりができるというのが過去にも多いと思います。結局出題はその内容と実施のいかんだろうと思います。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 アメリカにおきましても土地その他の財産を公共の用に徴収するというような場合には、適当な賠償なくしてはできないということが改正憲法の五条にも書いてあるようでございます。これはその憲法を待たずとも原則的に当然でございますし、ひとりアメリカのみならんやで、名文開国はすべてその通りでございます。そこで今の土地の収用、接収の事実関係に対して、もしそれが権利者の側において住民権利が侵害せられているということになっているのであるならば、それは日本としましては先ほど来問題になっておりました俗語でもいいですが、外交保護の手段をとって、相手方のアメリカの違法をとがむべき一つの根拠になるのではないか、私は参考人などが述べておりましたことをだんだんと聞くと、これは事実の関係からすれば大へんなことであるという印象を実は受けているのであります。文章等で報告を読んでいるとさほどでありませんけれども、しかしなまの言葉で土地を収奪せられている実情、ほんとうに命があるやらないやらわからぬ状態に追われつつありあります状態を述べるのを聞いておりますると、これは単に権利の侵害というにとどまらず、もっと大きな人道の問題として取り上げるべき性質を持っている。また国際法原則に違反する性質を持っている。アメリカ憲法の精神をみずからじゅうりんしているようなことにもなるのではないか、日本人としての琉球人を保護すべき日本政府の立場としましては、外務大臣も十分に保護する態度を明瞭にせられているのであるから、これに対しましてはしさいに全部調べ上げまして、徹底的に交渉を開始しなければいかぬと思うのです。よしんば今アメリカ施政権があるといたしましても、このようなことが国会に報告される限りは、大臣はこれらの事実の関係につきまして、一切詳細、具体的に最近の事実関係及び経過状況ないしは住民の生活の状況、それによって被害をこうむっておる経済的、社会的、精神的、生活的あらゆる角度からする事実の調査、そういうものの情報の提供を求むべき権利があると私は思う。また国会はいいかげんにこういう問題を扱うべき筋では絶対ございません。いやしくも非常に重要な発言がなされました以上は、その事実の関係につきましては、政府責任をもってその有無、状況等の情報を要求する権利が私はまずあると思うのであります。外務大臣はこれについてどうお考えになります  か。
  102. 重光葵

    重光国務大臣 御意見の御趣旨については私もそう考えます。それがためにいろいろ折衝もし、こちらの持っておる情報に基いて、それを正確な情報にして向うに強く、要請もし、また必要な情報を向うに求めつつあるわけでございます。さようなふうにやっていきたいと考えております。
  103. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでに何らかの交渉をしておるとおっしゃるけれども沖繩住民から出る情報等々からすれば、おそらくはさらに驚愕すべき幾多の問題が私はつかめるだろうと思うのであります。そこで一方においては非常に重大な政治問題化しておるということもこれは事実でありますので、国際的にも重大な問題でありますから、やはりこれは直ちにしかるべき方法をもって外務苦みずから——あるいは南方連絡事務局があるのでありますけれども、しかし外交折衝責任省庁としまして、これは直接に人を派遣して現地において情報を得るという方法は外交上ないものでありましょうか。そういうことをするくらいな熱意をお示しになることが、一つはやはり沖繩住民の期待にも沿うゆえんでもありますし、またいいかげんにすることのできない重大性からかんがみましても、その必要があろうと思います。折衝につきまして、これはもう根本的に重要な問題の解決はそれぞれ幾多ございますけれども、私はやっぱりそういう資料の最終的調整をすべきことも、この際なすべきあなたの方の一つの仕事でないかと思うのでございます。要するに直接具体的に把握するという方法をおとりになることはいかがか、こういうのであります。
  104. 重光葵

    重光国務大臣 全くその通り考えてやるわけでございます。
  105. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 吉田君、大臣所用で退席されますので……。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣はこの一点だけで切りますから……。そこでやはりこれは第一段としましては、国際法原則に基いて、もしくは条約解釈上あるいは法律解釈上等々から、私は筋を立てて御交渉になるのであろうと存じます。それの場合はやはり特に土地の接収の問題につきまして、いやしくも違法の侵犯事実がありといたしますならば、事の大小にかかわらず、私はその違反の事実をアメリカに対して強く主張するということをなして、アメリカにこれを認めさす、確認をさすという手順を追うていくという、こういうような手は打ってもらわなければならぬと私は思うのであります。合理的な折衝というものはそうあるべきだと思うのであります。幾多のほかの方法もありますけれども、そうも考えておるのでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになり、またどうなさるつもりでありますか。
  107. 重光葵

    重光国務大臣 そういう考え方に少しも異存はございません。実はそれを努めておるわけでございます。なお足らないところは十分に一つやりたいと考えます。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 アジア局長に聞きますが、特に統計等によりますと一反未満というような農家も相当あるらしいのでございますが、もちろんこれは専業でありませんだけに、ずいぶんと苦しい生活をしておると思います。そこで同時に農地問題が、いわゆる農民のためには、また土地を失って、ごく小部分の何十坪しか作っておらぬ農家等にとっては、一そう必要性を増すのでございます。そこで少し枝葉の問題のようでございますけれども、やはりこれも土地収用の合理性、合法性の有無という点についての質問になるわけでありますが、日本政府としましてはアメリカの接収した土地、米軍の軍用土地として収用しておる土地について、その補償ないしは賃料あるいは収用方法の妥当性ということについて研究もしくに調査はしておられるのですか、それはどうなんです。それはあなたの方の所管か、どこの所管なのですか。
  109. 中川融

    ○中川説明員 御質問は、沖繩におけるそういう問題について日本政府が調査しておるかという点であろうと思うのでありますが、これは南方連絡事務局が主管官庁となりまして現地の状況を調査しておるのであります。その方法といたしましては、現地に機関がございます。これからの情報と現地から来られる方々のお話を聞いて、そういうものを総合して実情を調査しております。それについての判断もいたしておるのであります。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば伺いますが、土地の補償ということは、それは経済的補償によるのか、生活、社会保障も加えるのか、その計算の基礎は何を要素になさるのですか。
  111. 中川融

    ○中川説明員 現在現地で行われております補償制度は、一九五〇年当時に日本から行きました、これは東京銀行の人がたしか行ったと思いますが、その人を使いまして米軍政府が一応農地の価格を算定いたしたのであります。その算定したものをベースといたしまして六%というものを毎年の賃借料として払うというのが現在までの現地にある制度でございます。しかしながらその算定自体が非合理的であるということで現地の住民の方の一斉の反対を受けておるというのが実情でございます。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体そういう価格の 六%というような機械的な賃料のきめ方というものは、これは日本内地においてはないと思います。ことに聞けば非常に美田、良田もある、もしくはそれを取られることによって生活を奪われた人もある、あるいは生活を奪われるにひとしい人もある、九〇%を取られた人もある、こういうような報告になっておる。そうすると土地の価格の六%というものはおよそ機械的な机上の数字にすぎない。そんなもので実情に妥当する賃料が算出されるというようなことは、一体政府ともあろうものかそんな報告を聞いて、それで合理的な方法、妥当な数字だなんとお考えになっては大へんなのであります。今でも一体そんなことでよかったとお思いになっているか。銀行屋が行こうと何か行こうとよろしい、だれでもよろしい、また現地におる人がどういう手段をとってもよろしいけれども、いずれにしてもこれを内地に比較し、もしくは従前のそれに比較し、生活を脅かされることを考え等々いたしましたならば、そんなことで済まされるものではございません。あなたら、現に日本の防衛庁などが砂川の基地問題を通じてどんなに深刻なもつれを生じておるかということはよく御承知だろうと思う。やはりこれは生活の脅威という問題が生じたときにはそうなるのです。でありますから生活を脅威される、生活手段を失うというような場合になりましたならば、算定の基礎は一変してしまうのであります。よって単に机上のそれにあらず、いろいろな土地の種類、等級もあろうし、便益もあろうし、あるいはまた土地の大きさもあろうし等々、幾多の条件があるのですから、一切の条件を考慮して、経済的、社会的、生活上あらゆる角度からこれを考慮するというのでなければ算定が出ないはずであります。そういうようなことを十分に調査することをしなかったならば、政府沖繩住民日本人に対する保護の手段はとれないのです。いいかげんに相手にまかしておくというならば、それは首つりとか自殺とか、そういう悲劇が生ずるものも見殺しにするという結果を招来するのであります。ですから、これは実質的な問題として伺うのでありますが、あなたは答弁できないとすると、そんな上り抽象論ではなしに、だれかもっと具体的にそういうことを答弁する人がいないのですか。
  113. 中川融

    ○中川説明員 日本政府は、決して今沖繩現地で行われておる補償制度が合理的であると思っているのではないのであります。合理的でないと思うがゆえに、これを訂正するよう、もっと合理的なもの、少くとも内地において回しような場合に適用されている法令と同じにするようにアメリカ側交渉しておるのであります。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 内地に行われているのと同じようなものにするようアメリカ交渉している、そんなことでは話は解決しない。具体的に沖繩においてどういう事態が発生しておるか、よって生じた損害はどういうものであるか、生活の脅威はどういうものであるか、そういうことを具体的につかまなければならぬのであります。問題はそこなんですよ。それならば私が最初に申したように、やはり沖繩の現地における事実の関係を確実に把握なさることが前提になります。それなくして抽象論を繰り返しておったならば、プライス勧告のようにばかにされてしまうのであります。そういうことをやっておりましたら、事実はだんだん悪化していくのみであります。手おくれ手おくれになっていくのみであります。そして結果は得られないのであります。そんなことは申し上げるまでもございません。ですから、合理的でないということがおわかりになっておるのならば、何がどう合理的でないか、数字がどうあるべきなのか、生活はどういうふうになっておるが、どうすべきであるか、そこをもっと的確につかんでもらわなければならない。きのうも聞いたごとくに、土地も十分の一に追い詰められて、今生きるや生きないやの境地にさまよっておるという同胞を見殺しにすることができますか。しからばそれに対してはどうすべきか、生活を救済するにはどうすべきかというようなことも考えなければならぬ。そもそもまた根本的には、一体沖繩における特殊性というものをほんとう日本政府はつかんでおらぬのじゃないか、私は深くこれを憂うるのです、そういうふうに思うのであります。  要するに今あなた方は、アメリカのやっておる補償とか賃貸料というようなものは不合理なものであるということを認めるというので、それで合理的にしろといって交渉しておるというふうにおっしゃるのだが、その前に、一体事実の関係はどういうことになっておって、何を要素として算出をしなければならぬということの方針を持っておるのかどうか、生活関係なんかほんとう考えておるのかどうか、そういうことについて政府はそれに対する知識及び資料を持って準備をしておるのかどうか、この点なんですが、それはどうなっておりますか。
  115. 中川融

    ○中川説明員 ただいま、数年前に日本から専門家を向うへ連れていきまして、そうして価格を算定したと申し上げましたが、その算定は大体登録価格をもとといたしまして算定したのであります。それはおそらく机の上で算定したものであろうと思うのであります。ところが沖繩現地におきましては、農地を売るということはほとんどないのでありまして、従ってそういう机の上で算定しました売買価格というものは、全く現実には存在しない価格であるのであります。その点がアメリカの制度の根本的に非合理的であるというゆえんであろうと思うのであります。従ってその特定の農地の収益というものをやはり基礎にして、すべてのものを算定するというふうに変えなければいけないと思うのであります。これは内地におきましては、その収益というもの、及びその隣接の土地現実にどういうような価格で賃貸されているかというようなこと、こういうものを基準として補償額を決定しておるのであります。従って、内地の補償額の決定には相当現実的な根拠があるのでありますが、沖繩におきまして米軍が現在までやっております制度というものは、そういう点において空論であると言わざるを得ないのであります。そういう点についてはこれは根本的に解決しなければいかぬ、かようにわれわれも考えて、そういう趣旨で折衝しておる次第であります。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 またあとで聞きますが、きょうは予定の時間が来たようでありますから、もう一つだけこの際聞いておきます。  ちょっとさかのぼりますけれども、だんだんと議論があって質疑応答がなされてなお明らかになっておらなかった点は、それは二要するに、いわゆる接収とか収用とかいうものが違法であるのかどうか、国際法的に考えてもこれは日本人権利に対する違法の侵害になるのではないかという点なのでありますが、やはりこれはそうではなく、アメリカは布告を出し布令を出してしているので合法的であるから、その手段に汚しては抗議ないしは抗議的な折衝はできないという考え方に立っているのかどうか。そういうようなことについては、所有者が合意をしないという場合に、合意のない場合に手段を選ばないということはやはり違法であるというふうにわれわれは判断をいたしております。これは少し議論を長くしなければいけませんが、きょうは時間の関係があるからとどめますけれども、結論的には、不法なる土地の侵奪をアメリカ軍がやっているということの判断に立ってあなた方は交渉をしつつあるのか、また交渉せんとするのか、その点は一体どうなのですか。これは政府全体に通ずる考え方であって、またわれわれとしてもどこまでも追及することをゆるめることはできないのであります。現実的な救済の問題はありますが、とともに、土地収用に対する違法性というものは根本的に追及をしていかなければなりませんので、そこは一体どっちに立っているか、それを聞いておきたいのであります。
  117. 下田武三

    下田説明員 平和条約第三条でアメリカ立法権を与えております。従いまして土地収用に関しましてどういう法規を作るということは、これはアメリカの問題でございます。そうしてそれが土地の無償収用を認めていないアメリカ憲法に違反するかどうかということも、これもアメリカの問題でございます。そこでわれわれは不法だといって交渉するのではなくて、大体こういうものは法律上可能であっても、勝手にやっていいというものではございません。日本政府土地収用をする権利がありますけれども内地の基地問題で土地収用の権利なんというものは決して使うべきものではないのであります。最後の最後に至って、砂川の残った二、三のものにやむを得ず使うかどうかということになっておりましてこれは円満に解決すべきものなのであります。  それで、法律上そういう権利があるからといって勝手に使うということは、たとい法律上許されましても、それが沖繩住民の福祉に反する限りは、日本としては、先ほど申しました外交上の保護権によって十分交渉をし得ることである。いわんや、その地代の算定の基礎たる土地の評価というものがまるで不合理なものであり、従ってそれから算定される地代が不合理であるとするならば、完全にこれは沖繩住民の福祉に反する問題として、日本政府は当然交渉しなければならない、そういう法律関係にあると存じます。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの答弁が少し混雑したのでありますが、私の伺いますのはそういう点を聞いているのではないのです。あなたは、住民の既得権は侵害しないことが国際法原則であるということをお述べ下さっておるのでありますが、その場合に、立法権をアメリカ側が持っているからといって、どんな法律を作っても、人を虐殺する法律を作っても——そんな法律はなかろうけれども、どんな法律を作っても、傍観するということは国際法の違反としてわれわれ日本は責めるべき権利はあると思います、原則を破るのでありますから。原則を破るときは、一応は日本住民の保護のためには私はできると思うのです。でありますので、今の立法経過や手続の実情を考えると、どうも不法侵奪と思われてならぬ。法律を作る権限はアメリカが持っているのだから、アメリカがどんな法律を作ろうと、われわれは関与できないのである。従ってそれによって行なっていく以上は仕方がないのである。そういうようなことに立つのならば、これは何をかいわんやであります。国際法を論じる必要もないことになる。国際法原則を認める以上は、あくまでも原則原則として相手方にその順守を要請するということが、独立国の権限であろうと思う。そういう立場におきまして、アメリカの軍用地の事実の関係法律的にも抗議をなし得るものではないか、抗議をなし得る対象となるのではないか。それは前提としては、不法に所有権を侵害せられているという判断をなし得るのではないかと思うのであります。そこでそれについてどういうお考えを持っておやりになっているのかどうか、こう聞くのであります。
  119. 下田武三

    下田説明員 私の申し上げましたのは、日本アメリカ折衝しております根拠は、そういう土地収用に関する法令を二法する立法権がないではないかと言って抗議するのではない。つまり立法したものの内容が不適当である。それによって沖繩住民の福祉が傷つけられるということが根拠である。そういう立法をする権利がないのだという根拠をもってするのではなくて、その内容いかんによりまして、いやしくも日本国民である沖繩住民の福祉が傷つけられるというところに根拠を求めるという立場でございます。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとそういう立場ということではわからぬ。つまり御説明はわかっているようでありますけれども、大体黙示的に賃借権を持っているというような表現をなした法規というもの自体も、これは全く国民権利を奪うという内容と同じであります。賃借権というものはあくまでもやはり合意を前提にしなければならない。黙示という以上は契約の意見を推定し得なければならぬ。こんなことは出すまでもございません。従ってその他の表現ならまた別に論じられますが、かりにもやはり黙示の契約という以上は、合意が前提にならなければならない。しかるに事実においては合意がない。こういうことは不法の侵害ではないか。こういうことを前提にしているのではいかというのでありますから、まあこの程度でよろしゆうございます。御答弁願わなくてもいいですが、これはいずれもう少し筋を立てて御答弁願って、これは外交折衝上の一つの基本的な関係を整理することになりますので、整理されていると思いますけれども、非常に重要な点があいまいもことして私は経過されていると思うのでありますから申し上げるのであります。
  121. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 福田昌子君。
  122. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 大臣がいらっしゃらなければ質問しても仕方がありませんから、委員長要望しておきます。沖繩の問題は非常に大切な問題ですから、この沖繩問題だけを取り扱う特別委員会というものを作っていただきたい。これは委員長の御配慮によってお取り計らいをいただきたいと思います。
  123. 前尾繁三郎

    前尾外務委員長 これは所管がちょと違います。運営委員会でやることですから……。その点は追って何いたしましょう。   これにて本連合審査会を散会いたします。     午後五時十五分散会