○稻村
委員 それでこれは繰り返して言うようですが、私は
法律問題は知らないので、なるべく
法律問題は言いたくないのですが、つまりただ政治的に
交渉する、こういうふうなことを繰り返し言うようですが、これはしかし今
条約局長も言われたけれ
ども、政治的に
交渉するというなら、キプロス島の問題などと同じことになると思う。そうでないことは明瞭なので、これはだれでも知っておる、当然
法律的にも
日本の
行政、
司法、
立法の
三権を回復する権限があると思うのです。入江啓四郎教授によれば、
日本は南方
地域に対し、失地回復権を持ち、
外交交渉によって、
施政権の回復ができると言っております。それでやはり同じ入江教授は例をあげておるのです。国際
司法裁判所は、西南アフリカの国際的な
地位に関する
意見、一九五〇年一月十九日というのでもって、国際連合憲章第七十五条、第七十七条、第七十九条、憲章の掲げる三態様の
地域を
信託統治に付することは、義務的でないとしておる。つまり
信託統治に付するについての任意性は、第七十七条の
地域に限らないとしておる。少し長いようですが、申し上げますが、第一は、分離
地域でも、台湾のような分離
地域でも、国際連合外で処理されたものは、第百七条の適用があり、特別の合意がない限り、国際連合による介入のほかに置かれている。第二は、国際連合内において処理されても、必ずしも
信託統治に付されることに限っていない。そこで南方
地域については、国連憲章第百七条、第八十条に基き、従って直接には
サンフランシスコ講和条約第三条に基き、
沖繩の
地位を
決定することになるのでありますが、三条をそのまま実現するとすれば、これは当然だれでも知っておることでありますが、第一
段階は
アメリカの
施政権下、第二
段階では国連憲章の
信託統治、第三
段階では
日本復帰こういうことになるのですが、奄美大島の例もある
通り、問題は第一段から第二段を経ずに
日本復帰できることは、これは奄美大島の例を見ても明瞭であります。そこで
講和条約にも南方
地域を付託
統治に付することを提案し得るとしているが、提案することを義務とはしていないのです。
第二に、実質論としては、南方
地域を
信託統治制度に付することは、憲章の定める
信託統治制度の本旨に反し、全く別個の目的によったものであるから、それは見合せることこそ望ましく、かつそれが憲章の
原則に帰することになると思うのであります。そこで米国の学者等においてもしばしばフォーリン・アフェアーズなどに書いておりますが、
沖繩は法的に見ても返すのが至当である。そうして必要ならば基地を
日本と
相談をして、そこに設定したらいいじゃないかという議論がしばしば外国の雑誌等にも出ているのです。そういうわけで、キプロス鳥の場合などと全然違うので、常に政治的
解釈によって政治的
解釈はこうだから、法理的
解釈はどうでも、政治的な主張だけで自分はやるのだ、こういうふうなことを言うのは、これはもうすでにごまかしなんですよ。私は何も三百代言的な
法律論がいいと言っているのではない。しかも
外交の問題は、私はしろうとであるからわからぬけれ
ども、常識論からいって腹の問題と政治技術の問題なんにから
法律問題を言う必要はないのだび、常に
日本の外務省はそういう問題なってくると
法律問題を出して、これは仕方がない、サンフランシスコ条役の第三条の改訂をしないうちはできないと、こういうふうなことで、すぐ言いのがれをやるのです。私は当然これは政治的に見ても
法律的に見てもああらゆる機会において
沖繩の
行政、司仏、
立法の
三権の回復を主張することが、
外務大臣の仕事だと思う、任務だ思う。それはちっとも隠す必要はないと思う。そういうことによって国際の世論に訴え、
アメリカの世論に訴えて、そうして
一つの歴史の流れに乗ってこそできるのであって、あいまいな
態度、それからいいかげんな言いのがれのようなことをやっておっては、絶対だめですよ。その点あなたは本気にやっているというのですが、僕はそう思えないのです。これはそういうことをいっても水かけ論になるでしょうが、どうもあなたの
態度はそう思えない。あなたの信念を聞かしてもらいたい。