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1956-04-21 第24回国会 衆議院 外務委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十一日(土曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 石坂  繁君 理事 北澤 直吉君    理事 須磨彌吉郎君 理事 高岡 大輔君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    植原悦二郎君       大橋 忠一君    菊池 義郎君       重政 誠之君    並木 芳雄君       福永 一臣君    松田竹千代君       森下 國雄君    大西 正道君       田中 稔男君    森島 守人君       利田 博雄君    岡田 春夫君  出席政府委員         法制局次長   高辻 正巳君         外務政務次官  森下 國雄君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (移住局長)  矢口 麓藏君  委員外出席者         検     事         (入国管理局次         長)      下牧  武君         外務省参事官  石井  喬君         文部事務官         (管理局学校給         食課長)    宮川 孝夫君         農林事務官   松岡  亮君         専  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 四月二十一日  委員園田直君辞任につき、その補欠として森下  國雄君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の分蔵に付した案件  千九百五十五年五月三十一日に東京で署名され  た農産物に関する日本国アメリカ合衆国との  間の協定第三条を改正する議定書締結につい  て承認を求めるの件(条約第八号)  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第九号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会談を開きます。
  3. 岡田春夫

    岡田委員 資料要求を、議事進行関係もありますので、一ついたしておきたいと思いますが、新聞その他の伝えるところによると、一昨日は事務次官会議、それから昨日は閣議で、旅券法の取扱いについて正式の決定を行なったようでありますが、この内容についてはいまだに、どういう事情か知りませんけれども秘密にしておって、明らかにしておらないようであります。われわれ国会審議を進めるためにも、この旅券法閣議決定につきましては、ぜひとも資料としてこの委員会に配付されるように、委員長から強く外務省に対して要請をしていただきたいと思います。なおその時期は先ほどの理事会等の打合せによりまして、来週の水曜日に大臣が出て旅券法についての質疑を行いますので、それまでに必ず配付されるように要求をいたしておきます。委員長としてその点をお取り計らいを願いたいと思います。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 そういう閣議決定があったかどうか存じませんが、一応よく相談して善処しましょう。
  5. 穗積七郎

    穗積委員 関連して。政務次官、文吉は文書としてまたあとで出すことにして、きまったらきまったで、今ここで発表しなさい。おとといの次官会議、昨日の閣議で、何か旅券問題に対する制限事項の申し合せがあったそうですが、ちょっと発表しなさい。
  6. 森下國雄

    森下政府委員 この問題は、まだ発表する時期に至っていないので、中間報告はしないことになっております。
  7. 岡田春夫

    岡田委員 それでは政務次官にちょっと伺っておきますが、事務次官会議決定を見、閣議でも昨日決定を見たということは間違いありませんか。この点はどうですか。
  8. 森下國雄

    森下政府委員 私はまだよく存じておりません。
  9. 岡田春夫

    岡田委員 事務次官会議できまったことは、もう新聞発表になっている。その内容については発表していないけれども、閣議でもきめられたということは、すでに新聞発表になっている。
  10. 森下國雄

    森下政府委員 これはまだ発表段取りに至っていません。
  11. 岡田春夫

    岡田委員 内容については発表段取りになっていないということは、一応あなたのお説をあれするとしても、そのことはきまっているのではありませんかということを聞いているのです。この点を答えていただきたい。
  12. 森下國雄

    森下政府委員 確かにきまったことはきまっておりますが、その内容については今発表しないということになっております。
  13. 穗積七郎

    穗積委員 発表のできない理由はどういうことですか。
  14. 森下國雄

    森下政府委員 確かにこれはきまっておりますが、それは当分発表をしないということになっております。いかなる理由かという理由をここで説明する理由は、私にはわかりません。とにかく発表をしないということになっております。
  15. 穗積七郎

    穗積委員 矢口局長、その事情を知っているのですか。あなたは責任局長ですから、そんなことはおかしいじゃないですか。何も外交交渉ではありませんよ。国民生活関係のある、国民に対する方針基準をきめたのですから、国民発表しないで何の効果がありますか。どういうわけですか。お聞き及びになったら、その程度でいいですから……。
  16. 矢口麓藏

    矢口政府委員 ただいま政務次官から御答弁申し上げましたことを補足して、その間の事情をお答え申し上げます。事務次官会議内容がきまりまして、閣議決定でそれをコンファームしたのは事実でございます。しかしこれ々当分の間発表を差し控えよというのでありまして、その理由いかんということにつきましては、私の了解する限りにおきましては、細目の点もまだはっきりきまっておりませんから、当分の間未発表のままにせよというのが、上司からの命令でありまして、その理由については御満足のいくような御答弁ができないことを残念に思います。
  17. 穗積七郎

    穗積委員 それでは局長にお尋ねしますが、それは現在出ておるもの、または発表前に渡航申請を出したケースについて、その閣議決定事項基準として取り扱わせるつもりですか。発表されなければ国民にはわからぬ。国民に公布せざる法律国民を拘束するなどというばかな話はない。しかもわれわれの聞いておるところでは、法律以上の重大な決定をしておる。そういうものを発表しないでおいて、発表せぬのは勝手だ、何か理由がおかしいと思う。理由は、開成の決定であなたがわからぬのならば、大臣に来てもらって聞きます。また総理大臣に聞いてみましょう。総理鎖国政策みたいなことをやるなら、それはそれとして、あなたに中務的にお尋ねしますが、現在出ておる渡航申請書並び発表前にこれから出る申請書に対しては、閣議決定事項というものを基準として審査されますか、従来通り基準で審査されますか、それを聞いておきます。
  18. 矢口麓藏

    矢口政府委員 実は現在申請中のものが約二百足らずございます。それをすべてペンディングのままにしてございます。と申しますのは、その基準がはっきりしないからであります。従いまして現在申請中のものに対しましても、今度きめられました基準に従って処理されることと思います。従ってすなわち従来と同じようにはやらないということになると思います。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 そんなばかな話はない。高辻法制局次長がお見えですから、ちょっとお尋ねしますが、行政府行政処分執行というものは、法律によってのみ行われなければならない。それが今のようなことで、これはおかしいと思うのですが、あなたはどうお考えでございましょうか。
  20. 高辻正巳

    高辻政府委員 お尋ねの点でございますが、むろん国民権利にわたることにつきましては、いわゆる法治主義原則から参りまして、法律範囲内における当該機関処分権によって処分々するのが当然だろうと思います。いろいろお話がございますが、私どもの見る限りでは、御承知旅券法の第十三条第一項第五号の規定に該当するかどうかということを、外務大臣が認定をしてやられる場合の問題であろうと思います。ただいまのお話がありましたような基準があるからないからということは、実はこの法律の適正なる執行というものから見ますれば、必ずしも基準というものを文書に作らなくてもそれは妨げないと思います。
  21. 穗積七郎

    穗積委員 それはこういうことなのですよ。十三条の国益に反する者ということなのです。具体的にどういうことが国益に反するか反しないかの裁量決定の問題なのです。それは行政府裁量権というものはあると思う。しかしながらこういうことは、憲法十四条によっても、また旅券法基本精神からいきましても、これは大体が自由の原則によってもう渡航、旅行は自由であるべきものが、これこれの条件、明確なる列記した条件においてのみ、これを制限するのであって、いわばばく然とした国益に反するか反しないかというようなことは、むしろ拡大解釈すべきものではない。今度の決定はそれの解釈でおそらく基準を作った、こう言われるのだと思う。しかしながら実質はあなたはまだ内容を見ておられぬかもしれぬが、われわれの聞き及んでおるところでは、その法律以上に相当広く制限するというか、極端なことを言えば、法律を抹殺するようなことを内部規定として決定してそれをやることは、一般的に言えば、これをやるならば当然国会審議を経て、法律改正でいくべきであるし、そうでなくてそういうことでやるならば、私は場合によっては、個々のケースについては職権乱用になると思う。そのことについてのあなたのお考えを聞いておきたいのです。
  22. 高辻正巳

    高辻政府委員 お説の通りに、何と言いますか、ただいまお話がありました趣意については大体異存はございません。海外渡航の自由というのは、申すまでもなく憲法の二十二条の規定に関連のある、基本権にも関連することでございますから、そういうものの制限につきましては、法の明文に従って処置をしなければならぬことは、これは当然であろうと思います。ただこの旅券法審議の際にいろいろ問題が出たところでございますが、十三条の一項の各号に列記されておるのが一応の法律基準となっております。その基準第五号自身一つ基準でございますが、その基準に適合するか適合しないかということは、法の明文を見ればわかります通りに、外務大臣が一応その処分権限は持っておりますから、その第五号の範囲内におけるものである限りは、別に特にその細目基準を作らなくても差しつかえなかろう、むろん作ってもかまいませんが、作らなくても差しつかえなかろう、要は第五合の解釈の問題に帰するだろう、こういうことでございます。
  23. 穗積七郎

    穗積委員 もう一点あなたのお考えを聞いておきたいが、そうすると裁量権を拡大解釈していけばおそるべきことになる。従ってそこであなたは内容を見てから――お互いに内容を見てからにしましょうが、前提としてここでは一般的な議論をしておるわけなのです。そのときに法の基本精神または法の規定をオーバーするような、そういうような内部的な決定が内焼として決定された場合には、それは本来から言えば、国会にかけて法律改正出して取り扱うべきものである。そういう内規において法を抹殺し、法の共本的な精神を殺し、または国民基本的権利制限するようなことは、当然立法事項として取り扱うべきだというふうに私は考えますが、あなたのお考えは当然にそうだと思うが、念のためお開きしておきます。
  24. 高辻正巳

    高辻政府委員 先ほど申し上げました通りに、第五号の規定を拡張して解釈すべきではないということは、そういうことは言えると思います。これをまた縮小して解釈しなければならぬこともないと思いますが、要するに第五号の規定の命ずるところに従って、外務大臣としては権限を行使されればいいのであって、それ以上にわたるようなことが法の違反になることは、これは当然であります。しかしただいまの基準自身が問題になっておるわけでありますが、私は外務大臣一定権限を行使される場合の一応の共進がありましても、その基準は第五号の規定に従って、その運用をはかられるものだというふうに確信しております。
  25. 穗積七郎

    穗積委員 理屈はそうであるが、その内容が法を制限するような内容を持つおそれのあるものについては、法治国の場合においては、立法事項として取り扱うのが当然であると私は言っている。それに対するあなたのお考えを聞いておる。法制局、しっかりして下さいよ。
  26. 高辻正巳

    高辻政府委員 私は理屈を申し上げておりますのでありますが、この旅券法当該帆走以上にわたって制限をしようということをやろうということでありますなら、これは立法上の措置が必要であろうと思います。私は五号がありますから、その五号の権限範囲内においてやれるものについて申しておるのであります。
  27. 穗積七郎

    穗積委員 権限範囲を越えるおそれのあるものについて言っておるのですから、法制局のあなたは、外務大臣のつまらぬ考え方を弁護する義務はないですから、しっかりして下さい。
  28. 高辻正巳

    高辻政府委員 私は法律上の、旅券法当該規定解釈上のことを申し上げておるわけですから、一般的なことを申し上げたようなわけであります。
  29. 岡田春夫

    岡田委員 ですから私は伺うのですが、確かに第五号は基準だ。これは基準に違いない。外務大臣がきめる場合の基準です。この基準内容になっておることについては、著しくかつ直接に日本国利益または公安を害すると認めるに足りる相当理由のある場合、きわめて制限をした規定を設けておる。この基準をはずれるような場合には違法になるのではないかというのが今の穗積君の意見なのです。ですからこの基準をはずれた場合には違法になるということは、あなたがお認めになった通りなのです。そこで今言った著しくかつ直接に相当理由のあるときということについて、あなたのところの長官――あなたの一つ上の人ですよ、あなたがどういうふうに解釈してもそれは通らないのだ。上の人はこの前の旅券法の際にこう言っておる。どう言っておるかというと、「一応の予防的な情勢判断でございまして、その行為が大現した場合に大体刑罰法令に触れる行為、こういうふうに考えるわけでございます。」「それが実現性があります場合に、相当刑罰法令に触れるおそれのある行為、こういう場合にはある程度判断ができるのじゃないか、かように考えておる次第であります。」こういうのです。この解釈は私は正しいと思う。というのは、あなたの日われたように日本法治国である、そしていわゆる刑罰法定主義によって国民の自由を制限し得るという原則がある限り、何らかの法規に触れるという原則でなければ――たとえば刑法上の内乱の罪に該当するおそれがある、あるいはその他の刑法上の関係におそれがあるという場合に初めてこれが出し得るので、外務大臣が勝手にこれは判断をして、こいつはやっちゃいけないからこれはいけないのだということをもし外務大臣がやったとするなら、これは明らかに進法です。その点は違法だとお思いになりませんか、今私が説明を申し上げたことに対してです。
  30. 高辻正巳

    高辻政府委員 先ほどの穗積さんの御質問の中で私申し上げた通りでございますが、この五号の規定を超越したことになりますれば、つまり言いかえれば五号に反することになりますれば違法であるということは、これはもう申すまでもないことだと思います。先ほどもそういうことは申し上げたつもりでございます。ただ五号の規定は御承知のように、ただいまお読みになりましたように「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当理由がある者」というような表現になっておりますために、その解釈につきましては、これは必ずしも画一的にこれがこうだというふうに、何といいますか、具体的に申し上げることは困難だと思いますが、ただいま御指摘の通りに当時の旅券法審議の際に、犯罪行為に該当するような場合はこれに当るだろうということがあった。そのことは間違いなかろうと思います。ただそういうような場合が典型的な場合であるということは確かだと思いますが、それだけに限られるかどうか、それについてはなお、それだけに限られるというふうに断言することはいかがかと思っております。
  31. 岡田春夫

    岡田委員 この内容については、きょうは私やりません。あなたに来てもらっても――私は出席要求しません。いずれこれは林長官要求をいたします。この点についてはあとでやりますが、それよりも問題なのは、それほど厳重に規定してある基準に対して、あなたは重大な発育をさっきされておる。それほど厳重に規定してあるということは、憲法で保障されている国民の基本的な権利を、こういう基準に基いてある程度において制限を加えようというこの制限の度が行き過ぎるならば、療法に違反するというような事態も起り得るわけなのです。そういうようなときに、あなたはそういう制限基準になるところの内容について、この内容書面で作らなくてもよろしい、申し合せの程度でもよろしいというようなことを先ほど言われているのだが、とするならばこれは重大な発言だと思う。国民権利制限することについて、政府内の申し合せの程度で勝手にやれる、書面において必ずしも作る必要はなくて、勝手に閣議でそのときどきにどのようにでもやれる、こういうことは明らかに憲法をじゅうりんする危険性があると思うのだが、この点は先ほどの御答弁を改めていただきたいと思う。一点がそれです。  第二点は、そういう制限をやる場合に、当然閣議決定としての公式の文書に基く何らかの帆走がなければならないし、その規定国民の自由の権利制限するのであるから、当然国民に対して、その意味において自由を制限するというこの理由を明らかにする政府義務があると思う。だから、事務的にどういう点ができないとかなんとかいう点は別として、法律解釈からいうならば、阿比に対してこの基準発表しなければならない政府義務があると思うのだが、これは憲法規定からいって私はそう思うのだが、この点についてはどのようにお考えになるか、この二点を伺いたい。
  32. 高辻正巳

    高辻政府委員 大体の御趣旨は私異論がないのでございますが、ただ私が先ほど申し上げた旅券法第十三条第一項第五号の規定解釈といたしまして、これにもとることのないように外務大臣一定処分をなされることは必要であるけれども、その処分をされるについて、一定基準を設けることが法律上必要であるかどうかということになりますれば、それは必要だとは言えないだろう、こう申したわけであります。つまり言いかえれば、今回たまたまその基準の点が問題になっておりますが、かりにそういう基準が従前あるいはその前に――旅券法が制定されると同時に、そういう基準文書によって作成されておったかどうか私存じませんが、かりにそういう文書によって作成されておりません場合でも、外務大臣旅券法第十三条第一項第五号の規定に従って、その線に沿って処分をされたことでありますならば、文書によって基準の設定がなくても、その処分は違法ではないだろう、こう思うわけであります。
  33. 岡田春夫

    岡田委員 国民に対する発表は……
  34. 高辻正巳

    高辻政府委員 それはあるいは私から申し上げるのは適当かどうかと思いますが、せっかくのお伺いでございますから申し上げますれば、官庁内部には、官庁の仕事の運営上、いろいろな内部的な運営の準則といいますか、そういうものができておる面もございます。そういうものは法律上一々発表しなければならぬものだとは思わないわけであります。
  35. 岡田春夫

    岡田委員 私はあなたにいわゆる内閣の代表者としての意見を聞いているのではないですよ。あなたに伺っているのは、法律解釈としてどうなのだということを伺っておる。法律解釈としては、国民権利義務を拘束するような決定をもしした場合においては、これは国民に対して公けにしなければならないというのが、憲法上の国民に保障された事項ではないか、言葉をかえて言うならば、政府がもしそれをきめたのならば、政府はそれを発表しなければならない義務があるはずじゃないかということを法律解釈として伺っている、この点が一点です。  第二の点は、基準がどのようにきめられたから書面によるかよらないかということを言うのだけれども、基準というのは別にあるわけではないのです。第五号が基準です。この第五号が、しかしながら内容がきわめて不明確であるために、これに対する具体的な基準――基準じゃなくて規定でしょうね。基準に対する解釈、この解釈が作られているので、この解釈は、これだけを国民に見せたってわからないのですよ。これは今までも当然書面によって、きめられていることであるから、今度の場合においても、法律解釈としては、閣議決定でその規定変更になった場合には、当然文書だよって規定変更をすべきではないかということを法律解釈として伺っている。ですからあなたが行政機関の任務が何であるからといったような、政府代表者のような立場で御答弁をなさることは私は迷惑だ。もしあなたが政府代表者としてやるならば総理大臣になってからお話しなさい。あなたは今次長なのですから、次長としての答弁をしたらよろしい。事務的な答弁をしなさい。
  36. 高辻正巳

    高辻政府委員 私の申し上げておることが、もしただいまお話しのようにお受け取りになるような表現でございましたら、これははなはだ不遜なわけでございまして、これははなはだ申しわけないと思います。私はただ法制局の一属僚としまして公立論として終始しているつもりでございますので、なるべくそういうふうにおとり願いたいと思うのであります。  ただいまもお話がありましたように、旅券法第十三条第一項第五号自身基準であるというふうに仰せられました。私も先ほどそう申し上げたわけでありますが、この基準を変えようというならば、これはむろん最初穗積先生からお話がありましたように、法律改正が必要でありますけれども、その第十三条第一項第五号の、何といいますかその範囲内における一外務大臣処分運営方針といいますか、そういうワク内のものでありますならば、これは法律的に申し上げまして告示をしなければいかぬとか、そういうような性質のものではあるまい、して悪いということもないかとは思いますが、法律上しなければならぬということは言えないだろう、こう申しておるわけであります。純粋に法律的に申し上げてそうだろう、ほんとうにそう思って申し上げておるわけであります。
  37. 岡田春夫

    岡田委員 これで終りますが、私の聞いておるは違うのです。いいですか、基準というのはこれしかないのです。しかしこの基準が非常に不明確なんだ。不明確であるために、この基準解釈する規正を作っているわけだ。この規定書面によって今までは作っているわけだ。ところがこの規定変更する――あなたはこの基準変更する場合にはということの解釈を御答弁になっておる。これは法律解釈からいって当然この旅券法改正を行わなければならないでしょう。しかしこの基準に対する解釈規定が従来書面によってきめられておったのだから、この規定変更する場合においては当然書面によって変更さるべきではないか、閣議でそのときどきの話し合いで変えられるというものではないはずだということで、その法律解釈を伺っているのが一点と、これは穗積君の問題に関連するのだが、そういう点がこの基準にはずれているかはずれていないかということを判断することは国民権利です。これは明らかです。外務委員会としても当然の権利です。とするならば、はずれているかはずれていないかということは――われわれは何らかの方法によって変更された規定を知る権利を持っているわけです。それによってはずれているかはずれていないかを判断することができる。そのためにはこれを発表しなければならない政府義務があると言っておるのです。(「ないよ」と呼ぶ者あり)ありますよ。わからないのか。(「裁判所に訴えたらいい」と呼ぶ者あり)裁判所の問題じゃない。立法問題だよ。司法問題じゃない。立法問題を私は言っているのだ。――その点をあなたはことさらに歪曲して答弁をしているのです。この法律改正するかどうかの問題を言っておるのではない。解釈規定について言っておるのだ。その規定が従来書面であるならば当然舌面になるべきだし、その書面を公表しなければならない義務政府にあるのではないかということを言っておる。その点を言っておるのだから、それはそれなりにはっきり法律的に答弁したらいいじゃないか。この次は私はあなたの御出席は求めません。林長官出席を求めますが、この点についても意見を伺っておきます。
  38. 高辻正巳

    高辻政府委員 今まで第十三条第一項第五号の解釈と申しますが、その点についてのものが文言によって作成されてあれば文書によってこれを変更するのが当然であろう、こういうお尋ねになるかと思います。私も、従前そういうことになっておりますならば、文書によってきめてあったものを、文幾日をそのままにしておきながら変えていくということは、事務の運営上も困るだろうと思います。おそらくはやはり文書によって変えていくことになるだろう、これは法律上の問題というよりも、そういうふうに思います。  それからそういう文書発表すべきではないか、法律発表すべき責任ないし義務政府にあるのではないかというお尋ねであったと思ますが、今までそういう基準発表されておったかどうか私存じないのでありますけれども、その当否は別といたしまして、法律上第五号の運用方針といいますか、そういうものでありますならば、これはいろいろな法律につきましてある問題でございます。そういう運用方針といいますか、解釈上の問題といいますか、そういうものについてでありますならば、これを発表しなければならないという法律上の義務はないと思います。  それからもう一つ、これはお答えを必要とするかどうか存じませんが、私も自分から喜んでここに参ったわけでもございませんので、御要求がなければこの次は欠席させていただきます。
  39. 穗積七郎

    穗積委員 もう一点関連。政務次官にお尋ねしますが、われわれの聞いているところでは原則が大体三つきめられた。第一は外交上支障のある場合、第二は地方議員並びに公務員、さらにそれに関連をして、国会議員の場合であっても、従来は原則として大体自由に渡航を許しておったけれども、これも自由無制限ではなくて、個たに審査をする。第三点は、共産主義の思想運動または政治運動に利用されるおそれのある者、文章または言葉は別といたしまして、内郷についてはそういう重大なことが決定されたようにわれわれ伺っておりますがさようでございますかどうか。その内容に誤まりがあるならばある、ないならばない、当らずといえども遠からずだと言ってもらいたい。  それからもう一つの質問は、発表しないと言っておられるが、発表しない理由は今度大臣が来たときに伺いますが、――次官こっちを向いて下さい。まず、先に私の質問を聞いてからでなければ、答えができないじゃないか。相談はあとで……。発表しないということの理由をわれわれは納得できない。それが閣議決定であるからということであるならば、大臣出席を求めていたしますが、あなたにこの際お尋ねいたしたいのは、いつごろになったならば発表するつもりであるか、それを伺っておきたいと思うのです。  それからついでですから高辻次長にお尋ねいたしますが、公表の義務はないというあなたの解釈ですが、われわれは公表すべきだと思います。それはこの次にして、ただ国民または成員から、内容が何であるかといって開いたときに、それを秘密にすることは不当だと思う。秘密にすべき性質のものではございません。国民権利義務に直接関係のあることでございますから、国会または利害関係のある国民が、その内規があるようだが、それを示してもらいたいと言ったときに、秘密にすべき理由はないし、秘密にすることは行政府の態度として不当だと私は思いますが、あなたの法治主義精神によってこれを判断いたしますならば、いかようでございますか。私の通りに賛成していただけると思うが、念のために聞いておきたいと思います。逐次お答え下さい。
  40. 森下國雄

    森下政府委員 ただいまの内容につきましては、これは移住局の次長が来ておりますから、次長から申し上げます。  それから未発表の問題も、これはよくその衝に当った次長から答弁いたさせます。
  41. 石井喬

    ○石井説明員 この内容は申し上げないことになっておりますので、私から申し上げるわけにいかないので、申しわけございません。
  42. 穗積七郎

    穗積委員 あなたに発表しろと言っているのじゃない。私はそういうふうに推測して、われわれはわれわれのこれからの権利義務の主張については、そういう基準があるということの理解のもとに行動して間違いがないかどうかということを聞いている。間違いがないかどうか。発表しろと言っているのじゃない。私はそういうふうに推測しているが、そういうふうに私がこれからそれを基準として行動してよろしいかどうか、それを聞いているのです。
  43. 石井喬

    ○石井説明員 ただいまの御要求のようなことを申し上げること自体が、内容を申し上げることになりますので、申し上げかねます。申しわけありません。
  44. 穗積七郎

    穗積委員 発表の時期……。
  45. 石井喬

    ○石井説明員 これは発表してよろしいというととを上から命令がありますれば、いつでも……。
  46. 穗積七郎

    穗積委員 政務次官いつですか。
  47. 森下國雄

    森下政府委員 ただいま申し上げた通りでございます。
  48. 高辻正巳

    高辻政府委員 発表する義務がないと申し上げた点は、法律上の観点からだけ私は申し上げておりますから、その点御了承願いたいと思います。  それから先ほどの御質問は、国会から要求といいますか、そういう話が出たときには出すべきではないということでございました。それはただいまお話が出ておりますような事付で発表できないものは、これはいたし方がないのじゃないかというふうに考えております。
  49. 穗積七郎

    穗積委員 する、せぬは政府の責任で、あなたの責任ではないが、そういうような国民権利義務制限するような内規は、利害関係者が求めたならば、それを秘密にするのは不当ではないか、法治国精神から見て、法治主義精神であなたに聞いているのだ。僕は政府の処置をどうするかということを聞いているのじゃない。
  50. 高辻正巳

    高辻政府委員 要するに当否の問題だと思います。私の法制局から申し上げる筋合いの問題ではないというふうに考えます。
  51. 穗積七郎

    穗積委員 あなたは法治主義精神に充満しているだろう。良識を持つ正義の紳士じゃありませんか。
  52. 前尾繁三郎

    前尾委員長 穗積君、大体いいじゃないですか。
  53. 穗積七郎

    穗積委員 大体じゃない。法治主義精神から見て、秘密にすることは不当でしょう。するしないは政府の勝手だから、あなたに関係はない。
  54. 高辻正巳

    高辻政府委員 私逃げるわけではございませんが、法律上の観点から言ってどうするのが法律上の義務であるとか……(穗積委員法治主義精神に反しはしないかということを聞いておる。」と呼ぶ)当否の問題は外務当局の方から……。     ―――――――――――――
  55. 前尾繁三郎

    前尾委員長 千九百五十五年五月三十一日に東京で署名された農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書締結について承認を求めるの件、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑を許します。石坂繁君。
  56. 石坂繁

    ○石坂委員 私は若干の質疑をいたしたいと思います。  第一に条約局長にお伺いいたしますが、今回の農産物協定と前回の協定とどう相違しておるか。私の承知いたしておる範囲では、前回と比較いたしまして、その品目、数量、金額、つまり品目は第一次の協定には米がありましたが、今回の分は米がありません。第一次にはトウモロコシその他の飼料がなかったのが、今回はその飼料が入っておる。なお金額の点は、前回は八千五百万ドルであったのが、今回は六千五百八十万ドルになっておる。なおまた積立円資金の使用区分が、前回よりも比率が多くなっている。すなわち日本で使用する率が前回七〇%が今回は七五%になっている。こういうふうな点が相違いたしておるように承知いたしておりますが、その他の点におきましても、なお相違いたしておる点があるかどうか、お伺いいたしたいのであります。
  57. 下田武三

    ○下田政府委員 前回の協定との相違点につきましては、ただいま仰せになりました通りでございますが、そのほかに、しいて申し上げますと、昨年の協定には第三条といたしまして農産物の贈与に関する規定がございましたが、今回は贈与に関する事項は別の文書にいたしましたという点が違っております。
  58. 石坂繁

    ○石坂委員 贈与に関する規定協定の中からはずしてあるという点につきましては、後刻伺うつもりでおります。  第二にアメリカは現在大へんに余剰農産物に困っておる。これは周知の事実であります。現在アメリカの例のCCCの手持ちの農産物でも、七十八億ドルないし八十億ドルの手持ちになっている。昨年に比較しまして七億ドルの手持ちが増加しておるといわれております。今日農産物の過剰による農家収入の減少は、アメリカの大きな政治問題となっております。昨年私がアメリカに参りましたときに、十月二十九日にベンソン農務長官は大統領と打ち合せまして、新しい六つのポイントのプログラムを発表いたしております。同じ日に、民主党の候補者と予想されているスティーヴンソンは第一声を放って、外交問題と同時に農業政策を非常に攻撃いたしております。自来ずっとこの農業問題が大きな問題となっておって、この正月の大統領の農業教書となり、最近は新農業法は拒否された、それにかわって大統領は新しい行政措置によって農家の収入をカバーしよう、同時にまた例のソイル・バンクの構想を発表しておるようでありますが、かように農産物の過剰の処理のために、これを国内問題だけではどうしても処理ができませんために、これを国外に売りつけよう、こういうような計画になっておるようであります。かようなアメリカの方針は、本質的に農業国である東南アジア方面に対しましては、このアメリカ余剰農産物の処理の問題が、非常に神経質に考えられて参っておる。これはいなめない事実であると思いますが、かような点からいたしまして、このアメリカの余剰農産物処理の問題が、国際的にどう影響するか、かような影響に対しましての外務当局のお見通し、観察を承わっておきたい。
  59. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 お説の通り、アメリカは余剰農産物をかかえて相当その処理に頭を使っておりますが、まず国内対策といたしましては、作付反別をなるべく減らすということをやっております。また輸出の方では、今御審議願っております協定のもとになっております公法四百八十号それからまたMSA法第四百二条、そういった方法でできるだけ輸出をするということを努力しております。その一九五四年七月以降今日までの処理状況は、公法四百八十号で十二億ドル程度、MSA法四百二条で約七億ドル程度、贈与で二億ドル程度、これだけが今までに処理された。しかしなおお話しにありましたような八十億ドルくらいに上るものが、まだCCCの手持ちとなっております。日本としましては、お説のように、東南アジア貿易を大いに考えなければなりませんので、今回の協定をするに当りましても、東南アジア貿易に支障を来たさない尺度に協定をこしらえてあるつもりであります。たとえば今年米を除外したというのもその一例でございます。
  60. 石坂繁

    ○石坂委員 ただいまの御答弁にありました通りに、日本は東南アジア諸国からの農産物を輸入いたしまして、それによってわが国からのそれらの国に対する輸出を増大することが期待されるのであります。そうすべきだと考えますが、政府といたしましては、この後さらに引き続きアメリカの余剰農産物の購入を継続される意思であるかどうか。これを国内的に見まして、すでに発足いたしました愛知用水公団の事業のごとき、あるいはまた農業機械公団の事業のごとき、さらにまたただいま審議中の森林開発公団の事業に対する資金のごとき、これはいずれも相当額の金額を余剰農産物による積立円資金に仰いでいるのであります。かような点から考えてみますと、この継続的な事業に対しまして積立円を振り向けているということからいたしますと、相当長期にわたってなお余剰農産物を買い付ける意図ではないか、こういうふうに考えられます。しかるに一面、日本の農業を考えてみまするときに、この余剰農産物の買付というものは、非常な大きな影響を日本の農業に持っているのであります。従来の日本の農業政策を根本的に改めなければならないというようなおそれもあるのであります。この農業政策に関しましては、私は別に農林当局にお尋ねいたしますが、外務当局に対しましては、なおこの後も引き続きこれを協定して買い付けるつもりであるかどうか、その点を伺っておきたい。
  61. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 明年度以降の分については、まだはっきりした方針はきまっておりませんが、そのときに十分に利益を勘案して、もし日本のために利益であるということになった場合には、また明年も同じような協定を結ぶということに相なると考えます。
  62. 石坂繁

    ○石坂委員 明年度は利益があった場合は買い付ける、こういう態度でありますけれども、すでに一面、今申し上げましたように、日本の農業開発に対する長期の事業に対しまして、この資金が振り向けられておるのであります。その点から考えてみますと、明年度も明年以後も買い付けざるを得ないようなはめになるのではないか、その点農林当局との間にどういう話し合いができているか、伺いたい。
  63. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいま御質問のございました農林水産業関係は長期の計画を持ちまして、見返り円資金を一応それに予定したい、かように考えているのでございます。アメリカ側の余剰農産物処理法は、一応改正はいたしますが、来年の六月末までの分が今のところ既定になっているので、従いましてここで将来も続けてやるということを申し上げることはむずかしいのでございますが、農林省側といたしましては、一応その希望をもって進めているのでございます。なおもしも将来において見返り円が期待通り入れることが不可能になるような事態が起りました場合は、国内において同様な資金をもってこれに充てたい、かように考えておるのであります。
  64. 石坂繁

    ○石坂委員 その点はこれ以上追及いたしますことはやめますが、別途に最近MSA法の第四百二条による農産物の買付の問題が問題になっておるようでありますが、これに対しまして、政府方針はすでに決定いたしましたのか、どうされるつもりなのか、伺いたい。
  65. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 お尋ねの点につきましては、だいぶ前にアメリカ側から、MSA四百二条によって農産物を買い入れる方法もある、それについて日本側で興味を有しておられるかどうかという問い合せがごく非公式にございました。別にこれに対して正式の提案というものがあったわけではございません。しかしこちらとしましては、その点について関係省とも十分協議いしまして、結局本年はこれを見送る、この方法による購入はしない、こういうことに結論が出ましたので、その旨を非公式にアメリカ側に回答いたしました。
  66. 石坂繁

    ○石坂委員 米国の農産物、特に綿花は他国の生産品に比して割高であるということを聞くのであります。つまり、日本は高い農産物を花りつけられておる、こういうふうなことを聞くのであります。ことに今回の協定の品目のうちにも、綿花十万俵、千八百七十万ドルの金が含まれておるようでありますが、高い農産物、ことに割高の綿花を買わせられておるというようなことに対しましての政府の対策を伺いたい。
  67. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 米国の農産物が全部高いというわけではございませんが、綿花については、確かにほかの同じ種類のメキシコ綿等に比べて割高であります。政府としましては、従来から米国綿の引き下げ交渉を行なっておりますが、アメリカ側でも、本年一月以降、短繊維綿の安売り実施という方針を立てまして、さらにまた長繊維につきましても、近く同様の安売りを――国内価格に比して輸出向けを安くするという措置を実施する予定であると聞いております。しかしそれでもどうしても普通の市場価格より高いという場合には、協定上は日本側でも必ずしも無理をして買わなければならないということにはなっておりません。
  68. 石坂繁

    ○石坂委員 そういたしますと、今回の綿花十万俵は、その引き下げた価格によって買い付けられるのでありますか。
  69. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 その通りでございます。
  70. 石坂繁

    ○石坂委員 なお協定の条項を追いまして若干お伺いいたしたいのでありますが、協定の第一条によりますと、農産物の価額の限度が出ております。その価額でどれだけの数量のものが町人できるか。またその数母は何によって決定いたしておりますか。
  71. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 協定関係では、数量でなくて、金額が基礎となっておりますので、実際の買付に当っては、買付価格のいかんによって、その数量は多少変更する可能性がございます。しかし一応概算でもって考えております粒五は、小麦では四十五万トン、大麦が十万トン、トウモロコシ及びその他飼料十一万トン、綿花十万俵、葉タバコ千五百トン、これは一応の概算であります。
  72. 石坂繁

    ○石坂委員 なお第一条第一項に海上輸送費の規定がありますが、この海上輸送費の見積額はどういうことになっておりますか。
  73. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 最高限度五百九十万ドルを海上輸送費に充てるというふうになっておりますが、海上運賃の変動により実際にはこれほど要らないかもしれないのです。こういう海上輸送費の問題が入りますのは、米国商船法の第九百一条によりまして、この協定に基く農産物の五〇%を下らざる数量を米船で運ばなければならないことになっております。それでその五〇%分については、米国政府がドルを支出するということでこれがなっております。
  74. 石坂繁

    ○石坂委員 第二条第一項に、アメリカ合衆国政府の特別勘定の規定がありますが、これは従来の協定によるものとは全然別個に特別勘定を設けられるかどうか。
  75. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 これは現在、一昨二十九年の三月に異名されたMSA五百五十条に基く農産物の購入に関する協定、及び昨年五月に署名の農産物協定によって設けられた特別勘定がございますが、この合衆国勘定とは根拠となる協定が別でございますから、別個の勘定ということになるわけであります。
  76. 石坂繁

    ○石坂委員 次は第三条に入りますが、第三条の第一項に、合衆国に対する非友好国ということが出ておりますが、これはどういう国をさしているか。
  77. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 これは米国の農産物貿易の促進及び援助に関する法律に友好国の定義が掲げられておりますが、それによりますと、米国に対する非友好国とは、ソ連及びソ連圏諸国ということになっております。
  78. 石坂繁

    ○石坂委員 第三条第二項に、通常の市場取引を排除してはならない、こういうことが規定されてあるのでありますが、この規定は、通常の買付量のほかにさらに余分に物を買わなければならない、こういうふうなことを意味しているかどうか。なお通常の買付量は一体何を基準としてあるか。
  79. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 一般の農産物の輸入につきましては、通常の輸入量と申しますのは、外貨ポジションの関係上、必要最小限度にしぼってあるわけでありますが、民生の安定向上をはかるために、さらにもう少し買い入れた方が望ましく、かつ必要であるというは、実際はそれより多いわけでございますから、そういった分をこの協定によって輸入する、こういうことになっております。
  80. 石坂繁

    ○石坂委員 第四条に積立円の米側の使用目的が揚げられておりますが、これは具体的に申しますと、どういうことになりますか。
  81. 下田武三

    ○下田政府委員 第四条の一項にアメリカ側の使用目的が掲げてございますが、(1)の「共同防衛のため」云々と申しますのは、実は米軍の宿舎の建設に充てられる予定になっております。それから(2)の「他の国のための物品の購入及び役務の調達」と書いてありますことは、アメリカのICAが第三国向けに買う物資の買付に充てられることになっております。その次の(3)の合衆国の農産物の新たな市場を発展させるという目的のためには、これは両国の役人であるとか、あるいは事業家等を両国へ交換訪問をさせるというようなことに使う分であります。(4)の国際教育交換活動、これはアメリカのフルブライト計画その他で日本の学生をたくさん向うにやったり、向うのプロフェッサーや学生が日本に来ておりますが、そういう学者や学生の交換の資金に充てられることになっております。(5)の「日本国における合衆国の債務を支払うため」、これは別に特定の債務がただいま予定されておるわけではございません。何にでも使えるわけでございます。
  82. 石坂繁

    ○石坂委員 これは協定でさような目的のために使うパーセンテージだけ示して、全額を示してないのは何か特別の意味があるのですか。
  83. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 格別の意味はないのでありますが、農産物の購入による円の積立額というものは、一応六千五百八十万ドルを限度としておりますが、実際には現実の価格等によってどのくらいになるか未定の部分がございますので、パーセンテージで示しておるわけでございます。
  84. 石坂繁

    ○石坂委員 第五条第一項の第五号、これに日本円の使用計画というのが出ておりますが、それは「日本国の経済状態を考慮することに同意する。」という取りきめになっておりますけれども、その具体的の使用目的、計画というものが出ていないのでありますが、これは何か別に取りきめがあるのか。またどういうことにそれが使用されることになっておるか、伺っておきたい。
  85. 下田武三

    ○下田政府委員 第五条の第一項の方の御指摘の、日本国の経済状態を考慮して使う、その使用計画というのは、これは年々利子やあるいは割賦を払っていく少額の金がアメリカ側の手に入るわけでありますので、これは将来のことでございまして、ただいまから使用計画を具体的にきめておらないわけでございます。ただ、ただいまきめておりますことは、御指摘のように、何に使っても日本の経済状態に不利な影響を与えるような使い方はしないという約束を、取りきめただけでございます。
  86. 石坂繁

    ○石坂委員 それだけでなしに、この日本側の使用できる金額は、大体百七十七億円になる計算になるようでありますが、これは日本側の経済状態を考慮いたしました結果、農地開発、森林事業、畜産等の開発、電源開発及び生産性向上のために主として使われる、その振り向けられる金額も大体私の手元には一応来ておるのでありますが、そういうことになっておるのでありますか。
  87. 下田武三

    ○下田政府委員 先ほど申し上げましたのは、実は第五条第一項の方で、アメリカ側が使う命の使用計画で、それを日本の経済状態を考慮して使うということを御説明申し上げたのでありますが、ただいまの問題すなわち第二項の問題につきましては、お説の通り、合意された目的の範囲内とございますが、大体この協定を作りましたときに目的が合意されておりまして、これは仰せの通り第一に農地開発、第二に森林畜産の開発、第三に電源開発、第四に生産性向上、大体昨年と同じような目的に使われることに相なっております。
  88. 石坂繁

    ○石坂委員 もちろんその金額もわかっておると思いますが、今お手元にありますか。
  89. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 今回の第二次の協定の場合におきましては、金額は電力資源の開発に七十八億八千三百万円、灌漑排水、開拓及びこれに関連するものに四十七億三千八百万円、日本国の経済の年産性の増進、それに十億円、森林畜産及び畜産製品、港湾及び貯蔵施設、国内肥料並びに国内テンサイ糖工業の開発に四十一億四千五百万円というふうに一応予定されております。
  90. 石坂繁

    ○石坂委員 なお若干附属交換公文についてお伺いいたしますが、先ほど条約川長の御答弁によりますと、第一次の分と今回の分の相違は、しいて言えば贈与に関する規定協定の中に入っていない、こういうことのようであります。その通りのようでありまして、前町は贈与に関しましては協定第三条に規定されておりでありましたが、今回それをはずして別に交換公文としたのには、何か事情があるのでししょうか。
  91. 下田武三

    ○下田政府委員 その点につきましては、第一に、御本知のように、昨年九月河野農林大臣がアメリカに行かれましたときに、協定の方に規定してございますことについて事実上の合意ができて、その直後井口大使がイニシアルをいたした次第でございますが、その際は贈与の方につきましては何らまだ話がきまっていなかったのでございます。そこでとりあえず話がついておった協定事項だけにイニシアルをいたしました。そういう交渉の経緯からくる理由が第一にあるのでございます。  第二には、従来の経験によりまして、贈与の方を一年限りできめるということは不適当である、これはやはり日本側の学童給食計画等長期にわたる計画との見合いにおいて、各年度のことも考えなければなりませんので、期間を一年限りにすることが不適当であるという見地から、贈与の方はむしろ数年度にわたる事項規定した方がいいという期間の長短の関係からいきましたのが、第二の理由でございます。
  92. 石坂繁

    ○石坂委員 今回の贈与の品目、数量はどういうことになっていますか。
  93. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 第二年度以降の贈与につきましては、かなり先のことでありますから、そのこまかい点は現在きまっておりません。しかし品目は小麦と脱脂粉乳でありまして、また金額としては第二年度が千百二十五万ドル、第三年度が七百五十万ドル、第四年度が三百七十五万ドルをこえない贈与をする意図があるということだけでございます。
  94. 石坂繁

    ○石坂委員 第一次のときの最初の贈与のうちに綿花三百万ドル分、これは主として学童の被服百八十万着分に相当すると私は聞いておりますが、それが除かれておりますのはどういう事情によって除かれましたか。
  95. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 綿花三百万ドルは確かに載っておったのでございますが、その綿花を加工して学童服とする、その加工費の問題でなかなか日米間の意見が一致いたしませんでしたので、いろいろ検討した結果、綿花をやめまして、その三百万ドルをば小麦及び脱脂粉乳に振りかえた、こういう措置をとっております。従って千二百万ドル小麦及び脱脂粉乳となっておりましたのは、その改訂によりまして千五百万ドル全部小麦及び脱脂粉乳ということになって、綿花がなくなったわけであります。
  96. 石坂繁

    ○石坂委員 その綿花の加工賃の問題は、国内の予算関係がその原因でありますか。
  97. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 その通りでございます。
  98. 石坂繁

    ○石坂委員 最後に脱脂粉乳の問題でありますが、第一次の贈与の脱脂粉乳について、そこここで教育委員会等に横流し事件が起きた。これはまことにおもしろくない半作でありますが、今後そういう問題の起らないように政府は十分に注意すべきだと思います。そのために明年文部省は監視費用としてたしか二十二万円を計上しているようでありますが、これは必ずしも外務省の所管ではないと思いますけれども、横流し等の事件が再び起らないように、政府としては対策があってしかるべきことだと思いますが、これに対する所見を承わっておきたい。
  99. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 横流しのありました脱脂粉乳は協定の贈与で受けたものではなくて、別途CCCから安い値段で買ったものに関して起きたわけでございますが、しかし今後この贈与に関連して、もしもそういうような事態をまた起しては非常に遺憾なことでありますから、できるだけ厳重に指導や実地調査をしたいと考えております。なお詳細具体的な対策につきましては、文部省でもいろいろ考えておられるようでありますから、文部省の方から説明していただきます。
  100. 石坂繁

    ○石坂委員 余剰農産物日本の農業に関する問題につきましては、他の機会に農林当局にお伺いすることにいたまして、私の外務当局に対する質疑は一応これで打ち切ります。
  101. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会