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田中(稔)
委員 どうも不満足な御答弁です。とにかく一万八千人が死んで、一万人が廃疾者、一万一千人が未亡人になった。十一万のうち約四万の犠牲者が出たということで、大体どんなに衛生及び文化施設の欠除という
内容がひどかったかということが想像できる。これ以上追及しましても時間の
関係もあり、何ですが、とにかくひどかったことは事実なのです。これはやはりわれわれは反省しなければならぬ。とにかくこういう非人道的な行動を平気でやる
日本人という印象が、アジアの諸
国民あるいは世界の全人類の頭の中から一日も早く消えないというと、やはり
日本が今後国際社会に伍して外交をやり、あるいは貿易をやり、学術文化の
交流をやるにしても、非常にいやな思いを続けなければならぬと思う。今出ていく人はみんないいでしょうけれ
ども、それが過去の同胞の罪過のために非常にいやな思いをする。私
ども一昨年でしたか中国に参りましたが、中国なんかは今大体いいのです。暴に報いるに暴をもってせず、むしろ恨みに報いるに徳をもってするという方針が徹底しておりますから、大体悪くないけれ
ども、それでも、私
ども興味を持って上海あたりのどこか裏町で食事をしておりますと、そういうところの下層庶民――というと語弊があるが、そういうのはやはり非常に恨みを込めた目で私
どもを見たりする。何のためにやってきたかと聞く。そういう指導方針が徹底した中国でもそうなのです。ところがイギリスなんかは、今言った「アリスのような街」という映画が一般に非常に好評で、その映画で
日本人の虐待の場面が出ると、みんなが口笛を吹いて立ち上るというような状態です。今の
政府の外交だって、こういうことにもっとほんとうに思いやりのある措置をしないといかぬのです。(「賠償金をもっと出せというのか」「できてしまったことはしようがないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)ところが
委員諸君あたりは、外務
委員をしながら、こういうことについて僕が質問すると、たけりたって非
国民扱いをするのだ。とんでもないことで、私は外務
委員会自体の自粛が必要だと思う。実はそういう動議を出したいくらいでありますけれ
ども、動議を出すのは後日の機会に譲って、とにかくお互いにこれは
一つやろうじゃないですか。過去の悪いことはお互いに認め合おうじゃないか。そして新しいスタートをしようじゃないか。