○北澤
委員 第一点の国
会議員は国権の最高
機関である立法府のメンバーであるからして、なるべく行
政府の方にタッチさせない方がいいだろう、こういう御意見については全然同感でありまして、現在の国会法もその趣旨でできておるものであります。国会法第三十九条におきまして、国
会議員は特別の例外を除いて――内閣総理大臣とか各省の国務大臣、官房長官、官房副長官、政務次官、それから特に
法律をもって定められた場合を除いては、中央、地方の公務員の兼任はいかぬ、国
会議員というものはごく限られた最小限度の場合を除いては公務員を兼ねてはいかぬ、こういうはっきりした規定があるのであります。ただ三十九条のただし書きにおきまして、同じ公務員であっても、何と申しますか、無定量の勤務義務を負わないような行政各部の
委員、たとえば何とか審議会
委員とか、こういうふうな
委員とか、顧問とか、参与とか、無定量の勤務義務を負わないそういう臨時的な職あるいはそれに準ずるものについては、国会両院の議決があればそれになってもよろしい、こういうただし書きの規定があるのであります。そこで問題は、従来全権
委員あるいは
政府代表というふうなものを国
会議員から任命する場合におきましては、今のただし書きの規定によりまして、
委員、顧問、参与及びこれに準ずるもの、こういう解釈で松本国
会議員を全権
委員に任命する場合におきましても、あるいはただいま御指摘のように堀木参議院議員、それから松田衆議院議員を
政府代表として任命する場合におきましても、この三十九条のただし書きの規定によってやってきたわけであります。でありまして、私どももこの全権
委員、
政府代表、特派大使も三十九条ただし書きによって、国
会議員から任命することは可能であるということを考えておるのでありますが、ただ問題は、全権
委員とか
政府代表あるいは特派大使というものは、この
外務公務員法によってはっきりと外務公務員である。従って無定量の勤務義務を負わない普通の
委員やそれから顧問と違って非常なる権限を持っておる。たとえば全権
委員のごときは、陛下の御信任状を持って
条約を調印する全権を持っている重大な権限を持った公務員なのであります。従いましてただし書きの規定によって顧問、参与あるいはこれに準ずるもの、こういうふうなもので解釈することは、従来もやっておるのでありますから可能であると思うのでありますが、それについて多少意見の違った考え方を持っている人もあるのであります。そういうわけでありまして、そういう疑念を一掃する、しかも全権
委員のような重大な権限を持ったものを国
会議員から任命する場合におきましては、一点の疑念もないようにしていかなければならぬ。重大な権限を持っておるものでありますから。そういう意味からこの三十九条のただし書きにようないで、三十九条の第一項の規定によって、別に
法律をもって定めた場合におきましては、国
会議員から任命できるということにしまして、この修正案を出したわけであります。この
外務公務員法でそういう規定をすれば、三十九条の前段の第一項の規定によって、国
会議員の中から全権
委員それから
政府代表、特派大使を任命できる、こういうふうにしたわけであります。それで一点の疑念もないようにしたわけであります。
問題はそういうふうにした場合におきましても、
政府側が自由に無
制限に、
政府の希望する場合においては、いつでも国
会議員の中から全権
委員なり
政府代表あるいは特派大使を任命し得るということになりますと、
先ほど御指摘のように国
会議員の地位と公務員の地位と、その間のけじめを乱し、行
政府と立法府の間に弊害と申しますか、独立的
関係を乱すというふうな心配がありますので、これは従来来
通り、そのつど両院の議決を求めて、両院が一致してよろしいという場合に限って、国
会議員のうちから任命し得る、こういうふうにしたわけでありまして、私どもがこの修正案を出した趣旨も、ただいま田中
委員から御指摘になったように、国
会議員と行
政府の公務員は、厳然と区別しなければいかぬ、ごく例外的な場合に限って認めなければならぬ、こういうふうな趣旨でこの修正案を出したわけであります。そういう意味でありますので、
一つ御了解を願いたいと思います。