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田邊政府委員 中共からの
引き揚げに関する
情報について、御報告申し上げます。五月の二十九日に、
中国紅十字会から、
日赤ほか二
団体の
連絡事務局あてに
電報が参りました。近く
中共の
戦犯三百三十五名を帰すので、
配船をしてほしいという
要望がございました。正確に申しますと、こういう電文でございます。
中国紅十字会は、今般
中国政府から、次のような
通知を受け取りました。
中国最高人民検察院は、
中国において
勾留中の
日本人戦犯中、
起訴を
免除されたものを五回に分けて
送還するが、その第一回三百三十五名を
日本に
送還する
事務を援助するよう、
中国紅十字会に委託することを決定した、こういう
通知であります。かつ、前記の第一回三百三十五名は六月中旬、
天津に集結を完了するはずである
旨通知がありました。貴三
団体事務局は、六月十五日から十八日の間に、
天津に到着するよう船を派遣されるようお願いいたします。かつ、貴三
団体が
代表を同船に便乗させ、
天津に着いて、今後の
送還の
事務並びに今なお
中国に
勾留中の他の
日本人戦犯の
家族であって、
中国に来てその身内を尋ねたいという者があった場合において、いかにしてその往来に
便宜を供与するかなどに関し、協議するよう希望します。こういう
電報があったわけであります。昨日、運輸省、
外務省等と協議いたしました結果、船は六月十八日に
舞鶴を出発いたしまして、二十三
日大酒に到着する旨の
配船の日取りを一応きめまして、その旨を三
団体の方から
向うに
連絡してもらうようきめたわけでございます。この
電報では、六月十五日から十八日までの間に
天津に船が来るようにという
要望でございますが、
興安丸を
配船することに一応予定しておりまして、きのうも
興安丸を派遣することに決定したわけでございますが、
興安丸は二月に
検査をしなければならぬことになっておりまして、今日まで延び延びになっておりましたので、さっそく来月の初めからドックに入れられまして、
検査のための
工事をいたすわけでございます。約二週間かかりますので、そういった
関係で、若干
向うに到着する日程がおくれますけれ
ども、おおむね二十三日には
先方の大沽に到着できるように
工事を完成し得る
見込みでございます。(「二十三日にこちらに到着するのですか」と呼ぶ者あり)二十三日に大沽に到着するように、十八日に
舞鶴を出発いたしまして二十三日に
向うに着く。
日本には、今度こういうふうに
電報で、
向うに行って
天津でいろいろ協議したいことがあると申しておりますので、若干
日にちがかかると思います。従来の例によりますと、三、四日
向うに停泊しておれば帰れる段取りになりますが、今回は若干
日にちがかかるかもしれません。いずれにしても、そう長くない時期に帰れると思います。
それから
慰問品の件でございますが、
日本の
郵政省から、
ソ連政府の
郵政当局に、
慰問品のことにつきまして照会をいたしましたところ、三百袋持ってきてよろしいという
回答がございました。三百袋と申しますと、数にいたしまして二千個でございます。
厚生省では、
政府の作った
慰問品といたしまして、二千四百七十八個用意してございます。これは現在
向うに抑留されている者が千二百三十九人おりまして、一人当り二個ずつあります。この合計二千四百七十八個を送る予定にしておりましたけれ
ども、そのうちで千二百三十九個、
二つ送りますうちの一個だけを今度の船に積んでいく、二千個の
残りの分の七百六十一個は、
都道府県等から送って参りましたもののうち、
先着順で集めまして、
慰問品としてこの船に乗せて持っていくことにいたしております。
残りの
部分、すなわち
厚生省で調達しました分の千二百三十九個とその他
都道府県から集まったものは、さっそく
郵便で
先方に送るように準備を進めている次第でございます。