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1956-05-31 第24回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月三十一日(木曜日)    午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 原 健三郎君    理事 臼井 莊一君 理事 中山 マサ君    理事 堀内 一雄君 理事 戸叶 里子君       逢澤  寛君    田村  元君       仲川房次郎君    保科善四郎君       眞崎 勝次君    眞鍋 儀十君       受田 新吉君    中井徳次郎君  出席政府委員         厚生事務官         (引揚援護局         長)      田邊 繁雄君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局第二         課長)     小川平四郎君         外務事務官         (欧米局第六課         長)      山下 重明君     ――――――――――――― 五月二十八日  海外抑留同胞引揚促進に関する請願中馬辰  猪君紹介)(第二五三四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  海外抑留同胞帰還促進に関する陳情書  (第八一五  号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査申出に関する件  委員派遣に関する件  参考人出頭要求に関する件  閉会審査小委員会設置に関する件  海外胞引揚に関する件  請願  一 海外抑留同胞引揚促進に関する請願(中    馬辰猪紹介)(第二五三四号)     ―――――――――――――
  2. 原健三郎

    原委員長 これより会議を開きます。  この際、閉会審査に関して、お諮りいたします。今国会あと数日をもって終了することになりましたので、閉会中も引き続き、国会法第四十七条の二により、継続して審査を行いたいと思うのでありまして、その旨を議長に申し出たいと思います。つきましては、閉会審査すべき案件として、各般の諸問題を包括し、海外胞引揚及び遺家族援護に関する件につき、閉会中の審査議長に申し出ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原健三郎

    原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 原健三郎

    原委員長 なお、ソ連及び中共地区よりの引き揚げが近く行われる情勢等もありますので、ただいまの閉会審査の件に基き、その実地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたし、調査を行いたいと思いますが、その際における委員派遣手続等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原健三郎

    原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 原健三郎

    原委員長 この際、お諮りいたします。さきに決定しました閉会中の審査に関して、閉会中の継続審査をいたすため、特に小委員会を設置して審査をいたしたいと思いますが、閉会審査小委員会を設置し、その小委員の数は八名とし、小委員及び小委員長選任については、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 原健三郎

    原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお、委員異動等によりまして、小委員異動が起ることもありますので、この場合における小委員選任等については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 原健三郎

    原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 原健三郎

    原委員長 次に、閉会審査に基き、審査の必要上、参考人より事情を聴取する場合があると思われますので、この場合における参考人の人選、出頭日時等すべてについては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 原健三郎

    原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人決定等の場合は、各派の理事連絡協議することといたします。     —————————————
  11. 原健三郎

    原委員長 海外胞引揚に関する件について、政府当局より、近く行われるソ連及び中共地区抑留同胞引き揚げについての現況、並びに慰問品等の措置につき、説明を求めることといたします。田邊引揚援護局長
  12. 田邊繁雄

    田邊政府委員 中共からの引き揚げに関する情報について、御報告申し上げます。五月の二十九日に、中国紅十字会から、日赤ほか二団体連絡事務局あて電報が参りました。近く中共戦犯三百三十五名を帰すので、配船をしてほしいという要望がございました。正確に申しますと、こういう電文でございます。中国紅十字会は、今般中国政府から、次のような通知を受け取りました。中国最高人民検察院は、中国において勾留中の日本人戦犯中、起訴免除されたものを五回に分けて送還するが、その第一回三百三十五名を日本送還する事務を援助するよう、中国紅十字会に委託することを決定した、こういう通知であります。かつ、前記の第一回三百三十五名は六月中旬、天津に集結を完了するはずである旨通知がありました。貴三団体事務局は、六月十五日から十八日の間に、天津に到着するよう船を派遣されるようお願いいたします。かつ、貴三団体代表を同船に便乗させ、天津に着いて、今後の送還事務並びに今なお中国勾留中の他の日本人戦犯家族であって、中国に来てその身内を尋ねたいという者があった場合において、いかにしてその往来に便宜を供与するかなどに関し、協議するよう希望します。こういう電報があったわけであります。昨日、運輸省、外務省等と協議いたしました結果、船は六月十八日に舞鶴を出発いたしまして、二十三日大酒に到着する旨の配船の日取りを一応きめまして、その旨を三団体の方から向う連絡してもらうようきめたわけでございます。この電報では、六月十五日から十八日までの間に天津に船が来るようにという要望でございますが、興安丸配船することに一応予定しておりまして、きのうも興安丸を派遣することに決定したわけでございますが、興安丸は二月に検査をしなければならぬことになっておりまして、今日まで延び延びになっておりましたので、さっそく来月の初めからドックに入れられまして、検査のための工事をいたすわけでございます。約二週間かかりますので、そういった関係で、若干向うに到着する日程がおくれますけれども、おおむね二十三日には先方の大沽に到着できるように工事を完成し得る見込みでございます。(「二十三日にこちらに到着するのですか」と呼ぶ者あり)二十三日に大沽に到着するように、十八日に舞鶴を出発いたしまして二十三日に向うに着く。日本には、今度こういうふうに電報で、向うに行って天津でいろいろ協議したいことがあると申しておりますので、若干日にちがかかると思います。従来の例によりますと、三、四日向うに停泊しておれば帰れる段取りになりますが、今回は若干日にちがかかるかもしれません。いずれにしても、そう長くない時期に帰れると思います。  それから慰問品の件でございますが、日本郵政省から、ソ連政府郵政当局に、慰問品のことにつきまして照会をいたしましたところ、三百袋持ってきてよろしいという回答がございました。三百袋と申しますと、数にいたしまして二千個でございます。厚生省では、政府の作った慰問品といたしまして、二千四百七十八個用意してございます。これは現在向うに抑留されている者が千二百三十九人おりまして、一人当り二個ずつあります。この合計二千四百七十八個を送る予定にしておりましたけれども、そのうちで千二百三十九個、二つ送りますうちの一個だけを今度の船に積んでいく、二千個の残りの分の七百六十一個は、都道府県等から送って参りましたもののうち、先着順で集めまして、慰問品としてこの船に乗せて持っていくことにいたしております。残り部分、すなわち厚生省で調達しました分の千二百三十九個とその他都道府県から集まったものは、さっそく郵便先方に送るように準備を進めている次第でございます。
  13. 原健三郎

    原委員長 本件について、質疑があればこれを許します。
  14. 中山マサ

    中山(マ)委員 中共から帰ってくる人たちに、起訴免除されたというのがございますが、それは免除されてから今日までどのくらい年月がたっているか、情報はございませんか。  もう一点、慰問品について、どういう理由でそういう便宜方法を拒否されたか、その理由がもしおわかりになりましたら、お教え願いたい。
  15. 田邊繁雄

    田邊政府委員 中共のいわゆる戦犯者について、私どもが今まで得ている情報では、裁判の判決があったということは聞いておらなかったのでございます。従って、目下取調べ中ということに了解しておったわけであります。従って、ソ連の場合と違いまして、まだ刑の言い渡しがないわけでございます。そこで、起訴免除されたということで、自由な身になったので帰すというのでございましょうが、いつ起訴免除になったかということは承知しておりません。  それから、慰問品の件でございますが、従来、引揚船向うに派遣する際に、乗せて持っていったわけでございまして、先般の第六次の引き揚げの際には、非常にたくさん向うに送ったわけでございます。政府も送ったし、また国民の方々からの慰問気持も強く高まって参りましたので、勢い慰問品の数が総体として六千以上に上ったわけでございます。そこで今度も、そういう方式で向うに持っていきたいということを、赤十字から向う赤十字連絡しましたところが、向う赤十字では、郵便で送ってほしい、こういう連絡があったわけであります。しかし従来から、引揚船向うに行くときに持っていく慰問品の中には二通りございまして、郵政省郵便物として持っていくものと、そうでなく、便宜届けるという二つあるわけでございます。郵政省が持っていく分につきましては、これは郵政省向う郵政当局との間の話し合いで一応きまっておることでありますので、向う赤十字から一応ああいった電報が参りましたけれども、さらに日本郵政省から向う郵政省にかけ合いましたところ、三百袋だけはよろしい、こう言ってきたわけでございます。数を制限した理由につきましては、想像の域を出ないわけでございまして、ちょっとわかりません。
  16. 中山マサ

    中山(マ)委員 ちょっとお尋ねをいたしますが、その起訴免除せられたという問題は、いつか李徳全女史が見えましたときに、こういう戦犯について、何かこちらでお聞きになった点はございませんでしょうか。そういうふうな戦犯について、タス通信の方は、戦犯以外にはないということで、今日まで突っぱってきておったわけですが、中共に関しては、そういう問題で発言したことがございますかどうか、その点伺ってみたいと思います。
  17. 田邊繁雄

    田邊政府委員 戦犯という言葉は、正確にいえば、いろいろ言い方はあると思いますが、いわゆる戦犯といわれているのはこれだけであります。その中には二通りございまして、ソ連から戦犯として中共に渡されたものと、もう一つグループは、いわゆる閻錫山の傘下に入って、その閻錫山軍隊中共軍隊とが戦って、そうして捕虜といいますか、つかまった、いわゆる内乱的なものに参加したために犯罪者としてつかまったものと、二つあるわけでございます。大部分ソ連から渡されたグループでございます。これが李徳全が先般日本に参りましたときに、この人たち名簿を持ってこられたわけでございます。中共にこれ以外のたくさんの日本人がいろいろの理由で残留しておられることは事実でございまして、向うもこれは否定しておりません。そのうちで、帰国を希望する者は、御承知通り逐次帰ってきておるわけでございますが、いつごろ起訴免除になったか、今日までの取扱いがどうであったかということは、今度帰ってくる人から十分聞いてみるより、今のところ方法がないのであります。
  18. 戸叶里子

    ○戸叶委員 慰問品のことで伺いたいと思います。ただいまの御説明によりまして、この間の船で六千個以上行った、そうして今度は大体三百袋、二千個に限られたわけでございます。そうして、二個ずつ大体送ろうとして予定されて、二千四百七十八個ですか、用意されていらっしゃる。ところが都道府県から送るのもあろうというので、国の方のは千個にして、あとの七百六十一ですか、それは都道府県から先に来た方のを回すというようなお答えでございましたが、そうなりますと、受け取る人が、ある人は二個いただいて、ある人は一個ということになると思うのです。ですから、もう少し何とかお話し合いをいたしまして、みんなが平等に二個ずつ渡るように、四百七十八個分だけ余分に乗せてもらうように、私はぜひ交渉していただきたいと思うのです。やはりああいうところに行っていらっしゃいますと、慰問品だけが楽しみになっておりますのですから、だれのところに二つ来て、だれのところに一つということで、別にいやなお気持はなさらないでしょうけれども、私どもこちらから考える立場としては、なるべくみんなが二つずつ手に入るようにして差し上げたい、こういうふうに考えるのでございます。この点はいかがでございましょうか。
  19. 田邊繁雄

    田邊政府委員 郵政省からソ連郵政当局に正式にずいぶん御努力を願った結果、こういうことになったのでございまして、もうわずかだからどうだというお気持ごもっともですが、私の想像では、今からではなかなかこれはむずかしいんじゃないか、これは郵政当局連絡はしますけれども、なかなかむずかいんじゃないかと思います。ただ、厚生省で、二つのうちの一個だけ送ると申しますのは、違った種類のものを詰めてございます。つまり慰問品をAとBに分けまして、Aの部はこういうもの、Bの部はこういうもの、そのうちAの方を先に送った方がいいと思いますので、そのAの方を先に送っております。従いまして、七百六十一個送りますと、残り部分については全部の人に渡らないじゃないかということもございますけれども、すぐに残り部分はたくさん送るわけでございますし、また実際問題として、慰問品収容所に到着しますと、送り主、あて先のあった人だけがそれを食べたり使うということでなしに、全部に分けてお使いになっているようであります。厚生省の分につきましては、全部に渡りますけれども、七百六十一個の中にはいろいろなものが入っておると思いますので、これも実際問題としては、皆さんでお分けになってお使いになるという例のようでございます。また追っかけてすぐ多量のものが向うに行くわけでございますので、そういった事情抑留者の方に、向う赤十字からよく説明していただけるならば、さっき、さびしい気持ということがありましたが、御了解いただけるのではないかと思います。なお御質問の御趣旨の点につきましては、郵政省の方とも連絡いたしたいと思います。
  20. 戸叶里子

    ○戸叶委員 たしかに今おっしゃるように、別に自分のところへ来なかったからといって、そういうお気持はないでしょうけれども、私などハバロフスクへ行った経験をもって、いろいろなお話を聞いたことから想像いたしまして、できれば皆さんに今度は二個ずつあげたいというような気がしたものですから申し上げたわけです。ただいまおっしゃいましたように、どんな少しのものでも分けておるということは事実でございますから、それほど気にしないでもいいことかもしれませんけれども、しかしはみ出たのが四百七十八個ですから、それだけくらいのことは、何とか郵政省でも努めて、もう一度交渉していただきたいということを私は要望いたします。  それから中共地区からの引き揚げの問題が今出て参りましたが、一日も早く一人残らずお帰り願いたいということを私どもは望んでいるのですが、それとあわせて、遺骨の問題があると思います。日本でなくなられた中国人の方の遺骨も、すでにそろそろ送られておりますけれども日本の方で、満州、昔の支那等に埋められております遺骨等もたくさん残っていると思いますが、その遺族の人の身としてみれば、早くそういうような遺骨送還してもらってほしいというようなことを望まれるのは当然だと思います。しかし、ようやく南方地域にある遺骨の収集のことに手をつけだした日本政府としては、なかなかお骨が折れることとは思いますけれども、こちらの中国の方にも、そういった問題を考えてみていただきたいと思います。これに対してはどういうふうにお考えになるのか。またそのお考えによっては、次の国会にでも参考人の意見を聞いて、そしてできるだけ早いうちに、そうした仕事にも取りかかっていただければというような考えを持ちますので、お聞きしてみたいと思います。
  21. 田邊繁雄

    田邊政府委員 遺骨の問題について、遺家族の方がいろいろ御関心をお持ちになり、またいろいろ御熱心にお考えになることは御無理もないと思いますが、実際問題として、広い中国でありますし、まして相当の年数もたっておりますので、その辺に遺骨がちゃんととってあるという気持で参りますと、失望するのではないかと思うわけでございます。南方の場合も同様でございまして、現地に参りまして慰霊をし、代表的なもの、つまり象徴的なものとして遺骨をとってくる、こういう趣旨であります。これは今日すでにビルマが終りまして。今度西ニューギニア方面に参りたいと思っております。これが終りますと、南方関係は、フィリピンを除きますれば、全部完了するわけでございます。あとシナ大陸だけが残るわけでございます。これは今日国交も回復しておりませんので、その方針につきまして政府同士で話し合うというわけには参りませんけれども、生きている方々送還という問題が解決しますれば、必ずやこれに関連いたしまして、死亡者の問題も出てこようと思います。いわゆる状況不明者の問題も、だんだん詰めて参らなければならぬと思います。これは大へん仕事であろうと思います。日本側としても、いろいろな調査はいたしておりますけれども、たくさんの数でございますし、ああいった終戦後の満州等におけるいろいろな混乱の事情を考慮いたしますと、これを進めて参ることは大へんな難事業だと思います。まあ遺骨の問題もこれに関連する問題ではございますが、戦犯者帰国が終りましてから、こういった非常に困難な問題が残るわけでございます。そういった未帰還者家族に該当しておられる方はまことにお気の毒なのでございまして、遺骨の問題などとあわせて、こういった問題を今後の課題として十分検討もし、進めるようにいたして参りたいと思っております。
  22. 臼井莊一

    臼井委員 慰問品でありますが、この千二百三十九名の中には、イワノボの人も入っておるのでございましょうか。
  23. 田邊繁雄

    田邊政府委員 入っております。
  24. 臼井莊一

    臼井委員 それからもう一つマリク名簿以外の三百八十五名というのは、こちらで、ある程度、住所、氏名もわかっておるということでありますが、それらに対しては、どろいう扱いをいたしておりますか。
  25. 田邊繁雄

    田邊政府委員 マリク名簿外の未帰還者三百八十五名というのは、昭和二十五年以降の政府資料であります。それ以前の政府資料によりますと、一万八千百七十七名になるわけであります。これらの方々の現在の状態は必ずしも明らかではございません。はっきりわかっておるのもございます。町に出て、自由な生活、いわゆるソ連市民生活をしておるという方もございます。慰問品の件は、向う収容所に現在抑留されておる人、従って、ソ連政府の管理のもとにある人でございますので、直ちに慰問品が届くわけでございます。それ以外の人につきましては、もちろん郵政省を通じて、一般人としていろいろ連絡はできると思いますが、現在慰問品を送る対象となっておりますのは、一般の分もおそらくそうだろうと思いますが、政府の分も、抑留者だけに限定して送っておる次第でございます。
  26. 臼井莊一

    臼井委員 それから、新聞で拝見したところによると、最初は慰問品取扱いを断わったというのですが、それは何か間違いでございますか。三百袋、二千個だけは受け取るというあれだったのですが、あとから訂正でも来たのですか。
  27. 田邊繁雄

    田邊政府委員 慰問品の件は、赤十字から向う赤十字に最初連絡しましたところ、郵便で送るようにお勧めします、ころいう言葉だったのです。そこで日赤から、それでは郵便物として船で持っていくからとさらに念を押したわけです。そうしましたら、船で持ってこないようにという連絡があったわけです。そこで今度はもう一ぺん郵政省から向う郵政局に対して、郵便物として船で持っていきたいということを政府政府でやったわけであります。これは郵便物でございますから交渉ができますので、そこでさっきのように三百袋だけは持ってきてよろしいという回答があったのであります。これは正式な政府回答であります。
  28. 臼井莊一

    臼井委員 これは日赤の方にお伺いする方があるかもしれませんが、何かハバロフスク収容所日赤から慰問団を送りたいということに対して、その可能性がないということで断わってきたように伺っておりますが、その点について、少し詳細に伺えればと思います。
  29. 田邊繁雄

    田邊政府委員 赤十字代表ハバロフスク収容所慰問したいという申入れをしたことは、すでに新聞に出ておりますし、御承知通りだと思います。それに対して、ソ連赤十字からは、返事がなかったわけでございます。そこで、もう一回追っかけまして、赤十字から向う赤十字に重ねて要望したわけであります。最初申し込んだときは、中共の場合には、日本赤十字代表が撫順なり大連の収容所慰問するのを許された例もあるので、ソ連一つ便宜をはかってもらいたいと申し込んだわけであります。それに対して向うから、日本赤十字代表ハバロフスクを訪問することを援助する可能性はないと、非常に簡単な回答でございます。それ以上のことは、おそらく日赤でもおわかりにならないのではないかと思います。
  30. 臼井莊一

    臼井委員 外務省にお伺いいたしますが、留守家族ハバロフスク慰問したい、こういう点について、河野農林大臣モスクワに行かれている際に、重ねて懇請の打電を本委員会からも打ったように覚えておりますが、あちらの意向等、おわかりの点をお伺いしたい。
  31. 山下重明

    山下説明員 外務省から、ロンドンを通じて、日赤慰問品配船の問題と、ハバロフスク収容所慰問の問題と一緒に、留守家族代表がぜひともモスクワ請願に行けるようにという申し入れを四月四日にいたしまして、その後、中旬に一回催促しておりますけれども、今のところ何ら回答に接していないのであります。
  32. 臼井莊一

    臼井委員 この点については、日赤代表さえも、ソ連赤十字があっせんできないというようなことを言ってきているので、非常に困難性があると思いますが、今度、河野農林大臣漁業交渉をされてきたその一つに、七月三十一日までに日ソ交渉を再開する、こういうことがあります。それまでに、本委員会がどういうように開かれるかわかりませんが、この点については、さらに会議が再開されましたら、日赤留守家族代表、これがハバロフスク慰問することを許されるように、ぜひ一つ御尽力願いたいと思うのであります。この点は、昨年、日本議員団があちらへ招待を受けたときに、社会党の一部の職員の方がハバロフスク慰問を許されたのでありまして、これは全然見込みのないことではなく、留守家族においても、自分の力ででも行きたいということを言っておるくらいでありますから、この点を重ねてお願い申し上げたいと思います。  それから中共引き揚げの問題ですが、これは第一回が三百三十五名で、その後五回にわたって全部釈放する、これは起訴を免れた者だけというようにいわれておりますが、これは五次にわたって、ほとんど全部の者が帰るようにこちらの方に何か連絡があったのでありますか、どうですか。労働代表があちらへ行かれたときに、周恩来総理から何かそういう話があったというような記事を見たのでありますが、この点については御承知でありませんか。
  33. 田邊繁雄

    田邊政府委員 私も新聞にそういう記事があったことは承知しております。いずれ近く日本の三団体に対して向うから正式の連絡があるだろうと、私はもちろんのこと、皆様方も御期待になっていることだろうと思いますが、その連絡が、先ほど申しましたように、五月二十九日付で電報で参ったわけであります。その電報の内容は、先ほど申し上げました通りでございまして、全部であるかどうかということは、この電文だけでは明確でございません。いずれ三団体代表が船に乗って向うに参りますれば、天津でいろいろ打ち合せをしたいということを言っておりますので、その際には、そういった点が明確になると思います。
  34. 臼井莊一

    臼井委員 それから、その連絡の中に、こちらの留守家族で面会を希望する者は、あちらへ渡れるように協議したいというふうな、これは天津でそういう協議を行おうというのかと思うのですが、その際にもやはり三団体の方と先方とが協議するのでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  35. 田邊繁雄

    田邊政府委員 電文によれば、今お話になったように解釈されます。
  36. 臼井莊一

    臼井委員 それから、ついでにちょっとお伺いいたしますが、きのうあたりでございますか、何か新聞で見ると、韓国に抑留されている漁民の家族が大会を行なったということであります。これは前回にも当委員会で一応扱ったことがあったのですが、現在留守家族生活については、厚生省でも生活保護法等において関係されておりますが、それ以外の点については、厚生省では全然所管はしておられませんか。
  37. 田邊繁雄

    田邊政府委員 厚生省では所管しておりません。
  38. 臼井莊一

    臼井委員 それでは外務省にお伺いいたしますが、これらについては、日韓会談の将来の見通し等いろいろ問題があるでございましょうけれども、何かおわかりの点がありましたら、一つお伺いしたいと思います。
  39. 原健三郎

    原委員長 韓国関係の担当官が来ておらないそうですけれども……。
  40. 臼井莊一

    臼井委員 それでは、やむを得ないでしょう。
  41. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先ほどの臼井委員の質問に対して、外務省で、留守家族ハバロフスクへ行きたいという希望をロンドンを通して四月の四日に送り、そのあと催促をした、こういう御答弁でございました。実はこの委員会では、五月の十日にそれを決議して、河野代表あてに送っていただくようにお願いしたの、ですが、それをおやりになりましたか。そしてその結果を河野代表がお帰りになりましてからお聞きになりましたかどうですか、これを伺いたい。
  42. 山下重明

    山下説明員 五月十日に決議が行われまして、さっそく電報で打ちましたけれども、内容については、直接触れておらないものであったろうと思います。先ほど述べましたように、ハバロフスクの方は、日赤の方の慰問で、モスクワの方が留守家族の方の陳情という点は、はっきりしたものを申し入れたのは四月の四日のロンドンにおける申し入れでございます。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、それに対して河野さんがお帰りになりましてから、どういう御返事であったか、お確かめになりませんでしたか。
  44. 山下重明

    山下説明員 まだお聞きしておりません。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、ほかのときにこれを伺うことにしまして、もう一つ外務省に伺いたいのですが、中共からずいぶんいろいろな招待が来ましても、なかなか外務省の方でパスポートをお出しにならないわけです。そこで、留守家族人たち中共慰問というようなことを考えられると思うのですが、その場合には、パスポートをお出しになりますかどうですか。
  46. 小川平四郎

    ○小川説明員 家族の方の慰問につきましては、だいぶ前からいろいろ話がございました。長く抑留されておられる方の御家族の方で、中共に行きたいというようなお話があれば、これはほかの問題と違いますので、十分考慮しなければならぬというふうに考えております。ただ、前にも申し上げたと思いますが、家族が来るからいいじゃないかということで、長く抑留されるというような事態になるのは困りますので、私どもは、家族を呼んでくれるのはけっこうだけれども、それよりも早く帰してくれれば、そういう問題も起らないというふろに言っておったわけです。今度の電報によりまして、向うもそう言っておるわけでございます。先ほどお話のありましたように、大部分の方は割合に早く帰れるのじゃないか、そのあとに何かの理由で、どうしても長くとめられるというような方がおられまして、そういうような家族の方で、どうしても、たとえば病気になっておるとか、そういう特別な理由で、お会いに行きたいとおっしゃる方がありますれば、これは特別に考慮しなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
  47. 戸叶里子

    ○戸叶委員 旅券の問題は、ここで討議しますと長くなりますから私はいたしませんが、そうした場合に、大体幾人くらい許可するとか何とかというワクをおきめになっておられますか。
  48. 小川平四郎

    ○小川説明員 別に考えておりません。そういうお話があったときに、個々に検討したいと思っております。
  49. 臼井莊一

    臼井委員 ちょっと委員長にお伺いしますが、留守家族の援護法で、やはり改正しなければならぬ点があろうと思うのですが、これは、この次の国会までに当委員会、で小委員会でも作って、ある程度審議する必要もあろうかと思うのです。この点については、当委員会で休会中にできますか、どうですか。  それからもう一つは、何か当局において、留守家族援護法を改正するような御提案が最近においてあるのか、どうですか。
  50. 原健三郎

    原委員長 小委員会を作ったら、そういうこともともに研究していただいてけっこうです。
  51. 臼井莊一

    臼井委員 それならばけっこうであります。
  52. 原健三郎

    原委員長 委員長からも特に外務省当局にお願いしておきたいのですが、さいぜん臼井君から質問のありましたソ連地区へ日赤代表及び留守家族代表慰問のために派遣するという点に関してであります。ただ一回きりのロンドンを通じての交渉くらいにとどめておくのは遺憾千万であるので、しばしば強硬に談判していただきたい。そうして、返事がないといってほうっておかずに、返事を聞いていただきたい。拒否するならなぜ拒否するかというようなことで、強硬に、積極的に交渉するよう重ねて要望しておきます。     —————————————
  53. 原健三郎

    原委員長 次に、請願日程の審査に入ります。  日程第一、海外抑留同胞引揚促進に関する請願審査をいたします。紹介議員の出席がありませんので、委員長よりその趣旨説明いたします。  その要旨は、ソ連地区において、わが同胞が非常に苦しんでおるので、一日も早く引き揚げを促進するため、万般の措置を講ぜられたいという趣旨であります。  右の請願につき、政府の意見を伺います。
  54. 田邊繁雄

    田邊政府委員 ソ連中共地域における抑留者引き揚げ促進につきましては、今日まで、政府といたしましても、また国会におかれましても、また民間におかれましても、あらん限りの努力を重ねて参りましたが、政府といたしましても、今後民間各関係団体と緊密なる連絡のもとに、一そう引き揚げを促進いたしたいと思います。
  55. 原健三郎

    原委員長 御発言がなければ、ただいま審査いたしました請願は、その趣旨が適切と思いますので、本請願はこれを採択の上、内閣に送付すべきものと決することとし、報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 原健三郎

    原委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  57. 原健三郎

    原委員長 なお、陳情書について、一言御報告申し上げます。お手元に配付いたしておきました通りソ連未帰還同胞の帰還促進等に関する陳情書外四件の陳情書が本委員会に参考送付されておりますので、この際、御報告いたしておきます。
  58. 臼井莊一

    臼井委員 もう一点、田邊局長にお伺いしたいのですが、先般ハバロフスクでストライキ等が起ったということが、当国会においてもいろいろ問題になったのであります。その後、あちらに抑留されておる人からの内地の家族にあてての手紙とかで、その後の状況がおわかりでありますか、どうですか。  なおこちらからお送りした慰問品については、当然手に届いたと思うのですが、届いたならば何らかあちらから便りがどちらかにあったのではないかと思うのですが、この点についての様子をお伺いしたい。
  59. 田邊繁雄

    田邊政府委員 最近参りました手紙によりますと、政府等から送りました慰問品は、それぞれ本人の手に届いておるようであります。厚生省あてに直接礼状がきたものもございます。  ハバロフスクにおける例の請願運動の件につきましては、手紙の内容では、あまり直接触れておらないようであります。近く第七次の帰国者もありますので、また十分調査してみたいと思います。
  60. 臼井莊一

    臼井委員 慰問品のうちでも、読みもの類等は何か取り上げられた、たとえば新聞とか雑誌等は以前でも読ませなかった、現在でも何かそういうふうなことを聞いておるのでありますが、やはり同様に読みものは取り上げて読ませないようなふうにしておるのでありますか。  それともう一つ、今度の慰問品については、ドイツがやっていたように、何か受け取りのようなものを中に入れて、受け取ったらすぐその受け取りを本人から内地に送らせる、こういう方法をというような話も出たのでありますが、これらについては、今回は別にその方法をおとりになっていますかどうか、その点をお伺いしたい。
  61. 田邊繁雄

    田邊政府委員 受取書として、事あらためてはやっておりませんが、先般赤十字からソ連赤十字にそういう形式のことを言ってやったわけでありますが、それについては回答がありません。ただ、私どもとしては、政府として予算をとって、そして特別に送るものでありますから、それが確実に向うに着いたかどうかについては、相当強い関心を持っておるので、できれば、ソ連赤十字に対してなした照合に対して、的確な回答があることを希望しておったのでありますが、届いたことは、手紙が来ておりますので、その点は心配ないのじゃないかと思っております。
  62. 臼井莊一

    臼井委員 前段に私のお伺いした新聞等は、以前は何か許可されなくて、わずかに新聞の包み紙でその消息を知ったというようなことを聞いておりますが、その後何か許可になったというふうなことがあって、しかもそれだから送ったのでありましょうが、今度の慰問品にそれが入っていたら、やはり渡されないで取り上げられた、こういうふうなことを手紙か通信か、どこかに書いておるということがあったのですが、それらについて何か情報は入っておりませんですか。
  63. 田邊繁雄

    田邊政府委員 新聞雑誌の類は、慰問品として送ることは認められておりますので、送れば当然本人の手に届くものと私どもは思っております。ただ、お話しになったように、以前は許されておりませんでしたが、最近禁じられたとか、あるいはよくなったとかいうことは、われわれの耳にしたところでは、ないようであります。
  64. 臼井莊一

    臼井委員 何かこちらの留守家族に来た手紙によると、許可になったけれども、やはり新聞、雑誌等は取り上げられておるというような点が何かに入っているように聞いておるのであります。その点を今度の機会に、あちらに行かれる方については、なお機会を得て確かめるように——あちらでは通信を非常に渇望しているように聞いております。せっかく許可になったのが、実情は許可されないと同じような状況で、取り上げるということでは非常に遺憾でありますので、その点を一つ、機会がありましたら御調査願い、また御交渉願うということを一つお願いしたいと思うのです。  最後にお伺いしますが、慰問品は、今後も政府並びに一般から作られて送られるのでありますが、これは次の引揚者でもあって、こちらから迎えにいく機会があれば、少くともこの程度のものは許されるでありましまうけれども、それもいつのことかわからぬし、あるいは今後の状況によっては禁じられないとも限らないと思うので、これはやはりできたつど、日にちはかかるでしょうが、普通便で送る手はずはなさっておるのでありましょうか、その点について伺いたい。
  65. 田邊繁雄

    田邊政府委員 今後の取扱いにつきましては、集まり次第、郵便で送った方がいいんじゃないかと思っております。たまたま船便があって、持っていくということになりました場合は持っていく、それはそれとして、でき次第一般の郵便でどんどん送るということにした方がいいんじゃないかと思います。  なお、この点はよく郵政省と打ち合せいたしまして、研究いたします。
  66. 受田新吉

    ○受田委員 田邊局長にお伺いしますが、引遂揚げ問題に関連する在外財産の補償の問題であります。これについては在外財産問題審議会が内閣にできておる。それで、二十八日にその初会合を開くということであったにかかわらず、まだ開かれない。一日に開くということも開いておる。みな期待しておるようでありますが、それはどういうふうになっておるか、この点、幹事役として明瞭に御答弁願いたい。
  67. 田邊繁雄

    田邊政府委員 在外財産問題は総理府で所管しておりまして、私の方も従来から幹事の一人として関係しております。お話の通り、そういった話もあったのでございますが、二十八日に開くということは私も耳にしておったのでありますけれども、延期になったようでございまして、正式にまだ聞いておりません。総理府官房でやっておられまして、まだ詳しいことを知りませんので、そちらの方の責任者に御出席いただいて、お答えした方がよくは一ないかと思っております。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは審議会の幹事でいらっしゃいますか。
  69. 田邊繁雄

    田邊政府委員 従来の委員のメンバーの時代には、私幹事の一人でございました。今度も別に解任の通知もございませんので、そのまま継続して幹事の一員としてお手伝いすることになるのではないかと思っております。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 幹事である以上、こういう問題について十分連絡折衝の任に当り、その間の推進をなさるべき責務があると思いますが、いかがでありましょうか。
  71. 田邊繁雄

    田邊政府委員 私も、できるだけ早い機会にこの審議会が開かれることを希望しております。しかし、国会の開会中で、いろいろ何かと内閣もお忙しかった関係ではないかと思います。これは想像でありますが、延期になったということだけの連絡を受け取りました。いつ開かれるということは、まだ伺っておりません。いつ開けということを、こちらから命令的に言うわけには参りませんので、なおよく連絡をしていきたいと思っております。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 あなたも政府の要員の一人でありますが、政府は事ごとにいろいろな団体の人々に、政治的な意図をもって、与党の方々に貢献するごとく働きかけられる傾向がある。いろいろな審議会とか委員会とかいうものを作って、そういう立場にある人々を守るように見せかけて、実際はなかなか会議を開かぬということがよくあるのです。これもまた一つの具体的な例になるおそれがあると思うのです。従って、開会中にこれをやらないと、閉会して議員が帰ってしまって後に開会することも容易じゃないのであります。それだから、二十八日とか一日とかいう差し迫った期日のうちに開会をすることが、各方面から要望されておる。従って、幹事役として、即時総理府のだれが推進力になるか知らぬけれども、あなたは今この部屋をお出になると同時に、内閣に置かれた機関が一党一派の政治的なゼスチュアに使われる疑いが絶対ないことを証拠立てる意味からも、即時開会の御用意をされるように、直ちに御活躍あらんことをお願いしておきます。
  73. 田邊繁雄

    田邊政府委員 お気持はよくわかりました。ただ問題は、在外財産の問題でございまして、引揚者にも関係はございますが、在外財産の問題でございますので、どちらかと申しますと、厚生省プロパーの所管ではないのでございます。引き揚げ問題につきましては、御承知通り、引揚同胞対策審議会という委員会が内閣に設けてございます。これは厚生大臣が会長であり、私も事務長という役をいたしております。これは一切の引き揚げに関する問題を官民合同で審議をするという建前でおります。昔は在外財産問題もこの審議会の審議項目の一つであったわけでございますが、在外財産問題がやかましくなるに従いまして、二十九年でございましたか、別に在外財産問題審議会というのを政府においてお作りになりまして、主として大蔵省がお世話をする審議会ができたわけであります。私は関係者としてそれに連絡あるいは資料を作成する上において参画させていただいております。こんなことを申し上げますのは、この在外財産問題審議会と厚生省、ことに引揚援護局との関係を御了解願うためでありますが、そういった関係でございますので、今回も引揚者の在外事実の調査を私の方でいたしておりますが、これも、目的はどこまでも在外財産問題審議会において審議をなさるために必要な資料を集めたいという総理府の御依頼がございましたので、また予算もつけて厚生省に頼んで参りましたので、厚生省がそれを調べた、こういう関係でございます。在外財産について、いかなる処置をとるかという所管の責任の官庁は、少くとも厚生省ではなかろう・こう私どもは思っております。またそれが行政折衝の筋である、こう思っております。そういった意味ではございますが、引揚者には関係の深いことでございます。ちょうど恩給は厚生省の所管ではないけれども、旧陸海軍の身分に関することを厚生省でやっておるから、厚生省もこの問題について深い関係があると同じような意味合いにおきまして、厚生省関係があると思いますので、今後とも密接な連絡をとってやって参りたいと思います。先ほどお話しになりました審議会の開催促進につきましては、さっそく御趣旨を内閣に伝えておきたいと思います。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 引揚同胞対策審議会は、厚生省の所管であったわけです。その当時は、その中に在外財産の問題を審議するような権限があったわけです。それが二十九年末にこれを特別に抜いた機関ができるようになったので、その方にかわったのであります。これは、それを抜いたために骨抜きにされてしまって、厚生省がせっかく世話をしていた時代の方が、はるかにりっぱな仕事をしていたのです。それがこれを抜いたために、骨抜になっておる。こういうことであって、厚生省自分仕事であったのがよそに移ったといっても、同じ立場で、国内で苦労しておる人を補償するという意味からは、あなたの仕事に深い関係があるのであります。それだからこそ、あなたを幹事にしておるのです。今度も新しい機関の幹事になっておるのは、その意味です。だから、お役所の仕事はかれこれだなどと言わないで、厚生省引揚援護局長を幹事にしておる意味はどこにあるかということを十分御自覚なさって、この問題の処理に積極的な態度で御活躍あらんことを希望するものであり、かくあるべきが吏道刷新の意味からも、公務員の服務紀律の上からも、きわめて重大な責任問題だと思うので、その点を十分お考え願いたい。  もう一つ、去年の特別委員会の最終段階で問題になったのは、沖縄の戦死者の遺族団体及び沖縄の政府の責任者から、この委員会より委員を派遣せられ、沖縄の現状を十分御視察願って、遺家族援護の対策をお立て願いたいという親展の書簡が来て、それに対してこの委員会は満場一致これにこたえて、委員を派遣することを決定した。ところがすでに議運の理事の間の了解も得、大池事務総長のそれに対する予算の支出の了解も得、これに対してここにおいでの田邊援護局長がある程度の政府としての協力も惜しむものでないという確たる言明もあって、実現の一歩手前であったと遂に、昨年あの国会の終末の、継続審議の取り扱いをしようという本会議を開かぬままに終ったことがあるのです。一ぺんきまっておることなのです。それが今、沖縄に対して約束を果しておりません。途中で淵上房太郎先生が、これはこの委員会とは全く別の意味で、一人で行かれたことがあるのでありますが、この委員会は依然としてまだ職責を果しておりません。沖縄から非常に大きな要請をされてきておることに対して、責任を果されておらぬということを一つ御確認いただきまして、閉会中にこの沖縄の強力な要請にこたえ、遺家族援護の実態調査をやるという意味からも、当委員会としての委員派遣その他の方途を講じて、現地の方々の御期待にことうべきであるということを、私は委員長に要請し、適当なお取り計らいあらんことを希望しておく次第であります。
  75. 原健三郎

    原委員長 趣旨は大賛成でございます。それで、一度善処すべく研究いたします。  本日はこの程度といたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後三時二分散会