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1956-05-31 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月三十一日(木曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦二郎君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       赤澤 正道君    加藤 精三君       須磨彌吉郎君    橋本 龍伍君       山口 好一君    田中 武夫君       堂森 芳夫君    小山  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       齋藤 憲三君  委員外出席者         科学技術庁次長 篠原  登君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁企         画調整局長)  鈴木 康平君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    藤村 重任君         通商産業技官         (鉱山局鉱業課         長)      小泉  進君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所長)  兼子  勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  本日は、昨日に引き続きまして、科学技術振興対策に関し、正力科学技術庁長官質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、順次これを許します。岡委員
  3. 岡良一

    岡委員 昨日、正力科学技術庁長官から、わが国における今後の科学技術振興に関する御方針を承わりました。しかし、率直のところ、きわめて形式的な御所見であると考えましたので、簡単になお核心に触れての若干の御方針を承わりたいと存じます。  科学振興に必要なる予算は、本年度計上額を見ても、アメリカや英国に比してきわめて小規模であり、お粗末であるということは、昨日資料をいただきましたものについても、明瞭であります。これは、国会科学技術振興に寄せておる関心の度が、まだまだ不十分であろうというような御意見も出たようでありますが、しかし、問題は、やはり政府そのもの責任に連なることと存じます。そういう意味で、すでに昨日前田君との間に、予算をめぐっての応答がありましたが、正力国務大臣としての、この点についての格段な御努力をこの際心から要求いたしておきます。  次の問題でありますが、科学技術振興については、常に超党派的に推進さるべきである。こういう意見が昨日は、政府側からもまた委員側からも出ておりました。これについては、必ずしも超党派と言い切れないと思うのであります。と申しますのは、科学技術わが国振興させねばならないという気持においては、政府も、また野党のわれわれも、与党の皆さんも、共通ではあろうと思います。しかし、科学技術振興が何を目標とするか、またいかにして行うかという方法に至っては、決して超党派なものではあり得ないと思います。これは私が申し上げるまでもなく、資本主義態勢の中で科学技術が大きく近代化されてきたということに、言うまでもなく、利潤追求という資本家の大きな動機が、科学技術振興の拍車であったことは申し上げるまでもありません。そこに近代的なプロレタリアートが生まれて、大きな階級対立の社会をさえ作り出したのであります。社会党は、階級的な大衆政党という立場からは、やはり法の限界線というものの上に立って科学技術振興期待をし、また推進をすべき当然な役割がになわれておるわけであります。こういう観点から特に正力国務大臣にまずお伺いをいたしたいことは、科学技術振興という問題は、これが現在の形で進行されていくということになると、日本における産米構造の大きな部分を占めておる中小企業に対して、いかなる影響を与えるかという問題であります。言葉をかえて申しますと、科学技術振興は、このこと自体を切り離してはまことにけっこうなことではあるが、しかし、今の日本現実の中で、新しい技術設備を導入し得ない、また導入し得る道を講じていないという日本現実の中で、科学技術政府の力によって大きく発展をする、ここにかえって日本独占資本の強化というものが行われて、中小企業はますます零細化するのではないかという懸念が当然生まれてくるのであります。この点についての国務大臣の御所見をまず承わりたいと存じます。
  4. 正力松太郎

    正力国務大臣 御質問の第一点は、予算の問題で、きのう申し上げました通りに、要するに科学技術振興ということを言っておりながら、今までのような予算ではとてもいけませんですからどうしても予算を多くしなければならぬ。そして予算をふやして、技術者をふやさなければならぬ。待遇をよくすることも必要なことではあるが、技術者そのものをふやすということが必要であります。このことはだいぶ世間も痛感をしてきたようだし、大蔵当局も、このことを認めたようでありますから、来年は相当に増額し得るだろうと思っておりますが、なお一そう努力いたします。  それから第二の質問の、今後いよいよ機械工業が発達して、大資本が大きくなるが、中小企業に対してはどういう考えを持っておるかということ、これはごもっともな質問です。これについては、私どもかねがね憂えておるのであります。ただ、しかし、今までにこうすればいいということをはっきり申し上げる程度に至っておらぬのは残念でありますが、これはどうしても考えなくちゃならぬ状態であります。中小企業は、今の状態でも困っておる。これがいよいよオートメーシヨンなどになってきますと、困りに困ってくる。しかし、それをどうするかということについてお答えできぬのでは、はなはだ残念であります。この点については、皆さんのお力も借り、またわれわれもできるだけ努力いたしたいと思っております。
  5. 岡良一

    岡委員 わが国における中小企業実態、特にその特殊な業態における技術高度化というものは、いなめないものがあろうと思います。しかし、何と申しましても、これはきわめてつつましやかな小規模の形態の中に、育てられてきたものであり、これが大きくマス・プロダクションの形に再編成をしていく場合には、いろいろな隘路があろうと思います。そういう点でせっかくの政府科学技術振興という呼び声、それに伴って実施されるもろものの施策というものが、中小企業にとっては、その恩典に十分浴し得ないということになると、先ほど申しましたような大資本征覇に奉仕する結果となる。これでは、私どもは、いかに超党派と申されましても、承認することができないわけであります。今お聞きすれば、中小企業に対するわが国科学技術振興策については、いかに中小企業に対すべきかという具体的方針はないようであります。しかしこれは当然重大な課題であろうと思いますので、また別途の機会において、その具体的な御所信と御抱負を聞かしていただきたいと存じます。  次の問題は、雇用問題です。御存じのように、近代科学技術というものが工場においてどんどん採用されることになりますと、当然そこに、人間のなまの労働力というものは要らなくなって参ります。炭鉱縦坑開さくやあの五カ年計画で、すでに炭鉱夫の約六万が失業する、こう炭鉱組合諸君は訴えております。先般も英国で、あるトラック工場が四千万ポンドのオートメーション機械を導入した。その結果、さしあたり一万一千の労働者の中から一千五百を解雇する、将来は三千五百を解雇する、こういう発表をいたしましたので、この組合のみならず、英国労働組合会議すらがこれに抗議をして、所在の労働組合はストライキの態勢に入っていることを外電は報じております。こういうような事態で、英国のように労働組合の力がきわめて健全に、しかもきわめて強力に発達をいたしておる国においても、近代技術の導入、オートメーション化ということになってくると、ここに労働者経営者の間における大きな対立が起っております。いわんやわが国実態にかんがみましたときに、特にわが国雇用実態というものは英国のような、完全犀川ではありませんで、潜在失業者を含めて、何百万という産業予備軍が予想されておるというときに、ただいたずらにオートメーションを急ぎ、設備近代化を急ぐことは、生産の能率化は高まるかもしれないが、一方においては、働いておる者が働く職場を失ってくるという、そういう形における国民経済の大きなロスが起って参るわけです。こういう点は、今日、日本において科学技術振興を唱える以上、当然十分に顧慮しなければならない問題と存ずるのであります。この点についての国務大臣の御所見、またこの問題に対する具体的な御方針があったら、この機会にお漏らしを願いたいと存じます。
  6. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問の点は、先刻お答えした点と大体似ている点がありますので、これは非常に重大な問題であります。まだ私どもとして、これに対する対策がまとまっていないのは残念でありますが、これは先ほど申し上げます通りに、非常に重大な問題であります。これは一国務大臣の問題ではありませんで、内閣の問題でありますから、この点はよく考究して、何したいと思っております。
  7. 岡良一

    岡委員 全く御指摘の通りなので、これは一科学技術庁長官、また国務大臣としての正力さんのみの責任において問題は解決さるべきものではなくして、内閣全体の大きな責任にかかる政策だと思います。思いますが、しかし事実その衝に当って科学技術振興を推進しようというその立場におられる正力さんに、これらの問題は、さらに十分に責任ある御検討をわずらわして、国の施策全体の上に生かしていただく、このような努力は当然必要だと私は思うので、あえて申し上げたわけであります。中小企業の問題にいたしましても、雇用の問題にいたしましても、科学技術振興と不可分な問題でありまするが、これについての政府としての具体的な御方針というものを伺うことができなかったことはきわめて残念でありまするが、どうかこういう方面においても十分な御検討を今後重ねていただきたいということを、心から要求いたします。  それにつきましても思いますことは、やはり科学技術庁科学技術振興のことだけやればいい、雇用問題は労働省がやればいいのだというような形における、日本のいわば官庁セクショナリズムというものが、重大な問題の最終的な解決において、大きくはばんでおる。こういう事態そのものが、日本政治機関のあり方の非科学性を示しておると私は思うのです。そういう意味で、科学技術振興というものは——どもは当初科学技術名を設けろという要求をいたしたくらいでありますが、まだまだ一本に統合されてはおらないうらみがあります。科学技術振興を一本の統一ある施策として推進するがためには、現在の科学技術庁機構そのものにもまだまだ問題があり、現在各官庁を長い伝統の力を持って風靡しておるいわゆるセクショナリズムというものが、科学技術振興を唱えながら、わが国における政治科学的な合理化に対して、大きな隘路となっておるという印象を受けるのであります。この点について、正力国務大臣としての御所見、御抱負があれば承わりたいと思います。
  8. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問、まことにごもっともな点でありますが、実は官庁セクショナリズムについては、私も驚いております。私は強く感じておるところがたくさんありますし、今度科学技術庁を作るについても、その問題については考えております。従って、できたからといって、ますますこれは隘路をあけなくてはならぬと思っております。これをどういう点でやるかということについては、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。これは非常にむずかしい問題でありますから、なお一そう考究いたします。
  9. 岡良一

    岡委員 機構改革は、歴代の吉田内閣以来の政府の公約でありながら、今日まで果せておりません。しかしながら、機構改革は、日本民主化のきわめて大切な大前提だと存じます。特に今日のような科学技術振興、しかも旧時代的な割拠主義というものが、やはり機構的にはその振興をはばんでおるというような現実は、実に非科学的であるので、この点は十分やはり科学技術庁皆さんの今後における御努力に待ちたいと存じます。  それに関連して、政府経済五カ年計画などというものを発表しておられます。わが国科学技術振興せしめ、特に十年の戦争時代における空白を克服する、そして追いつき、追い越そうというような意気込み日本科学技術振興させようとした場合に、一つの問題は、やはり年次的な計画が必要ではないかと思うのです。とにかく政府が今日経済五カ年計画という年次計画を持っておりながら、これに即応する年次計画というものが、今のところ、政府経済五カ年計画にはありません。これは科学技術庁発足しない当時のものであり、ただ予算としてこの程度のものを振り向け得るであろうという数字が与えられておるにすぎないのであって、その数字を具体的にいかに実践するのか、また独自な科学技術庁の今後の計画的な科学技術施策についての必要な予算をどのように固めて、つかんで、これを年次的にどのように配分するかというような、そういう面についてのいわば科学性がまだ足りないんじゃないかと思うのです。そういう御努力も私は当然今後における庁の重大な仕事ではなかろうかと存ずるのでありますが、この点についての御所見を伺いたい。
  10. 正力松太郎

    正力国務大臣 今の御質問はまことにごもっともな点でありますが、ただ目下のところ、そういうところへいっておりません。何しろ今度科学技術庁ができたこと自身が、世間の注目を引いた程度でありますが、しかしこれができたのを機会に、一つ大いにやりたいと思っております。また、ほんとうを言いますと、経済五カ年計画というものも、科学技術を無視して成り立つものじゃないのです。その点もありますから、なお一つその点せいぜい御趣意に沿うように努力いたします。
  11. 岡良一

    岡委員 御存じのように、経済五カ年計画貿易規模なんかから見ましても、五年目になっても、日本の輸出のほとんどは繊維製品であります。これでは、日本は、五カ年たっても、あの経済計画のまにまに進められるならば、依然として軽工業にとどまるというようなことであります。せっかく科学技術庁発足をし、日本における産業近代化のために御努力をせられるというならば、あのような貿易規模そのものが、もう少し皆さん方の主体的な御主張を中心に、変更されていいのではないかと思うのです。軽工業国から重工業、科学工業精密機械工業へというようなことも夢ではなく、やはり皆さんの庁全体の責任において、国の経済計画の中にはっきりと織り込まれていくという御努力を、今後ともぜひともしていただきたいと存じます。  次の問題でありますが、御存じのように、日本には学術会議があって、それぞれ専門の学者諸君科学者諸君が、日本科学技術振興についての具体的の意見をまとめて、政府にこれを提出をいたしておるようであります。私どもは、日本の乏しい資源を考えましても、やはり日本の持っておる現在の科学者科学的水準というものを、できるだけ尊重すべきものは尊重すべきではないか。単にそのことの利害というような功利的な観点から、科学者のまじめな意見というものをしりぞけるということは許されないと思います。幸い科学技術においては、こうした、いわば科学者皆さんがたくさん人的構成の中に大切な位置を占めておるので、私たちは、科学技術庁がそのような形で十分に日本科学者意見を尊重しながら運用されていくことを希望いたしておるのでありますが、この点についての、正力国務大臣の御抱負を承わりたいと存じます。
  12. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまのお尋ねの点も、まことにごもっともな点であります。実は科学技術庁発足したばかりなのでありまして、今、連日、次長、次官が中心になって、科学技術庁をどういうふうに持っていくか研究しております。いずれ私もそれを聞いた上で、今の御趣旨に沿うようにしたいと思います。
  13. 岡良一

    岡委員 先ほど来、しごく基本的な方針についてお尋ねをいたしましたが、まだ十分私どもとしては納得をするお答えはいただけませんでした。いずれ国会ももう幕切れに相なりまするので、来たるべき通常国会には、予算と同時に、具体的な御方針——単に科学技術だけではなく、この問題は日本の全政策に関係する問題でありまするだけに、そういう問題についての克明な、しかも責任ある御方針をぜひ科学技術庁全体の御努力で打ち立てていただきたい。男子三日会わずんばまさに刮目して見るべしといいますが、まさに刮目して期待いたしまして、私の質問を終ります。
  14. 有田喜一

  15. 堂森芳夫

    堂森委員 正力国務大臣お尋ねいたします。科学技術庁発足いたしまして、まことに喜ばしいことでございますが、ある意味では、日本の将来の運命を決するものは、科学技術庁発展が順調に進んで参るかどうかということにかかっておると言っても過言ではないと思うのであります。戦前のことを申し上げまするならば、あるいは日本科学水準が非常に低かった、であるから戦争に貢げたんだ、こういう意見もあるわけでありますが、私はかえって日本科学水準が低かったから、あのような無理な戦争が起きたんだ、こうも言えると思うのであります。かえってその方が重大なことであると思うのであります。昨日国務大臣施政演説と申しまするか、あるいは発足のごあいさつと申しますか、そういうものを承わりましたが、私は非常に悲観したのでありますしと申しまするのは、このようなガリ版とお渡し願いましたが、全く通り一ぺんであります。しかも、きわめて、処女のごとく非常に遠慮した感じがございました。たとえば、これは将来の予定であるとか、あるいはもっと遠慮して心づもりの域を脱しないので、まことに私は輝かしい将来を持たなければならない科学技術庁発足に際して、その主管大臣である正力先生のお言葉としては、きわめて遺憾に思います。またこのあいさつといいますか、発足演説を読みまして、一体何を意図しておられるか、日本科学技術発展させるためには、まず何をおいてもこれをやらなければならぬ、おそらく私はそういうものがなければいかぬと思うのです。何もかにもやりたいと思うけれども日本財政状態がこうである、いろいろな事情からいって、まずこれをやる、こういうふうな強い意思表示が、私はあってしかるべきものである、こう考えるわけであります。正力国務大臣は、まず何をやるんだ、来年度はうんと予算を取って、何をやるんだ、こういう一つ最大の、最高の目標を御声明願いたい、こう思うのであります。
  16. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいま御質問の点、全くごもっともでございます。実は、きのうは、施政演説のつもりでなしに、あいさつのつもりで申しまして、非常に遠慮深く申し上げたのであります。私も最初にあの原稿を読んだときに、ちょっとおとなし過ぎると思ったわけですが、あいさつならこれくらいでよかろうというような意味もあったのでありまして、私の意気込みはああいうものじゃありません。たとえば、一つ問題を申し上げても、原子力の問題であります。原子力の問題では、今、世間でいわれておるよりもっと僕は大きなことを考えています。それは、どうしても日本は、科学技術の力によらなければならぬ。ことに今の日本産業なら産業は、原子力によらなければいかぬと私はほんとうに思っておりますので、原子力一事だけでも、皆さんの御期待に沿うようにしたいと思っておるわけでありますから、どうぞもうしばらく……。
  17. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますると、原子力のことに関して大いに努力する、こういう御答弁のようでありますが、一体来年度はどういうことをおやりになるか、原子力ではばく然としている、まずどういうことをやろうとするのか、こういうことを承わっておきます。
  18. 正力松太郎

    正力国務大臣 この席で言うのは、あまり抱負を述べかぬる点もあるのでありますが、とにかく原子力一事を見ましても、この間ヒントンの話を聞いても、日本は十年おくれております。英国の一九四六年がちょうど日本のただいまの程度だろうという批評をしておるくらいでありまして、私どもも今さらさうだと感じまして、非常に残念に思っておるわけであります。第一、皆さんも御承知の通りに、日本発電なんといっても、十五年先のことだとみな信じ切っておるじゃありませんか。ところが、現実にやっておるヒントン卿は、発電はイギリスはできる、しかも商業ベースに合うと言っておるのです。そうすると、日本でもよく商業ベースに合う合うという話をすると、それは計算基礎が違うと日本人は言うております。それで、私は、呼んで、どういう計算か聞きましたところが、計算も何もりっぱであります。償却費も何もちゃんと見てあります。しかし機械は十五年の償却であります。償却費を見、燃料費も見、金利も見て、それで商業ベースに合っているのです。しこうして幾らかというと〇・六ペンス、二円四十銭ということである。これは、日本発電は、火力が六円もしております、水力だって三円もしております。これがもしもかりに三円程度でできたら、大へんなことです。この一事だけでいっても、日本産業は、私はやっていけると思っております。私は日本の一般の標準が下っておるということに驚いたのであります。これはほんの一事でありますが、大体日本学者は、理論物理は進歩しておるのですから、ただ応用面が劣っておるのでありますから、この点大いに学者の協力を得てやりたい、こう思っておるわけでございます。
  19. 堂森芳夫

    堂森委員 原子力発電については、コマーシャル・ベースから見まして、私の知っている限りでは、必ずしもそうではない。こういうことは議論になりますから、きょうは私は差し控えます。とにかく原子力に関して大いに大臣はやっていくんだ、こういう御発言でございますから、私はよく了承いたしました。  次に、方向を変えまして、日本科学技術を大いに発展させて参る、これは当然のことでございます。しかし、科学技術発展して参るためには、その、基礎となるベき基礎科学研究、これの大きな発展がないところには、やはり科学技術発展はあり得ない、こう私は思うわけであります。従って、われわれは、まず何といっても、日本における基礎となるべきサイエンスの研究というものが、大いに盛んになっていかなければならない、こういうことであろうと思います。もちろん、日本科学界にはたくさんのすぐれた学者もおられると私は信じております。しかし、またある一面を考えますと、私は今日のこの複雑多岐な、非常に潔い真理といいますか、あるいはまた範囲といいますか、そういうものが非常に広くて、今日の進んだ科学というものは、とうてい個人のすぐれた力量、あるいはその人の才能というようなものだけでは、私はなかなかりっぱな研究、膨大な研究というものは不可能だと思うのであります。従って、何といいますか、大きな組織を使って、そうして共同研究といいますか、国としての大きな共同研究というものの組織がどんどん発展していかないと、日本の国の科学技術を大きく向上していく基盤にはなり得ないのじゃないか、こう思うわけであります。しかし、従来の日本研究所のおもなものは、やはり大学であり、あるいはまたその他民間あるいはその他の研究所があると思いますが、やはり今後そうした、何といいますか、統制というと語弊があるかもしれませんけれども、精密な計画をもとに、大きな組織共同研究というものがなされていくということが、私は不可欠だと思うのであります。しかし、日本にはそのようなことが実際にはまだまだないと思いますが、この点国務大臣はいかがお考えでございましょうか。
  20. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまお尋ねになりました通りに、私は、日本科学技術振興をはかるには、根本はどうしても研究所をよくすることであると思います。きのう申し上げました通りに、今日、日本の劣っておるのは、研究費が足らないこと、さらに言うならば、先ほど御指摘のように、個々に分離しておる点があります。これはやはりある程度まで総合といいますか、そうしてもっと力強くしなければいかぬ。いずにしても、研究費が足らぬというのは、これは学者の世論です。実は私は科学技術庁ができるまで知らなかったのですが、今度幾らかこれに関係しておりますと、異口同音に、研究費がないという。この研究費でいくわけはありません。現に私どもの友人に聞いても、欧米に比較して、われわれは、頭は負けないけれども研究費が足りないから、おくれをとるいうのです。これは、科学技術振興をやるには、どうしても、研究所をもう少し十分に働けるようにしなければいかぬ。これについては、やはり予算面に返ってきます。これは何とかしてふやさなければいかぬ。これが私は根本だと思うております。なお、科学技術者をどうしてももっとふやさなくちゃいけません。日本は、とにかく今まで科学技術者というものをあまり尊重しなかった。そのために、科学技術者が少いのであります。これから技術者をふやすことが何としても必要であるというふうに信じておるのでありますから、一つ研究所を大きくし、そうして研究費をふやすということと、技術者をふやすということが、さしあたりの急務じゃないか、こう思うておるわけであります。
  21. 堂森芳夫

    堂森委員 私のお尋ねしたことと御答弁が少し食い違っておるのであります。もちろん研究費が足らぬ、少い、これは当然でございます。それから、りっぱな学者が大いに必要であるということも当然であります。そういうことはもちろんでありますが、私がお尋ねしたのは、たとえば、日本には日本学術会議というものがありますが、これはセミ・オフィシャルな機関ですから、政府と密接な関係があるわけであります。そうして、原子力に関してこれを平和利用に、どんどんいろんな方面に持っていくという一つの大目標科学技術庁が立てるならば、それについてのいろんな分野にわたった研究について、日本会議などとよく御相談の上、一つ総合的なプランを持って、そこに膨大な予算をつぎ込んで、共同研究をする。全国的なすぐれた研究室に一つの有機的な、密な連絡をとって、そうして、少し戦争のような言葉になりますが、参謀本部のようなものができまして、一致した一つの方向に研究を持っていくごとが必要かだと思うのであります。そういうふうな構想がおありかどうか、こういうことを聞いたのであります。
  22. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほどのお答えのときに、その点にも幾らか触れておったつもりでありますが、言葉が足りなかったのでありますが、研究所の総合調整というといろいろ語弊がありますが、どうしても、それをやらなければならぬ。それは、ちゃんときのうのあいさつの中に私は入れたつもりであります。大体御趣意のようなことを考えておるわけであります。
  23. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、来年度からは、そういう方向に必ず持っていかれますか。その点一つ御決意のほどを伺いたいと思います。
  24. 正力松太郎

    正力国務大臣 そういうふうに持っていきたいと思っております。
  25. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは、少し方向を変えてみたいと思います。正力国務大臣は、すぐれた事業家でありますから、いろいろ日本の事業界については、内情を御承知と思うのであります。私がしろうとのような目で見ておりますと、日本産業界というものには、非常に不合理な面が多いと思います。たとえば、日本産業というもの、生産会社なら生産会社一つ見ておりましても、日本の製品のコスト高の原因の中には、何といいますか、待合を利用するような交際費とか、あるいはそういうものが非常に大きくプラスしておって、研究費はそういうところは減らしていく。そうして、そういう面にはかなりのパーセンテージの資金がつぎ込まれていって、そのためにコスト高の一つの役割を果しておる、こういうふうに思えてならぬのです。大臣はいかが考えでしょうか。
  26. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問の極意は、そういう会社もあるといううわさは聞いておりますが、現に私どもの関係しておる社はいたしておりませんから、そういうことはないものだと思っております。
  27. 堂森芳夫

    堂森委員 これは日本資本主義の一つの大きな特徴だと思うのです。これは、やはりおくれた資本主義国家であるということからきた一つの大きな特徴だと思います。つまらぬ例ですが、いろいろな商社が海外に出張員を出しております。出張員は何をしておるかといいますと、たとえば、ドイツからいろいろな機械を買いますが、買うために別に行っておる必要はないのです。ドイツからいろいろな機械を買って、日本の国内のいろいろな業者にまた機械を売りつける、そのお得意さんがドイツならドイツへ洋行してくるわけです。来ると、そういうお客さんにドイツで女を世話したり、見物の案内をしたり、そういうために出張員を出しておるという傾向が多いのではないか。これは私実際経験しておるのですが、これはつまらぬ一例ですが、確かに日本産業界というものには、不健全な部分がかなりコストにおおいかぶさっておる。こういうことでありまして、これはわれわれ資本主義社会というものに反対しておる社会党でありますから、与党の諸君とは立場を異にいたしておりますが、とにかく日本のコスト高というものには、そういうものが非常にあるのではないかと思っております。今後、科学技術を、あなた方の立場からでも、日本産業科学化といいますか、そういうものについて、大いに啓蒙宣伝に全力をあげてやってもらいたい、こう思うわけであります。大臣いかがでございましょうか。
  28. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問でありますが、これは一面だけごらんになっておるので、必ずしも全体としてはそうでないと思います。社会党の人たちは、口を開かれると、資本家がいかにも悪いように言われますが、私は少くとも自分の経営した事業においてはいたしておりません。資本というものは使うものであって、資本に使われてはいかぬという考えを私は持っております。従って、会社をやっても、第一、幹部から働かなければいけない。幹部が楽をして、資本だけの力によって、利益をうまいことするのはいかぬという考えを持っております。だから、少くとも私どもの関係した会社はそれでやってきております。従って、交際費なんかでも、そんなに使っておりません。それがために評判が悪いことがあるかもしれませんが、要するに、生産高、コストのかかることをしては、結局負けです。そういう会社は必ず栄えない。必ずそういう会社は一時はよくても悪くなります。どうしても生産を安くしなければいけません。社会党の諸君は、いかにも資本家が悪いように言いますが、そうではありません。生産費にむだづかをした会社は、続いておりません。一時はよいかもしれませんが、よくいっておりません。やはり堅実なことをやらなければいけません。ことに、今後機械力で物をやるには、ますますそういうことがはっきりしてくると思います。どうぞ一つ資本家の一部分だけを見ないで、全体を見ていただきたいと思います。
  29. 堂森芳夫

    堂森委員 時間があまり長くなりますから、先にいきますが、次に一点、外国に払っております日本技術料でありますか、特許料でありますか、こういう問題について、大臣一つ所見を伺いたいと思います。たとえば、自動車工業一つ見ましても、確かに日本の自動車工業は、ヨーロッパの小国に比較しましても、十年くらい、もっとおくれておるかもしれない、こういう話であります。私も三、四年前でしたが、ヨーロッパのいろいろな自動車工場をずいぶん見ました。ちょうど辛い私の学生時分の友人である自動車会社の技師長をしておる者とたまたま旅行中に一緒になりました。その友人から説明を聞きながら、各国の自動車工場をずいぶん見たのであります。彼の慨嘆しますには、アメリカなんかとてもかなわない。しかし、せめてヨーロッパは少しは競争になるかもしれないと思って来てみたが、これはとてもかなわない。十年どころかもっとおくれておるかもしれない、こういう述懐を聞いたのであります。真偽は、私しろうとですからわかりません。とにかく日本の国が、戦後フランスのルノーであるとか、あるいはイギリスのいろいろな会社、あるいはドイツはあるかないか知りませんが、少くともフランス、イギリスあたりの会社と契約して、いろいろな外車の小型を日本で作っておることは、われわれよく承知しております。これに払いますところの特許料は、莫大なものです。自動車一つだけではないと思います。日本産業界は、戦後、競って欧米各国からいろいろな技術の指導を受けるというようなことで、膨大な特許料を払っておるわけであります。もちろんこれを一概に全部否定して、それはけしからぬ、こういうことは言えないと思います。もちろんそういうことを申すわけではありませんが、ある意味では、何か競争して、しかもそれがかなり不合理であると思われるような、そうした特許料が相当各方面に払われておるように思うわけです。この数字はよく調べておったのですが、忘れましたが、とにかく、膨大な額の外貨がどんどん外国に流れておるということは、事実だろうと思います。こういう方面に対して、大臣はどんなふうに考えておられますか、向いたいと思います。
  30. 正力松太郎

    正力国務大臣 大体先ほどのお話によりまして、イギリス、アメリカにはかなわぬとか、あるいは欧米にどうだという説があると言われておりますが、私はそうは思っておりません。私は外国のいいところをとってくる、そうしてさらにこっちの特徴を持って、彼らに勝てると現に思っております。そのかわりに、向うは非常な費用と労力を払っておりますから、労力は仕方がないと思いますが、彼らの研究した成果をとってくればいい。これについて、私は多少一部の学者意見が迷うところがありますが、自習々々といいまして、自分で何か研究していくと、なかなかおくれてしまいます。いいところをとって、こなければならない。だから、私は戦争中よくこういうことを言うたのです。外国と競争するについては、今、外国に十年おくれていると行われたが、それならまず十年彼らのいいところをとって追っついて、それから競争すれば勝てる。それを初めから自分の力でやろうとするから、追いつくのに労力と費用がかかってしまう。それではいつまでいっても勝てません。この点は一つ日本の自主性について、非常に考えなければならぬと思っております。向うのいいものを持ってくる。これは私はただ空論を言うのではないのです。私の過去の経験からそうなのです。自分のことを申して済みませんが、日本では、テレビはまだ五、六年はいかぬと言うわれた。私はそんなことはない、アメリカ人にできることができないことがあるもんか、少くともアメリカ並みにはいくのだ、いかぬというのは自分の努力が足りないのだ、私は、日本人は頭は決して英米に負けていないとうぬぼれておりますが、頭は負けていないのだ、それで彼らに負けるのは、努力が足りないのだ、彼らのところまで必ずいけるということを、ほんとうに確信しております。それで私のところで、テレビをやるのはいかぬと言われるその理由は、日本の文化は低いのだ、こんなところへ持ってきたってだめだ、アメリカすらもテレビ会社をやっていても、四年半なり五年かからなければそろばんがとれぬ、日本だったら十年も十五年も黒字にならぬと言われたのですが、私は一年七カ月で黒字にしてみせたのです。アメリカのいいところをとって、こちっがさらに工夫すればいいのです。工夫しなくちゃいけません。日本人は頭は悪くないのです。自習自習といっていたのでは、追いつかないのだ、いいところをとってしまう、その上、頭を働かせれば、彼らに勝てる。偶然であったかもしれぬけれども、とにかく日本のテレビはアメリカよりもうまくできております。ここに生きた例があるではありませんか。私のところのテレビも、日本研究ではいかぬと私は言ったのです。アメリカの研研を持ってこいと言ったのです。そのときに、日本に公営論も起りましたが、私はアメリカの一番よくできた一つの会社のものを多く取り入れ、またそのほかの各会社のいいところをとってくる。そうして日本技術が進んでいるから、組み立てをやろうとしたのですが、日本技術者は組み立てられぬ。それは失敗したじゃないですか。結局アメリカの技師が来てやり直しているのです。そうしてアメリカよりさらにその上をいくような、そろばんのとれるようなものにどうしてしたかというと、大衆に結びつけたのです。これは私が考えたのです。ちゃんとうまくいったじゃありませんか。しかし最初はだれもほんとうにしなかった。正力のほらと放言されたのです。しかし今日何人も否定することができなくなったじゃありませんか。それですから、私は外国のいいところは持ってくるのだ、自分で考えておったらだめです。いいところをとる、そろばんに追われても仕方がない、払います、払ったってわずかなものです。原子力においても、この点を考えなくちゃならぬと思っているのです。いかにして日本の国民生活の水準を上げるか、いかに日本の国家をより以上よくするかということが問題です。区々たる個々の体面にとらわれる、とかく学者は小さな区々たる体面を考えますが、自分の立場、体面を振り捨てて、いかに国民の利益になるか、いかに国家の利益になるかを考えなくちゃなりません。従って、私は断じて英米依存でもありません。いいところは何でもとってくる主義でありますから、今度は原子力の問題にそれが起ると思いますが、どうぞこの点をお考え願いたいと思います。どこでもいいから、世界中のいいところをみなとってしまう。そうして、日本学者の頭を働かして、彼らの上に出る。もう十年おくれていることはありません。先ほどの自動車の点は、工夫が足りませんよ。私は学者をせいぜい働かしまして、その上に出すつもりでおります。これは気炎かもしれませんが、少くともそういうことを考えているのであります。どうぞ一つその点は御信用願いたいと思うのです。
  31. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも正力大先生の大演説を今お聞かせしていただきましたが、正力先生は私の高等学校の大先輩でして、私は、若いときから、正力先生にたよらなければならぬと思ったわけです。不幸にして政党が迷いますから、親交はありません。先生のそうした演説は、非常に壮たるものですが、私、現実は違うと思うのです。たとえば、一ぺん国産の自動車に乗ってごらんなさい。ひどいものでございます。やはり外車がいいということになるのでございます。たとえば東京の町を歩いてみますと、こんな町は世界中にほとんどないのです。まるで外車の展覧会でもやっておるようであります。私はそれを排斥するわけではありませんが、しかしロイアルティを各社がどんどん払ってやるというようなことをいつまでも続けておるということは、やはり問題だと思います。ですから、テレビはうまくいったとおっしゃいますが、テレビは何万円とするので、なかなか下級な生活をしておる人は買えませんでしょう。それを買えるようにしてもらいたい、こう思うのですが、それは別としまして、そうした自動車界一つ見ましても、日本の現状というものには、大いに反省すべきものがあると私は思うのであります。大臣がそう思わぬと言われれば、それは仕方がありません。確かにこれは一つの反省すべき事柄ではないか。とにかく外国のいいものをとるのは当然であります。そういう意味で、今後日本科学技術というものが、あらゆる面においてどんどん進歩発展していって、世界の一流の水準に達するように、科学技術庁はそうした指導的な地位に立つようになってもらいたい。これは当然の希望でございます。また大臣はさっき大演説をやられましたが、一つ元気で、大いにがんばっていただきたいと思うわけであります。いろいろ聞きたいこともありますが、時間もありませんので、これで終ります。
  32. 正力松太郎

    正力国務大臣 貴重な時間をさいて相済みません。先ほど自動車の例をおっしゃられましたが、私は自動車はどうしても研究が足らぬと思っております。お前は、テレビがうまくいったからそう言うのだろうと言われると思ますが、私はテレビだけを言ってはおりません。新聞事業をよくごらんになればわかりますよ。東京の大新聞は、決してアメリカの新聞に劣っておりません。努力が足りないのです。ただこういうことは言える。私は野球もやったが、野球はアメリカに劣ります。これは体力が劣っておる。技術では負けません。体力は劣っているが、しかし最近だいぶ接近しましたよ。それだから、真剣にやればいけるのです。私は少くとも信念を持っていますよ。何もいかぬわけはない。新聞事業をごらんなさい。外国新聞社には劣っておりませんよ。日本のように大発行部数を出しておる新聞は、そうありません。日本人は負けるわけはありません。それは要するに、みな努力が足りないのです。日本人は頭は悪くありませんよ。学者だってノーベル賞をもらった湯川さんが出たじゃありませんか。それから、原子爆弾だって、サイクロトンを仁科博士は発明したのです。それだから、本気でやればこれはいけるのです。どうかそういうふうに悲観しないで、必ずいくという見通しでお願いします。     —————————————
  33. 有田喜一

    有田委員長 この際、前田委員及び志村委員より発言を求められておりますから、これを許したいと思います。まず前田さんの発言を許します。前田委員。
  34. 前田正男

    前田(正)委員 この際、委員諸君の御了解を得まして、私は一つの決議案を提出いたしたいと思うものでございます。  まず決議案文を読みます。   科学技術常任委員会設置に関する決議  一、科学技術庁発足に伴い、本科学技術振興対策特別委員会を常任委員会として常置せしめること。  右決議する。  この理由は、皆さんすでに御承知の通り、われわれ超党派的推進にして参りました科学技術庁が、ようやく今回発足することになりまして、大臣を長とするところの新しい官庁ができて、科学技術の国策を大いに推進していこう、こういうような科学技術庁の今後の活躍には、非常に大きな期待が持たれるのであります。われわれ科学技術振興対策特別委員会は、日本科学技術政策について常に相当高い水準で、しかも超党派的に推進して参ってきたつもりであります。従って、この際できますならば、これを一つ常任委員会として常置して、そうして科学技術庁とともに、日本科学政策の推進のために今後努力していきたい、こう思うのであります。もし皆さんの御賛成を行ましてこの決議案が可決されるならば、委員長から議長のところへ、われわれの要望しておる点を申し出ていただきまして、次の国会法の改正等の機会に、なるべくすみやかにこの決議が実現するよう、委員長努力していただきたいということをお願いいたしまして、私の提案の理由といたします。
  35. 有田喜一

    有田委員長 ただいま、前田委員より、本特別委員会を常任委員会にしろ、こういう提案がございました。右御提案については御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 有田喜一

    有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  なお、その手続につきましては、委員長に御一任を願います     —————————————  なお、その手続につきましては、委員長に御一任を願います
  37. 有田喜一

    有田委員長 次に、志村君に発言を許します。志村委員。
  38. 志村茂治

    ○志村委員 ただいま、前田委員から国会に対する要求決議がございましたが、同じ立場に立ちまして、私もまた政府に対して、一つの要求決議をしたいと思います。  まずその決議案を朗読いたします。   科学技術振興対策に関する決議   政府は、昭和三十二年度の予算編成に当り、  一、科学技術庁の機能を充分に発揮させるため、その機構を拡大強化すること。  一、科学技術関係予算は画期的に増大すること。  一、中央、地方を通じ、研究機関の整備刷新を極力に推進すること。  右決議する。  同じ趣旨のことは、われわれは、科学技術庁設置法を通過させる際におきましても、この委員会の意思を附帯決議として盛り込んでおるのであります。科学技術庁が設立されましてから、現在でも、いまだ日本政府部内において、科学技術に対する理解が十分でない点が、方々に見受けられておるのであります。しかし、世界が新しい産業革命時代に入っておることは、すでに周知の通りであります。また、日本科学技術庁が設立になりましたことも、この機運に押されてきた結果と私は考えておるのであります。ところが、でき上ります科学技術庁は、他の一般の官庁とは著しく違った形になるのではなかろうか。一方、政府部内において、科学技術に対する理解が浅いということになりますと、何かしら科学技術庁は違った形のものになる。従って、何か仲間入りをさせられないという気持になることもあるのではないか、この点が大いに心配であります。しかし、これはぜひともやっていかなければならない。国民生活を向上させるために、ぜひともわれわれは強力にこれを推進しなければならないというのが、この委員会全部の意思であるということは、すでに皆さん御承知の通りでございます。従って、政府においては、ここで科学技術庁に対して一そうの努力をしていただかなければ、その実績は上らないと考えて、この提案をいたしたわけであります。委員各位におかせられましては、この意味を了承されまして、御賛成あらんことを希望いたします。
  39. 有田喜一

    有田委員長 ただいまの志村委員の御提案に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 有田喜一

    有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  なお、その手続については、委員長に御一任を願います。     —————————————  なお、その手続については、委員長に御一任を願います。
  41. 有田喜一

    有田委員長 では、続いて質疑に入ります。田中武夫君。
  42. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ただいま特別委員会を常任委員会にして、科学技術振興についての強力な施策をやる、あるいはまた、技術庁の将来の問題についても力強い決議がなされたのでありますが、それだけに、なお今後この長官であられる正力国務大臣のお考え方なり、進まれ方について、われわれは強い希望とまた要請をいたしたい、こう思うわけであります。先ほど来、堂委員の質問に対する大臣の答弁といいますか、大演説を聞いておりますと、なるほど大臣の強い信念はけっこうだと思うのです。しかしながら、話を聞いておるときに、私ひょっと頭に浮んだことは、何だか戦時中の講演を聞いておるような感じも受けたわけであります。というのは、強い信念けっこうです。必ず日本は負けないのだ、こういうことはけっこうですが、そういう信念のもとに進められたあの戦争が、この結果をもたらしたということも考えねばならぬと思います。そういうところに、大臣の考え方に若干ズレがあるのじゃないかと、失礼ながら考えるのであります。本国会の冒頭、本委員会においての大臣の施政のごあいさつの中にも、先ほどのお話になった、大臣がテレビを輸入せられたときの話がありました。また今、失礼ですが、これと同じことをとうとうと自慢話をしておられたわけであります。ところが、私受ける感じは、大臣がテレビを輸入せられたときは、これは大臣の金もうけのために、いわゆる企業のためにやられたのだと思います。そのときの企業のために、金もうけのためにやられたことそのままの考え方を持って、この重要な科学技術振興、あるいは原子力の問題についてやられるなら、大へんなことになってくるのではないか、こういうふうに考えられるのです。何回も大臣はテレビの問題を自慢しておられますが、その根本に流れる考えかにおいて、やはり同じように考えられておるのかどうか。先ほど私が申しましたように、大臣がテレビをやられたときは、失礼ながらあなたの金もうけ、あなたの会社の金もうけのためにやられたのである。それと同じような考えでやられるのかどうか、お伺いいたします。
  43. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいま、軍部のときのような考え方ではないか、また大臣は金もうけのためにかつてテレビをやったのじゃないかという御質問でございます。これは三つとも間違っております。私は、あのときの軍部の観念には反対でした。私は軍部のためにひどい目にあっております。あれはただ軍部が戦争に勝った勢いで、敵を知らずにやったのであります。しかも、世論を無視した。実際あのときは、軍人のほかは、ほとんど全国が反対でした。その世論を無視して、ただ軍の政府でやったので、あれとは違います。私は世論を無視しては、事はできないと思う。私は新聞人です。世論を無視して新聞は成り立っていきません。成り立つというのは、金もうけではありませんよ。経営はできません。新聞をやっておるということは、要するに大衆とともにあることです。大衆とともにあればこそ、新聞がやっていけるのです。新聞を金もうけの道具にしては、やっていけません。この点を一つ申しておきます。  なお、テレビ、この点は、私はなまいきなことを言うようですが、私は金もうけのためにやりません。私は過去、金もうけのためにやったことはありません。金もうけでやったならば、私は今日大へんな金持になっておる。しかし、私はやろうと思いません。日本テレビでも、私は月給、手当金を取っていなかったのですよ。私の株というものは、持っていませんよ。それをお考えなさいよ。俸給も手当も何も取っておりません。私は自慢話をするのではない。失礼ですから、そんなことはこの席ではやりません。みんなのために、参考になると思ってこういうことを言うだけです。そのかわり、うそを言うておりません。ほんとうのことを言っております。のみならず、社会党の諸君にある点は共鳴しますよ。しかし、ある点は間違っておると思うのです。私は、元来、思想的には、今日の資本主義にも反対です。大いに資本主義も反省しなければならぬ、それから社会主義の連中も反省しなければならぬ、こう思っております。またそうしなければ、ものは繁栄しませんよ。われわれは、仕事をやっても、大衆本位です。そして、国家本位です。今度のテレビもそうです、先ほどテレビの話のときに、テレビが高いではないかと言われたが、私の方針通りやれば、テレビはもっと安くなっている。私の言葉を用いれば、テレビは安くなって、日本中にいっているはずです。それを私は言っている。私は常に、断じて自己の利益のためにやりません。大衆の利益に反したことは、絶対ありません。このことは田中さん、間違ったら具体的に言うてごらん下さい。断じてそんなことはありません。
  44. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これは大へんどうも失礼なことを申しました。私は大臣に個人の金もうけのためにやられたとは、申し上げていないわけです。ただ、やはり新聞社なりあるいはまた日本テレビですか、そういったような会社、いわゆる企業の上に立ってやられたということです。それと同じように今度は行政庁の長官として、大臣としてやられる、そこは考え方を変えてもらわなければならぬのじゃないか、こういうように申しあげているわけです。それから、社会党の考え方がどうだとか資本主義がどうだとか、こうおっしゃいますが、そういうことの論議をここでやる場所ではないと思うので差し控えますが、あなたがあえて言われるならば、いわゆるイデオロギー闘争をここでやっても差しつかえないと思いますが、いかがです。
  45. 正力松太郎

    正力国務大臣 私は、元来こういう考えを持っているのです。自分が政府の役人となって感じたことは、よく役人の頭には、もうけちゃならぬ、これはけっこうですよ。しかしながら国家を利益させるという観念が少いのです。これが私は税金が重くなるゆえんだと思う。国家をもうけさせなくてはならぬ。これはもう私はほんとうに感じたのです。今まで知らなかったのです。そうして、自分さえ身がきれいであればいい、そうして大衆の利益になれば、経営が成り立とうと成り立つまいとかまわない、こういう観念があるのです。それじゃいけないのだ、経営が成り立たぬような公社を作っても、結局税金の負担になるのだと私は言うのです。何としても国民の税金を軽くしなくてはいかぬのです。それについては、国家が自立できるようになるたけしていかなければならぬ。これだけ足りなかったら、それだけ税金をかければいい、これは国家の経営ではありませんよ。だから私はその意味で言うておるのです。  それから、私は新聞事業、テレビ事業というものは、金もうけ仕事はやっておりません。金もうけのためにやったなら、私は第一自分で株も持ちますよ、私は自分で株は一つも持っていませんよ。それから、読売新聞、あれはお前の株じゃないか、これは押しつけられたのです。私からほしいと言ったのではないのです。握らされたので、仕方なし私が持った。それは私の株になったけれども、利益を上げるようになったら、それを社員に分配したではありませんか。現実には太っていませんよ。
  46. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私はテレビとか新聞といったような報道機関を、単なる営利事業とは考えておりません。これはやっぱり社会の公器と考えております。しかしながら、あくまでも一つの企業体であります。企業体の上に立ってやられたことと、何回も申しますが、今度大臣がいわゆる行政長官としてやられるときに、同じ考え方を持っていただいては、あるいは相通ずる点もありますが。やはり変ってくる点があると思います。テレビの問題をもってすべてを論じられては困るのではないか。その考え方の根底に流れるところのものを、私は申し上げているわけなんです。実は私、御承知かと思いますが、電気労連の出身でありまして、アメリカからテレビが入ってくるあの当時のいわゆる正力協定なるものをめぐっての紛争の一応の事情を承知しております。それを今さらここで申し上げるつもりはございませんが、そういうことと、いつも自慢話と申しては失礼ですが、大臣がテレビの際の話をされるので、それをもってすべてを考えられても困るから、この問題については十分お考え願いたい、こういうことであります。
  47. 正力松太郎

    正力国務大臣 たびたび立って、しかも個人に関するようなことを言うて相済みません。これは私の思想の根底をなすことだから申し上げますが、私はさっき申し上げた通りに、行政官として考えることは、国家に損を与えてはいかぬということです。その考え方が役人には少いと思う。大衆のためになれば、国家に損をかけてもいいじゃないかという、——大衆の利益は考えなければならぬ。それと同時に、国家になるたけ損をかけぬようにしていかなければならぬ。ところが今日の役人には、そういう考え方が少いです。私はこれがいかぬと思うのです。  それから、なおテレビのお話でありますが、私はあのときも、これはまた自慢話といわれても、単なる自慢話じゃありませんよ。何かの御参考になればと思ってやっていますよ。その点をよく考えてもらいたい。私は今にして思うならば、テレビを始めるときに、私の考え通りにNHKがすなおに聞いてくれれば、NHKにはあのように毎年四億も五億も損をせずに済んだのです。それを私の意見を用いないのです。何がゆえにテレビの聴視料なり、ラジオの聴取料を安くしなかったか。それを安くすればいいのです。そうすれば、大衆は喜びますよ。くれぐれも言っておきますが、単なる自慢話と思ってもらっては、私ははなはだ心外とするところです。ただ過去の事実はこういうことですから、参考にしてもらいたい。そして、われわれはどこまでも国家本位、大衆本位ということを繰り返し申しておきます。
  48. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣のただいまのお考え、言われたことは強力にやっていただきたい。こういうことはけっこうだし、われわれは信頼できる思う。ただお話を聞いていると、私の考え方が違うか知らぬけれども、何か十年前のおえら方のお話を聞いているという感じを受けるところに、若干の危惧を持ちますので、そういう点を十分考えながら、対策をとっていただきたいと思います。これ以上同じようなことを申し上げてもどうかと思いますので、方面を変えたいと思います。  昨日の大臣のごあいさつの中にもありましたが、原子力の問題あるいはオートメーションの問題等々によって、この点から新たなる産業革命の時代に突入してくるといえると存じますと大臣も言っておられます。また先ほど来の質問過程においても、産業革命ということがいわれております。また私もそう考えます。原子力の全般的な平和利用あるいはオートメーション時代が来たならば、必ずそういう時代が来ると思いますが、われわれの立場から考えました場合に、この科学技術振興、生産性の向上ということはけっこうですが、その一面、考えねばならぬ大きな問題があろうと思うのは、労働問題であります。今まで労働者は、生産性の向上あるいは合理化という名のもとに、多くの労働者が職場を追われ、解雇せられております。従いまして、今盛んに活動しておられます昨年二月に発足した生産性本部の件につきましても、出発の当時はもちろん今日においても、労働者はある程度の疑惑と疑念を持っておる。こういうような点から考えました場合に、科学技術振興オートメーションとか、原子力とか、こういうようなことで大きな労働問題が起ってくる、失業問題が起ってくる、こういうことが考えられます。そういうことについて、これはむしろ労働者の関係かとも思いますが、大臣としては、そういう労働問題、失業問題と科学技術振興、生産性の向上、合理化、こういうものをどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。
  49. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問について、先ほどちょっとお答えいたしましたが、これはもう私どもは真剣に考えております。しかしまだ具体的な案ができませんが、さっき申しあげたように、これは単なる私ども国務大臣の問題でない、政府として考えなくちゃならぬことだと思うております。ただ私が思い出すのは、自動車が入ってくると、人力車が失業するというような騒ぎがあったようなもので、やはり解決の方法はあるのです。だから原子力の問題も、必ず失業問題が起ってくるので、これに対する対策を考えなくちゃならぬと思うておるが、まだ十分に具体的な案が出ぬのは残念だということを申し上げておるのであります。考えてはおります。ほんとうにこれは大問題です。
  50. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今までは、新しい機械、新しい発明がありましたならば、それだけ人類は進んでいく。この原子力の平和利用ということも、人類の福祉のために、大いに発展させなくちゃならない、こう思うのです。その一面、今申しあげましたような深刻な失業問題が起きてくる。従来の例を見ました場合、新しい機械が発明せられ、新しく文明が開拓せられた場合、やはり一部の人のみがその恩沢を受け、利益を得るけれども、その陰には、多くの労働者なり、失業者が泣く、こういうことが今まであったわけです。これはなぜかというと、やはりそれを利用する仕方の問題であり、それを指導する人たちの考え方の問題だったと思うのです。そこで、この平和利用の問題につきましても、一部の人が利益を受け、一部の人のために利益をもたらすが、反面、労働者に苦痛を与え、失業者を出す、こういうことであるならば、この目的の人類福祉のためだということに逆行するのではないか、こう考えられます。といって、これの開発をおろそかにできないことも当然であり、またわれわれは、これを超党派的にやらなければならぬと決心しているわけです。しかしながら、一面この問題を考えた場合には、これは十分考えていただかなければならぬ問題が残っていると思うのです。大臣の今の御答弁によりましても、考えてはおる、こういうことであって、具体的に何ら出ていない実情であります。またわれわれといたしましても、それに対して十分の解答をつかむところまで行っておらないわけなんです。そのようなことについて、大臣は今後十分な考え方を持ってやってもらうとともに、失業問題、労働問題等は、前もって適切な処置をとりながら、開発を進めていただきたい、このように考えるわけなんです。さらにもう一度申しますが、結局は、それの運用の仕方、考え方の問題であろうと考えるのであります。そこで、先ほど来申しておられる大臣の強い信念、けっこうでして、われわれも尊敬いたしますが、どうもその考え方が、えらい失礼ですが、やはり若干ずれておるのではないかと思うのです。その点もう一つ、労働問題等についてどう考え、どうするかということを明確にお聞かせ願いたいと思います。
  51. 正力松太郎

    正力国務大臣 だびだび繰り返すような点がありますけれども、先ほども申し上げるように、私はすべての考え方が、大衆のためにということを考えております。出発点がそこにあるのです。大衆のためで、一部の者の利益のためにはやっておらぬ、これはまた私の過去を見てもそうやっております。従って、今度の原子力をやるということも、これによって生活水準を上げるということを考えております。しかしながら、これらの機械によって、労働力がずいぶん省けることになってくるから、失業問題を必ず考えなくてはならぬ。そうしなくては、大衆のためにやったことになりません。労働者は、大衆です。これを無視して政治は行えません。だから、その点は十分考えておりますが、ただ原子力の方まだ緒についたばかりの状態でありますから、これに対する失業対策も十分にできておらぬことは遺憾に考えておりますが、考えてはおるのです。要するに、これは大問題でありますから、皆さんの協力を得たい、こう申し上げるわけであります。
  52. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大衆のためを考え、大衆の利益のためにということは、政治の本質の問題だと思うのです。またそうでなくちゃならない。従って、大臣科学技術庁の長官とし、原子力を初め、科学振興のために強い施策をとっていただくに際しても、その考え方を持っていただくことはけっこうであるし、また持っていただかなければならないわけであります。しかし、どなたも大衆を無視してということは言わないわけなんです。大衆のためにと言いながら、やった結果が、大衆のためにならない。はなやかな面の陰には、必ず泣く者ができるという結果であります。そこで、われわれこう申し上げておるわけです。一つ十分考えていただくことを要望いたします。  これと関連いたしまして、私、先ほど日本生産性本部のことをちょっと触れましたが、あの出発に当っても、いわゆる労働組合なり、中小企業の人たちに、十分相談なり、その真意が伝えられていなかったという点に、出発に際して、またその後の運営に対して、若干遺憾な点があったと思うのです。この原子力その他科学技術振興に対しても、やはり、それに関連するところの労働者等の意向は十分考えていただき、また聞いていただかねばならないと思います。今月、生産性の向上あるいは合理化という場合には、そこに働く者、それに関する労働者意見を開かずして、その成果が十分上げられないということは、大臣はよくおわかりだと思う。従いまして、今後この科学技術振興に当って、それに関連するところの労働者に対して、いかなる考え方を持って臨まれるか、一つお尋ねしておきたいと思います。
  53. 正力松太郎

    正力国務大臣 考え方については、先ほど申し上げます通りに、まだ具体的の案ができぬのは残念ですが、努めて考えます。またそうしなくてはなりません。
  54. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうせねばならぬということですから、これ以上申し上げることはないわけですが たとえばアメリカ等でとっている労働者の意向を十分吸い上げるところの機構、あるいは物事をやるに際して、その関連の労働組合等の意見を十分聞く、あるいはこれに関連してのいろんな審議会とかなんとかいったような組織ができましたときに、十分労働者を入れる、こういうようなことを考えていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  55. 正力松太郎

    正力国務大臣 ごもっともです。その点は十分考えます。
  56. 有田喜一

    有田委員長 赤澤正道君。
  57. 赤澤正道

    赤澤委員 国会も終りに近づきましたので、当然またあとで問題になること二、三について、ちょっと明らかにしておきたいと思いますから、質問しておきます。  原子力に関してですけれどもわが国原子力の開発、研究、利用等が、全部先進国に比して立ちおくれておることは、申すまでもないところであります。だから、一日も早く追いつかなければならぬというので、昨年末も基本法を急いで通しますし、またそれに伴って燃料公社法案も通ったわけなんですが、燃料公社も一向発足の様子が見えません。一体その後どういうふうになっておるか、一つ大臣から御説明を願いたい。
  58. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 燃料公社の設立の時期の問題でございますが、ただいまのところは、原子力研究所の方と燃料公社の法案が一ぺんで通って、できますれば二つの機関を並行して設立をするのが本来の建前なのでありますが、日本原子力研究所の方は、予算の問題といいますか、財団法人から特殊法人に切りかえる問題等もございますし、あるいはまた公社と違いまして、民間から出資金を募るという問題等もありましたので、この方は少し急いでやらねばいかぬということで、原子力研究所の方を先にまず片づけまして、その間に公社に関する政令等の整備も行い、この方はむしろ政府出資オンリーでございますから、そういう民間出資の手続もいらないということで、まず原子力研究所を先にする。そうして追っかけて燃料公社を作っても、それほど時間的なギャップはないのじゃなかろうかという観点に立ったものですから、まず、ただいまのところは、六月十五日を目標にいたしまして、急いでおります。一方燃料公社の方も、それにすぐ相伴いましてやっておりますけれども、ただいまの考えでは、法律に伴う政令等も、大体準備ができておりますので、七月の末くらいを目標に、燃料公社の設立をしたいというふうな予定をしております。
  59. 赤澤正道

    赤澤委員 いろいろ御都合もありましょうが、急ぐから研究所を先にやったということは、おかしいと思います。幾ら急ぐたって、燃料公社だって急がないわけではないと思うのです。今日、国内であっちこっちに天然ウランが発見されて、みな狂奔しておる際ですから、一日も早く燃料公社の方を形づくることが望ましいのであって、この方はまだしばらくはいいんだということは、私はおかしいと思うのです。七月に出発するというのは、七月早々ですか。
  60. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 あるいはちょっと言い違えたかもしれませんが、原子力研究所の方を、両者を比較して特別に急ぐという意味じゃございませんで、研究所の方は民間出資の問題等もございまして、手続上いろいろひまをとる要素が多いものですから、まず同じところで作る関係もございまして、両方一ぺんにということはなかなか事務的にも困難でございますので、そういう関係もにらみ合せて、研究所の方は、ただいまのところは六月十五日ということで進む予定でございます。それから燃料公社の方は、少しおくれまして、七月末ぐらいになるのじゃなかろうかと考えております。
  61. 赤澤正道

    赤澤委員 大体の構想はできておると思うのですが、それで、この機構だとか定員といったようなものについて、お話し願えますか。
  62. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 今年度の燃料公社の事業の内容の問題にからんでくると思いますが、人事等の問題に関しましては、先ほどお話ししたように、まだ準備の段階でございますので、燃料公社の人事等までには入っておりません。ただ今年度何をやるかということに関しましては、御承知のように、一億五千万円の予算をとりまして、そうして五千万円は債負担行為で来年支払いをする。残りの一億円のうち一千万円は政府の出資でありまして、九千万円は補助金というような形になっております。今年度は製練、選鉱はやらない、とりあえず探鉱に集中をするというふうになっております。そういう観点から、固定資産のかからない方——出資の方は固定資産に見合うわけでございますが、その方は一千万円ばかりしか見ないで、ほとんど探鉱に要する、言いかえますと人件費あるいは探鉱に要する諸材料の整備に必要な経費が補助金として出るわけでございます。こういう予算の立て方になっておりまして、本年度主としてやりたいと思っておりますのは、ただいまのところでは、鳥取県、岡山県でございます。小鴨、人形峠あるいは三吉鉱山といったようなものを対象にいたしまして、坑道による探鉱と申しますか、企業化の一歩手前の探鉱あるいは企業化のためのボーリング、あるいはざんごう掘りと申しますか、そういった実際の採掘というふうなものが、本年度の主たる事業になろうかと思います。そういう点もにらみまして、なるべく早く設立いたしたいというふうに考えております。
  63. 赤澤正道

    赤澤委員 今、地名として、鳥取、岡山というのが出たのですが、そこに今年度支所とかなんとかというものを作られるお考えですか。
  64. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 現場で探鉱等をやります際には、単に回るというのじゃなくて、実際腰を落ちつけて、そこで精密探鉱をやるわけでございますから、何らかの形で——名前は支所といいますか、支社となるかわかりませんけれども、そういう出強所のようなものができるということは、当然予想していいのではないかと考えております。
  65. 赤澤正道

    赤澤委員 もうすでに予算もついておるわけですし、現地では非常に期待しているのですから、これは当然急いでもらわなければならぬわけです。今の補助金とか予算の大体の使用計画はわかりましたけれども、地質調査所の所長が見えておるようですから、その使用計画一つお示し願いたいと思います。
  66. 兼子勝

    ○兼子説明員 今年度、実は私の方でも特別なる予算をいただきまして、ウランの調査を始めることになりましたが、そのウランの予算が、実は事務的に私の方に参りましたのは、つい一週間ばかり前でございます。さっそく出かけようと思うております。小鴨周辺でありますが、ここでは鉱床調査と申しますか、さらに企業化の鉱床を確実に把握するための調査をいたします。方法としては、地化学探鉱とか、あるいは測量、そしてまた試鉱も行う予定です。それから人形峠附近におきましては、あの辺は花崗岩の盆地に堆積した水成岩的な鉱床をなしておりまして、この広がりが実はまだはっきりと見つかっておりません。それで、これは降雪前に見つかったのでありますが、降雪のためにその後の広範囲にわたる調査はできませんでした。それで、本年度雪が溶けましたら、すぐ現地に参りたいと思ったのであります。ただいま申しましたような事情でありますが、もう少しそういった水成岩的な鉱床を広く、まわりをよく調べるというようなことをやりたいと思います。それから御存じ通りカー・ボーンをやりたい、こういう構想を持っております。大体おのおの調査で六十日ないし三十日をあてております。鉱床調査として近く探鉱、測量、カー・ボーン等、いずれも一カ月ないし二カ月くらいの調査をいたしたいと思います。
  67. 赤澤正道

    赤澤委員 今年は、例年になく、どうも金が来ぬ、来ぬというのですが、大蔵省が出ししぶっているということでなしに、皆さん予算の使用計画を早く出されないから、そういうことになるのじゃないかと思うのです。ともかくもっと活発に行動を展開していただきたいと思います。それで、結局これは選鉱も精練も公社の手でやるということになると思うのですが、採掘するには、民間が鉱業権を持っているのですが、そこのところは、どういう方法でやられる構想ですか。
  68. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 鉱業権と租鉱権のかね合いの問題でありますが、さっき申しました三つの地点につきましては、二つは、明瞭に、鉱業権は個人の方が持っておるのです。人形峠に関しましては、ただいま鳥取県と個人の方とが競願というような格好で、両方とも出願中でございます。鉱業権がまだできていないように思います。しからば、実際の採鉱をどうするかという問題でありますが、あるいは個人そのものが採掘して、できたものを買い取る格好にするのか、公社そのものが自分で鉱業権者と話し合いをして、自分で採掘する格好にするのか、これは公社ができましてから、具体的な話し合いを進めたいという構想を持っております。
  69. 赤澤正道

    赤澤委員 さっき予算の説明のうちで、探鉱に使われる金額は、一億五千万円うち、幾らになりますか。
  70. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 予算の内訳を申し上げますと、一億五千円のうちで、探鉱用機械に大体一千万円あてたいと思っております。それから補助金の九千万円の内訳は、一般管理費、これは人件費等を含んでおるわけでありますが、三千七百万でございまして、いわゆる探鉱費、さっき申しました中には四千万円のあれが含まれております。研究費と申しまして、これは今後の精練等一番根本になる事業でございますが、そのための今から準備を進めなければなりませんので、そういうものを千三百万円、合せて九千万円、全部で、予算としては一億五千万円という格好になっております。
  71. 赤澤正道

    赤澤委員 昨年ごろから、現地ではウラン鉱が出た出たというので、あなたの方の地質調査所へもだいぶ依頼しているようですが、現地では、とにかく早く来て、早く調査してもらいたいという非常に熱烈な声があります。また早く調査するということは、国家の利益に合致することだと思うのです。ところが、昨年の秋から冬にかけて、金がないから調査はできぬという御返事であったように記憶しているのですが、今年は予算がついたようだけれども、今聞けば四千万円で、どの程度の概査というか精査というかができるか、お見込みをお伺いしたい。しかも、どの期間にこれを使い切ってしまうのか。わずかな金ですから、急いでやられるのか、ちびちび出して、なしくずしにやられるのか。
  72. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 私からお答え申し上げたいのですが、公社の一億五千万円と、地質調査所などで持っている予算は、全然別でございます。地質調査所の方は、概査と申しまして、日本全体をなるべく早く概査して、見通しをつけたいというのが主でありまして、その中からこれは目ぼしいというものが出ますれば、それを対象にして、企業化をして、採鉱していくのが公社の任務でございます。ただいまの御質問の点は、むしろ地質調査所そのものの予算の問題でなくて、公社そのものの予算の問題だろうと思います。
  73. 赤澤正道

    赤澤委員 先ほどあなたの言われたのは、探鉱奨励金のことですか。
  74. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 探鉱奨励金の方は、全然別でございます。
  75. 赤澤正道

    赤澤委員 これは通産省がやるのですか。そこらのところを、もう少し総合的に御説明を願いたい。
  76. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 探鉱奨励金におきましては、三千万円今年度予算を組んでおります。この予算の主管官庁は、通産省になります。従いまして、この探鉱奨励金をいかなる人にいつどういう手続で出すのかという問題に関しましては、ただいま通産省の鉱山局の方で、手続規定あるいは実際に支払う場合の方法といったようなものを研究中でございます。そういう問題もあろうかと思いまして、鉱山局の方から鉱業課長が見えておりますので、一つ
  77. 赤澤正道

    赤澤委員 あらためてお伺いします。あなたの所管の探鉱奨励金、これはいつから支払いを開始するのか。まだ準備中のようですが、もうすでに相当私費を投じて探鉱して、有望な鉱床を見つけているわけなんです。そういった人たちにも、さかのぼってこれを払われるのかどうか。また払われる場合に、どういうことを基準としてやるお考えであるかということをお伺いしたい。
  78. 小泉進

    ○小泉説明員 従来、鉱山局の関係でウラン鉱以外の鉱区につきまして、昭和八年から探鉱奨励金制度がございまして、探鉱、試掘に要しました経費の大体半額程度を補助して参ることになっております。今年度から、新しくウラン鉄分として、三千万円いただいたわけであります。従来、ただいま原子力局長からお話がございましたように、原子燃料公社のみずからの手によって行われる探鉱もありますし、また鉱山局の主管の探鉱奨励金は、鉱業権者を相手にいたしまして交付いたします。  今年度の分につきましては燃料公社の計画と考え合せましていろいろ計画いたしておりますが、従来の分といたしまして、その年度の四月一日から行われた探鉱に対して交付されます。あるいは交付の実際の時期はおくれるかと考えますけれど、作業が実際に四月一日から行われたものについて、交付することになっております。
  79. 赤澤正道

    赤澤委員 去年じゅうかかってやったものは、何ら特典にあずからないわけですか。
  80. 小泉進

    ○小泉説明員 本年度の分は、今年の四月一日以降に行われた探鉱に対してのみ奨励金を交付することになっておりまして、前年度分には、さかのぼるとはできません。
  81. 赤澤正道

    赤澤委員 さっきのあなたの方の四千万円、それからそのあとで、地質調査所のお持ちの概査の予算関係の使用出計画について、御説明願いたい。
  82. 佐々木義武

    ○佐々木説明員 先ほど申し上げました四千万円の内訳でございますが、この四千万円に関しましては、先ほど申しましたような地点を中心にいたしまして、その実際の探鉱費用に充てたいというふうに考えております。この探鉱費を、さっき申しましたそれぞれの対象にどういうふうに振り当て、一つの地区にはどれほど使うか、いつから使うかといったような具体的な問題に関しましては、公社ができ次第、至急決定したいというふうに考えております。
  83. 兼子勝

    ○兼子説明員 私の方の予算につきましては、実はこまかに具体的にできておりますが、鳥取、岡山について大要を列挙さしていただきますと、先ほど申し上げましたように、鉱床調査、試錐、カー・ボーン等の調査をいたします。人形峠では地質概査、試錐、鉱床概査、カー・ボーン、それから同じく人形峠付近、すなわちその周辺でありますが、ここでは鉱床調査、測量、地化学探査を行い、なお次に、広瀬付近では鉱床調査、測量、地化学探査、試錐を行うことになっております。大体の経費は六百万円ばかりでございます。実はちょうどお金が参りましたら雨季に入りました。この前に急いでやっておきたかったのでありますが、今、雨季になりましたので、雨季が明ければ、さっそくいたしたいと思います。
  84. 赤澤正道

    赤澤委員 あなたの方の所管の予算全体についての説明を少し承わりたかったが、概査のためにたった六百万円という説明を聞いたんでは、どうも心細くてお話にならぬと思うのであります。全体について一応簡単に御説明願いたい。
  85. 兼子勝

    ○兼子説明員 総額につきましては一億でありまして、実は大体日本全国にわたりまして、ウランの今まで見つかってないところを概査する。それからエアボーン、カー・ボーンのほか、地質、鉱床概査、それから、地化学探査、ボーリングというようなもの、ウラン探査費として、全部で、先ほど申し上げましたような一億という数字になっております。野外の調査のほかに、実験室の設備があります。実はウランの分析につきましては、いろいろ身体障害の問題もありますので、その方の施設、備品と申しますか、いわゆる庁費関係にお金を相当要することになっております。本年度わが国全体につきましては、大体旅費で、ただいま申し上げましたような種類の作業の計で八百七十万円、それから庁費でもって七千五百万円、あと先ほど申し上げました実験室の施設、つまり分析施設等でありますが、これが千五百万円、総額一億になっております。
  86. 赤澤正道

    赤澤委員 予算全体が少いのですから、そういう配分になるのもいたし方がないかもしれませんけれども、実際は、私しろうとですから、どの程度の品位のものか知りませんけれども、有望なものがかなり出ておるように承知をしておるわけであります。大体燃料公社ができないと、質問してもなかなかお答え願えぬのじゃないかとも思うのですけれども、何しろ国会も終りますし、臨時国会があるかどうか知らぬが、通常国会までは相当間もあるわけなんです。しかも、研究では、刻々とこういったものについての調査、分析等も進んでおるわけなんですが、大体、今、国内で発見されているものが国際的に見てどの程度の品位のものであるか、さらにはそういうものがすでに国富として地下に埋蔵されているわけだから、やはり一刻も早くこれは開発すべきものだ、じんぜん地下に埋もらせておくべきものではないと思います。正力大臣は、そういう事業家的な観点からお考えになっても、判断いただけると思うのですが、ただ役所でものがきまらないからといって、せっかく発見されている国富が眠らされて、その上に草がはえておるということは、やはりこれは政治一つの失態じゃないかと思うのです。それには、国際的な観点から、外国ではこういうものの輸出をしている国もあるし、買っている国もある、それはどの程度の品位のものをどういう価格で取引しているか、ことに日本にもあるわけですから、これが外国の諸関係との見合いにおいてどういうことになるのか、また公社が出発した場合には、どの品位のものをどの単価で、一体時期はいつごろから買い上げるのか、それを目安にして掘ってもいいのかどうかといったようなことについて、佐々木からでもいいですか、あなたの知っておられる範囲で、一つお答え願いたいのです。
  87. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)政府委員 従来地質調査所関係に対しましては、私はずいぶん早くから、ウラン、トリウム鉱を法定鉱物に決定すべきことを主張してきたのであります。まず第一に、現在の段階においては、この法定鉱物に編入することがおくれて、御承知の通り、ようやく臨時国会においてこれができたような次第であります。それが法定鉱物に編入せられてから、御承知の通り、試掘権の登録が行われるのであって、ウラニウム、トリウム鉱に対する権利というものは、ほとんど確定しておらぬと思う。それでございますから、今日トリウムがあり、ウラニウムがあると申しましても、それには他の鉱物と共存する形において採掘の対象になっておるので、確定した法定鉱物としては行われてないと私は思うのです、それからもう一つは、地質調査所のウラン及びトリウムに対するところの調査というものは、ほとんど従来はやられておらなかった。と申しますのは、やはり法定鉱物でないために、開発の対象になっておらなかったわけです。それで、このウラニウム及びトリウムの探鉱費、調査費というものを早急にとらなければならぬというので、ひもつき予算をとったり、あるいはようやく努力して、昨年度は一億円の予算をとった。しかし、この建前では、今まで政府委員から御説明がありましたように、地質調査所に概査をやるのであります。ただシンチレーション・カウンターやガイガー・カウンターをもって、ニア・ボーン、カー・ボーン、徒歩でもってやって大体これでウラニウム、トリウムがカウンターに感ずる程度のものがあるという程度の調査をやっておる。これをもう少し進めて、概査をある程度やって、それから精査をさせるための土地を燃料公社に指定しなければならぬと思うのであります。ここは、概査の結果、精査をする必要がある場所である、こういうことによって、燃料公社が精査の段階に移るんじゃないか、私はそう考えている。ところが、今お話のように、一体どういう成分のものが、国際市場に比較して、日本でも出ておるかということを私も調べてみましたけれども、これは部分的に非常に含有量の多いものがあるけれども、総体的にいうと、とうてい世界のレベルには達しないのはないかという見方もある。また掘り込んでいい鉱脈を見つければ、採算に合うのではないかという見方もある。これは実際やってみなければわからぬので、この点は大臣にもお願いしておるのでありますが、なるべく早く燃料公社の人事を決定して、その掘り込む方策を講じなければならぬというふうに考えておるのであります。  それからもう一つは、どういうパーセンテージのものを買い上げたらいいかということになると、これは製錬の方法いかんということになります。日本で果してどれだけのパーセンテージのものを買い上げて、製練をやって、間に合うかということなんです。この点に関しましては、今、出発しました施設その他を総動員いたしまして、日本のウラニウム、トリウム製練の状況というものはどうなっておるかということを調査しております。幸いに電気試験所の今やっております鉛化物によるウランの製練方法は、世界的なものである。これでやれば相当低品位のものでも、世界市場の価格に匹敵する金属天然ウランが製練できるんではないかと思う。結局、要約して申し上げまするに、どういう品位のものを買って間に合うかということは、製練の科学技術の進歩過程のいかんということによるんじゃないか。ですから、必ずしも日本の品位が悪いから、外国から買わなければいけないということにもなりませんし、それは一にかかってこれからの製練技術の問題になると思っておりますので、私たちは決して悲観しておらぬのであります。ただ何分にもまだ燃料公社も出発いたしませんし、地質調査所のウラニウム、トリウムもようやく、これから大がかりな概査の段階に入ろうというのでございますから、この点は一つ御了承願いたいと思います。と同時に、地質調査所がいかに概査を広めようとしましても、地元の協力がなくてはできないのでありまして、この点は、今まで苦心をされた民間の方々に対して、それは非常に感謝をしなければならぬわけですが、要するに民間の方々が今まで探鉱されたところのその露頭とか、あるいは鉱物見本とか、そういうものをどしどし提示されまして、正確な鉱脈のあり方、露頭のあり方ということを地質調査所にお知らせ下されば、地質調査所としても、十分機能が発揮できるものと思っております。なお、予算は早く決定いたしましたけれども、大蔵省から実際的に金が回るのが非常におくれまして、私も陰ながら、雨期前に有望な地点に対しては調査を進めるように、お願いしたのですけれども、ようやく最近になって、大蔵省で金を使ってもいいということになったために、雨期に入ったことは非常に残念だと思っております。雨期もそう長く続かないと思いますから、私も一つ側面から、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  88. 赤澤正道

    赤澤委員 現地では、とにかく取引の方法さえきまれば、きょうからでも掘り起したいという熱意にみんな燃えているわけです。しかし、これは品位の問題ですけれども、こういう目新しいものですから、われわれにも全然見当がつかぬわけです。埋蔵量についての心配もあるでしょうけれども、今いろいろなところで露頭があるのを、みんな調査所に持ち込んで分析してもらっておるようですが、今出ておるのは、国際的に見てどういう地位にあるのか、伺いたい。
  89. 兼子勝

    ○兼子説明員 スケールはまだ詳しく大きく調べておりませんから、わかりませんでございます。鉱床の規模は、大体アメリカなどに比べると、土地のせいもございましょうが、少うございます。含みとしましては、私どもとしては、決してすごいいいものだというものは、今のところまだ見つかりませんです。まあ、相当十分採掘に価値あるものというふうに考えております。
  90. 赤澤正道

    赤澤委員 もう少し詳しく、数字的に、国際的にはどういう単位のものだ、国内的にはどうだということはわかりませんか。
  91. 兼子勝

    ○兼子説明員 まだ実は去年ちょっと見つけたもので、〇・〇八見当のところでありますが、平均いたしますと、アメリカのものよりずっと落ちます。それで、フランスあたりですと、私見て参りましたが、〇・二%として何トンあるというふりに計算されております。私どもとしましては、どこまでもこれは新しいほんの徴候が見つかったものとして、決して落胆しない。しかもあの辺は広い花崗岩地帯で、その花崗岩の盆地に堆積鉱床がまだあるのではないかというふうに考えております。
  92. 赤澤正道

    赤澤委員 先ほど斎藤政務次官から御説明があったわけですが、まだこういう鉱物が法定になっておらぬということは、大へん残念です。(「今度なった」と呼ぶ者あり)今まで金、銀、銅といったようなもので鉱区権を持っておったところへこういうものがどんどん出てくるわけですが、何か特にウラン鉱について発見者に対して優遇措置が講じてあるのですか。
  93. 小泉進

    ○小泉説明員 ことしの二月から、ウラン、トリウム鉱が法定鉱物になりましたが、特にウラニウムの鉱業法上の特別な措置は講じておりません。法律上、全部他の金属と同じ扱いにしております。
  94. 赤澤正道

    赤澤委員 そうしますと、今まで何らかの鉱区権を持っておった人々のところで、苦心してウラン鉱を見つけても、何にもならぬということですか。
  95. 小泉進

    ○小泉説明員 現在、たとえば金、銀、銅という鉱区を持っている人が、その地域内にウラン鉱物が出まして、ウラン鉱物を追加いたします場合は、一番優先的に、もと持っておった者に与える。
  96. 赤澤正道

    赤澤委員 そうではなくて、金、銀、銅などの鉱区を持っておりますね。そこに他の人が立ら入って発見した場合に、ウラン鉱の鉱区の試掘権というものを設定できるのですか。
  97. 小泉進

    ○小泉説明員 金、銀、銅の鉱区権を持っている人が、自分の鉱区間にウラン鉱があるのを発見した場合に申請しますと、ウラン鉱物というものは、もとの鉱区の所有者が優先してしとるわけです。本人が知らない場合には、同種であるか異種であるかという問題がありまして、金、銀、銅と全く違った異種の鉱物であります場合は別でありますが、同種のものでありますと、できるだけもとの鉱区権者に優先的に渡す。まだ現在出願の途中でございまして、具体的にそういうケースが出てきませんから、(赤津委員「いや、ウラン鉱の場合ですよ」と呼ぶ)ちょっと忘れましたが、法律的に、一定の期間がございまして、その期間内にもとの鉱区権者が申請する場合には、優先的にもとの鉱区権者にウラン鉱が追加される。
  98. 赤澤正道

    赤澤委員 私もしろうとですから、わかりませんけれども、私の言っている意味は、あっちこっちに金、銀、銅などの貧鉱を持っておって、採掘もしないでほっている鉱区がたくさんあると思うのです。廃鉱になっているところもある。しかしちゃんと権利は確保しているわけです。そこへ第三者が行って、ウラン鉱を見つけて、そうして試掘権を申請した場合に、これは現に鉱区権を持っている人とは別に、ウラン鉱の試掘権というものが設定できるわけですか、できないものですか、法的にどうですか。
  99. 小泉進

    ○小泉説明員 それが金、銀、銅を掘れば同時にウランが掘れるという場合と、金、銀、銅を掘る同じ鉱区間にありましても、金、銀、銅のあるところとウラニウムのある場所と違います場合には、ケースが違って参ります。そのときそのときのケースによって違います。
  100. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)政府委員 御参考までに申しあげますが、鉱物には同種鉱物と異種鉱物とございまして、ここにある一つの鉱業権があります。それに対してあとから一つの鉱物を発見して、同じところに重複して鉱業権を申請いたしますと、その申請した鉱物が前に設定せられてあった鉱物と同種鉱物ですと、優先的にもとの鉱業権者が取得することになっております。それでありますから、ここに一つの試掘権が設定せられておりまして、あとからウラン鉱が発見されまして、それを申請いたしました場合、これは同種鉱物だと認められる場合には、当然前の鉱業権者が優先的に収得するということになります。全然別個の成因であって、前に設定せられておった鉱物と異種の取扱いをいたすべきものであるとすると、新たに出願した者が優先的に取得する。私の記憶によりますと、今回のウラン及びトリウム鉱物の設定に対しましては、半年でしたかの優先期間がついておりまして、前に掘っておった鉱業権の権利者が大体優先的に、ウラン鉱の発見がなされたときにはこれの権利を取得するということになっておったと記憶しております。これはあとでお調べして、お答えいたしたいと思います。
  101. 赤澤正道

    赤澤委員 これで私の質問は終りますけれども、これはウランを一生懸命で探しておる人はもちろんですけれども、地方的にもこれはどうなることかと思って、非常に刮目しておるわけです。燃料公社の出発も、一日も早くやってもらわなければなりませんけれども、国の方針として、これをどういうふうにやるのかということを、一日も早く明らかにしていきたい。せっかく有望な資源が地下に眠っておるわけですから、その開発が着々とできますように、一つ進めて下さることをお願いいたします。
  102. 有田喜一

  103. 小笠公韶

    ○小笠委員 もうだいぶ時間もおそいようでありますから、簡単に、昨日正力国務大臣の所信表明を伺いましたその中で、一、二、しろうとの立場から御質問いたしたいと考えております。  昨日の所信表明を伺いまして、科学技術庁政策の方向はどこにあるかということにつきましては、私は遺憾ながらはっきり意をつかめなかったのであります。すべての面に、あれもやりたい、これもやったらよかろうという表明にすぎないという印象をぬぐい得ません。そこで、まず第一に伺いたいのは、科学技術庁の仕事の重点を指向する方向が、どこかにあるかということであります。すなわち、作品の所信表明によりますれば、科学技術振興によって、日本の輸出貿易を振興する、経済自立を達成する、経済再建をやるのだ、こういうことを言っておりますが、科学技術研究という問題につきましては、まず第一に基礎研究、理論研究というものがある、その次に工業化への一つ研究課題がある、さらにこれを事業的な面と分ち得ると思うのであります。原子力関係は別といたしまして、一般産業関係におきます科学なり技術振興に対しまして、科学技術庁は、今三つに分けた段階のうち、いずれに重点を指向しておるのか、まずそれた伺いたい。
  104. 正力松太郎

    正力国務大臣 きのう述べました根本の、大体趣旨としては、輸出の振興をはかり、経済の自立をはかるということになっております。そこで、しからばどういうふうにしてこれをやっていくかというと、根本的企画の立案推進をするということを、第一に考えております。それで、実は発足早々かと、科学審議会、次官、次長等が加わって、今それをやっておるわけです。もう少しお待ちを願います。そうしてその根本政策を立てると同時に、あるいは、申し上げました通りに、根本政策を立てるについても、技術者の養成と、先ほど申しました研究所の総合調整、研究所の増額——何としても、今のような研究所では不十分です。今度いよいよ科学技術庁ができましたら、その研究所にもっと一つ、今までの、悪い言葉で言いますセクショナリズムを排斥し、総合統制——統制というと語弊がありますが、総合調整をやらなければならないと思っておりますので、それをやる。それからまた、一面において、技術者を賛成する。これはみなさっきの根本方針の手段です。技術者は、何としても、今のような状態ではいかぬ。いわゆる技術国というなら、もっとたくさん技術者がおらなければいかぬ。これはひとり日本ばかりではなく、英米でも技術者を養成しようということになっておる。これがさしあたっての急務であると思っておるわけであります。なお、それについて、基礎研究をするにしても、技術アタッシェを置いて、外国の進歩の状況を日本に早く知らせるということを、根本方針の手段として、目下準備を進めておるわけであります。
  105. 小笠公韶

    ○小笠委員 私はそういうことを聞いておるのではないのです。科学技術振興という問題につきましては、考え方として、広報宣伝がある。内外の諸情勢を早くキャッチして、それを民間に浸透させる。あるいはそれを育て上げるという広報宣伝関係が一つ、それからもう一つは、技術者の養成の問題またしかりであります。英国は向う四カ年間一九六〇年までに五〇%の技術者の充足をはかっておるということは、御承知の通りであります。もう一つ、基本的な科学技術振興という場合に、研究その他の試験というような過程において、どの面をねらっていくのか、その点を伺っておるのであります。さらに蛇足でありますけれども、申し上げますが、理論研究なり基礎研究につきましては、文部省または産業官庁には、それに付設された研究所がある。これらの問題をどうするかという問題が一つ、これらとの間にあって、いかなるところをねらって、科学技術庁を運営していかんとしておられるのかということを伺っておるのであります。現在の日本科学技術行政におきまして各省各庁に分れて、そこに総合調整の機能がないということは事実であります。科学技術庁設置の主たる任務がそこにあることも、また考えられるのでありますが、そういう総合調整の問題ではありません。これは当然やるべきことであります。研究の態度、試験の態度をどこへ置いていくのか、それを伺っておるのです。
  106. 正力松太郎

    正力国務大臣 研究の態度と申しますと、要するに経済自立をやり、それから輸出の振興をはかるためには、科学技術の力によらなければならない。しからば、どういうことをやるかということが基本問題になるのでありますが、それを目下研究しておるということであります。
  107. 小笠公韶

    ○小笠委員 どうも私理解いたしかねますから、なお伺ってみたいと思うのですが、私先ほど政調の関係で留守にいたしております間に決議されました中の、「中央、地方を通じ、研究機関の整備刷新を強力に推進すること。」という問題であります。この研究機関の整備刷新の問題と、これの現実の統合問題をどう考えておるか。科学なり技術なりを離れては、産業政策はない。これは専門家の皆さんよく御承知の通りであります。そこらの関係をどう取り扱っていくかということを私は伺っておるのであります。御答弁が明確でありませんが、その点はその程度でけっこうでございます。科学技術庁諸君がここらの問題をはっきりつかまえなければ、総合調整の問題と広報賞伝の事業と、原子力は別でありますが、それにのみ追われてしまって、そこに新しい付設された使命が没却されるということをおそれるのであります。ここは一つよく専門家の諸君研究を頼むことでありますが、われわれしろうとは、科学技術庁がどれを問題にしているのか、八方にらみじゃないかという感じを禁じ得ないのであります。  第二に、大臣の所信の表明を伺って私が疑問を抱いた点を伺いたい。この、今、配布されました決議案にも、「科学技術関係予算は画期的に増大すること。」とある。これは非常にけっこうなことだと私も賛意を表するものであります。そこで伺いたいのは、日本の現在の経済態勢は、昭和三十五年を目標とした経済五カ年計画の線に基いておる。従って、この五カ年計画は、国民所得の問題、国民所得に応ずる予算規模の問題というものが策定されておることは、御承知の通りであります。この予算規模というような問題とにらみ合せまして、大臣の御所信の中にも、できるだけ金を出そう出そうというから、手形に近いものがたくさん載っておると言わざるを得ないのであります。そこで、来年度予算におきまして、この五カ年計画の第二年度計画の中に、本年度よりどの程度予算の増額をして、国の政治の中における科学技術の位置というものを高めていこうとするのか。何パーセントということでもけっこうです。そこらの点について、一つはっきり御所信を表明していただきたいと思います。
  108. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほどもちょっと御答弁を申し上げましたが、予算を増大するといいましても、まだはっきりしたことは言えません。ただ一例として、原子力なんかだけ考えても、今日のような予算では、とうていわれわれの希望は達せられない。ヒントンの話を聞いて私は非常に参考になりましたが、どうしてもそれこそ莫大な増額を要求しなくちゃならぬと思っております。しかし、予算に関することなので、具体的に正確な計算を立てなければなりませんから、今すぐというわけにはいきませんが、われわれの方は原子力だけでもそう感じております。いわんや、先ほど申し上げた通り、今のような研究所では、どうしても外国に追いつきません。さっき自動車の問題でお話がありましたが、自動車でもあんなにおくれている。もう少し研究所に金をかけて、研究しなければならぬと信じておるわけでありますから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  109. 小笠公韶

    ○小笠委員 非常にむずかしい御質問を申し上げて恐縮でありますが、従来から、日本では国民所得に対する予算規模というものが大体きまっておることは、御承知の通りであります。その中における予算の編成がいかに困難であるかも御承知の通りであります。  そういう中において、科学技術振興予算を相当広げていくためには、私は一つの方法として、現在の予算の編成方針に対して、新しいアイディアを出してほしいということをまず要望いたしておきたいのであります。  次に、昨日のお話を伺って、私がはっきり理解できないことは、中小企業振興をうたっておる。独自性という言葉を使って——何が独自性かわかりませんが、そういう言葉を使って、中小企業振興のために、研究所に対して補助金を出そうということでありました。これはどういう新しいアイディアでありますか。日本中小企業対策につきましては、申し上げるまでもなく、昭和二十四、五年ごろから協同組合に対する補助金、二十八年から近代化に対する補助金というものが累次掲げられていき、今二十四国会におきましては、都道府県に特別会計を置いて、都道府県の金と一緒にして、これを回転させ、増大させていこうという法律が成立しておることは、御承知の通りであります。こういう事態にあるのでありまするが、新しく何かの形において、補助金を研究所その他に出していこうというこのアイディアは、どういうことでありますか。研究所に対する補助金を大幅に増額するということが、直ちに中小企業振興につながっておるとお考えになりますか。
  110. 正力松太郎

    正力国務大臣 今のお話の通りで、研究所に補助金を出して、そこにやらしみることが、結局中小企業の増進になるというふうに考えております。
  111. 小笠公韶

    ○小笠委員 この問題はそこらでとどめて、次に、先ほど申し上げましたように、大臣は、科学技術振興日本経済再建の一つのかぎである、よってこれに非常な努力を財政金融その他の面において払っていきたい、こういう趣旨であります。この趣旨に対して、あくまでも国民の協力のもとに行くんだということを言っているが、そのためには、どういう具体的な方法で国民に呼びかけていくのか、まずそれを伺いたい。
  112. 正力松太郎

    正力国務大臣 どういう手段でいくかということは、これは基本政策で、今それを審議会を開かせたりしてやっているわけであります。もう少しお待ちを願います。
  113. 小笠公韶

    ○小笠委員 それでは、裏づけのない所信の表明と言わざるを得ないと思う。その具体的方法を持たずして、ただ下僚の書き流した政策をお読みになったとしか言えない。目下審議会の諸君を動員して、審議しているというのでは、所信にならぬと思う。しかし、目下研究中というのだから、仕方ありません。しかしこの問題は、われわれも新生活運動の先例もあり、いろいろの点から考えますと、重大な問題だと思うのであります。特に調査普及局ができて、これらの問題についてこれから取り組むであろうが、早急に一つ具体案を作って進めていただかなければならぬのではないかと考えるのであります。  それから、中小企業問題に関連して、もとに返るのでありますが、技術士制度の強化ということがあります。この技術士制度を立法措置によって設置して、公認しようというお話でありますが、この点も伺いたい。
  114. 篠原登

    ○篠原説明員 次長になりましてまだ日が浅いのでありますが、私の考えを述べさせていただきます。ただいま中小企業のお話が出たわけでございますが、これは、一本の産業から見まして、非常に大切な問題でございまして、従来にも増して中小企業の発達に重点を置いて、その技術水準を上げなければならない、こう考えておりますが、そういう点につきまして、技術士制度の裏側といたしまして、大切な問題でありますので、この点について、十分に検討をしてみたいと思うのであります。
  115. 小笠公韶

    ○小笠委員 御承知の通り、企業合理化促進法の第何条かに、中小企業の企業診断に対する診断制度があります。これが役所の半公認制度であることは、御承知の通りであります。技術士制度というものは、コンサルタティヴ・エンジニアの制度である。これは参議院の海野先生が数国会にわたって提出されたが、とうとう流されたといういきさつがある。これは主として近代企業に対する問題が中心に考えられており、現在の能率協会の諸君がやっているようなことを、公認化しようというのが一つのねらいであります。その点は、中小企業の診断と大企業の診断とでは、技術の面から見れば、若干違いがあるから、大企業に対する技術をそのまま中小企業に持っていくというところに、日本現実中小企業事態に間違いがあるのであります。そういう点を考えますと、中小企業のための現在の企業合理化促進法のいわゆる診断制度を、技術士制度として直していこう、こう理解してよろしゅうございますか。
  116. 篠原登

    ○篠原説明員 ただいまのコンサルタントの問題につきましては、大企業もあるいは中小企業も含むと思いますけれども、この点に関しまして、ただいままだ十分に検討を加えておりませんので、将来できるだけ早い機会検討したいと思っております。
  117. 小笠公韶

    ○小笠委員 これで私は終りますが、この文書を拝見しまして、私に言わせると、若干理解しがたい作文が非常に多いのであります。それらのこまかいことは、時間がありませんからやめますが、最後に、科学技術庁一つの使命として、先ほど担当大臣に申し上げましたように、日本の刻下の急務は、何といっても産業全体の現実的な技術水準のレベル・アップだ、この技術水準のレベル・アップをどうしていくかということでなければ、経済自立の問題もゆうゆうとしておられないのであります。こうゆうような点から考えまして、科学技術庁一つの行政の方向として、理論研究も大事であります。特に原子力のような新しいものについては私はそう思うが、そうでない、その他の一般の産業につきましては、何といっても、現実産業、企業の技術水準のレベル・アップに重点を置いていかれるというふうに御配慮願いたいので、あります。こう申しますと、現在の各省庁との権限の問題、さらに問題が生じて参ります。生じて参りますが、刻下の要請しておるねらいは、そこだと思う。でありますから、そこらの点は、各省庁との権限関係に十分なる配意を加えつつ、ともかく重点的に、機械なら機械、繊維なら繊維でけっこうであります。日本の輸出貿易なら貿易というものを伸ばしていこうというように、一つの重点産業に集中的な御配慮をぜひお願い申し上げたいということを申し上げまして、私の質疑を終ります。
  118. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)政府委員 みな新しいポストについたばかりで、これからいろいろな御指導を願っていかなければならぬと思うのでありますが、ただいま御指摘の議論につきましては、私も衷心より同感でございます。日本科学技術水準は、国際的に見て、総じて、全体的に低い、私はこう思っております。が、しかし、個々の研究所、実験所を個別に歴訪いたしますし、また個個の点においては、必ずしもそうでない分野があるのではないか、要するに今、御指摘のように、一律的に低いレベルを、総体的にどう水準を上げていくか、一ぺんに上げ得るところの力があれば文句はございませんけれども、そういう力がないから、御説のように集中的に重点を定める、その問題は何かということにねらいを定めまして、その集中的に重点を定めた問題について、急速度に水準の向上をはかることによって、総体的なレベルを上げていく、こういう考えを持っていかなければならぬのではないかと考えて、今その重点的な施策を何に指向すべきかということをせっかく検討中なんでございますから、今後よろしく一つお願い申し上げます。
  119. 有田喜一

    有田委員長 特別事情のない限り、おそらく、本日が今国会の最後の委員会となると思いますので、この際、一言ごあいさつ申し上げます。  本特別委員会は、今会期中、会議を開くこと二十六回の多きに及び、その間、科学技術庁設置法案、日本原子力研究所法案、原子燃料公社法案及び核原料物質開発促進臨時措置法案などの重要法案を審査いたしまして、ついにこれらを可決いたしました。なお続いて、科学技術振興に関する諸問題と取り組んで、熱心に調査を行なって参りましたが、その間委員各位におかれましては、終始真摯なる態度をもって審査を行われ、かつ超党派的に、科学技術振興のために御協力下さいましたことを、委員長といたしまして、厚くお礼を申し上げます。なお今後とも一そり科学技術振興のために御協力を賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。  それでは、本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十五分散会