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1956-03-19 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十九日(月曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 前田 正男君    理事 南  好雄君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       稻葉  修君    加藤 精三君       木崎 茂男君    小平 久雄君       須磨彌吉郎君    中曽根康弘君       山口 好一君    岡本 隆一君       佐々木良作君    堂森 芳夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         総理府事務官         (原子力局長) 佐々木義武君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  松尾 金藏君  委員外出席者         総理府事務官         (原子力局総務         課長)     島村 武久君         総理府技官         (原子力局管理         課長)     堀  純郎君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所鉱床部         長)      佐藤 源郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子燃料公社法案内閣提出第一一二号)  核原料物質開発促進臨時措置法案内閣提出第  一一三号)     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  原子燃料公社法案及び核原料物質開発促進臨時措置法案の両案を一括議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。佐々木良作君。
  3. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 原子燃料公社法案につきまして、大体質疑も出尽したようでありますけれども、私、正力国務大臣一つ根本的なお考えをお聞きいたしたいと思います。  御承知のように、最近におきましては、昔流の国策会社的なもの、あるいはそれがいろんな形をとりまして、公社等々の形をとって出て参っておりまするけれども、大体におきまして、今のところ公社的なものは、必ずしも最初法律で作りましたときの任務あるいは目的を十分に達していないと思います。一つ簡単に例をとりますと、三、四年前に、御承知のように電源開発促進というものができまして、そして公社的な性格を持った国策会社的なやり方で、国家資金を投入して電源開発を行うという法律ができて、それに基いて電源開発会社というものが誕生いたしました。そうして仕事を進めておるのでありますけれども、最近におきましては、だんだんと最初目的がずれて参っておりまして、必ずしも最初方針通り運営されていない。さらにまた、同じようなエネルギー関係では、昨年、御承知のように石油資源開発株式会社法に基いて、同じように石油資源開発株式会社ができたわけであります。これまた御承知かとも思いますけれども、最初目的とは相当ずれて、最初予定したところの事業計画を遂行することができないような状態で、形だけ会社ができて、いわばそこに人間だけ役所からの天くだり的なものがたくさん寄ってきて、そして仕事はほとんどできていないような状態になりつつあります。私はまことに憂慮にたえないわけであります。今度の原子燃料公社法に基きまして原子燃料公社ができるという、この目的自身、及び法案意図自身は、私は心から賛成するものであります。しかしながら現在の政治状況といいますか、あるいは行政力といいますか、あるいは日本財政力といいますか、その辺からいつまでも最初目的相当そごを来たしつつあるのが現状であるわけであります。正力さんが今度燃料公社法案を提出され、そしてこの燃料公社設立されるに当りまして、従来、これと似たような国策会社あるいは公社というものができて、それが今どういう格好でまずくなっているかというようなことを十分御検討になりましたでしょうか。あるいはまたその辺につきまして、こういうところがおかしかったから、特にこれの設立から運営に当っては注意しようと考えておられる点があろうかと思いますけれども、その辺のお考え一つ御披瀝願えればけっこうだと思います。
  4. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 私から御答弁を申し上げたいと思います。ただいま御指摘の石油資源開発株式会社は、仰せの通り最初考えましたよりは非常にテンポがおくれたのではないかというふうに考えられましたので、この間、商工委員会の小委員会で、石油会社の方が参りましたときに、その点は私は委員外の発言を求めて追及いたしたのでございます。御承知通り石油資源開発株式会社事業最初のもくろみよりもおくれたがごとくに見えるのは、鉱区その他の問題が非常に困難な状態にあったために、これを解決するため、会社自身としての事業の遂行がおくれたように見えるけれども、その内容は、帝国石油に頼んでやっておったというような説明もあったのでございます。しかし私たちといたしましては、必ずしも石油資源開発株式会社が、最初われわれが考えてあの法案を通過せしめましたときと対比いたしますと、スムーズにいったとは考えておらないのであります。あれは、内容を聞いてみますと、非常にこんがらがった鉱区その他の問題がございまして、その問題を解決するためにいろいろな困難があったのでございますが、今度の原子燃料公社はこれと全く別でございまして、新たな原子燃料物質に関するところの開発を目途といたしておるのでございますから、これはやり方によりましては、むしろここにに掲げてありまする業態よりは、積極的にやり得るのではないかというふうに考えておるのであります。と申しますのは、必要によっては事務当局から御説明を申し上げますが、今日まで原子燃料物質として大体概査を終えたものは、相当個所に上っておるのであります。さらに本年度地質調査所に割り当てられておりまする一億円の調査費によって、直ちに概査を続けて参りますならば、原子燃料公社として精査を加えて、そうして開発に着手しなければならない個所も、二、三は本年中に出てくるのではないか、そういたしますと、まず第一着手といたしましてウラニウム、トリウムの精査、採掘というものが積極的に行える状態になっておるのではないかと思うのであります。また一方、民間におきましては、ウラニウム製練に対しましても相当研究が進んでおりまして、この研究に再検討を加えて、ウラニウム製練事業に対しましても、直ちに着手しなければならない情勢になっておるのである、そういうふうに考えておるのでございまするから、従来の石油資源開発株式会社帝石から大半の鉱区を取得いたしまして、そうして新たなる土地を開発するのにいろいろな困難がありましたけれども、この原子燃料物質精査及び製練というものは新たにやるのでございまして、また急速にやらなければならない状態にもございまするので、これはこの法案が通過いたしますると同時に、態勢を整えまして、積極的にやり得ることと考えておる次第であります。
  5. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 齋藤さんのせっかくの御答弁でございますけれども、実は私の質問をし、あるいは心配するポイントと、少しポイントがずれているのです。今、石油資源開発株式会社の問題が出ましたけれども、この石油開発会社が今のところ必ずしもうまくいっていないのは、帝石との関係で、鉱区その他の授受なりそこらに問題があるのじゃなくて、最初意図したような形で会社運営ができないからだと思うわけです。この間、この委員会じやありませんけれども、だいぶ委員会でもめておりましたところの東北興業会社法のあの会社についても、同じことが言えるわけです。また電源開発会社についても同じことが言えるわけであります。私が一番心配しているのは、こういう国家目的をもって作った会社あるいは公社に対しまして、それが行う経済行為と、その会社なり公社なりが目的としているところの国家的な任務というのがごちゃごちゃになって、幾ら国家的任務を持っておっても、経済団体として一つ経済行為をする場合には、皆さんが御承知のような資本主義の世の中でありますから、一番採算に合うような、たとえば民間の普通の個人なり株式会社がやっても同じくらいな、そういう採算的なやり方が、一つ公社なら公社の行う経済行為については優先しなければならない。ところが、その経済行為について、国家的な目的なり意図なりが優先してしまって、従って法案を作った最初スタートにおいてはえらく意気込んでやるけれども、半年か一年たたぬうちに、だんだんと今の経済情勢に押し流されて、そうして経済行為自身が後退してしまうというところに、私は問題があると思うのです。原子燃料公社の場合には、今これと似たような民間団体なりあるいは民間経済行為はほとんどないように思いますから、その意味においてはある程度違うと思います。しかし最近におけるこういう一般公社的なものの持つ誤謬、やりそこないをまた繰り返されはしないかという、心配は、大体普通一般の者が持っていると思います。正力さんは商魂たくましくて、そういう方面にはまことにエキスパートでおられたはずでありますので、従来似たような公社的なものがうまくいかなかった原因についてもう少し追及されて、これのスタートに当っては、意気込みを新たにされることが私は必要じゃなかろうかと思うのです。私は官僚行政という言葉をもって言うわけではありませんけれども、その言葉の裏にくっついているような内容が、大体その経済行為を撹乱し、そして国家的な意図あるいは意欲的な動きだけになってしまって、そのために非常にまずい状態が次々に起きてくる。もし必要でありますならば、私は先ほど齋藤さんが例にとられました石油開発会社のうまくいっていない原因をここに列挙しまして、これでもまだそういうところに問題があったかと言いたいのでありますが、ちょっとお門違いのようでありますので、省略にしておきますけれども、どうも私はこの燃料会社につきまして、意図は明らかなんだけれども、この設立から運営に当ってのその考え方に、意欲的なもの、あるいは国家的な要求、その辺が強過ぎて、これが公社としてうまく運営できるかどうかという点について、相当疑問を持っておるわけです。原子力研究所の場合でも同じでありまして、いいかげんに收支予想書なんかくっついておりますけれども、あんな收支予想書でもって、一つ経済的な法人の意味をなさないことは、御承知通りであります。この辺をどういうふうに補っていかれるのか、もう少し正力さん自身のお考えをお聞かせ願えませんですか。
  6. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問趣旨、まことにごもっともであると思います。その点は十分注意いたしまして、これをしからば具体的にどうするかということは、まだ案ができておりませんから、よくその御趣旨を注意してやります。
  7. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そういうことになれば、次に聞くこともなくなって、どうしようもないわけですが、今の問題は一つ十分に気をつけられまして、公社といえども事業者でありますから、事業計画なりそれが一般経済人にもっとはっきりするような形で、具体的にスタートされるように、そうして従来の公社的なものが犯した間違いを再び繰り返さたいように、特段の御処置、御努力をお願いしておきたいと思います。  それから参考的な意味であるいは、少しポイントが違っておるかもしれませんが、伺っておきたいと思います。正力さんは、この原子力問題の中心原子力発電に置いておられるように考えます。原子力発電を実際に行う段階になって、たとえばそれもはっきりしておらないようでありますけれども、一般送電網原子力発電を乗っける段階になったときの原子力発電は、大体どういうものを事業者として担当するようになるか、なる予定でおられるか、お聞きかせ願えれば幸いであります。
  8. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまお話のありました通りに、私は原子力問題については、発電に一番重きを置いておるのであります。それにつきまして、日本では、いつもたびたび申し上げておるように、十五年先のように考えておりますけれども、これはどうしてもそんなことではいかぬ、日本現状としては、どんなことをしてでも、五、六年に何とかしなければならぬという希望を持って私は努力しておるのであります。しからばどういう努力をしておるかというお話でありますが、一番の近道は、この前申し上げたように、イギリス事情日本事情と非常によく似ております。ですから、イギリス事情を調べて——幸いイギリスはことしの十月に発電しますから、この事情が一番いいと思います。実はこの前も申し上げたように、今度来た元の動力相が私に、十月にやるが、それはイギリスにおけるベースに乗るという確信を持っておるということを言ったのです。それで、日本電力データ政府として送れと言いましたので、私は送る、こう言うております。のみならず、私はさらにイギリス事情を知るために、データを送るだけではいかぬ、ほんとうイギリスのいわゆるオーソリティーを呼ばなければならないという考えを持ちましたところが政府には呼ぶだけの原子力の予算がない。だから私はほかの方で呼ばせます。そうして今聞くところによると、イギリスにおける実際に動力発電中心動力炉を作つたりした人は、ヒントンという人だそうでありますから、それを呼びたいと思って、その工作を今やっております。そうしてほんとうにやった人に、ほんとうベースに合うというのは、どういうところでベースに合うのかということを聞いてやりたいと思っております。私はとにかくどこどこまでも発電をやります。そうしてまた、イギリスの例からいってやり得る。いつも申し上げますように、あなたも専門家である。原子力は日進月歩であります。それであるからして、意外に早く来る。しかもイギリスに来つつあるということ、日本で今、原子力発電を五年でやるとか七年でやるとか言うのは、夢のように言われておるが、私は残念であります。だからイギリスの実例をよく調査して、果して夢であるか実現できるかということは、ヒントン氏が来たら聞けばわかる、こういう考えを持っておるのであります。
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 正力さんの意図は、この前からの委員会で十分にわかっておるのでおりまして、今お伺いいたしましたのは、おそらく五年なり六年かりの間に——この間はっきりしませんでしたけれども、五万キロ程度原子力発電を行いたい。その五万キロというものは、炉の五万キロなのか電気にしての五万キロなのかという点につきましては、必ずしも明らかでないが、局長佐々木さんの話によりますと、おそらく炉ではなかろうかという感じであります。今私が伺いましたのは、そういう炉にしましても、五万キロならば、電気にすれば一、二万キロになると思います。それが発電の方になりますと、そのまま五万キロになるわけであります。そうしますと、これは相当大きな一つ事業場になるわけであります。その場合には、その電気一般送電網にぶら下げるということになっておる。従って私が今、念のためにという意味でお伺いしましたのは、そういう場合の原子力発電所をこしらえて、運転する主体は今どこをお考えになっておるか。たとえば公社なり研究所なり、あるいはその他の電気会社なり等々のものが考えられると思いますけれども、そういう一般供給の線にぶら下げるような最初原子力発電所を作る主体は、今、予定されているのはどういうところでしょうかとお伺いしたわけです。
  10. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この前にも申し上げましたように、動力用実験原子炉五万程度のものをぜひ作りたいという目標になったのでございますが、そのタイプあるいは大きさ等に関しましては、まだ実は正確にはきめてございません。従いまして、四万キロあるいは五万キロと申しますのは、炉のいわゆる熱効率と申しますか、それからあみ出したものなのか、そうでなくて、それが発電になっての五万キロであるのかといった点は、明確ではありません。しかし、おそらくは今の熱効率から見ますと、大体二〇%くらいのものでございますので、もし発電の方で五万ということになりますと、炉の大きさはその五倍くらいでありますから、ものすごく大きいものになりまして、一挙にそこまで行くには非常に無理があるのじゃなかろうかという感じがいたします。従って、炉自体の熱というふうに考えていただいていいのではねいか、こういうふうに御答弁申し上げたのであります。  さて、その際できた電気はどうするのだという御質問だと思いますけれども、その電気は、研究所で使い得る限度でありますれば問題ないはずでありますが、おそらくはもう少し上回るのじゃなかろうかという感じもいたします。そういう際には、アメリカの今の実験炉を見ましても、一部は送電に直結して送電するというようにも考えられておりますので、こちらでも、やはり余った電気は市販と申しますか、卸の方へ流してやるというのが自然ではなかろうかと思います。しかしそれは、卸はいたしますけれども、あくまでも実験炉段階でございまして、ただその余った電気を卸すという程度にしかすぎませんので、そのもの自体が、本来の目的を持って市販するというのではございません。従いまして、もしその実験炉十分実験をいたしまして、技術的にも経済的にも十分これが成り立つものであるという確信がつきました際には、その後は研究所の手を離れまして、電発なりあるいは九電力会社なり、それぞれの担当個所発電をしていくというのが順序ではなかろうかと思います。従って、あくまでも、研究所でやりますのは、ただいまのところは動力用実験炉であります。テモンストレーション、あくまで実験用のものであります。これはやはり研究所実験の延長と申しますか、最終的なものとしてこれを経営するというのが順庁じやなかろうかと思います。そういう考慮がありまして、当然その際には電力会社等との関連も非常に密になるわけでございますし、あるいは考えようによりましては、電力会社でやるのを研究所危險負担をいたしまして、かわりに研究してやるというふうな面も強く出てくるわけでございまするから、今から政府の責任で全部やるというのじゃなくて、やはり民間資金も一部御参加いただきましてそうして一緒に研究できるというふうな態勢が望ましいのじやなかろうかというので、御承知のような法案ができた次第でございます。従ってただいまの御質問の点は、現に実験炉からできた電気の余っておるものを卸に流すというだけでございまして、決してそのもの目的商的行為を行うという趣旨では今のところございません。
  11. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 大体意図はわかりました。私はこれて質問をやめますけれども、ただ、はっきりとお願いしておきたいと思います。それは、佐々木さんはもちろんのこと、正力さんも御存じだろうと思いますけれども、現在の電力問題につきましては、千キロから二千キロ程度の小さいものも含めて、毎年開発五カ年計画を立てて、その施工者はもちろんのこと、その工事の行われる場所も金額も、そしてその電気がどこに流れて、大体どの辺がその消費地になるかということも含めて、電力五カ年計画できちっとそれを精密化しながら進んでおるわけです。従いまして、従来の水、火力の開発の上に新しく原子力がプラスされる。しかもその原子力は、本格的な開発は十年なりあるいはそれ以上の後といたしましても、今お話のように、五年なり六年なり後には、その試験研究の一部が一般電力供給にプラスするような形で、少くとも一万キロなり五万キロなりという電気がこれに加わってくるわけです。従って、この間少し大きな声を出して言いましたように、従来の電力の形とそれにプラスされる原子力電力の形と、技術的にこれを非常にうまく組み合せなければならないものです。もう五、六年後に、少くとも研究的なものであろうとなかろうと、一万キロないし五万キロくらいのものが一般電力供給にぶら下ってプラスされて出てくるということでありますならば、もう少し研究を密にされまして、現在の電力供給の面との関連性、特に給電技術上の問題も含めての技術的な研究を、もう少し十分にウエートをかけてお願いしたい。これはもう少し検討ざれる必要があろうかと思います。この間の研究所の場合の事業計画等によって見ましても、五年後にできる発電所であるにもかかわらず、送電線一般送電線にぶら下るのだということだけ書いてあって、研究項目はほんの一行ばかりふらっとあるだけであります。これは、この部面はおそらくまだほとんど研究されていないという感じが強いのであります。従いまして、従来の電気にプラスする原子力電力について、技術的に、もう少し本格的な研究にすみやかにスタートされるようにお願いいたしておきたいと思います。  二番目には、今のお話によりますと、試験研究の機関は、原子力研究所発電所を作り、運転をして、原子力研究に必要な電気は自分のところで使って、残ったものを一般供給にぶら下げるということであります。そうなってきますと、それ以降、つまり、原子力発電一般供給にぶら下ってくるころ、五、六年後の問題になりますと、これは当然に現在の電力会社を含めての非常に大幅なエネルギー供給源の機構的な、あるいは事業形態的な再考慮が必要になってくる段階になると思います。現在の原子力という問題を抜きにしましても、電力供給者あるいは電力事業者に対する事業形態その他を、再考慮しなければならぬ状態に相なっております。その上に、持ってきて、今のややこしい原子力発電がプラスされてきますならば、今の開発会社なり九つの電力会社なり、その上に乗っかって通産省の公益事業局が監督しているというような形は、おそらく非常に大きく変更されなければならない状態がくると思うのであります。従って私は、これと並行的に、原子力が現在の電力にプラスされ、エネルギー供給源の大もとを動かすようになってくることを予想されまして、原子力発電は一体だれにやらせるか、どういうものにやらせるのが正しいかという御研究を十分進めて、そのときには、当然に現在の電力事業者自身もひっくるめての再考慮が必要となってこようかと思います。その意味におきまして、どうかその辺の研究に十分に、今からすぐにスタートしていただきたいと思います。正力さんの五、六年後に原子力発電をという目標は、まことに私はその意図におきましても、あるいは熱意におきましても敬服するものでありまして、私も一日も早くそれが実現せんことをこいねがうものであります。従いまして、繰り返して申すようでありますが、そのためには、今の燃料公社なり研究所なり、そこで原子力関係の学者だけが物理学的な研究をしているのではなくて、それを実用化するためには、今申しましたような現在あるところの電力供給との組み合せの技術的な部面について、第二は原子力発電が行われるようになった後の電力供給を含めてのエネルギー供給主体事業形態等につきまして、これはむしろ政治的な問題になろうかと思いますけれども、この技術的並びに政治的な問題につきまして、今から直ちに、こちらが聞いたら、もう少しはっきり答えられるくらいた構想を持って進まれるように、十分な研究をもってスタートされるように特にお願いをしまして、質問を終りたいと思います。
  12. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの御質問、まことにごもっともと存じます。実は、この前に申し上げました通り原子力の方でやりました五カ年計画というものは、利用準備調査会で作ったものであります。今度あれを再検討するように、今、原子力局でやっております。なお、研究所の方でも再検討するようにさせています。また、場合によっては、日本学術会議の方にも諮問しようと思っております。なお、電力はすぐスタートするつもりで、幸い民間研究会議もできましたから、そこでも話をして、電力の問題は必要だから、すぐこちらの方でもやるが、君の方でも着手してくれ。——一体今の学者は電力事情をよく知りません。電力事情を知らずに案を立てたのではだめなのです。だから学者にも電力の実情を調査しろということを言いまして、そして一日も早く実現するように言っておきましたから、再検討した五カ年計画が出ましたら、いずれ発表しますが、御趣旨通りにもうスタートしておるということだけ申し上げておきます。
  13. 有田喜一

    有田委員長 岡良一君。
  14. 岡良一

    ○岡委員 ただいまの原子力発電についての正力国務大臣並びに佐々木原子力局長の御発言は、非常に重大な内容を伴っておるわけであります。そこで、すでにしばしば申し上げましたように、アメリカにおける原子力平和利用の影響に関する専門委員会の、あのアメリカ上下両院に対する報告並びに勧告の中にもはっきりうたわれておることは原子力発電については、いわゆる計画の発表が、完成と取り違えられて流布される危険性がある。しかも、研究計画の達成というものは、決して希望的な観測によって成就するものではないということを明確にうたっております。——先進国でさえも、それくらいの周到な用意を公式に発表いたしておるのでありますから、この点は重々遺憾なきを期せられたいのであります。  それはさておきまして、今、船田長官も御出席でありますので、私は、日本原子力研究所の敷地の問題は今、非常に世論が注目いたしておりまするので、この問題について正力国務大臣並びに船田防衛庁長官、あわせて内閣官房の責任者の御出頭を求めて、責任ある御見解を承わりたいと思います。船田防衛庁長官にあえて申し上げたいのは、申し上げるまでもなく、原子力研究開発は、日本でも初めてのことであります。非常に大きな空白時代を残しまして、取り急ぎ研究開発をしなければならないという必要に迫られていることは、申し上げるまでもありません。同時にまた、原子力研究開発とその利用というものは、すでに御所管の軍事面においても、従来の作戦というものを根本的に変革しつつあることは御存じの通りであります。日本原子力の平和利用を達成しようという努力は、これまたおそらく日本における産業構造に根本的な改革を起すのではなかろうかという考え方をわれわれは持っているわけであります。そういうことでありますから、なおさらのこと、初めて出発する日本原子力研究所なり、あるいは燃料公社なり、あるいはまたすでに一月一日に発足いたしました原子力委員会等の権能については、われわれは重大な関心を注ぎ、同時にまた、その運営については国会としても万遺憾なきを期したい、このような念願を持っているわけであります。特に日本原子力研究所につきましては、他の一般的な研究所と違いまして、取り扱うもの、またそこで営む研究等が、原子力という特殊なものでありまするだけに、これについて周到な顧慮をし、科学的な検討の結果として、その敷地は最適の条件のものを選ばれたい、このようにわれわれは念願いたしておったわけであります。そこで一昨日も同僚の志村委員から防衛庁長官にお尋ねいたしましたが、今、話題に上っておりますのは、神奈川県の横須賀の武山でありますが、武山について、防衛庁長官は、志村委員質問に対して、このようにお答えになっておられます。「武山は旧海兵団があったところで、自衛隊の水陸両用部隊を設けるには最も適当なところである。私個人の考えでは、原子力研究所は人家の少ない山の中にでも設けるのが適当だと思う。防衛態勢整備のためにも、防衛庁としては武山を希望している。」こういうふうに新聞は伝えているのであります。このように御答弁になったのでございましょうか。
  15. 船田中

    ○船田国務大臣 先日、志村委員から、当席におきまして、武山についてあの施設を防衛庁の方で要望しているかという御質問がございましたから、防衛庁といたしましては、ただいまお読み上げになりましたように、自衛隊の施設、ことに水陸両用部隊というようなものの訓練、そのためにはあの土地、施設というものはぜひほしい。これは数年来防衛庁としてはそういう希望を持っております。しかしまだ解除になっておりませんので、正式に予算の措置も講じてはおらないのであります。今日もなお、防衛庁といたしましては、あれが米軍から解除になりましたときに、自衛隊の施設としてぜひほしいという強い希望は持っております。しかしただいま問題になっておりまする原子力研究所として、あの施設、土地を解除してもらいたいという御希望があることも承知いたしておりますが、この問題につきましては、現在政府部内におきまして、関係閣僚の間において協議をいたしているのでございますから、その協議の結果、結論が出、なお閣議におきまして政府の意見として決定せられますれば、その決定には私は喜んで従うということを申したのでございます。その席で、志村委員から重ねて、個人的にどう考えるかという私個人の意見を聞かれたものですから、それで私といたしましては、もちろん学者の御意見を十分尊重することにやぶさかではありませんけれども、しかし何といっても、原子力研究所というものは、わが国におきましてはまだ未知のものであります。アメリカやソ連の状況等を聞いてみますと、なかなか残滓の処置などということについてはずいぶん苦労しているようであります。ソ連においても、残滓を丈夫な箱の中に入れて、そうして地下深く埋めておる。あるいははるか海上に持っていって、そうして海底深く沈めておるとかいうような話も聞いております。従いまして、原子力研究所の敷地をどこへやったらいいかという個人の意見を聞かれれば、むしろ人家の少い、将来そういう心配のない、またこれは将来は相当拡張せられるものと考えますので、そういうことをも考慮して、ああいう平坦な海岸に近いところよりも、むしろ無害な山の中のようなところに設けられることがよくはないだろうかということを申し上げたのであります。これはもちろん私の個人的な意見を申し上げたわけでございます。
  16. 岡良一

    ○岡委員 私の確聞したところによると、防衛庁は、過去三年の間に二回武山の返還について米軍側の意向をただされた。一つは防衛大学の設置、一つは術科学校の設置の問題であります。その二回とも米軍側としては解除する意思がないという返答をしたということを私は聞いておるのでありますが、このような事実はありましたか。
  17. 船田中

    ○船田国務大臣 防衛庁といたしましては、正式に解除を申請したということはございません。ただ防衛大学校の敷地としても、またその後におきまして、他の施設といたしましても、武山の土地及び施設は、自衛隊のためには非常に適当なところであるから、米軍側があれを解除した場合には使いたいという希望は申しておりますし、今もなお強い希望を持っておるのでございます。
  18. 岡良一

    ○岡委員 公式にその解除を要求されたことはないとしても、今申しましたような事実、非公式に米軍側の内意を打診されたということはありますか。
  19. 船田中

    ○船田国務大臣 私、就任前のことでございますから、事実どういうふうにやっておったかは知りませんが、米軍の当該責任者にその希望は申し述べてあったと思います。
  20. 岡良一

    ○岡委員 その結果、米軍側としては、これを拒絶したということでありますか。
  21. 船田中

    ○船田国務大臣 まだ解除するということの通知には接しておりませんから、米軍側としては、隊の收容上、あれを必要としておるものと私は考えておったわけであります。
  22. 岡良一

    ○岡委員 それはやはり一つの重要なポイントであります。内意を伺ったということは、それは別にきのう、きょうのことではありません。三年越し懸案となって、防衛大学あるいは術科学校等の施設としてその地域の解除を要求された。内意を打診されたとしても、その返事は当然私はあってしかるべきだと思う。御就任前のことでありましょうが、米軍側としては果してそれに対して拒否したのか、依然として返事がないのかという点は、私は重大なポイントだと思いますので、ぜひ一つお取調べの上、御返事を願いたいと思います。  そこで重ねてお尋ねいたしまするが、きのうは水陸両用部隊を收容するという御答弁でありましたけれども、水陸両用部隊というものは、本年度の防衛計画の中に明らかに含まれておるものでございますか。
  23. 船田中

    ○船田国務大臣 この問題につきましては、先般志村委員の御質問に対しても私ははっきり御答弁申し上げたように、まだ何ら予算的措置が講ぜられておらないのでありますから、従いまして、武山の問題について、防衛庁として正式に解除の申請をしたことはございませんし、また今回の原子力研究所でお使いになるかならぬかということにつきましても、政府の意思が決定いたしますれば、それに従うということを申しげしておるのでありまして、今日もなお同じ意見を持っております。
  24. 岡良一

    ○岡委員 それでは重ねてお尋ねをいたしますが、結局長官としては、水陸両用部隊に関しては、三十一年度予算として、これに所要な経費というものは議決を見ておらない、また防衛庁の増強計画の中にも、水陸両用部隊の設置というものは何らない、こう理解していいのでございますか。
  25. 船田中

    ○船田国務大臣 三十一年度予算においては、計上いたしておりません。
  26. 岡良一

    ○岡委員 防衛庁長官にお尋ねいたしまするが、原子力委員会は、すでに先般武山を最適の敷地であるということの意思決定をいたしました。原子力委員会の決定というものは、政府においていかに取り扱うべきものと法律によって定められておるか、この点の御見解を承わりたい。
  27. 船田中

    ○船田国務大臣 原子力委員会の意見が尊重されるということは、当然だろうと思います。ただ、武山のあの施設について、解除を米軍側に正式に政府として申請するかしないか、要請するかどうかということにつきましては、目下政府部内において研究をいたしておるのでありますから、今ここに私としてはそれについて何とも申し上げようがないのであります。
  28. 岡良一

    ○岡委員 原子力委員会としては、武山を最適な敷地として決定をいたしました。そして原子力委員会法の第三条には、明らかに、内閣総理大臣は委員会から報告を受けたときはこれを尊重しなければならないという規定があります。そうして内閣総理大臣に対しては、すでに成規の手続を経た報告を出しております。ところがその結果として、新聞の伝えるところによれば、防衛庁の方からも意見が出た、通産大臣の方からも意見が出た、あるいは農林大臣からも意見が出たということで、せっかくの原子力委員会の意思決定というものが、いまだ尊重されるに至っておりません。この点はいかがに考えられますか。
  29. 船田中

    ○船田国務大臣 その問題につきましては、政府部内において関係閣僚の間で協議をいたしておりますので、その協議がまとまり次第、なるべく早い機会に、結論が出ることと存じます。原子力委員会の構成は、御存知の通り、両院の同意を経て内閣総理大臣がこれを任命するという建前になっております。両院の同意を経て内閣総理大臣が任命をする、こういう構成を持った原子力委員会というものは、いわばそのときの政府の施策というものに拘束されない、まあ超党派的といいましょうか、あるいは全国民の負託を受け、全国民の福祉のために運用する重大な任務が必然的に負わされているものと思います。このような性格を持っておるというところに、原子力委員会の大きな任務があると私は思うのでありますが、この点、正力国務大臣の御見解を承わりたい。
  30. 正力松太郎

    正力国務大臣 むろん、原子力委員は両院の任命を経て、その意見は総理大臣が尊重することになっております。ただ問題は、武山に決するかどうかということは、やはり政府としては国策上考えなくちやなりませんから、原子力委員会がきめたからいって、必ず総理大臣がそれをやるわけのものじゃないという考えを持っております。
  31. 岡良一

    ○岡委員 これは長官と委員長に重ねてお伺いいたしますが、今申しましたような権威づけをもって発足をいたした原子力委員会であります。そこでその原子力委員会は武山を最適な敷地として決定をし、成規の手続をもって内閣総理大臣に報告をいたしておる。内閣総理大臣は当然にこれを尊重すべき義務をになわれておる。そうすると、その報告に基いて、今度は三十一年度の増強計画の中にもない、いわんや国会がその予算を議決しておらない。そういう不確定な事実、いわば架空な事由をもって国策を云々されるということは、私は非常に妥当じゃないと思う。少くとも国会が同意を与えて設立をされ、発足をした原子力委員会が、まず日本原子力研究所の最適の敷地として武山を選んだのに対して一方防衛庁長官は、国会が何ら予算の議決も見ておらない、また増強計画としても国会の承認を得ておらない水陸両用部隊という、来年度のことか再来年度のことか不確定な事実を理由として国策を云々される、こういうことは許されないと思う。委員長と防衛庁長官の御見解を伺いたい。
  32. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、原子力研究所を置く場所として適地であるということは、委員会がきめたのでありますが、しかし政府としては国家全体から見て、原子力以外の他のために必要かどうかということは研究する必要があることは当然であります。それだから、この間閣議で決定しなかったわけであります。
  33. 船田中

    ○船田国務大臣 今、正力国務大臣の言われたことと同じ考えを持っております。
  34. 岡良一

    ○岡委員 先ほど来申し上げますように、原子力委員会なるものは、国会が同意を与え、内閣総理大臣が任命をするという、いわば超党的な委員会である。従って、その決定は内閣総理大臣が尊重する、またその報告に基いて内閣総理大臣は関係行政機関の長に勧告をしなければならない規定もある。ところが報告はされたが、総理大臣は勧告をするという手続を怠っておる。一方では何ら予算に議決をされない、三十二年度か三年度かわからない水陸両用部隊の最適地というようなことで、いわば事実上横やりが入っておる。そうすると、今度は国策上、関係閣僚で相談をしなければならないと言われる。国策上、相談をしなければならないといえば、そのときの政府の性格あるいは政策というものによって決定されるということです。原子力委員会は、先ほども申しましたように、そのようなそのときそのときの政府の政策や性格によって拘束をされないという立場から、両院の同意を得て内閣総理大臣が任命するという、いわば高い立場を与えておるわけです。これがいわゆる国策なる言葉のもとに、防衛庁長官なりその他関係閣僚の間で懇談をし、決定をするということでは、原子力委員会というものの成規な手続というものが中途で雲散霧消して、そのときどきの政府の性格なりまたそのときの閣僚のいわば個人的な意見——と申して私は差しつかえないと思うが、国会が予算の議決を与えてもいないそういう計画に使用するなどということは、これはトライアル・プランでさえもない、プライベート・プランである。試みの案ではなくて、私の案といってもいい。無縁な、そういう理由で国策というものが持ち出されて、関係閣僚が相談する、これでは原子力委員会の権威というものは一体どこにあるかと言いたい。重ねて正力国務大臣の御見解を伺いたい。
  35. 正力松太郎

    正力国務大臣 再びお答えするようですけれども、要するに、原子力のことに関し、原子力委員会できめたことは尊重しますけれども、しかし政府としては、原子力委員会がきめたからといって、そのほかに国家として重大なことだと考えたならば、それにいくのが当然じゃないかと思います。
  36. 岡良一

    ○岡委員 私どもは、この原子力委員会委員長に国務大臣がなられるということについて、原子力委員会運営が、原子力基本法にうたわれた目的を遂行するに十分な備えとなり得るかどうかということに一まつの不安を持っておった。ところが今直ちにこれが現われてきた。原子力委員会が、もしあなたではなく、国務大臣でない者を委員長とし、原子力委員会の意向を代表するということで、必要があれば閣議を経て、原子力委員会の意見が強力に代表されるという筋道を通り、また内閣総理大臣に向って報告もし、その後の適切なる措置を訴えられるというような立場におられるならばよかった。ところが不幸にして、原子力委員会委員長は国務大臣である。国務大臣としては、そのときの政府の政策というものに当然拘束されざるを得ない。ここに、日本原子力行政の今後の発展における最初の杞憂が大きな事実となって生まれてきておると思う。この点私は非常に遺憾に思うのであるが、正力国務大臣としてはこういう——繰り返し申せば、とにかく超党的に、日本原子力基本法にうたわれた平和利用、民主、自由、公開の原則のもとに、国民の福祉に役立てようという、日本原子力開発のための中核体である原子力委員会が、たまたま委員長に国務大臣を仰いだということから、国務大臣としては、やはり閣議の決定の前において、この委員会の意思決定を取り次ぐところの成規な手続を経ない関係閣僚懇談会などという、何らわれわれとしては無縁なものによって問題が取りきめられるというところに、私は原子力委員会の今後の運営においても非常に危惧を持つわけなんです。正力委員長、いかがですか。
  37. 正力松太郎

    正力国務大臣 成規の手続をとらぬとおっしやいましたけれども、それはやはり私どもの方から総理大臣にちゃんと成規の手続はとっておるのです。そうして、さらに私からも関係閣僚に話をしたのです。それで私は手続は十分尽きておる、こう思います。それから、繰り返すようでありますが、原子力委員会としてきめたことを、原子力に関することはそれは内閣総理大臣がその通りやらなければいかぬと思っていますが、しかし国家として、総理大臣としてもっと必要なことを考えたならば、やはり当然閣議に諮り、閣議の意見に従わなくちゃならぬかと思っております。
  38. 岡良一

    ○岡委員 それでは押し問答になりまするが、船田防衛庁長官といたしましては、今申しましたような決定については、かなりこれを尊重し、関係閣僚にも勧告をするというふうな手続規定までを加えたいわば大きな権能を与えられておる原子力委員会の決定でありますが、たとい防衛庁の方で将来いろいろな御計画があろうとしても、まだそれは予算化されてもおらない、増強計画として具体的に国会にも提示されないということであれば、当然この武山は原子力研究所の敷地として、一つ防衛庁の方ではこれを水陸両用部隊に使いたいなどという意思は断念をしていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  39. 船田中

    ○船田国務大臣 防衛庁といたしましては、将来あれが解除になったときに使いたいという希望は捨てません。しかし国家的見地から、原子力研究所をどうしてもあそこに建てなければならぬということで閣議が決定せられるということでありますれば、それにはもちろん私は従います。
  40. 岡良一

    ○岡委員 しかし先ほど来繰り返しますように、何ら国会で予算も議決されてはおらない。増強というけれども、増強計画の中には、水陸両用部隊というものがはっきりと国会に提示されておるわけでもない。そういういわば架空な事実に基いて、少くともそれを理由として、日本原子力研究所の敷地たるべき武山、原子力委員会が最適の候補地としてあげた武山を、国策という名のもとに拒否される理由はないと思う。そこで防衛庁長官としては、繰り返し申せば、国会の承認を得た増強計画の中にも含まれない、国会が議決した予算の中にも含まれていない水陸両用部隊の最適地などということをもって、日本原子力研究所のこの敷地武山を拒否されたり、これを批判されるということは、私は当を得ないと思う。いかがでしょうか。
  41. 船田中

    ○船田国務大臣 防衛庁が使いたいという希望を持っておることと、現実に原子力研究所をどこへやるかという問題とは、これは切り離して考えていい問題だと思います。国策的にどこにきめるかということを関係閣僚の間でもって協議をいたしまして、そうして協議がまとまったときに閣議決定をされれば、私は決してそれに反対するものではございません。また私は先般も申したことでございますが、この問題について横やりを入れるとか、特に妨害をするとかいうような考えは毛頭持っておりません。
  42. 岡良一

    ○岡委員 しかしながら、事実上、それは明らかに横やりであり、横車である。こうとられてもいたし方が私はないと思うのです。そこで問題は、今後防衛庁が水陸両用部隊を設けられる、そうしてそのための訓練なり、基地としてどこを選ばれるということは、今後の問題でありましょう。しかし、これは国防会議の決定することだと私は思う。将来国防会議の成立を見れば、これが決定すべきものである。従って、現在責任ある長官の立場において、まだ国防会議の設置することを決定してもおらないのに、水陸両用部隊のための使用に供するとして、武山というものについての防衛庁側の希望を出してくる、その希望は、今度は正規に原子力委員会が意思決定をし、武山を最適地の候補地に選び、ここに建設しろという要求をあなた方が相談をされるということは、やはり一つのそういう架空な、将来への不確定な事実というものが、この、最適地であるという原子力委員会の決定をチェックするということに事実上なるではありませんか。私はそういうことは手続としてはきわめて当を得ないことだと思う。いかがでしょうか。
  43. 船田中

    ○船田国務大臣 私は、国務大臣として、自己の主張を関係閣僚の間及び閣議において述べることは、差しつかえないと思います。
  44. 岡良一

    ○岡委員 国務大臣として希望を申されることは、一向私は差しつかえがないと思いますが、しかし少くとも一つ原子力委員会設置法によって設置され、先ほど来るる申し述べますような権能を与えられた委員会の決定に対して、政府は尊重されなければならない。内閣総理大臣はこの報告を受けたときは、これを尊重しなければならないというこの規定は、これは内閣総理大臣は政府だ、法律の慣用としてはこう見ていいと思います。ところがさて手続を経て総理大臣に報告をされる、そうすると国務大臣たるあなたが、防衛庁の立場から、予算の議決も見ておらなければ、増強計画の中にも含まておらない水陸両用部隊というものを持ち出して、この原子力委員会の決定というものについて、あなた方の意見を基礎として、さらに調整をしなければならないということは、これは明らかに原子力委員会というものの権威をあなた方は驚くべく低く評価せられていると私は思うより仕方がない。いかがでしょうか。
  45. 船田中

    ○船田国務大臣 私は決して原子力委員会の意見を尊重しないのではございません。もちろんそれは尊重いたします。しかし大きな国家的見地から、どこに原子力研究所を置くかということは、国務大臣としてそれについて意見を述べるということは、私は差しつかえないと思います。
  46. 岡良一

    ○岡委員 山の中でもいいという、まことにわれわれとしては驚くべき公言をしておられます。一体世界の原子力研究所で山の中にあるというのはどこですか。町の近くにはないとでもおっしゃるのですか。
  47. 船田中

    ○船田国務大臣 先般御質問が志村委員からありまして、個人的の意見を率直に述べろということでございますから、そこで原子力研究所というような未知のものであって、しかもこれにつきましては、ソ連やあるいはアメリカのような国におきましても、その残滓の措置というようなことについては非常に苦心をしておる、従ってなるべくそういう心配のない無害な所がよかろう、その意味において山の中ということを申したのでありまして、どうでもこうでも山の中へ持っていこうということを申したわけではございません。
  48. 岡良一

    ○岡委員 実は原子力研究所を作り、初めて原子炉を置くというときに、専門的な科学者を集めまして、周到な適地の条件を検討し、その結果武山が選ばれた。そこには、先ほど長官も言われたように、やはり廃棄物の処理についても大きな関心が払われておったことは事実であります。しかし一方、日本原子力研究所は、廃棄物といっても、実験原子炉の場合はそれほどのものではないと私は思う。問題はやはり日本に初めて実験原子炉がここにできる。しかもこれは諸外国との協定等に基いて、自由自在にどこでもここでもすぐ作れるしろものではない、作ろうたって作れない。従ってここにできれば、ことし一つ、来年も一つというふうに、ほんの二つか三つ外国から実験原子炉というものを入れて、ここで日本原子力研究のいわばメッカとして今、出発しようとしている。そこでそういう事情もよくお考えにならなければ困る。それは、民間研究室からもここへ来て研究する、あるいはまた大学の研究室にいる諸君も来るなどして、これが日本の原字力研究のいわば基礎的な積み重ねの中心になる。だからして、物の廃棄だけで山の中へ持っていったって、山の中でも日本人のように地下水を飲んでおれば、あぶない。そういう危険以外に、日本における原子力研究開発という最初の発足に当って、地域の指定というものは、廃棄物だけによるのではない。そういう科学者が、ほんとうに科学し得る一切の利便と環境というものが、この候補地の大きな条件になっておる。もちろん選定委員会も、そういう条件を十分勘案して武山を選んだということを十分御承知を願いたい。たとい個人の意見だからといったって、新聞にこうはっきりと山の中へ持っていったらいいと言われたら、笑われますよ。原子力研究所が、アメリカやほかの国で、山の中にあった時代もありましょう。しかしそれは原子兵器を研究しておった一九四〇年代の話で、今では全部町のそばにできております。海のそばにこそ、中曽根委員のお説のように、まだできておりませんが——町のそばにどんどんできている。原子力発電所のような、大きな廃棄物が出るドーンレイのような施設になると、わざわざイギリスでも海の岸へ持っていっております。しかし実験原子炉の段階では、そういう科学研究の利便というものが重要な条件になっておることは、各国の事例が示すところである。幾ら防衛庁長官だって、原子力と縁が深い大臣だから、山の中でもよかろうなどと言うことは、個人的な見解としても、あなた方の無知を暴露するようなものである。  そこでとめどもなく押し問答をしても仕方がありませんが、正力国務大臣は、原子力委員長として、あくまでも武山が最適である、従って武山が敷地となるように自分としてはあらゆる努力を傾到したいということを昨日御答弁がありました。その御答弁をさらに確認をいたしたいと思いまするが、いかがでございましょうか。
  49. 正力松太郎

    正力国務大臣 きのう申し上げました通り、武山は敷地として適地だと信じております。ただし米軍は代替施設を要求しておりますから、これにあまり金がかかるならば、予算として最適地でありません。これを申しておきます。
  50. 岡良一

    ○岡委員 船田防衛庁長官にも、こういう問題は、原子力委員会の決定という超党的な決定で、学術会議も、御存じの通り、総理大臣にまでわざわざ一昨日の会議で申し入れをしているようなことで、学界も、まじめな科学者が一応大きな関心を注いでおりますので、どうか日本原子力の平和利用の第一歩として選ばれた武山に対しては、防衛庁もつらかろうが、一〇割愛をしていただくことをこの際心からお願いをいたしまして、私の質問を終えたいと思います。
  51. 有田喜一

    有田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  52. 有田喜一

    有田委員長 速記を始めて。岡君。
  53. 岡良一

    ○岡委員 原子力燃料公社について、関連してお尋ねをいたしたいと思うのです。そこで、この資料をいただきました。いろいろ私どももお聞きしてみたのでありますが、戦争中、きわめて思いつきというか、どろなわ的のウラン鉱等の探査が行われておったようでありますが、ここ両三年来少し力こぶを入れて、国も多少の予算を出して探査をしておられる。この探査の方法を確立するということが、諸外国の事例を見ても、一番先決の問題になっておったようであります。アメリカなどは、地質調査所が、二台ですか、それから民間に十台からの飛行機があって、そして例のシンチレーション・カウンターを備えて、高空からやっておるというような話を聞いております。一体この探査は、具体的にどういう方法でお進めになるのか、あるいは私の出席をしておらないときに、他の同僚委員の御質問にお答えになったかもしれませんが、この際重ねて承わりたいと思います。
  54. 佐藤源郎

    ○佐藤説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。お話にございますように、アメリカ、カナダ、最近ではブラジルにおきましては、飛行機の上にシンチレーション・カウンターを載せまして、まず空の上から手広く、また能率的に、スピーデイに調査をするという探査法が、最適のものとして、非常に益んに使われておりますことは御承知通りでございます。私どもあちらを見て参りましたときに、いろいろ意見の交換もいたしました。またヨーロッパのフランス、イタリアあたりの山岳地帯の調査の例も聞いて参ったのでありますが、日本の場合は、もちろんできるだけ飛行機の上からそういう調査をいたしたいと考えておりますけれども、非常に地形が複雑であり、また地質構造が小刻みに変化する、従いまして、飛行機を使います飛行技術の上にも問題がありますし、さらにそれに基きました放射能の異常を測定する技術が非常にむずかしいという点があるのであります。これももちろんある程度は克服しつつあると信じておりますが、まだまだ未解決の点が多々ございますので、三十一年度あたりは、まだまだ試験飛行の程度にやって参りたい。なお飛行機に載せますと同じような機械、やはりシンチレーション・カウンターを自動車の上に載せまして、自動車で陸路を走り回る。そして放射能の異常なところを見つける、こういう方法がありますが、日本の場合は、今の地形の問題、飛行技術のむずかしさという点から、むしろ自動車によります方がより効果的であり、手っとり早い、また危険も少いという利点もございますので、三十一年度には、自動車の上から調べることにむしろ重点を置きまして、飛行機の方は従の方に考える、こういうような考え方をいたしております。
  55. 岡良一

    ○岡委員 今度の公社の予算では、自動車はどの程度の規模に置かれるのですか。シンチレーション・カウンターもなかなか日本で作れないように聞いておりますが、その辺の事情はどうなんですか。
  56. 堀純郎

    ○堀説明員 ただいま佐藤さんから御説明がありましたのは、地質調査所が行います探鉱計画でございまして、燃料公社といたしましては、地質調査所で調べましたあとにつきまして、もっとこまかい調査をすることをやっていきたいと考えております。それについて説明いたしますと、まず調べましたところをもう少し詳しく地表から調査することを一ついたします。それから表土をはぎまして、士を取って参ります。トレンチと申しておりますが、そういう調査をいたします。それから試鈍器を持って参りまして、ボーリングをいたします。それからもう一つは坑道を掘りまして、坑内を探鉱いたします。そういうふうな計画にいたしております。
  57. 岡良一

    ○岡委員 それは事業計画ですでに資料の中で拝見いたしておりますが、地質調査所として、自動車にシンチレーション・カウンターを載っけてやられるというのは、何台の自動車を出されるつもりはのかという点です。
  58. 佐藤源郎

    ○佐藤説明員 自動車の台数などは、予算に関連いたしますので、何台これを準備することができますか、ただいま検討中でございますけれども、十台まではいかないのではないか、できるだけたくさんほしいのでありますけれども、その辺ただいま検討中でございます。
  59. 岡良一

    ○岡委員 とにもかくにも、ここ三、四年来の各国、カナダやアメリカ等の事例によると、エア・ボーンがやはり探鉱には一番有利だった、これは御指摘のように地形の関係もあると思いますが、アメリカのごときは、一九五四年中に、政府側としては専用機を原子力委員会が十機、地質調査所が二機、これに民間側では大小七十五機が加わって、百機からのものがウラン鉱の探査に参加している。こういうような力の入れ方であったために、一九四八年には鉱山がわずか十五しかなかったのに、一九五三年には六百、一九五四年には大小九百のウラン鉱山が発見されたという正確な情報が入っておるわけです。それほどに探鉱に非常な力こぶを入れておる。ところが現在のこの燃料公社は、探鉱をされた地質調査所の報告を待ってさらにボーリングをやるとか坑道を掘るとか言われますが、その事前の探鉱の問題、そうしてまたその後の公社としてのさらに精密な検査の問題等は、まだまだきわめて低調じゃないかと私は思うのです。この点、この程度の予算と十台ぐらいの自動車でどの程度までやれるか、見通しのないことではありましょうが、その辺の御確信のほどを一つ承わりたいと思います。
  60. 佐藤源郎

    ○佐藤説明員 探査、探鉱の成果の見通しはなかなか困難でございますが、予算の範囲内で、できるだけの準備をいたしたいということに尽きるのでございます。ただいまお読み上げになりましたアメリカの探査の効果的な事情につきましては、お話通りでございまして、アメリカの地質調査所では、大型のエア・ボーン用飛行機二台、原子力委員会は小型の同飛行機を十台、民間では七十五台というのが、一九五四年末現在の状況でございます。これはアメリカとして特に金があるという以外に、コロラド高原の特殊な地質状況に基きまして、この飛行機のエア・ボーン調査が非常に有効であるという理由もあるわけであります。日本といたしましては、コロラド高原のような地質は全くないわけでございまして、むしろ山岳地帯の険しい地形が多いのでございます。特に花崗岩地帯は、このコロラド高原のような地形、地質と全く違いますので、先ほど申し上げましたように、カー・ボーンに主体を置くわけでございますが、その間、地質調査所で基礎調査をやりまして、その先の調査へバトンを渡すその前後のことにつきましては、極力私ども注意をいたしまして、円滑な調査、探査をいたしたいと考えております。
  61. 志村茂治

    ○志村委員 関連して。ただいまの話で、シンチレーション・カウンターのことがだいぶ出ておりましたが、シンチレーション・カウンターを発注して、日本で入手するまでには、相当期間があるというふうに聞いております。一体日本ではいつごろこのシンチレーシヨン・カウンターを手に入れる計画になっておるか。っ  次に、フランスがウラン鉱の探査をした場合に、シンチレーシセン・カウンターを使ったかどうか、その点を聞いておきたいと思います。
  62. 佐藤源郎

    ○佐藤説明員 シンチレーション・カウンターは、現在科学研究所で国産品を試作しております。現在私ども地質調査所では、その試作品を一台手に入れることになっており、もうほとんどでき上っております。なお、カナダから買いました一台はこちらにございます。なお発注しました二台は、三十一年度の上半期には私どもの手に入ると思っております。シンチレーション・カウンターは、もちろんいろいろな大きさによりまして、性能の差がありますので、精度の高いものを要求しておるわけでありますけれども、一台、二台ございますれば、さしあたりの探査には一応役に立つ、こういうふうに考えております。  なお、フランスは、ただいまのお話のように、国家的な、積極的な国内探査を世界でまつ先に実行した国でありまして、一九四六年から調査しております。その当座はいまだシンチレーション・カウンターの構造がよくわかっておりませんので、最初はガイガー・カウンターを使っておったようでありますけれども、最近ではもちろんシンチレーション・カウンターを併用して使っておると承知しております。
  63. 志村茂治

    ○志村委員 そこでちょっと思いついたこにとがあるのであります。フランスが大きな成果をあげたのは、シンチレーション・カウンターを使う以前のことではなかったか、こう考えているのです。日本でシンチレーション・カウンターにあまり拘泥する必要はないんじゃないか、もちろんこれがあれば、性能が高いのでございますから、けっこうでございますが、あまりそれにかじりつかないで、それ以前に日本で持っておるガイガー・カウンター等によって、どんどん調査を進められていくのがいいのではないか、こういうふうに考えているのですが、どうでしょうか。
  64. 佐藤源郎

    ○佐藤説明員 御意見の通りでございまして、できるだけ国産品を使う方針でおりますと同時に、またシンチレーション・カウンターとガイガー・カウンターの使い方は、調査をいたします目標物によりまして、また目的によりまして、いろいろ使い分けがございますので、ガイガー・カウンターももちろん積極的に活用いたす計画でございます。
  65. 岡良一

    ○岡委員 そこで、いよいよ地質調査所と公社の方が御協力になって、鉱脈あるいはそれ以外のものでも発見されたという場合、その製練の技術については、先ほどちょっと御答弁がありましたが、日本は、製練の技術あるいはその施設等については、いかがな程度のものなんでしょうか。
  66. 堀純郎

    ○堀説明員 ただいま製練の技術は二、三のところへお願いしまして、委託研究をやっていただいているのです。その一つは三菱鉱業へお願いしまして、国産鉱石が見つかった場合、それから粗ウラニウムを作る研究をやっていただいております。いま一つは、そういうふうにしてできました粗ウラニウムから、燃料要素になりますような純粋なウラニウムを作ります製練、精製の研究を、科学研究所と通産省の電気試験所、この両方でやっていただいております。それからこれは国産鉱石とちょっと離れますが、燐鉱石からウランを作る研究を、日産化学にお願いしましてやっております。  大体以上の通りでございます。
  67. 岡良一

    ○岡委員 私どもしろうとでわかりませんが、たとえば燐鉱石の処理技術の過程で、ウランの抽出ができるとか、いろいろな技術を新聞や雑誌で見るのでございます。そういう多角的な製練の方法というようなものは、考えられておるのでしょうか。
  68. 堀純郎

    ○堀説明員 ただいま私の申しました日産化学にお願いしております燐鉱石からウランを取ると申しますのは、おっしゃった通りのものでございます。これは燐鉱石を燐酸肥料として使うと同時に、それの副産物からウランを取り出す、本来の目的である燐酸肥料としての使用を妨げないで、ウランを取り出す、そういう研究でございます。
  69. 岡良一

    ○岡委員 先般、工業技術院の院長からもいろいろ日本のウラン鉱の実情については承わりました。現在のところでは、なかなか採算に合わないというような御意見も承わりました。ところが先般二月の二十二日でありましたか、アメリカのアイゼンハワー大統領から、四十トンの大量の濃縮ウラン放出という言明がありました。これはウランの原子燃料を持たない国々にとっては、大きなショックを与えたわけであります。日本国とすれば、この声明に対していかにこたうべきものと思われるか、委員長から御答弁を願いたいと思います。
  70. 正力松太郎

    正力国務大臣 まだアメリカからこっちへ正式に交渉があったわけではないのであります。従って、どうすべきかということは、まだ決定しておりません。しかしあれは非常にけっこうなことだと思うております。
  71. 岡良一

    ○岡委員 それで、その前にちょっとお尋ねしたいのは、この前、日本原子力研究所事業計画として御提示になったものは、あれは結局一度撤回されて、原子力委員会でまた重ねて十分御検討を加えた上で、ほんとう原子力研究所事業計画をお作りになるわけでございますか。
  72. 正力松太郎

    正力国務大臣 それはちょっと先ほど佐々木委員にも答弁したところでありますが、あれは準備委員会で作った計画でございます。今度は原子力委員会というものができ、また参与もできましたから、今度あれを再検討する。すでに再検討しつつあります。その上で、でき上ったものを発表いたします。
  73. 岡良一

    ○岡委員 いつそれは提出していただけましょうか。
  74. 正力松太郎

    正力国務大臣 この間とにかく調査を命ずることにしただけでありますので、いつまでにできるか、ちょっとまだ明言いたしかねます。
  75. 岡良一

    ○岡委員 あの基本的な計画の中で一番問題になったのは、要するに三十四年、五年にかけて動力炉を発注する点で、このことは当時御出席の湯川博士も御指摘になった通りであります。そこで、天然ウラン・重水型というところまでは、この前御提示の事業計画をそのままに、私どもはこういう御計画であるというところまでは一応了承していいのじゃないかと思いますが、原子力局長、いかがでしょうか。
  76. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいま大臣からお話がございました通りでありまして、実はこの前にお出ししました事業計画は、昨年の平和利用準備調査会でおきめ願ったものを基礎にいたしまして、それを予算化したというだけにすぎません。従いまして、その後、委員会にも一応こういう計画のものだというお話を申し上げましたところ、委員の皆さんも、せっかく新しい委員会もでき、同時にまた国内、国際情勢もその後だいぶ変化しておりますので、その後の新しい経過等を織りまぜて、再検討すべきではなかろうかというので、ただいま大臣からお話がありましたように、再検討の準備あるいはその資料の收集中でございます。それがいつできますかということは、参与の皆さん等にもお集まり願って、もう少し検討いたしませんと、その時期等は明確には申し上げられませんが、ただ三十一年度に関しましては、あの法案にもございますように、委員会でその基本計画を定めまして、その基本計画にのっとって、実際の業務などがきまるということに法的には定めができておりますから、あの法案が通ることを前提として、今からそういう基本計画の準備を進めております。ただ長期の面に関しましては、いろいろ委員の皆さんにも御議論がございます。あるいは長期にわたるものでありますれば、これは、実施計画というよりは、目標計画というふうに考えるのが至当じゃないかというふうな意見もございますので、あるいは今後の検討の結果、初期にありましては実施計画、その後におきましては目標計画ということになるかもしれませんが、今のところではその目標計画に関しましても再検討するというだけで、果して国産炉だけの計画で、あのテンポでいいのか、あるいはもっと早める要があるのか、あるいはそれに引き続きましての発電計画もどういうふうな内容のものかといったような、それらの検討によりましては、あのままで最終的な決定になるやいなかということも明確ではございません。
  77. 岡良一

    ○岡委員 これは科学技術委員会としてもやはり重大な関心を注いでおる問題でありますので、原子力委員会において最終的な御決定をなされたら、ぜひすみやかに御提示願いたいと思うのであります。  関連して、堀さんでもけっこうですが、日本としては、一応基礎研究という大きな旗じるしが今度の日本原子力研究所目的にあると思います。そこで、国産ウラン・天然ウラン・重水型というようなことになりますれば、当然日本における重水の生産ということがここに問題になろうと思うのです。最近は高速中性子炉というようなものもできておるようでありますが、何と申しましても、やはり原子力開発の基礎的な訓練、研究といたしましては、重水というものが不可欠な材料になろうかと思います。重水については、燃料公社というものとは全然無関係なのでありますか。また重水については、現在の日本の技術また現状の施設においては、どの程度のものでありましょうか。原子炉に使えるだけの純度の高い重水ができる段階にあるのか、こういう点を伺いたい。
  78. 堀純郎

    ○堀説明員 御説明いたします。重水の生産は、燃料公社とは全然別のところで将来製造されるだろうと思っております。ただいまそれの研究を二、三のところに委託しておりますが、この研究を委託しますところは、そういう重水を作るのに必要な——これは水素でありますが、これの生産設備を持っておるところに委託するのが一番便利でございますから、そういうところへお願いしております。その現状を申しますと、重水の製造の日本に適した技術といたしましては、大体二通りの方法が考えられます。一つは、これは専門の言葉になりますが、交換反応法という製法でございます。これは昭和電工にお願いしまして、あすこの川崎工場で研究を進めていただいております。もう一つは、水素の液化蒸溜という方法でございます。これは液体水素を作りまして、それから重水素を分けるという方法でございまして、まだ具体的な研究計画はあまり進んでおりませんが、その初期の段階は、旭化成に委託して研究を進めていただいております。  それから、その交換反応性あるいは水素の液化蒸溜、二つの方法によりまして、相当濃度の高い重水が作られますが、原子炉に必要といたします九九・七%というような重水は、回收電解法という方法で作ることになっておりまして、これを都立大学と旭化成と両方に委託しております。これらの研究ができ上りますと、問題はそれのコストがどれくらいになるかということでございますが、技術的にはいずれの方法も可能でございまして、日本の天然ウラン。国産炉を作りますには、おそらく一、二トンあるいは三トンくらいの重水は、国産で、しかも九九・七%という適格なものを十分製造し得る見込みでございます。
  79. 岡良一

    ○岡委員 将来は、重水等についても、あるいはまた原子燃料であるウラン鉱の開発についても、見通しは一応あるわけでありますが、そこで先の問題に移って、結局アメリカの方では四十トンという大量の原料を放出しようと言いました。それについては、まだ政府の方へ正規なアメリカからの申し出がないということでございまするが、アイゼンハワー大統領の声明を見ますと、アメリカ国内向けとしては、主として原子力発電所の燃料として二十トンが民間に貸与される。国外向けとしては、発電用原子炉及び実験炉のために二十トンが売却または貸与される。それからソ連及びその衛星国には供与されない。供与は、原子燃料が軍事的目的に転用されぬように、細心な安全保護措置のもとに行われる。大体こういう骨子であるということを外電は伝えております。そこで、これに対する日本側の態度は、やはり日本の今後の原子力の自主的な研究開発とまさに不可分の関係にあると私は思うのであります。それで繰り返し正力委員長の御見解を承わりたいと思います。実は先般もこの委員会で私が繰り返し申し述べたことは、アメリカのアイゼンハワー大統領が二月の二十二日にこの大量の、国内には二十トン、国外向け二十トン、計四十トンの濃縮ウランの放出声明をした、ちようどそれから約三週間ほど前、一月三十一日には、去年の三月から、科学者、産業界、労働組合あるいはジヤーナリストなども加わつた九人で、アメリカには、原子力平和利用の影響に関する専門委員会というものが発足しております。これが、十カ月かかって、アメリカの上院と下院に報告書を提出しております。この報告書の内容はどういうことかというと、アメリカと双務協定を結んでおる国々と、アジアとかヨーロツパとかいう地域的にブロツク的な会議を持ちたい。そうしてこれらの国々に対して、一九六〇年までに百万トンの原子発電炉の契約をいたしたいということを勧告いたしております。ところがそれから三週間余りを経て、二十トンは国外向けという声明をいたしました。その勧告書の中には、さらにこういうことが書いてある。それは、アメリカは海外において約三百億ドルの原子炉の注文を受け取ることのできる潜在市場を持っておるということを書いてある。そうしてみれば、この二十トンを海外向け、しかも一九六〇年までには百万トンの発電原子炉の契約をやろうという、しかも二十トンといえば、これがフルに発電のための燃料になれば、約三百万キロワツトくらいだそうでありまするが、まあ百万キロワツトは優にこえるだけの原料になり得るわけです。だから、この一月三十一日の専門委員会の報告と、その後におけるアイゼンハワーの声明というものは不可分なものだと私は思う。そうするとアメリカの国内においても、発電炉はもとより実験原子炉についてもいろいろな型のものが試作されてきた。それは用に耐えるようになってきた。そこでアメリカ政府の方では、もう生産が過剰になってきた。第一次の放出として、濃縮ウランを二十トンだけ海外に出そう。それにはアメリカからの実験原子炉なり発電原子炉を買わなければならぬということで買わしめるがために、原料の裏づけとして濃縮ウランの放出という形になってきた。いわばアメリカのコンマーシヤリズムというものがここにはっきり出てきているのじゃないかと私は想像するわけなのです。これは今後の日本原子力研究開発にはいろいろな重大な影響を与える問題であろうと思いまするが、アイゼンハワー大統領の声明についていかがに思われましようか。
  80. 正力松太郎

    正力国務大臣 今お話通り、あるいはアメリカは商業的に考えておるかもしれません。しかしまた一面に、世界の平和のために尽そうというような考えもあると思います。いずれにしても、日本としましては、日本の自主性を害するようなことはいたしません。日本のためになることなら、あるいは買うかもしれません。損になつたり、少くとも自主性を害することはやらせません。
  81. 岡良一

    ○岡委員 それに関連して、きょうの新聞を拝見いたしますると、関西電力で、三菱電機が通産省の電気試験所と協力して、原子力発電用テスト・プラントの設計委員会を作つて、四月一日から一万キロワツト程度の本格的な原子炉の設計を始めることになり、十七日に同電力で第一回の準備打合会を開いたという記事が出ておるわけであります。こういうふうに、民間電力会社がプラントの設計を作るのではありまするけれども、こもごもこういうふうな形で乗り出されるということになってくると、日本原子力行政というものの総合性、一貫性の上において、遺憾な事態が起りはしないかと私は思うのです。この点いかがでしよう。
  82. 佐々木義武

    佐々木政府委員 関西電力は、御承知のように、原子力発電の問題につきまして非常に注目をしておりまして、一本松常務も、昨年ジユネーヴに参り、かつて通産省の技術長をやりました吉岡君もここに入りまして、その問題に取つ組んでおるような次第でございます。従いまして、関西電力といたしましては、日本の将来の原子力事情等をにらみねがら研究を進めること自体に関しましては、一向差しつかえないのじゃないかというふうに考えております。さてそれが国の施策として具現してくる場合におきましては、基本法の精神あるいは原子力局任務等も勘案いたしまして、十分原子力委員会の皆さんの御意向もお聞きした上で態度を決するのでございまするから、将来の実際の具体化の問題は今から予測はできませんが、しかし研究そのものは、それぞれの分野で進めまして、そうしてできますれば産業会議等ができておりまするから、そういうところに次第に問題を移して、部分的なものから、日本的な視野で研究を進めていくというふうな形は、むしろけつこうなことじやなかろうかと存ずるのであります。
  83. 岡良一

    ○岡委員 しかし電気事業会社が、このような設計について委員会を正規に発足させるということになれば、その目的は、言わずと知れた将来の発電のためのテスト・プラントを輸入するという場合、電力会社の実情に即したものとして受け入れるための準備工作だとしか考えられないと私は思う。これは学者の研究じゃないのですから、そうなれば、関西電力原子力電力炉について、すでにその設計のプランについて発足したということは、つまり日本がアメリカからパイロツト・プラントを輸入するためのデモンストレーシヨン計画ということで、今、原子力委員会が展示しておる発電所計画、建設、設計というものを受け入れる。こういうことを前提として初めて電力会社としてはこういう挙に乗り出したものと考えるよりほか仕方がないと思う。単に、民間会社が協力していることは望ましいことだということでは済まされないのじゃないか。こういう事態があつちこっちの電力会社において起つてくるということに相なつた場合、基本法そのものの精神、またしばしば日本原子力研究所運営においてもお約束になつたことが、いわば民間側のこのようね実績によって、混乱されてくるという事態が起らないでしょうか。
  84. 佐々木義武

    佐々木政府委員 基本法にも明示してございますように、原子炉そのものの設置その他に関しましては、主務官庁の認可事項になっておりますので、これを実際に具体化する場合には、当然政府の問題になります。従いまして、関西電力研究が果してアメリカからテスト・プラントを輸入するという計画になるのか、あるいは国内の資源等を利用いたしまして、自分の手でそれを作るというふうになりますのか、あるいはその時期等も、先ほど申し上げましたように、デモンストレーシヨン・プラントができまして、研究所研究しましたその成果等とかね合つて具体化するというふうな順序になりますのか、そこら辺はまだ不明確でございますので、今の関西電力研究過程に関しましては何とも申し上げられないのでありますが、しかし原則といたしましては、あくまでも研究そのもの民間でやるのに対して制約を加えるという態度は、政府といたしましては、毛頭とるべきでないというふうに考えております。ただくどいようでございまするが、それが具体化して、政府の方針に反する際には、これは許可しないだけの話でございまして、大いに各所で研究を進め、その研究もできますれば、さっき申し上げましたように、産業会議等ございますので、そういう視野から、部分的なものを総合的にさらにコール・ミートいたしまして、政府といたしましては、そういうものを自分の方針に照らし合せて許可していく、こういうのが当然の道行きかと存じ上げております。
  85. 岡良一

    ○岡委員 これについて、民間側が原子力研究開発に大いに協力してくれるということは、こうも拒むことじゃない。これはもとよりのことなんです。ただしかし、日本原子力研究開発は、基本法によって一つのコースというものがはっきりうたわれておる。ところが関西電力の、来月から始めようという一万キロワツト程度のテスト・プラント設計委員会は、はっきりこう言っておる。同委員会が原子炉の設計に乗り出したのは、将来原子力発電用テスト・プラントを作る際に、海外から原子炉を輸入するにしても云々と書いてあるのです。しかもその委員の中には、通産省の電気試験所の電力部長も参加をしておられるということになってくると、この一角で、日本原子力の平和利用がくずれようとしておる。少くとも、こうなれば、動力協定というものを政府は当然するものだという前提に立なければ、この挙に出れないのじゃないかと思うのです。いかがなものでしょうか。
  86. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この前、この席で湯川委員からたしか申し上げたと記憶しておりますが、動力協定そのものも、現状の立場でああいうことになっておるだけでございまして、四、五年先にはどういうふうになるか、言いかえますと、国連の委員会等が今後発展して参ります際には、今考えておるような行き方のみで数年先も推移するかどうか、これはわかりません。従って、それを具現化する際には、十分時の政府の方針等を照らし合せまして、その方向に合うようにすべきが当然だと存じますが、各会社でそれぞれ研究を進めるということ自体に関しましては、むしろこれをチエツクせずに伸ばしていくという方向こそが望ましいのではなかろうかというふうに考えております。
  87. 岡良一

    ○岡委員 御趣旨はわかりました。ただ私が申し上げるのは、四、五年先になって、原子力発電に関する現在のあのようにきびしい秘密保護の保障を求められておるような事態が、全く緩和されてくるという事態になれば、もちろんそれはけつこうなことですが、あまりにも手きびしいこの機密保護の保障を要求された現段階では、そう簡単にはこれが解除にならないのではねいかという心配から、実はお尋ねを申し上げておるわけなんです。  そこで、もう一つは、こういうふうに関西電力が乗り出してくれるということ、これは各電力会社もおそらく共通な意欲を持っているのではないかと私は思う。そういう場合に、やはりこの民間の協力というものは、せつかく産業会議もできておるのだが、もっと一本に、個々の企業が、その企業独自に計画を立てて、その道を行くというのではなく、こういう問題こそ、原子力産業会議というものが、民間の全体の原子力研究開発の意欲を取りまとめていくというような役割を果すのが、私はほんとうではないかと思う。またそういう姿になれば、日本原子力研究所とこれらとの有機的な緊密な一体性もできてくるのではないか、私はそう思うのです。こういう点、正力委員長いかがですか。
  88. 正力松太郎

    正力国務大臣 お話通りです。今度産業会議ができたのも、今のようなことが目的一つになっておりますし、また政府でもそれを希望しております。そういうふうになると思うています。
  89. 岡良一

    ○岡委員 実は外務省の人に少しお出を願いたいと思ったのですが、これは唐突な質問のことでもありましたから、おいでになりませんので、一応私の質問を打ち切ります。
  90. 有田喜一

    有田委員長 他に御発言はありませんか。——他に御発言がなければ、両案に対する質疑は、一応これにて終了いたします。  次会は討論採決をなすこととし、その日時は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時十四分散会