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1956-02-29 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十九日(水曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 前田 正男君    理事 南  好雄君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       稻葉  修君    楠美 省吾君       小平 久雄君    須磨彌吉郎君       橋本 龍伍君    山口 好一君       岡本 隆一君    堂森 芳夫君       原   茂君    福田 昌子君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         内閣官房副長         官       田中 榮一君         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         総理府事務官         (原子力局長) 佐々木義武君         総理府事務官         (科学技術行政         協議会事務局         長)      鈴江 康平君         行政管理政務次         官       宇都宮徳馬君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君     ————————————— 二月二十八日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員赤澤正道君及び岡田春夫辞任につき、そ  の補欠として楠美省吾君及び小山亮君が、議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法案内閣提出第五一号)     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法案を議題といたします。  質疑の通告がありますから、これを許します。志村茂治君。
  3. 志村茂治

    志村委員 このたび科学技術庁設置されることになりましたが、行政管理庁としては、このたび政府提案になりました科学技術庁のこの形をもって満足されておられるのかどうか。もしなお欠点ありと考えられますならば、どの点であるか、その点をつまびらかにしていただきたい。
  4. 宇都宮徳馬

    宇都宮政府委員 行政管理庁といたしましては、御承知通り行政審議会答申に基きまして、行政審議会答申基礎にした案を持っておったのであります。しかしながら、種々検討いたしますると、通産省試験研究機関等を一部持っていくというような原案になっておりましたが、さような各省庁に付属しております研究機関の一部を持ってきまして、そうして科学技術庁発足せしめますよりも、将来、科学技術庁の成立後に、科学技術庁に根本町に検討してもらって、付属せしめるものは付属せしめるというふうにした方がよろしい、こう考えまして、要綱にもありまする通り——試験研究機関検討という項目におきまして、「中央、地方を通じて、試験研究機関のあり方及び所属については、科学技術省発足後根本的に再総計を加えるものとする。」こう要綱にもありまする通り科学技術庁がこの研究機関の根本的な検討によって強く発展することを期待いたしておるのです。  なお、行管がこれに満足しておるかどうかということにつきましては、この根本的な検討がうまくいきまして、科学技術庁が強くなれば、非常に満足するわけであります。
  5. 志村茂治

    志村委員 先般来、特に通産省との間にこの委員会質疑応答がありましたが、その経過においてわれわれが考えますことは、通産省が、通産行政の便宜上、研究所はやはり自分のところでは入り用であるというようなことを主張されておりますが、通産省通産業務上必要な部面は、主として試験検定部面ではないか、こういうふうに考えております。ところが、ここに日本科学技術振興のために特に研究を別当する行政官庁として科学技術庁というものができました以上は、研究部面はむしろ科学技術庁に担当させるのが適当ではないか、こういうふうに考えるわけであります。一つ研究所あるいは試験所内容としましては、試験検定とそれから研究との二部面を持っておるのでありますが、行政管理庁としては、将来は、研究試験検定、この二つをその性格に基いて分けて、研究科学技術庁に所属させ、試験検定部面当該官庁に属せしむるというような方法考えておられるかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  6. 宇都宮徳馬

    宇都宮政府委員 お答えいたします。もちろん行政に直接つながっております検定の仕事は、その行政機関から離すことは非常に困難であろうと思います。従って、どうしてもかような試験所は要るわけでございまするけれども、試験所の中に、純粋の研究的な設備とか人員がおるということも事実ございまするから、そういうものは、科学技術庁においてよく検討を願いまして、将来、科学技術庁の所管のもとの研究機関になるということを期待いたしておるわけであります。しかしながら、また試験研究とをどこで分けるかということが非常に困難な問題でございますから、行管としては、早急に科学技術庁発足せしめるという、要請もございまするし、ぐずぐずしていられないものでございますから、さしあたり、あのような形で発足いたす、こういうわけでございます。
  7. 志村茂治

    志村委員 ただいまのお話、また先ほどお話によりましても、三十一年二月三日の閣議決定試験研究機関検討に述べております要綱に基いて、極力行政管理庁としては科学技術庁拡大強化をはかるという御趣旨を承わったのであります。それにしましても、現在、日本としては、科学技術振興は焦眉の急務である、その緊急性にかんがみまして、できるだけ早く整備して実現をしていただきたいということをわれわれは希望いたしておるのであります。これがじんぜん日が延びるようでは困りますが、われわれとしては、少くとも三十二年度にはそのような形ができ上りますように、お願いいたしたいのです。それだけの考えを持ってやっていただけますか。この点をお聞きしておきたい。
  8. 宇都宮徳馬

    宇都宮政府委員 御趣旨に沿うように、努力いたしたいと思っております。
  9. 有田喜一

  10. 前田正男

    前田(正)委員 それでは、先に文部大臣の方からお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。まず最初に、文部大臣にお聞きしたいと思いますことは、この科学技術庁発足するに当りましての一つの大きな問題は、わが国は、御承知通り基礎的な研究につきましては、われわれは世界的な水準にあるものと思いますし、しかもその中において、すでにノーベル賞をもらった方もおられたり、各方面に勇名をとどろかせておられるりっぱな研究家がたくさんおられるのであります。また私たちは、いろいろと各方面から、日本科学技術振興には、こうしたらいいというようなりっぱな御意見学者から承わる機会が多いのでございます。しかしながら、残念なことには、その基礎的な研究が応用化されない。こういうようなことで、すでに外国でそれが応用化されまして、日本にそれが逆輸入されたという例もたくさんその実例があるわけであります。こういうような基礎研究応用研究との間に関連性がない、あるいはりっぱな学者の言われたことが、実際に政治として取り上げられて、日本国力発展のためにそれが実際に応用されていないという点に、日本科学技術の一番大きな欠点があるのではないか。やはり学会と民間と官界との間の連絡というものが不十分であるという点に、科学技術の一番大きな欠点があるんじゃないか。こういうような点から、私たち科学技術庁というものはぜひ設置して、政府部内の科学技術意見というものを統一していかなければいけない。こういうことで、私たち科学技術関係のある議員が、数年前から科学技術庁設置ということについては推進して参ったような次第であります。幸いにいたしまして、今度政府科学技術庁法案を出されるということになりましたが、しかし大学研究の自由というものは、この際われわれも侵したくないということから、政府提案になっておりますように、大学におけるところの研究に、これを対象から除くということにはわれわれも異議がありませんけれども、もちろんこの科学技術庁の取り扱う関係行政機関には、文部省が入っておるわけであります。そこで、文部省大学研究のことをおやりになるのでありすすから、直接には、科学技術庁としては大学研究はやりませんけれども、文部省を通じて、大学研究というものについても、一般科宇技術振興のためにこの際協力していかなければならぬ。先ほども申しました通り基礎研究というものと、それを応用化した国力発展というものとの連絡というものに、大いに尽力を願わなければならぬと思うのであります。この点につきまして、文部大臣とされては、科学技術庁発足に当りまして、文部省もこれに大いに御協力される意思であるかどうかということを、まず第一にお聞きしたいと思うのであります。
  11. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今、前田さんが初めに御説明になったようなことは、ほかからも従前耳にするところであります。大学自治はむろんでありまするけれども、国家の施設でございまするから、応用方面においても、原理の方面においても、十分国の役に立たせるようにいたしたいと思いまして、よりより過日以来考えておるところでございます。科学技術庁には全面的に協力いたしたいと思います。
  12. 前田正男

    前田(正)委員 それでは、具体的にこの法案につきましてお聞きをしたいと思うのでありますが、これは法制局とちょっと関係がありますので、法制局関連して一つ御質問さしていただきたいと思うのであります。  まず最切に、これは法制局の方の聞きしなければならぬと思うのでありますが、この第三条の任務というところに、「科学技術庁は、科学技術振興を図り」ということが書いてありまして、そのあとの、「科学技術」「に関する行政を総合的に推進する」というところには、「(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。)」ということになっておるのであります。この法文から見ますならば、当然先の「科学技術振興を図り、」というところは、広く人文科学大学研究も全部入っておると解釈して、科学技術庁は全般にわたって科学技術振興のためには努力してもいい、そういうことを考えてもいいと私は解釈したいと思うのでありますが、法制局はどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  13. 野木新一

    野木政府委員 第三条の法文自体から見ますると、最初科学技術というところには別に除外はございませんで、次の科学技術というところには、カッコいたしまして除外してあります。従いまして、第三条だけから見ますと、初めの「科学技術振興を図り、」というところには、これはここでは広く読んでも差しつかえないと思います。あと科学技術というところで抜けておりまして、要するに「(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。)」とありますが、この重点になりますのは、そういうような行政という面が一番重点になりますので、あと科学技術に関する行政というところで除いた方が重点的だろうと思いまして、ここで除いたわけであります。結果から見ますと、前の方に除いてありませんから、前の文字から見ると、広く解釈できるということになるかと存じます。
  14. 前田正男

    前田(正)委員 従いまして、行政については除かれますることは私も承知いたしますけれども、科学技術庁の人が、たとえば科学技術庁長官科学技術振興のために、各方面にわたっていろいろなことを考えたりあるいは発言をしたりするというようなことは、これは差しつかえないのだと思うのでありますが、どうでしょうか。その点は、科学技術庁長官はそういうことを発言しちゃいかぬものであるかどうかということ、その辺も一つ伺いたいと思うのであります。
  15. 野木新一

    野木政府委員 十一条の方に関連いたしますが、十一条の二項、三項のあたりで、「科学技術振興」という文字が出ておるわけであります。これは、法文から見ますると、第三条において「科学技術」「以下同じ)」とありますので、十一条の方の科学技術というのも、法文といたしましては、カッコが除かれたようになってくると存じます。しかしながら、特に大学とかなんとか言わないで、科学技術一般について論ずる上におきましては、そのうちにおのずから含まれるというようになるのは、必ずしもこの法律趣旨に反することにならないのではないかと存ずる次第であります。
  16. 前田正男

    前田(正)委員 今の通りの十一条以下の、こういう行政的な事務には、当然除かれるということはわれわれも考えており、科学技術庁長官として、行政的な事務をやるというのは、当然除かれると思うのでありますが、今の御答弁のように、一般的に科学技術の問題を論ずる——行政的に論ずるわけではありませんけれども、科学技術庁長官発言を封じられておるということでは困りますので、そういうような、一般的に科学技術振興をはかるために努力するということは、私は差しつかえないのじゃないか、こう思うのであります。特に第三条にも、「主たる任務」というふうに、「主たる」という字がはっきりある以上は、差しつかえない、こう思うのであります。  そこで、次に第七条の企画調整局事務についてお聞きしたいと思うのであります。この第七条の事務は、科学技術行政協議会のやっておりました事務を大体これに含めておるわけでありますが、この科学技術行政協議会は、従来各省にわたりますところの技術者渡航の問題でありますとか、あるいは各省にわたるところの機械の輸人の問題、こういった問題について、一部でございますけれども、一括費用を計上して持っておりまして、そのうちから文部省あるいは大学研究設備賞等も出しておったというようなことがあるのであります。これは当然第七条の第二、三号で、これは今度は大学研究というふうにはっきりはできないと思いますが、文部省の分も含めて当然枝術渡航費用あるいは機械購入費用というようなものをとりまして、それを文部省に渡して、文部省が適当に大学に使うなりあるいは産業教育に使うなり、それは自由でありますけれども、文部省のものを含んで総合調整をするというようなこととしては、私は権限として差しつかえないと思うのでありますが、これはどう御解釈になりますが、一つ聞かしていただきたい。
  17. 野木新一

    野木政府委員 この点は、やはり先ほどの問題と関連いたしますが、第七条第二号、第三号あたり科学技術というものからは、やはり第三条のうしろの方のカッコのついた科学技術ということになるわけであります。特に大学とかなんとかいうことでなくて、文部省その他の関係機関一般の問題として論ずる場合においては、必ずしも大学自治をそこなう、大字の研究の自由をそこなうという趣旨に反しないわけでありますから、この法律趣旨からは、そういうことはできないとまでは言わなくてもよいのではないかと存ずる次第であります。
  18. 前田正男

    前田(正)委員 これは将来各省権限事項について問題を起すといけませんので、はなはだあれでありますけれども、この際一つ文部大臣も、従来こういうことを施策として取り扱っておりましたと同じように、企画調整局でも取り扱って差しつかえないかどうかということについてお聞かせ願いたい。
  19. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 法制局と同一に解釈しております。
  20. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、従来通り取り扱っても差しつかえないわけでございますか。
  21. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 さようです。
  22. 前田正男

    前田(正)委員 次に、もう一つこの問題で法制局にお聞きしなければならぬことは、予算が決定いたしましたあと、これは従来科学技術行政協議会におきましては、各省にわたる予算の使用の場合においては、たとえば、私ども聞いてります実例は、ガス・タービンの研究のときであったと思いますけれども、特別の委員会を設けまして、各省予算使い方といいますか、配分の仕方というか、そういうことについて、総合的に打ち合せをしてやっておったのであります。こういうようなことは、当然第七条第二号の事務総合調整をということで、予算を使用する場合に、各省にも関連あるもので必要のある場合には、その予算使い方について調整をするということも差しつかえないと思うのでありますが、これはどうでございましょうか。
  23. 野木新一

    野木政府委員 予算関係では、第七条第三号に出ておりますが、第三号でも広く「関係行政機関科学技術に関する事務総合調整に関すること。」とありますので、この趣旨に反しない限度においては、今言った程度のこともある程度可能ではないかと存ずる次第であります。
  24. 前田正男

    前田(正)委員 第三号の方は、これから見積りをして、予算をとるまでの場合のように思いますが、あるいは配分計画も、その予算見積りを立てるときには当然人っていると思いますから、配分計画のことも入って予算見積りを立てておられると思います。しかし、私が今申し上げましたのは、予算を実際に使うときに、各省関連のある場合には、総合調整したいということで、大体今のお話通り、第七条の第二条として読んでいっても差しつかえたいのではないか、私はこう考えておるのであります。それは差しつかえないだろうと思いますが、どうでございましょう。
  25. 野木新一

    野木政府委員 第七条第三号に、予算関係経費関係が書いてありますので、ぼやけた点はありますが、第二号は非常に広く言っておるわけでありますから、ある程度のことはこれでまかなえるのではないかと思っておる次第であります。
  26. 前田正男

    前田(正)委員 それでは、次に第十一条の問題についてお聞きしたいと思うのであります。第十一条は、先ほど政府委員から多少触れられたようでありますが、われわれも、ここに書いてあります科学技術振興という意味には、大学研究は入っていない、こう考えるのでありますけれども、第十一条第二項の「科学技術振興及び資源の総合的利用を図るため必要があると認めるときは、」というのは、いわゆる大学研究は含まれないという理由のもとにおいて、必要があるというときは、関係行政機関、たとえば、文部大臣に対して、その大学研究のことも、大学研究は含まれていない理由でありますけれども、ぜひその内容を知りたいというようなことで、一つ大学研究のことについても資料を出してもらいたい大学研究を知りたいから一つ出してくれ、こういうことでは、この法文にひっかかると思うのでありますが、大学研究のためではなくて、ほかの科学技術振興のために、大学研究内容について、一つ文部大臣からも資料として出してもらいたいということでは、第十一条第二項の法文で、資料提出及び説明を求めることができるというふうに読めると思うのであります。法制局答弁を先にお願いしたいと思います。
  27. 野木新一

    野木政府委員 ただいまの十一条二項に関する限りは、御説の通りだと思います。前段の、「科学技術振興」「を図るため必要があると認めるときは」というこの科学技術については、やはりカッコのついた方の科学技術でありますが、大学自体とまで特にこれを取り上げていうのは多少いかがかと思います。一般に、わが国科学技術振興のため必要があると認めるときには、文部大臣に対して大学資料を出してくれということは、別に大学研究自治に反しませんから、可能であろうと思います。のみならず、大学研究には別に秘密ということもございませんでしょうから、そういう意味からいっても、実体的に考えてみましても、大学研究自治というものをそこなうものではないのでありますから、これは問題ないと存じます。
  28. 前田正男

    前田(正)委員 今の説明で大体明瞭でありますけれども、この際文部大臣からも、必要があるときは、大学研究内容についても、資料提出して差しつかえないかどうか、一つお答え願いたいと思います。
  29. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 同様な趣旨でありますが、本日これは書いてきておりますから、これを朗読します。科学技術庁長官が、第十一条第二項によって文部大臣に必要な資料提出を求める場合には、一般的な科学技術振興をはかるための資料として、大学に関する資料を要求することはできます。
  30. 前田正男

    前田(正)委員 それで明瞭になりました。  一次に、第十一条の三項でございますけれども、この勧告をする場合には、科学技術振興ということがこれに関する重要事項となっておりますので、二項とは多少変ってくると思うのでありますけれども、しかし、たとえば科学技術関連をいたしまして、科学技術教育問題等一般的、抽象的な問題については、文部大臣の方に勧告しても——特に大学ということを明記しないで、一般関連しての話ならば、大学研究をもっとやってもらいたいとか、あるいは大学研究者の優遇をはかってもらいたいとか、あるいは官庁の方は、この際研究費を非常にたくさんつけたので、文部大臣の方もそれに相当して研究費をつけられたらどうかとかいうようなことは、言っても差しつかえない、一般的、抽象的なものは勧告しても差しつかえないと言いますが、法制局はそうでございましょうか。
  31. 野木新一

    野木政府委員 一般科学技術振興をはかるために必要があると認めました際に、科学技術庁長官が、一般的な意味で、文部省関係する分野について、一般的な科学技術振興という意味で、特に技術振興をはかっていくというような趣旨文部大臣勧告するのは、差しつかえないと存じます。
  32. 前田正男

    前田(正)委員 文部大臣はいかがお考えになりますか。
  33. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 そのことも、後日の解釈の基準となると思いまして、書いて参りましたから、朗読いたします。科学技術庁長官が第十一条第三項によって勧告する場合に直接大学研究のみを目的として勧告することはできないが、文部大臣に対して科学技術振興に関する重要事項について、共通的、総合的に勧告するうちに大学に該当する事項があっても差しつかえはございません。その場合は、文部大臣はその勧告目的のために、大学に対して必要な指導助言を与えることができます。
  34. 前田正男

    前田(正)委員 以上で大体法文に対します文部省関係のことは明らかになったのでありますが、ここで文部大臣に、この法文以外のことで、科学教育の問題で一つお聞かせ願いたいと思うのであります。  私たちが、原子力の問題で過日各国を回りましたときに、アメリカ原子力委員会事務総長に会いましたところ、原子力の当面しております大きな問題の一つとしては、アメリカ理工系卒業生が、ソビエト理工系卒業生比率よりも低いということが大きな問題であって、このままでおきますと、アメリカソビエトに取り残される。何としてもこの際理工系卒業生をふやさなければならない。しかし御承知のように、アメリカは国立の大学がありません。州立、私立が非常に多いのであります。これが原子力研究に対して非常に大きな問題になっておるのだ。こういう話をしておられました。振り返って私たち日本の現状を見まするならば、御承知通りアメリカ理工系卒業生よりか、まだ日本理工系卒業生比率は少いのであります。こういうことになりますと、世界一般教育の実情からわが国は取り残されていんじゃないかと思います。そのことは、ひいてはわが国の今後の国力の問題に大きな影響を与えてくれると思うのであります。そこで理工系教育をふやせといいましても、予算の必要なことでありまして、また私立大学におきましても、なかなか全のいることで大へんな問題であると思いますけれども、しかしながら、文部大臣としては、世界が今申したような方向に動いておりますので、その方面に御努力をされる考えであるかということをお聞かせ願いたいと思います。
  35. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 わが国教育のうち、われわれが前田さんとともに新党を作った時分に、二つの大きな欠点を見出しておるのです。一つ一般教育日本的の道徳基準が足らぬ、他方は科学教育が不十分だということ。これを党の重要なる政策として綱領にお書きに相なりましたから、それを実行するために、今回臨時教育制度審議会なるものをお作り願うようにいたしております。これは国会議員もお入り願い、国会外の学者、実業家、科学者というものもお入り願いまして、ほかの二つばかりのことがありまするが、それで日本大学教育をどうするかということの検討を願って、深く広くこのことの方針をきめていただきたいのであります。しかしながら、この研究を遂げるためには、一年または一年以上の期間を要しまするから、とりあえずの必要といたしまして、本年度においても、科学技術の進歩に応ずることに、できるだけ大蔵省とも交渉してやっておるのでございます。現に原子力のことは、京都大学、東京大学においてその研究を始めていただく。航空機のことは名古屋と九州と二カ所にその講座を置くことにいたしております。病理のことについては、世間でいうウィールスの研究所も京都に置いていただく。何分わが国の財政は貧弱でございまするから、とうていアメリカ、ソ連と抵抗するだけの設備はできませんけれども、教育の上においてはこれを一番大切にしょう、かように考えております。
  36. 前田正男

    前田(正)委員 熱意はよくうかがうことができましたが私立大学もやはりこの理工系卒業生が非常に少いようでございまして、これも一つ政府がなるべく援助してやっていただきたいと思うのであります。  そこでそういう熱意でいろいろと審議をしていかれることも、科学技術向上の一つの方向でございますが、もう一つたち科学教育の点について、大きな問題を持っております。それは何かと申し上げますならば、現任の戦後の文部省教育指導要領といいますか、そこに問題があるんじゃないかと私は思っております。御承知通り、科学に関係しておりますならばものを考える力というものが一番大事でございまが、このものを考える力というものは、われわれは小中校におきましては算数によってこれを養っておるのであります。日本教育が非常によく徹底しておりまして、しかもまたわが国の算数教育というものは、子供の時代からすぐれておりまして、日本におきましては先ほど説明申し上げました通り、すぐれた学者も出ておるのであります。しかし、残念価なことに、最近の指導要領を見ておりますと、たとえば一つの例でございますけれども、算数の掛算の九九は、われわれは小学校の二年生で習ったと思うのでありますが、現在は三年からこれをやるというふうになっておるようでございます。しかもそれに対して十分に子供たちが徹底した考え方を持っていないのも事実です。ひどいのになると、学校を卒業するまで掛算の九九がよくわからないという生徒が最近あるようにも聞くのであります。そういうような考え方では、日本の科学の技術のレベルというものは上ってこない。これはやはりこの際根本的に指導要領というものを検討していただきたい。少くとも私たちが見ましたところでは、算数方面においては、学力が一年、二年は確かに小学校は低下しておると思うのであります。私はあまりその後のことはよく存じませんけれども、たとえば中学方面におきましても。幾何の問題等については、相当論証的な問題をわれわれは中学時代には習ったと思うのであります。私たちの記憶している範囲では、小学校の終りの時分に、図解の問題等も多少やったように思うのであります。しかるに今の小半生、中学生等を見ておりますと、そういうしっかりものを判断して、論証的に考え出していくという教育はあまりしていないように思います。幸い私はその方面に身内の者がおりますので聞いてみますと、そういうものは、現在の指導要領にはないのだ、そこでそういうことは教科書にも書けないし、教育もできないのだ、先生方の中にはそういうことをやりたいと考えておる人もたくさんおるのだけれども、そういうものがないので教育ができていないから、日本のこの方面の学力が低下しておるのだという話を聞いたのであります。私たちは、日本科学技術基礎学問に非常にすぐれた学者がおるということは、世界に誇るものの一つであると思っておりますけれども、今のような教育をしていきますならば、将来そういうりっぱな学者は出てこないようになるのではないかと思うのであります。従って理工系一の卒業生多く出していただくために、今の大臣のような御熱意をもって御尽力願うことはまことにけっこうでございますが、もう一つの問題として、基礎的な、ものを考えていく力を、小学校、中学校時代から教え込んでいくために、指導要領とか、教科書とか、そういうものから根本均に再検討して、少くともわれわれが習った時代と同じ程度のことはこの際やっていただくように、文部大臣にお願いしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  37. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 戦後の新教育では、今、前田さんのおっしゃる理想、すなわち自発的思考力を養うということには努めておるのです。昔のような詰め込み暗唱は排斥しておるのであります。しかしながら戦後転換いたしましてから、まだ指導になれておらぬという理由もあると思いますが、学力低下ということは、各方面から言われております。その原因がどこにあるかを研究して、学力の低下を防止いたしたいと思っております。今回教育制度再検討の機会に、必ずぶつかる問題と思いますから、皆さんのお知恵を拝借して、昔のように詰め込みはせぬ、自発的というから幾らか時間はかかるのですが、初めから結果を教えるよりは、学年等が自然おそく延びることもありましょうけれども、皆さんのお知恵を拝借して、学力の低下は極力防止いたしたいと思っております。
  38. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話はもっともだと思うのですが、自発的に考える方がかえって時間がよけいかかるというお話でありますけれども、昔二年で習ったものを三年からやったのでは、卒業するまでに間に合わないのではないか。むしろ今のお話のように、自発的にやって、時間をかけてやるということになるならば、二年からやったものは一年からやるということで、切めて時間的に追いついていくのではないか。それから科学教育という問題で、われわれはよくわかりませんけれども、自発的にものを考えていくということは、なるほど必要なことでありますけれども、どうも昔のわれわれが勉強しておりました時間数より——算数とか、あるいは文学方面でいえば国語でありましょう。国語が基礎でありまして、その基礎の国語で文学的にものを考えていくとか、あるいは科学的にものを考えていく算数だとかいう基礎のものの時間が、どうもわれわれが習ったときよりは少いように私は思うのであります。これは必ずしも全部科学者になってもらわなくてもいいのでありまして、文学者になってもらってもけっこうでありますが、やはりものを考えてもらう人になってもらわなくちゃやならない。そういうものを考えていく基礎的なものを、時間的にふやしていくように私は考えていただきたいと思うのであります。
  39. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 ごもっともなお説ですから、今承わりましたことは十分参考にして検討いたします。
  40. 小平久雄

    ○小平(久)委員 関連して一言。先ほど第十一条の第二項及び第三項につきまして文部大臣から御答弁があったのですが、その御答弁のうちで、科学技術庁長官資料提出及び説明を求めることに関してでありますが、これは御答弁によりますと、科学技術振興及び資源の総合的利用に関して要求があった場合には、文部省としては資料を出す、こういうお話のようでありました。実際問題として、今、各大学試験所あるいは研究所等において、一体どういう分野のことを主とし、またどういう分野においてどういうテーマを主題として研究が進められておるのか、またその研究はどういう状態にあるのかというような、具体的な説明を、科学技術庁側において文部省に求めた際において、今の法制上は、私詳しくはわかりませんが、文部省は各大学に対してそういう資料提出させることができるのでありますか。どうですか。
  41. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 大学研究の自由を妨げることは、明治この方の伝統で忌むところでありまするけれども、現在何を研究しておって、どういう結果になったかということを知ろうと思えば、これは秘密研究一つもないのですから——かえって個人の方が発明の結果を独占せんければならぬということがありますけれども、大学じゃそれがございませんから、資料の要求がありましたら、すなおにいけば御要求には応じられるもの、かように思っております。
  42. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点、すなおにいけばというような言葉で御答弁でありますが、今までの例で、何か文部省が必要に応じて、大字における研究の実態というようなものをお調べになろうというようなことがあった場合に、すなおにいかなかった場合でもおありですか。
  43. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私がこの職務を担当してからは、そんなことはございません。それからすなおにいけば、と申しましたのは、言わぬでもよかったことですが、何をやっても人間のすることですから、あるいは感情が起ったり、英語でいうフィットが起ることがあろうと思ってあの言葉をつけ加えたのであります。すなおにいくのが当然であります。
  44. 小平久雄

    ○小平(久)委員 第三項の関係において、先ほど大臣の御答弁で、科学技術庁長官から文部省勧告があれば、そのことについて大学に指導と助言ですか、そういうことをおっしゃいましたが、それは何か法制的にそういうことが大学に対して認められているわけですか。
  45. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 認められております。これは文部省設置法の五条の十八号というものを見て、この草案を作ったのでございます。
  46. 小平久雄

    ○小平(久)委員 最後に、私はきわめて、素朴な御質問を申し上げたいのです。この法案によりますと、大学研究というものを尊重する、こういう意味において、大学研究にかかるものは除くのだということが特にうたってあり、提案理由趣旨説明の際にも特にこの点の御説明があったわけでありますが、われわれも大学における研究の自由ということは当然尊重しなければならぬことだ、これはもう理念としてはよくわかるのであります。ただしかしながら、一面から考えますと、今度の科学技術庁というものは、どちらかというと、実際界における科学技術の画を扱い、基礎的な研究というものは、主として大学の方が担当するということにおそらくなるかと思いますが、その際において、基礎的な大学における研究と実際面の、一口に言えば応用研究といいますか、そういうのが何かかけ離れる心配はないかというような気がするのであります。大学の方の研究というものは科学技術庁関係からは除くのだ、こういうことがうたってある以上、その基礎研究と実際の研究というものが、ややもすれば離れがちになるのじゃないか、そういう一つの憂いが持たれるわけです。そこで、実はこの前も局長さんにちょっと伺ったのでありますが、大学における研究の自由というものは、実際問題としてどういうふうに行われておるのか。ただいまもお話ししました通り、きわめて予算も少い、従って学者の方の研究もきわめて御不自由なんでありましょう。そういう点、われわれもこれは非常に御同情申し上げるのでありますが、また素朴に考えれば、いやしくも国の金を使って研究をする、また経費も予算も少いという以上は、その予算というものをなるべく全般的に考えて、有効なように、同じ基礎研究でもしてもらいたい。予算がいかに少くても、やはり国民の税金ですから、そういうことも反面考えられると思う。そういう点について、これは文部大臣としてどんなふうにお考えになっておるのか、この際大臣の見解をはっきり承わりたいと思う。
  47. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 大学、ことに国立大学はやはり国の施設でございまするから、日本民族に役に立つことを研究することはむろんのことで、目的としては、国のためという目的からはずれるものじゃございません。ただその手段において、学者学者の見るところによってやるという方針をつけてやる。研究をいたすのに、外界から、それは無用だ、それは間違っておるからこうせいと言われたのでは、ほんとうの目的は達せられぬ場合があり得るのであります。これは自然科学の場合でも人文科学の場合でも同様でございます。そういう例外な場合には、大学大学の見るところによって適切なる手段で研究をしよう、そういう自由を保護するのが、日本ばかりじゃなく、外国においても、憲法からすでにその建前で研究の自由ということを認めるのは、そういうことであろうと私は思っております。通常の場合においては、大学研究科学技術庁研究と抵触して、にっちもさっちもいかぬということはありますまいけれども、あるいは研究方面は、方法論によっては違うことがあり得ようと思います。ことに、こんな新しい学問でございまするから、そういう場合には、大学大学の見るところによって深く研究し得るという自由を留保しよう、こういうことであると思います。
  48. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今の大臣の御説明からすると、学者研究も国のためということを考えているんだ、だから研究の方法は自由なんだ、簡潔に言えばそういうことだろうと思うのですが、そうすると、国のためなりやいなや、その目的を選ぶことまでは、大学における研究の自由というものは含まないんだ、こう解していいのですか、ちょっとそこのところがどうかと思うのです。非常にむずかしいところだと思うのですが……。
  49. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 法律大学の種類をきめまするし、また国家の意思で講座科目をきめまするから、そこで目的はきまっておるのです。それで、その目的を達するための方法を教授諸君がお考え下さるということだと思います。一々文部大臣が出ていって、目的を示すという意味ではございません。
  50. 前田正男

    前田(正)委員 文部省に対する質問はこれで終りたいと思いますが、あと一、二点簡単に、条文について不審の点をただしておきたいと思います。  まず大蔵省から主計局の次長が出ておられると思いますがか、この条文にありますだ第四条の十三号で、研究の「経費の見積の方針の調整」をこの科学技術庁ができるのでありまして、これに対しましては、かねて正力大臣、山手政務次官も、この調整したものは大蔵省では尊重する、そういう了解のもとに、閣議でもこれはさまったというような御答弁がありましたけれども、ともすると、これは、何と言いましても実際問題としては主計局の仕事でありまして、大臣とか政務次官はそう言ったけれども、われわれはわれわれでやるんだと言われると困りますので、主計局の方においても、そういう了解のもとに閣議ではきまったということでありますので、せっかく「見積の方針の調整」をしておるのに、主計局がそれを尊重しないというようなことでは、科学技術として意味のないむだ骨になりますので、この点について一つ主計局のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  51. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 科学技術振興をはかりまして、国民経済の発展に寄与するという目的で、今回御審議願っておりまする科学技術庁設置することになっておるわけでございますが、科学技術庁のいろいろな権限の中にも、私といたしましては、今、御指摘になりました関係行政機関、あるいは試験研究機関科学技術なり、あるいは原子力利用に関する「経費の見積の方針の調整」という権限は、この科学技術庁のいろいろな権限の中でも、相当ウエートのある権限ではないかと思います。この「見積の方針の調整」が円滑、適実に行われるということが、この科学技術庁設置の意義を最も効果的にさすものだろうと思いますので、大蔵省といたしましても、この科学技術庁の行われました「見積の方針の調整」につきましては、極力これを尊重する考えでおります。
  52. 前田正男

    前田(正)委員 次に、官房副長官にちょっとお聞かせ願いたいと思います。過日私が御質問しましたときに、原子力委員の俸給は、この際なるべく改善をしたいということでございました。実は私たち科学技術庁のこの法律を、できましたならば一緒に修正するように考慮したのでありますが、どうもこれは給与法で別になっておるので、一諸に修正ができてないようであります。やはりこれは特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案というものを御提案願わなければならないようでありますが、官房とされてはどうゆうお考えであるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  53. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 原子力委員の俸給の是正の必要なることは、政府といたしまして十分認めておるのでございます。一応今お話の単独法案を作成検討中でありますが、御承知のように、すでに三十一年度の予算も国会に提出済みでございます点と、非常にわずかなものではございますが、財源等につきまして、ただいま財政当局とどういうふうにしたらよいかということについて折衝する必要もございますので、今直ちに是正できるかどうかということはちょっと申し上げかねますが、いま少し御猶予を願いまして、この実現に努力をいたしたいと考えておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  54. 前田正男

    前田(正)委員 それから正力国務大臣にお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、この職員とか定員というものはきょうお配り願いました資料で大体明瞭になりましたけれども、この職制の中に、実はわれわれがかねて希望しております将来の研究制度の調査をするというようなことが明記されておりません。聞くところによると制度調査室というものを長官直属で設けていくつもりでおられるようでありますが、それを設けられる御意思があるかどうか、あるいはその制度調査室の内容はどういうふうな内容でやりになろうとしておるか、その点についてこの配布の資料から抜けました分について、一つお聞かせ願いたいと思います。
  55. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 設けるつもりでおりますので、まずその室長に科学審議官を一名おきます。室員には官房長一名、科学調査官一名 総務課長一名、企画調整局長一名、科学調査官一名、企画課長一名、原子力局の科学調査官一名、資源局の科学調査官一名、調査普及局の科学調査官一名、合計十人の人間を置くつもりであります。
  56. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話のように、科学技術庁としては、これができましたときには、この制度を調査して、将来にわたって中央地方を通じての科学研究機関の再検討をするということが大きな任務一つでございますから、一つぜひ調査室を大いに活用願いたいと思うのであります。  最後に、これで質問を終りたいと思いますけれども、この法律で顧問、参与というものを設けるようになっております。これは原則として国会議員を任命しないのか、臨時的に、前もって国会の承認を得て任命することはあるかと思われるのでありますけれども、原則としては、顧問、参与は任命されないお考えでおるのか、その点についてお答え願いたいと思います。
  57. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 原則としては、国会議員よりはお願いせぬことにいたしております。しかし、何か調査をしてもらうために、海外出張という問題がありますときには、国会議員の人にお願いして、それについては国会の承認を求めるつもりでおります。
  58. 志村茂治

    志村委員 ただいま文部大臣に対する質問等がありましたが、本法案の第三条の「科学技術人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)」というふうな制限がつけ加えられておりましてもちろんこれは大学研究の自由のためには必要であるとわれわれも承知いたしておるのでありまするが、この条項がついておりますがために、ここにでております法文で多くの疑義を生ずる点があるのであります。まず第七条の第五号に、「科学技術に関し、日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申又は勧告に関すること。」という条文がございますが、この場合に、学術会議が、大学事項に関した場合には制限を加えるというような、非常に窮屈な場面も生ずると思うのであります。この場合にはむしろ「科学技術に関し」という条項を削ってしまった方が便利だ、こういうふうに考えておるのでございます。政府意見をお聞きしたいと思います。
  59. 野木新一

    野木政府委員 便宜私からお答え申します。御指摘のように、第三条におきまして、「科学技術」それから「(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)」としておりますので、第七条第五号の「科学技術に関し」こういうことからも、おのずから人文科学及び大学における研究関係はもちろん除かれるわけであります。ところが日本学術会議の方の法律、そちらを見ますと、たしか科学に関して広く——大学における研究は除くという文字はないわけであります。そういうものと比べますると、御指摘のように、確かにこの「科学技術に関し」というのがありますと、どうもそこに純粋理論的に考えますと窮屈な点が出てくるということは、御指摘の通りだと思います。
  60. 志村茂治

    志村委員 それでは正力国務大臣にお尋ねしたいのでありまするが、この法案審議中に、あるいは科学技術庁設置の初めの検討の時代におきましても、まず第一に、今、極度に低い科学技術官の待避を改善しなければならないということが科学技術庁設立の根本の趣旨でもあったとわれわれは信じておるのでありますが、この際、特に大臣に、科学技術官の待遇は向上するということをあらためて確認していただきたいと思うのですが、いかがでしょうが。
  61. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいま志村委員からお尋ねの点、まことにごもっともなことで、かねて申し上げている通り、私も同感なのです。従ってこの待遇改善の御趣意に沿うように努力するつもりであります。
  62. 志村茂治

    志村委員 もう一つ科学技術庁ができ、各省庁からいろいろの局、課、部等が統合されることになると思うのでありますが、その際、これを機会にして首切りをされるというようなことをやはり官公労などはおそれておりますが、そういうことは、今まではないと思っておりますが、この際もないということを一つ御確認を願いたいと思います。
  63. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お尋ねの通り、それは決してこの際首切ることはありません。大いに拡張振興をはかる際ですから、首切りというようなことはないのであります。
  64. 有田喜一

    有田委員長 他に御質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 有田喜一

    有田委員長 他に質疑がなければ、質疑はこれにて終了いたします。  委員長の手元に、自由民主党及び社会両党共同提案にかかります修正案が提出されておりますので、この際提出者より修正案の趣旨説明を求めます。志村茂治君。
  66. 志村茂治

    志村委員 今までの論議を通じまして、この条文の中で、方々疑義を生ずる点があると思います。その疑義は、質疑の過程におきまして明瞭になったと信ずるのでありますから、この際修正案を拠出いたしたいと思います。  まず第一に、第七条第五号中「科学技術に関し、日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申又は勧告に関すること。」とありますが、これは第三条によって、大学の除外例等もありまして、疑義を生ずる点がありますので、この際「科学技術に関し」、これだけの字句は抹消したがよろしいと考えます。  次に第八条第三号に、「関係行政機関試験研究機関原子力利用に関する経費及び関係行政機関原子力利用に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費の見積の方針の調整に関すること。」というのがあります。これは原子力局の事務でありまして、従来われわれは、原子力局の予算関係は特に自由を多く与えなければならない、研究の性質上、そのようにしなければならないと考えまして、原子力委員会設置法の第二条第三号におきましても「関係行政機関原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」という条項か入っております。また三十一年二月三日の閣議決定の第二項の五号ですか、これによりますと、「各省庁所管試験研究機関原子力利用に関する経費及び原子力利用に関する試験研究補助金等に関する予算は、昭和三十二年度以降においては、科学技術庁に一括計上し、必要に応じ各省予算に移し替えるものとする。」ということが述べられておるのであります。こういう意味合いからいたしまして、この条文においては、経費の見積りの方針だけが掲げてありますが、さらに原子力委員会設置法の第二条第三号とも合致するように、「方針の調整」の下に「並びにこれらの経費の配分計画」という字句を加えることにいたしたいと思います。  また第十二条第三項に、審議員の数は三人ということを規定いたしておるのでありますが、実際といたしまして、各省庁との連絡をよくするために、通産省あるいは逓信関係の電気、あるいは農林、運輸関係、あるいは建設等の資源関係、これらの人々もまた審議官として加える方が適当と考えておりますので、「三人」を「五人」に改めていたがきたいと思います。  また第十九条第一項の表の中に、「科学技術審議会」、それの目的といたしまして「科学技術に関する重要事項」とあります。その下に「並びに日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申又は勧告に関する事項」、これを加えていただきたいと思うのであります。それから第五番目といたしまして、附則第四項中に、原子力委員会設置法第十五条の改正に関する部分がございますが、その原子力委員会設置法第七条第一項に「委員長は、国務大臣をもって充てる。」ということが書いてありますが、これをさらに厳密に規定いたしますために、この「国務大臣」を「科学技術庁長官たる国務大臣」ということに改めていただきたいと思うのであります。
  67. 有田喜一

    有田委員長 ただいまの修正案に対し、何か御質疑はありませんか。  別に御質疑がなければ、これより討論に入ります。討論の通告がありますからこれを許します。小平久雄君。
  68. 小平久雄

    ○小平(久)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただい志村君より提出されました修正案及び修正部分を除く原案について、きわめて簡単に賛成の意見を申し述べたいと存じます。  わが国における科学技術振興のためにこれが統一的なる機関を必要とするという声は、院の内外にきわあて長い間高かったのでありますが、それが今回政府提案によりまして実現することになりましたことは、私どもの心から賛意を惜しまないところであります。ただ、この案をしさいに検討しまするならば、またそれぞれの異なった見解によりますならば、今回のこの設置法案が必ずしも万人の満足するところでないということは、これは言い得るかと思うのであります。しかしとにもかくにもここにわが国における科学技術行政の新しい組織を発足させるという見地からいたしますならば、やや不満足ながらも、今回の組織をもって、少くともさしあたりがまんをしなければならぬのじゃないだろうか、こういう気がいたすのであります。  しかして、特にこの際申し上げたいと思いますことに、何と申しましても新しい機関でありまするからして、この新しい機関に対する既存の各省庁の深い理解というものがなければ、とうていこの申しい科学技術庁の運営というものは満足にいかないのではないか。従ってまた特に各省庁との緊密なる連携ということをぜひとも今後心がけて、御運営を願いたいと思うのであります。このことは原子力委員会科学技術庁との関係についてもひとしく言い得るのでありまして、ただいま正力大臣が原子力委員会委員長であり、また生まるべき科学技行庁の長官もなされる、こういうことでありますからして、同一の責任者によって運営されるわけでありますので、この点はうまくいくかと思いまするが、原子力委員会科学技術庁との関係というものも、これまた十分緊密な連携のもとに今後運営を願いたいと思うのであります。  さらにまたこの科学技術庁自体につきましても見ようによりますと、若干、機構がいたずらに複雑過ぎるのではないかと思われる節もなきにしもあらすでありますが、これも衆知を集めてという立場からすれば、われわれも決してむげに反対するものではありません。そういう点からいっても、この新しい科学技術庁の運営につきましては、せっかく設置を見るのでありますからして、この所期の目的が十分に達せられますように、今後とも運営上御注意を願いたいと思うのであります。  最後に、修正案でありまするが、この五項目の修正案は、法文上疑義を抱かれるような点につきまして、できるだけそれを解明をいたした、こういうことでありまするので、われわれもこれに賛成をいたしたいと思います。  以上、要するにここにわが国の科学行政上からいたしまするならば一時代を画するわけでありますので、せっかく生まれますこの役所が、十分その目的を達せられるように御運営を願いまして、賛意を表したいと思います。
  69. 有田喜一

    有田委員長 岡良一君。
  70. 岡良一

    ○岡委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま志村君御提出にかかる修正案並びにその部分を除く政府原案の科学技術庁設置法案に対して、心から賛意を表するものであります。  ただ、各位も御存じのごとく、私とも日本社会党は、科学技術者を設置すべきであるという強い希望を持ち、またこれを代案として用意もいたしておったのではありますけれども、しかし何はともあれ、この際、この規模においてでも発足させるべきがわが国の現状にかんがみて妥当であり、適切であろうということからいたしまして、賛意を表することにいたしたのであります。そういうことからいたしまして、本日は、清瀬文部大臣のほかに一万田大蔵大臣、河野行政管理庁長官等の御出席をわずらわしまして、私どもとしても、科学技術庁の将来の発展のために、政府から責任ある言明を受けたいと思っておったのでありまするが、その方々の御出席を見なかったことは、まことに遺憾であります。そういう点から、その方々に対して言明を得たいと存じており、また強く希望したいと存じておりました諸点を、若干希望の意見として申し述べまして、賛成の討論にかえたいと存じます。  この法案提案されましてから、委員政府当局との間にねんごろな検討がかわされたのでありまするけれども、その間、われわれとしてはいまだ納得し得ないものを多々見出したのであります。そこで、わが日本社会党は、科学技術庁というものが日本の新しい行政組織として発足をするそのときには、科学技術振興というものはいかなるものでなければならないかというこの根本的な原則の点について、かつて戦争が科学の母であるとか、必要が発明の父であるというふうに言われておった科学の発展というものが、戦争によって導かれたりまた必要や利益によって導かれるものであってはならない。特に、今日原子力の平和利用という段階になってみれば、科学は平和の母、むしろ科学は平和の嫡出子としての大きな、人類的な意義を持っておるという観点からいたしまして、科学技術庁設置されて、日本における科学技術の総合的な発展が、政府の責任において推進をされるということに、満腔の賛意を表したいと思います。しかしながら、これまで私どもが質疑応答の間においてうかがわれるところは、いまだこの科学に対する政府の認識と申しまするよりも、政府みずからが真に科学的でありたい、いわば科学する心としての心構えにたっての科学技術庁設置ないしその運営について、非常に不十分な点を見出すのであります。先ほど文部省との間に指摘をされましたような事実につきましても、現在大学においての研究、いわば科学技術振興基礎研究とも見るべき大学研究室の規模あるいはまたその研究費の問題あるいはまたその分立しておつ姿といい、いまだ総合性が非常に欠けておる。科学というものは、総合性というものを一義的なものとしておるのでありまして、それがいまだに旧時代的なセクショナリズムにわずらわされておるということは、そのこと自体、日本の国の科学技術振興の大きな目的から見て、大いに脱皮しなければならない問題だと思います。現に、たとえば試験場の問題にいたしましても、やはり科学技術の総合的な発展をはかるという意味からいえば、これまでの各省庁に所属しておったところの試験場というものも、検定部分を除いたものは、やはり科学技術庁が当然これを統括するという形にいくべきものと信じます。これが依然としてやはり古い官庁のセクショナリズムにわずらわされてしまって、そのところにまで脱皮し得ないというようなこと、あるいは特許庁との関係にいたしましても、日本科学技術振興させるという意味からいえば、特許庁というものの存在はまことに化学技術発展と不可分の問題である、ところがこれは独立な外局といたしまして、通産省の方になっておるということになりますると、現実の問題として、現に各国の特許権の内容等が、資料としてどんどん特許庁にもたらされ、一方科学技術庁の方にも各国のデータがもたらされる、これらをアブストラクトして、相互交換をし、あるいは広報活動の上に乗せて、日本全体の科学技術の水準を高める必要のある産業というものは、こうした機構の対立の結果といたしまして、不十分となり、そのことは直ちに日本科学技術水準に対して大きな影響を及ぼし、マイナスの影響をもたらすことは、これはもう常識的に推定し得ることなのである。こういうような点において、今日の科学技術庁が、もっともっと総合的な科学技術発展をはかる以上は、機構そのものが旧時代的なセクショナリズムを離れた、総合的な発展をはかるためにふさわしい総合的な機構というものに大きく飛躍し、脱皮をするということが私どもの第一の望条件であります。  それからなお、科学技術庁について申し上げまするならば、たとえば、現在科学技術庁においては、将来発展すればするほど、科学者がいわば政府に雇用されて入ってくるわけであります。ところが、これらの科学者政府に雇用された身分の形において入ってきて、彼らが自由に研究するというときには、現在の日本の官僚制度というものは、これらの雇用された科学者の自由なる研究、また研究への意欲というものとはおそろしく衝突をするおそれなしとしないと思います。たとえば公務員法によってこれらの諸君は縛られてしまいます。ところが、公務員法というものは、本来行政管理を目的としたものであって、今、科学技術庁がうたうような科学技術の総合的発展という大きな目的にふさわしい身分に立つ人たちのための法律としては、非常に不十分な点が多々あるわけであります。こういう点において、やはり日本の科学者を国が雇用する以上、その身分に関する処遇なりその他の保障なりについては、特に日本の現段階においては、特別な配慮が必要ではなかろうかと思います。こういう点も今後技術庁の運営の過程において、十分政府の方で御検討をいただきたいと思うのであります。  また、科学技術庁予算の問題でありまするが、予算にいたしましても、政府予算といえは、すぐいわゆる行政事務の一種の予算単価的な考え方で、これを積算の基礎として、科学技術振興に関する予算を算定しようとする傾向が、従来しばしばあり得たかのように私どもは思うのであります。このようなことでは、真に科学技術振興を裏づける予算たり得ないと思うのであります。科学の研究は、それが基礎的なものであろうと応用的なものであろうと、それは一年先の計画が立つか立たぬかわからないというような研究がたくさんある。かと思えば、また十年先でなければ実を結ばないというふうなものもたくさんあるわけです。こういう科学の持っている独自性、特異性に対する理解ある考え方を持って、科学技術庁の資金配分計画はもとより、大蔵省等においても、これらの科学そのものの研究の特異性というものを十分に認識せられた上における予算的な顧慮というものを、私どもは心から希望いたしたいのであります。  それから先般、特にきょうお答えを願いたいということでありましたが、お答えがありませんので、この機会に重ねてお願いをいたしたいと思いまするが、今後、政府の方でも、いよいよ科学技術振興に当られる、その付置機関等がいろいろ新しい発名発見をする、こういう場合の発明発見の取扱いの問題であります。この点はっきりした御答弁をいただかなかったのでありますが、何と申しましても、科学技術の発明発見が政府の管理のもとに行われた以上、それは、やはり全国民のものたらしめるという顧慮が必要であろうと思います。従いまして、現在の日本の産業規模を顧みた場合に、中小企業が非常に多い。ところが、新しい発明発見、それに伴う資金設備技術を、現在の過多な日本の中小企業に導入することは思いも寄らないという事態があり得ると思いますが、こういう場合においては、結局、大経営、大資本のみが政府の機関を利用し、その恩典にあずかることになって、中小企業と大経営というものにおける落差が非常に激しくなってくるということは、中小企業が、国内のみならず、対外的な貿易の面においても占むる大きな比重を考えました場合に、私どもとしては、とれないことと思うのであります。そういう点につきましても、政府としては十分な御考慮をいただいて政府の責任において推進し、科学技術振興、それに基く新しい発明発見は金国民のものとし、特に日本の過多なる中小企業のために、これらの新しい近代的な技術というものが導入され、またそれに必要なる設備なり資金というものに対しての配慮を進めて、日本のあらゆる産業構造が、科学技術庁設置に基く近代科学技術の導入の形態を予期し得るような、そういう顧慮をぜひとも私どもは願いたいと思います。  最後に、海外との交流の問題でありますが、いただきました資料を見ると、まことに乏しい限りであります。文部省の留学生のごときも、本年度行っている人たちは、わずかに三十一名が文部省派遣在外研究員であります。もちろんそのほかスタッフで行っている人たちもわずかあります。あるいは私費留学生、私立大学留学生もある。その他各機関で行っている人たちもありますけれども、それにしても、主力である文部省の海外派遣員がたった三十一名であるということは、文部省だけの問題ではなく、十年の戦争の空白を埋めて、海外からぐんぐん新しい進歩した高度な近代的な料学の研究なり、結果なり、技術を導入する努力において、わが国自体に非常に乏しいということを如実に物語るものと考えるのであります。そういう点からいたしまして、どうかこの科学技術庁は、国内における科学技術発展のためにも、海外における科学技術の高度な進歩、その機械の導入、また積極的にそれをお作りになるのに必要なる予算などについても、十分なる配慮をいただいて、日本科学技術の水準というものが、応用面においても基礎面においても、一日もすみやかに世界の水準に近づき、これを追い抜くという大きな理想のもとに、この科学技術庁の将来の運営を、責任を持っておはかりいただきたい。このことを心からお願いを申し上げます。  以上、希望意見を付しまして、社会党は、この法律案に賛成をいたす次第であります。
  71. 有田喜一

    有田委員長 討論はこれにて終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる修正案についてお諮りいたします。修正案に賛成の方の御起立を願います。   〔総員起立〕
  72. 有田喜一

    有田委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く政府原案に賛成の方の御起立を願いまます。   〔総員起立〕
  73. 有田喜一

    有田委員長 起立総員。よって本案は、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる修正案の通り修正議決いたしました。  この際志村委員より発言を求められておりますので、これを許します。志村君。
  74. 志村茂治

    志村委員 ただいま議決になりました科学技術庁設置法案に関し、附帯決議の動議を提出いたしたいと存じます。本法案審議の過程においても、討論においても、共通して希望されておりますところは、委員全例も政府側も、本法をもって満足しておらないということであります。昭和三十一年二月三日の閣議決定の「試験研究機関検討」に述べられておる趣旨に、従って、すみやかに科学技術庁拡大強化すべきであるということは、与党、野党政府の一致した見解であります。この趣旨を強く、しかもすみやかに政府をして実行に移させるために、次の附帯決議を採択されるように、皆さんの御賛成を願いたいと存ずるのであります。    附帯決議   政府は、科学技術振興の重要性と緊急性に鑑み、中央地方を通じ科学技術に関する試験研究機関、特許行政機構等に再検討を加え、昭和三十に年度において科学技術庁を更に整備拡充し、科学技術振興を強力に推進すべきである。
  75. 有田喜一

    有田委員長 ただいま志村委員より提案されました科学技術庁設置法案に対する附帯決議に関し、お諮りいたします。ただいまの附帯決議賛成の方の御起立を願います。   〔総員起立〕
  76. 有田喜一

    有田委員長 起立総員。よって附帯決議をすることに決しました。  政府より発言を求められておりますので、この際これを許します。正力国務大臣。
  77. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいま、政府提案につきまして、慎重審議御賛成下さいましたことを厚く御礼申し上げます。  なお、ただいまの附帯決議につきましては、政府も同感であります。決議を尊重いたしまして、決議の趣旨に沿うようにいたします。それがために、まず政府としましては、調査審議室を設けまして、具体的にこの附帯決議を実行するようにいたしますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  78. 有田喜一

    有田委員長 この際、お諮りいたします。ただいま議決いたしました科学技術庁設置法案に関する報告書作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 有田喜一

    有田委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。   午後三時十二分散会      ————◇—————