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1956-02-18 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十八日(土曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 椎名悦三郎君 理事 前田 正男君    理事 南  好雄君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       稻葉  修君    加藤 精三君       小平 久雄君    楢橋  渡君       橋本 龍伍君    岡本 隆一君       堂森 芳夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         内閣官房長官 田中 榮一君         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 賀屋 正雄君         総理府事務官         (原子力局長) 佐々木義武君         総理府事務官         (科学技術行政         協議会事務局         長)      鈴江 康平君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         大蔵政務次官  山手 滿男君     ————————————— 二月十六日  科学技術庁設置法案内閣提出第五一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法案内閣提出第五一号)
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法案を議題といたし、政府より提案理由説明を求めます。正力国務大臣。     —————————————
  3. 正力松太郎

    正力国務大臣 今回提出いたしました科学技術庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容概要説明いたします。  科学技術振興し、国民経済自立発展生活水準向上に役立たせることは、国内資源が乏しく、脆弱な経済基盤の上に、膨大な人口を擁する今日のわが国にとっては、きわめて緊急を要し、かつ、重要な問題であります。  しかるに、わが国におけるこれら科学技術に関する行政を所掌する行政組織は、それぞれの所管行政に応じて関係各省庁において分担いたしておりまして、科学技術全般に関する基本的な政策企画立案し及び推進するとともに、関係各省庁の科学技術に関する行政総合的調整を行う行政機関を急速に設ける必要に追られているのであります。  これがため、政府といたしましては、原子力利用をも含めた科学技術に関する行政を総合的に推進する組織として、現在の総理府原子力局を含めて、新たに総理府の外局として科学技術庁を設けることとし、今回この科学技術庁設置法案提出いたした次第であります。  以下、本法案内容につきまして主要な点を説明いたします。  まず、科学技術庁所掌事務は、科学技術に関する基本的な政策企画、立案及び推進関係行政機関事務総合調整関係行政機関科学技術に関する経費見積り方針調整日本学術会議との連絡試験研究助成原子力利用に関する事務資源総合的利用のための調査発明及び実用新案奨励及び実施化推進科学技術及び資源総合的利用に関する内外の動向の調査分析資料統計の作成、頒布並びに所掌事務に関する広報及び啓発を行うことであります。  この科学技術庁所掌事務につきまして特に注意すべきことは、大学研究の自由を確保する必要上、特に大学における研究にかかるものをその行政対象から除いたことであります。  科学技術庁の、長官は、国務大臣をもって充てることとし、所管行政に関する重要事項につきましては、関係行政機関の長に対し勧告を行い、勧告の結果について報告を徴し、また特に必要と認めたときは、内閣総理大臣に対し、閣議決定した方針に基いて、内閣法第六条の規定に基く措置をとるよう意見を具申することができることを明らかにいたしました。  次に、科学技術庁組織でありますが、内局といたしまして、長官官房のほか、企画調整局原子力局資源局及び調査普及局の四局を置くことといたしております。またその所管行政が広範かつ専門的な分野にわたりますので、特に長官、次長のほか、科学技術庁科学審議官を、長官官房及び各局に科学調査官を置いて、広い視野から所管行政方策決定に参画せしめるとともに、特に付属機関たる研究所科学研究官を置き、専門的事項研究に従事せしめることといたしております。さらに、所掌事務の性質上、重要施策に参画せしめるため顧問及び参与を置くことができることといたしました。  次に、科学技術庁付属機関といたしましては、研究機関として航空技術研究所及び金属材料技術研究所を設けまして、それぞれ専門研究を行わせるとともに、所管行政の民主的な運営を期するため、審議機関として科学技術審議会航空技術審議会資源調査会及び発明奨励審議会を付置いたしまして、それぞれ専門重要事項について調査審議せしめ、その意見行政に反映せしめることといたしました。  なお、科学技術庁設置に伴いまして総理府設置法その他関係法律につき、必要な改正または廃止に関する規定を附則に設けた次第であります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 有田喜一

    有田委員長 以上をもって、政府提案理由説明は終了いたしました。  これより、質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。前田正男君。
  5. 前田正男

    前田(正)委員 ただいま提案理由を述べられました科学技術庁設置法案が、政府提出として提案されるに至りましたことは、われわれ関係の者といたしまして、非常に喜びにたえない次第であります。かねてから、日本科学技術振興政策というものは、至要であるということが述べられておりました。しかしながら、科学技術に関する行政総合調整し、統一的な行政機構を設けるということについては、すでに衆議院におきましても、前の国会において決議をされておりましてその間、政府におきましても、たびたびこれをやるという話が出ておりました。また、われわれこれを推進して参りました者も、ここ数年の間にわたってこれについて努力して参ったのではございますが、なかなかそれが具体化しないでおりましたの、で、われわれは非情に残念に思っておったのでありまいす。しかし、ようやく政府意見が統一されまして、今日提案になりましたことは、われわれといたしましても、日本の将来のために、非常に大きな寄与をするものであると思いまして、御同慶の至りでありますけれども、ここで特に大臣にお願いし、また御報告をお聞きしたいと思うのであります。  ただいま、提案理由におきましても、科学技術振興は非常に重要である、そういう意味においてこの行政機関を設けるのだというふうなことでございましたが、ただ、今までの例から見ますと、各方面で、口先でとかあるいは言論を通じて、また文書等振興振興ということはよく叫ばれるのでありますけれども、しかし、残念ながら、その実体的な発展という問題については、十分な成果が上っておるとは思えないのであります。私は、その点については、特に科学技術政策というものが、日本国策の大きな題目として具体的に現われていないという点にあるのじゃないかと思うのであります。そこで、過日の新聞を拝見しておりますと、正力国務大臣は、科学技術庁設置のときには、科学技術庁長官になられることに閣議で内定したというふうに出ておりますので、この科学技術庁法案が成立した場合、長官に就任される大臣とされて、科学技術政策というものを力強く、全面的に国策として打ち出していこうというかたい決意を持っておられると思うのでありますが、この際、大臣抱負をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  6. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいま前田委員からお話がありましたが、お話通り日本進歩発達は、どうしても科学の力によらなければならぬということが今まで一般に叫ばれておるにかかわらず、今まで何もやらなかったのであります。そこで、今度こういう庁ができまして、私も閣議担当大臣ということになりまして、今後、ただいま提案理由に申しましたところを具体的に実現するように、できるだけの努力をいたしますから、何分ともまた皆さんの御支援をお願いする次第であります。
  7. 前田正男

    前田(正)委員 具体的な振興政策につきましては、追ってまた別の機会に、具体的な問題について御質疑をいたしたいと思いますが、今日は、今出ておる科学技術庁設置法案というものが、そういう抱負を実現されるのに適当な措置であるかどうかという内容について、一つお聞きしたいと思うのでございます。  まず第一に、私が考えますのに、日本科学技術の基礎的な学問というものは、世界水準に達しておるのじゃないかと感じておるのでありますが、しかし、今までの大きな欠点は、せっかくできましたその基礎的な学問が、実用化されてくるという方面において、非常に欠けておった。すなわち学界と、実業界であるとかあるいは官界であるとか、そういう方面との間のつながりが十分でなかった。こういう点にあるのじゃないかと思うのであります。ところが、今回の法案を拝見してみますと、大学研究は、科学技術庁対象から除くということになっておるようであります。当然学問の自由ということからいって、その対象から除くのはやむを得ないと思いますけれども、しかし、日本で一番大事であるのは、せっかく世界にすぐれた学問科学というものを、実際に技術として、われわれの国の力としてこれを出していくということが、一番大きな問題であると思いますので、この点の調整が抜けておったならば、科学技術庁というものができても、結局日本世界水準に伍していく力が出てこないのではないかと私は思うのであります。従って、この大学研究との間は、科学技術庁としてどういうふうに調整していくか、この点について、一つ考えをお聞きしたいと思うのであります。
  8. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 私からかわってお答えいたします。ただいまの御質問の趣旨は、基礎的研究は、これは主として大学において行う、それは非常な高度の水準を保っておる。これをどうして科学技術行政移しかえて、実際の日本科学技術向上をはかるか、こういう御質問のようでございますが、大学研究を除外いたしましたことは、これは学問の自由をなるべく確保して、行政が直ちに大学研究に入り込まないようにしようという根本的な考えから、これを規定いたしておるのでございまして、決して大学研究を、科学技術行政対象として全然考えないのじゃありません。これは十分に、大学研究、その実態をも考慮いたしまして、これと緊密な連携をとって、将来の科学技術発展を策していきたい、こういう考えは十分持っておるのでございます。その実行方法といたしましては、各審議会委員メンバーというのは、三分の一は学者、あるいは三分の一は官庁、また三分の一は学識経験者、そういうような構成メンバーによりまして、十分な連絡を保って、基礎的研究行政面に取り入れて、万遺憾なきを期したい、かように考えておるわけであります。
  9. 前田正男

    前田(正)委員 いろいろと、これに協力する科学技術審議会あるいは顧問参与、そういったものが学界からお入りになると思いますので、その点で、ある程度今の政務次官の御答弁のようにやっていけると思いますけれども、問題は、その所管文部省になっておると思うのであります。文部省との間は、どういうふうに科学技術庁調整していかれるのか、そう点について、一つお聞かせ願いたいと思います。
  10. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 ただいま提案説明にもございました通り、これは審議官も設けられますし、また調査官も設けますし、また研究官もそれぞれ適当に配置いたしたいと考えております。この調査官及び研究官等は、十分各省との連絡調整を保ち得るような組織メンバーにいたしたい。さように考えておりますから、この点からも、実際問題として、文部省との連携は十分保ち得られるのではないか、かように考えます。
  11. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、権限としては一応除いてあるけれども、事実上は、文部省連絡調整しながら仕事をしていく。こういうことについては、文部省政府委員の方は出ておりませんけれども、文部省との間の事実上の調整連絡はできる。こういうことに解釈していいわけでありますか。
  12. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 お手元に差し上げておりますこの科学技術庁設置法案の第十一条の2には「関係行政機関の長に対し必要な資料提出及び説明を求めることができる。」ということも規定してございまするので、調査官あるいは審議官研究官、その他審議会を通じて、いろいろ大学における基礎研究の状態を調べまして、必要に応じて資料説明をどんどん要求いたしまして、この間、基礎的研究が率直に、実際の行政の上に反映するように取り計らっていきたいと考えております。
  13. 前田正男

    前田(正)委員 それはあれですけれども、この法律の第二条に、科学技術というものは、人文科学のみに関するものを除くとしてありますので、この第十一条の「科学技術振興」というところのこの科学技術といろ中には、人文科学を除いての意味科学技術振興のときに必要があったときは、資料を求めることができるというふうになってくるのじゃないかと思って、実は私は心配して御質問したのです。今のお話のように、それは「任務」の場合だけのことであって、十一条としての「科学技術」というものは、全部の科学技術というものであって、これは任務じゃない。第三条には、「大学における研究に係るものを除く。」と書いてありますが、十一条の場合は、「大学における研究に係るものを除く」ということを除かれて、一般科学技術全体について関係行政機関、たとえば文部省に対しても資料提出を求めることができる、こういうふうに法律的に解釈していいのかどうか。法制局の第二部長が出ておられるようでありますから、法制局から一つ答弁をお願いいたしたいと思います。
  14. 野木新一

    野木政府委員 法案におきましては、第三条で、科学技術の中から「大学における研究に係るものを除く。以下同じ。」とありますから、第十一条第二項もそれを受けまして、「科学技術振興」「を図るため必要があると認めるときは、」というところは「大学における研究に係るもの」というものもおのずから除かれてくる建前になってくると存じます。しかし、これは法律上の権限としてやるものでありまして、それ以外に、事実上、教授と連絡して、随時資料を求めることは別に差しつかえないものと私は思っております。
  15. 前田正男

    前田(正)委員 これは、私が文部省の連中と相談した機会には、資料提出をしてもいいというように言っておるのでございます。事実上は当然やれると思うのですが、資料提出を求める場合、大学関係研究資料提出を求めることができるというふうに、法律的にはやったら工合が悪いかどうか。この点は内閣審議室文部省と御相談されたと思いますが、どういうふうな文部省意見だったか、お聞かせ願います。
  16. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お説の通り文部省の協力を必要とするということは、私どもも非常に痛感いたしておりますし、文部省といたしましても、基礎的な研究を、できるだけ日本科学技術応用面発展に役立たせるということに協力することにつきましては、やぶさかではないと思われますので、事実上の措置としては、十分できる。そのように考えております。
  17. 前田正男

    前田(正)委員 その問題につきましては、いずれまた次の機会に、文部省の方の意見をお尋ねすることといたします。  次に、権限として大きな問題でありますことは、予算総合調整ということが、一番科学技術庁としての大きな問題であると思うのであります。そこで閣議要綱には、具体的に、「総合調整」ということが書いてあるのでありますが、今度は、「経費の見積の方針調整」ということになっておる。閣議決定要綱内容は同じであると思いますので、その辺のことは別といたしましても、私として、この際ぜひ大臣にお聞きしなければならぬと思いますことは、これは、前に事務次官会議のときには、この総合調整したものは、大蔵省はその予算の査定に際しては、科学技術庁意見を尊重するということで、一応事務次官会議を通ったのであります。ところが、それを閣議に持って行ったところが、大蔵大臣から異論が出たために、結局それが保留になりまして、最後には、これを削って、閣議決定要綱とされてこれを法律にして出したという経過があるのであります。そのときに、閣議の模様で、大蔵大臣はどういうふうにお話しになったか知りませんけれども、科学技術庁総合調整したものを、大蔵省が尊重しないということならば、科学技術庁総合調整ということは意味がない。結局科学技術庁のやったものはそのままにして、各省大蔵省に行って勝手に運動してやるということなら、科学技術庁総合調整権というものは、何ら生きてこないということになるのではないかと思う。この問題については、私の聞いておるところは、科学技術庁大蔵省と協力されて、人事交流とかその他おやりになるということになっておるように聞いておりまして、事実上は、大蔵省と協調してやっていかれるので、そういうようなまずい問題はまず起らないと私は期待しておるのであります。しかし、一応閣議決定のときの経過を見ますと、科学技術庁科学技術庁として勝手にやる、大蔵省大蔵省で勝手にやる、その間隙を縫って各省は勝手に運動するんだというようなことが起り得る可能性があるわけであります。そういうことに対して政府といたしましては、科学技術庁調整されたものは、当然尊重されるという建前のもとに、一応閣議では削ったのではないかと思うのでありますが、特に大臣からその辺の御意見一つお聞かせ願いたいと思います。
  18. 正力松太郎

    正力国務大臣 科学技術庁総合調整したものは、当然尊重せられなければならぬものであるから、ことさら条文で書かなくてもよかろうということであります。また、大蔵大臣の意思もその意味でありまして、決してこちらの調整力を弱わめるという意味ではございませんから、その点は御心配ないことと思います。
  19. 前田正男

    前田(正)委員 ただいまの大臣の御答弁で大体了解はできるのですが、幸い大蔵政務次官もお見えになっているので、大蔵政務次官とされても、大蔵省を代表されて今の正力国務大臣の御答弁のように、総合調整したものは当然大蔵省としては尊重されていく方針であって科学技術庁ではやや攻撃されたけれども、しかし大蔵省へ行って復活運動をした、大蔵省はそれを取り上げていこうというようなことはやりたくないと考えておられると思うのですが、政務次官はどういうふうにお考えですか。
  20. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま正力大臣からお話がありました通りでございまして、方針調整をされ、総合調整をされまして御決定になったものは、大蔵省としては当然尊重する建前で参りたいと思います。
  21. 前田正男

    前田(正)委員 私たちもその御意見には非常に賛成でありまして事実上、人事交流等もやって、なるべく一つ協調してやっていくようにぜひお願いしたいと思うのであります。科学技術庁の一番大きな事業の一つは、予算総合調整でございましてこの点について大蔵省との間がうまくいかないということでは、科学技術庁の存続の理由一つも欠けてくると思いますから、ぜひ一つ今後協力してやっていくように、また総合調整されたものは尊重していただきますように、お願いいたしたいと思います。  それから大蔵省関係の方に続けてお聞きしたいと思うのですが、原子力関係予算は、三十二年度から、一括して原子力局の費用として科学技術庁に計上するということに閣議決定要綱では出ております。これは法、案の方には書いてないのでありますが、聞きますと、予算総則か何かに事実上書いてやっていくのだというふうなことでありましてそういうことになると、大蔵省権限として国会提案されてくるということになるのですが、閣議決定要綱通り、三十二年度からは、予算総則に書いてやっていかれるつもりであるのかどうか、その辺のところを大蔵省から御答弁を願いたいと思います。
  22. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、閣議でも決定いたしておりますし、昭和三十二年度からは、その方針でやっていきたいと思います。
  23. 前田正男

    前田(正)委員 そこで、その次は、予算の問題について、また関連してお聞きしていきたいと思うので一あります。この科学技術庁ができまして当然考えられることは、これが成立の当時は——よく内容のことはわかりませんが、一千万足らずの予算が組まれるのであって、あとは各省から移しかえということになっておるようでありますけれども、この法案がうまくいきまして科学技術庁が四月一日から発足するということになると、当然いろいろな経費が要るのではないかと思うのであります。その経費の中の不足のもの、たとえば庁舎を借りるとかいったようないろいろなことになれば、各省移しかえであるとか、あるいは今度の予算書に出ておる経費だけでは、不十分ではないかと思うこともあり得るので、その場合には——われわれ与党側において官房長官と、官房予算としてこれを計上するときに、これでは不足ではないかということで折衝いたしたのでありますが、そのときには、官房長官は、そういうような通常経費については、必要があるならば、当然予備費において考慮できるのではないか、こういうようなことをわれわれに答弁しておられたのであります。正力国務大臣としては、これを発足するについて各省移しかえその他で経費不足である場合には、官房長官お話がありましたように、予備費を請求してやっていくつもりでおられるかどうか、この点について、一つお聞かせ願いたいと思います。
  24. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 ただいまの御質問でございますが、本年度予算の編成当時は、まだ科学技術庁の構想が十分にコンクリートされておりませんために、必要最小限度経費として新規計上をいたしたのであります。それ以外は、できる限り各省から移しかえいたしまして、その移しかえ予算によってまかなう方針で参ったのでございますが、将来、科学技術庁設置せられまして、それに伴う万やむを得ない経費を必要といたしますときには、事情の許す限り、適当な財源措置を考慮いたしまして、運営に支障のないようにいたして参りたいと考えておるのであります。その財政上の技術に関しまして、もし御質問がございましたならば、事務当局からお答えいたします。
  25. 前田正男

    前田(正)委員 いや、今の御答弁でけっこうであります。官房長官は、予備費を使ってもいいというようなことを、われわれ与党側の折衝には言っておられたのでありますから、一つ、担当せられる大臣政務次官は、ぜひそのおつもりで、十分なものが発足できますように御尽力をお願いしたいと思うのであります。  次に、この科学技術庁が発足していきますと、各省からの定員の振りかえ等も行いますが、実際には、やより新規定員が足りないというような問題も出てくると思うのであります。それからまた、科学技術庁としての問題では、各省に、固有の研究助成はいたしませんけれども、多数部門にわたるところの研究助成をしなければならない。現在もうすでに題目としても、かねてから通産省研究をしておられますところの、たとえば直流送電とか太陽熱の利用であるとか、こういったものは、多数部門で協力していかなければならないということで、当然特別の研究費をとって科学技術庁助成しなければならないということになっておると思うのであります。これは新しいものでありますから、三十一年の予算に出ていないことはやむを得ないと思いますけれども、しかしながら、こういう問題は、すでに通産省研究所で芽だけはできていることでありますから、科学技術庁が整備されれば、直ちに特別研究費をとって、そして助成をしていかなければならぬのではないかと思うのであります。従って、補正予算とか、その他次の機会がありました場合には、特別の研究費をとるとか、あるいは必要な定員の増額の予算をとるとか、そういったことを当然御考慮願わなければならぬと思うのです。この責任を持たれるところの大臣政務次官においては、どういうようにお考えになっておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  26. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 科学技術庁が、この法律案によりまして、御審議の結果設立いたされますと、まず急速に陣容の整備をやらなければならぬと思うのであります。それにつきましては、ただいま御質問がございました通り科学技術庁に対する。ポストに、各省から人を入れていただかなければならぬ。と同時に、科学技術庁が行いますいろいろな問題が生じてくると思うのです。たとえて申しますならば、現在の科学技術のあり方に対して、検討を加えていくということが一つであります。ただいま御指摘のような太陽熱の問題であるとか、あるいは直流送電の問題であるとか、今日において芽を出しておるものに対しては、重点的にその研究をやっていかなければならぬ。そういう場合においては、当然特別研究費も必要になってくると思うのでありますが、こういうものに対しましては、なるべく早く行うべき実態を突きとめまして、臨時国会がございましたときには、補正予算としてその予算の獲得に当りたい、さように考えております。
  27. 前田正男

    前田(正)委員 それでは、予算の問題はそのくらいにします。  次に、権限の問題でちょっとお聞きしたいのです。この権限の中で、科学技術の基本政策を立案し推進するということになっておるので、当然その研究の業務も入ると思うのです。この要綱の場合には、「航空技術、金属材料及び放射線総合医学等に関する研究を実施する。」ということがあったのですが、法律の場合には、権限の中には、具体的なそういう項目が入っていないのです。これは推進しているのかもしれませんが、法制局はどういうふうに考えておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  28. 野木新一

    野木政府委員 設置法を考えます場合に、権限所掌事務と一緒に書いてあるのもありますし、また権限所掌事務というものと分けて考えておる書き方とあります。その場合に、権限と申しますと、一番典型的なものは、何か許可するという行政処分ですか、そういうような、外部に対して発動するような点をおもに権限としてとられておるようなことでありまして、そうでないものは、大体所掌事務というものに入れておるようであります。この要綱におきましては、「任務及び権限」というように、任務権限と一緒に書いてありまして、所掌事務というような文字は使ってありませんが、趣旨とするところは、任務権限とまた所掌事務とを、おもに一括して書いてあるのだろうというように考えます。御説の点は、大体普通の考えからいうと、所掌事務というものに入るのではないかというように考えまして、第十六条の「附属機関」以下に書いてありますので、これで大体要綱の趣旨は達しておるのではないか、そういうふうに結論いたしまして、特に権限というところに書くまでもないだろうということになったわけであります。別に他意あるわけではございません。
  29. 前田正男

    前田(正)委員 そういうことならば、この要綱にあります放射線総合医学の研究も、将来はここに付属研究所として設けられるということになってくるわけだと思いますが、法律を改正すればできると思いますので、その点はいいと思います。  そこで、次にお聞きしたいことは、発明奨励実施というようなことがありますが、これでいくと、要するに、発明奨励のいろんな補助金とか助成金なんかも、科学技術庁の所属ということになるのですかどうですか。その点を一つお聞かせ願いたい。
  30. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 現在特許庁にありまする発明実施に関しましての予算は、当然これは科学技術庁移しかえられるものだと考えております。ただ、その中で、発明協会の補助会という項目がございますが、その発明協会は、ただいま検討中でございますが、これは特許庁に残る性質のものではないか、そう考えております。
  31. 前田正男

    前田(正)委員 そこで、この発明実用新案の問題に関連して大きな問題は、日本技術導入ということが非常に多いのであります。技術導入については、外資審議会ですか、どこかへかけてやっておるようでありますけれども、従来、スタック側から意見を出しておったようであります。これは当然スタックを廃止して、科学技術全般推進任務科学技術庁が持っておるのですから、科学技術庁として、その問題をやれると思うのです。実は、技術導入とか技術提携といったような、こういった問題に対する技術的な批判とか国内の技術奨励であるとか、そういった問題の観点からの意見というものは、スタックを代表してしゃべっておったようでありますけれども、従来非常に弱かったように思います。これは、実績を見たらおわかりの通りでありまして、科学研究に出ております補助金の額と、技術導入とか技術提携へ流れております金額と比べるとすぐわかるのであります。そういう点から見て、当然科学技術庁としては、技術導入とか技術提携というような問題については、政府において非常に大きな発言をしてもらわなければならぬ。特にこれは発明奨励にも関連することだと思うのですが、それは一体どこの局でおやりになるのか。それが出ておりませんから、どこでおやりになるのか、一つ具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  32. 鈴江康平

    ○鈴江政府委員 科学技術導入に関しましては、従来科学技術行政協議会の技術導入部会で審議いたしておりまして、その部会の部会長であります方が外資審議会委員でありますが、今般スタックが廃止され、スタックの事務が全部科学技術庁に移ります関係上、そういったような業務も科学技術庁において行われます。これに対しましては、従来の部会のやり方でいきますか、あるいはそうでなく、審議会といったようなものの力でやりますか、それは今後の研究によりますが、いずれにいたしましても、科学技術庁の次長が外資審議会委員に任命されることが適当でないかと考えております。そうして、その科学技術庁のどの部局でやりますか、その点はまだ固まっておるわけではございませんか、従来のスタックの業務が企画補整局の方に移されるということでありますれば、そこで扱った方がいいのではないだろうか、私はそう考えております。
  33. 前田正男

    前田(正)委員 それは、大体今のようなことでけっこうでありますけれども、特にその点については、科学技術庁が設立されましたときに、政府部内において重要な発言権を持つように、今の委員に次長がなるとかいうような適当な方法で御考慮願いたいということをお願いしておきます。特に技術導入の問題に対しましては、日本としては非常に大きな問題でありますから、お考え願いたいと思います。  次に、これは大臣にぜひ御答弁を願いたいと思うのですが、閣議決定要綱の中で、中央、地方を通じて、試験研究機関のあり方及び所属については、再検討するということになっておるわけであります。これは一応閣議決定でありますから、当然尊重されると思いますけれども、これを担当される大臣とされては、科学技術庁の発足後に再検討をするということが、非常に大きな使命の一つであると思うのであります。これについては従来、御承知の通り、各方面から非常にいろいろな意見が出まして、今度の科学技術庁設置の場合においても、実は与党の中においても、その他野党の諸君の方においても、あるいはまた官界におきましても、民間においても、この研究所のあり方について、いろいろ重要な意見が各方面から出ておるわけであります。現在もまだその意見の統一が十分できていない現状ではないかと思うのであります。これをおやりになるについては、相当の抵抗もあるし、また各方面から相当いろいろな運動もあると考えるのでありますが、科学技術庁長官とされては、閣議決定としてありますものをおやりになる責任を持たれるわけでありますから、重大な熱意と積極的な努力をお願いしなければならぬと思うのであります。正力大臣の熱意をお聞かせ願いたいと思います。
  34. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまのお尋ねの点は非常に重大なことでありますが、また科学技術庁を設けた趣旨もここにあるのでございますから、この点については、強い決意を持ってやりたい、積極的にやりない、こう思っております。
  35. 前田正男

    前田(正)委員 大臣の御決意のほどを伺って、われわれも非常に賛成するわけでございますが、ぜひ御尽力を願いたいと思います。  そこで、この試験研究機関のあり方で一つ問題になってくるのは、特許行政の問題であります。この問題についても、当然一環として再検討する必要があるのではないか、こう思うのでありますが、これはどういうことになるのでしょうか。
  36. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 特許庁をいかにすべきかということは、御承知の通り科学技術庁設置しようと考えました当初から、非常に論議があった問題でございます。と申しますのは、科学技術の根底をなすものは、要するに発明発見に依存するところが非常に多いので、科学技術庁の重大な部門として、特許庁もこの際科学技術庁に併置すべきものではないかという議論があったのでございますが、今日の特許庁は、その組織がなかなか広範でございまして、また所掌の事務も多岐にわたっており、いろいろなところに関係を持っておりますので、特許庁を今直ちに科学技術庁に持ってくるということに対しては、いろいろな困難と疑問が出て参りましたので、まず科学技術庁設置いたしまして、日本科学技術行政体系を確立強化した上に、特許庁を適当に通産省から切り離して、科学技術行政の一環に置く方がいいのではないか、さように考えまして、今回の科学技術庁設置に対します構想の中から、これを省いたのであります。しかし、全然発明発見を度外視して科学技術行政の体系を作り上げることはとうてい望めないので、発明奨励に関する部門だけは利手技術庁に持って参りまして、そこで将来に対する対策を立てよう、かように考えておる次第であります。
  37. 前田正男

    前田(正)委員 どういう方法がいいかということについては、いろいろと意見があるところでありますが、その方法は別といたしましても、将来、一応試験研究機関の検討をするときには、あわせて特許行政の問題も検討してもらうということは、今の政務次官お話の点にありましたので、関連して御検討願わなければならぬと思うのであります。  それから、閣議決定要綱の中に、中央地方を通じてということがあるのであります。研究機関といたしましては、官立以外に、公立とかその他いろいろな研究機関が各地にあるのでありまして、私は政府関係研究機関の検討とともに、この官公立すべての研究の機関のあり方をどう調整していくかということが、非常に重大な問題でないかと思う。要するに日本試験研究の体制を総合的に調整しなければ、科学技術庁科学技術行政総合調整するという大きな仕事が達成されぬと思うのであります。地方の問題についても、一緒に検討してもらわなければならぬと思うのであります。これは閣議決定要綱の中にあり、先ほどの大臣の御答弁通り、熱意を持っておやりになると言っておられますから、私はその熱意に期待いたしておるのであります。なかなか困難な問題がたくさんあると思いますけれども、一つ中央、地方を通じて御検討をお願いしたいと思います。  次に、組織の問題についてお聞きをいたしたいのであります。組織の中で、科学審議官というものができておりますけれども、この科学審議官は、大体何級ぐらいの方を予定しておられるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  38. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 十五級を予定いたしております。
  39. 前田正男

    前田(正)委員 そこで、これは三人以内ということが書いてありますが、私は、かねてから、三名以内では不足であると思っております。閣議決定のときには、若干名ということできまったようでありますが、私の見ておるところでは、各界の権威を集めるといいましても、御承知の通り科学技術については、原子力を初め、電気においても、日本産業全体といたしましては、なかなか大きな問題であります。あるいは船舶、運輸方面の問題もあるでしょう。あるいは医学の方面も大きな問題になっておるようであります。あるいは農水歴方面、あるいはまた建設関係方面というふうに、大別いたしましても、少くとも五、六人の審議官が必要な部門が大体あるのではないかと思うのであります。三名ということになりますと、これはどういうふうな部門の人が代表して三名になられるのか、私はちょっと見当がつけにくい、片方の部門の人は入ったけれども、その落ちた部門の人は、調査官でいいじゃないかといえば調査官でいいわけでありますけれども、しかし、少くとも日本科学技術を代表する頭には、最小限に分けていっても、やはり五つ、六つくらいの分け方以外にはちょっと分けにくいのじゃないかと思うのです。結局、その代表の人は出ないで、調査官で出てくることにならざるを得ないのじゃないか。事実上、選考されるときには、結局どこかの部門の代表の人は抜けて、調査官になってしまうのではないか。何だかその関係科学技術は、科学技術庁では軽視されておるのだというふうな印象を与えやすいと私は思うのです。上五級の定員関係上、三名以内とされたようでありますけれども、必ずしも科学技術庁専属の人でなくても、たとえば、ほかの官庁の研究所の所長さんに兼任してもらうとか、あるいは大学の教授に兼任してもらうとか、いろいろな方法もあり得るのでありますから、科学技術庁の定数になっていなくても、科学審議官として兼任できるという考えから、もう少し、定員をふやしておかないと、事実上バランスがとれないのじゃないかと思うのですが、これはどうでしょう。
  40. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 お説の通り、この審議官を何名にするかということにつきましては、大臣を中心といたしまして、われわれも大いに議を練ったのであります。しかし、御承知の通り科学技術庁は新しく出発いたしますので、まだ中央、地方に対する科学技術研究所、実験所のあり方についても、これから再検討を加えていかなければならぬ。と同時に、将来日本が、科学技術行政の重点として行うべきところの科学技術の系列体系というものが、まだできておらぬ。そこで、たくさんの審議官を任命することにつきましても、人選等非常に困難な状態にございますので、この際は、最初は特に審議官三名と限定いたしまして、日本における最高級の科学技術の権威者をここに集めて、その方々の考えによって、中央、地方に対するところの再検討の方法も一つきめてもらう。それから科学技術行政の体系的なあり方も考えてもらう。そうして、調査官を使っていろいろ勘案をいたしまして、今、お説の通り、いろいろに部門が分れましたときには、さらに審議官をふやすかあるいは審議官の更迭をはかって、逐次その体系に上って参りました重要事項に対して、実際的な審議官の役割を果していきたい。まず最初は、たくさんの審議官を設けて議論百出するよりは、代表的な最高級の科学技術者を審議官に任命して、審議官に権威あらしめて、これによって科学技術庁のあり方を一つはっきりきめていきたい。そういうような構想で、今回は特に三名に限定したのでありますが、必要によっては、法律を改正いたしまして、審議官をふやすことについて一向やぶさかではないつもりであります。
  41. 前田正男

    前田(正)委員 この問題については、また具体的に一つ研究することにいたしたいと思います。  次に、調査官研究官という制度がありますが、これは大体何級職ぐらいを当てられる御予定であるか、調査官研究官の職階級を一つお聞かせ願いたいと思います。
  42. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 調査官は十三級前後を目標にして、十名ないし十五名ということを考えておるのであります。なお、研究官につきましては、十三級ないし十四級を目標としてこれまた十名ないし十五名を目標といたしておるのであります。
  43. 前田正男

    前田(正)委員 次に、局制が法律に出ておりますけれども、各局には、大体どういうふうな課を設けていかれるつもりでおるのか、それについて一つお聞かせを願いたいと思います。
  44. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 各局に設けられます課につきましては、ただいま行政管理庁とも御相談中でございますが、大体は、官房、各局に二課ないし三課程度を設けまして、ただし原子力局につきましては、特に五課くらいを設けたらどうかというふうに考えておりますが、具体的に、その課の名称でありますとか、その課で取り扱います所掌事務等につきましては、ただいませっかく研究中でございます。さように御承知願います。
  45. 前田正男

    前田(正)委員 それでは次に、付属機関の中で、金属材料技術研究所というものが新設されるわけであります。これは当然、通産省にあります機械試験所の材料部の一部の人をもらい、それと新規定員を合せておやりになるというふうに考えられるのでありますが、その点はどうでございましょう。
  46. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 お説の通り考えております。
  47. 前田正男

    前田(正)委員 それは当然定員法のときにおやりになると思うのでありますが、具体的に一つ研究を願っておきたいと思います。  それから次に、付属機関のうちで、科学技術審議会のことでございますけれども、この科学技術審議会委員のことにつきましては、別に政令で定めるということになっております。これは前からの話でありまして、また閣議決定要綱の方にも書いてありますが、科学技術行政協議会を廃止するに伴いまして科学技術審議会の定数のうち三分の一は、学術会議が推薦する者から任命するということになっておりますので、政令にも当然そう出てくると思うのですが、それでは、その残りの三分の二は、大体どういうふうにお選びになる考えでおるのか、それを一つお聞かせ願いたいと思います。
  48. 鈴江康平

    ○鈴江政府委員 ただいま研究中なのでございますが、従来の科学技術行政協議会が廃止されますので、その機能をなるべくそれに吸収していく方向がいいのじゃないかと考えております。しかし、従来の科学技術行政協議会の構成といたしましては、御承知のように、会長が総理、副会長が国務大臣委員が二十六人名で、半数は各省の次官あるいは次長、他の半数は学識経験者でございまして、これは学術会議からの推薦ということになっております。それで、今回の新しくできまする科学技術審議会は、その三分の一が学術会議の推薦する者でございますから、学術会議の方は大体それでいいかと思いますけれども、あとの残りの三分の二につきましては、まだ考えがまとまっておりませんが、その一つ考え方としましては、従来のように、各省行政官をその中に入れるという考え方もございますし、あるいは学識経験者のみで組織して、なお各省との連絡のためには、専門員の中に各省行政官を入れる、あるいは監理官を入れるという方式がいいのじゃないかとか、いろいろな案をただいま作っております。もう少し具体化されましたならば、大臣やいろいろな方に御相談申し上げ、またこの点、学界各省委員を入れる必要もございますので、各方面との折衝に当りたいと考えている次第でございます。
  49. 前田正男

    前田(正)委員 この法案について、われわれが最終的に態度をきめる時分には、先ほどからお聞きして今、検討した結果、課制であるとか今の審議会委員だとか、そういったことをわれわれが全然知らないで、法案を上げてしまうというわけにはいかないと思います。私たちはなるべく政府に協力して、この法案を早く通過させたいと思いますけれども、われわれとして態度をきめるまでには、そういう科学技術庁の新設に伴って行う必要な政府部内の調整というものを、なるべく早くおやりを願いたいと思います。きょうはまだ第一回の質問でありますけれども、最後の質問くらいまでの間には、これは一つぜひ御決定をしていただきたいと思います。それに伴いまして、この定員も別の法律で定めるというふうに第二十条に書いてあるのですが、これも今、多分、御折衝の最中だと思います。しかし、この法律案はいつごろ提案されるのかということを聞かないと、科学技術庁設置法を通しましても、定員法が通らないと役に立たないのですが、これはいつごろの見通しですか。
  50. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 定員法につきましては、ただいま行政管理庁におきまして、国全体の行政機構関係行政審議会関係、そういう点を考慮いたしまして、ただいま早急に策定をいたしております。従いまして、定員関係も不日決定されるものと考えておりますので、それを待ちまして、本法案に直接関係のあるものにつきましては、早急に出したいと考えております。
  51. 前田正男

    前田(正)委員 これは先ほど申しました通り科学技術庁の実体をなすものでありますから、少くとも、その大体の員数の構想ということくらいがわからないことには、われわれとしても審議の進め方に非常に困ってくるのであります。本来ならば、設置法と一緒に、中に定員というものが書いてあるべきものであるのを、便宜上分けられてあると思いますけれども、少くともわれわれが審議の進行に伴って、ぜひとも実体を知る必要がありますので、早急に一つお願いをいたさなければならぬと思うのであります。  そこで最後に、附則の問題を一、二聞きたいと思うのであります。まず第一は、施行期日であります。施行期日は、新予算の中にすでにわずかでありますけれども、新規予算が組まれておりまして、四月一日からその予算は執行されるわけでありますから、科学技術庁も当然四月一日から実施さるべきものである、こう思うのであります。しかしそれまでに、この法案国会を通過しなければいけないのでございますが、国会がそのころまでに、たとえば三月の末ころまでに通過をするならば、四月一日にはこの法律が施行されて、科学技術庁が新しく発足する、そういう考えであるかどうか、この点について一つお聞かせを願いたいと思います。
  52. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 科学技術庁設置するという根本的な考え方につきましては、社会党も自由民主党も御異存のないところであろうと私たちは考えておるのであります。ただこの内容その他機構に対しましては、いろいるな御議論であるのではないかと思うのでございます。従来科学技術庁設置すべきであるという声は相当熾烈になっておりますので、私たちもいろいろそういう御希望をこの中に盛り入れて、この法案提出した次第でありますから、今後衆参両院において御審議を賜わりましても、この問題だけは、根本において御同意を得られることでもあり、いるいろ御議論もございましょうけれども、十分、四月一日から発足し得るように、この法案の御賛同を得られるものと考えておりますので、できる限り四月一日から科学技術庁を発足せしめたい、さように考えておる次第であります。
  53. 前田正男

    前田(正)委員 国会審議のことでありますから、どうなるかわかりませんが、とにかく国会審議が、この四月一日までに間に合うように終るならば、ぜひ四月一日から発足をお願いいたしたい、こう思うのであります。  そこで次に、原子力委員会委員長は、科学技術庁長官が当るということに要綱でも閣議決定できまっておるように伺っておるのでありますが、当然この附則で、原子力委員会法律を修正すべきじゃないか。あるいは国務大臣をもって充てるというふうに書いてありますが、国務大臣というならば、科学技術庁長官でない国務大臣委員長になれるということになるわけですが、それではどうも法律的に解釈は困ると思うのであります。そこで、閣議決定要綱には、技術長官を充てると書いてある以上は、原子力委員会法律を修正して、この委員長科学技術庁長官を充てるとするのが当然であると思うのでありますが、これはどうでございますか。
  54. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 原子力委員会委員長は、原子力委員会設置法で、国務大臣をもって充てると書いてあるのを修正すべきじゃないかという御意見でございますが、この点につきしましては、法制局ともいろいろお打ち合せをいたしまして、要綱通り科学技術庁長官たる国務大臣をもって充てるというふうに書くのも一案でございますが、こうした委員会委員長につきまして、国務大臣を充てております場合には、普通は単なる国務大臣をもって充てるというのが通例になっておるそうでございます。技術庁の長官たる国務大臣をもって充てるという書き方にも前例がないようなお話でございますし、かたがた、それでは原子力委員会の長を技術長官をもって充てるというふうに書けばいいではないかという考え方もございますが、御承知のように、原子力委員会はきわめて重要な委員会でもございますので、別に深い理由もございませんが、できますれば、科学技術庁長官が当ると出ておりますよりも、国務大臣委員長になるというふうにしておきます方が、原子力委員会の実体を表わす上からもいいのじゃないかということで、法文といたしましては、現在のまま、国務大臣をもって充てるというふうに書いておきまして実際の取扱いといたしましては、お示しの通り閣議決定をいたしておりますので、その閣議決定の線に沿いまして実際上は、科学技術庁長官たる国務大臣を将来とも充てていく、こういうふうに考えております。
  55. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話で、閣議決定もあるからいいというものの、やはりこれは法律的にはっきりしておかないと、将来とも、また政府で変更されて、別の人が委員長になったりするようなことがあった場合は、科学技術庁としても、今後やっていけない問題になってくるし、原子力委員会委員長に、科学技術庁のほかの国務大臣委員長になるということがあっては、事実上困るところが出てくるのではないかと思いますから、なるべくならば、この際、将来にでも法律を修正する機会があったらお願いいたしたいと思います。  それから、副長官はお急ぎのようですから、副長官にお聞きしたいと思いますことは、原子力委員会委員の給与の問題であります。これはかねてから、現在の給与では不十分だと思うので、一つ国家公安委員並みに給与を上げようじやないかということで、機会があったならば修正しようじやないか、そういうふうに副長官から御答弁があったように聞いておるのであります。今度のこの法律にそれが抜けておるように思いますので、これについては、将来通り、原子力委員の給与は、修正の機会には、国家公安委員程度まで引き上げるということを官房としてお考えかどうか、一つお聞かせいただきたいと思います。
  56. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 原子力委員会委員の方々の給与につきましては、実は、委員任命について両院の同意を得る際に、参議院の議運の席上におきましても、やはり今、前田議員のお話になったような説が出まして、議運の皆様方も、これでは少し低い、いま少しこれを上げるように政府側としても努力してほしい、こういう御意見が相当ございまして、その際、私からも、政府としましても今後努力をいたしますから、こういうことをお約束申し上げておるのでございます。今もやはり同様な考えでおりまして、適当ななるべく早い機会におきましてこれを改訂したい、さように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  57. 有田喜一

    有田委員長 岡良一君。
  58. 岡良一

    ○岡委員 このたび政府科学技術庁設置法案を御提出に相なりました。われわれといたしましても、かねてより、わが国の政治において、近代科学あるいはその技術を導入し、これに対して政府が責任を持つべきであるという主張を多年持っておりました関係上、御努力に対しては、敬意を表するわけであります。ただ、私どもは、将来なお逐条的に、政府の意図せられるところについて検討を進めたいと存じますが、本日は、社会党の立場から、政府が、科学技術行政運営についていかなる、基本的な態度をもって臨まれるかという点を、若干お尋ね申し上げたいと存ずるのであります。  第一点でありますが、私どもは、日ごろ非常に不幸なる言葉として、戦争は科学の母であるという言葉を聞いたことがあります。事実また、十九世紀、特に今世紀の上半期における科学技術発展というものが、常に軍事的利用を通じて発展をしておったということはまぎれもない事実であります。しかしながら、今後日本の国においても、政府が責任をとって科学技術発展のために、その運営の責任を分とうという立場に立たれた以上は、今後におけるわが国科学技術というものは、あくまでも平和の目的に限る。この大きな精神というものが、科学技術行政の中心でなければなるまい。このように感じておるのでありますが、正力国務大臣の御所信を承わりたいと思います。
  59. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまの岡委員の御質問通りに、私どもも、科学技術振興は、どうしても平和利用ということがおもなる目的でありますから、それに前進するつもりでおります。
  60. 岡良一

    ○岡委員 寡聞ではありますが、たとえば、前大戦のあとで、英国には科学工業研究局というものが政府機関として作られておる。あるいはまた、アメリカにも、国家研究会議というふうな科学上の会議が持たれておるようであります。これらの会議というものは、いずれも、国民経済発展のためという、この科学技術庁設置法案の庁の任務にうたわれておるような旗じるしを掲げてはおりますが、しかし前大戦において、戦争における科学の軍事的利用というものが実に絶大な価値があるということを見出してむしろ国家が科学技術というものを軍事的に利用しようとする意図から止まれたものであることは、これらの機構の通常の実態を見ても、そのように申し上げることができるのであります。そういう意味で、日本が初めて大きく科学技術庁設置するという立場を打ち出された以上は、このような轍をまさか踏まれるものではあるまいと思いますけれども、これはぜひとも、戦争は科学の母であったというような古典的ないき方ではなく、ご存じのように、もはや五百五十発の水爆で人類が絶滅をしようなどと言われておる世の中であってみれば、むしろ科学は平和の母であるという段階まできたのでありますので、今おっしやる通り、あくまでも、日本科学技術振興発展は、平和と国民生活と国民経済のためにという所信を貫いていただきたいということを、重ねてく要求をいたします。  そこで、昨日この委員会で明らかになったことでありますが、政府の方では、すでに日米間においていわゆる高性能の兵器に関する秘密の資料情報の交換に関する協定ができる——というようなことを聞きました。そうなりますと、とにかく日本の国内には、新しい平和目的のための科学技術振興を目ざした科学技術庁を設ける一方、それと同時に、科学技術が、戦争目的のために、しかも高度に利用されようとする新しい発明、発見というものが秘密のベールのままに日本に持ち込まれ、日本において生産されてくるということになると、大きな矛盾ではないかと私どもは感じるのであります。委員長の御見解はいかがでしょうか。
  61. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 高性能の戦争目的に関するいろいろな協定、製造協定でございますか、こういう問題につきましては、われわれはまだよくつまぴらかにいたしておりませんが、とにかく人類の目的はあくまでも平和にあって、生命の保持及び生活の安全ということに最大の重点が置かれておるということは、お説の通りであろうと私は思うのであります。従いまして、科学技術庁のあり方は、先ほどお説にもございました通り、あくまでも人類の英知をもって宇宙の森羅万象の解明を促進して、ここに安全な人類の平和を確立するというところに目標を定めて置かなければならぬことは当然であります。私たちの考え方といたしましては、何ゆえに世界に戦争が巻き起るかということは、これはとりもなおさず、世界全人類の安定した生活というものが確保できないというところに、大きな問題があるのではないか。これを解明いたして参りますには、どうしても科学技術進歩発達によって、そういう危惧を除去しなければいかぬ。いわゆる原子力の平和利用の指向するところも、原子力の平和利用に、よって、新たなる人類社会の構成を目途として、ここにほんとうの平和を確保したい。そう考えておる者でございます。今日、世の中に戦争の危惧を持っておる国家もあるようでございますが、こういう点は、われわれとしては、ある一つの過程における悲劇的態勢であって、われわれの指向するところはそういうものではない。でありますから、科学技術庁設置の目的は、あくまでも戦争を目的とするものではなくして、平和を目的とするものである。ただし、その過程において、いろいろな関係から、今お話のような高性能の兵器を作らなければならないとか、作るとかいうような問題も起きましょう。これは、そのときどきのいろいろな関係から生ずる派生的な問題ではないか。私たちはそう考えております。あくまでも科学技術庁設置の目的は、平和的に、国民の生活を安定せしむる国民英知の発露を求めて、そこに平和的な、りっぱな国家の建設をはかっていきたい、さように考えておる次第であります。
  62. 岡良一

    ○岡委員 問題は二つあるわけだと思うのです。今、政務次官のお言葉について、二つの問題が提起されたわけでありまして、前段の御所見は、われわれももとよりであると思うのであります。しかしながら、科学発展技術の進歩というものが、人類の福祉とか文明の発展に寄与すべきものであるという人類の良心にもかかわらず、事実上、科学技術発展ということを通じて、われわれはいわば自然の法則を知り、これを利用することを知っている。自然を支配することをさえも知ろうとしている。にもかかわらず、ここまで科学技術発展をしながら、人類は、自己を支配するという道徳的な規制を持っておらないというところに、現実に矛盾があろうと私は思う。科学技術は、平和のためにあくまでも役立たしめなければならぬ。日本行政運用においても、せっかく作られた庁の使命はそこにあるのだ、こう言われまするが、そこで後段に至りますと、現実の問題として、高性能に関する秘密の科学情報というものが、日米間において交換されるという協定ができてくる。これは本国会にはかられるということを一昨日言っておられる。そういうことになれば、日本のいまだ知らざる科学技術の秘密情報によって、日本の生産工場において生産されてくるという事態が起ってくる。これでは、科学技術の平和への目的に貢献しなければならないというただいまの正力委委員長なり、あるいは斎藤政務次官の、いわば理想的な御決意というものが、現実においてくつがえされてくる結果になるのではないか。この点について重ねて御所見を伺いたいと思います。
  63. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 こういう考え方が適当であるかどうかは議論の余地のあるところと思うのでありますが、今日、世界の大勢は、相反したものの考え方の対立から、戦争誘発の危険があるということに考えてよろしいと思うのであります。その和反するものの考え方の対立というものが解消せられるならば、そこに人類の平和というものがもたらされるのではないか、そういうふうにわれわれは考えておるのであります。この点に関しましては、この前の臨時国会において、岡委員が本会議において演説されましたその中で、この対立関係はやがて解消されるのであるというふうに、私は演説で明白に承わったのであります。というのは、原子力の平和利用の真髄を検討して参りますと、今までの資本主義あるいは共産主義というものは、すでに崩壊し始めておるのだ、もうほとんど価値のないものに等しい、そこに原子力を基調とする人類社会というものは、新らしい段階であるということになってきますと、今日の世界におけるものの考え方の対立というものは、原子力の実体を人類が知ることによって、また政治がこれを大きく取り上げることによって、それは解消する。そうすると、そこに今議論されておる戦争状態というものはなくなる。しかしながら、現実の問題といたしましては、なおかつ世界では二つの考え方の違いというものが対立をいたしておる。ですから、この対立関係をいかに早く解消せしめるかということと、もう一つは、その対立関係から誘発せられる戦争の危惧に対して、どういう準備をするかということ、この二つの矛盾は、厳に強力に私は存しておるものと思うのであります。われわれの考えといたしましては、もうすでに世の中に原子力の平和利用というものが提唱せられておる、原子力の実体というものが解明されてきて、新たなる人類社会に対する構想というものが浮び上って参りました限りにおきましては、急速にその科学技術の粋を把握いたしまして、これを普及せしむることによって、一切の問題を解決していきたい。もちろん理想に直ちに突入いたしまして、その理想を実現することができますような態勢をわれわれは望むのでございますが、世の中の歴史をひもといても、理想を一足飛びに実現することはなかなか困難であって、理想実現までには、常にそれと相反する一つの形というものがつきまとう、これを克服することが、理想実現の最も重要な方法であるとも考えますので、われわれといたしましては、現実の問題は現実の問題として、国家が生きていくためにいろいろな生産が行われなければなりませんでしょうし、また国家としての立場上、そういう対立関係にある問題に対して手を触れていかなければならぬと思いますが、科学技術庁の目的というものは、こういうわれわれの希望せざる問題を早く科学技術の力によって解明して、人類の真の平和を確立していきたい、かように考えておるのでございまするからして、その点は何とぞ御了承を願いたいと思います。
  64. 岡良一

    ○岡委員 斎藤政務次官世界観に関する御講義ありがたく拝聴いたしたのであります。そこで、正力委員長に重ねてお尋ねをいたしまするが、今、政務次官の言われましたように、なるほど思想の対立はきわめて深刻である。しかしそれは、水爆実験の競争というような、事実上、力の対決によっております。しかも水爆実験というような人類の英知の最高の達成が、この対決の力の方法に用いられておるという事実であります。こういう段階において、そこで第二点のお尋ねをいたしておるのは、今申しましたように、高性能兵器に関する秘密の資料日本にもたらされ、日本の工場は、その資料に基いて、高性能の兵器を作る。日本科学技術庁を設けて、今後いよいよ政府の責任において、科学技術発展を期そうとせられる。その目的は、あくまでも平和のめ的である。しかし、日本科学技術水準ではいまだ生産し得ないから、外国から兵器に関する秘密資料を得る。一方、日本より科学技術の進んだ外国のデータが日本にやってくる、日本の工場がそれを作るという事態が、今、推定せられておる。そこで、特に正力委員長は、野球とかマイクロウェーヴとかテレビとか、なかなかアメリカのことにはお通暁のようでございまするが、そういたしますると、そういうものを持ってきて、日本の工場がそれを作るということは、先ほど委員長の言われたような科学技術振興は、平和目的のものでなければならないという御信念と、事実において、日本政府がやろうとすることが反対になってくるんじゃないかということなんです。委員長いかがお考えですか。
  65. 正力松太郎

    正力国務大臣 実は、今いろんな兵器に関する情報を得ておるんではないかということですが、私どもは、不幸にして聞いておらないのであります。私どもは、それはそれとしても、どこまでも、科学技術庁としては平和目的で進んでいくという考えでいるのであります。現に、議会も水爆の禁止を言うておるくらいですから、おそらくは、そんな兵器の約束などはなかろうと考えております。
  66. 岡良一

    ○岡委員 いずれこれは国会審議にゆだね、承認を求めなければならぬ案件でありまするから、そのとき、該当の委員会において論議は尽されると思います。しかし、科学技術が平和のためでなければならぬということが、正力国務大臣の御信念である以上、閣議においても、こういうものは、やはり反対をしてもらわなければならぬ。それだけのことがあって、そこに初めて委員長の御信念の実行が伴うのであるから、私どもは、刮目して一つそれを見ておりたいと思います。  次にもう一つ、私は、科学技術行政上、これまでのわれわれの体験から注目したい点は、いわゆる必要は発明の母なりという言葉がある。問題は、必要のために発明が生まれる。これは、科学技術というものの正しい純粋な発展というものをこいねがう立場からは、やはり技術はそうであったとしても、その言葉通りであってはなるまいと思うのです。というのは、なるほど近代資本主義というものは、科学技術発展に非常な貢献をした。これは私どもも決して否定するものではありません。とはいうものの、科学が利益に奉仕せしめられてきたということは、いなめないと思うのです。近代資本主義は、科学技術発展に非常な貢献をしたが、それは限度がある。利益に奉仕し狩るというその可能性において、科学技術発展が認められてきたというところに、私は近代資本主義というものの科学技術に対する貢献の一つの限界点があると思うのです。そういう理屈は別といたしまして、そこでこの科学技術政府の責任において発展をはかろうということで、いよいよその庁を設けられるということになりますると、私は、やはりこの科学技術というものが、かって利益に奉仕する技術科学であるというふうな限界線を、一つ突き破っていくような抱負があってしかるべきだと思うのです。実際問題として、大きな経営が研究所を持っている。新しい発明や発見があっても、それが近代的な大経営の利益に奉仕しないというものであるならば、それは無視されてくる。あるいはまたそれが独占化これ、秘密の中でそれが活用されるということになって、公開されない。あるいは資本主義の発展のの途上で、恐慌があると、研究所が閉鎖になるということで、科学技術の大切な研究が中断されたというような事例もあるようでのる。こういうことになっては、真に科学技術発展というものは、私ども庶幾できないと思う。そういうようなかってのわれわれ——おそらく日本あるいは世界科学者が経験したこういう不幸な事態を考えた場合に、科学技術発展振興は、国民経済発展である。国民生活の福祉科学技術発展は、国民のものとして発展せしめられなければならないという考え方が、当然ここに打ち出されてしかるべきだと思うのです。この点についての正力委員長の御信念、また該博なる斎藤政務次官世界観をも承われればけっこうであります。
  67. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 岡委員の御質問は、非常にむずかしい御質問でございまして、私ごときものがとうてい適当な御答弁を申し上げられる段階ではないと思うのでございますが、科学技術の人類における最高の目標は一体何であるかということは、ひとしく科学技術世界において論ぜられているところでございまして、大体科学技術の最高目標は、生命の起源ではないかということを言われておるのであります。従って、必要によって発明が行われるのであるということも、その最終の目的から見ますと、全部必要なのであります。従って、科学技術の進歩過程は、結局人間が行うのでございますから、人間の最高の尊重すべき問題、生命そのものの解明ということに究極づけられるのではないかという説を出している人もたくさんあるようであります。そういう点から考えますと、科学技術の進歩過程において、利益のために発明が奉仕するのであるということは、これは一つの変形でございまして、大きな発明のもとには、資本主義社会においては、資本が無尽蔵に集まっていくのが私は正しい形だと思う。でございますから、これは発明が資本に独占されるとか、あるいはその発明したものがその国だけに行われて、他の国はこれによって常に圧迫感を感ずるとかいうことは、科学に国境がない、科学発明というものは人類の福祉のために行われるものであるという最高目標から見ますと、私は変則だと考えております。しかしながら、今日各国、各民族が一つのブロックを形成いたしまして、生活を営んでいかなければならない建前から、やはりその国の人々が発明したものは、まずその国の利益を仮初に確保するということは、民族国家のあり方からまた規定されている。また特許法があって、権力に守られた公開を行って、その発明を行ったものは、特許法の擁護によって、いろいろな事業が行い得られるということも、その人の英知を尊敬するという建前から考えられたものだと私は思っているのであります。従いまして、ただいま岡委員の仰せられましたことは、いわゆる発明発見というものに対する高度の理想的なお考えでありまして、私たちもそうありたいと思うのであります。しかしながら、究極におきましては、一つの大きな発明が行われますると、これは特許法によって守られておる期限が過ぎますと、これは国境なしに、全人類の幸福に寄与するものであることは争うべからざることでるうと思うのであります。ですから、一つの形をとらえて、今までは、特許は資本のために奉仕したのであるが、特に何か必要がなければ発明が行われなかったんだということは、そういう面もたくさんありましょうけれども、人類の発明発見に対する考え方というものは、究極の目標に対して、常に努力を行なっているものであって、決して、そこに必要が生まれたから特にこれに向って全部の発明発見が行われるというのでなくして、人間の考えておるところの科学技術のあり方というものは、宇宙の森羅万象を解明して、あくまでもその不可思議なところをわかるように努力するという究極の目標によって、常に発明発見というものが行われていく。そういうことが、とりもなおさず、人類社会のほんとうの平和を希求するという意味になるのだと私は考えておるのであります。従いまして、科学技術庁はあくまでもその大局的な見地に立って、科学技術の究明、進歩ののり方にちっとも狂いのないような考えでもって、将来の科学技術行政をやっていきたい。ここには国民経済及び国民の福祉と書いてございますけれども、これは遠慮した書き方であって、日本科学技術庁のあり方は、世界全人類の福祉に寄与するという大きな考え方でもって、誤まりない行政一つやっていきたい、かように考えております。
  68. 岡良一

    ○岡委員 実に、科学技術に羽がはえて、天井に宗教的信念として飛び上ったようなことを私から申し上げたことは恐縮でありますが、ただしかし、日本の、たとえば明治、大正のこの資本主義の発展というものは、御存じの通り、おくれて急激に発展した資本主義、これは世界の経済学者が規定しているのです。そこで、おくれて急激に発展した日本資本主義というものは、どういうマイナスを持っておるか。幾つかの、たくさんのマイナスを持っておる。その大きなマイナスの一つとしてあげられ得るものは、日本の資本主義の当初の、あるいは国家資本が相当うしろだてとなったり、また資本が外国の資本主義の発展に追いつこうとする盲目的な努力、これらもそれぞれに評価はされ得るでしょう。しかしその・結果として、外国の技術、外国の発明発見をそのまま模倣するという、ここに日本の資本主義が、日本科学技術発展において一つの大きな空白を残しながら歩んできた道があると思うのです。これでは真の、いわば基礎的な研究、実験に裏づけられた、日本の大地に足をふんまえた、齋藤次官のお言葉をかりれば、民族国家の科学技術としての安定した、また健全な姿がないのじゃないか。そういう点で、私が先ほどもお尋ねしたわけなんだが、この点、日本のかつての資本主義の発展の中に営まれてきた科学技術振興が、今日このような大きな一つの空白を残してきて、基礎的な実験、研究における分野をある程度まで放置しながら、外国における進んだ技術を導入することを急いで、そこに現在における日本科学技術水準の大きな断層があるのではないか。これを埋めていくという努力、少くともそういうあやまちをしないでいきたいという意欲がなくては、今後の日本科学技術行政というものの健全な発展は、望めないのではないかと私は思うのです。この点について、一つ齋藤さんの御所見を承わりたいと思います。
  69. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 お説の通り、オリジナリティのない科学技術行政というものは、私は無意味だと考えております。申すまでもなく、民族の輪羸を争う形は、破壊的な戦争の形をもって争うこともございますが、平和裏におけるところの民族国家の繁栄の競争ということは、これは当然その民族のブレーンによって決定せられるものであって、そのブレーンがどうあるかということが、いわゆる科学技術行政の根本にならなければならぬと思うのであります。従いまして、アメリカその他の科学技術のイミテーションによって形成されましたところの日本科学技術というものは、これはほんとうの日本人の科学技術じゃなくして、これは単なるイミテーションにすぎない。それでございますから、日本科学技術は、欧米の先進国におくれているというのは当然でございまして、オリジナリティの少いところに、そのオリジナリティの持っているところを凌駕する力というものは、私は生まれてこないと思う。従いまして、今度の科学技術庁の非常に大きな目標として定められておりますのは、先ほど前田委員からも御指摘がございました通り、中央、地方におけるところの研究所、実験所の再検討を強力に行う。現に日本の中央、地方を通じての研究所、実験所において行われるところのそのものが、ほんとうに日本人のオリジナリティによって行われておるものが、どれだけあるかということがわからぬ。非常に大きな発明が完成せられておるにかかわらず、それがちりの中に埋もれてそうして、その実施化にまで到達してない一面もたくさん私はあると思う。なおかつ特許庁におきましても、何十万件という日本人のオリジナリティから生まれたところの発明発見がある。しかもその中からどういうものが拒絶せられ、どういうものが工業権を獲得しているかということも、ほんとうからいいますと、非常にあやふやな点も私はたくさんあると思う。そういう点をよく科学技術庁におきましては検討を進めまして、お説のように、日本人のオリジナリティによって生まれ出たるところの発明発見は、これを大きく取り上げてこれを実施化して、ここに日本民族の独創、英知を根本とした将来の科学技術を盛んにしていきましたならば、平和、麦に日本民族の発展というものは当然私はでき上るものだ、そういうところに国家再建の大道の基本というものがあるのじゃないか、さように考えておるのでありまして、お説まったく同感でございます。
  70. 岡良一

    ○岡委員 長い将来の構想はまことに私どもも同感なのですが、それへ行く道順として、今、私どもは科学技術庁というものがどういう腹づもりで運営されなければならぬかということをお尋ねしておるわけなんです。  そこで、今おっしゃいましたことにも関連して、私ここでちょつと資料をお願いいたしておきたいと思います。すでに先ほど前田君からも要求がありましたが、今後設置さるべき科学技術庁定員、特にその中における技術者の比率、処遇等について、構想でけっこうでございますが、今後、逐条的な審議を進める上において、どうしても不可欠なので、次回の委員会一つお願いいたしたいと思います。  なお今のお説についてでありますが、私ども科学技術行政の通常に当るというときには、人事の問題について二つの点が非常に大事な要件ではないかと思う。その一つの要件は、何と申しましても、科学は日進月歩のもの、いわば日々新しき事物を創造しようという一つの独創的な分野なんです。そこでは、成ほど古い経験というものも尊重されてもよいでしょうが、しかし、といって、これは決して老人性機構であってはならないと思う。ここに科学技術行政というものの人事における一つのポイントがあると思う。幸い担当相に、われわれもいまだ及ばざる情熱の老人である正力国務相をいただいておるということは、まことにけっこうなことでありまするが、しかし、その下で実務を担当せられ、またこの運営を直接担当せられる科学者の諸君などは、やはり日々に新しい事物を創造するその創造力の分野であるという観点から、まず人事の若返りといいましょうか、斎藤さんの夢のようなものを持っておる、そういう情熱のある進歩的な若き人たちを多く採用していただかないと、この庁というものも、ほんとうの仕事ができないのではないかということが一つ・、その点について一つ御所信というか、抱負というか、お聞かせ願いたい。
  71. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 科学技術庁人事に対する御構想でございますが、私たちも全く同感で、そのように考えておるのであります。元来、日本行政面科学技術が大きく取り上げられなかったのは、行政官庁人事の体系が、そうしからしめた点もたくさんあるのであります。たとえて申しますると、技官ではなかなか局長になれないとか、課長の大半、重要ポストは法文科出が占めているとか、そういう点がたくさんあったと考えられる点もあるのであります。従いまして、今度の科学技術庁の人は、今まで取り残されたと思われるような技術者をもって重要要ポストにつける。特に予算その他関係官庁との折衝において技術を必要としないところのポストには、そうでない法文科系統の、従来の行政的手腕のある人を持ってくる必要がありましょうけれども、特に科学技術に直接関係のある分野に関しましては、科学技術を専攻したところの優秀な、しかも若い人をここにつけまして、科学技術の現在はもちろんでありますが、将来のあり方に対するところの構想を確立したい、かように考えて、目下熱心にその人物の選考、選択と申しますか、これは実際その衝に当ってみますとなかなかむずかしいので、どこにどういう優秀な、しかもそのポストにすわるべき資格を備えておるところの人がおるかということを探し求めるのは、非常に困難でございます。これをなるべく早急に行いまして皆様方の御期待に沿うようにいたしたいと目下努力中であります。
  72. 岡良一

    ○岡委員 これはぜひとも若き逸材を求められて、そうして科学技術行政の、古い官僚が単に情熱のある進歩的技術者の上にどっかとあぐらをかくような機構では、事実上この行政発展をしないと思いますので、次官の今後の御手腕に私どもは期待したいと思うのです。  それから、いま一つ私どもが危惧することは、いよいよ科学技術庁が発足した、政府の施設、政府の資金においていろいろ調査し、研究し、試験し、実験をする、こういうようなものは、ともすれば政府の機関であるということによって、大きなマイナスの制約を受け得ると思うのです。一番大きなことは、他の民間のそういう施設との間の競合ができない。何となれば、非常に消極的な形に終ってしまう。いわば、はえない結果になるということが間々あり得ると思うのです。あるいは、そういう雰囲気、環境の中では、いかに逸材を集められても、この諸君が、積極的な意欲を持って科学技術研究に邁進できないというような雰囲気を作ってしまう。こういうようなことがしばしば見受けられるのじゃないかという杞憂を持つわけであります。これは私の杞憂かもしれませんが、こういう点、今後の科学技術のあり方についての的所信をお聞きした
  73. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 国家全般の科学技術というものから考えまするとお説の通り、民間の研究所に非常に優秀な科学技術者がおり、また民間の研究所において国家に有能な科学技術研究を行なっていることは、私はこれを尊重すべきことだと思っております。それと、官庁にありまする科学技術研究実験所との総合統一をどうはかるかということは、これは日本科学技術水準を上げることにおいて、私は大きな問題であると思う。これは科学技術庁設置いたしまして官公庁に属します中央、地方の研究所、実験所の実態を調査して、これに対するいろいろな助成あるいは指示を与えましても、民間にあるところの各会社その他の研究実験所にあるものに及ぶかどうかということは、これは実際に調べてみなければわからぬのであります。とにかく民間にありまするとこるの研究所、実験所の実態というものも、当然われわれは情熱を傾けて、その真相を知らなければならぬと思う。その上で、民間と官庁との研究所、実験所をどう融合調整するかということに取り組んでいかなければならぬと思うのであります。ただ、ここで考えられますことは、主として民間におきまするところの科学実験所、研究所も、工業権を設定するという建前から、総じて、研究、実験に対しては高度の秘密体制を守っている。この秘密体制を守っているやつを押しのけて、その実態を把握することは困難だろうと思います。もしもそれが特許関係において現われてきたような場合には、これは権利に守られた公開でございますから、そういうものには十分に注意を払いまして、その民間の研究所、実験所から出て参りました発明発見に対しましても、国家はこれをその所属する研究、実験所に移しまして、その実態を検討して、これが大きな新発明発見であるといたしますならば、これを助成して、そうしてそういうような方向からよく協調し、発明発見に対するものに対しては万違算なきを期して、官民一体となっての科学技術水準一つ上げていきたい、さように考えております。
  74. 岡良一

    ○岡委員 アメリカの原子力のように、いわゆるビジネスに対する研究委託でもって、研究費の多くを食われるようになってしまっては困るのですが、いずれにいたしましても、現在、日立、旭硝子等、相当原子力関係研究所を持っておるのでありますが、こういう民間の大経営の研究所の、研究内容はちっとも必要でありませんが、民間の大経営が出しておる研究費、また研究所の所員の処遇などをぜひ一つ資料として、できるものだけ私どもにお示しを願いたい。この間も予算委員会で、一人当り研究費、国は四十八万円、民間は七十七万円というように、処遇なり研究費において非常に気の毒な状態に国の諸君がおられるということを発表せられましたので、そういうことでは、せっかくの科学技術庁を設けても、なかなか所期の成果があがらないと思われます。この点ぜひ一つお願いしたいと思います。  それから、それに関連して、先ほど齋藤政務次官が仰せられましたが、大学については、研究の自由を尊ぶという立場から、一応切り離そうというお考えのようでありました。それも、方向としては確かにそうあるべきだと思いまするが、ただここでお聞違いいただきたくないのは、大学研究の自由というものが、果してあるかということなのです。どんなテーマでも研究できる自由はあります。しかし、大学研究室というものは、——私も郷上へ帰れば大学研究生ですが、これはもう試薬も実験動物も自分の費用で買わなければならぬ。戦前はそうではなかったのです。こういうことでは、大学研究の自由と幾ら思っておられましても、予算の制約、研究生の生活上の制約から、研究ができない。だから学位をもらえば、その学位をみんなよりよき俸給をもらうための足がかりとしてしまう。学位をもらってやっと本格的な研究を始めてもらいたい人が、全部生活に追われて、それを肩書きにして、自分を売ってしまうというのです。だから、大学における研究の自由を尊重するということは、単にどんなテーマでも研究生は研究すればいいというものではない。同時に、研究し得る経済的な物質的な条件をそろえてやらなければならぬ。でなければ、大学における研究の自由というものはない。ここにやはり科学技術庁としては大な関心を持っていただかなければならぬということが一つ。いま一つは、現在の大学研究室というものは、私は非常に規模が小さいと思う。中には大きなものもありますけれども、しかし各教授ごとに十名かあるいはそれ以上の研究生がおるという、ただそれだけの研究室です。科学技術庁を設けて特にその応用面を中心とする科学技術振興をはかろうとしても、日本大学研究における基礎研究というものが今のような姿では、ほんとうに日本の総合された科学技術発展というものは期せられないというのが実情なんです。そういう意味で、科学技術行政科学技術施設の総合ということをしばしば仰せられましたが、この問題は、当然やはり科学技術基礎研究をやっておる大学研究室というものと共同研究にする、またはこれに対する研究の施設、設備、資金等に対してもっとこれを供与する努力をする、こういう点について、文部当局に御出席願って、私ども聞きたいと思っておるのですが、しかし資料として、今、日本大学にどれだけの研究室があるか、平均どれだけの研究員がおるか、そうして農業とか工業とか、まあ農業はようございましょうが、医学、工業面の別学の中でも、いろいろ実用面もありましょうし、そういう科目別な研究室の構成、数、こういうものを伺いたい。これは文部省の方に御連結いただきたいと思いますが、それをひっさげて、文部省の該当者に一つ出ていただいて、この面も今後、委員会の問題として私ども研究いたしたい。  それから国際的な交流という点について、最後にお尋ねしておきたいと思います。先般来、ここ数年各国と文化協定を結んでおります。そうして学者の交換等もやっておるようであります。このことは、外務省が外国と交渉をする窓口かもしれないが、しかし、事実上、これは科学技術庁の直大な所管事務としてもいいじゃないかと私は思うのです。そして、もっと先進国のすぐれた科学技術を導入することは、もちろん私はしなければならぬと思います。そういう点で、これもまた後刻の委員会でいろいろ御見解をお聞きしたいし、私ども希望を申し上げたいと思いますので、現在日本科学者の交換をし得る国々の名前、それから現在各国に派遣されておる日本科学者のその国別、それから担当専門家名、人数というようなものの分類表、一覧表とでもいったようなものを御提出を願いたいし、同時にあわせて、このような科学技術の国際的な交流に関して、正力委員長はいかなる構想をお持ちであるか。よくあなたにものをお尋ねすると、やらにゃなりません、やりますと言われる。これでは困るので、具体的なものがあったらお示しを願いたい。
  75. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまのお話は一々ごもっともなことばかりでございまして同感であります。しかし、実際外国との関係につきまして、それはこっちも非常に注意しておりますので、取りあえず研究生といいますか、そういうものをやることに今案を練っております。そして、なおそれだけではいかぬ。もう少し外国との交渉をスムーズにやるためには、研究生でなしに、もう少し上の人が行って向うと折衝してみたい。それは単に外務省に委任するのではないのです。原子力委員会としてだれか行って、一つ折衝もやろうという案を今練りつつあります。それで、ただ外務省に依存しまするとどうしてもいきませんから、実際当った者でなければいかぬということで、具体的に練っております。それはいすれ具体的にきまり次第申し上げます。
  76. 岡良一

    ○岡委員 これで私の質問は終ります。私が申し上げましたことは、結局、今後、科学技術庁をせっかく設置せられ、その発展、国民の福祉をうたわれ、る以上、いかにあるべきかという基本的な政府の腹づもりを私はお尋ねいたしたわけです。なお、それとあわせて、要求いたしました資料は、ぜひ一つ提出いただいて、今後のわれわれの逐条的な審議資料にしたいと思いますから、この点を重ねてお願いしまして、私の質問を終りたいと思います。
  77. 有田喜一

    有田委員長 本日はこの程度にいたし、次会は来たる二十日、月曜日、午後一時より開会いたし、質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会