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1956-04-06 第24回国会 衆議院 運輸委員会観光に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月六日(金曜日)    午前十時五十六分開議  出席小委員    小委員長 濱野 清吾君       臼井 莊一君    岡崎 英城君       木村 俊夫君    中嶋 太郎君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君     早稻田柳右エ門君    青野 武一君       井岡 大治君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     大石 孝章君         運輸事務官         (観光局長)  間島大治郎君  小委員外出席者         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月六日  堀内一雄君同月一日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  生田宏一君同月二日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同月二十三日  堀内一雄委員辞任につき、委員長指名で小  委員補欠選任された。 同日  濱野清吾君同月二十日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  岡崎英城君同月二十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員補欠選任された。 同日  濱野清吾君が委員長指名で小委員長補欠選  任された。 四月六日  山口丈太郎君三月二十七日委員辞任につき、委  員長指名で小委員補欠選任された。 同日  生田宏一君三月二十八日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際観光事業振興に関する件     —————————————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 それではただいまより運輸委員会観光に関する小委員会を開会いたします。  観光行政に関する調査を進めるわけでありますが、特に駐留軍より接収されております観光ホテル実情に関しまして、小委員会で鋭意の調査を進めた次第であります。小委員会におきましては去る二月二十七日第一回小委員会を開会いたし、調達庁不動産部長及び運輸省よりいろいろ御意見を聴取し、特に小委員長よりの接収ホテル実情に関する質疑に対する大石不動産部長答弁、すなわち昭和二十七年十一月十七日日本国政府アメリカ政府との間におきまして、全国大体四十六カ所ほどのケースにつきまして、これを他に移転せしめるという約束ができておるのでございます。大綱は東京、横浜、名古屋等の大都会におきまして、米駐留軍都心部に持っておる施設は、おおむねこれを都市周辺の地域に移すというのがその趣旨でございます、との答弁がございまして、その実情小委員会においてもお手元に御配付申し上げた程度調査をいたした次第でございます。さらに当日の小委員会におきまして、参考人として観光協会会長平山孝君、日本交通公社会長新井堯爾君等の御意見を聴取いたしたのでありますが、その中にも観光行政に必要なる資金の拡充及び対外宣伝必要等について大いに力説された次第であります。以上の経過を経まして、小委員長といたしましては次のごとき決議案を提案いたし、皆様方の御賛同を得たいと存ずる次第であります。  次に決議案を朗読いたします。    国際観光事業振興に関する件   国際観光事業国際親善国際収支改善等に寄与するところ大なるにかんがみ、本委員会においてもこれが振興につき数回に亘り決議を行ったのであるが未だその実施に積極的でないのは遺憾である。よつて政府観光行政一元化を図ると共に、確固たる年次計画を策定し、これに必要なる資金計画をたて、逐次これを実施に移し対外宣伝強化並びに受入態勢整備拡張を図り国際観光事業の成果を収むべきである。   更に又当面の緊急措置として現在外客接遇上最も支障を来たしている観光ホテル不足難を打開するため、現在駐留軍接収されている外人宿泊用ホテルであって、契約満期のものはもちろん、その他のホテル等についてはその返還につき特段の努力をなさるべきである。   右決議する。  ただいまの決議案小委員会決議といたすよう委員会に提案いたすに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。それでは本決議案小委員会決議とし、委員会において採択の上、関係官庁に送付するよう委員長申し入れたいと存じます。  ただいまの決議について、政府より御意見を求めます。
  4. 間島大治郎

    間島政府委員 ただいまの決議案の前段の問題につきましては、決議案の御趣旨はごもっともでございまして、政府といたしましても、かねがねこの点につきましては関心を持ちまして、御承知通り内閣には観光事業審議会が設置せられておりますが、この審議会が、ここにありますような観光行政一元化あるいは年次計画の策定、対外宣伝強化受け入れ態勢整備というようなものにつきまして、強く幾たびか政府に勧告をいたしておるのであります。政府といたしましても内閣審議室が中心になりまして、目下観光事業振興五カ年計画を策定いたしております。その時期がずいぶんずれまして、おくれておりますが、ここ一、二カ月中には各省十分協議の上、この計画を作り上げ、閣議決定をいたしまして、これを実施に移したいというふうなことで、仕事を進めておるわけでございます。  なお後段の件につきましては、われわれ観光事業に関する者といたしましては強くその必要を痛感いたしておることでございまして、運輸省といたしましても調達庁あるいは外務省等関係官庁に、できるだけ早く駐留軍使用ホテル解除方を要請いたしておるのであります。従来までまだ十分その実現を見ておらないのははなはだ遺憾でございますが、この御決議趣旨に沿いまして十分努力いたし、早期解決をはかりたいと存じておる次第でございます。
  5. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 ただいまの御決議案後段の、目下米駐留軍使用中のホテルの問題につきまして、調達庁の方から見解を申し述べたいと思います。  すでに去る二月二十七日のこの委員会におきまして、いろいろな従前からの経緯並びに目下当面いたしておりますところの事情につきまして、詳細私どもから御説明申し上げ、またその後におきまして委員会の方におきましても、名古屋観光ホテルの問題、それから東京都内におきます第一ホテル山王ホテルあるいは軍人会館等につきまして、いろいろ御調査がありまして、資料もいろいろ御吟味いただいた次第でございますが、いずれにいたしましても、私どもの方におきましても、行政協定に基きます米駐留軍との間における国とのいろいろな約束は、当然尊重せねばいかぬという態度をとりますが、同時にその約束におきましていわゆる代替施設が完了いたしたならば移るという趣旨につきましては、当然米国側にも尊重してもらう必要があると前からも存じておりました。今後もこの態度につきましては、私ども全然変りがないのでございまして、いろいろ努力いたしたいと存じます。  なかんずく名古屋観光ホテルにつきましては、すでに守山地区等に当初計画通り一応日本政府側におきましては代替施設実施いたしたのでございますから、この計画米側にも実施してもらいたいというために、いろいろ厳重な折衝を重ねたことは、先般の委員会における説明の中に申し上げましたが、その後の事態につきまして若干補足させていただきますと、三月八日、日米合同委員会におきまして、外務省欧米局長並びに調達庁長官代理である丸山次長から米側に対しまして強く要望いたした次第でございます。その結果に基きまして具体的に私どもの方の事務担当者も、米極東空軍参謀長に三月二十七日具体的な折衝を開始いたしまして、その結果、しからば現地において実際専門的な会議を持っていろいろなことを討議しようということになりまして、三月二十九日、三十日、三十一日の三日間名古屋におきまして、第五空軍施設局長航空基地司令官その他の関係官と会同いたしまして、私どもの方から具体的ないろいろな移転促進の討議を実施いたしたような次第でございます。なおその結果に基きまして、四月五日再び極東空軍参謀長と会談いたしました結果、これの促進方につきまして米側でもいろいろな計画を持っておるので、そのため少くとも今後十日間以内ぐらいに自分みずからも名古屋に出かけて、一々の施設を検討しようというような言明を得た次第でございます。御参考までに補足させていただきます。  なお東京第一ホテルにつきましては、私どもこの前御説明申し上げましたように、目下東京郊外の方に実施いたしております代替施設が完了すれば、ぜひ移ってもらうという線はいささかも変りがないのでございまして、そのためにいろいろ努力いたしております。しかしながらその時期まではどうしても米側におきまして使用する計画が変更できないような事情があることは、私ども了承できますので、やむを得ず公法上の使用権を確保いたしまして、いろいろ折衝いたしておるというような事情でございます。  なお資料の方にございます軍人会館等につきましては、この前も御説明申し上げましたように、本年の夏場までには返還になるように努力いたしたいと考えております。御参考までに申し上げました。
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 政府委員の御意見がでございましたが、質疑はございませんか。
  7. 青野武一

    青野委員 今不動産部長から御説明がございましたが、東京第一ホテルは、東京郊外代替施設ができれば移転するという書類か何かの取りかわしを、米軍側政府側でやっておるのでしょうか。
  8. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 本件につきましては、去る二月二十七日の本委員会におきましても若干御説明申し上げた次第でございますが、第一ホテルの問題に関して米側とはっきりした約束は、名古屋観光ホテルのごとく具体的にはない次第でございますが、日米施設特別委員会並び合同委員におきまして、この郊外施設ができたならば移そうというような趣旨のやりとりはあったのでございます。それを具体的に申し上げますと、昭和三十年五月の百十四回合同委員会におきまして、ただいま申し上げましたように趣旨第一ホテル返還について米側から表明がございました。この内容は、目下府中建設工事をやっておりますが、それが大体今年の五月ないし六月ころには完成する予想のもとに立っておるから、従ってそれが完成したならば都内にあるこういう施設をいろいろやりくりすることによりまして、第一ホテル収容人員を移すことができるという趣旨了解があったものと私は存じておる次第であります。
  9. 青野武一

    青野委員 第一ホテルについてはホテル側責任者の方から、至急明け渡してもらいたいという訴訟の提起をされているということを聞いておりますが、大体その内容がおわかりになったらお答え願いたい。もう一つ米軍の人数、どのくらい米軍で利用しておるか、その数字がおわかりになったらお知らせ願いたい。  それから五月ごろに東京郊外において代替施設が完成すれば、米軍側の方から移ってもよいといったような話が、文書交換でなくて、口頭であった、しかし果してそれが実行されるかどうかという点については危惧の念を抱かざるを得ないのですが、そういう申し入れがあった場合は第一ホテル接収解除して、あそこを利用しておる米軍東京郊外代替施設の方に移転せしむるについては、大体何月ごろに代替施設ができる予定であるか、米軍側の方はどうかということについてもっと話を突っ込んで、文書交換、たとえば契約、その代替施設が完成すればたとえば十日なり十五日なりの期間を置いて接収解除して、利用しておる者を代替施設の方に移転せしむるといったようなことを、一つこの機会にもう少し一歩も二歩も突っ込んで、文書による約束をしておく必要があると思いますが、そういうことはやっておらないのですか。
  10. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 ただいまの三番目の問題からお答えいたします。施設特別委員会あるいは合同委員会において、具体的に文書等約束に似たようなやり方をしておったのかという御質問にお答えいたします。この点につきましては昭和二十九年七月の第二十九回施設特別委員会において、日本側から返還方についての協力の申し入れ文書で要求したのでございます。それに対しまして同年八月、三十三回の施設特別委員会米側の方から文書でもって、日本側の要求にもかかわらず、米側においては単身将校宿舎の需要というものは依然として減少してない、従って東京地区米駐留軍の兵力の減少によって、新設の代替施設に統合できるような事態になるまでは、第一ホテルは事実上返還できないという旨が文書でございました。それで事実上いろいろ再三再四にわたり折衝を重ねたのでございますが、先ほど申し上げた三十年五月の百十四回日米合同委員会におきまして、文書で先ほど御説明趣旨向うの方から提出があったのでございます。従いまして単なる事実上の折衝のほかに、一応記録に残る了解がなされたものというふうになっておるのでございます。  なお第一ホテルのことでありますが、第一ホテル契約昭和三十年度まではあったのでございますが、昭和三十一年度の契約に関しましては所有者の方から、三十一年度は契約には応じがたいという申し出がございましたので、米側の方で使用する実情その他を御説明申し上げまして、御折衝申し上げたのでありますが、三十一年度は契約できないというふうにはっきり意思表示があったのであります。しかしながら私どもの方では先ほども申し上げましたように、決して期間の明示のないような使用の仕方はしないつもりでおるから、ぜひ契約を願いたいという折衝をいろいろしたのであります。しかしながらこういう折衝の途中におきまして、所有者側の方から国を相手取りまして明け渡しの訴えが提起されました。そういうような事情で、一方国といたしましては米側使用するという実情については、これを否定できないという関係にありましたので、やむを得ず昨年の四月に内閣総理大臣使用事業認定をとりまして、なお交渉を重ねたのでございますが、いろいろこの契約にやはり反対だということでありますので、三十年十一月に東京都の収用委員会使用裁決申請をいたしました。それで三十年二月十六日に三月一日から十月三十一日までの八カ月間使用権があるという裁決が下されたような次第であります。なお先ほど申し上げましたように、私どもの方は十月末までの使用権を確保したわけでありますが、必ずしもその期間満了まで米側使用せしめるというのが本旨ではありませんので、郊外における代替施設ができ次第、もちろんこれは物理的に施設が完了しましても、移転準備のために必要な期間がございますので、その期間はとらなければいけませんが、ぜひその前に返還の実をあげたいというのが趣旨であります。
  11. 青野武一

    青野委員 それで大体この文書に書いてある通りで、要点は今の答弁と同じでございますから了承いたしますが、問題は代替施設がかりにできても、口頭ではなかなか実行してくれない。これはこの前の運輸委員会のときに、不動産部長には私からも質問申し上げて御答弁をしていただきましたが、この第一ホテルも同じでありまして、これは特に重要な問題で訴訟になっておりまするから、訴訟上の裁定が下ると思いますが、ホテル側はもう三十一年度はお貸しすることは輝きない。それを収用委員会裁定によって強引に十月まではやむを得ない、使用するということになっておりますが、それらについてホテル側意見を聞いてみなければはっきりわかりませんが、家賃は五百六十九万円、物件代金が二万四千五百七円、見舞金が百六十六万円ばかり含んで、合計七百三十八万七千三百十六円となっておりますが、これは一年でしょうね。
  12. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 さようでございます。
  13. 青野武一

    青野委員 そこでこういうものを一方的におきめなさって、ホテル側に押しつけておる、大体東京都内でも外人ホテルというものは余っておるとはわれわれにも認められません。そこでホテル経営者としては、当然三十一年度の契約をお断わりする、収用はお断わりする。これぐらいな程度家賃その他の借り賃では大体収支が償わない、経営者も困るからという立場から、こういう訴訟が起ったと思います。話を転じて名古屋に持って参りますると、部長も御答弁のときにおっしゃったように、すでに守山の第五空軍司令部には代替施設ができ上っておる。とにかく米軍側誠意があれば、一週間か十日間の猶余期間があれば、百五十人や百八十人の利用しておる将校移転ぐらいはすぐにでき上るはずです。あまり大きい部屋ではございませんが、私どもはちょっと見ただけですが、この机から向うまでくらいの部屋が二つある。それを一人で二部屋を使わしておるということが大体不合理なんです。私ども現地に行って聞くところによれば、これは自民党の人々もおいで下さって、名古屋商工会議所、市役所、県庁あるいは交通公社陸運局海運局等がみんな立ち会って、空軍司令部に行って、主として私がいろいろ話をしたのですが、とにかく将校部屋は完全にでき上っておる。そこで将校一人について一部屋ということが原則になって建築が始められて、実際はでき上っておる。実際は一人の将校炉部屋を利用しておるということです。米軍側誠意があれば、接収を直ちに解除して、一週間か十日の日限があれば移転ができると思う。それがひいては名古屋産業に大きな影響を来たしておる。一年間に港湾を通じて六百万トンぐらいな品物が輸出入として取引されておるときに、外国と貿易上のいろいろな話があるけれども外人名古屋にはわれわれの泊るホテルがない、そういう点で不自由するから、せっかく商売はよくわかるけれども、今回は一つお断わりしましょうと言ってそっぽを向かれることが多いので、この名古屋の将来産業上の発展に大きな支障を来たしておるという点、単なる一観光ホテル接収解除の問題ではない。守山の第五空軍司令部将校宿舎ができ上っておるということは、拒むことのできない事実なんです。日本政府に、調達庁の方に腰があれば押していって解決のつかない問題じゃない。現に私ども関係者と一緒に二、三十人参りまして交渉すると、副司令官の六十ぐらいの年配の人がいろいろ説明をするうちに、コーヒーを飲んでいる手ががたがたふるえて答弁しておる。その内容はどうかというと、ごもっともです、とにかくいろいろ御迷惑をかけて済みませんし、産業上非常に悪影響を来たしておることもよく承知しておりますから、一日も早く移転を完了して、ホテル経営者側にお戻しするつもりでございますという答弁をしているのです。そういうふうなことをはっきり話しておって、なおかつ米軍理由のないのにホテル接収して、これを使用させておるということですね。そういう点を考えると、やはり文書による契約明け渡しについての米軍側の意向というものが文書の上に現われてこなければ、私どもは都合によったら現地空軍司令官だとか名古屋空軍司令官、そういうものを相手にしないで、ワシントン政府相手にしてそういうものをとらえて、堂々と政府が外交上の問題にして、不当なる接収をしておる場合はこれを解除してもらう、移転のできるものはどんどん移転してもらう。全国にたくさんあるこの接収家屋とか土地とか、たとえば小牧飛行場拡張であるとか、特に名古屋のごときは二十ばかり接収されておる。こういうところまできてもなおかつ解除をしないということは、私ども理由がないと思う。ましていわんや、名古屋大都市計画の上に大きな支障を来たしておるものは、あのアメリカ村と俗にいっておる、アメリカ一つの部落がある。いわゆる将校用の住宅が名古屋のまん中に建っておる。これをのけてもらわなければ、これらの代替施設をこしらえて、どこかに移転してもらわなければ、大事な名古屋の百年の大計を立てる都市計画というものが全然成り立たぬ。非常にむずかしい問題ではあるが、これは移転を完了してもらわなければ、名古屋都市整備も、都市計画もできない状態であるということが、この次の問題になってくる。名古屋観光ホテル接収されておるのを、もう移転のできる時期になっておるのを、移転をしないというくらいのことで政府が手こずっておれば、次々にこういう事態が起ってくる。また大事な問題がある。アメリカ村の立ちのきを要求して、そして必要あれば日米の条約によって、行政協定その他の問題によって、代替施設を作らなければいかぬ場合もありましょうし、地元の反対があれば、小牧飛行場拡張ができない場合もありましょう。いろいろ問題があるのですが、大体解決の一歩手前までその時期が到達しておるときに、まだ遅々として進まない。現地に行ったのがたしか一月の末でした。まだ東京に帰ってこないときに、緒方さんが急になくなったということを私は朝新聞を見て驚いたのですが、一月の末だったと記憶いたします。この問題についてはホテル側にも相当の損害を与えておる。また東京第一ホテルもその通り代替施設ができるならば軍人会館返還も要求しなければいかぬ。山王ホテルは国の所有であっても、これもやはり立ちのいてもらわなければならぬということで、いろいろの問題がたくさん残っておりますから、手っ取り早い解決のつくものはぐっと一腰入れて解決ができるように、一つ最善努力をしてもらいたいと私は考えますが、こういう点についてどうしてもこれから先の問題で代替施設でも作ろうとする場合は、その契約内容文書によって取りかわしておく。それでもなおかつ現地司令部とか、あるいは軍関係最高幹部が、いろいろな口実を設けて立ちのかざる場合は、それは外務大臣をして、日本政府ワシントン政府相手にして話をするということになれば、やはり話は私は解決がつくと思う。ただ口の先だけで代替施設ができたらすぐに移転を完了いたしますといって殊勝らしく、ちょうど法廷に引き出された凶悪犯人が、とにかく裁判官の前でぺこぺこ頭を下げるようなことをいっておるが、あくる日は舌を出して相手にしないというやり方です。一筋なわでは相手はいかないのですから、一つ腰を入れてやってもらいたい。そのためにはやはり交換文書をぜひ政府側にとっておく必要があると思いますが、その点はどうでしょうか。
  14. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 ただいまの御意見、私どももごもっともと存じますので、今後とも十分御趣旨の点は私どもその態度折衝して、一日も早く具体的に返還になるようにいたしたいと存じます。  なお名古屋観光ホテル代替施設守山軍側利用状況は、ただいまの御説明にあったような状況であることはよく存じておりますので、私どもその点は厳重に約束とは違うという点を強調して、常にやっておるわけでございます。ただ御承知のように名古屋につきましては、昭和二十七年の十一月に約束実施されたあとに、相当程度あそこに増強しておるようなことから、やはり絶対数は単身将校等がふえておるというような実情があるので、その点なんかの施策をどうやるかということは、先ほど御説明申し上げたように、目下具体的に検討中でございますが、早く実現したいと思います。  なおお許しをいただきまして、先ほど第一ホテルの補償の額につきまして、七百四十六万円は年間と申しましたが、これは月間の間違いでございますから、訂正させていただきます。
  15. 早稻田柳右エ門

    早稻田小委員 関連して。ただいまお話のうちにありました名古屋観光ホテルのことについてちょっと伺っておきたいと思いますが、現在政府においては名古屋観光ホテル接収解除についてどんな折衝をしておるか、一応伺いたいと思います。
  16. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 具体的な折衝経過を簡単に申し上げます。昭和二十八年の十一月の七十八回の合同委員会において、従前から本館を使用しておったが、そのほかになお別館が必要であるから提供してもらいたいという交渉がありました。その件につきまして、全般的に返還の時期を早めるために、当座必要であるという見解に基きまして、その提供を合意を見たような経過がございます。なお二十七年の十一月に設定されました移転計画によりまして、代替施設小牧守山の完成を急ぐということにつきまして、日本側のみならずアメリカ側につきましても、いろいろ折衝いたしましてどんどんやった次第でございます。ところが御承知のようにこの件がだんだん進捗いたしましたので、すみやかに移転方を促進するという点についての事前の確認が必要であるということで、昭和三十年の一月に日本側から約束通り移転するかどうかということを、文書でもって確認方を求めたのでございます。これにつきまして米側は、三十年四月の第六十四回の施設委員会におきまして、代替施設完了後返還する予定であるということをはっきりと回答いたしております。その後三十年の末に大方の施設が完了いたしましたので、御承知のように大部分は一月の十四日ごろまでに移転をいたしました。それですみやかに計画通り、また従前からの約束通り観光ホテル返還してもらいたいという交渉を、地方におきましても中央におきましてもやった次第でございます。本年の一月の十四日、八十三回の施設特別委員会に、日本側から覚書をもって、代替施設小牧守山に完成を見た現在、名古屋市内の移転計画通り進行していないとすることは、日本側にとっても非常に遺憾とする、当初の取りきめ通り返還すべき旨を指摘いたしまして、米側の責任を求めたのでございます。なかんずく名古屋観光ホテルにつきましては、大方のものの返還があったのでございますが、名古屋観光ホテルだけについては約束通りにやっていないという点につきまして、二月の二十八日八十六回の施設特別委員会におきまして、前に回答があったにもかかわらず具体化していないという点を指摘いたしまして、すみやかなる移転方について交渉いたしたような次第でございます。その際に先ほども申し上げましたように、若干の手違いがあるが、やはり計画としては返還になるというような回答があったのでございますが、日本側におきましてはすみやかに返還するよう強硬な申し入れをしたのでございます。こういったような経過を重ねまして、形式的にもまた事実上にも折衝は重ねたのでございますが、実際上の段階で具体化しないということのために、三月の八日、先ほども説明申し上げましたが、日米合同委員会におきまして、調達庁のみならず外務省からも、米側に強くこの旨を指摘いたしましてやったのでございます。それが先ほど御説明申し上げましたように具体化いたしまして、空軍参謀長との間にいろいろな折衝があり、先般三月の二十九日、三十日、三十一日の三日間、名古屋において米側空軍司令官並びに施設局長その他と、この問題の具体的な検討をいたしまして、いろいろ折衝を重ねました。その結果を今度東京で四月の五日に持ち寄りまして、また極東軍の参謀長のもとでいろいろ検討を重ねた結果、米側におきましては・自分の方にもこれを具体化するところの計画がある。それの具体化のために参謀長みずからも、この十日間以内くらいに現地に出向いて、そうして実地踏査も遂げて、日本側約束履行を促進するようにしようという段階まで突き詰めたわけであります。以上が交渉経過の大要であります。
  17. 早稻田柳右エ門

    早稻田小委員 政府が熱意を持ってこの問題と取っ組んでおっていただくことは感謝にたえませんが、一体日米委員会の組織メンバーは、相手方はどんな顔ぶれであり、日本側から出席なさる方はだれか、こういう点を一つ明らかにしていただきたい。
  18. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 日米合同委員会施設特別委員会と両方ございますが、日米合同委員会日本側の代表は外務省欧米局長、それから代表代理は調達庁長官、大蔵省の財務参事官、農林省の農地局長・運輸省の港湾局長、それから防衛庁の参事官等でございます。アメリカ側は、極東軍の参謀次長並びに陸海空三軍の参謀長クラスの関係官でございます。それから施設特別委員会の方は、日本側の代表は調達庁長官、それから代表代理の方は調達庁では不動産部長、それから連絡調査官、それから外務省の方では欧米局第二課長、それから農地局の管理部長、水産庁の漁政部長、それから運輸省の港湾局の担当課長、大蔵省の開係官、大体以上のような構成でございます。
  19. 早稻田柳右エ門

    早稻田小委員 そうした練達堪能の士がお集まりになって交渉になっておるにかかわらず、お話が遅々として進まないということは、どこかに欠陥があるのじゃないかと思います。これが施設ができていないからかわれないということであれば、一応納得いたします。施設ができておるにかかわらず、約束を履行しないということは、いかにも納得しがたい点でございますが、この日米合同委員会に今おっしゃったメンバーが実際出ておられるのかどうか、これを一つはっきりしていただきたい。
  20. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 日米合同委員会米側関係官は、その通り出ております。それから日本関係官も、おおむねその通り出ております。ただ事故のありました場合は、代理の者が出席いたしております。それから施設特別委員会の方は、先ほどの御説明のときに米側の方の関係官を申し上げませんでしたが、米側の方はやはり極東軍の参謀次長、その他陸海空三軍の関係官でございます。それから日本側の方のメンバーは、先ほど申し上げましたように代表が調達庁長官でありますが、いつでも自分で出ております。ただ目下は病気で静養中でございますので、その間出ないだけで全部出ております。また各省におかれましても、直接関係官が出ないときはその代理者である主任官が出ておりまして、直接折衝いたしております。
  21. 早稻田柳右エ門

    早稻田小委員 もう一つ伺いたいのは、調達庁その他の政府側は、現在の名古屋観光ホテル利用状況並びに守山施設の現状を最近見られたことがありますか。
  22. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 これは特に当運輸委員会の観光委員会におきましてお取り上げになったから言うわけではございませんげども、一月の中旬以来二度、三度にわたって見ております。ごく最近も名古屋関係官、並びに本庁からも中上連絡調査官を派遣いたしまして、いろいろ調べておるような状況でございます。
  23. 早稻田柳右エ門

    早稻田小委員 名古屋観光ホテル実情並びに守山施設の現状をごらんになったら、だれでももっと早く接収解除されてしかるべきであるということが痛感されると思います。先ほど同僚青野委員からも申されましたように、名古屋市の観光面から見ますると、ただ一つ観光ホテルでございまして、このホテル接収解除されないために、名古屋に誘致できる外客がほとんど名古屋を避けて通るという現状でございます。かような面から申しましても、観光上これは一日も早く接収解除してもらわなければ困る、かようにわれわれも考えますし、また地元でも県、市をあげて、そうした要望をしばしば出しております。また本委員会においても、たびたび取り上げられて問題になり、本委員会からわざわざ先般現地を視察して、現場で米側折衝せられた等のことも、観光事業の必要性にかんがみ、このホテルを早く解除しなければならぬというお考えのもとに出たように私は考えます。従いましてこの交渉に当っては、いま少しく強く御交渉をいただきたい。先ほども申し上げましたように、練達堪能の方々がおそろいでありますから、これをもう少し強くやっていただくならば、必ず早急に解除ができると私は確信をいたしますが、今後どのような方法をとって、どのように交渉しようという構想を持っておられるか、その辺を伺っておきたい。
  24. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 いろいろ御質問のございました御趣旨を体しまして、熱心にやりたいと存じます。ただ具体的には、確かに先ほど来御指摘のございましたように、約束通り、また計画通り実施されないという点から、その点をついて、ただ約束違反呼ばわりをするだけでは、私は実効が上るとは存じていないのであります。やはり先ほども説明申し上げましたように、約束ごとが取りかわされました以降における情勢の変化、すなわち名古屋地区における空軍の集中的な傾向、それに伴いますところの単身将校の増加等の事情も、ある程度考慮しなければいかぬと判断いたしておりますので、そういったような向きについてのいろいろ具体的な措置を講じまして、関係各省協力一致、具体的実効の上るような方向に持っていきたいというように考えております。
  25. 早稻田柳右エ門

    早稻田小委員 今のお説の名古屋付近の小牧空港の拡充等によって実態が変ってきた、こういうことも一応わかりますが、しかし私どもの見るところでは、これは接収いたした当時のごとく、米軍施設ができていない当時とは非常に変りまして、もう小牧空港付近、あるいは守山その他名古屋郊外にだいぶ完備した施設ができておりまして、必ずしも名古屋観光ホテルを利用しなければならぬという理由は私はないと思う。ただ私どもが想像できることは、このある場所が名古屋の広小路の目抜きの場所で、郊外施設が実はできておっても、郊外に行くよりこの方が便利だからというぜいたくな考え方で、ここを利用しておるのだ、こういうように地元のものも、私どもも考えており、また実際そうだろうと思います。それで自来米側は常に日本側約束違反を追及したり、あるいは国際信義の面から飛行場の問題等でずいぶん契約をたてにして、日本側に強い交渉をしておるやに私は承わっております。ところが日本側はいつも弱腰で、占領されている当時のような気持で折衝されていはしないかとわれわれは思いますが、この問題のごとくに、先ほども申し上げたごとくに、また青野君からもるる言われましたように、約束は代替機関ができたら必ずかわるという約束であり、そしてこの代替施設がもう完備したというのにかわらないなどということは、常に国際信義を重んじておる米側としては、いかにも背信行為とわれわれは考える。どうかその点を追及せられまして、一つ早急にこれが解除方努力をいたしてもらいたい、かように考える次第であります。  ちょうど大臣がお見えになりましたので、これは大臣の所管ではないので大へん恐縮でございますが、観光面から見て、米軍接収しておりまする第一ホテルにしても、名古屋ホテルにしても、ずいぶん観光上必要なところが多うございます。今これが接収解除方に対していろいろ質疑を続けておりますが、観光局の主宰者である大臣から、観光面から見た接収解除ということに対して御所信を伺っておきたい。
  26. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 私ども全く同感であります。
  27. 濱野清吾

    濱野委員長 だいぶ時間も経過しましたので、観光小委員会はこの程度で散会いたします。    午前十一時五十二分散会