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五島委員 関連。伊能政務次官は、この運送事業法に基く業者が非常に複雑多岐にわたった組織であるということをさいぜん認められたわけです。そうしてその運送事業法に適合しないような零細な企業者もあって、その実態をつかむことがなかなか困難であると言われたわけです。そういうような事実の中から、御
承知かわかりませんけれども、さいぜん山口
委員が言われましたように、暴力行為が平気で行われておる実態があるわけです。この暴力行為が平気で行われる実態ということは、さいぜん伊能次官が言われましたように、これは長い歴史の複雑な積み重ねの中から生じてきている問題だと思うのです。それで特にきょうは、労働省の基準監督局も来てもらって、そうして運輸行政の面からと労働行政の面から相関連して質問しなければ、これらの質問に対するところの完全な
説明は期待することができないわけなんです。それで
関係当局としても、この港神戸の暴力事件から発生したところのいろいろ隘路の問題がある、従って労働省
関係では
運輸省とともに中央に協議会を作って、地方六大港湾程度には地方の協議会を作って、そうして目下労働行政の谷間になっておるところの各港湾労働者の実態を明るいものにしなければならないであろうと言っているわけです。さいぜん伊能さんも言われまして、各
関係業者あるいは組合等々にも来てもらって、今後いかに明るくしていくかということについていろいろ話し合いをしたいけれども、歴史のバックの中から一朝一夕に明確化することはなかなか困難であろうということを言われたのです。その間に暴力行為が行われ、違反事件が行われて、そうしてその中にしわ寄せされるのは港湾労働者である、そうして平気で違反したところの人入れ稼業が行われておるというようなことは、ただ歴史的な背景によって、事は重大な問題であるけれども、なかなか一朝一夕にして
解決することができないのじゃないかというような運輸当局の
説明では、われわれはどうしても納得することができない。なるほどやろうとしてやってみたけれども、なかなか
解決が困難であるという場合があるかもしれません。しかし今言うように、いかに歴史の積み重ねがあるかというようなことには、それぞれよって来たるところの原因があるだろうと思うわけです。そうすると、この港湾労働の運輸行政あるいは労働行政をめぐって戦前、戦時、戦後にわたって、その変動が行われただろうと思います。山口
委員とともに私も港神戸の実態を調査いたしました。ところが
運輸省の出先
機関である神戸
海運局の幹部の方は非常に明快な回答をしてくれました。今のところはなかなか困難ですと——なるほどわれわれも困難だと思っておる。そうしてさいぜん山口君が言いましたように、その
荷物の集荷の集中排除ができなければ、この問題はなかなか問題だということです。従ってさいぜん伊能次官もちょっと一部解れられたように、月のまん中には非常に荷が少い、月末と月の初めにうんとピークが上ってくる、そうして戦場化してくる、あらゆる関連事業が戦場化して戦場のような忙しさだ、その中に平気で人入れ稼業が横行するわけです。それは通関
関係もあるでしょうが、検数事業も非常に忙しくなる、よそから労務者を連れてこなければ荷がはけないというような
状態です。これが神戸港の実態です。その中にどんぶり勘定が行われ、ごんぞう部屋の実態があり、三十円宿の実態があるわけです。それで一日も早く明確化していないところの港湾労働者の確立をしてやらなければならないと思うのです。これは労働
関係だろうと思うのです。しかしこれと並行して、いかにピークを排除していくかということは通産
関係だろうと思うのです。そうしてそれの行政を担当するのがやはり
運輸省ではなかろうかと思うわけです。ここに神戸港の実態を山口
委員が述べ、私が質問するということは、よって来たる隘路がある。それで今
昭和二十六年二月に制定されたところの
港湾運送事業法は、非常に不明確な法律であったというように反省するわけです。たとえば基幹人員が八名おり、そうして労務者が二十名おり、そうして船一ぱい持っておれば、道具を持っておれば、これを登録申請すれば事業が許可されるのだということになっているのですね。一年に一ぺん監査をやるが、その時日は指定していない。従って神戸港の出先
海運局は一年に一回なるほど監査をやっておるが、監査をしそうなときは業者はちゃんと知っておる。そうして八名の基幹人員と二十名の労務者はちゃんと保有しておる。しかしそれを保有しておけば非常に人件費がかさむ。従って日ごろはその二十名の労務者が十名になり、五名になって、全然ないところもあるというような事実も聞いた。そういうようなことで、実際の港湾の
状態が明確化できるかどうかというような問題です。そういう問題が放置されておれば、いつでも三十円宿で呻吟しなければならない労働者がうようよする、あるいは失業に泣く労働者がうようよするということになるわけなんです。それで私
たちは、この
委員会でこれについて質問しましても、一朝一夕に
解決することはなかなか困難であろうと思う。今伊能政務次官が言われましたように、将来何とかしなければいかぬということは非常に多とします。しかしこれをもっと具体的に、何月ごろから中央協議会を作って発足するのだというように
説明していただきたいと思う。そうしてまた——時間があったらもっとあらゆる
状態を引っぱり出して質問もし、御
答弁もしてもらいたかったわけなんですけれども、
委員長が時間がないと言われますから一ぺんに言いますが、その中央審議会の性格たるやもっと力のある組織にせぬと、ただ寄って研究をする、これはどうだろう、あれはどうだろうと言ったって、
現状は
解決できない。これは歴史的な積み重ねがあるからです。そこで現在の
政府によって閣議決定に基くところの中央審議会あるいは中央協議会等も設立して、そうして神戸港の実態がこうやって現実に出てきたわけですから——これは神戸港の
状態ばかりでなくて、横浜もそうでしょうし、それから大阪も名古屋も関門もそうだろうと思います。全国の港湾荷役の
状態の問題には、多かれ少かれこれらの要件が実在するわけですから、われわれ
委員会としてももっとよく検討しなければいけないと思うわけです。その隘路を究明するとともに、われわれ
委員会としては解明しようとしても、一朝一夕に結論を得ないというような
状態は、もっと真剣に取り組んでもらわなければならないわけです。従ってさいぜん伊能政務次官が言われた今後何とかしますということを、もう少しはっきり決意を示していただきたいのですが、どうでしょうか。そうしてその
説明の後にもう一ぺん意見を言わしてもらいたいと思います。