運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-06-02 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年六月二日(土曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       有田 喜一君    關谷 勝利君       濱野 清吾君    堀内 一雄君     早稻田柳右エ門君    井岡 大治君       下平 正一君    中島  巖君       山口丈太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運輸事務官         (船員局長)  安西 正道君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  委員外出席者         議     員 竹谷源太郎君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         海上保安庁次長 西田 豊彦君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道理         事         (厚生局長)  吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         事         (厚生局厚生課         長)      山崎  武君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  久保 亀夫君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  佐藤 輝雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 六月一日  委員堀内一雄辞任につき、その補欠として小  澤佐重喜君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員小澤佐重喜君及び西尾末廣君辞任につき、  その補欠として堀内一雄君及び中島巖君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査小委員会設置の件  国鉄バス民営バスの調整問題、造船計画及び  第六あけぼの丸韓国フリゲート艦との衝突事  件に関する件  国鉄経営に関する件     —————————————
  2. 山本友一

    山本(友)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  委員長がおくれますので、理事であります私が職務代理をいたします。  最初に海運に関して調査を進めますが、この際竹谷議員より発言をいたしたいとの申し出がありますので、この際これを許したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本友一

  4. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 運輸委員長並びに委員の各位のお許しをいただきまして、委員外発言をさしていただきます。本日は、実は現在の日本海運政策の中核をなしている計画造船の問題につきまして、政府意向をただしたいと考えておったのでございますが、大臣も政務次官も出席ができないということではなはだ遺憾でございますが、政府当局に対する質問はあとに留保いたしまして、本日は事務屋であります海運局長に対して、きわめて事務的な問題について二、三伺っておきたいと思います。  先月の一日に第十二次計画造船適格船主決定があり、その選考の結果が発表になったのでございますが、この第十二次計画造船の計画なり、あるいは融資適格船主の選定の方針、それから利子補給問題等につきまして、簡単でいいですから、要点を尽してお話し願いたい。
  5. 粟澤一男

    粟澤政府委員 今次の計画造船は、去る二月二十五日に公募を開始いたしまして、三月二十日にその公募を締め切り、自後約一ヵ月以上にわたりまして、申請書類につき開発銀行運輸省において慎重な審議をいたしました。最後には開発銀行運輸省との間に数次にわたりまして協議を重ねました。その結果、ただいまお話のございましたように、去る五月の一日に適格船主発表を見た次第でございます。その内容といたしましては、貨物船定期不定期がありまして定期船は九隻、トン数におきまして七万五千八百九十トン、それから貨物不定期船は十三隻、トン数は十万八千百三十トン、それからタンカーは四隻、トン数六万七千九百トン、こういう数字になります。合計いたしまして二十六隻、二十五万一千九百二十トンでございます。これらの選考に当りましては、海運造船合理化審議会という審議会がございまして、この審議会において検討されまして、船主選考基準というものを運輸大臣に答申されております。この基準に基きまして、運輸省は大体海運政策の見地から、開発銀行融資する銀行といたしましてその信用力等審議するということで、両者の間で審議を共同で進めまして、最後にはお互いの協議の結果これをきめた、こういうふうになっているわけであります。  なお利子補給の点で問題がございましたが、利子補給につきましてはこの第一次の合格船主については予算で間に合いまして、これを取ることにいたしております。ただそのうち明治海運協立汽船とは利子補給を辞退されました。この二つは利子補給がついておりません。以上簡単でございますが、御説明申し上げます。
  6. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 その利子補給の率はどうなんですか。
  7. 粟澤一男

    粟澤政府委員 利子補給率につきましては、今次決定の分につきましては予算決定せられておりますように、市中銀行金利との差額の半額ということでつけております。
  8. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 船主選考基準につきましては、資産信用力等開発銀行海運政策立場運輸省がその選考に当る、こういうことでございますが、この海運政策という立場で、運輸省といたしましてはどういう点に重点を置いて、船主選考をなしたか。伝えるところによると、経営能率のよいところ、また本年度中に着工するところ、またもう一つは同一条件経営のもとにおいてはオーナーよりもオペレーター会社重点を置くということが基準とされておるということを、新聞その他で伝えられておりますが、この点はどうですか。
  9. 粟澤一男

    粟澤政府委員 海運政策の面から検討いたしましたことはいろいろございますが、船主別にたとえば定期船につきましては、その定期船を使います当該航路重要性、あるいはその重要な航路における現在の定期船整備状況といったようなものも、十分詳細に検討いたしました。それから不定期船につきましては、これはタンカーも大体同様でございますが、海運業者としての経営力あるいは実歴等ということも検討いたした次第でございます。  なおただいまお話のありました工期の点につきましては、御承知のように今次計画造船早期着工早期実施ということを当初から打ち出しまして、御理解を得まして、昨年のうちから準備を進めておった、それから予算決定と同時に、できるだけ早くこれを決定するというような方針で始まったことでございますので、大体お話のように早いものをとることを主眼といたしまして、そういう点を考慮いたしました。  それからオペレーターオーナーとの関係でございますが、大体私どもといたしましては実際これを使うオペレーターの方が、同列であります場合には優先してよろしいというように考えたわけでございます。
  10. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 そのオペレーターオーナー両方から出ております場合は、オペレーター重点を置く、こういうことでありますが、これは妥当なお考えだと思う。聞くととろによると、初め事務当局といたしましては、不定期船につきましてはオペレーターを十八隻作る。これは第一次と第二次とあるようでございますが、事務的にはオペレーターに九隻ぐらい、オーナーにも九隻、両方九隻ずつということを予定しておったと聞いておるのでありますが、ところが今度第一次の適格船として御発表になったものを見ると、この八隻がオペレーターである。それから十三隻発表になっているうちの残り五隻ですか、これがオーナーになっている。これだけを見るとオペレーターの方に重点が置かれたかのように見えますが、しかしこの第二次として予定されたものはもうきまったものか、これをお尋ねしたいのでありますが、第二次選考に入っているものとして発表されているものを見ると、これは全部オーナーである。その隻数を伺いますと、第二次分としての不定期船オーナーが五隻である。そうすると第一次、第二次合せて十八隻のうち、事務当局として初めは九隻、九隻というふうに考えたというのであるが、結果はオペレーターが八隻であり、オーナーが十隻というふうに、オーナーの方が二隻も多くなっている。これはどうもオペレーター重点を置くという選考基準には反しておると思うのです。そこでお聞きしたいのは、一体第二次適格船主決定はなされたのか、まだなされないが内定はしておるのか、全然未定であるのか。もう一つは、もし私が申し上げるように八隻がオペレーターであり、十隻がオーナーであるとするならば、これはどうもオペレーター重点主義に反すると思うのだが、これはどういう御見解であり、なぜかようになったのであるか、それをお尋ねしたい。
  11. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまのお話追加建造分のことでございますが、御承知のように追加建造分開発銀行回収金等余裕がありました場合に、本年度作ってもよろしいということでございますので、この回収金等余裕が完全にどの程度出るかという点がまだ未定でございます。年度当初ではっきりわかりませんので、今日なお正式にこれを発表するという段階には至っておりません。ただ内容的には、前回きめましたものの選考に当りまして、そのときの申請船主のうちから選考されます分は、実際内容は同じでございますので、便宜開発銀行運輸省におきましてその選考をいたしております。従いましてこの余裕金が確定し、実施に移し得るという時期が参りましたならば、大体開銀と運輸省といたしましては、この程度の船主適格船主にしてもよろしいではないかというふうな選考は了しております。ただその中に第一次分の申請をしておりません四千五百トン未満中型船というのがございますが、これはまだ公募いたしておりませんので、今後公募してその選考を新たにしなれけばならぬというようなものもございます。いずれその時期が参りましたら、私どもはその公募もいたし、またすでに内定しておりますものは発表に持っていきたい、こういうように考えております。その内定しておりますもののうちでオーナーが約五はいあるというお話は、内定としてはその通りでございまして、結局総合いたしましてオペレーターは八隻、オーナーは十隻という結果になるわけでございます。数字の点からだけ申しますといかにもオーナーを優先したという感じもあるかと思うのでありますが、なお一方私どもとしましてはお話のございましたように九隻、九隻ということをきめたというふうなことはないのでございまして、途中の段階におきましてどういうふうにしたらいいかという点はいろいろ検討いたしまして、その途中でいろいろの案があったことは事実でございますが、大体半々あるいはそれに近い数字できめたいという意向は初めから持っておったわけでございます。  なお実際的に申しまして、一般的に、これは個々の船主によってもちろん違いますが、現在の経理内容その他から見まして、大体オーナーの方がオペレーターよりも資産内容等はいいものが多いのであります。なお申請の数から申しましても、オペレーターよりもオーナーの方が相当多数申請しておりまして、俗な言葉で申します競争率というような言葉で申しましても、オーナーの方が相当きつい競争率になっておるということもございます。なおお話もございましたが、オペレーターは第一次に八隻全部採用したということは、ひとり確定的な時期が早かったということでなくて、さらに内容的に見ましても、財政資金融資比率あるいは利子補給等の点につきましても、第一次分の方が確定的であり、しかも相当有利でございます。その点におきましても、あとの方へ回されましたものは不利な点がございました。これらの点いろいろ勘案いたしまして、数字だけから見ますと、多少そういう考えもあり得るかと思います。私どもは、依然としてオペレーターを相当よく見たという点に変りはないと考えておるわけであります。
  12. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 一応オーナーオペレーター関係お話がございましたが、オーナーの方が大海運会社が多い。資産信用力がある。そういう意味適格だということは、従来の観念からいうとそうかもしれません。しかしながら昨年来の海運界好況に伴いまして、それぞれ海運業者はだいぶ営業内容が好転をしておる。そこで従来は資産信用力において十分でなかった海運会社も、あるいは運航会社もだんだんよくなりつつある現状でございまして、何億という借金を持っておった運航業者等で、大体その借金を消してしまったというところに来ておるものもあるのでありまして、そうなってきますならば、この計画造船という海運政策日本の、外国船舶との海運競争力において確固たる基盤を作っていくのが主眼であり、それにはオーナー重点を置くということとともに、貸した金は返してもらわなければならぬのであり、また損失補償もしようというのであるから、資産信用力というものに相当重点を置かなければなりませんけれども海運政策観点からいえば、今はあまり十分でなくても、将来見込みのある有望な青年に金を出した方がいい、今は金持ちであるばかな青年に金を出してめんどうを見てもつまらぬ。むしろこの際海運好況の時代でございますから、経営能率というものに重点を置いて、そうして経営能率のよい運航会社を助成するということが、日本海運ほんとうに助長していくゆえんではないかと思う。だから第十一次造船までのような観点のみで、資産信用力のみに重点を置きますと、大オーナー会社資産信用力のあるところにますます恩恵を与えて、これと競争立場にある、今は資産は十分ではないが、非常な勉強家努力家であるというオーナーが顧みられないということは、日本海運政策、真に助成するという意味でできている計画造船政策にはそぐわないものではないかと思うのであります。今回の選考に入った船主の中でも、これは開発銀行当局ども明治海運とかあるいは太洋海運協立汽船というような資産信用力の十分あるところへは、むしろ利子補給などはしない方がいいのじゃないかと言っております。むしろそのような大オーナー自力建造すればいいので、計画造船をもって、安い金利財政資金を、しかも利子補給をしてまで助成する必要を認めない。国家にそのような財政余裕がありますならば、経営能率のよい、非常に勉強家で、将来有望なオーナーを助成する方向に持っていくべきであろうと思う。そういう点からいいまして、今回もまたオペレーターにできるだけ重点を置くようにしたと言いながら、結果においてオーナーの方が十隻であり、オペレーターが八隻である。逆にこれはむしろオーナーの数を少くして、オペレーター重点を置くような政策でもって、初めてこの計画造船海運政策というものの趣旨に沿うことになるのじゃないかと思うのでございます。こういう点についてやはり従来のような考え選考したのかどうか。もっと積極的に、私の言うような意味合いでなすべきではなかったかと思うのでありますが、この点いかがでございますか。追加建造分内定しているというような話でございますが、私が申し上げるような資産信用力のある、自力で十分に建造のできる、そういうような方面に財政資金を使わずに、財政資金の援助をしてやれば、なお一そう発展するであろう。オーナー重点を置いて追加建造分考え直す意思はないかどうか、事務当局としての意見を一つ承わりたいと思います。
  13. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまのお話で、非常に勉強しておる、将来性のあるオーナーをもう少し育成する必要はないかというお話でしたが、これはそういうオペレーターをもっと育成すべきではないかというお話と私は承わるでありますが、そういう意味でございますと、私ども考えておりますことも全く同様でございます。と申しますのは、ただいま従来のようにというお話でございましたが、私ども年度からは、オペレーター優先という線を、今までよりも相当強く打ち出したというふうに考えておるわけでございます。特に、たとえば定期船につきましても、オペレーターに第一に割り当てる、定期船オーナーにはほとんど割り当てないという政策を初めて昨年から打ち出したのであります。これは昨年もことしも厳重に実行いたしております。これらの点は、やはりオペレーターというものをほんとうに育成することが、日本海運のためにまず必要である。特に定期船においてはそういう必要があるのだという一つ政策の現われかと思うのであります。なおオペレーターオーナーに比較しまして、資産信用力の面だけから見れば、やや劣るにもかかわらず、ほとんど同数オペレーターにまず認めようという点も、昨年から打ち出した点でございまして、この点は昨年も行い、ことしもほとんど同数ということでやっておるわけでございまして、日本海運のために、ほんとうオペレーターを育成しなければならぬという点は、私どもは常々考えておるわけでございます。ただオーナーというものも、日本海運の歴史から見まして相当存在意義があるのでございまして、これが今まで果しました使命、あるいは今後も持つ使命というものを考えまして、これもある程度育成しておかなければならぬということは事実だと思います。しかし、もちろんオペレーターオーナーにはそれぞれ使命に差があるのでございまして、私どもオペレーターオーナーを同じ条件で、たとえば融資にしても、利子補給にしても、考えなければならぬとは毛頭思っておらないのであります。できればそれぞれの使命に応じた融資なりあるいは利子補給考えていきたい、常々そういう念願でございます。ただ遺憾ながら今日までまだ果しておりません。将来できる機会にはそういう点を考えていきたいと思います。たとえばオーナー自己資金、あるいは全部自己資金でなくても、とにかく自分で調達し得る資金を持ってきて船を作るということが相当使命なのでございます。こういう点をもう少し強調してその使命を果させたいと考えております。  なお先ほどちょっと申し落しましたが、追加建造の分につきまして四千五百トン未満の船がまだ残っておるわけであります。こういう点につきましても、私どもはやはりオペレーターというものを優先して考えたいと思いますので、ただいま先生のお話しになりました方針というものは、私ども少くとも昨年からはそういうふうに立てておることを御了解いただきたいと思います。
  14. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 追加建造分中型船はこれから公募するということはわかりましたが、それ以外の大型船について考え直す余地はないのかどうか。
  15. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その点は開発銀行とも十分協議いたしまして、私どもすでに大臣まで御了解を得て内定いたしておりますので、私一存でここで考え直せるということはちょっと申し上げかねると思います。
  16. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 そうしますと、内定といっても、運輸省としては省議で決定されたというのですね。そうしてその金が開発銀行の金の見合いの状況で正式発表する、こういうのでございますか。
  17. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その通りでございます。
  18. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 これはいろいろな新聞や雑誌にも批評が出ておりまするが、今回の不定期船オーナー選考について、これは一般にみなそう見ているわけですが、非常に不均衡だ。三井船舶系統が六社である。明治海運協立汽船、乾汽船、車洋汽船菅谷汽船板谷商船、それから大阪商船系統が二社、玉井商船、日本海汽船、それから川崎汽船系統が二社、太洋海運原商船、合せて十社あるわけですが、このように三井船舶系統というのが六社もある。大阪商船川崎系は二社ずつ、郵船系は全部落選、こういうふうに非常に不公平で、何らからのここに作意があるのじゃないか。三井船舶定期船の欧州航路問題なんかで今問題があるようでありますが、世間では疑惑の目をもって見ているわけなんですね。どうしてこういう結果になったのか、吉野大臣はそういうことになるとは気がつかなかったということを新聞記者に話しておるようでありますが、事務当局局長はそれがわかっておるはずだ。どうしてこういう不均衡なことになったのであるか。世間で一応疑いの目をもって見ているので、一つこの理由を明らかにしていただきたい。
  19. 粟澤一男

    粟澤政府委員 結果的に御指摘のようになったわけでございますが、そういう結果になったことはむしろ作意を加えなかった一つの例証にもなるものと思うのであります。私ども選考に当りましては、先ほど申し上げましたような選考基準選考したわけでございまして、たまたま三井系オーナーが非常に申請の数も多いし、また基準に適合し、資産信用力もよいオーナーが多かったということが、この結果を来たしたわけであります。もちろん私どもは前々からのいきさつもございますので、各海運会社系列があることも十分承知いたしております。なお選考に当りましても、各系列別に分けて、表を作って選考をしたほどでありまして、そういう点についてもいろいろ検討はしておるのでありますが、いかんせん郵船系統には申請したものは二はいございますが、合格し得る会社がなかったという結果になったわけでございます。なお今お話のありましたような同盟の問題で特にそういうことを考えるというようなことはございません。
  20. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 そこで、三井船舶系統が六社も選考に入っているのですが、この中には利子補給を辞退させたという明治海運あるいは協立汽船というのが入っておる。また川崎汽船の二社の一つには太洋海運というものがある。これらは何も財政資金をやる必要はない。自已資金建造できる力を持っておる。そういうのをこそオペレーターに回してよかったのじゃないか。われわれはそれを痛切に感ずわるけです。大きなものをもっと太らす必要はどこにもない。日本海運はとにかく海運会社資産が乏しく、信用力がなく、なかなか十分に外国船と対抗できないというのでありますから、対抗のできるような力のあるものでなく、もう少し国家が力を貸してやれば大いに伸びるというものを助成することこそ、この計画造船趣旨でなければならぬ。これは十分一つ運輸省として考えを改めていただかなければならぬと思う。それからこれは五月一日の朝の日本経済では、追加建造分の中に三光汽船とかあるいは岡田商船、こんなのが入っておる。ところが内定したのには、今度はそれが抜けて別なのが入っておる。日本経済というのは経済専門新聞であり、相当これは確かなニュース・ソースからとっておるだろうと思う。ふたをあけてみたら三光汽船岡田商船が落ちてしまって、そのかわりに入ってきたのが、これはどれとどれでしょうかね。三井系の船じゃないです  か。これはどういう事情があったのであるか、釈明をしてもらいたい。   〔山本(友)委員長代理退席委員長着席
  21. 粟澤一男

    粟澤政府委員 当日の朝の日本経済にどういう予想会社が出ておりましたか、私失念いたしましたが、新聞社で書かれますのは、いろいろ予想もし、長年の経験で勘で出しておるのかと思うのでありまして、私ども決して途中で、現在こういう候補が内定しておるというようなことは、絶対に外には発表しておりません。従いまして、当日そうきまっておったのが次の日にひっくり返ったというような事実は、決してございません。いずれもペンディングのものは相当の数がございまして、このうちのどれを適格にするかといろ点で審議しておったのでございまして、決して前の日にきまっておったのが、次の日に変ったというようなことは事実しておりません。
  22. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 それで落選したのが三光汽船岡田商船で、新たに加わったのが、当選したのが三井系の東洋、菅谷の二商船会社です。入れかわっているわけですね。これはあなたに聞いてもしようがないから、これ以上お聞きしません。  それからもう一つ船主選考に当ってどの造船工場にその船を建造させるかということも、同時に選考せられるだろうと思う。発表でも造船所の名前がみな明記してあります。そこでこの造船工場というものはやはり運輸省で十分これを見て、船主選考とあわせて、並行して建造に当る造船所についても考慮のうちに十分に入れて、一つ条件として選考するのであるかどうか。またその選考する場合の造船所について、造船所の資格選考というようなものをやってるのであるかどうか、この点お尋ねいたします。
  23. 粟澤一男

    粟澤政府委員 造船所事情につきましては、昨年までは、日本造船所はまだこんなにフルに操業いたしておりません。手持ち工事がなくて困っておる造船所も相当あったというふうな結果としまして、選考基準にも造船所事情を、多少の差異はございますが、大体考慮して参っております。ところが今年は非常に状況が変りまして、造船所の船台を探すのに船主の方がむしろ苦労したという実情であります。従いまして私どもとしましては、そういう造船所に何ばいいかなければその造船所が困る、あるいは造船所の格からいって、こういう造船所はぜひ一ぱい必要だというような考慮は、むしろ払うことができないという状況に立ち至ったわけであります。ただ、もちろん造船所の中の事情としまして、たとえば果して鋼材が予定通り入るかどうか、あるいはエンジンがうまいこと予定通り入るのかどうか、あるいはその造船所でこの申請書に予定されておった船台で、その期間に当該船舶建造できるかどうかというような点は、私の方ではございませんが、船舶局におきまして詳細検討いたしまして、それも考慮しながら選考いたしました。従いまして、造船所事情という言葉は同じでございますが、内容的に今までとは違った意味で考慮して今年は選考いたしました、そういう事情になっております。
  24. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 造船所はやはり考慮の中に入っておるようでありますが、今度は造船所のことは別の観点から考えたというのでありますが、今回の発表を見ますと、日之出汽船の定期船と照国の油送船を、今まで全然計画造船建造に当ったことのない呉造船所が、初めてでありながら二はいも作るということになっておる。こういう点はいかがですか、間違いないですか、これは差しつかえないと見たのでございましょうか。
  25. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その点先ほど申し上げましたように、船舶局で検討いたしまして、十分建造能力もあり、造船し得るというふうに認定して割り当てたわけでございます。
  26. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 今事務的な点を二、三聞いたのでありますが、適格船主選考についていろいろ疑問があるのです。しかしきょうは事務当局だけでありますから、あまり突っ込んでは申しません。ただ第十次計画造船が例の造船汚職疑獄事件で停滞をした、そうしてほとんど始められなかった、一方、造船工場は非常な不況で船台が六十台もがらあきになる、失業者も出る、地元は疲弊こんぱいをする、またその所在の地方自治体の財政にも非常な影響を与えるというような観点から、われわれ社会党としても汚職疑獄の不正不法は徹底的に追及をしてなければならないが、国策としての海運政策また計画造船は、推し進めなければならぬという立場から各党を取りまとめて、私が提案者となって、第十次計画造船推進に関する決議案というものが、満場一致で衆議院を通過したのでございます。当時の石井運輸大臣がこれに力を入れまして、第十次計画造船の遂行に当った、そして今日に至ったわけでございます。われわれはこの海運政策のために万全の政策をとらなければならぬ、このためには大いに努力をするわけでありますが、この大切な海運政策を利用して、もし不正不当なことが行われるというようなことになりましてはまことに心外であって、計画造船を推し進めよう、国家のためにやろうというわれわれの努力が水泡に帰する次第でございます。事務局は事務的には間違いなくやったと思うのでありますが、それにいかなる高等政策が入ってか、いろいろとオーナーオペレーターの比率が変ったり、あるいは選考が一方に偏したり、あるいは全然新たな造船所が突然二はいも作るというようないろいろな問題が起きて、われわれは疑惑なきを得ないのでございます。  なおこの機会に、これは事務官に関する問題であるから、ちょっと海運局長にお尋ねしておきたいのでありますが、エコノミストという雑誌にこういうことが書いてある。「不定期船選考では運航会社重点をおいたといいながらも、岡田前海運局長がたてた運航会社に中心をおいて郵船、商船、三井船舶三社のバランスをはかるという政策を排除し、」これは必ずしもこの通りにしなければならぬというわけではないと私は思いますが、「オーナー会社に多く割当てたのは辻海運調整部長運輸省首脳部会議を強引に押し切ったからだといわれ、業界では〃辻〃計画造船と評されている。」という記事があるのです。第三次鳩山内閣成立に当って、鳩山内閣は全面的な行政機構の改革をやる、それから税制改革をやる、憲法改正をするという三大政策を金看板に押し立てた。ところが税制改革はどこへやら、また行政機構はいろいろ案を出してきたが審議未了である。また出してきた案そのものが行政機構改革の名にふさわしくない、全くナンセンスの行政機構改革なんですが、その中で、トップ・マネージメント機構によって日本の政治というものを政治家にやらせる、官僚にやらせるというわけには参らぬということを言っているわけです。ところがそのトップ・マネージメント機構によって政治家が政策をやるのだというのに反するような、このように、事務官が計画造船というような大政策をやるのだということを言われたのでは、鳩山内閣としてこれは聞き捨てならないことではないかと思う。これは事務官僚の海運局長に聞いてもしようがないことですが、しかしあなたの部下に関する問題である。辻計画造船と言われているということは一体どういうことですか、御意見を承わりたい。
  27. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまの記事非常に心外でございまして、私ども自信を持って、そういうことは完全な捏造であるということをお答えできると思います。事務官といたしまして私の部下でございます非常に有能な部長が、できるだけ自分の意見を上司に具申して相談するということは当然のことだと思います。その結果、これを採択してどういう結論を出すかという点は、これは私及び私の上司の責任でございまして、今度できました結果は、事務局としては完全に私の責任と思います。なおその上の責任は大臣がおとり下さることと私は確信しております。計画造船が辻造船であるというようなことは虚構の捏造であるということを、私は自信を持ってお答えできると思います。ただ先ほども申されましたように、今次造船についてあるいは不審の点がある、あるいは疑惑があるというふうなことがございますれば、それは全く私どもの不明のいたすところでございまして、自分としましては誠心誠意、ほとんど寝食を忘れてやったつもりでおりますけれども、なお非才のためにそういう結果ができておるとすればまことに申しわけないことで、つつしんでおわび申し上げます。しかしまた一方、この計画造船というものは、御指摘の通り日本済経自立のためにも、また海運の復興のためにも非常に重要なことでございまして、五年計画にも出ておりますように、今後さらにこれを推進しなければならぬものでございます。どうぞその点をよく御了承いただきまして、今後の海運行政につきましては、私どもの足らぬところは十分御叱正下さいまして、なお今後とも御支援いただきたいとお願いいたす次第でございます。
  28. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 事務官僚は、最高の事務技術者としてまじめにやればいい。そういうふうにやってもらわなければならぬし、またそういうふうにやったという答弁でございます。海運局長なり調整部長なりあるいは課長なりが、この重大な国家政策を行政事務としては万々間違いないように、また不正行動のないようにやったと私も信じたいのでありまするが、この点誓ってあなたなりあなたの部下なりが、間違いがないということを断言できるかどうか、もう一度伺いたい。またもう一つは、これがいわゆる政治家である上司によって悪用されたり利用されたり、あるいは他のあっせん、収賄罪的な政治家によって利用されるようなことのないように万全を期したかどうか、この点も伺っておきたい。
  29. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいま私ども承知いたしておりますところでは、御指摘のようなことはなかったと申し上げられると思います。
  30. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 これは事務当局に突っ込んでもしようがありませんから、あと大臣に私はお尋ねしたいと思うのです。  次に、四千五百トン未満中型船二隻の公募をやるということでございます。これは昨年の本委員会でも、私は大型船のみならず、近海航路や近くの東洋諸国との貿易のために、中型船建造計画造船の中に入れるということを要望したのでございますが、今回これを実現されるということは、まことにわが意を得た計画で、ぜひ一つ適正にこの中型船の計画を推し進められるように希望いたすのであります。  さらに、きょうは時間もございませんから簡単にお尋ねしますが、日本海運も非常に盛んになって参りまして、今回の第十二次計画造船を加え、追加建造分まで入れると、外航船舶は千二百四十隻ですか、そうして四百万トンになる。なおまた本年度において自己建造が二十万ないし三十万トンを予想せられるということになりますと、四百二、三十万トンの船舶が本年度末にはできるということになるわけで、これは日本の自立経済の達成やあるいは海運政策におきまして、まことに喜ばしいことでございます。ところが一方、この海運界好況の波に乗りまして、新聞の報ずるところによると、すでに六社ですかが復配を許可になっておる。また新たに申請するものもたくさんあるということです。海運会社としては、長い間株主に満足を与えてやれなかったので、多少とも配当をしてやりたいというのは、これは会社当局としては人情上やむを得ないところであろうと思うけれども、こういう点は運輸省で監督ができるのでありまして、一時の株価の値上りや、あるいは意地もしくは株主に対する満足よりも、未来永劫の海運業の発展と、またその会社の基礎を固くする意味からでも、こうしたものはなるべく社内留保をして、そうして基礎を固める。好況のときにこそ資本蓄積をやって不況時に備えるような態勢を整えぬことについて、運輸省はどのような考えを持っておるか。それからもう一つは、こういう状況下にありまして、利子補給の問題あるいは財政資金の問題について、考え直す時期がきているという世論が高まっておる。こうしたときに、今後のこの計画造船について運輸省はどのような御方針を打ち立てているか、それを承わりたい。
  31. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまの配当の問題でございますが、現在までに約十社配当の承認をいたしております。これはただいま御指摘のように、こういう好況のときに社内留保を持って経営の堅実化をはかるという考え方は、当然必要なことでございます。また一方、ただいまの海運会社の資本構成というものは非常に劣悪でございまして、使用しております資本のわずか一五%しか自己資本はないといったような状況でございます。これがやはり不況のときには相当の弱味になるということも事実でございます。幸いにして現在の経済界の状況から見まして、ここに復配をすることによって、なお増資のチャンスをつかみ得るということも考えなければならぬと思うのでございます。幸いにただいま各会社とも相当の増資を実行しており、また近い将来これをする計画を持っております。そうすることによりまして、一五%というふうな劣悪な自己資本構成を改善できるということも、社内留保をして堅実化をはかることと同様に、将来の会社の国際競争力をつける一つの力になり得るというふうに考えまして、彼此勘案した結果、やはりこの際は配当を許しまして、そういう資本構成の改善をはかる方がいいのではないかということにした結果、私どもは特定の会社には配当を許すという方針をとった。ただ、もちろん無差別にこれを許すつもりはございません。一定の基準を設けまして、財政資金なり利子補給のついておる市中資金の償還等に支障がないというふうなめどのある健全な会社のみに、これを許す方針をとっておるわけでございます。  それからなお、ただいま御指摘のありました利子補給あるいは財政資金の各船会社の今日の状況を見ての、将来の方針いかんという問題でございますか、そういう世論が相当あることも私どもよく承知いたしております。元来財政資金というようなものは、あくまでもコマーシャル・ペースに立った市中融資の補完作用をなすべきものであるということを私ども考えておるわけであります。これがなくて済ませるならば、これに越したことはないというふうに考えております。利子補給の点につきましても、いわゆる国際競争力をつけるためにこれを補給するということから打ち出されました一つ政策でございまして、やむを得ざる一つの手段に違いないと思うのでございます。ただ、御承知かと思いますが、日本と同様な海運情勢に立っております西独におきましては、本年から利子補給制度というものを新たに実施するという政策を打ち出しております。これはもちろん考え方はわが国の利子補給制度と同様でございまして、ドイツの金利がたしか七分——あるいは若干それを上回るかとも存じますが、これが国際金利に比して少し高過ぎる、何とかこれを助成しなければ、国際競争力がドイツの海運としては十分でないというような考慮から出た制度でございます。三分ないし四分の利子補給をドイツは今年から新たに実施することになっております。これらの点を考えまして、日本としてもこの海運市況の好況を受けて——状況のよくなっておりますのはひとり日本に限らず、欧州の船主はさらにこれを享受しておるわけでございます。そういう点も十分考慮し、一方、御指摘のような世論のあることも私たち存じておりますので、これらの点をいろいろ検討いたしまして、今後どういうふうにこの助成策と申しますか政策を立って行くかという点をさらに十分検討さしていただきたいと思うのであります。遺憾ながら今日まだ、来年はこうやるというような確たる案を持ち合わしておりませんけれども、ただい鋭意研究中でございすす。もう少しお時間をかしていただきたい、かように考える次第でございます。
  32. 松山義雄

    ○松山委員長 青野武一君。
  33. 青野武一

    ○青野委員 この前、運輸大臣にお目にかかりましたときに、去る運輸委員会で質問いたしました佐世保港外において、韓国所有のフリゲート艦に第六あけぼの丸という漁船が追突を受けて、二十五名の乗組員がむざんにも二十一名、死体も収集することができないような状態で災害を受けたが、それは韓国の李承晩政権を相手にして、そうしてこれはもう相手が相手でありますから、外交折衝によってこれらの気の毒な二十一名の船員の遺家族に対して、適切なる弔慰金を支払わせるようにという御質問を申し上げましたところが、吉野運輸大臣は、私も努力いたしますが、特に重光外務大臣と十分話し合いまして、厳重に外交折衝を通じて、御期待に沿うように努力いたしましょう、会期末にもし運輸委員会が開かれますならば、その経過を御答弁申し上げるつもりでございますというお話であったのであります。それで、もし差しつかえがあって本日運輸大臣が本委員会においでになることができなければ、適当な方がそれらについての一応の経過なり、あるいは折衝の過程をお答え願いたいと思います。  なおその問題について、所有船は日魯漁業株式会社でございましたので、会社関係者にそれぞれ法の定むるところによって支給する金額であるとか、あるいは会社が独自に弔慰金を出したとかいう書類による回答は、運輸省の係の方から私の手元に届けられていただいておりますけれども、それは書類だけでありまして、いわば一種の事務的な数字上の書類でございますので、できればそれの調査なりあるいは経過なりを御説明していただきたいと思います。運輸大臣出席しておらなければ、適当な方から御答弁を願いたいと思います。
  34. 西田豊彦

    ○西田説明員 この事件は、御承知通り昭和三十年の二月十四日に起された事件でございますが、海上保安庁といたしましては、その直後からこの事件の経過あるいは原因というものについて、詳細乗組員あるいはその他の関係方面に調査の手を延ばしまして、結論的には、韓国船にその不法があるということを調査の結論といたしまして、外務省にお伝えしたのであります。外務省といたしましては、この調査を受けて、三月二十九日に韓国に申し入れをなしたのでありますが、これに対して韓国側といたしましては、同年六月十五日、口上書をもちまして、この海上保安庁の調査に基く日本側の申し入れば承服できないということを、いろいろ理屈をつけて反駁して参ったのであります。それで外務省から、この状況をまた海上保安庁の方に伝えられまして、再調を委嘱せられましたので、海上保安庁といたしましては、さらにこれを検討いたしまして、この韓国側の申し入れの各点につきまして不合理と認められる点、あるいは事実に遠くはないかと考えられる点等を、いろいろ証拠あるいはその他の推定等をもって、長文の反駁的な資料を作成いたしまして、これをまた外務省の方にお伝えしたのであります。外務省といたしましては、それを三十年十月八日に韓国側に申し入れたのであります。これに対して韓国側は、その後何らの返事をしておらないという状況でございます。以上がこの問題についての調査並びに韓国側に対する申し入れその他の経緯でございます。ただいまはその点でとどまっておる次第でございます。
  35. 安西正道

    ○安西政府委員 ただいま外交交渉の経過につきましては、西田海上保安庁次長から御報告申し上げた通りでございますが、私どもといたしましては、韓国側に対しまして、外務省を通じまして損害賠償の要求を出しております。総額といたしましては、約一億三千八百万円でございます。そのうち遺族の賠償金といたしましては四千百七十三万円、それから乗組員の私物の喪失といたしまして百二十七万五千円、合計いたしまして四千三百一万円の要求をいたしておりますが、外交交渉がただいま申し上げました状況となっておりますので、停頓状態にあることにつきましては、御了承願いたいと存じます。なお今後におきましても、この点につきましては、外務省を通じまして、折衝をして参りたいというように考えております。  なおついででございますので、会社が負担いたしました金額につきましても、あらためて御報告申し上げたいと存じます。日魯漁業株式会社は、事件の直後二十一名に対しまして、遺族手当といたしまして百四十七万円、葬祭料として八万円、退職手当といたしまして総額五十万円、香典といたしまして二万七千円、供物料といたしまして七十七万円を支給いたしております。なお政府関係の船員保険関係でございまするが、これにつきましては、厚生省の船員保険会計より、遺族年金といたしまして十一名に対しまして毎年九十八万円、遺族一時金といたしまして残りの十名に対しまして二百七十三万円、また二十一名に対しまして葬祭料として五十万円という金額を支給いたしております。なお三十年の十二月十六日の閣議決定に基きまして、外国船舶によって不法拿捕、銃撃、撃沈等によって死亡した船員に対して、外交交渉がすぐできない場合の措置といたしまして、賠償金の先払いとして、各人に対しまして七万五千円を支給いたしております。これはこの前も申し上げまして、蛇足でありますが御報告申し上げます。
  36. 青野武一

    ○青野委員 大体書類をいただいておりまするので、その数字上の総合計——この損害に対して韓国政府に要求しておりまするのが一億三千余万円、その内訳として二十一名の遺族に対して四千百七十三万円の要求をしておることはわかりますが、今最後お話しになりました、三十年の十二月に閣議決定によって、それぞれその遺族に出した七万五千円ずつの弔慰金、これは韓国政府から損害賠償金がもらえたときには、結局日本政府が立てかえておるような意味ですから差し引かれるであろうと思いますが、もし年寄り、子供をかかえて、これらの遺族の諸君が非常に生活に困った場合には、七万五千円だけ出してあと政府は知らないということでなしに、何ぼかまとまった立てかえ金——見舞金という名称でありますけれども、とにかく立てかえ金が出せるものかどうか。これは非常に御答弁としてはむずかしいことと思いますが、お考えがあれば承わっておきたい。というのは、これは国鉄の責任であるかどうかは最終的な海難審判所の判定が下らねばわかりませんけれども、御承知通り洞爺丸事件で、おもに家庭の中心であったかつぎ屋の諸君がたくさん遭難された。ところが最近では、去年の暮れあたりはほとんど、大部分の遺族の諸君が、生活の中心人物を死なしたために、非常に生活上お困りになっておる。菊川代議士の奥さんを先頭に立てて、国鉄総裁なりあるいは運輸大臣に、それぞれ関係者から陳情もあり、私どももそれを承わっておったのでございますが、今回は相手が韓国の李承晩政権でありまするから、気違いを相手に交渉しておるようなもので、なかなかなまやさしいことでは解決点がつきにくい。従って日にちがかかる、何年もかかっていくということになれば、第六あけぼの丸の船員の遺家族の諸君二十一世帯、これらの諸君もぼちぼち年数が長くなれば非常に生活上困ってくるのではないか、こう考えまするが、そういう点について三十年の十二月の閣議決定で、韓国政府から賠償金が出るまでの暫定処置としての七万五千円の見舞金を一遺族について出しておるが、それ以上は出せるのか出せないのか。実際問題として遺族の諸君の生活が窮迫してくれば、何らかの方法を立ててやらなければ、やはり最後に落ちていくところはどろぼうするか、一家心中するか、二つに一つしかないと考えるのです。洞爺丸事件の例がそれを証明している。そういう点についてお考えがありますれば、一つ局長から御意見を聞いておきたい。
  37. 安西正道

    ○安西政府委員 現行法の立場から申しますると、こういうような場合の遺族の救済措置につきましては、不十分ながら船員保険として処理しておる状況でございまするので、船員保険をこえて支給するというような建前にはなっておりません。従いまして先ほどの三十年の十二月十六日の閣議決定も一時の立てかえという名目になっておる次第でございます。なおこのようなケースがこの以外にも李承晩ラインの問題等に関連いたしまして多々ございまするが、こういう点につきまして遺族がその後生活に困窮するというような点につきましては、農林省あるいは大蔵省等、関係各省と協議いたしまして考えて参りたいというように考えております。
  38. 青野武一

    ○青野委員 本会議の予鈴も鳴ったようでありまするので、ほかの諸君の御発言もあろうと思いますが、もう一つ重ねてお尋ねしておきます。御承知通り日本の国内法には海上衝突予防法というものがあります。韓国のフリゲート艦はこれはアメリカからもらった軍艦でありまするが、とにかく漁船がそばを通っておるのに、わざわざうしろから来て二回も突っかけて、沈没さして、そして日本の外交交渉が始まると、その海上衝突予防法などは韓国としては認めるわけにはいかない。日本の第六あけぼの丸の方が悪いのではないかという。これでは外交交渉もなかなか骨が折れるのではないか。たとえばアメリカの外交官であるとかイギリスの外交官であるというものを相手にしての交渉であれば、人間の言うことは人間の耳にわかるのですが、この李承晩に対してはなかなかそう簡単にいかないと思いますから、相当の年数がかかると思います。結局豪州のアラフラ海における真珠問題のように、最後はオランダのヘーグ国際司法裁判所にまでかりに持っていくことになりますと、これまた十年では解決がつかないと思う。そこで今申しましたように二十一世帯の遺族の方が生活に非常にお困りになるような場合は、ほかの救済の方法がないとすれば、やはりこれは閣議で御決定になって、見舞金の額をつり上げる以外に方法がないと思いますけれども、そういう点についてはまた運輸委員会の日をあらためて、そして担当大臣からお答えを願いたいと思いますが、問題は、外交交渉がすでに始められているか、一体どういう形でどこで交渉が始まって、どの程度まで進んでいるのか。相手は海上衝突予防法などを認めない、日本の漁船が悪いのだ、韓国に責任がないのだでは、交渉の糸口がないと思いますけれども、事実問題として日本人の船員が二十一名死んでいる。大体向うの船がしりからぶつけてきて衝突したので、向うの失態であるということは明瞭なはずであります。それが話にもならないようなわからぬことを言っているのですから、交渉はもちろんやりにくいと思いますが、主張すべき点はあくまでも主張していただく。横須賀の方には年に七回とか韓国の軍艦が、日本政府の許可なしに無断で入ってくる。アメリカと国際的にどういう協定を結んでいるか、それは日本の知ったことでないのに、日本の領海に公然と、アメリカとの軍事関係の打ち合せであるとか、あるいは弾薬を積んでくるとか、もらって帰るとかいうことで、横須賀は年に七回くらいかわかりませんけれども、佐世保の方は二十回をこえているのです。無断で日本の領海にやってきて、日本の漁船をしりからぶつけて沈没さして二十一名殺しておいて、そして日本の法律は認めない、韓国は何らあやまちを犯したのではないというようなことでは、これは国際法というものはまるきり頭から無視されている。無断で日本にやってくることがすでに誤まっている。こういう点についても、おそらく話がつかなければただいま申しましたようにオランダのヘーグにある国際司法裁判所に持ち出す以外には方法がない。それでも話がまとまらなければ、結局戦争で李承晩の首をパチンとはねてやる以外に方法がない。そういうような状態に押し込まれてくるのです。むちゃな法律を出しておるから乱闘事件が参議院で起るのと同じことです。乱闘以上のむちゃをやるからこういう問題が起る。李承晩を相手に話をするということは、気違いに刃物を持たして、自分はからだを縛られたままけんかするようなものだ。一筋なわのことではいかぬと思いますけれども、二十一名の死んだ船員の遺族のことを考えて、ほんとうにあたたかい気持で運輸省が中心になって、外務省とも緊密な連絡をとって、たゆまざる交渉を続けていただく。これらの諸君が、ああよかった、だれがしてもこれより以上のことはしてくれなかった、ありがたいことだと、遺族の諸君が喜ぶような結論を目的にして、一つこの上ながらの御努力を、私はそういう遺族の方々にかわって心から希望しておきます。  また適当な機会に担当大臣に対して、それぞれ新しくできて参りました事態に基いて質問することといたしまして、一応第六あけぼの丸の沈没事件についてはこれでもって質問を打ち切ります。
  39. 松山義雄

    ○松山委員長 続いて陸連に関して調査を進めます。  質疑の通告がありますので、通告順にこれを許します。中島巖君。
  40. 中島巖

    中島委員 私自動車局長にお尋ねをいたすのでありますが、その前に委員長にちょっとお聞きいたしたいと思うのです。実は道路運送方の一部を改正する法律案が、参議院で修正されて本院へ回っておるわけでありまして、二十三日の議事録を見ますと、山口委員その他から委員長に対する質問があったようでありますが、議運との話し合いはどういうふうになっておるか、おわかりであればお伺いいたしたいと思います。
  41. 松山義雄

    ○松山委員長 先日その問題につきまして議運の委員長に申し入れましたところ、大体社会党さんの方ともいろいろ話し合って、最後の日にかける予定であるということでございます。
  42. 中島巖

    中島委員 委員長に重ねてお伺いしますが、これは衆議院の原案通り決定するのであるか、あるいは参議院の修正案によって決定するのであるか、その辺がおわかりであったらお伺いいたしたい。
  43. 松山義雄

    ○松山委員長 これは委員会の方は関係ないのでございまして、本会議にすぐかけることになりますから、本会議で衆議院通りとするか、あるいは参議院の修正のまま可決するかということは、やはり両党話し合いの上ということになると思います。
  44. 中島巖

    中島委員 そういたしますと、ただいまの委員長お話では、修正案をのむか、あるいは衆議院の本会議の可決通り決定するかということはまだ話し合いができておらぬ、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  45. 松山義雄

    ○松山委員長 私が承わったところでは、衆議院の原案で可決する予定だという話でございましたが、また反対のようなうわさも聞きます。参議院の修正通りだというようなうわさも聞きますけれども、そこはまだはっきりいたしません。議運の委員長から聞いたところによりますと、衆議院の原案の通りでいくという話を委員長から聞いております。
  46. 中島巖

    中島委員 それでは自動車局長にお伺いいたしたいと思います。国鉄バス関係のことについてお伺いしたいのでありますが、私初めて運輸委員会へ本日出席してみますと、「国鉄バス民営バスの調整について」というプリントが昭和二十九年四月二十六日でありますか、出ておるのであります。従いましてこれを見て、もしこの点がはっきりすればえらい質問をしなくてもよいと思って、内容を拝見いたしたのでありますが、どうもあまりに抽象的でありましてはっきりいたさないので、さらに具体的にお尋ねいたしたい、かように考えるのであります。国鉄バス民営バスは現在各地にいろいろな問題が起っておるわけであります。私長野県でありますけれども、長野県においてもこれらの問題が非常に起っておるわけであります。そこで考えることは、国鉄バス民営バスにはおのおのそれ自体の分野と申しますか、目的があるわけだと思うのです。従いまして国鉄バスはどういう方針で、どういうような法的根拠に立っておるかということが基本的な問題になるわけであります。そこでこの法的根拠につきましては、日本国有鉄道法第三条の国有鉄道の経営すべき事業ということが、法的根拠の基本的な条項ではないかと思うのです。これは一、「鉄道事業及びその附帯事業」、二といたしまして「鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業」、三といたしまして「鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業」こういうようにあるわけでありまして、これも非常に 抽象的でわれわれは判断に苦しむのであります。そこで実は私、長野県の南の方の飯田というところなんですが、バスを営業しておりまして、選挙が始まると常に国鉄バスがあすにも入るような宣伝を相手方はするわけであります。従ってこれを打ち消すべき何らの根拠もないし、かりに入るとすればわれわれもあんな危険な商売をしておるより、全路線買収してもらった方がいいのだから、そういうようにも考えるのですが、結局国鉄バスに対する一定の方針が見つからぬために、これに対してわれわれはどう対処していいかということもわからないのであります。問題は、この法的根拠以外に、現在までに政府はこれに対していかなる解釈を下しておるかという問題になるわけであります。本日この四月二十六日の自動車局長並びに鉄道監督局長の通達と申しますか、これを見ましても、やはりばく然として雲をつかむようで、何ら核心に触れておらない。  そこで私ども調べてみますと、十三国会におきまして村上運輸大臣国鉄バスに対して答弁をされておるのでありますが、こういうことを言っておられるのです。これが現在の運輸省国鉄バスに対する方針であるかどうかということを、自動車局長にお伺いいたしたいと思うのであります。この速記録によりますと、国鉄バス日本国有鉄道法に規定されている通りに、国有鉄道に関連するものに限られているのである。すなわち国鉄線の先行、あるいは代行、短絡もしくは培養ということになると思う。具体的に国鉄バス申請があった場合には、この性格に該当するかいなかをまずもって審査し、該当する場合には、他の要件についてさらに支障がないかどうかを検討し、支障がなければ免許するという方針をとっている。この場合にあっても、その路線の全部あるいは、大部分について、すでに民営業者が経営しているという場合には、特に慎重に取り扱わねばならないことはもちろんである。交通需要という点から見ても適当であると認められるサービスを民営業者が提供して、そうして利用者に一応の満足を与えているかどうか、かりに十分なサービスでないとしても、行政指導等によって今後できる限り急速に改善の見込みが立つといえば、これは民営業者を育成していかなければならないと思うのである。要するにこの改善の見込みがあるかどうかということを十分調査して、まず一応のレベルに達している、達し得るものだという見込みがあると考えられるときは、国鉄バス申請があっても、これは認めることができないと思う。また一方からいうと、改善に努めてくれる、交通需要がその場所で非常に多い、相当既存の民営業者が改善に努めても、なおかつ一業者だけでは運び切れないために、とうてい需要を満たし得ないというような場合に、初めて新規の出願者に許す。それは国鉄たると民営たるとを問わずに処理しなければならないと思っている。こういうように、やや具体的に十三国会におきまして村上運輸大臣が答弁いたしておるのでありますが、現在の運輸省といたしましてはこの方針であるというように了解していいかどうか、その点局長にお伺いしたいと思います。
  47. 山内公猷

    ○山内政府委員 国鉄バスの性格につきましては、ただいま中島先生のお話しになりました通り日本国有鉄道法第三条によっておるのであります。この法律によりますと、国有鉄道に関連する自動車事業ということを書いておりまして、ただいま御質問の通り、具体的な内容は盛られておらないわけであります。ただいまお話のありましたような第十三国会の村上大臣の答弁というものは、運輸省の従来とっておりましたところの立場でございまして、国鉄に対する先行、代行、短絡、培養というようなことが、関連するということの具体的な趣旨であるというふうに考えておるわけでございまして、また今お話のありました民営との関係におきまして慎重にやらねばならないという点、あるいはそれをさらに具体化いたしました昭和二十九年四月二十六日の通牒というものも、現在その行政の方針になっておるわけでございます。要するに国営バスというものは、民営バスと違った使命を持っておるわけでございまして、その使命に適合いたしました場合、さらに民営との関係におきましては、先ほどお話がありましたように、民営によって十分その理想の使命が達せられておるかどうか、達せられてない場合に行政指導によりまして達せられる可能性が十分あるかどうかということを問題にするわけであります。その点、国営バスが民営企業の圧迫になるというふうなことのないように——この国営バス、民営バスというものは、両者の持つ使命が違いますから、運輸省の行政といたしましては、二十九年の四月二十六日の通牒にもありますように、両者が本質的にその使命に忠実であるならば、そこに何ら調整すべき何ものも起らないわけでございますが、一応両方企業としての面も持っておりますので、一応問題が生ずるわけであります。その際は、この通牒のいっておりますことは、両者が十分に話し合った上で申請をするということが趣旨でございますので、ただいま御質問のありました村上大臣趣旨は、現在もわれわれが行政の指針としておるということは、はっきり申し上げることができるわけであります。
  48. 中島巖

    中島委員 ただいまの自動車局長のお答えによりまして、大体業界といたしましても、ここにまた新しい指針ができたわけでございます。そこで村上運輸大臣の国会における答弁の趣旨が、現在も生きて、その通りだというお答えでありますけれども、実際問題として各所にそれと一致しないような現象が起きておるわけであります。  そこでお伺いいたしますのは、本年度、路線延長と申しますか、新しく路線を国鉄として営業されるのが、私の手元にあるものでは長野県と秋田県、愛知県などにあるようでありますけれども、その他にもあるのかどうか、それから長野県の関係については、いつごろ事業を開始する予定であるのか、そうしてこういうふうな新しい路線を長野県において営業を開始するのはどういう理由、でされるのであるか、この点をお伺いしたい。
  49. 山内公猷

    ○山内政府委員 ことに資料がございますが、その中から逐次取り出すのも時間がないのでまとめてお答えすることにいたしたいと思いますが、現在まで国鉄運輸省申請をいたしておりますのは百十件ございます。キロ数にして千五百五十三・六キロというのがまだ申請をいたしまして結末のついていない路線でございます。本年度の分につきましてはちょっと今手元に持っておりませんので、あとでお答えすることをお許し願いたいと思います。
  50. 中島巖

    中島委員 私のお伺いしたいことは、村上運輸大臣の国会答弁が今の運輸省としての方針であるかということが根本的な問題でありますので、その他は本会議も始まっておりますので省略いたしますけれども、そこでもう一つお伺いしたいことは、先ほども造船関係の問題に同僚竹谷委員が触れておりますけれども造船関係においても何千億、あるいは電源開発においても何千億というような国家資本の財政融資をしておる。それから私建設委員をしておりますが、建設委員会においても、当然運輸省で、道路運送法においてなさねばならぬような例の国土開発縦貫自動車道の建設法案なんかもかかっておる。とにかく国家資本でやらねばならぬところの幾多の仕事があるにもかかわらず、このバス事業みたいに民営で十分まかなえる仕事までも、国が直接経営するということはどうかと思うのです。しかしこれも現在の従業員の雇用関係とかいろいろ問題もありますけれども、それよりは、国でもっと大きな高速度自動車道を、許されるとすれば、すぐ着手するというような方向へ持っていって、バスのような民営でもって十分にできるような仕事は、民営の方へ切りかえてしまった方がいいのではないか、こういうように考えるのですが、そういうようなことはお考えになったこと、研究になったことはあるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  51. 山内公猷

    ○山内政府委員 非常に根本的な問題でございますが、国鉄バスはただいま御説明を申し上げましたように、国有鉄道に関連するいわゆる補助輸送機関としての意味を持っておるわけでありまして、その間おのずから民営のバスが使命とは異なっておるわけでございます。また諸外国国鉄経営におきましても、このバスあるいはトラックと鉄道というものを総合的に使うということは、鉄道経営の面におきましても合理化になる点が相当多いわけであります。この辺は、いわゆる鉄道企業とバス企業というものの総合性の問題でございまして、相当むずかしい問題もあると思いますので、御意見は承わっておきまして、研究させていただきたいと思います。
  52. 中島巖

    中島委員 最後にもう一つお伺いをいたすのでありますが、先ほど委員長にもお尋ねいたしました道路運送法の一部を改正する法律案が本国会にかかって、参議院から修正になってきて、現在議運で扱っておるようであります。ただいま山口委員からお伺いいたしますと、明日の本会議で決定するということであります。そこでこの点について私見を申し上げて、局長の御意見をお伺いしたいと思うのであります。  数年前より自動車局といたしましては、中村局長時代から輸送秩序の確立運動なるものを展開いたしております。これの目的は、いわゆる自家用自動車、つまりもぐり営業者が既存の業者の領域を侵しまして、既存の業者が非常に経済的な危機に立っておる。それがために、健全なるところの、公共性のあるところのトラック事業が発達をしない。のみならず経済的な圧迫によって、過労、重労働をしいたりいたしまして、交通事故を頻発し、しかも交通事故の死亡の統計の上から見ると、これは実にゆゆしいところの社会問題にまで現在の段階は来ている。この裏には、ただいま申し上げましたような輸送秩序の無政府状態がある。それがこういうことにならしめたわけであります。そこで、私も長野県の交通安全協会の会長を創立以来長くいたしておりますけれども、この根本的な問題は、トラック事業者が経済的に自立できるということに帰着するのであります。それから輸送秩序の確立運動も、またそれに帰一するのであります。しかも欧米におきましても、このトラック事業を免許制度にしている国が数多いのであります。日本の国情から見まして、どうしてもこれは自家用の認証制とか、免許制度にせざる限り、輸送秩序の確立運動は言うべくして行われない。つまりハエの発生するところの掃きだめをこしらえておいて、出た八二ばかり追っているような方法ではだめだと思うのです。従いまして、今回参議院の修正案は妥当なものであり、さらにそれを一歩進めるべきものである、暫定的にさらに一歩これを進めて、初めてそこに輸送秩序の確立ができるのである。私は中村局長が輸送秩序確立運動を展開し始めた当時から、かかる方法ではだめなんだ、結局自家用の許可制まで持っていかない限りは、この問題は解決せぬのだと、数年前からこういう一貫した方針を持っておるわけであります。局長として御所見はいかがでありますか。
  53. 山内公猷

    ○山内政府委員 この問題につきましては、私の方から政府提案をいたしまして、道路運送法第二条の「有償で」を除くというのが政府原案でありますのも、結局こういう交通秩序を維持しようという建前から御提案申し上げた次第でございます。さらにトラックの問題につきましては、それでは、十分ではないというので、認証制の問題が起っておると思うのでありますが、われわれといたしましては、もちろんそういった点で交通秩序の維持に一歩進められればそれに越したことはないというふうに考えておるわけでございます。現在国会で御審議中でございますので、その結果によりまして、十分法律の趣旨を生かして、行政面に過誤のないようにいたしたい、かように考えている次第であります。
  54. 中島巖

    中島委員 本会議も始まっているので、私これで希望意見を申し上げておいて打ち切りたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、私長い経験から中村局長が輸送秩序確立運動を展開した当時から、いかに運輸省が努力しても、出先の陸運事務所が協力しましても、この問題を解決せぬ限りは、とうてい輸送秩序確立運動の効果は上らないということを指摘いたしておるのであります。それから自家用自動車と営業車とは、根本から違っておるのでありまして、従って自家用自動車の健全なる育成ということも、結局自分にそれだけの運ぶ荷があるとか、あるいはトラックを所有するだけの財産があるということによって、自家用自動車組合というものも健全な育成ができるわけであります。長野県の自家用自動車組合などは、むしろそういうことになることを望んでおります。運転手上りの方が古トラックを三万か五万の頭金で持ってきて、そうしてもぐり営業をするというような者は組合に入らぬし、入ったにいたしましても組合費は納めないというようなことで、かえってこれらを入れることによって自家用組合も崩壊するというような運命にあるわけです。むしろ健全な自家用組合の育成のためにも、この認可制とか認証制、あるいは許可制とかいうことを行なった方が、自家用組合としてはむしろ歓迎しているというのが現在の実情でありますので、英断をもってこの輸送秩序確立運動並びに、ひいてはゆゆしい社会問題になっているところの交通問題の解決のために、一そう一つ御研究御努力せられんことを希望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。
  55. 濱野清吾

    ○濱野委員 久保経理局長には国鉄にお帰りになって早々お尋ねしては恐縮でありますが、ちょっとこれに関連してお尋ねしておきたい点がございます。二点です。国鉄ではバス事業経営にどれだけの資金を投じているか、それから一体国鉄の事業だけから見て赤字になっているのか黒字になっているのか、この二点について、わかりましたらお答え願いたい。
  56. 久保亀夫

    ○久保説明員 私ただいまお答え申し上げる知識を持っている範囲でお答え申し上げます。国鉄自動車の経営につきましては、ごく最近の実績でようやくとんとんになりつつあるものというふうに申せば、大体事実に近いと思います。今日までの資金の投下額等につきましては、評価の問題もございますし、ちょっとただいま資料がございませんから、別に調べて申し上げたいと思います。
  57. 濱野清吾

    ○濱野委員 運輸省ではおわかりでしょう。
  58. 山内公猷

    ○山内政府委員 大体民間企業とそう大して差はないわけでございますが、減価償却において少し足りない場合があります。大体営業係数でわれわれの方の手元にあるものといたしましては、昭和三十年度で一二三というような数字が出ております。その理由は、われわれの聞いているところでは、減価償却が十分できるまで、まだ企業の収支が合っていないということでございます。
  59. 濱野清吾

    ○濱野委員 投資額は……。
  60. 山内公猷

    ○山内政府委員 投資額はちょっと手元にございません。
  61. 濱野清吾

    ○濱野委員 この問題は輸送関係に従事している方々は必ず重大な関心を持っているわけであります。さらにまた国鉄出身の先輩は、国鉄の連絡、培養その他の意味においてバスを運行するということについては、消極的な態度をとるべきだということをみな主張している。これは一つ考えてみなれけばならぬことじゃないか。国鉄国鉄だけの輸送という考えでなくして、国の産業に関連しての国鉄であり、バス事実である。そういう大きな見地から日本の輸送面というものを考えれば、私はすでに国鉄の席を離れた先輩の方々の考え方は正しいと思う。最近私はいろいろ役所の諸君にも、民間の諸君にも、ことに国鉄を離れた先輩の諸君の意見を聞いているのでありますが、どうもレールの方から離れ、自動車に荷物を取られる傾向がある。それに対する第二段の策を立てる必要から、こういうようなことが無理にやられているという傾向があるのじゃないかという説をなす人もあります。その説が正しいか正しくないかは私よく存じませんけれども、そういう気持であるとするならば、これは国家的な見地に立って少し修正しなければならぬのではなかろうか。そういうことを前提として、私は国鉄の関連事業としてのバス事業というものを今後どんどん免許していいか悪いかということは、考えなければならないと思います。これは経理の面から、私はやかましいことを申し上げませんけれども、確かに厳粛なる検討を加えていくと、国鉄の関連事業としてのバス事業は黒字が出ていないだろうと思うのです。今に四億とか、あるいは三億とか二億とかいう赤字を出して、とにかく連絡事業をやっている。輸送全般としては、すなわち国鉄という幹線並びにバスというものをトータルしたときには、どれだけの赤字が出るか黒字が出るかは私検討しておりませんけれども、バスそれ自体としては、これはとても黒字になるはずがない。また事実黒字にならなかったと思います。そうして一面、国家的な見地から見てあまり有効でないバスの路線の免許をして、民間企業を圧迫しているというようなことがあるのでありますから、これらは一つ運輸省も、また国鉄としても、大いに考えてやってくれなければねらぬことではないかと思います。今長野の中島君がどういう会社経営しているのか、私はよく知らない。しかし聞くところによると長野地区には、もう国鉄が何回も何回も免許申請をして、幸いにして運輸省がこれをとどめておくというような事実を私は承知しております。私は図面でだけ見たのでありますが、この路線を見ると、まさに競争路線であって、しかも国有鉄道法の第三条の規定に、私は具体的な問題として反則だ、こう考えている事実もございます。これらは、運輸省は大所高所から考えてこの問題の処分をしなければならぬし、また国有鉄道としてもむやみに、国鉄が自動車に追いまくられたときの第二段の措置として、しゃにむにやっていかなければねらぬというほどのものじゃないと思います。国全体の輸送面を考えて、そうして十分経理、経済の面も考えてから、この処置を行われるのがよろしい。どうも先ほどの統計をお伺いいたしましても、未決定のものが百十件で少くとも千五百五十三キロはある。こういうふうなことを運輸省から承わるのでありますが、私は国有鉄道のその方を担当する局長さんも、あるいは経理担当者の久保さんも、この点はよほどお考えになる必要があるのではなかろうかと思います。かつて久保さんが経理課長をなすっていた際、一体国鉄のコーポレーションというものはどういうふうにして、運営していくのだろうという意見を交換したことがありますが、昔の国有鉄道と何ら変るところがない。現状を見れば、まさにそうなってしまった。そんなら何もコーポレーションをやる必要はないのだ。形は変えるけれども政府財政資金を借りなければ、あるいは取ってこなければ、あるいは民間借り入れをしなければやれないというような、何か知らぬけれども日本のコーポレーションというものは、経理、経済から見ると割り切れないというふうなことであって、それならむしろ昔の国有鉄道に帰ったがいいじゃないか、こういう議論をしたことを私は記憶しておりますが、依然として久保さんの課長さん時代の議論を私は持っているわけです。また現に久保さんが経理局長になって国鉄の経理、経済をごらんになれば、やはりこの現状というものは変えがたいものであろうと私は考えているわけであります。お互いもうだんだん年はとりますし、国鉄もだんだん事業の数字は累積されていきますが、私どもの見解は誤まっていなかった。これはできるだけ一つ国有鉄道を研究の上、改善する方法をこの場合考える必要があるのじゃなかろうか。ことに国鉄のバスが第三条を適当に解釈して、もうかりませぬ、あまり役にも立たぬようなことに無理をして免許を下してもらったり、あるいは申請をして、民間企業を圧迫するということは、国の全体から見てよくない。国の事業が民間の小企業を圧迫していいはずがない。これは社会党の諸君があるところで申し上げては恐縮でありますが、革命のできるところは、貧乏を多く作った国に限るのです。ソ連の革命もその通りです。中国の革命もその通りです。国有鉄道だからやっていいというものじゃない。全部が共産主義になれば、これは別です。しかし資本主義経済において、国の企業が中小企業を圧迫して、その人たちの生活が困難になる。会社は倒産する。少くともその従業員が食うに困るというようなことをどんどん押し進めていくということは、日本の社会を破壊する大きな動因になる。この点は一つよほど考えなくちゃならぬと思う。それは政党が責任を負うとか、社会党がそうしたいとかいうような議論ではなしに、自由主義、資本主義を革命から救うならば、これはやはりすべての人々をみんな革命に引きずっていくような、革命の動因を作るような形をとることはおもしろくないと思う。政治が貧困でほんとうに国民が食えなくなると、私は暴力革命やむを得ない、そういうふうに考える一人です。私は革命ができるのは為政者が悪い、行政が悪い、それらが責任を負うべきものじゃないかという前提でもって申し上げるものでありますが、私は国有鉄道のバスが民間事業を圧迫すれば、それで革命になると即断するものじゃありませんけれども、あまりにひどい国鉄のバスの免許申請をやっておるような傾向があるようでありますから、これは一つ経済面から考えて、久保さんも一つ十分その方の問題については注意を喚起してもらいたいと同時に、監督局長も人のことと思わずに、鉄道一家というなら鉄道一家の悪い面でなしに、いい面を高揚してもらいたいと思います。今長野で問題になっているのはその著しい面です。幸いに運輸省が押えてるからいいようなものの、こんなものが免許になったら大へんです。ほんとうに鉄道の大先輩、今浪人してる大先輩が言われているように、今の若い人はめちゃだという言葉がそのまま現われるようなことになりますから、十分戒心してしかるべきものと考えるのであります。ことに官営専業を扱っておられる当事者として、自動車局長にお願いしておきたいと思います。これらの点については十分一つ研究を願いたいと思います。     —————————————
  62. 松山義雄

    ○松山委員長 この際お諮りいたします。閉会中審査案件が議長より付託されました場合において、閉会中委員会の開会が困難でありますような場合のため、閉会中審査小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 松山義雄

    ○松山委員長 御異議なしと認め、それではさよう決定いたしました。  その人員及び小委員、小委員長の人選に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松山義雄

    ○松山委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  65. 松山義雄

    ○松山委員長 次いで山口君。
  66. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今濱野さんからいろいろ質問がありましたが、私も国鉄のことに関しまして二、三質問をいたしたいと思います。   〔委員長退席、木村(俊)委員長代理着席〕 それはまず第一は、現在の国鉄の職員並びに役職員が公舎に居住している。これは職員の方は全部が公舎に住まうということはなかなか困難で、そうもいっていないと思います。しかし高級役職員の方は、ほとんど公舎に住まわれているやに承わっておりますが、それに間違いありませんか。
  67. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私からお答え申し上げます。ただいまお話のございましたように、現在の国鉄職員四十五万人に対して、宿舎の数はおおむね七万五千くらいあるわけでございます。それでそれらの宿舎の内容には、いわゆる義務官舎と呼ばれておりまして、職務上当然そこに居住の義務があるという性格のものと、そうでない福祉施設としての性格を帯びた宿舎と双方あるわけでございます。全体として見ました場合に、義務的な性格を持っておる宿舎というものは、やはり責任の地位にあるそれぞれの業務機関の長というものに大体与えられるようになっておりますので、そういう意味では、そういう広い意味の役付と申しましょうか、そういうような者が居住している率がやはり高くなっております。しかし厳格な意味では、特に役員のみが非常に高いということには必ずしもなっておらない。全体として見ますと、いわゆる幹部職にある者の現在の居住率はおおむね七割前後になっております。
  68. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は心中しましたように、困っている者を実際に救うことが社会秩序を確立することになると思う。今同僚濱野委員は飢えさせることが革命に近いと申されましたが、まさにその通りです。しかしそれを喜ぶのは共産党であって、われわれとしてはさような考えは毛頭ない。それを社会党を引き合いに出されましたが、社会党は決してそうではありませんから、はっきり申し上げておきますが、むしろそういうような要件を一日も早くなくして、健全な社会秩序を立てなければならぬと私は考えております。しかるに最近承わるところによりますと、この公舎の使用等について、きわめて不明朗なことが言い伝えられておる。これは今申しまするように、さらにその不平を部内に高め、その不平から秩序を大いに紊乱する原因をかもしてきた、私は非常に遺憾に思っております。そこで私は、今申されたように、公舎等に義務的に住まう役職員は、職務上の連絡その他から必要に迫られて規定せられておるものだと思いますし、当然そうあっていいと思います。しかしその公舎の中にも私は二通りあると思う。一つは、そういう職務上の欠くべからざる必要性に応じて実質的になされるものである。一つは、これは他面からいえば、ぜいたくといわれるかもしれませんけれども、やはり日本国有鉄道というものは社交上の面目を保つための公舎、これも私は必要だと思うのです。そういう点については、鳩山内閣は、小児病的に公舎を廃止するといってやったけれども、実際にそれは行われておらぬ。やはり一国の所管庁の大臣あるいは長というものは、これはまたそのくらいの社交上あるいは統制上、統一上、いろいろな意味からいって必要なのです。これは私決してぜいたくとは思っていない。従ってやはり日本国有鉄道の総裁として国内における社交だけではなく、国際的にも大きくいえば総裁としての公舎を持ち、その場を社交場に供する、これは私日本の面目上からもそうあってほしいと思う。そういうような性格を持つものと二通りに私は分けられると思います。これをまず理解しなければならないと思います。しかしそのようにして利用せられる公舎は、従ってその人の利益になるのではなくて、あくまでもこれは公衆の便益に供する、公職のために供せられておるのでありまして、その個人に供せられておるものではないと私は考える。しかるにそれがどうも外部から見ておりますと、問題をかもしますことは、それ自体役職員がそれを役得と心得ておるのではないか、そういう利用の仕方をするのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、公舎の利用に関しどういう規制をしておられるか、それを一つ承わりたい。
  69. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 鉄道宿舎のことにつきましては、今回いろいろな御批判も賜わりましたので、今後十分運営に気をつけて参りたいとは考えておりますが、従来下級職員はあまり転任がございませんで、地方で勤務しておることが多いのでございますが、首脳部になりますと、あちらの管理局長あるいはこちらの管理局長あるいは本社というふうに、命令一本であっちこっちを動く建前になっております。それで東京に参りましても、かような東京に住宅を持っておる者はもちろんございませんし、また急にそれを自分の金で買うこともできませんで、大体においてこちらで宿舎を工夫しなければ居住ができないのであります。しかし退職いたしますれば、あるいは国に帰る人は家をあけて参りますが、東京に住んでいたいという者については、従来交換の制度で、ほかの宿舎を買わせて鉄道官舎と交換させた例がございますが、さような場合には、しっかりした評価をいたして交換をいたしております。今回問題になりました交換にいたしましても、私どもは勧業銀行あるいは都、専門家というところに評価いたさせまして損得のないような交換をいたしておりますが、しかし交換につきましては、幾ら評価を正確にいたしましても、いろいろ御批判を受けるきらいがございますので、今後は交換はいたさないというつもりをしておりまするし、また退職者が規定以上に明け渡さないという場合には、今後は強制して立ちのかしめるという手段をはかりまして、将来とも宿舎の運営につきましては万全の措置を講じていきたい、かように考えております。
  70. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私の質問よりだいぶ飛躍したお答えがありました。今日に問題にならなければ改められないというのは、はなはだもって遺憾なことだと思うのです。少くとも人から指摘されてその非を直す。もちろん人でありますからあやまちもあることは認めます。けれどもこのような大きな問題を、とにかく指摘されなければ直せないというのは、これはまことにもってはなはだしい不信行為であると私は思う。特に私は冒頭に申し上げたように、その役職上の必要性に基いて、公職上設けられているものであって、私用上設けられているものでは決してない。役職者が適時適所に転出をいたしますためには、今日のような経済状態下においては、直ちにその居住所を個人の力で取得することは困難であることも認めております。しかるがゆえにこそ、こういう公舎制度が設けられて、そしてそこに住まうことになり、下級職員はそういう大きな転出、移動というものがないのでありますから、従ってそこには困難性は伴うであろうけれども、全部収容するということができなくて、自力で自分の居住地を探す、こういうことも私は四十五万という従業員をかかえていればうなずけることだと思う。しかしながらその下級職員はきわめて困難な経済事情の中にあって、自力で自己の居住地を探さなければならぬ。しかるにその何倍かの高給の職員が、安閑として公舎で何の憂いもなく、しかも一般の市場の値段よりも常識上安い値段で、公舎なるがゆえに居住して特典を得ておる、こういうことでは下級職員が不満を起すことは間違いがないと思う。そういう不平不満の集積というものが、すなわち濱野さんの言われるような革命になる。これを解決しなければ私はどうしても、国鉄の職場というものが明るくならないだけではない。国民がそこに大きな疑惑を注ぐことになると考える。と申しますのは、国鉄の役職員になればけっこうなものだ。とにかく家賃はただのようなところに入れて、どこへ行こうが少しも生活上の心配がない。しかもあらゆる特典が与えられておるのだということは、これはもう国民全体がそれを見ておる。そうして非常な疑惑を持つことになる。今お答えがありましたのは、非常に気を回していち早く御答弁になりましたが、そのような役得があることのために、いわばそういう特典とも申すべき恩恵を与えられておる。しかも退職してもなおかつその公舎を専有して離さないということは、これはすなわち私が申しましたように、公私を混淆するもはなはだしいものだ。しかもそれが国会議員の中にもある。退職して、そして国会議員になって、まだそういうことをやっておるということは、これは一体どういうことなのか、私は非常に残念に思います。同時にそれを人に指摘されなければこの問題が解決できないということは、これまた国鉄はあまりにも放任し過ぎておるのではないか。なぜもっと適切な方法をとって、こういうものが指弾されないようにできないものか。これについて一つはっきりとした御所見をさらに伺いたい。  それからこういうことが巷間伝えられております。今申しましたように役職につけばけっこうなものだ、そして退職するときには名目上他の家を買い入れて、そしてそれと交換するということで追い銭までやる。ところが内容を調べてみると、それは買い入れ価格の何十倍にも一夜のうちに飛躍することがある。   〔木村委員長代理退席委員長着席〕  こういうことで片方一般の職員についてみれば、給与も低い、そして何十年と勤め上げて退職するときには、その役職員の何分の一の退職金にも当らない涙金でやめていく。しかもそれについては、何らのそういうような特典がない。幹部だけがそういう紊乱したことをやっておるということは、これはまかり許しておけない、こういう声がほうはいとして起っておる。これはまさに国鉄の幹部の信用地に落ちたりといっても差しつかえない。一体こられの信用回復のためにも、どういう措置をとられようとしておるか。こういうようなことが真実でないとするならば、一体国鉄はその真実でないという証拠をどういうふうに現わそうとされるか。ここに私は国鉄幹部の信用回復のために申し上げたいと思うのですがどうですか。
  71. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 第一点の幹部には住宅の手当があって、下級職員には住宅の手当が薄い、こういう点でございますが、先ほども申し上げましたように、幹部につきましては、転勤の事情もございまして、都会地におきましては住宅の手当が急速にはつきかねるのであります。国鉄で手当をいたしまして居住せしめる。しかし、それには家賃を取っておりまして、国鉄といたしましては特に安くしておるのではございませんで、一般公務員の官舎の家賃と比較いたしまして、決して特に安いということはございません。それから下級職員の人は、大体土地の人で自宅が多数でございますが、しかしこれとても御指摘の通りにできるだけ住居の心配をさせたくないということで、官舎につきましても検討を加えております。ただいま七万五千の官舎を持っておりますが、それ以外にまだ相当数不足でございますので、そういうものも財政の許す限り充足して参りたい、こう考えております。  それから第二点につきましては、指摘を受けて初めて改めるということはおかしいじゃないか、こういうことでございますが、この点につきましては、たとえば退職後期間を過ぎて居住しておりますものにつきましては、当方からも立ちのきを申し込んでおりますが、ただ、今までは、現下の情勢として、なかなかその立ちのきが困難である実情にかんがみまして、多少手ぬるかった点はございます。しかし気がつかなかったわけではなく、放置しておいたわけでは決してございませんで、この機会に、御指摘を受けましたのでさらに強い手段を持ちましてやっていきたい、かように考えております。
  72. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 指摘されて直す、気がつかなかっわけではなかったというようなお答えでございます。私の受け取り方としては、これははなはだ申しわけないがそういうことは事実であって、今後改めるというのは申しわけなんです。しかし、私はお言葉を返すようでありますけれども、高級職員はそのようにして、職務のために高給をもらって、なお官舎等住居に至るまで、その役職にある間は少しの心配もなく職務を遂行しておる。退職後においてもなお行きがけの駄賃に、公職のためにも公社が供したものを、いかなる名目であろうとも、交換等によってさらに利益を得ておる。あるいは三年もたって、要求されてもまだ立ちのかないでおる。ところが一方、要求をしても立ちのかないからというので今まで黙認しておるという形です。これは何としても黙認しているという形なんです。ところが一方、役職員以外の下級職員は、きょうやめたらあすすぐ追っ立てを食うのです。厳重に、出ていけという。それではあまりにも上級職員と下級職員との差というものは大きい。あまりにもその処遇というものは差別がひど過ぎる。これはすなわち国鉄の内部の疑惑を深めることになり、社会の不信を買うもとであり、これが社会秩序を乱すもとになる。ひいてはこれが国鉄運営の全体の面、すなわち運賃問題その他、企業経理の全体の面について重大な影響を及ぼしてくるものであるということを考えなければならぬと思うのであります。この点について一体首脳部はどういうお考えをお持ちであるか、一つお伺いしたい。
  73. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま交換について利得を受けているというお話でございましたが、先ほど申し上げました通りに、交換と申しますのは、両方の家宅を第三者に評価させまして交換するのでございまして、その差額の授受をいたす。それで利得はその間に生まれておりません。ただ巷間伝わりました加賀山さんの例で、三十七万円が一夜にして二百万円に化けたというようなことがいわれておりますが、あの三十七万円というのは登記価格でございまして、私が聞きましたところによりますと、加賀山さんが買った値段は二百万円だということであります。間違いないと存じます。従いましてさような利得はなかったということを、御本人の名誉のために述べさせていただきます。  それから第二点といたしまして、期限を過ぎてから長い間居すわっているではないかということにつきましては、これは全く遺憾と存じまして、先ほど申しました通りに、こちらとしては再三立ちのきを請求したのでありますが、何はさて、いろいろな都合——そういう都合は言いわけにはならぬのでございましょうが、今まで日が延びておったということにつきましては、私ども管理上はなはだ遺憾であったとおわび申し上げる次第でございます。しかし、現場の下級職員はぴしぴし追い立てるというお話でございましたが、実際は下級職員の中でも立ちのかない者がたくさんございます。しかも奇妙なことには、それをどうして立ちのかないということで訴訟にかけますと、大体当方の不利でございます。それは最近の人権と申しますか、居住権と申しますか、そういう観点が強うございまして、立ちのきの訴訟をいたしましても、必ずしも立ちのき要求者が勝つわけでもございませんし、大体和解になりますが、和解のときには相当な立ちのき料を払わなければ立ちのいてもらえないというようなことが現実でございます。しかし国鉄の首脳者でありました者が訴訟を起さなければ立ちのかぬというようねことは、今後はまずないと私は確信しておりまして、今後も管理運営につきましては、期限が切れたら急速に立ちのくよう強硬に要求するつもりでございますから、過去は過去としてまことに相済まないのでございますが、今後につきましては御安心願いたい、かように考えております。
  74. 青野武一

    ○青野委員 ちょっと山口君の質問中に、本人の了解を求めて関連して二、三お尋ねいたしたいと思います。今小倉副総裁が新聞に載っておるのとはだいぶ違った御答弁をなさいましたのでお尋ね申します。  下代田の加賀山さんがお買いになった家は、これは借地権で、敷地が七十三坪、建坪が四十一坪、それを——五月二十五日、二十七日の読売新聞を読んでみますと、多少そこに数字上の差がございますが、とにかく三十七万四千五百円で加賀山さんがこれを買って、まだ一度もそこに住まわないうちに総裁公邸と交換をした。買った三十七万四千五百円の下代田の家は、これを二百万円に見積る。総裁公邸の松原にありますのは、敷地が二百十三坪。敷地の点でも百四十坪多い。それからこの下代田の個人的に買ったものは、これは借地権ですから、土地がついておるわけじゃない。建坪においても、松原の方は六十二坪でありますから、差し引いてみますと二十一坪多い。そうすると、二百万円と二百十万九千円——少しはしたがありましたが、とにかく十万九千円払って、公邸と、まだ一度も住まわない自分の買った家と交換なさった、ここに疑惑があるので、新聞は各紙が麗々しく書くのでございましょうが、私は運輸委員会が一時から開かれるというのをついぼんやりいたしておりまして、約二時間ばかり、参議院の衆議院議員の傍聴席から、参議院の状態を見ておりました。そのときに問題になっておりましたのが、加賀山参議院文教委員長の解任決議案で、それが上程をせられまして、質問が続いておる。そして質問打ち切りの動議が出て、型のごとく記名投票が行われた。それから討論が行われて、これまた討論打ち切りの動議が、自民党、緑風会の方から出まして、その記名投票が行われて、いよいよ最後の加賀山文教委員長解任決議に反対か賛成かというところで、一時半になりましたので、私は運輸委員会に参ったのです。それでよく聞いてみますると、今副総裁小倉さんのおっしゃっておるようなことでなしに、私どもの同僚の諸君が演壇に立って質問する内容も、討論する内容も、やはり三十七万四千五百円で買ったのだ、十万九千円で六十二坪、敷地が二百十三坪もある、これは私が今ここで計算したのですが、建坪の面も二十一坪多い六十二坪の建坪ですが、これをわずか十万九千円の差額で計画的に交換したのではないかという、非常に重大な印象を傍聴席に与えつつ、質問、討論が行われておりました。こういうことについては、国鉄内部に内規でも作って——今問題になり、また山口君は名前をあげませんでしたが、森田さんという、女のような名前の人で、森田義衛とかいっておりましたが、ちょうど私も選挙中でございまして、だれか自転車屋の主人をトラックがひき殺したという現場で、偶然本人の顔を見たのですが、この人は参議院に当選をなさって、いまだにどこか宿舎におられる、国鉄所有の建物に住んでおられる。家賃を払えばよいようなものだけれども、やはり家屋の少いときでありますから、三ヵ月とか四ヵ月とか期間を切って、強制的でなしに立ちのかせる。事情によっては半年が八ヵ月になる場合もあります。家の足りない場合に強制的につまみ出すことは、できないのです。けれどもこういうことがいつも行われる。私は天坊さんを攻撃する意味ではありませんが、御承知通り天坊さんも来たる七月八日ですか、参議院議員の半数改選が行われるのに、候補者になるためにおやめになったと巷間は伝えておりますが、やはり副総裁としての小倉さんにその公邸を明け渡したかというと、そうじゃない、聞いてみると、おられるそうです。そうすると、国鉄の最高職員の方々は、何か議員になるためにおやめになり、そしてその目的を達成しても、その家を出ない。非常にお気に入っておるのか、今度の加賀山さんのような問題がある。私は運輸委員になって二年数ヵ月になりますが、国鉄の中で一番出所進退が美しくてりっぱなのは加賀山さんだと思っておった。横浜の桜木町事件があって、いさぎよく職をなげうったために、あの出所進退は男性的で非常にりっぱだ、おそらくこの人は参議院にゆうゆう当選するだろうということを、私は私どもの党の幹部に予言したことがあるが、果せるかな御当選になった。ところが今度のような事件を引き起して、数百人の傍聴席の前でああまで言われたら、私なら文委員長じゃないけれども、参議院議員もやめたいくらいにやられたのです。ところが、今私は非公式ですが、弁護士では相当有力な方で、頭脳明晰の松山委員長にお聞きしたのですが、二百万円に評価をした下代田の加賀山さんがお買いになった個人的な家は、当りまえに二百万円と評価価格をつけ出しても、三十七万四千五百円の登記料が要るのかどうか。私も十年ぐらい代書をした経験があるのです。弁護士の頭の悪いのを三百代言というけれども、私は六百代言ぐらいの力を持っておるつもりです。十年以上の経験を持っているから、どれくらいごまかして不動産取得税を安くするか——二百万円の家を評価すると、人間で生きている限りは、評価価格は二百万円につけ出す人はいないのです。金銭上の問題ですから、なるべく税金は安い方がいいというので、代書人、司法書士と話し合ってやるのは定石です。そこで今三十七万四千五百円という金額が問題になっておるのは、賀加山さんあるいは側近者から聞いてみると、これは登記料でございましたというのは、聞いておっしゃておるのか、あるいは確信を持って言うのか。私は一、二時間を出ずしてそれを調べる方法を持っております。そうすると、小倉副総裁も加賀山さんの味方をして、あれは二百万円の評価をしたのは、二百万円で買ったからその通りしたのだと責任をもっておっしゃると、問題がこじれてくる。この運輸委員会が続いておる間に私は調べてみます。そこでそういううわさがあるという程度の御答弁を山口委員になさったのなら、それは聞き流す場合もありますけれども、はっきりそういうことをおっしゃいますと、評価価格はどうなっておる、中に入ってこれを見積ったのはだれだということを調べます。それで退官したのが二十六年の八月で、二十八年の三月まで約二十ヵ月七百七十円の家賃でもって居すわっておって、一ぺんも入らないで、これを交換した。そこに国民全体は新聞紙を通じて疑惑を持っておる。参議院は火花の散るような論戦をそれを中心にしてやっておるのです。それでありますから、小倉副総裁もそういう責任を持った御答弁をなさいますと、要らぬ飛ばっちりを受けぬとも限らぬ。そこのところをもう少しはっきりしていただいて、国鉄の内部に内規がなければ、将来急速にそれぞれの機関を通じて——下級職員の場合は現場で働いておる労働者の諸君でございますから、事実上家のない都会に住んでおれば、家の少いところでは一年や半年は出られぬ場合もありましょう。あるいは最悪の場合にはけがをして退職をせぬならぬような場合は、家族をかかえてなかなか家を出られぬ場合もあります。私も八幡製鉄所の所在地におりますが、首を切られた、あるいは主人が死んだ、立ちのくといっても家がなかったら出られない、中に入っては私は困ったことがある。交渉をしてやるのですから、そういう事情がわかっております。国鉄の上層幹部でかりに参議院の選挙に出て当選をなさいますと、森田さんのように当選してから三年間、改選を目の前に控えるまで、その家に、適切な家賃を出しておるかもしれませんけれども、そのまま居すわっておる。天坊さんもおそらく当選するでしょう。そうすると、これも新聞に問題にならなかったら、知らなくて、おそらくそのままおるかもしれません。全国にそういう実例があるのかと聞いて参りますと、三日、四日徹夜しても資料をお作りになるのに相当骨が折れると思う。参考資料を出してこいといえば、お困りになるのは国鉄の諸君です。だからそういうものがなければ、特別の事情のない限りは、三ヵ月以内とか四ヵ月以内ということに規定を設けて、上の方の幹部だって局長以上の高級職員であるから、いいかげんにしておけというのではなくて、形式上の請求で家を立ちのいてもらわぬと困ります。運輸委員会で問題になり、新聞で麗々しく書かれて、参議院の文教委員長の地位についておるために解任決議案なんかやられて、みそやボロクソのように言われる必要はないのです。だからそういう制度がなければ、そういうような規定をお作りになるお考えはないか。それからもう一つは、そういうような問題はいたずらに国民の疑惑を招くだけであるから、百害あって一利ない。だから公邸と私の家屋との交換なんかは将来いたしませんというようなことを、この委員会を通じて全国民の前に言明なさるような態度をおとりになることが一番いいことじゃないかとも考えます。そこで今申しましたように約二、三点にまたがりまするけれども、山口君の御質問中に私が横でとったようでありますけれども、これとあわせてお答えを願いたいと思います。
  75. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 第一点の金額の問題につきましては、私は確かめて聞きましたので、聞きました通りが正しいものだ、かように思っておるのでございます。それから第二点の規定の整備につきましては、御指摘の通りさっそく規定の整備をいたしたい、現在でも規定がございますが、さらにそれを改善いたしまして十分なるはっきりした規定をさっそく設けるつもりでおります。それから第三点につきましては、この種交換は今後絶対にいたさないというつもりで、総裁にもはっきりと了解をとってございます。
  76. 青野武一

    ○青野委員 今私が加賀山前々総裁を擁護するような、かりに価格の点で間違いでもあったら必要のない飛ばっちりを受けるからと御注意かたがた御質問申し上げたが、聞いた範囲においては正しいものと思う。そうでありましたら、これは余談になりますが、今月の二十四日と二十六日は新聞で御承知通り参議院の決算委員会が開かれまして、二十六日の際は佐藤施設局長も御出席になって、かなり質問を受けて御答弁になったように新聞紙では私ども拝見しておる。それでそのときに、何とか三分でも五分でも加賀山文教委員長に決算委員会に御出席をしてもらって、実はこういうことになっておるので、新聞記事は間違いだ、決して私は皆さんに疑われるような行為はしておりません、公正妥当な交換をして前の公邸に入っておるのです、こうおっしゃってもらいたいからぜひ出席をしてくれといったときに、本人はもとより緑風会、自民党の決算委員の諸君は一緒になって反対をして、多数決できめてしまった。それがために決算委員会には出てこられないようになって、そこにやはり疑惑が糸を引いておるのです。だからこの問題は今あなたが御答弁になりましたように、三十七万四千五百円で買ったのでなければ、多少そこに疑わしい点が晴れてくるような事情がありますけれども、とにかくこういう家屋を交換することがすでに問題の種をまくことであるから、今の御言明に対して私も非常に心うれしく思うのであります。たとえて申しますと、五百円ぐらいなキリのげたを買って、一ヵ月むちゃくちゃにはいてしまって、それが十倍の値段で古物屋で売れやしないのですよ。三十七万四千円で買うたものを一ヵ月後に二百万円に評価するというところに問題があるのです。だれが評価したのですか。だれが中で話の取次をしたか。これが加賀山さんがまじめで正直な人なら、いや三十七万円で買うた家を一ヵ月で二百万円の見積りにしてもらっては、それは大へんだ、そういうことは私の良心が許さないと、普通の者なら言うはずなんだ。そういうところをずっと一々突っ込んでいって質問をして参りますと、それは収拾のつかぬところに入ってくると私は思う。そこで私も参議院に幾らか関係の多い諸君もおりまするから、とにかく一応決算委員会に出てもらって、一通りの釈明と経過を一ぺん聞いて、そして刀をさやにおさめたらどうかというような考え方で話を進めておったが、とうとう御承知のように来られなかった。周囲の諸君が行かせない決議をしてしまった。そこに問題が相当残っております。私は今御言明になったことで納得をいたしましたが、将来ともこういう問題の起らないように、努めて善処していただきたいということをあわせて希望しておきまして、私の質問を終る次第でございます。
  77. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は小倉副総裁にいま一度お尋ねいたしますが、私はだれそれと名前をさして、どの公舎がどうという御質問は申し上げておらないのです。ところが私の質問に対する先ほどの答弁では、登記価格は三十七万円、売買価格は二百万円というふうにたしか言われたと思います。それは副総裁は何か錯覚を起されているのではないか。もしもあなたがそれを承認されているということならば、これは重大な結果を招来すると思う。少くともあなたがこういう公式の場において、そういうような価格差を完全に御承認になるということは、ゆゆしい問題を惹起すると思います。これはあなたがそれについて確たる現場の認証をみずから行い、しかも確たる帳簿によって確認をして決裁まで行われたものか、そこにはそういう確たるものはないが、何か聞いた一つの事実としてお答えになったのか、どっちなのですか、一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  78. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私は佐藤施設局長から聞きましたので、佐藤施政局長から御答弁をさせます。
  79. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 御答弁申し上げます。先ほど三十七万四千五百円という価格が出ておりましたのですが、あれはこの登記のときに使いますところの売渡証に記載の価格でございます。実際にどれだけの取引をしたのでございますか、その証拠書類といたしまして契約書、そういうものがないと私たちこれは確認できないのですが、まだそのものは私は見ておりません。
  80. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 まだ確認もしておらぬということでありますから、これは確定的な認証に基くものではないと承わってよろしいか。
  81. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 いろいろ話は聞きますが、その実際の書類はまだ見ておりません。
  82. 堀内一雄

    堀内委員 私は今の価格の問題に関連してちょっと申し上げたいのですが、私は今の副総裁並びに局長さんのお答えを是認するのが当然だと思う。これは売買の場合には御承知通り税金の関係等がありますので、売買の正しい値段よりも、登記報告の書類等について値段を別にしてやるということは商業常識なのだから、当然あり得べきことと存ずるし、同時にこれに対して売った人がその書類を出してくれというようなことになれば、またいろいろな問題等も起ってくるので、私はこの問題はあまりせんさくしない方がいいと思うのです。そういうことを私は意見として申し上げておきます。
  83. 濱野清吾

    ○濱野委員 関連して。今の証書を見たと言うが、総裁は見たわけではないですね。
  84. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私は見ません。
  85. 濱野清吾

    ○濱野委員 それからもう一つ聞いておきたいのですが、総裁は加賀山前総裁から聞いたわけでもございませんね。
  86. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 そうでもございません。
  87. 濱野清吾

    ○濱野委員 それから売主から聞いたわけでもございませんね。
  88. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ございません。
  89. 濱野清吾

    ○濱野委員 私がそれをお聞きしたのは別に理由はないのですが、ただこれは将来のこともあるので、それだけは十分注意してお答えを願いたいと思ったのです。
  90. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 さらに私はこれに関連をいたしまして、下級職員、一般職員の住宅の問題について、国鉄はどういう計画をお持ちかをお尋ねいたしたいと思います。今上級職員の公舎の問題につきましても、御答弁にもありますように、今日職を去ったからといって、同時にその家をも去るということはなかなか困難だということを、一面にはここにおいても証明をしておるわけであります。いわんや下級職員はそれよりもなお低い給料で、しかも家族やその他にも、何ら下級職員であるから人数が少いとかなんとかいうような条件はないのであります。そういう家族構成の点においてはきわめて平等なのであります。でありますから、これらの下級職員が退職をして公舎を追っ払われるということは、上級職員よりもなお困難性が伴うものだと私は思います。そこでどうしても居すわりをやる。ところが先ほどからもあなた方が証言をせられておりますように、今日は人権問題等なかなかいろいろな問題があって、これを一気呵成に街頭におっぽり出すということは、人道上もできない問題であります。これを防止いたしますのには、どうしてもやはりその能力を有する企業は、その従業員のための住宅政策をもあわせ行うことが必要である。私ども会社におきましても、下級社員あるいは上級社員を問わず、希望者には一時融資をいたしまして、その本人の欲するところに家屋を建築して、何十年か勤めておりますうちに、ほぼその家賃に少し上回るような月掛をもってそれを償還させて、回転をさせる、こういうふうにして一面には自分の家になるのだという希望を持たせつつ、合理的にそれを運営させることをやっている。こういうことは国鉄のような大きな企業であればすぐ実行に移せる問題である、こういうふうに私は考えるわけでございまして、現に私どもの方ではそういうことを実行させております。一体国鉄は、そういう厚生の面について現在とっておられる方針というものはどういうことをやっておられるのか、一つお聞かせをいただきたい。
  91. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 現職の職員を居住させるための宿舎につきましては、現在七万五千戸ほどございますが、まだまだ不足しておりますので、それをできるだけ増強するように努力はいたしておりますが、同時に今お話のございましたように、本人にある程度の融資をして、自家を保有させるという制度も現在聞いてはございます。実はその制度は、昨年度までは一人頭二十万円限度という少額の貸付でございましたので、あまり実効が上らなかった点もございましたから、実は三十年度からはそれを六十万円限度まで貸付ができるように引き上げまして、本人が自分の家を購入する場合、あるいは建築をする場合に六十万円を限度に貸付をいたしまして、今お話通り在職中に月賦で返済をし、なおかつ残額があった場合にはさらに退職の際の退職手当の中から弁済をしてもらう、こういう制度をとっております。それでそういう方法によって——実は二十万円限度の貸付ということを始めましたのは昭和二十五年度からであったわけでございますが、三十年度からは今申し上げたように六十万円まで引き上げて、本年も引き続いてやっておる、こういうことでございまして、今までにこの方法によって自分の家を購入し、あるいは建てたというものの数は、この二十五年以来の数字を累計いたしますと、件数としては二万三千戸ぐらいになっておる、こういうような状況でございます。なおこの制度に対しては相当希望者も多うございますので、今後もこれに回す資金を、実は共済組合の資金の中から貸付をいたしておるわけでございますが、その資金のワク、また貸付の条件等も職員の要望にできるだけ沿うようにやっていきたい、かように考えております。額といたしましては、三十年度はただいま申し上げました六十万円貸付のために六億ほどの資金を用意いたしておりまして、三十一年度では十二億、こういうことにいたしております。
  92. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 非常にけっこうな住宅政策をお持ちのようでありますが、この資金の償還等は明確な規定に基いて運用されないと、これがまた非常にルーズにわたりますと、せっかくの制度もみずからこわす結果になる。従ってこれはきわめて厳格な内規を私は設けられる必要があると思いますが、これはどういう根拠でやっておられますか、共済組合あるいはそういうような規定を準用してやっておられるのですか、それとも別に規定を設けてやっておられるのでありますか。
  93. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 共済組合に住宅部貸付規程という規定を設けまして、厳格にやっております。
  94. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これはそれをぜひともさらに拡充して、むしろ下級職員の集団住宅と申しますか、ああいうようなのは実際には私どもの方では入り手がないのです。といいますのは甲と乙とあって、乙はあとから入ってどんどん出世してしまう、そうするとどうしても甲の家族がかえって非常な劣等感といいますか、そういうところからあまり芳しくない結果を生むからであります。それよりも本人の欲するところに居住をさせまして、むしろそういうような方針を強力に進められる方が私はいいのではないかというふうに思いますから、これは一つ他産業の模範的な施設として、ぜひともこれを拡充していただくように御希望申し上げたいと思います。  それから、これは副総裁がお見えでありますから伺いたいのですが、新聞紙上の伝えるところによりますと、通学、通勤の定期の運賃を九月から改正したい、こういう御希望があるやに承わりました。これはきわめて重要でありまして、当局としては国鉄法の一部を改正することによってできると、きわめて簡単にお考えのようでありますけれども、これはあなた方の方で考えられているようにそう簡単な問題ではないのではないか。ところが実際に、現在の通勤、通学定期というのは、原価計算を厳重にいたしますと、安いということも、私は業務に携わっておる者の一人でありますから、よく承知いたしております。しかしこの通勤、通学パスの運賃を上げるということは、現在の乗客構成からいってもそれが大きなウエートを占めておりますだけに、社会的にもまた大きな反響を意味するものだというふうに考えるわけであります。一体これは、もしありとすれば、どのような値上げの構想でありますか。たとえば何%の値上げを考えられているか、あるいはまたそれがどういう結果になるかもよく検討中であろうと思いますが、その検討された結果であるとすれば、その経過等についても、この際一つお聞かせ願いたいと思います。
  95. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 今朝の新聞に載りましたことは私も承知しております。しかしあれはまだ研究の域でございまして、実務に乗ったことではございません。今聞いてみましても、関係局長も知りませんし、私もまだ見てはおりません。それからあれは監督官庁の承認も要ることでございまして、いまだ研究の域でございます。
  96. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは、運輸大臣がおられたならば、一つ質問をいたしたいのですけれども運輸大臣がおられませんからやむを得ませんが、本年度の運輸行政は、たびたび申すように著しく後退をしている。軽油税の新設、国鉄に対する納付金の設定等は、きわめて大きな経費を負担せしめることになったわけでありまして、従って、運輸大臣は本年は運賃の値上げはしない、こう言っておられますけれども、それにもかかわらず、次には運賃値上げは妥当だというような談話を発表しておられる。あるいは今度は通学、通勤パスだというふうに小出しに、どんどん運輸省国鉄とが互いにアドバルーンを上げて既成事実を作った上で、やむを得ず上るのだ、こういうようなことをお考えになっておるのじゃないか。これはそういうように行政上企業に圧迫を加えておいて、そして既成事実を作ってこれをやられると響影するところはきわめて重大だと思いますから、こういう点はよほど慎重にやってもらいたい。そうでないと影響するとこは非常に大きい。これは困りますので、私はこういう点について今申し上げるように十分に慎重な態度でやっていただきたいと思います。  それから運輸省鉄道監督局長としては、この運賃問題の将来といいますか本年度の運賃行政といいますか、こういうものについてはどういう構想をお持ちになりますか。実質上は私企業におきましても賃金も払えないということで困っているのですが、本年度の運賃問題について若干御説明ができればしていただきます。
  97. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。鉄道監督局事務当局といたしましては目下研究中でございまして、お答え申し上げる段階に至っておりません。
  98. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これについても今申し上げるような点からいけば、私は双方ともよほど慎重に考えて、そして混乱のないように一つ今から慎重にやるようにしていただきたいと思います。  最後に、私は希望申し上げたいのですが、本日御質問を申し上げましたのは、いろいろ国鉄の役職員等の公舎あるいは居住関係をめぐり、あるいはその他付帯施設の運用面をめぐって、今なお社会の疑惑は非常に大きくなりつつあることを非常に遺憾に思います。しかし再三にわたるわれわれの質問に対して、非常な努力を払われていることも私は承知をいたします。どうか一そうそれらの点についても今後十分なる配慮をせられて、指摘があるまでに、どうかそういうような非は非として改められるように、そして権威を高められるようにお願いをして、私の質問を終ります。
  99. 松山義雄

    ○松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後五時八分散会