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1956-03-08 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月八日(木曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       伊藤 郷一君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    中嶋 太郎君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    楯 兼次郎君       正木  清君    松岡 駒吉君       山口丈太郎君    小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  井上 正忠君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月八日  委員川島金次君辞任につき、その補欠として楯  兼次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月七日  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉄道抵当法の一部を改正する法律案内閣提出  第一六号)(参議院送付)  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八九号)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇二号)  国鉄一般単位関係職員昭和三十年十月以降賃  金改訂に関する調停案に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に、昨七日付託されました道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出)の提案理由説明を聴取いたします。吉野運輸大臣
  3. 吉野信次

    吉野国務大臣 それでは法案提案理由を御説明申し上げます。  終戦後の国民経済の復興とともに、自動車運送は急激なる発展を遂げ、今や交通運輸の分野におきまして、きわめて高い地位を占めていることは周知の事実であります。しかしながら自動車運送の急激な発展に伴い、自動車事故も増加の一途をたどり、これが早急な対策は朝野をあげて要望されているところであります。政府におきましても昨年交通事故防止対策本部を設けまして、交通事故の根本的な防止対策について検討して参ったのであります。今回の道路運送法の一部を改正する法律案は、この交通事故防止対策要綱の趣旨にかんがみまして、自動車運送事業による輸送の安全を確保しようとするためのものであります。今回の首一路運送法の一部を改正する法律案は、右に述べました自動車運送事業による輸送の安全を確保するとともに、道路運送に関する秩序確立することにより、道路運送の健全な発達を促進するため提案する次第であります。以下本法案による改正要点について申し上げます。  第一に自動車運送事業の定義から「有償で」を削りまして、「他人需要−に応じて旅客又は貨物を運送している者」は、その対価を運賃料金の形で収受しているといなとを問わず、自動車運送事業として道路運送法規制対象としたことであります。これは事故防止徹底を期し、あわせて道路運送に関する秩序確立をはかるためのものであります。  第二点は特定自動車運送事業免許基準に、事業適確遂行能力を加えたことであります。これは特定自動車運送事業について事故防止徹底と、利用者の保護とをはかったものであります。  第三点は特定旅客自動車運送事業事業用自動車運転手につきましても、一般乗合旅客自動車運送事業一般貸切旅客自動車運送事業一般乗用旅客自動車運送事業事業用自動車運転者と同様に、政令で定める一定要件を備えるようにしたことであります。これは特定旅客自動車運送事業他人需要に応じて旅客を運送するものである以上は、運転手の未熟や不注意による事故の発生の防止をはからなければならないという理由によるものであります。なお、自動車運送は多数の旅客または貨物を確実かつ迅速に輸送するものであって、この点から見ましても非常に公共性の高いものであります。従って事業用自動車自家用自動車などがそれぞれ関係法令を順守することにより、調和的、総合的に発達していくことが、国民経済上望ましいのであります。しかしながら現在自家用車による営業類似行為が著しく増加いたしまして、道路運送に関する秩序も維持することが困難となっている状態であります。  第四点は一般旅客自動車運送事業者及び特定旅客自動車運送事業者に対して、政令で定める一定要件を備えない運転者の使用を制限し、本条違反事業者に対し罰金刑を科することとしたことであります。これまでは事業用自動車運転者自体に対し規制していたのでありますが、これを改め前述のよう事業者自体規制対象といたしまして、事故防止徹底をはかることといたしたのであります。  第五点は自動車運送事業者に対しては輸送安全準則を、自動車運送事業用自動車運転従業員に対しては運行安全準則を整備するための根拠規定を設け、命令によって必要な規律を行うこととしたのであります。いずれも事故防止徹底をはかるための改正であります。  第六点は現行法の「報告及び検査」の条項を整備いたしまして、監査責任を明確にし、事故防止徹底をはかったことであります。  以上によりまして本法律案提案理由について御説明を終りますが、自動車輸送の安全の確保と道路運送に関する秩序確立のためには、ぜひとも本法の制定を必要とするものと考えますから、何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決せられるよう御願いいたします。
  4. 松山義雄

    松山委員長 本案に対する質疑次会に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 松山義雄

    松山委員長 臨時船舶調整法の一部を改正する法律案内閣提出第八九号)を議題といたします。  本案に対しましては、去る六日提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
  6. 關谷勝利

    關谷委員 本法案経済自立五カ年計画の一環である計画造船の円滑なる遂行を期するために、その有効期間を延長するだけのもので、きわめて簡単なものでありますので、質疑討論を省略して採決せられんことを望みます。
  7. 松山義雄

    松山委員長 ただいまの關谷君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松山義雄

    松山委員長 それでは質疑討論を省略いたしまして、ただいまより臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案採決を行います。  本案原案通り可決いたすに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松山義雄

    松山委員長 それでは本案原案通り可決いたしました。  なおただいま可決いたしました法律案報告書作成等に関しましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松山義雄

    松山委員長 それではさように取り計らいます。     —————————————
  11. 松山義雄

    松山委員長 続いて鉄道抵当法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  本案に対して御質疑はございませんか。
  12. 關谷勝利

    關谷委員 これもきわめて簡単な事務的のものでありまして、鉄道抵当制度利用を促進することによりまして、地方鉄道による金融を円滑にいたしまするための事務的の手続でありますので、質疑討論を省略をいたしまして採決をせられんことを望みます。
  13. 松山義雄

    松山委員長 ただいま關谷君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松山義雄

    松山委員長 それでは質疑討論を省略いたしまして、本案に対しまして直ちに採決いたします。  本案原案通りに可決いたしますに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 松山義雄

    松山委員長 それでは本案原案通りに可決いたしました。  なおただいま可決いたされました本案に対する報告書等作成に関しましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松山義雄

    松山委員長 それではさように取り計らいます。     —————————————
  17. 松山義雄

    松山委員長 ではこれから陸運に関しまして調査を進めます。通告に従いまして質疑を許します。下平君。
  18. 下平正一

    下平委員 最近の大へん重要な問題でありました春季闘争に関連をして、国鉄に対する調停案の提示がありましたので、この問題に関して国鉄当局に対して若干の質問をいたしたいと思うわけであります。  この問題は単なる計数的な問題とか、そういう問題でなくて、事労使紛争に関する基本的な問題でありますので、御答弁を実は総裁にお願いをしてあるわけなのでありますが、総裁がまだお見えになっておりませんで、副総裁がお見えになっておりますので、総裁にかわって責任ある御答弁をいただきたいと思うわけであります。なお総裁が来れば総裁に対して御質問をいたします。それで非常に重要な問題なんですが、副総裁総裁にかわって責任ある御答弁ができるでしょうか。
  19. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま重大なる質問であるから、総裁にかわってお前答えられるかというお話でございましたが、私も責任地位におりますので、責任を持って御答弁いたしますが、なお私だけで責任がしょい切れない問題につきましては、もしそういうことがかりにございましたら、総裁と打ち合せまし御答弁申し上げます。
  20. 下平正一

    下平委員 御承知よう国鉄労使間の二千円のベース・アップ問題が調停委員会にかけられまして、二月二十九日の日にこれに対する第三者調停案が提示されましたが、この調停案に対する回答期限等もすでに経過をいたしております。その後国鉄当局のこれに対する考え方等が明確にされておりませんので、調停案に対してどのよう態度をとるか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  21. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまお話ありました通りに、労組の方からは調停案に対しまして回答が出ております。経営者の側においては回答期限が遺憾ながら経過いたしておます。しかしながらこれは皆様も御承知通りに非常にむずかしい問題でございまして、さらに今回鉄道のみならず、電電専売という企業体に日付がおくれまして次々に調停が示されております。かような場合におきましては、事職員給与に関する問題でございまして、その給与はもちろん公共企業体によりましてあるいは幾分変る、必ずしも平等ということが前提になるわけでもありますまいけれども、しかし同時に調停案が示されまして、しかも大体同じような性質の公共企業体といたしますと、単独に切り離して考えるということも実際問題としてはむずかしい点がございますので、そういう点を勘案いたして、鉄道といたしまして先ばしりをいたしまして回答もいたしかねるような事情にございますので、その点を勘案して時日が遷延いたしておるような次第であります。この点御了解願いたいと思います。
  22. 下平正一

    下平委員 小倉総裁にお伺いいたしたいのですが、小倉総裁国鉄管理責任者であろうと思います。そこで、政府立場から全般的に見ればそういうことも言えるのですが、国鉄の当面をしておる労使の相手方のお答えとしては、これは非常に妙なお答えなんです。国鉄労働組合国鉄経営者の間に起きた紛争についての調停案が出ている。だから国鉄当局考え方というものは、電電公社だとかあるいはそのほかの民間企業の、そんなことを何も考慮しなくて、国鉄経営者に出された回答なんですから、それに対する態度というものに、どうしてあっちを見たりこっちを見たりしているのですか。そうしなければならぬ必要かあるのですか。労使の問題というものは、そこの責任ある経営者責任ある労働組合、ここで話し合いをすれば済むものなんです。そういう立場から国鉄当局としてはもっとはっきりした調停案に対するお答えを伺いたいと思うのです。
  23. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまお話でございましたが、私が考えますところでは、もちろん先ほど申しましたよう公共企業体といたしましてはいろいろな経営上の差異がございますから、今のお話の点もごもっともでございますが、しかしかりにたとえば、これはかりの話でございますが、鉄道は非常に貧乏でございますから、給与について十分なことができなかった。ところがほかの方におきましては十分であったというようなことでもありますれば、またこれがいろいろなトラブルになります。また逆に私の方が飛び離れたことがもしかりにできたといたしまして、他が低きに過ぎたとすれば、これはやはり他の公社トラブルになるわけでございまして、その辺は必ずしも画一にしなければならぬということはございますまいが、また飛び離れたことをしますれば、全体に対して非常なトラブルになる。こういう点で事慎重にいたさなければならぬ、かように考えております。
  24. 松山義雄

    松山委員長 大臣参議院予算委員会へ、質問があって出るそうですから、何か大臣質問がございますか。
  25. 楯兼次郎

    楯委員 関連して。今副総裁答弁を聞いておりますと、運輸委員会委員としては納得がいかないと思います。あなたの答弁を聞いておりますと、もちろん立場の要素はあると思いますが、国鉄運営責任を持ってやっておられる総裁立場から、この国鉄に対する調停をどう考えておられるか、こういうふうに下平委員質問をしておるわけです。あなたが電電であるとかあるいはその他の、三公社五現業の立場を勘案しつつわれわれに答弁するということは、立場が違うのじゃないか。この点を一つよく考えて、国鉄を完全に円満に運営するには、この調停案に対してどういう取扱いをしなければならないかという立場に立って、御答弁をしていただきたいと思います。
  26. 小倉俊夫

    小倉説明員 私が申し上げましたのは、単に調停案に示されました額ということのみを申しておるのではございませんで、御承知よう調停案の中には、予算措置ということも書いてございまして、これは国鉄限りですることもできないような問題でございます。そういう問題につきましても、必ずしも右顧左眄しておるわけではございませんが、やはりある程度の振り合いというものも考えていかなくちゃならぬ、こういう意味で申し上げたのであります。
  27. 楯兼次郎

    楯委員 私の質問しておる要点がわからないように思います。私はあなたに、政府立場に立って、なおかつ国鉄立場から答弁を聞いておるのではありません。たといそれの実施が困難であろうと、容易であろうと、国鉄運営責任を持っております総裁、副総裁立場から、調停案に対してはかくあらねばならないというあなた方の決意といいますか、考え方をわれわれは聞いておるわけです。従ってそれが実施困難であろうと、容易であろうと、あなた方の立場から、必要ならば政府に強くこれの実施を要請するなり、あるいは自分たちの考えておる点を政府に要請して、うまく運営をするという方向にやっていただけばいいのであります。そういうあなた方の直接管理をしていられる立場から、下平委員質問答弁をしてもらわなければ、政府答弁であるか、国鉄答弁であるか、混淆されてしまっては、問題の焦点がぼけてしまうので、一つ国鉄当局決意という立場に立って答弁を願いたい。
  28. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま申し上げたことは、私どもが必ずしも責任を回避するという意味では決してございません。私どもはできるだけ誠意を持って、一日も早く回答いたしたい、かようには考えておりますが、先ほども申しました通りに、調停案の内容につきましては、国鉄だけで回答いたしかねる点もありますので、そういう点は十分考慮して進んでいきたい、こういうことを申し上げておるのでありまして、当事者といたしましては、できるだけの努力を尽すつもりでございます。
  29. 楯兼次郎

    楯委員 今副総裁お話を聞きますと、どうもわれわれは、あなた方の意思に反して政府から何か大きな力が加わっている、こういうふうにしか受け取れない。こういう点についてはどうですか。
  30. 小倉俊夫

    小倉説明員 さようなことは絶対にございません。
  31. 下平正一

    下平委員 今の副総裁答弁は、非常に抽象的だと思うのです。何か奥歯にもののはさまったよう答弁をされているわけですが、実は調停案十分ごらんになっていると思うのです。今国会の中ではこんな静かな状態ですが、事国鉄経営者労働組合、この立場はきわめて尖鋭化された状態なんです。いつ再び第三波なり第四波という闘争が起きるかわからないという状態です。そして調停案では、非常に重大な社会不安を招来している感がある。従って両当事者は忍びがたきを忍び、互譲の精神をもって迅速に協議を行なって、これを解決されるよう努力されたい、こういっているのです。そこで片一方労働組合の方は、労働組合要求とこの調停案というものはかなりのかけ離れがあるが、しかし第三者調停を尊重して、この際耐えがたきを耐えて、調停案をのもうという態度を出しておられる。しかも調停案に対する回答の期日はもう過ぎている。その今日において、経営立場にある人が、もっと具体的にこの調停案に対する態度を明確にしなければ、一体社会不安の醸成というものがどうやって除去できますか。あなた方がこの際この調停案に対して、抽象的な誠意という言葉でなくて、もっと真剣に、具体的に示していかなければ、この社会不安を除去することはできないと思うのですよ。片一方当事者はそれをのんで、今ほこをおさめてじっとしているのです。その際に、いたずらに時日を遷延して、電電公社がどうの、あっちがこうのと、どっちかに気がねして、経営者立場からのこれに対する見解を明確にしないということは、これはきわめて経営者としては誠意がありませんよ。これは、よし政府がそれを拒否してもかまいませんよ。政府政府立場で拒否するので、何もあなた方が政府だとか電電公社、そんなことを考える必要はない。国鉄経営者として、特に現状の社会不安を除去するという立場に立ってどれだけの答が出るか、このことを少くとも今日の段階においては明確にすべき段階なんです。私は、抽象的に言うことよりも、この社会不安の問題、現実労使闘争の問題、そういう点を勘案して、調停案に対して一体どういうふうに処理していくか、もう処理の腹をきめる段階だと思うのです。これ以上調停案処理の遷延は許されないと思うのです。そこでもっと具体的に、明確に、国鉄経営者立場からの意見というものをお聞きしたいのです。
  32. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまお話の中にありました鉄道鉄道だけの独自の立場でやれ、こういうふうな仰せでございましたが、それにはやはり私は程度の問題があると思います。先ほども申しましたように、公共企業体と申しますのはいろいろな性格もございますし、経理上のよしあしもございますから、全部一律ということは、これはもう絶対にでき得ないことではございまするが、とにかく三公社と常に名前を並べて社会的に批判を受けております。そういう場合に、しかも調停案が、御承知通りどもの方へ参りました調停案も、電電に参りました調停案も、また専売公社に参りました調停案も、すべて同一でございます。(「違う違う」「同一じゃない」と呼ぶ者あり)大体において同一でございます、と私は思いますから、それではお教えをいただきたいと思いまするが、それにつきまして決して私はそう長いという意味ではございませんが、極力時間は詰めて一日も早く回答をいたしたい。それで、ただいま先生が御指摘になりましたような社会不安を一日でも早く終息することが、労使双方にとって最も望ましいことだとは思いまするが、そういう調停案が次々に出ましたときには、やはり多少の振り合いというものは——これは大体同種の性格を持っております公社が大ぜいの労組要求を聞いております場合に、自分勝手ということはかえって大局を乱すものだ、かように考えております。もちろん同一にする必要はございますまいけれども、その間にあまりかけ離れたことがあっては、かえって全体に非常なトラブルを起す原因じゃないか、かように考えております。
  33. 下平正一

    下平委員 小倉総裁言葉はどうしても抽象論なんですが、電々公社とか、なるほど三公社性格が同じだけれども労使関係労働条件については違っておりますよ。これはあなたも御承知通りなんです。たとえば期末手当奨励手当を出す場合においても国鉄は何と言いますか。国鉄経理状態が悪いから期末手当は出せないと言っている。現実期末手当なり年末手当なりを電電公社その他と比較してごらんなさい。同一に行っておりますか。すなわちその企業特殊性、その企業の実績等々が勘案されて、労働条件というものは労使間において調和をとっていかれる状況なんです。何か他の公社に対していろいろ気がねをされているようですが、この委員会で私どもが一番心配しているのは、このままで進むと当然予想される第三波、第四波というもの、これをこの際やはり国民的な立場から見て起させないようにしなければならぬというのが私ども立場であるし、また皆さん方立場でなければならぬと思うのです。その立場からこの問題を解決するには、皆さん方意思を早く明確に出すことが一番必要なんです。そこで、あなた方がこの調停案に対してお答えができないという理由を聞いていれば、三公社振り合いだ、こう言っておるのです。私はそんなものじゃないと思うのですよ。三公社振り合いだけでこれが出ないなんという、そんな理屈はおかしいのです。もっとほかにこの回答を出すについての障害があるはずなんです。たとえば一項についてどうするか、二項、三項についてどうするか、こういうものを具体的に検討した場合に、あなた方の壁になっている問題があるのでしょう。公社経理でできなければどうしますか。その場合に相談に行くのはどこに相談に行きますか。必ずあなた方はそれをやっているでしょう。そういう問題が隘路になっているのじゃないか。調停をのむのかのまぬのか、尊重するか尊重しないかという抽象論よりも、具体的におれたちはのめるかのめないか検討してみたけれども、こことこことここに隘路がある、それを具体的に示して下さい。そうしなければ答弁になりません。単に三公社振り合いだ、振り合いだと言ってみたって、過去の労使間のいろいろの問題はみんな条件が違っている。これをのむ、のまないという問題は、ほかに障害があるはずなんです。これをのむためにかくかくの努力をした、大蔵省に行って話をした、運輸大臣とも話をした、具体的にこういうことをやっておられるでしょう。そこに障害が必ず出ているはずです。その障害を明確にしなければ、これはあなたたち答弁になりませんよ。だからもっと具体的に——もう調停案回答期限がおくれてきている今日、あなた方の努力を明確にして、どこに障害があるかということを私たちはえぐり出して、その障害をお互いに克服するという努力をすべきだと思うのです。具体的に言って下さい。
  34. 小倉俊夫

    小倉説明員 いろいろおしかりをこうむりましたが、(下平委員「おしかりじゃない、聞いているのですよ、とんでもないです」と呼ぶ)いや、壁というお話でございましたが、壁などあるべきはずはなく、私どもは一生懸命この調停案につきまして、具体的にいろいろな、どういう点が実行可能で、どういう点がむずかしいかというふうなことを逐一研究し、毎日討議いたしております。ただ先ほど私が申し上げたのは、誤解があったかもしれませんが、ただいま下平先生もおっしゃいましたように、鉄道は非常に貧乏でございます。ほかの公社よりも貧乏だということははっきりおわかりになるところでございまするが、かりに貧乏だからこれこれしか出せないと申しましたときに、あとのほかの方が非常によろしければ、そこには金というものは、無理の程度と申しますか、無理に無理を重ねれば多少よけいな金も出る。しかし一応の無理ではこのくらい、こういうふうな問題がございます。そうしますれば、先ほど振り合いと申しましたけれども、かりにほかの方がよければ、私どもの方も無理に無理を重ねて、どこまで追いつけるかわかりませんが、何とかそれに追いついていかなければならぬ。そういうふうなことがございますから、私はもう少し振り合いを考えていかなければならぬ、こういうふうに申し上げた次第でありまして、実質的に鉄道ができるだけのことをしていきたいという意味で他の振り合いを見ておる。それでただいまいろいろな障害をえぐり出してとおっしゃいましたが、私重ねて申しますが、今の点でもう少し時日をかしていただきたい、こういうことだけで遷延いたしておる次第であります。
  35. 下平正一

    下平委員 副総裁答弁は非常にちぐはぐなんですよ。最初に国鉄は貧乏であって、金がないからどうにもならぬと言っておる。どうにもならぬものが、あなた幾らひねくり回したって、どうにかなるのですか。三公社五現業のほかの振り合いを見て、電電公社専売が多少利潤が上ったという状態の中で、ほかの公社では少しよけい出したからといって、それだけひねり出せる余裕があるのですか。あなたは貧乏だからどうにもならぬと言っておる。そうしていたずらに日をおくらせておる、その中でどうかしようと思う、それだけのことなんです。最初の御答弁とあとの方は全然ちぐはぐなんです。そこで小倉総裁の言われる通り国鉄は貧乏なんだから、貧乏の中で金が要るなら、どっかへ行って借金してくるかもらってくるかしなければできないでしょう。あなた方当然そういう努力をするでしょう。国鉄の現在の経理の中から、この調停案がのめるということが出てきますか、出てこないでしょう。そうすれば何かの形でよそから借金してくるとかなんとか、そういう努力をするでしょう。そういう努力をしていませんか。ほかが出れば何とかやりくりして、やりくりできるだけしかできないという態度なんですか。今の小倉総裁答弁を聞いておれば、ほかの振り合いを見て、追っつかなくても今の経理の中でやりくりできるだけしかできないということに聞きますが、そうしますとこの調停案を全然否定するということになるのですよ。調停案を尊重して受諾する意思はないというふうに理解するのですが、そういうふうにとっていいのですか。
  36. 小倉俊夫

    小倉説明員 さような趣旨で申し上げたわけではございません。私どももできるだけ労使の協調ができるように、こういう点で努力はいたしております。ただ先ほど申しましたように、また下平先生もよく御承知ように、鉄道は貧乏でございます。それは無理だと思いますが、同じ貧乏でも、たとえて申しますれば、どうしても洋服が入り用だといえば、食を削っても回す。しかしそこに無理の仕方の程度があります。その金はこれといったはっきりした限度のつくものではございません。そういう点でしぼり方によっては金の大小は変ってくると思います。そういう点におきまして、のむのまぬということは別にしまして、できるだけの努力をしていきたい、かように思っておる次第であります。
  37. 井岡大治

    ○井岡委員 鉄道は貧乏だということでございますが、経理局長にお伺いをいたしたい。今度の調停案一から五までで総額幾らくらいになりますか。項目別にとくと御検討なさっておると思うので、お知らせを願いたい。
  38. 石井昭正

    ○石井説明員 第一項は私の方としてはまだ具体的な金額等についての検討もいたしません。第二項はたしか年度末の暫定措置としての五千円以上ということでございます。これは今年度の財政の問題、会計の問題でございまして、五千円以上でございますからこれも幾らということになりませんが、五千円ということで計算いたしますと約二十二億ということに相なります。それから第三項、第四項、第五項は三十一年度の予算の問題かと思います。第三項は約二十億、第四項は大体六億から七億くらい、しかしこれは負担が翌年度には三倍になるという性質のものでございます。それから第五項はやはり二十億という計算に相なっております。
  39. 井岡大治

    ○井岡委員 そこでこの経理の問題については後ほどお尋ねをいたしますが、先ほど小倉総裁は三公社ということを出されて、この見合いにおいて解決しなければならないというように言われておると思うのです。そこでお尋ねをいたしますのは、この間行政処分として停職は九カ月が二人、三カ月が二人、戒告が一人、これは三公社五現業と御相談なさって御処分をなさったのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  40. 小倉俊夫

    小倉説明員 相談はいたしておりません。
  41. 井岡大治

    ○井岡委員 その受諾をするときには、金を出す場合は相談をしてやらなければいけない。一方処分をするときには相談をしないでやる、これはどういうことなんですか。
  42. 小倉俊夫

    小倉説明員 お尋ねの趣旨がよくわかりませんが、とにかく処罰につきましては、他の企業において規律違反があるかどうかということは私ども承知いたしません。しかしながら鉄道におきましては業務違反行為が非常にはっきりいたしておりますので、鉄道独自の立場でいたしましたが、これとその全体の調停案との比較問題には私なるまいかというふうに考えます。
  43. 下平正一

    下平委員 そこで小倉さん、具体的にお伺いいたしますが、今日鉄法三十一条という法律があるから、停職にしたり戒告にしたりすることはおれの勝手なんだ、どこにも相談する必要はない、こういうことです。そうすると調停案に出された第二項、これは日鉄法第四十四条第二項によってやりなさいといっておられる。これはほかの公社やその他と交渉したり相談する必要はないでしょう。同じ日鉄法の三十一条で片方は勝手にやる、これは四十四条第二項でやるのでしょう。だから四十四条第二項にかかわる調停の主文第二項については、どこに気がねもなくあなた方ができるはずです。そうすると、あとでもいろいろ聞きますけれども、日鉄法四十四条第二項は国鉄総裁が当然行えることになっておる。とりあえずそれについての交渉はあなた方なされておりますか。調停の主文二項についてのあなた方の今までとってきた態度、並びに運輸大臣と協議するということになっておりますが、協議をやったかやらぬか、その場合運輸大臣はどういう答弁をしておるか、その間の経緯を明確にして下さい。これは日鉄法三十一条で勝手に処分できると同様に、あなた方勝手にできます。勝手にというより、当然やらなければならぬ。三十一条で処分する限りにおいては、やはり四十四条二項もあなた方できるのですから、主文二項に対するあなた方の取扱い、態度を少し明確にして下さい。
  44. 小倉俊夫

    小倉説明員 先ほど来申し上げておりますのは、今回の労働春季闘争と申しますのは、全国的でございまして、労組の方におきましてもいろいろ連絡をとっておりますので、その間私の方と他の公社との間に非常な扱い方の違いが起りますと、そこでさらにトラブルが起るということを申し上げておるのでございまして、決して私はほかの三公社と正式な相談をしておるとか、あるいは合従連衡しているとかいうことは申し上げません。またそういうことはいたしておりません。ただ私はそういう点で今回の争議が全体的のものであるので、やはりそこには振り合いというものに管理者たる者は多少の考慮を用いなければ、かえって管理者たる責任を果し得ないものだ、こいうふうに考えて、しかしこれもいつまでも先に遷延するということではなく、多少の時日をお与え下されば回答ができるのではないか、かように考えておる次第でございます。どちらにいたしましても、調停案につきましては私ども回答は出さなければならぬというように考えておる次第であります。
  45. 下平正一

    下平委員 小倉さん、私はそんな答弁要求しているのではないのです。四十四条二項に基いて支出をしなさいという調停案主文二項について、あなた方はどういう措置をとってこられたか、こういうことを聞いているのですよ。よく聞いていて下さい。管理者の責任といいますけれども調停案が出ようと出まいと、四十四条二項の精神は、増収節約のできた場合はその一部を給与総額にかかわらず特別の給与として出す、こういうのが精神なんです。公共企業体で一生懸命働いて余分に増収が出たら増収賞与として出そう、給与総額に関係なく出そう、これが精神なのです。私は今年度の増収が四十億ないし四十二億と見ております。当然それだけの増収が上ってくれば、四十四条二項に基いて管理者は増収賞与としてでも出してやらなくては、日鉄法の精神にもとります。なお通常の状態でなくて、調停案でそれを明示されているのですよ。もし調停案をあなた方が忠実に実行する誠意の一片だにあるならば、四十四条二項に基いての調停案をどうやって消化するかという努力をすべきなんですよ。四十四条二項に基いての一時金五千円については、あなた方はどういう措置をしてきたか。運輸大臣と協議しましたか、何もやっていないのですか。その主文二項についての手続、あなた方の処置を聞いているのです。具体的にこれを言って下さい。
  46. 小倉俊夫

    小倉説明員 二、三日の御猶予を願います。
  47. 松山義雄

    松山委員長 しばらく休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ————◇—————    午前十一時五十四分開議
  48. 松山義雄

    松山委員長 休憩前に引き続き開会いたします。小倉総裁
  49. 小倉俊夫

    小倉説明員 お答え申します。ただいま御指摘の問題は、ここに金額が示されておりまするが、結局運輸大臣に認可を申請するということにつきましては、金額をきめましてから運輸大臣に認可を申請ということの順序になるのでございまして、先ほども申しますように、この二項以下の金額的な問題につきましてまだ確たる意見がきまっておりませんので、運輸大臣に申請するというまでの手続になっておりません。ただこれはまことに申し上げかねることでございまするが、ただいま一片の誠意がないと仰せられましたが、私どもほんとうに日夜たゆまず解決の努力に当っておるつもりでございます。ただこの問題が非常に広範な問題で複雑でありますからして、もう少しの時日をかしていただきたい、こういうふうにお願いいたす次第でございます。
  50. 松山義雄

    松山委員長 中居君。
  51. 中居英太郎

    ○中居委員 ただいままでの質疑応答を聞いておりますと、小倉総裁答弁はまことに要領を得ない。それはあなたの考えが、調停案が出されたという新しい事態を認識していない、調停案が出されないという一対一のまだ白紙の状態労働組合と交渉している当時の考え方を、あなたの答弁は一歩も出ていない。私は非常に遺憾だと思うわけでございます。すでに調停案が公平な立場からここに出されまして、新しい段階がここに生まれたわけでございます。私が申すわけでもなく公共企業体労働組合法があり、これがある限り調停、仲裁制度というものは、これは不可分の条項として存在しておるわけでございます。これはのむものまないもないわけでございまして、実行しなければならない義務づけられた条項であると私は考えておるわけでございます。調停案の一項から五項まで、それぞそ具体的な検討をするといろいろな問題が出てくると思う。しかし私は今回調停委員会から出されました三公社に対する調停案というものを見まして、あなたはこの三社が一様であると申しておりますが、私は根本的に違っておると思っております。第二項の五千円プラス・アルファという、この一項においては同じでございます。しかし二項以下の問題を実施する場合には、国鉄とあるいは電電、あるいは専売とは大きな基本的な相違というものがあります。私はあの調停案ほど、今日の国鉄の財政というものを認識した調停案はないと思っております。あれほど国鉄の現状を非常に同情的な立場で書いておる調停案はないと思っておるのであります。従いまして私どもがお伺いいたしたいことは、一項から五項にわたるところの具体的な問題、あるいはプラス・アルファの問題を今後どうするかということはともかくといたしまして、原則的にこの調停案というものを受諾して、仲裁裁定に持ち込まないこの段階において労使紛争というものをおさめまして、社会秩序というものを維持したい、こういう考えに立って受諾するかしないかということをあなた方が速急に決定すべき段階に至っておるのではないか、こう考えるわけでございまして、具体的な問題はともかくといたしまして、抽象的に、原則的にあの調停案を受諾するか、イエスかノーかというこの二つに一つの返事を承わりたいと思います。
  52. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまのお話でございまするが、私の感覚がずれておりまして、この調停案が出たという事態を認識しないかのごとき扱いである、あるいは考え方であると申されましたが、私自身調停案が出ましたということは重大な問題だと承知しております。よく私、こちらへ来まして聞くところによりますと、調停案をのむと錦旗の御旗が労組の方に行くとかいうお話まで聞きましたので、私はそういう点につきまして非常に心配しております。労組が早く回答された、それにつきまして私どもの方でもこれは誠意をもって何とかしなくてはいかぬという切実なかつ焦慮の念に燃えておる次第であります。公企業体は全然別のものじゃないか、こうおっしゃいますが、事は公企業体の問題ばかりでなく、公企業体に働いておる職員の問題であります。職員の給与につきましては、大体従来の労組というものは均衡主義を主張されております。国鉄におきましては、国鉄の主文にあります通りに、国鉄給与は質と量とに対して待遇が低い、こういうようなことが調停にも書いてございます。でありますから、これは公企業体管理者のふところ工合ばかりでなく、それ以上にやはり給与のでこぼこをあまりこしらえてはいかぬということは、管理者として考えていかなければならない。それにつきましては単に軽々に自分の方だけ先ばしりはできない。もちろん合従連衡する意味ではございませんけれども振り合いというものも十分考えていかなくちゃならぬ問題だ、かように考えまして、しばらくの猶予を求めておる次第であります。
  53. 中居英太郎

    ○中居委員 あなたのおっしゃるのは一応ごもっともな考えだと私は思います。しかしあなたも御承知通り公共企業体の労働関係法ですかこれを見まして、この中にはっきり示してあります調停の制度、仲裁の制度、こういうものは、財政の都合とかなんとかいう二とは第二の問題といたしまして、原則的に履行しなければならないという義務づけられた法であります。このことはあなたにまず第一番に認識してもらいたいと思います。さらに他の電電あるいは専売、こういう公社の職員とあまりにも不均衡な給与体系というものは持ちたくない、こういうこともまた当然の意見でございましょう。しかし私どもが今あなたからはっきりした御答弁が願いたいと思いますことは、すでに調停案というものは出されました。これを原則的に国鉄側は当然イエスという回答を持って受諾して、どのように具体化していくかという問題について、あなた方がこうしてもらいたい、ああしてもらいたいということをこの席上で述べ、あるいは政府当局に折衝するということがとらるべき当然の処置であろうと私は思うのであります。しかも国鉄に対する調停案を読んでみますと、すべて前提になっておるものは、国鉄経理の立て直しをはかっていこうということがすべての前提になっております。こういう前提がある限り、あなた方は何を逡巡しているのですか。そういう前提がはっきり書いてあります。他の二公社に対する調停案にはそういう文字は使ってございません。私が国鉄と他の二公社に対するところの勧告の内容が根本的に違うと申しているのは、ここにゆえんがあるのでございます。そういう前提のある限り、調停案国鉄は欣喜雀躍として受諾すべき段階ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。この点を認識下さいまして、さらにイエスかノーか、そのいずれかの返事を賜わりたいと思うわけであります。
  54. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま調停案につきまして、のむかのまぬかというせっぱ詰まった御質問でございまするが、これは先ほどから繰り返しておりまする通りに、調停委は国家できめられた機関でございまして、その調停というものは尊重していかなければならぬことは重々感じております。それで調停案を尊重するということにつきましては、もちろん責任を感じておりまするが、決してこれは回答をしないと申し上げているのではなく、もう少し時日をおかし願いたいと申しているだけでございまして、決して回答いたさないということを考えているのではございません。
  55. 中居英太郎

    ○中居委員 回答とイエスかノーかということとは、別個の問題であります。回答ということは当然しなければならぬと思う。すでに時日が経過しているわけでございます。これを受諾するかしないか、これを拒否して仲裁裁定にさらに持ち込むかあるいはいろいろな情勢、ことに電電あるいは専売、こういうところの動きというものを考えて、この段階において受諾するという決意国鉄が固めておられるかどうか、そしてそれを実施するために、さき申しました調停案の前文にある財政の問題についての検討をどうしようか、こういうことで国鉄努力することが今日国鉄のとるべき態度ではないか。あくまでも前文の財政云々ということにこだわって、さらにじんぜん日を送り、仲裁裁定に持ち込むか、あるいはこれを受諾して前文に書いてある財政についての検討を行うか、このいずれをあなたが選ぶかということを私はきいているわけであります。
  56. 小倉俊夫

    小倉説明員 国鉄経理が現在十分でない、合理化をいたして経理の改善をしていかなければならぬということは私どもも考えておりますし、世の中の一般のきつい批判だと存じます。しかもこれにつきましては管理者だけではできないこで、労組の方の十分なる御協力を得られなければ達成しがたいものだと存じております。その点につきましては御質問の中にありましたように、私今後誠意をもってやっていかなければならぬ問題だと思います。ただそのあとで、そういう前提のもとにのむかのまぬかとおっしゃいますが、その点につきましてはまことに恐縮でありますが、先ほどから繰り返しております通り、現段階におきましてはそれをお話しする時期でなく、しかも先ほど申し上げましたように、一般の振り合い等も考えに入れまして、あるいはそれも考慮に入れまして回答をいたすべき問題だ、こう思っております。それも決して今後長時日を費すという問題ではございませんので、その間の御猶予はいただきたいという考えでございます。
  57. 中居英太郎

    ○中居委員 そうすると、今までのあなたの答弁を総合いたしますと、こういうことになりますか。現在の法律で定められておる制度というものは知っておる、しかも今度出された調停案の重大性ということも認識して、これを受諾する前提に立って財政の問題を検討しておる、そのためにもう少し日をかしてくれ、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  58. 小倉俊夫

    小倉説明員 私はそうは申し上げませんので、先ほどの尊重するということはその通りでございます。
  59. 中居英太郎

    ○中居委員 尊重するということは受諾するということでしょう。
  60. 小倉俊夫

    小倉説明員 そういうことではありません。それでは私、用語の妥当を欠いたかもしれませんが、そういう努力について感謝している、当方としてもできるだけのことは考えていかなければならぬ、しかしながらそのときに、たとえば従来といえども調停案が出て、それに拒否の回答労組の方でもされた例がありますし、管理者の方から拒否の回答をしたこともございますが、あれだけの努力をされた調停に対しましては、私どもも敬意を払って十分に考慮していかなければならぬ、こういう意味で尊重と申し上げたので、それをイエス、ノーという意味にとり下さっては私のお答えと違うので、その点につきましてはもう少し時日を拝借いたしまして調停に御回答したい、こういう意味でございます。
  61. 楯兼次郎

    楯委員 関連して。総裁が十一時半に来られるという話であったのでありますが、来られないで副総裁から最後の答弁を引き出そうとすることは無理だと思います。しかしあなたも一生懸命答弁をされておられるのでありますが、どうもあなたの話を聞いておりますと、総理大臣か副総理の答弁を聞いておるようにわれわれにはとれる。第一に、あなたは直接の国鉄経営責任者でありながら、他の公社々々ということをおっしゃる。あなた方が他の公社振り合いを見て国鉄の処置をきめていくという点については、あるいはそうあるかもしれない。しかし本委員会としては、この調停案に対して国鉄の直接の責任者であるあなた方の決意をお伺いしておる。従ってあなた方がこれを尊重し、これをのむ、実施はしていきたいのであるけれども、こういうような困難な条件があるのでなかなか実施できません、こういうことならば話がわかるわけなんです。ところがあなたの答弁を聞いておりますと、自主性というものが少しもない。何もかも他の公社が決定したら、そのしっぽについて国鉄はそのように持っていこう、しかも財政はあるのかないのか少しもわからないような御答弁です。この点を一つはっきりと答弁していただかなくてはならないと思います。そういう自主的な答弁がなければ、これは幾ら繰り返しても同じ答えしか出てこないと思う。  それから副総裁に申し上げたいことは、あなたは調停案の今日出された意味をお考えになっておらない。調停案についてはあなたの方も労働組合異議があるかもしれません。しかし今日相当大きな争いとなっております。従って不満であろうけれども、今日の段階においてはこの争いを解消する唯一の手段は私ども調停案であろうと思う。従って不満であるにいたしましても、唯一の手段であるところの調停案をもう少し国鉄当局は真剣に考えて、受諾の方向にいかなければならない。今の副総裁答弁を聞いておりますと、そういう意図が少しも受け取れない。この調停案をないがしろにして、今日の紛争を解決していく手段がほかにあるのか。こういう点は私が申し上げるまでもなく、今日諸新聞の論説を見ましても、あげてそういうことを言っております。そういう積極性が副総裁答弁からは受け取れない。  それから経理の内容についても、今ここでわれわれの立場からこまかい点については申し上げたくはございませんが、なるほど第三項から以降は予算の修正ということが伴います。それについてはあなたの一存では答弁ができないということは了解をいたします。しかし第一項においては、先ほど下平委員が言っておりましたように、少くともあなた方がこの調停案を尊重し、何とかしょうという意思があれば、この第一項については解決をしていく見通しがあるのでありまして、私はあなたの答弁いかんによっては、三十一年度の予算と今日の国鉄が考えているところのいわゆる四十四項第二項を実施するための財源の関連をここでお聞きしてもいいのでありますが、そういうやぼなことは差し控えたいと思います。これはできる。その措置を持っておりながら、あなたは政治的、総理大臣答弁をしておる。それではぐるぐる回りで解決をしない。政府にあまりに遠慮し過ぎると思う。他に遠慮をせず、はっきりと自分たち国鉄経営責任者として当然この調停実施していきたい。そのためには組合の方とも交渉をし、努力をする、それくらいの言明は本委員会においてなさっても何ら支障がないと考えるのですが、これらの点について簡潔でけっこうでありますから、一つ誠意ある答弁をお願いしたいのであります。
  62. 小倉俊夫

    小倉説明員 御質問は非常にむずかしいので、あるいは総理大臣に対する御質問ようなもので、結局答えもそういうことになったのかもしれませんが、私は管理者として誠心誠意申し上げているつもりでございます。ただ先ほどから繰り返して申し上げます通りに、給与と申しますのはやはり全般的に見ていかなければならぬ、従ってたとえば私の方で金がなくてある程度のものしかできない、しかしそういう場合に非常に世間のつり合いが悪ければ、私の方でもなきものをしぼってそこに近づく努力をしていかなければいかぬ、そういうふうな均衡の問題もございますので、決して遷延するということではなく、多少の時日をいただきたいということでございますから、一つおわかり願いたいと思います。
  63. 井岡大治

    ○井岡委員 関連して。今楯君から御質問申し上げましたように、実は私たちは二十八日に本委員会において、第二波が行われようとしておることに対して、政府並びに国鉄当局はどのような解決方策を持っておるかという質問をいたしたのであります。そのときに大臣は、ただいま国鉄並びに労働組合双方から調停の申請をいたしておる、その調停の申請中に私たちが解決の方策を考えるということは少し尚早ではないかと思う、さらに調停というものは行政的、司法的判決に類するものであるから、それが出た後において解決をはかりたい、しかも私たちはその調停案が早く出るよう調停委員会に督促をしておる、お願いをしておる、こういう答弁でございました。今日調停案は出たわけです。しかも国鉄自体で解決できるように、ほかの公社のことを考えないで、国鉄はこうすることがこの事態の解決の一番の近道であるから、お互い忍びがたきを忍んで受諾をしてもらいたい、こういう調停案です。この点は小倉総裁は十分御承知のはずだと思います。ですから、ここで国鉄当局がのむ、こういうよう態度をきめれば——すでに組合は諸般の情勢を考え、国民生活の立場、不安、こういうものを考えて、のむということの態度をきめておるのです。従って自主的に三十一条を適用するだけの勇気がおありであるならば、なぜ四十四条を適用して、そうしてのむというようにお考えにならないのですか、この点重ねてお尋ねをいたします。
  64. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまの御質問、その答えが最初から出ないということについて重ねておしかりをこうむるかもしれませんが、結局問題はこの調停が出たのに何をぐずぐずしておるか、そういう御質問でございまするが、先ほど申し上げました通りに、調停につきましては私ども感謝いたしておる次第でございまするが、その内容につきましてはいろいろな問題を含んでおりますので、しばらく猶予をいただきたい。従来の例によりましても、延ばした例もございますし、拒否した例もあるのでございまして、そういう点につきましては私ども立場もございますので、しばらく——これも決して長い時日と申し上げているのではございません。それでありますから、しばらくの間御猶予願いたいと思います。
  65. 正木清

    ○正木委員 関連して。私は簡潔に副総裁に一点だけお尋ねしておきたいと思います。このたびの国鉄の中における問題については、二月の二十八日の当委員会において、運輸当局としての態度、方針が運輸大臣から明らかに示されておるわけです。これは皆さんごらんになればわかるように、ここに速記録がございます。これで明らかになっておるわけです。そこで私どもとしても、運輸大臣の意のあるところを了として、調停委員会調停案を打ち出すことを非常に強く望んでおったのです。われわれの立場から見れば、非常に大きな不満の点が幾多ございまするけれども調停委員会から調停案なるものが出た。幸いにして労働組合がこれを受諾した。受諾した限りにおいては、国鉄当局としてはこれに対する方針をすみやかにおきめになることが大切じゃないかと私は思う。運輸大臣の御方針はここで明らかになっておる。そこで巷聞伝えられるところによると、この調停案に対して政府当局がある種の干渉を加えておるといううわさが立ったので、実は昨日われわれの代表が官房長官の根本君に会ってその真意を確かめたところが、全然さようなことはないので、その点の誤解はどうか解いてもらいたい。あくまでも国鉄当局の自主性にまかしてあるのであって、決してそうい点はないのだ。これは繰り返し繰り返し政府の官房長官からの私どもに対する言葉です。こういう事実が明らかになっておるのでございますけれども先ほどから副総裁の意見を聞いておると、全然つかみどころがない。あなたは非常に慎重な態度をとって答弁されておるのであって、あなた自身はそれでけっこうかもしれませんが、問題がこれから発展してこじれた場合、一体その責任はだれが負うのか、ここを考えなければいけないと思います。  それからもう一点私が、今度の調停委員会が打ち出した調停案の中で労使双方に真剣に考えてもらいたいと思うことは、前提として一番大切な点は、やはり国鉄経理の改善ということが土台になっておる。この経理の改善をどう具体的にどうしていくかということは、あなた方の腹の中できちんとできておる。お互いに口に出さないだけで具体案ができておる。できておるこのことを調停委員会が前提として打ち出した限り、この法律を守って、この法律のもとで問題を解決していこうではないかという——労働組合が非常に大きな不満があっても受諾したこの機会こそ、国鉄当局は一時も早く腹をきめて態度を明らかにすべきではないか、こう私は考えるのです。それであなたが、私は総裁でないのだから残念ながらこれ以上答弁できません、総裁とよく相談して、後ほど開かれる委員会答弁しますならしますと、こうはっきり態度を明らかにされればよろしい。あなた自身が、総裁なのか、運輸大臣なのか、総理大臣なのか、わからないようなことを話されるから、問題がこじれて、地方行政委員会との連合審査会にもわれわれは行けない。あなた自身は何を苦しんでほかの公社のことをお考えになるのか。運輸大臣は二十八日はっきり運輸当局態度を明らかにしているじゃありませんか。あなた少し勉強しなさいよ。われわれはこれほど忙しくても、速記録を片手にこうして苦労しているのです。私はあなたのはっきりした御答弁を聞きたい。
  66. 小倉俊夫

    小倉説明員 簡単にお答え申し上げます。経理の改善につきましては、今後とも労組にも協力願いまして改善していくつもりであります。それから第一点の、他からの圧力という点につきましては、仰せの通り一切これはございません。なお私の答弁がはなはだ至りませんでしたが、仰せの通りに帰りましてから総裁と話しまして、しっかりしたものを御答弁申し上げます。
  67. 中居英太郎

    ○中居委員 議事進行。今の副総裁答弁がありましたから、きょうは一応了承しますが、明日委員会を開いて下さい。
  68. 松山義雄

    松山委員長 本日は地方行政委員会との連合審査会が午後一時からございますから、これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会      ————◇—————