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1956-02-10 第24回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君    理事 山本 友一君 理事 青野 武一君    理事 中居英太郎君       有田 喜一君    生田 宏一君       岡崎 英城君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    眞鍋 儀十君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    正木  清君       松岡 駒吉君    小山  亮君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局海運         調整部長)   朝田 静夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  造船計画に関する件     —————————————
  2. 松山義雄

    松山委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  最初にお諮りをいたします。前回の理事会において決定いただきましたのでございますが、小委員会設置についてであります。観光に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松山義雄

    松山委員長 それではさように決定いたします。  なおその人数、小委員、小委員長の選任については、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松山義雄

    松山委員長 それでは後刻理事会に諮って指名いたします。
  5. 松山義雄

    松山委員長 これにより海運に関する件について調査を進めます。造船計画問題等に関しましては、前国会、前々国会におきまして大臣より説明を聴取いたした次第でありますが、その後の経過等に関しまして最初政府より説明を聴取いたすことにいたします。粟澤海運局長
  6. 栗澤一男

    栗澤政府委員 第十二次計画造船につきまして、経過並びにただいま考えております具体的の計画等について御説明申し上げます。  ただいまの国会に提出されております通り、十二次の造船計画につきましては、大体開発銀行資金百二十七億という財政資金をもとにいたしまして、二十二万総トン造船をいたすという計画になっております。その内訳は貨物船十六万五千総トン、この内容といたしましては、私ども定期船として約八万総トン不定期船を約八万五千総トン考えております、それからタンカーは五万五千総トン、合計いたしまして二十二万総トンになるわけでございます。  大体の事務進行予定といたしましては、ただいま選考基準等造船合理化審議会で御検討いただいておりまして、これが決定いたしまして、大体今月の中旬のうちには船主公募ができるかと思っております。公募期間は約二十日間置きまして、三月の十日ごろ公募を締め切りまして、その後約一月半ほど審査期間開発銀行はほしいと言っております。一月半くらい置きまして、大体四月の中旬もしくは下旬ごろまでに船主選考を終って発表いたしたい、こういうふうに考えております。  ただいま一番問題になっております点は、ただいま申し上げました百二十七億という財政資金に対しまして、市中協調融資が何割つけられるかという問題がまだ残っております。これは予算では、御承知通り財政資金五割、市中資金五割という比率で策定されておりますが、私ども非常に懸念いたしました通り、ただいま海運関係の市況は非常によくなっていると申しながら、銀行の方から見ました場合に、償還の点で五割という協調融資は非常に無理であるというふうな意見が当初から出ておったのでございますが、その点でまだ結論を得ません。ただいま銀行が申しております筋は、大体四割まで協調いたしたい、あと一割は船主自己資金で調達してもらいたい、こういう線が出て参っております。なお定期不定期あるいはタンカーについての船主別割合につきまして、まだ確定的な相談ができておりません。今日遺憾ながらまだ申し上げる段階に至っておりません。大体平均いたしまして、財政資金五割、市中資金四割、船主自己調達の一割という点までは、銀行の方もいっております。船主側も一割くらいはこの際やむを得ないだろうという気持になっております。船主別割合につきましては、また確定次第、御報告申し上げたいと思っております。  次に、これらの船の選考基準でございますが、これは先ほど申し上げましたように、ただいま造船合理化審議会の方で基準案を御検討をいただいておるわけでございますが、私ども考えております大体の基準の中心的な考え方を一応申し上げてみたいと思います。  第一に定期船につきましては、各航路について、その航路の必要度あるいはその航路ににおきます船の大体の緊要度というものを検討いたしまして、これらは昨年のように航路審査委員の御意見も徴したいと考えております。その上に船主資産信用度あるいは海運業者としての実歴、経営力というふうなものを勘案して決定いたしたいと思っております。次に不定期船につきましては、船舶経済性採算性、これは船価も非常に関係があるのでございますが、船価等を勘案いたしまして、その上に船主資産信用度等を勘案して決定いたしたいと考えております。  タンカーにつきましても、不定期船同様に、船舶経済性あるいは船主資産信用力といったものを重視して、選考いたしたいと思っております。そのうち特にスーパー・タンカーにつきましては、国内の製油施設あるいは港湾の事情というものを考慮いたしますと同時に・またその船の長期の運航計画が確実なものを選定いたしたいと考えております。と申しますのは、御承知通り三万トン以上というような大きな船舶になりますと、これでストックものを取って歩くというようなことでは非常に危険もございますので、運航計画の確実な点は昨年同様に重視したい、こういうように考えております。右は各船種に共通の事項といたしまして、企業の合理化、再編成に努力したものはその点を考慮したいというふうに考えております。また建造船価につきましても、建造船価低減努力をしたものは、その努力の度合いを考慮して優先的に見たいというように考えます。大体以上の点を中心といたしまして船主選考いたしたいと思うのであります。その基準につきましてはただいま合理化審議会で御検討いただいておりますので、その検討の結果をなお尊重いたしまして、私ども選考基準にいたしたいと考えております。
  7. 松山義雄

    松山委員長 質疑は通告順によってこれを許します。小山亮君。
  8. 小山亮

    小山(亮)委員 ただいまの局長お話で、今運輸省の十二次造船に対する大体の方針はわかりましたが、この際特に従来からの運輸省計画造船のあり方について、それから船主選考方法等について、私は多少の疑義を持っている。それは結局何か根本において運輸省当局が、私ども見解が違っている点がありはしないかと考えますので、その点を一応確かめてみたいと思う。第一に運輸省の言われる定期船というのは、一体どういうものが定期船であるというような定義があるのでしょうか。私自身では定期船というものはこういうものでなくちゃならぬというように思っているのですが、従来の運輸省やり方を見ますと、私の考えている定期船と、定期船というものに対する見解が違うのじゃないかという点がありますので、定期船に対する運輸省見解をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  9. 栗澤一男

    栗澤政府委員 私ども考えております定期船と申しますものは、航路を定めまして定期に運航しているもの、こういうふうに考えている次第でございます。
  10. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、特定航路に就航してその定期航路を運航している船は定期船、その航路に就航していない場合には、それは定期船ではない、こういうわけですか。
  11. 栗澤一男

    栗澤政府委員 御質問の趣旨がよくわかりまんが、その航路定期に就航しておらない場合には、その船は定期船ではないという御質問であれば、一時的には定期船ではなくなるというように考えております。
  12. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、この際ちょっと伺いたいのですが、戦争前から日本が諸外国に未開発航路を開拓しまして、そうして諸外国と競争して航路を開拓してきた、その海運業者の功労というものは高く評価してもいいと私は思っております。従ってすでに獲得したところの航路を失うということは、日本の国益を損するのですから、国家がこれに対してはあらゆる犠牲を払っても、その航路をあくまで存続させるためにこれを援護しなければならぬ。これはわかります。しかしその場合に航路というものを大事にするのか、その航路に従事しておる船を持っておる会社というものが対象になるのか、航路を保護するのか、あるいは航路に従事しておる特定会社に対して政府炉援助を与えるのか、その点がどうもはっきりしないので私は疑いを持っておるのですが、これを明らかにしていただきたいと思う。
  13. 栗澤一男

    栗澤政府委員 第一義的にはおっしゃる通り、その航路を確保するということは、国家としても当面考えるべき点である、こういうふうに考えております。しかしながら実際問題といたしますと、現実にその航路経営しておるのはやはり定期船業者でありまして、その航路を確保するということは、とりもなおさずその業者を育成するというふうな結果になることが一番多いのじゃないか、こういうふうに考えます。
  14. 小山亮

    小山(亮)委員 その点が、私はいわゆる運輸省計画造船やり方というものに対して気持がはっきりしないので、これをはっきりさせたい。どうしてこういうことを質問するかといいますと、定期航路として申請して、一定割当を受けて船を作った。それに対しては特別に政府のいろいろな資金恩恵とか、あるいは利子補給とかいう恩恵を受けた。そうして定期航路に従事する船を作っておいて、定期航路に従事すべき船が定期航路に従事しないで、不定期航路に従事しておるという例があります。それから名前定期航路でありますが、往航には定期航路貨物を積んで行くけれども、帰航には定期航路貨物がない。その場合には不定期航路貨物をそこら中探し回って持ってくる。ですから、時間的にちゃんと航海しないで、帰り方はでたらめな帰り方をしてくる。それもやはり定期航路の中に入るものであるか、その点に私は非常に疑義を持っておる。  さらにもう一点伺いたいことは、定期船というものは自分で運航する、そしてある特定航路に従事しておる会社である。その会社に対しては、全日本の一年の造船計画のうちの八万トンなら八万トンを割り当てることになります。そうすると、その会社名前ははっきりしないけれども、ある特定航路に就航しておって、自分みずからがオペレートしておる会社ということになると、名前を言わなくても会社名前ははっきりしています。何社という指を折るだけのものが出てくる。そうすると名前を明白にしないけれども特定会社だけを擁護するという結果になるのではないでしょうか。運輸省定期航路として船を割り当てる資格ありと認める会社は何という会社ですか、名前を言って下さい。名前を言っても差しつかえないようになっているのですから、それを伺いたい。
  15. 栗澤一男

    栗澤政府委員 今回の十二次計画造船で、どの会社とどの会社に割り当てるかという御質問でございますれば、船主選考段階を経てみなければこれは確定的には申し上げられないと思います。ただいま日本定期航路経営しておる会社がどの会社とどの会社かという御質問でありますれば、ただいま申し上げられると思います。
  16. 小山亮

    小山(亮)委員 それを言って下さい。
  17. 栗澤一男

    栗澤政府委員 資料を探しまして後ほど申し上げたいと思います。
  18. 小山亮

    小山(亮)委員 はっきりわかっているじゃないですか、大体をおっしゃって下さい。大手筋だけ伺えばわかります。
  19. 栗澤一男

    栗澤政府委員 現在やっておりますのは、郵船、商船、三井山下、川崎、大同、新日本、関西汽船、東京船舶飯野海運国際海運……。
  20. 小山亮

    小山(亮)委員 国際海運は船を持っていないでしょう。
  21. 栗澤一男

    栗澤政府委員 ただいまそういう名前が出しておりますから……。あるいは一、二漏れておるかもしれませんが、それは後ほど申し上げます。
  22. 小山亮

    小山(亮)委員 国際海運というのは、船の割当を受けたこともないし、航路も持っていない。それから他の会社が一隻ずつ船の割当を受けるときに、二隻なり、あるいは三隻なり、ある年によっては一つ会社が四隻も割当を受けた場合がありますが、そういう会社というのは、あなたが今言われた郵商船とか三井とかずっと上の方の会社にきまっておる。そうすると、私は非常に不思議に思うのですが、この国家資金というものは国民の金なんですが、その国民の金の融通を受けるのに、毎年々々欠かさずその恩典に浴するものは、特定の大財閥、大資本家に限られておる、こういうことになる。そこで私は、特定の大財閥、大資本家だけを、毎年々々国民の金で保護育成していくことが、日本ほんとう海運政策であるのかどうかということを聞きたい。どんなにまじめに、ほんとう国家産業に参画しようとして鋭意努力しておっても、大資本家、大財閥にあらざる限りは、何らの恩恵も受けないというのが現実の事実なんですが、この点に対して海運局長は矛盾をお感じになりませんかどうか、これを伺いたい。
  23. 栗澤一男

    栗澤政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども大体一定基準を作って選考いたしておるわけでございまして、特定会社あるいは特定財閥というお言葉でございますが、そういうものに特に割り当てようというつもりでやっておるわけではございません。ただ結果的に見て、御質問になりましたように、特定会社に二はいとか三ばいという割当が一度にあるということが、事実としてあったことは承知いたしております。しかしこれも定期船の場合には、実際にはどの航路定期船というものを充実し、あるいは現在の船腹代替をしなければいけないかということをまず考慮してかかるわけでございますが、それがたまたまその航路経営しております会社に割り当てられるということは、現実の事実問題としてやはりやむを得ない結果ではないかと思います。もちろん新しい会社がその航路に出て参りまして、十分実力もあり、国家としても保護育成すべきだという結論が出ますれば、そういう会社にも割り当てることは当然あり得ると思います。ただ現在の問題としては、特定航路において実際に実力もあり、外国にも相当評価されておる会社というものは、現実にそこを経営しておる会社でございまして、その会社が割り当てられるということは、航路政策の上からやむを得ないことじゃないかというふうに考えます。
  24. 小山亮

    小山(亮)委員 その航路を保護するということなら別なんです。しかしたとえば山下汽船にしましても、飯野海運にしましても、特定航路に就航しておるという船は、その航路に何隻といってきまっていますから、そうすると三隻必要なところに六隻も七隻も船を作っておれば、その余った船というものは他の不定期航路に回していくわけです。ところが今のあなた方のやり方からいうと、その不定期航路に回っている船も定期航路と同じような恩恵を受けるわけです。そうなるでしょう。それで不定期船とすれば、速力がそんなに速くなくてもいいのであるから、採算ということに第一の重点を置きます。定期船ということになりますと、どうしたって速力ということに重点を置きます。そうすると船の構造が違ってくるのです。それで不定期採算本位にするところに、定期航路速力とかそういうものに重点を置く船を回した場合に採算がとれない。これは私が説明するまでもなく、あなた方はそういうことはよく知っておるはずなんです。そうすると国家のために大きな損失なんです。不定期航路に回すべきところの不定期船を使わないで・定期船不定期航路に使えば・それは国が非常に損なんです。国家の収益をそれだけ少くするのですから。ですから運輸省としてはそういう政策はおとりにならないようになさるのがほんとうじゃないでしょうか。定期船というのは今後どれだけお作りになったら十分であるとお考えになっておりますか、それを大体伺いたいのです。
  25. 栗澤一男

    栗澤政府委員 現在の事実を申し上げますと、今御指摘のように、大体定期船定期航路に新しく割り付け、現在その定期航路に使っておられます船が不定期に回されるということは事実であります。しかしその場合には定期航路に充当しております船が、大体その定期航路に不適当な船がはさまっておるということのために、その代替を新しく割当をして定期船にそろえるということを考えてやっておるわけでございます。従いましてその余ってきた船は二次的な次の段階の、たとえば十五ノットなら十五ノットに適当な航路に回されるというのが第一段階でございます。それがさらに第二次航路でまた一ぱい余って、不定期航路の方に回すというのが現実の事、実でございまして、中にはまれに不定期に不適当な航路定期航路から落ちてくるという場合があり得るかと思うのでありますが、大体今申しましたような順序で船の代替リプレースということが行われておるのが現在の段階でございまして、まだこの必要は当分の間続くと考えられるわけでございます。  最後に御質問のございました今後一体どのくらいを作るのかという御質問でございますが、大体今のところ五カ年計画考えております数字では、約四十万総トンというものがなお定期としてリプレース及び航路の拡充のために、今後五カ年間に必要だというふうな結論を私どもとしては今持っております。
  26. 小山亮

    小山(亮)委員 あなた方の考えておられる定期航路適格船は今どのくらいありますか。
  27. 栗澤一男

    栗澤政府委員 申しわけございませんが、ただいまその資料を持っておりません。後ほど……。
  28. 小山亮

    小山(亮)委員 そうするとこれからの五年間の見通しにおいて、定期航路船腹というものは何トンあればいいというお考えですか。何トンあればいいが、しかし今何トンしかない。だからあと四十万トンいるのだ、こういうことになるでしょう。そうすると実際において、今後五年間の見通しにおいて定期船というものは国が何トン必要であるか、そういう見通しがあるわけでしょう、それを伺いたい。
  29. 栗澤一男

    栗澤政府委員 その資料をただいま持って参っておりませんので、後ほど調べて申し上げたいと思います。
  30. 小山亮

    小山(亮)委員 そうするとその四〇万トンという基礎はどこから出てくるのですか。
  31. 栗澤一男

    栗澤政府委員 今申し上げましたように、そういう御質問のありました数字から積み上げて結局現在はやっておりますけれども不定期船が入っておるというものと、それから今後航路をどの程度まで毎月ふやすかという数字を見て、その結果定期船は何万トン、その何万トンのうちで今後新造しなければならないものは四十数万トン、こういう数字になっております。先ほど御指摘の積み上げの下の数字が申し上げられないものですから、その点申しわけないと思います。
  32. 小山亮

    小山(亮)委員 どこの航路とどこの航路重点を置かれるのですか。
  33. 栗澤一男

    栗澤政府委員 大体ニューヨーク定期航路欧州定期航路南米アフリカ、それに中近東、東南ア関係というふうなところを考えております。
  34. 小山亮

    小山(亮)委員 そうするとそれで全部じゃないですか。特にどれということはないでしょう。全部でしょう。もし全部を重点的に考えおいでになるならば・当然中共との関係において、やはりCクラスの総トン数四千五百トンとか五千トンとかいう船が、あなた方の計画の中に入ってこなくてはならぬわけです。大型のものばかりやっておいでになるとすると、中共の方はあと回しで、ニューヨークとかヨーロッパとかに重点を持っておいでになるというふうにしかわれわれ考えられないのです。それからたとえばアフリカ航路にしても、南米航路にしましても、現在は日本から鉄の輸出がなくなって、南米航路なんか非常に窮況に陥っております。そういうものに対する航路の援護の方法というものはないでしょうか。航路とか船を助けるというけれども、船だけを建造する資金の面においてこれを援助してやるということになると、どうしても特定会社援助するということになってしまう。国家のために有益な航路に従事しておる、そして盛んに新たなる航路を開拓していくような、そういうパイオニアスピリットを持っておるような、ほんとうに国のために奮闘しつつある会社、そういうものに対しての援助というものにはならないでしょう。会社援助になってしまって……。そこに従事しておるところの船、その仕事を援助するということにならなければうそだと思う。運輸省あたりには、そういうような吟味があなた方の仲間の中でもないのでしょうか。この点は栗澤局長にも朝田調整部長にも伺いたい。
  35. 栗澤一男

    栗澤政府委員 中共の話がありましたが、中共貿易ということも大分最近言われております。近い将来相当活発に航路が開かれるのではないかという点は考えております。大体そういう点でいろいろ検討いたしました結果、現在あります船腹等を勘案して、五、六万総トン中型船が、五カ年計画では建造を必要とするのではないかという結論を持っております。ただ現在では、相当そういう船が自己資金でできておりまして、むしろ内航で今かせいでおるという実情になっております。現在御承知のように中共貿易もまだあまりいんしんになっておりません。そのために船が足りなくて、外国船をチャーターしたということもあまり聞いておりません。現在これを急速に拡充するというまでの必要はないという考え方であります。しかし五カ年計画の中では、必ずそういうものは五、六万トンは作らなければならぬという結論を持っております。  それから航路育成の問題でございますが、パイオニアスピリットを持った業者というものを私どもも大いに育成すべきであると思います。今のところ特定航路にいろいろ政府が補助するというふうなことは、国際的にも相当困難があります。船を作るのは財政資金その他で援助するということも、間接にはそういうものを育成する一つの手段であるというふうに考えておるわけであります。現在の状況で、政府航路補助その他の手をここに具体的に考えていくというには、まだちょっと工合が悪いのではないかと考えております。
  36. 朝田静夫

    朝田説明員 ただいまの小山先生お話につきまして、われわれ部内におきましても、おっしゃる通りのような議論をいたしておるのであります。そこで航路を維持するのか、その担当経営しておる会社を育成するのか、どちらかという御質問であろうと思うのでありますが、御承知のように航路につきましてはいろいろ国際慣習というものがございまして、強固な国際カルテルを形成しておるいわゆる航路同盟というようなものもあるわけであります。片一方におきまして、そういったクローズド・コンファレンスというもの以外に、アメリカ式のオープン・コンファレンスというものもあるわけでございます。これは小山先生に御説明するまでもないところでありますけれども、そういった事情におきまして、特にそういった排他的な・保守的な国際カルテルが強固に八十年も続けられておるような、そういうコンファレンスに入っておる会社というものが、やはり航路と同様に関連して参るのであります。従いましてだれでもその航路をやっていいというようなことにはならないのであります。オープン・コンファレンスの場合におきましては、いわゆる独禁法の精神からいたしまして、大体自由に加入はできるのでありますけれどもクローズド・コンファレンスにおきましては、長い歴史と伝統を持ったクローズド・コンファレンス航路経営をやるものはおのずから限定をされて参っておるのでありまするから、その担当会社航路というものとが密接不可分関係にある、こう私は思うのであります。従いましていろいろな航路というものがございますが、日本の輸出貿易あるいは今申し上げたような航権の維持といったものから考えまして、計画造船におきましてはその年度々々において、その航路の緊要性というものが——その五カ年計画で先ほど局長が御説明申し上げましたように、約四十万総トン定期船が要るのでありますけれども、各段階におきまして、その緊要度なり、緊要の整備の必要度あるいはその担当経営会社、こういったようなものが自然問題になりますので、その段階において衆知を集めて、航路審査委員といったものの御意見を聞いて選考をしておる、こういうことでございます。
  37. 小山亮

    小山(亮)委員 終戦後特定航路だけを援助するような、保護、奨励する費用、こういうものがなくなっておりますが、これはどうしてなくなっておるのですか。
  38. 朝田静夫

    朝田説明員 お尋ねの助成政策というのは、いわゆる航路補助金のことだと思いまするが、この問題は、占領当時におきましていわゆるサブシディといったようなものを出すことを禁ぜられまして、その後われわれの方の政策重点を、まず日本の商船隊の量的拡充という点に置きましたものでありまするから、戦前のごとく、どれもこれもまんべんなく助成が行き渡らないうらみがあるのであります。まず量的拡充という点に今日までの計画造船重点が置かれて参りましたので、今後この問題が質的な転換をはかる段階に来ておると存じます。従いまして今小山先生がおっしゃったような点も、ひそかにわれわれの間においてはやっておるわけであります。
  39. 小山亮

    小山(亮)委員 そこに非常に矛盾があると思っております。戦争後の日本船舶の量的拡充をやるために船舶公団というものができまして——私はあの船舶公団というのは非常にいい思いつきであって、あれがあったために日本船舶というものは、曲りなりにも今日までの船腹量を持つようになった、こう思っております。しかしながら船舶公団が廃止になりました後の造船計画というものはでたらめで、銀行が船を作っているのか、あるいは政治家が船を作っておるのかわからぬといわれるくらいの疑獄事件のようなものも起きまして、世間から非常に疑惑の目で見られておる。ことに現在のような段階におきまして、政府国家資金をもって、言いかえれば国民の税金をもって援助してい会社は、ある特定の大会社に限る、こういうことになっております。われわれの常識から考えると何ら保護を受けなくてもいいような会社だけが、特に国家からの厚い恩恵を受けているというような矛盾した結果になっております。私はこれは、何かあなた方の方の政策の中で、最初立てた計画がアメリカの占領軍によってだんだんに曲げられてしまって、それが曲ったなりに押し込められてしまって、立ち直れないで変なところに突っ込まれてしまっているのではないか。この状態でいけばまた疑獄が起ることは当然ですよ。役人にはそういうことが全然ないようにあなた方は努力されておるでしょうが、今の船を作るのは割り込みで、さっき栗澤さんが言われましたように、どの定期船にしましても不定期船にしましても、タンカーにしましても、資産信用力の十分にある、経験の豊富だという、いろいろな名前をうたい込んであるでしょう。結局ある会社だけなんです。金を貸しても安心な、担保力も十分あるようなある会社だけが受けるということになりますから、結局ある特定会社だけが船を作って、あとの会本社は船を作るなということと同じでしょう。そういうような非常な矛盾をわれわれは感ずるのです。海運当局でもやはりそういうような矛盾を感じておいでになりはしないかと私は思うのです。今のままで果していいか悪いか、何か改正する余地がありはしないか、こういうことを私は具体的に聞きたいのです。今までのやり方で少しも悪くない、今後もこのやり方でかまわないのだというお考えですか。何だかここにどうも一つだけのどにつっかえていて、胸がすっとしないような変な感じがするというようなお考えはありませんか、どうですか。
  40. 朝田静夫

    朝田説明員 ただいまの御説ごもっともだと存ずるのでありますが、反面におきまして大船主に非常に集中しておるという非難と、同時に計画造船は、量的拡充に重点を置きましたために総花主義である、こういう批判も逆にあるのであります。従いまして一次から今日までの計画造船の各段階を見てみますと、一次のごときは非常に、小山先生も御承知のように、まあ今からながめてみるとワクが非常に狭くなりましたので、選考に漏れたような、いわゆる中堅のところが入っておるわけであります。従いましてそういう経過からながめましても、いわゆる総花主義で量的拡充を急いだために——しかも資産信用力といいましても、戦後の補償打切りによりまして、どの会社自己資金というものがなくなってしまっておるわけでありますから、どうしてもそういうふうな総花主義にならざるを得なかった。ここにおいてもっと質的な転換をはからなければならぬじゃないか、こういう意見も出て参っておりますし、現に今御意見のような、もっと真剣に国際収支の改善に貢献をしておるようなまじめな、中堅のところも入れるような考え方が、反面にも十分理由のあるところであります。従いましてこの点は、各段階に応じてながめてみますと、資産信用力という点につきましてもだんだん変って参っておりますし、現在のようなオーナーとオペレーターとの関係におきましても、オーナーの面においても相当中堅の、中小といいますか、そういった船主の資産内容も改善して参っております。資産信用力と先ほど局長が申し上げましたが、やはり国家財政資金を貸し付けるわけでありますから、これはどうしても金融的な意思を無視して貸し付けるということの方がかえって非常に弊害がある。むしろそういうことはできないという声の方が強いのでございます。そういう点といかにいろいろな先ほどのお話と調整するか、どこに調和点を見出して円満に海運政策を持っていくかということについて、われわれは腐心をいたし、非常な苦労をいたしておるのでありまするが、御意見を承わりまして、改善すべきものは十分改善して参りたい、こう考えております。
  41. 小山亮

    小山(亮)委員 今朝田部長の言われた資産信用力という点は、国家が貸した金だから返してもらわなければならぬから信用のある人に貸すのだ、こういうふうに言われるが、船自体が値打があるのですから、たとえば十億で作った船を六億なり七億なりに評価して、それに船の価格につり合うだけの金を貸しておけば、どうして国が損するところがありますか。それが担保なんですから……。船というものは、日本だけじゃない、場合によれば外国まで売れる国際商品ですから、それ自体に担保力が幾らと見て、それだけの限度しか国家資金というものを貸してないわけなんでしょう。そうすれば何もそれ以上の資産というものを考える必要はないと私は思うのですがね。それ以上のことを考えるということになると、現在大会社でももう担保力はありませんよ。   〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 もう船以外に担保力を持ってこいといったって、担保にするだけの余力を持っておりません。その場合にはどうなさいますか。大会社であるから担保力がなくても、のれんが古いから返すだろうということでお貸しになるのか。あるいははっきりした担保というものをごらんになって貸し付けるのか。その点についてまた私は疑義を持たなければならぬと思うのですよ。ですから、これだけの大きな金を貸して、くることになると株を政府に抵当に取るか、あるいは国家がこれに共同で船を持つ、共有で持つということになるか。あるいはまた特定会社を作って、公社のようなものを作って、そこでやはり共有で持つというふうになるか、何とかにならなければならないと思うのです。現在のままでは……。それからライナー、ライナーとおっしゃるけれども、ライナーの会社というものと、不定期船というものをお比べになって、あなたの方は今までは何でもライナーでなければならぬというので、ライナーばかりやっておった。私は数年前から、どうしてもトランパーでなければだめなんだ。ことに戦争でたたきつけられたような国が起き上るには、何といっても不定期船でなければならないと強く言っておった。しかしながら運輸省の方の御方針は、どういうわけか知らぬが、ライナー業者に押されて、わけもわからずライナー重点主義できた。そうして今のような状態はどうでしょう。戦争後ノルウェーが現在のように勃興した状況はどうですか。世界第三位の海軍国になっている。ギリシャがそうでしょう。今までは世界の海軍界において何ら問題にしなかったギリシャが、今大きくのし上ってしまった。不定期船でもって世界の七つの海を自由に彼らが歩いているという、こういう状態を見ましても、なぜ日本が終戦以来不定期船本位でどんどんやらなかったか。イギリスの海運が今日まで盛んになった原因は何か、不定期船ですよ。不定期船というものに重点を置かないで——さっき言われた欧州の航路問題なんか、お互いに航路を保護し合って、日本の船を割り込ませないようなところに割り込んで、それに国家が非常に金をかけて苦しんでやるよりも、不定期船でどんどんと開拓すべき余地がたくさんあるのに、なぜそれをやらないのか。ことしになってようやく不定期船業者の方の不満が非常に盛んになってきてから、ようやく定期船でなくて、不定期というものを重点的に考えるというのは、まさにどろぼうを見てからなわをなうと同じことなんんだ。どうして運輸省というものはこういうことを業者にとらわれないで、高い見地から国の将来というものはやらなければならぬというふうなことをお考えにならないか。私ども日本海運というものが、限られた少数の定期船業者に勝手に左右されて、役所や金融機関がすべてその言うなりに動かされておる現状を見ましても、こういうことでは日本海運の将来というものはない。どこの国と競争しても勝ちっこはない。戦いに負けたということは悲しむべきことでありますが、戦いに負けて一切の船がなくなって、ほんとう日本海運というものが立ち上る絶好のチャンスですから、不定期船重点を置くように、もうからない定期船は頭を突っ込んで、採算のとれる不定期船一つ考えないというような海運政策というものがあるでしょうか。私はあなた方の責任を追及するのじゃないのです。ほんとうに、きょうからでもいいですが、これからの海運政策はどうなければならぬかということを真剣に考えていただきたい。過去の済んだことは仕方がない。だれが責任をとったって、こうなってしまったのですからね。敗戦の責任がだれかというのと同じことですから、済んだことは仕方がないが、現実にすでに定期船だけを重点的に考えたってだめだということがわかった以上は、不定期船をどうして伸ばしていくかということをわれわれは考えなければならぬと思うが、この点、局長、部長のお考えはどうですか。
  42. 栗澤一男

    栗澤政府委員 お話のように今まで定期船重点を置いてやってきたという点はございます。これは輸出貿易との他を考えまして、国家一つの航権としての定期航路というものを急速に回復したいという熱意の現われだと私ども思うのでありまして、現在考えてみましても、まだ戦前の六〇%くらいしか定期航路は回復しておりません。積み取り比率から見ましてもなお今日の定期航路の現状は、日本海運界として十分とは言えない状況ではないかと思うのであります。従いましてこの定期航路に張りつけた船がなお不定期船が入っておるということも、今後も改善は続けなければならぬということは申せると思うのであります。ただそのテンポがある程度のコンスタントのものであればいいのでありまして、何でもかでもとにかく定期船重点主義的に持っていくということは、少くとも今後考えないつもりであります。なおトランパーをこういう際に大いに拡充しなければならぬという点は、まことに私どもの同感でございまして、今後の施策につきましては十分お考えのような点は考慮しながらやっていきたいというふうに考えます。
  43. 小山亮

    小山(亮)委員 定期航路不定期船が入ったって何も不思議はないです。数が少いときには、船腹が足らぬときには、不定期船を入れてやるということはあり得るわけです。ただ私が言っているのは、定期船でせっかく作った船を、行きがけは定期の荷物を積んで行きましょう。たとえばニューヨーク航路にしましても、現に事実があるのです。帰りには荷物がないでしょう。するとキューバなんかに回って、一カ月も二ヶ月もかかって帰ってくるという現状なんです。行きがけは体裁はいいが、帰りは不定期船の仕事をやってる。そういうことまでして、特定会社定期船だけを作らせることがおかしいというのです。定期船を作らせるということになれば、特定会社に作らせるのですから、さっきあなたが名前をあげられた会社にきまってしまうでしょう。その会社だけに作らせてしまう。ほかの会社には作らせない。だから不定期船で間に合うものならほかの会社でできる。ところが定期船名前で作るから、ほかの会社にできない。その定期船定期航路という名前で出かけて行って、不定期船の仕事をしてる、これが現実じゃないですか。そういうことをあなた方は知らないでおるのじゃない。知っておいでになる。だからそれを直す必要があるのじゃないか。それよりも不定期航路でどんどん仕事しておるような会社に、不定期航路の船を作らせる方がいいのじゃないか。特定会社だけに定期船だという名前でやらせておる、そうなると資格ができてしまいますから、その特定会社以外には定期船というものはできないでしょう。そこだけに作らせていないで、不定期船を作る会社があるのですから、不定期船で十分間に合う、採算のとれる船を作らせて、それでやったら国家のためによほど利益じゃないですか。会社のためにでなく・国のために利益じゃないかと私は思うのですがね。私は今までの運輸省やり方を見ていると、一つ会社のためにあまりに親切過ぎて、その会社の内容にまで立ち入って、その会社採算のとれるようになるまで心配してやり過ぎると思うのです。そんなことは会社がやりますよ。あなた方は国のためにどちらが利益かということで、いろいろな政策を立てるなり、いろいろな方法をお考えになるのが当りまえだ、こう思うのです。この点はお認めになるでしょう。定期・船という名前で出かけていってどんなことをしておるかということは、あなた方も御承知でしょう。だから私はそれを言うのです。それに対して何か御意見がありますか、私の言うことが違っていたら、どんどん反駁して下さい。
  44. 栗澤一男

    栗澤政府委員 先ほど私が申し上げましたのが発音が悪いために誤解された点があるようでありますが、定期航路不定期船が入っていると申しましたのは・これは不適格船が入っているという意味で申し上げたのでありまして、不定期船がはさまっておるという意味で申し上げたのではありません。もちろん定期船が修理その他のために一ぱいあきますと、そこに不定期船を持っていって、臨時に穴埋めするということは事実ございます。そうではなくて、常時この定期航路に張りつけてある船で適格でない船、たとえて申しますれば十五ノットにそろえる船で、九ノットか十ノットの船が一ぱいはさまっておるという場合には、これはやはり航路の経理上十五ノットでそろえる必要がある、こういうことを申し上げたのであります。  それからなお先生の御指摘の帰りにはトランパー物資を運んでくるのじゃないかというものも事実ございます。これはまあどちらに重点を置くかという問題でありまして、元来でいえば行きも帰りも定期物資を積んで定期に運航するのが当然のことでありますが、たまたま荷物の関係でできないというものがあり、またそういうものが相当あるという点は私どもの認めるのであります。しかし航権の問題としましては、それも一つ定期航路の権利を持ってやっておるのだというふうに私ども認定いたしておるわけであります。そういう点は私どものあるいは船主選考の場合にも十分考慮しながらやっておることは、お認めいただけると思うのであります。
  45. 小山亮

    小山(亮)委員 いろいろな点についてあなた方がたいへんにお調べになって、そうして船主選考なんかで許可をしておいでになるように私も見受けます。見受けますが、実際にできておる店を見ますと、必ずしも今あなたが言われるような工合に船ができているわけじゃない。たとえば日興丸のような船を見ますとこれもそうなんです。十五億も船価のかかった高い船です。そうしてタービンでしょう。これをディゼルでやれば、一日三十二、三トンの燃料で済む。ところがタービンの船で十八ノット以上も出して太平洋のブルー・リボンの場合をやるとなると、速力重点的に作って一日に燃料が六十七、八トンから七十トンも食うのです。こんな不経済船を運輸省で許可をして作らせてしまったということになれば、今のような好景気だからそろばんが合いますが、この間まではたいへんに困ったでしょう。十五億で作った船を十億で売ろうといって、イギリスまで売りに行ったり何かして、世界中に笑われている。今の少い資材で、そして日本国民の尊い金をそういうところにつぎ込んで、そんな不経済船を作らしているということが現にあるのです。私はそういうところから見ると、速力の速い定期船であれば何でもかまわぬ、大きな会社が要求したものだったら、何でもそいつの言うことを聞いてやろうというふうな行き方では、日本海運はだめだ、そういうことを言うのです。私が一々例をあげて、どの船かどの船かといったら、いろいろな船がありますよ。その例をあげていけば、結局その当時のだれが許可したかということになって、人の責任を追及するようになるから申し上げない。しかし私の言っていることは、何も根拠がなくて言っているのじゃないので、定期船不定期船というものについて今日こんなに世論がやかましくなってから、ようやくにしてあなた方の方も定期不定期ということに対して考慮をめぐらすのでなくて、もっとその前からなぜこういう問題に対して、もっと頭を突っ込んでいただけなかった−か、私はこれは国のために非常に大きな損失だったと思うのです。  もう一つは、現在の航路の問題について触れましたけれども、郵商と三井との欧州航路の問題について運輸省がいろいろ心配されて、これを円満に解決するように努力されたことは、国のために非常にいいことだと私は思います。しかし私どもから言わせると、もっとほかに、たとえば油を積んでくるにしましても、スマトラにしてもあるいはセレベスにしても、ボルネオにしても、手近いところに油を積んでくるところはある。これをイギリスかあるいはオランダかいずれかに交渉しまして、何もマレーからばかり油送船で日本に油を積んでこないでも、近いところにいろいろなものを積んでくるところがある。またそこからこちらにものを持ってくることによって、そこに新しい航路が開けて、そこにまた日本からの品物を持っていく機会ができてくる。これはできないとして全然頭を振り向けないということなく、運輸省の方が率先して通産省とも協議をし・あるいは外務省とも協議して、こういう手近なところに航路の新しく開けるような場所をねらって、開拓するつもりで協力されたらどうでしょうか。私は近いところに幾らもあると思うのです。たとえばカンボジアなんかでもそうなんです。日本との関係がだんだんよくなってきておるようなところには、むしろどんな小さな船でもいいから何とか回していって、定期航路でも開くようなことをこちらから向うに働きかけていくという事態じゃないでしょうか。これは業者にまかしておくとか、あるいは外務省にまかしておくとかいうのでなくて、運輸省、通産省がむしろそれを考えて、何か計画を立てて、仏印でも何でも手近な新しいところに航路を求めていくというような方法をお考え下さるわけにいかぬでしょうか。外務省あたりはおそらくそんなことはだめだというでしょう。しかしだめなことなんかありはしないですよ。やれば必ずできると私は思う。やらないでいたらいつまでもできない。それくらいまでやらなければ、日本の国が伸びないと思うのですが、これに対するお考えはどうでしょうか。どなたがそういう計画をお立てになっておいでになるか知りませんけれども、そういうような案は出たことはありませんか。
  46. 朝田静夫

    朝田説明員 ただいまのお話につきましてカンボジアの問題につ遂ましてはすでに定期航路を承認いたしております。これは利子補給法というような法規に基くものではございませんが、業界の非常な熱意から開拓をされた航路と思います。ただ、今の東南アジアあるいはスマトラあたりの石油の問題については、不敏にしてそういうことを業界からも承わったことはないのであります。あるいはそういうことがどこか抜けておるのかもしれない。しかしインドネシア等との問題は非常に複雑でもございますし、こちらからも輸出超過になっており、あるいは賠償との関係にもひっかかって参りますので、そういう点はむしろ——私は業界の積極的な御意見を待っておるわけじゃございませんが不敏にして、いまだかつてそういうことを聞いたことはございません。これからはそういう点につきましても、観点を変えまして勉強させていただきたいと考えております。
  47. 小山亮

    小山(亮)委員 私は悪口をいうわけじゃないのですが、悲しむべきことは、戦前日本海運界に非常に功労のあった、会社創立に功労のあった人たちというのは、終戦後みんな業界の一線から追放されて、現在の日本海運会社の首脳部というものは、その当時においては社内においては何ら発言力がなかったような、残されたような人々がなった。いわゆる三等重役というのが、現在の海運会社の親方なんです。一流会社だといっていますけれども、みんな三等重役なんです。ですから部下に対する統率力というものもなし、それから労働組合運動に対する理解力もないのです。ただ役所に行って三拝九拝をして、役所の援助にすがって、それから銀行家のところに行って、そのそでにすがって仕事をしている。それだけで、積極的に国のために何しようかというよう気持を持った人は、あなた方ごらんになっていても、おそらく今の船主協会にはおらないでしょう。事なかれ主義で、新しいことはいやだという。私はこの空気をぶち破って、新しい息吹きを何とか海運界に吹き込まなければ、日本海運界というのは永久に諸外国の後塵を拝するようで、だめだと思うのです。それにはどうしても人だと思うのです。あなた方の方も、こういう点については、私が今言ったようなことですら船主協会あるいは海運業界からいろいろな意見が出ないということを言われたが、こういう点もあなた方の方から注意をして、そういった声の出るように指導をしていただきたいのです。  それからもう一つは、さっき粟沢局長が企業整備と企業合理化、こういうようなことに努力しておる会社を優先的にいろいろ考えたいとおっしゃったが、それは一体どういう意味ですか、それを一つ承わりたい。
  48. 栗澤一男

    栗澤政府委員 たとえて申します。と、ただいま定期航路の状況では、先ほど調整部長からも御説明がありましたように、クローズド・コンファレンスというものは大体自社船でなければ認めないというような状況が多い。従いまして過去においてオーナーに定期船を割り当てて、それを定期船業者がチャーターして使っておるというような状況では、定期航路に使うことができなくなったというような状況が最近非非常に多い。そういう場合には、たとえばオーナーの持っておる定期船定期船業者に譲りまして、定期船業者からトランパーを譲り受けて船舶の交換をするということは、定期船業者の自社船を充実する意味において、また同盟関係におきましても定期船を使う上に非常に有利であるということも、再編成の趣旨に沿い、そういうふうな努力をしたものは、一応選考の場合にもその点を考え選考したい、こういうふうな気持であります。
  49. 小山亮

    小山(亮)委員 大へんまどろっこしいようなお話ですが、具体的に名前をあげると、どんな会社という意味ですか。
  50. 栗澤一男

    栗澤政府委員 たとえば昨年でございましたか、東邦海運が郵船会社定期船を渡しまして、郵船から不定期船を譲り受けて再編成したというのも一つの例かと思います。
  51. 小山亮

    小山(亮)委員 だんだん話を伺っていくと、何かあなたの方で案をお立てになるのにいろいろ含みがあって、そうしていろいろな条件を付しておいでになるように思われる。そうすると、その条件を見ると、それでどの会社とどの会社というものがきまってしまうわけでしょう。そうじゃないですか。内部の事情を多少でも知っている私どもから言うと、あなたの方で今言われたような条件を付して、こういう会社とこういう会社に許可するのだということになると、きまってしまうわけでしょう。
  52. 栗澤一男

    栗澤政府委員 今の例は昨年の初めか、あるいは一昨年の例でございますが、これは過去の例でございまして、そのために特に優先的に割り当てたという事実はないわけであります。従いまして先ほど申し上げましたのは、そういう努力をこれからしょうということに重点があるわけでありまして、昨年、一昨年の過去においてやったものを、今年も見るし、来年も見るというふうなつもりではない、今後そういう努力をするものを考えようということございます。
  53. 生田宏一

    ○生田委員 関連して。今聞いておって、ちょっとふに落ちないのですが、企業整備をしたというのは、計画造船建造した船を持っている会社があって、その会社定期船不定期船関係で、よその会社の古い船と交換をして、どうせ交換をするのですから、古い船は安いし、新しい船は高いでしょうから、もちろん差金はもらっただろうと思いますが、そういうようなお話ですと、企業整備というよりは、会社の経理を立て直したというような感じがするのですが、そういうようなチャンスを計画造船の船で与えていいものですか。そうしてまたその会社がもう一ぺん計画造船を申請してきたときに、重点的にそういう会社にもう一ぺん計画造船の権利を与えるという考えは、僕は了承できぬのですが、それをちょっと御説明してくれませんか。
  54. 栗澤一男

    栗澤政府委員 交換する船は計画造船と限ったわけではございませんので、たまたまそういう例があったので申し上げるのでありますが、主眼点は、要するに定期船というものは自社船でやる方が、同盟関係その他から見て非常にいい。従いまして定期船をオーナーが自分で持っておるということは、航路関係その他で非常に不便がございますので・定期船会社に自社船としてそれを譲る、オーナーはトランパーでけっこう運営ができるのでございますので、トランパーを交換して譲り受けるというふうな、要するに船舶交換という点に再編成関係重点を置いたわけであります。従いまして御質問の点が、計画造船をそういう他社に譲ることはまずいじゃないかということでございますれば、そういう場合には特別に承認をした、こういうふうに考えております。
  55. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると今のお話では、計画造船の船をかえたことには間違いはない。それでは政府に対する借りた金の償還とか、そういうものは船について回るのですか、あるいは最初計画造船を受けた会社政府に対する支払いの義務に当るのですか、あるいは船の譲渡を受けた会社の方が償還の義務に当るのですか、どちらですか。
  56. 栗澤一男

    栗澤政府委員 その船の債務がまだ完済しておりません場合には、大体その船は担保に入っておりますので・その担保と一緒に譲り受けた会社でその債務も承継する・こういう建前でございます。その場合には開発銀行がその債権を持っておりますので、開発銀行の方で譲り受けの会社の資産なり信用力なりを十分検討いたしまして、開発銀行が承認しなければそれはできない、こういう格好になります。
  57. 生田宏一

    ○生田委員 そうするとその船を交換した場合に、古い船と新しい船ですから船価が違ってくると思いますが、そういうのは幾らの差金があって、甲の会社から乙の会社にその差金の支払いをするとかしないとか、そういうようなこまかいところまで立ち入って運輸省の方では御存じなのでございますか、あるいは全然その点関係はないのですか。
  58. 栗澤一男

    栗澤政府委員 そういう場合には計画は全部私どもの方に持って参りまして、特に計画造船の場合には承認を受けることになっております。内容的には十分承知しております。なお海運監査室がございまして、一応そういう関係会社の経理状況その他を見ておりますので、そういう点についても十分内容的に検討しております。
  59. 生田宏一

    ○生田委員 その結果は、かりに定期不定期という関係で、あるいはオーナーの関係で企業整備をしたというだけであって、それがために不当に特定会社に非常に利益を与えたというようなことはありませんね。もしそういうことがあるならば、次の計画造船に再びその会本社を入れるということはおかしい。しかもあなたは重点的にやろうとおっしゃるのですが、もし甲と乙の会社の中で、内容を検討して、甲ですか乙ですか、どちらかに特定の利益を与えたということになっておれば、むしろ反対にそういうような企業整備はやめさせるべきじゃないか。そうして計画造船に再びそれを重点的に戻すという政府考え方は、役所の考え方というものが、業界との間にあまりに密接不離であり過ぎる・私はそう思うのですが、その点はどうですか。
  60. 栗澤一男

    栗澤政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたように、そういう再編成というものは実は望ましいものだと考えております。と申しますことは、過去において定期船をオーナーに割り当てているということが、ある程度今日の事態を来たした原因にもなっている、そういう点の修正というっもりでもあります。従いまして、一言に再編成と申しますか、交換は一つの例でございますが、そういうことに努力したものについてある程度考えてやるというようなことを、今後も考えたいと思うのであります。その点はただいまのお話と少し私ども考え方は食い違っておるわけであります。
  61. 小山亮

    小山(亮)委員 今の関連質問ですが、私もその点をお聞きしたかったのです。たとえばAならAの会社炉第何次計画造船でもって一応の割当を受けます。その会社がいかに大きな会社でも、大体において今年はその会社は二隻ないし三隻しか建造負担能力がないということで、三隻なら三隻の割当を受けるわけです。ほかの小さな会社が一隻ずつ受けます。それが子会社関係になっている。そういう小さな会社に受けさせておいて船を作ったあげく、今度は三隻しか割当を受けなかった会社が、今のような企業整備というような形で、五つも六つも子会社の船をぎゅっと集めて、その会社に持っていってしまうということもでき得るのです。それは運輸省の方でまことにけっこうなやり方であるといって御奨励になるのですか。そうだとすると、私はこんなインチキな造船はないと思う。やり方によれば一つ会社炉十隻でも二十隻でもの船ができる。子会社にみな作らせておいて、そうして今言う通りあとで企業整備というような形でうまい工合に吸収してしまえば、一年に五隻でも六隻でも一ぺんに船が持てるじゃないですか。これでいいのですか。それが自分の金なら私は文句を言わない。これは国民の金です。国家資金です。だから私はこの点に非常に疑義がある。それで今企業整備の問題をこれから伺おうと思ったのですか、時間がないということですから、いずれゆっくり伺いますけれども、あなたもこの方法考えて下さい。
  62. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午前十一時五十五分散会