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国務大臣(
重光葵君) その後のことはきのうの質疑のことになりますが、この十八カ国を一括加入せしめるというカナダ案でございます。これが二十八カ国の支持によって提案されておるのでございます。この問題を取り扱うために特別
政治委員会というものをこしらえて、それを取り扱っておったのでございます。そこで、その
委員会は、数は五十二対二票で賛成可決されました、そして棄権が五つでございましたが、その棄権という意味は、この
日本の加入に反対するという意味じゃ少しもないのでございまして、五十二対二でこの十八カ国加盟案がその
委員会は通過したのでございます。しかしこれはその案に対する審議機関でありましたけれ
ども、連合への加入そのものは、今度は安全保障何事会の推薦を得なければなりません。安全保障理事会の推薦によって今度総会でそれが最終的にきまるのでございます。総会は今のところ十五日に決定されております。そこで安全保障理事会をその前に通過したければたりません。そこで、昨日報告をいたしました
通りに、ここに
国民政府の
態度というものが非常に注目されておるのでございます。
国民政府に対しては、
日本政府としては、台湾駐在の
日本大使をして、及びここの
国民政府の大使を通じて、十八カ国の加盟案をみんなのむように、つまり外蒙古のことに腰を入れるために
日本の加入ができないという結果にならぬように、すなわち拒否権を使わないように、国際連合を強化するという大きな見地から、かつまた東アの大局から見て
日本を入れるという見地から、そういう拒否権を使おぬように、強く要請をいたしました。その最初の向うの
政府との接触は一度ではございません。たびたびの機会においてそれを強く要請をいたしました。しかし
日本の要請よりも一番きくのは
アメリカの要請でございます。これは
アメリカと
国民政府との
関係から見て明らかなことでございます。
国民政府に拒否権を使わないように、
アメリカ政府が措置することが非常にいいことでありますから、それをたびたび
アメリカ政府にいろいろ連絡をして、その措置を講じたのであります。その結果とは申しません、
アメリカ政府は
アメリカ政府としての
考え方がございます。その結果とは申しませんが、その後において、
アメリカ政府は、どうしても
国民政府に拒否権を使わせない方がいいという
考え方でもって、
国民政府に強くそれを要請しました。特に大統領は自分で三回の要請を蒋主席に対してやりました。電信でやりました、そして一回は一番強硬な反対の回答を得ております。二回は少し緩和した
態度の回答を得ております。三回目は、
国民政府に対して将来いろいろな
国民政府の国連における地位について保障を与えろというような代償をもって、
国民政府は拒否権を使わないようにしてもらいたいというところまでいったのでございます。この結果はわかりません。明日あたりに理事会が開かれますから、明日あたりは国際連合加入の、何と申しますか、クライマックスに達する時期でございます。明日くらいの後には、あるいは日曜、月曜日ごろには大ていはきまるのではないかと、こう
考えております。その大統領の三回目の勧誘が、きき目があることを非常に
期待しておるわけでございます。そうなりますというと、理事会がそういうことで拒否権も使わずして
日本の国際連合加入ということを推薦するということになりますれば、総会はもうほとんど問題なく通過いたします。それが今のところでは十五日、十六日の見当でございます。これらの問題については、いわば
外交機関をあげて過去数ヵ月にわたって努力をいたしております。何となれば、これは国際連合の地元だげの問題ではございません。国際連合に加入しておる六十カ国の各本国
政府の
態度によるわけでありますから、各本国
政府に
日本の
立場を
説明し、強く希望を要請する必要がございました。そういう手続を絶えずとって
交渉を続けてきたわけでございますから、全世界にもわたった
交渉というふうに相なりました。そういうことにつきまして、重大な問題でございますから手落ちのないようにあらゆる努力をして参りまして、在外機関にも非常に活動してもらいました。まあその結果がどれまで出ましたかということはこれはあまり申し上げることもできないのでございますけれ
ども結果は今の
通りに、問題は
国民政府だけになりまして、あとは全部
日本を支持するという状況になりました。そういうわけでございます。