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1955-12-16 第23回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十六日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員清澤俊英君辞任につき、その 補欠として、亀田得治君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            江田 三郎君            三浦 辰雄君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君           池田宇右衞門君            関根 久藏君            田中 啓一君            長谷山行毅君            宮本 邦彦君            東   隆君            河合 義一君            亀田 得治君            三橋八次郎君            奥 むめお君            森 八三一君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   法制局側    法 制 局 長 奥野 健一君   説明員    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君    農林省畜産局長 渡部 伍良君   —————————————   本日の会議に付した案件継続審査要求の件 ○農林水産政策に関する調査の件  (報告書に関する件)  (農地問題に関する件)  (農業改良基金制度に関する件)  (熊野川及び剣山開発に関する件) ○日本中央競馬会国庫納付金等の臨  時特例に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  最初にお諮りいたします。中央卸売市場法の一部を改正する法律案及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案は、審査を続けて参りましたが、会期も本日をもって終了いたすこととなり、会期中に審査を完了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、継続審査要求書議長提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお要求雷内容及びその手続等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。   —————————————
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に農林水産政策に関する調査につきましては、会期中に調査を完了することは困難かと存ぜられますので、議長あて調査未了報告書提出することにいたし、かつその作成についてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。   —————————————
  7. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 農地問題に関する件を議題といたします。東京村山農地取り上げ問題について、亀田委員から質問の御要求がありますので、この際御発言を願います。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 東京都の北多摩村山農業委員会に起きました小作地の不当取り上げ問題についてお尋ねしたいと思いますが、本日は聞くところによりますと、相当時間がつまっておるようですから、なるべく大事な要点だけを一つ聞くようにしたいと思います。  ちょうど今年の三月から十月までの間ですが、この間に村山農業委員会で約九十件に上る大量の集団的な小作地取り上げ事件が起きておるわけです。これは農林当局ではすでに御存じかと思うのですが、要するに農業委員会委員地主からしかるべく依頼を受けて、そうして農業委員会の書記が勝手に書類を作成して小作人に押しつけた、こういうことなんです。しかもその小作地を取り上げた地主の中には地方有力者といいますか、都会議員あるいは町長、それから農業委員自身も相当数まじっておる、こういうわけでして、農地法に基いて仕事を進めるべき農業委員がみずから法律をじゅうりんしておる、こういう事件が持ち上っておるわけなんです。このたくさんの案件の中でいろんな経過をたどっておる四件につきましては、農林大臣にすでに訴願が出ておるはずでありまして、おそらく本省の方でも若干手をつけておられるのではないかと思いますので、最初にその事件の全貌と、そしてそれに対する処理の方針、こういう点について一つ概括的にお答え願いたいと思います。
  10. 立川宗保

    説明員立川宗保君) ただいまお話のございました東京北多摩村山農業委員会におきます農地法第二十条に関する問題でありますが、これは私どもきわめて最近に賃貸借を解除された賃借り人の方からのお話がありましてな、お合計四件の同二十条の都知事許可に関する処分を取り消してもらいたいという訴願書が、これはたしか東京農地事務局提出されておると思いますが、そのようなことがありますので、いわば賃借り人側からのお話を伺っておるわけであります。そこで他方賃貸し人の方のお話は聞いておりませんので、今承知をいたしております限りでは、いわば一方だけのお話になるわけでありますが、そのお話によりますと、今の村山町の農業委員会の管内におきまして、今年の春以来九十一件の農地賃貸借の解除の申請が行われ、それを委員会受理をして、そうして大体その大部分のものに、ほとんど全部のものについて農地法の二十条の許可をすることがよろしいという意見をつけて、都知事に申達をしておる。ところがその申請書賃貸し人賃借り人の何方が同意をしておるという合意解約の形式をもって申請をしておるが、どうもほんとう合意ではないのだ、それでこれはどうも困るのだ、こういうお話を伺っております。  それで、なおそれに関連をして、先ほど申しましたのでありますが、すでに四件の訴願を十一月末に提出をした、こういうお話もあわせて伺っております。それでこのお話内容によりますと、農地法の運用が適切ではないのではないかという疑いも持たれますが、他方意見も聞いておりませんので、まず東京農地事務局にこういう非常に多くの件数について問題が生じておるのだが、事態をよく詳細に調査をして、そうしてその上で適当な処分を考えなければならぬのでありますが、まず調査をすみやかにするようにということを三日ほど前に東京農地局指示をしております。それで目下事務局がこれの調査をしておるはずでありますが、日ならずしてこの結果がわかって参ろうかと思いますから、それに従って適切な判断をして処置をしたいと考えております。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 今調査中ということのお答えのようですが、もちろん私は、たとえばほんとう合意があったかどうかといったような点については、双方意見をよく聞いてみなければ、軽卒に第三者としては断定できないと思うのです。私はまあそういう微妙な点は抜きにしても、すでに農林当局が受け取っておられる書類面からだけでもはなはだ農地法に違反する疑いがあるというだけのことば断定できる案件ではないからというふうに実は考えておるのです。これは具体的にそういう点から申し上げぬとわからぬのですが、時間の都合もありますから、一件だけ申し上げてみますと、たとえば地主渡辺平八小作人加園茂作、この人の問題を見ましても、たとえば申請理由の中に、小作人長男勤めに出たので、労力が不足になって十分小作地耕作できないからというようなことが書いてある。ところがこれは戸籍上明確なわけですが、長男昭和二十九年の二月にすでに死亡しておるわけなんです。こういう人間がほかに勤めに出るとか、そういうことはもうあり得ないことなんです。ただ、ともかく農地法二十条の、あるいは二十条に基く施行規則の第十四条の規定、そういったようなものに何か当てはまるようなことを適当に書いてある。こういうようなことはもう一見明瞭なのです。  それからたとえば農業従事者の数にいたしましても、地主の場合には二人しかないのに三人と書いてある、小作人の場合には四人おるのに三人と書いてある、わざわざこれを同等に書かれておる、あるいは生計状況ですね、これも二十条の判断の場合には非常に必要なことでしょうが、そういう場合でも、小作人の家族は非常に多いし、これはもう明らかに生計状態つり合がとれなくなることは明確なんです。こんなことは合意云々の問題じゃないので、客観的にきまっている事柄ですから、私はやはり書類等によって早くこの考え方というものを出すようにしてほしいと思っているのです。特に非常にけしからんと思いますのは、渡辺加園の間では一反二畝九歩の問題ですが、同時に渡辺はほか三名よりさらに少しずつ小作地の返還を要求しているわけです。しかもこれが全部許されておるのですね。それらを合計いたしますると二反をこえて、地主小作人との間の開きというものが非常に大きくなるわけなんです。こういう意は決して訴願人がうそをつけるものじゃないので、これはあとからすぐわかることですから、私はこれだけのことから見て二十条の二項三号のこの要件には該当しない、こういうふうに実は考えておるのです。しかしまあ一方のことを聞かないうちにどうもいろいろな結論は出しにくいとおっしゃる点もわかりまするので、まあお答えは遠慮しておきたいとも思いますが、ともかくこの小作人はこの土地を四十年も作っているというのですね、加園は、今申し上げた点は、四十年も作った土地をそんな簡単に農業委員会がよろしいというふうな決定をするというふうなことは非常に間違っていると思います。  そこで、この訴願書ですが、訴願書の扱いについてちょっと聞いておきたいのですが、弁明書はすでに農地事所属なりあるいは本省の方に来ておるわけでしょうか、都の弁明書は。
  12. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 弁明書の件でございますが、これは東京農地事務局でそれぞれ一件は十一月二十二日に、他の三件は同二十五日に受理をしておりますが、弁明書はおそらくまだ来ておらぬと思います。東京農地事務局書類がありますので、私詳細にその点を確かめておりませんが、まだ出ておらぬと思いますが、おそらくしかし日ならずしてこれも東京都知事弁明書が出ることだろうと思います。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 私は、たとえば訴願法の十一条の規定によれば、十日以内に弁明書を出す規定になっているわけなんです。こういう問題について不利な決定小作人がされて、そうして知事がその弱点を突かれたものですから、いつまでも弁明書を出さない。これでは農林省自身も裁判のしようがないですからね。で、延ばされるということは非常に困りますので、これは一つ自然に来るのを待たないで、本省の方から催促をして出さすようにしてもらいたいと思うのです。その点どうしようか。
  14. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この村山事件につきましては、片方の賃借人の方のお話を伺いまして、直ちに東京農地事務局の方にいろいろな事態調査するようにという指示をしております。きわめて迅速に処置しておるつもりであります。今の訴願の問題につきましても、すみやかに処置をすることが適当であると思いますので、弁明書その他の手続を急ぎまして、訴願の裁決をすみやかにやるように努めたいと思っております。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 それから、なお本件経過をずっと和みまして、はなはだけしからんことを実は発見しているのですが、知事はこの二十条の許可を、今年の六月十三日に許可しておるわけなんです。それを地元農業委員会にすぐ通知をしておるのですが、地元農業委員会知事許可書を受け取りながら、地主にだけそれを通知しているのです。これもあとから経過をお調べ願いたいと思うのですが、小作人には通知しておりません。おらないで、そうして今年の十月の末になって、地主から内容証明小作人に直接参りましたが、その内容証明の中に初めて知事許可が正式に出ておるということが書いてあって、そして内容証明をお前にやるから、すぐこちらに土地を返してくれ、こういう不意打ち的なことをやっているわけです。そして小作人としてはそういう不意打ちを食わされておりますから、まごついておりますと、その知事許可書を直ちに立川簡易裁判所に持って行って、立ち入り禁止の仮処分をした。これは明らかに農業委員会がわざわざ小作人決定書を知らさないで、こういう結託をしてやっているのですね。これはあとからわかってきたことですが、この約九十件の全部についてこういうことが行われている。これははなはだけしからんことなんでして、これはまあいずれ事態が明確になってから私はもっと別な面から責任を追及したいと思うのですが、ただ訴願関係のありますることは、訴願法第八条によりますと、この処分があってから六十日内に訴願をしなければならないことになっております。ただし第三項によって特に宥恕すべき事由のある場合にはその後において受付けてもいい、こうなっているのですが、そういうわけですから、この小作人たちが知ってから二月というふうにこれはこの事件については解釈して、そして訴願期間というものを考慮してやる必要があろうと私は思うのです。この訴願法は非常に古い法律ですが、戦後できた行政事件訴訟特例法の第五条なんかでは、初めから処分があったことを知ってからというふうな書き方をしているくらいですから、現在訴願の出ているのはこの四件です。ところがほかの事件も、これはまだ正式には地主からの内容証明が来ておらぬから、正式にはわからないのですが、問題が起きて調べに行ったところが、約九十件について、三、四件をのけてあと全部決定済みなんですね。そういうことがこっちの調査によって初めてわかったわけです。だからこれは知事が知らぬうちに判を消すわけにはいかんわけですから、いずれは全部訴願になる問題であります。だから私はこの訴願期間について一つ農林当局においては、こういう特殊な案件については二月を経過しておりましてもこれを取り上げて、そして十分一つ審議をしてやる、こういう態度をとってもらいたいと思っておるのですが、その点に対する御見解を聞いておきたいと思うのです。
  16. 立川宗保

    説明員立川宗保君) ただいまの点につきましては、事態をよく調査をいたしまして、その上でなるべく親切な処置をとりたいと考えております。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 それからもう一つ手続上のことですが、先ほど申し上げた件について、小作人の方から訴願法十二条による執行停止の申し出が出ております。私はこういう不明別ないきさつのあったものについては、とりあえず執行停止処分をしておくということが必要ではないか、結論が右左になれば、もちろんそれに従うということは、何も小作人が否定しておるわけではないのですから、ともかく手続においてははなはだ遺憾の点があるということが明確になりましたら、実質的な判断が出る前にでも、一つ十二条による執行停止だけは、公平な立場から農林省において考えてもらいたいと思うのですが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  18. 立川宗保

    説明員立川宗保君) ただいまの点につきましては、調査事態の結果が問題でありますので、調査いたしました上で、農地法の精神に照らして考えてみたいと考えております。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 もう少し明確に私は答えてもらいたいのですが、時間の都合上ともかく農林当局一つ良心と誠意を信頼して、この程度にしておきますが、私は本件だけではない。ときどきそういうことは痛感するのですが、知事が出したところの許可書を、これは地主にも小作人にも直接それを通知しなければならない、写しを送る、こういう規定をどこかで明確にしておく必要があるのではないかと実は考えるのです。これは当然のことと思う。そういう規定がないのかもしれませんが、こういう点について、これは一般的なことになりますが、ついでに見解を聞いておきたいと思います。
  20. 立川宗保

    説明員立川宗保君) その点は関係者に周知せしむることは当然のことであろうと思いますので、どういうような行政指導をいたしますか、その点は研究をいたしたいと思います。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 最後に、そういう点についてこれは規則——法律によらなくても規則で十分なことだと思いますので、一つお願いしたいと思うのです。そうしませんと、どうも知事が一々知ってやることじゃないのですが、はなはだこうやはり問題があとに紛糾して参ります。  それからもう一つは、知事がこういう二十条なんかの許可をする場合に、必ず耕作者を一度呼んで、そうして確かめる、こういうことも手続として絶対必要なことじゃないか、これは何といっても民主化程度の不十分な農村、そういうところだからこの農地法必要性もまたきわめて大きいわけですが、そういう点等を考えますと、現在のともかくやり方は、地元農業委員会を通じて知事に出す、こうなっておりますから、知事は必ずしも直接に調査をせんでもいいということにもとれます。しかしそこにいろいろな、知事が知らないうちに地元書類だけを信じてやって、あとから問題が起ると、知事としてもあとから問題を指摘されても、一たん判を押した手前があって、本来ならばあれはちょっとしまった、判を押し過ぎたとこう思っていても、一たん押してしまうとそれにこだわる、こういうことははなはだ関係者にとっては迷惑なことなんで、だからそういうわけで規則等の中でもいいわけですが、必ず知事は、あるいは知事に代って許可をする事務を取り扱っておる責任者は、必ず耕作者確める、こういうやり方一つ規定してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  22. 立川宗保

    説明員立川宗保君) もちろん当事者の双方地主小作人双方に、面接許可処分庁であります県において会って、話を聞くということが一番望ましいと考えますが、経費関係もいろいろございます。それができがたい場合もいろいろ現状においてはあるわけです。また各村の意見によって、これは十分事態をきわめておると判断される村もありましょうし、まだ不十分であろうと判断される村もありましょう。その辺経費と事情に応じてやるということより現状としてはいたし方がない状態でありますが、ただいまの御意見につきましては、将来の予算その他の問題ともからみ合せまして、できるだけそういう方向を実現したいという工合には考えております。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 その点はぜひ一つ実現させるように研究をしてほしいと思うのです。この本件の九十件を見ましても、全部これは都の方では耕作者を呼んでおらないのです、一件も。で四十何年間もこの耕作をした土地を、そう簡単にこれは常識的にもはなすはずがないのです。だから念のために、そのうち特に面積等の大きいものについては一、二件でも当ってみようかとか、これは最小限度それくらいのことは当然やってしかるべきものだと考えるのですが、それすらもできておらぬわけなんです。だからそういう現状でありまするから、ぜひともそれは一つ規則等によってそういう手続を明確にするようにしてやってもらいたいと思うのです。まあ現在のところ農林省としては都にその弁明書提出を催促しておるというような段階でもあるようですから、これは至急そういう手続を進めてもらって、耕作者言い分等も、これはただ書面じゃなしに、直接一つ十分調べてもらって、そしてできるだけ早く農地法に基く公正な決定を出してやってもらいたい、こういうふうにお願いをして、私の質問を一応ここで打ち切っておきます。いずれまあ事件の進展によりまして、ふたたび、出た質問する機会もあろうかと思うのですが、本日のところは時間の都合もありまするので、この程度でやめておきます。   —————————————
  24. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 農業改良基金の件を議題といたします。この件について、森委員から決議動議提出されておりますから、この際御発言を願います。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 昭和三十一年度の予算に関連いたしまして、しばしば当委員会でも質疑をいたしたのでありますが、その中におきまして、政府当局では農業改良基金制度を新たに創設しようという御構想が明確に打ち出されて参っておるのであります。その内容をだんだんきわめて参りますると、従来いわゆる少額補助金という呼称のもとに言われておりました、たとえば保温折衷苗代補助金であるとか、あるいは耕土培養事業に関する助成金、こういうものを数種目とらえまして、改良基金制度、すなわち貸付金制度に振りかえようと構想されておるのであります。もちろん私どもは改良基金制度というものの根本的な理念と申しますか、観念と申しますかにつきましては、これを全然否定するものではございません。ございませんが、その構想されております各種の事業の中には、従来通り補助事業としてこれを継続していくということが急迫しておる、そしてまた急速に解決をしなきゃならぬ食糧自給解決のためには非常に大切な事柄が多数包蔵されておると思うのであります。ただいたずらに少額補助金であるがために、それがややともいたしますると、目的方向に使用されておらぬというような、会計検査院等調査の結果に基く批難事項だけに頭を向けまして処理するということは、妥当ではないのでありまして、むしろそういうような間違った事件がありといたしますれば、それをためていくという方法を明確に研究すべきであって、私は保温折衷苗代にそういう事件があるのかないのか知りませんが、もしあるといたしますれば、これは現金で補助を交付するところに問題があるので、その資材を入手して交付するというようにいたしますれば、非違な事件というものは跡を断つと思うのであります。やり方が悪いために起きておる欠点をとらえて、食糧増産の道をはばんでいくということは、今の日本現状から考えて厳に慎しむべき非行であると思うのであります。   〔委員長退席理事重政庸徳君着席〕  そういうことでありますので、今回考えられておりまする農業改良基金制度のうちにおきまして、今申し上げまするような趣旨に基きまして、十分政府当局の再考を求めたいと思うのであります。それにつきまして、ただいま委員長からお話のありましたように、農業改良基金制度に関する本委員会意見をまとめて、政府に申し入れをする手続を取り進めていただきたいと思うのであります。つきましては本委員会の取り進めをいただきたいと考えておりまする決議に関しまして、素案を準備いたしておりまするので、このお諮りをいただきたいと思うのでありますが、この際速記をとめていただきまして、懇談に移していただきまして、懇談によってその内容を御審査願い、決定いたしますれば、あらためて正式に付議を願うというようなお取り運びをいただきますれば非常にけっこうかと思いますが、さようにお取り計らいを願いたいと存じます。
  26. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) それじゃ速記をとめて。   〔速記中止
  27. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) 速記をつけて。
  28. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま懇談機会を通しまして、御了解をいただきました改良基金制度に関する決議案につきまして、以下朗読いたしまする動議をお諮りいただきたいと思います。    農業改良基金制度に関する決議(案)  農林省は、昭和三十一年度予算において、農業改良基金制度を設け、農村への技術の普及を目的とする補助金貸付金制度に改めようと企図し、従来行われてきた、保温折衷苗代事業耕土培養事業西南地方水稲植栽培事業その他数種月に亘る事業に対する補助金貸付金に振り替えようとしている。  農業改良基金制度は、補助金制度の改正に籍口して、農業育成助長を阻害し之を後退せしめる危険を包蔵するものであるから、かかる制度については特に慎重な検討を要するものである。  ことに、今回、貸付金制度に振り替えられようとしている各種事業の中、現状において未だ補助奨励の段階に在る事業については、既定の計画に基き、従来の方法に従って補助事業として継続実施すべきである。  右決議する。   昭和三十年十二月十六日      参議院農林水産委員会  以上であります。
  29. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) ただいま森委員動議提出に対して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) ただいまの森委員動議による決議は、全会一致をもって可決いたされました。   —————————————
  31. 重政庸徳

    理事重政庸徳君) では、昨日に引き続きまして、日本中央競馬会国庫納付金等の臨時特例に関する法律案議題にいたします。  本法律案は昨日衆議院において修正議決され、本院に送付、ただちに当委員会に本付託となりました。昨日に引き続いて質議を行います。順次御質問をお願いいたします。
  32. 江田三郎

    ○江田三郎君 まあ、この法案の根本的な問題点につきましては、昨日私御質問したわけですが、会期が本日限りというのにこういうものを審議するのはまことに迷惑な話でありまして、私どもとしましても、こういう特例を作る以上は、現地のどこが、体老朽しているのか、その程度はどうかということも見なければなりませず、また昨年の法案審議のときの議事録も勉強してみなければならぬと思うのでありまして、そういう時間的余裕なしにかようなものを審議するのは非常な迷惑でありますが、まあ、そういうことはそういうこととしておきまして、若干お尋ねしてみたいと思うのは、「年二回を限り」ということになっておりますが、「年二回を限り」ということは、現在の三十六回が三十八回になるということなのか、どういうことなのか、その点まず第一にお尋ねします。
  33. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 今までは三十六回が許されておりますが、今度のこの二回の特例が入りましても、三十六回の範囲内にいたす方針でございます。
  34. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうしますと、まあ私は、これは別な感覚を持っているかどうか知りませんが、私がこの第一条をすなをに読むというと、「年二回を限り、農林大臣許可を受けて臨時に同法による競馬を開催することができる。」こういう文章を、法案をすなおに読むというと、「臨時に」ということがある以上は「年二回」ということは、三十六回プラス二回としか解釈できぬのですが、そういう私の解釈は誤っているでしょうか。
  35. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 規定から見ますと、そういうふうな見方も衆議院でも問題になったのでありますが、そうじゃなしに、この法案の第一条で「その復旧又は改築に要する費用に充てるため、競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)第三条第一項の規定にかかわらず、」ということを入れておりますのは、競馬法第三条第一項は「中央競馬の開催は、競馬場ごとに、年三回以内とする。但し、天災地変その他やむを得ない事由に因り、一競馬場において年三回開催することができないときは、その開催することのできない回数の中央競馬は、他の競馬場において開催することができる。」ということになっておるのであります。ところがこのただし書きの字句から見まして、その復旧または改築に要する費用に充てるために競馬を開催いたそうということが、この第三条ただし書きの天災地変その他やむを得ない事由によるということに入るか入らないかということについて法制局で疑義が出ました。疑義が出ないように、この復旧または改築に要する費用に充てるためにはある競馬場で年三回をこえて開催ができるというふうにいたしたのであります。そこで疑問が出まして、それじゃ各競馬場ごとに年三回ができるのか、こういう疑問が出ましたので、そういうことでなくして、全競馬場を通じて年二回であるという意味を明確化するために、衆議院におきまして全会一致で「全競馬場を通じて年三回を限り」というふうに修正をされたのでございます。
  36. 江田三郎

    ○江田三郎君 全競馬場を通じて二四ということは、今の説明を間かなくても私の方は別に疑問に思っていないのですが、全競馬場を通じて年二回であろうと何であろうと、農林大臣許可を受けて臨時に同法によるということがあれば、この二回というものは、私どもの今まで習った文章の解釈からいくと、三十六回プラス二回としか解釈できないと思うのですが、もしそうでないと言われるならば、この問題については委員長の方で法制局長を一つお呼び願って、私は法制局長からも意見をただしてみたいと思います。  それからその問題につきましては、あとで法制局長が見えてから、あらためて御質問いたしますが、かりに三十六回の中の年二四だということになりますと、それだけのものは、つまり減税というのじゃない——正確な言葉は何という言葉になるか知りませんが、特にそれだけのものを、普通国庫に入るべきものを特に免除したということになるのであって、三十六回プラス二回ということであれば、国庫に今まで予定せられている納付金はその通り入るのであって、そうして余分なものが中央競馬会の方へいくんだということになりますが、三十六回の中の二回ということになると、当然国庫に入るべきものを予定されているものを削るということになるので、相当意味が違うわけですが、それはやっぱりそういうふうにお考えになっているのですか。私どもがこの臨時にというような、この法案を読んで受けた感じは、三十六問はやるのだと、やってそれだけ今まで予定している国庫の納付金はちゃんと入れるのだと、ただそれより以外に別な競馬をやらして、それだけのものを国庫の方に納めんで競馬会にやるのだと、こういうような印象を受けましたが、それは違うわけですね。
  37. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 江田委員のおっしゃるように、三十六回プラスというふうに読めないこともないのは、これは衆議院の法制局の方でも話が出ておるのであります。ただしそれは現実の問題が、現在は競馬場の施設、それから馬の能力からいきまして、三十年度は二十六回しか開催できないのであります。そこで競馬法の建前からいくと、まだ十回の可能性があるのであります。三十一年度におきましては、阪神、中京等の競馬場、あるいは小倉の競馬場等の施設、あるいはそちらの要求、きのう話が出てきましたように馬の能力が前年度に比べて二百頭以上もふえておる、こういうふうな関係でありまして、ある程度の回数を増すことができることになっておるのであります。まあ三十回前後は行えることになっておりますが、そのうちの二回はこの復旧費に充てるための競馬をやろう、そういう意味からいきまして臨時という文字を使ったのであります。法律そのものの解釈では、先ほど申し上げましたような競馬法第十三条のただし書との関係のみならず、一条の一項の本文との関係において三十六回開催もできるじゃないかというふうに読めるのであるけれども、現実には今申し上げましたように競馬場の能力、馬の能力でまだまだそこまではできぬだろう、そういう考えであります。
  38. 江田三郎

    ○江田三郎君 法律の条文というものは法律の条文として読むのが常識だろうと思うのですけれども、法律の条文を実情がこうだからこういうことになりますというような読み方は、私どもはどうも賛同いたしかねるわけでして、これは先ほど申しましたように、後刻法制局長が見えてからもう一ぺん聞きます。  そこで、その問題はあと回しにしておきまして、なおそのほかの内容についてお聞きしたいのですが、かりにこういうような特例を設けるということになると、たとえば地方競馬においてももしこういう要請があったらどういうことをされますか。地方競馬においても開催の場所なり、あるいは回数というものは厳重に制限をされているわけです。なぜ制限をされたかということにつきましてはいろいろ問題がありますが、とにかく厳重に制限をされているわけですが、それをやはり地方競馬でも施設の老朽というようなことはあるだろうと思います。ここに書いてあるような勝馬投票券の売り上げの見込み違いというものもあるだろうと思うのです。そういうようなときに、地方競馬について同様の要請が出た場合には、ひとり中央競馬だけに特例を設けて、地方の要請を一切蹴るということは、これは私はできなかろうと思うのですが、そういうことは予想されませんか。
  39. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 理論上はお話通りになると思います。ただし現在のところではまだそういうことを予想しておりません。
  40. 江田三郎

    ○江田三郎君 まあ地方財政というものがいつも置き去りをくうということで、今国の臨時国会でも問題になったのでして、やはりこの中央の競馬会のことは考えるが、地方についてはそういうことは考えぬというのは、私はやっぱりあまりにも中央集権、まあ意味は違いますけれども、そういう傾きが、弊害が出てくると思うのでして、一ぺんこういうようなものを作れば、どうもあと同様な要求についてこれを押える理論的根拠は私はなくなると思うのです。さらに競馬だけでなしに、たとえば競輪についても同じような問題が起きたらどうするかということになってくるわけで、やはりまあ考えの浅い私ども議員がこういう立法をしたというのなら、あるいはそういう抜け穴があって相済まぬということになりましょうが、いやしくも政府当局で提案される以上は、どちらから言われても問題のないようなきちんとしたものでなきゃならぬはずであって、そういうことが理論的に予想されるけれども、まだ考えていないというような答弁では、私は政府提案のこの法律案としては首尾一貫を欠いていると思うのですが、そうお考えになりませんか。
  41. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 私の言葉が少し不十分でありますが、そういう事態が出てきますれば、この方法でやるか、あるいは別の方法でやるかという方法論ば残ってくると思いますが、施設の老朽に対する復旧費を捻出するための方法はどうしても考えなければならないと思います。それからきのうもちょっと申し上げたのでありますが、競輪等につきましては、もうすでに昭和二十九年に納付金の率をうんと下げてきております。むしろ競馬の方につきましては、競馬民営移管等の関係があって、準備がおくれておる。地方競馬等につきましても、これは現在までずっとそういう状況を調べてきておりますが、今問題になっているほどの施設の老朽——と申しますのは、むしろ地方競馬の方は、あるものはもう大分とか愛媛とか、どんどんやめてきておるのであります。その後できているものは新しい施設でやっているのが相当あるような関係でありまして、すぐ中山のような状態が出てくるかこないかという問題は、今図面を取り寄せていますが、まだはっきりしません。そういう意味でまだ考えていない、こういうことです。
  42. 江田三郎

    ○江田三郎君 今の答弁でいきますと、地方からそういう問題が出てくると、これについても考えなければならぬ、こういうことになると、いよいよこれは大へんなことになってくるわけです。御承知のように、今回地方財政の赤字補てんのために公共事業も若干判るというようなことになっておるわけで、現在の公共事業というものが十分な手当をしておるものでないということは、もう農林当局としては知り過ぎるほど知っておられるはずです。何年か前の災害の復旧さえもできない、こういうような状態におかれておるときに、ひとりこの競馬場あるいは競輪場というようなものだけが要求があればそれを開いてやらなければならぬ、しかもこれは勝馬投票券の収入というちゃんとした自分の財源があるわけですから、そういうものは最も優先的に、今のような論法でいきますと、優先的にりっぱになってくるわけで、川が破れて、堤防が破れて、そうして競輪場と競馬場だけがりっぱに復旧するという日本の姿は、私は漫画じゃないかと思うのですが、そうはお感じになりませんか。
  43. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これも、昨日から問題がありますように、競馬を施行するかしないかという問題は、根本問題として残っておるのであります。しかし、あすから競馬をやめるということができない間は、競馬場の設備の不備によって、大勢の人が集まるときにもし万一の災害があるというようなことは、競馬をやる当局としてはほっとけない、そういう意味におきまして、どうしても差し迫った問題は片づけないといけない、こういう考え方であります。それがゆえに、すぐ競馬納付金があるから何でもかんでもりっぱにしていく、そういう考えではないのでありまして、大ぜいの人が集まる所でありますから、それによって施設が悪いから災害が起らないようにする、そういう考え方であります。
  44. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうなると、いよいよ変なことになるのですよ。競馬をやめるとか何とかいうことじゃない、しかし、大ぜいの人が集まるときに事故でも起ったらといって、大ぜいの人が住んでいるところの川が改修できなかったり、大ぜいの人の住んでいるところの提防がこわれたままになっているという、その方が私はもっと重大な問題じゃないかと思うのですが、まあ幸いその通のベテラン農林大臣が見えましたから、一つ新畜産局長や新政務次官でなしに、大臣の方にお尋ねします。  そこで、私はきのうもちょっと根本的な問題を聞いたわけですが、従来国会の末期になるというといろいろなものが出てくる。そうしてまあ多くはそれが議員立法であった。そこで国会の末期にどさくさにまぎれてあるいは利権法案、おみやげ法案というようなものが通るんだということを新聞あたりでも非常に痛烈に批判をされてきて、私どもその法案の審議に当っている者としては、そういうものではないんだ、これはやっぱし民生安定のための必要欠くべからざるものだと思って審議をやってきたが、世間はそうは見ないで、国会末期のどさくさに、えてして妙なものが出てくるんだということを言ってきたわけです。そうしてまあ今回のははからずもこれが議員立法でなしに、政府提案としてこういうものをお出しになってきておる。しかもその内容は競馬に関するものである。競馬というものについては農林大臣はその道のベテランですから、競馬ということについて私たちより深い御認識を持っておられますが、どうも世間一般の感じとしましては、競馬というものはギャンブリングの一種なんだというような認識の方が強いわけです。そういう競馬に関する、しかも納付金を免除してやろうというようなものが、きょう限りの国会で、きのうの午後になって国会へ提案されるというようなことは、私はこれは政府としてはあまり適切なやり方をなさつておられんじゃないかと思う。もっとも会計年度の関係等々、いろいろ事情は聞きましたけれども、それならそれでもっと早くちゃんとお出しになればいいのであって、こういうものを会期あと一日というようなときに出してこられるということ、しかも今度の臨時国会というものは一番問題になるのは地が財政の赤字の始末をどうするかという、そうして地方財政の赤字の始末をつけるために一方では公共事業費も、これは農林大臣の説明によると、削るんではないと言われますけれども、予算に計上されているだけの公共事業ができないということをやっていかなきゃならぬ。そういう公共事業も削らなきゃならぬというときに、ひとり競馬に関係のあるものだけを会期あと一日というときになって突如としてやられて片づけるということは、私は政府としてどうもあまりいい手ぎわではないように思うのでして、特に二大政党になって、政党に対する国民の信頼もまた高まってこようというときに、こういう形のものが出てくるというと、これは多数を頼んだ一つの無理押しではないかというような印象も与えるのではないかということを感ずるわけで、しかもこういう措置をとらなきゃならぬという理由を提案説明によって見ますというと、建物の耐用年限を越えておるとか、あるいは馬券の売り上げ高が予想よりも下回ったとかいうことでありますけれども、こういうことは、たった一年前にこの法案を通したのであって、一年前から耐用年限を越えておるかどうか、あるいは勝馬投票がどのくらいの見込があるかどうかというようなことは、およその見通しがつくべきはずであって、それを政府の方が見込み違いしたから、議員の方が議員立法としてそういうものをやっていこうというならまだわかりますけれども、政府がそういう提案をして、また政府が一年前の予測を裏切ったということでかような跡始末をしなきゃならぬということは、何と申しましても、どうも納得がいきかねるわけですが、そういう点について大臣としての御所見を承わりたいと思います。
  45. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ただいまだんだんのお話でございますが、ごもっともと考えます。この問題には相当の経緯がございまして、実ば去る夏の国会に衆議院の農林水産委員会の方で議員提出でこういうことをやろうという、しばしば競馬場を見聞しておられる議員諸君からお話があったのでございます。その際に会期も終りに近づいているときに、だから、まあもう少し研究をしてみたいというようなことを御内談申し上げました。そうして今回の議会に回ったわけでございます。その国会の休みの間にいろいろ委員の諸君の間にも御検討はなされまして、そうして結局通常国会に提案するということで皆さんにお話し合いがありました。ところがただいまお話のありました通り、会計年度の関係で早急にこれをやらなければいかぬというようなことで、今回の臨時国会の初めから議員提出で出そうというようなことで、党派を越えていろいろとお話し合いがあったように私は記憶しております。そうしてだんだんできました案についていろいろ御研究がありました結果、予算を伴うものであるから、議員から提出するのはどうも妥当でないというようなお話も一部の人から出て、むしろこういうものは政府で出した方がいいのじゃないかということで、その問題を初めから政府提案とするということでございますれば、会期の初めに政府の方は準備をして出すべきであるということはお説の通りでございまして、ただいま申し上げたような経緯を通じまして、そうして議員提出よりも政府提出の方で扱った方が妥当であるということで、それを政府の方は引き継いで、私の方としましてはさらに検討を加えまして、政府としてこの案を定めたわけでございます。ただそれについてはいろいろ御意見もおありのようでございますが、会期の終りに突如として出したということについては、今申し上げたことで御了解願いたいと思うのでございまして、決して会期の終りになって審議に十分の時間を与えないうちにやるというようなことは全然ないのでございまして、政府としては今申し上げたような経緯を経まして、政府の方でこの案を提案して御審議を願うということにいたしたわけでございます。  そこで、今去年出して、すぐまたことしということでございますが、実は昨年中央競馬会の法案を提案いたしました当時の経緯を見ますると、政府として当然競馬場の改修等をしなければならぬときに至っておりましたが、政府としてはこういうものについての手が回りかねておられたものと私は思うのでございまして、しかもそれが全く朽廃いたしておりまして、政府委員からいろいろ御説明申し上げたかもしれませんが、大ぜいの人が集まって、その建物が事故でも起ったら——というような程度に中山競馬場のごときはなっておるのでございます。そういうわけで全部の競馬場を直していくというわけではないのでございまして、ぜひ監督官庁といたしましても、事故の際に備えて適当にこれを修理さす方がいいのではないかということで、この案を出すようにしたわけでございます。  それからまた益金の点についていろいろお話がございましたが、見込み違いがあるというのは少し政府委員の説明と私食い違うかもしれませんが、私の承知しておりますところでは、大体政府予算以上に現在売り上げも必ずいかぬことはない、ときに消長もございます。また少いときはひどく少いし、多い日にはひどく大ぜいの人が一ぺんに参られますので、この競馬場については非常に不備であり、不完全である、ああいう場所は相当に設備をしておりませんと、そのために一般から誤解が起ってみたり、不測の事態が起るようなこともございますので、設備としては一応了承のできる程度さしておくことが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。  それについて、利権であるとか、おみやげであるとかいうものが会期末に提案されるということでございますが、これは申し上げるものも蛇足と思いますが、そういう種類のものとは全然私は関係がないものというふうに考えておるわけでございます。
  46. 江田三郎

    ○江田三郎君 これがすぐに利権であるとか何とかいうことを言っているのじゃなしに、今まででも会期末の法案というものはそういう批評を受けておる。われわれとしてはそのために身を切られるような思いがする。やはり今度も、しかも問題が競馬ということになると、世間の扱いとしてはそうなりがちじゃないかということを私は言うわけです。そういう点は二大政党になって日本の政界が新しい姿でいこうとするときには、さような無用な批判を与えられるような条件は作るべきじゃなく、避けるべきであると言っているわけです。  それから今の勝馬投票券の収入については、これは大臣のお考え違いで、ここに来ている資料で二十九年度は四億円の減少、昭和三十年度はやはり五億円の減少になっているわけです。そこで今も畜産局長に御質問して御答弁を得たわけですが、中央競馬についてこういうような臨時特例を設けると、あと地方競馬についても同様な申し入れがあったならばそれを聞かざるを得んではないか、中央という名がついているからそれだけを聞くということは、今国の地方財政、中央財政という論理からみると、そういうことはすべきでないということになるわけで、そこでそうなって地方競馬についても同じような要望が出てこれを開いてやろうということになると、これはいよいよ混乱して収拾がつかないようなことになりはしないか、そういうことを考えるわけですが、これはどうお考えでございますか。
  47. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは私は全然筋が違うと思います。地方では競馬は、たとえば県営の場合には県が設備を持っておりますから、ないしは県が一定の料金を出して借り上げているわけでございますから、その競馬を開催するものが民間で、民間自身が設備を持っているという場合はございません。でございますから、ただいまお話のような場合は特例というものは私は絶無と考えております。そういうものはないと思っております。市が競馬をやる、県が競馬をやる、このほかにございませんから、その競馬を開催する団体が、たとえばこの中央競馬会になる前の国営と同じような仕方になっておりますから、国自身が競馬をやる、国自身が競馬場を持っておりますから、国自身で予算の中でやりくりしておりますから、こういうような特例にはなってこないというふうに考えております。   〔理事重政庸徳君退席、委員長着席〕
  48. 江田三郎

    ○江田三郎君 しかし競馬法で地方競馬を開催できる場所、それから回数というものをきめておられるわけです。そこで地方競馬についても施設が老朽ということになるなら、臨時競馬の回数をふやすというようなことは出てくるわけですね。
  49. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それはお答え申し上げます。全体の回数はふやさないのでございます。これも臨時競馬と申しましても、臨時競馬を今まで五十回やるものを五十二回にするとか、五十三回にするとか、この建物を建てるために競馬の回数をふやすのじゃないのであって、今現在やっております競馬の中で政府に納付する納付金を免除するということでございますから、そのために競馬の回数をふやしてもっと余計競馬をやらせるということじゃないのであります。
  50. 江田三郎

    ○江田三郎君 しかしこれは今の施設が老朽しているということが原因で臨時にということで、とにかく納付金を、臨時にということが三十六回プラス二回であるか、三十六回の中の二回でるあかということは当局の解釈は、三十六回の中の二回だと言われますけれども、私はこの文章をすなおに読めば、「年二回を限り、農林大臣許可を受けて臨時に同法による」というこの文章はすなおに読んだら三十六回プラス二回としか読めないと思うのです。しかしその問題については、これは私だけの解釈ではいけませんから、後刻法制局長官を呼んでこれは確かめるということにしているわけですけれども、とにかく納付金を取らないような、特にこの特定の利益を与える臨時措置をとるわけですね。そうするとそれと似たようなことを地方競馬についても、特定の一定以上の利益が上る措置をとれという要望が必ず出てきましょう。それがこれと同じような形でなくても、あるいは地方競馬が法律できめた回数をふやすとかということは私は出ざるを得んと思います。
  51. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 別の点から一つ御説明をいたします。現在の私のとっておりますことのよしあしは別の議論といたしまして、土曜、日曜、祭日以外には競馬はやらんようにしてくれということを私はきめております。その趣旨に沿って競馬の開催をしております。従って現在の開催日数以上に開催できないのであります。でありますから、その外に出てやることはできない。従って現在開催している競馬の中から指定してその中のものを納付金を免除する、こういうことにいたしません以上は、競馬開催日数が詰まっていますから、これ以上やることはほとんど私は不可能じゃないかということになりますから、また私は、これを命じて立案させましたときの趣旨も、今の全体の規模の中を通じてやるべきだ、こういうふうに、文章については今いろいろありましょうが、その精神はそういう趣旨でやらせておるわけであります。
  52. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうすると、もうこれ以外には、地方から要請があろうと、何であろうと、技術的にも不可能であるし、政府としては一切かような特例をする意思はない、こういうことですね。
  53. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そうです。これ以上競馬の開催日数をふやしたり、新たに競馬場を作ったりということについては、そういうことは考えておりません。
  54. 江田三郎

    ○江田三郎君 それから臨時に、「農林大臣許可を受けて臨時に」という場合ですが、これは私は、その場所と日取りの選び方というもので非常に違ってくると思うのです。非常に売り上げの多い回もございましょうし、売り上げの少い回もあるわけで、そのときにもし一番売り上げの多い場所で、一番売り上げの多い日取りを指定するということになると、そうするというと国庫へ納める納付金には非常な影響がくるということを考えざるを得ませんが、従ってまた、一般の中央競馬会の経費にいたしましてもまたそういうことからして違ってきて、通常の減価償却費等が非常にまたでにくくなるのじゃないか、そういうことを考えざるを得ませんが、一体臨時に開催することを許可される場合には、どこで、およそどういう日取りでお考えになりますか。
  55. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは大体競馬場改修の必要度、それによって組まれる予算というものをこれで出すことでありますから、それだけのものは出るようなふうに一応推定して計算をしなければいかんと思います。
  56. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうするとここに書いてあるのは、二回によって一億五千八百四十万円というものの収入を考えておられるわけですが、それが出るような場所と日取りで考える、こういうことですか。
  57. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そうであります。
  58. 江田三郎

    ○江田三郎君 そこで、そういうことになると、この場所と日取りというものが、一番優先的に選ばれるという可能性が出てくると思うのですが、そうすると残った場所と日取りでの収入というものは、平均の収入より減ってきて、そうして通常の経理状況というのはどうしても私は悪くなって減価償却等に充てるものは少くならざるを得ないと思いますが、そうはなりませんか。
  59. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は私この表も今初めて見たのでございますが、勉強の足らない点は御許しを願いたいと思いますが、大蔵省の競馬収入の予算が本年度九億八千万円くらいになっておるそうでございます。その九億八千万円になっておりますその予算に食い込むようなことはよろしくないという意味から、予算の外に出る分において考えなければいかんじゃないかということを一応原則にしておるわけでございます。でありまするから大蔵省予算の国庫の収入を見ております九億八千万円を外に出るということは原則として考えておりますので、今のようなことで一番いいところを取ってしまったら、国庫の納付金も収入も減ってしまうじゃないか。従ってほかの方に影響があるじゃないかということについては、十分注意をしてしなければいかんのではないかと考えております。
  60. 江田三郎

    ○江田三郎君 三十一年度予算のことは私はわかりませんけれども、かりに三十年度でいくと、国庫納付金が十一億七千八百万円あった。そこでもしこの通りでいきますと十一億七千八百万円。プラス一億五千八百四十万円、これだけの納付金を上げるという計画をお立てになる、こういうことになりますね。
  61. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そうじゃございません。今のお話は実数でございますから。
  62. 江田三郎

    ○江田三郎君 それは十一億七千八百万円が来年度どうなるかということは、三十一年度のことはわかりません。わかりませんけれどもそれは一億五千八百四十万円を出すために、こちらの十一億を削るということではなしに、この競馬の勝馬投票券の売り上げのカーブ等を見て、あるいは景気の見通し等をつけて十一億七千八百万円がどういうふうに変動になるかわかりませんが、その出た数字にプラス一億五千八百四十万円というものを加えた収入が上るという計算で日取りと場所をおきめになる、こうなりましょう。
  63. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そういうことじゃないのでございます。大体案を立てます際に議員の方といろいろ話をしておりましたときには、ことしの予算として大蔵省が歳入に計上してありまするものは、九億八千万円でございます。それが実数で十一億幾ら現在想定されるということでございまして、これは非常に不確定でございます。不確定でございますから、その不確定なものを基礎にして考えるのではないのであって、大蔵省がことしは九億八千万円、それを来年はこのカーブによって十億と見るか九億と見るか、それは大蔵省と折衝して、大蔵省の方でも考えております。それを基礎にしてそれを固定して、その上にプラス今のように出るように考えていきたいとこういうことでございます。
  64. 江田三郎

    ○江田三郎君 ことしの予算で見ておるものを、そこから景気の指数や、あるいは投票券の売り上げの数字を見て、一定の金額を作る、それにもってきて一億五千八百四十万円とここに見込んでおるところの減免予定額というものはこのプラスですね、そうするとそれだけのものを三十六回をプラス二回ということなら、私は出ると思いますが、回数は依然としてそのままにしておいて、三十六回の内ワクで臨時競馬をやらせておいて、そんな計算が出るということは、私は常識論としては出ないと思いますが、そこは競馬のことですから……。
  65. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ちょっと申し上げます。競馬場の中で、北海道で開催する場合と東京で開催する場合と、それから関西で申しますと小倉で開催する場合と淀で開催する場合と、非常に売り上げが違ってきます。というわけでありますから、今北海道をやめようとか九州の小倉をやめようとか、北海道の競馬についてはどういうふうにしていこうということなどが競馬会の中ではいろいろあるようでございます。そういうようにして一番収益の上るようにして競馬の開催についてもう少し合理性を求めていくということについて努力をいたしますれば、必ずしも開催回数を増加しなくてもいけるという方法は認められるんじゃないか。これらは競馬審議会についていろいろ御議論があると思いますが、そういう点はそういうことによって出てくると思う。今お話しのように特定の、中山の場所についてだけで考えますれば、金言う通り同じ場所で同じ回数でやって同じように出てくるということはないんじゃないかということになりますけれども、全国の競馬場を通じて考えます場合に、どこで開催日数をどうするこうするということによって出てくると私は思います。
  66. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいま本院の法制局長が出席されました。
  67. 江田三郎

    ○江田三郎君 今大臣のような御答弁からいきますと、そんなら私は別にこういう特例をやらなくても、現在の法律の範囲内での経営の合理化なりあるいは場所、日取り等の再検討によってもっと出てくるのじゃないかという、そういう疑問を持ちますが……。
  68. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは御承知の通り競馬の政府への納付金と、競馬会の留保いたしております一四%ですか、そのうちからいろいろのものをすでに中央競馬会の法案通過の際に御説明がありましたものによって、その金は全部合理的に、余った金は畜産の振興に使うとか、余った金は何に使うとかいうことははっきり規定されていますから、その中から出てくる余裕はないのでございます。それがふえればふえるだけその使途については明確に指示いたしておりまして、法案通過の際に両院に御説明があるのでございますから、そこからこの改修費が出てくる余裕はないのでございます。
  69. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうなるとそればあなたがあのとき大臣をやっていなかったのが、運が悪いのでして、日本の競馬のために……。大体そのときに妙なものを作っているからいかぬことになるので、そのときにこういうような老朽施設の改修等を見込んだものを立てなければならぬということなんだ。どうもあのときに河野農林大臣がおられたら、本日かようなわずらいは避けることができたであろうという結論になると思います。  そこでちょっと私ばかり質問してもいけませんが、ちょっと法制局長見えましたから法制局長にお尋ねしますが、この法案局長もごらんになっている通りですが、第一条の「第三条第一項の規定にかかわらず、年二回を限り」年二回を限りというのは衆議院で修正になりまして「全競馬場を通じて」とこうなりましたから、それはどちらでもよろしいが、「第三条第一項の規定にかかわらず、全競馬場を通じて、年二回を限り、農林大臣許可を受けて臨時に何法による競馬を開催することができる。」こうなっておりますし、それから提案説明でいきますというと、この提案説明の中で「昭和三十一年より五カ年間に限りその復旧または改築を行うため必要な資金を調達することが著しく困難であると認められる場合において年二回の範囲内において農林大臣許可を得て臨時競馬を開催し」とこうなっておりますが、その臨時ということはこれはいろいろ競馬会の実情は別にいたしまして、もしこの法案の文章をすなおに読めば「年二回に限り」「臨時」というのは通常やっている回数のほかに、とこう読まなきゃならぬと思いますが、この点についての御解釈を承わりたいと思います。
  70. 奥野健一

    ○法制局長(奥野健一君) 第三条一項によりますれば、中央競馬場の開催は競馬場ごとに年三回以内とするということになっておりまして、十二の競馬場を通算いたしますと年三十六回まあやれるということになっておりますが、その規定にかかわらず年二回を限って臨時にやれるというように読む、すらっと読めばそういうふうに読むべきであって、お説のように三条一項では結局三十六回やれるが、それによって二回なお臨時の競馬を許可を受けて行なって、その納付金の対象にならない競馬を開催することができるというふうに解すべきだと思います。
  71. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 法制局第三部長菊井三郎君も出席されました。
  72. 田中啓一

    ○田中啓一君 ただいま法制局長は三十六回に対してそれ以外にやるものを臨時と称すると聞えるような御説明でございましたが、私は競馬法には三十六回なんという勘定はどこにもないと思います。第三条は一つの競馬場で年三回以内、あるいは天災地変の場合にはそれをこえて、本来Aの競馬場でやるべかりしものをBの競馬場でできる、その回数だけはできる、こう書いてあるわけなんであります。従ってそれはまた裏から言って三十六回以内の範囲で他の競馬場でできるという意味にむろんそこはなるわけであります。でありますから、今度はおそらく三回以内なんだが、理由が天災地変等の事由でなくても、今回のような理由でこの三回をこえて年二回はできる、こういう御趣旨であろうと、こう思うのでありまして、三回の例外なんで三十六回の例外ではない、こう私は解釈しますがいかがでございましょうか。
  73. 奥野健一

    ○法制局長(奥野健一君) よけいなことを申しましたが、十二あるというのはまあ計一算しておることでありまして、三条の趣旨は競馬場ごとに三回、これにかかわらず今度全競馬場を通じて年三回そのほかにやり得るまあ権限といいますか、そういうことができるということをきめたものと考えます。
  74. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私きのういろいろと長いこと質問をしておって、きょうも私の会派でいろいろと説明をしたのですけれども、私はやっぱり江田さんが言っているように、実情はなるほど三十年度は二十六回しかやらなかったというけれども、これは競馬がいんしんになってきて、この五年間にでもいんしんになってくれば、この法律によって三回ずつやれるのだからやれ。かつそのほかにこの目的のためにやれると解釈するのがほとうであって、ただあなた方の方は実情をあんまり知っているものだから二十六回が、三十一年度は少し変ったとしても、三十六回をこえることはない、こんなことは万万ない。見通しにおいても、五年くらいのうちにまさか三十六回やって、具体的には十二カ所ことごとくが三回やってしまうという、まさかこの五年間に時期は来ないだろうという頭が非常にこびりついているから、現実の問題と法律上出てくる可能の回数との関係を少し間違ってといいますか、錯覚して考えているのじゃないかと思うのです。私はこの点を一つもう一回政府の方でもお考えになられて、実態は変らないのだ、しかし法律論解釈は今法制局長の言われた通りだと思うから、こんなところにこだわらないで、早く進行してもらった方がいい、私はこういうふうに思います。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 私も質疑を聞いていてはなはだ奇怪に感じるのですが、もし農林大臣が言うような解釈をとろうというのであれば、こういう不明確なことを書かなくてもいいのじゃないか。結局農林大臣の答弁の通りなら、回数という問題には触れないわけですね。触れないのですから、結局は一億五千八百四十万円という納付金を今年度は減らす、そういう法律案でいいわけでしょう。回数がどうであろうと、どこでどれだけの収入を上げようと、何も競馬場を直すとも限ってないのだし、納付金をこれだけ減らすのだ、それを二、三行書いてあれば法律内容も明確だし、またそれに対する批判もはなはだこれは簡単にできるのです。だからこれを私はやっぱり江田委員が言うように、どうも形と実際のものとがマッチしておらぬと思うのです。どうなんでしょうか。そういうふうに書けませんか。
  76. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  77. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。
  78. 千田正

    ○千田正君 競馬法の精神は、いわゆる畜産奨励のためということは初めからうたっているのでありますが、これはもっともなことでしょう。それで昨日もそういう議論があったのですが、終戦後この馬の生産というものは非常に低落してきたということは、馬をやはり農耕その他輓馬等に使うというようなことが減ってきたということです。それで競馬法を生かすその方途がだいぶ薄らいできて、むしろ競馬によって射幸的な方向に進む点が非常にふえてきた。早い話がわれわれも競馬にたまに行きますが、負けるというと今日は馬にまぐさを食わしたのだと、だからこれでいいのだと、その帰ってきた感じが最近は違ってきた。で、けさの新聞などで見ると、衆議院の会計補佐官が、みなから集めておった越冬資金の積立金を競馬に使ってしまった。こういうように射幸的な方が強く出てきておる。その陰に相当また生活の苦悩にあえいでいって、一家破産の状態に入っておる人たちもある。そこで私は、あの目的をいろいろ聞いておるうちに、法律の、臨時に二回やるということは今度の施設の改築に対して使うのですが、私はもう一つこれは大臣に考えていただきたいのは、こういう特例を設けて競馬場の修築等をやるとするならば、もう少し社会保障の面においてもこういう金を使うようなことを考えてもらいたい。たとえば現在の国立の結核療養所のベット数が足りない、これは厚生省の予算が足りないのだ。苦しんでおるらい病患者を収容しておるところにおいても治療費が十分でない。こういうような場合においても、あるいは貧困者に対する問題、孤児に対する問題等にたまには一年に一回くらいは臨時特例を使って、そうした社会の暗い面をある程度こういうことによって罪滅ぼしをしてもらいたい、こういう考えをお持ちかどうか。  それから実際にこの畜産にですね、この納付金が一般国庫の財政の中に繰り入れても、ほんとうにひもつきというようなことで、産馬の奨励というか、むしろこれからは種族保存という方面に使うより以外に手はなくなってくるのじゃないか。たとえば馬の脳炎とかがはやってきた、こういうことに対する技術上のために特別な国家の援助とか、そういった面を強く打ち出して、これに有効に使ってもらいたい、この点の考え方をこの際大臣にはっきり伺っておきたい。こういうことは単なるその競馬場のこれで収入を増すためにやるというのでしょう。昨日のあなた方の政府の答弁は、これを改造して、そうして来るいわゆる観衆たちを、あるいは競馬にかけに来る人たちに今の施設では危い、こういうことでかなりこれを改築して収入を増して、国家の収入をふやしていくんだという観点もあるようでありますから、どうか陰にはこういう競馬ばかりではありませんが、射幸心を目的とした一つのこういうことによって、一家破産の悲惨な生活をしておる人たちも相当おるのですから、そういう面まで思いを及ぼして、これがかりに年に一回くらいはそうした社会保障の面にも使われる金を生み出していただきたいということを、私は特に要望するのですが、そういうことについてはお考えはありませんか。
  79. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは全く御趣旨の通りでございまして、政府に納付いたします、先ほど申しました十億以上の金の三分の二は畜産振興費に使えるということに一応精神はなっておるわけであります。それから競馬会の方に留保いたしまする金につきましては、これは先ほども申し上げましたように、その使途につきましては畜産振興、社会事業費、寄付というようなふうに割り切ってやることが、この法制定のときにはっきりいたしておるのであります。そういう方面にきちっと分けておりますから、競馬場の改修費等は全然予算の中に入っていない。それに使うということは法律の精神にありませんので、それを直すために臨時特例でやってやろうじゃないか、こういうことであります。
  80. 千田正

    ○千田正君 それは今の、きのうもそういう説明で大体はわかりますけれども、臨時という名前を打ってやって、むしろ国民の感情を射幸心というだけじゃなく、これはやはりこうした人たちに対しても、この競馬場から上った利益をある程度還元するのだという空気を、一応競馬に対して非難の的にならないような意味からいって臨時の競馬を一回くらいやってもいいと思うのですが、そういう点はお考えになりませんか。
  81. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は先般オリンピック選手派遣の費用に充てるために臨時競馬をやらせろという要求がだいぶ強かったのであります。しかし私はその際にオリンピック選手派遣費を出すための競馬をやることについては賛成できませんということで、実は私はお断わりしたわけであります。それが競輪の方にはね返って参りまして、競輪の開催日数をふやして競輪をやるということによって、それでオリンピック選手派遣費用の一部を出すということになったようであります。私は競馬は今申し上げましたような意味において、ほかの資金を出す意味における競馬の開催日数をふやしていくということは努めてこれは避けるようにしていかなければならぬのじゃなかろうかと、今お話しのように社会事業費であるとか、もしくは畜産振興費であるとかという特定のものならばよろしゅうございますけれども、それ以上範囲をあまり広げますと、程度がきまらなくなりますから、そこに限界を置いてやりたい。むろんオリンピック選手の派遣費に加えることもけっこうなことでございます。けっこうなことでございますが、これは政府は別途考慮する、もしくは社会は別途考慮していただきたい。競馬でそれに充てるということはお断わりしたいということでお断わりしたのでございまして、その点は今申し上げたように畜産振興ないしは社会事業費、それ以外のものには出したくない。出すためにはこの法律にありますように、その益金は大体その方面に振り向けるということになっておるわけでございます。
  82. 千田正

    ○千田正君 今の農林大臣の趣旨はよくわかっております。わかっているのだが、こういう改築費というような問題を、こういう法文に盛り込むぐらいのことで騒ぐならば、むしろ逆に国民の方から考えた場合は、今の社会事業費なら事業費のための一番苦しいネックになっているような問題を掲げて、はっきり一回ぐらいやってもいいというぐらいのことをこれはお考え願いたいと思うのですね。これはもう私はオリンピックや何とか言っているのじゃないのですよ。なぜかというと、まあ産馬奨励なんということでなく射幸心が強く出てきているのですから、競馬とか競輪という問題に対しては……。だからこれはやはり国民の今競馬に対する非難なり、あるいは批評なりというものを、大臣のことですからよくおわかりだろうと思うのですから、その国民感情というものを、ある程度競馬というものは必ずしも射幸心ばかりじゃないのだ、こういうこともやっているのだということの方のために、臨時に競馬などをやるのは、むしろ改修費のことでやるのは、つけ加えてやるくらいのことを考えていただかないというと、競馬なんか要らないぞということが必ず起きてくる時期があると思うのですよ。そういうことも一つお考え願いたいと思うのです。これは私の要望です。
  83. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 了承いたしました。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 大臣にちょっと聞きたいのですが、目的はまあわかったわけですが、ところがこういう法文の作り方でいきますと、たとえばまあ法文に従って、どこそこの競馬とどこそこの競馬をこの例外規定による競馬にする、こういうことで開催するわけですね。その場合この利益金が非常に上って、たとえば二億五千万円ぐらい出た、そういう場合でも、この法律がある以上はその金は国に納める必要がなくなる、条文通りいったら……。いやそんなことはしませんとおっしゃるかもしれんけれども、こういう法律のある以上は、政府が無理にそれを取るというわけにもいかんでしょうし、そういう矛盾が出てくるように思うのですが、それはどういうふうにお考えでしょうか。
  85. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは五年目の最終競馬でそういう状態が起ったときには、非常に金が出るかもしれませんが、大体足りない程度で余すというようなふうに、一応こうしてありますが、大臣が許可して参るのでございますから、取り消すことができると思いますから、予定以上の金が非常にふえてくるといえば五年をこえないで四年でやってもいいのじゃないかとこう思っております。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 足らない場合もできると思うのですがね、そういう場合はどうなりますか、年度をふやすわけですか。
  87. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 足らない場合はまたそれはあらためて御協議を願うよりしようがないと思います。一応予算でございますから、予算を十分検討をして、そうして五年間大体この程度のものをやれば、一応今の競馬場が全部整備できると言うておるのでございますから、それは将来足りない場合には、あらためてまた御協議を願う場合が出てくるかもしれませんが、余った場合には余ったとしてやる必要はないということになると思います。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 まあ足らない場合はおそなくなかろうと思う。問題になるのは余った場合だと思う。その場合こういう法律ができてとにかく五年間ですか、十回こういう特別なものをやるということになれば、これはやり方によってはあるいは非常に収入があるかもしれない。しかしそれはともかく法律上の既得権だからこれはもう出さない。そういうことにも私なりかねないと思うし、河野農林大臣、それはまさか五年間おやりになっているとは私らも考えないわけですが、それは私はやはり目的がそういう他意がない、これは単なる修繕費だということならば、そのことだけに間に合うような条文にさらっとしておいた方がいいと思うのですがね。少しも誤解が起らないし……。
  89. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは五年間に十回やるということが書いてあるのではないのでございまして、それを限度にして農林大臣許可してやらせるのでございますから、それは当然この法の精神によってその目的が達成せられればやめるということは当然だと思います。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 この程度にしておきます。
  91. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  92. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。  暫時休想いたします。    午後零時五十八分休憩    ————・————    午後二時二十四分開会
  93. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 午前に引続いて、日本中央競馬会国庫納付金等の臨時特例に関する法律案議題にいたします。
  94. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) この機会政府といたしまして本法実施につきましての態度を明らかにしておきたいと思います。  政府は本法の実施について中央競馬の開催回数は全競馬場を通じて年三十六回以内とし、本法第一条により農林大臣許可する競馬は、その開催回数以内において年二回開催するものといたしたいと考えております。御了承をお願いいたします。
  95. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  96. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。  続いて質略を行います。順次御質問を願います。
  97. 奥むめお

    ○奥むめお君 午前中も一委員から御質問があったことでしたが、お金を一億五千万円、ここにあげられた数字を必要とするというのであるが、二回分の国庫納付金をそれ以上に上回っても、これを全部補修に、または改築費に充てるつもりであるか、そこをはっきり伺いたいと思います。
  98. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいま御出席は農林大臣河野一郎君、畜産局長渡部伍良君、競馬監督課長黒河内修君、政務次官大石武一君であります。
  99. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 先ほどもお話がありました通りに、競馬を開催いたしまして所要の金以上の金が出たときにどうするか、こういう御質問だと思います。必要の金が出ましたらば、それ以上競馬の開催を許可いたさんことにしたいと思います。
  100. 奥むめお

    ○奥むめお君 そうするとここにあげられた一億五千万何がしという金が限度となるわけでございますか。それはこれから開催してみた上のお金ということになるわけですか。これは見積りですね。
  101. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 概算は一応そういうことになっておりますが、大体それを大して上下しないと思っております。
  102. 奥むめお

    ○奥むめお君 そうしますと、これは事務当局にお伺いしたいのですけれども、今までのでもこういうふうにお考えになって進められるとすれば、たくさん売れるところの、盛大ないい場所をお選びになるものと私は考えるのだけれども、どのくらい今までは一回に……。
  103. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私からお答えいたしますが、今ここに出しておりますのは、一番日本で売れる競馬場の中山競馬場の例をとって出しておるわけであります。
  104. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 別に御発言もなければ、これにて質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めこれから討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  ……別に発言もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認めこれから採決に入ります。  日本中央競馬会国庫納付金等の臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院修正を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  107. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 多数であります。よって本案は多数をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条による議長提出する報告書の作成、その他の手続につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     江田 三郎  三浦 辰雄     秋山俊一郎 池田宇右衛門     長谷山行毅  横川 信夫     河合 義一  三橋八次郎     森 八三一  千田  正   —————————————
  109. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。    午後二時二十九分速記中止    ————・————    午後三時七分速記開始
  110. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会    ————・————