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1955-12-15 第23回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十五日(木曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            石村 幸作君            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            小幡 治和君            佐野  廣君            齋藤  昇君            笹森 順造君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            加瀬  完君            中田 吉雄君            森崎  隆君            岸  良一君            館  哲二君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    国 務 大 臣 太田 正孝君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁財政部長 後藤  博君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    大蔵省理財局地    方資金課長   牧野 誠一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方財政再建促進特別措置法案(内  閣提出、衆議院送付)(第二十二回  国会継続) ○昭和三十年度地方財政に関する特  別措置法案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) これより地方行政委員会を開会いたします。  地方財政再建促進特別措置法案及び昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案、両案を便宜一括議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ただいま政府より太田自治庁長官鈴木次長後藤財政部長、三人見えております。大蔵大臣予算委員会の都合上大体十一時三十分前後に当委員会出席するということでございます。なお大蔵省主計局長もしくは次長出席を今促しております。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 後藤財政部長にお伺いしますが、との再建法が通った場合に、実際の利子補給の国の負担を精密に計算されているかどうか、大体予想はどれほど指定になるか、なかねかむずかしい問題だと思うのですが、しかし来年度予算要求等もあり、計算されていると思うのですが、その点について。それから政府原案修正されたものは、どれだけ国の負担が多くなるかというようなことについてお伺いしたいと思います。
  4. 後藤博

    政府委員後藤博君) 利子補給の額は一応予算の上では七千五百万円でございます。七千五百万円の上にどのくらい要るかということでございますが、これは政令を今やっておりますが、昨日申しましたような格好で、政令は私ども考え方は、二年ないし三年以下の再建債ができまするものは、これは六分五厘ですから、二分の補給ということになります。それからとれ以上かかるものについては、最高の利子補給をしていく、五分の利子補給をする。その間の団体につきましては六分五厘からずっとカーブを描いて計算するような格好にしたい、かように考えております。従って正確な利子補給の額というものは出てみなければわからないことになります。しかし法律できまりますと義務費になりますから、これはまあ足りねければ予備費でもらえる、こういうことになるのであります。で、私ども概算で七千五百万円で足りるか足りないかということでありますが、私ども感じでは一応七千五百万円で出発いたしまして、大体足りなくても少しくらい足りない程度で済むのではないか、かように考えております。と申しますのは、七千五百万円というものに三カ月分、つまり一月から全部やるという計算で、二分の補給でやるという計算で進めております、現実的には再建整備申し出をして、それから計画して決議して持って来まして承認をするという段階がございますので、もっとも本年度中に申し出をして持って来るところもあると思いますが、大体二月ころになるのではないか、早くて二月ころになりまするので、足りなくてもそう大した額ではないというように今年は思っております。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 どれだけ再建団体として指定されるかということが、まあなかなか予測困難な事情もありますが、しかし大体再建債交付分を含めて二百億でいいといろ計算をされた背後には、府県幾ら、市を幾ら、町村を幾らということを十分な調査をされて、そういうふうに組まれておるわけでしょうから、もう少し実際どれだけ国の負担になるという、この八カ年の大体の見通しというものはつかぬのですか。それはです、協同組合のとの方式というものは再建計画と同じ、ほとんど同じ構想の上に立っておるので、すでに協同組合再建で国が負担したものが幾らということがあるし、わかると思う。それから私がもう一つ言いたいことは、なぜこの国のほんとう負担を聞いておるかというと、これではたった七千五百万円しか政府負担しない、再建債が、これは返すのですから、その便宜を与えるのですから、そうするととれはほとんどとの赤字というものは地方責任で起きたという、これは赤字原因にさかのぼれば再建債を世話をするがそれは八年間に返す、たったその利子の差額の補給を七千五百万しか持たれぬということになりますと、これはほとんど赤字というものは地方団体が生んだものであるという赤字原因に基くわけで、四百六十二億もある、昭和二十八年ですか、それだけあるのにたった初年度に七千五百万しか持たないということになると、ほとんどあげて地方団体責任で起きたということを自治庁自体予算面で肯定されることになる。これはもう赤字原因はどこから起きたというととは、十分大蔵省の方がおいでになったら聞きたいと思うのですが、そういう意味で精密な大体概算をして、一つ一体ほんとうにこの再建期間中に国が幾ら持つのだということを一つ知らしてもらいたい。
  6. 後藤博

    政府委員後藤博君) お話ごもっともでありますが、一応本年度の二百億を対象にいたしますれば、この再建法の成立がおくれました関係で、大体実際再建を始めるのは二月の中旬くらいにたくさん出てくるのじゃないか、かように考えられますので、一応七千五百万円に少し足りない程度のものじゃないか、本年度は。ところが来年度の問題になりますると、起債の額を今二百億ございますが、それにさらに幾ら足すかという問題になってきます。来年度分は三百億くらい、さらに追加して、つまり総計五百億くらいを予定しておるのである、そうしますと来年度利子補給額は大体二十億前後になりはしないか、かように考えております。従って二十億くらいは平年度的に要る、こういうことになるかと考えております。しかし再建計画年度が、まあ五年のものがあり、三年のものがあり、七年のものがある。こういうことになりますので、その年度がわからなければはっきりは出て参りません。しかしここ数年の間は二十億前後になりはしないか、三百億足しますと、五百億としますと大体二十億前後ではないか、かように考えております。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうするとこの八年間にだんだん……いつがピークになるか知りませんが、利子補給ピークになるときがあって、カーブを描いてなると思うのですが、そういうことの計算はできませんか。やはり私はこの赤字根本原因というものを究明しまして、地方財政の運用よろしきを得ない公共団体自身によってできた赤字、それから国が当然なすべき施策をなさなかったことによって起きた赤字、それから共通に責任を負うべきものというようなものをがっちりして、そうしてやはり国が持つべきものは持ってやる、地方の負うべきものは負うというふうなことをするためには、大よそ国がどれだけ持つべきかというようなことをやはり出すためには、私はそのほんとうに国が再建期間中に出す額というものが大よそ出るべきだというふうに私は考えてこの問題をお聞きしているのです。後藤さんのところには各団一体が、私のところは受けたい、私のところは受けたいというような、すでにいろいろ相談もきているし、大体私はつかめているのじゃないかと思うのですが、その辺を含んで、大よそ再建期間中にどれだけ国が持つかという、まあ概算的ね数字を……。
  8. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御議論は、趣旨といたしましては傾聴いたしたのでございますが、ただ実際問題といたしまして、国の責任に属する問題につきましても、あるいは地方団体によりましては国が財源をもっと見るべきものを見ていないために、たとえば補助事業のいろいろな継ぎ足しなのでありますが、見ておらぬために地方ではそれだけ赤字ができた、こういうようなことも言えるかと思いますけれども、他の団体におきましては、そういうような状況にあるのにかかわらず、なお赤字を出さない、こういうところもあるわけでございますから、赤字の額というものを全部拾って参りましても、必ずしもお話のような国の責任に属する面が全部出てくるわけじゃないと思います。それから半面地方団体自体責任に属するというものを拾って参りましても、これもまあ千差万別でございますから、なかなかむずかしいと思うのであります。それを個々の団体について一々精細に原因を探求して参りましても、とれも非常にむずかしいのじゃないだろうか。一口に継ぎ足し事業を、国が補助基本額が適正でないために負担をしなければなら広いとこう申しましても、その事業のやはり取り方響につきましては自主的な面が相当あるわけでございますから、一がいに継ぎ足しだから全部国の責任だとも言いかねると思うのでありまして、やはりそういうふうに具体的な例になりまするというと、理論上峻別し得るものも峻別しがたいというようなことになると思うのであります。従いまして私どもといたしましては、やはり赤字として累積しておりますもの総体をいかにして解消するか、こういうことで考えていくほかはないのではないか。それに対する国の援助措置が、利子補給——衆議院で御修正になりましたような形の利子補給がまだ足りない、こういう総体的な御議論はあるいはあろうかと存じますけれども、しかしまあ全体といたしまして、国家財政上の要求もございますので、私どもどしてはこれでやむを得ないのではないか、こういう考え方に立っておるのであります。従ってただいま御要求になりますような調査はちょっと今の事務能力限界としては困難であり、また事実まだできておらぬのであります。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 何か国の責任によって起きた赤字と同じようなケースでも、判別がつかぬと困るし、つくとともあるし、なかなかわからぬという御議論はよくわかるのですが、しかしおよそ八年間に赤字を解消すると言われるからには、た乞えば造船利子補給にしても、いろいろむずかしい方式があるにしても、予定された最終年度には大体どれだけの利子総額になるかへ毎年どうなるかという……私たちは予算委員会資料をもらって大体わかるのですが、まあ自治庁非常に忙しいので、そういう点が無理かもしれませんが、私の直感では、とれではあまりにも国の負担が、援助が少な過ぎる。これでは赤字原因いうものをほとんど地方団体に負わせておるととが利子補給の額によって証明されておるのではないか。あまりにも少な過ぎるのじゃないか。よくきのう略だいぶ出ましたが、朝鮮事変ブームの際に計画を立てたものを、それがデフレに切りかわった際に、切りかえなんだようなところでは赤字を起したというようなことを言われましたが、協同組合再建についても、私も経済連の会長をやっていましたが、やはりブームのときに仕入れて、それがストックになって数百億の赤字を起したところもあるし、起さぬところもあるし、しかしそれにもかかわらず、協同組合再建法ではもっと優遇をしてもっと立て直し……経済団体ですらも優遇しておる。これはもう全く公法人である公共団体に対して、私そういう協同組合再建方式を、経済団体と同じことを持ち込んだ概念においても問題があると思うのですが、そういうことを……私は大体ことしは七千五百万、来年は二十億、再来年はどうなるか、八年間におよそどれだけ負担するということになればへまあ大よその国が赤字原因をどの辺に見ておるかということがわかりはしないか、これは次長が言われたようにないようですから、仕方がありませんが、そういう意図で私は質問したのです。そこでこれに関連して、この再建の難易によって早く再建できるものには利子補給を少くするというようなことが言われましたが、この第十五条では補給することがで選るということになって、範囲があるのですが、もう少しやはり利子補給限界をやはりはっきりしてもらいたいと思うわけであります。そしてその基準……いろいろ後藤さん今言われたでしまう、二年でできるものは幾らにする、三年でできるものは幾らにする……。
  10. 後藤博

    政府委員後藤博君) 利子補給の額のきめ方でありますが、この修正案を読みますると、まあ利子補給団体によって変えるという考え方はいろいろあると思います。どころが政令を作ります場合に、修正案趣旨から申しますると、ある段階をつける、それは別な基準段階をつけるというふうになるのでありまして、たとえば赤字の額のうち、半分はたとえば五分の利子補給、半分は二分しかしないというようなことはできない。全体をどうするかというふうにする以外には方法はないのじゃないかと、かように修正案趣旨からわれわれ考えたわけであります。従いましで財政力をある程度加味したやはり利子補給をする必要がある、かように私どもは考えております。赤字の額とやはりその団体財政力というものを考えて、それをかみ合した利子補給考え方をする。結果から見ますると、それはやはり再建計画が短かい計画で済むか、長くて済むか、こういうことに結果的にまあなるわけであります。財政力を加味しますと、赤字の額とその団体財政力というものを加味して参りますと、どうしても再建計画財政力のないところは長くなります。従って先ほど申しましたように、おおむね三年未満のところは六分五厘で、それから五年以上のところは五分の利子補給をする。それでその間の団体についてはその六分五厘と、片一方三分五厘でありますが、その間にカーブを引くような方式でもって利子補給の率を出してもらいたい、かように考えておるのであります。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは衆議院修正で「政令で定める基準により、」というふうになっているのですが、もうだいぶ前に、前国会にこちらに持ち込まれているのですが、そういうふうな三年未満、五年未満というようなことで補給利子の率を革められた。財政力赤字の額とをかみ合せてやるということですが、これは結局政府補給する利子総額とからんでくる問題じゃないかと思うのですが、これを一律にやるという方式はいけぬものですか。
  12. 後藤博

    政府委員後藤博君) 「政令で定める基準により、」という修正案の文句からして、どうもそれが出てこないのじゃないかと思います。法律修正案です。修正案を読みますと、「政令で定める基準により、年五分の定率を乗じて得た額を限度として、」こういうふうに書いてあるわけです。その修正案趣旨をわれわれの方が考えまして、やはり今のような方式以外に方法はないのじゃないか、ほかにもいろいろそれは考えられます、考えられますけれども、どうもこの法律修正案趣旨に、法律の読み方の問題になりますが、読めないのじゃないか、こういうことで、今のようなことに一応しておるのでございます。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 原案はどういうふうな構想だったのですか、原案は。
  14. 後藤博

    政府委員後藤博君) 原案と申されますと、年二分というのが全部であります。「六分五厘をこえるものにつき、年二分」ということで、これは全部であります。
  15. 中田吉雄

    中田吉雄君 全部ですか。
  16. 後藤博

    政府委員後藤博君) それから修正案審議の途中におきましては、五分という説が出ております。それを五分に直す。ところがいろいろ御意見がございまして、そして差等を設けるというふうになったわけであります。
  17. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私途中で聞きますが、原案は二分であった。今度は五分まで政令で定めてやるということですが、あるいは二分もしない所も出てくるのですか。あるいは最低二分はするのですか。
  18. 後藤博

    政府委員後藤博君) 最低は二分しなければならぬ。六分五厘をこえる二分……。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 自治庁昭和二十八年の赤字を四百六十二億ですか、それから大蔵省は三百二十五億というふうに踏んでおるですが、これについてどういうようは御所見を持っておられますか。大蔵省はこれには自分の言っておる方が正しいのだという爆砕的な反論をしたような記事を、見方を出しているのですが、実質赤字計算には重要な問題なんですが、大蔵省と比較して、その点一つはっきりお示し願いたい。
  20. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私どもが申しておりますのは、赤字額は四百六十二億あるのであります。大蔵省が申しております三百二十億というのは、再建債対象になる赤字額であります。四百六十二億の中からたとえば直轄の分担金等赤字がございます。支払いをしなかったための赤字、これは別に再建債対象にする必要はございません。国に納めるのを延ばせばそれで解決する問題でありますので、そういうものとか、事業繰り越しの内容につきまして多少意見が異なっております。従って大蔵省流に申しますればわれわれの方の再建債対象になるものは三百四十億ぐらい——三百三十億から四十億ぐらいへこういうふうになっております。従って数字はほとんど変っておりません。ただ大蔵省はそれを赤字額という言葉で呼んでおりますのでへそこでいろいろな誤解があるのであります。大蔵省赤字額と称しまするのは赤字額の中で再建債対象にねる赤字額、こういう意味であります。
  21. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 中田君に申し上げます。大蔵省から理財局地方資金課長牧野誠一君が説明員として出席いたしております。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 実質赤字という概念で統一されて出ているのじゃないですか。
  23. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃる通り実質赤字であります。四百六十二億を中心にしてそうして再建債対象になるべきものとならほいものとこれを一応そのワクの中で振り分けて参りますと、そういう数字が出て参るのであります。でこの数字は大体大蔵省のと隔たりはございません。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 牧野課長おいでになったのでお尋ねしたいと思うのですが、地方財政再建のためにはまず赤字についてその原因はどこにあるかということを根本的に究明することが再建の一番近道だというように考えるわけであります。そして数年来の赤字に関連して、この地方財政赤字はどっからできたかという原因の究明についてはほとんど議論は出尽したというように見てもいいと思うわけであります。まず自治庁見解地方財政審議会へ六団体見解自治庁側の主として公共団体の側に立った赤字原因、もう一つはお宅の方から出されておりますこの予算に載っています地方財政現況についてというのは、大蔵省地方財政についてこの赤字をどういうふうに見ておられるかということを非常に体系的に述べておられるし、もう一つ赤字見方は稲葉さんのやっています国民経済研究協会から国と地方財政の話という、府県と市町村の財政改善のためにというのが出て、大体大蔵省の御見解、その中間に立つような国民経済研究協会、それから地方公共団体側見解とまあ三つに大体分類できるのじゃないかと思って、特に財政編成の面から地方財政について決定的な影響を持っておられる大蔵省見解というものが非常に重要なんですが、一つこの地方財政現況についてというのを見ると、なかなか重要な問題を含んでいるのですが、これについてかいつまんで一体この地方財政赤字原因はどこにあるのか、どっちの原因によって起きたかということを御説明いただきたいと思います。
  25. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) ただいまの「地方財政現況について」という資料、これは私逃げるわけじゃございませんですが、実は大蔵省のうちの主計局というところ、私は理財局というところにおりますが、主計局というところで編成いたしました資料でございまして、それでそちらの方から御説明申し上げるのが適当なのじゃないかと思いますがへその点につきましては……。
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 しかしまあ牧野課長地方資金課課長として枢機に参画されておるのじゃないかと思いますが、その辺はどうですか。
  27. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これはその資料とかあるいは大蔵省法的見解というものといささか離れるかもしれませんけれども、今のような中田先生からの御質問でございますので、私の感じておりますことを申し上げさせていただきます。それは私どもの率直な感じを申し上げますと、やはり最近の地方財政に関連する制度自体が大きな赤字原因になっているのじゃないかと、根本的にはそういうふうに考えられるような次第でございます。と申しますのは、非常にこれはいろんな資料その他で時に触れて議論せられておるところでございますが、何と申しますか、非常に金のかかるような制度自体がかなり固まったものとして運営されている、一方財政力限界はやはり国と地方と両方足して見ましても、おのずから千六百億とかあるいは千七百億とかいうところをそう上回らないという限界がわれわれあるようなふうに考えられます。それでその限界を突破するような地方行政機構といいますか、制度といいますか、こういうようなものが全般にでき上っているということが非常に大きな根本的な原因じゃないかと.いうふうに思っております。それからさらにそれを拍車をかけます原因としまして、この地方財政計画と申しますか、地方財政平衡交付金と申しますか、数年来行われました制度地方財政の収支を、バランスを考えてみて足りない分は国から出すというシステム、あれが一般の行政制度と離れまして財政問題、経済問題としてだけ見ますとあれが一番大きな原因なんじゃないだろうか、これは足らぬものは国が見てくれるという思想に地方の方がかなりなり得るようなシステムじゃないだろうか、それで今平衡交付金から交付税交付金というような制度に変ったわけでございますが、やはりその惰性と申しますか、平衡交付金時代惰性と申しますか、そういうようなものが続いておりますし、これはどこにその赤字責任があるのか、あるいはだれが責任を持って地方財政、それぞれの団体のつじつまを合せるべきなのかがはっきりしていないということになるかと思います。これが制度面以外の広い意味地方行政制度以外の財政面から見たら、あるいは経済面から見たら大きな赤字原因じゃないだろうかというふうに思っております。それからさらに細部のことにわたりますが、国の方のいろいろな補助金やり方その他につきましても、非常に反省を要する点が多いのじゃないか。それからまた地方債やり方、これについても反省を要する点がかなり多いのじゃないか。それから地方団体自体の方につきましても、これは大体最近非常にしゃんとしてきたという印象を受けておりますが、過去数年間必ずしもぴんとしておらなかった、かなり何とかなるだろうというような感じがあって、運営されていた面があるのじゃないかいうふうに思つております。それでこれを何とかするということは、やはり赤字をたな上げするというようなこと、あるいは退職手当をどうするというようなこと、それだけではよくならないのじゃないか、制度的な改正も伴わなくちゃなりませんし、いろいろな運営の面でも国も地方運営方法をか触り変えていくということが必要なんじゃないか、大体そういうふうに私ども考えております。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいまの御答弁と、大蔵省の「地方財政現況について」というのはほぼ同じようなお考えのようで、これにも徴税の努力が足らんとか、固定資産の評価が低いとか、大蔵省ほど徴税していねいとかいろいろあるが、この全体を読んでみて重要な点は、制度的な欠陥からきている、こういうふうになっておる。これは非常に私はまた財政運営よろしきを得ないとしても、そういう運営よろしきを得ないこと自体が、そういうやはり私は制度的な欠陥による場合が多いと思うのです。これはしかしそうなると、非常に赤字原因がどこにあるかということがはっきりするのだと思うのです。制度の欠陥——制度の欠陥ということになると、そういうものは内閣が国会にそういう案を出し、そうして国会がきめて、そのワク内で地方団体が泳いでいるわけですから、ですから徴税の努力が足らんとか、人件費をたくさん出し過ぎている、同じ類似の団体でも黒字のところもあるし赤字のところもあったりして、不手ぎわがあったにしてもそういう制度を生んだこと自体は国の責任であるということになって、やはり私は牧野課長が言われたように将来については根本的な改正をやって、そういう赤字を生む制度そのものを改めるいうことは必要でしょうが、しかし赤字をたな上げする際に、やはりそういう制度を生んだ政府並びに国会責任を持ってやるということが、私は大蔵省の「地方財政現況について」をたんねんに読んでみると、やはりそういうふうにほると思うのですが、どうなんでしょうか。
  29. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) ただいま重ねてお尋ねでございましたので、私や私の周囲におりますものがいろいろ議論をしております際の個人的な意見と申しますか、みんなで考えておりますような思想を大体まとめて申し上げた次第ですが、確かに制度的な欠陥が大きな原因であろうというふうには承知しおります。しかし、制度の欠陥は運営で直せないというものとも限りませんし、国の方、あるいは地方の方で制度的な改正が必要であるということならば、それもいろいろこれから行われますことだろうというふうに思います。運営の面でも相当改善すると申しますか、努力することによって、か触りよく触るという面が私どもあるように思っております。それで、どちらが先だということは何とも申し上げられませんけれども、両々相待って努力して行くということじゃないかと思います。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは、大蔵省赤字責任を逃げられよう、というふうに言うのは少し言い過ぎかもしれませんが、大蔵省は、この「地方財政現況について」と、それから「類似する赤字及び黒字団体の財政比較」というので、ただいま牧野さんの言ったように、制度的な欠陥だ、しかし、制度炉そうだって、同じ類似の財政規模の所だって、黒字の所もあるし、赤字の所もある、財政運用よろしきを得ないのだ、というようなことを言おうとされていると思うのですが、私も、まるまる国が持っべきだというようなことは言いませんが、何と言っても、やはり、制度自身の欠陥によって相当部分の赤字が出たということになる、大まかに言って。今年のごときは、たった七千五百万円しか利子補給しない、それだけを国がめんどうを見てやる、これが国の赤字責任だ、こういうことでは少し酷過ぎはしないか。こういうことについて牧野課長にお尋ねすることは少しどうかと思いますが、それは、財政運用のよろしきを得ないために生んだ赤字もあるが、いろいろ分析をされて、そして、基本的には、地方行財政、税制の欠点だと、こういうふうに結論づけてあるのですから、もう少し持っていただいてもいいのではないか、という印象を受けるのですが、どうですか。
  31. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) ただいまの利子補給の七千五百万円という予算は、たしか大体それに近い額が本年度予算として、当初から計上されておったと思いますが、これは再建特別措置法案政府原案で、六分五厘をこえて八分五厘までのものについて利子補給をするというような想定で計算した数字でございますが、衆議院修正せられまして、三分五厘以上という形に変えました。その修正案国会を通過して成立するという形になるとすれば、七千五百万円いうものが年度当初から必要な額ということにはならぬかと思います。かなりそれを上回る額が計上されなければならなかったのだと思いますが、それは差額が二分であるという想定で計算しておりましたので、もっと多い額を政府の方は責任の額として考えるということになるのではないかと思います。
  32. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御報告申し上げます。ただいま大蔵大臣並びに原政政府委員出席いたしております。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま牧野課長にお尋ねしたんですが、大蔵大臣おいでになったので、地方財政についてもう少しあたたかい関心を持っていただきたいというために御質問するのです。質問というより希望です。こまかいことはしませんが。大蔵省が財政懇談会に出された資料がありまして、「地方財政現況について」という、主計局がおまとめになったんだそうですが、大蔵省がどういう態度で地方財政と取り組んでおられるかということがよく出ておると思う。それによると、地方団体の財政運用よろしきを得ないために起きた赤字もある、徴税の努力が足らぬ、あるいは人件費を国家公務員に比較して高くしたり、いろいろある、しかし、基本的には地方行財政制度の欠陥によって赤字が起きているんだ、だからそういう根本的な改正をせずに赤字対策をしても適切でない、ということがあるのです。そこで、大蔵省とされても、昭和二十九年度末では六百四十八億ですか、赤字が出たのが、運用よろしきを得ないので出たのもあるが、基本的にはそういう制度の欠点だということになっているんです。そうすると、このたびの再建法に対する大蔵省自治庁との話できまった利子補給では、あまりにも……これではもうほとんど責任地方だけにあって、制度的な欠点によって起きたというすぐれた分析の結果がちっとも出てこない。たった七千五百万、衆議院修正がありましたから数億になるでしょうが、それにしても、地方団体が八カ年間年賦で返していくというようなことで、そういう赤字を生む制度を作った国というものがちっともめんどうをみていないような気がするのですが、いかがでしょう。
  34. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ごもっともな仰せでもあると思うのでありますが、しかし、制度だけがまたこれは悪いというわけではない。制度も悪いという点もあるでありましょう。私は今ここに至りましては、どちらがどうこうという制度的なことはあまりもう議論いたしたくない。ただ、具体的に、どこが悪くてこういうふうな地方財政の状態になったか、それを事実によって三十一年度は十分考えまして、それを直すとともに、その際に、私は、ああ、なるほどここが悪かったからこうなったんだということがはっきりする、またはっきりさせたいと、かように考えております。決して地方財政にあたたかい心を持たぬというわけではありません。まあ国家財政からも考え、当面とりあえずなし得べきことをやって、今申されたように、何だか責任と言いますか、ここがこれほど悪いのにこうしなかったじゃないかというようなことについては、私は、三十一年度ほんとうに洗いざらいして、将来に禍根を残さぬように考えたい、かように考えておるわけでありますから、どうぞ御了承を願います。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 赤字責任がどこにあるのだということは問いたくないということですが、そこはやはり忌憚なく、赤字責任はどこにあるのだということを究明することは必要だと思う。とにかく、このたびの対象にねる赤字にしても、それは地方責任によって起きたものもありますが、大半というものは、やはり制度上の欠点から起きておると思う。それにしても、あまりにもこれでは、利子補給がたった数億ということでは、全然これはもう地方責任に負わされて、たとえば造船利子のごときは、言いたくはありませんが、秀駒ですか、登場してでたらめをやっているのに、昭和二十九年度より昭和三十年度の方が五千万も利子補給がふえている。そういうようなことですのに、はなはだ私は全く大蔵大臣地方財政に対しては準禁治産者に対して臨むようなどうも態度をとっておられるように思う。とにかく数字に現われている。利子補給の額に現われている、どんなにあなた言われても。その点についてどうです。
  36. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これはいろいろと言えばまた議論になる点もありましょうと思いますが、これは制度の上からどうという……、また地方の実体をいろいろといってみると、またいろいろなことがあると思うのです。どれがどれというわけにも私はいかないと思う。三十一年度にはほんとうに調べ上げて、よく地方財政が今後赤字にならぬように健全に維持していけるようにとやるわけですが、その際に特にまたほかの点は十分考えて参ります。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは具体的なことは何ですが、最後に来年度はよく考えようと、来年度は善処しようということでしたが、やはり、もっと地方団体が要望しているような大幅な無理のない再建が実施できるような予算措置がしていただけるというふうに理解していいんですか。
  38. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) どこがどういうふうに要望しておるからどうするというわけじゃないのでありまして、地方財政の実体をよく調査把握いたしまして、今まで悪かったところを事実に即してこれを是正いたしていこうと、こういう作用をするのであります。
  39. 松岡平市

    委員長松岡平市君) なお審議の過程におきまして御考慮をいただきたいと思いますことが一つあります。と申しますのは、ただいま参議院農林水産委員長から、昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案に関し、依頼の件、この点について、当委員会は全会一致をもって別紙の通り決議いたしました。つきましては、これが実現方格別の御配慮にあずかりたく、右お願いいたしますということで、お手元に配付いたしましたが、    昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案に関する決議案   この件について、政府は次の事項を必ず実行すべきである。  (一) 本年度公共事業費の留保分をすみやかに解除し、これを当初の目的に従つて執行すること。  (二) 臨時地方財政特別交付金の財源を捻出するため、既定の事業、特に公共事業の実施を不当に抑制しないこと。  (三) 交付金の財源捻出のため未施行となつた事業については、来年度においてすみやかに之を完遂することができるよう、予算的かつ資金的裏付に遺憾なからしめること。  右決議する。  こういうことが私あてに申し出がございました。一応御報告申し上げて御審議の御参考に供します。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま私は自治庁の方と大蔵省の方に主として大半は国会できめた制度上の欠点のために起きたが、非常にそういうことについて赤字を国が援助をする額が少いという立場に立って質問したのですが、そういう点から私はこの第二条の第三項の再建の基本方針、この八カ年に自力で返すようになっているわけですが、これが私は国のあたたかい援助の手が少いために、この計画を実施することはもうほとんど、これは経費の節減、それから徴税を強化する、地方税を標準税率よりよけい取るとかいうような、ほとんどこの内容を見ますると、単独事業を切る、あるいは少くする、行政整理をする、そうして税金を限度一ぱい取るというようなことで、八年間にこの赤字を埋めるということになっているが、これが果して無理なしでやれるかどうか。これが非常に無理ではないかという私は印象を受けるのですが、私も数種の赤字団体——これをおよそ適用してみたら毎年どのくらい返済しなければならぬという調査を、数種の団体でやってみたのですが、これはもう単独事業というものをほとんどやることができない。単独事業なんかをほとんどやることができない。ところが、市町村長にしても、知事にしても、積極的な事業一つもやらずに税金をとり、首を切るだけで、果して長い間輿望をつないで、地方自治の行政を推進できるかどうかということは、やはり限度があると思うのですが、これではほんど単独事業なんかはできずに、ほとんどまあ禁治産者のようなことになってしまう。とれでは私は地方住民の輿望をつないで、市町村長なんかがほかなか税金を毎年取り立てるだけ、首を切るばかしというようなことだけで、果してやれるかどうか。非常に私も国家財政がこういうときですから、節約しなくちゃならぬということはわかるのですが、やはり少しずつは住民の喜ぶようなこともしてやりながら、納税にも協力させるというようね措置なしには私はできないと思うのですが、こういうととは相当額の赤字を持ったところは、ほとんどもう単独事業をやれないと思うのですが、そういうこととからんで、無理なしに少し引き締まる程度で果してやれるかどうか、こういうことについてお伺いしたいと思う。
  41. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 御指摘の通り地方団体も苦しい状況にございますが、何としてもとこで固めていくととが私は第一義と思います。もちろんできる限り単独事業などについてもやり得る限りやっていただきたいのでありますが、第一義に私は考えなければならぬことは、まず固める、整理すると、そうして再建して、ほんとうの問題の基本にメスを入れてやっていくということが私は第一義と思います。もちろん、時々刻々進んでいく世の中に、そこに生活する自治体の方々が伸びていくということは考えますが、まず第一に考えることは、基本的に固い自治体を作り上げる、こういうことに存じ上げます。もちろんでき得る限りにおきまして、ただいま中田さんから申されたような点に注意しつついくのでございますが、第一義は、私はどうしてむ固めることにあるのじゃないか、できるだけのことはしていきたい、かように考えております。
  42. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま自治庁長官からも答弁がありましたが、私はやはりとういうものはやる、これをやり遂げるという決意でやはり臨んでいく。まあ七年とか八年とかいう期間ですからこれは社会にいろいろ変化がありましょうから何とも言えないといえば言えないということになりますけれども、こういう場合やはりやり遂げるという決意でやればできると思います。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういう決意をもって赤字財政と取り組むことは大切なことだと思いますし、私も了解しますが、しかしとにかく地方債を含めて毎年度の実質的な歳入と歳出が均衡がとれるように経費の節減計画を立て、そうして滞納を処理し、そうして住民税等もできるだけ一ぱい取るというふうなことで、ほとんどただ地方自治団体は生きている、国の委任事務だけをやっているということで、私は長い間その住民の輿望をつはいでやるということはなかなか困難じゃないか、限界があると思う。私は数種の団体に当ったんですが、かなりまあ多くの赤字を持っているところばかりですが、ほとんど単独事業ができない。国の委任事務だけ、そういうことで税金、徴税を強化し首を切る、そうして限度一ぱい税金を取るというようなことは果して住民の協力が得られるかという気がするのですが、大よそ節減にも限度があると思うのですが、単独事業なんかはほとんどやれぬというようなことに触らないという保証がありますか。これは事務当局でもけっこうですが、そういうことについてどうですか。
  44. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) もちろんすべてを詰めてしまうという意味ではございませんで、公共事業のごときそろばんの合うものはもちろんこれはやっていかなければならぬ。またどうしてもこれはやらなければならぬという事業補助率などの低いものを改めていくという問題も三十一年度予算に取り組むべき最も大きな問題だと存じますけれども、全部消極的に何でもかでもやめっちまうという意味で私は申し上げたのではございません。おそらく大蔵省としてもこのことはお考え願い得る。いいか悪いかこれは判断になりますが、何でもかでもやめちまうという意味ではございません。さよう御了承を願います。
  45. 中田吉雄

    中田吉雄君 しかし収支を合せて借りた再建債をそのワクで返すということからいえば、現実に今一体、それではきのうも問題になりましたが、そうすると地方団体予算全体の中で国の委任事務が、七割五分から八割、もっとあるというよう意ことになると、あとの一割五分くらいみんな切ってしまわぬと実際上は私はできないんじゃないかと思う。その辺が私も節減は必要なことは認めますが、しかし住民に協力させるためにはやはり水道をつけてやるとか何とかして税金を納めることに、再建に協力する励みというものが、その辺の呼吸がこれで十分織り込まれているかどうかということなんです。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ただいまの点は確かに問題になると思うのでございますが、この再建促進特別措置法案の中にも十七条におきまして、たとえばどうしてもやらはければならない道路の事業というような公共事業につきましては、そういう非常に赤字の累積をしておって、再建計画の上でもお話のように非常に過重な負担のかかっておるようなところは特別に負担率を引き上げる。引き上げてどうしても緊急不可欠な仕事をやるようにしよう、こういう配慮も加えてあるのであります。そういう規定も入っておるわけであります。  それからまたいわゆる公営企業等でございまして、収支相償う企業につきましてはこれは起債の上におきましても見得る建前になっておりますので、ただいま御指摘がございましたように、もう一切事業をやらないで、ただ税金を取り、経費を節約して給与と再建計画による毎年の償還分だけを払っていかなければならぬ、そういうような形にはならぬかと思います。必須不可欠な公共事業あるいは公営企業等で収支相償うものにつきましては、これはやり得ることになっておるのであります。
  47. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ全面的にそういうことを打ち切ることにはならぬと思うということですが、実際適用してみて、無理ならこれは「おおむね」と期限が切ってあるのですが、やはりこれはおおむね七年というのですか、というふうになっているのですが、事情によってはこれを十年とされることはあり得るのか。そういう際に大蔵当局はそういうことをこれはまあ無理じゃないかと思ったら「おおむね」と書いてある点を実際適用する際に延ばされることに了解がつくのでしょうか、その辺……。
  48. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは今のところはやはり延ばさないという考えでいった方がいいと思うのであります。どうせ先のことであります。先になってできないことはこれはできないのですから、これは今のところ初めから延ばすのだということでは意味がなくなってしまう。
  49. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると第二条の第三項には「指定日の属する年度及びこれに続くおおむね七年度以内」としてある。「おおむね」という、こういう意味でこういうことをやはり私はやってみて、実際むずかしいなら延ばすこともでき得るのだ、そういうことを想定されているのじゃないかと思うのですが、この点ばどうなんです。
  50. 原純夫

    政府委員(原純夫君) かわってお答えいたします。「おおむね」とあります通り、実情に従ってきわめてやむを得ないという場合に限り、長い期間で再建をはかるということはもちろんであると考えております。
  51. 中田吉雄

    中田吉雄君 それはどこも地方公共団体としてはこれを受けることを非常に不名誉にしていますからね、どこもやはり赤字を作っているところ自身に聞いてみても。そういう点から言えばやはりなるべく早くこういう準禁治産者的な規定からのがれたいというので、この点私は長くはしないと思う。しかし事情やむを得ないものについてはやはりおおむねということを大蔵省としても理解していただきたい。この点はっきりしてもらわぬとなかなか牧野課長なんかのところにいくととてもきびしいのですから(笑声)ここではっきりしておいてもらいたい。
  52. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 御説のようでけっこうでございます。
  53. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私から大蔵大臣、さらに原政府委員に質問いたします。  先ほど委員会に私から報告いたしました参議院の農林水産委員会の決議についてお答えを願いたいと思います。お手元にいっておりますのであらためて申しませんが、一、二、三の農林水産委員会の決議についてはどのような御見解か、この機会にお答えを願います。
  54. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 十分検討いたしました上なるべく御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  55. 松岡平市

    委員長松岡平市君) さらにそれではお尋ね申し上げます。当委員会がいろいろ審議いたしました過程から委員会全体の空気として、まず地方財政再建促進特別措置法案については一つは「再建債の額二〇〇億は二十八年度までの赤字額に対する措置であるから、二十九年度赤字増加額と見合い、必要の額を早急に増額すること。」とこういうことを要望いたしたいと考えておりますが、これについては大蔵当局はいかような御見解でありましょうか。
  56. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 十分研究してみることにいたします。
  57. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 分明いたしませんが、必要な場合には増額なさるのですか、なさらないのですか。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して今の問題……。  ただいま大蔵大臣十分研究してみると言われましたが、この問題は前国会来二十九年度赤字が出るという決定的な見通しがあった。しかも九月半ばごろにはその決算額については大よその見当はついている、大蔵省もわかっているはずだ。しかも今回の臨時国会は、地方財政赤字克服のためのはっきりした目的をもって開かれた国会なのです。しかるにこういう要望が当委員会から出て、今後において研究してみますという答弁では、これは委員会としては納得しない。研究はできておるはずなんです。ただこの臨時国会にその具体案を出し得なかったというととならわかる。この点はっきりお答え願いたい。
  59. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私ただいまの質問のところがはっきり聞きとれませんでしたので無念なことをいたしました。むろん出ますれば増額すろことになると思います。
  60. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 大蔵大臣、私が御質問申し上げたことがわからないで御答弁になったのですか。(笑声)はなはだ困る。
  61. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) そういうわけじゃなかったのですけれども、わかったのでありますが、(笑声)不明確であったので、今それを隣に聞いたわけでございまして、十分理解がいきませんで失礼いたしました。
  62. 松岡平市

    委員長松岡平市君) もう一点お尋ねいたします。「再建債利子は三分五厘以上の部分を五分の範囲で国が補給するにかんがみ、一般地方債については政府資金の利率を引き下げて均衡を得しめるよう努力すること。」こういうことを委員会として御要望申し上げたいが、これについての大蔵大臣の御所見を聞きたい。
  63. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 御趣旨はわかるのでありますが、実際利率を引き下げるというととは困難であると私は思います。なお決議の御趣旨もありまするので十分検討は加えて……。
  64. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 努力なさるか、なさらないかということを聞いておるのです。
  65. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 努力はいたします。
  66. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 三十年度地方財政に関する特別措置法案に関しまして三つお尋ねいたします。一つは…。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 まだ質問があるんですがね。
  68. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  69. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。  大蔵大臣にお尋ね申し上げます。「昭和三十一年度において地方行財政制度に関する抜本的対策を樹立し地方財政計画に遺漏なきを期し、もって赤字の続出を防止すること。」こういうことにつきまして大蔵大臣並びに自治庁長官御両方からこれについてはっきりした御見解をお聞かせ願いたい。
  70. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 全く同感であります。
  71. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 極力この線に沿ってやっていくつもりでございます。
  72. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 第二点は「今回の地方公務員に対する期末手当の財源捻出不能分については通常国会において必要広財政措置を講ずること。」こういう希望を持っておりますが、これに対して大蔵大臣の御見解をお聞きしたい。
  73. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 十分検討いたしました上、御趣旨に沿いますよう努力をいたす所存であります。
  74. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次は「公共事業費の繰延べについては事業の実施に実質的に支障を来たさざるよう万全の措置を講ずること。」この点について特に大蔵大臣の御意見をお聞きしたい。
  75. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 関係各省と協力いたしまして極力努力をいたします。
  76. 中田吉雄

    中田吉雄君 この再建計画を立てる際には先申しましたように、経費の節約と滞納の処理と徴税限度一ぱい取るというのが大体再建債を返す計画の内容になっているんです。  そこで大蔵省の方にお尋ねしますが、国税と地方税との滞納の状況、そしてまた大蔵省見解ではわれわれが見るとどうも国税と同じようなやはり徴税率であるべきだというようなことが前提にはって、滞納処理の努力が足らんというふうになっているが、一体ずっと前から地方税と国税との徴収上またどの辺までが実際の努力で取り得る限度かというようはことについて、お伺いしてみたいと思う。これは再建計画の実際の内容にかかわる問題ですから聞いておきたいと思います。
  77. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま資料の持ち合せがございませんが、大よそ国税の滞納額、地方税の滞納額、ほぼ同額の滞納額があったように調憶いたしております。これにつきましては、滞納整理につきましては極力できまするよう、関係方面とも交渉いたしまして努力いたしたいと思ます。
  78. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体私はまあ国税にはいい税金ばかり、徴税の容易な税金ばかり国税になって、地方税はまあごみ捨て場みたいなのです。大蔵省が取れるだけ取った残りが行っているようなわけで……。実際同じ努力してもなかなか困難だと思うのですがね。その辺やはり理解がないとこの再建計画、直ちにこれはもっと徴税していいのじゃないか、大蔵省、これだけ取っているのだからもっと取ればいいじゃはいかというようなことになると、なかなかめんどうですが。これはできるだけ滞納がないようにすることが望ましいことは、私もそう考えます。やはり国税と地方税との本質からいって、少し徴税率が地方の方が低くても大体余儀ないと思うのですが、その辺どうですか。
  79. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 地方税の方が滞納率が多くても余儀ないのではないかという御意見ですがこの点につきましては先ほど御決議がありました線に沿いまして、地方財政計画を的確に作る上におきまして、歳入の見積り等につきまして、無理はことのないように極力いたしたいと思います。
  80. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると地方税の特殊事情は十分認めていただくということになる……。
  81. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) その辺のところは自治庁当局とも十分相談いたしまして、どの程度滞納整理ができますか、相談いたしたいと思います。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは他の委員大蔵大臣にお尋ねしておることかもしれませんが、前国会に引き続いて関係のあることですからお尋ねしたいと思います。  今度の特別措置法で、交付税率は引き上げすることなしに、他に財源を捻出して本年度もそれを措置したということですが、これは前回も自由党が本年度二五%の交付税率の引き上げの法律案を出し、民主党もこれに同調しておったように伺っておるのですが、保守合同に伴ってこの問題は大蔵大臣としても、党の立場としても了解せられて、この財源が今日交付税率の引き上げに見合うものがないとして臨時的に便宜的にこういう方法をとられたのですかどうか。ということは将来この二五%の交付税率の引き上げそのものが、基本としてはその通りであるという御認定のもとに便宜的にこういうことをおやりになられたのかどうかということ……。
  83. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) その点についてはこの三十年度につきましては、とりあえず三十年度地方財政の窮迫を打開しよう、そして三十一年度に根本的に地方財政を、地方財政に今後赤字が出ない根本的な対策を立てるわけでありますが、それには先ほどからいろいろお話がありましたように、行政面、税制面、さらに財政の運用面等について、この点がこの際は今言ったように税の問題がありますから考える。こういうことになっております。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、交付税率の引き上げの前回に保守党の諸君から出たこの法律案は、ただ単に立ち消えになって新たな構想政府としてはお考えになっておるということで、すか。鳩山総理の毎回おっしゃることでは、この保守合同は政権の移動ではないということを再三おっしゃっておられる。そうしてしかもこの二五%なり来年度から二八%を交付税率引き上げするということは、これは前国会において自由党の方から出たのだけれども、超党派的な立場でこれが出ておったものと私は前委員長として了解しておる。これが立ち消えになったのですか、この計画は。
  85. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) それは私は立ち消えではないと思う。三十一年度まで保留しておる、かように考えておるわけであります。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、端的に伺いますが、三十一年度の通常予算をお立てになる場合には、まずもって基本的には交付税率の問題についてどうしても検討をせられ善処せられなければならぬというふうに大臣としてはお考えになっておられるのですか。その率のいかんを私は聞いているのではない。この問題についてどうしてもやはり考えなければならぬということになっておるのですか。
  87. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは私の考えでは、三十一年度には、先ほどのように広範な面にわたりまして検討が加えられるわけでありますから、それでそういうふうな検討の結果を待たなくてはならぬと思っております。従ってそういうふうな結論が出るまでやはりこれは保留される、かように考えております。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はこの問題は、保守合同をし、この臨時国会を迎えるに当って政府部内で、党としても重大な問題だったと思う。そういう先の見通しをあいまいにして、そして単に便宜公共事業費その他の繰り上げで財源を浮かしてこの地方財政を補てんするという方式だけを切り離して大臣はお考えになったのですか。将来のことの見通しは何ら持たぬのですか。
  89. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 将来の見通しと言いますが、この地方の財政を基本的に立て直すためには今申し上げたようにただ一つの事柄だけではないのでありまして、行政面においても税制面においても、さらにまた財政の運営その他についても基本的に今回は考えてみなくてはならぬ。従いまして交付税の率をどうするとか交付税はどうするとかいうことも、税制について考える場合に考えていくまた地方の行政のあり方とかいうようなことまで、どこまでこれが考えられていくか、これは今後の検討に待つのでありますが、そういうことの考えられた結果は、財源、いろいろな点において私は変化を生ずることもこれもやむを得ないと思う。それからまた保守合同のことと交付税のことを、そう私はこれは当時の民主党は提案はしておられたわけではありませんのですから、これは自由民主党という一つの新しい政党の基盤の上にも立ちましたので、これは私いささか考えが違うように思います。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 鳩山総理は新しい基盤の上に立ったとは言わぬのですが、新しい基盤の上に立ったならなぜ解散しない。鳩山総理はそういう場合には解散する、政権の移動ではないから解散しないと言っている。だから私はその点について申し上げるのですが、ただ大臣のおっしゃる点についてはもっともな点はある。それは地方税制を根本的に改革する、それと見合えば交付税法がどういうことになっていくか、そこまで手をつけるというのならこれは大臣のおっしゃることも私は一部肯定できます。しかしそこまで抜本的な問題ではなくして、一、二の税制を、税法を改正するというだけで、基本的な骨格的な交付税率の引き上げ問題について見通しがないということは、私は大臣としてどうかと思う。それはあってもただ今言えないだけのことだと思う。しかしこれは自由党としましても、政調で各般の見通しをつけられて、責任をもって提案せられたわけで、自由党の方々も多数おられる新しい自民党であるとすれば、その主張が立ち消えになるということは、天下の公党として国民に対してどういうことになるかという説明は、はっきりあるべきはずだと思う。ただこの際その説明は聞き得ないかもしれませんから、通常国会において具体的な問題が出たとき、大蔵大臣からはっきりした所信が伺われることを私は期待する。  次に第二の問題として、この財政再建法を出しました場合に、二十九年度の問題が出ました今、大蔵大臣明快にその赤字がはっきりすれば、これについて増額手当をするという御答弁でしたから、これはよろしい。もう一つの問題として起っておるのは、二十八年度以降ですか、地方の公務員の給与が高いということで、地方財政計画で切り捨てられた部分がある、この部分については、再三委員会として討議が行われましたが、前自治庁長官は、この財政再建法を提案しました際には、この給与の問題については徹底的な調査をし、その結果が九月、十月ごろ出たときにおいて抜本的な対策を措置する、こういう御答弁だったのであります。ところが最近この地方公務員給与実態調査の結果が中間報告として出ておる。新聞紙で報道せられるように、財政計画上それは県職員なり市町村職員において差等があるにしても、全体として地方公務員の給与の見込みが少かったということが明らかになっておる。この点は過去の赤字一つ原因ともなっておる。また現実の問題としてその問題を考えるならば、給与が高かろうが、しかしながら地方は支払いをしておったのですから、この点の赤字ということが大きく今日出てきておるわけなんです。従ってこの臨時国会の半ばでこの点は間に合わなかったのですが、通常国会においてこれがどう措置されるのか、その見通しがなければ、財政再建法の特別措置法も通ったところでまたすぐ赤字の上塗りになる。従ってこの点は政府から、私は特に大蔵大臣からどうせられるのかお伺いしたい。それから自治庁長官にもどうするかお伺いしますが、その際に地方公務員として心配せられておる給与が高いという部分について、個人々々の地方公務員に対して政府はどう措置しようとしておるのか、このことは非常に重大であります。従って長官の御見解を承わりたい。
  91. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) この給与が国家公務員に対して高いというのが今度の実態調査の結果で出ております。この措置につきましては、私は三十一年度におきまして、地方財政の根本的な処理を加える場合に処理いたしたい、かように考えております。
  92. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 御指摘の通り給与問題が、非常に地方赤字の中心とまで言つていい問題だと存じ上げます。で、すでに発表いたしました実態調査の結果を見まするというと、世間で期待しておった点は別といたしまして、実際支給されている額と、財政計画上にある額と、国家公務員の額と、この三本あるわけでございますが、現在給与されている額、いろいろまちまちになっております。実は五大都市が非常に多うございました。それから教員の方も相当多かったのですが、町村はうんと、ということもありませんが低くなっております。差額を見ていきますというと、今の給与されている額と財政計画上の数字とは、百九十億円ぐらい違うかと思います。それから国家公務員との比較におきましては百六十億円くらい逢う。これは出たままの数字でございます。今お話の高い方はどうするかということは、これはやはり自治体の措置にまかすよりほかにないかと思います。低い方が、お話の点について三十一年度のときに大蔵省と話してきめたい、こういうふうに二段に分けて考えております。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は大蔵大臣には財政上の問題として伺っているのです。高い低いという批判を伺っているのではない。高いことははっきりした。あなたの言う通り低いものもある、自治体として地方財政計画に見込まれた金額が少い、国家公務員と比較して少い、これだけは確実な数字なんです。それで大蔵省はこれについて過去の、あるいは将来の分についてどう措置するか、その措置がなければその部分は、財政再建法に載っていないのですし、今度の特別措置法で配分する対象にもなっていないのです。この給与費の問題は来年からは、どうしようが、こうしようが、抜本的におやりになるとしても、二十八年度以降今年までの三カ年間というもの、これで地方財政計画の見積り過小のために生じた赤字についてはどう措置するか、こういうことを大臣に承わっておるのです。これは今日まで財政再建法なり特別措置法の対象ではない、それとは別個に考慮することを自治庁長官として言明しておるのですから、大蔵当局もいやこれは二百億で見るんだ、百八十八億で見るんだとか、どこから押しても計数的には言えないのです。従ってこれはどうなるのかということを聞いておるのです。
  94. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 三十一年度以降において地方財政赤字が出ないようにする、こういうことになるのでありますから、三十一年度の措置の場合にそういう点をむろん考えに入れて処理をするつもりでおります。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 将来のことは一応それで、抽象的にも対策は通常国会に出るでしょうから、それまで待つとします。過去から本年度まで、地方財政計画でけとばしたこの数字についてはどういう手当をするのですか。あなたは財政再建法で一般行政費の手当をする、特別措置法でこの今年度赤字幾らかでも少くする、あるいは二十九年の赤字がまた出たならば、その赤字分を増額してこれをめんどうすると、明快にあなたはお答えになっておられる。ただここに明快になっておらないのは、大蔵省と協議の十全公務員について調査したら、その結果を見て措置するということで、一応本年まで、三カ年なら三カ年に、地方財政計画から地方の公務員が高いということで計数を落しておった、その部分について現にこういう実態調査が出て、全体として地方公務員の給与の見積りが過小であった、財政計画上過小であったという数字が出ているのですから、これについてどうするかという手当の方針さえお伺いすれば、この二つの法案はこれらとからんで完璧なものになって通って行くのです。そういう意味で私は大臣にこの方針をお伺いしておるのです。だから政府委員の方などに見解や事実問題を聞いているのではないから、あなたの答弁は要らない、大蔵大臣に伺っているのです。
  96. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) たびたび御答弁申し上げたように、三十一年度の処理の場合に、それを含めて処理をする。どうそれを考えるか、ということは、それは今後処理案を出すときに十分検討してやります。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十一年度予算の場合に、過去の給与の問題についても処理をする、こういう意味でございますか。
  98. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 大体さようでございます。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、この問題は、将来自治庁予算査定で御協議になると思いますが、まるまるこれは計数上はっきり出てきたことで、大蔵省との約束の上に客観的に出た計数なんですから、これについては、大蔵大臣としても、約束事なんだからめんどうを見なければはらぬ、こういう御方針でございますか。計数ははっきりしているのですよ。
  100. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) どう処理するかは、この全体において、すべて地方公務員の給与が今日国家公務員よりも高くなっている、まあ高くなっておることが、結局、この財政計画と実態とがそごをしておることになると私は思うのでありますが、それを全部国の負担でするかどうか、こういうことは、今後の地方財政に対して、三十一年度に処理する場合に考える、かように考えております。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや大蔵大臣に誤解があるのですよ。国家公務員より、ある対象地方公務員は高い、ある対象地方公務員は低いんです。それを全体としてひっくるめて、自治庁地方財政計画では、国家公務員より地方公務員は高いのだから、ということで、過去において落されたのです。ところが、現われた計数は、全体としては国家公務員のそれよりは低いと出たのです。その個々のものについて、高い低いの凹凸の調整は、自治庁としていろいろお考えだろうし、自治庁長官としては自治体におまかせするよりほかない、という御方針も今明示されたのですけれども大蔵大臣としては、どこが高い、どこが低いということでなくて、地方財政全体の上で、地方公務員の給与が国家公務員より高いからということで、大蔵省で落しておいたのです。しかし、実際は国家公務員よりは低かった、低いのにもかかわらず、なお財政的なめんどうを見ておらなかった、という部分についてですね、これが赤字原因にねっているということが計数的にも明らかだと思うのです。それについて、大蔵大臣は何らかの措置をせられる御方針をお持ちになれば、これは二十九年度赤字克服の問題ともからんで、地方財政再建特別措置法とからんで、やや全体的ね、総合的ね計画に触ると、こう思うのです。
  102. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 二十九年度までのは、その点も赤字になっておると出ておると思っておりますが、三十年度において低い県について、これは自治庁とも具体的にこの問題を取り上げて、実際に沿うようにするということでやって参りたいと思います。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十年度はわかりました。二十八、九年はどうなんですか。
  104. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これはもう赤字になりまして、再建法でたな上げになる。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、この部分はこれは別問題だ。前の川島長官は、これが出たときに、その部分はその部分で考える、というふうな答弁があったように私は聞いているのです。
  106. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ただいまの御指摘の点でございますが、給与関係の財政計画において見足りなかった部分は、二十九年度の決算がすでに判明しておるわけでございますが、その決算の六百四十八億という中に入っておるわけでございます。今回の再建促進特別措置法がもし成立いたしますければ、その場合に、各団体において作ります財政再建計画及びそれに基く再建債対象にその給与関係の赤字の分もねるわけであります。従いまして、今残っております問題は、ただいまお話のございましたように、三十年度以降のものをどうするか、こういうことであろうと思います。二十九年度前の問題について、国がさらに何かたな上げをするだけでなくて、めんどうを見ろという御主張かとも存じますが、私どもといたしましては、今日の建前ではそこまでは考えていないわけであります。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、私にも一部誤解がありましたようですが、ただ、次長のおっしゃったことで承服できないことは、二十九年度までに累計で赤字が六百幾ら出ている。それは二十八年以降引き継がれている部分もむろんある。そうしますと、二十八・九年の給与の見積り過少分については、ただ貸借関係になるもので政府が措置しようということは私は承服できない。これは川島長官に再々お伺いした場合に、実態調査が出た上で明らかにする、こういうことになって、将来に向って出されることではないと私は考えておった。しかも、二十九年度のそれは財政再建法においては対象となっておらない。二十九年度年度分は。二十八年度までの赤字再建をこれで何とかしたいんだ、もっとも、それは計数的に言うと、足りないものなんです。少いものなんです。それでもまあやりくりしていこうというときに、これが利子補給だけで見て、国が、当然裏打ちしはければならない、過去の財源を裏打ちしなければ触らぬものを意識的に落したのですから。意識的に。計算違いでも何でもはい。意識的に、これは高いものだからやらないのだ、そうしてあとは実態を調査した上で、もしもそうでなかったら何とかするんだという約束ずくで始まった仕事なんです、これは。それがうやむやに解消せられて、地方公共団体が当然国から財源的措置をしてもらわなければならぬ部分を、借りということで、自前で、自分でこの赤字再建をしていかなくちゃならぬという方式は、これはあまりにインチキですよ。これはインチキですよ。われわれ委員会に対して、二十八年度以降再三そういうことは繰り返しておってですね。いまさら貸借の関係で処理されるのだということなら、それは法を、何と申しますか、ろうらくするもはなはだしい。これは、自治庁の方は百も承知だが、力足らずそうなったのだから、自治庁に聞くのでははい。大蔵大臣に、こういうインチキ、こういうろうらく、こういうことで事を糊塗しようとせられるのか、もう少しあたたかい心やりで、これこそ明らかに国の責任なんですから、この国の責任の部分を明らかにせられるという考えがあるかどうか、お伺いしたい。私の申していることはいなか弁ですから理解に苦しむかもしれませんが、内容はそう並んです。
  108. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 御趣旨は私ども非常にごもっともと思いますが、今回のこの赤字に対する二十九年度の対策は、何も国がどうとかいうのでなくて、全体の赤字について、くるめて国家としてああいう措置をとり、利子負担をするということで処理しようということ並んでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いずれ、自民党になろうが、自由党時代であろうが、民主党時代であろうが、今日の保守政党の前身の方々が国会に対して約束してきたことなんです、これは……。いずれ給与の実態調査をする、大蔵省の方は高いということで自治庁を圧迫して、三百何十億というものを切っとばしたのです、地万財政計画を……。そしてこの給与の実態調査の結果を待ってきたわけです。出たところが全体として地方公務員の給与の見積りが過小であった。大蔵省の考えが、全体ではありませんよ、三百何億全部ではないが、いずれ見通しを誤まった。もしも地方公務員の方が低いというなら、そのとき国は責任を負うということは再三この委員会で歴代の大臣は答弁になった。これどうなるんですか、そんはことで……。
  110. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 調査の結果に基くものでございますので、大臣にかわりまして御答弁申し上げます。(「尊重せなければだめですよ」と呼ぶ者あり)今回の調査の結果、ことしの一月十日現在におきまして、先ほど自治庁が御答弁になりましたように、実態はわかったのであります。二十九年度までの給与分につきましては、ベース・アップのものはそれぞれみますとか、あるいは交付税率の引き上げに伴いまして財政計画を直します。それぞれ所要の措置をとってきたのでありますが、今日におきまして、果してその財政計画上、この実態調査の結果とどれくらいの当時に乖離があったということはなかなか的確につかみがたい問題ではないかと思うのであります。この点は二十九年度までの分は、先ほど御審議願っておりました再建整備の方で処理することといたしまして、今回判明いたしましたものにつきましては、財政計画上国の基準に直しまして、不足のものについてはなおこれを的確に直しますとか、その他定員につきましては財政計画上の定数よりも多いところもございますので、その間の調整もありまするし、また交付団体別に検討を慎重にいたさねばなりませんので、この辺のととろは自治庁ともよく相談いたしまして、適正なものにいたしたい、かように考えております。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 財政部長に伺いますが、二十九年度までは交付税率引上げその他に追加して、実態に即応するように金が出たやの御答弁なんですが、そうなっておったのですか。
  112. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今宮川君のおっしゃいましたことは、私はそうではないと聞いております。つまり二十六年度三百八十幾らですかふえたときに、以来いろいろの形において、交付金ないし交付税の場合にみてきた、それは従来の経過からみてきた、それが重なって参っておりますけれども、二十七年ごろからでありますが、そのときの話でも、財源措置すべきであった額というものが明確に出ない、出ないし、現実にそれは赤字となって出ておるのであるから、一応処理したものとして考えていくというようなお話ではなかったかと私は思うんであります。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 財政部長に伺いますが、それではあなたの方も自治庁の方も了承するわけですか。
  114. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私ども過去の分につきましては、これは赤字格好で出ておりますが、再建整備法の対象にして赤字を処理するのでありますが、問題は将来の問題としてこれを財政計画に反映して直していくというととしかはいと考えております。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、結局切っとばした分、消極的には強奪した分については返してやるという親切はないわけ並んですね。そうして赤字として、将来やっぱり貸借の関係で取り立てすると、こうなるんですか。
  116. 後藤博

    政府委員後藤博君) 返してやるとか何とかいうことでなくして、将来の財源措置としてそれを財政計画に織り込んでいけばそれでいいんじゃないか、過去の分は赤字の処理の問題として一応片づくのではないかと、かように考えておるのであります。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国の財政計画のあやまちから起ってきた部分について、赤字債券はみな貸借でやるのですから、くれっぱなしの金はないのですから、当然過去の毎年度において、適正な国家公務員並みの財政措置がとられておれば、こういう問題は起らなかったと思うのです。全体としてはですよ、個々の公共団体においては、それぞれ差異があるでしょうが、それをみんなひっくるめにして、そうして起債その他によってだけこれを見るということは、あまりにこれはいわゆる国の力を地方に押し過ぎるのではねいか、地方自身の赤字責任というものが、国にもはっきり現られてきた、国にもあるということががはっきり現われてきたら、これは過去にさかのぼって、何らかめんどうを見るという必要が起ってくるのじゃないですか。これはたとえば給与の実態調査の場合に、地方財政計画という場合に、再三あなた方が、われわれに答弁したことじゃないですか。そのとき考えるという、そのとき考えるということは、一般の赤字と同じに金を貸して、それで処理させるのだというふうには、私たちは了解しておらなかった。どうなんです。
  118. 後藤博

    政府委員後藤博君) いろいろそのいきさつがありまして、二十六年度に下げたわけであります。しかし、一応下げることに政府として決定して下げたわけであります。従ってその後実態調査を何度もお願いして、やっとことしになりまして実態調査ができたのであります。従って過去の分がいかほどであったということは、これは地方団体自体にも昇給のものもございますし、いろいろな需要がございますし、はっきりした計数は出ないと思います。従ってそうでなくて、将来の財源を与えることによって、過去の赤字の処理をする場合に、それを償還の財源に充てることになるのでありますから、結果的に申しますれば、それでもって満足してもいいのじゃないか、かような立場から、われわれは将来の財源措置を強く要望したい、かように考えておったのであります。大臣も大体そういう御趣旨で私どもは御説明になったと考えておったのであります。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 将来の財源措置というのは、過去の赤字に対しても有効に影響する、結局は間接ではあるが、過去の赤字を克服するのにも足りるのだというだけの財源措置ならそれでもいいです。しかしそういう見通しがおありですか。
  120. 後藤博

    政府委員後藤博君) まあ先ほどの数字は別にしまして、一時再建債を借ります団体におきましては、その償還の財源の問題がございます。従って償還の場合に交付税率を引き上げるとか、財源措置を新たにいたしますれば、償還が容易になって参ります。従ってそういうことにもなります。今まで苦しくやって参りましたところは、財源措置をすることによって、これは他の今までできなかった単独事業もできていく。それから多少の赤字のところは、やはり赤字の解消にもなる。こういう意味で私たちは、将来の措置を講ずることによって、やはり解決していくのがいいのではないか、かように私どもは今まで考えておったのであります。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから自治庁長官に伺いますが、全体の財政問題としては、地方公共団体と国との関係はそれでかりによしとしましても、過去に、初めから計画にそごを来たし、地方にそれだけのしわ寄せがいったために、個々の対象になっている地方公務員が、昇給昇格のストップだとか、あるいはそのことのために起ってきた行政整理だとか、こういう犠牲をしいられた。その個々の地方公務員は、何ら責任がないことなんです。少くとも地方公務員の給与のストップなり、あるいは昇給昇格は形式上しながら、実質は寄付行為をもって、その手取りが少くなるというような措置は、国が初めからこれを吹き飛ばし、誤まったために起ってきたことだと思っている。個々の公務員については何ら責任がないのに責任を転嫁することは私はいかぬことだと思う。不当なことだと思う。これはもとに戻りますか。公共団体と国との関係はこれでいいとしましても、個々の公務員の払った犠牲はもとに戻りますか。これは自治庁長官に伺いたい。計数が明らかになったのですから。
  122. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) はなはだ不勉強でございまして、過去のことは私はとこで小笠原委員、からお聞きしたような状況でございますが、すでに切られたという各個人はどうなるか、こういうお声葉でございましたが、これは各自治体におきまして処理した上のことであろうと私は考えます。
  123. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その通りですよ。地方公共団体が自主的に処理したことであり、そうして自治庁が指導監督したもの、でもないことは再三自治庁でも言明しておることなんです。ただ自治庁に伺いを立て、そうしていろいろの方法を講じたという事実はある。しかしそれは地方公共団体が自主的に自発的にきめたことだと言いましても、その原因地方財政計画の見積りが過小であった、意識的に給与費を吹き飛ばしてしまった、こういうようなところから全般的に地方財政の窮迫を来たして、そうして公務員にしわ寄せがいって給与の昇給昇格のストップとなり、寄附という問題が全国的にほうはいとして起ってきた。これはだから、一、二の公共団体の問題でなくて、そのあがっておる全国的な趨勢からいっても、一般的に財政措置上、あるいは運用上の欠陥というものがそこにしわ寄せになっていったと見られべきなんです。しかもその中には確かに地方公務員として国家公務員より給与の高い職種のものもございましよう。しかし一般論として、そういう趨勢を引き起したのは、これは国の責任なんです。だから私は今後において少くともそういう何と申しますか、何ら責任のない個々の公務員にまで国の財政施策が影響し、しわ寄せになっていくというような、そういう冷たいやり方はおとりやめ願いたいと思う。根本的に大蔵大臣もお考えになるというならば、そういう点は十分御考慮を願いたいと思う。自治庁長官もこれが過去のそういう地方公務員の実態がこのままであっていいとお考えですか。地方においては長官なり、大蔵大臣なりがめんどうさえみてくれれば、なんで公共の福祉のために奉仕している自分たちの使っている公務員の給与を切り下げたり、昇給昇格をストップしたいと思われる団体の長がおるはずがないんですよ。だからその点については、大蔵大臣並びに自治庁長官において、私はもう委員長にしかられますから、これだけにしますが、通常国会において、これは抜本的ないろいろ御措置をお考えになることもまことにけっこうです。その際にこういう既得権を剥奪された公務員に対しては、正常な姿に立ち帰るように御努力を願いたいと存じますが、いかがですか。
  124. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ごもっともなことと思います。鋭意努力いたします。
  125. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 同様なことを申し上げます。
  126. 小林武治

    ○小林武治君 議事進行とちょっと申し上げたいのですが、大体申し合せの都合もありまするが、委員長としては、まあわれわれ委員会の申し合せによって議事を運営するのがその責任であろうと思います。で、今これからどうしようと思っておられるか、その点伺いたい。
  127. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 私は先ほど来申し上げましたように、大体皆様とお約束した通りでやっていきたいと思いますが、多少のところは、委員会運営上時間の多少のところはやむを得ないと考えております。中田君の御質問はなるべく簡便に短時間で御終了願いたいと思います。
  128. 中田吉雄

    中田吉雄君 この法案の第十条の第二項です。議会あるいは委員会の事務局を兼務するという規定です。これは自治法にもあるにもかかわらず、こういうふうにかえられた基本的なお考えをお伺いしたい。これは非常に地方自治の根本に触れるのです。議決機関と執行機関との兼務規定、この問題を一つ伺いたい。
  129. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は自治法にも同様な趣旨の規定が根本法としてあるわけでございますが、何分このような非常に苦しい再建をやらなければならない団体のことでございますから、そういう団体に対しましては、そういう根本法に定めてありますような兼職の規定がいま少し簡便にで登るようにしたらどうであろうか、当委員会等の申し出がございませんでも、団体として。要するに長の方から話を持ち出して兼務というようなことができるというようにしたらどうであろうかというようなことが主体でありまして、根本の立て方におききしては、現行法の地方自治法の規定とそう本質的に違いはないと私ども考えております。
  130. 中田吉雄

    中田吉雄君 しかしこれはやはり兼務させぬと再建ができないということになると、自治庁の基本的な考えとしては、委員会や議会が相当な赤字責任を負うべきだと、それをやはりコントロールするには兼務しなければならぬという意味であるのですか、どうですか。
  131. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは決して兼務でなければいかぬという意味でございませんで、団体が兼務させるというようなことによって何らか簡素化の措置を講じようという場合には、この規定を使っておやりになったらよろしいと、こういうことでございます。
  132. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっともう一回御説明を……。
  133. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この規定は、これで必ず再建団体が兼務方式をとらなければいけないといううわけではございませんで、もしその団体がこういうような方式を使って行政の簡素化をして若干でも経費を節約したいというのならば、この規定をお使いになったらよろしい、根本法の規定よりもその意味で簡単にしてある、こういうことでございます。
  134. 中田吉雄

    中田吉雄君 この再建法案というものは、流れました自治法の一部改正とこれは一体のものとして私はやはり出ていると思うのです。いろいろな修正をされた底を流れるものは、やはり一体のものとして、たとえば議会の開会の数とか、常任委員会の問題とか、委員の報酬というようなものは、やはり赤字の問題、再建の問題等と特にこの法律は私一体のものとして出ていると思うのですが、私はこういう再建方式地方自治の考え方には根本的に反対ですが、しかしこの両者は相待って初めて、こういう立場に立つ人の考えからいけば、これはこの一方だけ通ったって、このあとの自治法に出されたような問題が修正されぬと、私はこういう考えに立って再建をやろうとする際には、これはもう初めから私は不可能だ、われわれはこういう形式については反対だ、少くとも両者をしさいに検討すると、やはり赤字を防止し、立て直すためには、この二つが両輪のような形で私は出ておったと思うんですが、その関係はどうですか。
  135. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私どもは根本法の地方自治法の改正につきましても検討はいたしておりますが、その根本法の改正が行われませんでも、この再建促進特別措置法は特別措置法として十分作用し得るものと考えております。
  136. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はまあこれは水かけ論になりますが、これだけではとうてい再建できない、そのことはもう今からたなごころをさすほどはっきりしていると思うんです。何といったってあれは両者が一体のものとしてやはり赤字を防止し、そうして立て直すという思想がそこに私は流れておったと思う。これは水かけ論になるから申し上げませんが、そこで自治庁長官にお伺いしますが、賠償、防衛庁経費の増大、軍人恩給の問題等にからんで国家財政がますます膨張し、地方財政との調整の問題が大きな課題になると思うんですが、この民主化の問題と能率化の問題とをどういうふうに調整をとられることが、地方自治を発展させる上に大切であるか、能率を増進し、経費を節約するためには、もう民主化は犠牲にしてもいいという考えをとられるか、あるいは能率化と民主化との調和的な何をやられるか、その辺の考えを、これは来年度のやはり地方自治法の改正その他に、昨日小林さんが申されたが、基本に触れるんです。民主化と能率化との調和いかんという問題についてお伺いしておきたいと思います。
  137. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 申し上げるまでもなく民主化第一でございます。ただ今回のこの法案の中にも、多少の制限と申しますか、ありますが、これは年限を限っておることで、特別なる措置と私は思って、民主化というものばどこまでもやっていかなければねらぬ、こう考えております。
  138. 中田吉雄

    中田吉雄君 まだたくさんありますが、昨日小林議員が念を押された点は非常に重要な問題だと思うのですが、私はやはり日本のような地方自治の、この民主化の洗礼の浅いところは、やはり能率化と民主化とをどちらを選ぶべきかという際には、やはり民主主義を育てるために、若干能率化の問題を犠牲にし、経費はかさんでも、やはり当分民主化の線を貫くべきだという考えを持っているわけであります。御答弁は求めませんが、民主化と能率化が競合した際には、民主化の洗礼の浅いわが国においては、地方自治を育てるためには、やはり民主化を選ぶべきだ、従って委員会その他の改正等については、きわめて慎重であるべきだ、そういうことはわが日本社会党の地方自治に対する基本的な考えですから、うかうか修正案なんか出しましても、またこのあとのようなことになりますから、徒労にならぬように今から一つ念を押しております。
  139. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。両案について御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正、付帯決議案等がありましたら、討論中にお述べを願いたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  141. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記をつけて。  なお討論について明確にいたします。両法案を同時に議題にいたしておりますので、討論につきましては両法案一括の御討論も差しつかえないし、また委員の方で別々の御討論をなさることも差しつかえはいと思いますから、さようお取り計らいを願いたいと思います。
  142. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は日本社会党を代表いたしましてこのたび提案されておりまする地方財政措置に関する二つの法案に対し反対をいたします。  反対理由の第一は、政府赤字打開の基本方針の不確実、不明確な点であります。自治庁長官はその基本方針の説明におきまして、過去の赤字のたな上げを再建法によって行いこれで今までの赤字をまず広くして、さらに将来再び赤字発生をしないための赤字原因の除去を三十年度の財政措置と来たる三十一年度の財政措置で解決するのである、こういうふうに説かれておるわけであります。そうであるならば、三十一年度における財政計画再建法というものは切り離せないはずだと思うのであります。すなわち将来赤字発生原因の除去のための政府における財源補充策というものがまず拡充されまして、明年度以降の地方財政のワクが見通され、この基礎の上に新しい地方財政計画が示され、その財政計画のもとに地方再建計画が合理的に進められる、こういう順序を追ってこなければならぬと思うのであります。しかしこういう点このたび提案されました再建法等におきましては明年以降の計画というものには何らのつながりも関連も講じられておりません。すなわち再建計画を立つべきも地方の不足財源の内容がいまだもって不明確でありますし、また明年以降の財政収入のワクというものも全然予想ができておりません。さらに三十年度の措置にいたしましても今小笠原委員から種々指摘をされた点でもありますが、給与費というものが全然除かれておりますし、実際上の赤字を削るという方法は完全にはとられておらないのであります。また再建法によりまして二十八年度までの赤字分は対象にされておりますけれども、二十九年度というものは全然はずされております。追って措置をされるということでありますが、再建法というものを進めるならば二十九年そのものも対象された上に再建法を進められなければはなはだその意味を失うものであると思うのであります。  地方赤字につきまして以上のように結論をするならば、どの分を地方責任として、あるいはどの分を政府がみずからの責任としてと、こういったような責任分担というものがまだ明確にはなっておりません。これらを明確にするためにも、特に地方交付税の地方財源繰入率の適否判定を行うべき基礎となる地方財政計画というものが根本的に検討をされ尽さなければならないはずでございますが、こういう点につきましては全然まだ触れられておらないのでございます。問題の核心の地方財政計画を現実の実態に即したものに作り変えることが新計画の前提とならなければならないと私どもは思うのであります。この確立された前提のもとに基本方針というものは立てられていかないのであるならば、その基本方針というものはまだはなはだ合理性を欠くものであると指摘をせざるを得ないのであります。  反対の第二点は、国の地方行政に対する認識がはなはだ不足をしておるのではないか、こういう点であります。  政府の提案説明によりますると、地方団体赤字解消の基本方針の具体化について国、地方の行財政の全般について詳細な検討の上で結論を出すべきである、こう説かれておるのでありまするが、詳細な検討の結論というものはいまだついておるというまだ数字がないのであります。従って逆に、すでに提案されておりまする二法案につきましては当然ある程度地方行財政の実態がつかまれておって、たとえば国との見合いにおきまして地方の緊縮度合いが検討され、あるいは節減の幅というものがどの程度かを認識される、こういったような点が解決されておらなければならないと思うのであります。しかしこういう検討というものば全然怠られており、地方の認識においても欠けるものが多々あることを私どもは発見をいたすのであります。例示をいたしますと、たとえば委員会の質疑の過程においていろいろ述べましたように、行政規模におきましてもあるいは公務員の数等の地方と国との比較におきましても、あるいは財政膨脹率の国と地方との比較におきましても、あるいは国税と地方税の伸びの比較におきましても国と比べて地方がはなはだしく冗漫であるという具体的な例はあげることができないのであります。むしろ国の方の膨脹あるいは国の方の冗漫というものがむしろ地方よりは指摘されるという面をわれわれは発見せざるを得はいのであります。節減の度合いにおきましても昇給ストップの府県は四月分が二十府県、七月分に至りましては三十四府県もあります。宿直、超勤手当、旅費その他におきましては委員会の過程において指摘をした通りでございます。特に私は自治庁側に御反省をいただきたいと思いますのは、三十年度地方財政計画というものは相当縮減をいたしました。極端に縮減をいたしました方式をもって臨んでおります。行政事務の簡素化、経費の節減、補助金の整理、行政整理、こういう方針を極端にとっておるのであります。こういう地方団体側と国家財政とを比べますときに、地方団体と同じような限度において国の節減が行われているというふうには私どもは思われません。例をあげるならば今度の百六十億の財源といたしまして、公共事業費その他をいろいろ削っておりまして、しかも松お年末手当に〇・二五カ月分というものをやすやすと出しておるのであります。しかしねがら地方はさっき言ったように昇格時期にきておりましてもこれさえもストップをしておる。この二つを比較いたしまして緊縮の度合いが国と地方で平等であるということには私どもは理解をすることはできません。政府はこのようは地方財政現況というものの認識を、はなはだ欠いた上に財政措置というものを立てて参りましても、その財政措置そのものははなはだ不確実、不明確なものと言わなければならないと思うのであります。  反対の第三は補充財源の点であります。政府特に大蔵省地方財政審議会の勧告、あるいは地方制度調査会の答申でありましたかが、たび重なって出たわけでございますが、とれに対しましては緊縮財政をたてにとりまして、財源発見の困難というものを理由といたしまして、かたくななほど反対の態度を持して参ったのであります。しかしながら国家財政には余裕がないということには私どもはこれだけでは言い切れないと思うのであります。具体的な例といたしまして委員会で指摘をいたしました通り、防衛庁費を一瞥いたしましても、防衛関係の決算額によりますると、二十六年は不用額が十二億、繰り越し額が百五十一億、二十七年不用額三十二億、繰り越し額が二百八十九億、二十八年は不用額が十四億、繰り越し額が二百五十七億、不用額だけを合せましても六十億に及ぶ、その繰越額の歳出予算に対するパーセントは四三ないし四九%となっている、こういう点を指摘いたしますると大蔵大臣主計局長もこれを認めている。なぜこれをやれないかというと、分担金の関係があるし、諸般の事情によってと、こう言っている。一体分担金の関係とはどこの国とのつながりによってこういう制約を受けるのか。諸般の事情とは一体どういう諸般の事情なのか。私どもは財源がないのでもなければ、あるいはまた出し得ないところの特殊の事情が国内的にあるわけではない。とういう関係の中に国民の納めた税金が率直に国民の手に戻ってこねい、こういう事態というものにはなはだ奇怪な感じを持たざるを得ないのであります。  反対の第四は再建法によりましては自治権の喪失を予想せられる。こういう点であります。中田委員の指摘をいたしましたように再建法の問題は前国会からたびたび問題になっておりまして、たとえば造船、電力、石炭等の大資本に対する政府援助地方団体に対する援助とはは松はだ片手落ちを感ぜざるを得ないのではないか。あるいは税財政そのものに問題があるのではないか。その他いろいろの点が指摘されてきたわけでございますが、今度の政府の施策を待ちましてもこういう点は何ら修正されておりません。で、このまま再建法というものを施行するといたしますると、さっきの中田委員の御指摘のように人員整理の強行、あるいは徴税の強行、あるいは極度な行政費の節減といったようなことがたび重なって参りまして、当然地方住民が受けなければならないととろの、行政的な恩恵というものからも地方住民は切り離される、こういうふうね準禁治産者的な立場に追いやられるということは自明のことでございます。そういたしますると、この再建案というものは政府が最小の犠牲におきまして、地方団体あるいはその住民の最大の犠牲によりまして、行なっているというふうに批判せざるを得ないことになります。赤字解消ができ上りましたときには自治行政は停止されておった、こういうことでございまして、まあ俗に言う角をためて牛を殺すの愚を繰り返すということになると思うのでございます。問題はこの法案が果して赤字を解消し得るかどうか、そして地方自治を守るのかという点に尽きると思うのでございますが、自治庁長官の御答弁によりましては、当然財政再建計画は必要な条件を相変らずつける権限が残っておるわけでございますから、さらに昨日の御説明によれば、来国会においては自治法の改正ももくろまれておるようでございまして、この自治法の改正とこの自治庁長官の権限というものが相待ちまするときには、再建法が前国会で上程されましたとき論議の焦点となりました地方自治そのものが、再建法によってそこなわれてくるという心配をわれわれがもう一回認めないわけにはいかぬという事態を憂うるわけでございます。また当然次に来たるものは地方議会の権限の縮小ということにもなろうし、そうなって参りますると、民主主義の育成される場というものをもはばまれてくることになるわけでございます。で、われわれは憲法の基本といたしまする自治の権限というものを、こういうような一方的な意図によりましてそこなわれていくということには反対をしないわけには参らないのでございます。もしもこういうふうな点で今一歩の後退をいたしまするならば、やがてそれは地方自治にとっての百歩の後退となるということを憂うるものであります。地方自治を守ることはすなわち私どもの基本的人権を守ることにも通ずる点でもありまするので、俗に言うところの官僚の権力復元ということのために、これが利用されるということ——官僚権力の復元のもとになるような再建法ということであるならば、こういったような方向に対してはわれわれは反対せざるを得ないのであります。以上反対の理由を申し上げまして討論を終ります。
  143. 小林武治

    ○小林武治君 私は緑風会を代表して、ただいまの両法案に賛成するものであります。ただし今回の臨時国会地方財政再建する、このために開かれたのでありますが、提案された法案はいずれもこれは一時的のもの、応急的な弥縫策にすぎない。すべての問題は後日に譲られておるということを非常に遺憾とするものであります。しかしながら現在すでに地方等の窮状はきわめて深刻なものがあるのでありまして、やむを得ずこの弥縫策にわれわれも賛成せざるを得ない、こういう事態に相なるのであります。先ほどお話がありましたように、この地方財政再建措置法というものが、私は前回提案された自治法の改正案と全く車の両輪のごどき関係にあるものと信じておるのでありますが、従いまして前回私どもはこの法案だけの審議はでき広いということまで申したことがあるのであります。さような意味におきまして、遺憾ながらこれらの解決は後日に回されるということであるのでありまするが、数日来の本委員会審議におきましても、自治庁の長官は自治法の改正は次の国会に必ず出す、こういうことをはっきり言明されており一まずるし、またこれに関連しまして、教育委員会の廃止もしたり、あるいは公務員の停年制をぜひ実施する、こういうふうなはっきりした言明がありまするのでこれを信用いたしまして、私はこの際はこれをがまんする。先ほど中田委員の御主張も一つの御主張でありまするが、この御主張はわれわれの主張とは相当の距離のあることを遺憾とするものではありますが、ともかく私ども地方自治もむろん大事だが、これにはまた一つ限界が必要であるということもわれわれは考えておるのであります。その意味におきまして、いわば次の国会においてこれらの根本的な問題が解決されるということを条件として、これに賛成するということをあらためて強く申し上げておきたいのであります。なおこの再建措置法につきましては、私はしばしばこの委員会において、この法律の施行ということは、ある程度自治の制限の伴うのはやむを得ほい、こういうふうに考えておったのでありまして、若干のあるいは政府がこれに関与する規定があったのでありまするが、衆議院においてこれがほとんど削除されておるということを私どもはきわめて遺憾とするものであります。特に利子補給のごときも、政府原案の二分が五分に増額された。これらは一般の健全財政を堅持した府県に対する関係において、これは不公平である。いわば世間では正直者がばかをみる、こういうふうな批評さえあるのでありまして、この点もできるなら私は修正をしたいということを念願しておったのでありまするが、自治庁の説明では、この五分を一律にやるのじやない、これらはそれぞれの地方団体の事情に応じて段階を設けてこれを支給するということでありまするので、一応それを信用してがまんする。こういうことで衆議院修正のこれらの点については、きわめて私は不満であるのでありまするが、これらの是正も後日に期することにして、ともかく地方財政が非常に困窮しておるその事態にかんがみまして、この際はやむなく衆議院案をそのままわれわれも承認することにして、これに賛成するものであります。
  144. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 私はこの両法案につきまして、一つ一つ分けて賛成討論をいたします。  まず地方財政再建促進特別措置法案でありますが、この法案の中には、審議の過程にいろいろ現われて参りましたように、私どもといたしましても、不徹底と思われるもの、あるいは多少適切を欠くと思われるものはどを見出すのでありますが、法の成立を急ぐために小異を捨てて大同につくという見地から賛成するものであります。成立の上実施に当っては、特に赤字を生じたことが、この団体運営のつたなさがあったにいたしましても、戦後の重大課題である地方行政民主化への途上において、やむにやまれず受けたところの所産であるということに思ひをいたしまして、数年間いわゆる準禁治産着たる立場に立たされる再建団体に対しましては、政府は法をたてにいたずらに威嚇的であったり、あるいは強圧的であったりすることなく、常に親が病む子をみとる深い思いやりの態度をもって対処してもらいたいことであります。なお先ほど委員長からも特に政府側に対して希望を申し述べておりました再建債二百億円は、昨日の鈴木次長の御答弁、あるいはきょうの大蔵大臣の御答弁、いずれも一応このワクというものはそうこだわる必要は意いので、赤字たな上げに必要なものについては十分考慮するということを言っておりますが、必要な場合には遅滞なくこのワクを広げること、また再建債利子は三分五厘以上の部分を五分の範囲で国が補給することに対応して一般地方債については政府資金の利率を引き下げて均衡を得せしめる最善の努力をすべきである、この二点を特に強く要望したいのでありまして、この点につきまして以下付帯決議を付したいと考えるのであります。    地方財政再建促進特別措置法案に対する参議院地方行政委員会付帯決議(案)   地方財政再建については現下の地方財政状況にかんがみ、政府は既定の計画に加え、早急に次の諸措置をとるべきである。  一、再建債の額二百億は二十八年度までの赤字額に対する措置であるから、二十九年度赤字増加額と見合い、必要の額を早急に増額すること。  一、再建債利子は三分五厘以上の部分を五分の範囲で国が補給するにかんがみ、一般地方債については政府資金の利率を引き下げて均衡を得しめるよう努力すること。   右決議する。  次に昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案について申し上げます。  この措置法案はどこまでも臨時的な措置でありまして、今日の場合やむを得ざる措置として一応適切なものである、かように考えるのでありますが、その中にあるいは公共事業費の繰り延べの問題、それによって財源措置をしたというような点、あるいはまた期末手当が増額になりました関係上、せっかくその措置をしたあとにまた赤字を出すようなことになるのではないかというような心配があるのでありますが、これらにつきましては、すでに審議の過程において政府側から十分なる考慮をするという答弁もありましたので、一応賛成いたすものでございます。  この際にこれにつきましてもさような意味から付帯決議を付したいと考えます。    昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案に対する参議院地方行政委員会付帯決議(案)   政府は現下地方財政の窮乏に対処し次の措置を講ずべきである。  一、昭和三十一年度において地方行財政制度に関する抜本的対策を樹立し地方財政計画に遺漏なきを期し、もつて赤字の続出を防止すること。  二、今回の地方公務員に対する期末手当の財源捻出不能分については通常国会において必要な財政措置を講ずるとと。  三、公共事業費の繰延べについては事業の実施に実質的に支障を来たさざるよう万全の措置を講ずること。   右決議する。  以上をもちまして私の賛成討論を終ります。
  145. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 他に御発言がなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認め、これより採決をいたします。  まず地方財政再建促進特別措置法案を問題に供します。  念のために申し上げますが、前国会衆議院修正の上送付されたものが原案でございます。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  147. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中に述べられました本案に対する伊能君提出の付帯決議案を議題といたします。  伊能君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  148. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数と認めます。よって伊能君提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に昭和三十年度地方財政に関する特別措置法案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  149. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中に述べられました本案に対する伊能君提出の付帯決議案を議題といたします。  伊能君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  150. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 多数と認めます。よって伊能君提出の付帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお両案について、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を附することになっておりますから両案を可とされた方々は順次御署名を願います。   多数意見者署名    石村 幸作  伊能 芳雄    小幡 治和  高橋進太郎    斎藤  昇  小林 武治    安井  謙  佐野  廣    岸  良一  館  哲二    笹森 順造
  152. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御署名漏れはございませんか。……ないと認めます。  暫時休憩いたします。    午後一時三十六分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————————