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政府委員(柴田達夫君) ただいま小難先生から、本年の特別失業対策事業をやってみて、いろいろ支障があるという点の、きわめて重要なポイントについてすでにお話がございました。ただいまお話がありました点につきましては、私まだ日浅くて勉強が足りませんけれども、私がいろいろと聞いております限り、全くお話の通りに伺っております。今お話がございましたように、一日三万人という、しかも百パーセント失業者でなければならぬという、吸収率が一〇()%というこの条件がむずかしい。非常に苦労をしておるということも事実でございます。
それから労務費の資材費に対する割合が高過ぎて、実際にそれに対して事業がない。しかしそれをやって
いかなくちゃならないということに対して、一般の公共事業を抱き合せて間に合せていくということも事実です。それから最初私が申しました、地域的、時間的に失業者の生じている場所との食い違い、このことから非常に遠方の距離を、職業安定所を通じて適格者を集めて、それを輸送して運ぶというような無理をしている。しかもやって来ているのを見れば、女や年寄りであるといったようなことも、それは
実情だろうかと思います。
いろいろとお話がございましたようなことでまさしくございますので、
明年度におきまして、このような特別失業対策事業を同じような形でやるということにつきましては、
建設省としても非常に問題があると
考えます。しかし、ことは失業対策の事業ということでございますので、失業対策の面で、
建設省が積極的にどうこう事業をやるということを、
予算要求をいたすことはこれはまた別問題といたしまして、少くとも同じような
やり方で、特別失業対策事業を同じような条件でやられるということについては、これはぜひ
明年度は改善をしてもらいたいというふうに
考えまして、
建設省といたしまして、現在までのところ、これは新
大臣にも、まだはっきりした御
方針を十分にきめていただく段階まで至っておりませんけれども、
建設省としては、本年の実績にかんがみて、明年はぜひ言い分だけはどうしても言って
いかなければならないというふうに
考えております点があるのでございます。
それはまず端的に申しますと、先ほど私が申しましたような
関係から、こちらの
道路でございますとか、あるいは
河川につきましても、明年は五カ年の基本
計画をきめていきたい。そういう
計画、事業を基本的な
計画に基いて、しかも重点的に経済効果が上がるようにやっていくのが、これが公共事業のほんとうの姿であろうと思うのであります。それを今度失業対策という面から、労働力の高いものをそこへ吸収するという意図は、まことに失業救済の点からいいのでありますけれども、その要請を百パーセントに取り入れようとしますと、完全な公共事業自体が、一体何のためにやっているのかわからないということに相なると思うのであります。そういう点からいたしまして、まず事業自体の対象が、もしこういう失業対策事業を明年も一般失業対策事業以外にやっていくということにいたしますならば、そこまでは失業対策の問題ですから、
政府が失業対策の見地でどうしてもこういうものをやって
いかなければならぬということにいたしますならば、公共事業をやっている私どもの方といたしましては、そういう
計画外の仕事にむしろこれを振り向けてもらいたい。
計画内の仕事、ことにガソリン税を使ってやっているというような基本的な
計画の中で、失業対策を今のような厳格な条件でやっていく余地というものはもう無理だというのが、今年の実績で
結論づけられているのであります。今年でさえも無理であるものを、来年さらにやっていくということになれば、事業はだんだんと進んでいくことになるわけでありますから、ますます失業者がおらないところで無理をしてやって
いかなければならぬという事態になりますことは明らかでありますので、まずそういう
計画外、ガソリン税を使わないで、はっきり申しますと、
計画外の事業で一般の公共事業をやっていることにさらにプラス・アルファとして、そういう特別失業対策事業を
政府がやっていくという御
方針であるならば、やってもらいたいというのが第一の要望点でございます。
それから第二は、今小澤先生からお話がありましたような点でございまして、その場合においても、失業者の吸収率というのを一〇〇%やるということは、これはどうしても無理がある。これをまあ七〇%かあるいは八O%というような、まあ七〇%くらいが適当だろうと申しておるのでありますが、それくらいの率に下げて、そうしてやはりほかの手持ちの熟練者というものと一緒に仕事をやっていくということでなければ、ほんとうに事業効果というものは上らないのじゃな
いかというふうに
考えております。
それから第三点は、これもまた小澤先生から御指摘がございましたように、
事業費の中に占めております労務費の比率でございます。労務比率というものを本年は大体四〇%なければならぬということできまっておりまして、実績におきましても四三%くらいの高さに上っているのであります。普通の公共事業をやります場合におきましては、これはものによりまして違いますけれども、二〇%くらい、舗装というようなことになりますというと、資材費がかかりますので、一五%くらいというのが普通であります。それを四〇%ということでありますと、どうしてもほかの事業と抱き合せにでもやって
いかなければ、やって
いかれないということになりますので、この比率についても、先ほどの
計画外にするということと多少
関連して参りますけれども、これもやはり三〇%とかなんとかいう程度にとどめてもらいたい、こういう希望を持っているわけでございます。
そのほかに、これまた小澤先生から先ほど御指摘がございましたように、事業の
施行方法でございますけれども、これも直営ということを非常に厳格にやりますというと、やはり直営をやるためのいろいろの事務費がかかるということから、困難である。これをまた請負に移してやっていくということになりますれば、先ほどのように、利潤の問題という点で非常に業者が困るというような問題も起って参りますので、これはある程度直営を原則といたしましても、なるべく直営にすることがきれいに行くということは間違いがないと思いますけれども、請負というものの状況によって、事業の
実情によってやっていけるように、弾力性を持たしてもらいたい。
そのほかにいろいろとございます。さらに、事業全体を通じまして、特別失業対策事業というのを一般失業対策事業より程度の高い失業対策事業と見るべきか、あるいは一般公共事業と違う、失業者をできるだけ吸収する一棟の公共事業と見るべきかという問題点があるのでございまして、私どもの方はやはり、公共事業というものはその事業効果をねらうということはあくまでこれを原則として、その許す限界においてでまるだけ失業者を入れていくということは、これは国策に沿うゆえんであると思いますので、公共事業というふうにもう少しこれを見て、そうして一般の公共事業以外にプラスして、もし国が必要であるならば、そういう失業対策の目的のための特別な公共事業をやってもらえばいいのじゃな
いか、かように
考えているわけでございます。そうなりますならば、
予算の所管あるいは
実施の方法等につきましても、現在労働省がこれを所管いたしまして、移しかえによって
建設省に移管をしているという
やり方についても、おのずから再検討を要するものがあるのじゃなかろうか。公共事業をやる方の側がやりやすいようにまかせてもらう、しかし必要なことは失業対策を所管している省と十分協議して、その承知の上でやっていくということで、目的を達するのではなかろかと、かように
考えておるのでございます。
いろいろこまかい点はあろうかと思いますが、明年も特別失業対策事業をやりますならば、その場合の改善案として
考えておりますことは、大体以上の通りでございます。