○伊藤(好)
委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、
昭和三十年度の
特別会計予算補正(特第2号)の編成替を求めるの動議を提出するに当りまして、その
趣旨を説明いたしたいと思います。
申し上げるまでもなく、今度の
国会は、
外交問題と中間的な報告のほかには、地方財政の救済、その他地方自治体ないし
国民生活の安定に関する問題が、
国会の中心的な議題でなければならないと
考えるものであります。これに対しまして、
政府は、地方財政の問題に対してだけは特別会計の補正の予算を提出しておりますが、予算として
国民生活を救済するという問題につきましては、ほとんど何ら手を触れておりませんし、地方財政の救済についても、はなはだ私どもといたしましては不十分きわまる
態度であると思うのであります。従って現在の重要なる地方自治体もしくは
国民生活の問題に対して、現内閣は非常に不親切である、かように私は
考えておるものであります。そこでわれわれといたしましては、年度のもうすでに四分の三期をこえておりまして、非常に残りば時間的には少いのでありますが、主として地方財政の救済と、年末を控えまして
国民生活め困難な事態に対してできるだけの救済的措置を講じたい、こういう根本
方針を提示いたしまして、それに基いて予算補正の編成替を求めるの動議を提出した次第であります。従いまして、私どもの補正予算組みかえに関する動議は、われわれの
考える基本的な
方針にのっとってこれを提出した次第でございますので、十分の御審議を賜わりまして御賛成を願いたいと思うのであります。
そこでわれわれの動議といたしましては、
昭和三十年度
特別会計予算補正(特第2号)については、
政府はこれを撤回し、次に述べるような要綱によりすみかに組みかえをして再提出することを要求する次第であります。
再提出をする際の根本的
態度といたしましては、まず第一に、
政府案による地方財政の赤字補てんは、補てん額が僅少でありまして、
昭和三十年度地方財政計画における必要経費の不足が満たされないばかりでなく、財源として
昭和三十年度一般会計において可能なる歳入増収額及び可能なる組みかえを行わないで、一時借り入れを行なったことは不当であると
考えるものであります。よって
政府は、これを撤回する必要あるというのがわれわれの
態度でございます。
第二に、地方財政の窮乏は、申し上げるまでもなく、ますます深刻でありまして、本年度財政計画も、赤字の累積のために実施困難な事態に陥っているのであります。このままいたずらに推移すれば、地方財政の破綻を早めるばかりでなく、地方財政支出と密接に関連のございます公共事業、社会保障、義務教育、公衆衛生等の一般会計予算の支出の効果が、阻害されるおそれが十分にあるわけであります。従いまして、地方交付税率の五%の引き上げ及びたばこ消費税の税率を百分の三十に引き上げまして、地方財政における本年度既定経費の不足を補うとともに、交付団体、不交付団体の双方に対しまして、公務員年末手当の増額、登録日雇い労働者年末手当の支給、被生活保護世帯に対する年末補給金支給の財源を与える必要があると
考えるわけであります。
さらに第三には、公務員の給与は低いままにくぎづけされておりまして、かつ昇給、昇格もほとんどストップされているのが現状でございますので、特に本年度は年末手当の支給を規定額より〇・二五ヵ月分増額いたしまして、公務員の生活保障に充てる必要があると
考えるのでございます。
第四に登録日雇い労働者は、実働日数が一般勤労階級よりも過少に制限されておる現状にかんがみまして、これに年末手当を支給して生活を保障する必要があると
考えます。
第五に、地方財政の窮迫せる現状にかんがみまして、緊急失業対策事業に対する国庫補助率を引き上げ、かつ失業発生の特別に多い市町村に対しましては、全額国庫補助を行う必要があると
考えます。
第六に、被生活保護世帯に対する生活保護費の単価が今日過少でございますので、これに一時的な生活補給金を支給する必要があると
考えるわけであります。
第七に、この四項目にわたる歳出の増額補正を行いますためには、
昭和三十年度一般会計歳入における自然増収、
昭和二十九年度一般会計の余剰金一部の本年度一般会計歳入への繰り入れ、防衛庁経費及び賠償等特殊債務
処理費のうち、明らかに明年度に過年度繰り越しになるものと予想される額の一部の支出組みかえ、一般行政費のうちの不用額及び節約可能なる額の一部の支出組みかえによって、十分に財源措置ができるとわれわれは
考えておるものでございます。
なお予算定員外の経費によって雇用されておる人員に対する年末手当は、国及び地方が行政措置として支出することにいたしたく、さらに本年度災害復旧費、李ライン漁船損害補償費、臨時救農土木費は、やはり予備費により支出することにいたしたいと
考えているわけであります。
われわれは、このように地方自治体の破産的状態と、年末を控えて困難なる
国民生活のうち、特に一番悪い状態にある諸君に対しまして、この際救済的な措置を講ずることが、本
国会の最大の使命と存じまして、幸いに財源措置も可能でございますので、以上のような予算補正の編成替を求める動議を提出したわけでございます。どうかよろしく御賛同願います。(拍手)