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1955-12-12 第23回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十二日(月曜日)    午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 小枝 一雄君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 足鹿  覺君    理事 稲富 稜人君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    石坂  繁君       木村 文男君    楠美 省吾君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井谷 正吉君       石田 宥全君    川俣 清音君       楯 兼次郎君    中村 時雄君       芳賀  貢君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君  委員外出席者         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         林野庁長官   石谷 憲男君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十二月十日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として佐  竹新市君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員山口喜久一郎君及び有馬輝武辞任につき  、その補欠として松野頼三君及び楯兼次郎君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十日  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(芳  賀貢君外十三名提出衆法第四号) 同日  地方公共団体に造林及び伐調資金融資に関する  請願野田卯一君外七名紹介)(第二二一号)  米の配給量増加に関する請願松平忠久君紹  介)(第二三五号)  米の直接統制継続に関する請願下川儀太郎君  紹介)(第二三六号)  米穀の予約売渡制継続等に関する請願松澤雄  藏君外一名紹介)(第二三七号)  居辺無水地帯開発促進に関する請願本名武  君紹介)(第二三八号)  農地法の一部改正に関する請願野田卯一君外  七名紹介)(第二三九号)  市町村公共事業用地買収に対する農地法適用除  外の請願野田卯一君外七名紹介)(第二四〇  号)  農地改革の行過ぎ是正に関する請願池田正之  輔君紹介)(第二四一号)  泊漁港整備促進に関する請願椎熊三郎君紹  介)(第二九三号)  農薬による水産関係被害救済に関する請願(井  手以誠君紹介)(第二九四号)  北洋さけます流網漁業の許可に関する請願(薄  田美朝君紹介)(第三二二号)  北千島さけます流網漁業の再開に関する請願(  薄田美朝君紹介)(第三二三号)  東天北地区高度集約酪農地域に指定の請願(  佐々木秀世紹介)(第三二四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産関係公共事業費に関する件     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き国政の調査をいたします。第一、農林水産関係公共事業費に関する件について調査を進めます。質疑を許します。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣委員 先日の公共事業費についてですが、予算削減あるいは繰り越し、あるいは節約とかいういろいろの表現によって公共事業費が、事業量が大幅に実質的に減るような放送宣伝が行われておるわけであります。これに対して大臣質問を試みたのでありますが、大臣答弁によりますと、予算削減または節約等は行わないということであります。一応大蔵省との折衝の間において一割節約意思があるので、これを農地局末端通達をしたようなきらいがあるが、これを正式に取り消してないのではないかという私の質問に対しまして、大体取り消したはずだ——大臣意思に反してなお取り消してなければ、大臣を信用しないということになるのだが、その点はどうかということを尋ねておる。それに対してさようなことのないように徹底させるということでありましたが、徹底させておるかどうか局長に伺います。
  4. 小倉武一

    小倉説明員 実は大臣が本席でお答えになりましたことを詳細承知いたしておりませんので、あるいは大臣意思をそんたくするようなことになるかもしれませんけれども、私ども事務局長ないし府県知事通達いたしておりますことは、公共事業費削減につきまして確かに農地局長の名前で通告いたしております。しかしその内容につきましては、せんだって本月の一日でございましたか、地方財政問題との関連におきまする閣議決定がございました。その関係によって、たしか一日か二日あとだと思いましたが、今からいえば四、五日ないし一週間前でありますが、こういう閣議決定があったということを通知いたしておいたのが一つであります。それからもう一つは、そういう閣議決定がありまして——行政的な取り運び方がどうなるかまだ実は私どもよくわかっていないのでございますが、しかしそういう閣議決定があった以上、将来あり得べき事柄についていろいろ今から検討しておく必要がある、たとえば事業進捗状況がどうであるかといったようなことは必ずしも農地局では詳細わかっておりません。各事業につきましてどうであるか、また県の事業についてはどうであるかというようなことについて早いうちに承知しておかないと把握ができないということもございますので、この二十日でありますか、建設部長会議をやるという意味会議招集通牒をいたしております。この二つでございます。従いましてこれは取り消すとか取り消さぬとかいったようなものに該当しないものではないかと思っております。閣議決定趣旨によってこういう方針節約しろといったような通牒でございますれば、あるいは現段階においてそぐわない、あるいは大臣の本委員会において答弁趣旨と違うかもしれませんけれども、そういった通牒は実はいたしておらないのでございます。
  5. 川俣清音

    川俣委員 とにかく最初一割節減といいますか、そういう方針大蔵省意向通達を出された。これに基いて地方では相当の混乱が起きてきているわけです。しかも大体の予想せる金額は、食糧増産では北海道を入れないで二十三億ということになっております。あなたの関係ところが一番大きい。それから林野関係で約十億、水産関係で約三億、北海道農林関係を入れて約三十五億に上る節約ですが、地方に流されている。一体節減とか節約というものは行政官庁が出すべきものではないと思うのです。予算提出権行政府にありましても、予算決定権国会にある。国会意思を無視して行政府が勝手に節約だとか、節減だとかいうことができるわけはないはずである。それをあらかじめ国会意思も聞かないでこうなるであろうというようなことを予想したのはどこから出ているのか、お尋ねしたい。
  6. 小倉武一

    小倉説明員 こうなるであろうという予想は、実は私どもまだいたしておりません。今示しの二十三億ですか、二十五億とかいう数字も私まだ正式に聞いておりません。正式と言っては誤弊がありますけれども聞いておりません。従ってたとえば食糧増産対策費については二十三億ないし二十五億が節減になるから承知しておくようにといったような趣旨のことも言っておりません。正式にきまればあるいはそうなるかもしれませんけれども、今のところ別段節約前提とした指令めいたことはいたしておりません。しかしいろいろ節約額とか不用額とかいった問題も生じておりますので、現段階において実情を把握し、将来起り得べき事態には対処し得る材料を整えておきたい、かような意味での準備はいたしたい、かように思っております。
  7. 川俣清音

    川俣委員 将来起り得べき事態に対処するというのは、どういう事態予想しておられるのですか。まだ固まっていないというけれども、何が固まっていないのか、三十年度予算はきまって確定している。変更しようとするからまだ固まっていないとか、まだはっきりしないとかいうことが出てくると思うのですが、これはどういうわけですか。私は決して言葉じりをとらえて追及するのではないのです。予想すべき事態というものは確定したことの変更なのですね。変更の意図があれば問題なので、その変更する意思があるのないのかということを聞いている。また固まらないとか、確定しないとか、あるいは予想すべき事態というのは、おそらく変更意味するであろうと思う。なぜ変更のあるようなことをあらかじめ通達をしたかということが一つの問題なのです。災害予想せざる天災地変が起きたために変更するというようなことはあり得ることです。しかしながらそういうことは天災地変予想してのあらかじめ起るべき事件とは違う。私どもは通常起るべき事件ということは天災地変をさしていないと思うのです。従って予算上の変更意味するのだと思う。大臣予算変更するような意思ばないとはっきり言っている。ところ事務当局の間にはそういうことが流布されているからどうなんだと聞いたについては、そういうことがあれば取り消させる、こう言っている。どうですかこの点は。
  8. 小倉武一

    小倉説明員 予算変更があればというようなことを申し上げているわけではございませんし、また予算がきまっていないということを申し上げているわけでもございません。ただ私ども役人でございますので、閣議決定がございますれば、こういう閣議決定があったということは関係の局に通達するということは当然のことだと思うのであります。従いまして閣議決定がありまして、それが将来予算変更になって現われるかもしれませんし、あるいは予算変更にならずに済むかもしれませんが、しかしいずれにしてもそういう閣議決定があったということは、私ども正式に聞いておりますから、それをないがしろにほっておくわけには参りませんので、それを通知する。またいろいろこういう問題になっているときでございますので、食糧増産対策事業がどの程度進捗状況になっているのかといったようなことについても、個々に把握しておく必要がある、そういうことのために必要な措置をとった、こういう意味に御了承願いたいのであります。今ここで節約するといった意味での通牒を出したのではございません。
  9. 川俣清音

    川俣委員 末端のことを議論しておってもしょうがないと思います。閣議決定があったことを通牒を出した、そのことを私は論じていないのです。その前に大蔵省意向を汲んで節約をさせられるかもしれないということの通達をいたしているわけですね。問題はそこなのです。そうなりますと実施事務所実施団体実施県庁は、もしも予算削減が行われるならば、あるいは予算繰り延べが行われるならば、そのつもりで事業をしなければならないということで、急いでやらないでわざわざ延ばしているような事態がある。問題はそういうことが起るということです。それで不用額が出たということで処分するということになると、ペテンにかけたことになる。今早く工事しておいて、あとが来ないということになると手をあけて待たなければならない。だから手を延ばして、一割削減を受けても年度内に終るようにというので、事業量繰り延べておって、それから不用額が出たからそれを召し上げるということになるとペテンにかけたことになる。そこであらかじめ予算節約が行われるというようなことを出しておれば、そういうふうに暗示を与えておれば、またそういう誤解を生じておれば、これを取り消しする必要があるじゃないか、こういうことなのです。いかがですか。
  10. 小倉武一

    小倉説明員 御質問趣旨は、おそらく今回の閣議決定あるいは地方財政との関連における公共事業費の問題以前に保留ということをいたしておったことについての関連だと思いますが、これは御承知の通り例年もあるようでございますけれども、ちょうど一割の保留ということがございました。しかしこれは例年の例によりますと、えてして節約ということになるということで、農林省といたしましてはそれは絶対困るということを事務当局大臣も強く関係方面には意思を表示し、また通達しておったのでございます。しかしながら一割保留という事実があったことは否定するわけには参りません。ただ私どもといたしましてはそれを節約にするということは了承し得ないのだということで今日まで参ったのであります。のみならず十二月前、十一月の末ごろまでは漸次保留額解除されていく傾向にある、やがて全額解除になるだろうと思っておったのでありますが、しかしまだ全部解除になっておりません。そこへこういう問題が生じておりますので、私どもといたしましては、ちょっと事務的に判断することが実はむずかしい段階になっているのであります。
  11. 川俣清音

    川俣委員 農地局保留分についていろいろな検討をせられておったようでありますが、この点については敬意を表します。ただ国家予算ができてから、これを予算保留するなんというようなことは財政法違反なんです。小倉さんはその辺の大家であるはずですから十分知っている。財政法違反なんですよ。国会予算審議権を犯すものであって、もっと突っ込んで言えば憲法違反なんです。従って行政的にできるだけ努力されていることについては一応敬意を表するのですよ。決して非難しゃせぬ。しかしながら財政法違反大蔵省が犯すというような行為に対しては、農林省はあげてもっと強力に大蔵省と折衝しなければならなかったのではないか。それを大蔵省意向を受けて、節約が行われるかもしれぬというような前提ではなかったにせよ、例年のことだからということで保留をしておくというようなところに問題を起こしたからしてなお問題になってきた。特に今度は補助金の適正の法律が出て非常に問題になってくるのは、来年の三月までに終了しない工事をどうするか。例年によりますと、二ヵ月ぐらいは事業をしておりますても前年度の分として取り扱ってきた。大臣はそういう慣行は今年も認めていきたいという御意思だった。そういうときにまだ節約を、それを解除するかしないか、あるいはそれを節約に回すのか繰り延べに回すのかまだはっきり固まっていないというようなことでは、食糧増産に大きな努力を払っております国の事業はもちろんのこと、県の事業あるいは団体営事業に与える影響は非常に大きいです。不用額というものは意識的に不用額を作るべきでない。自然の環境のもとにおいて不用額ができれば別ですが、決定された予算を十分執行できないとすれば、執行者責任なんです。天然自然の条件不用額が出たらこれは別問題。しかしながら一応予算を組んで、執行できるだけの予算を組んで、それをなしとげられないということになれば、これは行政官責任なんです。この予算の少いときに不用額が出るなんということはあり得ないわけです。それほど設計がずざんであるわけもないだろう。それを人為的、人工的に不用額を出させるという意思がおありになるかどうか、この点をお尋ねします。
  12. 小倉武一

    小倉説明員 私ども事務当局が人為的に不用額を立てるというような意思は毛頭ございません。
  13. 川俣清音

    川俣委員 事務的には不用額を出すということは考えておらぬ、しかしながら削減が行われるかもしれぬ。あるいは予算をつけないでこれを保留しておいたならば人為的に執行しないことになる。人為的に不用額が出たことになる。どうですか。節約意思通達しないと言ったって暗示を与えたり、予算を回さないで保留して人為的に事業ができないようにしておいて、そういう意思がないといっても、出てきたらどうしますか。予算を渡さないでおいてのやつは人為的ですよ。自然的条件じゃない。節約のおそれがあるというような暗示を与えておるということも人為的です。予算執行に当っては、あれほど緻密に、あれほど正確に事業量内容設計も伴った予算設計ができており・確定しておるはずです。それをただ実行できなかったという不用額は、これはないわけじゃないでしょうか。自然的条件によって、あるいはその他の環境によってできないこともあり得ましょう。それは全然否定しません。大臣答弁は、そういうふうに自然的な条件環境から生まれた不用額繰り延べるという話なんです。人為的にはやらないという意思なんです。事務的にはそういう意思はないという話なんです。小倉局長も、事務的には、人為的にはやらないというけれども予算節約意思を表わしたり、あるいは保留しておるということは事務的、人為的じゃないですか。
  14. 小倉武一

    小倉説明員 そういう保留とかいうことは確かに人為的であることは申すまでもないのでございます。ただそういう措置をそのままほおかぶりして年度末までいってしまうということであれば、これは先ほどいろいろお示し通りふらちなことだと思いますけれども、その保留額が当然使える程度の期間を見込んだときに、どうするということを国会の御承認を得てきめるということであれば、これは必ずしも不適当とも申せないと思います。そういう段階に至るまでには当然いろいろの措置が講ぜられる、こういうふうに思っております。ただ私どもといたしましては、と申しながらできるだけ早く解除していただく方が望ましいのでございます。仕事進捗状況その他を述べまして、また災害の発生といったこともあるいは顧慮されておるのかもしれませんので、ことしの災害の大要、大体年度も経過して参っておりますので、そういうことを述べて、できるだけ早く保留額解除ということを主張してきておった次第でございます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 やや明らかになった。毎年自然条件あるいはその他の環境から、事業をいかに熱心にやっても事業量を達成することができないという結果が出て、これが不用額となって出ることが相当大きい、こう言われておる。これはやむを得ないと思う。しかしながらさっきから言うように、事務的に初めから一割の予算節約するんだとか、あるいは繰り延べするんだとか、あるいはこれを保留するんだというようなことは、少くとも予算編成権に対して大きな侵害になる。農地局はこれだけの膨大な予算を消化し切れないということはないはずなんです。天然条件自然条件その他の環境の結果不用額になったものはやむを得ないであろう、これはわれわれも認めないわけじゃない。しかしながら事務的に、意識的に不用額を作ってはならない、こういうことなんです。大臣はそのような意思はないというのてすか、また固まらない固まらないというのは、どうも事務的な、人為的なように思われる。大臣の言う通りであれば、人為的、事務的でないということになれば、何も固まらないの確定しないのということはないはずだ。ほんとうに忠実に事業執行しても監督しても、なお不用額が出る分は何人も論じない。そうであれば、予算の使い方がまだ固まらないの確定しないのという議論が出るわけはないと思う。きまっているじゃないですか。はっきりきまっているという御答弁があれば、それで私は満足する。きまらないの固まらないのというから議論している。どうですか。
  16. 小倉武一

    小倉説明員 予算はもちろんはっきりきまっておるのでございまして、事務的にあるいは行政的にはそれを執行する、これを有効に執行するというのは当然の建前で、そういうことで努力しておるのでございます。
  17. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、大臣も言われる通り事務当局もこれを変更する意思はない、世に宣伝されておることは、あるいはデマである、かように了解してよろしゅうございますか。
  18. 小倉武一

    小倉説明員 変更したくないと思っております。
  19. 川俣清音

    川俣委員 変更したくないというあなたの気持はよくわかるのです。変更してはならないとお考えになっていなかどうか。今でもまだ固まらないとか固まるとかいうことは、変更意思があるように見えるから言うのです。努力ばかりじゃない、変更すべきでないというあなたの御説に対して、私は敬意を表してお尋ねしておるのです。
  20. 小倉武一

    小倉説明員 これは私どもからお答えする範囲を実は越えておることになるかもしれませんが、変更するということでありますれば、これは予算を変えるということでございまして、補正予算等の問題になりますので、場合によっては補正予算をお願いするということもあり得るかもしれませんが、現在問題になっております公共事業というようなことにつきまして、補正予算を組むというようなことは、私どもはできるだけ避けたい、現在成立しておる予算をそのまま忠実に執行したい、かようなつもりで申し上げたのでございます。
  21. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、農地局関係におきましては、農地局の人員及び組織からいいまして、この三十年度予算を十分こなし得るだけの自信を持っておられる、こういうふうに理解していいのですね。
  22. 小倉武一

    小倉説明員 これは個々仕事を詳細に当りますと、一つ一つ事業なり、一つ一つ地区については、進捗状態がいろいろな事情によりましてなかなか思わしくはかどらぬというところもありますが、また一方予想以上に進んでおるというところもございまして、全体といたしまして、今のところ特別例年よりも事業がおくれておるとは実は思っておりません。しかしながらそれを一般に納得できますように説明いたしますには、なお実際の進捗状況を具体的に把握する必要もございますので、先ほど申し上げましたように建設部長会議などを催しまして、その上でしっかり把握いたすことができますれば一そう自信が強くなると思っております。
  23. 川俣清音

    川俣委員 ちょっと局長誤解しておられやしませんか。三十年度に決定された予算というものは、事務的に積み上げてきた予算だと私は理解しておる。従ってやり得る自信のもとにきめられた予算である。しかもその予算が日本の財政相当削減を受けて、事業量としては減っておるんだ。従って減った事業量であるからなお自信があるんだ。ところ天候のかげんあるいはその他の環境のかげんで、それはいかんともしがたくでおくれておる部分もあるであろう。ところ事業が進捗しないのだと初めからいっておっては計画が粗漏になるのではないか。計画はりっぱにできておるのだけれども、その環境自然条件年度末にはあるいは事業量が達成できないものもあるかもしれないということは予想せられるかもしれない。過去一ヵ月雨が降っておって事業が進捗しなくても、これから天候がよくなれば年度内執行できるかもしれない。今おくれているから年度末に必ずしもおくれるということにはならない。今おくれているとか今進んでいるとかいうことではない。今進んでいるのはもちろん年度内事業が完成するでしょう。おくれておってもなお最大の努力を払えば、年度内に実行できるかもしれない。今おくれているからこれを切るのだ、これは人為的ですよ。事務的ですよ。従ってそういうことはおやりにならない意思かということを聞いているのだが、変更するようなことを言われるからなお聞くのです。変更する意思がないということがはっきりすればそれで満足します。あればまだお尋ねします。
  24. 小倉武一

    小倉説明員 これはもうお話の通りでございまして、現段階で判断すれば、事業によっては天候等の模様で予想よりもおくれているというところもございます。しかし三月末におきましてどうであるかということは、天候だけのことでおくれたままいくということは必ずしも結論はできませんので、そういう点については私どもは十分検討いたしまして、全体がおくれないように努力したい、かように思っておるのであります。
  25. 川俣清音

    川俣委員 農地局は少し卑屈ですよ。たとえば建設省の道路のようなものは、これはガソリン税目的税になっているかしらぬけれども予算保留などないのですよ。これはやはり土木工事ですから同じく雨は降っている、天候による影響は同じく受けているのです。一方は進捗していて農地局だけ進捗しないというのは陣容が悪いからですか。私は農地局はそんなに陣容が不備だとは思わない。建設省と比べて貧弱な農地局だとは思わない。信頼に足る、こう思っている。中にはそれは二、三ないわけはないでしょうけれども、総体としては信頼に足る、こう思っておる、その信頼に期待をかけてこの質問をしているのです。おれの方は不用額が出る、建設省は出ないというのはどこから出てくるか、建設省が出ても農林省だけはやってみせるという気魄がなければならぬと思う。大体食糧増産費は年々削減され、道路の方はどんどんふえていっておる、道路も必要だということは認めます。反対ではないです。それなのに一方は農地の潰廃が行われてどんどん減っている、宅地になり道路になりあるいは工場敷地になり、どんどん減っていく。それにもかかわらずさらに倍加して食糧増産をやっていかなければならないという使命を持っておられるはずであるから、それだけの陣容を持っておられるはずである。もし持ってなければ定員法も改正しなければならぬでしょうが、そういうことは別にして、そういう陣容を持っておられる。これで建設省よりも仕事が進まないなどということはみっともなくてしょうがないでしょう。局長の中でも小倉さんを大いに信頼しておるのです。一つ信頼にこたえるように御答弁願いたい。
  26. 小倉武一

    小倉説明員 大へん御激励をいただきまして恐縮でございますが、お話のように、他の部局あるいは他省と比べまして私どもの方が努力が足りない、また陣容が不整備で仕事がおくれる、不用が出るということでは申しわけないことでございます。特にそういうことは思っておりませんけれども、これの実現に努力したい、かように思っております。
  27. 川俣清音

    川俣委員 大体それで了承いたしますが、年度末に前年と同じような慣行に基いて事業を行なってもいいように大臣は取り扱われておるようですが、大体局長もそんなようなお考えですか。三月三十一日までに一これは大臣としても非常に答弁しにくかったらしいです。慣行はできるだけ尊重したいということでしたが、やはり慣行は尊重したいというお考えでおるのか。これは法規からいうと非常に答弁しにくいのでありますが、できるだけ慣行は尊重して実施させていきたいというのが大臣答弁であったが、さよう了解してよろしゅうございますか。
  28. 小倉武一

    小倉説明員 大臣との質疑応答につきまして十分承知しておりませんが、なお速記によりまして私も調べまして大臣の御趣旨に沿って善処したい、かように思っております。
  29. 村松久義

    村松委員長 芳賀君。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この機会に小倉局長にちょっとお尋ねいたしますが、最近自衛隊を除隊した諸君を予備自衛官にするということを、ひもつきにして開拓者として特別の処遇を与える、こういうことが発表になっておるわけですが、これは小倉局長の所管であると思いますが、これに対する農地局長としてのお考え等があると思いますのでこの機会に一応の御説明を願います。
  31. 小倉武一

    小倉説明員 自衛隊を出ました者を現地でもって1北海道でございますが、入植をしてお説のように予備自衛官としてやっていただくということがよくはないかという防衛庁当局からのお話で、私どもといたしては検討いたしております。これは実は来年度予算関係をいたしますので、予算が決定をいたしませんと政府としての施策にならないのでありますが、農林省といたしまして、ただいま北海道庁方面とせっかく協議中でありまして、まだ案がほんとうにはまとまっておりません。大体のことはすでに御承知かとも思いますけれども、私どもといたして非常に心配いたしております一つは、予備自衛官といって特に入植上に特別の利益を与えるということはいたしません。それから自衛隊の退職者を入植させるために既存の計画が圧縮されるということでも困る。従いましてこれまでの考え方にプラスした開拓ということが可能であればそれでいいかもしれない、もう一つは自衛隊の方から建設工事に若干応援ができるということもありますが、その点以外は開拓の取り扱い上別段の取り扱いをしない建前で、今申しましたような線で話がきまり予算がきまれば、実施していって差しつかえないじゃないか、かように思っております。何しろまだ政府案としてきまっておりませんので御了承願いたいと思います。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まだ具体的な案が最終的にきまっておらぬというお話ですが、これは局長も考えておられると思いますが、わが国の今後の国土の開発あるいは開拓行政の上からいって、もしこういうような制度がとられるとすればこれは非常な問題であると思うのです。特に今後の開拓を進める場合において、純粋の意味における開拓の入植、もう一つは予備自衛官になるということを前提にし約束をさせて開拓者としての扱いをするというようなことになると、これが発展した場合にはどういうことになるかということは、十分事前に御検討になる必要があると思うわけであります。しかもこの予備自衛官になるということを約束して入植者になった場合においては、これに対して自衛隊の施設とか機械を動員させて開墾事業等に特別の配慮を与えるというような点も当然付随して出てくる問題でありますから、まだ決定されておらないということであるので十分追及するということはしませんけれども、こういう点に対しては、農林省当局としても慎重なる考慮が要ると思いますので、これは局長自身のお考えでもよろしゅうございますが、もう少し掘り下げた御答弁が願えればお聞きしたい。
  33. 小倉武一

    小倉説明員 開墾建設工事に自衛隊が出動するということは、それによってその開墾工事相当する分だけ特別にプラスした措置を講ずるということではございませんで、その分だけ農林省で要求すべき開墾建設工事費の予算額が減るということでございます。自衛隊が演習のかわりに、建設工事をするということが可能な限りにおいて手伝う、その手伝われた分は、当然農林省の開墾建設の予算に計上すべきものを計上しないで済むということだけでございます。それから待遇と申しますか入植に関連する事柄については全く一般の入植者と同じでございまして、特にどうこうという区別はいたさないつもりであります。ただ予備自衛官ということから防衛庁との間の関係があることは、これはほかの予備自衛官でも同様でございまして、入植した予備自衛官とそうでない予備自衛官とでは区別はございません。そういうことでございますので、私どもといたしましては、これまでの開拓の予算等の規模、あるいは来年度考えております開拓の入植者数等から見まして、その中に食い込むということでは既存の入植者に迷惑を与えるわけでありますが、そうでなく計画外の新規地区として考えられるということでありますれば、開墾開拓を進めていく場合におきましても若干プラスになるのではないかというつもりを実はいたしておるのであります。大体考え方としては、そういった考え方で今話し合いをいたしておるのであります。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで結局問題点は、自衛隊の隊員が一定の年限が過ぎて除隊して、何ら拘束されない立場で入植をするということは一向差しつかえないと思います。その後本人の意思によって予備自衛官になるのであればこれまた差しつかえないと思いますが、除隊すると同時に必ず予備自衛官になることを約束させて、その人に対しては入植者としての特別な扱いをするような道を開くということに非常に問題があると思う。もう一つは、現在の自衛隊の施設とか機械を機動して公共事業等の建設に当るということになれば——これはひとり予備自衛官の入植地だけに限定するということまた問題がある。そういうことであれば、たとえば災害復旧であるとか、治水事業であるとか、一般の未開発の機械開墾だとか、そういう広義の意味の開発事業にそれを有効に使うということであれば、これは十分検討の余地があると思うですが、予備自衛官に必ずなりますといって入植した者だけに自衛隊の施設等を動員して特別の配慮をするというやり方は、今後問題が大きくなるのではないかというふうに考えるのであります。ですからこの二点は農林省におかれても事前に十分御検討になって今後の国の国土開発あるいは開拓行政について、大きな禍根をそこから生じないようにしてもらいたいということを希望申し上げておきます。
  35. 村松久義

    村松委員長 暫時休憩いたします。再開は本会議終了後にいたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  36. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  休憩前に引き続いて質疑を許します。芳賀貢君。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 北海道群発庁はほとんど公共事業費だけを扱っているところの企画庁でありますが、最近の政府の方針によりまして、今年度公共事業費を八十八億程度繰り延べということに名をかりて、実態においては削減されることになるわけですが、この関係につきまして北海道開発庁の今年度予算のうちで、公共事業費関係がどういうふうにその影響を受けるかということは、すでに検討されておると思うのです。ですから、今年の北海道総合開発の公共事業進捗状態と、この繰り延べ等によって、結果的にはどういうことになるかという点を田上次長から一応御説明を願います。
  38. 田上辰雄

    ○田上説明員 芳賀委員からただいまの御質問のありました公共事業費節減の問題でございますが、北海道開発庁所管の三十年度予算における節減の対象となっております公共事業の総額は百八億余りあるのであります。しかし節減の対象と申しましても、実は大蔵省の方からその方針予算については連絡があるのでありますが、公式な指示または公式な連絡というものは現在までないわけでございます。ただ、この公共事業費節減地方財政の救済の問題と関連いたしまして事務的に連絡があったのでございますから、そういう意味で一応御了承をいただいておかなければならぬと思います。それによりますと、災害関係だとか、あるいは道路関係を除いた他の公共事業だということで、ただいま申し上げましたように、北海道開発庁の関係では、約百八億あるのでございます。これを公共事業費削減するようになるかもしれないので、一応事前に事務的に連絡をしておくが、よく検討をしておいてもらいたいということで、私ども事務的に一応そのことがあるとしまして、いろいろ検討をいたしております。しかしながら対象がきわめて広範囲であり、しかもその内容はきわめて重大な問題でありますので、検討といいましても、開発庁におきまして、数字的に、あるいは実情をいろいろ考えておる程度の研究をいたしておるわけであります。指示を受けました削減、これは非公式なことでありますが、大体全国一般には一〇%程度落すというふうな、大蔵省の方では一応仮定の上に立って検討しておるようであります。その場合に、北海道におきましては、特殊な事情から七%程度削減というようなことを考えられるのじゃなかろうか。そうした場合にどうなるかというふうなことを一応検討しておいてもらいたいということであります。北海道の特殊事情と申しますのは、御承知の通り北海道は非常に寒いのでありまして、すでに吹雪も降っておりますし、降雪もあるわけでございます。従って他の地方と違いまして、年間の事業、冬の事業が、ものによりましては、冬におきましても事業を続行し得るものもありますが、大部分の、外部における事業というものは、寒さのため、降雪のため等によりまして、ほとんどできないのであります。従いましてそういう事情を勘案しまして、さきに大蔵省の方でとめ置きをいたしておりました公共事業費につきましても、北海道の場合には、できるだけ早くとめ置きを解除いたしまして、工事を寒くならないうちに完了させる必要があるということから、他の地方におきましては一〇%保留をする場合におきましても、北海道においては五%くらいな保留にとどめるということは、当然のこととして大蔵当局とは了解を得て、そう扱われておるのであります。今回の場合におきましては、すでに保留に残されておりましたもののうち、最後に残った五%につきましても、ことしももう十二月でありますので、解除されております。従って北海道の現地の工事につきましては、すでに予算額に示された全事業をやるものとして工事の実際の進行を継続しておるような次第であります。そのパーセンテージがどのくらい進んでおるかという芳賀委員の御質問でありますが、この点は今私ここで資料も持ち合わせておりません。またこれは非常に多くの箇所、ことの実情を調べてみなければなりませんので、今ここでお答えいたすわけにはいかないと思いますが、ただいま申し上ばました通りに、大体十二月も半ばでございますので、ほとんど全部の仕事は完了されるものとして進行しておるというふうに御承知を願いたいと思うのであります。大体実情はそういうふうになっております。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御答弁によりますと、結局今年度予算に対しては、昨年と違って大蔵省のいわゆる当初から一割節約、そういうような特定の指示とか要請というものはなかったというわけですね。それで北海道一つの特殊性に基いて、冬期間になる以前に仕事を実施しなければならぬということで、計画された事業というものはすでにもう完了したか、あるいはもう契約を終って全体が年度内に終るのを待っているというような状態なんですね。
  40. 田上辰雄

    ○田上説明員 大体のところはただいまお話しの通りであります。ただ大蔵省としましては、事実上支出を乱費しないように、あるいは将来災害が起った場合の予算のやり繰り等のことも勘案いたしまして、いわゆるとめ置きといいますか、そういう予算の支出の時間的制限を協定の上でいたしておるのであります。しかしながら北海道に関しましては、すでにそのとめ置き分を大分前に解除になっておる。従ってお話の通り、大体全部完了すべきものとして工事は進んでおる、しかしながら中には、これはもう御承知であろうと思いますが、予算の性質上、今後冬期間においても三月まで継続して支出していかなければならぬ予算もあります。また工事にいたしましても、いろいろな事情から、完了すべきものがまだ少しおくれているというものもありますが、大体の態勢からいいまして、全体を十二月中に完了すべきものとして進行しておるということを申し上げるのであります。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、田上さんのお話によると、そういう形で仕事がだんだん進んでいった場合には、いわゆる削減といいますか、打ち切りといいますか、そういうものは出てこないということになるのですね。保留分というのは全然今はないということになっておって……。ですから事業に付随した予算によほどのゆとりでもない限り、そこから自然に余裕が出てくるなんという、そういう意味節約というものはあり得るはずがないと思う。そういうことになると、先ほどお話しになった災害対策、道路関係を除いた百八億に対する七%を求められておるということになると、これは金額にすると七億五千万円くらいだと思いますが、そういうものは全然出てくる余地はないのじゃないですか。
  42. 田上辰雄

    ○田上説明員 余地が全然ないということになると相当問題が残ると思います。しかしながら芳賀委員のおっしゃいます通りに、工事は進行しておる、あるいは契約もすでに済んで工事を進めておるというふうな事情のものが大部分でありまするので、これをただいまお話しの通り七%削減するということは、北海道公共事業につきましてはきわめてゆゆしい問題になるのであります。中には現在手続等のことで、まだ実際上示達の手続をしておらないものもあります。従って完全に全部工事執行してしまっておる、あるいはほとんど完全に近い執行を終りつつあるのだということにはならないと思います。これは事業の性質上いろいろな多くの場所についていろいろな状態がありますので、全部使い果して、どうとも動かないとはいいませんが、しかしいずれにしましても北海道の開発事業が最小限度の予算によって執行されているのでありまして、従って予算削減するということは非常に困難であるということは申し上げられるかと思います。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうも変じゃないですか。もう仕事が終ったり、終らない部分もすでに事業に入って、年度内には完全に終るのだということになると、あなたの計画は、実践された場合に非常に順調にいっているということで賞賛に値するわけです。そうなると工事を中止させたり、ことさらに行政的な配慮をそこに加えて、これはやめる、打ち切るとかいうようなことにしなければここからの節減というものは生まれてこないでしょう。そういうことになるじゃないですか。その点はどうなのです。
  44. 田上辰雄

    ○田上説明員 工事によりましてはお話の通りでありまして、すでに工事の全部の予算を認められている。しかも降雪期に入っている。従って大馬力をかけて工事のやれる期間に予定の事業を完了したいということで進んでいるという態勢についてはお話の通りであります。しかしながら具体的な個所につきまして、個々についてはいろいろな事情で遅れているものもあるわけでありまして、その点も全部執行してしまっているのだと言い切るわけにはいかないということだけを事実として申し上げているわけでございます。それで御了解いた、だきたいと思います。
  45. 川俣清音

    川俣委員 関連して二点だけお尋ねしたいのです。一つ大蔵省から削減あるいは予算節約の事務的な連絡があったということでありますが、いつごろあったのか。大蔵省といえども個人的ではない、おそらく財政法に基いた要求でなければならないと思うのです。どの法規に基いてそういうことが事務的に行われたとあなたは感じておられるか。どんな役所からでも法律的根拠のない折衝には応じる義務はないと思う。応じることは違反だと思う。財政法上のどこに根拠を置いてそういう要求がなされたとあなたは考えているか。大蔵事務当局の折衝に応じられたか、何か法的根拠があるという自信のもとに応じられたのか。
  46. 田上辰雄

    ○田上説明員 お答えいたしますが、先ほど申し上げました通りに、正式な交渉があった、正式な指示がもったというわけではないのでありまして、従って財政法上根拠のある交渉があったとは考えておりません。ただ事務的にこういうふうなことに政府といいますか方針がきまった際に非常な混乱を生じることであるとか、あるいは事務的に時期に間に合わないというふうなことがあることをおそれてでありましょう、事前にこういうふうな状態については大蔵省としてもいろいろ検討しているが、開発庁としてそういう場合にどういう数字になるか、一つ検討しておいてもらいたいという、単に事務的な連絡があったわけでございまして、そういう意味からいいまして、あるいは公式にこういういきさつを申し上げることは不適当であるかもしれませんが、私としましては、この委員会で御質問の際、その事情だけお答えするのが当然であると思って、事実のままをお答えしているのでございます。
  47. 川俣清音

    川俣委員 あなたは公務員である以上、一つ法律の根拠なしに義務を行使することはないのです。これは服務規定からいっても、違反ですよ。そうでしょう。ごく事務的にといっても、事務的ということは法規に基かない事務的ということはない。政治的というなら別ですよ。あなたが政治家で政治的な折衝があったといえば別です。事務的といえば、法律の根拠なしには応じられないわけです。どこかに根拠があるとあなたが思ったから折衝に応じられたのじゃないか。根拠のないものに応じられるものはおかしいじゃないか。財政法二十九条には「内閣は、前項の場合を除くの外、予算の成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算変更を加える必要があるときは、その修正を国会提出することができる。」とある。臨時国会を前にして何かそういう予算が出るというなら別ですよ。出ていないじゃないですか。従って事務的な折衝なんて行われるわけはないんですよ。十六条は「予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為とする。」ということにきまっている。それだのに節約だなんというのはどこから出てくるか。保留だなんてどこから出てくるのです。あなたが詳細な明細書を作って一年間の計画を出されて一これがずさんであれば別ですよ、北海道開発庁がずさんなものを作った、それでおしかりを受けたということなら別です。そんな例外はおそらくないだうと思うから、そうでない限りにおきましてはりっぱな明細書を作って事業計画を進めた、それに保留があるなんということにたやすく応じられたのはどういうわけですか。この点もう一度お尋ねします。
  48. 田上辰雄

    ○田上説明員 私の申し上げましたのは事務的な交渉があったということは申しておらないのでありまして、事務的な連絡があったということを申し上げているのであります。従って向うの大蔵省の意見がそう出た、それに対してこちらはこう思うというような折衝はないのでありまして、一応事務的なこういうような空気があるがそれについて事務的にいろいろ調査をしておかれたらどうかという意味の連絡がありましたので、それを前提として一応調査しているということであります。具体的な折衝をいたしたわけではございません。
  49. 川俣清音

    川俣委員 折衝でなくたって、あなた、連絡があったと言う。連絡というのは大蔵省の職員として連絡があったのでしょう。個人の連絡ではないでしょう。あなたもまた個人として受けられたのではないでしょう。連絡があったということはそれに対する回答もあるだろうし拒否もあるだろうし応諾もあるでしょう。従って連絡があった場合は、不当なものだったらあなた方はこれは不当じゃないかという返しがあるはずなんです。何の根拠に基いてそういうことをなさるのですかと聞いてしかるべきじゃないか。不審があればですよ。それを黙って連絡を聞いたということをあなたはお認めになっているが、だからどういう根拠でお認めになったか。不審であれば聞き返すとか何とか、連絡があった場合にこれはおかしいじゃないかといって聞き返すことはやっているでしょう。納得すればこそその連絡に対してあなたが調査もし研究もした。納得したからでしょう。どういう根拠に基いて納得されたかです。その根拠を聞きたい。大蔵省がえらいから仕方なしにきいたという単純なことでは済まされないですね。ほかに影響がくるからという単純なことでは済まされないのです。行政官としては、解釈は別にして、ある程度の法理上の根拠がなくては、連絡があったところで、これは拒否すべきものだと思うのです。従ってあなたは、どんな根拠に基いててそれを応諾されたのか。調査したり、検討してみたりしたということは、大体それをのみ込まれたということです。こんなものは拒否するということになったら別です。研究もされなかったら、あるいは検討もされなかったら、別です。どういう根拠ですか。
  50. 田上辰雄

    ○田上説明員 お言葉を返すようでありますが、法的の根拠があって、正式に大蔵省から申し入れがあって、それに対して開発庁としてそれをイエスだとか、ノーだとか、応諾したとか、折衝をしたものではないということを申し上げたのでありまして、私どもいろいろ仕事をやっていきます際には、正式に法的にいろいろ折衝をする場合、書面でもいたしましょうし、また口頭の連絡もあると思います。法的な根拠に基いて、正式の交渉がありました際には、開発庁長官としてそれに対してはっきり態度をきめなければならぬ。しかしただいま申し上げました予算節約の問題につきましては、大蔵省としてもはっきりそうやるんだという根拠を持って折衝をしてきたわけではないのでございます。事務的に下の者から、こういう考えでいろいろ自分の方は調査しておるが、君の方もそうなったらどういうふうな状態になつかという程度の、いわば軽い意味の連絡があったということでございますので、それに対して開発庁としましては、それを応諾した、あるいはそれを拒否したというはっきりした意思表示はいたしておらないのであります。その程度のことでありますので、どうか御了承いただきたいと思います。
  51. 川俣清音

    川俣委員 あなたをこれ以上責めてもケリがつかない。しかしあなた方がずさんな要求でもしておられるならば別ですよ。一つ自信を持って予算要求された以上は、そういうものにむやみに応ずるというのは、あまりにも情ないじゃないですか。行政官として北海道の開発に熱心な人でありますならば、軽卒にそんなものに雷同するように、調査をしたり、どうなっているんだというようなことは、あまりにも不見識だと思うのです。しかしこれ以上責めません。  次にもう一つお尋ねいたします。あなたの芳賀委員への答弁の中に、北海道は冬になると雪が降って工事ができない、そういうこともあるから、あるいは予算の残りがあるかもしれないということを言っておられたようです。そういう意味答弁があった。ところ北海道は初めから寒いところだときまっていますよ。あなたは初めて行かれたんじゃないでしょう。冬場仕事ができないということは、今始まったことじゃないのですよ。天災地変によって、北海道が急に寒くなったわけじゃないでしょう。初めに予算を組むときからわかることなんですね。わかっておって予算を組まれたと思うのです。もしもずさんな計画でなければ、十二月かあるいは一月になれば雪が降るだろう、十日や二十日くらいは違うだろう、温暖の差は幾らかはあろうが、大体気候風土からいって、その気候風土に似合うように予算要求をされておるだろうと思うのです。従ってその要求の予算が早く全額押えられないできておれば、事業が完成できたはずなんでしょう。こなかったからできないのではないですか、人為的に、事務的に予算削減したということになるではありませんか。これは財政法上大へんなことですよ。人為的に、事務的に予算削減をするなんということになったら綱紀紊乱ですよ。はなはだ不都合なことですよ。天災地変のために、あるいは異常な天候のために事業がおくれたというならばこれは認めますよ。人為的に、事務的に事業がおくれたということになったら大へんですよ。国家の予算を忠実に執行する義務を行政官は持っておるわけです。その変更も許さないで——変更する場合は国会の承認を得なければならぬ。仕事をやっている人は忠実にやっておられる、そう信じますよ。それを事務的にあるいは人為的に予算を使わないで、それを不用額として出すというようなことは、これは行政官として大いに恥じなければならぬと私は思う。そうお思いになりませんか。
  52. 田上辰雄

    ○田上説明員 お説はごもっともでございますが、開発庁の方では年間の予算を四期に分けまして示達をしておりますが、その場合実際の仕事を実情に応じて四つに分けて指示をしておるだけであって、一応とめ置きといいますか。保留分がありましてもこれは年間を通じての保留であって、実際仕事に差しつかえない程度のことを考えて実行しておるのであります。今日までのところ支障なく、ただいまお話のような御心配なく事業を実行しております。ただ法のそうした計画に従って年間の事業をいたしておる際に、かりにここで削減を受ける、こういうことになりますとこれはゆゆしいことだということで心配はいたしておりますが、今日までのところ事業に支障なく予定通り仕事を進めております。具体的な問題につきましてお尋ねがありますならば、その点につきましてまた調査をいたしましてお答えし得ると思いますが、大体において計画通り進んでおります。
  53. 川俣清音

    川俣委員 お説ごもっともというのですから、必ずやられるということを期待しておきます。おそらく予算削減には応じられない意思を十分持っておる。こう理解して私の質問はこれでとめておきます。
  54. 村松久義

  55. 本名武

    本名委員 芳賀委員質問関連して一点お伺いしておきます。  私は実は予算の編成提案権あるいは議決権ということをここでお話ししてみたいのですが、これは後刻大臣でも見えたときに一つやりたいと思います。さっきからお話を伺っておりますと、どうも削減の根幹と申しますか、事務的な連絡あるいは示達の方法ということが、かなり問題の基本になっておるように思います。従来の特に公共企業費などは一律の削減を行なったことがあるように思います。昨年度も三%か五%か忘れましたが、あったようです。そのときに大蔵省と開発庁との話し合いは、どういうような事務的な連絡のもとに削減をやられたか、その当時のことを伺いたいと思います。
  56. 田上辰雄

    ○田上説明員 私就任してまだ日が浅いので……。
  57. 本名武

    本名委員 次長は新任して日が浅いのですからそうおっしゃるかもしれません。しかしそういうことではこの大切な問題は済まされないと私は思う。こういう問題であるからこそ前任者がどういうふうにして従来大蔵省との間において話し合いをし、どういう手続で削減をされたかということをはっきりして、その基礎の上に立ってもらわないと私ども非常に迷って困るのです。と申しますことは、大蔵省の方にお値いしなければならぬことて、私どもは政府と与党間においてはっきり国民の前に一律削減はしないということを公表した。それにもかかわらず一律削減を基礎にしての考え方で、北海道が寒いの暑いのの問題でなく、そういう考え方を基礎にして、その後において今日、ただいまにおいても非常に苦しんでおられる。これはどうも話がおかしい。そこで私はまず開発庁として——とにかくあの北海道のような寒いところは、例年通り三月に予算が通ったって、予算が配賦になるのは六月か七月になる。金を手に入れたときには雪が降っている、ことにことしのように暫定予算できたときには、仕事がおくれることはわかっている。わかっておるだけに、さっきお話があったように非常に努力して仕事を進めている。しかも政府と与党との間では、そういった一律削減はしない、ありのままの実情を尊重して、経費を何がしか浮かそうとしている。当の責任者たる開発庁がいまだに的確な削減方針も立たずに、ただ大蔵省の伝達がどうだ、話し合いがどうだというようなことを繰り返しているようでは、これは北海道の開発は全くとんでもないことになってしまう。私はもう少し的確な大蔵省との話し合いというものがあって、そうしてここで御答弁がなされなければ、話は何時間やったってつかないと思う。従って新任であっても、大蔵省責任にして、開発庁は大蔵省に言われたからそのままだなんということを言っていなければいかぬのだという印象を与えるようなお取り扱いというものは、とうとい予算の議決をしたわれわれとしては心外にたえない。同時に今日公共事業費から何がしかの財原を見出さなければならないという目標のもとにあって苦労することはわかるけれども、もう少し的確な御方針に立って御答弁いただきたい。いずれ後刻またあらためて質問いたします。私の意見に対する次長の所見をちょっと述べていただきたいと思います。
  58. 田上辰雄

    ○田上説明員 ただいま本名委員のお話、よく了承いたしました。私としましては、予算の問題につきましては、本年度予算には途中で参りましたので、その間の折衝のことはよく具体的に知らないものが多いのでありますが、しかしこの削減の問題につきまして大蔵省から正式に話があります際には、北海道の実情を十分認識させ、北海道事業に遺憾のないように全力をあげたいと思うのであります。  なお私は次長でございますが、近く正力大臣も新しく見えまして、北海道の開発に積極的にいろいろ御心配いただいておるので、私などの及ばぬところはまた大臣に連絡して、開発庁としましてはその第一線の現場の事業に遺憾のないようにできるだけの努力をいたしたいと思います。
  59. 本名武

    本名委員 簡単にもう一点だけ。新任されて予算編成のいきさつがわからないとおっしゃるけれども、そこにおられる方はほとんど今の立場は新しい、水産庁次長が古いくらいで、どなたに聞いてもわからぬことになるのですが、こんなことではこの委員会も話にならぬと思います。問題は、私どもが政府との間にそういう話し合いをした、しかもこれは天下周知のことなんです。それでこの委員会では何もわからぬという。しかもさっきのお話を伺っていると、大蔵省からその前の話し合いに対して訂正の意見がまだ何もきてない。こんなことでいつまでも黙っていていいか悪いか。もしそのうしろにおられる方、官房長でもどなたでもけっこうですが、前年度までにそういった予算削減大蔵省から示達があった場合に、どういう事務的な手続であったかということを、おわかりの方があったら一つ聞かしていただきたいと思います。
  60. 村松久義

    村松委員長 この問題は一般問題でもありますから、一つ官房長の方からお答えを願います。
  61. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 昨年の実情を申し上げますと、正式に削減云々という形において大蔵省の方から私たちの方には参っておりません。これは実際の仕事をやっていきます際に、その後の運行状況その他を見まして、自然に繰越分その他が出て参ることになっております。もちろん年度の当初その他におきましては、一応その程度の調整分を持つような措置は、これは仕事の緩急の調節がございますので、必要であろうかと思います。しかし正式にこれだけ削減をしろという形においては参っておりませんし、また当初から私たち削減をする意思でそういうことを申し上げたとしたら、これははなはだ奇妙な話で、そういう考えはございません。事業の運行に応じましての調整をいたしております。そういうふうにやって参ったのであります。
  62. 本名武

    本名委員 関連を逸脱しますから、あとでまたあらためて伺うことにいたします。
  63. 村松久義

    村松委員長 芳賀君。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は田上次長の非常にまじめな御答弁に対しては好感を持っておるわけですが、今産の八十八億の公共事業費削減は、実態は削減なんですけれども、政府の説明によると、決してこれは意図的に事業を中絶さしたり、ことさらに進捗させないようなことにして、そこから無理に節約分を作るのではない、毎年の例として必然的に次年度にどうしても回っていくような事業とか、それに付随した予算相当の額出てくるので、それを対象にしておるのだということを言っておる。ところが幸いにして北海道開発の公共事業は、あなたが繰り返して言われておる通りに、もうほとんど事業が完了し、あるいは事業実施中の分に対しても年度内には完了するという明確な見通しがついておるのです。そういうことになると、政府が表面に説明しておるそのことに照らした場合は、節約とか削減というものはそこから全然生じてこないのです。ですからこのことを十分自信を持って——最近正力長官が就任しておるのですが、まだこの人は北海道のことはほとんどわかっておらぬのですから、女房役のあなたとしては、そういうことを十分わかるようにしておいて、大蔵省等の無理な筋の通らない話し合い等には応ずる必要は絶対にないと思うのです。そうお思いになっておりますか。
  65. 田上辰雄

    ○田上説明員 ただいま芳賀さんのお話の通り心得まして、せっかく十分努力をいたすつもりでおります。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお伺いしたい点は、北海道開発の場合には、第一次五ヵ年計画が策定されておりまして、昭和二十七年から三十一年度をもって第一次計画が終ることになっておるのですね。これは総額当初一千三百億の全体計画を持っておる。これは国費工事分ですが、三十一年度までの予算を累計してもわずかに五百三十六億しか出ておらぬということになるのです。あとの不足分は、残分を今の物価に換算した場合におきましては、まだ一千二十六億円くらい最後に残ることになるわけです。ですからこれでいきますと、もう進捗率は非常に微々たるものであるということにしかならない。三七%くらいだと思うわけです。ですから、この三十一年度は最終年次にもなっておるので、第一次計画をどういうふうな形で締めくくりをつけるかということに対していろいろお考えもあると思うのです。こういう点に対しては、むしろ正力さんに来てもらって責任のある答弁を聞きたいわけでありますが、しかし実質的にはあなたが事務内容に対しては一番責任のある立場に立っておられるので、その点に対してのお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  67. 田上辰雄

    ○田上説明員 ただいまの北海道の第二次五ヵ年計画についての考え方、今開発庁でとっておる方針を示せというお尋ねだと思いますが、芳賀委員からお話のありましたように、この問題につきましては、私、事務当局よりもむしろ大臣からお答えをいたすのが適当かと思います。しかしながらせっかくのお尋ねでございますので、一応私ども事務当局の立場からこの問題をどう考えておるかということを申し上げますと、仰せの通り第一次五ヵ年計画につきましては、せっかく具体的な計画を立てておりましたけれども、お話のよに約四〇%——考えようによっては半分いったといえるものもありますが、また電力のごとく予定の一〇〇%の実現を見たものもございます。しかしながら大体申し上げまして、約四〇%の進捗状況であった。従って残った六〇%を今後どうするかということは非常に重大な問題であります。従って第二次の五ヵ年計画につきましては、この残った事業、いずれもきわめて重要な事項でありますので、何とかこれを実現していかなければならぬと思います。しかしながらまた同時に単に公共事業だけでなくて、第二次の五ヵ年計画につきましては、当初から経済、産業の開発という問題が取り上げられておるのであります。従ってこの構想も新たに加えて進むべき段階であるということは当然であろうと思います。この将来の経済産業計画につきましては、データだけは、開発庁においていろいろできるだけのデータを集め、さらに具体的にその内容の検討にも入っておりますが、第二次の五ヵ年計画を具体的にどう盛るかということは、今まだ審議の段階にも入っておりません。三十一年度で第一次の五ヵ年計画は終りでありますので、おそらくは三十一年度相当早い時期においてこれを決定しなければならないと考えております。しかしながらこの内容につきましては、現地の開発局の意見もいろいろ聞いてみたい、なお道庁の意見も聞きまして十分検討を加えていかなければならぬ問題が多々あるのであり、さらにもう一つ申し上げますと、国の経済企画庁の立てておりますいわゆる六ヵ年経済計画とどう歩調を合せていくかというふうな問題もありますので、これが具体化を見るにはなお相当の日数がかかるのではなかろうかと思います。  はなはだ抽象的なことでございますが、大体そういうふうな考え方を合せまして、できるだけこれが具体化をはかりたいということで、事務的にせいぜい勉強しておるような次第であります。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお尋ねしたいのは、せっかく北海道開発というものが大宣伝をされて、中身は非常に貧弱きわまる結果しか出ておらぬということは、機構上の問題に欠陥があるが、予算上の問題に欠陥があるか、次長としてはどう考えておるのですか。北海道が分県化した場合にはもっとりっぱな開発ができるか、それともそういう機構いじりだけでなくて、思い切って国が財政的な支出を予算を通じてやった方が効果があるか、この問題を二つに区分して、どっちの方が成果が上るとお思いになっていますか。
  69. 田上辰雄

    ○田上説明員 ただいまの問題はきわめて重大な問題であり、私といたしましてここで個人的な意見を申し述べるべきでないと思いますので、せっかくのお尋ねでありますが、ごかんべん願いたいと思います。
  70. 村松久義

    村松委員長 芳賀君にお話しますが、できるだけ一つ赤字と公共事業対策に限定してお話を願います。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではあまり無理な質問をしないことにして、最後に補助関係の分について伺いますが、北海道の開発予算内容は、大体直轄が百四億の補助が五十一億というようなことになっておるのですが、先ほどお述べになった点は、ほとんど直轄分に対しての見解だと思われますが、補助関係の分はやはり今後の予算削限等の場合には、これは直轄と同じように別に使い残りというようなものはないと思いますが、いかがですか。
  72. 田上辰雄

    ○田上説明員 ただいまの御質問補助金の使い残りはないという御趣意がわからない点がありますが、直轄事業だけでなくて、補助事業についても削減の問題は起っておるか、そうしてその削減については直轄事業と同じか、こういうお尋ねでございましょうか。——ただいまのところどもの考え方としましては、直轄事業にしましても補助事業にしましても、事業の企画にいろいろ区別がありますし、事業主体が補助の場合は北海道庁または市町村でやるわけでありまして、主体は変って参りますけれども事業自体は同じように重要なものだと考えております。従ってその間の実情につきましては、直轄事業が急がなければならない、また北海道におきまして直轄事業が冬季に入らないうちにやらなければならぬということは、同時に補助事業につきましても同じように、冬期に入らないうちに早く完了しなければならぬという考え方で指導しておるわけでございまして、その点につきまして区別はないはずだと考えております。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことじゃないのですよ。むしろこれは直轄分よりも補助事業関係に対して十分配慮してないのです。地方事業の実施機関は仕事をどんどんやっておる。それに対して国の補助金節減とかいうことになったらどうなるかということです。直轄よりもむしろこういう点に対しては十分配慮をして、絶対にそういうことのないように、——地方事業主体が事業を実際忠実にやっておるのに対して、補助金節減というような形で十分届かないというようなことがあれば、これは重大問題になると思う。そういう点に対しての手落ちは絶対にないかということです。進捗状態等も直轄事業よりも決しておくれておると思っておらぬので、そういうことを御質問しておるのです。
  74. 田上辰雄

    ○田上説明員 今のお話のように、補助を受ける道市町村におきましてはきわめて重大な問題でありまして、その間の影響は十分考慮をいたさなければならぬと思います。しかし仕事自体の重要性は、補助の方が重要だ、直轄の方が重要だということでなくて、いずれも重要だと解釈しておるということを申し上げるのであります。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、この問題は田上次長だけですべて明らかになるという事態ではありませんので、いずれ機会を見て北海道開発長官並びに大蔵当局の出席を求めた場合に、あらためて質問したいと思いま   〔委員長退席、小枝委員長代理着席〕
  76. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ次長の答弁の中に、何か予算節約とか保留というようなものは、時に災害が起きるときの準備のために、そういうことがあり得てもやむを得ないのだという言葉があったと思うのです。これは非常な間違いじゃないかと思うのです。予見しがたい場合とか災害が起きた場合のために、予備費というものをわざわざとってあるわけです。従って予備費はそういう方に充当するように財政法はできていますから、一般経費を節減して災害に充てるのだなんということを容認されるようでは、非常に心細いと思うのですが、それは間違いじゃないですか。間違いと了解したいのですが、あなたどうですか。
  77. 田上辰雄

    ○田上説明員 そういうことを聞いたように思ったのでございますが、これは私の聞き間違いかもしれません。私としましては、そういうことをもし申したとすれば、これは間違いだと御了解いただきたいと思います。
  78. 川俣清音

    川俣委員 最後の、間違いだというのはいいですけれども、そういうことを聞いたようだなんというのはおかしいじゃないですか。どこから聞いたのですか。災害に充てるために節約するのだなんということは、どこから出てくるのですか。それは予備費ですよ。予備費をわざわざ組んでいる。予見しがたい事態が起った場合に対する予備費として、ちゃんと予算を組んでいるのですよ。既定経費の中に、災害に対する予備費を初めから見込んであるなんということは、いまだかって国会で説明されたことはない。それは大蔵省があなた方行政官をだます場合に使っている言葉なんで、それはだまされているということになる。大蔵省予算総則の説明によりますと、災害のためにちやんと予備費をとっておる。財政法上明らかですよ。財政法の二十四条に、予備費「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」というふうに、災害の場合の予備費を——災害ばかりじゃないでしょうが、ちゃんととっておる。そのほかに事業費から一割天引さして災害に充てるのだなんということは、とんでもないことですよ。今まであなた、そういう考え方で予算執行してきたのですか。あなた方の事業計画は、災害のために一割くらい予備費としてとることをあらかじめ見込んで予算を組んだのですか。そうですが。そうじゃないでしょう。だからちゃんとそれは誤まりだと言って陳弁しておきなさい。
  79. 田上辰雄

    ○田上説明員 川俣委員の御説の通りであります。私ども予算を組みますときに、当初から災害の起ったときのことを考えるというようなことは毛頭ございません。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今田上次長のお話しですが、北海道開発予算というものには、災害復旧関係予算はないと思うのですがどうなんですか。そういうものは最初からないのじゃないですか。災害復旧関係の河川にしても、そういうものを一銭も持っておらなくて、それを節減して回すとか回さぬとかいうことは、これはどういうお考えで言っておるのですか。あなたの持っておる予算内容を見て、こらんなさい。災害復旧関係予算項目というものはないでしょう。ありますか。ないでしょう。
  81. 田上辰雄

    ○田上説明員 北海道関係予算にも災害関係予算はございます。それはすでに起った災害復旧に対する予算のことを言うのであって、それは一定の計画のもとに年々計上してございます。しかし御質問趣旨は、おそらく先ほどの私の言葉をとらえての重ねての御問責だと思いますが。この点につきましては、川俣委員に、私の間違いであるということをお答えした通りでございます。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないですよ。言葉じりじゃないのですよ。では実例をあげて申しましょう。ことしの開発庁予算の中に、河川費は二十億でしょう。そのほかに災害復旧の河川費というのはどれだけあるのですか。
  83. 田上辰雄

    ○田上説明員 今ここに資料を持っておりませんので、お答えできませんが、別の機会にお示しいたしたいと思います。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私でさえ資料なしでそのくらいのことはわかっておるのですよ。あなたは専任の開発庁の次長じゃないですか。大まかな数字くらい頭の中へ入れておかぬと困るのじゃないですか。これ以上追及しませんが……。
  85. 小枝一雄

    ○小枝委員長代理 それでは、明日は公共事業費と食糧問題に関して質疑を続行することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会