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田原委員 今の
飛行場、
軍事基地設置までの間においての個人の財産権の保障のほかに、
飛行場、
軍事基地が設定された後において、しばしば個人の財産権あるいは個人の生命等に対して非常な被害を受けているにかかわらず、これに対する補償をしていない例がありますが、これについて私は
大臣の
見解を聞きたいと思う。たくさんありますが、ここに明らかな数が出ておりますから、一例をあげて
お尋ねしましょう。
それは福岡県の板付
飛行場付近における被害の
実情であります。
昭和二十年から
昭和三十年六月までの間における被害件数並びにそれに対する補償なしという件数だけ申し上げますと、二十年においては、二股瀬の松林に飛行機が墜落し、付近の家をこわしているが、補償なし。
昭和二十二年二月二日、
飛行場拡張工事用材運搬中の米軍トラックが個人の家に衝突して家を二軒こわしているが、これまた補償なし。それから
昭和二十二年三月十七日に、大井町の個人の家を標的吹流しのロープにひっかけてこわし、また個人の片足を切断しているが、補償なし。
昭和二十四年一月二十日に、糟屋郡須恵町の個人のうちの玄関の三畳の間に飛行機から放った銃弾がぶち当って、六府関節を貫通しておるが、これも補償なし。
昭和二十四年十二月、板付
飛行場外道路を通行中の中学生に飛行機の機体からガソリンをあびせて焼死したのですが、補償なし。それから
昭和二十五年三月六日、筑紫郡の個人の住宅と建物の間に飛行機が墜落して、尾部のみを残して埋没、炎上したが、これに対しても交渉はしておるが、補償なし。
昭和二十五年六月、二股瀬より約千米の畑に飛行機が墜落したが、その畑は穴をあけただけで、補償なし。
昭和二十六年二月、同じく二股瀬上空で、これは搭乗員が焼死して麦畑に入ったのでありますが、麦畑の作物の補償なし。
昭和二十六年二月二十八日、那珂町の某君が自転車で通行中に、占領軍のトラックにはねられて即死いたしましたが、この事故についてはまだ交渉中で、補償の決定をしておらぬ。
昭和二十六年四月十四日、福岡市大濠新町をやはり自転車で通行中に、米軍の乗用車に頭を強打されてついに死んでおりますが、これに対しても交渉中である。また
昭和二十六年五月五日、糟屋郡志免町の個人の麦畑に飛行機が五百ポンドの爆弾を落して大穴をあけたが、そのままである。あるいは
昭和二十六年五月十日、二股瀬町に飛行機が墜落、死亡者を出し、家屋はこわされておりますが、これまた
要求額に対してわずか死者一人に六万円くらいの見舞金を出しておる。
昭和二十七年には、二股瀬よりキロ離れた田の中で高圧線を切断されてけが人が出ておりますけれ
ども、これまた補償なし。
昭和二十八年六月、同じく二股瀬に大型爆弾が落ちて直径二メートルの穴をあけたが、これはやはり自分で埋めただけで、補償なし。
昭和二十九年七月には、滑走後浮揚できずにたんぼに突き込みましたが、これまた泣き寝入りさせられている。
昭和三十年の四月には高圧線を切断されて、これまた被害の補償なし。
昭和三十年六月十五日にやはり飛行機が墜落して、作業中の人が機体の下敷きとなって即死したけれ
ども、これまた交渉中であって未
解決。それから席田小学校で九大の理学部の連中が、
昭和二十九年六月一日から七月二十二日の間で、日曜日を除いて三十日間、午前九時より十五時半まで音響測定をしたわけです。文部省では、教師と学生の間の相互に聞き取りできない程度のものを八十五フォーン以上といっておりますが、今度の調査では百フォーン以上を調べた。しかるにこの一カ月間に総回数六千百五十一回飛行機が飛んでいた。ある一日は平均二百五回で、一分間に一回の割で飛行機が飛んで、飛行機が来ますと授業ができない。福岡の市会では、飛行機が飛んで来ると市会の議事も休むという
状態である。従って
軍事基地を作るのに、すでに個人の
反対を無視して無理やりに強制的に取り上げている。できた
あとは殺しぱなし、家屋のこわしぱなしにするというのは一体どういう意味ですか。
われわれは
軍事基地が
日本各地に存在しているのを見ておりますと、ほとんど
アメリカ軍の占領地のような、
アメリカの自由勝手な
——ある場合には、あまり
調達庁との交渉がはかどらぬから、直接米軍に行ってみますと、そういう話は
調達庁から聞いてないという。すなわち調達局や
調達庁は途中で
日本人の被害を値切るだけであって、
アメリカには何ら取り次いでいない例がたくさんある。これは一体どういう意味なんですか。まずそこから聞かしてもらわなければ、今のように
砂川や
横田に
飛行場を無理やりにやりましても、
飛行場のあるところはことごとくこういう被害を受けており、ことごとく不本意のままで泣き寝入りさせられているという
状態を
国民は黙っておらない。あくまでもやるというならおやりになっていいけれ
ども、それは
日本人を全部敵とする
考えでやらなければいかぬと私は思うのですが、これに対して、就任早々で御苦労でありますけれ
ども、相当有能であり、また心臓の強いという点においては知られている
倉石労働大臣は、兼任であっても、
アメリカと一戦を交えるくらいの
気持でやられるかどうか。依然としてあくまでも
日本人を押えつけて、
アメリカの御意のままにいくのであるかどうか、あなたの
方針を聞いておきたい。今の事実は
あとで調べて間違っておったところは訂正してもらっていいのでありますが、きょうの第一回の
委員会において、あなたの
方針として、あくまでも
アメリカに追随して、言いなりほうだいになるのかどうか、
日本側の
立場から行き過ぎや悪い点はつっぱっていけるのか、こういう
方針を聞いておかぬと、後日
倉石調達庁担任
大臣の不信任案を出す都合もあるから、私は聞いておきたい。