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1955-12-08 第23回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月八日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 春日 一幸君    理事 横路 節雄君       大平 正芳君    奥村十郎君       小西 寅松君    内藤 友明君       中山 榮一君    古川 丈吉君       坊  秀男君    山本 勝市君       石村 英雄君    石山 權作君       井上 良二君    小川 豊明君       木原津與志君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    横山 利秋君       石野 久男君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         食糧庁長官   清井  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      村上孝太郎君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 十二月八日  理事大平正芳君、奥村十郎君、加藤高藏君及  び内藤友明理事辞任につき、その補欠として  有馬英治君、小山長規君、黒金泰美君及び高見  三郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月七日  三級清酒設定反対に関する請願亘四郎君紹  介)(第一二五号)  同(田中武夫紹介)(第一二六号)  かん害被害農家に対する所得税減免に関する請  願(原茂紹介)(第一三七号)  同(下平正一紹介)(第一七六号)  農民に対する課税の適正化に関する請願加藤  精三君外二名紹介)(第一六三号)  災害被害者国税減免に関する請願(瀬戸山三  男君外五名紹介)(第一六四号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  石炭手当並びに寒冷地手当の免税に関する陳情  書  (第六号)  入場税地方還元に関する陳情書  (第一四号)  金融機関資金運用の調整のための臨時措置に  関する法律制定反対に関する陳情書  (第四九号)  税制改正に関する陳情書外三件  (第五〇号)  在外資産処理促進に関する陳情書外四件  (第五一号)  労働金庫に対する資金運用部資金長期融資に  関する陳情書外一件  (第五二号)  みつまた事業育成強化に関する陳情書外六件  (第七二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二号)  金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  理事辞任についてお諮りいたします。理事大平正芳君、奥村十郎君、加藤高藏君及び内藤友明君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よつてように決しました。  引き続き理事補欠選任を行いたいと存じますが、その方法は、先例によりまして委員長より御指名いたしますに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。  それでは委員長におきましては    有馬 英治君  小山 長規君    黒金 泰美君  高見 三郎君 をそれぞれ理事に御指名いたします。     —————————————
  5. 松原喜之次

    松原委員長 次に金融に関する件について調査を進めます。  質疑を許します。春日一幸君。
  6. 春日一幸

    春日委員 中小企業に対する年末金融に関連いたしまして、政府指定預金に対する取扱いにつきまして方針をお伺いいたしたいと存ずるものであります。すなわち本十二月八日付日本経済新聞の報道するところによりますと、この問題について政府指定預金に対する態度を決定したことが報道されております。それは、すなわち現在指定預金残高が六二億円もあるが、これは法律違反の疑いがあるというさきに行われたと称する会計検査院指摘、さらには昨今における金融一般に緩和されておる、こういうよう状況の上に立つて、これを来年一月から大体三カ月くらいの段階を経て引き揚げてしまうという方針決定されたということが報道されておるのであります。こういうような問題についてのわれらの理解は、さきに申し述べました通り一般には金融はある程度緩和された傾向が見えるけれども、なかんずくわれわれが当面問題といたしております中小企業金融難はごうも緩和されていない。それは東京、大阪、名古屋の手形交換所における不渡り手形の件数が、昨年同期に比べて二割ないし三割の増高を示していることを見ても明確である。なお財政法違反とか会計法違反という問題についての疑義は、すでに過ぐる国会において、会計検査院から責任者を本委員会にお越しをいただいて明らかにされているところでありまして、その結果はごうも疑義はない、こういうことに相なつておるのであります。従いまして政府が引き揚げんとするところの理由となつております二つの条件は、これは完全にわれわれが考えておつたところ、本委員会が結論を得ておりますところと違つた事柄であると思うのであります。にもかかわらず、本大蔵委員会並びに商工委員会におきます決議にもかかわらず、こういうよう決定がもしも行われたと、たしますならば、これはまことに重大なる事柄考えなければ相なりません。従いまして、果してこの日経の報道いたしております通り真相であるのかどうか、この際山手大蔵政務次官より政府の責任ある御答弁をお願いいたしたいと存ずるのであります。
  7. 山手滿男

    山手政府委員 本日日本経済にああいう記事が出ております。昨日年末金融の問題について、通産省関係官にも大蔵省に来てもらいまして、いろいろ協議いたしたことは事実でありますが、指定預金を引き揚げる云々というふうなことは全然話題にも上らないし、ああいうことを昨日特に取りきめた事実もございません。おそらく私が就任いたします前に、政府の方で、来年度はできるだけ指定預金は引き揚げることにしたいというふうなことを相談をしたようでございまして、そのことが何かのかげんで現われたものと思われるのであります。先般の当委員会及び商工委員会等におきましても、種々中小企業の年末金融の問題について真剣な御討議、要望がございましたので、昨日大蔵省通産省と協議をいたしまして、何とかもう少し考えよう、こういう話をいたしました結果、先般発表をいたしましたことを確認いたしますと同時に、新たに各市中銀行等にも要請をいたしまして、中小企業の年末金融をさらに円滑化するよう努力をいたすほか、政府関係機関に対しましては、こまかく検討をした上資金源をふやしてやろう、こういう方針相談をまとめました。商工中金につきましては、大体この資金源そのほかの調査を詳細にいたしましたが、商工中金については、ほとんど年末金融については問題がございません。しかし非常に零細な十万、十五万というふうな資金を貸し出しております国民金融公庫については、相当額資金源不足を来たしていることが明らかになりました。各支所から要求して参つておりますのが百六十億ぐらいに達しているようでございますので、何とかもう少しふやそうということで、四・四半期に出すことになつておりました預金部資金の方からの資金源を繰り上げて、年末もできるだけ早い機会に十億だけ国民金融公庫の方に出そう。それから中小企業金融公庫の方にも多少資金源不足があるようでありますので、五億程度のことは、めんどうをさらに追加をして見よう、こういうことに新たに決定した次第でございます。
  8. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、この日本経済新聞が報道しておりますところの、すなわち政府指定預金の現在残高の六十二億何千万円というものを一月から数段階に分けて計画的に吸収しよう、こういうことが決定されたというのは真相ではない、かくのごとに理解して差しつかえありませんかどうか、もう一ぺん御確認を願いたいと思います。
  9. 山手滿男

    山手政府委員 昨日そのよう決定をいたした事実は全然ございません。
  10. 春日一幸

    春日委員 了解をいたしました。当然かくあるべきでありまして、大して賞賛に値するとは思いませんけれども、本委員会が累次にわたつて真剣に論議いたしておりまするこの国民の要望ということをよく一つ考えを願いまして、十分適正な処置をされることを強く要望いたしておくものであります。  なおお伺いをいたしますが、ただいま次官の御説明によりますと、国民金融公庫、それから中小企業金融公庫に対しては、予定されておりまする財政投融資の繰り上げ支出によつて年度内資金源を増額しようという御措置があつたことでありまして、これはまことにけつこうなことではありまするが、同時に相互銀行信用協同組合、信用金庫、こういうふうな中小企業者に対する零細金融を担当いたしておりまする金融機関に対しましての資金源措置、これは結局この指定預金を新しく預託を願うこと員外に資金源を御考慮願う方法はないかと存ずるのであります。従いまして、さきに本委員会並びに商工委員会等におきましての決議も存するところでございますので、すなわち新規預託等も行なつていただきたい、こういう事柄が強く政府にも要望されておるのでございますから、この点につきましても一つ格段の御検討を願いまして、全国の金融難にあえいでおります中小企業者年越しのために、さらに一段の御努力を強く要望いたすものであります。  なおこの際お伺いをいたしておきたいと存じますのは、先般平岡君からお伺いをいたしております労働金庫に対する資金運用部資金からの預託の問題でありますが、これも当然何らかの措置が行われなければならぬと存ずるのであります。先般東条銀行局長の御答弁によりますと、本年は一般政府財政資金等においても余裕金がないことであるから、何とか労働金庫だけの手持ち資金によつて一つ弁じてもらいたいという味もそつけもない御答弁がございましたが、その後新しい資料を提出いたしまして、この給与所得者たちがどうしても年越しをするためには、それは相当金額を必要とするのではありますけれども、なかんずく最小限度のものについてさらに要望を重ねておることは、次官先刻御承知通りであります。従いまして、この問題についてもすでに何らかの御検討はなされておると思いますが、中小企業に対します措置と同様に、あわせてどのよう措置が御考慮されておるのであるか、この機会政府の御方針についてお述べを願つておきたいと存ずるのであります。
  11. 山手滿男

    山手政府委員 先般の委員会でも御要望のございました労働金庫についても、実は昨日二、三相談をいたしまして、いろいろその内容等検討いたしましたが、資金源はある程度つて、そう火のついたようなことでもあるないという見方も相当強かつたわけでございますが、しかしせつかく熱心な要望もございますので、昨年は約四億程度手当をしておるようでありますが、もしどうしても必要があれば、昨年度程度までは何とか一つ考えようじやないか、こういうことを含みとして決定をいたしました。まあその程度でございまして、必ず出すということではないわけでありますが、御了承を願いたいと思います。
  12. 春日一幸

    春日委員 非常に御努力願つた模様でございますが、労働金庫の問題におきましては、これは相手数も多いことであり、その金額もほんとうに零細なものでございまして、年越しのために必要にして欠くべからざる資金源でありますから、昨日決定されましたその含み協約事項が、何とか年度内一つ早急に実現されることを強く要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  13. 大平正芳

    大平委員 ただいま山手次官お話の中に、国民金融公庫に十億、中小企業金融公庫に五億繰り上げをするというお言葉がありましたが、そうしますと、第四・四半期になりましてから既定の計画よりそれだけ減らすということは、私は実際問題としてできないだろうと思うのでありますが、第四・四半期についてはそういつた財源をどのようにして調達するのか、大蔵省としては、当然これに対する御用意があるだろうと思うのでありますが、われわれの審議の都合上その概要がおわかりであれば、この際明らかにしていただきたいと思います。
  14. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまお話通りでございまして、繰り上げをいたしますと、第四・四半期においてそれだけ減るわけでございます。昨日も国民金融公庫の幹部を招致いたしまして、いろいろその点も相談をいたしましたが、一月、二月、三月ごろは比較的ゆとりがあるので、今各支所から非常に強く要望がきておるので、年末に手当をした方がより効果的であろうから繰り上げてもらいたいというような強い要望もありましたし、一月からの資金ワクが多少減ることは承知の上でそういう措置をとることにいたした次第でございます。
  15. 大平正芳

    大平委員 この急場をしのぐためには、そういうことは言葉のあやとしてはできるかもしれませんが、第四・四半期になつたらなかなかそう簡単にはいかぬだろうと思うのです。それを御承知の上で決定されたことはけつこうなことであり、方向としてはいいことだと思いますが、第四・四半期におきましては、十分計画したものだけ出す用意を今からしておかないと困るだろうと思いますから、その点御注意願いたいと思います。特に金融事情がこのように変つてきておりますから、政府投融資自体相当変貌してくる可能性があると思いますから、そういう点も含めて、一つ全体的に御考慮の上、機会を見て当委員会の方にもその点御提示願うようにお願いしたいと思います。
  16. 山手滿男

    山手政府委員 承知いたしました。     —————————————
  17. 松原喜之次

    松原委員長 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。井上良二君。
  18. 井上良二

    井上委員 食糧管理特別会計法の一部を改正する法案、すなわち食糧証券限度額引き上げに関する法案審議に関連して、二、三質問いたしたいと思います。  第一は、食管会計赤字の問題でございます。御承知通り本年度産米が異常な豊作である関係によりまして、食管会計に膨大な赤字予想されております。その赤字原因となつているのは、一つは、予算米価の九千七百三十九円が四百二十一円高の一万百六十円ときめられたこと、さらに政府は当初二千二百八十六万石の買い入れ予定しておつたよう考えますが、それが第一次の予約買付で二千七百七十五万三千石となつたということ、さらに第二次の予約を合せますと約三千百万石が集荷されるという見込みでございます、この最初の政府買い入れ予定量と第二次予約による買い入れ量の増加に伴いまして、食管会計では百三十億五千万円ほどの赤字が出るのではないかと想定されます。それに昨年度末の減収加算額三十二億を全部加える、さらにその上に早場米の買い入れ予想が当初予定しておつたよりもさらに上回つたということ、その他の原因を勘案いたしまして、食管会計では約二百億を突破する赤字が出るのではないかと想定されますが、さよう想定して間違いありませんか。
  19. 清井正

    清井政府委員 ただいま井上委員からの御質問の点でございますが、御指摘の通じ、予算決定当時よりも実際の決定米価が上つております。それから当初の目的の集荷予定量よりも実際の集荷が上つておりますので、その分だけは、確かにその面だけを見ますと相当赤字要因になつておることは事実でございます。ただ、ただいまも御指摘がございましたが、食管会計全体といたしましては、当初は七十億の赤字がことしは出るということで御審議願つたはずでございますが、そういう御決定の後にただいまのよう条件が起つたわけでございますけれども食管会計全体といたしましては、米の値上りによる赤字でなしに、なお輸入食糧の今後の買付価格の問題、あるいは業務用希望配給等の売り上げの問題、その他各般の事項がございますので、直ちに米の赤字がそのまま食管会計全体の赤字になるということは申し上げられないことは御存じの通りであります。また金額につきましても、ただいま計算をいたしておりませんからどの程度のことになりますか、はつきり申し上げられませんけれども、御指摘通り米見込み違いによる赤字は確かにふえるのであります。しかし、一方またそれ以外の不確定要素もございますので、ただいまのところは、確定的にどの程度金額赤字として現われてくるかということについては計算いたしておらぬのであります。不確定要素がさらに確定になりますころを見計らつてはつきりした数字を出したい、こう思つておる次第でございます。
  20. 井上良二

    井上委員 政府はたしか第二十二国会において、本委員会におきましては、この二千二百八十六万石を予算予定をしておいて、その予算米価決定米価との差額九十六億、それに昨年度の減収加算を加えて百二十八億という赤字が出る、こういう報告が本委員会にされておるのであります。この赤字は、実は酒米を値上げする、あるいはまた輸入食糧が最近非常に下つてきたから、その値下りによる剰余金、それから一つ業務用の米を払い下げる、これを政府小売公定価格よりもはるかに高い価格払い下げる。さらに食管業務経費を節約するということで、大体穴埋めができるであろう、こういう説明をされておつたのであります。その後、さらに政府国会が終りましてから、内地米予想以上の予約集荷の申し込みに勘案をしまして、希望配給をいたしました。この希望配給に回す米価も、業務用にならつて相当高い価格で配給する、こういうことでやられて、大体この赤字は相殺できるでないか、こういうように私どもは聞いてきたのでありますが、実際上ここで問題になりますのは、業務用払い下げ実績はどうなつておるのか、それから輸入食糧値下りによります剰余金はどのくらい出ておるか、それから中間経費において、食管会計業務経費を節約した部分はどのくらいになつておるか、それから希望配給に回しました米の石数と、それによる利益金はどのくらいになつておるか、これをおわかりでございますならばお示し願いたい。
  21. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、数字的に詳しくお答えできませんので、御満足の行くお答えはできないかもしれませんが、当時米価をきめましたときに、御指摘通りただいまの諸項目につきまして、百二十八億円の赤字を補填するということを御説明申し上げたのであります。そのときにおきます項目といたしましては、輸入食糧予算よりも相当買付金額が減るのであろうということと、食糧管理経費節減するということ、それから業務用として準内地米売却する、あるいは酒米の増量及び値上げによつて百二十八億を補填いたしたい、こういうことを申し上げたのであります。その後の実績といたしましては、先ほど申し上げました通り確定的なことは申し上げられないのでありますが、ほぼこの数字は達成し得るのではないかと考えておるのであります。ほぼでございます。と申しますのは、輸入食糧節減の問題でございますが、これは井上委員承知ように、タイビルマの米はまだこれから買付をいたすのであります。タイビルマの米は相当の分量でございますから、この値段が幾らにきまるかということは、この節減の大きな要因になる。今までのところは幸いに予定通り行つておりますが、予定よりもさらに経費節減したいということで、ただいまちようどビルマ大臣が来ておられますから、これからタイビルマの新穀の買付値段の協定をいたしたいと思つております。従いましてその決定いかんによつては、この予定以上に食糧買付節減ができるのではないかと考えております。これはこれからの問題でございますが、御了承願いたいと思います。それから食管経費節減でございますが、これは御指摘の点につきましては、運賃、保管料保存手入れ費、それぞれ関係業界と折衝いたしまして、一割ないし五%節減をいたしておるのであります。従いまして、これは当時申し上げた通り節減金額になつておるのであります。それから業務用売却でございますが、この点は当時十七万トンを売りたいということを申し上げたのでありましたが、これは遺憾ながら十七万トンに行かない状況でないかと、正直にいつて考えるのであります。現在の売却状況は、ちよつとただいま数字を持つておりませんけれども、実は十月に売却を始めたのでありますが、十一月にかけまして、やつと末端へ浸透しまして、各方面へ全部売却方を指示いたしまして、大いに督励いたしまして売却を広くしたのでありますが、この十一月の実績は果してどのくらいになつておりますか、ちよつとまだ報告が集まつておりませんので、はつきり申し上げられませんが、当初の十七万トンというわけにはいかないのであります。正直に申し上げてそう考えるのであります。若干見込みが減ると思います。酒米の問題も、一部は売却を開始しておりますが、この問題も当時百十万石、一万三千八百円の価格でやつておるわけであります。この問題も予定通り進行いたしておるということでございますので、数字的にははつきり申し上げられませんが、総じて当時申しました百二十八億はほぼ実現する。さらに輸入食糧タイビルマ買付価格いかんによつては、さらにこれがふえるかもしれないという状況にあるわけであります。  それから一方希望配給でございますが、これは予定通りのところまでは今までの価格で行きますけれども予定よりふえた分につきましては、これはコスト価格で売りたいということで、これが予定通り行きますと、五十億円以上の黒字になるわけであります。そういうようなことがございます。しかしこれも、売却実績によつてはどう変るかわかりませんけれども売却といたしましては、その程度利益考えておるのであります。いずれにいたしましても、現在始めたばかりであります。今後の成り行きによつて判断いたさなければなりませんので、ただいまのところは、御指摘の点は十分わかるのでありますが、確定的にどういうふうになるかということは、ちよつと申し上げかねる次第でありますので、この点は御了承願いたいと思うのであります。
  22. 井上良二

    井上委員 そうしますと、大体赤字というものは、ただいま御説明を承わりますと、大体年度内において操作は可能だ、年度末にそう赤字は多く出ないということを了承していいですか。赤字は出ますか。
  23. 清井正

    清井政府委員 そうはつきり出ないということは申し上げられないのであります。ただいま申し上げた通り確定要素相当でございますし、井上委員承知通り、本年は豊作状況でございますので、いろいろ食管会計運用に問題があることは事実でございます。そこで絶対出ないということは申し上げられません。しかしただ確定的に今計算ができないわけでございまして、むろんこれが出るといたしましても、どの程度になるか、あるいはどろいう原因で起つたかということを検討いたしませんと対策が立たないわけでございますので、決してとんとんということは私は申し上げられないわけでございます。その解決策努力いたしましても、どのくらい出るかということは私どもはちよつと申し上げられない状況でございまして、従つて私がここで申し上げられるのは、とんとんになるということは事務的にはつきりお約束できないということだけを申し上げておきたいと思います。
  24. 井上良二

    井上委員 長官みずからが不確定要素を取り上げて、赤字の問題についての確答はできないと言われる通り業務用の米の払い下げにいたしましても、希望配給を募つて内地米を配給するにいたしましても、豊作関係が影響してなかなか予定通り行つていないように私ども考えられ得るんです。特にこの希望配給という問題は、あなた自身現在内地米が大消費地において一体何ぼ配給されているかということは御存じでありましよう。わずか七日か八日しか内地米を配給してないじやないですか。そういう現状において、単に食管の会計に赤字が出ておるからということで、豊作になつて余分に農民の供出した米を政府みずからやみをやるような行為をして、それを、希望配給という美しき名前で消費者米価を非常に高く引き上げておるのは、一体どういうことです。一体そういう食糧政策がありますか。私はこの際、ふだんは米も足らぬ、十分行き届かぬ、しかしことしは未曽有の豊作であるから、せめてこのときくらいは、戦後十年、一日分でも二日分でも多く配給してやるということこそほんとうによい政治をやつておる、ほんとうに行き届いた政治をやつておると言われるでありましようが、それを一般配給は百八円か百九円で売つていて、希望配給はこれを百十五円か百二十円で売る、そういうむちやな食糧政策はありませんよ。それは、思うだけの米が配給されておるならいいですけれども、大消費地においては、内地米はわずか七日か八日しか配給されていないんです。現実に東北その他の米作地へ行けば、政府の配給米は辞退されているということじやありませんか。片一方では配給米が辞退されておりながら、片一方ではその増配がされないで、米のほしい者は高い米を買え、まさに前の池田大蔵大臣がやつてつたことと一緒の政策が具体的にとられているではありませんか。そういう食糧政策がありますか。これを妥当とお考えになりますか、また一方酒米を値上げする、酒米は値上げしてもよいかもしれぬけれども、高い酒米を原料にして作つた酒は、アルコールの含有分が多くなつて、結局酒を飲む大衆が犠牲になつておるということを考えませんか。現実に酒米が上つたからといつて、酒の小売価格を上げるわけにはいきませんよ。そうすると、そのしわはどこにくるのです。結局品質を落すよりほかしようがないじやありませんか。そういうふうなやり方が妥当なやり方とお思いになりますか。幸いにして希望配給よりも下回るやみ相場になりつつあるのですよ。事実今日東京において、一升百二十円までいつておる、百四十円も出せば堂々と買える。そういうような現状において、希望配給がそう目的通りいくとは考えられない。それならいつそのこと増配に回してあげたらよい。特に正月が控えておりますから、せめてこの正月に二日分でも三日分でもよけいやるというくらいのあたたかい食糧政策がとれませんか、どうですか、それを一つ伺いしたい。
  25. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、御指摘通り、消費地は八日分しか配給がないわけでありますので、増量と申しますか、予定より以上集まりました分の配給を希望配給に充当いたすということができますれば、これは一番よい方法ではないかというふうに思うのであります。それを御指摘だろうと思うのでありますが、これはただいま井上委員からも御指摘がありましたし、私もお答え申し上げた通り予定までの分量でございますれば、特別会計の当初の計算に入つているわけでございますが、それ以上のものをさらに損失を負担して売却をいたすということになりますと、さらに損失の要因を増加するというようなことも考えられるのであります。  そこで先般いろいろ考究いたしました結果、基本配給の分については既定の価格で参りますけれども、さらに希望配給の分はコスト価格売却いたしたいということで、これはまことに御指摘の点のあることは十分私どもわかるのでありますけれども、これは国家の損失というような立場から考えまして、一斤百二十円で受け取れるということで計算をいたしたのであります。一般配給が百九円でございますから、約十円の値上りなんでございますが、そういうことで、これはやむを得ざる措置ということで希望配給にいたしたのでございます。もつとも三日でございますから、総体的にはそう大して消費者の負担にはならないのではないか、この程のことはやむを得ないということで実は決定いたしたような次第でございます。さらに正月の措置でございますが、これは今までは一日分だけ特配をいたしたのでありますが、本年は正月三日分だけ特配をいたすということで、わずか二日分でございますけれども、昨年より増配をいたすということに決定いたしておりますので、その点は御了承願いたいと思います。
  26. 井上良二

    井上委員 食管長官は食糧を利益の対象にしようとしておるのですか、あなたのお考えは一体どうですか。従来私の手元にあります資料によると、昭和二十六年以来今回までの改正で、約三千五百億というものが一般会計から食管会計に繰り入れられてきているのですよ。これは利益の対象にせず、米は国民生活に絶対必要なものであるということからして、国の最高の意見として上げちやいかぬということで、いわゆる二重価格の性格をもつてつてきているわけです。それに対しては、今度はわずかの米から利益を得ようとしているのですが、利益の対象にしてよいのですか。どうお考えになりますか。
  27. 清井正

    清井政府委員 利益の対象ということではないのでございます。私ども法律の範囲内におきまして、できるだけ消費者の生活安定ということが食管法の目的でございますから、この目的遂行に努力いたしておるわけでございます。ただ御指摘の点もございました通り、基本配給以外の分につきましてはコスト価格で売るということは、ごくわずかの消費者の負担であるということも考えられますので、この程度はがまんしていただきたいということでありますので、御了承願いたいと思うのであります。
  28. 井上良二

    井上委員 私はこの政府の今度の希望配給や業務米の払い下げ等は、実質的には、消費者米価をなしくずしに引き上げるための一つの前哨的な手段だと私どもは見ておるのです。  そこで私がこの赤字対策で特に質問をしておりますのは、結局年度末には何ぼかの赤字が残る。全部操作が食管会計の中でできて、赤字は出ないという見通しはつけ得られないと思つておるのです、約二百億ほどの赤字を私どもは想定しますから。そうしますと、現実にこの年度末において、一体この赤字対策として政府はどうしようとするかということが問題になつてくる。そこでこの赤字対策として政府がとろうとする手は三つあると思う。一つは消費者米価を上げるという問題がある。一つ食管会計の操作において、たとえば食糧証券の発行により、その内部操作において、どうしても赤字が出た場合翌年度へこれを持ち込むという手かあり、さらにいま一手は、一般会計から赤字を補正予算で補填するという手がある。もし赤字が出た場合は、そのどれをあなたはおとりになろうとしているか。まだ赤字はつきり何ぼ出るやらわからぬから、そういうことは年度末に考えるといいますか、それならば、あなた自身この年度末なりあるいは来年度において、消費者米価は据え置くのか、引き上げるのか、これをはっきりしていただきたいのであります。
  29. 清井正

    清井政府委員 先ほどお答え申し上げました通り、損益計算につきましては不確定要素がございますので、はつきりしたことは申し上げられぬと申し上げたのでありますが、かりにこの年度末近くになりまして、ある程度この会計の赤字が出るような場合におきましては、その金額がどのくらいであるか、あるいはどういう原因によつてそういうことが起つたかということをしさいに検討いたします。従いまして、その金額並びにその原因等によりまして、それに対する対策等も考えなければならぬのであります。それについての対策についても、いろいろお話がございましたが、私どもといたしましてはその数字——出ますといたしますればその数字、それからその原因等につきまして、そのときの事態を十分検討いたしまして、それによつて適当な措置を講じなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、現在のところは、何ともこの点については具体的にはお答え申し上げかねます。
  30. 井上良二

    井上委員 それは非常に大事なことですから、念を入れて質問をいたしておきますが、あなたがおつしやいます通り、何とかこの年度内食管会計の操作で赤字が処理できるということになりますと、米価値上げの根拠はなくなりますね。ところが処理ができないということになつてくると、どうするかという問題が起つてきます。大蔵省としては、一般会計から繰り込むことは困る。だから消費者米価を上げるという声が大蔵省の方には強いです。上げるのはやすいが、国民経済全体に及ぼす影響なり、あるいは貿易政策に及ぼす影響が大きいから、簡単に上げるわけには参らぬというのが大勢です。単に食管会計のつじつまを合わすというだけでわれわれは米価問題は論議できないのであつて、国民経済と通商関係をどうするかという問題になります。だから、あなたの方でいろいろ手当をして赤字を出さぬようにする。赤字が出れば、また大蔵省の方から消費者米価を上げたらどうやと言われるから、上げないようにするためには食管会計の操作が非常に大事になつてきますが、そういう関係で、あなたとしては何とか赤字を出さぬよう努力してもらいたいし、また事実上赤字の出ない処置を講じてもらわなければならぬが、万一出たときにはどういう処置をとろうとするか、食管長官の責任において一般会計から補正をもらうか、米価を上げるかというこの二つ以外にないのです。どちらをとるのです。
  31. 清井正

    清井政府委員 御指摘通り、私どもといたしましては、食糧管理特別会計の運用の事務的責任を負つておりますので、できるだけこの運用の円滑を期するように心がけなければならぬことは当然であります。今後も食管会計運用円滑化のために努力をいたすつもりであります。なおその結集起りました損失操作の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたが、私どもといたしましては、損失等が起つた場合における金額、あるいはその原因等を十分探求いたしまして、そのときにいかに処置すべきかということをきめるべきでありまして、ただいまの質問については、はつきりしたことはお答えできないのであります。
  32. 井上良二

    井上委員 次に伺いたいのは、今回政府食糧証券の限度額を二千六百億から三千五百億に引き上げようとしておるのでありますが、現実に問題は、十一月末に食管の糧券及び借入金はすでにこの限度に達して、やむなく農林中金の資金で立てかえ払いをしてもらつている現状であります。この立てかえ払いを含める食管会計の負債は、現在二千六百七十億になつているとわれわれは推定する。ここで問題になるのは、これら各負債の利子の問題でございます。現在食糧証券は日歩一銭五厘でありますが、農林中金からの余裕金を借り入れると日歩一銭九厘になり、さらに立てかえ払いの場合の金利の日歩は二銭となつております。そういう実情からわれわれが検討いたしますと、政府は、本年非常な豊作予想され、かつ第一次の予約集荷においても予想以上の申し込みがあるという現状、さらにまた第二次の追加予約を受け付けるというような実際の豊作に対する対策をおとりになつておりますが、かよう集荷に対応して、その資金対策はなつていない。かような大量の米を買い入れ、また現実にそれに基く資金対策なり、食管赤字買いをされるからには、当然この資金対策を前国会においてやつておくべきであつた。やつておけば立てかえ払いの高金利による操作をやらなくてもよいし、あるいは余裕金を借り入れる必要もなかつたのに、何ゆえにそういうことをしたか。この立てかえ払いに要する金額相当金額に上つていると思う。また余裕金を借り入れた金額相当金額に上つていると思いますが、前国会では、これが資金対策については、そのときはまだそこまで考える必要もなかつたというならば、何ゆえ早く臨時国会を召集して、この資金対策を講ずる処置を政府はとらなかつたかということが問題になつてきます。かよう資金操作をやつて正当とお考えになつておるか、この点を伺いたい。
  33. 清井正

    清井政府委員 ただいまの計画でいきますと、十一月の終りで、現在の限度の二千六百億を七十億超過をいたすことになつております。正確なところは判然としておりませんが、七十億超過になつておりまして、十一月末には若干の中金に対する配当があるわけであります。ただいまお話通り食糧証券は一銭五厘でありますが、もしも中金の方で立てかえ払いになつておりました場合には二銭支払いますので、差引五厘だけ私の方で利子を中金の方に払うという形に今なつておるわけであります。ただいまはつきりした数字を存じておりませんが、この中金と私どもとの関係は、私どもが中金に代金の立てかえ払いをお願いいたしております関係上、資金交付をしておるわけでありますが、交付する予定と実際のものとの開きが当然あり得るわけであります。それは多い場合も少い場合もあるわけであります。従つて多い場合に私どもの方で利子をとるわけであります。こちらの方が少かつた場合にはこちらの方で払うということで、差引して全体の経理がなされるということになります。これは毎年こういうことがある程度あり得ることでございまして、予定と実際とが若干食い違うことはやむを得ないことであるのであります。本年は、特に御承知通り非常に買い上げ数量がふえましたために、二千六百億のワクがすでに十一月の終りで七十億ふえるというところに問題があるわけであります。金利の負担につきましては、これは非常に計算がむずかしいのでございますが、かりに百億といたしましても、半月ではこれは約七百五十万円くらいの金利増になります。日歩五厘の考えでそういうことになります。一月でありますとその倍になるわけでありますが、そういうことでありまして、金利の負担といたしましてはそうなりますけれども、一方貸し越しをしている場合もあるわけでありますから、それを毎日々々の総計算によつてはじき出す。従いまして、この計算は非常にややこしい計算でありまして簡単にまとまりませんが、そういうような仕組みになつておるわけであります。従つて金利につきましては、御承知通りやむを得ない負担増のために三千万円の増ということは予想し得るわけであります。ただ、なぜこの点を予想しなかつたかという点でありますが、なるほどことしは多少豊作ぎみだということは、前国会ころからもいわれておつたのでありますけれども、私どもとしては、ある程度予想だけではいたしかねますので、だんだんと実績を見ながら検討いたしておつたのでありますけれども、目標数量三千万百に幸しましたは十一月末でございます。作況も十月の中旬になつて約七千九百万石ということがわかつたので、作況もわかり、申し込みもわかり、次第早くこの措置をとるどいうことで、今国会にお願いするということにいたしておるわけでございますので、この点御了承願いたいと思います。
  34. 井上良二

    井上委員 いずれこの問題は、後にさらにはつきりさしておきたいと思いますが、通産大臣が見えたようでございますから、通産大臣は予管委員会との関係があるようでございますので、通産大臣に対する質問を食糧関係に関連していたしておきたいのであります。  それは砂糖の対策でございますが、御存じの通り砂糖が、年間を通しまして政府の輸入操作のよろしきを得ないために、非常な暴騰暴落をいたしておるのであります。この暴騰暴落が国民生活、わが国の産業経済に及ぼす影響を直そうといたしまして、砂糖価格の安定に関する法律案を出そうといたしました。これは前国会審議未了になつたわけでございます。ところが、その後政府国会のこの法案に対する意思と相反して、依然として砂糖の輸入の公表を的確に行わずに、いたずらに糖価を不当につり上げて超過利潤を吸収するの余地をことさらに作つて、それで当初予定いたしました砂糖からの超過利潤を吸い上げようとして、八月二日閣議了解の趣旨により、砂糖の超過利潤は精糖上白一斤当り七十六円を基準にしてこれを政府に供出させることとし、別紙要綱により実施するという、いわゆる砂糖に対する行政措置をおとりになつたのでもあります。しかもこの行政措置は、いわゆる輸入業者あるいは製糖業者等を対象にしまして、銀行保証のもと通関三カ月後にそれぞれ所要の金額を積み立てろ、こういう通達を出しておるのであります。一体かような処置は、国会の承認も得ず、国会の議決も得ず、いかなる根拠によつてようなことが憲法上行政官に許されておりますか、これを通産大臣伺いたい。
  35. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 砂糖の輸入あるいは製糖業者に超過利潤を吐き出させるということについての御質問ようですが、それは、超過利潤は何もあんなものを作りたくないのです。政府としては、決して超過利潤を作るために何らの操作をしておらないのであります。ただ、たまたま台湾糖の輸入がおくれたとか、いろいろの事情でこの間は砂糖が非常に高騰しました。そこで政府はそれに対処するために、さらに十万トンの輸入を追加して、九十五万トンの計画だつたやつを百五万トンにした結果、最近は砂糖が非常に下つて、今度は砂糖会社の方が赤字で困るというようなことになつた。ところが近ごろはまた年末も近づいたりして、砂糖が七十円がらみになつているようであります。そういうようなことで、輸入の操作がまずいからといえば、そういう議論もなり立つかもしれませんが、とにかく実際上やむを得ずああいうふうな波乱が起つたわけであります。これはいろいろのスペキュレーションがありますから、今のような日本の砂糖の輸入というか、外貨で割り当ててそれをしぼつていくという形をとりますと、どうしてもそこに投機が起りますかろ、ある程度価格の波乱があることはやむを得ないのだろうと思います。そういうことで超過利潤が出たものを、ほうつておいて企業者にもうけさせるということもありませんから、そこで自然に出る超過利潤は国庫に収納するのが当然だろうと思う。そのためにこの前ああいう法律案を出したのですが、不幸にしてそれが審議未了になりました。審議未了でありますから、国会がこれを否定されたわけでもない、ただ審議未了で時間切れになつたということでありますから、そこで製糖会社、輸入業者等と話し合いをしまして、彼らが、法律がちようど流れたからといつて、その超過利潤を私するということも、これは先生らとしてもきまりの悪いことでありましようし、また政府としても、そのまま黙つておくということも、これまた国民に対してはなはだ相済まぬことでありますから、そこで契約として、法律ができた場合と同じように、超過利潤があるときにはそれを積み立てて国庫に納付するという含みのもとに、一つの契約を結んだわけでありますから、私はそれに対して別段不都合はなかつた考えております。
  36. 井上良二

    井上委員 政府は当初九十五万トンあれば年間需要を満たすことができるということで計画を立てて、上半期四十五万トン、下半期五十万トンの振り合いをもつて公表をするということであつたわけです。ところが現実に法案国会に提案されてから後の公表というものは、全くなつてないのであります。ことさらに糖価をつり上げる措置としか考えられないような公表の仕方であります。そうして糖価が上つて参りまけと、ついに政府はその責任のやり場に困つて、かような閣議了解事項なるものを作り上げて、何ら法的根拠のないものをもつて、民間の利益に権力を加えようとしている。もしあなたがおつしやるように、外貨割当による輸入物資に超過利潤が生ずるということならば、砂糖だけではありませんよ。石油はどうするのです。大豆はどうするのです。コンニャクはどうするのです。それぞれ外貨割当による輸入物資で相当の超過利潤をあげているものがございますよ。そういうのはほつたらかしておいて、それでこれだけをねらうというのはどういうことです。あなた方みずからの輸入公表の不手ぎわは少しも責任を負わず、糖価つり上げに対する何らの責任を負わず、それで超過利潤が出たというが、一体糖価は何ぼが国際価格です。今日砂糖は国民の生活必需品になつているのです。これはあなたも御存じの通りに、米が十五日分しか配給されていない。あと十五日は粉食を余儀なくされておる。この粉食には砂糖は絶対必要なんです。そういう現状にある砂糖を投機の対象にするということは、もつてのほかであります。しかしながら、現実に政府の輸入行政のよろしきを得なかつたという責任はどうするのです。その責任を少しも負わずに、それで糖価が異常に暴騰したからということで、そこであなた方の方では何らの法的根拠もなしにこれをとろうとするが、一体さようなことは許されますか。とれますか。どういう処置でとろ、うというのです。そんなものはとれませんよ。相手方が自発的に、あなた方の行政のよろしきを得た結果もうかりましたから、これだけ国へ寄付しますと、こういう自発的な寄付なら受け取つてよろしいですよ。法律にもなし、何ら会計法上許されてないのに、一体何の根拠でかようなことができるのです。そんな権限は、国会はあなた方に与えておりませんよ。国会は法律をきめて、あなた方に法律の施行をまかしておるだけなんです。いかなる法的根拠によつておやりになつておるのです。いかに会計法上にきめられておるのです。かようなことはあなた方に許しておりませんよ。(「砂糖屋のひもつきか」と呼ぶ者あり)断じてさようなことはありません。さようなことを言うなら徹底的にやりますよ。それをはつきりして下さい。
  37. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 あなたと同じ議論を砂糖会社及び砂糖商は言うのです。超過利潤のあるのは砂糖ばかりじやないと言うのですが、そのかわり、超過利潤のあるものは、押えられるだけは押えるるつもりです。(井上委員「何で上げたのです。」と呼ぶ)そこで、御承知だと思いますが、われわれは砂糖の輸入をチェックして、しいて砂糖の値段を維持するつもりはないのです。しかしながら御承知ように、これは例の澱粉と関係があるのです。(井上委員「澱粉と関係はありません。澱粉は値が下つてもかまいませんよ。」と呼ぶ)農産物が下つてもかまわないということであれば、自由に砂糖は輸入してよいのです。だから通産行政としてはどうかそうしたいのです。あんな超過利潤の出るような政策はとりたくない。これは非常な迷惑ですけれども、残念ながら農産物価との関係上、砂糖を非常に下げるわけにいかない。こういう事実があるものですから、そこである程度砂糖の輸入をしぼらざるを得ないような情勢に今あるのです。その跡始末なんです。ですからもし国会等のお考えで、サツマイモが下つてよろしい、澱粉も下つてよろしい、こういうことになれば、これはまた処置のしようがあるわけです。ところが超過利潤のある限りは何とか押えなければならぬ。ただその中にも押えられないものがある。ですから、もし通常国会になりまして今のような情勢が続くなら、コンニャクイモでもハッカでも、これは超過利潤の吸収のことを考えなければならぬと思つておりますが、石油のごときは、いろいろ研究しておりますが押えようがない。超過利潤というものは押え方が非常にむずかしいのです。押えられるものなら押えたいと思つておりますが、これはなかなかむずかしいのです。砂糖の問題も、すらりと輸入ができればいいが、今の農産物価の関係と、もう一つは、御承知ようにキューバから入れれば非常に安い。ところがそうはいかない。やはり台湾の砂糖も貿易の関係上入れざるを得ない。ブラジルからも入れてやらなければならない。今の貿易は、多角貿易でなくて双務貿易であるために、一つの故障がありまして、そういうことから、実は通産大臣通産省としてはやりたくないのですが、やむを得ずああいうふうな処置をとつた、こういうことであります。
  38. 井上良二

    井上委員 何か私の発言を、ことさらに利害関係を代表したよう大臣はとつているようでありますけれども、私自身は、昨年来、この砂粒の問題か国民生活に及ぼす影響を重大視しまして、いろいろな面から資料を集めてきているのですが、私自身の考え方は、今政府考えているような、超過利潤吸い上げの安定帯法案というようなものは、かえつて国民生活の上に負担を増すだけだと思います。つまり、御存じの通り原糖は三十二、三円、そこへ持つてきて関税と消費税を加えますならば、ちようど原糖の倍以上の税金がこれにとられているのです。だから相当大きな負担を国民はしているのです。その上にさらにあなたは七十何円の安定帯を設けようというのですから、さらに一斤当り十幾円という負担が国民にかかつてくるのです。さようなことを何ゆえに必要とするか。われわれが消費税をかくも大きく負担をしていながら、その上さらに十何円も高い砂糖を何ゆえ買わなければならぬかというのが、われわれ消費者の切実な不平の声です。そういうことをするよりも、それほど砂糖価格が不安定ならば、政府が外貨を割り当てる実権を握つているのですから、年間所要量を一手に食管なら食管に抱かして、食管が米麦を一手に買い入れていると一緒のような方式で、これを食管で一手に買い入れさせればよろしい。そして必要量を毎月払い下げていけばいい。そのわかり切つた処置をとらずに、勝手自由に競争させて投機の対象にするところに問題があるわけです。だから私はその筋を明らかにした法案国会に出した。はつきり一手輸入をやり、そして需要に応ずるだけ払い下げていきなさいという法案を、私は国会に出している。そういう明らかな道をあなた方がおとりにならずに、政府みずからの輸入に対する不手ぎわをそのままにしておいて、それで利潤が生じたからということで、さらに消費者に大きな負担をかけるよう措置が、妥当な措置と思いますか。私がここで質問をいたしておりますのは、一つは輸入公表の不手ぎわ、この責任をどうするかということが一つです。現に下半期における公表において、まだ十三万五千トンの未発表を握つているのは何ゆえです。一体今公表して年度末までに砂糖が入りますか。これは本年度中の所要量として政府がワクをきめた量でありますぞ。それを本年中に発表ぜず、来年度にこれを持ち越して公表して、一体本年度の砂糖の安定に役立つ公表になりますか。船は二カ月半から三カ月しなければ入つてきません。そういう現実の実際に当てはまる行政をやらずに、ただあなた方は、時の流れに従つて動いて不必要な手を打つているから、かようなことになるじやありませんか。そういう砂糖行政の不行き届きに対して何らの責任を感じない。そして超過利潤のことだけをとらまえようとする。しかしとらまえようとする場合には法律によらなければならないのです。それを法律によらずにどうしてやるのです。過去のいろいろなことまでさかのぼつてつた法律などはありませんよ。どうしてとろうとい、うのです。それを、とれもせぬことを権力によつてやろうとするところに——あなた方は外貨割当という権力を握つているのですよ。これに応じなければ外貨をもらえないのですよ。もらえないから、いやいやながら業者は判をついているのでありましよう。つかなんだら割当しないじやありませんか。そういう権力を握つて、法律によらずに、そこで反対に糖価をつり上げるような輸入政策をやつて、それで何ら責任を負わぬということは許されませんよ。現に十万トン追加して砂糖あ下つてきた。下つてきてやれやれと思つてつたら、また十三万五万トンの輸入の公表を引き延ばして、ためにまた糖価は暴騰しておる。この不行跡をあなたはどうするんです。そういうことについてあなたは何らの責任を負わぬじやありませんか。ただ澱粉は下るの、イモは下るのということに責任を持つていこうとしておるけれども、六十八円や七十円の糖価では、まだ澱粉やイモの価格には影響いたしません。だから砂糖をもつと引き上げなければ澱粉が困るという理屈は成り立たぬはずです。現状では決して澱粉の価格に影響するものではありません。あなたの今の答弁は、理屈としてはなつておりませんよ。だから私がもう少し明確に申し上げますが、輸入不公表に対する責任をどうするんです。それから法律によらず、国会の議決にもよらずに、民間からさようなことを権力でとるといつたことが、どこに一体許されておるのですか、それを伺つておるのです。
  39. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 十三万五千トンは近いうちに発表します。しかしこれは、先ほど申したように、相手の国の砂糖が非常にめんどうでして、今フランスの砂糖、それからフィリピンの砂糖を輸入してやろうというのでありますが、これはいろいろの関係があつてなかなかめんどうで、話がまだまとまりませんので、それで少しおくれておりますが、フランスの砂糖の問題はすでに片づいております。フィリピンも片づくと思います。こういうわけですから、十三万五千トンは近いうちに発表します。決して糖価をつり上げるために握つておるというようなことは毛頭ございませんから、どうぞ御安心を願いたい。それからもう一つ、今の法案が流れた後の処置は、決して権力でやつたのではなくて、それは製糖会社及び輸入業者の自発的の意思で、それだけの超過利潤があるものを自分たちがふところに私してはいけない、こういう道義的の関係から、自発的にやつてくれたものと私は考えております。決して権力をもつてつたものではありません。
  40. 井上良二

    井上委員 そこで私はさらに追及いたしますが、それならば銀行保証も何もいりません。何ゆえに銀行保証をやつたのですか。業者の払えない場合には銀行がこれを払わなければならぬということになつておるんですよ。銀行保証ということになつておるんですよ。さようなことは一体許されますか。あなたの方からかようなことを指示しておる。そうすれば明らかに権力の乱用ですよ。そういうことは法律上も会計法上も許されておりませんよ。あなたがおっしゃるように、国のいろいろな政策のよろしきを得たために、また業者にすればもうかったから、そこで余分にもうけたのは世間の目もうるさいから、何ぼかお納めいたしましょうということで、業者が自発的に政府に寄付するものについて私は文句を言っておるのではないのです。それは大いにもうかったら、もらったらいいのですが、その場合は法律によらなければいかぬということです。消費税を引き上げるなり、あるいは超過利潤を吸い上げる特別立法を作るなり、そういう法的根拠によってやりなさいと言っておるのです。法律にもよらなければ、会計法にも許されてないことをやることは権力の乱用であり、行き過ぎであるということを言っておるのです。そういうことは明らかにしなければなりません。そういうことがもし許されるということならば、今後あらゆる行政機関においてさようなことが行われた場合どうします。さようなことはおそらくあり得ないことでありましょうが、疑獄、汚職、いろいろな問題が取りざたされておるときでありますから、特にさようなことについては注意をしていただきたい。私は率直に申しますが、法律上はこれは取り得ないものである。それより今あなたがおっしゃったように、自発的に業者が納めるのならば納めさせたらいい、寄付させたらいい、話し合いで寄付させなさい、その合意で取りなさい、その点について私はあなたに伺いたい。  それからいま一つは、一体あなたはこの砂糖の価格の下安定に対してどうしようとお考えになっておられますか。このままでいいとお考えになっておられますか。それともさらに進んだ措置をおとりになろうとするのであるか。たとえば、従来のように安定帯を設ける法律を作ろうとするのか、それとも私どもの主張しておりますように、これを一手に輸入しまして、月々の需要に見合う払い下げをやるようなやり方をとろうとする考えがあるか、どちらをあなたはとろうとするのか。つまり現状のまま放任しておくのか、それともまた通常国会には安定帯を中心とした法案を出そうとするのか、それとも間接統制の方式をとろうとするのか、どちらがあなたはいいとお考えになっておられるか、これは他の関係にも影響してきまずから、その点を明確にしていただきたいと思います。
  41. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 最初のお尋ねの方は寄付です。それは決して法律でもって取るわけではありません。ただ今の銀行の保証云々は、御承知ように輸入業者、製糖業者が、いろいろ厄介ですから、同じ寄付するにしても、そういうような銀行の保証を一応してもらうということでないとはっきりしないからというだけでございまして、他意はございません。  それから第二の、方法は、大体今三つあるでありましょう。一つは、もう今の状況ですから、砂糖は自由に輸入して——ただ対外的の関係がありますから、その対外的の関係だけ調整して、自由に輸入して下るだけ下げる。そして国庫の収入は消費税だけでやるというのが一つ。もう一つは、前に出しました法案ように、どうしても超過利潤が出てくるということがやむを得ないならば、これは何か超過利潤を吸収する法案を出さなければならない。もう一つは、今お話よう政府が一手に輸入して、適当の方法払い下げる。こういうふうに三つあるのでありまして、そのいずれがいいかということは今検討しております。井上さんは、今の農業物産との関係を非常に軽くお話しになるけれども、私は何もありませんけれども相当問題があると思いますから、その点も十分検討しまして、いずれ近いうちに発表したいと考えております。
  42. 井上良二

    井上委員 わかりました。私の通産大臣に対する質問はこれで終ります。  次に、食管のさっきの続きでありますが、この点、食糧庁長官は私のさいぜんの質問に対しまして、すでに十一月で食糧証券発行限度の二千六百億を超過しておる。そのことは、現実に法律的には何らの根拠も持たずに、食管食糧証券の発行限度を上回る金が動かされてきたということになりましょう。これは法的にどうお考えになりますか、やむを得ないと考えますか。
  43. 清井正

    清井政府委員 先ほどもちょっとその点に触れて申し上げたのですが、確かに私ども予定いたしておりましたより以上の数量が出ましたために、十一月末で約七十億の超過をいたしておるわけであります。従いまして、むろんその点につきましては、農林中金が政府のかわりに立てかえ払いをしておることになっておるわけであります。その後十二月以降、また十一月の実施中におきましても、やはり収入が引き続きございますから差引があるわけですが、その差引が超過ということになるわけであります。そこで私どもただいま運営をいたしておるのですが、少くとも七十億の限度におきましては、ただいまのところは農林中央金庫が立てかえておるのですから、やがてその限度で引き上げを御決定下さいますれば、さらに補てんするわけであります。従って補てんまでの間には、先ほど申しましたように日歩五厘の限度において、利子を政府が払わなければならないということになりますので、その点は利子の負担がふえるということになるわけであります。金額の点につきましては、先ほどの七十億で七百万円程度の負担になるわけです。今年度は予想以上の収穫がありましたので、その点若干遺憾の点は私どもといたしましても認めるわけですが、その点は事実といたしましてやむを得ないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  44. 井上良二

    井上委員 食糧庁長官としては、現実の事態からやむを得ないというように軽く考えられておるようですが、法的措置としましては、さようなことは許されません。現実に一銭五厘で借りる金を、立てかえ払いをしてもらっている関係で二銭払っているわけです。そのため七百万円からの利子を払わなきゃならぬことになっている。こういう処置に対して大蔵省はどうお考えになっていますか。大蔵省はかような事態が食管に起っておるのに、何ら内部についての改正を考えず、国会にさような改正案を提出せずに今日までほっておいた責任はどうするか。
  45. 村上孝太郎

    ○村上説明員 非常に重要な御質問ですから、私どもの御答弁では不十分かと思いますが、ただいま食管長官のおっしゃいましたように、通常国会においてもある程度豊作だという予想ができたわけでございますから、そのときに先を見越した入念きわまる処置をしておれば、こういうことがなかったと言えるかもしれませんが、通常の何から申しまして、当時十一月ごろこの食管法の限度の拡張をする機会があるとか、ピークが十二月のいつごろくるかということについては、いろいろ見通し上の差もございましたので、そういう意味からいって、今度の臨時国会でもまあまあ手当ができるんじゃなかろうか、こういうことでじんぜん日を過ごしたわけでございます。そういう意味において、ただいまおっしゃいましたように、二千六百億の限度で資金繰りにややつらいところが出て参りまして、そういう関係で二銭の金利を払って立てかえ払いをしておるということが一部あるわけでございますが、この立てかえ払いの問題は、従来もこの食管で持ちます資金の供給と、それから現実に農林中金で払っております米の代金の支払いとの間には、理想と現実との食い違いは常にあるわけでありまして、余る場合もあれば足らぬ場合もある。これはただいま食管長官のおっしゃった通りでありまして、その意味において、ある程度の違いはありますけれども、今度の豊作買い入れがふえて、二銭の金利を払う分がややふえておるということは、食管の健全な経理から言えば、そういうことはない方がいいわけでございますが、現実と理想との食い違いということからその程度のことが起きて参りますことは、これはやむを得ぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  46. 井上良二

    井上委員 ちょっとの食い違いなら、これは毎年やっておることですから私どももやむを得ないといたしますけれども、本年のような場合は異常でありますから、異常の対策を考えるべきじゃなかったかということが一応指摘されなければならぬと思うのであります。  次に食管長官にもう一つ伺っておきたいのは、御存じの通り異常豊作に関連をいたしまして、すでに東北及びその他の米作地帯では、政府からの配給米の辞退が至るところにあって、配給業者みずからがやみ米との競合で非常に困難な実情にあることが伝えられております。そういういろいろな事情や、それから海外の非常な豊作、外米の値下りというようなことからいたしまして、食糧の統制を撤廃するという動きが非常に強いようでございます。これらに対して、食管事務当局としては一体どういう見通しをお持ちになっているか。現実の食糧事情のもと、単に本年豊作であったから、あるいは外国の食糧事情が多少豊作関係で好転しておるからというようなことでもって食糧統制をはずして、一体わが国の食生活に不安がないのかということについての見通しを、事務当局の責任者として一つ簡単に明らかにしていただきたいと思います。
  47. 清井正

    清井政府委員 この問題は、しばしば報道機関等によって議論がなされておるのでございますが、私ども政府部内または事務局といたしましても、その問題につきましては何らの結論を出したことはないのであります。申すまでもなく、またただいま御指摘通り、米の制度の改正の問題は、消費者、生産者両方の立場を十分考えていたさなければならぬ問題でございますので、各方面からの検討を十分し尽した上でなければなかなかむずかしい点であります。この点は、私どもといたしましても慎重な態度で事に当らなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  48. 井上良二

    井上委員 驚き入った御答弁で、今日なおかつ慎重に各方面の事情を検討した上でと、こういう慎重な御答弁でございますが、私自身としては、もう清井長官はその専門家として、統制をほずしていいか悪いかぐらいの明確な結論をお出しになっておる、ただこれが政治的に及ぼす影響が大きいからあなたは黙っておるのではないかと私は了解しておるわけなのであります。従ってあなたにそれ以上この大きな政治問題を追求いたしましても、かえって御迷惑と思いますから、この問題はこの程度にいたしておきます。  最後に、これに関連をいたしまして、本年の豊作と並んで一部非常な早魃がございまして、この早魃のために、早魃地帯は減産防止に非常な力を費しまして、この早魃対策の費用といたしましてすでに八億円から支出したということがいわれております。この早魃防止に使用いたしました経費について何とか国庫補助を願いたいということで、各方面からやかましい要求がございまして、先般来大蔵当局と農林当局にもそれぞれ要求がされておるようでございますが、なおかつ今日この問題が解決をいたしておりません。聞くところによると、大蔵当局は予備費から一億か二億くらい出そうという話があるやに聞いておるだけでありまして、何らこれが具体的に解決されてないのはどういうわけか。この点に対して大蔵省の主計局または食管長官はどうお考えになるか。この点は食管長官の所管外かもわかりませんけれども関係がございますから、あなたから関係局長なり次官一つお話を願って、大蔵当局とともにこの問題の解決を願いたい。大蔵省の主計局の方から、この問題に対する取扱い処置はその後どうなっておるか、そしてこれは補助を出すのか出さぬのか、出すとすればいつ出すかということをこの際明確にお答えを願いたいと思います。
  49. 原純夫

    ○原説明員 早魃の問題につきましては寄り寄りお話がございまして、いろいろ私どもも勉強をいたしております。お気の毒なケースでありますから、何とかぜねばなるまい、ただやり方がいろいろありまして、補助金を出すか、あるいは公庫の融資をするかというようないろいろな方法があるわけでございます。実情をいろいろ調べてみますと、二十三年に相当大きな早魃がございまして、そのときは補助金が出ております。その後日中越というものは毎年ある、いい年でもやはりあるというようなことで、その後今年よりも強い早魃が何度かありましたが、そういう時期にも別段歳出によって補助を出すということはいたしておりません、おそらくはかの金融とかなんとかでいたしたのだろうと思います。本年は作柄全体としては未曽有の豊作でございますから、早魃の面積ないし被害というような点でいきますと、全国の中ではそう高い方でもない。それから実際に早魅について、お話ような水をとってかける施設をされた費用と、それから減産防止の効果ということを見ますと、非常に手回しがよかったのでございましょう、非常によく効果を上げておられます。まあこの程度であるならば、別途農林中金の方の資金を融通することによって措置するということをしたらどうか、その方の手配をいたしまして、この方には災害全体として、既往の予算が億の単位の数字でございますが、一億か二億だったと思います。五分くらいの金利だったと思いますが、これで処置をするということをいたしております。大体これでよろしいのではなかろうか、その貸付の実績は着々出ておるというふうにただいま考えております。
  50. 井上良二

    井上委員 そうすると、補助金としては出さないということにおきめを願ったのですか、それともまだその点はもう少し実情を調べた上で、何とか予備費からでも補助金を出せるのか、その方は大体補助対象にならぬから、やむを得ないのは金融措置によってやるという方針になりましたか、そこのところをもう一度明らかにしていただきたいが、特に豊作が大々的に伝えられております関係があって、減産防止とか、あるいは日早魃対策とかいうようなものは、豊作の陰に隠れてしまって、政治的にあまり問題にされていないのですけれども、その地帯というものは非常に深刻な事態にあるし、かつまた事実さよう措置を講じた地帯というものは、非常な負担に泣いておるわけですから、幸い非常な豊作を見ました今日におきましては、進んでこういうときにこそ、そういうことに協力した者には一つ国の政治を及ぼしてやる、それが大きな金額なら予算上非常に無理でありましょうけれども、わずかの金額で済むことでございますから、その点についてはなお一そう御検討を願って、できるだけあたたかい思いやりをかけてやるという措置を、一つお取り計らい願いたいと思いますが、どんなものでございましょう。
  51. 原純夫

    ○原説明員 一応ただいま申し上げましたよう考えでおりますが、現在農林省との間の折衝と申しますか、これがどの段階にあるか私はっきりしておりませんので、なお検討の余地がございますれば検討するというふうにいたしたいと思います。
  52. 松原喜之次

    松原委員長 次に石村英雄君。
  53. 石村英雄

    ○石村委員 ただいまの井上委員の御質問に関連してお尋ねしますが、さっきから問題になっておりました農林中金の立てかえ払いというものはどういう性質のものになるわけですか。この食管特別会計法の関係で、一時借入金とか、そういう性質のものになるものですか、どうですか。勝手に農林中金が立てかえ払いをしておって、政府の知ったことではないということになるのかどうか、その点の性質をはっきりさせていただきたいと思います。
  54. 清井正

    清井政府委員 御承知通り、農林中金には政府の代金の支払いを代行してもらっておるのであります。従いまして、食管特別会計の資金は、全部食糧の代金ということで、中金に一括して交付いたしておりまして、農林中金が末端の農協に対しましてこれを支払っておるという形になって資金が流れておるのが、現状の食管特別会計の資金の流れの行き方になっておるわけであります。従いまして、この問題は法律的に申しますと、別に借入金ということではないのでございます。ただ問題は、農林中金が政府のかわりに政府の代金を払っておるということに法律上なっておりますので、それの実際上の取扱いといたしまして、事実上行なっておるということになるわけであります。先ほど来御指摘がありました通り、私どもは事前々々に資金を交付いたしまして、そこで代金を払ってもらっておるわけでありますが、私ども予定で代金を交付いたすわけであります。ところが実際問題として、農家が政府に売ります米とこの資金を交付する予定とが違って参りますと、そこに差が出てくるわけでございます。かりに十万石出るということでもって資金を交付しまして、実際は十一万石出たということになりますと、一万石分は中金が立てかえておくわけであります。逆に十万石分交付しまして九万石しか米が出なければ、政府資金を交付し過ぎるということになるので、その間の利子をとる。政府資金が少かった場合は利子を払うということになっております。そういうような形で立てかえ払いを委任している金融機関でございますので、そういう措置が実際上とられる、ということになっておりますので、法律上の借入金という形では取り扱っておらないのであります。
  55. 石村英雄

    ○石村委員 法律上の借入金でも何でもないということになると、金利を払うというのはどういうわけですか。農林中金が実際問題として立てかえ払いをするということが起るでしょう。農林中金が、政府から金が来ないのに払うということは現実にあるでしょうが、それに対して、借入金でないにもかかわらず政府が金利を払うというのはどういう理由なんです。
  56. 清井正

    清井政府委員 申すまでもなく金融機関でございますし、また政府の代金を支払う代行をしておるわけでありますから、政府がかりに金額の出し方が足りなければ、当然その代金は政府にかわって支払いをいたしておるわけであります。従いまして、その分の金利を当然こちらは支払わなければならぬという考え方でおるわけであります。その間むろん予定と実際との差がございますので、その間のプラス・マイナスによって操作をいたしておりますが、政府がかりに資金の出し方が少ければ、その分だけ中金が政府にかわって農家に払っている、その分の金利を払っている、こういうような原則によっていたしておるわけであります。
  57. 石村英雄

    ○石村委員 法規課長の方へお尋ねするのですが、事実のことはわかっているのです。かりに払っている、しかしそれは借入金でも何でもない。金融機関で払うのだから、金利を払うのは当りまえだということは、普通の経済問題ならそうでしょうが、法律で動かなければならない政府が、借入金でも何でもないものに金利を払うということが私にはわからない。払うとすれば予算のどこから払っているか、その点を法規課長の方から、事実問題でなしに、法律的な根拠をお尋ねするわけです。
  58. 村上孝太郎

    ○村上説明員 農林中金が食管の代金の支払いをいたしますときに、ただいま申し上げたような事情から、政府資金交付が足りない場合もあるということを予想しまして、法律上立てかえ払いができるように書いてございます。従って農林中金がいたします立てかえ払いというものは、法律に基いて立てかえ払いをいたしておるわけであります。ただそれが政府の借入金という名前で、政府が借り入れる資金ではない。これが今申し上げました代金支払いの場合の資金のプラス・マイナスというふうな性格からいって、当然借入金でないものであることは確かでございます。ただ借入金でないのになぜ金利を払うかということは、私が法律的に解釈いたしますと、そういう代金の支払いを委託しまして、そういう事務を委託した者に対する対価と、こういうふうに考えればいいのではないかと考えております。
  59. 石村英雄

    ○石村委員 それは金利という意味ではなしに、支払いをさせる仕事をしてもらうので、その手数料的なものだという解釈のように受け取ったのですが、そうなんですか。
  60. 村上孝太郎

    ○村上説明員 私が申し上げたのは、いささか言葉のあやのように聞えますけれども、借入金に対する金利というのではなくて、同じ金利であっても、それはそういう委託支払いをさすということに対する——実質的には確かに一時立てかえておるわけでございますから、食管のために金を払っておるということは、食管のために一時金を融通しておるということでありまして、それは実質論から言えば一つの金利でございます。ただそれは、いわゆる会計法等にいうところの借入金ではなくて、従ってまた借入金に対する金利というふうには形式的にはならない、こういうわけであります。
  61. 石村英雄

    ○石村委員 法律学者でないので、僕らにはわかりにくいのですが、そうすると限度額なんというものを作った趣旨から考えると、その限度額との関係はどうなるか。こんなことが勝手にできるなら、限度額というものは作らなくても一向差しつかえないように思うのです。
  62. 清井正

    清井政府委員 これは、極端に申し上げますとそういう議論があるいは出るかもわかりませんが、私どもは、あくまでも法律の運用を的確にやるという責任を負っております。今申し上げましたことは、ごく一部の例外的な事例を申し上げたのでございまして、本来の法律に基いて限度をきめて、その限度一ぱいしか発行できないという建前でございますから、その範囲内において実行いたし、将来予定がふえるということになりますれば、法律を的確に修正していただかなければならないことはお話通りでございます。ただ実際問題として予定と実際とが違って参りますので、若干そういうことが起る場合がある。そういう場合には、今回は特に豊作のために予定以上に政府に対する売り渡しが集まりましたので、こういう事態が起ったのでありますが、それはあくまで例外的な措置でございまして、私どもはあくまで法律の限度の中で運用いたさなければならぬことは、その通りであると考えております。
  63. 石村英雄

    ○石村委員 例外的だと言われておるのですが、政府は法律に違反したことを勝手にやっていいか悪いか。例外だ。それは緊急避難のようなものかもしれませんが、これは法規課長から明確な御答弁をお願いしたいのですけれども、事実問題は聞く必要がない、わかっている。限度額をちゃんと法律で定めておいて、それを無視したことが平気で行われている。ただ異例の処置だ、異例の処置だでは、これは済まないのじゃないか。少くとも政府としては、こういう異例の処置をとらざるを得なかったら、それに対する責任は当然負わなければならぬと思う。幾ら異例の処置だといったって、限度額を一応定めておる以上、それを越えてそんなことができるはずはない、こうしろうとは考える。法律家として、それは妥当な処置であるかどうか。
  64. 村上孝太郎

    ○村上説明員 問い詰められて参りますと、これは論理的にむずかしい問題でございまして、確かに特別会計の限度額として二千六百億なら二千六百億という金額をきめております。従って、二千六百億円以上に政府が金を借りることはできないわけでございます。これは確かにその通りでございまして、ただ代金を支払って参りますときに、政府から交付します資金と、農林中金が支払います米の代金、これは持ってくれば買わざるを得ないわけでありまして、どんどん農林中金は代金を支払うわけでございますが、それとの間にプラスなりマイナスがしょっちゅう出てくる。こういう意味における食い違いは、現実の代金支払いを農林中金を通じてやらせておるということからしますれば、やむを得ないわけでございます。そのやむを得ないという実態が非常にふくらみまして、やむを得ないという実態に相当しないじゃないかというような問題になってきますと、それは非常に微妙な問題になりますが、それを実質的に問い詰められて参りますと、政府の債務と申しますか、確かに政府のために支払っておるわけでございますから、それは実質的に二千六百億の範囲外に出ておるじゃないか、それは一体二千六百億の限度をきめた食管特別会計法の規定とどうだ、こういうことになろうかと思いますが、そこのところは、今申しました立てかえ払いの趣旨というものは、代金支払い上におけるいろいろなプラス・マイナスの入り組みを処理するためにできておって、とにかく形式上は一応政府の債務という形にはなっておらない、政府の借入金という形にはなっておらないということで、一つ御了承願いたいと思います。
  65. 石村英雄

    ○石村委員 その問題はやめにしまして、年度末の食糧証券は、三十年度末には大体どれくらいになるお見込みですか。そして、昨年度、一昨年度と比較して、どれくらいの増加になるか、減少になるか、推定額はわかりませんか。
  66. 清井正

    清井政府委員 昨年度から本年度に持ち越しましたときの限度が、千九百四十億でございました。今後どういうふうに運営するかわかりませんが、ただいまの計算では、千九百四十億にいたしますと、約三千億くらいになりはしないか、ただいまこういう推定をいたしております。正確なところは、今後の運営によることで、申し上げられませんが、三千億くらいになりはしないかと考えております。
  67. 石村英雄

    ○石村委員 約千億ふえるのですね。
  68. 清井正

    清井政府委員 さようでございます。
  69. 石村英雄

    ○石村委員 この関係でお尋ねしたいのですが、例のMSA小麦とか、あるいは本年度のアメリカの余剰農産物の買付、その入荷状況、またその処理状況の概要をお話し願いたい。そうしてそれに対する詳細な資料は、資料として御提出を願いたい。大体どのような輸入状況で、その処分はどのようになっているか、この席では簡単な御説明でけっこうです。
  70. 清井正

    清井政府委員 農産物に関する協定につきましては、第二回に御承知ようにまだ決定していないのでございます。第一回分でございますが、御承知通り、これは小麦については三十四万トン、大麦につきましては五万五千トン、米につきましては十万トンという約束になっておりまして、その分がすでに全部今年の秋までに到着をいたしているのであります。食糧管理特別会計といたしましては、普通の形によって売買して支払いをいたしておるわけであります。この関係は、特別の使途ということは別にございませんので、全体の小麦の輸入計画の中から入って参ります。大麦につきましても、米につきましても、同様に政府が外国から入れなければならない米、大麦、小麦、それぞれ外国食糧の輸入要請の中の一部として入って参りますので、一般の配給の方に回しております。従って、これについて特別な用途に充てることにいたしていないのであります。  それから第二回以降につきましては、まだ協定をいたしておりませんので、今後の問題として処理をいたすことになるわけであります。
  71. 石村英雄

    ○石村委員 資料として出していただきたいのですが、第二回はまだですが、その前のMSA協定の分もあると思います。その分の資料を出していただきたい。それから今年の分については、アメリカの小麦はパンの加工に向かない小麦だという話ですが、従って輸入した余剰農産物の小麦がはたして順調に売れているかどうかという点をはっきりいたしたい。その概要がわからないとすれば、資料でさらに出していただきたいと思います。
  72. 清井正

    清井政府委員 資料はお出しいたしますが、アメリカの小麦は、御承知通り。パンに向くものとそうでないものと両方あるわけであります。カナダの小麦は全部。パン用でございます。アメリカの小麦は、パンに向くものと向かないものが大体半々くらいの割合で入っているのでございまして、それぞれその用途に売却しているので、ただいまの私の記憶では、特に売却できないというものはないように思います。いずれ正確なことは、できるだけ資料にして差し上げたいと思います。     —————————————
  73. 松原喜之次

    松原委員長 本法律案に対する残余の質疑は、後日に譲りまして、再び金融に関する件について調査を進めます。質疑を許します。春日一幸君。
  74. 春日一幸

    春日委員 東條銀行局長にお伺いをいたしたい。一つの問題は、中小企業等協同組合法に基いて商工協同組合が共済火災を行なっているのであります。しかるところ、これらの共済火災が行なっている物件に対する質権設定の問題について、この六月ごろでありましょうか、銀行局長の通達がこれを否定的に取り扱い、しかもその銀行局長通達に基いて、地方財務局長から全国の金融機関に対して、この共済火災の行なっている質権設定については、これを慎重に取扱えという通達が行われておりますが、この問題についてお伺いをいたします。  これを要約いたしますと、火災共済給付金請求権の担保力については、免許を受けた保険業者の給付請求権に比して、一般的に相当の危険が存在して好ましくないと思量されるので、慎重に取り扱うよう重ねて連絡する、こういうことになっております。私非常に不思議に思うのは、少くとも中小企業者がその困難なる経営を切り抜けていくためには、いろいろと行財政の各般を通じて考慮が払われなければならないのであって、それは政府として十分慎重に、かつ好意的に取り扱わなければならぬ問題だと考えておるのであります。今日この協同組合法に基いて、全国各地において火災保険協同組合というものが結成されまして、それぞれ相互共済の立場において損害保険の業務を行なっております。これはどういうことになってきたかと申しますると、現在火災保険の料率がはなはだ高い、あまりに高きに失するので手が届かない。それで今日火災保険の普及率が何%になっておりましょうか、私はおそらく二〇%を幾らもこえてはいないと思う。国民の大多数は、火災保険料率が高いので、八〇%近いものはほとんど無保険のまま、一たんその危険を発生いたしました場合においては自力で再建することすらできないような、いわば野放しの状態に置かれていると思うのであります。これはどういうことでこんな結果になってきたかと申しますると、独占禁止法という法律がありながら、火災保険取締りに関する規則とか、あるいは料金算定に関する法律とかいろいろなものが作られて、現行保険会社の保険料率というものがほとんど法律によって定められているので、法律によって定められた料率を下って契約を行うというようなことがあったり何かするような場合には懲役に処するというようなひどい法律が作られて、その結果、現在火災保険会社というものが膨大な利潤を占めていることは天下周知の事柄であります。今日十幾つの火災保険会社がわずか十カ年間に蓄積いたしました膨大利潤は、すでに六百数十億をこえるといわれておるのであります。ことほどさように火災保険会社の社内留保の蓄積も膨大なものであり、利潤もまた膨大なものであるけれども、その法律に基いて料金がちっとも下げられない。あるいは一社が必要に基いて下げようとしても下げることができないようなめちゃくちゃな仕組みになっておるのでございまして、従ってそういうばかげた高い料金によって火災保険をかけることのできない中小企業者たちは、みずからこの協同組合を結成して、自分たちの納得のできる、しかも採算のとれる料率によってこの共済火災の協同組合事業を行なっておるわけであります。この協同組合事業は北海道において、愛知県において、福島県、京都、大阪においてというような工合に、地方自治団体の財政上の裏づけ等を得ておりまして、しこうして健全に発達をしておるのであります。北海道においては、その組合においてもし一その契約金を払うことができないような場合においては、五千万円を限度として地方公共団体が予算外の義務負担において保険事業を行なっておるのでありまして、愛知県のごときは三千万円、その他においても三千万、二千万、一千万というような工合に、少くとも地方自治団体は、その地方における中小企業者が現行火災保険料率では高くてかけられないので、万一火災が起きたときに自力で再建することができないというその危険な状態を救済するために、そういうよう予算外の義務負担を行なって、そういう組合行為を助長育成しておるのであります。こういうような現段階において、銀行局からこういう否定的な通達、すなわち一般保険業者の給付請求権に比して危険が存在しておると思われるから、従って好ましくないから、こんなものは質権設定の対象にしてはいけないというような通達を出すということは、私ははなはだもってけしからねと思う。なるほどこういうような協同組合行為が火災保険会社の利益をあるいは蚕食する面はないとはしないけれども、こういうような共済行為によって中小企業者が救われておる現状は大きなものがあるのであります。たとえば北海道におきましては、先年稚内に大火があったけれども、数千万円にわたりますその質権設定に対しては、一銭も遅滞なくこれを皆済いたしておりますし、あるいは愛知県におきましては、すでに発足以来四カ年の歴史をけみしておるが、その契約した損害保険金の不払いというようなことはいまだかってない。すなわち質権を設定され、その契約も完全に履行されてきて、今もって金融機関に対しても、その契約当事者に対しても何らの損害を与えたことはない、迷惑を与えたことはない。にもかかわらずこういうような通達を出されることは、一つには中小企業組合運動に対する政府の妨害であり、一つには火災保険業者の営利行為に対する銀行局の格別な配慮に基くものではないかとすら私どもには考えられるのであります。なるほど中には悪いものもあるでありましょう。しかしながら、その保険共済協同組合の設定した質権そのものが権威あるものであるかどうかというその選択は、当然当該金融機関がみずからの責任と権威において行なった事柄であって、銀行局長が、過去の実績もよく、信用の高いものすらひっくるめて、こういう火災共済の行なっておる質権設定については、これを好ましくないというような一方的断定をもってこういう通達を行われるということは、私は中小企業に対する政府の全般的な施策の立場から考えて、はなはだ当を失しておるものだと考えるのであります。これに対する東條銀行局長の御見解をお伺いいたしたいと思うのであります。特に、慎重に取り扱われたいということが言われておるが、この慎重に取り扱われたいということと、その好ましくないと思量したその根拠、こういうものを具体的に、かつ明確に御答弁を願いたいと思うのであります。
  75. 東條猛猪

    ○東條政府委員 御意見は非常に広範にわたっておりますが、第一に、現在の火災保険料が高過ぎるのではないか、また保険会社がそれによって不当な利潤を上げておるように思う、それがいろいろの組合の共済火災制度の発生のもとであるという御意見についてでありますが、料率の算定会がございまして、そこで過去の実績を詳細に検討いたしまして、現行の火災保険の料率がきまっておりますことは御承知通りであります。従いまして私どもといたしましても、そういう最近の実績がわかりますつど、常に現在の料率を再検討するようにということで、ただいままでもいろいろの損害保険、特に火災保険、これは工場物件にいたしましても普通物件にいたしましても、機会あるごとにそういう方面に、指導いたしまして、この料率の引き下げにつきましては、努力をいたしておるつもりでございます。今後ともそういう引き下げの余地がありますならば、十分引き下げるように要請をいたしまして、実効をあげて参りたいと思っております。おあげになりました利潤の数字でありますが、今的権な数字を持っておりませんが、御承知ように保険会社は、損害に対する相当の責任準備金というような社内留保が必要なことは、保険業の性質上当然でございまして、あるいはそういうような準備金の金額等を入れての数字ではなかろうかと思いますが、できるだけそういうふうに、保険の公共的な性格に即応した料率の決定機会あるごとにやらしていきたい、かよう考えております。  御質問の重点であります。ところの各地の共済火災制度は、特に公庫の貸付で担保を取るに当って十分慎重な考慮をするようにという趣旨に関することでありますが、ただいまのお言葉にもありましたように、各地の共済火災制度の経営の実態は、必ずしもすべてが健全であるとは申し上げかねると思います。各金融機関がそれぞれ自主的な判断をしてやることは当然でありますが、両公庫の性質上、その資金の源泉が財政資金でまかなわれております関係もありますし、公庫の運営について、そういう特殊性にかんがみまして、その資金の特質上十分慎重な考慮をすることが公庫本来の職分であろう、かよう考えておる次第でございまして、公庫に対する私どもの指導といたしましても、ひとりこの問題に限らず、公庫のそういう特殊な性格によく思いをいたしまして、与えられた使命を十分達成するようにということで指導いたしておるわけでありますが、現在の制度におきましては、必ずしも共済火災の経営の基礎が健全でありませんから、ぜひ慎重な考慮をするようにと通達をいたしておるわけであります。なお今後、現在のいろいろな共済火災の運営の実態を見まして、これならば必ず大丈夫だというものがもしありますならば、もちろん慎重な考慮の内容として、そういうものを加えるということも可能であると思うのでありますが、ただいままでのところでは、共済火災制度の経営の健全性ということが必ずしも保証されておらぬ。従って、それを一律にとることは好ましくない。従って、業務の運営においても慎重に考慮するように、かような指導をいたしておるわけであります。私どもといたしましては、中小共同組合関係の業務の健全な発展は心から望んでおるわけでありまして、これに圧迫を加えて火災保険会社の利益を擁護して参る、かよう考え方は毛頭持っておらないわけであります。
  76. 春日一幸

    春日委員 それならば文章の書き方があると思う。ここに書いてあるのは、一般的に相当の危険が存在し、好ましくないと思量される。これは適切な表現ではないと私は思う。調べてみて、そうしてどこもここも悪いのならば、あるいはこういうような表現も許される場合があるかもしれないけれども、私ども調査いたしました範囲内におきましては、北海道からずっと東北各地、それから関西各地、中部地帯、いずれも健全なる発達を遂げつつあるのであって、特にこういうような機関に対しては、それぞれ当該地方自治体が予算外義務負担を行なっておるという観点からいたしましても、地方自治体の監督と指導が行われて、そうして大蔵省がここで指摘しておるような、一般的に相当の危険が存在しておるというような事実はあり得ないと私は思う。私は、あなた方がどういうような資料によってこういうような表現をされたのであるか、どういうような点が一般的に危険が存在して好ましくないと思量されるのであるか、そのあなたの法で調査されました資料をこの際明確に示されたいと思います。
  77. 東條猛猪

    ○東條政府委員 申し上げるまでもなく、保険につきましては、危険の分散ということが非常な条件になります。従って、地域的に制限をせられました特定の地域について火災保険等実施いたしました場合には、一朝そこに事故が起りますと、普通の事態において予想せられないような多額の損害が発生し、保険金の支払いが起る。そこに保険の危険分散の根本があることは春日委員承知通りであります。従って、今までの実績から見て大丈夫だということだけでもって今後も大丈夫だということは、これは私は少しくお考えがどうであろうか、こういうよう考えます。従って、地方公共団体が相当強力な、どんな事故があっても財政的な援助をするのだというような態勢ででもあればこれは格別でありますが、従来の実績から見て大したことはないのだから、今後も大丈夫だというふうに即断することはできかねると思います。
  78. 春日一幸

    春日委員 私は、この際問題を明確にしておかなければならぬと思うのであります。なるほど現在の六百数十億というような社内留保、それは支払い準備金等いろいろありましょうけれども、これは全部そういう火災保険をつけた人が払ったものである。はなはだ高い料率が設定されておるので、結局損害が生じた場合支払っていった残高がそういう工合に蓄積されて参ったということをわれわれは考えなければならぬ。どうしてそのようなとほうもない蓄積がこんな短日月間に行われたかと申しますと、問題は、その料率算定に関する関係法律がそういう結果が生ずるようにできているからである。一体この法律はたれが作ったかというと、これは当時東京海上火災保険の保険課長をやっておりました長崎君で、これが大蔵省の保険課長になって、この二つの法律を作って、そうして功成り名を遂げてまた東京海上にもどっている事実がある。そういうような国家の法律を作るのに、営利会社から政府の保険課長になって作り、わが事成れりとするとそのまままた東京海上に帰って、現在重役であると私は記憶しております。そういうような業界と政府の八百長によって六百何十億という膨大な支払い準備金、そういう信用度がそこに蓄積されている、そのことをあなたもよく考えて問題の判断をしてもらわなければならぬと思う。そういうとほうもない高い料率だからこそ、みんなが保険をかけることができないので、従って、その普及率がアメリカだと一二〇%、イギリスだと百十何%という工合で、おおむね普及しているが、日本における火災保険の普及率は一番低位を示している。これは保険会社と今までの大蔵官僚のなれ合いによってそういうことにならしたということをあなたも銘記願いたい。あなたは今、協同組合の行なっている火災保険業務というものは、これは区域を限っておるから危険がそこに集中しておる、こういうことを言っておられるけれども、あなたも御承知通り、北海道一円とか、あるいは大阪府一円とか、福島県一円とか、こういうような工合で、区域と申しましても相当広域にまたがっている。従って、今までいろいろな火災があったけれども、北海道全部燃えてしまったというような火災もなかったし、愛知県が全焼したというようなばかげた火災もない。やはりその危険分散ということについては、おのずから自然にそういうような結果になってきておる。なるほど北海道においては、稚内において大きな火災がありましたけれども、そのときに組合は相当大きな損害を受けたが、その損害は蓄積によって払い、足らざるところは道庁が予算外義務負担を履行することによって、すなわち資金が設定されたことによって何ら障害を発生した事実がございません。それだから、一地域に集中しておるという事柄のみをもって危険が存在しておると論断することはなを早計であると思う。小さな一市町村だけでこういうような共済を作れば、なるほどそういうような心配もあるかもしれないが、現在行われておりますこの共済の地域、区画というものは、大体一県単位を対象としているということをお考え願いたい。営利会社の行なっておる保険区域と比べますと、なるほど危険が集中しておるというようなことも言い得るかもしれないけれども、現実にはやはり市部、郡部、他都市にまたがっておる問題でありまして、そういうようなことは私はあり得ぬと思う。だから私はあなたに申し上げる。今中小企業組合運動として、相互扶助の立場から、こういうような組合運動が現実に行われてきている。政府もこれを認めて、特に通産省方面においてはいろいろこれに対する助長も行われておるわけです。特にこれらの組合自体においても、保険会社は自主的に三千万、五千万、一億という保険をつけるけれども、われわれはそういうような資力がない、信用がない、なお支払い準備金がないので、従ってその保険給付の最高限度額は、あるものは百万円にしよう、あるものは自主的に百五十万円にしよう、あるものは三百万円限度にしようということで、限度額を自主的に決定して、みずからの支払い能力というものと保険最高金額というものとのにらみ合せを行なって、本日までこれは健全に発達を見つつあるわけだ。こういうよう段階において、あなたの方がこういうような通達を発せられるということは、こういう組合運動が全国的にほうはいとして起ってきておるので、従ってこの営利保険会社等からさまざまな陳情、あるいは横やり、あるいはそれぞれの影響が与えられて、よってもってこういうような通達が発せられたのではないかとすらわれわれは疑わざるを得ないのである。そこで私は銀行局長にお伺いいたしたいのでありますが、慎重に取り扱われたいということに対してはいろいろ含みがあるということでありますが、一体どういうような場合はおおむねいいと考えられておるのか、どういうような場合はいかぬと考えられておるのか、この点を一つ明確にお示しを願っておきたいと思うのであります。
  79. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいまのお尋ねの前半の方に、大蔵省でかつて保険行政の責めに当っておった者が、保険会社といわばぐるになって実情に即しない法律を国会にお願いしたのではないかというふうに受け取れます御発言がありましたが、私はどういう経歴の男でありましても、あるいはその後どういうところに職場が変りましても、大蔵省の官吏で、公務員として勤務をしておりました間は、ほんとうにこれが国のためになるという観点から誠心誠意行政が行われ、また国会に対するいろいろのお願いも申し上げた、かように存じておりまするし、国家公務員としての考え方は過去においてもそうでありましたし、現在においてもそうであるということを御了察いただきたいと思います。  それから慎重に云々の点でありまするが、あるいは過去におきましては、先ほど来申し上げておりまするように、共済火災制度の発展、発達というものがまだ十分でなかったという考え方のもとに、あるいは画一的に行われておったかと思うのでありまするが、相当制度が健全な発達を遂げまして、これは都道府県等の十分な財政的な後援もあり、相当大きな損害が発生しても大丈夫だ、かような判断が公庫においてもつき、またわれわれもそういう考え方ができるという場合におきましては、さような画一的な考え方を必ずしもとる必要はないじゃないか、そういうことで研究をいたしてみたらどうかというのがただいまの私の考え方であります。
  80. 春日一幸

    春日委員 この問題については、あなたに出席を求めておっても出席がおそいから、こういうようにだんだんと時間もたってきて落ちついて論議ができないから、今度の土曜日に継続質問をいたします。  それから申し上げますが、国家公務員がその職にある場合においては、その職務執行は公正であると信じているというのは当りまえのことだ。当りまえのことだが、ただ現実に火災保険の料率算定に関する法律と保険募集取締りに関する法律を作った保険課長は、それらの取締りを受けるところの営利会社である東京海上火災保険会社の課長であった長崎何がしという者であって、それが大蔵省の保険課長になって、短期間在任してこの二つの法律を作って、またもや東京海上の会社に戻っていったという事実は、国民が一体何と考えているとお考えになるか。私の指摘したことに対して、何となくあなたは反発的な答弁をされているけれども、かつてそういうような事実があり、そういうような形によって現行の二つの法律ができ上っている。その法律の結果六百何十億という膨大な社内留保の資本が蓄積されているということは、国民の何人も疑いをさしはさむものではない。この点を強く主張したい。なお本日の問題については、何ら問題が明確にされていないと思いますので、土曜日、それから月曜日に銀行局長においでを願って、時間の許す限りこの問題と、さらにそれに関連する事柄について問題を明確にいたしたいと存じます。  それから、最後に委員長要望しておきますが、大蔵委員会が開かれても大蔵大臣はまだ一ぺんも出て参りません。またごらんの通り政務次官もいずれかに参っておって、こういう大きな政策問題についての論議を交えることができません。われわれは局長とも技術的な問題については十分意見の交換をはからねばなりませんけれども、多岐にわたるところの政策問題については、大臣次官も出てこないという形において議事が進められている委員会は、本大蔵委員会だけだと思う。現に石橋通産大臣だって、予算委員会が開かれて、おそらくは自分が答弁に立たなければならぬよう段階においても、要求すればちゃんと出てこられる。従いまして、今後は大蔵大臣も政務次官もとにかく万障繰り合せて必ずここに出てきてもらう。出てきてもらわなければ委員会は開けないというくらいにして、重要な政策論議については、政策の責任的立場にあるこれらの人々が必ず出席でき得るという態勢において委員会を開かれんことを強く要望いたしまして、私の質問を土曜日に譲ります。
  81. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る十日午前十時より開会することといたしまして、これにて散会いたします。    午後一時十六分散会