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1955-12-13 第23回国会 衆議院 商工委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年十二月十三日(火曜日) 午前十時四十一分
開議
出席委員
委員長
神田
博君
理事
小笠
公韶君
理事
鹿野 彦吉君
理事
小平 久雄君
理事
笹本 一雄君
理事
長谷川四郎
君
理事
中崎 敏君
理事
永井勝次郎
君
阿左美廣治
君
大倉
三郎
君 内田 常雄君 菅
太郎
君
菅野和太郎
君
椎名悦三郎
君 島村 一郎君
鈴木周次郎
君
野田
武夫君 松岡
松平
君 加藤 清二君 片島 港君 帆足 計君
松平
忠久君 八木 昇君
出席政府委員
総理府事務官
(
経済企画庁次
長)
上野
幸七君
総理府事務官
(
経済企画庁審
議官
) 今泉 兼寛君
総理府事務官
(
経済企画庁審
議官
) 森
誓夫君
総理府事務官
(
経済企画庁長
官官房長
) 酒井 俊彦君
総理府事務官
(
経済企画庁調
整部長
) 小山 雄二君
通商産業政務次
官
川野
芳滿
君
通商産業事務官
(
大臣官房長
) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(
通商局長
) 板垣 修君
通商産業事務官
(
通商局長
) 松尾 金藏君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
公正取引委員
会事務局経済部
長) 坂根 哲夫君
通商産業事務官
(
重工業局長
)
鈴木
義雄君
通商産業事務官
(
繊維局長
) 小室 恒夫君
通商産業事務官
(
繊維局綿業課
長)
金井多喜男
君
通商産業事務官
(
鉱山局鉱政課
長) 磯野
太郎
君
通商産業技官
(鉱(
山局金属
課長) 森 五郎君 専 門 員 越田 清七君
—————————————
十二月十日
鉱業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第四 号)(予) 同日
輸出貿易振興費
の
国庫補助
に関する
請願
(
野田
卯一君外七名
紹介
)(第二四三号) 芽登第一、第二
発電所工事促進
に関する
請願
(
本名武
君
紹介
)(第二五七号) 下
只見電源開発
に関する
請願
(
田中利勝
君紹 介)(第二六〇号) 茨城県の未
点灯部落解消
に関する
請願
(
塚原俊
郎君
紹介
)(第二七一号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
鉱業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第四 号)(予)
長期経済計画
に関する件
鉄鋼
に関する件
硫黄
に関する件
アルミニウム
に関する件
繊維
に関する件
—————————————
神田博
1
○
神田委員長
これより
会議
を開きます。 まず去る十日
予備審査
のため本
委員会
に付託されました
鉱業法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。その趣旨の
説明
を求めます。
川野通商産業政務次官
。
川野芳滿
2
○
川野政府委員
ただいま
議題
となりました
鉱業法
の一部を改正する
法律案
について御
説明
申し上げます。最近
原子力
については、
世界各国
においてその
平和的利用
についての
研究
が進められ、
実験研究
の
段階
からようやく
実用化
の
段階
へと進みつつありまして、これは新たな
産業革命
を招来するものであるといわれておりますことは、すでに御承知の
通り
であります。
わが国
における
原子力
の
研究開発
につきましては、当初の三
年間
は
実験用原子炉
の
輸入
及びその築造に重点を置くよう
計画
されており、それに必要な
ウラン
は、
日米原子力協定
により、米国より貸与を受ける
濃縮ウラン
を充当することになっておりますが、
昭和
三十三
年度
には
国産原子炉
として
天然ウラン重水型原子炉
を築造することとなっておりますので、これらをも勘案するならば、
ウラン資源
を
わが国
においても急速に
開発
する必要が痛感される次第であります。しかるに、
ウラン鉱
および
トリウム鉱
については、いまだ
鉱業法
の
適用鉱物
にも指定されておりませんので、この際その
権利関係
を明確にするとともに、合理的な
開発
を推進するため、これらを
鉱業法
の
適用鉱物
として追加することといたしたのであります。なお追加に伴う
経過措置
として、従来新たに
適用鉱物
を追加したときの例にならない、
ウラン鉱
または
トリウム鉱
を現に掘採している者、
ウラン鉱
または
トリウム鉱
の取得を
目的
とする
土地
の
使用権
を有している者及び
土地
の
所有者
に対して、この
法律
の施行後三月以内に
優先出願
をする道を開くこととし、それらの者の
既得権
の保護をはかることといたしました。 以上が、
本案
の
提案理由
及びその
内容
に関する
概要
であります。何とぞ慎重御
審議
の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
神田博
3
○
神田委員長
本案
に対する
質疑
はあらためて後日に行うことにいたします。
—————————————
神田博
4
○
神田委員長
次に
長期経済計画
に関して
調査
を進めます。 まず先般
経済審議会
より
政府
に対し
答申
のありました、
経済自立
と
完全雇用達成
のための
長期経済計画
に関する
諮問
に対する
答申
、いわゆる
総合経済
六カ年
計画案
につきまして、
政府
よりその
経過
並びに
概要等
の
説明
を求めたいと存じます。
上野政府委員
。
上野幸七
5
○
上野政府委員
経済長期計画
の
答申
が今月の五日にございましたので、そのことにつきまして
経過
並びに
内容
のごくあらましを御報告申し上げたいと思います。
経済長期計画
につきましては、すでに御案内の
通り
にかなり以前から
研究
を重ねていたのでございますが、本年の七月に
政府
から
経済審議会
に対しまして正式に
諮問
が発せられまして、その
諮問
に対する
答申
を、各部会に分れまして
慎重審議
を重ね、ようやくこの五日に
答申
をする運びになりました。その間、
延べ回数
にしますと六百回になんなんとするひんぱんな会合を持ったのでございます。その結果これから御報告申し上げますような
答申案
が出て参った次第でございます。
答申
の中身を御報告申し上げますが、
内容
が非常に広範にわたっておりまして、微に入り細をうがって御
説明
申し上げますと、かえって時間ばかりとっておわかりにくいかと存じますので、ごく大まかにかいつまみましたところを御報告申し上げます。 大体この
計画
の
目標
でございますが、一応
目標
といたしましては、
経済
の
自立
と
完全雇用
の
達成
をはかる、こういう
目標
を掲げてございます。
経済
の
自立
と申しますのは、申し上げるまでもなく
外国
からの
援助
でありますとか、あるいは
特需
といったような特別なささえによらないで、
日本
のみずからの力で
経済
をささえていくというその
自立
でございます。
完全雇用
といいますのは、読んで字のごときことでございますが、この
完全雇用
の問題は、
日本経済
にとりましてはまことに深刻な問題でございまして、言葉は
完全雇用
となっておりますが、この
計画
の
策定
に当りましても一番苦心された点でありますが、問題は決してこの
期間
内に全部片づくというふうなことにはなっておりませんので、なお
長期
の
経済施策
を必要とすることになろうかと思いますが、以上申し上げました
経済
の
自立
と
完全雇用
の
達成
ということを
目標
にいたしております。それから
計画
の
期間
が三十
年度
を初
年度
にして三十五
年度
に至る六ヵ年ということになっております。俗にいう六ヵ年
計画
でございます。この
計画
を作りますにつきましてのいろいろな
前提
がございまして、その
前提
は
一つ一つ
の
説明
を省略いたしますが、
配付
の
資料
ですでに御存じかと思いますが、大体
貿易
の
関係
あるいは
国際政局
の
関係
、そういういわゆる
世界経済
に関する
前提
をいろいろ置いております。なお国内的な問題としましては、
為替レート
の変更はしない、あるいは物価は極力
引き下げ方針
をとるというふうな
前提
をとっております。さような
前提
のもとに
計画
を組むのでございますが、その
計画
の方向といたしまして
四つ
の柱を立てております。 その
四つ
の柱と申しますのは、
一つ
は
経済
の
自立
でございまして、これは先ほど申し上げましたように、
経済援助
あるいは
特需
、そういうふうなものに依存しないで
日本
の
経済
をささえていくということでございます。しかしそれもただ消極的に
自立
するというのではなくて、むしろ積極的に
自立
するというのが、この
経済自立
の
着眼点
でございます。 次の柱は
雇用
の
増大
でございまして、
雇用
の
増大
につきましては、大体総
人口
の
増大
が、この六ヵ
年間
に約五・五%
伸び
るという想定でございます。そのうちで
生産年令人口
と申しまして、いわゆる
労働市場
に出てくる
人口
が、総
人口
の
伸び
に比較しましてはるかに多い率で
伸び
てくる、約一二%の
伸び
で
生産年令人口
がふえてくる、こういうことになって参ります。従いまして、これに
雇用
の
機会
を与えるということは、非常に大きな問題になるわけでございまして、
経済活動
の
循環
をできるだけ大きくいたしまして、これに
雇用
の
機会
を与えなければならぬわけでございます。しかしそれでもなおかつ全部を片づけるということはむずかしいのでございまして、やはりこれに対しましては、
公共事業
あるいは
失業対策
、
社会保障
といったふうな
対策
をあわせて講じなければならないと思うのでございます。 次の柱は
経済
の安定でございまして、今申し上げましたような
経済
の
自立
あるいは
雇用
の
増大
、それを
達成
いたしますために、何と申しましても
通価価値
の安定と申しますか、
経済
の
基調
が安定しておることが不可欠の要件になるのでございます。過度に
経済力不相応
の拡大をいたしますと、それがインフレになりまして、あらゆる
経済活動
の
基調
を混乱に陥れるという弊害がありますし、かといって極端にまたデフレということになりますと、今申し上げました
雇用
の
増大
という
目的
が
達成
されなくなりますので、その
両者
を均衡のとれた形において
発展
させるというのが、この
経済
安定の
着眼点
でございます。 いま一体の柱は、量の問題と並行いたしまして質的な
発展
を考えなければならぬという、これは
日本経済
の質の問題でございます。質を
改善
するにあらざれば
自立経済
もとうてい
達成
できませず、また
雇用
の
増大
と申しましても、それはなかなか思うように参りませんので、これらのことを十分に
達成
するためには、どうしても
日本経済
の
体質
を
改善
するという配慮がなければならぬわけでございます。その
日本経済
の
体質
を
改善
するという問題は、同時にまた
日本
の
経済
の
量的発展
をはかるということと
相関関係
にある問題でありまして、量の
発展
なくては
体質
の
改善
もできないし、またその
体質改善
なければ量の
発展
もできないという
相関関係
に立っておりまして、そういう意味で、この
日本経済
の質、何と申しますか、基盤を強化するという、この質の
改善
の問題がもう
一つ
重要な柱になっているのでございます。 以上申し上げました
四つ
のことを柱にいたしまして、その柱の周辺にいろいろな
数字
を積み重ね上げて
計画
をこしらえております。この
計画
の
策定
の仕方はいろいろあるのでございまして、
世界
の諸国でもいろいろなことが試みられているのでございますが、この
計画
におきましては、以下申し述べるような方式を採用いたしております。 それは、まず
計画策定
につきましては、
国民総生産
というものをはじき出しております。この
国民総生産
の算出の仕方は
人口増
、それから
生産年令人口
の
増加
の趨勢、その
生産年令人口
の中で、どれだけが
労働力人口
になるかという、これはまあ
労働力率
と申しておりますが、その
労働力率
を
生産年令人口
にかけまして、
労働力人口
を算出いたします。そしてこの
労働力人口
から、大体六ヵ年
計画
の
目標年次
にできるであろう
完全失業者
を想定いたしております。その
完全失業者
が、大体三十五
年度
に四十五万に達するという目り標を置きまして、それを差し引いた残の
就業者数
に対しまして、最近のいろいろな
生産性
の
実績数字等
を
検討
し、これに若干の
政策的要請
を加えまして、
就業者
一人当りの
年間生産額
というものを定めまして、これを
就業者数
にかけ合せて
国民総生産
をはじいております。そしてできます
国民総生産
の
最終年度
の額は、九兆六千七百三十億という
数字
になって出ておりまして、この
国民総生産
をはじきまして
——国民総生産
と申しますのは、これにいろいろの
資本
の
減耗引き当て
でございますとか
間接税関係
が入っておりますので、そういうものを調整しまして、これから
国民所得
を
計算
する一わけでございます。そしてその
国民所得
の、今度は今申しました
国民総生産
は供給の側の
数字
でございますので、今度は振り返って
需要
の側から、それがどういう
需要構造
に配分されるかというのを
計算
いたしております。これを
国民
総
支出
と申しております。それでこの
国民
総
支出
は、大きく分けて
四つ
に分れておりまして、その
一つ
ば
民間
総
資本形成
、これは
資本
の
形成
にどれだけ今申し上げました
国民総生産
が使われるかということでございます。この
民間
総
資本形成
がさらに分れまして、
資本設備
の
投資
に
幾ら
、
在庫増
に
幾ら
、
個人住宅
に
幾ら
、こういうふうに
民間
総
資本形成
が分類されるわけでございます。それから、それに引き続きまして
政府購入
がどれだけあるか、
政府購入
が
財政投資
と
財政消費
に分れておりまして、どれだけ
政府
が総
生産
の中で
購入
するかという
数字
を出します。それから
経常海外余剰
、これは
国際収支
の
関係
、
日本
の
海外収支
のすべての
関係
をひっくるめましてそのバランスがこの
余剰
として出ております。それからいま
一つ
個人消費支出
というのがございまして、これが
消費
に充てられる分であります。そういうふうに、まず総
生産
を出しまして、それから総
支出
に分類いたしておりまして、これを今度は各
部門別
にさらに
ブレーク
・ダウンと申しますか、こまかく
作業
をしてわけるわけでございますが、このわけ方は非常に複雑でございまして、上からわけていく
方法
と下から積み上げていく
方法
と両方の
作業
をいたしまして、
両者
をつき合せまして、大体妥当であるかどうかをテストしまして、最終的な
数字
をきめた、こういうことになっております。
数字
の
説明
を一切省略いたしましたが、すでに御
配付
の
資料
でごらんかと思いますが、先ほど申し上げましたように、
国民総生産
は九兆六千七百三十億、大体二十九年を
ベース
にしまして、
目標年次
におきまして三割三分八厘総
生産
がふえるということになっております。それからこれを総
支出
にわけました場合、
民間資本形成
は全体としまして、
基準年度
に対しまして五割八分ふえる、つまり
民間資本形成
の
伸び
の率を非常に高く見ております。この
資本形成
の
伸び
のうちでも特に
設備投資
の
伸び
を高く見ておるのでございまして、二十九年に比べまして六割八分というふうな非常に高い率の
伸び
を見込んでおります。それから
政府購入
でございますが、これは二十九
年度
を
基準
にいたしまして、
目標年次
に三割五分五厘という普通の
国民総生産
の
伸び
に大体歩調を合せております。それから
個人消費支出
は三割一分四厘の
伸び
でございまして、やや低目という
格好
でございます。すなわち六年
計画
をごく大まかに申しますと、
政府
の
購入
は大体横ばい、
個人消費
はやや押えて、その
個人消費
で押えたところを貯蓄に振り向けまして、これを
民間資本形成
の方に振り当てる。
民間資本形成
でも特に
在庫
の増なんかに振り向けないで、これは
設備投資
に振り向けて、
設備投資
を中核にして
日本経済
の
循環
の
スケール
を大きく持っていこう、こういう大体の構想になっております。 もう
一つ
申し落しましたが、この総
生産
と総
支出
の
計画
の
価格
のとり方でございますが、これは今後の
経済
の予測を
価格
の面から予測するということは非常に困難でございますので、
計算
におきましては、すべて三十
年度
の
不変価格
を使っておるということであります。すなわち三十
年度
の
価格
を全部の各
年度
の
価格算定
に使っておりますので、つまり
価格現象
というものを除却いたしまして、実質的な
計算
をいたしておるという
格好
になっております。 それだけの
国民総生産
、総
支出
をまかないますのに、これをささえるのには、やはり
国際収支
がどういうことになるかということが非常に重大なポイントになって参るわけでございますが、その
国際収支
は、つまりこれだけの
国民総生産
をまかないますのには、どうしても
外国
からいろいろな物資を
輸入
しなければならないのでありますが、その
輸入
の度合をどれくらいに見るかということでございますが、これはちょっとしゃれた名前で
輸入性向
と呼んでおりますが、この
輸入性向
の
計算
の仕方はいろいろむずかしいのでございますが、大体平均の
輸入性向
を一一%と見ております。すなわち
国民総生産
に対して約一一%のものを
輸入
する、こういう
格好
になっております。従いまして三十五
年度
における
輸入
の
推定額
は二十五億九千万ドル、こういうことでございます。これに
貿易外
の
収支
のことを加除調整いたしまして、結局これだけの
輸入資金
なり
貿易外収支
をまかないますためになければならぬ
輸出
の
目標
が二十六億六千万ドルということになっております。この
輸出
並びに
輸入
の
目標
は、それぞれ
品目別
、
市場別
にしさいに
検討
をいたしましてテストした結果は、大体この
数字
でやっていけはしないかというのが大体
作業
した方々の御
意見
でございます。かくいたしまして
昭和
三十五
年度
の
国際収支
、すなわち
貿易外収支
を突っ込めた
国際収支
全体の規模は、受け
払いとも
に約二十九億六千万ドルという
数字
になっておりまして、二十九
年度
に比較いたしますと、受け取りで二五・三%、支払いで四六・六%という
増加
になっております。かようにして
国際収支
が
達成
できますならば、先ほど申し上げました
国民総生産
並びに
国民
総
支出
の
経済循環
の全体の
スケール
はそれによってささえられるというのが大体この
作業
のごくかいつまんだ要旨でございまして、これをさらにまた
部門別
にずっと
ブレーク
・ダウンして
作業
をいたしております。大体わけます
部門
は、
鉄工業部門
、
農林水産業部門
、
貿易関係
、
交通通信
、
公共事業
、
住宅建設
、
国民生活
、
雇用
、
財政金融
、これだけの
部門
に分割して
作業
をいたしておるのでございますが、その各
部門別
の
説明
をいたしますと非常に長時間かかりますし、のみならずすでに
資料
は
配付
してお読みのことと思いますので、何かこれから御
質問
に応じましてお答えをする形で御報告申し上げた方がよかろうかと思いますので省略させていただきます。
最後
にこの
答印案
には
四つ
ばかり
希望
がついておりますが、その
一つ
は、この
答申
に基いてすみやかに三十一
年度
の
実施計画
を決定すると同時に三十五
年度
に到達すべき
目標
を
国民
に周知徹底せしめて、
国民
の十分な理解と協力を得るように
政府
は努力しろという
注文
が一点、二点は
関係各省
はこの案の線に沿って具体的な
施策
を
策定
して、その
計画
的な
実施
をはかる。特に毎
年度
の予算については、
本案
の線に従って編成を行なって、その円滑な
実施
に努める、こういう
注文
がついております。第三番目には、
計画
を
実施
するに当っては少くとも年に一回は
実績
と対照して、その結果を
国民
に公表することにいたしまして、情勢の
変化
に応じて
計画
の再
検討
を行い、
修正案
を
策定
しろ、それから
最後
に
計画
を
実施
するために立法上あるいは行政上の
措置
を必要とする事項があると思われるので、この点について十分な考慮を払え、以上
四つ
の点が
経済審議会
の
希望風見
としてくっついております。 なおいま
一つ
、この
答申案
の中には
少数意見
というものがくっついておりまして、これはお手元に
配付
した
資料
の中にとじ込んでございますので、
説明
は省略いたします。それは、この
計画
はいろいろな
経済事情
の
変化
に応じて、随時弾力的に運用していかなければならぬから、その点に留意しなければいかぬということと、それから、
公共事業費
、
食糧増産関係
、
住宅建設関係
、そういう三つの点について、
少数意見
が出ております。それが
答申案
にくっついて
答申
をされております。
答申案
の
説明
は、複雑な問題を簡単に
説明
しょうと思いましたので、非常におわかりにくかったかと思いますが、
質問
に応じてお答え申し上げることにいたしたいと思います。
神田博
6
○
神田委員長
本件に対する
質疑
は、あらためて後日に行うことにいたします。
神田博
7
○
神田委員長
次に
鉄鋼
、
硫黄
、
アルミニウム
及び
繊維
に関する諸問題について
調査
を進めます。
質疑
の通告があります。順次これを許します。
大倉三郎
君。
大倉三郎
8
○
大倉委員
私は、あとの時間の
関係
もありますから、ごく要点の二、三点についてお尋ねしたいと思います。
政府
は本年十月十五日に、
普通鋼材輸出
に関する
臨時処置
で、
鋼材
の
輸出
の認可の一部をしないという、いわゆる
輸出禁止
に関する
処置
をとられたのであります。
わが国
は
輸出振興
を
国策
とするのが
政府
の方策であるにかかわらず、この
処置
は、どうも
国策
に相反するのではないかという感じがいたすのであります。聞くところによりますと、この重大なる
処置
をとられました当時の
事情
は、非常に
関係
の深い業者、メーカー、あるいは
商社等
にも何の
相談
もなかった。また
通産大臣
の権限に属するとはいえ、
外務省等
の
通商
に
関係
しておる当局、あるいは
大蔵省等
の
通商
に多少
関係
のあるところにも、何らの
相談
もせられなかった。あたかもやみの中で
うしろ
から頭をはるような抜き打ち的な
手段
をとられた。こういう
手段
をどうしてとられたかということについて、われわれは非常に疑問を持つものでありまして、まずその辺の
事情
をお伺いいたしたいのであります。
鈴木義雄
9
○
鈴木説明員
鉄鋼
の
国際事情
でありますが、実は本
年度
の
鉄鋼事情
は
輸出
に引きずられまして、非常に
好況
を示しております。昨
年度
生産
で大体五百四十万トンくらいありましたのが、本
年度
はこれを相当上回る
生産
になっておりますが、それはひとえに
輸出
の
好況
によるものであります。当初は
計画
として
鋼材
で五百八十万トンという
数字
でありましたが、こういった
好況
に伴いまして、六百四十万トンというふうな
鋼材
の
生産計画
にいたしたわけであります。かように
輸出
が
伸び
、
生産
が
伸び
ることは、非常に好ましい
現象
でありまして、これに伴って
原料
が確保されればよろしいわけでありますが、
原料
に一番問題があったわけであります。大体
原料関係
は
スクラップ
が非常に問題でございまして、この春以来、できるだけ
スクラップ
の
輸入
をはかるということにいたしましたが、
輸入外貨
をできるだけセーブするという
方針
で、
業界
が
スクラップ
・
カルテル
を結成されまして、これによって
スクラップ
の
価格
を協定し、
業界
がむやみに買いあさることをやめるということで、
スクラップ対策
を
実施
し、
需給
の安定、
価格
の安定に資してきたわけでございます。大体春から九月ごろまではこのカクテルの結成によって非常にうまく行われてきたわけでございますが、さらに
輸出
が
伸び
て、六百四十万トンの
鋼材生産
に対して、われわれとしては
輸出
が大体
年間
二百十万トンという認証の
ベース
で考えておりましたが、上半期だけでも百三十万トンというふうなことで、
輸出
の
好況
に引ずられまして非常に
生産
が
伸び
る。そこで
原料獲得
の争いが起り、春以来非常にうまく運用されておりました
スクラップ
・
カルテル
が事実上崩壊することになりまして、
原料関係
から非常に
価格
に不安ができた。そういうふうにいろいろ
需給関係
に不安がありましたから、従来われわれは
輸出
をますます振興しなければならぬという立場はとっておりますが、社会的のこういった不安、
需給
及び
価格
の安定を維持するために、やむを得ざる
措置
として、十月半ばに一部の
鋼材品種
について
輸出制限
を
実施
したということになっているのであります。しかしながらこれはあくまでも一時的の
措置
でございまして、
業界
が態勢を整え、それによって
需給
並びに
価格
の安定の見通しがっきますれば、できるだけ早くこれは撤回したい、こういうふうに考えているわけでございます。
業界
の方でもその後緊急
対策
委員会
を設けまして、先週その成案が通産省に提出されました。提出
資料
は取り急ぎこれを
検討
している状況でございます。その案によりますと、大体一月一日から今の
業界
の案を実行することに
計画
ができておりますので、これと見合いまして、できるだけ早い
機会
に
輸出
廃止を解除する
方針
のもとに、目下その
方法
等について
検討
しているような状況でございます。
大倉三郎
10
○
大倉委員
説明
によりますと、大体その辺の
事情
は了承できるのであります。ただこの
輸出
が禁止された当時、十五日の数量は、私の記憶によりますと・大体十六万トンくらいに当ったものが、その二週間後に、
経過
処置
として十万トンほど解除された。そうして六、七万トンのものが現在
輸出禁止
の状況にある、こう聞いているのですが、その辺の
数字
でございますか。
鈴木義雄
11
○
鈴木説明員
今の
数字
の点は私若干わかりかねるのでございますが、第三・四半期におきまして、
原料関係
と
生産
関係
とを見ますと・大体
原料関係
において十五万トン程度
業界
の
生産計画
を上回っているというふうになっておったのであります。そこでそれを調整するために、先ほど実は御
説明
申し上げませんでしたが、従来
スクラップ
・
カルテル
と見合いまして、通産省が
スクラップ
の
購入
限度を指示するということになっておりまして、第三・四半期は
購入
限度に比べまして、
生産
限度の勧告をしたわけであります。その際に大体
原料
に見合うように、その点を勧告して
実施
されているわけであります。 それからただいまお話がございました
経過
的の問題は、大体われわれとしては
輸出禁止
をされました後において、その当時契約され、LC等がきて、これは国際信用上守らなくちゃならないというものを認めることにいたしまして、その結果大体十一月末までで、それについて
経過
的のものを救済したものが十万トン前後、こういうふうになっております。
大倉三郎
12
○
大倉委員
今禁止されているものが五、六万トンということになりますと、私の考えから見ますと、今第一の理由とされました
輸出
がオーバーするから、国内
需要
の点にこれが支障を来たすから押えたんだという理由には、この小さい数量では、常識的に考えましてもどうも疑問を持っておるわけなんです。そこでお尋ねしたいのは、この問題は、今言われた表向きの考え方ももちろんそうでありますが、その裏に、今日まで
鉄鋼
メーカーがどうも通産省の言一うことをあまり聞かない、だから
一つ
この辺で何とか膺懲的にこらしめて反省を促そうというような考えでこの
処置
をとられたように考えられるのですが、この辺の
事情
はどうですか。
鈴木義雄
13
○
鈴木説明員
いろいろの考え方はあると思いますが、私どもの考え方としましては、やはり
原料
と
生産
、
輸出
とのアンバランスからきた状況に対して、一時的に起った混乱を何とか切り抜けるというためにやった処理でございます。しかしその基礎が、この春以来
業界
が共同態勢を整えてやってきた政策が、この十月ごろ
原料関係
から見て乱れてきたということについて、新しく
業界
の態勢を整えるということにも
目的
はあったわけでありますが、考え方は先ほど申します
通り
、一時的の
需給
及び
価格
の混乱を防止するというところにねらいがあったわけでございます。
大倉三郎
14
○
大倉委員
戦後の
鉄鋼
輸出
の状況を見ますと、御承知の
通り
戦前は、もちろん陸海軍があって、国内
需要
が旺盛であったために
輸出
の
実績
が上らなかったのは当然でありますけれども、いずれにいたしましても、戦後の
鉄鋼
の
輸出
状況というものは非常に好調であって、
輸出
産業の非常に重大な使命を持っておるわけであります。これはいろいろの好条件もあったでしょうけれども、
業界
並びに
通商
関係
、商社
関係
がなみなみならぬ努力をした跡も見受けられると思うのです。今回のこういう抜き打ち的な
処置
によって、その影響するところは非常に大きいのではないか、
政府
はこの
処置
をとられたときに、そういうところまで十分考慮されていなかったのではないかというふうな感じが実はいたすのであります。これは大メーカーももちろん犠牲を払っておりますけれども、中小メーカーも非常にこのためには犠牲を払っておる。あるいはまた海外に代理店なり駐在員を派遣していろいろ
貿易
振興に努力いたしておる商社も、非常にこの打撃を受けておるわけであります。特に私が申し上げたいのは、今回のこの
処置
は、銑鉄、それに半製品、厚板、中板を含む、そうして棒鋼、型鋼、この五品目に限定された点なんです。自由
経済
の機構の中にあって、業者は一生懸・命やって、しかも自分の失策なりあるいはまた天然自然の
現象
によって盛衰がきまるということは納得するだろうと思う。けれども
政府
のこういう
処置
によって、この五品目に該当しておるところの工場は非常な犠牲を受ける。そしてこれに該当しておらないところは何らの影響を受けておらない。こういうことになりますと、この
政府
の
処置
によって、該当しておるところのものは非常に不満にたえぬのじゃないか。いわゆる
政府
の今回の
処置
によって品目を限定された結果、比重的に業者の上において犠牲負担が公平でないという結果が現われておるわけであります。こういう人がこういうことを理由にして、
政府
に無理を言うようなことがあってはどうなるかというような感じもいたすのでありますが、そういう点についても、私はこの
処置
をとられたときに十分なる配慮がなかったのではないかというふうな感じがいたすのであります。
経過
的に見ますると、今回の
処置
というものはどう考えても私はあまり十分な考慮を払われなくて、
計画
性がなかったのではないかというふうな感じをいたすのであります。八幡とか富士とか鋼管とかという大メーカーは割合先物の契約をいたしておる。でありますからこの影響は割合に少い。けれども鍛圧メーカーとか平炉メーカーとかの中小の業者は、あまり先物の
輸出
をする余裕がない。同時にこれらは国内の
需要
と
輸出
関係
とをにらみ合して
生産計画
を立てるわけでありますから、大メーカーに比較して、中小メーカーにこの
処置
による犠牲が非常に大きいということをお考え願いたいのです。そこで今回の
処置
によって鍛圧メーカーあるいは平炉メーカーは、先ほど申しましたような
関係
で
輸出
がいつ解けるかわからぬししますから、結局第一にロールの
計画
が立たぬということで悲鳴を上げている点も耳にいたします。ことに
スクラップ
とか半製品とか、こういう
鉄鋼
の
好況
の現状でありますから、現金でないと手に入らないような現状です。そういうわけでこれらに該当した中小鍛圧メーカーとか平炉メーカーは、非常に資金繰りに困っておるような状態です。それがひいて年末を控えて、資金繰りのために好ましくない投げ売りとか換金売り等の
現象
が現われるのではないかということを
業界
では心配しておる状態もあるわけです。そこで私もこういう中小の平炉メーカーとか鍛圧メーカーを二、三回ってみて、実際そういう点を見聞してきたわけなんです。また一方商社の方も二、三回って、この
処置
の海外の反響はどうかということを一応調べてみたのでありますが、商社の訴えるところによると、ある商社のごときは、この金融
処置
が発表をされたので、海外の駐在員とか代理店からいろいろな心配から問い合せがきた。そこでこれは臨時的な、一時的な
処置
であるから、既契約はもちろんキャンセルせずに、何とか引き合い等においてはつなぎをつけておけということであるから一応は納まっているんだ。しかし実際問題として、船積み
期間
がきてライセンスができないということが明らかになってくると、これは出先の方で相当問題になるんじゃないかというふうなことを言うておる商社もあるわけであります。そこでこれは
一つ
の話なんですが、こういうことをお聞きになっているかどうかわかりませんが、相手は韓国で、大体棒鋼その他のもので五千トンほどの入札があって、そうして一番札でこれが落札できた。ところがこの
処置
があったので、あまり
日本
のものを買うことを好まない韓国
政府
は、一応
日本
をキャンセルして、ドイツから買う契約をした。私は相手が韓国でもあるししますから、こういうものが直接の大きい原因だとは思いませんが、そういうふうなことも商社では言っておるわけであります。また海外よりの引き合いで、特に
民間
ベース
のものが非常に激減をしておるということを商社では言うておる。その引き合いを、
日本
の今までの市場
関係
のものが大体他国にどんどん振りかえをしておるというふうなニュースも出先の方から言うてきておるんだ。多くの国は
日本
向けのライセンスをほかの国、ベルギーとかドイツに振りかえをしたというニュースも入っておるんだというふうなことも、商社を回ってみると耳にいたすのであります。つまりこの反響は
わが国
の国際
貿易
の信用上非常な影響があったので、はなかろうか、
政府
が初めちょと簡単にとられたときにはあまり考慮に入れられなかったが、しかしやってみると数量の問題等よりもその
処置
そのものに、
政府
が考えていなかったような反響が海外市場にあるように私は思うのです。そこで実際問題としてこういうふうな海外に反響のあるような
処置
をあまり簡単にとられたという点において、私は繰り返して申したいのですが、そういう反響というものを、その
措置
をとられたときに考慮に入れられたか。私が申しますような大メーカーでなしに中小メーカーも困る。あるいはまた商社も困る。これによって海外の反響も相当あるのだということを考慮に入れてこの
処置
をとられたかどうかという点をまずお聞きしたい。
鈴木義雄
15
○
鈴木説明員
実は
鉄鋼
の
輸出
問題につきましては、この春
鉄鋼
の
価格
が上りました際にも、
消費
者である機械メーカーあるいは造船所、そういうところからも
鉄鋼
の
輸出
について何とか調整をしろというふうな声もあったほどであります。しかし私どもとしては、鉄としての
輸出
を重要視しまして、こういうことはなるべく避けたいということでずっと続けて参り、
原料
対策
その他について、
価格
安定、
需給
安定の手を打ってきたわけでありますが、先ほど申し上げましたような
事情
で相当の混乱のおそれがありましたので、やむを得ずああした
措置
をとったわけであります。もちろんわれわれとしましては、
輸出
を非常に伸ばしたいという考え方は変っておりません。同時に
鉄鋼
業としては、やはり基礎産業としての国内の
需給
安定、
価格
安定という使命も持っておりますので、そういう点でやむを得なずああいう
措置
をとった次第であります。 それから
輸出
品目の点は、大体われわれとしましては、硬度の比較的多いものを除外する、
輸出
が相当
伸び
ておる亜鉛鉄板というようなものは除外したというふうなことになっております。われわれも御指摘のような中小メーカーのことも考えないのではなかったのでありますが、その
措置
としては、実は契約
経過
的なものについて許可を与えました問題も、国際信用上という問題と同時に、やはり中小
鉄鋼
メーカーの点も考えて
経過
的なものを許可したというふうになっております。しかしこれで続けられる
期間
はそう長くもございませんので、
鉄鋼
の
カルテル
再建案と並行しまして、できるだけ早く
輸出禁止
を解除するという
目的
のために今至急
研究
を進めておりますので、御了承願います。
大倉三郎
16
○
大倉委員
大体よくわかったのですが、端的にいいますと、今回の
鋼材
価格
の問題とか、あるいは国内の
需要
が逼迫しているとかいうことは、純国内的な問題であって、何もこういうふうに対外的に非常に影響のあるような
手段
をとらなくても、その
方法
は国内的に
幾ら
でもあったのではないかというふうな感じがいたすのであります。以前の例もありますが、御承知の造船に対する
政府
の助成金の問題等も、あれが対外的に発表されたので、
注文
する先は、ああ
日本
の船にはこれだけの助成金がついているからというので、それだけ安く向うは
注文
してきたという実例もあるのであります。ですから、こういうふうな問題は純国内的に片づける問題であって、何も対外的にぼっとああいう報道機関に発表されたようなばかなことをやられなくても、何とか
方法
があったのではないかということを私は指摘いたしたいのであります。こういう国際的立場に不利になるようなことを国内の問題の解決の
手段
とされたというところに私は非常に疑問を持つわけなんです。結論的に要約していえば、今回の
措置
は
輸出
の面から見ても左ことにまずいことであったと思います。
政府
が何と
説明
されまして本、国際的に信用を失墜していくことは、海外の反響を見ましてもよくわかる
通り
であります。現在解除されていないものは、わずか六、七万トンのものであるから、こんなものはとめておかなくてもいいと思う。何とかそれをとめなければならぬ必要があるというなら、業者その他と話し合いをして、国内的な話し合いで十分その調整
処置
をとってもらって、早くこういう品目を解除してもらいたいということを私は
希望
いたしたいのであります。同時に今後もありますから、こういう対外的に影響のあるものを国内的な問題を解決する
手段
とし、てとるときには、十分
関係
各位に
相談
をし、あるいはそれに影響を及ぼすところの利害的立場に立っている
業界
等にも十分
相談
してやってもらいたいということを
希望
いたします。将来こういう問題については慎重にやっていただくこと、もう
一つ
は一日も早く今の禁止品目を解除してもらいたいという点を強調いたします。どうぞその点よろしくお願いいたします。
長谷川四郎
17
○長谷川(四)委員 関連して。今の
大倉
さんの話は、僕らは無関心であったけれども、非常に注視しなければならぬ問題があると思います。あなたがとった
処置
は国内的な問題であってということが
一つ
、もう
一つ
はその影響が国際信用上に大きく響いてきたのではないか、たとえば今言ったように韓国の問題、パキスタンの問題等、他国の
輸出
先について影響があったことをあなたは認めるか認めないかということをまずお聞きしたい。国内の
需要
安定をはかるためにあなたがとった
措置
として決して悪いとは思わないけれども、突然そういう
処置
をとって何ら業者に打ち合せもしなかったということ、もう
一つ
は
輸出
する人が、たとえば私なら私というメーカーが、他国の人と
輸出
先に引き合いがあったという場合に、ストップしたものけ、それに対してどういうふうな補償とか手当があったか、それらについてしろうとにもわかるように御
説明
願いたい。
鈴木義雄
18
○
鈴木説明員
第一は、国内の
需給
安定のために
輸出
の制限をすることについてその影響をどう考えるかという御
質問
でありました。それにつきましては、こういう
輸出制限
の
措置
はできるだけ避けたいという気持でやって参っております。国内と実は申しましたけれども、結局鉄の
価格
は機械の
価格
に響くものでありまして、従って国内の
価格
が乱れれば
需給
の安定がはかられないから、われわれとしてもその
手段
を考えてきた。ことに
輸出
の振興については努力してきた。そういう
関係
で、鉄としては、
輸出
を大いに伸ばしながら基礎産業としての国内の要請にもこたえるという二面を持っている。その
措置
をどうするということで、過渡的に起りました混乱を防止するために先ほど申し上げたような
措置
をとったわけであります。それからこの春以来
業界
といろいろ
需給
安定、
価格
安定、
輸出振興
策について
相談
した場合には、一般
需要
者の声も相当強くあったし、まずいことになれば
輸出
の制限ということも起り得るというようなことも話題として話してきたこともあったのであります。しかしそういうことは通産省としてはできるだけ避けたい、そのためにできるだけの手を打ってこれを避けるような方向にいくということでいろいろ
対策
をとってきたが、そういう
対策
の大きな要素がくずれてきたというところに問題があった。われわれとしては、落っこちたままで放置できないので、その
期間
なるべくこれを救うためにこういう
手段
をとったわけであります。国際的の影響についても相当われわれとしては心配したのであります。しかしながらこれは過渡的であると同時に応急的
措置
で、たとえば各国の問題になるような問題、それから
経過
的な問題は、できるだけ過渡的
措置
として支障のないように
措置
をしたつもりでございます。 それから先ほどの、契約してだめになったものはどうするかというお話がございましたが、従来から
鉄鋼
の
輸出
は許可制になっておりましたので、今回が初めて許可制になったのではありません。その点は従来からやはり
輸出
許可につながって契約をしておったので、特にどうこうという問題は起らないのではないか、こう見ております。
長谷川四郎
19
○長谷川(四)委員 許可制だというのですが、たとえば許可を与えたものが、十月の十日なら十日の以前耳契約をしていた、それが十一月に出荷しようと思って許可をもらった、その許可をもらったものまでもとめたのですか。
鈴木義雄
20
○
鈴木説明員
十月十七日ですか、
輸出
停止をします以前にできた契約で、以前に許可されたものの船積みはとめておりません。
長谷川四郎
21
○長谷川(四)委員 もう
一つ
、それではあなたが国内の
需給
の安定のためにやった
措置
だという。その種の
鉄鋼
でどのくらいの値下り率があったのですか。
鈴木義雄
22
○
鈴木説明員
値下りの点を申し上げることは非常にむずかしいわけでありますが、こういうふうなことで
一つ
お考え願っていただいたらどうか。要するに
スクラップ
・
カルテル
が従来はこの春以来だんだん下げて参りまして、夏には一万六千五百円だった、それが九月になりまして一万八千五百円、ところが先ほど申し上げました混乱の状況の場合には、それがトン当り二万五千円前後した。非常に不安定な状態で、その後は大体こういった
輸出制限
あるいは
業界
の努力によって、現在は大体二万三千円あるいはそれ以下というような状況になっております。
長谷川四郎
23
○長谷川(四)委員 そうすると、たとえば
輸出
に対しては、
輸出
というものと国内の
需要
の二つに分けてみた場合に、
輸出
価格
と国内の
需要
価格
は一定でないのですね。それで
輸出
メーカーが
輸出
をした場合に、損をしても出していたものか、それとも海外の
価格
が暴騰してきたから、従って
わが国
の国内の
価格
も安定を欠いてきた、こういうことではないか。つまり
輸出
メーカーは損して、出血して
輸出
していたのか、そういう点はどうですか。
鈴木義雄
24
○
鈴木説明員
昨年あたり非常に苦しいときは出血して
輸出
したことがあると思いますが、最近は出血ではないと思います。 もう
一つ
説明
を申し上げますと、国内の
鉄鋼
の
価格
は大体各社が建値によって出荷しておる。
輸出
の方はバイヤーの点も考えますが、こちらでは
業界
として都合のいいような値段で引き受けた、こういうようなことであります。
長谷川四郎
25
○長谷川(四)委員 さっぱりわからぬ。要するに国内
需要
の
価格
と
輸出
の
価格
に大きな差があったかないかということですね。国内で販売する
価格
と
輸出
する
価格
は、たとえば国内で一トン二万円のものが、
輸出
する場合にはそれが一万八千円だとか一万五千円だとか、あなたがこの
処置
をとったときに、これでも
輸出
していたか、こういうことです。
鈴木義雄
26
○
鈴木説明員
日本
の建値は、もちろんコストからの点もございますけれども、大体われわれが従来見ておりましたところの
価格
の
ベース
は、ヨーロッパの
価格
並みの
ベース
で建値を見ております。従ってその程度の建値にある。 それから
輸出
については、これはものによっては相当高く売れる場合もあります。それから、たとえば薄板とかそういうものは相当苦しい。品種によっていろいろ違いがあるわけであります。
長谷川四郎
27
○長谷川(四)委員 どうも
鈴木
さんは、あなたのお話を聞いていると、この
措置
は大したお手柄ではなかったな。一番僕らが心配しなければならないのは、あなたにしてはほんとうのわずかなことだったでしょう、ほんとうのわずかな
期間
だけの暫定
処置
として
輸出
をとめたかもしれぬ。しかし
日本
の信用に対する影響というものが、あなたのお考えより以上大きかったということだけはいなめない事実でなければならない、私はそう思う。従ってあなたが何とかこの
需給
の安定をやろうと思って、六ヵ月やってみた、やってみたけれども、どうしても自分の思うようにできなかったから、これを抜き打ち的に
処置
をとったんだ、こういうことなんです。あなたが、自分の力の足らないのはこれはしようがないというのでやったのでは、これはやはりメーカーも文句を言いますよ。これでは、自分が六ヵ月やってみたけれども、どうも自分の思うようにいかないから一方を苦しめてやるんだというのと同じことだ。たとえば、たんぼの中へ石をほうり込んでみた、ほうり込んだ人は何でもない、簡単に投げたけれども、ところが投げた石は中にいたかわずには生命にかかわったという話と同じことで、信用上これをまず第一にお考えにならなかったということは、あなたにとってあまりお手柄ではなかったと思う。一般の国内の機械屋さんはあなたのために救われたかもしれぬ。それは
生産
する人よりも、それを
需要
する人の方が多いから、その声が大きかったに違いないと思う。その声が大きかったから、あなたが驚いて六ヵ月やってみたけれども、どうも思うようにいかないから抜剣したというのでは……。あなたはいつでも宝剣が抜けるけれども、剣を抜くときは抜くような
処置
を十分とらなかったということはいかぬと思う。まあ、 できてしまったことはしようがないが、これはなるべく早く解決してもらわなければならぬ、そうして信用も回復してもらわなければならぬ、
一つ
こういう点、に十分御注意をお願い申し上げます。
鈴木
さん一人の問題ではない、七千五百万
国民
の絶大なる問題ですから、お願いします。
大倉三郎
28
○
大倉委員
今長谷川君の追及されたように、いろいろ掘り下げれば問題があると思う。しかし今
政府
の方も、発令後二週間に
輸出
経過
処置
をとられておるし、
業界
と非常な折衝をされて早く解除するような
手段
を講じられておることも伝聞しておるから、これ以上申しません。 ただ
一つ
私は
鉄鋼
行政について、こういう
機会
でありますからお伺いいたしたいのでありますが、一体戦争前の
日本
の
鉄鋼
行政というものは、製鉄法、特に日鉄法という
法律
があって、日鉄がこの
法律
によって営業をし、そして足らぬところは
政府
がこれを補っておった。同時にまた日鉄は
日本
の
鉄鋼
メーカーを育成していくという
一つ
の義務を持っておった。これが非常に働きまして、議会等においてわれわれが
鉄鋼
行政についてあまり頭をひねっていろいろ考えなくとも、そういう面で非常にスムーズな運営がされておったように記憶いたすのであります。しかし戦後はこういう制度が改正されて、そして今八幡、富士というようなものは、ああいう大きい
資本
力を持って、しかしこれが公共的な意味じゃなしの、やはり
一つ
の利潤会社として君臨しておるわけです。こういう点から考えますと、戦前にとられたような——要するに
鉄鋼
に関して、
政府
の方で行政面において
一つ
考えないというと、今のようでは野放しになって、非常に軽重の差が大きくなるのじゃないかというような懸念をいたすのです。たとえばこういう問題が起きても、業者は
一つ
も陳情にこないのです。これがもし
繊維
とかあるいは化学
関係
のほかの業者だったら、うんとすぐに陳情にくるのです。ところが
鉄鋼
メーカーとか
鉄鋼
関係
のものは陳情にこない。どこへいっているかというと、八幡とか富士に何とかしてくれというのでやっているというふうな状態で、そのために議員諸公も、こういう問題は新聞にちょっと出たところで、肝心の利害
関係
のある業者から何も聞かないというようなことで、私らも——これは実ば正直に申しますと、私が
関係
している製品はこの五品目からはずれておったのです。だから実際は気がつかなかった。そういう
関係
で、この鉄に関する考え方は、業者も政治面に陳情したりなんかするということのないのは、やはり戦前のそういうくせがついておる。そういうことを私らも考えまして、われわれも重要な
鉄鋼
行政について
一つ
議員同士で大いに
研究
して、国家に稗益しなければならぬと思うのですが、同時に通産当局も、聞くところによると
繊維
は従来
輸出
関係
においては
鉄鋼
に比較して非常に劣弱なのです。にもかかわらず今日この
繊維
に対しては
繊維
の総合
対策
委員会
といいますか
審議
会というふうなものがあって、そういう面で非常に
研究
されておる。ところが事
鉄鋼
に関してはそういうものは
一つ
もない。行政面において通産省が考えておられるようなことは何もない。このごろはどこにもいろいろ
委員会
があって、ちょっとするとじきにそういう
審議
会というようなものを設けて非常に中震機関で
研究
されるにもかかわらず、非常に重要な産業でありながら
鉄鋼
行政についてはそういうものは今ないということから見ましても、われわれももちろんこれには非常に大きい責任がありますが、
一つ
政府
がこれに対してもう少し重点的に考えて、この
鉄鋼
行政についてもっと大幅に大きい機能を動員して、そうして
一つ
基盤を築いてもらいたいという
希望
を持っておるわけであります。この点の私の考え方についてどんな考えを
重工業局長
は持っておられますか、
最後
に伺っておきたいのですが……。
鈴木義雄
29
○
鈴木説明員
鉄鋼
業は非常に大事な事業でありますから、御指摘がありました
通り
十分行政面において努力しなければならぬことは確かでございます。ただいまお話のような点も具体的にどういうふうにしますか、私ここでどうこうということは申し上げるわけにいきませんけれども、十分
研究
したいと思います。
神田博
30
○
神田委員長
次は
永井勝次郎
君。
永井勝次郎
31
○永井委員 大臣がお見えにならぬようでありますが、
硫黄
の問題で前回本
委員会
において私の
質問
に対して大臣から考慮するというお話でありましたが、その後どういう考慮の
経過
をたどっておるか、状況をお知らせ願いたい。
松尾金藏
32
○松尾
政府
委員 先般の
委員会
で御
質問
のございました点は、よく
検討
いたしております。
輸入
の数量につきましては、前回
数字
につきましていろいろ御
説明
をいたしたと思いますが、この数量は先般も御
説明
いたしましたように十分詰めた
数字
であると私も思っておるのでございます。なおそのときに御注意のございました
輸入
の
方法
等につきましても、これは先般も御
説明
いたしましたように数量が非常に少うございますので、小さな船でやっと一ぱい分くらいしかないわけであります。従いましてできるだけ安い品物でやっと一ぱいに満つる程度の
数字
を
輸入
するのでありますが、先般御注意のございました点は十分
検討
いたしまして進めて参りたいと思います。
永井勝次郎
33
○永井委員 鉱山局長は
輸入
について何か注意があったからその点についてよく考慮したいというが、
輸入
について考慮を要求したのではなくて、
輸入
以前の問題、
輸入
することの可否について
質問
をしてあるわけであります。いつの間に
輸入
の手続や
価格
の問題の注意に飛躍したのか、鉱山局長は新しいからそういう
関係
の引き継ぎもないしょくわからなかったのだろうと思いますから、鉱山局長の答弁でなくてもよろしいですが、これは
通商
局の方の
関係
だと思いますが、
輸入
についての申請は何月何日にあったのか、そうして
輸入
許可は何月何日に与えたのか、これを承わりたい。
松尾金藏
34
○松尾
政府
委員 現在までのところまだ準備をしておることでございまして、別にまだ
輸入
の公表もいたしておりませんし、
輸入外貨
の割当も当然やっていない
段階
でございます。
永井勝次郎
35
○永井委員
輸入
についての申請はいつあったのですか。
松尾金藏
36
○松尾
政府
委員
輸入
の公表がなければ
輸入
の申請はないはずだと承知しております。
永井勝次郎
37
○永井委員
輸入
しなければならないという事態が大分前からあって、そういう話があっていろいろ努力したのだか、とうも足りないようであるから
輸入
するということが今回の
輸入
に対する原因になっておるようでありますが^それならば
輸入
さしてほしいという話し合いはいつあって、どのくらいの時間的な
経過
をだどっておるのか、これを正直にお示しを願いたいと思います。
松尾金藏
38
○松尾
政府
委員 私先ほどから鉱山局長として新任だということをしばしばお伺いいたしまして、まことに恐縮でございますが、私九月に参りまして現在の鉱山局長を拝命しまして、そのときからすでに
硫黄
の
需要
が非常に急速にふえて参りまして、当時から
需要
者の方の側から申しますれば一万数千トンの
輸入
がほしいという
希望
は出ております。しかし御承知のように
硫黄
は国内資源としてあるのでございますから、これはできるだけ国内の資源でまかなうべきだ、従ってやはり増産を第一にやって進むべきだということで、今日に至るまで増産の点だけに努力をして参ったのであります。しかし先般も御
説明
をいたしましたように、当時すでに増産に努力しても月に一万五、六千トン・
ベース
くらいしか
生産
ができなかったのでありますが、この秋以降はだんだんと増産の
実績
も上りつつあるのであります。現在で大体月に一万八千トンから、できれば二万トンくらいまでの
ベース
に
生産
がいき得るというようなことになってきておると思います。従いましてこの前も御
説明
いたしましたように、当初の
生産
の見込み数量よりはかなり大幅に引き上げた
数字
を現在用意いたしておりまして、こういう増産をやるから
輸入
の方はできるだけしないというよりも、
輸入
をしなくて済むようにということで、この秋以降
生産
業界
にもいろいろ努力をしていただいたのであります。現在先ほど申しましたところまで増産態勢は進んでおるのでございますが、何分にも冬場に入りますと、自然条件等からどうしても二万トンというような
数字
の増産はむずかしいという条件に制約されまして、しかも片方
需要
者の側からいいますれば、現在手持ち
在庫
が十日を切るような工場が相当出て参っております。こういう緊急な状態にありまして、ここで
輸入
の手当をしないで、つまり増産態勢だけで進みますと、この冬場の工場の
生産
に重大な支障を来たすのではないかというようなことから、この十月、十一月とその
期間
種々
相談
をいたしまして、
輸入
数量につきましては現在のところ五千九百トンをこえないということで、現在一応そういう見込みで
輸入
することも緊急状態としてはやむを得ない、かような事態に立ち至ったわけであります。
永井勝次郎
39
○永井委員 何も今鉱山局長になぜ
輸入
しなければならないかという理由を私は
質問
しているのじゃないのです。国内の資源
開発
のために努力しなければならぬ鉱山局長が、みずから国内増産を放棄して
輸入
しなければならないという理由を先ばしって盛んに言っています。私はそこまで
質問
しているのじゃない。
輸入
申請がいりあったかということを聞いている。ところが申請はないが
希望
の申し出はあった、そして自分は新しいので、九月ごろ新任してそれを知った、こういうのですが、私は鉱山局長としての松尾個人がそれを知ったか知らないかということを聞いているのじゃなくて、鉱山局長としての職務において、国内における
硫黄
が足りないという
事情
は何月何日ごろに承知したのか、こういうことを聞いているのです。これを明確にしてもらいたい。
松尾金藏
40
○松尾
政府
委員 たびたび申し上げますように、国内資源のあるものを
輸入
することが決していい策でないことは十分承知いたしておりますし、そのために
硫黄
の国内増産に
業界
の努力を要望して参りましたことは当然であります。ただ私の口から、鉱山局長から、
硫黄
の
輸入
やむを得ないと申し上げざるを得ないような事態に立ち至ったことを御了承願いたいと思います。
永井勝次郎
41
○永井委員 そんな弁明を聞いているのじゃないので、松尾個人が国内における
硫黄
の不足を知ったのは九月ごろだ、こういうのですが、私は新しい局長の松尾個人がこの不足を知ったということを聞いているのじゃなくて、鉱山局長の職務において国内における
硫黄
の軍が少いということがわかったのはいつごろかということを聞いている。知らなければ知らないでいいし、事務の引き継ぎはなかったらなかったでいいし、いかにずさんであるかということであれば、ずさんだということを言ってもらいたい。
松尾金藏
42
○松尾
政府
委員
需要
と供給の
関係
は、
数字
の上で当りましても、そう明確にこれだけの数量が絶対に足らぬということは、なかなかつかみにくいのであります。御承知のように
需要
の
関係
も、
輸出
と相関連いたしまして、つまり
消費
者側の
繊維
なりパルプの
輸出
と関連いたしまして
伸び
るわけであります。それに追っつくようにできるだけ増産に努めまして、それがどうしても足りないという事態に立ち至ったというのが、この十一月から十二月にかけての事態でございます。先ほど申しました
消費
者側から
輸入
をしてほしいという
希望
のありましたのは、大体九月ごろであります。それはただ
輸入
の
希望
があったということだけでありまして、お話のような
輸入
の申請であるとかいうような手続になっておるわけではございません。現在では
輸入
公表をしなければ
輸入
申請の手続には入れないような状態になっております。
永井勝次郎
43
○永井委員 今まで
輸出
産業であった
硫黄
が
輸入
しなければならない、しかも
需要
者側から、
消費
者の側から、
輸入
してほしいという申請があったのが九月ごろである、それが単にそういう話があっただけで、そういう話については問題を掘り下げて考えようとはしなかったという非常にお人よしというか、のんきな話でありますが、少くとも
輸出
産業であったものが
輸入
しなければならないというような申し出に対しては、事態はどうであろうということがすぐ問題になってこなければならない。それを、話があっただけだといってのんきにしておるということは驚き入った怠慢だと思うのでありますが、それにしても九月ごろ知ったといたしますと、それでは九月ごろから国内の増産についてどのような具体的な政策をとられたか、どういう手を打ってきたか、具体的にお示しを願いたい。
松尾金藏
44
○松尾
政府
委員 現在
硫黄
に関しましては、通産省で一応
生産
の見込みの
計画
を立てておるわけであります。その見込み
計画
を先ほど申しましたように改訂をいたしまして、
業界
の現在の
生産
態勢を強めることによりまして、できるだけ
生産
をふやしてほしいということで、
業界
の方にも要望をいたしました。
業界
といたしましてもだんだんと
需要
が
伸び
て参るのでございますから、当然できるだけ増産に努力したのであります。その結果が先ほど申しましたように月一万五、六千トンのべースであったものが、現在一万八千トンから二万トン近い月産の
ベース
まで上昇してきた。しかもなお現在のような状態になっておるという事態でございます。
永井勝次郎
45
○永井委員 供給量が減って
需要
量がうんとふえてきた。
輸入
しなければならないという事態が起るまでには相当の時間的な
経過
もあるし、何も鉱山局長や通産省当局から増産しなければならぬというかけ声をかけないでも、業者は一番知っているのですから増産になってくることは局長から
説明
を聞くまでもなく、業者は利害の問題には至って真剣ですから増産をやることは当りまえだと思うのだが、こういう
輸入
しなければならない事態にいくまでの間において、ことに
政府
の方では見込み
計画
というようなものを立ててあるそうです。その見込み
計画
が、何月前あるいは何年前あるいは一週間前くらいの先は、お先まつ暗でわからないような見込み
計画
であるかもしれないが、とにかく見込み
計画
というようなものがあったとするならば、その
計画
の上に立って九月ごろ知った不足の実情に対して具体的にどのような手を打ってきたか、こういうのです。いろいろ抽象的なことは聞く必要がない。資金的にはどういうふうにしたか、あるいは山の条件やその他いろいろ障害になるものがあるとするならば、それを排除するために
政府
はどういうふうに努力したか、こういうことを具体的に伺っているのです。
松尾金藏
46
○松尾
政府
委員 先ほど申しましたように、
生産
につきましては、実際に
生産
の企業にできるだけ努力をしていただくほかはないのであります。今資金の点のお話がございましたが、これは御承知のように本
年度
におきまして
硫黄
の
生産
の合理化のために開銀資金のわくをとりまして、そのための資金は出ておるはずであります。
永井勝次郎
47
○永井委員
需要
者の側から
輸入
しなければならないという事態があって、そういうものが具体的になって
輸入
してほしいと申し出たのが九月ごろであるとするならば、品物の不足というものはもっと何ヵ月か前から起ってきておるはずだ。そういたしますと、それを九月以前の三ヵ月前とすると、本年の六月ごろから
硫黄
の供給不足という事態が出てきておる。こういうふうに見ても妥当である。そうするならば、そのころから
政府
が見込み
計画
というようなもの、
生産計画
というものがあって増産しなければいけないという事態であるとするならば、今具体的にずいぶん努力してきたというのだが、話を
幾ら
聞いても具体的にどういうことをやったということがわからない。ただかけ声をかけて大いに増産せい、こういつてきたのだが、ついに
輸入
をしなければならないという事態に立ち至ったとするならば、現在の
硫黄
鉱業の
生産
の面において飛躍的増産をすることができないいろいろな条件があるので、その条件は何と何で、それが現在の
硫黄
の増産に支障を来たしておるのだという
事情
があるならばどういう事態であるか、それを承わりたい。実態
調査
、診断ができておるはずだと思うから、増産が不可能であるという具体的な障害は何であるか、これを示してもらいたい。
森五郎
48
○森
説明
員 ただいまの御
質問
でございますが、特に資金のあっせんを、
硫黄
が足りなくなったからといってすぐやったという事実は、おそらくそうどろなわ的な
措置
はなかったと思うのです。ただ
硫黄
鉱業というものは、先ほど鉱山局長が御
説明
申し上げましたように、国内に非常に資源がある。ところが
日本
の資源は
外国
の資源に比べまして必ずしも——比較的でございますが優秀ではない。と申しますのはなかなか品位も低く、採掘条件も悪く、規模も小さく、
経済
的にこれを採掘することはなかなか困難でございます。と申しますのは、たとえばアメリカの例を申しますと、アメリカの
硫黄
の鉱床は石油の鉱床とほとんど同じでございまして、地上からパイプを入れまして蒸気を吹き込む。そうしますと地下で
硫黄
が溶けて地上へ上ってくる。非常に簡単に何ぼでも取れる。安く何ぼでも取れるというものでございますから、
硫黄
の国際
価格
は僅々おそらく二十五ドル・パー・トンくらい。二十五ドルと申しますと約一万円そこそこでございます。コストはそれ以下でございまして、販売
価格
はそういうことでございます。ところが
日本
の一番優秀な山でも、大体コストがその辺に行くか行かないかという程度の山が多いのでございます。そこで鉱山局といたしましては、
硫黄
の
価格
というものは国際的には非常に安いのですから、もし
輸入
を認めるとすればどっと入ってきます。それでは
日本
の
硫黄
、鉱業は壊滅に瀕するということでございますので、従来から何とかしてコストを引き下げるという方向をとってきた。それにはどういうことをやっておるかと申しますと、要するに製練の合理化ということをやってきた。御承知のように、
硫黄
の製練というものは、焼き取り法という実に原始的な
方法
をとっておるわけでございます。これは言うなれば、かまの中に
硫黄
の鉱石を入れて、それを外から熱する。そうすると昇華いたします。昇華いたしまして蒸気になったものを冷やして取るという実に簡単な
方法
でございます。それを最近の国内の
研究
から、コークス炉に似たような
方法
で取るという、これは
日本
独自の技術でございますが、そういうものがだんだん
開発
されて参りまして、それが工業化試験の補助金その他を
政府
で与え摂して、現在松尾で試験炉をやって、それに対して
政府
は、
開発
銀行の融資ということをもってサポートをするという政策をとっている。こういう政策は何ら一時の
需給
状況に従ってどうこうするというものではございませんで、やはり
硫黄
百年の計というものを頭に入れてやっている問題でございます。
経済
というものは流れております。従って半年なりあるいは一年の間には非常に変る。そういうところに対症的な療法だけをやっていてはいかぬ。
硫黄
が足りなくなったからといって、急に増産しろとか、あるいは非常に条件が悪い山までどんどん掘る、そういうことまではやるべきではない。やはり長い目で見た
硫黄
政策というものをやるというふうに考えております。
永井勝次郎
49
○永井委員 今の課長は、言うなれば、百年先の夢のような話を言っている、何ヵ月か前の現在当直している
輸入
しなければならないというような事態に対する
対策
は、何も持っていない。また何もしてないという
一つ
の裏づけだろうと思う。そういう怠慢なことをしておいて、そして今回限り
輸入
するとか何とか、それから将来は
輸入
しないつもりだとか、そういう根拠は一体どこにあるか。飛躍的な増産をしなければならない、障害になる原因は含有量が不足だ、非常に原鉱が貧鉱であるということと、製練の過程が非常に原始的だ、それならば五千トンの
輸入
は引き続いてどんどん
輸入
しなければならぬ。そういうような考えで、百年の先は
計画
しているけれども、半年、一年先は
計画
していない、こういう非常に夢のような話をされるならば、当面している不足、国内において
生産
が不足になっている現状に対してどうしたらいいか。これは鉱山局長に聞きたい。言うなれば、もっとはっきりした具体的な政策を示してほしい。
松尾金藏
50
○松尾
政府
委員 上期の
生産
実績
をとってみますと、十万トンの程度でございます。それを下期におきましては十一万三千トンくらいまで
生産
に努力をしてもらいたいということで進んでおるのでありますが、先ほど申しましたように、今回の緊急事態は……。
永井勝次郎
51
○永井委員 緊急事態といったって、天から降ってきたのではない。ずっと続いてきたものであるから、この過程において何をしたか。
松尾金藏
52
○松尾
政府
委員 現在の状態において、月二千トンの
生産
ベース
が維持できますれば、
年間
二万三、四千トンの
生産
ができるわけでありますから、二万三、四千トンの
生産
が
年間
に確保いたすことができますれば、現在の、あるいは将来の、来
年度
の
需給関係
としては、大体
生産
と
消費
がマッチする。現在のところでは、ただ一月、二月、三月の冬場の若干の減産を補って、また
在庫
が、先ほど申しましたように現在逼迫しておりますので、その回転をつけるために最小限度の
輸入
手当をせざるを得ないというような状態で、あくまで今回限りの緊急事態であるというふうに判定をいたしております。
永井勝次郎
53
○永井委員 今回限り今回限りといって、国内における増産態勢の具体的な
施策
を持たないで、百年の
計画
はあるが、当面の
計画
はないというような、しかも鉱山局長は新しいけれども、その方面において大へん詳しいエキスパハートである人が、百年
計画
だけを今
説明
した。そういう事態において今回限り——冬場少いといって今回限りで、あとの問題は一体どうするのか。そうして現在の国内における増産の障害になっているものは何かというと貧鉱です。それから製練です。そういうものは当面間に合わないことだ、こう言う。そういう事態の中で、今回限りの問題で間に合うのかというと、今回限りで間に合うようなことであるならば九月からわかっている。あるいは六月ごろからわかっていることで、この
機会
に増産しようとすればすぐできることじゃないか。五千トンの緊急
輸入
を食いつぶすのはたちまちだ。それからあとにおいては国内の資源において間に合うことだというような、こういう短
期間
で十分間に合うような状態のものを、六月から、あるいは五月ごろからずっとわかっている事態の中でなぜ増産できないか、それが百年かからなければ増産できないような事態があるのかどうか、緊急増産が間に合わないような条件があるのかどうか、条件がありとすれば、それは何々か、こういうことを聞いている。
松尾金藏
54
○松尾
政府
委員 先ほど百年の大計という言葉を使いましたのが、あるいはかえって誤解を受けたかと思います。決して百年後にどうこうというのでなく、現在からすでにそういうために製練の合理化に努力しておるのであります。さらにまた先ほど申しましたように、月千八百トンから二千トンの
生産
の
ベース
が確保されますれば、来年の
需給
は大体バランスするのであります。
永井勝次郎
55
○永井委員 一体松尾鉱山は、現在稼働している製炉が九十五です。そうして百何十という炉は遊んでいる。増産しようとすればすぐできる。できる態勢であるから今回五千トンぐらい
輸入
しただけで、あとは将来は絶対
輸入
しませんということを言っている。緊急に増産できる態勢があるから、鉱山局においても五千トン
輸入
したならば直ちにあとはもう
輸入
しませんということが言えるのだと思う。そういうことが言えるような国内における増産態勢の設備なり何なり条件がここにあるならば、六月から今日まで何をしていたか、こういうことを私は聞きたい。国内に増産の緊急にできる条件を持ちながら、しかも炉を遊ばしている。ことしの二月から三月ごろまで増産していたのをずっと縮めて、国内における減産をずっとやってきた。だから増産しようとすれば直ちにできる。その条件を国内に持ちながら、なぜ今まで、不足であるという状態ならば国内においてどんどんやらないのですか。どうして鉱山局は国内の資源の
開発
のために努力しないのです。貧鉱であるというならば、これは永久に解決できるものでない。貧鉱であるから増産できないというならアメリカか何かへ移らなければ増産できるものでない。ですからそんなことを問題にしているのではない。なぜやらないか、やれるものをなぜことしの春からやらないでいるのか、やったとするならば具体的にどんなことをやったのか。やらないから言わないのでしょう。百年先のことより言えないのでしょう。だからそれを言っている。私がこういう小さな問題をこまごま言うということは、一体通産省なり何なりの役人が、ほんとうに国の産業ということを真剣に考えているのかどうかということだ。そのときそのときの
経済
の動きの中で、保有外貨が少し多くなったから、それで何とか
輸入
してうまく商売をやろう、こういうのでたくさんやってくる。そうすると
輸入
する条件というものは、ああでもないこうでもないと理屈をつけて、そうして外貨を割り当てて業者の利益をはかるようなことをする。
国民
経済
の利益になるようなことはやらない。あるいは国内における物価を上げさせないために、これらの
消費
者の方であなた方のところに頼んで
輸入
をして、頭打ちさせてこれを安く押えようとする。その手先にあなた方がなって、そうして筋の通らない理屈を冷汗をかきながらここで答弁しなければならない事態になっておるのだと思う。小さい問題ですけれども、たとえば肥料の担当官を十何
年間
やっているような柿手君にいたしましても、この
委員会
において、硫安の原価はどのくらいなんだといっても、それはっかめないつかめないといって、そうして肥料会社の利益の立場でここで答弁しておる。やめたとたんに硫安会社の重役にすわる。あるいは砂糖の割当をやっていた者が、やめたら直ちに砂糖会社の重役にすわる。これは役人と大企業とがツウツウなんだ。そうして役人は
国民
のための利益をはかる役人として仕事をやっておるのではなくて、業者の利益をはかる立場において仕事をやり、答弁をしておる。だから満足な答弁ができない。ほんとうに良心があるならば、私が先週この
委員会
で
質問
したときに考慮するといっていた、考慮するというなら、違った立場でもっと役人として、国の産業として、あるいは
国民
経済
の立場から真剣に、もっと虚心な気持で再
検討
すべきだと考える。自己反省すべきです。根拠のない理屈をつけてこうやる鉱山局長は非常に気の毒である。鉱山局長は新しいからそういうことをする人でないと思うが、いろいろなことで百年の
計画
を立てて自分の職務を放棄するような課長がいるから、局長が間違いを起す。それからこの通産局やなんか、外貨の割当の調整課、そういったところの間違ったデータで
説明
されて、鉱山局長は人がいいものだからやむを得ないということから、こういうことになったのだと私は思う。こういうばかなことを通産行政としてやるならば、これはたくさん問題が出てくる。役人が営利会社にどういうふうに、自分の勤務中にやっていたその仕事を通して奉仕したか、そしてやめたらちゃんとそこの重役のいすを与えられてすわっているか。こういうことを繰り返していたのでは、
国民
経済
の利益には少しもならないのだ、こういう具体的な事例を私はどんどんあげていきたいと思う。アルミの問題もあります。ミシンの問題もあります。山積しておる。通産省は極端な言葉で言うならば、疑獄の府といっていいほど、あるいは
国民
経済
の上から見るならば
国民
の敵である、
国民
経済
の敵であるというような、そういう根城になろうとしておる。こういうことをわれわれはこの
委員会
で是正しなければいけないと思うのです。この問題をずっと
一つ
ずつ取り上げていきたいと思っています。局長にこういうことを言っても、これは国の政策の
関係
ですから答弁ができないと思うのですが、私がさっきから言っている、国内においてどういう増産の努力をしたかというと、何にも努力していない。そうしてわかってから、
長期
の
期間
ただ
輸入
する条件のことばかり弁明している。私はそういう弁明を聞こうとするのではありません。この問題はなおほんとうに良心があるならば、すでに
輸入
する先もきまっているでしょう、業者もきまっているし、
価格
も折衝している、船ももう回っているかもしれない。ただここで、議員というのは言うだけ言わせればいいだろうから言わせておけ、答弁もいいかげんにしておけば問題は時間的に解決する、こういうように甘く考えておると大へんなことです。私はよくこれらの問題については、明らかにしていかなければならないと思う。役人に対する
質問
はこの程度にしておきます。事務的な答弁よりできないでしょう。
神田博
56
○
神田委員長
本日はこの程度にとどめます。次会は明十四日午前十時より開会することにいたします。 これにて散会いたします。 午後零時二十六分散会