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1955-12-13 第23回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十三日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 佐々木 秀世君    理事 大坪 保雄君 理事 大橋 武夫君    理事 中川 俊思君 理事 野澤 清人君    理事 藤本 捨助君 理事 山花 秀雄君    理事 吉川 兼光君       小島 徹三君    小林  郁君       中村三之丞君    中山 マサ君       田中 正巳君    亘  四郎君       井堀 繁雄君    岡本 隆一君       神田 大作君    田中 稔男君       多賀谷真稔君    滝井 義高君       中原 健次君  出席政府委員         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 十二月十三日  委員八田貞義君及び長谷川保君辞任につき、そ  の補欠として戸塚九一郎君及び田中稔男君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十二月十二日  緊急失業対策法の一部を改正する法律案多賀  谷真稔君外十三名提出衆法第五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  緊急失業対策法の一部を改正する法律案多賀  谷真稔君外十三名提出衆法第五号)  失業対策に関する件     —————————————
  2. 佐々木秀世

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  まず多賀谷真稔君外十三名提出緊急失業対策法の一部を改正する法律案議題とし、審議に入ります。まず提出者より趣旨説明を聴取することにいたします。多賀谷真稔君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ただいま議題になりました緊急失業対策法の一部を改正する法律案に関し、その提案理由説明をいたします。現下の経済情勢わが国労働人口の過剰は深刻な就職難を現出し、著しい失業者増加を招来せしめ、極度の社会不安を醸成しつつあります。雇用問題の解決経済政策の最大な課題でありますとともに、失業対策事業推進は最も緊要な問題であります。現在失業対策事業地方公共団体において行い、その一般失業対策事業に対し、国庫労力費事務費、それぞれ三分の二、資材費三分の一を補助しているのであリますが、地方公共団体負担用地買収費資材費事務費不足追加分等超過負担が多額に上り、事業費総額の二分の一にも及んでいるような実情であります。しかるに、御承知のごとく地方財政は逼迫の一路をたどっしおり、このままでは失業対策事業の遂行はきわめて困難であります。よって、現行国庫補助率労力費事務費それぞれ五分の四、資材費二分の一としたい所存であります。  さらに旧軍港地帯や炭鉱を初め、日の当らない産業地帯等の市町村のごとく、異常な失業群発生を見ている地域においては、その失業対策事業費負担はとうていたえ得られないものでりりますので、一定率の線を越える部分事業につきましては、その労力費事務費資材費の全額を国庫補助といたし、強力な失業対策事業推進を行わんとするものであります。一定率は、労力費事務費資材費の総領と基準財政収入額との割合によって算定することとし、その具体的決定については政令にまかし、提案者といたしましは当該一定率を越える事業は全業の二割程度といたしたい考えであります。よって現行第九条を削除とし、第十一条の二に国庫補助を具体的に法律によって明定いたした次第であります。何とぞ最近の失業情勢地方財政の現状にかんがみ、御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
  4. 佐々木秀世

    佐々木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑その他につきましは、次会以後に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 佐々木秀世

    佐々木委員長 次に失業対策に関す件について調査を進めます。発言の通知がありますので、順次これを許可いたします。多賀谷真稔君。
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず昭和二十八年並びに昭和二十九年度高等学校中学校就職の状態、これをお聞かせ願いたい、かように思います。
  7. 江下孝

    江下政府委員 昭和二十九年度高等学校卒業者就職率でございますが、職業安定所で扱いました分で申し上げますと、就職の数が全体で十万六千五百七十五人、これは就職希望者の八一・九%に当っております。これは昭和三十年の六月末現在の調査でございます。二十九年度の分についてははなはだ申しかねますが、後ほどさしていただきます。     〔委員長退席中川委員長代理着席
  8. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 二十八年度は例の「労働経済の分析」に載っておりまして承知をしておるわけでありますが、二十九年度中学校並びに高等学校就職の実績と、さらに三十年度といいますと来年なんですが、来年はどういうようなお見込みであるか、お聞かせ願いたい。  さらに中学校高等学校とは就職傾向がどういう傾向にあるか、あわせて大学の二十九年度の分もお聞かせ願いたい、かように思います。
  9. 江下孝

    江下政府委員 先ほど高等学校だけを申し上げましたが、三十年の三月に卒業いたしました中学校の分について申し上げます。三十年三月の卒業中学校就職希望者が、男女合せまして三十一万三千七百人ございます。この三十一万三千七百人のうち、就職いたしましたのが二十九万三千五百人でございます。就職率は九三・六%ということで、非常な好成績を上げております。  それから、本年三月に大学を出ました者の就職状況でございますが、これは文部省調査によって私ども承知をいたしておるのでございますが、卒業者の総数が十二万八千二百人、そのうち就職希望者が八万八千三百四十人、就職者が六万八千六百七十人、就職率七七・七%と相なっております。もっともこれは、調査いたしましたのが本年の六月末現在でございますので、その後におきまして若干この就職者の数はふえておるという予想でございますが、その調査につきましては、今手元に持っておりませんので、またでき上りましたらこの委員会で報告をいたしたいと思います。  本年度すなわち来年の三月に卒業予定の、中学校高等学校就職見込みでございますが、中学高等学校とも、現在就職あっせんをやっておる最中でございまして、現在の段階におきまして的確な見込みというのは困難でございますが、一応十月末現在で昨年の同期と比較しますと、中学高等学校とも、求人数において三割から四割ふえております。従って、この分でいきますならば、中、高卒は昨年度以上の成績をおさめるものと考えております。  大学でございますが、これは十月末現在で就職希望者の一五%が就職内定という一これは抽出調査による推定でございますので多少の違いがあると思いますが、さように相なっております。昨年の同期に比べましてほぼ同じ率というふうに承知いたしております。どういう傾向かというお話でございましたが、もし産業別にどうということでしたら、あと資料によりましてお答え申し上げたいと思います。
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 われわれに配付いただきました労働白書によりますと、やはり年度の翌年の六月末現在でとってあるのですが、中学校の場合は、二十七年が八四・九%、二十八年が八七・九%、高等学校が、二十七年が五七・六%、二十八年が六〇・五%、こういうようになっておるわけです。そういたしますと、今のお話の、たとえば二十九年の高等学校就職者の率が八一・九%、あるいは中学校が九三%ということになりますと、統計にえらい開きがある。多いことはけっこうですけれども、どこか統計とり方がかなり違っておるのではなかろうか、こうい気持ちをもつわけでです。
  11. 江下孝

    江下政府委員 先ほど申し上げましたように、今申しました数字は三十年の六月末現在でございます。労働白書は、あれはたしか発行いたしますのが六月ごろでございますから、その前の統計しか入っておらないわけです。おそらく三月か四月現在だろうと思います。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この二十九年度労働経済白書というのは、三十年の七月に発行しておる。そしてこれは、二十九年度の分は書いてない。二十八年度の分が載っておる。二十八年度の分は二十九年六月末をもって調査をしておるのですから、今お話数字基礎資料においては変らないように考えるわけですが、これはあとから一つ調査をしていただきたい、かように思います。  そこで全般的に、二十九年度新規学校卒業者例年以上の雇い入れになっておる、こういうように今判断がでてるわけです。それだけに、これは一般失業者の採用が極力押えられておる、こういうように判断せざるを得ないわけですが、そういう傾向にあるかどうかお聞かせ願いたい。
  13. 江下孝

    江下政府委員 一般安定所の窓口におきます求人求職結合状況でございますが、最近におきまして、求職はやや減少し、求人はやや増加という傾向でございます。従って、就職します絶対数も昨年よりやや上回っておるのであります。そういうことからいたしまして、新規学校卒業者を多く雇うから一般が圧迫される、本年度に限って特にそういう現象があるというふうには私どもはにわかに判定しがたいと思っております。もちろん求人者にいたしましては、新規学校卒業者賃金等も安いのでございますので、そういう方面をできるだけ採用するという傾向にあることは、例年そうでございますけれども、本年度に特にそういう傾向はないというように申し上げていいと思います。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大学及び高等学校就職難に対処して、官庁は具体的にはどういう処置をおとりになっているのか、それをお聞かせ願いたい。
  15. 江下孝

    江下政府委員 大学卒業者就職あっせん問題は、ひとり労働省だけでなくして、これは文部省通産省、その他やはり政府全体が打って一丸となって解決しなければならない問題と存じております。そこで昨年労働省が音頭をとりまして、文部省と共同で学生就職対策本部というのを労働省と各府県に設置をいたしました。この本部の構成は、広く産業界あるいは学校その他一般有識者等も網羅いたしまして、そうしてここにおきまして大学卒業者就職問題をいかに扱うか、促進、するかという点について協議をして、その結果によりまして諸般の施策を行なっておるわけでございます。実は昨年はこの対策本部の設立がおくれましたために、十分な成果を上げることができなかったわけでございますが、本年度につきましては、すでに二、三回会合を持ちまして、いろいろと協議決定をいたしております。実はねらいといたしましては、何といいましても大学の数が戦前の十倍に達し、人数も十倍になっておる。産業の規模は倍になっていませんから、これはどうしても大学卒業生が今までと同じような考え方就職をすることは困難だと私は思います。そこでまず学生の方には、従来のような大学卒業者という特権を振りかざして就職することはできるだけやめてもらいたい、中小企業でも何でもいいから、とにかく職につくという考え方でいてもらいたい。それから事業主の方では、これは私ども非常にいいにくいことでありますが、大企業大学卒業生を好んで採りますけれども中小企業においては従来から大学卒業生というものをいろいろな観点から毛ぎらいをしておる。そこでそういう方面にもう少し大学卒業生を採用するようにということでございます。本年度におきましては、特に中小企業の、協同組合大学卒業者をできるだけあっせんできないかということで、この協議会でも話がございました。その際、これは来年度予算とも関連いたしますが、中小企業協同組合をもう少し政府で育成すべきである。むしろ大学卒業生をとるならばそれらに補助金」等をうんと出したらどうだ、こういうような話等もございました。私の方は側面的に通産省と連絡いたしましてそういう点について十分配慮するように努めておる。しかし何と申しましてもこの問題はひとり労働省だけでは解決できない非常にむずかしい問題でありますので、私どもも非常に苦慮いたしておるところでございます。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ひとり中小企業のみでなくて、大企業におきましても、いわゆる将来中堅幹部となる層、職員というか社員といいますか、そういうものとは別個の労働者、これは高等学校を含めて大学高等学校はとらない、こういう方針の企業もかなりあるわけです。そしてたまたま大学とか高等学校卒業者学歴を偽わって入っておる。そうすると要するに学歴詐称であるというわけで首を切るという問題が起ってきておるのであります。これは要は労働運動に理解のないところから多くきておる、かように判断をするわけであります。そこでこれは中小企業だけでなくて大企業においても、政府としては積極的に工員の質の向上という面から、何も将来中堅幹部になる層だけでなくても、本人が希望するならば当然就職のできるように一つあっせんをしていただきたい。そういう教育が必要ではないかと思うのです。これは学校を出ておるから、少し赤いから社会運動をやるだろう、だから何とかとびらをしてかぎをかけて、絶対にそういうような文化的な面の向上をすることのないようにといかに企業家考えましても、現在の社会情勢というものはとうとうとして流れておるのですから、そういうことを企業家考えることは非常に古い。むしろそういうところにこそ争議が行われますと解決のつかないような長い争議が起きておる。こういうことを一つ十分勘案していただきたい、かように考えるわけであります。さらに今できております学生就職対策本部を強力に推進していただきたい、かようにお願いして次の質問に入りたいと思います。  俗に完全失業者と言われておるもののとり方については私はかなり異論を持っておるわけですが、それは一応別にいたしましても、その周辺におります不完全失業者といいますか、不完全就労者といいますか、そういう人々の統計が、二十八年十月では五百五十七万、ところが二十九年同じく十月では八百三十一万、すなわち二百七十四万も増加しておるわけであります。これはあなたの方で出された資料で私が言っておるのですから間違いはない。これは労働白書によって、非常に低賃金でさらに職業に不安を持ち、就職を希望しておる、こういう統計から出しておるわけですから、一応これを不完全の就労者と見るならば、二百七十四万人も一年間に増加傾向をたどっておる。ですから私はきわめて深刻な失業群発生というものを見ておると思うのであります。そこで最近新聞によりますと、政府失業対策から雇用政策へ転換を見ておるということであります。これは非常にけっこうでありますが、しからば具体的にどういうような雇用政策を持たれておるのか、その構想を承わりたいと思います。
  17. 江下孝

    江下政府委員 仰せのごとく完全失業者だけを対象にというわけにはいかないのが日本の雇用実情であろうと思います。そこでこれに対して現在労働省といたしましては、政府がかねてから策定いたしております経済六カ年計画の完成ということにまず第一目標を置きまして、これに即応するように雇用調整をやることは当然でございます。私ども考えておりますのは、もちろん完全雇用べできるだけ近づいていくということでございますが、その近づくまでの期間の過渡的の雇用対策をどうするかという点であります。これについては、まあ結局のところ私どもとしては今の段階においては雇用量を造出する以外に方法はないと考えております。政府の力で雇用量を造出していくほかに方法がありません。というのは、雇用量をふやしていく、現在やっております失業対策事業でありますと、これはどうも消極的な感じを受けますし、現実失業者発生したらそれを救済するということでございますが、そのほかに雇用対策として考えられますのは、何といっても公共事業であります。公共事業本年度予算におきましても千四、五百億あるわけでありまして、全予算の中の相当部分を占めております。公共事業をもう少し雇用政策に合致するように私どもとしては運営する以外に方法はないと思っております。現在の法律の建前でも公共事業への失業者吸収率云々ということが規定されておりますけれども現実にはその通り行われていない。もっぱら事業効果本位で行われておりますので、吸収率も非常に少いわけであります。この点について私どもは抜本的に公共事業というものの雇用量失業者吸収という形での効果の発揮を考えて参りたいと思っております。そのために一例を申し上げますと、移動式住宅というようなことを一つ考、えてみたらどうか、政府も四十七万戸かの計画も作っておりますので、その中で幾らかでもそういう住宅考えいくということがやはり従来の政策から考えて一歩前進ではないか。そのほかに公共事業をもう少し地域的に調整していくということでございます。こういうことを基本に考えておりますが、なおこの構想につきましては目下いろいろ私どもとしては検討いたしておりますので、また成案を得ました場合には本委員会お話いたしたいと思っております。
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 公共事業べの吸収、これはもう何回も政府は唱えられておりますが、私たちは公共事業費を増額しないで、公共事業費はそのままにしておいて、吸収率だけ多く見て、そうして失業者が多く救済される、こういうことを考えることは間違いである、現実にはなかなかうまくいかないのですということを口をすっぱくして申しておったのであります。ところがこれをまたお書きになっておる。そこで私はこれは実際困難ではなかろうかと思うのであります。それで反対陳情もあなたの方にはかなり来ておると思うのです。現実事業主体がこういうようなことでは困難だ、これはやらなければならないとしても、実際にこれを見込んで雇用政策が確立されたとお考えになることは、これは私は非常に実際と合わないのじゃないか、かように考えるわけです。また移動式家屋、これは非常にけっこうですけれども、四十七万の中に割り込もうというようなことは、これも実際は困難であろうと思うのでありますが、移動式家屋ならばやはり別個に予算をとられる、こういうようなつもりがなければ私は実際の運用は困難であろう、かように考えるわけであります。しからば吸収率をどのくらいに今度は考えられておるのか、お尋ねいたしたい。
  19. 江下孝

    江下政府委員 公共事業についての御批判がございましたが、非常に困難な点は私どもも認めております。従来二、三回この点については政府として閣議決定までいたして、実施しております。私がここでこういうことを申し上げることは、政府責任転嫁になると思いますが、一体労働省だけで雇用失業救済ということは実は困難でありまして、どうしても通産、農林、建設という各省がみな一体となって、この雇用失業問題に取り組むということでなければならぬと思います。今まで建設省その他産業省方面におきましては、ざっくばらんに申し上げますと、ニコヨンがきらいなんです。ニコヨンに触れたくないのであります。そこで労働省だけがこの問題について、一人で背負って立っておるという格好になっておるというのが、実情であろう。そこで私どもとしては、今度の倉石労働大臣の就任を機にして、こういう各省ブロック主義を打破いたしまして、各省がほんとうに失業者救済に乗り出すような態勢に強くもう一度持ち出してみたいと思っております。それをやらなければほかに解決策はないと私は思いますので、その点はいろいろ従来失敗した例がございますけれども、何回でもやりましてやり遂げたいと思っております。  それから公共事業吸収率をどのくらい上げるかというお話でありますが、これは今検討中でございまして、また成案を得ましてから申し上げたいと思います。
  20. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 各省協力が十分得られなくて、思うように吸収率がふえていない、こういうことは、私は実情としてそういう点があろうと思うのです。そこで労働省としては各省協力を願う願うといっても、実際上なかなか困難である、こういう実情ですから、私はもう少し労働省でたとえば特別失対のごときも労働省ワクをとって、労働省で使うという決意がなければ、なかなか困難ではなかろうかと思うのです。そこで今年度特別失対の問題でも、建設省との話し合いで事業が進められており、建設省の所管の予算に移しかえられておりますけれども建設省に移したために、工事がきわめて遅延しておる、こういう実情に接するわけです。たとえばわれわれが八月に予算を決定いたしましたときは、九月ごろからでもこれが実施されるものだと期待しておったわけです。ところが十二月になってもまだできない、こういうようなところすらある。ところすらあるのではなくて、こういうところが多いのではなかろうかと考えるわけです。筑豊の方に非常に失業者が多くて因っておる。そういうところですから、予算が通過して四ヵ月にもなってまだ実施ができていない。こういうことでは思うような失業対策吸収ができないのではなかろうか、かように考えるわけですが、なぜこの特別失事業というのは遅延をしたのか。さらに政府の発表されておりますところによると、来年度はなお特別失対のワクを大幅に拡大したいということでありますが、その特別失対は今まで通り労働省予算をとられて、建設省に移管されるものであるかどうか、あるいは運輸省に移管されるものであるかどうか、あくまで労働省でおやりになる事業であるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  21. 江下孝

    江下政府委員 本年度特別失事業が非常に遅延いたしました点については、私どももまことに申しわけなく思っております。実はこの特別失事業につきましては御承知通り労働省予算に当初計上いたしまして、それを建設省に移しかえて使うわけでございます。ところがこういう形式の予算はことし実は初めてでございましたので、私ども相当移しかえについての技術的な問題にひっかかりまして、両省の意見が一致しないために、おくれたわけでございまして、その一致しない点の大きな問題は二つございます。一つ実施地域をどこにするかという問題でございます。御承知と思いますが、あの本年度予算の三十五億のうち二十億程度は、例のガソリン税の財源を見返りとするということになっておりますので、道路整備五カ年計画事業しか行えないわけでございます。そうしますと、必ずしも失業者発生する地帯と密着しない、こういうことが出てくるわけでございます。私どもはできるだけその道路整備計画に沿い、失業者発生する地帯にこの特別失事業をやってもらうようにということで、折衝いたしたのでありますが、建設省としては既定の計画があるということで、なかなか折り合わなかったということが一つ。いま一つは、事業実施地帯において請負に出すか出さないかという問題でございます。労働省としましては、かねて当委員会でも要望がございましたので、これは失対事業直営原則であるから、全部直営ということで強く主張いたしました。ところが実は実施時期がおくれた、それから相当な予算が要るという二つ理由で、建設省請負もやらざるを得ないのじゃないかということを主張いたしました。結局のところは、原則として直営にするということで妥結をいたしました。この点が一番大きな二つの争点であったわけでございます。しかしながら現在におきましては、両省の間ではその点については一応解決をいたしておると私は考えておりますので、来年度におきましてはこの形の予算をもって折衝したいというふうに考えております。
  22. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この実施地帯の問題で、実際失業者発生しておる地帯工事とがそぐわない点が出てきた、こういうことでありますと、これは特別失事業にはならない。私は事実かどうか知りませんが、朝日新聞の地方行政のメモというところに、山形県では特別失事業を始めたけれども、人が集まらないと書いてある。そういうことになりますと、何のための特別失事業か。特別失事業ワクをくれくれというところは相当多いと思う。そういう地帯でやらないで、失業者のおらないようなところにやって、労働者が集まらない。そういう政策が行われておるということは、私ははなはだ遺憾であると考えるわけです。一体その点はどういうようになっておるか、お聞かせ願いたい。
  23. 江下孝

    江下政府委員 先ほど申し上げましたように、ガソリン税の関係で相当問題がございました。しかし失業者の全然いないようなところで特別失事業をやったことはございません。これは絶対にございません。おそらく山形県の例は、安定所に登録した失業者特別失事業に何らかの理由をもって行かないということを言ったのではないかと思います。私ども安定所の登録労働者は全部調べまして、特別失対適格者の数をはじき、その数の範囲内で必ずその地方々々に特別失事業をやることにしておりますので、そういうことは私はないと思います。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 何らかの理由労働者の行かないという事情も知っております。しかし今お話が出ましたが、山形県はそういう実情でなくて、——労働者の全然いないところなどは日本にはない。それは労働者はいたでしょうけれども、それに相当するだけの労働者がいなかったことは事実であろうと思う。そういう地域には特別失事業ワクをやらないで、やはりこの特別失事業の目的に沿うような地帯に行わるべきである、かように考えるわけであります。この点についても労働省としては今度特別失事業ワクをとられるならば、労働省でかなりの発言権を持って、そして実施個所の指定をするということでなければ、せっかく特別失事業と銘打っても、一般公共事業と何ら変りがない。こういうことでははなはだ困ると考えるのでありまして、この点大臣にも今後申しますが、局長も十分留意していただきたい、かように考えるわけであります。そこで特別失事業がおくれたために、一般ワクを食っておるという例がかなりあるわけであります。すなわち従来緊急失業対策事業をやっておりましてそれを打ち切られて、そうして今度は特別失対に移り変るというので待っておりました。ところが特別失事業が非常に遅延した。そこで結局その労働者一般失対に帰らざるを得なくなった、こういうところがかなり多いのであります。今話がありましたように、労働者の中でも特別失対に行かないという労働者がかなり多い。そうして特別失事業に行く人に対しては何か反階級的なような顔をして、そういう眼をもって見る、こういう事実もあるわけです。そこでせっかく特別失事業に行って一生懸命に働いておった連中が、今度は一般の失対事業に帰らざるを得ない、それ見たことかというような感じを受けて非常にうまくいかない、こういう場所がかなりあるわけであります。こういうように、少くとも緊急失対事業が発足し、それが特別失事業になったのですから、間断なくそういう事業は続けていただきたい。断続されるということは、私は一番意欲ある労働者をして特別失対に行かないというような実情に追いやると思うのです。そこで、特別失事業が遅延したために一般失対事業ワクを食ったというような市町村に対してはどういう処置をされるのか、これを一つお聞かせ願いたい。たとえば一般失対のワクを優先的に拡大するのかどうか、こういう点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  25. 江下孝

    江下政府委員 特別失事業がおくれましたためにその地方に一般失対事業以外に失業者吸収方法がない場合におきましては、もちろん一般失対事業ワクを拡大するわけであります。そういうふうに処置しておるわけでございますが、ちょっと今御質問の要旨が私わかりかねましたのでもう一度お願いいたします。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 特別失事業がこなかったために一般失対のワクをかなり食った、そういう市町村については一般の失対を第四・四半期には増加する、こういうような処置ができておるかどうかということを聞いておるのです。
  27. 江下孝

    江下政府委員 それはちょっと困難じゃないかと思います。と申しますのは、私の方は一般失対と特別失対は一体として運営しているわけでございます。従って一般失対が上期においてたくさんふえた場合には、一般失対のワクがそれだけ減っておるわけです。そのかわり特別失対のワクは残っておるわけですから、特別失対を下期に大々的に実施して、そうして吸収人員はパーにする、そういう考え方であります。しかしこれは全国の総数についてそう申し上げられるので、各地域地域になりますと、またおのおの特別失対ができないような地域もございますので、そういうところは一般失対をふやすということは当然であります。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 地域の話をしておるわけであります。予算をあなたの方で変えるということはできませんから、地域の話をしておるわけですが、そういう個所にはやはり一般失対をふやす、こういうことで了承していいわけですか。
  29. 江下孝

    江下政府委員 要吸収人員が従来やっておった一般失対、特別失事業吸収できないという場合には、特別失対か一般失対でさらにこれを吸収させるわけです。そこでこれは各地域ごとに実情を見ないと、必ずしも一般失対の方をふやすということにはならないと思います。特別失対がたまたま第四・四半期から大々的に行われるという場合には、特別失体で間に合うという場合もありますので、これは抽象的に申し上げることはちょっと困難だと思います。
  30. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は先ほど提案いたしました緊急失業対策事業補助率を改訂する問題でございますが、これは御案内のように各市町村から陳情が参っておると思います。昨日実は衆議院の予算委員会ではわれわれの案が否決になりましたから、この第四・四半期についてはもういかんともしがたい情勢になっておるわけです。そこでわれわれの案が通るという可能性はこの第四・四半期についてはありませんから、政府としては、実際市町村ではもうやっていけない、こういう情勢にあるわけですから、一体どういうような御処置をなさるおつもりであるのか。たとえば地方交付税で失業対策事業へどのくらい見るのか、あるいはまた起債をどのくらいふやしてやるのか、そういう点について労働省はどういうようなお考えであるか、お聞かせ願いたい。
  31. 江下孝

    江下政府委員 第四・四半期の今回行われます特別交付税の交付につきまして、目下特に必要と認められる市町村を選びまして自治庁と具体的に折衝中でございます。できるだけそういう市町村に対しては交付税を特別に考えるようにということで折衝いたし、ております。起債の面についても同様でございます。今度の四半期につきましては、この特別交付税の調整によって何とか私どもとしては切り抜けたいと思っております。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 基準財政収入額というのがありまして、測定単位によってそれを見込むことになっておりますが、これは県におきましては失業者一人当り四千二百二十一円、それから市におきましては六千八百七十五円、こういう単価が出ておるわけです。それでこれは一体どういう算出基礎で出されておるというように労働省では御判断になっておるのか。これは自治庁の関係でございますけれども労働省で、主管の局でありますからこういうことについては十分おわかりであろうと思いますので、一つお聞かせ願いたいと思います。
  33. 江下孝

    江下政府委員 この数字の基礎についてはもちろん私どももよく承知いたしております。ただ、どういう基礎でこれをはじいておるかというこまかい資料は今手には持っておりませんので、その点については説明はできませんが、私どもは絶えずこの点については承知をしております。そこで問題は、この一人当りの失業者の基準財政需要額が高いか低いかということで交付税もきまるわけでございますが、それについても現在自治庁と折衝をいたしております。特に財政困難な市町村につきましては、そういう点について従来の自治庁の見方が非常に甘いということになっておりますので、その点について折衝をいたしております。
  34. 滝井義高

    ○滝井委員 さいぜん多賀谷委員の、特別失事業が非常に遅延をしておるのだという質問の中で、問題点として、ガソリン税のひもつきのために、三十五億の特別失対の中で二十億ばかりは道路整備五カ年計画に回さなければならぬ、それから同時に予算の関係でどうも請負にしなければならぬ、公共事業に全面的に失業者吸収するわけにはいかぬというような理由を述べられましたが、問題は私は、それは現象的に現われた問題であって、大体特別失事業の基本的な考え方をどうするか、この点にあるのだと思うのです。これが労働省では端的に、失業者ができたので主管省としてこれを吸収しなければならぬという考え方に立つだろうし、建設省事業効果をねらって、事業効果をどうするかということだと思うのです。現在日本の失業対策に対する考え方というのはやはり私はこの基本的な二つ考え方が統一されていないところにあるのではないかと思うのです。将来失業対策というものを雇用政策に切りかえていくとするならば、これは当然ある程度事業効果というものが加味されてこなければ、とうていあなた方の言われるような長期的な雇用政策というものは私は出てこないと思うのです。こういう点から考えて、現在の失業対策の問題はきのうも問題になったのですが、大きな日本の社会保険の問題というものは、厚生省の保険局という一局の問題としてやっているところに問題がある、第三次鳩山内閣全体の問題としてやれないところに問題があるのだという論が出たのですが、それと同じことが失業対策にも言えるのです。職業安定局一局の問題としてではなくて、当然これは自治庁も大蔵省も建設省一体になって、鳩山内閣全体の政策としてこれを打ち出していくという形がとられていないところに現在の失業対策の根本問題があると思うのです。三十一年度予算編成期になっているのですが、大体失業対策あるいは特別失業対策というものをどういう工合に考えるのか、本質的に考えていくのか、依然として労働省失業対策的に考えていくのか。今多賀谷さんが指摘されたように、雇用政策としてやっていくということになると、少し考えが違ってこなければならないと思うのですが、その点本質的な考え方をまず述べていただきたい。
  35. 江下孝

    江下政府委員 御承知通り失業者と申しましても、これは労働力調査によって数字的に月七十万ということが一応言われております。ところが現実にこれが顕現して参ります場合は、安定所の窓口に出てくるわけです。そうしますと、政府といたしましては昔のような動員とか、あるいは配置規制ということを現在やっておりません建前上、安定所の窓口に出て参りますものを対象にして策を考える以外にはないわけでございます。今やっております失業対策というものは、安定所の窓口に出てきて、ほかに行くところのない人たちを救済するための事業失業対策事業でございます。全般の雇用量増加ということは、公共事業その他一般産業の振興によって期待できるわけでございます。  ところで私ども考えますのは、現在一般的にいって、公共事業なり産業規模の拡大というような面からもう少し雇用量を増大するということがどうしても必要である、これについては労働省一省だけではどうにもならない問題でございますので、建設省、農林省、通産省とも今後連絡を緊密にしまして、雇用量の絶対の増加ということを考えていかなければならぬと思います。  それから当面の問題として、こういう安定所の窓口に出ます失業者、つまり行くところのない人たちに対してどうするかという点については、今まで失業対策事業実施しておったのでございます。ところが失業対策事業は、当初これが発足いたしましたときは、社会救済的な考え方が非常に強くて、極端にいうと、そう働かなくても金をくれてやるというような感じの事業で発足をいたしております。緊急失対法の中をごらんになるとおわかりになりますように、すぐ改廃ができるような事業を選べとか、できるだけ簡易な事業を選べというふうに失業対策事業はなっておるわけでございます。そこでこの形で今まで失業対策事業をやっていましたところが、若い人も年寄りも女もみな一般の失対事業の中に入り込んで、大した仕事をしないのに金をもらっておるという非難が一方において出て参る、また女子や老人と一緒に働きますと、若い人もその方にしわ寄せされて働かなくなる、賃金一般賃金より安いわけでございますので、これらが相待って失業対策事業の低能率ということになり、これが国に全額補助してもらわないとやれないということになった根本的の原因だろうと思います。それではこれらを今後どうするかということで、来年度予算の編成について考えたのでございますが。現在考えておりますことの大要を申し上げますと、まずもう少し失業対策事業も建設的な効果の上るものに切りかえていくということであります。本年度から新たに特別失事業実施しましたのはそういう趣旨でございます。  そこで来年度から特にこの特別失事業増加いたしまして、安定所に登録しておりますものでも、労働能力の高いものは全部特別失事業に持っていく。しかしこれはあくまでも事業効果を上げなければならないという建前にいたしておりますので、相当予算を食うわけでございます。しかし雇用政策上どうしても特別失事業に最重点を置いて参る。  それから一般失業対策事業でございますが、これは今のように老いも若きも、男も女もみな一体で働いておるということでは困りますので、来年度予算におきまして、私どもはこの一般失対事業をできれば二つに分けたいと考えております。すなわち簡易な失対事業を特別にいたしまして、これらの事業に女子あるいは老齢者を吸収させるという形にして、そのほかの一般の失対事業にするという考え方予算を編成したいと思っております。  今いろいろ御質問がありましたが、現在考えております私ども考え方を申し上げた次第であります。
  36. 滝井義高

    ○滝井委員 きわめて本質的な御答弁をいただいたのですが、経済六カ年計画等を見ましても、現在の日本で、経済審議庁が考えているほど第二次産業と申しますか、こういうものはそう雇用率というものはふえないのではないかという感じがしてならないのです。というのは、経済審議庁あたりでは年々五%も国民の総生産が上っていくんだという見方をしておりますが、戦前でさえも四%しか上っていない。しかも現在労働力人口というのは八十一万から百万くらいふえてきている。こういう中で第二次産業に膨大なものを十分に吸収することはできません。しかもここ二、三年の状態を見てもほとんど職についたというのは女子労働がふえてきているわけです。なるべく賃金の安い女子労働というものがふえてきているというのが実態なんです。そうしますと、安い女子あるいは年少労働というものを使ってくる形でありまして、第一次産業の農林業というものは過剰である。現実にこの数年来ふえてきているのは、第三次産業の商業部門あるいはサービス部門なんです。日本の産業の均衡の上からいったら、非常に労働力人口の均衡性というものが消費的、奢侈的な産業構成にだんだん傾く傾向が出てきているということなんです。そうしますと、今後の雇用をふやすところの面というものはどこかというと、第二次産業の大企業というものが企業合理化によって輸出を促進しなければならぬ。日本の輸出貿易というものは昭和二十九年の十六億くらいのものが少くとも二十五億か二十六億ドルというようなものに五カ年計画の終期にはなっていくのでありますが、これは大産業企業合理化、人員整理を通じて行なっていく、いわゆるオートメーション化というようなもので雇用力というものはだんだん少くなってくる。そうなると雇用力の出てくるのは商業部門か中小企業以外にはないわけです。そうすると昨年から今年にかけての自由労務者の登録人員の増加というものは七万から八万になっている。こういうものをどんどん吸収していく長期的な失業対策事業というものが日本に現実にあるかというと、どうも能率を上げるようなものはない。たとえば出てくる失業者というのは炭鉱労働者、あるいは綿業、あるいは駐留軍というような非常に特殊な労働形態を持っておったところの労働者が出てくるのです。そういうものを今度は港湾とか、住宅の建設、上下水道、都市計画というような比較的技術を要するものに再編成をしていくというのは非常に困難性が伴ってくるわけです。しかも年少労働、婦人労働の増加してくるという傾向、こういうものをやはり十分に整理していくということになると、当然社会保障政策というものを老人や婦人層に対してぐっと打ち出していくという政策がなければならぬし、中小企業における雇用の増大をはかっていく政策というもの、中小企業対策が出てこなければならぬ。一方同時に長期的な、今までの失業対策ニコヨン的な、一時的な失業対策でないものが出て、この三つの政策というものがうまくコンビネーションされた政策をやる以外にはないと思うのです。そういう点でどうもこれは一安定局だけの問題としてでなく、今局長さんが述べられたような点をもっとクローズ・アップしてやる以外にはないじゃないかと思うのです。たとえば具体的にそれを見て参りますと、鉱害復旧の失業者吸収率、たとえば九州の炭鉱地帯における失業対策というものは、鉱害復旧でやらなければならぬということが失業対策事業で一番先に取り上げられたものなんです。ところがことし四月から九月までの実情を見ると、目標のわずか一割しかいっていない。一日一万人吸収するのだといって笛や太鼓で政府は炭鉱地帯失業対策事業をやるのだと打ち出したが、調べてみると九月までに一万人が、一月わずか千人しか吸収されていない。もちろんこれは予算の確定が、暫定予算等があっておくれたということもあります。あるいはちょうど五月、六月の農繁期にかかったという理由もありますが、しかし予算はとったが実際にその仕事が行われてないという実態になってしまったのですから、こういう点、今の鉱害の問題とも関連して、もう少しはっきりとした局長さんの方の政策を全体にやる心構えと申しますか、そういうものをちょっと御説明願いたいと思うのです。
  37. 江下孝

    江下政府委員 非常に有益なお話を承わりました。私どもは非常に同感する点が多いわけでございます。特に一般・失対事業について、これはいつも私申しておりますが、問題になりますのは、全体として一般失対事業労働者が四十五万おります。そのうち四十才以上は六割を占めておる。それから女子が全体の四割を占めておる。問題は若い人の問題もございますが、むしろ老齢者なり、婦人であって一家の主たる家計の担当者になっておる人が今適職がない、あるいは生活に困っておるということではないかと思います。この面におきましては、労働省としての施策、すなわち失業対策事業だけでの吸収面では限度があることを認めざるを得ないわけでございます。来年度簡易失業対策というようなことも考えてみたいと思いますが、これのみをもってしては困難でございます。この点はお話通り、もう少し厚生省とも相談しまして、社会保障の面を強化していくという必要があることは私も承知しております。先ほどお話にありました六カ年計画で第二次産業にはほとんど入るのじゃ、ないかというお話でございましたが、まだ政府が正式に決定した六カ年計画ではございませんが、一応答申になりました計画によりますと、産業の総生産高は、年率約五%でふえていくということでございます。年率五%でふえていくと六カ年のうちに約三〇%ふえるわけでございます。そのうち鉱工業等では約三%が生産性の向上、能率向上によってこれをカバーする。そうしますと残りの二%が労力に待つ、こうなるわけであります。決して全部能率向上によるという計画には相なっておりませんので、その点については若干雇用量増加ということも期待できるわけでございます。しかしながらもちろんこの今の日本の経済の実態からいたしまして、また雇用実情からいたしまして、この六カ年で、伝えられますように完全雇用実施するということは、私は非常に困難であろうと思います。さらに不完全就業者の問題までもこれでカバーできるというようには私ども考えておりません。おりませんが、これは日本の現在の苦しい実情でございますので、この六カ年計画をさらにまた将来推し進めていくということで、日本の雇用体制をだんだん完全雇用の方角に持っていくということより方法はないのではないかというふうに考えております。     〔中川委員長代理退席、委員長着席]
  38. 佐々木秀世

  39. 田中稔男

    田中(稔)委員 たった一問簡単に財政課長にお尋ねいたします。私の選挙区に大牟田市という町がありますが、これは今日呉市と並んで非常に失業状態の深刻な町であります。労働都市大牟田でなく、失業都市大牟田という言葉があるくらいであります。これは御承知のごとく炭鉱及び関連重要工業が事業不振であり、さらにまた合理化近代化が進められておる結果でもあります。先ほどまで大牟田の市長も心配してここに傍聴に来ておりましたが、私どもが提案しております緊急失業対策法の一部修正法律案が幸いに成立いたしますならば、問題は立ちどころに解決するのでありますが、それがうまくいかなかった場合のことを考えてお尋ねしたい。大牟田市の方では特別交付金も一つ考えていただきたいが、とりあえず、この失業対策事業のために、市の起債額を五千九百二十万円程度考えてもらいたいとかねて自治庁当局にお願いしておるのです。昨年これは二千八百万円ばかり認められたのでありますが、何でも聞くところによりますと、ことしは昨年よりも減額されるような情勢にあるということで、市長は非常に心配しておるのであります。今日は登録者数が四千六百に達しておる状態であります。この失業対策事業のために市の負担が多くて赤字財政の状態になっておるので、非常に今困っておりますが、自治庁当局、特に財政方面を担当されております課長として、この市の深刻なる要望にどういうふうにお答えになるつもりであるかということをこの際はっきり承わっておきたいと思います。
  40. 柴田護

    ○柴田説明員 地方債の問題は実は私の所管外でありますけれども、結局地方団体の財政を中央でめんどうをみていきます場合には、地方債の配分、交付税の配分、両方を通じましてこれをいろいろみて参るわけであります。具体的に大牟田市の起債額がどうなっておるかというお尋ねにつきましては、従いまして、私がここからお答え申し上げることは実はできないのでございますが、失業対策事業費の地方債の配分につきましては、公共事業費の地方債の中に一緒にして配分をいたしております。これは公共事業費の中に一緒に入れまして、総ワクで配りまして、その総ワクの中で、失業対策事業費なりあるいはほかの事業費なりにどれをどの程度入れるかということは、原則として地方団体の自由判断にゆだねておるわけであります。その結果、あとで出て参りましたものを、割り振ったものにつきまして検収をいたしますけれども、これは大体地方団体の意思を尊重していくという建前に立って事務を行なっております。特別交付税あるいは一般交付税を通じましての問題といたしましては、御承知のように失業対策事業費なりあるいは生活保護費、こういった社会労働関係の経費の見方が従来の単位費用の中では必ずしも十分でなかったのでありますが、ただこれは算定事務が客観的な計数に基きまして算定いたしますために、個々の団体にとってみます場合におきましては、必ずしも理想に合った計数、現実に合った計数が出てこないのであります。そこでその辺のところも頭に置きながら、単位費用というものをきめておるわけでございますが、今回百六十億円の地方財政特別交付金という金が地方団体に配られることになりました。その計算をいたします場合に、普通今までの地方交付税千三百七十四億、それからたばこ専売特別地方配付金四十四億七千二百万円、これと百六十億円を全部突っ込みにいたしまして、総額について交付税の計算をするわけでございます。そのときに使います単位費用につきましては、失業対策事業費につきましては単位費用を計算いたします場合の失業者吸収率というものをあげております。こういう観点から、今基準財政需要額の再算定をやるわけでございますが、そうしますと失業者が多くて困っておる地方団体については、基準財政需要額と基準財政収入額の差額が出て参る。言いかえますれば交付金額がそういう形において出てくる。従ってそういう市町村にはそういう市町村なりに百六十億円の部分がいくということになろうかと思います。しかしながら先ほど来申し上げておりますように、個々の団体につきまして画一的な計算の方法をもつで計算いたします結果、必ずしも現実事業費なりあるいは事業費の地元負担分というものと一致して参りません。その部分につきましては、従来から特別交付税を配分いたします場合においてはその部分を手厚く見まして、但し総額に限りがございますので制約はございますけれども、特別交付税におきましてその間の調整をとっておる次第でございます。
  41. 田中稔男

    田中(稔)委員 御所管が違うそうですから、起債の件はまたあらためてお尋ねいたしますが、特別交付税の交付金の問題であります。これは何かお話を聞いておりますと、一律に扱うので必ずしも現実の事態に適合しないという点でございますが、大牟田の場合は非常に深刻な問題であります。毎日現金支出をしなければならない。特に全国でも深刻なこの大牟田市のために、今後御所管の事項について一つ御努力を願いますよう要望しておきます。
  42. 佐々木秀世

    佐々木委員長 中山君。
  43. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 私ここですわっていろいろのお話を聞いておりまして少し心配になりますので、労働省の今後のお見通しを聞きたいと思うのでありますが、今ですらこういうような失業者が非常に多く、ことにまた私が知っておる範囲内におきましては、片親のない人たちは、学校を出ましてもなかなか就職ができない。それはことに銀行などでは、たとい試験は通っても面接でもってなかなか雇ってくれないというような、まことに深刻なお話をここで伺っておるのでございますが、近ごろいわゆる原子力の平和利用というようなことが盛んに言われておりまする今日、もし原子力が入ってくるような時代になりましたならば、労働省のお見通しとして、現状の日本でどれだけの失業者が出るとお考えになっていらっしゃいますでしょうか。これは突拍子もないことでございましょうけれども、今日百五十万だとか二百万だとかいう数字を聞いておりまして、いわゆる文明が進めば進むほど失業というものが多くなってくる。人力によらずに機械力、あるいはいろいろなものでやっておりますが、労働省はこれに対して遠謀深慮がおありになるのかどうか。その点を一つ参考のために聞かしていただきたいと思います。
  44. 江下孝

    江下政府委員 実はせっかくのお尋ねでございますが、まだ私原子力と雇用の問題につきまして十分承知いたしておりませんので、それにつきましてはまた時期をかしていただきたいのであります。
  45. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 それでは宿題として残しておきますが、外国で、たとえばアメリカだとかあるいはソ連だとかほかの国でそういうものを利用しておるといたしますれば、その労働者失業する程度というものはどんなものでございますか。まだ日本には来てないのですからお見通しをおつけになっていらっしゃらないのも御無理ないと思いますけれども、外国の例としてどういうふうな状態になっておるか、またなっていくかというところをちょっと一つお聞かせ願いたい。この次の機会でもけっこうでございます。
  46. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 自治庁にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど地方交付税算定のお話がありました。そこで基準財政需要額に見込まれておる失業者一人当りの単価が出ておるわけです。県におきましては四千二百二十一円、市におきましては六千八百七十五円、こういう単価が出ておる。私はこれは非常に不当に低いのではなかろうかと考えるわけです。それで一体これはどういう算出の基礎があるのか、これをまずお尋ねいたしたい。
  47. 柴田護

    ○柴田説明員 お尋ねの点は、失業者数を測定単位にしております部分ではないかと想定をいたしますが、これは都市で申し上げますと、大体人口百七十万の府県というものを標準団体として想定をいたしておるわけでございます。これに対しまして失業者数を五千七百人、失業者数に対する失対事業による吸収人員を六百人というふうに想定をいたしまして、それによりまして事業費総額を出して参りますと、事業費総額は、標準団体におきますものは大体六千四百万円くらいになります。それから国庫支出金を四千万円、これを控除しました二千四百万円というものにつきまして、これを測定単位で割って出しておるわけでございます。但しこれは現行法の交付税のものでございまして、今回の特別措置法によりまして、この失業者吸収率を八百人に上げております。それから市につきましても同じような計算をしておるわけでございますが、市町村につきましては、標準団体におきまする失業者の人員を七百人—これは人口十万人の市でありますが、そのうち吸収人員を百二十人と考えております。この百二十人を考えまして、同じような形式の計算をいたしておるわけでございます。もう少し具体的に申し上げますならば、事業費総額を千二百万円、それから国庫支出金八百万円を引きました一般財源四百八十万円について、それを測定単位で割りまして出しておるわけでございます。これも今回の特別措置法によりまして同じように吸収率を上げておりまして、これは百二十人という吸収人員を百六十人に引き上げております。
  48. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今まで地方交付税で見ておる、見ておるという話でありまして、見ておってどうして地方財政を圧迫するかと思っておりましたが、手品の種はここにあったことがはっきりわかりました。大体県にしましても、今お話しのように、少くとも五千七百人おるのを、失対の救済人員に出てくるのは六百人であろう、こういうように見られておる。ここに私は非常に問題があると思う。あるいは今度は八百人になるということになりましても、失業者に対する吸収対象になる人員が一四%ということになりますけれども、実際の状態はそれ以上である。問題の市にいたしましても、今までが一七%程度でありますが、それが少し上るようでございますけれども、実際は、たとえば私が具体的に調査をいたしたものによりましても、非常に高い率を示しておるわけです。一〇〇%以上出ておる特殊なところもございますけれども、八〇%あるいは五〇%、こういうような市は幾多もあるわけであります。そこでそういう市町村は、結局単価が非常に安く、そして一人労働者吸収するための費用がだんだん市の財政を圧迫しておる、こういう実情になっておるわけであります。私はこの点をもう少し考えられる必要があるのではなかろうかと思います。  そこで私たちはここに法律案を作っておるわけでありますが、われわれの法律案によって基準財政収入額事業費の割合を各町村において調べましたところが、もう平均の率以上に、二倍も三倍もの都市が相当多い、こういう実情でございます。ですから私は、こういう市町村は、失対のその財政上の圧迫によって、一般財政は非常に窮迫しておる、かように考えるわけです。また失対の事業の遂行を見ましても、実際は日雇い登録者自身を制限しておる。登録させないのです。なぜさせないかといえば、登録をさせると仕事をさせなければならぬ、仕事をさせると、現在おる労働者の就労率が悪い。そこで安定所の方は登録を押えておる、こういう実情でございます。大牟田あたりの積極的にやっておる都市でありましても、ニヵ月は押えておる。書類が来たら、それは必ず登録させなければならぬのですけれども、二カ月ほうっておる。そうしなければやっていけない、こういう状態です。はなはだしきは、飯塚あたりでは、五百名からの登録者が押えられておる。こういう実情を知っておるわけでありますが、あなたの方の地方交付税は、一四%にいたしましても、あるいは市の何%くらいになりますか、一九%にいたしましても、大体どの程度の平均率を出されておるのか、一体この八百名というのはどういう根拠になっておるのか、これをお聞かせ願いたい。
  49. 柴田護

    ○柴田説明員 大体は全国平均的なものを基礎にして単位費用をはじいております。ただ御議論を伺っておりますと、私は若干誤解があるのじゃないかと思うのでございます。それは、ただいま申し上げました計算の中には、地方債を特定財源として落してはおりません。従来は、失業対策事業は地方債を財源として無条件につけて参ったのであります。言いかえますならば、交付税の計算をいたします場合には、地方債の元利償還金だけを見ればよろしい、こういう理屈が立つわけでございます。これもよけいなことかもしれませんけれども、私たちは実は地方債を失業対策事業費につけることは気が進まないのであります。もしこの交付税の単位費用を妥当な形に直していくとするならば、地方債を失業対策事業費につけることはやめなければならない。相関関係に立って考えていかなければならない。むしろ私たちは理想としてはその方が望ましいと考えております。事業の種類によってもちろん違いますけれども、理想としては、今の普通失業対策事業費の中には、むしろ地方債をつけるのをやめて交付税で見るべきものの方が多いのじゃないかという感じを私たちは実は常日ごろ持っておる。先ほど御質問の交付税の算定の基礎になっておる、単位費用の積算基礎になっておる規模というのは、常々申しますように、大体全国の平均をとってそれを基礎にしておるわけでございますが、ただそのとりましたときの基準は、正直に申し上げまして若干古い。それを最近のデータをとりまして漸次直しておりますけれども、必ずしも十分でないことは、私たち十分承知しております。しかしながらこの測定単位が失業者数でございますので、失業者がありましても、失業対策事業を公共団体がやる必要のないところもあるわけでございます。従って失業者数を測定単位といたします以上は、これをあまりに上げますと、よけいなところに、失業対策事業をやっておらぬところに金がいくという結果になるおそれもある。それやこれやを考えますと、私は現在の単位費用の計算の基礎はそうおかしいものではないと思う。おっしゃるような、大牟田とか、それからここの近くで申しますならば岡谷とか、こういう失業者が非常に群集しておるところにつきましては、従来から特別交付税の計算の場合に、特殊のそういうところだけをピック・アップしまして特に手厚く見ておるわけでございます。これは普通公共団体の場合は全部機械計算でありますが、特別交付税の計算をいたします場合には、機械計算と申しましても、特殊なものについてだけの機械計算ということも考えられますので、なるべく実情に合ったように考えていっておるわけであります。ただ総額に限界があります。従いまして、その面におきまして百パーセントというわけには参っておりません。
  50. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 地債で見ておるではないかというお話でありますが、この失業対策事業の市町村負担分と労力費あるいは事務費資材費負担分と法律上いいますか行政上の負担分だけでも足らない。ましてや実情はこれ以上出ておることは御存じの通りであります。用地費とかその他というのを除きましても、資材費の不足、事務費の不足だけでも超過負担額として相当追加をしておるのであります。ですから本来これをまるまるもらいましても、この資材費は御存じのように四十五円を頭打ちとしてその三分の一がいっておるのですが、実際四十五円で何ができるか。しかも実際は四十五円はほとんどの市町村にいっていない。ほとんどは三十円を単位とし、四十円を単位とするのが実情でございます。これも追加分が要る。さらにまた事務費等の不足が要る。ですから用地その他の仕事を見つけるということになりますとさらに莫大な費用が要って、実際は市町村の負担分は二分の一であると大体言われております。二分の一も負担をしておる。ですから本来まるまるもらいましても、町村が負担をしなければならぬ分が出てきておる。しかもまるまるもらっていない、こういう実情であります。今あなたの方は大体失業者数を算定の基礎にしておるけれども失業者数を算定の基礎に置いておることに対するかなりのあなたの方からの批判が出ておる。すなわち失業者数があっても実際は失対を行なっていないのじゃないか、こういうようなお話もある。そこでそれならこの算定の基礎自体がおかしいじゃないか、自治庁はそんなおかしな算定の基礎を法律に明記してあるけれども、すみやかに法律を改正すべきだ、私はこういうように主張したい。実際は町村によっては失業者がおる。ほとんどそれが登録労働者になっておるという町村もある。失業者はおるけれども、それが失対事業に現われていない町村も確かにある。ですから失業者数ということでこれらを取り扱うこと自体がきわめておかしなものになっている、こういうふうに判断せざるを得ないのであります。また失業者というのは一体どういうものであるか。失業者というのはどういう定義のものであるか、こういう点についても範疇がいろいろあって、これがなかなか困難であろう。ですからもう少し的確につかみ得るものを測定単位にしてもらいたい。自治庁はどういうようにお考えであるか。あなたの方の政策の悪いのを提供されても困るわけです。
  51. 柴田護

    ○柴田説明員 私たちの方から申し上げますと逆でありまして、国庫補助事業の悪いところの補強というものを交付税でしなければならぬということはおかしいじゃないかという反論も立つわけでございます。さようなことを私たちは申し上げておるわけでございませんで、失業者数以外のものがあれば私たちは喜んでとりたいのでありますけれども、ほかに適当なものがないのであります。従いまして交付税はもちろん一般財源でございますので、一般財源でどの程度国が補償すべきか、国が地方団体に最小限度の行政を行いますに要する財源をいかに補償すべきかということになりますと、現状においてはこういう測定単位ごとにこういう方法で算定する以外にないのではないかということであります。先ほど来いろいろお話がございました現に資材の単価の低いことについても、十分に承知しております。補助率等につきましても問題があることは私ども一番よく承知しているつもりでございます。すでに大蔵省にも労働省にも訂正方を常にお願いしておるわけでありまして、私たちは十分承知しておるつもりでありますが、ただ国家財政の都合もございまして、なかなかその辺で十分に解決しきれておらないというのが現状でございます。この単位表によりましてはじきました基準財政需要額というものが、現実失業対策事業費の地方費負担分というものと完全にマッチするものであるとはもちろん私たち考えておりません。また完全にマッチすべきものでないのであって、これは当りまえであります。失業対策事業費と申しましても、国庫補助金だけではございませんし、単独に府県のものもございましょう。これらのことを頭に考えて参りますと、必ずしも公共事業費の地方負担とマッチしなくてもいいものだと私たちは考えております。ただ先ほど来のお尋ねのように、いろいろあまりにも大きな開きがあって困っておられるところ、こういうところにつきましては、特別交付税の配分の際に十分考えて参ったつもりでございます。また今後も考えていくつもりでございます。
  52. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 先ほど測定単位というのがどうもいい名案がない、こういうお話でありましたが、私はたとえば登録労働者というものあるいはそれが市町村に在住する登録労働者、こういうようなものもこれは一つの基準ではないかと思うのであります。これはよい悪いは別としましても、必ずしもある都市に登録しておる労働者がその都市の行政区画に在住していない、こういう点もある。ですから非常にむずかしいのでありますけれども、私はもう少し実情に沿うた取り方があるのではないか、と申しますのは、失業者になれば必ず日雇いにならなければ仕事がないという都市もあると思う。それかといって失業者であるけれども、そういうところに行かなくとも、どこに消えたかわからないが、失業者がおるけれども日雇いには現われてこないという都市もある。ですからこの点な十分調査していただいて、労働省と積極的に打ち合せていただけばもう少しよい測定単位というものがとれるのではないか、かように考えるわけであります。しかし現実には今特別交付税のワクで見てやるというお話でありますけれども、これはあまりにも金額が少いし、またオーバーする金額があまりにも多い、しかも失業対策事業を多くやらなければならない町村は財政も悪いし、またそれだけでは済みません。これは生活保護の問題もあるでしょうし、あるいはまたいろいろな費用が要る。こういう実情にあるわけです。ですから私はもう少し自治庁の方でよい名案の測定単位を出していただいて実情に沿い、そうして十分市町村としてはそれによって潤うような政策考えていただきたい。かように考えるわけであります。そこでとりあえず四・四半期でありますが、これは八百人、市におきましては百六十人くらいの程度で間に合うかどうかという点、これを重ねてお伺いいたします。
  53. 柴田護

    ○柴田説明員 具体的にその市にどれくらいの公共事業があり、また継ぎ足し単独事業いわゆる失業対策事業分をはみ出した分、こういうものがどれくらいあるか、それによって財政がどのくらいきつくなっておるかという問題は、実は毎年二月にこれは算定をするわけでありますが、目下資料を取り寄せて検討しておる最中であります。百六十人の吸収率、あるいは八百人の吸収率で少いじゃないかというお話かもしれませんが、これは現実の都市によっては私は多過ぎるところもあるし、少な過ぎるところもあり、一概に言えぬのではないかと思います。やはりこれは標準団体としてかりに想定する基準でありますので、個々の具体的な府県市町村にとりましては全く千差万別だと思います。またそれを測定単位に完全に表現しろという御希望、お気持はわからぬこともありませんけれども、実際問題として技術的にはむずかしいのであります。特に単位表をとりまして、測定単位の数値を見ますときに、その数値にごまかしの余地を残しておるのでは何のための客観的な測定をしておるかわからないのであります。それを思い悩んで今日までずっと失業者をとらえ、それをいろいろな形で補正してきておるというのが現状であります。もとよりわれわれは研究を怠るわけではありませんので、お説のようなものも一案としてわれわれも研究させていただきたいと思います。実は登録写真をとろうとしたことも、内情を申しますとあったのでありますが、それを捨てましたゆえんは、その登録失業者とその失業者が働いておるところの場所が違うのであります。その関係が入ってきたものでありますから、ことにその案は二、三年前にあったのでありますけれども、捨てたのであります。
  54. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今自治庁にお聞きいたしますと、自治庁としては十分市の実情に沿うたような測定単位を認めることは困難であるようなお話であります。そこでやはり私はそういう点も一理あるかと思うのでありますが、そういうことになれば、地方交付税で見ておるということで逃げることなく、労働省としてはなるべく市町村の負担分を少くしてやるという政策が必要であろうと思う。そうすれば結局市町村の矛盾というのは割合に解決するのですから、私はやはり国庫補助率というものを大幅に見て、そして市町村の負担分というものの率を少くすれば、その点は解決するのではなかろうか、こういうように考えるわけであります。現在市町村において非常に失業者が多く発生している地域におきましては、要するに市町村のためになる仕事というのは比較的ないのです。もう探してもそうないのです。ですから無理やりに仕事を作っているというような状態です。それだけに費用が非常に多額になるというわけでありますから、労働省の方で早急に率の引き上げ、これを一つ考えていただきたい。それに対して今どういうように労働省では進んでおるか、お聞かせ願いたいと思います。
  55. 江下孝

    江下政府委員 御承知通り現在の自治体失対事業につきましては、それが補助の率なり単価等が、地方財政と国の財政との調整の関連におきまして、なかなかうまく行われていないという点は、私どもも認めざるを得ないと思います。そこでこれにつきまして特に考えておりますのは、まず資材費その他単価の増額をはかりたいと思っております。これについては例年要求をいたしておりますが、来年度におきましてはどうしても単価の増額という点に主力を注いで参りたいと思います。補助率の問題につきましても、労働省といたしましては、来年度予算におきましてはぜひこのこの失対事業が円滑に行われるような補助率にしてもらうように全力を尽してやってみたいというふうに考えております。
  56. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうもはっきりしなかったのですが、資材費その他単価の引き上げ、これは与党がこの前衆議院予算委員会で、労務費はなぜこんなに少いか、大体もち代をやるくらいなら、二百八十二円の単価は安いのだから、二百八十二円の単価を上げるべきだ、現在の二百八十二円という単価では、二十日働いても五千円に満たないではないか、そうすると生活保護法よりも歩が悪いのじゃないか、こういうような松野さんからの代表質問があって、与党の方でも今度は労務費を上げられるであろうと期待をしている。われわれに質問をされるくらいですから、当然そういう心がまえがあってしかるべきだと思うのです。さてそれではこの資材費はどの程度今交渉をなさっておるのか、さらに補助率については、具体的にどういうお考えであるのか、お聞かせ願いたい。
  57. 江下孝

    江下政府委員 資材費につきましては、特別失事業につきまして従来三百七十円でございましたが、これをもってしましてはとうていだめでございますので、これを倍近い五百七十円かに来年度はぜひ改めたいと思っておりますが、この点が一つ。それから一般失対事業につきましても、簡易失対事業資材費を要しないということにいたしまして、資材費を要する失対事業については、現在の四十五円を六十円に上げたいと思います。大体地方の超過負担の点は、これをもってすればカバーできるじゃないかと考えておりますが、これは労働省としてさよう考えて、大蔵省とこれから折衝するわけであります。  それから補助率の問題につきましては、これは御承知と思いますが、国と地方財政の調整がどういう方法で今後行われますかということにひっかかっておるわけでございますので、今私が申し上げますのは、かりに現在のような状態で行くとしました場合におきましては、労働省としては来年度においては何とかしてこの補助率の引き上げをお願いしたいと考えております。
  58. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 労働省としては労務費、それから事務費の単価の引き上げというのは、お考えになっていないのか。与党の方ではお考えになっておるようですが、労務費と事務費は引き上げなさるようにお考えになっておるのか、おらないのか。それからもう一つは、資材費ですが、資材費が簡易失業対策と分けました場合、果して六十円ぐらいでいくのかどうか。むしろ簡易失業対策事業をどの程度の割合で見れるのかということが問題であります。これはただ上げたということでなく、分けたものだから、簡易失業対策の方は要らないから、六十円にはね上ったという計算にしかおそらくならないのじゃないか、かように考えるわけです。ですからその点も一つお聞かせ願  いたい。
  59. 江下孝

    江下政府委員 労務費につきましては、特別失事業においてはこれはぜひ引き上げをしたいと思っております。現在の三百二十円では低いのでございますので、これは若干でも引き上げたいと考えております。事務費につきましては、これは一般、特別ともに若干引き上げたいと考えております。それから資材費でございますが、現在やっております事業につきまして、四十五円ではこれはもう私ども非常に少いと思っております。現実には大体六十円前後が実績じゃないかと考えておりますので、実績に沿う要求をしたいと考えております。なお簡易失対におきましては、これは資材費が要りませんので、計上いたしておりません。
  60. 滝井義高

    ○滝井委員 先ほどの続きですが、途中で切れたので、少し変った問題を出してお聞きしたい。十一月十八日の閣議了解できまった例の川崎線の問題なんです。石炭合理化法案が通りました後に、一番失業者が出るであろうと推定されるあの筑豊炭田に川崎線を持ってくる、こういうことで鉄道審議会その他非常にごたごたしたのですが、しかし最終的にはやるということが決定した。いよいよ予算編成期に際会して、大体その予算はどこに計上してくるのか、こういうことが多分十一月十八日の閣議了解できまったということを聞いておるのですが、ただ新聞報道ではっきりしないところがある。その点を少し具体的に御説明を願いたい。
  61. 江下孝

    江下政府委員 川崎線の建設につきましては、鉄道建設審議会にこれを諮問いたしましたところが、意見といたしまして、土を盛ったりする路盤工事と申しますか、この部分だけについては、失業対策費として計上することが適当であろうという答申がございました。それに基きまして関係各省打ち合せの結果、労働省として大蔵省に所要の経費を要求いたしたのであります。ところで関係各省の間でその線で進んでおりましたところが、第二次鳩山内閣の最後の閣議におきまして、本年度内にとにかく着手するようにするということに決定されたように承知いたしております。そこでそれと私どもの方の要求との関係でございますが、私どもといたしましては、鉄道建設審議会の決定がそういう決定でありましたので、それに沿って大蔵省に予算要求をしたのでございますが、わかりやすく申し上げれば、あの地方に失業者が今後たくさん出るので、川崎線の建設が行われればいいわけでございます。それが失業対策事業で行われるかあるいは政府の財政投資で行われますか、いろいろな形があると思いますが、要は川崎線の実施が確保されればいいのでございます。そこで大蔵省に対して一応そういう失業対策事業予算は持ち出しておりますが、この点について大蔵当局におきまして、いまだいずれの予算をもってこれを実施するかということについて、決定を見ておりませんので、私どもこれについて至急督促をしているという実情でございます。
  62. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、今のお話では一応用地買収のような路面工事、そういうものは失業対策事業として労働省予算に計上するというか要求をしている。ところがどうも大蔵省の方で具体的にきまっていないということですが、多分あのときの閣議の了解では、予備費から三十年度に一億円を支出して労働省予算にするという一項があったと思うのですが、そういうことはありませんか。
  63. 江下孝

    江下政府委員 その点は明確にさよう閣議決定されておるわけではないようであります。
  64. 滝井義高

    ○滝井委員 いずれこれは失業対策事業としてでも予算を計上するということになれば、現地調査の費用がすぐに要るのだ、だから今年三百万円くらいは——それ、はどこかわからないのだが、計上するということがあったように新聞で見たのですが、その点はどうですか。
  65. 江下孝

    江下政府委員 その点は国有鉄道の予算の範囲内において措置をするということになっております。
  66. 佐々木秀世

    佐々木委員長 次会は明十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二分散会