運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-12-12 第23回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会内閣委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月十二日(月曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員  科学技術振興対策特別委員会    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 長谷川四郎君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君       赤澤 正道君    小平 久雄君       中曽根康弘君    楢橋  渡君       西村 直己君    橋本 龍伍君       田万 廣文君    八木  昇君  内閣委員会    委員長代理 理事 保科善四郎君    理事 大平 正芳君 理事 田原 春次君    理事 森 三樹二君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    小金 義照君       薄田 美朝君    福井 順一君       眞崎 勝次君    官澤 胤勇君       粟山  博君    石橋 政嗣君       中村 高一君    成田 知巳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         内閣官房長官 田中 榮一君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 賀屋 正雄君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁原         子力室長)   島村 武久君         内閣委員会専門         員       安倍 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八号)  原子力委員会設置法案内閣提出第九号)     —————————————   〔有田科学技術特別委員長委員長席に着く〕
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより科学技術振興特例委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、案件を主管する委員会委員長であります私が委員長職務を行いますから、御了承願います。  総理府設置法の一部を改正する法律案及び原子力委員会設置法案の両案を一括議題といたし、政府より提案理由説明を求めます。正力国務大臣
  3. 正力松太郎

    正力国務大臣 それでは私から説明いたします。  今回提出いたしました原子力委員会設置法案及び総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を説明いたします。  原子力研究開発及び利用を促進し、国民の福祉に役立たせることは、今日のわが国にとってきわめて緊急を要し、かつ重要な問題であります。しかるに、わが国におけるこれら原子力に関する行政を所掌する行政組織は、いまだ整備を見るに至らず、強力にかつ総合的に推進する機関を急速に設ける必要に迫られているのであります。申すまでもなく、原子力利用に関する行政は、できるだけ民主的な運営をはかることが必要であると考えられますので、政府といたしましては、この際、総理府に強力な合議制による委員会を設けることとし、あわせてその決定を尊重して、原子力利用に関する行政を総合的に推進する担当部局として同じく総理府原子力局を設けることとし、これがため、必要なこれら二つの法律案を提出いたした次第であります。  次に、原子力委員会設置法案内容につきまして、おもな点を説明いたします。  まず、委員会所掌事務は、原力子研究開発及び利用に関する政策、関係行政機関の施策の総合調整関係行政機関原子力利用に関する経費の見積り及び配分計画試験研究の助成、核燃料物質及び原子炉の規制、障害防止基本研究者技術者養成訓練等原子力利用に関する重要事項について企画し、審議し、決定することであります。しかして、委員会がこれらの事項について決定しましたときは、内閣総理大臣は、これを尊重しなければならないこととなっております。また、委員会は、所管の重要事項について、必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができることとなっております。  次に、本委員会組織でありますが、本委員会は、委員長及び委員四人をもって組織し、委員長は、国務大臣をもって充てることといたしております。また、委員任期は両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命し、委員任期は三年といたしております。さらに、委員身分保障につきましては、禁治産、準禁治産の宣告を受けたとき、禁固以上の刑に処せられたとき及び心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、または委員たるに適しない非行があると認められた場合のほかは、在任中、その意に反して職を失ったり罷免されることはないことといたしました。また、常勤の委員は、原則として、報酬を得て他の職務に従事し、または営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うことは禁止されております。  次に、総理府設置法の一難を改正する法律案につきましては、総理府に新たに原子力局を設けることに伴いまして、総理府の任務につき所要の改正を加え、新たに原子力局所掌事務に関する規定を設けた次第であります。  何とぞ御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 有田喜一

    有田委員長 以上をもって政府説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。成田知巳君。
  5. 成田知巳

    成田委員 その前に、委員長にお願いしておきたいのですが、企画庁長官に御出席願いたいと思うのですが、御手配願っておりましょうか。——では、企画庁長官がおいでになりまする前に、正力さんにお尋ねしたいと思います。  今の大臣提案理由説弱で、原子力研究開発及び利用が喫緊の要務である、これはお説の通り、だと思います。そのあと、「しかるに、わが国におけるこれら原子力に関する行政を所掌する行政組織は、いまだ整備を見るに至らず、」そういう意味原子力委員会設置法を提出された、こういう提案理由説明なんです。これもごもっともと思いますが、むしろ、私たちから見ますと、これは逆じゃないかと思うのです。もちろん行政組織を確立する必要はございますが、これほど大きな問題である原子力利用開発計画なんですし、特に日本においては原子力に対するいろいろな誤解もあり疑問も持っておりますから、原子力というものがどのように利用されるかという、原子力に関する基本法律と申しますか、これをまず提出されまして、原子力基本法ができてから行政組織その他を考えるべきであって、本末逆になっているという感じがするのでありますが、その間についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  6. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまのお説はもっともでありまして、原子力基本法をきめて、そして委員会設置するのが順当かもしれませんが、基本法についていろいろ論議がありましたので、とりあえず早く委員会を作ろうということになったのでありますが、幸い基本法も今度いよいよ議員提出で出ることになりましたので、おそらくは同時になると思いますから、その点は御安心を願いたいと思います。
  7. 成田知巳

    成田委員 今のお話で、基本法議員提出で出るということなんですが、政府大臣というよりは、自民党の領袖である正力さんに伺いたいのですけれども、出すという決定があったそうですが、いつお出しになるのか。その点がおわかりだったら、一つ御報告願いたいと思います。
  8. 正力松太郎

    正力国務大臣 総務会でも決定いたしましたので、おそらく一両日中に出ると思います。
  9. 成田知巳

    成田委員 問題は非常に複雑多岐にわたっていて、基本的な法律審議しなければいけないのでありますから、一両日と申しますと、きょうは十二日でございますので、もし二日あととすると、十四日になります。十四日から審議しまして、一週間や十日はどうしても審議に日を要すると思うのですが、御承知のように会期は十六日までである。少くとも十三、四日ごろには参議院に送付しなければいかぬ。ところが、まだ一両日かかるというのでは、今正力さんの御答弁にありましたように、行政組織設置考える前にまず基本法をやらなければならない、こういう考えだとすれば、基本法審議は事実上できなくなる、こういう感じを受けるのですが、その点いかがでしょうか。
  10. 正力松太郎

    正力国務大臣 できるだけ早くというので、今督促しております。なるたけこれに問に合せたいと思っております。
  11. 成田知巳

    成田委員 できるだけ早く出すように督促されることは当然だろうと思うのですが、ただ、具体的に国会会期とにらみ合せて考えてみましたら、先ほども申しましたように、きょうは十二日なんです。一両日ということで十四日になって出されましたら、十四日から審議しても三日間、とても会期中には衆議院だけでも審議できない。ましてや参議院関係があるとするならば、事実上今国会審議できないというのが常識だろうと思うのです。ただ早く出されるというのではだめなんで、具体的に果して審議できるかどうか、これほど大きな原子力問題に対する基本法審議なんですから、私たちは一ヵ月や二ヵ月はかかると思っております。私たちはいい法案ならできるだけ通したいと思っておりますが、二、三日でこの審議をやれということは常識的に不可能だろうと思いますが、いかがでございますか。
  12. 田中榮一

    田中政府委員 実は基本法につきましても臨時国会提案するのが妥当であろうと思っております。ただ、御承知のように、原子力委員会、それから原子力局行政機構の問題を先にいたしまして、そして、政府といたしましては、基本法は相当広範な問題でございますので、一応行政機構の方を先にいたしまして、基本法の方はできれば通常国会提案いたしたい、こういう計画で実は進んでおったために、今回の臨時国会には間に合わなかったわけであります。しかし、それではいけない、やはり同時に出すべきが妥当であろうということで、現在議員立法でこれが検討されておるということを承わっておりまして、正確にいつ出し得るかということまでは、まだ私どもははっきり情報としては伺っていないわけでございますが、そういうようなことになっておりますので、御了承願いたいと思います。
  13. 成田知巳

    成田委員 今の副長官お話は、私の解釈では、政府提案として通常国会出したいと思っておった、しかしながら、こういう重要な法案なんだから、臨時国会にも出すべきであるという強い意見があった、政府としては間に合わない、しかし、幸い議員立法考えられておるから、議員立法にまかせてあるんだ、こういう御答弁であったと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  14. 田中榮一

    田中政府委員 もちろん、政府といたしましても、臨時国会にできれば基本法出したいと思って、いろいろ努力をいたしたのでございまするが、どうしてもそれが実際問題として不可能な状態になったものですから、やむを得ず、行政機構である、受け入れ態勢である原子力委員会とそれから原子力局と、この二法案を提出いたしたわけでございます。
  15. 成田知巳

    成田委員 その点については、先ほど正力さんもお認めのように、行政組織法だけではだめだ、まず基本法までやらなければならない、こういうことで政府としても基本法提案考えておった、しかしながら、それができないが、幸い議員立法で出るというので時っているんだ、こういうお話がありました。その点私は正力さんの言われた通りであると思うのですが、ただ、正力さんの見込みでも、議員立法で出るとしても、あと一両日かかるとすれば、どうしたって国会審議期間はないわけなんです。こういう基本法を通さずして、審議しないで、正力さん自身認めのように、行政組織法案、いわば下部の法案ですね、こういうものを審議されるということが、正力さん自身認めなんだが、おかしい。ぜひとも基本法を早く出していただきたい。出す用意を今超党派的にやっているらしいのですが、それでも、正力さん自身認めのように、あと二日かかるとすれば、これは審議できないのです。こういう重要な基本法審議せずして、この法案だけを先に通すという今の副長官の御答弁は、私は納得できない。これは私だけじゃないと思う。国民全部がそうじやないかと思う。そういう意味見込みをはっきり言っていただきたい。審議できるのかどうか、担当大臣の御答弁を承わりたい。
  16. 正力松太郎

    正力国務大臣 議員立法として提案いたしましたら、政府もできるだけ推進するように大いに努力いたします。
  17. 成田知巳

    成田委員 それでは答弁にならないんで、私たちも納得はいかない。私どもは具体的に申し上げておるのです。日の関係国会は十六日に終る。まだ基本法については提案もされていない。それで果して審議ができるかどうかと思うのです。ただ、そういう気持だ、気持だというだけでは、私たち納得できない。具体的な見通しを私お伺いしているのですから、はっきり御答弁を願いたいと思います。
  18. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 はなはだ僭越でございますが、私から御答弁申し上げます。原子力委員会設置に関しましては、成田委員の御質問通り原子力基本法前提として、原子力委員会あり方決定するのが、私たちの年来考えている線であったのでありますが、原子力基本法は、従来御承知通り原子力合同委員会でも熱心にこれが検討を加えまして、でき得べくんばこれを共同提案に持っていきたいという希望が強かったのであります。そこで、この提案を分けまして、原子力委員会設置法案政府提案を行う、原子力基本法は極力共同提案議員立法にいたしたい、こういう考えのもとに、政府合同委員会と緊密な連絡を保ちつつ基本法要綱決定いたしまして、ただいま、自由民主党では、この基本法あり方科学技術特別委員会にかけまして、今国会提案するということに決定をいたしまして、これを本日政調にかけ、総務会にかけて、大体党の方針をきょうじゅうに決定して、これを提案するということになっておるのであります。それでございまするから、この共同提案審議は、この臨時国会において完了するかどうかは今後の努力に待たなければなりませんが、とにかく原子力委員会を設けまする基本法あり方ということは今明日中に明確になるのでございまして、私の知っておりまする限りにおきましては、原子力委員会設置あり方基本法とは全くその動向を一にいたしておりまして、この間には食い違いがないことになっております。そういうことで、もう今明日中にその全貌がはっきりいたして参りますから、大体ただいま政府から提案いたされました原子力委員会設置法の態様が全部原子力基本法に盛り込まれておるということを、一つ御了承願いたいと思うのであります。
  19. 成田知巳

    成田委員 今の齋藤次官の御答弁正力さんの御答弁も、大体内容は同じだと思うのです。一両日中にお出しになるというわけなのですね。そこで、私が申し上げましたように、一両日中に出たのでは、十分に審議ができないのではないか。私たちの党は、大体康子力基本法に対する構想というものについては、齋藤さんも非常に御努力なすったらしいのですが、原則としては承認しよう、原子力平和利用については保守党以上に社会党が積極的であるということを、ここに証明しておるわけなのです。ただ、この法案が出ないで、組織法だけを先にお出しになる。さらにまた、これは経済企画庁長官にもお伺いしたいと思うのですが、濃縮ウラン受け入れ協定を非常にお急ぎになっておる。いわゆる基本法審議をやってから、協定なりあるいは行政組織設置法、こういうものを考えるのが国会審議の常道だと思う。ただ、二画日中にお出しになった場合に、果して間に合うかどうかという疑問を私持っているわけです。先ほど何回も申しましたが、十三日、十四日に出て——本来ならばもう衆議院を通過して参議院に行っていなければ、参議院は、あと二、三日の審議期間しかないのですから、事実上審議ができないのじゃないか。ここを心配しているのですが、その点について御心配ないというようにお考えになりますか。
  20. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 先ほども申し上げました通り、本来のあり方成田委員の仰せられる通りにあるべきはずだと私も考えておるのであります。しかし、これは御承知通り新しく構想を練って決定しなければならない問題でありますために、原子力委員会設置法案提案いたしますことも、これは、各方面との、折衝過程においていろいろ問題があったり、また新しい問題でございますから、そのあり方についていろいろな意見も出ましたので、この原子力基本法との共同的なあり方について相当に問題がありましたために、共同提案すべき原子力基本法が少しおくれたというのであります。前にも申しました通りに、原子力委員会設置法案内容原子力基本法案の内零とは全くうらはらのものでございまして、これは私を御信頼願えれば大へんけっこうだと思いますが、共同提案いたされますると、この原子力委員会設置法案と全く軌を一にする基本法なのでございます。それでございますから、基本法にはその他の問題も含んでおりましょうが、原子力委員会設置に関する限りにおきましては、全く同一の趣旨において基本法が作られて、これは共同提案になるのでございますから、そういうことを前提として、これは木筋でないのでございましょうけれども、本日原子力委員会設置法案に対して御審議を進めて下さることができますれば、大へん幸いだと存ずるのであります。
  21. 成田知巳

    成田委員 原子力基本法要綱については、先ほど申し上げましたように、私たちも大体承認の態度を決定しております。そこで、今、齋藤さんの御説明に、原子力基本法原子力委員会設置法あるいは原子力局を設ける法案、これはうらはら関係矛盾がない、こういうお話があったのですが、必ずしもそうじゃないと思うのです。その問題については後ほど御質問申し上げたいと思うのですが、その前に、国会における審議あり方として、基本法が出ないで、基本法を受けた法案審議するということは、私はおかしいと思うのです。しかも、齋藤さんの言われるように、必ずしも一致したものではない。そこに矛盾があると私は思うのです。そういう意味で、法案審議の取扱いとして政府の方で非常にお急ぎのようでございますが、政府自身認めのように、まず基本法をやらなければならない、こういう考え方なんですから、基本法審議が終るまでは、設置法なりあるいは行政組織の一部改正法案審議一つ延期していただきたい。審議されることはいいですが、最後の結論を出すのはそれまでお待七願いたいと思うのですが、いかがでしようか。
  22. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 そのお説は私たち木筋から申すとそうありたいと思うのでありますが、(「木筋通りやれ」と呼ぶ者あり)しかし、そういたしますと審議がおくれますので、とにかくその審議をお進め下さっておる間に、その基本法共同提案があればそれで間に合うと思うのです。成田委員の危惧せられるところは、われわれが原子力設置法案審議して承、基本法が出てこなければだめなんだということが、一つ考えの中にあったのじゃないかと思うのでありますが、それは、私の関知いたしておりまする限りにおきましては、もう本日にも共同提案の形でもって基本法が出て参りますから、今原子力委員会設置法案をめぐって、これはこうあるべきであるとか、こうなければならぬとかいう御審議をお進め願うことも私はむだじゃない、こう思っておるのです。もし、その御審議をお進めになっておる過程においても、なおかつ基本法共同提案の形において出てこない、こういうことでございましたならば、直ちに審議を停止せられるなり、そういう御要求があってしかるべきだと思うのでありますが、それは手続上の問題で、基本法提案がおくれているだけでございますから、この際一つ原子力委員会設置法案議題とせられまして、これに対して質疑応答を重ねられて審議をお進めになっておいて下さることは、やがて基本法提案せられましたときにも、この審議を進める便宜となると思うのでありますから、この際、この原子力委員会設置法案議題とせられまして、御審議をお進め下さらんことをお願いいたしたいと思うのであります。
  23. 成田知巳

    成田委員 私は何も反対のための反対を言っているのではございません。先ほども申し上げましたように、審議をやらないとは言っておりません。ただ、その結論を出すのは、少くとも原子力委員会法に対する結論と同時にやっていただきたい。ところが、政府の方では、原子力基本法あとにしてしまって、この法案だけは早く結論出したい、こういうお考えのようですが、それでは筋が通らないと思う。齋藤さん自身認めのように、正しい筋としてはまず原子力基本法審議をやるべきだ、こう言っておられるのでありますから、今までいろいろいきさつもありましておくれられたことは私はやむを得ないと思いますが、結論を出すことは、少くとも原子力基本法が出て、これに対する結論を出すのと同時におやり願いたい。これだけを先に切り離して結論を出すということは筋じゃないと思う。これに対する政府のお考えをお聞きしたい。
  24. 前田正男

    前田(正)委員 ちょっと関連して伺いたい。今お話の点は、私たちも非常に考慮いたしまして、成田委員と同じような考え努力して参ったのでありますけれども手続上非常におくれて参りましたことは、われわれも遺憾に思っております。しかし、この法案結論といたしましてのことでございますけれども、これが共同衆議院全員——できましたならば全員とわれわれは思っておるのでありますが、共同提案になるということになりますならば、この法案というものは衆議院を通過するということは間違いないのじゃないか、私たちはこういう結論を持っておるのであります。従って、今お話のように、提案をするということがまず第一でございますけれども提案されるということは、すなわちこの衆議院を通るということである。設置法場台は、これは御承知通り政府礎案でございます。これが衆議院を通るか通らぬかという結論は、委員会、本会議の採決が必要でありますけれども基本法の場合は、共同で、なるべく全員提案したいと思いますから、提案するということで、すでに衆議院としては賛成であるというふうな大体の結論が明らかになると思うのであります。それから、もう一つの問題は、この委員会及び原子力局というような問題につきましては、何といっても準備が相当要ると私たちは思ったので、先に出したのであります。しかしながら、施行期日は両方とも同じ日にすべきじゃないか、こういうふうな考え方でわりれわれはやってきたのであります。こういう点において、今の政府の御答弁を問いておりますと、成田さんに対する結論というものがどうもはっきりしないように思うのでありますが、私は、見通しということが結論であるならば、今の答弁でもけっこうだと思うのでありますけれども政府といたしましては、基本法が一月一日から施行されて、その責任の官庁であるところの原子力委員会原子力局というものが同時にスタートしなければ、やはり基本法というものができても有名無実になる。それならば、当然、一月一日にスタートするためには、原子力委員会というものを早目に通していただかなければ、原子力委員会委員の任命とか事務局構成とか、その他手続上の問題でお困りだと思うのでありますが、その辺、施行日は同じであっても、政府といたしましては、なるべく早く委員会の方を通してもらわなければならぬというような事情があるのじゃないかと思うのでございますが、どうでございますか。
  25. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 ただいま前田委員の御質問通り原子力問題は御承知通り非常に急いで態勢を整えなければならないような状態にもありますので、政府といたしましては、できますならば原子力委員会設置法案臨時国会に通過していただいて、施行期日であります。月一日までに原子力委員会委員構成もこれを完了いたしたい。同時に、望みますことは、これに裏づけをいたします原子力基本法共同提案をもって提案いたされまして、超党派的な形をもって成立を見るようにして、この施行期日は、相なるべくは原子力委員会設置が効力を発生いたします一月一日と同じ日に原子力基本法の施行もできるようになったならば非常に幸いだと考えておるのであります。このことは、共同提案の形で原子力基本法提案いたされますならば、国民ひとしく希望いたしております超党派的な形でもって日本の原力子態勢の基礎ができるということにもなりますので、せっかくそういう態勢に相なるように希望もし、また党とも折衝中でございますから、この点も一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  26. 前田正男

    前田(正)委員 今のお言葉の中で、委員をなるべく基本法の施行されます一月一日までに構成を終りたいということは、この法案にも、第八条の両議院の同意を得るというところは公布の日からということにしてございまして、一月の一日前に、いわゆる年末の通常国会においてでも同意を得て、一月一日から委員は発足できるように法律的にはなっておるように思うのでございますけれども、なるべくこの臨時国会にこの法案を通してもらって、そうして年末の通常国会には両議院の同意を得て、一月一日までには委員が任命されるように、政府とされては、もちろん両議院の同意を得なければなりませんけれども、そういうふうな準備を進められる考えであるかどうかという点について、一つ伺いたいと思います。
  27. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまのお話しでありますが、一日までに政府は準備をいたすつもりであります。
  28. 成田知巳

    成田委員 関連質問がありまして、私の質問に対する答弁がそれてしまったような感がいたします。私が御質問申し上げているのは、通るとか通らないとかいう見通しの問題ではない。前田さんの言われるように、超党派で基本法を出されれば通るでしょう。しかし、超党派で出されるとしても、これだけ大きな法案なんですから、関係委員会が十分解議すべきだ。ところがその審議の日というものがほとんどない。しかも、私が申しましたように、私の質問の要点は、基本法と、少くとも行政組織改正法案だとか、原子力委員会設置法案だとかいうものは、同時に審議され、同時に採決されるべきだ。もちろん早くやりたいことはやりたいのです。しかし、これだけ重大な問題だから、拙速はあまりとるべきではないと思うのです。十分審議すべきは審議して、基本法との関連においても審議して結論を出すべきだ、こういう意見を申し上げて政府の御意見を伺ったのです。やはり原子力基本法と並行的に審議——私は審議してはいけないと申しません。審議は進めてもいいが、少くとも結論だけは同時に出す、これが筋じゃないかということを伺っているのですが、これに対する政府考え方一つ答弁願いたいと思います。
  29. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 お説の通りであります。その御趣旨に沿って今後も努力を続けたいと思うのでありますが、原子力委員会設置法は、政府といたしましては、非常に急を要するものと考えまして、臨時国会提案をいたしたのでありますから、この臨時国会において、原子力委員会設置法案はぜひとも両院を通過さして、その実現をはかりたいと考えております。と同時に、原子力基本法も、相なるべくはこれにおくれざるような審議過程をたどって両院を通過してもらいたい、さように考えておるのであります。お説は十分ごもっともだと私は拝聴いたしておるのであります。
  30. 成田知巳

    成田委員 今まで、政府が、御説はごもっともと拝聴して努力しますと言って、努力したことはないのです。本末は逆になっていると思う。設置法臨時国会を通したい、基本法はできるだけ通したいが、やむを得ない場合には通常国会に回すという御答弁らしいが、それは逆なんです。基本法だけはぜひとも臨時国会を通すべきだ、設置法も通すべきだが、できない場合には通常国会に持ち越す、これが当然のあり方だと思うが、どうでしょう。
  31. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 原子力委員会設置法案は、政府国会提案をいたしたのでございますから、政府の責任においてもぜひともこれは両院を通過せしめたいと考えておるのであります。ただいまの情勢では、原子力基本法は議員共同提案でございますから、これは議員各位におかれまして十分急速に御審議を賜わって、原子力委員会設置法案におくれざるスピードをもって両院を通過せしめるように努力せられれば、はなはだ幸いだと考えます。
  32. 成田知巳

    成田委員 あまりこの問題にばかりこだわっていては、あと時間がありませんから、ただ一つ伺います。設置法は、政府提案だから、政府としてはぜひ臨時国会で通したい、基本法は超党派の議員立法だから議員にまかす、こういうお話ですが、これもまた少し無理があると思う。齋藤さん自身、また正力さんもお認めのように、基本法をまず出すべきであったと考えております。出せなかったのは政府の責任だ。その基本法を出すべきものを出さないで、ただそういう設置法だけ出して、これは出したからこれだけは通すという政府考え方は一方的だと思います。そこで、私たちは、党の希望なり考え方として、やはり同時に並行的に審議する、同時に結論を出す、こういうことでこの問題は取り扱いたい。これが私たち考え方であるということを申し上げておきたい。  次に、内容について二、三お尋ねしたいと思います。  先ほど齋藤さんは、超党派で考えておる議員立法基本法とこの二法案との関係矛盾がない、こういうお話だったのですが、その点について一、二疑問があるのです。この委員会設置法の第二条三号に「関係行政機関原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」こういうことがありますが、特に「経費」という言葉をお使いになっておるのですが、予算の関係はどうなるのですか。
  33. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 この原子力委員会あり方は、将来科学技術省の新設を見、原子力局が科学技術省に吸収せられまして、原子力に関する強力な態勢が確立いたしましたときには、原子力に関する一切の予算は一本立てにいたしまして、そうして配分計画に関する決定原子力委員会でやるという構想なのでございまするが、ただいま現実の問題といたしましては、もうすでに原子力委員会設置いたされましても、まだ原子力に関する態勢は何ら整備されておりません。少くとも、来年の四月までは、今日設けられております経済企画庁の中にある原子力委員室、及び通産省にありまする原子力課に配分されておりまする原子力に関する予算をもってまかなっていかなければならないような状態にもありまするので、この際、予算という字を使うよりは、現実の問題としては「経費の見積及び配分計画」ということにとどめる方が妥当ではないかというので、予算という字を使わなくて、ここに経費という字を使ったのであります。
  34. 成田知巳

    成田委員 予算という字を使わなくて経費という字を使ったというのですが、ただ表現を変えられただけなのですか、それとも、最初の御説明のように、当然予算についても原子力委員会決定権を持つんだ、しかしながら、現在ではまだそういう段階でないから、一応経費という段階にとどめた、こういう御説明なのですが、どちらでございますか。
  35. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 これは当然予算ということを意味するのでございまするが、現実の状態においては経費という字を使った方が妥当ではないかということで、経費という字を使ったのであります。それでございまするから、この法律用語といたしましては、経費という字を使いましても、これはやはり予算の見積り配分を行う意図であるということを御了察願いたいと思うのであります。
  36. 成田知巳

    成田委員 そうしますと、齋藤さんなんかお作りになっております原子力基本法の第六条の原子力委員会の機能といたしまして、「原子力研究開発利用に関する諸経費は、原子力委員会決定する方針に基き、総理府に一括計上する」、これと同じ意味だと解釈してさしつかえないのでありますか。
  37. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 ただいまの成田委員の御質問は、この原子力基本法を策定して参ります過程における資料でお読みになったのではないかと思うのでありますが、最後決定の案にはそれが載っておらぬのであります。最後案として決定を見ておりますのは、十二月八日の原子力基本法案というのがありまして、それにはただいまお読みになりました条項には触れておらぬのであります。
  38. 成田知巳

    成田委員 私は、直接タッチしておりませんから、どういう経過になっておるのか知りませんが、今の十二月八日の決定案というものは、最初は総理府本府の予算に一括計上する、こうなっておったのです。ところが、変りまして、総理府本府というものを抜いたらしい。ところが、さらに今度は、法制局の方から異論が出まして、総理府本府のうちの総理府を生かしまして、総理府の予算に一括計上することとし、必要に応じ各省の予算に移しかえ得るものとする、こういうように一応原案がきまったように聞いておるのですが、いかがでしょうか。
  39. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 最後の案は、第六条に「原子力委員会組織、運営及び権限については、別に法律で定める。」かように訂正いたしてありますので、ただいまの成田委員の御質問とちょっと違う結論になっておるわけであります。
  40. 成田知巳

    成田委員 二転、三転、四転しておるわけでありますが、それにしましても、この設置法案の経費の見積りというのは、問題が起きてくるのはそこなんですよ。単に経費という言葉を使って、実質的には予算という意味であるのか、それともそのように別の法律で定めるというのか、予算の問題については今タッチしないので、一応経費の見積りをやるのだ、こういうようにお考えになっておるのか。齋藤さんの御答弁は何か言葉だけを変えたような御説明だったのですが、これは後ほど申し上げます重大な問題に関連してくるのですから、この際はっきり御答弁を願いたいと思います。
  41. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま御質問の点でございますが、私、政府部内の者といたしまして、基本法がただいまどういう過程にあるかということは一向存じませんが、今回提出いたしました原子力委員会設置法の第二条第三号にこういう言葉を入れました趣旨につきまして、なお敷衍して御説明いたしたいと存じます。  先ほど齋藤政務次官からもお話がございましたように、当初、この基本法におきましては、関係行政機関原子力利用に関する経費を総理府の予算に一括計上いたしまして、それを各省に移しかえるという措置をとったらどうかという有力な御意見があったことは事実でございます。政府におきましては、これを今すぐやるかどうかという点につきまして、いろいろ閣議で御検討なされました結果、科学技術庁ができておらない今日の状況のもとにおいては、そこまでいくのは時期尚早であろうということで、それでは関係行政機関原子力利用に関する予算の統制をどの程度やるべきかという点につきまして御審議願いました結果、前の国会でできました機関でございますが、現在総理府に航空技術審議会というものがございまして、これは、やはり、航空技術に関連する官庁がたくさんあるのでございますが、その関係行政機関が、航空技術に関する研究のために、いろいろ必要な経費をそれぞれの関係各省の予算として計上いたします場合に、それについて内閣総理大臣が連絡調整する、こういう規定ができております。それから、すでに前からございます科学技術行政協議会におきましても、やはり一般の技術に関する予算上の経費について連絡調整するという権能を持っておるのでございまして、ただいまのところではこの程度のことをやるということにいたしまして、将来科学技術庁ができまして本格的な行政機構態勢ができた際に、それを一括計上いたしまして各省に振りかえる、こういう措置を新たに考えたらどうかということになりまして、ただいま提案いたしております条文としては、「原子力利用に関する経費の見積及び配分計画」という言葉を使ったわけでございますが、関係行政機関の経費でございますから、これはもちろん予算に計上せられる経費でございます。従って、その程度の予算に関する統制を原子力委員会並びに原子力局でやろう、こういう趣旨でこの条文を書いたわけでございます。
  42. 成田知巳

    成田委員 本格的な科学技術庁ができるまでの過渡的な便法として三号の規定を設けられた。しかし、将来は予算に関する決定も科学技術庁でやりたい、こういう御答弁であったと承わりますが、そこで、問題になるのは、もうすでに御承知のように、学術会議の方で——今度の原子力委員会設置法を見ると、基本法では、平和利用だ、あるいは学術会議の唱えております三原則の線をうたっている。しかしこれはそれと矛盾するのではないか。予算の配分まで原子力委員会で御決定になる。それでは大学における研究の自由というものは奪われるのではないか。こういうことで、強い抗議を、昨日でしたか、一昨日でしたか、政府に対してもするという新聞報道を私は見たのですが、これについてその後の経過はどうなっておりますか、また政府の御所見を一つ承わりたいと思います。
  43. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 大学におきます経費は、これは従来通り文部省の予算に計上されておりますが、しかし、その他の原子力問題に関しましては、御承知通り原子力の問題は、あくまでも平和利用ということを基礎として、厳重な平和利用の範疇を出でざるように原子力のすべての問題を見ていかなければならないというような関係から、特に原子力問題に関する予算は一括して計上し、そうしてこれを各省に配分をして、原子力問題のあり方というものに対して常に原子力局原子力委員会がその目的を逸脱しないように取り計らっていきたい、こういうような考えで、原子力に関するところの予算は一本に計上して、これを各省に配分する、移しかえをするという構想を持っております。
  44. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 補足して説明させていただきます。基本的な考え方といたしまして、先ほどお話の出ました、原子力利用に関する予算を総理府に一括計上いたしまして、これを各省に分配するという、強力な予算に関する統制措置を考えます場合には、いろいろ大学に付置せられます研究機関の経費をも含めるかどうかという点につきまして、いろいろ問題が生ずることは当然でございますが、先ほど説明いたしましたように、ここに書いてございます経費の見積り及び配分計画ということにつきましては、すでに航空技術審議会にもその例があるのでこぎいまして、原子力のみならず、航空技術につきましても同様のことがやはり考えられると思うのでございますが、別に、航空技術の方につきましても、大学における研究に要する経費を除くというようなことは書いてございませんし、また、この程度の統制でありますれば、これを含むということにいたしまして、連絡調整をはかるということは、あえて大学の研究の自治を害するということにはならないだろう、こういう考え方でございます。
  45. 成田知巳

    成田委員 ますます問題は重大だと思います。今の経費の程度ならば大学の研究の自由を侵すことはないだろう、こういう政府委員の御答弁です。それについても私納得できませんが、一歩譲って、経費の点では、この限りにおいては大学の研究の自由は侵されない、こういう考えでありましても、今政府委員齋藤さんも正力さんも同じ御意見なんですが、これは、経費というものは過渡的な取り扱いだ、将来は予算は一括計上するのだ。そうしますと、あなた自身今言われたように、予算ということになれば、大学の研究の自由を侵すおそれはある、しかし経費の点ならいい、こう言われるのですが、それは、逆からいえは、政府基本方針である。予算についても原子力委員会が一括計上するということになれば、あなた自身、これは大学の研究の自由を侵すということをお認めになったことになる。しかも、政府基本方針はそうだとなれば、これを学界が問題にしていることは当然であると思う。政府基本方針は、将来予算についてもやろうというのです。予算についてやれば大学の研究の自由を侵すだろう、しかし経費の程度なら差しつかえないという今の御答弁である。私は経費でも問題があると思うのですが、ましてや、政府考えているように、予算についても一括計上するということになりますれば、これは学術会議が心配されるのは当然だと思います。その疑惑はぜひとも一掃していただをてたい。この点については正力担当大臣一つ答弁を願いたい。
  46. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 先ほど私御答弁申し上げましたのは言葉が足らぬようでございましたから、もう一度。大学の講座や本来の研究は、文部省の系統として独自にこれは予算の提案をされるのであります。しかし、その大学の付属研究所の経費の場合は、重複を避ける。たとえて申しますれば、この原子力に関するところのいろいろな研究、大学の付属の研究、これは、各省にいろんなものがございまするから、こういう毛のに対しましては、重複を避ける意味におきまして、この原子力委員会がいろいろ検討を加えて、重複にならないように調整をはかる。いろいろなことをやらなければいかぬ。しかし、大学本来の講座とか研究の自由というものは、これは文部省が独自の予算を要求する、そういう意味であります。
  47. 成田知巳

    成田委員 そうしますと、大学で原子力問題の研究をされるときに、政府はこういう研究をしてもらいたいというときには、請負といいますか、そのつど契約をやりまして、それで原子力研究費用というものを与えるのですか。それとも、基本構想にあるように、原子力委員会で、大学の原子力研究費はこれだけだ、研究項目はこれだ、こういつて最初からお縛りになるつもりか。
  48. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 大学の研究は、これはあくまでも自由であります。原子力と申しましても、これはいろいろな分野がございまして、核の研究もございますれば、核分裂の研究もありましょうし、また実際原子炉をどうして作るとか、これをアイソトープにしてどういうふうにいろいろな問題に応用するとか、その広範な研究分野があるわけでありますから、これは大学独自の立場においてその研究の自由を確保する、これにはちっとも疑義がないと私は思います。ただし、付属機関として、ある固まった目的をもっていろいろなことをやって参りますときには、各省にまたがって重複する場合もたくさんあるのでございますから、こういう問題に対しましては、国費の節約、あるいは研究を助成するという目的のもとに、その調整をして予算の割り振りをするというのが、私は国家的に正しいやり方だ、こう考えております。
  49. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、基本的な考え方で、予算について原子力委員会で一歳計上するという場合、事大学に関する原子力に関する予算というものは、具体的に言いますと、どのような方法で御決定になるのですか、それを承わりたい。
  50. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 大学の経費は、先ほどから申し上げております通りに、これは研究の自由を確保するために文部省予算の中に入る。ただし、何べんも申し上げます通り原子力というはっきりとした問題を取り扱って、これが各省にまたがるような問題に対しましては、原子力委員会が、いろいろ審議をいたしまして、その予算を一括計上していきたい、こう考えております。
  51. 成田知巳

    成田委員 大学に関しては文部省の予算一本でおやりになるというお話なんですが、最後の基本要綱決定は、別に法律で定める、こうなっておりますが、それまでにいく過程として、原子力関係の予算というものはすべて総理府に一指計上する、こういうことから、最後には、法律で別に定める、こうなったのですが、そういうものの考え方はなくなった、こう解釈してよろしゅうございますか。
  52. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 時期的にいろいろな変化がございましたけれども、ただいままで御説明を申し上げました通りに、研究の自由というものはあくまでも確保するというのが、原子力に対する政府考え方基本であります。原子力委員会設置されたからとか、あるいは原子力局ができたからといって、大学の研究の自由が侵されることは絶対にないと思います。
  53. 成田知巳

    成田委員 物の考え方として、研究の自由をお認めになっていることはわかっているのです。ただ、予算的な措置いかんによっては、研究の自由が侵されるのではないか、こういうことを心配して申し上げているのですが、特に今までの基本法の立案の過程において、原子力関係の費用というものは一括総理府に計上する、こういう案さえあって、最後には、別に法律で定めるとなっているのですから、その物の考え方がある以上は、やはり大学の研究の自由は予算の面から侵されるのじゃないか、そこを心配して申し上げているので、ただ、希望として自分はこう考えているというんじゃなしに、予算の面においてもこうするのだから心配ないのだ、こういうはっきりした御答弁を願いたい。
  54. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 原子力に関する予算、こう一口にわれわれが申しておりましたのは、核燃料物質の調査、開発、製練、あるいはその他研究用の原子炉をどこにどういうふうにして作るとか、将来原子力発電炉をどうして作るとか、直接原子力を一般に利用するという面に関する予算ということに重点を置いたのでございまして、大学におけるところの原子力研究に使う予算は、従来通り文部省一本でもってやってくるのでございますから、大学における原子力全般に関する研究に何らの拘束、支障を来たすことは私はないと思います。
  55. 成田知巳

    成田委員 重大問題ですから、はっきりさせていただきたいと思うのでありますが、今までの基本法の立案過程において、今の研究の問題にはお触れにならなかったと言われるのですが、基本要綱で見ますと、原子力研究開発及び利用に関する諸経費は、原子力委員会決定する方針に基き、総理府の予算に一括計上する、これは別に法律で定めるとなっております。従って、原子力研究ということは、従来もお考えになっておった。それをここで最近考え方が変られたのか。少くとも、大学の原子力研究については、総理府としては予算の面で制約を加えないんだ、こういうふうにはっきり変られたのかどうか、この点を一つ明確にしていただきたい。
  56. 正力松太郎

    正力国務大臣 初めからその点は変りません。大学が研究することについては決して何も干渉いたしません。自由であります。それにより文部省がとる予算は、大学の自由で、制限を受けないようにします。
  57. 八木昇

    ○八木(昇)委員 ちょっと関連して。先ほどから成田委員との質問応答を聞いておりますと、結局問題は振り出し——最初に成田委員が言われたような点に関連してくると思うんです。というのは、原子力基本法の中に、原子力委員会という項を当然うたわれるわけでしょう。そして、その中に、この目的とか、あるいは所掌事務とか、こういう点も基本法の中にうたわれるわけです。その基本法の中でうたわれるべき原子委員会の項の中の所掌事務に関連して、今一つの大きな問題が提起された。こういうことになってくれば、結局は基本法審議というものを最初に十分にやらぬというと、ここで原子力委員会設置法について論議をしていても、どうも論議にならぬのじゃないかという疑義をさっきから感じておるんです。その点についてもう一回明快な御見解を御表明願いたいというのが一つ。それから、もう一つは、少くとも、東大の矢内原学長とか、学界のそうそうたるメンバーの方々が大きな疑義を持っておられる学校におけるところの原子力研究の予算に関連して、こういう大きな疑義を持っておられる以上は、当然、本委員会においてもそれらの方々においでを願って、そうして言わんとせられるところを十分にお聞きして、十分な審議を遂げた上で結論を出さなくちゃならぬ、こういうふうに思うんですが、そういうお考えがあるかどうか。そういうお考えがあるとするならば、この審議は一日や二日でもって終りそうにも思えないが、一体どういうお考えか。この際もう一度明らかにいたしておきたいと思います。
  58. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほど申し上げました通りに、原子力に関する委員会を設けましても、大学の研究には干渉いたしません。それはどこまでも自由であります。予算についても、それは文部省がとることについては干渉いたしません。(「そこで基本法内容が問題になるんですよ」と呼ぶ者あり)そうです。それからなおこの委員会を作るについての規定と趣旨に反することは基本法には作りません。(「そこが論議になっておる」と呼ぶ者あり)なっておりません。どうせ共同提案ですから、政府の方針としては、それでいきます。それからなお、先ほどの大学の当局を呼んで聞くこと、それはごもっともです。現に私どもに申し込みがあります。よく大学当局と相談いたします。
  59. 成田知巳

    成田委員 今八木委員がお聞きした、大学の関係者を呼んで聞かれるかどうかというのは、今正力さんの御答弁のように、ただ政府に呼んでお開きになるという意味じゃないのです。この委員会へ参考人として出てもらって、問題点を明らかにするという意味なんですが、その通り考えてよろしいですか。
  60. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 ただいま原子力委員会原子力基本法によって決定されるのであるというお話でございましたが、原子力基本法の今までの決定いたしました結論は、先ほども申し上げます通りに、原子力委員会組織、運営及び権限については、別に法律でこれを定めるということになっておりますので、この点は原子力委員会設置法案に関する御審議決定によって、原子力基本法の別に法律をもって定めるという内容決定されていくんだと考えるのであります。  それから、大学のこの法案に対するいろいろな問題が新聞に出ているのを、私はただいま拝見いたしたのでありますが、この大学との関係は、原子力平和利用審議会の議を経まして、いろいろ大学の先生のお集まりを願ってお話を承わったのであります。これは数回にわたってお話を承わったのでありまするが、その結論として、大学の研究は従来通りであるということであるならば賛成をするというので、われわれは、大学の原子力に関する研究は従来通りであるということで、了解を得ておるのであります。従って、字句についていろいろな御疑念もあるようでございますが、この原子力委員会設置法案の中に盛られた字句は、全部大学の研究は従来通りであるという前提のもとにこれを書いているのでございまして、この点はどういうことで大学の先生が疑念を持たれたのか存じませんが、数回にわたる原子力平和利用審議会の総合部会において、全部の関係大学の先生がお集まりの上で審議をして、その点さえはっきりしているならばそれでよろしいということで、この問題が今日まで進展を見たのでありますから、これもあわせて申し上げておきます。
  61. 八木昇

    ○八木(昇)委員 今成田委員の御質問中ですから、妨げないようにあと一つだけ。今の齋藤さんの御答弁は、どうも納得ができかねるのですが、原子力基本法の中に、少くとも私がもらっておりまするプリントでは、原子力委員会という項目があって、相当具体的な項目まで書いております。しかし、それを改めて原子力委員会については別に法律で定めるということにされるにしましても、一つの項目を設けて、それから目的、所掌事務の大筋、こういうふうなものは当然書かるべき筋のものです。それを全然書かずにおいて、そうして今おっしゃられるような項目だけでは済まぬのではありませんか。その点だけもう一度念を押しておきたい。
  62. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 この原子力基本法は、先ほどから申し上げます通りに、超党派的な立場から共同議員立法でいくということで、政府といたしましても、この原子力に関する基本法あり方は、これは超党派的に決定を見ることが非常に望ましいというので、原子力基本法共同提案に待つという態勢になっておるのであります。従いまして、この原子力基本法の今までのあり方では、原子力委員会組織、運営及び権限については別に法律をもって定める、こういうことになっておりまするので、この別に法律をもって定めるという内容は、結局原子力委員会設置法における御審議過程において大体決定していくのである、そう私は考えておるのであります。そういう意味で御答弁を申し上げたわけであります。
  63. 成田知巳

    成田委員 今、八木さんの質問に対しまして、齋藤さんの方では、大学の教授も呼んでいろいろ懇談した、決して学術会議の三原則は侵さないんだ、こう言ったら大学の先生たちも納得されて帰られたから、いいじゃないか、こういうお希なんですが、これは、齋藤さんみたいな口のうまい人にかかったら、大学の先生方はそうかなと思うんです。しかし、問題は、いよいよ法案が出たら、学者というのは字で見るんですから、法案を見ると、これはおかしいということで、今ああいう抗議が出ているんです。そこで、今正力大臣も言われましたように、十分意見を聞きたい、こう言われたんですが、それは政府において呼んでお聞きになるんじゃなしに、国会に参考人としてお呼びになって、私たち質問申し上げ、それから参考人の意見も聞く、こういう取り計らいをするんだという意味で御答弁になったと解釈していいですか。いかがですか。   〔「それは政府答弁することじゃない。理事会でやるべきだ」と呼ぶ者あり〕
  64. 有田喜一

    有田委員長 国会のことは、委員長がそれぞれの機関と諮って、理事会もあるし、それらに諮ってその問題をきめたいと思います。
  65. 成田知巳

    成田委員 もちろん決定権は国会にあると思いますが、正力さんのお気持はどこにあるかということを聞いているんですから……。
  66. 正力松太郎

    正力国務大臣 すでに今まで委員会でよく聞いてあることですから、それで十分だろうと私は思っております。
  67. 成田知巳

    成田委員 先ほどは大学の先生方の意見も開きたい、こう言われたんですが、もう十分だというのはどういう意味なんですか。——先ほど、大切な問題だから、大学の先生方にも来ていただいてよく御意見を承わりたい、こういう御答弁があった。そこで、私は、これは政府でお聞きになる意味なのか、それとも国会に呼んで聞いた方がいい、こういうようなお考えがあって御答弁なさったのか、こう聞いたわけですが、要するに、大学の先生方の意見を聞きたいということは、方法はどちらにしろ、間違いないわけです。ところが、今もういいというのはどういうわけですか。その点やはりもう少しはっきりされた方がいいと思うんです。
  68. 正力松太郎

    正力国務大臣 これは十分聞いてあることでありますから、それでけっこうであると私は思います。
  69. 成田知巳

    成田委員 時間がないそうですから二、三……。企画庁長官は来ておられませんか。——それでは、原子力担当の正力さん、専門家の齋藤さんがいらっしゃいますから、一つお開きしたいと思います。第二条四号ですが、先ほど原子力担当の正力さんは「ガイ」燃料と言われたんですが、「カク」ですね。これをまず伺っておきましょう。
  70. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 「カク」と読むように心得ております。
  71. 成田知巳

    成田委員 これで非常に明快になりました。そこで、この四号に「核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること。」とありますが、濃縮ウラン協定との関係をお聞きしたいと思うんですが、もし御担当でないからだめだというなら、後ほど伺います。濃縮ウラン協定についていろいろ秘密保持の条項なんかがあるらしいんですが、その秘密保持というのは、日本が受け入れるであろう六キログラム、その灰の処理その他についての秘密協定なんですか。それとも、六キログラムの核燃料物質を受け入れた以上、日本の原子力に関する研究については、すべてあの協定というものが生きるのかどうか、これを一つはっきり御答弁願いたいと思います。
  72. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 御答弁が当らぬかもしれませんが、私の存じております限りにおきましては、濃縮ウラン双務協定の中には秘密事項はないのであります。一切の秘密事項はこれに伴わないということになっておりますので、秘密事項はないと承知いたしております。それから、核燃料物質及び原子炉に関する規制というものには、一切の濃縮ウランの今後のあり方というものは当然入ってくるわけであります。「核燃料物質及び原子炉に関する規制」とありまするのは、原子力基本法決定いたしますと、これに関する一切の関係法規が制定されるわけであります。その中には、許可事項もございまするし、認可事項もございます。そういうもので一切の原子力問題を取り扱うのでございまするから、濃縮ウランのあり方というものも今後一切規制事項の中に入って参ります。
  73. 成田知巳

    成田委員 もちろん、国内法としては、この四号というものはあらゆる問題について適用されるというのは当然だろうと思いますが、私のお聞きしておるのは、濃縮ウラン協定で秘密事項はないと言われたが、私たちは必ずしもそうは思わないのです。たとい秘密事項はないといたしましても、研究結果の通報の義務はありますね。こういう通報の義務というものは、アメリカから受け入れるであろう六キログラムについての通報の義務なのか、それとも、それに関していろいろ研究していきますと、日本の科学者で新しい発明発見が予想される。そういう問題についても通報の義務があるのか。簡単に申しますと、六キログラム限りの通報義務なのか、それとも、あの協定というものは、六キログラムを受け入れたことによって日本が原子力研究を進めていく、それについての通報の義務まで規定しておるのか、この点御答弁願いたいと思います。
  74. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 双務協定における通報の義務は、日本国政府及びアメリカ合衆国政府関係法令及び許可要件というものでやられるのであろうと思いますが、結局、この双務協定の中に盛られておりまして、日本で原則的に自由にならないというのは灰の取り扱いだけのようであります。灰はそのままの形でアメリカに送り返す。しかし、これも、アメリカと交渉の結果、灰の研究もやりたいというのなら、灰の研究もやれる。その以外には何ら拘束せられるものはないのであって、濃縮ウランを借りて参りましたならば、この濃縮ウランに関係するところの一切の今後のあり方は国内法で規制していっていい。しかも「秘密資料は、この協定に基いては通報されないものとし、また、資材若しくは設備及び装置の移転又は役務の供与が秘密資料の通報を伴う場合には、日本国政府又は同政府が授権するその管轄の下にある者に対する資材若しくは設備及び装置の移転又は役務の供与は、この協定に基いては行われないものとする。」ですから、一切秘密資料というものはないのであります。もしそこにあるとすれば、灰をそのまま送り返すというだけに限定されておるものと解釈いたしております。
  75. 成田知巳

    成田委員 取り扱いについては国内法でおやりになるというのですが、御承知のように条約は法律に優先するものですから——今度の協定は、単なる六キログラムに関する通報だけでなしに、これを受け入れることによっていろいろ研究する、そして新しい発明発見もできる、そういうものについても通報の義務があるのかどうか。たとい国内法でないと言っても、協定がその趣旨ならば、協定の方が優先するわけですから、この通報の義務その他協定に書いてあることは、事六キログラムの濃縮ウランに関するものか、それとも、それを契機として研究発明が行われる、それに対して毛通報の義務が生ずるのかどうか、ここをお聞きしておるわけです。
  76. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 この原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国との間の協定というものを数回繰り返して見ましたけれども、これは、単に、ここに明記しております通り、ウラニウム二三五、六キログラムに限る、常に六キログラム以上に出てはいけないということが規定されておるのでありまして、この六キログラムのウラニウム二三五を賃貸するという問題に限っての双務協定でございまして、それ以外には何らのアメリカの規制を受けることはないと考えております。
  77. 成田知巳

    成田委員 齋藤さんの権威を傷つけるわけではありませんが、今の齋藤さんの御答弁でよろしゅうございますね。正力大臣から御答弁願います。
  78. 正力松太郎

    正力国務大臣 いいと思います。ようがす。(笑声)
  79. 成田知巳

    成田委員 それから、秘密事項がないと言われたのですが、細目協定というものを協定に付随しておやりになりますか。
  80. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 それは当然細目協定があると思います。それは、ウラニウム二三五、一グラムを幾らにするとか、その運賃をどうするとか、そういう細目協定は当然あるべきだと思うのであります。
  81. 成田知巳

    成田委員 そうしますと、安保条約から行政協定にいったようなああいう形の協定には一応秘密事項はないといっていて、細目協定の線で秘密事項が出るというようなことは絶対ないと考えてよろしゅうございますか。
  82. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 どうも、どの程度まで責任ある御答弁ができるかわかりませんが、私の考えから申しますると、ウラニウム二三五というものはもうすでに世界的に秘密の保ちようがない、これはあまりに通俗的なものであって、ウラニウム二三五の利用というものほもう一般的に商品化されたものである、ウラニウム二三五に秘密を保とうと思っても秘密の保ちようがないと私は考えておるのであります。従いまして、このウラニウム二三五、六キログラムの賃貸の双務協定の細目には、そこには商取引上の細目協定に類似するものはあるかもしれませんけれども、将来両国間において問題となるような秘密というものは私はあるべきはずのものではないと思う。従って、細目協定には秘密はない、私はかように考えておるのであります。
  83. 成田知巳

    成田委員 二三五に関してはそうかもわかりませんが、先ほどから私心醸して申し上げているように、それから発展して、通報の義務とか、そういうものを細目協定で規定されるおそれはないかどうか、この点お尋ねします。
  84. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 これは、ウラニウム二三五によって原子力発電をやるのではなくして、原子力研究を行う試験炉を作るのであります。これはまことに小さなものであります。従いまして、そのウラニウム二三五、六キログラムから出て参ります灰の中には、もちろんこれはどのくらいの量かわかりませんが、ようやくはかり得るくらいのプルトニウムというものが出てくるかもわかりません。しかし、そのプルトニウムというものに関しても、灰をそのまま送ってやれば、日本は何らプルトニウムにタッチする必要はないのでありまして、灰をそのままアメリカに送り返すということを前提といたしますと、もうプルトニウムにもわれわれは関係する必要はない。そうすると、ウラニウムをただ燃やして、そして試験用の原子炉を作るのでございますから、ウラニウムをどれだけの価格でもって賃貸するとか、それを補給するときにはどうするとか、それを輸送するときにはどういう方法でもってやるとかいうだけでもって、何ら、そこには、将来も、そのウラニウム二三五を持って参ります上において、本質的に秘密を伴うべき事項は発生しない、私はかように考えております。
  85. 成田知巳

    成田委員 今、原子力発電のことを言われましたので、この点を最後にお聞きしたいと思うのです。交換公文で、今度のウラニウム受け入れに伴って、日本の将来の原子力発電についてアメリカからお世話願う、こういうような交換公文があったと私は記憶しておりますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  86. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 この交換公文は、御承知通り、初めは第九条に規定されておったのでございますが、これは、いろいろな御審議の結果、日本といたしましては、この九条をはずした方がいいという考え方が強かったので、これを交換公文に移したのだと聞いておるのでございますが、交換公文の内容を検討いたしてみますると、これは、将来もし日本が原子力発電を行う場合に、アメリカと相談をする必要があった場合には、相談に応ずるというのが交換公文の趣旨であります。それでございますから、今後日本が甘木独自の立場におきまして原子力発電の研究を行なって、甘木独自の力においてこれを行い得るということになったならば、交換公文は不要になるのであります。あれは日本が必要と認めた場合にアメリカが相談に応ずる余地を残しておくというのが交換公文の建前で、日本の今後の研究の進歩に従いましてその必要を認めなければ、交換公文を用いる場合は出てこないと私は思う。しかしながら、どうしても日本は将来耳木の力でもって原子力発電ができない、これはどこかにたよらなければならないという場合が起きたときには、交換公文によってアメリカと一応相談することができるという余地を残しておるものと私は解するのであります。
  87. 有田喜一

    有田委員長 成田君、もう一人保科君の御質問があるのですが、きょうはほとんどあなたに御質問を許しているので、そろそろいかがでしょう。
  88. 成田知巳

    成田委員 今の交換公文の問題ですが、日本が希望すれば、向うは応じて相談に乗ってやろう。協定だとか条約というものは、安保条約を見てもそういう表現になっておるのです。事実上日本が希望する、しないにかかわらず、アメリカから一方的に押しつけてくるというのが現状じゃないかと思います。そこで、齋藤さんたちがアメリカにおいでになったときに、あの交換公文はアメリカは何とも必要と思っていなかったのだ、むしろ日本政府の方がやってくれ、やってくれと言ったもんだから、迷惑だけれどもやったんだ、こういうような話があったということを聞いておりますが、事実そうでございますか。
  89. 齋藤憲三

    齋藤政府委員 私は、その問題には触れませんで、それは存じません。私は、原子力問題を主体としてアメリカに行かれた議員団とは別でございましたので、その問題は存じませんが、交換公文は——これは私の主張でございますが、交換公文というものは、日本の原子力研究が進みますれば不要になるのであって、私は、あれはあってもなくてもいい、むしろああいうものをつけておいた方が、これは日本が万が一いよいよ窮境に立ったきとに相談する一つのチャンスをつかんであるのだ、そう考えておるのであります。しかし、今日御審議を願っております原子力委員会あり方とか、あるいは原子力基本法の問題とかは、交換公文を不要にしようというために、急速に日本の原子力態勢を確立しなければいかぬ、あくまでも原子力問題は日本の力において日本の将来を律すべき態勢を急速に馴致しなければいかぬということで、原子力問題は、臨時国会会期のわずかなことをも顧みませず、何とかこの臨時国会において態勢を確立していただきたい、さように考えておるのでございまして、御質問の交換公文は日本から要求してつけたのだということに対しましては、私は何ら感知いたしておりません。
  90. 成田知巳

    成田委員 では、時間がないそうですから、質問は留保しておきます。
  91. 有田喜一

  92. 保科善四郎

    ○保科委員 大臣に御質問いたしたいと思いますが、原子力アジア・センターがフィリピンに設けられる可能性が非常に多くなったという新聞報道を見たのでありますが、何かこれに関する情報がございます。
  93. 正力松太郎

    正力国務大臣 原子力アジア・センターを日本へ持ってきたいと思っておりましたが、残念ながら、今の見通しとしてはフィリピンの方が非常に有力になっていまして、現に新聞紙の報ずるところによりますと、フィリピンに決定したということであります。しかし、私は決定したものとは思っておりません。なお一つ外務省を通じて最後の努力をしたいと思っております。
  94. 保科善四郎

    ○保科委員 いろいろな観点から見ると、日本が非常に適当なように思うし、また極東の将来の情勢から見ましても、日本に置くことが一番いいのじゃないかと思われるのですが、何かフィリピンに置かなくちゃならぬような、日本では工合が悪いというような点があると大臣はお考えになっていらっしゃいますか。
  95. 正力松太郎

    正力国務大臣 アジア・センターを持ってきたいということは、郷民も希望果し、私どもも非常に希望しておりました。ところが、今まで、日本は、何しろ法案もああいうふうな状態だし、すべてが整うておらぬことも原因したのだと思いますが、日本の方は、フィリピンとかセイロンに比べると、技術的にずっと進歩しております。だから、公平に見て日本に持ってくるのが一番だと思っておりますが、そこらあたりがまだ骨折りが足りなかったものか、とにかく今の状態ではフィリピンが最も有力になっています。しかし、できるだけ今後なお努力いたします。そこで、一日も早く今度の法案でもきまり、ことに共同提案原子力法案が通るとなりますれば、外国に対しても非常にいい。だから、一つ原子力基本法なりまた設置法も一日も早くできて、日本はこれほど準備しているぞということを見せたいと思います。今までこういうことができなかったことが、確かにこっちに持ってこれなかった一つの原因だと思います。そういうわけですから、法案の一日も早く通ることを希望いたします。
  96. 保科善四郎

    ○保科委員 私は今の大臣のお考えに非常に同感なんですが、実際何かわけのわからぬことを言うているから、日本を避けるようなことになる空気がアメリカにできたのじゃないかと思います。しかし、超党派的にこの原子力の問題に対して大いに馬力をかけようという、もうすでにそういう気持ちになっており、こういう法案提案されているわけですから、一つぜひあらゆる方法をもって——直接アメリカの方に言うことや、大使館を通ずる方法もあるでしょうし、あらゆる方法を使って、ぜひこれを日本に持ってくるよう、これは日本の権戚にもかかわろうと思いますので、どうぞこの上とも一つ御奮発を願いたいと思います。
  97. 正力松太郎

    正力国務大臣 全く今の御趣旨は同感であります。私どもも外務省を通じてばもちろんやりますが、その他でも何かよい方法がありましたら考えて、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。
  98. 有田喜一

    有田委員長 他に御質疑ばございませんか。——なければ、本連合審査会はこれにて散会いたします。  なお、科学技術特別委員会の方々に申し上げますが、本日定刻より本会議がありますので、本会議散会後委員会を開きたいと思っておりますから、御了承願っておきます。    午後零時三十四分散会