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島村説明員 お尋ねの点でございますけれども、私もとても御納得のいくように
技術的に御
説明申し上げることもできませんので、ごく常識的に申し上げたいと思うのでございます。先ほど御
指摘がございましたように、日米の
原子力協定には秘密条項は一切ございません。その他の国と
アメリカとの協定の場合には、秘密を守る義務を当然書かれておるという
お話でございますが、私も本日ここに他の国との協定の資料を持ち合せございませんので、おそらくはこういうふうな意味の条文であったかと思うのでございますが、他の国の協定の中には、この
原子炉の管理あるいは燃料の管理につきまして、
アメリカ合衆国の
原子力法によらなければならぬというような意味の規定があった、おそらくそれをさしておっしゃっておるのだろうと思うのであります。
日本の場合におきましては、他の国との引き合いにおいて申しますのはどうかと思いますが、とにかく相当自信を持っていい国でもございますので、その協定の中に
アメリカの
原子力法によるというような表現の協定を結ぶことは、どうも率直に申しまして不面目であるというような意味から、そういう表現を避けるように外務省の方で
努力したものであろうと私は思うのであります。ただ、その場合に、
日本につきましてはもちろん平和的な利用に限られておりますし、
日本の独特の事情もございまして、その機密を守るということが非常に工合が悪いものでございますから、従って、その
内容を繰り返します場合にも、機密条項ということは絶対
日本と
アメリカの場合には排除したというふうにお
考え下さって、けっこうではないかと思うのでございます。従いまして、特に
日本の場合には機密資料は通報されないということが明文をもって協定の中にうたわれておりますし、また機密を含むところの資材の貸与あるいはあっせんというようなこともやらないということになっておるわけでございます。イギリスとの協定、あるいはカナダでございますとか、そのほかの特殊の国につきましては、
アメリカは特に機密条項までをもっと明瞭な形において含んだ協定もいたしておりますことは、御存じの
通りでございます。これはもっぱら軍事的な
目的にも関連させての協力を意味しておりますので、そういう条項が入っておる。
日本の場合には、そういう意図は全然ございませんから、特に機密をあくまでも排除してやるということになっておるわけでございます。
なお、機密の点が絶対排除せられておっても、事実上機密を強制されるようなことになっておるではないかという
お話でございます。私は、別にお引きになりました灰の処理がそれに当てはまるかどうかということは、ちょっと問題だと思うのでございますが、御
指摘になりました灰の処理につきましては、先日も申し上げましたように、一応原則としてはこれに手を触れないで返すということになっておりますので、機密ではございません。あるいは、もし
日本が機密を守るということを約束した場合に、灰の処理が認められるかどうかという
考え方もございましょうが、ただいまのところ、
政府といたしましては、機密を条件にしたそのような認められ方というものは絶対
承知しないで、あくまで公明に公開のもとにやれるような意味におきまして、なお灰に手をつけるということを認めてもらえるという
趣旨で、この細目協定以降、現実に燃料を借りましてそういう意味の
研究が始まりました際には、そういうような了解をつけたいというつもりでおるわけでございます。
なお、全般的な問題といたしまして、そういうような機密が事実上強制されるようなもとで
原子力の開発が将来やっていけるかどうかという
お話でございますが、私どもも、この
濃縮ウランのみによって
日本の
原子力の開発をやっていくということになりますと、当然そのようなことも
考えなければならぬ。相当重要視しなければならない問題となると思います。従いまして、
日本といたしましては、むしろ、
アメリカから貸与を受ける
濃縮ウランだけによって
原子力の開発を進めていくということでなしに、
日本の独特の
技術を開発いたしまして、そういったようなことにわずらわされずに済んでいくような
方向に主眼が置かれなければならぬと
考えるわけであります。それでは、なぜ
濃縮ウランを受け入れるかということになりますが、それは、
日本がそういうような
技術をつちかいますための前提として、とりあえず
濃縮ウランを借りまして、
日本で本格的な
原子炉、
実験原子炉にいたしましても、
日本人の手による、
日本人の知能によるところの
原子炉を作っていきます場合に、必要な前提としての
研究をこの
濃縮ウランによってやりたい、たとえば、
濃縮ウランを受け入れることによりまして、
日本が将来作りたいと
考えておりますところの
原子炉のいろいろな材料の実験をやるということに、この
濃縮ウランの実験炉を使いたいというふうに
考えております。従いまして、重点はあくまで国産
原子炉というところに置いて
考えなければならないわけであります。私どもといたしましては、さような意味で、
濃縮ウランというもので今後すべてをやっていこうというのでありますと、いろいろ御心配の点も出てくるわけでございますが、これは
日本人が自分で作る
原子炉のための準備的な段階として受け入れるのだというふうに
考えますならば、これを受け入れることも非常に有用である、そういうふうに
考えておるわけであります。御
答弁になりましたかどうかと思いますが、一応お答えいたします。