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1955-12-07 第23回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月七日(水曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 松山 義雄君    理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 俊夫君 理事 畠山 鶴吉君    理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君       生田 宏一君    岡崎 英城君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    堀内 一雄君       山本 友一君  早稻田柳右ェ門君       井岡 大治君    池田 禎治君       下平 正一君    竹谷源太郎君       正木  清君    山口丈太郎君       小山  亮君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁監         察部長)    岡松進次郎君         運輸政務次官  伊能繁次郎君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁監         察参事官)   山口  酉君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         日本国有鉄道常         務理事     大槻 丈夫君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十二月五日  委員佐々木秀世君及び徳安實藏辞任につき、  その補欠として生田宏一君及び松山義雄君が議  長の指名委員選任された。 同日  委員長原健三郎委員長辞任につき、その補欠  として松山義雄君が議長指名委員長選任  された。 同月六日  委員松田鐵藏君及び大西正道辞任につき、そ  の補欠として加藤常太郎君及び島上善五郎君が  議長指名委員選任された。 同月七日  委員加藤常太郎辞任につき、その補欠として  松田鐵藏君が議長指名委員選任された。 同日  理事山本友一君及び有田喜一理事辞任につ  き、その補欠として畠山鶴吉君及び松田鐵藏君  が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月五日  常磐線電化促進に関する請願赤城宗徳君外  三名紹介)(第二三号)  青森港を特定重要港湾に指定の請願三浦一雄  君外五名紹介)(第二四号)  野岩羽線鉄道全通促進に関する請願八田貞  義君紹介)(第二五号)  奄美航路運賃値下げに関する請願(上林山榮吉  君紹介)(第二七号)  東北ドック再建に関する請願内海安吉君外一  名紹介)(第二八号)  国鉄仙山線中北仙台駅、陸前落合駅間に駅設置  の請願内海安吉君外一名紹介)(第二九号)  新得本通り地内の鉄道用地開放に関する請願(  本名武紹介)(第八五号)  根室本線新得駅舎改築に関する請願本名武君  紹介)(第八六号)  全国避難港の整備促進に関する請願椎名隆君  外一名紹介)(第八七号)  国鉄姫新線汽動車運転請願小枝一雄君紹  介)(第一〇七号) 同月七日  甲府、長野間の電化促進に関する請願原茂君  紹介)(第一四四号)  同(下平正一紹介)(第一九四号)  東北本線北福岡駅、金田一駅間に斗米駅設置の  請願山本猛夫紹介)(第一四五号)  羽幌町に灯台設置請願松浦周太郎紹介)  (第一四六号)  天売港の修築工事促進に関する請願松浦周太  郎君紹介)(第一四七号)  羽幌港の修築工事促進に関する請願松浦周太  郎君紹介)(第一四八号)  相柳並びに杞柳製品鉄道等級運賃引下げに関  する請願有田喜一紹介)(第一九五号)  国鉄赤穂線電化促進に関する請願亀山孝一  君紹介)(第一九六号)  国鉄飯山線運転改善に関する請願塚田十一  郎君紹介)(第一九七号)  細島港に海上警備救難署設置請願伊東岩男  君外五名紹介)(第一九八号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  韓国水域防衛強化に関する陳情書  (第四一号)  板付航空基地高層気象観測打切り延期に関す  る陳情書(第四二  号)  鮮魚等に対する国鉄貨物運賃特別割引に関す  る陳情書(第九七号)  東北本線復線化に関する陳情書  (第九八号)  北洋漁業のための気象情報強化に関する陳情書  (第九九号)  静岡県に天文台設置陳情書  (第一〇〇号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員会設置に関する件  国鉄部外団体改善に関する説明聴  取  国鉄経営調査の結果に基く行政管  理庁勧告に関する件     ―――――――――――――
  2. 松山義雄

    松山委員長 これより会議を開きます。  その前に委員長といたしまして一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  先般練達なる前委員長原健三郎君が委員長辞任いたされまして、後任といたしまして不肖松山義雄委員長の重責を汚すことになりました。何分にも委員会の所管及び運営につきましては、はなはだ不案内でございますので、何とぞ委員各位の御協力、御指導のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。委員会運営につきましては誠心誠意、公平を旨といたしましてやつて参りたい所存でございます。どうぞ委員各位の御鞭撻、御協力をお願いいたしまして、はなはだ簡単でございますが、委員長就任のごあいさつといたしたいと思います。(拍手)     —————————————
  3. 松山義雄

    松山委員長 最初に理事補欠選任につきましてお諮りいたしたいと存じます。理事有田喜一君、山本友一君より理事辞任いたしたい旨の申し出がありましたので、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松山義雄

    松山委員長 それではこれを許可いたします。  つきましては、理事補欠選任いたさなければなりませんので、委員長より指名をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松山義雄

    松山委員長 御異議ございませんようですから、  畠山鶴吉君、松田鐵藏君を理事指名いたします。
  6. 松山義雄

    松山委員長 次いでお諮りいたします。小委員会設置についてでありますが、前国会に引き続きまして、観光に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  7. 松山義雄

    松山委員長 御異議ありませんようですから、さように決定いたします。  なおその人員、小委員、小委員長選任につきましては、委員長に御一任いただきたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松山義雄

    松山委員長 それでは理事会に諮りまして、後刻発表いたしたいと存じます。     —————————————
  9. 松山義雄

    松山委員長 これより陸運、特に国鉄経営に関しまして調査を進めます。  本問題に関しましては、前回の委員会におきまして、国鉄経営調査の結果に基く勧告について、行政管理庁よりその説明を聴取いたした次第でありますが、本日は国鉄側よりその説明を求めたいと存じます。  なお本問題に関する資料要求等に関しましては、その手続を委員長に御一任いただきたいと存じますが、いかがでございますか、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松山義雄

    松山委員長 ではさように決定いたします。  それでは国鉄説明を聴取いたしたいと存じます。なお引き続き外郭団体整理方針についても説明を求めたいと思います。石井経理局長
  11. 石井昭正

    石井説明員 行政管理庁が先月十七日に運輸大臣あてにお出しになりました日本国有鉄道経営調査の結果に基きますところの勧告事項につきまして、先般行政管理庁の方から御説明があつたわけでございます。本勧告運輸大臣あてに出されたものでございまして、このお取扱いについては、目下運輸省において御検討中であろうと存ずるわけでございます。結局この問題は勧告が出されます前に、事前にいろいろ世間の御批判の対象となりましたので、この際お許しを願つて、御勧告内容について目下私ども考えております点を申し上げて、御審議の御参考に資していただきたいと思います。  管理庁の御見解を体しまして私ども意見を申し上げる前に、根本的な問題につきまして管理庁の方でどういうお考えでやつておられるかという点が一つ明瞭になつていないのではないかということが、今回のようないろいろの論争と申しますか、そういうことめいたことになりましたことではないかと実は私どもとしては思うのでございます。それは結局国鉄が一体どういう輸送を行いまして、どういう設備をいたしまして、どういうサービスでもつて国民の御要請にこたえ、あるいは国家産業発展基礎となる輸送使命を達するかという点、これは結局国の交通政策根本ではないかと思うのでございますが、そういう点についてどういう考え方をとつているかということがはつきりすることが、結局私どもの今後の経営なりあるいは資金調達という点の根本を解決する一番大きな要素ではないかと思います。この点につきましては毎々私どもの方から申し上げておりますように、現在私ども国鉄は、単に現在の設備現状のまま維持するだけでは、とうてい国民の御要望にこたえることも、国家経済発展あるいは産業の伸張に輸送の能力を合せていくこともできないということを申し上げているわけでございまして、結局私どもの当面の問題は、過去におきますところの非常な財政的な苦境のために、当然やらなければならない施設の更新という点がおくれて累積されておりまして、そのために相当老朽施設がたまつている。この老朽施設を一、二年のうちあるいはここ数年のうちに取りかえなければ、国鉄として国鉄安全度を保つていき、そうして国民の皆さんにこたえるだけの輸送の基盤ができないという点が一つでございます。いま一つは当面の急務となつております現在の非常に逼迫した輸送事情、特に大都市付近におきます通勤輸送あるいは東北北陸方面におきます貨物輸送力、こういうものが、非常に逼迫していることは、皆様も御承知通りでございます。これをこのままに放置しておくわけには参らない。従つてこの輸送需要に合せた、そして現在の非常に混雑度を増しておりますところの輸送を緩和することも一つの重要な使命であり、また国民の御要望であろうと思うのでございます。それからいま一つ国鉄近代化でございまして、現在国鉄が、いわゆる鉄道が近代的な輸送機関として生まれかわることは、これは長い歴史を持つております鉄道の機能を充実いたしますのみならず、それが経営合理化基礎となる。将来においてはこれによつて輸送コストの引き下げを行い、そうして国民経済としての輸送エックスペンスを減らしていく。これがためにはさしあたつて近代化のために必要な資金投入を行い、そして合理化を上げる設備を増していかなければならぬ。具体的に申しますれば電化であり、あるいはディーゼル化であり、あるいはいろいろの作業の機械化という点にあると思うのでございます。こういうような条件、私ども鉄道をどう持つていかなければならないかという点、そうしてまた保安度をどの程度まで高めて安心した安全な輸送が行い得るか、あるいは輸送力をどういう程度サービスをやつていくか、こういう点とあわせてその基礎となる資金調達あるいは資金の使途という点について、考え方はつきりきめていただくことが一番重要なことであろうと思うのでございますが、そういう点について管理庁の方のいろいろの御見解が、そのバック・グラウンドとしての考え方が私どもとしてははつきり伺うことができない。また今までにおけるいろいろの管理庁の御意見発表を見ましても、必ずしも首尾一貫しておらないというような感じがいたすのでございます。  第二点といたしまして、現在の私どもの方の輸送設備というものが、果して万全なものであるか、あるいは万全とまで参らなくとも少くとも保安度、社会的な要請に合う保安度を継続して持つていける状態にあるかどうかという点の御見解につきまして、管理庁の御意見と私ども意見とが根本的に食い違つているのではないかと思うのであります。私どもの方は決して現在運行しております列車が危険であり、あるいはいつ転覆するかわからないというようなことは絶対に申し上げておらないのでございます。またそのような運営をいたしてはならないのでありますし、全力を尽してそういうことのないように防いではおりますが、しかしながら現在の設備現状のままで、現状のような財政状態資金投入が確保されないという状態が、ここ一、二年なりあるいは数年も続くというようなことになつた場合におきましては、はなはだ遺憾でございますが、そういうようなことを申し上げなければならないような状態に立ち至るのではないかということを心痛いたしているがために、たびたび従来とも当委員会あるいは国民皆様にも現状を訴えているわけでございます。そういう点につきまして管理庁の方では、現在の輸送情勢あるいは設備状態が終戦直後よりは改善せられたというような観点から、今日の状態で一応安全度が確保されているという御見解をとつておられるのであります。この点の考え方におきまして、根本的な食い違いが出て参つたのではなかろうかと思うのでございます。しかしながら私ども運輸省にお出しになりましたこの勧告書を拝見いたしますと、必ずしもそういうような根本的な食い違いが、歴然とこの勧告で現われておるという状態ではないように感ぜられるのでございます。この点は従来勧告をお出しになる前にいろいろ御発表になりましたような管理庁の御意見と、だいぶそのニュアンスと申しますか、色合いが変つておられたのではないか、こういう感じを持つわけでございます。  そこで勧告事項内容の点につきましては、過般管理庁の方から御説明があつたわけでございますが、この勧告事項内容従つて、私ども考え方を申し上げてみたいと思うのであります。  第一のグループは、現在の制度につきましての御意見でございます。この点につきましては現在運輸省において、日本国有鉄道経営調査会という審議機関を設けて、各界の有識の方々をお集めになつて、御審議願つておるようでございます。また昨年は政府におきまして、公共企業体合理化審議会をお作りになりまして、約六カ月にわたつてこれも御検討になつております。従いまして私どもといたしましては、そういう政府のいろいろの審議機関の御審議の結果なり、あるいは経過を待つて意見を申し上げるのが妥当ではなかろうかと思つておる次第であります。ただ皆様も御承知のように、国鉄は一応公共企業体となつて、広範な自主性を与えられておるということにはなつております。しかしながら建前はそうでございますが、実際の運用なりその他につきましては、財務的な面におきましては、特に従来の鉄道省運輸省時代と格段の質的な変化があるわけではないのでございます。若干の点につきましては、自主的と申しますか、ある程度の裁量の余地は許されて参つておりますが、しかしながら今日最も重要な財務関係につきましての自主性は、基本的な点においてはほとんど変りはないというのが実情ではなかろうかと思います。こういう中途半端なところが、結局公共企業体というものについて、いろいろと御議論を生じ、また私ども実際に運営いたしておりますものにとりましても、割り切れない結果を生じておるという点はあるかと思うのでございます。こういう点は、政府の諸機関における慎重な御審議、それから国会における大局からごらんになりました御検討、そういうものを御期待申し上げるわけでございます。従いまして経営委員会あるいは役員の構成、任免、あるいは内部機構の問題、人事管理の問題というような点につきまして、管理庁の御勧告になつている事項は、主として政府においてお考え願うべき問題であろう、こう考えておる次第でございます。ただこのうちで一、二御指摘の点につきまして、私どもは弁明申し上げたい点もございますが、これはその次のグループのところで申し上げたいと思います。  ただ人事管理については、広範に自由任用の道が開かれておるにかかわらず、部外からの人材の登用に見るべきものがないというような御指摘がございましたが、この点につきましては、私どもは広く人材を求めることについては、強い関心を持つているところでございますが、しかし有能な民間の方に、国鉄内部の人となつていただくためには、いろいろな点、率直に申し上げれば給与その他の点で非常に困難な点がございます。そういうことで現役の有能な方々国鉄内部に入つていただくということについてはいろいろ考え参つても、実現は困難であつたという実情は御了承を願います。そういうことでございますので、いろいろ部外方々知識経験を生かして鉄道経営に有益な御忠告、御指導をいただくというためには、従来ともやつておりましたが、委員会あるいは顧問とかいうような形で御協力を得て、できるだけこの趣旨を生かすようにやつて参つておるということを御了承願いたいと思うのでございます。  次に勧告事項の第二のグループでございますが、これが問題の根本点ではなかろうかと思うのでございます。結局この第二のグループにつきましては二つの観点があるかと思いますが、一つ観点は、先ほど申し上げました施設回復状況という点についての見解の相違が一つある。いま一つはその施設に対してこれを手当していく資金の問題が一つある。こういうふうに考えちれるわけでございます。管理庁の御意見は、大体におきまして二十四年までには戦災復旧に重点を置いてやつて参つたが、その後老朽回復改良強化に努力した結果、その状態戦争直後の混乱状態を脱して、相当改良を実施しておるのである。この点につきましては私ども何ら御異論はないわけでございまして、施設戦災復旧はおおむね昭和二十四年度までに実施をいたしておる。ところが二十五年度以降の問題といたしましては、御承知のように朝鮮動乱の勃発がございまして、非常な輸送量の激増となつたわけであります。従いましてその後の私ども施設といたしましては、限られた非常に苦しい資金でもつてこの施設の取りかえをやつていかなければならぬ、あるいはまた輸送の増加に対応する設備もやつていかなければならぬ、こういうような状態に迫られたわけでございます。その結果といたしまして、一部老朽施設の取りかえというものが十分な形ではできないという結果になりまして、その取り残された部分が若干ずつ毎年累増して参つたわけでございます。これが昭和二十八年度以降私ども減価償却費の増額によつてこの点を払拭いたしたいということを、ここ二、三年間毎回お願いを続けて参つたのでございます。ところが管理庁のおつしやる点によりますと、たとえばレールのごときは、昭和二十六年度で取りかえが完了しておるというようなことでございますが、こういう点につきましてはもちろん管理庁のような御計算をいたしますれば、そういう計算はできるかと思いますが、現実にどういう状態かということでございますと、管理庁の御計算に従えば、まず毎年三万三千トンのレール投入基準だ、こういうお話でございます。この基準計算いたしますと、ただいま国鉄レール総トン数は二百三十五万トンでございますので、これを全部取りかえるには七十年かかる。レールの寿命は御承知通り本線路などにありましては大体平均二十年から二十二、三年、側線でありましても二十五、六年から三十年というのが常識的な数字でございます。従つてそういう御計算で三万三千トンが基準だという御計算になりましても、それで果して実情に適するかどうかという点を御験算になつていただいたならば、直ちにその不合理な点がおわかりになつたのじやなかろうかと思うのであります。ただ現在私どもの持つております資料調査に従えば、不良レールはなお二十万トンございます。この点はまだ投入不足ということが言えるかと思うのでございます。  車両状態につきましても、管理庁の方は、国鉄耐用年数がきわめて短かい考え方をとつておるという点を御指摘になつておるのでありますが、私どもは必ずしも短かいとは思つておりませんが、しかしかりに三十年に耐用年数を延長いたしまして、管理庁がおつしやるように長い耐用年数計算いたしましても、蒸気機関車三〇%、貨車が二八%というように耐用年数を超過いたしておりますところの車が相当たくさんあるわけであります。それから客車電車につきましては、平均車令は若干短縮はいたしておりますが、内容的に見ますと、客車のごときは木製客車を鋼体化いたしまして、その改造車を一応新車と同じように全く新しい年令からスタートさせて計算いたしておるわけでございます。実際問題といたしましては、これは実情上からいえばはなはだ不適当だと思うのであります。一応そういう計算をしてみればそうなる。あるいは貨車などにつきましては、御承知のように戦争中非常にたくさんの貨車を一時にふやしまして、その当時の資材の劣悪なるのに毛かかわらず、いわゆる粗製乱造いたしたわけであります。その後改良も加えておりますが、しかし全体的に見れば実質的にはそういう点が、年こそ若くてもいわゆる老朽ではございませんが、若朽というようなことになつておるわけでございます。車両故障事故件数は今なお戦前の八・二倍という数字を示しておる。最近におきましても東京鉄道管理局などにおきまして電車車両事故というものは、動いている間に起きます事故件数は、いろいろの努力によりまして先年よりも減らすことができましたが、しかし車庫の中で発見いたしておりますところの事故は、前年の倍にも上つておるというような状態であります。  それから隧道、橋梁、橋台等につきましては、これは実態上の問題としていろいろ議論があるわけでありますが、この点につきましては、先ほど申し上げました運輸省経営調査会におきまして、純然たる専門家の第三者によつて実情を調べたらよかろうという御決定になりまして、実地調査班数個所お出になつたようでございます。その結論ばまだ私ども伺つてはおりませんが、そういうような点でいろいろ御検討願えれば、私どもが申し上げておることは決して偽わりではないという点の御判断が願えるものと確信をいたしておる次第であります。  なおそれ以外に電気関係あるいは通信関係設備などにつきまして、これは御承知のように非常に耐用年数も短かく、また施設近代化に伴いまして古い型がだんだん使えなくなるという率は非常に高いわけでございます。そういう点につきましては、私どもの方といたしましても電気関係の諸機械、諸設備相当ございますが、こういう点について管理庁の方では御調査がなかつたわけでございます。御調査がないことは別にとやかく申し上げることはないと思うのでありますが、しかしながら全体的に御判断をいただく場合には、やはりそういう点も含めてごらん願うべきではなかつたかというふうに考えられる次第でございまます。  次に問題は、いわゆる減価償却費問題となつております。こういう諸設備の取りかえに必要な経費、それをいかなる資金でまかなうかという問題でございますが、この点につきましては減価償却考え方でございまして、管理庁の方のお考えは、国鉄は国の営造物法人である、従つて事業を解散した際は国が投下した元の資金を回収することば予定していないのであるという御見解でございます。私どもの方は、これは一般私企業減価償却と別に異なつ考えをする必要はない。国鉄がいわゆる公共企業体といたしまして、国の財政から離れて独立の会計でもつて企業を維持、継続、発展さしていく、そういう建前のもとに減価償却制度を設けておる以上は、一般私企業根本的な考え方において何ら異なる必要はないのではないか。ことに管理庁のようなお考えでいくとすれば、結局ある時期、すなわち私どもの方の施設が取りかえなければならないというような時期には、その都度国家の再投資が必要となつてくるわけであります。すなわち資金の回収を予定していないのだということでございますから、そういう際にまた新しい再投資をするということが前提でなければならないと思う。現在国鉄に対して政府なり国家がおとりになつておる建前は、明らかにそうではないのでございまして、減価償却費によつて自己資金を生み出して、新しい施設を作りかえる場合には、その資金でもつてつていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。あるいは言葉が不適当かもしれませんが、自分の企業の力でやつていかなければならない、こういうことだろうと思います。従いまして管理庁の御見解によつて一応投下した資金を回収することを予定しておらないといたしましても、これは国鉄がいわゆる事業を解散したというような事態に逢着した際の御議論でありまして、私ども国鉄というものが未来永劫続くとは申し上げかねますが、しかしながら鉄道使命というものは、ここ数十年というものは依然として十分に働いて、そして国民の生活の基礎となり、国家経済の基盤となるということを予想しておるわけでございます。従つて事業の継続ということが建前である以上、やはり一ぺんつぶれましたからといつて、それを無価値として除却すればよいというわけにいかないので、直ちにそれにかわるべき施設を私ども企業の力で作り出していかなければならない、こういう考え方でございます。こういう根本的な考え方が第一点に相違いたしておるわけでございます。  しかしこういう根本的な考え方議論は別といたしまして、結局現在の減価償却費が足りるか足りないか、幾らが適正であるかということが、いわゆる国鉄が黒字である赤字であるという議論の最も大きな中心点となつて議論でございますが、この点については、管理庁国鉄減価償却費は百七十億ないし二百億でよいのだというような御所見を前に発表になつておるわけでございます。しかし今回の勧告については、その点は明瞭にはなつてはおりませんが、しかし結局修繕費と減価償却と合せて約四百九十億でございますか、昭和十一年度の修繕費と取りかえ推定額との合計、物価上昇率と資産数量の増加を見込むと約四百九十億となるということを言つていらつしやるのでございますが、おそらくこういう点でやはり依然として二百億あるいは百七十億程度というようなお考えを持つておられるのかとも思うわけでございます。この数字の出ました根拠につきましては、私どもの方といたしましては非常に推定が多い数字でございまして、資産数量の増加率のごときは、管理庁の方の御資料によりましても七割を増しておるのでございますが、それは価格関係であるということで、物量だけを見れば四割三分だというような増加率だという御計算であります。そういう計算内容を拝見いたしましても、私どもの方で計算をいたしますと、物量計算だけでも八割以上の数字になつておりますが、そういう点でいろいろ数字上の見解食い違いもあるわけでございます。ただこれは当初の取りかえ推定額が減価償却費に当るものだという点について、初めから根本的に大きな御見解の違いがあると思うのであります。  それでは現在国鉄の資産は幾らあるかと申しますと、これは償却資産だけで約一兆八千億と申しておりますが、この点につきまして管理庁の方としては、その数字計算の正確性も疑わしいというようなことを言つておられるのでありますが、なるほど私の方も一銭一厘間違いのない数字だというふうに申し上げることはできかねますが、しかしながらこれは昭和二十二年及び三年におきまして行いました実態調査の結果を基礎といたしまして、その後の物価の上昇率並びに資産の増減を計算して推定いたしておりますので、実際そんな大きな狂いがあるものではないということは確信を持つて申し上げられますし、また現在再評価を実施中でございまして、全部まとまつてはおりませんが、ただいままでの中間的な見通しにおきましても、一兆八千億という数字は若干上回ることはあつても、これより下ることはないのじやないかというような数字が出ておるのでございます。そういう一兆八千億の償却資産に比べまして、わずか百七十億あるいは二百億というようなものの償却でよろしいということになれば、これは結局国鉄設備は全部で八十年なり百年なりかからなければ更新しないというような結果に相なるかと思うのであります。従いまして私どもといたしましてはかような数字を御納得申し上げるわけにはいきかねるかと思うのでございますので、結局問題といたしましてはそういう低い評価ではなくして、減価償却計算方法についていろいろ御異議がある、こういうふうに考えられるわけでございますが、その点はいろいろ償却資産の内容について、トンネルの年数であるとかあるいは土工の年数であるとか、そういうものが、現在使つておる耐用年数はむしろ短かいのではないかという、御意見といたしましてはこれは私どもも決してわからないことはないのでございます。ただ私どもが今まで使つておりましたのは、法人税に準拠してやつてつたのと、それから今まで減価償却を認めていただきましたのは、結局第一次再評価ベースによつておる。従つて現在の実勢から見ると四割も五割も低いベースでもつてつておられる。従いまして考え方といたしますれば、耐用年数をそれでもつてもうすでに倍近くも延ばしておるという結果になるわけでございます。そういう場合におきまして、一応現在法人税法の計算方法に準拠してやつてつて、いろいろ予算上の御要求なりあるいは減価償却費というものについての考え方をやつておつたということにすぎないわけでございます。従いまして私どもも適正な減価償却費を計上していただくという段取りになつた場合におきましては、いろいろ耐用年数その他の点につきまして検討を加えるべく準備もいたしておりますし、検討もいたしておるわけでございますが、そういうことをいたしました場合において、果して幾らくらいの数字になるかという点につきましては、推定でございますが、やはり四百八十億から五百億という数字がどうしても出て参るのではないか、私どもかように考えておるのでございます。  それで管理庁の御意見の中で、一応私どもの方のいろいろ施設の実態調査のやり方が不完全であつて、台帳などが整備されておらないというような御指摘があつたようでございますが、これは私どもの方の台帳の制度その他について若干の誤解があるのではないかと思つております。私どもの方では財産の台帳がないということは絶対ないのでございまして、固定資産に関する台帳といたしましては固定資産原簿というものを備えつけてございます。またこれとは別に保守を担当しております現場、保線区あるいは電力区というようなところにおいては、その保守を担当する設備について必要な保守台帳、あるいはこれに必要な図面を備えつけて管理をいたしておるわけでございますが、この財産台帳と保守台帳がいずれも戦争中、戦災によつて焼けたものもございます。また終戦に際してわざわざ焼いたものもございます。しかしながらそれは二十二年度から二十三年度末にかけて現地を調査いたしまして数量の把握を行いまして、全部整理をいたしたわけでございます。従つて二十三年度以降につきましては、前に焼けました原簿によらなければわからないような、取得年度がどうしてもつかめないというものも若干は残つております。しかしこれは今日おしかりを受けても何とも仕方がないものでございます。過去の経歴の一切を示すものが焼けてしまつておるということでございますから、従つてその点はいかにおしかりを受けてもやむを得ない、どうにもしようがないのでありますが、財産台帳も保守台張もすべて整備しておるのでございます。現在あるものにつきましてある状態というものは、はつきりつかんでおるわけでございます。管理庁は、ある管理局についてお調べになつた際に、二十七年十月に帳簿様式を改正した、その帳簿様式を改正した際に、旧帳簿から新帳簿に移す場合に最後のしりだけ書いてあとを続けておるというのをお取り上げになつて、そうして二十七年度以前の財産移動は何も書いてないというようなことを言つておられるのでございますが、これは古い帳簿をちやんと保存してございますので、これをつなぎ合せてごらんになればわかることなのでございます。そのほかあるいは施設台帳の局で持つております写しの方を御調査になつて、工事の竣工が正確に記録されておらないというような御非難をしておるようでございますが、これなどは結局もとの帳簿には全部竣工年月日を書いておりますが、管理局の持つております写しの方につきましては、決算期に一度にまとめて整理するということでやつておりますので、その決算期までの間に御調査になつて、これが整理されておらないというような、私どもから見ればよく事情をお聞き下さればわかる事柄ばかりではなかろうかと思つておる次第でございます。  そこで管理庁の方の御意見といたしましては、減価償却費考え方のほかに、また車両を取りかえ法でやつたらいいだろう、あるいは隧道、土工、プラットホーム等を永久資産でやるべきだというような御意見も出ておるようでございます。これらは実際問題といたしましては、適正な償却費が見積られてそして適正な耐用年数をきめるといたしますれば、形式だけの問題でありまして、それによつて実質的に何らの経営経費的な影響が出てくるものではないのであります。むしろ取りかえ資産などにいたしますと、毎月の取りかえ費というものは非常に波動が多くなるわけでございまして、ある年は非常に多くの経費を要するということになりますから、そういうことを防ぐために作りました減価償却制度に対して、一歩後退となる取扱い方になるわけでございます。また隧道、土工などが永久資産であるというのは、お考え違いではなかろうかと思うのでございまして、隧道にいたしましても、現在の古い隧道はほとんど新しく掘り返されております。路盤なども新しいところへどんどん切りかえていくというような状態でございます。これが耐用年数の点につきましてはなおいろいろ御議論があるかと思いますが、これをもつて永久資産というように、土地のごとく使用によつて原価が減らないというようなものと一緒に考えるのは、会計的な取扱い方として妥当を欠くものだというように考えておるわけでございます。  管理庁はそのほかに、修繕費を毎年大幅に減額してこれを業務費に流用しておるということをおつしやつておるわけでございますが、これは国家予算と対比いたしますとまさしくおつしやる通りのことでございます。しかしこれは過去の経緯を御承知の方は十分御了承願えると思うのでありますが、昭和二十四年度におきましてGHQが業務費を対前年度約四割以上削減いたしております。その当時そういう程度のスケールでは実際にやれないということははつきりいたしておりましたが、何分にも当時の情勢でございますので、これは大蔵省、運輸省も了承の上で、やむを得ず修繕費の方へその分の経費をほうり込んでおつたという格好になつております。その格好が今日まで続いておるのでございまして、その点今日まで直さなかつたという形式的な点につきましては、いろいろ私どもの方でも努力の足りなかつた点もあり、また政府におかれましてもいろいろの御事情で、そういうやり方をやられたという点についての理由はあるものと思います。業務費それ自体の問題といたしましては、管理庁自体としても、大勢的に圧縮しておつて節約の実が上つておるという実情はお認めになつておるわけでございます。従いましてこの点を特にお取り上げになつて、何か形式上の点をとらえて実質的に非常に不当なことをしておるかのごとく御指摘になつているのは、はなはだ私どもとして遺憾でございます。  大体問題の中心となります償却の問題、実態の問題につきましてはざつとそういうことでありまして、最後に経営の刷新合理化の点でございますが、この点につきましては私どもの方といたしましても管理庁の御指摘等につきまして、前からいろいろと考えておつた問題もございます。また努力をいたして参つたのもございます。外郭団体につきましては後刻別途御説明申し上げまするが、今回新総裁の下に、この点につきましていやしくも国民皆様から御非難を受けることのないようにという観点から、いろいろの措置を講じたいと考えております。今回管理庁の方で御指摘になりましたのは、かつて二十八年度にいろいろの財産管理その他に関連してお調べになりましたいわゆる公益法人、営利法人等のようなことにつきましては、特に御調査なつたということではなくして、むしろ工事請負関係の外郭的な団体というようなものについてのお調べが中心であるかと思つております。この点につきましては、外郭団体の整理について私どもの誠意を認めていただければ大へん仕合せだと思うのでございます。  工事業務についてはいろいろの御指摘がございます。全国でたくさんある工事でございますので、私ども管理庁の御指摘のようなことが一つもないということは決して申し上げません。今後この点については十分注意を払つて、こういう御指摘を受けるようなことのないようにやつて参りたいと考えておるのでございます。ただ管理庁の御判断基礎となつております御調査数字につきましては、これは会計検査院の御検査と違いまして、一応私どもの方に対するいろいろな数字上の突き合せをして、間違いないということをお確かめになつておやりになつていないために、私どもの方から見れば、必ずしもそういうふうになつていないものが、なつておるというふうにおとりになつておる点も随所にあるかと思うのでありまして、この点はおしかりを受けるようなことを私どもがやつておりますれば、おしかりを受けることは当然でございますが、そのおしかりを受ける内容が、十のものが五であつたならば、五という観点でお調べを受けたい。それが十に広がつておしかりを受けるようなことがないように、お取り計らいを願いたいものだという感じを抱いておるのでございます。その点につきましてのいろいろな釈明は、時間が長くなりますので、お手元に差し上げました資料で御検討を願いたいと思います。  車両の新造につきましては、これは管理庁の方でも将来の問題としてということでございまして、私どもの方としましても鋼体化その他の改良が終つたあとにおける工場の能力については、いろいろ研究をいたしておりますが、しかしながら直ちに車両新造は自営の方がいいという結論に到達するのには、まだ検討すべき多くの問題が残つておると存じます。  付帯事業として御指摘になりましたものはいろいろございますが、特に志免炭鉱のごときは、私どもの方でも現在自営をしなければならないという積極的な必要の根拠はないのでありますが、ただしかしながら今この炭鉱を急速にどう処置するかという点につきましては、何とも方法がない。従いまして私どもの方としては、現在志免炭鉱については独立採算制をとらせて、できるだけ経営合理化しておるというのが実情でございます。そういう点につきましては、一国鉄だけではなくして、政府全体としていろいろ御心配を願わなければ解決のできない問題ではなかろうかと思つております。  被服工場あるいは製材場のごときは、これはもう私ども前から考えておつてつておるわけでございますが、何分にも既存の設備また既存の労働者がおるものを、一挙に解決するわけにはいきかねる。順次合理化の方向へ持つていくというほかはなかろうかと考えておるのであります。  なお共済組合の物資部の問題につきましては、管理庁の御意見は、いわゆる給付の内容をなすところの交付金と事務費とを若干御混同になつておるような御意見かと思いますが、いずれにいたしましても物資部職員を国鉄指名しておりますものは法令上認められており、また他の官庁においても似たようなことをおやりになつておると承知いたしております。しかしながらこれを漸減する方向にはずつと参つてきておるわけであります。  それから物資部の運賃につきましても、いろいろ御意見もございまするので、ただいまこの点について検討して、近く改正をいたしたいと思つております。  鉄道公安官制度につきましては、これはただいままで漸減はしておりまするが、しかしながらこれは荷物なり、あるいは乗客なりの秩序、あるいは事故防止という観点から見ますときに、現在の警察力にお願いして、防犯まで十分手を尽していただけるかどうか。捜査の方については、これはもちろん警察にお願いすればできないということはないと思うのでありますが、そのことをあらかじめ防ぐということは、これは自衛上私どもの方では最も大切なことでございます。事が起つてから犯罪を捜査するというような点につきましては、できるだけそういうことにならないようにするために、私どもは主として公安官制度の活用の意義を認めておるわけでございます。こういう点につきまして、現在でも社会情勢の推移に伴つて漸減はいたしておる。直ちに不要であるという結論は出せるかどうかは、しばらく御検討の余地を与えていただきたいと思つているわけでございます。  私どもといたしましては、もちろん管理庁の御指摘になりましたことのみならず、一般の世論並びに国会皆様からのいろいろ御好意ある御忠告に対しましては、できるだけすみやかにこれを取り入れまして、そうして健全な、また国民皆様に御期待していただける経営をいたしたいと念願しておるわけでございます。その前に私どもといたしましても、ぜひ皆様の御理解を得まして、現在の財政状態を健全化して、そして新しい、またサービスのよい鉄道ができる基礎を与えていただきたい、かように考えておる次第でございます。  なお外郭団体につきましては、大槻常務理事から御説明申し上げることにいたします。
  12. 中居英太郎

    ○中居委員 管理庁国鉄説明に対する質問は来週からという理事会の打ち合せでございました。これらについての詳細な質問は来週に譲るといたしますが、先ほど石井局長の説明の中にありました件について、行政管理庁見解根本的な理解の点において相違している面があるのじやないかと思うので、この点重ねて説明を願いたいと思うわけでございます。  今回の国鉄行政管理庁との論争の大きなものは、減価償却の問題も一つじやないかと思つております。先ほど石井局長の説明によりますと、管理庁意見は、国鉄営造物法人であるから、投下資本というものを回収しなくてもいいという勧告をやつておる。従つてこの勧告従つて国鉄運営されていくと、いつの時代かには、さらに資金というものを国家がその投下資本に対して全面的にさらに再投下しなくてはならぬ。こういう結果になるから、われわれとしてはこれは受け取りがたい。従つて今日国鉄が行なつておるような償却方法を講じていることは当然である、こういう説明でございましたが、管理庁減価償却に対する態度というのは、決してさようなことは言つていないと私ども承知しておるわけでございます。もちろん管理庁勧告によりますと、営造物法人である国鉄と、私企業との減価償却に対する根本的な相違については述べております。私企業は事業をいつの日か中止するという前提に立つて相当高額な投下資本の回収をするための償却を行なつておる。これは当然であるが、国鉄はさような観点に立たないでも、運輸事業を継続するための施設の機能を維持する、こういう観点に立つて償却を行えばいいのである、こういう勧告をしております。ところがあなたのさつきの説明では、何か言葉をかえて言いますと、投下資本を食いつぶしてもいいというような勧告を行なつておる、こういう前提に立つて説明であつたようでありますが、これは根本的に解釈を誤まつておるのじやないか、こういうふうに私は思うわけであります。この点についてあらためてもう一ぺん御説明を願いたいと思います。
  13. 石井昭正

    石井説明員 私が申し上げましたのは、結局営造物法人であるから、投下したもとの資金の全額を回収することを予想していないということでありますれば、現在持つておりまするところの設備、これを更新する際には必ず多額の資金が必要となつて参るわけであります。それは結局何によつて生み出されるかといえば、減価償却によつて生み出されるほかはないのであります。従つてその資金の回収ということを予想していなければ、結局言葉をかえて申しますれば、いつの日かやはり国家からの投資というものをしていただかない限り、現在の施設を維持し、また輸送機能を保持していくことができない、こういう結果になるであろうということを申し上げたわけであります。
  14. 中居英太郎

    ○中居委員 管理庁説明によりますと、現在国鉄の行なつておる償却は、維持管理のための償却プラス改良費というものを含んで償却費を見ておる、こういう勧告のわけです。従つて償却費は現状施設を維持する範囲にとどめて、さらにこれにプラス改良費というものは、別個の款項目で見たらどうか、こういう勧告でありまして、決して食いつぶしということを前提にした勧告ではないと思つております。この点について管理庁の御説明を願いたいと思います。これはどういう趣旨での勧告ですか。
  15. 山口酉

    山口説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。お話のように資産の維持でございますので、事業を継続している間にその資産の命数が尽きて参る、あるいは経済状態の変動等によつてかわりのものが必要になつてくると  いうような場合には、そういうものを調達していくための資金というものは、やはり減価償却費によつてまかなわるべきものであるというふうに考えておりまして、実態施設の機能維持ということは更新を含めて考えております。多少その点でまだ十分国鉄側の方の、私どもの申し上げておることについての御了解が完全でない点があるように考えております。
  16. 石井昭正

    石井説明員 先ほどちよつと説明を落して申しわけないのでありますが、今のような管理庁の御見解であれば、何ら私ども考え方食い違いはないと思います。しかしながらその次の減価償却費は必ず取りかえ費として使用されなければならないのだという点は、これはいささか考え方を異にいたしております。減価償却費というものはその年々によつて改良に使う場合もあり得る。必ずしも資金で積んでおく必要はなかろう。逆にまた減価償却費だけでは取りかえに不足する年もある。そういうときにはやはり借入金をもつて資金源としなければならぬ。資金の使途と経営基礎である減価償却費の計上とは別個の問題であろうという点は食い違いがあるかと思います。
  17. 中居英太郎

    ○中居委員 それについては後刻質問いたします。
  18. 松山義雄

    松山委員長 それは後刻質疑することといたします。  引き続きまして、日本国有鉄道の常務理事の大槻丈夫君に外郭団体の整備方針につきましてお伺いいたします。
  19. 大槻丈夫

    ○大槻説明員 私大槻でございます。国鉄部外団体の改善につきまして、私たち検討いたしまして取りまとめた案を持つておりますので、これについて御説明申し上げます。  国鉄外郭団体につきましては、国会の当委員会におきましてもかねがねいろいろ御批判もいただき、また改善の御意見も承わつたことがございます。政府部内におきましても行政管理庁あるいは会計検査院等の調査勧告といつたようなものがありまして、今まで逐次改善してきた、かように考えておる次第でありまするか、新しく十河が総裁になりましてから、国鉄の信用回復と申しまするか、国民皆様方が国鉄に対して抱いておられるいろいろの疑惑の一つの大きなものとして外郭団体の問題がある、従つて国鉄の信用を回復し、今後国鉄運営を円滑にして国民皆様国鉄となるためには、どうしても大きい施策の一つとして、この部外団体の点について深い検討を加えなければならぬ、こういうように考えまして、その後内部におきまして具体案を検討してきた次第でございますが、ちようど行政管理庁からこういった問題につきまして、先ほど石井経理局長が申しましたような勧告の次第もありまするし、この際それを取りまとめたわけでございます。この案を実施しました上で、さらに私たちとしましてはその内容、結果に基きまして、さらにプレスして改善をはかつていきたい、かように考えておるわけであります。なお工事関係、資材関係、あるいはその他国鉄の仕事の上におきましていろいろ社会からの批判なり、苦情といつては語弊があるかと思いますが、御不満の声もありますので、そういつたことに対処していくために苦情処理と申しまするか、そういつた皆様の御不満な声を聞く窓口というものを置きまして、そこにおきまして十分に御意見を聞き、またできるものはすぐに実行に移していく、またどうしてもできないものはできない事情を十分にお話して御納得していただくといつたように進めていきたい、かように考えておる次第でございます。同時にまたこの外部団体につきましてのいろいろの内容につきまして、私たちだけが考え、私たちだけがこれはいいと思つたことではまだ十分でない点があることは当然と存じますので、部外の方を主にいたしました、仮称でございまするが部外団体公正委員会といつたようなものを設けまして、各外部団体との契約でありまするとか、あるいは外部団体の仕事のやり方でございますとか、そういつたことにつきまして客観的な、広い世論的な目で見ていただく機関を作りまして、それによつて公正な処理をさらに進めていくというふうに取り運びたい、かように考えておる次第でございます。  それからいま一つ全般的な問題といたしまして、国鉄の共済組合が資本参加をして投資をしておる部外団体がある程度あるわけなのでありますが、そういつた会社は資本的並びに人的なつながりがありまして、国鉄の影響力が非常に大きいと思われるような御批判もあるわけでございます。そういつた会社につきまして、共済組合の出資をその団体の性格に応じて漸次開放していくと申しますか、公開していくと申しますか、そういつた方向で共済組合の所有株の適切化をはかつていきたい、かように考えておるわけであります。もちろん共済組合の資金の運用につきましては、法律並びに大蔵省令ではつきり定められておりまして、保有資金の何%をそういつた投資と申しますか、公社債の保持ということに充てたらいいかという規定がございます。その範囲内におきまして個々のケースについて大蔵省の認可を得て実施しているわけなのでありまして、その取扱いの点については今まで適法にやつてきているわけなのでありますが、そういつた資本力によつて個々の会社に対して大きい影響力を持つということはこの際いかがかと考えますので、そういうような措置を考えていきたい、かように思つておる次第でございます。  同時に、こういうことを実施するに当りましては、部内の職員が真にその気持になつて実行に当りませんことには、所期の効果が十分に発揮できないことはもちろんでございますので、部内職員ももちろん外部の御意見を率直に受け入れる、同時に生涯の天職とでも申しまするか、国鉄に全部を打ち込んでいくのだという気持で仕事に当つていくように、部内としましてはさつそく訓示もし、指導もしていく、こういうような考え方でおります。  内容について御説明申し上げますと、第一は工事請負会社でございますが、今までに工事請負につきましていろいろ御批判をいただいておる点は三点あると思います。第一はどういう業者を選ぶかという問題が一つ。それから選んだ業者の間から個々の工事につきまして指名をしていく場合に、その指名が公正であるかどうか。ややもすれば一部の業者に片寄るのではないか。また随意契約の仕事の問題につきましては、特にそういつた一部に偏重するきらいがあるのではないかといつた点。第三点といたしましては、工事の設計に基くその積算と申しますか、個々の資材、労務、役務、そういつたものを組み立てていつて一つの工事の単価というか、工事の予算を作り上げていくわけでありますが、その積算の仕方について果して妥当であるかどうか、こういった三点の問題が大きい問題であろうと思うのでありますが、第一の問題につきましては現在私たち資格審査委員会というのを設けまして、建設業法に基きます基準によりまして、建設省の確認書に準じまして、そういつた建設省規格の資格と、それから鉄道工事に対する経験という主観点、客観点を合せまして、一つ基準を設けて選考しているわけなのでありますが、今回はさらに部外の権威者も加えまして、その選考を外から見ても明朗なものにしていきたい、かように考えることが第一点であります。  それからその委員会におきまして、個々の具体的指名は、年間何万件とあるものでございますから、個々の指名に当つてそういつた委員会に諮ることは実務的に実際上困難だ、かように存じまするので、その指名に際して機会均等が保てる、はかられるようにやつていくのにはどういつたような選び方をしたらいいか、そういつた指名基準につきまして御審議いただいて、そのきめていただいた方針にのつとつて指名業者を選んで行く。それから個々の具体的工事につきましては、先ほど申しました決定された基準によりましてその指名を選んでいくわけでありますが、今までそういつたことは工事の担当部門のみの委員会でやつておつたわけなのでありますが、これにさらに経理でありますとか、その他直接工事に関係しない部門の幹部も入れまして、それに基きまして指名の適正を期していきたい、かように考えておるわけであります。これらによりまして内部におきましてもまた外部からごらんになりましても、業者の選考並びに指名の方法といつたものについて公正を期していきたいと考えておる次第でございます。  次に積算基準につきましても、積算基準委員会を作りまして、これにもまた部外の権威者の御参加を願いまして、工事単価を厳正に見積つていくという方法をとりたい、さように考えております。  その次は、現在の契約方法には公開入札、指名競争入札、それから随意契約、この三種あるわけでありまするが、大きい工事につきましては現在もう全部一般公開入札にしておりまするが、その他につきましては全部指名競争の契約にしていきたい。ただ事故、災害といつたような場合、応急にすぐ飛び出して行つて応急復旧工事に当つてもらわなければならぬ、こういった場合におきましては、そういつた競争入札をやつておる間はありませんので、そういつた場合は随意契約でやることは当然と申しまするか、やむを得ないことだ、かように考えております。  その次に「特命契約は行わない」と書いてありますが、これはちよつと文句としては誤解があるかと思うのでありますが、実は現在共済組合の資金をもちまして職員の宿舎でありますとか——アパート式の宿舎でございますが、そういつたものを建てておるわけなのでありますが、これは規格の関係上、一業者にやらせた方が全体的に安く上るという建前から、鉄道建設工業というのに特命と申しますか、それだけに今までここ二年ばかりやらせてきたわけなのでございますが、これもとかくの御批判もありますので、来年度からはそういつた契約方法はとらない、やはり共済組合のそういつたアパートの工事につきましても、一般公開入札または指名競争契約の方法によりたい、かように考えておるわけであります。  それからいま一つ工事関係の問題としまして一括下請がありまして、それによつて中間搾取をしている会社があるのじやないか、こういうような問題があるわけでございますが、一括下請というのもなかなか限界がむずかしいやに、業界自体の方からはわれわれも聞いておるのであります。と申しまするのは、純然たるピンはねではなくて、仕事は流していくが、それに対する資金の手当あるいは資材の手当、それからでき上りに対しての責任、こういったものをもつて下の業者に分割して渡していく、こういったような場合には必ずしも一括下請とは言つておらないようであります。そういつた限界の問題はあるように聞いておりますが、いわゆるトンネル会社、トンネル工事といつたようなもの、これは厳禁いたしまして、それに違反した請負業者につきましては、指名取消しその他の制裁を加えて、これを禁止するという方策を実行していきたいと思つております。  それからいま一つは部内牽制組織でございます。これは工事の積算をして予算を組むところと契約をするところとが同じところでありましては、その点につきまして公正を欠くやの疑惑を受ける面もありまするので、これも別の契約に関する部門は別に新設いたしまして、部内の牽制組織を整えるようにいたしたい、かように考えております。  次に監察機構といたしまして、こういったことに関する監察といたしまして、中央、地方を通じましてその監察機構を強力にしていく、同時に部外の人も加わつていただいて、監察の徹底を期したいと考えておる次第でございます。  次は国鉄の業務を代行しておる団体についてでございますが、ある程度国鉄でやるべき仕事を代行してもらつておるといつたような団体についてでございますが、第一は鉄道弘済会でございます。御承知かと思いますが、鉄道弘済会は国鉄の公傷者、退職者、そういつたものに対する福祉事業を行なつておりますると同時に、一部外部にも進出いたしまして、各府県にあるいは母子寮でありますとか、あるいは託児所でありますとか、あるいは授産の問題でありますとか、さらには最も大きい問題でありまするが義肢義足の関係の巡回の指導なり研究といつたような問題でありますとか、そういつたようなことをやつておるわけでありまして、従来構内営業料といたしまして、一般の構内営業者よりもそういつた福祉事業に充てる金といつたような意味から、低率に営業料をきめておつたわけでございます。一昨年までは一般の業者が売り上げに対して千分の十、弘済会は千分の五ということにしておつたのでありまするが、昨年の改正によりまして一般が千分の十一、弘済会は千分の八、こういうように上げてきておるわけでございまするが、このたびそれを一般並みにいたしまして千分の十一という営業料をとりたい、かように考えておる次第であります。次にこういったような事業をするものに対しては、やはり税金などにいたしましてもある程度の差額があるわけなのでございまして、こういった仕事をするものに対しては差額があつても当然じやないかといつたような御議論もあるかとは思いますが、弘済会も創立以来二十年になりまして、事業基礎も固まつたものでございまするから、そういつた面においていろいろ批判の目を向けられるよりも、あつさりして全体の仕事がスムーズにいくように考えればいい、かように考えてこういう措置をとりたいと思つた次第でございます。  それから毎年社会福祉事業に充当する金額の最低額を定める。毎年の事業計画の内容を見まして、この程度はぜひ社会事業に投資するという最低の目標額をきめて、努力さしていくというふうに指導していきたいと考えておる次第であります。  それから現在の役員はほとんど国鉄退職者が占めておるわけなのでありますが、そういつた福祉事業等にも今後どんどん進出していくという建前からしまして、国鉄関係以外のそういつた面の適任者を招聘いたしまして、役員等にも就任していただいたらいいのじやないかと考えておる次第でございます。  次は交通公社でございまするが、交通公社につきましては切符の代売代金の滞納と申しますか、納期遅延の問題等につきまして、この委員会におきましても再三御審議をわずらわした次第なのでありまして、すでに再建計画を作りまして、漸次納入の期日を縮めてきておりまして、将来は日納にまで持つていくという現在再建計画を立てておりまして、これは当委員会でも御報告申し上げて御了解いただいておると思いますが、この計画を強力に推進していきまして、一日も早くいい姿になるように努力したい、かように考えておる次第でございます。  第二に、団体あつせん業者に団体乗車券の代売を認めようということでございますが、これは現在団体あつせん業者といたしまして、運輸省で認められておりまするものが、たしか九団体あつたかと承知しております。団体乗車券の代売というものは、今までのところ交通公社一社に認めておつたわけでございます。この際そういつた団体のうちで、資力、信用等十分であると認められるものがありましたら、一定の基準を設けまして、団体乗車券の代売を認めていつて、競争と申しますか、並立してそういう仕事に携わつていきたいと考えております。  次は日本食堂株式会社でございますが、現在の列車食堂は、大体日本食堂がやつておりまして、帝国ホテルが東海道線の「つばめ」について行なつておるのでありまするが、今後新しい食堂車等を連結する場合には、一般の食堂車の経営についての御批判等から見まして、競争によるサービスの向上ということをばかるのが妥当ではないか、こういう工合に考えまして、このように措置してみたいと考えておる次第でございます。  次は交通協力会でございますが、これは国鉄の部内報的なものでありまして、部内PR等の機関として現在もいろいろ活躍しておる次第でございまして、なおその経営内容等につきましても、重点的、効果的に活躍していくように指導していく、かように考えております。  次は日本海陸運輸株式会社であります。これは国鉄で使います石炭でございますが、それの荷役を従来全国一本の請負で入札に付しておつたわけでありますが、そういう全国の港湾におきまして網の形で荷役能力を持つておるという会社がありませんので、分割してやつた方がよいだろうという各方面の御意見から、現在では地区別——全国を六地区に分ちまして入札に付しておるわけでありますが、一部港湾につきましては、港別に入札してみてどういう実態になるか、一応テスト・ケースとしてこういったオープンの形を一部の港湾についてとりたい、かように考えております。大きい石炭会社などの実情を聞きますと、港湾の荷役料金というようなものは、全体から見れば小さいものなんで、石炭といつたようなばら積みのものであり、またはしけ荷役等で一定の石炭場に持つていけば済む性質のものなので、むしろ相手の業者がほんとうに信用のできるものでなければ、港湾荷役料金の問題ではなく、もつともつと大きい問題が考えられるといつたような関係から、それぞれの港に、あるいはその傍系の会社でありますとか、あるいは信用のあるエージェントのようなものを置いてやらしているようでありますが、実際問題といたしまして、そういつた荷役の一般入札ということが適当かどうかということにつきましては疑問があるのでございますが、一度テスト・ケース的にそういうことをやつて、その結果によりましていろいろ検討していきたい、かように考えているわけであります。  次は国鉄といたしまして、会費あるいは研究委託費を出して研究してもらつておるというような団体についてでありますが、下に書いておりますような協会、研究団体以外につきましては、財政的な支援は行わないということにいたしまして、実質的な関係を一応断ちたい、かように考えておるわけであります。  いま一つ国鉄の推薦旅館制度というのがあるのでございますが、現在国鉄推薦旅館連盟というのがございまして、社団法人だつたかと承知しておりまするが、この団体自体に対しては国鉄は会費を出しておるわけでもありませんし、全く自主的な連盟なのでありますが、その基礎になります推薦旅館という制度国鉄で持つておりまするので、いろいろその推薦の実態について御批判のある点もありますし、またこういう全国的な組織的なものを、国鉄の積極意思によつて持つということにつきましても問題があろうかと存じますので、その制度を廃止していきたい、かように思つております。残しますものとしましては、同業団体的なものといたしまして日本交通協会、これは国鉄、私鉄、船会社等、交通事業を経営しておりますところのものの親睦団体になつております。次に営業活動に必要なものといたしまして鉄道貨物協会、これは国鉄、日通初め各通運業者、あるいは私鉄、それから荷主、こういったものが一体となつて会員となつて構成しておる協会でございますが、これは国鉄貨物輸送実情を認識していただき、また閑散期の送り越しでありますとか、あるいは貨車不足のときの送配でありますとか、そういつたものについて御研究を願い、御理解願う、また協力もしていただいているといつたような協会であります。次に観光事業上必要なものといたしまして、国際観光協会と日本観光連盟かありますか、御承知のように昨年までは全日本観光連盟で国際観光関係の仕事もしておつたわけでありますが、本年の初めに国際観光協会を離しまして、対外宣伝その他等につきましては、政府の補助もこの観光協会一本ということになりまして、二つに分れたわけであります。全観連の方は各府県並びに交通関係、あるいはホテル関係の経営者がメンバーになつておる協会でありまして、この二つは観光事業上必要なものといたしまして、残していく考えでおります。次に技術、経営研究上必要なものといたしまして、鉄道技術協会と運輸調査局の二つ、片方は総括的な技術研究をする団体、片方は経営関係の調査研究をする団体といたしまして考えていきたい、かように考えております。技術の研究団体といたしましては、目下電化協会以下七団体ございまして、これは国鉄の技術関係者のみならず、各私鉄、それぞれの専門家、あるいはそれらの機械あるいは信号通信等のメーカー、あるいは一部学界の方、そういつた方がそれぞれの研究の協会を作つて、公益法人としてやつておるものなのでありまして、これは国鉄といたしましてそれに研究項目を委託いたしまして、その研究の成果によりまして委託費を支払つてきておるといつたような状況なのでございますが、この際そういつた研究委託は打ち切るという考え方で進む予定であります。  以上で大体今回の考え方を申し述べたのでありますが、なお今申しましたのは中央におけるおもなるものについてでありまして、地方におきましてもそれぞれ小さいのがある程度存在するわけでありますが、それらにつきましては、さらに今後地方の監察制度を先ほど申しましたように強化いたしまして、その地方その地方によりまして、こういったことに準じた措置をやつていきたい、かように考えております。全体といたしましてあるいは非常にじみなようにお考えになる向きもおありかと思いますが、実はこれを推し進めていきますと、私たち相当大きな影響があるのではないか、あるいは一部には廃止のやむなきに至るものもありますでしようし、また一つには事業規模等につきまして相当圧縮と申しますか、縮小をしていかなければならないような団体、会社等も生ずるものではないかと思つておりますが、今回この計画を立てまして、強力に外郭団体改善について進めていきたい、かように考えておる次第であります。
  20. 松山義雄

    松山委員長 次会は九日の午前十時から、電化の問題につきまして国鉄側説明を求めます。本格的な質問は来週からということで、本日はこれをもつて散会いたします。    午後三時三十五分散会