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1955-06-29 第22回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十九日(水曜日)    午前十時三十九分開会  出席者は左の通り。     —————————————    主査      石原幹市郎君    副主査     伊能 芳雄君    委員            小野 義夫君            西岡 ハル君            小林 政夫君            廣瀬 久忠君            秋山 長造君            永岡 光治君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            八木 幸吉君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣総理大臣官    房会計課長   土屋  昇君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    防衛庁装備局長 久保 亀夫君    経済審議政務次    官       田中 龍夫君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁総務    部長      酒井 俊彦君    経済審議庁総務    部会課長   塚本  茂君    経済審議庁調整    部長      松尾 金藏君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    経済審議庁調査    部長      須賀 賢二君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業大臣官    房会計課長   出雲井正雄君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    中小企業庁長官 記内 角一君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君    工業技術院長  駒形 作次君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   説明員    総理府恩給局審    議課長     畠山 一郎君    自治庁財政課長 柴田  護君    経済審議庁国土    調査課長    長又 壽夫君    大蔵省主計局主    計官      廣瀬 駿二君    通商産業省重工    業局次長    小山 雄二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) ただいまより予算委員会第二分科会を開会いたします。  本日は、まず経済審議庁通産省の方から予算説明を承わりまして、質疑に入りたいと思います。
  3. 田中龍夫

    政府委員田中龍夫君) 御説明申し上げます。  ただいま議題となっております経済審議庁予算案について御説明を申し上げます。  歳出予算要求総額は三億四千七百七万六千円でありまして、これを前年度予算額三億二千七百六十七万四千円に比較いたしますと、一千九百四十万二千円の増額となっております。  次に経費の内訳を申し上げます。第一に、経済審議庁の項では、要求額は二億三千一百五十五万五千円でありまして、前年度一億九千五百七十六万二千円に比較いたしますと、三千五百七十九万三千円の増額となっております。この増額となったおもな理由は、本年度より施行する国富調査に要する経費二千八百九十八万五千円が新規に計上せられておるためであります。この要求経費内容を御説明申し上げますと、人件費一億五千六百二十八万三千円と、事務費七千五百二十七万二千円であります。この事務費は、一般庁務の運営経費並びに次に申し上げる内容のものであります。すなわち、第一に、わが国経済に関する長期計画を作成するとともに、半年ないし一年程度の短期間の経済についての計画策定ないしは見通し作成に要する経費国際経済努力推進をはかるに必要な経費並びに本年度から実施する経済六カ年計画推進をはかるため拡充強化される経済審議会運営に要する経費等でありまして、これに必要な経費として三百六十八万六千円を要求しております。第二は、産業財政金融貿易、物価、失業対策等の諸基本政策計画について総合調整を行い、あるいは審議庁として総合経済政策を企画立案するための経費としては一百三十三万四千円を要求しております。第三に、わが国内外の経済の動きを的確に把握し、また必要な統計指標を作成する等経済動向調査分析に必要な経費としては一千三百二十三万三千円を要求しております。この経費は、毎月の定期的な月報類と臨時的な印刷物及び年報にまとめて発表する経済白書等の印刷に要する経費がおもなものであります。第四に、国民所得調査推計して各種経済政策計画基盤上するための経費として一百六十万三千円を要求しております。第五に、国民所得統計と並んで総合経済施策基礎となるべき国富統計については、戦前昭和十年の調査以後一度も企画されたことがなく、戦時中から戦後にかけて著しく変化した最近の国富の実情は全く明かにされておりませんので、本年度より調査実施いたし、国民資本状況部門別に明らかならしめるとともに、各種経済施策樹立基礎資料たらしめる必要がありますので、本年度経費として二千八百九十八万五千円を要求して一おります。  第二に、国土開発調査費の項では、要求額一千二百八万七千円でありまして、前年度一千三百三十八万三千円に比較いたしますと、一百二十九万六千円の減額となっております。  国土開発調査費内容を御説明申し上げますと、この経費国土総合開発法電源開発促進法特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法離島振興法等の各法律に基きまして、それぞれの災害防除生産力向上並びに離島後進性を除去、発展せしめるための諸施策を樹立するために要する経費、及び次に申し上げます審議会運営に要する経費であります。  まず、国土総合開発審議会でありますが、この審議会委員会と六専門部会のほか、各種分科会特別委員会から成り立っておりまして、それぞれ国土総合開発計画とその実施について調査審議の上、内閣総理大臣に報告しまたは勧告することをもって目的としております。  電源開発調整審議会は、電源開発に関する基本計画、費用の振り分け、開発担当者決定水利権水没補償等事項審議決定することが目的であります。  特殊土壌地帯対策審議会は、特殊な土壌におおわれて年々災害をこうむり、また特殊土壌なるため農業生産力が著しく劣っている地域について災害防除生産力向上をはかるための諸計画審議決定することが目的であります。また、離島振興対策審議会は、本土から隔絶せられた離小島後進性を取り戻すため、産業振興経済力の培養、島民の生活力の安定、福祉の向上をはかるための各種施策審議決定の上内閣総理大臣に提出することが目的であります。  第三に、土地調査費の項では、要求額一億三百四十三万四千円でありまして、前年度一億一千八百五十二万九千円に比較いたしますと一千五百九万五千円の減額となっております。土壌調査費国土調査法に基きまして国土開発、保全、利用高度化をはかるため国土実態を総合的に調査する経費であります。その内容を申し上げますと、基準点測量水調査土地分類調査地籍調査に要する経費であります。基準点測量は、四等三角点の新設でありまして、本年度予定点数を一千七百点とし、経費は五千四百六十九万七千円を要求しております。  次に国土調査法第九条の規定によって、地方公共団体土地改良区等が国土調査を行いますときの補助金として四千六十万円を要求しております。なお、土地分類調査水調査については、前年度補助金でありましたが、本年度委託調査を行なうこととして五百万円を要求しております。  なお、最後に先般の衆議院における修正について簡単に申し上げますと、項、経済審議庁において、木材利用合理化促進補助金五百万円、項、国土開発調査費において、東北地方総合開発調査委託費九百五十万円と、これに伴う事務費五十万円、計一千万円、項、土地調査費では地籍調査のための補助金三千万円であります。右増額につきましては、十分にその成果達成をはかり、修正増額の意図に沿ひたいと存じます。  以上で経済審議庁予算説明を終りますが、なお、御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上すみやかに可決せられんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 引き続いて、通産省の方から一応説明を承わっておきたいと思います。
  5. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) ただいま議題となっております通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まづ三十年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は七十四億四千一百四十八万七千円でありまして、これを二十九年慶総額六十七億七千九百六十四万二千円に比較いたしますと、六億六千一百八十四万五千円の増額となるわけであります。  次に三十年度予定経費中重要なものについて御説明を申し上げますと第一に、貿易振興対策といたしまして総計八億九千七百七十三万九千円を計上いたしましたが、これを前年度予算額三億一千四十五万二千円と比較いたしますと、五億八千七百二十八万七千円の増額を見ております。  増額の重点は、わが国貿易商社等がいまだ弱体であり、従ってその海外における活動も十分とは申せない現状にかんがみ、海外市場の開拓と販路拡張とをはかるため、主として海外貿易振興施設充実をはかったものであります。  まずわが国商品の展示、紹介及び貿易斡旋を行う貿易斡旋所については、前年度に引き続き、既設のニューヨーク、サンフランシスコ及びカイロの三カ所を維持いたすとともに、その活動をさらに活溌化せんといたすものであります。  次に国際見本市参加等補助については、前年度の約三倍強の二億二千九百九十万三千円を計上し、カナダ、アメリカ、タイ、ビルマ等八カ所の見本市への参加及び即売会実施を予定いたすとともに、その規模内容強化充実をはかりたいと存じます。  次にプラント輸出促進対策といたしましては、現地における機械設計技術相談等の便宜を供与する重機械技術相談室活動を活濃化するため、近くその機構を拡充強化いたし、従来の海外施設のほか、国内機構についても整備を処い、積極的な活用を期す所存であります。  海外市場を開拓し、わが国商品販路拡張をはかることは輸出振興するための根本でありますので、海外市場調査のため、前年度の二千八百九十三万八千円を約三倍増額いたし、七千五百七十九万八千円を計上いたしまして、海外における諸情報の迅速なる収集をはかるとともに、わが国商品および産業経済実態海外へ紹介宣伝するための海外広報宣伝費を大幅に増額いたしまして、一億八千七百二十四万一千円を計上いたした次第でああります。  さらにわが国中小企業製品輸出に占める役割はきわめて重要でありますので、その輸出商品の品質をはかるため、新たに三千八百万円を計上いたし、意匠の改善、新規試作品奨励等を活発に実施いたしたいと存じております。その他、日本国際見本市補助国際商事仲裁委員会補助等については、前年度に引き続きまして、それぞれほぼ同額を計上いたしました。  第二に資源開発対策であります。まず石油試掘費等補助については、最近における石油消費量激増状況等をも考慮いたしますと、国産石油開発増産をはかることがきわめて重要であとると存じますので、前年度一億一千七百万円を約三倍の三億円と大幅に増額いたした次第であります。次に砂鉄磁硫化鉄鉱、銅、水銀等重要鉱物生産維持をはかるための探鉱費補助については、前年度とほぼ同額の二千万円を計上いたしております。  第三に、技術振興対策でありますが、まず科学的技術研究助成費については五億四百万円を計上いたしましたが、別に株式会社科学研究所につきましては、わが国における総合研究所としての同所の重要性にかんがみ、これを積極的に助成することが必要であると存じ、新たに一億円の国庫補助を行うことといたしております。  次に原子力の平和的利用研究につきましては、前年度二億三千七百六十七万五千円が計上されたのでありますが、その内一億六千八百万円余は三十年度に繰り越し使用せられることとなりましたので、これらの点をも考慮いたし、三十年度二億円を計上いたした次第であります。これにより、原子炉の構造及び重水の製造等研究ウラン鉱の探査を強力に推進いたしたいと存じます。  次に発明実施化重要性にかんがみ、従来の貸付金制度はこれを廃止して、補助金相当程度増額いたしますとともに、新たに外国特許出願に対しても補助を行う道を開き、四百二拾七万円余を計上いたしております。  また当省所属試験研究機関については、それぞれの基礎的研究に必要な研究費のほか、特別のテーマにかかる特別研究費として総計一億九千八百十五万円を計上いたし、これにより航空原動機及び機体、合成繊維含チタン砂鉄海水利用電子技術等わが国経済にとって喫緊の重要事項に関する研究促進をはかる所存でございます。なお優秀なる国産機械試作促進するための工作機械等試作補助につきましては、三十年度におきましても九千二拾五万円を計上いたしました。  第四に生産性向上対策であります。わが国産業生産性は、年々逐次向上しつつあるとは申しながら、これを諸外国に比較いたしますと、遺憾ながら相当の立ちおくれを示しておる現状であります。この立ちおくれを回復するためには、経営者創意工夫のみならず、従業者の積極的なる協力と国家的支援とが必要と存ずるのであります。従いまして三十年度においてに新たに五千万円を計上いたしたほか、財政投融資計画による一億五千万円の融資をもって欧米先進諸国への視察団の派遣、技術専門家の招聘による先進技術の導入、普及をはかる等わが国産業生産性をさらに向上せしめる措置を講ずる所存であります。  第五に、中小企業振興対策であります。まず中小企業に対する金融対策でありますが、中小企業金融公庫につきましては、一般会計よりの出資十五億円、資金運用部よりの借入金九十五億円、計百十億円のほか、回収金等の自巳資金等百三十五億円を加えますと運用資金総額は二百四十五億円と相なり、二十九年度における実行計画二百十五億円に比し、相当程度増額となるわけであります。  さらに商工組合中央金庫につきましては、三十年度新たに一般会計よりの出資十億円を追加いたし、これにより商工債券の発行の基盤を強化するとともに将来民間出資増額基盤を与え、もって中小企業に対する金融円滑化をはかりたいと存じております。  なお、両金庫に対する一般会計よりの出資金は、形式上大蔵省所管に計上されてございます。  中小企業振興対策の第二は、中小企業協同組合等補助でありますが、これは前年度とほぼ同額の三億二千万円を計上し、引き続き中小企業協同化並びに近代化推進いたす方針であります。  次に中小企業相談所補助についてでありますが、中小企業にとりまして、懇切なる指導と、よき相談相手とが必要なことは今さら申し述べるまでもないところであります。かかる見地から各地にすでに中小企業相談所が設置せられ、相当成果をおさめておる現状でありますが、より一そうその機能を強化し中小企業の要望にこたえるため三十年度三千一百二十万円を計上いたした次第であります。  また、都道府県に対する中小企業振興費補助については、前年度の約五割増に当る六千七百万円余を中小企業診断指導を中心として計上いたしており、さらに先年からの風水害に伴う小企業者に対する復旧資金利子補給につきましては、必要額一千五百七十四万円余を計上いたした次第であります。  なお中小企業輸出振興補助につきましては、貿易振興対策のところですでに触れましたので、ここでは省略させていただきます。  次に当省所管特別会計について、その歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まずアルコール専売事業特別会計でございますが、三十年度歳入予定額は三十一億六千四百十一万二千円、歳出予定額は二十七億五千二百八十三万九千円でありまして、資産、売掛金等関係を加減しますと、三十年度益金予定額は三億五千八百万余円となります。  なお、公共企業体等仲裁委員会の裁定にかかる地域給の改訂につきましては、裁定通り実施いたすことにしております。  第二に、輸出保険特別会計について御説明申し上げます。  三十年度歳入歳出予定算は、ともに四十億八千八十五万四千円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入四億三千三百二十九万五千円、資金運用収入一億四千八百五十万円、雑収入一億七千五百三十三万八千円、前年度剰余金三十三億二千三百七十二万一千円等であり、歳出のおもなるものは、支払保険金六億三千十四万四千円、予備費三十四億二千六百三十六万円等であります。  第三に中小企業信用保険特別会計について御説明申し上げます。  三十年度歳入歳出予定額は、ともに三十五億六千六百九十万二千円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入四億三千九百六十二万六千円、資金運用収入一億八百万円、雑収入一億六千四百七十三万九千円、前年度剰余金二十八億五千四百五十三万七千円等であり、歳出のおもなるものは、支払保険金五億六千六百七万二千円、予備費二十九億大千六百四十一万三千円であります。先ほど中小企業振興対策について御説明申し上げましたが、右振興対策の一環としての本特別会計運用といたしましては、保証保険、及び融資保険の範囲の拡大、保険填補率引き上げを行うため、所要法律改正実施いたしますとともに、それに伴う保険契約額の増加を予想いたしまして、保険契約限度引き上げをはかっております。  第四に特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。  本特別会計は、戦時中の石炭増産に伴う特別鉱害を復旧することを目的とするものでありまして、三十年度歳入歳出予定額は、ともに八億一千一百三十七万六千円でありますが、歳入のおもなるものは、納付金収入六億六千六百四十一万円であり、歳出は、その大部分が鉱害復旧事業費であります。  なお、本特別会計のほか、鉱害復旧事業全般としては、国庫補助金二二億六千七百万円を建設、農林等の各主務省に計上し、総額約二十七億円に上る復旧事業量を予定し、鉱害地帯における失業対策にも、万全を期しております。  以上をもちまして一般会計及び特別会計の概要について御説明いたしましたが、この際、当省関係財政投融資計画について簡単に御説明いたしたいと存じます。  まず開発銀行でございますが、これに対する投融資額としては、自己資金をあわせ前年度同額の五百九十五億円を計上いたしまして、重要産業合理化促進資源開発及び自給度向上に努めるとともに、その資金運用に当っては極力重点的効率的運用に留意いたしまして、投資効果の万全を期したいと存じております。  次に輸出入銀行につきましては、プラント輸出振興に必要な資金として自己資金をあわせ四百八億円を計上し、所要資金の円滑なる供給をはかっております。  次に電源開発会社につきましては、電源開発促進のための所要資金として自己資金をあわせ三百一億円を計上し、電源開発計画達成に努めたいと存ずる次第であります。  中小企業関係金融機関につきましては、すでに中小企業対策の所で触れましたのでここでは省略させていただきます。  なお、最後に先般の衆議院における修正について簡単に御説明を申し上げたいと存じます。  右修正内容といたしましては、当省関係一般会計予算につきましては貿易振興費において三千万円、中小企業振興費において一億円の増額がなされた次第でございますが、貿易振興費につきましては、海外における貿易斡旋事業重要性にかんがみ、本事業に対する補助金増額いたし、その充実をはかりたいと存じます。  また中小企業振興費につきましては、中小企業組織化並びに近代化をはかることが焦眉の問題でありますので、中小企業協同組合共同施設等補助金増額使用いたし、その成果達成をはかりたいと存じます。  また当省関係財政投融資につきましては、中小企業金融公庫及び電源開発株式会社に対し各十億円の運用資金増額がなされたのでございますが、その運用につきましては今後十分検討を加え、遺憾なきを期する所存でございます。  以上で通商産業省所管一般会計及び特別会計予算の御説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上可決せられんことをお願いいたします。     —————————————
  6. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) これで政府側説明は一通り終りましたが、これから質問に入りたいと思います。  なお申し上げておきますが、経審長官は午前中御都合がいいそうでありまして、御臨席になっておりますので、なるべくまず経審長官に御質疑の方から始めていただきます。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 電源開発のことについて伺いますが、今の通産省予算説明におきましても、電源開発会社相当多額な資金を計上して、電源開発のウェートは非常に大きいわけですが、これに関連して、この問予算委員会御母衣ダムの問題について高碕長官は、前に電源開発会社総裁をやっておられましたので、あの御母衣ダム高碕総裁がやっておられました当時、地質調査をやった結果、非常に断層が各所にあるということがわかって、そうしてこれでは危険なので、方々他個所をいろいろやってみたけれども、いい個所がないので、結局またもと通りのところへ落ちついてやることになった。こういうお話しですが、そこで会計検査院の報告によりますと、約一億の、この調査費というのですが、関西電力からその肩がわりをして、そのときにはおそらく関西電力としてはそういう断層があるということを予想していなかったんじゃないかと思うのですが、あるいは関西電力はすでに断層があるということを明らかにして、そうして調査費というものを電源開発会社肩がわりさしたのか、あるいは関西電力から肩がわりを受けてから、開発会社調査したところが新たに断層が発見されたのか、そういう点と、それから一時高碕総裁は中止がされながら、また再びこれの着工の発表がなされておる、来年から着工するというふうに通産省が発表しておるのです。その間の経緯を、予算委員会では時間がなかったので、どうも納得できなかったのですが、もう少し詳細に承わりたいと思います。
  8. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。電源開発会社が発足いたしましたのは昭和二十七年の九月でございまして、私そのときに初代の総裁として任命されたのであります。当時どの地点から開発するかということが一番大きな問題でありまして、審議庁において当時電源開発審議会というのをありまして、この審議会にかけられました結果、まず御母衣と、それから天龍川の佐久間地点をやったらいいじゃないかということに相なったのでありますが、御母衣の方はすでに関西電力水利権を持ち、いろいろ調査もしている。佐久間の方は中部電力調査もし、水利権を持っておる、こういうふうなことでありましたから、両方とも折衝したのでありますが、どうも佐久間の方はいろいろ関係がありまして、なかなか中部電力との話がつかずに、一、二カ月この折衝にかかったのでありますが、御母衣の方は、関西電力との話し合いの結果、私正確な覚書は覚えておりませんけれども、大体の覚書といたしますれば、これは電源開発会社において開発してもらってよろしい、しかし将来においては、あの庄川の地域の電力は全部関西電力が経営しておるのであるから、この経営については関西電力にある程度まかしてもらいたい、で、開発だけは開発会社でやってもらってよろしい、開発に対してはよく協力する、こういうふうな申し合せができまして、一番先にあれを電源開発会社で取り上げてやることに相なったのであります。  当時私は総裁としての考えでは、もうすでに調査相当完了しておって、急速に工事に着手でき得るものだと、こういう私の感想でありました。それで補償問題等もなるべく早く解決しろと、こういうことで補償に着手するようになったのでありますが、ところが補償問題が存外困難をきわめてきましたのです。私行かないのではっきり場所を覚えておりませんが、多分庄川村だと思いますが、その一部分に非常な反対意見がありまして、死んでもこの土地は離れない、いわゆる死守同盟というのができまして、その代表者等に会ってみますと、これは単純なる金をよけいもらうために反対しておるのではなくて、ほんとうの肚の底から反対しておるというふうな気分がよくわかっのたでありまして、私はこれは非常に同情したわけあります。それでできるだけ土地の人たちにも話しをして、国家のために、全体のために犠牲になるということは非常に気の毒だ、特にぜに金の問題でなくて、そういうふうに祖先伝来の土地を水没するということは、金にかえられないことだ、非常に同情するというふうなことを話して、どうか協力願いたいというふうなことで話しをし、そうして補償の問題の解決に第一に当ったわけであります。補償問題を解決すると同時に、いよいよ着手するというので、関西電力から受け継ぎましたダムサイトについて詳細なる研究をさしてみますると、これは研究すればするほど非常に断層が多い。そして小さな断層だと思って、それならばできるだろうと思っておりましたところが、だんだん研究すればするほど困難性が加わってくるというので、その研究にはかれこれ一年以上もかかるというふうなわけでありまして、だんだん研究いたしました結果、結論的に申しますというと、これは従来のグラビティー・ダム、つまりコンクリートのダムではこれは非常に危険性がある。むしろこれはロック・フィルドという、岩と泥とコンクリートで固めた大きなダムを作らなければならぬだろう、こういうふうな結論に相なったようであります。  そこで、しからばどれくらいの経費がかかるというと、最初の予定よりもよほど建設費が高くかかるから、その結論が出たときには、すでに十億円近くの土地の買収だとか、家屋の買収とか、あるいは調査費というようものが出ておるわけなのでありますから、場合によるとこれは十億円を捨てても、こんなに金がかかるならやめたらどうか、こういうふうな結論が出たのが、私はたしか二十九年の一月か二月ごろだと存じております。その後はもう賠償の問題は一時手を引け、中止しろと、こういうふうなことにいたしまして、さらにこれはどれくらいの経済効果があるかということをよく調べてくれろということでやっておったのでありますが、その結果、この御母衣ダムだけを作って、あそこにおいてできる電力だけを計算してみるという、相当高いものにつく、むしろ十億円を捨てても新らしい地点開発した方がいいではないかと、こういうふうなそろばんもできるのであります。けれども、御母衣のダムというのは、御承知のごとく庄川の最上流にありまして、そこで水を調節することによって、下の方の発電所が発電力を増す数字を計算をするというと相当有利なものになるというのであって、私は二十九年の七月でしたか、やめたのでありますが、やめますときの意見では、これはどうも中止するか、あるいはこれを継続するかということは、一にかかってこの御母衣のダム以外のダムにおいてどれだけの電力が得られるかということにつながるから、研究はしておいてもらわなければならんということで、調査を継続するというふうなことで、私は結論をつけてやめたわけでありますが、その後の形勢につきましては、私はまた聞きに聞いておるわけでありますから、直接お取調べ願った方がいいと思います。  要するにこの問題は、私は非常にむずかしい問題だと思いましたことは、補償というものは長引けば長引くほどいろいろな問題が中に起るわけでありますから、私は電源開発会社を引き受けますときに、どうしても常任監査役を二人置いてもらいたい。これは通産省と大蔵省から来てもらって、常任監査役を置き、これに相当のスタッフをつけまして、年中各面に回って監査していただくということと同時に、特に私は会計検査院にお願いいたしまして、これは厳重によく調べておいてもらいたい。国家の金を使うのだから、会計検査院の方もそれはぜひやってやろうということで、いかにも会計検査院は経費が少くて、人数が少いのでありますが、これは何としてもお願いするというふうなことにいたしまして、できるだけ国家の金でありますから、むだのないようにやっていきたい。しかしながら補償を受ける人たちの立場を考えるというと非常に気の毒であるから、これは同情的にやってもらいたい、こういうふうな根本方針をもってやっておったのでありますが、なお、詳細の数字等につきましては、経済審議庁政府委員も参っておりますので、これから説明いたさせます。  以上をもって私の感想だけを大体申し上げた次第であります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に詳細によくわかりました。そこでもう一点だけ伺いたいのです。   それは日本の技術陣といいますか、私専門家じゃないですからわかりませんが、日本の技術陣としての結論はどうだったのでしょうか。その後のことは長官は御存じないようでありますが、その後はアメリカから技師が来られて、そうしてこのロック・フィルドというのですか、そういう方式でやれば危険でないというまあ結論に達したんですね。その結果、着工が発表されたと思いますが、日本の技術陣の意見でそれが危険であるということになって、アメリカからの技術陣の人が来られて調査して、そうしてこのロック・フィルドなら大丈夫であるということになったのか、われわれよくわからんのですが、聞きますと、百三十メーターですか、世界にもないそうでありまして、非常に高いダムになるそうでして、そういうものは世界にも類例がないそうです。そうするとあれの建設費も非常に食うでしょうし、お話しのように非常にコストも高くつくのでありましょうが、私一番危惧されるのは危険性の問題ですね。そういうものが技術的にどういう結論になったのか、長官御存じありませんですか。
  10. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 日本の技術者の意見では、従前の方式のグラビティ・ダムでも必ずしも心配は要らないというふうな意見も一部分ありました。けれども、大多数の意見は、これはコンクリート・ダムであると相当危険がある。ロックーフィルドであればいいんではないか、これならば間違いないだろうということが、大体全体の技術者の意見でありましたが、しかるにそのロック・フィルドのダムでやった日本の一番大きなものは、現在東北の北上川の上でやっております胆沢のダムでございます。これは私も参りましたところが、規模はきわめて小さなものであります。そこで一番大きなダムをやっておるのは、やはりアメリカでありまして、現在アフリカの開発には非常に大きなロック・フィルド・ダムをやっておるそうでありまして、そこでその方の一番の専門家と申しますというと、これはアメリカの官吏でありまして、ドクトル・サベージという人、これは世界的に回っておる男でありまして、世界的に有名な、もう八十近くのおじいさんでありますが、それを私は特に二回呼んできて現場を見てもらったのでありますが、サベージ博士の意見では、これは金がずいぶんかかる、しかしロック・フィルドなら大丈夫だ、これは責任を持てる、しかしこんな金をかけてやるのならもっとほかをやったらどうか、こういうサベージの意見であったのでありますが、しかし今申し上げました通り、そのほか各方面の意見も検討いたしました結果、相当費用はかかるが、ロック・フィルドでやれば危険率はないということだけは私は今でもそう信じております。これは勘ではそういう感じでございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おおよそどのくらい高くなるものですか、まあコスト関係、電力料金なんかの関係からいって。それから最初の予算がありますね。大体御母衣ダム建設の予算が、あれは幾らですか。百何十億ですか、それがまたふえなければならぬか、それがどの程度にふえるものか、そういう点ちょっと、おおよそでいいです。
  12. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私数字を間違えますと困りますから、ちょっと申し上げかねますが、この点は審議庁の方でもわかっておるはずでありますから、調べましてまた御報告申し上げます。
  13. 小野義夫

    ○小野義夫君 経審長官に伺うのですが、今度政府で発表されたその六カ年計画並びにその三カ年計画といいますか、だんだん予算審議の過程で十分これは衆議院でもただされたことと思うのでありますが、私の考えますところは、実際になかなかああいう共産国家のように厳重な法律でそういう方面なりその他産業方面を規制するとすれば、私は六カ年計画でも十カ年計画でも、それに従わざるものは厳重な処罰をしていくんですから、いわゆる計画経済の本筋によってやられるんじゃないかと思いますが、今、日本がやっておるような自由主義経済のもとにおいては、その向う六カ年はおろか、三年の計画といいましても、大体の筋道は立つのであるけれども、実際やってみないというと、まあ一年でもわからない場合がある。途中でいろいろないわゆる新事態が発生すれば、あるものによっては根本的に変更しなければならぬようなことがあって、それを押し通すということは困難である。これはもう会社を経営する者がだれでも半年ないし一年の予算は立てるのだけれども、なかなかその通りに社会が動いてこない。従ってこれに即応して参らなければならぬ、こう思うのです。  そこで私は、それかと言って目標がなかったら、一体国の産業なり国の経済政策はどこにいくんだかまるでわからぬようなことになってはこれは相ならぬのでありまするから、そこでまあ少くも三年ないし五年の先を見通して、そうして一つの国家経営の理想目標をおいて、そうしてその線にある意味において強引に政策をやっていくということは、もうしごくけつこうではあると考えるのでありまするが、今申すように、政府にしても、だれが政治をやっても、その計画というものを金科玉条にそれを押していくということは、私は不可能であろうということを心配するのでありまするが、従いまして、本年出して六カ年計画というものと、たとえば三、四年度の末において出すところの六カ年計画というものはおのずから違わざるを得ないだろう。ものにまってははなはだしき差異を発生してもやむを得ないんではないか。従って六カ年計画ないし五カ年計画というものは毎年々々発表するのが妥当なんであって、本年度発表した五カ年計画を来年も再来年もその責任をとり、またそれを追及するというようなことは、これは私はむだ事にも属するし、いかなる政府も責任を負えないだろうということを考えるのであります。従いまして今日の六カ年計画というものを国民があやまって——そういう人も少いと思いますけれども、あやまって、そういうものは一種の、一つの動かざる目標、基点であるというふうに過信いたしますならば、政治というものは非常に膠着状態になり、帝業政策というものははなはだまずいものになるということを申し上げたいのであります。従いまして、今まで政府が相当強くがんばった六カ年計画というものは、御答弁の片端に、どうもこれは一応の目安だと、そう深くこれにおいて自分らは自信はないというようなふうに受け取ったのでありまするが、私が申し上げまするところの六カ年計画の根本の方針というものはそうではないでしょうか、それを一つ伺っておきたいと思います。
  14. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今の小野さんの御質問にお答えいたしますが、小野さんのお話は、半分は賛成できますが、半分はちょっと違っておると思います。私は六年後の日本の経済のあり方はこれでなきやならぬという目標だけは変えることはできないと思います。それはなぜかと申しますと、われわれが立てております六カ年計画の六年後の目標というものは、人口は必ずその六年先にはこれだけになる、これは間違いないものと見なくちゃならぬ。その人口に対して何人の働く人間が出るか、この数字もこれは変らないものと見なきゃならぬのです。六年先は——これは大きな天変地変があれは別でございますが、それはもう大体労働する、稼働する能力のある人間はこれだけあるということがわかる。そうするとそれだけの人に対しで、現在今、日本の現状においては現在において人一人について、働く人一人について幾らの生産をしておるかということは、過去の実績からわかっておるわけであります。現在においては一時間七十四円の生産を上げております、人一人について生産率は、稼働する人間の一人について……、それでそれがかりに一年に千四百四十時間働く、一週間に四十八時間働くとかいうことから割り出しますというと、そうすると六年先における労働する人間の数がわかる。その数に対して幾らの生産をしなきゃならぬか、これは実際問題と多少違いますことは、現在の相場で、金だけで見ておりますから……、金だけから見て幾らの生産をしなければならぬ、そうしなければ国民の生活は安定しない、経済の自立もできない、完全雇用もできないということになって参りますから、この目安だけはどうしても変えることはできない。六年先の目安でそこまでの生産をしていかなきゃならぬ、人口の大きな変化のない限りにおいては……。ところが毎年々々作ります数字というものは、実際問題といたしまして、小野さんのお話しのごとく、その当時における経済の情勢と、その時期における現状と、その最近における実績とを積み重ねて、そうして計画を立てねばならぬ。こういうことでありますから、この近くのものはこれは積立方式でやっていく。ところが前の六年先の標準というものは、これに近寄るようにしていかなければ日本の経済は安定しない、国民に対して完全雇用はできない、こういうわけでありますからして、そのゴール・インのポイントだけはきまっている。富士山の絶頂に達するということはさまっておりますが、その行く道は吉田口にするかどっちにするかということは、そのときの天候によって違います。それは変ると思います。今の目標だけは変えない、変えちゃまずいと思うわけであります。  しかし、この実行に当りましては、お話しのごとく、政府が非常な強力な力をもってそうしてかっちりときめてやっていくというのも一案でございましょう。けれども、今政府が考えておりますことは、その目標におきましても、この過程におきましても、できるだけ広い方面の御意見を聞いて、大きくいえば、民間の皆さんの御意見を聞いて、国民とともにこの目標を定め、この目標に行こうではないかということにして、すべての実行は相談づくでやっていこう、やっていきたい。ただし、政府においてある程度規制を加えるべきものは加えていかなければならぬ。  しからば、今現在どの程度の規制を加えるか、こういうことの御質問でございましょうが、そういう規制というものは、政府は力を持っておりますから、この税制においてある程度金を作る。それから資金運用ということにつきまして重点的に、それで計画的に進む方面に資金をできるだけ流すようにする、計画のそごするような方面には資金を流さないようにする。第三に為替の割当、こういう場合には輸出はこれだけしかできないと、そうすれば輸入はこれだけ制限しなければならぬ、こういうようなものは為替において割当をする。それだけの現在持っております規制力だけは発揮していきたいと思います。ただしこれは、この計画というものは、政党政派を離れてしまって、国民全体が立てる一つの目標であると、従って当時の、その時の政府の政策によって、あるいはどの程度に規制を加えるかということは、政府の政策によって定めるべきだと、私はこう思うわけであります。そういう意味でこの六カ年計画というものは、目標だけは変えたくない。それに向っていくのにはどう、やるかということは、国民と一緒に一体となって取り組んでいってみたいと、まあこういう所存でございます。
  15. 小野義夫

    ○小野義夫君 長官の説明は非常に巧妙でありますが、これをもっと掘り下げて申しますというと、動かぬものは一つか二つしかない。すなわち人口の増加というものは大体だれが想像しても、それは確かでございましょう。さてその他の、あそこに人口がこれまでいくから、これをこういうふうに完全雇用をしなければならぬとか、あるいはこれもいいでしょう、人口を増加して労働量を全部遊ばせないようにやると、これも既定方針だ。さて、あとのその他の肉付けというようなものは全く、富士山に登るとかあるいはこれからサンフランシスコに行くとか、この目標はこれは当然……、そしてその指数というものは、これは日本の国勢調査の表によって明々白々に表われきたるところの三年後、五年後、十年後というように、昭和四十年までも大よそ推定されておるのでありますから……。が、しかし、ここでわれわれが毎日この予算審議において論議するようなものは、そういうような人口問題がどうであるとか、あるいは雇用率がどうであるとかいうような問題は、これは必然性を帯びておるもので、論議を許さないところの、まずある意味において定まった定点的なものです。そこであとの論議の余地あるものは、あるいは鉄にするか船にするか、電気にするか、あるいは原子力のエネルギーにやるかというそういう諸問題が問題であるのだから、そこに政府は固執的な意見を確立しても、これは強固なる法制の、いわゆる計画経済法をあなたが制定しなければ片っ端からくずれていき、またその責任をあとの人がしょって立つというわけにもなかなかいかんだろうと思うのです。従いまして、どうも計画経済というものをわれわれが発表しなかったゆえんのものも実はそこにあるので、それなら目標なしにやったかというと、敗戦後の日本を今日ここまで持ってくるのには、あるいは積極政策あるいは緊縮政策、いろいろ手をかえ品をかえてまあ航海して参ったということになるのでありまするから、私はことさらにそういう計画を、まあ教科書としてお出しになることは差しつかえない。決して有害無益とは申しませんが、なかなかこれにとらわれてそうして苦しい答弁をするよりは、もっとこういう点はいわゆる国民とともに、その毎年々々、あるいは半年々々、予算は半年々々といきませんけれども、大体は向う六カ年とか五カ年とか、こういうちょうど貧乏会社が金融表を作るようなもので、いつ何月払おうという計画を立てましても、利益がこれに伴わなければそれが延びるから、年がら年じゅう……、むしろ一年なり三年の金融表を作っていくという、実際においてわれわれは経済施策の上は、やはりその時宜に適するところの方針をとっていくのでなければ、私はみんなが非常に納得しないものがそこに出てくるのじゃないか、こう思うのです。  まあ大体先ほどの御説明でわかりましたけれども、どうぞ審議庁長官において、事情によっては毎年心々向う六カ年計画を出すのだということを一つこの席においてお述べを願いたいと思うのですが、いかがですか。
  16. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大体の目標というものには変化はありませんが、この実行につきましては、実は先般来も三十年、三十一年、三十二年の実行数字を出せ、こういう御要求が本院にもあったんでございますが、なかなかそれはむずかしい問題なんでありまして、辛うじて私は三十一年ぐらいはこの八月ごろからかかって、三十二年はどうだろうかということは、現在の国際情勢が刻々変っておりますことと、それで今のところわれわれの見込みでは、国際情勢は現状を持続しておる、中共との貿易も逐次これは緩和するものであると思っている、それから賠償問題も二年間ぐらいで解決するものであるというふうな前提でこうやっておるものでありますから、これは賠償問題が急速に解決するとか、中共及びソ連との交渉が非常に密接化するとかというようなことになれば、これはまた方法を変えなければならぬ、そういう場合幾らかそれは変化をしなければならぬ。そこで相当変化は起るだろうと思っております。ですからそういう意味におきましては毎年一応立てる。公表しておった数字をそのときの情勢によって変化するということはよく認めていただかなければならぬ。それは何ら遠慮会釈なく、また何らの過去の成り行き等にとらわれず、きわめててんたんたる気持でこれは国民の前にさらけ出して、その違った理由を明らかにしていきたいと、こう存ずるわけであります。
  17. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 小野さんの質問がありましたので、私は実は一つ申し上げたいことがあるんですが、実は小野さんの自由主義的な経済を基調にした、非常に強調されたお考え方、それからまあ高碕さんが、それに半分は同調し、半分は同調しないというふうなお考え方だけではちょっと私満足できないのです。ことにあの六カ年計画をお作りになりました以上は、どうもその程度でとどめられていてはおかしいのじゃないか。それにはまずさっき高碕さんもおあげになりましたように、為替は今、日本は強固な管理制度になっている。自由党の内閣のときに、いかにも自由主義経済だとおっしゃりながら為替は非常に強固だった。それから資金面では政府の息のかかった金融機関が相当できてきた。現に開発銀行にしたって、輸出入銀行にしたって、中小企業金融公庫にしたって、これはみんな自由党内閣のときにできた。国内の資金面においても相当目的によってはその目的に従った金融機関をお作りになった。それから資金規正法はだんだん有名無実化しましたが、これもある程度動いていたことは事実です。しかも今度は税金でもって相当吸い上げられた上に立っての財政投融資をやっていられるというふうなことを考えると、あとは外国との貿易上の、まあ外交関係でスターリング地域なりドル地域とのいろいろな支払協定を通じての問題があるわけです。交易の問題が出てくる。だから自由主義経済というものは、いかにも自由の野ばなしのごとく考えていたら間違いである。また自由主義経済であるからこそある程度の何と申しますか、施策が行われなければ、あるがままの姿でいくことはできない、まあ私はそう思う。  六カ年計画をお作りになって問題になることは、ただあるがまま、こういう目標にいかなければならないぞ、あるいは国民の強力な協力をこれに対してしてほしいのだというふうな考え方でとどまっていてはおかしいのでありまして、今言ったような既存のもの自体のほかに、どうしても一つの経済施策が具体的に、あの六カ年計画を目標にして、現状のみならず、このままでいってはあれが遂行できない。そうすればどういう経済政策が必要なんだ。むろんこう言ったって私は昔の戦争中の官僚統制という、全体主義に基くところの計画が日本で成功するかどうかということは相当疑問だと思うし、またそういうことがいいとも考えない。これが海外貿易が比較的今後自由交換制に移っていく、自由交易に移っていこうとする世界経済に反して、自由主義国家間の経済に反して、世界経済から一応ブロックしておいて、あと国家的な要請ばかりで交易をしようというのとはよほど違っている、そういうふうなことを考えなければならない。六カ年計画をお作りになった以上は、よほどその自由主義経済を基調としながら、強制力がなかったら、そこへいくような経済政策が起きてこなくちゃいけない。そういう点についてもう少し研究し、努力されなければ、どうも説明が、今までの高碕さんの説明にとどまっているような気がするのです。だから私六カ年計画をお作りになった以上は、どういうふうな具体的の運営をやれば、これに近い現象が起りますよということはあとからあとへ出てこなくちゃならないのです。石炭合理化の問題でも、私どもその一つだと思う。このような投下資本が多い産業について、しかも基礎産業について、今後国際交易の上に立って貿易をやっていくときに、それは生産コストを下げるということは絶対命令だ、だからそうしなければならぬ。そうすれば大体石炭の価格もかってに上げ下げさせないということが起ってくるに相違ないのです。現にそういうことはやっておられるのだが、私はもっと何といいますか、経済審議庁の六カ年計画から見てかくあるべしという具体的な経済政策が、経済官庁に起ってこなくちゃいけないし、その動因を与えるだけの努力を経済審議庁なりがされるべきだ、こう考えますが、どうですか。
  18. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御意見非常に尊重して拝聴いたしております。  ただ私はどうしても日本という国が、食糧において現在相当努力しても二割は足りない。現在において三割輸入されている。これから考えますると、それだけのものは輸出によらなければ調整できないのだ、輸出によるということになると、どうしても生産原価を下げる、鉱工製品の原価を下げることにしなければいかぬ、これには合理化しなければいけない。合理化をするということになって、これを野放図に従前の資本主義経済だけにまかしておけば、ここに失業者が出ることは当然であります。従いまして今後経済政策というものは、合理化をする前に、たとえば石炭の合理化をするというときには、合理化をすることによって起るところの失業者が何人出るかということをまず勘定して、その失業者をどこへ持っていくかということが先決問題として考えられていかなければならない。それにつきましては今度通産省がやります生産性本部というものによく働いてもらいたい。あの中には今のところ農業団体の人が入っておりませんし、また労働団体の方も入っておられない、こういうのは非常な欠陥だと思います。これをよくして、この方面の国民全体が寄って、日本の生産をどういうふうにして向上するかということを、あれにいろいろと私は期待をしているわけなんでありますが、そういうふうなことをして今後進んでいきたいと、こういうふうに考えております。  実行方面におきましては、なお規制をするということにつきましては、現在やっております規制はこの程度であるということはおわかりの通りでありますが、これをどの程度に伸ばしていくかということは、これはそのときのほんとうの政治家のやるべき、考えるべき一番重要なポイントだと私は思っております。  しからば、今どれをやるのだというこういう御質問があっても、私は今自分の試案は持っておりますが、今お答えするだけの時期に到着いたしておりません。
  19. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は高碕さんが生産性本部の活動に注目され、労働組合がこれに参加していないことについての自分の考え方を述べられたことは、これは非常にいいことだと思うのです。で、これはやっぱり一つの国民の協力を得る一つの大きなムーブメントとしてぞひ必要だと思います。しかしその前に政府自身があそこから出てきた具体的な経済政策をお打ち出しにならないと、それこそ貧困なる六カ年計画であり、官僚が机の上でやや自己満足的に書いたプランニングに過ぎなくなっちゃう、それが一番私は心配なんです。で、今おっしゃった最近きめられた米の問題にしても、要するにあなたもお考えになっておるように、世界の食糧価格はみんな価格が低下している。日本は、百姓だけが世界経済からなぜブロックされた状態に置かれなければならぬかということも根本の一つの問題であります。また私どもとしても、いつまでも安易な国際価格を無視した姿でものを考えていって、ほんとうの百姓のためになるのかどうかということも問題である。だから私は米価というものは、今、日本経済で日本人が骨を折って解決していかなければならないものとして、ほかのものはともかくも比較的国際価格に近寄せられようとしてあなた方は努力しておられる。日本はあげてその努力をしておられる。そのときに米価だけをどうして国際価格からかけ離れた状態に置いておかなければならないか、これはもう根本的に一つぶつかってくる問題ですよ。だから米の問題は農林省の問題だとお考えになることは大間違いだと思います。私はそう思う。そう見れば、しかし百姓が実際立っていくために、生活を維持していくためには、ある程度の生産方式を主張し、パリティ方式を主張することも当然だと思います。しかしそれを全体の経済政策から私は考えていかなければならないのが政府のあり方であるというふうに考えるが、そういうところを、こうむずかしいところをほったらかしておいて作文を書いたって何もならぬのですよ。あなたが今おっしゃった例を一つあげてもそういうふうに私は考える。で、一万六十円がいいとか、いや政治米価だとか何とか言っておることは、およそ日本経済を再建するという意欲の足りない人間がやっておることである。しかも私は与党でありながら悪口を言うことはどうかと思うのですが、実情はそうじゃありませんか。そんなことで六カ年計画は立ちますかということを私は申し上げたい。  で、特に六カ年計画をお作りになった内閣の閣僚どもがそんな考え方で米価をきめていくというようなことは、実に日本経済の底の浅さは資本財が浅いだけでなくて、人間の頭と意欲の浅いことを証明しておる。これは私はそう思うのです。日本に一番欠除しておるのはそれですよ。経済政策が一番欠除しておる。日本の総理大臣だけですよ、経済面を一つも知らなくても総理大臣になれるのは、利はそういう面からいうと、はなはだ失礼だが、高碕さん、どうも今の内閣の経済政策は、あの六カ年計画を遂行するに足る実力なしと断ぜざるを得ない、(笑声)言わざるを得ない気がするのですね。  そういう点はやはり、今米価だけつかまえましたが、たとえば今、日本経済で一番問題は、資本が浅い浅いといいながら、消費面にどんどん金が使われるのかそのままの姿でしょう。だから、消費面に使っている金が生産面に回りましたら、もう日本の経済は資本が足りないとか底が浅いとかいわなくても、それはむろん浅いには相違ないのですが、いわなくても私はいける、もっとできるのだ。そういうふうな現に自由党の諸君ですら、今度予算修正に当っては……。
  20. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) ですらは……。(笑声)
  21. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうもはなはだ失言だが、自由党の諸君が今度の予算修正に当って、蓄積資本の一部で法律をもって国債を買わせて、そうしてそれを資本財に投じようという考え方すら持ってきたでしょう。だから私はこの際について、もうこの消費面の資金がいかに産業方面に動員されるか、これは税制上今度施策をとりましたが、税制面から吸い上げられた金が産業資金に向くか消費面に向くかということは、これは重大な問題ですよ、その点は考えていないのです。まあ貯蓄は増強するだろう、だから産業資金はふえるだろうと、その先がちっとも考えていないわけですよ。しかも日本経済の根本の問題はそれが一つの問題だと私は思う。それから過剰設備だってそうですよ、二重設備、これはもう高碕さん実業家だからよく御承知だと思う。二十八年度は全部そうじゃありませんか。そういうふうな面をどんどんおやりにならなければ、私は経済審議庁の六カ年計画の意味がない、こういうふうに考えますが、もう一ぺん御答弁願います。
  22. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 与党から非常な攻撃を(笑声)受けましたが、私はこう考えております。  経済政策というものは、そんなに綿入れからすぐひとえものに飛ぶとかぜ引きますから、一つあわせの時期を置かなければならない。逐次これを直していかなければならん。で、かすに日にちをもってやってもらわなければ困るわけなのでありますから、米価の問題につきましては、ただいまお話しのごとく、米価を国際米価に持っていけ、これは理想ではありますが、私がもし南米のブラジルの経済審議庁長官であれば、私はもっと楽に仕事ができたと思いますが、日本の国のこの資源のないところでこれだけの多数の人がいる以上は、米価のごとき、国際米価に持っていくということは、これは至難のことなのでありまして、実際の問題といたしましては、私は昨年の暮アメリカに参りまして、アメリカの米作を見てみると、二千エーカーの土地をわずか十五人の人間がおって、これで機械的に開墾して、一エーカーに、もみが百ポンド入るやつを五十俵から七十俵ぐらい取るようになってきた。これは容易ならぬことだと思っております。こういう連中と国際的の価格で競争するということは、実際農民としてできるだろうか。私はできるだけそれに近寄せるようにしますけれども、日本の農村の経営というものは単に米作だけでやっちゃいけない。どうしても多角的にして、農村の収入をふやすということにしなければならぬ。その意味から申しますというと、今日の農村の製品をそのまま原料のままで売るのでなくて、これを加工し、そうして加工品をしてその労力を金にして輸出品を作る。これは現に実行しつつあるわけでありますから、そういう方面に持っていくということに考えていかなければ農村はいかないだろうということの考えをいたしておりますと同時に、国民の貯蓄をできるだけ、この貧乏の国でありますから、できるだけ消費方面は節約して、当分の間はがまんして、これを貯蓄に回す。その貯蓄した金はできるだけ重要なる産業の方面に回す、それがためには資金委員会でも作って、一方は貯蓄を増進するために税制にもかげんを加えて貯蓄させる。その金は資金委員会によってこれを重点的に配賦するとか、こういう方面にやっていきたい。これはやるべきことはたくさんありまして、何ぼでもありますけれども、そういう意味におきまして、少くとも経済審議庁のようなものを運営する人が、政党政派というものを離れてしまって、五年なり十年なりやるということでなければ、これはできないと思うのでありまして、そういうことになりますと、私がもう十年やらしてくれという猟官運動になりますから、私でなくてもけっこうでございますから、どなたでもけっこうですから、これをやる方がずっとやっていただいて、政党政派を超然とした六カ年計画を立てて実行していくということになれば、私は必ずこの日本の国は救われて、りっぱな国になるという確信を持っております。  ただそれだけの政治力があって、そういうふうに人にまかせ得るかどうかということが、日本の運命を決する点だと、こう存ずるわけなんで、はなはだ私の夢物語になって、これは速記に書いていただいてどうかと思いますが、私は自分の考えを露骨に申し上げますとそういうことでございます。
  23. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 高碕さんの私はおっしゃることよくわかるのです。経済政策を急カーブに転換したりして、混乱と、そしていびつができて、それを直すこと自体に非常に骨を折らなきゃならない。それは私は率直に言って二十八年度までインフレ的予算を組んで、二十九年にデフレ的予算になったのも、過渡的な処置がぜひ必要だということを当時の吉田内閣にも申し上げたことがあるのであります。米の問題にしても、今ちょっといいところをおっしゃったのですが、私は一挙に自由販売になれとか、あるいは外国産の食糧を廃止しろということをすぐには言いません。しかし今おっしゃったように、総合食糧政策に変らなきゃならないことは確かです、あなたのおっしゃるように。そして国民の生活自身に転換をきたす努力をしなきゃならぬことは確かです。そうするとその方面に対する施策が、私どももその点は御同感もし、日本人が今までのように米に依存していた食生活が、それが日本の食糧の面から見ても国民健康、保健の面から見ても、あるいは生活の合理化の問題から見ても私はいいとは考えない。だからそれは当然考えてくるんだが、そんならもう少しはやりそういう食糧政策に転換するという方針をはっきりお出しになっていいと思う。この点は天下にお出しになったって大して困難はきませんよ。食糧だけだって、農業だけだって輸出入のバランスをとろうという基本的な、政策によって基本的な考え方はでき得るのです、日本としても。だから私はそういう点から言えば、そういう政策を計画的にお出しになることに何の支障があるのだということを言わざるを得ない。そしてそれがやはりこの六カ年計画の基調にならなきやならない。六カ年計画はそれに伴う施策をお出しになる、まあそういうふうな考え方を持っておるので、まあ私は何も高碕さん、政党政派を超越して、猟官運動をなすってもけっこうです。今おっしゃったことがほんとうにできるなら、国民としてこんなありがたいことはない。これだけの熱情を傾ける人も少いだろう。それからまあ官僚統制の弊害もチェックできるであろうというように思いますが、まあぜひそういうふうなお考えでやっていただかなければならない。  もう一つそれに関連しまして、予算委員会で問題になったのですが、やはり国民の同情を得るとか理解を得るとか口で言っても始まらぬ、これは政策によります。政策になる以上は、国民のやはり協力を得る方法について政治家が考えなくちゃ私はいけないのじゃないかと思う。今お読みになっただけでも、この通産省関係だって生産性本部の関係、どうも生産性本部の関係にあれだけ期待なすったら、たった五千万円でお金を惜しみになる必要はなかっただろうと私は思います。あの一兆円予算の中でも生産性のために一億くらいはお出しになるのが、今高碕さんのおっしゃるような考え方と金とをにらみ合わせれば、私は五千万円では足りない、こういう気がしますよ。そういうところが私が悪口を言うところです。科学技術振興だってそうでしょう。通産省関係だが、六カ年計画の中に科学技術を大いに取り入れなければ、私はこの方面の動員が必要だ。それから文部省に一応予算を盛っております新生活運動、あれも精神面だけの修身教科書になってはいけないと思うのです。そういう問題も国民の中から盛り上げてきて、六カ年計画の裏づけになる経済活動と結びついた社会運動が行われなければならぬ。貯蓄の増強でもそうだと思いますがね。そういうふうな点について経済審議庁少し遠慮なさりすぎているのではないか。もっと産業庁の方へどんどんきちっとした政策の基調が入ってゆくようになさらないと、内閣自体だけでも各省一つ一つやっているようじゃあなた、国民の協力を得る前にまずそれが必要じゃないか。それでなければ、国民自身も一緒になって何してこない、気運も出てこない、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  24. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お説ごもっともです。できるだけ一つやりますから御協力願います。
  25. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ただいま大へん有意義な質疑応答を拝聴いたしました。  私は簡単に長官に伺いたいのですが、昨日の予算委員会で永岡さんの質問に対しましてこういうようなお答えがありました。それは将来人口増加に従って公務員の数は増加の方の傾向を持つか、減らす方の傾向を持つかといったような質問に対して、ふやす方に傾向を持つだろう。むろんこの問題については、たとえば郵政省とか国鉄といったような現業方面の問題を中心としてのお考えをお話しになったとは思うのですけれども、私は年来、わが国の現在の国力から見て行政機構は非常に膨大になりすぎている、また複雑になりすぎている、人員の方面からいっても、当然これは合理的に簡素化して、もっと能率を上げなければいかぬ、こういうふうに常に思っているものでありますから、昨日の経審長官の御答弁は、一応機会があったら承わってみたい、かように考えておったわけであります。長官に御就任になりましてから、新聞等でも予算局の問題をお取り上げになって、お考えになったことがあるというふうに私拝聴いたしておるのですが、このたとえば経審庁のような企画官庁に予算の編成権を持ってきて、そうして国家的の全体の立場から予算の編成に当るというふうな改革案は、しばしば従来すでに三回にわたっていろいろな行政整理の答申が出ているわけです。今度もこれなかなか、しかし今大蔵省の方では主計局を中心に相当予算の膨大化、ぶん取り化を防いでいらっしゃった実行の問題からいえば、大蔵省の主計局は非常に努力しておられることにはわれわれも感謝しているのですけれども、組織の上からいえば、やはり予算局というものが当然内閣総理大臣の直轄の企画官庁にあるのが筋道としては便利であると私は考えております。  それで今、経済六カ年計画に対しての非常な熱意のあるお話がございましたが、どうしてもこれはやはり官民一致、国力に照らして、国力相応な行政機構の改革に、非常にむずかしいことではあるけれども、手をつけなければいけない。これは私はかたくさように信じておるわけでありますから、たまたま昨日の御答弁があって、その言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、この意味合いについての経審長官の大体のお考えの輪郭をこの機会にお聞かせをいただければ非常に仕合せだと、こう考えまして質問申し上げます。
  26. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 経済六カ年計画におきましては、生産において約二三%ばかりふやしていきたい、こう存じておるわけであります。従いましてこの公務員の数、それに準じて相当ふやさなければならないと、こう存じておるわけでありますが、しからば今日の現在の官庁の機構というものは十分の能率を発揮しておるかというと、これはもっと行政整理をしなければならないという意見も相当あるのであります。それはそれとして、十分考慮する必要がありまして、能率を上げるということも必要でありましようが、しかし総体的に申しまして、全体の生産がふえればそれに従って公務員の数も増加すると、こういうふうな意の生産がふえればそれに従って公務員味を申し上げたわけであります。さよう御了承願いたいと思いますが、ただ単に、しからば現在の状況はどうかと、こういう御質問でございますが、これは別の問題として考えて、大いに考慮しなければならぬ問題だと私は存じております。  それから予算の問題、この問題は、私はどうしても計画を立案する者が、そのもとになる予算というものについての権利を持っておることは非常にやりやすいと、こういう感じでおりますが、しかし今これをやるということになりますと、非常な行政機構の改革になりますから、一応予算の編成に対して、計画に対する勧告権を持って勧告をよくするということにして、よく大蔵省との連絡をとっていって実行上やってみたい。どうしてもこれはいかぬということになれば、そのときにまた内閣は考慮しなければならぬ問題だと思いますが、さしあたり、私は勧告をするという程度で一応進んでみたいと、綿入れからあわせに移るという順序で進んでみたいと、こう存じておるわけであります。
  27. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単に申し上げますが、産業振興されて国民所得が増加する、これはねらいでもあり、非常にけっこうであります。ところが産業振興につれて必ずしも公務員の数がふえるのは必然であり、かつ必要であるかということになれば、これは私は今のお言葉だけで申しますと、いささか見解が違うわけであります。長官も民間会社においでになった御経験があるわけでございますが、公務員がふえておるから、それがいつも民間の産業に対していい影響を与えるかどうかということについては、私はこれは逆の場合も相当あるというぐらいに思っておるわけでありまして、これ以上、時間もお急ぎのようですから申し上げませんけれども、もう一ぺんこの行政機構の現在のあり方について、もう少し何と申しますか、深刻に一つ御検査を、御調査をいただきたいということを希望しておきます。  六カ年計画における行政費の表が、昨日木村委員の御質問に対してお答えがございましたが、その調べの詳細がございましたら、あとで資料として私の方にちょうだいをいたしたいと思います。できましたらその根拠もお示しを願いたいと、こう考えるのであります。
  28. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御希望の資料につきましては、さっそく取り調べて差し上げることにいたします。
  29. 小野義夫

    ○小野義夫君 もう一つ長官にお願いしておきたいのは、ちょうど堀木君がいるときに申し上げればよかったのですが、今のように六カ年計画、これのつまり裏づけをするために諸般の、政府が率先して施策を行うような法案、もしくは会社の創立と申しますか、そういうことをまあやらなければいかぬと、これは非常に私は適切な言葉として賛意を表するのですが、ただ問題は、従来の政府の指導というものとその結果をよく判断いたしますと、おおむね政府の奨励したことは逆のことになっておって、たとえば金が非常に必要だからといって、金一グラムは大へんなものだといって金の生産の奨励をすると、今度は反対に、これは非常に大きな変化もあったのでありましょうが、金無用論、いわゆる金というものが絶対に要らぬというドイツの学説を輸入してきて金山をつぶしてしまう。今度は石炭というものがいわゆる黒ダイヤで、これはどうしても戦前戦後を通じてぜひ復活しなければならぬ。それやれというお声がかりで、また金をどんどんとおしげもなく貸してくれるというので、政府のお金を拝借したりいろいろしてやったものは、今日惨たんたる現状になってきておる、その他、銅にいたしましても、すべて従来の政府のやれというたものをやりますと、たとえばチタンが非常にいい、これはやらなきやならぬ、あるいはまた農産物に対しましても、輸出農産物はこれはやらなきゃならぬといって政府のお役人が夢中になって奨励したものは、おおむね弊害を民間に与えておって、その実績の上ったものがきわめて少いのであります。そこで、今度はたとえば石油会社のいわゆる国策会社を作るときも、これは前車のくつがえっておるのを見ながら後車をやろうとしておるので、たとえば金でも、確かに日本産金株式会社という国策会社が非常な大きな失敗に終っておる。またその次に作った帝国鉱発株式会社というのも惨たんたるものであった。今日は第二整理会社になっておる。かように国家資金、もしくは国策会社がうまくいくならば、失礼ながら民間会社は隆々たる成績を示すべきである。それは魂の入れどころが違っておるのだから。しかもさような意味をもって今の六カ年計画に沿うてそういう意味の国策会社を乱設したり、あるいはその他の手を打たるることならば、これは非常な私は弊害とあとに後悔を残す、経済の整理のために非常に困難を感ずる。でありますからこの点について私は、高碕長官がこの審議庁長官として、実際のいわゆる事業の御経歴を持って、民間の事情に精通されておるのでありまするから、通産大臣とは失礼ながら少し腕っぷりが違うであろうと考えておる。かかる見地に立ちまして、十分なる一つ今後の国策会社、もしくはその他、あるいは補助金を出すことはいいと思う、ある程度度。しかしながら、これを国家みずからがやるなんていうような、もしくはそれの力によってやるなんていうことば時代おくれである。とうていそれは成功するものじゃないということを申し上げて、長官の見解をただしておきたい。
  30. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) そういう意味におきまして、六カ年計画の実行に当りましては、生産に関する範囲におきましては民間の創意と工夫とを十分発揮してもらう、こういうことが執行上原則になっております。ですからどうぞ御遠慮なく一つお仕事をしていただきたいと思います。政府の仕事というものは一体従前におきましてもいろいろ批評がありますが、これは私はやっぱり官吏の心得、これは従事する人の心得のいかんによることだと思っておりまして、必ずしも官営の事業だから非常に悪いということは、私はそう思いません。これはやり方のいかんによることでありまして、これには相当問題もありましょうけれども、これも必ずしもいけないといって捨てるべきものじゃない、こう感じておりますが、原則的に申しまして、経済六カ年計画は、私は民間の事業家の創意と工夫を十分生かして発揮いたしたいと、こう存じております。
  31. 小林政夫

    ○小林政夫君 その点小野さんの言われた気持に関連して、この前、開銀を将来どうするかという問題、将来財政投融資というものは公共的なものに使って、いわゆる私企業的なものに出すことはだんだんやめていこうという御言明があなたからもありましたし、大蔵大臣からもあった。だから一応方向としては小野さんの望んでおられる方向へ向っておるとわ土われは了承しておったわけですが、間違いないですか。
  32. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その通りでございます。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 この問本委員会で長官は、日本での原子力発電は五年ぐらい後だというお話があった。われわれが政府からいただいておる原子力開発についてのこの計画書を拝見いたしますと、これは政府の方では工業技術院ですか、工業技術院がこの開発の問題については実施機関としてやってきておられる。この工業技術院が提出しておるその計画書を拝見し、またその計画書の説明を駒形院長からお聞きしたところでは、一応五カ年計画で原子力の開発計画というものを立てておられるようですけれども、やっと、極力急いで、五年間かかってこの天然ウラン、重水、その他の実験用原子炉が完成するところまでこぎつければ大成功だというように受け取っているのですが、だから長官の五年の後にはもう原子力発電をやるということとは、だいぶこれはその局に当っておる専門家の見通しと、それから長官の政治的な見通しとは相当私はずれているのではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  34. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私が申し上げましたことは、英米の方では、英米では大体十年間くらいでこれはもう経済的に立っていく、こういうふうな見通しをつけているようであります。そうしてそれから比較いたしまして、日本で何もかも全部研究していくということになって、今度天然ウランをどういうふうにしてこれを作るとか、あるいは重水をどうして作るとか、そういうものを全部日本が自給でやっていくということになれば、あるいは技術者のいわれることは正しいであろうと私は信じておりますが、われわれはやはり十年間この原子力のことについてはおくれておるわけであります。といって日本では全然なかったかと申しますと、この戦争中において私ども満州におりますときに、海域でとれますウランの原鉱石は、その大体四千トンばかりも日本に送ったのであります、戦争中に。これは例の仁科さんのやっておられたところへ送って、相当程度進んでおったと思いますが、どの程度に進んでおったか私はわかりませんが、原鉱石の採集だけは二千トン終戦の年の二月に送ったわけなんです。二月に送りましたところが、もうこれはやめろという通知がありましてやめておりましたが、また六月になったら大急ぎで送れということで、こういうようなことで大へんに大騒ぎしたことがあります。相当その当時は進んでおったと思いますが、そういう技術というものも活かし何かしていくということと、それから同時に外国の技術、これは今日濃縮ウランをアメリカからとりますが、アメリカとの交渉においては、世界のどの国からでもどの国からでも進んだ技術をとっていいということの了解を得たのでありますから、今度世界の各国から原子力の発電というものにつきましてはこの技術を導入するということにし、日本の国内の技術を動員していけば、私はこれは五年くらいでやりたい、こういう希望があったわけなんでありますが、私は五年ないし十年ということをお答えしたようなわけでありまして、大体の世界の情勢から判断いたしまして、そういう結論を得たわけであります。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると長官の五年と言われるのは、五年目にやってみせるという確実な見通しでなしに、五年ないし十年くらいの間にやりたいという希望なんですか。
  36. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) そうです。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 長官は工業技術院でお立てになっておる原子力開発五カ年計画というものは御存じなんですか。
  38. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は聞いております。その話は聞いております。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 よく御承知なんですね。
  40. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ええ。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 この五カ年計画というものが工業技術院でお立てになった際には、これは濃縮ウランの受入れということは予想しないでお立てはなっておったのじゃないかと思うのですが、もしそうだとすると、今度の濃縮ウランの受け入れということによって、従来お立てになっておった五カ年計画というものがどういう影響を受けるのか、その点を一つ。
  42. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その詳細なことは政府委員からお答えいたします。
  43. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御説明申し上げます。今まで工業技術院の方でお立てになっておりまして、本年度予算に盛りましたのは、詳しくは当事者の方からお聞き願いたいと思いますが、私の承知する範囲では、大体千キロワット程度の出力を持つ天然ウラン、重水の形態を持った実験炉を作りたいという計画でございまして、そのための材料、その他の実験あるいは諸材料の何といいますが、整備といったような点の五カ年計画であったように承知しております。ところがその後濃縮ウランの問題が起きまして、そうしてこれの受け入れの問題の最中に、ちょうど海外調査団が帰って参りまして、一応まあ調査団報告というものが出まして、その報告によりますと、当該部門に関連する事項では濃縮ウランはごく短期に、しかも安く小型実験炉用として利用できるものであるから、これは至急受け入れたらいいじゃないか、ただしこれのみでとめるべきじゃないのでありまして、どうしても日本の将来の産業構造、あるいは資源等の面からいたしまして、従来考えておった、通産省の考えておりました天然ウラン並びに重水という形態のものはどうしても作るべきだという結論になってございます。ただし千キロというような小さいキロワットのものでは、本来の趣旨に沿わないので、スイスあるいはイタリア、西ドイツ、ベルギー等の例から申しましても、こういうおくれた国は一ペンに、最も初歩の実験段階を飛ばしまして、そうして中間である一万キロあるいは数万キロの中間試験をやっていく必要がございますので、日本でももう少しスクールの大きい、千キロ以下といったような計画ではなくて、同じ実験炉を作るならば、もう少し規模の大きい実験炉を、アメリカの受け入れの濃縮ウランのやつは小さい五十キロぐらいのものですが、これと並行してもう少し規模の大きいものを作ったらどうだろうという意見は出たのでございます。  彼此思い合わせまして、最終的には原子力準備調査会、内閣にございます調査会で最終的な方針はきめられるだろうと思いまするが、今の通産省の持っておる原案と、それからこの濃縮ウランの受け入れ問題、あるいは調査団の報告等を照し合わせまして、最終的にいかなる形態のものを濃縮ウランの受け入れに並行しまして建設するかということについては、最終決定がきまっておらないかもしれませんが、今のところでは通産側の今まで持っております原案で進んでもいいのじゃないかと思います。  それから補足でございますが、原子発電の問題につきましては、おそらく長官の申しましたことの一つの理由は、あるいは安直にできる発電装置等が、原子エネルギーによります発電装置等がわが国に新らしくできました際には、国でやるのでなしに、場合によっては自家発電等で、業界であるいは一つ二つやりたいという希望があるかもしれん。そういう点も考慮して、必ずしも支配的なものではないのでありますが、五年後あるいは十年の間にはそういうこともあり得るのじゃなかろうかということを申し上げていいのじゃなかろうかというふうに考えております。
  44. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、本年度予算二億円に、前年度からの繰越が一億六千八百万円あるわけです。で、この三億六千八百万円という原子力関係予算の立て方なり使い方ということは、この濃縮ウランの受け入れに上って是正されるといいますか、組みかえられるといいますかね、そういうことにはならないのですか。予算の方は、濃縮ウランの問題とは全然関係なしに、既定の計画に基いて既定の線にか沿うて使われるのですか、その点はどういうことになるか。
  45. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 濃縮ウラン受け入れのためにこの三億六千万円を使っちゃう、こういう意思はございませんで、それで従前研究しておりますことは、やはりこれは基礎研究として、濃縮ウランを受け入れる、受け入れぬにかかわらず、実行していきたいということを考えております。その方面にどのくらい金がかかるかということにつきましては、まだはっきりした数字が出ておりませんし、濃縮ウラン受け入れにつきましては現在のところ、いつの時期になってこれが受け入れられるか、受け入れについてはどれくらいの炉を持ってくるかということよってきまるわけなんでございますが、これはおそらくは炉を一つ買っても五十万ドルくらいだろう、こう存じております。濃縮ウランそのものにつきましてはその十分の一くらいだろう、炉の費用の十分の一くらいだろう、こういうことでありますから、買い取るとしてもそうすると私は大きな金でないだろうと思っておりますから、これは必ずしも予算修正してどうこうということでなくて、やりくりをしていけばできることだろう、こう存じております。また足らないものは、来年度予算においてまた認めればいい、こう思っております。
  46. 秋山長造

    秋山長造君 今おっしゃったような、実験用の小型の原子炉、それをどのくらいな値段でどういう条件で受ける、あるいは濃縮ウランの受け入れはこの価格だ、そういう具体的な問題がきまる見通しというのは大体いつごろの見当でおられますか。政府は……。
  47. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この炉の問題は、これは私はむしろ政府でやるかあるいは民間でやるか、これは別でありますが、濃縮ウランだけは政府が責任を持たなければならない。こういうわけでこの金額はどのくらいになるかということは、私は非常に気にしたのでありますが、これを仮調印する前にきめたいということで、いろいろ折衝してみたのでございますが、大体向うの方は一カ月くらい待ってくれということで、どれくらいの金額だ、こういうことを確めてみますと、炉の金額の約一割そこそこだ、こういうことでありますから、私は五、六万ドルだと想像したわけでありますが、それならばこれは大きな問題にすべきではないと、こういう感じで仮調印は承認したわけでございますが、この実際の取りきめは、本調印ができるまでには大体これを、この数字をとってみたい、こういう感じで今折衝いたしておるわけなんであります。
  48. 秋山長造

    秋山長造君 この問題と関連して、この間もちょっとお尋ねしたのですけれども、あちこちばらばらでやっている。この政府の、統轄機関を一つにまとめるというお話しがあった。けさの新聞によりますと、長官の構想は、原子力庁を作るという結論が出たように承わっておりますが、その通りであるか。
  49. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 現在この通産省とそれから審議庁にそれぞれ小さな部門を持っておりますか、これは両方でやっているのがいいかどうかわかりませんが、よく検討したいと思っておりますが、原子力庁を作るということは、新聞記者が原子力庁を作る考えがあるか、こういうことを聞いたから、そういうことも考えておると答えた、そういうことが新聞に間違えられて伝えられたので、政府としては原子力庁を作るということはまだ考えておりませんが、将来そういうことがくるかもしれないということ、ああいうふうに間違えられて伝えられたので、さよう御了承願いたいと思います。
  50. 秋山長造

    秋山長造君 学術会議からは政府に対してやはり委員会方式でやってもらいたいという申し入れがあったほどなんですが、委員会方式で、大体の方向が委員会方式に持っていかれるのですか。それから今のお話しのように原子力庁とか、あるいはまた純然たるこれは官庁の形でやっていかれるのですか、この大体の方向はどうでしょう。
  51. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 委員会でやれということについての学術会議の方からまだ正式の申し入れは参っておりませんのですが、その理由のいかんによっては、これは一応考慮する価値があると、こう存じておりますのです。
  52. 永岡光治

    ○永岡光治君 私はしろうとですから、天然ウランにしましても、また濃縮ウランにしましても、それがいよいよ動力化するというのがいつごろになるのか、まだよくわかりませんし、また動力化されて大きな動力といいますか、規模といいますか、そういうことについてもあまり今のところ想像がつかないわけでございます。ただ発明というものは、往々にして非常に進んで参りますと、その翌日から手のひらを返すような大きな威力を持ってくることは事実です。そういう面から考えて、そういう意味で心配をしていろいろ質問しているわけですが、ただいままでの経審の意向としては、まず六カ年計画もそういうものはあまり要素に入れなくてもいい。こういう観点にしか今のところ立たないのだろうということは、正面のところだろうと私は思う。そこでこれがたとえば五年とか十年というお話しがありますが、その間にこれが非常に大きく実用化される段階がくれば、産業界に大きな混乱を起すということは間違いないだろうと思う。それをどういうふうに統制していくかということが大きな問題だろうと思う。  そこでウランの統制につきましても委員会制度を作るか、一つの官庁にするかということは問題になっているのだろうと思うのですが、私たちの受ける感じが、あまりそう大きな問題になりそうもないというような印象を強くするのですが、大体どういう程度審議庁は考えておるのですか。それとも六カ年計画までの間に相当考慮しなければならないような段階にきそうだと考えておいでになるのでしょうか、どちらなんでしょうか。
  53. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六カ年計画にはまだ原子力というものについての考慮は払っておりません、正直に申し上げまして。しかしながら、どういうふうな変化をするかわからんということは、よほど注意の眼をもって見ていなければならぬ、こう考えておるわけでございますが、私は根本問題としし、これがほんとうに国際的に利用できるというその前に、どうしても原料のウラニウムというものは、これは国際連合の管理のもとにおいて、どのくらいな、イコール・チャンスをもってやっていくということは、やはり外交の根本方針ではなかろうかと考えるのであります。そういうことがやはり講じられなければまた災いを起す、私はそれはやはり相当大きな問題だろうと考えておるのであります。
  54. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで私はいわば第二次産業革命ですか、非常に大きな混乱を起すということははっきりわかると思う。それを強力な統制方式で引き締めていくのか、それともそれを野放しでいくのか。先ほど小野さんからいろいろ御質問が出ましたけれども、自由主義的な方式でいくのとでは違うと思う。そういう用意を今から持っていかなければならないと思う。従ってそれは原子力に対する認識の程度だと思いますが、それを放任して置いても、そんな大混乱の起らん問題だと考えておるのか。第二次産業革命になるような大きな問題だから、統制をしないまでも、相当の規制を加えなければならないという考えで進めるのかということによって委員会方式でいくのか、あるいはまた官庁方式でいくのかということがきまってくると思う。そういう問題は今どういう認識を持っておるかということを私は聞いております。そういうことは全然今のところ考えていないわけでしょうか。
  55. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私はこれはできるだけやはり民間の力を自由に利用していくということが必要だと思いますが、しかしながら、これは国家として、将来非常な産業革命を来たすものでありますから、少くとも国家はこれを全体的に握っておる、統制を持っておるということは、絶対酌に必要だと存じておるのでございます。
  56. 秋山長造

    秋山長造君 長官は原子力の研究機関としてはやはり民間の財団法人というようなものを作らして、それに委託してやらせるという御方針のようです。それは具体的には新しいものをお作りになるというお考えなんですか、それともたとえば科学研究所ですか、科学研究所あたりを中心に推進していくという御方針なんですか。
  57. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これはまだ完全なる結論に到達をいたしておりませんけれども、現在私どもの考えております方針によれば、従前のものを利用するということになるといろいろな弊害が各方面に起って参りまして、全体の意見を統一するということは非常に困難だと思いますから、私は新しい組織を、最初民間の寄付金をもって財団法人を作る、これはあまり大きなものじゃなくていいと思います。それでそれを中心として、政府と民間とがだれでもそれを利用するということにして、そこに政府はある一定の予算をもって補助金を出すとか、あるいは研究費を支出するということで進んでいきたい、こう考えております。
  58. 秋山長造

    秋山長造君 そうするともう全然新しいものをお作りになる。しかもそれは民間の組織ということなんですが、これは全然新しいものを作るということならば、必ずしもそれが民間のものでなくてはならぬということもないのじゃないかというように思う。で、全然新しいもので、しかも民間のもの、政府の方はそれに対して補助、助成をやるというこういう形にされる理由というものは何かあるのですか、特別に。
  59. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これはできるだけ広い範囲において利用せしめ、広い範囲においての知識を吸収する、こういう意味で民間を参加せしめたい。  これは私はアメリカの例をとってみますると、アメリカは最初原子力の研究は全部政府で一本でやったわけなんです。その当時は軍用が主体があったものであります。ところが今度平和に利用するということになってきて、民間を入れるということについて大へんなめんどうがありまして、このうちにいろいろの障害があって、約二年ばかり苦労したことがあるものですから、初めから民間を入れておく、そうして政府がこれと一緒になる、この方法が私は理想的だと存じております。
  60. 秋山長造

    秋山長造君 その民間でおやりになるという場合に、当然原子力の開発については専門学者が参加する機会はこれは十分に与えられなければならぬと思うのですが、これがややもすれば、現在すでに財界を中心に原子力平和利用懇談会というようなものがある、そういう民間という名前に隠れて一部の財界筋がこれを独占してしまうというか、壟断してしまうというか、そういう傾向に流れやすいという心配があるのだけれども、そういう点はどのようにお考えですか。
  61. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これは政府が補助金を与えて政府がこれに参加する以上は、十分な監督をいたしまして、一社あるいは二社、そういうものの特別の人たちがこれを独占するというふうなことはないように監督していきたいと存じております。
  62. 秋山長造

    秋山長造君 そうするとこの研究機関の運営等については何か運営委員会というようなものをお作りになって、そうしてそれに学界なり何なり広く各層の代表でも入れて、そうしてその運営を十分に公正にやっていかれるというようなことをお考えになりませんか。
  63. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御意見は非常に……、そういうふうな考えで進んでいきたいと思っておりますが、その点は考究いたしたいと存じております。この運営については委員会委員のメンバーをだれにするかというふうなことは十分に慎重に考慮していきたいと、こう存じております。
  64. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 午前中はこの程度にいたしまして、休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  65. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 午前に引き続いて、これより開会いたします。
  66. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 石油試掘費等補助について本年度予算で三億の経費を計上しているわけでありますが、この三億をどう使うかということを政府から一応御説明を願いたい。
  67. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 石油試掘費補助金の算出につきましては、予算編成当時はいろいろやり方につきましていわゆる構想ができておりませんので、とりあえず国内の石油の鉱区を持っておりますものの試掘事業というふうに思っておりましたが、その後いろいろ開発の構想が熟しまして、これは試掘の方を中心としてやる、特殊会社を作って、政府の強力な援助のもとにこの仕事をやったらいいだろうというふうになりました。他方この試掘につきましては、前年来石油資源開発審議会におきまして、国内の石油資源相当有望で、これに政府が相当力を入れてやりますれば相当の採油量が出る。かりに五カ年計画というようなことで資金百二十億程度を投じてやったとすれば、おそらく年産百万キロ科度の原油が生産できるじゃないかというような答申がございました。従ってこの機構を考えます際に、政府の強力な援助のもとにこの試掘の五カ年計画推進する母体を作ろうということに相なりまして、両党の予算修正の際にいろいろなお話がございましたが、むしろ政府提案として、この問題の法案を国会の御審議をお願いした方がいいだろうというようになりまして、一応本日の持ち回り閣議で決定をみる運びでございます。  概要といたしましては、現在政府が持っております帝石の株式が約六百数十万株ありますが、これを全部新しい会社へ全額現物出資いたしまして、それと民間からの出資とをあわせて一つの特殊会社を作りまして、業務といたしましては、帝石その他の会社が持っております試掘鉱区を譲り受けまして、そうしてその鉱区を試掘々行なって、当りました際はこれを採油してこれを販売するというふうな、一種の試掘中心の会社ということに大体の話がまとまりました。なお、資本構成としましては、政府の持ち株は常に総株式の二分の一以上ということにいたしました。予算に計上されてあります三億円の補助金はこれはあげてこの会社に補助金として出そうと、大体そういう構想で近く国会の御審議を願うことに相なっております。
  68. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 資本金幾らになりますか、それから資本構成割合は……。
  69. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 資本金につきましては、一応最終の目標といたしましては六十億ないし七十億になるかと存じますが、目下のところは、法律には資本金の額は明示しておりません。いずれ会社の設立の際にはきまるだろうと思いますが、授権資本の額としましては大体その見当に考えております。
  70. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 特にお聞きしたいのは、今後なお政府出資をふやしてゆくつもりなのか、あるいはそしてつまりこの調査の試掘は主として民間資金によっていって、政府資金は今までの帝石の持ち株と、それから新たな三億円でやるのか、今後とも民間資本との何というか、バランスをとりながら財政的に出してゆくのか、そういう考え方かどちらなんでしょうか。
  71. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 新会社の業務によりまする経費につきましては、一応試掘関係出資金でまかなう、こういうふうに考えております。その額は一応七十億ぐらいかと思っておりまするが、これは検討を要することは、先ほど申し上げた通りでございます。そのうち政府の出資額は、この当初の帝石の株の現物出資は、まあ評価方法によりますると、大体四億円ぐらいでございまするので、これは今後毎年相当の政府出資を追加していくという必要があると存じております。それから試掘いたしまして当りました鉱区の採油の方の経費、これは民間資金の借り入れ等でまかないたいと思っております。あるいは状況によりましては財政資金、たとえば開銀その他のような資金もこれに回したい、こういうふうに考えております。
  72. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうするとその帝石は今度は要するに採油会社として残るわけですか。そうして自分自身の資本金でできる程度調査と、それから採油という関係が残ってきて、この採油関係も……、それから試掘関係調査関係も、帝石は依然として残る、こういう関係になりますか。
  73. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 帝石は主体の仕事は採油になって参ります。それはある程度小さい範囲の調査なり試掘程度はやるかもしれませんけれども、そうして現在の試掘鉱区を相当新しい会社に、譲渡します関係もありますから、また資金の調達面のこともありまするから、そう大規模なことはできないと存じております。この点はちょうど帝石以外にも鉱区を持っておる会社の関係も大体同様でございます。
  74. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 帝石はしかしほかと違って、精油設備を持っていないとすると、ほとんど採油で採算をとっていかなきゃなりませんね。それで十分成り立っていくのだろうか。
  75. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 現在国産原油は日本海岸の精油所、たしか三カ所か四カ所ありまするが、これにある価格で販売しておると思います。それで結局帝石としましては、自分のところで経費をかけて掘りました油を売って、それで会社の形態を保っていくということしか方法ございませんけれども、なお帝石は今度は純然たる私の会社になりますので、また私の会社の経営者としましては、あるいは先ほどお話しのありました油の、精油の問題とかあるいはガスの精製とかの計画もあるいは今後あり得るかと存じております。
  76. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 まあ少しお耳が痛いかと思うのだが、いつも帝石がごたごたごたごたしていましたね。それでそういうことはどこに原因があって、今後の特殊会社はそういうことを避けるための何らかの用意がされてますか。
  77. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 帝石の在来のいろんな問題につきましてはこれはいろいろ経営者の問題、あるいは株主関係の問題等もあったように存じておりますが、そういうふうな点も、政府の持ち株が若干ありながら株主権も行使しなかった、そういう意味の株主権も行使しなかったという面もあるかと存じております。今後の新しい会社につきましては、政府は常に総株式の半数以上となっております。そういう会社の組織的な面から起りまするいろいろな総角等を株主権の行使によっても十分防止できると思っております。なお所要の監督規定はこれまた設けております。なお普通の意味の特殊会社という監督も行いますので、両々相待ってそういう問題は今後は起らないと思っております。
  78. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 この技術振興対策の中で、科学技術研究助成費五億四百万円を計上いたしましたが、別に株式会社科学研究所につきましては総合研究所としての重要性にかんがみて、新たに一億円の国庫補助をしておる。これは一体こういう科学振興をやろうというのに、株式会社科学研究所というので満足していかれるのだろうか。この株式会社科学研究所の概要をちょっと御説明願いたい。
  79. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 株式会社科学研究所のいきさつにつきましては、あるいは御存じかとも存じまするが、あらためて御説明いたしますると、戦前からございました財団法人理化学研究所が占領軍の指令によりまして解体を命ぜられましたのが昭和二十二年か三年であったと思っておりますが、その際、どういうふうな機構でいったらいいかという問題が起りました際に、このいろいろな応用技術の研究をそのままこれを企業化して経済のベースにのせるというふうな、いわば研究と企業との直結という形を採算ベースに立って考えてみたらどうかというふうな、当時の研究所の人たちの考えもありまして、アメリカにもございまするような株式会社組織の研究所を一応考えてみた。そうしますると研究に当っておりまする者が、自分の研究をすぐそろばんにのせるということについてさらに一そう関心を持ち、研究の励み、あるいは目安もつきやすいのじゃないかということで、株式会社組織として発足したわけでございまして、現在資本金、授権資本としましては十億で、払い込み資本が四億でございます。  いろいろな、たしか十数個の研究室を持っておりまして、各分野にわたりますいろいろなテーマと取っ組んでやっております。なおその得ましたいろいろな新しい特許、発明等は、これを実施権を他に譲渡しまして、ロイヤリティをとっているとか、あるいはみずからその仕事を工業化しまして一般市販をしているというふうにやっております。それで従来はこの株式会社に対しましては、一般のこの民間株式会社における研究と同じように、鉱工業技術補助金の中からそれそれのテーマに応じて出しておったわけでございまして、科研にも通産省のこの補助金のほかに文部省関係補助金その他を合わせまして、ちょっと金額ははっきり覚えておりませんが、相当補助金が出たわけでございます。それぞれの効果をあげておったわけでございまするが、科研の研究所は、先ほど申し上げましたように在来の民間の会社の研究所、あるいは国立の研究所と違いますところが二つあるわけでございます。一つは総合的にいろいろな分野の問題を扱っている仕事でありまして、一つはすぐコマーシャル・ベースのある意味の企業化ということと結びついている、こういう二つの特色もありまするので、これをもう少し助成する必要があるのではないかということで、今回特に一億円の予算を計上したわけでございます。  なお、通産省としましては、民間におけるこの科学技術の研究助成はまあ目下のところはいろいろな方途がございまして、科研だけが唯一のものではございませんし、さりとて科研を普通の民間の会社の研究所と全然同扱いというわけではございませんので、あそこに少し力を入れてやっておるという段階でございます。  まあわれわれとしましては、実は民間ベースにおきまする技術研究振興は一体どうしたらいいかということはいろいろ考えております。なかなかいい案もございませんが、これは御案内のようにわれわれも結局するところよく感じておりますが、一番の問題点は、いろいろいいアイデア、いい研究を持ちながらこれをほんとうの企業のベースにのせ得ない原因かいろいろあるようでございます。一番大きな問題は金融問題だと存じておりますが、ただその中間にいろいろな実験室的な発明をさらに工業化試験段階まで持ってゆくこというふうな点が、なかなか民間の現在のような資本蓄積の少い状況ではいろいろ困難と感じております。その橋渡しをもう少し役所として力を入れる必要があるのではないかというふうに考えまして、いろいろ案を練っておりますが、まだなかなかこれを予算化して国会の御審議をわずらわすという段階にまでなっていないことをはなはだ残念に思っております。
  80. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 関連して。二十九年度予算に多分載らないものでしたが、競輪の納付金を何億か科研に出したはずですね。ああいう場合に研究の結果をどういう責任を持たせているか、また成果はどうであったか、お答え願いたいと思います。
  81. 小山雄二

    説明員(小山雄二君) 昨年度競輪の上りの中から科研に当初の予定では七千万円出すことにいたしましたが、競輪の上りの金全体の予定が少し少くなりましたので、結果的には一五%ばかり減で五千八百万円程度出しております。  実は競輪の振興費というのは法律上の目的から申しまして、自転車産業振興を中心といたしまして、一般機械関係輸出増進、輸出振興等に、また企業合理化等、そういう問題に出すことになっておりますので、直接の関係からいいますと、非常に関連あるほかのものに比べますと直接ではないのでございます。自転車のたとえば鋼材の品質の関係、塗装の関係とか、あるいは一般産業関係でもネジの関係、その他基礎的なものの関係で科研に頼んだ方がいいという基礎的な研究事項相当多数に上りますので、そういうものを集めまして、各業界のいろいろな注文を聞きまして科研に頼んだらいいという項目をそれぞれ整備いたしまして、それが集まったものが費用として今申し上げましたような五千数百万円の金になっているわけでございます。  この研究につきましてはそれぞれ関係の業界の方からも委員が出まして、科研の研究員と両方で、関連を持ちながら研究を進めておりまして、まだ研究が継続中のものもございますが、相当程度それぞれ需要者の要望に応ずる効果はあげつつあるという現状でございます。
  82. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも科学技術振興と口で言いながら、内閣で文部省の関係通産省関係その他各省いろいろありますね、そういうものについてどうもはっきりしないのじゃないか。まあこの科研が初めの意図の通り研究と実際と絶びつけて、それだけで株式会社としてやって行けるという考え方とは変ってきているような気もしているのです。今度これは初めて一億円やるのでしょうが、今まではどういうルートでこの科究に政府の金が流れているのだか、総合したら幾らなんですか。そういう点ちょっと教えてもらいたいのですが。
  83. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 科研には先ほど申し上げましたが、通産省、文部省等のあれを合せまして、あまり大きな額ではないようでございますが、私は先ほど、もう少し大きいと思っておりましたが、実は累計して四千万円か五千万円でございます。それて実は株式会社形態になっておりまするが、政府からの補助金のほかに、先ほどの競輪等の金も入るわけでございますが、コンマーシャル・ベースに立って会社の決算が成り立つかと申しますと、はなはだ困難でございます。若干赤字を毎年繰り越しているような状況でございます。
  84. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 一応この五億四百万円の使い道の内訳を言って下さい。科学振興対策科学技術研究助成五億四百万円の内訳を。
  85. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これはこういうふうなやり方で例年やっておりまするが、民間におきまする研究のうちで、こういうテーマに合うものをという標準を役所で示しまして、これをいわゆる要望課題と称しております。その課題を公表いたしまして、それに応じて民間から出してくる申請を審査いたしてやっております。中味二つにわたりまして、詳細は工業技術院の院長が参りましたから御説明いたしまするが、毎年相当な件数になっております。
  86. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) ちょっと小林君がほかの委員会に行きたいと言うのですが、よろしうございますか……。
  87. 小林政夫

    ○小林政夫君 中小企業振興助成費という今度の中小企業振興助成は、自民の折衝で一億追加になりましたね。これは何か説明によると協同組合に対する共同施設の補助金らしいのだけれども、どういうふうに使うつもりですか。
  88. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この共同施設と申しますのは、これは御承知の通り協同組合で作りまして、その組合が共同に利用するたとえば倉庫とかあるいは設備というのがございますが、そういうふうな性質の補助金の設備に対しまする補助と、それからもう一つは中小企業の設備近代化補助金という形で、設備の老朽化いたしましたものを更新するために各個の中小企業者に対して出します補助金と二つに分れております。今回追加されましたものは、あとの方の個々の中小企業者を相手の設備近代化の方に回したい、こういうふうに考えております。
  89. 小林政夫

    ○小林政夫君 従来の振興費の中での共同施設補助金というものがどういうふうになっておるか、たとえば昨年度か一昨年か、補助金という名前ではあるけれども、実際は貸付金なんですね。本年度はくれてやるのだということなんでしょう。
  90. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 本年度もこれは返済の条件になっております。
  91. 小林政夫

    ○小林政夫君 今までのはそうすると全部返済の条件付ですか、今までずっと……。
  92. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 二十九年度から返済の条件になっております。補助金と言いますが、実は返済条件付の補助金であります。
  93. 小林政夫

    ○小林政夫君 それではなぜ一体補助金という名前をつけなければならないか、返済なら補助金というのはおかしいじゃないですか。それでずっと一応資料として今までの純然たる補助金の形において出たものと、返済条件付の補助金と金額、それがどういうふうに利用されたかという資料がありますか。
  94. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その資料はあると存じまするから、後刻差し上げたいと思います。
  95. 小林政夫

    ○小林政夫君 その返済付補助金ということであると、その管理が相当問題であるでしょう、方法が……。こういう行政組織でやって、行政機関が扱う融資ということになると、係りはしょっちゅう変るのだし、委員の方だって変るでしょうし、もうずっとこういう返済付補助金なりを運用する機関というものを別に考えるか、あるいは中小企業金融公庫とか、商工中金とか、何か金融機関を使って考えないと……。どうしてそういう方向に持って行かれないのか。ずっと私は補助金だと思ってもらっているということもないらしいのだけれども、ずっとこのままでずるずると行くつもりですか、それとも何か考えるつもりですか。
  96. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 実は昨年度からの話でございまして、その点実はわれわれも少し問題はあるかと存じております。まあ通常の金融とも違いまするので、まあ融資管理的な問題とは若干やり方、考え方も違うと存じておりますのでもう少しこれは実は検討したいと思っております。なかなか地方の通産局あるいは府県等でもぜひ出さなければならぬところもありましょうし、実はどうしたらいいかと思っておるところでございます。
  97. 小林政夫

    ○小林政夫君 中小企業庁長官も見えたけれども、もうどうしたらいいかと思っている、一年たってもう一ぺん同じことになるのなら、返済金はどう経理しているのですか。まだ返済の事例はないのですか。
  98. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 返済したものは雑収入として回収されて、一般収入の中へ入ってくるわけであります。
  99. 小林政夫

    ○小林政夫君 これは返ってきましたか、今まで……。
  100. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 昔の補助金は一年据え置きの十カ年賦で返すということでやっておりまして、それは補助金ではございますが、利益があった場合には十カ年賦にして返すという、毎年すなわち十分の一ずつ返済するということでございますが、その分は利益の出ましたものに関する限り収まっておる次第でございます。ただ昨年実施したいわゆる純粋の貸付に関しました分は、まだその時期に達しておりません。
  101. 小林政夫

    ○小林政夫君 ただいま官房長から、何とか貸付金ということに性質がきまってくれば、恒久的なこの資金の管理の方法については考えなければならぬと思っている。そういうことを伺ったのですが、あなたの方ではずるずると今まで通り行政機関でもって扱って行くつもりなのか。相当非常にあなたの方だって担当官はしょっちゅう変ることだし、地方自治団体の担当官も変ることだろうし、ほんとうに融資なら融資を管理するような方法で管理しないといけない。補助金と名前をつけているところがなかなかデリケートで、国の方ではやったつもりで返らなくてもいいのだ、しかし使わせる方は融資だ、こういってやるのか、補助金という名前をつけていることもおかしい。
  102. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 協同組合に関します共同施設につきましては、われわれとしては昨年はいわゆる補助金の名前において実態は貸し付けて、無利子ということでございました。今年度につきましては、むしろ元の姿に返すべきであるということで、なお折衝をいたしておる次第であります。もっとも大蔵省としては、まだ中には去年と同じように一年くらいではそれを変えるべきではないということで、話が十分についておりません。従って大蔵省の言い分通り貸付金ということであれば、即座に解決するわけでございます。われわれといたしましては、まだ予算の最終的な決定を見ない、途中でございますので、本来、貸付にすべきではなくして、純然たる補助金にすべきだという建前のもとに、なお折衝を続けておる次第であります。
  103. 小林政夫

    ○小林政夫君 あなたが予算委員会説明のときに、昨年度は貸付金であったのが、本年度補助金ですといって言明されたように思う。それでさっき聞いたら、いや本年も同じです。昨年通りだ、こういう答弁があったわけです。で、これは折衝中だといっても、予算は今われわれやっておるのです。通ってからはっきりするのですか、そんなことはおかしいじゃないか。
  104. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 建前は名目上補助金ということことになっております。補助金でも融資でも、去年も同じような建前で融資ということに相なっております。われわれといたしましては、去年のままであれば、このままでも話はすぐ片づくわけであります。それでは満足できませんので、なお大蔵省と折衝いたして、できる限りもとの、本来の補助金の姿に返したいということで努力いたしておるのであります。まだ大蔵省と、両者の意見が合致するまでに至っておりません。
  105. 小林政夫

    ○小林政夫君 それでは主計局長を呼んで下さい。
  106. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 主計官おりますが……。
  107. 小林政夫

    ○小林政夫君 今お聞きの問題については、大蔵省としてはどう考えておりますか。
  108. 廣瀬駿二

    説明員廣瀬駿二君) この補助金は昨年に、今中小企業庁長官のおっしゃったように、一年据え置きの五年間で償還するという制度に改めております。改めた理由は、もともとの補助金が、成功した場合に、この共同施設が成功した場合に、出世払いというようなことでございまして、今まではほとんど返っていない実情だったのでございますが、これではルーズに流れると思いましたので、そのようにしました。それで去年の実績につきまして、いろいろ問題があるということは、中小企業庁からも御連絡を受けたのでありますが、なお今のやり方も悪いということも、はっきりは言えないような段階でございますから、われわれとしては現在の態勢で継続したいと思っております。実質的な貸付金でございまね。それで、なぜ補助金にいたしましたかといいますと、これはもし貸付金でございますと、財政法上の建前から、利子を取らなければならない。無利子にするためには、やはり補助金という格好にして、やりっ放ししではまたルーズでありますし、返させるという態勢をとるためにこういう制度にいたしたのであります。
  109. 小林政夫

    ○小林政夫君 それにしても、補助金という名前にしたことはわかりますが、無利子の貸付金という、名前は補助金にしたことはわかるが、あなたの方では返ることを期待しておるということであれば、必ずしも今のやり方では返らぬのが当りまえですよ。出世払いだと言っても返らぬのが当りまえですよ。当りまえということは、なかなか督促する人もないだろうし、そこを振り切ってどうしても今の態勢で行くというなら、別途そういう無利子の貸付金を扱う恒久的な機関を持ちながら、この回収は不能だと思う、いずれにしても。それから、もうやるならやるで、補助金で名前通りくれてやるならくれてやると、そういうことになる。どうせ返らなくてもいいのだという腹をきめておるなら別だけれども。
  110. 廣瀬駿二

    説明員廣瀬駿二君) 出世払いと申しましたのは過去のやり方です。現在は出世払いでなくて一年据え置きの五カ年間で返す。ですからこれは必ず返ると思います。
  111. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは君が考えるだけで今のようなやり方なら返らぬ可能性が多いですよ。私はこんなちっぽけな金にこだわって回収する必要はないと思うのだけれども、補助金なら補助金としてやった方がいいと思いますけれども、制度として返すことを期待して一年据え置きの五年間の年賦払いというようなことを続けて、二年も続けてやるのなら、どうしてもそれの専門機関というものを作らないと、これはだれが督促するといったって、あなたの方だって変るんだし、扱っておる地方自治団体だって人が変るんだし、金融機関の貸金の回収だって相当骨をおっておることは御承知の通り。相手は協同組合ということであれば、ほんとうに返ることを期待して貸しておるのならば、相当管理制度については考えなければならない。どうしてもそういうことがうまく機関ができないということであるならば、もうやってしまうということ方が問題が起きない。至急にそういう意味では考えていただきたい。
  112. 廣瀬駿二

    説明員廣瀬駿二君) 貸付金はこれは地方団体に対する貸付金でございまして、地方団体が国に対する関係で今申し上げましたような状態で貸付をする。地方団体が人が変ってしまって非常にあぶないという御心配でしたか、御指摘でございましたが、その点に関しましては私たちは地方団体を信用したいと思います。しかし制度的には今おっしゃいましたようなむしろやりっきりの制度にした方がいいかということについては、各方面で聞いておりますので、その点については今後中小企業庁と一緒に研究して行きたいと思います。
  113. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちょっと私も誤解しておったのは、国に対する直接の債務者は地方自治団体ですね。肩がわりしておると。返済の責任を持っておるのは地方自治団体だと。
  114. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 公益事業局長にお伺いいたします。通産省では御母衣ダムについて五月の二十一日に今後一カ年の調査期間を経て来年から既定方針通り着工する予定であるということを発表しておりますが、これは事実でございますか。
  115. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 事実でございます。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから御母衣ダムの建設は電源開発促進法に基いてやるのでしょうね。
  117. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 電源開発促進法に基く電源開発会社が担当してやっております。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 電源開発促進法の第三条の四項ですね、四項にこういう項目があるのでございますけれども、これは御存じと思うのですが、「前項の規定により意見の申出があったときは、国の行政機関の長は、これをしんしゃくして必要な措置を講じなければならない。」こういう規制があるわけです。それでこの間予算委員会で石橋通産大臣に質問したのですが、この予定地となっているところの住民ですね。それで湖底に沈む予定になる住民の中に反対があって、そうしていろいろ陳情したり、それからまた地域の変更その他について意見を述べたりして、そういうことをやっているときに、これに対しては、これはしんしゃくして必要な措置を講じなきゃならない問題となっているのに、通産大臣は全然措置をしていない、こういう御答弁なんですよ。それでいいのですか。
  119. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 促進法の三条の四項によるいわゆる意見の申し出というものはこれは、いわゆる陳情というものはたくさんございますが、この条項によるものは、すべて書面をもちまして、あとの政令にございます通りに、地方長官を経由して出すということになっておりますが、そういうふうにして出されたものは相当多数あると思います。ただこれは各省にわたっておりますので、通産省の分だけは一応こちらで整理いたしておりますが、これは件数にしまして六件でございます。いずれもダムの設置及び発電について絶対反対というのが大部分でありまして、その他いろいろの違った意見を述べておるものもございますが、いずれもこれらの内容を審査いたしまして、結局当時公表いたしました開発計画につきまして適当な措置を講ずる必要があるかどうかという点を十分研究いたしまして、たとえばダム絶対反対ということにつきましては、なおダムのあとの位置でありますとか、形式でありますとか、それから設計等をきめる場合におきまして、こういう点において十分まだ検討の余地がある。その他の技術的な要求につきましても今後の設計上の問題につきましては、そういう点は考慮するということで、その当時といたしまして、特にこれに対して特別の措置をする必要はなかろうということで、一応この規定に基く必要な措置ということは、形式的には行われておらないわけです。
  120. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 高碕長官の、これはまあ電源開発会社総裁の当時のお話を承わったのですが、非常に率直な、先ほどその経過についてお話があったのですが、最初関西電力から今まで調査した実績を受け継いで、そうして電源開発会社調査したところ、研究すればするほど困難性の大きいことがわかってきた、こういうことで、一面地元民の反対も非常に強いし、この反対は単にその補償料を多くするための反対ではない。非常に真剣なものであるということと、それから断層が非常に多くて、研究すればするほど困難性が大きい。そういうので、一時取りやめて、賠償も中止せよと、こう言われたわけです。そこで地元民では、いろいろな新聞なんか見ますと、他の地域ですね、他の地域調査してもらいたいという申し出もあると思うのです。おそらくあなたの方に来ているのじゃないかと思うのです。そういうところを一体調査したことがあるのか。その「必要な措置」というのは、そういうことも含まれるのじゃないか。特に高碕長官は、結局この問題は、かりに技術的にまあ危険がないようになってもグラビティー・ダムをロックフィルドに変えて危険がないにしても経済効果においては非常に問題がある。開発費が非常にかかり、電気料金もコストが高くなる。そういうことを言われているわけですから、そこで結論は結局他に、御母衣以外の適当なダムの地点があるかどうかにかかっているのだ、こういうお話だったのです。従って高碕長官のお話を承わりますと、これは非常に経済効果の面から言っても研究の余地が相当あるのじゃないかと思います。コストが多くかかり、それから電気料金も高くなる。非常に高碕長官の御意見としては、これは疑問視されているわけです。そういうやはり努力を払っていたのですか。そういういろいろな問題があるにかかわらず、既定方針通り着工する予定であると発表されているのです。ですからそういう問題点に対して、他の適当の地域を探すことに努力したのかどうか。  それからもう一つは、今度は技術的に見まして、この世界に例のない百三十メートルという非常に高い、そういうダムをやるについて、一体技術的にこれが危険がないものかどうか。この二点についてお伺いしたいのです。
  121. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 他の地域と申しますと、広い意味で言いますというと、あの庄川筋以外の、ほかの川筋を日本全体として考えるということでありましたならば、これはむろん電源開発の対象としましては他の大きな川を常に調査いたしております。特にそれ以後だんだん調査が進捗いたしておりますのは熊野川でありますとか、それから四国の物部川等、その他まだございますけれども、そういったような点の地域につきましての調査は並行してやっております。ただ特に御母衣ダムにかわる庄川筋の地点ということは、いわゆるダム・サイトの問題といたしまして、やはりあのダムをできるだけ安く安全に作ります上において、どこが一番適当であるかということは、これはボーリング等をやりまして、相当な年月をかけて十分調査をいたしたその結論といたしまして、現在予定しておりますところにロックフィルドのダムを造れば十分行けるという確信が出ているので、本年の五月着工したのでございますが、この建設費が、午前中に高碕長官の言われました通りに、そこだけを考えますというと、他の地点に比べて相当高いのでございます。しかし下流の発電所と総合的に考えます場合には、下流の発電所に及ぼす影響が非常に大きい。一例をもって言いますならば、この御母衣ダムで現在の設計によりますと、年間五億キロワット・アワーの電力が出るわけでありますが、五億八千万余りの電気が出るわけでありますが、下流におきましてやはりその半分に近い二億八千万程度のものが、この御母衣ダムを構築することによって、その効果としてそれだけのものがよけいふえると、こういうことになっております。従ってこれを総合的に考えますというと、建設費というものがならされまして相当低くなる、そういうことを考えますれば、必ずしもこの中の数字でもそう高くないと思います。さらにこのダムの特徴といたしましては、非常に冬期に発電ができるという性格を持っておりますので、冬にほかの川あるいはダムが比較的電気が落ちます時期におきまして、石炭にかわるべき電気を相当供給できるということを考えますというと、さらにこれは安くなるという傾向にありますので、その辺の数字はまだ最終的には明らかでありませんけれども、総合的に考えました場合には、それほど高いものではないということになるわけであります。  それから技術問題でありますが、これは仰せの通りに、日本でまあ一番大きなロックフィルドのダムは、現在できております岩手の胆沢ダム、これは五十メートル程度、それから東電で作っております須田貝のダムが約五十メートル程度であります。百二、三十メートルという大きなダムは世界的にも一流の高さを持っております。それだけに慎重に調査をしておるわけでありますが、大体その程度のダムが世界にかなり構築されておりまして、技術的にできるという確信は日本の技術者も持っておりますけれども、ただ従来の経験からいいまして、急にこの形式のものを、飛躍的な大きなものまで行くということは、これは安全性をとるならば、外国の技術援助を請うてやった方がよかろうということで、一応海外の技術援助を請うて作るという予定をいたしております。しかし万一、あるいはかりに外国の技術援助が得られないといたしましても、おそらく日本の技術者としては自分でやれるのだということは確実であろうと思いますが、その辺のところはまあ安全性を見まして、外国の技術とあわせましてやったならば必ずできる。また安全性におきましても、経済性におきましても、十分安心できるものだという見通しの下に進めておるわけであります。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総工費は幾らですか、当初の計画は。先ほど伺ったのは二百四十六億と言われましたが、当初は二百七十億ぐらいじゃないかと思うのですが、もっと少いという話だったのですが……。
  123. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 二百四十六億というのは、これは裸の建設でありまして、建設期間中の建設利息を加えて総経費を出すのが通例であります。それをつけ加えましたのがちょうど二百七十億であります。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二百七十億はこのロックフィールド・ダムになってからそういう総工費の計算になっておりますか。
  125. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) そうでございます。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の話を伺いますと、この御母衣ダム自体においては非常に経済効果は乏しい。しかしその下流の方の発電をあわせて考えれば総合的に言って、それから長期に発電できるという意味から言って、そう経済効果は少いものじゃないと思いますが、下流というのは関西電力ですね。それで経過を聞きますと、どうもわれわれは非常に疑問が起ることがあるんですね。それは関西電力調査して調査費一億というものを、これはどういう計算で出たのか、これも伺いたいのですが、それで引き受けた。ところが調査してみたら断層が非常によくなかった。疑問に思われるのは、何か関西電力断層のあるのを知っていて、それで一億で電源開発会社にそれを押しつけてしまって、あとで開発会社がやってみたらばそういう断層がある。それでこれは自分のところではとてもやれない、そこで電源開発会社にやらせれば関西電力は非常に助かるのですから、関西電力のためには非常に何か救済みたいな形になるような格好になるんですね。そういう関係はどうなんですか。
  127. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) そういうような事情があるというようにはわれわれは考えていないのでありますが、まあ開発会社の方の関係の意見を聞きましても、当時関西電力があれだけの時間と経費とをかけて調査した範囲内では、おそらくあれ以上の調査はできなかっただろう。ただ本格的に工事に乗り出すというからには、電源開発会社としてはさらに詳細に調査をしなければならないので、さらにボーリングしてみたところが、意外にも奥の方になかなかむずかしい断層があった。そこで断層の処理、その他の事前の調査相当必要な年月をかけた、こういうことでありまして、故意に関西電力があらかじめわかっていた資料なり、断層なりを隠してやったというふうには一応考えていないのであります。もしそういうような悪意でありましたならば、関西電力調査費として譲渡しました金額にクレームを起し得るかどうかという問題でございますが、それは当時の客観的な事実がどうであるかということを判定してやらざるを得ませんが、かりに悪意でありましたならば、損害賠償の問題も起るかもしれません。それからさらに別の方法としましては大体これは下流筋の電気は一応電気の量としましては大部分ほとんど全部が関西電力に行くような性質のものであります。従ってもし非常に高い経費をかけて建設するということになるというと、これは電源会社としては高い電気を売らなければなりません。けれども高い電気を買うのは関西電力である。結局その限りにおいては結果は同じだということになるわけであります。むろん、電源会社は、電力をプールして料金をプールするという考え方もありまするので、かりにそれを別としましても、そういうようなこともできまするので、最後の締めくくりは十分できると思っております。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点よく調査される必要があると思うのです。聞くところによると、所長さんは得能という人ですね、この人は関西電力におった人だそうですね。聞きますと、開発会社の方の人がだまされたやに言ったことを、これは私もまた聞きですから確実ではありません、しかしそういうことも聞いております。確実かどうかわかりませんが、しかし私は、これはやはり一つ調べる必要があるのじゃないか。  それからもう一つ伺いたいのは、約大体十五億円近く使っておりますね、それで二十八、九と二カ年で、それから三十年度はどのくらいの予算ですか。
  129. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 四億足らず、三億七、八千万だと思いますが、最終的にこの金額は確定いたしておりませんけれども、大体そんな金額であります。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど高碕長官も、この監査については、特に自分は常任監査役を二人置く、そうしてまた年じゅう各方面を廻って十分監査するように、また会計検査院に対しても最も慎重に監査するようにということを自分は期待し、要望もし、そういう態勢をとったということを言われているのですね、そこで今まで十五億というのですね、この価格は、会計検査院にも要求してありますが、公益事業局でもおわかりかと思うのですが、その内容ですね、どういうものに使ったか。詳細に報告していただきたいと思うのです。
  131. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 大体半分の七億程度が用地の補償費に使われております。それ以外の残りの部分は調査費あるいは事務所等の建築費等に当ててあると思います。さらに詳細の資料が必要であればのちほど……
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その七億の補償料というのを聞きたいのですが、実は予算委員会でも質問したのですが、非常に問題があると思うのです。それを公益事業局は実際お調べになったかどうか、富山大教授の小寺廉吉氏が二十九年度の文部省科学研究費によって調査したその調査、これは御存じと思うのです、それによりましても非常に問題点が指摘されているのですね、それで最初あそこは戸数が二百三十戸くらいですか、それがあとで非常にふえてしまった。八十戸ぐらいふえてしまって、そうしてこの小寺さんの報告にもありますが、ひどいのは東京の人は三カ月いて出て行ったが、その家は便所も台所もないバラックだ。出て行くときは会社から五十万円もらって、もらい得だったというようなことも小寺さんは調べたのですよ。そういうような事例があるのです。ですから、七億使ったうちにそういうものが入っているのかどうか。
  133. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 当時このダムの構築は、比較的容易にできるというふうに会社で判断しまして、そうして補償金の一部支払いをやりまして、立ちのきをできるだけやってもらいたいというふうに進行したわけであります。従って以前からそこにおります者に対しても交渉いたしまして、大体契約ができかかるものにつきましては、内金を払って立ちのいてもらう。その場合に、立ちのく者には立ちのき料を払うということはむろんやっております。それから初めの調査の場合と、それからその後新らしくその後にできたものとの差が相当あるだろうと思います。つまりダムの建設、構築がわかっていて、そのあとで家を作ったというものも、これはあるようであります。ただしこれにつきましては、今後の問題でございますけれども、一応当初会社としては大体ダムの計画を公表いたしておりますから、それ以後に新らしい構築物を作っても補償の責めには任じないということははっきり表示いたしておりますので、原則的にはこういうものに対しては補償金を支払わないと、こういうことになっております。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 支払わないことになっておるのに、実際支払われておるのですよ。それで会計検査院長に聞きましたところが、それは不当である場合にはこれを返還勧告すると、それから法務大臣もこれはもしそういう補償金を目的としてそこに移住して、そうしてもらった場合には、これは不当な取得である、だからこれは返還を請求できるのだ、これはそうはっきりした場合ですよ。またはっきりしておるようです、これを見ますればですよ。それをどうして返還を請求しないのですか、求めないのですか。
  135. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) まあかりにそういう悪意がありましても、従来のやり方はむしろ妥協的な方法で、これは電源開発会社がやっておりまして、かりに相手が悪質であれば、何らかそこでつかみ金を与えてどいてもらうというようなことを各会社ともやっておるのであります。ただその金額が今日のように大きくなっておるかどうかというところに問題がありますが、そういうしきたりはある程度あるのでありまして、純粋にこれを法律的に割り切って行くということは、なかなかむずかしい面が実際従来もあったのであります。当初におきましては、これは一昨年頃かと思いますが、補償要綱等の決定もいたしておりませんし、また今日のように補償に対して非常に厳格な態度で臨むというような考え方も十分しみ通っておりませんでしたために、あるいは一部そういうものがあったかもしれません。一部聞いてみますというと、そういったような、あとで一応家を浸水地域に作ったというふうなものに対しましては、移転料といたしまして、浸水地域でない区域にある自分の家への移転料と、あとで作った浸水区域の家屋の取りこわし料を払ったというようなこともあると言っておりましたが、そういうようなことを部分的にやったこともあったと思いますが、継続的にはそういうものはやらない。それではそういうものを取り戻せるかと言いますと、これは今後の問題もありまして、やはり全般的に補償問題がはっきりしてきましたときに、全体的に過当に払ったものを取り戻すというようなことをすることは起り得るかもしれませんけれども、今のところ早急にすぐやるということは考えておりません。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に問題だと思う。そういうことをすで是認した御答弁なんですよ。それで、なるほど補償請求権の増大もしくは獲得を目的として、水没地区において工作物を新築し、あるいは新たに移住して来たりする例は、これは私もないことはないし、珍しくもないと思っております。ですけれども、これは庄川筋でも問題ですね。こういうことは問題になったことがあると思っておる。しかしこの御母衣ダムの発電計画の場合ぐらいに多数の外部からの移住者が入り込んで、そうしてそれに対して会社から金を交付した例は未曽有だと言われておる。この小寺さんが文部省の科学研究費によって調査したこの調査によって未曽有であると言われておるのに、いまだに今あなたが言われた答弁で実際いいのですか。
  137. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 現在までに払いました対象の戸数は世帯にしまして、百十六世帯、それから家数にして百三軒でございます。それから初めの公表当時の戸数と、それからその後にふえました、要するにこれは補償目当てのものと、それからよそから転入したもの、これは世帯数としましては、そういうものもふえておりますが、その差は大体五十余りであります。世帯数にしまして五十二で、それから戸数にしまして五十六であります。従ってかりにあとからそういった補償目当てに家を作ったというもの、これがふえたものの全部であったといたしまして、それに全部補償金を支払ったといたしましても、第一次、第二次の戸数の半分でございますから、そういうものに対しましても、全部そういった補償金を支払った、これはもう当然考えられない。これは大体初めから話を進めまして、それで十分話し合いのついたもの、特に移転してもらわなければならぬものについて一部の補償金を出すのでありまして、かりに今のような悪質のものに一部の金額を支払ったとしましても、その金額は決して大きくもなければ件数も大きくない、こういうふうに私ども聞いております。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなことでいいのですか、あなた。件数が少いとか金額が少いからとか、それも問題ですよ。しかしそんなものじゃないのです。三百三十五だと会社側は発表しているのです。しかし最初は二百六十戸しかないのです。それで金額が少い、あるいは数が少いからそういうものは返することはない、そんなことで……。電源開発に伴う水没その他の損失補償要綱があるのですから、そこでも禁じているのですね。そういうあなたのような考えであれば、これはなぜこれを禁じたか。この補償要綱なんか要らないわけですよ。それで何かあなたが、事務当局が、そんな答弁をするのはおかしいと思う。それは政治的に大臣が答弁するのはいいのです。法律を忠実に守らなければならぬのじゃないですか、あなた方は。だからさっき電源開発促進法によってこれを開発しているかと聞いたら、あなたしていないじゃないですか。金額が少い、あるいはケースが少いからそれでいいのだ、そんな答弁で実際いいのですか。しかし事実を調査すればそんな少いものではないと思うのです、この調査によりましても。非常にずざんじゃないですか。
  139. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の木村さんの発言に対する政府委員の答弁、非常に私も不満足だと思いますが、全国各地で同じような例が多々私はあると思う。だから、埋没した、もしくは埋没すべき家屋に対する電源開発関係の補償費のできるだけ詳細な資料を、項目は木村さんにお書きを願って、資料として新しく提出してもらい。その上でもう一ぺん問題を取り上げて議論をするということが私いいのじゃないかと思いますが……。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃそういうふうにいたしまして、さっきの全国的なのと、それからもう一つは特に一番激しいと言われている御母衣ダムについての十五億について、詳細な内容を資料として提出していただきたい。
  141. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) ちょっとお諮りしますが、全国的の資料ですね、それはこの分科会をやっている間にそんなものできますか。
  142. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それはできぬでしょう。とてもできぬ。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは分科会やっているうちでなくてもいいのです、その全国的なものについては。しかし御母衣ダムについてはこれは……。
  144. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 御母衣の資料はできますね。
  145. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) ええ。
  146. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) それじゃ至急それを作らして下さい、御母衣のダムの。
  147. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 先ほど適法にやっていないというお話しがございました。その点だけちょっと一言申し上げておきますが、電源開発促進法による行政事務はその通り扱っております。ただ今の補償の問題でございますけれども、これはただいまのような、いろいろ悪意のものに対しましては、補償する必要がないことは、損失補償要綱というものにその裏側からうたわれております。で、その文句は別といたしまして、本来から言えば補償された水没地域に、これは会社側はいかなる意思表示をしましようとも、そこに家を作ってはいけないということは何もない、会社側としても阻止することはできないし、また官庁としても何ともしがたい。それから強制的に、できましたものを会社側が撤去することもできませんし、立ちのきさせるということもできない、こういう実情になっておりますので、事実上いろいろな措置が講じられておるというわけでございまして、それをもう少しフェアに、スムーズに行いますために、何らかこの補償に関連します立法措置が必要じゃないかということをわれわれ感じまして、その方の研究はいたしております。  それわら今の資料の問題でございますが、電源開発会社の十五億の使途の細目は後ほど提出いたします。  それから補償費の支払いの分を申されましたが、大体どういう程度のことを調べればよろしうございますか、もう少し詳細に伺いたいと思います。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の問題にしているのは、これは昭和二十七年六月、内閣告示で指定したときの現在二百六十戸世帯あったのですから、それで一番知りたいのは、その後移住その他によって支払ったものがどのくらいあるかですね。そういう点。  それから小寺さんの資料にありますけれども、何かあそこの会社に協力派と、それから反対の派に分かれていて、何か協力派の役員が、会社に過去二年間協力した努力に対して五千万円寄こせと、そういうことを言っている。それに対して会社側は金を出しておるわけですよ、そういう役員に対して。あそこは、とにかく会社が非常に金を使って、賛成派を多くさせるために金をやって、新らしく家を建てさせている。賛成者が多くなるような工作をやっているやに聞くのです。それで反対派を押える。そういうことのために必要以上に乱費をされておる。で、われわれは湖底に沈む人に対しては、これは非常に気の毒だと思いますが、そのことよりも、むしろそれを利用して、外部から入って来て、あるいはまたいわゆるボスですか、そういうものが跳梁して金を取ったり、また、この何とか大きなボスがいて、電源開発地点が指定されると、広範なそこらの地域を買う、名前は差し控えますが、そういう大きなブローカーがいる。大へんな金を使って、その資金はどこから出るかもこれは問題ですけれども、何億という金々持っている。富山にいて、そういう人が、得能という所長さんとも連絡があるやにわれわれは聞いておるのです。ですから、そういうような非常に不明朗なことが渦巻いておるのですね、ですから、これはよほど公益事業局長も現地を御調査になったかもしれませんが、もうそういうように世間でこれは見ておるわけです。すでにそういう事実が公然と論じられておるのですよ。こんなに論じられておるのに、今御答弁になっていることははなはだ心細い。私はかり質問しておりますと、他の委員に御迷惑ですから、一応ここで打ち切りますが、そういう点について御答弁を願いたい。それと最後に不当に払ったものについては返還を請求するのかどうか、この点伺っておきたいのです。あとは資料が出てきましてから他の機会に質問をいたします。
  149. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 八木委員にちょっとお断りいたしますが、全国的な資料ですね、これはこの分料会のある間にはちょっと無理ですから……。あとで局長適当なときに……。
  150. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 内容は、つまり全国的な、電源開発のためにいろいろ補償したのは各地にありますね。たとえば田畑とか家屋とか、そういう補償の金額というものは、全般を見て公平を期しているかどうか、公平であるかどうかについてのいろいろな疑点がある。そこでどういうところに何万、幾らというふうな基準があるのでしょうから、それを一覧にして、なるほどこれは公平にやっているのだということが知られるくらいならばいいと思いますが、そういうような詳細なことは、この分科会の時間に間に合わす必要はないのだから、あとでお打ち合せして次の議事の進行に入ったらどうでしょう。
  151. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 不当な補償を支払ったということがかりにありましたならば、これは民事的に請求し得る限りにおきしては、もちろん返還請求をいたします。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もし現地で非常に反対が強くて、それでもその折り合わない場合、これは何か強行、規定方針通り着工する予定であるというのですが、そのときは土地収用か何かでやるのですか。
  153. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 最後には土地収用の問題になります。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 話を聞きますと、そういうことでもっておどして、それを無理に現地の人に圧力をかけている、そこでいろんな問題が起ってくる。で、この間人権擁護局が行ったんですね、現地調査してみたら、そういう事実はなかったということが朝日新聞に報道されているのですね、そういう侵害が立証されない、そういうことがあるのです。何かこれは非常に無理に強権的にそれを強行しよう強行しようとし、そうして現地民の申し立てがあっても、この三条四項によって、熱心に他を調査しようとしない。何かアメリカの技術援助を期待する。先ほど高碕長官が言われたように、それだけに十億くらい使っちゃったから、おくれればおくれるほどそれは適当でないのだけれども、使っちゃったから、補償を払っちゃったからやらざるを得ない、またアメリカの技術援助をもらうために、それはアトキンソンとか、そういうところのアメリカの、外国開発機械が入るでしょう、そういうものと結びついて不適当なのであるけれども強行せざるを得ない、どうもこういう気がするのですよ。ですから、そういう点についてもわれわれはもっといろいろ調査してみたいと思うのですよ。公益事業局でもそういう補償料をそんなに出しちゃったから、のっぴきならないから無理にやるという態度はとるべきじゃないと思うのです。高碕長官も、それは損しても、将来の経済効果を考えたら、それは立てても、これは放棄すべきであるかいなかということを高碕長官さえ考えられているはずです。その点はあまりとらわれないで、この着工については、もっと慎重に、技術的にもまだわれわれ納得できません。これは専門家にも聞いていろいろ調査をわれわれもしてみますが慎重にやっていただきたい。何でもかんでも強行する態度は、これは私は慎んでもらいたいと思うのです。科学的にわれわれ納得できれば承服いたしますが、相当疑問がございます。いろんな点からもっと慎重を期してもらいたいと思うのですが……。
  155. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) むろん慎重にいたします。実は私どもも昨年の半ばごろまで、春ごろまでは非常に地質の問題にもいろいろ困難点がありましたし、それから現地の反対も非常に強い、補償問題もいろいろトラブルがあるということで、むしろ電源開発としては、ほかにもいろんな大きな所が控えているから、あすこはしばらく放棄したらどうかという気持だということを、実は中でも話したことがあり、その後一方におきまして技術的な調査も進みますし、それから補償問題あるいは反対の問題もわれわれに協力的に進んで参りましたものですから、大体それを総合しまして十分やれるというふうな発表をしたわけでございます。今後もさらにそういう点については十分調査をした上でやりたいと思います。
  156. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 アルコールの原料のことについて伺いたいのであります。黄変米の処理についていろいろ議論がありましたときに、工業用のアルコール原料に消化したらどうかという問題があって、昨年の秋に通産御当局で調査をしていただきましたら、カンショの方を圧迫しないで大体通産省が引き受け得る数量は、一万七千円ぐらいで二万トンぐらいは引き受けてもよろしいという調査をいただいたわけでありますが、今御承知の通り、黄変米で倉庫に入っておるのは約十五万トン今年の二月一白現在であるわけでありまして、それと国民の立場からいえば、国損も出ることながら、黄変米を配給されては困るという気持がありますので、できるだけアルコール原料として買ってもらいたいというのでありますが、やはりトン一万七千円以上には買えないかどうか、二万トン以上は今でも買えないかどうか、あるいはカンショの圧迫というが、その圧迫の程度がどういうふうになるか、その辺のことを伺っておきたいと思います。
  157. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在工業用アルコールは、主として糖蜜を原料にいたしておりまして、一部カンショを使っております。ただ黄変米につきましては、二十七年度に約四千トン食糧庁の方からお分けをいただいておりますが、二十八年度には約六千トン購入をいたしております。それで、値段の関係といたしましては、御承知のようにアルコール専売が、工業用の原料としてのアルコールを供給する立場にございますし、そういう意味合いから毎年価格の引き下げをいたしてきておるわけであります。そういう関係からいたしまして、大体糖蜜原料の場合を基準にいたしますと、先ほどお話のございましたように、一万五千ないし一万七千円という程度でございませんと、これ以上に高くなりますと、工業用の原料としてのアルコールの価格にも影響する、こういう関係もございます。数量といたしましては今申し上げましたように、四千トンないし六千トンは過去において実例もございます。先ほど御指摘のありましたように、二万トン程度のものはこれは消化し得ることは可能であると思います。ただ、今申し上げましたように、価格が大体トン当り三、四十ドルぐらいのところで……四十ドルないし五十ドル見当でお分けを願わなければならぬ関係もございますので、その辺が食糧庁としてはいろいろ問題があろうかと思います。なお昨年の十月でありましたか、決算委員会の方からのお話もございまして、食糧庁長官には、非常に世間でも議論が多いし、アルコール原料としてもしお考え願うならば、われわれとしてはそれに応じて生産計画を立てたいということをお話し申し上げたことはございます。そのときの食糧庁長官のお話では、まだ毒性自体もはっきりしておらないし、また若干の毒性があるにいたしましても、いろいろその程度に応じて用途があるので、アルコール原料として出すというのは、もう毒性のきわめて極端な最後の場合だというふうなことで、その辺がまだはっきりしていないために、まだそういう決心はついておらぬというふうなお話がありました。
  158. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 一万七千円で二万トンまでは一ぺんに引き受けられますか、あなたの方として。工業用アルコールの原料として、食糧庁さえお願いしますと言えば。
  159. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 一ぺんと申しますと一ぺんに現物を持ち込まれてもちょっと困るのでありますが、大体一年を通じましてであれば、その程度の消化は可能であります。
  160. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 アルコールの問題はこれでけっこうですから、さっきの株式会社科学研究所についてちょっと伺ってみたいのですが、株式会社科学研究所というのは、一体民間の資本はどのくらい入っていますか。
  161. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 株式会社科学研究所は、現在におきましては授権資本金といたしまして十億円ございます。このうち四億円が払い込み済みというふうに相なっております。
  162. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 いや民間です。
  163. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) これは民間でございます。
  164. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 全部民間ですか。
  165. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 全部民間です。
  166. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 配当したことがありますか。
  167. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 配当したことはないと思います。
  168. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 どうも株式会社そのままで置いておいて補助金をやるということが、私はどうも納得が行かないので、そこのところを一つ官房長からポイントだけすかっと一つ。私長いことはやりませんから。株式会社のものを国が一億円、あるいは前に三千万円、四千万円というふうに金を出して、そうして株式会社の形式のそこへ金をやるというのは、どうも納得が行かなくて、そこだけ一つ……。むしろそれだけの金があれば大学の研究室へやった方がもっとすっきりするんじゃないかという気がするのですが、そこのところがどうも納得が行かない。
  169. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その点は実はわれわれはこういうふうに考えております。科研というものを何も特別扱いしているわけでは実はございませんで、と申しますのは、先ほど申し上げましたように、特殊の性格を持った財団法人というふうに見ますれば、これはまたその見方も違うわけでありますが、要するに一つのテーマを盛られた試験研究をやっておる民間の機関。これはだから東芝である種の試験研究をやる、日立でもやるというふうなこととわれわれ同列で考えておるわけであります。従ってそのテーマに応じまして、こういうテーマはなるほど国の科学技術発展に望ましいテーマだから補助金をやると、こういうわけでありまして、特別に科研だから云々というわけではございません。それで今年一億計上いたしましたゆえんは、まあ今までもテーマでやっておりますし今後もやりまするが、ただ、今までの程度では科研の擁しております現実の研究テーマは相当優秀なものがございまするので、それをこなすのに十分でないものでございますから、今までの金額をさらにふやしてやる、こういうことでございます。なお、今後の問題といたしましては、これはいろいろ考え方があるだろうと思います。株式会社組織がいいとかあるいはもう少し国がそういうふうなテーマを中心の補助よりも、すぱっと決算補助にした方がいいんじゃないかという意見もいろいろあるだろうと思う。これはもう少しわれわれも検討したいと思います。
  170. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 民間の研究機関を奨励補助するというならば、たとえば有効な補助試験研究機関を持っておるところには税制上の優遇処置を講ずるとか、直接ならば大学へ金をやるとか、あるいは政府機関でもたくさん電気研究所とか何とかいうものがいやというほどあるんですから、民間のどうも株式会社へ一億何千万円の金というものを出すということは、私はどうも納得が行きませんけれども、今の御答弁を聞いても、これ以上時間を費して質疑応答をやつたって、とうてい結論に到達しないと思いますから、私もよく研究いたしますが政府の方でも、どうも一億何千万円、ただいままでだけの説明では、金を出すということはイエスかノーかといえば私はノーです。ノーですが、突き詰めて行くのは時間の関係もありますのでこれでやめますが、一つよく御研究になって、たとえば外国にだってGEとか、いろいろの研究機関を持っているんだから、税制上の優遇とかいろいろ奨励する方法もあると思うのですが、ただ株式会社だけにやるというところにどうも私は説明を聞いてみても納得が行かないと思いますが、これでやめます。
  171. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 関連して。今の科研の問題ですが、今、科研だから特にやるのじゃない、適切な研究をやっておる研究機関にやるというお話ですが、ほかにそういう例があったかどうかということが第一。もう一つ、国からそういう補助金をやったときに、ややもすれば国から補助金をやりっぱなしになるということに往々にしてなりがちなんですが、ちゃんと何か報告でも徴して、そしてそれをどういうふうに処理しているのか、その点を伺っておきたいと思います。
  172. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 国から研究のために助成金というようなことで、工業化等につきましてすでに相当深く研究をいたしております会社あるいは団体に出しております。それからそういった場合に、あとどういうふうな工合にしておるかということでございますが、これは一々御報告を願って、そしてその報告によりまして、その仕事が進んでおる状況というものがわかるようにいたしております。     —————————————
  173. 永岡光治

    ○永岡光治君 通産省ではありません。少し恩給の問題について若干質問をしたいのですが、女官の問題についてちょっとお尋ねしますが、このたび軍人恩給の改正があったに伴いまして、新聞紙上にこういう記事が出ておりました、趣旨のことが。それは、文官と多少調整をしなければならぬ。ということは、ある一部の公務員について、もう少し増額の意味の調整ですね、こういうものをはからなければならないということで、民主党の内部に、政調会でございましょう、その中の分科会としてそういう調整の分科会を作ると、こういう趣旨の記事が出ておったのですが、これはどういうことなんですか、そういう調整がとれていないということはどういう意味でございましようか。
  174. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) お答えいたします。  民主党の内部におきまして調査されておるということは私は存じませんが、もし今御質問のようなことがあるといたしますれば、多分昭和二十三年六月三十日以前に退職した一般公務員の恩給が、同年七月一日以後に退職した公務員の恩給に比べて額が低いのではないかという問題ではないかと考えております。
  175. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういう問題について、それはやはり調整しなければならぬという結論になるだろうと思うのですが、ただいま公務員の恩給について相当検討されているように報告を、この前予算委員会で大久保給与担当国務大臣から答弁々受けたのですが、以後どのようになっているのでしょうか。
  176. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) お答えいたします。  先般の本委員会で大久保国務大臣からお答え申し上げましたのは、公務員制度調査会におきまして、公務員制度一般の問題のうちの一つの問題といたしまして、退職年金制度、恩給制度をどういうふうに将来持って行くかということだったと思っておりますが、この問題につきましては、恩給制度のみならず、全般の制度の問題といたしまして、昨年の十二月ごろからだったと思っておりますが、今年の五月終りまで小委員会を毎週原則として一回ずつ開いておりまして、ずっと審議が進められておりました。五人の小委員の方がずっと審議されておられたわけでございますが、現在五月末日に審議の終りましたと、整理しておられる段階だと聞いております。私はその方面の責任者ではございませんので、詳細な経過につきましては存じておりませんが、概略今のような段階にきておりまして、いずれその小委員会の案がまとまりましたならば、公務員制度調査会の総会にかけられまして、来月あるいの八月中にでも公務員制度調査会としての答申案をまとめる予定になっているということを聞いております。
  177. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは予算委員会で大久保大臣が明確にいたしましたし、今も審議課長の方からも答弁がありましたように、すでに小委員会に一応の結論が出ておるわけで、ただいま印刷中だと、そういう意味の程度だったと私は思う。従って、これは全般の問題がどうということは、この際説明を求めることはあるいは無理かとも思うのでありますが、たとえば公務員の身分の問題についてどういうような大体小委員会の意見であるか。あるいはまた退職年金制度の問題についてどういう意向であるか、こういう程度のものは答弁ができるのじゃないかと思うのですが、もし審議課長がそれを答弁できないとすれば、責任者はだれですか。
  178. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) 先ほど申し上げました小委員会におきましては、一応審議基礎になる試案が出まして、それに対しまして委員及び幹事からいろいろ意見が出たわけでございまして、それをまたあとで委員の間で整理しておられると思います。従いまして私の存じております範囲では、こういうことが問題になり、こういう意見がいろいろ出たということについてはわかっておりますけれども、それ以上どういうふうな結論をどういうふうに持って行かれるということは、私は責任の関係ではございませんので、存じておりません。
  179. 永岡光治

    ○永岡光治君 それではそのわかる人を後ほど呼んでもらいますが、審議課長に一つお尋ねしたいわけであります。今答弁になりました昭和二十三年以前に退職をした公務員についての調整の問題は、どういうふうに考えておられますか。調整の必要ありと考えておられましようか。
  180. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) 今お尋ねの点につきましては、現在もそういう声はございますが、一応恩給局といたしましては、昭和二十七年にそういった関係を是正した法律が議員提案で出ておりまして、それで一応是正されたと考えておりますが、ただ、たびたび申し上げますように、そういう声もございますので、なお研究しまして、もしほんとうに恩給について是正すべき不均衡があるといたしますれば、何らかの措置をとりたいと考えております。
  181. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは審議課長で答弁できるというのはどういう程度のものが答弁できるのですか。それは質問しても……もう一つ責任者を呼んでもらいましよう。     —————————————
  182. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) それでは次の質疑の方。
  183. 小野義夫

    ○小野義夫君 技術庁の方の方にお尋ねいたしますが、あなたは衆議院のウランに関する質問に対して、日本の地上におけるウラン鉱の存在は望みがあまり多くないが、五十メートルないし百メートルの深部になれば、必ずしもそう悲観しないでも相当のものがあるであろうという答弁のようであったが、このウラン鉱の探鉱その他について、現在どういうふうな方法をやられておるか御説明願いたい。
  184. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 参議院の予算委員会におきまして御質問がありました際に、私はウラン資源探査の今までの状況を申し上げました次第でございます。その際に、表面の探査をやっておりますが、各所にいろんな徴候があるという点等、それから諸外国の例から考えまして、そういう徴候があります場合に、ほとんど全部がその深部におきましてウラン鉱を出しておるという事実、こういうを申し上げたのでございます。たとえばフランスにおきましても、最初はほとんど国内にはウラン鉱らしいものがないとされておったのでありますが、それは地上の探査だけでもってやっておったわけでございますが、しかしながらその際に二次のウラン鉱物というものを手がかりにいたしまして、そうした非常に組織的に探査をし、深部におきましてピッチブレンドその他のウランの非常に品位のいいものを見つけております。これによりまして、フランスは現在はヨーロッパにおきましては、ウランを持てる国に一転いたしたような次第であります。イタリアにおきましても、やはりそれと同じような現在、事情でございまして、イタリアは着々ウラニウムを国内でまかなって行けるだけの量を見出して行っているような次第でございます。そういうことから考えまして、これはわれわれの予想でございますからして、日本の場合、そういったことがあるいはないというようなことは、それはあるかもしれませんけれども、しかしいろいろ調べて参りますということ、国内におきましても、ウランの二次鉱床、鉱物の徴候は相当あるのでございますから、それを手がかりにいたしまして探査を進めて行く必要があると、こう私どもは考えております。探査の方法につきましては、普通の場合とやはり違いまして、どうしても放射線を手かがりにいたしました探査方法をとるわけでございますので、現在そういう種類の機械を地質調査所に整備をいたしておりまして、これによりまして探査を進めて行くような工合にやっておるのであります。しかし私どもの方の考え方といたしましては、まず最初の一、二年におきましては、これの探査の技術を確立するという点に重点を置きたいと思っておるのであります。しかし現場に参りまして、やはりその技術というものが、チェックされ、そして改良されて行く必要がござするので、昨年度におきましても現場に七カ所ほど探査の班が出かけまして、そして実施調査を進めておるような次第でございますが、しかし先ほど申しましたように、その主眼としたしましておりますところは、探査それ自体よりも、まずここのところ技術の確立を目指しておる。もちろん探査もするつもりでございます。今年度はさらにその個所をふやして参りたいと、そういうふうに思っております。
  185. 小野義夫

    ○小野義夫君 ごもっともなことで、ただいまは技術の御研究に没頭しておる、ウラン鉱それ自体の原料問題については、どっちかといえば第二次的に考えておるというお話でありまするが、われわれの同寮ないし国民の心配しておるのは、そういう将来原子炉等の大きなものの発電計画をしましても、その原料が日本にない場合には、大へん経済的にもまたいろんな意味においてそれは自立ができないのではないかというので、その原料の点についても非常に心配しておることは事実であります。そこであなたの御研究は今後三年ないし五年を要するという計画のようであります。鉱山の方は、もっと激しく考えますというと、三年、四年では経済的にそれを加工し得るということは、鉱山の方はなかなかむずかしいのです。そこで、やはりこれは並進的に、今民間に後依頼になっておる三菱並びに日産化学ですか、これらのは副製品的なやり方なんで、原鉱自体々探査するのでなくて、あるいは燐鉱石あるいはその他の鉱石に存在するところのものを加工して、そしてとろうという方式なんですが、それではいかぬので、やはり先ほどおっしゃるように、まあ鉱山の方を非常に強くやった行かなければならぬと思うのです。そこで、今石油の問題に国力を傾倒するというと言い過ぎでありますけれども、ともかく何億、何十億と、毎年そういう大金をつぎ込んでやってみても、私は日本が石油の自立自存というようなことはおぼつかないで、三%の今内堀産があるのが、四%になるか五%になるかという程度でありまして、今世界の問題である画期的な原子力問題について、将来もう少し熱意をもってその原鉱石を発見することに、これはむしろ技術院長官の範囲から逸脱して、あるいは鉱山部の担当になるかもしれませんけれども、まだウラン鉱石は、日本の鉱業法において十分これは認められておらないような状態であるのでありますから、私はやはりもう少し国が金を使う場合において、この時代の進運に即した重点的なことを考えませんと、そのセクショナリズムで、ぶち当ったものを思いつきにいろんなことをするということに国費を充当することには、私は反対しておるのでありまして、技術院長官としても、技術の振興をはかるとともに、それの原料獲得ということについて御熱意を示されることが私は必要じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  186. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) ただいまのウラン鉱探査に対して、極力この問題と取り組むようにというお話しでございました。本年度予算といたしましては、探査の分に二千百六十六万円というものを考えておるのででございますが、私たちはさらに次年度におきまして、この関係に力を入れたいと思っております。これも諸外国の例でございますけれども、諸外国におきましては、ウラニウム資源の探査に対しましては非常な力を入れておるのでありまして、先ほど申しましたフランスが持てる国になりましたのも、非常に大きな金をそこにつぎ込んだというのでそういうふうな工合になったわけであります。明らかにそういうふうになっておりますので、わが国におきましても、ただいまお話しがございましたように、のウランの資源というものは初め非常に悲観的であったわけなんでありますけれども、決して悲観的のものではないというふうにだんだん向って参っておりますので、お話のような工合に大いに努力をいたしたいと考えております。
  187. 小野義夫

    ○小野義夫君 それに関連いたしまして、この日本のいわゆる技術家の待遇と申しますか、いろいろ技術家に対する褒賞制度なりあるいはまた技術家が発明発見された場合においての対策というものが、かりに政府から月給をもらっている人がその発明発見をしても、その人がそれの特許権を獲得して、そして自分の一生がそれによって恵まれるというようなことはないのではないかと思いますし、いわんやその他これからだんだんそういう新科学と取り組んで、場合によっては命がけでやる仕事に対して、一体今あるところの特許法であるとか、あるいはその他の実用新案などというのは、古い昔のいわゆる科学者なり発明家を優遇しておるのでありまして、現代ように非常に進止したこの科学の研究に没頭していただくというのに対する政府としの考え方、処遇が、私は非常に発明に一身を打ち込んでやるのは不十分ではないかということを非常に心配するのですが、それからまた同時に申し上げれば、秘密の保持ということば、何もこれは軍機と関係なくとも、相当にやはり国としてはいろいろ国費を注入して、そうして研究していただくのでありますから、これもまたある程度これを商業的に使うにしても、相当の価値を生んでいるのじゃないと思うのでありますが、こういう二つの考え方に対してどうお考えになりますか。
  188. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 政府の研究に従事いたしております職員が、その研究成果をもって特許を取った。そういうふうになりました場合、その特許は、私どもの関係でございますと、通産大臣の所有権に帰するわけでございますが、しかしこれが実施されまして、そしてその実施料というものが国庫に入るわけでありますが、その入りましたものの中から相当額をその特許を持っております者に給付する制度を二年ほど前から確立いたしております。しかしこれは最大限を切ってございまして、一年五十万円以下というふうにになっておりまして、現にこれは毎年その前年度の実績によりまして実施をいたしておる次第であります。そういうわけで、政府の方におきましても、何とかそういうふうな研究の業務自体から出て参ります特許というものを盛んにいたすような処置をいろいろと考えておる次第でございます。  それから第二番目の、そのような研究成果をすべて公開しなくても、その状況々々を判断いたして、適当な時期までこれを待って、そうして適当な時期に公表するようにした方がいい、こういうようなお話でございますが、実際問題といたしまして、やはりそういうふうな工合に運用されておるのでございます。実際研究推進して参ります場合に、そのときどきに一々公表するというようなことは、これに実際問題といたしましてもなかなかできないことでございます。ある段落がつきました場合、そうしてそのときにそれを適当な方法で公表する、そういうことを現にやっておるのでございまして、この点は私ども実際研究をやっております立場からいいますというと、それほど心配することはないんじゃないかと考えております。
  189. 小野義夫

    ○小野義夫君 私どもが仄聞するところによると、日本の学者の中には、相当共産と申しますか、共産系のいわゆるブラック・リストというか、レッド・リストというか知らぬが、そのリストに入っておる人があって、これが社会的には自由に、たとえば自由国家の中で、あるいはイギリスとか、あるいはアメリカ等に行って研究をしようといっても拒絶せられる者があるということを伝えられておるのでありますが、そういう事実がありますかどうか。
  190. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) そういう実例は私ども聞いておりません。
  191. 秋山長造

    秋山長造君 工業技術院からわれわれの手元へもらっております資料の中に、わが国の原子力開発計画は、その第一着手として天然ウラン重水型実験用原子炉を築造することとし、昭和二十九年度及び三十年度にはその基本的調査研究、三十一年度以降順次その実際的仕事に移ることとしている、こういうことが書いてある。この天然ウラン重水型実験用原子炉が完成するのは大体何年くらい先ですか。
  192. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 天然ウラン重水型の原子炉は、大体五年というものを目途にいたしましてこれが完成を期しておる次第でございます。
  193. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、いつか予算の予備審査のときに、駒形院長が御説明になっておりました原子力開発五カ年計画というお話しがありましたが、その五カ年計画というのは、大体この実験用原子炉を完成するまでの計画、こういうように了解してよろしうございましょうか。
  194. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 原子力研究の五カ年計画というのは、天然ウラン軍水の原子炉の第一号炉、それを作るということを五カ年計画と考えておるのでありまして、原子力研究あるいは原子力の平和的利用全般にわたります研究というものを国の原子力研究とすべきかもしれませんが今工業技術院予算におきまして考えております原子力研究というのは、その天然ウラン重水原子炉を対象にいたしております関係で、そういう言葉を使っておるのであります。
  195. 秋山長造

    秋山長造君 あなたのところで考えておられる原子炉の規模はどのくらいなんですか。あるいは千キロと言い、あるいは一万キロと言い、いろいろな規模を聞くのですけれども、その規模はどのくらいを考えておられるかということと、それからそれに経費はどのくらい要るのかということを、もう少し詳しくお示し願いたい。
  196. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 最初の五カ年計画として考えておりましたものは、熱出力にいたしまして数百ないし千キロというものを考えておりまして、これが五カ年間、大体の概算といたしまして二十億円という数字になるのでございます。しかしその後海外のいろいろな事情を調査する調査団を派遣いたしまして、その結果、諸外国の事情等を勘案いたします場食もう少し詳しく大きな熱出力を持ついわゆる多目的の炉で、余裕をとった炉を一基持つ方がいいのではないかという意見も出て参っております。それでそのようにいたしまするという数千キロないし一万キロくらいの余裕を持ったものの方がいいということになるかと思うのでございます。で、この点につきましては、三十一年度以降、順次研究が工業化、並びにスケールの大きな重水やウランの製造の研究に移向して参りますまでのうちにおきまして、そこを所要材料というもので組み立てられる原子炉というものを一応私どもは考えております。そういうふうに申し上げることができるかと思います。
  197. 秋山長造

    秋山長造君 ただいまのお話で、かりに、千キロの原子炉を作られるとして、その経費は二十億円ということでありますが、ところが去年の原子力予算などは、二億三千七百万円の予算が三分の一程度しきゃ消化されないで、三分の二、一億六千八百万円も繰り越しているのですが、そういう状態で、はっきりきめればいいというふうに考えておる次第でございます、天然ウラン重水型におきまして、つまり千キロくらいのものにいたしまするというと、ウランが大体、三トンないし四トン、重水が五トンないし六トンというものが必要に相なるのでありますが、これが一万キロの炉になりまするというと、ウランが五トンないし六トン、重水が十トンないし十一トンくらいの程度必要になるようであります。しかしこの原子炉の出力も、先ほど申しましたように数百キロないし千キロとか、六、七千キロないし一万キロといったような非常にそこにある幅を持たせて申し上げて計りまするのは、もともと原子炉の出力と申しまするのは、その所要材料は大体同じでも、これを冷却する方式を変えまするというと、熱出力というものはたくさん冷やせばたくさん熱が出てくるというような性質のものでございまするからして、あまり熱出力幾ら幾らと言いましても、実は問題にならないのでございまして、むしろまあ大体のオーダーをここで表わすものである。そして材料は私が先ほど申し上げたような程度のとだろうと思うのでけすれども、こういう状態でもう三十年度もすでに一・四半期越えようとするのでありますが、まあ去年の実情から考えると、ことしの繰越金と、それから新規の二億とで三億六千八百万円組まれております。で、このことしの三億六千八百万月くらいの予算ですら、一体今後九カ月間残っておるに過ぎないのですが、その間に十分生かして消化できるのかどうかということについて、まず疑問を持つのです。それと、それから五カ年計画も、もうあとことしをのければ、あと三カ年残っている。この三カ年の間に二十億円かけて、この一千キロの原子炉というものが一体完成できるのかどうかということについても、これはしろうとなりに疑問を持つのですが、そういう点の見通しははっきりもう準備を進めておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  198. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 昨年の二億三千五百万円の予算が、非常に繰り越しをいたしましたことは、大体初年度におきましては、その仕事が計画的のことであって、それから企画的のことである。あるいはまた物品などを購入いたしますことが、比較的少かったようなことが非常に大きな原因であるわけであります。しかしながらたとえば炉の設計の関係研究のワーキング・グループにおきましても、すでに相当膨大な資料が提供されるに至りましたごとく、研究は進捗いたしておるのでございます。それからそのほかの重水ウラン等につきましても、その基礎的の研究につきまして、相当短い期間ではございましたけれども、進捗を……、非常にスモールス・クールな研究の範囲を出でませんが、短い期間ではございましたが、進捗しているものと私どもは思っておる次第でございます。で、原子力の平和的利用に関しまして、現在これが統轄機関、並びに実施機関をいかようにして作って、そして急速にこの仕事を進めて行くかという問題を検討をいたしておるのでございまして、この研究センターというものを早く私ども確立いたしますることにいたしまして、今まできわめて規小模な基礎的な実験ではございまするけれども、それをそういう面に移しまするならば、金の方は今年度の三億六千八百万円、さらに全体といたしまして、二十億からのこの金というものを有効に使うような工合に進めて参りますることはできるというふうに思っておる次第でございます。
  199. 秋山長造

    秋山長造君 千キロで二十億とおっしゃるのは、大体去年、今年あたりにやっておられるいろいろな基礎研究ですね、そういうあらゆる準備段階における経費をも含めて二十億円ということをおっしゃっているのですか。
  200. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) もちろんそれを含めてございます。
  201. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、今度の原子力協定で濃縮ウラン使用の小型原子炉を入れられるということになっておるが、これを使ってやるということになると、本来それを使わないで天然ウラン重水型を完成するのに一千キロで二十億円ぐらいかかるとおっしゃるのですから、この濃縮ウランを使った場合には、研究段階その他において相当手数が省ける、従って二十億円よりももっと安くて完成できるというようなことになるのですか。それともこれとそれとは全然別で、並行的に進めて行くという性質のものですか。その点お伺いいたしたい。
  202. 駒形作次

    政府委員(駒形作次君) 濃縮ウランによります小型の研究上の実験原子炉は、これは大体数十キロワットという程度のものでございます。これは出力も小そうございますが、これがあれば天然ウラン重水型の既定計画が非常にしっかり促進されるというふうに考えております。と申しますのは、材料のテストの面におきましては、この小型の濃縮ウランの炉を使えば非常に工合よく材料の試験もできる、それからそれを動かしまして取り扱い者の訓練もできるというようなことになりますので、濃縮ウランはそういう補助的の意味で便利であるというふうに考えます。それからそれができました場合に、既定の方のものはどれだけ金額が減るかというような問題につきましては、金額が減るという面はそれほどないのであろうというふうに考えております。     —————————————
  203. 秋山長造

    秋山長造君 午前中経審の予算説明を伺ったのですが、その中に土地調査費として一億三百四十三万四千円というのが出ておるのです。この土地調査というのはどういうことをやっておるのか、またその予算の使い方はどういうように使われておるのかということについて概略御説明をまずお願いしたい。
  204. 長又壽夫

    説明員(長又壽夫君) お答えいたします。土地調査費という予算項目がございますが、これにつきましては昭和二十六年国土調査法が公布施行せられまして以来、予算的にも措置が講ぜられているものでございます。その内容は、地積調査とそれから水調査とそれから土地分類調査、大約いたしますとそういうものに分けられておる。そのほかにその調査の基準となる調査を行なっております。たとえて申し上げますと、地積調査の基準となる調査といたしましては、基準点調査というのを実施いたしております。また土地分類及び水調査につきましてはそれぞれその調査の基本調査というものを実施しておるわけでございます。なお詳しく申し上げますと、基準点調査等は国でやっております。また土地分類及び水の基本調査につきましては、委託費としてこれも国でやる建前になっておるわけでありまして、そのほか補助金といたしまして地積調査を行なっておるわけでございます。予算の一億三百万円のうち七千万円はこの補助金に充当されるものでございます。
  205. 秋山長造

    秋山長造君 七千万円の補助金ですが、政府の原案では四千六十万円だったのが、衆議院修正によって三千万円ふやされた。で、そのふやしたという点だけ切り離して考えれば、これは補助をもらう方から見ればありがたいことだと思うのですけれども、しかしこの性質上国が三分の一持って、あとの三分の一を県が持ち、さらに三分の一を市町村が持つ、こういう形になるんだと思うのです。そこで国の補助金がふえればふえただけ、やはり地方負担もふえてくるだろうと思うのです。だから今の地方財政という面から考えると、これは補助金をふやしてもらって痛しかゆしということになると思うのです。その補助金増額に併行してふえるべき地方負担に対する財政的な裏付というものを政府の方でお考えになっておるか。
  206. 長又壽夫

    説明員(長又壽夫君) ただいま御質問通りでございまして、七千万円の補助金と申しますと三分の一補助でございますので、事業量は大約二億一千万円になるわけであります。しかしながら国土調査法の建前といたしまして、国が補助するということになっておるのであります。それ以外のことは法律上にも規定がしてないわけでございます。ただいまお尋ねの地方に対する措置は講じてあるかというお尋ねでありますが、これは大蔵省の方で補助金を組みますときに、その算定の場合に、やはり地方財政の方も形式上はある程度算定しておるのではないかというふうに考えます。しかしながら、実際問題として、地方財政が非常に窮乏しておるわけでありますから、本年度におきましては、相当地方といたしましても苦しいのではないかというふうに考えております。
  207. 秋山長造

    秋山長造君 今の地方負担分の財政的な裏どけの問題については自治庁の方のお考えを伺いたいと思うのです。それからさらに立ったついでにもう一つつけ加えて御質問いたしますが、この地積調査というのは、市町村としては非常にやりたい性質の仕事なんです。町村は競うて申請をするわけなんですけれども、ただ地方負担がかなりありますために、平衡交付金か何かでみてもらえれば格別ですけれども、なかなかそうでなければ、これは実際問題としてかなり地方負担がかかることなんで、地方はやりづらいという面がある。この国土調査ということがほんとうに国家的に考えて重要なことであり、また政府としてぜひこれを徹底してやりたいという方針が確立しておるといたしますならば、ただ地方負担は地方の自前で、もう補助金だけ三分の一出して、あとは出しつばなしで知らぬ顔ということではなしに、交付金なり、あるいは何らかの形において地方負担分の裏づけをみてやるというところまでおやりにならなければ、これはなかなか散発的にやられて、徹底してこの組織立った国土調査というようなことはとても私は望めないと思うのですね。その点について、一つ自治庁と、それから経済審議庁と両方の御意見を伺いたい。
  208. 長又壽夫

    説明員(長又壽夫君) ただいまの御質問でございますが、地積調査をもっと全国的にやる必要があるというお話であったかと思いますが、実は昭和二十四年でありましたか、閣議決定で大約五年で国土調査を終了しようという計画が閣議決定されたのであります。その後ただいま申し上げました通り、二十六年に国土調査法が公布施行されたわけであります。しかしながら、その後の実情を見ますると、予算の組み方も非常に少いのであります。またそういう強制法規でございませんので、やはり実施を希望する町村がやるという態勢になって参ったわけであります。従いまして、国の計画としては、これはやはり相当の区域をまとまってやるということが必要なのでありますが、そういう態勢になっておりますので、今のような不都合な状態も起ってくるような実情になっておるわけであります。
  209. 柴田護

    説明員(柴田護君) お答えいたします。国土調査に伴う地方負担は、昭和二十九年度は約一億九千七百万円ばかり、本年度は補正後一億四千万円程度でございます。その調査は先ほど経済審議庁の方から御説明ございましたが、私の記憶では、たしか閣議決定をいたします際に、これを強制的にやるかどうかという問題があったことを記憶いたしております。その際にはいろいろ地方財源、国庫予算等の財源的な影響がありまして、その方面の制約から、強制調査、一斉調査をやらずに、任意にやるという建前でやったと記憶しております。地方団体の立場から申し上げますと、これは固定資産税の課税と相当関連を持っております。当時はやるならいっそのこと全部やったらといったような意見が、私たちの方にもあったわけであります。いろいろな関係からやれなかったのであります。  現在の建前では奨励的と申しますと若干語弊がございますが、やはり地方団体がみずからの発意によってやるという建前になっておりますのと、それからこの実施いたしております町村が全国的ではございません。その関係から財政計画を算定いたします場合には、すべて地方負担分を財政計画の中に織り込んでおります。今回の補正に際しましても、財政計画上は補てんされた格好になっております。ただ実際にそれを実施をいたします場合に、具体的な財源措置といたしましては、税金とそれから地方交付税、いわゆる一般財源でもって地方負担分を支出するということになっております。従いまして交付税てみる範囲も限られてくるわけでございますが、普遍的な事務と考えられませんので、単位費用の中には織り込むことができないのであります。ただ実際問題といたしましては、市町村によりましてはこの調査実施することによりまして財政的に負担が相当重くなる、従って財政的には考慮を払わなければならないという事情もありますので、従来から特別交付税の算定をいたします場合には、さようなことを考慮におきまして算定をいたしているわけであります。ただ県の場合におきましては、負担部分もその財政規模から考えまして大した額にはなりませんので、主として市町村の財政状態を考慮して、これに対する特別交付税を算定いたします場合に、この負担分を考慮に入れてやっております。なお今後もそのつもりで処理するつもりであります。
  210. 秋山長造

    秋山長造君 今のお話のように、この二十四年に五カ年間でやってしまうという閣議決定ができておったというお話なんですけれども、これはまだとてもその目標にははるかに遠いのだろうと思う。で、今現状が一体何割ぐらいこの調査が終っているのかということと、それからやはりこの地方負担の財源措置ということとも関連をして、経審の方でほんとうに本腰を入れて、この調査をおやりになるというおつもりなのかどうか、そういうおつもりならば、その地方負担という問題を補助金の出しっぱなしでなしに、もう少しこの法律の改正なり何なりの方法で、徹底したことをお考えにならなければいけないのじゃないかと思う。それから自治庁の方で昨年度までは特別交付金でみているわけだそうでありますが、今後もやはり同じ方針でおやりになるのかどうか、その点、もう一度確認しておきたい。もう一度御答弁願いたい。
  211. 長又壽夫

    説明員(長又壽夫君) 進捗率いかんというお話であります。国土調査の対象区域をどの程度にいたしますか、これは具体的にまとまったものはございません。事務的に一応考えている範囲は十万平方キロでございます。日本の国土は全体で三十六万八千平方キロであります。そのうち十万平方キロを考えております。これは第一期の優先してやるべきであるというふうに考えてよろしいかと思います。十万平方キロと申しますと、どの程度の広さかと申しますと、日本の農耕地が五万平方キロでございます。従いまして五万平方キロの農耕地とその周辺の地、村落、あるいはその辺の里山等を含む地域、あるいは総合開発上必要な区域というものを考えまして、大約十万平方キロというふうに考えているわけであります。これをたとえば十年でやるというようになりますと、一万平方キロ程度になるわけでありますが、現在やっておりますのは、三十年度やるという量を入れましても約二千平方キロ程度であります。
  212. 柴田護

    説明員(柴田護君) 特別交付税も歩付税でございますので一般財源でございます。従いまして、この調査に伴う費用の裏づけをすぐ特別交付税でやる、いわゆる補助金の裏づけといったような運用は実はいたしかねるのでありますが、ただ、従来からやっておりますのは、こういう事業のために町村財政を非常に圧迫する、町村財政の負担から見てたえがたいといったような町村につきましては、そういうものの地方負担分というものを頭に入れて、一般財源としての地方交付税を配っておるのであります。その金額は幾らになるかという問題は、特別交付税の総額、特別交付税の交付要因とも関連するものでありますが、従来からやっております交付要因の中にこのことを頭に置いておくという態度はむろん続けていくつもりであります。
  213. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  214. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 速記を始めて。
  215. 秋山長造

    秋山長造君 もうこれだけで終りますが、今の法律改正の御意思があるかないかということについて御答弁がなかったのですが、その点。
  216. 長又壽夫

    説明員(長又壽夫君) ただいまの補助金交付の規定を改正いたしまして、そうして地方財政上の経費を計上される建前にするように法律改正をする意図があるのかないのかという御質問でございます。そういう考えは私といたしましては持っております。事務局案としてはまだ固まっておりません。非常に経費がかさむものでありますから、大蔵省あるいは自治庁と相談の上そういう方向へ向っていきたいというふうに考えております。
  217. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 秋山君、防衛庁が来ておりますが。
  218. 秋山長造

    秋山長造君 防衛庁の方は資料をいただいておりますので、この資料の説明を一応聞かしていただきたいと思います。説明を聞いた上で疑問があれば御質問をしますし、なければいたしません。
  219. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 差し上げてある資料が二つあると思いまするが、部隊編成の方は防衛局長の方から申し上げます。  最初に書いてあります燃料、石炭、被服、食糧のストックの方は装備局長の方から御説明いたします。  ばらばらで恐縮でありますが、私は一枚目の後半の、「自衛隊に於ける米麦の購入価格」、これについて御説明申し上げます。これは、八木委員の御要求であります。一キログラム七十三円十三銭というのは東京都でわれわれ購入いたしておりますが、これは農林省の告示八百七十六号、二十九年十二月二十九日付の告示によりまして購入しているわけでありますが、各地別に若干ズレがあると思いますが、備考に書いてありますように、ややこしゅうございますけれども、小売マージンが除かれております。ちょっと備考の書き方が不正確でありますが、「農林省から直接購入」と書いてありますのは、直接食糧事務所から買うのではございませんで、食糧事務所から指定をされましたものにつきまして、卸マージンで買うのでありまして、小売マージンだけ安い、その差額が三円三十銭ほど、こういうことになっております。
  220. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) ただいまの表の上欄で、燃料等のストックの状況を数字をあげておりますが、第一に燃料、石油の関係は、内容はいろいろございます。たとえば、自動車用ガソリン、あるいは航空用ガソリン、あるいは船に使います重油等がございますが、これは年度末でございますが、合計七万一千キロリッター持っております。そのうち、五万九千キロリッターが備蓄用、操作用といたしまして一万二千キロ、各部隊等にガソリン等を持っておるわけであります。石炭は、これは主として暖房その他でありまして、年間に約十万トンぐらい使うのですが、格別特別の備蓄というものは持っておりません。三月末現在といたしましては、北海道を主としまして、各部隊に実際に使うものが現実にこれだけあります、と、こういうことであります。それから被服でありますが、これは特に大物の冬服を御参考にあげたわけですが、陸上自衛隊で七万五千百四十点、海上自衛隊が六千九百三十八点、航空自衛隊が二千九百二十八点、合計八万五千六点、これは新古を合せております。古が約二万点足らずあります。あとは全部新品であります。このほか、米軍より譲渡を受けたものが若干ございます。年度末で若干でありまして、率直に申し上げますと、この五月末までに米軍から引き受け予定しておりました譲渡品を全部申し上げますと、新旧合わせまして、既製品で約三十五万着、生地にいたしまして約九十八万ヤード、五月末現在まで現実に受領いたしております。それから食糧でございますが、食糧は通常消費いたします米、麦、蔬菜等は、これはもちろんそのつど地方で食糧事務所の割り当てによりまして出るわけであります。これにはもちろん備蓄と申すものはございません。ただ非常用食糧ということで乾パン、あるいはカン詰等、これは陸上自衛隊で二十日分、海上自衛隊で二十日分、航空自衛隊で七日分というものを現実に年度末に手持ちいたしております。以上であります。
  221. 林一夫

    政府委員(林一夫君) お手元に配布してあります「北部方面隊編成」と「西部方面隊編成」、もう一つ「管区隊編成」この三つ配付いたしてございます。これについて御説明申し上げたいと存じます。  ここにあります通り、北部方面隊は、方面総監部が約四万七千四百、そのほか管区隊が二つ、これは御承知のように、第二管区隊と第五管区隊でございます。それと混成団があります。これは第七混成団、本年度予算でこれを一つ作らしていただきます特科団、特車群、施設群、その他方面通信大隊、輸送大隊、その他の直轄部隊というようなものになっております。さらにそのまん中の内訳として、特科団が載っております。その前に管区隊の編成は一番終りの表にございますからこれは省きまして、混成団の表が一枚抜けておるかと思いますが、これはあとで説明することにいたしまして、特科団はここにあります通り特科群が二つ、高射特科群が一つ、その他航空隊とか観測中隊とかいうようなその他の部隊がついております。そのうち特科群がさらに特科大隊これは二つありまして、三大隊の特科群と、四大隊の特科群が一つずつ、高射特科群はここにありますように、特科大隊三つと、高射運用隊、特車群は特車大隊三つ、施設群は施設大隊三つというような編成になっております。  次に西部方面隊の編成でございますが、これは先ほども申しましたように、約二万五千八百名ということになっております。これはまた混成団の編成定員がはっきりきまっておりませんので約という言葉を使っておるわけであります。管区隊、これは従来博多にありました第四管区隊、それと今度三十年度予算において新設いたしますところの混成団、第八混成団これが一つ、それからあと特科群、施設群、方面通信大隊その他の直轄部隊、特科群はさらに特科大隊四つ、その他の部隊であります。施設群も施設大隊二つ、その他の部隊、こういうような編成になっております。  第三表は管区隊の編成でございまして、管区隊の編成定員は一万二千七百名ということになっております。管区総監部のほかに偵察中隊、通信隊、武器隊、補給隊、航空隊、そのほかに普通科連隊三つ、特科連隊が一つ、特車大隊が一つ、施設大隊が一つ、衛生大隊が一つ、その他小さな部隊がついております。  以上でございますが、このうち総合部隊と申しましょうか、いろいろの種類の部隊がついておる総合部隊は、御承知のように万両隊、管区隊、混成団というようなものでございまして、この特科団とか特科群あるいは施設群、特車群と申しますのは、これはこのような特科群は昔の砲兵でありますが、特車群と申しますのは昔のタンク、戦車、施設群というのは昔の工兵でございます。このような特殊部隊は団とか群とかいうような編成にいたしまして、機動性を与えるという建前になっております。  簡単でございますが、以上御報告申し上げます。
  222. 秋山長造

    秋山長造君 これは何ですか、北部方面隊四万七千四百という数の中にもちろんこれは管区隊の一万二千七百というのは含まれておるわけですか。
  223. 林一夫

    政府委員(林一夫君) さようでございます。
  224. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 建設大臣お忙しいところをおいでいただきましたのは、実は前に筑豊炭田地帯の鉱害と遠賀川及び同支流の水害に関する質問を女書として内閣に出したのでございます。それに対して六月二十四日付で鳩山内閣総理大臣から文書による回答がございました。実は二回この質問書を出したのですが、一回目の答弁は非常に割り切れなかった。私はわざわざ現地を調査しに参りまして、そうして第一回目の答弁を検討しましたがどうしても割り切れない。第二回目の質問書を出しましたが、今度の答弁書を拝見しまして、建設省として非常に技術的に良心的に、まじめにといっては失礼かもしれませんが、非常にわれわれ自分でしろうとながら現地を調査してみただけに、これは一応納得、満足すべき答弁になっていると思うのです、百パーセントではありませんが。そこでせっかく非常に苦心されて現地も建設省としては調査された結果非常に努力を払って良心的に御答弁下さいましたことについてはまだ抽象的でわからん点もありますので一応三点につきまして御質問したいのであります。  それは第一点は、この答弁書の第六のところなんですが、そこでこの「一昨年破堤当時の洪水位が昭和十年および同十六年のものよりも低かったことは事実であるが、地盤沈下の影響による堤防と水位との相対的関係においては、過去の出水に劣らない出水であったといえる。」こういう御答弁があるわけです。これは大体想像つくのでありますけれども、今まで通産省の方の御答弁を聞きますと、何かもう遠賀川の破堤についてはもう不可抗力であったと、そういうので、だれが、しろうとが見ても、われわれが現地調査に行っても何か不可抗力だというのではあまりに非科学的な御答弁だと思いまして、今度の答弁は相当調査された御答弁と思いますのでその点についてもう少し何か資料でもありましたら、もう少し具体的に御答弁願いたいと思います。
  225. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 木村委員の御質問に対しましては、これが炭鉱地帯の中心の問題であり、私たち治水の責任を持つ者といたしましては従来からも最も関心を持っておったもので、実は私も昨日現地を見まして、この間またこの答弁書を出す前に技官を現恥にやりまして地建の調査にあわせて建設省としての最後の責任ある技術的な御答弁をいたさせるために、技官にも調べさせまして提出をいたしたようなわけで、技術的には最も良心的にいたしたつもりであります。そこで今御指摘の問題は、これはあとからなお河川局長から具体的に申し上げる方がいいと思いますが、一応そのしろうと並みのことを私の感じで申し上げますと、端的に申すと、要するにこの間の水は堤防を越さないのに堤防が切れちゃったということはおかしいじゃないかということでありまして、まさにこれはそれだけからみると非常におかしいのでありますが、これはそこに直接の炭鉱の原因があったかどうか御疑問も持たれたと思いますけれども、いろいろ調査してみますと、堤防も、河底も全体が下っちゃったものだから、そこで、なるほど水位だけを見ますとそんなに出たようには見えませんけれども、堤防と河底まで下ったのを全部基礎にしてはかりますと、むしろ前の水よりも高かったという数字的な比較が出るわけであります。そこで水の方は多いんですから、堤防に対する水圧が高くなって堤防が切れた、こういうことを申してあるわけでありますが、御必要とあれば、堤防と水位との関係を数字的に申し上げれば御理解がいただけるかと思います。
  226. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 前回の御質問から第二回の御質問までにおいて、われわれのところにおきましてはできるだけの調査をいたしましたし、なお今後も続いてこの調査はやるつもりでおります。今のお話の相対的な関係という意味は、ただいま大臣からも申し上げましたように、当時の水位は従来の最高水位十年なり、十六年なり、十六年の方が多かったと思いますが、それよりも約四十センチ低かったというのがこの前の水位でございます。しかし地盤の方は、堤防を含んだ全体の関係が一メートル以上、約一メートル三十センチくらいな沈下が起きておったのでございます。従いまして相対的な関係から言うと、その地盤の下りの方が水位の下りよりずっと大きかったために、堤防の直接に受ける水圧というものは従来よりも大きい。こういう意味で申し上げております。
  227. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 われわれしろうとにも非常にわかるような御説明で、かなり満足すべき御答弁であったと思うのです。建設大臣もわざわざ現地を調査され、また技官もわざわざ行かれて、それでこれだけの答弁をされるのに、それだけの努力が払われたことに対して非常な敬意を表したいと思います。これは、私が質問書を出した趣旨は、それはしろうとが行ってみましても、漏水個所相当あるのでありますし、今後もしああいうようなことがあったら大へんであり、重大な問題であると思いまして、特にくどく二度も質問書を出したようなわけです。それで大体今破堤の原因についてはもう単なる不可抗力、そういう抽象的な簡単なものではないということは大体これでわかりましたし、従ってそれに対する対策いとうことが重要なのであって、不可抗力であるという、前にこれは、私は通産省の方の方がそういう御答弁をなさったについては非常に不満であったのです。  そこで、次に今後の対策の問題について伺いたいのです。それは答弁書の第二、第三におきまして、やはり対策についても御答弁なすっているわけです。しかし鉱害の防止とか、水害防止のためには、根本的には重要区域の地下採掘はこれを禁止するか、あるいは全部充愼をしなければ目的達成できないのではないかと、しろうと考えをすれば私はこう考えるわけなんです。と申しますのは、特に鉱害復旧工事において建設省がせっかく予算をかりにとっても、建設省の責任ではなく、石炭を掘ったら地盤が沈下する、そうしますとそれに対する復旧その他も、建設省の河川その他の予算がどんどん食われてしまう。そうなると、その予算関係から完全な建設工事というのはできないのじゃないか。そうすると単に一建設省の利害の問題じゃない。われわれが心配するのは……。そこで完全な建設工事ができない、鉱害復旧工事が非常に不完全になってしまう、そういう点から、この点は非常に問題じゃないかと思いますので、今後の鉱害防止、あるいは水害の防止のための対策について御意見を伺っておきたいわけです。
  228. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは、木村委員はすべてをお調べになっての上の御質問でありますから、私も法律的なことや、官庁的なことは申し上げませんから、言葉の上においての行き過ぎや、間違いと言いますか、その度合は一つお許しいただきたい。私は現地へ行きまして、木村委員とともに一番心配いたしますことは、根本において一体この治水をどうするかということ、率直に申すと、最近も堤防に穴があいたことは事実であります。それで技官も行きまして、危険に感ずるといえば、堤防全体が実は危険なんだということで、今電気探索機を使って、私は調べろと言っております。これはもう全体について調べなければ、部分的な応急処置などでは安心はできない。そういう点は幾ら官庁の権限や、法律の理屈を言ってみたところで、治水はできない。最終の責任は建設省でありますから、私はそういう責任は一切自分の責任と考えてやらなければならぬと思います。ただ法律の建前は、鉱害によるものは、鉱害復旧を通産省の責任において今いたしておりますから、その関係を全部抜きにして、抽象的には申し上げかねます。従って鉱害の直接の問題は、鉱害復旧を通産省にいろいろやってもらう、その一部として土木の仕事は建設省がある程度引き受けて、その範囲で鉱害復旧をいたしているということでありますが、私は今日までいろいろ、木村委員の御心配の点は、そういう役所のセクショナリズムや、予算関係等で、理屈を言い合ってみたって、率直に申すとしようがないのでありますから、現実の鉱害をとめるためには、お話の通り炭鉱をやめさえすればいい、やめて穴さえ埋めれば一番いいのですが、それでは一体国家的に見ても、炭鉱が要らないのかということになると、またその地方の住民はそれがすべての産業の中心であるということを考えると、これをただやめさせるというわけに行かない。そこで鉱害を復旧することに万全の努力はいたしますが、同時にやはり建設省といたしましては、治水の立場からできるだけこれに力を集中して、危険のないようにいたすと、両方が協力をしてこの事態に対処するということ以外には、私はなかろうかと考えましたので、今日の私の立場は、いろいろ法律の権限や、あるいはそれに基く負担の関係等理屈を申せばいろいろありましょうけれども、今の炭鉱の不況を目の前にして、これに法律上当然なりと称して、お前がやるべきだと言っても、これはできません。そうかといって、建設省じゃ穴の下の方まで全部負担をしてやって行おということになれば、幾ら金があっても足りないというところでありますから、それらは一つ現地につきまして、実際に良識的に、通産省でやるべきことには最善の努力をしてもらうが、また建設省は遺漏ないように、万全の処置を一つ講じて参りたいということで努力をいたして参りたい。過去におきまして、御指摘を受けました点で、いろいろなお御不満の点等は率直に申して、さようなところから出発をいたしておったことと思いまして、しかしいずれも別に責任を回避するというつもりはなかったと思いますが、今後はよく気をつけまして、両省がほんとうに協力をして、御心配の今後の水害に、遺憾のないように万全の処置を講じたいと考えております。
  229. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 よくわかりましたが、この点に関してまあ第三にお尋ねしたいことは、これは通産省石炭局、それから建設省も緊密にこの災害を防止するという観点で協力しなければならないと私は思う。今建設大臣も率直に言われた。ところが答弁書を私拝見しまして、その中でこういう答弁があるわけです。「遠賀川全域についての各社のカッペ採炭その他についての資料は別添資料のとおりであるが」これは資料をいただいておりますが、「採掘区域については多数企業の経営上の秘密に属するものであるから提出致しかねる。」こうなっておるわけです。これはどういうことなのですか。もし建設省がその災害防止、あるいは鉱害防止の観点からそういう採掘区域のそういう図面が禁止区域であるからといってこれは手に入らない、あるいはまた調べることができない、こういうことになったらこれは万全の措置は講じようもないと思うのですね。どういう区域、危険区域を掘っているのか、掘っていないのか、そういうことをはっきり調べなければこれは私は対策にならないと思うのですね。それでわれわれはたとえば個々の固有名詞を持った会社の、何々会社の地域はこうだということはこれは差しつかえるかもしれませんよ。しかし、そういう名前を秘して、たとえばAならA、BならB、こういう形ならこれは提出されても差しつかえないのじゃないかと思いますし、また建設省としてはそういう点どうなっているのですか。やはり個々の会社のそういうところへ行って実際に調査できるのか、あるいはそういうところを拒否されるのか、そういう点について一つ伺っておきたいのです。
  230. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことでありまして、まあ端的に申しますと、ここの部分は建設省の担当の部分と言いますよりも、もっぱら通産省の担当の回答になっておりましたから、私も深くそこまで立ち入って考えはいたしませんでしたが、まあこれは通産省としては一々のものを申し上げかねたということを現わしておると思いますが、よく現地の実際につきましては、今私が申し上げましたように、具体的にはそれぞれの事務当局がよく連絡をいたして遺憾のないようにいたしたいと、私の方といたしては考えております。
  231. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 建設大臣にはあと一つお伺いしたいのです。それは私この河川についてはしろうとだったのですが、現地を見まして、それからあそこの伊藤建設局長にずうっと案内してもらいまして、初めて河川についていろいろ教えられるところがあったのですが、それで予算を私見まして、この維持管理費というものが全体として非常に少い。それでそういう災害が起ったときにずいぶんたくさんの金を使うわけですね。ところが私は現地を一々、ついて説明してもらいましたが、ふだんの維持管理費を十分かけないために、十分かけておけばふだんの用意によって思わざる災害も防止できると私は思う。それでこれは何も河川ばかりじゃないのですが、常にふだんの調査、維持というものは怠りがちなんですが、特に建設予算ついてはそれが非常に顕著ではないか。そういうことがこの災害の直接の原因ではないでしょうけれども、長い目で見るとそれが相当基本的な原因になっているのではないか。そういう点についてやはり相当着目しなければならないのではないかということを痛感しておるのです。それは今までの前例のないようなたくさんの雨が降ったとか、いろいろな、また住民がふえて、そうして洪水の原因を作るようになったような、いろいろ原因があるようでありますが、建設省としての河川に対するいろいろな対策として特にこの点について気がつきましたからこの際お伺いいたします。
  232. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ただいまの点は筑豊における問題だけでなくて、全体的に御指摘のような点は率直に申して金が足りないために十分に行っておらんということは認める次第でありまして、われわれもこの点についてはできるだけ今後も努力をいたしたいと考えております。
  233. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは次に石炭局長にお伺いいたしますが、長い間暑い中をお待ちいただきましたが、建設省から答弁がありましたが、すでに災害防止、水害防止のための対策ですね、この対策について一応この答弁書にもありますが、実際に具体的にどういう対策を講ぜられるつもりであるか、詳細に……。
  234. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) この答弁書にもお答えしておきましたように、鉱害につきましては現実に鉱害が発生いたしました場合には、その発生の当時の鉱業権者が賠償の責任を負わなければならないということは非常に明瞭でございまして、それは通常鉱業権者が独自の自分の責任において賠償するわけでございますので、そういう地帯における鉱害賠償は社会的にも非常に重大な影響を持っているということにかんがみまして、御存じの通り臨時鉱害復旧法あるいは特別鉱害復旧法という法律によりまして政府が補助をいたしまして、特に単なる損害の賠償ではなしに原状回復の措置をとることになっているわけでございます。この点は公共施設についても、あるいは一般の民間の施設についても全然変らないわけでございまして、特に公共施設につきましては高額の補助をいたしまして十分な原状回復をするようにやってございます。従来はその予算額が非常に少なかったたためにだいぶんおくれて参ったのでありますが、昨年度から失業対策関係もございまして予算が急速に増加されまして従来の二倍程度事業量を、現在のわれわれの事業能力としてはほとんどフルに近い程度予算をいただくことになりましたので、今後はこういう復旧の方は急速に進むことと思っております。ただここにお答えしましたように、特別鉱害につきましては区域も全部認定済でございまして、計画がはっきり具体にきまっております。あとは事務的な、あるいは技術的な準備が整い次第進行し得るのでありますが、一般鉱害の方につきましては加害者と被害者とが十分同意して初めて計画にのるわけでございます。現在のところ予算の方は今申しましたようにかなり十分でございますので、もっぱらこの同意の促進をはかってできるだけ早期に着手するという措置を今後なお一そうやりたい。従来はそういう希望がありましても予算がなくておくれておったという点は確かにございましたけれども、現在程度予算であれば、そうでなしに、むしろ同意の促進、事務的な処理を促進して早く予算の消化ができるようにやりたいというふうに一応なって参りましたので、今後はその努力をいたしますれば相当進むものと思っております。  それからもう一つは、沈下を起さないような措置をどの程度とれるかという問題でございます。この点につきましては、実は鉱害につきまして、これだけ掘ったならばこの程度沈下するという問題につきましての理論的な法則はもとより、経験的な、まあ何と申しますか、平均値というふうなものも実はまだ出ておらないわけでございます。そういうやり方で今までやってきましたのが非常におかしいじゃないかというふうにお考えになるかもしれませんが、従来はその起した損害を金銭賠償するというふうな考え方でございましたので、要するにある程度の金をもらって納得するというような形で処理されて参ったので、まあそういうことであったような事情もあると思いますが、また同時に採掘の進み方もそれほど早くはなかったので、まあそういう点非常におくれておった。それからまあ事業者の事業のあり方もそこまで計画的と申しますか、そういうことをやるほど進んでおらなかったといういろいろな事情もあると思いますが、これではいけないということで、昨年度から特に予算をもらいまして、どの程度採掘した場合にはどの程度沈下するかということを、モデル・マインを指定しまして非常な精密測量をやるということを今やっております。これは相当年限をかけませんと、そのデータが信頼し得るほどのデータが出ませんので、今直ちにそれをもってどうだというほどのことを申し上げることになっていないのは非常に残念でありますが、ここ数年間引き続いてその調査をいたしまして、ある程度の一つ基準というふうなものを出したいというふうに考えておるわけでございまして、現在はそういう一般的な基準がございませんので、まず従来の経験に徴してどの程度までの鉱害は起り得るかということを予測して、それに大体見合う程度の範囲内で経済的採算の許す範囲で防止工事なり採掘方法の制限なりを行うと、こういうやり方でやってきたわけでございます。ただお話のように、これは地上物件が特に重要な場合には、その特に重要な物件に直接影響を及ぼすような所については、特に厳重な監督をするということはこれは当然考えられることでございまして、そういうふうなことをやったものも、もちろん特にそういうふうなものについてはございますので、この堤防問題というものは非常に重要な問題でございますから、その点については今後従来よりも一そう一つ気をつけて監督を強化して参りたいというとかうに考えておるわけであります。  それからここにお答えいたしましたように、採掘のためどのくらい沈下するかわからない、御質問には充填をもっと強化すれば沈下を防止し得るのではないかという御質問でございますが、それに対してこういうお答えをしてあるわけでございますが、これは実は今申しましたように、沈下につきましてどういうふうな、何と申しますか、力が働いてどの程度沈下するかということについてはっきり固まった事実がございませんので、こういうふうなお答えをすることになったわけでございますが、また実際問題といたしましても、これは採掘をしたあとを完全に充填いたしましても、これは地下何百メーターという所では上から非常に強い圧力がかかった状態で炭があるわけでございます。その炭をとりましてあとを充填いたしますと、いかなる充填方法を講じましても、その上からかかった圧力に相当するだけのものをそこへ押し込むことはできない。また採掘途中である程度天盤が下ってくる。それがまた石炭の採掘のためには、ある程度天盤を下げるということがまた必要な採掘の便宜をはかるというような関係もございますので、どうしても完全充填をいたしましてもある程度下る。それから完全充填をするということが非常に費用がかかりまして経済的に採算が合わない場合もある。こういうようなことで、結局前に話しましたこととおわせまして、地上物件が非常に重要な問題で、特にその場合にその沈下の影響が特に強いと考えられるような場合には、特別にその地区だけについて採掘を制限するというようなやり方でやっていく。同時にその採掘は河川の施設にどの程度影響を及ぼすかということを建設省と絶えず連絡をして、その影響を観察しながら採掘をやっていくというふうに、事前の連絡の強化と、それから採掘方法の監督と、さらに具体的なものについてもっと神経を使ってこまかく規制していくというようなやり方でやっていきたいというふうに考えております。
  235. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後にこれで……簡単ですから。採掘区域について会社名を抜いて地形図を出していただけませんか。
  236. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは先ほど建設大臣に御質問がございましたのでございますが、これは外部に全然発表しない性格のものでございます。しかしもちろん河川当局がその工事上必要だということでございますれば、これは決して隠したりするものではございませんが、ただそれは工事の担当者なり設計者なりが必要があるときにその人に見てもらう、そういう性格で見てもらうということでございまして、ちょっと公表をするというようなことでは工合が悪いというふうに考えておるわけでございます。ただ特に問題の個所につきましてある程度の梯尺と申しますか、縮尺によって問題がないというふうなものでございますれば、また別に出すことができると考えております。
  237. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) ほかに御発言がございませんか。
  238. 秋山長造

    秋山長造君 恩給関係の人見えておりますか。……ちょっとごく簡単に聞きますがね、文官恩給について、昭和二十三年から前の者のペースは大体八千円ベースくらいですね、どうですか。
  239. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) 昭和二十三年六月三十日以前退職の者の恩給の基礎俸給が八千円ベースになっておるのではないかというお尋ねでございますが、そういうことはございません。やはり現在の一万二千円ベースになっております。
  240. 秋山長造

    秋山長造君 それは確実ですか。
  241. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) 確実でございます。
  242. 秋山長造

    秋山長造君 その二十三年以前に退職した者の恩給のペースが非常に低くて、そうしてその以前の人のところだけがグラフで陥没しているという話を聞くんですが、これはもしそれが誤まりならば、いつまでそういう状態が続いておったのか、いつからそれが是正されたのか、その点をお伺いしたい。
  243. 畠山一郎

    説明員(畠山一郎君) そういう状態が続いておりましたのは昭和二十七年の末まででございます。昭和二十七年の議員提案の法律でございますが、法律第二百四十四号によりまして、二十八年の一月分から是正されております。ただし、この時代はまだ一万円ペースでございましたが、その後二十八年の十月分から一万二千円ベースにまた上っております。
  244. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) ほかに御発言ございませんか。御発言もないようでございまするから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) それではこれにて質疑は終了、本分科会の審査を終了いたします。なお委員会に対する報告につきましては、主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 石原幹市郎

    主査石原幹市郎君) 御異議ないと認めます。  これをもって本分科会を散会いたします。    午後五時三十三分散会