運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-28 第22回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)    午後三時二十三分開会   ————————————— 六月二十八日予算委員長において左の 通り分科担当委員指名した。            雨森 常夫君            植竹 春彦君            堀  末治君            吉田 萬次君            梶原 茂嘉君            田村 文吉君            高田なほ子君            湯山  勇君            田中  一君            松澤 兼人君            武藤 常介君   —————————————  出席者は左の通り。    主査      松澤 兼人君    副主査     田中  一君    委員            雨森 常夫君            堀  末治君            吉田 萬次君            田村 文吉君            高田なほ子君            湯山  勇君            武藤 常介君   国務大臣    法 務 大 臣 花村 四郎君    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    法務大臣官房経    理部長     竹内 壽平君    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部大臣官房会    計課長     北岡 健二君    部省初等中等教    育局長     緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君    文部省調査局長 内藤譽三郎君    文化財保護委員    会事務局長   森田  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    法務省経理部営    繕課長     福山 忠義君    法務省入国管理    局登録課長   豊島  中君    大蔵省主計局主    計官      鳩山威一郎君    文部省管理局助    成課長     安島  彌君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————   〔年長者堀末治君仮主査となる〕
  2. 堀末治

    ○仮主査堀末治君) ただいまから予算委員会第四分科を開会いたします。  本院規則第七十五条第三項の規定により、年長のゆえをもちまして私が選挙管理者となり、主査及び副主査互選を行います。  つきましては主査及び副主査互選は、成規の手続を省略して選挙管理者にその指名を御一任していただいて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀末治

    ○仮主査堀末治君) 御異議ないと認めます。それでは私から主査松澤兼人君、副主査田中一君を指名いたします。   —————————————   〔松澤兼人主査席に着く〕
  4. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ただいま御指名によりまして、私が第四分科会主査に選任されました。まことに至らない者でございますが、何とぞ御協力下さいますようにお願いいたします。  それではただ今から付託されました議題審査に入ります。  当第四分科会付託議題は、昭和三十年度予算法務省文部省、厚生省及び労働省所管についてであります。なおそれらにつきましての審査は本明日中に終了の上、本委員会に報告することになっておりますので、念のためお含み置き願いたいと存じます。  本日は法務省及び文部省所管について議題といたしたいと存じます。  まず法務省所管について当局説明を求めます。
  5. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 昭和三十年度法務省所管予定経費要求額につきまして、その大要を御説明申し上げます。昭和三十年度予算経費要求額は、当初二百二億三千三百九十九万三千円、衆議院における改訂増額三百万円、計二百二億三千六百九十九万三千円でございまして、これを前年度予算額百九十七億八百五十七万円に比較いたしますと五億二千八百四十二万三千円を増加いたしました。もちろん、この約五億二千八百万円の増加と申しまするのは、経費の種類によって増加したものもあり、また減少したものもございますので、それらを差引計算した結果でございまして、増減の詳細なる状況は、別途の資料により御承知願いたいのでございますが、今おもな二、三の点を簡単に申し上げますと、まず、増加したもののおもなるものといたしまして、第一に、昇給昇格等に要する職員俸給等自然増加額として三億一千九百八十万四千円、第二に、施設費関係増加額として一億五千九百四十八万三千円、第三に、刑務所少年院における収容者菜代引き上げ等に伴う食糧費増加額として一億一千八百三十万八千円、第四に、衆議院議員、総選挙及び地方選挙取締り諸費及び供託金利子予算大蔵省よりの移管に伴う増加額として一億一千七百十二万二千円等でございます。これに対しまして減少しました状況を申し上げますと、減少の総額は九千六百四十九万六千円でございまして、減少となりましたおもな原因は旅費物件費等経常経費節約と昨年九月一斉に施行されました外国人登録法に基く在日外国人登録証明書の切りかえに要した前年度限りの経費減少によるものでございます。  次に、昭和三十年度において新たに増額した経費の内容と重要事項について御説明申し上げますと、第一に、外国人登録法第十四条の規定に基く外国人指紋採集事務は、在日朝鮮人の動向及び財政事情等考慮により、その実施が見送られてきましたが、今回、外国人登録法指紋に関する政令外国人登録法第十四条及び第十八条第一項第八号の規定施行期日を定める政令により、昭和三十年四月二十七日からこれを実施することと相なりまして、それに要する経費として一千六百七十三万一千円を新たに計上いたしました。  第二に、昭和三十年三月に行われました衆議院議員選挙、並びに四月に実施されました地方公共団体の長及び議会議員選挙の公正を期するため、厳正、適切な検察を行う必要がございますので、これに要する経費として六千百十二万二千円を新たに計上いたしました。  第三に、予算決算及び会計令支出官事務規定保管金取扱規程保管金払込事務等取扱規程及び日本銀行国庫金取扱規程等の一部を改正し、かつ供託金の繰替使用に関する事務取扱規程を制定して、供託金供託金利息との支払い事務を一元化し現行制度簡素化合理化をはかる必要がありますので、これに要する経費として五千六百万円を新たに計上いたしました。なお、この経費は従来大蔵省所管に計上されておりましたものを本年より当省所管に計上いたしたものでございます。  以上、新たに計上いたしました経費の概要でございます。  次に、軍用事項について概略申し上げますと、第一に、法務局地方法務局等におきまして、法令に基く登記、台帳、供託戸籍等事務を処理するために必要な経費として二億五千三百六十一万四千円を前年度に引き続き計上いたしました。  第二に、検察庁におきまして処理する一般刑事事件その他各種犯罪事件の直接捜査活動に要する経費は四億三千百九十三万五千円を前年度に引き続き計上いたしました。  第三に、拘置所刑務所少年刑務所少年院及び少年鑑別所昭和三十年度収容予定人員九万九千五百人に対する衣食医療及び就労等に要する経費として三十七億二千六百三万円を前年度に引き続き計上いたしました。  第四に、犯罪者予防更生法更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基き、刑余者並び執行猶予者を補導監督し、これを更生させるための補導援護に要する経費として二億二千七百六十七万一千円を前年度に引き続き計上いたしました。  第五に、出入国管理令に基く不法入国者等調査並びに審査事務を処理し、被退去強制者に対しては護送、収容、送還する必要がございますので、これに要する衣食医療及び送還のための用船料等に必要な経費として一億二千八百四十七万三千円を前年度に引き続き計上いたしました。  第六に、公安調査庁におきまして処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として二億七千四百六十四万一千円々前年度に引き続き計上  いたしました。  第七に、検察庁庁舎その他、及び刑務所少年院等収容施設の新営、整備等に要する経費として四億四千七百三十二万四千円を前年度に引き続き計上いたしました。  なお、このほかに営繕費といたしまして、法務局等庁舎その他新営に要する経費として八千二百四十二万七千円が建設省所管に計上されておりますから、御参考までに申し上げます。  以上が法務省所管予定経費要求大要でございます。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  6. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御質疑のある方はどうぞ御発言願います。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま御説明をいただきましたが、私は法務委員として大へんしろうとでありますが、素朴な気持でお伺いをしたいと思います。ただいまの御説明による予算の姿を見ると、増額された中で一番多くのパーセンテージを占めているのは、やはりこの人事費のように思います。この人事費昇給昇格等に要する職員俸給等自然増加額としてありますが、これがベースアップに要されたものか、あるいは人員をさらに拡大されたために要されたものか、数字的なものがあればお示しをいただきたいと思います。
  8. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) お答え申し上げます。これはベースアップによるものでもございませんし、人員も、逆に整理の第二年に当りまして、少くなっております。これは結局昇給昇格等のために積算されました自然増の額でございます。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお尋ねいたしたいことは、この予算の姿を見ると、どういうところに新法務大臣が重点を置かれたかということについて、私どもはちょっと理解しかねるわけです。なぜかと申しますと、たとえば人権擁護委員制度とか人権侵犯事件調査に必要な経費等、私どもから言わせると、現在のこの社会悪の中で非常にこの人権が侵されているというような事例が少くないわけです。しかし実際はこうしたような費用が前年度に比べましてふえておらないように思うのですが、現在の社会思想にかんがみまして、むしろ人権擁護のために法務省が大きく乗り出されることの方が必要のように考えられますが、予算の面から見ると逆の方に行っているように思われますが、この点はいかがでしょう。
  10. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 高田委員の御説まことに傾聴に値するものがありまするが、実は法務省といたしましては、この刑務所収容されておりまする囚人の処遇をよくしてやらなければならないというような意味において、その処遇の向上をはかりましたことが一つ、そうしてこの法務省法務局におけるあらゆる面において、何と申しまするか、どうも感服せざる点がありまするので、この法務局方面不備をつまり是正して、そうしてなるべくよりよく改善していくというような面を見たことが第二。第三といたしましては、営繕費をよく見たわけでございます。その他の事柄につきましても、大いに法務省としては増さなければならないこともあり、また増すべきことを考えておったのでありまするけれども、御承知のごとく、なかなか困難な国家財政のうちから、どうも思うように法務省の方の予算を十分考えてもらえませんので、いろいろ企画はいたしておるのではありまするけれども、それが遺憾ながら実現できなかったというような状況に相なっておる次第でございます。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は刑務所少年院の数がふえるということは非常に悲しむべきことだと思う。むしろこれは文化の進めば進むほど、刑務所少年院の数は少くならなければならないので、そういうことのためには、やはりこの犯罪を予防するという方向に力を注ぐというのが、まあこれは当然のことですが、これはまあ法務省独自でそれをやるということはむずかしいと思いますが、ただ先ほど御質問申し上げた中に、人権を擁護すると、こういうような方面予算が若干削られてきておるというのは私のふに落ちないところです。資料をちょうだいいたしました十ページの下の方に書いてございますが、これは総体的に予算が削られたからかもしれませんが、どうしてこの人権侵犯事件調査に必要な経費が減ったかということについて。
  12. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) ただいま高田委員のおっしゃられました刑務所並びに少年刑務所方面が拡大強化いたしていくようなお話でありましたが、本年度予算の面から見て、そういう意味は毛頭ございません。ただこの受刑者等に対する処遇をよくしていくという意味において、多少こういう面に投ぜられる予算数額が多くなったわけでありまするから、その辺は誤解のないようにご了承願いたいと思います。  それから、ただいまこの人権擁護に関するお話がありましたが、もちろん高田委員の言われたごとく、人権を擁護せなければならないことは、今の新憲法によりましても、はたまた民主主義の今の時代から見ましても、当然なことでありまして、こういう点につきましては、特にわれわれは深い関心と、そうしてあらゆる努力を傾倒する心組みであるのでありまするが、このこういう面に関する予算が減ったということは、御承知のごとく、本年度予算は大体において節約予算でありまするその線に沿うて組まれた予算でありまするがゆえに、減っておるのではありまするけれども、しかしこの節約予算のうちで減っておりながらも、法務局の組織において、人権侵犯事件に関する調査旅費等においては八万円の増である。さらにまた人権擁護委員実費弁償金の面に対しましても増額されたものは九十六万円でありまして、少くともこの一事をもってしても、人権擁護の面にいかに力を注いでおるかということがおわかりになろうと思いますが、かような次第でありまして、窮乏せる予算のうちでも、人権を尊重する面に対しては欠くるところのないようにできるだけの努力を傾倒いたしておりますることを御了承願いたいと存じます。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 旅費人件費がかなり大幅に引き上げられている御説明がございました。しかし最近のこうした動揺している社会の中で、この増額された額は必ずしも妥当ではないのではないか。もっとやはり大臣としては人権擁護という面に御主力をお注ぎになる場合に、まだまだこれでは御不足であるというように私どもは了解するのですが、この点はいかがでしょう。
  14. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) もちろん私といたしましても、不足であることは明らかに認めざるを得ないのでありまして、まことに遺憾と考えるところでありまするけれども、しかし御承知のごとくすべての予算節約をモットーとしていかなければならぬというこの今回の予算計画のうちにおいて、幾分でも増額するというような傾向を持っておりますることは、それだけつまりその問題に対して重要性を認めておるものであって、高田委員の言わるるところの御趣旨は十分私は通っておるのじゃなかろうかと、こう考えた次第であります。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 だんだんの御説明でございますが、私ども非常にこの法務省なり、それから検察庁関係建物はどうもいかにも陰うつでもう悪魔が出てくるようないやな気持がするのです。まさかあれは建築のときに特別ああいう暗くするわけでもないのでしょうけれども、何とかですね、あの暗い陰うつな空気というものを、まあ大臣などは長い間ああいうところに御生活におなりになっていらっしゃるからよくお感じにならないかもしりませんが、ときどきどうも私どもはああいうところに参りますと、非常に陰惨な気分がするのです。あれはやはりその感じだけではなく建物の構造、それから建物の中の色彩、そういったようなものについて、非常に当局者が無神経のように私思うわけなんです。もう少し明るい感じを出すことができたならば、そこにお勤めになっている方ももう少しけんけんしない神経になり、また被疑者もそうその抑圧された気持にならないで、むしろこの効果を上げていくようにもまあ思うのですが、こういう点については、やはり予算をおとりになるような場合にも、新しくお建てになるような場合でも、営繕費をおとりになる場合でも、こういうような点については、やはり考慮がなされておるものでしょうか、いかがなものでしょう。
  16. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 高田委員のおっしゃられることすべて私はもう賛成であります。しかし双手をあげで賛成します。仰せのごとくああいうところへしょっちゅう行っておりますると、いろいろの見方に対する感覚が鈍くなられるというお話でしたが、その通りであります。ところが私どもしょっちゅう行っておって、普通で行くならば、今仰せのごとく、感覚が鈍くなってわからなくなるというのが普通でありまするが、しょっちゅう行っておる我々がその感覚がいっこう鈍くならない。行くたびにやはり陰惨などうもいやなところだなと、そうしてまことに不備、不完全きわまる建物であることを行くたびごとに感ずるのでありまするから、もうこれは高田委員の言われる通りで全く私どもも驚いておるくらいでございます。従いまして今回のこの予算折衝の折りにおいても、ぜひ一つああいうことでは治安維持の全きを期するわけにいかない。とにかく人権を擁護しつつ、そうしてこの治安維持の全きを期していかなきゃならぬというこの重大なる法務行政に対して、一つ大蔵省も目を開いて大いに見てもらわなきゃ困るのだというので、私も実は大いに迫って何とかその営繕費をよけい出してもらわなんでもいいが、乏しいうちから幾らか心配してもらうように、二日も三日も四日も根ばり強く大いに交渉したわけであります。ところが、なかなかどうもその聞き入れてくれないでまことに遺憾ではありましたが、しかし最後にですね、とにもかくにも少いながらも多少やはりめんどうを見てもらったわけで、まあ私どもといたしましては、それ以上どうもやるすべもないので、まあ我慢をいたしまして、まあ幾らか営繕費としてふえたようなわけでありまするが、これは来年度はぜひ一つもう少し大蔵省の方でも、この検察庁庁舎というものを見直してもらって、そうして大いに理解とそうして関心を持ってもらいたいものだと、こう念願しておりまするが、一つ高田委員も大いに、大蔵大臣を初めとして大蔵省の連中に対して啓蒙をしていただきたいことを、私はあなたによくお願いをこの機会にしておきたいと思います。
  17. 田中一

    田中一君 関連して。どうも法務大臣というのは、私初めて委員会に来ましたけれども、何か我々がからかわれているような気がするのですがね、もっとまじめにしていただきたいのです。今高田委員が質問なさったこの営繕施設の問題ですが、金の問題じゃないのです。今言っているのは、陰惨な気分がするというのは、法務省営繕局センスの問題なんですよ。法務大臣初めですよ、金があれば何とかできるのだというのじゃないのです。金がなくても 予算がたくさんなくてもやはり国民が受ける受け方というものはやわらかい平和な気持を受ける場合もあるのですよ。従って設計上の問題なんですよ。庁舎に対するセンスの問題なんですよ。今ここに営繕の人が見えておられますか。おられればその方に伺いたいのですが、おられますか。それじゃ大臣にまず伺いますがね、大臣官庁営繕法という法律があるのを御存じですか。
  18. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 承知しております。
  19. 田中一

    田中一君 あの官庁営繕法では、一応プラン並びに何といいますか、設計のオリジナル・プランといいますかね、こういうものは全部建設省に一ぺん見せるということになっておることです。そうすると従来ともに法務省に関するところの官庁営繕というものは、実際建設省と打ち合せをしてその決定を見ておりますか。
  20. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 法務省営繕費は、先ほど大臣から御説明いただきましたように、建設省の方へ計上されておりますものと、法務省の方へ計上されておりますのと二口あるわけでございますが、法務省の方へ計上されましたものの中でもいわゆるオフィスに該当するような施設建設省委任をいたしまして、建設省の手で建築をしていただく、そして収容施設刑務所拘置所少年院といったようなものでございますが、こういう施設におきましては、収容者の労力を利用いたしまして、比較的安い予算で大きいものを作るという趣旨からいたしまして、そういう収容者を利用いたします関係上、法務省営繕企画をする、こういうふうに分けて実施いたしております。そういう関係でございますので、ただいまの営繕に関しましては建設省と常に密接な連絡をとって、まあその御指示を仰ぎつつ建築をするようにいたしております。
  21. 田中一

    田中一君 そうしますと、ここに資料にあるように、建設省に計上しておるのは八千二百四十二万七千円という、これは全部あなたの方から必要な部屋なら部屋というものを向うに注文をして、この様式といいますか、たとえば玄関前の問題とか、車寄せの問題とかいうのは一切建設省にまかせて作っておるのですか。
  22. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいまお尋ねの通りでございまして、所要坪数所要部屋、そういうものを要求いたしまして、あとは一定の基準がございます。その基準にのっとりまして建設省の標準による建築をいたしております。こういうことになっております。
  23. 田中一

    田中一君 車寄せというものは、全部あなたの方ではつけてくれということでもって要求して建設するのですか。
  24. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは必ずしもそういう要求はいたしておりませんので、まあ大きいビルディングになりますと、当然形式上そういうものが必要だということになりますが、法務局の出張所とか、そういうような例のものは車寄せといった大がかりなものは、それで坪数を食いますので、そういう点は予算とにらみ合せて決定する……。
  25. 田中一

    田中一君 刑務所少年院その他の収容施設木造ですか、鉄筋コンクリートですか、不燃建築ですか。
  26. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 最近の傾向といたしましては、ブロック建築というのを採用いたしております。過去におきましては、予算関係木造にせざるを得なかったのもあるのでございまするが、最近建てております新しい様式のものでは、すべて鉄筋コンクリート建、それからブロック、大体本年度予算のものはブロック建になっております。
  27. 田中一

    田中一君 そうすると、ここに法務査所管の分四億三千百八十四万というものは、全部木造でないというように了解してよろしゅうございますか。
  28. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 営繕課長から説明いたさせます。
  29. 福山忠義

    説明員福山忠義君) 営繕課福山忠義でございます。この営繕費につきましては、ただいま御質問のように、主として方向としましては永久建造物、つまりブロック、あるいはコンクリートでやるように計画しておるのでございまするが、予算関係また地区的な関係等がございまして、防火建築でなければならないと、こういう建設省のきめられた建築基準法にのっとりまして、地区によっては防火木造を採用している個所もございます。施設規模等によりまして区分いたしまして、計画を進めているわけでございます。それからもう一点、法務省に計上されている予算のうちで収容施設に該当する刑務所少年院等施設費法務省独自の立場計画を進めております。それから検察庁関係におきましては、これは最高裁判所施設関係と非常な関連性がございますので、法務省独自の立場計画を進めております。それ以外の法務局その他の官署施設費につきましては、建設省に計上されまして、そのうち、建設省法務省とで協議いたしまして、建設省委任して建設事務を行なってもらう、また建設省から委任を受けまして法務省の手によって施行するものというふうに区分しておりまするが、これはいずれも両者協議の上でやっておる次第でございます。
  30. 田中一

    田中一君 法務省がやる四億三千百八十四万円という営繕費は全部木造耐火建築でないというならば、比率はどうなっていますか、比率は。
  31. 福山忠義

    説明員福山忠義君) 実はその比率の点は、今ちょと資料が持ち合せがないのですが、大体何といいますか、いなかの方で周囲の関係木造でも差しつかえないというような個所につきましては、木造でやりまするが、それ以外につきましては、また規模の大きいもの、刑務所少年院等施設におきましては、できるだけ鉄筋またはブロックでやる、こういうふうな方針でやっておるのでございます。
  32. 田中一

    田中一君 大臣に伺いますが、御承知のように養老院とか何とかたくさん人が集まるところは火災が多いんですよ。かってこういうことがあるんですよ、昨年でしたが、一昨年でしたか、法務省はですね、北海道は御承知のように木造の住宅を作っちゃならないという法律を作ってあるんです。にかかわらず、留置所を木造で作っておる。私は法務省からあなたたちに来てもらって追及したのです。一体、留置所というものは何ですかと言うんですよ、庁舎ですか。住宅ですか。少年保講院なり少年院というものは、これは住宅ですか、事務所ですか。法務大臣どう考えます。
  33. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) そうですね。住宅——厳格にいえば住宅でも事務所でもないということになりましょうが、考えようによっちゃ住宅とも考えられまするしまた作業をしておる場所などは工場等とも考えられまするから、これはまあ考えようであろうとは思いまするが、しかし少くとも常識的に考えて、住宅や事務所でないことだけは、これはまあ大体申し上げられると思うんです。そこで最近の建物は、御承知のごとく比較的現代式の明るさを持った建物ですが、とかくどうも検察庁だとか裁判所の建物は古いものが相当多いんですね。明治何年に建ったというような、もうきわめて古い建物もあるような次第でありまして、そういうものが今のところは多いと申し上げていいと思うんですが、ことに、東京の検察庁建物のごときは、バラック、しからざるものは鉄筋コンクリートでできておりまするが、しかしこの鉄筋コンクリート建物も何回となく継いで建った建物で、しかもその部屋も取調室等に充てるべく考えて作ったものでないものを間仕切りをして、そうして取調室の小さい部屋に作っていった。それはだんだんまあ事件等も多くなって、取調室もなくなってきたというようなことで、まあ間仕切りをしては間に合せに作っていったというような関係にありますので、全く、われわれがしょっちゅう参りましても、まことに陰気ないやな建物のように思うんですから、いわんや一般の人々が行りた場合には、奇異の感を持たれるのは当然だと思うんです。思うんですが、なかなかそれが建て直しができずに、古いものを間に合せに使うてきたというような関係にありまするので、先ほど高田委員の言われたような感じを持たるることもこれは当然だろうと思うんですが、この点につきましては、本年度予算でも多少営繕費として予算に計上しておるのでありまするが、東京都の検察庁もこれは建て直さなければいかぬということで、本年度予算では幾らかその建て直しができるようになりました。おそらく継続事業としての予算をこれからもらうことになりまするから、近いうちにりっぱなものができると思いまするが、今日福岡であるとか、あるいは仙台の方面における検察庁というものは、まことにりっぱな理想的なものができておるのでありまして、ああいうものをごらん下さればおわかりになると思いまするが、そういうものが漸次できつついくことであろうと思いまするし、またいかなければいかないと私どもは考えております。
  34. 田中一

    田中一君 法務大臣に私の質問にだけ答えていただきたい。そのように注意して下さい。
  35. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 質問者の質問をよく聞いて、的確な答弁を一つお願いします。
  36. 田中一

    田中一君 少年院木造はございますか、本年度計画の中に。少年院並びに刑務所は。
  37. 福山忠義

    説明員福山忠義君) 大綱的に申し上げますと、木造はございません。ですが、収容設備としましてあげている中に細かいものがたくさん入っておるわけであります。そういうものにつきまして、木造で差しつかえない程度のものは木造、たとえば物置等のようなものは木造でやっておるのもございます。
  38. 田中一

    田中一君 そうすると少年院にしても、刑務所にしても、あるいは検察庁にしても、居住地域ですね、居住区域ですね、これは全部鉄筋か不燃建築ですか。
  39. 福山忠義

    説明員福山忠義君) ただいま仰せのごとく不燃建築でやっております。
  40. 田中一

    田中一君 居住区域は。
  41. 福山忠義

    説明員福山忠義君) それは舎房と申しておりますが、居住室はそういうふうにやっております。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一問お尋ねをしたいと思います。これは今衆議院の方でもせっかくお骨折りをいただいております売春禁止法の問題ですが、大臣はなかなか御熱心に本法律の通過を期待されておるように伺っております。しかし伺うところによると、なかなか各議員の方々の中でも、いろいろな合理的な反対理由をおっしゃって、案外スムーズにこれが通過するように思われないと、こういうような節も伺っております。   〔主査退席、副主査着席〕 こうしたような状態にございますが、大臣としてはやはり文化国家としての仲間入りを当然しなければならない今日の現状として、この法案を通過させるためにどういったようなお考えをお持ちになっていらっしゃいますか。率直な御意見を承わりたいと存じます。
  43. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 売春行為の忌むべきことは、これは御説の通りでありまして、多く申し上げるまでもないと思います。従いまして、こういう忌むべき行為を社会から除去して、そうして明るい正しいきれいな世の中を作らなければならぬという意味において、売春法の通過せられんことを念願する一人であります。従いまして、でき得る限りの私も努力をいたしたいと考えておりまするが、議員立法で提案せられましたので、従いまして議員の一員として、はたまた政府部内の一人として、でき得るだけの努力を傾けたいと思います。
  44. 高田なほ子

    高田なほ子君 私どもはこの法律はいろいろ専門家の御批評のように幾多の不備があることは十分承知しておりますが、大きな倫理規定としてはどうしてもこの法律ば通さなければならないと思いますが、前二回の国会でも同様にこの売春法等処罰法案がかかったときには、相当に業者からの猛運動があった。その猛運動の前に、この法律が、法案がやみからやみに葬むられたと、こういうようなことも、十分私どもも運動した一員として、承知しております。なお今日の状態を見ても、かってそうした法案をつぶすに至った原因が除去されておらず、やはり陰に陰にと潜行的な運動が展開されていることも承知しております。しかもこの運動に対して、当然道義的な向上をはからなければならない公安委員の皆様方などは、百も承知の上でむしろ業者側に加担しているというようなきわめて悪質な例を多々私どもは見聞することは、まことにもって遺憾とするところですが、法務大臣とされて、公安委員各位に対して、この法案通過に対しては協力をすべきであるというようなことを若干でも意思を漏らされるような機会はありましたか。また今後そういった御意思を漏らされる意思はございませんか。お尋ねをしたいと思います。
  45. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 私も前の売春法案が議員立法として提案をせられましたときに、衆議院法務委員をやっておりましたが、少くとも私どもに関する限りにおいては、業者の方からの運動はありませんでした。今回も業者の方から反対の意見を述べられたような人はいまだかって一人もありません。あるいは他の人のところへは行っておるかどうかそれは私の知る限りではありませんが、少くとも私に関する限りにおいては、ございませんが、しかしこれはあろうとなかろうと、やはりよいことはよいこと、悪いことは悪いことですから、まあ社会を明るくする意味において、こういう忌むべき行為はやはりなくすということはこれは当然なことであり、また業者としてもよく話せば私はわかるのじゃなかろうかと存じます。  さらに、ただいま御質問になられた後段の点ですが、公安委員等に賛成するように導いてはどうかというお話もありましたが、これもごもっともなことでありまするが、しかし公安委員の諸氏のごときは、私どもがかかることを話さずとも目分自身の職務権限の上に立って当然やはり考えなければならない立場にある人でありまするから、そういう人にかえってどうもこちらが指導するような態度で臨むことは失礼だと存じまするから、しいてそういうことをやろうとは考えませんが、しかし私は先ほども——先ほどじゃありません、この少し前もラジオを通して何回となく国民にもこの売春行為のごときものはこの世の中からなくして、そうして明るいりっぱな世の中を作らなければならないことを放送して国民諸君にも訴えておるような次第でありまするから、従って公安委員の諸君のごときも、やはりラジオを通して私の意見は意見としてお聞き下さっておるのじゃなかろうかと、こう存じます。
  46. 高田なほ子

    高田なほ子君 承わりますが、それではこの法案の最も不備であると言われる転落した女性を更生するための施設、それに要する経費技術上の解決のための経費、これは相当莫大なものが必要であることは法相も御存じだと存じます。これに対しまして、過般来厚生省は婦人ホームの拡充のためにだんだんの御努力をされているように伺っておりますが、これは厚生省の良識として私は万全の敬意を払っております。売春処罰法の欠陥を補うために、一面において厚生省がいろいろの節約した経費の面の中からこうした努力をされていることに対して、当然花村法相としても売春処罰法の法の欠陥をさらに補うために、両々相待っての建設が必要だと存じますが、婦人ホームの建設等に対して何か厚生大臣と御相談になったというような点でもございましょうか。
  47. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) ただいま高田委員のおっしゃられることごもっともでありまするが、別に厚生省と特に打ち合せをしたということもありませんが、しかし私は旧来から主張しておるところでありまするが、転落した人を救うという面に莫大な金をかけるというようなこんな馬鹿げたことはない。むしろ転落をさせぬという方面に金をかけて、そうして転落させぬことがいいじゃないか。転落をさしておいてそうして転落した者を救うために金を使うというようなことは、これは始末を転倒しておるのだから、転落をさせないような面に金を十分に使って、そうして転落した者を——転落する者がないようにすることこそ、これがほんとうの生きた政治であると、こういう私は見地に立って、今日までさように考えて法務委員会でもそういう意見を私は強く述べてきております。従いまして、今高田委員の言われた転落した者を救うべき方途を厚生行政の上で考えるべきだというようなお祝もありましたが、これは一面から見ればごもっともな点もありまするが しかしそういうことでなくて、そういう消極的な考え方でなくて、積極的にその転落する者を出さぬという面に力を注いでいくことこそ肝要であると、こう私は考えております。
  48. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は簡単でよろしいのですが、三つばかりお聞きいたします。この売春禁止法に適用するところの婦人の範囲というものは、どの程度までこれを売春禁止法にかかるべき職業あるいは行為とみなされますか。
  49. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) その点についてはいろいろの考え方もありましょうし、なかなかこれはむずかしい問題であります。私もあながち考えておらぬという意味ではございませんが、政府といたしましては、今日この売春問題に関しましては、売春問題等対策協議会にかけまして、諮問をいたしておりまするので、その諮問の結果を得て法務省としては案を作りたいということで、その結果の上がるのを待ちかまえておるというような次第でございまするので、従いましてここで私なり、あるいは法務省の意見を述べることは不穏当であろうと存じまするので、もっぱら、議員立法が提出せられておるようでありまするから、議員立法に見えておりまする形において御了承願ったらばいかがかと、こう存じます。
  50. 吉田萬次

    吉田萬次君 次に、罰則でありまするが、あの議員立法によって出されておる案を見ますると、きわめて厳罰主義がとってあります。厳罰主義云々ということよりは、むしろこの罰則というものが実行せられるという確信がありますかどうですか。
  51. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) ただいま申されました罰則についても、今まで申し上げました通り、私がここで罰則がどうあるべきかを論ずる段階ではないと存じます。
  52. 吉田萬次

    吉田萬次君 いや、これがもし通過した場合において、適用せられた場合において、これが実施ができるということを考えておいでになるかどうか。
  53. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 通過したらばという仮定のもとにおいて申し上げるのはどうかと考えますが、まあしかし通過をいたしますれば、私どもは取締りの立場に立ってやはりその法を守り施行していかなければならぬという兼務が生じて参りますることは当然でありまするから、従ってとにかく最善を尽してそうしてこれが実施に当っていくという決意だけは持っております。
  54. 吉田萬次

    吉田萬次君 通過すればということは、なるほど仮定でありまするけれども、これが実施できるという、あなた個人でもいいから、その実施ができるという確信とまでいかぬにしても、お考えはどうですか。
  55. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それはただいま申し上げたことを繰り返すことでありまして、まあ通過をしてから考えようと思います。
  56. 吉田萬次

    吉田萬次君 それから第三は、予算措置でありまするが、あなたはただいま転落した者よりはむしろ転落する者を助けなければならぬとおっしゃったが、その通りであります。これは防犯的のお考えからもその通りであります。しかしながら、今日この措置というものに対して、相当に私は、予算面上莫大な経費を要するものと思います。それにつきまして、この予算がもうほとんど一両日のうちに通過するというのでありますから、今年度においては、そうすると、どういうようになるかということはわれわれもわかりませんし、法務大臣としてもわからぬとおっしゃれば、あしたのことは将来ですからわかりませんけれども、しかしながらこの現在転落しておる者を救うということに対する経費というものは、更生施設あるいは直接にこれを救済するところの金額というものは莫大なものであると考えまするが、これに対してのお考えはどうですか。
  57. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 仰せ通り莫大なものであろうと思います。従いまして窮乏せるわが国財政の現況から見まして、とうていそういう大きな負担をなし得ることはできないのではなかろうかと、こう存じます、今のところ。
  58. 湯山勇

    湯山勇君 最初にお尋ねしたいのは、先ほど、二億一千九百八十四万四千円という昇給昇格財源が得られておりますが、これは給与総額の大体何%に当っておりますでしょうか。もう少しいえば、これでもろて完全に定期昇給昇格ができるかどうかをまずお尋ねいたしたい。
  59. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 人件費関係予算は、大体所管全部を通じまして百二十数億円になるわけでございます。その中で今の給与関係経費はむろんそれより少くなるわけでございますが、大体におきまして、完全に昇給ができるかという仰せでございまするが、これはちょっと足りませんので、私ども事務屋としまして計算しておりますところでは、大体八〇%くらいに当るかと存じます。
  60. 湯山勇

    湯山勇君 これは特に法務大臣にお尋ねいたしますが、検察行政に当る人たち、特にこういう人たちがこういうふうに昇給昇格も法律通りできないというような事態にあることについて、法務大臣はどうお考えになりますか。
  61. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) まことに遺憾に感じます。ことに法務行政の面に携わっておりまする人々は、行政官庁に勤めておる人々とまた異なる面もありまして、おそらく全収入というものを見てみまするならば、いずれも少きに失することは、これは争われざる事実であろうと存じます。かような立場にあり、しかもわが国の治安維持の重大なる任務を担当する職にある人が、かような処遇に甘んじなければならぬというようなことは、まことに遺憾でありまするけれども、しかしこれも窮乏せる国家財政の上から見れば、やむを得ないことでありまして、でありまするが、しかしこの昇給が意のごとく行かないからというて、その職務を怠るがごとき者は一人もない。むしろ張り切ってますますその職務に精励するというような意気込みをもってやっておりまするから、その点は大いに御安心をいただいてけっこうだと存じます。
  62. 湯山勇

    湯山勇君 ちょとも安心できないわけです。それは全部がしんぼうするとか、全部がどうとかというふうならばまた話はわかります。それは大臣は八〇%しか昇給昇格できない。残りの二〇%をどういう方法でお選びになるおつもりでございますか。二〇%昇給されないものを、どういうふうに選別されるか。
  63. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) これはどうも、できないものは……。ないそでは何びとでもどうも振るわけにはいかないのですから、これはあとの二〇%をどうするかと言われても、大蔵省で出してくれなければ、法務大臣がさかさになってもどうにもならぬわけですから、   〔副主査退席、主査着席〕 まあそれは一つ忍ぶべきを忍んでもらって、国家財政でもだんだんと豊かにでもなって参りました場合においては、やはりその埋め合せをするという意味で、やはり張り切って日本民族のこのすぐれた精神を遺憾なく発揮して、やはりやってもらいたいということよりほかに道はあるまいと存じます。
  64. 湯山勇

    湯山勇君 今後もいろいろ大蔵省なり、政府なりでこの問題で論議が出ると思います。その際法務大臣は今のような実情、とにかく二〇%は取り残さしれるという実情について、そういうことのないように努力する、そういう御熱意はありますか。
  65. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 熱意は人一倍持っていることをはっきり申し上げていいと思いますが、この予算を組むときも、これはひたすら大蔵省に向って、あらゆる観点から、その大蔵省の出し渋ることの非であることを述べたのでありますが、結局のところは、ないそでは振れぬというところに落ちついて意見が一致したのでありますから、まあやむを得ずその程度でがまんをしたわけであります。
  66. 湯山勇

    湯山勇君 次に、刑務所少年院のおかず代を今度上げる、これはけっこうなことですが、今までは食費が幾らであったか、その中でおかず代が幾らであったか、今度幾らになったか、それを一つ大臣からでなくてけっこうです。
  67. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) お答えいたします。ただいまの食糧費一人一日当りの金額を申しますると、被疑者につきましては、食糧費が五十円十二銭でございまして、そのうち菜代が十五円五十銭、成人の受刑当につきましては、食糧費が五十八円七十三銭でありまして、そのうち菜代が十七円五十銭、少年受刑者につきましては、食糧費六十五円四十六銭でございまして、そのうち菜代が二十円五十銭、少年院が六十三円九十一銭でございまして、そのうち菜代が二十円五十銭、少年鑑別所が六十三円八十七銭のうち菜代が二十二円五十銭これが現行の食糧費でございまして、今回の予算が超過いたしました暁におきましては、菜代が被疑者につきましては一円の——十六円五十銭、成人受刑者につきましては十八円五十銭、少年受刑者につきましては二十一円五十銭、少年院につきましては、同じく二十一円五十銭、少院鑑別所は据え置きで二十二円五十銭、かようになるわけであります。
  68. 湯山勇

    湯山勇君 これで大体十分だと——十分というのはカロリーですね、そういうものは十分でありますかどうですか。
  69. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) もちろん十分ではございませんが、一応次のような統計表を基礎として御説明申し上げますると、現行の摂取量と、中等の労働に服します男子の標準とを比較いたしてみますると、蛋白質におきましては、標準が八五グラムでございますが、受刑者の方は八五・六グラムとややよろしいのでございますけれども、動物性の蛋白質、脂肪の点におきまして、動物性の蛋白質が中等の標準の二〇に対しまして一二・八グラムでございます。それから脂肪の方が三〇グラムに対しまして一七・五グラムというふうに少いのでございます。これが一円上げますことによりまして、ある程度是正されるというふうに考えております。
  70. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっとお諮りいたしますが、法務大臣衆議院の本会議に出席しなければならないのですが、——大臣すぐですか、もう少し……。
  71. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) もう少しいいです。
  72. 湯山勇

    湯山勇君 それでは、このおかず代のことはまたあとで事務当局にお聞きします。  破壊活動の費用ですね、公安調査庁の。これはほかの費用は全部減っているにも一かかわらず、たとえば破壊活動の調査に必要な経費というのは約二〇%ふえております。ことに調査の科学化に必要な経費というのは昨年の二倍にもふえております。それから同じく破壊活動調査に必要な経費の団体ファイルの作成に必要な経費というものは、昨年の三倍以上になっている。これは随分思い切った予算措置をされたことになっておりますが、この全般的な公安調査庁の経費をこういうふうにふやされた理由とそれから機構については、五%ばかり増額になっている。これはどういう機構をどうする、研修についてはどういう内容の研修をする費用がふえたのだと、それから調査に必要な経費の中で、団体調査に必要な経費というのは、二割方もふえておりますが、どういう団体をどうするためにこうふえたと、それから団体ファイル作成に必要な経費というのは、どういうためにこれだけ増加になったか、調査の科学化というものの内容、そういうことを少し詳細に御説明いただきたいと思います。これは大臣からお聞きしたいのですが。
  73. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 実は、この公安調査庁の機構が、ただいまのこの時局に照らし合せまして、弱体であるということでこれを拡大強化して参らなければならないという考え方を持っておったのでありまするけれども、しかしそれは一部認められただけで、ほとんど大部分は認められておらぬということが一つ、なお、御承知のごとく日ソの国交調整が行われ、あるいはまた中共との間における貿易も進展をしていかなければならないという方向に鳩山内閣が進んでおりまするこの場合において、必ずやこの問題がだんだんと進むに連れまして、出入国関係も著しくふえてくるであろうことば、これは想像にかたくないのでありまして、従いましてこの治安維持の面に対しましても、やはり相当に心せねばならない事情も起きてくるであろうことも考えられ、かような点も考慮の中に入れて、そうして多少この予算をふやしたということでありまするが、これはまだわれわれが考えておりまするほんの一部であるにすぎないのでございまして、まことに遺憾でありまするけれども、しかしこれまた国家財政の上から見て、やむを得ざることと考え、何と申しますか、不備な公安調査庁の態勢において、その効果をよりよく上げていくということに心がけていきたい、こう考えてやっている次第でございます。  なお、細かいことは経理部長から申し上げることにいたします。
  74. 湯山勇

    湯山勇君 細かいことをお聞きする前に、今大臣がおっしゃったのは大臣の打っている構想のほんの一部である。という御説明がございましたが、この際一つ大臣の持っておられる構想をお示し願いたいと思います。
  75. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) その構想につきしまては、少し前に法務省の公安調査庁で大体の、公安調査庁が今日までやって参りました何と申しますか、いわゆるよく白書といったようなものを出しますが、ああいうような印刷物を出して、そうして議員の各位にも御配布をいたしておりますので、それをごらん願いたいと思うのでございますが、その印刷物に載っておりません部分については、今日ここで答弁を申し上げることは差し控えたいと思います。
  76. 堀末治

    堀末治君 この比較表では、予算は全部そうなっておるが、前年度のきまった予算との大体比較になっておるのですね。それで大臣は先ほど、ないそでは振れないということからいろいろ強硬に大蔵省と話し合った結果、ここらで妥協したと言われたが、そこらがよくわかりませんが、大臣大蔵省要求した要求の中で、何が一番よけい削られましたか。
  77. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それはまず第一に営繕費だろうと思います。東京はもちろんでありますが、先ほど来いろいろお話のありましたように、東京の検察庁というものは実にひどいもので、まあ豚箱にもひとしいとまで申し上げてもよいでありましょう。けれどもこれは東京ばかりではない、地方の検察庁庁舎も非常に古びれて悪いものもありますし、いわんや法務局庁舎等に至りましては、まことに驚くべきものがあると申し上げてよろしいと思うのであります。従いましてそういう営繕費方面であると、こう申し上げてよろしいと思います。
  78. 堀末治

    堀末治君 その政策的な方面であなたがこれこれのことはぜひともほしいと、その中で削られたのはどんなものですか。項目別でけっこうです。金額は要りません。たとえば法務省がぜひこのことはやりたいという政策的な問題で、特に削られた大きなものを順序的でもけっこうですから……。
  79. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それはいろいろありまするが、たとえば検察行政をやっていく上においてやはり警察等との連絡をスムーズにやる、あるいはまた犯罪検挙の実績を上げるというような面に対する費用もある程度要求したのでありますが、こういう点もあまり思うようには参りませんでした。なおまた犯罪予防、防遏の点においてもこれまた同様であり、さらにまた刑務行政の面に対してほんとうに教育的な、刑務行政を改善して明るい気持を持たして、刑余者をほんとうの人間にたたき直さなければいかぬというような面に対する経費も、これまた同様であります。なお、その他出入国管理に関する出入国人の扱い等その他の面から見た管理行政に関する点、その他小さい点を申し上げますれば幾らもありますが、大体大きなものはそういう面であると申し上げてよろしいと思います。
  80. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) お手元に配布いたしました説明参考資料の十四ページをごらん願いたいと思いますが、この資料の公安調査関係予算はここに全都掲げてございますが、第一は、一般行政に必要な経費でございまして、この中は機構に必要な経費、研修に必要な経費と分れてございます。この機構に必要な経費人件費であります。それから研修に必要な経費が若干増加になっておりますが、これは研修人員増加が認められたためでございます。  第二は、破壊活動調査に必要な経費でございまして、これが団体調査に必要な経費とファイル作成に必要な経費に分れておりますが、団体調査に必要な経費につきましては四千百六十三万の増ということになっておるのでございます。ところが二十九年度の当初予算に比較いたしまするとこういう結果になっておるのでありますが、実は二十九年度年度途中におきまして、公安調査庁の活動を強化するその当時の事情からいたしまして、若干の流用による増加が認められまして、これを端的に申しますと、一カ月平均が千六百二十五万円という線で認められたのでございます。そうして十一月以降年度末までその線で参ったのでございますが、本年度予算におきましてはその千六百二十五万円の端数を切りまして千六百万円という査定になりました。その結果がここに出ておりますような数字になっておるのでございます。で、いかにも年度途中からは多額の増加が認められておるように見えるのでございますが、年度じゅうの予算からいたしますと、若干減っておるという形に実際はなっておるのでございます。それから団体のファイル作成に必要な経費というのは、これはファイルを入れます箱——キャビネット等を入手するための経費でございます。  第三が、調査の科学化に必要な経費でございまして、これは内容的に申しますと、写真機とか自動車とか小型自動車とかというようなものがこの中に含まれておるのでございます。  大体以上のようなものでございます。
  81. 湯山勇

    湯山勇君 二十九年度の途中で急に強化しなければならなくなったという事情は、どういう事情でしょうか。
  82. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 年度途中においてふやさなければならなくなった事情という御質問でございますが、私の方は予算の方を担当しておりますので、そのこまかい消息はつまびらかにいたしませんのでございますが、当時の一般社会情勢と申しまするか、対象となっておりまする団体等の情勢の変化等に対応するという趣旨であったと私は伺っております。
  83. 湯山勇

    湯山勇君 大臣、もう少し具体的にこれは御説明願えないものでしょうか、今の事情は、お差し支えなければ。
  84. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 公安調査庁の経費年度中途にして増額したのはどういうわけだと、こういうお尋ねですね。それは前内閣の行なったことでありまして、鳩山内閣は御承知のごとく昨年末成立したわけでございまするから、従ってその辺の事情はわかりませんが、しかしたって調査をしろということなら、調査をしてまた申し上げます。
  85. 田中一

    田中一君 関連。風下にもぐっている共産党員の調査は公安調査庁でやっているのですか、地下にもぐっています共産党員ですね。これは公安調査庁で捜査をやっているのですか。
  86. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 公安調査庁では捜査をしておるわけではありません。公安調査庁のつまり調査の対象は、破壊活動を行うところの同体というようなものが対象になっておりますから、従いましてその個人は対象にならぬわけではありますが、しかしながらこの団体の調査を進めますれば、結局やはり個人も調査の範疇に入って参りますることは、これは勢いのやむを得ないところであろうと存じます。
  87. 田中一

    田中一君 これはまあそこまで検討してはやれぬかもしれませんけれども、公安調査庁では、大体おおむね団体として考えるならば、社会党左右を調べているか、共産党を調べているか、あるいはそのほかに右翼的な団体を調べているか。少くとも地下にもぐっている共産党員の地下活動というものに対する費用というものは、この部分から出ておるのですか。
  88. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 地下にもぐっておる者を特に調べるというわけじゃありません。これは政党としては、はっきり申し上げれば共産党であると申し上げてよろしいと思います。その他にはおそらくありますまい。従って地下にもぐっておる者を特に調査するというのではありませんが、しかしその団体の調査の結果として、それに牽連があり必要があるということでありますれば、地下にもぐっておる、おらざるにかかわらず、個人の調査にまで及ぶような場合があり得ると存じます。
  89. 田中一

    田中一君 それでは、その共産党の破壊活動を調査しながら、現在地下にもぐっている三名ばかりの人たちの調査にかかった費用というのは、はっきり計算すれば出て参りますか。もし出て参るならば……。
  90. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) そういう調査を特にやっておるわけじゃありません。まあこれは団体等規正令に触れて、そうして処罰を受けなければならぬというような人は、これは所管官庁において捜査並びに調査をいたしておりましょうけれども、公安調査庁が特に地下にもぐっておる者を調査するというようなことは、大体考えておらぬと申し上げていいと思います。
  91. 湯山勇

    湯山勇君 この今回の公安調査庁の増額は、特に左翼を対象にしたものか、右翼を対象にしたものか、増額については。これはどういうふうにやっておりますでしょうか。
  92. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それは右翼でも左翼でもありません。要するに破壊活動の団体を対象としておるわけですから、でありまするから、その団体の範疇に、右翼でも左翼でも、またしからざるものでも、入って参りますれば、対象の一つとなろうと存じます。
  93. 田中一

    田中一君 関連して。そうしますと、その破壊活動をやっているという認定は、一応できてやっているのか。その破壊活動を行なっているという団体の破壊活動の事実を一応推定なら推定して、予算増額をしたのか。あるいはそのような団体が破壊活動をやるであろうという推定、それからやっているという推定、どちらから出発してこの増額をしたのですか。
  94. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 破壊活動をいたしますれば、それは短壊活動防止法によって犯罪になりまするから、それは犯罪の対象として捜査が進められることになりましょうが、公安調査庁でやっておりまするのは、破壊活動の表に現われない、破壊活動の実行段階に入らないようにこれを防止する意味において調査を進めておるというわけでございます。
  95. 田中一

    田中一君 その予防々遏の行動はどういう形になって現われておりますか。私は増額になっているから伺っているのです。どういう推定のもとに増額されているのか。それはむろん二十九年度の実績に基いて、それよりも二割程度活動が激しくなるであろうとか何とかいう認定のもとに増額を要求し、大蔵省もまたこれに対して承認しているのですか。
  96. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それは前から、やはり破壊活動の団体を対象として調査するためには不十分であることは前から認めておったわけですが、要するに、御承知のごとく窮乏せる国家財政の上からその経費を出すことができずにきたということに相なっておりまするのが、今回はその幾部分を満たしてもらったということでございます。特に破壊活動が激しくなり、その調査の費用を要する段階になってきたから増額したという意味ではございません。前から増額を、前内閣当時からこれが増額を企図しておったのでありまするが、これが実現するに至らなかったのでありまするが、その幾部分がつまり今回実現されたということ、並びにそれに加えて、御承知のごとく日ソの国交調整並びに日中貿易というものが考えられてきたということで、共産圏との交通もひんぱんになるであろうことも想像されて、まあふやすべき段階に来て、こういう事柄も加わってふやすべき段階に到達をいたしておったのでありますが、その幾部分が満たされたと、こういうことでございます。
  97. 田中一

    田中一君 そうしますと、中ソとの間に一応正常なる国交が回復しようとしている段階、それから貿易もその通り、従って破壊活動思想というものが、日本の国体の破壊活動思想というものが同じように輸入されるのではなかろうかというような見地から増額したのですか。もっと明確にして下さい、明確に。
  98. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それは日ソの国交調整と、あるいは日中貿易というものと思想とは、これは別に考えなければならぬと思いまするから、従ってそういう国交調整が行われる段階に到達し、あるいは日中貿易が盛んになったからということで、それにつれて危険思想も入ってくるものであるとは考えません。考えませんが、しかしそういう空気が醸成されて参りますれば、この思想的の面に対しても、やはり準備をおさおさ怠るべきものでないことは、これは考えられてしかるべきではないかと、こう思うわけです。
  99. 湯山勇

    湯山勇君 今法務大臣重大なことを言われたと思いますが、たとえどういう思想を持っているにしても、共産主義の思想を持っているにしても、その思想を持っているということが取締り調査の対象には憲法によってならないはずです。今法務大臣のおっしゃったのは、そういう思想を持っておれば、これは工合が悪いというようなことをおっしゃいましたが、これは非常に法務大臣として重大な発言だと思いますが、もう一度今の点明確に。
  100. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 私はたとえば共産主義思想を持っているから悪いというようなことは今言ったわけではございません。またそういうことも考えておりません。考えておりませんが、しかし共産圏の国と国交が調整されて参りまするというと、やはり共産主義思想というものの流れについても考える必要があるじゃないかと、こういうことになるのです。そういう思想を持っているのが、悪いとかいいとかいうわけでもなく、またその思想を取り締らなければならぬという意味は毛頭ありませんが、しかしそういう共産主義思想というものもやはり考える必要もあるんじゃないかと、こう私は申し上げるわけです。
  101. 田中一

    田中一君 思想が悪くない、思想を取り締る意思はない、しかしながらなおそういうものを——今法務大臣が言ったのは、その思想そのものを考えなければならぬというのですか、共産主義者が——共産主義を信奉する人たちの破壊的活動を考慮しなければならぬというものですか、どっちですか。
  102. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 要するに、破壊活動の面にですね、意を注がなければならぬ。破壊活動のおそれがあるかどうかというようなことを考慮のうちにおく必要があるのじゃないかと、こういうわけです。
  103. 田中一

    田中一君 それは共産主義を信奉し、また共産主義者だから破壊活動をするのじゃなかろうかという懸念を持つというのですか。それとも破壊活動そのものが、何かあなたの方で推定されるようなものが、的確につかめるような何かがあったのですか。
  104. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) つまり破壊活動を目ざして、そうしてこれを実行していくという段階を対象としているわけです。
  105. 湯山勇

    湯山勇君 どうも今のは納得できませんけれども、まあしかしこれは時間をとりますから、これでこの問題は打ち切ります。  そこで今の外国から入ってくる関係ですが、外人登録法によって外国人指紋採集、これは大へんけっこうなことだと思うのです。ところが今の御説明では、在日朝鮮人だけのような御説明であったのですが、朝鮮人以外にはこれを適用しないのでございますか。
  106. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それは外人全部です。
  107. 湯山勇

    湯山勇君 この説明には「在日朝鮮人の動向および財政事情等考慮により、その実施が見送られてきましたが、今回」こうこうと、こうありますので、これでは在日朝鮮人の動向と、一方では国内の財政事情ということだけで、他の一般外国人というものは対象になっていないかのような印象を受けるのですが、間違いございませんでしょうか。
  108. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) さような点は登録課長が見えておりますから、登録課長から説明することにします。
  109. 豊島中

    説明員(豊島中君) ただいま大臣から申し上げました通り、一般外国人全部に適用されております。
  110. 湯山勇

    湯山勇君 その範囲ですね、たとえばアメリカの駐留軍関係で来ている者、これは軍隊は別ですけれども、それに関連して来ている者も対象になりますか。
  111. 豊島中

    説明員(豊島中君) 駐留軍関係、軍人軍属は登録から除外されておりますので、従って指紋も適用されません。それからもう一つ、つけ加えますが、外交官その他国際慣習におきまして特別な待遇を受ける方の登録も免除しておりますので、その方も指紋をとりません。そのほかの一般は、国籍のいかんにかかわらず、全部指紋をとることになっております。
  112. 湯山勇

    湯山勇君 そこで先般来問題になっております不良外人の取締り、これは単に在日朝鮮人だけではなくて、ずいぶん外国人の——人数の多い少いはありますけれども、ずいぶんいろいろな犯罪があるわけでございます。これについては、前内閣のときの法務大臣も、これはむずかしいということを言っておりましたし、また警視庁あたりでは手のつけようがないということを発表しておった次第でございます。そこで今後こういう不良外人——国籍のいかんを問わず、不良外人、これに対して徹底的な取締りをして、そうしてこれらによる害毒を根絶するということについての大臣の御所見、御決意を伺いたいと思います。
  113. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 不良外人と言われる意味がどういう意味でしょうか。少くとも犯罪に触れる行為をしたと、こういう場合においては、今日外人のいかんを問わず法の命ずるところによって厳重な処断をいたしております。でありまするから、少くとも犯罪行為をした外人についての取締りができぬというようなことば断じてございません。その他の法律に触れざるいわゆる不良外人——これは道徳的意味における不良外人というのですね、そういうものはこれは取締りの対象になりませんから、どうもそれは彼らの徳義を喚起せしむるという以外には方法はあるまいと思います。
  114. 湯山勇

    湯山勇君 法務大臣の言われるのは、意味を取り違えておられますので、私はもっと狭い意味なんです。徳義的な問題じゃなくて、そしてまた軽い罪を犯したというのじゃなくて、計画的に常習的にやっておるものが相当あります。それは法務大臣は、建前上そういうものがわかれば取締るとおっしゃいますけれども、実際はそういうものの取締りは十分できていない、これは昨年警視庁でそういうものについてはもう手をあげているということをちゃんと発表しておるのですだから法務大臣のところへ検察庁であげて持ってきたものは、これはなさることが当り前ですけれども、そこまでこないのが非常に多い。それについてはいろいろ今度おやりになる指紋の登録ということもそうでしょうけれども、実態がなかなかつかめない、覚醒剤の密造なんかはもう第三国人、特にこれでは朝鮮人が半分以上である、それから白人もやはりやっておる、これも調査の上では出ておる。しかしその取締りができないというのが実態であったのでございますから、今のようなしゃくし定木な御答弁でなくて、もっと実際的な御答弁を願いたいと思います。
  115. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 不良外人という意味が狭い意味だというお話しですから、もちろん犯罪を対象とした意味のことであろうと思いますが、それについては参議院の予算委員会でも質問がありまして、私が詳細にわたって事件の件数並びに判決によって処置した件数から一切を申し上げたのでありまするが、事の大小を問わず、犯罪に触るる限りにおいては、外国人あるいは内地人の差別なく、断固としてやっておりまするから、その点は御安心を願いたいと思います。あるいは警視庁でただいま言われたように、取締りができぬような話があったということでありまするが、私の知る範囲においては、そういうことは断じてないと私は申し上げてよろしいと思います。従いまして、もしあなたがこういう事件が実際あるじゃないかというて具体的に指示をせられるならば、それを指示していただけば、また私の方においても考えるところもあろうと存じます。
  116. 湯山勇

    湯山勇君 これで終りたいと存じます。今の具体的なことも私幾らかありますけれども、なおこれは私の方でもよく調べて、またあとで御相談に上ります。
  117. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御質疑もなければ、法務省所管については一応質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  118. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) それでは次に、文部省所管について議題といたします。まず政府当局説明を求めます。
  119. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 昭和三十年度文部省所管予算大要につきまして、御説明申し上げます。  昭和三十年度文部省所管予算額は、千二百三十七億八千六百六十二万五千円でありまして、これを前年度予算額千百九十一億六千七百九十五万四千円に比較いたしますれば、四十六億千八百六十七万千円を増加いたしております。なお、前年度予算額のうち、義務教育費国庫負担金の昭和二十八年度給与費負担金精算分八億二千八百二十九万二千円、国公立文教施設災害復旧費六億四千九百三十三万五千円、国立フランス美術館創設費五千四百五十万円の当然減少額及び本年度予算として国立フランス美術館建設費の国庫債務負担行為額一億円を考慮いたしますれば、実質的には、六十二億五千七十九万八千円の増加となっております。従いまして文部省予算額を一般会計総予算額に比較いたしますと、その比率は前年度一一%が一二%強となっております。  次に昭和三十年度予算額のうち、重要な事項について申し述べたいと存じます。第一に、義務教育費国庫負担金に必要な経費であります。義務教育の機会均等と、その水準の維持向上とをはかるため、義務教育費国庫負担制度を確立し、公立義務教育諸学校の教職員給与費の実支出額の二分の一及び教材費の一部を負担するため必要な経費でありまして、給与費として、本年度は七十七万六百九十四人の児童、生徒の増加に伴いまして、教員数の増一万二千五百十人の人件費を含めまして、七百二十四億二千万円、教材費として、十二億八千万円を計上したのであります。なお、二十九年度における地方税制の改正及び地方財政の現状にかんがみまして、本年度からは昭和二十八年政令第百六号を改正いたしまして、その適用を地方普通交付税の不交付団体である東京都、大阪府及び神奈川県にとどめ、その他の府県につきましては、義務教育費国庫負担法の趣旨を完全に実施し、前年度奄美群島復帰処理費として別途計上いたしました分をも吸収し、原則通り実支出負担に切りかえることといたしたのであります。  第二は、文教施設整備に必要な経費であります。国立文教施設につきましては、戦災を受けました国立学校特に大学付属病院その他の建物の復旧と、老朽校舎の改築と、前年度に引き続き原子核研究所の建物を新営するための経費二十一億三千九百七十九万円を計上し、また公立文教施設につきましては、これが整備に必要な経費五十六億六千百七十六万千円を計上したのでありますが、単価並びに、木造、鉄筋比率は前年度を踏襲するとともに、全体として工事量も昨年同様四十一万坪程度を確保したのであります。なお危険校舎の改築は、一億八千四百九十二万九千円が増額されておりますが、これは高等学校分について予算執行上考慮することになっており、特殊教育の振興をはかるため養護学校施設整備費として新たに千七百四十八万二千円を計上し、また僻地教育振興の見地から、僻地小、中学校の集会室に二千八百六十九万八千円を、不正常授業解消のため三千四百八十七万五千円をそれぞれ増額計上いたしましたが、このほか昭和二十九年度発生災害、鉱害復旧対策に必要な経費六億七千六百九十九万七千円をそれぞれ計上したのであります。  第三は、育英事業の拡充に必要な経費であります。優秀な学生、生徒で、経済的理由により修学困難なものに学資を貸与する事業を行なっている日本育英会に対して奨学資金の貸付けと、その事務費の補助に必要な経費四十一億九千七百六十七万千円を計上したのであります。なお貸付金のうち、大学生については、従来採用学生の一〇%が月額二千五百円を貸与されたのでありますが、本年はこれを四〇%独に拡充し、月額三千円に引き上げ、また新制大学院の博士課程の学生に対しましても、修士課程学生と同様月額一万円または六千円を貸与することとし、さらに定時制高等学校生徒の採用率を生徒総数の一%から二%に引き上げたのであります。  第四は、科学の振興に必要な経費であります。人文、自然両科学部門におきまして、不断に基礎的応用的研究をつちかうため、研究者に重点的に交付または補助するため必要な経費十一億九千万円を計上いたしたのであります。特に本年度はわが国の産業を振興し、国民生活の充実、向上に密接な関係をもつ化学研究促進補助金として一億五千万円を、従来の総合研究及び機関研究に原子核、放射能障害の研究費として五千万円をそれぞれ増額計上したのであります。なお民間学術研究機関等に対する助成に必要な経費七千四百六十六万千円を、国立大学等の有為な教官、または研究員を海外に派遣留学させるための経費七千万円を、また学術情報資料の整備拡充に必要な経費八百四十七万八千円を、それぞれ科学振興費の項に計上したのであります。  第五は、私立学校の助成に必要な経費であります。私立学校教職員の相互扶助とその福利厚生をはかるため、私立学校教職員共済組合に対し、その給付費の一部及び事務費の全額を補助するため必要な経費三千六百二十七万八千円を、私立学校振興会に対し、私立学校の施設、設備を応急最低基準まで引き上げるに要する資金の一部を政府出資金として八億五千万円を、それぞれ私立学校助成費の項に計上したのであります。   〔主査退席、副主査着席〕  第六は、社会教育の特別助成に必要な経費であります。明るい平和な住みよい社会を建設し、新生活運動を推進するため必要な経費五千万円を、青少年団体の社会活動を育成促進する等、社会教育の振興のため必要な経費七千万円を、それぞれ社会教育特別助成費の項に計上したのであります。  第七は、文化財保存事業に必要な経費であります。文化財保存事業は終戦後逐年その成果を上げてきておりますが、本年度も前年度に引き続き国宝、重要文化財のうち、特に建造物の保存修理費に重点を置きしまして、その充実をはかるため必要な経費三億五千三百四十五万七千円を文化財保存事業費の項に計上したのであります、なお前年度に比較いたしまして六千三百二十五万八千円の減少をみましたのは、法隆寺保存事業が一応完了し、また災害復旧費の減少したためであります。  第八は、国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学付置研究所五十六、大学付属病院十九を維持運営いたしますのと、新たに大阪大学に薬学部を、弘前大学及び佐賀大学にそれぞれ農学部を、鹿児島大学に県立工業大学及び県立医科大学を合併して工学部、医学部を、香川大学に県立農科大学を合併して農学部を設置し、また茨城大学及び静岡大学にそれぞれ夜間短期大学を、さらに東京大学に原子核研究所を創設する等の措置を講ずる等のため必要な経費三百九億三百十七万五千円のうち、二百二十九億六千九十八万千円を国立学校の項に、五十六億七千三百三十五万四千円を大学付属病院の項に、二十二億六千八百八十四万円を大学付置研究所の項に計上したのであります。このほか、産業教育、理科教育及び学校図書館の振興、定時制高等学校及び通信教育の整備、特殊教育の振興、僻地教育の振興、学校給食の助成、外国人学生の招聘、在外教育学術文化担当官の設置、幼稚園教育の振興、その他文部行政に緊急欠くべからざる諸般の施策を講ずるため必要な経費をそれぞれ計上したのであります。  なお最後に一言付け加えて申し述べたいと存じますが、右に申し上げました文部省所管予算中には、先に衆議院における予算審議に当りまして政府提出原案に修正を加えられました結果、初等中等教育助成費のうち定時制高等学校等設備費補助金について千万円、公立学校理科教育設備費補助金に四千万円、また産業教育振興費に一億円、科学振興費に一億五千万円、育英及び学徒援護事業費に一億円、私立学校助成費に一億四百万円、公立学校文教施設費補助のうち、公立小中学校建物整備費補助金について七千万円、公立諸学校危険校舎改築費補助金について一億円、文化財保護委員会の芸能調査研究について二百五十万円の増額分がそれぞれ含まれておるのであります。  以上は文部省所管に属する昭和三十年度予算大要につきまして、御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。
  120. 田中一

    ○副主査田中一君) 御質疑のある方はどうぞ。
  121. 湯山勇

    湯山勇君 最初にこの義教育国庫負担の件についてまずお尋ねしいのですが、これは本年度の生徒、児童増ですね、昨年の九十何方増に比して二万の増を見込まれたわけでございましょう。ところがそれを消化しきれなかった。実際は一万五、六千でしたか、ともかくも、昨年に消化されなかった。そこでその理由ですね、昨年は文部省としてはこれぐらい教員がふえるだろうと見込んで措置されたのか、ふえなかった理由はどこにあると局長はお考えになられますか。
  122. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今お話しのように、昨年は予算といたしましては約二万人の増を見込みまして計上いたしましたが、実際には一万三千七百八十九名ですか、一万三千七百名ぐらいしか増加になっておりません。まあこの点は理由はいろいろあるかと存じますけれども、私ども当初予算を組みましたときには、十分地方の増員に対応できますように考えまして予算を組んだわけでございますが、まあ一つは地財力政の状況もありますので、その国の予算まで伸びなかった、こういう実情であろうと考えております。
  123. 湯山勇

    湯山勇君 今の局長の御説明のように、大きな原因はこれは地方財政にあったと存じます。まあそこでせっかく文部省の方でこの二万増員の予算を措置されても、実際は地方財政等の関係で一万四千程度、つまり七割ぐらいしか充足できない。これは私は文部省と自治庁との間の連絡の不備にあるのではないか、文部省でこれだけの予算措置をすれば、当然これに合うだけの地方財政計画、そしてその財源を地方に与えるように自治庁はしなければならないと思います。それが完全に一致してできればそれだけふえる。二万ふえると想定した定員の七割しか充足できない。七割しか充足できないということは、それだけ文部省がお考えになった状態と違った教育の場ができておることになるわけでございますから、そこで今のように自治庁との間の連絡が不十分であった、こういうふうにはお考えになりませんでしょうか。
  124. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 昨年度におきます地方財政計画との、他の方との関係でありますが、昨年度から地方財政計画におきましても、国庫負担金と同じ方式のものを計上してもらうように交渉いたしまして、それを実現したわけでございます。本年度も、これは本年の話しではございませんでしょうが、本年度もその点は十分自治庁と連絡をいたしまして、国庫負担金で増をみております人員に、さらに若干加えましたものが地方財政計画には計上されております。この連絡は十分緊密にいたしておるつもりであります。
  125. 湯山勇

    湯山勇君 連絡が緊密にできておって、府県に対してそれだけの地方財源の措置がなされておれば、当然これだけのものは消化されるはずであるにかかわらず、されなかったという原因は、今のように局長おっしゃいました地方財政の責任でもないし、連絡もよくできておる。それじゃ一体どこに原因があったか、重ねてお聞きしなければならないことになるわけですが、どういうわけでそれじゃこうなったと局長は御判断になられますか。
  126. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 地方財政計画並びに自治庁との関係について御質問がありましたので、特に地方自治庁と協議をいたしまして、地方財政計画にのせた定員を、今御説明いたしたわけでありますけれども、まあしかし地方には地方の実情があると存ずるのでありまして、やはり一つの財政の状況が左右しておると思います。そういう事情で一万三千七百名という数字が出ておるわけでありますが、ただ私どもが組みましたのは、これはあくまで年間の見積りでありますから、その通りいかなければならぬということは、あるいはないかと思いますが、一応見積りとして二万名近くの年間推計をいたした、それがそこまでいかなかった、こういう状況であります。
  127. 湯山勇

    湯山勇君 文部大臣にお尋ねいたします。一昨年よりも昨年は増加した児童に対する教員の比率を下げております。本年またお下げになりました、基準をですね。これは御承知のように下げております。そこで来年もまた下げる御意向なのか、あるいは来年はこのままじゃいけないから、もっとおふやしになろうという御意向でございますか、文部大臣から一つ御答弁願いたいと思います。
  128. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 私からお答えする先に、局長から事情を御報告申し上げます。
  129. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 私本年度予算を組みました実情をちょっと申し上げまして、御参考に資したいと思います。本年は御承知のように七十七万人ほど児童生徒がふえますので、それに対しまして、どれくらい学級数がふえるかという推計をいたしまして、それに対しまして、今度は一学級当りの教師の率をかけて、それで増員数を出した、まあこういう積算をいたしたわけであります。考え方といたしましては、あくまでも昨年の実績を、実態を維持していきたい、かようなことを基本にして考えておるのであります。で、単級数の増を推計いたしますにつきましても、昨年度の一学級当りの実績で増加の児童生徒を割って、それで増加学級数を推計し、それから一学級当りの教師の数の率も昨年の実績を見まして、小学校におきましては十二分の十三人、中学校におきましては九分の十三人、これを出しまして、そうしてそれをかけましたものを増に見たわけであります。ちょっと申し落しましたけれども、あくまでこれは国庫負担法の建前が実績の二分の一負担ということでありますので、あくまで実績主義を貫きたい、まあこういうことでございました。そこで二十九年度の実人員はこれは当然おさえて、その上に、今申しましたような方式で計算いたしました教員増加推計を加えて、その合計を本年度の教員数の推計といたしまして、その予算を組んだと、まあかようなことでございます。あくまで二十九年度におきまする全国の平均をそのまま維持していきたい、かような考え方で予算の措置をいたしたわけであります。
  130. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 大体今局長から御説明申し上げました通りでございまして、来年度も同様の標準でやっていきたいと思っております。
  131. 湯山勇

    湯山勇君 今の大臣の御答弁は、またあとでお伺いしますが、私のお尋ねしているのはそういうことではなくて、昨年は今のように増加した児童生徒に対して、小学校は六分の七、それから中学は六分の九でしたか、こういう基準で算定されたんです。ところが昨年は今私がお尋ねしたように、地方財政等の関係がありましたために、実際はそこまで充足されないでもっと下でございました。その下へいった実績についてやられたということになったわけですから、そうすると、昨年の六分の七に対して今年は十二分の十三ですから、十二学級について一名ずつ減っておるわけです、基準が……。これはおわかりでしょうか。そういうことで、そこで今の実績というのは、はなはだ私は局長の口からそういうことを言われるのはおかしいと思うのですが、文部省が昨年算定されたのは子供が九十万以上ふえるのだから、どうしても二万以上なければ教育の場が持てない、こういうことで昨年そういうふうになさった。文部省は二万ふえることを期待しておったわけです。ところが局長が言われたように、地方財政の関係でそこまでいかなかった。これはまことに遺憾なことでざいます。大臣にとっても遺憾なことだと思います。その遺憾であった状態を基準にして、遺憾な実態を今年の基準にしてふえた子供に対する増員措置をされたということは、まことに遺憾な状態を肯定されたことになる。だから実際は、おっしゃっておる基準は下っておるわけです。今年の定員の基準は昨年よりも下っておる。こういうことを繰り返していけばまた下ります。そこで大臣にお尋ねしたいのは、こういうふうに現在のような地方財政が急迫した事態では、なかなか定員を組まれても実際充足しにくい実態がありますが、たとえば六学級に七名という当初にお考えになった基準はあくまでも堅持されていかないと、そう堅持されても実態はそこまでいかないのだから、その基準を守るように来年からやっていかれるかどうか、これを文部大臣にお尋ねしておるわけであります。
  132. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) ただいまのところ明確にお答えを申し上げかねますけれども、地方との情勢にもよるから申し上げかねますが、しかし何とかして維持をしていきたいつもりで努力をする考えでございます。
  133. 湯山勇

    湯山勇君 ぜひそうしていただきたいと思いますのは、なるほど基準が平均すれば、一学級の児童生徒数は四十何名ぐらいになっておるかと思いますが、しかし実際は地方では小さい学校はとても一学級四十人編成はできません。そういうのが大きい学校にしわ寄せして参りまして、中都市ぐらいな所では、東京のようなところは別に計算ができると思いますけれども、いなかをかかえた中都市では七十名近い小学生を一学級に入れておる所がたくさんございます。これではなかなか教育はできないし、それから昨年までは、一年生と二年生とは別々におりましたのを、今年になって一緒にしなければならない、こういう事態が起っております。実例はたくさん示すことができますが、ぜひこういうことのないように、この点については文部大臣の御尽カを願いたいと思います。
  134. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ちょっと補足説明をさせていただきます。すでにこれはおわかりのことと存じますけれども、今の計数で計算をいたしましたのは、あくまで増加児童についてだけでございます。二十九年度の実人員というものはあくまで押えておりますので、全体のその学級に対しまする比率が下った、こういうことにはならないわけでございまして、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  135. 湯山勇

    湯山勇君 そう言われれば、また私言わなければならなくなる。同じことですよ、言われるのは。まあこの問題はこのくらいにして、教材問題、なぜ教材費は単価をお下げになったのでしょうか。
  136. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 教材費につきましては、約一〇%の予算の総額におきましても切り下げになっておりまするが、これは財政全般の要請からいたしまして、やむを得なかったものと考えております。
  137. 湯山勇

    湯山勇君 そういう御説明では私は納得できません。財政全体の事情から減すのならば、まだまだ減さなければならないことは今の日本の国の予算にはたくさんあります。特に小学校義務教育の教材費まで、一〇%と言われると一割ですから、今だってPTAとか寄付金とかによってまかなわれておる義務教育費は莫大なものです、国がお持ちになるよりもはるかに大きい。そういう実情の中にあって、なおかつ教材費を下げるというのには、国の財政がどうこうということでなくて、もっと大きい理由がなければこういうのには手をつけてはならないと思います。それを下げたのですから、かくかくしかじかだというもう少ししっかりした確信のある御説明がいただきたいのです。
  138. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) これはお話しの通りに教材費を減すことはきわめて遺憾でございました。これは一律に節約をくいましたがために、ついこれまでもこういうことになったのでありますので、次の機会に相当考慮いたしたいと考えております。
  139. 湯山勇

    湯山勇君 これは教材費を国の負担でお減しになっても、その分はみんな父兄に行っております。だから国はただ国の負担を減して父兄に肩がわりしただけですから、これは一つ大臣言われました通りに、昨年度も私はずいぶん局長にお願いしたはずで覚えていらっしゃると思いますけれども、減すとはもってのほかで、ぜひ文部大臣の力で返してもらいたいと思います。
  140. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) これは全く不用意でありましてどうも……
  141. 湯山勇

    湯山勇君 それから片っ端からお尋ねせんといかぬようなことになりますので、時間の都合もありますから、あとで残ったものはお尋ねいたしますが、僻地教育です。僻地教育につきましても、これは昨年は緒方局長も、確かに来年からは僻地教育についてはしっかりやります。法律もできたことだから、大臣はおかわりになりましたからですけれども、確かに本年はいたし方ないけれども、来年からは僻地教育については、十分一つ御期待に沿うように努力するということを、当時大臣もおっしゃったし、局長もおっしゃった。ご記憶だと思います。そこで本年出されましたのを見ますと、今の両院の修正してふえた分は別といたしまして、その他ではほんの申し訳程度の増額にしかなっておりません。これでは僻地教育の振興ということはできないと思いますが、私は一つ一つについてでも意見があるのですけれども、時間をとりますから、全般について一つ局長からそれらの経緯、なぜこれだけしかできなかったか、こういうことについて御説明いただきたいと思います。
  142. 松村謙三

    ○文部大臣(松村謙三君) 私どもはある程度力を入れたつもりでいるわけでございますが、僻地の住宅につきましても、僻地の手当につきましても、また今度これは私どもの方じゃないのですが、予算の修正の結果として集会室の費用にたしか二千万円ばかり増額してあります。前年と比較して六千万円程度の増額になっていると思うのです。これで満足はできませんけれども、ある程度の予算は増額いたしたと思っておりますが、詳しいことは今局長から御説明申し上げます。
  143. 湯山勇

    湯山勇君 費目の内容はよくわかっておりますから。
  144. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 僻地教育の施策はいろいろあるのでありまするが、私ども金額は割合少いのでございますけれども、教育の内容の充実と申しますか、いろいろ教育をやります上の資料とか、あるいは研究の経費とか、あるいは実験研究室を設けましてやる費用というものは、金額は少くても相当充実すべきものだと考えまして、努力いたしましたけれども、これも昨年から見まして御指摘のようにふえておりません。しかしながらこれはあくまで一つ一つ、地味でもこの点は続けていきたいと、かように考えております。昨年度予算につきましても、各地方で非常にまじめに僻地の先生方が教育の内容の充実につきまして努力をしてもらっていることは、非常にありがたく存じております。今年度のこの費用はぜひ有効に使っていきたいと考えております。それからなお私ども努力をいたしました一つの点は、金額はささたるものでございますけれども、あまり大したものじゃございませんが、単級複式手当を三倍にいたしました。この点はやはり僻地手当は前のままでありますけれども、単級複式手当を三倍にいたしまして、幾らかでも僻地におきまする先生たちの御苦労に報いたい、またさような学校に人材が少しでも行くような方策をとりたい、かようなことを考えたのであります。そのあとの部分につきましては、今大臣からお話しもございましたように、国会修正等もございましたために若干延びた点もありますけれども、御指摘がありましたように、昨年からさほど変っておりません。けれどもさらに今後私ども十分努力をいたしたいと思っております。
  145. 堀末治

    堀末治君 今ちょうど僻地手当の問題が出ましたが、これはこの間も本委員会大臣にお尋ねしたのであります。実はあの節あまり時間がございませんので、できるだけ端折って申し上げたのであります。いわゆる臨教員養成所の経費の問題であります。   〔副主査退席、主査着席〕 実はこれはまあ主として北海道、私北海道ですが、北海道は去年まで三カ所であった。その三カ所の経費も非常に足りないので、ぜひ増額をしてほしいということを私も依頼を受けて、今そこにいる稻田さんにもこれは一両回申し上げた。大臣にもちょっと申し上げたのでありますが、遺憾ながら今度減らされているのですが、これはどういうわけで減らしたか。わずかなことですけれども、四百十五万四千円のうち、八万三千円減らされておる。そうして一方十一が十三にふえておる。これがどういうふうにして費用を分けるのですか、私費用の分け方はわかませんけれども、この間も申し上げましたけれども、大体二分の一の補助をするという文部省政令を出しておりながら、今までの経費は四分の一強くらいしかやっていない。なおかつ今度はふえておるのです。そこへもっていって、要するに今度経費が減らされたということになると、今まで以上一そう減らされるのですが、これも何とか——この間もお尋ねしたのですが、なりませんか。
  146. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) お話しの点はまことに遺憾に存じておるわけでございます。先般御質問の点にもあったわけでございますけれども、何としましても、本年度予算の操作といたしましては、これを他から流用いたしますわけにもいきにくいので、重々遺憾に存じておるわけでございまして、すべてを将来にかけて努力をお誓いいたしたいという以外には、まことに申しわけないことでありますけれども、申すことがないのであります。
  147. 堀末治

    堀末治君 これは何ですか、十一を十三にふやしたということになるが、それに対して当然予算も増額されなければならないと思うのですが、しかも二分の一を補助するという政令があるのですが、一体どうしてそれを増額せなんだのですか。
  148. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) まことに申しわけないことでありまするが、結果におきまして昨年とほぼ同様、多少節約を受けたという結果に到達いたしたわけであります。
  149. 堀末治

    堀末治君 どうも私それだけではちょっと満足できない。せっかくこうして僻地のいわゆる集会所などを二千何百万円もふやすことですから、せめて二分の一と政令できめておるのですから、これに対して二分の一くらいやってくれても私は一向差しつかえないではないか。これはこの間他の委員会でも問題になっておるのですが、政府自身が自分できめて自分でこわすという、これは全く標本だと思います。これはしかも強化するのですが、どうするのですか。実際の手続を知りませんけれども、十一のやつが十三にふえておるのですから、あなたの方で御承知がないのならともかくも、内容もわかっておれば、当然それだけふやさなければならぬ。かりに四分の一だけよりやれないという情勢であっても、ふやすのはその二校分だけはふやさなければならないと私は思います。それを今言った通り、そういうような答弁じゃはなはだ不誠意きわまる。私は稻田君に対して私北海道の実情を申して、予算編成——去年のうちから私申し上げておいた。大臣に対してはほんの短時間のうちに申し上げておいたことですから、御多忙のおからだで、なかなかお耳にとまらなかったと思う。またごく小さい問題ですから、大臣をわずらわすほどの問題でもないと思います。稻田さん、あなたの受け持なんですよ。あなたにはるる申し上げた。せめて一校に五十万円ずつでもやってくれないかということを、私は金額までもあなたに申し上げたのです。これは実際今単級複式のようなものの手当を増したということですけれども、北海道のいなかへ行ってごらんなさい。三千円くらいの要するに僻地手当ぐらいもらったって、血の気の多い者はいなかには行きやしませんよ。特に北海道の離島なんかは行ってみると、みんなそうだ。行ってみると、仕方がないから、全部自分の村の子弟をこういうところに入れて、そうして向うに連れて行っている。要するに道庁あたりからもらった金額は全部今言った通り給費にして、ちょうど昔の師範学校と同じような要するに一種の義務制にして連れて行っている、こういうわけです。それだから要するに、これはむらがあることは目に見えている。それで私はあなたにこれを持っていって申し上げたのだが、二校がふえているのに全然それに対して考慮しないということは、私は何としても納得できませんよ。しかもあなた、減らしている。わずか八万五千円ですが、どういうわけで減らしたのか知りませんけれども、これだと四分の一どころでない、まだまだ減っている。二分の一というのは一体これはたれがきめたのですか。あなた方が相談しておきめになったのじゃないですか。私は文部委員でもなかったから何も知らない。何も知らないが、あとでだんだん調べてみると、二分の一とちゃんと政令できめている。しかもたくさん要る膨大な経費ならまだしものこと、ほんのわずか四百万円、ここの中に集会所費を二千何百万もふやすのだったら、せめてその中から百万円でも百五十万円でもふやしてやれば、何ほど助かるかわからない。私はどうも稻田さん、あなたの答弁では納得できませんよ。はなはだ不親切きわまると私は思う。何とかやりくりしてやれませんか。
  150. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) まことに遺憾でございまするけれども、やりくりという点につきましては、別に今考えがございません。
  151. 堀末治

    堀末治君 大臣、何とかなりませんかな。
  152. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) この間もお話しを承わり、今も重ねてのお話しでありますが、今のところ何とも申し上げかねますけれども、もしも他の費目から流用等ができますならば、最善の考慮をいたしたいと思います。これから調べさせて善処いたしますでございます。
  153. 堀末治

    堀末治君 ぜひどうか大臣一つわずかのことですから、お願い申し上げます。  なおもう一つ、これがなるかならないか、お尋ね申し上げたいことは、今言ういなかにわざわざやるためにそういう給費のようなことを地方費でやって、そうして生徒を養成しているのですね。それですから、そういうことのために、何か育英費の中からそういうものを特に出すような道が講ぜられないかどうか。そうすれば向学心に燃えた連中が、要するにこの育英、自分もそういう意味においててでも喜んでそういうところに入って、そうして三年なら三年、四年なら四年という義務を果して、それがまた一そう上の方にでもいく、こういうようなことになるのじゃないか、こういうことも思うのですが、何かそういうことのために育英資金を活用する道はございませんですか。
  154. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 育英会法の今日の解釈といたしまするならば、これは学校の学生、生徒に限る解釈がまあ普通でございまするので、ただいまのお話しをただちに考慮するということも相当疑問がございまするけれども、ごもっともな問題でありまするので、将来の問題といたしましては、鋭意研究いたしたいと思っております。
  155. 堀末治

    堀末治君 それは将来などというと、いつのことだかわからないのだ。私はもう毎々言うている。なるべくこれを近いうちに研究して、なることならば学生に限ると、その入った生徒を対象にしてもいい。そこの養成所に入れば、こういう要するに国家から恩典を受けられるのだということになれば、やはりいなかにおって向学心に燃えている連中はそれを相手にまたはいれる。それですから、将来などという長いことを言わないで、そうめんどうなことでないので、何とかこれを至急に御研究を願えませんでしょうか。
  156. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) ただいま申しましたように、適用いたしますためには法律の改正を要するのじゃないかと考えておりますが、この点なおとくと考えたいと思っております。
  157. 堀末治

    堀末治君 なるべく今国会中によく御検討下さいまして、いずれ文教委員会あたりででも一つ御返事をお願い申し上げます。
  158. 吉田萬次

    吉田萬次君 簡単な問題でありまするが、公民館の問題でありまするが、今日公民館の必要というものは、社会教育の上においても非常な重要な問題であります。しかるに今度予算面を見ますると、昨年二千四百万円のものが今年千八百万円に減っておるようでありまするが、どうして減額をせられたのか、その理由を一つ聞かしていただきたい。
  159. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 公民館の経費は多少減額されましたことは、私ども非常に遺憾でございますが、財政の関係でいわゆる節約を受けた部分についての減額をこうむった次第でございます。
  160. 吉田萬次

    吉田萬次君 公民館の必要ということは、この際私が述べんでも実際活用されていることは、中小都市からいなかの方面へ行きましての役割、公民館のあり方というものはきわめて重大なものであり、かようなものによって社会教育というもののほんとうの意義ができてくると思うのであります。また今度の文部大臣の方針もやはりそこにあると思うのです。その重大な問題を、昨年二千四百万円あったものをどうして千八百万円に削ったか、私はいかに経費節約ということに口をかりて御答弁をなさいましても、事柄によっては半額に減ってもまた了承すべき点もありまするけれども、しかしながらこういう問題を減額せられるということはどうして、どういういかなる理由によってせられたか、私はその真意を疑うのでありまして、まことに遺憾のきわみに存じます。かような問題に対してどういうふうなお考えを持っておられるか、あるいはこの問題をどう解決しようとする心がまえでおられるか、承わりたい。
  161. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 公民館の補助は、公民館の奨励をいたしましてから約十年くらいになるわけですが、最初は運営費補助でいたしておりましたけれども、昨年から設備補助といたしたわけでございまして、それはつまり公民館は民間の自主的な財政によってまかなっていくということが一応本体になっておりまして、その力でもって今日まで育って参りましたが、運営の経費に関しては地方の力でやってもらうのでありますが、相当公民館も実力を持って参りましたので、むしろ設備の面に力を入れて、文部省として補助、奨励をいたしたいということで、昨年からその方針が変ったわけであります。そこで設備の経費は昨年よりお話しのように少し減額になっておりますけれども、年々設備も全般的には充実してきておりますので、財政の関係からやむを得ず、一割五分程度の減額はやむを得ないということで、大へんわれわれとしましては、残念でありますが、これでもって公民館の育成奨励ということに全力を尽したいと考えております。
  162. 吉田萬次

    吉田萬次君 内容の設備が充実してきた、あるいは充実しつつあるとおっしゃるが、どこを見てあなたそういうふうなことをおっしゃる、公民館というものはほとんど内容の設備というものに対して完全なところがないじゃありませんか。今日一つミシンを入れるにいたしましても、ラジオを引くにいたしましても、そのところの人間がどれだけ利益を受けるかということについて、どこの公民館を見たらそういう設備が完備しておりますか。実際各地方におけるところの公民館というものは建物こそ存在しておりますが、内容の設備が充実し、あるいは充実せんにいたしましても、非常な貢献をするところの設備というものはほとんど見受けられないのであります。どうしてかような重大な問題に対して、四百万円くらいの費用を節減せねばならぬというほど、文部行政において窮迫しているかと、重ねてお伺いいたします。
  163. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) その点お話しのように、設備は必ずしも完全にいっているということはございませんけれども、公民館の性格からいたしまして、地方の財力というもので自主的に育てるというようなことになっております関係もありまして、財政の一般方針に従って節約を受けたということで、大へん私としましても非常に残念でありますが、その程度で一応了承しているような次第でございます。
  164. 湯山勇

    湯山勇君 大蔵省はどなたかおみえになっておりませんか。
  165. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 大蔵省主計局の鳩山主計官がみえております。
  166. 湯山勇

    湯山勇君 主計官にお尋ねしたいと思いますが、僻地教育というようなものは、それは事実をよく知っていただかないというと、なかなかおわかりいただけないと思います。で、昨年は文部省は十二億ぐらい要求をしたはずでございますけれども、それがこの集会所費を除けば一億にも足りないような査定を受けております。本年は文部省としてどれだけの要求をしたかは存じませんけれども、実際僻地にいる子供にしても、教員にしても、苦労をしておりますので、これはぜひとも大蔵省の方でも実態調査をやっていただいて、もう少し僻地教育について、国の財政がどうあろうとも、義務教育を受けるために一部の子供たちがこんなに苦労しているのだということをおわかりいただいて、今後ぜひ善処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、大蔵省とされましては。
  167. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 僻地教育につきまして振興の法律ができまして、御趣旨に沿うように努力いたしているのであります。その僻地の実態というものが、なるほど私どもなおいろいろ研究すべき点がございまして、まあ僻地とはどういう所かというところからこれは問題があるわけであります。そういう点からまず実態調査をやる必要がお説の通りあると思います。本年そういう経費も計上いたしまして、実態調査をやりたい。そう考えております。  で、本年度予算につきまして非常に御不満と存じますが、私どもいろいろ現地の各地の御要望も承わっておりますが、その中で最も差し迫って何をやるべきかということを考えまして、その際やはり現地の教員の方が、やはり優秀な先生がなるべく行けるということが、一番とにかく教育内容にすぐ響く重要な問題であるというふうに考えまして、で、まず単級複式の手当——これはそういった所は必ず僻地であると思われますので、これをまず計上いたしたわけでございます。その他職員の宿舎につきましては、これはやはり住宅という問題が今回の政府の大きな政策となって参っておりますので、そういう点も考慮いたしまして、教員の宿舎をふやしたい、こういうふうに考えて、今年度の非常に御不満とは存じますが、増額をはかった、これで御了承願いたいと思います。なお、今後実態調査等判明いたしました上、来年度以降研究いたしたいと考えております。
  168. 湯山勇

    湯山勇君 これはぜひ実態調査をしてやっていただきたいと思います。それから単級複式の手当を増額されたことは非常に感謝しております、これは非常によくなると思いますから。  で、宿舎の問題でございますが、一戸当り幾らの補助をみておられますでしょうか。
  169. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 積算といたしまして二百五十戸分を計上いたしてございます。二千四百五十三万六千円計上してございますが、ほぼ一戸当り十万円、そういたしますと、約三分の一補助ということで三十万円というようなふうになっております。
  170. 湯山勇

    湯山勇君 これも僻地というような所は村も小さいし、そういう所はずいぶんたくさん学校を持っております、一つの町村の中に。そこでそれぞれの小さい学校へ宿舎を建てる場合に一戸当り十万円弱の補助をされて、そして残りの二十万というものを地方で持てと言われましても、なかなかこれは町村では持てません。で、一昨年は五、六万でしたが、それが十万弱にふえたことはこれは私もいい傾向だとは思いますけれども、僻地教育の実態からお考えいただきますならば、やはりこれは半額なりあるいは三分の二なりということにしなければ、実際はこういう制度があっても県なら県へ持ってゆきましたときに、県はこれの配分に困るのです。小さいものをたくさんに分けますから、そこでもらってかえって迷惑するという事態も各所にありますので、やはり大きな問題は住宅の問題ですから、ぜひこれを御考慮願いたいと思います。その他いろいろありますけれども、僻地の問題はこれで終ります。  次に文教施設のことについてお尋ねいたしたいと思います。これもたくさんありますけれども、まず危険校舎のことについて今日のこの程度の予算で、本年計上された予算で、衆議院で修正された程度の予算で、現在の危険校舎を解消されるのには何年かかるという御計画でございますか。
  171. 安島彌

    説明員(安島彌君) 御説明申し上げます。危険校舎は義務教育学校と、それから今年初めて入りました高等学校、この二つでございますが、義務教育学校につきましては、今年の工事量が約二十万坪ということになっております。で、義務制学校の危険校舎の全体は約百万坪と見られておりますので、約五カ年でこれを解消する、そういう計画でございます。高等学校につきましては、危険校舎の坪数の取り方にいろいろ問題がございまして、現在検討中でございます。
  172. 湯山勇

    湯山勇君 百万坪と言われるのは、これはまあ古さだけでは、年限だけではゆかないと思いますが、しかし今基準でとるといえば年限が一番わかりやすいと思いますが、何年以上経過したものになっておりますか。
  173. 安島彌

    説明員(安島彌君) 御説明申し上げます。古さだけではございませんで、たとえば柱の古さでございますとか、あるいは南の方に参りますと、アリ害があるわけであります。それから土台の置き方、その他いろいろ建築上の事情がございまして、古いから悪いということには必ずしもならない、若朽というものも相当含まれておるはずでございます。
  174. 湯山勇

    湯山勇君 今のようなことは私もお聞きしております。ただ、しかしながらそういう柱の大きさとか、それからアリの害とかいうようなものは特殊なものと言えば特殊のもので、普通のところで、普通学校建築に使う木材というようなものでいって大体どれくらいでしょうか。昨年は大体まあ木造であれば四十年以上くらいなものが大体対象じゃないかというようなお話もあったのですけれども、本年は何か点数制というのをとっておられるそうですけど、大体年数でもりて御見当が立つのじゃかと思いますので。
  175. 安島彌

    説明員(安島彌君) お答えいたします。ただいまお話しがございました通り、今年は耐力度調査というものをやりまして、それによって危険校舎であるかどうかという判定をやっているわけでございます。その中の一つの要素といたしまして、建物の経過年数というものが取り上げられております。でございますから、建物の経過年数のみによって、ある建物が危険であるかどうかという判定はいたしていないわけでございます。
  176. 湯山勇

    湯山勇君 これはまたもう少しあとでお開きします。これの財源とか、そのほか起債の問題とか、いろいろお聞きしたいことがありますから、大臣にお聞きするのを先にお聞きしたいと思いますから。私は昨年もお聞きしたのですけれども、本年特に化学の研究とか、ケミストリーの化学ですが、こういうことの研究に特に大臣は力をお入れになっておられます。ところが大学の教授の研究費、講座の研究費、これは大臣もあるいは御承知かと思いますが、実は予算の上では七十万とか二十万とか組まれておりますけれども、その中でガス代だとか、あるいはそのほかの共通な費用にとられてしまいまして、講座の研究費などというものは実際は七十万組まれておりましても、研究に使える研究費というのはその三分の一ないし四分の一ぐらいしかございません。こういう状態では幾ら研究費をお出しいただきましても、その研究費は正しいことに、正しいというか、直接目的とするところに使われないのが実情ございまして、昨年もこのことについては指摘しておいたのですけれども、その後私はいろいろなところで聞いてみましても、依然としてその状態は変ってないようでございます。こういう状態を大臣はどうお考えになられますか。お聞きになっておられたかどうか存じませんけれども、これでは、こういう状態では放置できないと私は思うのでございますが、大臣一つ御所見を伺いたいと存じます。
  177. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 私予算の編成は就任早々のことでございまして、それらのことは存じませなんだが、あとでだんだん事情がわかって参りますと、ただいまお話しの通りでございます。科学振興費のごとき、できるだけ大きく研究に使われて効果が上るべきものが、それが全くこう小さく分取りされてしまって、講座費の不足の方に回されるというような状態、それであるから、何といたしましても庁費と申しますか、講座費をふやさなくてはこれはどうしたって科学振興費も生きて参りませず、学術の内容も整備いたして参りませんから、ぜひそれ々増したいと考えまして、明年の予算編成に当りまして、そこへ主力をおいて改善いたしたいと考えておるところでございます。
  178. 湯山勇

    湯山勇君 そこで大臣に重ねてお伺いいたしたいのですが、結局講座研究費なり教授の個人の研究費にしても、ガス代だとか電気代とか、そういう経費にどんどんとられていきまして、何回もとられていって、結局渡るときには当初文部省で考えておられたものの三分の一に足りないということになるのでございますから、で、これだけの今申しましたような消粍品費とかあるいはその他の雑費です。こういうものは別ワクにして、研究費は研究費として純粋に他使えないように、そういう措置はとれないものでございましょうか。
  179. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) よくその話を学校の当事者からも承わりますが、詳しくは大学局長説明をさせていただきます。
  180. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) ただいまお話しのように、講座研究費あるいは学生費、庁費等をもって校費を形成いたしておりまして、一応それぞれの積算の基礎はありながら、運営いたしまするところはそれを一体としていたしておるわけでありまして、これは別に根本的にとがむべきことではないのでございますけれども文部省はある年は講座研究費を増し、ある年は庁費、旅費等を増して参ったわけでございまして、ただいま御審議いただきます予算におきましては、ことしは主として庁費を増すということに力を入れまして、事務官の庁費等は倍近い金額に増額になっております。明年度以降におきましては、一面先ほど大臣お話しのように、講座研究費そのものの増額を考えますると同時に、お話しのように大学の財政を十分調査いたしまして、いろいろ積算の基礎等につきまして、改むべきこと等がございますれば、大蔵省その他とも十分将来研究して参りたいと思っております。
  181. 湯山勇

    湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、やはり新生活運動についてでございます。大臣は先日約五千万円を新生活運動に使いたいというご説明でございましたが、この五千万円を受ける対象でございます。これはどういうところを御予定になっていらっしゃるのでございましょうか。
  182. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 私は先般も申し上げました通りに、いずれ民間に新生活運動本部と申しますか、とにかくそういう一つの団体ができまして、そうしてどこに重点を置いて新生活運動を開始するかということがきまりましたならば、それに対して助成をいたしたい、こういうふうに考えております。今文部省としての考え方で、個々の今すでに新生活運動をやっている団体がありますから、それへ文部省から直接個々に出すということはただいま考えておりません。その本部の団体ができまして、その本部の団体の考えに基いて助成をいたしたい、そういうふうに考えております。
  183. 湯山勇

    湯山勇君 その本部というのは市町村とか府県単位でなくて、その本部の構成、構想でございますが、それはどういう構想を持っていらっしゃるのでしょうか。たとえばでございますね、今東京都では新聞で見ますと、新生活運動として中元の贈答を廃止するという運動を東京都は新生活運動としてやっておるようでございます。それからまた新生活運動という言葉が各県それぞれに各程の団体が新生活運動というのを始めておるようでございます。そこで文部大臣の構想としては、各種の団体が集まって何でもいいからとにかく新生活運動、いろいろなものが集まって本部というものを作りさえすれば、それが県であろうが市であろうが町村であろうが、そういうものに対してま補助をして助長をしていこうというお考えなのか、その本部というものについても大体こういうものという構想をお持ちになっていらっしゃるのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  184. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) ただいま大体考えておりますその組織のやり方は、第一に各党派の——予算通りますれば各点派のこれに対する御了解を得まして、そして世話をしていただく発起人と申しますか、になられる各方面の方を選びまして、できるならば総理大臣から呼びかけて、何とか新しい運動をしていただきたいという呼びかけをいたして、そうしてそれらの方々が寄って御相談の上、各方面へ呼びかけて中央に一つの団体を作っていただきたいと考えております。そこで中央にそういう一つの団体ができますれば、その団体からまた各府県の有識者に呼びかけまして、各府県に同様のものを立てていただく、そしてそこに脈絡をとって新生活運動を一つの大きな国民運動として進展させていただきたい。こういう構想を持っておるわけでございます。従いまして、それらの費用については国がすべてを持つというわけではございませんが、その一部を助成いたしまして、その流し方は中央の本部の中に流し、中央の本部が各府県なりもしくは個々の方へ流すことになりますか、その点はまだしっかりした計画を持っておりませんけれども、いずれそれができましたら、相談をいたしましてやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  185. 湯山勇

    湯山勇君 次に教科内容についてでございますね、大臣に伺っておきたいと思うのでございますが、本年度学習指導、それから教科書の何と言いますか、編集の費用、これが相当増額になっているようでございますが、これの意図するところのものはどういうところでございましょうか。
  186. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 実は学習指導要領の全般につきまして、ただいま検討いたしておるわけであります。特に社会科につきましては、すでに二十九年度におきましてこの改訂の作業を進めまして、新しい方策をきめたわけでありますが、三十年度におきましても、その本の科目、教科につきましても、たとえば中学校の国語、算数、あるいはそのほかの中学校の段階におきましてもいろいろ検討しなければならぬ問題があると考えております。従いましてこれらを検討し、学習指導要領の改訂を行い、それからさらにその趣旨を地方に徹底をする、かような一連の努力をいたしたいと考えておりまして、その教科内容改善の経費を計上している次第でございます。
  187. 湯山勇

    湯山勇君 そこで文部大臣が昨日相馬委員にお答えになった教科書に対する御態度でございますが、教科書はなるべく少くして、兄の使ったのを弟が使えるようにする、それから教科書の種類が多過ぎるというようなお話しでございましたが、今のようにやはり学習指導要領が変れば、教科書というものは学習指導要領に合わして作らなければ合格しないのでございます。そうして採用する側も学習指導要領に合ったのでなければ採択いたしませんから、自然に教科書は改まってくるし、種類も多くなってくる。こういうことになりますので、問題は私は教科書を減すとか減さないとか、そういうことに重点を置くか、それからたとえ教科書がふえようが減ろうが、数がどうなろうが、兄のを弟が使えなかろうが、とにかくいい学習指導要領を作って、内容のりっぱな教科書を使わすんだという基本的態度を作るか、これが私は教科書に対する基本的な考え方ではないかと思います。文部大臣は昨日は教科書だけについての御答弁でありましたけれども、この点につきまして教科書の問題をいろいろ処理されるときに、やはりそれはその根底にあるものはりっぱな教科書を作ることであって、もしそれと相矛盾するようであれば、教科書の改訂もこれはやむを得ないというような態度をおとりになるのかどうか、この点若干私は懸念される点がありますので、大臣にお伺いいたしたいと存じます。
  188. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 昨日申し上げましたのは、大体の改正のどうするかというワクだけを申し上げたわけでございまして、その内容を申し上げたわけではございません。今お話しの点は、教科書をしょっちゅう変えなくちゃならない大きな原因をなしておりますことはよく存じております。従いまして、それらも検討いたして、できるだけそういうくだらんことに変更をするようなことはしないようにすると同時に、しかしながら必要なことはこれは改めませんと進歩がありませんから、できるだけそういう改訂の必要を少くすると同時に、研究の際にはまたやむを得ないものはこれはやらざるを得ないと、それまでとめるという態度はとらないつもりでいるのでございます。
  189. 湯山勇

    湯山勇君 文部大臣に対しては、これで私は質問を終ります。
  190. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  191. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 速記を始めて。
  192. 高田なほ子

    高田なほ子君 湯山さんの教科書の問題にちょっと関連しますけれども、教科書を安くするというとこについては非常にいろいろ御苦心が払われているようですが、きのうは相馬委員は輸送費の問題にふれたと思います。輸送費のほかにもっと教科書を安くするために文部省としては打つ手があるように思うのですが、雑誌や新聞よりも教科書の輸送費というものは特典を受けておりませんね。きのう相馬さんは輸送費の問題でももう少し安くできないか、展示会の見本に提すものに対してももっと輸送費を安くできないかという内容を含んで質問されたと思う。そういうことはお考えになっていると思いますが、それよりも非常に重要に考えることは、やはり教科書が非常に高くなったと思われるのは用紙の統制、あの問題から教科書の値段がカーブを示して高くなっているように、やはり教書科の用紙はできれば特別な計らいをもって取り扱わなければならないように考えられますが、用紙の問題なんかについても何か文部省として案がございましょうか。
  193. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) それはかねて申した通り、ただいまのところは、この改正の方針だけをきめましたので、紙をどうするとか、税金をどうするとかいうような細目に至りましては、何らまだまとまった調査をいたしておりません。申し上げるところまで参っておりませんので、これからそれらを含めて研究をいたしたいと思っております。
  194. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではちょっと今度の政府から出されている再建整備方式がかりに通りますと、相当にこれは教育に影響をもつという見通しをもっているわけです。そこで、第一番にお尋ねしたいことは、児童数の増加は一昨年度から非常に急カーブをもって上っております。この上った率は数字をもっていろいろ示しておる向きもあるようですが、文部省としては二十七年度来の児童数のパーセンテージと、これに対する教員数の増加の比率のパーセンテージ、そういったような数字をお持ちになっているのではないか。私の持っている数字は正確かどうかわかりませんが、二十八年度、二十九年度というふうに非常に児童数の増加に比べて教員数の増加の比率が幅が開いてきている。つまり教員の増加率が児童数に対して適正な増加率を示していないということを物語っていると思うのですが、文部省の方の統計でもしパーセンテージがありましたら、二十七年度からのを示していただきたい。
  195. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 児童数の増加の数字はここにございますけれども、教員の増加数の数字につきましては、ここに手元にございません。ただ、今おっしゃいましたような事態は若干起っていると思います。
  196. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは私の持っている数字を見ますと、小学校では児童の増加率が二十八年度一〇一%、二十九年度一〇五%、三十年度二〇%に対して、教員の増加率は二十八年度  一〇〇%、二十九年度一〇二%、三十年度は一〇六%、中学校では生徒の増加率が二十八年度は一〇二%、二十九年度は一一二%、三一年度は一一七%、これに対して教員の増加率は二十八年度が一〇一%とぐっと下っている。二十九年度はさらに一〇五%三十年度は一〇九%、いずれもこれは児童生徒の増加率に比べて教員の増加率は非常に毎年こういう大きな開きをきたしている。これは現実にはどういうような状態になっているかは、これは私が説明するまでもないと思いますが、こういう原因を除去するためにはどういう方法を今度の予算の算定基準にお使いになりましたか、これを一つどもに知らしてもらいたい。
  197. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 国庫負担金の予算を組みます算定の基準といたしまして、昨年度の実績を確保いたしますように、昨年度の平均の指数をとりまして三十年度の推計をいたしました。二十九年度の実績の上に、昨年度の実績によって算定いたしました増加を見まして、それを本年度の教員数と推算いたしまして予算を組んでおります。従いまして、今お話しのような事態が、国庫負担金の面から昨年度と本年度の比較におきましては起らぬように国庫負担金として措置いたしております。かように思うわけであります。
  198. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねてお尋ねいたしますが、それはわかっておりますが、中学校それから小学校の場合に、政令県と非政令県に分けて方式がありますでしょう。その方式をちょっと数を上げて知らしていただきたい。
  199. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 政令県につきましては、これは政令県は御承知通りでありますが、学校数とそれから単級数に対しまして小学校は十二分の十八、中学校は九分の十三をかけましたものを加えまして、学校数に加えまして、そうしてそれに対しまして三%を加えたものを総計いたしまして教員数を出す、こういう計算をいたしております。それから一般の方はこれは実績負担主義でありますので、二十九年度の実際の人員に対しまして、さらに本年度児童生徒が増加いたします七十七万人、これに対応する教員の増加数を推計いたしたのであります。その推計の仕方は今申しましたように昨年度、二十九年度の実際の平均数をとりまして、学級数の増を推計し、それに対しまして小学校は十二分の十八、中学校は九分の十三、それをかけまして、そうして教員の増加数を推計いたしたのであります。
  200. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると政令県と非政令県とでは、児童の平均数というものはだいぶ違っておるのじゃないですか、数字で違って計算をされているのじゃないですか、計算の方式は。一学級の児童をどういうふうにとっておりますのですか。
  201. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 一学級当り児童の計算の仕方はいずれも昨年の実績で計算をいたしました。
  202. 高田なほ子

    高田なほ子君 昨年の実績はどういうふうな数字になって現われていますか。
  203. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 一般県につきましては小学校四十三、中学校四十六と計算しております。
  204. 高田なほ子

    高田なほ子君 政令県はどうです。
  205. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 政令県は、これは三県かございますが、その実績によったわけでありますが、これは本年の五月一日ですっかりきまってしまいますから、私の予算の積算としてとりました基礎はたしか平均しますと五十一、小学校五十一と中学校五十三であります。
  206. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから大臣の方にお聞まする前に、こういう大事なことをお聞きしなければならぬ、政令県と非政令県とはやはり数字の上に、実績とはいいながら大へん違っておるので、私どもは意地わるく言うならば、やはり逆算方式をとったのではないかという考え方をもって、私も実はいろいろ研究してみたわけです。まあ足りない予算ですからか逆算方式をとることもあり得ると思いますが、そういうところがやはり教育の破綻というところに私はきておるように思われます。  次に大臣にお伺いしたいことは、最近の県財政の赤字のために自治庁が各地方に対して財政調査による意見書を出しているようでありますが、この意見書では教員の配置の合理化を指摘しておるようでございますが、自治庁の言う教員の配置の合理化というのは一体何を意味するものか、私はこの自治庁の意見書に非常な実は疑惑を持っておるわけなんです。文部省としては、自治庁の行なっている地方の財政調査による各県の意見書をどういうふうに一体おとりになっていらっしゃるものか、大臣に、この自治庁の教員配置の合理化という問題についてお話し合いをなさっておるのか、どういうことを考えているのか、そういう点を私は承わりたいと思う。
  207. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) それにつきましては、何らお話を承わっておりません。私の方といたしましては、できるだけ教育に支障のないようにということはかねがね申しておるところでございますが、その合理化の通知については私存じません。局長から詳しく申し上げます。
  208. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 私も意見書というお話しでございますが、どういう意見書であるか、ちょっとよくわかりませんということを申し上げます。
  209. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は率直なことを申し上げると、やはり自治庁の考え方と文部省の考え方とがいつでも食い違っておるように思う。また意見もある黄味では対立している面があるように思う。なぜなら、文部当局としては教員の適正な配置ということを絶えず言っておるけれども、自治庁の方からは教員の合理的な配置というようなことにして、実際には教職員の数を減らすような方向に持っていっているということは、これは文部大臣の常々主張されている適正な配置と非常に背反しているということが考えられる。特に今度の二十年度の各県の県財政の予算の編成を見ると、四十六都道府県の中で昇給の財源を組まなかったというようなのが三十一府県の多きに及んでいると私は聞いております。こういう場合に教職員の給与を適正にするためには一体どういう方法を講じたらいいのか、つまり昇給財源を組み入れない地方をどういうふうにしたらいいかということを大臣にお尋ねしたい。
  210. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) これは当然自治庁といたしましては、神方の財政その他のことを絶えず心配いたすことでもありましょうし、私の方は私の方で、どうかして教育の充実ということばかりを考えます。従って両者の間に絶えず意見の相違と申しますか、互いに交渉を要するものが多いことは、これはまあやむを得ないことでございまして、そういう意味合いにおいて互いに話し合いをいたして、今お話しのような点を遺憾のないようにと思うて努力をいたしておる次第でございます。地方の財政の弊害ということが、これはどうせ教育にも影響を及ぼしてくることは、これは当然やむを得ない現象でございまして、教育といえどもやはり、地方の財政の外に超然たることができませんことは、これは申すまでもないところ、ただそういう事態の中にいかに教育に支障なからしむるかということが文部省当局の責任であろうと考えまして、それは主として自治庁にもお願いしてやっていこう、こういう考え方であります。
  211. 高田なほ子

    高田なほ子君 まことに御苦心のほどはわかるのですが、各県の報告を総体的に調べてみると、ほとんど教育庁が考えておる教員の適正な定員を確保することができなかった。これは数字を一々示しているひまもございませんが、ほとんど全国がこういう状態、どの県でも教員の定数確保のためには非常な苦慮をしている。もちろんこれは教育費の中に占められる人件費の比率が多いということ、あるいは地方の財源の疲弊しているということ、こういうような点があげられるか思いますけれども、これらを打開するために現在の義務教育半額国庫負担費をさらに大幅に負担するというような方式も考えられはしないか、こういうふうに思いますが、大臣はこの点については何か構想がございませんでしょうか。自治庁の長官は教育を確保するために何らかの構想があるやの答弁を予算委員会でしておられました。それで私は文部大臣にもおありになるのじゃないか、こういうふうに考えてお尋ねをしています。
  212. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) それは今日ほかの委員会でも申したことでございますが、義務教育費は今は半額負担になっておりますが、理想とするところはこれは国がすべて持つということが私は理想であると思います。これは私だけの私見でありますけれども、たとえば地方へ交付金え出しますよりも、それだけ兼務教育費の負担を増した方がかえっていいなどという場合も考えられるのじゃないかとさえも思うのでございます。しかしただいまのところはそれらのことはまだ私見の範囲を脱しない、私は何かそういう面に工夫を要するのではないか、こういうふうに考えるのであります。
  213. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから施設の問題ですが、この施設の問題は戦災による復旧というのは予算の面から一応切られているように思うのであります。これはまだ戦災による復旧というのは完璧に復旧しておらないと思うのですね。これはどのくらい復旧しておりますか。校舎ですね。私の数字ではまだ戦災による復旧は半分きりぐらいよりできておらないようですが、こういうものをやたらに切られてしまったのではかないません。  それから第二点は児童生徒が実際においてはふえておるのに、なぜ施設費が減らされたか。私はこの理由の解釈に何としても苦しむものですが、これに対して大臣はどうお考えになりますか。児童がふえたならば、当然施設費も若干の増を見なければならない、戦災復旧がまだできておらないのにそれを切って施設費も切ってと、こういう不合理なことは、これは通らないと思うのですが、いかがでしょう。
  214. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) それにつきましては老朽校舎の問題もあり、またお話しのような戦災の復旧の面にも新しい校舎の問題もあります。そこでそれを何年間に解消するかという財政上の問題とにらみ合してやっているわけであります。老朽校舎の面は実は三年間ぐらいに解消いたしたいと思うておりましたが、財政の都合でこれらは五カ年間というくらいの間で解消させる。それから児童の増加に伴うて新しい校舎の新築ということも、これまた今事務の方から報告さしてよろしゅうございますが、ある一定の年度を期して解消いたしたい、三年間で解消いたす。こういう目安でやっておるわけでございます。
  215. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは数字のことはあとで承わりますが、大まかなことを私は大臣に伺います。現在小学校の児童の一人当りの坪数というのは建築基準に達しておらないと思う。これは文部省調査ですが、小学校の場合は一・〇一坪、中学校の場合は〇・九八坪、これは明らかに建築基準の一・〇八坪よりも下回っている。子供は毎日満員電車の中に入っておるような状況です。こういうようなことについても相当に文部当局としては御心配になっておらるると思いますが、これは一体何年間に基準坪数までしていかれるのか。どうも具体的には校舎に予定しているような所でもほかの方にとられてしまうというようなこともあったりして、非常に私は将来に暗い感じを持つておる一人ですが、校地の獲得や何かについても相当これは文部省がふんばっていただかないと、満員電車式の状態が解消できないのではないか、年ごとにその傾向は強まってくるのではないか、こういうふうに心配をしているわけですが、これについて大臣の御所見を承わりたいと思います。
  216. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 事務の方から説明をさしていただきます。
  217. 安島彌

    説明員(安島彌君) 小学校につきましては〇・七坪未満の不正常授業を、大臣が先ほど御説明になりましたように三カ年で解消するという建前で進んでいるのです。言をかえて申し上げますと、小学校につきましては一般的に〇・七坪未満の不足を満たすという建前はとっていないわけでございます。不正常授業を行なっている小学校において〇・七坪未満のものがあれば〇・七坪まで引き上げる、こういう建前になっております。それから中学校につきましては、御承知のように一般整備という形で不足坪数の解消をはかっているわけです。
  218. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういう五カ年計画あるいは三カ年計画というふうにきざんで計画しておられるようですが、どうも大蔵省は、ここに大蔵省がおりませんから何ですけれども大蔵省はどう本教育に対してさっぱり熱がないのじゃないかと疑うのです。相当文部省の方は熱心だけれども大蔵省に行くと全然教育というものに感覚を持たないのではないかということを疑う。たとえば私でたらめに言っているのではありませんけれども、これもやはり調査したもので言っているわけですが、大蔵省に査定に行くと何でも少くしてしまうのです。実際に合わなくても何でもいい、数字だけ合せればいいという感覚でいっている。これは文部省よりは大蔵省に言わなければならないと思う。それからもう一つ伺っておきます。
  219. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 簡単にお願いいたします。
  220. 高田なほ子

    高田なほ子君 私立学校の振興のために今度予算も計上しておるのでございます、ところがこの私立学校は最近非常に問題が起っているのです。つまり学校の経営難にからんで、理事者側が学校屋のようになってしまって、たとえばラジオでもこの間放送がありましたが、長崎女子学園では生徒の顔がみんな千円札に見える、校長は朝のお話しのときには、必ず生徒の目的は授業料を納めるものであるという訓示を毎月やっているというのです。そういうふうにして、この先生の給与は一般給与よりも下げる。それからチョークのようなものを一本づつ校長が教員に渡している。こういうようなことは最近の私立学校の経営の中に多く見られます。また東京都内にある某ドレスメーカーでも、二万人も生徒がいる、そうして使うミシンさえ与えないというべらぼうなことを平気で最近やっておられる。この点について学校の振興のために私は大いに文部省が力を尽してやっていただきたいが、認可をする場合にやはり相当の研究が必要ではないか、つまり私立学校の認可制に対して、文部省としては再検討の必要がないだろうか、これを大臣にお尋ねし、またこれを是正するために、断然大臣には立ち上っていただきたいということを私は強く要望するわけです。
  221. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 私は私学振興ということは、これはぜひ必要だと考えておりまして、いろいろ方策も考えねばならぬと思うております。なぜかならば、官学の大学生は十八万くらいなのに比しまして、私学には二十八万からおります。これらの者が官学のほどにはいきませんでも、ある程度のこの教育を受け得るような実質を持ちますと、それだけ非常に日本の教育の上から言っていいことでございますから、これはやりたいと考えております。しかしながら今お話しのような、ただ単にこの振興費を貸し付けるというだけで、あとの監督なども全然できないとなりますと、いたさんとなりますと、お話しのような点が出て参りますので、今は振興会にまかしておりますが、今後そういう振興に助成をすることになりますにつれて、厳重なるそれらの監督と申しますか、指導をいたしたいと考えております。
  222. 高田なほ子

    高田なほ子君 なるほどその通りなんです。しかし実際問題としては、この貸付のいわゆる担保能力のある大きな学校というのにはそう問題はないと思う。つまり担保能力のない、それでいて学校を経営していこう、こういうときにこの教育というものが忘れられて、そうして営利主義のいわゆる学校屋になり下らざるを得ないというところに問題がある。つまり担保能力のない私立学校に対する認可の制度というもの、これの再検討の必要があるのではないかということなけです。いかがでしょうか。
  223. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) その通りでございます。
  224. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣はだいぶもうお疲れになっていらっしゃるようですが、あれですよ、私立学校の振興というものにはただ貸付だけでなく、もう少し何らか対策があるように思うんです。せっかく文部省にはイギリスあたりまで行って御研究になっていらっしゃった方が一ぱいおいでになって、イギリスではやはり私学、私立というものについては相当にまあ重点を払って国が負担するのは七十、生徒の方は三十、日本では生徒の方が七十ちょっと越えて国の方はほとんどない。まるでこう逆になっています。こういったような逆の面を何らかの形でこれは解消できる方法がきっと私はあるのではないかと思うので、今直ちに大臣にこの御答弁をと申し上げても、予算にも出ておりませんことですから、これは御研究願うようにしていただきたいと思うわけです。
  225. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 別に疲れてもおりませんからお答えも申し上げますが、実際私立学校の、ことに振興につきましては、もう一つほんとうに力を入れてやってみたいと思っているのです。現に教育審議会の方にも私学振興の方途いかんという諮問もいたしておりまして、今研究中でございますし、また英国であるとか、アメリカであるとかの私学奨励制度と申しますか、ある意味においては全く私学を国が助成して、私学によってあとの教育をやっておるというような、ああいう方面の例も組み入れて考えたいと思って、ただいままあ研究中であると申し上げてよろしいと思います。
  226. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから就学前の児童の教育の問題ですが、幼稚園に入る子供、それから保育所に行く子供、これは厚生行政と文部行政が非常に似ているようであって、やはりこう二本立になっておりますが、これは前からいろいろと申し上げたこともございますが、何とかこの幼児教育という問題について、厚生行政と文部行政とを一緒にしたような方策が立てられないものか。特に幼稚園の場合には小学校の教員と同じような資格を持っておるけれども、市町村負担のために実に給与の上に差があったり、また経営にも困ったり、しかも希望者はうんと多いというようなこともあったり、それから保育所の方は、一方は就学前の子供にちゃんとして給食も出るというふうに、かなり愛護の手が伸びているようですが、同じ就学前の幼児を取り扱う国としての方策としては若干研究の余地があるように考えられますが、直ちに義務教育に延ばせというようなことは私どもも考えておりませんが、何とか幼児教育の一本化という問題について、文部省の方で御研究におなりになっておるのではないかと思いますが、もしございましたならば、この機会に構想があれば構想、また大臣として就学前の児童に対する教育、これに対する一つ所信を一応お承わりしてみたいと思います。
  227. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 局長からお答えいたさせたいと思います。
  228. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 保育所と幼稚園との関係につきましては、いろいろ御意見もあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、幼稚園は何と言っても教育を主体とする施設でありまするし、保育所は社会施設一つとしてまあ保育が中心である。そこにやはり区別があるものとして、現在のところ施策をいたしておる次第であります。そこで幼稚園の教育につきまして、従来学習指導要領というものはございませんでしたが、今度はこれを一つ編さんいたしますため、予算措置もいたしたようなわけでございまして、それからなお今お話しのように、希望者はたくさんあるのにかかわらず、幼稚園の数が少いというようなことでありますので、施設設備費等につきましても、補助金を今後もまあ非常にむずかしい財政の中でございますけれども、これを計上したいと思いまして、その方向で今のところ進んでおる次第であります。
  229. 高田なほ子

    高田なほ子君 まことにスズメの涙のような予算で、予算というよりは、あまりに気の毒な予算なので、私こういう質問をしたのですが、どうしても二本立でやるという方針をお立てになっておるならばおるように、私は方策があるように考えられますが、これはまた文部委員会のときに譲るようにいたしたいと存じます。  最後に、教科内容の問題について文部大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、ユネスコの法律によりましても、国際理解の教育面はかなり強く主張されております。教育という面になると、私どもは一切のイデオロギーを抜きにして、子供に正しい国際理解の教育を指導しなければならない、これはユネスコの精神であり、かつ国連の精神だと私どもは考えております。しかし前大達文相はこの点握把を若干おまげになっておったように私は考えておるのですが、例えば中国から引き揚げてきた子供の作文を載せたのまで偏向教育である、赤い教育である、こういうレッテルを張って、そのためにどれほど正しい国際理解の教育にしみを残したか、私は非常にこれは遺憾なことだと思う。少くとも識見の高い現文相はそういうような正しい国際理解の教育というものは正しく認識をせられて、そうして正しい方向に教育者として持っていくことが正しいとお考えになっておると思うのですが、唐突に質問を申し上げて大変失礼だと存じますが、国際理解の教育というものについて文相としてはどのような一体見解をお持ちになっていらっしゃるか、承わりたいと思います。
  230. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) ユネスコの精神、これは日本も受け入れているわけでありますから、これに対してお話通りにいたすことはこれは当然のことと考えております。しかしながら、それに乗じていろいろの偏向教育がそれに伴うて行なわれるということがあれば、それは又別問題でございまして、厳重にそれを区別して考えねばならぬと心得ております。
  231. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変に私はそのお答えを了とするのですが、ややもすれば中国とかソビエトとかいうことを言えば、もうそれがあたかも偏向教育であるような、こうした偏向性を持った見方をされているところに、私は教育者としても非常な今日まで苦しみがあったと思う。幸い鳩山内閣は日中ソの国交調整ということを基本に打ち出されてきておりますが、現在の教育はむしろアメリカあるいはその他のヨーヨッパ一辺倒という教育に堕しているのではないかとすら私には思われる。子供の国際理解のデータを見ても、一番理解をしているのはアメリカ、そうしてその他の国についての正確な理解というものはまだありません。もちろん国交が閉されておるから理解を持ち得ないかもしれませんが、少くとも正しい意味の国際教育、これに尽瘁される先生を偏向な教育者として偏向的に見るのではなくて、正しい方向に歩み出す一歩として、健康にこれを見守ってやっていただきたい、こういうことを強く大臣に私は要請するわけでございます。非常に現場の先生方はこういう点でも萎縮しておりますので、この点をどうぞ一つ御認識下さいまして、よいお導きがいただけることを希望して、大へん私ばっかり長く質問してもいかがかと存じますので、これで私は大まかの質問を終りたいと思います。
  232. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) ただいまのお話しは、日本の教育の重大な点にふれておりますので、私も考えを一言申し上げておきたいと思います。教育はもちろん中正でなければなりませんけれども、日本の現実の問題といたしましては、やはり自由国家群の一員であるということを忘れてはなりません。世界の思想のすべてを幼い子供に入れる、そうして自由国家群の考えばかりに偏向する、こういうふうに見られてもこれはならないと思うんです。私はこれに対してこういう考えを歴史的に持っているわけでございます。それは日本にいろいろの変化が従来起りました。たとえば仏教が入り、儒教が入り、ヤソ教が入ってくる、そのときにはやはり非常な動揺があったことは御承知通り。しかしながらそれをいつのまにか純化する能力と申しますか、天才を日本のわれわれの祖先は持っておった。それであるからすべての世界の思想傾向を汲み入れて純化してきた国民であります。このわれわれの祖先の偉大なるこの能力は、これはわれわれもまたこんにち世界の激動に当って、特にこれをこの祖先の持っていた力によって吸収、純化してゆくということを教育の基礎として考えなくちゃならない、こういうふうに考えて、そういう考え方を基礎といたしたいものと考えておるわけでございます。
  233. 湯山勇

    湯山勇君 今度のケミストリーの方の化学研究促進補助ですね、なぜこのケミストリだけに限ったのか、何か特殊な意図がおありなのかどうか、この一億五千万円について御説明をいただきたいと思います。
  234. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 資源の乏しい日本といたしまして、食糧にしてもあるいは衣料にしても、あるいは建築材料、あるいは医薬品、その他におきましても、従来化学の振興を促進しなければならぬということが非常に社会方面、学界方面にも要求がございます。学界それ自身も年々の科学研究費の要求に、化学の部面について相当大きな要求がございまするので、文部省はそれらを考えまして、特に化学の研究促進に関する費用を設けたわけでございます。
  235. 湯山勇

    湯山勇君 出す対象はどこになっておりますか。
  236. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 国公私立の大学あるいは研究所、その他の研究機関でございます。
  237. 湯山勇

    湯山勇君 申請によって出すんでしょうか。こちらの方から適当に割り当てて出されるんでしょうか。
  238. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 他の科学研究費と同様にこれは申請によって配分いたすわけでございます。
  239. 湯山勇

    湯山勇君 よくわかりました。  次に文教施設の災害復旧で、あちこち飛んで大へん恐縮でございますけれども、いつも公民館の災害復旧費というものは組まれないんですが、これはどういうわけでございましょうか。
  240. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 公民館の災害復旧につきましては、一昨年度の災害について災害復旧費が一部組まれたのであります。それで昨年度の災害につきましては、実は相当申請の強い要望があったのでありますが、いろいろ財政的な総合的な見地からいたしまして、もっと緊要な面に補助をする必要があるという意味から、実は公民館については災害復旧が組まれないということになった次第でありまして、これはまあ財政的な点からきておると思います。
  241. 湯山勇

    湯山勇君 これは法律で補助対象になるのではありませんか、公民館は。
  242. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 災害復旧についての法律的な背景は別にありません。
  243. 湯山勇

    湯山勇君 では公民館の災害復旧については、国の方で補助しなくてもいいのでございますか。
  244. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 現在のところそうなっております。
  245. 湯山勇

    湯山勇君 じゃまたあとでよく調べます。それから文化財保護委員会で今度修正になって、幾らでしたか、二百五十万芸能調査研究費というものが出ておりますが、これはどういうところへどういうふうに使われる御予定でございますか。
  246. 森田孝

    政府委員(森田孝君) 芸能関係につきましては、昨年の文化財保護法の一部改正によりまして、新しくこれが指定制度がしかれたのでありますが、従ってこれにつきまして、これが保存並びに振興の措置をいかにして行なっていくかということについて、特に調査が必要であろうと考えまして、その方途を研究するためにこの調査費を計上していただいたのでございます。
  247. 湯山勇

    湯山勇君 芸能調査研究費ということですから、芸能という芸能の対象ですね、これは何を対象にしておられるのでしょうか。
  248. 森田孝

    政府委員(森田孝君) これは広い意味に解釈いたしておりまして、歌舞伎、文楽、その他の伝統芸能のほか、音楽、舞踊等まで含めました意味の芸能であります。
  249. 湯山勇

    湯山勇君 次にじゃ、あちこち飛びますが、雑件の中の広報活動についてお尋ねいたしたいのですが、この前文部広報を学校の方へも配りたい、今までは配っていなかったのだか、今度は配りたい、御趣旨はけっこうだと思うのですけれども、その配り方が非常に何といいますか、文部省の方で特に必要と認めるものを配る、こういうことなので非常に心配な点があるのです。それは決してこの心配は杞憂ではなくて、教育二法案の当時、あなたを置いて言うのは失礼ですけれども、ずいぶん変な文部広報を学校を通じてPTAの方に送らしたり、いろいろ妙なことがありましたので、私は文部省が特に文部広報を一度文部省の方でふるいにかけて学校へ配布するということについては、内容のいかんによっては反対しなければならない、こういう意見を特っております。そこで具体的にどういうものを学校に配布して、どういうものを配布しない、そのケースをきょうここで一つはっきりさしていただきたいと思います。
  250. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 今までは文部広報は各市町村の委員会まで配布しておったのでございます。このたびの予算の増額によりまして、委員会だけですと、各学校に徹底いたしませんので、月三回各学校まで配布する予算を増額したわけでございます。ですから、この場合に取捨選択をいたしませんで、もちろんこの編集をする場合には学校に必要な記事を載せます。その場合の取捨選択はありますが、配布の場合の取捨選択はいたさない方針であります。
  251. 湯山勇

    湯山勇君 これは政務次官に一つお尋ねいたしたいと思います。これですね、全部を各学校に送ったところで大した金額にはならないので、広報を。そうしてこれは校内の操作というのはできるのじゃありませんか。経費の方もですね。そこで全部をお送りになるのでしたら、適当に抜いて、あるものが行ったり行かなかったりするのでは、続き工合も悪いと思いますから、送るのならこれは文部広報は当然学校に全部送るべきだと思いますので、全部を学校に送るということにはなりませんでしょうか。
  252. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 内藤調査局長から御説明申し上げた通りでございます。湯山さんは過去の事例をあげて将来のことを心配しておられるようでございますが、本年度のこの予算から予算が増額されまして、全部を学校に送るようになっておりますので、御心配のようなことは起らぬと思います。
  253. 湯山勇

    湯山勇君 そうですか。間違いないですか。
  254. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 間違いございませんです。
  255. 湯山勇

    湯山勇君 それで安心いたしました。前の御説明では、予算委員会の予備審査のときにはそういう御説明だったので、その後修正になったということは私存じませんでしたから、大へん失礼いたしました。  最後に、これはいよいよ最後ですが、国立科学博物館、これは予算も前年と同額しか組まれておりません。大体同額しかですね。けれども、あそこに勤めておられる人は非常にりっぱな今までに業績を残しておる人だし、現在も非常にじみな仕事をしておる人たちです。ところがその人たちの研究費もあまり十分でないくらでなくて、不足だと思いますし、それから科学博物館の内部もずいぶんホールにいたしましても、いたんでおると思います。で、あそこがただ並べて見せるというだけではなくて、並べて見せる背後には、あそこに勤めている人たちの目に見えない十分な努力がなければあれだけの充実した陳列ができないと思っておりますので、私は非常に機械的にこの予算を組まれておるのではないかという心配がありますが、あの国立博物館も、私はあまり参りませんのでよく存じませんが、科学博物館の方は見ただけでも、ああこのままほうっておいては大へんだという感じを持ちますが、これは何とかする御意図がおありになるのでしょうか。
  256. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 国立科学博物館の予算は前年と大体同様でございますが、研究費等つきにましても、大体他の直轄研究所と同じだけの基準によりまして研究費を計上いたしておりまして、研究と同時に、つまり社会教育活動に従事してもらうというような状況であります。お話しのように、設備施設等についてはいまだ至らない点がありまして、非常に貧弱なものもございますが、これは時々具体的な修理個所とか、あるいは設備、用具とかいうようなものについて努力はいたしております。御意見によりまして、今後ともその点については一そう努力いたしたいと考えます。
  257. 湯山勇

    湯山勇君 これは今のようにそういうまあおざなりなことでなくて、よく一つごらんいただいて、それについて研究している人だってみなとにかく一流の人ばかりなんですあすこの研究員という人は。その人たちはどんな研究をしているか、研究の内容もこれは一つ見ていただきたい。それから同時にあの維持管理にどれだけ苦労しておられるか、これも見ていただいて、そうして、なるほど科学振興ということ、それぞれたくさんあると思いますけれども、あすこへたくさんの子供も行っているし、地方から来た人も行っているし、ぜひこれは来年度は十分御考慮願って、もう今やっておかなかったら、あとますますたくさん要るばかりですから、ぜひ一つ御尽力を願いたいと思います。以上で私は終ります。
  258. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) ほかに御発言もなければ、文部省所管については一応質疑を終了したものと認め、明日は午前十時から厚生省及び労働省所管につき議題といたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 松澤兼人

    主査松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは本日はこれにて散会いたします。   午後七時三十一分散会