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1955-06-29 第22回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十九日(水曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      佐多 忠隆君    副主査     小林 孝平君    委員            秋山俊一郎君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            溝口 三郎君            永井純一郎君            深川タマヱ君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    農林大臣官房会    計課長     武田 誠三君    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    農林省畜産局長 原田  停君    水産庁長官   前谷 重夫君    運輸政務次官  河野 金昇君    運輸大臣官房会    計課長     梶本 保邦君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省港湾局長 黒田 静夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督    国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省自動車局    長       眞田  登君    運輸省航空局長 荒木茂久二君    海上保安庁長官 島居辰次郎君    高等海難審判長    長官      長屋 千棟君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設大臣官房会    計課長     齋藤 常勝君    建設省計画局長 澁江 操一君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省営繕局長 木村 恵一君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      天坊 裕彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  まず昭和三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算運輸省所管の部を議題に供します。本件につきまして政府より説明を聴取いたします。
  3. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それでは私から昭和三十年度運輸省所管予算について御説説明申し上げます。詳細な点については御手元に差し上げました資料をごらん願いたいのでございます。  まづ歳入予算でありますが、昭和三十年度歳入予算総額は九億九千百九十三万五千円でありまして、前年度予算額に比較しまして、約五千七百万円の減少となっております。  次に歳出予算について御説明いたします。当省の昭和三十年度予定経費要求額は、政府におきまして、二百四十億二千九百六十二万五千円を計上したのでありますが、衆議院における修正の結果、四億三千六百三十八万五千円の増加となり、総額三百四十四億六千六百一万円でありまして、これを前年度予算額二百二十八億六千二百九十八万一千円に比較いたしますと、十六億三百二万九千円の増加となっております。以下そのうちおもな経費について御説明申し上げます。まず第一は、外航船舶建造融資利子補給に要する経費といたしまして、三十五億六百五十万六千円を計上しましたが、これはさきに決定をみました総合経済六カ年計画に基き、今後六カ年間に外航船の船腹を百三十六万総トン増加し、日本海運発展とこれによる外貨増収をはかる目的で、本年度貨物船油槽船を合せ十八万九千総トンを建造いたし、これが所要借入資金に対する利子補給を行うためであります。なお、本年度建造分に対する利子補給契約限度額として十億四千六百七十三万四千円、及び損失補償契約限度額十一億四千二百七十万円を国庫債務負担行為としてそれぞれ計上いたしました。  第二は、国際航空事業補助に必要な経費として三億五千五百万円を計上しましたが、御承知のように、日本航空株式会社が現在運営している国際線は北米、香港の二線でありますが、これが経営内容をみますると、操縦士外国人をもって満たしている関係人件費が相当膨脹し、また航空機購入全額借入資金をもってまかなっている等、国が何らかの助成策を講じない限り、各国との競争に立ちおくれ、これによる外貨増収も望めず、ひいては日本航空界の将来に暗影を投ずる結果となるのでございまして、ここに前述の補助金を交付いたしまして本事業の健全なる発展をはかるためであります。なお以上のほか、大蔵省所管として日本航空株式会社に対し、前年度同様十億円の政府出資を要求しております。  第三は、港湾関係でありますが、本年度要求港湾事業に要する経費として三十二億七千七百九十七万円、港湾災害復旧事業に要する経費として二十六億六千八百三十一万一千円、港湾施設災害関連事業に要する経費として四億八千百七十四万円、港湾事業附帯事務費として七千七百十四万九千円合計五十九億五百十七万円を計上したのでありますが、衆議院における修正の結果、港湾事業に要する経費におきまして三億六千六百万円、港湾災害復旧事業に要する経費におきまして二千三十八万五千円、港湾施設災害関連事業に要する経費におきまして五千万円、合計四億三千六百三十八万五千円が増額となり、総額六十三億四千百五十五万五千円が計上されております。これらにいずれも、貿易の振興輸送力の増強を裏づける港湾施設整備拡充するためのものであります。また災害復旧関係経費は、昭和三十九年以前の災害による港湾施設復旧を促進せんとするものであります。なお、運輸省所管予算のほかに、総理府所管予算におきまして、北海道港湾事業に要する経費として、衆議院における修正追加額八千四百万円を含み七億五千万円、及び労働省所管予算におきまして、特別失業対策事業に要する経費として三億一千万円を計上しております。  第四は、本年度より新たに自動車損害賠償責任保険特別会計を設置し、これが所要の手続を今国会に提出しておりますが、本特別会計に要する予算として歳入歳出予算とも二十七億九千七百十一万一千円を計上し、また一般会計から本特別会計への繰り入れとしまして二千六百三十六万六千円を計上いたしました。最近における自動車事故傾向を見まするに、自動車増加に伴いまして自動車事故の件数もまた年々増加の趨勢にあるのでありますが、事故被害者、特に人身殺傷事艇被害者に対する損害賠償その他の救済につきましては、はなはだ不十分でありまして、今や一つの社会不安となっていると申しても過言でないのであります。これに対しまして、今回自動車損害賠償責任保障法(仮称)を制定しまして、自動車による人身殺傷事故について民法の特例を定めて、自動車所有者及び使用者賠償責任を加重するとともに、賠償責任について原則として強制保険制度実施して被害者に対する確実迅速な救済を行い、さらに加害者不明の事故の場合も同様な救済を行い得るよう措置いたす所存でありますが、本制度の社会保障的な性格にかんがみまして、保険については特別会計を設けて国の再保険を行い、同時に再保険事業事務費及び加害者不明の事故の場合に支払われる保障金の一部を国が負担しようとするものであります。  第五は、気象業務整備拡充でありますが、本年度気象官署としての要求額は二十四億二千八十四万六千円でありまして、このうちおもなものとしては上高層気象観測業務関係で一億五千八百七十五万一千円、水理気象業務関係としまして五千五百十一万一千円、水害緊急対策関係で一億七千三百十九万九千円、測候所新設新営関係としまして一千四十二万九千円等であります。これらは台風等により年々こうむっております莫大なる災害観測の的確と予報業務敏速化とにより、最小限にとめ得るよう、気象観測通信施設等整備実施するために必要なものであります。  第六は、海上保安庁関係でありますが、本年度要求額は六十億八千九百七十三万九千円でありまして、このうちおもな事項を申し上げますと、巡視船等建造費として二億六千二百十一万八千円、航空機購入費として六千四百十七万五千円、航路標識整備費として二億七千八百二十四万一千円等であります。これらは海上保安業務重要性にかんがみその強化をはかる目的をもって、九百トン型水路観測船一隻二百五十トン型巡視船一隻、六十トン型灯台見回り船一隻を建造し、又哨戒用として航空機二機を購入するほか、航路標識新設改良改修を行なったためであります。  第七は、観光事業補助に要する経費といたしまして五千二百四十九万一千円を計上しましたが、海外からの観光客は年々増加傾向にある現状にかんがみまして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨増収をはかることも、これまた現在の日本として必要なことと思われます。これがため本年度は従来の方法を改め、新たに材団法人国際観光協会を設立しまして、この国家的事業を強力に実施させるため事業費の一部を補助するに必要な経費であります。  第八は、航空保安等関係でありますが、本年度要求額は六億九千七百五十八万二千円でありまして、このうちおもなものを申し上げますと、航空大学校に必要な経費として一億九千五百六十四万六千円、東京国際空港、及び小型機用飛行場整備に必要な経費として三千百九万円、東京航空国際通信局整備費としまして五千七百十九万円を計上しましたが、これらは航空事業発展途上、不可欠の乗務員養成し、現在、在日米軍が行なっている航空交通管制業務をすみやかにわが国へ移管できるよう前年度に引き続き航空交通管制要員訓練を行い、国際空港として羽田飛行場整備し、最近の小型機増加と相まって阪神及び調布の両飛行場小型機用飛行場として整備し、及び東京航空国際通信局香港回線通信施設改善する等、航空行政の円滑なる運営を期するためのものであります。  第九は、離島航路整備補助に必要な経費として四千七十五万七千円を計上しましたが、これは離島航路整備法に基きまして、赤字航路経営者に対する営業費補助と、事業用船舶建改造借入資金について利子補給実施するためであります。  第十は、地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として二千百三十七万五千円を計上しましたが、これまた地方鉄道軌道整備法によりまして鉄道新設、大改良工事とかあるいは国民生活上欠くべからざる路線であって、しかもこれが赤字経営である場合、これらに対し補助実施するためであります。  第十一は、鉄道特別鉱害復旧補助に必要な経費として五千八百六十五万九千円を計上しました。これは戦時中の石炭乱掘による鉱害復旧を促進するため、日本国有鉄道補助するためでありますが、本事業は、炭鉱地帯失業対策事業としての性格をも、あわせ有するものであります。  第十二は、国際地球観測年観測に必要な経費といたしまして、気象官署に二千四百二十万三千円、海上保安庁において三百五十一万一千円を計上しましたが、これは国際学術連合会議の決議により、二十五年目ごとに全世界一斉に地球物理学的な精密観測を行う、いわゆる国際地球観測年観測昭和三十二年八月から開始される予定でありまして、わが国としてもこれに協力して観測実施する必要がありますので、その準備を行おうとするものであります。  第十三は、航海訓練所における練習船整備費として二億三千五十万円を計上しましたが、これは昨年度購入しました貨客船を練習船銀河丸として改装し、また神戸商船大学の学生に帆船による乗船実習を行わせるため練習船海王丸帆装工事を施工するためであります。  第十四は、小型船舶職員養成補助に必要な経費として二百七十万円を計上しましたが、これは小型船舶職員養成を行う団体にその所要経費の一部を国が補助するものであります。  以上が当省所管昭和三十年度予算の概要でございますが、何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 河野金昇

    政府委員河野金昇君) 昭和三十年度日本国有鉄道予算説明をいたします。なおお手元に配付してあります資料政府原案によるものでありますが、衆議院において予算修正がありましたので、修正数字により御説明申し上げますので、その点御了解が願いたいと存じます。  最初に予算編成の基本についてでありますが、経済情勢影響などによりまして昨年以上の収入を上げることが不可能でありますので、避けられない経費増加もありますが、徹底的に経費の削減に努めまして、一応収支の均衡をはかったわけであります。  次に収入支出予算について、損益資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。昭和三十年度損益勘定予算は前年度補正予算を基礎としまして編成いたしました。先づ収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は対前年度増三・二%、三十七億四千五百万人、人キロでは、八百八十億人キロといたし、旅客収入千二百九十二億円を見込み、また鉄道貨物輸送トン数は対前年度減一・二%、一億五千七百万トン、トンキロでは四百二億八千八百万トンキロといたし、貨物収入千九十七億円を見込んでおります。これら旅客貨物輸送に要する列車キロは対前年度二八%の増加となっております。以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等をあわせまして、二千五百七十億円の収入を見込んでおります。  次に経営費について見ますと、人件費につきましては、昭和三十年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに期末手当一、二五カ月分奨励手当半カ月分休職者給与等を見込んでおりまして、給与の額は、九百九十三億円となっております。また物件費関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として、二百八十一億円、修繕費として五百七十億円、その他業務費等あわせまして、経営費総額二千百五十四億円であります。  以上の経営費のほかに資本勘定への繰り入れ二百九十二億円少し数字が違って参ります。資本勘定への繰り入れ二百九十二億円となっておりますのが、二百九十億円に御訂正願いたいと思います。利子百四億円となっておりますのが百六億円あります。予備費二十億円と合せまして損益勘定支出合計は二千五百七十億円となっております。  次に資本勘定について申し上げます。さきほど申し上げました損益勘定より受け入れます二百九十二億円となっておりますのを二百九十億円に御訂正願いたいと思います。資金運用部よりの借入金百五十五億円となっておりますのを百十五億円に御訂正願いたいと思います。鉄道債券発行による八十七億円となっておりますのを百三十二億円と御訂正願います。不用施設等売却による二億円となっておりますのを四億円に御訂正を願いたいと思います。合計五百三十六億円となっておりますのが、五百四十一億円と御訂正を願いたいと思います。を収入として計上いたし、このうち五百二十一億円を五百二十六億円に御訂正を願います。を工事勅定繰り入れることにいたしております。このほか出資としての一億円は帝都高速度交通営団の増資に伴うものであり、借入金等償還としての十四億円は資金運用部よりの借入金年賦償還額並びに既発行鉄道債券の一部の償還に充てられるものであります。  次に工事勘定について申し上げます。昭和三十年度工事勘定予算は、前年同様資金が限られておりますので、工事重点施設の維持及び取りかえ補充におくことといたしまして、新規工事必要最小限度にとめるという方針のもとに編成いたしました。その内容について申し上げますと、まず新線建設費についてでありますが、新線建設は前年度工事着手線の継続にとどめることとして、二十五億円となっておりますのを三十億円に御訂正願いたいと存じます。三十億を計上いたしました。電化設備費につきましては、現在施行中の浜松、姫路間電化工事(稲沢、米原間は三十年七月開通予定)を引き続いて行うために五十億円を充て、その他工事とあわせまして、合計七十一億円を計上いたしております。次に車両費でありますが、電気機関車、内燃動車、客車、電車及び貨車等の新造のほか、客貨車改造等も含めまして、百五十三億円を見込んでおります。以上のほかに諸設備費二百二十四億円を計上いたしており、改良係費を含めまして、支出合計は五百二十一億円を二十六億円と御訂正願いたいと存じます。五百二十六億となっております。これに要します財源としましては、さき資本勘定の御説明の際申し上げました通り資本勘定より五百二十一億円を五百二十六億円に御訂正願います。五百二十六億円を受け入れてこれに充てることといたしております。なお以上の諸計画実施に要します職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、給与総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千百九十四億円を計上いたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入をあげますには、格段努力が必要であろうと考えられますし、また工事計画もより一そうのサービス改善輸送近代化のためには決して十分とは申しがたいのでありますが、日本経済の安定に資するため、公共企業体としてより一そうの能率向上をはかりサービス改善に努めますとともに、さらに経営合理化を行いまして、経費の節減に努力いたすよう指導監督をいたしたい所存でございます。  以上昭和三十度年日本国有鉄道予算の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
  5. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言願います。
  6. 左藤義詮

    左藤義詮君 ただいまの国有鉄道予算を拝見したのでありますが、昭和三十年度には貨客とも運賃値上げをなすことはないのであるかどうか、運輸大臣より御答弁願います。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昭和三十年、この年内運賃値上げをいたす考えはございません。
  8. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常に窮屈な予算で、予定収入を上げることは格段努力が必要だと、こうありますが、どういうような努力目標、どういうところに重点を置いてこの予算サービス改善をしていかれるおつもりでありますか。
  9. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは経費の節約あるいは物資購入合理化等経費支出をできる限り合理的な支出をやるということでございまして、そう非常な余裕があるというわけではない。従って運賃の問題もこれは近い将来において検討しなければならぬ時期がくると私は思うのです。しかしながら今直ちに国鉄財政運賃改訂ですぐカバーするという行き方でなくして、できるだけ合理化をやって、どうしてもカバーのできない面というものは近い将来において運賃改訂ということが必要になってくる、私がこの年内と申し上げたのは、昭和三十年度という意味でなしに、少しこの問題も弾力性をもって考えなければならぬのではないかという配慮から、この年内にはそういうことはしないということを申し上げたわけであります。
  10. 左藤義詮

    左藤義詮君 年内にはしないが、年度中には考え直さなければならぬ、そうすると、昭和三十年度予算補正その他の関係で、これでは三十年度末の、三十一年の三月三十一日までに値上げせずにやっていく十分の自信がない、そこで弾力性をもつというお話しですか。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいろいろやりたい仕事もあるわけですけれども、しかしなかなか財政が窮屈なのでございますために、でき得べくんば運賃改訂をする場合でも、昭和三十一年度の問題にしたいとは思っておるのであります。思っておるのでありますけれども、しかしただいま国鉄経営調査会ども広範な人たちを御委嘱いたしましてやっておりますために、でき得べくんばもし改訂があるとしても、これは三十一年度にしたいとは思いますけれども、いろいろ諸般の情勢から多少は弾力性をもって考えたいという気もあるわけであります。
  12. 左藤義詮

    左藤義詮君 たとえば一等車を廃止するとか、あるいは三等寝台を復活するとか、そういうようないろいろ御計画がおありのようでございますが、そういうことが収支の上にどういう影響を与えるのですか。そういう国鉄の本年度のいろいろな御計画予算との関係一つ詳しく御説明いただきたいと思います。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国鉄の者が参っておりますから、その方から……。
  14. 天坊裕彦

    説明員天坊裕彦君) お答え申し上じます。国鉄収入は先ほどもお話しがございましたが、今年の予定収入を上げるには相当困難だと考えております。と申しますことは、四月、五月、六月の三カ月の実績を見ましても、すでに旅客収入につきましては予定いたしておりました数字よりも少い、ただかろうじて貨物が私どもが予想いたしておりましたよりもやや上回って出て参りまして、それでやっととんとんという程度でございます。しかし貨物数字も実は昨今駅頭に持っております在貨というものが、大体平年でありますれば七、八十トンは今ごろは持っておるわけでありますが、昨今五十七、八万トンというような数字で、相当これも見通しといたしましては楽観を許さないというような状況でございます。そういう状況の中で、私ども増収対策ということもなかなか困難でございますが、やはり地方によりましては、たとえばジーゼル・カーを走らせますと、相当お客さんがふえる。列車の回数をふやすことによってお客さんがふえてくるようなこともございますので、本年度はそうした地方相当ジーゼル・カーを配属いたしまして増収をはかりたい。それからただいまお話しがございました一等車の廃止の問題でございますが、これは御承知のように一等寝台車が五十両ばかり車をもちまして、特定の列車にこれをつけて走らせておったのでございますが、何分一等寝台車利用率は必ずしも十分ではないのでありまして、それに反して二等寝台車利用というものは非常に多いのでございます。むしろ不足しておるような状況なのでございますので、この際、一等寝台車を二等寝台車と同じように使いまして、二等寝台車とあわせてこれを運用いたしまして、今まで寝台車を動かさなかった区間にもこれを動かして、二等車の利用を倍にしていくということによって約数億円の増収が期せられるというようなことも考えて、七月一日からこれを実施いたしたいというふうに考えておるわけであります。ただ一等車といたしましては、ただいま「つばめ」と「はと」についております展望車だけは、これは一等車として残しておきます。その他、貨物につきましても速達の方法を講じまして、できるだけ出荷誘致方法を講じて、貨物鉄道の方に持って参る努力もあわせて考えております。予定いたしました収入を何とか上回るような努力をいたしたいと思っておりますが、やはり一般経済情勢デフレ浸透というようなこと等を考えますと、なかなか楽観を許さない状況でございます。
  15. 左藤義詮

    左藤義詮君 時間がありませんから、もう深くは伺いませんが、格段努力がございませんと、この予算通り実施は困難のようでございますので、当局の非常な私は御決意をお願いして、今お話しのように年度内にまた値上げ等のことが起って来ますと、ただいまの地固めのデフレ政策の非常にあらゆるものに響いて参りますので、当局の非常な私は重大な今から御決意を願っておきたいと思います。それにつきましては、いろいろ合理化していくなり、国鉄一家といいますか、職員の非常な自粛あるいは向上が伴わなくてはならぬと思いますが、先般の洞爺丸に引き続いて紫雲丸、非常な騒ぎをいたしましたが、熱しやすくさめやすいと申しますか、新聞等も今は鳴りをひそめたのでございますが、あの引き続く事故に対する処置といたしましては、総裁は更迭せられまして、現場に若干の処置があったようですが、あれで全部あれに対する処分といいますか、処置は相済んだものでございますか。あとは現在の陣容にはあの問題に関する責任はおとりにならないというふうに、あすこで区切りをつけられたのでありますか。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今海難審判庁で審判を受けております。また地方検察庁の取調べを受けておりますので、その結果を待ちまして、なお処分がその結果とにらみ合せて行われるわけでございまして、全部終了したというわけではございません。
  17. 左藤義詮

    左藤義詮君 船員の再教育機関として、海技専門学院が戦災を受けましたもとの神戸商船学校のあとに戦後継続せられてきたのですが、その後商船大学が神戸商船大学として発足いたしまして、両方が同じ場所で定員、施設等も相補い合ってきたのですが、今度海技専門学院の新設予算をここに二千幾ら予定してあるんですが、これを現地の実情から申しますと、商船大学の深江にこれだけの設備をせられれば非常に能率的にあらゆるものが生きてくると思うのですが、別の芦屋に新設せられた、これは本年度だけでなしに数年間にわたって相当の経費をそこにつぎ込むわけでございます。そういたしますと、どちらも不完全な中途半端なものになってしまう。私は専門学院は運輸省で商船大学は文部省である、役所の妙ななわ張りからただでさえ乏しい国の財政が非常にむだになるんじゃないか。こういう貧乏な日本の国ではお互いにしんぼうし合って、国民の血税を少しでも節約するようにするのが本旨じゃないか、この点について運輸省はどうお考えになっておるか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは商船大学の方も大分もう校舎も非常に狭くなって参りまして、こういう実際上の必要もあります上に、海技専門学院は一たん船員を再教育する、年令的に申しましても非常に年とった人が多いわけであります。また商船大学の方はこれから船員になろうという人を教育するわけでございまして、教育の内容というものが同じ基礎の上には立っておるけれども方法というものは違うと思うのです、短期でやるものは。そういうことでこれは教育の対象にする人も違うし、また教育の速度というもの、これは短期のものですから違いますし、相手の年令等も非常な違いがあるし、こういうことで分離して教育した方が教育の目的を達する上にいいんじゃないか。ただ左藤委員御指摘のようにいろいろな施設、あるいは教材等についてそういう御指摘のようなことがあろうかと思いますので、一昨日であったかと思いますが、神戸商船大学と海技専門学院、運輸省と文部省と四者が寄りまして、そういう施設とか教材とかいうものは、これはお互いになわ張り争いをしないで、でき得る限り共同でこの教育の目的に支障なからしめるという覚書を調印いたしまして、できる限りそういうような不便は今後避けていきたい、こういうことに取りきめをいたしておるわけでございます。
  19. 左藤義詮

    左藤義詮君 再教育とこれから新しく出発するものと、一方は寮生活をする、一方は自宅から通う、下宿から通うという点で、いろいろやりにくいということは私どもも認めるのですが、そういう将来同じ船の中で一緒に暮さなければならない、お互い同じかまの飯を食って、しかも同じ教育施設の中で一緒に暮すことも将来むしろいいのじゃないか。どうも眼の前でやりにくいというのですぐに分れてしまう、そうしてそれぞれの門戸をかまえて、どちらもどうもならぬ。本年から二千何百万の血税をつぎこまなければならぬということになるので、私はそういう点貧乏な日本としては、お互いに譲り合ってゆかなければならぬと思うのでありますが、四者で申し合せがあったと伺いますれば、その線に沿うて努力されることを要望いたしますが、いずれにいたしましても、本年度芦屋に全然別個のものが出発します以上は、明年以後これに対して相当予算を要求せられて、これを充実してゆかなければならぬ。あとに残ります商船大学の方は職員関係にいたしましても、共通であるために相当節約しておっても、これも定員をふやさなければならない、あるいはこれに伴う施設あるいは教材、維持費等相当これまた大学としての面目を保つためにも、明年以後相当のものをつぎこまなくてはならない、こういう点につきまして、運輸省と文部省との間には一応の話し合いがあるにいたしましても、これは私は大蔵省といたして海技専門学院もせっかく芦屋に別になる以上は、これを栄養不良にしないように育ててゆく、あとに残った商船大学に対しても大学としての充実、定員あるいは予算等についても、明年以後遺憾のないように大蔵省としては責任をもって善処せられるか、その点を一つ伺いたい。
  20. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまお尋ねの神戸商船大学と海技専門学院との関係でございますが、これは大学及び学院の両方につきまして文部省、運輸省の間で十分御協議の上将来のことにつきましても、いろいろな支障のないように御手配を願いまして、それぞれ所を得るように措置をされることに相なったように了承いたしております。私ども予算の立場からいたしまして、国の予算が最も有効に使われますことを希望いたしておりますので、今申し上げましたようないろいろな点につきまして、両御当局におかれまして今後とも一そう緊密に御連絡の上、むだのないようにしていただくことを希望いたしておるわけであります。ただいま左藤先生の御指摘の点につきましては、来年度予算の編成等に際しまして、運輸、文部両御当局からまた十分お話を伺いまして、大蔵省といたしましても、ただいま申し上げたような見地から慎重に検討を加えて参りたいと存じます。
  21. 左藤義詮

    左藤義詮君 本年の四月四日付で、大学長からもし分離するならば、明年以後これくらいのものがどうしても必要だという資料を大蔵省に差し出してありますが、そういうものも一つ御検討になりまして、せっかく発足した——将来日本が海運で立っていこうというその中堅の高級船員を養成する大学が十二分とはいかぬにしても、妙な中途半端なものにならぬように、その点は五月四日付で大学長からお願いしておるその資料等も十分検討されまして、明年の予算において善処されるように、これは大蔵大臣にも一つよくお伝え願いたいと思います。
  22. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は運輸大臣に海運政策の方向について少しお尋ねしたいと思います。まず十一次造船のうち、タンカーの計画は一体何万トンあるのか、それを伺いたい。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大体五万四千トンを予定しております。
  24. 永井純一郎

    永井純一郎君 その五万四千トンは大型のものなのか、あるいは従来通りの小型のものなのか。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、ただいま造船合理化審議会小委員会でこれを検討をいたしておるわけでございます。その答申を尊重してこれはきめたいと思っております。
  26. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで、ただいま運輸省にはまだ申請書は出てきておらないようでございまするが、外資委員会を通った丸善のスーパー・タンカーの問題が、私は今後の日本の海運政策に非常な根本的な考え方がその中に存在すると思う。御承知通り、石油業者がみずから大型の優秀なタンカーを持って今後海運界に臨むということになれば、これは従来のタンカー業者は一体どういう結果になるか。この点については、一体運輸相はどういう見通しをもっておられるのか。これをまず伺いたい。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日本のタンカー業界は、今六十万トンくらいのタンカーがあるのであります。しかし、これは約五、六割のものしか運んでいない。今後やはりタンカー船は政府の六カ年計画を通じましても三十万トンくらいは建造していかなければならぬ。建造をいたしましても、まあ油の七割くらいしか輸入できない、三十万トン建造しても。しかも、戦時標準船十八万トンは、これは早急にそれを新しく作りかえなければならぬような時代になっておるわけであります。そういう点で、外資が入ってきて、日本の資金を使わないで、外資が入ってきてタンカーが増強されるということは、国際収支改善の面から好ましいことだと私は思います。全然外資は反対だ、外資は要らないという論ならば別でありますけれども、しかし、そういう形においてこのタンカーがふえて、目分の資本で、しかも普通の融資条件で外資を入れてタンカーがふえるということは、経済自立の上からいえばこれは好ましい。外貨の節約にもなる。ただ、考える面は、これがどういう影響を従来のタンカー業者に与えるかという点でございます。これは従来も、今の世界の状態から見ると、石油業者が約三割くらいは自分のタンカーを持っているのですね、石油業者は。日本においても出光、大協、これは先般も大協石油に同じような条件で許した例がある。そこで問題は、これが非常に今後続々としてこういう傾向が起って参りますならば、これは既設のタンカー業者に対して非常に影響を与えるわけであります。しかし、六十万トンの中で一隻か二隻そういうことが起ったからといって、それは致命的な影響を与えるとは思えない。丸善石油の場合は、その作ったタンカーは従来のタンカー業者にこれを運営をしてもらう。チャーターしてオペレーターをタンカー業者にさせる。その運ぶ石油は、日本船で運んでいる石油はこれに対して変更を加えないで、外国船をチャーターしているものに当てるのだというような申し出になっているわけでございます。従って、まあ外資委員会はハスいたしましたけれども運輸大臣としては、一体こういう傾向が、石油業者というものがどの程度に今後こういう計画があるのか、具体的に。これはだれでもかれでも作れるというわけでもないし、そういうわけで、今後どういうふうにこういう計画が現われてくるか、タンカー業界がどういう影響を具体的に受けるかということで、タンカー業界の人たちも私は招きまして、いろいろ意見も徴しているし、向うも検討を加えているということでございます。こういう点で今申したような一つの、日本のタンカーが不足しているのだ、六カ年作ってもなおかつ不足するのだというこの状態から考えれば好ましいのだけれども、しかし、それがどの程度にタンカー業者に影響を与えるかという点を海運政策の面から慎重に検討を加えておる、ただいま加えておるのでございます。従ってこれは慎重に検討を加えて結論を出したい、こういう考えでございます。
  28. 永井純一郎

    永井純一郎君 外資を一がいにいけないというふうな否定はもちろんわれわれもするものではないのであります。しかしながら日本の産業が、あらゆる産業が海運のみならず、石油においても、その他のあらゆる産業が外資によって支配をされないようにするということは、これは当然な必要なことであると考える。特にタンカー業の場合は、石油資本というものは御承知通り日本の場合は半分以上をアメリカ資本が持っているわけなんです。それが今タンカー業界が持っておるタンカーよりも優秀なもの、大型のものを作ってどしどし行くということになれば、これは船そのものは、タンカーそのものは足らないのですけれども、そして、それでいろいろな経済の後輿をの優秀で大型な新しく作られる石油業はかるという考え方も一つの考え方で者のタンカーが順次日本の海運業を支配するに至ることは、それは明らかな方向なんです。そういう方向に行くきっかけを運輸大臣が作らせるか作らせないかということがむしろ問題であると思うのであります。そこで、そういう優秀なタンカーを作らなければならんということは、これは私わかったことであるし思うので、外資によらずしてそういう方向をとるということこそ積極的にあなたはやるべきである。丸善のもうけた、蓄積した資本とアメリカの資本とによる優秀なもの、今日本が持っていないような優秀な大型のものをそこに作らしているということは、私は決して日本のためにいい方法ではない。足りないのだからといって、だから急いでそういう突破口を作るということが日本の海運政策としてはよくないのじゃないか。で、財政資金なり何なりをもっと工面することによって、あるいは民間の資本の蓄積も順次順調に今進みつつあるのですからそういうものをそういう方向に向けるという計画をなぜ運輸省はしないか。こういうことを私非常に疑問をもつのです。が、どうですか。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは財政資金も努力はしたのですね。しかし現在の日本という場合において、結局経済自立をはばむものは資本力だと思うのです。それはいろいろ資本の蓄積もできておるとは申しますけれども、何と言ったって計画、プランは幾らでもあるのです。しかし結局制約を受けるのが資金である、こういう関係で、永井さん御承知のように自己資本を蓄積しょうが、これは相当な時間がかかる。そこにやはり外資というものの一つ日本の経済を復興する過渡的な処置としては、どうしたって私も外資は入れるべきだという意見である。その条件が非常に悪いとか、そういうものについて非常に悪影響があるということは別てある。コマーシャル・ベースの上で、ふつうの金利でその外資が入るということを拒む理由はないのじゃないか。こういう点で、今の御指摘のように財政資金あるいは資本蓄積でやれということになると、これは復興に非常に時間がかかります。そこで普通のコマーシャル・ベースの上に乗った外資は導入していいのではないか、このタンカーの場合には、そういう外資の導入がいいとか悪いとかいうことでは私はないと思う、これが将来どういうふうな影響があるか。現にもう今まで何回もこういう形でタンカーを許しているのですね。これが初めての例ではないわけです。しかし私が慎重にしたいということは、一体こういう計画が今後どれくらいあるのかというと、これはただ具体的な資本が、なかなか金を借りるといったって簡単には借りられませんから、どれくらい今後こういうことが現われてくるかということを具体的にその事実を調査して、そしてまた今のような場合に、それをタンカー業者にオペレートさして自分はやらない、チャーターだけするのだということ、あるいは外国船で運んでおるものをそれに運ばして外貨の節約をはかるのだ、外国船のチャータャしておるものをそれによってやめるというようなことが実際確実に実行できるかどうかということの具体的な調査、こういうものを検討を加えて、この日本の経済自立のために国際収支改善をばかりたいという要請をできる限り——海運業界に与える影響は非常に少いものだと、多少の影響はございましょうが、大した影響はないということならば、これを認可しなければならない。しかし、それが非常に影響があるということならば、続々としてこういうことが現われてくるということになれば、タンカー業界に対して非常な影響を与えるわけでありますから、そういう点を各方面の意見も徴して、この処置というものはきわめて私は慎重な処置をとりたいと、こう考えておるのでございます。
  30. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで私が申し上げるように、海運政策の方向ということで私は運輸大臣にお尋ねをしておる。今丸善を、もし許可すれば、これは東燃も日石もその計画は現在すでに明らかに持っておる。特に日石のごときは子会社の東京タンカーという会社を作っておって、これは何か買船でやっておるようですが、この東京タンカーなどは明らかに全部がアメリカの資本の会社のようです。私が思うのは、今丸善に一隻スーパー・タンカーを許可するならば、それを許可しないで、そういう一隻を五万四千トンの十一次建造の中はもちろんのこと、そのほかで一隻くらいは新たに国内の資本で、とにかくそのくらいのものを一隻よけいにふやすということの努力は私はできると思うのです。丸善に一隻作らせるかわりに、十四億か十五億円ですか、そのくらいの金をほかで国内資本で一隻よけいに船を作らせる、これは造船がそれだけふえていくのだからけっこうです。それくらいの努力をしないで、外国資本に海運が支配される危険の余地のあるこの方向が私は納得できない。運輸大臣をもってすれば、一隻くらい丸善にやらせるかわりにその他の方法でできると思う。これは一隻作れば、東然も日石も作るのは当然だと思う。一隻許可すれば、臨時船舶建造調整法ですか、あれからいって一隻許可すれば、あとのものを許可しないということは法律上できないと思う。あれは許可しなければならないと書いてある。それは許可しなければならないのであってあなたが自由にあるものに許可し、あるものに許可しないということは、これは法律的にもできないことだろうと思う。その方向を三木さんが一体どういう方向をとろうとされるのか、これを私は聞きたい。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは従来も許可してきたのです。そこにやはりむげにこれを初めから不許可ということにはできないので、今までも何隻もこれでやってきておるのですね。そこにやはりこれは慎重に検討しなければならぬわけでございまして、今までにこれが初めての例ではなしに、こういう形でつい先般もやった例があるわけです。まあそういう点で、これが最初の例で、これからもずっと続々とこういう例を開くというわけではなくて、従来もこういう例があったわけでございます。これはしかし、あまりそういうことによってタンカー業界に大きな影響を与えておるという感じを私は聞かない。しかし私がこれを慎重にやりたいということは、そういう前例はあるけれども、これが海運業界にどういう影響を与えるかということについて相当な見きわめをつけなければ判をなかなか押さないという態度でやっておるわけです。これが初めての例ではないわけです。従来もこういうことをやってきておるわけです。そういうことで慎重な態度をとりたいということでございます。
  32. 永井純一郎

    永井純一郎君 従来やっておるのは小さなやつなんでしょう。こういうふうに丸善が申請してきたような優秀なものではない。そこで審議会においても、私将来はこういう優秀なものに切りかえるという方向に当然いくだろうと思うのです。それでその方向をここで計画造船の中でまず取り上げ、それからなるべく外国資本というやすきにっかないで、国内資本でそういうものを作る、このことが何といっても日本の海運業界のためにはいいのだし、また海運業界、タンカー業界においても、こういうものが続々作られるのでは困るということをこれは切実に言っておるわけなんです。私はどうもその点からいって、運輸省が非常に陳情負けか何かしてやすきにつこうとしている感じを非常に受ける。その点は私は真に今運輸相が言われるように、日本海運業の将来の発展のためを考えて私はやらなければならぬと思うと同時に、もう一つ財政資金を今まで貸しておるわけです。それが優秀な石油業者がみずから、まあ運営はタンカー業者にやらせるんだと言うておりますが、それはまあそういう妥協になったのだろうと思いますが、順次そういうものができていくことによって海運業者が困るということも、これは明らかなことです。そうすると、経営が困難になって、貸した国の財政資金が返還しにくくなる。これは開発銀行総裁の意見も聞きたいと思っておりまするが、そういう結果になることはこれは明らかなんですから、非常な慎重な一つ態度でこれは研究をしていただかなければならぬと私は思うのです。それから外資を貸せと言われますけれども、今の外資法でも、私もよく覚えておりませんが、もうけた金を送金できるのですね。だから外国資本によってもうけても、それは米本国に、その率は忘れましたが、相当外資法が弱く改正されてしまって、どんどん送金するのですが、これも日本のために非常に悪いと思う。外資法がそういうふうになっていなければまた別ですが、その点から言っても外国資本が力を持ってくるということは私はやはりよくないのではないかと、こう思うのですが、その点どうですか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) こういうことがあるのですね。それは今度の外資は金利が四分五厘くらいで入ってくるのですね。ところが、その外資を入れて船を作ることは遺憾である、国内資本でやれそうなってくると、今度外国船をチャーターして、そうして今度は運賃で外国に対して払うわけですね。船が十分にあれば、それはお話し通りだと思う。十分にあれば考慮の余地はありません。それだけれども、足らないものですから、外国船をチャーターしておるわけです。だから外資を入れてその元利を億還するために外国にドルを払うじゃないかというが、それで船ができなければやはり今度は運賃の形でドルで払うのでありますから、そういう点は必ずしも元金を払ったり利子をドルで払うということがいけないということもいかがかと思うのです。外国船をチャーターしているのですから、ドルならドルで払わなければならぬ。私はこれが外国だったら問題にならぬと思うのです。自分の資本で船を作りたいということは、やはり一つの原則としては問題にならぬのですが、日本ではやはり経済の底の浅さが、こういう問題がやはりほかへの影響を与えてはいかぬという配慮が存するのでして、問題の原則としては、これは日本の経済から言えば、今申したように船が足らないのですから、わざわざ外国に対して運賃を払っているのですから、これを節約していこうというのですから、大きな日本経済の上から申しますならばこれがプラスのことなんです。それが、底の浅い日本経済がその業者に対して非常な影響を与えるようなことは、海運政策の上から考えなければならない、こういう点で検討を加えておるわけでございます。まあ今御指摘のような元金や利子を払わなければ運賃で払うので、やはり国がドルを払うという事実は解消きないということでございます。国内の資本でございますが、これはなかなかそういうことになれば、計画造船などをああやって財政資金をやるというのも、これは実際から言えば自己資本で作ればめんどうないのです。こういう財政資金なんで、それがなかなかできないのです。だから、市中銀行で十何億という金の調達は容易にできない原因があろうと思う。それはできるならばそういう形でやることが、こういう財政状態で自己資本でやるという建前が好ましいのですけれども、なかなかそれがやりにくいところにああいう財政資金を投下して、経済のやり方としては変則的にそういうことをやらざるを得ないわけでございますので、なかなか民間の資本を蓄積してそうしてやっていくということは、今日の日本資本の状態からは非常に困難性があるのじゃないか、こう思うのです。
  34. 永井純一郎

    永井純一郎君 いや、それは運輸省の考え方は話しが逆だと思う。さしあたり買船までして、外国船を雇ってそれに運賃を払っている。それであればこそ、国内資本を動員して船を作って、そういうことがないような方法をとらなければならない。しかし、さしあたりはそういうことがある。あるからこそ、私は海運政策の方向ということを聞きただすわけです。そうだから仕方がないのだということでいけば、ますますその傾向というものは助長されていく、それが私は日本の将来の海運業界にとってよくない、また日本の貿易の収支の上から言ってよくない結果がますます重なっていくと、こういう意味なんです。これは従って、やすきにつくか、あるいは確固たる方向を一つ定めて困難でもその方向にいくか、こういう運輸大臣の考え方によってきまるのだ、こういうことを私は言っておるわけなんです。  もう一つは、丸善がそういうことを考えたのは、丸善の内容をいろいろ検討してみると、油の運賃は最近だんだん下落してきて、相当持って来るのに安くなっておるのに、国内の油の販売価格はちっとも安くなっていないので、ますます利益が石油業者はふえてきた。配当も大体みな三割以上くらいやっておる。丸善なんかはその上に数億の金を社内に持っておる。ですから、持っておるとこれに税金がかかるので、造船の施設の方に回せば特別の減価償却があって税金がかからなくなるので、そういう丸善から言うならば、丸善の全く自分の一つの私企業としての利益の立場からこれをやっておるにすぎないということが私は実情じゃないかと思うのです。そうであるとすれば、これはまた考え直さなければならぬ問題があるのですが、丸善がそういうふうな申請をしてきた内容と言いますか、そこまで立ち入って、運輸省は知らないと言えばそれまでなんですが、実情はそういう実情なんです。そうであると、私はかなりやはりその許可に対しては考えなければならぬと思うのですが、その辺はどういう認識を運輸大臣はお持ちになっておるか伺いたい。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは内容については私は知りませんが、会社が施設を拡充していく、それはもう一つの脱法行為であるとも私は考えない。どこの会社でもいろいろ利益金があったらそれを設備の拡充に充てておるような場合がある。経営合理化などにその余裕の資金を使うということは、それは会社経営上そういうことはあり得るのだと思うのです。そういうことは、各企業体においていろいろな設備の拡充なんかをやっておる場合には、今御指摘のような結果的にそういうことになるのかどうか知りませんが、それを脱法行為だというふうにも考えないのでございます。みな各企業体が一つ経営合理化していこうというための努力がいろいろあるわけでございますから、そういう点でこれはあまり内容に立ち入って、私はよくは知りませんけれども、各企業体がその利益金によって経営合理化をはかっていこうと、設備の拡充をはかっていこうということは、各企業体自身が用い得る計画であろうと思うのです。それが海運政策上どういうことであるかという判断は私がしたい。会社自身としては、みながやはり経営合理化していこうという意欲が企業内部にあるということは、これは一つ資本主義の社会としてあり得べきことなんで、しかしそれが直ちに違法だというふうには考えられないのであります。
  36. 永井純一郎

    永井純一郎君 私も決して脱法という意味で言うておるのではない。海運政策上どういう判断をするか。つまり海運政策上、丸善という一会社が自分の利益を中心にして考えたことが日本の海運政策にいろいろな悪い影響を及ぼす、あるいは日本の将来の海運政策上いろいろな悪影響を及ぼすということであれば、あの調整法が言っておるところの何条でしたかに相当すると思う。この場合許可せんでもよいということになると思う。その判断が慎重でなければならぬと思う。私は決して脱法とかそういう意味で申しておるのではない。そこで私もこれをもう少し慎重に調査してみたいと思いまするが、あまり私だけ時間をとるといけませんので、慎重な一つ運輸大臣の態度でこれに臨まれることを希望しておいて、時間がないのでまたの機会を持とうと思います。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 簡単でございますが、この離島航路の整備補助というものがここに四千七十五万七千円計上されておるのでありますが、この説明によりますと、赤字航路経営に対する補助、あるいはまた事業用の船舶の建造、改造の借入金利子補給といったようなことが掲げられておりますが、離島の交通というものは、これはまあすべて船による以外にないので、終戦後の離島の航路というものはまだ十分に回復しておらぬと思われるのです。ところが、長崎県の五島であるとか、あるいは壱岐、対馬の航路、これは小さな五百トンあるいは三百トンに足りないような船で交通をはかっておるのでありますけれども、これに無線電信がないのであります。昨年私は対馬の方に海上保安庁の船に便乗して行っておるときに、満船した対島から博多へ向う船が壱岐と博多の間で漂流している、もう乗客は満員の状態の船が漂流しておりまして、それが幸い昼の午後一時か一時半、いや十二時ころだったかもしれない。比較的天候はおだやかではなかったけれども、荒れてはおりませんで、漂流しておる者もさほど心配もなかったかもしれませんが、何らこれを連絡する方法がないのであります。いたずらに漂流しておる。たまたま海上保安庁の船が通りましたので、そばに寄りましたところが、かじの故障で動けない。そこでさっそく無電で唐津の方に連絡して、救助船を呼んだようなわけでありますが、こういうような問題で、万一天候でも少し悪いということになりますと、どういう事態を引き起さないとも限らない。これらの船にはぜひとも無線を据え付けて連絡を陸上ととるべきであると思う。しかしながらここにもありますように、その航路はまことに経営が楽でない。そういう危険は感じながらもそういう施設をしておりません。こういうものに対して運輸省としては、会社の経営が困難であり、会社がやらないとすればやむを得ないというふうに考えておられますか。これらに対しては、これはまあ大きな人道上の問題であります。もしここに事故が起ったときには、結局その問題は取り上げられるのだから、前もってそういう問題についてのお考えはないのでしょうか。
  38. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいまの御質問の問題は、法規的には一応現在のところ、あるいは御承知かと思いますが、まあ義務づけられておらないという状況でございますが、問題は御指摘のように、やはり経営状況が非常に悪くて、国家から補助金まで受けており、また事実そうしなければ、運賃もある程度認可制になっておりまして、離島の事情その他から見まして、できるだけ低いところを定めておるという関係もございまして、経営状況からみてもなかなか現在の無線機械は数百万円からいたすと思いますが、こういうものを設備するということが非常に困難かと思います。しかしお話しのように私どもも離島航路はやはり大事な、国で申しますと道路のようなものでございまして、非常に貴重な人命を、しかも必ずそれを維持しなければならぬという義務までつけて維持しておるわけでございます。できればもう少し安い無線の施設と申しますか、たとえば超短波等で、もう少し低廉なもので「応問に合うという程度のものができないかというふうなことで今検討を進めております。そうしまして、かりにたとえば数十万円程度で一応の間に合うものができるというふうになれば、業者も相当の船を持っておる者はこれをつけることができると思います。そういう検討もただいま進めております。ただそういう検討なしに、いきなりこれを義務づけるという点は非常に困難を伴いますし、まだちょっと決心をいたしかねておる、こういう状況でございます。
  39. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) ちょっと私から申し上げますが、衆議院の方で議運から運輸大臣をちょっと回してもらいたいと要求されておりますので、十分くらいで済むそうですから、一応向うに渡すことにいたしたいと思います。それでは……。
  40. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、私その後その航路に乗りまして、船長その他にいろいろ事情を聞いたのでありますが、結局無線を据えますと、そこにオペレーターを置かなければならぬ。そうすればその人件費が相当なものになるので、なるべく人件費のかからない航海土といいますか、運転土あたりで操作のできる電話程度のもので間に合わしたいという考えを持っておるけれども、これとても相当の金がかかるということで実現しておりませんが、こういうものに対して政府補助をするということでございますか、こういう施設に対して。
  41. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 現在の建前として、絶対にできないということはないと私は考えますが、しかしただいまのお話し人件費の問題でございますが、御承知かと思いますが、無線の通信士にもいろいろ級がございまして、特に電話級でございますと、試験その他についてもそうむずかしくないという点もございますので、先ほどちょっと漏らしましたが、設備につきましても簡易なもので、そう高級な技術者が要らないというものを考えたいというふうに考えております。  なお補助金につきましては、現在そういう補助金を出しておるものはたしかないように存じております。
  42. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 まあそういうふうな事情でありますために、少し風が強いと出港しない、欠航しておるのでありますが、またそれが安全かと思いますが、そういう連絡の設備を持っておれば必ずしも欠航しなくてもやれるような天候も幾らもあると思うのですが、何分にもそういうことでありますと、乗客も非常に不安を感じますし、交通の上にも非常な欠陥があると考えますので、私はどれだけのそういう事態のものが全国にあるか存じませんが、運輸省ではよくおわかりだと思います。そういうものをよくお調べ下さいまして、補助金といってもそう大したものではないと思います。今お話しのような簡易な設備ですと、そう大したことはない。無線をつけますと、やはり四百万円か、それ以上かかるのじゃないか。しかしながら今赤字を出しておるような、補助を受けておるような航路に大きな設備をしろといってもこれは無理でございますから、通信連絡のできるような設備をさせることに対して、ある程度の補助一つ将来計上していただいて、そうしてこれを強制してもらうような方法をとらないと非常に不宏であり、交通の上にも欠陥が多いと思います。もしこれが途中で天候でも悪くなって事故を起した場合には、必ず経営者だけの責めにとどまらないで、結局運輸省にもその責任の一端がかかってくるのじゃないか。そういうことからいたしましても、尊い人命といろいろな貨物を積んでおるわけでありますから、大した予算も要らないと思いますので、こういったものに対してはぜひともそれだけの通信施設をすべしという法規の改正でもいたしまして、そうしてそれに対するある程度の補助を計上すべきだと考えますが、御当局はどんなお考えでありますか。
  43. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 機械その他につきましては、御指摘のようにできるけ研究を早く進めまして、そういうものを生み出したいと考えます。  なお補助金及びそれを強制するという問題につきましては、これは必ずやはり関連すると思います。補助金なしに強制することはできない、また強制して補助金がないということもこれは非常に無理だと思いますので、両方関連して考えたいと思います。なお予算につきましては、いろいろ大蔵省との折衝もございますので、私どもできるだけ研究して努力をいたしたいと思います。
  44. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ぜひ次の機会には予算措置を講じて、同時にこれが私どもの考えておるように進めるように御研究いただきたいと思います。
  45. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 与党ですから、なるべく遠慮しているのですが、御質問もなければこういう機会に……。円タクの自動車関係政府の方がいらっしゃるかと思うのですが、大都市で働いておる円タクの運転手の人はおよそ労働基準法とは縁もゆかりもない長時間勤務でございます。二十四時間勤務と聞いておりますが、実労働は何ぼになるのですか、十八時間かそこらでしょうか、暑さに向いまして、日本の青年が命を削るというようなことがございますよ。日本の政治の保護の外にあると思います。気の毒でたまりませんが、何とか抜本塞源的に御考慮下さいまして、措置をとりつつありますでしょうか。円タク運転手の労働時間は労働基準法などとは縁もゆかりもない。
  46. 眞田登

    政府委員(眞田登君) ただいまのお話しのございましたタクシー運転手の労働時間の問題でございますが、労働基準法が昨年の七月までは適用除外になっておりましたものが、七月以降適用のあることになりまして、その実施方法についていろいろと打ち合せをしておるわけであります。で各地区ごとにいろいろと事情が違いますものですから、その地区の労働基準局と、その地区でやっております自動車事業者とがいろいろとその事情について話し合いをしておるわけであります。ある地区ではすでにすぐやるというふうなことで指令が出ているという地区もあり、また他の地区ではそれが徐々に行われている。たとえば東京につきましては、いろいろと現在の勤務の態様が八時間の基準に合せるのにはなかなか急激にはこれが直せないということで、これを何カ年計画といいますか、今年は三分の一なら三分の一、あるいは半分だけでも直して行こうということで話を進めまして、この十月一日からその一部について八時間労働を実施したい、こういうことで労働基準局と事業者との間で話し合いが進んでおるようであります。問題になりますのは、結局勤務時間を交代しましたときの休養施設とか、交通機関と申しますか、通勤その他の関係からなかなかその休養時間が休養にならないといったようなことで、休養施設その他もそれまでにできるだけ整備してもらいたい、こういったことで話し合いが進んでおるようであります。
  47. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 急激には参りませんので、三分の一とか徐々にというお話でございますけれども、これはほかの経済問題と違いまして、命に別状のある問題ですよね。これはなるべく徐々にでなく、急激にしてもらいたいと思います。でもまあ交渉が成り立ちつつあるのでしたら、できるだけすみやかに一つ希望申し上げておきます。
  48. 左藤義詮

    左藤義詮君 大臣が来られるまで。日本航空に今度三億五千余の補助、そのほかに政府出資が十億ですか、そういうこれだけのことをしなければならない、アメリカ等に比べまして国がこれだけ見なければやっていけない。これはスタートがおくれました事情もありましょうが、どうもむだが多いのじゃないか。一番ここに原因として人件費、それも操縦士外国人だということですが、なぜ早く日本人で充当できないのか、その理由、現状ですね。また早く操縦士外国人に引き揚げてもらって、日本人で代替できるようにするにはどういうふうな計画を進めておられるか。いっころになったらそれが実現するであろうか。そういう日本航空が赤字で悩んでいる最も大きな原因の一つとして操縦士の問題ですね、これについて詳細伺いたい。
  49. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御指摘の通り日本の日の丸のついた飛行機を外国人で運航さすということは、国民感情の面からもそうでありますが、御指摘のように経済的の面からも非常によくないことでございまして、できるだけ早くこれを日本人に置きかえようということで、会社側も非常に努力をいたしておるわけであります。しかし終戦後非常に航空機が大型になりまして、飛んで行く方法等もすっかり変って来まして、一挙に参るということができませんので、徐々にやっておるわけでございますが、それでもだいぶ進みまして、方向といたしましては国内線の副操縦士、それから機長、それから国際線の副操縦士、それから機長というふうにだんだんと日本人にするという計画で進めておるわけでございますが、国内線の方について申し上げますと、コ・パイロットの方は全部日本人になりました。今チーフ・パイロットの機長の方が五人か六人か残っておりますが、これは八月中には全部日本人にできる予定になっておりますから、国内線に関します限りは遠からず全部日本人になると思います。それで国内線の機長になって訓練を積みまして、経験を積みまして、それから国際線の副パイロットに出すわけでございますが、今一人だけ免状をとりまして、機長になることになっております。これも逐次国内線の方の機長の経験を積んで国際線の副パイロットに持って行く計画をいたしております。いつになれば国際線も全部日本人になるかということでございますが、これは完全に行きますのには、おそらく三年くらいかかるのじゃないかと思います。なお、国際線になりますと、長距離でございますから、機長、副機長のほかに、航空士といいますか、ナビゲーターと、機関士、メカニック、それだけ四人乗るわけでございますが、そのナビゲーターとメカニックの方は、これは元の軍人とかいろいろな者を集めまして、十分訓練をいたしました上で、国際線のナビゲーター、メカニックは今半分よりちょっとよけい日本人になっております。これは一年たたないうちに全部日本人でできるのじゃないかと思います。どうしてそういうふうに非常に経験の積んだ者がおるのにそう一拳に日本人でできないかという御疑問だろうと思いますが、これはわれわれも残念しごくに思うわけであります。何と申しましても長距離国際線の機長ともなりますと、経験時間が一万時間以上の者が相当たくさんございますし、どうしても念には念を入れまして、十分の経験を積まして行きたい、こういうふうに考えております。
  50. 左藤義詮

    左藤義詮君 まだ三年待たなければならぬとは非常に情ない、国民感情の上からもできるだけ早く御努力願いたいと思いますが、一つは航空交通管制をまだ英語でやっておる、羽田初め。英語で指図してやっておるようですが、ただ航空技術だけじゃなしに、そういう交通管制の関係からなかなか全部日本人にしにくいというような事情はないのでございましょうか。一方航空交通管制の方に対しても一日も早くこれを日本側でやるような、何かそういうような見通しをお持ちになっておるかどうか。
  51. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 交通管制の面から申しますと、国際線につきましては、そのためにおくれるというわけはないわけなんでありまして、国際線は外国へずいぶん行きますけれども、一応このごろは御存じのように全部耳で指令を聞いて発着いたすわけでございますから、どこへ参りましても、幸いなことに英語一カ国語でやるという約束になっておるものでございますから、英語だけで行けることになっております。これは国際線をやる以上はどうしてもやむを得ないことでございます。その英語という問題がネックになっておる点もございます。ただ国内につきましては、国内の航空交通管制はまだ米軍が行なっておるわけでございますから、それをとるには日本語でやれば、英語の心配なくて日本語だけで行ける、こういうことになるわけでございますが、現在は米車がやっておりますので、英語を使っておる、そこが非常な障害といいますか、困ったことになっておりますが、しかしこれは日本側が十分に航空交通管制をやれるという能力を具備したときは、日本側にこれを移すということに話し合いができておりまして、実は私の方で一日も早くこの権限といいますか、責任というものを取りたいと思いまして、せっかく努力しておるわけでございますが、これもなかなか人ができませんで、せっかく今百人余り養成しておるわけでございますが、まださらに三百人近く養成しないというと全部取るというわけに参らぬと思いますが、しかし訓練のできました者がコントロール・タワーとかセンターとかに行っておりますので、困ったときは日本語で行ける、ころいうことになりますので、今までのようにアメリカの兵隊だけがやっておるという場合よりはだいぶ改善してきたと思いますが、御指摘の通り一刻も早くこれはわれわれの手に取り戻したいと、せっかく努力しておる次第でございます。
  52. 左藤義詮

    左藤義詮君 操縦士の方は三年ということですが、この航空管制の方はどれくらいの見通しですか。それから相当まあだんだん技術員も養成せられながら、まだ全部米軍がやっておるわけですが、少くとも一部分ぐらいでもこっちへ返してもらうことができないものですか。こっちに全部三百人養成がそろってしまわないと返してもらえないのですか。
  53. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは全部建前としては一つのネット・ワークがございますので、全部が完成しないと全部のネット・ワークをこちらに返してもらうというわけにはいかないと思いますが、しかし、たとえば飛行場のタワーは全部日本人がやるというようなことで、タワーを全部日本でやるというようなことはできるんじゃないかと思いますが、まだそこまで人員の整備ができておりませんので、遺憾ながらそこまできてないわけです。建前としましては、一つのずっと続いた何と言いますか、網になっておりますので、全体が完成しないといけないということでございます。
  54. 左藤義詮

    左藤義詮君 これは早急にそういうふうに国民感情の上からも、今の操縦士人件費、すべての点からもう少し当局としては熱意をもってこれを急速に実現するように努力せられたいと思います。それから、こういうふうに今度補助を出し、あるいは政府出資されるのでありますが、今のままの経営にしておいていいかどうかということです。たとえば映画会社と同じように、株主であるために料金の割引等もしたり、相当営利会社のような経営をやつておるように思いますが、国策会社であり、国がこういう点をやる以上はもう少しそういう点を引き締めて、まあ監督と申しますか、これだけ国民の税金をつぎ込むことに対して、どういうふうの方針をとっていかれるおつもりか、お伺いしたい。
  55. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今御指摘の点につきましては、問題になっておりますが、今検討しておりますので、早急に何らかの措置を講じたいと思いますが、全体といたしましては税金を相当につぎ込むわけでございますので、十分にその資金の効率的な運用が行われるということを確保するようにいたしたいと思います。要するに収入を上げて支出を少くするということで、一つの項目だけをどうこうということに参りませんので、多元的にいろいろな項目を検討して、できるだけ早く国からのお世話にならないで独立していけるようにしたいと思っております。
  56. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は鉄道収入の問題についてお尋ねしたいのですが、旅客輸送におきましては三・二%の増が出たようであります。しかし貨物収入におきましては一・二%の減である、こういうような御説明でございますが、この鉄道収入が減になるということは、究極において運賃の値上、ということになるんではないかと考えるわけであります。この運賃値上げということになれば、日本経済の上に及ぼす影響は非常に大きな問題となると思いますので、どうして貨物がこういうふうに減になるのか、この点につきまして、内容について御説明願いたいと思います。
  57. 天坊裕彦

    説明員天坊裕彦君) お答え申し上げます。終戦以来鉄道貨物の取り扱いする量が相当毎年々々ふえて参ったんでございますが、このデフレ政策と申しますか、一昨年度ぐらいから昨年でまあ頭打ちというような格好になりまして、昨年も数字上一昨年に比べて量は減っておるというのが実情でございまして、従いまして本年度予算を立てまするときにも、昨年度の数量の月別の推移状況というようなものを基礎といたしまして、やはり昨年度よりも下回るんではないかというようなことで、先ほど申しましたように、一%程度の減を見込んだわけでありますが、実態的にどういう貨物が減っておるかというような点でありますが、やはり日本経済全体の姿が現われておるのではないかと思うんでありますが、ただ鉄道荷物として従来この高級貨物と称せられる比較的割高と申しますか、賃率が高いような荷物がやはりどんどん自動車の方へ移っていくというようなことも、一つの大きな原因ではなかろうかというふうに思いますが、さらに逆に、自動車等では引き受けてもあまりもうけにならぬというような賃率の低い荷物というようなものが比較的減らないでたくさんある、しかもたとえば砂利のようなものとか、長距離に動いて数量はあっても収入としては上る額が非常に少いというものもございます。全体といたしましては、日本の産業界自身の姿を反映いたしまして、やはりデフレの政策の浸透が貨物収入の減になる一番の原因ではないかというふうに考えております。
  58. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 デフレ政策のしわ寄せというように見られることも私も想像できるわけでございますが、ただいま御説明にありましたように、この自動車によって相当に鉄道輸送に侵食をしているということが私は大なる原因ではないかと見るわけであります。これは旅客にしても同じであります。たとえば福島あたりにいたしましても、東京へ修学旅行して東京見物に来る、あるいは鎌倉方面を見るというような場合、学校の生徒が十台も二十台もそろえてそしてバスに乗って来る、こういうことはもう至るところに見られる現象であります。また貨物にしても、はなはだしいのは宮城県の方から自動車によって東京に直送する、また東京の貨物を宮城県、仙台方面までも運送している、こういう現状はこれは鉄道関係の人でないわれわれしろうとであっても、もう目にあまるほど自動車が運送しているわけであります。そういうような状態でありますから、これらのまあ早く言えば鉄道輸送の分野について自動車が侵食をしているということにつきまして、鉄道側としてどういう対策をされますか。旅客やあるいは貨物の減らないような方策を、収入の減にならぬような方策をすべきだと私は考えるのですが、これについてのお考えはどういうお考えを持っておられますか。
  59. 天坊裕彦

    説明員天坊裕彦君) 鉄道旅客並びに貨物に対して最近のトラックあるいはハスが非常な勢いで侵食して参って、鉄道お客さんなり荷物を奪っていると言いますか、とにかく自動車による貨物が非常にふえているということは、ただいまお話し通りでありまして、私どももこれらに対して何かいろいろ必要な手を考えなければならぬというふうに考えております。ただやはりバスのお客さんというようなものも非常に多いのでありますが何分これは一車借り切りで必要な所まで行って、必要な所で必要な時間だけ休んで、さらにまた乗り継いでどこへ行くというようなことで、非常に便利な新しい交通機関であります。これに対しましては、なかなか鉄道の現在の輸送力というようなものから、そうした旅行者に対して特別の便宜を与えるということもやはり限度がございます。特にたとえば地方から上野なら上野へ来られても、上野からまたバスに乗らなければならぬというような、根本的な設備上の問題もありますし、およそ限度があるのではないかというふうに考えられます。貨物に対しましては、やはりどういたしましても鉄道としてサービスの面で、貨物がトラックのように早く着く、戸口から戸口まで早く着く、こういうことをやらなければならないというので、大都市の近郊ではとにかく翌日到着というような主義で列車の筋をいじったり、荷物の集め方を考えたり、配達を速達にしたりというふうなこともいろいろ考えております。さらに又荷作りを簡易化し、あるいは戸口から戸口まで送れるというようなために小型貨車のような、コンデーナーというような式のものを近く相当大きく作りまして、そうしたもので貨車からこういう大きな箱の中に入れたままでそれをそのままトラックに載せて戸口まで持って行く、こういうふうなことをやりたいと考えおります。ただもう一つ自動車鉄道との関係につきましては、大きくは交通政策上の問題があろうと思いますので、これらの点につきましては、運輸省御当局にいろいろ御方針的なものをお尋ね願いたいというふうに考えます。と申しますのは、トラックにいたしましても、バスにいたしましても、トラック一台あるいはバス一台を持てば、それですぐ商売ができるということなんでありますが、片方で道路等に対する施設は全然運送業者としては何ら——何らとといっては極端でありますが、負担しなくてもいい、鉄通は車両だけでなくて線路から何から何まで自分で全部やってゆかなければならぬというような意味での負担が相当大きいというような点を私どもは感じております。
  60. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 究極において、自動車の方が旅客にしましてもあるいは貨物にいたしましても、非常に便利であり、また鉄道運賃に比較して自動車の方が経営者も採算がとれる、また従って鉄道運賃と対抗して安く運び得る、一般旅客も荷主もその方が得であるというようなところから、こういったような現象になっておると考えるわけですが、これらにつきまして、将来ますます自動車が発達いたしまして、自動車数もふえ、交通も、自動車の交通事故というものがますますふえてくるというような現状でございますから、私は運輸大臣がおいでになりましたからお尋ねするわけですが、民主党としては鉄道新線ということを今度の選挙におきまして非常に大きく打ち出しておるようでありますが、かような自動車が発達した時代におきまして、私はこの鉄道建設、非常に金のかかるような建設よりは、むしろ万人が通り得るような道路の建設をいたしまして、せっかく発達した自動車をフルに運転し利用することが、日本経済発展のためにも将来いいのではないかというように考えているわけであります。ことに残されました鉄道新線というものは、地元の住民といたしましては非常に希望するでありましょうが、採算のとれないところが残されているのではないかと考えておりますが、これらにつきまして運輸大臣の所見を承わりたいと思います。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今お話しになりましたように、だんだん傾向としては自動車時代にいく傾向があると思います。そういう意味において道路というものが整備されていくことが好ましいのですが、まだ日本の場合は、それならば鉄道時代というものはもう過ぎたかというと、そうも思えない。いろいろな資源の開発、あるいは何と申しますか、その地方発展、人口の分布を変えていくような結果にもなりましょう。ことに北海道なんかではそういうことが言えるわけです。そういうことでやはりある程度鉄道というものも、今後もう全然鉄道はだめで、道路に切りかえるということを一つの原則的に見て参りますのもどうかと思います。しかしお話しのように鉄道というものがどうしてもやむを得ない最小限度のものにして、できる限り道路を整備していくべしという御意見はたしかにその通りだと思います。しかし今やっておる鉄道もこれはいずれもその地方のいろいろな産業発展の上から申しましても必要な路線でございまして、これを今計画されておる新線を全部これをやめてしまえといわれても、そういうわけにはいかない。今後の新線お話しのようなことをよく勘案をいたしまして、緊急やむを得ざる、国の見地から鉄道建設することが最も好ましい、こういう路線に限ってやはり道路の整備というようなことにこの重点を置きかえていくという御意見には私も賛成でございます。
  62. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は鉄道新線をことごとくやめてしまえという考えを、暴論を吐くわけではございませんが、いずれにいたしましても、自動車というものが将来ますます発達してきまずから、これに鉄道収入が逐次圧迫を受けて、ますます鉄道経営が困難になってきはせんかというような考えのもとに質問したわけであります。そこで鉄道収入がだんだん減ってくる、こういうことになりました場合には、どうしてもやはり運賃を上げなければならぬというふうなことになりはせんかと考えるのでありますが、これにつきまして、運輸大臣としてどういうお考えを持っておられるか。
  63. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ政府の方針としてもできるだけ物価を押えていきたいという見地から、運賃はこの年内に上げない、こういう方針をきめておるわけでございます。しかし将来は御指摘のように運賃改訂しなければならぬ時期が私は必ず来ると思うのであります。しかしそれはやはり国鉄としてもいろいろああいう大きな世帯でございますから、これを私企業的な感覚でいろいろ合理化をはかれば相当な余裕も出る余地があるのじゃないか、そういうことを、まあ今年度年内におきましてはこういう苦しい財政でございますから、自然に好むと好まざるとにかかわらず国自身が合理化をせざるを得ないわけであります。また国鉄自身も合理化をやろうという意欲を持っておるわけでございますから、そういうことによって運賃改訂を考えたい、しかしこの年内運賃を上げようという意思はございません。
  64. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そこで鉄道合理化運営ということに当然なってくるだろうと思うのでありますが、現在の鉄道職員数は四十四万七千七百二十五人である、こういうふうに出ておりますが、人員の整理をしてほんとうに合理化運営をするというような考えはないのであります。これは副総裁の方に。
  65. 天坊裕彦

    説明員天坊裕彦君) ただいま鉄道職員は四十四万七千人近くおるわけでございますが、これだけの人数で多過ぎるかどうかというような問題がただいまの御質問の基礎の問題であろうかと思うのでありますが、大体私ども戦前のいわゆる能率を上げておったかと思われる時代の鉄道の業務量というようなものと、その当時の人数、職員数というものと、最近の状態と比較いたしまして、私は戦後できました労働基準法というような関係で特別な事情による増加された人間の数というものを大体二割弱くらいと考えておりますが、その数字を除きましては、大体昨今の鉄道の業務量というものは戦前の業務量と人数との関係で大体とんとんくらいのところにきているのだというふうに考えておりますので、従いまして合理化と言われましても、だんだん機械で置きかえていくということも考えられますが、現在の取扱い業務量というものがあります以上は、ただ人間の数だけ減らすということも私は困難かと存じておるわけであります。
  66. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は人間の数が多いとか少いとかいう問題よりも、ほんとうに責任のある職務を忠実に果すという、いわゆる能率を十分に発揮し得るような精神的な能率増進法を設けなければならぬのじゃないかと思うのです。というのは洞爺丸事件におきましても、紫雲丸事件を見ましても、むしろ責任を果しておらぬというような感じを世間一般は抱いているわけです。だからほんとうに能率的に責任を果すということでありますならばサービスの面におきましても、私はこういう旅客やあるいは貨物輸送におきましても、もっと親切に、そうして自己の責任を果すというような運営を一分にされましたならば、私は収入減もある程度抑えることができるんじゃないか。いずれにいたしましても、総裁も更迭され、さらに人事も刷新されるような運輸大臣の所信でございますから、私はこの方針をもっと強力に発揮せられまして、国鉄運賃はなるべく値上げしないように、そうして能率を上げ、今の自動車や何かにお株をとられないように努力せられんことを希望として申上げまして、私の質問を終ります。
  67. 田中啓一

    ○田中啓一君 私、三点質問しようと思っておりましたが、第一点の貨物運賃総額の減少する傾向については同僚からすでに御質問があり、御説明もあったように思いますのでやめます。  次に船のことでございますが、本年の利子補給額が三十五億、それで予算外の契約をいたしますものが約十億でありますから、来年はほぼ四十五億になるであろうと思っております。そこでここにありますように、外航船の船腹増加六カ年計画というものを持っておられまして、なお今年の分と合せて百三十六万総トンというものが増加するわけであります。しかもこれは、今運輸大臣がおっしゃったように、まことにこの資金の工面は容易ならざるもので、要するに一工面と、われわれの私経済でいえば、七所借りして一工面ということで、この方角でいくよりだれが考えてもやりようもないことだと思います。で、この六カ年後あたりが利子補給のピークになるということで、六カ年くらいで打ち切ることにいたしますと、利子補給額は六カ年間でほぼ毎年どんなふうな——三十年度は三十五億、三十一年度は四十五億というようなふうに勘定をいたしますとどんなふうになりますか。これを一つ
  68. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 海運局長から。
  69. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) その計算をした数字を今持っておりませんので、すぐ計算にいたしますから、ちょっとお待ち下さい。
  70. 田中啓一

    ○田中啓一君 見当はつきましょう。概数でいいんですよ。御遠慮に及びません。
  71. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 大体五分ないし六分程度の利子補給になります。従いまして今年は市中が三十八億でありますので、それに対しまして五分というふうなものでありますから、大体ことしくらいの計算の数字が毎年六カ年間続く、こういうふうに考えておる次第であります。
  72. 田中啓一

    ○田中啓一君 それはどうも海運局長見当が違うのでございまして、利子補給額というやつはそう金は急に返されはせんですから、元金は。だから年々累増するにきまっておるわけなんです。おそらく伍々累増するのが十億ぐらいはふえるものである。従って今後六カ年間には大体百億くらいになるであろうと私はおよそ見当をつけておるのでありますが、それは人なる見当間違いでありますか。
  73. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) どうも正確な数字でなくて申しわけないのですが、大体利子補給金は元金の返済がなくても十年間均等償還ということでピークを押えておるのでありまして、従いまして市中の借入金が残っておってもその計算に従ってだんだん毎年々々下げていきます。従いまして新しい借入金には五分の利子補給がつきますけれども、前のがだんだん下っていくという計算になりますれば、実質的には百億という大きな金額にはならぬというふうに私ども考えます。
  74. 田中啓一

    ○田中啓一君 年度初めの方は割合高い補給率でいくけれども、古くなれば補給率は減らしていくというような構想になっておりますれば、おっしゃるようなことであろうと思うのです。で、私なぜそういう質問をしたかというと、これは今の日本経済としては諸般の産業の財政投融資というものがこの方法でやるよりほかには方法がないのじゃないかということを実は考えるものですから、それでそういった、それは一つの新機軸です。古いやつは補給率を減らすのだというふうになっておれば、それはまたおもしろい一つの行き方で、それはいつでも補助金と比較されまして、しまいには補助金を三割とか五割とか出すのと似たようなことになってしまうというのがこの利子補給方法の焦点だと思うものですから、それでお尋ねしたわけで、それはそれまででよろしゅうございます。それで一つ二、三日中にでも一ぺん正確な六カ年計画に基いて計算したのをお出しいただきますれば、これは諸般の予算審議に非常に助かる、こう存じますのでお願いいたします。  次に、これは共済組合の問題でございますが、国鉄の方では、ほかの二公社も同じのようでございますが、最近共済組合の方の改正、これは広い意味から申しますると、共済組合の方はやめた者に一時金なり年金なりを払うということでございますし、勤めておる者は毎月月給をもらうのでありますから、大きな意味において給与の問題なんであります。従って人件費としてお考えになりますれば、やめた者に払うものと現在おる者に払うものと合せたものをお考えになられるものだ、そしてそれと鉄道経営とを考えるべきものだと私は思うのです。その共済の問題の解決につきましては、経営者側と労働組合側との御相談がととのうた——だによって、一日も早く共済組合法の改正をしてもらいたいというような要望が職員間にあるように伺っておるのです。これにつきまして、副総裁はどういうお考えを持っておられますか。
  75. 天坊裕彦

    説明員天坊裕彦君) ただいまお話がございました鉄道の共済組合関係につきまして、いろいろどういうふうに国鉄の特殊性というようなものも織り込んで共済組合法を改正したいという案につきまして、私ども並びに私どもの組合ともいろいろ案を練って参ったのでありますが、大体におきましてこれなら両方とも賛成できるという一案はまとまったわけであります。ただ私どもといたしましては、これを法案として提出して国会の御審議を願うためには、やはり公務員関係一般の共済組合法との関係もございますし、政府提案というような本筋をとっていかなければならないのではないかというふうに考えておったのでありますが、国鉄出身の国会議員の方でその趣旨に非常に御共鳴される方も相当ございまして、一般の共済組合法の改正を待って政府提案でいくには、いろいろほかの事情等でおそくなる。急速にこれを国会に出した方がいいのではないかというようなお話がありまして、寄り寄り国会の各党にもお話が進められておるようであります。そしてその問題について、当局側としてどういうふうに考えておるかというお話でございますが、案自体につきましても、私はこれは一つの理想案としてぜひこれを実施したいというふうに思って、私どもの方も時によりましては各党の関係の方に御説明にも参っておるようなわけでありまして、私どもといたしましても、ぜひ急速にこの案を国会で御審議、御検討願いたいというふうに考えておるわけであります。事情はそういうふうになっております。
  76. 田中啓一

    ○田中啓一君 運輸大臣はこの話を聞いておるだろうと思うが、どういう考え方をしていらっしゃいますか。
  77. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 鉄監局長からお答えいたします。
  78. 植田純一

    政府委員(植田純一君) ただいまお尋ねの公共企業共済組合法案につきましては、私も国鉄の事務当局から一応案の内容説明を聞いたことはございます。しかし政府といたしましては、本省といたしましても、まだこれをどういうふうに扱うかということを実は相談したことはございません。大臣にも大体こういうような問題があるという程度のお話は申し上げましたが、それ以上詳しいことは大臣にも申し上げておらないような状況でございまして、運輸省といたしましては、まだこの点につきまして十分相談をいたしておりません。私といたしましては、国鉄の事務当局から諸般の考え方ということにつきまして、一応聞いたことはございます。
  79. 田中啓一

    ○田中啓一君 私は公共企業体として、国鉄がやっていかれるいろいろ今日問題はあると思いますが、今世間で最も要望しておることは、労使というものが一体となって、そしてほんとうに仕事をしてくれるということです。けんかばかりやっておるのじゃないか、運賃を上げるといえば、月給は上げてもらいたいが、運賃は上げるなというビラを汽車や駅にべたべた貼っておるこれは一体何のことだ。これがもう一番素朴な国鉄に対する非難です。こういう問題は痛感しておられると思いますが、それに対してこの給与関係について話がまとまって、そしてこういうふうに老後のめんどうを見てくれるならば自分らは働くのだと言って、心から協力態勢を示しておられるやに聞いておるのであります。労使の協調というようなことは抽象的に幾ら論じてもだめなのです。一番肝心の点はそういったところにあるであって、しかも労組側も眼前のことは、政府一般の公務員が恩給に対して納めておるものより倍の率を出してもいいのだ、どうぞ老後というものを、一生懸命働くから、企業体の方も奮発して、そしてめんどうを見てくれ、それなら力一ぱい働けるのだ、こういう態勢ができてきておるのを、漫然そういう態度をとっておられるというのは、私にはどうもげしかねるのでありますが、一つ説明願いたいと思います。
  80. 植田純一

    政府委員(植田純一君) ただいま田中先生のおっしゃる点はごもっともでございます。また法制的に申しましても、国鉄のいわゆる共済組合制度あるいは恩給制度は、現在は公共企業体になりまして、暫定的に国家公務員の法律に準拠した制度でやっておるわけであります。従いまして公共企業体にふさわしいそういう共済組合制度を作らなければならぬということも、大体私もそうだと考えております。従いまして公共企業体共済組合制度というものが、早晩これはできなければいかぬというような意味におきまして、国鉄当局にも実はそういう点の研究をお願いしておるような関係もあったわけであります。ただ最近ようやく一つの案ができておるのでありますが、なるほど、田中先生のお話のありましたように、労使双方が大体話ができている、しかもその案の内容もかなり進歩的と申しまするか、そういうふうな案の内容につきましても好ましいとは思っております。ただ政府といたしましては、やはり全般的なそういう職員の共済組合制度あるいは恩給制度というものとの関連もありますので、そういう点につきましては、実は十分検討をしたい、またするという立場で私どもは実は国鉄当局からお話を聞いたわけであります。ただ聞きました時期その他から見まして、政府部内で打ち合せをいたしますにつきましては、どうしても今国会に間に合いかねるということで、実はそういうつもりで私どもといたしましても政府部内で相談するつもりであったわけであります。そういうふうな関係で実は運輸省の態度をきめ、あるいは政府部内の打ち合せということがおくれておったわけでありまして、今国会にはちょっと時期的には間に合わないのじゃないかというつもりで、政府部内あるいは運輸省部内の検討を始めたい、かようなつもりでおったわけであります。
  81. 田中啓一

    ○田中啓一君 それではまあそういった一つの成案が国鉄内部でできたのを承知したのがすでに時期がおそかったので、一般公務員の恩給法の問題との関連もあり、今国会には間に合わないが、十分に検討をその間にして来国会には出すという御決心のもとにやっておられますか。それとも漫然としてやっておられるのでありますか。そこらはいかがでございますか。これは一つ運輸大臣にお伺いいたします。
  82. 植田純一

    政府委員(植田純一君) もちろんこの問題は公共企業体関係の省にも関係のあることでありますし、特に大蔵省との関係、意見の調整ということもありえますので、政府部内におきましては、この公共企業体共済組合法につきましては、関係している省が相当多いものでありますから、こういう関係各省とのもちろん打ち合せをやりまして、さっき申しましたように、この種類の共済組合法は当然いっかは制定しなければならぬ。たまたま一つの案をもとにいたしまして、できるだけ早く一つ政府部内の意見をまとめたいというつもりではあったわけであります。ただ先ほど申しますように、今国会にはちょっと間に合わないのじゃないかというつもりでおったわけであります。
  83. 田中啓一

    ○田中啓一君 これはどうも私が見ていると、企業体としてはもうそこまで妥結ができれば、急いで協力体制を整えるためにおやりになって、そうして企業の何と申しますか、健全な発展ということについて熱を示してやっていかれるべきだと思うのであります。ところが、公共企業体は三つあり、しかも監督者も三つということで船頭多くして船山に登る、こういう状態で漫然と日をたてておられるのじゃないか。それでは私は企業の立場として、何も時日を空費して、そうしてせっかく一日も緊張した精神で仕事をスムーズにみんなでやっていこうという一つのきっかけをつかまえておるのに、のがしておるということになりますから、一つもう少し熱をもっておやりになったらどうであろうか。国会が力んでおってもこれはなかなか届かぬ話です。でありまするから、これはもう御答弁は要りませんから、それだけ最後に申し上げまして終ります。
  84. 小林孝平

    ○小林孝平君 港湾関係のことについて一つお尋ねいたします。  新潟の新潟港の砂丘の決壊の問題でありますが、この問題については、先般衆議院の運輸委員会並びに参議院の運輸委員会に地元から陳情を出しまして、参議院の運輸委員会においては、運輸大臣も出席されてその陳情を聞かれたはずでございますが、この問題を具体的にどういうふうに処理しょうとされておりますか、お尋ねいたします。
  85. 黒田静夫

    政府委員(黒田静夫君) 御承知のように新潟は信濃川の河口でありまして、あそこの流出する土砂によってできたデルタ地帯でございます。それが昭和の初めに大河津からの分水が——洪水の放水路が寺泊の方に完成いたしましたから、新潟港を中心として延長およそ八キロ程度の間の海岸の決壊が非常に早く始まったのでございまして、おおむね一年間に五、六メートル海岸線が欠けております。これまでに昭和の初めから百七、八十メートル欠けているのであります。それに対しまして、戦前から決壊の防止工事をやっておりましたが、終戦後特にこの問題が顕著になりましたので、昭和二十三年かと存じますが、砂丘の決壊の防止の防災工事を開始いたしまして、毎年三千万円程度の国費を投じて事業をやっておったのであります。国費が三千万円ですと事業費はおよそ八千万円足らずでございますが、四割の補助率になっておりますので、その程度の仕事をいたしておったのでございますが、最近になりましてこの海岸の決壊がなお相当顕著なために、本年度におきまして、御審議願っておりまする予算におきましては、国費を七千二百万円、事業費にして一億八千万円の海岸の決壊防止工事実施いたすとともに、この二年に大きな決壊がありました場所を災害復旧工事として取り上げまして、これが総工事費が一億八千万円程度になるのでございますが、本年度予備費の方からその事業量の二割乃至三割を計上できる見込みであります。なお労働省に掲載されておりまする特別失業対策の方からも事業費で一千万円程度をこちらの方に振り向けられる予定でありまして、この状態であと災害復旧工事を三年で完成いたし、それから海岸の一般の防災工事をあと二年でやりますと、おおむね海岸の防災は現状でとどめ得るのでございますけれども、なお根本策としては、海岸の決壊が起きておりますので、将来はただいまの新潟港の方に流下している土砂を直接決壊する場所の方に振り向ける河口分水の工事が必要になって参るのではないかと考えておりまして、そうしましておりますと寺泊の方に流下いたしました土砂はおよそ百五十年か、そういう程度の年数で新潟の方に土砂がだんだんと流れてくるという見当でございます。
  86. 小林孝平

    ○小林孝平君 これはただいまいろいろ申されたのは、従来の事業の継続として考えられているものなんです。ところが最近非常に急速にこれが決壊をいたしておりますので、こういうやり方をもっと急速に、これを事業を完成するようにやる御意思はありませんか。
  87. 黒田静夫

    政府委員(黒田静夫君) その急速に完成するために事業量も。国の補助費が二十九年度は三千万円であったものを、七千二百万円に、倍以上に増額いたしておりますし、なお欠けました個所に対しましては、別に一億七千万円程度の災害復旧工事実施して急速にこれを完成、防止するというような努力をいたしておるのでございます。
  88. 小林孝平

    ○小林孝平君 ただいまの計画で行けば、大体三年後には完成することになるわけですが、それでほとんど完全にこれが防止できるのですか。
  89. 黒田静夫

    政府委員(黒田静夫君) この三年後におおむね完成いたしまして、その時分に河口分水を始めまして、河口分水の土砂が今決壊している場所の方に流れてきますと、決壊の速度はとどまりまして、これを保持していくことが可能だと思います。
  90. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑がないようですから、運輸省所管についての質疑は、この程度で終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  休憩をいたしまして、午後は二時から再開いたします。    午後一時二十二分休憩    —————・—————    午後二時五十分開会
  92. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) それでは午前に引き続き分科会を再開いたします。  農林省所管につきましては、きのう一応質疑は終了いたしたのでありますが、農林大臣に対する質疑が留保されておりましたところ、ただいま農林大臣が出席されましたので、便宜、間にはさみまして、農林大臣に対する質疑を願いたいと存じますが、いかがでございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) それからなお、大臣の時間の点はまだはっきりしませんが、衆議院会議の開会までの予定で出席されておりますし、なお本分科会は、本日大体四時を目途に終りたいと思っておりますし、あとに建設関係のものもありますから、そのお含みで御質疑を願いたいと思います。
  94. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 農林大臣がお見えになりましたので、ちょっとお尋ねしたいのですが、せんだって来、農林水産委員会でいろいろお伺いしておりましたが、いわゆる水産政策の根本問題について、農相のお話では、水産に関する調査委員会か何かそういう委員会を設けて根本的に検討したいというお話でございましたが、その委員会というものはどういうふうな規模で作られるのでありますか。一種の官制によってやられるのでありますか。そういう点はどういうふうな構想を持っておられますか。
  95. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は大臣に就任いたしましてから、一番と申してはどうかしりませんが、むずかしい問題は水産だという感じがいたしたのでございます。と申しますのは、私自身も多少水産に関係をしたこともございますけれども、今の日本の水産のあり方につきましては、すべてが行き詰まっておるという感じを私は持つのであります。沿岸漁業が沖合いに、遠洋にと順次移り変っております。しかもこれが以西底びきにいたしましても、マグロ、カツオにいたしましても、北洋のサケ、マスにいたしましても、非常に多くの希望者があるにもかかわらず、これがその希望を満たすことができない状態であります。しかしこの表面的な事情からだけ考えても今申し上げる通りでございますが、とれに即応する内地沿岸の昔からやっておりまする船だまりを初めとして、中小大の各漁、港のあり方等につきましても、すべて一応再検討をしなきゃならぬ事態にあるのじゃないか。またさらに申し上げますれば、とれました魚の処理の問題について考えなきゃなりません。市場関係について市場法の改正もする必要があるだろう、さらにこれを海外に輸出いたしまする問題につきましても、現にことしとって参りまするサケ・マスのカン詰を初として、マグロのカン詰にいたしましても、非常に海外の販路の点について大いに考えなければならぬ点があると私は心得ます。そういうことを万般にわたって——言い落しましたが、漁業協同組合の現在の機構、制度につきましても再検討を要する問題があるというようなふうに、すべてにわたって再検討をいたしまして、少くとも今後の日本の水産業界の持っていき方については、各方面の御意見を拝聴いたしまして、そうして水産国策の基本を一つ御検討願わなければならぬじゃなかろうかという感を非常に深くいたしておる次第でございまして、これにつきましては、国会の終了次第、今申し上げましたような意味合いにおきまして各方面の権威の方々にお願いいたしまして、そうして御調査、御研究をいただきたいと思っておるのでございますが、今お尋ねの官制によるか、よらぬか、別に今どういう——官制ということは考えておりませんが、私の心組みといたしましては、今申し上げましたような意味合いで、あらゆる分野からの御協力をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 お話の通り、ほとんどわれわれとして考えてみましても、いかにして打開していくかということについて、ほとんど名案がないような感じがするのです。水産はほとんど分野というものがあまりきまっておりませんので、たとえばカツオ・マグロがいいということになるとネコもしゃくしもなだれを打ってそっちへ向っていく、それをせきとめるのがなかなかむずかしいので、ある程度の、せきとめるような時代になったときにはもうすでに行き詰まっておる、大臣は北洋の漁業については従来から御経験を持っておりまするし、本年は多数の船団が許可されました。同時に漁も非常にいい。ところが経営面においては果してそれがいいかどうか。今お話のように、カン詰にしましても、ちょっと壁に突き当ったような状態、サケ・マスにしましても、あるいはカニ漁業にしましても、どうもおもしろくない。しからばほかの沿岸はというと、沿岸がすでに行き詰まっている。これを漁業者を他の事業に転換させるというようなことは非常にむずかしいのでございまして、ほかの陸上の仕事と違って、漁師を陸へ上げてみたところでどうにもならない。しからばどっちへ向けるかというと、もうすでに向ける道がないような格好になっておるのじゃないか。そこで今度の調査会と申しますか、そういうものをお作りになりましても、各界からめいめい気まま勝手の要望が出て、これはなかなかむずかしいと思いますが、農林省自体において、ある程度の大まかな目標をお持ちになっておられませんか。
  97. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それはまだ私自身は全く白紙で、今申し上げましたように、非常にむずかしい問題でございますので、率直に申し上げますが、全然白紙でおるわけであります。いずれその会の進行とともに私たちも十分勉強させていただきたいと考えております。
  98. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 結局、今のところ処置なしといったような感じではないかと思いますが、農林省にいたしましても、どうしようという腹案も出てこない。今度の委員会において、業界あるいはその経験者の意見を聞いておきめになろうとしてもこれはなかなか、聞いてみなければわかりませんが、これという名案もなかなか立ちそうもありません。特に輸出品につきましては、相手があることですから、この問題も考えなければ、ただ取り上げたばかりでは金にならない。現在印度洋方面からぼつぼつと漁船が帰って参りますが、この市場の価格を見ますというと、みんなが青くなっている。こういう面から考えまして、せっかく多額の融資をして船を作らしまして、魚をとってきて金にならない。これが日本の農村等にもう少し大量に安くて売って食べさせることができればいいけれども、これが輸送面、貯蔵面等においてなかなか、カツオ・マグロというものを処理することはむずかしい。こういう面から考えますと、この水産政策の根本問題を樹立するということは、非常な難事である。しかし何とかしなければならぬという問題だと思います。何か調査会等においていい結論が出ますれば、私非常に仕合せだと存じますが、自然小さいといいますか、中小漁業というものが非常に困っている。大きな経営体はどうにかやっておりますが、中間のものが非常に苦しいのじゃないか。結局ある程度の規模のものに固めてでもいかないことには、二、三ぞう持ったものは、あるいは一そうぐらい持って経営しておるものは、ちょっとつまずくと参ってしまう。そうするとせっかく融資したものもどうも回収できないということになります。カツオ・マグロ等についてもそうでありますが、この間もちょっと北海道のニシンの問題が出たときに、イワシの問題を私は申し上げたのでありますが、イワシ漁業も、終戦後非常に進みまして、みな大型になっております。ほとんど七、八十トンの船になっておる。これが全部大きな借金をしょっておる。これがほとんど行き詰まっておる。ここで十億か二十億の金をつけ足してもこれは生きてきません。これが本年も昨年と同様の漁の模様でしたら、これはおそらく本年の暮にはばたばた倒れてしまう、こういう問題も非常に経済に大きな影響を及ぼすので、私ども、この間もちょっと帰ってみますと、その面について業界でも非常な憂慮をしているわけです。やはり一つの根本策を立てるについては、相当また融資等、その他の資金的裏づけも考えなければならない。それからまた一方、魚族の保護という面につきましても、何度もお話し申し上げましたように、今まではただ漁獲一方で進んできた、一つもこれを保護する方法がない。これはよくみんな痛切に感じていながら、これに対しては相当大きな金がかかる。その結果、その金の出どころがないから自然やりっぱなしにしてきたわけですが、どうしても稚魚の保護、いわゆる繁殖の保護というものを考えなければ、日本の沿岸漁業はほとんどつぶれてしまうのではないか。そういうものにつきましても、なるべく早く対策を立てていただくことを特に希望しておきますが、なかなか、私は水産の問題をお尋ねすると、調査会にすっかりかぶせてしまっているような感じがして、それから先どうも進めませんけれども、早急にこれはやらなければならぬ問題だと考えております。
  99. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨はよく承わりまして、決して私は調査会に責任を転嫁して、これをどうこうという考えは持っておりません。国会中にも準備を進めまして、そして終了いたしましたら直ちに発会をいたしまして、明年度予算の編成にも間に合うものは間に合うように取り入れていきたいということでしばらく御猶予願います。
  100. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ぜひ一つどうぞ。
  101. 小林孝平

    ○小林孝平君 水産関係に関連いたしまして一点お尋ねいたしたいと思うのですけれども、農林大臣もよく御存じでございますけれども、漁業用の石油の問題に関連いたしまして、全漁連に外貨の割当をしてもらいたいという非常に強い希望がありまして、関係者からも農林当局に陳情があり、さらにこの問題は非常に大きく取り上げられましたので、衆議院の水産委員会あるいは参議院の水産委員会において、それぞれ政府に漁業用の石油の外貨の割当を全漁連にするようにという決議も昨年やられたわけなんです。ところが、その後さっぱりと問題が解決をいたしませんで、農林省当局から具体的な話もないし、昨日の農林水産委員会においては、通産当局の鉱山局長説明によると、これは昨年の五月に全漁連には外貨の割当をしないという決定をしてある。さらに最近それは再確認をし、通産大臣もそういう方針で大体いくように話をされておる。こういうような話でありましたけれども、農林大臣はこれをどういうふうにお考えになりますか。
  102. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 全漁連に外貨の割当をなすべしという御趣旨は、私は現在中小漁業者が使用いたしております重油が割合に割高になっておる。これを輸入から換算いたしまして、精製販売の関係から十分調査いたしまして、合理的な価格で中小漁業者にこれが使用できるようにさせるというところに本旨があるものと心得るのであります。そこで政府といたしましては、外貨の割当をいろいろいたしておりまするのに、全漁連がその中小の、実際使用いたしまする漁業者に、重油の取得価格を下げるということは、外貨の割当をとらなければできないかどうかということについて第一に検討してみたいということからいたしまして、先般来通産大臣、経審長官をまじえまして、種々懇談をいたしました結果、外貨の割当は従来通りでよかろう、そのかわりに全漁連は全漁連の立場からいたしまして、現在の重油精製をいたしておりまする——つまり日石でありますとか、大協でありますとかという国内に石油製造業者がございます。この業者に対して合理的な価格を政府は勘案いたしまして、そして現在太洋、日魯、日水等の大漁業家が直接これらの業者から油をとっておるわけであります。それと同様、もしくはそれ以上有利な条件で全漁連が大品に取得し、これを合理的価格で下部に配給することにするならば、そこで一切目的が達成できるのではなかろうか、そういう処置を講ずることにしてほしいということに私は強く申し入れをいたしまして、従って全漁連とこれら業者との価格の取りきめをいたします際に、われわれ政府といたしましても、これに深く関心を持ちまして、そして所期の目的を達するようにしてゆこうではないかということに取りきめをいたしておりまして、一応それでやってみる、それでなお業界に摩擦があり、反省がないときは、あらためて考えるというふうにいたしておるのであります。
  103. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういたしますと、さしあたりは、全漁連には外貨の割当をやらないという方針は確定いたしておるわけですか。
  104. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 確定とは申しませんけれども、今の方法で暫定的に一つやってみようじゃないかということにいたしております。
  105. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういたしますと、それをしばらくやりまして、なかなかうまくゆかないということになりますれば、全漁連に対する外貨の割当というのは、考慮の余地はある、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  106. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうことです。全漁連に外貨の割当をしないということをきめますと、また一方の業界がわがままを言うということでは困りますので、私としては、全漁連に外貨の割当——われわれが全日本の水産のために必要な油は、大体百万トンと計算しております。そのうちで全漁連の扱いますものが二十万トンないし二十五万トンと計算いたしております。従いまして他の七十五万トンないし八十万トンの油につきましては、十分考慮しなければならぬと思いますので、私としては、油の正常なる取引ということを全面的に考えなければならぬと思いますから、そういう意味で油の問題につきましては、決して外貨の割当を従来通りに無条件でまかすということには私は考えておりません。私の所期の目的が達成できれば、しいて外貨の割当を必要としないのではないかというように考えております。
  107. 小林孝平

    ○小林孝平君 外貨の割当をしてもらいたいという農林委員会の決議は、昨年十二月にやりまして、その後通産当局では具体的に下げる方法をいろいろ研究するということだったのに、すでに半年もたった現在になっても、具体的に下らないということで、最近非常に問題になってきたのです。従いまして今までの経過から考えますと、なかなかうまくゆかないのではないか。そういう際には、今のお話しでは、具体的に下らなければ考慮するというお話でございますから、これは非常にはっきりいたしまして、業者も安心すると思うのです。そこで昨日鉱山局長が、通産省といたしましては外貨の割当をやらないということを再確認した、大臣もそういうふうに決定をした、さらに民主党の政調会においてもいろいろ研究した結果、そういう方針にきまった、こういうように話があったのですけれども、それは誤まりでございますか。
  108. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは今言う通り、私が今申し上げましたことに通産省も全面的に協力をするということになっておりますから、それをやってみて、下らない場合には、私は御趣旨に沿うようにいたすことが妥当だと思います。でありますから、今お示しになりました通産当局もしくは民主党の方面においてもそれによって所期の目的を達成することに第一段階として努力する。努力した結果、それが目的が達成できなければ、今の方法によってやらなければなりません。こう考えておるわけです。
  109. 永井純一郎

    永井純一郎君 ちょっと農林大臣に、委員会でまあこまごましたこともあまりお尋ねできないので、分科会でお尋ねしたいと思います。委員会で米価を一万六十円よりも、今行われておりまする米価議審会の決定によって、私はまあある程度高いものが出てくると思うのです。もしそういう場合には、なお考慮する余地があるという意味のような含みのある答弁を、おといいだったかいただいたんです。で、これはまあ農林大臣としてもそういうことを当然希望されておるだろうと思うのですが、この点ちょっと念を押したいと思うのです。いかがですか。私どももう少し上ることを実は非常に希望しているわけなんです、農業者の立場としてですね。
  110. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これはもう答弁としては先刻お答え申し上げました通りに、政府はこの価格を妥当な価格と決定いたしておるのでございますから、もちろん米価審議会の御答申を得た上で、十分それを調査いたしまして、最終の決定をいたすということになるわけでございますが、今ここでまだ上げる含みを持っておりますという答弁は一つお許しいただきたいと思います。
  111. 永井純一郎

    永井純一郎君 実は私どもも一万六十円については、今日のとにかく国民経済の中における農業所得等からして、その米価そのものが財政経済の政策上どうだこうだという問題は一応別として、今日ただいまの問題としては非常に低いと思う。そこで何も河野農林大臣をわれわれは一つも責める必要もないのであって、値段をもう少し考えてもらいたいという意味で実はやっておるわけであります。むしろそういうつもりで参っておるわけであります。そこで財源の問題、まだおそらく、きのうの委員会でもまだ計数整理中という御答弁でございました。従って政府が言いましたこの外国食糧の値下りでどのくらい出るとか、それから食管特別会計の中の節約、中間経費だ、事務費だ等だろうと思いますが、そういう節約で幾ら出る、それから酒造米関係でどのくらいふやしてこう出る、この計数はまだ出ておらないでしょうね、もちろん。
  112. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) こういうことに御了承願いたいのであります。今のあげておりまする、考慮いたしておりまするものが、たとえば食管の経費節約は、これはもう最大限経費節約にするようにその後各方面と折衝をいたしております。たとえば運賃関係とか倉庫関係というようなものを現在の状態で実は私は最近折衝、調査をいたしておるわけでございますので、そういうことでこれについてはできるだけ可能な分だけやらなければいかぬ、こういうことである程度の目安もございますけれども、まだ最終的な実は結論を得ていないわけでございます。  それから今の輸入食糧の点につきましても、これも今までの輸入食糧の輸入いたしました実績を勘案いたしまして、将来の見通しについて、せっかく今各地別にそろばんを入れているところでございます。で、それら想定できる最大限にできるものはやらなければいかぬし、それから今のような想定できるものについての詳しいそろばんを入れまして、これらによって一体どういうものが出てくるか、そうしてそのほか考えられることは特別の売り渡しというようなことが一体どの程度の価格で、そういう処置をやることがいいか悪いかということについても考慮いたしております。で、そういうふうなものを取り集めて、そうして最後に酒米についてどの程度の考慮ができるか、これは御案内の通りそういう処置がいいか悪いかということについても論議をいたしておりますが、現に酒につきまして直ちに考えられますことは、最近のびんの値下りによりまして、酒のびんが一本についてある人は十円下っておると言い、ある人は十五円下っておると言っております。これらについて厳密に調査をいたして、もし一本について一升びんが十円下ったといたしますれば、酒の価格が、製造原価が十円下ったということが言えると思うのであります。そういうことになりますれば、それを逆に米を一升幾ら上げても、ぴんとの置きかえで現在の酒はそのままの単価でいける。全然関係なしにいけるということも私は想定できると思うのであります。もしびんが一本十円下ったといたしますれば、それだけでこれを米に換算すれば一升まず二十円ないし三十円値上げしてもいいじゃないかということになれば、一石について二千円ないし三千円の値上げをしても、現在の酒造家の計算からいけばいいじゃないかということもときに考えられるのじゃなかろうかと思うのであります。そういうような点から考えてみますると、酒屋さんにもこの際そういう点で酒の価格の決定の要素になりまするものの値下り等は、むろんその分を酒の価格の値下げということももちろんでございまするけれども、今米の方の値を上げるということにいたしてもいいじゃないかということも、全部とは申しませんけれども、考えられると思うのであります。そういうような点について、せっかく今打ち合せをいたして、どれをどういうふうに考えるかということの整理をいたしておるというのが現状でございます。
  113. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでこの酒造米関係の場合の財源のことでは、売り渡し価格を高くすることと、それから酒造米の石数をふやすこと、それはいいのですが、酒を石数をよけいにしてやったためによけい売れる、それからまた今のようなお話で酒の価格の値下げということが考えられれば、そのことによってまたよけい酒が売れる、そういう場合の——しかし税収も見込む場合は、これは当然一般の税収入として入ってくるわけですか。そうするとその分は一般の税収入として入ってきたものを、食管特別会計繰り入れる財源も見込むのですか。
  114. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今そこまで考えておりません。
  115. 永井純一郎

    永井純一郎君 今はこの酒造関係ではその分は考えないのであって、ただその酒造米の売り渡しをふやすということと、売り渡し価格を高めるという点にとどまるわけですか。
  116. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大蔵省の方は別としまして、私の方としては、酒造米を高く売ればそれで食管の収入はふえますから、一方において今度の赤字になって出る分が埋ってくるということで足りると思います。
  117. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこでまあ一万六十円で百六億の財源でおさめてしまうという場合が一つ。そうでなくて、もう少し含みがあって、米価審議会が一万六十円よりも高い価格をきめる、そうしてそれを政府が考慮する、このときの財源としては、これはそれだけ酒の税金はよけい入ってくることになるのですから、私は予備費の使い方についてこの前いろいろ議論をしたんでしたが、これは二十九年度でさえ一応は赤字を三十億、二十九年度は三十年度で埋めているのですから。しかしこれは予算の建前上今から赤を出すことを予定しておって三十一年度で埋めればいいじゃないかという議論も工合悪いのですけれども、そういう酒の税金の自然増というものを見込まないにしても、これは自然増が出てくるのですね、その場合は。
  118. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうことです。
  119. 永井純一郎

    永井純一郎君 ですから、それは大した金額にならぬのかもしれませんが、それとそれから予備費を見合いにしてのかりに赤が出ても、食管会計はやれぬことはないと思うのですがね、どうでしょう、その辺。
  120. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 予算の建前として、初めから赤の出るということは、結果が出るのは仕方がありませんけれども、初めから赤の出る予算は工合が悪いのじゃないかと思うのです。そこで今お話しございましたから、私からも申し上げますが、たとえば十万石米をよけい酒に出しますと、大体私は酒造税の収入が、現行の税率で参りますれば、百三、四十億出るのじゃないかと思います。
  121. 永井純一郎

    永井純一郎君 十万石で。
  122. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 米十万石で。現在百万石でたしか……十万石で八十一億くらい出るそうです。私の先ほど申し上げましたのは、酒以外の税を全部くるめた酒造税収入でございますから、千二、三百億というのは間違いました。酒だけですと八百億くらいになっていると思います。そうすると、今百万石米をつぶして八百億くらいになっている計算でしょうと思いますから、そこで十万石ふえれば七、八十億の増収になるということが考えられるのじゃないかと思います。
  123. 永井純一郎

    永井純一郎君 その税金は食管特別会計に直接入ってこないのですか。
  124. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そうです。
  125. 永井純一郎

    永井純一郎君 しかし、この酒造米を、おそらく今大体酒造米が約百万石で、おそらく十万石か十五万石ふやされるのだと思うのですが、そういうふうに見返りといいまするか、八十億円からの自然の酒の税金がよけい入ってくるのですが、それを何か見合ってことしの米価を考えるということは当然できるように思うのですがね。
  126. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  127. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 速記をつけて。
  128. 小林孝平

    ○小林孝平君 ちょっと一つだけお伺いいたしますが、一昨晩の予算委員会でしたか、予約格差の問題ですね、今の政府の案では予約格差をつけない。それはいろいろの観点からもありますけれども一つは、米価を二本立にするのはあまり感心しない。その例として当夜の梶原委員の意見で米価は二本立にすべきでないという発言もあったといって農林大臣は引例されたのですけれども、あの梶原委員の話は、予約格差というものはつければ米価は二本立になる、こういう意見だったらしいのです。それで私は御本人にも確か払てみたのですけれども、格差ということになれば二本立になるけれども、奨励金ならあんたはどういう考えだと言ったら、奨励金ならいい、こう梶原さんは言われるのです。それで私は農林大臣にお尋ねいたしたいのですけれども、農林大臣も格差なら困るけれども奨励金ならいいというお考えでありますか。
  129. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実はその点でございますが、ことしの米価を算定いたしまする基礎にとりました昭和二十八—九年の米価をそういう奨励金を一切くるめた価額として基礎にして計算をしておるわけでございます。二十八—九年の米価をきめるときには、そういうものを除いて計算をして算定して出しまして、あとからそういうものをつけておるわけであります。ことしの米価を決定いたしまするに算定の基礎にいたしましたものは、減収加算の分だけは除きましたけれども、その他の奨励金は一切入れましたものを基礎数字にして入れまして算定いたしたものでございますから、そこで私は一切この一万六十円の中には入れてあります、こう申し上げておるわけであります。
  130. 小林孝平

    ○小林孝平君 もう一点。その算出の基礎はよく承知いたしておりますが、それは今までと同じ制度であればそれはそれでいいと思うのです。奨励金を入れたので計算したのでやる。ところがここに新たに予約制度というものができたから、予約制度実施するに伴って新たに奨励金という考え方はどこにあるか。特に農林大臣はこの間米価の二本立という考え方はどうかと思うからと、こうおつしゃいましたので、奨励金ならどうか。今後多少考える余地があるのではないでしょうか。
  131. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) どうも今申し上げましたように、一切がっさいくるめて値段をきめておりますので、その中から一部除いてこれは予約奨励金の分で何億のけて、そうして除いたものの中から早場の分を除いて、何を除いて残ったものを割って出すということにしますと、非常に予約に応じない人で、しかも一番おそ場で一番あとから出される人の米価が非常に下ることになります。そういうふうこ罰則規定的にやっていいか悪いかということの考え方はどうかという気持がいたしましたので、今きめてあるものにさらに奨励金を別から持ってきてつけるということになれば、これはまた別でございますけれども、今考えておりまする米の値段を考える際にはこれで行きたい。そのほかに減税の処置をするとか、前渡金を出すとか、それからまた別に早場地方に対しては別の名目で農村経済の一助にするためにこういう奨励方法をするというようなことは考えられると思うのでありますけれども、決してこの点は私は固執いたしません。固執いたしませんが、今日も実は米価審議会へ私は出ておるのでありますが、米価審議会でも小林さんと同じ意見で非常に熱烈な御要望があるわけでございまして、いずれ米価審議会の御答申もちょうだいすると思うのでありますが、私は決して、まあ変なことを申すようでありますけれども、今まで米価審議会の御答申を一度もその通り政府は取り入れた前例はないそうであります。私は昨日麦の点につきまして御答申をいただきました。御答申通りに今日閣議決定をいたしまして、直ちに御答申通りに決定をいたしたのでございますから、諸般の事情を十分承わりまして、じゃ、お前はやるつもりかとおっしゃられますと、ここでやるつもりでありますという答弁はむろん私はできませんから、どうか御意見は十分承わっておきますから、私の御答弁は一つ差し控えさしていただきたいとお願い申し上げます。
  132. 永井純一郎

    永井純一郎君 もう一つ。時間が農林大臣ないようですが、きのう実は渡邊君の方に質問をしておいたのですが、実はこの災害復旧費はこれは建設省にもあるので、今日農林大臣に農林省所管の点についてお話をしておいて、あとで予算委員会で大蔵当局に確かめたいと思うのですが、大要を申し上げますと、農林省の本年度災害復旧は、農地及び農業公共施設復旧は百二十七億になっております。ところが問題は仕越し事業が農林省所管が大体百十億近くあるのです。それですから問題は百二十七億の予算はとられたけれども、仕越しがそのほかに二十八年災ですか、百七、八億ありますので、この三十年度予算は全部仕越しに充てられてしまって、実際上三十年度災害復旧事業というものが行われないという実情になっておる。これは建設省もそういう格好になっておって、民主党内閣としては実にこれは非常な失態だと思うのです、この予算の組み方は。あのひどい災害復旧に対しても、三十年度は実際上は一つも仕事が行われないという状態になりますから、この措置を具体的に一つ農林大臣がみずから考えていただきたい。それは長期の起債なり借り入れなり何かの方法をして実際上事業が先に進むような措置をしてもらわなければならぬわけですが、現在の段階ではほとんど事務当局としてはもう不可能な状態に来ておる。これは建設大臣と農林大臣が——建設大臣には私も前に話してあるのですが、よく相談を大蔵大臣とされた上で、そうして具体的に仕越しの事業だけに金が払われてあとちっとも仕事が進まないのだということが実際上は起らないように措置をしていただきたい。この点についての考えをここでただしておきたいと、こう思うのです。
  133. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨ごもっともでございまして、御注意いただきました点につきましては、一生懸命に努力をいたしますということを申し上げまして、なお繰り上げ償還が新たに二十五億出る予定になっておるそうですが、御趣旨私もそう考えます。私も地方にいろいろ関係がありますので、地方の実情もよくわかっておりますが、何と申しましても、予算の編成のときにもうぎりぎりにぶつかってしまいまして途中から入ったものでございますから、あれこれあれこれどうもさっぱり目の届かぬところもありますし、十分行かなかった点もありますので、これらにつきましては今後よく勉強いたしまして次の機会には万遺漏ないように善処いたしますら、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  134. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 農林大臣に対する質疑はこの程度で終了いたします。   —————————————
  135. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 次に、建設省所管の部を議題にいたします。  本件につきましてまず政府より説明を聴取いたします。
  136. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ただいま議題になりました建設省の昭和三十年度予算につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず総額について申し上げますと、建設省所管の予算といたしましては九百三十三億六千二百万円でありまして、このほかに予算計上の所管は異なっておりますが、予算執行の際建設省に移しかえて行いますところの経費として、別途総理府に北海道開発関係のものとして八十五億七千六百万円、労働省に特別失業対策事業関係といたしまして、三十一億八千万円が計上されております。なおこのほか一般会計に計上されますものといたしましては、住宅金融公庫に対する財政出資分として七億円、さらに今回新設される予定になっておりますところの日本住宅公団に対する財政出資分として六十億円、計六十七億円が計上されておりますので、これらを総合計して前年度に比較いたしますと、二十九年度が一千六十八億二千八百万円でありまして、三十年度は一千百十八億一千八百万円となり、差引四十九億九千万円の増加となっております。なおこのほかに一般会計予算としては計上されませんが、資金運用部資金の融資予定といたしまして、住宅金融公庫へ百八十三億、日本住宅公団に三十八億、特定道路整備事業特別会計へ二十五億が決定しておりますので、財政融資においても二十九年度の百十五億に対して百三十一億の増加となっております。  次に、個々の事業予算について申し上げますと、治山治水事業については総額三百二十億六千五百万円でありまして、前年度の三百十億五千六百万円に比較して十億九百万円の増加となっておりますほか、労働省所管に計上の上移しかえて使用をいたします特別失業対策事業費のうち、五億円を治山治水に充当いたすことといたしておりますので、実質上の治山治水費予算は三百二十五億六千五百万円となり、前年度に比し十五億九百万円の増加ということになっております。その内訳といたしましては、河川改修に百五十五億六千万円、河川総合開発に七十八億円、砂防に五十四億五千万円、災害関連事業に三十七億五千五百万円になっております。  河川改修につきましては、本年度事業実施に当りましては、特に工事重点化、集中化をはかりまして、事業量の確保と経済効果の早期具体化を実現いたしたいと考えておりますが、事業内容といたしましては、直轄河川として、前年度より継続の八十八河川及び北海道における開拓事業に関連する特殊河川九河川、計九十七河川について改修を実施いたしますほか、都道府県に実施させます中小河川改修といたしましては、前年度より継続の二百六十四河川の事業の促進に重点を置きまして、特に災害防除及び土地改良等の関連事業との調整をはかりつつ実施いたしたい考えております。  砂防事業につきましては、治山治水事業中、特に重点を置き、若干の増額計上をいたしておりますが、本年度は、河川改修、ダム建設工事等との総合的計画のもとに事業実施し、重要河川水系地域における工事の促進と、災害防除に重点を置いていきたいと考えております。  河川総合開発事業費につきましては、この予算によりまして、直轄ダムといたしまして鬼怒川ほか十三ダム、補助ダムといたしまして那賀川ほか十三ダム、計二十八ケ所のダムについて継続事業実施し、うち五ケ所は本年度内に完成いたす予定となっております。  次に、災害関連事業につきましては、災害復旧事業と合併して所要改良事業を行い、または災害復旧事業に準ずる緊急改良事業を行うことによって、再度災害を未然に防止いたしたいと考えております。  災害復旧事業につきましては、三十年度河川等災害復旧事業費として、総額二百八十九億九千万円を計上いたしておりますが、これにより直轄災害につきましては約八〇%の復旧を完成し、補助災害につきましては、二十五年災から二十七年災までの残事業の約三分の一程度と、二十八年災害総額の約六〇%以上、二十九年災害総額の約五〇%以上の復旧を完成いたすように事業の推進をはかりたいと考えております。  なお、補助災害につきましては、予算額において前年度より十八億一千万円程度の減少となっておりますが、残事業量が減少しておりますので、事業の進捗率としては前年度より若干高率となっております。  次に、道路事業費について御説明申し上げます。  道路事業費は三十年度百九十五億九千九百万円でありまして、二十九年度の百三十九億七千六百万円に対しまして、差引五十六億二千三百万円の増加となっております。なお、このほかに労働省所管に計上されております特別失業対策事業費のうちから十六億三千万円を道路事業に充当することになっておりますので、これを加えますと二百十二億二千九百万円となります。本年度は道路整備五カ年計画の第二年度に当っておりますので、同計画に基きまして重要道路の整備を促進し、産業振興の基盤を固めたいと考えております。  なお、道路事業費の国庫予算増加に伴いまして、地方公共団体の負担が増加することとなりますので、現在の地方公共団体の財政負担能力等を勘案いたしまして、補助事業における国庫補助率を引き上げることによりまして、その負担を軽減する措置をとることといたしております。また、ガソリン税収入に関する予算額と決算額の関係を明確にするため、及び直轄事業地方分担金について、これをガソリン税の対象として取り扱うため、臨時措置法に所要の改正を加えたいと考えております。  なお、ガソリン税と道路事業費との関係について一言申し上げますと、三十年度のガソリン税収入見込額は、一キロリットル一万一千円として二百五十九億余万円を見込んでおりまして、これに対し、以上御説明申し上げた道路事業費のほかに、都市計画事業費の街路分四十三億二千余万円、道路工事用機械の整備費七億七千余万円が計上されておるわけであります。  なお、一般公共事業のほかに、特定道路整備事業特別会計におきましては、本年度二十五億円を資金運用部資金より借入れ、事業収入その他の収入と合せて、二十九億四千八百万円の資金をもって有料道路の建設を促進することといたしまして、関門国道、伊ノ浦橋、松江国道等の既定継続事業を直轄施行するほか、府県の実施いたします有料道路の建設に対する貸付を行うことといたしております。  次に、都市計画事業費について御説明申し上げます。  都市計画事業費総額四十億七千六百万円を計上いたしておりますが、労働省所管特別失業対策事業費より十億五千万円を都市計画事業に充当いたしますので、これを合せますと五十一億二千六百万円の予算となり、前年度四十八億九千三百万円に比し約二億三千三百万円の増となっております。  都市計画事業につきましては、本年度は、特に戦災復興事業を継続して実施いたしますとともに、都市施設、特に街路の整備重点的に実施して参りたいと考えております。  次に、住宅対策費について御説明申し上げます。  住宅につきましては、御承知通り昭和三十年度以降おおむね十年間にわが国の住宅不足を解消することを目途として、三十年度四十二万戸の住宅を建設することといたしております。その内容としましては、財政資金による新築及び増築等を十七万五千戸と予定し、その内訳を、公営住宅五万戸、住宅金融公庫融資住宅四万五千戸、厚生年金融資住宅、入植者住宅、公務員宿舎等三万戸、及び新たに設置する日本住宅公団による建設二万戸、計十四万五千戸の新築のほか、住宅金融公庫の融資による増築等三万戸といたしております。これに対しまして、民間自力建設を二十三万戸を予定するほか、民間自力による増築等の促進をはかることによって一万五千戸の増加を期待いたしております。  以上の計画により四十二万戸の住宅を建設するためには、今後、さらに各般の総合的な施策を検討、実施していくことが必要となって参りますが、まず国の資金による建設につきましては、公営住宅、住宅金融公庫融資住宅、及び新設日本住宅公団による建設の三方式を中心として実施していくこととなりますので、これらに対する予算措置について御説明申し上げることといたします。  まず一般会計予算として、先に述べました公営住宅五万戸を建設するに必要な経費として百六億四千七百万円を計上しております。住宅金融公庫に対しましては一般会計よりの出資分として七億円を計上いたしましたほか、資金運用部資金より百八十三億円の融資を受け、計百九十億円の資金によりまして、さきにも述べました通り、住宅の新築四万五千戸、増築等三万戸、総計七万五千戸に対しまして、所要の資金の貸付を行うほか、住宅敷地の取得造成に対しましても、前年度と同様貸付を実施することといたしております。次に、新設日本住宅公団に対しましては、一般会計よりの出資六十億円に加えまして、資金運用部資金より三十八億円の融資を受けるほか、地方公共団体の資金十六億円と一般民間資金五十二億円の導入を予定いたしまして、総計百六十六億円の資金によりまして、初年度二万戸の住宅を大都市及びその周辺の地域に建設し、これを賃貸及び分譲することといたしております。このほか公団の業務といたしまして宅地造成の事業を相当大規模に実施することといたしまして、初年度約百万坪の宅地造成を行うことといたしております。次に、民間自力建設促進のための処置について申し上げますと、民間自力建設の促進につきましては、今後各般の施策を検討、実施いたしていくことといたしておりますが、まず住宅金融公庫において新しい事業といたしまして、一般民間の住宅金融に対する保証を行うことといたしまして、政府出資分より三億円をその基金に充てることといたしております。これによりまして約五十七億円の住宅融資に対する保証を行い得ることになりますので、一般民間資金を住宅建設に導入するについて相当の効果があろうかと期待いたしております。  また住宅建設に対する減税措置につきましては、当面国税としては、住宅建設に対する登録税の減免及び住宅建設に対する法人税及び所得税の特別償却の割増しを行うとともに、地方税においても、新築住宅に対する固定資産税の減額を行うために所要の手続を進めております。  以上、建設関係昭和三十年度予算のうちのおもなるものについて、きわめて概略ではありますが、御説明を申し上げた次第であります。  なお今回予算原案に対しまして、衆議院において修正を加えられましたので、その修正のうち、建設関係経費について付言をいたしますと、修正によりまして一般会計歳出予算が八十八億円増加計上されました中で、建設関係経費のうち増加計上されましたものは、河川等事業費五億円、河川総合関発事業費二億円、河川等災害復旧事業費二億八千三百余万円、防火建築帯造成費六千万円、産業開発青年隊導入費一千万円、計十億五千三百余万円であります。  次に、財政投融資におきましては、修正によりまして、建設関係経費といたしまして、当初二十億円を予定しておりました特定道路整備事業特別会計借入金が五億円増額となり、二十五億円となりましたほか、住宅金融公庫につきまして、当初五十二億円を予定いたしておりました一般会計出資のうち四十五億円が資金運用部よりの借入金に振りかえられることとなった次第であります。以上。
  137. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  138. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先般東北地方災害新聞等で伝えられておりますが、災害の被害額等について、建設省の調査がありましたら御報告を願いたいと思います。
  139. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今度の災害は、梅雨前線が非常に北上をして、東北としては異例の大雨でありまして、三百ミリ以上の雨が降りましたために、予想外の地方をあわてさしたわけでありまして、おもな被害県は秋田、山形、岩手、青森また新潟と宮城に一部ありまして、秋田、山形が一番激甚であります。今までのところ、中間の速報を土木災害だけについて申し上げますと、道路の被害が三百六十五個所、橋梁の流失が二百八十個所、堤防の決壊が四百二十五個所ということで、今までのところ、県の報告だけについてみますと、約十六億円くらいの土木災害を見られておりますが、これは漸次また変ってくると思います。建設省としては、一昨日直ちに係官二名を現地に派遣をいたしまして、至急連絡をとらせておりますが、なお緊急の処置は県や市町村になさしめておりまして、これに必要なつなぎ資金あるいは予備金の支出等万全の処置を今進めておるような次第でありまして、どうも私の聞いておる範囲においては、洪水の割合に土木災害よりも冠水面積が意外に大きくて、ちょうど田植のあとのことからいたしまして、今後病虫害等を予想して、農業災害が非常に憂慮されるという感じを持っております。なおこれに対しての応急処置も、もとより従来用意いたしておりましたが、災害復旧の国庫負担法をこの際改正をいたしたいという考えで、近日中に国会に御審議をいただく用意もいたしておるような次第であります。
  140. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 本年度災害費は二百八十億ということで、先年よりも大分減っておるようでありますが、先ほど農林省関係でも問題になりましたが、二十九年度の仕越し事業費は、建設関係ではどのくらいになっておりますか。
  141. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大体当初予算編成のころに考えたのは百億以内でありまして、その後、暫定予算あるいは年度末の資金融資等をやりまして相当下回っては来ておるつもりでありますが、まあ百億以内のところかと考えております。
  142. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 災害復旧につきましては、御承知通り不正不当事項というものが非常に世の中の非難の的になっておることは、まことに遺憾のことだと考えております。昨日も農林省関係の査定の方針等を伺ったのでありますが、二十八年度は十万個所もある。従って人力では査定が及ばない。二割程度で、あとは机上査定になっておる。新聞で伺いますと、建設省の河川局長が今度からは災害については全部現地査定を行う方針にしたとありましたが、これはできれば非常にけっこうだと思います。そういう方針で今後行いますか。
  143. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 決算委員会においてもこの問題は非常に御指摘をいただいて、われわれもまことに申しわけないと考えておりまして、これに対しては、今御指摘のように、建設省としては監察官を現在十名でありますが、できるだけでふやして自分で十分ということはできないまでも、能力の最大限度までやるほか、今のお話の査定官も十名増加をいたしまして、これで全部査定をする考えであります。なおこのことにつきましては、いろいろな角度から考えていかなければならぬと思っておりますが、今当面いたしておる問題としては、前国会でいわゆる補助金の適正化に関する法案を出して審議未了になっております。私は実は内閣が変ったから、私の見解としては前内閣のこの方針を踏襲することも一つ方法とは考えますけれども内容を検討してみますと、これは補助指令を厳重にやるということと、その当面の市町村長を厳罰に処するということがねらいでありまして、私はいろいろ研究してみますと、どうも今の会計検査院法からいえば、会計検査院が悪いことをしたらこれを刑法に基いてそれぞれの司法権に訴えてやるという制度があるのでありますから、私はむしろそういう点は堂々と会計検査院はやるべし、また建設省も行政官庁として悪いところはあくまで悪いとしてやるということをいたす反面においては、これは共同の責任において行政処置で万全のいろいろ対策を講じていくならば特別立法の必要は私はない、むしろ特別立法をもって全般的に厳罰主義を行うよりも、行政処理を厳正にする、同時に一方は刑法に対しても堂々と表からやっていくべきだという考えで、このことについては数年以来いろいろな角度から努力を集中をいたしておるつもりでありまして、お陰で建設省に関する限り、決して自慢を申すわけではありませんけれども、累年事件は減少いたして参っておりまして、検査院もそのことは認めておるような次第でありますから、一方それぞれ批難された事件については、あくまで良識をもって処置をはかる、やるべきことはやるという一面においては、いろいろ無理をいたしておることが、こういう事態を起す原因でもあると思います。建設省の批難事項は全部炭害事業でありまして、炭害事業以外に直轄のいろいろな公共事業をいたしておりますが、一件も実は今度のほかには批難事項はありません。このことは、私はやはり炭害復旧という仕事が仕事だけに、今までやってきていることにいろいろ私は制度上の無理——欠陥があると私は考えますから、こういう角度からも——ただそれが地方の市町村長だけが罪人のごとく考える考え方はよくないと私は思いまして、この炭害予算の組み方、またこれの実施の仕方というようなものにも、いろいろ私はみずから検討をいたしたい、そういう意味で負担法にも今度連年災害、また予算にも三カ年で災害は必ず完成をさせるということを今度の負担法へうたうことに大蔵省と話をきめまして、こういうことにして私は実をいえば継続予算制度というものを持たないことが、こういう事業を不合理ならしめる一つの原因だと思いますから、一気に全部はそうもっていくことはできませんが、できるだけそういう方向にもっていく意味において、負担法は三年で完成するという計画政府責任でやるということを申文化して進みたいと思いますし、また補助率等につきましても、あまり無理なことを要求しないようにするという趣旨で、今度道路なども、先ほど申し上げましたように、国道につきましては四分の三の国庫負担、四分の一は政府が立てかえて出す、それから地方の道路につきましては、その他の道路につきましては、二分の一を三分の二の国庫負担にいたしましたのも、やっぱり無理を地方にさせることが間違いのもとであると思いますから、困難ではありますけれども、できるだけそういう点でこちら側も一つ細心の注意をいたしていく。一方においては悪いことは悪いとしてあくまでやっていくということを一つ徹底して参りたいと考えております。
  144. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいま建設大臣の御答弁で、負担法を作って災害は今後三年間で完成させるようにすることに大蔵省とお話ができたというお話でありましたが、従来災害復旧については年度割が三・五・二ということが公けにされていた。二十八年度災害についても、これは三十八、九、十と三十年までで完成すべきやつがこの説明でもまだ六割程度にしか完成できない。非常に大規模な災害ができまして、これは完成できるということがはっきりすれば、先ほど仕越し事業というようなもの、これはいろいろな事情もあると思いますが、末端に行きまして三年で三・五・三というものでできるのだということが甘いふるされておるから、無理な借金をしてもやってしまったんじゃないか、みんな非常に地方々々では困っておる。そこがはっきりすれば非常に災害復旧なんというものについても、将来非常な確実な計画のもとにできるようになりますが、その点ははっきりいたしておるんでしょうか。
  145. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話の通りだと思います。われわれも政治的には常識として三・五・二というものだから、世間で三年でできるものだというふうに考えるのは無理もなかったかと考えますが、率直に申しますと、そういう方向へ努力をするということをずっと政府もやってきたわけでありますが、しかしほんとうに根拠といえば、別に法律的根拠があったわけじゃない、財政状況に応じて努めてそうするのだというところでありますので、もちろん法律に書いたから財政がすべてそれで支配をされるというものではないという程度のことはよくわれわれも承知はいたしておりますが、そういうことをこの際明確にいたすという意味において、大蔵省と一致した立場で今度負担法を三年で仕上げるということにいたしたわけでありまして、いずれ近日中に上程をいたすつもりでございます。
  146. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 本年度は治山治水事業三百四十億でありますが、一昨年ですか、治山治水十カ年計画が立てられ、その後十カ年計画についてはどういう経過になっていますか。それとなお関連いたしまして、経済六カ年計画が立てられているのでございますが、それに見合う治山治水の六カ年の資金計画というものはできているかどうか、お伺いいたします。
  147. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 治山治水十カ年計画というものは、お話の通り前内閣で作って下さいましたから、私はこういう純技術的な計画は、政府がかわっても継続してずっとこれを突き進むことが一番いいと考えて、この計画を今日もわれわれの計画といたしてやっておりますつくりてありますし今年度予算の編成もそういう前提に立っていたしております。  なお六カ年計画の問題につきましては、大まかなところは考えておりますが、まだ御承知のように六カ年計画の細部の点について、すべてができ上った段階ではありませんので、数学的に今全部を申し上げる段階にはなっておりませんが、この中に当然治山治水の問題は入れて考えておることはもちろんであります。
  148. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 その点について、特に私から希望を申し上げておきたいのですが、六カ年計画によりまして、食糧の自給度の向上という点から食糧は二十九年度の輸入量以上には将来させないのだ、人口増加による需要の増加は六カ年に一千三百五十万石でございますが、それに必要な資金計画としては四十億程度である、それは年度割にしますと、将来はその二倍以上やってゆかなければならぬ、公共事業の水利事業だけがことしの二倍以上のようなことをやりましても、治山治水というものが関連してゆかないと、これはアンバランスになってくるから、そういう点について一応水利事業としては六カ年計画の資金計画がほぼできているように聞いておりますが、それとバランスをとられるような計画をお立てになることがぜひ必要だと私は考えております。
  149. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) もちろん御趣旨のように今経済審議庁で細部の点の相談をいたしておりますから、全体を総合されてゆきますように努力をいたすつもりでございます。
  150. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 国土総合開発の特定地域の事業費は、従来予算資料に——特定地域の国土総合開発に関する資料には明記されていたのが、今度補正になりまして、本年度の特定地域の事業費というものは幾らになったかわからぬということがあるそうであります。その点につきましてどういう手続をとられるか、何か御検討になったことがありますか。
  151. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 従来と変った考え方は持っておりませんから、お聞き及びとあればまたなおよく注意をいたしまして、さようなことのないようにいたします。
  152. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 従来の政府原案予算書には、河川改修費のところに、国土総合開発法による特定地域では、三十年度に河川改修、食糧増産等を入れまして、八十億と明記されているのです。国土総合開発による特定地域については、事業費は明確になっているわけなんです。それによって推進していくということでありますが、今度ここに河川改修が五億円、河川総合開発事業が二億円、このうちに北上その他特定地域の河川に関する費用が入っておるわけです。これは予算書に今のところ出ていないのです。これは三十年度に特定地域について予算が出てないということが因るのです。それはどういうふうに処理していくかということをはっきりしておく必要があると思う。その点について、どういう処理をしたらいいかということがまだ明確になっていないのですかどうですか。
  153. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今のお話の趣旨は、修正分についてのこと、私前に聞き違いましたが、修正分については御承知のように、政治的にきめました点もありますから、これを事務的に細分をするということについては、修正者の意思をよく徹底して、今後やっていくことになろうかと思いますが、少くとも河川総合開発の中には、今お話のような分は若干入っているものと考えておりますから、実施の場合においては御趣旨のような点は徹底ずることだと考えております。
  154. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私の申し上げるのは、実施の場合には当然大蔵省が計画を立てていく、国として予算書に現在までは、三十年度の国土総合開発事業は八十億何千万円ということを明記されているのが、修正による七億円については予算書には計上されないようなことになるとどういうことになるか、それは一つ大蔵省とも御協議になって、何らかの方法で公表されるように取扱いをお願いいたしたい。もう一点お伺いいたしたいのですが……。
  155. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よく御趣旨の点はわかりました。事務的に、御承知のように非常に火急な修正案文をやりましたか品、細目を明示はいたしませんけれども、この中にそういう点は含んでおることは、今後実際の面において処理をいたすつもりであります。
  156. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 国土総合開発計画は非常に私は重要な施設だと思うのであります。その国土開発の施設が、予算についてもまだ取り扱い方が明瞭になってないことは、国土総合開発事業に対してはなはた私は遺憾だと思います。こういう点は初めからきちんときめて、五億のうちには何億何千万円が北上その他に計上されるべきなんだ、そしてそれはどこまでも計画に基いて促進するのだという方針を一つ確立していただきたいと思います。それは希望まで、申し上げておきます。  もう一点お伺いいたしたいのですが、住宅政策については、これは建設大臣非常に御努力で、四十二万戸建設計画を推進なさる、私は農業方面から宅地の問題について四十二方戸、百万坪本年度土地調整をやる、そのほかに何か緑地の計画をお持ちのようでありますが、その点お聞きしたいと思います。
  157. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先の問題決して不熱心に申しておるわけではありませんので、河川改修事業費五億円、河川総合開発事業二億円になって、北上総合開発の分が何ぼ含むかということにつきましては、これは修正者の意思も、河川ごとに、これはどこの川に何ぼつけるという修正をいたしておりませんから、そのことはまたいろいろ議論にもなりますので、これは河川と事業費に五億円を増加したということでありますので、総合開発についても同様の趣旨を考えておりますので、この修正の機会に、個々の河川に何ぼというふうな割りつけをいたさなかったという意味でありまして、御了承をいただきたい。  それから宅地の問題につきましては、非常にこれは住宅政策の重要な一つの問題でありますので、今お話の通り、今度やりますについては、設置法も、改正を願いまして、宅地の課を一つ作って宅地政策全体を総合をするということも一面にやりますほか、今度公団に一番大きなと序しては語弊かありますが、大きなねらいとして公団にお願いをしておるのには、宅地対策というものを考えて百万坪に大体十億宅地造成に使う資金としてこの中で特に考えておりますが、これは毎年百万坪ずつ作っていこうということでありまして、当面二万戸作ります宅地としては三十万坪か四十万坪もあれば十分だと考えますから、その残りは公営あるいは公庫あるいは一般の宅地に提供するためにいたすわけであります。なおこのほかに国有地を、今のところ大体具体的に見当をつけておりますのが三十万坪から四十万坪近いものを、国有地をそのまま公団に現物出資の形で提供してもらいまして、これを宅地にしていくということ、これは部分的には、今申す宅地造成の費用をその方にかぶせる分も若干あります。ありますが、三十数万坪の国有地を宅地に提供する、そのほか公庫の方で従来もやっておりますが、宅地の別途の貸付をいたす分も相当に上ると思いますが、これはまあそれぞれ個々の必要に応じてやると、それから今お話の緑地の問題につきましては、これは東京だけに起る現象でありますが、戦後作りました緑地地帯は住宅の建設をぐっと押えておりますので、これが都市のいろいろ拡大に伴いまして緑地を置くということの必要は決して減少はいたしませんけれども、しかしこれに制限を強化しておくということは非常に住宅を必要とする面からいいますと無理が起っておりますので、この緑地の中でできるだけ残したい所は残しまして、先般約八百万坪程度のものを緑地としての制限から解除をいたしまして、住宅に使えるようにいたしました。まあそのほか今度の住宅公団としては、いわゆる衛星都市的な考え方で、東京初め大都市の近郊の府県等に広がった住宅地を作っていきたいということも考えておるようなわけでありますが、一面には今回の住宅全体を通じまして、耐火率を今までの、前年度に比べて倍に高めておりまして、公団のごときは、全部耐火の洋風アパートということにしておりますのは、できるだけ都市の内部に宅地を求めたというか、狭い所で住宅建設をしてこうということの考慮もあります。また宅地問題ですぐ起って参ります問題は農地との関係でありますが、この農地との関係につきましては、いろいろ検討いたしましたけれども、これを正面的に、法律的にいろいろ制限等の撤廃をするということは、農地政策の立場と競合をいたして好ましくないと考えましたので、この際立法処置等は一切いたしませんで、具体的に集団の宅地地帯、都市計画による地帯というような限定された地帯につきまして、農地の処分等について農林省と十分話し合いの上でできるだけ便宜をはかってもらうということに事務的な話し合いを進めて参りまして、必要以上の刺激を与えないようにいたして参りたいと思っております。そのほかいわゆる宅地の問題、住宅にも関連しますけれども、借地借家法の問題があります。このことにつきましても、今検討をいたしておりますが、これは世間にもだいぶ誤解がありまして、これを一挙にやめることがいかにも住宅の促進になるように考えておる向きもありますが、これはもう非常に限定されたものに適用をされておるようなわけてありますから、私はこれを一挙にやめるとかいうようなことは毛頭考えずに、漸進的に増築をした部分について緩和をするといったようなことでやって参る。大体宅地の問題はいろいろありますけれども、今のようなことを考えて一つ総合して参る。今手をつけようと考えておりますものを申し上げればそんなことであります。
  158. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 この機会にお尋ねいたしますが、二種住宅というのはどういう内容なのでございますか。
  159. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御承知のように今度やります住宅のやり方は公営と公庫と公団という三本立にいたしておりますが、公営がこれが住宅政策の一番ベースをなすものだとわれわれ考えております。というのは、国家ができるだけ財政負担をいたしまして低家賃の家を低収入の人に数多く供給するというのがこの公営住宅のねらいで、その中に第一種と第二種とありまして、家の種類にはいろいろありますが、本質的な違いは、第一種というのは、政府が半額持ちまして半額を地方の公共団体の負担にしてもらいまして合せて住宅を建てて、借すと、それから第二種は、同じことでありますが、政府が三分の二負担しまして地方公共団体が三分の一負担して同じように借すというのでありますが、それは結局家賃を安くあげるために第二種の方は政府が三分の二持つわけでありまして、一番低家賃の住宅を供給するのが公営住宅の第二種住宅であります。現在までのところ一番安い家賃が大体月千円というところでありますが、今度の計画では、これに八百円の家賃の家をこの中へ約八千五百戸考えておりますが、これがだいぶ世間から非難を受けた点でありまして、従来は木造の八坪の家が約千円であります。それが今度二十四、五万円一戸についてかかるのでありますが、その同じ額で耐火のアパートを作りますると六坪になります。しかしわれわれから見れば、むしろこれが進歩したものだと考えておるのでありますが、世間から六坪は小さ過ぎるという非難を今浴びておりますが、ところが六坪の耐火にしますと、費用は同じようにかかりまして、家の耐久年限が長くなりますので、同じ金をかけて家賃が千円のものが八百円で済むわけであります。そういう点でなるべく低家賃の家を努めて参りたいというのが今度の第二種住宅のねらいの一つの点であります。
  160. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 そうして第二種住宅の中に母子住宅というのが加わっておりますことは承わっておりますけれども、そのほかにこれはくじ引きか申し込みか何かあって、本人の希望によりますか。
  161. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 母子住宅だから小さくていいというのではありませんけれども、なるべく安い家賃の家をということになりますと、今私が例に申し上げた八百円程度の今度の新しいアパート、あるいはまた従来の八坪の木造でもありますが、そういうものの中から今お話の母子住宅にできるだけ向けて参りたい。ただ公営住宅でありますから、これを全部母子住宅に向けるというわけには参りませんが、今年は相当その方面に地方の要望に応じ得られると考えております。
  162. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 母子住宅には八千三百戸予定しているように承わっておりますが、第二種住宅の中では余りが少いようでございますが、私は東京都から出していただいておりますので、いつも気がつきますのは、言間橋その他東京で二、三カ所、大体千人くらいの家族がおるかと思いますが、このごろは涼しいからよろしいのでございますが、寒中になりますと隅田川の川風を受けまして、この母子でない——父親がしょっておるのでありますが、あの人たちの家は何とか準備していただいておりましょうか。
  163. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そのほかに第二種には木造が七千五百戸ありまして、これは今申すように大体似たり寄ったりのものでありますから、そういうものを組み合せて地方的に必要なものに向けていただくことになろうかと思いますが、まあ個々の問題は、東京都の全体の計画の中から何ぼ割り振るかということになりますから、御趣旨の点はよくまた連絡をいたしまして、努めて御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  164. 田中啓一

    ○田中啓一君 この治山治水事業費の効果の点についてお伺いしたいのでありますが、実は経済五カ年計画の方で農業の増産がどれくらいできるか、あるいは鉱工業の増産がどれくらいできるかということが非常に問題でございまして、これなくしては経済計画は遂行はできないわけでございます。そこでまあ主として河川の改修とかあるいは総合開発とかいうものでございましょうが、これは積極的にどれだけこういう農産物が増すんだという面もないではない、むろん農業用水等の関係からあろうかと思います。思いますが、何と申しても年々つぶれ地ができましたり、また水をかぶって作物がなくなってしまったりというようなものを、それをなくしていくという効果は非常なものであることは言うまでもないのでありますので、まあいわば消極的効果とでも申しますか、そういったものも何か御計算になっておりゃせんだろうかと、まあ災害額というものは年年、農産物でどのくらいとか、あるいは工場とか住宅にはどれくらいとか、災害額の統計は聞いておりますのでありますが、結局私は直接生産と関係がありますところの農業の災害というものが、これによりましてどれくらい消極的に減じていくかというような何か御調査があるのではないかと、こう思うのでございますが、ございましたならば、ごく概略の御説明を願いまして、もし何か資料がございましたら、そういったものをお出し願いますと、やはりあの計画遂行上の消極、積極両面からのめどが立とうかと、こう思いますので、お示しを願いたいと思います。
  165. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことで、これは今総合計画の中でいろいろ材料を作っておりますが、まあお話のように、河川改修がまっこうから食糧増産になるとは考えておりませんし、そういう説明もどうかと思いますが、これは治山治水の根本を維持していくためには何としても最小必要限度のものをやっていくということになろうと思います。しかし現実の問題としては、このごろどうも、利根川にしても、木曽川、長良川にしても、堤防に金をつぎ込むだけで、その両側の人は被害だけ受けるので得にならないというのでありますが、努めてこのごろ喜ばれておりますのは、浚渫をやる反面、その泥を土地改良に提供をいたしておりまして、田中さんの地元でも今度もっとふやすつもりでおりますが、利根川なども、実は下流の県へ行けば何のことはない、全く負担金を出して堤防をかさ上げしておるだけに考えてきた、利根川の両岸ではどんどん今浚渫船で土砂の供給をいたしておりますが、これは決して本来の目的じゃありませんけれども、お話の食糧増産には非常に私は大きな寄与をしておると思いまして、これも実はこまかい話になって恐縮でありますが、今まで会計検査院からは脱法行為のごとく扱われて、建設省は非常に弱っておった——いいことをやろうとするとそれが違法だというようなことで弱っておりましたが、今度は設置法を改めまして、合法的にこれをどんどんやっていくということにもいたしております。  総合開発につきましては、もう私が申すまでもない、農業用水等の多目的ダムでありますから、これの相当部分というものは食糧増産の大前提に立っておると考えておりますが、計数につきましては、御説明申してもよかろうと思いますが、いずれまたよく整えまして資料として提出をいたしたいと思っております。
  166. 田中啓一

    ○田中啓一君 本日そんなに詳しいことをお伺いしなくてもけっこうで、今の大臣のお話の通りで、われわれも喜んでおるわけでございます。もし会計検査院などがそういった妙な批判を下すようなことがありますれば、議会がかくのごときことは訂正するということは当然やらなければならぬことだろうと思います。今のは大臣おもに積極的効果の方をお述べになりまして、その面も相当にあると今日では思います。それから中小河川などになりますると、これは土地改良事業やら河川改修やらわからぬような、実は両方相持ちの仕事があるわけでありまして、この面も相当にあろうと思うのであります。  それからもう一つは、切れない限りは何ともないのでありますけれども、切れたら最後、農産物はまず第一に失う、その方の災害というものの年年の統計がございまして、そうしてこういうふうに改修事業が進むに従って、さような消極的なものも統計的に減する傾向を持つようになるのだというようなことも私は言えるのじゃないか。これはもうそのためにやっておるのでありますから、見当は、腹にはたれでもあるのでありますけれども、どうも数字というものはあまりいい工合に示されたことがないので非常に残念に私は思っておったわけであります。でありますから、お忙しいでありましようけれども、積極、消極両面におきましてそういった数字をでできるだけ取りまとめてお出しを願いますと、私は予算審議の上に非常に必要であろうと思いますし、また各種のかような国家機関の中にも、今の会計検査院のように妙な批判をするようなところもありましょうから、そういうような点で是正すべきものがあれば、ついでに、こういうところは一つ是正してもらいたいというような御希望もつけられたものもお出しを願えませんか、こう思うのであります。
  167. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 河川局長から申し上げます。
  168. 米田正文

    政府委員(米田正文君) ただいまお話のございましたことは、治山治水事業の根本的な経済効果の問題でございまして、私ども三十八年度の末に治山治水十カ年計画を作りました場合にも、ごく概略の経済効果の測定はいたしました。しかし、なおその後非常に詳細なる各河川についての経済効果を調査いたしまして、今集計をいたしまして、今年の十二月までには全国にわたるこまかい経済効果の資料を完成する予定にいたしております。が、二十八年度に私どもが治山治水の根本対策をきめましたときのおよその見当を申し上げますと、今、日本の全国といたしまして水害を受ける、従来から水害を受け得る可能の土地が約二百二万町歩ということになっております。この二百二万町歩で戸数がそのうちに大体四百万戸、それから人口が約二千万人でございます。日本の人口の二千万人というものは水害地におるということが言えるのでございます。ただこの水害地の二百万町歩というものは、これが毎年あるのではなくて、この二百万町歩の可能の土地の中で全国的に循環しておると申しますか、そのうちの、毎年の統計によりますと、五十万町歩というものはこの中で毎年被害を受けておるという実情でございまして、この毎年の平均の五十万町歩というものが、二百万町歩の中であっちに起き、こっちに起きるというふうに、年に上って災害の起る地域は違うというような状態でございます。毎年の被害を申し上げますと、終戦後の平均で申し申すと、大体の数字でございますが、水害面積が今申し上げましたように五十万町歩、被害の戸数は五十五万戸、被害の人口が二百七十万人、総被害額、水害額と申しますか、公共事業その他の施設を含む被害額が二千五百億でございます。これはわれわれの測定いたしましたのは、県の報告を主としてやっておりますので、このほかにいろいろなまだ一般被害というものは相当にございます。たとえば交通が途絶したために起きるいろいろな損害だとかいうようなことが非常にありますけれども、こういうものは入れないで、県で今調査をする一つの形式がございますが、その方法による集計でございます。実際のものはこれよりずっと上回ると思います。そういうわけで、大体はっきりつかめる数字も二千五百億程度のものが毎年の水害額である、被害額である、こういうふうな数字でございます。これらを基本にいたしまして計画を立てたのでありますが、この前の治山治水計画の根本は、この水害を全部根絶するという意味ではなくて、これの九割を防ぐというのが立案の目標でございました。というのは、大体九割程度が最も重要なところで、あとの一割というものを完全に治山治水をやるということに非常に経費を要するのでございます。そこでずっと上流の支流に至るまでの分は今度の計画に入っておりませんけれども、九割程度の被害額を根絶するという、絶滅を期するという趣旨で立案をいたしております。で、これの詳細な資料については、先ほども申し上げましたように、現在極力その資料、収集に努め、調査もいたしておりますので、近く相当膨大な資料ができますからできましたら差し上げることにいたしたいと思います。
  169. 田中啓一

    ○田中啓一君 私もさような利水計画のおありになることを承知しておりましたのですが、この十カ年というお考えでお進めになっておるのと、それから毎年のこれの予算の裏づけでございますね、進度の関係ですね、食糧需給計画どもなかなか進度が毎年の予算において五カ年計画に追いつかぬというので、今経済六カ年計画にどの程度入っておるかというので非常にやかましい問題になっておるわけであります。同時に消極的効果でありますけれども、結果から見れば同じことなんです。ふえる方も減らさない方も同じことになるわけであります。でございますから、予算の方から見たその進捗の工合は現在、今の河川改修計画の方はどうなっておりますか。それを一つお聞かせ願います。
  170. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 御承知のように二十八年度作りました計画は、一兆八千億と当時から言われておる——その計画内容はそうなっております。これは、内容は、治山の関係では農林省、林野庁の治山関係を含み、建設関係の砂防及びダム、その下流の河川というものを水系的に見て総合計画を立てたものでございます。それが総事業費で一兆八千億でございます。その中で国費といたしましては、河川関係では国費が一兆一千六百九十一億でございます。これについて、昨年の予算、本年度予算大体同じ程度でございますが、三百十億のオーダーのものでございます。これでいくと相当今後年限を要するということになると思います。われわれとしては、今後の六カ年計画なり、あるいはもっと総合的なものを固めるにつれて、ただいまのお話もございましたように、全体の調和から見て治山治水事業、いわゆる国土保全の根本になるべき事業として推進をはかり、これを私ども理想は十年にいたしておりますけれども、今日から見て十年というものはどうしても国の財政から困難だというならば、これを十五年なら十五年あるいは十八年というように繰り延べもやむを得ないと思っておりますが、いずれにしても、そういうはっきりした計画を打ち立てたい、こういう考え方を今日しております。
  171. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今のことについてつけ加えて申しますと、ことに田中委員も御承知と思いますが、戦前日本のこういう土木事業は継続予算制度があった、それがアメリカが予算に口を入れるようになって、公共事業というものはまるで失業対策の感覚で切りかえたものですから、一年ぽっきりの予算になっちゃった、これは私は間違いだということを、就任以来主張いたしまして、何としてもこれは建設省の河川のごときは、計画は十年といいながら予算は一年々々、そのつど主義で組まれているということに間違いがある、それだから地方においても来年度予算がどうなるかわからないから、あるだけの予算を使って半年くらいは待機しておるというような非常な国費のむだがあると思いますから、私も何とか今年の予算に継続費制度をとろうということで努力をいたしましたが、これはなかなか机の上で私が簡単に言うようにはいきませんで、それには将来にわたって技術的にしっかりした見通しの立つ、ほんとうの技術的な予算を組まなければなりませんので、これは大蔵省も原則としては了承いたしましたが、間に合いませんで非常に残念に思っておりますが、そういうことは三十一年度予算には政府は当然やるべきだということで、今事務的にはまず直轄河川から始めて、漸次そういうふうに進めてやる準備を進めております。一方災害予算についても同じような考え方でありますが、これは河川のようなち密な継続予算ということは性質上困難でありますが、先ほど申しますように、負担法の方で三年間に一応やるということを法律で明確にして、それですっかりかんぬきをはめた予算の編成ができるようにして参りたい、そうすれば同じ国費を使ってももう少し効率的に、こういう長期を要する仕事の効果があがるのじゃないか、かように考えております。
  172. 田中啓一

    ○田中啓一君 まことに建設大臣のお考え私どもごもっともで賛成でございますが、もう一つ私お考えを願えんかというのは、公債問題です。というのは、災害が起れば減税騒ぎがっきもので、今河川局長の統計の中には、災害額というものを近日にお調べになるようなお話しでございしまたが、もう一つは、これまで災害のたびに中央地方の減税額というものをお調べになればすぐわかると思うのです。これが起きなければ、それだけ国の収入は減らぬで済んでおる、増すわけです。でありますから、公債発行をしても返せるという財源のめども立つのではないか。何でもかんでも今の税金の金でやらなければならぬということにも限らないので、そういうところにひっかかりというとどうかと思いますけれども、根拠をおいてやはり公債ということも考えられるのではないか。しかも建設大臣は農業の専門家でおられる、今まことに建設行政も御勉強中で、何といっても手を組んでやらなければならぬものは、農業と河川、山、砂防、こういうものだろうと思うのです。何とかしてこれは一つ総合的にやらなければならぬと考えまして、そして積極、消極の効果をあげまして、せっかく私は六カ年計画をお立てになりまして、初めからそれはきちっとしたものをやれるわけではないので、だれがやってもいろいろ文句を言われながらやらなければならぬのですが、めどを立てた以上は、めどの完成に向って進む、総力をあげて進むということが、今日課せられた急務だと思いますから、ぜひ一つ継続としてやるのが効果があるという点の御推進とあわせて、公債もある程度やれるのではないかという御検討をお願いいたしまして、そして食糧需給と治山治水というものは、何とか大きな理想的な計画の立てっぱなしではなくて、予算というもので追いついてゆくように、一つわれわれとしてはいたしたいものであるということを念願いたしますので、ぜひお願いいたしたいと思います。
  173. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今の治山治水に対する公債政策も、実は前内閣のときからも検討されまして、建設省の方では法案もちゃんと出せるばかりになっておるのでありますが、今年の予算も、御承知のように公債発行をしないという大前提に立ちましたので、これは全く宝の持ちぐされになっているようなわけでありますが、これは明年度以降拡大均衡に入る機会においては、当然この問題は用意をいたして、期を逸せずお話のように考えなければならぬと考えております。お話の通り、なかなか税金だけで全部をまかなってゆくということも、地方財政も困難になって参りますればむずかしいことでありますから、こういうことはぜひ一ついろいろ力をかりまして実現をはかりたいと考えております。
  174. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 他に御発言はございませんか。——御発言がないようでありますから、本件に対する質疑はこれをもって終了いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 御異議ないと認めます。  以上をもちまして、昭和三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省所管、運輸省所管及び建設省所管に対する質疑は終りました。これをもって本分科会の審査を終了いたします。  なお委員会に対する報告の内容等については、主査に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 佐多忠隆

    主査佐多忠隆君) 御異議ないものと認めさよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会