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1955-06-28 第22回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年六月二十八日(火曜日) 午後三時三十五分開会
—————————————
六月二十八日
予算委員長
において左の
通り分科担当委員
を
指名
した。
秋山俊一郎
君
左藤
義詮
君
佐藤清一郎
君
田中
啓一
君 片柳
眞吉
君 高木 正夫君
溝口
三郎
君
小林
孝平
君
佐多
忠隆
君
永井純一郎
君
深川タマヱ
君
—————————————
出席者
は左の
通り
。
主査
佐多
忠隆
君 副
主査
小林
孝平
君
委員
秋山俊一郎
君
左藤
義詮
君
佐藤清一郎
君
田中
啓一
君
溝口
三郎
君
永井純一郎
君
深川タマヱ
君
政府委員
農林政務次官
吉川
久衛
君
農林大臣官房会
計
課長
武田 誠三君
農林省農林経済
局長
大坪 藤市君
農林省農地局長
渡部
伍良
君
農林省農業改良
局長
小倉 武一君
農林省畜産局長
原田 傳君
農林省蚕糸局長
塩見友之助
君
林野庁長官
柴田 榮君
水産庁長官
前谷 重夫君
説明員
農林省農地局総
務課長
正井 保之君
食糧庁総務部長
新沢 寧君
食糧庁主計課長
森本 修君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
正副主査
の
互選
○
昭和
三十
年度
一般会計予算
(
内閣提
出、
衆議院送付
) ○
昭和
三十
年度
特別会計予算
(
内閣提
出、
衆議院送付
) ○
昭和
三十
年度
政府関係機関予算
(内 閣提出、
衆議院送付
)
—————————————
〔
年長者佐藤清一郎
君仮
主査
となる〕
佐藤清一郎
1
○仮
主査
(
佐藤清一郎
君) ただいまより
予算委員会
第三
分科会
を開会いたします。 本
院規則
第七十五条によりまして、不肖私が
年長
のゆえをもちまして
正副主査
の
選挙
を管理させていただきます。 これより
正副主査
の
互選
を行います。
互選
は投票によらず、
便宜選挙管理者
にその
指名
を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤清一郎
2
○仮
主査
(
佐藤清一郎
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは
主査
に
佐多忠隆
君、副
主査
に
小林孝平
君を
指名
いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
—————————————
〔
佐多忠隆
君
主査席
に着く〕
佐多忠隆
3
○
主査
(
佐多忠隆
君)
皆さん
の御推薦と
佐藤
さんの御
指名
によりまして、
主査
をやらしていただくことになったのでございますが、元来非常にふつつかでございます。それに非常にふなれであります。
質問
をやる方はやりますが、どうも
質問
をまとめる方は非常にふなれでございますので、うまくやれるかどうか危惧をいたしておりますが、幸いにして
皆さん方
の御協力によりまして大過なくやりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
審査
に入ります前に、議事の進め方につきましてお諮りをいたします。 当
分科会
は
昭和
三十
年度
一般会計予算
、同
特別会計予算
及び
政府関係機関予算
中、
農林省
、
運輸省
、
建設省
の
所管
について
審査
をいたすわけでありますが、
委員長
及び
理事打合会
の申し合せによりまして、
分科会
は今明日中に
審査
を終りまして、明日中には
委員会
に対して報告をいたさねばならぬことになっておりますので、この点あらかじめお含みの上御
審議
をお願いいたしたいと思います。また本日はこのうち
農林省所管
につきまして
審査
をお願いし、明日
運輸省
及び
建設省所管
について御
審議
を願うといった
方法
で進めて参りたいと思いますが、御
異議
ございませんでしょうか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐多忠隆
4
○
主査
(
佐多忠隆
君) 御
異議
ないと認めまして、さよう決定いたします。 これより
審査
に入ります。まず、
昭和
三十
年度
一般会計予算
、同
特別会計予算
、同
政府関係機関予算
中、
農林省所管
を議題にいたします。 本件につきまして
政府
より
説明
を願います。
吉川久衛
5
○
政府委員
(
吉川久衛
君)
昭和
三十
年度
農林関係予算案
についてその概要を御
説明
申し上げます。 本
予算案
は
米麦等主要食糧
を初め、
畜産物
、水産物を含めて総合的に
国内食糧
の
自給力
を高めるよう各
施策
を効率的に
実施
して合理的な
増産
を図り、合わせて
食生活
の
改善
を進めることによって
国民食生活
の安定に資しまするとともに、
農林畜水産物
の価格安定と
農林漁業経営
の
生産性
の向上及び
多角化
を進める等、諸般の
措置
を講じて、その所得の
確保
を期し、
農山漁家
の安定を図りまするほか、
農畜水産物等
の集荷その他
流通取引
の
改善
及び
消費
の
増進
をはかる等の
施策
をもその重点といたし編成したものであります。 三十
年度
の
農林関係要求予算
につきましては、
一般会計
及び
特別会計
を通じ、従来の
施策
であって、引き続き
実施
すべきものはその
継続実施
をはかりますとともに、
新規
に着手実行すべきものはあとう限りこれを
実施
することとし、重点的効率的な運営をはかるよう特に留意して参りたいと存じておるのであります。 まず
一般会計
における
農林関係予算案
の総体について申し上げます。
農林省所管合計
といたしましては、
政府原案
において八百四十九億五千二百万円(前
年度
九百六十六億一千六百万円)となっておりましたが、
衆議院
の
修正
により八百八十一億一千万円となっております。 また
政府原案
によりますれば、
総理府所管
の
公共事業費
五十七億九千六百万円(前
年度
五十六億八千九百万円)及び
大蔵省所管
の
農林漁業金融公庫出資
九十五億円(前
年度
九十五億円)を加えました
農林関係予算合計
は一千二億四千八百万円となり、金額において前
年度
千百十八億六百万円に対し、百十五億五千七百万円の減となっておりましたが、
衆議院
による
修正
の結果、
総理府所管
の
公共事業費
は六十億三千五百万円、
大蔵省所管
の
農林漁業金融出資
は十億円となりましたので、
農林関係予算合計
としては九百五十一億四千五百万円となり、前
年度
に比し百六十六億六千百万円の減と相なるわけでございます。 かように
衆議院修正
の結果を含め、
関係予算
におきまして
減額
を見ましたのは、一、
災害復旧
において四十二億九千万円の減、二、
農業保険費
において
赤字補てん金繰り入れ
の
減少等
による二十六億三千八百万円の減、三、
開拓者資金融通特別会計
に対する
一般会計
からの
繰り入れ
(前
年度
十五億一千九百万円)が本
年度
は
資金運用部
よりの借り入れ十億円に切りかえられたことによる減及び、四、
農林漁業金融公庫出資
において八十五億の
減等
計約百六十九億円に達する
減額
となる実質上の要因があったことによるものであります。従ってこれらを除けば
農林省関係予算
は実質的にはおおむね前
年度
に近い規模になっておると存じます。
関係予算
の中で比較的に重要な地位を占める
補助金
につきまして申し上げますと、前
年度
は
公共事業関係
で四百二十億九千五百万円、
公共事業
以外の
一般経費
で百五十二億四千万円、計五百七十三億三千七百万円の
補助金
が計上されておりましたが、
政府原案
では
公共事業関係
三百七十四億四百万円、
一般経費
で百三十八億八千百万円計五百十二億八千五百万円となり六十億五千二百万円の
減少
と相なったのでありますが、
修正
の結果
公共事業関係
三百八十三億八千九百万円、
一般経費
で百五十七億五千九百万円計五百四十一億四千八百万円となり前
年度
に比し三十一億八千九百万円の減となるのでありますが、これは
災害復旧事業費補助
の大幅な
減少
によるものでありまして、その他は特に大幅な
減額
はなかったものと考えます。 次に
主要経費
について簡単な
説明
を申し上げたいと存じます。まず第一に、
食糧増産対策経費
についてであります。いわゆる
土地改良
、
開拓事業等
の
農地
の
拡張改良
による
食糧増産経費
は
関係予算
としましては、
政府原案
においては二百三十七億五千百万円で、前
年度
二百四十五億三千四百万円に比し七億八千三百万円の減となっておりましたが、
修正
の結果二百四十五億六千百万円となり、前
年度
とほぼ
同額
となったのであります。なお
財政投融資計画
中において、余剰農産物見返
資金
より
農業開発用資金
三十億円が予定せられておりますほか、本
年度
におきましては世界銀行から
農業開発
のための
資金
をも別途考慮しております。
土地改良事業費
は、
関係予算
に関する限りでは
修正
後百二十一億八千八百万円となり、前
年度
百二十三億九千九百万円に比し二億一千百円の減となっております。そのうち
国営灌漑排水事業
は五十七億九千三百万円(前
年度
六十億五千六百万円)、
都道府県営灌漑排水事業
は三十一億三千四百万円(前
年度
三十二億六千万円)、
団体営灌漑排水事業
は十五億三千万円(前
年度
十五億七千四百万円)で、いずれも前
年度
に比し若干の
減額
をみているのでありますが、
継続事業
の
早期完了
をはかる等、重点的に配分し、
事業実施
はできるだけ効率的に行うように、努めて
食糧増産
の
基本施設造成
の
確保
を行いたいと考えておるのであります。特に三十一
年度
以降におきまして、一だんと
食糧自給度
の向上を期するための準備として、
土地改良調査計画費
は前年慶一億五千万円でありましたが、これを二億二千五百万円に増加し、その他
防災関係事業
につきまして九億八千八百万円(前
年度
八億四千百万円)とし、重点的に計上しております。次に、
耕地整備事業費
につきましては、暗渠排水、客土、
区画整理
、農道、
索道等
、従来の
事業
のほかに新たに
区画整理確定測量費
を加えまして、
修正
後二十二億六百万円を計上いたしておりますが、前
年度
二十三億二千五百万円に比し一億一千九百万円の減となっております。
開拓事業
につきましては、前
年度
七十億三千九百万円に対し、
修正
後七十二億七千六百万円を
確保
しております。このうち
開墾建設事業
が三十九億一千八百万円(前
年度
四十億九千二百万円)、
干拓建設事業
が二十六億五千八百万円(前
年度
二十五億二千百万円)、
計画費
が二億四千百万円(前
年度
一億八千四百万円)、
開拓事業費補助
が四億五千九百万円(前
年度
二億四千万円)、計上されております。
開拓
に伴う
新規入植戸数
としましては五千五百戸を予定いたしましたが、前
年度
の七千戸に含まれた一部非
助成
(一千戸)の
制度
は取り止め、全部が
助成入植
となっております。
入植助成
のためには以上の
開拓事業費
のほかに、
開拓実施費
として
修正
後二十五億七千八百万円(前
年度
二十五億八百万円)を計上いたしております。なお
開拓事業
に関連いたしまして、
開拓者資金融通
及び
開拓融資補償
の点について一言申し上げますれば、
営農資金
及び
役畜乳牛導入
のための
中期資金
につきましては、十四億五千九百万円(前
年度
十四億八千五百万円)を従来
通り開拓者資金融通特別会計
で貸し付けることとなっております。これは別に申し述べますように、本
年度
は
一般会計
からの
繰り入れ
によりませんで同
特別会計
が
資金運用部資金
十億円を借り入れる方法によることとなっておるのであります。 さらに、
開拓者
の
短期資金融通
の
円滑化
をはかるため、前
年度
の五千万円に引き続き
中央開拓融資保証協会
への
一般会計
からの
政府出資
を引き続き今回も五千万円計上いたしております。 以上の一般的な
食糧増産対策経費
のほか、
鉱害復旧事業
といたしまして九億四千万円(前
年度
四億四千百万円)、
災害関連事業
といたしまして八億三千万円(前
年度
八億五千三百万円)を計上いたし、これら
事業
の
促進
をはかることといたしております。従って
修正
後におきましては、前述の
食糧増産経費
二百四十五億六千百万円にこれらを加えますと二百六十三億三千二百万円(前
年度
二百五十八億二千八百万円)と相成ります。なお、
新規経費
として小
団地開発整備促進
に必要な
経費
を、
政府原案
におきましては一億一千六百万円を計上いたしましたが、
修正
結果二億四千六百万円となっております。これは農山村の小団地を対象として
該当市町村等
が
計画
的に行う小規模の
土地改良等
に要する
事業費
の
補助
を行うものでございます。 第二に、
耕種改善
に要する
経費
でございますが、まず
農産物種子対策
につぎ美して、
米麦
、大豆、
緑肥作物
の原
原種圃原種圃
の
設置
、
災害対策用農産物種子
の
予備貯蔵
のほか、
米麦等主要食糧農産物
の
原種決定試験事業
を引続き
実施
いたすこととし、
政府原案
では
総額
において五億八百万円(前
年度
四億六千七百万円)を計上しおりましたが、
修正
の結果
採種圃等
の
経費
として一億五千百万円を増額いたしました、また
水稲健苗育成
のための
保温折衷苗代設置補助
につきまして、先の国会で成立を見ました
水稲健苗育成施設普及促進法
に基き、右の
経費
のうちに二億二千六百万円を計上いたしておりましたが、
修正
の結果
温床苗代
を含め一億四千七百万円を増額することになっております。次に、
土壌対策
につきましては、
低位生産地解消
のための
調査費
、
秋落水田
及び
酸性土壌
並びに
特殊土壌対策
の
経費
として三億七百万円(前
年度
三億一千三百万円)を要求いたしております。次に、
農業改良普及事業
につきましては、
政府原案
において十七億四千九百万円(前
年度
十五億九千百万円)を要求いたし、
農業改良普及員
、
生活改善普及員
及び
専門技術員
の
給与単価
を引き上げますととともに、
普及事務所
の
運営費
として
新規
に四千三百万円を計上いたしておりましたが、
修正
により
農業機械化整備施設補助
(
原案
一千二百万円)を二千三百万円増額いたしました。次に、
植物防疫事業
につきましては、
政府原案
において
総額
五億四百万円(前
年度
六億九千六百万円)を要求いたしておりましたが、
修正
により
防除機具購入費補助
の
原案
一億八千万円として一億円を増額いたし、前年に引き続き、病害虫の
発生予察
、
防除組織
の
整備
に努めるとともに
農薬備蓄制度
を強化することといたしました。次に、
農業関係試験研究事業
につきましては、その
整備
と内容の
充実強化
に努めることとし、
農業技術研究所
及び
農業試験場
の
経費
として十二億七千百万円(前
年度
十一億五千五百万円)、
都道府県指定試験
、
育種試験
、
施肥改善試験
、
営農試験地
の
事業
及び
都道府県農業試験場拡充強化等
、
試験研究関係補助
として二億百万円(前
年度
二億一千二百万円)を計上いたしております。なお、
西南暖地
における
水田生産力増強
のため水稲早
植栽培施設
の
助成
のため、
政府原案
において五千五百万円(前
年度
五千七百万円)を計上いたしておりましたが、
修正
により四千三百万円を増額いたしております。次に、
北海道農業振興
につきましては、前
年度
に引き続き六千六百万円をもつて
心土耕
、
混層耕用
の
機械購入
をはかるとともに、テンサイの
生産確保
のために前
年度
同額
の一千三百万円を計上いたしております。以上のほか
耕種改善事業
としては、
輸出振興
の一翼として
特殊農作物
及び
園芸農作物
の
生産確保改善
の
経費
として二千四百万円(前
年度
三千百万円)を計上いたしております。 第三に、
畜産振興
の
経費
につき御
説明
申し上げます。まず家畜の導入についてでありますが、
集約酪農地区
の設定につきましては二億円(前
年度
二億三千四百万円)を計上し、継続四
地区
のほか、
新規
二
地区
を加え計六
地区
に千八百頭の
ジャージー種乳牛
を導入することといたしております。また
品種改良
のための
種畜購入費
として二千三百万円(前
年度
六千九百万円)、同じく
補助
として三千五百万円(前
年度
四千九百万円)を計上いたしますとともに、
有畜農家創設資金利子補給
に必要な
経費
として二億九千三百万円(前
年度
二億五千万円)を計上しておりますが、これにより本
年度
約九億八千万円の
融資
が行われるものと考えております。次に、
日給飼料対策
でありますが、まず
牧野改良対策
として
草地改良
に
政府原案
で一億五千三百万円(前
年度
一億二千五百万円)を、
修正
により三千七百万円増額いたしましたほか、
牧野改良センター
に四千四百万円(前
年度
四千二百万円)、
北海道
に
補助
として八百万円(前
年度
千二百万円)を計上いたし、
牧野改良事業
の
機械化
を急速に推進することといたしましたほか、
自給飼料増産
のため、
政府原案
において
飼料自給経営施設補助
として前
年度
と
同額
の一千五百万円を計上しておりましたが、
修正
により、さらに
飼料採種圃等
の
経費
二千万円が計上いたされました。また
畜産技術
の
振興
をはかるため、
畜産技術振興補助
として
新規
に二千万円を計上いたしましたが、これは全国及び県における
畜産共進会
及び
畜産技術講習会
の
経費等
を内容とするものであります。 さらに、第四といたしまして、
蚕糸業
の
振興
に要する
経費
についてであります。生糸の
輸出増進
のため、昨年
設置
されました
中央蚕糸協会ニューヨーク事務所
における
宣伝事業費
を七千万円(前
年度
五千万円)に増額いたしますとともに、国内における
原料繭
の
合理的増産
と
生産費低減
の
措置
として、従来の
経営改善特別措置指導施設費補助
として六千五百万円(前
年度
六千七百万円)、
老朽桑園
の改植の推進を目的とする
桑園能率増進施設
に対する
補助
として、
政府原案
六千二百万円を
修正
により二千八百万円増額して
新規
に計上いたしましたほか、
蚕糸
の
技術改良関係
の
経費
として、二億三千七百万円(前
年度
二億三千七百万円)を計上いたしております。 第五といたしまして、
農畜水産物等
、並びに
生産資材
の
流通改善
及び価格安定に関する
経費
について御
説明
申し上げます。
農林漁業経営
の安定と所得の
確保
をはかりますためには、
農畜水産物等
の価格安定、
生産費
の低下をはかることが何よりも急務であることは言うまでもないところでございます。これらに関する
予算措置
といたしましては、まず
化学肥料
につきましては、
一般会計
におきまして
臨時肥料需給安定法
に基きます
需給調整
のための
肥料保管措置
による
欠損補てん
の
経費
、及び
肥料市況調査等
の
経費
として一億四千五百万円(前
年度
六百万円)を計上し、
購入飼料
につきましては、
食糧管理特別会計
において海外の
市況調査費
として百万円を計上いたしましたほか、同
会計
におきまして
輸入飼料
の
売買操作
により、
需給
及び価格の安定をはかることといたし、そのために要する
欠損額
約四億四千万円を負担することとなっております。また
生鮮食品流通改善
の
対策
としまして、
生鮮食料品
の取引を公正にし、
生産者
及び
消費者
の利益を
増進
するための
流通施設等
の新増設の
経費補助
として、
一般会計
において一億円を計上いたしました。砂糖につきましては、
特殊物資納付金処理特別会計
が
大蔵省所管
で
設置
され、
農林省
その他
関係省
において所要の
施策
を講じたいと考えておりますので、
一般会計
におきまして、その適正な
標準価格
を設定するための
調査費
(四十五万六千円)を計上いたし、
関係措置
に資することとした次第であります。また
牛乳乳製品
につきましても、現在の
需給事情
の
改善
に資することを緊急と認めまして、
一般会計
において
農業協同組合
に簡易な
牛乳処理施設
の
設置
を
助成
することとし、その
経費
を二千二百万円計上いたし、廉価な牛乳の供給と
消費
の拡大をはかることといたしておりますほか、今般
国内産脱脂粉乳
が
学童給食
に使用されることとなり、その
購入費補助
として六千六百万円を計上いたし、この面からも
消費
の
促進
に資したいと存じております。 第六に、
農林漁業関係
の
団体
の
経費
について御
説明
申し上げます。まず
農業委員会関係
につきましては、
全国農業会議所
、
都道府県農業会議
に対する
事業活動促進
に必要な
助成
を前年に引き続き行うことといたし、
政府原案
において五千万円(前
年度
四千二百万円)を計上しておりましたが、
修正
により六千万円を増設いたしました。また
市町村農業委員会費補助
につきましては、
政府原案
として、本
年度
からは
職員
二人の担当する
事務
のうち二分の一人分の
事務
相当するものに対し
補助
することとし、残り一・五人分については
地方財源計算
に組み入れることといたしておりましたが、
修正
の結果
職員
一・一人分の
事務
に相当するものを
補助
することとし、これによりまして前
年度
二十四億一千六百万円に対し、十八億七千四百万円を計上することと相なりました。また
修正
により、
農業委員会職員研修費補助
として二千七百万円を
新規
に計上いたしましたほか、
代表者会議
の
経費
八百万円を二千百万円増額いたしております。次に、
農業協同組合
につきましては、同
中央会
の
事業活動促進補助
、
政府原案
五千万円(前
年度
二千万円)を
修正
により一千万円増額いたしますとともに、
農林漁業組合
の
検査指導
につきましては九千七百万円(前
年度
九千九百万円)を要求いたし、その監督に遺憾なきを期しております。また、これらの
組合
に対する
増資奨励金等
に充てるため四億五千七百万円(前
年度
四億六千六百万円)を要求いたし、その
再建整備
を
促進
するとともに、
調整勘定益金
を見返りとしまして
農業協同組合役職員奨学資金
としまして七千万円、
養蚕団体融資保証協会基金補助
としまして三千二百万円を要求いたしております。右のほか、沿岸並びに内水面の
漁業調整委員会
に要する
経費
といたしましては、ほぼ前年
同額
の一億一千七百万円を計上いたし、また
養蠶技術員
に対する
補助金
もおおむね前
年度
に準ずる一億一千八百万円を計上いたしました。 第七には、
農業災害補償関係
の
経費
であります。
農業災害補償制度
につきましては、前
年度
以来
農業災害補償制度協議会
を設けて
制度改善
につき検討いたして参りましたが、まだ
全面的結論
を得るに至らず、また一部
中間答申
がありましたが、これについても
実施
上なお
研究
と準備を要しますので、三十
年度
は
現行制度
に即した形で
予算
を編成いたすとともに、
現行制度
につきましては、その
運用
と
指導面
においてできる限りの考慮を払うことといたしたく存じております。この
関係予算
は
総額
百四十五億八千五百万円(前
年度
百七十二億二千四百万円)を計上しております。このうち
農業共済
再保険
特別会計
繰入分としては、水稻、陸稲、麦、蠶繭、家畜の
保険料国庫負担分
及び
業務取扱費
として九十二億八千七百万円(前
年度
七十九億九千百万円)を、同
特別会計
再
保険金支払財源不足補てん金
として二十八億円(前
年度
六十七億円)を計上いたしました。なお以上のほか
農業共済事業事務費負担金
として二十三億一千百万円(前
年度
二十三億八千万円)を要求いたしております。 第八には、
農林漁業
における
財政投融資
と
営農資金等
の
利子補給関係経費
について申し上げます。まず
農林漁業金融公庫
でありますが、
政府原案
における
一般会計
の
出資
九十五億円(前
年度
同額
)、
資金運用部
からの
借入金
百五億円(前年
同額
)に
償還金
五十五億円(前
年度
計画
二十五億円、実績五十二億円)を加えて二百五十五億円の
融資ワク
を、
修正
により
一般会計出資
を十億円、
資金運用部
からの
借入金
を百九十五億円といたしましたため、
融資ワク
は二百六十億円となっておりますが、従来に引き続き
土地改良
、
林業漁業
並びに
農林畜産共同利用施設等
に対する
融資
を行うほか、自作農の
維持創設
に資するため新たに
農地担保金融
の途を開き、本
年度
はさしあたり
右ワク
内において二十億円を充てることし、将来の拡充を期することといたしたいのであります。
特別会計
による
農林省関係
の
政府融資
ないし
融資保証
の
制度
としましては、
開拓者資金融通
及び
中小漁業融資保証保険
の両
特別会計
があることは御承知の
通り
でありますが、
開拓者資金融通特別会計
の
融資予定額
としては十四億五千九百万円を計上いたし、また
中小企業融資保証保険特別会計
においては年間百五十億円の
保証
を予定しております。
一般会計
による
利子補給金
といたしましては、
昭和
二十八年及び二十九年
発生災害
の
被害農家
に対する
営農資金利子補給
、
十勝沖地震
による
農業施設災害復旧資金
に対する
利子補給
並びに
水産関係
の
ルース台風
、
十勝沖地震
、
カムチャッカ沖地震等
による
漁業災害
及び
昭和
二十九年
発生漁業災害
に対する
復旧資金
の
利子補給等
を含めて十八億九千二百万円(前
年度
十八億四千万円)を計上いたしましたほか、
有畜農家創設資金利子補給
につきましては、さきに述べた
通り
でございます。 第九といたしまして
林業振興
のための
経費
について御
説明
申し上げます。まず、
山林公共事業費
につきましては、
政府原案
において、治山
事業
に四十四億五千九百万円(前
年度
四十六億六千二百万円)、造林
事業
に三十八億八千四百万円(前
年度
三十三億二千九百万円)、林業
事業
に十六億五千六百万円(前
年度
十七億三千六百万円)計上いたしましたが、
修正
の結果、治山
事業
に一億円、造林
事業
に一億一千二百万円、林業
事業
に一億円をそれぞれ増額いたすこととなっております。治山
事業
の中では新たに水源林造成
補助
事業
を長期
計画
的に拡充
実施
することといたし、本
年度
は前
年度
三億一千四百万円に対し約二倍である六億二百万円を計上いたしております。またこれに関連しましては、国有林野
事業
特別会計
におきまして公有林野の官行造林
事業
を大いに拡充し、特にその中で水源林の造成に重点をおくことにいたしました。この両者を合わせて水源林造成
事業
強化の初
年度
といたしたいのであります。一般民有林
対策
としましては、
政府原案
において森林
計画
に五億四千六百万円(前
年度
五億七千九百万円)、保安林
整備
計画
実施
に三千六百万円(前
年度
三千四百万円)、森林病害虫防除に二億三千七百万円(前
年度
二億四千百万円)、林業改良普及に一億四百万円(前
年度
九千八百万円)等を計上いたしておりましたが、
修正
により森林
計画
に一千三百万円、森林病害虫駆除に二百万円をそれぞれ増額し、有益鳥獣増殖費に三百万円を新たに計上いたしました。 第十といたしまして、水産業の
振興
の
経費
につき御
説明
申し上げます。水産業の
振興
のためには沿岸及び沖合における資源枯渇の傾向にある現状にかんがみまして、従来の水産増殖
事業
を継続するほか、海外漁場等の発展、新漁場の開発に特段の努力を払うことといたしております。水産資源の増殖につきましては、
政府原案
においては、一億二千万円(前
年度
一億三千四百万円)を計上いたし前年に引き続き内水面における種苗生産及び放流施設、貝類増殖、浅海増殖を
実施
いたす方針でありますが、
修正
の結果さらに三千万円の増額を見ております。 新漁場開発につきましては、沿岸及び沖合いにおけるものに対し
新規
に一千万円、インド洋開発のため一千五百万円(前
年度
三百万円)、アルゼンチン沖合いにおける調査開発のために
新規
三千万円を計上いたしております。また漁業取締り関係につきましては、北洋関係一億百万円(前
年度
九千八百万円)、太平洋及び東支那海関係一億八千四百万円(前
年度
二億九百万円)、沖合い関係八千七百万円(前
年度
八千八百万円)を計上いたしております。また
新規
に国際関係の調査取締りとして、生物調査、アラフラ海白蝶貝採取取締り等のため三千七百万円(前
年度
七百万円)を計上いたしておりますほか、漁場開発調査のため官船一隻(五百トン)の建造費一億八千万円を計上いたしております。次に、漁港施設の拡充につきまして、既着工
地区
の早期完成をはかることに重点を置き、
政府原案
において十八億三千九百万円(前
年度
十八億四千万円)を要求いたしておりましたが、
修正
により二億五千万円を増額いたしました。 第十一といたしまして、
農地
、林野、漁港関係の
災害復旧
費について申し上げます。
政府原案
におきましては、
農地
及び農業公共施設の
災害復旧
費に百二十七億七千六百万円(前
年度
百六十七億六千万円)、治山施設及び林道の
災害復旧
に七億三千百万円(前
年度
九億八千五百万円)、漁港の
災害復旧
に十三億二千六百万円(前
年度
十五億二千四百万円)、合計百四十八億三千三百万円を計上いたしましたが、
修正
の結果、一億四千六百万円の増額により百四十九億七千九百万円となり、前
年度
百九十二億六千九百万円に比し四十二億九千万円の
減少
となっております。もっとも前
年度
予算
には補正
予算
で計上された当
年度
分の
災害復旧
費十七億九千百万円が含まれておりますので、これを差し引きますと
減少
額は二十四億九千九百万円となるわけであります。本
年度
におきましては、これによりまして二十七年以前の災害につきましては残
事業
量の三分の一を完了し、二十八年災害につきましては総
事業
量の六五%、二十九年災害につきましては、同じく五五%まで完了いたすことを目途としておるのでございます。 以上をもちまして
農林省関係
一般会計
における主要な
経費
について御
説明
を終ります。 引き続いて、
昭和
三十
年度
の農林関係
特別会計予算
について御
説明
いたします。 第一に、
食糧管理特別会計
につき申上げます。この
会計
の歳入、歳出はともに七千二百四十五億九千七百万円(前
年度
七千百四十九億六千三百万円)となっております。米穀の管理
制度
につきましては、先般の米穀懇談会の答申の趣旨を極力尊重しまして、三十年産米については、集荷
制度
を新たな事前売渡申込制に切りかえることといたしまして、その集荷数量は二十九産米の集荷予定数量と同量の二千三百五十万石と予定し、来米穀
年度
におきましても本
年度
程度の配給量を
確保
する
計画
となっております。国内産麦についてはほぼ二十九年産買入実績程度の数量の買い上げを予定しております。輸入食糧につきましては、配給外米の品質の向上に留意することといたし、準内地米の輸入数量を増加することとし、小麦も若干輸入量を増加して内地食糧の不足を補うことといたしました。
生産者
価格について申し上げますと、米につきましては、米価
審議
会の専門
委員会
におきまして算定方式その他を検討いたしておりますので、
予算
上の価格としては一応前年産米の
生産者
価格決定時における想定農家平均手取価格を計上し、麦につきましては、
予算
上の価格として前年産の価格を計上いたしました。また、
消費者
価格及び
政府
売渡価格につきましても、
予算
上は
米麦
ともに現行
通り
の価格で算定することといたしました。
食生活
改善
のための
学童給食
用小麦の廉価払下に伴う損失補てん金として十六億九千三百万円及び前
年度
風水害、冷害による
被害農家
に対する飯用
米麦
の特別価格払下に伴う損失補てん分として一億二千万円(前
年度
五億九千六百万円)を
一般会計
より
繰り入れ
ることといたしております。
米麦
以外の農産物等につきましても、前年に引き続き、澱粉、テンサイ糖、甘藷なま切りぼし、菜種、飼料の買い入れ費を計上し、農産物等の価格の安定及び農家所得の
確保
をはかる
措置
を講じたいと考えております。 第二、
農業共済
再保険
特別会計
について申し上げます。この
会計
の各勘定を通じまして、歳入、歳出はともに百四十六億六千二百万円(前
年度
百七十三億八百万円)となっております。このうちまず農業勘定でありますが、三十
年度
特別会計予算
では前
年度
の同
会計
予算
に比べまして、
予算
算定上の米の基本価格と繭の推定価格が変更いたしました。その結果、共済掛金の国庫負担額は増加を来たしております。また二十九
年度
の風水害、冷害によります再保険金支払財源の不足補てん分として、さしあたり二十八億円を予定いたすこととし、この
経費
を含めまして百十四億二千二百万円(前
年度
百四十億三千九百万円)を
一般会計
より受け入れることといたしております。次に、家畜勘定につきましては、死亡、廃用事故と疾病傷害事故の共済掛金の国庫負担額につきましては、一応
予算
上におきましては前
年度
程度を予定いたし、五億七千四百万円(前年魔五億五千五百万円)を
一般会計
より
繰り入れ
ることといたしております。 第三、森林火災保険
特別会計
につきましては、歳入、歳出ともに三億二千七万百円(前
年度
二億九千百万円)を予定いたしております。 第四、漁船再保険
特別会計
につき申し上げます。まず普通勘定につきましては、歳入、歳出ともに十二億六百万円(前
年度
九億七千六百万円)でございます。三十
年度
より新たにこの勘定におきまして搭載漁具の保険をも引き受ける道を開くことといたしました。特殊保険勘定は歳入、歳出ともに五億七千万円(前
年度
五億九千三百万円)を計上いたしております。また給与保険勘定につきましては、特殊保険と同様の考えのもとに保険事故が発生した場合の再保険金の財源として
資金運用部
より三千五百万円の借入を予定し、歳入、歳出とも六千五百万円を計上いたしております。 第五、自作農創設特別
措置
特別会計
につき申し上げます。この
会計
の歳入、歳出は二十五億五千八百万円でありまして、土地の買収につきましては、既墾地四千町歩、易墾地一万七千百町歩、牧野千五百町歩を、またその売り渡しにつきましては、既墾地六千町歩、未墾地四万九千町歩、牧野三千町歩を予定いたしております。なお、従来この
特別会計
の余裕金によりまして、自作農維持のため
農地
の買収売り渡しの方式による
資金
融通を行なっておりましたが、三十
年度
よりは
農林漁業金融公庫
において
農地担保金融
を行うこととし、その
資金
計画
中に二十億円のワクを
確保
することといたしましたことはさきに申し述べたとおりでございます。 第六、
開拓者資金融通特別会計
につき申し上げます。この
会計
の歳入、歳出は十七億三千八百万円(前
年度
十九億五千五百万円)でございます。三十
年度
は
新規
入植者五千五百戸を予定いたしております。二十八、二十九年の入植者を含め、これらに対し
営農資金
及び共同施設
資金
として十億七千五百万円を貸し付けることといたしております。また営農
促進
対策
資金
のうち、牛乳の貸付につきましては、従来入植後五カ年以降の者に限っていたのでありますが特に一年早め、入植後四年目の者に対しても
融資
いたすこととし、乳牛三千二百頭(前
年度
七百七十頭)、役畜四千八百頭(前
年度
五千五百頭)、計大家畜八千頭(前
年度
六千二百七十頭)を導入させるため三億八千四百万円を計上し、既入植者の安定をはかることといたしました。これらの
資金
は従来
一般会計
よりの受け入れによりまかなっておりましたが、三十
年度
は
償還金
と
借入金
によりこれをまかなうこととし、十億円を
資金運用部
より借り入れることといたしております。 第七、国有林野
事業
特別会計
につき申し上げます。この
会計
の歳入、歳出は四百七億七百万円(前
年度
三百五十四億一千万円)で、前年に比し増加いたしましたのは、主として二十九
年度
十五号台風等により、
北海道
等に発生いたしました風倒木を前年に引き続き処分いたすための歳入増でありまして、歳出におきましても、この処分に必要な諸施設の増強を行うと同時に、官行造林
事業
を強力に行うため、種苗養成費を含めて十億四千三百万円を予定いたしておりますこと等のため増加いたしておるわけであります。また治山治水
対策
の重要なる一環として、前年に引き続き治山治水上重要なる地域における民有保安林を本
会計
をもって買い取り、これに対し治山工事を施行することとし、この
経費
三十一億七千六百万円を計上いたしております。 第八、糸価安定
特別会計
につきましては、歳入、歳出ともに六十八億九千二百万円(前
年度
三十二億八千七百万円)を予定いたしております。生糸の価格は現在のところ急激な変動はないかと思われますが、本
特別会計予算
におきましては、三十
年度
の
政府
の買い入れは一応三万俵(前
年度
一万七千俵)とし、買上価格は一応十九万円と予定して算定いたし、買い入れ費として五十七億円を計上することといたしたのであります。これは現状に即し、特に繭糸価格の安定
措置
を強化するために、この
会計
の現在保有する
資金
のみでは事態発生の際は買い入れ費に不足を来たすおそれがありますので、別途糸価安定
特別会計
法を一部改正いたし、
借入金
の道を開くことを予定しております。また
蚕糸業
の経営の安定をはかるため、繭価が異常に低落のおそれある場合には、養蚕農業脇町
組合
連合会をして乾繭の共同保管をなさしめることといたしました。このために要する
経費
は本
特別会計
の予備費より適時支出する方途を講じて参りたいと考えております。 第九、最後に中小漁業
融資保証
特別会計
について申し上げます。この
会計
は二十七
年度
、五億の基金で発足いたしましたが、二十八年、二十九
年度
は保険金の支払い少く、基金は利子とともに繰り越されて参りました。三十
年度
は
保証
額を百五十億円、これに伴う保険金支払は四億三千四百万円と確定いたしまして、歳入、歳出ともに八億二百万円を予定いたしております。 以上をもちまして
農林省関係
の
一般会計
及び
特別会計予算
のおもな事項についての概要の御
説明
を終ります。よろしく御
審議
のほどをお願い申し上げます。
佐多忠隆
6
○
主査
(
佐多忠隆
君)
説明
を終りましたので質疑に入ります。
永井純一郎
7
○
永井純一郎
君 今御丁寧な御
説明
をいただきましたが、一、二御
質問
をしたいのですが、二十ページの
災害復旧
についてお伺いしたいのですが、
農地
及び農業公共施設の
災害復旧
費が百二十七億七千六百万円になっている。そこでこの
農林省所管
の
農地
及び農業公共施設の仕越し工事ですね、この仕越し工事の合計は百五億三千五百万円くらいになっている。そこでこれは実は
災害復旧
を実際上やります地方府県においては非常に困難をしているのですが、たとえば
農林省
だけを見ましても、本
年度
の
予算
が百二十七億しかないのに、仕越し工事がすでに百五億円以上ある。そうすると、百二十七億円を三十年
予算
で交付しますと、仕越し工事の費用に全部ほとんど継ぎ足してしまって、三十
年度
に実際に
農地
あるいは
食糧増産
に必要な公共農業施設を新たに
実施
する金はほとんどない、実際上復旧して行く金がない、こういうことに私は結果からなると思うのであります。これは非常に重大なことになると思うのですが、この辺はどういうことになっているか伺いたい。
渡部伍良
8
○
政府委員
(渡部
伍良
君) お話のように二十八
年度
は特に大きい災害でありまして、その当時特別立法等を作りまして、高率
助成
を考えたのであります。かつそのときには三・五・二の割合で三カ年に
災害復旧
費の
補助金
を出すというようなことであったのでありますが、国の財政上の都合から、本
年度
に至りましても、先ほど
説明
いたしましたように、二十八年の災害につきましても、六五%しかできない、こういうことになっておりまして、今日残りの金につきましては、できるだけ安い金をお世話するようなことを考えておりますので、
補助金
としては一兆円のワク等の関係もありまして、十分なことができないのは遺憾であります。
永井純一郎
9
○
永井純一郎
君 それで実際問題として
予算
が百二十七億円しか取れないで、仕越し工事が百五億円ありますから、実際上三十
年度
は災害町村としては新しく仕事ができないということになり、仕事をする金がないのです。もうやってしまっておるのに、新しい
予算
をやるので、ただそれを払うだけになってしまう、そこでこれは非常に重要なことになって、
農林省
もそこまで考えずに
予算
を組んだのか、あるいはそのことを承知の上で、すでに
災害復旧
を当時三カ年
計画
でやるということになっておって、それを信じます府県は早くやったわけなんです。従ってすでにやっている
災害復旧
の現実にやっておる仕事に対する
予算
を組まなかった、こういうふうな結果になるのであって、これは大臣はあしたくるかもしれませんが、大臣の責任を追及したいような気持もするわけなんです。もう一つ聞きたいことは、そういうことで実際上三十
年度
に新たに
災害復旧
が進まなくなるかもしれない、この金は仕越し工事に払ってしまいますから、これは重大なことだと思う。新たに三十
年度
に実際の
災害復旧
事業
が進まなくなり、なかなか仕事はできない、それを一体どうするのかということが一つ、あるいは起債なり何なりで事実上はやるのか、そういったものは一体どういうことを
農林省
は考えておるかということが一つと、もう一つは、現実に百五億仕越し工事が
農林省
はあるということを、私資料をもらったのですが、その内訳は起債で、大蔵省の預金部
資金
の起債で幾ら百五億のうちあるのか、それから起債以外の信連とか、その他の銀行から借りておるのが幾らで、もう一つは現実に請負業者に支払っておらないもの、大体この三つぐらいに分れるのだろうと思う。この仕越し工事はどういうふうになっておるのかということ、本
年度
百二十七億円しかない
予算
であるけれども、実際上
災害復旧
を進めるのには、起債をこういうふうにして、どういうふうにするのだという方策が立ってくると思う。その辺をもう少し詳細にお聞きしたい。
渡部伍良
10
○
政府委員
(渡部
伍良
君) お話のように、仕越し工事の金は起債、それから単協、それから
農林漁業金融公庫
と、あとまあ村で個人で貸しておるというようなものも多少あるようでありますが、それはほとんど例外でありまして、銀行等も多少ありまして、これも例外で、おもなものは今の三つであります。そこで三十
年度
の
予算
がつけば借りかえになって、また残りの三五%は同じように借りなければいかぬじゃないか、こういう問題が起ってくるのであります。これはことに二十八
年度
の災害の激甚であった北九州等では非常な問題になっておりますので、私の方でも今後の
対策
につきましては、お話にありますような起債の問題であるとか、あるいは
農林漁業金融公庫
の金等についても、できるだけめんどうをみたいと、こういうふうに考えております。
永井純一郎
11
○
永井純一郎
君 そこで今のその起債と、銀行、その他特殊銀行、あるいは一般銀行、それから支払っておらないこれは百五億のうちどういうふうになっているのですか、これはわかっておりませんかね。
渡部伍良
12
○
政府委員
(渡部
伍良
君) その内訳は私の方では詳細にわかっておりませんですが、これはただ県の方から仕越し工事の
総額
がどうだとか、こういうことで、借り入れ先別の金額については資料はただいまありませんです。
永井純一郎
13
○
永井純一郎
君 いや、そこで実際上これは
農林省
としては重大な責任が私起ってくる、今のような銀行なり、中金なり、信連なり、そういうところから借りている、それからこの起債も大蔵省の起債もほとんど短期の起債のようですからね、それから支払っておらないという金額は相当ある、そうすると、その仕越し
総額
と本
年度
の農業公共施設と
農地
の
災害復旧
の総金額はほとんど同じだから、払った場合にその仕越しの分について、借りてる金であるからもちろん払わなければならない、起債の方も短期であるから、これも払わなければならない、その次にまたそういう
借入金
をやって、府県が
災害復旧
をやるかというと、これはやれないと思うのです、今年は……。この前は三党協定等で特別立法したときには三・五・二の
予算
でやるのだということをはっきり約束したから、それをやった、ところが利子も払わなければならない、この銀行利子なるものは莫大なものになって行くわけです。そこで借金をして実際上三十
年度
の
災害復旧
工事というものを事実上進めてやろうということを
農林省
はもし考えるならば、やはり
利子補給
というようなことが起ってくるのですが、それをやらなければ私やれないと思う。そういう点は具体的な、何かこの方策を
予算
を作るときに考えなければならなかったのだが、もう今できてしまっているのだから仕方がないとして、何か具体的な、実際上三十
年度
の
災害復旧
が進むように、これはしてもらわなければならぬと思うのですが、しかし今すぐそれはここでお答えができないとしても、
予算
審議
中に大体の見当をつけて報告をしていただきたい、こう考えます。これはまああとでけっこうです。今答弁は求めませんが……。それからもう一つ、市町村農業
委員会
の
補助
の
説明
をいただきましたが、これは先ほど政務次官の御
説明
を聞いてよくわからないのですが、
修正
の結果一・一人分の
事務
に相当する分を
補助
することになったというのですが、あとはやはりこれは地方負担分になるわけでございますか。
吉川久衛
14
○
政府委員
(
吉川久衛
君) その
通り
であります。
永井純一郎
15
○
永井純一郎
君 そうすると、その地方負担分の金額は幾らになるのですか。
吉川久衛
16
○
政府委員
(
吉川久衛
君) 今までの負担分を入れまして約十一億くらいになると思います。
永井純一郎
17
○
永井純一郎
君 地方負担が今までの分を入れて十一億だということですか、おそらく増加分が前
年度
の
予算
が二十四億だったのが、今度十八億になったのですから、この六億というものが新たに地方負担としてふえて十一億と、こういう勘定だろうと思うのですが、それは地方で負担するということになっているのでしょうか、負担できないと思いますが、どういうことになっているのですか、市町村はとうてい負担できないと思うのです。
吉川久衛
18
○
政府委員
(
吉川久衛
君) 交付税の交付金の中に算定するように自治庁と了解済みでございます。
永井純一郎
19
○
永井純一郎
君 その地方負担分を交付金の方で戻してやるという意味ですか、全額ですか、増額分だけですか。
吉川久衛
20
○
政府委員
(
吉川久衛
君) その
通り
でございます。
永井純一郎
21
○
永井純一郎
君 増額分の大億だけですか、十一億全部ですか。
吉川久衛
22
○
政府委員
(
吉川久衛
君) 全部について財源の基礎にいたしております。
溝口三郎
23
○
溝口
三郎
君 余剰農産物の借款のうち、今
年度
の
農業開発
に配分されるものは三十億と決定されたわけですか、その配分の中で
地区
別の分が、先般土曜日の
予算委員会
で私
質問
いたしましたが、
政府
ではまだ決定していないようでございましたが、その後どういうふうになりましたか、経過をお伺いいたします。
渡部伍良
24
○
政府委員
(渡部
伍良
君) その後関係各省の間で協議し、民主党の政調会の案も出ておりますが、まだ最終的な決定はしておりませんが、ただいま出ておる案で、大体大蔵省、
農林省
、
北海道
開発庁等の意見の一致点に近づいておる案というのは、三十億を、二十億四千五百万円を愛知用水に、五千万円を上北の機械改造に、四億五千万円を篠津の泥炭地の開発、五千万円を根釧の機械開墾に分けるようにいたし、愛地用水公団を作って、それでやらす。上北及び根釧等については機械開墾
事業
団を作って、それに機械開墾の仕事をやらせたらどうかというふうな案が出ておりますが、まだ最終的な決定というところまで行っておりません。今明日中に結論を得たいと思って交渉を続けております。
溝口三郎
25
○
溝口
三郎
君 今の御答弁で、最終的決定になっていない。その線で確定するように大体なると承知して差しつかえないでしょうか。
渡部伍良
26
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 私の方としましては、会期も残り少いので、機械開墾
事業
公団を法制化する等の
事務
がありますので、ここらあたりで各省の話をつけたらいいのじゃないかというので努力をしております。
溝口三郎
27
○
溝口
三郎
君 余剰農産物を財源にしました
農業開発
は従来から四
地区
、総
事業費
で五百六十億くらい
消費
していたのでございますが、本年三十億はわずかでございますが、それが着手になりますと、絶対に将来、着手した以上は五カ年間の
計画
に基いて絶対に中断することないように努めるというのは、これは大蔵大臣、経審長官、農林大臣、全部が言明されているところでございます。そこで三十億で着手するに、愛知用水その他どの
地区
を着手するかということが、着手した以上はこれはどうしても中断することができないというようなことから、今もって私は
地区
を決定することができなかった大きな原因だと思うのでございます。ただいまの御答弁によりますれば、ほぼ
政府
としてもその線で決定するのだということになりまして、かり決に定したとして考えますと、約五百六十億、八郎潟を入れまして五百六十億の
事業費
で五カ年間に必ず完成するという決意をもって
政府
は実行に入られると思うのでございます。そういたしますと、本
年度
、先ほどの
説明
を伺いましても、
農地
の改良、拡張等で約二百四、五十億の
予算
が、これは非常な御努力で前
年度
同様くらいまで
修正
した程度、その程度でございます。このほかに
政府
資金
としまして、この五百六十億を五カ月で割って行きますと、相当な財政支出をして行かなければいかぬと思うのです。そこでそれを実行して行くについて、既定の
事業
に影響を與えてはいけないのだという強い申し入れを農林水産
委員会
で先般決議をいたしまして、外務
委員会
に申し入れたのでございます。それにつきまして、既定の
国内
の
農業開発
計画
、それによる
経費
に支障を及ぼしてはいけないという場合に、既定の
国内
開発
計画
というようなものについてどのベースをとるかということは、確定した意見は私はないように思うが、
農地
局長
は既定のベースをどの程度にお考えになっているか、お伺いしたい。
渡部伍良
28
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 私の方では、その当時御
説明
申し上げましたように、二十九
年度
ないし三十
年度
の
食糧増産
費のワク、すなわち
予算
の金で二百五、六十億、
農林漁業金融公庫
等の
政府
資金
で百億出るから、三百五、六十億程度は既定のワク、こういうふうに考えておりますので、それ以上に新しく着手した
地区
の費用は
一般会計
なり、余剰農産物なり、預金部
資金
等で増額してやって行きたい、こういうふうに考えております。
溝口三郎
29
○
溝口
三郎
君
農地
局長
の
説明
では、既定のベースを三十
年度
予算
の程度に考えられる、
融資
と合わせて三百五十億、それは
米麦
の
増産
が百四、五万石の程度だと思うのです。それは最近のうちの最少の
経費
だと私は思っている。二十八
年度
はそれよりも三十億ぐらい
経費
は多い。そうして百二十万程度出ておる。一兆
予算
のうちで一番切り詰められた
予算
が、本
年度
の
農地
の
拡張改良
経費
二百四、五十億でございますが、もう少し余分なベースを持つ必要がある。のみならず、先般来経済六カ年
計画
におきまして、六カ年間で千三百五十万石の
増産
計画
を経済六カ年
計画
で立てられた。それは本
年度
は三百五十億程度、来年は六百八十億、三十二年は七百五十億というのを経済
審議
庁では試案として
計画
に入れておるのです。本
年度
の二倍以上になるのです。そのうちにこの余剰農産物による四
地区
の
計画
は入っているのか、
資金
計画
に入っておるのかどうかという点が一番また疑問があると思うのですが、本
年度
は三百五十億と、これははっきりしておる。
予算
上きまっておる。来
年度
の六百八十億という六カ年
計画
のうちで、この四
地区
は今度決定になるわけですが、それはどういうふうに考えておられますか。
渡部伍良
30
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 経済
審議
庁で樹立しておる六カ年
計画
なり、三カ年
計画
につきましては、国の総合経済の見地から各省の要求を調整して立てておるのでありまして、
農林省
は
農林省
として、少くとも六カ年後には増大する人口に対応する食糧の所要量の増を輸入の増によってまかなわない、すなわち六カ年後においては、もう現在の輸入量を増加しないということを最低の目標に置いてやっておるのです。そうしましても現在の
食糧増産
費の規模ではとうていまかなえないので、少くとも経済
審議
庁が言っておるような、三十一
年度
に六百八十億、三十二
年度
に七百五十億、そういったふうな急カーブの
財政投融資
を必要とするということになるのであります。その実現の方途としては、われわれは既存の
継続
地区
のほか、
新規
の
地区
の一つとして、お述べになりましたような
計画
を取り上げておるのでありますから、当然それらを考慮に入れまして、今
年度
以降の
資金
計画
なり、
増産
計画
を考えなければならないのであります。六百八十億なり、七百五十億の中にはそれを含ましめるのが至当であると、こういうふうに考えております。
溝口三郎
31
○
溝口
三郎
君 この借款による五百六十億を四
地区
に投下しましても、その生産の効果は五カ年以内にはほとんど出ない。そうすると、
事業
資金
は投じますけれども、千三百五十万石を五カ年で
増産
をして、そうして輸入は二十九
年度
よりはもう増加させないということをやりまして、万一
一般会計
の方に、現在まで千三百五十万
増産
計画
の方にこの
資金
が入って、そうして千三百五十万石がもしそれが
確保
できないと、輸入はやはり増加してくるようなことに結果はなってくる。非常に
食糧増産
計画
は困難な事情があると思うのです。この点につきまして、できるだけ必ず、六カ年
計画
で立てました
食糧増産
計画
としては、輸入は現状以上には輸入しないのだというかたい決心で今後の
食糧増産
の
対策
費は計上するようにぜひお願いいたしたいと思います。 もう一点、ちょっとお伺いしておきたいのですが、先ほど
災害復旧
の
経費
の問題がありましたが、二十八
年度
以前の残
事業費
、それから二十八
年度
の残
事業費
、二十九
年度
の残
事業費
おのおのが、
補助金
のもございましょうが、
事業費
は幾らになっておりますか、そうしてその合計額は……。
渡部伍良
32
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 総計を申し上げますと、二十六年災以降二十九年災までの総
事業費
が千百十二億になっております。二十九
年度
までに四百四十億ついております。総
事業費
の千百十二億のうち、
補助
に相当するものが八百五十四億になっておりますので、四百四十億が二十九
年度
までについておりますが、三十
年度
以降に四百十三億残ることになりまして、そのうち百二十七億が三十
年度
の
予算
でカバーできる、こういうふうになっておるのであります。従いまして、二百八十四億ぐらいが三十一
年度
以降に残る、こういう計算になります。
溝口三郎
33
○
溝口
三郎
君 世間では数年前から
災害復旧
の
年度
別と言いますか、三・五・二ということを常に言われているのですが、その原則は全然くずれていると承知しているのでございますが、今の
説明
を伺いますと、まだ三十一
年度
以降は三百億近い金額が残っている。二十八
年度
の災害も、もうあと三十一年、二年たってから完了するか、五カ年ぐらいで完了するような
計画
をやっているか、どうか。
渡部伍良
34
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 二十八年災害の特別立法をしたときには三・五・二という強い国会方面の要求ないし決議があったのでありますが、財政規模等の関係でそれが実現できていないのであります。やっと二十五年災までが完了になりまして、六、七年の災害も多少残っていると、こういうふうになります。これは先ほどからいろいろお話しがあったのでありますが、二十八年災の
災害復旧
につきましては、二十九年の初めに
会計
検査院あるいは
事務
局等で災害査定の実態調査をやったのであります。御承知のように二十八年の災害は申請件数は十万件をこすほどの数量でありまして、そのうち
農林省
で実際に査定したのは二割余りしかできなかったと思います。そういう関係で、非常にこの査定が机上査定、書面査定になっておりましたので、現実に調べてみますと、いろいろなもうルーズな点が出ておりましたので、私の方ではそういうことでは困りますので、全個所の実地査定をやることにしておるのであります。そういう関係もありまして、今までに実際の査定をやってみると、当初の査定に比べまして百数千億の査定減が出ております。そういうふうな関係で、実際に金はつけたくても
計画
のやり直し等の関係でつけられない分も相当あるのであります。まだ全部の査定が完了しておりません。これはとにもかくにも全部の査定をやり直そうということでやっておりますので、そういう関係もありますので、一がいに三・五・二の
補助
のやり方を否定しておるというわけでもないのでありますが、事実問題としてそういうふうに手が回らなかったというような関係、あるいは
計画
があの二十八年のどさくさの、異常の混乱時でありましたので、遺憾な点があったというような関係もありまして、現在のような状態になっておるのであります。
溝口三郎
35
○
溝口
三郎
君 あの査定が問題になりまして、非常に水増しがあるというようなことから、大蔵省では、また
農林省
の申請したものに対して
年度
割りをきめる当時に、非常に厳格な査定を大蔵省でしたのではないか、そういうようなところから、今度は立ち会いの検査をしてやって行ったところが、そう大した水増しはなかったというようなふうにも聞いているのでございますが、女だ確定はしていないのでございますか。
渡部伍良
36
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 査定を全部やるのは大体今年一ぱいかかる予定であります。御承知のように、二十八
年度
災害については
会計
検査院等の報告件数、あるいは報告の実態から見ましても、私ども常識で判断できないようなことが、非常に何と言いますか、たとえば北九州の小倉では一方村で数十億の被害をこうむって、農業施設だけでも大きいところでは五億、八億というものを受けております。件数から見ましても一カ村で三百カ所、五百カ所というのが出ております。従って一時に査定をやった、あるいはまた町村が
災害復旧
をやるために、その当時の混乱状態から
計画
が立たなかった、そういう関係で査定がうまく行っていない、こういうふうなのが実態でありまして、洗ってみるといろいろ考えさせられるところがあるのでありますが、とにもかくにも、そういうふうに全部を洗ってみてきめたい、こういうふうに思っております。
溝口三郎
37
○
溝口
三郎
君 ただいまのお話で、これは二十八
年度
に災害の個所は十万カ所ばかりある。これを短期間に全部査定する。これは人力のとても及ぶところではない。できるだけ
職員
を増加して、できるだけ正確な調書をこしらえる必要があるのであります。これはできるだけそういうふうにできないでしょうか。私はけさ新聞で拝見したのですが、ただいま決算
委員会
でも問題になっておるのですが、
建設省
では、今後は災害ができたならば全
地区
を全部査定するというようなことを
説明
しておられるのですが、これは人を増してそういう場合にやるということになったのでありましょうか。ただいまのように、三年かからないと全
地区
が査定できないという、あなたのやり方から言うと……。そこは
建設省
、
農林省
と関連して災害の方針、査定の方針をきめておられるのですか、お伺いしたい。
渡部伍良
38
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 御承知のように、
建設省
の
事業
は規模が大きいわけでありまして、件数から言うと、
農林省
の比ではないのであります。ところが
農林省
の方は
農地
、農道、水路、頭首工、あらゆるものがあるので件数が多くなるのであります。そこで
建設省
と同じように、全
地区
の査定をやるためには、これはなかなか人数を一挙に増すということも困難でありますが、しかし通常の場合においては少くとも過半数は実際査定ができるようにはしたいと思いまして、三十
年度
の要求では、
災害復旧
査定官を十一名ばかり増員はいたしております。建設の方はそういう関係がありまして、もう少し前から、去年も増員したようであります。
農林省
は少しおくれておったのでありますが、今年からそういうようにいたしたいと思います。それを本省におきまして、機動的に、災害地に一斉に出動してやれる、こういうふうな態勢でやって行きたいと思います。しかし十一名くらい増したのでは、ちょっと大きい災害が出ればなかなか査定困難であると思いますので、地方の
事務
局との人員の使い方、あるいは県の耕地関係の
職員
の機動的配置等も考えましてやりたいと思います。これは二十八年の災害のときには、各府県からひどい災害地に応援にやったのでありますが、これが何と言いますか、訓練がうまくできてないとか、あるいはやり方がうまくなかったというような点がありまして、今後は
農林省
に災害査定官を置いて、それを主任にして、各府県から集めたやつを応援、補佐みたいなのを使いましてやれば、相当成績が上るのじゃないかと考えます。
佐藤清一郎
39
○
佐藤清一郎
君
食糧増産
の面から
農地
局の仕事というものは非常に大切なことなので、私は非常な関心を持って見ておりましたが、一番困っていることは、すでに災害にしましても、あるいは
土地改良
にしましても、査定が終った、終ってもなお
農林省
から金がこないというようなことで、
事業実施
者の負担というものがますます増大して行くというようなことになっているのでありまして、まず金を、
事業
者として
資金
を借りることが容易でない。農林中央金庫の
資金
を借りるにいたしましても、非常にむずかしい、やかましいことを言うておりますし、これを借り受けるにしましても、ワクがあってなかなか借りられないというような現状でありますが、過
年度
の災害、あるいはその他の
事業
等におきまして、すでに
農林省
が送金しなければならぬというようなものはどのくらいになっておりますか。それをまず伺いたいと思います。
渡部伍良
40
○
政府委員
(渡部
伍良
君) ちょっと今の御
質問
の趣旨がくみ取れなかったのですが。
佐藤清一郎
41
○
佐藤清一郎
君 査定が終って、
農林省
から
補助
をやらなければならぬ、送金しなければならぬものが各県にまだ相当あると思うのですが、その額がどのくらいになっておりますか。
渡部伍良
42
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 二十九
年度
まで交付した額を除きまして、三十
年度
以降に今できている査定に基きまして交付しなければならぬのは、先ほど申しましたように、さらに再査定をやっておりまして、多少の数字が狂うと思いますが、現在までの手持ちの資料では約四百億あまりが三十
年度
以降に交付しなければならない金になっている。その中で百二十七億が三十
年度
の
災害復旧
として計上されていると思います。
佐藤清一郎
43
○
佐藤清一郎
君 こういうふうに多額な送金をせねばならぬものが、査定を終ったものがすでに四百億円程度というわけでありますから、査定が二割程度しか進んでおらぬというような現状におきまして、
農林省
として
補助金
を交付せねばならぬものが相当多額に私はなるのじゃないかと思いますが、これらが
土地改良
を
実施
する上において非常に難関になるわけであります。最近の
会計
検査の要領というものが、非常に不正が行われておるというて批難をされておる面もありますけれども、また一方から言うと、あの
会計
検査の検査というものが、実に人道を無視した、まるで地獄における鬼の検査であるというて、一般の
事業
者はふるえ上っておる。たとえばすでにコンクリートを打ったところへ、夜の夜中に行って、万能や、その他の道具でもってコンクリートの厚さがどのくらいになっておるかということで、ぶちこわして見る、はなはだしい人は、村長は二度と再び孫子の時代までも
土地改良
なんというものはやらさないというような悲壮なことを言うておるものもあるのであります。中には不正行為をやって、
補助金
だけで工事を進めておるものもずいぶんあったでありましようけれども、この検査の
内容
というものは、はなはだ私は不当な、人道を無視した検査でもあるようにも聞いておるのです。これは
土地改良
協会あたりで集まったときには非難ごうごうであります。また大蔵省から、立ち会いで検査を、いま一応査定をしなければならぬというようなことにつきましては、
農林省
としてはもう少し自信のある査定をすべきではなかろうかと考えます。こういうことにつきまして、また二度の手数をかけて二割くらいの査定しか終らぬのに、またろくな人員もそろっておらないのに、再び先に査定を終ったやつをまたやり直すということは、はなはだ不見識ではないかと考えるのですが、これにつきまして……。
渡部伍良
44
○
政府委員
(渡部
伍良
君)
会計
検査院の検査の
方法
について、いろいろなお話がありました。私の方では昨年から官房に考査官室というのを作りまして、まずそういうのを、
会計
検査院のお世話にならないような事前の指導なり、事前の監査をやったらどうかということをまずやっております。そこで
会計
検査のやり方についてお話のようなあれがありましたので、昨
年度
、
会計
検査に数県考査官を立ち会わせました。しかしその報告は受ける方の側の言うことだけでは工合が悪い。具体的に申しますと、昨
年度
の検査を受けたのに立ち会った県、三県か四県ありましたが、ほとんど文句のない
地区
はないのであります。必ず何か文句が出ておるのであります。それで私の方もちょっと驚いたのでありますが、ただ、今人道を無視したような検査ということがありますが、たとえば二重帳簿を作っておるとか、あるいは伝票を、
会計
検査がくるからということで、書きかえているということになりますと、なかなか聞く方も聞く方、答える方も答える方でらちがあかないので結局時間が長くかかる、あるいは証憑書類を注文先、あるいは購買先から取り寄せるというようなことで、夜通しやったというような例もあったようであります。いずれにしましても、
事業
を
実施
する方、それからそれに対して
補助金
を交付する
農林省
、あるいは県が、みんながそういった疎漏、あるいは不正の工事が起らないように心がけるのが大切だと思いますので、私の方でやるべき査定は、できるだけ書面だけを見て実地を見ないで適当な査定をやるということはなくするようにする。すなわち現場の査定の率を多くしていく、できれば全部を現場に立ち会って査定をしたい、こういうふうに考えております。何ざま、災害は、毎年同じような規模で起らない。ことに二十八年のような大災害になりますと、そのために特別の人を置くというようなことも困難でありますので、過去の平均災害発生量等もにらみ合わせて、普通の年ならば大部分の実地査定ができるような人員をととのえてやっていきたい。同時に考査官
制度
、事前監査の
制度
というものもさらに念を入れまして、事後で
会計
検査院からいろいろ批難されるようなことのないように指導していきたい、こういうように考えております。
佐藤清一郎
45
○
佐藤清一郎
君 検査の要領が、
事業
を施行するものについて非常な悩みであるのです。それはどういうことかというと、まず書類の査定がある、県の査定がある、また
農林省
の査定がある、
会計
検査院の検査、あるいは大蔵省の検査というように、検査心々で年中来る。こういうものを一元化して、何とか同じお役所の役人なんだから、一ぺんで済ますようなことでやれないものか、こういうことを何回も何回も繰り返して、まあもちろん不正工事を行うような方でも、相当にこれは自粛をし、
事業
を施行する場合において、その理事者なり何なりは十分に選者しなければならぬと私らは考えますけれども、一方においてはそういうむだが
事業
を施行するものに非常な負担になっているのです。これは実際から言うと、おいでになれば検査官だからというので鞠躬如として心の置きどころもわからぬような状態で、検査を受ける。そうしていろいろなおみやげ持って行ったり何かするような、そういうことも相当考えられることです。そういったようなことも何回となく繰り返されれば、
土地改良
なんというものはなかなか容易に始まらないということです。どうかこれは私の希望でありますが、検査につきましては、何とか今、渡部
局長
の言うのには、さらに
会計
検査院の検査を無事に通るようにしておきたいというようなことになりますと、これは再三検査をして、厳重な検査をするというようなことに私は受け取りますからそれは厳重もいいが、何回もやらないで、県なら県の係、検査官もおるのでありますから、十分連携をとって、一ぺんにやるような
方法
をとることと、それからなるべく早く検査を済ます、そうして
補助金
を早く流してやるということが一番大切だと考えますから、切にお願いする次第であります。 それともう一つお尋ねをいたしますのは、金利の問題です。せっかく
土地改良
の
事業
を
農林省
が
計画
し、推進しましても、この
資金
の問題で、いつも悩んで、
事業
施行者はおるわけです。ことに農林中央金庫なんというものは、名は農林でありましても実際は高利貸しのようなやり方をしておるわけであります。これらにつきましても十分に監督をする方式が一番大切だと思いますが、現在金利はどういうふうになっておりますか、お伺いいたします。
渡部伍良
46
○
政府委員
(渡部
伍良
君)
農林漁業金融公庫
から出す
災害復旧
のものは最低五億になっております。預金部
資金
から出れば六分五厘、これは起債であります。一般の系統金融機関から借りる場合は一割一分ないし一割一分五厘というふうになっております。
佐藤清一郎
47
○
佐藤清一郎
君 この農林中央金庫の一割一分というものですね、これを何とか方策をして五分か六分五厘までにやれないものでありますか、これの方策ありませんか。
渡部伍良
48
○
政府委員
(渡部
伍良
君) 私の方では特別の安い金利のものは、
農林漁業金融公庫
の方から流させていきたい、こういうふうに考えておりまして、
災害復旧
等に関して中金の系統機関の金を借りるのは
補助金
がくるまでのほんの短かいつなぎの期間程度でまかなえるようにいたしたいというのがねらいでありますが、先ほど来お話がありましたように、それではいってないので、問題がありますのでできるだけ努力いたしたいと思います。
左藤義詮
49
○
左藤
義詮
君
生鮮食料品
の
流通改善
のためにきわめてわずかですが、一億ほどの
予算
がありますが、どういうふうに配分なさるのですか、どういう
計画
でございますか。
武田誠三
50
○
政府委員
(武田誠三君) 一億円の
生鮮食料品
の流通施設に対します
補助金
につきましては、これは大体
消費
地と生産地を通じまして、主として
生産者
の利益になるようにということに目途をおきまして、流通施設の
改善
をはかって参りたいというような考え方でおるのでありますが、現在のところ、そのうちの約六割程度のものは
生鮮食料品
としての蔬菜なり、あるいは水産物というようなものの流通施設の
改善
、それから四割程度のものを酪農関係の
畜産物
関係の流通施設の
改善
というようなものに振り向けていきたいというような気持で考えております。
左藤義詮
51
○
左藤
義詮
君 この間問題になった公取からの横やりを入れられた、たとえば大阪の荷受けの、そういう方面にこれをお流しになる予定じゃないのですか。
武田誠三
52
○
政府委員
(武田誠三君) 魚市場等の施設の
改善
につきましては、適当な
計画
がございますれば、そういうものにつけていくことも必要かというふうに考えておりますが、具体的に大阪の魚市場に現在どれだけの
補助金
をあの中から割くという
計画
はまだ持っておりません。
左藤義詮
53
○
左藤
義詮
君
開拓
に伴う
新規
入植の戸数は本年は減っておるのですが、これはいろいろ農村の二、三男
対策
とか、あるいはその他いろいろなたとえば失業の問題、いろいろあるのですが、引揚者はどうしてこんに減ってくるのですか、昨年は七千戸ですが、本年は五千五百戸というふうになっておるのですが……。
正井保之
54
○
説明員
(正井保之君) 昨
年度
七千戸の入植がございましたが本
年度
は、実は昨
年度
の七千戸入植の中には一部
助成
と申しまして住宅と酸土改良の一郎だけを
助成
する、そういうふうな中途半端なものがあったわけでございます。それで実は本
年度
の五千五百戸は全部完全な
助成
をする戸数ということでございまして、実質的には昨
年度
に比べまして五百戸の減、こういうことになっておりますが、私どもといたしましては全体的に
食糧増産
の
対策
の意味と、それからただいまお話がありました二、三男
対策
の意味を兼ねましてできるだけ
事業
の規模としては大きく持っていきたいということでございましたが、総体に
予算
のワクの関係もありまして、それと、現在
開拓
地の実情は建設工事が入植者の数に比して実はおくれておる、入植者の数はある程度入っておるけれども建設工事が伴わないそのために営農にも支障を来たしておる、こういうふうな十分な営農ができないというような状況等もございまして、建設
事業費
等との関連等もございまして、昨年に比べまして実質的には五百戸の減、こういうふうなことになりました。
左藤義詮
55
○
左藤
義詮
君 まあ相当奨励をして入植をしたけれども、どうもうまくいかない、あるいはそれにしんぼうができない、山の木を切るだけ切ってあとの開墾なんか一向手につかない、山を荒すだけで結局は逃げ出してしまう、非常に入植がうまくいってない、そういうことでだんだんもう建設がおくれておると、そうでありましょうが、だんだんこれは数を減らしていく、もう
開拓
に伴う入植ということはあまり先のないことだ、非常に終戦後これに力を入れたけれどもどうも育っていかないというふうなお見通しであるのか、この
開拓
の実情を少し、この
予算
がこういうふうに減った、
予算
は減っておりませぬが戸数を五百戸も減らして、一部入植を減らした分を入れますと一千五百戸減らした、
農林省
としては
開拓
というものに相当なる見切りをつけられてしまったその実情を少しお話願いたい。
正井保之
56
○
説明員
(正井保之君)
開拓
に見切りをつけたという意味じゃございませんで、実は入植は当然にそれに引き続いての、ないしはそれに同時に行われる建設工事が十分に伴わなければ非常に苦労をかけるというふうなことで、本
年度
の
増産
対策
費全般のワクと申しますか、そういったふうな関係からいたずらに戸数のみをふやすということよりも、そういったこれに伴う
施策
が必要であるというふうなことからやむを得ず減じたのでございます。なおそういった
開拓
の営農を充足するというふうな建前からいたしまして、実は入植者に対しましては入植三年間に基本
営農資金
を貸し付けております。それが大体十七万円程度でございますが、それに引き続きまして特に
開拓
地では
家畜
の
導入
ということが
開拓
を進める上からみて非常に重大な要素になっております。そこで本
年度
はそういったふうの消極的な面もございますが、昨
年度
とは、たとえば役畜が五千頭くらいか、乳牛が七百頭余りでありましたが、本
年度
は役畜が大体昨
年度
並みか、若干減っております。乳牛については三千頭ばかり持ち込むとかいうふうなことでありますとか、あるいは別途
開拓
融資保証
と申しまして、実は
開拓者
の
営農資金
の
保証
をやっておりますが、この方の金を五千万円ばかり増額いたしまして飼料、あるいは肥料等の手当の道を講ずる、なおまた入植されまして、あと
開拓
地のごく小規模の畑地灌漑等をやりますと、非常に営農が伸びるという面があるのであります。本
年度
はそういった新たな
事業
を取り上げまして、一般畑地灌漑の
補助
率に比しまして、率の高い
補助
をする、あるいは
開拓
地でいつも問題になりますのは道路の関係であります、その道路につきましては、工事が終りましたならば、あとは市町村に移管するとか、あるいは大きな道路につきましては府県に移管して、その方におまかせするわけでありまするが、非常に工事をやったあとの引き渡しまでの間の手入れが不十分なため、なかなか受け取ってくれない、道は非常に荒れるというふうな状態にもあるものですから、本
年度
から道路補修費というものを組みまして、そういった
開拓
地における基盤の
整備
というふうなことに実は相当の力を入れましておるような次第でありまして、
開拓
について非常にまあ見切るというようなことじゃございません。なおまた先ほどもお話がありましたように、外資
導入
の関連で、余剰農産物の関連もありましたように、機械開墾というふうな形での
開拓
というものが、これからのまた傾斜地等、あるいは気温の低いところ、こういった面での
開拓
の方式として、非常にまあ新しく取り上げるべき問題でありますので、そういった面でまた積極的な検討なり
事業
の
計画
をやっていくというふうなことでございまして、
開拓
について一般的に消極的な態度をとるということではございません。
左藤義詮
57
○
左藤
義詮
君 戦前、移民が結局捨て子といいますか、棄民だと言われたのですが、
開拓
もずいぶん戦後やかましく言いましたが、なかなかあと実績が上っていかなくて、脱落者が多い。二、三男
対策
といいますけれども、なかなかそういう面のプラスにならない。今、
課長
からいろいろお話がございましたが、まあ時間がありますれば、もう少し実情等も伺いたいと思いますが、今日は時間もありませんから、一つよほどこれは
農林省
は腰を入れて、ほんとうに数だけそろえて一応発足すればそれで済んだということにならないように、今度はこうして数を減らして、
予算
の方は減らさないで、数を減らした。私はある意味においては質的には非常にいいことだと思うのでありますが、十分私は腰を据えて、ただ数字だけ、あるいは書類だけの仕事になってしまわないように、もっと親切に身を入れてやられるように特に私はこの点の努力を希望申し上げます。
秋山俊一郎
58
○
秋山俊一郎
君 私は二、三点水産の問題で伺いのですが、アルゼンチン沖の
調査費
三千万円を計上されておりますが、これは昨年からそういう
計画
があったことは承知しておりますが、どういうことで三千万円くらいであの調査ができるのでありますか。多分東光丸を派遣するのだろうと思いますが、その
計画
をお伺いしたいと思います。
前谷重夫
59
○
政府委員
(前谷重夫君) お答え申し上げます。お話のようにアルゼンチンの調査につきましては、東光丸を出したいと思っております。東光丸は現在北洋の監視に参っておりまするので、十一月ごろから予定いたしております。現在
予算
に計上いたしておりますのは、本
会計
年度
の十一月から三月まででございます。なおわれわれの
計画
といたしましては、明
年度
大体七月ごろまで調査をするという形で、残余につきましては、明
年度
に計上いたしたい。御承知のように、アルゼンチンの方は往復に相当の期間を要しますから、調査の関係も両
年度
にまたがりまして調査いたしたい、かように考えております。
秋山俊一郎
60
○
秋山俊一郎
君 それは十一月ごろから出まして、何カ月くらいやるわけでありますか。何カ月くらいその調査をやるわけでありますか。
前谷重夫
61
○
政府委員
(前谷重夫君) これは今具体的な調査
計画
を練っておりますが、大体片道に百日、こういうような航海日数は要すると思います。大体十一月から参りますと、二月ごろに調査に入ると思います。大体向うの気候の関係で、その期間が最も低温でございますから、その期間をねらって調査をいたしまして、そうして大体二、三、四と、約三カ月足らずで調査を
実施
してみたいと、かように考えております。
秋山俊一郎
62
○
秋山俊一郎
君 そうしますと、その調査はおそらくアルゼンチンも参加するのじゃないかと思いますが、調査の結果として日本の漁業者が、何か日本の漁業者がだんだん向うへ行けるという話でもあるのか、単にこちらが調査して資料を提供して、自分の方の資料ともするという程度のものか、この点……。
前谷重夫
63
○
政府委員
(前谷重夫君) 本来はわれわれといたしましては、あそこの大陸棚の状況からいたしまして、相当底びき関係が有望であると、こう考えまして調査をいたすわけでございまして、将来の考え方といたしましては、あそこに日本で過剰の状態でございまする漁船及び漁業者を持っていって就業いたしたいということを考えておりますが、魚種の関係、漁労の状態、
消費
の状態等を調査たいした上で具体的な
計画
を立てたい。現在私たちは大体五名ほどの調査員を、それに専門家を連れていきたいということで人選いたしておる次第でございます。
秋山俊一郎
64
○
秋山俊一郎
君 もう一点、漁港の問題でありますが、今回
修正
によって二億五千万円というものが増額されたのですが、従来漁港の施設は非常に重要視されておるにかかわらず、なかなか
予算
の裏づけがないために進行しておりません。第一次
整備
計画
において四百五十港を
計画
したものが、まだ未着工のものが七十五もあるというような状態で、本
年度
の当初
予算
といいますか、
政府
予算
におきましては
減額
されておりますので、おそらく
新規
のものは
計画
のうちになかったと思いますが、今回二億五千万円増額されたことについては、ある程度の
新規
の着工もしなければ、いつまでたっても済まないと、こういうふうにわれわれは考えまして、農林水産
委員会
におきましても強く要望しているところでありますが、
農林省
としてはどういうふうに考えているか。
前谷重夫
65
○
政府委員
(前谷重夫君) お話のように本
年度
の当初の
予算
は、昨
年度
に対しましてほぼ同様の十二億五千万円でございまして、この場合におきましては
新規
の着手ということは考えておりませんでした。現在この
修正
によりまして、ある程度の
新規
の着工も必要ではないか、かように考えまして、
事務
的に大蔵当局といろいろ協議いたしております。この
新規
をやります場合に問題になりますのは、現在の漁港
整備
計画
は二十六
年度
に
整備
したことは御承知の
通り
でありまして、二十六年当時と現在においては相当事情の変更もありますし、先日また
衆議院
の本
会議
におきましても、改訂
計画
について決議案も出たわけでありまして、われわれとしては先般漁港
審議
会を開いて改訂
計画
を作成いたしましたので、これを関係庁と協議いたしまして、漁港法の手続きに従いまして国会の御承認を得たいと、かように考えております。
秋山俊一郎
66
○
秋山俊一郎
君 ここに
食生活
の
改善
のために
学童給食
用の小麦の払い下げに対する
補助金
の補てんに十七億近くのものがありますが、この
食生活
の
改善
ということは、現在の日本の食糧事情から考えて非常に大切なことであり、これを強力に推進していかなければならぬと考えておりますが、これは主として食糧品を扱うものは
農林省関係
になっております。しかし大体からいうと厚生省かもしれぬと思うのですが、この
食生活
の
改善
ということについて農林御当局じゃどういうふうな構想を持っておられますか、単に
牛乳
を飲ませるとか、あるいはパンを食わせるだけが
食生活
の
改善
とは言えないと思うのですが、いろいろ畜産もあれば水産もあり、日本にはいろいろな生産物がある、そういうふうなものをどういうふうに考えて今後推進していくか、単にここでは小麦を学童に食わせるということだけなんですが、その点について何か構想を持っておられるか。
吉川久衛
67
○
政府委員
(
吉川久衛
君) 御指摘のように、わが国のただいまの食糧事情から考えますと、
食生活
の
改善
はきわめて重要な問題でございます。全く同様に考えております。従いまして、
農林省
で考えております
食生活
の
改善
は、
学童給食
の問題もございますが、日本の現状から考えますと
米麦
偏重の
食生活
をいたしております。
米麦
だけで
需給
食糧を
確保
するということは日本の国の現状からきわめて困難でございます。しかしながら
需給
確保
の問題はわが国の農政の基本の問題であると考えまして、外国に食糧を依存するということはできるだけ避けなければならない。かような観点から一般に総合食糧の
確保
、水産資源を開発して水産食品を取り上げるとか、あるいは畜産を
振興
して蓄製品を取り上げるとかいうようにいたしまして総合食糧の
確保
をしなければならないと思っておりますが、長い間の米作中心の
食生活
になれました国民の慣行は急に改めることができません。そこでここに掲げてありますように、小さなうちから
食生活
を転換できるような一つの習慣をつけることも
食生活
の
改善
のためには役立つのではないか、かような考え方からただいま非常に食糧事情のよくないこの時期に、特に学童に給食施設をいたしまして食慣行を改めて、そして地についた
食生活
の
改善
をやっていきたい。こういうような見地からこの
学童給食
の問題を取り上げているわけでございます。単なる衛生とゆう面だけではなくて、食糧
需給
というような観点から、これは
農林省
の
所管
としておくことが妥当でございます。
秋山俊一郎
68
○
秋山俊一郎
君 今の御意見私も全く同感でありまして、われわれのようになった者は今さらパン食ばかりでやっていけといってもなかなかやっていけないのです。従って子供の時分にこれを習慣づけるということは非常に大切なことでありますし、現在もう子供は御飯よりもパンの方を喜ぶといった工合になれてきておるようでありますが、同時に今日本では水産物が非常に豊富にとれる、外国にもどんどん輸出しておりますが、これが現在の調理法その他の加工
方法
ではまだパン食にぴったりこないものがある。中にはパン食と一緒に食べられるようにできつつあるものもありますが、こういうものも一緒に学童に持っていかなければ、パンだけを持っていって、おこうことパンで食べろといっても、こいつは無理だ。私は
皆さん
農業のことばかりおっしゃるから水産のことを言わしていただきたいんですが、この豊富な水産物を学童にも何かうまい工合に加工しまして、そうして食べさして行くということになれば、これは栄養の面からいってもいわゆる食習慣を変えて行くという上においても非常に工合がいいだろう。巷間いろいろなものができておりますが、これらのものももう少し
研究
もし、
助成
もするということによって学童に粉食と同時にそういったものを供給してやる。それは金はかかりますけれども、将来日本のいわゆる
米麦
偏重ということを変えて行くためには少々金がかかっても私はいいと思う。そうして農耕地の少いところのものを、どんどん
開拓
していってもこれは限度がある。幸いに水産物は相当に取れておりますから、これを学童に供給するような方途を、これは
予算
面で今後考えてもらいたい。そうすればもっと工合のいいものができるんじゃないか、かように考えますので、この点私は要望しておきます。
吉川久衛
69
○
政府委員
(
吉川久衛
君) ただいまの問題については、私どもは文部省と厚生省と私ども
農林省
とが一緒になりまして、特別な法的な裏づけはとりあえず持ちませんが、
委員会
等を作りまして、その問題を積極的に一つ取り上げて検討をして何らかの御期待に沿うような結論を得るような努力をしたいと目下
準備
中であることを御了解願いたいと思います。
佐藤清一郎
70
○
佐藤清一郎
君
食生活
の面から学童にパン食というような方策につきましては私も同感でございますが、アメリカの余剰農産物がわが国との条約、協定によりまして入ることになりますが、その際の一千五百万ドルの贈与分において多額の粉乳が来るわけでございますが、日本の酪農家は昨年の乳製品の下落によりまして非常な打撃を受けておる。今度の一千五百万ドルの贈与分の粉乳が参りますときには、私は相当の酪農製品の
価格
の上に影響を及ぼしてなかなか困難な状態に陥るのではないか。余剰農産物の輸入においては米や小麦その他のものは足りないが、日本に足りないものばかりでございますから少しも農家には影響はないといっても過言ではなかろうかと考えるのでありますが、乳製品だけはこういうものが学童に給食用に使われるにいたしましても相当に私は影響があると考えるものでありますが、これにつきまして政務次官のお考えを一つ承わりたいと思います。
吉川久衛
71
○
政府委員
(
吉川久衛
君)
佐藤
委員
と同じように、私も日本の畜産業に対して全然心配をしていないものではございません。しかしいろいろ問題はあろうと思いますけれども、わが国の酪農が思うように伸びない原因の一つは需要が普遍化されていない、いわゆる酪製品の市場が非常に陜隘である。そういうことから私は
価格
の面に悪影響がもたらさられていると思います。そこでやはりもっと需要といいますか、市場をもっと拡大する必要があると思います。そうして広い範囲に消化されることになりますれば、その
価格
の経済的な変動というものはだんだんと私は幅が陜まって、酪農というものが安定をしてくると思います。そういう意味において外国の食糧に依存するということは、最初も申し上げたように好ましいことではございませんが、この安いものを利用して今のうちにできるだけ一つ普及いたしまして、そうしてこの市場を広めると申しますか食慣習を
改善
して、そうして
需給
の安定をはかって行くということには役立つのではないか、かような考え方でこの余剰農産物、あるいはグラント分についてこれをうまく活用して、一つ将来のために役立せようという、こういう考え方でございます。 酪農
振興
等については私以上
佐藤
委員
すでに十分御存じの
通り
でございまして、いろいろの問題がございます。いろいろの
施策
が考えられます。これらの問題についてはまた機会をいただいて十分いろいろと御協力を願って、酪農
振興
の方途を確立して行きたい、かように考えております。
佐藤清一郎
72
○
佐藤清一郎
君 御説は御もっともでございますが、
農林省
として昨年も相当の痛手を受けて、ようやく落ちついたような酪農の現状でございますから、できる限り酪農
振興
に影響することのないように
農林省
としては考えていただきたいと思います。 そこでお伺いいたしたいのは、
購入飼料
をどういうふうにして購入されるか。
欠損額
四億四千万円を負担すると言っておりますが、外国のいわゆるふすまとかぬか、あるいは燕麦というようなものが相当安く手に入るとわれわれは考えておるのでありますが、こういう安く入ったものをさらに四億四千万も負担をして飼料として配給するのか。この
予算
説明
書だけでは
内容
がわかりませんから、これについての御
説明
を願いますと同時に、一方におきましてはこのコストを、乳価のコストを下げるためのこういった施設は積極的にやってもらわなければ、酪農家はいわゆる脱脂乳のような無料で配給されるような膨大なものと対抗できないということになりはせぬかと考えるのです。これにつきまして一つその
内容
はどういうことか、御
説明
願いたい。
原田傳
73
○
政府委員
(原田傳君)
購入飼料
の
需給
並びに
価格
を安定させますために
食糧管理特別会計
に
価格
差の補填のための四億四千万ばかり計上してあるわけでございます。ただいまお尋ねのやり方につきまして
内容
を申し上げますと、酪農を初めといたしまして畜産関係の経営上の問題といたしまして
購入飼料
にあまり強く依存いたしますことは、経営上感心しないことでございますが、さりとてこの
購入飼料
の
価格
が、
需給
が窮屈になりましたために非常に高くなるという状態を、そのまま放置するわけに参りませんので、現在飼料
需給
安定法という法律の
運用
によりまして、ふすまでありますとか、トウモロコシでありますとか、麦類、大豆かす等の重要な
購入飼料
の
需給
が窮屈になりましたために
価格
が上りますことを防止するために、食管
会計
の負担におきまして海外からこれらの
購入飼料
資源を輸入いたしまして
国内
に放出するというやり方をいたしまして、
需給
の安定、
価格
の均衡をはかるというやり方をいたして参っておるわけであります。ところがこの場合やはり海外から購入いたしましたものを
国内
におきまして、大体これは市価に準拠した
価格
で放出いたしまして、供給量を増すことによって
価格
が落ちつくというやり方でいたしておるわけでございますが、そのために輸入いたしました原価と
国内
におきまして放出いたしました
価格
との間にどうしてもこれは
価格
の差が生じますので、赤字が全然出ないようにという仕組みでやって参りますと、現在
国内
においてさような
購入飼料
が不足の場合に、海外から特に採算の合うものでなければ買えないというようなことになりまして、そのために
需給
上必要な量を購入することができないという事態を従来よく生じて参りまして、そのために
価格
の調節が十分に行われないという現象が続いて参りましたので、三十
年度
におきましてはやはり
国内
におきまする
購入飼料
の
需給
のバランスを合すために必要な数量は赤字を出してでも海外から購入する、輸入する、これを
国内
の市価に準拠しました
価格
で放出することによって、飼料の
需給
の安定をはかり、また
価格
の安定をはかる、かような仕組みにいたしておるわけでございます。で、法律の
運用
上毎年
購入飼料
の
需給
の
計画
を立てまして、これを飼料
審議
会に諮りました上で
農林省
できめまして、その
計画
の範囲内で輸入をいたすわけでございます。本
年度
考えております
計画
といたしましては、ふすまを十万六千トン、トウモロコシを十五万四千トン、麦類を十二万トン、大豆かすを取るための大豆十万トンというものを
計画
いたしておるわけでございます。申し上げましたようなやり方によりまして、
国内
の飼料
価格
の安定をはかるために
国内
の市価に準拠しました
価格
によりました結果、輸入原価との差額が四億四千万円ばかり見込んである、こういうやり方でございます。
佐藤清一郎
74
○
佐藤清一郎
君 もう一つ。きわめて適当な
措置
でありまして、心から賛意を表するものでありますが、ただこれによりまして製粉会社等の、いわゆるふすまが今まで勝手に高く売り上げておりましたものが、こういうふうにいわゆる飼料を安定するような処置を、量と金額によって安定するような処置をとりますと、これは非常に原価が安くつくようう結果になると考えるのでありますが、なお、この際食糧庁長官に一つ麦の製粉あるいは精米についての
農林省
の指令というのが、たとえば米におきましては九四%につき上げるというような指令を出してあるわけでありますが、これらの事実の上において製粉におきましても相当に業者は楽なパーセンテージでやっておるわけでありますが、どういうふうに監督されておりますか、これらを十分に監督をされますと……今製粉業者の
内容
は詳しく私はわかりませんが、精米等におきましては、もうかってしょうがないというような
内容
を持っておるわけでありますが、これらについての監督の
方法
及びパーセント等をどういうふうにされておるのですか、お尋ねしておきます。
新沢寧
75
○
説明員
(新沢寧君) ただいま米の搗精の監督についてのお尋ねでございましたが、実は
政府
といたしましては、配給面につきましては府県庁に全部委託をしてといいますか権限を委任をしているわけでございます。一応
政府
といたしましては、配給の場合におきまして、歩どまり計算におきまして、一定の搗精率というものを定めて計算をしておりますが、法令上におきましては、かつてありましたように何パーセントよりもついていけないというような厳重な制限を実は置いておらないわけでございます。ただ卸売、あるいは小売のマージンの計算の上におきますと、今お話がございましたような搗精をいたしました場合に、どれくらいの副産物が出、どれくらいの
経費
がかかるということでやっているわけでございます。その搗精の過程におきましてこちらが定めておりまするものと違うやり方で利潤を生み出しているということがありますと、はなはだいけないわけでございまして、これは実は先ほど申し上げましたように、配給米の配給につきましての
実施
の監督は府県庁がやっておりますが、実際の現品の検査につきましては、食糧
事務
所も製品検査もやりますので、時々、全府県ということではありませんが、特に東京都のような主要府県におきましては、都庁と食糧
事務
所とが相協力いたしまして、ときどき抜き打ち的と申しますか、精米屋、お米屋さんの実際の配給品を取ってきまして、実際のこちらの指定している歩どまりについているか、ときどき検査をして所定の歩どまり
通り
搗精をするように、励行させるように気をつけております。
佐多忠隆
76
○
主査
(
佐多忠隆
君) ほかになかったらちょっと私から一つ。 先ほど食管
特別会計
の御報告があったのですが七千二百四十五億九千七百万円の歳入歳出になっておりますが、今度の新らしい米価、あるいは麦価等によってこの収支の概要がどういうふうに変化するか、それを一つ御
説明
願いたい。
森本修
77
○
説明員
(森本修君) 三十
年度
の食管
特別会計
によりますと、三十
年度
に損失と利益と相殺いたしまして約七十億の損失を予定をいたしておりますが、今回の米価の
政府原案
によりますと、それと減収加算を合計いたしますと、約百六億の損失金の増加ということに相なります。ただこの二つの損失に対しましては、見合いの財源を用意をいたしておりますので、予定の損益といたしましては、
予算
に計上いたしました七十億と変らない、そういうことに相なっております。 麦価につきましては、
国内
産の麦価が若干下りましたので、歳出が約三億程度
減少
をいたしますが、売り渡し
価格
も下りましたので、むしろ損失の増加と相なります。内麦につきましては、ただその内麦の損失の増加を外麦の売り渡し
価格
の値上げによりましてカバーをする方針を取っておりますが、麦につきましては損益が変更がないということになります。
佐多忠隆
78
○
主査
(
佐多忠隆
君) 主計局から出しておられる
予算
の
説明
の中に、
食糧管理特別会計
の歳入歳出の項目がおのおのあげてあるのですが、これが今度の米価変更によってどういうふうに変化して行くか、これを一つ数字で示していただきたい。
森本修
79
○
説明員
(森本修君) 先ほど申し上げました減収加算と米価の
予算
米価よりの値上り、これを合せまして歳出増が同じく百六億と予定されております。
佐多忠隆
80
○
主査
(
佐多忠隆
君) それはわかっているのです。ここにあげてある
予算
の概要の形式で、歳入歳出、この形式でどういうふうに変化するか。
森本修
81
○
説明員
(森本修君) 食糧買入費が百六億増加いたします。
佐多忠隆
82
○
主査
(
佐多忠隆
君) それから食糧管理費はその収支がどういうふうに…。この項目でその収支がどういうふうに違うか……。
森本修
83
○
説明員
(森本修君) 食糧管理費は約十八億ほど
減少
になる見込みであります。それから米価の値上げに伴います財源の捻出によりまして変動して参ります項目は、まだ計数整理が全部済んでおりませんので、金額が最終確定はいたしておりませんが、食糧の売払代が若干増加いたします。
佐多忠隆
84
○
主査
(
佐多忠隆
君) これは明日でいいですが、三十
年度
予算
の概要をもう一ぺん。新らしい米価その他によって変更されるものを、新らしい資料としてお出し願いたい。
永井純一郎
85
○
永井純一郎
君 食糧庁長官見えていないので、きのうの
質問
の続きなんですが、あるいはよくわからぬかもしれませんが、数字だけちょっと聞いておきたいのですが、一万六十円という米価について、これは
生産費
も十分に考えているのだという答弁があった、その結果、それじゃ
生産費
はどういう計算の
生産費
としたかと、こういう
質問
に対して答えたのが、清井君の方からの答弁された数字は非常にわかりにくかった、ざっと口で言ったからわかりにくかったのですが、反当り物財費が七千三百八十五円、労力費が九千百十七円、それから資本利子、これは土地資本利子——地代だろうと思いますが——これが五百十八円という答えがあった、それでこの五百十八円というのは一体どういう計算なのか、これをちょっとお伺いしておきたいのです。
新沢寧
86
○
説明員
(新沢寧君) ただいまお話の
生産費
の内訳でございますが、実はただいまお話のありました
生産費
につきましては、実は二十七年の
生産費
を基礎にした数字を昨日長官が御
説明
申し上げたと存ずるのでありますが、その中に資本利子として五百十八円ございます。実は今細目の数字を持って参らなかったのでございますが、現在統計調査部でやっております
生産費
の調査におきましては、擬制的に資本利子としてあげてあった部面もあるのでありまして、この資本利子の内訳の
内容
は、固定資本に対します資本利子と、それから流動資本に対する資本利子と、それから労働資本に対する資本利子と三つで構成されておるわけでございます。で実はその内訳の細部をちょっと今日持って参りませんでしたので、はなはだ申しわけないのでございますが、そのうちの固定資本は御承知の
通り
生産に用います固定資産分の、固定資産に対します資本利子に相当する部分でございます。これは実際に米にかかっております負担部分、期間的にも一年中通じて米に用いられておりませんので、その負担日数、負担割合に応じまして国債利率をかけまして算出するわけでございます。固定資本利子は今申し上げたようなものでございます。流動資本利子も生産のために直接投ぜられた流動資産に対しまして、それを
資金
調達をしてそういう流動資産を買いまして投入したという擬制のもとに、それに対する資本利子を計上しております。それから労働につきましても実は自家労働が御承知の
通り
大部分を占めておるわけでございますが、全部雇用いたしましたとして、雇用した場合にその資本が投ぜられるわけです。それに対する資本利子というわけで計算をいたしましたのが総計五百十八円、こういうことになっております。
永井純一郎
87
○
永井純一郎
君 固定資産、流動資産の利子それから労働資本利子、その三つが五百十八円というのは、いかにも小さいと思うのです、それはね。これはまるきり話にならない数字だ。ですからどういうふうにして五百十八円が出たか、どういう計算をしたか、まさにおかしいです。五百十八円ということはないわけです。小作料か何か、平均小作料かおそらく平均五百十八円ぐらいになっておるからそれをぽんと入れておるのじゃないですか。
新沢寧
88
○
説明員
(新沢寧君) ただいまお話のございました資本利子の中には土地資本利子は別に除いてございます。地代として別に除いておりまして、それ以外。固定資産、流動資産、労働資産から除いておるわけでございます。
永井純一郎
89
○
永井純一郎
君 地代は幾らです。
新沢寧
90
○
説明員
(新沢寧君) きのう申し上げた数字では千九十四円ということになっております。
永井純一郎
91
○
永井純一郎
君 千九十……。それはきのうのに入っていませんね。一万三十五円の中に入っていませんよ。抜いちゃったのかな。
新沢寧
92
○
説明員
(新沢寧君) 一万三十五円の中には、ただいまの千九十四円は入っております。
永井純一郎
93
○
永井純一郎
君 いやしかしきのうですね、食糧庁長官が物財費七千三百八十五円、労力費が九千百十七円、それから資本利子が五百十八円、合せて一万七千二十円になる。ここから副産物の収入二千十円を差し引くと一万五千十円となり、これを二石四斗二升で割って石に直して、六千二百二円、これは私言うのをずっと書いたので間違っているかもしれぬが、ですから入っていないのです、そういうものは。
新沢寧
94
○
説明員
(新沢寧君) きのう申し上げた数字は実は確定的な考え方ではありませんで、一応試算のような形の数字になっておりますが、一応考え方といたしまして平均
生産費
をそのままとっておりませんで、いわゆるバルクラインの考え方で平均
生産費
をこの考え方の上にずらしておるわけであります。その場合に地代相当部分は土地によりまして地代が変ってくるわけでございます。
生産費
の高くなるような限界点に近くなりますれば地代分も小さくなって参りますわけで、地代を含めて引き延して参りますとおかしな結果になります。最初の計算におきましては今おっしゃった
通り
の数字でございまして地代を除いて計算しておりまして、それから標準偏差だけ伸ばしましたのが八千百十一円、それに地代をそこへ加えております。千九十四円という地代を加えて出しております。
永井純一郎
95
○
永井純一郎
君 わかりました、それで。この二石四斗二升という平均反収は三千戸の調査農家だけの平均反収ですか、これは。
新沢寧
96
○
説明員
(新沢寧君) ここに持って参りました
生産費
は三千戸のうちで更に災害を受けた農家あるいは非常に供給力の小さい農家いわゆる自給農家というものを除きました米を販売しております農家につきましての平均値をとってございます。
永井純一郎
97
○
永井純一郎
君 災害農家は全部除いているのですか。
新沢寧
98
○
説明員
(新沢寧君) 一応調査約束で災害率が二〇%以上のものを除くとしたわけでございます。従いまして二〇%未満の災害を受けたものはこの平均値の中に入ってきております。
永井純一郎
99
○
永井純一郎
君 そこでもう一つお伺いしたいのは、こういう計算ができるのかどうかしりませんが、この統計調査部の
生産費
調査のこの材料を使って、
生産費
の安い農家からずっと累積して行って出した限界
生産費
というものは出せると思うか、それは幾らになるのですか。
新沢寧
100
○
説明員
(新沢寧君) どうも申しわけございませんが資料を忘れて参りましたので、あとで調べます。
永井純一郎
101
○
永井純一郎
君 それでは今のこの
生産費
の一万三十五円というものを今いろいろ
質問
したことを、詳しく書いた資料にして出していただきたいと思います。それからもう一つ供出農家の平均反収が幾らなのですか。この二十九
年度
はこれは基本にしていいようですが。
新沢寧
102
○
説明員
(新沢寧君) 先ほど申しましたように、販売農家につきましての平均はございますけれども、さらにそれから供出農家だけを除きました資料はございません。
永井純一郎
103
○
永井純一郎
君 いや、
全国
の供出農家の平均反収。
新沢寧
104
○
説明員
(新沢寧君) ちょっとそれは調査しておりませんでした。
永井純一郎
105
○
永井純一郎
君 それは割当のときにはあるはずです。
新沢寧
106
○
説明員
(新沢寧君) 供出農家ということでは現在ありませんで。
永井純一郎
107
○
永井純一郎
君 供出した農家ですよ。その
全国
平均反収とその最低の反収、おそらく一石六、七斗ぐらいから関西では供出していますから、平均反収と割り当てた供出農家の最低の反収、この二つを知りたいのです。
新沢寧
108
○
説明員
(新沢寧君) 現在の調査では全農家、それは販売をいたしておりますのも、販売いたしておらないものも、全部農家を含めたものの平均値とまた個々の調査を、それから販売農家とこうございまして、販売農家のうちさらに供出だけしかやっていない農家というのは実は分けていないわけであります。しかし大体におきまして販売農家というものが大部分
政府
に売っておるわけでございますから、今申し上げた販売農家に関する数字が大体供出農家の数字と一致するというふうにお考えいただいてけっこうだと思います。それで今ここに出ておりますのは平均値だけしか出ておりませんので、ほかの資料と一緒に提出いたします。
佐多忠隆
109
○
主査
(
佐多忠隆
君) それから私から一つ。先ほど
購入飼料
の御
説明
があったんですが、御
説明
によると、
国内
で飼料が不足して、しかも
価格
が値上りをした。従ってその
価格
を安定し、あるいは
需給
をバランスさせるために、
輸入飼料
を買い入れるということになっておりますので、実際の状態からいえば、この
輸入飼料
を適当な時期に適当な場所からお買いになれば、ここに出るような大きな欠損なんというのは出るようなことは考えられないように思うんですが、どういう操作でこういう欠損が出るのか。それからそういう
輸入飼料
を扱うのは、もちろん食管
会計
自体でおやりになるんでしょうが、どういう所が扱っていて、どれくらいの部分をそれらの会社なり商社なりが扱うのか、その辺の事情を少し詳しく御
説明
を願いたいと思います。これは特に二十九
年度
の実績としてどういうことだったのか。さらに三十
年度
の
計画
としてどういう操作をされ、どういう値段で処置されて、こういうことになるのか。
原田傳
110
○
政府委員
(原田傳君) ただいまお尋ねの点でございますが、
国内
におきまする飼料の
需給
の状況は、品物によりましてそれぞれ違う点がございまして、現在の状態で参りますと、比較的
価格
が安定しておりますものといたしましては、トウモロコシでありますとか、大豆かす等でございまするが、これと違いまして、ふすまなどにつきましては、ふすまの需要が非常に強くなっておりますために、
国内
産の供給では間に合わないという現象が起きて参りまして、ふすまなどにつきましては、たとえば昨年の夏あたりに非常に急激に
需給
が逼迫いたしまして、高い値段になっておる。その後それが一時落ちつきましたけれども、また昨年の暮以来高くなっておる、こういうような現象を生ずるのでございまして、これに対しまして先ほど申し上げましたように、飼料
需給
安定法によりまして、食管
会計
の負担において海外からふすまを輸入いたしたのでございますが、先ほど申し上げましたように、
国内
の
価格
が相当高くなってはおりますものの、海外から入れますと運賃等を加算いたしまして、さらにそれより上回るというような現象を生じて参るのでございまして、そのために赤字をあらかじめ用意いたしませんと
国内
の供給を十分ならしめるための輸入ができないというような状態になりますので、今回のようにあらかじめ一定の
計画
に基きまして、ふすまにつきましては先ほど申し上げましたように十万六千トンを、平均的に見ましてトン当り約二万八千円ばかりで輸入いたしたわけでございます。これを現実に売って参りますと
価格
差が生じて参るというような状況でございます。トウモロコシなどにつきましては、これは
国内
の
価格
に相当見合う程度で輸入が現在行われておりますので、
政府
がこれを直接輸入するというような状態にまでまだなっておらないというような状況でございます。麦類につきましては、飼料用に適しますマニトバ五号というものを輸入いたしまして、これは
国内
におきまする麦価の体系がございますので、その麦価の体系に即しまして放出いたしますので、この面におきましては、むしろ逆に黒字が出るというような状態にあるわけでございます。大豆につきましては、やはり輸入
価格
というものと
国内
価格
との間に差額が生じますために、その差額をあらかじめ用意いたしませんと必要量を輸入することが困難である、こういうような状態にありまして、これらを通算いたしまして、本
年度
の
計画
といたしましては、先ほど申し上げましたように四億四千万円ばかりの赤字になっておるという状況でございます。また輸入の取扱いでございますが、これにつきましては従来からこの輸入の実績にありまする商社を指定いたしまして、約十社ばかりになっておりますが、この十社をして輸入を取り扱わしめるという行き方でございます。
佐多忠隆
111
○
主査
(
佐多忠隆
君) どうも今の御
説明
からも、四億四千万円もの負担が出るという計算が納得できない。従ってさっき申しましたこれに関する二十九
年度
の輸入、あるいは
価格
の状況がおのおのどうだったのか。それから三十
年度
の
計画
としてどういうふうにやっておられるのか、こまかい数字、それから今の取扱いの十社が過去においてどういう扱いをしたか、三十
年度
に大体どういう扱いをさせるような予定にしておられるか、それらの詳しい資料を御提出願いたい。 他に別にございませんか。それでは御質疑がないようでありますが、
農林省所管
については一応これで終る予定にしていたんですが、本日は一応これで終了しておきますが、大臣も見えておりませんので、さらに明日あるいは大臣にも来ていただいて、別な問題についての御質疑をいたすかどうか、それらの点についてはあとで御相談をしてきめることにいたしたいと思います。とにかく一応本日はこれで終了いたします。次回は、あした二十九日午前十時から開会いたします。本日はこれで散会いたします。 午後六時二十九分散会