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1955-06-29 第22回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十九日(水曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    主査     池田宇右衞門君    副主査     安井  謙君    委員            西郷吉之助君            館  哲二君            豊田 雅孝君            吉田 法晴君            石坂 豊一君            千田  正君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   政府委員    郵政省経理局長 八藤 東禧君    郵政省電波監理    局長      長谷 愼一君    郵政省簡易保険    局長      白根 玉喜君   説明員    郵政省貯金局次    長       千葉 三男君    郵政大臣官房電    気通信監理官  行広 清美君    会計検査院事務    総長      池田  直君    最高裁判所長官    代理者    (事務総長)  五鬼上堅磐君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局経理    局長)     岸上 康夫君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局経理    局主計課長兼総    務課長)    上野  宏君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局刑事    局長)     江里口清雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣  提出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) これより第一分科会を開きます。  本日はまず郵政省所管につきましてこれから説明を願います。
  3. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) それでは、私から郵政省所管の三十年度予算案とこれに付随する若干の問題につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、予算総額は、歳入歳出ともに一千百九十八億三千余万円であります。このうち歳出予算内訳を申し上げますと、郵便業務運営に必要な経費が三百十三億五千万円、為替貯金業務運営に必要な経費が百六十六億六千万円、保険年金業務運営に必要な経費が百五十八億余万円、特定郵便局電気通信業務運営に必要な経費が百億円、以上の業務運営して行きますために必要といたします総係経費が百八十二億六千余万円、恩給負担金等経費を他の会計繰り入れるため等の必要経費が二十三億三千余万円、でありまして、このほかに、予測し難い経費支出に充てるための予備費を三億円計上いたしております。  次に、郵便局舎等建設費につきましては、郵便局舎を早急に改善いたさなければならない実情にかんがみ、三十年度を初年度とする年次計画を立てまして、前年度二十五億円であった建設費を、三十年度は三十四億余万円とし、その改善の進捗をはかることといたしております。  なお、上記のほかに、収入印紙失業保険印紙等収入を、それぞれの会計繰り入れ業務外支出経費が二百十七億円となっておるのであります。  以上の本年度予算額を前年度予算額一千百五十三億円に比べますと約四十五億五千万円の増加となっているのでありますが、そのおもな事項について申し上げますと、逐年増加する取扱い事務量を処理するに必要な定員増等に伴う人件費増加が四十億一千余万円、物件費等増加が八億二千余万円、郵便局舎等建設費増加が九億円、予備費増加が一億五千万円となり、反面、収入印紙等業務外支出経費減少が十三億三千万円となっております。  以上、歳出予算につきましてその概要説明申し上げたのでありますが、これらの結果、三十年度予算業務費におきます人件費率は、七十六%となる次第であります。  郵政事業特別会計におきます三十年度予算定員は、二十五万二千五百五十一人でありまして、前年度に比べまして二千八百九十人の増員となりますが、この増員は、郵便業務量増加及び特定局電話施設増加等に伴い、その運営の万全を期するため必要といたします増員となっております。  次に、歳入予算内容といたしましては、郵政固有業務収入、すなわち切手、葉書等の売りさばきに伴う郵便収入郵便為替振替貯金等手数料収入および物件売り払い並びに病院収入等雑収入が四百二十五億三千万円、為替貯金保険年金電気通信の各業務運営経費財源に充てるために、他の会計から繰入れられる他会計からの受入収入が五百三十七億円、郵便局舎等建設財源に充てるために郵便貯金特別会計簡易生命保険および郵便年金特別会計の両会計から受ける設備負担金が八億八千万円、局舎建設財源に充てるための借入金が、資金運用部資金五億円、簡保資金五億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が二百十七億円となっておりまして、これ等の収入は、郵政固有業務収入において二十四億二千万円、他会計からの受入収入において二十六億円、設備負担金三億九千万円、借入金五億円と、いづれも前年度に比し、それぞれ増加いたしているのでありますが、業務外収入におきましては、逆に十三億六千万円の減少となる次第であります。  次に郵便貯金特別会計予算について申し上げますと、この会計予算額は、歳入歳出ともに三百五十億円でありまして、このうち歳入予算は、郵便貯金資金資金運用部に預け入れることによって生ずる利子収入が三百五億一千万円、雑収入が八千万円、歳出経費財源に充てるため、資金運用部特別会計から繰り入れを受ける他会計からの受入収入が四十四億一千万円となっております。これに対し歳出予算は、郵便貯金預入者に対し必要とする支払利子が百九十六億二千万円、郵便貯金業務運営のために必要とする経費財源に充てるために、郵政事業特別会計に繰入れを要する経費が百五十三億八千万円となっております。  次に、簡易生命保険および郵便年金特別会計予算概要について申し上げます。  まず、歳入予算は九百六十二億五千余万円となっておりまして、その内訳は、保険料および掛金収入が八百四十一億一千余万円、簡保年金資金資金運用部に預託することによって生ずる利子収入等が百二十億八千万円、雑収入が五千万円となっております。これに対し歳出予算は三百七十億八千万円となっておりまして、その内訳は、保険および年金加入者に支払いを必要とする保険金還付金等経費が百四十六億五千万円、保険年金業務運営経費財源に充てるため、郵政事業特別会計繰り入れを必要とする経費が二百十九億一千万円、予備費が五億一千万円となっております。なお、この会計における歳入超過額五百九十一億七千万円は、法律の定めるところによりまして、三十一年度積立金として処理することとなっている次第であります。  なお、参考までに郵便貯金および簡保年金資金と、財政投融資資金との関係について申し上げますと、三十年度政府財政投融資原資見込額二千七百六十六億円のうちには、郵便貯金資金が一千百億円、簡保年金資金が五百三億円、合計一千六百三億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五十八%を占めている実情でございます。  次に、郵政省一般会計予算について申し上げますと、その総領は十四億六千百余万円でありまして、その内訳は、海外放送交付金が八千三百万円、業務費が四億九千二百余万円、人件費官庁営繕費及びその他の経費が八億八千六百余万円となっております。これらのうち、海外放送交付金は、放送法第三十三条の規定に基いて、郵政大臣日本放送協会国際放送を実施させるため、同協会に交付するものでありまして、現在行なっております十二方向、十二時間の国際放送を本年度から十二方向、十二時間とするために必要な経費であります。  次に、日本電信電話公社予算について申し上げますと、同公社予算は、その総計におきまして、収入支出とも二千二百四十一億二千余万円でありますが、このうち、勘定の振りかえによって重複する金額八百六十四億四千余万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計領は、いずれも一千三百七十六億七千余万円でありまして、これを二十九年度と比較しますと、四十九億四千余万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設勘定収入支出内訳について申し上げますと、損益勘定におきましては、収入は、電信収入及び電話収入が一千百三十一億八千余万円、受託工事収入が十八億八千余万円、雑収入が二十五億余万円、計一千百七十五億七千余万円となっており、支出電信電話運用費が四百十七億九千余万円、電信電話保守費が二百五十億一千余万円、管理共通費試験研究費職員訓練費等が百四億八千余万円、増接続電話受託工事費が八億四千余万円、利子及び債券取扱費が六十億二千余万円、減価償却費が二百四十億余万円、予備費が十五億円、計一千九十六億七千余万円となり、収支差額七十九億円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定繰り入れることになっております。  次に、建設勘定においては、建設改良のための財源として、電信電話債券公募による分が七十五億円、加入者及び地元引き受けによるものが六十六億八千余万円、電話設備負担金等が五十七億六千余万円、損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百四十億余万円を含めて、三百十三億九千余万円、合計五百十三億四千余万円が予定されております。  同じく支出としては、給与及び事務費が六十億余万円、建設改良工事費が四百五十三億四千余万円、合計五百十三億四千余万円となっております。  なお、建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百十三億四千余万円をもちまして、加入者開通は十八万五千、市外電話回線では、神戸−横浜間及び東京−仙台間を即時式に接続する長距離回線を含めまして、公衆線が四十万三千余キロ、電話局建設では年度内にサービスを開始するもの二十三局、継続工事にして次年度以降にサービスを開始するもの七局、新規着工のもの十二局等を主要な内容とする計画をもち、この中には町村合併に伴う区域合併五十二局、市外電話回線の増設三千八百粁の工程が含まれております。  次に、建設財源調達について一言申し上げますと、政府財政投融資計画に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券の発行によって七十五億円を調達し、残りは全部加入者等引き受け債券による資金減価償却引当金損益勘定よりの繰入金等、いわゆる内部資金にたよることになったのであります。  なお、建設勘定支出面におきましても工事能率の向上、新技術の導入等による設計面合理化各種物品計画発注などにより、極力経費効率を高め、拡充五カ年計画に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたが、サービスの面におきまして、大きな支障を及ぼさないように配意されている次第であります。  以上、公社予算について申し述べましたが、今後一段と事業経営合理化に努めますとともに、極力建設資金調達努力し、健全な財政的基礎の上に電信電話事業をますます拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえて行きたいと存じます。  これをもちまして、私の説明を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御審議の上、すみやかに御承認下さいますよう、お願い申し上げます。
  4. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) これより質疑に入ることにいたします。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、大臣の御説明を伺いましたが、やはり郵政省所管資金の中では何といっても大宗をなすものは郵便貯金簡保資金だと思うのでありまするが、今の御説明を聞きますと、その資金財政投融資原資の五八%を占める。非常に今後わが国の歳入面に今後とも寄与する面が非常に多いと思いますが、非常に経済界や何かの状態にかんがみまして、現在はかなり立ち直っておるとは思いまするが、今後郵便貯金簡保資金が今後ともどういうふうになるのか、こういう点について現況並びに将来への見通しと申しますか、こういう点について御説明を願います。
  6. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 郵便貯金並びに簡保年金積立金等の現在の状況は、ただいままでのところでは昨年度に比べましてその伸び方と申しますか、相当鈍化してきている傾向にあります。しかしながら今日の時勢といたしましては、貯金の奨励ということは全国的に見まして一つの大きな課題であると存じまするので、この点に関しまして貯金を大いに奨励し、そうしてその目標額達成するために全員こぞって努力いたして参りたいと考えておるのでございますが、詳しい数字をもってする説明につきましては係りの政府委員より御説明申し上げたいと存じます。
  7. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 簡易保険現況でございますが、本年度募集目標と前年度募集目標をまず御説明申し上げまして、現況の御説明を申し上げたいと、かように存ずるわけでございます。  新契約といたしましては前年度は毎月入ってくる新規保険料を十二億と見まして推進したわけでございますが、結果におきまして十六億程度になっております。ところで本年度におきましては資金需要も相当大きいのでございますし、できるだけやはり資金増をはかろうという意味からいたしまして、募集目標は本年度におきましては十三億五千万円、従いまして一億五千万円の増でスタートをとったわけでございます。ただいままでの実績を申し上げますと、大体一月−三月までは相当前年度よりよかったわけでございまするが、四月以降少し落ちぎみでございまして、金額的に申し上げますと前年度実績とほぼ同様なものが入っております。ただ先ほど申し上げましたように、本年度目標を一億五千万増加した関係からいたしまして、目標に対しまして五月二十日現在で申し上げますと、前年同期におきましては目標に対しまして七五%程度行っておったわけでございますが、本年度におきましては五十数%と、二〇%内外落ちております。しかしこれは先ほど申し上げましたように、目標を一億五千万にふやしたことと、それから一面保険料を実は今国会に御審議をお願いいたしまして引き下げることにいたしまして、大体率は七%程度保険料を下げたおけであります。その結果は九月一日から実行することになっております。従いまして加入者の方々では保険料が安くなってから入りたいという足踏み状態が少しあると思います。そういうようなことをかれこれ考えてみますと、簡易保険の側から申し上げますと多少落ちぎみでございますが、しかし前年程度にはむろん参りますし、それから予定の先ほど大臣の御説明にありました五百九十数億円の余裕金、来年度積立金に相当するものは確保できるような見通しでございます。
  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 なお伺いまするが、簡保年金等預金部資金等に預託しておられた、この利子収入が百二十億円計上されておりまするが、預託するときの預託の利回りはどういうことになっておりますか。
  9. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) まず保険の方から申し上げて参りたいと思います。資金運用部に預託するのにつきましては期限によって金利が違っております。で、私の方といたしましては大体余裕金時代におきましては資金運用部運用することになっております。で、翌年から積立金になるわけでありす。翌年から運用することになりますので、大体一年のもので預けておるわけであります。一年もので行きますと三分五厘であります。しかし最長の年度までやれば五分五厘でございますけれども、大体翌年度になりますと積立金になるのでございまして、一年もので申し上げますと三分五厘でございます。もっともそれが翌年度引き出しまして運用いたしますと、ただいままでは地方公共団体に対する貸付だけでございますが、これが六分五厘になっております。
  10. 千葉三男

    説明員千葉三男君) 本年度郵便貯金増加状況につきまして御説明申し上げます。  本年度郵便貯金増加目標は千百億と相なっております。これは昨年度増加実績は九百九十四億、約一千億でございますので、昨年度実績に比較いたしますと約一〇%の増となっておるわけでございます。昨年度状況を簡単に申し上げますと、昨年度は当初目標は九百億でございましたが、非常な成績をあげまして、実績は九十四億という約一割余りの増加を実際にはとれたわけでございます。ところがこの三月にどういうわけでございますか、郵便貯金伸びが急に減少いたしまして、約四十億の赤字を出したわけでございます。今後の伸び方につきましていささか憂慮されたような次第でございまするが、本年度四月以降、本年度に入りましてから逐次その伸び調子をとり戻して参りまして、最近の数字で見まするというと、約九十八億の黒字になっております。もちろんこれは本年度目標千百億に比べまして一割にも満たないような数字でございまするが、もともと郵便貯金は多少年間に、そのふえ方におきまして波がございまして、年度当初は例年伸びが悪いというような状況も呈しておるわけでございまして、もちろん今までの九十八億という数字は、昨年度数字に比べましてもだいぶ落ちますので、決して成績がよろしいとは申し上げかねるのでございまするが、しかし四月以降月々調子をとり戻しておるような状態でございますし、また昨年度約千億の純増の月別を見ますると、六月、七月、及び十二月、一月この四カ月におきまして約七割近いような増加を見ておるというように、多少月別のアンバランスもあるような状態でございまして、今後の努力いかんによりましては、必ずしも千百億の達成は何とかできやしないか、かように私ども考えております。もちろん最近のいろいろな情勢から見まして、なかなかむずかしいようなことも考えられまするが、私どもといたしましては極力この千百億の目標達成に最善の努力を尽すようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ただいま一カ年三分五厘で出しているというお話ですが、昨日大蔵省運用部資金コスト、並びに二十九年度運用利回り実績を聞きますと、いずれも六分三厘一毛ですが、そうしますと、郵政省の方は三分五厘で出しておられる、地方団体に主として出されて六分五厘、こういうようなことを伺いますと、運用部資金コストが六分三厘一毛だということになれば、かなり低過ぎるのではないかというふうに感ずるのですが、そういう点についてはどう考えておられますか。
  12. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 大蔵省運用部資金運用状況から申しますると、三カ月以上に利子はつきまして、三カ月以下には利子がつかない。それで一二カ月ものと、一年もの、二年もの、五年ものと、こうなっておるわけであります。従いまして最高になりますと五分五厘ちょうだいできることになっておるわけであります。しかし余裕金は一番長いので一年、金が入ってくるのは、四月に入ってくるのは、一年たってから積立金になるわけです。五月になりますと十一カ月ということで行くわけでございます。従いまして資金余裕金として預託する期間をなるべく短かくいたしまして、積立金になった当初から地方公共団体に対する貸付をしたいという意味からいたしまして一年ものにしておるわけでございます。従いまして一年ものになりますと三分五厘程度でございます。なお預金部に、積立金に投資の金になりまして、地方公共団体に投資するまでの期間は、やはり余裕金として残っております。こういうことになりますと、金利操作からいたしまして不利でございますので、今回積立金運用の対象を拡大いたしまして、それらの操作資金に充当するために国債を持つ、国債は主として食糧証券でありますが、そういうふうにいたしまして、預金部に、資金運用部に預託する期間をなるべく短かくして、できるだけ早く積立金として地方公共団体に預けたい、こういう面と、操作資金の面につきましても資金運用部に預託する余地をなるべく少くして、金利を高くしかも操作資金として適切な国債、たとえば食糧証券を持つとか、こういうような建前をとっておるわけでございまして、問題は余裕金時代からすでに運用したらどうかという問題もあると思います。しかしそれが解決すればその問題はなくなるのでございますけれども、やはり余裕金時代から簡易保険運用スタートをとるということはどうかと向うの方の御意見もございまして、当初の簡易保険積立金に関する効率運用の際におきまして、余裕金自体だけを預けるというような格好になっております。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 だんだんわかりましたが、地方団体にこういう資金を寄与しておられることは長い歴史もあり、非常にけっこうだと思うのですが、地方財政等も非常に困っておりまするから、現在の今の御説明だと一年もので三分五厘というのですから、だんだん一般金融機関金利も引下げて、経済再建に寄与する面があることをわれわれも希望しますが、郵政省としてほそういう見地から地方団体に対する現在の六分五厘をもう少し下げてもいいと考えておられるのか、資金運用部資金等関係でこの程度、この六分五厘以下に下げることはできないとお考えであるか、そういう点について御見解を承わりたいのと、さらに簡保資金等はだんだんふえていると思うのですが、こういう簡保資金金額も、終戦後いろいろ引き上げにつきまして金融機関等との競合関係もあるのでいろいろ問題があったが、現在相当引き上げてきたわけでありまするが、そういう簡保年金等の増額についても、今後情勢を見てもっと上げて行きたいとお考えなのか、今の経済状況から見てまた金融機関等競合等をお考えになって、しばらくは現在程度がいいとお考えなのか、そういう点について所見を承わっておきたい。
  14. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 地方公共団体に対するたとえば貸付利率六分五厘、これを下げる方向へ向うべきものであるかどうか、最近の金利低下方向等とかみ合して、その意図があるかどうかというのが第一問題と拝聴いたしておるわけであります。  簡易保険建前だけでなくて、一般情勢から見れば、そういう方向考えられぬことはないと思うわけであります。ただ簡易保険といたしましては、今回の料金引き下げ原資といたしまして、予定利率を従来は簡易保険の操業当時から三分五厘でやっておったのを、予定利率を四分に上げまして、その上げた利益保険料引き下げ原資に充てておるわけでございます。従いまして、事業経済予定利率を割るようなことになりますと、保険料を下げたことが危険になります。従いまして長い目から見まして、予定利率である四分を将来確保できるかできないかという問題が一点でございます。いま一点は付加保険料といたしまして、事務費をある程度に充当する保険料を取っております。これが実際現在の実情で申し上げますと、事務費に充てた付加保険料以上の事務費をまあ実は取っております。従いまして、私の方ではそれを付加損と申しておりますが、その付加損保険料を下げない前におきましては、四十数億の赤字になっておるわけであります。多少その事務費に充当する付加保険料を上げまして、付加損状態をなるべく少くはすることになっておりますが、その面と将来の金利情勢を見まして、四分の予定利率が確保できるかできないかという点を見てやらなければならないと、こう考えておるわけでございます。戦前金利低下の際におきまして、大蔵省預金部で貸す地方公共団体に対する利子簡易保険の貸す利子が一時そういう予定利率の面からいたしまして、簡易保険の金が利率として高かった時代もあるわけでございます。これは加入者に対する利益の面からそういう時代もあったわけでございます。しかし今後は少くとも資金運用部資金融資条件と一致して参りたい。一致して参るに当って、六分五厘を下げることが、将来続いて可能性があるかないかということは検討しなければならぬと思います。その可能性が相当あるとすれば、あるいはその方向に向いて行くべきものであろうと考えられるのでございます。はっきりしたことは御答弁できないので、大へん恐縮でございますが、一般金利低下状況にあるということは、私どもそれにできれば照応したい気持も持っておりますが、一面予定利率を引き上げた関係もございまして、それで加入者利益のために保険料を下げた関係もございまして、相当慎重に見通しをつけて、その見通しで安全なりといえば、おっしゃるような方向考えられないことはないと思うわけでございます。  最高制限額の問題につきましては八万円から先般の国会で十五万円に引き上げていただきまして、ただいま十五万円でやっておるわけでございます。それを今後さらに上げる必要があるかどうか問題があると思う。今回の簡易保険法の改正の際におきましても、衆参両院の御決議をもちまして、近い将来に最高制限額を引き上げるようにという御決議もあったわけであります。私どもといたしましては、簡易保険最高制限額は現状でいいとほ考えておりません。利用者の面からいたしましても、十五万円では低過ぎるんじゃないかという意見もございまするし、また事業の面からいたしましても、やはり適当な機会に引き上げたい気持はむろん持っておるわけでございます。ただ最高制限額を十五万円にしていただいてから、わずか一年程度しかたっていないので、時期が、この国会でいいかということをまあ考えて、実は御提案申し上げなかったわけでございますが、民間の保険伸び工合、それから物価の動きの度合等を勘案いたしまして、気持といたしまして、事務当局といたしましては、やはり国会の御決議の線に沿うた措置をしたいという気持を持っている次第でございます。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ただいまの最高制限額の問題ですが、現在十五万円である。しかし最初の大臣の御説明によりますと、簡保資金とか郵便貯金の今後の趨勢は、なかなか楽観を許さないというようなお話もありましたので、そういう点から考えますと、今の御説明ではよくわかりませんでしたが、十五万円を、年金をかける方の希望は大体もっと上げてほしいという希望じゃないかと思うのですが、あまり上げますと、やはり一般金融機関との競合の点もありまするから、そういう点は十分に考慮さるべき点であると思いまするが、やはり国会の意向としては、もう少しこういう金額を上げた方がいいのではないか、上げた方がいいという考えでありますが、今後上げるとすればどの程度に持って行くことが金融機関との競合を避けるとお考えになるのか、そういう今後の見通しについて、どの程度に上げたいという意向なのか、それが一点と、次に郵便貯金の利払いですが、これによりますと百九十六億二千万円の利払い資金が計上されておる。しかし先ほどの御説明だとかなり成績は、郵便貯金の方はいいようであります。しかし今後ともこういう点については御努力を願いたいと思いますが、こういう預金額を取り集める点につきましても、預ける方から言うならば、ことに郵便貯金一般大衆が大部分でありますので、そういう預金者の立場からいうならば、何とかしてもう少し利子を、利率を上げたならばもっと集めやすいのではないかと考えるのであります。しかも一般金融機関のことを考えましても、御承知のごとく戦前、戦後を通じまして、貸し出し利率は相当高く上げたが、預金者に対する利子というものはあまり戦前戦後は変っていないという点から考えまして、われわれはそういう点、金融機関の利子についてももっと上げるべきではないか。戦前戦後を通じてそう違わない。ただしかし貸し出し利率は非常に高くなっておると考えますので、そういう点から考えましても、もっと一般大衆のためを考え、また預金の成績を上げるという点から考えるならば、そういう利子を多少でも上げるならば非常に努力しやすいと考えますので、一般金融機関の現状にかんがみて、政府の方のこういう郵便貯金利率を上げたならば、そういうことが誘い水になるのではないかとも考えますので、そういう点についての所見を伺いたい。
  16. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 最高制限額をどの程度に上げるかという御質問でございますが、これはなかなかむずかしい問題であると思いますが、少くとも八万円時代もあったわけでございますが、やはり利用度の問題からいたしますと、単位といたしましては五万円単位であろうと思うわけでございます。三万円とか、二万円とかいう単位で上げたのではそう大した魅力がないらしゅうございます。さて、その単位をどの単位に置くかという考え方が立つと思いますが、やはりその民間との権衡、競合の面、民間の伸び工合等をも考えなければならないのでございます。やはり国営保険である見地からいたしますと、上げるにしても漸進的に上げて行く方がいいのではないかと、こう考えておる次第であります。
  17. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 郵便貯金利子をも一つと上げた方がいいのではないかというお説でございますが、むろん郵政省としてはそうした考えもあるのでございまして、もしこれを上げるといたしますと、やはり郵便貯金会計に大きな赤字を生ずることになるおそれがありますので、今のところではそれを差し控えておる次第でございます。本年は郵便貯金最高制限額を上げていただく法律案の通過を見ましたので、これによって郵便貯金の方も相当上がるのじゃないかと思います。また一般金利政策についても考えなければならないと思います。これらのことを勘案いたしまして、本年のところではそれを差し控えております。またこの保険の方の最高制限額を上げるということにつきましては、実は決議の趣旨もございまするので、これを尊重して上げてはどうかと相談をいたしたのでございまするが、これは昨年度まだ八万円から十五万円に上げたところでございますので、本年度はそれをも考えて差し控えたような次第でございます。
  18. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 最高制限額の問題について西郷委員からの御質問もございましたが、戦前の最高制限額、それと今のこれはスケールは一般物価ということにはならぬかも知れぬと思うのでございますが、物価あるいは一般貯金に動いております金額等から勘案をして、そういう他の数字、物価、それから、まあ金の値打ということになりますと、物価ということになりますが、そういうものから考えあわせまして、どの程度が論理的に妥当であると考えておられるのか、その点を承わりたい。
  19. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 物価指数等の関係からどの程度が妥当であるかという問題でありますが、これは見方によることでございまして、年度をどこに響くかということによっても違うわけです。基準年度昭和九年から十一年を基礎にしてやりますと、大体十五、六万円になると思います。しかしもっとも基準年度の際におきましては、簡易保険は独占でございました。従いまして民間事業でやってはいけなかったわけでございます。従いまして基準年度における最高制限額も必要の程度よりも内輪にいつでもやられておるわけでございます。ところが終戦後、二十一年になりまして無審査保険といたしまして民間も簡易保険をやっていいということに相なりました。そこを基礎にいたしますと、大体二十万円程度になるわけでございます。それから今一面社会保障的な観点からいたしまして薄資階級に対する老後の、死後の安定、いわゆる加入者大衆の安定、一年間程度のものをやはり最高制限額に見てはどうかということになりますと、十五万円当時の資料といたしましても三十万円程度に相なるのでございます。それで、その当時に比較いたしまして本年度はどうかということになりますと、物価指数の面ではそう大した動きがないわけでございます。卸売物価は少し下っておるような面はございますが、小売はそう動きはない、しかし社会保障的な観点からいたしまして、生活保護の面からいたしましてにらみますと、まだ上っていいじゃないかという数字が出るわけでございます。そういうような面で見方をどこに置くかによって違うわけでございますが、いずれにいたしましても衆議院の審議の際におきまして十五万円のときに最低三十万円にしたらどうかという御意見があったのでございますが、あのときも民間に対する影響等をも考えまして十五万円に落ちついたわけでございます。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 電電公社について次に伺いたいのですが、先ほどの説明によりますと、いろいろ収益をあげておられまするが、現在電話の状況は引きたい者はたくさんありまするが、容易に引けない。また電話公債等を買わされておりますので、そういうことではなかなか現在の日本現状から申しますると必要な者が簡易に電話を架設するということが非常に困難になっておる。そういう状況にかんがみまして、今後ともこういう点をもう少し改めていただいて、電話公債などを持たぬでも電話はもっと簡単に引けるようにならなければ、いわゆる日本の文化の向上といいますか、現在の生活には電話一本ぐらいは何人にも必要なんでありますから、もう少しこういうことが簡易に引けるようにならなければならぬと思います。しかしいろいろこの会計にいたしましても、日本の電信電話の状況は非常に諸外国からおくれており、従ってそういう建設費あるいは改良に多額の金が要るだろうということはわかりますが、そういう点について今後どういうふうに考えて行かれるのか、大臣または電電公社の方が来ておられればその方からこういう状況について伺いたい。
  21. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話のように電信電話、通信の業務、この仕事を大いに整備拡充して行かなければならぬということも最も大事な課題の一つだと考えます。そこで電信電話公社の方では五カ年計画をもちましてこれが整備拡充をはかっておる次第でございますが、現在のところにおきましてはその建設、整備拡充のために公募債に財源を待たなければならんということはまことに残念でありまして、これは昨年度もその公募債が予定通り完全に消化されないというような実情もございまして、それが整備拡充に支障を来たしたことにかんがみまして、一そう本年はそれがために十分な施策を練らなければならぬと考えておったのでございますが、何分にも一般財政の都合が窮屈なことでございまするので、やむを得ず本年度も七十五億円の公募債を発行するということになった次第でありますが、これが消化に対しては昨年度の未消化のことを考えまして、本年度はぜがひでもその完全消化のことについて大蔵当局とも十分協議をいたしまして、本年度はこれが未消化のようなことのないように十分努力をいたして行くつもりでございます。なお、この五カ年計画につきましてもいろいろ外資を得ることの困難なるために、いろいろ企業体として十分電信事業の合理化をはかって、自己資金をもってできるだけのことをやって行かなければならぬ、外資に待たなければ十分な基礎設備等を整備拡充して行くことは至難でありますが、現在のところでは電話架設等においては予定以上に上廻っておるような現状を示しておるのでございますが、何分にも電話は一つこしらえるにしましても相当多額の金を要する、建物のみならず機械に多くの金を必要といたしますので、今後はその急速な整備拡充のためにせっかくその資金を獲得することに努めて、この必要熾烈な要望にこたえて参りたいと考えておる次第でございますが、細かい計画については管理官をもって御答弁申し上げます。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 監理官が御説明願えるならそれで結構ですが、五カ年計画をなさるということですが、この計画を遂行の暁には、現在の非常な困難な電話架設の状況、これがどの程度緩和されるのかということと、都市以外の地方の電話の状況は旧態依然たる設備でありまするが、そういう地方に対する電話の施設の改良等は、この五カ年計画においてはどういうふうになっているか、そういうことについて特に伺いたい。
  23. 行広清美

    説明員(行広清美君) お答え申し上げます。先ほどの御質問にも若干触れまして御説明申し上げたいと思いますが、先ほど御指摘の通り、現在電話の申し込みが非常にたくさんございまして、毎年の増設計画といたしましては十八万ないし十九万くらいの加入者の増設をやっておりましてもなお四十万の申し込んでもつかない電話が残るというふうなのが現在の実情でございます。電話の普及率から見ましても、また電話の必要性から見ましても、なお大幅の拡充の必要ということはまことに御指摘の通りであると存じております。これに対しましての資金につきましては、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、外部資金といたしましては三十年度におきましても七十五億の公募債に依存しておるわけでございます。あとは全部いわば自己資金でやっておるのでございます。数字的に申し上げますと、先ほどお話のございました加入者の方々に引き受けていただきます債券によりましての資金調達は六十七億円になるのでございまして、なおそのほかに設備負担金として負担していただきますものの財源としては五十九億円見込んでおる、こういったような実情でございます。大臣からも申し上げましたように、現在の財政の状況から見た場合におきましては、外部資金に依存するということは全体の計画の上から申し上げまして相当困難ではないかというふうに考えられておるわけでございます。五カ年計画を当初たてました昭和二十八年度におきましては、国会の議決によりまして料金の値上げを認めていただきましたと同時に、このような設備負担金あるいは加入者に引き受けていただきますところの債券の制度をお認め願ったのでございまして、今後におきましても極力自己資金の確保ということに努力いたしまして、なおまた、この点におきましては経営の合理化によりまして収入の面からの繰り入れを増して行くということも十分努力して行かなくてはならぬと思っておりますが、なおしかし第一次五カ年計画の最終年度でありますところの三十二年度までは現在のような負担金なりあるいは債券の引き受けの制度というものは存置して行かざるを得ないような実情ではないかというふろに現在の段階においては見通しを持っておるような次第でございます。なおまた五カ年計画が完成いたしました場合におきましては、どのようなサービスの改善の状況になるであろうかという点でございますが、この点につきましては、たとえば加入電話の実情から見た場合におきましては、一応五カ年計画におきましては約九十万個の電話をつけるということになっておりますが、しかし最終年度におきましてもなお依然として四十万程度の申し込んでつかない電話というものが残るというふうな見通しになっているわけでございます。地方に対する電話の増設の問題でございますが、二十八年度、二十九年度におきましては大体電話の架設の全体の数に対しまして三〇%内外の電話の架設を地方に対してやって参っております。と同時に特に農山漁村に対しましては、公衆電話の増設に重点を置きまして、年々三千数個の公衆電話の増設をやって参りまして、熾烈な需要に応じて参ったような次第でございます。五カ年計画の最終年度におきましても、大体先ほど申し上げましたように三〇%程度の増設をして参るということになりますので、全体の四十万個程度の、申し込みがありましてもつかない電話の中におきましては、地方におきましても大体その程度の幅の申し込みというものは残るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺っておきますが、電電公社郵政省から離して公社の形式にして独立採算制となっておりますが、以前と比べてこういう公社の方式になってから、以前よりもそういうサービスの改善とかまた事業の内容がよくなったのかどうか、どういうふうに御覧になっておるか、これは大臣から伺っておきたい。
  25. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答えいたします。公社になっからどういう成績を上げておるか、よくなっておるか、悪くなっておるかという点でございますが、独立採算制になってその企業性を強めたために、今日外部資金をほとんど得がたい状態においても、なおかつ昨年度は五カ年計画を上回って四万個くらい電話をよけいにつけておるというようなあんばいでありまして、これらのサービスの点におきましては相当向上しておるのではないかと考えておる次第でございます。もちろん現在の電話電信の整備拡充の要望の熾烈なることはお話の通りでありまして、国会においても強い要望があったのでございまして、郵政省としては何とかしてこの要望に応えたいと考えておる次第でございますけれども、何分にも率直に申し上げますというと、一昨年は二十万以上、昨年は十八万以上の架設を見たので、いずれも予定以上になっておるのでありますが、しかも二十万くらい年々架設をふやしましても、なお電話架設の要望が年々ふえて、いつでも四十万を下らないという現状でありまして、これをいかにして急速に伸ばして行くかということは非常に頭を悩ますところでございます。しかし日本の産業経済全般を考えてみまして、これらの要望を一挙に満して行くということは、今日といたしましてはなかなか困難なことである。またいかに必要な電信電話通信事業であるからといって、やはり国として全般の産業が均整のとれたものであることの必要等からも考えまして、まず、できる限りその企業性を伸ばして、そうして一般需要にこたえて行くという方針をとって行かざるを得ないのでございまして、こういうことを考えてみますと、現在の段階においては、公社になってからは独立採算制でもって極力サービスの改善等に努力して行くことが郵政省にあった当時よりは、より自由になってでき得るのではないか、従ってサービスの面においては向上しておるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  26. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 もとに戻りますけれども、郵便貯金並びに簡保の年金の点に関連をしてお尋ねをいたしますが、西郷委員からも資金運用部の平均コスト、それから郵便貯金利子について、平均、まあ平均に近いと思いますが、三分五厘という差額の点を御質問がありましたが、私ども見ておりますと、全体の運用は、預金運用部資金、言いかえると、大蔵省運用されておって、郵政省と申しますか、郵便貯金は金を集める方の下請をやっておる、こういう実態について、利子だけではございませんで、運用の点で、これをもっと打開し、あるいは積貯金をいたしました国民の側に立って運用をするように改善する方途について、郵政大臣考えがございますかどうか、一つ承わりたいと思います。
  27. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 零細な貯金保険の金を全国から集めて、これを運用についての考え方といたしましては、現在では簡保並びに年金の方の金は、郵政大臣としてそれが運用の衝に当っておるのでございますが、郵便貯金の金の方は大蔵省の所管として運営されておるのでございまするけれども、これにおいても、郵政大臣といたしましてはこの運用に関する委員会の副会長ということになっておりまするので、これに対しても、その方針等についてはやはり参加して、その運営の方針について当って行くという形になっておりまして、郵政省といたしましては、先ほどからのいろいろの御質問もございまするように、全国から集まってきた金でございますので、大体の方針といたしましては、やはり地方にこれを還元して行くという趣旨を根本といたしまして運営して行く、かような考えを持っております。
  28. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 なるほど、形は郵政大臣が副会長となっておる、あるいはある程度の意向は反映できる、こういうお話でございますが、実際に今までの形を見ていると、私が申し上げましたようにイニシアチブは大蔵省に握られておる。これは利率の引き上げについても、法律の改正は考えておらぬ云々ということですが、今までの、運用せられる利率が高くて、預かった方の利率が安い、こういう点は解決しておかなければならぬ。今まではどちらかというと、利率引き下げるという状態になってきて、やっとまあ三分五厘を四分に上げる、それから簡保の限度額にいたしましても、やっと最近国会等の協力で上げられるということで、今までの実績から言いますならば、これは後手々々に回ってきておる。そして資金運用部資金運営その他については、これはまあ法律の建前もございますけれども、大蔵省が責任をもってやるという形になっておる。それを具体的に、預託をいたしました国民の側に立って、もっと有利に運営をする方法を考えるべきじゃないか、こういう意見を申し上げておるわけでありますが、これは過去の批判になるかと思いますが、先ほど最南限度額に関連をして、社会保険、社会保障という構想が出ておるような次第であります。これなど一つの考え方かと思います。健康保険に対して国民健康保険を育てよう、それから社会保障制度全般については、厚生大臣は、軍人恩給等から出発するということでございましたけれども、国民全部の社会保障について再検討すべきである、そして体系を考えるべきだという話でございましたが、この簡易保険の金も大体性質は同じでございます。零細な金をその余裕のない中から貯蓄をする、それを社会保障的あるいは一定年令の後において交付を受ける、簡易保険の社会保障的な運営、こういうことになると思うのであります。そういう点について、もっと積極的に考えておられるのかどうか、まあ次長でありましたか、担当者からお話がございましたけれども、郵政大臣としてそういう点について政治的にもっと考えておられるかどうか、一つ承わりたい。
  29. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 全国民から集まった貯金保険の金の節用について、どういう積極的な考え方を持っておるかと申しますると、省内にもいろいろ考えがあるのでございますが、私、郵政大臣として考えますることは、現在の簡保並びに年金の金の運用につきましては、郵政省が担当し、そうして郵便貯金の金はこれを財政当局たる大蔵省がその所管としてその運営に当っておる。私はこれらの余国から集まったこの金を運営して行くしにおいては、今おっしゃいましたように、主として零細な金でございまするので、これを社会保障的な、あるいは地方還元的な趣旨を尊重して運営するということはしごく適当である。すなわち一言にして言えば、消極面とでも申しますか、貯金部の金は現在大蔵省運営しているが、これを広く産業投融資の形でもって、一般の産業の発達に寄与せしめて行くということはこれは積極面において大いに産業を援助して、よってもって失業者の吸収また就労のチャンスを余計に与えて行くというような積極面をつかさどって行くというやり方でよろしいのではないかと私は考えておる次第であります。
  30. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あまり議論をしようとは思わぬのですが、資金運用部資金を産業投融資にするというのは積極的な利用方法である、そうしてあるいは雇用の増大となるのだからいいじゃないか、こういう点がございました。そういう考え方、あるいはそういう運営を私は批判をしておる。これは、先ほど申し上げましたように、零細な、何万とまとまらない金を、国ならば安心だからというので預けておる。従って、今の産業投融資なら投融資にいたしますと、これは大資本に投入されて、今のところでは合理化資金にしか使われません。まあごく最近ではございませんけれども、その合理化資金は、一ころは首切りの資金にさえなった。首切り資金なら融資しようという趨勢でありました。そういうのは、預託されました零細な預貯金をすぐ国民大衆のために利用することではないと思う。そういう方向ではなくて、国を信頼し、零細な貯金をいたしました者のために使う方法について、もっと積極的に構想をしたらどうか。預金部資金に入ってしまえばこれはもう郵政大臣のあれではございません。まあいわば一軒々々回って簡易保険なり、何なりを勧めておるあなたの部下、あるいは手先になって訪問しておられる人たちの気持を考えれば、おそらくそういう財政投融資だからそれは積極的な方法だろうということは出てこぬだろうと思う。そういうあなたの、苦労をして集めておられる末端の人の気持も、あるいは預託した人の気持も考えて、もっと積極的な方法はないか。それには先ほど部長でありますか、次官でありましたかよく存じませんが、社会保障云々ということもございましたから、そういう方法を考えるならば、これは集める人のためにもなり、あるいは預貯金なら預貯金、あるいは簡保なら簡保も、その余裕金をもっとたくさん集め得る方法はないか、こういうことで意見を申し上げたのであります。いわば郵政省の、あなたのもとで苦労をしておられる人の立場からする声を代表いたしまして、もっと積極策を考慮してもらいたい。それについて、社会保障全般については厚生大臣考えておるということだけれども、この問題を取り扱っておられるあなたからしても積極的な構想が出ていいのじゃないか。その構想を簡保の担当者じゃなくて、郵政大臣なり、上の方でもって責任をもってお考えになる気持はないか。こういうことをお尋ねしております。
  31. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) おっしゃるようにこの資金は零細な国民の多岐から集まった金でございまするので、これが運用に当ってはそうした零細な金を、預貯金した人たちを対象として、主として考えなければならぬのではないかという御説、まことにごもっともでございまするので、実は簡保資金運用の点につきましても今国会に提案いたしまして、その運用の範囲を拡大する、そうして中小企業金融公庫並びに農林漁業、そういったような中小企業、零細事業方面にも流れるように、運用のワクを拡げたいという法案について御協賛を仰いでおるような次第でございまして、郵政省といたしましては全く御趣旨のようにこの金が運用されることはけっこうであると考えて、そうしなければならぬというふうに考えてはおります。
  32. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、先ほど最後にお尋ねをいたしました簡保年金制度を社会保障的な制度として変える、これは全部変えなくても新らしく創設でもかま、ませんが、そういうお考えがないかどうかということを、もう一度お尋ねいたします。と申しますのは、これは汝年前になりますけれども、証券投資信託という実は法律が参議院で出てきました。そのときにたんす預金を引き当てにしてこういうものを考える、こういうことでございました。私は率直に申し上げて、そういう金はわれわれの同僚と申しますか、下の方のクラスにはないだろう、こういうことを申したのですが、ところが実際にやってみると、何十億、何百億という金が集まる。これは多少投機的な性格を持っておるかもしらぬと思いますが、貨幣価値の変動しておるときには、そういう郵便貯金だとか、あるいは定期預金とかいう、あるいはまじめなほんとうの投資じゃなくて、多少投機的な部面に入る金が相当あったということが実証をされたわけであります。しかしやり方によっては簡易保険にしても、あるいは郵便貯金にしても、今までのような利子が少い、あるいは利ざやかせぎは大蔵省がやられる、こういうことでなければ、これはもっと集まっただろう、あるいは限度額もありましょう、そこでそういう点が、これは先ほど白根さんも議論をされましたが、この点は利子なり、輝用の点もちょっと申し上げましたけれども、そういう点で新らしい構想を、今あなたの部下のところから社会保障云々という点が出ましたが、そういう新しい制度を考える気持がないかどうか、こういうことをお尋ねをしたわけであります。
  33. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) まず先ほどの御説明で訂正したいところがございますが、訂正ではございませんが、ちょっと言葉の足らないところを御説明さしていただきたいのでございますが、三分五厘と申しましたのは、大体現状で一年ものでやったら三分五厘ということで、最高は私どもは五分五厘でございます。御承知のように貯金の方は二十七年度は六分五厘、毎年度一厘ずつ下って行くことになっているのでございまして、独立採算の建前からいたしまして、本年度は六分二厘になっております。それ以外には大蔵省には投資コストがやはりあるのです。投資コストあたりも勘案すれば、資金運用部利子かせぎをやっているということでないことだけはまず御了承していただきたいと、こう考えるわけでございます。  それから保険の問題でございますが、簡易保険は御承知のようにスタートから社会政策的な点を加味する事業としてスタートをとったわけでございます。従いまして、付帯事業といたしましても、御承知のように戦前は健康相談所を三百数カ所を持って、実費で診察をやっておったわけであります。医療国策の関係からいたしまして、それを厚生省に移管いたしましたが、戦後におきましても、事業の余力が出ましたので、だんだん福祉施設を拡充いたしているわけであります。診療所といたしましても、本年度までに約三十カ所、しかも固定診療所でなくて、移動式病院的なサービス・カーというのを作りまして、レントゲンを配して、医者がついていまして、無医村等を回っております。ただいまのところで、本年度分ができますと、大体二県に一台程度になる。一カ所の固定診療所と、それから診療車が、移動病院的な診療車ができることになっております。これは歳出面で、やはり事業の付帯事業といたしましても、やはり社会政策的な方面に力こぶを入れたい、こう考えております。  なお運用面につきましては、ただ初年度入ってくるところの余裕金の一年度だけは大蔵省に預けることになっておりますが、それが決算の結果積立金となりますと、郵政大臣の独自の運用となっております。その運用のやり方で、先生のおっしゃいますように、社会政策的なところに考えたらどうか、こういうお話でございます。その考えている意味で独立運用をやったわけでございます。従いまして大蔵省と、それから郵政省との投資分野につきましても、できるだけ加入階層に接着した方面に対する、たとえば病院でございますとか、接着した方面に対する投資にこの分野を持って参っているわけでございます。  なお、年金の面につきましては、貨幣価値の問題もございますので、歳出面で熱海に老人ホームを作りまして、老後の安定施設をやろうという、現に計画して実施中でございます。この施設も相当増大して行かなければならないという心組みを持っております。従いまして事業のこの面の要望の面におきましても、付帯事業と申しますか、事業の本質に近いところといたしまして、社会政策的な施設をやり、また運用面におきましても、おっしゃるような線についてやることになっております。  なお、やはり厚生省で、国民保険とか、国民年金とかという社会保障的な保険年金制度ができましても、やはり任意保険として簡易保険におきましても、その線をある程度加味しつつやるべきものであると、こう考えております。英国でも、社会保障的な色彩の強い国ではございますが、やはり任意保険としての面が相当社会政策的に動いております。従いまして、簡易保険といたしましても、先生のおっしゃる通りの線に沿って、今後とも強化して行きたいと、かように存じている次第であります。
  34. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ病院、診療所、あるいは移動診療班ですか、そういうようなお話がございましたが、実は末端で申しますと、病院なら病院について言いますと、労働省の病院がある、それから厚生省の厚生年金病院がある、それから大学の附属病院がある、いろいろあってですね、しかもそれが完全なと申しますか、総合病院として質の高いものであればいいが、実際にはまあ半端ものが多いと言ってはまことに申しわけがないのですが、完全じゃなくて、それぞれの分野、医療の分野での各方面を穴を埋めながら、全部の国民の要望にこたえているかというと、必ずしもそうじゃない、これは悪いとは言いません。いいことでありますけれども、そういう競合、あるいはそれぞれが不十分な病院を持っているという点もございます。実際にはお医者さんは、たとえば私の地方で言うと、九大なら九大から、実際にどこの病院にも行っている、その診療所あるいは総合病院等の連絡というものは必ずしも十分に行っておらない、こういうような欠陥等もございますが、しかし言われるような、たとえば加入階層に接近したところで云々ということですが、それなら無医村なら無医村に関係の病院が穴を埋めて行っているという実態かというと、必ずしもそうじゃない、今伺っても二県に一個所、あるいは移動診療班にしても二県に一個所か、一県に一個所は全部おそらくはなかろうと思うのです。そうすると赤十字なりあるいは最近は医療協同組合ができたり、穴埋めをいたしておりますが、必ずしも一番エア・ポケットになっているところを埋めしているというわけではございません。そのへんについては全体を見渡して一番急務なところに穴を埋めて行くようにお願いをしたいと思うのであります。そこで簡易保険なら簡単保険のやり方をもう少し変えることによって国民の余裕金も集めるだろうが、その還付もたとえば老後なら老後に何十年先に還付することによって社会保障的な役割も果す、こういうような構想が先ほど出ましたから、そういうものについてもっと構想が上の方にあるのか、こういうことをお尋ねをしたわけであります。多少議論めきますけれども、重ねて御答弁を願います。
  35. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 診療関係につきまして厚生省とか日赤とか競合するという面については、そういう競合の結果、実際の設備が無価値にならないように総合的な考え方で連絡をとりつつやらなければならぬことはお説の通りであると思います。ただし私の方の診療はむしろ予防医学的なところに重点を置いているのと、無医村方面に重点を置いているわけでございます。従いまして診療の個所をそうたくさんふやすという考え方は、固定診療の個所をそうたくさんふやすという考え方は持っておりません。ただし一県に一つくらい置きまして、その一県に一つくらいの移動病院的なサービス・カーがあれば大体可能なる限り回ることになっておりますので、やはり無医村等に対するまあ補充的な役割もすると同時に、やはり罹病前の予防医学的なところもやはりやって行きたい、こう考えておるわけでございます。  なお還付年金の面につきまして社会保障的と申しますか、そういう線に沿うて運用をやるべきものではないかということは全くお説の通りでございます。そのやり方は二方面ございまして、一面は事業として事業の運営業務運営の面についてそういう考え方をするということと、それから他面は集まった金の運用においておっしゃるような線に沿わなければならないと、こういう二つの面があると思うわけであります。戦前におきましてもしその二つの面から社会政策的な施設に相当重点を置いてやって施策して参っているわけでございます。従いまして終戦後は特に社会保障的な考え方を加味する必要が強いのでございますので、両面に対しまして実は努力をしているつもりでございます。しかし何しろ終戦後御承知のように簡易保険といたしましても物価変動が非常に激動期でございました昭和二十四年ころは、ほとんど破綻期であったわけでございます。やっとまあ簡易保険といたしましても軌道に乗ったところでございます。従いましてまず第一に事業の余力がある程度出たので、加入者自身に対しまして利益を還元する意味で別途本年度御提案申し上げまして御可決を得た上、料金の値下げまたそれに伴うて旧契約者に対する利益配当の増額なども実は本年度から実施したわけでございます。と同時に、先ほど申し上げました両面に対しましてその方向に進んでいるわけでございます。たとえば運用の面におきましても逆用対象につきましては重要産業とかいうところに重点を置くのではなくて、加入者の真に利益に接着した方面、たとえば先ほど大臣がおっしゃいました中小工業関係というような面、そういうような直接加入者の共同構成によるような事業に対する貸付にも簡易保険の金を流し得るように実は法律の改正をお願いいたしまして、ただいま衆議院で御審議をいただいているわけでございますが、それが幸いにして両院の御通過をいただけますれば、先生のおっしゃった線にさらに強化した運用面が出るのではないかへこう期待いたしている次第でございます。
  36. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 病院あるいはこの余裕金運用の面について、あるいはその他お話がございましたが、これは電々公社についてもそうですが、世帯の大きいせいもございましょうが、私はやはりまだお役所式というかそういうところもあって、大きくやはり頭を切りかえる、方針を大きく切りかえるということでなければ、せっかくの御趣旨も生きないのではないかと思うのです。従って病院も作る、移動診療もやる、予防医学も云々とこういうことではなくて、むしろその点については完備した移動診療車とかそういうものを作るという点に重点を置いていただくならば、あるいは今までエア・ポケットになっているところを埋めることもできようかと思うのであります。その点については根本的なまあ頭の切りかえといいますか、重点の変化をお願いをし、そしてたとえば移動病院なら移動病院に重点を置いていただくことを要望いたしましてその次に移りますが、千百億の簡易保険の貯蓄目標額を持っていると、ところが実際には最近は鈍化している、これは今までの実績についてもお話がございましたが、貨幣価値の変動をするときには、これは貯金というものはなかなか集まりません。特に簡易保険についていえば、戦争中ほとんど強制的ではございませんが、非常に強い勧奨で、あるいは隣り組等の申し合せで貯金にあるいは簡易保険に加入させた。ところがその金は価値がなくなってしまって問題にならなくなって、通帳がどこに行ったか忘れてしまったような事態で、そこで国民の感情としては、政府の言うことは信用がならぬ、政府の言う方向と逆にしておいた方が実際にためになるんだ、こういう印象が長い間にある。特にインフレが進んでおる間はおそらくそうだろうと思います。最近の鈍化の方向にも原因がございましょうが、本年度予算から、あるいは修正から関連して、インフレがまた幾らか進むんじゃなかろうか、こういう不安も一つの鈍化の大きな原因だと思います。これは財政金融政策の根本に関連いたしますから、その点は申しませんが、あの資金委員会の構想に関連をして本予算のときに私も質問をいたしましたが、預貯金という問題について、過去の戦争中のような程度には参らぬかもしらぬけれども、強い勧奨がなされるんではなかろうかという心配を持っておるわけであります。その点についてどういう方針であるのか、承わりたい。単にこれは強く勧めたって、経済的な必然性がなければ、郵便貯金なり簡易保険なり、国に預けておけば間違いがないんだ、あるいはその方がいいんだ、安心しておられるんだ、こういうことがなければこれは集まりっこない。あるいは勧めたって逆効果だと思う。この点はどういう工合に考えておられますか。郵政大臣に承わりたい。
  37. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話のように、貯金は過去数年間世の中の落ちつき方と申しますか、安定した状況において毎年予定目標を上回る成績をおさめて参ったのでございます。ただ今年度の今日までの状況につきましては、本年度目標について楽観を許さない状況になっておることも事実でございますが、しかしこの原因につきましては、完全にこれこれの事柄が原因して今日の貯金伸びが悪くなっておるんだということを完全には把握し得ないのでございますが、しかし一つのこれは大きな原因ではないかと考えることの一つに、二十八年度は御承知のように全国的に数次の大災害などもございまして、これが復旧のために、補助金以外に、それぞれ農民などが労務を提供するのみならず、借入金等もいたしまして、その返還の時期がちょうど昨年末から本年の初頭にかけての時期になっておったように考えられるのでありまして、それらのことがまあ多くの原因のうちのおもなる一つではないかというふうに考えておるのでございます。しかしごく最近の状況は、またその伸び方が取り戻されていく状況でございまして、大体後半期においては相当の成績をみせて、その目標達成できるのではないかと考えておる次第であります。もちろん貯金全般のことは社会全般の経済事情その他のことに原因することは御説の通りでございます。まあ郵政省といたしましては、基本的な考えといたしまして、なるたけ各般の仕事に対して、その健全性を保持しつつ、お話のように社会政策的な見地に立ってその資金運用なり、その事業の遂行に当って参りたいと、かように考えておる次第であります。
  38. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一番終いの、千百億なら千百億の目標達成するために、国民に直接圧力を加えないでできるけれども、下の方に責任を負わせて相当圧力を加える、こういうことはございませんね。
  39. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) そういうことをしてよい結果が現われるはずはないと考えております。
  40. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは皆さんも生理的な原因でそろそろ終りたいようでありますから、(笑声)簡単に質問して参りますが、電電公社になってもあまり安く電話がつかない。それから一向電話のやみ値も下らぬ、こういう調子です。これについて、これの打開策と申しますか、どういう方法を持っておられるか。それから西郷委員から地方に対する云々という御質問がございまして、農山漁村等について公衆電話等を考え、あるいはいわゆる地方としては三〇%程度架設をしていく、こういうことですが、見ておりますと、なるほど東京だとか、あるいは市部については、公衆電話等はだいぶ普及をした。ところがこれはまあ極端な例でありますけれども、島のごときは電話が一本もない島があって、そうしてラジオもない、こういうことで、船が遭難をして、そうして十名をこすような遭難が起っておるというようなまだ実態であります。そこでこういう農山漁村については、同じような条件でつけるということは実際問題として困難だと思うが、これは人道上の問題あるいは保安上の問題もございます。そこで特に考慮がなされなければならぬと思うし、制度が設けられなければならぬと思うのでありますが、こういう点についてどう考えておられるか、一つ伺いたい。それから一緒にやってしまいますが、あのマイクロウェーブというのは、これは防衛分担金削減交渉に関連して出て参りました政府の施策の中に、軍事目的としてマイクロウェーブ等が考えられておる。仕事は私は郵政関係の本質的な仕事だと思う。それは軍事的なものから多少副次的な目的もあるかと思うのでありますが、これについて一時新聞に報ぜられましたような、純然たる軍事的な目的のために、政府としてこれを日本に実施しようというのか、あるいは郵政大臣として、従来の郵政行政の発展としてマイクロウェーブという問題についてどういう方針で臨んでいこうとせられるのか、この点を一つ伺いたいと思います。
  41. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話のマイクロウェーブのことは、例の正力氏によって日本に特殊のマウンテン・トップ式マイクロウェーブを持ってきょうとするということの件であろうと思うのでありますが、現在におきましては電電公社において、すでに東京、大阪問、本年中には福岡、仙台、来年には札幌までマイクロウェーブが延長されることになっておりますので、現在の状況といたしましては、別に特別に軍事上の必要のために新たにマイクロウェーブのシステムを入れるという考え方はまだ持っておりません。これらの点につきましても目下研究中でございます。なお、前段の地方の辺陬の地域における不便を是正するということに対しては監理官より……。
  42. 行広清美

    説明員(行広清美君) 第一点でございますが、電話の架設が安くならないで、市価も安くなっておらないではないか、こういう点について申し上げますと、電話の市価につきまして、このような存在があるということは世界でも例のないことでございまして、まあこの点につきましては、電話の拡充によりまして、こういう市価の存在をなくしていくということにつきまして努力しておるような段階でございます。最近の実情につきましては、特に大都市あるいはその周辺におきましては、電話の拡充が行われました結果、市価というものはずっと低くなって参っておるような実情でございます。なおこれに関連いたしまして、市外通話の面におきましては、回線の開通によりまして、特急通話が至急通話になり、あるいは至急通話が普通通話になるということによりまして、実際の電話利用者の市外通話における負担というものは安くなって参っておるような実情でございまして、その面につきましては、改善の効果が現われて参っておるような実情でございます。  第二の点でございますが、地方に対しましての電話の拡充の問題でございますが、電話の効用あるいはまた必要性といったようなふうな点から考えまして、地方、中央を通じまして、電話の復旧をはかっていくということは非常に望ましいことでございますが、現在の所要資金のワクの関係から考えますと、おのずからそこに重点をおいて、段階的に考えていかざるを得ないというふうな実情にあるものでございますから、第一次の五カ年計画におきましては、特に大都市方面にどちらかといえば重点をおきまして、あわせて地方の方におきましての必要な面を考えていくということによりまして、先ほど申しましたような三〇%程度が地方に回っておる、こういったふうな実情でございます。  第三の点につきまして、特に離島方面についての電話の普及の必要があるのではないかというお話でございますが、これはまことにごもっともな点でございます。現在御承知のように離島振興法によりまして、離島におきましての拡充の計画が進められておるのでございますが、電信電話、特に電話の設備の普及につきましても、それぞれ地方の開発計画の、振興計画の中に織り込みまして、計画的に実現をはかっていくというふうな実情になって参っておりますので、漁業その他、あるいは特に緊急な通信連絡の必要であるといったような地域につきましては、その面におきましては優先的に考えられることになっておるような次第であります。
  43. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 離島関係について、離島振興法の範囲内で、あるいは特に緊急と認めたら云々ということですが、制度として、かつては団体その他、別ワクがあったようですが、離島振興法のワク内で制度としては、この社債を買う云々という条件だけで、別なワクあるいは制度というものはないのですか、離島関係その他、別ワクを設けるということを考えるべきではないかということをまあ申し上げたわけです。あるいは条件にかかわらず、別な条件でつけていく、こういう制度を考えるべきではないか、こういうことをまあ申し上げた。  それからもう一つ、マイクロ・ウエーブの点については答弁が少し的をはずれておりました。別な機会にこれはまた論議されるでしょうが、正力さんなり何なり、全然民間にまかせて、しかもそれが軍事的な目的と申しますか、あるいは性格というものが、第一に、言われてやるようなことは間違いじゃないか、これは郵政大臣としてもっと国から、あるいはあなたの所管しておられる郵政行政から、強力に別な施策を考えるべきだ、あるいは正力さんの企図を含んで考えるべきじゃないか、こういうことを申し上げたのであります。簡単に御答弁を願いたい。
  44. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 先刻申し上げましたように、むろん全般のことを考えて、これを民営にやったらどうかということを今考えておるわけじゃございませんので、先刻申し上げましたように、電電公社の現在の計画によって、今日の必要度を、マイクロ・ウエーヴに関する限りにおいては達し得られつつある状況でございますので、現在といたしましては、他に新たなるシステムを導き入れるというような考え方を持っておりません。  なお離島その他の問題については、総合的に全般の問題として新たに計画をしていかなければならぬと思っております。
  45. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 郵政大臣にちょっとお尋ねしますが、郵便年金それから簡易保険金等で金融債を引き受けるように法律が改正されるようになっておったのでありますが、あるいはもう通ったかもしれませんのでありますが、ところが一方、資金運用部資金で従来引き受けておった金融債は、御承知の通り共同修正で市中で消化するように今回になろうとしておるわけでありますが、一方郵便年金等においての引き受けの方はいかがになるのでございましょうか、その点。
  46. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 金融債につきましては、今般簡易保険運用の対象を拡充する際におきまして、金融債もできるように今御提案申し上げまして、ただいま衆議院で審議中でございます。その際におきまして、本年度の出投資計画といたしまして、二十億を予定しておったわけでございます。この二十億の問題も、資金運用部資金と一括しまして、それで国会の御修正によりまして、現に資金運用部で現実に投融資済みの約二十億を除きまして、あとの残余のものは、本年度は金融債はやらないことになりまして、それによりまして一般会計財源をまあふくらませるというふうに御提案になったわけでございまして、従いまして、本年度におきましては、金融債は簡易保険におきましても、投融資計画からはずされて参ったのでございます。その二十億は変更によりまして、地方公共団体に対する貸付の方に回って参っておる現状でございます。
  47. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先般予算委員会でも私は質問をした際に触れたのでありますが、今のお話だと、地方公共団体には従来からで毛非常に行き過ぎておると思っておる。資金運用部資金の全体のうち、約半額ぐらいは地方公共団体に行っておるのですが、今回、資金運用部資金の方では、金融債引き受けを市中消化に移したけれども、これは郵便貯金の分だけに限定して、あとは郵便年金とか簡易保険の方は、大体余裕があると思われたからこそ、法律改正の提案もせられたのだと思うのだけれども、郵便貯金の方は、ああいうふうな変り方の共同修正になったからといって、すぐそれに右へならへするという行き方も、あまり不見識な行き方じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  48. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 御承知のように国会の修正では、歳出財源を捻出するために金融債をやめたわけでございまして、従いまして中小企業金融なり、公庫なり、住宅金融公庫なりに政府で出資する分を引き上げるため国家資金面でカバーするということに相なったわけでございます。従いまして地方公共団体に対する総ワクといたしましてはふえているわけではございませんので、大蔵省資金運用部の持ち分をある程度こちらに回す、ただ地方公共団体に対しましては御承知のように国会の御修正によりまして多少増額になったのでございます。増額になった金をどちらへ回すかという問題になりまして、簡易保険といたしましてはその方に回しただけでございまして、特に地方公共団体に対する資金の枯渇を緩和しようという意図ではなくて、むしろ国会の御修正によりまして地方公共団体に対する貸付資金が何がしかふえたわけです。ふえた分に充当したわけであります。
  49. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは法律の改正は一応するにはするが、実際において引き受けないというのですか、当分の間。
  50. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 本年度は出投資計画が修正になりましたけれども、来年度政府全体の出投資計画に、金融債、政府資金も投資するということも、むろん私どもといたしましても、その方にも投資いたしたい、かように考えております。
  51. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、法律の改正は今回はやるのはやるのですか。改正案自体の内容が変るのか、変らないのかというその点。
  52. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) 法律はそのまま今出しまして衆議院で御審議中でございまして、政府案といたしましては変える意思は毛頭ございません。
  53. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 以上をもちまして郵政省関係の質疑を終ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 御異議ないものと認めまして、決定いたします。     —————————————
  55. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 次に裁判所所管について五鬼上事務総長より説明を申し上げることにいたします。
  56. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 昭和三十年度の裁判所所管の予算の御説明を申し上げます。  昭和三十年度の裁判所所管予定経費要求額は、九十一億七千六百三十二万円でありまして、これを前年度予算額八十五億七千七百三十四万四千円に比較いたしますと、五億九千八百九十七万六千円を増加いたしました。  右昭和三十年隻予算のうち、重要な事項について御説明申し上げますと、第一に、最高裁判所及び下級裁判所の機構の維持並びに経常的な行政事務を行うために、必要な経費といたしましては、七十億三千三百二十七万七千円でありますが、そのうち最高裁判所に八億九千二百九十三万円、高等裁判所に五億七千二百五十四万五千円、地方裁判所に四十一億五千二百八十万六千円、家庭裁判所に十四億一千四百九十九万六千円を、それぞれ計上いたしております。  次に第二として、裁判官、司法修習生、裁判所書記官その他の職員の人格の向上を期するとともに、これら職員に司法に関する理論及び実務の研修をさせるための経費並びに裁判所書記官の調書作成の能率化をはかる目的のもとに、従来の要領筆記の方法にかえて、ステノタイプライターによる速記方法を、裁判所職員に修得させるための経費として二億八千九十四万五千円を計上いたしました。  第三に、「検察審査会法」に上り、検察官の公訴を提起しない処分の適否の審査及び検察事務の改善に関する建議または勧告を行うため、地方裁判所及び同支部の所在地二百三カ所に設置されている検察審査会の運営に必要な経費として五千八百十四万七千円を計上いたしました。  第四番目には、国選弁護人の報酬、証人、鑑定人及び調停委員等に支給する旅費、日当その他裁判に直接必要な経費として十二億五百三十七万五千円を計上いたしました。  第五に、裁判所営繕工事費として裁判所庁舎等の新営費で五億百六十七万八千円、裁判所庁舎等施設整備費として二千五百万円を計上いたしました。  第六に、「裁判所法」の規定に基く予備金として八百万円を計上いたしました。  以上昭和三十年度の裁判所所管予定経費要求額についての大要を、御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の程をお願いいたします。
  57. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 速記をつけて。
  59. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 御質問いたしますが、きわめて大綱だけのあれですから、これでは内容はちっともわからないんですが、最高裁判所の関係で八億幾らというのがありますが、伺いたい点は、これは今ことに現内閣になっては経費節減、一兆円予算というふうな建前から、大臣の公邸等も大幅に縮減して経費の節減をはかっておる、その趣旨はきちめていいことだと思いまするが、最高裁判所は戦後非常に待遇が改善されておりまするが、最高裁判所の判事等は官邸その他を各人々々が有しておると思うのですが、そういう点に対する経費はこのうち幾らでございますか。
  60. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) ただいまの三十年度予算の中に最高裁判所の公邸費として計上されております金額を申しますと、最高裁判所の裁判官の分全部で二百九万七千円でございます。で、現在公邸は長官も入れまして国有の公邸が十三ございます。あとの二人は御自宅でございます。
  61. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さっき申し上げた通り、大臣でさえも、相当劇職にあるところの大臣でも公邸廃止をして経費節減に寄与している。最高裁の判事の待遇をよくするということはもちろんけっこうなことでございますが、そういう線に沿うて最高裁判所もまたこういう面について経費節減をする意思があるのかないのか。依然としてこれはこれでやっていくのだという考え方であるのか、この点伺いたい。
  62. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 御質問の趣旨まことにごもっともな考え方でございますが、しかし最高裁の判事の公邸というのは、実は従来から下級裁判所でもそういう慣習があるのであります、大体非開廷日というのがありまして、非開廷日にはほとんど皆公邸で判決を書いたり、記録を調べたりしているのであります。そういうために、下級裁判所の判事にもこういう宿舎が全部ではございませんが、あります。それと同様に、やはり最高裁の判事にも公邸をつける、そうしてそこでいろいろ記録の調査などをやっている、こういう状況であります。しかし公邸と申しましても、会議を開くとかそういうような非常に大きな公邸じゃございませんで、大体住居と、そしてそういう実質的な裁判の調査とかいうようなものができるような建物でございます。
  63. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういう、裁判官だからということには限らぬので、これは国会議員でも正副議長しか公邸がありませんが、何も裁判官だから公邸を持たなくちゃならぬということはない。下級の人に対して待遇の改善の意味から国家公務員に対する宿舎等はもちろん必要でございますが、最高裁の判事に限ってほかの仕事と違うからこれが必要だという理由は私は一つもないと思います。そういう点は国家においても予算面において非常に縮減をしておって、縮減のためになかなか議論があります。ことに一般庶民住宅が非常に不足しておる。四十二万戸が建つか建たぬかということは非常な国会の論議であります。従いまして最高裁の判事はみずから率先してそういう範を示す方が国民に対して、非常に住宅難でありますから、そういう公邸廃止等はみずから率先してやることが私はいいと思うけれども、そういう意思があるかないかということを再び念を押しておきます。
  64. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 御意見十分拝聴いたしまして私どもも検討いたしたいと存じます。
  65. 池田宇右衞門

    ○主賓(池田宇右衞門君) 他に質疑がございましょうけれども、一応質疑は継続中といたしまして、二時まで暫時休憩いたします。    午後一時三分休憩      —————・—————    午後二時三十一分開会
  66. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) これより分科会を再開いたします。   裁判所関係審議中休憩いたしましたが、関係事務総長以下説明員が見えておりませんので、あと回しといたしまして、会計検査院関係の事務につきまして御審議をわずらわすことにいたします。まず池田事務総長説明を願います。
  67. 池田直

    説明員池田直君) 会計検査院の事務総長池田でございます。  会計検査院所管昭和三十年度予算要求額は四億三千二十二万二千円でありまして、これを前年度予算額四億二百六十一万一千円に比較いたしますと二千七百六十一万一千円の増加となっております。  今要求額のおもな事項について申し上げますと、(一)人件費として三億四千二百一万二千円を計上いたしましたが、これは職員千百七十八人分の給与手当等でありまして、予算総額に対しまして七九%となっております。(二)検査旅費として四千七百五十七万二千円を計上いたしましたが、これは書類検査と並行して、職員を現地に派遣して実地について検査をするために必要な経費であります。(三)庁費は三千七十九万五千円を計上いたしましたが、これは事務上必要な備品、消耗品、印刷費等であります。(四)庁舎増築費として八百六十三万一千円を計上いたしましたが、これは三十年度におきまして職員が六十人増員になりますのと、現在講堂を改造いたしまして事務室に使用いたしているものがありますが、通風採光がきわめて悪く職員の保健上憂慮すべき状況にありますので、この分と合せ百三十七坪を増築するに必要な経費であります。  次に、前年度予算に比較して増加となりました二千七百六十一万一千円について申し上げますと、その主要なものは人員増加によるものでありまして、すなわち国及び政府関係機関におきまする経理は必ずしも満足できるものではなく、現在の機構をもってしては検査機能発揮の要請にもこたえることが困難な実情にありますので、六十人を増員してさらに検査の徹底をはかるために必要な経費でありまして、八カ月分の人件費一千四百九十三万八千円(二)検査旅費三百万五千円(三)庁費百五十四万三千円、計一千九百四十八万六千円等であります。  以上はなはだ簡単ではありますが、会計検査院所管昭和三十年度予算要求額の大要の説明を終ります。なお詳細につきましては御質問によりお答え申し上げます。
  68. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 御質疑ありますか。
  69. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 現在の機構をもってしては検査機能発揮の要請にこたえることが困難な実情にありますので、六十人を増員してさらに検査の徹底をはかりたいというお話ですが、昨年等の実績からいたしまして、どのような支障がありましたのか、具体的にもう少し御説明を願いたいと思います。  それから六十人はどの程度の人を六十人ふやすのか、その内訳を御説明願いたい。
  70. 池田直

    説明員池田直君) まず、昨年度に比べて検査がどのような面において支障を来たしておるかという御質問でございます。会計検査院の仕事は御承知の通り政府機関並びに政府関係機関等の経理の是正改善等のために検査を常時いたしているのでございますが、一般的に申しますと、検査報告の件数が、従来の実績を一応お話し申し上げますと、検査報告の掲記件数は二十五年度が千百十三件、二十六年度が千百九十八件、二十七年度千八百十三件、二十八年度が二千二百三十二件、こういうふうに検査報告掲記の件数が毎年非常な増加を来たしております。この検査報告掲記件数は、結局各省の検査の担当課等から原案がそれぞれ提案いたされますのでございますが、その提案件数を整理いたしまして、今までのような数になっております。従いまして私どもが実際各案件を処理いたしまする事項を申し上げてみますと、二十五年度の決算で申しますれば三千百六十五件、二十六年度で三千六百九件、二十七年度で五千三百六十八件、二十八年度で五千九百七十七件、こういうふうに非常に私どもが審議の対象といたしておりまする事項が増加いたしております。従いまして、これに伴いまして各省等に対しましていろいろ照会等をして発見をいたしまする件数も非常な数字に上っておるような次第でございます。従いまして各局、課長の事務分量が非常に増大いたしまして、円滑にこの処理をする上において非常な困難を伴っておるような状況でございます。  なお、検査の施行の状況でございまするが、今度六十人特に増加になるような要求をいたしておるのでございまするが、これは主として建設省所管の補助金、農林省所管の補助金、厚生省、労働省所管の補助金並びに船舶利子補給関係の検査等に要する要員でございまするが、この六十人増加要求関係の現在の実施状況を申し上げてみます。現在建設関係の補助金関係は三十人をもちまして検査をいたさなければなりません。事業個所等に対しまする検査の率が一割一分程度に大体なっておりまするので、今回の増員によりまして約十五名ということになっておりますが、一七・七%の検査率の増加ということになる次第でございます。農林省関係で申しますると、公共事業費関係が現在四十八人従事いたしておりまするが、現在の検査の施行率は事業個所等に対しまして六%ということになっております。これが今度二十人増加ということになりまするので、二十人増加した場合は検査率が八・五%程度になると思います。それから農林関係で公共事業費を除きました補助金関係、それにつきまして現在の検査要員は七名ということになっております。これが検査の施行率は三%ということになっておりまするが、このたび十名増加ということになります。そうしますと、従来の施行率が三%であったのが七・三%ということになります。厚生、労働関係が従来二十三人を振り当てておりまして、検査の率が一一%になっておりましたのでございまするが、このたび十名を増加いたすことにいたしまして、検査の率は一一%が一六%ということに増加します。造船利子補給関係の船会社の経理関係の検査に現在八名を振り当てております。船会社の検査の施行率が三三%ということになっておりますが、今回五人の増員によりまして検査の施行率は約四〇%になると、こういうふうに考えております。  今申し上げましたことによりましても一応おわかりでございまするが、六十名の内容、これは建設関係で十五名、農林省関係で三十名、厚生省、労働省関係で十名、出資の団体の関係で五%、こういうふうになる次第でございます。なお局を一局増加するということに相なっておるような次第でございます。
  71. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 実情、それから要望の点はわかりましたが、造船利子補給に関連いたします国費の乱費と申しますか、あるいはそういう点についてはふやして云々ということでございますが、その他の点、防衛庁関係で、これはまあ最近の防衛力の漸増ということで、予算が相当多くて、年度末に必要でないベッドを買い込んだ。これはベッドだけじゃなくて、まだほかにも相当あるかと思うのでありますが、そういう防衛庁関係で同様の事情はないとお考えになっておるのですか。それとも別にお考えになっておるのですか。それから通産関係についてはその必要がない、こういうことでございますか。関連して承わりたい。
  72. 池田直

    説明員池田直君) お答えいたします。防衛庁関係について要員を増加する必要はないかどうかという御質問と存じますが、防衛庁関係は御承知の通り、一般会計の国費の相当の部分を占めております。従いまして会計検査院といたしましても、その防衛庁の使用します金額という点からばかりでなく、特に防衛庁が発足後そう日も長くないという関係からいたしまして、この際、大いに検査を重点的に施行しますることが最も必要であるという考え方をもちまして、防衛庁関係には現在約六十名程度の人員を振り当てまして、もっぱら検査の能率向上のために勉強いたしておるような次第でございます。この要員は従来、会計検査院の事務総長、官房その他比較的手数を省けると考えられる部門から相当の要員をそちらの方に、防衛庁の検査の方に振り向けまして、できるだけ検査の徹底を期するように考えております。今後も防衛庁関係につきましては、最も重点の一つと考えまして検査を施行していくつもりでございます。
  73. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 表には出ませんけれども、防衛庁関係については検査の必要が十分あると私ども思います。これはまあ事務関係ではございませんけれども、会計検査院に要請をいたしておきたいと思います。  それから関連をいたしまして、これも予算関係だけでなしに、検査官にお尋ねをすべきかと思いますが、おられませんから、関連してまあ御意見を承わります。予算委員会の総括質問あるいは一般質問の際にも、防衛分担金の使途、あるいはアメリカ軍隊の駐帝政、それからその使途等に関連をいたしまして会計検査院の検査がなし得るかどうか、こういう議論があったのであります。外務省あるいは主計局長等は承諾を得て会計検査をする、そういう建前になっておる、いきなり会計検査はできない、これはどんぶり勘定に入っておるので、向うの経費に振り込むのだ云々ということだが、ところがこういう質疑を聞いておって私不審に思うというのは、金は国民の税金、これはどんぶり勘定であろうと何であろうと、出した金はこれは国民の税金なんで、それがどう使われておるかということが会計検査ができないはずはない。この国民の税金が公正に使われておるかどうかということは、会計検査院の職能で、それから金の性質から言ってもそう……会計検査院法その他法律は私はよく存じませんが、むろん法の性質から言ってそうだと思う。それから実際的に言いましても防衛庁が年度末に必要でもないベッドを買い込んだというだけでなくて、何と申しますか、マタ・ハリではないが、女性等で張り込んでずいぶんいかがわしいと思われる何と申しますか仕事をしたという新聞、ニュース等を見まけと、使い方においてもいろいろと問題がある。そうすると会計検査院の機能発揮のための根拠法規、それから税金——主として税金、それから行政協定なら行政協定というものが条約ではないという政府説明から言うと、そうすると、これは法というものが、日本の法律が金について回るという点を何としても見のがすことはできない。法の建前についてもてありますが、実質的にもっと会計検査院が会計検査の機能を防衛分担金の使途について果さるべきだ、こういうことを私は国民の代表として、国民として考える、これらの点について今の建前あるいは御所見を承わりたい。
  74. 池田直

    説明員池田直君) お答えいたします。防衛分担金の経費は御承知の通り非常に大きな金でございまして、もちろん私どもも国民といたしまして、その分担金が適正に使用されることを望むものでありますが、ただいまお話にもございました通り、防衛分担金は結局日米合同委員会のどんぶり勘定の方に交付される建前になっております。従いまして会計検査院の検査の権限といたしましては、国の方からどんぶり勘定の方へ交付するその支出の段階で検査の範囲が終るわけでございまして、どんぶり勘定に入った後の使途が適正であったかどうかということは、会計検査院は検査の権限も義務もないということに現在の建前で相なっております。ただ会計検査院といたしましても関心は持っておりますので、大蔵省を通じましてどんぶり勘定に入りましたあとの実際の使用金額がどういうふうになっておるかという程度のところ、あるいは特に不当な点はなかったかどうかというような点を大蔵省の方から書類を見せてもらって、できるだけ会計検査院としてもその防衛支出金の行方を知れるだけは知っておきたいという考え方で現在は対処いたしておるような状況でございます。
  75. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 事務総長じゃなくて、会計検査官のおいでにならないことを非常に残念に思います。これは裁判所の場合でもそうですが、ただ要請をしておる予算説明だけできればよいという人をお差しつかわしになったことについて不満の意を表します。今の御答弁を聞いておりますと、本委員会での大蔵省の答弁よりももっと後退をしておる。できないのだ、こういう御答弁、はなはだ不満の意を表します。本委員会では、承諾を得て会計検査ができることになっております。同意を得てと、こういう条件はつけられましたけれども、できないことはないと、こういう事務総長の答弁であったようでありまして、むしろ云う少し会計検査院の責任としては、国民の税金を収納いたしました国費がどういう工合に使われるかということは、大蔵省を通じて懇請して書類をもらってやっと承知をしておる、こういうことでなくて、責任を尽されるように要望をいたし、それからまあ法律論は私ここでいたしませんけれども、先ほど協定は条約でもないのだ、金に法律はついて回るはずだ、こういうことを申し上げたのでありますので、これは要望と、それから会計検査院の、分科会ではございますが、予算委員会に出てこられた態度等について御批判を申し上げておきます。  それからもう一つお尋ねをいたしますが、先ほどの、今までの人員では会計検査の機能を十分発揮することができない、従って六十人を増員する云々ということですが、これは会計検査院の責任の範囲を多少出るかもしれんと思いますが、実情を見ておりますと、たとえば増員をされる建設省、農林省その他にいたしましても、たとえば水害の場合にこれは水増し、あるいは幽霊工事ということの申請があったせいもありましょうけれども、農林省なら農林省が査定をする、それからその次は大蔵省が査定をする、そうして会計検査院がまた検査をされる、こういうように二重、三重に、どろぼうがおるからというのでどろぼうの監視をやる、そのどろぼうの監視のまた監視をつけなければならぬ、こういうことではやはり六十人ではなくて、もっともっとふやしていかなければならぬと思う。政治的な方向はこれは総理大臣か、あるいはもっと上の方に質問を申し上げなければならぬことかもしれんと思いますが、会計検査院として六十人の増員を要請する建前から、その責任からどのように考えられるか、あるいはどのようにすべきであるか、あるいはしたいと考えられておるか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
  76. 池田直

    説明員池田直君) ただいま伺いましたように、補助の経理に関しまして、特に補助金を交付しまする主務省、あるいは大蔵省、あるいは行政監察部、それに会計検査院、これだけの機関が同じような対象物に対しまして、それぞれ業務を執行して国全体、大局から考えてはなはだ遺憾のような御意見、ごもっともに私どもも考えております。ただ会計検査院の方の立場から申しますと、それぞれの権限がそれぞれ目的は違っておるのではないかと考えられる次第でございます。会計検査院といたしましては憲法上の独立官といたしまして、国の歳入支出の方が適正に執行されたかどうかを確認しまして、不正不当の事項が是正改善されるように、会計を監督するという立場から検査を執行して、内閣とは独立の地位を持っておるような次第でございます。従いまして、私どもといたしましては、どうしてもただいまの補助金経理の現状にかんがみまして、ここしばらくの間は検査の手をゆるめることはできないという考えを持っております。むしろなお多少この際私どもの検査の徹底のために増員をいたして、一日も早くこの現状が改善されることを痛感する次第というようなことで、六十名の増員もそうした観点から予算の増額をお願いいたしておるような次第でございます。なお行政管理庁、各省、特に各省の関係は、補助予算の執行の第一義的な責任者といたしまして、査定その他の監査を行われるということも、これは当然のことではないかと考えられます。行政管理庁の監察部の監査も、やはりこれは業務の監察という観点から、たまたま会計検査院の検査の対象と同じようにダブって参ります関係から、いろいろ世間に批判もあるように私どもも伺っておるのでございまするが、これもできるだけ私どもといたしましては、政府部内の監察の業務でありまするので、政府といたされまして、現状におきましてやむを得ないという観点で、相当の要員、経費を使用されて、この補助予算業務の改善のために御勉強相なっておることと考えておりまして、一日も早く私どもの方の仕事も手がもっともっと抜けて、簡素化ができるようなふうな事態が一日も早く来たらんことを念願しておるような次第でございます。当分の間補助の現状等から考えますと、一元化されることが望ましいことではございますが、会計検査院といたしましては、今申し上げたような次第の意見を持っておりまして、独立官といたしまして、政府部内のことにつきましては、あまり出すぎたことも申し上げかねると考える次第であります。
  77. 千田正

    ○千田正君 吉田委員の質問に対するお答えがちょっとぼけておるのじゃないのですか、ちょっとはずれておるのじゃないですか。私も同じようなことをお聞きしたいのですが、先ほどの御説明の中に、終戦後、こうした国の税金が適正に使われていないものが年々激増してきております。御承知の通り、あなたの方から決算委員会等に提出されておるところの各省の批難事項も毎年激増してきておる、そこでそれをどうかして、何とかそういうことはあまりないようにというのが、今のあなたの御説明のように、われわれも国会議員の一人として、国の税金は適正に使われるように、できればそうした犯罪者がないようにというのはお互いに望むところなんです。ところが残念ながら年々件数が激増してくるし、しかも非常にこれは犯罪性を帯びてきている。巧妙ないわゆる、何と言いますか、知能犯的なやり方をやるのが非常に多くなってきた。それだけに検査に行かれるあなた方の検査官も、あるいは事務官にしても、相当これは技術を要することが多くなってきた。そこである程度増員はこれはやむを得ないじゃないか。やむを得ないのだが、その増員の仕方において簡単ではないじゃないかというのは、非常にこれは技術を要するような、たとえば水害の復旧、あるいはその他の災害の復旧に対して適正に使われているかどうか、あなた方が検査に行かれましても、コンクリートの中に砂利と砂とのまじり方がまずかったり、あるいは橋脚の面において使おなくちゃならない適正なものが使われておらなかったり、非常にそういう意味では巧妙になってきている。ですから、かりに六十名の人を増員しても、現実にはある程度、そういう技術を相当会得した人をあなたの方では採用して、そうしてかつ訓練をして行かなければならないじゃないか。そういう質的な面の訓練の仕方や、それに対してはどうかと吉田君は質問しているようであります。私も同様の質問をするのですが、かって終戦後のときは御承知の通りどさくさで、なかなかりっぱな職員の養成もできなかったろうと思いますが、最近においてはなかなかよく行き届いているようですが、それにもかかわらず批難事項に該当するところの問題が年々激増しております。これを何とかして日も早く国民の税金が正しく使われるように、そのめどをつけてもらうのがあなた方のお仕事なんですが、私はこの六十人でも不足だと思っているのですよ。こんなことではなかなか責任のある検査ができないじゃないか。同時に私はむしろ、六十人も必要であるが、質的に十分にあなた方の検査の執行ができるかどうか、そういう点におきまして、採用される場合においては、学校出たてというようなほやほやを採用するのか、それともあるいは経験を相当積んでおって、そうして御承知の通り検査に行かれる方は、これは国の税金を正しく使うか使わないかということを検査するのですから、裁判所の裁判官と同じように、何ものにも犯されず、何ものにも誘惑されず、正しくそれは検査しなきゃならない。そういう立場にあるだけに、よほどこの採用に質的に検討を加えて採用しなきゃならぬと思うのだが、同時に六十人程度で本当にあなた方が企図しておるような適正な検査ができるかどうか、こういう点がおそらく吉田さんの御質問であり、私もこれに関連して、さらに重ねて申し上げておきたい次第であります。
  78. 池田直

    説明員池田直君) 私の吉田さん、千田さんの御質問に対しまするお答えが悪かったので、なお私から御説明申し上げます。六十名の量的の面において、なお質的な面において、どういうふうな考えをもって検査の徹底を期するべく会計検査院は考えておるかどうか、それでいいのかどうかという御質問と存じますが、会計検査院といたしましては、数の点におきましてはもとより六十名で必ずしも十分というふうには考えませんのでございまするが、国の全般の経費予算関係、財政の関係等も考えまして、最小の経費をもって最大の効率を上げることが一番大事ではないかという考えから、六十名ということで会計検査院といたしましてはさしあたり満足いたしておる次第でございます。なお、もちろんただいま御意見にもございました通り、質的な面が最も大事でございます。従いまして、そうした点も会計検査院といたしましては考慮して、六十名の要員の内訳、吉田さんの方からも御質問があったのでございまするが、内訳を申し上げますと、十四級職一名、十三級職三名、これが局長、課長ということになりますが、副長、課長補佐の級で十一級三名、十級十名、係長のグレイドの方で十級四名、九級十三名、八級十一名、主任というグレイドで八級三名、七級十名、以上六十名になっております。結局主任級以上の職員を六十名増加ということになりまして、できるだけただいま御意見にもございました通り、技術その他の面も考慮いたしまして、部外からなるたけ優秀な人材を採用いたして事務の能率をあげたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。なお研修等のことにつきましても、御意見にもございました通り、質の向上をはかることが最も大事でございまするので、たえず機会あるごとに部外からも講師その他の方を招聘しまして、講習会、講演会等を開いたり、また部内の堪能な優秀職員を講師としまして、部内の職員の講習等もたえず行なっておるような次第でございます。
  79. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私の質問に千田さんから補足していただいて半分くらい答えてもらったのですが、なお半分残っておりますので答弁を願いたい。それからもう一応そういう事務的な説明じゃなくて、やはり多少は責任のある答弁ということになりますと、事務総長じゃなくて、もっと委員もおいでいただいて御答弁願うべきたという、私はこれは委員長なり、会計検査院当局に要望を申し上げますが、それについてどういうように考えられるか、まずお尋ねをしておきたい。それから今の答弁の中にもありましたが、六十人云々という線から言えばほんとうはもっとほしいのだ、しかし国の財政もあるから六十人でしんぼうしたのだ、こういうことであります。これはその通りであると思う。そこでそれでは六十人にしぼって要請をいたしましたが、それでは六十人ふえたから十二分にこれでやれるのだというところはおそらくあるだろうと思う。それには従来に比べてどういう方法でやって行くか、こういう決意があるべきだと思う、それをお尋ねをしているわけであります。先ほどどろぼうを考えて、どろぼうの看守をつけたら、看守のまた上に看守をつけなければならぬ、こういうわけですが、会計検査院なら会計検査院の法規に基いて、決算その他の場合にも従来の違法あるいは不当というものがいいかげんに見逃されておったら、いつまでたっても繰り返される、こういうことでございますので、そこで建設省、農林省その他会計検査の必要のふえたところに人間を、会計検査の職員をふやして、会計検査の充実をはかりたい、こういうことだが、そういうことがなくなるために会計検査の方法、あるいはその後の処置において、こういうようにいたします、あるいはそれは一罰百戒かもしれませんが、こういうことをいたしますので六十人で御期待に沿います、こういう所信と申しますか、方法について責任のある御答弁がなされなければならぬと思うのであります。そういう点についてどういう御用意と御決意がありますか、承わりたい。
  80. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 吉田さんに……。ただいま委員長からというお諮りでございましたが、本日のは慣例によって会計事務の担当者を呼んでおりました。政策業務面においては検査官を呼ぶのが至当だということでございますが、いずれ総括その他においてまた御必要がございます点についてはそう方針もとりたいとは思いますが、ただいまのあなたの御発言をよく事務総長及び出席者にお伝えして、目的の達成するように委員長から強く要望しておきます。
  81. 池田直

    説明員池田直君) ただいま委員長からもお話がございましたが、私からも帰りましたら検査官会議の方によく御趣旨をお伝え申し上げておきます。なおほんとうは六十名以上を要するのであるが、六十名をもってがまんした以上は、何かいい工夫をこらして不足の要員の穴を補うべく決意が、またいい工夫がなければならないじゃないかという御意見ごもっともに存じます。私どもといたしましても、そうした考えを当然持たなければいけません。会計検査院は、戦後現在までの増加状況をみますと、終戦後、終戦当時の要員に比べまして三倍になっております。従いまして、当初のうちは事務になれない者、適当でない者等も相当多かったのでございますが、実際今日までみんながよく勉強し、また一面幹部職員がよくこれを指導し、訓練いたしたために、相当資質の向上が現われておりまして、逐年能率が上っております。今年よりも来年はもっと上るものと考えております。なお一そう従来にもまして職員の資質の向上訓練に当たるつもりであります。一面現在の会計検査院の重点といたしまして検査を施行いたしておりまするのは、この六十人の増員の対象になっておりまするいろいろの補助金、その他先ほども御意見がございました通り防衛庁、そうした重点的な点を一そう取り上げまして、重点検査の徹底を期することにいたしております。いつも前年度の決算の検査を終了いたしまして検査報告が完成しますと、直ちに重点事項をさらによく検討をいたしまして、不足せる人員をもって能率の向上を一そう期するような方法をとっております。私どもの方の職員がそれぞれ検査の用を持っておりますが、やはり重点的にやるべきでありますので、さらに補助金等のことにつきまして、事務総長、官房その他の管理の職員、あるいは検査局の職員でも、さしあたり重点的な補助金あるいは防衛等の関係の経理に、検査の方に振り向けられる分は振り向けることにして、機動力を持たせて能率の向上をはかるというように考えている次第でございます。
  82. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 政府資金の面で、金融機関なんかも直接会計検査院で検査されるのですか。たとえば中でも開発銀行等は検査なさったことがありますか、なさったならばその結果はどういう結果であったですか、きわめて概略でけっこうですから……。
  83. 池田直

    説明員池田直君) ただいま御意見の通り、会計検査院は開発銀行の検査をいたしております。主として資金が開発銀行法その他の法規に適合して融資されたかどうか、回収すべき金は回収が適正に行われているかどうか、そうして管理の面等につきましても、検査を施行いたしております。検査の結果については、二十八年度の検査報告にはあまり現われておりませんが、一ころの開発銀行の前身、というものも語弊があるかわかりませんが、復興金融公庫当時と比べまして、開発銀行になりましてから非常に何と申しますか、私どもから申しますれば、堅実に融資等を行われているように、大体検査の結果を考えております。細部の事項につきましては、ただいま私はちょっと資料を持っておりませんので、御必要でございましたらまたの機会に説明いたします。
  84. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 質疑を終ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 御異議ないものといたしまして、質疑を終ることに決定いたします。     —————————————
  86. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 次に、休憩前に質疑を行なっておりました裁判所所管につきまして引き続き質疑を行ないたいと思います。
  87. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 事務総長がおみえになっていると思うので、説明がきわめて概略的でございますから、   〔主査退席、副主査着席〕  大へん質問がしにくいのでありますが、一点私どもが法務委員会で問題にいたしました、予算に関連して問題にいたしました裁判所が法廷闘争に立ち向おうという予算説明上の態度、これがどういうことになりましたか、伺いたいと思います。
  88. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 法廷闘争に立ち向うと、そういう言葉は何ですが、私どもの方としては法廷の秩序を何とかして維持して行かなければならない、法廷はなるべく静かなところであって、そうして被告の主張も、あるいは検察側の主張、あるいは民事では原告の主張、被告の主張が十分に法廷で述べられるような法廷でなければならない。それにはどうしても法廷の秩序というものが維持されて行かなければならない、かように考えているのであります。そのことを前提といたしまして、最近の法廷で、たまたまある種の事件においては非常に法廷が騒ぐ、そうしてややともすれば妨害等が行われる、かようなことに対しては、どうしても裁判所としては責任あるために法廷警備をして行かなければならない、その警備のためには警備員というようなものを、なるべく裁判所の内部で警備をして行きたいというようなところから、警備員というのを作りまして、そうして、しかもこれは最小限度に法廷の秩序を維持し得る最小限度の警備員を擁しているようなわけであります。
  89. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あのときのお方であるかどうかは実は記憶をしないのでありますが、当時の議論を、あるいは参議院法務委員会の意向等を参酌して態度を直されたかどうかということをお尋ねをしたのでありますが、一向どうも法務委員会でいたしました裁判所の予算要求に対する私どもの意見というものが聞かれたのか聞かれぬのか、はっきりしないで今の御答弁があった。もう一度申し上げなければなりませんけれども、答弁の中にありました原告、被告が同じ立場で裁判を受けるのだ、従って民事裁判においては、国民の名において行われる裁判においては合理主義が貫かれるべきであって、法廷闘争にこれは立ち向うといったような言葉が予算説明の中に裁判所から出ておりましたから、こういうことは裁判所の態度ではないのじゃないか、こういうことを申したのであります。裁判の能率化のためには、あるいは合理性を貫くためにはほかに方法があるだろう、いわば力に力をもって対抗する、こういうことでは所期されるような法廷の秩序も維持できないのではないか、合理性と申しますか、あるいは納得づくで裁判を進められるとするならば、法廷の秩序維持のための費用というものは少いがいいし、裁判官の人格によって、高い人格によってそれぞれを納得させながら訴訟を進める、裁判を進めるというのがこれが民主裁判のあり方ではないか、それに裁判所から出て参りました予算の要求書の説明には法廷闘争に立ち向う費用とは書いてございませんが、そういう趣旨の説明が書いてあったので、それは撤回をされて、費用の点の説明もだが、裁判の運営なら裁判の運営も合理的に、あるいは裁判官の高い人格によって原、被告納得させながら裁判を進めるという方向に進まるべきではないか、こういう要望をし、質問をしたのでありますが、それがどういうことになりましたかと、こういう質問であります。
  90. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 御意見ごもっともでありまして、あの法務委員会の説明のときに、法廷闘争に対処しという言葉を説明の資料に使っておりました、それはその後間もなく御注意によりまして対処しという言葉をはぶきました。さよう御承知願いたいと思います。
  91. 千田正

    ○千田正君 この予算のことについてお伺いするのですが、最近どうも社会秩序が乱れたせいか、いろいろな犯罪が激増をして来ておりますが、特にわれわれが感ずるのは、これは選挙に関係があるのですが、公職選挙法違反などが起きた場合になかなか裁判が迅速に行かない、すでにもう、今でも二年くらい前の選挙の違反を裁判しているような状況なんですが、これはもっと迅速に行かなくちゃならないと思うのですが、この予算や何かの関係上、まあ激増するところの犯罪の処理に、この裁判官なり、あるいはその他の人たちの手が足りないためにああいうふうな事件の処理が遅延するのかどうか、こういう点を非常にわれわれは疑惑を持って見ておるのですが、その点はどうですか。予算が足りないので十分にそういう余裕がない、こういうわけなんですか。
  92. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) ごもっともな御意見でございまして、ことにこの選挙違反が非常に長引く、法律には百日以内とありますが、なかなかそれが実行されない、私ども最高におるものとしても全国の選挙違反の事件を何とかして片づけたい、こういうような意味からいろいろ会同その他を開きまして、そうして裁判所としてはできるだけの、あるいは特別に選挙に対処する裁判所の部を設けるとか、いろいろな方法を講じて参っておるのでありますが、二面御承知の通り、今日の訴訟法の建前からいろいろまた被告の方にも理由がありますし、ことにこの選挙違反の事件は非常に弁護人の関係とか、あるいはいろいろ被告の関係で期日の延期されることが非常に多い、かような関係で、遺憾ながら選挙違反の事件は遅れているような実情であります。予算的には今年も私の方で超勤とかというようなものを要求しまして、そうしたその額は、ちょっと私数字を持っておりませんが、ある程度予算の中に計上されております。
  93. 千田正

    ○千田正君 もう一点伺いますが、予算作成に関しまして、まあ御承知の通り年々犯罪その他が激増して行くのですが、犯罪件数その他と対照して、所要要員の予算の組み立てをやっておられるのですか。それともまあこの程度ならば、まあまあこの程度でがまんしてやっておればどうにかなるのだ、こういう程度でやっているのか、あるいは昨年の予算に比較してこの程度のことでやって行く、こういう程度でやっているのですか、それとも何か現われて来た犯罪件数その他の処理というような実際的な問題と対照して予算を作成しておられますか、どうですか。
  94. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 大体裁判所の予算のうちの裁判費というものは、大体前年度実績を見まして、そして予想件数を立てまして、その予想件数によって予算の要求をいたしている、それがまあ大まかな建前でございます。最近この刑事事件は多少、今年度は昨年あたりから多少増して来たようですが、数年前よりも一般刑事事件の方は減って参りましたが、そのかわり交通事件とか、いろいろなものがまた莫大なふえ方をしている、かような状況でございます。
  95. 千田正

    ○千田正君 昨年日本に復帰しました奄美大島のような、ああいった何といいますか、離島ですね、はるかに本島から離れているようなところにおきましても、もちろん簡易裁判所などはあると思うのですが、そういう面における費用は十分にこの予算の中に見ておられますか。
  96. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) あの奄美大島の分は離島と同時に多分補正予算でやっていると思いますが、支部だと思う。地方裁判所の支部、家庭裁判所の支部、簡易裁判所の支部というものを設けまして、大体あすこの従来の事件から見て、これで対処して行けるのではないか、こう思っている次第でございます。ただしいろいろな建物、その他の設備については十分なものは用意はできておりません。
  97. 千田正

    ○千田正君 これはあなたの方には全然関係ないかもしれませんが、最近交通事故で非常な問題が起きておりますが、たとえば洞爺丸事件、この間の瀬戸内海の事件、ああいうものの海事裁判やその他に対して司法裁判の方は全然関係はないのですか、何かやはりオブザーバーとしてあなたの方でも参加するのですか。
  98. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 御承知の通り裁判は、要するに、ことに刑事裁判は公訴の提起がなければ裁判所としては全然タッチすることはできない、公訴の提起があれば裁判所に手続きがあるから、それまでは裁判所は全然タッチしてはございません。
  99. 千田正

    ○千田正君 もう一点伺っておきますが、裁判官のあるいは遠隔の地でいろいろな問題が起きた場合に、現地調査とか、あるいはそういう点において出張する、そういうものは十分に見ておられますか。
  100. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) 裁判になりました事件で、現地に行ってそして検証をするとか、そういうようなことはできるだけやっているつもりであります。予算的にもできるだけ、もちろんまかなえるようにいたしている次第でございます。
  101. 千田正

    ○千田正君 かつて経済事情が苦しいとき、裁判官なるがゆえにやみ米を買わずに、みずからその犠牲になった裁判官のあったことはわれわれ記憶しているのですが、今日裁判官の地位、それから名誉の立場で、この人たちの生活は十分保障されるだけの一体予算は組まれておりますか。
  102. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) まことに御質問のような事態が発生したということは私ども非常に遺憾に思っておったのであります。その後裁判官及び検察官等に対する報酬問題について非常な御同情ある国会の方の御決議によりまして、漸次改善されつつあるのではございますが、しかし今日なおいろいろな事情からして十分な待遇だとは私どもは思っていないのでありますが、何分国の財政の状態その他いろいろの点からして苦慮いたしているような次第であります。
  103. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今のに多少関連をいたしますが、私どもで実際に当ってみて、たとえば検証その他については十二分とは言われませんでしたが、十分のあれは予算があるかのようにお話になりましたが、実際にはなさそうです。たとえばこれは検証ではないかも知れませんが、違憲の主張を含んで訴訟をやりまして、たとえば警察法無効の訴訟、それから個別的な利益について違憲の主張を含んで訴訟をいたしますと、裁判官から、それをやると予算がなくなってしまって実際にはなかなかできません。こういうまあお話等もございました。お話の通り、何と申しますか、裁判所が型通りその所在地において裁判をして行くなら別であります。他に主張をする、あるいは委嘱して証拠調べをするといったことが行われておるようでございますけれども、実際問題としては足らぬように私どもは承知をする。それから給与の点は多少修正と言いますか、改善をされたかも知らぬと思います。給与のほかに何もない。そこでたとえば法務委員会等で問題になりましたが、図書館の費用と申しますか、あるいは判事さんたちが勉強をする費用といったものはこれは言うに足りない。自分の俸給の中からやるということになりますが、それは今一号あるいは五号に比べて幾らかということになりましたが、その中から税金を差し引いて参りますと、実際に自分で本を買って勉強をするということはなかなか困難だと思うのです。そうすると、それは裁判官のことでありますから、調査費という名前になるか、あるいは図書館の費用ということになりますか、俸給以外でやはりもっとみてやらなければ、実際に裁判官が高い見識を持ってやる、あるいは裁判の十分な機能を発揮するために証拠調べをする、あるいは証人等を十二分に呼んでやるということが実際問題としてできなさそうであります。   〔副主査退席、主査着席〕  その点については、これは一つ実情もお述べいただきたいが、考えるべきではないかと思うのですが、御意見を承わりたいと思います。
  104. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) ただいまの検証等に関する旅費等については、私どもはなるべく裁判の障害にならないように予算的には処置をして、無理をしてでもそう裁判の運営を渋滞さすようなことがないように常に心がけておりました。私どもとしては、まだ検証の旅費がなくてと言って来た場合に、それを都合しないでやって行ったというようなことはございません。しかしそれは個々の事件については、ある地方においてはあるかも知れませんが、その点はちょっと私の方は資料を持ち合せございません。それからこの給与の点について非常に御理解ある御質問の内容でございました。全くその通りでございまして、ことにいろいろ裁判をするために新らしいいろいろな問題を研究しなければならないというときに、十分な図書も買えないというような点は御質疑の通りであります。それに対しては最高裁判所の事務当局としては、あらゆる資料を印刷するとか、あるいは図書費の予算を請求して、そうして図書を各地へ配分するとかいたしておりますが、決して十分なものを配分できるわけではございません。さらにこの研究費という問題のこともございました。これはいつか、六、七年前の国会において実は研究費というものも衆議院へ提出いたしましたことがございました。委員会を通過しただけでそのままになってしまったような記憶がございます。私どもとしては今後やはりこういう研究費的のものについては予算的の要求をして行きたい、かように思っておる次第であります。
  105. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは重ねて申し上げるまでもなく、名目は何であろうとも、端的に申しますと、普通の行政機関でありますと、行政機関じゃないからそういうことになるのですが、出張旅費もなければ、あるいは食料費というようなものもない。実際問題として俸給と僅かな裁判推進のための費用があるだけですから、その点は一つ御考慮を願いたいと思います。  もう一つ、説明書に出て参っておりますたとえば調停委員だとか、それから国選弁護人その他の点について、これはほかの点もそうでございますが、実際に十分な運営がされるほどの俸給、あるいは費用弁償といったようなものが実際には十分支給されておらぬのではないかと考えるのですが、四のところに書いてございます国選弁護人の報酬、証人、鑑定人及び調停委員に支給する旅費、日当その他これについてどういう工合にお考えになっておりますか、実情とそれから所見を承わりたい。
  106. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) この調停委員の日当とか、証人の日当について、実際において払われていないというのは、証人が実際に請求しないで放棄しているのが多いのじゃないかと思いますが、裁判所の方で請求があった場合には、これを払わぬというようなことはございません。
  107. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 高は−…。
  108. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) ただこの点御了解願いたいのは、実は法律で証人の日当は一日出てくると百八十円なんです。百八十円の日当で出てきて、ことにいろいろ日雇いをされておるような人々が裁判所に証人で呼び出されて、百八十円の日当ではいかにもどうも裁判所というところは常識のないところじゃないかという非難がかなりございます。この点は法律の改正を待たなければならないし、予算的にも処置しなければならない。私ども今年度予算にも相当強く要望いたしたのでありますが、何ぶん一兆円予算とかいういろいろな関係から御遠慮申し上げたのでありますが、実際裁判の促進の一面からいっても、百八十円の日当で証人を呼び出して、そうして出てこないけれど科料にするとかいうようなことで、通知は出しておりますが、実際は考えると、まことにお気の毒だろうと思うのです。もとより証人は国民の義務でありますけれども、今日の物価等から考えてこの点は十分考えて行きたいと思います。また調停委員の日当にいたしましても、わずかに三百四十円、一件三百四十円となっております。これは全国で四万人ぐらいの調停委員がございまして、この人々によって大体この民事の事件の訴訟事件とほとんど同じ程度事件が片づいておる次第でございます。これは非常な国民の協力によって裁判所が助かっておる。しかもそれに対して一件三百四十円の日当をお払いするというのでは、よく笑い話ですが、裁判所の調停に出て行くと昼飯を食べるとどうしてもあとからリンゴを一つ食べようと思ったら足らなかったというような冗談話がございますようで、まことに何とか考慮いたしたいと思うのでございますが、今日では法律、一方は規則でございますが、さような状態になっております。
  109. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 ごく簡単なことですけれども、全体として約六億去年よりふえておる。それにつきまして最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所と、各要求額はありますが、この各項目について、これは各項目明細書を見ればすぐわかることですけれども、一般的の記載方として高等裁判所では幾らふえた、最高裁判所では幾らふえたということはちょっとわからない、まことにそのぶっきら棒な説明の仕方で、どうも木で鼻をくくったようなやり方で、あなたのところは一番ほかのものからみると、われわれのように予算を始終扱っているものからみると、そこがおかっているにかかわらず、こういうようなやり方である。それで一応ふえ方はどういうふうにふえているのですか。ただ下級裁判所の機構並びに経常的な行政事務がふえたのだと、こういうのだけれども、そうなればそう大してふえるおけはない。何かそこで改良したものがあるのですか、あるいは建物が腐朽したので直したものが、営繕のもので幾らというようなことがなければならない。同じものなら裁判所の事務も昨年より少しもふえないのが当り前だ。そのわけを一つお聞きしたい。それからもう一つは、裁判所法によって予備費を設けておられるが、これは昨年は幾ら、本年は幾ら、そして大てい八百万円程度で賄いがつくものかどうか、要求はあるけれど大蔵省の査定で減ったのか、これだけちょっとお伺いしたい。
  110. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) こまかい数字のことになりますので、経理局長から御説明申し上げた方が的確だろうと思います。
  111. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) ただいまのお話でございますが、前年度と比較いたしまして、ふえたものと減ったものとございます、この分け方でございますが、ただいまお尋ねの高等裁判所で幾ら、地方裁判所で幾らという分け方もございますが、それを申し上げます前に、もう少しこういうふうに申し上げた方がわかりやすいかと思います。それは人件費とか、物件費とかに分けまして、最高から簡易まで全部を通じまして、前年度と比較してどうなっているかというふうに申し上げます。まず人件費でございますが、人件費は二十九年度と比較いたしまして、ふえております額は一億八千九百万ばかりでございます。これがふえました理由は、裁判所の定員は二十九年度に比べまして二百八十名ばかり減員になっておりますが、一般の昇給をみましてそれだけふえております。それから旅費の方は逆に五百万ばかり減っております。それから庁費の方は三百四十万ばかりふえております。それから裁判諸費の方が八千四百万ふえております。それから営繕費が三億二千六百万ふえております。それから予備費は、これは四、五年前から八百万というふうに相場がきまったような形でございまして、不測の費用にはこれだけではとても足りないのでございまして、ただし足りませんときには大蔵省の方の予備費を要求いたしまして、ある程第出してもらっております。たとえば災害復旧費というようなものは出してもらっている実情でございます。
  112. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) この際私もちょっとお尋ねしておきますが、法務大臣は、大蔵省が出してくれないといったが、例をとれば長野の裁判所及び検察庁などは明治十八、九年に設置したもので、その後、さっぱりとはいいたくないのだが、まあ営繕費がきわめて悪いので、私この間行ったら、知らぬで板の間を靴でちょっと踏んだら割れたというようなところを二、三カ所みたのだが、裁判所の営繕費は二億幾らと今聞いたのでありますが、新設のものでありますか。全国におけるところの裁判所がすでに六、七十年という建物でありまして、新たに改修、修理をしなければならない場所がたくさんあるが、事務的には熱心だが、こういう方面には大蔵省の御理解がなくて、いまだに検察などは雑居して調べておるという、すべての問題が共通的にわかってしまうようなことがたくさんあるが、この営繕費関係では法務大臣が言った通りに大蔵省が割合に理解がないのか、こちらの方で要求しなかったのか。全地方におけるところの裁判所、あるいは検察庁その他の関係において、われわれは予算関係上、それぞれ視察あるいは調査したが、裁判所関係が一番悪いと、こういう結論になるのだが、この点について事務総長から聞きたいと思います。
  113. 五鬼上堅磐

    説明員(五鬼上堅磐君) この最高裁判所の予算の中でも特に私ども苦労いたしておるのは営繕費でございます。と申しますのは、裁判所のこまかいことは、あるいは数字的にはあとから経理局長から申し上げてもいいですが、建物というのは、たとえば慶応三年の建物から明治四年、明治十四年というような建物、その他約半数以上が三十年以上経過しておるのです。そのほかに戦災にかかった庁舎の復旧しないのもまだございます。さようなわけで、旧来の庁舎が悪いほかにいろいろ、家庭裁判所だとか、簡易裁判所という新しい制度ができて、これも営繕をやって行かなくっちゃならぬ。その予算においては昭和二十五年以来というものは大体年額八億あるいは十億、六億というような程度であったのですが、二十八年度以来、政府のいわゆる官庁営繕を押えるというあの方針で、二十八年度予算が六億になり、二十九年度予算は大体その三分の一で二億五千万円、かような状態でして、どうにもならない状態であったのであります。で、私どもとしては、ことしは何とかしてこれは行かなければならぬ。万一政府の方と話がつかなければ、たとえ一兆円予算といえども、何とか裁判所の営繕をやって行かなければならぬというので、いろいろ政府に要望いたしたのであります。もし少しも要望がきかれない、昨年のままであったというならば、裁判所の予算は御承知の通り財政法によって国会に提出して御審議を仰げる、いわゆる二重予算の制度があるから、この制度を利用してでもなおかつしようというような考えを持っておりましたのですが、幸いことしは一兆円予算のワクとし、また昨年と比べまして全体で五億八千万円くらいの営繕関係予算が認められますので、これで何とかことしを過ごして行きたい、かように思っておる次第であります。
  114. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 他に裁判所関係に対する御質疑はございませんか……。質疑がなければ、質疑を終ることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 御異議ないものといたしまして質疑を終ることにいたします。   これをもって昭和三十年度予算中、本分科会に付託されました各所管の質疑を終局いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 御異議ないものと認めます。  それでは以上をもって審査を終ります。なお委員会に対する報告はあらかじめ主査に御一任をお願いいたします。   〔「了承」と呼ぶ者あり〕
  117. 池田宇右衞門

    主査池田宇右衞門君) 各委員が盛夏の暑さにもかかわらず、御熱心に御審議を下さいましたことにつきまして、主査といたしまして深く感謝の意を表しまして、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会