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1955-06-26 第22回国会 参議院 予算委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十六日(日曜日)    午前十時三十二分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            吉田 法晴君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            小沢久太郎君            左藤 義詮君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            梶原 茂嘉君            高木 正夫君            廣瀬 久忠君            秋山 長造君            小林 孝平君            永岡 光治君            田中  一君            永井純一郎君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君   国務大臣    法 務 大 臣 花村 四郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 謙三君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  石橋 湛山君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    郵 政 大 臣 松田竹千代君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 大麻 唯男君   国 務 大 臣 大久保留次郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 瀧藏君    内閣官房長官 田中 榮一君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正己君    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    調達庁長官   福島愼太郎君    調達庁次長   山内 隆一君    自治庁財政部長 後藤  博君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    経済審議庁総務    部長      酒井 俊彦君    経済審議庁調整    部長      松尾 金藏君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    外務省参事官  安藤 吉光君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    文部政務次官  寺本 広作君    農林大臣官房長 安田善一郎君    食糧庁長官   清井  正君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    建設省計画局長 澁江 操一君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 干冬君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれから委員会を開きます。
  3. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はまず通産大臣からお伺いして行きたいと思うのであります。  第一は、電力料金問題のその後についてであります。電力料金の問題は、先般夏料金に切りかえの際、いわゆる三割頭打ちというととで一応納まっているような形でありますが、しかし前前から政府においては料金引き下げと言いまするか、あるいはまた今後電気料金値上りになるような要因をいろいろ押えておくという意味検討を約束されておるのでありまするが、その後どういう措置をとっておられるか、どういう検討を進めておられるか、まず承わりたい。
  4. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 電気料金につきましては、お話のように、ぜひ少くも今後の値上りを押えるということの方針検討を進めておりまして、これはまあやりようはやはり税金の問題、あるいは開発の場合の資金負担の割合、あるいは金利問題等ございますが、いろいろ複雑でございますので、まだ結論に達しておりません、いずれまとめまして措置をいたしたいと考えておりますが、まだ最後のまとまりがついておりません。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 政府は最初のころは開発資金に対する金利の引下げ、あるいは国税地方税を通じての税の引き下げというようなことは、これはぜひやるのだというようなことを固く約束されておったのでありますが、その後いろいろ説明を聞いてみると、根本的検討を加えるとか何とかいって、また問題が非常にぼやけてきているように思うのであります。ことに電気事業法どもこの国会ではぜひ出す、前国会でも終りごろすでに出るのじゃないかといっておったのでありますが、一向出る気配もない。それから開発コストを非常に高くしておりました例の補償の問題でありまするが、補償問題についても補償に対する一定のめどと言いまするか、基準を設けるというようなことも言っておったのでありますが、これも一向出てきそうにないのでありまするが、まあ騒ぎのときには非常に緊張されるが、その問題が過ぎれば、すぐすべてがなおざりにされておるまうな気がするのでありますが、懸案になっておるすべての問題が停滞しておるように考えられるのでありまするが、一体どういうことなんでしょうか、何か抜本的の検討をされておる大きな問題でもあるんでありまするか、ただいまの答弁だけでは私は納得できないんです。
  6. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 遅れておりますこと、まことに申訳ございませんが、方針一つも動かしてはおりません。今先ほど申しましたような方針によって進んでおり、内部の検討を加えており、まだそれを具体化して法案等にいたすまでに至っておらない、こういうことであります。
  7. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは一つ一つで聞いて行ってみたいと思いまするが、電気事業法などが非常に停滞しておるというのは、あるいは始終政治問題になっておりました施設復元の問題、いわゆる自家用施設の復元問題、こういうことにでも引っかかっておるのでありますか、あるいはまた経審長官が、この前の国会でも言われた電力再々編成の問題の検討というようなことにでも関連して引っかかっておるのか、どうなんでありましょうか。
  8. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 電気事業法は、御承知のように以前できておるんでありますが、しかしこれを改正案として御審議を願うのには、今お話のような、いわゆる再々編成というような問題、あるいはそのほかの根本問題についてもう少し検討を加えまして、電気事業そのもの料金問題も含めまして根本的な問題が解決いたしませんと、単に電気事業法という、前からの考え方の電気事業法を御審議願いましても、むしろ無意味になります。かような考えから、今国会においては電気事業法は御審議を願わないことにして、さらに御審議を願うときには根本的な問題の解決と合わせてお願いをしたい、かような考えで遅れておる次第でございます。特にしかし何のために行きつかえておるという特段の問題があるわけではありません。全体としての調整を要するために遅れておる、こういうことでございます。
  9. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは、経審長官にあわせてこの際伺っておきたいんですが、電力再々編成という問題についていろいろ御研究されておるようであり、あるいはまたこの前の国会でも発言があったんですが、その後どうなっておるでしょうか。
  10. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 電力料金引き下げるという問題及び電力をいかにして均分に分配できるか、こういう問題から発足いたしまして、現在の電力会社のあり方がいいか悪いか、この問題をいろいろ研究検討をいたしておるわけでありまするが、この前に御質問になりました再々編成問題等も、これにからみまして研究をいたしますればいたしますほど、ますます困難性があるわけであります。一長あり一短ありして、なかなかこの結論に到着するには、よほどもっと慎重にやらなければならぬと存じまして、ひとり役所だけでなく各方面意見をただいま検討している最中でございますが、非常にむずかしいということだけはだんだんわかってきておるような状態でございまして、まだとてもここしばらくの間に結論には到着しないわけであります。検討中でございます。
  11. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この再々編成とか、なんとか、こういう問題が出ますと、やはり地方は相当動揺して騒ぐのであります。軽々にやはりこういうことは言えないと思うのでありますが、ただいまの長官答弁でなかなか困難であるということはだんだんわかってきたというお話であります。しからば再々編成の線でやはり研究を続けるのか、それともしばらくは再々編成という問題は棚上げであるというのか、そこらをお聞きしたい。
  12. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま御説明申し上げましたごとく、なかなか検討に相当の日にちを要するわけでありますから、再々編成問題は、ここしばらくの間は実行に移すのははなはだ困難だろうと思っております。
  13. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 料金引き下げの問題として、金利税制補償の問題があるわけでありまするが、金利については、一般金利すら若干下げることを考えなければならぬ情勢だというようなことでありますが、それならばなおさら電源開発に要する開銀資金等の利息をこの際幾らか下げるということについて、通産大臣大蔵大臣等はもう少し真剣に検討していいのじゃないかと思うのであります。六分五厘の開銀利子を幾らかでも下げるという考慮を持っておられるかどうか、大蔵大臣から聞きたい。
  14. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今日開銀から出ております電力資金は六分五厘になっておりますが、これは他の基幹産業に対する金利と同じであります。今回石炭についても六分五厘、こういうふうになっております。従いまして、今日開発銀行金利をさらに電力に対しては下げる考えは今のところ持っておりません。ただ私の考えでは、電力について総合的な計画が樹立されて、そうして真に安い電力を供給する、他にもむだがないように、どうしても金利とか、あるいは税金ということについても考慮を加える必要があるというような状況下においては、考えることはやぶさかでも必ずしもないのでありますが、まず電力会社等はしばらくおいて、単に電力を安くするためにすぐに税を下げる、あるいは金利を安くする、これは全く国家の補助金に類するものになってしまって、これでは結局私は電力コストを下げることに役立たないという見解に立っております。これらの点について今後総合的な計画と相まって考えて行きたい、かように考えております。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 通産大臣は、こういうコスト引き下げのための金利引き下げというようなことについて大蔵大臣等に働きかけることは、まあ努力は続けておられるのかどうか。との問題はやはり大蔵大臣が今言われたようなことで、しばらく見送っておられるのかどうか。
  16. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 金利はもう全般的にどうしても下げたい。これは大蔵省関係もございますが、大蔵大臣も全般的に金利を下げるということに御努力を願っておるわけであります。その中で特に基幹産業金利をどうするかという問題がありまして、今度の石炭については、とにかく六分五厘にするということまでは大蔵大臣の了承を得ておるわけであります。さらに電力につきましては、いかにも金利負担が非常に大きい部分を占めますので、なお大蔵大臣考慮も受けたいと存じて話は常に出ているわけであります。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 次に税の方でありますが、税制の問題についてもどうもその後何の措置もとられていない。国税についてももとよりでありますが、地方税の面についても、電力問題についてはいわゆる電気ガス税というものがありまして、これは地方財政現状からいって、今これをすぐどうするということは私は実際問題として困難だとは思うのでありますが、これはどこから見てもやはり非常な悪税であろうと思う。国税地方税を通じて根本的な検討が加えられるような際には、電気ガス税というものはやめるように考慮したらいいのじゃないかと思うのであります。それから事業税についても外形標準課税になっておりますが、これを収益課税にすれば三分の一くらいで済む。との問題も、たとえば交通業についてみても、地方鉄道や軌道は外形標準でやっているが、バス事業は最近は収益課税をやっているというように、一つ一貫性はないのでありまして、陳情とか、運動の強いところにはそういうふうに安くなるような努力をしているのであります。電気事業等についても、収益主義によって行けば三分の一くらいに減るのであります。これは地方としては非常に困るところも出るのでありますが、それは税制全体で、国税地方税を通ずる全体問題の研究の際に検討して行かなければならぬと思うのでありますが、こういう問題について自治庁なり、大蔵省、あるいは通産省は何か研究をされているかどうか、承わりたい。
  18. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 国税地方税の総合的な関連性につきましては、大蔵大臣から御答弁があるかと思うのでありますが、地方税に関しましてはお説の通りであります。外形標準課税方式による場合は、収益課税方式による場合よりは相当多額の税金が収納になっておりますが、現在の地方財政現状から見ましても、もう一つは、外形標準課税方式の方が確実な計算が出ますという点から見まして、今なおこの形式をとっているのでありますが、前年来石原さんからもいろいろの御意見もありまして、昨年もこれにつきましてはある程度の改正は加えたのでございます。事業税に対しまする標準税率を一・六%から一・五%に引き下げまして、また電気事業用償却資産の問題でありますが、この固定資産税額は、新設の場合は五カ年間は標準の三分の二を軽減する、その後の三カ年間は三分の一を軽減するという点の改正も加えておりますし、また不動産所得税を昨年新設しましたが、発電施設に対しましてはこれを課税しない、こういうふうなごく小部分ではございまするが、一応電気事業負担を軽減したいという方向に持って行っておりますが、何といたしましても現在の地方財政状況が非常に悪いのでございまして、一挙にお心のように解決ができないことは御了察願いたいと思うのであります。
  19. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はここまで質問を続けてみただけでも、電気料金引き下げというような問題についてどの省が一体責任持って真剣に考えておるか、どうもわからないのです。私はこの電力料金というか、電力事業というものは、これは国の基幹童業であって、この問題が物価の引き下げについても、輸出の振興についてもやはり相当大きな問題を持つし、それから民生安定の上においても電力料金を安くして行くということは、これは非常な重要な問題であると思うのでありますが、一体この電力料金を下げるとか、あるいは今後上らないようにするとかいうことについて、どの大臣責任を持って真剣に検討しておるのかもわからない感じがするのであります。ことに補償問題で非常に手を焼いて、補償に対する一つめど基準を作るというようなこともいろいろ言われておったのでありますが、それも通産省建設省農林省経済審議庁、各省が縄張り争いというか、いろいろ案を立てて争ってばかりいて、まだ何らまとまったものもないと思うのでありまするが、補償問題はどうなっておりますか。
  20. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この問題は、私はかって電源開発におりましたときに非常に痛感いたしたわけでございまして、きのう本院におきましてもいろいろ御質問があったような工合に、なかなかこれは厄介な問題でございますが、公正にやって行かなければならぬ、といって、できるだけやはりその補償を受ける側の方の人たちに同情的にやらなければならと思っておりますが、同情すればまた悪い結果を来たすというので、事業振興する上においては、なかなか困難性が多い問題でありまして、農林省建設省と、それから通産省と三省の案をまとめまして、現在審議庁でこれを一括して審議しておるようなわけなんでありますが、民間におきましても、この問題につきましては、なかなか真剣に検討してもらっておるようなわけであります。で、この問題はなるべく早く取り上げて審議庁でまとめて進んで行きたい、こういうように思っております。
  21. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この電力料金の問題は、私はもう少し政府においても責任を持って真剣に一つ検討してもらわなければ、いろいろたくさんの問題があるのでありまして、これを一つ一つやはりだれかが責任を持って真剣に検討して行かなければ、どこかがやっておるだろうというようなことで、もうただいまこれだけの質問をしてもわかったのでありますが、一向投げやりで、だれも本気で研究しておるところがないような感じを持つのであります。非常に遺憾であります。それで十月になりまするというと、また料金切りかえというような問題が起きてくる。ところがこの三十年度の間にまた新らしい水力電源開発等も行われるわけでありまするが、高いコストのかかった電力が今度は出てくるわけでありますが、またぞろ電力料金値上げであるとか、いろいろな問題が叫ばれぬとも限らないのであります。こういう問題に対して、政府はいろいろな要因について努力をして、将来電力料値上げにならぬように万全な措置をとる。ことに十月改訂の際には絶対に値上げをしないというようなことがはっきり言えるかどうか、伺いたい。
  22. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 電力料金、これは今補償問題なぞにつきましては、建設省その他いろいろ関係するところがあります。それからまた電力料金も今の税の問題、あるいは金利問題になりますると、通産省だけでは処理ができません。しかし私ども通産省の方で電力料金のことは中心になって研究をし、何とかまとめることに努力をしておるわけであります。この前の四月でありますかの時の家庭料金三割頭打ちということで、少くも来年の三月三十一日までは現在の電力料金値上げするようなことは絶対にないつもりであります。
  23. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 時間がないので次に進みますが、私は日本燃料資源というものは、まあ石炭を見ましても、石油を見ましても、残存資源というものはきわめて少い。水力方面を見ても残されているものは相当ありますが、これは条件がだんだん非常に悪くなってくるので、今後は新しいエネルギー研究に待たなければならぬことは言うまでもないことと思うのであります。幸い今回濃縮ウラン協定によって原子力エネルギー源研究されることになるのでありまするが、この原子力発電というようなものは、まあ大体この協定によってウランが入ってきて、日本で実際に原子力発電考えられるというようなのは、まあ何年ぐらい先のことに考えていいのかどうか、承わっておきたいと思います。
  24. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。大体アメリカ及びイギリス辺では、これは十年ぐらい先には利用できるだろう、こういうふうな推測が行われているということを私どもは聞いておりますが、日本といたしますれば、研究の方は十年間戦争中のためにおくれておりますが、極力これを取り返しまして、アメリカイギリスよりも、あるいはエネルギーに資源的に恵まれていない日本といたしますれば、これを十分に早く取り入れたいと、こういう考えでやっておりますから、五年十年というふうな私のこれは一つの勘でございますが、私の勘ではそういうことで今進んでおるように存じております。
  25. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 まあ五年ぐらいということであれば、非常にこれは近い将来の問題になるのでありまするが、水力発電ということはこれからだんだん条件が困難になって、場合によっては無理をして非常な大きな農地をつぶさなければならぬというようなことにもなってくるのでありますが、原子力発電がまあ五年先ぐらいには考えられそうだ、しかもこれはコストにもよりまするけれども、非常に安いというようなことにでもなれば、これは将来の日本水力発電計画というものも相当考え直して行かなければならぬのではないか。非常血大きな資本を投じておいて、まあそれがむだということでもありませんが、かわるべき非常な簡単なものができるということになったならば、これは相当の問題になると思うのでありまするが、こういう点について、まあ将来の電源開発計画等についても何かそういう見地から改訂というか、検討を加えられているようなことはございますか、承わりたい。
  26. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。水力電気開発につきましては、お説のごとく、今後ますます電気としての生産コストから割り出せば割高についてくる、開発困難性が増してくる、こういうことは考えられるわけでありますが、しかし水力電気開発は、ひとり電気というだけでこれを見ることは私は間違いだと思います。どうしても治山治水という問題、もう一つは、この水を如何に有効に利用するか、これは非常な大きな問題だと存じまして、今後日本工業力が発達し、エネルギー資源原子力によって得られるというふうなことになってきた場合には、一番先に不足を生じるものは水でありまして、この水をどうして補完するかということは非常な大事な問題だと存じます。そういう意味から申しまして、単純に電力料金が高くつくから水力あと回しだと、こういうふうな考えでなくて、水力開発はやっておいても、原子力発電とは何ら抵触しない問題だと存じまして、並行的にやりたいと存じております。
  27. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大体わかりました。ただ非常な無理をして大きな農地をつぶしたり、狭い日本の耕土をつぶしたり、いろいろな問題が起るような場合に、私はある程度考えて行かなければならぬのではないかということを申し上げたので、この点考えてもらいたい。  それから最後に、原子力関係最後でありますが、原子力利用推進機関と言いますか、これは昨日もここでいろいろ議論されたようでありますが、本日新聞で見ましたが、工業技術開発会社というようなものを作るというような構想があるようであります。それからまた官民合同財団法人のようなものを作って考えて行きたいというような経審長官の御答弁もあったように思うのでありますが、大体今後この原子力利用推進機関としてどういう構想を持っておられるのか、もう一度ここで伺っておきたい。
  28. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 今朝、新聞に出ておりましたが、工業技術云々というのは、これは全く新聞の方でいろいろの報道を寄せ集めて作ったものと思います。研究はむろんしておりまして、それはあれにもちょっとありますように、朝鮮銀行残余資産が七、八十億ある、それをどうするか。これはいろいろ議論がございまして、なかなかこれは結着しておらぬのでありますが、一つの案としては、これを科学技術振興費に、これを振興する補助金等を出すファンドとして利用するのがいいじゃないかという説が、朝鮮銀行の旧株主有志者などからも出まして、もしそういうことになれば私ども非常に幸いだと思って研究はいたしておりますが、まだその案が決して固まっておるわけでも、あるいはほかの閣僚諸君にも相談しておるわけでもございません。どうか新聞の記事はあれだけのものと御承知願いたい。それから原子力の方の受け入れ態勢等については、昨日高碕長官からこの席上で申し上げた通り、役所としては、あるいは経審等におきましてこれを取り扱う。受け入れ態勢としてはできるだけ民間の資金、あるいは人も入れた一つの財団というようなものでやって行ったらよかろうじゃないか、こういう大体の構想を描いて今経審において研究中であります。
  29. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 農林大臣見えられましたですか。
  30. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) おります。
  31. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 次に、農林大臣の方に伺いたいと思うのでありますが、政府は米価は、われわれはただいま予算を審議しておりまするが、予算成立までにきめられるのでありますかどうか、これはわれわれ予算審議上重大な関連がありますので承わりたい。
  32. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。大体の方針といたしましては、二十八日に米価審議会を開くことに御案内を申し上げてありますから、その二十八日の米価審議会に、これは具体的に申し上げますと、麦の価格を諮問する予定で招集してあるのでございまするけれども、なるべくその二十八日の米価審議会に米の方も一緒に諮問いたしたいと、こういうことで最善を尽しておるわけでございますから、従いまして、三十日までにはぜひきめて、そうして諸般の手続を終りたいと、こういうふうに考えております。
  33. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと、大体この審議中にきまるということになるようでありまするが、この間から問題となっておりました予算米価と、それから今後どういうものがきまるのかわかりませんが、きまったものと違っておるというような場合には予算を修正されるのでありますかどうか、承わりたい。
  34. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これは決定いたしました上で詳細な具体的なお答えは申し上げたいと思いますけれども、大体修正をするというような、組みかえを必要としない範囲内におきまして、食管特別会計の操作によってやりたいと、こう考えております。
  35. 石原幹市郎

  36. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今の農林大臣のお答えと大体同じ考えを持っております。
  37. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はよくそういうこまかいことが、こまかいというか、予算のことがよくわからないのですが、われわれ今出されて審議しておるこの予算と非常に違ったものがそとへ出てくる場合、修正も組みかえも何もしないで、いろいろな操作でやれるんだというようなことになるというと、われわれ何だかまじめに予算を審議しておるのがばかばかしいような感じもするのでありまするが、よくそこをわかるように、どういう財源があって、どういう操作によってそういうことができるのか、きまらない前に聞くのでありまするから、これはさまってからでなければ言えないということになれば、それまでのようでありますが、しかし新聞報道、あるいは各大臣のいろいろの言動等から、予算米価がそのまま出るとはわれわれは想像できない。どういうふうなからくり、措置がとられ、どういう財源があるのか、一つわかりやすいように一ぺん説明しておいていただきたい。
  38. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) せっかくのお尋ねでございますけれども、今申し上げましたように、両三日中に結論を出してお答え申し上げませんと、またこれはいろいろ御承知の通り、まだ部内におきましても検討中のことでございまするから、それまで御猶予をいただきたいと、こう考えております。
  39. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 どうもわからぬということであれば、これ以上説明できないということであれば聞くこともできないのでありますが、しかし予算審議中にもし変ったものが出るということになるとすれば、われわれとしてもそこで相当聞いてみたり、いろいろのことをしなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、できればここで大よその概念、概略を聞いておけばいいと思って伺ったのでありますが、それでは今度の予約制度と予算米価の問題等とからんで、どうも私はこの予約制度というものはもともと若干無理があるのじゃないか。予算を作るときには一応米価をきめなければなりませんから予算米価というものをこしらえなければならぬ。それがその後のまだ豊凶も何もわからないで予約をするのでありまするから、作付前にある程度の米価をきめて行かなければならぬということも、これは当然起る問題で、こういうふうな政治問題となると、までは考えないで軽々にきめられたのではないかというような気がするのでありまするが、農林大臣、今日の心境いかがでございますか。
  40. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。これは今のお話でございますけれども、私はそういう点におきましては、別に当時考えておりましたことと今と変りはないのでございます。たとえて申しますれば、九月の終りに米価をきめますにいたしましても、あとから減収加算というものを余韻を残してきめるのでございまして、今きめますのも、結論は豊凶は程度の相違はむろんございます。従いまして、私は九月説を初めはとっておったのでございますけれども、それを米審の御忠告もございましたので、それなら今きめようということに変えたのでございます。しかし変えるにいたしましても、これはいずれにいたしましても、御承知の通り食管法の規定に基きまして、むろんある趨勢値は出るのでございまするから、それに基いてきめるということは必ずしも困難なことではないのでございまして、また今日全国各農村の現状を見ますると、この予約集荷制度につきまして、大へん農家の方々の御理解と御協力を得るよろな段階にある、実態にあると私は想像いたしておるのでございます。従いまして政府におきましてすみやかに米価を決定いたしまして、これによって一段の努力をいたすことによりまして、私はむしろ昨年以上に成果をおさめることができるのではなかろうかと、ひそかに期待いたしておる次第でございます。
  41. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 われわれといたしましても成果をおさめられることを祈るのでありますが、もしもこの予約制度というものが、今でもこれだけの騒ぎになっておるのでありますから、不成功、うまく行かなかった、期待したような効果が出なかったという場合には、前に戻ることを考えられるのか、それとも予約制度もいかぬということであれば、思い切って当初の方向に向って、いわゆる統制撤廃の方向へ進もうとするのかどうか、本制度が非常にまずく行った不成功の場合にはどういう措置をとられるか、農林大臣のお気持を聞いておきたい。
  42. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私は率直に申し上げますが、私自身といたしましては諸般の準備をととのえて、いわゆる私が申し上げまする間接統制の方向へ行きたいという考えを、これは私の考えでありますが、そういうふうに考えておったのでございますけれども、これは各方面の権威の方々のお集まりで、いわゆる米穀懇談会で、一応この予約制度でやるということが一番よかろうということで御答申がありましたことは御承知の通りであります。しかもその米穀懇談会の席上におきまして、いろいろ御懇談の際の結論といたしましては自由販売の方向を目途として、そうしてこの制度にまずよるべきであるということが結論でございますから、従いまして、この制度は私は失敗をするとか、この制度で非常にまずくなるということは考えておりませんけれども、しかし今のような方向はどうかとおっしゃれば、これは一致した方向が、将来の日本の米のあり方としては、そういう方向に行く方がよかろうということで、私が主宰いたしまして、各権威の方々の一致した御意見でありましたことは、ここで申し上げることができますし、私自身といたしましても、かねて申し上げたつもりでおります。さればといって、誤解があるといけませんから、いま一言お許しを願いたいのでありますが、お前は、これはむしろ成功しないで失敗すれば、かえってそれを喜んで自分の初めの方向へ持って行くつもりだということをよく伺うのであります。そういうことは私は決して考えておりません。この制度が今年失敗すると私は考えておらぬのでございまして、絶対にこれによって所期の目的を達成し得るものということは、ひとり私だけでなしに、各農業団体の諸君も非常な意気込みで御協力いただいておりますことは御承一知の通りでございます。
  43. 田中啓一

    田中啓一君 関連して。ただいま石原委員から予約集荷制度そのものについての御質問が出たのであります。そもそもこの食糧管理法の骨子とするところは、これについては政府が割り当てをいたしまして、そうして生産者に米を供出さす、出さなければなかなか重い処罰がある、こういうのが骨子になっておるのであります。そもそもこの制度を平和時代に、非常時でない際にどこまでもしいて行くということの疑問であることは、農林大臣のお気持と私と全く一つであります。そうして、またこの自由制度の中間制度のような予約集荷制度をおとりになりまして、それを誠心誠意やって行こうというて苦労をしておられることも、私はちっとも疑いません。またそうだと思うのでありますが、そうして予約集荷制度をとる以上は、この割当制度とは違うのでございますから、現在の食糧管理法は改正を行われて、予約集荷制度を表面から打ち出して行かれるのかと実は思っておったのでございますが、いまだに食糧管理法改正の議は一向に聞いておりません。そこらは一体どういうふうに御解釈になってお進みになるのでございますか、これを一つお伺いしたいと思います。
  44. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。お説のような御主張もたびたび伺うのでございますけれども、実は制一度の移り変りのときでございますから、そこでまずわれわれといたしましては、農民諸君の自発的な御協力によりまして、そうしていわゆる予約し、集荷するということで所期の目的は達成する、事実問題としてはそれで行くのだ、しかしこの予約の契約をいたしましたならば、その契約の裏づけとして、今の現行食管制度を切りかえる処置になるのだということで、その裏づけをいたしておるわけでございます。御承知の通り非常に、わずか八日、十五日の配給じゃないかとよく非難されますけれども、それにしてもなかなか重大な食糧問題をお預かりいたしておるのでございますから、非常にこれについては慎重の上にも慎重にやって行かなければいけない、さればと申して、食管法の規定によってぴしぴしとそれじゃ従来通りのようなことをやるのか、そういうことは毛頭考えていないのであります。いないのでありますが、そこに非常に割り切れないものがあって、そういう御質問を受けることはごもっともと考えます。考えますけれども、それは私はこの制度をとることによって、もし万々一にも失敗をしたそのときには、河野一郎の責任においてこれが許さるべき問題ではないのでございますから、そういう意味において私は、またわが内閣といたしましては、この制度によって所期の目的を達成し得る確信を持って臨んでおるのでございますけれども、事情は御了承の通り重要な食糧問題のことでございますから、それらの点は一つ御了承いただきたいと思うのでございます。従いまして、もちろんわれわれといたしましては第三条云々ということは毛頭考えのもとにおかずに、あくまでも予約集荷制度によって、この自由な契約によって、双方の任意の契約によって所期の目的を達成できる方途をもって万全を期するという決意をもっておることは御了承願いたいと思うのであります。
  45. 田中啓一

    田中啓一君 予約集荷、つまり予約売り渡しの申し入れを生産者がいたしましたものについては、何か米価のうちから前渡し金を政府の方でお払いになるやに伺うのであります。そこで今度いよいよ米ができて、政府へ予約はしたけれども売りたくないといった場合には、今の農林大臣の御解釈によりますと、それは食管法によりますところの割り当てを受けたものと同じ義務が農民に生じておるのだというような、一つの擬制とでも申しますか、というふうにやって行くつもりだ、こういうお話のように伺いましたが、そうしますと、食管法上の義務を農民は一面に持つということになり、そこで先に前払いを受けていた金はそのまま返せばいいのですか、それとも手付売買のように予約金でもお取りになるつもりですか、予約金をそのまま返すだけでは事は済まないので、とにかくたとえ百円でも予約金を出さなければならない、同時に一面において食糧管理法上の責任も生産者は持つということになりますと、なかなか生産者の責任も加重されるようにも一面思われるのであります。そこらはどういうお扱いになさるおつもりですか。
  46. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これにはこう御了承いただきたいのであります。元来申しますと、今回われわれの意図いたしておりまする集荷の目標は、御承知の通り二千三百五十万石でございます。これは明年度の配給の所要量は二千三百万石前後で足りるのでございます。そういう計画になっておるわけでございます。そこで昭和二十九年産米で申しますると、予算でも御承知の通りに、二千六百万石を政府は意図しておったのでございます。ところが二千六百万石を意図して、そうして実際の収穫の予定をつけ、そうして割り当てをして、これを政府で買い入れしようとしておった。それを私たちは、今年三十年産米につきましては、昨年の実績が大体二千三百万石でございますから、この実績の程度において集荷をすればよろしいということによりまして、決して無理のかからぬ予定をしておるわけでございます。でございますから、農家の方から御協力を願うことにも、決して無理に、非常な数字を御協力願おうと考えておるのではないのでありまして、これは九二%の作柄で大体昨年が二千三百万石集荷できておりますから、これが平均作でありまする場合には、当然私は二千三百五十万石の集荷予定はそう無理はないと考えておりますので、その程度で予約をして参りたいと考えておりますから、決してそれを、集荷量の裏づけをすると申しても、決してそこに無理がかかるものとは思いません。かからぬようにやって行きたいと思いますが、それじゃ不作でとれなかったらどうするかと言えば、当然前の時代におきましても、補正をいたしまして、これをある程度、そんなに無理を申し上げてお願いしても無理だということで、双方話し合いの上で、これの訂正をすることが当然と私は思います。訂正いたしまして、その訂正によって、今の前渡しいたしましたお金は返していただけばよろしいのでございまして、決してそれに倍だとか、条件をつけるというようなことは考えておりません。普通に、常識的に、無理のかからぬようにやって行きたいと、こう考えております。
  47. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 次に、問題はちょっと変るのでありますが、昨年農林漁業協同組合連合会整備促進法の一部が改正されまして、同法の改正条項によりますと、協同組合がいろいろ整理をする調整勘定の利益金が残った場合に、それを一応一度国庫に納付される。で、その国庫に納付されたものは農協連合会の整備促進に充当されなければならぬという法律改正が行われた。しかも昨年その法律が改正されましたときに、参議院の付帯決議等もありまして、これは従来使われていた以外の費用にこれを充ててほしいということにまでなっておるのでありまするが、ところが本年度の予算におきまして、その調整勘定利益金というのは約六億一千万円ばかりあったのであります。五億一千万円ばかりを本来の目的である整備促進費に充てるように、それからあと一億ばかりをほかの方へ充てることに予算要求ができておったのでありまするが、肝心かなめの農協の整備促進の方へ使うべき五億一千五百万円というのが全然削除されてしまったのであります。これは私はわざわざ昨年法律改正までやって行われた整備促進のこの法律を無視するものであり、しかも院議を全く無視しておるものと思うのであります。これに対して農林大臣はどう感じておられるか、まず承わりたい。
  48. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。これの事情は大蔵大臣がよくおわかりですから、大蔵大臣からお答えしていただきます。
  49. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今回の予算におきまして、付帯決議の趣旨を十分表わし得なかったのでありますが、これは今後におきまして十分尊重しなければならないと考えております。
  50. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは今年度内にもしも予算補正等が行われる場合、もし予算補正がなければ、来年度予算には必ず計上するかどうかということをここで確約してもらいたいと思います。法律でまできめられていることでありますから、政府が法律違反をみずから犯すということは、私はきわめてこれは不謹慎と言いますか、まずいことであると思います。
  51. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大変ごもっとものことでありますが、財源の関係もありますので、今すぐにそれをする考えは持っておりません。今後十分考えることにいたしたいと思います。
  52. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 財源の関係もあると言われますけれども、法律で明記されて、しかも六億一千万円というものは国庫に入っているのでありますから、これは国庫において何か別な方面に使ったということになるので、私は法律の精神から言って容易ならぬことだと思う。金がないと言っても、金はいろいろやりくりによって、この間のああいう修正等も行われているのでありますから、金がないないということだけでは逃げられない。しかも法律で義務づけられているその金を出さぬということは、これは私はまことに容易ならぬことである、大蔵大臣から重ねてお答えを願いたい。必ず近い将来の予算に計上するというお答えをもらいたい。それからまた農林大臣は軽々と逃げておられますけれども、これだけの予算を盛り得なかったということに対して責任感じておられるかどうか、農林大臣からもお答え願いたい。
  53. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私は御趣旨は十分了承いたしておりますので、その点についていろいろ大蔵当局と折衝いたしたのでございますが、むしろ私は、お答えした通り大蔵大臣からその事情は、大蔵省が何がゆえにこれを了承できなかったかということは、お答え願った方がより適切であろうと思って、大蔵大臣からお答え願ったのであります。私は決してこれを放擲するとか、このままでよろしいということを考えているのじゃないことは御了承いただきたいと思います。今後におきましても十分御趣旨を徹底するように努力するということを考えております。
  54. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 責任感じましたか、予算に載せてもらえなかったということについて、実にまずかったという……。(笑声)
  55. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) まことに笑いごとではないのでありますが、一生懸命やったことだけは御了承いただきたいと思います。
  56. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今後気をつけなければなりませんが、これは法律違反というふうには私解してはいませんでして、御趣旨は今後十分尊重して参りたいと思います。
  57. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いつの予算に計上しなければならぬということは法律にないから、そういう逃げ答弁をされると思いますけれども、法律の精神は、調整勘定に利益があって、それを国庫に納めて、それはこういう目的に使うというのでありますから、その調整勘定の利益金を納めるのはそのとき一回でありますから、これがいつか何年先に出せばいいのだという私は法律じゃないと思う。しかも付帯決議においては、わざわざこういう目的に使ってくれということまで、そのときには付帯決議がついているのでありますから、この大蔵大臣答弁は全く言いのがれの答弁であって、そういう気持であるならば、この法律を作るときとか、そういうときにこれは相当善処されなければねらぬのじゃないか、法律ができておってしかもそれは字句をとらえて法律違反でないというような気持で今日おられるならば、私はこれは、私じゃない全国の農業団体の各位がこれは容易ならぬことだと思うのでありますが、今の御答弁でいいのか悪いのか、もう一度大蔵大臣から聞いてみたいと思います。
  58. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私といたしましては、ぜひとも今後において善処をいたして御希望に沿いたいと思っておりますが、今回の扱いにつきましては、もう少し御納得の行くように一つ事務当局からも御説明をいたさせます。
  59. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいま問題になっております六億円につきましては、六億円の財源をとりましたそのときに、すぐにまたこれを再建のために右から左に出せと、そういう法律の規定でもないわけでございまして、これはもう先ほどから御指摘がございましたように、付帯決議の御趣旨があったわけでございますが、一方政府は、従来再建整備のために相当予算も計上いたしておりまするし、今直ちに、本年度のような財政窮乏の折に、これをすぐに右から左に出すべき御趣旨であるとも実は考えていなかったわけでございます。将来の問題といたしましては、今後の農業協同組合の再建整備の状況を勘案いたしまして、先ほどから大蔵大臣がお答えになっておりまする通りに十分検討をいたして参りたい、さような気持でおるわけでございます。法律違反であると、そこまでは私ども考えていないわけでございます。
  60. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 どうも主計局長の言葉によって、かえってますますまずくなっちゃったんですが、農協の再建整備の状況を勘案して考えるというようなことでは、これはますます私はいかないと思う。去年のこの農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律というのがちゃんとここにあるので、十九条第二項に、「再建整備を促進するための経費に充当しなければならない。」と、こうあるのであって、しかもそれは調整勘定の利益を納めるのは一回であります。これはその利益を納める前後にも、これは非常に全国各地の農協には非常にいろいろのトラブルがありまして、不当に利益をしたところがある、不当に損をしたところもある、大へんな問題があって、要するに六億何千万円というものを政府に納めた。しかも法律があるから整備促進に使ってもらおうという気持で納めておる。それを全然目的外の、やや目的をはずれた方に使っておる。これは肝心かなめのところには全然使っておらない、しかも今回相当予算の修正等も行われまして、金がないとは逃げきれない。法律で義務づけられておる、こういうものをあと回しにしておるということについては、私はきわめて遺憾であるし、ことに主計局長のただいまの、将来勘案して考えてみるというようなことはもってのほかだと思うので、それより前、まず先ほど大蔵大臣の言われた、次の機会にとか、近い将来にというようなことでなければ、われわれは満足できないのであります。もう一度答弁願いたい。
  61. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ごもっともに考えますので、私といたしましては次の機会に善処いたしたいと思います。
  62. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは次の問題に移ります。政府は本年度予算に中央卸売市場の改善費として相当額を計上されておりますが、私最近非常に奇怪に思いますることは、この大阪中央卸売市場に荷受機関が七つあるのであります。東京には二十もあるのでありまして、荷受機関が非常に乱立しておるということは、不当の値引き競争等がありまして、これはもう消費者にとっても迷惑もあるのでありまするが、生産者団体にとってはこれは非常なむしろ迷惑なんだ。そこで農林省が指導されまして、この荷受機関の統合ということをやられておる、今、七月一日を期して発足という段階になった。ここにこの公取委員会の方から横やりが入りまして、公正取引を害するというのかどうか、まあ横やりが入って、これがつぶされたのであります。農林省として信念を持って指導されたことがこうなったので、農林省としてもまことにこれは異例なことと思うのでありまするが、農林省局長から声明文まで発せられまして、将来この独禁法の改正問題とか、公取の改組まで考えるというようなことまでの声明が出ておるのでありまするが、これは同じ政府のもとにおいて非常な意見の食い違いで、国民に非常な迷惑をかけておる事態が起きておるのでありまするが、この事態に対して、農林大臣と公正取引委員長の両方から事態の釈明というか、御説明を願いたいと思います。
  63. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 大阪市の中央卸売市場は、ただいまお話のように、大阪青果を含めまして七つの会社並びに農業協同組合系統の全国購売農業協同組合連合会、この八つで卸売業務をやっておるわけでございます。最近農林省の方の方針に基きまして、この卸売業者を整理統合するという方針に沿いまして、この八つの業者のうちの大阪青果株式会社というものを一社除きました他の六社並びに協同組合の合併及び営業譲り受けの方法によります統合等の問題が起りまして、たしか本年の二月の十八日に内申書という意味で業者の方面から委員会意見を聞いて参りました。私の方でも問題が市場のことでございますので、他の問題よりもよほど慎重にこれを取り扱いました結果、四月七日にこの七業者の統合は独禁法上認めがたいという結論に達しまして、当時すぐにその点を、申請の代理をいたしておりました弁護士を通じまして業者の方に通じたのでございます。公正取引委員会がこれを認めがたいと思いますという理由は、別にこういう卸売会社の統合そのものを問題にしたのではございませんので、統合の結果が、大阪青果に残りますものが、実績で申しますとわずかに一五%、統合されました会社の側は八五%という非常な格差をそこに生ずるわけでございます。従いまして、こういう形態の市場におきましては、とうてい有効な競争が行われがたいというふうに認めまして、御承知の独禁法の合併、営業譲り受けを認めます条件一つに、一定の取引市場におきまする競争を実質的に制限することとなる場合は合併等は許されないことになっておりますので、この法条に照しまして、認めがたいということを申したわけでございます。ただ先ほどもおっしゃいましたように、どうもわれわれが意思表示をいたしましたそれが、業者の方々の方にはどういうものでございますか、誤まって伝えられました結果、会社設立の仕事が内部において進みましたのでございまして、六月になりまして、農林省の方を通じまして、やはりこの問題はむずかしいということがわかりまして、大へん業者の方があわてて、公取の方にも見えまして、いろいろ話があったのであります。私といたしましても、まことに事情から申しますとお気の毒な面があったのでございますが、しかし先ほど申しましたように、この問題は独禁法上非常に問題がございますので、もし正式に申請をお出しになりましても、現在の状態においてはこれはお認めするととはできないというふうにお断わりしたわけでございます。大体公取の関係におきましては、そういうことでございまして、ただここでちょっとつけ加えて申し上げたいと思いますが、農林省の方でもいろいろ整理統合は進めておられまするし、私どもとしましても先ほど申しましたように、その点について何も異存はないのでございまして、大阪の場合は先ほど申しましたような関係からこれを否定的な結論を出しましたが、もし他の市場におきまして同様な問題が起りました場合につきましては、ケース・バイ・ケースに、その市場々々の特質等を考えまして、ケース・バイ・ヶ-スの処理をいたすつもりでおります。簡単でございますが、経過を御説明申し上げます。
  64. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 農林省といたしましては、御承知の通り終戦後から特に市場に集荷を強く要求いたしました当時と、今日事情が変って参りました関係から、市場のあり方が非常に乱れております。そういうととからいたしまして、あまり競争が激しくなって、この代金が、地方の支払いが悪いというようなこと等もありますので、特に大阪市場において業者の自覚によって今のままでは困るというようなことから、これを統合していきたいということがありまして、私といたしましても全販連の関係もありますので、ことに慎重を期して扱うように事務当局に指導して参ったのであります。ようやく当業者の方々も非常に御自覚になりまして、現状のままでは困るから何とか統合していきたいというようなことで、あるところまで進んだのでございますけれども、ただいま公取の方から御説明のありましたようなことになりまして、行政上ははなはだ遺憾なことでございますので、私といたしましては実情に即してなおよく通産当局等とも合議いたしまして、しかるべく実態に即した処置のできるようにしていかなければならぬのではないかと、現在考えておる次第でございます。
  65. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。ただいま公取の責任者の御答弁をお聞きいたしますと、はなはだその調査の疎漏であったということを申し上げなければなりません。なぜならば私は十七日に郷里におきまして全国の青果物取引懇談会に出席した際において、全国から集まる百数十社が異口同音に、農林省が国民の生活に欠くべからざるところの青果物をして、生産農民に対しましても生産意欲を向上し、しかも支払いにおいて支障のないように順次取引所を近代化するというその目標に対しまして、何ゆえ公取引が横やりを入れたのか、私は戦前戦後を通じまして青果物に対するところの生産団体の責任者であったのでございます。大阪ほどたくさんな会社ができて、生産者に迷惑を来たしたことはないのでございます。でき得べくば一社でもいいから堅実な、的確な、そして消費者にも生産者にも迷惑のかからないような会社の設立を望んでおったのであります。申すまでもなく、市場は株式取引所と同じくせり売りでありまして、たとえ大都市に一社であってもその仕事を独占するものではございません、アメリカの例に見ても大ていの大都市に五社も十社もあるようなものではございません。しかも農林省は都知事あるいは府知事、市長にまで向って後援を依頼してようやくこの仕事の目鼻がついたのでございます。まことに気の毒であったが、集まるところの農民生産者から申し上げますならば、大阪がああしたふうに健全ほる取引所を持たない場合には大阪へは二等品か、売れ残りのようなものでも出しておけと申し出だした関係上、その清算がきれいに支払いができなかった場合は、われわれは非常な損害をこうむると、さような結果といたしますならば二百五十万大阪市民は清新な果実や野菜を日常生活の上に味おうことができません。保健、衛生の見地からいたしましてあらゆる農村の果実、野菜に対する生産意欲を向上させ、取引において消費者市民及び地方都市の生活消費者のために保健を維持せんとするこの近代的市場の改革に乗り出した際において、同じ役所の公取が内容の研究をいたさずいたしまして、かような愚かなるマッカーサー政策のうちの移民政策として悪法といわれる最も悪い法律を悪い方に利用したという結果を残す以外に何物も残しておりません。私はこれに対してもっと国民の納得するような、生産農民の納得するような、消費者、地方農民の納得するような答弁を望みます。
  66. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 先ほども申し上げましたように、この大阪市場におきまして相当ああした値引きのあまりおもしろくない競争が行われておりますこと、市場というものが他の生産業と違いまして特殊性を持っておりますこと等、公取といたしましても先ほどお話のように、そう軽率にこの結論を出したのではございません。ただこの市場のあり方につきましては、これは独禁法というようなものを離れまして考えますれば、この市場に競争という原理を導入して青果の生産をはかるということがよろしいか、あるいは一社、卸売機関一つにいたしまして、いわば独占の形態を作りまして、ただしこれには官庁の方面の強力な統制を加えつつ一社でやって行く方がよろしいか、これは制度の立て方としてはいろいろ考え方があると考えます。ただし、現在独占禁止法のもとにおきまして、別にまた市場法の方におきましてはこれを一社で運営するという方針はどうも出ておらないわけでございますから、やはりそこに競争の原理を導入するということが自然のあり方だと考えるわけでございます。特にこの農林省の今度の方針につきましても、いろいろ農林当局からお話を聞いておりますが、農林省といたしましてもこれを一社、あるいはそれに近い形に持って行くことが理想であるかどうかということにつきましては非常に議論があるところのようでございまして、現にそういう問題についてこれから慎重なる検討を始めるというお話でございます。たとえば一社にいたしました場合に現在の形において十分の監督ができるかということに対しましても農林省はそうはつきりした態度をわれわれにお示しにならなかったのでございまして、従いまして、われわれといたしましてはいろいろな諸般の事情を考慮いたしました結果、先ほど申しましたパーセンテージももちろん大きな要素ではございまするが、単にそれだけではございませんで、その他の諸般の事情をしんしゃくいたしましてああいう決定をいたした次第でございます。
  67. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま農林省からいろいろ聞いたというが、私は農林委員会で経済局長を呼んで事情を聞いたのでございます。決してあなたが言ったような答弁はしておりません。農林省としては二カ年有余、いな戦後ずっと関係して、今回は一つずつ今後市場の安定化をはかって保健衛生の上から消費者の、また生産者にもよく清算事務の迅速果敢を断行して生産者に迷惑のかからないという方針のもとに進めたということを答弁しております。あなたの答弁は違っております。それから次に、あなたは生産農民ということを考えない。株式取引所だってせり売りで売り買いをしているのであります。一つの会社だから利益を独断して――内容を検討しなさい。八分の手数料で、その八分のうちの大部分はそれぞれ宣伝をやって、会社自体は営利会社ではございません、生産者と消費者の仲買いのあっせん業です。あっせん業に対して独占だというようなことはそれは古い頭の皆さんの考えで、実際の実情を見ない話です。それだから今の日本に災いをしてしまう。そこに河野農林大臣がおいでだけれども、農林大臣に聞いてごらんなさい。決してそんなあいまいな答弁農林省局長でも課長でもしておりません。私は責任を持って申し上げます。何で三百有余万の農家に対して、大阪市場をこうしたふうに混乱に陥れましたときにおいては、私は重ねて申します。よき野菜、清新な果実を送らなかったら一体市民はどうなります、健康上、それから衛生上迷惑を来たした上において、公取はどんな責任を持ちます。その責任を私はこの際お伺いします。
  68. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 私は何も大阪市場が仕事がうまく行くということに対し、別にそれを妨げるというような意味ではもちろんございませんし、先ほどから申しておりますように、別にここに統合が行われまして、不当な競争が行われなくなるということに対しましては、私どもとしましては何ら異議はないのでございます。ただああいう形で統合されるということに反対をいたしておるだけでございます。私の説明が足りないせいかもしれませんが、どうも私の申すことがよくおわかりにならないようであります。
  69. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この問題について農林省の農林経済局長から声明文が出ておるのでありまして、その終りの方に、卸売人の整備統合の方針は今後も依然として堅持すべく中央卸売市場法を改正して、卸売人については独占禁止法の適用を除外することも考慮しておる云々の声明文も出ておるのであります。先ほど公取委員長の言われた、農林省でもどうとかこうとか言われたことと少し違うのであります。それと、こういう声明を出して、この問題についてあくまでかたい決意を持って進むんだという農林省の態度について、農林大臣は承知されておるのかどうか。
  70. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。今の経済局長から談話を出しましたのは、農林省の従来からの方針でございまして、私といたしましては、特に農産物の流通について改善を加えていかなければならないということを強く要請いたしている次第でございます。ただ、これを単数にするがいいか複数でやっていくかということにつきましては、いろいろ研究の余地はあると思います。しかし現在のように複数も複数、ただむやみに幾らでもあってよろしいということは許されない。これは池田さんと私は全く意見は同一でございます。そういうことでございますから、地方の実情において単数といい、複数というもので考えて行くべきだろうということになるのでございますが、いずれにしても現在の各都市における市場が、先ほども申し上げましたように、戦後の物の窮迫しておった時代に適応するように構成されているものを、今日そのままであってよろしいかというとこれはよろしくないと思いますので、農林省としてはかねて一つ方針を立てて、これを各地方庁に御協力を願うようにいたしているわけでございます。この方針は引き続いて、私も同様な方針で行きたい、こう考えている次第でございます。
  71. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 公取委員長、さっき言われたのは違うようです。公取委員長農林省も自分の意見に基いて研究しているようなことを言われたが、今のと違うようですが、どうです。まるで公取と農林省とは対立しているようにわれわれは思うのです。
  72. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) どうも私の説明が悪いとみえまして、先ほどから二、三回申しましたように、私といたしましても統合そのものは別に反対ではないのでございます。ただ、ああいう形の統合が困ると申し上げただけでございまして、なお、先ほど申しましたのは、この中央卸売市場法を改正いたしまして、あるいは一社でもいいということにいたしますればこれは一つの行き方だというふうに申しまして、ただ、その点につきましては先ほど農林大臣からお話しございましたように、どういうふうにそれをもっていくかはなお検討しなければならぬというふうに言っておられるわけでございます。どうも、私の言っていることと農林省の申されていることはそう距離はないように思うのであります。
  73. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 だいぶ時間がたちましたので進みますが、公取委員会は法を忠実に守っていろいろ意見を立てられるのだろうと思うが、どうも実情を知らない公取委員会がいろいろなことをやられて、非常に生産者なり消費者なりに迷惑をかけるような事件が起きる。これは一例でありますけれども、他にもいろいろあると思う。そこで私は政府に承わっておきたい。この独占禁止法というものについて根本的改正なり、公取委員会の改組なり、こういうことを断行する意思があるかどうかということを一点。それからもう一つは、たまたまこういう果樹を中心に問題が起きたわけでありますが、御承知のように果物も非常に今日生産が増加いたしまして、少し消費宣伝あるいは食生活の改善等に利用すれば、外国でも食糧の四〇%はくだものであてているというころもあるのでありますから、日本あたりでは適地適作というか、相当くだものが食糧の大きな部分を占めることができると私は思うのであります。そこで、しかるにこの果樹園芸というものに対して農林政策ということではほんとうにすみっこに追いやって、これのめんどうを今までみてやっていない。果樹園芸振興法というようなものを作って、果樹園芸の適正な発達と、それから国民保健食としての善導というようなことを考えられる意思があるかどうかということを承わりたい。
  74. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私はその点は石原さんと全く同感でございまして、ごく最近におきましても、平塚の園芸試験場におきまして特に桃の研究をいたしておりますものを、あなたの郷里の福島に今度は一つ大々的に増産しようということで(笑声)、こういうことにつきましてはぜひ必要だ。今の、法律を作る必要があるかどうかということはこれはなお研究いたしますが、私は今後の日本の農業のあり方として、重要にとり入れていかなければならぬ輸出農産物として特にこの点については深い関心をもっていかなければならぬということには私は全く同感でございます。
  75. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。現在のところ独禁法を廃止するという考えはございませんが、独禁法につきましては、十分各方面の知識を入れましてこれを改正したい、こういう所存でございまして、ただいま閣僚間におきましてもいろいろこの問題はとの議会に、特に私はいろいろな方面から御質問があったことに関連いたしまして考えて行きたいと存じます。元来が独禁法というものは、アメリカの経済状態に即したアンチ・トラスト・ローというものが主体になっておりまして、その国民性と日本の国民性が根本において違っておる。とういう点がありますから、これはよほど考慮すべき点があると思います。
  76. 石原幹市郎

  77. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 独禁法についてはいろいろの御議論がありまして、確かに不便な点もあります。しかしまたそうかといって、あれをただむやみに廃止してしまって、いわゆる独占資本がとこに現われるということになっても、これはまた容易ならぬととであります。現状においてそういう憂えはあまりないと思いますが、しかしとにかく独禁法というものもそういう点において効果がある。ただし日本の中小企業とか、あるいはただいまの輸出入ということに実際現在の独禁法が非常に実情に不便な点は逐次公取とも連絡しまして、そして独禁法の適用緩和あるいは適用を解除と申しますか、そういうことをやると、こういうことで実際に即して行こうというのが、ただいま私どもがやっておる通りでございます。
  78. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私もう少し時間があるのでありますが、厚生大臣と建設大臣に関する質問は保留いたしまして、これで私の質問は今日は終りたいと思います。
  79. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して。独禁法を緩和すべきか、あるいは守るべきか、独占資本の放恣な跳梁にまかせるかどうかということは、これは立法事項だと思うのです。これを政府だけに問うのはどうかと思うのでありますが、私は先ほどの質問に関連をして農林大臣に一点だけ聞いておきたいと思うのですが、法律がある以上その法律に従って行政をするというのが民主政治の建前だと思う。そこで先ほどは自由党の同僚委員質問に答えて、ややその点が明確を欠きましたが、独禁法についてどういう工合にお考えになるかということよりも、法律があります現状において、どういうつもりで農林行政をやっていこうとされるか、あるいは今の問題にいたしましても、これは独禁法の精神に沿って行政をやられるのが当然だと思うのです。先ほどの答弁が明確を欠きましたから、もう一度一つ答弁を願いたい。
  80. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。もちろん法律の範囲内において行政を運用して行かなければならぬことは申し上げるまでもありません。そこで私の申し上げましたのは、市場法におきまして現在の実情が、今申し上げますように、たとえばここに大阪の市場のことについて問題が出たのでございますが、これは決して独禁法に抵触するというようなことでなしに考えて、その範囲内において行けるだろうということで、行政指導をして参ったわけでございます。ところがたまたまその考えが少し研究が足りなかったか、今、公取の方でお話になりましたように、一方が七割五分でしたか八割でしたか、会社は二つできる、二つに合同する。合同する場合に一方が非常に大きく、一方が非常に小さくなった、これなどは、ほとんど一社と同じじゃないかというような御判断が、今度の判定になったのだと思うのでございます。これにつきましては、いろいろ農林省としての御説明も足りなかったかもしれませんが、なおまた、その間にありまして全販連のここに機関一つあったわけでございます。それらが相関連していろいろ複雑な事情が生まれておったのでございまして、従って、私はこれらのことを、ただいまも十分考慮しつつ、現在の取引所のあらねばならぬ姿を検討いたしまして、これは取引所法の改正は各取引所の関係者から非常に強い要求があります、従いまして、これらの委員会を早急に作りまして、結論を得て、答申を得た上で来たるべき機会にこれの法律の改正を願って行かなければなるまい、こういうふうに考えている次第でございます。
  81. 左藤義詮

    左藤義詮君 関連。ただいま池田委員の質疑の中に、青果物の生産者の大会で大阪へは二等品または不良品しか出荷しないというようなことになりますと、私も大阪にいるんですが、三百五十万あるいは四百万の大阪の府民が非常な迷惑をいたします。お話を伺っておりますと、農林省と公取とが全然同じ政府機関でありながら連絡がない今の農林大臣答弁でも研究が足りなかったということを申されたのでありますが、せっかく行政指導をせられたが、その結果が公取のお気に入らなかった、しかも公取は二月の末から研究せられて、四月七日までこれをきめるにじんぜん日を費しておられる。との間われわれは非常に鮮度の落ちたビタミンの足りないものを食べさせられている。こういうようなことを同じ政府機関でありながら全然連絡がついていない、研究が足りぬことをやらせておって、そうして今になってまた今後委員会を作って研究をいたしますというようなことでは、一体生きた政治と言えるかどうか、ただいま公取の委員長は、一方が八五%、一方が一五%だからいけない、こうおっしゃったのですが、それではどのくらいなパーセンテージならばいいのであるか。そういうことを農林省に一体連絡していらっしゃるかどうか。ケース・バイ・ケースとおっしゃいましたが、このケースはいけないというならば、どの程度ならば大阪の実情に応じて……。ただあなたは法律の条文を振り回すべきでなくて、実際大阪市民の日常生活、健康保健ということから私は御判断になるべきだと思います。そういう点でどの程度ならば了承なさるのであるか、単数にすることについてはいろいろ将来の法律改正等議論があるので問題があるともおっしゃったのですが、かりに二社ならばどの程度ならばいいのであるか。そういうことも農林省と十分連絡をとっていらっしゃるのか、お前らは勝手にやれ、やれと言って、二カ月、三カ月たって持ってきたのをいけないと突き放して委員会を作って研究しますと言っても、われわれ大阪市民とすればはなはだ迷惑の至りです。役所のなわ張りや法律の条文いじりで生きた私どもの経済生活がおびやかされるということは、まさにこれは役人横暴、法律亡国であります。そういう点について、もう少し私は生きた政治をするよう、その点の連絡等について農林大臣並びに公取の御意見を伺っておきたい。どうすればこれが実現するか、どういうように指導して行くつもりであるか。
  82. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。私のお答えがちょっと徹底しなかったようでございます。今、大阪の例で申しますと、何分御承知の通りすでに会社があるのでございまして、その会社と統合は勝手に政府がさせるわけには参りませんので、各会社の自由意思によって今のような八五と一五というような集まりならばまとまることができる、それのほかではこれの統合がなかなかできないというようなことになっているのでございまして、これは現在は実態に即して政府としてはこれを扱うよりほかに、私の方としては扱い方が現状においてはないのでございます。しかしこのまま放置するわけには参りませんから、そこで行政指導をして、何とかそうでないということにして行きたい、一応公取の方で、そういうことでは独禁法違反になるからうまくないということでありますれば、よく地元の各会社とも御相談、会社相互間に御相談を願って、そうしてそうでないようなふうに行くようにしていただかなければならぬということが一点。さらに私が申し上げましたのは全然別個で、各市場の間にこれは生果物のみねらず、鮮魚、魚の市場におきましても、それぞれの市場におきまして現在の市場法では不十分である点があるから、これを改正したいという意見がありますから、それにつきましては別途これは農水産物の流通過程の改善の意味で市場法の改正考えておりますということで御了承いただきたいと思います。私の考えは二つ別々でございますからどうか……。
  83. 左藤義詮

    左藤義詮君 公取の方も一つ
  84. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) この合同の過程におきまして、公取もこの方式以外の合同の方法はないかということをお尋ねしたことが農林省に対してあったと思いますが、実情はなかなかむずかしくて、この以外の方法はまずむずかしいというお話でございました。私どもとしましてこの場合それでは五十対五十でなければいかぬというようなかたくななことを申すわけではありません。それでは何パーセントならいいかということになりますと、これは具体的によく考えてみなければなりませんが、少くとも先ほどの統合の方式ではまずいということだけは、はっきり申し上げたわけでございまして、これはおそらく大阪市場におきましても今後いろいろ検討されることだと思いますので、その場合よく公取の方と御連絡をいただけますれば私どもといたしまして適当なお答えができると思います。
  85. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は当面非常に問題になっております米のいわゆる予約集荷、この問題に関連して農林大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、先ほど石原委員田中委員もこれに触れられたのであります。今回の予約集荷制度は、食管制度が始まりましてから初めての実体的の大きな変化だと思うのであります。私はきわめて重要な転換であると思うのであります。これが五千万の消費者に非常に大きな影響を持ちますることも当然であります。また将来の食管政策のあり方の上にも重要な関係を持ってくるのであります。ところがいわゆる予約集荷制度につきましては、これまでいろいろの考え方がその内容としてあったと思うのであります。ところが現在におきましてもこの予約集荷制度の性格が必ずしも明確ではないので、はなはだ不明確のように思われるのであります。私はこの際できる限り、今、政府がとられんとしておりまするこの予約集荷制度の性格を明確にしたい、こう思うのであります。そういう観点で簡明に一つ農林大臣のお考えを伺いたい。先ほどお話のありましたように、食管法自体は今回の予約制度に関連しては何ら手を触れられないで、法律はそのままであります。従って法律的の観点から見まするというと、予約集荷制度なるものは、現行の食管法の法律的のまあ骨格といいますか、これに即応したものであろうと法律的には思われるのであります。その点がそうであるのか。法律は法律として実際的には相当の変化があるのか、その点に一つの議論があるのであります。御承知のように現在の食管法の法律的の骨組みは、生産農家の保有米を除いて、販売に出される米は、すべて政府に売る。政府はその全量を買い取って、そうして消費者に供給するというのが私は現行食糧管理法の法律的の骨格であると思うのであります。今回の予約集荷制度が、法律的に見てこの性格になっているのかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
  86. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘ごもっともと考えます。けれども、御承知の通り最近数カ年間の実情が、食管法が厳として運用せられておるにもかかわらず、法の運用の実情が、そういう慣行になっておると、私は言葉は悪いかもしれませんが、思うのであります。これをにわかに立て直して厳として食管法の命ずるままにこれを運用する、その立て直しをいたそうということに努力いたしても、なかなかもう返りにくい、その間に非常に大きな摩擦が起ってくるだろうということを考えますときに、この食管法の運用を、しからばどういうふうにして円滑に……生産農民と政府との間の運用をどういうふうにして円滑を期するかというところに、各方面の御意見が、割り当てをするよりも、その割当にかわって、自発的協力によって同様の所期の目的を達することができるようにしたらどうかというところにあったように、私もそう考えるわけでございます。でございますから御承知の通り従来の食管法で規定してありまする割当を、農民自身の自発的な協力によって同様の目的に一致せしめるというととろに法律の罰則前に、運用前に、実態的に双方の合意によって所期の目的を達成できるような状態に順次いたしまして、この条件で食管法の第三条によって切りかえて行くということで、あとは同じことになる。実際面から申せば法律の運用をなさずして同様な目的の達成ができるということにわれわれは協同組合――農業団体の御協力によって、また政府努力によって同様な効果を収めて行こう、こういうことでございます。
  87. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 予約集荷制度に従来の割当供出制度を切りかえた、またそれを切りかえざるを得なかった、そういう方向に転換して行くことを必要とする事情、こういう点は私よくわかるのであります。私の聞いておるのはその点ではないのであります。とにもかくにも食管法というものは先ほど述べましたように、その骨格は、困難なことではあるけれども、農家の保有米というものは除いて、あとは政府に出すのだ、こういう建前です。これは過去において、また最近まで困難であっても、そのいわゆる制度で来たわけです。結果から言うてそうならなかったかも知れない。しかし法律に基いてはその趣旨を、地方長官も農業団体も、それから政府も、困難ながら協力をして、その食管法の体制を実行してきたと私は思うのです。結果は必ずしもそうはいかなかったかと思いますけれども、とにかくも法律に基く努力を払われて、法律に基いての制度があったわけです。私の聞くのは、この予約集荷制度というものは、やはりそういう体制のものか、それとも、今、大臣の言われたように、現実にそういってみても、そこまでは集まらないんだから、実際上集め得るところに一つの目標を置いて、その目標を目的として大臣の言われる所期の目的を達する、こういうことになりますると、食管法の制度と法律上の性格と予約集荷制度とは、相当の、何といいますか、制度としての食い違いが出てくると思うのであります。具体的にいいますと、今度の予約集荷制度で、農民は、上からの割当じゃなくて、いわゆる自主的に政府に、予約集荷という、予約という形において出すものを自主的にきめていく。そのきめ方は農家のそれぞれの判断によってきめていくということになるんだというふうに考えられておるのであります。これは現在大体通説かと思います。ところが、もう一つ考え方といたしましては、食管法はそのままである以上は、これまでは上の方から、お前幾ら出せと割り当てられて、これは保有米はどれほど、政府に出すのはどれほどということを上の方で要するにきめられてきた。今度は自分がきめるのだ。しかし予約する数量というものは、やはり保有米を除いたいわゆる販売米全量は、これは政府に予約する、まあ責任といいますか、義務といいますか、それは、やはり食管法にはあるんだ、その数量をきめるのは、これは個々の農家がきめるんだというのが、予約制度のまあ私は一つ考え得る体制であろうと思うのです。ところが現在一般に考えられておるのは、そうじゃないんだ。とにもかくにも農家の自主的の判断で、売るべき米の中で、政府に予約という形において出すものは、まずまずその判断できめていくということであって、いわゆるその食管法における一つ基準といいますか、政府が買い上げるべき一つ基準、これは食管法は現在あるわけですけれども、それがなくて、農家の良識による判断に待つということにまあ一般は考えられておるのです。二つの考え方があるわけです。大臣の御意向なり、これまでの御見解を伺うと、食管法の性格は性格として、しばらく目をつぶって、そうして現実の問題として農家が政府に協力をして、自主的にとにもかくにも予約してくるその方法、それを私は大臣は意識されておると思うのでありますが、そうなりますと、これは私は、食管法をそのままにしておいて、果してそういう制度に切りかえが法律上許されるかどうか、これに非常に実は疑念を持つのであります。御承知のように、去年もそうであります。二十八年も二十九年も相当の凶作であって、そうして従来の方式でやっていったわけです。そうして去年は二千三百万石見当まあ集めた、あのやはり基礎というものは、保有米と、それから出すべき米、これが基準に私は行われたと思うのです。今度はそこのところが変ってくる、法制的に見るというと、その変り方に私は疑念を持つ。その点を一つもう一度御解明を願いたいと思います。
  88. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) この点は明確にする必要が私はあると思います。第一は、生産者は政府以外に米を出すことができないという規定は、厳として存するわけであります。これは農家の諸君も一つ十分御了承をいただきたい。ただし、従来は、今お話しのように、自家消費が幾らだ、そうしてとれたのは幾らだ、であるからお前さんは幾ら供出すべきだということで、引き続き今日までやって参ったわけであります。ところが何としても数字と実際とは非常に食い違いができまして、そこにいろいろな問題が起って、それがそのままになっておる。たとえば本委員会においても問題になりました通りに、やみ米についてはどう考えるか、やみ米の数字は一体どのくらいあると考えるかというようなことが議会で公然と論ぜられるというような実態にあるわけでございます。そういうことが食管法によって、あるべからざるものがあるように、通念的になっておる。これは非常にむりをして、絶対に食管法の精神によって、これを断固として強行するのだというようなことは、今日の時世に私は合わないと思うのであります。そこで私は考えられることは、農家自身も、自分自身が、同様の耕作をして、そうして同様の家族でどのくらいこれを政府に、従来であれば供出、今回は予約というようなことをすれば、それで大体政府の方も消費者の方々にある程度の消費を満足さすことができるか、自分たちもどの程度までは協力をいたさなければならないかということの、おのずからの自覚が農家の方にもあると思うのであります。もちろん農業団体それ自身にも、あらためて政府が何々村の農業協同組合はどのくらいの一つぜひ予約をして政府に御協力を願いたいと、あえて私の方から申し上げなくても、それぞれの通念、常識があると思うのであります。これは過去数年間の経験によって生まれておると思うのであります。それを逸脱して、今度は予約であるから幾らでもいいんだというようなことでは、幾らでもいいその余りが一体どこへどうなさるか。これは政府以外には売ってはいけない、売ることはできないということは、現に規定があるのでございますから、そこで、なるべく一つ予約をしていただいて、予約で御協力を願って、そうしてそのルートに乗せて政府の方に出していただきたいということでいきたいというのでございまして、決して自分で予約をしたいと思うだけすればいいんだ、それをなるべく農家の御協力に待つんだ、もちろん私の方からはそういうふうに考えますが、そこは私は過去の経験に徴して、それぞれのこの問題に携わっておられます生産者も団体の諸君も、おのずからそこに常識が生まれておるというふうに考えて、その線で御協力を願っていくことによって所期の目的は達成できるし、なお、今、梶原さんから御指摘のように、食管法によれば、自分で作ったもので、自分で消費するもの以外は政府に売らなければならないということの精神はどうするか、これは厳に守っていくのかいかないのか。これは予約の方でいくだけで、常識でいくのかというと、私はその間におのずから通ずるものがあって、そこに妥協点が生まれてくるんじゃなかろうかと、こう思っておるのでございます。
  89. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 実際問題としては大臣の言われることはもちろんよくわかるのであります。私は何も、その食管法の現行の制度が、いわゆる保有米以外は全量召し上げるんだから、あくまでそれを強行すべきだというふうなことを言わんとしておるのでは、これは毛頭ないのであります。ただこれまでは、農家においては保有米以外は全部政府に出すんだぞというシステムでやってきた、これが今度変ってきた。大臣の言われるいわゆるこれまでの大体の常識のめどでやられる。いわゆるこれは常識のめどであって、それは食管法の性格からくるものではないと思います。食管法としては全量を出すことを義務付けている。政府は全量を買うことを責任と義務としているのであります。そこが今回は実質的に制度としてこれは大きな転換になると思うのであります。御説明によれば、ともかく結論としては、食管法というものがあるけれども現状はそう参らないから、常識的なことで一つやるんだということで、今一般的に考えているまあ考え方と言いますか、それをやはり大臣はとっておられるように解釈せざるを得ないのであります。まあそれは法律的に言えば、食管法の趣旨に形式的には少くともまあ相沿っておらないということは、はっきり言い得るだろう。それから、農家もこれまでは割当制度であって、義務は相当それに付随してきた。今度は常識的に自分できめれば、それ以外には政府に出す義務は、大臣の言われるところからは義務がない。売るとすれば政府以外に買手がないというだけで、政府以外に売ってはいかぬということはありましょうけれども政府に売らなければならないという義務は出てこないことになろうと思います。結局、食管法というものと予約集荷制度との間に、私は制度的に一つのギャップと言いますか、食い違いと言いますか、これが出てきたことを否認することは私はできないと思う。そこに相当の問題があるように思うのであります。それから、本年度のいわゆる集荷目標、先ほど大臣言われましたように二千三百五十万石、これは大体昨年度の実績、二十九年産米の実績、これが二千三百万石、それに五十万石の一つのアローアンスを加えた量という御説明があったのであります。これが結局予約集荷の目標であって、大臣はおそらくこの程度は集め得るであろうと確信を先ほど披瀝されたのであります。私はこの数字が、この程度の量が集まらない心配があるとか、大丈夫だとかということを言う気持はありません。まず大臣が確信をお持ちでありますし、おそらくそれに近い、その前後の数字は集まるであろうというふうにも考えるのであります。私の聞きたい点は、これが二十九年度の実績があり、現行配給量を大体確保していく数字だ、こういうわけであります。現行配給量というものは、これは申すまでもなく、二十八年、二十九年の異常な災害によって、異常な凶作によって、従前の配給量というものは大幅に減少した数字であることは御承知の通りであります。それ以前は御承知のように食管法のもとにおいて、内地米は十三日、十四日の配給があった。生産地においても二十日の配給があった。これが凶作のために米を農家が出そうと思っても出せない。そのためにこれは減ったのであります。これは、もしこれが豊作であるとか、平年作であるときであれば、私は当然にこの減った量を増加することを政府としては当然に立てなくちゃならぬ。結果果において集まる集まらぬは、これは別です。豊作であっても、従来食管当局の説明によると、予約を改訂しない。言いかえれば、大体二千三百万石見当を集荷すれば、それ以上はかまわないんだというふうに説明されている。私はこれは食管法の現在の考えから言えば、この精神をじゅうりんする最も大なることだと思うのであります。やはりそれに対しては政府は集荷する義務が、法律上、私はあると思う。それを放っておかれるわけです、今度は……。これは消費者の立場から見てこれは是認され得ないことじゃないか。少くとも豊作であれば予約数量というものは改訂されるべき機会が与えられなくちゃならない。私はそれだけは消費者に対しては申し開きが立つまいと思う。結果がそこまでは集まらないというのは別として、制度としては、やはり集める責任を果す態勢でなくちゃ相済むまいと思うのです。大臣の御所見を伺いたい。
  90. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。政府といたしましても、全く同様に考えておりまして、従いまして今年度の食管特別会計におきましては、そういう場合に備えて予備費の増額をいたしているわけでございまして、これが豊作でありますとか、集荷が予期する以上に集まれば、どこまでもますます努力いたしまして集めて、食生活の改善をしていくことは当然であります。
  91. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 その場合においては、予約集荷の、予約を改訂されることに相なりますかどうか。
  92. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今、平年作を目途として、せっかく制度を考究しており、それに備えて今いろいろの問題を検討いたしておりますが、御指摘のような事態が今後順次天候その他によってわかってくるわけでございますから、また農家の増産意欲を助長するために当然とらなければならぬわけでございますから、この半価の決定、これの決定に備えまして、いろいろな格付格差等によるところの価格の決定の済み次第、その点に向ってさらに政府といたしましては検討を加えて、農家の期待に沿うようにいたしていくというふうに考えております。
  93. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は当然平年作以上であれば、予約が改訂されるか、改訂されないとしても、それは政府がこれを集荷する責任をとり得る態勢でなければいけない、こう思うのであります。大臣がそういう趣旨で考えられているということであれば、それで結構であります。  ここで私は米価の問題にちょっとふれたいと思う。本日の新聞にもあったのであります。先般来いろいろ論議されておるのでありますが、一点、その中で私として理解し得ない一つの事柄がある。それは、いわゆる予約集荷の場合の米価と、予約外の場合の米価と、同じ米価でありながら、予約の場合には予約格差という新しい言葉を作り出して高くしよう、あとの米は安くするという事柄が論議されているようであります。これは米価というものの性質から言いましても理解し得ないところであります。また予約格差、そういう格差はおよそ考え得ない観念である。奨励金を出すとか、あるいは免税で優遇をするとか、前渡金をたくさん出すということは、これは別であります。いやしくも米価として予約外の価格を低くするということはあり得ないと思うのであります。大臣のお考え一つはっきりと伺いたいと思います。
  94. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御意見ごもっともでございまして、私も大体そういうふうに考えておりますが、御承知の通り今回の制度は団体の絶大な御協力を賜わっていかなければならぬのでございます。従いまして、これら関係方面とも十分検討をいたしまして、御意見を伺いまして、そうして決定をいたしたいと思っておるのでございますが、しかし私の考えといたしましては、ただいま梶原委員のお考えとまず大体同様でございます。
  95. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 どうしてもこれは米価としては一本でありたい。もし予約価格に若干のプラスをつけて、予約外を低くするということになりますれば、これは明らかに政府は予約以外の米はかりに相当豊作であっても政府は買いませんということを端的に示すことにほかならんと思う。事実はそれは買わないということと同じだと思う。これは食管法の非常なるじゅうりんであり、違反だという感じもするのであります。またそういう価格というものがこれは検討を要しまするけれども、現在の憲法から見ましても疑念があろうと思う。理由なしに価格を下げるということはゆゆしいことであろうと思うのでありますが、そういうことのないようにぜひお願いしたいと思う。  時間のあれもありますので、法務大臣一つお伺いしたい。やみの問題でありますが、現在農林省の調査によりましても千四、五百万石のやみが流れておるが、これは農林大臣は二人おられると思う。河野さんは農林大臣として内地米を把握しておられるのは二千三百五十万石を目途としておやりになる。大体その程度は集まる。ところが法務大臣は大体千五百万石見当の米を握っておる。もしこの予約制度の集荷の目標が二千三百万石とすれば、法務大臣の握られる米の量が農林大臣とそう違わなくなってきて、はなはだ遺憾なことになります。ところがこのやみに対する取締りはどういう方針でおやりになっておるのか、さっぱりわかりません。現状においては、地方においてはほとんど何と申しますか、治外法権のところがたくさんあります。むしろ積極的にこれを推進していくというふうなことが公けに行われておるようなところも私はあると思う。これは検察行政の責任者としての法務大臣は、どういう考え方でどういう方針でこの問題に対処されるのか、対処されつつあるのか、これを伺いたい。
  96. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) お答え申し上げます。やみ米の取引については従来と異なることなく励行をいたしております。現に一昨々年よりは昨年の方が、検察庁における検挙数も上っておるという事実から見ましても、決して放任をいたしておるものでないことは明瞭であろうと存じます。しかしながら、その取締りの対象となりまするものは、多くは大ブローカーの不正取引、もしくは集団輸送事犯等の悪質犯に向けられておるのでありまするが、消費者等のやむにやまれぬやみ行為というようなものに対しましては、やはり時代の流れを眺めて、社会正義の観念から適当に取締りをいたしておるわけであります。  要するに法律というのは死物でありまするが、しかし社会は時々刻々に移っていくのでありまして、この移り変りの動き、社会的に死んでおりまする法律をどう適用するか、ここが法律適用のむずかしいところでありまするが、御承知のように最近は食糧事情もよくなって参りましたし、あるいはまた予約制度等も実施されまして、そうして統制解除の方向へ近づいていく(「そうは言わんよ農林大臣は」と呼ぶ者あり)というような情勢に相なって参りましたので、これらの事情を総合して、もっとも適切なる取締りを励行いたしておる次第でございます。(笑声)
  97. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 適切な取締りを励行するという御意見であります。私は取締りを励行しろとか、どうこうということをこの際言わんとする気持はありません。聞きたいのは、食管法においては、食管法に違反した場合は、悪質たるといなとを問わず、十年以下の懲役、十万円以下の罰金になっているのであります。こういう制度が、こういう刑罰の制度が、この現在の食管法及びこの食管制度の実際の運営から見て、一体検察当局の責任者として是認され得るかどうか、私は非常に疑問を持つものであります。一体法務大臣は、こういう法律を置いて、これは死文じゃないのであります。食管法は現在日々動いているのであります。この法律をそのままにして、検察行政の責任者として責任と自信を持ってやり得るのですかどうですか。私はおそらく責任を持ち得ないだろう。(「その通り」と呼ぶ者あり)自信をお持ちにならないだろう。ことにこれまでのように義務供出の制度で農民に非常に無理をしいて出してもらう、その場合においては、これは農林大臣の立場からいえば、やみはないことになるのです。今度は要するに集荷制度になって、一歩後退する制度ですよ。制度的に農林省が買わない米が出てくるのであります。そうすると私は食管制度、現在の食糧管理制度に関連する刑罰の問題、取締りの問題というものが、これは一産業法規の罰則法規じゃないのだ。法務省として重大なる関心を持って当然発言されるべきものであろう。これ以上取締り得ない、検察機関としては責任を持ち得ないといわれるべき態度をお出しになるのが当然ではないか。もし悪質のものだけを取締るというものであれば、そういう趣旨に改正を願いたい。できないわけじゃないと思うのであります。いま一度一つ法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  98. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) 食糧管理法を改正すべきかどうか、これは大いに研究の余地はあろうと思います。がしかし、今日現在国家が食糧を管理しているという建前のむとにこの法律が出ておりまする以上は、やはりとの法律を忠実に守っていかなければならんということは、これは当然であろうと思います。しかも今日まで食管法は、要するに米の流るるルートを、政府できめたルートを流していくということに相なっておるのでありまするが、今回のこの予約買付制度も、要するにこのルートを変えようとするのじゃないと私は考える。ただその供出方法が割当てでいくか、あるいは予約買付でいくかという供出方法に対する改善が行われるということだけで、そのルートは一向私は変らんと見ていいと思う。従いまして、今日までの食管法というものは、やはりこういう建前から考えれば生きていくべきものであると言ってもよろしいと、こう私は思います。しかしながらこれがだんだん統制解除の方向へ進むにつれまして、大いに検討を要すべきことは、これは言うまでもございません。
  99. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は食管法の改正の御意見を法務大臣に聞いておるわけではありません。それから単にルートが、これまでの義務供出から今度の予約集荷制度に切りかわるというだけではないのであります。先ほど農林大臣も言われましたように、これまでは農家保有米を除いて、販売すべきものは全量これを政府に売る義務があり、政府はそれを買う義務がある。今回は予約集荷で線が引かれて、その線は大体常識的に出てくるわけです。二千三百五十万石といわれるのでありますが、豊作でありますとそれ以上出てくるのであります、米は……。その場合に、罰則としてこういう罰則というものをあくまで現行法通り持っていくべきかどうか。当然に今度は政府の義務として買う以上に米は出てくるのであります。あるのであります。それに対して従来通りの罰則をもって臨むということが、一体健全な検察行政かどうか、非常に私疑問なんです。そういうことこそ私は検察行政の威信を失墜することだと思う。国民全体も非常に不愉快であります。少くとも現在食管法が今のやり方をとっている以上は、罰則の点については考え直すことが必要であります。  御承知のように、現在の食管法は国民に対して、消費者に対する、たとえば都市においては八日以上は食わさぬという制度であります。八日以上食っちゃいかぬと農林大臣は言われるのであります。米があってもそれ以上食わさぬと言われる。生産地においては十五日以上米があっても食っちゃいかぬ。消費規制的の統制なんです。戦争中の引き続きであります。それ以上は食わさない。消費規制を性格にしておるのが食管法の建前なんです。現実に合わざることおびただしいのであります。そういう制度に属した罰則なんであります。少くともこの罰則を、単に運用上どうこうというのではなく、これを法務大臣一つ十分検討されて、農林大臣一つ言うべき点は発言されたい。こういうことではおれは責任はとれないから直せ、直すべきだという発言があってしかるべきじゃないかと私は思うのであります。ぜひ一つ検討をお願いしたい、これは全体の国民のためであります。全体の生産者及び消費者のためであります。終戦後十年になって、日々米を食っておって、政府は力が弱くなって、農相も言えない。千五百万石以上のやみがあって、これはやみですから農林大臣は手がつけられない、全部法務大臣、こういう状況をいつまで続けていくか。もうそういう点については私は検討されるべきだと思います。今度食管法の内容の統制のいき方はいろいろ変化は出てくると思います。しかしながら、ああいう過酷な罰則が実情に合わず存在していて、国民全体が常に不明朗な思いでいる。検察当局の方々もそうであろうと思う。私はすみやかに罰則の点についての検討を、これは法務大臣にお願いしたい、こう思うのであります。
  100. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) 御趣旨のほどはよくわかりました。われわれも検討を要すべき段階にきているのではなかろうかと考えております。しかし適用の面において十分にその意図を取り入れて、そうして時代に即する取締りを励行していくことによって、無理やあるいは国民の非難のないようにしていきたいと思っております。
  101. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 法律に……。
  102. 館哲二

    委員長館哲二君) 梶原君、時間がきております。
  103. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 法律によって取り締られるよりも、いわゆる法務大臣の手おくれかどうか知りませんけれども、日日暗い思いで法を犯しながら米を食わざるを得ない、何千万の国民全体のその気持を考えられることが、私検察当局としては当然のあり方であろうということを申し上げて、時間がありませんので終ります。
  104. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 政府原案の予算及び民自両点の共同修正の問題につきましては、これまでもいろいろ論議されたものでありますが、大蔵大臣に第一にお伺いいたしたいことは、来年度予算の規模、あるいはその見通しについて現在どのように考えておられるか、この点をまず第一にお伺いいたしたい。
  105. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。来年度のこの財政規模につましては、今ここで数字的に申し上げる段階にありませんが、大体のこの考えといたしまして、来年度におきましては、相当この歳出が増加する状況にあるようであります。特に今回の修正によりまして、来年度から平年度化いたします。さらにまた経済六カ年計画に基きまして、明年度からはもう一段と経済の拡大の方向に向う。こういう関係からいたしまして、歳入歳出ともに本年度に比べまして規模が大きくなることは間違いないことと思います。
  106. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 具体的な問題についてはもちろん見通しをつけまして、現在の段階としてこれをお尋ねすることも適当であるとは考えておりませんが、しかし大体の見当というものは、一兆円のワクを堅持していこうと考えておられるのか、あるいは来年度においては一兆円を多少上回るような予算に触るのではないかというようなことは、この際大蔵大臣として見通しをされて発言されてもいいのじゃないかと思います。特に具体的に申し上げますならば、たとえば政府原案における減税は、来年度平年化されてどの程度、さらに修正案によるところの減税が平年度化されてどの程度、歳入の面においてはこの程度減税になる。しかしあるいは景気が持ち直るならば、この減税は歳入としてはどの程度食いとめられるであろう。歳出としてはこれこれの増加の要素があるというようなことは、多少具体的にお話しができるのじゃないか、こう思いますので、できるだけ一つ率直にお話し願いたいと思います。
  107. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、歳入、歳出、この財政規模が明年度において一兆を超えますことは、これはさようであると考えております。一兆以内にはおそらくとどまらんと思います。なお減税につきましては、当初のこの原案によりまする減税の平年度化が約五百億、今度の修正によります減税、これが六十七億ありますが、これが平年度化しますと、おそらく約倍以上、百四十億円、双方で六百四十億円くらいのものになるだろうと考えております。  なおこの歳出につきましては、これも特に軍人恩給等におきまして、これが明年度に平年度化を一挙にいたしますれば、おそらく百七十億円くらい増加になるだろうと考えております。まあこういうようなのが一番歳出で目ぼしいものでありますが、概して申しまして、数百億くらい歳出の面においても増加する、こういうふうな考え方を持っているわけであります。
  108. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 防衛費の点についてはお話がなかったのでありますが、総ワクを昨年及び本年度程度に押えるというお考えでありますか。これもやはり本年よりは多少ワクが大きくなるというふうにお考えでありますか。
  109. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 防衛費につきましては、これは関係するところもあるし、特に国防会議なんかもどうなりますか、今後における防衛の計画がどうなるかということもありますので、今何とも申し上げられませんが、大蔵当局といたしましては、防衛費についてはできるだけやはり大きくならないように努力をいたして、特にまた、この辺において日本の防衛費についての見通しを一応持つべきときであろうと私は考えております。
  110. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 防衛費についての見通しを持つべきであるというお話でありますが、そしてまた、できるだけ大きくならないようにする。こういうお話は、裏を返してみれば、多少防衛費は増加するというふうに受け取られるのでありますが、その通りに受け取ってよろしうございますか。
  111. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その辺はまだわかりませんので、極力努力もしますが、さようにお受け取り下さらんように……。
  112. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 国税の点で相当大幅な減税が行われ、それがさらに地方財政の面におきましてもその影響がたぶんあると思いますが、現在のような地方財政計画というものは来年もやはりおとりになりますか。地方財政の面におきましても、根本的に検討してみる必要があるというふうにお考えでございましょうか。
  113. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 地方財政の財政計画につきましては、自治庁長官の御意見もありますが、大体三十年度において一応応急的なことをして、三十一年度におきましてはもう少し根本的な税制等その他について考えてみたいと思います。
  114. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この点は他の委員諸君もお触れになっている点でありますが、民主、自由両党の修正に際しまして、民自了解事項というものがありまして、これがだんだんと実際化してくる傾向があるのでありますが、これを大蔵大臣としてはどういうふうにお考えでございますか。おそらく大蔵大臣としては了解事項というようなものは知らないとおっしゃるだろうと思うのですけれども、しかしその一つ二つをとってみますというと、だんだんそういう方向にいきつつあるようであります。この点についていかがでございますか。
  115. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 具体的にどういうふうな点をおさしになっておるか、ちょっと理解いたしかねるのでありますが……。
  116. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは言いましょう。これは新聞の記事でありますから、あるいは御否定になるかもしれない。第一は東北興業株式会社の債務を政府が保証するかどうかという問題であります。この問題は何とかしなければならないという申し合せであろうと考えるのであります。第二は石油、炭鉱に対する補助金三億円の扱い方は、補助金としておいておくけれども、将来石油炭鉱の新会社ができた場合にはこれに出資することを考慮する。第三は小笠原住民への補償、これを考慮する。第四は住宅計画の内容は両党でさらに検討する。第五は靖国神社工事費は法的に疑義があるのでなお検討する。六、ビキニマグロの補償考慮する。七、移民会社につき協議する。  こういうふうに言っておるのでありますが、このうち第二の石油、炭鉱に対する問題につきましては、新会社がすでに発足するように法律案が提案されております。第七の移民会社につきましても、これは別の会社を作ってこれに補助金を与えるというふうになっておるのであります。七つの項目のうち、すでに二つの問題については法案が提出されております。こういうふうに、これは陰のことであるけれども、具体的には一つ一つ現実化してくるところの傾向があるのであります。この点についてお聞き及びかどうか承わりたい。
  117. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今御指摘の中で、地下資源開発に関します、特に石油に関しまして一応補助金をいたしていたのでありますが、これは地下資源開発意味から一つの会社にするがいいか悪いか、これはまあ議論がありまして、しばらく保留しておったものであります。それが今回いろいろ研究の結果、そういうふうに一つの会社にして専門にやらせるのがよかろうということになりまして、法律を出し、これは両党の修正でありまするが、大蔵省といたしまして、あるいは通産省の間においてただ意見がまとまらずにおったという程度のものであります。  それから外務省との関係におきまして、移民会社、これもこの移民に関して一つの専門に取り扱う機関を必要とするということはあったように思いますが、これにつきましてももう少しその他の情勢を見よう、こういうような点もありまして、少しおくれておったのを今回会社成立に取りつけた。かようなのでありまして、この点は特に意見の大きな相違があるわけでもなかったわけであります。ただ時の問題が若干あった、こういうことであります。
  118. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 二つだけは私もわかっております。その他東北興業株式会社に対する債務を政府で肩がわりするかどうかという問題はいかがでございますか。さらに小笠原住民に対する補償は現在考えておいでになりますか、その点は……。
  119. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまおあげになりましたような話題が予算修正の際に両党間に出たことは私どもも漏れ承わっております。ただいまお話のございました東北興業の問題でございますが、これにつきましては、ある限度を設けて政府が保証し得るような立法措置考慮するというような御了解があるようでありますが、私どもといたしましては、との点につきましては、この東北興業株式会社が所要の資金が調達できるような何らかの方途がつけばよろしいのではないだろうかというような見解をもちまして、目下検討はいたしております。直ちにこれを政府保証等の手段に訴えるかどうかという点につきましては、さらにもう少し検討をいたしたいと思っておりまして、目下研究をいたしておる、そういう段階でございます。  小笠原の問題につきましても、お話がございましたのでございますが、これは予算の修正としては御承知の通り具現いたさなかったわけでございまして、小笠原住民の福祉厚生につきまして将来何か適当な方法があるだろうか、この点につきましては今後も引き続き検討しようという程度の御意向であったやに承わっております。私どももそういう趣旨で検討はいたしておりますが、いまだ成案を得るに至っておりません。  なお、これは先ほどおあげになりました七つの中の一つに、靖国神社の問題もおあげになったかと思いますが、これは今の法律の建前から申しまして、国がそういう経費を計上すべきではないという一応の結論に達しておられるかと思いますが、なおこの問題についても両党間においては御研究に相なると、その程度に承知いたしております。  また、ビキニの問題でございますが、これは修正増額に相なっておりまする水産振興費、これで一億五千万円の増額に相なっておりますが、これは補償というような観念でなくて、マグロ漁業基地を中心といたしまして、水産振興のいろいろな施策を講じよう。それによりましてビキニ被災地区のいわゆる災いを転じて福となすというような振興施策を講ずると、さような趣旨で修正が行われておる。さように私ども承知いたしておるのでございます。  おあげになりました各点につきまして、大体私ども承知いたしておりますること、また現在の段階を御参考までに申し上げました。
  120. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、東北興業の問題については、政府資金によらずに何か別途その資金の手当をすればそれでよろしいということであり、それから小笠原住民の問題は、これはまだ懸案である。それから靖国神社の合祀費の問題は、これは現在のところ取りやめである。それからビキニマグロの問題は、一億五千万の修正増加の分で片がついている。こういうふうに了解してよろしゅございますか。それに政府資金が今後出る必要は全然ございませんか。
  121. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまお話のございました通りでございまして、東北興業の問題は、これはまた政府も一億出資いたしておるわけでござまして、東北振興のために東北興業会社の資金の充実措置をはからなくちゃならぬと、それにはまあ両党間では政府保証の道を開いたらいいんじゃないかというようなお考えであったかと存じますが、これは起債市場の問題もございますし、その方法だけで必ず資金が確保できるというわけでもないわけでございます。現在の段階では一応政府保証の道にかわって、何らか他に所要の資金を調達する方法があるのではないだろうか、そういう意味で私どもの方が党の方に意見を申し入れておると、さように御承知いただきたいと思います。  靖国神社の問題も、両党間においてはおそらく御検討中のことと存じますが、直接国の予算に関連した問題といたしましては一応けりがついておろと、さように御了承いただきたいと思います。
  122. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 飛行場の拡張の問題について外務大臣にお尋ねいたしたいのでございます。国会における各委員会の質疑応答を見ますというと、外務大臣は一方では共同防衛の責任上、飛行場の拡張要求があった場合にはその要求に応じなければならない。こういう点を一方御意見として述べておられる。そして一方では、しかし、なるべく飛行場の拡張はこの程度で制限して、これから先の要求については、なるべくこれをやらないように努力したい、こういうことを言っておられるのでございます。これは明らかに二つの矛盾をしたことでありまして、要求には応じなければならないし、しかし、これ以上飛行場の拡張は制限して、やってもらわないように努力したい、こう言っておられるのでありますが、外務大臣としてはどのように考えておられますか。あるいはどちらに重点をお置きになるお考えでありますか。この点第一にお伺いしたい。
  123. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 飛行場の問題、これは行政協定によって日本負担しておる施設提供の義務というところからくるわけでありますので、飛行場の拡張が納得のできるものであるならば、これはこれに応じなければならぬ、こう考えておるのであります。しかし、これはすべて御承知の通りに、合同委員会で彼我の委員の間にすべてを検討いたして結論をつけることになっております。それにまかせてやるわけでございます。私といたしましては、この問題につきましても、でき得るだけ飛行場地区の迷惑にならぬように進めたいとは思っておりますが、なお根本の問題として、この要求に応じなければまらぬ義務を持っておりますから、その決定は合同委員会によって検討をいたした上になされるわけでございます。
  124. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいまのお話を承わりますと、今後なるべくこれ以上ふやさないように努力いたしたいという、これまでの外務大臣の御所見が非常に薄くほったように思うのでありますが、衆議院における予算委員会の質疑におきましては、これ以上ふやさないように努力をいたしますということをはっきりと言っておられるのであります。この点もう一度繰り返してお尋ねいたしたい。
  125. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) そういうことをはっきり私が申し上げたということを今記憶にはございませんけれども、さような気持でおります。いずれにいたしましても、この問題は合同委員会で十分検討をいたしまして、日本側としてはさような気持を実現するように努力をいたしたいと、とう考えております。
  126. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 外務大臣はこういうふうに言っておられるのです。なるべくこれは制限してもらいまして、そうしてとれ以上ふやさないように努力をいたしたい、こう考えますということを言っておられるのです。このお気持にはお変りはないのかどうかということをお尋ねしておるのであります。
  127. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 気持といたしましては変りはございません。
  128. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そこで、これは外務大臣の御所管ではないかもわかりませんけれども、最初外務大臣も、それから担当の西田国務大臣も、飛行場の拡張は五カ所であるということを言っておられて、それが漸次六カ所というふうに変ってきておるのであります。この問題は閣議の了解事項というふうになっておると聞いております。この点、そもそもの最初の閣議了解事項というものはどういうものでありますか、承わりたい。
  129. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。  私が、現在のジェット機の離着陸に要する滑走路の拡張は五カ所と申したことは、今でも変っておりません。松澤さんは六カ所とおっしゃいましたけれどもアメリカ側から要請されておりまするものは五カ所だけではございません。いろいろありますけれども日本政府側として現在調査をしようと思っておりますのは五カ所でございます。
  130. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私が六カ所と申しましたのは、これはあとで福島政府委員のおっしゃたことを私はお尋ねしようという一つの前提であります。西田国務大臣は、五カ所のことは私承知しておりますが、そのほかのことは承知しておりませんので、というふうに言っておられるのであります。そこで問題は、先ほどお尋ねしたのでありますが、閣議了解事項としてきめられたのは、六カ所であったのか、あるいは五カ所であったのかということを聞いているのでありまて、西田国務大臣が五カ所であるということであれば、それでよろしい。いかがですか。
  131. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 閣議に正式にアメリカ側から要請されてきておる拡張の数、閣議で五カ所と決定したかどうかという問題については、私、今確実な記憶を持っておりませんので、あとで、閣議で決定した事項の数がわかりました場合にお知らせいたします。
  132. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それではさらに具体的にお尋ねいたしたい。閣議の了解においてはすでに六カ所ということになっていた、それが予算の都合上、本年は五カ所だけである。こういうふうに答弁されているのでありますが、調達庁長官はその点いかがですか。
  133. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答えを申し上げます。飛行場の拡張要求につきましては、アメリカ側から相当の数が来ておることは事実であります。これに対しまして、日本側といたしましては、幾つの拡張要求に応じようかということが検討をせられたわけでありますが、かなり早い時期に、四十数個の飛行場からだんだんに数を減らして参りまして、六つくらいの飛行場について検討してみるという了解があったことは事実であります。しかしながらこの了解と申しますのは、何年度の予算ということに関係いたしませんで、将来にわたってこれを研究してみようということになったわけであります。そういたしまして本年度の予算案に計上せられましたものは、当面五つの飛行場の拡張を処理するだけの予算しか計上されてないわけでございますので、本年度の予算の御審議を願っております建前におきましては、そのうち五つの飛行場の拡張の点が計上せられておるとお答えしておるわけであります。しかしながらこの五つの飛行場につきましても、閣議の決定がいまだあるわけではございませんので、これから調査その他の準備を完了いたしまして、合同委員会の協議もさらに続行いたしまして、正式に提供するととができるという段階に達しましてから、閣議の御決定はこれから願うことになっておるわけでございます。
  134. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結局問題はこういうふうに考えていいんじゃないかと思うのですが、本年度予算として計上されているのは五カ所である。五カ所だけが当面問題となっている。しかし五カ所の経費でもって六カ所できれば、六カ所やっても差しつかえがない。もし米軍から強く要求されれば、来年度の予算において、五カ所、あるいは六カ所以外の飛行場の拡張についても考慮する。こういうことであるように考えられますが、その通りと了解してよろしゅうございますか。
  135. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答え申し上げます。大体仰せの通りであると思いますが、本年度の予算に計上いたしてありますのは、五カ所の飛行場拡張経費でございます。これは御承知の通り、防衛支出金に一括計上せられておりますので、この五カ所が、仰せの通り、かりに余裕を生ずれば、六カ所目の飛行場を理論的には手がけることができないということはないのでございます。しかしながら計上いたしました予算の金額、また防衛支出金のその他の費目の関係から申しまして、具体的に現在の防衛支出金から第六番目の飛行場の拡張をする必要が出てくるということはちょっと考えられないと思っております。  なお、アメリカ側からの要望がさらに強くなってくれば、これを来年度の予算に計上してでも拡張の計画を実施するかというお尋ねでございますが、アメリカ側との話し合いによりましては、六つ目の飛行場を考えるということになりますれば、現在は予算がないのでございますから、来年度において考えるということになるのではないかと思います。しかしながら、この六カ所に触りますまでのいきさつから申しまして、七つ目という問題は容易に想像がつきません状況でもございますので、六カ所以外にもさらにアメリカの要求が強くあればという点は、私ども想像いたしておりません次第でございます。
  136. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そこでもう一つお尋ねいたしたいことは、ねるほど五カ所の飛行場の拡張というものは名前がわかっている。そしてこの予算では六つの飛行場の拡張をやるということは困難である。五つもできるかどうかわからないという状態であるということはわかったのでありますが、しかしもし五カ所の飛行場のうちで、地盤の関係等で五つのうちの一カ所が拡張不可能であるということが明確にわかった場合には、その五カ所の十二億の金を六カ所目の飛行場に回すということは理論上あり得るごとでありますかどうか。
  137. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) 五カ所の飛行場の予定経費といたしております十二億の資金のうちに、一つの飛行場その他について工事不可能というようなことで余裕を生じて参るとか、あるいはさらに、これは理論上の問題でございますが、防衛支出金のその他の面においても支出余裕を生じて参ります場合には、理論上第六カ所目の飛行場の拡張に着手することはできるわけでございます。
  138. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、五カ所の飛行場のうち一カ所が実施不可能になって、第六番目の飛行場の拡張というとともあり得るし、また八十億でございますか、防衛支出金の中で施設の拡張等の経費がとられてありますが、その他方で、十二億以外のところで経費の節約等ができた場合には、本年度第六番目の飛行場の拡張ということはあり得るわけでございますか。
  139. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答え申し上げます。これはあくまでも建前ないしは理論上の問題でございますが、かれこれ八十億の防衛支出金の関係の中で余裕を生じて参りますれば、何かの事情で余裕を生じて参りますれば、六カ所目の飛行場の拡張に着手することはできるわけです。
  140. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その際に閣議の了解事項としては六カ所ということになっているから、六番目の飛行場の拡張ということはそれでよろしいかもしれない。しかし防衛支出金の使途の場合におきましては、五カ所の飛行場ということに一々名前があげてあるのでありますが、これを六カ所目の飛行場の拡張に充てるということは、何ら国会の承認等必要がないわけでありますか。
  141. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) 六カ所の飛行場について閣議の御了解を得ておると申しますのは、六カ所の飛行場について将来これを正式に閣議で検討をしていただけるような準備ができるかどうかという意味の御了解を得ていただいているというふうに考えております。その五カ所につきましても、これから閣議の決定を願いまして、正式にその地点をきめるということになるわけでございます。資金関係その他の事情によりましてちょっと想像はつきませんけれども、六カ所目が可能になった場合におきましては、以前の五つと同じように、改めて閣議の決定をいただきまして、やれるかやれないかということの御決定を願うほかないのでございます。
  142. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 調達庁長官は衆議院の予算委員会の席上で、小牧については現在調査をしている、三十日もたてば調査が終了する、その結果土地の買収が可能であるかどうかということがわかるから、閣議にこれをかけて決定するということを述べておられるのでありますが、それから一カ月以上今日たっているのであります。三十日もたてば調査が終了するというその調査が終了したのでありますか。で、その結果はどういうことになりましたか。
  143. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答えを申し上げます。調査は終了したのであります。その調査に基きまして小牧の拡張区域と現在までの区域との間に流れております大山川の川筋をどう変更するか、北の方に迂回させるか、あるいはその場において暗渠にするかという技術上の設計に現在着手しておるわけであります。これが技術的に可能であるということに懸りますれば、飛行場の拡張はできるということになります。技術的に暗渠にいたしても、北の方につけかえても、川が流れないということになりますと、飛行場の拡張はできないということになるわけであります。従いましてその技術上の設計につきまして、これが可能であるかないかという点のきわめて重要なことでもあり、現地の人々の利害にも非常に関係がございますので、各方面の技術者の意向を今集めておるところでございます。現地におきましても、設計図につきまして地元関係者に検討を願っておるというところでございます。それが決定いたしましてから、また現在調査にかかっておりますところの他の飛行場の関係の調査も出そろいましてから、閣議の御決定を願った方がいいのではないかと考えまして、まだ閣議にまで御審査をお願いしてないわけでございます。
  144. 館哲二

    委員長館哲二君) 時間が超過しております。
  145. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 三木運輸大臣にお尋ねいたしたいのであります。  大体十一次造船計画の十八万九千トンというのは私も了承しておるのでありますが、現在のところ一応定期船と不定期船は五〇・五〇の割合でもって決定しておると承知しております。しかし最近また定期船の割合を少しくふやした方がよいのではないかという意見も出ておるようであります。この点につきまして、造船計画を実施される場合に、どういうふうに割り当てられるお考えでありますか。
  146. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 松澤委員御承知のように、貨物船は十三万五千トンという計画であります。それをいかように定期船と不定期船とに割り当てるかということにつきましては、ただいま造船合理化審議会の小委員に付託をいたしまして、この割合について諮問をいたしておるわけでございます。今御指摘のように少し定期船の比率をふやしたらどうかという議論が小委員会に起っておるということは私も承知しておるのであります。この答申を待って私ども検討を加えて考えたいと思います。
  147. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私の言ったのは、タンカーまで入れて十八万九千トンと、こう申したのであります。そのうち貨物船は十三万五千トン、これをほぼ半分半分に割り当てるという御計画のように承わっておりました。多少その率を変更する必要があるのじゃないかというような議論が出ておるということを申し上げたのであります。これは合理化審議会でもって意見を聞いて、その率を定めるということで了承いたします。  五万四千トンのタンカーの問題でありますが、漸次タンカーは大型化してくる傾向にあると思いますが、五万四千トンの中でどういうようなタンカーをお作りになるお考えであるか、これを承わりたい。
  148. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 松澤委員御指摘のように世界的な傾向としてタンカーが大型化されていっておるのであります。そういう趨勢にかんがみまして五万四千トンの計画をされておるタンカーにも、造船合理化審議会の小委員会において大型船を少し作るべきであるという意見が出ておりますが、また五万四千トンのうち大型タンカーを何隻作るかというととは結論に達していない。少し作るべきだという意見は出ておりますが、一体何隻にするかという結論は出ておりませんが、近く結論も出ることと思います。その意見を尊重してそのタンカーに対してどの程度大型船を認めるかということを検討いたしたいと、こう考えておるのでございます。
  149. 館哲二

    委員長館哲二君) 松澤君に申し上げます。時間が切れております。
  150. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 最近問題となっております石油業者のタンカー建造申請の問題、この問題についての経緯を一つ承わりたい。
  151. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 最近丸善石油会社がバンク・オフ・アメリカから三百万ドルの外資を導入して大型タンカーを作りたいという申請が外資委員会に出て参りました。外資委員会ではそれがパスしておるのでございます。これは今までも、先般も大協石油に同じような条件でその建造を許した例がございます。御承知のように、タンカーの現在の政府計画のもとにおいては六カ年に三十万トンの今後タンカーを計画造船によって作りたい。その三十万トンの建造の中には、戦時標準型と言って、もう四年の後にはこれは使えない状態にある十八万トン、これはだから新しくタンカーを加えるのではなくて、これに代って使えないものをこれを新しいタンカーに代えなければならん十八万トンも加えまして三十万トンを六カ年に作っていきたい。そういたしましても石油輸入の七〇%でございます。そういう点で、タンカーの今後の輸送量から見まして、現在タンカーが不足をしておる。あるいは五カ年後においてもまだ七〇%で、その間石油輸入量も増加する傾向にもありまして、当分タンカーというものがほとんど自国船で運ぶという状態にはいかない。丸善石油の場合には、それを自分で運営をしないで、タンカー業者にオペレイトをまかしておる。また従来日本船で運んでおったこの油でなくして、外国船によって運んでおった油を、タンカーを作って、そうしてその船によって運んで、外貨の節約をはかりたいというような条件で外貨の申請をして参ったのであります。従って日本のタンカーというものの現在の状態から見ますると、自己資本でタンカーを作るということは経済の自立の上からいったならば好ましいことではあるのでありまするが、一方それがタンカー業界に対してどういう影響を与えるかということも検討いたさなければならぬわけでございます。むろん一ぱいや二はいで影響が、そんなに大きな影響があるとは思いませんが、今後こういう傾向がどういうふうに現われてくるかという点で、これは慎重に検討を要する問題でございます。先般も松澤委員からもこれに対して慎重を期されたいという申し出もございました。衆議院の運輸委員会においても賛否両論がございますので、それが民間に対してはきわめて慎重な検討を加えたあとに処置いたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  152. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 簡単に。臨時船舶建造調整法によりますと、船舶の建造を許可する条件として、「当該船舶の建造によってわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと」という条項があるのであります。従来日本におきましては、建造の利子補給までやりまして、タンカーもでありますが、その建造を補助、助成していたわけであります。そして一定の商船隊というものを作って、わが国の国際貿易及び外貨の収入、経済の自立等に寄与するという目的をもって、これを保護奨励していたわけであります。こういういわばワク外であり、かつまた国の海運政策からいいますというと、とかく各方面に混乱を生ずるおそれのある建造計画というものを今回お認めになりますと、相当わが国の国際海運の健全なる発展というものに支障を来たすんじゃないかと、こう考えられますが、この点運輸大臣として差しつかえないとお考えでありますか。かつまたこの建造を許可する基準というものについては、その判断の基礎となるべき事項というものが相当必要であり、かつ運輸省の告示によりましても、当該船舶の建造によってわが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利益な影響を与えるおそれがないということが建造許可の一つの大きな条件であるというふうに考えるのであります。こういう点を考えてみますと、第一に政府が利子を補給いたしまして、一定の計画造船をやっている。その利子の支払いもできないという現状に一方ではおかれているタンカー業者、そうしてこういうたとえば丸善のような会社におきましては二割五分、あるいは日本石油においては三割というような莫大な利益を上げている、その石油業者が外国の資本と結託いたしまして、次々にこういう自分の、自社の船を建造して、これを石油の積み取りに回すということであれば、日本の海運政策に対しても非常な大きな支障を与えると思うのであります。  そこで最後にお伺いいたしたいことは、こういう問題のある船の建造を許可する場合には、海運造船合理化審議会の意見を尊重して、その決定に従わなければならないという規定があるのであります。運輸大臣はただ運輸大臣としてこういう船舶の建造を許可されるお考えがあるか。こういう問題のあるところの船舶の許可については、海運造船合理化審議会に諮ってこれをきめられるのか、あるいはこういう船舶の建造に対して、もしも不服のある者は、これを運輸大臣に申し出をすることができるという法律もあるのであります。これらの法律の条文上、今後運輸大臣としてはいかなる万全の方法をとって日本の海運を助長し、そうして外資の支配から日本の海運を守るという御意見を持っておられるか、承りたいと思います。
  153. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 外資の導入をいたしますことが一がいに悪いという考えは私は持ってないのであります。どうしても底の浅い日本の経済、その根本になるものは資本力の不足であります。これが原則的に外資の導入を反対するという意見はございません。従ってそういう形で日本のたとえばタンカーのごときものも、それが適正な条件のもとで外資を導入するということが、一がいにこれが悪いことだとは思いません。経済自立の観点から見れば、そういうことによって外国船に払っている運賃をやはり自分の船に置きかえていく。そうして外貨を節約するということは、経済自立の観点からいったならば、これはむしろ好ましいことであると思うのであります。ただ私が慎重に考慮したいということは、こういうことが海運界にどういう影響を与えるかということは、これは考えなければならぬ。むろん海運政策も日本の経済自立の一環として考えはければならぬと思いますので、そういう点につきまして、これは慎重な検討を加えたい。慎重な検討を加えるということは、先般もタンカー業者の代表者も呼んで意見も徴しました。各方面意見を徴して、今後の認可というものが公正な一つの行政の措置としてやりたいという考えでございます。あるいは御指摘の合理化審議会、これに付議するという義務はございません。法制上の義務はございません。それはちゃんとした基準があるのであります。運輸大臣が認可をする場合の一つ基準というものが個条書きに書かれている。そういう点から、もしその基準を変更する必要があるという場合には、合理化審議会にこれは付議して基準を変更したり、付け加えたりしなければならぬ必要が起ってくるわけでございますが、先ほど申しましたように、これはきわめて慎重な態度をとる、日本の海運界に非常な悪影響を与えないかどうかという点について検討を加えて、慎重に処理いたしたいということを申し上げておきたいと思います。
  154. 館哲二

    委員長館哲二君) これにて二時四十分まで休憩いたします。    午後一時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後二時五十五分開会
  155. 館哲二

    委員長館哲二君) 休憩前に引き続いて質疑を続行いたします。
  156. 吉田法晴

    吉田法晴君 予算の前提となっている法律案がどうなっておるのか。それからこれらの関係の法律が提出せられるなりあるいは審議未了になったり原案が修正されたりいたしますと、予算が予算通り施行できないということになるわけでありますが、そういう場合の措置ありや、責任をどうせられますか。官房長官大蔵大臣から承わりたいと思います。
  157. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。予算関係法律案は政府として出すべきものは全部出ているはずでございますが、自由党民主党の両党修正に関連いたしまして一つだけ問題に残っておりまするのは憲法調査会の問題でございます。これは提案の形式が政府提案にしてほしいという意見と、それから修正によって出たものでありまするから、議員提出にしたいという議論がまだまとまっておりませんが、これは月曜日には自由党と民主党との間において最終的に決定するとのことでございまして、大体議員提出になるのではないかと考えておるのでございます。それからもう一つは、直接予算関係の法律とは思われませんですが、石油開発のための会社を設立することにつきましては、これは自由党、民主党との共同修正に関連いたしまして、自由党と民主党との間において議員立法をすべしという議論であったそうであります。しかるところ、この石油開発会社の問題につきましては社会党におきましても同時にこれは取り上げられまして、その結果政府立法にされたいという自由、民主両党からの申し出がありまして、これはその手続を取りつつあります。これは火曜日の閣議にかけまして最後決定して同日提出いたしたいと存じている次第であります。そのほかは予算関係の法律案はすべて政府としては提出済みでございます。なおまた予算関係法案が期間中に間に合わないようなときにはどうかということでございまするが、これは現在の審議状況から見まして会期中にすべてが審議終了することは困難であるということで、この点につきましては各党において会期延長の議も出ているようであります。これは会期の問題は国会においておきめになることでございますが、政府といたしましてはでき得るだけ会期中にあげていただきたいのでありまするけれども現状でどうしてもできないときには、やはり会期延長の点はお願いしなければならぬというふうになるのではないかと考えておる次第でございます。
  158. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま官房長官から御答弁申し上げた通りでございます。
  159. 吉田法晴

    吉田法晴君 問題がわかっていなかったようでございますが、時間がございませんから先に参ります。  農林大臣にお尋ねをいたしますが、米価は民主党案を基礎にして一万六十円という点は内閣において意見が一致した。問題が残っておるのは、予約格差とそれから食管会計の赤字をどういう工合に埋めるか、この点にかかっておるかのように承知をするのでございますが、そういうことでございますか。米価問題について農林大臣にお尋ねいたします。
  160. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) まだそこまで話はいっておりませんので、きょうまた予算委員会終了後関係者が集ってよく懇談することになっています。
  161. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると一万六十円という点は了解がされたと言いますか、そういう点もまだきまっておらぬ。それから食管特別会計の赤字と申しますか、減収加算を含んで値上りによる赤字を埋める方法について検討をしておるというまだ段階である、こういうことでございますか。
  162. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。それらを全部くるめて相談しております。
  163. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは大蔵大臣に伺いますが、予算米価を上回ることは必至の状態にねって参ったのでありますが、食管特別会計の赤字をどういう工合にするのか。あるいは売り渡しの数量あるいは豊凶によります影響が予算に出て参りました場合には、それをどういう工合にされるつもりであるか、大蔵大臣に伺ってお誉たいと思います。
  164. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 米価につきましては、ただいま農林大臣が御答弁申し上げましたようにまだきまっておりませんので、どういうふうにこれがきまるか、そういう結果を待ちまして私としてはいろいろ考えてみたいと思います。
  165. 吉田法晴

    吉田法晴君 外務大臣は濃縮ウラニウムの受入れは急がないと私の質問に答えられました。ところがとの答弁にもかかわらず二十一日仮協定を結ばれたわけでありますが、この前の私の質問に対する答弁からいたしまするねらばこれは食言だと思うのでありますが、これについてどういう工合に考えておられますか、あるいは責任感じておられますかどうか、承わりたい。
  166. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 濃縮ウラニウムの交渉は決して特に急いだわけではございません。これはすでに発表いたしました通りに、協定そのものとしてはきわめて簡単でございます。九カ条しかない協定でございます。そうして五月の上旬にこの協定にいる決定をいたしまして、そうして六月に協定が成立したのでございます。そこでこの協定方針がきまりまして、すぐ交渉に入ることになりまして、入った結果ワシントンにおける交渉は非常に難関はございませんでした。そこでこの協定は何ら特に取り急いだわけでないのでございまして、双方の合意が成立しましたわけでありますからこのイニシアルをいたしたわけでございます。
  167. 吉田法晴

    吉田法晴君 この前の議論をもう一度繰り返すのは時間が惜しいのですが、ゼネバ会議までどうして待たないのか。ダレス国務長官の表現を引いて、アメリカ原子力国際管理体制を強化するという情勢のもとで急ぐ必要はないじゃないか。これに対して、急いでおるわけではございません。こういうことでございましたから、それではゼネバ会議まで待つつもりか、こういう印象を受けたのでありますが、それにもかかわらず仮協定を結ばれた点を、私に対する答弁からすれば食い違っているではないか、こういうことをお尋ねをしているわけであります。
  168. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 交渉の経過の、ごく概略は今申した通りでございます。そうしてこれを、今お話のゼネバ会議でございましたかのあとに仮調印をするというようなことは、私は申したつもりはございませんが、合意が成立したからこれに仮調印をしたわけでございます。この本調印をするのは、それではいっかという御質問があったと思いますが、この本調印は、これはまたいろいろな手続がございますから、それらの手続、またいろいろ話し合いを協定に基いて細目についてしなければならない。そういうことを終りましてから調印をするつもりで、これも普通の手続によってやるのである。こういうことを御説明をしたと記憶いたしております。
  169. 吉田法晴

    吉田法晴君 日ソの交渉に対して初め鳩山内閣が臨まれました態度と、最近の態度は若干違ってきておるのではないかということを心配をいたしますが、あらゆる問題が解決されなければ講和条約は結ばない、こういうことでなくて、実際に日ソ国交が回復されますように誠意をもって推進を願いたいと思うのでありますが、この間横で聞いておられましたが、鳩山総理に御質問を申し上げましたように、世界の外交は最近においてトップ・レベルの交渉、あるいは会談がなされて推進されておるのでありますが、あるいは日ソ交渉、これは日ソの関係は日ソの交渉でありますが、アジアの問題について鳩山首相なり、日本のトップ・レベルの人が出ていただいて、そうして平和外交を推進するという積極的な熱意はお持ちにならないかどうか。重光外相にお伺いをいたします。
  170. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 日ソ交渉に関する現内閣の方針は少しも変更はございません。わが方の立場及び主張を十分に生かして、そうしてこれに満足を得て平和条約を締結するという方針でございます。そうしてこれに対してロンドンの会議において、わが方の立場を全面的に交渉の題目にいたしたということも御報告をいたしてあります。これに対してソ連側の全面的の考え方も承知をいたしておると、こういう点まで御報告をいたしておると思います。この双方の立場を調整をして、わが方の主張及び立場を十分に貫徹をするという努力を今いたしておりますわけでありますから、それによって国交の調整を実現し得るようにあらゆる努力を尽したい、こういうふうに考えて進んでおります。
  171. 吉田法晴

    吉田法晴君 日ソの交渉についても、あるいはアジアの交渉についても……   〔国務大臣重光葵君発言の許可を   求む〕
  172. 館哲二

    委員長館哲二君) 吉田君、外務大臣もっと補足せられますそうですから。
  173. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) なお御質問の後段を私ちょっとお答えするのを忘れました。  トップ・レベルの会議でもして、アジア問題なんぞを(吉田法晴君「日ソの問題についても」と述ぶ)解決でもして、そうして平和外交を進めたらどうかという御意見のようでございました。その御趣旨は私は非常にけっこうだと思います。国際情勢の変転に備え、かつまた情勢の許す機会をとらえて、さような考えを実現するということは適当なことだと考えている次第でございます。
  174. 吉田法晴

    吉田法晴君 基地問題についてお尋ねをいたしますが、他の機会に答弁せられたところを伺いますと、米空軍の基地を集約するというお話がございました。どことどこを廃止し、あるいはどことどこを残すのか、具体的に承わりたいと思います。
  175. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答え申し上げます。飛行場の拡張と申します問題は、過去に日本陸海軍時代に八十幾つに上りました飛行場を、現在四十幾つに数を減らし、これをさらに一つ一つの規模としては整備したものをこしらえますけれども、相当に整理しようと、こういうことになっているわけでございます。ただいま拡張にかかっております飛行場の名前は、御承知の通りでありまして、新潟以下五カ所、それに現在すでに相当の規模を持っております北海道にございます飛行場、その他を合せまして、これらが将来使用にたえる飛行場になりまして、それ以外の飛行場は使用の可能性が減って参りますので、将来だんだんに整理して参ることになると考えております。
  176. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう少し具体的に承わりたいと思いますが、五カ所、あるいは北海道千歳ですか、あるいは板付等を除いたら、それではあとのものが順次なくなると、こういう御答弁ですか。
  177. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答え申し上げます。ただいま拡張工事にこれからかかりますもの五、六カ所、それに拡張いたさないでもジェット飛行機の使用にたえますもの――北海道の千歳とか、あるいは青森の三沢とか、九州の板付とかでございます。それ以外のものは滑走路が足りませんので、ジェット飛行機に変りましてからは飛行機が飛べなくなるわけであります。次第に整理されていく状況になると考えております。
  178. 吉田法晴

    吉田法晴君 今度の拡張、あるいは今の答弁から言いますと、集約でありますか、集約される基地がどういう規模、構想のものか承わりたいと思います。
  179. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) このたび拡張にかかります飛行場は平均九千フィート、九千尺の滑走路を有する飛行場にいたしたということであります。現在の滑走路の長さを二千ないし三千尺延長するということであります。飛行場そのものの規模その他の問題といたしましては、別に従来と変るところはないのでございますが、滑走路それ自体がこれからの飛行機の使用にたえるということにするわけでありまして、それ以外に飛行場設施そのものを拡大強化するという意味は含んでおりません。単に滑走路を将来の使用にたえろところまで延長するというのを根本の方針にいたしております。
  180. 吉田法晴

    吉田法晴君 ただ大きさだけを言われましたけれども、私どもの聞いておりますように、あるいは地下格納庫を作ったり、あるいは地下ガソリン・タンクを作中ったりする計画があるのか、あるいはそういうことをする必要がどうしてあるのか、一つ承わりたい。
  181. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答え申し上げます。滑走路そのものを延長いたしますことを問題といたして作業をいたしておりまして、それ以外のたとえば給油施設を改良するとか、いろいろなととがございましょうと思いますけれども、これらは本質的なものでございませんで、この際は、あくまでも滑走路の延長ということに主眼を置いておる次第でございます。
  182. 吉田法晴

    吉田法晴君 外務大臣にお尋ねをいたしますが、今の質疑の中からも明らかでございますが、世界的には平和共存、あるいは四カ国会議等もございまして、言葉は何と言おうとも、平和共存、あるいは原子力にしても平和利用のために国際会議が開かれる、こういう時代にニュー・ルック政策の日本における強化――この滑走路を拡大するだけでなくて、地下ガソリン・タンクを作る、あるいは地下格納庫を作るというような、戦争を目途として、あるいはそれに対して攻撃を加えるような体制をどうして日本の中で強化しなければならぬか。これは日本人だけでなくて、世界の人間がこれは納得することができないと思うのでありますが、それになぜ日本政府が協力しなければならないか。日本の国民が協力しなければならないか。何としても私ども納得することができませんが、外務大臣はどのように考えられますか、承わりたい。
  183. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) われわれはさような施設を攻撃用とは少しも考えておりません。日本の防衛力の充実ということはまだ必要であるので、さようなことを米国との共同の責任において進めておるわけでございます。
  184. 吉田法晴

    吉田法晴君 防衛力と言われますが、まあ防衛力の強化と言われるのかもしれませんけれども、しかし朝鮮事変が終った。あるいは仏印停戦も見た。世界だけでなくて、アジアにおいても緊張は緩和されようという現在に、どうして空軍基地を拡張しなければならぬか。これはあの妙義の場合でもそうでありますが、朝鮮戦乱の金剛山の山岳戦で負けたからといって、それを日本でもう一ぺん訓練をしなければならぬということについては、何といっても私は納得することができませんでした。どうして今のあの情勢の中で基地を拡大し、あるいは地下ガソリン・タンクや地下格納庫までも作らなければならぬか。これは何としても納得がいかぬことでありますが、重光外相は政府を代表して、どういう工合にお考えになるか、もう一度承わりたい。
  185. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 一般国際情勢の緊張が、最近重要なる指導国の努力によって緩和の方向に向きつつあるということは、私はこれは認めるのでございます。またさように認めたいのでございます。しかしまだその傾向が――それではどういう原因でそういうことになっておるかということを検討してみまするのに、これは鳩山総理もたびたび言われます通りに、各国の自衛の力、防衛力というものが充実して初めて平和が維持されるのである。こういう観点から見ますというと、今日やや緊張度の緩和を見通し得るとしても、まだ油断のならぬ情勢でございますから、従来とも非常に足りなかった防衛力については、これは十分に備えがなければならぬ、こういうことになると思うのであります。そういうことがすなわち平和を維持する、また緊張をますます緩和する方向に向ける原動力になる、こういう観点に立っておるわけであります。
  186. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと関連して。最も緊張をした時点、段階においても、現在の状態の力で攻撃なりその他の侵略を免れ得たのであります。しかも今大臣も御説明のように、今後は少くとも方向は緊張緩和の方向だ。だとするならば、これ以上力の増強をやる必要は毛頭ないので、ことにアメリカの戦略空軍といいますか、そういうものを日本の基地にさらに増大をするというような必要は毛頭ない。それは世界の、あるいはアジアの緊張緩和の方向にむしろ逆行するものである、こういうふうにしか思えないのでありますが、それに対する答弁には何らなっていないと思いますが、もう少しその見通しとの関連において、なぜ増強をすることが、見通しに逆行しても増強することが必要であるのかという点の御説明を願いたいと思います。
  187. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 今国際情勢の見方について御議論がございました。(「議論じゃない、事実じゃないか」と呼ぶ者あり)この御議論の趣旨につきましては、これはさような御議論が十分成り立つと私はこれを認めるのに少しもやぶさかではございません。しかしながら今日いまだ国際情勢、特にアジアの国際情勢が、国防を十分に顧慮する必要のないような緩和の形勢にあるとは私は考えないのでございます。のみならず、日本といたしましては、過去において非常にこの方面に力が足りなかった、非常に手薄であった、このことに対しましては十分意を用いて平素の備えも必要であろう、その程度にまだ達しておらないのでありまして、そういう程度に達して初めて平和にも貢献のできる、国防の責任も果せる、こういうものであろうと、こう考えるのであります。私は今極東において飛行場を拡張しなければならぬような戦雲がまだみなぎっておるとは申しません。台湾の情勢も幾分か緩和いたしておることも認めなければなりません。しかし、さようにすべて目前の現象を大きく見過ぎて、そうして根本に横たわっておる国際情勢の動きを軽視するわけにいかぬと思います。まだ大きな意味において国際情勢の緊張は続いておるのでありますから、これに対処することは十分注意をして、用心、用意をしなければならぬと、こう考えております。(「平和外交じゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)
  188. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その御意見は、現在の軍事施設、特にアメリカの軍事施設をすぐ取っ払っていいとか大幅に縮減をしていいとかいう議論にはならないという意味ならば了承ができると思います。議論としては了承ができると思いますが、少くとも緊張を緩和する、どの程度にどういうテンポで緩和するかは、いろいろ見方の相違もありましょうが、少くとも方向としては緊張を緩和するということは、これは意見でなくてみんなの一致した見通しであり、現実の趨勢であると思います。そういう方向であり、そういう趨勢であるのならば、それに逆行をしてアメリカ駐留軍の軍事施設をそういうふうに規模拡大をするという必要は毛頭ない。むしろそういう方向はこの際はっきりとストップし、さらに切りかえて大幅な縮小の方向に行くことこそが、今後サンフランシスコの国連十周年記念の申し合せ、あるいはきのうきょうに発せられる平和宣言の方向から見ても、あるいはさらに近く行われる巨頭会談で大幅な軍縮の方向が決定をされるというような方向から見ても、どの面から見ても逆行であり、絶対に許すべからざる方向であると思うのでありますが、それをしも否定をしてさらに増強に応じようとされるのかどうか。
  189. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 私は世界の情勢を緩和しようという努力はあくまでしなければならぬと思う。またそういう方向に主たる指導国は努力をいたしておると思う。今お話通りに、国連の十周年記念もこれもいい機会でございましょう。これは日本といたしましても、さような世界の情勢の緊張を緩和する方向に努力をしなければならぬということは当然のことでありまして、われわれが日ソの交渉をやるというのも、さような意味努力をしておるわけでございます。しかし飛行場の拡張ということは、さような大きな世界情勢と直接にこれを関連さして論ずるのには、私ははなはだふつり合いな題目だと考えております。たとえば飛行場の飛行機がプロペラーでなしにジェット機になる。ジェット機になるために必要な飛行場の滑走路を延長するということは、これは私は当然の、むしろ技術的に見て当然のことであろうと思う。それが世界の平和と逆行すると、こういう議論は私にはよく了解することができません。
  190. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の外務大臣の言葉に反して、実際には、たとえば福岡あるいは小牧等で、飛行機の発着あるいは訓練が強化されてジェット機が民家に突っ込んで人を殺すというような事態が起って参っております。板付の二股瀬という町の関連した人たちが、「もう私たちはがまんができません。再びのろわしい惨害が繰り返されることを望みません。私たちの生命と生活を脅かす米軍板付飛行場が一日も早く撤廃され、平和な町に返ることを強く希望いたします。」、こういう陳情書を私どものところに持って参っておる。こういう事態に対して外務大臣はどのように考えておられるか。あるいは名古屋の近くの市中から飛び立っておる戦闘機の発着飛行場に対する市民の感情というものに対して、どのように考えておられるか、御答弁を承わりたい。
  191. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) さような陳情は、私どもの手元にもたしかきておったと思います。その陳情に対しては、これはまことに同情し、お気の毒だと思っております。でありますから、むしろ、さような危険のないように飛行場も十分な設備をすることが必要となる、こういうことも言えるのでありまして、さようなことは、大局から約束をしてあるわけでありますから、十分理解をもって進めていって、そうしてさような利害関係者との間において十分これは協議し、理解をして進めてゆきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  192. 吉田法晴

    吉田法晴君 そう言われますと、おそらく二股瀬、小牧の人たちは、外務大臣に私たちの所に来て一晩泊ってくれ、どんなに爆音が私どもの生活を圧迫しているか、あるいは危険が周辺にあるか、ということを訴えるだろうと思うのであります。板付あるいは伊丹、これは羽田についてもございましたけれども、市中にありましたそういろ軍事基地を取り払えという強い要望に対して、政府はどのように、考えられるか、市中の軍用基地を取り払う意思はないか、重ねてお尋ねします。
  193. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) お答え申し上げます。市街地にございます軍事基地というものを取り払いまして郊外に持って出るということは、私どもの基本的な方針でありまして、逐次東京、横浜、名古屋、市街地の軍事施設を取り払っております。郊外へ出しております。板付、あるいは小牧、あるいはその他の飛行場は、行政区域としては特定の市の行政区域の中にあるということは事実でございます。しかしながら市街地にあるとは申しかねる地帯でございまして、市街地ではないというふうに考えておりますので、これらの飛行場を直接市街地のまん中にあるから外に動かさなければならないというふうには考えておりません。ただ、いろいろな施設区域、これに六百有余ありますけれども、中にはガソリンの給油所、ピストルの射撃場、その他非常に小さいものまで、一つ一つ、言葉の使い方によりますと基地もいろいろある、こう思うわけでありますが、基地としては使っておるわけでございません。そういうものが市街地にあるという意味におきまして、基地が市街地にあるという言い方はできないことはないと思いますけれども、これとそれとはかなり文句も違っておると思いますが、しかしながら、いずれにいたしましても、市街地にあります、提供してあります施設区域は、これを市外に出す、郊外に出すという方針で処理はいたしております。
  194. 吉田法晴

    吉田法晴君 小牧、板付等で人命が失われたという事故が頻発しておりますが、それに対する従来の補償は不十分だと思うのですが、どのように考えておられますか。あるいはその他の分についても手当が十分行われておらないので、軍との折衝等もあるわけですが、その点についてどのように考えておられるか。
  195. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 板付におきましても、小牧におきまして、特に小牧におきまして事故が多いというととは事実でございます。これは小牧の滑走路が非常に短いために、ジェットの飛行機の燃料その他の装備を加減いたしまして演習をいたしておりますが、ときどき落ちるということがありますので、今後拡張が完成いたしますので、この種の事故は減って参ると思います。今日までにつきましては、国が行政協定の十八条並びに民事特別法によって補償することになっておりまして、被害者の家族及び軍との事務的な打ち合せは、最近に起りましたものにつきましても、取り急ぎ進行いたしておりまして、まことに過去におきましてこれが金額的に不公平であるというようなことで、不公平かつ不均衡という問題もございまして、訴訟になっておるものもございます。しかしながら、駐留軍の公務上の事故によって日本人が死亡いたした場合には、平均収入の日額の千日分というのが補償額の基準になっておるわけでございます。これは昭和二十七年五月の閣議決定によってこのような基準がきまっておるのでありますが、労働基準法による労働者災害補償の場合、国家公務員災害補償法による国家公務員の災害補償の場合は、平均給与額の千日分と定められておるわけでございまして、この例によって給付の均衡を保つということを主眼に置きまして定められております。従って、現在では他の法律によるこの種事故補償との関係もございますので、この行政協定十八条の関係のみ増額を行うことは困難であると考えております。
  196. 吉田萬次

    吉田萬次君 関連して……。小牧の飛行場の問題でありますが、あのそばに流れておる大山川という川があります。非常にはんらんをして、毎年その被害を受けておる。あの川に対して暗渠工事あるいは流域を変えるということは、容易なことではないと思いますが、それに対する滑走路の延長に対しての確信はあるかどうですか。あの川に対する確信はありますかどうですか。
  197. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) 大山川につきましては、御指摘の通りの事情のございますこと、その通りでございます。従いまして、この川を越えて滑走路を延長しようといたします場合には、北の方へ川筋をつけかえるという問題がまず第一に考えられたわけでございます。これは道路と違いまして、道筋だけをつけかえるということになりません。あとで水が流れなければ何にもならないということがございますので、ただいまその技術的な設計並びに研究はもっぱら現在地におきまして、大山川の川の幅を広くしてその上に橋をかける。暗渠というほどのふたではございませんが、飛行場の通常の地域内はオープン・カットで流れる、滑走路の下だけを上にふたをするということで、水量並びに各年度の雨量の統計その他をとりまして、従来の大山川のはんらん状況以下にしてはならない、またできるならばこういう工事を機会に、年々歳々水の出る川でありますので、これを改良したらどうかというような趣旨で、設計いたしておりまして、これが技術的に承認できるかどうかということは、今中央並びに地方の技術家諸君の検討に待っておる次第でありまして、私どもの事務的もしくはその他の都合によります意見は差し控えたいと考えております。
  198. 吉田法晴

    吉田法晴君 たとえば板付の事故の際に、飛行機には日本人が乗っておったと言われます。それから雁ノ巣の飛行場は返すと言われながら返さないで、そのまま自衛隊の落下傘部隊が落下傘訓練に使っておる。こういうふうなはねはだあいまいな不届きな扱い方をされておるのでありますが、どうして、返すものは返す、新しく相談するものは相談する、こういうふうにしないのか。これはどちらか知りませんが、一つ答弁願います。
  199. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 仰せの通りの話し合いが行われております。従いまして、拡張するものは拡張するということになりまして、拡張が実行されれば、返すものにつきましても事務上の処理が進行するものと考えております。
  200. 吉田法晴

    吉田法晴君 米軍あるいは英豪軍が、今年幾ら帰るのか、あるいは来年幾ら帰るのか、こういう点に関連をして駐留軍労働者の生活が保障あるいは転換をはからるべきだと思うのですが、そういうことでなくて、行き当りばったりであります。この点が今年はどういうことになるのか、来年はどういうことになるのか、一つ承わりたいと思います。
  201. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) 米駐留軍が本年どれくらい帰るか、国連軍がどれくらい帰るかという純然たる軍事上の問題につきましては、私どもそこまで追求しておるわけではございませんが、米軍並びに国連軍の雇用しております日本人労務者の数が、年々どういう情勢で、どういう変化をたどるかということにつきましては、相当にしつこく追及いたしておりまして、これによって労務者の給与の予算のみならず、関係いたします官庁、特に調達庁――私どもの予算の大きさもこれによってきまるわけでございますので、来年の数がどういう見通しになるかというようなことはかなり精密に追及いたしておるわけであります。ただいまの駐留軍労務者の数は、御承知の通り、かれこれ十五万五千であります。これに国連軍労務者の数が一万一千くらいあるわけであります。で、来年度は-来年度と申しますか、本年度、すでに本年度でありますが、米国駐留軍の雇用いたします労務者の数は、予算上の措置といたしましての基準を年間平均十四万六千に認めております。年間の平均でございますので、年度末にはそれより減らなければ、現在との数の平均でそこへこないということになりますので、本年一ぱいに減ります数は十五万五千から十四万六千を引いた数よりも多くならなければならないと考えております。従って、一万を少しこす数が米軍関係日本人労務者には整理の対象になる。国連軍関係は、これは事情もちょっと違いますので、国連軍それ自体が二千人ほどしかおりませんので、労務者を一万一千人以上も使っておるという実情でありますので、この整理はある程度比例的には大きいのではないかと思っております。それにいたしましても、二千人とかその辺の数であろうと考えております。一万二、三千の整理が行われますということになりますと、大体年々の自然減耗数というものが月々一千くらいになりますので、大体本年の自然減少で、本年の整理という問題は、全般的な数字としてはカバーされると考えております。ただ、御承知のように、職種が分れておりますので、職種によっては、減るものは減り、新しいものは採用しなければならないということだとか、九州で減る、東北地方ではふえるという関係もありまして、自然減耗のみにたよれないという面もございまして、その面におきましては、若干の整理問題、国際上の問題も起るかと思いますが、大づかみに申しまして、自然減少の範囲内で処理し得る程度の人員整理に本年はなるのではないかと考えております。
  202. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の答弁の中の、たとえば福岡その他大量に整理が出ている県があるのであります。計画的な、生活の転換あるいは職業の保障という点で、職種あるいは技能を調査して、そうして計画的に転換するというような方策が用意できておるのかどうか。それから退職金あるいは生業資金、そういったものについても用意が今までなされていなかったのであります。用意を整えて世話をする責任があると思うのでありますが、この点について長官に承わりたい。
  203. 福島慎太郎

    政府委員(福島慎太郎君) 福岡その他で大量の整理があるのであるからというお話でございましたが、これはおそらく博多におきまして千三百人ほどの整理の通告が出ております。佐世保において千三百人ほどの整理の通告が出ておる。呉附近において四、五十人の整理の通告が出ておる。立川においてまた二百の整理の通告が出ておる。現在、整理の話の出ておるのはそれだけでありまして、そのうち佐世保の千三百につきましては、これは米国陸軍の整理でありますが、これを海軍が引き取る、海軍の方へ肩がわりするということになっております。すなわち肩がわりでありますから、ぴたっと数が合わなければ、少しはみ出して、いわゆる解雇になる者があるのではないかという問題がおそれられている。博多におきましても、千三百人が、これは海軍が引き受けるということになっておるわけであります。大部分引き受けるということになっておりますが、最終的にどんなふうに引き受けるだろうかという話が、解雇の効力の発生いたします来月の十五日までにきまらなければならない、こういう問題であります。従いまして、千三百、千三百と、二カ所に起っておりますものにつきましては、その肩がわりの方法が研究されているというと、残るのはその四十ばかりと二百ばかりのものでありまして、大量の整理の問題が当面に持ち上ってということには私ども、まあまあ整理でございますけれども考えておりませんわけであります。  いずれにいたしましても、失業問題というものが若干出ていますわけでありますが、これは雇用主としても調達庁のできる範囲のことはもちろんいたさなければなりませんと思います。解雇を計画的にして、配置の転換その他をもって影響を緩和するとか、あらゆる措置をとりたいと考えております。  ただ、生業資金その他の面になりますると、これは一般の失業対策の問題にも関連ございまして、必ずしも雇用主が負担すべき面でもないわけでございまして、駐留軍労務者だけが退職金に加えて生業資金をもらえるのだというわけにもそれは参らないのだと思いますので、雇用主の立場におきましては、御承知の退職金の交渉の問題等いろいろございます。これらの方面に力を入れて参りたいと考えております。
  204. 吉田法晴

    吉田法晴君 石炭問題について一般的なこともお尋ねをしたかったのでありますが、時間もなくなって参りましたから、炭鉱から出ます労働者の生活保障の問題について伺いたいのです。それも具体的に、従来緊急就労対策事業として行われておりますあるいは鉱害復旧の繰り上げであるとか、あるいは河川道路等の公共事業、これに人件費を含んで、諸掛りあるいは単価賦掛りということで、その中から直営でなくて請負に付しました場合の利潤等が生み出される仕組みになっておったために人件費が食われている。三百八十何円というのが三百円以下という実態に相なっている。従って、現地においていろいろ問題が起る。あるいはこれは暫定予算の実施中でございますけれども、賃金の請求に行ったところが、新山炭鉱の中にあります日宝土建という炭鉱の別会社でありましようが、そこで三名も傷害を受けるという事件が起っております。あるいはこれは法務大臣は御存じないかもしれませんけれども、金をもらいに行ったところが、金は長い方がいいかというわけで、あいくちあるいは日本刀まで持ち出して傷害が起っておりますが、問題は、この事件に対してのことでありますが、そういう人件費の頭はねが行われぬような措置を三十年度予算において講ぜられているかどうか、この点を建設、労働両大臣一つお尋ねをいたしたいと思います。
  205. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この事件はよく取り調べまして、今後注意をいたしたいと思いますが、おそらく私の関係の方の問題ではないと理解をいたしております。九州における炭鉱については、遠賀川の直轄河川その他道路の問題等で、建設省としては最善の努力をいたしているつもりであります。常磐におきましても国道その他の仕事をやりまして、私も一、二現地を見ましたけれども、むしろ、感謝されたような次第で、労賃の頭はね等は絶対にいたさないように、直轄については局長みずから注意をいたしているような次第でありまして、労働省とも連携を十分にとりましてやっているつもりでありますが、あるいはその他のこまかい県営等の仕事についてかようなことが起るといたしますれば、これは今後十分に注意をいたしたい。  三十年度の予算につきましては、緊急就労対策というようなやり方よりも、もっと一段とととのった形をとりたいと考えまして、特別失業対策事業というものにいたしまして、労働省所管に計上し、実施する場合は建設省で、また運輸省にも一部ありますが、実施をすることにいたしまして、従って、これの実行に当りましては労働省と十分協議をいたしまして、実施の面についても前年度に比して一そう注意をいたして参りたい。従って、頭はね等の事実はわれわれの聞く限りはいたしておらぬつもりでありますが、今後注意をいたします。
  206. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。大体建設大臣から今お答えした通りでございます。建設省に組んであります予算は実施は建設省責任を持っております。労働省としましては、失業人員の六〇%程度までぜひ就業さしてくれとかねがね言った通りでございます。労働省で計上いたしております失業対策事業といたしましては、ただいまも建設大臣が申しましたように建設省直轄である。地方自治体の直轄でいたすことを原則としておりますから、将来そういう問題は起きないであろうと考えます。
  207. 吉田法晴

    吉田法晴君 事実を説明するのに時間が要るのを大変残念に思うのですが、大体事実は御存じだと思いますが、これは直営でやられるのは問題がございません。ところで請負に付され、しかも請負が何段にもなって又請けになって、土工で三百八十五円、一般で二百八十円というPWで組んであるのですが、その人件費の中からも何と申しますか、結局利潤を生もうとするために実際に払われている賃金は二百十円、あるいは男で二百十円から三百八十円は高い方、女で百九十円から百四十円、こういう工合にこの賃金部分についても頭はねが実際に行われた、こういう実態ですから、問題は直営でやったか、あるいは人件費を食わないようにその他において諸がかりと申しますか、労賃の基準というものが見られるようにならなければ、これはどんなに陳弁されても、あるいは誠意があっても、実際にはそこでそういう事態が起って参りますから、そういう事態の起らないような制度を一つやってもらいたい、そういうととが三十年度予算からはできておるか、こういうことをお尋ねをしたわけでございます。
  208. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先ほど申し上げましたように、三十年度におきましては一層細心の注意を払うつもりであります。
  209. 館哲二

    委員長館哲二君) 時間が来ておるようでありますから……。
  210. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後に一点だけ伺いますが、法務大臣に、三鷹事件の裁判について各新聞、あるいは法律学者なり、弁護士なり、多少世論の、これは世論として関心を持っておる人のすべてがそうだと思うのであります。あと味が悪い判決と申しております。で法律関係についてはこれは法務委員会等でいたしたいと思いますが、生命は地球よりも重いといった最高裁の精神から言うならば、これは何らかそのあと味の悪い点を救済する措置はないかということになるわけであります。法律論をいたしませんが、あるいは当局者なり、行政面で救済する方法について、これは浅沼氏等が衆議院で質問されたのに答弁された点もございますけれども政府として考える余地はないか、あるいは考慮せられるところはないかということを一点お尋ねいたしておきます。
  211. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) お答え申しあげます。最高裁判所の裁判に対しては、再審または非常上告をもって不服を申し立てる道が開かれておりますので、三鷹事件の裁判に関する批判はこの機会には控えたいと存じます。
  212. 堀末治

    ○堀末治君 私はまず外務大臣にお尋ね申し上げたいのでございますが、先般来日ソ交渉が開始されまして、ちょうどけさあたりの新聞の報ずるところによりますと、領土問題が取り上げられて、今その交渉がクライマックスに達するような情勢に伝えられておるのであります。そうして去る二十三日に御承知でもございましょうが、日比谷の公会堂におきまして、いわゆる領土の返還ないしは北方漁業の払大、この問題に関して国民大会を催されたことはあなたは御承知と存じます。その席上鳩山総理が、あなたの方の園田外務次官を代理として祝辞、あいさつを述べられておりますが、その中にこういうお言葉があるのであります。まず領土の問題につきましては、歯舞、色丹の両島嶼はこれは歴史的にみてもまた地理的にみても、あるいは従来の行政上の取扱いという観点から考えましても、北海道の一部であることは明々白白であります。今日世界各国において発行されております地理書で、権威あるものはすべてこれら島嶼が北海道と切り離せないことを証明しております。また千島列島は一八五五年の千島、樺太交換条約によりわが国に平和裏に帰属したものであることも世界のひとしく認める事実であります。また千島は樺太とともにサンフランシスコ平和条約において、一たび日本の領土権を放棄いたしましたが、この帰属は決定しておらず、さらにこのサンフランシスコ条約に参加しなかったソ連に対してももちろん領土を放棄しておらないのでありますから、わが国がこれらの領土に対してその領有を主張し得ることは当然だ。(「その通り」と呼ぶ者あり)この法理は国際法にも全く矛盾しないものであります。こういうごあいさつをなさっております。私はこれは総理のごあいさつとしてまことに御もっともと存じております。従って現に歯舞、色丹をソ連が領有しておるということは、これはもうはなはだ私ども納得いかない、国民感情としても絶対に賛成のできないものでありまして、ぜひともこれはこの度の日ソ交渉において返還をあくまでも主張していただかなければならないし、なおまたこの主張はぜひとも貫いていただかなければならない、私はかように考えております。なおまた千島、樺太においても同様であります。いろいろこの経過については私が申し上げるまでもなく、すでにあなたのよく御承知のことでございますが、それにつきまして、現に国民大会を催し、総理までもかようなことを現に言明なさっておるのでございますが、あなたも今度の交渉に当ってこの総理の気持を体し、国民の願望をしっかりと腹に入れて、あくまでもとの貫徹をするという堅い決意でおられますか、まずそれをお聞き申し上げたいのであります。
  213. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 日ソ交渉に臨むわれわれ現内閣の方針は、これは繰り返したびたび申し上げた通りであります。私はその方針によってわが方の主張は十分に貫徹すべく最善を尽し、あらゆる努力をしてみたい、こう考えております。
  214. 堀末治

    ○堀末治君 私は、私どもが敗戦によってポツダム宣言を受諾した、その本当の腹には、まことになすべからざる戦争をなして、ああいう失敗をした以上、再び戦争をしてはならない、あくまでも平和に徹して、平和国民として全人類に寄与せなければならない、かようなことを思想の中にも深く決意している一人であります。しかるにもかかわらず、ソ連はいわゆるポツダム宣言、それに反したヤルタ協定のような秘密協定をたてにして、なおかつ今日私どもの手放すことのできない千島、歯舞のごときを領有しているということは、何としても私どもは納得できない。これに対しては私は少なからない復讐心を感ずるのであります。おそらく今度の日ソ交渉によってこの問題が解決されなければ、ひとり私ばかりでなく全国民に対して必ず復讐心を将来に残すものだということを非常に懸念する。私自身何べん生き交っても、もしもこれを取り返さなければソ連に対して復讐を試みたい、かような気概にもえているのであります。どうかさようなことでございまするから、ただ単にここであなたが軽々しく言明するばかりでなく、ほんとうに不退転の決意をもってこの交渉、これを貫くことに御努力を願いたい、かように存ずるのであります。  なお、ここで一つお聞き申し上げたいことは、実はその国民大会には私も出席いたしたのでございますが、その有志の一人から実はこういう相談を受けたのであります。それはどういう相談かと申しますと、衆議院においてはちょうど二十七年の三月に領土返還の決議がなされておるのであります。遺憾ながら参議院においてはそういう決議が今日までなされておりません。であるから、ぜひともこの機会に国民外交を展開する意味においても、参議院においてもそういう決議がなされるということを希望するから、ぜひそれに尽力をしてほしいこういう実は御依頼を受けたのであります。しかし考えてみますると、今ちょうど交渉が始まったばかりでございまするし、果してそういうことがいわゆる外交技術のために、まあ大体常識的には私どもはいい結果をもたらすのではないかと、実はかように考えましたけれども、またいろいろ交渉には総理の言われる通り相手方のあることでございまするから、あまり力み返ることばかりが決して得策ではない、かように考えて実はあなたにその御意見を承わった上で、幸いにあなたもそれがけっこうだという御意見であれば、わが参議院においてもそういう決議をすることに尽力をいたしてみたい、私はかように考えているのでございまするが、いかがでございますしょうか。
  215. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 日ソ交渉の題目の中でも領土問題がきわめて重要であるということは、私も十分そのことを心得ておるつもりでございます。そうしてまたこれらの問題に対する国民的考え方、要望といろものがあれば、これは十分にわが全権にも通じなければならぬと思いまして、国民大会等の状況をも実は十分に通報をしておるわけでございます。ただわれわれは日ソの間にぜひ国交の正常化をもたらして、これをもって東亜方面はむろんのこと、世界の平和に貢献をしたいという大きな見地に立っておるわけでございます。そうしてそのために今両方の全権が両国間の領土その他重要問題について今交渉をいたしておるわけでございまして、そうしてこれは今まさに双方の主張が机の上に載せられておる。そうしてその各題目について議論を進められつつあるわけでございますから、私はその結果を十分に待ちたいと思います。そうしてそのわが全権の主張に対してこれを強めるようなことは、これは十分に取り計らわなければならないと思います。参議院における領土問題に対するお話のような御決議をすることがどうかということにつきましては、私はもうこれは参議院の各皆さん方のこれはもう十分な御判断によって、これは御決定になって差しつかえない問題だと、私から今そのことについて、是非について私の意見を申し上げるということはかえって僭越でございます。皆さん方の、本当の良識を有せられる方々の御判断にすべてよって差しつかえないと私はこう考える次第でございます。
  216. 堀末治

    ○堀末治君 それで大臣の御意図はわかりました。いずれ私はこれは今申し上げました通り、有志から依頼を受けたことでございまするし、あなたの御意見はそういうことであれば、いずれまた参議院各会派でそのことを話し合いをいたしまして、幸いに各会派が御賛成下さるならば、そういうような方法に取り計らいたいと思います。いずれにいたしましても、これは全国民に最も関心が深いのでございますし、ことに北海道といたしましては、鼻先にいる。ほんとうにとの間まで自分の領土と思っておったのが今は人の地面になって、それがために非常に迷惑をこうむっていることは日々痛切に感じているものでございますので、どうかとの上とも大臣お骨折りでもございましょうが、全力を尽してこの目的貫徹のために御尽力たまわりますことを、切に希望してやまない次第でございます。  次に、農林大臣にお尋ね申し上げたいのでございますが、これは今わが国が一番問題になっているのは食糧問題であります。それがためにいろいろ農地の開拓については非常な御苦心をなさっていることはよくわかるのでありますが、ただ私は地面ばかり広げるのが要するに食糧問題の解決の何ではない、かように考えているのであります。私は決して農業の専門家ではございませんけれども、現にアメリカがあの通りの広大な地域を持ち、機械農業を施行しておりながら、なおかつ品種の改良に非常な尽力をいたしているのであります。先年参りましたときにも、あの戦争中でも要するに品種改良をして、トウモロコシが二割ないし五割の増産を見たという話を農林省で聞いて参った。私自身もはなはだ失礼でありますが、農産物を加工する業をいたしているのであります。北海道で主としていたしておりましたが、先年ブタノールを、トウモロコシを原料としてやりました際に、どうもそのトウモロコシの生産額が非常に少い。北海道といたしましては非常にトウモロコシが適産にもかかわらず、その反収が非常に少い。それは何かと申しますと、品種が非常によろしくない。こういうところから年々北海道の農事試験場あたりに相当の費用を出しまして、その品種の改良に尽力して参った。ところがなかなか――はなはだ失礼でございますけれども、いわゆる官庁の仕事で一向に効果が上りません。やむを得ず私自身でうちの会社でちょうど終戦後から自分の手でこのトウモロコシの品種改良をいたして参ったのであります。それがちょうど六年、御承知でもございましょうが、六年たって初めてその品種が一代雑種ができたのであります。ちょうどできました際、一昨年あたりにいい品種ができたのでありますが、一昨年はあの通り北海道は冷害、また昨年も冷害で、その品種がまだ十分に北海道の農家に回らないことを私は遺憾に存じておりますが、さようなことで品種の改良は極力なされなければならない、かように存じているのであります。ことにあなたもお聞きでございましょうが、昨年ちょうど陛下が北海道に御巡行遊ばされた際に、永山村農事試験場においでの際に、あすこの試験場の人が五割の増収の品種改良、まさにもう完成の域に達している、そのときに陛下にそのことを申し上げまして、非常に長い時間要したのでありますが、そのお方がいろいろな内部の関係で今度その品種の改良を見ないで試験場をやめるというような結果になった。これは私北海道におってよく見ているんですが、どうも北海道庁の中の労組の関係にはいろいろなそういう問題があって、そういうものが円滑に進まないことを見ているのであります。さようなことで、北海道として昨年も一昨年もあの通り冷害を来たして、あそこで水田を作るなどということは果していいか、いわゆる適地適作主義をとらなければならない、こういうときに、そういう状況であるのでありますが、そんなことで、私は北海道あたりをこれから開発してゆく開発の基本は、どうしても農業問題にあると思うのであります。それだけにどうしてもいわゆる品種の改良ということには全力を尽さなければ、せっかくの開発費もむだになるのじゃないか。そんなことで、北海道のいわゆる農事の改良、品種の改良等は北海道の農事試験場ばかりにまかさないで、農林省自体があそこに試験場をおいて、両々相協力し合ってやるということも非常にいいことでないか、かように存じておりまするので、そういうことについて何かお考えがないか承わりたいのであります。
  217. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。現在農事試験場の考え方といたしましては、もちろん国におきまして全国適当な場所に中心をおきまして、それが各府県の試験場を前線にいたしまして、この間に緊密な連絡をとってそこででき上ったものを普及改良員をして徹底せしめるということにいたしておるわけでございます。しかしこれは理屈はそうなっておりますけれども、なかなか御指摘のように、実際の問題になりますと、いろいろな問題が起るわけでございまして、今お話のような点については、十分考えなければならんのではなかろうか。実は私は農政の改良、農政の刷新をいたしますには、その基本を試験研究に基礎をおいていかなければいけない。保護助成の政策もさることながら、基本はそこにおかなければいかんということを深く考えまして、試験場の整備拡充ということを、きたるべき年度におきましては十分考えたいというふうに考えておるのでございます。今年の予算におきましては十分に参りませんので、多少従来よりも私はこの点には節約の予算の中でも考えたつもりであるのでございますけれども、御承知のような事情でございまして、もちろん十分に参りませんが、将来はこの点に十分力をおきまして、そうして個々の研究の結果、試験の結果をもって、わが国の農業の改良の基本に持ってゆきたい、この点はお考えと全く私は一致しておると思いまして、ぜひまた将来にはいろいろ御注意いただきたいと考えておる次第でございます。
  218. 堀末治

    ○堀末治君 幸いに大臣もそういうお考えでございますならば、北海道開発のためには多額の金を投ずるのであります。どうかぜひとも北海道庁ばかりにまかせないで、国でもそういうような特殊な研究をするようにぜひ一つ運んでいただきたい。なおまた、この機会にもう一つお伺い申し上げたいと思いますことは、どうも農業技術者に対しては非常に待遇が悪い。工業技術者はいろいろ発明などをしますというと特許をとって、それによって相当に方途をはかられる。ところが農業技術者はなかなかそういうようなわけには参りません。従って、非常にじみな仕事をしながら、非常な薄遇にあまんじておるというのが状況でございまするから、どうかこれらの点もあわせてお考えのほどをぜひともお願い申し上げたいと思うのでございます。  次にお尋ね申し上げたいのは同じく北海道の問題でありますが、いわゆる寒地農業の確立であります。これは北海道は例年冷害があって、昨年一昨年、同様国費によってかろうじて農家がまかなってゆく。しかしこれではいつまでたっても北海道の農業は発達しない。幸いにいわゆるテンサイ糖のごとき非常に寒地の適作である。しかも砂糖は申すまでもなく九六%も輸入されておる。こういうようなときに、最近になりまして幸いにテンサイ糖の振興法などもできて、だいぶ政府でも力を入れておられますけれども、私はもう少しこれを馬力をかけておやり下すったらどうか。計画を承わりますと、三十二年度には五工場というようなことでございますが、幸いに今残っている耕地七十五万町歩を急速に開発されますというと、これらは少くとも大部分のものがビートの適作地になるであろう、かように存じておりますので、どうかこの点に思いきって農林省の予算をまわしてやって、一方には輸入を防圧すると同時に、今言った通り、寒地農業の確立をはかられたらどうか、かように考えるのでありますが、この点についていかがでございますか。
  219. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。前段の技術者の優遇の点につきましては、御承知の通り現在の職階制度によりまして、課長補佐にならなければ月給が上らんとか、その職責によって手当がついているような、非常に技術者には工合の悪い制度になっているものでございますから、それをなんとかしなけばいかんということで、これのごくわずかな救済方法でございますが、つい先般ごく一部をできるように多少はしたつもりでございます。しかしこれはもちろん不十分でございますから、きたるべき官公吏の待遇を考えます際に、制度を変える際には、この点については十分に――むしろこれは従来の制度の方がよかったのじゃないかと思うのでございまして、その点は深く研究をするつもりでおります。  あとの寒地農業の点につきましては、ビートと畜産というものをからみ合せまして、ぜひ北海道の開発にはこの二つの方向から行く、こういうことが、絶対必要であるということを深く私も考えておりますから、御趣旨と違わん方向で行けるといろわけでございまして、ぜひ私もそういうふろに考えていきたいと思っているわけでございます。
  220. 堀末治

    ○堀末治君 この際農林大臣に、これは少しく地方的な問題でございますけれども、本年ニシンが非常に不漁であります。これに従事する業者の苦境はほとんどもう眼をおおうばかりの状況でありますが、これに対していろいろおたくの方の党でも対策を考慮せられているということを聞いておりますが、何かそこにいろいろないきさつがあって、行き悩みのようになっておりますが、これは焦眉の急だと思います。ことに先ほど千島の問題が出ましたが、千島の返還が幸いに成り立てば、要するにこれらの業者をむこうに移すことによって彼らも生計に安定を得られましょうし、なおまた彼らの永年の技術によって、いわゆる沿岸漁業に非常な大きい効果をもたらすことと、実はかように思っているのでございます。でございますから、それらの意味におきましても、ぜひともこのニシン不漁に対する対策を至急に講じていただきたいと思いますが、この点についていかがでございましょうか。
  221. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。今年の北海道のニシンの不漁は、私も長いこといろいろの関係から承知いたしておりますが、いまだかって見ざる不漁でございまして、かつてニシンの不漁に対する政府でいろいろ施策をした当時とは比較にならない不漁でございますので、十分係りを督励いたしまして、これが対策に今せっかく努力いたしているところでございます。何分いろいろの点でむずかしいととがあります。というのは、一方において量的には二割五分とか三割ということしかとれないが、価格の面においては何割上っているとか、いろいろなことがあるものでございますから、そういう点で低利資金の融通をするとかなんとかしていかなければいけないということで、せっかく努力をいたしておりますので、なおまた、漁業の転換というお話もございましたが、とれにつきましてはたびたび申し上げますように、日本の漁業、沿岸漁業のあり方について基本的に考えていきたいということを考えておりますので、それらの基本の問題につきましては、いずれ改めてよく審議をいたしまして御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  222. 堀末治

    ○堀末治君 漁業問題その他もう少し聞きたいこともございますが、時間がないので、次いで、松村大臣にお尋ね申し上げたいのですが、大臣が御就任になって以来、非常に学校のために御努力下さっていることは私どももよく承知しております。ただしかし、私非常に遺憾に思いますことは、僻地教育の点についてどうも少し御努力が足らないのではないかと思います。なぜかといいますと、御承知の通り僻地ではずいぶん先生も生徒もかわいそうだ。私はもうごく田舎で育ったものですから、子供のことをよく知っているのでありますが、当時から比べて、要するに今の僻地の子供と私どもの子供のときとほとんど変りがないような状況になっている。それはなぜかと申しますと、いわゆる学制改革によりまして、いわゆる先生に義務が課せられない。それですから優秀な先生はちっとも田舎に行かない。幸いに北海道のごとき三千円というような僻地手当をいただいておりますけれども、三千円ぐらいの安全ではとても十分なわけに参りません。ことに離島のごときになると、うっかりすれば新聞が二日も三日も見ることができない。電気のない所はラジオも聞けない。このような所に血の気の多い青年は、幾ら行けと言っても行くことができない。従っていわゆる県に臨時教員養成所というものがあってやっているのでありますが、この臨時教員養成所にも国家が十分に補助することになっているが、その補助が十分やられておりません。現に本年のごときも、今まで十一あったいわゆる臨時教員養成所を十三にふやした。十三にふやしてやっても予算は昨年と比べて何もふえておりません。昨年が四百十五万四千円のが本年は四百七万一千円、八万三千円減らされている。二カ所ふえてそしてまたそれを減らされている。私は文部委員になりましてから、ころいうことに気をつけて見ますと――このことについてよく頼まれた。なおまた、これはあなたの部下の大学学術局長にもお願いしましたし、あなたにも直接、実は御多忙でありましたがお耳に入れたはずである。しかるにもかかわらず、予算が出てみると、こういう数字になって、あなたに対してこのことだけでも非常な不満を感じる。非常に教育に熱心で、けっこうな大臣が来られたと思われたところが、いわゆる都会地の教育には御熱心だけれども、こういう一番恵まれない子供に対する教育が閑却されているということに対して、私は非常な不満を感じているのでありますが、いかがでありましょうか、この点に関して大臣の御意見を承わらせていただきたいと思うのでございます。
  223. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げます。いつかも僻地教育に対するあなたのお話を承わっていたこともございますが、大体その線に沿うて今日まで努力をいたしているわけでございます。御指摘の教員養成所の方は、一般の節約をくみまして、それで八万円ばかりも昨年より減りましたけれども、全体の僻地教育といたしましては相当にふえて、施設が進み得ると考えているわけでございます。たとえて申しますと、僻地の教員の住宅も今年は二千万円ばかり新しくふやして建築をいたしますとか、あるいは教員の手当も僻地手当は二千二百万円もふやします。あるいはこれは今度の衆議院の修正によってでございますが、教育のほかに集会室もふやしますとか、これも二千万円ばかり修正になっておりまして、およそ昨年度と比較いたしますと、六千万円ばかりの増加となりまして、一昨年の一億円余りの僻地の予算が今年は一億七千万ぐらいに修正を加えねばならないのではないかと、こういうふうに考えておるのでございます。できればこの上とも努力をいたしたいと思います。
  224. 堀末治

    ○堀末治君 今大臣いろいろと数字をあげてお話下さいましたが、私実はまだその数字は調べておりません。いずれあらためて調べますけれども、実はあなた御承知の通り、都道府県は必要に応じて僻地学校に勤務する教員の養成施設を設けねばならない、こういう規定があって、その施設に対しては予算の範囲内で、国はその一部を補助すると、こうなっている。それも要するに、文部省の政令では補助の比率は二分の一ときめてある。ところがこれは実際問題として四分の一ぐらいしかいっていない。今申した私の四百十五万四千円なるものは四分の一なんですね、これがまことにもうたびたびであって、いわゆる地方財政の赤字、地方財政としては一番負担の大きいのは御承知の通り教育費、その中でも、要するにこういうものを抱えて、しかも養成所を持っている都市は、それでなくても、しかもその養成所を持っている都市は、自分の先生を養成するのでない。要するにその近所の他の管内の先生を養成してやるために自分のなけなしの金を出して、そしてしかもその金はどうかというと、一種の給費生、昔の師範学校の生徒のような給費生のような形をとって義務づけているという形であります。こういうのが全国十三あるうち、北海道に五つある。これは私、思うに、北海道開発、北海道開発――大久保長官もそこにいらっしゃいますが、一生懸命に北海道の開発に幾ら金を入れても、自分の子供が満足な学校に行けないようでは、だれもそんなところに行きません。われわれのように、ああいうところで生まれた者は仕方なくやってきましたけれども、初めてこれから行こうなんという者は、そんな自分の子供を学校に入れられないというところに行くものではないのでありますから、私はせっかく文部省の政令で、二分の一補助するということになっておったならば、せめてこの法律を真正面からやって二分の一だけせめて本年は何とか都合して出してやって、四分の一でなくて二分の一、これは文部省自身がきめている、それをやらないで、四分の一強に過ぎないというようなことでは、まことにどうもこれは遺憾だと思いますが、何か今のお話のような、予算の中でやりくって、これを二分の一だけ、政令できめた二分の一だけ本年出してやるお考えはございませんでしょうか。
  225. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) やりくりができますかどうかはちょっと私ここでお答えをいたしかねますけれどもお話も承わりますれば、全く同様でございますので、将来できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと考えます。
  226. 堀末治

    ○堀末治君 今のこの問題ですが、実は今申し上げました通り、この養成所のある市町村は、自費で要するに教育を義務づけているわけなんです。これをせめてこれだけでも何とか、いわゆる学芸大学の分校とかいうようなことにして、これを国家に移してやっていただく、これはぜひやってもらわなければならぬ。  今北海道を開拓しようといって多分な経費を入れながら、そこには今言った通りこういう負担をさせておくということは、開発したからといっても、私はほんとうに矛盾していると思う、どうかさようなことでございますから、ぜひともこれを附属施設として国家において設置するようなことにお願い申し上げたいと思いますが、大臣いかがでございましょう。
  227. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) これは教育大学ということになりますが、それと結びつけますよりも、これはこれといたして十分この臨時教員の養成所の充実をはかる方が最も適当でなかろうかと思いまして、先刻御趣旨のように助成を多くいたしまして、そしてそれをやらする方が適当、こういうふうに考えております。
  228. 堀末治

    ○堀末治君 今の問題、もう少しお聞きしたいと思いますが、時間がございませんので、最後にこれは自治庁長官に、いわゆる自治法できめようという教職員の停年制の問題であります。これは松村文部大臣は、先生方には停年制がない方がいいという、こういう御意見、承わるところによると、自治庁長官はぜひあった方がいい、こういうような御答弁のように承わったのでありますが、私もこれはあるのが実は当然だと思うのであります。労組を作っておるものにもっていって停年制がないというのは、どう考えても、(「勉強が足りないな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)よけいなことを言うな。これはもう何ものによらず停年制というものがある。大学のごときも停年制を置かれておる。しかるにもかかわらず先生方だけは停年制を置くな……。現にはなはだ失礼ですけれども、今六十才以上の人はずいぶん多い。これはこの間北海道でも聞いたのでありますが、北海道だけで二千人くらいある。そうしてこの人方が非常に高給を取っておる。この二千人の人を新らしく大学を出た人で入れかえるについて地方費が六億節約になるこういうことを聞いておる。もっとも今言う通りに、新らしく大学を出た連中は就職難であえいでおる。しかもこれらの人の、要するに六十才以上の人であれば、少くとも一万六千円くらいの恩給がある。考えてみても、せっかく、農家ならば月一万円くらいの収入にしかならない、一万六千円の恩給があるのならば、自分の育てた子弟のためにさっさと勇退して、次に地位を譲ってやるくらいな考えがあってしかるべきだ、私はそういうように思う。しかるにもかかわらず、今言うた通り、停年制を置かないということに対しては私はどうも矛盾するのじゃないか、私はかように考えるのでございますが、大臣いかがでございましょうか。
  229. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げますが、統計の示すところによりますと、五十四、五才になりますと全国的に六十万の職員のうち五十五を超える人たちは一万を切れるはずでございます。八千くらいまでに下るのでございます。六十になりますと何百台、千何百台か何百台か、ちょっと記憶しませんが、その程度まで下るのでございます。こういう人たちが残るということは、非常な徳望が高いか、あるいはいろいろの事情がその地方としてあって残らるる、教職にあるものの特殊の事情によるのが多いと思うのでございます。しかるにそれを特に五十五、六十というところに停年制をしきますと、一つはそういう教職にある人の特殊の事情にもよりまするのと、もう一つはそれまでにはずっとその職業を保障するような形になりまして、かえって人事の停頓をきたすというようなこともありますので、にわかにその停年制に同意しかねるわけでございます。
  230. 堀末治

    ○堀末治君 自治庁長官の御意見一つ
  231. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 停年制の問題は、ただいま文部大臣からお話のように、公務員の中で円熟した人を残す必要があるということも、これはまさにその通りでありますが、一面におきまして新陳代謝をなめらかにして、清新な空気を公務に入れるということも必要なのでありまして、これは非常にむずかしい問題でございます。ただ経費節減の方面からのみこれは解決し得ないのであります。地方制度調査会におきましては停年制を施行すべしという答申が出ております。しかし、現在の停年制の問題は、大学教授にはありますが、一般国家公務員にはまだ施行されておりません。これとの睨み合いもありまするし、かりに地方公務員に停年制をしくといたしましても、教員とその他の地方公務員とに差別をつけるということは、これもまた問題が残りますので、非常な重要性があるので、なお今日は考究しているという段階にございます。
  232. 館哲二

    委員長館哲二君) 時間が切れておりますが……。
  233. 堀末治

    ○堀末治君 今の停年制の問題については大臣とはだいぶ見解を異にするのですが、きょうは時間がないそうでございますから、いずれの機会にいたしまして、きょうはこれで失礼いたします。
  234. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私はまず砂糖の再吸収の問題につきまして数点御質問いたしたいと思うのでございますが、砂糖につきましては従来も関税なりあるいは砂糖消費税で相当多額の国家歳入がされておるのでありまして、二十九年度を調べてみますると、関税が約七十五億、消費税が四百八十億でありまして、合計五百五十五億であります。これは酒税に次ぐ第二位の間接税でありまして、これに加えてさらに今出ておりまする特別会計の歳入から見て参りますると、さらに砂糖で六十三億の、これは税金ではありませんが、国民負担において国が徴収をするということになりますると、相当に問題ではないかというふうにも思うのでありまするが、ただ国内のバレイショなりあるいはカンショ、農業との均衡保護、あるいは砂糖の価格を安定をするという点については、これは必要性はもちろんあろうかと思うのでありまするが、しかしやはり国民負担において高い砂糖をなめるという問題は、相当の問題ではないかというふうに思うのであります。  そこで、これは農林大臣に私は質問いたしたいのでありまするが、前回も御質問をいたしたのでありまするが、本年度九十五万トンの砂糖を入れるわけでありまして、しかしこの法案を見て参りますると、砂糖の安定帯価格を作る。これをオーバーしたり下るというような場合においては政府から勧告をするというような規定がありまするが、どうもこの法案を見て参りますると、どうも法律として特に規定をする必要があるかどうかも多少の実は私は疑問を持つわけでありまして、特に政府において何ら現物を持っておらないと、一トンの砂糖も持っておらないで、安定帯価格の中に砂糖の価格を置くということは、これは現物を持たんで果してできるかどうか、きわめて私は疑問に思うのであります。勧告というようなことは何も法律によらんでもこれは現在でもできるのでありまして、どうも実際の力を持っておらないで価格安定をするということについて、果してできまするかどうか、その点をお伺いをいたしたいのでございます。さらに大蔵委員会で事務当局にその点を一つ質問しておきましたところ、通産当局の事務当局から、九十五万トン入れて、それで砂糖の市価が暴騰するという場合においてはさらに外貨を追加をするという実は答弁をされておるわけでありまするが、そういう追加し得る外貨がありますれば、そういう点からも、あえてこの法制は必要がないのではないかという実は疑問を持つわけでありまするが、その辺をどんなふうにお考えになっておりまするか、一つこれは農林大臣からお答えをいただきたい。
  235. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘の通りでございますが、大体農林省といたしましては、農産物の価格の安定と勘案いたしまして、適当な価格に砂糖が安定することが一番望ましい姿であります。従いまして私といたしましては、そのためにある一定の為替を確保いたしまして、それによって現物を持つと同様な意味に操作をしてやっていきたいと、こう思っておるわけであります。
  236. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 そうしますと九十五万トン・プラス・アルファーはどのくらいの予定になっておるのでありましょうか。
  237. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたしますが、砂糖としては九十五万トンでまず大体需給はとっていけるだろう。必要のある場合には、為替全体としての予備をとってありまして、必要に応じてその中から割当をもらうということの約束はしてあるわけでございます。今具体的に幾らということはきめてありません。
  238. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は九十五万トンでも、大体国民一人当りの消費量が、政府答弁でも十一キロ余になっておりまして、昔のように十五キロ以上なめるというような、そういうことは、台湾を失った今日ではこれはできないと思うのでありまして、大体九十五万トンで、さらに情勢いかんではプラス・アルファーの輸入までできることになれば、あえてこの法律を作らなくても済むのではないかと、こう実は非山常にそういう感じがするのですが、この法律案が、農林、通産あるいは大蔵省の三省間で非常ないきさつがあったようにも聞いておりまするが、率直に見て、特にこういう法制が要らないのではないかというような感じもいたすわけですが、重ねてその辺を一つお答えを願いたい。
  239. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、この処置は、われわれといたしましては砂糖についていろいろな見方がございますので、、それを一つ今衆議院の方に提出いたしておりまする処置によって目的を達していこうということにいたしておるわけでございまして、初めての試みでございますから、私といたしましても安定をいたすという責任を持っておりまする関係から、万全を期しておるというようなわけでございまして、見方によっては御意見のようなこともあるかと思いますけれども、これがこの処置をとることによりまして、せっかくやってはみたけれども、非常に暴騰するとかどうとかいうことがありますと、非常な遺憾な点が出ますので、まあここらでやっていこうということにいたしておるわけでございますから、いずれ実施いたしまして、まずこれでいけるといろ確信は持っておりますけれども、いろいろ景気、不景気というようなことも影響がありまするしいたしますので、これはまあすでに片柳さん御承知の通り、なかなか食料品は消費量と申しましても、いろいろな角度から増減が出て参りますようでございますから、われわれとしてはそれらの点を十分考慮して考えておる、こういうことに御了承をいただきたいと思います。
  240. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 まあその点はさらに御質問いたしたいと思いまするが、委員会審議に譲りまして、もう一つ、国内農業、イモ農業なり、バレイショ澱粉を作る農業関係から見て参りますると、これは確かに合理性が一応あると思うのでありまするが、ところが消費者からすれば、砂糖の価格の安いことを期しておりまするし、農業等の保護という関係になれば、やはり一定の均衡価格というものが出てくると思うのでありますが、大体この安定帯価格の中心をなす標準価格といろものは、まあどの程度にお考えになっておりまするか。もしお考えがきまっておりますればお示し願いたいのでありまするが、さらに国内農業の保護ということになれば、一つの見方としては、こういう差益として吸収することなしに、あるいは関税を上げるなり、あるいはその他の関税引き上げ等の方法によってやることの方が、国内農業の保護ということから見ればそれでもいいんじゃないか、こういうような実は感じも持つわけでありまするが、どうもこの納付金というものが税金であるか何であるか、きわめて不明確であるのでありまして、むしろ関税というようなオーソドックスの方法で国内農業を保護するのであれば、それでもいいんではないだろうかというような感じも持つわけでありますが、これはまあ農林大臣大蔵大臣、両方からお答え願いたい。
  241. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私といたしましては、農産物の価格を安定するという意味からいたしまして、まず大体の見当はことで片柳さんも御想像願える価格、これはきめてはおりません。きめてはおりませんが、大体サツマイモの価格、トウモロコシ等から推定いたしまして、この程度で維持していくことがぜひ必要だという価格は出てくるわけでございます。ところが一方砂糖は、御承知の通り原糖は国際的にいろいろありまするから、これに対して一定の関税政策をもっていたしましては、われわれの目的を達成するということには困るということでございまして、結局国内でねらう砂糖の価格は常に安定してほしい。しかしその原料となるべきものには価格の変動があるということになりますから、その差益の吸収ということによりませんと、これを一定率の関税によりますると、国内の砂糖の価格が上下するということになると私は思うのであります。そういう意味からこの処置をとる方が妥当ではないかというふうに私は考えております。
  242. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほどから農林大臣からも御説明がありましたように、これは国内における超過利得の吸収でありますので、関税によってやるということは、これは相手国に対して差別的な感じを持たれますし、またその関税を高くするということは、結局安いところから砂糖を取ることに対して、一方また高いところのものというように、関税が差別的に二重的なものになります。これはガットの関係、その他国際的に見てもおもしろくないと思います。
  243. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 ちょっと御答弁が、私の質問に対して、実はあとの質問の御答弁があったような感じもいたすのでありまして、それはあとで御質問いたしますが、むしろガット等の関係はまた別に御質問いたしたいのでありますが、その次に、納付金というものが、さっき申し上げましたように、税金であるのか何であるか、財政法等で私も一向理解ができないのでありますが、それはそれにしても、かような非常にまあ変態的な納付金制度という制度を、しかも国際収支なり、砂糖の国際市価というものが非常に変動すると思うのですが、これを三カ年にした理由が私にはちょっと理解ができないのであります。国際砂糖協定等もたしか三十一年には一応満期になるのではないかと思うのであります。来年、再来年の国際収支なり、あるいは砂糖の国際相場というようなものも非常に変ってくると思うのでありまするが、それをあえて三カ年にいたしました理由がどういう点にありまするか、これは農林大臣通産大臣かどちらからでもけっこうでありますが、お教えを願いたいのです。
  244. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 農林大臣からもお答えがあるかもしれませんが、私から先にお答え申し上げます。これは御承知のように今砂糖の輸入はいわゆるSAAとかいって、一般に安い所から買うという建前になっておりません。たとえば台湾との貿易の関係上、日本から輸出の関係上、ある一定のものを買わなければならぬ。もし安いものがあれば全部キューバから入れればいい、そうなれば関税でも何でもいいのでありまするが、そうは参りませんで、非常に地域別に価格の関係がありますから、そこに一律の関税というもので行けないので、どうしても今度の法律による納付金で調整をしなければならぬということが一つと、それからこの状況はいつまで続くか、わかりませんが、現在の日本の貿易、あるいは世界の貿易の関係から、やがて砂糖も今のような地域別の特別のバーター制の輸入でなくなるというととも想像がつくのでありまして、永久不変の制度ではない。そこで三年ということは、むろん三年でそれが終るかと言われれば終らないかもしれませんけれども、とにかく一応三年ということにいたして臨時措置法にいたしたのであります。
  245. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 まあ臨時措置法であることは私も了解をしているわけですが、どうも三カ年ということが合理性が見出しがたいのであって、来年度の砂糖の輸入数量、あるいは需給計画というものがこれがまだきまっておりませんと、向う三年ということも何ら意味がないのではないか。むしろもっと短期にして、来年も必要があればこの制度をさらに延ばすというようなことで、三年で限るということをしても、来年から先のことはおそらく計画がないと思うのですが、三年と言った理由が、臨時立法であることは私はわかりますが、三年にした理由が、私には了解できないのであります。
  246. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 三年ということも、特に三年でなければいかぬと、こういう理由はないと存じますが、そうかといって、今の為替状態、あるいは貿易の状態がここ一年の間に改まって、ノーマルな状態になるという見通しも現在つきませんから、とにかく一応三年というくらいの日子はどうしても世界の貿易がノーマルに戻るのには、そのくらいの期間は要するであろう、こういう見地から三年にいたしたわけであります。
  247. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それでは次に移りまするが、この制度がよろしいということで行くにしても、この七十億の交付金というものを現在の法案では産業投資特別会計に全部入れて行くということでありまするが、私は元来、従来でも砂糖というものはリンク制等に使われて、結局高い砂糖を入れているということで、貿易振興はもちろん大賛成でありまするが、砂糖が不当に貿易振興に利用され過ぎているという感じを持っているのであります。そういう点から国民の負担において、やはり高い砂糖を買ってその差益を国が吸い上げるわけでありまするから、その点においてはよろしいわけでありまするが、そうして得た財源というものは、私はやはり今問題の食管会計等で相当これは赤字問題で御苦心になっていることは拝察するにあまりあるのでありますが、むしろ砂糖を高く国民大衆に売っているのであれば、それは、むしろその罪滅ぼしに、米なりそういう主要食糧の財源として使うという考え方が私はむしろとられてもいいのではないか。あるいはさらには、いつまでも砂糖を百万トン以上も入れるということもなかなかむずかしいわけでありますので、むしろこの財源を砂糖の代用になるべきアメリカ等でやっている高級ブドウ糖、デキストローズというような、そういう国内で代用砂糖を作るという方面なり、先ほど掘さんとちょっと言われておりましたが、たとえば国内のテンサイ糖をもっと増産をするというように、要するに砂糖の輸入を防渇ができるということに使う方が、取った以上はその方が正しいのではないかというふうに思うのでありますが、これは一つ河野農林大臣の御所見を承りたい。
  248. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私も片柳さんの御意見に違った考えは持っておりません。そういうふうにすることが望ましいと考えております。しかしただいま直ちに食管会計が非常にどうということではございませんし、また一般会計から繰り入れを願わなければならぬ状態ができますれば、そのときにはまた一般会計から繰り入れを願えばよろしいということでございまして、何も砂糖で取った金で食管会計をまかなって行かなければならぬというふうに窮屈に考えなくてもいいのではないかというのが第一点。第二点に御指摘になりましたテンサイ糖の奨励であるとかもしくはブドウ糖の改良、もしくはこれがために研究に使う、研究の施設に充てるということは、当然考えなければならぬ点と考えまして、この点は御趣旨を十分くみまして、将来考えたいと、こう考えます。
  249. 田中啓一

    田中啓一君 ただいま片柳委員からの御質問に対して、農林大臣の御所見を伺いましたが、考えるのではない、それで考えるというような微妙なお答えであったのであります。今、国際収支あるいは貿易の関係で、主要食糧四百万トン、約三億ドルの輸入ということは、非常に国民の関心の的にもなり、問題にもなっているのでございますが、農産物で輸入しなければならぬものは主要食糧だけではない。砂糖というものが一億ドルの輸入になっているわけであります。それを三倍くらいにして国民は負担をして砂糖を食べておる現状であります。それでありますから、たまたまカンショの砂糖としては内地が不適地だということからこうなっておるのでございますが、砂糖の原料たる農作物はカンショには限らないのでありまして、ほとんどヨーロッパはテンサイ糖でやっている。ビート糖でやっているわけであります。しかもそれがみんな初めはどこでも微々たるものでありまして、ことにイタリアのごときは戦前、第二次戦争前はほとんど砂糖を輸入しておったのが、戦後急にテンサイ糖によりましてほとんど自給しているという状況であります。イギリスでもフランスでも皆そういう歴史を持っている。私は農産物の輸入をやり、あるいはまたそれから今のような関税にしろ消費税にしろ、あるいはまた納付金にしろ、結局は国が吸い上げておることになるのでありますが、そういうことをやる際には、国内需給ということを考えないでやっておる国は私はないと思うのです。そうしてみなそれに成功をしておるわけであります。台湾の砂糖の発達も、これは私が言うまでもなく関税でありますか消費税でありますか、そういうものをもとにして、財源にして、あれだけの発達をしたように承知いたしております。でありますから、この方面の需給計画というものを立て……まあ立つか立たぬか、まず検討をして、そうして立つと考えられる以上は、思い切ってこれにそういった財源の金を注ぎ込んで行くということでなけらねば、結局はやはり一種の国内農業圧迫なんです。もしこれ砂糖の輸入というものを非常にとめるような政策をとれば、今わずかにかき集めても七万トンかそこらの生産でございましょうが、戦後至るところで甘いものが不足をして、何でもいい、甘い農作物を作ったと同じことに触るわけなんです。でありますから、まあ食管会計の操作というもののために使うということも、むろん一つのアイデアだと思うのでございますが、私ども余剰農産物の輸入に当りましても、国内の食糧の自給のためにその金を使うということを非常に強く主張しましたと同じように、この砂糖から六百億も実は国が吸い上げておるということでありますから、どうしても農業の立場並びに国民の生活の立場あるいは国民生活というものが、やがて輸出品の何と申しますか、コストの要素にもなるわけでございますから、そういった方面一つしっかりと踏み出していただけないかということを強く考えるのでございますが、これに対する農林大臣並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  250. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。お説ごもっともでございます。ごもっともでございますが、ただ一つこの機会に私お聞き取りいただきたいと思いますことは、どこまでも農業政策は、農家の負担において国策を遂行するということは、私は共鳴できないのであります。砂糖が足りないから砂糖は国内で作るべきだ。ごもっともでございますけれども、それを作ることによって農家経済を圧迫するということは、私は賛成できないのでございます。でございますから十分な研究検討を加えまして、それを耕作することによって農家経済の助長になり、育成になるということの目安がつかなければ、農林大臣としてはみだりにこれを国内に取り入れることは、軽軽には私はできない、これは原則だと思います。これが国家非常の際でございますれば別でございますけれども、今日の段階におきましては十分にこのビートの国内の奨励をするということは、それをやることによって十分な農家の収益が上がるということが考えられぬ現段階だと私は思うのでございまして、そういうふうに考えた上で、先ほどお答えいたしましたように試験研究に力をいたしまして、試験研究の結果、確信を得たらば断行をして参るということに考えておる次第でございますから御了解を願いたいと思います。
  251. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お考えの筋は私もごもっともと思うのであります。別に考えの相違はありません。ただ今回の砂糖については、これは輸入に関連をいたしまして、価格調整的な意味もあるし、かつ経過的な臨時的なものでもあるという意味で、輸出入銀行におきまして輸出振興の方に回したのでありますが、今後におきまして資金の性質がお説のようなふうに十分関連するようなものにつきましては、十分考えるつもりであると存じます。
  252. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 その次にこれは通産大臣に御質問をいたしたいのでありますが、今回の砂糖の価格安定、輸入に関する臨時措置法ができますると、砂糖の輸入原価というものが国によって相当違っておるわけであります。政府の配付されました資料によっても、ドル地域、あるいはポンド地域、あるいはオープン・アカウント地域、それぞれ違っておるわけであります。そこで納付金の性格論に触れるわけでありまするが、ところが入れた輸入価格に適正利潤と諸掛りを加えたそれ以上のものはこれは納付金として全部国庫に納める、こういうことになると、ガットの規定第二条第一項の一般的最恵国待遇の規定なり、こういう点から見て、これが実体的には関税であるというような見方をされますると、国によって要するに非常に差等がつく、不平等な扱いをする、こういう一応の疑念が私は生まれてくるのではないかと思うのでありまして、あの国際通貨基金の協定からいっても、差益の吸収が国別に違ってきますると、やはり複数為替レートというようなことを日本がとるというような、そういう一応の疑いを持たれるのではないかと思うのでありますが、そういう心配はもちろんないものということでこの法案が出されたものと私は思うのでありまするが、どうもこの納付金の性格がきわめて私はアンビギュアスであってわかりませんので、その点一つ通産大臣からお答え願いたいのであります。
  253. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お尋ねの点は十分研究いたしまして、心配がないという結論になりました。というのは、国ごとに、この国からの輸入にはこうというのではございません。つまりこれに対して差別待遇をするのじゃなくて、これはもう輸入ごとにケース・バイ・ケースで納付金が違って参ります次第でありますから、全くの価格調整、国内の価格調整の目的による納付金、こういう性格を持つものであり、関税にはむろんならない、最恵国待遇とかいうものに対し何ら違反するものでないという確信を持っております。
  254. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 国際通貨基金の複数レートというような規定との関係では問題はないのですか、お答えがなかった……。
  255. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) その点もございません。
  256. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 そうしますると、まあ納付金がどういう性格か、実は大蔵大臣にこれは質問いたしたいのでありますが、時間もありませんから、その点は本日は省略をいたしまするが、通産大臣の御答弁は、結果として目的的に国によって差等をつけるのではなくして、ケース・バイ・ケースで入れた結果そういう結論が出る。ケース・バイ・ケース、こういうふうに理解していいのでありますか。
  257. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ええ、その通りでございます。
  258. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それでは砂糖の問題は以上で打ち切りまするが、その次に今政府当局で最も苦慮されておりまする米麦の価格の点の一部に触れて御質問をいたしたいのでありまするが、これは新聞発表でございまするから、それは政府が知らぬというようなことであるかもしれませんが、これは政府のお考えが大体そういう方向にあるということは私は推知できると思うのでありまして、そこでこの前も農林大臣にも麦の売却価格の非常に不合理である点を御質問いたしまして、その際にはきわめて御理解のある御答弁をいただいたのでありまするが、ところがもちろんこれはまだきまっておらないことと思うのでございまして、新聞発表によれば、内麦は大麦を一儀二十円下げる。しかしこれは等級が甘くなっておりまするから、実は二十円下げても実態的には二十円下らぬことになるというようなことにもなるようでありまするが、一応その問題は別にしても、大麦が一俵二十円、トン当り三百九十円の値下げ、裸麦が一俵七十五円で、トン当り千二百五十円、こういうことで、一部その点はお考えを願ったと思うのでありまするが、ところが今度は外麦を、外国から入ってくる小麦、大麦を従来よりも相当大幅に値上げをする。これは新聞の発表では、朝日新聞はたしか大麦が二千六百円、他の新聞はトン当り二千円というようなことでありましたが、大体二千円以上という、こういうことで外麦を入れる、そうなって参りますると、国内麦は実態的には等級が甘くなってきておりまするから、実際上、値下げではないのでありまするが、それは一応値下げがあったとしても、外麦でトン当り二千円以上上げますると、むしろ平均価格としては従来よりも麦の売却の価格は上って参る。そうなってくれば、これは結局業界がつぶれるか、あるいは粉なり、精麦の価格が上るか、どっちかになるのではないかというような実は見方がされます。実は政府から予算の説明で配付されました資料で概算をしてみますると、これはまあ今食管会計の赤字で非常に苦慮されておりまするから、非常にその点はよくお立場は了解がされないわけでもないわけでありまするが、一応予算で配付された国内の買い入れ数量、外麦の輸入数量に、今一応新聞紙で発表された引き下げ、引き上げの価格をもって見ますると、どの麦も、むしろ従来よりも政府は麦ではもうかるという計算が一応出てくるのであります。大麦が政府の買い入れ計画では二十七万トン、これが三百九十円下がる。裸麦が五十一万トンで、千二百五十円下がる、この合計が七億四千万ばかりです。これは政府の買却の損であります。ところが外国産大麦は政府計画では六十七万三千トンを入れるということになっておりますので、これはもちろん輸入価格が多少下がるという問題も別にあるようでありまするが、その問題は別にして、従来と同じ価格で入ってくるものとして、新聞のいろいろな発表を総合して、かりに二千円の値上りがされるとしますると外麦では十三億のむしろ収益が増加をする、そうなりますると、むしろ逆に差し引き内麦では損するが、外麦ではもうけて、全体としては非常な利益を上げている。小麦の方も五十万トンが国内買い入れで、輸入は実に二百二十四万四千トンを計画しておりまするから、内麦を少し下げても、外麦をちょっと上げても、全体としては相当もうかるというような私の一応の実は計算が出るわけでありまして、そこで私の方は米の赤字問題の結果、麦の方がここにしわが寄るのではないかという心配をしておるのでありまして、むしろこれを強行すれば業界がつぶれてしまうか、あるいは精麦なり、あるいは小麦の価格が上ってしまって現在の低物価政策、消費者価格は七百六十五円に据え置きますが、逆に麦の価格は上るか、業界が倒れてしまう。こういうような非常に大きな方針からもおかしいのではないか。まあこういう実は感じを持つわけでありまして、大いに粉食を奨励するとか、麦の消費をふやそうとするときに、私は今でも米に対して麦なり、あるいは外米の価格は割高であるという実は感じを持っておるのであって、そういう点からしても麦を国内で増産をして、麦を大いに食べるべきだという政策とも全くこれは逆行することではないかと思いまして、この点はもうすぐあさって米価審議会が開かれまして、この問題が取り上げられるそうでありますが、本日あるいは具体的な御答弁は無理かもしれませんが、私はそういう実は強い意見を持っておりますので、この際御答弁が願えますれば、ぜひとも御答弁を願いたいと思います。
  259. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御質問のうち、麦に米価のしわ寄せをするというようなことは考えておりません。この点は申し上げておきます。なおまた麦の価格のきめ方についても、いろいろ御意見がありまするし、実は昨年は内麦と外麦の関係があまりうまく行きませんために、実際問題としては抱き合わせて払い下げをするというような変態な状態になったことも御承知の通りであります。で、相なるべくは、こういうことのないように処置をして行かなければいかぬと思いまして、せっかくそれらの点について十分研究をいたしまして、そうしてこの三麦の関係もしくは外麦と内麦の関係について、なるべく価格の調整をして行きたいというふうに考えております。もちろん麦の価格の決定は御承知の通りパリテイ計算できめてありまする通りに行くわけでございまするから、私といたしましては、今の三麦の関係を是正をいたしまして、なるべく実情に合うようにして行きたい。ただ御指摘のように、内麦、外麦の価格の決定が内地の麦関係者の中に非常にそろばんに合う、合わぬという問題のあることは、各方面から非常に強い御要望のあることも承知いたしております。これらは取った麦を実際十分検討いたしまして、そして粉にしてみるとか、実際これをつぶしてみて、どういうことになるかということを実際に当って研究をしてみる必要もあると思いますので、それらを十分勘案して、実際に合うようにいたすことが第一でありまするけれども、事実またそこまで手も回りませんし、私といたしましては、従来の慣行に従いまして二十八日に一応米価審議会で御決定を願う。で、実施いたしまして、どうしてもその実情に合っていかぬような結果が出てくれば、またあらためて、こういうことを申すとお小言をいただくかもしれませんが、理屈としては、これはどうしても政治でそういうふうに行かなければならないだろう。悪かったらまた変えなければいかぬだろうということで、一ぺんきめたらそれで押して行かなければならないということではないのでありまして、現在考えられる条件を取り入れて、ここできめて行くということをするより仕方がないと思っておりますので、なお御意見がありますれば、十分拝聴して考慮して参りたいということで御了承いただきたいと思います。
  260. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 内麦、外麦を通じて合理的な売り渡し価格を決定すべきだと考えておりまして、これはただいま関係方面と相談をいたしておる段階でございます。
  261. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ちょっと関連してお伺いしたいのでありますが、外麦の輸入価格と、食管特別会計との関係質問があったのでありますが、私内地米の米価と輸入外米の価格の関係についてちょっと伺いたい。御承知のように、輸入外米の価格は最近相当下りつつあることは御承知の通りであります。一般に言われておりますのは、かれこれ三十億円見当の輸入利益が出るであろうという観測をしているわけであります。政府の方ではどういうふうに見通しておられますか。私的確に聞いておりませんけれども、相当の差益が、現行の外米の売り渡し価格をおけば出てくると思うのであります。御承知のように、現在の内地米の価格と外米の価格は消費者価格で比べますると、その開きというものは非常に不自然であります。本来もっと開きを大きくしなければならない。従いまして、輸入外米の価格が下って参りますれば、これは当然に外米の消費者価格を私は引き下げるべき筋合いのものであろうと思うのであります。現在は外米の配給におきまする役割というものは、これは非常に大きいのでありまして、消費者におきましては、現在の内地米の配給価格においても配給を受け得ない。これを断わって全部外米に依存しておるような消費者の層も、これは決して少くないのであります。そういう観点から言いましても、安く外米が入れば、当然本来あるべき姿にこれを下げて行くということが筋道であろうと思う。たまたま、そこに食管特別会計に差益が出てくれば、これをほかに回すということがあっては相ならぬ筋合いと私は思うのでありますが、これらに関して一つ農林大臣の御見解を伺いたいと思います。
  262. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、米にいたしましても、麦にいたしましても、わが国並びに世界の全体からみても、非常に足りなかった時代が急激に現在のような状態に変化して参りましたことは御承知の通りであります。さればと申して、世界の情勢がそういうふうになり、価格形式に非常に変更が来たということであって、それを直ちに自由販売と同様に、これがこちらが下ったから、それは下って売るのだ、こちらが高くしたから、こちらは高く買うのだということであるならば、これは確かに御議論の通りと私は思うのであります。しかし今わが国の国内の情勢をみて参りますると、私たちといたしましては、これでよろしいと申すわけではございませんけれども、何さま国内の米の値段を、配給いたしまするのに、これは据え置きということにいたして参らなければ、他の一般に影響するところが非常に大きいということもございます。従いまして、麦と米との価格差がどうだ、外米との価格差がどうだということになりますと、戦時中もしくは戦後の政策から、これも必ずしも妥当ではないと思うのであります。麦と米の価格差のごときは大いに考慮しなければならぬ点があると思うのであります。これは増産奨励の意味からこういうふうな価格差にこしらえたのだ。それをこのまま今日続けて行くととがいいか悪いかということは大いに検討しなければならぬと思うのでございますが、現在の段階においてそこまで抜本的に変更することは、現在の食糧情勢において許されることではないと私は思うのでございまして、これは漸を追うて考えなければならぬものである、食管制度そのものに、根本的に考える際にはもちろん考えらるべき姿のものであると思うのでございまして、これは基本的に議論をされますれば、私もそれには決して異論を申すことはできない実情にあると思いますけれども、情勢がそういうことにあるということで、私といたしましてもこのまま続けて行くよりほかに仕方がないのじゃないか。たとえば砂糖の差益金を食管会計に入れてはどうかということの御議論と、ただいまの外米、外麦の差益金が出たら、それを一般食管会計の中で使ったらどうかというお考えと、これはある程度において同じじゃないかというふうにも考えられまするし、いろいろの点において矛盾のあることも承知いたしておりますけれども、しからばそれらを直ちに直して、そうしてこれを一変して、大改革したらどうだということには諸般の情勢が許さざる点がありますので、私は漸を追うて行くべきものだというふうに考えるのでございまして、申し上げますことは、はなはだ不徹底でございますけれども、しばらくお許しをいただくよりほかに仕方がないのじゃなかろうかというふうに考えております。
  263. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 御趣旨はよくわかるのであります。私も、自由時代のように下ったからすぐそれを下げろと、こういうことを言っておるわけではありません。現在の姿がきわめて不自然であるから、外米の価格が下れば、これを是正して行く方向にやはり努力が払われるべきだ、食管特別会計は何も収益を目的にしておるわけでもないのであります。安くなっただけすぐ下げろ、こういう極端なことを言っておるのでは毛頭ありません。その方向に、今、大臣の言われたように、漸を追うて進む、その漸というものをやはり一歩進めるべきであろう、かように考えるわけであります。それだけ申し上げておきます。
  264. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私もそういうことに努力をしなければならぬと考えておるわけでありますから、御了承願いたいと思います。
  265. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は米価審議会でさらに質問することにして、これで終ります。
  266. 館哲二

    委員長館哲二君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会