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1955-06-14 第22回国会 参議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十四日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            吉田 法晴君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            高橋進太郎君            堀  末治君            西岡 ハル君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            高木 正夫君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            秋山 長造君            小林 孝平君            高田なほ子君            永岡 光治君            湯山  勇君            曾祢  益君            田中  一君            永井純一郎君            深川タマヱ君            武藤 常介君            最上 英子君            千田  正君            八木 幸吉君    衆議院議員   福田 赳夫君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 花村 四郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 謙三君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  石橋 湛山君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    郵 政 大 臣 松田竹千代君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 瀧藏君    法制局長官   林  修三君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁調整    部長      松尾 金蔵君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    文部政務次官  寺本 広作君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    食糧庁長官   清井  正君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算内閣提 出、衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれより委員会を開きます。
  3. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 鳩山総理はしばしば独立の完成を目ざして、占領中の自主性のなかったいろいろな法制制度整備したいということを言っておられます。その第一に言われるのは憲法の問題、これにつきましては今回の予算措置におきましても一歩踏み出した、いろいろな問題はありましても、一応そう言い得ると思うのであります。また労働法規につきましては、先般この委員会におきまして、労働大臣から労働審議会というようなものを作って、労働法規を改正すべきやいなや、改正するとすればどんなふうに改正するかということを、その審議会において十分審議を尽してもらって、その結果に待ちたい、こういう御答弁があったのでございます。私はここに、そのほかに総理がただ漫然とそういうことを言っておられるのではなくて、もっと具体的にどういうものを改正すべきであるというふうにお考えになっているか、まず伺いたいと思うのであります。
  4. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) とにかく司令部におきましてやった指示は、日本国情に即しないものがずいぶんありましたものですから、当初においては教育制度についても改正しない方がいいと思ったものがあったのですけれども、六三三制の問題などが一応ああいうようにして相当土台ができてしまいますと、直ちにこれをまた制度的に変更するのもいかがかと思いまして、ただ内容的に変更した方がいいだろう、形式の変更あと回しにして、内容変更をした方がいいというような考え方をしているのです。
  5. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 教育の問題にお触れになりましたが、そうすると、教育二法というような問題につきましては、どんなふうに対処されるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  6. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私からは大体のことを申しまして、文部大臣から詳細な説明をしていただきたいと思います。  ただいまちょっと申しましたのは、義務教育制度については直ちに制度上の変更をしないで、一そう整備をしなくちゃいけない。一そうの整備をして、そうして内容において我が国の実情に即応するようにやって行きたいと考えております。大学教育制度につきましてもやはり同様の方針で、増設とか、拡張よりも内容充実に力を尽したいというような考え方をしております。  それから師範教育改善なども、民主政治にはまだなれておりませんから、やはりその師範制度内容を変えて行って、充実して行って、小学校教員たち日本の青少年を民主政治に適するような国民に作ることに直して行くというようなことが必要だというふうに考えております。
  7. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいまお尋ね教育二法のことでありますが、これは現在のままで当分変更する意思はございません。
  8. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで義務教育の六三制の問題であります。わが国がこういう苦しい中から、思い切って文化国家になりたいという国民の念願といえばいえると思いますが、非常な長い年限義務教育を実施したわけであります。ところで、あとで申し上げますが、地方財政の今日の状況というものは、全く破局の一歩手前にきておると言っても過言ではないと思うのであります。いろいろな手を尽しましてもなかなか地方財政改善されないという一番根本の問題は教育費にある。もちろん、いろいろな見方がありましょう、財政が非常に放漫であるというような大きな問題もありましょうけれども、最も根本にひそむものは教育費である。おそらく都道府県の教育費は全般の財政の三分の一以上になっていると思います。市町村では、義務教育中小学校校舎維持改善のために、莫大な支出で、これによって、おそらく二十二年自治法施行以来全国では数十人、あるいは百数十人の町村長が、この校舎の問題でやめておるという事実を見るときに、日本の現在の国力が、この九年という義務教育にはたえられないものではないだろうか。これを外国の例を少し引いて見ますと、一番長いのがイギリスの十年であります。一九四六年の教育法の改正によって、イギリスは九年から一躍十一年に延ばしたのでありますが、さすが現実的なあの国民らしく、当分の間十年ということにして、実際は今十年で、ずっと当分の間暫定でやっておりますが、これが世界で一番長い。二番目が、これは州によって非常に違いますので一がいに言えませんが、アメリカがまあ平均して九年くらいといわれております。州にあずけてありますから各州の事情で皆違っておるようであります。日本と匹敵するのは米英しかない、この金持ちの二国しかない、あとはどうだといいますと、フランスが八年、西ドイツが八年、オーストラリアが八年、オランダも八年、イタリアも八年、これらが長い方であります。一部の人が非常に謳歌するソビエットは何年かと申しますというと、ソビエットは七年、わが国よりも二年短い。また一部の人が非常に謳歌する中共はわずか四年です。われわれの明治年代義務教育年限しか持っておらない。こういう事実を見るときに、そうして今日の地方財政と申しましても、これは国が当然責任を持たなければならない義務教育、これを今日、日本財政で九年持つということが、これ自体が非常に無理ではないか。財政上、こういうことを言うことは非常に残念でありますけれども、財政というものはやっぱり国力限度を示すものだということを考えますときに、同時にまた日本が今日大いになすべきことがたくさん残っており、鳩山内閣がいろいろな公約をされても、一兆というワクに縛られてできなかった。これはやはり一つ国力限度だと思う。そこに非常に大きな疑問を私は持つのでありますが、この点につきまして鳩山内閣を代表して、一つ重大な問題でありますので、文部大臣はどういうふうにお考えになり、どういうふうにこれから対処されるのか。九年が最善のものであるということをお信じになって、このまま進んで行かれるお考えであるかどうかをお伺いしたいのであります。
  9. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えを申し上げます。非常な重大な問題でございまして、お話通り今日の六三三の義務教育制度は、これは日本国力に沿わないものであることはせんだっても申した通りで、今のお話通りでございます。しかしながらこの制度がしかれてからもはや八年になりますが、その間非常に苦労をいたしまして、国もさようでございますが、地方及び父兄人たちが、日本ほど児童教育に熱心な地方父兄はありませんので、今日八年の間にやってきましたことは一つ世界の驚異であると思うほどのことも言われておるわけです。それで、大体その財政の重圧であります校舎設備は、大体ただいまのところまでほぼある程度のものはでき上って参っております。老朽校舎のごときも、もう今日ぐらいの予算を三、四年続けてやりますと、それで大体片がつくというわけで、校舎設備の問題は大体それで片がつきまして、今後財政負担はそれだけ軽くなることと考えます。二の上は内容充実、そして年限を延ばしたので、かえって学力の低下などというような現象が現われてきておりますから、こういう点に努力をいたしまして、はなはだ国力には沿わないが、国力の回復するまでできるだけ最少の費用をもってやりくりをいたしてその効果を上げたいと思う。今これを政治的に見ましても、また実際の点から見ましても、これを八年、ここまで築き上げたものを後退させるということは、これはなかなか容易ならぬことでございまして、ただいま私たち責任者といたしましては、いかにしてこの築かれた義務教育制度を維持して行くかということを考えておりますので、これを変更して年限を短かくするということは、ただいま考えておりませんのでございます。
  10. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。ただいま文相答弁によれば、なるほど制度に対しては短縮は考えていないとの、結論から申しますれば、答弁でありました。しかし文相が言う通り、今三、四年の間に老朽あるいはその他の校舎改善ができる、こういうお見込みでございますが、御承知のごとく地方財政は三十九県、それから町村はほとんどその六割以上が赤字財政になっている。あとの三、四年が、地方財政状態からいきまして、果してこれが負担できるかどうか、もし教育の方面は三、四年の後に完備するとかりにいたしましても、地方財政破綻を生ずるというようなことができるとしたら、土台がくつがえる、根本からくつがえるという結果になるのが、今日ごらんの通り状態であります。この状態において、これを押し切るだけの御決意がある小どうか。  さらに教育についてお尋ねいたしますが、今、あまりに乱立の結果教育程度がかえって低下したようにも見通しがつくと仰せられましたが、私の聞くところでは、大学の数は、アメリカソ連、次には日本だ。英国フランスよりも、ドイツよりもうんと数が多くなっている。従って高等学校地方におきますところの県立の学校が非常にふえてしまった。こうした乱立制度がどこまで続いて行くか、また文相から、大学及び高等学校の数はアメリカソ連英国フランス等に比較してどの程度日本財政から見れば、また日本の領域から見ても、人口から見てもまさっておる……まあまさっておるというよりも、むしろ過剰であるという程度の、はっきりした数字を示していただきたい、かように思います。
  11. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えを申上げますが、第一の地方財政の問題でございます。これはきわめて重大なことでございますが、しかし今この教育制度を、ここまできたものを後退せしめただけで、それでどれだけ地方財政が救われるかということも考えて見なくてはなりませず、また地方財政の窮乏の原因教育費負担ばかりではございませんで、いろいろの原因があろうと考えます。従いまして、この地方財政検討は、全面的に大きな改革をやらねばならないことと私は考えますので、教育の面だけで、こういう結果になったのではないと心得るのでございまして、そういう意味から申して、できるだけの節約をせねばならぬ。また教育制度の上において、金がかかって能率の低い制度はもちろん改めなくちゃならないと心得まして、できるだけのことはいたしますが、大体今日校舎設備ができ上りました以上は、だんだん今日まで教育のために地方負担に苦しんだ点を順次直して行くこともできるのではなかろうか、このように考えております。  それから大学制度のことに至りましては、お話しの通りでございまして、これは相当検討を要することと思いますが、まずそれに先立ちまして、第一に、放っておきますと、大学がまたさらにさらにふえる傾向がございます。大学の上に大学院がありまして、それがまた昔のようにその学校教授を作る目的よりもさらに広くなりまして、大学の上に大学を作るという形ができ、さらに短期大学がございまして、大学の下にさらに大学を作るというような形が出ておりますので、それですでに予約ができ、準備の経費を、先にすでに国が支出したようなものだけを今度の予算に計上して、これは認めますが、これから以後は原則として大学増設は許さない。それから大学設置審議会審議の標準をずっと高めまして、そうして乱設を防ぐと、こういうことで、大学制度をひとまずこれでとどめたいと考えてやっておるわけでございます。そうしてこの急速な大学の数のふえるのを一応とどめて、それからこれをどう整備するかということの研究をし、着手をせねばならぬことと、こういうふうに考えております。
  12. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 私の文相に聞くのは、教育費を削減しろというのではなくて、苦しい地方財政のもとに校舎の改修も行なわなければならぬ、年々入学する小学児童の数に対しまして学級もまた増加されるという状態に入っておる。その中にあって、最後にあなたが地方行政に対する一大改革の必要が迫りつつあると言われたが、迫りつつあるどころではない、もう迫っておる、新潟県などにおいても千名以上の行政整理は、まず学校でなくて、地方庁としてもしなければならないというような段階に入っておる。一歩誤まれば地方財政破綻を生じます中におって、教育費をそのまま、いな年とともに拡大して行かなければならない過程にあるこの苦しい財政計画を、どう地方行政と見合わし、大蔵と協力提携して、この中から地方において負担のできないところをどういう工夫をもって切り抜けるかというその計画について、すでに話し合ってあるか。あるいはそれでなかったら、鳩山内閣として地方行政に対する一大改革計画を、あなたはもう政調会長として十分に研究しておる、その研究の一端があったらお示し下さい、こういうので、なかったら至急これから着手するとか何とか、ともかく放っておいたら地方財政において事実上において教育費がますます削減されるような過程に入るから、教育費をそのまま存置する建前からいっても、あなたの決意を伺うのであります。
  13. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) もちろん自治庁その他とも十分の協議をいたしまして、研究はもちろんいたしましてございますが、ただいまのところ具体的にこれをどうするという案を御報告を申すまでには至っておりません。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して。教育の問題が論議されておりますが、鳩山首相お尋ねをいたしたい。これは教育の問題は政治の非常に重大な問題だと思うのであります。日本の発展につきまして、あるいは自立ということについて、人という問題、あるいは国民の資質、能力という問題は、非常に重大な問題であると思う。私ども小さい時から、これは古い言葉でありますが、十年の計を立てんと欲すれば木を植えよ、百年の計を立てんと欲すれば人を植えよと申しますが、その人を育てる、人を教育するという問題は、これはじみでありますが、政治の非常に重大な問題だと思うのであります。見ておりますと、最近の予算の中で軍事費がだんだんふえておるために、教育という問題がだんだんその重さを減してくるのではないか。財政事情が困難になる、あるいは他に食われるから、今、話が出ておりますけれども、九年の義務教育年限は長いのではないか、あるいは地方財政の面で教育費あるいは学校先生の給与あるいは校舎増改築等費用相当大きいから、これも減すというような議論、これは現に鳩山内閣の今度出されております法律の中にも地方財政再建整備法というのがございますが、その中にもそういう考えがないわけではございません。従来は小学校にも義務教員を置いてそうして五十人に一人の先生をつけて教育効果を上げて行きたいという方向でしたけれども、それが実際には児童の数もふえる結果もございますが、五十人に一人という割合でなくて、一人で六十人も、あるいは廊下にさえ子供を置いて教育するというような実態を生じておりますとともに、他面その教育費あるいは教育関係人件費をも削減しよう、こういう動向があるのでありますから、私が申し上げるまでもなく、現憲法の精神から言いますならば、義務教育を国の負担において完全にさせるという義務——これは政治的な義務でもありますが、また憲法的な義務でもあります——を負っておられる総理として、国の基本方針として、これらの問題についてどういう工合に考えておられるか、明快に一つ答弁を願いたい。
  15. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 教育は非常に大切であるということは申すまでもないことであります。教育費が非常に地方財政に対して重い負担になっておるということはよく聞いておりますけれども、現在の情勢においてこの教育費を減らすということは、とうていできないことでありますから、地方財政を立て直すについても、教育費の削減というようなことを目的とせずに、地方財政の立て直しを考えなければならないというように考えております。
  16. 木村守江

    木村守江君 ただいまの問題に関連いたしまして総理大臣お尋ね申し上げますが、総理大臣は一月二十二日の施政方針演説の中で、「文教刷新は、現下のわが国にとって最も緊急の問題であります。戦後急激に行われた学制の改革国情に適合しない点が多多ありますので、」云々という演説をやっておられます。これは一体どういうことであるか、具体的にその内容を御説明願いたい。
  17. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は大体において占領当時にでき上ったところの教育制度というものは国情に沿わない点があると思いまして、これをだんだんに直して行って、日本国情に沿うような内容を持つ教育にしなければならないと考えております。特に日本民主政治になりまして、国民考え方が違わなければならぬものですから、つまり民主政治下国民として適当しておる国民を作ることに重点を置いて行かなければならないというように考えたのであります。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 議事進行について。関連質問はある程度やむを得ないけれども、具体的な質疑の内容について答弁の不明確な点についてのみただされるというふうにお願いしたい。教育問題ということで関連ならば、なんぼでもありますから、委員長整理を願います。
  19. 館哲二

    委員長館哲二君) 各委員一つ御自粛をお願いいたします。
  20. 木村守江

    木村守江君 ただいま総理大臣の御答弁によりますと、文教刷新はあるいはこれは制度の問題を意味しておるのか、教育制度の問題か、それとも教育内容の問題かどちらを一体指しておられますか。(「非常に重大です」と呼ぶ者あり)。
  21. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は先刻伊能さんにお話しました通り教育内容充実ということに重点を置いて教育行政をやって行くべきものと考えております。
  22. 館哲二

    委員長館哲二君) 伊能君。(木村守江君「関連質問」と述ぶ)もう二回もおやりになったのですから………。(木村守江君「きのうもあったじゃないか、社会党何問もやったじゃないか」と呼ぶ)
  23. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 文部大臣腐朽校舎が今の分で行けば三、四年くらいで解消するというような非常に安易な考えをお持ちのようですが、これは三、四年で今の程度予算を組んだだけではとても解消しきれるものじゃないという私は確信をするのであります。私は必ずしも年限を減らせということではないのでありますが、年限をいたずらに長くして不完全な授業をするということは、日本国民性からいいますと、ただ形式的に非常によく学校へ出す、世界就学率のいい国であります。しかしその内容が不完全であるならば、これは九年やったからといって非常に立派な教育ができるとはいえないと思うのであります。そこに不完全授業という言葉がしばしば出てきますが、そのうちで二部、三部教授というものはごく少くなってきておると思いますが、教員の数を文部省は常に小学校につきましては一・五、中学については一・八というような大きな目標を掲げておりますけれども、これに追いつく県はほとんどない、おそらく全国を通じて今小学校で一・三ぐらいじゃないかと思う。今年の児童の数に伴うところの教員の数もますますこの割合を悪くするような財政計画であります。つまり不完全な方向へ行く道をたどっておると言っても過言ではないのであります。つまり今まで一・三であるとするならば今後は一・二などとかいうふうな数字になってくるのであります。しかもそこに一そうこれに拍車をかけるのは、ややもすれば授業を放擲して労働運動に従事するというような人さえ出てくる時代におきまして、一そう不完全な教育が行われるおそれが多分にあるのでありまして、私はこの点を深く心配するのであります。この不完全授業、そうして学力が年数だけはやったけれども低下して行くこの傾向を私は最も心配する、この点につきまして文部大臣のお考えをもう一度伺いたいと思います。
  24. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 不完全教育の増加という現象は、これはぜひこれを解消しなければならないと考えておりまして、それに手段を尽しておりますが、東京などのように非常に全国から集まってくる所においては、さらに校舎不足等現象が激甚に出てきておりますけれども、今お示しの通りにだんだんそういう低下した不完全教育がふえてくるということだけはとめたいと思い、とめ得ると考えております。この教師の側の教授を放擲して労働運動に走るというようなこともだんだん落ちついて参りつつありまして、ぜひ落ちつくように、そうして学力の向上するように、努力をいたしておるわけでございます。
  25. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 ただいま二部授業というようなことがだんだんなくなる、こういうことは認めるのです。不完全授業というのはただそういう教室だけの問題じゃないので、教員の方におきましてはますます多くなる、というのは、これは私はただいまも言いましたように、現在一・三というような数字教員割合があるとするならば、今年の財政計画では今年ふえる児童に応じてふえる教員の数が……、ちょうど一ぐらいじゃないかと思うのです。丁幾らぐらい行きますか、そういうふうであれば、この一・三というものがまたますます少くなる。一・二幾らというような数字になって、そういう教員の面からしては不完全な授業になりやすい、なる傾向にある。こういうことを申し上げたわけであります。こういうことはおそらく文部大臣といえどもお認めにならざるを得ないと思うのです。
  26. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ちょっとその点につきまして局長から数字の御説明を申したいと思います。
  27. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 三十年度の予算におきまする生徒児童の増加に伴いまする教員増の予算関係でございますが、この予算を組みました算定の方法につきまして申し上げます。  児童生徒が御承知のように七十七万人ほどふえますと、これに対応いたしまして学級数がどれだけふえるかということを推計いたし、その学級数に対しまして一学級当り小学校におきましては十二分の十三、中学校におきましては九分の十三という平均数をとりまして算定をいたしたのであります。この計数は二十九年度におきまする実績の平均でございます。全国の平均をとりまして、三十年度におきましてもこれを使って算定をしたのであります。つまり予算の建前といたしましては、二十九年度における教員数の平均の実態をそのまま三十年度も維持したい、かような建前から教員数を算定いたしまして計上いたしておるような次第でございます。
  28. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 こまかい数字の末梢を私はここで争っているわけじゃないのでありますが、大体今の局長の御説明のようなことには事実なっておりませんので、私はこの問題はこれで打ち切りますけれども、決してそんなうまい数字にはなっておりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)このことだけははっきり申し上げておきます。  先ほど同僚池田委員からも触れましたが、国力にふさわしくない大学の数というものは、これはおそらく国民ひとしく認めておるところなのでありまして、文部大臣からただいま、これから不完全な大学をふやさないような方針をお聞きしましたが、私は現在ある大学でも、二百何十とかいう大学、短期大学がまたそれと同じような二百何十、合せて五百にもなんなんとする大学が、これだけの人口、これだけの国力において一体持ち得ることさえも不思議なのでありますが、これをふやさないというばかりでなく、不完全なものをもっと整理するという積極的な御意図はないかどうか。そうして学校さえ出ればとにかくどうにかなるだろうというので、農村の父兄などは次三男の、まあ昔ならば多少余裕のある人が分家を出した、この分家のかわりに次三男対策として学校へ出す。大学が必ずしも就職の方法ではあってはならないはずでありますが、実際現実の形は次三男を学校に出して、分家のかわりに、田を分割して相続させるにはあまりにこまかい、次三男は少し頭のいい子には大学でも出して、そうして学資にかけてやって、相続権を放棄させるというような形で、ずいぶん大学を出す。大学は出したけれどもというのが今日の実情であると思います。こういう状態に対しまして、文部大臣がこういう経済力に対して大学制度をどうするかという問題それから卒業したものに対して、大学卒業生が就職できないということはまことに悲哀なんでありまして、この事実に対しまして労働大臣おられましたら、いつかの御答弁の中に大学卒業生の就職につきましては、財界その他と連絡をとって審議会というようなものを作って一生懸命にやっているのだというような、形だけは整っているかのごとき御説明がありましたが、それがどうなっておるのか、この点について伺いたいと思います。
  29. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。二十九年度の大学卒業生は、詳細に申し上げますというと、十二万八千名のうち男が六万九千五百八十五名、女が一万八千七百六十三名、これが就職の希望者でございます。十二万八千名の中の採用になりましたものが、就職いたしましたものが、男は五万七千五十名、女子が一万一千六百二十名、合計六万八千六百七十名、結局率は七七・七%の就職率になっております。あと対策を要するものが約二万人、これが三十年度、四月十五日現在で二万人に上っておりますが、この残留者の二万人に対しましては、政府といたしましては各事業団体、学校等々に就職のあっせんをいたして、ただいまその結果の収集中でございまして、結果は今はっきりいたしておりません。
  30. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 大学を減らすことを考えているかどうか、不完全な大学を減らすことを考えているかどうかということについて……。
  31. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それはなかなか直ちに簡単には参りませんで、ただいまの整理にとっております方針地方に特色を持つ大学を作りたい、そういう意味において重点的に施設をして参りまして、そうして他日大学整理ができるときの一つの形を漸次育成していきたい、こういうことを考えてやっておるわけでございます。
  32. 木村守江

    木村守江君 関連して。文部大臣の先ほどからの答弁を聞いておりますと、文部大臣は六三三の義務教育国力に沿わないと言っておりますが、御承知のように義務教育は六三であります。私は文部大臣の言うことは六三三四の、いわゆる新しい学制による学校状態国力に沿わないという意味だろうと思うのです。しかして文部大臣地方財政を圧迫しておるところの危険校舎の改築があと三、四年でもってほとんど完了するような状態にあるというような話をしておりまするが、これは決して義務教育ばかりでなく、これは現実の高等学校の改築というような問題もありまして、これが非常な地方財政の圧迫になっておりまするが、あなたが三、四年ぐらいで老朽校舎の解消ができるというようなことを言っておられますが、御承知のように、ことしの文部省予算を見ますと、危険校舎の改築が二十億になっておりま費す。こういう状態で幾つもできて三、四年過ぎたら一体解消ができるというようなそろばんになりますか。私はとうていこういうようなことはでき得ないと言わざるを得ないと思うのでありますが、これは数字によって三、四年で解消できることを証明してもらいたい。それからあなたはただいま、これからは不完全授業というものをなくしていきたいと言っておりますが、不完全授業の増加をやめたいと言っておりますが、実際問題といたしまして、児童生徒の自然増によりまして不完全授業がふえつつあるのが現在の状態であります。今年のいわゆる自然増の生徒児童数が七十万と言われましたが、これに対しましていわゆる校舎の建築がどれだけできて、どれだけ準備してあってこの不完全授業の解消をはかって、あなたが確信があって不完全授業の増加をとめることができると考えておられますか、これを数字をもって御説明を願いたい。
  33. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えをいたしますが、大体私の申しておりました数字の根拠はあとから詳しくお示ししてもよろしゅうございますけれども、大体この老朽校舎の方は百万坪くらいを解消すればいいわけでございます。今度の予算でそれだけの金で大よそ二十万ないし二十五万はできるつもりでございますから、それでざっと四年程度、こういうふうに申したような次第でございます。それから今お話の不完全の授業のことでございますが、これは約九万坪くらいのものがあればそれで解消するわけでございます。これも今日のところでいきますと三、四年くらいで解消ができる、こういう目安を持っておりますが、なお詳しい数字あとからお手元へ差し上げましてもよろしゅうございます。
  34. 館哲二

    委員長館哲二君) 数字一つあとでお示しを願いたいと思います。
  35. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私は先ほど申し上げましたように、数字の点に必ずしもとらわれるわけではないのでありますが、とにかく鳩山内閣が九年の義務教育は堅持する、そうして不完全授業を解消する、こういう御意思があることをはっきり伺って、ただ実際あなたの後段の不完全をなるべくなくすという方向につきましては必ずしもその方向に本年度の予算がいっていないということを申し上げてこの問題はこの程度にいたします。  次に、同じ教育の問題でありますが、別の角度からこれは総理にも伺いたいのでありますが、日本の現在の教育委員制度というものが果して日本国情に適したいい制度であるというふうにお考えになっておられるかどうですか、この点を伺いたいと思います。
  36. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私から申し上げまして、それから総理の御答弁を願います。義務教育制度につきましては、私どもは白紙の立場で再検討をいたしたいと考えております。今度の議会の間には合いませなんだけれども、このままでいいとは考えておりませんので、白紙の上に立ちまして再検討をいたして、そうしてこういう経費をよけいかけて、そうして高価な……ややもすれば人事の沈滞などがある実情でございますから、何かよりよいやり方がないものか十分の検討をいたすつもりでおります。
  37. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は教育委員制度、これも司令部が置いていった一つの遺産だというような考え方をしております。ですからしてこれは検討しなくてはならない問題だろうと思っておるような次第であります。
  38. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その御検討をする段階におきまして、現在の教育委員会法に、教育は不当な支配に屈することなく、ということが第一条にあるのです。この不当な支配とは一体どういうことを考えておるものか、何か私はなくちゃならぬと思うのですが、少くとも主管大臣として、こういうものがあったから、こういう法律ができたのだということくらい、おわかりだろうと思うのですが、この点伺いたい。
  39. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それはその当時の事情から割り出された言葉であろうと思いますが、きわめて広義に解釈いたしまして、いいことと思っておるのでございます。
  40. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 つまり現在におきましては、教育委員会法第一条の、不当な支配に屈することなく、というこの不当な支配という言葉は、適切な言葉ではないと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  41. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私はさように考えておりますが、その制度の再検討に当りましては、それらも含めて十分の検討をし、根本的に考えたいと考えています。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん重要な御発言をなさっておるようです。不当な支配に屈することなく、ということについての削除についても、若干お考えを持っていらっしゃるようでありますが、この不当な支配に屈することなく、ということは、かねがね私どもも、またすべての人が正しいと主張する教育の中立性を、真実の意味の中立性を守るために、権力に屈しない。つまり不当な支配ということは、権力に屈しない、教育を権力のもとに置かないという建前で、あの一項が入っているわけです。それなのに、この不当な支配を、これをのけてしまうということになれば、そんなら教育は、時の権力に左右され得る、すなわち明治の時代における教育の形になってしまうのではないか。こういうことを私は非常に心配するので、もう一度不当な支配に、という意味について、はっきりと私は御答弁いただきたいと思う。非常に重要な問題です。
  43. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えを申し上げますが、その場合に使っておりますのは、教育の中立性だということからも、それは来ておりましょうけれども、大体そういう文句がなくったって、当然不当な支配に屈するようなことのないことは、これは当然のことでございまして、ひとりその教育委員会の場合のみならず、どの役所の事務の取扱いにいたしましても、不当なことに屈するようなことじゃなりません。そういう意味から申して、これは今日になってみれば当然のことである、それで広義に考えてよろしいのだと、こういうふうに申したわけでありまして、不当なことに屈せよというようなことを申したわけではございません。
  44. 木村守江

    木村守江君 関連。ただいま不当な権力に屈しないという問題について、文部大臣が説明しておりまするが、それは当りまえのことだ。私は法律というものは、当りまえのことをきめるのが法律だと思う。当りまえでないことをきめるのは法律じゃないと思うのであります。当りまえのことが行われないから、当りまえのことを行わせるために法律をきめるのだと私は思うのです。教育委員会制度ができたというのは、ややもすれば教育者というものは非常に弱い、あるいは時の政権、あるいは地方の政権、あるいは金力に左右されるような弱い立場にあるからして、この教育を守って、ほんとうに中立性を堅持しようとせんがために作ったのが、この教育委員会の不当な圧力に屈しないというような文句になって現われたのだと私は思う。それを今削除しようというような考え方を持つことは、私は大きな教育の後退だといっても差しつかえないと思うのでありますが、文部大臣のお考えを伺いたい。
  45. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それはそういう意味ではございませんで、お答え申したのを広義に解してもいいでしょうと申しただけのことでございます。中立性を侵してもいいなどというようなことは、これはもう常識的にそういうことを考えておるわけではございません。ぜひ教育は厳正、そうして学問は独立、こういうことを基調として考えますことは、これは申すまでもないことでございます。
  46. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 いろいろ論議がございますが、私のお聞きしたいことは、教育というものがほかのあらゆる行政と調和されていかなければならないものである。ところが教育委員会という一つの独立した機関によりまして、予算案の送付権を持ったり、独立な権限を持っておる。ほんとうに教育が必要であるならば、これは今日の政府も、あるいは地方の知事も、市長も、この教育の必要ということは、そういう首長ばかりでなく、議員も皆ひとしく認めておるので、それをしかも、その時代時代における経済力、財政力に応じてやっていかなければならない。しかも全体の中の調和された総合行政の中に溶け込んでいくべきものであるのでありまして、それをこういうふうな独立の機関にしておかなければならない理由というのは、私はまことに理解するのに苦しむのであります。こういう制度は、さっき鳩山総理の言われましたように、やはり占領時代の遺物、そうしてアメリカの植民地において発生した教育委員会制度を、民主主義の日本では、まことに民主主義は初めからやる日本だから、このくらいの制度でよかろうというくらいの気持で持ってきたのじゃないだろうかというふうにさえ思われるのであります。よその外国に、ほとんどこういう一般行政から独立した行政委員会でやるというようなことは、アメリカの州の一部にあるだけで、ないのであります。こういう点を見ましても、これは教育行政というものは全体の行政の中の、総合行政の中に溶け込んで、しかも教育は必要であるから、他のものに先んじてこのくらいの予算をとらなければならない、そういうところに私は意義があるのではないか。教育が必要であるからというので、一つのワクを初めからこしらえておる、非常に弾力性のない行き方というものは、私は日本国情に合わないばかりでなく、教育行政という趣旨から考えて、こういう制度というものが根本的に間違った制度ではなかったろうか、こういうふうに思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。
  47. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 教育委員制度そのものだけを検討いたしては、完全な結論は得られないと思うのでございます。これは文教全体の組織の問題でございます。今日の制度におきましては、文部省地方教育制度に対する権限というものは全くございません。従いまして教育に関する一つの、それは強い権限を教育委員会に持たせなくちゃならないようでありますから、それで、そういう権力に屈するようなことはなく、というような文句を入れて、そうしてそれに予算の編成までもまかしてやっていく形を作らなくちゃ、実際これはやって行けない。こういうことと相待った制度の結果として、ああいうものが出ているわけだろうと思いますので、教育制度全体から見詰めて教育委員会制度検討しなくちゃならないものだ、こういうふうにみておるわけでございまして、各種の上に立って十分の検討をいたすつもりでございます。
  48. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この問題につきましては、そういう意味合いから特に重要な問題としてお取扱いを願いたいということを申し上げると共に、今、大臣が心配されるようなことであるならば、外国でも二、二例がありますように、義務教育は国が責任を持って下までやる、そうすればそんな不当な圧力とか言わなくても済むのじゃないか、今言われるような意味におきましては、それも一つ考え方である。イタリアとどこか一、二そういう国があるようであります。とにかく完全な九年の義務教育がいいというようなら、完全な教育、そうして立派な教育を、日本国力に応ずるような教育方法を立案されることを希望してこの問題はこれで打ち切ります。  もう一つ、これは非常に付随的な問題ですが、学校の問題で、学校火災が近頃非常に多いということは、私ははっきりみたわけではありませんけれども、しばしば人も言い、新聞も書き、私もそういう感じを受けます。そうして私がそれについての実情を調べた二、三の例によりますと、大体宿直の教員の過失、はっきり過失のものもありますが、全体が、ほかの問題でもありますように、責任観念が弛緩しておるということが全体の気持のように私は思う。こういう点につきまして、文部大臣はもちろん、全国にそういうことを指令するということは今日できないところでありましょうが、通達によって勧告をするというような措置を講じたかどうか。今日の学校は昔と違いまして、校長は遠くから通って、高等学校の校長などはかなり遠くから通っております。住居の関係もありましょうけれども、非常に遠くの方に住んでおって通っておるということは、昔はそういうことは絶対になかったことでありますが、今日ははるか遠くから、一時間も二時間もかかって遠くから通っておる。従って学校の退庁後のそうした火災防止というような点についての十分なる管理について責任が持てないのではないだろうか。従ってそれが自然下の方の教員にもそういう気持が流れているのではないだろうかという点を私は深く憂えておるのですが、こういう問題について、従来文部省は何らかの通達を出してそういう注意を促したことがあるかどうか、この点を伺いたい。
  49. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 今の御指摘のような弊は確かにあることと思いまして、近来火災の点については特に注意をいたしているわけでございます。地方への通達もいたしておるはずだと思いますが、局長から経過を御報告いたさせます。
  50. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 火災予防ということに特に限りまして、地方に対しまして申しておるわけではございませんが、ただいま御指摘のように、教員の士気の問題等につきましては、従来も注意をいたしまして、いろいろな問題の事あるごとに通達とか、あるいはまた教育委員会教育長の会議とか、主管会議等で申しておる次第であります。火災予防の点につきましては、今後十分注意をいたしまして、そういう指導を強めて行きたい、こう思うのであります。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 宿直の問題に関連して、この際お尋ねしておきますが、この宿直の問題は、教員の士気が弛緩しているというふうに受け取れる向きがあると思いますが、実際問題は教員の宿直はやはり不寝番のような形になってくるわけであります。そういたしますと、その次の授業というものについては相当な支障を来たしていることは明らかです。わが東京都でも、こういう問題を科学的に検討して、そうして夜警というものを置いて、教員の宿直というものを今日やめておりますが、相当にこれは効果が上っているわけであります。宿直というのは、御真影を学校が持っておった時代に、御真影を守るために教員が身をもって不寝でもって守った。こういうようなことが、ずっと校舎の警備ということと一緒にされてきた制度だと思いますが、どうぞ教員責任ということを強く要求する限りにおいては、不寝番のような制度をなくすことこそが、大へん大事な問題ではないかと思うのであります。でありまするから、教員の宿直、これに対して夜警という問題については、どういうふうに当局としてお考えになっておられますか、お尋ねいたします。
  52. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 東京はお示しの通りでございますが、地方は御承知の通り今も手当を出しまして、教員の方が宿直に当っております。そこでこれは、別に専門に学校の守衛をやる人を置くことは、これは理想的にはけっこうだと思いますけれども、まだ地方の実情はそうなっておりませんが、財政その他の面とも見比べまして、できるだけ……。東京あたりの何は実際効果もあるようであります。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 夜警の方が安上りなんです、超勤よりは……。
  54. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 次にお聞きいたしたいのは経済六カ年計画、これによりまして、政府が経済自立、完全雇用という声を高らかにして発表しておられるのでありますが、この計画に防衛計画がマッチしていないということについての不満は、この委員会でしばしば出ているところであります。私は違う立場から、国民自身の防衛と申しましょうか、いやしくも侵略を予想して自衛計画がある以上は、国民の態勢がそこへ行かなければならない。ということは、私は今ごろ防空演習をやったり、退避の訓練をやれということではありません。国民の軍隊、人口の配分、この点について私は経審長官の六ヶ年計画に、どういう考えを持っておられるかをお伺いしたいのであります。と申しますのは、労働力を第一次産業には据え置きにしておこう。第二次、第三次の産業に大体吸収して行こう。この第二次、第三次の労働力吸収ということは、取りも直さず人口の都市集中であるということになると思うのであります。この点は経審長官は当然お認めになって計画を立てておられると思うのでありますが、これが今日非常に都市集中の傾向が強くなっているところから、私は一たん侵略が行われた場合は、ますます弱い国民の態勢にしてしまいはしないだろうかということを心配いたすのであります。この点について、六カ年計画にこういうことの考慮が払われているかどうかを伺いたいのであります。
  55. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。大体の六カ年計画におきましては、経済方面から検討いたしまして、今日農村、つまり第一次産業に非常に増加する人口を吸収するということは非常に困難性がある、むしろ鉱工方面なり、あるいは第三次方面にこれを持って行かなければ労働力は吸収できない、こういう数字に相なっておりますが、しかし今御指摘のごとく、私はこの人口の都市集中ということは非常に考慮しなければならぬ問題である、そういう意味から申しまして、鉱工業といえども、必ずしも都市に工業を置くということの問題につきましては、これは非常に考慮すべき点があると思いまして、そういうふうなことにつきましては、六カ年計画におきましては、できるだけ一カ所に集中しない、こういうふうな方針をとって行きたいと、こう存じておりますが、大体の数字を申しますというと、過去三カ年間におきます現在におきまして、労働者の配分から申しますと、第一次産業には四四・五%、第二次産業の場合には二三%、第三次産業の場合は三一・五%、こうなっておりますが、これを六カ年後には、農業方面、第一次産業は四〇・七にしよう、第二次産業は二四・九にする、第三次産業は三四・四にする、こういうふうにいたしたいと存じておる次第でございます。
  56. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そういうお考えがありそうでありますけれども、具体的に何ら表われておらなければ、おそらくこれは自然都市集中にならざるを得ない。第二次、第三次産業に労働力を吸収する、このまま自然の状態に置けば必ず都市集中になり、日本の人口が一億になるのが早いか、東京都の人口が一千万になるのが早いかと競争するような形になるのではないかと思う。私はただいま建設大臣にも要求しておるのですが、まだ見えないようですが、建設大臣には要求してあるのですか。
  57. 館哲二

    委員長館哲二君) 建設大臣は今呼びます。
  58. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そういう考えがあるならば、建設省と十分連絡をして、そういう点も加味したものでなければ、今のままで第二次、第三次の産業に労働力を吸収するという形ばかりとっておれば必ず都市集中になる、農村に鉱工業を興そう、上の鉱はどこでも人為的に興すわけには行かない、自然山に興るでしょうが、インダストリーは相当人為的にやれるはずである。それをもっと農村へ持って行くというような計画をしなければ、現在のままで置けば、誰も不便な所へ、交通機関の悪い所へ、あるいは資材を集めたり、労働力を集めたりするのに都合の悪い所に持って行くはずはないのであります。それにはそういうような施策が必要であると思います。でありますから、これをもしやらないとすると、東京がいよいよ一千万の人口にやがてなる。国民防衛の態勢からいえば非常に弱いものになってしまいはしないかと思う。侵略に備えて資源を漸増しながら、非戦闘員の形は非常に抵抗に弱い形をしらずしらずの間に作って行くということは一番心配なことでありまして、せっかく経済六カ年計画をこさえるならば、この点を十分加味した計画でなければならないと私は思うのであります。侵略が危ないというので急に疎開をしたり、あるいは退避訓練をされるのも必要であるかもしれませんけれども、それにも増してふだんのそうした考え方が必要ではないか、こう思うわけであります。この点につきまして、まだないとするならば、この考慮をずっともっと払った経済六カ年計画でなければならない。今年は間に合わないとしたら、来年以後においてはもっともっとこれを加味したものでなければならない、こういうことを私は強く申し上げたいのであります。
  59. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまのお説は私ども同感でございまして、私ども現在計画いたしておりますことは、防衛という点はあまり考慮しておりませんです。しかしながら、この人口を配分する上におきまして、都市に集中するということは、これは民族の将来から考えてよくない。できるだけ工場は地方に分散して行く、この方針をとって行きたい、こういう考えで鉱工業の将来性を考えていることは、ただいまのお説の通りでございます。全く同感でございます。かように御承知願いたいと思います。
  60. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 建設大臣がこないので、私もこの問題を進めるのに非常に困るのですが。
  61. 館哲二

    委員長館哲二君) 今すぐ参るようです。他の問題を願います。
  62. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 なおこの点に関連いたしまして、特に希望することは、こうした都市の計画におきましては、国民の保健衛生あるいは保安というようなものとあわせて、大都市には少くとも国民防衛という考え方を加味した形を持って行かないというと、非常にこういう都市を建設して行く上にウイーク・ポイントを残して行くということを、ぜひ頭においてお考えを願いたい。どんなに今日のわれわれの経済力、国力でやってみても、一たん侵略が起った場合に、全然われわれの上空に飛行機がこない、艦砲射撃を受けないというような自衛力というものは、これはできるはずはないのであります。お互いの努力において原水爆を兵器に使用することが成功しましても、他の兵器における侵略、それに備えてもちろん自衛隊も漸増しつつあるのであります。国民のそうした態勢というものを考慮に入れない経済計画というものは、私は全く今日の実情に合わない、また政府が自衛力漸増を言いながら、一方にはそういう危険なものがどんどん進んで行くのを黙っているという考え方は、全体の調和がとれていないと私は思うのであります。ただいまその点をお認めになって、これからの計画に織り込むということでありますが、そこで私はここに具体的な例を申し上げたのは、衛星都市という、これはもう建設大臣がこなくては実際困るのですが、衛星都市という考え方に対しまして、私はもう一回考え直してもらいたいということは、衛星都市というただいまの考え方は、東京都というような大都市を中心にして住宅地区を周辺に作るという考え方のようであります。このことは自然あまり遠くへ持って行けない。大体東京へ通う人を少し郊外の遠いところへ持って行って住宅市街を作るということで、あまり遠くへ持って行けませんから、自然これはみな続いてしまう。せいぜい間に緑地帯を置くというくらいがせい一ぱいじゃないかと思う。そうして交通はますます一方交通になり、現在の状況も郊外地帯から中央線などの例に見るように、朝は上りばかり、夕方は下りばかり、乗る人は……。その反対の側はまるでがらがらで動かしておる、こういう状態をますます強く出してしまうにすぎない。そこで私は、イギリスにニュー・タウンという考え方がある、これはある新興産業を全然何もないところにいろいろな事情を勘案して、工場なら工場を作る、そうしてその職工の住宅を作る、職工のいろいろ買いものをするショッピングを作る、そこに新しい市ができる、これは事実今やっております。こういう考え方なら、東京からもっと離れても、大都会からある程度離れても、独立してやれる、今の交通問題も従って解消する、憲法の住居の保障も、職業と住宅とを与えることによって、何もそういう憲法に保障する住宅の自由というふうなことを制限することなくできる制度だと思う。よろしくこれはあんな衛生都市というような問題でない、もっと角度を変えたこういう考え方のもとに出発しませんと、衛生都市がやがてそれを包含したところのますます大きな都市になってしまう。そうしてただいま申し上げましたような交通状態になってしまう、私はこの点につきまして六カ年計画の人口配分と考え合せて進んでいかれることを特に希望いたすものであります。  もう一つ伺いたいのは、完全雇用という問題を取り上げられましたことは、非常に私は着想としてはいいと思うのですが、実際はおそらく暫定予算のときに、同僚の石原委員からも質問されまして、かなり苦しい御答弁をされております。暫定予算という一つの結果からかもしれませんし、あるいは他のいろいろな要素が整わないかもしれません。しかしながら、実際私はこの完全雇用というものを政府が掲げましたけれども、この実現はなかなか、そんなに政府がこうして経済六カ年計画によって考えたようにいくかどうかということについては、非常な私は疑問を持っておるものであります。しかも完全雇用というのは、少くとも、こういう言葉は、大体学者の定説は、完全雇用という状態というものは、求人と求職とが同数になるときが完全雇用だといっている。政府は現在の失業者はそのままにおいて、それで完全雇用が六年後にはできるのだと、一口にいえば、今後ふえる労働力だけを吸収するということだけで、現在の失業者を救済するということじゃないというふうに見られるので、それさえも私は非常に困難だと思うのです。大体戦後失業救済ということは、どこの国でも非常な苦心をしておる。結局、それが何に落ちついているかと申しますと、大ていはやっぱり道路に落ちついている。ヒットラー、ムッソリーニの例は、結果的にいえば、これは軍事道路であったと言われておりますが、とにかくあの当時の失業救済をなし遂げて、大きな道路を築いた。あまり問題にされないイギリスが、第一次大戦あとの失業救済を大いに悩んで、国中ほとんど舗装しております。砂利道は見ることができないほどよく舗装している。皆これは失業救済事業として第一次大戦あとにやったことなんです。これを織り込まない失業救済事業というのは、戦後のこういう苦しい状態にはできないはずなんです。それにもかかわらず、今回の予算を見ましても、まだそこに出発していない。道路面におきましては、われわれがわずかに議員提出でやったところのガソリン揮発油税、これに見合ったものを出しているだけで、まだそこまで出発していないし、国土保全の意味の治山治水費は一兆億の予算の苦しいという陰に隠れて減少しておる。これで私は完全雇用なんていうのは、おそらく木に魚を求めるの類ではないか、こう思うくらいでありますが、本年度の予算では、少くとも土木事業、私は土木事業を特にどういうことを考えておりませんけれども、結局失業救済の終局の大きな問題は、土木事業、割合資材費の要らない、そうして労力費の多い土木事業に、差し当りそこからだんだん拡大均衡への道に歩んでいくのではないか、それが全然今年はまだ出発していない、むしろ治山治水という問題は減っておるという状態、これは私は六カ年計画で完全雇用が実現されるということは、非常に心細いという感じを深くするのであります。この点について、長官の御意見をお伺いいたします。
  63. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。御意見はまさにその通りでございまして、できるだけこの完全雇用をいたしますにつきましては、根本的には現在われわれの計画としては、鉱工業を増加し、輸出を増進いたしまして、生産力を増加するということになれば、これにおいて相当な人員を吸収し、そうして、従前農村の方にむやみに流れ込んだ人たちをできるだけ阻止して、農村は農村の生活をそのまま完全にやっていこう、この方針をとっておりますが、しかしながらその方針を達成いたします上におきまして、暫定的に起る失業は相当あるだろう、現にこの三十年度におきましても、私どもの計画では、そのままで捨てておけば失業者は二十万人以上ふえるだろう。これを昨年度同様に六十三万にとめたい、こういう考えでやっておりまして、それがためには現在では、三月に最高八十三万になっておった失業者は、今では七十万になり、これで産業合理化等によって、石炭業の合理化等によって出るところの失業者というものは、できるだけおっしゃったところの道路とかそのほか建設、土木方面、鉄道だとか、そういう方面に吸収していきたい、こういうふうに感じておるわけでございます。将来におきましても財政の許す範囲におきましては、道路の建設ということは、先ほど御質問の都市に工場を集中しないというふうな意味から申しましても、どうしてもこの産業道路というものをもっと重点的に延ばしていかなければならん。これを失業救済と相並んで、併行していきたい、こういう所存で六カ年計画は進んでいきたい、こういう所存であります。
  64. 館哲二

    委員長館哲二君) 伊能君に申し上げますが、建設大臣がこの席においでになりませんので、高碕国務大臣から一つ御質問の趣旨を伝えていただきまして、次の機会に建設大臣の答弁をお聞きとりを願いたいと思います。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 委員長関連して……。
  66. 館哲二

    委員長館哲二君) 何に関連してでございますか。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の御答弁に……。
  68. 館哲二

    委員長館哲二君) 高田君。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 失業の問題について承わります。お尋ねをいたしますが、御精神はわかりますが、過般日経連から文部大臣の諮問機関である中央教育審議会に対しまして、女子の就業はこの際遠慮するようにというような申し入れが来ておるように承知しております。で、これは非常に将来の婦人の就業問題に対する大きな波紋だと思います。今日の働いておる婦人の大体六三%は家庭の主体になる婦人でありますから、婦人の就業を狭めていくというような方向をもしとるとするならば、これは大へんな問題になってくると思いますが、この際婦人の就業という問題について完全雇用と関連してお答え願いたい。それから先ほどこの六カ年経済計画に伴う日本の全防衛態勢のことについて御質問がありましたが、これに対して高碕大臣は全部のものが防衛態勢にいく方向を確認されたようでありますが、これは国民総動員体制につながる非常に私は重要な問題だと思いますが、これは機会をあらためて御質問申し上げますけれども、この点についても、二つ合わせて御答弁願いたい。
  70. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。私どもの計画では大体労働稼動人口の中で、今日六七%ぐらいの人たちが働くと、こういう考えで、六七・六%だと思いますが、それから順次このパーセンテージを減らして参ります。三十五年には六五%ぐらいに下げたい。六五%に下げるということは、できるだけ婦人の方々は勇退して働かなくてもいいようにしたい、こういう考えで、アメリカではこれは五六%に減っております。そういうふうになっておりますから、これは婦人がどうとか男子がどうだとかいうことを考えておりませんが、どちらかというと、生活が豊かになれば、御婦人の方方は家庭におって楽をしていただくというふうにもっていきたい、(「とんでもない」と呼ぶ者あり)こういうふうに考えておるわけなのであります。それが第一でございます。  それから第二の御質問につきましては、防衛と何とかとおっしゃったのですけれども、防衛を国民総動員だとかいう、そういう感じはちっとも持っておりません。防衛をするということと、工場分散ということをお答えしただけであります。さよう御承知を願います。
  71. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 最後に、建設大臣に要求しておりましたが、みえませんので、今の建設大臣に関する分は経審長官からお伝え願って、何かの機会に御答弁をいただきたい、かように思います。なお、その際に一つお願いしておきたいのは、東海道線の大きな縦貫道路の問題であります。この問題は土木事業として非常に今日着目された問題であり、今まですでに相当な費額を投じて調査がすんでおる、ところが一方、中央山地を縦貫する道路の問題、さらにそれを一つとして国土総合開発縦貫道路の構想を考えておる方々がある、これに対して政府はどういうふうなお考えであるか、この問題についてもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終ります。
  72. 小林政夫

    小林政夫君 私はまず総理大臣に、総理大臣としてよりも、民主党の総裁としてお尋ねをしたいのであります。第一次鳩山内閣施政方針演説に対する私の一月二十三日の質疑において、私はあなたに、選挙の試練を経て寄り合い世帯を同志結合に固め、民主党の育成に精魂を傾ける心組みがありますか、それだけの同志的愛着を民主党というものに対して持っておられるのかどうか、こういうことをお尋ねしたはずであります。それに対して、あまり明快な御答弁がなかったのでありますが、だいぶ日にちがたっておりますので、再びその点をお尋ねしたい。民主党は、あの選挙の前、いろいろの人が集まってできたので、まあ寄り合い世帯である、それを選挙の試練を経て同志的結合に高めていくというような話があったわけですが、その鳩山総裁として、民主党というものに対してそのような同志的結合体に高めていく、民主党を育成する、こういう愛着といいますか、お持ちかどうかということです。
  73. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) むろんそういう愛着を持っております。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 そういたしますと、昨今の民主党のあり方というものについては、御満足でございますか。
  75. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 昨今の状態というのは、自由党との合同問題ですか。
  76. 小林政夫

    小林政夫君 まあいろいろありますが。
  77. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) とにかく民主党に対して愛着を持っておりまして、これの解党というようなことはただいま考えておりません。
  78. 小林政夫

    小林政夫君 そういたしますと、私は内政干渉をしようという意思はないのでありますが、政党のあり方としてお尋ねをするわけでありまして、総務会長であるとか、あるいは幹事長という党の幹部の人が解党宣言をやる、こういうことについてどう思われるか。今解党の意思がない、こういうことでございましたが、あまり突如としてああいうことを言われるということについては、どうお考えでありますか。
  79. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまそういうことについて、党議はまとまっていないと思います。
  80. 小林政夫

    小林政夫君 党議がまとまっていないからと言われる意味は、あまり適切ではない、いいことじゃない、こういう御趣旨に解してよろしゅうございますか。さらに敷衍すると、私も緑風会の一員として、民自の協力というか、協調を要請した一人であります。またしかし、それは保守に片寄るとか、革新を云々するとかいうような考えではなしに、日本の政党の信用という意味からいって、左右社会党ほどの政策に違いもない。民自が過去のいきさつ、あるいは感情にとらわれて、政策の争いでなく、いろいろ見苦しい、はなはだ僭越な言い方ですが、まあ見苦しいいろいろな争いが行われるということはよろしくない、こういう意味において協調、協力を要請した一人でありますが、といって保守結集というものは、現在の日本においては一つの世論というか、至上命令だというような考え方から、あの解党宣言をしてもやむを得ない、幹部が勝手な独断でやる、こういうようなことは、いわばナチスのヒューラー精神に通ずるものがあるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、その点はいかがですか。
  81. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 保守勢力の結集が、決して独裁政治や全体主義を考えているわけではございません。とにかく政局の安定ということの上から保守勢力の結集は必要であると思っております。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 いや、私の申し上げている意味はそうではなくて、保守勢力の結集ということはいいことだからといって、政党運営のやり方として、総務会長あるいは幹事長というような一部の幹部が、勝手に解党をしてもよろしいとか、合同もかまわんとか、こういうことを言う気持というものは、一つのヒットラー的な指導者原理をもって、自分が言えばついてくる、ついてこさせる、こういうような行き方、そういう政党の運営の仕方というものはどうかということです。
  83. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういうような発言をした人は、そういうような意味で、つまり独裁的な意味でやったのではないでしょうと思います。
  84. 小林政夫

    小林政夫君 まあ私の考えでは、いやしくも政党であるならば、下から盛り上がる声によって、そうして自然にそういう党議がまとまればそういうふうに幹部が行動する、これが筋であろうと思います。最近の民主党というか、ごく最近は別として、その当時のことを考えてみると、一応総務会長、幹事長が宣言をして、そうしてブロック会議を開いて、今度は代議士会と、こういうような、まるで上から下へおりていく全く逆のやり万ではないか、こういうことが政党運営としていいかどうか、こういう問題であります。しかし民主党というものに内政干渉する意味ではありません。けれども、政党としてのあり方、運営の仕方、今後の政党の運営方法として、そういうようなあり方で一体政党というものはいいだろうか、こういう疑問を投げかけておるわけであります。
  85. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 決して自分が独裁的にふるもうという意味でなければ、発言はその人の自由ですから、場合によっては党に対して、何といいますか、自分の意見を示すことが必要な場合もありますから、そういうような発言が、必ずしもすぐに悪いとは私は思いません。
  86. 小林政夫

    小林政夫君 民主党結成の際に、新指導者、新政策、新組織ということがいわれたのであります。政党運営のやり方について、鳩山総裁としては、従来の旧政党の運営の仕方というものを改めて、何か新しい運営の仕方を考える、こういう気持がおありではなかったか、そういうことであれば、どういう新しい運営を新政党としてはやっていこうということであったか。
  87. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) すべての党員が自由に発言をして、そうして多数によって党が運営されていくというようなことを期待しております。
  88. 小林政夫

    小林政夫君 まあそういうほんとうに民主的な党の運営をやっていく、こういうお気持であったと了承をいたします。が、事実はなかなかそうなっておらないようなので申し上げるわけですが、六月九日付の朝日新聞の朝刊に「「保守結集」と財界の動き」という解説記事があるのであります。それは最近の一つの事例でございますが、各報道機関は保守党の動きを鮮明するときに、いわゆる財界なるものの動きを見るのであります。その財界人として新聞紙上に載る顔ぶれというものは、おおむね大企業、大資本の代弁者であります。わが国企業の九九・八%を占め、また鉱工業生産の七割というものを担当しておる中小企業の代表というようなものは一つも影を見せておらない。そういう中小企業というようなものは日本の財界ではないのかと、こう反問したくなるような財界々々といわれる動きが伝えられるのであります。」、この点について鳩山総理はああいう財界人の動きというような解説記事を御覧になってどうお感じになりますか。
  89. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は折あしくその記事を読みませんでしたが、財界の動きというものは、今までのように財界が政治に無関心な時代がありました。財界の連中、つまり政治家でない連中が政治に不熱心であった時代があったのでありますが、民主政治になった以上は、すべての人間がすべて政治に熱心になるようなことを希望しておるのでありまするから、財界人が政治に対して意見を言うということも決して悪い傾向ではないと私は思います。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 いや、それはもちろん財界人といわれる人が言うことが悪いという意味で申し上げているのではありません。大いに意見のある人は意見をお述べになったらいいわけでありますが、しかし六月九日の新聞は一例だと言って申し上げておるわけで、鳩山総理もそれを読まれたか読まれぬかは別として、各報道機関がいろいろ財界人にこうして上げておる人たちというのは、忍の申し上げる大企業、大資本の代弁者のような人を取り上げて財界の動き、こう言っておることはお認めになると思う。だからその人たちが意見を言うということは別にいかんというのではありませんが、日本の財界というものはそういう人たちのみの財界であろうか。この企業数の九九・八%、また鉱工業生産の七割を占める中小企業というものは財界ではないのかどうか、こういうような疑問を抱かざるを得ないのですが、その点はどう鳩山総理はお受け取りになるか。
  91. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) それはあなたと同じように考えます。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 そこで選挙管理委員会等へ届出の各党の献金を見ますと、一口百万だとか三百万だとか、五百万だとか、こういう大口な多額献金があるわけであります。それを分解してみると、報道機関のいわゆる財界人の献金であります。そこでそういう、もちろん今の法律の体制においては合法的に献金をされたのであり、また受けられたわけでありますから、これが違法であるとか何とかいう問題ではございませんけれども、人間として、そういうまとまった大口の献金を受けて、そうしてよろしい、金はもらうが、君の方には少し不利な取扱いをする、こういうことはできがたい人情ではなかろうかと思うのであります。従って報道機関があれこれ推測をする財界人の動き、こういうことを推測して、いかにもその財界人が政治を動かしておる、あとからあやつっておる、まあ政治家は、少くとも保守政治家はそれに踊らされているというような印象を与えるような記事が載せられている。そのことも、これはひとり報道機関の推測ではなくて、これはおそらくその献金の工合を見た国民の推測でもあろうと思うのでありますが、こういう状態をいかがお考えになりますか。
  93. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は財界人が政治に興味を持って自分の政策を実施するために熱意を持つということは、国の隆盛のために必要であると思います。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 多少取り方が違う、受け取り方が違うと思いますが、そうではなくて、財界人が政治に熱心であるということよりも、そういうふうな献金を受ける、大口な献金を受けている、こういうことが、献金を受けて、その政党はその人たちの意見を無視して、意向を無視した行動はできなかろう。だからその人たちが何か言い出せば、ある程度言うことを聞かざるを得ないだろう。こう報道機関が推測し、国民が推測する。こういうことは無理はないでしょうという意味で聞いておるわけです。
  95. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 事実そういうような弊害が起らなければ、一時の誤解は雲散霧消するものと思います。財界人が自分の思う政策を実施してもらいたいために献金するということはないと思います。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 思う政策を実行してもらいたいために献金をする、それは特別な、金を出すからこういうことをやってもらいたいということになれば、これは汚職を生むことであり、相当問題になることでありますが、しかし少くともそういうような大口献金者の利益に反するような行動はとりにくい、情として、人情としてとりにくいということはお感じになりませんかというんです。相当の金をもらっておいて、あなたの必ずしも御意向には副えない、かってに私はいたします。こういうことを言えますか、こういうことであります。
  97. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政治家としても実業家としても、暗黙の了解によって金銭の授受ということはないと思います。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 その問題を暗黙であろうと表向きであろうと、特別な請託を受けるということはできないことは当然であります。従ってそういうような金が合法的に受け入れられるべきものではないわけであります。全体的に、そういういわゆる財界人といわれるその人たちの利害に反するような行動はとりにくい心情になるのではないか、これはただにその財界人というだけではございません。私は革新政党の問題についても、この献金の内容というものは相当組織労働者からの大口献金が行われている。こういう事態は、やはりそういう大口献金者に対して気がねなしに行動するということは、人間の情としてはできないのじゃないだろうか。一体そういうまとまった大口献金を受ける、こういうことは政党のあり方としていいだろうかどうだろうかと、こういう問題を投げかけておるわけであります。
  99. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は国民が政党人でも実業家でも、ともに政治に熱心になるということは、国家のためにいいことだと思います。労働者が自分の利益を間接に擁護するために金を出すということは、これはやはり労働者の権利であり、実業家が保守勢力の結集を望むということも、その実業家の国家に対する私は権利であると思います。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 支持するものに対して物品を供与する、まあひいきの相撲取りに対して金を与え、物品を与えて、一つぜひ横綱になってもらいたい、こういうのと、政治を担当する政党、政治家に対して、それは程度問題であります。相当にまとまった金を出す、受ける、こういうことになって、出した人に対して一体気がねなく行動できるかという問題なんです。政治に関心を持つということは、もちろん日本国民全体が関心を持ち、自分のひいきとする政治家あるいは政党に対して、よき政治家となり、よき政党となってもらうために浄財を身銭を切って出すということは、こういう寄附はある意味においていいでありましょう。しかし、そのものがまとまって三百万も五百万も、あるいは場合によっては三千万も、こういうような額で果していいかと、こういうことを申し上げているわけであります。
  101. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はそう悪いとは思いません。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 非常にその点は見解が違って残念でありますが、第十九国会の経緯にかんがみて、汚職、乱闘、あの国会の経緯にかんがみて国会自粛ということが叫ばれ、そうして公職選挙法の改正、また国会法の改正、政治資金規正法の改正、この三つが自粛三法として取り上げられたのであります。ところが今日までその自粛三法の中で何とか手をつけたのは、公職選挙法の改正と国会法の改正であります。政治資金規正法の改正は未だ手つかずに残っておる状態であります。そして鳩山首相は一月二十三日に私に対してこう答弁をされておるのであります。「これらの法律はわれわれが、われわれというよりは政府も国会も国民も、全く自由を持っていない時代に作られた、すなわち占領時代に作られた諸法令でもありまするから、いろいろ実施している間に不都合が現われてくるということは当然だと思います。でありまするから、時に触れ改正をいたしていかなくてはならないと思っております。」、こう言っておられるわけです。その政治資金規正法の改正、あのとき自粛三法として言われたその三法の一つがまだ残っている、これについて総理はどういうふうにお考えになりますか。
  103. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政治資金規正法の改正について改むべきことは改めなくてはならないと思っております。あの政治資金規正法が現在のままでいいとは思っていないのです。あれをやはり弊害がありそうな点はどうしても改正していかなくてはならないと思います。しかし、どの点をどういうように改正するかということについてはしばらく研究した方がいいと思います。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 一月二十三日から今日までもう大方半年近くなるわけであります。われわれの質問に対して何とか符節を合わすということであれば、まあ考えましょうというふうになるんですけれども、一体あれだけ騒がれた国会自粛、日本政界自粛というものが、今国会内においても熱意が薄れておるし、国民も人のうわさも七十五日というここで、だいぶそういうことからその世論が非常にさめておる。けれどもわれわれとしてはやはり何とか今のうちにこの政界の信用を取り戻すという意味において自粛立法というものについては考えていかなければならんと思う。この政治資金規正法の改正についてもどこをどう改正したらいいかというような腹案が総理にはございませんか。
  105. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 改正をしていくという方がいいとは思うんです。しかしどの点をどういうように改正するかということについては検討を要すると思っております。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 それでは松村文部大臣お尋ねをいたしますが、当時文相は改進党の幹事長であったと思います。いろいろ国会自粛のことについては気をもまれたはずなんで、その当時新聞紙の報ずるところでは、何とか政党法を制定したいというようなことを考えておられた時期があったと思うんですが、そういう点についてはどういうふうな御研究を当時なさったか、また現在の御心境はどうか、こういうことについてお伺いしたい。
  107. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 改進党におりました際に政治資金の問題がいろいろ問題となりまして、それで政党法を制定して、そうして国が政治資金を助成するということをやったらばいかがか、こういう案について研究をいたしたことがあるのでございます。その例はかつて英国が非常に政界の腐敗をいたしておった過程の間にやはり同様のことが行われたこともあったようでありまして、これは理想的の案とは申されませんけれども、政界の粛正の一過程においてそういうことをいたしたならば、政界の粛正のために非常によくないかということで改進党で研究をいたしたことがあるわけでございます。それが民主党となり、今日となりまして、まだ日もありませず、かつ憲法上の疑義等もございますので、具体的に検討はいたされていない。全く私どもの試案の程度を脱しないのであります。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 政党のあり方を規正する政党法の制定ということは、そもそも新憲法下最初に考えられたことであり、またわれわれもいろいろ研究してみましたが、やはり憲法でいう結社の自由と抵触いたしまして、これはなかなかできないのであります。そこでその結果が政治資金規正法という形になって、間接的に政党のあり方を規正する、こういうことになっておるのであります。従ってこの政党のあり方を規正するに当ってはこの政治資金規正法の改正に待たなければ方法がほかに現在までのわれわれの研究の段階においてはない。そこで松村文相もいろいろ研究されたけれども、どうもつかえた、こういうことなんでありますが、そうするとこの政治資金規正法の改正に着眼をして、私はこういうふうに考えておるわけでありますが、一切の寄付だとか献金というものを一応政党は受けてはならない。そうして党費のみによってまかなってゆく、そうして党費の年額最高限も法定をしたらばどうだろうか、そうしてまた党費のほかには、出版物の売上代金であるとか、あるいはいろいろな催しものに対する入場収入とか、こういうようなことで、政党活動による収入は別として、基本的には党員の納める党費、こういうことに行くべきではなかろうか。そうしてそういうことは必然的に政党が組織化することであり、また民主的な運営もやりやすくなる、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点について総理及び松村文相はどうお考えになりますか。
  109. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 小林君のおっしゃった趣旨には同感であります。しかしながら、財界人が希望するというようなことを、しいてとめるという必要はないと私は思うのです。原則として党費によって党が動くということは、理想的で非常にいいことだと思いますが、さればといって、日本政治に対して自分の意見、ある意見を持っている人が、その意見を実行するために全力を尽すということは決して悪いことじゃないのですから、寄付したいというその人の意欲を禁止するということは行き過ぎだと思います。
  110. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私は今その位置におりませんのでございますから、これは申し上げられません。
  111. 小林政夫

    小林政夫君 私はこのような提案をすると、いかにも革新政党を利するものである、こういうような一部に非難もというか、批評も聞くのであります。しかしながら現在のいわゆる革新政党と言われる左右社会党等の内情等を聞いてみても、必ずしも私の言うようなふうにはなっておらない。かなり労働団体等からの大口献金に依存しておる状態である。従って左右社会党は組織労働者の代弁者であるというようなことも一部に言われておる状態であります。保守党はいわゆる大資本、大企業の代弁であり、日本の今の革新政党は組織労働者の代弁者だ、こういうことが言われておるのでありますが、そういう非難をなくし、あるいは善意に解すれば、痛くない腹をさぐられない。こういうような意味においてもほんとうに国民政党となる、こういう意味において零細なる党費によってその党が運営されてゆく、こういう態勢が望ましいのではないか。そしてただの百円でも出してくれる純真なる党員をより多く獲得していって党勢を拡張してゆく、こういうことが望ましい政党のあり方であろうと思うのであります。そこでそういうふうにゆかなければ今、日本の現状において、今まで通りのあり方でいっておったならば、必ずや私は政党の信用の回復ということは非常にむずかしい。また汚職というようなことが起ってくるおそれが多分にある。今こそ抜本的なこの政界粛正の方途としてこの政党のあり方というものについて反省を加え、また打つべき手は打つべき時期である、こういうふうに考えるので申し上げたわけでありますが、どうも必ずしも総理大臣の全面的な賛成を得なかったようでありますけれども、一つ御考慮をわずらわしたいと思います。
  112. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) あなたの御意見には私はむろん賛成なのです。そういうように、それが原則でなければならないと思います。
  113. 小林政夫

    小林政夫君 総理はいいんですか、総理が急がれるのなら先に……。
  114. 館哲二

    委員長館哲二君) さしつかえございません。どうぞ。
  115. 小林政夫

    小林政夫君 それでは一萬田大蔵大臣に、もっぱら一萬田大蔵大臣になるわけでありますから……、しかし重要な問題でありますから総理にも聞いていただければいいわけです。  今後の財政投融資の方針でございますね。今度の民自両党の折衝によって、当初一萬田大蔵大臣が堅持しておられた方針が少しずれて、ずれたというか、違った方向にいっている。まあ結局税金による強制貯蓄によって財政投融資をまかなってゆくか、また減税をやって民間資金の蓄積をはかって、そして税金による投融資はやめる、こういう方向にいくのか、その方向としてどういうふうにお考えになっておるか。
  116. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 原則として申し上げますれば、私は減税をしてそうして民間資金が蓄積されてゆく、これが産業資金になる。これが私原則として正しいと思います。ただしかしその国の、そのときの状況によりまして、そういうことがなかなか可能でない場合、またあってもそれが程度の問題がある、こういう点はやはり考えておかなければならない、かように考えております。
  117. 小林政夫

    小林政夫君 そういう一般論でなしに、日本の今後において、経済六カ年計画関連して、どういうふうにお考えになるのか。
  118. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私どももこの三十年度の予算におきまして減税をいたしまして、そして民間資金の蓄積をはかる、こういう方向をすでに打ち出しておるのでありまして、今後この情勢はできるだけ私は推進していいんじゃないか。それはむろん財政の問題がある、財源の問題がある、こういうものも考慮した上でなければいけないことはむろんであります。今後財政投融資、当然財政からしなければならぬものも私はあると思う。そうでなくして、民間に移さるべきもので、従来の資金の需給関係から財政から出ている、こういうふうな産業資金は民間に移しかえてゆく、こういう方向に今後進んでゆくつもりであります。
  119. 小林政夫

    小林政夫君 財政資金でまかなわなければならぬもの以外は、民間の蓄積資金による、これはその通りなのでありますが、その比重のかけ方が一体今度の一番問題になった、自民の予算折衝において一番問題になったのはそこであろうと思う。だからその財政によらなければならぬ投資というものについてはどういうことを考えておられるか、伺いたいと思います。
  120. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。これは原則的に財政というのは、私の申すのは政府機関において集めた資金、これが投融資に変る、こういうものも、今回はそういう限界にある、こういうものが民間資金に今後移されてゆく、その移してゆくという意味が、私の考えではこれが同時に融資さるべき対象も変化してくるだろう、まあ私の今日の見解では従来一般会計、または資金運用部資金で融資されておりました産業が、徐々に民間資金に移行してゆく、まあ今後そういう意味の政治資金が私は国内の資源の開発という方向に移行して、特に食糧の増産というようなものについて、考慮が大きく払われてゆくような移行をするのではなかろうか、こういうふうな考え方を持っておるのであります。
  121. 小林政夫

    小林政夫君 まあ小さい問題はまた各省大臣への質問の時間に譲るとして、今お述べになったような大蔵大臣の考え方で、経済審議庁の長官に伺いますが、昨日だいぶん資料の問題で一週間以内に出すと、こういうことでありますが、質問をしたい点は、今のような大蔵大臣の財政投融資のやり方で六カ年計画計画遂行に支障はないかどうか、こういうことをお伺いしたいのであります。そのお答えになる前に、昨日木村委員の質問に関連して私お尋ねしたのですけれども、関連質問であったので、だめを押しませんでしたが、今度一週間以内に出される資料というものは、閣議決定を経てほんとうにその鳩山内閣として責任のある、各省大臣もそれに承服する、この経済六カ年計画内容が出されるのかどうか。こういう点についてあわせてお答え願います。
  122. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答えいたします。一週間以内に出すものは三十一年度、三十二年度、三十年度はもう出しておりますから、それについての計画をお出しするのでございます。お出しする前には一応閣議の了解を得て出したいと思っております。
  123. 小林政夫

    小林政夫君 もう一つ質問点が残っているのですが、了解ということは閣議決定と多少違うので、出してもよろしい、お出しなさい、こういうことだろうと思うのでありますが、今度の経済審議庁の拡充というか、権限を強化して経済企画庁として、あなたの監督によって各大臣はその施策について誤まりなきを期する、こういう意味の昭和三十二年までの計画プラン——というものがけんけん各省において服膺すべきプランなのかどうかということになると、今のような了解程度ではそういうふうに了解できないと思うのですが、どうですか。
  124. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答えを申し上げます。各省の打合せ等も今やっているようなわけなんでありまして、そういうようなわけでありますから、この数字はこれは相当検討すれば、また変更すべきものだとこう存じますから、私はこれをもって、三十一年度三十二年度予算をこの線で押し出していくということはできないわけでございますから、その大体の進むべき方向を示したにすぎないのでありますから、その数字相当変更さるべきものだ、こういう意味において了解を得て閣議にもかけて出したいと、こう思うわけであります。
  125. 小林政夫

    小林政夫君 それはソ連でも中共でも、あれだけの計画経済をやっているところでも、計画通りいかないこともある。いわんやわれわれのこの体制において計画を立てても、それが一銭一厘間違いのない政策がやっていけようとは考えません、われわれも……。しかし一応御決定になった線は貫ぬいていくと、こういうつもりでやられるものでなくちゃならんし、それが変更になるというような場合には、はっきりわれわれにも、これこれのかくかくの理由によって変えざるを得ないのだ、こういうような国民の納得のできる理由によって計画変更が行われる、こういうことでなくちゃならぬと思うのですが、まあいつでもそういう意味において変えられるのだから、これで君たちは了承しておいても、また都合が悪くなったら変えるから、一応国会がやかましいから出すのだという、こういう程度のものであれば、われわれとしても審議の対象にはならぬ、その点はいかがですか。
  126. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答えを申し上げます。その進むべき大体の方向には責任を持っているつもりであります。
  127. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとそれが一週間以内にできるぐらいだと、内容的には大分固まっているようでありますが、今の大蔵大臣の将来の財政投融資の方針でもって、この六カ年計画は、まあ当面は三十二年までの内容となっておるようでありますが、支障なくやれる、こういう考えですか。
  128. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま大蔵大臣が御答弁されましたごとく、大体長期に属し、それがパブリック・ユーティリティに近いもので、すぐに採算が取れない。しかしながら国家のために、将来のためにやらなければならんというものにつきましては、財政投融資をもってやっていこう。しかしできるだけ民間の資金も動員いたしまして、それがためには税制も改革し、貯蓄も奨励して、そしてやっていく。そしてその資金も重点的に配給できるように、必要な方面にこの資金が回るような方法を講じていきたい。そうすればこれは実行できると、こういうふうに承知いたします。
  129. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、日本開発銀行、輸出入銀行、こういう政府金融機関はこの六カ年計画との関連においてどういうふうにやられるおつもりですか。その存続、少なくとも六カ年間存続させるのか、今のようなものに財政投融資を限っていきますと、当然これは再検討さるべき運命に、また当初輸出入銀行は時限立法で、ある一定の年月だけこういう方式でやるのだ、こういうことであった。時間がありませんから私の問題点を並べまして御答弁を願いますが、まあ長期信用銀行法による長期信用銀行も二行できた、それから為替銀行法による為替銀行ができた。その長期信用銀行、またこの問題は開銀の問題とも関連するわけであります。そうして長期信用銀行と為替銀行、この二つを合せた機能において、輸出入銀行のあり方、こういうものについては金融のエキスパートとしての大蔵大臣は、今後の財政投融資の方針ともからんでどういうふうにお考えになるか。
  130. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まず時限法の点ですが、これは開発銀行はそういうことはなかったようですが、輸出入銀行はそういうことになっておりますが、これはその後のプラントの輸出がだんだん長期化することになりまして、御改正を願って、今では期限はついておりません。この開発銀行と輸出入銀行とを今後どういうふうに考えていくか、この問題ですが、まあ今の見通しといたしましては、輸出入銀行はこれはむしろ今後に使命があるので、これは東南アジアに限りませんが、特に東南アジアと日本の経済の密接な関係は今後にある。そういう意味からいたしましても、これは今後なおむしろ業務が拡大していく、資金もまた供給してやらなくちゃならない、かように考えます。開発銀行については、今日相当に融資もいたしております。どのくらいか、今正確に記憶しませんが、おそらく三百五、六十億円となっておりますが、大きなものになるのでございます。そうして今申しましたように、漸次に民間の融資に移さるべきものかあるというふうに考えて、また民間に資金が蓄積されるというふうに考えておりますが、これは今後あまり拡大していくとも考えておりませんが、ただしかし融資対象は今後考えていったほうがいいのじゃないか。たとえば石油、あるいはまた合成繊維というふうなものとか、あるいはまた石油に対して根本的な対策を立てるような場合の石炭融資については、これは格段の配慮が要る、こういうようなわけです。いろいろ考えると、そういう重点的な移行がある。従って開発銀行も今後なお活動をしてもらわなくちゃならないと思っておりまするが、これはあまり大きく拡大していくという点については、私はあまり感心しない、そういう考えは持っております。あまり拡大しないような形において十分働かしていこうというように考えております。輸出入銀行の方が今後むしろ役割りを大きくするようにしていきたいと考えております。まあしかし、こういうことも今後の民間の資金の蓄積の状況等も十分勘案した上でないと確言はいたしかねます。
  131. 小林政夫

    小林政夫君 大体公共的要素の強い、相当長期なるものに限って財政投融資をやる、こういう建前からいって、できるだけ減税による民間資金の蓄積をはかっていく。こういう方針からいくと、開発銀行あるいは輸出入銀行というものの存在についてはかなり考えてみなければならぬわけであります。そうしてもちろん今直ちにどうこうということを言っているわけではないので、この日本の経済の自立態勢を固めていくにつれて、金融制度のあり方としても、長期信用銀行法による長期信用銀行ができ、その数が二行で足らぬというなら、もう一つふやしてもいい。あるいは為替銀行法による特殊為替銀行ができて、そうして長期信用銀行と今の輸出入銀行のやっている仕事を、大ざっぱな分け方から言うならば、為替銀行と長期信用銀行と合せたような機能を果していると思います、一部分……一部分ではない、大体……。そうなってくると、いずれかのものでやっていけるのじゃないか。ただ資金量だけの問題だということにもなって参る。その資金源が税金財源によってやっていけない、あるいは資金運用部資金等の蓄積の範囲をこえるようなことになってくることも考えられる。一方中小企業等の資金は、財政資金によらざるを得ない。金利等の関係からいくと、こういうような点をにらみ合して、今直ちにここでやめますとか、どうしますとかいうことは大蔵大臣として言われないと思いますけれども、この収拾の仕方ということについては、相当今から思いをいたしておかなければならぬ問題であると思うのであります。今も開発銀行の現在までの貸出残は三千六百五十億円、そうしてそれは本年度はそれにまた三百五億の新規追加資金を投ずる、これを六カ年間同じようなことをやっていくと千八百億円、加えれば五千四百億円というような膨大な資金を開銀は操作するということになる。これはおおむね日銀に匹敵するような金融勢力になる。こういうようなところから考えてみても、相当考えるべき問題であろうと思います。もちろんここでどうしますというようなことは答弁できないと思いますけれども、お考えになる問題として指摘をいたしておきます。これは今の六カ年計画とも関連し、大蔵大臣の投融資の方針等とも関連し、民自両党の予算折衝において資金委員会というものを置くことになったようでありますが、この前吉田法晴君の質疑に対して大蔵大臣は、町かどに巡査を立てて交通整理をするようなものだという答弁が結論的にはあったように速記録で見ましたが、その点について自民のこの資金委員会を設けようとこういう話し合いをされた方から、どういうことを考えて資金委員会というものを置くことにされたか、この点を承わりたいと思います。
  132. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) どういう御質問でしたか、ちょっと要旨を。
  133. 小林政夫

    小林政夫君 資金委員会はどういう任務と構成と、また法制的に基礎を作るということでありますか。その資金委員会関連した構想ですね。
  134. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) 資金委員会ができたいきさつから申し上げることが必要かと思いますが、御承知の通り自由党から今回の予算の修正の骨子としまして、四百三十億円の公債発行、この公債は金融機関にこれを強制的に保有せしめる。これを財源としまして減税や、歳出や、また財政投融資を拡大する、かようなことになっておったわけです。私どもはその要請を受けまして、この公債を四百三十億発行するという問題につきましては、公債発行に対するこの事態について賛成しないという態度を示したのであります。ただ公債は発行いたさないにいたしましても、金融債を預金部資金におきまして引き受けておる。これを一般公募に回しまして、そうしてその生ずる余裕をもって財政投融資、その他の自由党提案の趣旨の一部にあてたい、かような回答をいたしておったのであります。  第二の公債を強制的に民間金融機関に保有せしむるということにつきましては、一応その議論上からは解消するようなわけでありますが、しかし金融債の一般民間消化がふえるということになりまするので、その場合におきましても、私どもはこれを市中銀行に強制保有せしむるという考え方はとらない。ただその代案といたしまして、公債を一般市中金融機関に保有せしむるというのは、全く国債を発行する、その国債の発行の消化を確保するというだけの意味でありまするが、私ども民主党といたしましては、常々経済六カ年計画を推進する上におきましても、これを推進する力といたしまして金融の力によるほかはない、かような考えをもっておったのであります。この見地から法律的の措置とまでは考えておりませんでありましたが、行政措置といたしましての資金委員会というものを設けまして、そうして広く一般の民間資金の動きに対しまして、ある種の軌道を与えるということを考えておったわけでありまするが、たまたま自由党から公債に関連いたしまして、さような提案がありましたので、私どもはこの際この構想を法制化いたしまして、そうして広く民間資金一般に対して、ある種の規制というか、さようなことを考えてもよろしいという回答をいたしたわけなのであります。かようなことから資金委員会ということが両党の間に話題になりまして、この内容はどうするかという相談があったのでありまするが、ただいままでの結論といたしましては、これは二つの内容を持ちたい、かように考えております。  第一点は、この資金委員会は金融機関の増加預貯金の一定割合は、これは政府の定めるところの方法によって、政府の定める費途にこれを使用しなければならない、これが第一点であります。大蔵大臣はさような指示を一般金融機関にいたすにつきましては、資金委員会に諮りまして、そしてその内容につきまして相談をいたさなければならない、これが第二点であります。ただいまさような二点を中心といたしました立法につきまして、鋭意法案の作成につきまして努力いたしております。かような段階であります。
  135. 小林政夫

    小林政夫君 委員会は諮問機関ですか、それとも議決機関ですか。たとえば日銀の政策委員会のごとく金利について大蔵大臣が決定する場合には政策委員会の議決を要する、政策委員会をして決定せしめなければならぬ、こうなっておるわけですが、資金委員会というものはあなた方の御構想では、ただ大蔵大臣がそういう金融機関に対して指示する際の意見を聞くだけであるのか、あるいは政策委員会のような決定機関であるのか。
  136. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) 諮問機関であります。
  137. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、それはどういう法制的にやろうとされるのか。かって吉田内閣のときに銀行法を改正して、ある場合には大蔵大臣がそういうことをやれ、そしてそういう委員会を置くようなことがあった。その銀行法の改正としてお考えになっておるのか。単独立法で考えられておるのか。時間がありませんからもう一つ並べますとまあそれだけにしておきましょう。
  138. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) ただいまは単独立法であります。
  139. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、最近の報道によると、経済審議庁にあるところの経済審議会は、さらに今度六カ年計画の策定等をにらみ合わして委員数をふやす、その中にも投融資関係のことを扱う部門ができるようにあります。その関係とはどういうことになりますか。
  140. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) それとは直接関係いたしておりません。
  141. 小林政夫

    小林政夫君 直接関係はないが、それとの相互関係というのはどうなるのですか。
  142. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) この諮問委員会、資金委員会は内閣に置くことになるだろうと思います。内閣と申しますと、これは経済審議庁が庶務をつかさどるというような仕組みの機関になるだろうと思うのでありますが、その際の庶務取扱いの機関といたしまして経済審議庁のある部局が、またただいまお話しのような経済審議会というようなものが関与するというようなことはあろうかと思いまするが、ともかくこの委員会とただいまお示しの経済審議会とは直接のつながりはない、かように御了承願いたいと思います。
  143. 小林政夫

    小林政夫君 その委員会委員は身分を保障されておるのかどうか。政治的に中立性を保つという意味において、資金委員会委員というものは政治的な中立性を保たせる、そのときの大蔵大臣が民主党であろうと社会党であろうと、この委員会としての見解か述べられるように、もちろん諮問機関なら勝手にやりますけれども、大臣としては勝手にやれるが、委員政治的中立性を確保するような措置を講じられるお心組みがあるのかどうか。
  144. 福田赳夫

    衆議院議員(福田赳夫君) ごもっともな御質問でありまするが、この点につきましては、全く御趣旨のような考えになっております。いかなる政治的な勢力もこの委員会に関与せざるよう十分に配慮を尽そうと思っておりまするが、その仕組みにつきましては、その身分の保障というような形でゆきますか、ただいまのところはまだ結論を得ておりません。
  145. 小林政夫

    小林政夫君 非常に重要な委員会になるわけでございますが、吉田内閣時代に臨時金融制度懇談会というものを設け、私もその委員の一人として金融三法等の改正についての諮問にあずかって参りました。今度のこの資金委員会の設置の問題については、一応臨時金融制度懇談会の意見を徴されるつもりかどうか。そしてまた臨時金融制度懇談会の委員を私にやめろという辞令ももらっていないから、まだ首がつながっているのだと思うのですけれども、この点はどうなっておるのか。
  146. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 成案を得た上で意見を徴したいと思います。
  147. 小林政夫

    小林政夫君 懇談会に諮られる……。
  148. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ええ。
  149. 小林政夫

    小林政夫君 ついでに経済審議長官に、今度審議会を拡充して、今私が福田衆議院議員お尋ねした点ですね、審議会で扱う財政投融資等の扱い方をどういうふうにお考えになりますか。
  150. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今度審議庁の方でも各方面の委員をふやしまして、それで金融の方につきましても審議庁としての考え方をまとめてみたいと、こう存じております。
  151. 小林政夫

    小林政夫君 まとめてみたいと思っておられるのですけれども、それと今お聞きのような構想の資金委員会とは別につながりとか、こういうものがあっても差しつかえがないとか、困るとかいうようなお考えはありませんか。
  152. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この審議庁でやる方は、六カ年計画に従いまして長期の経済計画を立てる上において金融政策を考えるわけでありますから、従ってこれについての意見は、今度できます大蔵省のその方面に意見として申し上げる考えであります。
  153. 小林政夫

    小林政夫君 大体そういう答弁でなくては合わないと思っておったのであります。審議会の方では一応六カ年計画に基いた財政投融資計画、いわゆる計画をやる。それの執行に当って大蔵大臣の諮問に応じて資金委員会は動いてゆく。こういうような形に動けば動くようなことになると思います。大体それでわかりました。  一点、一萬田大蔵大臣にお尋ねしておきますが、こういう金融体制に移行するにあたって、日銀総裁の時代に考えられておった政策委員会のあり方、今度も大分金利引き下げ問題について大蔵大臣として御折衝があったようでありますが、大蔵大臣になられてからの日銀政策委員会というものの感じは多少違うのじゃないかと思いますが、しかしまた最近こういうような傾向になってくると、政治的中立性というような意味で政策委員会も今のままの姿の方がいい、こういう今まで大蔵大臣の諮問機関的に押えようという考えであった人も変ってきつつある向きもあるようでありますが、政策委員会というもののあり方についてはどうお考えになりますか。
  154. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 政策委員会のあり方とか、政策委員会を必要とするかしないか、必要とした場合にあり方がどうあるべきか、いろいろ問題があると思いますが、私はこの政策委員会を廃止しようとは考えておりません。しかし十分あり方等について検討を加える必要はあろう、こういうふうに考えております。なおこれは今日日本銀行法その他銀行法等が戦時中のそのままになっている点もあり、全体の構想を考える場合に、さらにあらためて中央銀行を含めて日本の金融制度がどうあるべきかというところで考えてみたい、こういうふうに考えております。
  155. 小林政夫

    小林政夫君 それでは通貨の信用調整、これは将来の信用調整についてはどういう方法をお考えになっておりますか。
  156. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはむろん今日の機構では政策委員会を中心といたしまして、日本銀行がこの政策を実行して、そうして金融の中立性を維持して、通貨の信用を維持する、こういうふうな行き方になると思います。
  157. 小林政夫

    小林政夫君 時間がありませんから、自余の質問は他の機会に譲ります。
  158. 館哲二

    委員長館哲二君) なお先ほど伊能委員からの建設大臣に対する質問に対して答弁が保留されておりました。建設大臣がただいま出席されましたから、この機会に御答弁をお願いいたします。
  159. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 他の委員会に出ておりまして、まことに申しわけありません。第一点は都市集中を避けるようにというような御趣旨のように伺っておりますが、建設省は都市計画、また住宅の立場から、極力極度な都市集中にならないように目下いろいろ検討をいたして参りたいと努力をいたしておりまして、ことに首都につきましては、首都建設審議会におきまして目下計画を慎重に立てまして、その線に沿って住宅の問題も考えて参りたい、同時に衛星都市の問題につきましても、従来いろいろな主張が行われておりまして、これについても慎重に、また必要なものについてはこの実行をすみやかにいたしたいと考えておりますが、ロンドンのニュータウンのようなことの実情等も慎重に計画の中で考慮をいたしておりますことはもちろんでありますが、今度の住宅公団の計画は、ある意味においてはこの衛星都市の構想を実現いたす一つの足がかりとも考えておりますが、十分この実現に向っては慎重に考えて参りたいと思っております。  中央道路の問題につきましては、これはいろいろ各方面の熱烈な御意見がありまして、われわれはこの御支援、鞭撻を受けて、これの実現のために着着と努力をいたしているつもりでありまして、たびたび申し上げるようでありますが、まず実現をするための具体的な努力をするためには、安い金利の資金をできるだけ用意をする。その場合にはアメリカ等の民間資金の導入等も考えて、いろいろ高碕大臣や大蔵大臣、通産大臣などにも御協力を願って努力をいたしておりますが、これをどこにどういうふうに実現をするかということは、資金の問題とあわせて考えなければなりませんので、ただ計画だけを先ばしりをいたしませんように、実行の面において努力をいたして参りたいと思いますが、国会等の御意見も十分尊重をいたして進みたいと考えております。
  160. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 首都建説委員会におきまして、東京都の人口は現在ぐらいが限度である、これ以上、まあ自然増はやむを得ないとして、転入増をできるだけ避けたいと、こういうような構想で何か新しい考え方はないものですか。憲法の住居に関する自由を認めながら、そういう構想を私はどうしても首都建説委員会考えなければならない時期に達しておるのではないか、こう思うのでありますが、この点についていかがでございましょう。
  161. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この点につきましても、一千万といい、いろいろ将来のことを考えまして計画をいたしておりますが、どの程度が適当であるかということについては、また地域の取り方につきましても、ロンドン等のやり方等も参考にいたして、今慎重に検討をいたしておるつもりであります。
  162. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 もう一つ。先ほど完全雇用、失業救済という観点から私中央道路の問題を取り上げたのでありますが、これは今後の経済六カ年計画の遂行、また今後の日本の行き方として非常に大きな問題だと思うのでありますが、この点につきましても、十分政府は慎重な態度をもって、今後の対策を誤まらないように御研究を願わなければならないとともに、必要があるとするならば、まず第一着手としてあの平坦部にやったような調査を、山地においても行わなければならないということを特に希望申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  163. 館哲二

    委員長館哲二君) これにて二時半まで休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      —————・—————    午後三時三十四分開会
  164. 館哲二

    委員長館哲二君) 休憩前に引き続いて、開会いたします。
  165. 小林孝平

    小林孝平君 私は予約制度並びに米価問題についてお尋ねいたしますけれども、その前に、先般の補正予算審議の際に、米価の追加払いの三十三億円の金につきまして、この三十三億円は食管会計のどの部分から出すかということを、農林大臣に資料を出していただくようにお願いをいたしました。農林大臣は出すとおっしゃっておったのですけれども、それから相当の期間がたっておりますがいまだ資料の提出がございませんが、これはどういうふうになっておりますか、お伺いいたします。
  166. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 調査をいたしました結果、資料として差し上げますことは実は非常に困難な点がございますので、いずれ委員長とお打ち合せいたして御了解願いたいと思っておることがあるのでありますが、別の機会に一つお話を申し上げることで、御了解をいただきたいと思います。
  167. 小林孝平

    小林孝平君 これはその際の審議の際にも非常に問題になりまして、食管会計にそういうような余分がないのではないか、非常にまだ出すのが困難ではないか、こういうことで、これは河野農林大臣御自身もそういう御意見で大蔵大臣と御折衝になったはずでございます。ところが、大蔵大臣は一般会計からの繰り入ればできないということで強硬に大蔵大臣に突っぱねられまして、さすがの河野農林大臣も、やむを得ず食管会計から出すということで、涙をのまれたわけなんです。そこで、そういうことでは、ただ何とかなるだろうということでは困るというので、この資料の提出をお願いいたしました。それが今後の予算の米価の問題その他に影響いたしますので、その資料を出していただきたい、こういうことをお願いしているわけなんです。
  168. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答え申し上げます。実はただいま申し上げましたことで言葉が足りなかったかと思いますが、外米、外麦の輸入の差益金等具体的な数字も実はあるのでございますが、これを申し上げますことは将来の入札の上におきまして遺憾な点が出てくると考えますので、特にこの点を委員長に申し上げて、委員長の御了解を得て、一つ委員長から皆様方に御了解を得るような方法をとったらどうだろうかと考えておるのでございまして、今せっかくその数字整理中でございます。
  169. 小林孝平

    小林孝平君 この問題は、先ほど申し上げましたように、今後の予算審議に重要な影響がありますので、そういう御答弁では、私のみならず、各委員も承服しがたいと思うのであります。しかしながら、本日はこの問題を留保いたしておきまして、次の問題に移ります。  最初に、米価の決定の問題でございますが、この米価の問題についてお尋ねいたしますに際しまして、総理大臣はこまかいことは御存じないと思いますから、いずれ所管大臣からお伺いいたしますが、この米価の決定は、この問題をめぐって今非常に大きい政治問題となっている。またこの決定は単に農林大臣の決定だけではきまらない問題であって、大蔵大臣あるいは経済審議庁の長官がいずれ協議して決定される問題だろうと思うのであります。  そこで、総理大臣お尋ねいたしますが、一体この今全国民が関心を持っております米価はいつおきめになるのか。そのくらいの御答弁総理大臣からいただきたいと思います。
  170. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 米価をきめますのには、米価審議会はもちろん、学識経験者及び国会の意思を考慮いたしました後に決定するつもりであります。
  171. 小林孝平

    小林孝平君 今総理大臣は、国会の意思を聞いてとおっしゃいましたけれども、具体的にどういうふうにして国会の意思をお聞ききになるのでありますか。
  172. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国会の議決を経て決定するということについては検討すべき問題であって、議決を必要とはただいま思っておりませんが、国会の議員の方々に審議会委員になってもらいまして、そうしてまあ国会の意思のありかを知りまして、そうして後に決定したいと考えております。
  173. 小林孝平

    小林孝平君 総理大臣は非常に問題を混同されてお考えになっておるのだろうと思います。その米価審議会の意見を聞いて、これに諮問してきめるというのは、従来までの考え方であったのです。今総理大臣は特に、国会の意見を聞いてとおっしゃいまするから、具体的にそれはどういうふうにしてお聞きになるのか、そういうことをお尋ねいたしておるのであります。
  174. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国会の意思を聞いてということを申したのは、少し語弊があるかもしれません。国会の意思は、国会議員の人に委員になってもらって、そうして国会の意思のありかを知って、その後に決定したいというような考え方をしております。
  175. 小林孝平

    小林孝平君 国会には衆議院、参議院の両院があるのであります。この米価審議会には、参議院から緑風会に所属する議員だけ一名しか委員になっておらぬのであります。私は、こういうことでは国会の意思を聞くということにはならぬと思うのであります。こういうことで、ただ一名の緑風会の所属の議員の意思を聞かれて、それが参議院の意思であるというようにお考えになるのは、非常に大きい間違いであろうと思う。総理大臣は何かお考え違いをされているのではないかと思うのです。お伺いをいたします。
  176. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国会の意思を聞いてということに誤解を生ずるのならば、その言葉は取り消します。
  177. 小林孝平

    小林孝平君 私は、総理大臣のただいまのお言葉関連いたしまして、政府が米価審議会の答申を受けて米価の決定をする、こういう政府が行政措置によってきめるという従来のやり方は行き詰まっておるのではないかと思うのです。それで、私はこの際、こういう米価のごとき問題は、鉄道の運賃あるいはたばこの値段と同じに、国会の議決を求めるというやり方を採用してはどうか、私は、このやり方かいいか悪いかという私の考え方を申し上げておるわけじゃないのです。そういうやり方をおやりになる意思があるのかどうか、あるいは今後御研究になる意思があるのかないのかをお尋ねいたします。
  178. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 会期との関連もありますし、現在は、国会の意思ということについては語弊があるようでありますけれども、各党から委員が一名ずつ出ておるわけでありまするから、国会の意思も大体においては審議会に反映するものと見ても差しつかえないだろうと思うのです。それですから、国会の議決を経て決定するということについては、検討すべき問題だとは思いますけれども、ただいま申しましたような理由によって、ただいまはそういうように変更する意思はまだ持っておりません。
  179. 小林孝平

    小林孝平君 先ほどの問題に移りますが、具体的に米価はいつおきめになるのですか。
  180. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その時期は、審議会の決定を経た後という以外には、いつごろということは申し上げられません。
  181. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連して……これはおとといかさきおとといであったと思いますが、当委員会の席上で、総理というよりむしろ農林大臣であったかと思いますが、米価審議会の意見も聞きそれから各党の意見も聞いて米価はきめたいと、こういう御答弁であったのです。そうすると、今の鳩山首相答弁だけをこのまま過ごして参りますと、そのときの答弁とは食い違って参りますので、はっきりとここで御答弁を願いたいと思うのであります。
  182. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えを申し上げます。制度的には、米価審議会に諮問をいたしましてその答申を参考にしてきめることになっておりますから、それをそう申し上げたので、私はこれを政治的に各党の——今回は特に御承知の通り、予約集荷制度を採用いたしますので、各方面の御協力が必要でございまするから、そこで御納得のいく米価を決定する必要があるだろうということで、目下各党の御意見を十分拝聴いたしておるということを申し上げたのであります。
  183. 小林孝平

    小林孝平君 今の問題に関連して私は後ほどまたお尋ねいたしますが、私は、米価審議会の意見を聞いてきめる、それはもう初めからわかっておるので、いつきまるかということが今全国民の関心の的なんです。特に総理大臣はこまかいことは御存じないかもしれないけれども、今年から食糧管理制度が全面的に変更されることになった。その前提として米価がきまらなければならない、そういうことで、この米価はおそくとも六月の十五日くらいまでにはきまるだろうというので、待望しておったのに、それがまだ、十五日は明日でございますが、まだきまらない。そこで具体的に、米価審議会にはかけてきめるけれども、いつきめるのか。六月の二十日ごろになるのか、あるいは六月の末になるのか、あるいは七年の上旬になるのか、それをお尋ねしている、具体的に……。
  184. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知の通り、予約集荷制度を採用して参りますには、契約前にきめた方がよろしいという御意見が多いので、政府といたしましても、この契約をする前に米価の決定をするという方針をきめまして、しかもこれは取り急いでやるということで、目下鋭意準備中でございます。
  185. 小林孝平

    小林孝平君 だから、いいとか、できるだけとか、そういうことでは困るので、いつきまるかということは農民の関心の的なのです。ほかの方が農林大臣ならいざ知らず、河野さんのような方が、農政通をもって任ぜられている方が農林大臣だから、よく御存じだと思う。農家は、米価が幾らにきまるかによって、肥料のやり方もあるいは病虫害の防除のやり方も違うのです。あまり安ければ手入れを、まあ三回除草するところを二回にするとか、あるいは肥料を手控えする、あるいは病虫害の防除をやらないか、それによってきまるのです。それを、できるだけ早くやるということでは、これは困ります。
  186. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。大体十五日を目途にしてきめることが適当であろうと考えておったのでございまするから、おくれると申しましても、そんなにおくれるようなことを考えておらないのでございます。今日も、実は今ここに来るまでも、自由党の方と民主党の方とのお打ち合せがあり、それもなるべくお急ぎ願いたいということで、十分私といたしましては、早くしていただくことをお願い申し上げ、これの決定等があるなしということも勘案いたしまして、政府部内におきましては、これも同時に準備は準備でどんどん進めて、一日を争って目下準備を進めておるのでございますから、しかも私は、くどいようでございますけれども、これは何日にきめなければいかぬということではないので、一日も早い方がよろしいということは深く認識いたしておりますから、その意味で目下取り進めていることを御了承願いたいと思います。
  187. 小林孝平

    小林孝平君 農林大臣が非常に御努力されておることはわかりますが、そこで何日にきめなければならぬということは、何も法律にも何もありません。そこで一日もすみやかにきめたい。それは六月の末と考えてよろしゅうございますか。六月の末にはきめたい、それくらいのことはお答えできるでしょう。
  188. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) できれば、六月の末を待たずしてきめたいと思っております。
  189. 小林孝平

    小林孝平君 今の農林大臣のお言葉で、六月の末を待たずして大体きまる模様でございます。まあ非常におくればせながら、御努力を多といたしますが、そこでこれは六月の末を持たずしてきまるということになれば、予算はわれわれはこれは六月一ぱい、あるいは七月にかかるかもしれない、予算審議中なんです。そうすれば、米価が変更になりますれば、幾らだれが考えても、この予算米価できまるとは考えていない。そこでどうしても米価は予算米価より変りますからへ予算の修正は当然でございます。これは予算の修正をされるのが当然だと思いますが、大蔵大臣、予算の修正をおやりになりますがどうか、お伺いいたします。
  190. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。これは数量と価格とを見合って予算が組んであるのでございまするから、価格の決定即予算変更には私はならない。これは買上数量と買上価格と両方勘案してこの予算が組んでありまするから、価格をきめたからといって、直ちに変更をいたさなくても、これで食管特別会計の運用ができる、こういうふうに考えております。
  191. 木村守江

    木村守江君 関連して。ちょっと農林大臣にお伺いしますが、昨日の私の農林大臣への質問に対しまして農林大臣は、米価の決定は何も急ぐ必要はないのだ、いつまでにきめなければいけないということはないのだ。あるいは九月にきめてもいいというような人があるのだ。そのころきめてもいいのだというような答弁であったように記憶しております。(「おそくもないと言ったよ」と呼ぶ者あり)九月ごろきめてもおそくないというようは答弁をしたようでありまするが、ただいま小林君からの質問の通り、米価の決定によって、いわゆる農家がどういうような手入れ、どういうような労力、どういうような肥料をしなければいけないかということが決定して参るのであります。米価を決定するときに、そういうものを積算してきめると同様に、米価がきめられますれば、農家はそういうことを考えなければならぬのであります。そこに米価を早くきめなければならない原因が起って参るのであります。農林大臣はきのうは、しかもああいうような無責任答弁をしておりまして、きょうになりましては、なるべく早くきめる、十五日ごろきめなければいけないのであるが、今非常に急いでやっておるというようなことを言っておりますが、一体あなたはどういうような考え方を持って、どういうような気持を持ってここで答弁されておるのでありますか。その御心境を拝聴いたします。
  192. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、今御指摘になりましたような答弁をしたことはございません。(木村守江君「うそを言うな」と述ぶ)私はこういうふうに申し上げたのであります。私自身は九月にきめるということも一つ考え方で、従来私は豊凶のある程度の見据えがついたときにきめた方がよろしいのではないかという考えを私はかつて持っておったのであります。そういう意見の人もたくさんあったのでございます。そこで私は先般、米価審議会の懇談会を開きまして、その懇談会の御意見によりまして、これは予約の前にきめるべきである、きめた方がよろしいという意見が多数でございました。そこで、そういうような御意見でございましたから、それならば予約前に決定いたすことにいたそうということに私自身の決意も固めたのでございます。それを私の言葉が足りなかったせいか誤解があったのだろうと思うのでございまして、これは速記録にもし誤まりがあればそう訂正させていただきますが、私は、この私の考えは間違っておらぬと思いますし、その通り申し上げたと私は思っております。(「それは速記録にあるよ」と呼ぶ者あり)
  193. 小林孝平

    小林孝平君 私は、今大蔵大臣にお尋ねいたしておるので、今の農林大臣のお話では、六月の末を待たずしてきまるだろう、こういうふうでありますから、一体それは予算の修正をおやりになるか、当然やらなければならぬと思うが、どういうふうにお考えでありますか。
  194. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。米価はまだきまっておりませんし、またきまってもどういうふうにきまるか、これも問題であります。ですから、今予算の修正ということについては、私はお答えいたしかねます。
  195. 小林孝平

    小林孝平君 時期は大体もう六月の末を待たずして大体きまるだろう、こういうわけなんです。そうしてこの予算米価より大体上回るだろうということは、これはもう何人も疑わないところなんです。だからそれで大蔵大臣は、あと十日に迫ったこの時日を、仮想なことには答えられないとか何とか、前の吉田さんのようなことをあなたはおっしゃっています。そういうことじゃ困ります。一体、予算の修正をやるのかやらぬのかぐらいは答えられるはずじゃないですか。
  196. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。それは、しかし私は御無理じゃと思うのですよ。米価がどうきまるかですね。この予算米価より必ず上にきまってしまうと、そうまで断定しなくてもいいのですね。いよいよきまったときはどうなるか。これはまた現実の問題ですけれども、今そういうふうに思い込んでしまうのも私はどうかと思っております。
  197. 小林孝平

    小林孝平君 そうすると、大蔵大臣は、あなたはこの天下の農民が望んでおる米価です、この予算米価でだれも満足しておる者は一人もありませんが、この一万二千四百円については、またそれぞれ意見もあるかも知れませんけれども、ともかくこれより高くなるだろうというのは、これはだれだって考えているのです。それを大蔵大臣はそう言われるところを見ると、あなたは職を賭してもこの予算米価を守られるという確信があってそういう御答弁をなさるのですか、あなたは断固としてこの予算米価を守るという気持があってそういう御答弁をなさっておるのですか。なぜかといいますと、そのときになって、六月の末になって、さあ米価がきまった、予算の修正をしなければならぬ。さあこの審議をもう一度やり直さなければならぬということで、日がなくなるのです。だから初めからあらかじめ心がまえをしておいて、そういうおそれがあるなら、われわれの審議も夜もやるとか何とかいって準備しなければならぬから聞いておるのです。そういう不親切な答弁では困ります。
  198. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はやはりそれは無理じゃと思っております。まだきまらぬのに、価格がきまったときに、これは大蔵大臣としては考えればいいんで、まだきまらぬのに、次々に予算をどうする、こうすると、それは大蔵大臣としてはそういうことは言えませんし、またやれません。
  199. 小林孝平

    小林孝平君 あなた、それは矛盾してますよ。この間から、たとえば公債を発行するような予算の修正になったらどうするかという問題、これは仮定ですよ。それに対して総理大臣もあなたも、責任をとるという答弁をされておる。それはきまらなくても答弁されているじゃないですか。仮定の問題に答えられないというのは、これは前の吉田総理大臣の一枚看板なんです。吉田さんは何でもかんでも仮定の問題に答えられない。こんなことでは、仮定の問題に答えられないというなら、予算審議なんかできませんよ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういうことでは私は困ると思う。もっと御親切に御答弁下さい。
  200. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。公債のような場合には、大蔵大臣や政府の考えで十分やれると思うのです。しかし米価がどうきまるか。先ほどもお話のように、多数の方の意見も聞かなければならぬし、また米価審議会という審議会も経なければならぬのに、その審議会の議を経るのに先走って、いやこれにはどうだ、こうだ、これはちょっとどうかと思います。
  201. 木村守江

    木村守江君 関連……。
  202. 館哲二

    委員長館哲二君) 小林君いいですか。
  203. 小林孝平

    小林孝平君 どうぞ。
  204. 木村守江

    木村守江君 先ほど私は農林大臣に質問したのでありますが、農林大臣の答弁は私は全く間違っておると思います。私は、昨日この委員会が終りましてから速記録を読んだのでありますが、私の速記録を読んだ記憶からいたしますると、農林大臣は、決して米価の決定はおそくはないと、中には九月ごろきめてもいいと言うような人があると、決してそういうことを考えてもおそくはないのだというような答弁をいたしておりますが、これが確かなところは速記録を見なければわからないことでありますが、私は、農林大臣の答弁は非常に食い違っておる。いわゆる答弁が質問者に対してばかにしたような格好をもって答弁をしておると言っても差しつかえないと思う。もっとはっきり、もっと親切に答弁しなければならないと思うのでありまして、このことにつきましては、後刻速記録を取り寄せまして、そうしてまた質問をいたしたいと思うのでありますので、保留いたします。
  205. 小林孝平

    小林孝平君 私はその問題は後ほどお尋ねしようと思っておりましたら、お尋ねになりましたので、速記録を私は写してきましたから、私がかわりに読んであげます。「植付前になるべく早いがけっこうでありますけれども、植付前でなければいかぬという制度では私はないと思います。」  私は木村君の言うのと違うのです。木村さんは今肝心のところを落しておられました。私はそれをこれから農林大臣にお聞きするのです。「中には社会党の諸君の中にも、九月にきまった方がよろしいとおっしゃっておる人もあるのであります。」こうおっしゃったのです。この「社会党の中にも」というのは、米価審議会委員をさしております。そこで私は農林大臣にお尋ねします。今木村君も言われたように、社会党の米価審議会委員が九月でもいいと、こう言ったということは、非常に困る問題になっている、党内でも……。だれがそういうことを言ったか。また新聞に出ましたので、一体社会党がそんなことを言ったか、そのために米価がおそくきまるのじゃないかということで、すでに詰問をしてきておるのです。そこで河野農林大臣にお尋ねしますが、社会党のだれが、いつ、どういうことを言ったかということをお尋ねします。
  206. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは私が決してでたらめを言うたのではないのであります。この議会で話した話でないのでありまして、その名前をさせとおっしゃいましても、責任を持って私がじかに話した話だから申し上げたのであります。しかしそれは米価論として論ずる場合には、九月の方がいいのではないかという意見があるのでありまして、あらためて申すわけではありませんが、今のお話をなすった人もありまして、ほかに農業団体の方でも、そういう意見をなす人があるのであります。私も実はそういう意見であったのであります。これについては、これは豊凶を見てからきめた方がいいという意見が相当あるのであります。予約に当っては、これでやろうということが米価審議会の懇談会で一応きまったから、私はこの意見をとってやるということにきめておるのであります。そこでこういうふうに答弁をいたしたのであります。
  207. 小林孝平

    小林孝平君 社会党の審議会委員は、私は左派でございますけれども、左派と右派と二人しかないのです。それでいずれも名前をここであげてもらってもいいと私は聞いておりますから、どうぞ御遠慮なく、だれがいっそういうことを言ったかということをはっきり答弁して下さい。これは非常に困る影響が多いのでありまして、私が御質問したらこういうふうに御答弁になった。そうしたら今その結果は、たれが言ったのか、河野農林大臣は社会党の委員が言ったのを口実にして米価をおくらしておると、こういう意見がありますので、具体的にだれが言ったかということをはっきりお願いいたします。
  208. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私はそれを口実にして米価の決定をおくらせるというふうなことは申したことはないつもりであります。それはそういうことではないのでありまして、そういう話もありますと、こう申し上げたのでありまして、しかし米価審議会は決定を早くせよということでありますから、早く決定することにいたしましたと、こう私は申し上げたのであって、そういう人がありますから、私はおそくいたしますというならば、それは責任がありますから申し上げます。しかし早くすることにきまったから、早くいたしますと、こう私は申し上げておるのであって、決してそういう意見があるからおそくいたしますと、私は言ったことはありません。その点は誤解のないように。
  209. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 関連して、この問題はまことに重要でありまして、社会党の米価審議会委員がどういうことを言ったか私は知りません。しかしそれは前後の話の状況を詳しく御説明されれば、おそい方がいいという意見で申したのではなかろうというふうに考えるのであります。ただその点だけをさされれば、米価をきめるのは、九月末でもおそくないという印象を受けるかもしれないのでありますが、しかしそれが結論であるのか、それが前提であって、何か別の結論があるのか、その辺のことを明らかにしていただかないと、私も社会党に属する者でありまして、大へん迷惑いたしますので、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  210. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は先ほどから御説明申し上げますように、米価論として九月にきめた方がよろしい、これは豊凶の結果を見てきめるという前提に立っての話であります。これは私は常にそう申し上げておるのでありまして、私もその意見を持っておったということを申し上げておるのであります。しかしそうでなしに、予約を実施するには、予約前にきめた方がいいじゃないかという意見もあります。その方が多数であったから、その意見に従って六月にきめることにいたしましたと、こう私は申し上げておるので、何もこれを私がおくらせるための口実に使ったというならば、非常にここで非難を受けても、私はやむを得ませんけれども、そういうことは決して私は申した覚えはないのであります。ただそういう意見は米価論としてほかにも相当あるのであります。これは事実そういうことでございますから、申し上げたのであって、決して私はそれだけをとって揚げ足をとったようなことは、私はここで言うた覚えはありません。今申し上げましたように、米価論としては豊凶を見てからきめる方がいいじゃないかという意見が有力にあるわけでありますから、申し上げたのであります。(「議事進行議事進行」と呼ぶ者あり)
  211. 館哲二

    委員長館哲二君) 議事進行ですか、木村守江君。
  212. 木村守江

    木村守江君 ただいまの農林大臣の御答弁を聞いておりますと、非常に納得のいかない重要な食い違いがあると、私は考えております。そういう点から速記録等を調べます間、しばらくの間、休憩せられんことの動議を提出いたします。   〔「賛成、賛成」と呼ぶ者あり〕
  213. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは、そのまましばらく休憩いたします。    午後四時七分休憩      —————・—————    午後四時十八分再開
  214. 館哲二

    委員長館哲二君) これより休憩前に引続き委員会を開きます。三十分間休憩いたします。    午後四時十九分休憩      —————・—————    午後五時三十三分開会
  215. 館哲二

    委員長館哲二君) 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会