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伊能芳雄君 なおこの点に
関連いたしまして、特に希望することは、こうした都市の
計画におきましては、
国民の保健衛生あるいは保安というようなものとあわせて、大都市には少くとも
国民防衛という
考え方を加味した形を持って行かないというと、非常にこういう都市を建設して行く上にウイーク・ポイントを残して行くということを、ぜひ頭においてお
考えを願いたい。どんなに今日のわれわれの経済力、
国力でやってみても、一たん侵略が起った場合に、全然われわれの上空に飛行機がこない、艦砲射撃を受けないというような自衛力というものは、これはできるはずはないのであります。お互いの
努力において原水爆を兵器に使用することが成功しましても、他の兵器における侵略、それに備えてもちろん自衛隊も漸増しつつあるのであります。
国民のそうした態勢というものを考慮に入れない経済
計画というものは、私は全く今日の実情に合わない、また政府が自衛力漸増を言いながら、一方にはそういう危険なものがどんどん進んで行くのを黙っているという
考え方は、全体の調和がとれていないと私は思うのであります。ただいまその点をお認めになって、これからの
計画に織り込むということでありますが、そこで私はここに具体的な例を申し上げたのは、衛星都市という、これはもう建設大臣がこなくては実際困るのですが、衛星都市という
考え方に対しまして、私はもう一回
考え直してもらいたいということは、衛星都市というただいまの
考え方は、東京都というような大都市を中心にして住宅地区を周辺に作るという
考え方のようであります。このことは自然あまり遠くへ持って行けない。大体東京へ通う人を少し郊外の遠いところへ持って行って住宅市街を作るということで、あまり遠くへ持って行けませんから、自然これはみな続いてしまう。せいぜい間に緑地帯を置くというくらいがせい一ぱいじゃないかと思う。そうして交通はますます一方交通になり、現在の状況も郊外地帯から中央線などの例に見るように、朝は上りばかり、夕方は下りばかり、乗る人は……。その反対の側はまるでがらがらで動かしておる、こういう
状態をますます強く出してしまうにすぎない。そこで私は、
イギリスにニュー・タウンという
考え方がある、これはある新興産業を全然何もないところにいろいろな
事情を勘案して、工場なら工場を作る、そうしてその職工の住宅を作る、職工のいろいろ買いものをするショッピングを作る、そこに新しい市ができる、これは事実今やっております。こういう
考え方なら、東京からもっと離れても、大都会からある
程度離れても、独立してやれる、今の交通問題も従って解消する、
憲法の住居の保障も、職業と住宅とを与えることによって、何もそういう
憲法に保障する住宅の自由というふうなことを制限することなくできる
制度だと思う。よろしくこれはあんな衛生都市というような問題でない、もっと角度を変えたこういう
考え方のもとに出発しませんと、衛生都市がやがてそれを包含したところのますます大きな都市になってしまう。そうしてただいま申し上げましたような交通
状態になってしまう、私はこの点につきまして六カ年
計画の人口配分と
考え合せて進んでいかれることを特に希望いたすものであります。
もう
一つ伺いたいのは、完全雇用という問題を取り上げられましたことは、非常に私は着想としてはいいと思うのですが、実際はおそらく暫定
予算のときに、同僚の石原
委員からも質問されまして、かなり苦しい御
答弁をされております。暫定
予算という
一つの結果からかもしれませんし、あるいは他のいろいろな要素が整わないかもしれません。しかしながら、実際私はこの完全雇用というものを政府が掲げましたけれども、この実現はなかなか、そんなに政府がこうして経済六カ年
計画によって
考えたようにいくかどうかということについては、非常な私は疑問を持っておるものであります。しかも完全雇用というのは、少くとも、こういう
言葉は、大体学者の定説は、完全雇用という
状態というものは、求人と求職とが同数になるときが完全雇用だといっている。政府は現在の失業者はそのままにおいて、それで完全雇用が六年後にはできるのだと、一口にいえば、今後ふえる労働力だけを吸収するということだけで、現在の失業者を救済するということじゃないというふうに見られるので、それさえも私は非常に困難だと思うのです。大体戦後失業救済ということは、どこの国でも非常な苦心をしておる。結局、それが何に落ちついているかと申しますと、大ていはやっぱり道路に落ちついている。ヒットラー、ムッソリーニの例は、結果的にいえば、これは軍事道路であったと言われておりますが、とにかくあの当時の失業救済をなし遂げて、大きな道路を築いた。あまり問題にされない
イギリスが、第一次大戦
あとの失業救済を大いに悩んで、国中ほとんど舗装しております。砂利道は見ることができないほどよく舗装している。皆これは失業救済事業として第一次大戦
あとにやったことなんです。これを織り込まない失業救済事業というのは、戦後のこういう苦しい
状態にはできないはずなんです。それにもかかわらず、今回の
予算を見ましても、まだそこに出発していない。道路面におきましては、われわれがわずかに議員提出でやったところのガソリン揮発油税、これに見合ったものを出しているだけで、まだそこまで出発していないし、国土保全の意味の治山治水費は一兆億の
予算の苦しいという陰に隠れて減少しておる。これで私は完全雇用なんていうのは、おそらく木に魚を求めるの類ではないか、こう思うくらいでありますが、本年度の
予算では、少くとも土木事業、私は土木事業を特にどういうことを
考えておりませんけれども、結局失業救済の終局の大きな問題は、土木事業、
割合資材費の要らない、そうして労力費の多い土木事業に、差し当りそこからだんだん拡大均衡への道に歩んでいくのではないか、それが全然今年はまだ出発していない、むしろ治山治水という問題は減っておるという
状態、これは私は六カ年
計画で完全雇用が実現されるということは、非常に心細いという感じを深くするのであります。この点について、
長官の御意見をお伺いいたします。