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1955-05-28 第22回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十八日(土曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            小野 義夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            安井  謙君            吉田 萬次君            田村 文吉君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            秋山 長造君            久保  等君            永岡 光治君            湯山  勇君            永井純一郎君            深川タマヱ君            武藤 常介君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 花村 四郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 謙三君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  石橋 湛山君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    郵 政 大 臣 松田竹千代君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   国 務 大 臣 大久保留次郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 滝蔵君    内閣官房長官 田中 榮一君    法制局長官   林  修三君    調達庁総務部長 丸山  佶君    自治政務次官  永田 亨一君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    経済審議庁調整    部長      松尾 金蔵君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    外務省参事官  安藤 吉光君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    農林大臣官房長 安田善一郎君    水産庁長官   前谷 重夫君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計暫定予算補正  (第1号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十年度特別会計暫定予算補正  (特第1号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十年度政府関係機関暫定予算  補正(機第1号)(内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより予算委員会を開きます。  昨日に引き続いて質疑を続行いたします。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 議事進行について。この予算審議に必要な、当然政府が出さなければならない資料が出ていないのですが、これではわれわれ十分予算審議をすることはできないです。特にその各日明細書が本予算の分もまだ全部出ておりません。それからもちろん今度の六月暫定予算の分も出ていないのです。これは一体どうしたことですか。委員長一つ、これでは予算審議にならんと思うのです。各日明細書がなくて予算はわかりっこないのでありますから、各日明細書なしにわれわれに予算審議を要求するなんてことは、これはもう不見識きわまることです。これは財政法二十八条から言って当然出さなければならんもんです。一応二十八条では予定経費要求書になっていますが、予定経費要求書では、これは一応甲の部類までありますが、しかし前の大蔵委員会において、これは目を出さなくなりましたけれども、それは予算審議に差しつかえないように出すことになっているのです。各日明細書がなくてどうして予算がわかるのですか、この間の事情を政府の方から一応はっきりしていただきたい。そうしなければ、各日明細書がなくて、予算審議をやるということは、参議院予算委員会としても不見識きわまる。政府側は一体どういうふうにこの点を取り扱っているのか、私は財政法二十八条に、これはもとるものだと思いますが。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 本予算につきましては至急に出しますが、今調査いたしましてすぐに出すようにいたします。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 本予算について今すぐ出すというお答えです。大蔵大臣は一番よく御存じなんですが、各日明細書がなくて予算審議が一体できるでしようか。
  6. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 本予算については今すぐに出します。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 暫定予算については……。衆議院ではもう本予算はずっと審議してきているのであります。各日明細書なしに予算審議が行われるということはこれは衆参両院を問わず、国会として不見識きわまるものです。
  8. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 政府委員から答弁をいたさせます。
  9. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 暫定予算には従来から各日明細書を添付しませんで、国会の御審議を願っておる慣例になっております。今回も特に各日明細書準備をいたしていないのでございます。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それが私はいけないと思うのです。本予算については別でしょう。本予算もいまだにみな出そろっておりませんよ。これは二十八条にもとります。こういうような当然予算審議に添付しなければならないものを、実質的に添付しなければならんものを怠って予算審議をさしている。また暫定予算といえども、これまで出さないという習慣になっていると言いますけれども、今後は改めなければならんものです。私は各日明細書によって調べようと思っておるものが出ていないのです。これがなければその明細はわかりっこないのです。質問もできるはずがないのであります。この点、じゃ本予算についてはどういうのです。
  11. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 本予算の各目明細書は大部分の省は提出済みでありますが、二、三省残っておりましたのでございますが、二十九日までには必ず出る見込みでございます。大変遅れまして申しわけございません。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題であまり時間をとりますと質問される方に迷惑ですからここで。これまでどうも予算審議に当りまして、この財政法できめられていることをだんだん十分守らない、非常にルーズになって来ています。これは予算委員会として予算委員長からも厳重に政府警告を発しておいていただきたいと思うのです。
  13. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと今のに関連して。今の御説則だと、暫定予算の各目明細書は出さないということのお話のようでしたが、六月分というものは二、三はいただいておるのですが、これはどういう関係ですか。
  14. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 財政法第二十八条に、その他予算審議上必要な書類ということでございまして、本予算の場合には、政府といたしましても各省に対しまして、必ず各日明細書を添付するようにということで、本予算につきましては全部提出することといたしておるわけでございます。暫定予算につきましては、何分にも準備関係また短時日で御審議を願っております関係上、各省でもなかな準備ができないところもございまするし、また本予算の各日明細書をごらんいただきますれば、大体の見当がおつきになるということもございまするので、必ずこれを出すというような取り扱いにはいたしていないわけでございます。各省準備の済みましたところは御参考のために提出しているところもあるのでございますが、必ずこれを二十八条の添付書類として出すということには、政府部内では取り扱っていないという趣旨を先ほど申し上げたのであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは違います。暫定予算といえども予算です。予算である以上は、予算手続きに応じてこれを出さなければならんわけです。政府はそういう手続きはしないと言っていますけれども、そんな勝手なことはできません。二十八条で添付しなければならない。暫定予算といえども予算でありますから、それは出さなければならんのです。本予算で出さなければならんことになっているならば、暫定予算だって出さなければならない。
  16. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 二十八条の第十項に「その他財政状況及び予算内容を明らかにするため必要な書類」ということで、本予算の場合にはこれを必ず出すことにいたしておりますが、暫定予算につきましては、この二十八条の規定がそのまま適用になるわけでもないのでございまして、大体これに準じて諸般の添付書類その他考えておりますが、この添付書類の第十項の書類につきましては、必要な書類といたしまして必ず各日明細書を出すという取り扱いに従来からいたしていないのでございます。その従来の例に従いましておるわけでございまして、何とぞ御了承をいただきたいと思います。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは主計局長の御説明は二十八条の十項ですか、十項に「その他財政状況及び予算内容を明らかにするため必要な書類」、これに従って出しているというのですが、本来ならばこの三項の各省各庁の予定経費要求書、及び国庫債務負担行為要求書ですね、私はこれによるべきものだ、これは一応本予算は出ています。出ていますが、歳入の面においては予算明細書は款項目まで出ているのです。ところが歳出においてこれが出ていないのは、予算審議に差しつかえないようなことにするということになっているのであって、項だけしか出ていない。項だけしか出ていないけれども、よろしいということじゃないのです。
  18. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまお示しのございましたこの各省各庁の予定経費要求書は、これは提出いたしております。暫定予算についても提出いたしております。これには目までの細部が出ております。さらにその目のもっと詳細なのが各日明細書でありまして、それにつきましては、先ほど申し上げております通り、本予算について提出いたしますれば、それによって御審議いただけることと思いまして、従来からも提出いたしていないのが多いわけでございます。何とぞ御了承をいただきたいと思います。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はもうこれで終ります。どうもだんだんルーズになってきています。そういう意味で私は質問したのでありますから、委員長からも十分予算審議に必要な、そういう資料は遅滞なく整えるように警告をしておいて下さい。
  20. 館哲二

    委員長館哲二君) 十分木村委員趣旨了承いたします。委員長においても遺憾に思っておりますから、政府においてできるだけ早く各日明細書提出を望みます。
  21. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 議事進行。この際、委員長から一つ大臣に対しまして、よく懇談的注意を与えていただきたい。それはわれわれ暫定予算といえども、なるべく早く審議をして、予算の決定をみたいというのが委員の念願である。私ども予算審議に当りまして総理が先に参り、しかも大蔵が来てあとの大臣出席を見ない、昨日においても相当委員間にいろいろあったけれども、昨日は暫定予算の当初であり、委員各位もよく見ておったのであります。もう少しく各大臣総理をいたわってなるべく早く暫定を決定して、半日でも、それだけ決定すれば、地方に対しましてもまた各省に対してもそれぞれの準備、心がまえもできるだろうと思うのでございます。そういう十分に期間がとれるのにもかかわらず、みずからの職務を放棄することは国務に親切であるかどうかというようなことを、各委員諸君も疑っているのでございます。決して参議院を軽視していないということに私どもは思っておるけれども。事実が軽視したというようなふうに、そこに現われてくると、まことに遺憾に思うのでございますから、この点は委員長から十分に各大臣懇談を必要と思いますから、御注意を願いたいと思います。
  22. 館哲二

    委員長館哲二君) ただいま池田委員からお述べになりました点につきましては、委員長も本日の政府関係者出席につきましても、実に遺憾に思っておったのでございます。定刻十時から委員がそろっていられたにもかかわりませず、三十分まで政府当局の方のおそろいがないために開会が遅延したのであります。この上とも各閣僚におかれましても御勉強あらんことを切にお願い申し上げておきます。
  23. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今の委員長の御発言にも関係があるかと思うのでありますが、私は直ちに文部大臣質問をいたしますから、文部大臣出席を要求いたします。  昨日、私の質問答弁せられたるところによりますると、経済六カ年計画、これが推進に伴う裏づけ政策というものはほとんど何にもないと言っていいということがはっきりいたしたのであります。従って、経済六カ年計画推進をするのには、これは全く政府無手勝流にやって行かれると見るのほかないのでありますが、これに対しては相当国民協力が必要だと、それだけに思われるのであります。ところが、経済六カ年計画構想を見ますると、この計画達成については国民の総意による協力が必要だということが強調せられておるのであります。今も申する通り、ほとんど政府無手勝流で行く、しかもこの計画達成は非常に困難だ、しからば国民全体の協力を得るようにする具体的な方策としては、どういうことを考えておられるか、これについてまず経済審議庁長官に伺いたいと思うのであります。
  24. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この経済六カ年計画達成いたしますにつきましては、どうしても国民諸君の御協力を得なければならんということは、単に計画達成するだけでなくて、また計画そのものについても十分御意見を承わりたいと思うのであります。そのことはどういうわけかと申しますというと、私どものやっておりまする六カ年計画というものは、六年後における人口の数はこうなる、これは大体目安はついております。それに対してはどれだけの労働力があるか、これも大体目安はついております。その労働力に対して一人当り一時間に現在は七十四円五十銭ずっとっておりますが、これを八十五円ぐらいに上げたい、こういうことにすれば、どれだけの生産額が必要だということの金額も出るわけであります。その金額だけの生産をせなければ完全雇用はできない。こういうわけでありますから、この計画実行し、それだけの生産に当るのにはどういうふうにやったらいいかということは、これは政府だけで考えてもいけないことであります。ただ目安だけはそういうふうについておりますから、それにつきましては年次ごと計画を立てて行きたい、それは実際問題に当るわけでありますから、過去の実績なり現状なりに照らしまして、こういう計画、ああいう計画を知りたい、こういうことにいたしたいと存ずるわけでありまして、今経済六カ年計画で立てております大体の目安はこういう目安であるという、その目安についても、よく御意見を承わりたい、こういうわけでございます。そういう意味から、計画を立てるときから、実行はもちろんのこと、国民諸君の御協力を願いたい、こういう所存でございます。
  25. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 国民協力を求めると単に言われまするけれども、ただいま申する通り政策裏づけはないし、これを推進するのは容易のことでないと思われるのでありますが、それに対して何らかの具体的な、こうして国民協力を求めるんだ、それについてどういう組織を作るとか、あるいは活用するとか、何かそこに国民協力を求める具体的方策があってしかるべきだと思う。これを具体的に伺いたいのであります。
  26. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。まず審議庁の中には審議会というものができまして、各事業界代表者あるいは労働専門家あるいは学者、そういう方々によって私どもの立てました立案について慎重御審議を願う、そうして間違っておるところは訂正いたしたい、こういう所存でございますが、更に私どもはこれをもう少し拡大いたしまして、この審議会というものをもっと今度拡大したい、こういう所存でおります。できるだけ各方面方々の御意見をこれによって拝聴いたしたい、こういう所存でございます。
  27. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 審議会に、あるいは労働者専門家だとかあるいは学者程度を入れられておるようなことでは、私は困難なる時局下において、しかもああいう長期にわたる六カ年計画達成できるというふうに絶対に考えられないのであります。大体現在のごとく国民がせつな主義になっておる、しかも享楽主義である、さような風潮がとうとうとしておることは御承知通りであります。かような情勢下において、経済自立のために経済六カ年計画政府は立て、これを本気になって推進するということでありまするならば、私はそれに伴うよほど思い切った画期的な対策があるべきだと思うのであります。特に民心の作興あるいは勤労意欲高揚、要するに物の六カ年計画でなく、むしろ心自体の六カ年計画というものが先行せられてしかるべきじゃないか、さようなことを私は非常に考え憂えるものでありますが、これにつきまして総理はどういうふうなお考えを持っておるか、この点については総理自身に伺いたいのであります。続いて文部大臣、また勤労者関係におきまして労働大臣の御意見を具体的に伺いたいと思うのであります。
  28. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 豊田君の仰せのごとく、精神の刷新は非常に必要なことである、(「聞えない」と呼ぶ者あり)非常に必要なことであると考えております。いかにして精神力を作興するかということについては文部大臣から答弁してもらいます。
  29. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えを申し上げますが、これにつきましてはいわゆる生活運動、すなわち新生活運動によって今お話しのような点を何とかして国民協力を得たい、こういうふうに考えております。しかしながら、このことを政府自身がやりますと、かつての翼賛体制のようになりまして、かえって国民全体の協力を得ることはどうかと思いまするので、これは一つ民間方々に盛り上る一つ団体として新生活運動国民運動としてやっていただきまして、これに対して政府がやっていただきたいと申すことば、総理大臣からそういう各階層の代表の方にお願いをし、そうしてそこにおいてあらゆる計画を立てて実行に移していただきたい、こういうような方策をとることが最も有効であろうと思いまして、でき得るならば超党派的にいたしたいと存じ、各政党の方にもそのつもりでお話を進めたいと思うておるところでございます。予算といたしましては、ただいまのところ五千万円だけは文部省の所管において取っておきましたが、それは文部省が直接に仕事するのではございませんで、その団体においてなさるる事業に助成をいたしたいと、こういう考え方でおるのでございます。  それからもう一つ、これは新生活運動構想とは別でございますけれども、それと姉妹の、裏表の考えを持っておりますのは、社会教育、すなわち青少年の訓育、これをやはり新らしい生活の規正を青少年に与えて、今日の事態の締め直しをやろうという考え方でございます。これは大体スポーツを中心といたしまして、それから来る明朗な精神、健康な肉体を養成する、こういうようなところを狙いまして、これには七千万円の予算を要求いたしておるわけでございます。これは文部省として手がけてやろう、このように考えておりまして、このような方面からいたしまして、お話のような点の御期待に沿いたいと思っております。
  30. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。経済六カ年計画の目的の達成のために動労意欲高揚が非常に重大な要素であることは御説の通りであります。私の基本的な考え方としましては、労使関係が現在までのような状態では、とうてい経済六カ年計画達成は困難であると考えております。従って労使関係が平和的な関係が確立されるということが一番望ましいことであります。このためには経営者側労働者側協力が得られますような経営を真剣に合理的に考えて行く。労働組合側といたしましても、国民経済的な観点に立って、そうしてただ賃上げ闘争ということだけに専念するようなふうに考えられるような方向の行動を慎んでいただく。経営者側とよく納得づくで、協力な得られるような合理的な経営方針であるならば、それに全面的に協力するということが、それに基く体制が必要だと考えております。またもし労使間にどうしても解決のつかないような紛争が起きました場合には、第三者の公平な合理的な調整に従うという、よき慣行の樹立を確立して行きたいと、かように考えております。従って労働者が本当に生産性の向上のために勤労意欲高揚するための先決条件としては、労働者側生活の安定が第一であると考えます。労働行政の面におきましては、生活の安定と労働者の福祉の積極的な増進のために、万般の処置を構じたい考えております。
  31. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいま文部大臣及び労働大臣の御答弁につきまして、もう少し具体的な点を伺いたいと思いますのは、文部大臣の御答弁についての新生活運動というものの内容、これをもう少し具体的に伺いたい。  それから労働大臣の御答弁につきましては、経営者労働者協力態勢の確立、その具体的な内容はどういうことを狙っておられるのか。しこうしてそれの組織というか、そういう点についての具体的御構想を伺いたいと思っております。
  32. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 実はその具体的のことにはいろいろの案を持っておりますけれども、そういう先刻申した盛り上る団体で、民間団体でやっていただくということでございますから、政府からこれとこれとをやっていただきたいという指図はいたさないつもりでおります。しかしその会において期待を持っておりますのは、例えば食生活の改善、これによって食糧問題の解決に資する、それから衣の、着物の側の、たとえて申しますならば、今日化学繊維で足りるようなことにもなるのでありますから、そういうような運動、それからはなはだ迫ってやらなくちゃならんと思いますのは、それはあるいは文部省の何でやろうかとも思っておりますが、青少年の間におけるヒロポンの蔓延というものは、これは恐るべきものでございまして、そういうようなものの防遏というようなこと等は是非やりたいと考えるのであります。その他いろいろありますけれども、それを一時に今日手を拡げてやるべきか、また今申したような重点を選んでまず始むべきかということは、これはなかなか問題だと思いまして、そういう団体ができましたら、そこで御方針をきめていただきたいと、これらに対する案の用意だけは私どもは今研究もいたし、ある程度の成案も持っておる、こういうようなわけでございます。
  33. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。動労意欲高揚するために労働行政の面において具体的にどうするのかというお尋ねでありますが、御承知のように労働行政というのは、どちらにも片寄ってはならない中立的な観点から施策を行なって行く立場に置かれておりますし、さっき申しましたように、もし私たちの考え方と違ったような行き方を経営者側がやっておる場合においては、経営者側をして軌道に乗るようなふうに側面的ないろいろな施策は講じて行きたいと思いますけれども、これを法的な措置をして、こうせい、ああせいというようなことは現在のところは考えておりません。労働組合側生産意欲高揚の問題につきましては、同じように法的な規制をして、その方向に従わしめるということは非常に安易な道であるようでありますけれども、少くとも現段階における労使関係の平和関係樹立の努力においては、まだ私は欠けておる点があると考えておりますので、そういう方面にとりあえずの力を注いで、そうして労使双方の平和関係樹立のためのあらゆる努力を払ってみて、それでもなおどうしても日本経済の自立達成のためには、どうこか法的な措置でも講じなければならないという結論に到達した場合においては、あるいは法的な措置をとるということも考えられますけれども、現段階ではそのまだ前でございまして、そのために全力を集中して行きたいと、かように考えております。
  34. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 労働大臣に続いて労働基準法関係について御質問をいたしますが、ただいまの労働基準法は御承知のごとく、大企業の経営者と従業員との関係、これを対象としてできているものであることは御承知通りであります。従って農林水産業関係につきましては、相当大幅な例外扱いができるようにできておる。具体的に言いますと、女子あるいは未成年者の夜業を認めるとか、あるいは休憩、休日、労働時間についても、女子、未成年者について特別の例外扱いもできるようなふうになっておるのであります。ところが中小企業、特に零細企業あるいは商業、かようなものは大企業、軍化学工業などとは本質的に違うし、また労働環境も違う。かような点から見ますと、小企業ことに商業等におきましては、その労働の本質は労働環境から見まして、農林水産業程度の扱いは当然あっていいものではないかというふうに考えるのであります。これがまた日本の実情に合っていいんじゃないか、こういう点につきまして労働大臣はどういうふうなお考えを持っておられますか。
  35. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。労働基準法の問題については、ただいま豊田委員から言われましたように、いろいろ中小企業方面に実情に即せない点があるという改正の議論が各方面に吐かれております。しかし労働基準法の改正と申しますのはなかなかそう簡単にいかないことでございまして、国際的な影響も考えなくてはなりませんし、この前三十名以上が五名以内というふうに一部政正にもなっておりますし、輿論の声を聞きまして、民主党としましても、この選挙の際に国情に沿うように改正するという公約もいたしております。今回の予算にも若干ではありますけれども予算を計上いたしまして、労働基準法をこのままでおいていっていいのか、あるいは改正しなくちゃいかんのか、改正するとすればどういう点を改正すべきであるかというような点についても、労働省内に労働基準法に関する学識経験者に基きまする審議会を置いて、そこで十分に一つ検討をした上で、改正すべきものであるとすれば、その結論を待って改正の手続きをしたい、かように考えまして、現在審議会を置くべく準備中でございます。
  36. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 経済六カ年計画自体の問題に返りますが、経済六カ年計画経済自立をはかるという点を強調しておるのでありますが、この経済の自立をはかるというのには、御承知のごとく、国際収支の均衡をはかるということに重点をおくのか、あるいはアウタルキー、自給自足ということに重点をおくのか、この二つの行き方というものははっきり区別せられると思うのでありますが、今回の経済六カ年計画はアウタルキーの考え方をとっておるのが、中心なのか、あるいは国際収支のバランス、それ自体を狙いとして、それを進めていこうとしておるのか、これをはっきりさしてもらいたいと思うのであります。
  37. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。日本のようなこの狭いところで、これだけの人口をかかえていきますときに、アウタルキーの考え方というものは非常に困難性があると思います。従いまして、日本はどうしても輸出入貿易というものを高進しまして、そうして日本の国際収支計画を合致さしていくと、それにつきましては御承知の、現在特需に依存しておることが非常に多いのでありますから、これが六年の後にはなくなるものとして考えていきたい、かように考えております。
  38. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私の質問しておりまする狙いは、国際収支がバランスがとれればいいと、まあ具体的に言えば、海外から、安い鉄材があるならば、また良質の鉄材があるならばそれを入れて加工し、しこうして輸出をする、そういうことによって国際収支のバランスというものが一そうとりやすい場合があるのでありますが、さような行き方をするのか、あるいは鉄はいよいよ国内の自給自足をはかっていこうということに重点をおいていくのか。要するに商業主義の自立経済をはかっていこうとするのかどうか、そういう点について質問をいしておるのであります。それについてお答え願います。
  39. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。これは一国の経済の将来を見ますときにですね。いずれに偏してもこれはよくないことだと存じます。従いまして食糧の方におきましても、いかなる事件が突発するかもしらないということもある程度予想しなければなりません。そういうことも考えます上において、それじゃ全部安いから外国のものを買って、そろばん玉が合えば、国内の産業はどうなってもいいという考え方は毛頭いたしておりません。といって国内において非常な無理をしてまでもここにこれだけの人口を養って全部積極的にやると、こういうふうなことは不可能だと存じます。従いましてその辺を調節しつつ考えておるのでありますから、アウタルキーのあれにも偏せませんと同時に、重商主義というふうな一方にも偏しません、いわゆる中道をとっていきたい、かよに考えております。
  40. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 中道をとるということを言われ、またそれがゆえに私は日本の自立経済というものは容易に進まんのだと思うのであります。私の質問をむしろ逆におとりになったかもしれないのでありますが、天然資源の乏しい日本で、自給自足経済にあまりに重点を置いてこう、またそれに少しは考慮を払わなければならんという考え方をしておったならば、ほんとうに、あるいはすみやかに自立経済をやるということは非常に困難であります。いい意味の採算主義、国際採算主義というものは絶対にとる見地にお立ちにならなければいかんのじゃないか、そういう点について経済審議庁長官のほんとうの意志を伺っておきたいのであります。
  41. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。ただいまのような御意見は非常に傾聴すべきものだと存じます。その意味におきまして、私は経済六カ年計画を立てますにおきまして、できるだけ多数の方々の御意見をお聞きしたいというのはそこにあるわけでございます。ただいまの御意見はよく拝聴いたしておきます。
  42. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 六カ年計画構想によりますと、輸入先については、ドル地域からポンド地域等に転換が考慮されなければならんということが書かれているのでありますが、これに関連して、中共貿易については六カ年計画、ことにその終未期においてどの程度依存するおつもりでございますか、これをお伺いしたい。
  43. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。大体といたしまして、中共貿易は逐次改善していくということで計算をしておりまして、中国についてその終局においてどれだけの金額になるかということについては、はなはだ遺憾でございますが、まだその数字は出しておりません。トータル全体において幾らということは出ておりますけれども、中共だけを別にして、これだけ依存するという数字までは検討しておりません。
  44. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 現在の状況から見ますと、この中共貿易というものの拡大をはからなければ、経済六カ年計画の輸出振興ということは私は非常に達成が困難だと思います。従って特にその数字を伺いたいのでありますけれども、それらの構想がないということならば、また適当な機会に譲ることにいたしますが、昨日の私の質問したところによりますと、輸出振興については何だかんだと説明はされましたけれども、結局八億が認められているだけであります。こういうことで一体日本の輸出振興ができるか。特に経済審議庁長官が二百億ぐらいもあるようなお話しをせられたように思うのでありますが、それはおそらく輸出入銀行の財政投融資まで勘定に入れてのことじゃないかと思うのであります。ところがこの輸出入銀行自身が貸し付けの対象にしているものというのはプラント輸出だけです。一体プラント輸出だけやっておれば日本の輸出振興はできるというふうに考えているのかどうか。この点について経済審議庁のみならず、通産大臣に御意見をお伺いしたいのであります。
  45. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。輸出振興ということは、単に輸出振興だけのことにはごくわずかの八億円でございますが、振興をするためには、日本の現在の生産物の値段を安くせなければならん、国際価格にマッチしなければならん。それがためには産業の合理化等においても重点をおいていたしておりますし、同時に輸出入銀行の資金を二百億近くも非常に大きな金額を回しましたことは、プラント輸出だけではなく、あれは財政投融資だけではなく、その間の金融をするわけでございますから、輸出のための金融をするわけでございますから、ただいまその輸出については金融上非常に困る点もあるのでございます。そういう点につきまして便宜をはかるために輸出入銀行の金額をふやしたようなわけでございます。なお足りないところは通産大臣からお答え申し上げます。
  46. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 三十年度の予算では、相当割合から申しますと輸出振興のための費用はふやしましたが、その総額において十分満足すべきものでないということはお説の通りであります。しかしわれわれといたしましては、これによってでも、たとえば先般東京で開きました国際見本市でありますとか、あるいは今後アメリカでも日本品の、向うのデパートとも共同しまして、日本の特に雑貨類の見本市をアメリカの枢要なる都市で開く計画をやっております。そのほか、特に中小企業の輸出振興のためには、これも金額はわずかでありまするが、意匠の改善でありますとか、あるいは競争見本の収集をして彼らに見せる、あるいは新規商品の試作の助成をいたしまして、あるいは技術研究に助成をいたしまして、ただいま申しました海外見本市に彼らが出品することを助成するとか、かようなことをいたしまして、雑貨類、中小企業者の製作品あるいは農機具というようなものについても海外へできるだけ一つ紹介をして、日本品を輸出することに努力をいたす計画が立っております。私は、金額はとにかくとして、相当の効果をあげ得るものと信じておる次第であります。
  47. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 輸出金融について最も困っておるのは雑貨なんであります。ああいう細かいものになればなるほど輸出金融上非常に困っておる。しかもその額はまとめれば相当なものになる。ところが日本の輸出振興方策というものは、大体においてプラントその他の機械器具、重化学工業に非常に偏しておるのであります。従って輸出入銀行ですらプラントに重点を置いている。雑貨については一体どういう対策を持っておられるか、金融について特にどういう考慮を払っておられるか、この点伺いたいのであります。
  48. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お説のように、戦後の貿易が大体世界的傾向として重化学工業品というものに非常に重点が置かれておりまして、日本はその点において実は今までおくれておりましたような関係から、やはり戦後の方針として重化学工業に相当の力を注がなければならぬ。かような関係で、輸出入銀行も主としてプラント輸出の金融をやって、これもまた東南アジア等の輸出貿易を伸ばすためには、どうしてもプラントに相当長期のクレジットを与えて輸出する必要がある。まあそういうことが、これも重化学工業品が出るということだけでなく、やがては日本の雑貨がそれに続いて出るという手がかりにはなろうと思う。こういうことで、とにかく戦後は確かに重工業あるいは化学工業に相当力を注いでいるのは事実でありますが、そうかといって、雑貨やあるいは織物等の軽工業品を閑却しておるわけではございません。金融の問題につきましても、これまた十分でありませんという非難はありますが、中小企業金融公庫あるいは商工中金等を通じまして、その方面にはできるだけの金融の便宜を与えるように努力をいたしておる次第であります。
  49. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 輸出振興は、今日政府でも一枚看板にしておられるのでありまするが、その輸出振興に対してすら、昨日来賓問いたしたところによりますると、ほとんどとるに足るような施策がない。また、経費は直接投資せられておらぬのであります。また、そういう輸出振興自体に対しては、全体から見まするとスズメの涙くらいのことしかしておらぬ。ところが一方においては、防衛費については年々膨大な繰り越しを認めて、そうしてきわめてルーズな行き方をしている。また農産物関係につきましては、農業災害補償法によりまして風水害、早害、冷害、雪害、さらに霜害あるいは病虫害、これら一切の損失について補填することになっておるのであります。それにもかかわらず、さらに減収加算までせられておるという状態であります。ところが商工業関係、これに対する行き方は非常に薄い、特に中小企業に対しては薄い。ことに私が遺憾に思いますることは、中小企業自身がいかに健全なる経営をしておりましても、大企業の不始末から、相当まとまった不渡り手形を抱かされるということになりますとたちまち倒産する。これは全く健全なる中小企業者が、大企業の不始末からくるその結果倒産するのでありまして、まさに一つの災害であります。この災害に対して、一種の保険制度、ただいまの信用保険制度を少し改善いたしまして、不渡り保険制度、これも大企業から下請等に渡された、しかも大口の不渡り手形によって健全なる中小企業者が倒れていくということだけを救うような保険制度、それすらない。こういう非常に日本の政治、ことに予算の上においてはアン・バランスがある。これは政治というものはバランスが必要であります。このバランスをとるのは総理大臣自身の私は責任だと思う。こういう予算のアン・バランス、政治のアン・バランスに対して、今後総理は一体どういう態度でいかれようと考えておられるか、この点特に総理からその確信を伺いたいと思いますると同時に、ただいまの健全なる中小企業が大企業の不渡り手形のためにとうとうとして倒れていく、これに対して保険制度を作る御意思があるかないか。農業共済保険制度等に対する関係において、そういうお考えを持っておるかどうかということを、大蔵、通産両大臣に伺いたいのであります。まず総理から、全体的なバランス調整について。
  50. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お説を聞いておりますと、ごもっとものように思いますけれども、私にはよくわかりませんから、大蔵大臣から答弁いたさせます。
  51. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私は総理大臣自身がかような経済問題、大きな基本的な問題について総理大臣自身が深く関心を持たれ、そうしてその基本方針については堂々と所見を発表せられるようでないから、私は日本の国は絶対よくならぬと思う。その点今後特に御注意を願いたい。
  52. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 承知いたしました。
  53. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申します。お説のようにバランスをとる政治をせなければならんとかいうことは、それはもう私は申すまでもないと思います。ただ、今御指摘の、農業の方にいろいろと補償的な制度があるじゃないか、それで中小企業にも持たせたいという御意見でありましたが、これはしかし農業の方を引き合いにお出しになるのは、ちょっと農業の方は御迷惑をするかと思うのであります。この農業の方は、私が申し上げるまでもありませんが、大体災害というものに対して、農家が安心して食糧の増産をする、またしていただくという趣旨からそういう制度ができておりまして、これは原因が農家の責めに帰し得ない、主として天候の関係からくるということ、これに対して補償的な制度がある。こういうことで中小企業につきましては、むろん日本の経済機構の中におきまして中小企業のお苦しいお立場はいろいろ私はあると思う。従いましてそれにつきまして適切な措置を考えていくべきは当然であります。それで今大企業からもたらされる不渡り手形についてどうする、こういうことも十分考えなければなりませんが、これがすぐ保険制度というものでいいかどうか、これはむしろ私は、大企業自体に大きな責めがあるのじゃないか。それを保険制度ですることがいいか、こういうことはもう少し私は本質的に考えなければならぬので、これは中小企業に対する全体的な施策として考えていきたい。  私は特に一番中小企業について従来から金融的に見ても困っておりましたのは、中小企業については非常に金融問題がむずかしい。第一中小企業の範囲が非常にむずかしい点もあります。まあ私が率直に考えるのは、中小企業については何としてもその製品がふえる、マーケットの関係において中小企業の問題を解決していくのが一番私はいいと思います。これは結局大企業との関係をどうするかというところにもある。あるいは問屋制度というものを考える必要がないのかとかいうようなことがいろいろありますので、十分お説を検討いたしまして、趣旨に沿うような施策を今後やって行きたいと存じます。
  54. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お説のように不渡りの問題は実際困ったことでありまして政府におきましても、この問題を研究いたしております。しかし補償制度を行うこと、そういうことは考えておりますが、技術的に相当困難な点がありますので、それを目下検討をしておるような次第であります。実際に起りました不渡りに対しては、商工中金等より融資をしています。そうして買い戻しの金を出して、とにかく一応中小企業者がそのために不信用に陥るということだけは防止をしているような次第であります。
  55. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 海外との輸出取引におきましては、海外から支払いをしてもらえない、あちらに倒産が起きたというような場合には、輸出保険制度というものでちゃんと保険金が支払われ、それによって一時救われるような行き方ができておるのであります。こういう制度とのバランスから見ましても、日ごろ極めて堅実なる経営をしているところの中小企業者が大口の不渡り手形によって倒れんでもいいものが倒れるという場合には、日ごろから大事をとって保険料を支払っておいたものだけは、少くとも助かるというような制度を作ることは、私は当然だと思います。そういう点において今後真剣に大蔵、通産両省で御研究下さることを希望して、私はもう時間がないようでありますから、これをもって質問を終ります。
  56. 小林孝平

    ○小林孝平君 外務大臣はもうどのくらいでおいでになりますか。
  57. 館哲二

    委員長館哲二君) もう間もなくこちらへ出席されると思います。
  58. 小林孝平

    ○小林孝平君 最初にただいま自由党は公債発行を中心とした予算の組みかえ案を作りまして、民主党と交渉中であると聞いております。そこでこれはただいま交渉中でございますから、こまかいことをお尋ねしようとは思いませんけれども暫定予算審議に非常に関係がございますので、一点だけお尋ねいたしたいと思います。  政府はこの暫定予算はデフレ地固めを前提として組んだものということをしばしば説明されておるのであります。ところがただいまの自由党のこの組みかえ案では、公債発行をてことして、直ちに拡大均衡に持って行こうとしておる様子であります。これは非常に重要な問題であると思いますので、後ほど大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、この自由党の組みかえ案に対しまして、総理大臣はどういうふうにお考えになっておるかという点をお尋ねいたします。
  59. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 新聞に出ておるような自由党の主張には応じられないというように考えております。
  60. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういたしますと、この自由党との、新聞にただいま出ておる点については応じられない、こうおっしゃいましたけれどもそれが今後多少緩和されまして、しかしその内容はあくまでも公債発行を内容とするものである場合にも、やはり応じられないのでありますか、どうですか。
  61. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) おっしゃる通りであります。公債発行には断じて応じられないと思っております。
  62. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういたしますと、今後、本日の新聞を見ますと、自由党と民主党はそれぞれ交渉委員を出して、この組みかえ案について交渉をやるということでございますけれども、実質上はこの交渉の余地はないものと考えて差しつかえございませんか。
  63. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私の方では、ただいまの公債発行の点については断じて応じられないし、また一兆円のワクというのも堅持をいたします。その他の点において妥協ができれば非常に望ましいことであると思っております。
  64. 小林孝平

    ○小林孝平君 これは非常に重要な点でございますので、くどいようでございますが、そういたしますと今後どうしてもいろいろの折衝の結果、ある程度自由党の公債発行を内容とする修正に応ずるようなことがありますれば、首相は絶対ないとおっしゃっておるのでありますが、そういうことがあるとすれば、総理大臣はどういう責任をお取りになるのかお伺いいたします。
  65. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はそういうことに反対であります。(「だからどうする」と呼ぶ者あり)
  66. 小林孝平

    ○小林孝平君 あくまでも自由党がこれを強硬にこの交渉委員に持ち込んで来て、民主党に要求いたしましたら、総理大臣はどういうふうにおやりになるのですか。
  67. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) たびたびそういう際においての決意を質問を受けますけれども、そういう場合、すなわち予算が通らないというような場合には、そのときにおいて決心をするよりいたし方ありません。あらかじめただいま申すわけには参りません。
  68. 小林孝平

    ○小林孝平君 重複するようでございまするけれども予算が通らない場合と今おっしゃいましたけれども、私のお尋ねしておるのは、公債発行を内容とする修正を強硬に申し入れをされた場合の点を特にお尋ねいたしておるのであります。そういう点はどうでありますかということをお尋ねいたしております。
  69. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 公債発行の趣旨には賛成ができないのであります。
  70. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連質問……。ただいま自由党との間に代表をあげて予算の修正について話し合いが進められておるようでありまするが、総理といたしましては自由党の修正に、ある程度のものであれば応じてもいいんだ、こういうことを前提にしておるのでなければ、交渉を進めても無理だと思うのでありまするが、そういう考えをもってつまり修正に応ずる、こういう用意があって交渉に応じておるのでありまするか、それともそうでない何か基本的な態度があって、ただ単に交渉をやってみる程度のものだという程度なのか、どちらなんですか。
  71. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自由党がいかなる点を要求するかについて聞いた後でなければ御返事はできませんが、ただいま小林君の質問のように公債発行を是認するかどうかというような具体的の御質問であるならば、それには私どもは応じきれないという返事ができるのでありますが、どういう条件を出すかわからない前に、自由党の要求には応ずるというような概括的のお話はできないのであります。
  72. 小林孝平

    ○小林孝平君 総理は自由党の公債発行を内容とする一切の修正には応じがたいという点をはっきり明言されたので、私は総理に対してはこれで答弁は満足いたします。  大蔵大臣に対してお尋ねいたしますが、大蔵大臣も当然そういうふうにお考えになると思いますが、お伺いいたします。
  73. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろんでございます。
  74. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は大蔵大臣に特に申し上げておきますが、あなたは富士山八合目ミルク一ばいということをおっしゃっておりましたが、この自由党の公債発行を内容とする修正を仮に民主党がのむということになりますれば、この予算の編成方針は根本的に崩壊すると同時に、民主党の公約はこれはめちゃくちゃになると思うのです。これは予算審議中に、大蔵大臣の言われるミルクがどぶろくに変るようなものだと思うのですが、私はそういうことはないだろうということを確信いたしまして、この質問を終りまして、次に移ります。  本日の新聞によりますと余剰農産物の仮協定が調印されたようでございますが、これについて二、三お尋ねをいたします。国会のまだ批准がこれはないのであります。ところが政府は今回の仮協定で、さっそく余剰農産物の買付を始めるということが伝えられておりますが、本当でありますか。(「答弁答弁」「総理大臣答弁」と呼ぶ者あり)
  75. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  この余剰農産物の協定のものを直ちに買付するということではないのでございまして、御承知通り米麦いずれも余剰農産物に関係なしに、たとえば米で申しますると約二十万トンくらいのものを買うことにいたしたのであります。これを正式に国会の承認を得ましたならば、あとで振りかえるという場合はありまするけれども、今買っておりますものは一般の買付の分として買っておるのでございます。
  76. 小林孝平

    ○小林孝平君 この協定の裏に秘密協定というような性格のものがあるかないかお伺いいたします。
  77. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 秘密協定などは全然ございません。さように御了承いただきたいと思います。
  78. 小林孝平

    ○小林孝平君 この余剰農産物の買付は今年限りのものでございますか。あるいは今後続くものでございますか。
  79. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  これは今後買うということの責任もありません。しかしよければ今後引き続いてやる考えております。まだそれはよく検討してからきめたいと思います。
  80. 小林孝平

    ○小林孝平君 よければというのはどういうことなんですか。よければというのは……。
  81. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  それは日本の国のために有利であるという点を意味しております。
  82. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういう抽象的なことでは困ります。すべて国のためによいと思ってやっておるのです。具体的に国のためによいというのはどういうことなんですか。
  83. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 農産物を買い入れても日本の農業に大きな影響がない。また、それによって長期の資金が得られるとか、いろいろな方面から考慮いたしましてこれが国家のためにいいと、不利だというならやめますが、有利だというならば、これは継続いたしたいと思います。
  84. 小林孝平

    ○小林孝平君 その程度のことなら、ただいまでも今年は有利だと思っておやりになったのだから、来年はやはり有利だとお考えになるのですか。
  85. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その点はよく検討いたしましてきめたいと思っております。
  86. 小林孝平

    ○小林孝平君 よく検討すると言ったって、こんなことはもう初めからわかっているじゃありませんか。こういうものが日本の農業に影響を与えるかどうかというようなことは、一年限りではわからないのですか。こんなことは一年間も前からやっているのですから十分おわかりだと思うのです。国のためになるのかならぬのか。日本の農業にどういう影響があるのかということを具体的に御説明願います。
  87. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体その影響するところは農産物の関係に影響して参ります。で、農産物の関係といたしましては、今後一両年は続けて行っても差しつかえない。またそれによって計画いたしておりまする各種の土木事業は、ぜひこれを資金にしてやって参りたいということに考えております。
  88. 小林孝平

    ○小林孝平君 そうしますとアメリカは今農産物が余って困っておりまして、大体三カ年に十億ドルを売りたがっておる様子であります。従ってそれと相対応しまして、日本は大体今後三年間くらいはこれを継続するつもりでございますか。
  89. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ちょっとつけ加えて申し上げておきたいと思うのでありますが、私たちの方は向うが余っておるとか余っていないとかということではないのでございまして、余っておるからぜひこっちは買ってやろうとか買ってやらないとかということじゃないのでございます。これは御承知通り価格は国際市場価格で買う。数量については日本の国内の自給の関係を見た上でやるということにいたしておりますから、今の見通しといたしましては、またわれわれが計画いたしておりまする愛知用水の関係等、その他北海道の開発等に大体三年くらいは、特別の事情が起らない限りやった方がいいんじゃないか。私の観測ではそう思っております。
  90. 秋山長造

    秋山長造君 関連……。ただいまの農林大臣の御答弁では、今後少くとも数年間くらいはこれを続けてやってもよろしい。むしろやった方がよろしいというくらいな非常に積極的なお考えを持っておられる。ところが経済計画の総元締めをあずかっておられる経審長官の方はそうではなしに、ことし輸入するのも大体日本の国のためにいいかどうかわからんけれども、とにかく入れてからよく検討してみて、あらためて次の年度からのことを考えるというような、きわめてこれは非計画的な確信のない御答弁なんです。むしろ私は農林大臣と経審長官とお二人そこに並んでおられれば、経審長官の方は今後の二年なり三年なり先までの見通しをもっとはっきり御答弁なすってしかるべきだと思うのです。で、この問題と経済六カ年計画との関係はどういうことになっておるか、この際はっきり御説明願いたい。
  91. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  本年、今回契約いたしましたものは、これは日本のために有利だ、かくあることが必要だと、こう存じております。で、明年以後のことにつきましては、どれくらいの数量を持って来るか。それからこれをもっとふやすとか、もっと減すとかそういったふうな問題は、日本の農産物の問題もありましょうし、いろいろな点もありましょうが、今河野農林大臣が言われたことを大体基本といたしまして、明年及びさ来年もこれはある程度持って来ることがいいだろうと、こう思っております。
  92. 秋山長造

    秋山長造君 六カ年計画については。
  93. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六カ年計画につきましては、これは何べんも私申し上げました通り、六カ年計画というものは六年後の計画のめどを示したものでありまして、その計画の樹立というものは、過去の実績とそのときの場合によりまして逐次変更いたさねばならぬわけでございますから、それで今ここに六カ年計画で六年先は農産物はこれだけ輸入するのだというふうなことは言えないのです。言えないのが私はほんとうだと存じます。さよう御了承願いたいと思います。
  94. 小林孝平

    ○小林孝平君 この点は後ほどお尋ねいたします。非常に御答弁が今秋山君の指摘いたしましたようにあいまいだと思うのです。こん血ことはあらかじめ来年も入れるか、さ来年はどうかというくらいのことはわかっておってしかるべきだと思いますが、その点はやめまして次にお尋ねいたします。  日本の外貨事情いかんでは月払いができるようにこのただし書きがついておるようでございすが、この外貨事情いかんというのは一体どういうことなんですか。具体的に御説明を願いたいと思います。(「答弁々々」「答弁する者がいないのか」と呼ぶ者あり)
  95. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  大体この契約によりますというと、三年間据え置きまして、そして四十年払いで払うことになっております。一年間に払います金額は大体金利を入れまして二百万ドルから二百五、六十万ドルで足りると思います。そのときに日本の外貨事情が悪かったという場合には、これは円で払ってもいいこういうわけでございますが、外貨が悪いということはその当時における日本のドルのバランスが悪いということを意味するわけであります。
  96. 小林孝平

    ○小林孝平君 具体的にもっと、これは非常に問題になった点なんです。あなたが今最初に御説明になったようなことは私は知っておるのです。お聞きしたいのは、その最後の具体的に外貨事情のいかんによっては、このいかんというのはどういうことなんですか。これが非常に問題になったのですから、具体的にどういう折衝をされて、どういうときは円払いでいいということになったのか、お尋ねいたしたい。そんな抽象的なことならそんな問題にならぬのです。
  97. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この交渉の経過からちよつと申し上げますとわかると思いますが、交渉の経過は……。
  98. 小林孝平

    ○小林孝平君 時間の関係がございますから、私は交渉の経過は大体知っていますから、今の具体的に外貨事情のいかんというその点についてのお答えを明確にお願いいたしたいと思います。
  99. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 外貨払いいかんということは、その当時における日本の外貨のドルが少かった、ドルのバランスをとる上におきまのてドルで払った方が有利か、あるいはドルのバランスの上において円で払った方が有利か、それはどちらでもいい、こちらの状況によって払えると、こういうふうにきめております。
  100. 小林孝平

    ○小林孝平君 これはあれですか、日本の都合によって勝手にやっていいのですか。日本が今は都合が悪いから円で払う、今はいいからドルで払う、これは今の経審長官お話だと、一方的にきめられるものですか。
  101. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。これは日本の都合で一方的にきめられることになっております。
  102. 小林孝平

    ○小林孝平君 私はどうも今の説明は怪しいと思いますが、先ほどからの御答弁では、内容もよく御存じでなくて、そういうことでいいかどうか、怪しいと思いますが、またいずれこれはあらためてお尋ねいたします。  そこで余剰農産物は日本の通常輸入量のワク外ということでありますが、これはほんとうでございますか。
  103. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) アメリカ関係において通常輸入量ということでございます。そのワク外でございます。
  104. 小林孝平

    ○小林孝平君 それならば、その通常輸入量とは一体どのくらいになっておりますか。
  105. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 通常輸入量は過去三カ年の実績をとりまして、小麦につきましては七十五万トン、大麦二十万トン、米二十万トン、これが通常輸入量でございます。
  106. 小林孝平

    ○小林孝平君 綿花、たばこはどうなんですか。
  107. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 綿花は七十七万五千俵でございます。たばこはちょっと数字がわかりません。
  108. 小林孝平

    ○小林孝平君 そこでこの通常輸入量のワク外ということが非常にこれは問題になって、日本に米を輸出いたしますビルマ、タイ等で非に問題になっておるようでございます。先般のアジア・アフリカ会議におきましてもこの問題が論議されたようでございますが、この通常輸入量のワク外で輸入するということは今後そういう国々を刺激しないかどうかという点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  109. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り、タイ、ビルマからなるべく買う方がよろしいのでございますけれども、タイ、ビルマの米につきましては、われわれの方といたしましては、いろいろ条件をつけて、御承知通り黄変米の危険のあるとかいうその他砕け米の関係でありますとか、というようなことにいろいろ条件をつけております。そして最善を期することにいたしております。しかし何分米の質がわが国の内地の食糧の上から申しますと、必ずしも妥当でございません。そういう関係がありまするが、アメリカの米は御承知通りカ州米の非常に上等なものでございます。これは準内地米として扱えるものでございますからわれわれはそれらの点も勘案いたしまして、まあこれをワク外でふやしてもその方がよかろうと、こういうふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  110. 小林孝平

    ○小林孝平君 今の御答弁では非常にこれは問題になるだろうと思う。農林大臣のそういうような御答弁が非常にこれらのビルマあるいはタイあるいは濠州等の諸国を刺激いたしまして非常に心配いたしておるのです。そういうふうにビルマの米あるいはタイの米が品質が悪いからこれをアメリカに振りかえるということになればこれは非常に影響が大きく、先ほど申し上げたように、アジア・アフリカ会議においてもこれが議題になって非常に論議されたことを聞いております。そういう点は農林大臣は差しつかえないのだ、どこの米でもよいものがよけい入ればそれでいいのだというお考えなんですか。
  111. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私はわが国の食糧問題を担当いたします立場からいたしまして、かたがた食管会計の赤字を出さないようにいたしまする関係等からいたしまして、私の考えといたしましては、これも関連いたしておりまするから申し上げまが、朝鮮米の輸入につきましても、朝鮮からぜひ米を買った方がよろしいという国際関係のいろいろの要請もあります。ありますが、今朝鮮から米をぜひ売りたい、値段は百八十五ドルで売りたいという切なる要望がありますし、また米質その他についてはぜひ買った方がよろしいと考えておりますが、これは値段で折り合いません。価格と品質ということは最も重要に考えて私は処理していかなければならぬと思います。ただし今御指摘になりましたような通商関係でありますとか、国際関係でありますとかというような点は、それぞれ外務大臣、通産大臣からいろいろ御示唆があることと思いますが、それらと十分連絡協調を保ってそうして善処して参りたい。それらといろいろ話し合った上でこういう手段に出たわけであります。
  112. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういたしますと、そういうことを考慮してやるということになれば、いろいろ通商関係その他の関係でビルマ、タイの米も減らすわけにいかない。そうしてしかも、この輸入量は通常輸入量のワク外だということであれば、これは当然日本の農業を圧迫することになるだろうと思う。農林大臣は日本の農業を圧迫をしてもこの余剰、アメリカの余った農産物を入れることは必要だと考えておられるのですか。先ほど農林大臣は、この余剰農産物は何もわれわれが余剰と、こちらが余剰だとかどうだとかということを考えてないというのを、現にこれは余剰農産物買入協定ということではっきりアメリカが始末に困って日本に売りつけておるのです。
  113. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。今申し上げました通りに、第一に内地の農産物との関係、農業生産との関係、これは絶対問題であります。そこで足りるか足りないかということで輸入量がきまるわけであります。輸入量のワク内においてどういう米を買ってくるか、幾らで買ってくるかということでございまして、それをそこまで飛躍してこれをタイの米を買わなければならぬために内地の農産物を圧迫してよろしいということにはならぬ、こう私は思うのであります。輸入量を幾らに押えるか、米ならば百三十万トン必要か、百五十万トン必要かということはその年の収穫量と見合って決定いたします。そのワク内においてタイの米を買うか、ビルマのを買うか、アメリカのを買うかということをきめます。その絶対の必要量から申しまして、今後両三年間は大体買ってもよろしいのじゃないか、米質がよろしい、値段も比較的安いのでよろしいのじゃないか、私は少し早まった答弁をしたかもしれませんが、そこを経審長官は慎重に考えられて、年々のその数字によってということで慎重に考えられたかと思うのでございます。そういう意味でございますから、決してこれは余剰農産物を買うということがわが国の内地の農産物と全然関係ない。この点は絶対でございますから、誤解のないように御理解願いたいと思います。
  114. 小林孝平

    ○小林孝平君 次に駐留軍の犯罪について首相にお尋ねをいたします。首相は施政方針演説の中で、自主外交を非常に強調されておったようであります。そこでこれに関連いたしましてお尋ねいたしたいのでありますけれども、ただいま日本に駐留いたしておりますアメリカ軍の犯罪、すなわち窃盗、強盗、あるいは強姦、こういう犯罪行為は依然として跡を断たないのであります。この実情については後ほど法務大臣から御答弁を願いますが、これらは現実にはうやむやになって、みんな日本人は泣き寝入りになっておるのであります。それでこういうような事態は一部の良心的な裁判官の正義感だけに頼っておるわけに参らぬと思うのであります。その結果は今のようなうやむやになっておるのであります。そこでこれは全国民がその気になって、これを解決しなければならぬと思うのであります。そこで私は鳩山総理大臣にお尋ねいたしますけれども、自主外交を叫んでおられます首相は、米国に対して軍紀の厳重なる粛正を要請される意思があるかないかということをお尋ねいたします。
  115. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府といたしましては、従来もできるだけ機会をとらえて軍紀の粛正を要望して参りましたが、今後とも必要に応じて善処をして参ることはもちろんでございます。
  116. 小林孝平

    ○小林孝平君 法務大臣にお尋ねいたしますが、最近までにおける米軍の犯罪——窃盗、強盗、婦女暴行等の犯罪がどれくらいあるのか、種類別に件数をお知らせ願いたいと思います。なおこれは起訴処分になった者はどうか、それから不起訴処分になった者はどうか、そしてその処分状況を具体的にお尋ねいたします。
  117. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) お答えいたします。一昨年十月二十九日、日米行政協定第十七条が改正されまして以降、本年三月三十一日までの間全国検察庁が受理いたしました駐留軍要員等の被疑者総数は九千七百三十九名、うち九千四百十六名が合衆国軍隊要員、三百二十三名が国連軍軍隊要員であります。これをさらに罪種別に区別をいたしてみますると、一般刑法にありましては、業務上過失致死傷の千六百九十二名、うち四十二名が国連関係、その他は合衆国軍隊関係でございます。傷害が千二百二十名、うち六十名が国連関係。窃盗の千八名、うち六十名が国連関係。暴行の七百四十五名、うち五十七名が国連関係。器物毀棄の五百三十四名、うち十名が国連関係。詐欺の四百八十六名、うち二十一名が国連関係。強盗及び強盗致死傷の二百八十八名、うち二十一名が国連関係。その他住居侵入、公務執行妨害、強姦、恐喝等の順序と相なっております。特別法犯にありましては、道路交通取締法違反の二千八百四十七名、うち十二名の国連関係を筆頭といたしまして、銃砲刀剣類等所持取締令違反の百七十四名、うち八名が国連関係。麻薬取締法違反の三十三名は全員合衆国軍隊関係。その他、外国為替管理関係法違反、関税法違反、覚せい剤取締法違反等の順序に相なっております。検察庁といたしましては、日米行政協定並びに国連軍軍隊の地位に関する協定等の定めるところに従いまして、厳正な態度をもってこれら駐留軍要員の犯罪の処理に当って参っておるのでございます。ただいま申しました被疑者総数九千七百三十九名のうち、わが方において起訴したものが二百十五名、うち十名が国連関係であり、そのうち百八十三名、うち八名が国連関係で第一審で有罪の判決を受けまして、その大部分はすでに確定をいたしておる次第でございます。このように申しますると、駐留軍犯罪の起訴率は低いように見えるのでありまするが、わが方で犯罪の成立を認めながら起訴猶予処分に付したものは五千七百八十二名でありまして、それらの犯罪はいずれも偶発的で被害も少く、さらにまた被害も弁償されており、わが国の一般犯罪の処理方針と同様に四囲の事情を勘案いたしまして、そうして起訴猶予に付しておるような次第でございまして、その取扱いはやはり法の前には平等であらねばならぬという立場から、たとい外国人でありましても、わが国民と同様に処置をいたしてきておると申し上げてよろしいと思うのであります。
  118. 小林孝平

    ○小林孝平君 今御報告になったように非常に件数が多く、しかもその取扱いは日本人と同様とおっしゃっておりますけれども、実際は大臣がみずから不起訴処分になった数字が低いようであるが、と認められたようにうやむやになっておる場合が非常に多いのです。この問題については良心的な裁判官は非常に歯がゆいような思いをされておるのです。こういう状態にあるにもかかわらず、今の御答弁ではこれで十分だ、こういうようなお話でありますけれども大臣はそういうふうにお考えになっておりますか。
  119. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) お答え申し上げます。ただいまも申し上げましたように、外国人であるからというて、特段なる取扱いをいたしますことは、これは法の許さざるところでございまするので、従いまして法規に照らして外国人であろうが、内地人であろうが、やはり平等に法律の命ずるところによって適正に処理をいたしておりまするので、決してへんぱな処置をしておりませんと申し上げてよろしいと存じます。しかしながら、もし妥当を欠く処置ありとお認めになりまするような事項でもありますならば具体的におっしゃっていただきますれば、またそれを調べまして、しかるべく処置いたしますることは、あえてちょうちょ逡巡するものではございません。
  120. 小林孝平

    ○小林孝平君 大臣の御答弁は、それは事務当局の御答弁です。今国民はこの米軍の犯罪に対して、それがうやむやになっておるというので非常にやかましいんです。またこれが一つの反米思想を醸成する原因にもなっておるんです。そこで私はそれを心配してこういう問題で、そういう反米思想が国内にびまんしては、これは困るんじゃないかというのでお尋ねしておるのです。ところが法の前には平等である、そんなことは当然ですよ、当然なことがなっておらないからお尋ねしておる。あなたはそういうことで満足しておるのかということをお尋ねしておるのに、そういうしゃくし定木な事務当局の説明のようなことを言わわれても、答弁にならぬと思うのです、大臣としての。しかしこれ以上……。
  121. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 関連して。ただいまの御報告によりますと、短期間の間に九千七百人という数があげられ、しかもこれは駐留軍の総数との比較においては、犯罪率としては非常に高い犯罪率ではないかと思うんですが、こういうことが駐留軍によってなされていることは非常に遺憾であります。総理大臣はそのつど適当に話し合いをしておるというお話しでございましたが、こういうふうに一応三月三十一日を限って一括して考えてみると、非常に高い犯罪率であるので、これに対して特段の注意を喚起し、あるいは抗議をするというような必要があると思うのでありますが、総理大臣はどういうふうにお考えになるか。さらに外務大臣ば今あげられたような件数についてどういう折衝をなされたか、あるいは今後どうこれに措置をしようとしておられるか、その点をおのおのから御説明願います。
  122. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私もただいま答弁を聞いておりまして、非常に件数の多いのに驚いている一人であります。どうにかしてこういうような問題が、軍紀が粛正せられて、こういうような忌むべき事件が起らないように、できるだけの善処をして参りたいと思っております。
  123. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 私も今総理大臣のお気持の通り考えております。これらの犯罪の一々につきましては、御承知通りにいろいろ行政協定の細目その他によって、犯罪そのものにつきまして、その犯罪者との、間に警察当局が一々事件について処理すべき問題だと思います。それは処理いたしておることは、ただいま法務大臣お話しの通りであります。しかしお話しの通りに、かようなことがややともすると反米思想のもとになるのでありますから、これは米軍に対しては、かようなことについては十分の反省を促して、少しでもそういうようなことのないように協力を促さなければならぬと思うのであります。しかしてかような考え方でもって米国側には常に連絡をとっておるということを申し上げます。しかし、それにもかかわらず今のような数字が出たわけでありますから、これについても双方の間に協力をさらに進めていって、さような数字が少しでも減少するように一つ、一そうの努力をいたしたいと、こういうことを申し上げます。
  124. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 総理大臣、外務大臣から言明あったのでござまいすから、遅滞なく措置をしていただいて、その措置をさらに直ちに本委員会に御報告を願いたい。この際特に要求いたします。
  125. 花村四郎

    国務大臣(花村四郎君) 小林委員に対する御質問に対して補足をいたしておきたいと思いますが、小林委員のおっしやられたことの一部もよく聞いておるのでありますが、そこで国民感情を十分考慮のうちに入れて、そうしてわが方と米国側における刑事裁判権分科委員会という委員会がございまするが、その委員会を数次開催いたしまして、そうしてわが方としても相当に必要欠くべからざる申し入ればそのつどいたしておりますので、その点を御了承願いとうございます。
  126. 小林孝平

    ○小林孝平君 先ほど法務大臣から御説明がありました犯罪件数処理状況は、印刷物にして御提出願いたいと思います。  次に、私は米価の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。減収加算は、政局を大きくゆさぶりまして、これは実質的には明らかに予算の修正だと私は思うのです。予算修正第一号だと思いますが、政府はそういうふうにお考えになりますかどうかお尋ねします。
  127. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。さように存じません。
  128. 小林孝平

    ○小林孝平君 どっちなんですか、ちょっとよく聞こえなかった。
  129. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 減収加算の問題、これは予算の修正とは考えておりません。
  130. 小林孝平

    ○小林孝平君 どうして……。実質的な予算の修正ではございませんか、三十三億円というこの金を新たに出すのですから、予算の実質的な修正……。
  131. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。御承知通り食管特別会計の性質から考えまして、私はたびたび……、この機会には申し上げませんでしたが、別の機会に申し上げております通りに、従来の慣行によって行われておるのでございまして、これも御承知のことと思いますが、昭和二十九年産米の今一部はまだ買い入れ中であります。従いましてこれはすでに過去におきましても、こういうことがあるのでございまして、それの通りに運用して参る、こういうことでございますから、ただいま大蔵大臣お答えした通り考えております。
  132. 小林孝平

    ○小林孝平君 私はそういう事務的なことをお尋ねしているわけじゃない、こういう三十三億円という膨大な金が新たに支払われる、政府は初め頑強にこれに反対されたが、ついに払わざるを得なくなった。こういう事態は明らかに予算の実質上の修正ではないか。そういう食管特別会計の操作の技術的な問題をお尋ねしているのではなくて、政治的の問題としてこれは明らかに予算の修正である、こう思いますからお尋ねしているのです。大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。
  133. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。食管会計の予算のワク内においてその実行上この財源を調達いたすわけでありますから、修正にならないと考えます。
  134. 小林孝平

    ○小林孝平君 非常に事務的な……。そんならこれは一般会計から出すということになれば、この予算の修正だ、こういうふうにお考えになるのですか。
  135. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。一般会計からは繰り入れはしないのであります。
  136. 小林孝平

    ○小林孝平君 もし一般会計から繰り入れされるということであれば、これは予算の実質上の修正だとお考えになるのかどうかという点をお尋ねしたい。
  137. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 一つの問題として、具体的な問題なくして考えれば、一般会計から繰り入れをすれば修正になると思います。
  138. 小林孝平

    ○小林孝平君 これは一般会計から出せば、それは事務的にも予算の修正である。私はそうではなく実質的に一般会計から三十三億というものを出せば予算の修正であるということでありまするから、これは一般会計から出すか、あるいは食管特別会計から出すかということで問題になったのでありまするけれども、実質上にこういう金が食管特別会計から新たに支出をされるということになったら、これは予算の修正である、政治的にそういうふうに考えてしかるべきだと思うのです。私はこんなことを尋ねる必要がないかもしれないけれども、念のために尋ねているのです。
  139. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま申しましたように、赤が出ると考えていないのであります。
  140. 小林孝平

    ○小林孝平君 赤が出るとか出ないとかの問題ではないのです。こういう支出を新たにすればそれは実質上の予算の修正ではないか、政治的にそういうことになるのではないかということをお尋ねしているわけです。私は事務的な手続をお尋ねしているわけではありません。
  141. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はならぬと考えております。
  142. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連質問……。それでは当初、本予算を提案するときには、大蔵大臣は減収加算の問題の三十数億、これの支出を予定しておったか、予定していなかったか、どっちなんですか。
  143. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は今の御質問の点につきましては、農林大臣と相談を重ねておったわけであります。
  144. 永岡光治

    ○永岡光治君 相談を重ねてどういうことになっておったのですか。
  145. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はこの財政当局といたしましては、今回は減収加算をがまんしてほしい、こういう見解を持っていたことは事実であります。
  146. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは本予算、三十年度予算提出する際には大蔵大臣は出さない、こういう考えでおった、こういうことに理解できるのでありますが、そうすると今後それを出すということになれば、私はやはり予算が変ってくると思うのですが、これはどうなんですか。それでも当初の方針は変らないとおっしゃっておるのですか。
  147. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) たびたびお答えしますが、出さぬとは……私はがまんをしてほしい、こういう態度であります。
  148. 小林孝平

    ○小林孝平君 そのがまんをしてほしいということは出さぬということなんです。こんな、大蔵大臣も……、私はそういう事務的のことをさっきからお尋ねしているわけではないのです。政治的にこれは明らかに三十三億という膨大な金が新たに支出されるのだから、これは予算の修正ではないか、こういうことをお尋ねしているわけです。事務的にこれを追及するなら、まだ幾らもあるのですが、そういうことをお尋ねしてもむだだから、政治的にどういうふうにお考えになるかということをお尋ねしているわけです。そういうことをお答え願いたい。
  149. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……。農林大臣にお伺いしたいのですが、減収加算を本予算から出す場合に、農林省のどういう項目から出すわけですか。
  150. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。一般会計から出しません。
  151. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 かりに出す場合に。
  152. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 出す場合はございません。これは米価でございますから、減収加算は米価でございまして、米の値段でございますから、食管会計以外からは出すことはできないのです。
  153. 小林孝平

    ○小林孝平君 私の質問について一つ……。
  154. 館哲二

    委員長館哲二君) 大蔵大臣から御答弁ありませんか。……小林君もう一度御発言願いたい。
  155. 小林孝平

    ○小林孝平君 事務的なことはともかくとして、この三十三億という金を大蔵大臣はがまんしてくれと言うのは、出さないということなんです。その後も非常にこれが問題になった経過から見ても明らかなんです。それでこういうものを出さざるを得なくなった。こういう点は明らかに実質上の……、私は事務的なものじゃないと思う、実質上の予算の修正ではないか、こういうことをお尋ねしているのです。こういう点はこれは予算の修正でないというようなことになれば、予算審議などはこれはどうでもいいということなんです。そこでお尋ねしているのです。
  156. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど農林大臣からも答弁がありましたように、減収加算はこれは米価であります。従いまして米価買入代金からこれを支出するということでありまして、これは狂いを生じない。
  157. 小林孝平

    ○小林孝平君 私の質問一つ答えていただきたい。答えられないなら答えられないと、それでいいのです。だからその食管特別会計から出すくらいのことは、よくわかっているのです。そこでその食管特別会計の中で操作をやる、とにかく農民に三十三億という膨大な経費を払うことになったことは、明らかに予算の修正ではないかと、こういうことをお尋ねしているのです。もし都合が悪くて答えられないということになれば、答えられないでよろしゅうございます。
  158. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はこれはあくまでも修正ではないと考えております。
  159. 小林孝平

    ○小林孝平君 これは明らかに修正でありますけれども、そういうふうに御答弁になりましたが、これはまたいずれ別の機会にやります。それで閣議決定によりますと、本予算が通過いたしましたあとに、減収加算のこの三十三億を支払うということになっておりますが、かりに六月中に通過いたしましたら、直接農民の手に金が渡るのはいつごろになりますか。
  160. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 六月中に、とにかく六月末にしろ、七月初めにしろ、予算が通過いたしますれば、すぐに農民に渡ります。
  161. 小林孝平

    ○小林孝平君 これはすぐというのをお聞きしたいのです。すぐすぐと言っても何カ月も延びますから、具体的に六月の末に通ったら、農民の手に渡るのはいつか。
  162. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは二カ月も三カ月もかかるのじゃないので、支払方法は従来の米価代金を支払う方法と同様のルートで同様に払うのでございますから、直ちに支払いができるわけであります。ただ計算に……、これは今から準備しておりますから、これは直ちに支払うということに御了解を得てけっこうであります。
  163. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連質問、ただいまの河野農林大臣の御答弁によりますと、予算が通過してから出す、こういうような御答弁になっておりますが、これは予算の成立と関係がありますが、ところが大蔵大臣はこの予算関係がない、食管特別会計だから予算の修正にならない……、一体どちらが本当なんですか。
  164. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 食管会計の米麦買入代金で支払をするのでございますから、米麦買入代金は御承知通り二十九年産米と三十年産米と両方買うようになっております。しかも食糧特別会計は一切の移用を許すということを認めるということになっておりますから、その中から支払いをする。で、これは御承知通り過去の例で申しますれば、バック・ペイというような制度もありまして、これは物価指数の変動によって九月ごろに支払いをするというもののごときでも、これは今総括的の予算を組んであるのでございまして、これはそういうふうに御了承をいただきたいのであります。
  165. 永岡光治

    ○永岡光治君 二十九年と三十年とを合わして移用することができれば、方針さえきまれば直ちにこれは支払っても差しつかえないという性質のものであると私は考えますがどうですか。この予算の成立と関係ないと考えておりますが、どうですか。
  166. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) この予算通りませんと、今の月々の暫定予算の中には操作をする金がございませんから、たとえば六月のうちにでもこの予算が成立いたしませんでも、六月の暫定予算が通過いたしますれば、たとえば麦の買入れがおくれるということになりますれば、そん中から金も出ますが、今御審議願っておりまする六月の暫定予算の中には、ここの説明書にもあります通り、できて参ります麦の買入代金その他緊急なものが入っておりますから、この中で操作は困難だ、こう考えております。
  167. 小林孝平

    ○小林孝平君 ちょっと問題がこれと違いますけれども、今農林大臣が七月になっても予算が通るようなことをおっしゃいましたのですけれども、きのう総理大臣は、六月中に本予算が通らなければ重大な決意をする、こういうことを繰り返しておっしゃっている。ところが同じ閣内の農林大臣は七月にでも予算が通るということを想定されているのですね。これは何かあれなんですか、そういうことがあるのですか。
  168. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは誤解があってはいけませんから明瞭に申し上げますが、私は私の立場上、予算をいつ通せ、いつ通さなければということは、これは総理大臣からお答えなさるべきことでありまして、私はそこまでお答え申し上げることはできませんから、六月末と想定はいたしております。しかしそこまでのお答えはできないわけです。ただ六月末もしくは七月になるかどうかわかりませんけれども、これは皆様方の御審議によることでございます。そこでそういうことを申し上げました。
  169. 小林孝平

    ○小林孝平君 これはあなた簡単に言われますけれども総理大臣がそう言われるから、最初から農民は六月に予算が通る、そうすれば直ちに金がいつ入る、こういうことを計算しておるのです。ところが農林大臣は、私は六月の末とこう言っておるのに、わざわざ六月の末かあるいは七月に通ったら、こうおっしゃったから私は申し上げておるのです。これはまあいいでしょう。そこで……。
  170. 湯山勇

    ○湯山勇君 関連して……。食管特別会計から出されるというお話ですが、先般本委員会へ出された食管特別会計の資料によれば、食管特別会計の不足分をインベントリー・ファイナンスでもって埋めていく、従って三十三億という金が出るような場所はないというような資料が出ておりましたが、どこから一体三十三億は出すわけですか。
  171. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 予算の説明書にもございますように、一応食管特別会計の予算は来年度の三十年度の米価についてみますれば、九千七百三十九円というようなことで、いずれも予算上の想定される米価で予算が組んであります。でございますから、これをいよいよ実施する場合には、米価は正式にいろいろな審議を経て決定するわけでございます。買上数量にいたしましても、二千三百五十万石と想定をいたして予算が組んであります。しかしこれも御承知通り、二十九年度の予算におきましては、二千六百万石買うことになっておりましたが、これをいよいよ買い上げを実施いたしましたならば、現在二千二百九十万石くらいになっております。そういうことで数字は非常に現実の米作、麦作等の実収によって変って参ります。一応の想定をいたして予算を組んでありますから、そこでこの予算をいよいよ実施する際にはこの予算にもあります通り、三百億の予備費がついておりますのも、これが増収になるか、減収になるか、価格が幾らになるかということを想定いたしまして、いよいよ現実に実行する場合は違って参る、これが食管会計の予算の組み方であり、従来もそういうふうにして予算が組んであります。実行予算との関係はそういう関連性を持っております。従いまして、こういう三十三億の金を支払います場合のことを考えましても、従来の慣行によりまして、これを変更せずして払ってやって参るということは、慣行でありますから、慣行に従ってこういうことをやって参りたい、そう考えております。
  172. 湯山勇

    ○湯山勇君 それで端的にお尋ねいたしますけれども予算の中からここに示されたものは、出す予定でないものが示されれた。それ以外に新たに三十三億という支出増が見込まれることになったわけですから、今の大臣の御説明によれば、予定と事実との相違ということを言われましたけれども、ケースとしては二つしか考えられない。一つは買上数量を減らすこと、いま一つは買上価格を低くすること、こういう二つしか考えられないのですが、そのいずれを大体見当づけておられるか。
  173. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘になりましたうちで、明確に御了承をいただいておきたいと思いますことは、内地米麦と外米麦とございます。そのうちの内地米麦につきましては、たとえば今すぐきめなければなりません麦の問題につきましては、これは大体買入価格は想定されておりまする通りまたやるべきものだと考えております。また内地米の価格につきましても、これによってしわ寄せばしないと、純然たる従来の慣行、従来のやり方によってやっていくんだと、これも当然でございます。買上数量につきましては、こういうことがあるから無理に買上数量を減すとかふやすとかいうことはすべきものではない、これも私は今年の出来秋のいかんによってきまるものであると、こう考えております。ただ努力によって可能であるものは、外米外麦の買上価格、ないしはまた内地米の収穫の増減、これらによって影響して参る、これらを努力によって埋めて参りたいと、こういうふうに考えております。
  174. 湯山勇

    ○湯山勇君 外米は見込みで……。
  175. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 外米は内地米の出来高によって違いますけれども、これは御承知通り去年の予算でもお聞きになればおわかりなります通り、二千六百万石の内地米の買い上げを想定して外米を買い、今年は二千三百五十万石を想定して外米の買入数量をきめております。そういうことでございますので、これはいずれも見込みになりますから、そういうことでこの予算の範囲内において想定して参る、こういうふうに考えております。
  176. 小林孝平

    ○小林孝平君 三十三億という金を、これは手品か何かのようにどこからでも出てくるようなお話でありますが。具体的に出るところは、今のようなお話でなく、出るところはこの外米、外麦の買入価格を低くするか、あるいは食管特別会計のうちの中間経費を削減するかのこの二つなんです。それをどこでそういうことが可能だとお考えになっておるのか、可能だとすれば、外米の値下りによってどれだけ、それから中間経費の削減についてどれだけという見通しがつかなければ、大蔵大臣から繰り入れを拒否されて、はい、そうですかというふうに河野農林大臣ともあろう者が引っ込まれるはずはないと思うのです。あなたはそういう見通しがついたからそういうふうによろしいということになったと思うのです。明確にここで、世界の食糧事情がどうなって、その結果過剰になっておるから、ビルマ、タイの米はこういうふうに下ってくる、それで幾ら、二十億なら二十億、中間経費はこれだけ十億削減するという見通しが当然あるだろうと思うのです。そこでその見通しをお尋ねしたい。   〔委員長退席、理事池田宇右衞門君着席〕
  177. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは御指摘になりましたように、見通しもしかも相手のあることで、世界の動きでございますので、最善の努力を払う、そしてそういうふうに何して参るということ以上にこのことは困難でございますから、お許しを願いたいと思います。
  178. 小林孝平

    ○小林孝平君 この食管特別会計から、その出すという経過を考えてみれば、この中で十分操作できるということで話し合いがきまっておやりになっておるのです。今後の情勢を見なければわからぬということではだめじゃないですか。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)それから大蔵大臣も食管特別会計の中でやれると、赤は出ないと、こういうふうにはっきり言われておる。どういう根拠でそういうことを言ったんです。これはほかの農林大臣ならいいのですが、河野農林大臣ともあろう者が、こんないいかげんなことで、はいさようですかということで引っ込まれるはずはないだろうと思うのです。よほど確信があっておやりになるだろうから、お尋ねしておるのです。
  179. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。御承知通りあくまでも予定であり予想でございます。しかしこれを今ここでどの費目からどれぐらい減るだろう、どれはどれくらい節約できると思うということを申し上げましても、いずれもこれらは相手のあることでございます。むろん食管の事務費等から節約をいたします。しかしこれも今までずいぶん節減いたしておることでございますから、私はこれらについては確信を持っておりません。しかしたとえば非常に大きな数字を扱うことでございますから、その中でいろいろな費目において合理化をしていく上において減る分もあればふえる分もあると思います。これはいずれも従来の慣行に従いまして、その中の努力によって可能であるという見通しを立てまして、私はこういう方法でやっていけるということでございまして、これを御承知通り、この費目で幾ら、この費目で幾らということを明示せよとおっしゃいましても、相手と打ち合せまして、それではお前の方で幾ら減してくれるか、お前の方で幾ら減してくれるか、協議済みのことではないのであります。また協議ができ得べきものでもないのであります。どこまでも見込みでございますから、だから、その見込みの結果が集積して、そうしてやり得るものだという確信に立ってやっておるものであります。
  180. 小林孝平

    ○小林孝平君 それは実におかしいと思う。相手のあることだと、今出るところは、輸入食糧を減らすか、輸入食糧の価格を低く見積るか、中間経費を減らすかと、こういう二つに追い込まれているのです。そこで、これは今相手のあることだ。あるいはこれは相当大きな金だが、この三十三億どこから出てくる、どこからでも出てくる、こういうことならば、食管特別会計というのは三十億や四十億は、これは天勝の手品師のように何でも出てくるのですか。私は河野さんがそういうことを言われるのはおかしいと思う。先ほどからの答弁でも、もっと明確におやりになるべきだと思う。私はあなたがかつて衆議院の予算委員会で、吉田総理大臣に対米債権の問題を質問されました。私はそれを傍聴しまして、議会政治家としてのあなたに非常に感銘を受けたんです。だから、今回もこういうことをお尋ねしたら、あなたははっきりと御答弁になるだろうと思って非常に期待を持ってお尋ねをしている。ところがあなたは大臣になったら、吉田総理大臣答弁と同じじゃないですか。もっとはっきりおやりなさい。そういうことで、わからぬでこういう三十三億をこの食管特別会計からひねり出すなんということはできませんよ。(「ごまかすな」と呼ぶ者あり〕
  181. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これはごまかすわけでも何でもございませんので、食管特別会計の過去の経緯をお調べ下さればわかりまするように、予算と決算との間の数字を御覧になればおわかりになりますように、決して、これはいずれも大きなものを扱うのでございますから、いずれも見込みでございます。今申し上げますように、非常に大きな見込みで皆やっておるのでございます。たとえば、国内の米価をどうきめるか、買い入れ数字が幾らになるかというようなものが非常にそれによって全部狂ってくる。まるで予算になっておらんじゃないかというお小言を受けるかもしれませんが、これが現況を扱いまする予算だと私は思うのであります。そういう意味合いからいたしまして、私はこれがプラスになるものもあり、マイナスになるものもあるだろうが、総じてこれから先の経済界の状態を眺める、ないしはまた世界の食糧事情を眺めて参りますれば、この予算を編成いたしました当時から、今現在具体的に上っておりまする事実を見ましても非常に変りつつある。これらの変動の状態を眺めて、大体これは一般会計から補てんをいただかなくてもやっていけるだろうという確信のもとにやっておるのでございまして、ただいま御指摘のように、どこからどういうふうにということを示せとおっしゃいましても、私はここで示しましても、これは全くその根拠のないような数字になると思うのであります。(「ごまかしだ」と呼ぶ者あり)  お答え申し上げます。しからば申し上げます。予算のごまかしとおっしゃいますけれども、しからば二千三百五十万石の買い上げ数字は何の根拠があってそういう予算を組んだかとおっしゃいますならば、これはそういうことになります。でございますから、そういうものを積み上げた食管会計でございますから、そのワク内においてやっていくことは可能である、こういうことを申し上げておるのであります。
  182. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、やはり、三十三億というものを生んでくる、出てくるときの数字は、今いろいろ外米の問題を例にとって説明いたしておりまするけれども、私は何円何十何銭というまでの目標を要求しておるのではございません。およそ何億くらいのものがここから出てくる、何億がここへ出てくるという目標がなくては三十三億の根拠がないと思う。これは予算を立てる事務当局では当然であるのです。もし、そういうことをやらないようなら国会を侮辱している。意味がない。出てきたとこ勝負と言われるのはおかしいと思う。そういう予算の立て方には、まさにこの予算には根本的な、そういう不確定なわけのわからぬ予算を出してくるというところに問題がある。おそらく私は予算を立てる以上は目途があるはずです。その目途くらいわかっているはずだと思う。その目途が示されないというのはおかしいと思う。どこから何億ぐらい予定しているのか、私も予算と決算の違いぐらいわかっております。しかし、いずれにいたしましても、予算を立てる際においてはおよその目途があるはずです。それが出てこないで三十三億というものが出てくる根拠がないと思う。一つそれを明確に示して下さい。
  183. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたしますが、米麦買入費の中から出すのでございまして、米麦買入費の予算の組み方はそういうことになっているから、その通り私は申し上げたのであります。これより細目は従来もそういう数字はないのでございます。(「わからないんじゃないか」と呼ぶ者あり)ないのでございます。お調べいただけばおわかり願いますようにないのでございます。でありますから、そう申し上げたのであります。
  184. 小林孝平

    ○小林孝平君 先ほど農林大臣が例に引かれました、そんなことは見込みで、できないじゃないか。そんなことなら買入数量の千三百五十万石というのもこれは予定なんだ——それでいいのです。われわれは予定をして千三百五十万石買えるかどうかわからぬけれども、一応あれはそういう見積りである。輸入数量は幾ら、こういうふうに見積られて、そうしてその結果買入価格がこういうことになったということで出てくる。そのほかの中間経費でも同様です。それが予算なんです。そうしてこの中からこれを三十三億出すということになったから、じゃどこから出すのですかということをお聞きさしているのです。それを何らわけがわからぬけれども、そのうちどこかから出てくるだろう、こういうことでは困る。大体、これから世界の食糧事情がどうなるかということは、今から大体おわかりにならなければ、この出るか出ないかわからぬじゃないですか。だからそういうことは、全然そういう能力に欠けておったのだということを言われるならそれでいいのです。しかし、そういうことはできない。そういうことをやるべきものでないということはおかしいと思うのです。
  185. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうことではないのでございまして、これを予算編成当時よりも外米の買い入れ、外麦の買い入れ、船運賃その他のものが上る傾向になっておるならば、そういうことはできないのであります。しかし御承知通り、見通しが大体ある程度上へ上る見込みか、下に下る見込みか、船運賃にしても上る傾向か、下る傾向かという傾向はある程度つきます。でありまするから、従来の予算の編成の方法からいたしまして、米麦買入代金ということで御承知通り予算は組んであるのでございますから、その中の操作によって出し得るものなりという答弁をいたしたのでございます。
  186. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は今までの農林大臣の説明を納得することはできない。少くとも三十三億という莫大な金額を当初予定しておらなかったことは明らかなんです。そこにもってきて、やりくりでもって三十三億を生み出すということを予算審議をするに当って言われる。われわれはそれを了承してこのまま通すわけにはいかぬ。ですから。予算というものは見通しでもちろん作るのですから、今ある予算をどういうふうに、どういう費目を、買入数量なら買入数量を通して、見通しとてはこれだけの金額が生み出せると思うという見通しを資料として私は出されるのが当然だと思う。それを拒否されるということが私どもにはわからぬ。これを私は申し上げる。特に食管会計につきましては、民間でいろいろな疑惑を非常に持たれている。それはあなたも御承知通りです。私どもがこれを追及したいのは、そういう国民が食管会計について非常な疑惑を持っている。特に運賃その他についてそうなんです。あなたはそれをよく御承知のはずであると思う。そこでその食管会計が当初予定もしておらなかった三十三億が手品師のように一瞬にして生まれてくるということは、ますます私は食管会計に対する疑惑を国民が持つと思う。私どもは政治家としてそれを国民に解明する義務がある。事務的な問題ではない。従いまして、あなたは三十三億がどういう予定の費目からどういう数量で大体出せると思うということを資料として私は提出をされる義務があると思う。特に毎年、食管会計は含み資産も一切なくなりました、非常に危険な食管会計の経営の状態にあるのですということを、どの大臣もどの事務当局も説明してきたのです。今日そういう状態でありながら、しかも、疑惑をもたられておる食管会計がいきなり三十三億という莫大な金が勝手に、自由に生み出されるというようなずさんな食管会計の予算であるならば、これは徹底的に審議しなければ通すことはできない。これは当然のことであります。ですから私は大臣に、どの費目から予定として、見込みとして、どういうふうに出すかという、特に小林君が言うように買入数量、中間経費等を考えるより考えようはないと思う。具体的にそれを資料として私は出されなければ、国民は非常な疑惑を持つと思う。まずその資料を出していただきたいと私は要求いたします。
  187. 小林孝平

    ○小林孝平君 今永井君が資料を要求されましたが、本日はこれ以上追及いたしましても、どうも故意に示さないのではなくて、何とかなるだろうなんていう、きわめてあいまいなことで、三十三億をのまれた模様ですから、本日追及してもおそらく出ませんから、これは一般予算審議するときあらためてやりますから、それまでに十分資料を整えて、具体的な数字を整えて、そしてここに提出されて御説明を願いたいと思います。
  188. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。ただいまもお話しのありましたる通り、たとえば運賃にいたしましても、支払い運賃が六十数億に上っております。倉庫料にいたしましても、やや近い数字があります。これらにつきましては、目下折衝中でありますから、大体私としてはその折衝の過程等もかんがみまして、ないしはまた外米等の点も勘案いたしまして可能だということを申し上げておるのでございまして、これは今ここで予算を出せとおっしゃいますれば、一体運賃を幾らにするのだと言えば、それは交渉をする上におきましても、いろいろ私は支障が起ってくる。たとえば倉庫賃にいたしましても、そういう点がありまするから、実は従来の慣行によりまして、この予算を御審議願いますには、従来の慣行によって私は御説明申し上げたということでございますが、ぜひそれを出せということでございますれば、別の機会に、次の予算の御説明の際等までにはなるべく可能な資料として提出することには決してやぶさかではございません。  なおまた、食管会計についていろいろ御意見がございましたが、これは衆議院の農林委員会におきましても、食管会計についてあらためて小委員を作って御審議願い、御検討願うことに私は進んでお願い申し上げておりますから、参議院においてもぜひそういうように御協力願いますことは、はなはだけっこうなことだと考えますから、よろしくお願いいたします。
  189. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して簡単ですから……。一言だけ伺っておきたいのですが、食管会計で百億の赤字が出て、それはインベントリーを落したのですね。それならば、今三十三億減収加算で浮くのなら、どうして最初から赤字を百億インベントリーを落さないですぐ埋めるという措置ができなかったか。減収加算の問題が起ってから三十三億浮くと、こういうふうになった。それなら当初から三十三億浮くならば、百億のインベントリーを落さずに済むはずです。(「その通り」と呼ぶ者あり)さらに今のお話を伺いますと、何か三十三億だけでなく、いつでもいろいろな操作によってまだまだ浮くのかもしれない、そういう疑問が持たれる。そうしたら、百億のインベントリーを落さないでも、何か操作でまた、そのうちの全部とは言わんが、あるいは補えるのではないかという感じになる。そうしてこの予算はみな積算の基礎がある。米麦は幾らで買うと、こう一応積算の基礎がある。ですから、積算の基礎をはっきりすれば、積算の基礎があるのですから、これと積算の基礎が変ってくるわけです、三十三億生み出したときには……。ですから、最初の積算の基礎と三十三億を生み出したときの積算の基礎を、これを二つ出していただけば……。
  190. 池田宇右衞門

    ○理事(池田宇右衞門君) なおこの際皆さんにお諮りいたしますが、総理は一時より衆議院の地方行政委員会に出ることになっておりまして、あと小林君の持ち時間は三十秒であります。それだから総理を立たせることに御賛成を得たいのでございますが、御異議ございませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  191. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。今のお話の中で、インベントリーはまだくずしてないのであります。これはそういうふうに予算通りに進行した場合には、前年度からの繰越の三十何億と今年想定されるものの引当というようなものは考えておりませんけれども、これはまだ結果によってそういうことに考えておるのでありまして、これは御承知と思います。(「そういう資料が出ておりますよ」と呼ぶ者あり)今その説明を申し上げたいのであります。そこで今御指摘のようにお話でございますけれども、これは決して私はそれを拒否するものではございません。さっそく十分考慮いたしますが、今申し上げますように、この米価にいたしましても、今そこに出してありまする米価は、これは数日を出ずして実は本年の米価を今算定中でございます。それをきめていくわけでございます。そういうふうに従来しておるのでございますから、その慣行によってやっておると私はお答え申し上げたのであります。ひねれば幾らでも出るのかというと、米価をきめます際に木村君の言うようにどこから出るのか、ひねれば出るのかということになりますが、それは従来の食管会計のやり方で、それを累積していったものが、従来は財産を食っておった。これが去年は食いつぶしてしまって、結果において三十三億赤字になっておるということになっておる。従来の慣行を慣行通りやっていくということを申し上げておるのであります。三十三億出したらどうなるのか、これは米価の中から支払いをするということに従来慣行でなっておりますから、そういたしますと、しからば財源はないじゃないか、財源は、先ほどお答え申した通り、今までは上昇過程にありましたから、予算から常にそういうふうに足りなくなっておりましたが、今は御承知通りな情勢でありますから、たとえば、申し上げましたように、運賃、倉庫料その他の点についても今交渉をいたしております。ないしは国際的な米麦価格につきましても、予算を編成いたします当時よりも、幾らか下回る買入れもできやせんかと、これもある程度想定をいたしております。そういう事情でございますから私は申し上げたのでございます。決してでたらめなインチキを申し上げたとか、ただつじつまを合わすために申し上げたとかいうことではないのでございます。今御要求になりました点も、よく事務を督励いたしまして、もう一ぺんそういうものをやるがよいかどうか、やるとすればどういうものをやるかということを、あらためて申し上げることにいたしたいと思います。
  192. 小林孝平

    ○小林孝平君 最後にお尋ねいたしますが、今度事前売渡申込制を採用されることになったのでありますが、この成否は一にかかって米価の決定にあるだろうと思う。そこで、具体的に米価はいつきめられるのか、いつまでにきめられるのかということをお尋ねいたします。
  193. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 米価の決定については、ただいま、御承知通り今回の制度が農業団体の全面的な御協力を得なければなりませんので、農業団体の幹部の諸君ともいろいろ御意見を拝聴いたしまして、そうして善処いたすことにいたしておりますが、差し当り明後三十日に米価審議会懇談会をいたすことにいたしまして、その米価審議会懇談会の御意見等を十分に参酌いたしまして、大体六月中にきめるのがよろしいか、九月の出来秋を待ってきめるのがよろしいかということ等は、米価審議会の御懇談の結果を十分尊重して善処いたしたいと、こう考えております。
  194. 小林孝平

    ○小林孝平君 農林大臣は今非常に重要なことをおっしゃったのです。米価は場合によれば九月にきめる。この事前売渡申込制は、あらかじめ条件をきめて、その条件という最大のものは米価です。それをきめて申込みを受けるということになっておる。それを勝手に米価審議会意見を聞いて、場合によれば九月ということでいいのですか。これは根本的に事前売渡申込制の否定ではありませんか。
  195. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうことではないのでございます。これは御承知通り、最終米価の決定は九月に豊凶の見通しをつけて決定せよという意見も有力にあるのでございます。今きめるのは基本米価だけで、それに予約の条件だけはこの際きめておけと、たとえば予算米価の九千三百幾らというものできめておけと、それにいたしておいて、その上に予約の条件だけをきめておけという意見もあるのでございます。しかしそのいずれをとるべきかということ等については、今申し上げた通りであります。委員会の御意見等、ないしはまた農業団体の御意見等を承わってやりたい、こう申しておるのでございます。でありますから、全然米価の基礎になるべきものを見通しなしに予約をしていこうというようなことは考えておりません。基本になるべきものについてはきめなければなりません。ただしそれを、豊凶の度合を今ここでこれを見通して加えた最終米価にいたしてきめるか、契約をするのでございますから、最終米価にしてやるか、それとも豊凶の度合がある程度見通しのついた九月末の現金払い出しのときにきめるか、これについていずれがいいかということについて意見がある、こう申し上げたのでございます。
  196. 小林孝平

    ○小林孝平君 まだ、ただいまの御答弁では不満でありまするけれども、時間もありませんので、いずれ一般予算のとき、とくと御意見を承わりますから、私の質問をこれで終ります。
  197. 池田宇右衞門

    ○理事(池田宇右衞門君) 一時四十分まで暫時休憩をいたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  198. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは午前に引き続きまして質疑を続行いたします。
  199. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は主として総理大臣にお伺いいたしたいのでございますが、昨日の本会議で、日ソ交渉の基本方針について政府から伺ったのであります。その質疑応答等を通じても、大体お伺いをしたわけでございまするが、さらに不信な点がございまするので、この点についてさらに政府に質疑をしたい、こう思います。  その第一点は、ソ連の外交の基本方針は、私どもは先年の十月十二日に、中華人民共和国成立五周年記念式典に際しまして、北京において中ソが共同宣言を発しております。これにはソ連側から、ソ連共産党中央委員会の第一書記のフルシチョフ、現在のブルガーニン首相等が出席し、中共側からは周恩来と毛沢東首席が出席をして、北京であの共同宣言を発したのでありまするが、御承知通り、この中で外交五原則を中心とした方針を明らかに宣明したわけであります。そうして五原則を、中ソの、自分の国が厳守するとともに、アジア及びその他の国に対してこの政策を確充することが、各国民の利益に合致するものであるということをはっきりと宣言いたしたのでございます。そうしてまた、特に対日共同宣言もこのときにいたしておるのでありまするが、私は、このソ連の外交の基本方針というものはこの中ソの共同宣言にあると、こう思うのです。そこでこれをどういうふうに総理は認識をしておられるのか、この点を私はまずはっきりとお伺いをいたしたいと、こう思うわけであります。
  200. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 中ソの共同宣言が、実際に何を目的としているかは、私にはよくわかりません。けれども同時に、ソ連や中共でも、日本の安全保障条約について誤解をしていることと思いますから、同様にこちらも向うの中ソ共同宣言についての心髄がどうだということを断言することはむずかしいことだろうと思うのです。ただ、日本としては、とにかく自由主義国家群とも協力関係を緊密にして、そうして平和の目的を達成すると同時に、中ソとも貿易を密にして、交通をして、そうして誤解のないようにして、平和の貢献に二つの方面でその目的を達成したいと考えている次第でございます。
  201. 永井純一郎

    永井純一郎君 もちろん中ソ共同宣言というものを文字通りに見ますと同時に、どういうことを実際上いろいろ考えているかということは、これは当然各国とも考えなければならん問題であると思いますが、しかし私は、日ソの今度の交渉が具体的にロンドンで始りますと、必ず私はまず共同宣言にうたっているところの外交五原則を必ず持ち出してくると思うのです。実際具体的に日ソ交渉に当ってこの問題を、一番前提の、大切な根本的な重要問題として、日本としても考えなければならんと思います。その場合に、どうこれに対してこたえるか、その方針には賛成であるということであって、私は一応いいと思うのでございまするが、この点についてお伺いしたいのです。
  202. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 文字の示す通りに、言葉の表わす通りに、よろしいことであったならば、その意思を邪推したり、そんたくをして、それに反対することは無益なことだと私は考えます。
  203. 永井純一郎

    永井純一郎君 これはまあ仮定の問題でありまするから、このいわゆる五原則でありまするところの平等、互恵、相互主権の尊重でありますとかあるいは内政不干渉、不可侵、領土保全というようなことに対しては、これは何人も反対し得ないところであると思う。同時にそのことはまたわが国にとっても、そういうことをはっきりと宣言してくれるということは、私どもの方の日本にとっても、外交折衝するのに私は都合のいいことだと思うのですが、それは仮定で、そういう話を持ってきたときにどうするのかということは、これは総理もはっきりここでどうしますと言えないかもしれませんが、昨日の本会議で政府国会に報告演説をした中にも、明らかに重光外務大臣の演説の中に、互いに主権を尊重し、内政に介入せず、紛争は平和的に解決するとの精神を確認する、こういう一項目を交渉の主要目標にはっきりとうたわれておるわけです。これは共同宣言の趣旨と私は同じであると思う。この点をどういうふうにお考えになっているのか。これは共同宣言の趣旨と、重光外務大臣が昨日本会議で演説された趣旨とは同じことである、こういうふうに、私は世界にそういうふうな認識を与えることがいいと思うのですが、どうでございましょうか。これは外務大臣総理大臣からお伺いしておきたい。
  204. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は昨日参議院の本会議におきまして、平和五原則について、平和五原則の示すところのものには反対すべき理由は少しもないということを申しました。今日はあなたに対して、言葉の示すところがいいことならば、あるいは意思をそんたくしたり、邪推して、これに反対する理由はないということだけ申し上げまして、それによって御了承願いたいと思います。
  205. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは私は重光外務大臣にお伺いしたいのですが、外務大臣が交渉の主要目標の一つとして、お互いの主権を尊重し、内政に介入せず、こういうことをはっきり演説されておる。これを私はやはり中ソに対して……中ソが共同宣言したあの外交五原則を知っておられますか。これはやはりわが国にとっても都合のいいことである、こう考えてわざわざ昨日、きのうの演説の中に、主権を尊重し内政に介入せずということを日ソ交渉の基本方針に私はうたわれておるものである、こう思うのですが、その所見はいかがでしょうか。
  206. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 私は五原則を言ったのではございません。しかしその五原則がああいうものであれば、同じものであれば、これはそれでいいと思います。国が互いに他の立場を尊重して、主権も尊重し、内政に干渉せずしていこう、紛争は平和的手段で解決しなきゃいかんと、こういうことは、まあ理屈になるかもしれませんけれども、これは平和関係を樹立するのにどうしても必要でなければならん。そこでそれが向うの意見に、先方の意向に合致するか、しないかということを交渉でこれははっきりと確認しなければならんと思います。五原則というのは御承知通りに、これは中共の周恩来氏が言い始めた、内容は古いものです。内容は日本も従来ともそういうことを言っておったので、非常に古いものです。言葉は古いものです。しかし五原則は周恩来氏とネール氏との話から出たわけでございます。それはソ連が五原則を云々ということは申しておりません。従いまして私はロンドンの交渉においてはかような根本的な思想について一致するかどうか、私一致すると、こう思います。それでいいと思っております。  それで五原則をどうするかということになってくるというと、だれが五原則を言い出したのであるとか、どういう工合にこれが使われたのであるかということにこだわることになりますから、私はそれはむしろ内容をたっとんでいった方がいいと思います。御承知通りにバンドン会議でも五原則は言われることは言い出されたようでございますけれども、結論としては国際連合規約の趣旨によってすべてやると、これも善意にすべて文字通りに解釈すれば同じ内容でございます。そういうことになってしまったわけでございます。そういうことで、五原則というふうなことにきまった定義をつけなくて、その主義精神を、実際の精神をとって、それに合意があればそれでよくないかと、こう考えております。
  207. 永井純一郎

    永井純一郎君 私はこの五原則に、日本が外交をやる場合に縛られるというようなことではなしに、この言質といいますか、こういう宣言はむしろ大いに利用すべきものだと思う。そういう立場から私は言っておるわけなんですが、同時にまたあなたは、ソ連はこの五原則を別に言っておらないのだと言われますが、北京における共同宣言では、中ソが一緒になって、中共が強く唱え出したこの外交の五原則を中ソ両国は厳守するということをはっきりうたっておる、声明の中にはっきりそう言っておるのです。私はここでそういう意味で言っておるわけでございます。  さらに進んでお伺いしておきたい点は、それは一方、米国の外交基本方針はどうかということを考えてみますと、今日まで米国は自分の国の強大な武力を背景として、またことさらこれを誇示して、自分の国の利益と防衛を中心とした地域集団防衛方式ということに私はあったと思う。これは世界中の識者が卒直に認めておるところでございます。ところがこの前調印がありましたオーストリアの国家条約には米国も同意を与えたわけなんです。これは私は重要な一つの米国外交の転換のきざしであるというふうにもとれると思う。これはいかなる国に対してもその国の独立自主を尊重して、そうしてその国の自発的な国民の意思に反して、いかなる大国といえども一方的な要求を押し付けることがもはや不可能になったということを、私はアメリカが感じ始めたという点が一つである。もう一つは、話し合いによる国際緊張緩和ということが、世界各国民の輿論になってきておりまするので、米国もまたこれから取り残されることは不利である、こういうふうに私は考え始めたためであるというふうに思う。そこでオーストリアにおきましては外国軍隊が一切撤退をいたしまするし、また外国の軍事基地の設置を許さず、いかなる軍事同盟にも加わらない、こういう考え方のオーストリア国民自身の強い意思が尊重されざるを得なくなった。そこで私はそれが中立化政策であるとか、あるいは自主独立であるとか、その表現は別といたしましても、今度のオーストリアのような行き方が、世界平和維持に役立つ段階に来たということを世界各国はもちろん、米国も私は認めざるを得ない段階が来たというふうに私は思うのですが、このオーストリアの行き方に対してどのような所見を総理大臣と外務大臣は持たれるのか、ここで私はお伺いをしておきたいこう思う。
  208. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) まだ永井君のような考え方は、少し実際に遠のいておるような気分を持っております。現在はやはりまた力による平和ということが一つの面を持っておるような気がいたしております。それですからそういうような約束をするだけでもって世界の平和が維持できるというように、非常に信用ができるようになれば、もちろんオーストリアのとった態度は非常にいいと思うのであります。すなわち、言いかえてみれば、日本をオーストリアのように全然中立化して日本の平和が維持できる、世界の平和が維持できるというように思うのは、まだ少し実際に遠のいておるのではないかというような考え方をしております。
  209. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 私も総理大臣のお考えと観測は全然同じでございます。しかし、私の言葉で若干観測を述べさしていただきます。  今回のオーストリアとソ連との交渉によってオーストリアを中立化、すなわちオーストリアに軍事基地、外国の軍事基地を一切置かない、撤兵もするということになった。これをオーストリアの中立政策と、こう言っておるのでありますが、そこまで来て、ソ連もほかの国が撤兵するなら自分も撤兵しようというところまで来たということは、これは一つの進歩であることは疑いを入れません。そういうことで従来何年もオーストリア条約はできなかったので、それがそこまでできるようになったということは、これは進歩で、私はこれは各国の政策として、ソ連も含めて、何とか戦争を避けたいという方向に向いてきた、一つの緩和の方向と見てこれは差しつかえないと思います。その緩和したのがなぜ緩和したのか。ソ連は戦術的に緩和した、ちょっとつまり誠意ではない、ごまかしで政治的に緩和したんだという見方がずいぶんあります。ありますけれども、私はそういうふうな工合に考えずして、緩和したという事実だけを見て差しつかえない問題じゃないか、こう日本に関する限りではそう考えております。でアメリカがどう考えておるかというと、アメリカの内部には、御承知通りに、アメリカの力の強い政策が、強硬な態度が、かようにソ連の政策を変更せしめたというような考え方が圧倒的であるようでありますし、それが真相であるかどうかということは、これはしばらく批評を避けまして、さような事態になったことは、これは私は認めて差しつかえないと、こう思っております、しかしオーストリアの事態は、御承知通り日本の事態とは私は根本的に違っておると思います。オーストリアは今日まで独立をしていなかった。そして他国の占領軍の占領下に占領政策が続けられておって、今回独立したわけであります。それでありますから、日本の場合とは違うということをちょっと私は指摘したいのでございます。
  210. 永井純一郎

    永井純一郎君 私が総理と外務大臣注意を喚起したい点は、私も去年列国議会同盟会議に行ったときに、ウイーンの社会党所属の代議士諸君はもちろんのこと、その他のあらゆるオーストリアの国の政治家諸君と、個人の家庭まで行っていろいろ話をした。そのときにどの人もどの人も言うことは、自主独立をみずからの意思でやりたい、こういうことを非常に熱意をもってわれわれに訴えておられた。そこで私は今度のオーストリアの政策を新聞や評論が書くように中立政策だとは私は思わないのです。それはむしろ、それでは鳩山内閣がいう自主独立外交とは何ぞやということをあとでお伺いしたいのですけれども、この点はオーストリアも同じだ、あの人たちに言わせれば、決してこれは他国から強制されてわれわれが中立政策をとったのではなくして、オーストリア国民全部のみずからの判断によるところの考え方に基く結果が今度の条約をかち得て独立をした。それは外国の軍隊を置かないとかあるいは軍事同盟に加わらないというようなことは、あの人たちに言わせればそれが自主独立の外交なんです。私はこの点が重要だと思う。自主独立か中立かという点は考え方が非常に違うと思う。外務大臣は、ただあれは中立政策のように思われるが、私はそうは思わない。あの国民のいろいろな人たちに会って訴えを聞いて、そう思わない。かりに私は日本の同じような方向を、自主独立、五原則なりあるいは日ソ交渉の主要目標にある主権を尊重すること、内政に干渉を許さないというような、こういう主張というものは、私は中立政策ということではなしに、むしろ自主独立の外交方針だ、こう思うのです。で、そういう考え方をとりますと、私は今後の日本の自由な自主的な立場における今後の具体的な世界平和の維持に対する態度ということが、私はその日本の態度が非常に重要になってくると、こういうふうに実は思っているのです。そこで国民も全部、今国際緊張の緩和あるいは平和共存の国際的な輿論の中にあって、今までの日本の政府の外交方針を私は再検討する必要があるというふうに、国民がすべて考えて来ていることは事実だと思う。鳩山総理も今方による平和がまだ今の段階では現実だと思う、従って永井君がおっしゃるようなところまではまだ早いと思うというような話がありましたが、しかし国民はすでにそういう力による、アメリカの力をバックにした日本の外交といったようなことに再検討を要する時期に来ている、こう思っておりまするが、検討を要する時期には来ている、こういうふうに総理も外務大臣もお考えになっているかどうか、この点を私は伺いたい。
  211. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は先ほど申しましたように、現在においてはまだそういうような時期には達していないと思いますが、日本がみずから自分の国を守り得るというような自衛力をもう少し増強していきましたならば、そういうような事態がくるだろうと思います。すなわち他の言葉をもって言えば、現在の安全保障条約を今やめてもいいというような時期にはまだ達していないと思っております。
  212. 永井純一郎

    永井純一郎君 今は達しておらないという御見解ですが、しかしそういう方向になるものというような、検討すべき時期に来ておるというようなお考えはないのですが、どうでしょう。
  213. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) それはもちろんあります。
  214. 永井純一郎

    永井純一郎君 あるのですね。私が今申し上げましたように、国民は非常にその検討の時期に来ておるということを考えておるのです。私どもももちろんそうであります。しかし総理もまたそういう検討すべき時期であるということを認められるということは、私は非常に進歩である、日本の外交にとっていいことであると思うのでございます。  そこで私はさらに進んでお尋ねをしたいことは、現在の段階では先ほども総理大臣も昨日の本会議で五原則はいいことなんです、非常にいいことだと思うけれども、しかしながらこれを認めるというよりも国連憲章を守ると答えた方が無難だと思うというような昨日の本会議の答弁で、非常に無責任なわけのわからない答弁であったと思う。そのことは私は、総理がいわゆる中ソが共同宣言いたしました外交五原則と日米安保条約は矛盾する、こういうふうに考えておられるからではないかと思うのですが、どうですか。矛盾するとお考えになっていますか。
  215. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は矛盾しているとは思わないのです。つまりアメリカの日本に駐留しておる原因が、ソ連やその他の人々が考えているように、これが侵略的な目的をもって駐留しているのだというような考え方をすれば矛盾はしておると思うのでございますが、これは全く無防備の日本を無防備においておくということはできないという目的で、安全保障条約において米軍が駐留しているという範囲内ならば、それは平和を乱すおそれは少しもないのでありますから、決して平和五原則というか、それに対して矛盾をするはずはないのであります。
  216. 永井純一郎

    永井純一郎君 それならば、矛盾をしておらないという立場をとるならば、私は率直にあの五原則を日ソ交渉で認めていったらいい。こちらから積極的に認めていったらいい。これはいい考え方だ。われわれもそう考える。そういう立場に立って、これから日ソ交渉の一切のことをやっていきたい、こう私は日本は積極的にこの問題を持ち出した方がいいと思うのですが、どうでしょうか。
  217. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 平和五原則を問題として、平和五原則と同じようにいこうじゃありませんかという交渉はする必要はないと思うのです。それは重光外務大臣が先刻言われたように、そういう古い言葉を持ち出して言う必要はないじゃないか。やはり目的を明確にして、お互いに主権は尊重し、お互いに領土は侵略しない、内政には干渉しないということを明らかに示せば、同じ目的なんですから一向差しつかえない。古い言葉を特に持ち出して、他人の使った言葉を重複する必要はないと思います。私は外務大臣答弁はしごくもっともだと感じております。
  218. 永井純一郎

    永井純一郎君 ソ連が実際上、心の中でどういうことを考えておるかということを探りながら、外交交渉をやるということは、これは当然のことなんですが、しかし古い言葉であるとか、言い古された言葉であるからといって別にこれをほごにする必要は少しもない。そういうことを現に重要な自分の国の外交の基本方針だといって宣言しておるのですから、この線に沿って日ソ交渉を持ち出してくることは明らかだと思うのです。そこで私が懸念といいまするか、総理や外務大臣が懸念されておることは、この五原則に従うということを言うことは、それは日本が、いわゆる新聞や評論が書くように、日本が中立化政策をとることだというふうに言われる心配があるから、私は今のような答弁をされるのだと思うのですが、五原則に従うことは、中立化政策になる、こうお考えになっておるのですが、その点を伺いたい。
  219. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 非常に議論になりましたが、私はそういうことは考えておりません。周恩来の言い出した五原則、それとオーストリアの中立ということは、外国のいずれの国の軍隊も置かないということなんで、それを中立と言いふらして今論評が至るところされておるわけであります。それで、これは全然別のことでございます。しかし五原則ということを、五つ並べた五原則なりという固有名詞のようになってしまったのでありますが、それを認めなければならぬということは私はなかろうと思います。いいことならば五原則であろうが、そのほかの原則であろうが、特に国際連合の規約にある日本もこれを尊重するということと、それから何か世界的に尊重を約されておるその精神によって、少しも差しつかえないことだと、こう思っておるわけでございます。
  220. 永井純一郎

    永井純一郎君 どうも私の質問の要旨とはずれるようでございまするが、五原則という言葉が古かろうとどうあろうと、それを単にほごであるというふうな態度で臨むことは、私はかえって日本のためによくないということを言っておる。
  221. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) そういうことは少しもない。
  222. 永井純一郎

    永井純一郎君 むしろこれを向うが言い出したいい言葉であれば、これをとって利用するというか、話を進めたほうが、いいのじゃないか、こういう意味の私の趣旨なんです。まあそれはそれとして、関連して私はさらに進みたいと思いまするが、そこで、中立化ということを新聞や何かが言うように言われることは、私が聞きたいことは、アメリカが好まないのかということを私は伺いたい。その点をまず伺いたい。
  223. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) その点は私はまだ聞いておりません。アメリカ側の意向はまだ聞いておりません。
  224. 永井純一郎

    永井純一郎君 聞いておる、聞いておらないは別として、そういったような政策を日本がかりにとるという場合に、外務省としての所見があるはずだと思います。アメリカに聞かなくたって、一々それを聞かなくたっていいのですから、米国はそういうことを好まないというふうな所見を持っておられるのかどうか、これを伺いたい。
  225. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 米国の意向は今申しました通りに知りません。しかし私としては中立政策をとろうと考えておりません。
  226. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは総理大臣、外務大臣が常に言われておるところの鳩山内閣の自主独立の外交というのはどういうことを言うのですか、どういうことを目標にしておるのか伺いたい。
  227. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 自主独立の外交というのは、日本の立場を日本として守って、さらにその利益を進めていこうと、日本の見地からすべて進めていこうと、こういうことにわれわれは考えております。
  228. 永井純一郎

    永井純一郎君 抽象論はお言葉としてはわかるわけなんです。しかしそういうことは予算一つ作るにしても、現実の問題として日本が自主独立で行けないという実情にある。これは何人も、国民も認めておるところなんです。そういう状態にあって、自主独立の外交をどういうふうにしようというのですか、それをお伺いしたい。私にはそれが了解できない。
  229. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) これはもう予算審議権が防衛分担金の問題で侵されているとか何とかいう議論はし尽したと思います。私ども予算審議権は少しも侵されておらぬということを信じてそのお答えをいたしておるわけであります。しかし自主独立ということは、何にも外国に拘束をされないで勝手気ままにそのつどそのつど思う通りにやり得るというのが自主独立の外交ではございません。約束をしたことは十分に守って、国際信義も守る、それが自分の地位を全うするゆえんでありますから、条約の尊重、国際信義も十分守るということでございます。さような意味において日本がこれまで約束したことを、特に条約上の義務は十分に守らなければならぬ。それが何も自主独立の外交をそこなうものではない、むしろそうなければならぬと私は考えております。
  230. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は日本が自主独立の外交をほんとうにやろうと思えば、この五原則に言われる言葉だけの問題であるかどうかは別といたしましてですね、五原則に言われているようなことが、お互いに、特に弱小国におきましては、相手国との間にはっきりと確約されることが私はやはり基本になると思う。そういう意味でオーストリアは中立化政策をとったのではなくして、私は内政を干渉させない、外国の軍隊を置いてその圧力によって外交をゆがめられない、こういう立場をオーストリアの国民がとろうとしたから、ああいうことになったのであって、しかもそれが国民全体のそういう考え方を周囲の国々が認めざるを得なくなったという私は考え方を持つのです。で、そうなったときに初めて日本も同じような立場にあるのであって、私は自主独立の外交ができると思うのです。で、私は、ここでその二つの違った議論をしておるような格好になりましたけれども、私はそういう意味で先ほど鳩山総理が言われた日本の今までの外交方針を検討すべき時期にきている、こういう話はそういう意味で私にはわかるのでありまするが、従って私最後にもう一つ付け加えてお聞きしておかなければならぬと思いまするのは、今のようなお話を推し進めて行けば、私は日ソ交渉というものは成り立たないのじゃないかと思うのです。それは政府の腹として、一体日ソ交渉を完全にいろいろな要求事項をも今度の交渉でなし遂げようと、こう思っておられるのか、あるいは戦争状態の終結の共同宣言等を先ずやればよろしいというふうに思っておられるのか、この見通しを、私は一応の見通しを外務大臣に伺っておきたい。
  231. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 私は周恩来氏の言い始めた五原則を日ソ交渉において認めなければ交渉が成立しないとは少しも考えておりません。  それからまた今お話の御議論には私は非常に共鳴する部分も多いのであります。しかし何も五原則と言ったからといって、その内容がよければ、それについてこれを十分検討して賛成すべきは賛成してもいいじゃないかというような気持は、私は必要であると思います。そういうことは必要であると思う。しかしそのなにを五原則という形において出してきて、その五原則を承認するということになってくると、これは重要な意味がそこにつくのでありますから、そういうふうなことは果してどうか。それで向うで、先方において、私の昨日報告申し上げておいたような内政不干渉だとか、領土の尊重だとかいうようなことを互いに認め合うということは、これは少しも差しつかえない、またそうでなければならぬと申し上げたのでございます。  それからまた中立の問題についてお話がございましたけれども、これはまあオーストリアのああいう独立をかち得たのが、これがオーストリア人のほんとうに立ち上ろうとする自主独立の精神に基いてこういうことになったということは、これは私はその通りだろうと思います。その通りだろうと思います。これを評論家が、社会の大部分の評論家が、今日はソ連の中立政策と言って評論をしておることも事実でございます。しかしそれは中立政策と言う必要もこれはむろんないことであります。さようなオーストリアの自主独立の精神はこれは大いに日本としても学ばなければならない、参考にしなければならぬことだと思う。われわれもその自主独立の外交をやろうというのは、共通な精神が多分にあるからだと私は思うのでございます。
  232. 永井純一郎

    永井純一郎君 どうもはっきりいたしませんが、そこでさらに重ねてお伺いしますが、やはり外務大臣はこの五原則にこだわって、五原則を認めるということはなかなかする意思がないようでございますが、やはりこれを認めると、それはいわゆる新聞が書いておるような中立化政策だというふうに世間が見る、こうはっきりお考えになっておるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  233. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) そうでないことを今申し上げました。それで一応御了承を願います。
  234. 永井純一郎

    永井純一郎君 総理に締めくくりを私はお伺いしたいのですが、先ほど総理は、検討すべき時期に日本の外交方針、従来とってきた外交方針は、なるほど国民が感じておるように、検討すべき時期にきておるが、まだ早い、その時期は、日本が自衛力を持ってみずからの国を守れるようになったときにそういう時期がくるのだ、まあこういうようなお考え答弁があったと思うのです。そこでこの前、実は私が四、五月暫定予算の時にお伺いした一体どの程度の軍隊の規模をもって日本の国を守ろうとされておるのか、総則はその考えがあるのかどうか、それをお伺いしたい。
  235. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はその日本の防衛自体において答弁をしたわけではないのです。ソ連の考え方もだいぶ違ってきたと考えますのが一つの理由であります。第二には国連の集団の防衛、何というか、世界平和を集団の力によって維持したいというその行き方も一つ考え方であり、同時に日本の国防も漸増されて行くということも一つの要素でありまして、この三つのものがだんだんと違ってきておりまするから、それで先刻のような言い方をしたのです。だんだんと世界の平和というものはすべての国民がみんなでもって築き上げるような段階にだんだんときておるというように思ったから言ったのでありまして、日本だけの考え方、ソ連だけの考え方でなく、ソ連の考え方も違ってきたし、国際連合の集団の力というものもだんだんと力強くなるものと思いますし、日本の防衛力もだんだんと漸増せられるようになると思ってああいうふうに言ったのでありまして、そうして日本の自衛力というものはどういうふうにしてどの程度だということになりますれば、経済の六カ年計画と相呼応して、あまり無理のない程度において日本の防衛力を漸増して行くよりほかに仕方がないのであります。ただこれは程度の問題でありまして、どの程度まで持てば日の防衛は十分だということはとうてい言えませんし、その十分な防衛力を持つということも、現在の日本の力ではできないと思います。ただその経済の力と相呼応して、可能な程度において防衛力を持つということは、世界の平和を維持する上において日本の最高の義務だと、道徳だと考えておる次第でございます。
  236. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで非常に問題になってくるわけです。私は日本の経済財政の力をもってすれば、軍隊というものは持とうにも持てない。それを実際にどういうふうに計画をし、どういう軍隊を持ってどう防衛をするか。それはもちろん日本だけで必ずしも守るという意味でなくとも、総理が言われるように、日本が軍隊を持って、他国との軍事同盟等の結びつきによって守るにしても、私は日本の経済なり財政の力、あるいは国民生活の実際から言って、実際の数字を扱ってみると、そういう軍隊は持とうにも持てないと思う。そこで私は総理大臣のような無責任な答弁でなしに、どの程度のものを持って、そうしてどういうような防衛をするということを総理大臣みずからが何も知らずに、考えておらないということは、非常に私は無責任なことだと思う、政権を担当しておる人が。今現にそういう考えは何もないのですか、どうですか、私はお伺いしたい。
  237. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先刻申しますように、あなたは、日本は防衛力を少しも持てない、経済力の上から考えれば少しも持てないとおっしゃるのですけれども、私は経済力のある範囲内においては、ある範囲の防衛力は持てると思うのであります。
  238. 永井純一郎

    永井純一郎君 六カ年計画によりまずると、六カ年先に七兆幾らにしかならないのです。七兆四千億くらいにしかならない。そのうちからかりに今三%くらい持っておるからといつて三%取ってみたところが、ジェット戦闘機が幾らか、小さな駆逐艦が何隻かしか持てないということは、やってみればすぐこれはわかることなんです。私は鳩山内閣が憲法を改正して、とにかく軍隊を持つことによって、それをバックとしてやはり独立ということにして、そうして外交をやろうとされておる基本方針を、私は検討すべきものじゃないか、こういうことを言いたいのですが、あなたはどこまでもやはり軍隊を持たなければ日本の外交というものができない、こういうような考えをお持ちになっておるのかどうか、その点を私は総理に確めたいと思う。
  239. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は世界の平和を維持する上に日本は国力に相応するだけの軍隊を持っておることが必要だと思っております。外交を推進する上に軍隊を持つ必要があるとは考えておりません。
  240. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは必ずしも……
  241. 館哲二

    委員長館哲二君) 永井君に申し上げますが、時間が……。
  242. 永井純一郎

    永井純一郎君 ……必ずしも外交をするために軍隊という、私の言い方も少し悪かったと思いますが、それならばどのような経済力に応じた……六カ年計画を作って議会にも出してきておるのですから、どのような規模の軍隊を持つかということを、総理大臣みずからが……私この前からお尋ねするのだが、知らないと言う。この前速記を見たら、知らないと書いてある、それでは私は全然話にならないと思う。経済力に応じてやってみて、どの程度の規模の軍隊が持てる、どの程度の軍隊を持てば、日本の自衛軍としての価値がある、こういうことが示されなければならぬと思うのですが、いつごろお示しになりますか、私はそれをぜひお聞きしたいと思う。
  243. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 防衛長官から……。
  244. 永井純一郎

    永井純一郎君 総理は一体それに対してどういう考え方を持っておるか、全然無責任なんですか、その点について。
  245. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいま防衛の六カ年計画というものはまだできておりません。ここで申し上げる機会ではございません。
  246. 永井純一郎

    永井純一郎君 今作っておるのですか、実際。
  247. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 検討中であります。
  248. 永井純一郎

    永井純一郎君 では締めくくりをします。時間がないようでございますから、締めくくりまするが、それではその六カ年計画というものを作る、それから今経済の六カ年計画はすでに要綱ができておりますが、それとあわせて日本の防衛の計画が、防衛会議を設置してでき上る、そのときに国会にそれをお示しになるわけですね。今示していただきたいのですが。そうですか。
  249. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうです。おっしゃる通りであります。
  250. 館哲二

    委員長館哲二君) 木村君に申し上げますが、総理大臣が衆議院の本会議へ出席される都合がありますので、総理大臣への質問を最初にお願いしたいと思います。
  251. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは総理大臣に対する質問を先にいたします。今審議中の六月分の暫定予算は四、五月分の暫定予算と違って、三十年度の本予算を基礎にして作られたという提案理由の説明になっております。ところがこの本予算について今政府の与党と自由党と修正あるいは組みかえ等について折衝中であるようであります。そこで政府としてはこの予算についてどういうお考えを持っておるか。修正あるいは組みかえ等について……。六月暫定予算の基礎になっている三十年度の本予算についてすでに修正、組みかえが問題になっていて、われわれはまた修正、組みかえということになった場合に、今後修正、組みかえにならぬこの予算を基礎にして、そして六月暫定予算審議しているのですが、それは意味なくなるので、まず政府が、この本予算に対する修正あるいは組みかえ等について、どういう態度をお持ちになっておるか、総理にこれを伺いたい。
  252. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 現在私は提出した予算補正予算ということは考えておりませんし、また公債を発行して調節するという案にも賛成しておりません。
  253. 館哲二

    委員長館哲二君) 木村君に申し上げますが、外務大臣もあわせて衆議院の方に要求されておりますので、できますなら総理大臣並びに外務大臣の分を先にお願いいたします。
  254. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 なるべくそういうふうにいたします。それでは修正には政府は応ずると、こういう立場でおられるのですか、ただ公債発行は認めない、しかしながら修正等については応ずる、こういう立場をとっておられるのですか。
  255. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいま申しました範囲外においての修正については考慮していいような気がするのであります。
  256. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこんな不見識な予算の出し方はないと思います。今われわれが審議している暫定予算は、政府提出された政府原案が元になっているのです。かりに心の中でこれは修正やむを得ないかもしらんと思っても、今われわれに対して修正を考慮しているというそういう政府の立場では、一体この予算をどういう自主的な立場でお出しになったのか、政府としてはこれを最善の予算としてわれわれに出さなければ、とにかく満足する予算じゃないかもしらんけれども、最善の予算としてわれわれに出さなければ、われわれに審議を求めることに対して、これは全く不見識きわまるものじゃないかと思います。この点総理はどういうお考えですか。
  257. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大体においてたびたび申しますごとく、補正予算にも反対であるし、公債を発行するということにも反対であるというのでありますから、本予算の修正をするのはほとんど今反対だということに結局はなると思います。
  258. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは原案通り、われわれに今審議を求めておる原案通りにこの予算の通過をはかる、修正は応じない、そういう態度でお臨みになっておるわけですね、政府としては……。
  259. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 補正予算には反対であります。補正予算には反対の態度をもって交渉いたします。
  260. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 補正予算というのは、一応この予算が通ったあとで、あるいは八月、九月ごろまた臨時国会を開いて、あるいは公債発行その他等この補正で出てくる、そういうのに反対であるが、今審議しておる予算の修正には、公債発行を認めない限りにおいてある程度応ずる、こういう意味なんですか。
  261. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府がみずから修正するということは考えておりません。
  262. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、国会が修正すればやむを得ない。しかしその場合、その修正が政府予算の提案権あるいは編成権、そういうものまで侵すような修正をした場合、これは政府は責任をとらなければならぬと思うのです。この点いかがですか。
  263. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府方針をそこなうような場合においては、それは国会の修正がありますればそれに対して私どもはその際に決意をするよりいたし方ございません。これはたびたび私がこの席において申した通りであります。
  264. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府政策をそこなう修正というのは、具体的にはこの予算で申しますと、部款項がありまして、項までの修正になると、これは政府政策を修正することになると思う。項以下の目ですね、各行政科目といいますか、そういうものだったら政府を拘束するものじゃないと思いますが、項までの修正になった場合には、これは政府が責任をおとりになる、こう解釈してよろしうございますか。
  265. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国会において修正を受けた際に私は考えなければならぬと思うが、ただいま想像してどの程度ならばどうするということはちょっと申し上げかねます。
  266. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 要するに、総理政府の基本的な政策の変更に影響しない限りにおいては修正は認めるという態度で……、国会において修正した場合ですがね、そういう場合、そういう考えで与党と自由党との折衝を考えておられるわけでありますか。
  267. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) たびたび申しますけれども、その際に行かなければ私がどうするということは言明はできません。
  268. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がございませんので、総理もお急ぎのようですから、次に伺います。私はこの予算は実に自主性がないと思うのです。それはまず第一に、予算を閣議で決定する前、アメリカとの防衛分担金の折衝において非常に自主性のない立場がとられた。それは対外的に自主性がないばかりでなく、対内的には自由党に対してすでに政府が責任をもって最善の予算として出されたはずの予算についても、すでに審議中に修正のことを頭に入れて審議を求められておるということは、対外的にも国内的にもこんな自主性のない、自信のない予算というものは私はないと思う。そこでまず私は、対外的にこの予算は自主的に作られた予算でないと私は考えるのですが、その点総理はどう考えますか、この予算を作る過程において、大蔵省原案において防衛費を計上した、折衝の過程においてアメリカの要求によって、政府で意図しないその防衛費の増額をせざるを得なくなった、こういうことはアメリカが日本の予算に対して結果から見て相当重大な干渉をしたことになると思うのです。こういう点総理はどうお考えですか。
  269. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 日本が日本の予算を編成するにつきまして、アメリカの干渉を受けたということはございません。
  270. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは具体的に伺いますが、日米共同声明というものを出されました。この日米共同声明について総理大臣は衆議院における質問において、こう答弁されております。この共同声明は、鳩山内閣だけが原則としては責任を持つので、他の、次のあるいは政府は拘束しないのだと、しかし次の内閣も尊重されることは望ましいということを言っておりましたが、しかしながら、衆議院の予算公聴会において、早稲田大学教授の一又正雄氏が、国際法学者ですが、一又氏は明らかにこういう協定は、共同声明という形でも、これは法律的に拘束力がある、こういうことをはっきりと公述しておられます。そうしますと、次の内閣までも拘束するものである、次の内閣ぼ拘束しないというただし書きのない限り、そういう取りきめがない限りこれは次の内閣も拘束するものであると言っておりますが、この点と、それからこの防衛分担金の内容において、三十一年度以降防衛費が非常にふえるような取りきめをしております。この二つから見て、明らかにこれはアメリカによって日本の予算の作り方が干渉されている、しかも鳩山内閣だけでなく、次の内閣までもこれが拘束を受けておるということは私は重大な問題だと思うのです。これでもアメリカの干渉を受けていないと言われるのですか。この点総理にお伺いしておきます。
  271. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、日本の予算を編成する上においてアメリカの干渉は受けていない。日本の国会は声明あるいは共同声明等によって何ら束縛せられることばないという意味において言ったのであります。  それから共同声明の効力ですが、この効力というのは全然ないというわけではないのでありまするけれども、条約のように当然に日本政府を拘束するということはない。たとえていえば、次の内閣はアメリカと交渉をして、この共同声明を変更することを申し出る権利は十分ある。またその権利がなければならないと思っております。条約と同じような拘束力はないということは、これは僕は当然だろうと思うのであります。さればといって、条約と同じように当然の拘束力がなくても、それでは全然ほご紙と同じようなものかというと、そうは言えない。とにかく日本政府が共同声明を出したのでありますから、次の内閣がこれを変更しようと思うなら、その変更を交渉しなくてはならないという、それだけの拘束力は共同声明にあるものだと思います。当然に条約と同じように拘束力があるかといえば、それはないというのが当然だろうと思っております。
  272. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 総理の御説明によって御了承を得たいのでありますが、私はなお少しばかり内容に入って御説明申し上げたいと思います。あの共同声明は、はっきりこういうことをやることを、両方とも合意をしたというのがあります。それと同朋に、将来はこういうふうにやるつもりであると、この二つの部分になっております。そういうわけでありますから、たとえば今年の予算の分担金の問題はこうしようと、これは合意が成立しておるからこれはその通りにやります。つまり今の現在政府を拘束しているのでありまして、これは当然であります。それから将来のことについては、こういう方針で将来いこうと今のアメリカ政府、今の日本の政府考えているのだ、これは政策考え方を申しているのでありますから、その通りに、将来内閣でもかわる場合にそれがその通りにやはりそこに拘束力があるかというと、それはそうはいかぬと思います。しかしながら、これは現内閣がこの共同声明をやったときに。そういう方針を持っているのだということは、これは将来残るのでありますから、将来も日本の何と申しますか、それを尊重して、そういうことはずいぶん例のあることなんでございますから、尊重してやられることを期待はいたしますけれども、それはその通りにやらなければならぬという、今の総理の御説明の通り厳格な拘束力はないと、こう申して差しつかえないと、こう思うのであります。
  273. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今外務大臣は現に、現在はこの三十年度予算について拘束されているのだ、しかし将来についてはそんなに厳格に拘束するものではないと言うのですけれども、それならばこの日米共同声明なんか出す必要が私はないと思うのです。もっと具体的な話し合いがあったに違いないのです。そこで私は、今外務大臣もやはり将来もこれは影響力がないわけじゃないと言われましたが、今後の日本の予算の編成に重大な影響が参りますので、この際具体的に伺っておきたいのです。  それは第一に、あの共同声明によりますと、防衛分担金の削減は今年だけである、こう言っております。そうしますと、防衛分担金削減が今年だけとすると、来年からは行政協定の一億五千五百万ドル、五百五十八億円になるのか、あるいは二十八年度の五百三十二億円になるのか、その点が一つです。  それからもう一つは、自己の資力のより大きな部分を防衛費に充てるということになっておりますが、その自己の資力のより大きな部分を充てるというのは、これは具体的にどの程度をさすのか、この二点についてはっきりした御答弁を伺います。
  274. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) ここに共同声明がございます。今の第一の点でございますが、これは行政協定によって毎年これはそれを協議する、こういうことになっておりますから、これは毎年やらなければなりません。そうして行政協定にある防衛分担金の額は、すでにそれをもとにしなければならない理屈でございます。それからこの共同声明の後半でございますが、私が先ほど申し上げた将来のことについてこう考えていると、こういうことをここに言い表わしております。それは今お話しの通りであります。「自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振向けることが、日本政府の意向であり」云々ということがございます。これは行政協定や安保条約にもありまする通りに、漸増的にこの防衛力を増すということをうたってあるのと同じ意味で、将来は今年よりも余計防衛費の方に振り向けようという意思表示をいたしているのでございます。しかしそれと同時に、財政困難でどうもいけないのだということもあとにございます。そこでそれじゃ将来年度割にどれだけ増すのであるかということは、これはアメリカ側とも話し合いをいたしてございません。あるいはそういうことが将来経済六カ年計画等に関連してこちらできめられる、きめることになるかもしれません。それはアメリカとの間には何も具体的な話はなかったわけでございます。
  275. 館哲二

    委員長館哲二君) 木村君に申し上げます。時間が切れておりますので……。
  276. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がありませんから、もう総理及び外務大臣は御退席願ってけっこうです。大蔵大臣に簡単に……。
  277. 館哲二

    委員長館哲二君) これも時間の関係がありますから、お含みを願いたいと思います。総理大臣と外務大臣は御退席を願ってよろしゅうございます。
  278. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣に二点ばかり伺いたいのです。その一つは、新聞の伝えるところによれば自由党が産業公債とか、その他修正案を用意しております。それには政府は応じられないというように言われていますが、三十年度については公債政策には反対である。しかし次に補正の問題が起きたり、三十一年度の予算の問題が起ったようなときには、この公債政策については大蔵大臣はどうお考えか、大蔵大臣は公債の問題については非常な御専門家であります。で、一つの見識を持たれていると思うのです。従ってこの公債の問題について今自由党が修正案を出そうとしている。その公債の問題について将来の公債政策に関連して一つ伺っておきたいのです。それからもう一つ予算総則の十六条であります。予算総則の十六条はこれは明白に私は財政法の違反になっていると思います。財政法の第三十二条の明白な違反だと思うのです。この予算総則十六条に、必要があるときには防衛庁の費用を防衛分担金の方にこれを回してよろしいと、こういう規定なんです。こんな規定を設けたら全く目的の違うところへ予算を使うのでありまして、財政法三十二条によれば、御承知のように各省各庁の長は歳出予算については各項に定める目的のほかにこれを使用することができない。目的が違うところに使用ができないのです。しかも防衛庁費を防衛分担金の方に回すということになると、防衛分担金百二十五億削減してもらったという意味が全然なくなるのです。もし防衛庁費が防衛分担金の方に移用できれば、百二十五億を削減したことにしたって、これは何にもならぬ。こういう規定を設けておけば、防衛分担金百二十五億負けてもらったということはこれはうそになってくるのです。この点が非常な私は問題だと思います。  それからもう時間がございませんから、質問だけ先に申し上げますが、もう一つ大蔵大臣は三十年度予算の防衛予算というものを幾らとお考えか。一応千三百二十七億と言っておりますが、国庫債務負担行為もあれば予算であります。国庫債務負担行為も明らかに予算財政法にはっきり書いてある、予算とは予算総則、歳入歳出予算、国庫債務負担行為、この三つが予算です。ですから国庫債務負担行為を加えたもの防衛予算でなければならない。そうしますと、明らかに前年度よりふえているのです。国庫債務負担行為を入れますと決して同じじゃありません。この三つについて御答弁願いたい。
  279. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えを申し上げます。その一つは公債政策の件ですが、私はただいま日本の現状において財政的から考えても、またこの金融市場から考えても、公債政策をとるべき時期でないと考えております。公債政策自体がいいか悪いか、これは私は客観的な事情を具体的に考えて、かつまた財政のあり方についてからして、全然否定すべきでもないというふうに考えておるのであります。  それからいま一つは……。
  280. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時期的にはどうか、その公債について時期的には次の補正と……。
  281. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この時期的には、少くとも第一国債を発行する以上は、その国債が市場に消化するかということが私はます大前提である。従いまして、市場の資金関係がまずどうであるかということを要件とする。従いまして、いつということはすぐには予見が困難である。しかしそういうふうな方向、そういうふうな要件を成熟するような状況に向っている、日本の金融市場または資本蓄積状況が向っているということは私は言えるんじゃないか、いつということは言いかねる、かように考えております。少くとも本年この会計年度あたりでは到底これは困難であるというふうに考えております。  それからいま一つの移用の問題、これは異なる所管の間の移用については前例もあると思っております。なおこれは私が申し上げるより、政府委員から申し上げた方がいいかと思っております。  それから何かもう一つ移用の関係からくる百二十五億、防衛庁費を回すことになっておるが、それが移用されると、負けたことにならぬではないか、防衛分担金が今度防衛庁費並びに日本が米軍に提供する施設費、それにさらに防衛分担金、大体この三つが千三百二十七億になるのでありますが、今度防衛庁費においては、昨年に比べまして百二十五億ふえております。八百六十八億、昨年が七百四十三億で百二十五億であります。それから施設費で昨年が五十二億と思いますが、今度は七十九億ですから、それが二十七億ですか、従いましてこの関係でふえるのが百五十二億になるように思います。これを全部防衛分担金において負けて減少になっておる、防衛分担金の減少になっておる、昨年に比べて。一億五千五百万に比べてではありません。昨年の防衛分担金に比べると百二十五億減っておる、こういうことになっておるのであります。今回はそういうふうに施設費についても、防衛庁費の増加分についてもアメリカが一応減額を認めてくれた。それが三百八十億具体的には払えばいいということになってくるのであります。先ほどからの御質問でもわかりますが、先ほどからアメリカとの共同声明でも本年度限り、こういうような意味の三百八十億というのは……、今度は私の解釈ですけれども、ニュー・アグリーメントですか、あれは新しいベースではないだろうという考えております。そういうことでいろいろと掘り下げてみれば考え方もありましょうが、防衛庁費から移用しても、そういう関係で施設提供費の増加、これは増加することはいいか悪いか、これは何ですけれども、増加している二十七億も防衛分担金の削減で返ってくるということを御了承得たい。
  282. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 財政法関係の問題につきまして、補足的にお答え申し上げます。予算総則十六条の規定でありますが、まずこの規定の実質的な目的と申しますか、意味を申し上げた方がよかろうかと思います。御承知のように本年度の防衛庁の予算におきましては、陸、海、空につきまして増強をはかっております。それに伴いまして、営舎、航空基地等の施設の整備を計画いたしておるわけでございまして、その予算が六十八億でございましたか、あるわけでございます。しかるにこの施設の整備の実行、具体化に当りまして、いろいろ問題が起ってくることも考えられるわけです。たとえば土地の取得につきまして、いろいろ困難があって間に合わぬとか、あるいははなはだ円滑に処理しがたいとかいうようなことで、支障をきたすこともなくもないわけでございますが、そういう場合、予算の効率的使用という観点から、現在米国の使用しております施設を日、米すなわち防衛庁と自衛隊と米軍とで共同して使用する。その方が予算の使用上効率的であるという意味考えられるわけであります。あるいはまた、現在米軍が使用をいたしております施設に追加的な施設を加えることによって、他の米軍が使用しておる施設の接収を解除してもらう。その解除されたものを自衛隊が使う。こういうことによりまして目的を達する方が、予算の使用に当って効率的であるというような場合もあるいは起ってくるかとも考えられる。かかる場合に備えまして、この移用規定を設けましたのは、経理を明確にするためにという意図にほかならないのでありまして、すなわち米軍が現在使用中の施設を整備するようなときは、予算の効率的使用の観点から、防衛庁の施設費の一部をこれに移用する、そのように予算上経理するということにした方が、予算経理の明確化を期待することにもなるわけでございます。さような場合があるいは起ってくるのじゃないかという観点から、この移用の規定を設けた次第でございます。このように異なる所管間の移用の例の前例といたしまして、昭和二十五年、二十六年の予算に、総理府所管に計上いたしました地方財政平衡交付金を各省所管として計上をしましたし、地方団体に対する補助金、負担金等の金額との間の移用、あるいはまた二十八年及び二十九年の予算に計上いたしました総理府所管の旧軍人遺族等の恩給費等と厚生省所管の留守家族援護費並びに戦傷病者戦没者遺族援護費との間、この間に移用ができることに予算総則に規定いたしまして御審議を得ておる次第でございます。財政法第三十三条の規定には、「各省各庁の長は、」ということでございまして、これは各省各庁の所管外の問題はこの規定によって規定されておるわけでございます。所管を異にする場合の規定はございませんが、これはそれができないという趣旨ではないわけでございまして、この前例からも了承いただけまするように同じような目的の類似の経費、しかも相互に緊密な関係のあるようなものにつきましては、国会の承認をお願いいたしました範囲内で、これを移しがえの移用をすることができる。すなわち、それが予算の目的と金額との間の範囲内で政府予算を執行するという趣旨から申しまして、そういう御承認をいただいた範囲内で移用をするということは、これは何ら財政法上違反ではないと考えるわけでございまして、ただいま申し上げましたような前例も、かかる観点に立っているというふうに考える次第でございます。そのような観点から、実質的並びに財政法的にこのような観点から、今回の移用権の十六条の規定を設けましたことを御了承いただきたいと思います。
  283. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は了承できません。第一に、防衛庁費が防衛分担金の方にいくことによって、防衛分担金を負けてもらったことになっているのは、その金額が減るわけです。政府はアメリカと長い間かかって、そのために予算提出がおくれて、暫定予算を組まなければならないというところにきているのですが、その根本原因がそこにあったのですが、せっかく百二十五億負けてもらって、また防衛庁費の方から防衛分担金の方にいけば、それは国民を欺くものです。百二十五億負けてもらったと言って、また防衛庁費の方からそっちにいけば……、それが一つと、今の前例をあげられましたこととは全く性質が違います。予算の目的は項によって示されております。防衛庁施設費の項には何と書いてありますか、「防衛庁の任務の遂行に必要な営舎、学校、倉庫等の新設および改修、港湾施設、燃料貯蔵施設、通信施設、飛行場施設等の整備ならびに訓練場等の取得に必要な経費である。」全く違います、性質が……。こういうふうにだんだん濫用するその弊害が出てきている。こればかりじゃありませんが、この二つの点について特に防衛分担金百二十五億負けてもらったと信じながら、防衛庁費から今二十七億と言いましたですか、この金額も伺いたい。
  284. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 二点ございましたが、まず第一点の防衛分担金の問題でございますが、防衛分担金、広い意味合の防衛分担金は御承知のように二つの種類があるわけでございます。行政協定第二十五条の(a)と(b)と、(b)の方が定額でございまして、これが今年三百八十億に負けてもらった、百二十五億の減額をしてもらったわけです。(a)の方は施設提供諸費でありまして、いわば日本が物で提供している、この方の経費は、これは向うに負けてもらうとかいうようなものではなくて、これは日本側がこの二十五条の規定によりまして施設を提供するために必要な日本側の予算でありまして、防衛分担金の減額交渉と申しますのは(b)の方の、向うに定額で提供いたします狭義の分担金の金額ということに使われているわけでありまして、私ども考えましたのも、防衛庁費の増加額百二十五億と、この二十五条(a)項の施設提供諸費と予算上では言っておりますが、この施設提供諸費の増加額、この二十七億が増加しておるわけであります。その両方の増加額に相当する百五十二億を米側に交渉して減額さした。確かに米軍としては百五十二億分を減額をしているわけでありまして、この移用の規定によりましては、この百二十五億の減額は何ら影響を受けないわけでございます。その点をまず御了承いただきたいと思います。  それから第二点でございますが、防衛庁施設費は先ほどお読み上げになりましたような目的のための経費でございます。それから防衛分担金、防衛支出金もまたお読み上げになりましたような経費でありますことは申すまでもありませんが、防衛庁がそれらの営舎を作ったり、あるいは航空基地を作る上におきまして、先ほど申し上げましたように米軍とあるいは共同使用することがより経費の効果的、効率的使用を期し得る、あるいはまた施設を整備して他の施設を転換してもらってそれを使う、その方が予算の効率的使用に資し得る、そういう場合には予算総則の規定で特に御承認をいただきまして、防衛庁支出費から施設提供費の移しかえを御承認を願い、そこまで予算総則の規定によりまして目的を広げて御承認をいただくというのが、今回の十六条の趣旨でございまして、実質的意味は今申し上げましたように予算の効率的使用ということにほかならないわけでございます。その目的のために前例もございますように、所管を異にする間の間の移用を特にお願い申し上げているという次第でございます。  なお最後に、施設提供、防衛庁の防衛庁施設費は六十八億でございますか、移用が万一必要になりました場合におきましても、移用をいたします金額はそのごく一部でありまして、六十八億全部についてそのようなことは毛頭考えておりません。
  285. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう時間がありませんから、あと一般質問のときにやりまして、これで私は終りにいたします。承服できませんが、今の説明では……。
  286. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 総括質問はこれで終了したと思います。従って一般質問に入るのでありますが、一般質問に入るに当りまして、ここで打合せのために三分なり、五分なり休憩をし、休憩の間に委員長、理事の打合会を開いて、今後の処置をつけるという方法についての動議を提出いたします。
  287. 館哲二

    委員長館哲二君) ただいま池田君からの動議が出まして、総括質問は一応ここで終了したわけでありますが、これから一般質問に入るのでありますが、この際に暫時休憩をして、これからあとの進行について委員長、理事打合会を開いたらどうかということでございます。いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議がないようでございますから、暫時休憩いたしまして、この場で理事会を開きたいと思います。    午後三時四十一分休憩      —————・—————    午後三時五十分開会
  289. 館哲二

    委員長館哲二君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会