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1955-05-24 第22回国会 参議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十四日(火曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            小林 孝平君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            小野 義夫君            木村 守江君            田中 啓一君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            西岡 ハル君            堀  末治君            吉田 萬次君            小林 政夫君            秋山 長造君            永岡 光治君            湯山  勇君            石坂 豊一君            武藤 常介君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付)、(予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付)、(予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付)、(予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれから委員会を開きます。  本日は中小企業問題について御審査をいただくことになっております。中小企業庁長官記内政府委員から説明を聴取いたします。
  3. 記内角一

    政府委員記内角一君) お手元に三十年度予算におきまする中小企業対策費という……。(「配ってない」と呼ぶ者あり。)失礼しました。今すぐ持って参ります。
  4. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 にらみあっておってもしようがないから、資料あとから回すとして、大体の方針でも長官から説明したらどうです。時間がもったいないです。
  5. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは「中小企業金融関係資料」というのがお手元にいっておるはずですから、それについて一つ説明を……。
  6. 記内角一

    政府委員記内角一君) お手元に「中小企業金融関係資料」という横長のとじ込みの書類がございます。これについて御説明申し上げます。  まず第一のページは、昨年度におきまする「一般金融及び財政状況」の収支がございますのが、これはすでに各方面から御説明あったことと思いますので、省略さしていただきます。第二表は全国銀行中小企業向けと大企業向け比率趨勢でございますが、その次のページか大体同じような実数についてでございますので、第三表「全国銀行中小金融機関貸出推移表」、これについて御説明申し上げます。  ここにございますように、三枚目ですが、二十九年三月、昨年の三月末の現在で、十一大銀行債券発行銀行地方銀行信託銀行というふうに、貸し出し実数推移がございますが、ここで二十九年三月末の十一大銀行を見ていただきますと、その総貸出額は一兆四千四百九十一億、約一兆四千五百億に相なっておりますが、そのうちで中小企業向けは四千五百十三億、約三一%でございます。ところがこれが六月になりますと、総貸出高は約一兆四千四百三十六億というふうに五、六十億の減少でございますけれども、いわゆる金融引き締めでこれだけ減っておるのでございますが、中小企業向けに対しましては四千五百十三億が四千三百十七億と約二百億減っておるわけでございます。ところが九月にいきますと、さらに四千三百億と、約十億減って参っております。で、十二月にいきまして、さすがに年来の金融もございまして、これが四千四百八十五億というふうに、ここで百八十億ばかり増加いたしました。一月では例年年末の貸し出しが一月に減って参っておるのが通例でございますが、ここで百十億ばかり減少し、二月におきまして若干増加するということになりまして、トータルにおきましては去年の、二十九年三月の四千五百十三億に対しまして、四千四百十七億という数字に相なります。トータルいたしましても十一大銀行限りにおきましては、これが昨年の三月よりも減少いたしておる次第でございます。これが大きく作用いたしまして、地方銀行では大体順調に伸びて参ったのでございますが、その五欄目全国銀行総計の欄におきましてごらんいただきますと、二十九年三月の中小企業向け九千六百五十六億に対しまして、九千六百六十三億、約七億が二月末現在において増加しておるにすぎないという状況でございます。現在までわかっております点は、この二月まででございますので、三月の月末はまだわかっておりませんが、いずれにいたしましても、去年の上半期におきまして五、六百億の減少を見ましたが、下半期に至りましてこれがやや回復して参りまして、二月でどうやら元を取り返したという状況でございますが、三月にはこの下半期貸し出し増加いたしておりますので、おそらく百億、トータルにおきましては去年の三月末を今年の三月末に比べますれば、いわゆる銀行関係だけで百億乃至百五十億くらい増加しておるのじゃないかというふうに推定をいたしておる次第でございます。  その下にございますのは、中止企業向け専門金融機関、すなわち商工中金中小企業金融公庫国民金融公庫相互銀行、信用金庫、信用組合というふうなものの貸し出し趨勢を示しておるわけでありまして、これはいずれも全体の中小企業専門金融機関でございますので、これらは全部中小企業と考えた次第でございます。その分といたしましては、この中小企業金融機関の一番下の欄にございますように、去年の貸し出し総額が、これは上の欄も合計いたした数字に相なっておりますが、上の銀行関係の九千六百億の分を加えまして、一兆四千七百億というふうに相なっておりますので、中小企業だけを考えますと約五千億という数字に相なります。それが今年の二月におきましては一兆六千三百億、銀行関係が約一兆億でございますので、六千三百億、差引いたしまして千五、六百億の増加というふうに相なっております。従いまして去年の一年におきましては特に十一大銀行、大都市の銀行上半期金融引き締めによる中小企業向け貸し出し減少が大きく作用いたしまして、中小企業方面でろいいろ努力いたしましたにかかわらず、年間を通じてやっと一昨年の限度を超過したという状況でございます。  その次のページでございますが、「手形交換高不渡発生状況」の一覧でございまして、これも各方面に利用されている次第でございますが、手形交換高のうち、不渡手形の枚数は、最近の事情は、下のほうから見ていただきますように——この三欄目不渡手形の単位のところ「千円」となっておりますのはこれは「千枚」でございまして、約四万から三万のあたりを上下いたしておりますが、この一月二月は大分減少して参りましたが、三月に至って増加いたしております。不渡手形の一枚当りの金高といたしましては、去年一年を通じまして十万円見当というふうになっておりましたが、最近ではややこれが落ちて零細化して参っているということがうかがわれる次第でございます。  次は「中小企業金融公庫昭和三十年度資金運用計画でございまして、これはあとから御説明申し上げますが三十年度貸付資金量といたしましては、一般会計から十五億円の出資、これは目下法律案改正出資をお願いいたしてもいるわけでございますが、次に運用部からの借入金が九十五億、回収金及び利息が百三十五億と相なっております。これを昨年度との比較におきますと、その下に横長に書いてございます「中小企業金融公庫運用計画比較表」とございますように、源資におきましては去年は一般会計から二十五億、これが今年度におきましては十五億、運用部借り入れば百五億に対しまして今年は九十五億、自己資金は去年の九十五億に対しまして今年は百三十五億というふうに、いわゆる財政投融資の新らしい分におきましては、去年の百三十億に対しまして、今年は百十億と二十億の減に相なっておりますが、自己資金回収が四十億ふえておりますので、差し引き運用計画といたしましては二十億昨年よりも今年度増加するということに相なっているわけでございます。その四半期別の大体の計画は次の貸出資金総額にある程度でございます。  次の三枚ございますのは、中小企業金融公庫貸付状況の概況でございましてごらんいただきたいと思います。  次は第十表、ページにいたしまして九ページ、「国民金融公庫資金運用計画」というのかございます。これによりますと国民金融公庫は、御承知の通り大蔵省の所管に相なっておりますが、中小企業、特に零細企業専門金融機関ということで活用に相なっておりますので御説明申し上げる次第でございますが、源資関係におきましては一般会計出資金が二十億、資金運用部借入金が八十五億、回収金が三百九十五億というふうに相なっております。そのうち運用部資金返済する分がございますので、それが三十八億、差引きいたしまして、三十年度におきまして貨し出しのできる実際の数は四百六十二億というふうに相なっております。これを昨年度との比較におきましては、そのページの一番下のところに「国民金融公庫資金運用計画比較表」というのがございまして、昨年度一般会計から二十億、今年度も二十億でございますが、運用部におきましては昨年が九十一億に対しまして、本年度は六億減の八十五億、しかしながら回収金が昨年度の二百八十九億に対しまして、ことしは三百九十五億、差引百六億の増ということに相なりますので、資金量といたしましては百億の一応増と見たわけでございますが、そのうち先ほど申し上げました三十八億の返済金預金部資金返済がございますので、運用資金量といたしましては四百六十二億と相なる次第でございます。その資金のうち四半期の内訳は次の覧に掲げてある通りでございます。  なお御案内通り国民金融公庫はいわゆる普通の中小企業零細企業に対する貸付のほかに、次の上の方の欄に、囲いの欄にございますように、遺族国債担保貸付恩給担保貸付更生資金貸付というふうなものがございまして、これはことに恩給担保貸付あたりは、昨年度実績に比べますと相当増額に相なるわけでございます。従いましてもっぱら中小企業として零細企業中心に貸し付けるのは上の普通貸付、去年の三百八十四億に対しまして、ことしは三百九十億、それから特別小口貸付といいますのは、一口五万円以内を簡易に貸し付けるという点で、特に零細なものでございますが、これにつきましては、去年の実績が三億四千万円に対しまして、ことしは二十四億円ということでございまして、合計いたしまして去年の約三百九十億に対しまして、ことしは四百十四億という数字に相なる次第でございます。  次は「商工組合中央金庫資金運用一覧表」でございます。昨年度、三月末におきまする資金状況と一昨年との比較でございますが、まず組合出資政府出資におきましての異動はございませんが、優先出資におきましては、御案内通り毎年利益でもって償却することに相なっておりますので、去年の決算におきましては大体五千万円ばかりが償却できるということに相なることになります。それから債券発行状況でございますが、これが昨年中の増加は一昨年と比較しまして、一番右の欄にございますように、七十九億、約八十億の債券発行をいたしております。そのうちで運用部資金で引き受けましたものが、その二段下にございます二十三億九千万円、いわゆる二十四億円の増でございます。それから預金におきましては一昨年よりも減少いたしておりはすが、そのうち組合預金は十四億円の増と相なっておりますが、いわゆる政府預託金、これが同じくほぼ十四億円減少いたしておりまするし、県市の預託金も三億円ばかり減少しておりますので、差引二億六千万円ばかりが減というふうに相なっております。で、借入金におきましてはいろいろございますが、特に日本銀行からの借入金が一昨年の年度末におきましては十八億の借入があったのでございますが、今年度は二億七千万円、十五億円の減少を見ております。  その貸し出し状況は、次の運用の面の貸出金の欄にございますように、一昨年度末が四百六十四億に対しまして、昨年度末、すなわち今年の三月におきましては五百三十五億、合計差し引きいたしまして七十一億の貸し出し増ということに相なっております。そこでも御覧いただけますように、債券発行は八十億の発行でありますが、貸し出し増は七十億ということに相なります。その主たるものは先ほどの日銀からの借り入れ等それから政府預託資金の引き上げというものが大きく作用して参っておりまして、以下のページはいずれも商工中金の現在の状況でございまして、御覧おきを願いたいと考える次第でございます。  次に大へんおくれまして恐縮でございますが、ただいまお配りいたしました「昭和三十年度予算要求における中小企業対策費について」、これを中心中小企業庁の今年度事業方針について御説明申し上げたいと思います。  結局われわれといたしましては、予算説明、その他におきましてございましたように、去年の金融引き締め年度の次ぎといたしまして、経済地固め年度といたしまして、それをベースにおきながら、中小企業貿易振興に最も重点を置きながら、全体の盛り上りをはかりたいというふうに考えておる次第でございまして、まず昨年の中小企業庁プロパー予算に計上されておりますのは、最初のページでございまして、その第一は組織化及び合理化対策でございまして、御案内中小企業等協同組合法によりまする協同組合組織化ということを重点にやはり取り上げて参りたい。そのためには、たとえば認可制度あるいは商工協同組合中央会の設置というふうな問題につきまして、目下法律案を準備中でございまして、ごく最近に法律案として提出する予定に相なっております。その協同組合協同事業中心といたしましては、やはり協同施設を持たして、これをうまく活用することによって、個々企業者ではなし得ない力を加えて参りたいということを考えておるのであります。これに対しまして、政府といたしましては、協同施設補助金を出したい、それからこれは組合ではございませんが、個々事業家がいろいろ古い、あるいは陣腐化、老朽化した設備等をだいぶ保有いたしておりますので、これらを近代化し、合理化するという面で、個々企業に対する設備の取りかえ等を中心といたしまして、新らしい設備を入れるというふうな場合におきまして、これの貸付金を実施いたしたいということで、昨年もこれを実施いたしたのでありますが昨年の三億円に対しまして今年は三億二千万円を、一般補助金減少の時期にかかわりませず、些少ではございますが、二千万円の増加を見た次第でございます。  次に第二点は、いわゆる中小企業個々事業家企業診断、またそれを通じて経営の指導技術指導を行いたいというふうに考えておりまして、この二の点にございます企業診断指導費は、これはいわゆる中小企業庁自身が使いまする事務費でございます。この中におきましては、従来も予算のやりくりをいたして実施いたしておりました企業系列化系列診断、あるいは鉱山診断というふうなものも、今後は積極的に取り上げて参りたいということで、ごく微々たる事務費でございますが、これが増加を見ておる次第でございます。その次にありますのは、御案内通り企業診断政府みずからではとうていできませんので、いわゆる全国に散在いたしまする中小企業者に最も直接に関係を持ちまする府県庁にこれを実施いたさせておるわけでありまして、その府県庁活動費といたしまして、開設以来補助金を交付して、診断指導を行わせておりますが、この費用といたしまして、昨年度は四千万円でございましたが、本年度は六千七百万円というふうに、二千六百万円の増加を見ておる次第でございます。ただし昨年の四千万円のうちには、その次の欄にございまする八百万円というものを割愛いたしまして、中小企業相談所補助に当てておったわけであります。従いまして各府県に対する診断指導費自体は、三千二百万円でございますので、それに比べまするというと、今年度は昨年の倍以上になるということに相なります。  次は、主として零細企業に対する相談相手になるというための相談所を、今度は相当活発に活躍させたいということでございまして、そのために、昨年度予算費目を流用いたしておりました八百万円を、三千百万円まで増大いたすことにいたしました。次にございますのは、中小企業者が販路の開拓、新しい製品の売り込みというふうな意味におきまして、中小企業庁の主催いたしておりまする振興展示会、あるいはまた各方面に対していろいろな情報を流すというふうな活動をいたしております、その費用でございます。大体去年通りでございます。次の費用水害復旧資金利子補給でございまして、これは過去の貸し付けた資金利子補給でございますので、年々逓減して参ります。これで十分な資金でございます。その次は、中小企業安定法の施行に伴いました事務費活動費でございます。  次は、今金融資料の中で御説明申し上げました金融措置でございまして、中小企業金融公庫に対しましては、財政投融資、昨年が百三十億に対して百十億、二十億の減でありますが、貸し出し予定といたしましては、昨年の二百億に対しまして、二百四十五億、去年の二百億は計画でございます。去年の貸し出し実績は、回収が案外進みまして二百二十六億まで増加いたしましたので、それと比べますと、約二十億の増ということに相なります。  国民金融公庫につきましては、先ほど申し上げましたように、財政投融資面では六億の減でございますが、貸し出し予定につきましては四百五十六億、昨年の当初計画予算執行当時の見込みから考えますと百十一億の増であります。貸し出しの去年の実績から比べますというと四十四億の増、もっともこれからさらに回収増加いたしまして、先ほど申し上げましたように四百六十二億というふうに相なっておりますので、三十年度貸し出し予定額四百五十六億とありますのは四百六十二億と御訂正おきをお願いいたしたいと思います。  それから商工中央金庫に対する出資額、これは御案内通り昭和の十二、三年ごろに新設いたされました際は、政府民間半々出資ということで出発いたしましたが、いろいろな曲折を経まして、結局現在におきましては、政府出資は、先ほど御説明申し上げましたように、民間出資は十三億余に対しまして、政府出資は二百十万円、そのほかに見返り資金から約三億四、五千万円の優先出資というふうに相なっておりまして、ほとんど終戦後におきましては政府出資ということはなかったわけでありますけれども、今回新たに商工中金に十億の出資をいたした次第でございます。  次に、こういうふうな金融態勢に対しまして、金融機関が、中小企業信用力が不活発だ、少いというふうな関係で、貸し出しを渋る面がございますが、これに対しましては、中小企業信用保険制度というものがございまして、これも今度の国会でいろいろの修正を加える予定で、法律案の一部改正を目下提案いたしておる次第でございますが、御審議をお願いいたしておりますが、その貸し出し限度額は、昨年の五百六十四億に対しまして今年度は六百二十億で、五十六億の増というふうに相なっております。  次に、今まで申し上げましたのは中小企業庁プロパー予算として計上いたされておる費目でございますが、中小企業庁とは離れた本省の予算の中に、中小企業向け輸出振興費が新たに三千八百万円計上いたされました。これはもっぱら中小企業向けに流用いたしますので、その運用につきましては、もっぱらわれわれが中心になってこれを運用して参る費目でございます。  その一は、意匠改善費補助でございまして、玩具、陶磁器、その他各種意匠改善のために必要な補助金を出したいというのが、第一点でございます。第二点は、輸出振興技術研究費でございまして、コストの引き下げあるいは能率の向上、その他各般のいろいろ技術的な欠陥を改めるべく研究費補助して参りたい、これが一千万円でございます。海外競争品見本蒐集海外におきまするいろいろな各種国産品に対する競争品見本を買い集めまして、同業者にこれを展示して見学させまして、いろいろ改めるべきものを改めさせるという趣旨でございまして、これが五百万円。また新しく商品を産出いたしまして、これを海外に出そうというふうな意欲に燃えておりますが、なかなか経費がよけいかかるというふうな面もございますので、こういう新規試作品に対しまして千五百万円の補助をいたしたい。最後にございますのが、海外市場維持対策費でございまして、これは海外におきまするいろいろな輸出を阻害するような政治的な動きに対する対応策というふうな考え方をいたしております。たとえば各種関税引き下げ運動、あるいは輸出輸入制限運動というふうなものに対応する意味で、いろいろな活動が必要でございますが、そういうものに対する補助金でございます。  次にありますのは、一般輸出振興対策費の中に計上されておりますが、大部分中小企業向けに活用される部分でございまして、これらの予算執行につきましては、われわれも十分意見を申し述べて、適正に運用されるようにいたしたいというふうに考えておりますが、その第一は、絹織物等輸出振興費補助でございます。それから軽機械類サービスセンター、ミシンあるいは双眼鏡、カメラ、自転車というふうなもののサービスセンター海外の適当なところに設置したいということでございます。それから農水産物海外共同施設、これはお茶、冷凍マグロ、スルメというふうなものの輸出関係共同施設海外に設置する場合におきまする補助金でございます。四は意匠権侵害防止対策、また五は、これは国内の農機具展示会というものでございます。この農機具展示会以外の費目につきましては、輸出振興関係はすべて今回新しく今年から計上いたされた新規費目でございます。以下の点は中小企業技術振興の問題でございまして、中小企業庁プロパーといたしても、各種技術振興努力をいたしておるわけでございますが、各中小企業庁以外の官庁通産省関係官庁におきましても、中小炭鉱技術指導とか、あるいは産業工芸指導所のいろいろの活動費、また発明中小発明家の保護、また発明家海外特許補助というふうなものを計上いたしておる次第でございます。これらでおわかりいただいたかと思いますが、こういうふうに貿易振興中心にいたしまして、一般的な金融引き締め状況、ことに経済基盤の確立の年度ではございますが、われわれといたしましては、できるだけ手を尽しまして、中小企業の育成に当って参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  7. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 金利一般引き下げられつつあるわけですが、さなきだに高い中小企業関係金利引き下げについて、何か政府の方で今考えておるかどうか、それを具体的に……。
  8. 記内角一

    政府委員記内角一君) お答え申し上げますが、御案内通り一般金融機関金利引き下げは、各方面努力によりまして、だいぶ実って参ってはおりますが、中小企業向けのものにつきましては、一般よりも更に高い金利でございますので、われわれといたしましては、できるだけこれを引き下げて参りたいというふうに考えまして、それぞれ研究努力をいたしておる次第でございます。特に商工組合中央金庫につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、政府からも出資が行われるというふうな状態にもございますので、これを契機といたしまして、今の比較的高い金利をできるだけ下げさせるように、またそれに応じて政府みずからも何らかの形でこれが援助できるようにということで、目下検討をしておる次第であります。
  9. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは相互銀行、信用金庫なんかにつきましてはどうですか。
  10. 記内角一

    政府委員記内角一君) 相互銀行はすでに一部実施いたしておるわけでありますが、さらにこの上とも、この方面努力させたいというふうに考えております。信用金庫等につきましても、目下大蔵省と折衝いたしまして、これまたできるだけ金利が下って参るように折衝いたしておる次第でございます。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大体中小企業専門金融機関というのは、コストが高いのですからね、御承知のように。だから一般金融機関金利を下げるように、これを下げさせるべく大蔵省と折衝しておるというが、コスト自身を引き下げる方策を講じなければ、金利引き下げは言うべくしてなかなか行われないのじゃないか。しからざれば当該中小企業専門金融機関を苦況に立たせるということになると思うのですが、そういう点についてコストの引き下げについてどういう具体的なお考えがあるか、そういう点を伺いたいと思います。
  12. 記内角一

    政府委員記内角一君) お答え申し上げます。一般的には今回預金金利課税の引き下げというふうなことで、その方面預金の収集が楽になり、同時にまたそれだけ楽になって参りますれば、自然預金コスト自身も下って参るというふうに考えるのでございます。特に商工中金につきましては、預金というよりも大部分が商工債券の形で調達されております。従いまして、これを下げて参りまするためには、やはり一般金利水準が下りまして、商工中金発行する金融債の金利も下げられるような態勢を馴致することがまず必要だと考える次第でございます。これにはいろいろな手段を講じなければならないかと思うのであります。端的にただ商工中金の都合だけを考えて下げたのでは、かえって今度は募集が困難になるというふうなこともございますので、そのことと見合って、漸次そういう方向に馴致して参りたいというふうに考えておる次第でございます。なお政府預金都引き受けのものが相当ございますが、これにつきましては、御承知の通り資金運用部資金法によりまして、一般金融債と同じ条件のもとに発行するということに相なっております。従いましてこれにつきましては、もし一般金利の水準とは違う金利でもって商工債券を引き受けるというふうなことに相なりますると、資金運用部資金法の改正が必要になって参るわけでございます。それらの点につきましては、目下大蔵省と種々折衝を続けておる次第であります。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 債券引き受けの形でいくというと、金利がなかなかそう下らないという実態だろうと思うのですが、むしろ資金運用部資金法を改正して、従前、戦前直接貸しをやっておったように、低利資金として中小企業専門金融機関資金運用部資金を直接貸付の形で供給する、そういう方法で金利を徹底的に下げるという行き方が画期的な、今必要な段階になっているのだと思うのですが、それでなければ債券の引き受けの金利を下げるといっても、お話のごとく金融市場との一般関係もあるし困難である。昔の低利資金運用というあの預金部資金の低利資金運用の形の、もとへ戻すという考え方があるかどうか。これはいずれまたあらためて質問をしようと思うのですが、今聞ければいいです。また研究してもらってもいいのですが、どうですか。
  14. 記内角一

    政府委員記内角一君) まだ大蔵省との折衝の段階でございましては、意見がまとまったいわゆる政府委員としての意見ではございませんが、われわれの考え方といたしましては、運用部資金で引き受けた債券を市中にさらに転売して資金を獲得するというようなことは、あまり予想されないのではないか。そういう意味合いにおいては、必ずしも一般債券と同じ条件でなければならないという必要もないのではないかというふうにも考えておるわけでございます。従いまして、債券金利引き下げということも必ずしも矛盾しない点じゃないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、債券金利引き下げるにいたしましても、あるいは商工中金に対する直接の貸し出しというふうにするにいたしましても、法律の改正を必要とするのでございます。従いまして、われわれといたしましては、そのどちらで行った方が便利か、また妥当かというふうな点も考慮いたしまして、目下いろいろ研究、また打ち合せをいたしておる次第でございます。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 組織化に非常に力を入れられておるようで、これはけっこうだと思うのですが、これは経済六カ年計画の中にも入っておるし、また通産大臣等からも常にそういうことが言われておりますが、その一つの根幹の方針として中央会を結成する、その中央会に対して補助金も計上されておらない。農林関係の中央会にはちゃんと計上なされている。この金額がどの程度になっておるのか、そうして農林関係組織化推進については、補助金が出せるが、商工関係の中央会結成を前提としての法律まで出しておるにかかわらず、何ら補助金が出ておらぬ。そういうアンバランスを何ゆえにしなければならぬかという点について聞きたい。
  16. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれ当初大蔵省にも協同組合中央会に対する補助金の要請をいたした次第でございますが、何分にもまだこれが法律的にはっきりと確定したものではございません。法律が制定いたされまして、正式に中央会が結成されました際に、あるいは補正予算、あるいは予備金等によってこれを何らかの措置を講じて参りたいということで、一応一般会計予算面には計上しなかった次第でございます。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 農林の方は幾らの補助金で行くのですか。
  18. 記内角一

    政府委員記内角一君) 六千万円余であったかと思います。
  19. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 もう一つ、輸出振興対策をいろいろ今回はやられておるのですが、この資料によりましても、絹織物関係、それから軽機械類農水産物、こういうものにもやっているのですが、御承知のごとく中小企業の代表的製品というと雑貨なんですが、この雑貨について特別の何ら施設がないようすが、どういうものですか。
  20. 記内角一

    政府委員記内角一君) 雑貨につきましては、御案内通りこのほかにいわゆる海外広報宣伝費、あるいは見本市援助費、あるいは陳列場等の費用がございまして、いわゆるジェトロを通じましてこの面に補助金が出ておりますので、これを使って振興して参りたいというふうに考えておる次第でございます。従いまして、あの方面予算を御覧いただきますれば、これもねらいは主として中小企業でございまして、大企業を目標にいたしておるのではございませんので、こういう費目にはまだまだ相当実際的には中小企業方面に活用できる費目がございます。一般的に書いてございますので、御説明を省略した次第でございます。
  21. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 相互銀行と信用金庫の中小企業向け貸し出しが押えられて、その結果がこれらの手元に相当に余裕金ができておって、これが市中銀行に預け金になっておりまして、あるいはコールに放出されて中小企業に貸し付けの実をあげていないのでありますが、これをどう見られますか。
  22. 記内角一

    政府委員記内角一君) 信用金庫、相互銀行等の貸し出しを抑制しておるような御意見でございましたが、おそらく大蔵省もそういう意図はないかと存ずるのでありますが、御案内通り、こういう金融機関は主として中小企業向けに、あるいはもっぱら中小企業向けに融資されるのを建前にいたして成り立っておりまするし、現実におきましても、信用金庫はほとんど全部中小企業に向いておるような事情でございます。ただ今まではいわゆるオーバー・ローンの時代でございまして、どちらかと申せば、たとえば支払い準備金までもお貸しして貸し付けに充てておったようなきらいもあったのではないかと思います。最近の事情にもかんがみまして、これらの面をある程度手当てするのもやむを得ないと思っております。それの運用方法といたしまして、短期にいつでも引き出せるような、現金化できるような事態で運用しておる、あるいはコールに回るというようなふうになっておるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  23. 木村守江

    ○木村守江君 三十年度予算編成の方針で、補助金の整理という問題が相当大きく取り上げられておる。ところがただいま中小企業に対するいろいろな予算を拝聴いたしましたところ、今までなかったいろいろな方面にわたって補助金を出されております。特にその補助金輸出に関する補助金であって、その金額というものは大体一万ドルから二万ドルというような零細な、きわめて少額な補助金でありまして、こういうような細かい補助金で果してこうような掲げられた題目のような目的を達成することができるかどうか、私は非常に疑わざるを得ないのでありまして、こういうような予算を作って、これがみな通産省の役人の小ずかいになってしまうということになりはしないかと私は非常に心配するんです。果してこういうような五百万円とか三百万円とか八百万円とかいうような予算であなた方が計画しておるようなこの事業が達成されるかどうか、この点詳細に御説明を願いたい。
  24. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれといたしましても、今の補助金整理の趣旨はよくわきまえておるつもりでございますが、しかしながら同時に伸ばすべきものは国家財政の範囲内におきまして相当積極的に伸ばしていかなければならぬ。ことに中小企業であり、また特にそれが輸出関係を持っている面につきましては、格別の措置を必要とするんじゃないかというふうに考えまして、大蔵省と打ち合せました結果、目下先ほど御説明いたしましたような予算案を御審議願っておる次第でございます。従いましてわれわれといたしましては、一面におきましては補助金整理の御趣旨もよく体しまして、今お話のようなことのないようにもっぱら効率的に、しかも中小企業がこれによって輸出振興に最も寄与し得るような方法で補助金を交付して参りたいと存じておるわけでございます。もちろんこの程度の補助金でもって相当の中小企業は助かる、あるいは輸出が飛躍的に振興するというふうなことまでの期待はなかなかむずかしいかと思うのでありますが、漸を追ってこの方面に力を入れて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 木村守江

    ○木村守江君 ただいまの説明によりまして、結局輸出に関する重要な問題については、予算編成の本来の趣旨から考えても特別な措置をとらなければならないというような御趣旨はよくわかっております。よくわかっておりますが、この予算書を見ましても、きわめて少額な——これは外国の事情は私実際には知っておりませんが、常識的に考えて、一万ドルないし二万ドルというような少額な金額で一体どういうようなことをやろうと思うのか、これは具体的に御説明を願いたいと思う次第であります。特に海外競争見本品蒐集費補助が五百万円、それから農水産物海外共同施設補助が八百万円、それから農機具および包装展示会費八十七万三千円、一体こういうやつをどういうふうに使ったらいいか。私はどうもこういうような予算を非常な美名のもとに振り回して、これがみんな役人の小ずかいになってしまうというようなことをやられはしないかとおそれるんですが、ほんとうにあなたが言うような格別な処置をとって補助金整理というようなワクから離れてこういう問題を取り上げるんだというのだったらば、ほんとうに働くように、ほんとうに効果があるように、実績を上げるように、重点的にやるべきではないか。まあ十五、六ありますがいずれもたくさんお題目を並べましたけれども、その内容においてはまことに疑わしいものがあると言わざるを得ないのでありましてその点どういうようなことになるか、詳細に御説明を願いたい。
  26. 記内角一

    政府委員記内角一君) ここに御説明申し上げましたのは、われわれが中心となってやりまする国内関係活動費でございまして、海外におきまする活動費は、おそらく別途通商局の方から当委員会においても御説明申し上げたかと思うのであります。日本貿易振興会等を通じまして、各種補助金が相当多額に今年度は計上を見ているわけであります。しかし御案内通り海外におきましては、一度出て行きますにつきましても、相当多額の費用が要るわけであります。われわれといたしましては、その方の費目は通商局の方におまかせして予算化していただいておるわけであります。ここに計上いたしましたのは、国内での活動費でございます。従いまして、まあこの程度であれば、もちろん不十分ではございますけれども、個々の業者、あるいは個個の催しになりますれば、ある程度の金額がまとまって、国内的に見ますというと、相当な程度になり得るものでございます。いわゆる零細補助金というふうなもので、二万とか三万とかいうものを総花的にばらまくものではございません。御指摘になりました農機具の展示会等におきましても、日比谷の公園の中で大きく大々的に毎年一回ないし二回展覧会を催して、各方面また海外からも顧客を誘致いたしておるわけでありますが、こういうふうな催しによりまして、これの売り込み、また相互の啓蒙発展を期するというような費用に充てておるわけであります。これを各所に分散して、最終的には一万、二万というふうなきわめて零細なものにしてしまうというふうなことは考えておりません。われわれといたしましては、相当まとまった金を重点的に使い得るように、零細な企業で零細な資金でできるようなものは、自己努力によってこれをやってもらうようにというふうに考えておる次第であります。
  27. 木村守江

    ○木村守江君 ただいまの御説明によりまして、この予算は国内において輸出振興のために使うのだというような御説明でありましたが、しからば海外においてこれらにタイアップして使うべき費用はどういうような程度であるか、これを御説明願いたいと思います。それから資料でそれを御提出願いたい。
  28. 館哲二

    委員長館哲二君) よろしゅうございますか。
  29. 記内角一

    政府委員記内角一君) おそらく通商局の方から通商振興に関する一般的な説明がなされておることと思いますが、なおお話しによりまして、資料をできるだけ提出したいと思います。
  30. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 今のお話で、補助金をもらうについても、零細なものは自己資金でやれというお話でしたが、どれくらいの金額が零細とみなされておるのですか。
  31. 記内角一

    政府委員記内角一君) たとえば協同組合共同施設等におきましては、われわれから出す資金が大体二十万円をこえるもの、これは一件当りの半分以下を出すことにいたしておりますので、一件当りの施設は五十万円以上というくらいな程度を目標に目下考えている次第であります。
  32. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 さっき専門家の豊田君から金利引き下げの問題があったのですが、実は最近金利引き下げ金利引き下げがはやっているのですが、私は昨年現地調査をしたときには、実は金利よりも前に中小企業の困っているのは再建預金と歩積みの問題なんですね。大蔵大臣も当時これはやめる意思だ、そうして銀行局長から金融機関に通牒が出ている。ところが実際行って見ると、どうしてどうしてだんだんふえて来ているという傾向がある。で、銀行は世の中が不景気になると自己防衛上どうしても金融機関の本来の性質からそうなりがちなんです。議会ではあなた方が答弁なさるときには、いや通牒も出しましたし、そういうものもなくします、こうおっしゃる。その後大蔵省の方も私どもの報告によって、その歩積みと再建については相当反省を金融機関に促していられる。しかし私は今でも実際は相当そういうものがある、それが一番中小企業が困っているのだということなんですが、そういうことについて、最近一年間どういう推移中小企業において起っているかということをお調べになったものがございましょうか。またここですぐ御答弁いただけるならば、その趨勢をお話し願いたい、こう思うのです。
  33. 記内角一

    政府委員記内角一君) お答え申し上げますが、こり歩積み、両建の問題につきましては、非常にデリケートな問題に相なっておりまして、お互いになかなかこれを示したがらないのでございます。われわれといたしましては、たとえば今金利が高いというが実質上金利はどういうふうな状況かということで、各方面資料を探査いたしまして、目下検討いたしているのでございますが、なかなか実態がつかみにくい。せっかく中小企業の面につきまして実態調査をいたしましても、そういう面がはっきり出て参らないというふうなことで、難渋いたしているわけでございます。ただ個々に当ってそれとなしにいろいろ聞いておりまするところでは、これが相当多額のいわゆる拘束預金と申しますか、両建預金などが行われているように承知いたしております。で、従いまして、大蔵省に対しまして、こういうことのないように厳重申し入れをし、これの監督をあらゆる機会にやっていただくようにお願いしている次第でございます。ただ最近になりまして、一般金融情勢が若干緩和しているのじゃないかというような疑われる節もございまして、両建預金あたりも漸次いわゆる普通銀行等におきましては、解消しつつあるような空気もうかがわれるのであります。しかしこれが果して中小企業に及んでいるかどうかということになりますと、なかなかデリケートなところにあるのじゃないかというふうに考えている次第であります。
  34. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 ところがそれは、金融緩和になってきている傾向だから、どうもおそらく減っているだろうということは観念的には言えるのです。しかし金融緩和がデフレの深刻を感じている場合には、どうもそういう結論がすぐ出てこない。そういう点で実は大蔵省の銀行局長といえども両建、歩積みのあることは知っている。で、あなたの方は、それはあそこではそういうものは隠したいところなんです、自分の通牒の手前からでも隠したいところだ。あなたのところが一生懸命になって実態調査をしなければ、これは解消しないのです。ところが私は一番あなたのところに、問題の要点はどこにあるかというと、その実態把握ができてないということなんです、率直に言えば。で、この両建とか歩積みの問題だけじゃなしに、御答弁は筋道が通っているのです。しかしあなたのところには手足がないのだ、率直に言えば。そうしてしかも対象の企業というものは実に千差万別、しかも非常に多い。それじゃあなたの方が今度県に幾分の補助を出されて、中小企業指導について協力されるが、その縦の線がなかなか密接につながってないのです。いわんや金融の面になると、あなた方の方は何にもつながりがない。自分の手元商工中金とかその他のものはあるけれども、もう国民金融公庫になればあなたは大蔵省の所管だと言わざるを得ない。で、そういう縦の線がつながって行政が末端までいかなければ、中小企業の問題は解決しない。そうすると、あなたの方が県なり商工会議所なり、あるいはいろいろの組合を実際につかんでいける状態にあるかどうかという二とが私は根本の行政態勢であると思う。農業関係をみますと、その点は非常に徹底している。これは少し徹底しているくらい、もうなんというか、自由主義経済だと言いながら実は統制経済になって、もう末端まで実に浸透している。むろんあなたの方も私は統制経済にすぐ移行しなさいということは少しも考えておりません。おりませんが、少なくとも政策をお立てになるのには、そういう実態把握だけでも末端との連絡がなくちゃなかなかできにくい。そういう点についてまあこれは御注意みたいなもんですが、しかしそれらについてここ三十年度に施策をしていく上において、何かお考えになっているところがありましたら、ここで御説明願いたい、こう思うのです。
  35. 記内角一

    政府委員記内角一君) 私どもその点痛切に感じているところでございますが、しかし同時に私どもの中小企業庁自身の手によって行うことはとうてい不可能であります。従いまして、どうしても全国に散在しておりまする中小企業、しかも今御指摘のように各種各様の業態にありまするものに対しましてやりまするためには、どうしても第一線機関の協力を得なければならぬということでございます。今度の診断指導補助金その他の各種補助金もございますが、また補助金だけでなく、一般いわゆる行政面におきまして府県等との連絡を緊密にいたしまして、この方面の把握に私どもとして努力いたして参りたいと考えておる次第であります。
  36. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今の堀木君から言われました歩積みの弊害の問題ですが、これは通牒は出ているのは出ているのですが、ただ自粛するようにという通牒なんですね、それなものだから、どの程度が自粛なのか、銀行検査をやってもこれは押えることができない、そこに根本の問題があるのであります。従って通牒を出す際に、たとえば歩積みは一回の貸し出しについては三%である、それを限度とする。それから貸し出し残高全体に対しては歩積みの総額は三割をこえてはいかぬ、これは常識になっているのです。その共進を通牒に折り込んで、これはこれでいけとこういうことになって、それをこえたものは銀行検査のときに押えるという行き方をすれば、私は大きな弊害というものは押えられていくと思う。そういう行き方をしないで、ただ通牒を出している出しているというけれども、ただ文句で自粛だけしろということだから、それは全然お題目になってしまっているのですよ。こういう点について具体的な歩積みの一回当り、あるいは貸し出し総額全体に対する比率、これを中小企業庁が元気を出して大蔵当局と折衝されたら、私は問題が非常に解決の曙光を見出すと思う。こういう点どうですか。
  37. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御指摘ごもっともな点もございまするが、ただある意味におきましては、歩積みを公認するような格好に相なりまして、いわゆる取り引き先のいかんによっては歩積みをやっておらないところに対してまで歩積みを、なんと申しますか、奨励とまで申しては語弊がありますけれども、新しく設けさせるような結果になることもいかがかというふうに考えられます。これらの利害得失等を考え合せまして、よく打ち合せていきたいと思います。
  38. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今そういうふうに言われるのですけれども、結局今の歩積み制度をもっと擁護しようという答弁だと自われても私は仕方がないと思いますが、今日一回当り三%、あるいは総額に対する比率三割という程度は、これはどこでもやっているのですね。やらぬというところがあったら、これは預金を取らぬ特殊の金融機関というくらいのもので、ほとんど今言った程度のことは最低限度としてやっているのです。この程度でいくということは不届き千万な行き方を是正する上に非常に効果がある。これは一つよく実情を調べられて、研究をしておいてもらいたいと思います。こういう問題はあわせてまた次の機会に質問しようと思いますから、具体的に実情を調べて一つ研究しておいて下さい。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 三十年度中小企業資金需給見込みの資料が出たわけですが、きょうはまだ説明がなかったようですが、一年越しに要求した資料が出たわけですから、この資料説明については、ここにも書いてあるように、「経済審議庁及び中小企業庁と協議のうえ、算定を」したとありますから、ぜひ委員長のお計らいによって大蔵大臣から直接説明をしてもらって、そうして経済審議庁の責任者、あるいはきょう御出席の記内長官もお立ち合いの上で説明をお願いしたいと思います。経済審議庁の方においては、特に国民所得の推定を担当している責任者はぜひ介在してもらいたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  40. 館哲二

    委員長館哲二君) ちょっと小林君にお尋ねしますが、それはこの三十年度中小企業資金需給見込みについての説明ですね。
  41. 小林政夫

    小林政夫君 ええ、説明です。大蔵大臣から説明してもらいたい。
  42. 館哲二

    委員長館哲二君) では機会を見まして、一つ説明を求めることにいたします。
  43. 小林政夫

    小林政夫君 それから木村委員の質疑と重複するかもしれませんが、中小企業関係予算についての企業診断指導費及びそれの府県補助費の分が、特に府県補助費についてさらに増額をされている。また中小企業相談所補助というものもさらに増額をされている。まあ、私たちの要望に沿うた線で非常にけっこうなことと思いますが、この増額をされた本年度予算について具体的にどのように使うつもりなのか、この点を説明してもらいたいという点が一点。  それから中小企業輸出振興補助、新しく本年度計上されておりますが、その中で特に海外競争見本品蒐集費補助、こういうものは具体的には、五百万円計上されておりますが、どういう方法でどのようにやるのか、収集した結果をどう使うのかというような点について構想があるはずですから説明を願いたい。
  44. 記内角一

    政府委員記内角一君) 診断指導費につきましては、従来各府県診断指導を実施してもらっておりまするその実績とか、あるいは今後のやり方に対しまする計画、また協同組合あるいは事業者の数というふうなものを考え合せまして、各府県別に大体の割当をいたしまして、その実績に応じて決定して参りたいというふうに考えております。  それから相談所につきましては、非常に数も多いのでございまして、これにすべてに補助するということになりますると、なかなかいわゆる零細補助に堕するものも相当あろうかと思うのであります。中心的なものを各県数カ所選びまして、これに重点的にやって参る、その他の面につきましては県自身に考えてもらうか、あるいはその中心的なところから応援に参るというふうなことをやって参りたいと思っております。いずれも府県自身に直接補助金として出して行く、もちろん企業診断府県自身の事業費でございますから、相談所に対しましては、府県から補助金を出してもらうというふうな考え方をとっております。  さらに見本品の集収でございますが、これはどういうものを買うか、どの種のものを買うかということにつきましては、国内で関係方面に相談の上決定いたしますが、その買付の具体的な、どの商品を買い付るか、どの程度に買い付けるか、またどういう国から買い付けるかという点につきましては、もちろんどういう国から買い付けるかはわれわれの方で決定いたしますが、現地における買付自身につきましては、日本貿易振興会の出先の機関を活用してやって参りたいというふうに考えております。で、買い付けて参った物はこちらに送って参りまして、それを関係者に展示して、あるいは懇談会、協議会にこれを見せてやる。で、啓蒙に資するということもございましょうし、あるいはさらにそれを試験研究機関に持ち帰って分解分析いたしまして、それの結論をもって業界に発表するというふうなことも考えたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 小林政夫

    小林政夫君 まあ最後の方から聞きますが、競争見本品の収集、買い付けるのは日本貿易振興会の出先機関でありますが、どういう種類のものを業態的に、たとえば木工製品なら木工製品、あるいは何々製品という、どういう競争品を買い付けるかというのに、今の御説明ですと関係方面の意見を聴取するということですが、その意見の徴し方ですね、これはどういうふうにおやりになるのか、各業種別の中小企業団体等にあまねく周知させて布望を募られるのか、そのやり方はどうですか。
  46. 記内角一

    政府委員記内角一君) できるだけ広く各業種にわたって意見を求めたい、その中で大体の見当をつけまして今年度においてはこれをやり、来年度においてはこの点に触れて参るというふうな点の選択はわれわれの方で適宜決定して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 五百万円ではほとんど……私は、計上されて非常にけっこうです。私は大いにこれはやってもらわなければならんと思っておるのですが、中小企業としてはなかなか海外視察ということができないし、できるとしてもなかなか中小企業というのは内面的な、御承知の通り競争意識が強くて、団体の理事長、あるいは理事が行くとしてもその個人の商売になるのじゃないかというような邪推も起って来るし、業界代表の海外視察というような経費も問題があるし、また人選にも困るというような状態なので、全部の関係業者がいながらにして国内において海外市況が見られる、こういう機会を作る。必要があるとかねがね痛感しておるのです。幸いこういう費目が設けられたので一つどうか有効に所期の目的に合うようにやっていただきたいと思います。  それから企業診断のことでありますが、これもまあ実行は県にまかせる、従来もそうなっておるわけでありますが、この方もかなり積極的にやってもらう必要があるわけで、中小企業に対する金をつけるということも必要でありますが、また一面金が安易につくために経営をスポイルしておる中小企業もあるわけです。相当経営面、技術面について積極的な指導をする、こういうことが中小企業育成のために必要であろうと思うのです。その診断員といいますか、企業診断員の講習を開いて診断技術を養成、修得させるということもおやりになっておるようでありますが、たとえば税法等についても青色、申告をする場合に、場合によったらかわって指導ができる税理士等の資格も持っておるような指導員を巡回指導させるということも必要ではないか、この程度の予算ではなかなかそこまで行かんでしょうが、方法としてただ府県にまかしてしかるべくやるのだということではなかろうと思うのです。あなたの方でも一応こういうようなふうにやってもらいたい、これだけの補助金をやるについては、指導綱領というか、こういう方法で指導してもらいたい、こういうようなことも言われるのではないかと思うのですが、それをもう少し、従来はこうであった、今後は多少予算もふえたからこの点は力を入れてもらいたいという点はあるだろうと思うのですが、もう少し具体的に、ただ府県にまかしておくということでなしに、説明してもらいたいと思います。
  48. 記内角一

    政府委員記内角一君) 企業診断につきましては大体三つの部門に分けまして、あるいは四つと申すが適当かと思いますが、工業の生産部門の問題と、工業のいわゆる販売面の問題、販売を中心としたいわゆる経営面の問題それから商業の店舗設備等中心とした問題と、商業の経営面の問題と、この四つの部門に分けて診断し、指導をいたしておるわけなんでありますが、たとえば税務処理的な問題というのはこういうふうな企業診断の形でやることは適当ではないと思っておりますので、これは別に分けまして、この点は主として相談所の機能を使ってやって参りたいというふうに考えております。幸いにいたしまして各方面からこれのよさというものも認識されまして、目下では診断の希望者が相当殺到しておる、各府県ではこれに応じ切れないというふうな事情もあるようでございますが、われわれといたしましてはできるだけそういうふうに希望に応じて診断をいたしますと同時に、巡回指導員というふうな制度も立てまして自後の一カ月なり二カ月なりたったあとでさらにもう一回診断を行う、最初のほど厳密な診断をする必要はないと思いますが、二度三度と継続的にこれを実施して効果の上るように督励して参りたいというふうに考えております。今もお話のような税務相談等につきましては商工相談所においてこれを取扱わせるというふうに考えております。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 私が今言った趣旨は税務相談を指導員にやらせるという意味ではなくて、指導をした結果が自然に青色申告等の能力が生まれるくらいの帳簿組織等経営者としての成長をする。こういうふうに内部経理等が充実してくると、こういう指導をする必要が、指導がそこまで行く必要がある。それにはかなり指導員が実力を持った人でないと、ただ二、三カ月の指導講習を受けただけで果してそこまで企業指導ができるかということとは疑わしい、だから計理士とか税理士とかいうような企業経営の面について相当の実力を持ったものが指導をする必要があるのではないか、そしてそれだけの資格を持っている人、能力のある人は給料もかなり高い、そうなると今の程度の予算でそういう人を多数採用できるかどうかということが問題になってくる、もっとふやさなければならないというふうに、そして農業に改良普及員があるがごとくに今のようなお話のことをもっと徹底的にやれば農業指導、農業の方の改良普及員等が各戸別訪問をしていろいろ懇切にひざ詰め談判でひざ突き合せて相談にあずかっておるように中小企業の方の指導員も各中小企業を戸別訪問をしていろいろ懇切に指導をするというような態勢を整える必要がある。そこまで徹底してやるについてはまあこの程度のものであればいいというあなたの方に考えがあるとすれば、決してそこまでは行かないと思うが、大きなねらいをそこまで、最も理想的な指導をするということについてはどうあるべきかという構想があるかと思ってお尋ねしているのです。
  50. 記内角一

    政府委員記内角一君) 中小企業指導につきましては先ほど申し上げましたように、各種の業態に分け各種の経営方針指導方針が必要になって参るわけでございます。農業のように比較的単純な方向でいけるというふうには考えられないのであります。しかしその中にもある程度の系統別に分類いたしまして、同じ人が各方面に立ち回る面もございますので、できるだけそういうふうに分けまして能率的な運用をして参りたいというふうに考えておりますが、しかしそれにつきましても今御指摘のようにそれぞれ専門的な教育をする。それも新しく専門家を育成するということではなくて、ある程度の能力を持っておる者にそういう指導のやり方を、何と申しますか、特殊な技能をその上に追加するというような意味でこれの再教育というふうな意味の講習を目下実施いたしておるわけでございます。さて、そういうものが出て参ります際にいわゆる診断指導の面におきましては直接個々の工場、店舗に参りまして具体的に指示を与え指導を行わせるのでございます。また今御指摘のように経理の指導というふうな面におきましては比較的共通な面もございますので、こういう際におきましてはある一カ所に集めまして同じ技術につきましても同業者を一カ所に集めて工場で一緒に共同研究させて行くという指導をするというようなやり方もあろうかと思います。これらになりますと指導というよりも講習というふうな面になろうかと考えます。実態はそういうふうな共同でやるというふうな面がございます。従いましてどの部分診断でやり、どの部分相談所でやるかというふうなおのずからなラインも自然に出て来ようかと思います。われわれといたしましてもある程度のメドを与え、それぞれに分担さしたい。それから相談所におきましても、相談所の事務所でデンとかまえておるのでなく、やはりそれが街頭に乗り出して積極的に指導に当る、場合によりましてはこれが夜間において同業者を集めて話し合いをする、講習をするというふうな面まで持っていきたい。またそういうことによって非常に効果を上げている相談所もあるわけでございます。こういう点も大いに伸ばさせ、またこれをほかの方にも普及させたいというふうに考えておるわけでございます。それからそれにはやはり相当な相談員の努力と工夫が要るわけでございますので、この方面の啓蒙もいたさなければならん、ただその中には専門的な事項につきましてはたとえば税とか、あるいは経理そのものというふうなもので専門的になって参りますと、一般相談所では受けかねる面もございますので、そういう際には経常的に置くことはもちろん必要でございますが、経常的に置き得ない、また置く必要のないような場合におきましては臨時的に嘱託というふうな制度によってこれを補って参りたいというふうに考えておる次第でございます。しかし、とてもこういうふうな少額の資金では全国に散在しておる中小企業者になかなか手が及びかねるわけでございます。それから、また財政の面のこともございますので漸を追ってこれを拡大して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 中小企業組織化という問題、非常にまあ組織化重点を置いて考える考え方からいきますというと、この診断指導を徹底的にやっていくということは多少組織化の啓蒙を阻害するというような考えを持つものもあるわけでございます。そういう点について、私は別の考えを持っておりますが、中小企業庁としてはこの中小企業組織化とこの企業診断指導の充実というものをどういうふうに考えておられるか。
  52. 記内角一

    政府委員記内角一君) 中小企業組織化といい、診断指導といいましても結局は中小企業自身の経営が合理化され、力が強くなって参る、いわゆる振興発展ということを目ざしておるわけでございまして、そこまで行く道筋に一つは共同組織によるという面があり、また片一方には診断指導というやり方があるという方法論の問題かと思うのであります。従いまして相互にいずれも関連をもってやって参るわけであります。組合組織だけで問題が片づくわけでもございませんし、また診断指導、内部経営の合理化だけでこれがことが片づくものでもございません。従いまして診断指導によって内部経営の基礎を固めると同時に、それだけでは補い得ないような力を共同の力によって補って参りたい、両者相待って最終的には個々の経営者が維持振興できるような方向にもって参りたいと考えておる次第でございます。
  53. 木村守江

    ○木村守江君 先ほど御答弁を願ったのですが、この問題は予算の本審議になりますとこまかいことを聞いておれませんのでもう一度お伺いしたいと思うのです。先ほど来質問をいたしまして小林君からもまた追加質問がありましたが、海外競争見本品蒐集費補助五百万円。これは日本貿易振興会等に補助金をやってこの目的を達成するのだというような御答弁だったと思うのでありますが、そうしますとこの一番の意匠改善費補助とか、輸出振興技術研究費補助というようなものもやっぱり日本貿易振興会等によってやるのですか、それともまたほかの方法でやるのですか。それからついでにお聞きしておきたいことは、日本貿易振興会というものに一体どれくらいの政府の金が流れ込んでいるか。正式の補助金でなくてもどのくらいの金がここに流れ込んでいるかということを御答弁願いたい。これは資料にして出してもらいたいと思いますけれども、まあ今わかりましたら御説明願いたい。  それから二番目の絹織物等輸出振興補助というものをどういうふうにして出すのか、あるいは農水産物海外共同施設補助八百万円というものをどういうふうに出すのか、これをわかりましたら、ここで御説明願いたい。それからこの問題はこまかい問題になりまするが、どういうふうに取り扱うのか、新しく設けられました予算でありまして計画があるだろうと思いまするが、ぜひ御説明を願いたいと思います。私どもこういうふうに見まして、この予算を新しく設けられましたことは日本の輸出産業の振興という点からきわめていいことだとは思いまするが、どう考えてもこのきわめて少額な一億か二億というような金でこの大きな目的を達することができるか、どうしても疑問を持たざるを得ない。そういう点から考えてこれは何かほんとうに世間に宣伝材料にするのか、それともまた通産省の外郭団体でも作ってその通産省の根拠地にでもしようと、そういうふうにしかどうも考えられない。そうでないのだ、こういうふうに使うのだということを明瞭に説明してもらいたい。
  54. 記内角一

    政府委員記内角一君) 意匠改善費につきましては意匠の研究者を主としてアメリカでありますが派遣いたしまして、長期にわたって実習を行わさせるという費用でございます。これはまだ直接に個々の研究者に補助金を出すか、あるいはそういう団体もございますので団体に補助金を出すかというところまではきまっておりませんけれども、大体そういう方向で動いております。最終の目標は個々の研究者が向うへ行って半年なり一年なり研究をして日本へ帰って参りまして、業界のためにこの技術を提供するということをねらっております。  それから技術研究費は主として個々技術の研究の費用の実費を、主として各府県の工業試験所等がございますが、そういう工業試験所とか、あるいは市役所の試験所という方面補助金を出して、具体的にどういうテーマをつかまえて研究をさせるかというその研究の実費の一部を補助するというふうに考えております。  海外見本品の収集でございますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、日本貿易振興会に補助いたしますが、この補助金をもって旅行費とか何とかいうものまでまかなうものではございませんで、個々の商品の買い集めの費用にいたすわけでございます。五百万円、少いようでわれわれももっと多くを望むわけでございますが、まあ大型の金目のはるものは敬遠いたしまして、小型で、比較的雑貨等につきましては個々の一品々々の商品になりますればそんなに多額の金もかかるものではございません。これは見ようによりましては零細補助じゃないかという何もあろうかと思いますけれども、たとえば二千円、三千円というようなものも多分にあろうかと思うのであります。そういうふうなものをまとめて買い付ければそれでも日本の内地の業者の啓蒙にはなるわけでございますが、しかしそれを個々に二千円、三千円を買うものに補助金を与えるのではございませんで、これは日本貿易振興会に一括補助金を出しまして、それを各市場の駐在員に渡させて品物を、商品を買わせる。それでこれを日本に持って帰って業者の宣伝にあてるという考え方でございますが、新規試作奨励費もこれを各府県を通じて申請をさせまして、これに対してそれの実費の一部を補助するというふうな考え方をとっております。輸出絹織物等の振興補助、これはたしか絹織物輸出組合に対して補助金を出して、主としてアメリカだったと思いますが、アメリカ、もしくは欧州方面に対する広報宣伝の実費の一部を補助するということでございます。農水産物につきましては海外に、先ほど申し上げたお茶とか、冷凍品とかいうものの冷蔵庫その他の施設を設けるというようなことであったかと思っております。そういうふうなことで、決して個々の通産省自身の事務官の事務費というものを、これによってまかなうのではございませんで、もしその必要があれば、それは一般予算の中からひねり出して参るということでございまして、ここにあげてあります費目は、それぞれ個々の物件、消耗品等について必要なものを買わせるというふうなものでございまして、そういうふうな、いわゆる乱費に相当するものを、これによってまかなって行くという趣旨のものではございません。
  55. 木村守江

    ○木村守江君 ただいま御答弁を聞いておりますと、私が冒頭に質問いたしました、三十年度予算が、補助金整理というような大きな筋を立ててやったこととそれとは違って、格別な必要性があるところからこの補助金を作っただけで、しかもそれは零細な補助金ではないというようなことを申しておりましたが、この企業診断補助金にいたしましても、あるいはただいま聞きました輸出振興技術研究費補助にいたしましても、それから新規の試作奨励費の補助にいたしましても、きわめて零細な補助になるのではないかということを考えるのであります。  それからただいま意匠改善費補助につきましては、アメリカに長期にわたって個々の人間か、あるいは団体にしようか、どうか考えておるのだと言っておりますが、一体三百万円で個々の人がどのくらい長期に、団体がどのくらい長期に行っておれるのかという二とを考えますと、どのくらい、何人くらい、団体はどのくらい、どの団体で、どういうようにしようと思うのか、きわめて納得の行かないことだと思うのです。こういう点と、それから農水産物海外共同施設に対して、いろいろ海外に冷蔵庫等を作るのに補助をするのだ、海外に冷蔵庫を作るのに八百万円の補助でこれをどうするのか、どういうような計画でこれをやっておられるのか。ちょっともう一度御答弁を願います。
  56. 記内角一

    政府委員記内角一君) 農水産物関係は、初め冷蔵庫でございましたが、その後計画を変えまして、今わかりましたところでは、検査あるいはクレームの処理等の共同施設といたしまして共同に駐在員を派遣いたしまして、クレームの処理あるいは入荷いたしましたものの検査というふうなものを実施させたいという関係でございました。輸出組合補助金を出して実施させる予定になっております。  それから意匠の点につきましては、だいたい目下のところ三人を予定いたして、半年ないし一カ年間滞在させたい、研修させたいというふうに考えております。
  57. 木村守江

    ○木村守江君 農水産物海外共同施設補助ですが、今、五分ほど前に海外に冷蔵庫を作るのだと答弁をしておいて、あと今になってそれを変えて、検査とか、クレームの処理をするのだということですが、これは今変ったのですか。
  58. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは当初計画いたしました当時のことを、つい誤解いたしまして御答弁申し上げて、まことに申しわけございません。だいぶん前に変っておった次第でございます。つい失念しておりました。
  59. 木村守江

    ○木村守江君 いずれにいたしましてもこの予算というものはわれわれこの題目と比較いたしまして納骨が行かない。どう考えても納得が行かないのです。どうかこの詳細な内容を書いて、資料にして提出していただきたい。委員長お願いいたします。
  60. 館哲二

    委員長館哲二君) それじゃ一つ資料にして出していただきます。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 それじゃ今の木村さんの質問と関連して……。おそらくこれは当初あなたの方で要求されたというか、現局で要求したものと大蔵省の査定とは違うのだと思う。どのくらい欲しかったのか、それもあわせて出して下さい。資料に査定された結果がこういうちっぽけなものになった。もっとうんと欲しかったのだという数字があったと思うのです。それも出して下さい。  もう一点伺いたいのは、競輪その他の売上代金六億というものが、あなたの方の所管ではない重工業局の所管ですが、われわれは競輪のそういう操作については反対です。反対ですが、まあ中小企業振興策として商工中金への預金その他を通じて、中小企業、自転車等を主体としての貸付金に使うというように言われておるのですから、これについては中小企業庁としてはどういうようなお考えを持っておるか。
  62. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれといたしましては金の出どころの性格はいろいろ議論もあるところでございますが、もしそういう金がございますれば、できるだけこれを中小企業技術改善設備改善の方に向けまして、競争力を増加して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 出どころがあればと、現実にまあ六億使ってやろうとしておられる。それについてあなたの方は重工業局にまかせて、適当に使わせるのか、ぜひあなたの方としてもそれが必要だ、六億という金が必要だということで、積極的に関与して、中小企業設備改善等に使う。そのためにはそれだけの六億というものは必要だと。こういうことの考えを持っておられるのか、なければなくてもいいということなのかどうか。
  64. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれといたしましては、設備改善のためにはもっと多くの金を必要とするわけでありますが、ただ一般財源の関係もございまして、先ほど設備改善共同施設費のところで申し上げましたように、去年よりわずかに二千万円の増加にすぎない。三億二千万円というにとどまったわけであります。従いましてわれわれとしてはもっとできるだけ多くの資金を要求したいと考えておったわけでございます。幸いに資金なら資金が出て参りますれば、これを活用して中小企業の、ことに機械工業の近代化の方面に使うために努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 それは言われていることは、中小企業関係のみに使われる金ですか。六億は重工業局管轄の中小企業者に使われるのか、そのほかには使われない、こう考えていいのですか。
  66. 記内角一

    政府委員記内角一君) 単に重工業局ばかりでもなかったかと思いますが、主として重工業局管轄下の機械工業の振興に使う計画になっているかと思います。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 機械工業はいいが、中小企業ですか、それとも一般ですか。
  68. 記内角一

    政府委員記内角一君) 中小機械工業が中心でございます。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 それだけのものが中小企業の機械設備近代化改善のために必要だということであれば、ああいうような競輪、モーターボート、投機企業の場代金というものを受け取って、そうしてそれを使うという考えでなしに、六億というものが要るならば、あなたの方でこの中小企業の機械設備改善費として大蔵当局と強硬に折衝してみるということはやられたかどうか。
  70. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれも強硬に大蔵省と折衝いたした次第でございます。また重工業局自身といたしましても中小機械工業の維持改善のために同じく力を尽した次第でございますが、ああいう結果に相なったわけでございます。
  71. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは午前中はこれにて休憩いたします。    午後零時二十二分休憩    ————・————    午後一時四十九分開会
  72. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれより委員会を開きます。地方財政計画について御審査を願う予定になっております。  川島自治庁長官から御説明を聞くことにしたいと思います。
  73. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 昭和三十年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和三十年度地方財政計画の策定に当りましては、わが国経済の現状にかんがみ、国の予算編成の方針に呼応しまして、極力その財政規模の合理的縮減を期待するとともに、多数の地方団体が多額の赤字に呻吟しておりまする地方財政の状況に照らしまして過去の赤字を整理し、財政の再建を促進することを念願をいたしまして、次の事項を具体的指針として策定をいたしたのであります。すなわちその第一は、行政事務及び地方行政機構の簡素化を推進することであります。その第二は、国の経費節減の方針に呼応して、地方団体の自主的努力による経費の節減を期待するとともに、収入の確保を期することであります。その第三は、町村の合併を促進することであります。その第四は、国の補助金等の整理、合理化による地方負担を軽減することであります。その第五は、地方道路譲与税の創設等、地方自主財源の充実をはかることであります。その第六は、地方財政再建整備の促進のため適切な法的措置を講ずることであります。  右の方針に基きまして、本計画策定の前提といたしました地方行政制度の改正点を申し上げますと、第一に、新たに地方道路譲与税を創設すること。第二に、入場譲与税法の一部を改正して、三月分の入場税を繰り上げ譲与するとともに、昭和三十年どに限り、入場税の全額を入場譲与税として譲与すること、第三に昭和三十年度に限り、たばこ専売益金から交付税及び譲与税特別会計へ三十億円を繰り入れ、たばこ専売特別地方配付金として地方交付税交付金の総額に加えて交付すること、第四に、地方税法の一部を改正して道府県民税法人税割及び市町村民税法人税割の税率、軽油自動車にかかる自動車税の税率について調整を行う等の措置を講ずること、第五に、義務教育費国庫負担金制度の一部を改正して、負担金の制限を受ける団体を地方交付税の交付団体に限定すること、第六に、地方財政再建促進特別措置法を制定して、赤字地方団体に対しては、再建整備計画の樹立及び実行を条件として歳入欠陥債の発行を認めることとし、利子補給を行うこととするとともに、地方財政の健全性の確保をはかるため、寄付金等の支出に対する制限を設ける等の特例措置を講ずること等の諸点であります。なお、行政事務及び行政機構の簡素化、合理化につきましても、一昨年行われました地方制度調査会の答申に基き、別途制度の改正を準備いたしております。以上のような前提のもとに、昭和三十年度の地方財政規模を算定いたしました結果、その歳出規模は九千七百六十一億五千百余万円となり、昭和二十九年度に比し約二十八億円を増すこととなります。  次に、歳出及び歳入の増減しました経費のおもなるものを申し上げますと、歳出面の消費的経費のうち、増加したおもな経費は、本年度小中学校を合せて七十七万余人の生徒児童の増加に対し必要な増加教職員の人件費及び物件費、一般職員及び教職員の昇給に伴う経費、公債費の元利償還額の増加経費、警察制度の平年度化に伴う経費、地方選挙に要する経費、奄美群島にかかる経費、人口の自然増加に伴う経費等であります。減少したおもなる経費は、昨年度より実施中の行政整理の進行に伴う経費、町村合併に伴う消費的経費、普通補助金の減額及び改廃に伴う経費、旅費、物件費、国に対する寄付金、分担金等の抑制及び地方行政事務の簡素化、合理化に伴う節減額等であります。差引合計百十八億円の増加となっております。  次に、歳出面の消費的経費の増減のうち、増加のおもなる経費は、失業対策事業費、町村合併に伴う新町村建設計画に伴う単独事業、住宅公団に対する出資金、奄美群島復興事業費等であります。減少したおもなる経費は、住宅、文教施設、食糧増産事業等を含むいわゆる一般公共事業、公共災害復旧事業費、単独災害復旧事業費、単独事業費の縮減であります。差引合計百五十七億円の減少となっております。これらの本年度に対する経費の増減を見込みました結果、歳出の規模は、地方交付税の交付団体において七千百二十二億円、不交付団体において二千六百四十億円、合計九千七百六十二億円となったのであります。   〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕  次に、歳入面について申し上げますと、地方税、地方交付税、たばこ専売特別地方配付金において二百十四億円増加しましたが、各種譲与税、国庫支出金、地方債、雑収入等で百五十六億円減少し、差引合計、昨年より五十八億円の増加であります。以上が昭和三十年度の地方財政計画の大要であります。  最近の地方財政の状況は、ますますその困窮の度を強め、多数の地方団体が多額の財源の不足に呻吟しておりますことは、まことに遺憾であります。政府といたしましては、つとにこれが対策を検討しておりましたが、すでに生じた赤字につきましては、今回地方財政再建促進特別措置法の制定を考慮しており、赤字原因の根絶につきましては、根本的には地方制魔の改革を検討しつつ、可及的に地方行政制度の改正を準備いたしておる次第でございます。  以上大要申し上げました。
  74. 西郷吉之助

    ○理事(西郷吉之助君) 今の大臣の補足説明をやりますか。
  75. 湯山勇

    ○湯山勇君 この説明に当りまして、前回、中間発表的な意味で地方財政計画が発表になりましたが、それに今回のものとは変っておりますから、その変った点と、変った理由をなお一緒に御説明願いたいと思います。
  76. 左藤義詮

    左藤義詮君 大臣は帰られるのですか。
  77. 西郷吉之助

    ○理事(西郷吉之助君) 今、大臣も衆議院の予算委員会に出られるので、予備審査だからかんべんしてくれという話です。やむを得ませんから……。
  78. 左藤義詮

    左藤義詮君 はあ、それじゃやむを得ません。   〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕
  79. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 歳出の方から申し上げますと、消費的経費の次の昭和二十九年度地方財政計画における財政規模、これはいわゆる既定規模と申しておりまして、二十九年度の補正予算まで積み重ねて参りました財政需要額であります。総計費六千七百七十六億一千九百万円、三十年度の新規財政需要額の総額は、そこにございますように、二百三十三億四千百万円でございます。その内訳が1、2、3、4−11までございます。まず第一に、教員増加に伴う給与費の増、旅費を含めて四十億九千三百万円でございます。これは生徒児童が七十七万人ふえます。小学校で五十二万三千人、中学校で二十四万七千人増加いたします。それに伴う教員の増と、盲学校の学年進行に伴うところの教員の増と合せまして一万四千六百九十八人の教員の増加の経費であります。旅費は四千を見ております。その算出の仕方は、二十九年度の各府県の実学級編成を基礎にいたしまして、小学校につきましては、増加児童数の一学級当り一人の先生、中学校については一・四人の先生の増、こういう計算で出しまして、それぞれ小学校は九千七十一人、中学校は五千百二十六人、盲学校は五百一人の増加に必要な給与費の増を見たわけであります。  その次の二項は、児童生徒増に伴う物件費等の増、これは机やいすがふえて参りますので、机やいす、その他の備、消耗品の増が、小学校については千五百七十八円、中学校については千七百九十三円を見まして、今申し上げました児童の実数にかけまして十二億六千九百万円を計算したわけであります。三番目は一般職員及び教育職員の昇給に伴う給与費の増でありますが、これは一般職員及び教職員の昇給に伴う給与費の増を毎年見ておりまして、昇給率を大体二・五%に見ております。  一般職員の分が三十七億でありまして、教員の分が三十四億ばかりであります。次の行政整理に伴う経費の増減額でありますが、これは昨年と本年とで二万八千人ばかりの整理をいたすことに昨年からなっておりますが、そのうち本年分八千三百五十人の整理に伴いまして、経費の増減がございますので、その増減差額が五十五億七千万円、給与費及び物件費等の減が八十一億四千六百万円、給与費が五十九億ばかりになります。それから旅費、物件費が二十二億ばかりあります。それから(ロ)の退職手当及び恩給費等の増、これが二十五億七千六百万円、退職金が二十億、あとは恩給でございます。その次の警察費の平年度化に伴う経費の増、昨年の七月から市町村警察が廃止されまして、都道府県警察に相なったわけでありますが、その平年度化に伴う経費の増と、さらに本年度の需要増がございまして、それを五十二億九千五百万円計上いたしました。そのうち平年度化の分が三十五億、需要増の分が十八億でございます。この中には本年度分の警察官及び警察職員の整理の分、六千四百人の整理をすることになっております分が差し引いて入っております。それから国庫補助金十億ばかりふえております。それに伴う財政需要の増も入っております。警察費の財政規模は、昨年は四百十三億でございましたが、本年は四百六十七億に相なります。次の公債費の増でありますが、地方債の元利償還が漸次ふえて参りまして、本年は総額五百十億になります。昨年までの既定規模に入っておりますものと差額がそこにあります百十七億七千四百万円になるわけであります。つまり百十七億七千四百万円の増加に相なります。このうち郡の分が七十七億、市町村の分が四十億ばかりふえて参ります。次の人口等自然増加に伴う経費の増十四億千三百万円でありますが、これは昨年から本年にかけまして人口が百十八万ふえて参りましたので、それに伴って各種の物件費がふえて参ります。その分を例年の計算通りにいたしまして、十四億一千三百万円を計上したわけであります。次の選挙に要する経費の増減額十七億四千万円、このうち地方選挙に要する経費二十一億百万円は、先般行われました都道府県及び市町村の市長及び議員の選挙の経費であります。これは公職選挙法の計算に基きまして計上したわけであります。それから次の農業委員会等選挙関係経費の減三億六千百万円、これは昨年は農業委員会の選挙がございましたが、本年はございませんので、差引減にいたしたわけであります。それから市町村合併等に係る経常経費の減二十七億六千二百万円、これは市町村合併が行われますると、過去の実績を見てみますると、消費的な経常的な経費が落ちて参ります。それを一町村大体五年間に二百万円くらい落ちるという計算でもって出したのであります。これは一度に落ちるのではなくて、合併の翌年から大体五年ぐらいの間に落ちていく、漸次落ちる額が多くなっていく計算を二十五年以降の合併について行いました結果であります。それから次の奄美群島に係る経費の計画算入による増、これは昨年までは財政計画の外でやっておりましたので、今年からは財政計画の中に入れました関係で、新しく財政計画に算入するわけであります。それから次の普通補助金の増減及び改廃に伴う経費の増減二十億、これは国庫補助金の増減がございましたし、また改廃がございまして、そのために地方の財政需要が二十億だけ減って参るということであります。地方から見まして大きく補助金が動いておりますものは、たとえば生活保護が昨年に比べて十億ばかり減っております。これは昨年は一昨年の清算部分が入っておりました関係であります。それからふえておるものを申し上げますと、大きなものでは児童保護、児童福祉が十一億ばかり財政需要がふえております。そのほか財源の振りかえ等もございます。その他をこまかく計算してみますると二十億だけ地方財政需要が減ったということに相なるわけであります。  それから次の節減等に伴う経費の減百十五億であります。これは旅費、物件費及び交際費の節減額、国の予算におきまして旅費、物件費及び交際費は一五%落すことになっておりますので、それに伴いまして地方団体におきましても節減額を一五%それぞれにつきましてやるということで、八十四億三千万円となるわけであります。次の寄付金等の抑制による節減額二十四億九千四百万円、これは二十八年の決算を見ますと、地方団体から国の関係機関その他、地方団体相互または民間との間に、寄付、負担金と称するものが大体二百六十億ばかりございます。その二百六十億の中で、もちろん必要なものもあるわけでありますが、大体まあ既定規模に入っておる額の四分の一くらいを落す。また国の方の分はある程度大幅に節約をしてもらう。こういう関係で、二十四億九千四百万円の節減額を立ったわけであります。第三は、地方行政事務の簡素合理化による節減額、これは自治法の改正をいたしまして、現在の府県市町村の議会の常任委員会制度を改正いたします。その他給与の関係、臨時職員の給与の制度の改正も行います。また五大市と五大府県との間の事務の調整をいたします。そういう関係で、節減額が六億ばかり出て参りますので、それをここに計上いたしております。合せまして消費的経費は六千八百九十四億二千万円に相なります。  それから次に、投資的経費でありますが、昭和二十九年度の財政計画における財政規模は二千九百二十七億一千四百万円でありますが、三十年度の新規財政需要額は八十一億五千万円減少して参ります。大きく減って参りますものは、その次にあります公共事業費の減であります。公共事業費が一般公共で非常に落ちて参りますし、また災害でも落ちて参ります。一般公共で落ちて参ります大きなものは、食糧増産関係、公営住宅の関係等が非常に大きく落ちて参ります。その関係で財政需要が減っていくわけでございます。それから次の災害でありますが、災害も公共災害、特に二十八年の公共災害等の関係で落ちて参りまして、七十八億の減少、差し引いたしまして百三十四億の減少になるわけであります。それから失対事業の増は、失対事業は本年はふえておりまして、そのために五十四億九千九百万円の財政需要が増加いたします。地方団体の側から見ますると、総事業費は二百六十六億でありまして、一般失対事業が二百十二億、特別失対が五十四億ということに相なります。主として国の補助金がふえて参ります。五十四億のうち、国の補助金が四十八億ばかりふえて参ります。地方団体の負担は七億ばかり増加するわけであります。次の単独事業費の増減五十億七千万円でありますが、一般の単独事業の十六億の増加は、これは地方団体が住宅公団に出資する分であります。その分の十六億をここに計上いたしております。それから災害でありますが、単独災害は、二十八年の災害の単独分は大二一十八年と九年で完了いたしまして、三十年には残りませんので、その関係で大きく落ちて参ります。六十六億七千万円落ちて参ります。それからその次の町村合併に伴う新町村建設計画に基く単独事業費の増四十二億二千七百万円、これは先ほども申しましたように、町村合併が行われますと、経常的な消費経費が落ちて参りますが、逆に単独事業、つまり投資的な事業がふえて参りまするので、その計算を、先ほど申しましたような計算で、漸次ふえていくという計算を節減額を基礎にして参りますると、二十五年以降の合併町村につきまして四十二億二千七百万円の単独事業がふえるということに相なるわけであります。経常経費の方に減を立てておりまするし、ここに増を立てておりますので、差引十四億の単独事業がふえて参る、こういうことに相なるわけであります。それから次の奄美群島復興事業費六億七千万円、これは奄美群島の復興事業費の総額は十九億八千万円でありますが、そのうちで地方団体の関係の分がここに計上されておる六億七千百万円でございます。そのほかに、直轄分とか組合負担事業等がございます。それから次の単独事業費の節減額七十六億、これは二十九年の単独事業費の既定規模に入っておるものの総額は七百三十六億ばかり入っております。それの大体一五%くらいの節減をとったわけであります。  それからその次に、地方交付税の不交付団体における財政計画外の歳出、  これは従来の財政計画におきましては、地方交付税の交付団体における超過財源という格好で出ておったわけでありますが、超過財源と申しましても、財源が余っておるわけではなくて、それに見合うところの財政需要がそういう団体にはありまするので、ここに財政需要に対する分の増を立てたわけであります。合せまして九千七百六十一億四千六百万円の財政規模になるわけであります。  一枚めくっていただきまして、歳入の方を申し上げます。歳入は、右から三行目の行が三十年度の歳入でございます。それから二行目が増減額でありますから、増減額を基礎にして申し上げたいと思います。地方税は三千五百八十二億七千四百万円でございまして昨年よりも五十億八千三百万円の増加であります。あとに税の種類が付いておると思いまするが、増加したものの大きなものと減になりましたものの大きなものだけを申し上げます。総額で申しますと八十億くらいの自然増収がありますが、それはこまかく税別になっておりますので、ちょっとおわかりにくいかと思います。大きくふえたものを申しますと、県民税が四十七億ふえております。それからたばこの消費税が、府県と市町村と合せますると、三十二億ばかりふえて参ります。それから自動車税が十二億ばかりふえて参ります。固定資産税が四十五億ばかりふえて参ります。これが増加しましたものの大きなものでございます。それから減少したものを申しますと、事業税のうち、事業税総額減少しておりますが、個人事業税が三十九億減少しております。このうち三十億ばかりが基礎控除の引き上げに伴うものであります。七万円から十万円になりましたために、約三十億の減税になります。それから旧法の税収入、現在の税法以前の法律に基くところの税収入が四十四億ばかり落ちております。これは対象がだんだんなくなって参りましたために、毎年落ちて参っております。それからほかに市町村民税で六十億ばかり落ちて参ります。府県と市町村とで申しますと、府県では約三十二億の増加になります。市町村では約十八億の増加になります。合せて大体五十億くらいの増加になります。  次は入場譲与税でありますが、入場譲与税は、先ほど大臣の説明がございましたように、国に一割リザーヴすることになっておりますが、その一割分を出し、また三月に入って参りまするものも本年度に入れて参りまして百三十五億四千三百万円になりまして、昨年よりは二十億少くなって参ります。それから次の揮発油譲与税は、これは一年限りの法律で、本年はなくなりました。かわりまして、地方道路譲与税というのができまして、これはガソリン税のうち四千円分が地方道路税——ガソリン税の税率一万五千円のうち、四千円分が地方道路税になります。で、その分で七十二億。これは平年度になりますと、九十二億くらいになります。で、譲与税だけで見ますると、譲与税三つで二十五億五千四百万円の減になります。  それからさらに税とあわせて見ますると、地方税及び譲与税総額では二十四億だけしか増加しない。二十四億の増になります。従って、税関係ではあまり自然増収は結果的にないということに相なるわけであります。  次の地方交付税でありますが、これは国税の三税の総額が六千三百十二億六千万円でございますので、その二二%の額、千三百八十八億であります。そのほかにたばこの専売の特別会計から入って参りますもの三十億がその下に載っておりますが、これは大体交付税と同じように、一緒にして配りたいとかように考えておりますので、交付税として配付しますものはこの三十億を加えた千四百十八億と、こういうことに相なるわけであります。  それから次の国庫支出金でありますが、これは先ほども申しましたように、補助負担金が減って参りますので、総額でも十二億減って参りまして、二千七百九億であります。ただふえておりますものは、そこにあります義務教育の国庫負担関係が三十七億、それから下の方にございます失業対策事業の国庫負担金が四十八億七千万円、それ以外のものは大体減って参りまして、差引しまして十二億の減になります。  それから次の地方債でありますが、地方債は本年の総額は千百二十四億でございます。で、そのうち一般会計関係のありますものが七日七十億であります。昨年は八百八十億ばかりございました。本年は七百七十億。その内訳はあとの二枚めくっていただきますと、出ております。で、地方債の総額千百二十四億と七百七十億との差額は、これは公営企業分その他の分であります。公営企業と再建整備関係の分であります。  それから雑収入は昨年よりも六億一千六百万円減少しております。これは使用料手数料では六億ばかりふえております。この一番大きいのは高等学校の授業料でありますが、そのほか度量衡の検定が国から地方団体に手数料の徴収の権限の委任がございましたし、また水利使用料等で多少増減がございまして、六億ばかりふえて参りました。雑収入で減っておりますのは主として、競輪、競馬の開催が土曜日曜制になったために、大きく落ちて参りますので、その関係でございます。  歳入を合せまして九千七百六十一億四千六百万円になります。で、先ほどもお話がありました百四十億をどこでどうしたかということを、簡単に申し上げます。  最初の紙の3のところ、歳出の方の消費的経費の3のところに、一般職員及び教育、職員の昇給に伴う給与費の増、ここのところで九億八千万円落しております。落しましたのは、私どもの財政需要額を見ましたときは、昨年の十二月の統計の上に本年の教員増加分を加えて参っております。ところが、文部省の国庫負担金の方では、昨年の五月の指定統計を基礎にいたしまして、その上に本年の増加分を加えて、そうしてその半額の国庫負担金を国の予算に計上しておられるわけであります。従って、われわれの方と文部省との間に、計上の仕方が変っております。それを文部省の計算に合せて参りますると、教員の数が落ちて参ります。これはどうせ清算されるものでありまして、歳出の計上の繰り延べという格好になるわけでありますが、そういう意味で文部省の方式に合せて計算をし直して、ここで九億八千万円を出したわけであります。  それから次は、このIIIの節約等に伴う経費の減、この中に入っておりますが、全額ではございません。1の旅費、物件費及び交際費等の節減額八十四億三千万円、このうちで十五億八千五百万円を引いたものをもと計上しておったわけであります。これは府県と五大市と、市と町村との間で節減の率を変えておったのでありますが、同じ率にいたしますと、ここにございますような額になるわけでございます。市と町村、五大市を除く市町村の率を一〇%にいたしました場合の域少額が、今申しました十五億八千五百万円に相なるのであります。それから次の寄付金等の抑制による節減額、これは寄付金等の関係は地方財政法の改正を待たなければなりませんが、そちらの方がきまっておりませんでしたので、計上いたさなかったのであります。新しく計上いたしたわけであります。それから地方行政事務の簡素合理化による節減額、これも新しく計上したわけであります。  それから次は投資的経費の失業対策事業費の増、ここで二十二億二千百万円だけ違っております。これは失業救済事業の資材費の超過分というのがございます。国の予算では四十五円、一人当り四十五円でありますが、われわれの方は、従来八十四円十四銭の計算をいたしております。その差額が三十九円ばかりございます。この三十九円でございますが、今年は地方財政も国の財政も苦しいので、国できめました単価でやっていただきたい、こういう意味で落したわけでございます。それから単独事業費等の節減額というのがあります。それは新しい項を立てました。七十六億四百万円であります。もう一つございます。もう一つ地方債の中で、総額を動かしておりませんが、交付団体と不交付団体との間で、十億分だけ交付団体から不交付団体に起債を回しております。それが十億でございます。  今申しました財政需要額は総額を申し上げたので、その交付団体分を計算いたしますと、大体百四十億に相なるのでございます。  以上簡単でありますが、御説明申し上げた次第であります。
  80. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の最後の財政部長の説明だと、いわゆる地方交付税の上で、歳入欠陥であった百五十九億を、今最後に説明した通りに突っ込んで節減その他で落したと、しかし依然として百五十九億の穴はあいているわけですね。不合理な節減ということで今説明した通り落したので、実際にはやはり百五十九億、厳密に言えば百五十九億の歳入欠陥があるということですね、そういうことでしょう。
  81. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 百五十九億ではなくて、四百十億であります。百五十九億のときもありましたけれども、補助事業と直轄事業との振り割りの関係が変って参りまして、最後の数は百四十億であります。
  82. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今百四十億でもいいのですが、やはり依然として実際に地方交付税の上で百四十億の歳入欠陥があるというわけですね。
  83. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 最初の、われわれの計画を立てました際は、計算の上では百四十億出て参りますけれども、それは地方団体の単独事業の節約でありますとか、それから公共事業の重点的な施行でありますとか、その他消費的経費の節減によって、地方団体が実行上百四十億の穴を埋めていくという計画に直しておりました。それを実行上ではなくて、ちゃんとはっきりした計画上の数字としてやるということになりましたので、今申しましたような措置によって、はっきりした計画的な数字として節約を立てて収支を合わしていく、こういうことにいたしたわけであります。
  84. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今財政部長はそう言うけれども、自治庁の現に鈴木次長が四月の二十六日の毎日に、地方財政をどうするというので、知事やなんかと学識経験者と、中に鈴木次長が入って、新聞紙上にはっきり今の百四十億の歳入欠陥があるのでどうにもこうにもならない、それはもう地方団体の年間におけるやりくり算段以外にない歳入欠陥があるという自治庁の次長がはっきり明言しているのだから、今の財政部長の説明では、机上の、紙の上ではそういうように補てんしたような格好になっているけれども、歳入欠陥なんだからあくまで、実際には。最初に先ほど大臣が説明されて、赤字対策いかんと言われたけれども、赤字対策どころか三十年度の交付税の中に百四十億の歳入欠陥が現にある。プランの上では、机上の上では節減とかその他でごまかしたけれども、実際にはそれはもうできないことになる。依然として交付税は百四十億足りないということになる。その中から地方財源の百三十億の交付税が足りないというのでしょう。それでは実際上は何ら変りがないということだと思うのですが、どうなんですか。
  85. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 不足財源はおっしゃいます通り百三十億でございます。しかしこの不足財源を現在の交付税制度の建前がどういうふうに措置するかという問題になるわけでありますが、現在の交付税制度の建前では、不足しました場合、特に本年度は交付税法の初年度でございまするので、不足財源としましては地方団体の側で節約を立てるなり、事業の重点的な配分によってカバーいたしていくということは、交付税の制度の建前からして当然のことではないか。これが例年続いて参りますと、交付税法てございまするように、やはり地方の行、財政制度の改正または交付税の率を変える、こういうことに相なるものと、かように私ども考えておる次第であります。
  86. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今後藤君が言った通り、平衡交付金の法案の中では、足りない分はあくまでも補てんするのだというのだが、地方交付税に変って、今あなたの言われる通り地方交付税法の六条かによって、足りない場合には税率を、すなわち国税の三税の配賦の率を変えるか、その他の方法で地方制度の改革、その二つによる以外にないと書いてある、それは私も知っていますが、今言ったその百四十億の欠陥というものは、この法律にはそうなっておるけれども、実際上はやはり百四十億は現に穴があいておるということには何らの変りがない。赤字対策をどうこうと逆に、三十年度の新しい地方財政年度に百四十億の欠陥がある。であるから地方団体はもう非常に困って、非常な多数の陳情員が国会に現に来ておる。あなた方はただ百四十億の歳入欠陥を埋めることができないから、地方の責任において節約しろと、無責任にも今のあなたの説明通りにプランの上でつじつまを合わしたというだけのことであります。実際には穴があいておるのです。これはいかんともしがたい。あなたが今ごてごて言うけれども、それはあなたの方が勝手に地方に全部の責任を背負わしたということでしょう。歳入欠陥は何ら補てんされない、赤字対策どころの騒ぎじゃない、そういうことは何ら事実上変らないと思うのです。その点はどうです。
  87. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。財政計画を前に立てまして、大蔵省といろいろ折衝いたしました際は、さらにもっと大きな穴があったのであります。赤字財源がもっと大きかったのであります。その不足財源をいろいろな方法で埋めて参りまして、たとえばたばこの益金を三十億ふやすとか、入場税の国の保留分をいただくとか、また三月分を繰り上げてもらうとか、また地方債の額をふやすとかそういうことでずいぶん縮めて参りまして、最後に百四十億出てきたわけであります。従ってその百四十億を先ほど申しましたように地方団体側の節減でやっていく、こういうふうにせざるを得なかったということでありまして、完全な財源措置ができませんでしたことに、まことに残念だと思っております。しかし国の財政の状況からいたしまして、一応現在の制度のもとにおいては、こういうことになってもやむを得ないのではないか、こういうことで私ども引き下った次第であります。
  88. 館哲二

    委員長館哲二君) 今大蔵省からも説明があります。
  89. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの西郷委員の御質問に対しまして、大蔵省からも一言お答えを申し上げたいと思うのでありますが、百四十億の財政計画上の歳入欠陥云々ということは、御指摘の通り一部新聞にも報ぜられましたことは事実でございまして、この点私どもは非常に遺憾に思っております。ただこれは政府全体として国会に出しました財政計画は、今回のものが唯一無二でございまして、この経過において多少御指摘のような事実があったことを遺憾に存じておるのであります。そこで重ねての御質問でございましたが、政府としてとにかく百四十億という数字が一度中間的に出事た実はおおうべくもないではないか、これはいかんともしがたい事実であろうという御質問の御趣旨でございますが、この点私ども多少西郷先生と考え方が違っておるのでありまして、先ほど自治庁の財政部長から詳しく御説明を申し上げましたような努力というものは、これは財政計画上不可能な方法ではないという考えをもちまして、かような要素を取り入れまして最終的な計画を策定をいたしたわけでございます。地方財政のことに特にお詳しい西郷委員のことでございまするから、もう少しほかにいろいろ手があるではないかという御趣旨にも拝聴できたのでありまして、この点われわれもなお今後十分研究を要する点は多々あると存じます。簡単に申し上げますと、国と地方全体を通じまして、今日財政はきわめて多端でございまして、限りある財源をどう配分するかという問題でございまするので、まず地方におきましても財源の配分ということを適正にすることがきわめて重要な事柄であることは、これは今さら申し上げるまでもなく、よく御承知のところかと思うのでありますが、この点につきましては三十年度におきましてはあまり根本的改革ということに手をつけずに、先ほど来御説明のありましたようなはっきりした見込み違い、あるいは制度の改革に伴う節約、あるいは行政努力に伴う節約、あるいは単独事業の計画的な圧縮とういふうな方途に向けておるのでございまするが、私どももほかにも方法があるのではないか。たとえば御承知のように警察費の不足の際に明らかになりましたように、市町村財政と府県財政との間の財源の配分の適正化というような道もあるのでございますが、本年といたしましては先ほど来御指摘のような方途によりまして、とにかく計画上財源の不足を解消するということをはっきり打ち出し、この線に従って御努力願う、国もまたこの線に従って補助金の整理あるいは財政再建特別措置法案等の施策を講じまして、国と地方が一体となりまして、ここにお出しをいたしました財政計画の遂行に遺憾なきを期して参るということが、今日の政府の立場であるのであります。それが非常に困難ではないかというふうないろいろの御意見はあろうかと存じまするが、私どもといたしましては、この計画は実行できるものと確信をいたしましてお出しをいたしておりますことを一言つけ加えさしていただきます。
  90. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 正示さんの苦しい答弁は一応承わっておきますが、今の御説明で交付団体と不交付団体と分けて数字があるけれども、これは自治庁当局にお願いをしておくのですが、もとの総額が出ていないので、歳出の方はただ増減分と、交付団体と不交付団体だけの数字で非常にわかりにくいのですが、これだけで一つの項目の総額というものは出ていない。ですから歳入に総額が出ているように、歳出の面も増減表のほかに一項目ごとの総額を出した表を出してもらいたい。増減表だけでは非常に総額は計算しなければわからない。すべてもとの積算の数字は一番上の六千七百七十六億に入っているわけです、基礎の数字が……。ですからこれを一つ一つ項目別に出して、一つの項目の総額というものの表を出してもらいたい。増減だけではもとの数字がわからない。それを審議の必要上早急に出していただきたいということをお願いしておくと同時に、この地方債の方で、先ほど後藤さんの御説明だと、起債の分の中で二百数十億あるのです、公募の金額が……。それは昨年度も公募の消化が非常に悪かったのに、現在こういう三十年度千百二十四億ですか、そのうち二百数十億の公募起債というものを出して消化する見込みがあるのですか。地方の非常に苦しい財政上で、昨年の状況から比べて本年さらに二百数十億の公募の起債というものは消化できますか。その点伺いたい。
  91. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。公募の量は本年は一般会計分が二百三十億ございます。昨年は二百億、一昨年は二百三十五億であります。昨年と一昨年の分は大体年度内に消化いたしましたが、三十年度分は現在最後の消化の段階になっておりまして、非常に苦しい状態であります。来年の分の二百三十億の分は、これは実は二百億にしておったのであります。最後の折衝のときの財源措置といたしまして三十億だけ公募でふくらますということで折り合ったわけであります。二百三十億になりますると、従来の経験からいたしましても、なかなかむずかしいのではないか。そのほかに再建整備関係で現在短期で借りておりますものを公募に振りかえる金は百五十億ばかりございます。従って合せますと、公募の総量は三百八十億ということになります。この性質は公募の性質が違いますけれども、総額が三百八十億になりまして、単に現在までのような状況でもってやりますると、非常に困難ではないか。従って何らかの公募債に対する新らしい考え方を持つ必要があるのではないかということで、いろいろ政府部内で現在折衝いたしておる次第でございます。
  92. 湯山勇

    ○湯山勇君 先ほど大臣からもちょっと御説明がありかかっておったのですが、再建整備法の内容は、これは現在ではどうなっておりますか。御説明できる範囲で御説明願いたい。
  93. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 再建整備法は、実は現在各省との間に話がまだできかねておりまして、今明日中には大体つけたい、かように考えておりまして、今努力をしておりますが、考え方といたしましては、再建整備をやります団体は大体強制的にやるのではなくて、任意にやるという考え方であります。再建整備期間はおおむね八年以内でやるという考え方をいたしております。それからその再建計画の内容には、もちろんこまかいいろいろな再建計画の書類は必要でありますが、平均よりも税の徴収成績をあげるところの計画、滞納の整理をする計画、それから消費節約をする計画等を必ず入れなければならない、こういうふうにいたしたいと思っております。ただしかしながら、問題になっております増税をするかしないかということは任意にいたしておりまして、その額も別に掲げておりません。それから再建計画を立てます場合に、やはり問題は知事部局だけでやりませんで、各種の行政委員会の協力を得なければなりませんので、その協力に必要な規定を入れるということであります。それからそれは知事部局以外の各種の行政委員会ばかりでなく、やはり各省の本省の方にも協力してもらいますような規定を入れることにいたしております。それから再建債は一年据置の大体七年ぐらいの起債を認める、その利子は一応現在では政府資金並みの六分五厘にいたしておりまして、公募債の分は二分の利子補給をすることになっております。大体そういうのを骨子にいたしまして、再建の特別措置法を現在考えておりまして、先ほど申しましたように、まだ各省との間に話がまとまらない点が二、三ございまして、今明日中には大体まとめたいとかように考えております。
  94. 湯山勇

    ○湯山勇君 こういう経済変動の激しい時期に、八年間の計画というものが果して立つかどうか、どうお考えになっておられましょうか、その点については。
  95. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 八年間と申しますのは、最大限でありまして、できれば四、五年ぐらいの計画にしぼってもらいたいし、また四、五年くらいに大体計画がしぼれる団体が相当あると私ども考えております。最大限は、今まで自主的に立っております計画では、大体七年ぐらいまであります。まあしかし団体によりましては、府県は一、二の府県だけでありますが、七年以上かかりますものは、市町村につきまして見ますると、やはり十年ぐらいなければ再建計画の立たないところもあるようでありまして、最大限どの程度までにするかというのは一つの問題なのであります。一応いろいろ各方面と折衝しました結果八年以内、こういうことにいたしておるのであります。おっしゃいますように、経済変動がありますことも、われわれは承知をいたしております。ただ、変動はいい意味の変動がございますれば、これは五年にも三年にもなることにも考えられまして、短縮できるわけでありまして、いい変動と悪い変動と両方どういうふうに考えるかということでありますが、それは再建計画の内容をどういうふうにするか、つまり税の増減をどういうふうに考えるかという考え方の問題になるわけでありまして、これは個個の地方団体の企業そのものが法人事業税なんかでは府県では大問題でございますので、それをどういうふうに見るかということでありまして、これは経済六カ年計画等も考えまして、やはり税の増収を現状とみるか、減らしてみるか、ふやしてみるか、こういうことになろうかと思います。
  96. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のようによくなるか悪くなるかわからないというのは、確かにそうですけれども、今のような何といいますか、態度ですね、今日、今出されておるような将来の地方財政計画が積み重ねられていった場合に、果してどうなるか、八年なり十年たてばたつほど地方財政はますます悪くなっていくのじゃないかということが考えられますが、今立てておられるような財政計画を積み重ねて、あるいは五年なり八年なり、それで果して再建整備できると考えておられるかどうか。
  97. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 再建計画を立てます場合には、現状における諸要素を基礎にして立てたいと思っております。しかし一方におきまして、この地方団体の財源措置でありますとか、従来の既定の規模の是正の問題でありますとか、機構の改革でありますとか、そういう要素を、新らしい要素を加えていく必要があると思いますが、これは制度の改正その他の問題でございますので、一応初年度においてそれを織り込むわけには参りませんが、私どもといたしましては、できるだけこの財政計画は現実の地方団体の予算に合って参りますことを理想といたしまして、そういう方向に各種改正を考えて、そうして赤字の再建整備のやりやすいようにして行きたい、かように考えておる次第であります。
  98. 湯山勇

    ○湯山勇君 こういう問題は基本的な問題ですから、また別の機会にお尋ねすることにいたしまして、もう一つ遊興飲食税がしばしば問題になりますが、これはなぜ手をつけておらんのですか、こういう段階で。
  99. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。実は私の所管ではないのでありますが、財政計画関係がございますので、私の知っている程度のことを申し上げます。遊興飲食税の改正をいたしたいと考えておりまして、実は遊興飲食税につきまして、今まで徴収に非常にまあ問題がございまするし、最近におきましては一生懸命やっておりますところの課長が引っぱられるというようなこともありまして、制度としてもう少し考え直す必要はある。制度として考え直す場合には領収証を公給いたしまして、その公給した領収証を基礎にして課税する、こういう前の入場税のような、現在の入場税もそうでありますが、そのような方式に直すという考え方を持っておったのでございます。そういたしました場合に徴税成績も上って参りましょうから、それと引きかえに減税をする、こういうことにいたしておったのでありますが、しかしその領収証の公給制度そのものが政府部内に、また与党との間で話がまとまりませんでしたので、これをやめましたと同時に、遊興飲食税全般についての改正をやめた次第でございます。
  100. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちょっと伺いたいのですが、一体地方行政に対して、政府は再建整備促進特別措置法案を出そうとか何とかいっておりますけれども、申すまでもなく、府県市町村は合併はしても、府県市町村、これに伴う団体までみんな赤字を出しておる、こういう際でありまして、あらゆる機構に対する本当の機構の簡素化をはかって、これを断行するということでなかったならば、再建整備ができないような事態に入って来る。そこでどの程度の決意をして、そういう計画を立て、また地方の都道府県がこれに協力、協調というようなことでなかったら、この実は上らないのだが、地方の都道府県が協力態勢がどの程度まで進行しておるか、その点を承わりたいと思います。
  101. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。私どもが中央で見ておりまして、また地方団体の方々にお会いした感じから申しますと、一昨年の秋ごろから地方団体の方々の考え方が随分変って参りまして、昨年度中には随分緊縮して赤字を消していくという機運が出て参っておると思っております。今度の地方選挙を見ておりましても、やはり赤字を持っておるところの前市長さんが大分選挙で落選をされた。新しい人が赤字解消の計画をもって臨まれたというような例もたくさんございまして、私どもが見ますると、全体的に二年くらい前とは気分が変って来ておる、かように私は考えております。従って再建整備その他に協力は得られるものと考えておる次第であります。
  102. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 なるほど市長とか、たまには変ることはあるけれども、県などに行けば、もう知っておる通り、部長とか議長というものが七年も八年も、六年くらいはちゃんと居座り、従って以前は人事の交流をしたものだから、多少自県と他県のそれぞれの短所もよく研究して、そこに打ち立てていったんだが、居座った力以上に、県のあらゆる機構が膨張してしまった。これはなかなか整理するには非常に困難だろうと思う。しかしその困難を克服してやるだけの手腕家が出ればいいが、出なかった場合には、ただそういう計画は立ったけれども、実際は実行できなかった。ちょうど家の土台のようなもので、もう白蟻が入って土台を取りかえなければならないというような程度に入って来た。いわゆる人事を先ず刷新しなければならないんだが、人事を刷新するには申すまでもなく、地方に、それだけの権限が地方に移っているときに、自治庁にしろ大蔵省にしろそれぞれ監督庁といたしまして、その関係にはなっておるが、この程度まで入るだけの力があるのか。ただ地方の感じやなんかそれほどもう楽なときじゃない。病は膏肓に入っている。病を手術しなければならないのだが、一体どのくらいの決意を持っているか、もっと徹底的に一つ説明を願いたいと思う。
  103. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。私は財政部面だけから眺めておるのでありますが、しかし現在の赤字の問題は、これは単に財政だけの問題ではなくて、行政制度の問題にも関連がございますし、おっしゃいますような人事の問題にも関連がございまして、それぞれの部門として、やはり全体として地方団体の行財政をどう考えるかということを考えなければならない、私は段階に来ていると考えております。従ってそういう意味で、自治庁といたしまして、現在の情勢下において最大限できるだけのことを除々にやって行こう、一挙に機構改革をやろうといたしましても、なかなかそれは言うことはやさしいのでありますが、実行はむずかしいのであります。客観情勢とにらみながら、漸次行財政の改革の方向に向おうという気持でわれわれは努力をいたしておりますが、微力でありまして、なかなか思うにまかせない状況でございます。
  104. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 なるほど財政面からは漸次というけれども、実際赤字になって借金して、そうして地方の、今に県にしろ市にしろ、給料を支払えなければ無理な高利を入れて借金してさらに赤字を大きくする。それを漸次なおしてやるというけれども、赤字の方は直すよりも増加する率のほうが大きい、早い。早いのをどうして直すんですか。病気のほうは進む、医者の薬のほうは間に合わないというのが現在の状態です。もっと思い切ったことをしなければ、これはとうてい不可能な段階に入ってしまいます。これは今回の、よく見てごらんなさい、今回の選挙については目ざめたけれども、固定資産税の増額やその他からいっても、とうてい地方に、本当に地方に対する国の特別の財源でもあって、それで地方の財政がまかなえるということとなったらどうかしりませんが、今の機構ではある程度までは進行しておらない。これは地方庁でも大蔵当局でも財政面から直すのが一番また直しいいんじゃないか、財政面でもっとしっかりした計画を立てて、この計画に沿わなかったら、みてやらないというくらいの相当強い決意がなかったら、とうてい今日の赤字を克服していくことができないという程度になっているが、これは自治庁、大蔵省としては本当にもっと真剣に一つ考えてもらいたいということです。このままで推移すれば、四、五年たてば行き詰って取り返えしのつかないということになってしまいますよ、正示さんしっかり一つ考えて下さいよ。
  105. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま池田先生から御指摘の点はまことにごもっともでございまして、今日の地方財政の再建はまことに容易ならぬものがあるということは、きわめて御同感でございます。政府としまして、これに対してどういうことを考えているかという点につきまして、先ほど西郷先生の御質問に対しても、一応お答えをいたしたのでありますが、やはり抜本的にいろいろなすべきことが多いかと思うのでありますが、本年度は先ほど財政部長が申しましたような一応の財政計画、これによりまして三十年度の財政を切り盛りいたしますとともに、とにかく今まで発生いたしました赤字につきまして財政再建特別措置法的な施策をやって参りたい、こういう考えでございます。  そこで再建整備の構想につきまして、先ほど財政部長からあらましの御説明があったのでございますが、その中で一つ私どもとしてはちょっと強調いたしておきたい点がありますので、それを申し上げておきます。この点につきまして、なお部内において関係の向きが打ち合せをいたしておるのでありますが、実は補助金整理ということをたびたび申して参りまして、昭和二十九年度の一兆予算におきましても、ある程度この問題は国会におきましても御審議をいただき、また将来大いに政府としても努力をすべきであるという御鞭撻をいただいておったのであります。ところが三十年度の一兆予算におきましても、補助金整理はきわめて重要な項目として取り上げられておったことは御承知の通りであります。これが国と地方の財政の健全化の大きな太い柱になるべきものであったのでございまするが、この点まことに出て参りましたものは、なお不徹底であるようなふうにもお考えになろうかと思うのでありまするが、実は補助金整理を今回は二段がまえに考えております。すなわち一つは昨年国会で御議決をたまわりました補助金等臨時特例法案をさらに一年延期いたしていただくとともに、これに若干のものをつけ加えまして整理をいたし、これによりまして国と地方の財政負担の軽減に資していくということ、これは従来のすなわちやり方をそのまま踏襲いたすわけでございますが、この上に先ほど御説明のありました財政再建特別措置法を新らしく加えて参るというよりは、むしろ当面の少くとも地方財政の面から申しますと、そちらが従ではなくして主であるというふうな働きになろうかと思うのでありますが、その大体の二とを申し上げますと、赤字の生じました団体が再建計画を進めて参るような場合に、必要によりましては、補助金につきまして特例を設けることをはっきりと法律に規定をいたしたいと思うのであります。それはどういうことかと申しますと、とにかく財政の再建を進めて参りますには、これはやりたいことは多々ありましても、要するに他動的に国から補助が参るがために、あまり将来の財政健全化という見地から言うならば、好ましくないような事業までもやらなければならんという立場に地方を追い込むのでは、これはせっかくの再建の努力を阻害するものでございまするから、さようなことのないようにしたいという配慮に出ておるのでございます。  そこで災害の復旧でございまするとか、あるいは最小限度の地方行政の運営上必要な公共事業その他の施設につきましては、これを別にいたしまして、いわば地方の財政に非常に関係のあるような事業でございまして、しかもしばらくその実行を見合わせるようなことのできるものは、これを見合わす。また補助率等につきましても、先ほど申したような、きわめて必要な補助金でございますれば、そういう団体の負担力によりまして一般の率に対し特別の率を定めることができるというふうな、いわば一種の伸縮自在と申しますか、弾力性を持ったような条項をお認め願っておきまして、地方財政がみずからその健全化に進もうとする意慾に対しまして、国の立場におきましても十分これに協力し、即応して参る体制を整えたい、こういう気持から補助金等につきまして、さような規定を再建整備特別措置法案の中に入れていただくことを目下考えまして、関係の向き向きに話し合をいたしておるのであります。しかしこれでなお十分とは申せないことは御指摘の通りでございまして、なお、今後補助金の整理、適正化につきましてさらに検討を進めますとともに、地方の自主的な財源の確保、あるいは先ほど西郷委員にお答えを申し上げしまたような財源配分の適正化、あるいは地方団体自体が経常的な経費を圧縮できるような、いろいろの機構面の改正——なすべき点は多々あろうかと思うのでありますが、これらの点につきましても、さらに一そうの検討を進めて参りたい、かように考えております。
  106. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 正示次長の説明は、まことに当を得た説明で、非常に結構ですが、これが実際地方庁において地方財政再建促進特別措置法をお出しになり、実行するということになれば、相当成績が上りますので、地方庁は促進特別措置法案が早ければ、早いほどいい。同時に今日三十九にわたるところの赤字県に対しては、本当に今正示次長の言ったような方針で、少しくその県としては苦しいだろう、それからその県としては、また苦しいのみならず、地方議会としても大衝突を起すようなことが惹起するだろうと思うけれども、それを克服しなかったならば、いわゆる身体の手術と同じことで、大手術を実行しなければならないという段階に入っている今、財政部長に対してその決意を聞くのは当を得るかどうかということになれば、次長もあり、長官もあるけれども、財政を担当する部長として、大蔵省と意見を同じくいたしまして、そこに強い決意を持って、これを断行するということでなければならぬと思うが、法案をいつ頃出すか、出すと同時に——これはもう通過するだろうと思いますが、同時に法案を出すときには、地方庁にそれだけの通達をして、地方庁をして決意を促す方針をやはり徹底させるということが必要だが、この法律についてどの段階まで進んでいるか、地方財政部長から聞きたいと思います。
  107. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 非常にありがたい御激励を賜わったのでありますが、私も同じような決心をいたしておるのであります。現在までの段階では、ここ二、三日のうちに大体閣議決定まで持っていけることと私は考えております。実はきょうの閣議に間に合わしたいと考えておったのでありますが、二、三の省でなお異議がございましたので、きょうあらためてもう一度二、三の省に対して協議をいたしております。従ってきょうじゅうにはまとめまして、あすかあさってくらいに閣議に出したい。すぐ提出いたしたい運びにはいたしております。  それから地方団体にはもう一年半ぐらい前から再建整備の話はしておりまして、そして地方団体の意見も十分に私どもは取り入れております。従ってまあ地方団体の側も法律が出ればやりたいという気持が相当盛り上ってきております。従って、おっしゃいますような方向に私どもは参る、かように考え、それを推進していきたいと考えておる次第であります。
  108. 木村守江

    ○木村守江君 ちょっと財政部長にお尋ねしますが、参議院の予算委員会では地方財政の財政計画の問題につきましては、実は先週の水曜日、十八日に説明を開くはずだったのであります。ところが、自治庁の方の関係で、資料がまだできていないというような関係で、今日まで延ばすということになったのですが、それはどういう理由であったのか。
  109. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。資料の問題ではなくて、今申し上げましたように、再建整備法でありますとか自治法、交付税法の改正、そのほか二、三の法律を私どもかかえておりまして、その折衝をしながら国会に参りましていろいろ答弁をいたしておりまして、衆議院の地方行政委員会、参議院の地方行政委員会がそれぞれ重複して参りましたので、その関係で遅れて参りまして、まことに申しわけない次第であります。参議院の地方行政とこの前は重なり、その前はたしか衆議院と重なりまして、出席ができかねた次第であります。
  110. 木村守江

    ○木村守江君 ちょっと委員長にお尋ねしますが、先般十八日のこの委員会が取りやめになったのは、地方自治庁の方で資料ができないというような理由であったと思いますが、ただいま財政部長から聞きますと、これと違ったような答弁をしておりましたが、いずれが本当なのですか。
  111. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員長からお答え申し上げます。実はあのときには、衆議院の地方行政委員会が前々から開会をすることで二、三回延びておったらしいのであります。でどうしてもあの日に、たび重なる延期をしておった地方行政委員会を開くということでありますので、それならば一応そちらの衆議院の方へまあお譲りをするということで話をきめたわけであります。ただ、資料の問題につきましては、私は確かではなかったが、その当日の朝ぐらいには用意が整ったかのような話を聞いておりました。
  112. 木村守江

    ○木村守江君 ちょっとこんがらかった話で了解をしにくいのでありますが、まあその話は別にいたしまして、先ほど来、いろいろ御説明を聞いておりますと、三十年度の地方財政の計画というものは、大体百四十億ほどの赤字が出てくるというような状態であるということであります。この計画書を見ますと、全くその赤字がないように、すっかり歳出歳入とんとんになっております。どういう点で、どこの部分でこういうふうにうまく調整できたのか、その点を詳細に御説明願いたい。
  113. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほど説明申し上げたのでありますが、もう一度御説明申し上げます。  消費的経費のうちで、3のところに一般職員及び教育職員の昇給に伴うところの給料費の増というのがございます。そこのところで、財政需要費の総額のところで九億八千万円ばかり少くしております。その交付団体分が五億四千万円であります。それから次の節減等に伴う経費の減というのがございます。このうちの旅費、物件費及び交際費の節減額というのがございます。この中の八十四億三千万円というのが、前はこれよりも減額が少かったわけであります。十五億八千五百万円。交付団体分で十億三千五百万円少くしておりました。理由を簡単に申し上げますと、今申し忘れましたが、前の一般職員及び教育職員の昇給に伴う給与費の増、これは昨年の五月一日の指定統計に本年の増員数を加えていくべきか、それから十二月の数字がございますが、それに加えていくべきかということでありまして、文部省のほうの国庫負担金の基礎になっております五月一日現在に合せて参りますと大体七千人ばかり教員が少くなって参ります。これは当然三十一年度に精算されるべき分でございますので、歳出の計上を繰り延べた格好に相なるわけでございます。それから旅費、物件費及び交際費の節減額をふやしましたのは、これは前の計画では府県五大都市は一五%の節減額、市町村は一〇%ということになっておりましたのを、全部一五%にいたしたためでございます。この額は十五億八千五百万円であります。交付団体分が十億三千五百万円であります。それから寄付金等の抑制による節減額は新しく——これは全部新しく立てました。二十四億九千四百万円でありまして、交付団体分が二十億八千九百万円であります。これは先ほども申しましたが、二十八年の決算を見ますると、地方団体が国その他の機関に出します、法令に基かない寄付、負担金というものが非常に多額になっておりましてその総額は二百六十億ばかりでございます。従ってそのうちで会費のようなものとそれからそうでない寄付金とでございます。従ってその全部を減らすというわけには参りませんので、一応国に対する分とそれ以外の分は大体四分の一ぐらい減らそう、こういうことで二十四億の節減を立てたわけであります。それから地方行政事務の簡素合理化による節減額六億一千六百万円、交付団体分は五億一千九百万円、これも新しく立てたものであります。これは自治体の改正によりまして地方議会の簡素化を考えております。これは常任委員会制度の整理をいたしたい、現在の常任委員会制度はいろいろ弊害がございますので、その整理をいたしたい、それから議会の開会数の制限をいたしたい、そういうことによるところの節減、それから非常勤職員の報酬の制度を変えたい、それから府県より大都市への事務の移譲を、これは五大市だけの問題でありますが、建築行政その他の行政事務を移管する、こういうことによって節減をさせようというので、合せて六億一千六百万円、交付団体分で五億一千九百万円の節減をみたのであります。  次に投資的経費の中に失業対策費の増というのがございます。ここで前よりも二十二億二千百万円落しとしております。交付団体分が十二億九千七百万円、これは失業対策事業のうちに労務費と事務費と、それから資材費がございます。その資材費のうちで、従来は国の単価以上にわれわれが見積っておったのであります。国の単価は四十五円であります。それを八十四円十四銭みておりましたから、その差額が三十九円ございました。この三十九円を国も地方も苦しいときでありますから、資材を使わないでやる計画にして節約をしてもらいたいということから落したわけであります。  それから次は単独事業の節減額七十六億、これは全部交付団体分であります。これは単独事業の総量は七百六十三億ばかりになっております。そのうち大体一五%くらいを落してもらいたいということで七十六億を出したわけであります。以上で交付団体分につきまして百三十億になると思います。  そのほか歳入の方の地方債の方で総額は七百七十億でございますが、そのうち交付団体と不交付団体とに分けてございます。その分けております分を不交付団体から交付団体の方に十億だけ持って参りまして、交付団体分を多くしました。それで百四十億に相なるわけであります。
  114. 木村守江

    ○木村守江君 今の説明におきまして、まことにプラス、マイナスうまく合っております。一般教育職員の昇給というものを考慮したというようなものから考えていきましても、これは当然出さなくちゃいけないものを繰り延べたような格好でつじつまを合わせているというようなことがいえると思う。こういうような考え方から、プラス、マイナスこういうようになっておるのが、こういう状態にあなた方が机の上で計算しまして、実際問題としてこの予算でもって行なって、地方財政がほんとうに赤字になっていかなくて済むかと、こんなことを考えましたときに、どういうふうにお考えになっておりますか。
  115. 後藤博

    政府委員(後藤博君) この財政計画は、従来の地方財政計画を基礎にいたしまして、その上に従来方式によって財政需要を重ねて増減の計を出したものでございます。しかし、従来の赤字が出ました基礎には、やはり、従来の財政計画自体に問題があるのでございまして、特に給与費等に問題があるのであります。その問題を片づけなければ、やはり、私どもは赤字が出ると、かように考えております。赤字の出ないように最大限の努力をしてもらいたいということは、地方団体に対しましては、この計画を基礎にして参りますけれども、しかし、その基本になっているところの問題がまだ未解決のまま残っておりますので、やはり、赤字は出るのではないか、かように考えておる次第であります。
  116. 木村守江

    ○木村守江君 よくわかりましたが、もう一つ主計局から次長が来ておりますのでお伺いいたします。三十年度予算編成の一つの大きなめどといたしまして、補助金の整理ということが大きく取り上げられると思うのです。今もいろいろ地方財政の問題で、補助金の整理の問題がるる述べられましたが、きょう午前中、私どもは中小企業対策についていろいろお話を聞いたんです。ところが、中小企業対策費におきましては、新規のきわめて少額な補助金がたくさんあります。こういうようなことは、これはどういうふうに考えられているか、大蔵省では。ちょっとわからなかったらこれを差し上げますが。
  117. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたしますが、御質問の前に、財政部長からちょっとお答えしました点につきまして、先ほど西郷委員にもお答えをいたしましたが、多少どうも自治庁と大蔵省の考え方がニュアンスがあるようでありますので、もう一度私どもの立場をはっきりいたしておきたいと思うのですが、自治庁が自治庁の立場でおっしゃることもわからないではございませんが、初めから赤字が出るのだと言ってしまったんでは、これはちょっと私はまた問題が非常にむずかしくなるおそれが非常にあると思うのでありまして、先ほど西郷委員にもお答えをいたしましたが、この計画計画として実行不可能なものなのかという御趣旨は、私どもは決して不可能ではないと、これはもう毎年々々やって参りました事柄につきまして、決して不可能ではない。それはどういうことかと申しますというと、財政計画上バランスがとれておったが、多くの県において赤字を出した、しかし赤字を出さなかった県もあるわけですから、やり方いかんによっては赤字の出ないことも可能であるということだけははっきり申し上げておきませんというと、やはり初めから赤字が出る計画ですということを申し上げるのは、私は役人としてややこの内閣がお出しいたした計画に対していかがかと存じまするので、はっきりその点はお断りいたしておきます。  それからただいまの御質問でございますが、補助金についての基本的な考え方は、これはもう木村委員おっしゃる通り、昨年も私どもは相当いろいろの抵抗、困難を排しまして、とにかくある程度の整理の実をあげたわけであります。ところが本年につきまして、ただいま若干のなお追加をして出そうとしておりますことは、先ほど申し上げた通りでありますが、しかしほかに中小企業等に多小新しいものが出てきておるではないかというただいまの御趣旨のようでございますが、これは実はまあ中小企業対策というものは、非常にむずかしいのでございまして、今度の内閣でも相当大きなウエイトをおいておられるわけでありますが、これはまあやり方をどうするかという、むしろ問題かと思うのであります。そこで群小の補助金は整理いたし、効率的な使用を期していきたいという考えにおいては何ら例外をなすものではございませんが、ただ同じ金を使いましても、できるだけ効果をあげていきたいというふうな考え方をもちまして、いろいろやり方については工夫をいたしておるわけであります。たとえば昨年自転車の問題につきましては、これを地方公共団体の財源に移しまして、やはり適切にやっていけるのではないかという考え方から、従来国でやっておったことを公共団体に移したことは御承知の通りでございますが、いろいろやり方につきましては、中小企業庁あるいは通産省とも十分打ち合せをいたして、工夫をこらしておるわけでございまして、全体として私どもはやはりこの中小企業対策が大事でございまするから、そういうものにある程度のウエイトをおくと同時に、その中においての金の使い方について、芸のこまかいいろいろ苦心をしておるということが実は実情なんでございます。これが基本的に全体の補助金の整理あるいは集中合理化という線をくずしたものではないのでございまして、ただいまるる申し上げたような、きわめてむずかしい問題であるだけに、いろいろこまかく工夫をこらした結果御指摘のようなある程度形の上での変動が現われておるというふうに御了承願いたいと存じます。
  118. 木村守江

    ○木村守江君 どうも主計局次長はなかなか答弁がうまくてすっかり逃げられちゃうのですが、この間厚生省の予算の場合にもいろいろ申し上げたし、また今日午前中の中小企業の問題につきまして、非常にわれわれが納得いかない少額な補助金があるのです。たとえば意匠改善費補助等三百万円、あるいは輸出振興技術研究費、それから海外競争見本品蒐集費補助五百万円、農水産物海外共同施設補助八百万円と、ほんとうに一万ドルか二万ドルというような補助金が十幾つあるのです。これがしかも全部新規です。これはこの間も厚生省の予算の場合にも言ったのですが、大蔵省は非常に地方財政の問題等についてはきびしい話をしております。これは赤字の出ないところも出るところもあるのだ、出るところが悪いのだというような話をしておりますが、どうもあなた方がやはり財政的な考え方から机の上でそのまま置いたのと、実際やることとは相当これは違うと思うのです。そこでやはり地方財政に通じておるところの自治庁の考え方と、あなた方の考え方とは違う結果になると思うのです。私はやはり大蔵省が、中小企業とかあるいは厚生省とか、そういうものから言われますと、本当に正しいところを把握できなくて、この連中の言った通りにある程度動かされる。そうしてわからずに金を出してしまうという結果になるのじゃないか。私はきわめて卑近な一例を申し上げますと、学生時代に家から金をもらう場合、日本の参考書を買う場合には、ちゃんと定価がきまっておりまして、ごまかしはできません。(笑声)ところが洋書を買う場合には少しくらい多く言っても、ちっともわからない。それから洋書というものはいいのだ、大変いいのだという考え方を持ちますので、親たちも洋書を読むようになったのかと言って少しくらい金をよけい出す。これと同じような大蔵省の考え方があるのじゃないか。そういう点、非常に大蔵省の予算の出し方について疑問を持たれる点があるのですが、こういうことを言うことは、きわめて今皆様方が一生懸命やっておられるのに対して申しわけないと思いますが、そういう点をよくお考えいただきまして、これは地方財政の、今百四十億を無理やりに押し込んで、そうしてこれで赤字は出ないのだ、このようにしてやれないやつが悪いのだということでなく、やはり私は、こういう格好で行ったら赤字も出てくるのじゃないかと言わなければならないと思うのですが、こういう点は自治庁もなかなか大蔵省に行って予算をもらうのに説得の仕方が足りないのかもしれませんが、こういう点を、もう少し視野を広めて、もっと公平に予算を配分してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  119. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまのまことに私どもに教訓的な実例を引いてのお話は、これは将来予算を組みますことを仕事といたします私どもといたしましては、十分注意をして参らなければならぬと存じます。従来も十分注意して参っておるのでございますが、あるいはお取りになる方のお立場から御覧になりますと、まだまだ抜け穴があるかも存じませんので、この点は十分注意をいたして参りたいと存じます。ただ一言中小企業補助金につきまして、ただいま具体的な例をおあげになりましたので、お答え申し上げておきますが、ただいまおあげになりましたのは、木村先生御承知の通り、これは大体輸出振興関係補助でございまして、対象は地方公共団体というよりは、いわゆる外郭団体になっております。広い意味の外郭団体かと存じます。通産行政は今日いろいろの重要な問題に直面をいたしておりますが、そのうちで輸出振興の方途をどういうふうな具体的な方法でやって行くかということが一つの大きな宿題だと思うのでございまして、これらの点につきましては年々予算のときに実は夜を日に次いで議論をいたすのでございますが、なかなかこれという割り切った答えが出ておりません。そこでやむを得ずいろいろな手を考えまして、御提案を申し上げております。これらのうちどの程度が本当に効果を上げますか、これは相手もございまするし、何しろ世界の市場におきましてのお互いにしのぎを削る問題でありますだけに、なかなかむずかしいと思うのでありますが、ただ今日、日本の経済の置かれております立場から申しまして、輸出振興につきましてはある程度それらの意見も取り入れまして、これでも要求額に対しましては実に九牛の一毛ともいうべき峻烈な査定を加えておるのでございますが、しかし多少の新規というふうな形にもなっておりまするので、御指摘のような御疑問もお持ちになるかとも思うのであります。私どもとしましては先ほども申しましたように十分注意をいたしたつもりでございますが、なお今後とも予算執行その他におきましても工夫を加えまして、これらの経費の効率の発揮には十全の努力をいたしたいと考えております。先般吉田委員から厚生省のラジウムの購入につきましても御質問を賜わりましたのでありますが、これは補助金ではなく、国立病院のラジウムでございまして、その後さっそく私は自分で癌研究所に参りまして、吉田先生の御意見を伝えまして、いろいろ聞いてみましたところ、おっしゃいます通り癌研究所としては十分のラジウムを持っておる、従って全国のガンの患者が癌研を利用していただけるならば、これ以上のものを輸入する必要はないと思うということを責任者がはっきり申しておりました。ただ地域的に分布が多少行き渡らない点もあるので、まあ一グラムくらいのものを、大体厚生省は十カ所を考えておるようでありますが、国立病院の十カ所に適正に配置いたし、これを利用させるということであれば、まあアイソトープ等かわりのものもあるけれども、相当のやはり効果はあるということをその方の責任者も申しております。この点は厚生当局の説明と軌を一にいたしておるわけでございまして、私どもとしましてはそれらの点は大体よく検討を加えた上で入れておるつもりでございますが、先ほどの外国語の本と日本語の本とのお話は、肝に銘じまして、将来とも予算編成の上におきまして一そう勉強をいたして参りたいということをもってお答えにいたしたいと存じます。
  120. 木村守江

    ○木村守江君 どうも私が言っておることと次長の答弁とちょっと違うところがありますから、もう一ぺんお伺いします。  私は三十年度予算編成方針補助金整理というような大きな方針のもとにやっておるものではあるが、しかも輸出振興というような大きな問題については、これはやはり補助金を出すのもいいと思うのです。が、この中小企業対策費用に対する、この輸出振興に対する補助金の額が、これはきわめて零細です。こんなことではこの題目のどういうことが一体できるか、こういう金はこの題目の目的を達することができないばかりでなく、こういう金を出すことによって、いわゆる通産省の外郭団体を作って、これは本当に公用族の温床を作る以外の何ものでもないと私は言わざるを得ないと思うのです。たとえば今日午前中聞いたのですが、意匠改善費補助というので長期にアメリカに個人あるいは団体を派遣するのだと言っておりますが、三百万円で一体個人あるいは団体をどのくらい出すのだと言ったら、しまいに三人です、半年ですという答弁です。それから海外競争見本品蒐集費補助に五百万円、これはどうするのだと聞きましたら、日本貿易振興会に補助をやるのだというような、これは次から次へと聞きますと、大きな非常にいい題目ですが、この題目に対する金額がきわめて僅少、零細でありますので、この目的を達することは到底できないと私は考えます。こういうような予算を組むということは、私はどう考えても、これは非常に緊縮予算の中で当を得たものではないのじゃないかと言わざるを得ないと思うのです。いかがでございましょうか。
  121. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この点は先ほど立ちまして申し上げましたように、中小企業対策を、きわめて芸のこまかいやり方をやっておる、もう少し太い線で、同じ金を使うなら重点的に使うのが正しいのではないかという御意見は、私はごもっともだと思うのでありまして、私どもとしては一般的には実はそういう方向にできるだけ持って行くように努力をいたしておるのであります。ところが先ほども申し上げましたように、ここに海外におきましていろいろやるような問題につきましては、これは相当の構想はございました。たしか海外の一流の百貨店で、相当大規模に日本の商品のショーをやるというようなお話もあったのでございますが、どうもやはりその辺もう少し研究を要するのではないかというふうな気持が先に立ちますと、ついただいまおあげになりましたような、経費につきまして、太くどかっと金を出すことが危なっかしいような気もいたすのでありまして、一種のアンテナ的な経費、触手を伸ばしまして、うまくいくとそこへ民間の商社があとから続々ついて来るような、そういう一種の迎え水的な経費というふうな形にならざるを得ないのでございます。それらの点は、実は私ども予算屋のテクニカル・タームでございまして、改造といっておりますが、今年はこういうやり方を一つやってみようというので、大体同じくらいの金額なのでございますが、やり方を変えますと形の上は新規になって参ります、そういうふうな経費の盛り方につきまして、先ほど申しましたが、きめのこまかいいろいろの工夫をこらしてやっておりますものでございますから、つい木村委員のお目にとまりましたような点を、御指摘をいただくわけでございますが、これらの点につきましては、しかし確かにプリンシプルといたしまして、また将来の健全な方向といたしましては、いろいろ今一種の試作的にやっておりますことをほんとうに自信を持ってやりますためには、太い線を貫きまして、群小のこまかいものはおいおいと整理をしていくということは、私はその通りであろうかと思うのであります。ただ三十年度は一方では緊縮、一方では輸出振興という両方の要請に板ばさみになりまして、いろいろきめのこまかいような芸当をやっておりますので、つい御指摘のような費目も現われておるのでございますが、これらにつきましても、私どもはこれはやはり必要であるということは繰り返し申し上げた通りでございまするが、将来の方向といたしましては、やはり補助金を、特に零細なる補助金は整理をいたしまして、資金の効率を上げますために、重点化していくという点につきましては、御趣旨に全く同感でございますということだけをはっきり申し上げます。
  122. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 各種の行政委員会の整理、あるいは存廃ということが爼上に上っておるのでありまするが、かような委員会はあるいは運営に、あるいは選挙というようなものに対して相当考慮せなければならぬと思っております。ところでそのうち最も重大なものは教育委員会であります。この教育委員会というものの存在は、運営に当るところの知事であるとか、あるいは市町村長が非常に苦慮する問題であります。かような問題につきまして、先日自治庁のある課長から行き過ぎの文書が配付せられまして、陳謝の文書をさらに出しまして解決がつきましたが、教育委員会というものの存在、これに対する自治庁の意見、またどんな方法によってどの程度進行し、またこれが実現の道をたどっておるかということについてお尋ねしたいと思います。
  123. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 教育委員会を初めとする行政委員会の問題でありますが、私ども財政の立場からいたしますると、地方の知事のやりますところの行政施策、特に財政運営の総合性を非常に害しておることもございますし、現在の二重予算及び原案送付権等の規定が再建整備をやります団体におきましてはいろいろむずかしい問題を起して参ります可能性がございますので、その点につきまして再建整備を行うところの団点については、そういう特殊な権限はしばらく停止をするような法律を作りたい、こういうふうに考えて、各省と折衝、特に文部省と折衝いたしておりますが、なかなか部内の間の話し合いがつきません。私どもといたしましては、少くとも再建整備を自主的にやる場合ももちろんでありますが、やりますところの団体については、やはりそういう争いをさせないような状況におかしてもらいたい、これをも強く希望いたしております。しかし、なかなか政府部内の意見がまとまりそうにないのであります。いずれ閣議で御検討願うことに相なるのでありますが、事務的にはなかなか話しがつかない状況でございます。もう一つ一歩進めて、行政委員会制度を全面的に改革してもらいたいという意見もやはり地方制度調査会あたりからも出ております。私どもも自治庁の立場からして、さような方向に持っていってもらいたいということを考えておりますけれども、しかし、私どもの仕事の範囲を出た問題でございまして、教育委員会法の改正、これは教育委員会を所管いたしておりますところの、やはり文部省の所管でございます。行政委員会はそれぞれの省の所管でございまして、ほんどわれわれが一指も触るることのできないような状態になっております。その一部だけを再建整備法で、われわれが何とか停止する程度の規定をおいてもらいたいということすら、先ほど申しましたようにうまくいかんのでありまして、全体の問題として希望的な意見は持っておりますけれども、なかなかそういう方向に向いて行かないのを隔靴掻痒の感を持ってながめておる次第でございます。
  124. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 これは先日あなたの方の省の課長から行き過ぎの文書が出て問題になったのであります。これはなるほど教育委員会というものの存在、あるいはその所管、または監督という方面からいったら文部省に属するかもしれん、しかしながらその裏面におけるところの非常な経費のかかる問題につきまして、自治庁としてこれは放任することのできない私は重大な問題だと思います。かような点からああいう行き過ぎの文書が出たように思うのです。もちろん私は文部委員ではありませんから、この方面において再検討し、また当面の意見も聞くことにいたしますが、私はこの際かような問題につきまして、地方の財政上非常に重大であり、また非常に困難な問題であり、また市町村長あるいは知事が困り抜いておるという問題に対する改革は、この際断行してみたらということを希望しておきたいと思います。
  125. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 地方交付税の性格について大蔵事務当局の御見解を伺っておきたい。平衡交付金制度と違って、財政需要と財政支出、それを比較して足りないだけ出す。毎年そういうふうにするという考えではないけれども、とにかく地方交付税も一応標準財政支出はどのくらいある、収入はどれだけあるという積み重ねをして、それが二十九年度においては、一応千二百十六億円くらい足りないというので、あの数字が、交付税率が出たものだと私どもは考えるのであります。そこでさまつの変動があっても、これはそう年々変えて行くのではない、この考え方はわかるのですが、この積算していった基礎が、政府の施策によって変って来た場合には、当然政府が交付税率を変える改正案を、交付税法の改正案を出すべきものである、私は交付税についてこういうふうに理解をしておるのであります。事務当局の御見解を承わりたい。
  126. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。交付税制度と交付金制度との違いにつきましての御指摘の点は、大体において私どもも同じように考えておるのであります。ただ、最後のところでおっしゃられました点でございますが、交付税法の中にもはっきりございますように、ぴたりと合わすことはできない、あるいは合わす必要もないというふうな考え方からも存じませんが、著しく違うようなことが引き続いて起るような場合に初めて率を検討するということは、はっきり条文にも出ておるわけでございます。ただ、政府のみずから制度を改正するような場合には、この点については当然施策をすべきではないかという点についてもお触れになったのでございますが、これらの点は具体的な事案で判断をいたすべきかと思うのでありまして、たとえば、これは先走って恐縮でございますが、三十年度におきましてある程度の税制改正を提案を申し上げておることはその通りでございまするが、この場合におきましては、直接税すなわち所得税、法人税に関するある程度の改正が確かにございます。しかし、他面におきましては、酒の原料米の増加というふうな、これも今日といたしましては御承知のように原料米は政府の管理でございまするので、その管理のもとにおきましてある程度の原料米の増加をはかるということは、やはり一種の政府の施策であろうかと存じますが、さようなことによりまして直接税の減収をカバーしておりますような点もございまするので、やはりそういう具体的な事案といたしましては、今日交付税の率の改訂ということはその要がないのではないかというふうな感じを持つのであります。ただ、しかしながら、従来のいきさつにかんがみまして、地方団体の財源の強化につきましては、先ほど来自治庁長官、あるいは財政部長その他から申し上げました通りの施策を講じておることは、御了承賜わりたいと思うのであります。
  127. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 昨年十九国会において、衆議院では二十五、それをまた参議院の方では二十二に修正して、交付税法が通ったわけでありますが、その際はただ漫然衆議院が二十五とし、参議院が二十二としたわけではないので、こういうものを、十分見るべきものを見ていないからこうしなければならないということで最後的には二十二は決定したわけであります。ああいう積み重ねて来ておる数字である以上は、国会の意思というものがああいうものを積み重ねてやっぱり合理的な率を持つように希望しておるということを私は言い得ると思うのであります。従ってああいう積み重ね方式の基礎がくずれて来れば、その基礎のくずれた分については当然政府がみずから、国会の意思を尊重するならば、直してやるべきである。もし直さないなら、国会の意思はそこにあるのだから、国会からも修正をしなければならないということに立ち至ると思うのです。これについての御見解もあわせて伺いたいと思います。
  128. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 重ねての御質問でございますが、おっしゃる通り、昨年の交付税率の決定に当りましてはいろいろのいきさつがございまして、参議院の御修正が最後に決定と相なったのでありまして、その際これが合理的であるということを証拠立てるようないろいろの積み重ね方式で算定された財政需要、財政収入というものがあったことは、おっしゃる通りでございます。そのときにいろいろ算定されましたものがその後どういうふうになっておるかということになりますと、これは相当また長い間いろいろ材料につきまして御検討を賜わらなければならぬのでありますが、私どもといたしましては、先ほど触れました税の改正以外におきましては、たとえば揮発油譲与税は二十九年度限りの措置であって、一年限りで落ちることとなっておりました。従って三十年度以降の交付税の率の決定の際にはすでに揮発油譲与税の三十年度以降の廃止を折り込み済みでありました。またこれに対しまして、本年度予算におきましては別途地方道路税というものを御提案申し上げておりまするので、その関係から言うならば、むしろ算定の諸要素の中にはある意味におきまして地方の財源は強化されておるようにも申し上げることができるかと存じます。ただあのときの最終的な御決定の際に衆議院の地方行政委員会におきまして当時の大蔵大臣がお答え申し上げましたたばこ益金等から三十億円程度のものを考えるということで、これは今回提案申し上げております予算におきましてその通り措置をいたしておりまするし、大体それで、伊能先生おくわしいのでございますが、私あるいは失念をいたしておるかも存じませんが、当時の最終的な御決定をいただきましたときの諸要素というものにつきましては、一応漏れなく気を配っておるつもりでございますが、何か言い落しがございますれば、御指摘を賜わりまして、なおその具体的な御指摘に対してお答えを申し上げたいと存じます。
  129. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 だんだんお答えが、結局私が先ほど申し上げたように、交付税法というものはそういう趣旨であの税率というものを直して行かなければならんということはお認めになって来ておるようですね。
  130. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 交付税の率は、これは法律の条文に明らかなように、軽々に直すべきものではない、ただ、本年は、先ほど後藤部長からもお話がございましたように、いわば二二%というノーマルな率の適用される初年度でもございます、昨年御決定のときのいきさつにかんがみまして別途措置すべきものは措置をいたしたのでありますが、この三三%という国会のおきめになりました率そのものはまたやはり交付税の条章に照らしまして軽軽に変更を加えるべきものではないという考えをもってお考え申し上げておったのでありますが、あるいは表現がまずくてそういうふうにお取りいただいたと思うのであります。交付金制度と交付税制度との違いはまさにそこにあるのでありまして、私どもとしては交付税の率というものはみだりにこれを変更しないで地方によるべきものをはっきり示して参るということが正しいのではないか、本年は国としても非常に財源が苦しく、実は交付税の二%強の増加というものが一兆円予算のうちの増加要因の最たるものでございますが、しかもそれを私どもとしてはこれは法律の定むる当然増加という考え方をもって処置しておることは、予算の冒頭の説明において大蔵大臣なり主計局長から詳しく申し上げておるはずでございますが、われわれとしてはやはりここに交付税制度のせっかくお作りをいただいたメリットがあるのだという考えを持ちまして、この率は国が苦しいからといって軽々に変更を加うべきものではない、また地方におかれましても、従ってこの率の改訂ということは、これは国会の最終的な議決を得るのでありますが、現行の交付税法の条章に照らしましてきわめて慎重な判断のもとに行われるものであるというふうに考えておる次第であります。
  131. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 もう一回一つ、少しくどいようですが、先ほど木村委員からもおやじから小づかいを出す例がありましたが、私もそういうような例で申し上げるならば、おやじがせがれの生活補給をしておる、せがれがまだ一人立ちできないで、月給でやっていけないからというので、足りない分だけ漫然と補給してやると、これが平衡交付金制度である。ところがおやじの方で合理的に算定して、月給はこれだけ、生活費はこれだけと、五千円足りない、ただ五千円足りないというのじゃ味がないから、そこでおやじの財産のうちの地代の何%、そしておやじの株の配当の何%、そういうので一応五千円という数字を出した。これが交付税制度だと思う。そこで勝手におやじの方で土地を売り払ってもっと利回りの悪いものを買ってしまった、あるいは株券を売ってしまってほかの債券にかえたけれども、利回りがもっと悪くなったとすれば、おやじが勝手にやったのですから、前に計算しておった五千円に近い、算定してきた五千円を、同じ状態であるとするなら、その五千円を確保する、また少しく状況が違ってきていれば、五千円よりふやしたもの、株がだんだん配当がよくなって、期待しておったその時分に株を処分された、で違うものに投資してやると、そういうふうに変ってきたら、おやじの方ではやっぱりもう一回算定の基礎を、株券の、債券の何%、それから土地を売り払ってほかに何か買っておれば、その方の収入の何%というふうにやはりかえるのが、これはやはり交付税制度だと思う。株は持っておって、その株が配当がよくなった、配当がよくなったら、その配当をそのパーセンテージを、だんだん株のよくなる時代には生活の程度もだんだん上ってくるから、株の配当のよくなった分だけは、そのパーセンテージで上っていくという期待が子供にすればあるわけです。ところがそれを勝手にかえてしまっておいて、放って置くという手はないので、また、あるいは景気が悪くなってきて、非常に生活が今までよりは同じ収入では楽になったというときであれば、これまたそのように直す方法もあると思いますが、地方財政が悪くなってきたときには黙っておる、よくなってきたときには交付税率を直すというようなやり方では、これでは非常に地方財政というのはいつになっても不安であります。今のような考え方のもとに政府としては考えていくべきではないか、これが私の考え方なんです。この点についていかがですか。
  132. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、ただいま具体的にたとえを引いてお話をいただいたのでありますが、私はその点につきまして多少やはり根本的に考えてみたいと思うのであります。おっしゃられました引例におきまして、おやじでございますがおやじというのはむすこと離れた存在でありまして、むすこの意思には関係なくやるわけでございますが、交付税制度の場合の地方の財政需要と財政収入の問題につきましては、これは国会が全部おきめになるのでありまして、いわばむすこの意思というものが国会が持っておられるのであります。その点私非常に違うと思うのであります。国がどれだけの公共事業をやらすか、どれだけの補助金を出すかということをすべておきめになるのが国会でございまするし、地方がどのくらいの税金をとるのかということをおきめになるのも国会でございます。そうして交付税の率ももちろん国会がおきめになるものでございますから、いわばこの場合おやじと子供は、いわば非常に先ほどの引例の場合と違いまして、統一されたる政府というふうなものじゃなくて、それよりもっと高い地位において、国会という一つの総合的な、いわゆる憲法の言葉を拝借いたしますれば、国権の最高機関というところにおいて統一されているものでございまして、そこできわめて十分に、おやじと子供の両方の人格が、統合された地位において全体がながめられているという点が私非常に違っているというふうに実は考えるのであります。昨年二二%とおきめいただきましたときに、先ほどお話のように、需要、収入それぞれごらんをいただき、そこの最終的な総合として平年度二二%というものが出て参ったのでございますが、本年度予算及び予算関係する法律案としてすべてがまた国会の前に出ているわけでございまして、これを総合的に御決定願うのが国会でございますから、私は建前としてこれは多少意見がましくなって恐縮でございますが、ただいまの御引例とは違うのではないかというふうに実は最初に申し上げておきたいと思うのであります。しかし政府としてそれじゃ国会に出す案の中にそれらの点を何も考えなかったかという点につきましては、まず第一に交付税制度は、これは交付金のように収支のつじつまを合せるというようなことに相なっては申しわけありませんから、昨年おきめになりました率をそのまま施行するということを第一の前提におきまして、しかしそれが出て参りました過程におけるいろいろの問題につきまして、なおまた本年度はガソリン収入、揮発油税の収入等が非常にふえまして、地方の道路事業等の需要がふえるというような点につきましては、それぞれ配慮を加えているということを申し上げたつもりでございます。一方地方税、国税、予算はもとよりでございますが、いろいろの問題がそれぞれ国会の前において御議決を願うことになっているのでございますが、それらの要素の中から具体的に御指摘をいただけば、あるいは私失念いたしているものがあるかも存じませんが、大体におきまして、ただいま列挙いたしましたところをもって、二二%という交付税の率は、本年度においてノーマルな率の施行初年度として、一応国会において御議決を願ったときと著しく異なる条件のもとにではなく施行できるようにわれわれとしては判断いたしまして、提案を申し上げているような次第でござ、います。
  133. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 先ほど政府のこの税法の改正案によって所得税の減収予定よりも減収がある予定というか、前の制度よりも減るということはお認めになった、ただ酒税の方で予定よりも、今まで予想されたよりも多い酒の造石高のために、歳入はふえるから、その方で穴埋めできるという説明がありましたが、そういうことを明らかに税制の改正がなかったならば、所得税ではこれだけ入る、ところが税制改正によって三百何十億ですか本年は減る、それによって地方交付税がその分が減る、その分を酒税の増でカバーできるというような御説明だったように思うのですが、そういうことをちゃんと計算して交付税がここに出ておると、こういうふうに理解していいのですか。
  134. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど申し上げました趣旨は、本年度政府が国会に提案いたしております税制改正案におきまして、所得税、法人税等のある程度の減収が生じます場合、これは政府のいわば国の施策によるところの税源の移動であるというその点だけを上げますとさようになるようなふうにも思えるのでありますが、一方酒税の方におきましては、これまた食糧管理という今日の建前からいたしまして、酒の原料米をどの程度にするかということはやはり国の決定するところでございますが、その方におきまして優に減収をカバーいたしましてなお若干の増収ということに相なりまするので、これは国の施策に伴う税源の移動と申しましても、交付法の中におきましての減収というふうには申す必要がないのではないか、こういうふうなことを申したのであります。
  135. 館哲二

    委員長館哲二君) 別に御質問もありませんければ、本日はこれで散会をしたいと思います。明日は十時から開く予定にしておりましたが、本会議がありますので、本会議後開会することにいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時十三分散会