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1955-05-17 第22回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十七日(火曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————    委員異動 五月十三日委員成瀬幡治君及び小笠原 二三男君辞任につき、その補欠とし て、高田なほ子君及び大和与一君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            西郷吉之助君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            田村 文吉君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            湯山  勇君            永井純一郎君            石坂 豊一君            武藤 常介君            千田  正君   政府委員    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    農林大臣官房会    計課長     武田 誠三君    食糧庁長官   清井  正君    林野庁長官   柴田  栄君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    農林省農地局建    設部長     桜井 志郎君    水産庁生産部漁    港課長     林  真治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付)(予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれより委員会を開きます。  まず理事補欠互選につきましてお諮りいたしたいと思います。さきに委員異動によりまして欠員となっております理事補欠互選につきましては、先例によりまして委員長から指名をすることに御異議ありませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議がないようでありますから、私から小林孝平君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) 本日は引き続きまして審査を行いたいと思いますが、きょうは予定によって食糧増産あるいは食管特別会計などについての御審議を願いたいと思うのであります。
  5. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 私から農林省関係公共事業費並びに食糧増産関係経費につきまして本年度予算編成に当りましての一般的な考え方と申しますかをごく簡単に御説明を申し上げます。なお、食糧増産あるいは林野関係漁港、それぞれにつきましては各局の方から詳しく具体的に御説明を申し上げることにいたしたいと思います。  三十年度農林関係食糧増産経費を含めました公共事業費考え方でございますが、この中で特に開拓事業及び開拓実施関係いたします事業につきましては、おおむね昨年度同額程度を確保いたしまして、ここに力を入れていくという考え方をとっておりますが、同時にそれ以外の事業につきましても、国費の節約あるいは地方負担軽減等の見地からいたしまして若干予算減額がありますが、物価の下落等関係もございますので、できるだけ事業量といたしましては前年度に近いものを確保するように努力をいたした次第でございます。なお災害復旧事業に関しましては、昨年度に比べまして四十数億の大幅の減額になっておるのでありますが、これは昨年災害が比較的少かったということと、それから現在までに実施して参りました過年災の再調査の結果等を織り込みまして、本年の予算額としては相当程度の圧縮になっておるのでございます。なお、災害復旧関係につきましては、おおむね建設省その他の災害復旧事業と同じような考え方で進んでおるわけでございます。それからなお鉱害復旧事業につきましては、これは相当大幅な増額に相なっておりますが、これは昨年度に引き続きまして、炭鉱関係失業者の吸収ということも一応考えまして、相当程度増額措置をいたしております。なお、食糧増産経費につきまして、新規工事採択につきましては、原則として昨年に引き続きまして新規採択は考えておりませんが、特に継続事業につきまして、できるだけ重点的にこれを施行いたしまして、事業効果をできるだけ早く発揮できるようにということを考え方の基調にいたしまして、それぞれの工事経費につきまして申し上げましたような、できるだけ早く完成するという方向において努力をいたしたわけでございます。それからなおまた国営事業あるいは県営事業につきましては、一応すでに調査を完了しました地区につきましても、全体設計費というものを新たに計画いたしまして、さらに計画整備をはかることといたしたようなわけでございます。なお、また今度の食糧増産経費あるいは公共事業費の中で、新たに考えました事業といたしましては、耕地整備事業助成のうちで区画整理確定測量費、あるいは開拓事業補助のうちで開拓地畑地海湾北海道開拓道路補修費というようなものを新たに計上をいたしております。また少額でありますが、造林事業のうちで、新たに町村合併に伴いまして部分林造林経費を新たに考えております。また漁港修築費補助のうちで、漁港防災事業というようなものを新たに計上をいたしております。大体従来の予算編成と多少変えました点、あるいは本年度公共事業費予算編成のわれわれといたしましての考え方としては、特に以上のようなことで計画をいたして、おるわけでございます。  事業費総額といたしましてはいろいろと凹凸がございますが、それぞれ今のような考え方に基きましてできるだけの確保をいたした次第でございます。経費のそれぞれの額につきましてはお手元に御配布いたしております資料にございます通りでございます。なお、具体的にはそれぞれの局の担当の方から御説明を申し上げます。
  6. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 農地局関係公共事業費につきまして、ただいま会計課長から申し上げましたことに対して、多少の補足を申し上げます。
  7. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 減額した数字だけはっきり出して下さい。会計課長なら漠としていてもいいが、あなたの方は責任あるところだから、この事業でこれだけ減額して、この事業でこれだけ減額した、これを、特にそれだけ出して下さい。減額だけでいいから、増額の方はいいから…。
  8. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 資料につきましては農地局関係二つ差し上げております。三十年度要求食糧増産対策費という紙を六枚ばかりとじたのが一つ、それから二十九年度及び三十年度予算による受益面積及び米麦増産量調という一枚紙、この二つを差し上げております。  まず予算内容についてでございますが、災害を除きまして、この第一表、数枚とじたのについて少し補足さして頂きますが、第一ページでは二十九年度成立予算、二十九年度改訂予算、それと三十年度要求予算、横に読みましてこの三つの欄を設け、縦には一般事業費一般事業費の中に土地改良費開拓を含めて、あるいは干拓も含めておりますが、一般食糧増産対策費と、災害復旧と、この二つの区分にいたして総括表を上げておきました。そこで御覧を頂きますと、一般事業費つまり数字を書いております一番上の欄でございますが、二十九年度改訂予算つまり実行予算では二百六十億、こうなっておりまして、今度の提案の予算は二百五十七億、約の数字で申し上げますが、一般予算といたしましては三億減、こうなっております。そこでその内容につきまして相当でこぼこが昨年度予算と比較いたしまして出ておるわけでありますが、その内容については後段の土地改良事業費というところに移っていって御説明を申し上げなければならぬのでありますけれども、大ずかみなことを申し上げますと、食糧増産公共事業三つに分けまして、既耕地改良開拓干拓と、この三つ項目に分けて申し上げますと、今度の予算案では既耕地改良相当程度減額をみております。開拓及び干拓におきましては昨年の予算と比べまして殆んど変化なし、干拓におきましてはわずかながら増額となっておりますが、既耕地の方で昨年の実行予算に比べて約八%減として出ております。ただし先ほども会計課長から申し上げましたように、九州のたとえば炭鉱地帯被害復旧、こういうものは土地改良費の中に予算項目としては含めております。この方で五億ばかりふくれておりますので、土地改良費というまとめた一つ項目からみますと、先ほど申し上げた通りでありますけれども、中をみまして国営潅漑排水、あるいは県営潅漑排水、こういう項目に至りますと、約八%程度減になっております。大きな移動はその程度でございます。  これらの予算案を重点的に実行するといたしましてどの程度増産予定量を期待できるかということは、この一枚紙に表示をいたしました。ただいまの略算で申し上げますと、予算執行によりまして新しく増産が期待できるものが約七十七万一千石、その数字は一枚紙の下から三行目のところに表示をいたしております合計という欄で御覧を頂きますと、三十年度予算というっまり合計欄の一番右端に七十七万一千石、三十年度予算案執行によると、こういう程度数字が期待できる。なお、農林漁業特別金融公庫の被助成事業に対する融資によります増産期待量をその下の欄に表示いたしまして約二十四万七千石、この二つを合せまして約百二万石程度増産が期待できる、こういう計画を持っております。  災害の方につきましては、ただいまの残量昭和二十六年発生災害から昨年の災害までに至っておるわけでありまして、幸いにして昨年の予算が比較的少かった、こういうことからいたしまして、今度の予算案の百二十七億というものをできるだけ効率的に実行することによりまして、二十六年発生災害は一応全部片付けたい。かような計画のもとに目下策定はいたしております。大蔵省予算案によりますと、二十六年、七年までの災害については、残量、現在残っておりますものの約三分の一、それから二十八年、九年の災害につきましては全体の六五%まで進める、こういうので予算案ができておるわけでありますが、実際に即応するように古い災害から片づけるという考え方目下計画を立てております。  以上簡単でございますが、補足的に申し上げさしていただきました。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと簡単に……。今の農業災害のところで、二十九年度が幸いに少なかったんでというようなお話でしたが、この表によると、成立予算のさらに節約後はもう少し殖えているのですが、今の御説明どういう意味ですか。
  10. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 災害の方につきましては、昨年の二十九年度の当初成立予算は百五十四億になっております。ただいま提案されております三十年度予算案は百二十七億、二十七、八億の減になっておるわけでありますが、二十九年災害が比較的小さかったので、つまり残量がひどく大きくはなっておりませんということを申し上げて、少し言葉が足らなかったのであります。
  11. 永井純一郎

    永井純一郎君 その都度質問していいのですか。
  12. 館哲二

    委員長館哲二君) 一通り聞いてからの方がどうかと思いますが、いかがでしょう。(「けっこうです」と呼ぶ者あり)
  13. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 林野関係に関しまする公共事業費内容を簡単に御説明申し上げたいと存じますが、林業関係公共事業費総額におきまして二十九年度内地北海道を含めまして百八億二十九万六千円でございましたものが、三十年度予算案におきましては現在九十九億五千八百九十三万三千円になっておりまして、比較いたしますると、八億四千百三十六万三千円の減で編成いたしておる次第でございますが、その内訳につきまして簡単に申し上げますると、治山事業費におきましては前年度四十六億六千百八十七万六千円に対しまして、本年度四十四億五千九百十万円、差し引きいたしまして二億二百七十七万六千円の減でございます。次に造林事業費におきましては、前年度三十三億二千九百四十万二千円に対しまして、三十年度三十億八千三百八十一万円、差し引きいたしまして二億四千五百五十九万二千円の減でございます。さらに林道事業費におきまして、前年度十七億三千六百十万六千円に対しまして、三十年度十六億五千六百七十万円、差し引きいたしまして七千九百四十万六千円の減と、それぞれ事業費におきましてはある程度減少を見ております。さらに災害関係におきまして、前年度十億三千七百五十二万五千円が、本年度におきまして、七億四千九十四万円と相なりまして、差し引き二億九千六百五十八万五千円の減ということに相なっております。  そこでこれを内容について簡単に説明申し上げたいと存じますが、別に差し上げておりまする内訳資料がございまするが、それを御覧いただきたいと存じますが、十七ページでございます。治山事業におきまする最も大きな減額といたしまして、直轄治山事業費におきまして前年度四億一千八百三十四万二千円ございましたものが、三十年度におきましては二億五千万円ということに相なっておりますが、この理由といたしましては、昨年度から保安林整備に伴いまして重要水源地域保安林整備をいたしまして、特に治山事業等に高度の技術と多額の経費を要する地域につきましては、国有林におきましてこれを買い上げ、国有林野事業として実行する、こういうことに決定いたしまして、昨年度におきまして五万町歩の目標に対しまして約五万二千町歩買い入れ実施をいたしたわけであります。従来直轄治山事業として実施いたしておりました分で買い上げ対象となりましたものが相当ございまする関係上、そちらに一部移行するということに相なったのが最も大きな原因でございまするが、そのほかにさらに補助事業として実施いたしておりまする分に切りかえるというようなのも含めましてこの減額と相なった次第でございます。  次に治山事業費補助関係でございまするが、補助費関係は大体前年度量を確保するという意味におきましてほとんど前年度同額ということで、二十九年度四十億九千七百二十万円に対しまして三十年度四十億七千八百万円と相なっておる次第でございますが、内容はほとんど前年度量をほぼ確保するという計画にいたしておる次第でございます。  なお造林事業におきましては、前年度二十九億二千二百四十一万七千円ございましたものが二十七億九百八十一万円とやや減少を見ておりまするが、これに関しましては、一面におきまして融資への切りかえ等も含め、さらに水源林を補強するということによりまして、総体の造林業を、造林面積を確保するという程度にとどまるということで、造林事業費といたしましては多少の減額と相なっておる次第でございます。  さらに林道事業費でございまするが、林道事業費におきましても前年度十六億六千九百十四万六千円ございましたものが、本年度におきまして十五億九千八百七十万円と相なっておりまするのは、林道仕事は、実は奥地林道一般林道に分けて補助の規定を設けまして実施いたして参っておるのでございまするが、一般林道に関しましては順次規模も、あるいは本数等も実施整備せられて参りましたのと、一面におきまして奥地林道とのバランスがとれないということで、奥地林道を早く、いわゆる幹線となりまする奥地林道整備いたすというような観点からいたしまして奥地林道を確保するというために、一般林道におきましてやや減少をみておるという次第でございまするが、特に必要な林道に関しまして融資方法を講じまして、調整をいたすという考えで公庫融資計画を持っておる次第でございます。  次に災害関係でございまするが、災害におきまして相当減少いたしております。前年度十億三千七百五十二万五千円に対しまして本年度七億四千九十四万円と相なっておりまするが、そのおもなるものは前年度被害減少が主体でございます。従いまして災害復旧に関しましては、二十六年度以前はすでに完了をいたしておりまするが、二十七年度災害残に対しましては、残りの量の三分の一を確保する、さらに二十八年度におきましては総額の六五%を確保する、二十九年度につきましては総額の五五%の復旧を確保するという計画木予知編成いたしておる次第でございます。それと二十九年度発生災害に対しまするものが当該年度見られておらないということがこれまた減額一つ理由に相なっておる次第でございます。その他の附帯事務費に関しましては特に御説明を申し上げるほどのこともございません。また北海道関係につきましても大体内地と同様の考え方編成されておることをつけ加えておきます。
  14. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 災害があったでしょう。あのくらい水のたまった災害は、内地と同様では違やしませんか、去年の北海道は。ほんとうのことを言って下さい。
  15. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 北海道災害については、また主として国有林野事業関係において申し上げなければならんと思っておりましたのですが、北海道林野災害はほとんど風倒木被害を主といたしておりますから、これに対しましては国有林野事業として相当これの処理に対しまして予算案編成いたしまして、これの御審議をお願いいたすことにいたしております。
  16. 田中啓一

    田中啓一君 簡単ですが、数字の……。この十七ページの治山事業費の、直轄治山事業費山地治水ですれ、そこでそれと一般分の五千万円、一般分内訳が、崩壊地復旧はげ山復旧地すべり防止、こうなっているのですが、地すべり防止は今度は金額が抜けておるのですか、そうでしょうね。単価があって金額がないのですから……、この印刷物、局長お持ちでないのですか。
  17. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 元を持っておりますから、今調べます。
  18. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 五千万円ほど出てこなければならないのですが、多分それが落ちておるのだろうと思うです。
  19. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) どうも失礼いたしました。これはミスプリントいたしておりますが、はげ山復旧経費は三十年度におきまして五千三百万円でございます。それから地すべり防止が二千七百万円でございます。二千七百万円というのが上へいってしまっておるわけで、実は地すべり防止の方の額がはげ山復旧の方にミスプリントになっております。
  20. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ですからはげ山復旧が何ぼですって……。
  21. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 五千万円でございます。抜かしただけでございますから、総額は間違いございません。
  22. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは次は水産庁関係林漁港課長
  23. 林真治

    説明員林真治君) 漁港関係予算につきまして補足的に御説明を申し上げたいと思います。  まず一般経費といたしまして、(「どの資料だ」と呼ぶ者あり)資料公共事業前年対比表の二枚目でございます。水産とカッコして書いてございます。それからになるわけであります。一般経費につきましては、内地北海道を加えまして前年度におきまして十八億三千九百六十五万一千円、これが三十年度におきまして十八億三千九百万円、そういうことに相なっておるわけであります。六十五万一千円の減ということに相なっております。これは一口に申しまして全部漁港修築費関係漁港施設費となっておりますが、いわゆる漁港修築経費一本でございまして、ここにございますように補助直轄、こういうふうに分れておるのであります。内容漁港修築費一本でございます。補助の方におきましては十五億八百四十六万円、それが約七百四十六万円の減となっておりまして、十五億百万円、それから直轄の方におきましては、これは私の方の所管でやっておりまする直轄は、北海道におきまする分だけでありますが、三億三千百十九万一千円、これが三億三千八百万円で、六百八十万九千円の増ということに計画されております。  それから次の災害関係でございますが、災害関係考え方計算方法等につきましては、今までのお話のありました点と異るところはないのでありますが、数字といたしましては、前年度に全体としまして十六億八百四十八万一千円、これが本年度計画といたしましては十三億四千七百七十四万九千円、差し引きいたしまして二億六千万円ばかりの減となっておるのでありますが、この前年度経費といたしましては、そこに2という番号で載っておりまする二十九年発生災害が三億六千九百万円余りというものが計上されておるわけであります。これを除きまして、除くということは語弊がありますが、いわゆる過年度災害といたしましてはあまり減少を見ていないわけでありますが、二十九年度といたしましては、当年発生がこの予算額計上されておりまする関係上、ただいまのところは一億六千万円の減ということに相なっておるわけであります。次の災害関連事業といたしましては前年度におきまして八千三百九十九万六千、これが二千百三十七万一千円、差し引き六千二百六十万円の減となっておりまするが、これは漁港関係におきましては従前からやっておりましたいわゆる地盤変動対策補助、これが災害関連事業のうちに入っておったのでありますが、これは前計画いたしましたものは一応二十九年度をもちまして計画が完了いたしまして、三十年度以降におきましては、一般経費の第一項目にありまする漁港施設補助のうちに六千二百万円ばかりの漁港防災補助、これは多少拡張いたしまして、局部改良的なものを含めたいということで考えられておるわけでありまするが、それが修築費漁港施設補助に入り込んできておるわけであります。今後はこの方面におきまして防災事業的な面をやって参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。  内容といたしましては水産関係は簡単でございますが、一応御説明申し上げます。
  24. 館哲二

    委員長館哲二君) 食管特別会計の方は次に回しまして、今までのところについて御審査を願ったらどうかと思います。
  25. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 まず会計課長にお伺いいたしますが、高度の重点主義仕事をするから農林関係予算は削った、また減額しても仕事ができるというように説明によれば聞えるのでございますが、俗に農業では、高いところにもっこで持っていって客土していると、つまりもっこ持ちしたときが一番仕事が低下してしまって何もできないという結果に陥るのでございますが、ことに戦後において非常に耕土がやせた今日において、まず土地改良というようなことから申しましても、また全般の農業政策から申しましても、災害などは一年災害が免れたからすぐ翌年は大丈夫だという、日本の気候及び土地柄から申して、さようなことは今までもあまり前例を聞かない。これを一口に言ったら、今回の予算は、農林予算としては、実に農家を安心させ、自給度を高めるというようなことから申しますならば、全くその反した方針であって、おそらく全農民は、この予算を聞き、この実情を知ったならば、しかも暫定予算の二カ月あるいは三カ月というズレにおいて、土地改良を初め、あらゆる事業治山治水事業すべてが遅れがちになっておる。今年は増産どころか、百二万石の増産ができると申しましたが、それは机の上でできるが、一体農業を知っているのかどうか。気候によって大半は支配され、それから肥料その他によって労力の調節をはかって初めて農業の増収ができるのに、逆なことをして、ただ計算だけで百二万石の増産ができるのかということは、とうてい納得のできないことであります。これに対してもっと会計課長や各局長が正直に言うのならば私は聞きたいい。大蔵省の主計局の次長がお見えでございますが、一体大蔵当局は、日本の農業、そうして日本の国民生活、しかも食生活安定に対して本当に考えておるかどうか。日本の農業は相当経費をつぎ込んで初めて循環するのであります。肥料など幾ら速効肥料でも、きょうくれて、あす、すぐきくなんということは到底不可能だ。一年二年の投資、あるいは土地改良によって、二年目、三年目から初めて増収できるのが今日の農家のあり方である。そうした農業に、それをこうしたために削ってしまって、そうして増産できる、こんなことは夢のような話だ。そうした空理空想を描いて、日本の今日の農業政策が達成できるかどうか。本当なら大臣に聞くのですが、実際事務当局が怠るということがありといたしましたならば、やはり影響するところが大きいから、私はこの点をまず聞いておきます。まず大蔵当局と、それから農林の予算を預かる会計課長が責任ある答弁をこの際いたしておいてもらいたい。その答弁によって私は両大臣に十分聞き、総理にも聞こうと思う。責任ある答弁を望む。
  26. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 三十年度食糧増産計画についてでございますが、当初に申し上げましたように、本年度におきましては、できるだけ継続地区におきまして重点的に効率的に予算をつけまして、それによってできるだけ早く工事を完成させまして、増産効果をできるだけ早い機会に発揮をさせて参りたい。こういう意図のもとに考えた次第でございます。もちろん経費は、今のもので全く満足すべきものであるかどうかということになれば、これはいろいろ見方によりまして問題もございましょうと思いますが、本年度予算事項といたしましては、できるだけ私どもとしては確保をいたしたつもりでございます。
  27. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 食糧増産が重要であることはわれわれも、もちろん考えておるところでございまして、本年度におきましても住宅道路等につきまして、御存じの通り、かなり大きな重点を置いて予算増額するというかたわら、食糧増産におきましても、若干予算額は減りますけれども、御存じの通り物価の値下り、あるいは資材の節用等を考えて、増産効果というものは前年にあえて劣らんという線は確保できるのではないかという考えで、もちろん多々ますます弁ずでありますが、諸般のそういう重点事項等々も考えて、その程度でやって参りたい。なお、この予算執行につきましていろいろ問題があって、それをただいま農林省会計課長が言われましたように、最も効率の高い形で執行して参りたいという点につきましても、これは額の点に劣らず、われわれ非常に力を注いで実施に当られます農林省に強くお願いしておるというような次第であります。
  28. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 どうもこれは、あなた、答弁ができなかったら、かぶとを脱げば、われわれも考えがあるが、先ほども午前中に農林委員会で、やはり同じような高度の重点主事、一体農業に高度の重点主義ということがどこにあります。ほんとうから言ったら、土地改良なんかでも、五町歩以下の零細地ということは、はなはだ言葉が過ぎるが、府県から郡単位くらいまで広くやるところに増産が上るので、高度の重点だけやって、そうして増産ができるというその考えが間違っておる。商店ならば売れるところに品物をたくさん持っていって売れるということもあるだろうが、農業はそうではございません。広く全面的に食糧を増産するのであって、高度の重点というのは一体どこです。どこの土地を高度の重点といいます。そんなごまかしの言葉が一体どこにあります。やりかけた仕事だけは完成させるのだ。そして新たなる仕事に対しては十分なる計画を立てて、そうしてそのときには相当な予算を割愛して、そこに投資して、事業の達成をするのだ。これなら話がわかりますけれども、高度の重点主義と、子供だましのような、そんなようなことで、一体農業政策ができると思いますか。  それから今大蔵当局でも、衣食、足りて礼節を知るというが、それは住宅はもちろん作らなければならないけれども、食べるものが不足したとき人間は一体どうなりますか。あらゆる国民生活の安定は、食生活の安定が達成されてこそ国民生活が安定する。その食糧をややともすれば外国から安い食糧が入るというような考えを持ったら、これは大間違い。そういうことで一体政治がとれると思いますか。何といっても政治は国民生活の安定だというならば、国民に、最も栄養があり、新鮮な食糧を提供してこそ、初めて食生活の安定を通じて国民生活が安定する。それをお考えにならないということはまことに困ったものだ、大蔵省でももう少し考え直して、農林当局はもっと腰を強くして、本当に国民の日常生活を思ったら強力に主張して、なぜあなたは予算をもう少しとって、もう少し大蔵当局から予算を割愛して、そうして全面的に充実して、前年度と同じような方針をとらないのか。高度の重点だけで農林政策が達成できますか。できるならできると言って下さい。とうていできませんぞ。できないならできないと言ってごらんなさい。できるならできると言ってごらんなさい。できたら私は全くお目にかかりたいと思います。そういうごまかした話はおやめなさい。
  29. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 先ほど私が申し上げましたのは、現在やっております国営事業なりあるいは大規模の県営事業等につきまして、新規事業に着手するということはできるだけ見合わせまして、すでに実施をいたしております各種の土地改良事業その他について、そういう所をできるだけ早く完成をいたしまして、そうしてそれに基きます増産効果が発揮できますように、そういう所に重点的に経費をつけるという考え方でいたしたということを申し上げたわけでございます。(「ついてないじゃないか」 「ごまかしだ」と呼ぶ者あり)  それからなお小規模事業につきましては、新たに(「うそ八百並べるな」と呼ぶ者あり)従来よりも、従来やっておりました以外の小規模の各種の総合的な事業というものを、ごくわずかでありますが、実施いたしますことにいたしております。これはなお公共事業費でなく一般会計の中で計画をいたしております。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 食糧増産計画と経済自立計画ですね、六カ年計画との関係、これを聞きたい。それと、どうせ自立計画は食糧輸入を減らして外貨を節約するということになっておるのですから、それと外貨の節約との関係、その点をまず聞きたい。
  31. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 経済六カ年計画案の初年度と今度の予算案との関連を申し上げます。  六カ年計画のうちで土地改良開拓干拓、この三つ事業で期待する増産量というものの一応の策定案は百三十一万九千石、それだけの増加生産量を上げる案になっております。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは三十年度ですね。
  33. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) そうでございます。今度の予算は、さきほど申し上げましたように、予算によるものの増加生産期待量が七十七万一千石、こうなっています。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで今の三十年度の御説明では、農林漁業資金土地改良ですか、この分を含めて約百二万石になっておりますね。そうすると総合六カ年計画のほうでは、百三十一万九千石というのは、これを入れないほうですね。そうすると七十七万石に見合う数字ですね。
  35. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) さようでございます。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこでもう非常に違いが出ているでしょう。それからもう一つ、この六カ年計画数字、三十五年の期待はどのくらいになっておりますか。それから大体その資金計画というものを示してもらいたいのです。
  37. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 今手許に持っております資料だけで、今のお話では十分でございませんが、ある数字だけで一応答えさしていただきます。お確かめの点は、それぞれ予算に見合う数字でございます。百三十一万九千は国の一般会計支出に見合うという、あの六カ年計画の初年度分ですね。それから農林漁業で別途に六カ年計画で期待いたしておりますものが三十万石と、こういう計画を持っておりますので、六カ年計画の初年度の全体としては百六十一万九千石と、こういう案でございます。三十年度予算案によりますものは、先ほど申しましたように七十七万一千石、それに農林漁業特別金融公庫融資分に期待する分を合せまして約百二万石。それから六カ年計画の全体の案でございますが、全体ではっきりした、今数字の確からしさに多少の疑問を持っておりますが、九百六十三万石という記憶をいたしております。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十五年度ですか。
  39. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 三十五年度までです。三十年度から三十五年度の六カ年の総計ですね。つまり三十六年度からはそれだけ出る。三十年度、三十一年度、各年度年度の、六カ年分の計画の累積が九百六十三万石、これは資金の分と予算案の分とを両方合せて六カ年計画としてはそういう数字を持っているということでございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だいぶわれわれがこれまで聞いていたのと違って来ておるのですがね。最初千二百万石ぐらいとされていたのじゃないですか。ですからその関係はもう少し詳しく経過を伺いたい。
  41. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) そのほかに耕種改善で約四百万、合せまして千三百幾らになっております。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その四百万石というのは何ですか。
  43. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 耕種改善ですね。耕種改善によって約四百万石、耕種改善というのは病虫害の駆除とかいろいろな耕種の改善ですね。農林省で言いますと、農業改良局系統でやっております仕事による増加生産量の期待です。それが約四百万石、三百九十九万石でしたか、その程度数字と記憶しております。記憶に間違いがありましたら後刻訂正させていただきたいと思います。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それを資料として出して下さいませんか。
  45. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) わかりました。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから資金計画についてできるだけ詳細に出して下さい。これは自立計画の非常に重要な根拠ですからね。それでどの程度の外貨節約をこれに見込んでいるのか。そうしなければ自立計画というものはいつも空論になってしまいますから、これだけの資金計画、それでこれだけの増産期待、それで三十五年にはどのくらいの食糧輸入節約によって外貨節約ができるか、これがはっきりして来なければ、自立計画、自立計画と幾ら言っても空論になりますから、それとの関係が重要なんですから、特に食糧増産についてはもう少しきちんとした数字資料として出してもらいたいんです。
  47. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 数字で出させていただきます。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つだけ伺っておきたいのは、今の過剰小麦の輸入の問題ですね。あれはどういう段階になっておるのですか。これはアメリカの会計年度ですと、六月一ぱいに協定をしなければならないでしょう。これは大蔵省の方に聞いたらわかるのか、農林省の方か、外務省の方かわかりませんが、今の折衝の段階ですね、どうなっておるのか。これは時期的に相当切迫しておるのじゃないかと思うんです。今の濃縮ウラニュームみたいに六月一ぱいでなければもらえないということになると、これは協定を結ばなくちゃならぬとなれば、今のような折衝過程で一体間に合うのかどうか。その点どういう今の段階になっておるか。これをわかる人がありましたらお伺いしておきたいと思います。
  49. 清井正

    政府委員(清井正君) ちょっとお答えします。私も確かなことをお答えできませんので、あるいは違っておりましたら訂正させていただきますけれども、御心配の通り会計年度が六月で終るわけでございますから、協定といたしましては、まあ早くいたしたほどわれわれの特別会計の小麦の受け入れの実務としては結構であるわけであります。そこで一方の根本的な協定の問題につきましては、いろいろ御相談願っておりますけれども、仮に私どもといたしまして、協定ができましても、今年度の分につきましては、アメリカの会計年度が終りましても、本年度の分を、例えば契約は八月末までにやることにするとか、積み込みは九月末まででいい、こういうような形で、アメリカの会計年度を越しても契約をし、あるいは積み込みをするというような形の相談をいたさなければならぬ、こういうふうにしても間に合わないというような、そういうことでありまして、ただいま折衝いたしております一つの問題といたしまして、実務上の契約、実務上の積み込みは、アメリカの会計年度を越しましてもなし得る、こういうような形にいたしていかなければならない、こう思っております。そういうような形で、ただいま事務的にいろいろ話を進めている、こういうような次第でございます。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 事務的なことはそれでいいでしょうが、今国会が開かれているのですよ。ですから事前にその条件なり、その他国会であらかじめ承認をするのがほんとうだろうと思うのです。それを、間に合わない場合には、そういう手続だけ進めておいて、事後に国会にはそういう了解を求めるということになるのですか。
  51. 清井正

    政府委員(清井正君) お答えいたしますが、さような意味で申し上げたのじゃないのであります。協定の内容としてそういう協定をいたすということでありまして、協定とは別に、実務としてどんどん進めるというわけではないのでありまして、相談の内容といたしまして、相談の中の一項目といたしまして、たとい年度を越しても、そういうようなことができるというような、全体の相談の中で……。こういうようなことでただいま折衝をいたしております。協定の御審議のほかに、実務を先に進行するという意味で申し上げたのではないのであります。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が聞いておるのは、六月一ぱいで間に合うとか間に合わないとか、国会が開かれている間にそれははっきり……わからなければわからないでいいのです。あやふやな答弁でなくて、あとでこれは、外務省ですか、大蔵省はわかりませんか。もしもわからなければ、はっきりと今どういうような折衝の段階にあるのか、これははっきりしませんと、国会開会中にその条件なり数量なり、そういうものをはっきりと了解を求めなければならぬことだと思うのです。ですからどういう段階になっているか、一つはっきりとしておいてもらいたいと思います。  それからもう一つは、この過剰小麦、過剰小麦は普通の輸入食糧以外の別ワクになっているわけですね。別ワクになっておりますから、その入ってくる小麦は、これは需給関係からどういうようになるのか、どうも食糧増産対策、さっき池田さんが非常に怒られておりますが、何か、普通の需給のワク外に、余剰小麦が入って来るので、国内の食糧増産対策の方は、ここでスロー・ダウンさせるのじゃないか、そういうようなふうにもわれわれとれるのです。それがこの予算に、こういうふうに現われてきているのじゃないかとわれわれは思うのですが、その点はどうなんですか。
  53. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの余剰小麦の問題でございますが、これは私のほうの計算でいたしますれば、全体の需給計画上、不足な数量が出て参るわけでございます。麦にいたしましても、米にしましても、需要が算定されまして、需要に対する国内の供給量が算定されます。それから、御承知の通り持ち越し、あるいは総需要量と総供給量を勘案いたしまして、足らない分を国外に仰ぐと、こういうことでもって、国外よりの供給量を計算をいたしておるわけであります。従って、そういうような観点から、二十九あるいは三十年度におきましても、米麦ともに、そういうような建前から計算いたしているわけですが、アメリカの余剰小麦の問題につきましても、全体の需給計画のワクといたしまして計算いたしているわけであります。一定の需給計画を立てまして、それにプラス余剰小麦という数字計算になっているのではないのでありまして、全体の需給計画のうちの一部分というような計算をいたしておりますから、私ども特別会計編成の建前の需給推算といたしましては、総ワクの、足りない供給量のうちの一部と、こういう計算になっているわけでございますので、決してその月の計算以外にプラスされるというふうになっていない、こういうことであります。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体予定量というのはあるのでしょう。アメリカとの間に小麦を買い付ける輸入予定量というのがあるはずです。それと別ワクというのですが、別ワクという意味はどういうことなんですか。別ワクということになっているのでしょう。輸入予定量の別ワクなんですから、そこのところは政府当局としてはそういう答弁をするより仕方がない。そういう答弁をしなければおかしいのですけれども、答弁はそうであるけれども、実際はアメリカから輸入を予定する食糧の別ワクということになっているのじゃないか。解釈の仕方はそうじゃないですか。そうでしょう。どうしてもわれわれしろうとから見れば輸入予定量の別ワクということですから、そのワクからはみ出す分は供給過剰になるおそれがありますから、国内の食糧増産のほうは手加減する、そういうことにならないですか、理屈からいえば。そうすると、なるほど需給関係はワク内になるでしょう。そのかわり国内の増産のほうは手加減するということに理屈はなるでしょう。
  55. 清井正

    政府委員(清井正君) お話通り確かに計算いたします場合には、従来のアメリカから輸入しておりました通常輸入量というものを算定いたしたわけであります。その上にプラス余剰小麦、こういう考えになるわけであります。しかし、これは申すまでもなく、ただアメリカ関係でそうなるのであります。御承知の通り米、麦は特にアメリカ以外のカナダ、オーストラリア、アルゼンチン等から入れております総輸入量といたしましては、わが国の食糧需給上の不足分の内ワクになっておりますし、従来の通常輸入量との関連からいたしますれば、あるいはそういうことが起ってくるかも知れませんが、私どもは御承知の通りアメリカ以外にオーストラリア、カナダ、アルゼンチンから輸入いたしておりますから、総ワクにおいてまかなっておりますから、総ワクにおいてはそういうことはないと思います。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと重大な問題になってくると思いますが、前に私はジャパン・ニュースという新聞を見ますと、これはイギリス系の新聞ですが、前の過剰小麦の問題のときに一つの問題になったのですが、アメリカから小麦協定で小麦を輸入したときに、よその国のこれまでの通常輸入を阻害しないということが建前になっていると思うのですが、そうなると、アメリカからよけいにすると、カナダ、アルゼンチンその他のほうの輸入を減らすということになると、貿易上その他いろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うのですよ。そういう点は相当やはり今後の重大な問題になるのじゃないですか。それは事務当局としてはどういうふうにそういうことを調整するつもりですか。
  57. 清井正

    政府委員(清井正君) お話の点でありますが、確かにアメリカ関係だけから申しますというと、ざっくばらんに申しますと、通常輸入量の計算をいたす場合の数字といたしましては、アメリカからの従来の実績を考えまして、そうしてその通常輸入量プラス・アルファーを入れる、こういうことになるのであります。通常輸入量というものはどのくらいになるかという計算もあります。そういうふうなことで事務的に計算いたして参りまして、通常輸入量プラス・アルファーということで、建前としては通常輸入量ということになるわけでありまして、総体の輸入量といたしましては、御承知の通りワクの一部と、こういうことになるわけであります。果して、そういうようなアメリカの従来の実績と、均衡と申しますか、そういうのがどうなるかということが問題だろうと思います。そういう問題につきましては、ちょっと私数字を持っておりませんのではっきりお答え申し上げかねますけれども、建前はそういうふうになりますけれども、われわれといたしましては、アメリカ関係だけではプラス余剰である、しかし全体の供給量のワク内ですから、わが国の総需給のワク内でまかなえる、こういうことであります。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点資料として出してくれませんか。アメリカの過剰小麦輸入によって全体の輸入に変化がくるわけですから、カナダ、あるいはアルゼンチンその他の方の輸入はどう変化するか。それから通常輸入量、そういうものの数字ですね、そういうことを資料一つ出していただきたい。
  59. 清井正

    政府委員(清井正君) 後ほど資料を提出いたします。ただお断わり申し上げておきますが、輸入数量というものは年々違っております。国別も、総量も違っております。いろいろその条件が込み合って一つの形態をなしておることは御承知の通りでありますから、単に数量の比較だけでは多い少いということはわからないわけであります。その点をお含みおきを願いたいと思います。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう点も一つ……。
  61. 木村守江

    木村守江君 ちょっと水産関係予算の組み方の基本的な問題についてお尋ね申し上げます。農林省関係予算が全般的に削減されたというところから水産関係予算減少されたというような工合に思われるのですが、水産関係予算の組み方の基本的な考え方として、農林省予算が減ったので、つい水産関係にもしわ寄せがきて、そうして漁港等の予算が減ったというように考えていいのですか。
  62. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 農林省関係予算が全体の規模として減りましたから、従って水産も同じような割合で減らす、あるいは漁港関係を同じように減らす、こういうような考え方はいたしておりません。
  63. 木村守江

    木村守江君 そこでそういう考え方であるならば、お聞きしたいのですが、御承知のように日本の最近の水産業というものは、戦争中あるいは終戦直後の水産業の状態とは、漁業経営実態が非常に違ってきたと思うのです。これは認めておりますか。
  64. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 漁業の経営形態が従来から、漸次漁船にいたしましても何にいたしましても大型化されて参りまして、沿岸から沖合へ、あるいは沖合からさらに遠洋の方へ進んでいくというような形になっておると承知いたしております。
  65. 木村守江

    木村守江君 ただいまの御説明のように、日本の漁業の経営形態というものが漸次沿岸漁業から遠洋漁業に転換してきた、それから日本のいわゆる漁区というものがだんだんに拡張されてくるような状態になったというようなところから、漁船そのものも非常に大型化してきたことは御承知の通りであります。従って今までの漁港というものが大体において五十トン以下の船を収容するのに適当な、そういうような漁港であったのが、今や百トン前後の船に急速に、これは漸次でなくて、急速に転換しつつあります、そういうような状態にあって、果してあなたの言うように、農林省関係予算が減ったから水産関係予算がしわ寄せを食ったのではない、ほんとうの水産業というものを勘案してこの予算を組んだというふうなことを言っておられますが、そういうことをあなたほんとうに確信を持って言われますか。  又林君にお伺いいたしますが、あなたは水産庁漁港関係の責任者といたしまして、ただいまの会計課長の答弁というものを満足いたすことができますか。果してこういうような状態で日本の水産業というものを発展させ、経営せしめていくことができるかどうかということを御質問申上げますから、御答弁願います。
  66. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 漁港関係経費につきまして、これはどの程度が最も満足すべきであるかということになれば、さらに大きな額が満足すべき額であるということが言えるのかもしれないと思いますが、一応本年度の規模といたしましては、漁港修築関係ではおおむね前年度同額というところの経費計上いたしておるわけでございます。
  67. 林真治

    説明員林真治君) 最近の水産関係におきますることに漁船の大型化の問題につきましては、われわれも注視をしておるのであります。もちろん漁港の問題が漁船の収容のためにきわめて重大な問題であるということは申し上げるまでもないのであります。従いましてこの予算をもちまして、現実におきましては大型化の非常に急速に進んでおりまするものから、事業の実施につきましてはいろいろ勘案いたしまして、なるべく早い機会に、たとえば少数の港になりましても完成いたしまして使えるようにして参りたいということで、事業の実施に当りたいと考えておる次第であります。
  68. 木村守江

    木村守江君 ただいまの御両人の御答弁、ちょっと満足できないのですが、今会計課長が、どの程度が一体満足か、満足のような予算を組むのには相当膨大な予算を組まなければならないというような話をしております。私はこの国家財政の緊迫した状態下において決して満足した予算とかそういうことを要求するものではありません。しかしあなたが先ほど言ったように、決して水産関係予算というものは、農林省関係予算が縮減されたから、そのしわ寄せによって縮減したのではないという話をしております。そういう点から考えまして、満足とか満足でないとかいう問題ではないのだ。これは今までの漁港というものは、いわゆる五十トン以下の船がようやっと入るような港であって、百トン内外の船は入れないので、漁業経営がどうにもできないというような状態である。そういう実態を知っておるか、知っていないか、そういうことを知っておったならば、なぜそれをあなたが言われるように、農林省関係予算が縮減されたから水産関係予算が縮減したのではないというようなことであるならば、なぜそのような予算を先に取り上げて予算を組まないのか。あなたはこれまでは水産関係予算は決して農林省の予算のしわ寄せではないと言っておりますが、あなたの言っておることとは全く違っておりまして、全くこれは農林省の予算のしわ寄せであると言わなければならないと思いますが、こういう一律的な予算の組み方であるならば、何も水産庁漁港課というような専門の課を必要としないと思います。これはほんとうに大蔵省的な、会計課長的な、ほんとうに圧力によって実際必要な、だれが見てもやらなければならない問題をこういう状態に放置しておくんだということであろうと思いますが、あなたの前言を取り消して、これは、日本の国家財政上今年はやむを得ないのだ、近き将来において考えるのだというような話、林課長のようなお話であったならば納得できるが、あなたのような御答弁では納得できないが、どうですか。
  69. 武田誠三

    政府委員武田誠三君) 私が先ほど申し上げましたのは、たとえば農林省関係予算で申しますと、二十九年度の補正後の総額におきましては九百六十六億でございます。本年の農林省の予算総額は八百四十九億でございます。その間に百数十億の減額がございますが、そういった比率なり何なりで一律に圧縮すると、こういうようなことでやったということではないということを申し上げたわけでございます。もちろん漁港につきまして、本年度予算の全体の一兆円のワクなり何なり、そういうところから参りました何と言いますか、制約のもとにおいて、できるだけの努力はいたしたつもりでございます。なお、今後漁港につきまして、お話のように、できるだけのさらに拡充を期待していくということは、もちろん私としても十分考えておるわけでございます。
  70. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今木村委員の御質疑があって、努力はしたと言われるが、われわれから言えば、お気の毒だけれども、減らすために努力している結果になってしまったので、百億も減らされて、努力といっても、努力というものは、増したのなら努力のあとはあるのだが、減らされて努力したと言うと、全くあげ足をとるのじゃないが、そういう結果になるので、私は林野庁長官にお聞きするのだが、これは悪い意味じゃないが、一つよく御判断願いたいが、五十年の大計は山に木を植えるにあるというのは、これは日本ばかりでない、全世界を通じての治山に対する非常なよい言葉だろうと、こう思います。しかるに、林野関係予算は全部削られておる。災害は今年はないと言っておるけれども、日本の気候から申しますならば、一年がよければその翌年は来る、翌年よければその翌年、天がそう災いを続けてすることはないというのが今日までの慣例でありますが、災害がないから、削っておいたら、災害が来たときにどうしますか、これを一つお聞きしたい。  それから治山治水などというものは、申し上げるまでもなく、くろうとに言うのだが、九つでき上っても、一度災害が来てしまえば全滅してしまう、完成すべきものは完成しなければならない、これが一点。  それから奥地林道を開発するというようなことがございましたが、まず林道は奥地に行くまでの林道をよほど開発しなければならぬ。この奥地の林道はもちろんしなければならないのでございますが、この点を今どういうふうに考えておるか。  それから先ほど会計課長からも大蔵省からも低物価と言われたが、地方においてはまだそれほど労働者に対する人夫賃も下っておりません。下っておるどころじゃない、やはり給料を値上げしろ、人夫賃を値上げしろと言っておるが、あなた方の見たのは、物価が下り、労働賃金も下って、事業がこれだけの減額経費で達成できるというのは、私の知っている範囲ではできがたい。この三点についてお尋ねしたい。  なお、専門の長官だから、山に植林をして、一年生と二年生ではどれだけの食い違いが出るか。時期の適切なときに植林しておけば、相当この植林は効果があるのでございますが、今年のような暫定予算で、今年の植林は今もうできてしまったけれども、ほとんど望み薄でもあるし、苗圃の育成に対しては、これまた今のような予算では案じられておる、これらを完璧にできるかできないか、できなかったら、遺憾ながら今年は予算がないから実に苦しいと、苦しいが業者と相談してどの程度やっていくかというほんとうの話をしてもらいたいということ。これをお尋ねします。
  71. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) お答え申し上げます。  第一点といたしまして、災害がないからというお話でございますが、ないとは申し上げたわけではございませんので、二十九年度災害が比較的私どもの方の関係としては、先ほど北海道お話もございましたが、これは特殊の問題で対策を考えておりますが、全国的に二十八年度に比較いたしまして、二十九年度災害が比較的少かったために、災害復旧費が二十九年度に比較いたしまして減少いたしていると、かように申し上げた次第でありますが、決して災害をおろそかに考えているということではないことだけは御了承願いたいわけでございます。  なお林道に関して、奥地林道を主体的に考えると申し上げましたのは、従来とも林道の総合的な計画がまだなかなか実現いたさないために、手前の方の林道のありまする便利なところに伐採が集中すると、こういうことで、山の取扱いといたしましては、最も全体の山林を計画的に取扱うということが、国土保全のためにも絶対必要なことなのでございまするが、なかなかそう参らない、やはり奥地の方に計画的に幹線を入れまして、それに年次的に伐採、植栽の計画を伴わせて実施するということが先であるという考えにおきまして、奥地林道を特に本年度のごとく非常に財政規模の圧縮された窮屈な時代におきまして、奥地林道をまず急がしていただくと、こういうことに相なったことを御了承願いたいわけでございます。  それから治山その他すべての仕事に非常に経費が圧縮されている、総額におきましては御指摘の通りでありまして、どうも最小の国土の保全と災害の防除を確保するためにも大へん苦慮いたしておりますが、何とかこの窮屈な財政規模の時代に最小限度確保いたして参りたいという考え方で、実はこの予算を了承した次第でございますが、そこで治山事業のごとき特に崩壊復旧、はげ山防除等は莫大な経費を要するわけでございますが、反面におきまして、まだ重要な水源地帯に、はげ山と申しますか、未林牧地が相当残っております。これは造林工事を急ぎますことによりまして、非常に早く効果が期待できる、しかも一年おくらかすことによりまして、おそらくその木の一代はまあ三十年ないし五十年は回復できないということになりますので、かような窮屈な際にはまず水源林の手おくれを早く取り戻したいということで、従来水源林造成は、年間二十九年度のごときは一万二千町歩程度しか実行できておりませんでしたが、窮屈な予算ながら本年度におきましては約二万七千町歩計画いたしまして、倍以上進めるということにいたしている次第でございます。  なお国有林野の事業といたしましても、官行造林の制度をさらに拡張いたしまして、重要水源地域のまず造林を確保するというふうな方法を講じておる次第でございます。  ただいま御質問のございました一年の造林の効果というと、なかなかこれはむずかしい、一年おくれたらどうなるか、二年おくれたらどうなるかということはむずかしい問題ではございますが、一年生の作物とは大分違いまして、一年手おくれをいたしますればそれの一代は手おくれいたして参るというだけに、私どもといたしましては植林のことは最も忙しい仕事であるというふうに考えている次第でございます。
  72. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 労働人夫やそれから苗木の関係の値段はどうですか。やはり低物価になっているというが、どうなっていますか。
  73. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 苗木の値段は最近計画的に種から苗まで計画いたしまして、それを県の方に委託して生産をいたしておりまするので、大体造林計画にマッチして、それほど過不足のないように進めておりまするので、大きな変動はないわけでございます。
  74. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 値段はどうです、値段は上っておるでしょう、去年よりは……。
  75. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) ただ樹種によりまして多少の変化はありますが、特に上っているということはないと思います。
  76. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 下ってもいませんぞ。
  77. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) ただ昨年のごとく非常に無計画増産されたところが始末に困って投げ売りされたという例がございますので、まあそういうことは極力防止いたしておりますが、特に苗木が本年度低物価政策に反して上ったということはないと思います。
  78. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 上ってはいないが、下ってもいない。人夫賃はどうです、人夫賃は……。去年より下っておりませんよ、地方へ行ってごらんなさい。下っている箇所があったら教えて下さい。どこがどれだけ下っているか。
  79. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) なかなか賃金はまだ下るところまではいっておりませんが。
  80. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それでいいです。下っていなければ、もうあとは無理な答弁をしなくてもいいから、低物価なんと言わんほうがいいのだ。下ってもいないのに低物価などと……。
  81. 田中啓一

    田中啓一君 まことにざっくばらんな質問ですが、今の造林関係ですが、一体造林の実行というものは、今年でも造林の補助金というものは多額にあるわけですが、その金は今年の春の造林からその補助金を得て造林をやるものなんですか。大体秋には問に合うでしょうが、当年度予算でも、春の造林はそれは一年送りで、来年度三月から五月にかけて植えるものだという実態のものなんですか、どうですか。
  82. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) さようなことではなく、春の実行に対しましては、実行を見届けて補助金を出す、こういうことになっておりますが、年度内に実行いたしたものについては補助金は渡っております。
  83. 田中啓一

    田中啓一君 食糧庁長官のほうに、三十年度の外麦の買入量のうちに、こちらから言えば必要量でしょうが、アメリカから言えば余剰農産物だという数字を含んでいるのだと私は思っているのですが、そうですか。
  84. 清井正

    政府委員(清井正君) 先ほどお答え申し上げたことと一部は重複しますが、食糧管理特別会計において買い入れを予定いたしております米あるいは麦につきましては、余剰農産物もその中の需要量の一部として含めて計算をいたしておるのでありまして、結局特別会計の外国から買い入れるものの中には、その数字は入っておるという計算をいたしております。
  85. 田中啓一

    田中啓一君 それではその数字の見当がついていると思いますが、教えていただけませんか。
  86. 永井純一郎

    永井純一郎君 ちょっとその間に簡単な数字を聞いておきたいのですが、農林省関係災害復旧の仕越事業ですね、これがどのくらいの金額であるか。今資料がなければ、あとで資料として提出をしていただきたい。それからの仕越金は相当あると思うのです。建設省関係でも相当ありますが、これは三十年度予算でその仕越金は解消されて行くのか、この二点をお答えをいただきたい。
  87. 桜井志郎

    説明員桜井志郎君) 農地の関係のものにつきましてお答えを申し上げますが、ただいま仕越の分量についての数字を持っておりませんので、書面で提出を申し上げます。ただ推定を申し上げて恐縮でありますが、三十年度予算案で仕越分が解消するかどうかという点でございますけれども、推定で申し上げますと、それは解消すると推定はいたします。がしかし、同時にやはり仕越がどんどん続きますので、今日の仕越し以後は仕越はやらないということでありますなら、これは解消する程度と存じますが、三十年度予算につれて一方にまだどんどん仕越を始めるということでありますので、予算執行した終りにおいては、やはり相当額の仕越は出ると想定いたしております。
  88. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは次に移りまして、食糧管理特別会計の説明一つ聞きたいと思います。それでは食糧庁長官
  89. 清井正

    政府委員(清井正君) それでは昭和三十年度の食糧管理特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。  本予算編成いたしました基本的な方針について申し上げますと、先ず米についてでございますが、米につきましては、さしあたり昭和三十年産米につきましては、集荷制度を従来の供出割当制度から事前売渡申込制度に切替えるということにいたしまして、配給は現行配給量の確保に努めるということにいたしているのであります。麦の管理制度につきましては、従来の通りの管理を継続いたすということで予算編成いたしたのであります。  米及び麦の価格につきましては、政府の買入価格は、米は昭和二十九年産米の価格を米価審議会に御諮問の上決定いたしました当時におきますところの生産者の想定手取価格により編成いたしてあります。麦は二十九年産の麦の価格をそれぞれそのまま計上いたしているのであります。消費者価格につきましては、米麦も現行の消費者価格を維持するということで編成をいたしたようなわけであります。  農産物価格安定法によります澱粉、カンショなま切りぼし、菜種及びてん菜生産振興臨時措置法によるところのテンサイ糖の買い入れ、それから飼料の輸入等につきましては、それぞれ従来からの管理制度をそのまま継続するということで予算編成いたしてあるのであります。  以上が大まかなことでございますが、なお編成上の重要な事項について簡単に御説明いたしますと、まず米及び麦の需給計画でございますが、内地米の買い入れ数量につきましては、従来は国内生産の見込みから集荷可能数量というものを推算しまして買い入れ数量ということで計上いたしておったのでございますが、三十年産米につきましては、ただいま申し上げましたように、事前売渡申込制度ということにいたしております関係上、昭和二十九年産米の集荷予定数量と同量の二千三百五十万石を買い入れるということを基準といたしまして、集荷数量を決定いたしてあるのであります。  それから三十年産麦の買い入れ数量につきましては、昨年の二十九年産麦の作付面積に過去三カ年間の平均反収を掛けまして生産数量を推定いたしまして、昨年の農家の保有いたしておりまする割合、それから民間に出廻っております麦の割合等から、政府の買い入れ数量の比率を推算いたしまして、それによって政府の買い入れ数量を、小麦は五十万トン、大麦は二十七万トン、裸麦は五十一万トンと予定いたしてあるのであります。  輸入の米及び麦につきましては、配給の外米の品質を少しよくする。従って準内地米の輸入比率を従来よりもごくわずか増加いたしまして、結局準内地米を四十一万六千トン、普通外米を八十一万三千トン輸入することといたしまして、さらに砕米を九万三千トンばかり輸入いたし、合計百三十二万二千トンの外米を輸入するということにいたしておるのであります。外麦につきましては、需要量から国内の供給量を差し引きまして、さらに若干の政府手持ち数量を見込みまして、結局小麦は二百二十四万四千トン、大麦は六十七万三千トンを輸入するということにいたしております。米の配給数量につきましては、昭和三十米穀年度及び三十一米穀年度ともに、内地の米の配給数量は毎月生産県は十五日、消費地は約八日ということにいたしておりまして、外米の方は、昭和三十米穀年度は大体準内地米が二日、普通外米は五日程度でございますが、ごくわずか三十一米穀年度においては準内地米をふやしまして、約二、五、四、五くらいの割合にいたしたいということで数量を計算をいたしてあるのであります。  それから米麦の価格でございますが、価格につきましては、先ほども申し上げました通り、まず米につきましては、二十九年産米の米価決定におきますところの農家の想定手取価格というものを採用いたしておるのでありまして、すなわち超過供出奨励金の石当り金額千二百八十円と早場米奨励金の予定額の七十一億円を当時の集荷見込み数量で割りまして平均の手取額を計算をいたしまして、そうして九千七百三十九円ということで計算をいたしてあるのでございます。麦の価格は、先ほども申し上げた通り、前年産の麦の価格をそのまま、大麦は一億千六百二十円、裸麦は二千百七十三円、小麦は二千六十八円の二十九年産の価格をそのまま据え置いてあるのであります。輸入食糧の価格につきましては、これはいろいろ生産地の事情等によりまして変動をいたして参りますので、なかなか予測はむずかしいのでございますが、とりあえず買付済みのものにつきましては、その買付の価格により、今後買い付けるものにつきましては、最近の買い入れ実績価格を基礎といたしまして、若干産地価格、運賃等の値下り傾向を加味して計上して入れてあるのであります。  それから次は農産物、テンサイ糖あるいは飼料でございますが、大体澱粉、カンショ、なま切りぼし、菜種等は大体前年度と同様の数字計上いたしまして、買い入れ限度数量を計上いたしましたその半額を一応計上いたしております。それからテンサイ糖につきましては、テンサイ糖の生産振興計画等も別途あるのでありますが、それによる三十年度計画数量を全部買上げするということにいたしておりますし、輸入の飼料につきましては、三十年度の濃厚飼料の需給推算に基くところの要輸入数量のうち、ふすま、マニトバ五号小麦、大豆、トウモロコシにつきましては約六〇%を計上をいたしてあるのであります。買い入れ価格につきましても、それぞれこれは前年の価格を原則として踏襲をいたしておるのでございますが、輸入飼料等につきましては、特に最近の実績を見まして、あるいはテンサイ糖につきましては、テンサイの前年産の価格に加工費を加えて算定をいたしてあるのであります。  以上のようなことで編成いたしました食糧管理特別会計の歳入歳出は、総計七千二百四十五億九千七百四十九万円でございまして、昭和二十九年度に比べて若干上廻っておるのであります。また昭和三十年度におきます食糧管理特別会計の収支の状況は、損失におきましては内地米及び内麦によるものが約百八十七億、その他の損失八億を合せまして合計百九十五億の損失があるのでございますが、一方また外麦等の益金、酒米等の利益等が約百二十五億ございますので、差し引き約七十億の損失になるという予定をいたしているのであります。この七十億と、二十九年度予定されておりますところの二十九特別会計の損失約三十億を加えますというと、昭和三十年度末におきまして、本会計の損失は約百億となる見込みになっているのであります。この損失の処理につきましては、昭和二十六年にインベントリー・ファイナンスといたしまして、一般会計から約百億円を繰り入れを受けたのでありますが、これを取り崩すことによって補てんをする方針であるのであります。  以上をもちまして特別会計の予算のおもな事項を御説明申し上げたような次第でございます。
  90. 田中啓一

    田中啓一君 農産物の価格安定法の規定による買い入れ限度数量ということが出ておりますが、あすこは記憶がはっきりしないのでありますが、買い入れ限度数量というものはどういう意味のことであり、法律で何かそういうものがあるのでございましょうか、お伺いしたいと思います。長官じゃなくても、よく御存じの方で結構なんですよ。
  91. 清井正

    政府委員(清井正君) これは法律にも若干規定があるのでございまするけれども、ここで計算いたしておりますのは、出廻り数量を計算いたしているのでありまするが、大体反収と、それから作付面積を見まして、それから商品化率と申しますか、出廻り率を計算いたしまして、大体どの程度澱粉なら澱粉になるだろうか、どの程度切りぼしになるだろうかということを推定をいたしまして、その半額を買い入れるという計算をいたしている、こういうことでございまして、実際問題といたしましては、これは価格がきまりますれば買い入れることになるわけでありますが、予算上はそういう計算をいたしていると、こういうことでございます。
  92. 田中啓一

    田中啓一君 出廻り数量のおよそ半量を予定されたということはよくわかります。どうも私は価格安定法に買い入れ限度を定めたようには思うておらぬのです。それを若干あるというお話でありまするが、どんなふうに書きましたでしょうかね。それからあわせて麦の買い入れ価格ですが、内地麦は、この予算編成の要領、方針でありますとか、前提というところには、去年と同じ価格だと、一口に麦のことは書いてありますが、この予算を見ますると、少し数字が違うのですね。たとえば大麦なら、去年は千七百十円で買ったのが、今年は千六百九十円とか、裸麦なら二千二百六十六円が、二千二百五十一円とか、少し違うのですが、このごろは百姓もなかなかこまこうございまして、何かはっきり理由がないと、同じにはならんと思うのですが。
  93. 清井正

    政府委員(清井正君) 前段の御質問でございますが、これはあの農産物価格安定法に買い入れの規定がございますが、「毎年農林大臣の定める数量の範囲内において、」という規定があるわけでございまして、とにかく数量を定めまして、その範囲内で買うということになるわけであります。その限度を一応出廻り量の半分と、こういうふうに想定いたしているわけでございますが、まあそういうことでございますが、実際問題といたしましては、ほとんど最近買っておらないのであります。実際上は二十八年産のものを少し買ったことがあるのであります。実際上は動いてないのでありますが、予算上はそういうことになっておりますので、一応出廻りの半分を買うと、こういうことにしております。それから麦の価格についての御質問でございますが、内地麦の価格につきましては、昨年きまりました数字が、大麦が二十九年産は千六百十二円ときまったわけであります。裸が二千百七十三円、小麦が二千六十八円、そういうふうにきまったのが昨年の買い入れ価格でございます。その昨年の買い入れ価格に特別の倉庫に持って来させる場合にはマル特と称して加算をいたしておりますが、そのマル特の加算額を三円、検査手数料を十円、包装費を六十五円、それぞれ加えてあるのであります。従って本年の予算単価といたしましては、大麦が千六百九十円、裸麦が二千二百五十一円、小麦が二千百四十六円ということになっておるのでございまして、昨年の価格をそのまま踏襲いたしているということにいたしております。
  94. 田中啓一

    田中啓一君 そうすると、結局マル特の輸送費が今年は二十円ほど一俵あたり下った。裸麦は少しまた違いますが、そういうものがまたえらく下ったというような原因ならばよろしいんですがね。結局そうでなくて、百姓の手取りに及んでいくようなことになると、違っとるぞと、こうやられるわけですね。それから、まあ麦はだんだんこまかい勘定になってしまって、これもえらい神経過敏に農業団体は言うんですよ。ですから、今すぐでなくてもよろしいが、これははっきりしておいていただかんと、わずかな数字でも何かあぶないところがあると、あとで非常に因るんです。
  95. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまのお話しの点でありますが、これは差し上げてある資料にも、前年と比較してあるわけでありまして、前年の価格と今年の価格との開きが、たしか差し上げてある資料にあったかと思いますが、大麦と裸麦が前年から下っているわけなんです、基本価格の二十八年と二十九年がです。小麦は上ったわけであります。そういうようなことでございます。それ以外の予算単価といたしましては、マル特倉庫の予算額も、検査数量の予算額も、包装費はちょっと変っておりますが、六十円を六十五円といたして加わって、基本単価といたしておるわけであります。毎年の予算編成が前年のを基礎として予算編成するということになっておりますが、御承知の通り、麦の価格は六月にきめなければならぬのでありまして、この六月にまた本年の新しく出回ってくる新麦についての価格を別途米価審議会に御諮問申し上げて、きめることになっております。そういたしますと、予算麦価とどういう関係になるか、またいろいろな問題がありますが、この予算編成といたしましては、昨年の麦価をそのまま今年も編成する、こういう建前といたしております。
  96. 田中啓一

    田中啓一君 農産物の価格安定法による買い入れ限度数量というのは、買い入れ限度数量の半量と書いてある。半量が限度数量になるので、安定法からいうとこの書き方はどうもおかしいと私は思いますがね。農林大臣が買い入れ限度数量を定めて、その半量を買うというのではなく、もっともそれは強いて言えば言えぬこともないと思います。買い入れ限度数量の範囲内と書いてあるから、その範囲内というのはどれくらいの見当かと言ったら、半分ですという、買い入れ限度数量というのは何かというと出回り数量を押えております。こういうことで言えぬことはないけれども、その書き方は、何かどうも私は表現があまりよくないのじゃないかと、こう思いますが、質問の範囲を越えますから、この程度でよろしゅうございます。わかりました、それからもう一つ外麦のことですが、外麦の大麦を見ますと、去年よりか価格が上るようになっておりますが、事実大麦の価格の傾向は去年より今年は上る傾向を持っているのが国際価格の情勢でありますか、どうなんですか。
  97. 清井正

    政府委員(清井正君) 御指摘の通り、確かに極く最近買いました麦は相当値が高かったのでございます。
  98. 田中啓一

    田中啓一君 大麦ですよ。
  99. 清井正

    政府委員(清井正君) 大麦の値が高かったのでございます。運賃の関係等もございまして高かったのでございます。また最近少し下りぎみになってきているようでございます。で、この予算に組みましたのは、大体昨年度と比較いたしますというと、いずれも値段が下ってきているように計算いたしてあるのであります。と申しますのは、数字的に申しますというと、外国食糧の輸入価格の平均でございますが、大体昨年度の、たとえば準内地米にいたしますというと、大体、平均トン当り二百十八ドル八十九という数字計算いたしておりましたが、今年はそれが百八十二ドル七十六に下っております。普通外米も百八十一ドルが百六十一ドルに下っております。それから大麦が八十二ドルが七十八ドルに下っております。小麦が九十ドルが八十一ドルに下っております。ということに計算をいたしているのでございます。ただごく最近買いましたのは、一時高かったのが、ただいま申し上げました通り、少し最近低目になっているという状況でございます。ただこの麦なり、ことに大麦は御承知の通り世界的商品ではないのでございまして、その価格が非常に変動いたしますので、なかなかつかみにくい実は状況でございまして、なかなかむずかしいのでありますが、われわれといたしましては、農産物全体の傾向からいたしまして、今後はある程度低目になるであろうという傾向をとらえまして予算編成いたした。こういう状況であります。
  100. 木村守江

    木村守江君 お伺いしますが、米麦の価格のことですが、買い入れ代金支払い方法としては、生産者の売渡し申込時に一部を概算払いするとありますが、「一部」というのはどういうことですか。
  101. 清井正

    政府委員(清井正君) 「一部」の金額につきましては、まだ実はきまっていないのでございます。一定の数字をもちまして相談をいたしておりますが、まだ実はきまっておりません。
  102. 木村守江

    木村守江君 それは一体いつ頃きまりますか、大体どのくらいにきまりそうですか。
  103. 清井正

    政府委員(清井正君) できるだけ早くきめまして、米価とともに生産者にお示しをいたしまして申し込みをとるわけでございまするので、そういった建前から申しましても、なるべく早くきめなければならぬのでございまするが、まだはっきり実はきまっていないのでございますが、できるだけ早く米価の決定と一緒にきめて行きたい。こういうように実は考えております。
  104. 木村守江

    木村守江君 私がかような質問をするのは、政府で大体買い入れ代金の支払い方法については、生産者の売り渡し申し込み時に一部概算払いをするというようなことを言っているが、これが価格のためにあるのじゃないかというような心配があるかのように聞いておりますので、お伺いいたします。なおもう一つお伺いしたいのは、米の配給の量ですが、三十米穀年度は、準内地米を消費地において約二日、普通外米を約五日、三十一米穀年度は準内地米約二日半、普通外米約四日半、こういう関係で漸減しておりますか。
  105. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問の点でありますが、前段の点は、これは概算払いをいたすということはきまっておるでございます。ただ金額がまだきまっていないということでございますので、そう御了承願いたいと思います。それからあと方の問題でございますが、これは御承知の通り、たとえば大消費地、それが十五日配給、内地米を八日、それから外米を七日、その七日の外米のうち、二日を準内地米、五日をいわゆる普通外米ということで、現在そういう配給をいたしておるのであります。それからこれは御承知の通り、準内地米と申しますのは、内地米に近い外米のことで、いい外米である。主として台湾、それからアメリカ、それから中国、まあそういう所の米が準内地米になっておる。それからタイとか、ビルマ、そういう南方の米は、これは外米になっておるということでありまして、大体その外米なり、準内地米につきましては、供給事情からいたしますというと、タイ、ビルマが相当多いわけでありまして、やはりそういうような供給量からいたしますというと、二日、五日の割合がちょうどいいということでもって、大体今まで七日のうちの割合をきめておったのであります。三十一米穀年度におきましては、若干準内地米を余計配給いたしたいということで、ちょっと色をつけまして、まあ二日半、四日半ということにいたしたのでありますが、ただこれが現状からちょっとよくするということで計画を立てておるということで、現状をもととしてしか意味がないのであります。
  106. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。今外米を配給するといったのは、新聞報道及びその他にあるが、これは黄変米をつき直して、そうして配給するというようなことが盛んに出ておるのでございますが、長官の今のお話なら、内地米に準じた米の配給を先にして、少し悪い米を、タイ、ビルマ辺から来ている米を配給するというのは、これはいわゆる黄変米のつき返したその米を配給する考えですか、それはいつごろからやるとしたらやりますか、どのくらいの数量があるか、それを一点お聞きしたい。それからその外米はもちろん日本の内地米の検査制度からいってどのくらいであるか。それから予約に対しましてのいろいろ問題について質問したいのでございますけれども、これはほかに譲るとして、検査制度はやはり予約申し込みに対しては十分な検査をしなければならないと思うが、この検査制度に対しましてどの程度の検査をするか。同時に、予約いたした者は、ちょうど青色申告と同じことで、免税をするところの交渉がされつつあるというふうに聞いているけれども、その程度の免税はどの程度まで進行しているか、確信があるかないか、この三点をちょっとお尋ねいたします。
  107. 清井正

    政府委員(清井正君) 第一の黄変米の問題でございますが、黄変米につきましては、いわゆる私ども病変米と言っております。まっ白の米でも黄変菌がついているものがありますので、病変米と言っておりますが、それの在庫が約十五万トンあるのでございます。そういうものにつきまして、先般厚生省から、そのうちタイ国黄変菌と申しますか、まあ菌の種類でございますが、それの分につきましては、一割搗精をすれば、まあ配給に支障ないという趣旨の御報告を受けたのでございますが、私どもといたしましては、その問題につきましては、また衛生上の観点と、また別途の観点からいろいろ検討しなければならないので、厚生省から御連絡を受けておりますが、まだいずれにいたすかということは決定いたしておりません。慎重な取り扱いをいたしたいと思っております。それから検査の問題でございますが、これは検査は御承知の通り、これはいかなる制度に対しましても、検査というものはますます向上して行かなければならぬ性質のものであります。食糧庁といたしましては、現在の制度のもとにおきまして、相当の検査員を使いまして検査をいたしておるのでございます。実際上これは生産者に直接タッチする機構でございますので、私どもといたしましては、ことに今度の制度になりかわりましても、できるだけ制度の普及に資するとともに、できるだけ検査員の能率をよくいたしまして、生産者に迷惑のかからないように、できるだけ生産者の注文と申しますか、品質の注文にはむろん応じられませんけれども、その他の事務取扱上の注文はできるだけ一つ聞きまして、親切に生産者に当って行きたいということを、さらにこれは徹底をいたさなければならぬと、こういうふうに実は考えておるのであります。それから税金の問題につきましては、従前御承知の通り、奨励金の分はこれはいわゆる経費に算入するということで今まできておったのであります。基本価格のほかに、超過供出奨励金、あるいは早期供出奨励金というものは、これは減税の対象になっておったのでございますが、このたび一本価格という建前をとっております。そこで本制度を円滑に運営いたします建前からも、これはやはり一定率をかけまして、本制度によって申し込みをいただきました米が売り渡しされました場合に、この売り渡しされた金額の一定の率を掛けまして、その部分を経費に算入するというような形で減税の取扱いをいたしたいということで、いろいろ打ち合せをいたしておったのでございますが、この点はそういう方向でいたすということに部内ではいたしておるのであります。ただどのくらいの率にするか、あるいはどういうような形にいたすかということにつきましては、まだ米価が正式にきまっておりませんので、そういった米価の決定のことともにらみ合せの上きめるということで、目下細目につきまして、関係の省と打ち合せをいたしておる最中でございます。
  108. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今のお言葉で申される通りに、検査は官の検査であるから、今までは供出に対して相当手心は加えておりませんので、あとの問題はこの委員会では質問しません。農林委員会でやることにしておきますけれども、検査は今親切にしてやるという言葉で、ある程度安心できたが、予約申し込みをさして、これを供出させるまでには、相当検査員を動員し、補助員を動員いたしまして、立ち回りをよくしなかったならば、麦も米も予定のごとく供出できません。従ってそこに相当の計画上矛盾を来たすようなことが、必ず何といいますか、制度を変えたときにおきましては、そういうようなことがまま出現するのでございますから、この点に十分に御注意を払っていただきたいことと、それからその次には、御承知のごとく、二十九年度産米は、価格は上ったけれども、奨励金もなければ、免税点もなかったから、  農家の実収入は少くなっているのでございますが、今回予約申し込みで供出したら、米の価格は上ったが、これに税金が多量かけられてしまって、全く米の産地、麦の産地は年一回だから、ガラス張りの間で、どうせ供出はすぐわかりますから、かえって農家の現金収入が減額されたというようなことに相なりますならば、横流れがどんどん出てきてしまう。それだから統制解除の段階に入っておやりになるなら、これはまあけっこうでございますが、今のような半統制のようなことに相なって、米が横流れになって、予期するような効果があがらなかったというようなことになるなら、これは政府の失敗ということになる。失敗を繰り返さないように、十分の計画を今から立ってほしいということと、あくまでも大蔵当局に折衝して、予約申込米に対しましては、価格の決定はもちろんだが、価格の適正化もしなければならないが、それよりも予約供出に対する免税という点を十分に一つ腰を据えてこれを交渉してほしい。どうかこの点について……。
  109. 小野義夫

    ○小野義夫君 これを見ますというと、外国食糧は一般の世界の大勢といいますか、九%下っておる図表があるのですが、ところが最近運賃は四割も非常に高騰しておる。運賃とここに載っておる価格との関係はどうなりますか。
  110. 清井正

    政府委員(清井正君) 御指摘の点でありますが、確かに運賃は上っておるのでございます。最近、去年の暮買いました分、あるいはごく最近買いました分につきましても、運賃が相当上ったものがあります。また一部においては、ちょっと私記憶しておりませんが、下ったところもあるのであります。概して運賃も非常に高騰いたしておるという状況があるようであります。ただこれがこの会計上におきましては、むろんその分も考えてはおりましたけれども、将来一年間の計画といたしまして、果してこのままの運賃が続くものであるかどうかという見通しは、はなはだむずかしいのでございます。そこでわれわれといたしましては、やはり外国食糧というものが大きな目で見ますれば、だんだん低落の傾向にあるということが言えるのでありますから、そういう観点から若干この一年間の間には総体の買い入れ金額が減るであろうというような見通しを立てておるのであります。現に買付けいたしておりますものでまだ未到着のものも一部入っております。その分は運賃を現実に支払った分が入っておるということでありまして、将来の運賃は若干減る、価格と運賃ともに若干減るのじゃないかという一応の見通しをつけてこの予算を組んでおるのであります。
  111. 小野義夫

    ○小野義夫君 今買い付けて、現実に買っておるのではなくて、それはつまり輸入者が、運賃を含んだ前の契約に属するやつは輸入商がそれはみな大ていカバーしておるのですから、だから今入っておる、買ったというのは、それは遠慮がないのですけれども、この予算実行の上からするというと、この運賃の値上りはだんだん国際的なプール関係にもよると思うのでありますが、非常に高くなって例年の例のごとく、かりに夏場に下るとか冬場に下るとかいうようなルールでいかぬように考えるのですが、この点その影響はトンにしてどれくらいの影響があるとお見通しですか、運賃は……。
  112. 清井正

    政府委員(清井正君) 細かいトン当りにつきましては、大体アメリカ、タイあたりから来るものは十四、五ドルをみておるのであります。十三ドルか、十四、五ドルを見ておるのでありますが、ただ御承知のような事情でございますが、さらにまたただいまお話通り運賃が必ずしも下らぬのではないかというお話でございますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げた通り年間の計画といたしましては、これは運賃と価格との両方の関係がございます。かりに運賃が下らない、かりに高くなりましても、現実の価格が下りますれば、合計して幾分か下るとも考えられる。そういうわけで、私どもの買い入れ金額につきましては、運賃と価格との込みの価格ということになりますので、将来の見通しにつきましては、私どもも何とも見通しのしようがなかったので、大体だんだんと少しずつ下る傾向にあるのではなかろうかという見通しで予算を組んでおるのであります。かりにこれがもし運賃も下らない、あるいは価格も下らないということになりますれば、また別途の問題になりますけれども、ただいまの予算編成といたしましては、ごく若干は下るだろうという一応見通しを立てまして、年間の外国食料の買い入れの計画を立てておるというようなことでございます。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど池田さんの御質問に対しては、病変米が十五万トンあって、タイ米については配給するかどうかについて慎重な態度をとるというような御説明がありましたが、その慎重な態度というのはどういうことですか。これは配給しないということなんですか。それともまたあれは厚生省のほうで今検査をするわけですが、かりに無害であると、一割なら無害であるということになったらこれは配給するというのですか。ただ厚生省の方の検査の決定をもっと慎重にするというのか。有害か無害かということをもっと慎重に検討して、そうしてそれがはっきりきまったならば配給するというのか。その慎重というのは何だかもしかすれば配給するかもしれないというように受け取れるんですが、どうもこれについてはわれわれいろいろ意見を聞くのですが、厚生省の答申では、あすこにその専門家がいろいろ試験したその結果を答申するんですが、中には個人としては有害であると思っても公然と言わない人もある。どうも政府の方の発表は無害であるという、そういう報告だけを取り上げているのであって、それでまた無害とは言い切れない、どうもまだ疑問に思う、ここで判断を下すことは困難であるという意見の人も相当あると聞いておるんですよ。そういう場合にはこれは配給しないと私はきめるべきだと思うのですが、その疑わしい場合には。その点でお聞きしたいことは、もう結論として専門的に、じゃ政府の考えは無害である、一割なら無害であるという意見を採用しているのかどうか、最終的に採用しているのかどうか。そうしてただ慎重な態度をとるというのは、今は配給しないけれども、何か機会があって、国会でも終って、世論の関心が緩くなったら配給するかもしれないということなのか。それから十五万トンというのは価格にしてどのくらいか、その点伺いたいのです。  それからもう一つ、この食管会計の一番最後に言われた表の最後にある損益推定、これを少し詳しくあとで説明していただきたいと思うのです。
  114. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問の点でございますが、大体ただいま手持ちと申しますか、在庫になっております病変米が十五万一千トンございます。そのうちタイ国黄変菌を持っておりまする米が一万七千トンでございます。イスランジア黄変菌、ほかの菌、あるいは混合しているものが十五万一千トンで、タイ国黄変菌が付着しているものが一万七千トンでございます。この一万七千トンの分と申しますのは、今回厚生省から御通知をいただきましたのは、タイ国黄変菌が付着した病変米については一〇%のぬかを出せば衛生上差しつかえないという結論をいただいておるのであります。従いまして衛生的結論につきましては、これは厚生省におまかせいたしておるのでありますから、私どもの方からとやかくやられないのでありまして、厚生省より一〇%云々のタイ国黄変米のものは差しつかえない、こういう御返事をいただいたのでありまするから、私どもといたしますれば、その配給は形式的には配給できるものと考えておるのであります。ただ、ただいま申し上げましたように、衛生上はそういうふうに考えられますけれども、ただ配給するということになりますと、一般の方が非常に恐怖と申しますか、非常な関心を持っておられるところになおこれを強行して配給するということは、私どもの立場から見まして問題があると、実はこういうふうに考えているのであります。それじゃこれをどういうふうにするか、やがて配給するかということでございますが、この点はまだ検討いたしておらないのであります。ただ菓子用——菓子用と申しますか、主食以外にも考えられるのであります。その他アルコール原料とか、いろいろありまして、主食以外になる場合がいろいろありますから、そういったものを含めまして、厚生省で全部無害であると御返事を受けたのであります。われわれはこの配給をどうするかということにつきましては、今しばらくいろいろの観点から考えて参りたいということでございます。衛生上の見地で問題があるという意味ではないのでありまして、衛生上の点については厚生省から無害という通知を受けて、私どもはその点から処理しておる、こういうことでございます。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 イスランジアの方はどうなっておるのですか。
  116. 清井正

    政府委員(清井正君) この点につきましては、なお検討を要するからという返事をいただいております。タイ国黄変菌の分だけ御返事をいただいております。
  117. 湯山勇

    ○湯山勇君 関連して……。よくわからないのですが、輸入計画の中に砕け米、砕米ですか、こういうのがあるのですが、これはやはり昨年よりもよけい本年は輸入することになっておりますが、何に使うのですか、こういうものの代りを黄変米でできないのですか。
  118. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの砕米は主として加工用に出しておるわけであります。アルコールとか、みそとか、しょうゆ、あるいはしんこ、そういうような加工用に出しておるのが砕米でございます。黄変と申しますか、病変米で差しつかえないという規格等の問題につきましても、私どもといたしましては、やはり主食の問題と加工用の問題と両方あるわけでありまして、どういうふうにしたら一番いわゆる国民の感情にもいいし、配給上も円滑にいくかということを考えながらやっていかなければならないのでありまして、この点については主食用にするか、あるいは主食以外のものにするかということを含めて、いま検討いたしておるという段階にあるのであります。
  119. 湯山勇

    ○湯山勇君 いまの点ですね。従来の病変米を加工用に回しておったらやれるわけですね、ちゃんとパーセンテージはどうだという基準をもってですね。そういうものがこれだけストックがあるにもかかわらずなお砕米を輸入しなければならないというのは、一体どういうところに根拠があるのですか、取引の都合上どうしてもそうしなければならないというようなことがあるのですか、伺ってみたい。
  120. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまのお話のことは、かつて一部に黄変米を配給したこともございますが、厚生省と連絡して……。しかしこの問題につきましては、砕米は主としてタイ国の砕米でございまして、これは一般の米を買いますときに、この米を売るから砕米をこれだけ買ってくれというようなことが一般の米を買うときの取引の条件になっておるのであります。従ってタイ国から米を買いますときには、普通の米を買いますれば、同時に砕米を買わなければならないというような、今までの米を輸入しますときの取引の条件になっております。ある程度は少くとも入れなければならないということになっておるわけであります。入れたものにつきましては、ただいま申し上げました通り、いわゆる加工用に出すと、こういうことになっております。
  121. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではその率というのはきまっておるわけですか。たとえば外米を八十一万三十トン買えば、九万三十トンは買わなければならないというような……。
  122. 清井正

    政府委員(清井正君) 今までタイ米を買いました場合は、大体普通の米に対して四分の一ぐらいの率で砕米を買わされておったわけであります。しかしその後だんだんと米の買付の条件が買手に有利になってきておりますので、今後はそういう方法に従って要らない砕米は買う必要はなくなる。しかし最小限度はいるわけでありますから、最小限度にとどめて買いたい、こういうふうに考えております。
  123. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちょっとお尋ねしますが、そのタイの砕け米のことはわかるのです。わかるが、しかし価格はやはり半値ぐらいですか。それからタイ国、ビルマ国から買うときにはもみや玄米で買えばよいと思う、白米で買うから砕け米になる。御承知の通り、タイは固いもので加工するから四割は砕け米を出してしまう。内地のようにゴム・ローラーを使えば砕ける率が少くなる。同時にこっちも買いつけておるから、ゴムの産地だし、ゴムも安くなっておるから、ゴム・ローラーを使って加工することを教えて、砕け米なんか押しつけられないように、タイにもビルマにも日本の技術屋を派遣して加工ということについて少し教えてやって、よい米を輸入するというような点まで考えたことがあるかないか。それはほんとう両国の親善のためにも、食糧問題の解決のためにもいいと思うが、この点はどうかね。
  124. 清井正

    政府委員(清井正君) もみで買うとか玄米で買うとかという問題があるわけでありますが、これについてはいろいろと検討いたしましたが、技術的にむずかしい点もあり、あるいは収容能力の問題、あるいは黄変菌がもみ、玄米の段階であるほど実は多いという調査団の報告もありますので……。
  125. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 そんなことはない、それはうそだ。
  126. 清井正

    政府委員(清井正君) なかなか簡単にはきめられないと思いますが、なおタイと私どもの米の売買をやって参ります場合には、毎年品質のよいものを入れるようにやっておるのであります。たとえば砕け米——ブロークンの混入率もだんだんと質をよくして、昔と比べると質もよくなっておりますが、今にわかに砕米を全然やめろというわけにはいかないだろうと思いますが、ただ私どもの取引状況としては、全体に買手市場に変って参りつつある状況もありますので、毎年質のよいものを買いたいと考えております。
  127. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 加工はどうかね。国際親善の上に教えるような考えは持っておりませんか。
  128. 清井正

    政府委員(清井正君) 御意見の点十分伺わせていただいて、善処したいと思います。
  129. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 長官、実地調査に行きましたか。
  130. 清井正

    政府委員(清井正君) まだ就任日が浅うございますので、残念ながら現地視察の経験はありません。
  131. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 課長さんかなんかで現地に取引に行った人がおるだろう。現地に行ってみれば本当の話はわかるのだ。私は現地で十分に調査してきたからほんとうのことは知っておるけれども、ほんとうのことを言うと、皆さんも困ってしまうことがあるから、でかい問題になるからさきにも注意したが、これは行ってごらんなさい。半分以下は黄変しておりますよ。あちらは八月から十二月までずっと供出してくるのだから、現地を見てきたのだから——。またいずれ委員会でもやるが、もっと懇談しましょう。いずれもっと日本が親切で、向うへ行ってゴム・ローラーを使って加工するという方法をやったら、砕け米も買わなくてよいし、黄変米も買わなくてもよい。白米にしたのをどんどん入れて、あんな黄変菌やいろいろな菌が付いた麻ぶくろを使わないようにちゃんとすればよいのでありますが、そこまで本当にやらなければ安心できない。そこまでやって初めて効果がある。これを今後一つ研究するということにしてほしい。どうです、研究しますか。
  132. 清井正

    政府委員(清井正君) 私まだ現地に行っておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、現地に行った者もございます。またただいまのお話を聞きますと、現地視察においでになったそうでございますが、御意見もいろいろと伺わせていただいて、私どもも十分検討いたしまして、諸般の事態の改善に努めたいと考えております。
  133. 館哲二

    委員長館哲二君) 損益推定の答弁を……。
  134. 清井正

    政府委員(清井正君) 三十年の損益推定でございますが、ここに書いてあります通り内地米で百四十四億、内麦で四十三億、その他で百九十五億、利益の方は百二十五億で、差引七十億の損失ということになっておるわけでございますが、内地米の損失のうち、二十九年産米の損失は大体八億という計算でございますが、八億の大体の内訳は、非常にこまかな数字になりますが、考え方といたしましては、二十九年産米を今年に入ってから買う分についての損失でございます。本会計年度に入ってから、今年の四月に入ってから去年の米を政府が買った場合の損失でございます。それは御承知の通り超過供出の金がつくわけであります。たとえば基本価格が九千百二十円、超過供出が千二百八十円というものがつくわけでございます。ところが一方消費者価格から逆算いたしますと、九千二百円というものがいわゆる基準の額でございますから、その差額だけが損失になるわけでございます。従って今年に入ってから買います二十九年産米の価格と、九千二百円という消費者価格から逆算した数字との差額に、今年に入ってからの数量をかけたものが八億という数字になるわけでございます。それから三十年産米の百三十三億でございますが、これは価格と集荷手数料その他に分れるのでございますが、大体当初の額、先ほど申し上げました通り、今年の予算米価は九千七百三十九円であります。ところが消費者価格は、そのまま据え置きでございますから、消費者価格から逆算した価格が九千二百円、九千七百三十九円から九千二百円引きましたものに、今年の年度の買い入れ数量の二千二百八十五万九千石をかけましたものが価格上の損失であります。そのほか集荷手数料、一俵四十円の手数料を四十八円に上げましたものですから、その集荷手数料の増額、集荷奨励金を出しておりますが、集荷奨励金の増額、集荷奨励金は四億三千万円増額になりました。それから集荷委託費も七千万円増額になっております。そういうものを合計いたしましたものが百三十三億の内訳でございます。それから端数の点でございますが、これは大体厳密に計算いたしますというと、七百六十五円七十九銭になるわけでございます。それを七百六十五円で計算いたしておりますから、七十九銭分が損失になるわけであります。それの計算をいたしましたのが端数の三億という金でございます。その合計の百四十四億というのが内地の米の損失になるわけでございます。それから内地の麦の四十二億の損失でありますが、これは御承知の通り、売却価格と逆さやになっておりますので、コスト価格と売価との差引をずっと計算いたしますと、大麦のコスト価格が千八百七十八円になります。それから売値が千七百二十円になりますから、差損が百五十八円になるわけでございます。それから裸麦がコスト価格が二千四百八十一円、売値が二千二百七十五円、差損が二百六円でございます。それから小麦が二千三百七十八円のコスト価格に対しまして売値が二千百七十円、従って差損が二百八円、従いましてそれにそれぞれの買い入れ数量をかけましたのが四十三億ということになるわけでございます。  それから飼料、これは非常にこまかくなっておりますが、非常に数字がこまかいんでございますが、いずれもふすまと小麦、それからトウモロコシ、大豆の買い入れ価格と差を計上いたしました。その差に需給上の買い入れの数量をかけまして、その金額を出したわけでございます。  それからその他というのは四億、少うございますが、これは精麦を特に政府が作りまして、需給上必要な場合に売るということを考えまして、ごくわずかでございますが、精麦を作っておりますが、それをまあ安く売るという建前で計算をいたしておりますのが一つと、それからコストの回収不足、すなわちいわゆる予算上のコスト価格と実際上のコストと若干ズレがあるのでございます。御承知の通り麦、米、それぞれその産年によって一年間のコストを計算いたしておりますが、これは会計年度でもって区切っておりますので、そこに若干ズレがございまして、コストに回収しきれない実は損失が出ておりますが、それらを合計いたしましたのが四億、その総合計が百九十五億の損失ということになるわけでございます。  それから利益の方でございますが、外麦益が六十七億になるのでございますが、これは非常にこまかくなりますが、米につきましては、先ほどちょっと申し上げた通り、買い付けの済んだものは実際の買い付け価格、将来のものは見込み価格をずっと計算いたしまして、内地の価格から逆算いたしましたところの、この価格で買えばちょうどいいという釣り合っているドメスティックCIFと輸入価格との差額が損失になるというので計算をいたしておるのであります。そこで計算いたしますと、たとえば米にいたしますというと、総利益が六億八百万円のプラスになるということになっております。それから大麦が逆に二十五億ばかり損失になるという計算になっております。それから小麦が八十六億利益になる計算でございます。すなわちその分だけ国内価格と比較して米と小麦が安くて、大麦の方が高いということになります。非常にこまかい内訳がございますが、米が六億八百万円、大麦の損失が二十五億七千八百万円、小麦が利益で八十五億九千五百万円というのを差引いたしますと六十七億の利益ということになっておるのであります。それから酒米等の売却の益でございますが、これは酒米等は、普通の主食に売りますものよりも相当高く売っておるのであります。で、本年度におきましても同じような計画で売るということにいたしまして、たとえば酒米につきましては、内地米が七十九万石を酒米で売る計画でございますが、売却価格がこのままトン当り一万二千四百円、ところが主食の配給のために売る価格が七万一千円でございます。酒米だけで内地米で十八億の利益があるということになるのであります。その他外米、砕け米等がございますが、そういうことで酒米等の利益で三十一億ということで計算をいたし、そのほか雑収入としてごくわずかの収入が上っております。そういうことで利益が百二十五億、損失と利益との差額七十億が損失ということでこの三十年度の食管会計の内訳はできておる、こういうことになっております。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでこの二十九年度のを入れて百億、それを前のインベントリーの百億で落すということになると……、前のインベントリーの百億というのはどういう形になっていましたかね。
  136. 清井正

    政府委員(清井正君) 前のインベントリーは、二十六年度末にドッジ公使といいますか……非常に食糧証券の増発になりますので、そのかわりインベントリーで百三十八億ばかり現金が一般会計から食糧会計に繰り入れになったのでありますが、その繰り入れになったかわりに、このうち百億だけはいずれ将来食管特別会計一般会計に返すようにということで負債になっております。負債の百億とこの百億が見合うという形になりまして、三十年度の実行上もしもこの通り行きましたならばくずすということによってとんとんにする、こういう考え方でできているのであります。
  137. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この輸入の問題ですが、昨年でしたか、第一次鳩山内閣ができたときに、輸入商社の数が非常にふえたということを聞いておりますが、どういうふうにふえておりますか。従来輸入商社が何社あって、現在何社になっておりますか。この点伺いたいと思います。
  138. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問の点でございますが、昨年末と申しますか、までは、相当輸入商社が限定されておったのでございます。と申しますのは、一般の食糧事情が、御承知の通りのような売手市場というようなこともございまして、競争をいたすことによって、かえって非常に不利を来たしたというようなこともございますので、ある程度の限定という形でもって従来やって参ったのでございますが、この点につきましては、従来政府部内におきましても、当該地域に対する輸出実績というものを見て、輸出と輸入のバランスを合わすと申しますか、単に米の輸入ということでなしに、輸出の方も見るべしというような御意見等もございまして、そういうような観点からの御主張があったのでございますが、たまたま今度、御承知の通りのような、米の市場が買手市場へずっと移行して参り、あるいは一部欧州あたりで買っておったものも大体東南アジアに集中して参るというような実情もございますので、そういうような事情も勘案しながら、従来の輸出実績と今までの輸入実績等を見合って、商社の指定をし変えたのでございます。たとえば、ビルマで申しますと、ビルマの指定商社は今まで三社ございましたのでありますが、それを八社ふやしまして十一社にいたしたのであります。それからタイは従来八社ありましたのを、六社ふやして十四社にいたしたのであります。それから台湾は五社ありましたのを二社ふやして七社、アメリカは八社ありましたのを六社ふやして十四社、それから中共関係で従来十社ありましたのを二社ふやして十二社、韓国は十五社というふうに実は指定をいたしておるのであります。今まではイタリアがありましたが、イタリアはこれはやめました。アメリカも、従来八社と申しますのは、カリフォルニアと南部の方に分れておったのを、これを合せまして、そうして今のような形にいたし、新たに韓国、中共等を加えたということにいたしてあるのであります。以上のような状況でございます。
  139. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、現在この商社が、最高十四社ということになるかもしれませんが、これはまだ重複していなければもっと数が多いかもしれませんが、これらの商社が扱います数量は、今までこの輸出実績に見合う数量できめるのでありますが、どういうふうにして輸入数量をおきめになるのか。
  140. 清井正

    政府委員(清井正君) これは今まで麦と米とは扱い方が違っておったのであります。米につきましては、今までタイとかビルマは、一時政府貿易でございましたが、そういう所は大体数量も、全部条件を政府間においてきめまして、それをただ業者が請負った形で実際上輸入いたすという形であったのでありますが、今回はおそらく全部一応政府間で協約をいたしましても、実際全部民間の輸入という形になりましたので、地域のきまりました商社の間では自由競争になっておるのであります。ただ自由競争になりますというと、非常に弊害が起って参りますので困りますけれども、さればといって、なかなかこれを指定いたすということも大へんむずかしいということでありますので、一々問題が起りますれば、商社同士である程度相談をいたすということはあることでありますけれども、われわれといたしましては、あくまで商社を指定し、ふやしたことによる弊害は避けながら、なおかつ、いたずらにふやしたことによって利益が上らなくても困りますわけでありますから、こういった点を勘案しながら、指定商社に対しましてはこの点を十分注意して、ふえたことにより弊害が起らないようにということで指定いたしておるのであります。麦につきましては、別途、今までは限度数量ということをきめまして、一社ごとに取扱いの指定をきめておったのでございますが、その限度以上にふやすことはできないという形にいたしておりましたけれども、今回はこれを大きく区分いたしまして、全体をABCの三区分に分けまして、そのAランク、Bランク、Cランクにそれぞれ数社が入ってくるということで、その一つのランクの中では自由競争するというような自由な形で、一つのワクと自由競争とのあいのこのような形で、今までよりも自由競争の思想を強く出しております。こういうような形にいたしております。米と麦とがいわば違って参っているのであります。ただ申し上げておきますが、指定と申しますのは、指定地域についての指定でございます。と申しますのは、今申し上げましたような地域については、こういう社しか扱えないというのでありますから、それ以外から米を輸入する場合には、登録商社が別にございまして、その登録商社は自由にやれるという形になっているのであります。米麦ともに登録商社と指定商社と二重になっているのであります。登録商社の一部が指定商社になっている、こういう形でございますので、米につきましては、指定を受けない普通の登録商社というものも別途にあるわけであります。そういう商社は、ここで指定を受けた地域以外の地域において米の買い入れをするということになっているわけであります。
  141. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、その輸入商社が輸入した米を日本政府が買い取る場合には、その価格はあらかじめきめてあるわけでありますが、買い取った価格に応じて日本政府が買い取ることになりますか。と申しますのは、今のように地域別に商社の数がきまっておりまして、競争していくといたしましても、その地域から買い取るところの数量のワクというものが大体あるはずですが、そのワク内において競争すれば、たとえばタイから二十万トンの米を買うことに予定している場合に、一社が二十万トン取り得ることもあることだと考えるわけです。そういう際に、相当の競争といったようなものが起りはしないか。自由に取引をするならば、そういったような面もあるが、その場合に高く買ったものは日本政府が高く買わねばならぬのか。高く買っても日本政府が買い取る価格というものはきまっているのか。この点を伺いたい。
  142. 清井正

    政府委員(清井正君) 外国地区からの買付の方法は、私の方で予定価格を立てまして入札をいたすのであります。その予定価格は、私どもでいろいろ情報をとりまして、大体需給上この地区ではこのくらいの米を買いたいということで、大体タイならタイについて、最近どのくらいの品質の米はどのくらいするといういろいろな情報が入ってきます。その情報を見ながら、われわれとして、この程度の価格をきめるということで、一定の予定価格を立てまして、当該の指定された商社の間でもって入札をするわけであります。入札に入った商社が、それに基いて外貨割当を受けまして、そうして外国に行って買ってくる。買ってきたものは政府において買い入れる、こういう形になっておるわけであります。先ほどお話通り、一商社が全部ということも理論的には考えられることでございますが、実際問題としては、それぞれいろいろ各商社間の事情もございますし、公正な商社間の競争によって実際上の買付を行なっているということでございます。要するに、私どもは予定価格を立てて入札をいたしまして、その条件に合ったものに対して外貨割当が行われて、現物が入ってくる、こういう形になっているわけであります。
  143. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私は全くしろうとでございましてとんだ質問をするかもしれませんが、その日本に輸入した米は、日本の港あるいは陸揚地において、日本の政府において検査をし受け渡しをすることになっておりますか。
  144. 清井正

    政府委員(清井正君) 米の受け渡しの方式でございますが、これは最近いわゆる着検制度というものに切りかえたのであります。今までは発地で検査をいたしまして、何といいますか、発地の検査によりまして買ってきまして、着地では検査をいたさなかったのでありますが、昨年からいろいろ問題がございまして、今年の二月から全部着検制度に切りかえまして、日本に着きまして、政府の指定する倉庫に入れたところで検査をいたしまして、それに応じて買い入れをするということにいたしたのであります。従ってそれまでの間の危険負担は全部させる。そして輸入いたしまして、輸入商社の責任において指定倉庫に入れまして、入れたところで政府が検査しまして、品質に応じて金を払うということに今年の二月から切りかえたのであります。現在かかる方式によって実施をしておる最中であります。
  145. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今の点ですが、最初は十六社で、八社に切りかえて、また今度は十四社にふやしたというのは、いずれもふやしたというのは、さきの商社に黄変米のような、政府として納得のできないような取引があったから切りかえたのか、あるいはこれは商社の指定はおそらく長官も参加はしただろうと思うが、大ていは大臣がやっただろうと思うが、ここに非常な利権の獲得とか何とかいう問題が生じやすい。それから実際今まで商社の買付にはいろいろな弊害もあるし、商社がこぞって質のよいのを買えばよいけれども、各商社が談合して悪いものが輸入されたときには、政府が手が出なかったというような弊害も実際は認められてきたのであります。それは後日質問しようと思ったけれども、同僚の青木委員の質問が出たから言うのですが商社をふやさなければならぬ理由は一体どこにあったか。その点をもっと詳細に伺いたいのですが、簡明にほんとうのところを一つ話してもらいたい。あなたが参加しておるか、商社の指名に……。
  146. 清井正

    政府委員(清井正君) 商社の指名は食糧庁の事務当局の責任においていたしたものであります。先ほど申し上げたのでありますが、これは従来から指定地域の商社が少いという非難が非常に多かったのであります。たとえばビルマは三社、それからタイは八社、台湾は五社ありましたけれども、いずれも少い、もっとふやせという声が、ずっとあったのであります。また、ほかの省からもそういう意味において輸出実績を見て商社をふやせという要望があったのでありますが、御承知のような黄変米の問題がございましたので、おくれ、おくれになっておったのでございますが、御承知のように、市場が全部売手から買手に切りかわってきたのであります。当然商社をふやす条件が出てきたと、こう考えたのでございますが、そこで今まで欧州方面から入っておりましたのが東南アジアに集中したという事情がございます。そういうような輸出実績と見合いをするという建前から、あるいは市場が買手市場に変ったということから、かねて要望がありましたことに沿いまして、少かった商社をふやしたということでございます。ビルマが三社から十一社、タイが八社から十四社、こういうことでございます。これは私どもが責任をもっていたしたのでございます。
  147. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それは私は違うと思います。以前はたとえばビルマは三菱なら三菱、タイなら三井物産が、一社か二社でも十分な成績をあげて、よい米を輸入することができた。私は現地に行って調べたときに、商社の弊害に、向うの方々は困っておる。かえって商社の競争で米の値段をつり上げている、内地の国民が迷惑したという悪例を聞いてきた。もっと言ったら、これからもう少し向うへいくと、さっきの秋山さんじゃないが、少し耳の痛いのがたくさんできるから、私はがまんして今日は言わないが、商社にはみなひもがついておるということをよく知っております。ひもつきがどういうことをしているか、それから派遣員が商社とどういうふうに手を結んでおるかということも、一切調べて知っておるけれども、今長官が事務当局と相談して自分が責任を持って増員したと言うから、長官の責任だと言うから、その覚悟のりっぱさに敬意を表して、これ以上言わないけれども、実際は商社のひもつきをたくさんこしらえるということは、弊害があってさらに利益がないということだけは一言申し上げておきます。
  148. 中山福藏

    ○中山福藏君 私はそれに関連してちょっとお聞きしにいのですが、私はバンコックに行ってその実情を見てきたのです。あなたの言われたのと全然反対なんですよ。商社がたくさんあるから、輸入米の値が上って質が悪いというふうなことを口々に言っておりました。そこの在留者は一体どういう要求と申しますか、そういう品物が非常に高くなったというお言葉ですが、どこにどういう圧力があったのですか、それを承わりたい。私ども現地で聞いたのは、全然反対ですよ、あなたの言うのと……。非常に弊害があるということを口々に言っておりましたよ。どういう世論があったのですか。その要求に基いて商社をふやしたと言うが、どういう理由でふやしたか、はっきりとそれを言うてもらいたい。
  149. 清井正

    政府委員(清井正君) これは先ほども御説明申し上げたつもりでございますけれども、私言葉が足りなかったので恐縮でしたが、これは前から今の指定商社が少いからふやせという議論が輸入商社の業界にあった。
  150. 中山福藏

    ○中山福藏君 どこにあったのですか。
  151. 清井正

    政府委員(清井正君) 内地……、一般にあったのです。しかしそういう声はあろうけれども、諸般の情勢が許さないということで、ずっと今まできておりましたが、最近になって市場の情勢も変りましたし、一般の世の中の条件が変ってきた。かたがた一方では貿易振興の建前から、輸出振興の観点から指定したらどうかという要望が一方にはありました。そういうような要望もいれまして、黄変米の問題も一時あれしましたので、昨年暮から今年の初めにかけまして商社を指定した、ただいま申し上げたような従来の指定商社本全部含まれて増加になっております。ただ、今お話しのように指定商社がふえたために、逆な現象が起ってくるということは私どもは聞いていないのでございますが、もしもそういうふえたことによって弊害が起っておれば、その弊害をためるように努力しなければならぬと思います。むだな競争によって、ことに品質の悪いものを高く買うということは、私どもは品質で買いますから、値引きという措置を講じなければならぬのでございますが、しかし無用の競争が起るということであってはいけませんので、もしそういうことがありますれば、商社に注意をいたします。われわれも戒心いたしましてそういうことのないようにいたしていかなければならぬと思うのでありますが、指定商社をふやすということは必要であろうと思いまして、いたしたのであります。
  152. 中山福藏

    ○中山福藏君 私は昨年でしたか、初頭にこの問題については随分突っ込んで、その弊害が非常にあるということは認めますから、将来それを一つ改良していきたいという農林当局のお言葉だったのです。ところがあなたは内地の要望に応じたと今おっしゃいますが、現地を見てこなければ……、その米の値段の上り下り、果して質のいいのが来るか来ないか、内地の要望、そんなものに応じてはたまらんですよ。内外地の要望が共通した場合においてそういう立場をとってもらいたい。これは国民に代って私は深く要望しておきたいということを、去年から声を高くして言っておる。ところが今内地の要望に応じてそういう商社をふやしたと言われますけれども、私ども実際に行って、向うでは反対に言っておりましたよ。私どもラングーンにも行きました。そのときは商社が三つあった。ラングーン式にやってもらいたいというのが、バンコックの在留邦人の要望で、そのことも申し上げておいたが、今あなたがおっしゃるのは、商社が農林省とうまく談合して動いた結果じゃないかというふうな感じを持たれますが、そういうふうなことないですか。
  153. 清井正

    政府委員(清井正君) いろいろお教えをいただいた点もあるのでございますが、これは内地と申し上げましたのは、要するに言葉が足らなかったのでありますが、むろん外地に対して輸出入実績を持っておる商社の話で内地と申し上げたのでありまして、むろん現地の事情をよく聞いた上の、その結果の声であるというように判断いたしまして、ただいま私お話しを申し上げたつもりでございます。ただいま非常なお話をいただいたのでありますが、私どもといたしましては、従来から非常に商社が少い、もっとふやすべきだという考え方に沿うて、貿易振興という観点から、こういうような措置が一番いいということにいたしたのでありますが、なお非常に弊害が起っておるということでございますれば、なおまた具体的な事情等を十分お伺いいたし、十分われわれとしても関心を払いまして、こういうことのないように、弊害のないように、また起りました弊害につきましては、すみやかに解決するように努力をしなければならないと思っておるのであります。いずれまた詳しく具体的にお伺いいたしたいと思いますが、私どもはそういう考え方でいたしたつもりでありますから、その点は御了承願、いたいと思います。
  154. 中山福藏

    ○中山福藏君 もう一つ内地の要望では、どういう範囲の人が要望されたのですか、その範囲の明示を一つお願いしたい。どういう人が一体要望しておるのですか。
  155. 清井正

    政府委員(清井正君) 具体的にこれこれの商社と名前をちょっと私申し上げることはできませんが、一般的に、従来から指定商社の数が少いからふやせというのが、一般業界の要望であったのでありますから、そういうことを申し上げたのでありますが、そのほかの業界の要望は、ほかに一般貿易振興という建前から、米の輸入だけでなしに、当該地域に輸出をしている輸出実績のある商社も十分考えて、この指定地域を広げるべきだという意見が業界に一般的にあったのでありまして、むしろ、われわれといたしましては、それに即応してやったというつもりでおったのでありますが、これによってもしも弊害が起こっておるということでございますれば、その弊害について是正をしなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  156. 田中啓一

    田中啓一君 買入方法のことでありますが、大体予定価格を立てて、そして競争入札をさせて、おそらく安いものから落していって、予定の数量に達したところで切るということでやっておられると思うのでありまして、そこで予定価格をお立てになる場合、必ず現地でどれくらいで買い上げる、運賃がどれだけかかる、それから輸入業者の手数料はどれくらい見なければならないかというような勘定をしておられると私は思います。だれがやってもそういうことよりほかにやり方はないと思うのです。そこで輸入業者の手数料というのは、どれくらいにごらんになっておるのでありますか。
  157. 清井正

    政府委員(清井正君) やり方につきましては、ただいま申し上げた、また田中さんのお話しの通りだと思いますが、輸入商社の手数料はちょっと間違っておったら訂正いたしますが、〇・四か〇・五%を輸入商社の手数料として加算して入札をいたしておるのであります。もっとも入札に応ずるほうがどういうふうに応ずるか、これまた問題でございますが、ただ私どもの計算の基礎は〇・四から〇・五%だと思いますが、間違っておりましたら、またあとで訂正いたします。
  158. 田中啓一

    田中啓一君 そこで、まあかりに〇・四%にしましても、何分大きな金額でありますから、輸入商社としては、あるいは貿易商としても非常に目をつけていたいものであるということは間違いない。そこでおれもやりたい、われもやりたいということが、指定を受けたかった者から世論的にも出るということも、私はこれは当然なことだと思います。そこで、まあそういった貿易商から相当強い要望もあったということは、これは長官のお話しの通りでございましょう。そこでもう一つ理由といたしましては、輸出をしておる者にも輸入さしたらどうか、その方が貿易のエーゼントとして考える場合には適当ではないかという一つ理由もあった、こういうお話しでございました。これも一般的に言えば、ごもっともなことだと私は思います。思いますが、これはどうも何ですね、一体その貿易の話は、私はそう詳しい方ではないのですけれども、輸出というものはなかなかもうからんものです。輸入はもうかるものだというのが常識なのです。そこで輸入をやらなければ貿易は立っていけない、こういうことで今のような業者の世論的なものになったというわけでしょうが、ただそういたしますと、これは非常にやかましいことを言うて、内地の食糧の価格を押えてやっておる現在、従って輸入食糧もなるべくは高くはしたくないわけです。その犠牲において結局貿易の振興をはかる、もっと極端に言えば、貿易業者の利益をはかる、こういうことになるわけです。そういう犠牲を、一体食糧特別会計が払わなければならぬか、これは非常に問題じゃないかと僕は思う。そういうところまでお考えにならなかったものでしょうかどうなんです。そこらの一つ御見解をお伺いしたいと思うのですがれ。
  159. 清井正

    政府委員(清井正君) 私どもはこれによって国が損失を起すと実は思ってないのであります。と申しますのは、ただいま申し上げたようなことでございまして、マージンは〇・四ないし〇・五ということで計算をいたしておるのでありますが、私どもといたしましては、先ほどの御質問に対してもお答え申し上げたのでありますが、最近売手市場から買手市場に変ってきているのでありますから、毎年々々協定を改訂いたしまして、前年よりは本年はさらに品質のよいものをというわけで毎年毎年買っておるわけであります。協定につきましても、できるだけ値段を安くいたしまして、質のよいものを値段を安く買うということに毎年努力を払ってきているわけであります。そういうことでもって毎年特別会計におきまする買価の値段と申しますか、そういう意味の負担を軽からしめるという努力をしてきているわけであります。私どもがこういう商社を指定したことも、実はそういう目的に沿ってやったわけでありますが、今いろいろ御批判を受けたのでありますが、そういうような観点から今まではむしろ少数のものに独占させて、不当に高いじゃないかというので、むしろふやしたらいいという声も聞いておったのであります。たまたま事情が変りましたし、いろんな情勢が変ってきましたので、こういうこともやったわけでありますが、本来われわれが指定した商社をふやしたというねらいは、結局公正な競争によって、いい品物を安く買おうじゃないか、今までのように商社が少なければ少いなりに弊害が起って、割合割高なものを買わされるかもしれないというので、むしろそういう今の御趣旨に沿うのじゃないかということでもって指定商社をふやしたというわけであります。全体の考え方はそういうことで、決して不当に悪い米を買うというのでなしに、品物のいい米を割安に買おうということで、一々の国の交渉には時間を費すのでありますけれども、非常に折衝に折衝を重ねて、タイにしろ、ビルマにしろ、アメリカの国、その他の国々と非常に事務的な努力を払いまして、なるべくいいものを安く買うということで努力をしてやったのであります。この商社の指定も、こういう意味でやったつもりでありますが、その辺の趣旨は一つ御了承願いたいと思います。
  160. 田中啓一

    田中啓一君 もう少しお伺いしたいのですが、まことに正直な淡白な長官をいじめるようなつもりはさらさら私はないのであります。ないのでありますが、よくその間の事情を明らかにしたいという念願なんです。いまお話を伺いますと、まあタイでも、ビルマでも、輸入量なり価格なりの協定というものを政府同士でおやりになるように思われる、ことに量はそうだと思います。それから価格は政府がどの程度一体協定をしておられて、商社というものは買付の価格については、その腕前を発揮して安く買い付けて、そうして政府の方へは競争入札ですでに契約をしておりますから、安く買い付ければ、それだけ商社のもうけになるというような理屈になっているのでありますか、そうじゃないのでありますか、その辺はどうでございましょう。
  161. 清井正

    政府委員(清井正君) これはまあ商取引の問題でございますので、私の方は一定の価格を基礎といたしまして入札をいたし、入札の条件に合いましたものを、逐次きめていくこういうことでありまして、結局商社の努力と申しますものは、たとえば百ドルで政府の入札に応じて、自分は九十九ドルで同じ品物を買えるということであれば、その一ドル分だけは商社の努力の利益ということになるわけであります。マージンにつきましても、かりに〇・四であっても、自分は〇・三でがまんするということがあり得る。そういうところが商社の競争と申しますか、努力の範囲内であります。われわれといたしましては、各方面の情報を入れて、今度の米はこの程度の品質の物をこの程度買いたいということをきめまして、それによって指定商社の入札をする、あとは商社間の努力によるということでございますが、ただいま御指摘のようなこともあろうかと思います。
  162. 田中啓一

    田中啓一君 今伺いますと、買付値段というものは、輸入商社が向うの商社と、折衝の結果大いに腕前を発揮して、どれだけでも安う買ったらいいのだ、政府同士の間で価格については何の協定もない、こういうふうに伺いました。それはそれでけっこうだと思います。そういうふうにやって参りました場合には、先ほど外米の市場というものが、売手市場から買手市場になったから、買手の数をふやしても競争で価段をつり上げるようなことはないであろうとおっしゃいましたが、それは買手市場であろうが、売手市場であろうが、買手が殺到すれば、値段をつり上げるということは、私は変りないと思う。実は南方へはたびたび議員団が調査に参りまして、帰って来た人は、ほとんど全部異口同音に、一体買手の商社が多過ぎる、現在でも多過ぎると言われております。私ども農林省におったこともあるものでありますから、お前何とか少し骨を折ったらどうかというようなことを実はずいぶん聞かされたのであります。けれども、だいぶこちらのおったころとは年数もたちまして、いささか浦島太郎のようでございますから、別段そういう話に行ったこともなかったのでありますが、どうもそういうふうに、議員調査団からは、異口同音に、当時ですらも商人が多過ぎるということを言われておったのに、今度は急にふやされたものですから、いささか唖然としたわけなんです。どうも今長官の御説明だけではなかなかふに落ちない。結局長官も言われたように、これは強い輸入業者の要望によりました、ということになるのじゃなかろうかというふうにも思われるのでございます。その辺かえって指定商社が多いほうが確かに利益だ、自分らが研究の結果、事務当局の責任においてやったことだと、長官も先ほどから言っておられるのでありますから、明確に一つそこの御判断の理由というものをお伺いしておけませんでしょうか。
  163. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。今田中委員から言った通り、ここが事務当局と違うところで、私どもは常識的に判断して、商取引は信用というのが非常に基礎をなすのだ、ところが日本のバイヤーいわゆる商社というのは信用のおけぬのがたくさん来ているのだ、こういうのがかえってじゃまになるのだ、われわれがよく外地で聞くのはその声である。そしてもっと露骨に言ったら、各種のひもがついておるというようなことを大へん聞くのです。そこでひものない、もっとすっきりした信用のおける、外国の商社の信用のおける人を派遣してほしい。そうすればわれわれの信用のできる、ほんとうに国際的に見てよい品物を、きわめて安く日本へ輸出したいのだ、いかさまのような連中が来て、いかさまに取り扱うときに、往々にして、日本の国民にはお気の毒であるけれども、買っていくからお売り申すのだと、こういう声を聞いたのです。おそらく中山さんも同じだろうと思います。(「同じだ。」と呼ぶ者あり)そこで何の理由があって、どういう信用があるのか、今は資本閥もないわけですから、それはそれぞれの取引はあるでしょうけれども、もっと信用のあるしっかりした国際的に見て、日本の商社は世界のいずれから見ても実に常識的で、堅実な取引で、代金なんかまかせておいても、いつでも支払いができるというようなことであって、いわゆる国際信用を貿易の間に高める商社がほしいと思う。これはふやす商社が、それ以上のものが出ればいいのですが、現在としても多過ぎるところに、ますますそういうものをふやしてしまって、しかも長官の言葉で言えば、要望にこたえたというが、何の要望にこたえたのかちっともわからない。事務的な要望にこたえたというのは、日本の信用を失墜する要望にこたえたという結果にもたりがちである。貿易によって立つ日本としては、よほど考えなければならぬ。その結果、黄変米のようなものを押しつけられて、そして国民の健康を害し、国費を乱費し、信用を失墜する。こういう結果になるのでございます。私はもっといろいろなことを知っておって、保利農林大臣に三、四回注意したのです。当時一、二回は注意を聞きましたが、あとは聞かなかったのであります。その当時も困ったものだと思っておりましたが、それに拍車を加えてばか困るというような時代が展開されては、なお国民は困りますので、私は日本は貿易の振興、それによって日本の経済を安定させるというような上から、ここはしっかりした答弁をしてもらいたい。できたものをすぐやめろというわけではないけれども、今後貿易を開始されるときには、商社として、しかも日本の農林省が指定商社とするには、あらゆる角度から見て、信用のおかれるものをしてほしいという角度から質問するのであります。
  164. 清井正

    政府委員(清井正君) 指定の問題についていろいろお話を承わったのでございますが、これは私何度も同じことを御説明申し上げざるを得ないことになるのであります。これは昨年の夏ごろから、先ほど申し上げましたような貿易の振興という立場から、東南アジア等を中心といたしまして、ぜひとも輸入指定商社をふやしてもらいたいということが、通産省方面からもあったわけであります。かたがた先ほど申し上げた通り米穀市場がいわゆる買手市場に変った、あるいは近隣の中共、その他のごく近くの米の市場、韓国の市場などが回復し、あるいは外米の買付先が欧州など、方々に散らばっていたのが、東南アジアにだんだん固まってきた。こういうような事情に合せて、通産省方面からもそういうようなこともありましたので、そういうことも考えながら、何とかして要望にこたえたいということで、ずっと研究してきたのであります。ところがちょうど昨年の夏ごろから黄変米問題等を惹起いたしましたので、しばらくとだえておったのであります。それが今年の冬ごろ、いわゆる十二月から一月にかけまして、大体めどがつきましたので、それではかねて問題になっておりましたことを解決しようというので、先ほどからしばしば御説明申し上げておるようなふうにやり方を変えたのであります。そこでただいま変えたことによって、かえって弊害を起しておる、こういうようなお話しでございますが、私はむしろ今までは少かったので、少かったからこそ、ある程度少いことによる弊害がありまして、ふやそうという意見が相当あったので、それに応じて今回ふやすことによって、公正な競争によって、むしろいい品物を安く買える方向にいくのだということで、こういうことをやったのでありますが、ただいま逆な結果を生じつつあるという御批判を受けましたので、十分検討してみたいと考えております。私どもといたしましての真意は、先ほども申し上げた通り、こういうふうにすることによって、かえっていい品物が安く買えるという方向にいくであろう、こういうふうに実は考えたわけであります。
  165. 中山福藏

    ○中山福藏君 私、一つ農林省の方にお願いがありますが、指定商人の名前を全部知らしていただきたい。それからもう一つお尋ねしておくのですが、指定商人になるには、何か保証金か何か農林省に積むんですか、どうなっておるのですか。それから通産省の人の意見を聞いて云々というお話しがございましたが、これは議会の意見を第一にお聞きになるのが当然で、議員の意見というものを尊重してもらわなければ、私どもここで幾ら議論したって何にもならない。農林省の小さい役人さんなんかの言葉だけをあなた方の参考にされて、おきめになることはちょっとどんなものでしょうか。それからあのバンコックにも一人通産省から出張されておった。その人は非常に恵まれた生活をしておられたということは、私はこの目で見てきたのですが、だからそういうふうな海外に派遣された通産省の役人さんなんかが指定商人からいろいろなことを聞かれたということを、それだけを基準にしていろいろなことをきめられては、実際困る。私どもは海外に出張していろいろなことを見て、この議場で皆さん方に御報告申し上げ、またそれに基いて質問するというのは、これは一つの参考資料を提供しているのですけれども、そういうことは何も参考にせずに棚上げにして、ただ通産省の役人の意見を聞いた……、そういうことじゃ、ちょっと軽率じゃないかと考えますが、どんなものでしょうか。
  166. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまのお話の最初の点でございますが、これは別に保証金のようなものを積み立てることにしていないのでございます。こちらから必要あれば指定するということになっているわけであります。  ただいま議員の意見を聞かなかったじゃないかというお叱りを受けたのでありますが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げたことでございまして、むしろこういうふうに買った方が、食糧の輸入のためにいいのではなかろうかということで、実はいたしたわけであります。なお、いろいろ問題等がありますので、その点については十分検討させていただきたいと思います。  通産省関係の方からも要望があったということを申し上げましたが、これは昨年の夏以来、通産省関係の方から輸出振興の立場から、そういう観点から輸入商社をふやしてもらいたいという要望が、それは部内の話でございますが、部内の話し合いであったということもあるわけであります。
  167. 中山福藏

    ○中山福藏君 名前を知らしていただけますか。
  168. 清井正

    政府委員(清井正君) 承知いたしました。
  169. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後五時五分散会