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1955-05-12 第22回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十二日(木曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————    委員の異動 五月十一日委員雨森常夫君辞任につ き、その補欠として、西岡ハル君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            西岡 ハル君            堀  末治君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            久保  等君            永岡 光治君            湯山  勇君            曾祢  益君            田中  一君            深川タマヱ君            武藤 常介君    委員外議員            高田なほ子君   政府委員    調達庁不動産    部長      山中 一朗君    防衛庁政務次官 田中 久雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁教育局長    事務取扱    都村新次郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    防衛庁装備局長 久保 亀夫君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    防衛庁次長   増原 恵吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付)(予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれより予算委員会を開会いたします。  本日は防衛計画について御審議を願うことにしたいと思います。まず、防衛庁石原経理局長から御説明を伺いたいと思います。
  3. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) お手元に差し上げておる資料二つあると思いますが、一つは「昭和三十年度防衛庁予算大要」というものと、もう一つ昭和三十年度予算による装備施設船舶航空機等整備計画を一番上の標題といたしております少し厚い資料と両方ございますが、まず「昭和三十年度防衛庁予算大要」という方で差し上げております資料につきまして、予算の大体を申し上げて、もう一つの方はこれは資料でございまするので、御覧を願う部分が大部分だと思いますが、どういうものがあるかということを一応御紹介をそのあとでいたします。  「防衛庁予算大要」という第一ページのところから第二ぺージにかけまして、予算額内訳が前年度との比較におきまして載っております。二ページの方のトータルを先に御覧を願いますると、トータルは三十年度の計のところにおきまして八百六十八億百万円という数字が三十年度計(A)という欄に出ております。前年度比較いたしまして差引増のところに御覧になりますように百二十五億円の増、前年度は七百四十三億と一応申しておりますが、正確には七百四十二億八千五百万円、これで百二十五億円の増になっておるわけであります。そのうち御承知のように防衛庁費二つの項からなっておりまして、防衛庁費という項と防衛庁施設費いう項と両方あります。防衛庁施設費の項は、これも御承知でありますように施設整備費という営舎その他施設関係経費と、船舶建造費という目と二つの目になっておりますが、その両者を合せますと防衛庁施設費の項とこの両者があるわけでございます。内訳御覧になりますように防衛庁費は二百十九億の増であり、防衛庁施設費は九十四億六千四百万円の減であると、こういう数字に相なっております。それは私どもの仕事の範囲外に亘ることでございまするが、便宜防衛経費の総額を前年度のワク内に押えるところの計算を、これは大蔵省からもらっておるものでありますが、ちょっと御参考にごく簡単に申し上げます。前年度はそこに御覧になりますように七百四十二億八千五百万円という数字、これをラウンド・アップいたしまして七百四十三という計算をいたしますと、これに防衛支出金二つ項目が入っておる。一つ防衛分担金の五百三十二億円、それから施設提供費の五十二億円、合計いたしまして千三百二十七億という数字に相なっております。本年度の八百六十八億のところで同じ数字を申し上げておきますと、防衛分担金、目の名前米国支出金でありまするが、その合衆国軍支出金の方で三百八十億円、施設提供費の方で七十九億円、合計が千三百二十七億円、差引増減のところで見ますと、防衛分担金の方が百五十二億円の減、それから施設提供費が二十七億の増、防衛庁費におきまして百二十五億円の増、これでプラスマイナスでゼロということに相なっておるわけであります。  それからこの最初の表は前年度比較をいたしまして増勢、現態勢維持という言葉で分けております。これは前年度以来申し上げておる言葉でございまするので御了承を願っておると思うのでありますが、現態勢維持と申しますのは、前年度末と申しますか、当該年度初めと申しますか、その年度におきます陸、海、空、その他附属機関などの人員あるいは制度というものを維持いたしまするのに必要な経費でございます。  この際船の関係についてだけちょっとお断わりを申し上げておきますと、船の関係建造計画というものがある年度に立っております分は、これを便宜態勢維持に見ております。従いまして二十九年度の現態勢維持と申します場合は、二十八年度におきまして頭を出しておりまする船舶は、これは一応その系統に入れております。現実に船ができ上るのは御承知のようにおそいのでありますが、境目はそういうような分け方をいたしております。従いまして三十年度の現態勢維持と申しまするのは、二十九年度末の制度というものを維持するための経費である。増勢というのは新年度におきまして新規増になる経費である、これは申し上げるまでもございません。そこで三十年度におきましては現態勢維持の計六百二億、前年度七百四十三億、これは当該年度の当初におきましては御承知のように七百八十八億でありますが、一割節約後におきまして七百四十三億、これがそのまま態勢を維持する経費になりますと六百二億に減少いたしておる、こういうことになっております。これは前年度比較いたしますと約七十五億増になっております。それに対しまして増勢の方は前年度は二百十八億、本年度は二百六十六億、差引本年度の方が五十億弱でありますが、ふえております。これはいろいろプラスマイナス増減の結果であるということは申すまでもないのでありますが、一つファクターとして申し上げておきますことは、前年度におきましては二万人の陸上自衛隊増員をいたしたのでありまするが、この際におきましてストック・リプレースというものを充用いたしまして、装備品関係におきましては新規購入をいたさないということになったことは御記憶であろうと思うのでありますが、その種と申しますか、そういうようなものは三十年度においては期待はできません関係で、その関係が二十九年度には大きく響いているというように考えております。それ以外の増勢内容はもちろん去年度と違いますから数字は違うのは当然でありますが、一つの大きなファクターはそういう点にあるというようにお考え願っておきます。備考国庫債務負担行為と、こういうことになっております。このトータルは、御覧のように三十年度においては百五十四億八千万円、前年度八十億であります。差引七十四億八千万円の増になっておるというわけでございます。これは陸海空、技研という四種類のいわば機関別区分になっておりますが、これはむしろ御説明申し上げます際には、この費目内容のほうから申し上げたほうが、おわかりがいいかと思いますが、費目から申しますと、施設整備費というのが一つ陸、海、空を通じてございます。それから船舶建造費は海にだけございます。それから器材費というものが陸、空、技研という三昔にわたってございます。  そこでまず最初施設整備費でありますが、これは御承知のように陸におきまするところのキャンプ、演習場あるいは飛行場、海における港湾関係施設、あるいは陸上宿泊施設、事務所の分、並びに航空機、それから飛行場関係、あるいは学校関係、こういうようになっておるのでありますが、この関係では、そこで御覧願いますように前年度に比べまして海が八億の増、空が二億の増、陸におきまして三十一億の減になっておりまして、差引二十一億円ほど減になっております。これは施設計画の両年度の差によって出て参るのでありまして、金額的にはむしろそこでは減少に相なっております。  第二の船舶建造費でございますが、これは前年に比べまして倍でもございませんが、三十三億が二十七億余りふえておる、こういうことでございます。これは申すまでもなく、両年度建造トン数関係及び予算予算外契約のいずれに計上したかということの関係でありますが、特に本年度におきまして申し上げておきますことは、相当船舶関係におきまして繰り越しが多いのでありますから、本年度におきまして繰り越し関係に留意をいたしまして、前年度は三分の一と申しますか、四割と申しますか、その両者の間約四割見当の金を予算に組みまして、六割強のものを予算外に回したのでございます。すなわち、船は御承知のように作りますのに警備船の方のは一年くらいかかります。従いましてどの程度予算化し、どの程度年度予算を繰り越すかということは、見通しの問題になるのでありますが、前年度はそういうような程度繰り越しをいたしております。ところが、御承知のようにこれは二十八年度船舶建造着手がおくれた関係もございますが、その関係でおせおせになりまして、必ずしも消化が良好でございませんので、本年度におきましては、これは消化という点も考えてみまして、四分の一、正確に申しますと、船体機関を分けまして、船体につきまして四分の一、機関につきましては二分の一、機関金額は小そうございますので、大体において四分の一とお考え願ってよろしいのでありますが、四分の一を当該予算において予算化し、四分の三を国庫債務負担行為に回しておる、こういうようなやり方にして、予算消化繰り越し関係というようなものにつきましては、前年度以来、現実状況というものをにらんだ計上のやり方をするわけでございます。  第三のグループ器材費でございますが、これは航空自衛隊航空機購入費として五十二億八千万円という金額がございます。これはその備考の下にありますF八六、二十七億九千九百万円、T三三、二十四億八千百万円というふうになりまして、大体二十八億がF八六の関係、二十四億八千百万円がT三三の関係合計しまして五十二億八千万円というような金額になっております。これは御承知通りF八六戦闘機、丁三三ジェット練習機、すでに御承知のようにT三四という飛行機はこれは現在すでに国産されておりまするが、この新らしいジェット航空機につきましてアメリカからの援助で部品、ライセンス、そういうものをもらいまして、こちら側で組み立てをいたすという形におきまして、国産化スタートを切るというわけで、この五十二億八千万のほかに予算が五億ございます。合計五十七億八千万をもちましてF八六、丁三三というものの生産着手いたしたい、それが三十二年度まで延びまする関係上、三十一年、三十二年度にわたりまして五十二億八千万という金額を計上したわけでございます。  もう一つグループ最後グループでありまするが、これは陸上自衛隊における十五億円及び技術研究所におきまして一億円であります。これは同じような性質に属するものでありまするが、これは従来御承知のように陸上自衛隊装備品甲類ということを申すわけでありまするが、砲を中心といたしましてあるいは戦車等装軌車両、キャタピラーをつけました特殊の車両、そういうようなものにつきましては全部アメリカ援助によりまして、スタート増員の初度装備及び年々の更新というものをアメリカ側期待しておった。ところがだんだん今後の援助見通しということに関連をいたしまして、日本側におきまして国産化の可能なものにつきましては、これを逐次可能なる範囲内におきまして、あるいは可能なる時期の限度におきまして、日本側国産化に切りかえて参ろうじゃないかということに相なりまして、アメリカのそういうような援助ともにらみ合せての関係上、こういうようなものは発注をいたしまして、現実に製造せられるまで時間がかかりますから、そういうことをもし教育発注ということでいいますならば、教育発注というような意味におきまして本年度製作発注をする。これが試作でございまするので、来年におきましておそらく試作ができる、本格的な国産化というのはそれからあとのことだと思いまするが、その第一着手という意味におきましてここで十五億の国庫債務負担行為をもちまして教育発注着手をいたしたい、こういうことであります。技術研究所の一億のほうは、そのうちでもっと技術的な検討を要します部分につきまして技研段階におきまして今申し上げた教育発注をいたす、こういうことであります。  次のページに参りまして定員が出ております。定員は一番右の下のトータル御覧になりますように三万一千二百七十一人の増であります。これは陸、海、空別御覧を願いますと、陸上自衛隊が二万二千、海上自衛隊が四千、航空自衛隊四千七百人ということになっております。二万二千人の陸上自衛隊の中で制服が二万人ふえるという点が主軸として、この二万人の増員をもちまして、合計陸上自衛隊は十五万人の制服職員に相なるわけであります。この三万一千人の増加をいたしました暁におきまする防衛庁自衛隊増員分というのは、昭和三十年度の計の一番下にございますように十九万五千八百人という数字になるのであります。このうちの制服が十五万人で、非自衛官と申しますか、平服の職員が一万一千人、この十六万一千人と海上が二万人、航空が一万一千人ということになります。全体で十九万五千人という数字になるわけであります。  次に3の点に参りまして、予算編成の前提といたしました自衛隊勢力というところの御説明を申し上げます。  第一が陸上自衛隊でありまするが、そこに書いてございまする定員は現態勢増勢ということに分けて、今定員の表で御説明申し上げましたことをまた書き表わしているわけであります。備考にございますように予備自衛官定員五千人分を予算化をいたしてございます。  次のページに参りまして、これをもちましてどういう部隊を作るかということであります。これは現在は御承知ありまするように、北海道に一方面、全国に六管区というものを持っております。これに対しまして、増勢分をもちまして九州方面総監部を作ります。従いまして北海道九州の両方面ができるわけであります。この下におきまして九州北海道におのおの一混成団というものを作ります。混成団と申しまする言葉は、あるいは自衛隊法をもって申し上げまするときには、場合によりましては名前が違って参るかもしれませんが、一応仮称としてお聞きを願いたいのでありますが、かつて混成旅団という言葉がございましたので、多少そういうような含みにおきまして混成団と申しております。今一管区が一万二千七百人、混成団の人数は六千五、六百人でございます。大体一管区の半分くらい。混成ということを申しまするのは、これは普通科のほかに特科特車施設というものを含んでおりまして、構成の点におきましては管区と大体同じようなものでございます。その混成団九州北海道一つずつおく、こういうことであります。このほかに独立の、今申し上げた管区、あるいは混成団に属せざる独立特科を二個大隊特車を一個大隊施設を一個大隊、今申し上げているのは現在の予想でありまするが、大体その程度のものを作ることを考えまして、人員計算をしておるわけであります。  次に、海上自衛隊でありまするが、海上自衛隊は先ほど申し上げましたように現在が一万六千人で、四千人ふえて二万人に相なっております。このうちの艦艇でございまするが、これは二十九年度建造計画分までを含めまして、三百七十四隻、八万二千トン、これに対しまして以下申し上げまする増勢を見込んでおるわけであります。十二はいで一万八百四十トン、これが完成いたしますると三百八十六はいの九万二千トンというのが全体の計画済み勢力ということに相なります。この増勢内訳でございまするが、一万八百四十トンは、九千二百四十トンを日本側が作り、千六百トンはアメリカ側からの貸与期待する、こういうことであります。この日本側建造分のまず第一の項目警備船甲でございまするが、これは千六百トンクラス、御承知の二十八年度予算をもちまして二隻建造することにつきましての議決をいただいておりまして、昨年秋以来契約をいたしまして、現在建造中であります。それと同じ形に属しまするものを四はい、これは経緯から申しますると、実は日本側におきまして二はい、アメリカ側におきまして域外発注ということをやってもらいまして、日本側にそのでき上った船をもらいたいということを考えまして、四はいの警備船は充実をいたしたいが、二はいはわれわれの予算でやる、二はいはアメリカ域外発注でやるということで考えておりまするが、折衝をいたしておりまするうちに、そういう期待が無理であるということがわかりましたので、これを日本側建造に振りかえまして、四隻をもちまして警備船の千六百トン・クラス四はいを作るということにしたわけであります。次に、中型の掃海船が三百二十トンのものが三はい、これが九百六十トン、雑船を含めまして、その中に旧駆逐艦「梨」というものがそこに書いてございまするが、これは戦争中に瀬戸内海において沈没をいたしましたもとの「梨」という駆逐艦であります。これは先ごろ引き揚げになっておりまして、揚げられました現状から見まして、相当良好な状態にございまして、エンジンのごときは大体みがき直して使うことができる状況に相なっております。従いまして、これに今申し上げたような改装と申しまするか、修理を加えまして作りますれば、大体二十八年度予算におきまして御議決を得ました警備船乙と申しまする千トン・クラス、千トンよりやや大きゅうございますが、それに大体相匹敵するものに相なりはせんかと存じまして、それの整備をいたしたいという分でございます。それを合計いたしまして九千二百四十トン、アメリカ貸与を得ますものが、SSというのは潜水艦であります。一ぱい千六百トン・クラスのものであります。本年の秋ごろに回航になるかと思います。合計いたしまして十二はい、一万八百四十トンという数字に相なっております。  次のページの海の航空機ということになりますが、これは二十九年度末に持っております飛行機が四十三機、このうちアメリカの供与を受けました飛行機関係が三十三機、日本側はKALという連絡機あとは全部ヘリコプター、三種類ヘリコプターで、合計十機、それに対しまして来年度アメリカ側から四十二機の貸与をもらいたいということを考えております。飛行機種類はそこに六種類ございまするが、大体まん中の二種類のPV2、P2Vというのが、これが一つ相関連したと言いますか、類似した機種であります。これは比較的足の長い長距離の哨戒機になるのであります。上の二つは、TBMと小型対潜機と書いてございますが、この二つが足の短いもの、最後PBY、JRFは水陸両用で、大体以上をもちまして三種類のものが大体海が持ちます対潜実用機と申しまするか、それの種類に相なるわけでございます。申すまでもありませんが、航空機の分属につきまして、航空自衛隊海上自衛隊の間を調整しました結果、練習機段階は全部航空自衛隊において使いますので、海上自衛隊にございまする方は、これは実用機ということに相なります。従いまして三十年度の末には八十五機というのが海上自衛隊航空機数字に相なります。この場合にどういうような部隊を作るかというようなことが下に書いてございます。これは大したことでございませんから、その次の航空自衛隊に進みます。  航空自衛隊六千七百人、四千七百人ふやしますので、一万一千五百人というのが、先ほど申し上げました定員に、三十年度中に相なるわけであります。航空機はどういうことに相なるかということでありまするが、これは現在二十九年度末のところまでで百九十一機という数字に相なります。このうちアメリカからもらっておりまするのが九十四機であります。日本側はT三四、これはメンターと申しまする初級練習機でありますが、この初級練習機を九十六機つくりまして九十七機、合計百九十一機というのが航空自衛隊数字であります。これに対しまして、来年度二百三十機を増加いたしますと、四百二十一というのが年度末、全体の数字に相なります。すなわち、これは上の方から御説明申し上げますると、F八六という機種がございます。これは五十四機、この五十四機は、大体戦闘機は二十五機をもって一隊といたすわけであります。ですから大体二隊で五十機、それに四機の予備を持つ、この五十四機をもちまして、後ほど申し上げますように戦闘航空団というものを作ります。この名前仮称でありまするが、一つ戦闘機隊グループができるわけであります。それが五十四機。C四六は前年度におきまして十機を持っておりまするので、六機を加えまして十六機、輸送機は大体十六機をもって一隊といたしますから、これで輸送機一隊ができます。ここが実用機であります。従いまして三十年度におきまして、戦闘機を二隊、輸送機を一隊というものが初めてでき上る。以下にございますものは、御承知と思いますが、T三四から始まりまして、T六G、SNJというのが二段階ジェットをやりますのは、その次のT三三という段階に入ります。T三三は五十九機のうち、九機が先ほど申し上げましたジェット国内生産、これを行いますが、九十七機のらち、来年度九機ができますので、この五十九のうち、九機は今申し上げました五十九機の中に入っております。F八六は後ほど申し上げまするように、三十年度にできませんので、五十四機全部を完成機としてアメリカ側期待するということに相なります。そこで(注)にございまするような実用機練習機という区分をいたしましたので、先ほど申し上げましたF86とC46が実用機、それ以外は練習機であるということに相なるわけでありまするが、その(イ)(ロ)(ハ)の(ハ)に教材機というのがございますが、これは整備学校などにおきまして、飛行機をばらしたり組み立てたりいたしまして、いろいろ整備の訓練をいたします。そういうことのために、アメリカ側が、本年T33を十一機、F86を十一機、合計三十二機をくれるということに相なっております。これは別に運航するわけではありませんので、運営の経費はございません。ただそれをもらいまして整備員がここに据え付けて、今のようにばらしたり組み立てたりするということに相なるわけであります。それを合せますと、本年度の全体の増加機数は二百五十二機になりますが、部隊に編成せられ、従って運航の経費を必要といたしまするのは二百三十機であります。教材機のほうはそういう意味でごらんを願います。  それから次に、部隊はF86五十四機をもちまして戦闘航空団、先ほど申し上げましたような戦闘機隊が二隊でき上りまするので、それを一つグループというものを考えております。あとは操縦学校などが、こういうように全体の規模が大きくなりまするので、分教場、分校というものが殖えるということが書いてあるわけであります。  次のページに参りまして、予算編成の前提といたしましたMPAPの期待が、陸海空に分れて書いてございます。第一が陸上自衛隊でありまするか、これは編成装備品、先ほど申し上げました装備品甲と申しますのは大砲、戦車というようなものでありますが、これは従来通りMDAP期待とした。これは先ほど申し上げましたように、教育発注意味におきまして十五億円の発注をいたしまするが、これは三十一年度におきまして試作ができ上るのでございますので、本年度は別にそれで定数にあてるというわけに参りません。従いまして、従来通りこれをすべてMDAP期待としております。装備品につきましては、これは今後は期待できない筋合と申しまするか、状況にございまするが、ただ日本で国産ができないものがございまするので、そういうものにつきましては、原則として、日本のできない分、通信機などの部分がございまするが、そういうものにつきましては向う側からもらうことにいたしております。数字の点は、のちほどごらんを願えば、参考資料のほうに出ております。施設といたしましては、主として九州地区におきまして九千人分くらいに当りまする施設の解除を期待をいたしておるわけであります。あとは従来通りMDAPの資金によりまして、アメリカにいろいろの学校がございまするので、そこに留学生を出す。それからいろいろな技術的な点につきまして、極東陸軍に頼みまして委託教育を受けると、こういうことであります。  海上自衛隊は、先ほどごらん願いましたように、SS潜水艦一ぱい期待、それから航空機のMDAP期待は、先ほどごらん願いました四十二機、施設の返還はあまり陸上のような大きなものはございません。  航空自衛隊でありますが、航空自衛隊は、そこにごらんになりまするように、アメリカから期待いたしまするのは百九十四機の定数分、それから教材用といたしまして二十二機、合計二百十六ということに相なります。このことについては先ほどごらん願いましたところで明かな通りであります。あと通信機などの日本でできにくいものをもらう。航空基地の一部返還あるいは共用期待、それからMDAPにおきまする米国の留学生、航空機の修理用部品、弾薬ということがございまして、それからあと航空機生産関係F86、T33の問題がやや詳細にございます。F86は大体七十機、T33が九十七機ということで、日本とアメリカの間におきまして経費を分担いたしまして計数を出す。大筋で申し上げますると、アメリカ側で部品を作りまして、これをMDAPといたしまして、日本側によこす。日本側はその運賃なり組み立ての費用、一部の副資材等を用いまして完成品といたすと、こういうことであります。これ全体を通じて見ますると、大体日本側が三割強くらいの負担になる。アメリカが七割弱ということになります。七十機の生産は、そこに生産計画でごらんになりますように三十年度にはできません。三十年度に三億ほどの予算が計上してございまするのは、これは運搬費の関係であります。三十一年度に二十七機、残りの四十三機が三十二年度にできるという生産計画に相なっております。三十年度予算には、運搬費といたしまして、歳出予算に三億四千三百万円、それから器材費のほうは先ほどごらん願いましたように、約二十八億、二十七億九千九百万円というので、三十一年度にできます二十七機、三十二年度にできます四十三機を賄うということで年度区分をいたしました予算外契約をもっております。T33のほうは三十年度に九機できまして、三十一年度に六十七機、三十二年度に二十一機、合計九十七機でございます。このほうはできます関係上三十年度予算合計いたしまして一億五千六百万円の予算がのっておりますが、このうち運搬費が四千四百万円、器材費が一億一千二百万円、これは九機分の負担に当るのであります。国庫債務負担行為は先ほどごらん願いました二十四億八千百万円でありまして、その次にございます五十七億八千万円というのが予算予算外合計でございます。これをF86とT33に分け、これを運搬費、器材費に分けまして年度区分をいたしましたのが、この最後の表になるわけでございます。大体三十一年度におきまして二十八億八千万円、三十二年度におきまして二十四億円というのが後年度に残るわけであります。  大体今のところで大要の御説明を申し上げたわけでありますが、表のほうはごらん願い、また御質問があればお答えいたします。これは大体の御紹介だけ申し上げます。  最初の表が昭和三十年度予算による装備施設船舶航空機等整備計画陸上自衛隊が第一ページに始まりまして、歳出予算に初度装備品費といたしまして五十五億円、それから国庫債務負担行為が先ほど申し上げました十五億円、合計いたしまして七十億円というのが初度、それから更新費、御承知のような編成装備というものを従来からやっておりまするので、その更新の関係が二十億円、合計装備系統におきまして歳出予算が七十六億、国庫債務負担行為が十五億、合計九十一億というのが装備系統の金であるということが書いてあります。二ページに参りまして、施設でございまするが、施設合計が、下でごらんになりますように三十四億四千六百万円、このうちいわば増勢のためのものが十四億五千万円でございまして、これが歳出予算七億五千万、国庫債務負担行為七億円ということに相なっております、内訳はそこにごらんになりますように、新設営費以下で、歳出予算トータルが二十七億四千六百万円ということになりまして、十九億七千万円が前年度国庫債務負担の系統に属しまするいわば前年度着手をいたしました増勢の分であります。  次が海上自衛隊でございまするが、これは船舶内訳がございまして、警備船甲十七億三千万円というものが一隻あたりの額、これは二十八年度予算の御議決を得まして現在執行しております。この契約におきます単価を見ましてこの単価を組んだのであります。このほかに前年度国庫債務負担行為系統の金が二十九億でありまして、トータル百十五億、そのうち歳出予算に五十五億、国庫債負担行為に六十億であります。ここで申し上げるまでもなく、歳出予算には前年度の二十九億が入っているのでありまして、現体制だけでごらん願いますと、約二十五億と六十億という割合になっております。それから三ページ施設内訳がございます。これも航空基地以下で歳出予算が二十一億八千万円、国庫債務負担行為が九億九千万円、これが前年度国庫債務負担行為の分が一億八千万円ほどございまして、合計三十三億九千万円の総額、このうち九千五百五十万円が予算外契約ということに相成ります。  次に航空自衛隊でございまするが、航空自衛隊は、航空機の購入計画はT34が二十七機でございます。単価は二千二百五十万円で六十億円、先ほどちょっと申しおくれましたが、軽ジェット練習機、これはジェット練習機というものをどういうふうに将来持っていったらいいかということにつきまして、三機ほどの飛行機を買いまして、これを技研におきましていろ  いろ研究をいたしまして、もちろん航空自衛隊の協力を得まして研究をいたしたい、その意味での研究費のようなものでございまするが、それが三機ございまして合計八億、(ロ)はジェット機の国内組立計画でございますが、これは先ほど申し上げました系統に属することが書いてございます。(2)に、施設でございますが、これはトータルが二十五億円、そのうち新規系統に属しますものが十八億円、歳出予算が九億四千万円、国庫債務負担行為が九億円ということに相なっておるわけであります。  次の五ページに参りまして、二十九年度国庫債務負担行為によりまして、どういう発注をいたしておるかということでありますが、これは先般の休会前の国会におきまして、繰り越しの見込みにつきましての二百二十七億ということを申し上げたのでありますが、その後現在におきましては、まだ最終的な計数を締めておりませんが、二百三十三、四億か、あるいは五億近くになるかと思っております。そのうちにおきまして、相当の未契約繰越額を持っておりますので、まあここにおくれた理由が若干書いてございますが、国庫債務負担行為によりますところの契約に至らなかったということが書いてございます。  次の三十年度国庫債務負担行為によります発注計画がございます。これは先ほど御覧を願いました施設内訳施設の系統で大きくひっかけまして、国庫債務負担行為七億とか、九億九千五百万円ということが書いてございますが、これをさらに内訳をいたしまして、国庫債務負担行為に該当いたします金額内訳が書いてあるわけでございます。陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊、大体施設整備費器材費と、それから船舶建造費、趣旨は大体先ほど予算の概要におきまして申し上げましたものの内訳であります。  次に横の表になりまして、三十年度器材費予算内訳がございます。これは陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊の三つに分けて出ておりまして、ここにありまするトータルは、一番右の表にございますように、二百六十七億五千二百万円でございますが、合計という欄に陸、海、空という二百六十七億五千二百七十三万四千円という数字が出ておりますが、これに対しまして(注)(1)の防衛大学以下器材費を加えまして、その(注)(1)の四行目に書いてございます器材費の総額二百八十一億八千六百万円、この数字予算書にございます器材費の総額であります。国庫債務負担行為のことが(2)に書いてございまして、これは先ほどのところに内訳がございます。  次が防衛庁施設費の、これは予算科目によります分類がいたしてございます。すなわち、事務費系統の金、整備費といたしましては、工事費、不動産購入費、移転費等補償費、これが大体予算の目録の類であります。備考に大体どういうことかという説明が書いてございます。  次が三十年度増員をいたしまする陸上自衛隊の月別の人員充足予定が書いてございます。今回は採用は、ここで御覧のように、大体三回でございますが、小さいものを除きまして、大きく採りますものは三回に分れております。大体ここに御覧のような充員のいたし方をいたします。  次が海上自衛隊、三枚目が航空自衛隊、おのおの先ほど申し上げました増員の充員順序が書いてございます。  その次の表が二十九年度防衛庁予算の執行状況調でございまして、先ほど申し上げましたように、大体二百三十三億をやや上回るぐらいの繰り越しに相なるかと思いますが、これが三月三十一日現在におきます状態です。前年度に比べてややよくなってはおりまするが、施設費の系統におきましては、これはあまりよくないようであります。  次のページがMSA協定に基きまする三十年度供与期待装備種類、数量、金額、維持費であります。第一のページ陸上自衛隊の分でございまして、火器類、特車類、車両類、通信機類、こういうことであります。これは申し上げておきまするが、二十九年度までにもらっておりますものは多少でこぼこがございます。もらい過ぎの分もあり、もらい足りない分があり、それと今回二万増勢の分を付け足しまして、その差額を要請をいたしております。従いまして、この数量は、二万の今回の新規増員に正確に合うものではございません。従ってそのことはお断わり申し上げておきます。備考に書いてございますように、新品価格を一応推定いたしましたので、推定価格といたしましては、やや大担でございますが、六割という、価格を一本にしまして、現在価格を推定いたしてみたのであります。六割ということにつきましての、そう確たる根拠はございません。まあその見当だろうかということであります。年間の維持費は、この備考に書いてございますように、手入費、あるいは修理費、稼働燃料というようなものが計上してあるわけであります。  次に艦艇、これは海は艦艇でございますが、これは潜水艦一ぱい、これも同じように新造価格を見まして、これによって現在価格を六割というふうに推定をして、これは先年来P・Fをもらいまして以来、現在価格を推定いたしますと、大体六割ということで、従来からも表を差し上げておるかと思っております。実は陸上の方は昨年までは新品価格だけを出しておりまして、推定価格というものを出してなかったと思っておりますが、本年度は多少そこら辺を見まして、六割という推定価格を出したわけであります。  それから航空機でありますが、これは航空自衛隊の分と海上自衛隊の分とが一緒に航空機というまとまった、項目の下に入っております。これも新品価格を見まして推定いたしました。現在価格というものは新品価格の大体八割ということで、維持費は大体直接の人件費、それからあとはその人間に伴う費用のほかに、修理費と燃料費を見ております。申し上げておきますが、更新費を見ておりませんので、全体の費用を見ていただく場合においては、これに更新費を見ていただかなければなりません。現在のところ更新の関係予算の中に入っておりませんので、それが抜けております。  次は増勢終了後におきます平年度維持費であります。これは陸上自衛隊がここに掲げておりますような人員、ここに掲げておりますような部隊というものをもちまして、平年大体特別退官退職手当、大体二億ぐらいになります。これを含めまして、大体五百億という数字を見ております。  次に海上自衛隊でありますが、ここに掲げておりますような人員、ここに掲げておりますような艦船、従いまして三十年度建造または改造いたしますところの艦船が全部でき上がるといたしました上での九万二千トン、先ほど申し上げました九万二千トンの船が全部でき上った場合におきまする運航費であります。現実には、三十年度発注いたしまして建造着手いたします船は、三十二年度にならないと運航いたしませんので、三十年度においてはこの金額より下回るということを申し上げておきますが、いずれにいたしましてもこの計画のものは平年的に運用いたしますところの経費、これに先ほど御覧願いました航空機の八十五機というものを合せまして、大体百三十億円。  次に航空自衛隊でありまするが、航空自衛隊は、ここに掲げました人員、それから全体四百二十一機という飛行機を見まして、平年度大体九十億円。  以上が大体三十年までに、増勢を含めましたその計画が完了いたしましたあかつきにおきまする平年維持費の総額であります。  以上をもちまして御説明を終ります。
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) 何か御質問がありましたら……。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ジェット機の単価が出ていない。
  6. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) お答えいたします。ジェット機の単価と申しますと、今供与を受ける航空機計算としましては、大量生産数字で、一応九千何百万円と見ておりますが、今度共同のプランで負担を分担してやる計画になっております。F86の方の七十機の単価は、これは全く今日の計画ということでございますが、向う側とこちら側と合せまして大体一億七千万近くになるのではないかと思います。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一億七千万の内訳は……。
  8. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) つまり日本側と米国側の内訳は、これが日本側が四千五百万、向う側が約一億二千何百万、T33が、総額が、ノックダウンその他で違いますが、平均いたしまして六千八百万円であったと思います。そのうち二千八百万が日本側の負担、残りがアメリカ側の負担、F86とT33につきまして、負担割合は、その数字でごらんになるように、若干違います。F86の方は二割五分程度になります。丁33は四割程度になります。T33については、一部ノックダウンして、一部国産化に入るということを考えておりますので、部品の国産化を含む方は日本側負担というふうに多分なる、こういう計算をいたしまして、経理局長より説明がありましたように、総体で三割強の負担割合になるのであります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 このF86の部品関係は、アメリカはこの生産をもうやめたと言っていましたがね。今後そうなると全部日本でそれを作るようになるのか、もしアメリカ生産をやめて、部品を必要になったときは、それは来なければ使えないわけですから、その内容はどうなるのですか。
  10. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) アメリカ側でもF86の生産は今日いたしております。もちろんいたしておりまして、そのうちから部品をこちらへくれる。それからNATO方面にも供与しておるように聞いております。それからとりあえずこの七十機については、全部ノックダウンでありまして、それについては一応一年分のスペアパーツも多分くれるのではないか、かように思っております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これから生産をやめるのか、F100をアメリカは新しく生産すると言われております。私が聞いたのは、今後アメリカがF86の生産をやめるのか。その点はこれは非常に重大な問題ですから、十分お調べになっていると思うのですが、部品関係アメリカが今後F86を生産をやめるというのに、日本がF86をどんどん作っていく場合、部品が足りなくなればそれきりですから、その関係は十分調べておく必要があるのではないかと思います。その場合はもう日本で全部国産化するのか、その点を聞いてみたのですが、今のお話では、まだアメリカで作っておる。だからそういう点考慮しないでいい。アメリカがF100に移行してだんだんアメリカ以外のところはF86のお古と言っては悪いのですが、そう言っていいかどうかわかりませんが、アメリカはもっと性能のいい超音機ですね、超音速度のF100を使っていく、こう言われる。そうなると、今後日本がアメリカより非常に性能の、技術的なことよくわかりませんが、少くもF100よりも性能の低いものを日本、朝鮮、台湾、東南アジア、そういうところはそういうものを使う。アメリカはそれよりも一歩進んだF100を使っていく。こういうことを、私はこれは素人でよくわかりませんが、仄聞したのですが、そういうことと、この日本のこれからジェット戦闘機をだんだん作っていく。空軍に重点をおけとアメリカが言っておるのですから、それに従って空軍を増強するような方針になっている。そういう点はどういうふうに防衛庁としては考えておるか。重要ですからお答えを願います。
  12. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 今お尋ねの点につきましてはF86を将来どういうふうに使っていくかという問題が一点あると思いますが、これは私どもの今日の判断では、西欧諸国においても、もちろん第一線機であります。アメリカでもお話のようなF100というような高性能のものが一部使用されかけておるということは承知いたしております。全体の大勢から見まして相当長期、少くとも五、六年という段階においては、西欧諸国なりあるいはわが国の実情から見れば主力として活動するという判断に基いておるわけでございます。  それからもう一点の、F86につきまして、アメリカ側がF100に大量に切りかえられていきますれば、その時期には若干部品等について、あるいは日本で生産することも考えなければいかんという段階がくるかと思いますが、今日では今申し上げたような判断をいたしております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは当分アメリカはその部品関係については、これは援助してくれるわけですか。MSA援助としてくれる……。
  14. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 七十機のノックダウンについては一年分のスペアパーツをとりあえずくれますが、将来についても他の武器と同じような考え方で援助をしてくれるものと、かように考えております。
  15. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) ちょっと関連して。  今木村さんの御質問の中でですが、御答弁ですが、航空技術審議会の答申案の中では、六年後に向って超音速機を生産する。あるいは大型ジェット機を生産する。いわゆる国内生産に切りかえていく答申案が出ているわけです。そうすると、先ほどの御説明と、この答申案というものの関連がちょっと違うかもしれないのですが、これをどういうふうに計画の中に入れておりますか。もう一度お伺いします。
  16. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) ただいまの航空技術委員会の答申につきましては、私の記憶しますところでは、当面の段階としては今日の世界の水準を目標とするというふうに了解いたしておりまして、ここ数年の間に今日第一線機であります亜音速機についての技術を完成する、かように私どもは了解しております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはジェット戦闘機というのはどういう役割をやるのですか。
  18. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ジェット戦闘機は名のごとく戦闘機でございまして、敵機の来襲に対してこれを撃墜するというのが任務でございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 敵機の来襲のときにこれを撃墜するだけなのですか。将来、最近の新聞に、何ですか、アメリカで日本には爆撃機を持たせると言っているということが新聞に出ておりましたが、だんだんわれわれの感じですと、単に日本を守るというだけではなくて、攻撃的な態勢に移行しつつあるように考える。自衛というところから一歩進んでそういう感じを受けるのですが、その点どうなのですか。
  20. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 防衛庁が将来爆撃機を持つというようなことは、現在考えておりませんし、そういうことも聞いておりません。敵の方に積極的に進んで行く武器というものを持つということも考えておりませんし、特に航空機についても、そのような意思は考えておりません。どこまでも敵の侵入に対してこれを撃墜するというようなこと、爆撃機あるいは戦闘機の侵略に対してこれを撃墜するということが、どこまでも目標であります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、敵機が来るのを待っているわけですか。待っていて、来たら撃墜するという、こういう役目をやるわけですか。
  22. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 敵機の来襲を待って、これを迎えて撃墜するというわけです。自衛のためです。
  23. 永岡光治

    ○永岡光治君 どこで迎えるのですか、どこまで。
  24. 林一夫

    政府委員(林一夫君) これは、わが上空に侵入したときに迎えるということになるのですが、そのときは、もちろんこれは防衛出動ということになりまして、内閣総理大臣が国会の承認を得て、その必要がある、直接侵略があって、これを防衛する必要があると認めた場合にやるということになっておるわけであります。
  25. 永岡光治

    ○永岡光治君 ジェット機は爆撃をしないで、敵のまあ飛行機を相手に考えているというのですが、もし敵側が艦船をもって押し寄せてくるというようなときには、飛行機は、ジェット機は使わないのですか。
  26. 林一夫

    政府委員(林一夫君) お答えいたします。敵の艦船に対する爆撃というようなことはいたしません。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう少し、もうこの段階になりましたら、大体いろいろなことは新聞に出ているのですから、しろうとだまし的な答弁ではなく、もっと突っ込んだ、ほんとうの、われわれが予算委員として納得できるような、専門的な答弁をしてもらいたい。われわれ聞いているところによりますと、結局日本の防衛計画だって、作戦計画だって、日本だけではできないことになっているわけでしょう。アメリカ軍と一緒にやるのです。そこにやはり役目が、分担があるとわれわれは聞いているわけです。そういう、よそを爆撃したり何かするということはアメリカが引き受けて、そうしてこの上空を守るのは日本がやる、そういうようなことも聞いておるのですが、アメリカの作戦がわからんから、日本だけの、中途半端の一面だけを説明しておるから、どうしたってわからないのです。そうでなしに、全体としての軍備計画、あるいは作戦計画、そういうものをもっと専門的に、この予算委員会に話してくれないと、ただ新聞に出ている解説程度じゃしょうがないのですよ。予算委員として、今後の予算が、防衛費を中心として非常にふえていく傾向がありますので、そういう点はもっと突っ込んで、専門的に一つ軍備計画なり、あるいは作戦計画、そういうものを一つ、どうなっているのか説明してもらいたいのです。そういうことを、方針を説明してもらわないとわからんわけです。三十年度の、さっき御説明になった予算の基礎として、どういう軍備計画を用意し、どういう作戦計画を考えているか、この点一つ説明していただきたいのです。
  28. 林一夫

    政府委員(林一夫君) まあ仰せられました全般的な戦備計画とか防衛計画というものは、実はまだはっきり申しますと、防衛計画というものは考えておりません。ただ現実的に、わが国が現在の国力でもって、最も合理的に防衛するにはどうしたらいいかというような観点から考えておるのであります。ただいまお話がありましたように、非常の際にアメリカがどの程度協力し、どういうような方針でもって協力してくるかということは、実はまだ具体的には存じていないのであります。ただ漠然と協力してくれるというようなことは、もちろん前提としておるのであります。詳細にわたって、この場合はこうである、この場合はこうであるというような、具体的に、作戦的にまだ内容を存じていないのであります。わが方としては、もちろん現在は、陸についてはアメリカが駐留しておりまして、直接防衛に当っておるのであります。その不足をわが陸上兵力が補っておるというようなことであります。航空につきましても、現在のところは、アメリカがこれを防衛しておる。今後、アメリカが将来撤退するという場合を予想いたしまして、今からその準備に、整備を始めておるのであります。艦艇につきましても、有事の際にアメリカがどの程度、どの方面にどれだけの力を配置しまして協力するかということは、これは詳細、具体的にはわかっていないのであります。われわれはどこまでも自力をもって、海峡港湾警備、内航護衛、外航護衛というものに当れるだけの力を少しずつでもふやしていこうというようなことで考えていっておるわけであります。まことに漠然とした話で申訳ないのでありますが、前提がそのようなものでありまするから、このようなことであります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あと、だんだん別の機会に質問をしたいと思いますから、今ここで全部質問するわけにはいきませんが、大体今のような御答弁でけっこうなんです。それは漠然としてわからないのだ。それはその通りでしょう。アメリカの作戦がわからないから、こっちもわからないで、なるほど、事務当局としてはそういう立場で作業しておるのはわかりましたから、それがいいとか悪いとかは、大臣にも聞きますからあれですが、それから、やはり事務的なことなんですが、大体六カ年計画というのは、もう大体前から言われているのですけれども、もう作業は済んでいるのではないかと思いますが、防衛分担金の折衝の過程で、何かそういうものが固めてなければならないと思うのですが、そこで今度の予算の審議に当っては、総合六カ年計画が出ておりますから、防衛計画、これをぜひ出してもらいたい。そうしないと、予算の審議のしようがない。ことに今度の防衛分担金の折衝過程においては、三十一年度以後、非常に防衛費がふえることになりますから、これを出していただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。
  30. 田中久雄

    政府委員田中久雄君) 六カ年計画につきましては、大へんおくれておりまして、まだ確としたものはできておりません。いろいろ部内での研究、整理をやっておりまして、できるだけ急いで計画を立てようとは考えておりますが、現状においては、申し上げるところまでいっておりません。御了承願います。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 急いでというのは、この予算を審議している間に急いで出すという意味ですか。この予算の審議中にはもう出せない、こういう意味ですか。
  32. 田中久雄

    政府委員田中久雄君) 予算の期間内に出るかどうかということも今のところではまだ申し上げかねる程度でございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ防衛六カ年計画をわれわれに示さないでこの予算を審議しろということになると、特に今度の予算の非常な重要な意味は、後年度において防衛費が非常にふえるということになっているのが今度の予算一つの特徴だと思うのです。ですからこれはあとでまた他の予算委員の方々の御要望があると思うのですが、これが出なければ、今度はずいぶんもうわれわれは何回も、待ちに待っておったのですから、これがわからなければ……。特に今度の予算は防衛費が相当ふえたという特徴を持っております、それからジェット機を中心に切りかえていく、こういうふうになっておりますから、おそらくわれわれは今度相当防衛費がふえるのじゃないかという危惧を持っております。ですから大体総合六カ年計画と見合ったものを出してもらわないと、審議のしようがないのです。中途半端な審議になってしまうから、是非この予算の審議の期間中に出していただきたいと思います。
  34. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちょっとこの際尋ねておきますが、御承知のごとく日本は四面海だから、従って漁民は相当収獲に遠出をすることはもちろんであるが、李承晩ラインのそばに行ったというので、たびたび漁民の方々が漁船を拿捕されたり、その他非常な災害を受けておる。予算の面からいって、さような説明はないが、当然これも一つの防衛の中に入れて、見守ってやってこそ初めて安定し、こうした食糧問題の解決の一助にもなるだろうと思う。これらに対しましてどういう計画が立っておるか。またどういう実効があるか。この一点。  それから次に竹島問題はどうなっておるか。だれ人も日本の竹島ということを言っているのですが、朝鮮軍がいたずらに占領したというふうにも聞き、また日本は警察隊でもってこれを守っておると、あるいは警察隊の所管内にあるというように、種々取りざたされておるが、一体防衛ということになれば、国土防衛ならたとえ島でも防衛しなければならないが、この問題は一体どうなっておるか。またこれに対するすべての命令権は総理にあると聞いておるけれども、どういう過程にあるか、この際明らかにされたいと思います。
  35. 館哲二

    委員長館哲二君) 政務次官、先ほどの木村君のに対して御答弁を……。
  36. 田中久雄

    政府委員田中久雄君) 御趣旨の点十分努力することにいたしたいと思います。(湯山勇君「努力というのは」と述ぶ)ただいま私からすぐにどの程度の期間内に出せるか、出せないかということはちょっと申し上げかねますので、きょうはその程度の……。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あとでよく相談してみて……。
  38. 田中久雄

    政府委員田中久雄君) そういうことにしていただいて、(湯山勇君「だれならわかるのですか」と述ぶ)いずれ部内でもよく調べまして、防衛庁だけではできないことでございますから。
  39. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと……、完全な計画ができなくても、中間発表なら中間発表をしますとか、段階的なものをしますとか、そういう程度のことは明確にしていただかないと、審議に差しつかえると思うのですが。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連しまして。それは杉原私案程度で結構です。杉原私案というものができているやに聞いているのですが、その程度でも結構ですから、できたら一つ
  41. 田中久雄

    政府委員田中久雄君) それじゃ……。
  42. 館哲二

    委員長館哲二君) 今の池田君のお尋ねに対してだれか……。
  43. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 先ほどの漁業の問題でございますが、これは警備出動ができるかどうかというようなお尋ねであったかと思うのです。これは内閣総理大臣が必要ありと認めたるときには出動できるということになっておるのでありますが、今の竹島問題も同じく直接侵略があったと認めまして、内閣総理大臣その必要ありと認めた場合には、国会の承認を得て出動するということになっておるのでありますが、果して武力による直接侵略があったものと、万一これを解釈しましても、現在のところやはり外交折衝によって解決したほうがいいというような方針でやっておるように聞いております。以上であります。
  44. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいまの答弁によれば、すでに竹島がかりに朝鮮が占領して、しかもその後においてこれに対して議会の協賛を得るというのはもう手おくれで何とも仕方がない。それほどの事態になる前にやはり防衛というものが必要であるからして、どういう程度の、現段階で許されている範囲の防衛はどうしておるのか、また現在竹島はどうなっておるのか、この点を私ほお尋ねしたのでありますが、この点についてもっとはっきり一つ国民全体が安心するように、わかるように答弁を願いたいと思います。
  45. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま申し上げましたように、果して向うの軍隊が直接侵略して来ているかどうかということは、実はまだはっきりわかっていないのであります。これが万一武装した外国の軍隊が入って来たとしましても、ただいまの段階においては防衛出動をやってこれを撃退するというようなことよりも、外交折衝において解決したほうがいいというようなことで現在進んでおると私は思います。
  46. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 そういうことを聞いておるのじゃない。そんな外交折衝というより、竹島がどうなっておるのだと、その点やはり飛行機を飛ばせばある程度わかるのだけれども、外交折衝をしておるということは、一体折衝をするのは向うに占領されておるかなんかしておるのだから折衝しておるのだと思うが、一体この点、世界中日本の竹島と今日まで言われておる。ところが朝鮮は郵便切手に竹島を朝鮮の竹島といって配ったという噂さえある今日だから、この点は竹島は朝鮮においても判然としていないし、日本の警察隊なら警察隊が行ってこれを守っている、従って漁民、住民はその安心の程度、こういう程度を聞きたいのであって、その程度はわかっておるであろう。もし外交折衝をしておるなら、その外交折衝の過程だけでもいいから、この際一つ説明を聞きたいと思う。局長でも政務次官でもいい。でなかったら大臣を呼んできて……。
  47. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 現在の状態でございますが、私の聞くところによりますと、これは過去数回に亘って海上保安庁の警備船があそこを巡航しまして、外部から観察したところによりますると、韓国の兵隊とは見えないが、韓国の警察官らしき者がおると、しかもそこに山砲らしきものを備えておる。また通信施設でありまするか、通信のタワーを、タワーと言おうか、通信の柱を立てておるというような程度は聞いておりまするが、現在どうなっておるかということははっきりまだ聞いておりません。
  48. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 予ての程度になればもう向うに占領されているようなものじゃないか。それを総理大臣の命令とか外交折衝とか、向うが占領しているのに今言ったようにこっちでは手ぬるい。それならば外交折衝で見込みがつくならつくというなら適切であるけれども、われわれから言えば日本も三等国だか二等国だかしりませんけれども、三等国、四等国のような朝鮮が日本の竹島を占領して、しかも朝鮮で防備をしている。ただ外交折衝にとどめといっても、そんな手ぬるいことで国民は侮辱されておる。一つこれに対して何か打つ手があるものか、また計画しているものかということを政務次官から伺いたい。(「大臣を呼んで下さいよ。」と呼ぶ者あり)
  49. 増原恵吉

    説明員(増原恵吉君) 仰せになりました竹島の問題は、従来国会の委員会で、政府側からるる答弁を申し上げておりまするところは、今まで防衛局長が申し上げましたようなことでありまして、一応韓国の警察官とおぼしき者が竹島におるという状況海上保安庁の船が時々参りまして、調査をしておる。海上保安庁においてそのことを確認をだんだんと続けておるという状態であります。これに対してどういう措置をとるべきかということについて、政府としては現在のところこれを外部よりの武力攻撃と認め、なおかつこれに対して防衛出動を命ずるという方法によって解決をすることは適当でないと判断をされまして、外交交渉によってこれを解決をはかっていこうという方針で、外交折衝を続けておられる。外交折衝の問題につきましては、当該方面から説明をしていただくことが適当かと思います。
  50. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 なるほど日本としてはそうした小さい争いでも今日の事態からいけば避けるのが当を得ているのだというようにも解釈できるのだけれども、実際その島に住居している日本人の方々に対しては、その中に、占領同様な不安の中に陥らせる。もし漁民がかりに漁期に際して竹島へ行って、日本の漁民が漁獲をするとしてもきわめてできない状態になってしまう。従ってそういう時期に島においてまた何かやろうという時期に対してはやはり援護しなければならない。そういう防備は一体どういう程度に進行しておるかという点を重ねてお尋ねします。
  51. 増原恵吉

    説明員(増原恵吉君) 現在漁業関係の保護の措置につきましては、海上保安庁の方で関係の人々と連絡をして、措置するという形を政府としてはとっております。島には現在のところ定住をしておる日本人はございませんので、その点はまあ比較的よろしいわけでありまするが、これは漁業の基地と申しまするか、そういう意味において必要なところでありまするので、その点については、現在のところ海上自衛隊が出かけて参るという方法よりも、海上保安庁の警備船で保護の措置をとることが適当であろうということで、その方面で配慮を願っておるということでございます。
  52. 湯山勇

    ○湯山勇君 先ほどの御説明関係してお尋ねいたしたいと思いますが、施設整備について、特に土地の買収に意外の日数を要した、そのためにおくれておるというような御説明があったのでありますが、その原因はどういうところにあるわけですか。
  53. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) これは各地に各様の事由がございまして、一つこれだというふうに申し上げることは正確でないということになりまするが、まず第一の段階におきまして、何と申しまするか、場所を選定いたしまするのにいろいろな事柄が関連をいたして参ります。これは営舎などでございますると、これは皆さん御承知のように相当誘致の運動があるのでございまして、一つのキャンプにつきまして二つ三つ、そのいずれに置くべきかという点につきましてしばしば競争と申しますか、こちらにしてくれという御希望がしばしばあります。これに、問題を非常に複雑にいたしまするのに、営舎というものには演習場というものが大体関連をいたしまするので、この演習場の方につきましては営舎と大分模様が違っておりまして、この方の利害関係、営舎と演習場というものを組み合せてどういうふうにその利害関係をさばいて参るかという点が、両者の何と申しますか、総合的に考えなければならない場合が出て参る。むずかしい。それと切り離しまして演習場だけの問題がございます。こういう場合におきましても防衛庁といたしましては旧軍の演習場であるとか、大部分が国有財産であるとか、開拓地、耕地になっているようなところは避けたいというような方針をもって大体臨んでおるわけでありまして、そういうような、非常に現在おられる方々の利害に重大な関係が持たれますのでありますが、演習場の何といいますか、必要というようなところもにらみ合せまして、できるだけそういうようなトラブルを生じないようなことにいたしておる。ただその場合におきましても、いろいろな入会の関係でありますとか、採草というような関係があったりいたしまして、そういうようなものをどういたすかというようなことが起ります。また少い面積でございまするが、ごく一部分につきましては多少耕作が伴うのでございます。そこら辺の関係の所有者の方はもちろんでありますが、地元の市町村、あるいは県、そういうような段階、あるいは部落の段階で調整せられる場合もございますが、そういうようなところでいろいろ御相談をいたし、地元としても内部でいろいろ調整をせられまして、そこで大体話し合いが、じゃあここら辺は捨てて、こことここだけにするかというような問題になるのでありますが、その場合によく問題が生じまするのは、それでは演習場に提供する、それでは一つ国有林野の払い下げができぬものだろうか、あるいは林野の共有、共用という関係ができないであろうか、部分林ができないであろうかというような問題、そういうような問題がしばしばこれに関連をいたして参りまして、私どもといたしましても地元のおっしゃることごもっともであるということがあるわけでありますから、しばしば私どももまた農林省林野庁あたりと折衝しまして、そういうような関係がどの程度に調整可能であるかというようなことをやっております。そういうような非常に何と申しますか、この狭い日本の中で土地を取得するということでございますから、当然今のようないろいろな関連した問題が起りまして、いろいろお話をしておりますうちにお互いの真意というものか理解をせられて、ある期間がたちますると、これでいこうじゃないかということになります。それに第一に時間がかかる。第二に時間がかかりますのは、それからあとの価格の問題でありまして、これは政府、御承知のように建設省の関係、農林省の関係、いろいろな公共事業もございますし、あるいはダムの建設、そういうようなものもございます。調達庁の方の関係もちろんある。そういうような政府、あるいは政府に準じます公社でありますとか、あるいは公的な機関、そういうようなものとの間の買収の価格の関係につきましては、大体のところにおきましては、いろいろ打ち合せをいたしまして、可能な限り調整をいたしておるのでありまするが、各個の場合におきまして、またいろいろそこら辺で必ずしも一本の原則に参っていない点もあるようであります。そういうようなところから補償の関係、価格の関係、そういうようなもので、これまた私どもの方ももちろん国民の税金を出すのでありまするから、事柄を円満に解決するというだけの見地からものを考える、従いましてそこら辺の基準を、どういうふうにそこの折り合いをつけて参るか、あるいは所有者の方の御納得を得るかというような関係で、これがまた非常に時間がかかっております。その間に北の方でございますと雪が降り始めたりいたしまして、測量に着手する時期を失ってしまうというようなことがある。まあ土地をきめまする前の問題、土地をきめてからの主として価格の問題、それに先ほど申し上げた代替施設と申しまするか、払い下げというような問題もからむのでありますか、その二つが一番起りまする問題であろうと思います。
  54. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のお話の中で価格の問題ですが、これは何か基準があるわけでしょう。どういう基準でやっておられますか。
  55. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 全国を通じまして一口に申し上げることはなかなかむずかしいのでありまするが、大体は土地の価格、お尋ねの点は主として土地の問題かと思いますので土地の問題として申し上げまするが、土地自身の値段の問題がもちろんございます。これは都市の近郊の場合、それから耕地の場合、山林の場合、牧野の場合これはおのおの賃貸価格というものがございまして、これは比較的その賃貸価格自身の正確性という点につきましては、かりにいろいろ問題があるにいたしましても、やはりまあ賃貸価格に対しまするある倍率というようなものが一つの目安になるかと思っております。ただ最近の土地価格というものは相当激しい地域的な移動をいたしておるようでありまして、一律に、たとえば何年前に比べて何倍上ったというようなものではないのであります。従いまして賃貸価格というものに対する一律の倍率を求めまして解決をいたすということはなかなかむずかしいのでございますが、まず第一段の目安は、賃貸価格の倍率、これも一律の倍率というわけには参らないのでありまして、大体財務局でありますとか、あるいは勧業銀行でありますとか、そういうようなところの鑑定と申しますか、評価を求めてやっておりますが、この倍率も土地によりましてその倍率をいろいろ変えておるようであります。それにはそれぞれの理由があるのでありますが、問題は補償の関係におきまして非常に多く生ずるのでありまして、離作料におきましてもこれは御承知かと思いますが、調達庁以下関連の政府機関の間に常に問題を起します。大体四年ないし六年というのが一応大部分二、三年前でありますが、関係省で相談をいたしまして、たしか目安でありますが、これも大ざっぱな四年ないし六年ということを申しておりまして、開拓地というように現在の収益率は少いが、将来はこれが上ってくるというところは六年でいこうじゃないか、これは原則的な話としてなっております。そのほかキノコをとっておったというような補償の問題、こういうような非常に何と申しますか、一律の基準をもって見がたいところにむずかしい問題がある。私どもの事務的な処理といたしましては、先ほど申し上げましたように、財務局というものが全国で一応自分の出先を持っておりまして、これは比較的財務局自身として統一せられた一つの目安を持っております。これの評価をもらいますのは必ずしも勧業銀行と限っておりません。そういうような不動産の評価業務というものに熟達をいたしておる銀行の評価というものを求めまして、大体そこら辺を目安にいたしまして話合いをいたしておるというわけであります。
  56. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると一律の基準というものは立てがたい、大体の目安はそういうようなところにおくというのですが、そういう最終の裁量はどこでするか、だれがするか、これはどういうことになっておりましょうか。
  57. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 私どもの方の仕組みから申しますと、建設本部というものがございます。これは附属機関でございますが土地の買収、不動産の取得あるいは営繕もそうでありまするが、この関係は建設本部においていたします。従いまして建設本部長の手元におきまして一応きめるわけでございますが、これは事柄のやや重大なものにつきましては、一応全部長官に伺いを立てる。従いましてまず第一段に建設本部は、現地に建設部というものを持っておりますので建設部の段階、東京の中央に参りまして建設本部の段階、それから長官の段階、こういうことになっております。
  58. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういうふうにした場合、予算の単価と実際に話がついたものとは違ってくる場合が、今日の段階では多いと思いますが、そういうことはありませんか。あればどういうふうにそれについてはやられるか。
  59. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) お答え申し上げます。御指摘の通り予算のときに比べまして実行はいろいろ違って参る場合がございます。そこで私どもは予算が通過いたしますると、大体そのときにあります頭と申しますか、前提を頭におきまして、それとの実行計画というものを立ててみまして、それでまた現地に当っているわけであります。そういたしますと、あるところでは高く、あるところでは低く出ますので、そこら辺を多少坪数当りで加減をいたしましたり、そういうところに結局最後の調節を求めざるを得ないのでありますが、国有財産の取得にいたしまする場合は、これは無償で借りかえが大蔵省の財産でございますれば受けることができます。そういうような非常にあちこちで土地を探して来まして、国有財産で、やはりちょうど適当なものがあったというようなものもございます。それから御指摘のようなことがございまして、なかなか予算に満たないようなところでは、単価、これは各個の場合全部具体的にわたって積算いたすわけではございませんので、おのずから御指摘のような差が出て参り、今のような坪数の関係で調整をする場合もございます。あるいは国有財産の取得ということで多少財源が出るので、予算で見込んだものでははみ出してしまうという御意見の点はいろいろ出てくると思います。
  60. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の点まだ問題がありますけれども、一応それだけにしまして、そうした場合に土地収用法の適用ということば考えておられるか、おられないか。
  61. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御承知だろうと思いますが、土地収用法は適用ができるわけでございますが、現在までのところ土地収用法の適用をいたした例はなかったと思っております。ただ一つ、最近何か地元の方もどなたも全部御納得されまして、ただ一人の所有者と話合いがつかない場合がございまして、あるいは発動をせねばならぬだろうかというようなことを議論したことがございますが、その場合には発動をいたさないで済みました。今日までの場合におきましては、発動いたしました例は、私の記憶ではないと思います。もし間違っておりますれば訂正いたしますが、全体の方針といたしましては、収用法を発動してやるというようなことはできるだけ避けたいと思っております。将来、先ほどちょっと申し上げましたが、全部の方が御納得願ってやっておられるのに、一人だけが話合いがつかないで、そのために全体が非常に、われわれの方ばかりでなく、地元の方でもお困りだというケースがございまして、そういう場合にはやむを得ないのじゃないかということを考えるのであります。今後実際の実情に即しての話であります。今日までのところは、もちろんできるだけそういう場合を避けたい思っております。
  62. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のお話のように、全部が賛成して一人だけが反対して困るというような場合のことはわかりますけれども、相当まとまって反対があるというような場合には、これは土地収用法の適用は将来しないと、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  63. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 全体の方針として、今おっしゃいましたような場合に収用法を発動してやるというような考え方はございません。ただそれじゃ何人かを得たらやらんのかというと、それは時と場合に私はよると思うのでございまして、ほかのものはみんないいが一人だけ残っているというような場合において、これは時と場合によると思いますが、方針といたしましてそういうような強力的なやり方は避けたいということは、私ども従来から考えております。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の点、土地収用法が防衛庁施設の収用対象に適用になるかならないか、これは今非常に明瞭であるとおっしゃいましたけれども、私は若干疑義があると思うのです。疑義も持ち得ると思います。まあその点はそれだけにいたしまして、次に施設の土地取得について県との関係ですね、県に対してはどの程度まで介入させてどういうことをやらしておるか、その点について御説明願いたい。
  65. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 県との関係がどうであるか、県との何といいますか、やり方をどうしておるかというお尋ねでありますが、これもちょっと一律にこういたしておるということは申上げにくいかと思うのでありますが、大体県とは相談をいたしております。それから申し上げておきまするが、農地の関係におきましては、これは農林省に必ず照会をいたしまして、農林省の農地局の方から支障がないということを返事をもらいましてからやっておりまするので、先ほど申し上げそこないましたからつけ加えておきます。これは私どもの方のあれではございませんが、農地局の方は私の方からそういう相談を文書で出しますると、必ず農地局としては県に御相談のようであります。そうして農地局としては県の回答を得て私のほうに通知をして下さるようでありますから、農地の関係におきましては少くとも私どもは直接相談する場合がございますけれども、農地局を通じましては必ずそういう系統を通ってきておるというふうに承知をいたしております。それ以外の場合におきましては、必ずしも県、農地局という関係は生じませんけれども、私どもの方としては、あらかじめ県と協議をいたし、場合によりましては非常に紛糾いたします場合もございますので、ことに町村間は一つはいいが一つは悪いというような場合、こっちを減じてこっちをふやすのだというような場合がしばしば起るのであります。そういう場合におきましては、私どもが直接に町村当局或いは町村の方々とお話しいたすよりは、県にその間の斡旋をしていただくのが非常に便利でございますので、そういう場合には、いろいろ県に立入っての御斡旋を願うよりほかないのでございます。それからそういうような関係でなくて、所有者との間の話が比較的簡単であるという場合におきましては、これは県にお断りなしにやる場合はほとんどないと思っておりますが、県に連絡をいたすというような意味でのことは必ずやっておりますが、非常に立ち入って斡旋をすべての場合願っておるというわけではございません。
  66. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 只今のお話ですが、農地の問題ですが、一村あるいは一字こぞって反対しているような例があります。小牧の飛行場の拡張のような、かような問題についての取扱いについては今のお話だと解決がつかんように考えますが、どうなりますか。
  67. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 今お尋ねの小牧の場合に、具体的にどうなっておりますか私承知いたしておりません。ただ小牧の現在起っております問題に関連してのお尋ねでございますと、これは私どもの方の防衛庁でございませんで、調達庁の方でございますので、ちょっと私の方からお答えいたしかねます。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの説明に引き続いて質問したいんですが、参考のために防衛庁が今度の三十年度大蔵省に要求した防衛費は幾らであるか、それから大蔵省の査定した原案は幾らであるか、この点……。
  69. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 当初昨年の九月から十月にかけてでありますが、正確には私は記憶しておりませんが、私どものほうといたしまして当初要求といたしまして大蔵省に要求いたしましたのは九百五十二億、その後に先ほど申し上げました船の問題でございまするが、そういうアメリカ援助関係あるいは今申し上げましたジェット機の関係、そういうようなものがいろいろ加わり、多少事務的を修正があったりいたしまして、大体最後数字におきましては九百九十億ぐらいに相なっておりました。それに対しまする査定は八百六十八億という査定が、大蔵省の査定と申しますか、閣議で決定をいたしました金額でございます。
  70. 湯山勇

    ○湯山勇君 さっきのところでもう一つだけ質問したいのですが、先ほど県が立ち入って世話をした場合、そういう場合の県側の持つ経費はどういうふうになっておりますか。それからもう一つ、もしその取得の過程においていろいろ不正がある、これはあった例もあるようですが、不正があるとか不当な取得方法をもってやっておるというようなことが明確になった場合には、その成立した契約というものは白紙に返るかどうか。もしそうでなければ私は不当な方法によって取得したものがそのまま生きるということも少し変じゃないかという気もしますので、その二点だけ一つ……。
  71. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 前段のほうの経費の点でございまするが、私どものほうで一部事柄を指定いたしましていろいろな御調査を願うことになっております、県に。この場合には確実に経費を付けまして御調査を願っております。あとの事実上の斡旋というような問題になりますると、これは県自体の、県自体と申しますと語弊がありますが、県行政の方の問題でもございまするし、私どもの方の問題でもございますので、ちょっと今即答を申し上げかねるのでございますが、御調査を願いまするときのように経費を全額県のほうにお渡ししてお願いいたすという関係にはなっていなかったと思います。では県に全部任せっ放しかというと、ちょっとただいま私手許に資料を持っておりませんので調べて申し上げたいと思います。それから契約の過程において不正不当な行為があったというときの問題につきましては、これは何と申しまするか、契約自身の法律的効力という問題になりますと、これはまさに何といいますか、法律的な問題として解決せらるべき問題でございますが、おそらくお尋ねの点は、そういうふうに法律的に有効だとか無効だとかいうような問題ではなくて、そういう問題にはならないが、しかしその関係者のうちに何か疑問のような行為が計ったというようなお話だろうと思います。そういう場合が今まで私起ったかどうか正確に記憶しておりませんが、それは事柄の実態によって考えられるべき問題だろうと思いますので、それは皆一律に契約を御破算でやり直しだということをもちろん申し上げる筋でもないと思いまするし、その疑問になりまするところの行為の起りよう、契約全体の価格がどうか、いろいろなものにどう関係しているかということにもよりまするが、もちろん価格というような問題、そういったいろいろな契約の具体的な内容にその行為が及んでおりまする場合には、これは常識的に考え直さなければならんところは考え直すということは当然だろうと思います。その程度の答弁で御勘弁を願いたいと思います。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 防衛庁の要求した当初予算はわかりましたが、大蔵省最後に閣議決定したものが八百六十八億ですね、それは最後に決定したもので、最初はたしか八百五億と査定したと聞いておりますがそうじゃないですか。
  73. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大蔵省の査定に対する御質問でございますからお答え申し上げますが、私どもは防衛庁の御要求に対しましての査定はどこまでも八百六十八億という最終の査定以外にはございません。木村先生御承知のように、その間いろいろ閣議に出しましたことはございますが、それらはすべて未決のままで入っております。最終的の査定以外の査定は出したことはございません。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんないい加減な答弁をするものじゃないですよ。私はその過程が大切であったのです、今度の防衛費の決定は……。ですからざっくばらんに言ってもらいたいですね、最初防衛分担金防衛庁費含めて千三百二十七億という、ただあのワクだけを予算大綱で示されたことに対し、われわれは非常に不満があったわけです。あんなものを出すのはおかしいのであって、その総額が千三百二十七億、その中身はわからん、そんなものを出すのはおかしいのだ。当然あの中には防衛分担金が大体幾ら、防衛庁費が幾ら、こういうものがあったはずですよ。だから新聞にはもう出ておるのですけれども、その過程が大切なので、その最終決定八百六十八億ですね、それを聞いておるのじゃないですよ。われわれはこの予算を審議するのに必要なのは、やっぱりその過程が必要なんであって、それで八百五億に対して、アメリカに対する施設提供費がおそらく八十億、それで防衛分担金が三百二十何億ですか、とにかく千百十一億くらいの心づもりでいたのじゃないかと思いますが、ほかのは何として、とにかく最初大蔵省防衛庁費を千三百二十七億の予算大綱を示すときにきめた数字ですが、それはまあ率直に御答弁願いたい。その経過を一つ差しつかえなければ……。
  75. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 重ねての御質問でございまするが、私は事実を事実としてお答え申し上げておるわけでございます。ただそういうやり方がいいか悪いか、これは御意見のおありのことごもっともだと思うのでございます。できるだけ早く内訳を出し、きめることがよかったであろうということは、木村委員のおっしゃる通りであります。しかしこれは去年も御承知のように初めは内訳は未決のままで防衛関係費を決定したことがございます。防衛分担金につきましては、御承知のように非常に対米折衝等の関係等で決定がおくれたのでありますが、そういう未決の要素とあわせまして一括に決定をする、その点で御説明を申し上げたことは事実でございます。ただその間それじゃ大蔵省としては、いろいろのことを防衛庁と相談したのではないかというふうなことは、これは言論機関その他が報道しておったことも事実でございます。しかしながらどこまでも大蔵省としての査定は幾らかという御質問に対しましては、先ほどのお答えを繰り返すより以外にないのでございまして、それ自体がいいか悪いかにつきましては、これ自体につきましては、いろいろ御意見があったかと思いますが、事実は全くその通りでございまして、要するに防衛支出金を最終的にきめるまでは防衛庁費を決定することができずに参ったということがありのままの事実でございます。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 防衛庁費の方は最初九百五十二億の要求を出して、それからジェット機、戦艦の関係で九百九十億にきめたのですね。その後八百六十八億に査定された。そうしますと、防衛計画というものは、防衛庁の要求したものと狂ってきておるわけでありますね。そういう点どう考えておるのか。それからもう一つ、九百五十二億というのは、われわれは新聞でしか知ることができないのですが、前の大村防衛長官がヘンゼル国防次官補が来たときに、大体九百億程度の防衛費は最低これを大村長官が組むと言っておったのです。それで日本の憲法上困難があるけれども、そういうものを排除して、それだけは組むというようなことを大村長官が言っておったのです。そういったことがこれは果して事実かどうか知りませんが、新聞にはそう出ておるのです。ヘンゼル氏が来たときにですよ。これは私の想像ではアメリカと相談して、アメリカの要求意見などを参考にして九百五十二億は出て来たのじゃないかと、こう思うのです。そういう点一つ。  それからこれはまた大蔵省なんですが、今防衛庁と折衝の過程においてはいろいろな数字が出たが、やはり最後の閣議決定の八百六十八億というものは大蔵省の査定の数字であるというふうにお答えになっておりますが、じゃ、大蔵省はこれで満足しているのですか。これで成功だと思っているのですか。その点ですね、事務当局として非常にそれはよかった、九百九十億のものを八百六十八億に減らしたのだから大蔵は成功だと思っているのですか。
  77. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 最初のお尋ねの九百九十億ほどの要求が八百六十八億に減ったので非常に計画に狂いを来たしはしないかというお尋ねでございます。これにつきましては先ほども御説明のとき申し上げましたように、たとえば船舶関係におきまして、私どもの当初の要求に比べまして、予算外契約の方に回した金額がございます。又単価で相当切り込まれたものがございます。ここら辺のところは相当の期間大蔵省と折衝をいたしまして、私どもの今日ここで申し上げておりまする計画、これは当初私どもの考えました計画とほとんど違いございません、従いまして現体制維持、増勢を含めまして大蔵省がこの程度は必要であると考えましたものを実現をいたしたわけであります。従いまして八百六十八億に査定をせられましたために防衛庁として考えました計画が今まで切られたという点につきましては、そういうことはなくて、大体私どもの当初考えたような事柄ができ上ったというふうにお答えできるのだと思います。  それから大村長官がヘンゼル国防次官補でありまするか、へどういうことを言われたかということにつきましては、ちょっと私からお答えいたしかねますので、差し控えさせていただきます。  それから九百五十二億はもともと大蔵省と相談して作った数字であるかというお尋ねでありますが、これはそいううことはございません。ただこういうことを申し上げておきます。それは先ほど申し上げましたように、船の例で明らかでございまするように、私どもの九百五十二億の要求にいたしましても今回の八百六十八億の査定にいたしましても、中間におきまする九百九十六億の要求にいたしましても、すべてアメリカ援助をごらんのように前提といたしております。従いまして私どもといたしましては一方大蔵省に対して要求いたしますると同時に、こういうような事態が可能であるかどうかということにつきましての当然打診と申しまするか、そういうものが必要なのでございまして、そういう結果が最後にまとまったところに出ているというふうに御承知を願いたい。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは大体こう了解してよろしいですか。今度の三十年度予算については一般会計が八百六十八億、それから一般会計——まあ予算外ですな、あの百五十億を加えたものが当初要求した分に大体合致していると、こう了解していいわけですか。
  79. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 予算外関係も、もともとあのジェット機などはこれは当然予算外が大きく取っておりますので、九百九十六億にマッチいたします予算外は百三十億弱になっております。従ってそこのところに査定残がございますが、先ほど申し上げました船の関係予算外に回したというような関係になっております。
  80. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほどの大村委員の御質問に対しまして大蔵省からお答え申し上げます。この折衝の経過といいますか、決定に至るまでにいろいろの事柄を申し上げたことがあるということは、防衛庁との間にいろいろ意見を交換したという意味でございます。先ほども経理局長から御説明ありましたように、当初の御要求はある程度のものをMDAPの援助その他に期待されましてお出しになったのでありますが、これまたその関係から多少の変更がございます。また飛行機等につきましても当初の御要求に対しまして、その後いろいろと防衛庁自身としても計画を多少修正された点もあったことは御承知通りであります。そこでその間いろいろと意見を交換したのでありますが、しかしながら最終的な査定は唯一無二であったということを先ほど申し上げたのであります。大蔵省はそういう査定によって十分財政当局としての責任を果したと考えるかという御趣旨の御質問でありますが、この点につきましては、私どもはやはり防衛庁経費の積算に当りましては、物価あるいは人員の構成、あるいは所要資材の数量その他につきまして、決して各省の査定よりもルーズな査定をしたとは考えておりません。先ほどの、冒頭の御説明にございましたように、陸上二万人を中心とする増員計画というものは当初から一貫してこれは不動であったのでありまして、この点につきましては、私どもも防衛庁の案自体は最後まで変らなかったというふうに考えておるのであります。従って、その計画を具現いたしますために、人件費、物件費、施設費等につきましてこまかな積算をいたした結果、かようになったのでございまして、ただ私どもとしては、全体の予算を早く内訳等をきめるべきではなかったかというような御意見につきましては、将来早くそういうふうになることが望ましいという点については、同様に考えております。  なお全体の防衛費でございますが、これは去年と同じように千三百二十七億というワクを維持したわけでございまして、この点につきましては、先ほどお話しのように、このほかに予算外契約が百五十四億、昨年は先ほどお話しのように八十億でございまして、一見そういうものを入れますと、ふえたかのように見えるのでございますが、これは御参考まででございますが、昨年はこのほかに安全保障費の……、これは木村委員、お詳しい安全保障費の支出の残りがございました。そういうものが八十三億ほどありまして、従いまして全体としての防衛関係費は、予算の中におきましては、むしろそういう安全保障費のようなものを入れますと、昨年よりは今年は内輪になるということに一応なっております。これは御参考までに申し上げておきます。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後にお伺いしたいのは日米共同声明です。あれの解釈の仕方について伺いたいのですが、あれには、前年度予算二百二十七億、使い残りを使えということが一つ書いてあります。ところが、さっきの石原局長の話だと、二百二十七億ではなく、二百三十五億ぐらいになる。そうしますと、その関係はどうなるかということが一つ。それは二百二十七億でいいのかどうか。それからどうもあれは非常に日本語が読みにくくなっておりますので、防衛分担金は設けない、今年度限りだということは、やはり三十一年度は五百五十八億であるということ、換算して一億五千五百万ドル、そういうことに解すべきか。それからもう一つは、毎年自己の資金のより多くの部分を防衛費として充てる、こういうことは、防衛分担金は設けない、しかも自己の資金のより多くの部分ということ、たとえばことしは百二十五億ふやしましたね。大体百二十五億くらいはやっぱり三十一年度もふやす、三十二年度も大体それくらいのものはふやす、こういうようなことを意味しているのか。あれを数字にわたってちょっと具体的に説明していただきたい。どういうふうにあれを計数的に防衛庁は解釈しておられるか。
  82. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 前段の繰り越し関係につきましてお答え申し上げます。この共同声明の中にございます、防衛庁では昭和二十九年度よりの繰越金約二百二十七億が使用されるということを書きましたのは、一つの事実として、支出額の実際の数字に対しまする一つファクターでありまするから、これを事実として書いただけであります。約という言葉を用いまして二百二十七億という数字を用いましたのは、前国会におきまして当予算委員会にも御配布を申し上げたと思っておりますが、当時の見込みで配布を申し上げた数字が、繰り越し二百二十七億という数字であります。それを使いまして、ただこの数字は動き得るものですから、約という言葉を用いまして、この数字が変動し得るんじゃないかという含みを出したのであります。当時におきましては二百二十七億以外の数字がなかったものでありますから、それは実際が二百二十三になりましても、木村委員がもし御心配の意味で御質問でございましたならば、その点の御心配は要らないと思います。  それからこの後段のほうのお話になりますと、防衛庁がどう解釈しておるかというお尋ねでございますが、これは当面の、何といいますか、責任者でありますところの外務省あるいは大蔵省の方からお答えを願ったらいいかと思うのでございますが、防衛庁がこれをどう解釈しておるかということはちょっとお答えを差し控えた方がいいと思います。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省が答える前に、これは私は二百二十七億で実際には二百三十五億になったというその数字自体ばかりを意味しておるのじゃないと思うのです。こんな繰り越しを使うなんということを日米共同声明でなぜうたうのですか、それが私にはわからない。それは予算に計上してあるのですから使うのは当りまえでしょう。ところが三十年度にこれだけ使えと言われておるように解釈されるわけですね。繰り越しを使うのは当りまえであって、予算に承認されておるものを、なぜ別にわざわざそんな繰り越しについて二百二十七億という数字が出てきたか。それが今度は二百三十五億ということになりましたが、少くとも二百二十七億は全部三十年度に使ってしまわなくてはいけない、こういう意味じゃないかと思うのですが、そういう意味じゃないのですか。アメリカ側の要求じゃないのですか。
  84. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) これはこれこれの金額が使用されると書いてございまして、別に使えというふうには書いてございません。ただ、しばしば御指摘をこうむりますように、相当大きな繰り越しを持っておりますために、現実にどの程度の支出が防衛庁費として出されるかということにつきましては、先ほど申しましたように、一つの大きいファクターでございますので、事実としてこれに言及したわけでありまして、別にこれで二百何十億というものを使用しなければならぬというわけのものじゃありませんので、木村委員おっしゃいましたように、これは法律の規定に基きまして繰り越ししたわけでありますから、従いましてその繰り越しの規定の条章に基きまして使用するだけでありまして、その事実をここに平明に書いてあるというふうに、申し上げればそれだけのことであります。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはあなたお立ち会いになったのですか、その共同声明を書くときに。そういうふうに説明されますけれども、どうも私のあれでは、あれは英文で書かれたものを日本語に翻訳したものですよ。そういう翻訳調ですよ、自己の資金のより多くの分というふうなのは。ですからこれはアメリカ側で書いてどうですかというので、あれしたと思う。ですから日本側としては、ああいう考え方はしなくてもいいわけでしょう。ああいうことを別にわざわざ書かなくてもいいわけなんです。当然日本はその予算で許された範囲、また法規に基いてやればいいので、わざわざああいうものが入るということは、アメリカ側からそういうものを出されて、日本側はそれに対して応じた、こういう形をとられたと思うのです。そうじゃないのですか。
  86. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) これは外務省からお答えをいたすべきが筋かと思いますが、それは日米共同声明でございますから、日本側が一方的に書くという筋合いのものでないということは、木村委員に申し上げるまでもないことだと思います。そこで防衛庁といたしましては、今申し上げましたように、こういうような繰越金があるわけでございますから、これは別に天下に隠すことでも何でもございません。先ほど御指摘のように、これは法律の条章に基きまして繰り越しの支出ができるわけでございます。しかもこれは相当まとまった金額でございまするから、事実として支出をするのに一向差しつかえないという考え方でございます。
  87. 館哲二

    委員長館哲二君) 今正示次長の答弁がございます。
  88. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど木村委員の御質問のうち、これはまあ本来は外務省がお答えをするのが一番適当なポジションだと思うのでございますが、石原局長から外務省か大蔵省ということがございましたから、一応申し上げておきたいと思うのですが、来年度にどうなるかという問題は、率直に申しまして日米共同声明には、なるほど先ほど御指摘のような、より大きな部分といいますか、支出といいますか、そういうようなことをうたっておるようでございますが、しかし、これからいきなりまず防衛分担金がどうなるか、あるいは防衛庁費を含めて全体の防衛費がどうなるかという問題が二つに分れてくるかと思うのでありますが、まず防衛分担金の減額につきましてでございますが、これは先ほど御説明かありましたように、二十九年度五百三十二億八千万円が三百八十億ということに減額を見たのでありまして、この差額は百五十二億、二十八年度は五百五十八億でございまして、これに対しまして百七十八億ということにまあなるわけでございますが、そこでこの減額というものは、来年度はいきなり五百五十八億というこの二十八年度に逆戻りするのかどうかというふうな考え方、これが一つ、それからそうはならないにしても、二十九年度の五百三十二億八千万というものに戻るのかというような疑問が沸くわけでございます。ここのところが、私どもはまあ法律的な解釈というものとやややはり違った考え方をすべきではないかというふうに思うのでございまして、御承知のように、まあ現内閣にいたしましても、あるいは前内閣にいたしましても、防衛力をある程度漸増的にしてくるという方針はずっと続けておられるわけでございます。そうしますと、やはり最初の行政協定が締結されましたときからのいきさつといたしまして、日本側が防衛努力の実をあげて参りますれば、対米関係におきましては、防衛分担金についてある程度の減額を認める、まあ二十九年度、三十年度等は特に一兆予算というふうな政策をとりまして、この点きわめて重要なファクターであったのでありまするが、来年度におきましても、私どもは日本側として防衛努力の実をあげていく限り、やはりどうしても防衛分担金につきましては、その防衛努力の実をあげるに伴う日本側の負担の増加というものと照らし合せまして減額を求めることができるのである。またそれは日米行政協定の精神からいきましても、そういう一方において日本側の誠意が示されるならば、必ずやアメリカ側におきましてもその誠意に対してこたえてもらえるものである、こういうふうに実は考えるのが結論でございます。そこで先ほど申し上げましたように、たとえば二十八年度の五百五十八億というものに返るというようなことはとうてい常識上考えられないのでございます。また二十九年度の五百三十二億八千万というものに返るということも、やはり何といいますか、不合理なのでありまして、この点は日米の関係から申しましても、どうしても来年度はまた来年度としての新しい協定を作りまして、それが日本側の防衛努力ともよく調和のとれたような分担金を決定するようなふうに参らなければならないのではないか、これは私ども事務当局といたしましても、一応そういうふうに前後の関係からいいましてそうなるのが筋合いではないか、こう実は考えておるわけであります。  なお来年度以降におきましての防衛費全体の考え方につきましては、たびたび御指摘もございますような経済の拡大的な政策との関係をも考慮いたしまして、ある程度のものがふえていくであろうという考え方を少くともこの内閣はとっており、また私どもといたしましても、その内閣の方針によってこういう予算の作業をするということが事実であろうと思っております。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう最後、これだけでやめますけれども、どうも今の正示次長のお話では、あの日米共同声明、率直に読みましてね、そうはどうもあれだけでは解釈できない。大蔵当局がそういう解釈をとられることはこれは必要だと思います。ですけれども、それならああいう共同声明にわざわざああいうことをうたう必要ないと思うのです。ですからわれわれ、書かれた文面そのものとして受け取ってみると、どうしても今正示さんの言われた五百五十八億か、あるいは三百二十何億か、どっちかにどうも返らなければならないように受け取れますし、また「自己の資力のより大きな部分」というのは、必ず、具体的にいえば本年の増強分くらい、百二、三十億くらいにふやさなければならぬと、こういうふうにどうも解せられます。この点はどうも今の御説明では、大蔵省の気持はわかりますけれども、あの共同声明からいうと、どうも今のは非常に無理な解釈ではないか。これは外務当局からも聞いてみますので、僕の質問はこの程度にいたします。
  90. 中山福藏

    ○中山福藏君 私はごく簡単に二つだけお尋ねいたします。大体経費節約ということは、私ども委員としても最も重点を置いて考えなければならぬことだと思うのです。そこで一つお尋ねしておきたいのは、大体この防衛庁費なんかは、いろいろな新規計画をなさるにお使いになるだろうと思いますが、大体日本のいろいろな防衛の設備をやるような資材というものが至るところに私は放擲されているんじゃないかと思うのです。たとえば私の身近にあります大阪の砲兵工廠の鉄材、そういうものを眠らしているのですね。こういう重要な資材というものが至るところにたくさん私はころがっていると見ているのです。こういうものの転用ということは少しも考えられずに、ただ予算を組んで新しい資材を購入するというだけに関心を持っておられるのじゃないかというような気持を持つわけですが、こういうたとえば撃沈せられた艦船の引き揚げによって、これをいかに転用して行くかというようなことは、私は重大な問題だと思うのです。何億という資材がこれはころがっております、地上にも。大阪砲兵工廠の鉄材というものは相当な額です。これが三年も五年も十年も放ったらかして、何もこれについて、これを使用して、たとえば艦船の建造なんかに用いるというようなことは計画されていない。こういうことがどうなっているか、その点一応御説明を承わっておきたい。
  91. 増原恵吉

    説明員(増原恵吉君) 防衛庁のいろいろの仕事をやっていきます上には、御指摘のありましたように、我々としてはなるべく経費は節約をして既存の施設、資材等利用し得まするものはこれを十分活用するという建前で参っております。従いまして営舎等も、三十年度の陸の約二万を増員し、部隊を作って参るわけでありまするが、これを収容しまする営舎はほとんど大部分を既設のものを利用する、この既設のものは、大体米軍が今使っておるものを返してもらって使うというふうな建前で予算を組んでおります。そうしてまたいろいろ倉庫、格納庫などを作ります場合にも、旧来のもので利用のできる適当なものがありますると、これを移管をしてもらいまして、移築をする。タンクなどもそうでございまするが、そういう点も十分配慮をいたしておるつもりでございます。艦船にいたしましても、現在具体的には、瀬戸内海で後部に被弾をして沈んでおりましたもとの駆逐艦の梨が引き上げられて、それをいろいろ調査をいたしましたところ、利用可能という調査になりましたので、これを合法的にこちらの方に譲り受けまして、修理をして、後部の方がないのは少々作って新らしく付加しまして、これを利用するというようなことも考えておるわけであります。今お申し述べになりました大阪の工廠の鉄材というのは、実はまだ私もよく聞いておりませんし、その利用の方法について承わっておりませんが、すべての方面にわたりまして、できるだけそうした利用し得るものを利用しまして、国費を節約して、なおかつ適当な部隊の実力を増していくという点には、将来とも十分配慮をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  92. 中山福藏

    ○中山福藏君 これは、せんだって二百億削減するかどうかというような問題が起りまして、実は私はこっけいだと思って見ておったんです。二百億ぐらいの資材というものは、全国爆撃されたところをお探しになると、幾らでもそれくらいのものはある。だから、この間会計検査院の報告を見ても、批難されるべき項目のうちにもあったんですよ。ただべらぼうに新規の資材を購入するということだけに専念しておって、現在利用できる資材というものは幾らでもあるのに、一向それにとんちゃくしないというようなことが出ておる。こういう点は一つ十分お考えになって、生きた仕事をしていただかぬと、国民の血税からなっておりまする予算ですから、私は非常にルーズなやり方ではないかと実は考えております。たとえば一例を上げますと、大阪府に八尾という所があります。ここには米軍の航空隊があった。そこに池がありまして、そこに三百トンぐらいの鉄材をほうり込んである。これは民間から払い下げを幾ら願っても、十年間ようとして、それがどうなっているかわからぬということだった。それがとうとう腐ってしまった。こういうふうなものは、少し生きた仕事をしていただかぬと、ただ机上でいろいろ計算ばかりしているのは、これは殿さんがやることです。そういうことは昔はやりましたね。もう少し徹底した、すべての面に御勘考をわずらわしたいと私は思います。  それから一つ、経理局長にお尋ねしたい。大体航空資材というのは相当アメリカから入るわけですね。国産品との性能上の差異ですね、国産品とアメリカから入りました航空機部分品の性能に関する差というのは、相当あるのですか、ないのですか。国産品でもアメリカと同等なものができるということになっているわけですか、どうですか。その点一つ……。
  93. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) お答えいたします。今の御質問はジェット機の問題についてだと思います。その点についてお答えいたします。ジェット機は、御承知通り、まだ国内では機体の製作はもちろん、その部分品につきましても全く手をつけておりません。それで今度生産を開始するにつきましては、もちろん米国の当該会社から製造権を米政府の負担で私どもの方にもらいまして、その製造権に従って、また技術指導も向うの負担で各会社の技術人につきまして指導を受けるわけであります。ことに当面の問題としては、ほとんど大部分の部品は向うからそのまま組み立てて持ってくる。それをさらに大きく組み立てて完成する。逐次部品を持ってきて、サブアセンブリと言いますか、中間組み立てから完成組み立てをやるといったようなことでありまして、さらにその部品につきましては、それぞれの製造権あるいはノーハウと言いますか、製造方法につきまして、それを向うからあるいは図面をもらい、あるいは技術指導を受け、そうして組み立てから部品の生産ということに進んで参るわけであります。もちろん今日国産と申しましても、独自の国産ということは考えられないのでありまして、向うの製造権と技術指導を受けまして作っていきまするなれば、今日われわれが会社の設備あるいは技術等を検査いたしましたところでは、そういった技術指導を受け、また図面をもらってやれば、十分使いものになるものが作っていけるというふうには確信いたしております。
  94. 館哲二

    委員長館哲二君) 調達庁のほうから資料が出ておるのでありますが、簡単に説明を聞きまして、御質問を願うことにしてはいかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その前に正示次長に資料を要求したいのですが、先ほど日米共同声明に対する大蔵省の見解を述べられましたから、これは重要ですから、外務省にも連絡されて、政府の正式の回答として文書にでもして、はっきりした計数にわたってどう解釈するということを、資料として出していただきたい。
  96. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは、調達庁のほうから御説明を願いたいと思います。
  97. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) ただいまお手元に提出いたしておりますところの昭和三十年四月一日現在の駐留軍の使用施設の一覧表に基きまして概括御説明申上げたいと存じます。  昭和三十年の四月一日におきまして、用途別にいたしまして、国有と民公有、こういうふうに分けまして、一応第一表に掲示しておるのでございまするが、用途から申しますと大体、兵舎施設、住宅施設飛行場施設、港湾施設、事務所、演習場、工場、倉庫、医療、通信、その他各施設と、こういうことになって、部類分けにいたしております。これを「FAC件数」とここに書いてありまするが、日米合同委員会によりまして、そのつど調印した——調印と申しまするか、相互に協定いたしましたこの一つ一つの件数でございまするが、これがさらにここに書き加えてあります。これを便宜上兵舎なら兵舎といたしまして、順次FACから国有、民公有、さらにそれを土地建物と、こういうふうにして御説明申し上げたいと思います。  兵舎につきましては、FAC件数において百八件ございます。これが国有において土地が千九百七十四万坪、建物が八十六万四千坪、こういうふうになっております。民公有につきましては、土地が千二百三万二千坪、建物が……。
  98. 館哲二

    委員長館哲二君) 一々およみにならなくてもいいでしょう。
  99. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) そうでございますか。総計だけを一つ申し上げますと、各用途別におきまして国有が総計、土地が二億二千七百二十六万七千坪、建物が二百九十一万九千坪と、こういうことになっております。それから民公有におきましては各用途別の施設合計におきまして、土地が一億八千三百二十九万五千坪、建物が五十六万八千坪と、こういう状態でございます。  これらの施設につきまして、さらに第二表におきましては、それではどういう土地がどれだけ施設に提供されておるかという一覧表でございますが、この土地の内訳は大体、宅地と、農地と、山林と、原野と、牧野と、それから野積場、その他ということになっておりまして、総坪数は合計で二百八十七万五千坪と、先ほどの合計額になるわけであります。建物につきましては大体、現在のところは住宅、貸ビル、倉庫、ホテル、興行場、百貨店店舗と、それから工場、事務所、文教施設、社会公共施設、その他、こういうのが入っております。なおそのほかに油タンクであるとかその他の工作物が、契約の数にして、約四十八件となっておるわけであります。それからそれに付帯いたしまして、その中に入っておる動産でなお借りているものが相当ございまして、契約件数で四百九十六件、点数にしますと三十三万四千六百八十六点。これはタオル一本までも点数になっておりますから、相当大きな点数になるわけでございます。大体そういうような状態であります。  なお現在以降におきまして、大体三十年度において今まで確定しているものでなお執行済みになっていない、これから執行する予定のものが第三表に大体計上してあるのでありますが、それによりますと、大高根の射撃場の交換土地の問題とか、あるいは極東空軍航空資材廠、これは東京都にありますが、横浜のノースドック、これは概観でございますが、こういうところでございます。それからキャンプ大津のA地区とか、鳴尾地区、これは兵庫県でございます。それから第九倉庫地区、崎辺地区、キャンプウッドの黒石の練兵場、第一高射砲陣地、これは福岡県の板付のほうの関係になっておりますが、こういうものが一応三十年度において、二十九年度から計画して予定しておるところの施設の予定表でございます。
  100. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 第三表の注のところに、「別二飛行場関係トシテ一応小牧、新潟、横田、立川、木更津ノ各飛行場ニツキ拡張ヲ考慮シテイル」と書いてありますが、この小牧の飛行場の問題でありますが、これを拡張しようとして拡張することになっておるわけでありますが、小牧山がつぶれてしまうということがある。この小牧山の古戦場がつぶれるというようなことは、これはまた時代の趨勢でやむを得ないといたしましても、あそこでたくさんな農民が、農耕地がつぶされるということに対して、非常に恐慌を来たして、そうして不穏な行動にまで出ようとしている。しかもその背後には思想的にいろいろと問題が起きる、共産党もあるというように聞いておるが、この現況と将来の見通しについて、御説明をいただきたい。
  101. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。ただいまの飛行場関係の既設の設備の拡張につきましては、ここに備考に書いてありますように、一応こういう要求が出まして、それぞれ現在米軍と日本側政府の間においてこの計画並びに実地についての調査をやっております。お話のように、こういう小牧あたりの相当な美田がつぶされ、それも相当広範囲においてその飛行場の計画の中に入るということにつきましては、相当大きな問題であることは事実でございまして、これらの点につきましても、関係者とのいろいろな話し合いとかいう問題が将来に残されておるのでありまするが、現段階におきましては、そこまでまだ具体的にどういうふうにやるかということについては、実施計画が完成しておらないように存じております。
  102. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 実施計画が完成しておらないというのに、土地とそれだけ密接な交渉をせられるということは、おかしいじゃありませんか。とにかく相当な計画のもとにこれは進められておると考えなければならぬが、それに対してまだその計画が立っておらぬ、ただ一応の瀬踏みというようなふうに今の御説ですと解釈ができるが、これは瀬踏み程度のものか、あるいは実際にこれを実行しようという意思があるのか、その点承わりたい。
  103. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) ただいまの吉田委員のお話でございますが、現在の段階におきましては、すでに新聞その他において御承知のように、これを拡張するということにおいてははっきり一応目安を立てているわけでありまするが、その具体的な設計をどうするかということにつきましては、現在小牧において米軍のほうで実地に測量その他をいたしました後に、計画はどの程度であるか、あるいはまたその結果がどういう反響を来たして、どういうふうな必要上どの程度に調整すべきかという段階にまだ来ておらないということでございます。
  104. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 そういたしますると、これは既定の事実として遂行するというふうに解釈していいのですか。
  105. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) 現在までのところは、大体そういう方針で御解釈していただいて差しつかえないと存じます。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは、今度の防衛分担金の削減の過程において、アメリカからジェット機の滑走路の拡張を要求されましたが、それだと思うのですが、今の調達庁としては、今富士山ろくの問題も起きているようですけれども、非常なこの米軍に接収される基地、あるいはまた今度は自衛隊の問題が起ってくると思うのですが、日本のですね、これに対して何かここで考えなければならない重大な時期に来ているのじゃないかと思うのですがね。これは根本から見るというと、行政協定にさかのぼる問題だと思うのです。行政協定では、御承知のように、アメリカ側から、日本の法律でアメリカ駐留軍が必要とするときにはその土地を無償で米軍に提供する、その条件は合同委員会で話し合うということになっているのですが、ここまでさかのぼりませんと——よその国の協定を見ますと、きちんと軍事基地がきまっている。英米協定を見ましても、米比協定を見ても、どことどこが基地ということが協定にきまっておる。日本の場合はそうじゃなくて、駐留軍が要求するときにはいつでも基地になるようになっているでしょう。この点なんか根本的に考え直さないと、しょっちゅうこういう問題が起きて混乱を起すようになると思うのですよ。そういう点について調達庁からここで何か考え直さなければならないところへきていると思うのですが、そういう点何か考えておりますかどうか、一つ……。
  107. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。ただいま木村委員からいろいろ御指摘のございました点につきまして、われわれもいろいろと実施面を担当はしておるのでありまするが、その実施面に関連しまして、もちろんその問題になる要素は分析すればいろいろあると存じます。われわれが事実上不手ぎわで問題が起きる場合もあるでしょうし、あるいはまた生活上のいろいろな完全な要求が充たされないために問題が起きる場合もあるでしょう、また別のただいま御指摘のありました行政協定、さらにその先にさかのぼったところの安保条約そのものに反対だと、こういう面から、こういうものはどこにあってもこれはもう反対だという面で問題になることもあるのであります。そこら辺の点につきまして、実施上自分らで反省できるところは非常に反省はしておるのでありまするが、その上位の段階において問題になる点をこれからどういうふうに解決するか、どういうふうに調整していくかということにつきましても、われわれも及ばずながらできるだけ考えてはおるのでありまするが、御承知のように現在の段階では、ある程度必要性によって向うが要求したものについては、特別の事情のない限り日本政府はこれを提供するというような原則的な取扱いが行われておりますので、相当われわれも向うからの要求のものをそのまま全部受けておるのではないのでありますけれども、なおそういう根本的な問題からいろいろと問題が起きております。従いまして、これをどういうふうに解決するかということにつきましても、協定あるいは条約の問題につきましては、さらに上位の段階で御検討にもなるでしょうし、この問題を直接担当されておる外務省の方でも、われわれの方でも、ときどきこういう点をこうしたらいいじゃないかという意見は、そのつど開陳しておるような状態でございます。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ富士山麓の問題ですが、今日の朝日新聞を見ますと、あれは厚生省が国立公園を尊重しなければならぬ建前から強硬に反対したところが、日米合同委員会で大体あれを了承してしまった、こういうふうにあの国立公園の理事長ですかが書いておりますね、投書で……。それであのいきさつはどうなんですか。日米合町委員会で厚生省があんなに反対したのに、もう承認を与えてしまった、承認を与えてしまったから今の段階では日本側に責任があるのであって、いたし方がないような状況になっておるというふうに見られるのですが、あのいきさつは一体どういうことです。それから日米合同委員会でこういう問題が処理されるときに、一体どういう形で処理されるのか、そういうこともこの際伺っておきたいのですけれども……。
  109. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。ただいま木村委員のお話の北富士の問題は、最近とみにいろいろな問題が起りまして、騒しくなってきたのでありますが、国立公園その他につきましての問題、その当時どういう経過であったかということにつきまして、遺憾ながらわれわれその交渉当時その職にいなかったものでありまするから、この点につきましては、はっきりわからないのでありまするが、今までの申し送りのいろいろな条件を検討いたして見ますと、確かにあの地区につきましての国立公園の問題はあったようでございます。従いまして、この問題を公園保護の立場からどういうふうにこの地区を提供するかということにつきまして、相当条件をつけまして、あの地区に大体保護地帯とかいうものを設けて、そこにつきましては一般のああいう条件の演習場と異りまして、絶対戦車や、ブルトーザーあたりは入れない、あるいは砲弾を打ち込まないといういろいろの条件をつけた上で協定しているようでございます。  なおこの問題につきましては、確かにその当時は、消極的にはいろいろ意見があったのではありまするが、そういう関係関係方面のそれぞれの意見を調整した上で、二十八年の十月十六日に閣議決定して、現在の北富士のマックネア演習場というものを米軍の施設として提供しているわけであります。  この手続はどういうふうになっているかという御質問でございまするが、その当時と現在とは若干事情が異るのでありまするが、現在におきましては、大体米軍側からの要求がありまする場合は、日米合同委員会のもとに施設特別委員会というのを設けているわけであります。ここに常時委員会を設けまして、原則として二週に一回づつ集合しているようでありまするが、ここで向うからいろいろなこの土地がほしいとか、この土地は返すとか、この施設がほしいとか、この施設が要らなくなるというような提案が米軍から出るわけであります。同じく日本側からもこういうものは解除してもらいたいという提案も出るのでありまするが、そういう提案が出ましたら、それを調達庁におきまして、いろいろな条件を分析いたしまして、それぞれの関係各省に、こういう条件でこういう要求が出ているが、これに対する所見はどうであるか、これについて、どういうふうに話し合いをすべきか、この面積の提供が適当であるかどうか、あるいはこれだけの面積が必要であるかどうか、あるいはこれについてはどういう条件をつけるべきかというようなことをいろいろと検討いたしまして、それをまとめまして、さらに米軍側と折衝するわけでありまして、そこで一応施設委員会でそれが異議なく合意の段階に達しますると、これを合同委員会の線に上げていくわけであります。合同委員会のほうでさらにいろいろ話して、大体条件が整った場合には、それを閣議決定することを条件として、一応合意成立を見るわけです。その後に閣議へまた提出しまして、閣議で決定したものを、その次には両者でサインをいたしまして、ここに初めて、先ほど施設のところでFACという言葉が出ましたが、あの一つ契約の番号に入れまして、ここで初めて米軍側に提供したということになっております。現在の手続関係は大体そういうふうなことでございます。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この閣議決定に対しては異議を申し立てることができるんですね。何かそういうことになっているんですか。それは今までどういうふうになっているのですか。
  111. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。ただいま木村委員の、施設提供の合同委員会から上りまして、閣議決定、その閣議決定に対して異議を申し立てられたと、こういう御質問でございまするが、これは別に法律的な手続とかその他じゃなくて、行政的な一つの手続でございまして、いろいろ個人的と申しまするか、一般代表者の形でも、こういうものに対しては反対であるとか、この点において異議があるとかいうことは自由に申し述べられることはこれはけっこうなんでありまするが、この閣議決定に対して何かそれを言ったことにおいて、その行政行為が拘束されるということはないわけでございまして、その点御了解を得たいと思います。
  112. 永岡光治

    ○永岡光治君 今まで内容を見ますと、三十年度でどういう施設を使っておるという説明、それから三十年度でどういうことを要求しておるということはわかったのですが、そういう程度説明しか承わらないのですが、二十九年度予算に基いて実施を予定されておるものが全部実施できたか、もし全部実施できていないとすれば、おもなものについてその、項目をあげて、こういう理由でこういうものが実施できない、そしてまた実施されていない、つまり予算の残額、二十九年度における予算の残額は総額について幾らであるか。
  113. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。二十九年度に予定しておったその中で実施できなかったものが、どれだけであるかという御質問でございますが、現在手元にその具体的な資料はございませんが、一応二十九年に——これは二十七年にも予定されていたもので順送りに二十九年度まで残ったものもありますし、二十八年度に同じに予定されたもので二十九年度に残ったものもございますが、そういう要するに向うから要求がありまして、これをわれわれは完全に拒否したものもあるのでありまするが、また再度要求してくると、こういうものがいろいろございまして、現在二十九年度末でそういう懸案となっておるものが約二百件ございます。この二百件の中にはごく僅かな地役権の問題とか、ごく一部の土地を、出入道路を要求するというようなものから、相当大きな演習場、たとえば大高根の問題がございますが、これはずっと占領中から使っておった射撃場でございますが、第一砲座、第二砲座、第三砲座とございまして、そこから射撃をしておったわけでございますが、第二、第三砲座から撃ち出します弾が民家の上を通る、あるいは耕作地の上を通ると、こういうふうな施設外の所を通りまして、それが弾道下になっていろいろと問題になったわけでございます。これは問題になるのはもちろん当然だと思いますが、従いましてこれをやめてくれ、そのかわりに別にそういう弾道下を作らないような形において砲座を提供することにするということで、二十七年から問題になっておったものでございます。これも二十九年中に片づける予定のものが現在まだ片づいておりませんが、そういうものがあって約二百件ございます。二十九年度中に予算といたしまして使用未済繰り越しになりますものが大体四億三千万円、大蔵省において繰り越したのが一億八千万円、調達庁において繰り越したものが二億五千万円と記憶しております。
  114. 永岡光治

    ○永岡光治君 この繰り越しの問題ですが、非常に金額が——今の説明された四億というのは、大蔵省と調達庁と合せて四億ですか。
  115. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) さようでございます。
  116. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはあれですか。繰り越されたというのは、さしおき緊急を要しないという解釈はできませんか。どうしてもそれは実施——お話によれば二十七年来実施していないのもまだあるというお話ですが、そういう緊急でないものは一体どういうふうにされているか。それからもう一つ繰り越したものは、たとえば二十九年度繰り越したものは三十年度予算編成の場合にそれはどうなるのか。繰り越し契約を認めているのか。それともこの三十年度予算に改めて追加して計上しているのか。
  117. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは予算の技術の問題でございますから、私からお答え申し上げます。  ただいま山中部長が申されましたように、繰越額がいわゆる国庫繰り越し、それから各庁繰り越しというふうに分れるわけでございますが、この施設提供等諸費は、御承知のように防衛支出金に一括計上されておりまして、使用に当りまして、調達庁の方に移しかえをいたしまして使用するわけでございます。これは永岡委員承知通りであります。そのうち、今お話のように、二億五千万円はすでに調達庁に予算をつけた分のうちの繰り越しでございます。従ってこれは、いわば具体的に計画はもうきまっておったのでありますが、それが先ほど来お話のような事情で、現実の支出に至らんその繰り越しが二億五千万、それから大蔵省の方に——なお調達庁に移しかえをいたさずして繰り越したのが一億八千万、合せて四億三千万、こういうことになります。  それから繰り越しは三十年度予算の編成に際してどう見たかという御質問のようでございますが、これは三十年度所要額を算定いたします際に、調達庁、大蔵省の間におきまして、懸案並びに新しい施設といたしまして、どの程度のものが必要かということを全体として打ち合せをいたしたわけです。で、その所要額を出しまして、今の繰り越しによる財源というものを差引をいたしまして、なお不足する額を三十年度に計上する。こういうやり方をいたしたわけでございます。
  118. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、承わりますと、二十七年からずっと実施できていなくて、かなり予算を余しているような説明があったわけですが、実は今具体的な例を申し上げますると、福岡においての保険局の支局の庁舎、名古屋市におけるところの郵政局の庁舎がそれぞれ病院に徴発されておりまして、非常に困っている、何とか早く返してほしいということを再三にわたって、今日まで長い間強い陳情を受けているわけですが、それだけ金を余すのであれば、なぜそういうものについて善処していただけないのか、その辺の事情はどうなっているのか。そして具体的にこの二つの問題についてはどういうように処理されようとしているのか。
  119. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。現在郵政、電通関係につきましては、御指摘のように、福岡に二件、名古屋にもございまするが、二十七年の講和発効以来、リロケーション・プログラムというものを作成いたしまして、大体私有地、あるいは民公有の建物、あるいは官有ももちろんでございまするが、建物を全部一応それぞれの用途に、従来の用途に必要で、賃貸借しておくのは困るというのは、全部別に営繕をいたしまして、そちらの方に引き移ってもらうように米軍と了解が成り立っているわけであります。このリロケーションによりまするところの代替建設物が予定通り進まないという問題がありまして、今お話しのように相当の数量のなおそれぞれの用途に使用される建物が現在なお施設として残っておるという状態で、はなはだ遺憾にたえないのであります。この問題はわれわれから見ましても、賃借料の増額になりますので、できるだけ早くこれを代替施設のほうに移ってもらうように、絶えず委員会を通じて交渉しております。これの金はただいま申しました防衛支出金の中で建てるものではなくて、安保諸費という別の予算科目があるのでありますが、その面で建設省で担当して事業を執行しておるわけであります。
  120. 永岡光治

    ○永岡光治君 安保処理費の中からそういうものは作るというお話しですが、安保諸費は大蔵省の主計局の関係がおいでになれば、おそらく未使用のものがたくさんあると思うのです。決算委員会でも明確になったことはずいぶんあるわけです。それぞれのサービス部門が庁舎がなくて非常に困っておるのです。何とかして早くやってもらいたいという希望があるのです。予算は余して、しかもそのまま放置しておる、きわめて私はおかしいと思うのですが、なぜ善処しないのですか。
  121. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、安全保障諸費につきましては、昨年の予算、二十九年度予算の際に、これは永岡委員承知のように特例を認めていただきまして、二十九年度まで繰り越しを認めていただいた。そこで三十年度にはもう繰り越しができない、これは事故繰り越しは別でございますが、いわゆる明許繰り越しということは認めておりません。今まで大へん長々と繰り越しをして参りまして御迷惑をいろいろかけたのでございますが、もはやそういうことは許されておりませんので、今調達庁の不動産部長から申されましたが、安全保障諸費の中において示達すべきものは、非常に今度はそういう繰り越しを許されませんので、建設省におきましてもせっかくスピードアップしておるものと私は考えております。ちょっと私今具体的にそのケースについてデータを持ち合せませんが、御要望の御趣旨はよくわかりましたから、さっそくそのほうの係には連絡をとりまして、なおスピード・アップいたしますように善処いたしたいと存じます。
  122. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは主管官庁としては調達庁になるのですか、それとも建設省になるのですか、それとも大蔵省になるのですか、
  123. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。安全保障諸費もそれぞれの事業官庁あるいは執行官庁のほうに移しかえをいたしまして、使用いたしておりません。庁舎の建設は御承知のように建設省の営繕局が主管をいたしておりまして、そちらの方の執行の責任は従いまして建設省が持っておる、こういうことになっております。
  124. 永岡光治

    ○永岡光治君 私が聞きたいのは、たとえば今申し上げた通信関係の重要な施設ですが、早く返してもらわなければならぬ問題について、どこがどういうお働きをして返すようになるのか、建設省が作るまでじっと待っていなければならぬのか、それともこういう経費が余っておれば、ほかにその施設を移してもらってもとの庁舎に返すという方法はとれないのですか。
  125. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、建設省が駐留軍の使用する施設、これを代替施設と申しておりますが、その施設を作りますと、現在郵政官署、その他のこの施設を使っておるのがそこへ引っ越すわけでございますが、安全保障諸費はそういう移転等のための代替施設を作るために、国会においてお認めを願っておる経費でございます。従いましてその安全保障諸費を使いまして建設省が責任を持って代替施設を作らなければならぬわけでございます。
  126. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは代替施設を作ることは、いつきめて、どういうふうに進行しておるのですか。
  127. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、ちょっとその具体的なデータを私ただいま持ち合せませんから、至急に建設省の方に御連絡をとりまして、永岡委員の御要望の趣旨を申し上げ、なお現在の状況がどうなっておるか、こちらへ迫って御連絡を申し上げるつもりであります。
  128. 永岡光治

    ○永岡光治君 それだけです。
  129. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 駐留軍の減少なり移動によって、使用施設が不用になったものがあるだろうと思うのですが、この資料がなくてわからんのですが、実情はどうなっておりますか。
  130. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。ただいま豊田委員からの駐留軍が不用になったものをどうするかというお話しでございまするが、大体国有につきましては大蔵省の所管といたしまして、そのまま大蔵省に引き継いでしまうわけでございます。それから一般の民有からお借りしておるものにつきましては、それぞれ原状回復をいたしましてそれぞれの所有者にお返しする、こういうことになっております。
  131. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私の質問しておるのは、解除になったのが数字的にどういうふうになって一おるのか、減少したものがどうなんで、増加したものが幾らで、差し引き現況はこうだという資料を出されてしかるべきじゃないか、こういう意味なんです。あと資料で出してもらっていいのですよ、あるのでしょう。
  132. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) 概括はあります。
  133. 館哲二

    委員長館哲二君) じゃ資料で提出していただくことにいたしましょうか。
  134. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでけっこうです。
  135. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) 後刻資料で、二十七年から大体わかっておりまするから、それを資料で……。
  136. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 毎年の比較増減を……。
  137. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) 承知いたしました。これは総計数でよろしゅうございますか。
  138. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この施設別にやって下さい。
  139. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) 承知いたしました。
  140. 久保等

    久保等君 この資料の三枚目のところで、昭和三十年度で予定しておる増加する施設資料なんですが、昭和三十年度に予定しておる坪数はここにあげられておる通信関係の九カ所がほとんど、むしろ大半を占めておる。非常に膨大な数字が上っておるのですが、通信関係の九カ所だけをただ書いてあるのですが、もう少し具体的にこれは一体土地の坪数なのか、建物の坪数なのか、そのあたりも明確でないし、簡単にお答え願えるのならお答え願いたいのですが、もしなんでしたら、資料としてもう少しよくわかるように具体的な細目を一つ説明願いたいと思います。
  141. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) お答えいたします。ただいまの九カ所に三十二万余坪というのはこれは土地の坪数でございますが、それからその他の九カ所のこまかい数字は後刻資料で提出いたしたいと思います。
  142. 中山福藏

    ○中山福藏君 一つだけお伺いいたします。大体二十八年度の会計検査院からの報告によりますと、使途不明の金が調達庁と公共事業費が一番大きいということになっておるのですが、そのうち調達庁費というのは六億か四億かございますね、使途不明というのが……。そういうことは一体どういう原因でそういうふうになっておりますか。そういうことを考えられて、二十九年度の会計検査院報告かきておりませんから仕方がないのですけれども、三十年度なんかは、そういうことを勘案してこの予算というものを組まれているのですか。やっぱり使途不明ということがあとで現れてくると困るのですが、二十八年度は六億くらい出ておるのですが、こういうことでは困るのですが、そういう原因をつきとめてこれは予算を組んでおられるのですか。
  143. 山中一朗

    政府委員(山中一朗君) はなはだ申しわけないのでございますが、私直接会計の責任者でないので、はっきりしたことは申し上げかねるのですが、おそらく防衛支出金の向うへ渡した金の中の四億が使途不明である、こういう意味じゃないかと思うのですが、私らの一応所掌しておりますところの施設処理におきましては、そう大きなものが批難事項に上っていたとは記憶しておらないのでございますが、その点につきましても、係りの方によく問い合せまして、後刻また答弁させることにいたします。
  144. 久保等

    久保等君 これは一番大きな問題に入っておりますから……。
  145. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはこの前の決算委員会で明確になったのですが、使途不明の問題等もあわせて関連があろうかと思うのですが、調度物品ですね、年度末までに何とかして消化したいということで、九年分とか十年分の衣料品関係をたくさん買ったということが会計検査院から指摘されておった記憶を私は持っておるのですけれども、そういうでたらめなことは、おそらくこの三十年度は私はやっていないと思うのですが、従って予定しておるということは、この三枚目でも予定しておるのだという、この予定が非常に漠然としておるものじゃないかと思うのですが、先ほどの話を聞いておりますと、今の部長の答弁にも、二十七年度はまだ実施できていないというふうに承わったくらいですから、おそらく予算の使用については、国民の血税によるものですから、明確にむしろ足らんくらいに作っておいて、そうしてどうしても必要なものは予備金で出すというくらいのことができるのじゃないかと私は考えておりますが、その点を一つ明確に承わりたいと思います。
  146. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、先ほど中山委員並びに永岡委員から、決算上非常に各省の、特にただいま衣料品の例をあげての御指摘でございますが、これは調達庁ではなくて、かつて前の保安庁時代だと思うのですが、非常に衣料品をたくさん買ったということを指摘されたことを覚えております。なお、また中山委員から御指摘のように、公共事業等において相当、不当、不正の使用があるということは、私どもも十分承知いたしております。そこで、これは予算の執行に当る各省、各庁の責任であるとともに、大蔵省といたしましては予算を編成いたします際に、そういう決算の事実を貴重な参考にいたしまして、お言葉通り、国民の血税によって支弁されるものでございますから、そういう不正、不当、あるいはむだ使いの起らないようにするのが当然じゃないかというような御趣旨のように拝聴いたしたのであります。この点はわれわれも重々さように心得ておるのであります。ただ、なお、今年あたりの決算委員会においてまた御審査をいただくわけでございますが、検査院の批難事項は、やはり件数としてもふえております。これはまことに遺憾でございますが、この点につきましては、しかし一方におきまして、私どもとしては今御指摘のような事実、これはどんどんやはりあるものは摘発をしていただきたいということで、今回昭和三十年度予算におきましては、会計検査院に実は一局増置することに予算を計上いたしました。約六十人の増員を、一般的には非常に行政整理の時代であり、経費節減の必要が非常に大きいのでございますが、検査員の六十人の増員は、もって何億、何十億、何百億の国費の節約に資するものという大局的判断から、特別の例外を認めて実は予算を計上いたしております。なお、従いまして検査院はさらに検査を厳重に行なっていただくことを大蔵省としては期待をいたしております。このために、あるいはしばらくの間検査の非違の件数はふえるかもわかりませんが、これは私どもとしてはあえて国会において、むろん非常に御叱責をいただくことを覚悟いたしまして、しかもなおそういうものを根絶するということが最終のねらいでございます。しかしそれまで漫然としておるかということにつきましては、さようではないのでありまして、現に先ほど御指摘のような保安庁の衣料品の購入等につきましては、その後予算の計上において直ちにこれを是正いたしております。また、ただいま調達庁の方からも御答弁がございましたが、どうも駐留米軍との関係等で、多少そういう事実も走ったようでございますが、最近の経理はむしろ相当締まっておるのでありまして、先ほど調達庁の不動産部長が、二十七年以来の懸案がなお二百件あると申し上げたのは、実は金が残っておるという趣旨ではございませんので、いろいろ向うから言われ、要望されて、こちらとしては筋の立たないものはお断——わりいたしておるのが、なお、再三にわたって要望のあるような懸案が二百件ほどあると、こういう趣旨でございます。そういう点につきましては、これはやはりそれらの解決には、すべて血税を使うのでございますから、調達庁におきましてもきわめて慎重でございます。まあ、一部の方からはもっと思い切って金を出したらどうかという、そういう御意見もずいぶんあるのでございますが、この点は御趣旨のように十分慎重にいたしまして、一部の御要望はあっても、全体としての国民の血税を使わしていただくんだというような気持に徹してやっておるつもりでございます。しかし何と申しましても、一般会計だけで一兆に近い国費を使うのでございますので、あちこちになお遺憾な点がございます。これらは先ほど申し上げましたように、年々検査報告において指摘を受けておるのでありますが、私どもといたしましては十分反省をし、是正に努めるつもりでございますが、なお、一方において非違があれば、どんどんこれは摘発をしていただきまして、今後の改善の資料にして参りたい、こういう気持で予算も組んでおるような次第であります。まあそのほかに何かやっていないかという点でございますが、これはまあ決算委員会て詳しく御説明を申さなければならぬのでありますが、会計関係職員の研修ということにつきましても、相当力をいたしておるつもりでございまして、大蔵省におきましては年々相当数の各省庁、あるいは関係政府機関並びに都道府県の職員に至るまで、会計法令の無知のために、いろいろ検査院から指摘をされるようなことのないように、担当の職員につきましては逐次研修を重ねまして、法令の無知に基く不正不当というようなことの根絶を期しておるような次第でございます。時間の関係もございますが、まあそういうようなことで、できる限り努力をいたしておるのでありますが、なお、不正のあることはまことに遺憾でございますがこれらにつきましても、今後とも十分努力をいたしまして、御趣旨のように進んで参りたい、こう考えております。
  147. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは本日はこれにて散会いたしたいと思います。    午後四時四十九分散会